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ミ,,゚Д゚彡彼への依頼はV・I・Pのようです:五話 「二つの声重なる時、ダブルアクション!!」

118 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 14:26:06.38 ID:dpx+kENP0
五話 「二つの声重なる時、ダブルアクション!!」




ミ,,゚Д゚彡「それとも――全てを捨て、今ここで死ぬか、だ」




冷たく告げ、銃口を眼前に向けた
男は特に怯む様子も無く見つめている

(= ω )「…」

ミ,, Д 彡「…」

無言の緊張、二人は黙ったまま見つめ合う
やがて静かに口を開く

(=゚ω゚)「分かった」
120 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 14:30:18.91 ID:dpx+kENP0
男の瞳には確かな希望が灯っていた
それはこの監獄からようやく逃れられると言う安堵か


「殺してくれ、私を」


ミ,, Д 彡「…」

無言のままハンマーを下げる、機械音と共にシリンダーが回転
手馴れた動作でトリガーに指を掛ける


そう広くない室内

耳が痺れる程の銃声が一度だけ響き


「ありがとう」


最後に、そんな声だけが聞こえた
121 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 14:34:52.90 ID:dpx+kENP0
【4F】


突然の地震
激しい揺れに机の上の物が倒れ、床に落ちた

そして低い轟音が響く

「な、なんだ!?テロリストの襲撃か!?」

「わかりません、何者かが階下で大暴れしております」

「何者か!? 何人だ!」


「それが…一人です」
122 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 14:37:17.52 ID:dpx+kENP0
 【3F】


ビルの窓が赤い光を反射する
爆発音に次ぐ爆発音、音は廊下を反響しひたすら音が続く
轟々と唸る様は槍の如く

廊下の角では閃光の様に光が映る

音の隙間から聞こえてくるのは笑い声

ミ,, Д 彡「あーーーーーはははははははっ!!!!!」

大量の重火器を背負った男が炎舞う地獄絵図の中を駆け回る

「汚物は消毒だああああ!!!」

「お助けーーーー!!」

聞こえてくる悲鳴とも取れる叫び

「ぎゃあああああ!!」

擲弾発射器、小型携行グレネードが火を噴き、ビルを揺らす
静かな夜は…ほんの僅かな時間で終わった

……。
123 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 14:43:08.84 ID:dpx+kENP0
やがて静寂が訪れ、噴煙が晴れていく

「ふぅ、こんなもんか」

汗を拭い、振り向く

そこら中で呻き声を上げ、倒れ込む人の群れと
ひび割れ砕けた壁、穴だらけの床

「これで誰も死んでないってのが我ながらビックリだぞゴルァ…」

(  )(く…ただで済むと思うな)

後方から一人、フサへ向けて銃口を向ける

(  )「!?」

が、構えた瞬間に銃声、派手な音を立て倒れる男の拳銃は後方へ弾け飛んだ
青い顔で前を向くとそこには腹部横から銃身を除かせるパイソン

背中を向けたままフサは正確に男の持つ拳銃を撃ち抜いていた

「悪いが俺はksmsは好きじゃないんでね」

(  )「ば、化け物め…」
124 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 14:44:52.41 ID:dpx+kENP0
「さて、残るは4階か…」

(  )「ぐぇ!!」

わざとらしく頭部から踏みつけ
男の体の上を歩き去ると奥に見える階段へと向かう

その途中でフサが愚痴の様にぼやく


「あーあ…またウィッグ焼けちまった」


天井のライトが微かに彼の肌を照らし
何処に隠し持っていたのか、静かにサングラスを耳に掛けた
127 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 14:47:37.80 ID:dpx+kENP0
【F4】


「静かになったな…」

「どうやら鎮圧したようだ、やれやれ…」

先まで下の暴音に脅えきっていたが
安心した様子で高そうな茶色のソファーに深く腰掛けた

スーツ姿の男が二人、
奥には壁に寄りかかる、何時か見た顔が見えた

(メ゚A゚)(…)

そこへ…

「どこのもんじゃこらぁああああ」

「しねよやーーー!!」

扉の奥、廊下の方から聞こえてくる銃声と怒声

「なんだ!?」

混乱再び、正体不明の暴動に困惑を隠しきれず
男がソファーから立ち上がる
128 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 14:51:14.75 ID:dpx+kENP0
「…」

