-VIP産小説保管庫-
( ^ω^)ブーンはゴリラのようです
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 22:48:02.61 ID:T4hvakiQ0
- 【南米のどっかにある収容所】
どこかで扉の開く鈍い音がして、ブーンは顔を上げた。
何人かの足音が狭い収容所内に響く。
カツカツカツカツ。
( ^ω^)「カツが食べたいお」
足音はブーンの牢屋の前で止まった。
先頭の男が丈夫な鎖をブーンのほうに放り投げた。
「つけろ」
- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 22:51:17.12 ID:T4hvakiQ0
- ブーンは男を見た。男は無言で鎖を指差す。
仕方なく鎖を手首にはめた。
「よし、出ろ」
牢屋の頑丈な扉が開かれる。
「こっちだ」
( ^ω^)「わかってるお」
男三人に周りを固められ、収容所を歩いていく。
複雑な通路を抜けて、ブーンは外に出た。
まぶしい光が目に入ってくる。
手で目を覆ったブーンを見て、男たちが笑い声を上げた。
「久しぶりの日光だからな。目に染みるだろう」
- 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 22:54:25.20 ID:T4hvakiQ0
- 収容所の敷地内に大きなトラックが停まっていた。
( ^ω^)「どこへ行くんだお?」
男たちが笑いながら答えた。
「国に帰れるのさ」
( ^ω^)「く……に……?」
男がブーンの背中をこずいた。
トラックの後部が開かれる。
「わんわんわんわん!」
(;^ω^)「あうあう」
ブーンの情けない声を聞いて男たちがまた笑いを上げた。
「乗れ」
ブーンは男たちを眺めた。
先程とはうって変わって、どの顔も険しくなっている。
ブーンは犬から一番遠い壁際に腰を落ち着けた。
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 22:55:55.73 ID:T4hvakiQ0
- 「よし、空港まで送るぞ」
「しかしゴリラの癖に犬を怖がるとはな」
「確かにひげもじゃだが、やつは人間だぜ」
「HAHAHA!ゴリラにしか見えないよ」
「たしかに」
男たちの声がブーンの耳に入ってくる。
ブーンは目を瞑った。
- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 22:59:25.73 ID:T4hvakiQ0
- トラックの揺れが止まって、男たちが地面におりた。
どの顔もやっと厄介払いが出来るといった表情だ。
男たちが後部の扉を開いた。
「くぅーん、くぅーん」
男たちは互いに顔を見合わせた。
なんと犬が、あれほど獰猛な犬が、ブーンの胡坐をかいた足に頭を乗せて、
気持ちよさそうに目を瞑っているではないか。
「……どういうことだ」
「し、しらねーよ」
( ^ω^)「おーよしよし、おーよしよし」
ブーンは犬たちの顔に自分の顔をなすりつけると、黙って立ち上がった。
男たちはふいをつかれたように肩をびくっとさせ、
それからブーンの体を再び三人で囲んで空港まで進んでいった。
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:02:04.14 ID:T4hvakiQ0
- 飛行機がアムリカについた。
男たちがブーンをアムリカフロルダ空港までつれていく。
そこにはスーツに身を包んだグラサンの男たちが立っていた。
「つれてきた」
ブーンを指差しながら言う。
黒スーツたちがうなずいた。
「あとはこちらで引き取ろう」
「把握した」
ブーンは黒スーツの男たちに囲まれ、空港の従業員通路に入った。
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:04:18.49 ID:T4hvakiQ0
- 狭い通路内を歩いていくと、いきなり黒スーツの男が立ち止まった。
「どうした?」
「やつらだ」
耳につけたイヤホンに手を当てながら、そう呟く。
「なんだと?」
他の黒スーツもイヤホンに手を当てた。
「たしかに聞こえる。だがやつらの狙いは何だ?」
先頭に立っていた男が首を振った。
「決まっている。このゴリラが目的だ」
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:07:47.40 ID:T4hvakiQ0
- 遠くの通路から足音が聞こえてきた。
カツンカツン。
黒スーツの男たちがいっせいに顔を向ける。
曲がり角から顔を現したのは、黒マントに身を包んだ、華奢な男だった。
「ショボン……」
(´・ω・`)「その男を渡してもらおうか」
男たちが身構えた。しかしマントの男は構わずにこちらに向かって歩いてくる。
「スミス……」
(o´c_`o)「俺がやろう、お前たちは下がっていろ」
先頭の男が腕を上げ、奇妙なポーズをとった。
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:11:38.68 ID:T4hvakiQ0
- (o´c_`o)「はっ!」
男が通路を蹴ると、体がロケットのようにマントの男に向かって飛んでいった。
(´・ω・`)「ふん」
ショボンと呼ばれた男がグラサンの拳を片手で受け止める。
(o´c_`o)「URYEEEEEEEEEEEEEEE」
ブーンの目にはまるでビデオの早送りのように感じられた。
グラサンの腕がよく見えない。
すさまじいスピードでショボンの体を滅多打ちにする。
(´・ω・`)「く……お……」
いや、正しくはしそうになった。
そのとても手で受けることが出来ないようなパンチを、
ショボンはスウェーで避けた。
いや、スウェーじゃない。後頭部が床につきそうなほど
のけぞって、男のパンチを軽くかわす。
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:16:01.83 ID:T4hvakiQ0
- (o´c_`o)「なに?!」
ショボンはグラサンの顔を満足気に眺めながら、
すばやく手を動かしてマントの内側から拳銃を取り出した。
( ^ω^)(あれは……黒星?!)
