◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:03:46.10 ID:QpvhlSkW0<> 半分が厨バトル、半分が勢いで出来ている更新速度が遅い雰囲気作品。
とりあえず、第八話を投下する。
まとめ ttp://www.geocities.jp/qlimss/boon/world/i.html <>( ^ω^)ブーンと鋼鉄の城と樹木の民のようです
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:04:49.49 ID:QpvhlSkW0<> 『第八章 精霊の森の侵入者は、影と共に現るる』
1
( ^ω^)「……」
樹木の匂いが、部屋の中に篭っていた。
風一つ吹かない、穏やかな夜だ。
耳に入ってくるのは淡々とした梟の鳴声と、家々から漏れる団欒の断片だけだ。
実は本来ならば昨夜(ツンの料理のお陰で)、散々に終わった宴の続きが開かれていたはずだった。
ブーンは敢えて村人達の申し出を断り、
用意された家に備わっている若木のベッドの上で独り寝そべっていた。
村人達の話を訊いた後で、宴に参加する気分にはなれなかったのだ。
( ^ω^)「……みんな大変なんだお」
間違いなく、二国の争いはこの村の人々に陰を落としている。
そして、ブーンが知る由も無いところで彼等を苦しめている。
どうして、そんな中で馬鹿騒ぎが出来ようか。
耳を澄ませば、不吉の足音はすぐそこまで来ているような気がした。
( ^ω^)「僕に何ができるんだお……?」
勿論、この村を救いたかった。
だが、どうすればいいのか解らない。
確かにその辺の腕に覚えのある者達よりも、強いという自負はある。
しかしそれは、己自身だけの話だ。
仮に戦争が始まったとしたら、誰一人死なせないという自信はなかった。 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:06:41.90 ID:QpvhlSkW0<> ( ^ω^)「……夜風に当たってくるお」
元来じっとしていられる性分ではない上に、考えも纏まらない。
それに、この樹木で創られた家では必要以上に安らいでしまい脳が働かない。
そこでブーンは散歩をする事にした。
思いつくや否や、ベッドから身を起こすとそのまま出口へと向かい、静かに扉を開く。
( ^ω^)「……『樹木』と『鋼鉄』、かお」
ブーンは道側には出ずに、真直ぐに裏側の森の中へと分け入った。
人に会う事を避けたかったからだ。
どうやら思ったよりも、二国の争いは単純な話ではないらしい。
まだ全貌は掴めていないが、これまでに訊いた『樹木の民』の言葉から、
この対立は思っているよりも根深い部分から来ていることが伺える。
ともかく、この厄介な問題についてもう一度じっくりと考える必要があった。
そのためブーンは一人になったのだ。
( ^ω^)「しかし、本当にキレイな森だお」
下手をすれば、日中よりもこの森は眩かった。
光の色も形も数え切れない程に多岐に渡っている。
葉々は森全体を緑色の輝きで埋め尽くし、その中に果実が華やかな明色で彩りを添える。
しかも光の筋一つ一つが複雑に絡み合い、鮮やかに輝く織物を織り上げていた。
ブーンは『鋼鉄の国』が『樹木の民』からこの美しい森を取り上げようとすることは許せなかった。
だが、反対に相手側からすればこの森はそれほどまでに魅力的なのだ。
さらには、外面上に見える美しさの奥に無尽蔵の資源が存在する。
まさに『精霊の森』は『鋼鉄の国』の発展の為にうってつけの存在なのだ。 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:08:29.84 ID:QpvhlSkW0<> (♯^ω^)「でも、やりかたってもんがあるんだお!!」
だが、この地には古から森と生を共にする民族がいる。
『鋼鉄の国』のやり口は、それらを無視しているのだ。
交渉と銘打っておきながら、実はその裏で武力をちらつかせている侵略行為だ。
さらに、最近になってからは、村人を殺すという表立った手段に出ている。
反吐が出た。
何なら、今からでも西に攻め込みたい気分だ。
しかし、その思いは抑えさるを得ない。
なぜなら自分一人が戦っているわけではないのだから。
( ^ω^)「……何としても勝たせてあげたいお」
ブーンは必死に頭を抱えながら、無い知恵を搾り出そうする。
(;^ω^)「……う〜ん」
とは言え、元々小難しいことを考えることが苦手である。
その上戦争という大規模な戦いに関しては、残念ながらブーンの手には余る問題だ。
気が付けば、思考はすっかりその事に支配されてしまっていた。
それも、周りの様子もわからないほどに。
煤i ゚ω゚)「ぬおっ!?」
思案に意識を傾けすぎていたせいか、何かに足元を取られブーンは大袈裟に転んだ。
受身を取ることも忘れて、勢いよく地面に激突する。 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:10:42.47 ID:QpvhlSkW0<> (;^ω^)「いててて……」
ここで、ようやくブーンは我に帰る。
どうやら、木の根に足を取られてしまったようだ。
草と土の味がした。
顔から転んでしまったせいで、思い切り地面を舐めてしまった。
口の中の違和感を取り去ろうとブーンはしきりに唾を吐き出し、身体を起こそうとする。
(;^ω^)「ぺっ!! ぺっ!! 流石に雑草は食べれない……ん?」
だが、ブーンは地面に覆い被さる姿勢のままで動きを止めた。
あるものが、ふと、目に留まったからだ。
( ^ω^)「芽……かお?」
ブーンの目に飛び込んできたものは、
鮮やかな森の中で唯一ひっそりと光を放つ一株の若芽であった。
恐らく、つい先程まで地面に埋もれていたのだろう。
まだ、緑色が付ききっていない若葉は土を被っていた。
( ^ω^)「こんなに他の植物がいっぱいの中で、頑張って生えているお。
……って、おっ!?」
と、ここでブーンは目を丸くして、身体を震わせた。
閃きの電流が、ブーンの脳内を走ったのである。
生まれて、顔を出したばかりの植物。
そこに、この逼迫した状況を打開する切欠があった。
「あれ〜? こんなところに住民はっけ〜ん!」 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:12:27.46 ID:QpvhlSkW0<> 2
(;^ω^)「……ッ!!」
思案の最中、不意に、何者かの声が一帯に響き渡った。
高さから察するに女の声だ。
ブーンは急いで身体を起こし、顔を上に擡げ、周囲を仰ぐ。
姿はない。
だが、あからさまな視線が突き刺ささる。
「へえ〜なんだ、まだ子供じゃないか。
いったい一人でなにやってるんだい?
