-VIP産小説保管庫-

ミ,,゚Д゚彡彼への依頼はV・I・Pのようです:四話 「アイよ消えないで」

89 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 06:57:07.46 ID:dpx+kENP0
四話 「アイよ消えないで」


大きな看板が付けられた洋風な建物
板には『喫茶バーボン・アイ』と書かれている

そこへ一人の男が足を踏み入れた

カラン コロン

扉が開き、室内に響く鐘の音

(*゚∀゚)「いらっしゃいまぁ〜…あらま!」

緑のエプロン姿の女性が入り口を向き、見知った顔と判断し表情を緩めた

ミ,,゚Д゚彡「やっ」

軽く片手を挙げながらご挨拶

店内は明るく、穏やかなBGMが流れている
90 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 06:58:43.41 ID:dpx+kENP0
しばらくすると店の奥から現れたのは同じくエプロンを纏った細身の男

(´・ω・`)「やあ、来たね」

ミ,,゚Д゚彡「早速だけど、どう?」

(´・ω・`)「うん、大体調べはついたよ」

ミ,;゚Д゚彡「さっすがショボ! …って何その手は」

ショボと呼ばれた男は静かに手をフサの顔の前に差し出す

(´・ω・`)「御代、前払いでね」

ミ,;-Д-彡「抜け目の無い事で」

拍子抜けした様子でフサがその手に何かを3つ落とした

(;´・ω・`)「300円…」

ミ,,゚Д゚彡「さっ、早く早く!」
91 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 07:00:10.80 ID:dpx+kENP0
(´・ω・`)「あのね、誰がお茶台を払えと」

(*゚∀゚)「まぁいいじゃない、はいコーヒーどぞー」

女性が湯気を立てるカップをカウンターに置いた

ミ,*゚Д゚彡「やったぁ!やっぱり胸の小さい子は心が広い!」

(*゚∀゚)「あらそう? やっぱり?」


(;´・ω・`)「はぁ…しょうがないな」

溜息を一つ、軽く悪態を突きながら話し出した

(´・ω・`)「…まず粉の出所は法京会、去年にできた新興組織だよ」

ミ,,゚Д゚彡「ああ、そこなら知ってる、近頃やたら勢いのあるとこだな」

(´・ω・`)「それで今の所あれから何も動きは無いみたい
      …よほど君の脅しが効いたのかな?」
92 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 07:02:00.85 ID:dpx+kENP0
注がれたコーヒーを啜り、熱そうにカップを置き、一つ間を置き口を開く

ミ,;-Д-彡「別に脅しって程じゃないよ、帰って伝えさせただけさ
      あそこにはシティーハンターが居るから手を引け、ってね」


(´・ω・`)「ふーん、まあ大きな所でも無いしそれを言われれば当然か
      でもそういうのは充分脅しって言うんじゃない?」

ミ,,゚Д゚彡「別に手を出したらどうこうとは言ってないもんね」

(´・ω・`)「ふーん、あと君が言ってたしたらばとの関係性
      確かにあるみたい」


ミ,,゚Д゚彡「というと?」

(´・ω・`)「なんでもその二つの組長は何度も会合を繰り返しているらしいよ」
  _,
ミ,,゚Д゚彡「…随分とキナ臭いな」
94 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 07:03:57.91 ID:dpx+kENP0
(´・ω・`)「そうだね…で、こんな事調べさせてどうするつもりだい
      麻薬なんて扱う奴等はぶっ潰す!とか?」

  _,
ミ,,゚Д゚彡「そんなわけないだろ…常識、いや始末屋的に考えて…
      別に連中が何しようと知った事じゃないよ、それよりさぁ」


(´・ω・`)「分かってるよ、ペニサス伊葉…したらばの重役として存在し
      もうすぐ法的に死亡扱い、こんな所かな」
  _,
ミ,,゚Д゚彡「もうすぐ死亡? 何だそりゃ、死にかけてんのか?」

