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( ^ω^)ブーンがタヌキになったようです:3「ふたご」

そんなある日。

隣の国から、双子が村にたどり着いた。
息も絶え絶えで、体中から血を流し、どちらもいまにも息絶えそうだった。

(;^ω^)「はやく村長を呼んでくるお!」

(;'A`)「おkkkk。いってくる!!」

ドクオが玄関を開ける前に、村長がフードをかぶって出てきた。

( ´┏_⊃┓`)「緊急事態か」

(;'A`)「そうだ。双子が死にかけてる。なんか、別の国の人間みたいだ」

( ´┏_⊃┓`)「異国の者か。厄介なことになりそうだな。
        すまんが、両手を前に突き出してくれないか?」

(;'A`)「あ? これでいいのか?」

村長がドクオの両手に葉っぱを当て、次に自分の手にも当てた。
二人の両手が伸びて絡まり、担架に変化する。



(;'A`)「なんだこりゃ……」

( ´┏_⊃┓`)「ケガ人が一人なら私だけで十分なんだが、二人いるとなればな。よし、急ごうか」

二人は長い手を繋いだような奇妙な格好で走った。

(;^ω^)「きめぇwwww」

('A`)「うっせwww」

( ´┏_⊃┓`)「確かに異国のものだな。ブーン。この担架の上に、二人を乗せてくれ」

( ^ω^)「把握したお」



村長の家のベッドに二人を移すと、村長が力を解いた。二人の両手が元に戻る。

(*^ω^)「これは……」

(*'A`)「可愛いじゃないかwwww」

(*´-ω-)(-ω-`*)

双子は手を繋いだまま、絡まるように眠っている。
村長はそっと葉っぱを二人に当てた。みるみる傷がふさがっていく。

(;'A`)「すげぇ」

( ´┏_⊃┓`)「二人とも聞いてくれ。この二人は大陸人で、亡命してきたようだ」

( ^ω^)「亡命かお」

( ´┏_⊃┓`)「そうだ。この二人を見捨てることはできないだろう?」

(;'A`)「も、もちろんだ。亡命なら、匿うしかないだろ」



( ´┏_⊃┓`)「うむ。だから、これから私は話をつけにいってくる」

( ^ω^)「お?」

( ´┏_⊃┓`)「某大陸は野蛮な人種が多くてな。黙って匿えば、戦争になる可能性がある」

(;'A`)「な、なんでだよ?」

( ´┏_⊃┓`)「その国々で力の使い方が微妙に異なるからな。奴らは他人の親切を信じない。
        黙って匿えば、力の秘密を探るために拉致監禁をしていると騒ぎかねない」

(;'A`)「なんだよ、そりゃ」

( ´┏_⊃┓`)「そういう国なんだと考えるしかない。それで、私がいない間は、お前たちとツンで看病をしてくれ。
        それ以外の者にはなにも言うな。私が帰るまではな」