北京、上海、釜山出身の男たちが新宿で繰り広げた縄張り争いで活躍した、
気軽に手に入り、なおかつそれなりにカッコいいような気もする拳銃。
それをショボンは取り出したのだ。
(o´c_`o)「ふん、黒星が私に通用すると思うかね?」
ショボンが黒星を連射する。しかし先程のショボンのスウェー以上の
速さでグラサンが体を動かした。弾はかすりもしない。
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:19:27.79 ID:T4hvakiQ0
- (´・ω・`)「くそ」
(o´c_`o)「ふははは、拳銃など捨ててしまえ。私を倒したければ、素手で来るしかないぞ」
男が不敵に笑いながら、ショボンの胸を指でつついた。
つついただけ、に見えた。しかし実際につついていただけなのだろう。
それにも関わらずショボンの体は面白いように飛んでいった。
(o´c_`o)「ふん」
ショボンはそのまま(よく学校にあるボタンがついてて火事の時に押すやつ)
に飛んでいって、激突した。非常事態を告げるサイレンが鳴り響く。
(o´c_`o)「口ほどにもない。さあ、先を急ごうか」
グラサンがブーンの肩に手を置いたときだった。
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:22:48.60 ID:T4hvakiQ0
- ( ゚ω゚)「ふおおおお」
(o´c_`o)「?」
ブーンの口から奇妙な音が断続的に漏れはじめた。
それにしたがって、ブーンの顔が変化を始める。
体を前傾させ、両腕をだらりと前にたらす。
それはまさに野生のゴリラを彷彿とさせるような格好だった。
(o´c_`o)「なにを……ぶっ」
ブーンの腕がグラサンの顔に当たった。
グラサンの男はそのまま吹っ飛んでいき、壁にぶつかる。
慌てて残りのグラサンが、ブーンを押さえようと腕を伸ばしてくる。
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:25:37.38 ID:T4hvakiQ0
- ブーンは体を急速に回転させ、男たちの腕を掴んだ。
男たちが苦悶の表情を浮かべる。
「く、なんという力だ」
「ありえん、これがマトリックスの……」
男の言葉が終わる前に、ブーンを両腕を上に上げた。
男たちもそのまま宙に浮き、天井に頭をぶつけた。
(´・ω・`)「なんだと……エージェントがこうも簡単に……」
( ゚ω゚)「フゴー、フゴー」
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:29:53.30 ID:T4hvakiQ0
- 時は移り、2008年、ブーンは新宿にいた。
( ^ω^)「フヒヒ、あの足はたまんないお」
目の前を横切った女性の短いスカートから、長くて綺麗な足が覗いている。
(´・ω・`)「ふぅ、そんなことより、急いだほうがいい。そろそろ元成貴が戻ってくる」
( ^ω^)「ゆえんちょんくい?」
(´・ω・`)「おいおい、上海マフィアの名前も忘れたのかい」
( ^ω^)「おっおっ、思い出したお。元成貴、僕たちはあの男の下で働いてるんだおね」
- 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:35:19.77 ID:T4hvakiQ0
- 新宿の歌舞伎町は、いま非常にカオスな状態だった。
上海のボス、元成貴(ユエンチョンクイ)。北京の狂犬、崔虎(ツイフー)。
そして歌舞伎町の老翁・揚偉民(ヤンウェイミン)。
この三人が主となって、歌舞伎町を治めていた。
ブーンはアモリカの空港から逃げ出し、ハイジャックをして日本に降り立った。
そして運悪く歌舞伎町のボッタクリバーに捕まり、
その金を返すために元成貴の手下となってここで働いているのだ。
- 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:38:05.69 ID:T4hvakiQ0
- ブーンの仕事は呉富春(ウーフーチュン)を見つけること。
呉富春は元成貴の片腕を殺して逃亡中だったのだが、
