-VIP産小説保管庫-

( ^ω^)ブーンと森の木々のようです:第五話「もららー」

3 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 14:38:55.41 ID:785snzGF0
第五話「もららー」


暗闇が支配する森。
僕は、明かりもなしに前へ進んでいる。


ここは何処だ。

僕は、どうしてこんな所にいるんだ。


ふと、どこからか僕の名前を呼ぶ声がする。
僕の名前だって?


それは――


「……――ン!! ブーン!!」
4 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 14:40:48.49 ID:785snzGF0
ノパ听)「起きなさ――い!!」

暖かい布団が、一瞬にして捲られる。
目を開けると窓から差し込んだ日の光が、僕の頭を覚醒させた。

( つω^)「ん……おはようだお、ヒート」

ノパ听)「もうっ! 自分で起きれるようにならなきゃダメじゃないっ!」

僕は目を擦りながら、耳元で騒いでいるヒートに「はいはい」と答える。
すると、より大きな声で「はいは、一回!!」などと返される。

ノパ听)「早起きする習慣をつけないと、寝ている間にあんたを襲れるわよ!?」

( ^ω^)「へ?」

ヒートはキッ、と扉の方を睨み付ける。
その視線に気づいたのか、「チッ」という舌打ちと共に誰かが走り去った。

ノパ听)「おーおー、武士ってのは朝から元気なようね!」

(;^ω^)「……」

頭の中に、袴姿の女性が浮かんだ。
……あえて深く追求しないようにしておこう。
5 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 14:43:17.43 ID:785snzGF0
( ゚д゚ )「ブーン、おはよう」

( つω^)「おはようですお」

大きなあくびをしながら、僕はミルナに挨拶をする。


川 ゚ -゚)「おはよう、ブーン」

(;^ω^)「お、おはようだお……」

少し警戒しながら、クーとも挨拶を交わし終える。


( ゚д゚ )「みんな、すまないが今日は村長の家に集まってほしい」

( ^ω^)「お? 何かやるんですかお?」

ノパ听)「また痔の相談?」

ヒートは笑いながら言う。
だが、ミルナは真剣な表情を崩さない。

( ゚д゚ )「とにかく、準備が出来たら行くぞ」
6 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 14:47:30.07 ID:785snzGF0
( ^ω^)「……? わかりましたお」

ノパ听)「はーい!! ブーン、あなたは顔洗ってきなさい!」

川 ゚ -゚)「よし、ブーン。私が着替えのお世話を引き受けよう」


ミルナの真剣な表情に、僕は首を傾げながらも準備を整える。
クーが僕の服を着替えさせようとして、またヒートと喧嘩をしていたが
その間、ミルナは笑いもせずに何か考え事をしているようだった。
8 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 14:49:25.51 ID:785snzGF0
ノパ听)「そんちょ――!! おはようございま――す!!」

川 ゚ -゚)「お邪魔します」

ヒートを先頭に、藁の扉をくぐる。
中に入ると、村長だけでなく村の皆が集まっていた。

(´・ω・`)「やあ、これで皆揃ったかな?」

ノパ听)「……っ!!」

瞬間、ヒートの表情が強張った。
その視線の先にいる者に対し、敵意が向けられる。

( ・∀・)「それじゃ、交渉を始めるとしようか」

ノパ听)「モララー……!!」

ぎゅっ、とヒートが拳を握りしめる。

( ゚д゚ )「……」

その様子を、ミルナは腕を組みながら無言で見ている。

モララーは、周りのの視線を気にすることなく口を開いた。
9 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 14:52:37.85 ID:785snzGF0
( ・∀・)「単刀直入に言いましょうか。村長、そして村の衆、私は我がハングル国王の命により
     この村との条約を結びに参上した」

