【大陸】
タヌキの数が多いので日本のタヌキと比べ、軍事力はあっても、統率や連携に欠ける。
それでもなんとか均衡が保てているのは、親分肌で頭のよいギコと、その妻の才能のおかげだろう。
(,,゚Д゚)「ふー。帰ったぞゴルァ」
(*゚ー゚)「おかえり。どうだった?」
(,,゚Д゚)「王はニダで決まりそうだな。これから忙しくなるぞ」
(*゚ー゚)「ボク、あの人キライ」
ギコが王座に座りながら、同意するように頷く。
(,,゚Д゚)「あいつは頭が悪く、直線的な策略にしか頭が回らないからな」
しぃがギコの膝の上に座り、頬を肩に乗せた。
(*゚ー゚)「殺しちゃえばいいのに」
(,,゚Д゚)「そういうわけにはいかないだろ。タヌキは表社会に出ては駄目だぞ」
(*゚ー゚)「そんなことわかってるよ。それでも、あの王じゃ、大陸がめちゃくちゃになっちゃう」
(,,゚Д゚)「お前はどう思うんだ?」
ギコがテラスの方に声をかける。テラスでは、立派なヒゲを蓄えたじじぃが、優雅に紅茶を飲んでいた。
( ´┏_⊃┓`)「なんとも言えんな。私はただ、双子の話をしに来ただけだからな」
(,,゚Д゚)「そんなことは分かってる。双子についてはどうでもいいが、
もし戦争になったら、俺は迷わず貴様を殺すぞ」
村長が愉快そうに笑った。
(*‘ω‘*)「ギコ様。王はニダで決まりのようですぽっぽ」
(,,゚Д゚)「おう、ちんぽっぽ。やはりニダに決まったのか」
(*‘ω‘*)「ぽっぽ。戦争がはじまるぽっぽ」
(*゚ー゚)「だってさ。あんたはどうするの?」
( ´┏_⊃┓`)「はっはっは。攻められたら、戦うしかあるまい」
(,,゚Д゚)「お前をそのまま帰すと思うか? ゴラァ」
ギコが立ち上がり、鋭い目で村長を睨んだ。
ちんぽっぽとしぃの体から、殺気が放たれる。
( ´┏_⊃┓`)「ふむ、やるしかないのかな?」
(,,゚Д゚)「無駄だゴルァ。抵抗しなければ、優しく殺してやるぞ?」
( ´┏_⊃┓`)「そうかwwwじゃ、牢に入れるなりなんなりしておくれww」
村長が笑いながら近づいてくるのを、しぃが止めた。
(*゚ー゚)「ギコ、それじゃ生ぬるいよ。殺さないと、なにをするか分かんないもん」
しぃの手には、いつの間にか葉っぱが握られている。
(*‘ω‘*)「いまは危険ですよぽっぽ。こんなところで暴れられたら」
(*゚ー゚)「うるさいなあ。あんたは黙ってなよ」
(,,゚Д゚)「落ち着け。ちんぽっぽの言うとおりだ。悪いが、村長には牢に入っていてもらおう」
( ´┏_⊃┓`)「賢明だな、ギコ。案内してくれ」
(*‘ω‘*)「こっちだぽっぽ」
村長とちんぽっぽが出て行っても、しぃの目は、妖しい光を湛えたままだった。
ギコはしぃの目を見つめ、小さく首を振った。
【(*‘ω‘*)の部屋】
(><;)「どうなるんでしょうか! わかんないんです!」
(*‘ω‘*)「大丈夫だぽっぽ。戦争になっても、ビロードは前線には立たないぽっぽ」
(><;)「そうなんですか!? 僕の具現は前線に必要だと思うんです!」
(*‘ω‘*)「ちんぽっぽとビロードの力が合わされば、無敵だぽっぽ」
(><;)「そうですね! 頑張るんです!」
【王宮】
<ヽ`∀´>「俺が王ニダ! 文句は許さないニダ!」
/ ,' 3「まあ、あなたの意見には誰も逆らえますまい」
<ヽ`∀´>「ニダニダwwじゃ戦争をはじめるニダ。あの国に損害と賠償を(ry」
/ ,' 3「承りました。王がいるかぎり、負けはありえないでしょうし」
<ヽ`∀´>「ニダニダwwww」
【牢】
(*゚ー゚)「戦争がはじまるってさ」
( ´┏_⊃┓`)「そうか。だが、我々タヌキには関係のないことだ」
(*゚ー゚)「甘いよ。ボクたちも同時に出ることにしたんだ」
( ´┏_⊃┓`)「ほう、なるほどな。効率的ではある。ギコの考えか?」
