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ミ,,゚Д゚彡彼への依頼はV・I・Pのようです:2話 「嫌よ嫌よも好きの内?」

81 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:28:58.97 ID:FpmGEvP60
2話 「嫌よ嫌よも好きの内?」


【車内】

  _,
ミ,,゚Д゚彡(物好きな奴等だなぁ…こんなおっぱいお化けの何処がいいんだ?)

从;゚∀从(…どうでもいいけど私は下着ドロ(長屋)かい)


本日の収録も終え、早めのオフになった彼女を連れて
一旦事務所に戻る事になったご一行は車に揺られ、道を進んでいた

从;゚∀从「…」

よくある会話が途切れる瞬間、ちょうど今がそれであり
かれこれ数十分の間、車内はエンジン音だけが静かに響いていた

(*゚−゚)「…」
83 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:30:24.00 ID:FpmGEvP60
後部座席では椎がただ黙ってハインを見つめている
流石に耐え切れなくなったのか、彼女に問いかけた

从;゚∀从「えーとさ、さっきから人をじろじろ見てるけど…何?」

(*;゚ー゚)「え!? す、すいません」

突然話しかけられた椎は慌てふためき
しどろもどろに言った

(*;゚ー゚)「その…綺麗な方だな〜、と思って」

从;゚∀从「え゛!?」

(*゚ー゚)「もしかしてモデルとかやってるんですか?」

从;゚∀从「いやないないっ!!!」

(*゚ー゚)「ちょっと失礼します」

しばし彼女はハインを見つめ、意を決するように手を伸ばした
85 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:31:53.94 ID:FpmGEvP60
从;゚∀从「へ…?」

抵抗する間もなく腋の下に手が差し込まれ
沿う様に下へ撫でていく

从;゚∀从「うわひゃ!…ちょ、やめろってば!!」

(*゚ー゚)「うぁ…これもしかして私より細い…?」

くびれを通過し腰元へ、そして確かめるようにもう一度そのラインをなぞっていく

(*゚ー゚)「それに凄い引き締まって…」

そうしてわき腹の辺りを軽く摘まれ


从//-从「ひゃあ!?……ゃめ…てぇ」

反射的に体が震え
口から漏れ出る熱い吐息
87 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:33:10.48 ID:FpmGEvP60
電撃走り

(*; ー )「…!!!」

ミ,; Д 彡「…!!!」

(; ∀ )「…!!!」


一瞬にして車内が凍りついた


静かな車内に突如として響き渡った艶かしい声に
誰もがどう反応していいのか分からなかったのだ

从//∀从「ぁ…ぅ」
  _,
ミ,;゚Д゚彡「…なぁ、今」

从//∀从「〜〜〜〜っっ!!!」
88 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:34:58.76 ID:FpmGEvP60
 ミメ)ω゚彡「ギアス!!」

助手席から後ろを振り向いたフサへ渾身の右ストレートが炸裂
首がぐるりと半回転、ちなみに彼の耳の奥にはミシミシと音が聞こえたそうな

ミメ)Д;彡「………なにゆえ?」

从;゚∀从「…つい」


(*゚ー゚)「…クス」


(;´∀`)「ぁ…と、そうそう椎」

どうにかこの変な空気を変えようとしているのか、モナーが切り出す

(;´∀`)「これからは解決するまで事務所で過ごしたほうがいいと思うモナ
      そうすれば彼等とも居られるし、どうモナ?」

(*゚ー゚)「うん大丈夫、じゃあそれで!」
89 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:36:02.71 ID:FpmGEvP60
(;´∀`)「了解モナ、なら椎の家に一度向かおう」

(*゚ー゚)「お願いします……ところで、あの」

(;´∀`)「?」

(*゚ー゚)「何でそんなに前屈みなんですか?」

さらりと素の表情で残酷な言葉を言い放つ
確かにモナーは身体をハンドルに押し付けるような姿勢だった

(;´∀`)「…いやその、運転に集中する為モナ、はは」

そうしてどこか明後日の方向を向きながらそう答えた

ミ,;゚Д゚彡(椎…怖い子!)