聞こえる足音、誰かが扉の前までやってきた事に気付く
迎え撃つ為各自獲物を手に、扉に向け構えた

息を飲む、不気味なまでの静寂が場を支配し…


轟音、扉が壁ごと炎に包まれ吹き飛ぶ


「「どわぁああああ!!」」

情けない悲鳴を上げる二人の男
煙の先に見えるのは…

「…」

パンツァーファウストと呼ばれるロケットランチャーを担ぎ構える男の姿
未だ煙が上がる擲弾発射器を投げ捨て、室内へと足を踏み入れる
129 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 14:54:54.00 ID:dpx+kENP0
(,,■Д■)

ジジッ、音を立て点滅を繰り返す電灯の明るみの下に現れた男は
スキンヘッドにサングラスを掛けた厳つい男であった

「な、なんだ貴様は!?」

足をガタガタ震えさせ、スーツ姿の一人が叫ぶ

(,,■Д■)「オレかい?」

(メ゚A゚)「お前…まさか」

「…く!」

そしてもう一人は先の爆発で落とした拳銃を拾おうと屈むが
銃声と共に床に転がる獲物が弾ける様に壁際へ飛んだ

「!?」

見れば何時の間にかリボルバーを向けている
抜いた瞬間さえ視認できない程の神速の速射

(,,■Д■)「余計な真似してっと死ぬぞゴルァ」
130 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 14:57:52.95 ID:dpx+kENP0
「ひ…」

そんな様子に男はすっかり怯み、固まった
だがもう一人は壁際の寄り掛かる男に言い放つ

「何をやってるんだ!! 早くそいつを始末しろ!!」

(メ;゚A゚)「む…」

「高い金払って雇ってるんだ! ちゃんと働け!!」

(,,■Д■)「ん、そうかお前雇われの殺し屋か…ふーん
      いいぜ、来やがれ…素手で相手してやっから」

(メ;゚A゚)「…」

男は突然の襲撃者の正体は分かっている
随分と様変わりしたが、それくらいの見分けはつく

ならば逃げるのが最良…だが、それは彼のプライドが許さなかった

(メ゚A゚)「いいだろう、ならばこちらも素手でお相手させてもらう」

男は羽織っていたコートを脱ぎ捨てた
その奥には屈強な身体が見える
131 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:01:29.23 ID:dpx+kENP0
(,,■Д■)「そうこなくっちゃ!」

男はゆっくりとサングラスを外すと
指を鳴らし、手を前に構える


(゚A゚ )「行くぞシティハンター!!」
 _,
(,,゚Д゚)「上等だぁ!!」


対峙する二人の距離が縮まり


そして――


……。
132 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:05:28.99 ID:dpx+kENP0
男が二人、夜の街を歩く

(,,  )「疲れた疲れた…」

背中からはけたたましいサイレンの音が響き
周囲を沢山の定期的な赤ランプが照らしている

ボロボロのビル内からは次から次へと人が搬送されていく

黄色いテープが囲われた周りには
こんな遅い時間だと言うのに野次馬の人だかりが出来ていた

(,,   )(…あんだけ派手にやれば当然か)


「あーあ…そうそう、新しいウィッグ買ってくれない?」


男はそう呟き、夜の街へと消えていった
135 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:28:11.93 ID:dpx+kENP0
【翌日】


テレビでは巨乳のお姉さんが今朝の報道を熱心に読んでいる

《昨夜未明――にて大量の麻薬が押収され、組員○○名が逮捕されました》

《―現場には何者かの襲撃を受けた跡が――抗争の線との疑いを強め調査を――》

ハインはそんな報道に釘付けになって見ている

从;゚∀从「…」


ミ,,゚Д゚彡「?」

从;゚∀从「フサ…お前、まさか」

ミ,;゚Д゚彡「え…何?」

その時、聞き捨てならぬ音声がテレビから響いてきた
137 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:31:26.82 ID:dpx+kENP0
《――死亡者―は―――ペニサス―葉―》

《死――推定時刻は――『本日』『午前』―》

从;゚∀从「え…?」

画面には名前、年齢等が書かれた表示が映されている
後ろで割れる様な物音

从;゚∀从「ペニサスさん!?」

(゚、゚;川「……」

マト*・д・)メ「…」

振り向けば二人が呆然と画面を見つめている

从♯゚∀从「フサ!!!」

声を荒げ、彼女がフサへと掴みかかる

ミ,,-Д-彡「…」

从♯゚∀从「どういう事だ!!答えろ!!!」
138 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:32:26.11 ID:dpx+kENP0
ミ,,゚Д゚彡「…何が?」

