27 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/08(木) 23:33:19.05 ID:TbsmPByq0
ーーー路地裏ーーー
(´・ω・`)「・・・はぁ」
( ^ω^)「・・・・・・・」
(´・ω・`)「・・・ランちゃんが心配なのはわかるよ・・・でも、無茶はしちゃだめだ」
川゜−゜)レ「しかし・・・あれほどの子供達の目的は・・・?」
(´・ω・`)「・・・さぁ・・・殺戮・・・いや、でもこの街にはもうほとんど人は・・・」
(´・ω・`)「・・・・・・」
( ^ω^)「・・・兄者」
(´・ω・`)「え・・・」
( ^ω^)「兄者さんが、危ないお」
(´・ω・`)「!・・・そうか・・・」
(´・ω・`)(兄者さんが・・・殺されてしまう・・・)
29 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/08(木) 23:36:39.06 ID:TbsmPByq0
ジョルジュは当然、兄者が工房にとどまっていることを知らない。
いや、それどころかもう工房にはいないと考えているだろう。
危険な場所だと、認識したはずだから。
・・・しかしそれもまた、ジョルジュのミスなのだが。
それでも
今回の最大の目的は、兄者を探し出して、殺すこと・・・
いつかは、見つかってしまうだろう。
30 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/08(木) 23:41:20.76 ID:TbsmPByq0
ーーー路上ーーー
(*゜ー゜)「・・・はぁ」
血を求める人。
もう、血の匂いもない
(*゜ー゜)「・・・あぁぁぁぁぁ・・・」
軽く呻きながら、彼女は道を歩く。
そんな彼女の前に、子供が一人、現れた。
(*゜ー゜)「・・・・・・・」
幼い少女だ。
(*゜ー゜)「・・・・・・・」
可愛らしい。
(*゜ー゜)「・・・そうだ」
(*゜ー゜)「・・・この子も、殺しちゃおう・・・」
31 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/08(木) 23:45:00.64 ID:TbsmPByq0
幸い、その少女は単独行動しているようだった。
手に持つ包丁を振り上げる。
そしてそのまま、少女の身体を斬る。
一度、二度・・・
少女は悲鳴もなく、その場に倒れた。
赤い血が地面を染めていく・・・
32 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/08(木) 23:49:58.36 ID:TbsmPByq0
(*゜ー゜)「・・・うふ」
狂気に浸る彼女はゆっくりとしゃがみこんで、血液を指で救い上げた。
(*゜ー゜)「・・・・・・」
唇を吊り上げ、不気味に笑うしぃ。
そんな彼女の背中に声が降りかかる。
(,,゜Д゜)「・・・しぃ」
重く、低い声
慌てて振り向くしぃ。
そこに
最愛の夫の姿があった。
33 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/08(木) 23:53:38.07 ID:TbsmPByq0
(*゜ー゜)「え・・・え・・・?」
(,,゜Д゜)「お前・・・」
(*゜ー゜)「うそ・・・ほんとに・・・ギコ・・・くん・・・」
(,,゜Д゜)「・・・何が本当に・・・だよ・・・」
(,,゜Д゜)「俺はギコだ・・・まだ、お前の旦那だよ・・・!」
(*゜ー゜)「いや・・・いや・・・」
(*゜ー゜)「イヤアアアアアアアァアアアァァァ」
彼女の劈くような叫び。
その直後、彼女はその場から逃げ出した。
34 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/08(木) 23:56:54.80 ID:TbsmPByq0
・・・
(,,゜Д゜)「おい!待てよ!」
路地をくねくねと曲がり、必死に逃げる彼女を追いかける。
本当に殺人鬼と成り果ててしまっている
彼女を。
まだ
信じたくないが。
(*゜ー゜)「こないでよ!こないでよ!!」
彼女の根底からの叫びが聞こえてくる・・・
36 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/08(木) 23:59:55.05 ID:TbsmPByq0
行き止まり
彼女の前にビルの壁が立ちはだかった。
(*゜ー゜)「う・・・」
仕方なく彼女は立ち止まる。
少し距離をおいて、ギコも立ち止まった。
(,,゜Д゜)「・・・しぃ・・・」
(*゜ー゜)「ダメだよ・・・ギコくん・・・」
