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ミ,,゚Д゚彡彼への依頼はV・I・Pのようです:序章

4 :声優(栃木県) 2007/04/03(火) 12:41:02.95 ID:wkW+d3yY0
【           V・I・P     】

〔序章〕


――この街は 荒んでいる


立ち並ぶビル郡

街は明るさを失くし、人も歩かぬ寝静まった深夜の一角
街灯の光は淡く世界を彩り、薄暗い路地裏には二人の男が向かい合っている

「…で、例の件は?」

「ええ、至って順調ですよ」

「本当か?」

「もちろん、何をそんなに疑ってるのです?」

「いや…あまり良くない話を耳にしてな」

「良くない話…なんでしょう?」
5 :声優(栃木県) 2007/04/03(火) 12:42:58.86 ID:wkW+d3yY0
問われた一人はしばし周囲を警戒する素振りを見せ
視線を外したままそれに答えた


「ああ、なんでも…したらば組が潰されたらしい、それもたった一人にだ」

「したらばが…それも一人に? というと、まさか…」

男は表情を曇らせ、視線を戻す

「ああ、奴の仕業らしい」

「フッサール、ですか」

「ああ」

「ふふ、それはおもしろい…」

「面白い? 馬鹿を言え、それが本当なら計画を早める必要があるぞ」

「いいえ、それは止しなさい…裏からこそこそ小細工した所で無駄でしょうよ」

「ならどうする? 奴に狙われて無事で居られた奴は居ないって聞くぞ」

問われた男はそんな言葉には聞く耳持たず
黙ったまま胸元を探り、翠色の小さな箱を取り出した

遠い街灯の光を、箱を覆うビニールが反射し不気味に一点が輝く
8 :声優(栃木県) 2007/04/03(火) 12:44:00.51 ID:wkW+d3yY0
「…禁煙するんじゃなかったのか?」

「…」

男はやはり何も答えず、取り出した煙草を咥え火を着ける
ジジジ、と小さな音に次いで先端が赤く染まり、白色の濃い煙が二人の間を漂った

「ふぅー…やっぱ、やめらんねぇ、やめられねぇよ、なあ?」

大きく吸い込んだ煙を吐き出す、線状に伸びる白煙が薄い煙と混ざり合う

「これだ、この感覚なんだよ私が欲しいのは…」

未だ煙が漏れ出す口を歪に吊り上げ男が笑う
対する一人はその様子に戦慄する

が、そんな様子はお構い無しに男は懐から何かを取り出した


  それは暗闇にて尚黒色に輝く自動拳銃
  グリップを握り締め、何を思ったか空に向け発砲
9 :声優(栃木県) 2007/04/03(火) 12:46:00.79 ID:wkW+d3yY0
――警察なんざここでは役に立たない―-



  銃声が反響し、遥か彼方まで響いて行く
  音が遠のいていく過程で足元に薬莢が転がり、小さく音を立てた



――だから俺みたいな人間が必要なんだよね――


――まあ もっとも一番の理由は――




 「今度こそ確実に仕留めてあげましょう、覚悟しておけ…シティー・ハンター!!」

  夜闇の中、今度は男の咆哮が響き渡った




――好きなんだ この街が――
11 :声優(栃木県) 2007/04/03(火) 12:47:58.91 ID:wkW+d3yY0
こうして


今日もその駅にある掲示板には沢山の文字に混じり、一つの伝言が残される



『VIP 4/3 AM:10  ヤーウェイ公園にて待つ ○○○−○△□×−××△○ 』


从 ∀从「……来たか」



【それは裏の世界への依頼状】




【ミ,,゚Д゚彡彼への依頼はV・I・Pのようです】

第一章 詐欺と詭弁のボディーガード 

一話「始末屋 ギコ・フッサール」