从;゚∀从「…」

……。
91 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:37:59.20 ID:FpmGEvP60
【椎自宅】

(*゚ー゚)「それじゃあちょっと適当に荷物まとめてきます」

( ´∀`)「いってらっしゃいモナ」

彼女はそういい残すと車は下り、マンションへと歩いていく

从 ゚∀从「やれやれ…で、どうだあの子は」

从;゚∀从「ってあれぇ? どこ行きやがった!」

助手席を見ると、何故かそこに座っていたフサの姿が見当たらない
そんな彼女をモナーがしばし見つめ、ニヤリと笑った

从;゚∀从「…えーと、何か?」

( ´∀`)「ふふふ…フッサールさんならさっきこっそりと椎の後を追っていったモナ」

从;-∀从(忍者かあいつは!)
93 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:39:06.46 ID:FpmGEvP60
心の中で悪態をつくハインに舐める様な視線が絡みつく

从;゚∀从「ん…?」

( ´∀`)「…」

上下に彼女の身体をいやらしい眼つきで凝視し

静かに口を開いた

( ´∀`)「…ちょうど二人きりだし」

从;゚∀从「え、え、え?」

( ´∀`)「ふふふふふ…」

薄笑いでサイドボードから何かを取り出すと見せ付けるように翳す
94 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:40:53.97 ID:FpmGEvP60
从;゚∀从「そ、それは…!!」

それを見た彼女は驚きに目を見開き
困惑した表情でオロオロしている


( ´∀`)「…これがどういう意味か、わかるモナ?」


从//∀从「そんな、こんなの…困るよ…」


( ´∀`)「怖いのは最初だけモナ、さあ…」


从//∀从「…ぁ」


そうして、どこか緊張したふいんきの彼女の胸元へと向けて
モナーの手がゆっくりと伸びていった
95 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:44:04.24 ID:FpmGEvP60
……。

(*゚ー゚)「…はぁ」

扉の取っ手に手をかけ、溜息を吐く
どこか曇った表情でそのまま動きを止めた

ミ,,゚Д゚彡「どうしたん?」

Σ(゚ー゚*)「きゃ!! え、何で、いつの間に!?」
  _,
ミ,,-Д-彡「実はずっと後ろに居たけどね」

(*゚ー゚)「あ、あの…なんで着いて来るんですか?」

ミ,,゚Д゚彡「まあボディーガードっすから」

しゃーしゃーと言う

(*゚ー゚)「はぁ…」
  _,
ミ,,゚Д゚彡「ほらほら、早くして!」
98 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:45:55.44 ID:FpmGEvP60
(*;゚ー゚)「え、あの」

戸惑、どこか納得いかない表情をする彼女にお構いなしに
急かし、家の中へ入っていった

ミ,,゚Д゚彡(へえ)

マンションの一室
流石は芸能人か、中々広く、いい部屋だ
そうして準備してくると言い、フサをリビングに残しどこかの部屋へ消えていった

早速適当に歩き回り物色を始めた

ミ,,゚Д゚彡「ん?」

ふとした違和感、見ればそこにはいたって普通の電話機
人形が並ぶ棚の上に置かれたその受話器を手にした

覗き込めば小さな穴の奥の何かに気付く
  _,
ミ,,゚Д゚彡「…ふむ」
99 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:47:41.22 ID:FpmGEvP60
……。

(*゚ー゚)「お待たせしました!」

しばらくして、彼女が大きな荷物を持って現れた

ミ,,゚Д゚彡「んじゃ、行くか」

(*゚ー゚)「はい! …んっと」

パンパンに膨らんだ大き目のバッグを重そうに持ち上げ
どこかおぼつかない足取りで歩き出す

ミ,,゚Д゚彡「重そうだねぇ」

(*゚ー゚)「えへへ、ちょっと詰め込みすぎたみたい」

そんな様子を見たフサが口を出し
彼女はその言葉にどこか期待を込めた眼差しで見つめ返すが…

ミ,,゚Д゚彡「まあがんばれ」

(*;゚ー゚)「え?」
100 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:49:03.55 ID:FpmGEvP60
ミ,,゚Д゚彡「二人も待ってるし、早く行こう」

(*゚ー゚)「あの…ここは普通持ってあげるよ! とかそういう場面なんじゃ」
  _,
ミ,,゚Д゚彡「大の大人が何情けない事言ってんだよ、ほら、きびきび歩け」

(*;ー;)「あぁん、もう!じゃあ何しに着いて来たんですかぁ!!」


川゚-゚)「…よいしょ、よいしょ」

と、ちょうどそこへ大きな袋を持った少女が現れ
すぐに目の色変えたフサが物凄い勢いで駆け寄った

ミ,*゚Д゚彡「あ、お譲ちゃん! 買い物帰り!? 偉いね、持ってあげようか?」

川゚-゚)「ううん、だいじょうぶ」

ミ,*゚Д゚彡「くぁー! お部屋どこ? 電話番号は??」


(*;゚−゚)「な、なんなのよーー!!」

……。
102 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 07:54:12.52 ID:FpmGEvP60
外でハザードを点け待つ車へと向かう
二人が乗り込むとモナーがぼそっと呟く

