-VIP産小説保管庫-
( ^ω^)ブーン達が廻るようです:9:「key word」
- 47 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:03:34.40 ID:yqbGiWWWO
- 9:「key word」
川 ゚ -゚)
今、私は生きながらにして死んでいる。
正確には死んでいるのだから、やはり死んでいるのだろうか。
しかし、私にはまだ動かせる体がある。
皮肉にも五体満足で、だ。
つまり、いずれにせよ、私は生きなければならない。
当たり前に生きている人間を死なせない為に。
- 49 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:05:22.25 ID:yqbGiWWWO
- (*゚ー゚)「あ、モララー君!! 久しぶりー!!」
川 ゚ -゚)「ん? 『アンチ』のリーダー様が遥々、何の用だ?」
(;・∀・)「『アンチ』も『リーダー様』も止めて下さいよ……暇だったので遊びに来ました」
_
( ゚∀゚)「相変わらずノンキな野郎だ。ちったぁテメェの手下共にも見習わさせろよ?」
(;・∀・)「それを言われると痛い……」
(*゚ー゚)「もぅ、ジョルジュ君!! あんまりイジメたらダメだよっ!!」
- 50 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:07:00.89 ID:yqbGiWWWO
- あの日、私達は友達だった。
考え方は違えど、根本は同じだった。
彼は、今や数千人にまで膨れ上がった「アンチ」のリーダーだ。
「アンチ」とは「この世界を滅ぼそうとする者」。
しかし、彼は違った。
「この世界は何なのか」、その答えだけをただ、ひたすらに求めていた。
しかし、彼の下に集まった者、皆がそう言う訳でもない。
それでも、きっと私達は友達だった。
( ・∀・)「私はただ、平和な世が続けば良い。そう思っていますよ」
(*゚ー゚)「うーん……」
川 ゚ -゚)「だが、そうは思わない連中も多い」
- 51 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:08:22.13 ID:yqbGiWWWO
- (;・∀・)「確かに……あなた達にはご迷惑をお掛けします。何とお詫びしたら良いか……」
_
( ゚∀゚)「詫び? 粗品でもくれるのか? そんなモンはイラネェよ。
テメェはテメェの仕事だけしてろ」
( ・∀・)「……」
川 ゚ -゚)「一つだけ教えてくれ。『アンチ』は世界をどうするつもりだ?」
( ・∀・)「……この世界は『死後の世界』ですよね? そして、私達は歳を取らない……いずれ『2ch』はパンクする」
川 ゚ -゚)「……」
( ・∀・)「それを防ぐ為には、新参の規制が必要だ、と……」
- 53 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:11:18.18 ID:yqbGiWWWO
- (;*゚ー゚)「それが……『狩り』……?」
( ・∀・)「えぇ……」
_
(#゚∀゚)「フザけんな? テメェ、違うだろッ?
現世に行けんのは『生きてる奴の為』じゃなかったのかよッ!?
『狩り人』が『平和』たぁ傑作だなッ!!」
川;゚ -゚)「ジョルジュ、落ち着け……」
いつか、モララーは私達にこんな話をした。
「何故、一日だけ現世に帰れるのか」。
( ・∀・)「『枕元に立つ』と言う言葉があるでしょう?