村長はわずかに口を歪めると、ベッドに葉っぱを当てた。
ベッドは瞬く間に鳥へと変わり、物凄い速さで外へ飛んでいった。
(*゚ー゚)「ふん。どうせ、知らせたって意味がないよ。ギコがいる限り、ボク達に負けはないもん」
しぃは笑いながら階段を上っていった。
( ´┏_⊃┓`)「いつまでも、ここにいるわけにはいかないな」
【ξ゚听)ξの部屋】
ξ゚听)ξ「村長からの連絡だわ。戦争が始まるのね」
(´・ω・`)「ふむ。村長が戻ってこないとなると、どうやら作戦は立て直しのようですな」
川д川「六年生は十分戦えますよね。五年生と四年生は少し不安ですが」
ξ゚听)ξ「あの二人も使えるわ。とくに、ブーンの変化能力は目を見張るものがある」
(´・ω・`)「それには同意できませんな。素直に避難させておくのがよろしいかと」
川д川「どうしましょう?」
ξ゚听)ξ「私たちと六年生が前線に出て、四、五年生は援護に回しましょう。
食料や弾薬くらいなら、増殖できるでしょう」
(´・ω・`)「緊急事態でもしっかりとした増殖が可能なのは、六年生の一部くらいでしょうな。
五年生以下となると、まともな増殖はできますまい」
川д川「それなら、私一人が援護しましょう。他の生徒は、みな前線に送ったら?」
ξ゚听)ξ「ダメよ。まともに戦えるとは思えないわ」
(´・ω・`)「しかし、他に方法はありませんな。わが国のタヌキは、数が少ない。
成人タヌキは、200人程度しかいませんからな」
ξ゚听)ξ「個々の能力なら、勝ってるのに……。大陸のタヌキは、頭が悪いし」
(´・ω・`)「頭が良ければ、戦争など起こさんでしょう。とにかく、準備は早めにしておいたほうがよい」
ξ゚听)ξ「使えそうな生徒を集めましょう。他の生徒は、全員避難させます」
先生方によって、六年生30人、村の大人186人に加え、ブーン、ドクオ、コッチミンナが選ばれた。
平穏な村の様子は、すっかり様変わりしている。
みなの顔は真剣そのもので、緊迫感に包まれてはいるものの、不思議な興奮があった。
('A`)「いよいよか」
( ^ω^)「一体、どうなるんだお?」
ξ゚听)ξ「二人とも、説明は聞いてた?」
('A`)「おう。さっきの演説は、見事だったぜ」
まず、村の校舎を拠点にして、それぞれの家に隠れる。
敵は空から来るので、視認できたらすぐに集中砲火。
マシンガンの弾は貴重なので、状況に応じて、ボウガンや弓矢も使う。
家の屋根には対空用のミサイルを設置し、戦闘機に対応する。
さらに、地上戦を想定して、地面にトラップを仕掛ける。
トラップの仕掛け方は、葉っぱを地面に擬態させて設置するだけ。
敵が近づいてきたら、地面に擬態させた葉っぱを、変化させればよい。
遠隔操作や二重変化といった高度な技術を擁するため、先生方や一部の村の大人にしか設置することができない。
( ^ω^)「僕とドクオは、校舎の防衛だお?」
ξ゚听)ξ「そうよ。校舎には貞子先生がいるから、外より安全なはず。
ドクオと二人で屋上に待機し、ブーンはミサイル、ドクオは弾の増殖をお願い」
(;'A`)「意外と重要な仕事だな。つっても、大抵の敵は、すぐに戦闘機から降りるんだろ?」
ξ゚听)ξ「うん。戦闘機は強いけど、大きいから、対空砲の餌食になりやすいのよ。
それに、強力なミサイルなんて、領土の狭い相手には必要ないしね」
('A`)「なるほど」
ξ゚听)ξ「激しい戦闘になるだろうから、変化させた盾は常に目の前に置いといてね」
設置されている特殊な銃器は、マシンガンとミサイルの二つを備えているため、
防御という観点においては、非常に脆いのだ。
ξ゚听)ξ「銃器が足りないから、私たちは忙しいの。あなたたちは、石を銃弾に変化させたり、
食料を増殖させたりしていてくれる? 増殖は、貞子先生の教室でやってるから」