( ^ω^)「把握したお」



村長がフードをさらに深く被り、外に出た。二人もそれに続く。
村長は石を拾うと、葉っぱで包んで地面に放り投げた。
石は音もなくヘリコプターに変化した。

(;'A`)「すげぇな」

( ´┏_⊃┓`)「では行ってくる。後のことは頼んだぞ」

ヘリコプターは音もなく舞い上がり、やがて見えなくなった。

(;^ω^)「これは大変なことになったお。ってか急展開過ぎてよく分からなくなってきたお」

(;'A`)「おれもれも。つーか、これからどうすんだ?」

( ^ω^)「とりあえず、ツンを起こしにいくお。説明しないと」

(;'A`)「寝込みを襲われたとか勘違いしそうで怖いな」

二人はさらに深刻な顔をしながら、ツンの家に向かった。



ξ--)ξ

(*'A`)「寝顔は可愛いのにな。おっぱい揉んじゃうか?」

(;^ω^)「ちょwwロリコンwww」

(*'A`)「うっせwww」

ニヤけるドクオの後頭部に、銃が突きつけられた。

(;'A`)「……」

ξ゚听)ξ「うるさいのは二人だよ。こんな夜中になんの用なの?」

( ^ω^)「某大陸の双子がおにゃのこで、ドクオがおっぱい揉もうって言って、村長は飛んでったお」

ξ;゚听)ξ「……」

(;'A`)「……」

(;^ω^)「……」



村はなにも変わらないよう見えた。
ツンは二人に学校に行くように言い、授業とは別に、個人レッスンを始めると言った。

(;'A`)「ええええええええええええええ。いま以上に勉強すんのかよ」

( ^ω^)「まあまあ。ツンにはなにか考えがあるんだお?」

ξ゚听)ξ「もちろんよ。それに、二人は才能があるみたいだから、いまのうちに鍛えとかないとね」

( ^ω^)「よく分からないけど、力が上達するなら問題ないお。がんばるお」

(*'A`)「まあ、才能があるって言われちゃな」



ξ゚听)ξ「ブーンは変化で、ドクオは増殖の練習ね」

( ^ω^)「変化は得意だお」

ξ゚听)ξ「そうね。それでも、まだ自分の体は変化させられないでしょ?
     まあ、それはまだ早いか。ブーンがこの間やった、メドゥーサなんて、ホントは退学もんだよ?」

(;^ω^)「危ないのは勘弁だお」

ξ゚听)ξ「だから、まずはそこらに転がっている石を棒に変えてみよう。ほら。早く」

( ^ω^)「それなら簡単だお。ほら!」

ブーンの手にあった石が、灰色の棒に変化した。

ξ゚听)ξ「形はいいわね。それじゃ、強度はどう?」

ブーンが試しにドクオを殴ってみると、十分硬いことが分かった。

(;'A`)「扱いひどくね?」

ξ゚听)ξ「そうね。それじゃ、それを戻してみて」

('A`)「戻すのは習ってねーぞ」

ドクオが頭をさすりながら言った。



ξ゚听)ξ「時間が経てば戻るけど、それじゃ葉っぱがないから他の力が使えないでしょ?
     戻すのも同じなの。戻れって頭の中で集中すればいいのよ」

ブーンが戻れ、と呟くと、棒が石に戻った。

ξ゚听)ξ「それで良いわ。じゃ、ブーンは剣に変化させる練習をしてて。
     ドクオは、私が石を矢に変えるから、それと同じものを増やす練習ね」

(;'A`)「増やすことはできるけどよ。なぜか同じにはなんねーんだよな」

ξ゚听)ξ「見た目は後回し。とにかく、強度を同じにするのが大事なの」

('A`)「同じ強度か」

ξ゚听)ξ「そ。試しにやってみようか。はい。これを増やしてみて?」

ドクオが念じると、大きさがバラバラで不恰好な矢が、7本に増えた。



(;'A`)「ふう。こんなもんだよ」

ドクオが悲しそうな顔で、ツンとブーンを見た。

ξ゚听)ξ「変化より増殖のほうが難しいからね。んー。貞子先生に頼もうか?
     貞子先生の増殖は半端じゃないからね」

(;'A`)「あの先生、なんか怖いんだよな……」

ξ゚听)ξ「とりあえず、数は少なくていいから、できるだけ正確に増殖してみよう」

('A`)「あいよ」



学校の先生たちには、ツンから話しが伝わったらしい。
どの先生も、以前より厳しい授業を始めた。

(´・ω・`)「何度言ったら分かるんだ?
      物を具現させれば、周りに変化させるものがなくとも、物が作り出せる。
      変化とは違い、構造が単純な食べ物なら、無から作り出せるはずだ」

('A`)「はいはい」

(´・ω・`)「いいか? 具現と増殖は、生きていく上で非常に重要なのだ。
      変化したものを食べれば、葉っぱは消えてしまう。
      しかし、具現させたものなら、食べても葉っぱがなくならない。使わんからな。
      食べ物を具現化させ、増殖させる。
      葉っぱはなくなるかもしれんが、飢餓の子供を救うこともできるんだぞ。真面目にやれ」

( ゚д゚ )「先生、見てください。パンが具現できました」

( ´ー`)「俺もちょっと不恰好だけど、いちおうパンができましたよ」



(´・ω・`)「うむ。では、食べてごらん。味はどうだ?」

( ゚д゚ )「家で食べてる高級なパンとは違いますが、結構いけますよ」

(´・ω・`)「君の父上は、立派な人間だからな。その調子で頑張りたまえ」

('A`)「こっち見んなよ。不細工野郎が!」

コッチミンナがニヤニヤしながら、こっちを見つめている。

( ^ω^)「いまは我慢だお。あいつなんて、上手く増殖できたことがないお」

('A`)「まあなwwww」

ドクオが嬉しそうに笑った。



川д川「ここに私が増殖したライターがありますね。
    このライターを一個ずつ持っていって、二つに増殖してみてください。
    数を減らせば正確に増殖できるはずです。今日は、正確性を重視してください」