(  ∀ )「ちっ…もう少しだったのに」
  _,
ミ,,゚Д゚彡「ぁん?」

从; ∀从「…」

見れば二人の顔は軽く紅潮し、ハインに至っては終始黙ったまま俯いていた
そして車は再び発進し今度は彼の事務所とやらに到着した

3階建ての割と大きめな建物、早速中へ案内され

( ´∀`)「部屋はここを好きに使ってくれていいモナ」


すっかり準備は整った
111 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 11:40:55.94 ID:FpmGEvP60
从 ∀从「…」

案内された部屋へ入ってからと言う物、ハインはどこか上の空
話しかけても曖昧な返事しか返ってくる事は無い
  _,
ミ,,゚Д゚彡「なぁ、ハイン」

从 ∀从「…ああ」

ミ,, Д 彡「94おっぱいお化け」

从 ∀从「…ああ、あ?」

从;゚∀从「はっ! なんだフサ?」
  _,
ミ,;-Д-彡「なんだ、なんかあったのか?」

从;゚∀从「あ、いや…それがな」
112 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 11:42:15.75 ID:FpmGEvP60
ミ,;゚Д゚彡「スカウトされたぁ!?」

从;゚∀从「ああ、私ならスターを狙えるとか何とか」
  _,
ミ,,゚Д゚彡「…んで?」

从;゚∀从「へ?」

ミ,,゚Д゚彡「おkしたのか?」

从;゚∀从「いやいや断ったさ、当たり前だろ、ただやたらしつこくてな…
     もう少し考えてからもう一度返事を聞かせてくれってさ」
  _,
ミ,,゚Д゚彡「ふーん…いいんじゃねーの? やってみれば?」

从;゚∀从「…はぁ? おいおい何言ってんのさ
     そんな事したら私はこの仕事出来なくなるじゃない」
113 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 11:43:46.40 ID:FpmGEvP60
そう言う彼女に対しフサは
だからこそだ、と何時に無く真剣な顔で答えた

ミ,,-Д-彡「別にわざわざ危ない仕事続ける必要は無いだろ?
      いい機会じゃん、そのお化けを生かす一番の場じゃないか」

从;゚∀从「な、何言ってるんだよ…お前、私が居なきゃろくに仕事を」

ミ,,-Д-彡「新しい相棒見つければいいだけさ」

从;゚∀从「おま…」

ミ,*゚Д゚彡「そう! 今度はおっぱいが小さい子がいいなっ
      背も低ければ尚良し!!」
  _,
ミ,;゚Д゚彡「ハッ!?」

そう言って何かに気付いたようにフサは身を屈める
対ハンマー防御の姿勢だ
114 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 11:45:05.12 ID:FpmGEvP60
だがいつまで待っても恐怖のハンマーは降って来ない
恐る恐る見上げるとそこには俯き、手を震わせ黙り込む彼女の姿が見えた

ミ,;゚Д゚彡「どったの?」

訪れる静寂
重たい空気が圧し掛かり、息が詰まる

室内の時計が穏やかに時を刻み、ようやくハインが口を開く

从 -从「…本気で言ってるのか?」

ミ,,-Д-彡「…どう思う?」

从 -从「そうか」


それだけ告げるとハインは立ち上がり
地響きの後、静かに部屋を立ち去った


「…け、けっきょく殴るのね」
115 :週末都民(栃木県) 2007/04/07(土) 11:47:38.74 ID:FpmGEvP60
床とハンマーの隙間から声が響き
もそもそと立ち上がったフサは窓辺に寄り、外を眺めた

ミ,, Д 彡「…」

窓の外には一面の曇り空
すぐ下には桜並木が並び、花びら舞う中を幾人もが歩いているのが見えた

ミ,, Д 彡「…これで」

ぽつりと呟き

ミ,*゚Д゚彡「これで津羽ちゃんを誘える! やったぁ!!」

無意味に大声で叫ぶ

扉の外にあった気配が遠のいて行く
彼の耳にはその足音が確かに届いていた


                                2話 終