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( ^ω^)ブーン達が廻るようです:11:「ログアウト」

36 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 01:19:52.83 ID:1H1iCWKAO
11:「ログアウト」

('A`)

 あぁ、何だか騒がしい。
 もう少し眠らせてくれ……俺はもう、疲れたんだ。
 でも、そうも言っていられない。
 俺はまだ戦えるんだ。
 俺は、

( A )「まだ……」

 何をしているんだ?
 俺は、何をしていたんだ?

('A`)「……は?」

 体を起こして、初めて倒れていた事に気付く。
 辺りは酷い土砂降りで、体中びしょ濡れだった。
 体が痛い、が、特に傷はない様だ。

('A`)「……あぁ」

 ここはどこだ?
 俺は何故、ここにいるんだ?
37 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 01:21:11.42 ID:1H1iCWKAO
(;A;)「何、なんだ……ッ!!」

 何だ?
 何だ何だ?
 一体、何なんだ?
 何もわからなかった。
 それなのに、

(;A;)「何が……こんなに辛いんだ……ッ!!」

 それなのに、頭の中は喪失感で満たされていた。
 虚無感で、脱力感で一杯だった。

(;A;)「うわあアあァぁあぁァァアッ!!」

 どことも知れない山中に、俺の声だけが響く。
 まるで、何の意味もない。

(;A;)「……なん……な、意味……」

 口から漏れる言葉は、何の意味も持たない。
 それでも、自然と、いくらでも湧いて来た。
38 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 01:22:36.30 ID:1H1iCWKAO
(;A;)「ぅう……ごめん、なさい……」

 雨音が全てを消して行く。
 もう、何もかもがそれで良い気がした。

「……君っ!! 大丈夫かッ!!」

( A )「ぁあ……」

 誰か来た様だ。
 何も見えない。目を開いているのかも分からない。
 あぁ、これで終わりだ。
 何故か無意識にそう思った。
 妙に懐かしい安心感に包まれて、俺は眠った。
 いつまでも、いつまでも――
40 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 01:23:54.03 ID:1H1iCWKAO
('A`)「……」

 意識を取り戻した俺は病院にいた。
 「友人の死にショックを受けて、軽い記憶障害にかかっている」。
 偉そうな医者は、「しばらくは休め」と付け加えて、俺は三日間の入院を余儀なくされた。
 しかし、実際「ゆっくり休む」事は出来なかった。
 入院生活初日、警察が俺を訪ねて来たからだ。
 そして、俺も少しずつ、記憶を取り戻した。

('A`)「……ショボンは死んだんだ……俺のせいで」

 思い出さない方が、良かったのかも知れない。
42 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 01:28:00.34 ID:1H1iCWKAO
 冷静にそう判断した俺を、俺は殺したくなった。
 そして、現れた警察官は俺に追い討ちを掛ける。
 「葬儀の時、君と……内藤君? が言い争って、どこかに行くのを見た、って人がいるんだよね」。
 その後、ブーンは行方知れず。
 一晩経っても連絡が取れず、そして、俺は、のこのこ一人で帰って来た。
 ブーンの両親は不安になり、捜索届けを出したそうだ。

('A`)「……」

 空が、青い。
 そして、俺は、二人も、親友を殺したのか。
 殺したのか。

( A )「空が青い……」

ξ;゚听)ξ「……ドクオッ!? あ、あんた――」

('A`)「青いの、に……」

ξ;゚听)ξ「ば、ば、バカッ!! あんた死ぬ気!?」
43 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 01:30:16.86 ID:1H1iCWKAO
 俺は丁度、お見舞いに来たツンにしがみつかれ、窓枠の前に突っ立っていた。
 何故だが、俺は死のうとしていた様だ。
 遠くに見えるコンクリートの地面。

('A`)「あーあ……」

ξ;;)ξ「もぅ……元気出してよ……」

 そう言い残して、命の恩人は泣きながら去って行った。

('A`)「……」

 わからない。
 俺は、ずっと窓から外を見ていた。
 考える事は腐る程ある。考えたくない事も同じ様に。
 そして、わかる事は一つもない。
 だから、ずっと外を見ていた。