もしかして迷子かなぁ♪ アヒャヒャヒャヒャ♪」
ひゃひゃ、と気配は嗤っていた。
乾いた声が森を埋め尽くす。
何が可笑しいのかは分からない。
だが、ブーンが瞬きを見せるだけでも滑稽だと言わんばかりに、響き渡る。
(♯゚ω゚)「……擬獣『炎獅子』ッ」
ブーンは双刃を握り締め、押し殺すように呟いた。
静かに筋肉が膨れ上がり、眼光が鋭さを見せる。
一聞、無邪気な嗤いであったが、どこか不気味なものがあった。
ブーンは、子供が好奇心で虫を踏み殺すような狂気にも似た純粋さを感じ取り、
本能的に戦闘態勢に入ったのだ。
「うわ〜怖いねぇ。そんなに警戒しなくていいじゃないか。
そんなにアタシが嫌い?」 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:17:16.06 ID:QpvhlSkW0<> だが、声の主の位置は悟ることができずにいた。
上手く気配を隠しているのだ。
しかも常に敵は動いているのか、嗅覚だけでは正確に掴みきれない。
「若いコはいいねえ。青い果実……ヒャヒャヒャ、いい時期じゃないか」
声が聞こえてくる方角が変わった。
今度はブーンの後方だ。
しかも、先程よりも鮮明に聴こえる。
「リーダーは面倒を起こすなって言ってたけど……ちょっとつまみ食いしちゃおうかな♪」
(♯゚ω゚)「一体誰だお!? 西の国の兵士かお!?」
煮え切らない挑発に、ブーンは声を荒げた。
この時期に理由なく己を襲撃しようとする人間と言えば、
『鋼鉄の国』の兵位しか思い浮かばなかった。
偵察の為入り込んできた者と遭遇してしまったのだろうか。
ブーンは焦りを感じずにはいられなかった。
この遣り取りの間の、敵の気配の消し方だけで、その実力の片鱗を感じ取っていたのだ。
その気ならばブーンに気づかれずに不意打ちを仕掛けることが可能だったろう。
だが、敢えて敵はそれをしてこなかった。
これも、余裕の表れか。
「アヒャヒャwwwどうだっていいじゃんそんなこと。だってアンタは……」
そして、ブーンの問いに答えずに、ただ、嘲る声が飛んできた。
いや、飛んできたのは声だけではなかった。
それは―― <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:17:19.02 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:19:02.79 ID:QpvhlSkW0<> 「すぐにアタシにやられちゃうんだから」
(♯゚ω゚)「ッ!?」
接近に気が付かなかった。
二対の黒刃。
ブーメランのような形をした敵の刃が、ブーンに左右に迫っていたのだ。
視界の両端に違和感を覚えて初めて気が付いた。
風を切る音すらない、不気味な攻撃だった。
(♯゚ω゚)「おおおっ!!」
同時にブーンの両腕が振り上げられた。
咄嗟の反応だった。
黒刃はすんでの所で、炎獅子の牙で簡単に弾き返される。
(♯゚ω゚)(!? 軽いッ!?)
