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( ^ω^)が死の一日に挑むようです:第2話  「Means」

212 :1 2007/05/29(火) 18:49:30.41 ID:8sPAjy9t0
第2話  「Means」



ξ;凵G)ξ「うぅ…怖いよぅ」


彼女はツンデレ。

大学3年生。優等生であり、内定も決めて
遊び呆けている時期であった。

急転直下、地獄の淵へと足を踏み込んだ彼女は
大きな木の元で泣いていた。


ξ;凵G)ξ「どうして…こんな目に…」


目から大粒の涙を流し恐怖に震えるばかりだった。
手には小型の折りたたみナイフがしっかりと握られている。
215 :1 2007/05/29(火) 18:52:14.01 ID:8sPAjy9t0
その時

ガサッ と言う物音と共に人影が現れる。


ξ;凵G)ξ「ひっ!」

川   )「む…」


だがツンはその人物が誰であるかを確認する、
精神的余裕は無かった。


ξ;凵G)ξ「来ないでっ!来ないでっ!」


ブンブンとナイフを振り回し
目を閉じながら叫んでいる。
216 :1 2007/05/29(火) 18:54:36.40 ID:8sPAjy9t0
川 ゚ -゚)(少々うるさいな)


手刀一閃

女はツンのナイフを左手で弾き落すと、
右手で口を塞ぎ、顔を近づけた。


川 ゚ -゚)「静かにしろ…さもないと…」


と、左の拳に取り付けられた、
棘付のナックルを顔元に近づける。


ξ;凵G)ξ「ッ…」
219 :1 2007/05/29(火) 18:57:48.94 ID:8sPAjy9t0
ツンは涙を流したまま、うんうん と首を振って答えた。

女は右手をツンの口から離すと小さな声で呟く。


川 ゚ -゚)「私は参加者のほうだ、危害を加えるつもりは無い。
   それに今の騒ぎで場所がバレてるかもしれん、少し移動するぞ」

ξ;凵G)ξ「…うん」


信用してもいいのか?
今はまだ判らなかったが、1人でいる不安を
少しでも紛らわすため、ツンは付いて行く事にした。
220 :1 2007/05/29(火) 18:59:40.83 ID:8sPAjy9t0
ξ;゚听)ξ(この子…私と同じ位…かな)


少し歩いて、身を隠せる岩場の影に2人で座った。

女は水を一口含むと「ふぅ」と一息付き、
キャップを閉め、軽く周りを見渡した。


川 ゚ -゚)「いきなり…済まなかったな」


女は軽く頭を下げ、敵意が無いことを示すように、
左手の凶器を取り外す。

それを見て、ツンもようやく警戒を解き、
思い出したかのように、ペットボトルの水を飲んだ。
222 :1 2007/05/29(火) 19:00:39.75 ID:8sPAjy9t0
ξ;゚听)ξ「ううん、私こそ取り乱してごめんね」

川 ゚ -゚)「何、この状況じゃ仕方が無いさ。気にするな」


ふと「この状況」という言葉を聞き、
今、自分が置かれている立場を思い出す。


ξ゚听)ξ「あ…」

川 ゚ -゚)「ん?どうした」

ξ;凵G)ξ「なんで…こんな事に…」


一瞬忘れていた恐怖が甦り、
再び涙が溢れ出してくる。
226 :1 2007/05/29(火) 19:02:23.46 ID:8sPAjy9t0
川 ゚ -゚)「冗談とは…思えないな。
   さっき目の前で1人殺されたしな」


ツンの記憶の中で、先程の光景がまざまざと甦る。

ドロリとした、血のようなスライムのような液体を流し、
ピクリとも動かなくなった男の姿を。

ガタガタと震えだし、両手で震えを押さえようとするが、
余計に震えが強くなり、歯もカチカチと音を鳴らし出す。


ξ;凵G)ξ「私も…死ぬのかな…」

川 ゚ -゚)「…さぁな。それは死ぬときに言うべき台詞だ」
228 :1 2007/05/29(火) 19:04:07.18 ID:8sPAjy9t0
慰めの欠片もない言葉に、
逆に冷静になっていく自分がわかった。


ξ,´听)ξ「そうだね…まだ死んでないもんね」

川 ゚ -゚)「……」

ξ゚听)ξ「私はツンデレ、貴女は?」

川 ゚ -゚)「クーだ」


震えはは治まり、頭の中で物事が整理されていく。
元々、頭は良い子だった。


ξ゚听)ξ「クー…ね。この先どうするの?
   一緒に行動する?それとも別々に…」

川 ゚ -゚)「そうだな…」
231 :1 2007/05/29(火) 19:06:43.13 ID:8sPAjy9t0
慰めの欠片もない言葉に、
逆に冷静になっていく自分がわかった。


ξ,´听)ξ「そうだね…まだ死んでないもんね」

川 ゚ -゚)「……」

ξ゚听)ξ「私はツンデレ、貴女は?」

川 ゚ -゚)「クーだ」


震えはは治まり、頭の中で物事が整理されていく。
元々、頭は良い子だった。


ξ゚听)ξ「クー…ね。この先どうするの?
   一緒に行動する?それとも別々に…」

川 ゚ -゚)「そうだな…」
238 :1 2007/05/29(火) 19:13:44.46 ID:8sPAjy9t0
頭では判っていた。
一緒に動けば、それだけ標的も大きくなり
鬼に発見され易くなる。