ミ,,゚Д゚彡「ああ、伊葉さんの事?」

フサはそんな彼女を気に留めた様子も無くあっけらかんと答えた

ミ,,゚Д゚彡「オレが殺した」

マト*・д・)メ「…ぇ」

从♯゚∀从「おまえなぁ!!!!」

ミ,;゚Д゚彡「なんだよ…だってさ、あの人したらばで鉄砲玉やったり
      例の麻薬の件の主犯なんだぜ? 手のつけ様がない人間だぜ?」


( 、 ;川「…っ」

从♯゚∀从「だから死んで当然だと言いたい訳か…」

ミ,;゚Д゚彡「…何怒ってるんだか」

从♯゚∀从「ちゃんと説明しろ…何があった」

ミ,,゚Д゚彡「言ったとおりだよ、俺があそこぶっ潰して
      ついでに伊葉さんも手が付けられないから殺した、それだけ」
139 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:33:56.44 ID:dpx+kENP0
从;゚∀从「なっ…」

ミ,,゚Д゚彡「んじゃ、これにて依頼終了、帰ろうか」

从;゚∀从「何言ってんだよお前! どっかおかしいんじゃねぇの!?」

ミ,,゚Д゚彡「んじゃ、お世話になりました〜」

そう告げ、手をひらひらさせながら玄関へ向かうフサ

(゚、゚;川「…」

マト;・д・)メ「…ぁ」

そんな様を半ば信じられないような目で見つめる二人

从; -从「…なんだってんだよ」

やがて玄関から扉の閉まる音が響き、彼女の呟きと共に静かに消えていく
140 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:36:35.93 ID:dpx+kENP0
マト* д )メ「…う、う」

訪れる静寂、それを破ったのは真斗だった

マト#;д;)メ「うわあああああああああああああああああ」

マト#;д;)メ「ばかばかばかばかばかやろぉ!!」

(;、;川「ま…と…」


マト#;д;)メ「なんだよなんだよ!居なくなったりしないんじゃなかったのかよ!!」


「こんなの詐欺だ!!あれは詭弁だったのか!!うわああああああああん!!!」


悲痛に叫ぶ少年の声

从; -从「…っ!」

そんな様子を見て、思わず貰い泣きしそうになるのを堪え
フサを追うべくハインも家を飛び出した
141 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:38:50.32 ID:dpx+kENP0
玄関前の渡り廊下から下を除く

从; -从(居た!!!)

下にはちょうどフサが歩いているのが見えた
全力走り始めた、あいつをぶん殴ってやる為に

从; -从(なんなんだよ!わけわかんねーよあの馬鹿!!!)

エレベーターは使わない、待ってる時間がもどかしい
階段を猛然と駆け下りる

从; -从「…!!!」

(=; ω )「!?」

階段の折り返し地点
その途中で、お互いに突然目の前に現れる形となり

从;゚∀从「うわああああ!!」
(=; ω )「な…!?」

衝突、というより彼女の方から一方的にすてみタックル
そうして二人は派手に倒れこんだ
142 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:39:31.04 ID:dpx+kENP0
从;゚∀从「いっててて…ああぁ、すいませんすいません、お怪我は」

慌てて謝るも、男の方はかなりきつそうだった
何度も咳を繰り返し、苦しそうにしている

それもその筈、彼女はその男性をクッションにしたのですから

从;゚∀从「だだ、大丈夫ですか!?」

(=; ω )「あ、ははげほっ、大丈夫だよぅ、それより君は…ごほっ」

从;゚∀从「私は全然、それより」

(=; ω )「いえ、すまない…今、急ぎたいんだ」

从;゚∀从「あ、え?」

(=; ω )「それでは」

それだけ言うと男は重そうな体を引きずる様に歩き出すが
心配そうに見つめる彼女に何を思ったか振り返る

(= ω )「…君も急いでるんじゃないのか?」
143 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:40:45.15 ID:dpx+kENP0
从;゚∀从「はっ! そうだった!!」

从;゚∀从「じゃあ! ほんとごめんなさい!!」


「彼に、よろしく」


階段にそんな声が響く

从;゚∀从「…え!?」

思わず振り返るも、そこに彼の姿は無かった



そうして…彼女が階段を下り終え、道を走り出した頃

未だ泣き声の響く家への扉がゆっくりと開かれたのは、また、別のお話
144 :ボーイッシュな女の子(栃木県) 2007/04/05(木) 15:41:30.81 ID:dpx+kENP0








『大丈夫、消えてなんかいないさ』








                   エピローグへつづく