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あるところに狂ったクマがいた・・・

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:52:31.77 ID:JhLNxI1Z0
「あばばばばばばばばば」
奇声とともにこの村の朝は始まる
「またクマか・・・」
村人の一人がつぶやく
「あいつはいったいなんなんだ・・畑を荒らすわけでもなく、人を襲うわけでもない」
首をかしげながらもう一人の村人が言った。
「別に害を加えるわけでもないからほっといてるんだが・・朝のあの奇声、あれはどうにかならんかの・・子供が怖がってな・・」
「じゃが殺すのも可哀想じゃし・・」
村人達が集まり会話を交わすこの村は都会から離れた村であり人口も50人ほどの小さな村である。
村人達が会話している内容は1年ほど前からこの村に住み着いてるクマのことである、そのクマは頭がおかしくいつも奇声をあげている
それに加え神出鬼没で村人が釣りをしているとたまにかかったりする。
これはそんな不思議なクマの物語である・・・
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:53:24.24 ID:JhLNxI1Z0
時は遡る事四日前
「俺はなんで生きてるんだろう・・・」
物語の始まりはクマのこんな些細な考え事からであった。
「生きるとはどうゆうことだ・・結局は最後にみんな死ぬんだから長生きしてもしかたないじゃないか・・・だが俺は死にたくない、なんだこの心の矛盾は・・」
一人ひっそりとした森で考えるクマ・・だがその時、地震が起きた。
「うわうあわえrっふぁfdかjhふぁ!!!?!?!?!?」
一人慌てるクマ、木々が倒れ鳥たちは上空へと飛び立つそんな中、一本の木がクマの頭に落ちた。
ガァァァァン
轟音とともにクマにぶつかる木、クマは動かなくなった。
そして一時間後・・・
「・・・・あばばばばばば!」
クマはアホになった、本能が激痛に耐えるよりアホになって痛みという事を忘れる選択肢を選んだのだった。
「つらい森なんて抜けて人間界で暮らせば楽なんじゃねwwwwうはwww俺天才www」
森の中を疾走するクマ、走ること一時間クマは村に着いた。
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:53:45.60 ID:JhLNxI1Z0
「うわぁぁぁ!!クマだ!クマがでたぞぉぉぉ!!」
混乱する村人達をかき分け、槍を持った自警団が来た。
「おのれ!この獣め!俺がこの槍で成敗してくれるわ!!」
自警団一の豪傑がクマの前に立ちはだかった。
「ちょwwやめれwwwテラアブナスwwww」
アホになったクマに怖いものは無かった。
「・・・・・」
村人達は黙り込んだ、」自警団達は呆れている。
「・・・別に危害を加えるわけでもなさそうだし、ほっといてもいいんじゃないか・・」
村人の一人が口を開いた。
「じゃが今はアホを装ってるだけで夜になったら人を襲うんじゃないか・・」
村人達は意見を交し合い最終的に「一週間様子を見る」と言うことで話し合いは終了した。
こうしてクマは人間界で暮らすことになった。
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:54:13.75 ID:JhLNxI1Z0
一週間後

「ふん・・一週間たったが多少問題はあるが別に人に危害を加えるわけでもないしこの村に置いても問題はなかろう」
村人の中心にいる老人が言った
「んーたしかにうるさいんだがまぁ問題は無いか・・」
村人達も納得したようでクマはこの村に置かれることになった
「やったクマーww」
喜ぶクマ、苦笑する者や歓迎するもの様々な思惑が入り混じる集会所、そしてこの村に新たな仲間が加わったのであった。
だがそんな新参者は村人の信用を完全に得るにはまだまだ時間が必要であった
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:54:32.02 ID:JhLNxI1Z0
一ヵ月後

