むかしむかし、あるところにタヌキの集団が暮らしておったそうな。
タヌキたちはとても賢くて、森でもっとも大きな樹をとても大事にしておった。
タヌキたちの生活はひどく貧しかったが、それが幸いしてか、団結力が強かった。
平凡だが平穏な暮らし、貧しいが、愉快な暮らし。
どのタヌキもみな笑っていた。
ところがある日のことじゃ。
働きもせず、悪さばかりするタヌキが事件を起こしたのじゃ。
大きな樹に祀られた灰色のダイヤモンドが盗まれてしまった。
盗んだのは件の悪だぬき。仲間内ではブーンと呼ばれておった。
そのたぬきを捕まえるため、二人の若者が選ばれたところから話がはじまる。
(*゚ー゚)「まんどくせ」
('A`)「おれもれも」
( ´┏_⊃┓`)「そんなことを言っている場合ではない。あの宝石がなくなったことを神が知れば、この村に災いがふりかかろう。」
('A`)「んなこと言ってもなぁ」
( ´┏_⊃┓`)「望むことを一つだけ叶えてやろう。お前たちは協力してブーンを捕まえてくるのだ」
願いが何でも叶う。その響きに魅了され、二人はしぶしぶブーンを追うことにした。
とりあえず二人は西へ向かった。
西にはブーンが根城にしている寂れた神社がある。
(*゚ー゚)「いたいた。簡単な仕事だったね」
('A`)「まぁな。まんどくさかったら引き受けねーよ。ブーンは馬鹿だからな」
軽口を叩きながら二人がブーンに近寄ると、罠が作動して二人とも動けなくなってしまった。
(#゚ー゚)「なにこれ」
(*'A`)「密着ハァハァ・・・うっ」
(#゚ー゚)「ちょっと!なに顔にかけてんのよ」
( ^ω^)「おっおっ、相変わらずラブラブだお」
天井近くで、くんずほぐれつしている二人に笑顔を向けながら、ブーンが言った。
('A`)「てめぇ、なんでそんなところに」
( ^ω^)「簡単なことだお。追っ手が来るとしたらしぃとドクオの二人。
二人なら俺がここに隠れることを知っている。だから先にきて罠を仕掛けておいたんだお」
ブーンが愉快そうに黄色い歯を見せた。
( ^ω^)「ちなみにこれもダミーだお」
ブーンは自分の模型を蹴飛ばした。本堂に寝転んでいたブーンのダミーが、カランと小気味よい音を立て転がった。
('A`)「ちくしょう、俺たちをどうするつもりだ?」
( ^ω^)「とりあえず眠れお」
ブーンは手に持っていた木の枝に葉っぱをかぶせ、枝をボウガンへと変えた。
息を飲む二人に向かって、先端に麻酔の塗られた矢が放たれた。
一時間後、しぃは灰色のダイヤモンドを大事そうに抱えて、ドクオは片手に枝を持ち、ブーンを背負って村に戻ってきた。
( ´┏_⊃┓`)「おぉ、さすがはわが村期待の若者たちじゃ」
喜ぶ村長の脇にブーンを落とし、しぃがダイヤモンドを差し出した。
( ´┏_⊃┓`)「よくやった。さて、褒美はなにがよろしいかな」
(*゚ー゚)「私たちは村を出ることを望みます」
周囲のたぬきから驚きの声が上がった。
村を出る。それは、二度と村には戻らないことを意味していた。
( ´┏_⊃┓`)「なるほど。まぁいいんじゃねーの。勝手にしなさい」
('A`)「ずいぶん簡単に言うな。まさかこんなに・・・」
言いかけたドクオの足をしぃが踏んだ。ドクオは足を押さえて転げまわった。
しぃはドクオを引きずり、村を出た。
('A`)「あーあ、まさかこんなに簡単に成功するとはな」
ドクオは村長の前では、足を踏まれて最後まで言えなかった言葉を吐き出した。
(*゚ー゚)「ねぇ、いつまでその顔でいる気。キモいんだけど」
ドクオが笑いながらその場でクルリと回転した。
すると頭から葉っぱが落ち、ドクオの顔が消えた。
( ^ω^)「これでいいかお」
しぃはブーンの顔を見て、満足そうにうなずいた。
ブーンは右手に持ったままの枝を振った。葉っぱが風に飛ばされ、枝は灰色のダイヤモンドに戻った。
(*゚ー゚)「バカな村人たちだったね」
( ^ω^)「でもこれでやっと二人きりになれたお。ドクオはいまごろ俺の顔のままで、みんなにボコられてるお」
(*゚ー゚)「じゃ、ドクオにかけた変身が解ける前に遠くまで行かなくちゃね」
二人は手をつないで、貧しく、平凡な村から遠ざかっていったそうな。
めでたしめでたし。