だが、その瞬間ブーンは違和感を覚えた。
弾いた時の衝撃が全く無かったのだ。
黒刃が軽いのではない。
在るべきはずの質量そのものがまるで感じ取れなかった。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:20:14.50 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:21:16.27 ID:QpvhlSkW0<> 「いい反応だねえ♪ でも、ボーッとしてていいの?」
(♯゚ω゚)「――!?」
ブーンは目を見張った。
弾き返した筈の黒刃が強引に振り返るようにして軌道を変え、再び傍まで迫っていたのだ。
予想外の動きである。
もはや、物理法則を超えていた。
あらゆる方法でこの刃を投擲しようがこのように飛ぶ事はまずない、と言うほどに不自然だった。
(♯゚ω゚)「くそッ!!」
ブーンは地を蹴り、体一つ分、宙へと跳んだ。
寸前まで彼が居た地点には黒い筋が二つ疾る。
だが、追撃の手は緩むことはなかった。
なおも黒刃は生物のように進行方向を変えて、ブーンのいる空中目掛けて迫り来る。
「へぇ〜、案外やるじゃん。でも、まだまだ行くよ♪」
(♯゚ω゚)「おおおおおおおおッ!!」
同時にブーンは宙で回転を見せた。
ブーンの視界は然りと攻撃を捉えていたのだ。
そして、強引に上体を黒刃の方角に向けて追撃の体制を取ると、
今度は全身のバネを利用して、思い切り双牙を突き立てた。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:21:34.71 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:23:30.03 ID:QpvhlSkW0<> とにかくこの奇怪な武器を何とかしなければ、こちらの攻撃どころではない。
まずは、武器破壊。
第一にブーンが取った行動はそれだった。
「アヒャヒャ♪ 無駄無駄ァwどう足掻いても『影』は壊せないよw」
(♯゚ω゚)「……うおッ!?」
だが、ブーンの思惑も空しく、黒刃は砕けるどころか、
地面に跳ね返るとさらに勢いを増して跳ね返った。
次の追撃は、間に合わない。
ブーンは急いで身体を捻って、回避に出た。
(♯゚ω゚)「ッ……」
「アヒャヒャヒャwやるねえ。随分と器用な避け方だったよ。
『樹木の民』ってのも結構やるじゃん。これでこそヤりがいがあるってもんさ」
着地したブーンを待ち構えていたのは、賞賛を込めた嗤いだった。
しかし、どこか小馬鹿にしたような口調には苛立ちが募る一方だ。
ブーンは頬に流れる血筋を拭おうともせずに、位置の解らない気配に向かって睨みかける。
「でも、まさかこれで終わりじゃないだろうね?
アンタも持っているんでしょ、変な能力とやらを。
遠慮はしなくていいから、使っちゃいなよwま、無駄な抵抗だとは思うけど♪」
(♯゚ω゚)(コイツは一体……)
ブーンは昂ぶる感情を抑えながら、冷静に分析する。
無論、次の攻撃を警戒しながらだ。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:23:48.63 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:25:16.32 ID:QpvhlSkW0<> この周囲の何処かに隠れているであろう敵。
恐らく距離は五十メートル以上あるだろう。
ともかく、この敵はブーンにとって戦ったことのないタイプの相手だった。
考えれば考えるほど、謎は深まるばかりだ。
まずは、使用する武器。
先程襲い掛かって来た黒刃は、見たことのない物質で構成されていた。
だが、明らかにスカルチノフに見せて貰った『鋼鉄』とは違う。
ずしりと圧し掛かるであろう武器そのものの重圧が、まるで感じられなかったのだ。
しかもあの変幻自在の動きだ。
見えない糸か何かで操っているのかとも思ったが、それも違うようだ。
そもそも、このような樹木が密集する場所では絡まって使えないだろう。
それにも関わらず、全く定まらない軌道でブーンを負うようにして迫っていた。
では、これは敵の独特の能力、はたまた兵器なのだろうか。
しかしそれを判断するには材料が足りなさ過ぎる。
恐らく現段階で、敵の攻撃を見切ることは不可能だ。
(♯゚ω゚)(敵の能力はまだわからないけど……
でも、敵が僕を『樹木の民』だと思い込んでいる点では有利だお)
その一方で、ブーンはまだ不利と決まったわけではない。
敵はブーンが、植生の生長をコントロールできる能力を使うと思い込んでいる。
幸いなことにブーンの『クヴェル』、炎を操る能力を知らないはずだ。
つまり、全く相反する能力である以上、敵の予想の裏を掻くことも可能である。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:26:51.05 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:27:32.04 ID:QpvhlSkW0<> 「何ボサーっとしてんのさ!! まだまだ逝くよ!!」
(♯゚ω゚)(――来たッ!!)
そして、ブーンの思考が終わると同時に次の攻撃が来た。
柄の付いた一振りの大鎌が森を掻き、迫る。
仕組みは解らないが柄の部分がぐにゃり、と伸びるようにして疾ってきたのだ。
いや、もはやその軌道は無尽蔵に伸びる鎖鎌に近い。
生い茂る木々の隙間を器用に擦り抜けて、奇妙な鎌はブーンの首元目掛がけ、距離を縮めてくる。
(♯゚ω゚)「うおおおおおおおおッ」
しかし、逆にブーンは避けようともせず、大鎌に向かって駆け出した。
遠く隔てたこの位置にまで届く、敵の武器の異質さに驚いている暇はない。
能力の正体を掴む事は後回しだ。
唯一つ、この鎌を辿っていけば敵の懐に潜り込める可能性は高い。
「そぉいッ♪」
(♯゚ω゚)「当たるかおッ!!」
蛇が獲物を捕らえるようにして、刃が頭上から落とされる。
だが、ブーンの動きの方が素早かった。
間一髪、姿勢を低くして疾り、断頭台を潜り抜ける。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:28:20.80 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:30:59.91 ID:QpvhlSkW0<> 「くそっ!! でもまだまだぁ!!」
敵の追撃は止まない。
鎌の部分だけが振り返り、今度は背後からブーンを切りつけようと刃を向ける。