つい最近新宿に戻ってきたらしい。
元成貴は非常にしつこい男だ。
彼を怒らせたら最後、三十年経っても許してもらえないらしい。
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:43:46.53 ID:T4hvakiQ0
- 三日以内に呉を連れてこい。できなければ――殺される。
殺されなくても、歌舞伎町にはいられない。
そこで現実の世界に戻れなくなって困っていたショボンと共に、
歌舞伎町で呉を探しているというわけだ。
( ^ω^)「しかし、この広い新宿のどこにいるのかお……」
(´・ω・`)「呉の顔写真しかもらってないからね。探しようがないよ」
西武新宿の駅前に腰掛け、ブーンは写真を眺めた。
垂れ下がった鋭い目つき、短く切った髪を逆立てているDQNな外見、
服装は……黒いスーツに身を包んでいる。ホストでもしていたのだろうか。
- 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:48:35.54 ID:T4hvakiQ0
- プルルルル。ブーンの携帯が勢いよく鳴り出した。
( ^ω^)「はいお」
「あの……買って頂きたいものがあるんです」
女だ。それも若い女。声の調子から、背の高いスマートな女だろうと想像がつく。
(´・ω・`)「誰だい?」
( ^ω^)「わからんお。でも僕の商売を知ってるみたいだお」
商売。いらなくなった電化製品や、携帯電話、またはマンションの契約など、
この国の国籍を持っていない者には必要なものを安く買って高く売る仕事。
故買屋。それがブーンの仕事だ。
元から仕事を依頼される前は、何でも売った。そしてなんでも買った。
商売は想像以上に上手くいき、店の金庫にはうなるほどの金が詰まっている。
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:53:20.55 ID:T4hvakiQ0
- (´・ω・`)「商売を知っているのか。それじゃ、軽くあしらうわけにはいかないね」
( ^ω^)「いや、元成貴の仕事の方が先だお。
それに、若い女相手の商売はあまり好きじゃないお」
若い女、主に水商売をしている女は、非常に口が上手い。
また男勝りな性格でもあり、ブーンは何度も女に騙されていた。
「もしもし?もしもし?」
( ^ω^)「聞こえてるお。すまないけど、
いま取り込んでるんだお。また後でかけてくれお」
そういって携帯の電源ボタンを押し、電源を落とした。
(´・ω・`)「いいのかい?」
( ^ω^)「ショボン、すまないけど、女の携帯から場所を割り出してくれお」
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/03(月) 23:56:25.10 ID:T4hvakiQ0
- (´・ω・`)「女の居場所を?そんなことをして、どうするんだい」
( ^ω^)「タイミングが良すぎるお」
(´・ω・`)「タイミング?」
( ^ω^)「僕たちが元成貴から仕事を依頼されたのは、富春がこっちに来てからすぐ。
まだ一日も経っていないおね?」
(´・ω・`)「ああ、そうだけど」
( ^ω^)「さらに新規のお客さん、それも女が電話をかけてきた。これは何か匂うお」
(´・ω・`)「?。よくわからないんだけど……」
- 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:02:21.74 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「つまり、富春とこの女は何か関係がありそうなんだお」
富春は短気だが頭は良い。歌舞伎町に戻ってくれば、元成貴に狙われるのは分かっているはずだ。
それなのに戻ってきた。さらに先程の女。
( ^ω^)「切羽詰った声だったお。つまり女はすぐに金がいる」
(´・ω・`)「富春はその女を追って戻ってきたって言いたいのかい?」
ショボンが呆れたように首を振った。
(´・ω・`)「話が突飛すぎるよ。歌舞伎町じゃ金に困っている女なんて腐るほどいるだろ?
