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( ^ω^)が死の一日に挑むようです:第4話 「survive」
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 19:38:05.17 ID:UCXmsFcj0
- 第4話 「survive」
/ ,' 3 「くかー」
じじいはビルの中で眠っていた。
(´・ω・`)「とりあえず、現状の鬼は四人か」
荒巻は夜の間は狩りをしない。
暗視スコープがあるわけでもなく、気配が読める達人でもない。
さらには、標的に接近されたとして、
使えるような劇物を持っているわけでもなかった。
そう、彼は「わきまえて」いるのだ。
ただの老人だと言うことを。
(´・ω・`)「身のほどを知った狂人ほど、怖いものは無い…ってか」
- 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 19:41:10.31 ID:UCXmsFcj0
※
森は闇に包まれ、音を発するのは木々と、得たいのしれない獣の鳴き声のみ。
夏の生暖かい空気が森を覆っていたが、
参加者にとっては少しの物音が身を凍らせるのに十分なものであった。
(;´∀`)「モ、モナー」
ソロソロと物音を立てずにゆっくりと動く影。
一際、大きい図体を揺さぶりながら、隠れる場所を求めさ迷っていた。
(;´∀`)(夜で見えない内に隠れる場所を見付けないと…)
このゲームの参加者には三つの選択がある。
1、ひたすら逃げる
2、ひたすら隠れる
3、鬼に立ち向かう
- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 19:44:08.75 ID:UCXmsFcj0
2が最も生存率が高そうに思えるが、
実際には隠れているものから真っ先に殺されていく。
ゲームの性質上、隠れる者が出るのは当然の事。
鬼もそれを十分に把握している。
そして直径2kmの円という、枠の中に鬼が5人もいるのだ。
草の根までしらみ潰しに探す事も可能である。
そして一番大きな死因は、隠れている者は「覚悟」が無い事。
戦うものは立ち向かうという意思、
逃げるものは勿論、逃げるという意思がある。
隠れると言うことはその意思を、鬼に見つかる瞬間まで選択を、先伸ばす事に他なら無い。
そしてその一瞬の判断遅れに、代価として命を差し出さなければならない。
(;´∀`)(だけど森の中って、割と隠れる場所が無いモナー…)
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 19:47:55.66 ID:UCXmsFcj0
※
( ,,゚Д゚)「……」
男は鉄製のトンファーを握り、周囲を見渡しながら歩いていた。
その堂々と歩く姿は「追われる者」より「追う者」のような印象。
だが、実際に彼は逃げているのではなく、探していた。
( ,,゚Д゚)(あの兄弟以外なら、どうとでもなるな)
クーと同じ考え。
銃を持って2人組で行動しているあの兄弟以外なら戦える、と。
- 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 19:52:14.66 ID:UCXmsFcj0
この男の名前はギコ
高校生だがボクシング部に所属しており、
自分の運動能力、動体視力には自信を持っていた。
そして運命の巡り合わせは必然なのか、彼と出合った。
( ・∀・)「くふふ」
月明かりに照らされ、刀に付いた血を眺める男。
足元には見るも無残な、人の残骸と生首が散らばっている。
どうやら2人目の料理も終わったらしい。
顔を返り血で染めたその男は、夜光のせいか
より不気味なオーラを放っていた。
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 19:55:43.44 ID:UCXmsFcj0
|Д゚)(刀の奴か・・・そして足元の奴は参加者か)
ギコは、木を盾にその様子を覗いていた。
そして、どうやって仕留めようか
と考えを巡らす。
次の瞬間
( ・∀・)
( ・∀・ )
- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:00:55.74 ID:UCXmsFcj0
男が首をグルッと回しこちらを見据える。
|Д゚)(ッ!気付かれたか)
まさに今、モララーにとっては真剣勝負の最中。
殺気や気配にはいつも以上に敏感になっていた。
そして、新しい獲物を見つけ
歓喜とも狂気とも取れる表情でギコへ向かい走り出した。
( ・∀・)「キケケケ」
( ,,゚Д゚)「!来やがった!」
瞬く間に間合いを詰められ、ギコは体制を整える暇も無く接近を許してしまう。
一閃
ギコは後ろに飛び退いて転がった。
次の瞬間、ギコが身を隠していた木はズルリとズレて倒れた。
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:04:29.51 ID:UCXmsFcj0
( ,,゚Д゚)「野郎…武器がいいからって調子に乗りやがって」
ギコは体制を建て直し、次の瞬間にはモララーに向かって走り出す。
( ,,゚Д゚)「おらぁ」
力任せにトンファーをモララーの顔面に向けて振り出す。
( ・∀・)「ひょう!」
しかし、モララーは不気味な笑顔を保ったまま、
余裕でそのトンファーを避ける。
そして、そのまま斬り付けようとしたモララーの顔面に衝撃が走った。
- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:05:52.10 ID:UCXmsFcj0
( ,,゚Д゚)「ふっ!」
(メ ・∀・)「??」
ギコが右手で振り切ったトンファーの反動で、
切り返しの左ジャブを放っていた。
グローブを外したボクサーの左ジャブは、
人間の反射神経を凌駕する。
というのはあまりにも有名な話である。
( ,,゚Д゚)「シッ!」