(♯゚ω゚)「おおっ!!」
不規則な軌道で来ることは承知済みだ。
ブーンは既に次の動きに移っていた。
大きく後脚で地面を蹴り上げると、左前方に佇む一本の木目掛けて跳んだ。
空中で器用に姿勢を変えると、それを再び壁にして次の右前方の木に飛び移る。
そして、今度はまた左前方の木に……と、加速を付ける。
「ちょっ!! チョコマカとするんじゃない!! 当たらないじゃないか!!」
鼠のような動きで、森の中をブーンは縦横無尽に駆け巡った。
その背後には鎌の頭が続こうとするが、追いつく事ができない。
鎌の動きを撹乱しながら、ブーンは確実に敵の柄元を辿っていく。
(♯゚ω゚)(匂いが濃くなってきたお……間違いなく敵に近づいている)
「来るな!! 来るんじゃないッ!! アタシに近づくなッ!!」
しかも、敵の声にも焦りが見えている。
この様子だと、接近戦には強くないのだろう。
証拠に、ブーンが近づくことをしきりに嫌がっている。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:31:39.07 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:33:14.45 ID:QpvhlSkW0<> (♯゚ω゚)(あと、30……20メートル)
次第に、声と気配が大きくなってくる。
このままいけば、敵の姿を拝めるだろう。
ちらりと背後を見遣ると、遥か数十メートル後で鎌の刃が追いかけていた。
それに、仮に先程の黒刃が横から跳んで来ようが、かわす余裕はある。
「来るな!! 来るなあああああ!!」
そして、敵は距離を詰められ完全に追い込まれている。
先ほどから続いていた嗤い声は既に止んでいる。
先程の余裕は微塵も無い。
そして、ブーンと見えざる敵との距離が、残り十メートルにまで迫った、
その時――
「……な〜んてね♪」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:33:40.19 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:35:16.10 ID:QpvhlSkW0<> (♯゚ω゚)「!?ッ」
予想もしない攻撃が目の前を過った。
辿っていた前方の鎌の柄が突如、真っ二つに切れ、
瞬時に切口が鋭い槍となってブーンの眉間に飛んできたのだ。
(♯゚ω゚)「おおおおおおおッ!!」
咄嗟にブーンは短刀を十字に交差させて、受け止める。
だが、その動作で一瞬加速が緩んでしまう。
「アヒャヒャヒャw つ〜かま〜えたw」
敵はその隙を見逃さなかった。
槍は直ぐに軌道を変えると、霰のようにブーンに突打を浴びせ掛ける。
行く手を遮られ、ブーンは苦し紛れに横に跳ねながら防御の構えをとった。
(♯゚ω゚)(……しまったお)
両刃で槍の軌道を捌きながら、ブーンは舌打ちをする。
先程の鎌での追撃はフェイクだった。
敵は追い詰められたように見せかけて、遊んでいただけだ。
正直、相手の能力を甘く見すぎていた。
敵の武器は、ブーメランでも、奇妙に伸びる大鎌でもなかった。
変幻自在に形を変える、この黒い物質そのものが武器だったのである。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:35:44.61 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:37:08.85 ID:QpvhlSkW0<> 「あれ? もしかして、『俺って強ええwww』なんて思ってなかった?
そうだったら残念だったね。どう足掻いたところでアタシの方が強いからさ」
(♯゚ω゚)「ッ……」
降り掛かる攻撃の嵐は、先程の比ではなかった。
一撃が過る度に、敵の武器は多彩に形を変える。
槍の鋭い突きが飛んだかと思えば、
瞬時に剣に形を変えてブーンの首を薙ごうとする。
剣の薙ぎを牙で受け流したと思えば、
今度は斧に形を変えてブーンの胴体を引き裂こうとする。
最早、一般的な武器に形容するには無理があった。
意思を持った、一定の形を持たない黒の触手が猛攻を浴びせ掛ける、と言う方が正しい。
(♯゚ω゚)「グアアアッ!!」
――と、
ブーンは、苦悶を叫びをあげた。
飛んできたのは、黒い剣だ。
前から振り落とされると構えていたところ、
攻撃の軌道が湾曲するように変化し、ブーンの背後へと回ってきたのだ。
予期せぬフェイントだった。
瞬時にして、死角に入り込んできた刃を回避できるはずもなく、
この一撃をまともに喰らってしまった。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:37:40.76 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:39:18.00 ID:QpvhlSkW0<> (♯゚ω゚)「くっ……」
停滞は、暫しの間続いた。
満足に防御も出来ない中、前に進む余裕などない。
これまでに、背中を斬られ、右腿を貫かれ、左腕を刺された。
細かい傷ともなれば、無数に出来上がっている。
敵は眈々とブーンの機動力を奪っていた。
(♯゚ω゚)(……なんで避けられないんだお)
ブーンは歯噛みする。
いかに素早い攻撃であろうと、避ける自信がないわけではない。
だが、今この状況ではそれが何故か出来なかった。
不思議なことに、武器そのもの気配が全く感じられなかったのだ。
ブーンは、視覚、聴覚、触覚、はたまた嗅覚などのあらゆる感覚で、
気配を読むことを得意としていた。
その為、空気の微妙な動きや、殺気など、
攻撃の目に映らない部分を感じ取ることで回避行動が可能なのだ。
だが、この攻撃にはまるで『存在感』が感じられなかった。
物理的にここに在る、という感覚だ。
それに反して、目前の攻撃は肌では察知できないものだった。
つまり、ブーンはそれらを確実に、視覚のみで捉えるしかないのだ。
そのような攻撃を完全に回避など出来るはずもなく、
致命傷こそ負っていないが確実に削られていた。
動作を一つする度に、傷が増えてゆく。
気が付けば、溢れ出す血の雫が緑の絨毯を真赤に染めていた。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:39:51.25 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:41:20.80 ID:QpvhlSkW0<> 「アヒャヒャヒャ♪ 踊れ踊れ!!