('A`)「じゃあ、俺は貞子の教室に行くわ。ブーンはどうする?」
( ^ω^)「僕は、村の広場にいくお。変化がメインのグループがあるからお」
('A`)「オッケー。んじゃ、また後でな」
( ^ω^)「あいお」
村の明かりは、一晩中消えることがなかった。
物を変化させる音や、増殖させた時の奇妙な音が鳴り響き、
興奮した村人たちと相まって、異様な雰囲気を醸していた。
村長からの情報では、大陸の人間が進軍を開始したという。
明日の昼ごろには、海に面した町が、襲撃を受けるだろうとのことだ。
大陸のタヌキたちも、混乱に乗じて、戦闘機で村に向かってくるはず。
ありとあらゆる状況を想定し、村は要塞と化した。
朝になると仮眠もかねて、それぞれが持ち場で待機する。
準備は整った。
【王宮】
(*‘ω‘*)「軍隊が出兵したぽっぽ。タヌキも昨夜のうちに発ちましたし、ぽっぽも今から出まるぽっぽ」
(,,゚Д゚)「ごくろう。私としぃも出よう。あの国のタヌキたちは、知恵があるからな。
舐めてかかると痛い目にあう」
(*゚ー゚)「血が騒ぐね」
(*‘ω‘*)「了解だぽっぽ。村長はいかがいたすぽっぽ?」
(,,゚Д゚)「じじぃは捨て置け。脱獄しても、すでに王はこの地を離れている」
(*‘ω‘*)「舐めてかかると、痛い目を見るぽっぽ」
(*゚ー゚)「いいから、あなたも早く出発しなさいよ」
(*‘ω‘*)「……了解したぽ」
【とある港町】
「うわああ! 軍艦だ!」
「撃て! 撃って撃って、撃ちまくれ!」
「異国のもんに地面は踏ませんぞ! 突っ込めー!」
「隊長! 物凄い数の戦闘機が突っ込んできます!」
「対空砲を使え! わが国の対空兵器は、完璧だ。我々は、船の上陸を阻止せよ!」
高台に設置されたミサイルが火を吹き、次々と戦闘機が海に墜落していく。
爆発音、咆哮、悲鳴が辺りを多い、視界が真っ赤に染まる。
大量の熱が、地面を焼いた。
港町を皮切りにして、二国間の激しい戦いの火蓋が、切って落とされた。
【村】
(´・ω・`)「ふむ。戦闘が始まったようだな。じきにここにも来るだろう」
( ゚д゚ )「ショボン先生。勝てるんでしょうか?」
(´・ω・`)「安心しろ。大陸のタヌキなど、とるに足らん。だが……」
大陸のタヌキの長であるギコ、妻のしぃ、そして、臣下のちんぽっぽの能力は、この国でも恐れられている。
文化が違えば、人の考え方も異なる。
日本では木で家を建てるが、エジプトは泥を使う。
それと同じで、能力も、国によって使い方が異なるのだ。
油断していると、思わぬ能力に戸惑い、辛酸を舐めさせられる可能性もあった。
ショボンは戦争に慄きながらも、妙な興奮が体に滾るのを感じた。
('A`)「俺な、いままで言ってなかったけど、ガチホモなんだ」
(;^ω^)「ロリコンじゃなかったのかお」
(;'A`)「ねーよwwww実は俺、コッチミンナと付き合ってんだ」
( ^ω^)「そうなのかお。僕も言ってなかったけど、ツンといい感じだお」
二人で笑いあった。ロリコンとホモ。趣味は違えど、二人は変態仲間である。
('A`)「死ぬなよ。お前は、増殖できないからな」
ボソリとつぶやいたドクオの言葉が、ブーンの脳みそに刻まれた。
ξ゚听)ξ「来たわよ! 戦闘機を三機確認。一つはかなり大きいわね。輸送機みたいだわ」
ツンの声が響いた。ドクオの顔が引き締まる。
(#'A`)「ブーン! 撃て!」
轟音を響かせて発射されたミサイルが、輸送機のプロペラに被弾した。
(><;)「うわ! みんな、飛び降りるんです!」
「な、なんだこの威力は!?」
大陸のタヌキたちが次々と輸送機から飛び降りる。背には、真っ白な翼が顔を覗かせていた。
(;'A`)「おい。あいつら、空を飛んでんぞ」
ξ;゚听)ξ「これじゃ、地雷や落とし穴の意味がないじゃないの!」
