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ミ,,゚Д゚彡彼への依頼はV・I・Pのようです:三話 「向けられた銃口、父の行方」
- 2 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:08:54.19 ID:dpx+kENP0
- 第一章 詐欺と詭弁のボディーガード
三話 「向けられた銃口、父の行方」
しばしの静寂の後、フサは青みがかった黒色の銃を懐に仕舞うと
もう安全と判断したのかペニサスが息子へと駆け寄る
('、`;川「真斗!大丈夫!?」
マト;>д<)メ「うわぁぁぁん」
ミ,,゚Д゚彡(逃げたか…)
ミ,,゚Д゚彡「…まだ仕事は終わらないみたいだね」
从 ゚∀从「…」
未だ声を上げて泣き続ける我が子を抱きながら
ペニサスが青い顔で問いかける
('、`;川「フッサールさん…今のはいったい…」
- 5 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:14:17.11 ID:dpx+kENP0
- ミ,,゚Д゚彡「うん、向かいのマンションから狙撃されたみたいだ
もうどっかに行ったから平気だと思うよ」
警告もしたしね、そう付け加えフサは笑った
从;゚∀从「しかし、まさか撃って来るとは…」
ミ,,゚Д゚彡「ちなみに何か心当たりは?」
('、`;川「ありません、そんな…命を狙われるような事は何一つ!」
二人はひたすら震えながらうずくまっている
ミ,,゚Д゚彡「ですよねー、とりあえず話は落ち着いてからにしましょ」
冷静に話は出来ないと判断したのだろう
フサはそう言うとその辺に散らばったガラスの掃除を始めた
ミ,;゚Д゚彡「いてっ!指切った!」
从;゚∀从「何やってんだよお前は…」
- 7 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:19:15.64 ID:dpx+kENP0
- ――【??】――
夕暮れ時の街角、一人の男が隠れるように電話を耳に押し当てている
携帯からは苛立った怒声が聞こえてくる
《失敗!? 何をやってるんだ貴様は!!》
(;??)「すみません! 妙な男の邪魔がありまして」
《そんな事は知らん、早々に始末しろ、あれは間違いなくあの子供が持っている
もしも鍵を使われればそれこそ全てが水の泡なのだからな…》
(??)「わかっております、お任せください」
《当然だ、次は無いと思え》
その言葉を最後に電話が切れ
微かな電子音、男が携帯の終了ボタンを押した音だ
(メ゚A゚)「…ちっ」
頬の傷に触れ、悔しそうな表情を浮かべながらその場所を去っていった
- 10 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:21:07.99 ID:dpx+kENP0
- ……。
日も沈み、街が夜の姿を現し
どこの家にも明りがともり始め
ペニサス宅も同様に奥の一室を天井の電気が部屋を明るく照らし出した
ミ,,゚Д゚彡「単刀直入に話すと、狙いはお子さんのようです」
('、`;川「…はい」
覚悟はしていたのか、その言葉に動揺はせず静かに肯定した
从 ゚∀从「でも何で真斗君が? 例の尾行してたのはあのおっさんだろ?」
ミ,,゚Д゚彡「うーん…真斗君、いいかい?」
マト;・д・)メ「…」
ミ,,゚Д゚彡「ピカワオンって知ってる?」
マト;・д・)メ「え?」
从;゚∀从「何言ってんだお前ロリコンか」
ミ,;-Д-彡「あのね…」
- 11 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:22:58.34 ID:dpx+kENP0
- マト*・д・)メ「…知ってるよ、ハウスモンスターってゲームに出てくるやつ」
ミ,,゚Д゚彡「君、その人形が着いたキーホルダーを拾った?」
マト;・д・)メ「…拾ってない、知らない」
ミ,,゚Д゚彡「正直に答えてくれるかな、大事な事なんだ」
そう言ってフサは脅える少年を何時に無く真剣な顔で見つめている
ミ,*゚Д゚彡(あぁ、そろそろ限界…)
それが熱い視線に変わり始めた頃
何か嫌な気配に感づいたのか少年が口を開いた
マト*・д・)メ「……拾った」
ミ,,゚Д゚彡「そっか、やっぱり」
マト;・д・)メ「でも違う!あんなの詐欺だ!」
ミ,;゚Д゚彡「どゆこと?」
- 12 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:25:29.47 ID:dpx+kENP0
- マト*・д・)メ「なんか縫い目みたいのがいっぱいあって、変な感触がして」
マト*・д・)メ「…中に、へんなのが入ってたんだ」