いや、男だってそうさ。みんな金に困っている。それを無理やり富春と繋げるなんて……」
( ^ω^)「ただの勘だお。勘だけど、気になるんだお」
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:06:04.19 ID:c76ow3uS0
- (o´c_`o)「発見した。ブーンだ」
( ゚∀゚)「おお、やっと見つけたな」
(o´c_`o)「ああ、長かった。おい、爆弾を投げろ」
( ゚∀゚)「把握した」
グラサンの男が懐から黒い塊を取り出した。
( ゚∀゚)ノ●「うんこー」
そう叫びながら放り投げた。
(´・ω・`)「!。ブーン、危ない!」
( ^ω^)「どうしたお?」
ドーン。
- 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:09:53.88 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「ふほっ、ふほっ、いったいなんなんだお?」
目の前に煙が立ち込めている。
ブーンは目を擦りながら背中に寄りかかっている物体をどかした。
(´・ω・`)「うっ……」
( ^ω^)「ショボン!」
背中に寄りかかっていたのはショボンだった。
( ^ω^)「ショボン!ショボン!」
(´・ω・`)「ういああおほほろほ」
ショボンの口から大量の血が流れ出ている。
背中に回したブーンの手が止まった。
( ^ω^)「ショボ……ン……」
ショボンの背中には穴が開いていた。そこから内臓が飛び出している。
(´・ω・`)「ブーン……僕は……死ぬのかい?」
( ^ω^)「ショボン……」
- 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:12:57.75 ID:c76ow3uS0
- ( ゚∀゚)「ひゃっひゃっひゃ、美しい友情ってやつだな」
( ^ω^)「誰だお?!」
(o´c_`o)「おいおい、私を忘れてしまったのかい?」
( ^ω^)「お、おまいは」
(o´c_`o)「空港では逃げられてしまったが、今度は逃がさん。
それに、今度は助けてくれる友もいないようだしな」
グラサンがショボンを指差しながら笑った。
( ^ω^)「ショボン!」
ブーンの肩におかれていたショボンの手が滑り落ちた。
( ^ω^)「ショボーン!」
( ゚∀゚)「ひゃらひゃら!死んじまったよ、フヒヒヒ」
(#^ω^)「きさまら……」
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:16:35.99 ID:c76ow3uS0
- (#^ω^)「おっおっおっ」
ブーンの体が金色に光りはじめた。
(o´c_`o)「なに?!」
(#^ω^)「怒りの力がオラを強くするお!ふおおおおおおお」
ブーンが力強く地面を蹴った。
するとすさまじい速さで体が加速する。
⊂(#^ω^)⊃「怒りの鉄拳をくらえお!」
========================================(//)´c_`o)「なにぃぃぃぃぃ」
( ゚∀゚)「ちょwwwおまwww」
- 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:20:07.81 ID:c76ow3uS0
- (#^ω^)「おまえも許さないお」
ブーンが黄金の光を身にまといながらグラサンに近づく。
( ゚∀゚)「ちょ、まて、まてって」
(#^ω^)「しんくうぅぅぅぅはど」
「待て」
(#^ω^)「ん?誰だお!」
「私だ。元成貴だ」
(#^ω^)「……」
「よく富春を見つけてくれたな」
( ^ω^)「お?」
「そいつが富春だ」
( ゚∀゚)「ゆ、元成貴……」
- 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:23:12.08 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「な、なんだってー」
ΩΩΩ<ナンダッテー
( ゚∀゚)「くそ、ここは一時退散だ……」
元成貴が懐から黒星を取り出した。
「ばかめ。逃がすと思うか?」
パン。と車のバックファイアのような音が響いた。
それと同時に富春の体が地面に倒れる。
( ^ω^)「あいつが富春?」
「そうだ。あいつが私の片腕を殺した富春だ。よく見つけてくれた」
元成貴は笑いながらブーンの肩を叩いた。
俺は元成貴の顔面めがけてグーパンをかまして家に帰って糞して寝た。
- 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:26:03.60 ID:c76ow3uS0
- そのころ……歌舞伎町の地下深くで、不気味な穴が成長を遂げようとしていた。
ホクロ「そろそろだな」
ロン毛「ああ、すでに穴は私の手を離れた」