きっと、現世に帰れるのは、残して来た大切な人を死なせない為……そう思うんですよ」
モララーは嬉しそうな、悲しそうな、複雑な表情で、そう聞かせた。
- 54 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:24:59.72 ID:yqbGiWWWO
- ( ∀ )「すみません……私の……力不足です」
(*゚ー゚)「そんなコトない!! モララー君は頑張ってるよ!!」
川 ゚ -゚)「……全てモララーに押し付ける訳にも行くまい。私達も最善を見極めなくては」
モララーは少し笑って、俯いた。
つまり、誰にもどうしようもなかったのだ。
私は少しだけ現状を恨んだ。
少しの沈黙の後、モララーは立ち上がった。
もう時間らしい。
(*゚ー゚)「あれ? モララー君、もう帰るの?」
( ・∀・)「えぇ。あんまり長居するのも悪いですし……ちょっとした用事もあります」
_
( ゚∀゚)「……さっきは悪かった。テメェがワリィ訳じゃねェ……」
モラ「気にしないで下さい……あ、ジョルジュさん、彼女の事は?」
- 55 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:26:23.63 ID:yqbGiWWWO
- _
( ゚∀゚)「信頼してるから預けたんだ。余計な報告はイラネェよ」
( ・∀・)「……把握しました。では……」
川 ゚ -゚)「モララー。今回は問題が大き過ぎる……余り無理をするな」
( ・∀・)「はい……でも、それでも……必ず、必ず、何とかします」
彼は力強くそう言った。
何の根拠もなく、それでも危うく信じてしまうような迫力を持って、そう言った。
―――しかし、実際は何ともならなかった。
彼は、呆気なく死んだ。
「2ch」史上、最大、最悪の災害、「閉鎖」によって。
- 56 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:27:51.26 ID:yqbGiWWWO
- 私は余りにも、沢山のものを失った。
しかし、私にはまだ動かせる体がある。
皮肉にも五体満足で、だ。
つまり、いずれにせよ、私は生きなければならない。
当たり前に生きている人間を死なせない為に。
_
( ゚∀゚)「オイ、クー!! 聞いてんのかッ?」
ジョルジュの声で急速に現実に引き戻される。
川;゚ -゚)「……あぁ、すまない。続けてくれ」
_
(;゚∀゚)「おい、クー……大丈夫か?」
心配そうに覗き込まれるが、特に心当たりがない。
何の気なしに顔に触れて初めて気が付く。
- 58 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:30:04.28 ID:yqbGiWWWO
- 私は、泣いていた。
从 ゚∀从「ほゥ……アくビ、良イ度胸」
川;゚ -゚)「……。すまない、軽い寝不足らしい」
小さく深呼吸をして、強引に気を落ち着かせる。
ここに来て、ようやく本題を思い出した。
从 ゚∀从「……今ノ『アンチ』、良ク、判ラない」
_
( ゚∀゚)「……まぁ、昔から良く解らねェが」
从 ゚∀从「今、昔以上。モララー、死ヌ。つマリ、無法地帯」
川 ゚ -゚)「だろうな……。ハインにすらモララーの後窯が解らないとなると、
完全に別の組織だと考えた方が良いだろう」
_
(;゚∀゚)「もう、訳、解んねェよ」
- 61 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:43:49.57 ID:yqbGiWWWO
- 川 ゚ -゚)「『状況は思わしくない』、と言う事だ」
つまり、それだけだ。
数年前、私が放置した問題は、予想以上に拡大した。
_
( ゚∀゚)「……後は、あの糞に全部吐かせりゃ終わりか」
ジョルジュは壁際に目をやる。
そこには先程、捉えたばかりの「アンチ」がいた。
今は、両足を打ち抜かれて気絶している状態だ。
川 ゚ -゚)「あぁ。取り敢えず、今の首謀者と、その居場所、その他諸々を頼む」
_
(;゚∀゚)「『取り敢えず』って量じゃねェな……」
从 ゚∀从「私、何すル?」
_
( ゚∀゚)「『拷問』なんて女子供の見るモンじゃねェよ。
適当に散歩でもしてろ。クーはガキ共に説明、な」
从 ゚∀从「把握」
川 ゚ -゚)「……気が重いな」
_
( ゚∀゚)「アイツらだって、ここの住人だ。死にたくなきゃ、生きなきゃならねェ」
その通りだった。
私達に、悲しい現実を嘆く暇はない。
仕方がない事なのだ。
- 63 :釣氏(樺太) 2007/04/16(月) 01:48:27.67 ID:yqbGiWWWO
- 私は沈む気持ちを無視して、外で遊ぶ子供達を見た。
制服を着ているせいもあるが、まだ幼い。
川 ゚ -゚)「『平和な世が続けば』……か」
差し込む夕日は皮肉なまでに綺麗だった。
9:「key word」
―fin―