「おーい母さんやーまたぁクマが釣れたぞー」
釣竿を持った男が笑いながら家に入っていく
「またクマかぃ!あの子もしょうがない子だね!」
「めんぼくないクマーw」
家の中は笑い声と笑顔で包まれている。
クマは一ヶ月たつうちに村人の人気者になった、そしてこの農家に居座っていたのである。
だがそんな人気者を邪魔に思う人物もまたいた。
「くそーあいつ生意気だな・・・新参者の癖に・・」
その家の裏側でぶつぶつとつぶやく少年がいた。
「あいつが家の手伝いとかするせいで俺までやらなきゃいけなくなったじゃないか・・・クソッ!」
その時少年の脳裏に何かがよぎった。
「!!・・・・そうだ邪魔なら追い出せばいいんだ、そうとくれば早速計画を練ろう・・・」
そんな少年の悪巧みと裏腹にクマは少年の父と母と楽しくしゃべっていた。
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:54:52.61 ID:JhLNxI1Z0
そして次の日
「クマー俺と遊ぼうよ!」
「いいクマよww何をするクマ?」
「じゃあ鬼ごっこをしよう!!クマが鬼ね!じゃあ始め!!」
「ちょwwwwwおまwwww早いクマwww」
この時すでにクマは少年の罠にはまっていたのであった。
「ちょwww待つクマーww」
「やだよー!」
二人は村から多少遠い場所まで来ていた。
「うぉぉぉぉ!!捕まえたクマー!!」
ドテッ!
大きな音と共に少年が倒れた
「うわぁぁぁぁぁぁん!」
大地をも裂きそうな大きな声で少年は泣き始めた。
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:55:10.27 ID:JhLNxI1Z0
「ちょ・・ゴメンクマ・・大丈夫かクマ?」
心配するクマをよそに、この大きな泣き声を聞いた村人達が集まってきた
「なんだなんだ・・・あっ!!クマおまえなにをやってるんだ!!」
「俺は何もやってないクマ!誤解クマ!!」
慌てるクマ、状況がよくわからない村人達
「うわぁぁん!クマが!クマが僕を襲ってきて・・ヒックいきなり食べようとしてきたんだ・・ヒック」
「ちょwww何いってるクマ?!」
してやったり・・・その瞬間少年は思った。
「なんだと!クマ!てめぇ!!今まで危害を加えなかったのは偽りの姿だったのか・・・信じてきた俺らを裏切るなんて!」
「違うクマ!たんに鬼ごっこしてただけクマ!!」
怒れる村人達・・元々クマをあまり好んでなかった村人達がここぞとばかりに吼え始めたのであった。
「殺せ!!凶暴なクマを殺せぇぇぇ!!!!」
村人達が一斉にクマに襲い掛かる、だが腐ってもクマその力はすさまじく村人達を跳ね除け逃げ始める。
「逃げたぞぉぉ!!追えええ!!」
追い始める村人達、逃げようとするクマ、その時クマは見たのである心配そうにこちらを見る居候先の父と母を・・・だが他の村人達は容赦なくクマを追いかけ始める。
「僕は何もやってないクマ・・なのになんで・・」
走りながら、泣きながら、クマは吼えた。
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:55:29.37 ID:JhLNxI1Z0
そして時は流れ・・二ヵ月後

クマのことをほとんどの村人が忘れ村はクマが来る前と同じ状態になった
そんな中、少年はクマを追い出してから悪巧みをどんどんするようになった。
そして少年はその日、線路の上に置石をしようというとんでもない悪事を行おうとしていた。
「へへっ・・電車が脱線するところを一度見てみたかったんだニヤニヤ」
プァァァァl!!
「おっ!来たな・・・よしこれだけ置けばいいだろう・・ずらかるか!」
走り出そうとした少年は足に違和感を感じた。
「なんだ右足が・・動かない!」
右のつま先が線路と地面の間に挟まってしまったのである。
「動け!動けよ!なんで動かないんだよ!」
半泣きになりながら少年は必死に足を抜こうとした、近づく電車、抜けない足、絶体絶命の少年は叫んだ。
「うわぁぁぁぁ!!!!」

その時である物陰から何かが飛び出した。
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:56:05.77 ID:JhLNxI1Z0
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14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:56:21.05 ID:JhLNxI1Z0
その「何か」が少年を線路の外に跳ね飛ばした・・・
その瞬間鈍い音ともに「何か」は宙を舞った。
「うぅ・・・、助かったのか・・何かが俺を跳ね飛ばした気が・・あっ!」
少年は見た、血を流し、息も絶え絶えになっているクマを。
「なんで!なんで俺を助けたんだ!俺はおまえをはめた男だぞ!」
少年はクマにかけよりながら叫んだ
「ハァハァ・・・だって・・君が死んだら・・両親が・・悲・し・・むクマ」
クマは瀕死であった・・
「うぅ・・・ごめんなさい・・ごめんヒックなさい・・・」
「男は・・泣いちゃダメクマ・・強くなって・・両親を・・大切な人を・・守るんだクマ・・・」
「うん・・わかった!だから・・だから死なないでよ・・・ヒック」
「それ・・・は・・無理クマ・・もう・・・お迎えが来たクマ・・・お別れだクマ・・・」
力が抜けるクマ・・そしてその瞬間・・クマはこの世を去った・・・
「うぅ・・さようなら・・さようなら」
泣きじゃくる少年、そしてこの後村人達に全てを明かし怒られた少年・・・そして村をあげて壮大な葬式を行われたクマ・・


今ではもう誰も覚えていない名も無きクマの物語・・・ずっと昔の物語・・・
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/18(火) 20:57:06.19 ID:JhLNxI1Z0
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