ホクロの男が大声で笑った。
ホクロ「そうか、ついにこの世界は終わるんだな」
ロン毛「そうだ。見ろ、すでに穴の近くまで妖怪が押し寄せてきている」
ホクロ「どれも馬鹿面並べてやがる」
- 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:30:00.78 ID:c76ow3uS0
- チビ「おい、起きろ」
( ^ω^)「お?」
チビ「お、じゃねーよwww世界の危機だwwwお前なんとかしるwww」
( ^ω^)「ちょwwwワケワカラナスwwww」
チビ「歌舞伎町の地下で大変なことが起こっている。それをとめられるのは、お前しかいないんだ」
( ^ω^)「な、なぜそれをお前が知ってるんだお?」
チビ「あのね、おじさんがね……」
( ^ω^)「バーローwwwwwwww」
- 55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:39:12.10 ID:c76ow3uS0
- チビに連れられ、ブーンは洞窟を進んでいった。
( ^ω^)「なにも見えないおっおっ」
チビ「だいじょうぶ、僕の推理によると、こっちの確立は……」
( ^ω^)「あてになんねーwwww」
そんなことを言ってるうちに、洞窟の最深部へとたどり着いた。
- 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:42:29.87 ID:c76ow3uS0
- そこには、テレビを見ているオールバックの男と、その後ろで首筋を舐めている変態がいた。
ホクロ「おや、もう来てしまったのか。あと少しでクライマックスなんだが」
チビ「犯人はお前だー!」
( ^ω^)「バーローwwwwつーか、お前のせいでおれはこんなとこまで来たんだお?金返せ」
ホクロ「陳腐な内容なんだが、エンディングがいい曲なんだ。ぜひ君にも聞いてほしい」
( ^ω^)「はなしを聞けおwwwwもうむかついた。殺すおwww」
ホクロ「君と戦いたいだけなのかも……」
ブーンのパンチがホクロの顔に突き刺さった。
ホクロ「……」
( ^ω^)「かかってこいおww」
- 57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:45:23.59 ID:c76ow3uS0
- ホクロが手を上げると、掌に丸い気が集まった。
ホクロ「かーめーかーめー」
ロン毛「危ない!」
ロン毛がホクロの前に飛び出した。
( ^ω^)「?!」
そしてロン毛の男が倒れた。
( ^ω^)「な、なにが起こったんだお?」
チビ「僕だよ」
ブーンがチビのほうを見ると、時計を揺らしながらチビが答えた。
チビ「麻酔銃さ。かっこいいでしょw」
ホクロ「もう許せん」
ホクロが右手をはずした。
- 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:48:00.90 ID:c76ow3uS0
- ホクロ「こんちきしょうが!あんまなめてっとぬっころすぞ!おお!」
(#^ω^)「あぁん?いい度胸しとんのぅ。おまえ。沈められても文句言うなよコラ」
ホクロ「んだとコラァ!てめぇこそ調子乗ってんじゃねーぞおい!」
( ^ω^)「どんだけだしwwwwwww」
ブーンの体から怒りの力が湧き上がった。
ホクロ「ま、まさか……」
チビ「彼はサイヤ人さ!」
( ^ω^)「ふっふっふ、今頃謝ってもおそいお……」
- 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:49:48.01 ID:c76ow3uS0
- そのころ。
( ゚∀゚)「父さん、地球が見えてきたよ」
(o´c_`o)「ふん、あれがお前を倒した者がいる星か。ちっぽけなものだ」
( ゚∀゚)「今度は改造されてるからね。ほっほっほ、地球人め。皆殺しにしてくれるわ」
(o´c_`o)「二度はないぞ」
( ゚∀゚)「ほっほっほ」
- 61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:52:34.63 ID:c76ow3uS0
- ⊂(#^ω^)⊃「怒りのバルカンパンチ!」
ホクロ「あめぇよ、甘すぎるよお前」
ホクロの右手から放たれた銃弾が、ブーンの胸を貫いた。
チビ「!!!!!!!!11111111111111」
ホクロ「はっはっは。おや、もう終わってしまったね。エンディング、君にも聞かせたかったのに」
ホクロがそう言った瞬間、チビのメガネが光った。
ホクロ「?」
チビ「一緒に……逝こう……」
メガネが光を放ち始める。
ホクロ「魔封環……」
- 62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:55:31.37 ID:c76ow3uS0
- ホクロが右手をチビに向けた瞬間……凄まじい音と共に、洞窟が崩れ始めた。