ほらほら、足を休めない!! 止まったら死ぬよwww
それとも、もう終わって欲しいかい!?」
(♯ ω )「……くッ」
敵の声を無視するかのように、ブーンは突然、小さく、くぐもった声を吐き出した。
だが、それは苦悶の声ではなかった。
証拠に、口元だけは不敵に歪んでいたからだ。
(♯ ω )「……りだお」
そして、口篭るように何かを言った。
「ハア? 小さくて聴こえないよ!! もうギブアップかい? アヒャヒャヒャ♪」
構うことなく、無慈悲に声は嗤い続けた。
(♯ ω )「……」
ブーンは追い詰められながらも、回避行動を止める事はなかった。
その様は、冷静そのものだった。
だが、それは無理矢理に抑圧されたような、何処か不自然なものだ。
敵はまだ、知らなかった。
ブーンが何をしようとしているかを。
ブーンの周囲には変化が起こり始めていたことを。
ブーンの眼光が、目が醒める程の赤を帯び始めていたことを。
そして―― <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:42:04.15 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:43:18.32 ID:QpvhlSkW0<> (♯゚ω゚)「終わりなのはソッチの方だお!!」
「え、何d――」
敵が異変に気づいた瞬間には、もう遅かった。
嗤いは、一瞬にして掻き消される。
牙が炎を纏い、周囲の大気が熱を帯びて膨れ上がったからだ。
瞬間的な膨張は、やがて爆風へと変化した。
それまで静まり返っていた森にざわめきが立ち、枝葉は荒れ狂ったように揺れる。
(♯゚ω゚)「オオオオオオオオオッ!!!!」
炎が、揺らいだ。
灼熱を帯びた炎獅子の牙は、容赦なく黒の触手を襲う。
これまで全く壊す事の出来なかった触手は、煙を上げて簡単に溶けてゆく。
既に、敵の武器は用を成さなかった。
必死に輪郭を保とうとするも、直ぐに掻き消されてしまう。
「これは一体どういう……アンタ『樹木の――」
(♯゚ω゚)「これが僕の最大の技だおッ!! 喰らえッ!!」
ブーンは触手を溶かし尽くすと、双牙を強く握りなおし、思い切り頭の後へと振り上げた。
もはや躊躇などしては居られない。
この機を逃せば、敵はこれ以上の接近を許さないだろう。
そうなれば、状況は更に不利になる。
ならば、最大の技で、最大の威力を以ってここで決めるしかない。 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:45:33.36 ID:QpvhlSkW0<> (♯゚ω゚)「止めだおッ!!」
――牙は地面に突き立てられた。
一帯を埋め尽くしたのは、限りなく白に近い炎の円蓋であった。
草も、樹木も、森に存在する全ての物質が灼熱の波に飲み込まれていく。
摂氏千度にも及ぶ業火の前に、形を保てるものなどない。
煙さえも立てずに、存在そのものが消失してしまう。
だが、これだけでは終わらなかった。
波紋状に周囲数十メートルまでに拡がりきると、
円蓋は、周囲の大気を巻き込んで回転を起こし始めた。
炎の一筋一筋は、自ずと頂点に向かって収束を見せると天へと舞い上がり、
やがて、この森の、どの樹木よりも高く聳える渦を作りだす。
巨大な火龍が森を喰らい尽くすように、その光景はまさに神々しくも、禍々しいものであった。
この技は、ブーンにとってまさに切り札である。
これほどまでに大規模に能力を放つ代償として、身体への負担が大きい。
言わば一度きりの、とっておきの大技なのだ。
そういった特性故に、ブーンはこの技を確実に当てる必要があった。
敵と離れた状態では技を放つ直前の異変を察知され、
攻撃範囲外に逃げられる可能性もある。
そのため、ブーンは限界まで敵の猛襲に耐え続けていたのだ。
敵がブーンの能力を知らないという利点を最大限までに生かし、効果的にダメージを与える。
まさにブーンの賭けとも言える策であった。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:46:20.22 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:47:40.22 ID:QpvhlSkW0<> 3
(メ'ω゚)「ハアッ……ハアッ……」
周囲は森であったという面影を全く残す事なく、荒れ果てていた。
遮蔽物はまるで見当たらず、鬱蒼としていた空間が嘘のように開けている。
地面ですら半分灰と化し、煙を上げながら黒く焦げ付いている始末だ。
なるべくならば、この美しい森を燃やしたくはなかった。
この凄惨たる光景を『樹木の民』が見れることになれば、憤慨するかもしれない。
だが、惑う隙などありはしなかった。
下手をすれば命を落としかけない激闘だった。
(メ'ω゚)「なんとか勝てたお……」
勝利を悟ると、ブーンはその場に大の字になって倒れこむ。
表情の険は取れ、既に擬獣化は解けてしまっていた。
いや、獣の魂の拠り代となる体力が残ってないのだ。
先程の敵から喰らった傷に加え、大技を繰り出したせいで動く気力もない。
(メ'ω゚)「ッぐ!! があっ!!」
息を吸い込むだけで、全身に焼け付くような激痛が響く。
噎せ返すような吐き気が止まらない。
身体が火照り、熱も出ているようだ。
この様子では、暫く寝たきりになるかもしれない。
しかし、『樹木の民』を守るという役目はとりあえず果たせた。
ブーンの表情は苦痛に歪みながらも、何処か誇らしげだった。
(メ'ω゚)「でも……何とか倒したお。これで暫くは……」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:48:11.62 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:49:15.39 ID:w7RJwBGUO<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:49:32.57 ID:QpvhlSkW0<> 「……暫くは何だって?」
煤i;メ'ω゚)「――ッ!?」
まさか。