ミ,,゚Д゚彡「変なの…? それはもしかしてまだ持ってるの?」
マト*・д・)メ「うん」
ミ,,゚Д゚彡「見せてくれる?」
そう言われ、どこか渋々した態度で了承し
少年は自室から何かを手にし、手渡した
それは丸い数字の書かれたプレートが付いた鍵だ
从 ゚∀从「これは…ロッカーキーか?」
ミ,,゚Д゚彡(2チャン駅のやつか)
('、`;川「なんでそんな物拾ってきたの!」
- 13 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:26:30.80 ID:dpx+kENP0
- マト;・д・)メ「なんかかっこよくて…つい」
('、`;川「それならどうしてもっと早く言わなかったの!」
マト;・д・)メ「だって…言ったら怒られると思ったんだもん…」
('、`;川「ばかっ!!ちゃんと話してくれればこんな事にはならなかったのよ!!」
マト;>д<)メ「うっ…ごめん、なさい…」
ミ,;゚Д゚彡「まあまあ、その辺で勘弁してやって」
('、`;川「ですが…」
ミ,,゚Д゚彡「変な人にそれについて言われて怖かったんでしょきっと
それにそんな風に怒られるんじゃ、話せなくもなりますって、ね?」
マト;・д・)メ「…」
ミ,,゚Д゚彡「それに大丈夫、真斗君は俺がきっちり守ってやりますから!」
('、`;川「…はい、すみません取り乱して」
ミ,,゚Д゚彡「いえいえ」
- 14 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:28:18.14 ID:dpx+kENP0
- マト*・д・)メ「…ほんと?」
脅えていた少年がフサの足元に近寄り、上目遣いに問いかける
ミ,,゚Д゚彡「ん、もちろん」
マト*・д・)メ「…」
優しく語る言葉、少年が微かに微笑む
フサはそんな様子を半ば興奮しながら見つめていたが
突然何かに気付いたのか、振り返り入り口を見つめた
从 ゚∀从「どした?」
ミ,,゚Д゚彡「お客さんみたい」
('、`*川「え?」
突然の騒音、怒声
勢いよく扉が開かれる音と激しい足音が聞こえてきた
- 15 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:29:58.29 ID:dpx+kENP0
- 「!!!!!!」
声とも音とも取れる騒がしさの中、玄関から数人の男が乱入
微かにペニサス親子が悲鳴を上げた
現れたのはスーツ姿の男が4人、内一人の手には黒色の拳銃が見える
先頭の一人がそれを向け口を開いた
(メ゚A゚)「全員動くな」
从;゚∀从「…あらら」
(>、<;川「…!!」
マト;>д<)メ「うわああああん」
ペニサスは突然の事に動揺しつつ
泣き出す我が子を守るべく抱きしめ、しゃがみ込んでいる
(メ゚A゚)「昼間のはただの警告だ、鍵はどこにある、答えろ」
銃口を屈む親子に向け、語気を荒げ男が言う
そこへ響く間の抜けた声と金音
- 16 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:32:02.06 ID:dpx+kENP0
- _,
ミ,,゚Д゚彡「そうか、あれお前か」
フサが指に鍵のリングに指を通し、クルクルと回している
(メ゚A゚)「そうだ、昼間は随分と余計な邪魔をしてくれたな」
ミ,,゚Д゚彡「んー…それよりさ、鍵ってこれだろ?」
(メ゚A゚)「…渡してもらおう」
ミ,*゚Д゚彡「えぇ〜、急にそんな事言われても…困っちゃう」
「な、おいてめぇ…この状況が分からねえのか!?」
後ろの取り巻きと思われる一人が脅すように叫ぶ
_,
ミ,,゚Д゚彡「分からないね、これ小説だもん文章にしてくれないと」
(メ゚A゚)「馬鹿にしやがって…ならてめぇから死…!!」
空気が破裂、次いで金属音、言葉も途中に男の持つ拳銃が弾け飛び床に落ちた
- 17 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:34:15.23 ID:dpx+kENP0
- (メ;゚A゚)「ぐっ…あ」
突然の衝撃、強烈な痺れに男は手を抑える
_,
ミ,,゚Д゚彡「…全員、うごくなよ」
フサは一瞬で懐から取り出した銃を男に向けている
(メ;゚A゚)「な、そんな馬鹿な…」
再度ハンマーを下げ弾倉が回転
硝煙の香りが室内を漂い、円状の筒の先からは薄く煙が上がる
6連の丸い弾倉、青黒く輝く銃身が鈍く輝く
ミ,,゚Д゚彡「頬の傷じゃ足りなかった?」
「それは…コルトパイソン……っ!?」
「シティーハンター!? こいつが!?」
(メ゚A゚)「あ…あ……」
- 18 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:37:00.49 ID:dpx+kENP0
