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( ^ω^)ブーン達が廻るようです:13:「インストール」

57 :◆NIKKO.Rzcc 2007/05/26(土) 00:29:41.17 ID:lhteasctO
13:「インストール」

(´<_` )

 ここは、どうにも埃っぽくて、湿っぽくて、薄暗くて、良くない。
 しかし、人間の適応力の高さには目を見張る物がある。

( ´_ゝ`)「見よ!! 我が偉大なる『コキュートス・フィルター』をッ!!」

(´<_` )「いいえ、それは鼻毛です」

 とかく、俺達は退屈していた。
 元々は「アンチ」等と呼ばれつつも、「2ch」の解析班として影ながら活躍していた俺達だが、指揮官がいなければ始まらない。

( ´_ゝ`)「時に弟者。ハインはどうした?」
58 :◆NIKKO.Rzcc 2007/05/26(土) 00:30:52.58 ID:lhteasctO
(´<_` )「クーの所だろ。兄者が言ったんじゃないか」

 我が兄、兄者こと兄者は、この世界にて「検索」の力を授かっている。
 端折れば、つまり「色々な事が調べられますよ」と言う能力で、戦力的には微妙に使えない。
 弟である俺の力も漏れなく非力で、二人してほぼ毎日引き籠もっていた。

( ´_ゝ`)「じゃあ、アレは? ボッコス?」

(´<_` )「……そう言えば、いたな。そんな奴」

 遡る事、数日。
 薄汚い我が家に、今にも死にそうな奴がやって来た。
60 :◆NIKKO.Rzcc 2007/05/26(土) 00:32:18.23 ID:lhteasctO
 そいつは自分を「アンチ」だと名乗り、見事な力、クオリティをひけらかし、ついでに兄者のハートを鷲掴んだ。

(;´_ゝ`)「やっべ!! マジぱねぇ……透明人間パネェ!!」

( ・ω・)「弟子にしてやんよ」

(´<_` )「(うわー、まとめて殺してー)」

 内なる殺意を押し殺すうち、そいつは我が家に居座り、そして、出て行った。

( ´_ゝ`)「師匠……行ってしまわれるのですね……」

( ・ω・)「『ショボン』とか言う奴を潰しに行くんよ」

( ´_ゝ`)「止めはしません……どうか、ご無事で……」

(´<_` )「(『ショボン』って、確かクーの所の……)」

 そうして、我が家に平穏が戻った。

( ´_ゝ`)「ウザかったな、アイツ」

(´<_`;)「えー」

 指揮官、改めモララーが死んでしまってからと言うもの、クー達との折り合いは思わしくない。
61 :◆NIKKO.Rzcc 2007/05/26(土) 00:34:53.02 ID:lhteasctO
 それは単に誤解なのだが、我が兄は誤解を招くセンスがマルなので仕方がない。
 ある日、俺は提案した。
「早い内に誤解を解きに行こう」、と。
 兄者の答えはこうだ。

(;´_ゝ`)「いや、行った瞬間に殺されるって。ヤバいって」

 そうして誤解は尚も進行中だった。
 最後の希望であるハインは上手くやってくれているだろうか。
 希望は薄い。

( ´_ゝ`)「最近『検索』の調子が悪くてな……今一つメイリオさに欠ける」

(´<_` )「ビスタ乙……それで『戦争だ』とか抜かしてたのか」

 誤解の元は「閉鎖騒動」で散り散りになった「アンチ」。
 その一部がクー達にちょっかいを出し、その更に一部がボッコスの様に余計な真似をし、当時モララーの右腕的存在だった俺達が疑われている、と言う訳だ。

(´<_` )「で、現・アンチはどうなってるんだ?」
64 :◆NIKKO.Rzcc 2007/05/26(土) 00:44:50.48 ID:lhteasctO
( ´_ゝ`)「駄目だ。さっぱり詳細が掴めん」

 今、わかっているのは、「新たな『アンチ』が現れた」事、「クオリティを合わせ持つ存在が現れた」事、そして「現・アンチはヤバい」らしい事。
 どれも兄者情報なので信憑性は薄いが。

(´<_` )「なぁ、そろそろ俺達二人もマズイんじゃないか? クー達もやる気なんだろう?」

 半年程前までは、まだ百人近い同士がいた。
 共に「2ch」を練り歩き、かつての友の夢を叶える為に、日々努力した。
 それが、今はどうだ。
 ある者は「現・アンチ」に寝返り、ある者は現世に逃げ、そして、ある者は唐突に消えた。
 兄者は言った。「戦争が起こる」と。
 外れた様に見えた予言は、実は的を射ているんじゃないか。
 何故なら、この世界の誰もがそれを予感していたからだ。
 不透明な「現・アンチ」。「規制」、原因不明、突然の「閉鎖騒動」。

(´<_` )「兄者……戦争は――」

(;´_ゝ`)「まてとッ!!」

 突如、意味不明な言葉を発して硬直する兄者。
68 :◆NIKKO.Rzcc 2007/05/26(土) 00:51:47.40 ID:lhteasctO
 落ち着きのない様子で、呟いている。

(;´_ゝ`)「いや、待て待て待て……『ブーン』っつったら、クーん所の新入りだよな?」

(´<_` )「それが……?」

( *´_ゝ`)「ニヤリ……計画通りッ!!」

 変に興奮した様子で兄者は高らかに叫んだ。
 これは、どうにも良くない予感がする。むしろ、良くない予感しかしない。
 俺は恐る恐る続きを促す。

(´<_`;)「三行で頼む」

 恐らく「不敵な笑み」を意識したであろう表情を俺に向け、やはり恐ろしい事を言ってのけた。
 もう嫌だ。

( *´_ゝ`)「ブーンが、落ちてるのを、見つけたっ!!」

13:「インストール」

―fin―