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( ^ω^)ブーン達が廻るようです:10:「泥」

3 :料理評論家(樺太) 2007/04/21(土) 22:23:13.23 ID:7z3dvI29O
10:「泥」

川 ゚ -゚)

 草木も眠る丑三つ時。
 辺りは静まり返っていた。
 _
( ゚∀゚)「……と、言うワケだ。どうする?」

川 ゚ -゚)「成る程な……」

(´・ω・`)「……」

 いよいよ、敵が攻めて来る。
 ジョルジュが聞き出した情報だ。
 十中八九、間違いないだろう。
 _
( ゚∀゚)「『流石兄弟がテメェらを殺す』……だそうだが? ハイン」

从 ゚∀从「流石兄弟? ……考え難イ」

川 ゚ -゚)「……詳しく頼む」

 聞き出せた情報は極めて少ない。
 「直に『アンチ』が攻めて来る」。それだけだ。
5 :料理評論家(樺太) 2007/04/21(土) 22:34:27.02 ID:7z3dvI29O
 が、今までのように行かないだろう。
 既に一人、敵が来ているのだ。

从 ゚∀从「あイつラ、有り得ナイ……『アンチ』ラシくナい、奴ら」
 _
( ゚∀゚)「んー……」

川 ゚ -゚)「いずれにせよ……警戒は必要だろう」

(´・ω・`)「……ブーン達は……」

 問題は、つまり、そこだった。
 彼ら二人は、まだ死んでいない。

川 ゚ -゚)「……」
 _
( ゚∀゚)「アイツらは大丈夫だろ? なかなか骨もありそうだ」

(´ ω `)「……ダメだ」
 _
( ゚∀゚)「アァ?」
6 :料理評論家(樺太) 2007/04/21(土) 22:36:35.71 ID:7z3dvI29O
(´ ω `)「二人は……ダメだよ……」  _
( ゚∀゚)「あー……」

 これから恐らく戦いも増えるだろう。
 その中で、死の可能性もなくはない。
 まだ若い、しかも、偶然巻き込まれた二人を死なせたくはない。

川 ゚ -゚)「……ショボン。君が決めろ。朝までに、だ」

 ショボンが初めて私に会った日。
 あの日、彼が出した条件はこうだ。
 「二人を助ける為に協力して欲しい。助けた後は、きっと戦力になる。
そして、自分はどうなっても良い」。
 鬼気迫る表情で、そう言った。

(´ ω `)「……すみません」
7 :料理評論家(樺太) 2007/04/21(土) 22:40:22.04 ID:7z3dvI29O
 _
( ゚∀゚)「……」

川 ゚ -゚)「今日はもう休もう。ショボン、良いな?」

(´ ω `)「うん……すみません」

 それぞれが部屋に戻る。
 ジョルジュは不服そうに、ショボンとハインは無言で。

クー「……ふぅ」
15 :料理評論家(樺太) 2007/04/21(土) 23:28:49.34 ID:7z3dvI29O
 これで良かったのか?

川 ゚ -゚)「……良かったのか?」

 何が?

川 ゚ -゚)「何もかも……さ」

 二人を巻き込んだ事。
 ショボンに押し付けた事。
 恐らく、ショボンは二人を逃がすだろう。
 そうなると、こちらは不利になる。
 本来なら、端から巻き込むべきではなかったのだ。

川  - )「駄目だな……私は」

 気付けば私は眠っていた。
 夢を見た様な気もするが、目が覚めると同時に忘れてしまった。
17 :料理評論家(樺太) 2007/04/21(土) 23:36:38.34 ID:7z3dvI29O
 やけに重たい体を起こす。
 直ぐにドアを叩く音がした。

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「僕だけど……」

川 ゚ -゚)「あぁ……」

 口を開くのも億劫だった。
 もう、何もかもを投げ出したい。
 最低だ、私は。
 改まった表情でショボンが顔を出す。
 何が言いたいか、容易に想像出来る。

(´・ω・`)「あの……やっぱり、二人には帰って貰うよ」
18 :料理評論家(樺太) 2007/04/21(土) 23:44:37.20 ID:7z3dvI29O
川 ゚ -゚)「あぁ、そうだな……」

(´・ω・`)「……反対しないの?」

川 ゚ -゚)「そんな権限はない」

(´・ω・`)「ごめん……」

 部屋の空気が見る間に沈む。

川 ゚ -゚)「謝る必要はない。それが最善だろう?」

(´・ω・`)「……」

 私は、彼らのリーダーだ。
 つまり、そうなのだ。

川 ゚ -゚)「二人には帰って貰う。決定事項だが、異議でも?」

(´・ω・`)「……いつも、ありがとう」
19 :料理評論家(樺太) 2007/04/21(土) 23:45:42.61 ID:7z3dvI29O
川 ゚ -゚)「お前も二人とは最後だ……挨拶くらいしておけ」

 そうだ。
 これで、良いのだ。

(´・ω・`)「あのさ……一つ、頼まれてくれる?」

 そう言って、ショボンは話し出す。

―――夕方、それは決行された。
23 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 00:10:36.27 ID:1H1iCWKAO
川 ゚ -゚)「何、トレーニングと言っても簡単なものだ」

 不安を隠そうともしない二人に、ゆっくりと告げる。

(´・ω・`)「大丈夫だよ。僕もやったんだから」

(;^ω^)「でも『三倍強くなる』って……どう考えても荒療治ですお」

(;'A`)「面倒臭ぇ……」

川;゚ -゚)「落ち着け」
26 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 00:25:40.37 ID:1H1iCWKAO
 二人に目を閉じる様に促す。
 ショボンは少しこちらを見て、静かに外に出た。


川 ゚ -゚)「良いか? 二人共、向こうでの生活を思い出すんだ」

( ‐ω‐)「……向こうでの生活?」

川 ゚ -゚)「何でも良い」

(´A`)「……」

 何でも良い。

川 ゚ -゚)「(これで良いんだ……)」

 ショボンの提案。
 二人には何も告げず、現世に返す事。
27 :ほうとう屋(樺太) 2007/04/22(日) 00:27:04.92 ID:1H1iCWKAO
(´・ω・`)「きっと帰りたがらないと思うから」

 泣きそうな顔で、そう言った。

川  - )「これで良いんだ」

 これで、良かったんだ。
 誰もいなくなったコンクリートの倉庫に、その声は静かに響いた。

10:「泥」

―fin―