(;^ω^)「これはひどい。なぜか、マッチに変化しちゃったお。しかも、しけってるお」

川д川「マッチが強くイメージされていたんでしょうね。変化も増殖も、要は想像力が鍵ですから」

('A`)「うお! いきなり話しかけんなよww」

川д川「あ。ごめんなさい……」

( ^ω^)「なんかコツはないのかお?」

川д川「えーっと。絵を描くのと同じなんですよ。見たものを、見たとおりに描写するんです」

( ^ω^)「ライターを描写?」

川д川「変化も、変化させたい物を頭に描写しますよね?
    感覚はそれと一緒なんです。頭で描写して、数を増やす」

('A`)「わかんね」



そんな感じで、頭と全身を疲弊させながら、日々を過ごしていった。
それなのに、未だに村長は帰ってこないし、双子も目を覚まさない。

('A`)「いつになったら、帰ってくんのかな?」

ξ゚听)ξ「さあ? とにかく、いまは必死に、知識と感覚を詰め込む時期よ」

(*^ω^)「おっおっ。ツン、弓ができたおww」

ξ゚听)ξ「あら。すごいじゃない」

ブーンの弓は旧式で、ただの棒に紐が張られただけのものだが、造形は完璧だった。

('A`)「すげぇな」

(*^ω^)「棒の微妙な角度と、弦の強度が難しかったけど、上手くいったお」



ξ゚听)ξ「じゃ、飛ばしてみようか。私が具現化した矢を使って」

矢の後部を弦に当てて思いっきり引くと、キリキリと音を立てながら弦が伸びた。

ξ゚听)ξ「うん。弦の強度もいい感じだね。じゃ、撃ってみて?」

( ^ω^)「いくおー!」

ブーンが放った矢は真っ直ぐ飛んでいき、50メートル先の大木に突き刺さった。

(*^ω^)「ktkrwww」

(*'A`)「カコイイwww」

ξ゚听)ξ「良いわね。それじゃ、次はドクオの番だよ」

(*'A`)「よっしゃ! 見てろよwww」

ドクオが葉っぱをパンに当てると、瞬く間に、パンが10個に増殖した。

(*'A`)「うひょおおおおおおおおお!」

ξ゚听)ξ「全部同じ形だね。じゃ、食べてみて」

(*^ω^)「いただきますお」



( ^ω^)「パンだお! しっかりパンが増えてるおっ!」

(*'A`)「マジだwwうめぇwww」

ξ゚听)ξ「二人ともいい感じで成長してるよ。もう三年生レベルだね」

(*´・ω・)「なんか騒がしいねー」

(・ω・`*)「うるさくて眠れないよね」

(*´・ω・)(・ω・`*)「ネー」

('A`)「お?」

ξ゚听)ξ「あら」

( ^ω^)「ちょww普通に歩いてるおww」



(*´・ω・)「看病してくれてありがとう」

(・ω・`*)「感謝してるよ」

(*´・ω・)(・ω・`*)「ネー」

(*'A`)「かわぇぇ」

(;^ω^)「ロリコン……」

(*´・ω・)(・ω・`*)「ネー」

ξ゚听)ξ「待って。ここじゃ誰かに見られる可能性があるわ。村長の家に行こう」



大陸を治めていた王が死亡した。
そのため、次期王をめぐって暗殺、謀略が絶えず発生し、国は混乱した。
混乱はタヌキの世界にも伸び、すでにいくつかの村が、消滅の憂き目にあっている。