いや、そんなはずはない。
あの技を受けて生きていられるわけがない。
突如、頭上から放たれた声にブーンの表情は、ひきつれる。
だが、突きつけられたのは残酷な現実であった。
紛う事などない。
先程まで耳障りに感じていた、この声を。
「流石にヤバかったよ。直撃したらアタシもヤられてた。
まったく……久しぶりに恐怖したよ。まさか、こんな物騒な技を隠していたなんてね」
(;メ'ω゚)「くっ……」
力を振り絞り、離していた短刀を握り締めると、ブーンは苦し紛れに上体を起こして空を仰ぎ見た。
(;メ'ω゚)「……ま……さか」
ブーンの視界に入り込んできたのは、月だった。
空の半分を埋め尽くす程に巨大だ。
血よりも鮮やかに、気味悪く赤に染まっている。
その月を背にするようにして、ぽつりと影が浮かんでいた。
朧げながら、それは巨大な鳥のようにも見えた。
逆光のせいで視界がぶれ、はっきりとはその全貌を伺えない。
必死に目に意識を集中させて、ブーンは影を凝視する。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:50:07.56 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:56:23.72 ID:QpvhlSkW0<> (*゚∀゚)「……でも、少々おイタが過ぎたようだよ。ここまで頭にキたのは初めてさ」
(;メ'ω゚)「――ッ!?」
月が雲で陰りを見せたその瞬間、ブーンは戦慄した。
ブーンを付け狙っていた、声の主がその姿を明らかにしたのだ。
宙に浮かんでいたのは、無垢さが残る少女の姿をした悪魔だった。
まさに奇怪な格好をしていた。
頭には二本の角が生えたカシューチャを被り、
身体には全体にフリルと装飾が施された、スカートの部分が短い黒ドレスを纏っている。
更には、膝下までの黒の靴下に、踵の高い黒のブーツといった全身黒ずくめの装いだった。
その上に際立っていたのは、目が醒める程の白髪に、空に浮かぶ月と同じ赤眼、
そして、彼女の背に広がった、身の丈の二倍もある巨大な蝙蝠の翼だった。
(;メ'ω゚)「……一体、お前は何者だお?」
強張った表情を隠そうともせずに、ブーンは訊いた。
明らかに、話に聞いていた『鋼鉄の国』の兵士とは違う。
あの奇妙な武器もそうであるが、それ以上に彼女の異質さを悟らずにはいられなかった。
(*゚∀゚)「ハンッ、こっちが訊きたいくらいだよ!!
つうか……あんた、ここの住人じゃないよね?
その炎を使った能力――アタシが知っているここの住人の能力とは違う。
お陰でちょいとばかし、ドレスが焦げちゃったじゃないか」
少女は、忌々しげにドレスに付いた埃を払いながら、ブーンを睨みつける。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:57:10.21 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:57:16.23 ID:tLhK8ngI0<> ID:j0KAT1790 と作者とのコンビネーションを見せ付けられたら私怨できねぇじゃねぇか!
乙ww俺もしえん <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 21:58:20.02 ID:QpvhlSkW0<> (;メ'ω゚)「くそ……」
ブーンは這い蹲るように、ゆっくりと立ち上がる。
最悪な状況だった。
自分は満身創痍だというのに、敵は衣服がほんの少し焦げただけで無傷だ。
恐らくは、あの翼で咄嗟に上空に逃れたのだろう。
ここまでは、ブーンにも予測がつかなかった。
(*゚∀゚)「まあ、でもこれで限界みたいだね。
先程までの鋭い気迫が全く感じられないよ」
(;メ'ω゚)「……まだ、戦えるお。僕はここで負けるわけにはいかないんだお!!」
喉が焼け付くほどに、ブーンは声を張り上げる。
だが、牙を握る両腕も頼りなく、力が入っていない。
立つだけでもままならない状況だった。
もはや、本能的に出た虚勢である。
(*゚∀゚)「おやおや、無理はいけないよ。……仕方ないなあ。
んじゃ、ここまで追い詰めたごほーびに私からプレゼントをあげるよ」
(;メ'ω゚)「……」
(*゚∀゚)「ん〜〜〜〜……えいっ♪」
少女は、ブーンに戦う力が残っていないことを把握すると、
徐に右手を前に差し出し、目を閉じて何かを念じるように呟いた。
突然の彼女の奇行に、ブーンの視線は彼女の腕に釘付けになる。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 21:58:56.62 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:00:21.67 ID:tLhK8ngI0<> しえ <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 22:00:26.74 ID:QpvhlSkW0<> (*゚∀゚)「じゃんじゃじゃ〜ん♪ 不思議七道具ぅ〜『死神の鎌』ァ♪」
(;メ'ω゚)「!?」
ブーンは、己の目を疑った。
今まで何も握られていなかった彼女の掌の上で、黒くうねりを見せる物質が膨れ上がり、
瞬時に彼女の身体ほどの大きさの大鎌が形を現したのである。
(*゚∀゚)「どう? これチョ〜便利じゃない? すごい? ねえねえ、すごくない?」
(;メ'ω゚)「これがさっきの……」
少女は、はしゃぎながら軽々と鎌を振り回す。
しかも自在に柄が伸縮し、その軌道は撓る鞭の如く踊っていた。
無の状態から作り出すことのできる上に、使用者の意志一つで自在に変形する武器。
これが先程の攻撃の正体だったのだ。
(♯゚∀゚)「んじゃ、アタシすっごいムカついてるからさ。
……さっさと殺してあげる♪」
だが、この武器が何で出来ているのか。
それを考える余裕を、少女は与えることはなかった。
翼を大きく翻し、大きく空中で旋回すると、足元のブーンの方へと急降下してきたのだ。
(;メ'ω゚)「……くそっ」
ブーンは最後の力を振り絞り、牙を顔の前に掲げ、構えを取った。