モララーは懐から文書を取り出し、読み上げる。

( ・∀・)「我が国の支配下において、この村は以下の貢ぎ物を収めること。
     我が国は、その見返りとして危機が訪れし時、戦力を送る」


淡々と、事務的な口調でモララーは文書を読み上げる。
緊迫した空気が流れる中、その声だけが響き渡った。


( ・∀・)「なお、判断は早急に頂きたいとのこと、だ」

(´・ω・`)「……やっぱり条約の内容は変わらないんだね」

( ・∀・)「ええ」

村長が静かに息を吐く。
僕達は、何の話か判らず、ただ呆然と立ち尽くしている。

( ,,゚Д゚)「村長、俺は反対だ」

(´・ω・`)「ギコおじ」
12 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 14:54:58.38 ID:785snzGF0
部屋の奥に座っていたギコが声をあげる。

( ,,゚Д゚)「こんな量の貢ぎ物をしたら、俺達が食っていけなくなる。
     それに、この木材というのは……森の木々を伐採しろってことだろう?」

( ・∀・)「……」

ギコはモララーに視線を送る。
その問いに対し、モララーは沈黙で答える。

( ,,゚Д゚)「そんな条約は俺達に必要ない。自分の村は自分達で守るべきだ!」

ギコが村人達の方を見て、叫ぶ。
その言葉に触発され、黙って聞いていた村人達もギコを支援する声をあげた。

ヒートも、流れから話を把握したのか

ノパ听)「そうよ! 王だか国だか知らないけど、ギコおじの言う通りよ!」

モララーを睨みながら、そう叫んだ。
13 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 14:57:11.81 ID:785snzGF0
(;^ω^)「ええっと……」

僕は、条約やら難しい話が苦手だ。
あまり状況が掴めておらず、頭の中で必死に整理する。


川 ゚ -゚)「ミルナ、つまりどういうことなんだ?」

( ゚д゚ )「簡単に言えば、ハングル国の王がこの村を自分の物にする為に圧力をかけてきた、というわけさ」


ミルナが皮肉を込めた口調で答えた。
その言葉に、モララーがミルナの方へ振り向く。


( ・∀・)「誤解を招くような意見はやめてくれないか」

( ゚д゚ )「誤解? 事実だろう。ハングル国……、ここ数年、人に聞く話は良くない噂ばかりだ」

( ・∀・)「噂は噂だ」


モララーは「兎に角」と言いながら、村長の方へ顔を向ける。
16 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:05:11.18 ID:785snzGF0
( ・∀・)「もう一度考えてくれないか?」

(´・ω・`)「……」

( ・∀・)「こんな小さな村、戦に巻き込まれればすぐに壊滅する。
     ハングル国の支配下に在れば、他の小国も手出しは躊躇するだろう」

村長は、顎を手で触りながら、モララーの話を聞く。
その様子を見かねたヒートは、興奮した様子で大声を出した。

ノパ听)「だからって、この地を差し出せって言うの!?」

( ・∀・)「そうだ。皆、この件に関して、もう一度考え結論を出して欲しい」

モララーは立ち上がり、藁の扉を開け出て行こうとする。

(´・ω・`)「モララー」

村長の言葉に、モララーは背を向けたまま足を止める。

(´・ω・`)「変わったな……お前も」

( ・∀・)「……。1時間ほど外を廻っています。結論はその時に聞きましょう」

背中越しにそう言うと、モララーは去っていった。
残された僕達の間に、なんとも言えない空気が流れる。
18 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:07:34.90 ID:785snzGF0
ノパ听)「村長、あんな理不尽な条約を結ぶ必要はありませんよ!!」

空気を破ったのは、やはりヒートの大声だった。
村長は「うむ」と頷くが

(´・ω・`)「しかし、これは村そのものに関わる事だ。
      村の皆に問おう、ハングル国との条約を結んだ方が良いという人は手を挙げてくれ」

村人達は押し黙り、誰一人として手を挙げる者はいない。

川 ゚ -゚)「村長、ちょっといいだろうか」

(´・ω・`)「ん、何だい?」

川 ゚ -゚)「確かに、理不尽な条約だが、彼の言う事も無視は出来ない。
     この村の住人は、見たところ30人ほどだろう?」

クーは続ける。

川 ゚ -゚)「豊かな土地を狙う部族に襲われれば、彼の言う通り全滅は目に見えている。
     私はこの村に来て日が浅いから大きなことは言えない。
     だが、客観的に考えれば、これを機に考えるべき事だと思う」