(´・ω・`)「どうだろうね、そこまでは分からないけど
      もうすぐ殺されるんだ」
  _,
ミ,,゚Д゚彡「kwsk」

(´・ω・`)「先に言っておくけど、この話は手に入れるの大変だったんだからね?
      聞くからにはそれなりの報酬を覚悟して貰うよ?」

ミ,;-Д-彡「んが…分かってるよ」
95 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 07:05:17.07 ID:dpx+kENP0
(´・ω・`)「うん、それじゃ…今年の初めにしたらばで起きた騒動の事は覚えてる?」


ミ,,゚Д゚彡「あー、確か鉄砲玉が入り込んだんだっけか…
      でも結局途中で逃げられたって話だろ?」

(´・ω・`)「うん、それでその鉄砲玉っていうのが伊葉って人」

ミ,;゚Д゚彡「あちゃー」

(´・ω・`)「そして今回発覚した麻薬騒ぎも彼が単独で行った事で
      今回の事から発見された伊葉はもうすぐ殺され、海の底」

ミ,;゚Д゚彡「おいおい、そりゃ酷いな…」
  _,
ミ,;゚Д゚彡「ん、いや待てよ、なんかそれおかしくないk」
(´・ω・`)「ていうのが濡れ衣の内容」

  _,
ミ,,゚Д゚彡「は?」

(´・ω・`)「それがね―――
96 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 07:07:31.25 ID:dpx+kENP0
……。

  _,
ミ,,゚Д゚彡「ごちそーさん、それだけ聞けば充分だ」

(*゚∀゚)「あら、もう行くの?」

ミ,*゚Д゚彡「うん、そろそろ真斗君迎えに行かないと〜」

立ち上がり、早々に立ち去ろうとするフサにショボが呼び止めた

(´・ω・`)「ちょっと待って」

ミ,,゚Д゚彡「なんだ?」

(´・ω・`)「…どうする気なのかは聞くつもり無いけど、気をつけなよ
      どうにもこの件はまだまだ底がありそうだ」


ミ,,゚Д゚彡b「心配御無用!」

そうして「じゃあね〜」と扉の鐘を鳴らし
楽しそうに出て行くフサを二人だけが見送った
97 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 07:08:34.49 ID:dpx+kENP0
(*゚∀゚)「どうしたの? 珍しく随分心配しちゃって」

からかう様に、女性が話す
ショボはどこか遠い目をしながらそれに答えた

(´・ω・)「…ツケが溜まってるんだ、こんな所で死なれちゃ困る」

(*゚∀゚)「じゃ…そういう事にしておいてあげましょう」


 【通学路】


真斗を学校まで迎えに行き、何事も無く帰り道
珍しく黙ったままどこかを真剣な表情で眺め続ける彼に面食らいながら
静かに二人は歩いていた

と、不意にフサが口を開く

ミ,,゚Д゚彡「なあ真斗」

マト*・д・)メ「…なんだよ」

ミ,,゚Д゚彡「お父さんに帰ってきて欲しいか?」
98 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 07:10:21.53 ID:dpx+kENP0
マト;・д・)メ「…いらないよ、あんな奴」

ミ,,゚Д゚彡「なんで?」

マト♯・д・)メ「僕は知ってるんだ、ママはパパが出てってから毎日の様に泣いてたんだ
      勝手にどっか消えちゃう様な奴なんか大嫌いだ」

上ずった声、その回だけこの子も同様に泣いていたんだろう

ミ,,-Д-彡「そっか」

マト*・д・)メ「兄ちゃんは、どっかに消えちゃったりしないよな?」

ミ,,゚Д゚彡「…」

マト*・д・)メ「…答えろよ、どうなんだ?」

しばし黙ったまま歩く
遠い喧騒が耳に届き、どこか物悲しさを覚える
やがて微笑むように言った

ミ,,-Д-彡「大丈夫、消えてなんかいないさ」

マト*・д・)メ「え?」
99 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 07:12:21.95 ID:dpx+kENP0
変な言い回しの言葉に困惑しつつ歩く
問い詰めるもやはりまた黙ったまま、何も答えようとしない