この状況で、反撃できるかは解らない。
だが、やるしかない。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:00:42.35 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:00:55.50 ID:tLhK8ngI0<> しえ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:02:20.81 ID:BxC/+v/K0<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 22:03:08.28 ID:QpvhlSkW0<> 「そこまでよっ!!」
(;メ'ω゚)「!?」(*゚∀゚)
夜の荒地に、声が響いた。
同時に、ブーンと少女の間を隔てるようにして緑の壁が聳える。
この瞬間まで、草一つ残っていなかった焦土から無数の樹木が突き出してきたのだ。
(*゚∀゚)「ちいッ!!」
いち早く樹木の気配に気づいた少女は舌打ちをすると、
翼を羽ばたかせ、急上昇で樹木の壁を回避する。
しかし、樹木の追撃はまだ終わらない。
枝の一本一本が彼女を捕らえんと、彼女の居た空間をしきりに掴もうとする。
(♯゚∀゚)「ええいっ!! ジャマだ!!」
少女は腕に持つ大鎌を一瞬にして引っ込め、
背中の翼を四枚に増やし、速度を上げて天高く舞い上がった。
そしてその隙にと、背後から見覚えのある人物が息を切らしてブーンの方へと駆け寄ってくる。
ξ;゚听)ξ「大丈夫ッ!? ……酷い傷だわ。これはどういうこと!?」
(;メ'ω゚)「……ツン? どうしてここn」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:03:28.32 ID:tLhK8ngI0<> しえ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:03:50.00 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 22:05:05.56 ID:QpvhlSkW0<> ξ;゚听)ξ「話は後よ。待ってて、今アイツを追い払ってやるから」
現れたのはツンであった。
衝突の寸前に、間一髪でブーンの前に壁を創りブーンを護ったのだ。
ツンはブーンの負傷から只事ではないと感じ取ると、
ずいと前に出て、上空の敵に向かって睨みかけた。
(*゚∀゚)「樹木の小娘か……せっかく良い所だったのに」
突如割って入ってきたツンを見るや否や、少女は貌を歪ませた。
先程までの笑みではない。
憎悪に染まった、醜い凶相だ。
ξ;゚听)ξ「ッ……何あれ?」
ツンは、少女の異様な姿と突き刺さるほどの冷たい視線に、思わず怯臆する。
蝙蝠のように翼を羽ばたかせ、悠々と上空に浮かぶ敵。
明らかに、これまでに戦った『鋼鉄の国』の兵士の姿とは違っていた。
(*゚∀゚)「まあ、いいか。雑魚が何人いようが同じこと。
アンタも一緒に殺してあげるから、覚悟なさい」
唐突に現れた増援に対しても、少女が意に介する様子はなかった。
その表情からは絶対の自信が伺える。
少女は増やした翼を引っ込め、再びあの大鎌を出現させて、舌なめずりをする。
そして、大きく振りかぶってツンに刃を振り落とそうと……
「おい、こっちだ!! 早くしろ!!」
「何だ何だ!? また西の国の者か!?」 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:05:36.68 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:05:55.51 ID:tLhK8ngI0<> しえ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:06:58.94 ID:IVAgwhlM0<> AAA落書きに対し、2ちゃんねるではAAAの公式HPのTOPに田代砲及びゲイツ砲による攻撃(サーバーダウン)決行。
★攻撃目標
┗http://www.avexnet.or.jp/aaa/index.html(通称AAA公式ホームページ)
★PC仕様武器
┣http://juhuifjnm.hp.infoseek.co.jp/gates/(ゲイツ砲 ※推奨)
┗http://asyoulike_.web.fc2.com/tasirohou/tasirohou.html(メガ粒子田代砲)
★携帯仕様武器
┗http://kusomiso.com/dos.cgi(田代砲)
●田代砲射撃方法
URL入力欄に目標のURLを入力し攻撃速度を200以上にセットし、作戦決行時刻に自動更新ボタンを押して放置。
15分は必ず放置するようにし、ツール→インターネトオプション→インターネット一時ファイル→ページを表示するごとに確認する→空撃ち防止できる。
●ゲイツ砲射撃方法
1.ゲイツをDL、.特製日本語化パッチをDLする。(http://juhuifjnm.hp.infoseek.co.jp/gates/)
2.ゲイツをインストール。Yes→Next→しばしお待ちを→OK→Finish
3.日本語化パッチを使用する前に、日本語パッチファイル内の「サービス停止.cmd」を起動
4.日本語化パッチを使い、wastjp.exeを起動
5.ゲイツ砲弾をDL、解凍。http://shota.aikotoba.jp/www.avexnet.or.jp.new.mdb(砲弾配布までDL不可)またはhttp://www.vipper.net/vip296669.mdb.html
6.ゲイツ起動。(ディスク(C)>Program File>Microsoft Web Application Stress Tool>hclient.exeから)
7.砲弾を装填。(日:ファイル→開く→さっき解凍した砲弾を選択し開く)
8.攻撃時刻と共に発射。(左上にある|>(Run Script)をクリック→キタ━(゚∀゚)━━ ッ!!!!!!)