ノパ听)「クー……」
19 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:09:23.97 ID:785snzGF0
意外な人物からの意見に、村人達はざわめき始める。
その危険性を心配する者、それでも理不尽な条約に反対する者。
村人達の議論は白熱し意見が分かれ始めた。


( ^ω^)「……」


僕は、何と言えばいいのだろう。
守ってもらうか、自分達で守るか。
単純に言えば、そういう事なのだろうか?


考えれば考えるほど、頭の中が混乱する。

僕は頭を冷やす為に、一度外へ出ることにした。
21 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:12:19.16 ID:785snzGF0


( ^ω^)「ふう……」


太陽の陽射しを受けながら、僕はある場所へと向かった。
村のはずれから森に入り、昨日ヒートに教えてもらった道を通る。


草を掻き分け、あの神木のある場所に僕は辿り着いた。

( ^ω^)「あれ、誰かいるお……」

神木の前で、座っている人影。
僕はゆっくりと近づく。

( ・∀・)「……ん、君は」

( ^ω^)「えっと、モララーさん?」

そこに座っていたのは、モララーだった。
23 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:15:16.45 ID:785snzGF0
( ・∀・)「何故、君がここに?」

(;^ω^)「え、うーん……まぁ、少し頭を冷やしに来たんですお」

( ・∀・)「……」


モララーは何も言わず、僕から視線を逸らした。
それから、互いに沈黙のまま時が過ぎる。
時折、木々を吹き抜ける風が心地よい。


( ・∀・)「……いい場所だろう? 私は、ここが好きだ」

( ^ω^)「お?」

モララーは、前を向いたまま話し始める。
24 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:17:54.46 ID:785snzGF0
( ・∀・)「子供の頃から、ここは私のお気に入りだったんだ」

( ^ω^)「子供の頃……? モララーさんも、この村で育ったんですかお?」

僕の疑問に対し、モララーは懐かしむように

( ・∀・)「ああ。14の時に今のハングル国に移ったがね」

そう言った。

僕は、不思議とモララーが悪い人では無いと思った。
そして、頭に浮かんだ疑問を口に出してみる。

( ^ω^)「……あの条約も、村の為を想ってのことなんですかお?」

( ・∀・)「半分は、そうかもしれないな」

( ^ω^)「半分?」

( ・∀・)「私はハングル国に仕える身だ。国のことを第一に考えなければならない。
     ……この村のことも大事だが、私は王の行う事を信じるのみだ」
27 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:22:14.03 ID:785snzGF0
風が吹き抜ける。
その風に揺らされた木々の葉が、音を出した。

( ・∀・)「たとえ、私の行いで村人から嫌われても、な」

寂しそうに、そう付け加えた。


( ・∀・)「……さて、そろそろ時間だ。答えを聞きに行こう」

( ^ω^)「モララーさん!」


村へと歩き出すモララーを、僕は呼び止める。


( ^ω^)「皆、モララーさんのことを嫌ってなんてないお!
       モララーさんが、このヴィップ村を愛してるってわかってるお!
       考え方は違うけど、分かり合う事は出来るお!」


僕は、モララーの背に向かい叫ぶ。
モララーは、一瞬笑みを浮かべ、村へと歩いていった。
28 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:23:38.44 ID:785snzGF0
……




(´・ω・`)「これが、この村の答えだよ」

( ・∀・)「……そうですか」

モララーはため息をつき、軽く頷いた。

村の答え。
それは、多くの食べ物や木々を伐採してまで、守られたくは無い。
ならば、自分達の村は自分達で守るという結論。

(´・ω・`)「ハングル国の王には悪いけど、そう伝えてくれ」

( -∀-)「……わかりました」
29 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:30:02.76 ID:785snzGF0
話し合いを終えた村人達は、それぞれの家へと帰っていく。