続けざまにギコは左ジャブをモララーに打ち込む。
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:07:44.01 ID:UCXmsFcj0
(メ ・∀ 三 ∀・)
しかし、モララーはその弾幕のような左ジャブをいとも容易く避けていく。
(;,,゚Д゚)(なっ…)
人間相手ならば当たらない筈が無い。
人間相手なら…。
(メ ・∀・)「チィィ!」
ギコの動体視力がその瞬間を捉えた。
モララーの右手が鞘から刀を抜き、横薙ぎに自分に向かってくる。
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:11:25.84 ID:UCXmsFcj0
(ヤバイ)
(斬られる)
(間に合わねぇ)
(;,,゚Д゚)「うぉぉぉ!」
ギコは右手に持っていたトンファーを突き出し、
無理やり刀の軌道に割り込ませる。
しかし、ギコの眼にはバターを切る包丁のように、
その鉄の棒に食い込む刀がスローモーションでしっかりと写っていた。
( ,,゚Д゚)(やべ…死んだ)
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:15:32.99 ID:UCXmsFcj0
「タタタタン!!」
Σ(メ ・∀・)
その突如鳴り響いた音に、モララーが一瞬反応する。
若干剣速が鈍り、切り落とすはずだった鉄の棒の最後の部分で止まってしまった。
(;,,゚Д゚)「うおっ!」
ギコはトンファーを投げ捨て、背中を見せて走り出す。
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:18:30.92 ID:UCXmsFcj0
(;,,゚Д゚)(こいつはやべぇ…まともにやったら負ける)
運動能力に物を言わせ、凄まじい速さで走るギコ。
(メ ・∀・)「……」
刀にぶら下がったトンファーを眺めながら、
何かを考えるモララー。
ブンッ と刀を振り、トンファーを外すとモララーもギコを追う。
ザザザザザザザ
今まで静寂に包まれていた森の中、
2匹の獣の走る音が鳴り出す。
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:20:06.05 ID:UCXmsFcj0
(;,,゚Д゚)(ハァ…やべぇ…ハァ…あいつ速えぇ…)
(メ ・∀・)「……」
みるみる差を縮めて来るモララーに、
ギコはここで初めて恐怖を感じた。
(;,,゚Д゚)(ダメだ…このまま走っててもいつかは追いつかれる…)
何とか振り切る方法を考えるが、あの怪物を相手に
何も解決策が見つからない。
勝負を挑んだ事自体が、間違えていたように思えてならない。
(;,,゚Д゚)(ッチ…こうなったら…)
ギコは突如走る方向を変え、
先ほど音が鳴った方向にに向かって走り出した。
(メ ・∀・)「……」
- 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:22:56.10 ID:UCXmsFcj0
※
(*●_ゝ●)「ほらほらー早くしないと当たっちゃうよー」
(●<_● )「今回は、俺にも遊ばせろよ」
先ほどの音を発した主。
2人の男が、1人の男を追い回している。
(;´∀`)「ハッ…ハッ…」
ドスドスと重そうな体を揺さぶりながら、
逃げている「つもり」の男。
- 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:25:07.21 ID:UCXmsFcj0
(;´∀`)(な、何も見えないモナ…なんであの鬼は見えるんだモナ…)
(*●_ゝ●)「そこだッ!」
タタン
走っている男の足元に銃弾を打ち込む。
土が舞い上がり、男は思わず身を屈める。
(;´∀`)「ひぃー」
後頭部を両手で抱え、地面に丸くなってしまった。
- 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:27:58.99 ID:UCXmsFcj0
(●<_●;)「おいおい…弾をそれで防ぐ気かよ…」
( ●_ゝ●)「いや分からんぞ弟者、あの脂肪ならあるいは…」
(●<_● )「ねーよ…常考」
ガタガタと震えて、もはや一歩も動かない男に
残念そうに弟者が言う。
(●<_● )「外れだ、お前はつまらない」
手に持った銃のトリガーに指がかかり、
銃弾が発射されようとした時、
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:29:21.77 ID:UCXmsFcj0
ザザザザザザザ
遠くから音が聞こえてくる。
( ●_ゝ●)「何だ?この状況で森の中を走る馬鹿がいるとは」
(●<_● )「兄者、向こうのほうが面白そうだ。
こいつを終わらせて、あっちに行こうぜ」
しかし、明らかに物音はこちらに向かってくる。
2人共、反射的に物音がする方へ銃口を向ける。
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:36:21.17 ID:UCXmsFcj0
ザザザザザザザザザザザザザ
(;●_ゝ●)「お、おい…」
(●<_●;)「あぁ、これは意図的…だな」
ザザザザザザザザザザザザザザザザザ
次の瞬間、バッと草むらから影が飛び出してきた。
- 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/08/06(月) 20:39:57.25 ID:UCXmsFcj0
( ,,゚Д゚)(!!ッチ・・・「やっぱり」こいつ等か…)
そして、向けられた銃口を確認し、
すぐさま走る方向を90℃変え横に跳ね除ける。
突然の遭遇に、双子の兄弟も焦りながら照準を合わせようとする。
そして次の瞬間、新たな影が草むらから飛び出した。
( ・∀・)「キケケケ」
(;●_ゝ●)「なっ・・・」
(●<_●;)「なんだぁ?」
月明かりの元、銀色の線が綺麗に弧を描いた。
残り20時間
4話 〜完〜