- ミ,,゚Д-彡「そういう事、ご説明どうも」
从 ゚∀从「んで、どうするんだ?」
ミ,,゚Д゚彡「そうだなぁ…」
既に戦意を失くし、身動き一つ取ろうとしなくなった男達を見つめ
「いい事思いついた」といやらしく口元を吊り上げた
――翌日
《お昼のニュースです、今朝方2チャン駅のロッカーから大量の麻薬が発見されました》
《現在、警察では暴力団等との関係性を考え調査されています》
テレビには胸の大きな女子アナが紙面片手に熱心に喋っている
- 19 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:38:22.05 ID:dpx+kENP0
- お昼時、ペニサス宅のリビングでくつろぎながらハインが口を開いた
从 ゚∀从「麻薬、かぁ」
ミ,,-Д-彡「…ぐぅぐぅ」
マト*-д-)メ「…すやすや」
その傍らではフサと真斗が仲良くお昼寝していた
真斗の方は一応危険を考え、学校を休んでいる
('、`*川「…あれで良かったのでしょうか?」
从 ゚∀从「どうだろう…まああいつが大丈夫って言うんだから大丈夫だとは思うけど」
昨夜は結局連中に口を割らせた後
あろう事か鍵を渡し、そのままお帰り頂いた
逃がす間際にフサは連中に何かを伝えていたが…
ミ,,゚Д゚彡「んー、ちょっと脅かしただけだよ」
と、訪ねてもいまいち曖昧な返事しか返ってこない
- 20 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:39:16.52 ID:dpx+kENP0
- この話は結局、要約するとこうだ
取引の際に動く大きな金の動きを隠す為
マニアの間でかなりの高額の値がつけられた例のキーホルダーが使われた
まあ私としてはあんなくだらない物が
実際に数百万の値打ちがついているとは信じ難いが…そういう物らしく
受け取りにはまず人形を取引し
人形の中に隠されたロッカーキーで受取人が各自回収する
今回は受取人が回収に向かう際、人形を落とし、それを真斗君が拾ってしまい
あろう事かその鍵の存在さえも知られてしまった
だから真斗君さえ殺せば済むと考えたのだろう
从 -∀从(安直な奴等だ…場所変えるなり鍵を壊すなりすればいいだけだろうに)
- 21 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:41:45.11 ID:dpx+kENP0
- ――3日後
ミ,*゚Д゚彡「あはははっ!」
マト*>д<)メ「くるなぁ!きもいんだよ!!」
未だに彼等はペニサス宅に居た
そうして毎日の様にフサと真斗は遊び歩いている
あんな帰し方をして、当然報復が来るものだと思っていたが
不思議な事にそんな様子も無く平穏な時間が流れていた
从;゚∀从「…なんか、その、すいません」
('、`*川「いえ、あの子も喜んでますし」
「ああもう、かわいいよ!ねえねえお菓子食べる?」
「やめろよ!子供扱いするなぁ!」
从;゚∀从「…そうかなぁ」
- 22 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:42:28.30 ID:dpx+kENP0
- ('、`*川「そうですよ、きっと…父親が居ない寂しさがそうさせるのでしょう」
从 ゚∀从「…やっぱり、居ないのか?」
('、`*川「今年の頭から…行方不明なんです」
从;゚∀从「え?」
('、`*川「実を言いますと…夫は表の人間ではありません」
从 ゚∀从「というと…」
('、`*川「あなた方と同じ裏の人間…したらば組の構成員で
それもかなり上の人間だと聞いています」
从;゚∀从「したらばぁ!? またでかい所が来たな…いや、そうか
それでVIPについて知ってたんだな」
('、`*川「その通りです…もしも何かあったら、あなた方に依頼しろと」
- 23 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 00:44:34.10 ID:dpx+kENP0
- 从 ゚∀从「なるほどね…こんな普通の一般家庭が何でまた
掲示板の暗号なんか知ってるのかと思えば、納得したよ」
('、`*川「はい、そして1月の始めに家を出たっきり何の連絡も無く」
从 ゚∀从「じゃあ、もう3ヶ月以上音沙汰無しって事か…」
('、`*川「ええ、ですが私もあの人と結ばれた時から覚悟はしています
恐らく、夫はもうこの世には居ないのでしょう」
从 -∀从「…」
ハインは少し俯き、横目に騒がしい二人を見た
一瞬二人の目線が交差
ミ 彡b
視線を外し、フサが親指を立てる
从;゚∀从(たく…お前はいったい何を考えてるんだ?)
心の中で問いかける
その返事は返ってくるはずもなく、ただ悪戯に時間は過ぎていくのであった。
三話 終