だが、相手が空にいるのなら、ミサイルを撃ち込んでも、大地が傷つく心配はない。
ツンの手を合図に、タヌキたちが次々とミサイルを撃った。
いくつかが戦闘機にあたり、戦闘機が葉っぱに戻ると同時に、大陸タヌキが空に投げ出される。
(´・ω・`)「ふむ。羽が生えているだけで、個々の能力は大したことがないようだ。
やはり注意すべきは、ギコと取り巻きだけか」
大陸タヌキたちが反撃に出る。腕を銃に変化させ、屋根の上のタヌキを狙って引き金を引いた。
被弾したタヌキたちが、跡形もなく消え去る。
(´・ω・`)「ちっ」
屋根の上は危険なので、ショボンが念のために、簡単な動作しかできないタヌキを具現化していたのだ。
消えた偽タヌキに変わり、本物のタヌキが銃座に座る。
(´・ω・`)「やられっぱなしは性に合わん」
ショボンの両手から煙が具現化した。
煙はそのまま空に上がっていき、大陸タヌキたちを包み込んだ。
('A`)「おい。ショボンが何かやってんぞ」
ブーンが下を見ると、ショボンの手から、大量の煙が発生していた。
空が煙に覆われ、視界が奪われる。
(#^ω^)「これじゃ敵を撃てないお! ショボンは何してんだおっ」
('A`)「待て。タヌキが次々に落ちてくるぞ」
煙を吸い込んだタヌキたちが、喉を抑えながら地面に激突した。
落ちてきたタヌキに向かって、ショボンが、変化させた腕から炎を放つ。
大陸タヌキが瞬く間に黒焦げになった。
(;'A`)「すげぇ。見ろよ、ブーン。煙から逃れるために、敵が地面に降りてきたぞ」
( ^ω^)「馬鹿なやつらだおwww」
大陸のタヌキが地面に足をついた瞬間に、地面が裂け、大量のタヌキが吸い込まれていった。
('A`)「落とし穴も効果ありだ。こりゃあ、意外と楽勝なんじゃねーか?」
ドクオの声が、プロペラ音でかき消された。大量の戦闘機と輸送機が、近づいてくる。
ブーンはすぐにミサイルを撃ったが、わずかに遅い。
戦闘機から投下されたミサイルが、周りの森を焼き始めた。
(;^ω^)「このままじゃ、僕たちまとめて丸焦げだお」
ξ゚听)ξ「もう。攻め手がないからって、森を焼くのは反則なのに」
タヌキたちは性質上、人目に触れないことが前提なので、
身を隠す森や山は、破壊しないのが暗黙の了解になっていた。
ξ゚听)ξ「ショボン先生。貞子先生を連れて、消火に行ってください」
(´・ω・`)「ふむ。我輩も、そうしようと考えていた」
校舎から貞子が滑るように出てきた。
ショボンと視線を交わしあい、何度か頷く。
(;^ω^)「ちょwwwエロスwww」
ξ゚听)ξ「私が突破口を開きますから、その隙に火を消してください」
ツンが上半身裸になり、体に葉っぱをつけた。
全身からマシンガンが飛び出す。
川д川「分かりました。ショボン先生、準備はいいですか?」
(´・ω・`)「無論、できている」
ショボンの声を合図に、ツンが全射口を空に向けた。
周囲に轟音が響き渡り、戦闘機が爆発する。
川д川「今です!」
ショボンと貞子が空に舞った。
焼けている森の上に来ると、ショボンが水を具現化する。
貞子が、ショボンの具現化した水を増殖させた。
(;'A`)「人間消防車かよ」
(;^ω^)「ドクオ。弾が足りないから、増殖してくれお!」
(;'A`)「あ、ああ。任せろ!」
止むことのない銃声と爆発により、家々の大半は、すでに大破している。
ドクオが空を見上げると、ショボンと貞子が空中で戦っていた。
(;^ω^)「くあっ。敵が多すぎるお」
ξ;゚听)ξ「撃ちまくるしかないわ」
(;'A`)「弾が足りねー!」
( ^ω^)「ツン、状況は?」
ξ゚听)ξ「向こうの数も相当減ってるわ。この調子なら、勝てるわよ」
(;'A`)「たまたまたまたままままま」
ξ*゚д゚*)ξ「うっせー!」
つづく。