( ゚∀゚)「ほっほっほ、私の登場ですよwwww」
チビ「魔封環!」
チビの腕から放たれたメガネが、方向をはずれて穴に向かって飛んでいく。
( ゚∀゚)「ちょwwwこっちにくるwwwww」
フリーザは穴に閉じ込められてしまった。
(o´c_`o)「きさまら、地球人の分際で調子にノンなよ?」
ホクロ「誰だお前はー!」
(o´c_`o)「ひぃぃぃぃぃぃ」
ホクロの弾が父ちゃんに当たった。父ちゃんは胸を押さえて転がった。
- 63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 00:58:43.75 ID:c76ow3uS0
- ホクロ「ふん、聖なる気に魔を封じ込める魔封環が聞くものか!」
ホクロは地面を蹴って飛び上がった。
そしてそのまま穴に入っていった。
チビ「くそ、私ではもうお前は止められんのだな……」
チビが地面を叩くと、ブーンが体を起こした。
( ^ω^)「俺が止めてやるお!」
チビ「おま、心臓は止まっていたはず……」
( ^ω^)「ああ、今も心臓は止まってるみたいだけどな。俺どうなってんのかな?」
チビ「さあな」
そう言ってチビが笑った。
チビ「やつはすでに穴をくぐっていったぞ。お前も追うんだ」
( ^ω^)「ほいほい。じゃ、いっちょいってくっか」
- 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:01:15.93 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「お?」
ブーンが穴をくぐってしばらく進むと、網が見えてきた。
( ^ω^)「なんだおこれ?」
ブーンが手を伸ばすと、網に触れた瞬間、体に電流が流れた。
( ;ω;)「痛いお……」
ホクロ「その網がある限り、A級以上は通れんのだ」
( ^ω^)「ほい!」
ブーンが気を飛ばすと、網は簡単に壊れた。
ホクロ「ふっふっふ、面白い。さあ、この先が魔界だ」
- 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:04:02.09 ID:c76ow3uS0
- 魔界。見たこともない木や、奇妙な岩が並ぶ不思議な場所。
空は塗りつぶしたように黒い。遠くから雷鳴が聞こえた。
ホクロ「素晴らしい……」
( ^ω^)「チビの仇ー!」
しかしブーンのパンチは跳ね返されてしまった。
(;^ω^)「?!」
ホクロ「性行為だ。聖なる気で作った防具とも言えるな」
( ^ω^)「これはひどいwww」
ホクロ「ふん!」
ホクロが腕を振ると、巨大な竜巻がブーンの体を切り刻んだ。
- 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:07:09.48 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「くお……」
ホクロ「ふはは、それが傲慢だというのだ!」
( ^ω^)「ちょwwwwwいきなりなに言ってんのwwwww」
ホクロが上を指差すと、金属の体をした奇妙な生物が落ちてきた。
( ゚∀゚)「ほっほっほ!」
( ^ω^)「クリリンのことかー!」
ブーンの一撃がフリーザの鼻をへし折った。
フリーザは死んだ。
ホクロ「しょせん茶番だな」
( ^ω^)「次はお前の番だ……お?」
- 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:08:09.14 ID:c76ow3uS0
- ドクン、まだまだだな
なんだお?
まだまだだといってるんだ
なにをいってるんだお?
ふん、力の使い方を教えてやるよ
お?ぉお!!(゚ロ゚屮)屮ぉお!!(゚ロ゚屮)屮ぉお!!(゚ロ゚屮)屮ぉお!!(゚ロ゚屮)屮
- 72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:12:31.54 ID:c76ow3uS0
- ホクロ「?!!!11111111」
ブーンの体が震えたかと思うと、髪が伸び、体中に奇妙な模様が浮き上がってきた。
ホクロ「な、なんだ?」
ミ ゚ω゚)ミ「おっおっおっおっ」
ブーンが飛んだ。一瞬でホクロの前に移動する。
ホクロ「!」
ブーンの腕が伸びる。首を掴む、締め上げる、左手がエージェントスミス以上の速さで動く。
ホクロ「いたたたたったたたったたたたた」
ミ ゚ω゚)ミ「…………」
そして……ホクロを遠くに放り投げた。
ホクロ「くそ、だが貴様の攻撃では、俺を倒すことは出来んぞ!」
ミ ゚ω゚)ミ「うおおおお!みんなの力をオラに分けてくれ!」
ブーンが両手を天に掲げた。
- 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:16:37.27 ID:c76ow3uS0
- ホクロ「なっ!」