(*゜ー゜)「・・・見ないでよ・・・」
37 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/09(金) 00:05:09.17 ID:Taj2nNDW0
(,,゜Д゜)「しぃ・・・お前」
(*゜ー゜)「やめてよ!見ないでよ!話しかけないでよ!関わらないで!」
(,,゜Д゜)「・・・・・・」
(*゜ー゜)「・・・やめて・・・よ・・・」
正気に戻ったわけではない。
未だに、狂っていた。
(*゜ー゜)「・・・もう、ダメ」
(*゜ー゜)「もうダメなんだよ・・・全部・・・何もかも・・・」
38 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/09(金) 00:08:10.53 ID:Taj2nNDW0
(,,゜Д゜)「・・・・・・・・」
(*゜ー゜)「いろんなひところしちゃった・・・」
(*゜ー゜)「なんでころしたかなんてわかんない・・・でも」
(*゜ー゜)「ころしちゃったんだよ・・・」
(,,゜Д゜)「しぃ・・・」
彼女をこんなふうにしてしまったのは
俺、なんだ。
40 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/09(金) 00:12:13.44 ID:Taj2nNDW0
(*゜ー゜)「・・・ギコくんがあらわれるなんておもわなかった」
(*゜ー゜)「もう・・・あえないとかおもっちゃってた」
(*゜ー゜)「だからかもしれない・・・おかしくなっちゃって」
(*゜ー゜)「せっかくギコ君がすきになってくれたのにわたし・・・こんなに」
(*゜ー゜)「・・・よごれちゃってさ・・・」
(,,゜Д゜)「・・・・・・・」
(*゜ー゜)「・・・もう、ギコ君のそばにはいられないよ」
(,,゜Д゜)「お前・・・」
(*゜ー゜)「だから・・・だから・・・」
彼女は懐から拳銃を取り出した
そしてそれを、ギコに向かって、放った。
(*゜ー゜)「わたしを・・・ころして・・・?」
42 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/09(金) 00:16:45.45 ID:Taj2nNDW0
何ができるのか
考えもしなかった
ただしぃに会いたかった
こんな事になってるなんて
夢にも思っていなかった。
今、彼女は
目の前で笑って
殺してくれと頼んでいる。
・・・何ができるのか
考える。
彼女を救いたい
・・・ならば
この銃を
使うしかないのか。
(*゜ー゜)「さぁ、はやく・・・」
甘美な声が聞こえてくる
何も変わっていないはずなのに
俺は今から、
しぃを殺す
彼女を救うために
彼女を愛するために。
43 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/09(金) 00:18:26.36 ID:Taj2nNDW0
一つ、銃声が響いた。
薄暗い路地裏に
派手すぎるほど。
47 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/09(金) 00:24:32.69 ID:Taj2nNDW0
(*゜ー゜)「・・・・・・・」
目の前でしぃがゆっくりと倒れる。
慌てて駆け寄り、その身体を支えようとしゃがみこむ
(,,゜Д゜)「しぃ・・・」
(*゜ー゜)「・・・ありがと・・・ぎこくん」
(,,゜Д゜)「・・・バカが・・・!」
(*゜ー゜)「ごめんね・・・もっといっしょにいたかったよ・・・ごめんね・・・」
(,,゜Д゜)「俺もだ・・・よ・・・畜生・・・」
(*゜ー゜)「・・・でも、後を追うとか、しちゃだめだよ・・・?私みたいな・・・人のために・・・」
(,,゜Д゜)「・・・お前は、お前はなぁ・・・!」
(,,゜Д゜)「俺の妻なんだよ・・・俺の一番・・・大切な・・・!」
(*゜ー゜)「・・・そう・・・なのかな・・・」
彼女は笑う。
(*゜ー゜)「ふふ・・・ありがとう・・・今までずっと・・・ありがとう・・・」
(,,゜Д゜)「しぃ・・・」
(*゜ー゜)「・・・さよなら・・・だね・・・」
ギコの頬に触れようとのばした彼女の手が
寸前で力を失い、地面にたたきつけられた。
48 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/09(金) 00:28:09.90 ID:Taj2nNDW0
ギコが彼女の名を叫ぶ。
しかし、返事などあるはずもない。
彼はまた、人を殺してしまった。
今度は、最愛の妻を。
救うためとはいえ
それは、ギコの胸に大きく、重く、余韻を残した。
今度は、笑えなかった。