僕達はというと、モララーを見送る為に村の出口へと向かっていた。


ノパ听)「残念ね! 条約が結べなくて!」

ヒートは嫌味な笑みを浮かべながら、嬉しそうに言う。

( ・∀・)「村の出した結論だ。無理強いはしないさ」

ノパ听)「な……今日は随分と素直じゃない!」

ヒートは、張り合いが無く残念そうな反応をする。
それを見て、微笑みながら

( ・∀・)「私は、私なりに分かろうとした結果だよ」

ノパ听)「え?」


モララーは、そう言って僕の方に視線を送る。
僕は、その視線に笑顔で返した。


沈みかけた夕日が、僕達を赤く照らしている。
30 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:31:16.96 ID:785snzGF0
( ゚д゚ )「モララー、たまには手ぶらで遊びに来いよ。
     口じゃギャーギャー言ってるが、ヒートだってお前がいないと寂しいだろう」

ノハ//゚听)「な、ななな何言ってんの!? こんな奴い無い方が清々するわよ!!」

( ^ω^)「……ヒート、声が裏返ってるお」

ノハ////)「んな!?」

僕は久々に失恋気分を味わう。
だって、あのヒートが頬を赤くしているんだもの。

( ´ω`)「ははは……」

川 ゚ -゚)「よし、ライバル消滅。ブーン、これで私達も堂々といちゃつけるな」

クーが僕の腕に抱きつく。
もはや反応する元気すら残っていない。
31 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:33:31.04 ID:785snzGF0
ノハ#゚听)「だ、だから勝手に色々決め付けるな――!!」

ヒートが叫ぶ。
それを見たミルナとモララーは、声を上げて笑った。

( ・∀・)「私がいない間に、随分と賑やかになったものだな」

( ゚д゚ )「ああ、毎日騒がしくてしょうがない」

( ・∀・)「それじゃ、私は王に報告しなければならないのでね。
     また何時か会おう」


モララーは背を向け、去っていく。


( ^ω^)「ばいば――いだお!」


僕達は、その後姿に別れの挨拶を送ると、モララーは振り向かずに手だけをひらひらと振った。
32 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:36:21.41 ID:785snzGF0
( ゚д゚ )「さて、俺達も帰ろうか」

( ´ω`)「そうですね……帰りましょうお」

夕日に赤く照らされた道が、僕のむなしさをより一層引き起こす。
追い討ちをかける様に、しょぼくれる僕の前ではヒートとクーが口喧嘩をしている。

川 ゚ -゚)「お前はあの男が好きなんだろう? ならば私とブーンの事に首を突っ込まないで貰おう」

ノハ#゚听)「ち、ち、ちが……!! とにかく、まだブーンは子供なんだからダメ!!」

川 ゚ -゚)「否定しないのか? ん、出来ないのか。なるほど」

ノハ#゚听)「うるさいうるさいうるさ――い!!」


( ´ω`)「……はーっはっは」

二人のやり取りが耳に入るたびに、僕の心の傷は深くなっていく。
そんな僕を見かねたのか、ミルナは僕の肩を叩き

( ゚д゚ )b「ドンマイ」

親指を立てながら、そう言った。
僕の心を、苛立ちと同時に虚しさが、ゆっくりと包みこんだ。
33 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:38:19.98 ID:785snzGF0



( ・∀・)「さて、と」

ハングル城。
王の間の前で、モララーは息を整える。

( ・∀・)「失礼します」

王の間へ入ると、目に入ってくるのは立派な王座。
そして、そこに座るこの国の王。

<ヽ`∀´>「ニダニダ。やはり獣肉はうまいニダ!」

骨付き肉を、嬉しそうに食しているニダ王。
モララーは、その王の前で頭を下げ報告を始める。

( ・∀・)「ヴィップ村の件ですが……」

<ヽ`∀´>「おう、どうだったニダ?」

ニダ王は肉を食らいながら、問う。
34 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:40:22.97 ID:785snzGF0
( ・∀・)「あの村には、この国の協力は必要ないと感じました。
     この国もまた、あのような小さな村を取り込む必要は無いかと思われます」