9.終了する。(日:テストの停止)
※ゲイツの威力アップ方法
右のプルダウンからSettingを選択→ストレスレベルとストレス乗数を適度にあげる(ADSLで10*3ぐらい光なら20*5ぐらい)
ゲイツは非常に強力。こちらを最優先に使用しろ。 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 22:07:33.83 ID:QpvhlSkW0<> (*゚∀゚)「――ッ!?」
だが、少女はぴたり、と動きを止めた。
延焼を逃れた背後の森から、さらに声が響いてきたのだ。
声色の違いがあり、複数の人間がこちらに向かっている。
それが分かると、少女の表情はたちまち苦虫を潰したように渋り始めた。
ξ;゚听)ξ「こっちよ!! 早く来て!!」
「そっちか!! 直ぐにそちらにいく!!」
(;メ'ω゚)「……」
ツンは背後の声に向かって、しきりに叫んだ。
恐らく予め他の村人も呼んでいたのだろう。
(*゚∀゚)「畜生、次から次へと……全員血祭りにしてもいいんだけど、
今ヤっちゃうと、リーダーが五月蝿いからなあ。
ちぇっ、せっかくのお楽しみだったのに。
まあ、いっか。ここに来た目的は果たしたし」
その地上の様子を忌々しげに眺めながら、少女は呟く。
この様子では、数秒も数えないうちにさらなる増援はやってくるはずだ。
少女にとって、それだけは避けたかった。
無論、全員を相手にする自信が無いわけではない。
彼女は、果たすべき『目的』があってこの森にやってきただけだ。 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:07:55.98 ID:tLhK8ngI0<> しえ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:08:05.89 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 22:09:24.47 ID:QpvhlSkW0<> (*゚∀゚)「ハンッ、アンタら命拾いしたねえ。
今日のところはこの辺で勘弁してやる。
でも、このままで終わると思うんじゃないよ。
『祭』が始まれば、オマエら民族もろとも皆殺しにしてあげるから」
ξ;゚听)ξ「ちょっと、アンタ一体d」
(*゚∀゚)「悪いけど、アタシはオマエらみたいに隙じゃないんだよ。
でも、時間があったら遊んであげる♪ それまで首を洗って待っているこったねw」
ξ;゚听)ξ「ちょっと、それってどういうk」
(*゚∀゚)「じゃあ、バイバイキ〜ン♪」
ツンの言葉を待たないまま捨て台詞を吐きだすと、少女は大きく蝙蝠の翼を広げる。
その背後の月を覆わんばかりの影はとても不吉なものに感じられた。
だが、姿を捉えることが出来たのはそれが最後だった。
夜の闇に紛れるようにして、瞬時に姿を消してしまったのだ。
ξ;゚听)ξ「……」
ツンは唐突の出来事に口を大きく開けて、
空を赤く染める月を眺めることしか出来なかった。
『第八章 招かれざる来訪者は、影と共に現るる』 終 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:09:44.74 ID:tLhK8ngI0<> しえ <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:09:55.15 ID:j0KAT1790<> 支援 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:10:09.81 ID:tLhK8ngI0<> っと、終わりか先走った
乙 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:10:42.34 ID:j0KAT1790<> 乙乙! <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 22:12:33.30 ID:QpvhlSkW0<> 訂正
>>13
>だが、ブーンの思惑も空しく、黒刃は砕けるどころか、
>地面に跳ね返るとさらに勢いを増して跳ね返った。
↓
だが、ブーンの思惑も空しく、黒刃は砕けるどころか、
地面に跳ね返るとさらに勢いを増してこちらに向かってきた。
<>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:12:49.11 ID:RDks3XE/O<> >>1
つまんね^^消えろ空気 <>
◆foDumesmYQ <><>2007/08/04(土) 22:15:19.77 ID:QpvhlSkW0<> これでテコ入れのための戦闘シーンだけの第八章は終了。
とりあえず、中〜終盤に向けて、どんどん新キャラが出てくる予定。
皆さん支援dクス。
とくに、j0KAT1790氏には感謝。
まとめさん遅れてすまなかった。いつもありがとう。
<>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:15:39.76 ID:BxC/+v/K0<> 乙! <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:16:48.76 ID:j0KAT1790<> >>66
まあただの信者だ
気にするな
こっちも合作も期待してる
改めて乙 <>
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。<><>2007/08/04(土) 22:19:04.40 ID:RDks3XE/O<> >>68
信者乙^^キモイよw <>