('A`)「何なんだ、俺は……」

 太陽が昇って、沈んで、それを眺めている内に、退院の日は来た。
 あれ以来、何故だか警察は来ていない。
 ツンも、来ていない。
46 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 01:45:41.77 ID:1H1iCWKAO
 結局、俺は何故、山にいたのか、ブーンに何をしたのか、思い出せずにいた。
 医者は殴りたくなる様な明るい顔で「時間が解決してくれるよ」と言った。

「もう、どうでも良いよ」

 そう、自分に言い聞かせてみる。

('A`)「……そんな訳には行かねぇさ」

 勿論、上手くは行かなかったけど。
 ブーンはどうなったんだろう。
 そう考えると、自分が殺した様な気がした。
 何故、赤坪山なんかにいたんだろう。
 そう考えると、ブーンを埋めた様な気がした。

( A )「……死ねよ。俺」

 死ぬ程、悩んだって一向に死なない。
 それ所か、必死で言い訳を考え始めるんだ。

( A )「もう嫌だ……」

 どんどん、自分が薄汚れたゴミに近付いて行く。
 気が付くと、朝だった。
 随分と久しく感じる自宅は、決して快適ではない。
47 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 01:53:04.66 ID:1H1iCWKAO
 そして、習慣は恐ろしい。
 俺はのうのうと登校の支度をしていた。

J(;'-`)し「……無理して行かなくても良いのよ?」

 三日前から無意識に避けて来た母。
 恥ずかしい様な、申し訳ない様な、面倒臭い様な。
 それでも、俺はようやく目を見て言った。

('A`)「俺……行かないと」

 あぁ、君にはそんな、格好付けた台詞を言う資格はないんだよ?
 俺の中で誰かが言う。
 聞こえないふりをして、玄関のドアを開けた。
49 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 02:00:06.16 ID:1H1iCWKAO
ξ゚听)ξ「久し振りね」

('A`)「……おう」

 学校に着くなり、ツンが話し掛けて来る。
 この学校で、進んで俺に話し掛けて来る奴なんて、高が知れている。
 そして、今はもう、一人だ。
 他はもう、亡くしてしまった。

ξ゚听)ξ「アンタには聞かなきゃなんない事が腐る程あるわ……
勝手に死んだらぶっ殺すからね」

(;'A`)「……おう」

 それを今日は取り戻さなければならない。
 今日、学校に来たのは、その為だ。
50 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 02:09:11.89 ID:1H1iCWKAO
/ ,' 3「もう具合は良いのか? ……無理をするなよ」

 担任の態度はよそよそしい。
 やはり、俺は疑われていた。

( A )「(俺は殺してない……殺す筈ないんだ)」

 心の底から、ブーンに会いたいと思った。ショボンにも、だ。
 そうしている内にも、当たり前に授業は進む。
 気が付くと、昼休みだった。
51 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 02:18:08.23 ID:1H1iCWKAO
ξ;゚听)ξ「……記憶喪失ッ!?」

('A`)「あぁ……」

 ショボンの家を出た後から、翌朝、赤坪山で見付かるまでの記憶がない。
 それを伝えると、ツンをみるみる狼狽えた。

ξ;゚听)ξ「大事ね……何で赤坪山?」

(;'A`)「さっぱりわからねぇ……今日、学校終わったら行ってみる」

ξ゚听)ξ「それ、私も付き合うわ。文句ある?」

('A`)「良いけど……」

 俺は、人殺しかも知れない。
 喉まで出掛かったそれを、そのまま飲み込む。
 余りにも無責任で、無神経過ぎる。

( A )「……早く、ブーン見付けねぇとな」

ξ゚听)ξ「……学校終わってからじゃ、夕方になるわね」

('A`)「……は?」

ξ゚听)ξ「今から行こ。問題ないでしょ?」
52 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 02:22:36.24 ID:1H1iCWKAO
 返事も聞かずに、ツンは帰り支度を始めた。
 昼休みの教室は賑やかだ。
 ツンは不思議そうに言い寄る友達に言い訳をし、俺は誰にも咎められずに学校を出た。
53 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 02:32:43.08 ID:1H1iCWKAO
ξ゚听)ξ「さ、どこ行くの?」

('A`)「まずは……ショボンの家。で、」

 そして、

('A`)「幽霊アパートだ」

 そこに何かある様な気がした。
 記憶のない、二十二時間を埋める何かが。

ξ゚听)ξ「着いたわね……」

 目の前に、豪邸が見えた。

11:「ログアウト」

―fin―