ξ゚听)ξ「それで……」

(*´・ω・)(・ω・`*)「私たちの村も襲撃されて、命からがら逃げてきたの」

( ^ω^)「大陸は混乱してるのかお」

ξ゚听)ξ「それよりも問題は、国の王が変わると治安が全く変わることよ。
     もし武闘派の兵士が国王になったら、この国と戦争になるかもしれない」

(;'A`)「うぇ。戦争になったら、俺たちも出て行くのか?」

ξ゚听)ξ「多分、なにもしないと思う。ここが襲われたら、防衛するけどね」

( ^ω^)「戦争かお」

ξ゚听)ξ「人間同士より、タヌキが攻めてきたときの方が問題ね。
     タヌキは人間には関わらないけど、タヌキ同士は別。きっと王が変わったら、攻めてくるわ」



('A`)「どうすんだよ? 村長は帰って来ないしよ」

ξ゚听)ξ「とりあえず、先生たちと話し合ってみるわ。あなた達は部屋で大人しくしてなさい」

(;^ω^)「ちょ。僕たちはのけ者かお?」

ξ゚听)ξ「落ち着いてよ。とにかく、先生同士で話し合ってみるから。
     あなた達二人には後で話すから、今日のところは、ね?」

('A`)「まあ俺たちは力もないしな。とりあえず帰ろうぜ。ブーン」

( ^ω^)「まあ、仕方ないお」

ξ゚听)ξ「ごめんね」



ブーンとドクオが村長の家を出ると、すでに先生たちが集まっていた。
貞子とショボンが確認できる。

('A`)「話し合いだってよ」

(´・ω・`)「我輩たちは、連絡が来たからここにいるのだ」

('A`)「あ?」

川д川「まあまあ。ゆっくり休んでてね」

( ^ω^)「ドクオ。帰るお」

ショボンと睨みあっているドクオの肩を叩き、ブーンは寮へと向かった。



それからさらに月日が流れた。
何事もなく、平穏な日々なのだが、なぜか落ち着かなかった。

('A`)「緊急事態だってのに、あいつらは相変わらずだよな」

ブーンがドクオの視線を追うと、手から毛を生やしているシラネーヨと、笑っているコッチミンナの姿があった。
ツンが大声で叱っている。

('A`)「お。そろそろ時間だな」

キーンコーンカーンコーン。

授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
他の生徒は出て行ったが、ブーンとドクオはそのまま座っていた。

ξ゚听)ξ「まったく。本当にあいつらは、どうしようもないんだから」

ツンがぼやきながら二人のほうに歩いてくる。



('A`)「先生も大変だな。それで、村長はまだ帰ってこないのか?」

ξ゚听)ξ「まだだよ。でも連絡がとれたから、安心して」

( ^ω^)「大陸はどんな感じだお?」

ξ゚听)ξ「王が武闘派の兵士上がりで決まりそうだって。だから、準備だけはしておけって言ってた」

('A`)「戦争か……」

不思議な力が使えるタヌキ同士の戦争だ。
少し前までは一般人だった二人には、想像することができない。



('A`)「タヌキ同士の戦争って、どんな感じになんのかな?」

ξ゚听)ξ「私も文献を読んだだけだから詳しくはわからないけれど、人間同士の戦争と変わらないみたいよ?
     戦闘機で攻めてきて、相手の領地に着くと、すぐ降りるの。対空兵器をいっぱい揃えるからね。
     あとはマシンガンとかで撃ち合う感じかな」

( ^ω^)「力を使っても、大したことはできないのかお?」

ツンが頷く。

ξ゚听)ξ「核兵器とかの強力な平気は変化させられないの。多分、村長だって無理じゃないかな。
     だから、あなた達でも十分戦えると思うよ」

('A`)「俺は支援部隊だろうな。食料の増殖しかできない」

( ^ω^)「僕は前線かお。マシンガン程度なら、変化できるお」

ξ゚听)ξ「多分ドクオも前線に出るんじゃないかな。
     増殖なら貞子先生がいるし、具現化はショボン先生ね」



( ^ω^)「戦争かお。人を殺すんだお?」

ブーンの言葉が、静まり返った教室に反響した。
しばらくしてから、ツンが口を開く。

ξ゚听)ξ「まだ分からないけどね。準備だけは、しておいたほうがいいわ。体も、心も」

(;^ω^)「アー! 次の授業が始まってるお!」

(;'A`)「やべ。次ってショボンじゃなかったか? またあとでな、ツン!」

ξ*゚д゚*)ξ「せ・ん・せ・い」

二人は命からがら逃げ出した。つづく。