だが、一緒にいて欲しかった。
同じ女であり、先程の対応から見ても
頼りになりそうな人であったからだ。

だが、自分一人のわがままで判断していい状況でもない。


川 ゚ -゚)「実際、逃げるだけならば別々で動いたほうがいいだろう」


正論だ。
だが、心細かった。

泣いてでも、縋り付いてでも一緒にいて欲しかった。
232 :1 2007/05/29(火) 19:07:59.78 ID:8sPAjy9t0
だが


ξ゚听)ξ「…そうよね」

川 ゚ -゚)「 逃 げ る だ け ならばな」

ξ゚听)ξ「?」


一瞬では理解できなかった。
自分たちには『逃げる』という選択肢しかないと思っていたから。


川 ゚ -゚)「このゲーム、どの鬼と遭遇するかが運の分け目だ」


そう、鬼の怖さは同じではない。
236 :1 2007/05/29(火) 19:10:12.17 ID:8sPAjy9t0
銃を持った兄弟と、元看護婦では脅威の質が違う。

同じ銃でも、年寄りと若い男性だけで相当違う。


川 ゚ -゚)「最も遭遇してはいけない鬼は…あの兄弟だ」


そう、ただでさえ銃という反則的な武器を持っている上に
2人組だ。普通に考えて遭遇してしまったら、逃げることすら難しい。


川 ゚ -゚)「逆に、じいさんや看護婦ならどうだ?」

ξ゚听)ξ「……」

川 ゚ -゚)「確かに銃は危険だが、あの老人の持っていた銃は連発式じゃない。
   一発一発弾を込めるタイプの物だった」
240 :1 2007/05/29(火) 19:14:59.50 ID:8sPAjy9t0
あの、鬼紹介だけでここまで分析した川 ゚ -゚)に、逆に驚いた。


川 ゚ -゚)「今後取るべき行動は、銃撃音から出来るだけ逆側に逃げることだ。
   そして、老人と看護婦に出会ったら…」

ξ;゚听)ξ「……」

川 ゚ -゚)「 戦 う !」


そして続けざまにクーは、笑顔で言った。


川 ゚ -゚)「その時には、2人いたほうがいいだろう?」


ツンは黙って頷き、強くナイフを握り締めた。

243 :1 2007/05/29(火) 19:16:45.97 ID:8sPAjy9t0


(*;゚ー゚)「ジーンズはやばかったかな…」


鬼 と言えそうも無い鬼が、獲物を探して歩いていた。

すべてとは言い切れないが、若者が履くようなジーンズは
おしゃれ目的の物が多く、サバイバルや山歩きには不適な物が多い。
さらにしぃは、ヒラヒラとしたコートを着ていたため、
歩き難い事、この上無い様子だった。

ガサガサと藪を割って歩く。

自分が立てた物音も気にせず。
244 :1 2007/05/29(火) 19:18:46.65 ID:8sPAjy9t0
ザッ

と草陰から何かが飛び出す。


(*゚ー゚)「ッ!」


気付いた瞬間には自分の首に腕が巻きつき、
太い腕がギリギリと締め上げる。


(*;´ー゚)「あうっ」

( ФωФ)「ふはは、小娘が油断しおって!
      何が殺しちゃったらごめんなさい、だ!」


がっちりとした体系の男が、
か細い女をホールドしている。

誰が見ても外せるような感じではない。
248 :1 2007/05/29(火) 19:21:33.87 ID:8sPAjy9t0
(*;´ー゚)「あっ…あっ…」

(*ФωФ)「俺はラッキーだぜ!
       動 けない程度に弱らせて、可愛がってやるぜ」


次の瞬間、男の太ももに チクッ という微痛が走る。


(; ФωФ)「いっ…」


思わぬ痛みに、一瞬緩んでしまった腕から、
女はスルリと抜け出していた。


(*;´ー゚)「ごほっごほっ」


男が痛みの元を確かめようと太ももを見た瞬間、
注射器がぶら下がっており、中身は既に……無かった。
250 :1 2007/05/29(火) 19:24:09.67 ID:8sPAjy9t0
(; ФωФ)「なっ、なんだ。なんだこの注射器は」

(*゚ー゚)「ふぅ〜」


女は呼吸を整え、男を見据えると
コートをバッと両手で広げる。


(*゚ー゚)「じゃ〜ん」


女のコートの裏側には、無数の注射器とメス。
それに、意味の判らない薬品のようなものがくっついていた。

だが、それを確認したと同時に男は、
全身の力が抜け始め、終いには立っていられなくなり、
前のめりに地面へと突っ伏す。


(*゚ー゚)「今ね〜貴方に注射したのはね…」
253 :1 2007/05/29(火) 19:26:26.06 ID:8sPAjy9t0
天使のような笑顔で、薬の入ったビンを取り出す。


(*゚ー゚)「 筋☆弛☆緩☆剤 だよっ♪」

(|||ФωФ)「……」


男はもはや声も出せずに、ビクビクと痙攣している。


(*゚ー゚)「あぁ〜ん、死んじゃうの?
    ねぇ、どんな気分?
    苦しい?痛い?哀しい?」


だが、男は反応する事ができなかった。
すべての事に…。
255 :1 2007/05/29(火) 19:29:55.08 ID:8sPAjy9t0
(*゚ー゚)「ふんふん、筋弛緩剤で死ぬときはこうなるのね〜
   ちょっとつまんないかなっ♪」


女はそう言いながら、メモ帳へカリカリとメモを取る。


(*゚ー゚)「次は別の薬にしよ〜っと」


天使の容姿を持つ悪魔。

他に形容しようが無かった。





第2話 完