ミ ゚ω゚)ミ「これが……地球のみんなの力だー!」
両手の掌に集まった巨大な気。それが空中のホクロめがけて飛んでいく……
ホクロ「くそ!」
チビ「甘いね」
ミ ゚ω゚)ミ「おっ?」
チビがサッカーボールのように弾を蹴飛ばした。
ホクロ「?!」
- 78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:19:40.52 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「な、なぜ……」
ホクロ「……」
チビ「すまんな、コナン=新一なんだ」
( ^ω^)「ねーよwwwwww」
チビ「信じてくれなくても良い。しかし、俺は変な薬を飲まされて体が縮んでしまったんだ」
ホクロ「ま、まさか……」
チビ「そう、体は子供、頭脳は大人、その名は」
ホクロ「兄さん?!」
チビ「最後まで言わせろバーローwwww」
- 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:24:05.55 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「そんな、そんなわきゃねーよ!ばっきゃろー!」
ホクロ「信じてくれなくてもいい。しかし、俺は変な薬を飲まされて体が縮んでしまったんだ」
チビ「ま、まさか……」
ホクロ「そう、体は大人、心は多重人格」
チビ「多重人格探偵サイコ?!」
ホクロ「最後まで言わせろバーローwwww」
- 87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:29:43.14 ID:c76ow3uS0
- チビ「そんな、そんなわきゃねーよ!ばっきゃろー!」
( ^ω^)「信じてくれなくてもいい。しかし、俺は変な薬を飲まされて体が縮んでしまったんだ」
ホクロ「ま、まさか……」
( ^ω^)「そう、体は妖怪、心は人間」
ホクロ「お前は魔族だったのか?!」
( ^ω^)「今頃気づいたか。そうだ、俺は魔界に帰るためにお前を操って穴を開かせたんだ」
チビ「そんな……」
( ^ω^)「本当だ。お前らは俺の掌の上で踊っていたピエロに過ぎないんだよ!」
ホクロ「最後まで言わせろバーローwwww」
- 91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:32:40.21 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「バカでも良い。こうして魔界に帰れたのだからな。ふっ、魔界の風が心地いいぜ……」
チビ「許せん、俺の麻酔銃で……」
( ^ω^)「下がれこわっぱが!」
ブーンが力むと、チビが吹っ飛んだ。
ホクロ「なんという力だ」
( ^ω^)「お前は結局人間なんだよ。それ以上でも、それ以下でもない。
いくら力が強かろうと、聖なる気を身につけようと、われわれ魔族には敵わん」
( ^ω^)「おとなしく土に還れ」
- 93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:35:33.65 ID:c76ow3uS0
- ブーンの手に再び集まった巨大な気が、大地に向かって振り下ろされた。
チビ「!」
ホクロ「!」
全てが光に包まれ、そして無になった。
- 96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:38:49.99 ID:c76ow3uS0
- アフリキャの奥地にブーンは降り立った。
エージェントとの戦い、新宿での騒動、魔界での戦闘。
その魔界での戦闘によって、魔界と人間界の境界線は破壊された。
今では妖怪も人間に混じって生活をしている。
チビは確かに切れ者だった。
チビが毛利のおっちゃんの不正献金を暴いたおかげで、
霊界は魔界と人間界との間に、再び結界を施すことが出来なかった。
こうして世界は平和になった。
- 97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:43:52.81 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「でも……」
ブーンにはわからないことがあった。
あの激しい戦い。あれには一体どんな意味があったのだろう。
(´・ω・`)「わからなくてもいいのさ。魔族だって人間だって、
そしてお化けだって、何かを超越しても分からないことなんてたくさんあるのさ」
( ^ω^)「ショボン……」
(´・ω・`)「ははは、辛気臭い顔をするなよ。ちょっとチビに頼んで
人間界に送ってもらったんだ。また会えて嬉しいよ」
( ^ω^)「ショボン、ごめんお、あの時おまいを守れなくて……」
(´・ω・`)「それを悔いて、魔界を壊したんじゃないのかい?