ニダ王は、その答えに鼻をふん、と鳴らし

<ヽ`∀´>「モララー、それはお前個人の意見かニダ?」

( ・∀・)「……あの村の意見も考え、私はそう思います。
     ニダ王、どうか条約の件に関しては、お考え直しをして頂けな―ー……!」

突如、モララーの頭部に衝撃が襲い掛かった。
体格のいい一般兵がモララーの東部を強打したのだ。

<ヽ`∀´>「ヒッキー、ご苦労ニダ! 例の物は見つかったニダか?」

(-_-)「……はい」

ヒッキーと呼ばれた兵は、王の問いに答える。

(-_-)「……神木は確かに存在していました。
     場所は、村よりやや東の森の奥地」
35 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:42:32.88 ID:785snzGF0
<ヽ`∀´>「上出来ニダ! やはり、神木は存在していたニダ!」

ニダーの高笑いに、頭部を強打されたモララーは震えながら

( ・∀・)「……つけていたのか」

そう言った。

その言葉に、ニダ王は笑いと共に答える。

<ヽ`∀´>「ウリは前王のようにぬかりは無いニダ。お前の行動なんて筒抜けニダ」

( ・∀・)「神木が……貴様の本当の……狙いか」

<ヽ`∀´>「樹齢何千年の大木、一体いくらになるか楽しみニダ!」

(#・∀・)「私を利用したのか! 神木の場所を探る為に!」

そう叫び、モララーは体に力を込め立ち上がろうとする。
だが、モララーを押さえつける、ヒッキーの太い腕がそれを許さない。
37 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:44:53.07 ID:785snzGF0
<ヽ`∀´>「進軍は予定通り、一週間後に行うニダ。さ、ウリは寝るニダ」

(#・∀・)「待て!!」

<ヽ`∀´>「こやつを牢にぶち込んどけニダ。反逆者として、死ぬまでニダ」

モララーは数人の兵士に拘束され、暗い地下牢へと連れて行かれる。
その様子を笑いながら、ニダ王は見つめる。


<ヽ`∀´>「モララー、ハングルのご加護を! ウェーハッハッハ!!」
38 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:46:40.08 ID:785snzGF0



僕は、また夢を見ていた。

夢の中で、忌々しい闇が僕を覆っている。

それは、ゆっくりと森の木々や動物達をも覆っていく。


『森の……タミ……』


声が聞こえる。
どこかで、聞いたことのある声。


『……クル……シイ……コワ……イ』


それは、はっきりと聞き取れた。
誰かが助けを求める声。
39 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:48:32.70 ID:785snzGF0
「――ン、起きてっ!!」


( ^ω^)「……う」

ノパ听)「ブーン、起きて!!」

目を開けると、僕の名を呼んだのはヒートだと理解する。
いつもの朝だと思ったが、まだ辺りは真っ暗だ。

そして、ヒートの顔を見るなり、何かが起きているのだと頭に過ぎった。


( ^ω^)「ど、どうしたんだお!?」

ノパ听)「村の中に……狼の群れが……!!」


( ゚ω゚)「――――ッ!!」


あれは、夢じゃなかったんだ。
僕は、素足のまま外へ出る。
後ろから、ヒートが呼び止める声がしたがそれすらも耳に入らない。
41 :養豚業(神奈川県) 2007/04/04(水) 15:55:23.49 ID:785snzGF0
近くから、狼達の激しい遠吠えが聞こえる。
急げ。もっと、もっと早く。

僕は声の方へがむしゃらに走り、村の広場へと辿り着く。
広場には、村人達が集まっており、その視線の先に――――


ミ,,゚¬メ彡『来たか、森の民よ』



( ゚ω゚)『お前は……狼の主、ウルフェル』



月光の下、そこに居たのは何十匹もの狼だった。


第五話「もららー」   終わり