少年の心を不意に不安が襲うが
すぐに先から彼が真剣に見つめる物に気付いた


マト*・д・)メ「…ん?」


ミ,*゚Д゚彡「……」        幼女「〜♪」


マト;・д・)メ


少年は思った

やはりさっきの言葉は無かった事にしよう、と
105 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 08:36:15.36 ID:dpx+kENP0
見上げ、口にする

ミ,,゚Д゚彡「…ここか」

そこはビルに挟まれた4階立てのこじんまりとした建物だった
その最上階には明りがいくつか灯っている
  _,
ミ,,゚Д゚彡「しっかし、しけた所だねぇ…」

やがて入り口から男が二人、こちらへ向かってくるのが見える
目の前までやってくると二人で囲い、語気を荒げて言った

「おいあんた、ひとんちの前で突っ立ってなにしてんだ?」

ミ,,゚Д゚彡「んー、視察」

「はぁ? 何わけのわかんねーこと言ってんだ、痛い目見ない内に消えな」

延々と罵声を飛ばす二人を眺め、口の端を吊り上げる

ミ,,゚Д゚彡「そーだ、ちょうどいい、君等に聞きたい事がある」
106 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 08:38:10.00 ID:dpx+kENP0
……。

薄暗い廊下に足音が響く

ミ,,-Д-彡「…」

   実は鉄砲玉が進入した際、その場に法京会の重役が居た
   そして厄介な事にその時の流れ弾はその人間に当たり、死んだ

   当然法京会はそれについて文句をつけたが
   元々援助された経緯があるからって事で譲歩し
 
   その撃った人間を要求した

   (それが伊葉って人だった)

   (うへ)

   そして、したらばは事が大きくなる事を恐れ

ミ,,゚Д゚彡(それに従い、伊葉は行方不明として扱われた…か)
107 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 08:39:18.21 ID:dpx+kENP0
一人暗い中を進み、やがて一つの扉の前に着いた
早速開こうとドアノブを回すも開かない
ちゃんと鍵が閉まっているようだ


ミ,,゚Д゚彡(まあ当然か)

フサはおもむろにベルトのバックルを下に押し込む
すると音を立て四角い部分が外れ
その裏側にはビッシリと様々な形の細長い金属が付いている

  _,
ミ,,゚Д゚彡「へっへっへっ…」

何やらそれ等を鍵穴に挿れたり挿したりしている

「カチャ」

ミ,,゚Д゚彡「よし逝った、じゃなくて開いた」
108 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 08:40:02.38 ID:dpx+kENP0
扉がゆっくりと開かれ、暗い廊下に光が差す
何も無い部屋だ、真っ先にそう感じさせる
窓さえ無い密室を天井のライトが中を鮮明に映していた


(=ヽ゚ω゚)「……」


中に入ると一人の男が奥のベッドから静かに身を起こした
その顔はやつれ、どこか眠そうな瞳には生気を感じない

その男のすぐ前まで近づいても尚それは変わらず
虚ろな目でフサを見ている

ミ,,゚Д゚彡「ペニサス伊葉、だな?」

その問いに男は僅かに首を傾げ、訝しげに力無く呟いた

(=ヽ゚ω゚)「あ、あぁ…」

ミ,, Д 彡「…っ」

小さく下を鳴らす
彼はそんな様子を更に不可解そうに見つめていた
109 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 08:40:36.72 ID:dpx+kENP0
ミ,,゚Д゚彡「家族に会いたいか?」

(=゚ω゚)「ぇ…?」

その言葉で微かに彼の目に力が戻る
彼の様子に満足したのか、一息吐いてから告げた

ミ,,゚Д゚彡「お前に選択肢をやる、このまま死ぬか





それとも――





                    4話 終