争いがなくなるように、新宿が、世界が平和になるように」
ブーンはショボンの胸に抱きついて、顔をうずめた。
( ;ω;)「しょぼん……しょぼんんん……」
(´・ω・`)「ははは、泣くなって。だれも君を責めないよ。僕も、そして君自身もね。」
- 98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:47:20.45 ID:c76ow3uS0
- 目の前にはジャングルが広がっている。
青々とした緑をたたえた森。見渡す限りの森。
(´・ω・`)「ほら、顔を上げて?」
ショボンはブーンの顔を持ち上げた。
(´・ω・`)「聞こえるだろう?君を呼んでいる、仲間の声が」
( ^ω^)「……うん、聞こえるお」
「うほっうほっ」
無数のゴリラがブーンめがけて突進してきた。
(;^ω^)「ちょwwwww」
ブーンはゴリラに埋もれながら、ショボンを見た。
でもショボンの顔を見ることは出来なかった。
「うほっほっほっほ」
メスゴリラがブーンの顔を強引に自分のほうに向け、唇を塞いだからだ。
(*^ω^)「ちょwwwやめるおww恥ずかしいおwww」
- 99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:49:33.17 ID:c76ow3uS0
- ブーンは動物学者だった。
専門は霊長類で、とくにゴリラを研究していた。
ゴリラはとても魅力的だ。
人間と同じ霊長類なのに、行動や思考は全く違う。
ブーンはいつしかゴリラに夢中になっていた。
それまでは一日の滞在だったのが、二日、三日と増えていき、
しまいにはゴリラに混じって生活するようになった。
そして……そしてあの事件が起こった。
- 100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:52:20.47 ID:c76ow3uS0
- ブーンがゴリラに襲われていると思ったのだろう。
行方不明だったブーンを探しに来た軍隊が、ゴリラを次々と撃ち殺していった。
銃声に驚いて逃げる子供ゴリラ、そしてそれを追うメスゴリラ。
子供が撃ち殺され、足を止めたメスゴリラの脳天も吹き飛ばされた。
ブーンを守ろうと、必死に戦うゴリラたち。
いつしか群れの仲間として、同じ種族として、ゴリラとして自分を見てくれていたゴリラたち。
彼らは人間と違って、自分を優先させることはない。
常に子を、妻を、そして群れの仲間を優先させてきた。
- 101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 01:55:12.09 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「やめるお!」
ブーンを守ろうと、体を寄せ合うゴリラ。
逆効果だ、意味がない、無駄。
言葉が頭の中を回転する。
でも声が出なかった。
もしいま声を出したら、それを悲鳴と受け取った軍隊の人間がゴリラをさらに殺すかもしれない。
いや、ブーンはそんなことは考えていなかった。
自分も撃ち殺されてしまうんじゃないか。そう考えていたのかもしれない。
目の前で次々と撃ち殺されていく仲間を見ながら、
ブーンは必死に頭を抱えて地面に這いつくばっていた。
- 102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 02:00:37.80 ID:c76ow3uS0
- 目の前のゴリラが撃たれる。
倒れる。額から血を流している。目が色を失っていく。
それなのに、ブーンのせいで死んでいくのに、ゴリラたちの口は笑っていた。
目が、ブーンを優しく見つめていた。
( ;ω;)「ふおおおおお」
ブーンは飛び出した。そして落ちていた木で軍隊の人間を次々に殴り倒していった。
( ;ω;)「死ねお!おまえらなんか死ねお!」
銃身で頭を殴られ、足を撃たれた。
地面に這いつくばりながら、必死に顔を上げた。
殺されていくゴリラ、ブーンに近づこうとして、撃ち殺されていくゴリラ。
( ;ω;)「なんで……なんで……」
逃げろ。隠れろ。僕なんか放っておいて、自分のことだけ考えろ。
だがそのどれも、ブーンの口から出ることはなかった。
ブーンの口からは、ただ嗚咽だけがこぼれた。
ブーンは自分を呪った。人間を呪った。死ね死ね死ね死ね死ね……
言葉が頭で回る。ブーンは気を失ったのだろう、気がついたら刑務所にいた。
- 103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 02:05:04.85 ID:c76ow3uS0
- ( ^ω^)「…………」
それなのに、ゴリラたちは、温かくブーンを迎え入れた。
キスをして、抱きしめて、生まれたばかりの子供を押し付けて。
ゴリラたちはみんな笑っていた。
群れの大半が殺されたというのに、その原因であるブーンを拒むようなことはしなかった。
とても温かかった。気持ちが良かった。
ブーンは後ろを振り向いた。
( ^ω^)「ショボン」
ショボンの姿はすでに消えている。
その消えたショボンに向かって、大声で叫んだ。
( ^ω^)「僕はゴリラだお!人間でも、魔族でも、なんでもないお!」
「うほっ!うほっ!うほっ!」
( ;ω;)「僕は、僕は、僕は……」
ゴリラの手がブーンの肩に触れる。
どのゴリラの顔も笑顔が溢れていた。
僕も笑った。そして、そのまま肩を組みながら深い森の中へと入っていった。
- 104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/04(火) 02:06:00.32 ID:c76ow3uS0
-
糸冬
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制作・著作
VIP
( ^ω^)ブーンはゴリラのようです。おしまい。