31 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 16:35:38.73 ID:W4w26fqU0
(・ω・ )「ワシの名は『ほわっちょ相田』じゃ。心配をかけたの」

微笑んで、青年は言った。

( ^ω^)「(これは確かに、理由を付けて襲いたくなる気持ちも分からなくはないお)」

小柄な上に、まだ幼さの残る顔立ち。
口調とのギャップが恐ろしかったが。

( ^ω^)「でも、何でブーンの名前が分かったのかお?」

歩きながらでも説明しようかの、と言って相田はのんびりとしたペースで歩き始めた。
ブーンも後ろから続く。
相田は沈みかけた太陽を見上げながら、言う。

(・ω・ )「・・・流石兄弟から聞いておるよ、期待の新人だ、と」

( ^ω^)「流石兄弟? じゃ、十老頭暗殺の・・・?」

(・ω・ )「うむ、流石兄弟と同じく、ワシも十老頭暗殺チームの一人じゃ。弟者が言っておったぞ、『良い新人が入った』とな」

くるりと振り向き、自分の事の様に嬉しそうな笑みを浮かべて、相田は言った。
ブーンは、いまいち話の筋が読めなかった。
今の会話から、相田が『流石兄弟の仲間』と言う事は分かったが、その後の言葉がいまいち理解出来ない。

33 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 16:37:27.98 ID:W4w26fqU0
意を決して、ブーンは相田に問うた。

( ^ω^)「新人って、何の事かお?」

ブーンの言葉に、相田は大きく眼を見開いて驚いた。
その反応に不思議そうな顔をしてるブーンを見て軽く溜息を着いた後、こめかみに人差し指を当て、ウーンと唸る。

(・ω・ )「“ハンター”と言う職業が存在する事は分かるかの?そのハンターを統括しているのが“ハンター協会”じゃ」

そう言って再び、相田は歩き出す。
正直、ブーンにはハンターと言う職業が有る事すら分からなかったが、話の腰を折るのも何なので、とりあえず続きを聞く事にした。
案の定、相田は続きを語り始めた。

(・ω・ )「そのハンター協会の子会社的な組織“2ちゃんねる”にワシは属しておる。そして、お前も」

一瞬、何を言われているか分からなかったが、事態は随分と急な様だ。

( ^ω^)「・・・ちょwwwおまwwwwそんな組織に入った覚えなんてナスwww」

(・ω・ )「流石兄弟が勝手に登録したんじゃろ。とりあえず、そこは置いとけ」

そこがブーンにとっての重要なポイントだったのだが、まるでそんな事はどうでも良い様な口調で相田が言ったので、ブーンは黙り込んでしまった。


(・ω・ )「“2ちゃんねる”はいくつもの部隊で成り立っておってな。ワシ達の部隊は“ニュー速VIP”。主に、国家の要人などの依頼を実行が目的じゃ」

34 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 16:38:10.01 ID:W4w26fqU0
いつの間にか、アダルトゲーム市場からは抜けてしまった。
今歩いているのは、市内から外れた廃墟ビル街だった。
今にも崩れそうなビル達を横目に、相田は話を続ける。

(・ω・ )「とは言っても、一年に五、六回程度しか依頼が来ないのでな。依頼以外の時は気ままに世界を回っておるよ」

( ^ω^)「まさか、十老頭の暗殺も・・・」

(・ω・ )「うむ、ある国家からの依頼じゃ。そして、ワシ達七人が暗殺チームとして組まれた訳じゃ」

顔だけブーンの方へ向け、無邪気な笑顔を振りまく。言っている事とのギャップが、ブーンの恐怖心を煽った。
しかし、多少は話の分かりそうな青年では有った。
おずおずと、ブーンは相田に聞いてみた。

(;^ω^)「・・・参加しなきゃ、駄目かお?」

(・ω・ )「ここまで来たら、やるしかないぞよ」

少し考え込んだ後、相田は突き放す様に答えた。
ブーンは大きく肩を落とし、溜息も着いた。

それから、相田は全く口を開かなくなった。
廃墟ビル街をのんびりと歩くだけで、沈黙が続いた。
砂利を踏む音だけが響き、どうにも気まずいふいんき(なぜか変換できない)だった。

36 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 16:45:22.51 ID:W4w26fqU0
空気(何故か読めない)を変える為にも、自分から話題を振ってみる事にした。

(;^ω^)「そういえば、何でブーンが居る事が分かったんだお? ちゃんと“絶”をしていた筈だお」

「お主の“絶”は見事じゃったぞ。しかし“円”を使えば、その問題は無くなる」

( ^ω^)「円・・・?」

相田の説明は、随分と丁寧だった。

“円”とは“纏”と“練”の応用技。
一般に自分の体を中心にオーラを半径2m以上広げ、1分以上維持するものを言うらしい。
円の幅は個人の技量によるが、オーラの中へ入った物などは瞬時に察知できる、と言う技術らしい。

(・ω・ )「と、まぁ他にも“凝”や“隠”、“硬”などの応用技はあるがの」

(;^ω^)「・・・そんな技、流石兄弟には教えて貰わなかったお」

(・ω・ )「応用技は基礎をしっかりしてから学んだ方が良いからの。それに、教える必要も無かったのかもしれん」

意味深な言い口だったが、これは続きを話してくれるだろうと思い、ブーンは黙った。
しかし、そこで会話は終了してしまった。
また、沈黙。どうにも話が続かない。

( ^ω^)「ところで、何で相田さんはここに居たんだお?」

(・ω・ )「あるゲームを探しとってな。何でも、世界一危険なゲームだとか」

( ^ω^)「世界一、危険なゲーム?」

37 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 16:47:59.57 ID:W4w26fqU0

(・ω・ )「もしかしたらああいう場所にあるのでは、とも思ったんじゃが、やはり無いのぉ」

そうは言っていたが、どうみてもエロゲ物色に来ているとしか見えません。
本当にありがとうございました。


(・ω・ )「何でも、ゲームの中に入ってプレイするらしい。ゲーム内で死ねば、それがそのまま現実での死に繋がるとか」

そんなゲームが有る訳ない、と考えたが相田の言い方はまるで嘘をついている様な感じではなかった。
むしろ、今までの会話よりも真剣な口調で話していた。

(・ω・ )「まぁ、いくつかオークションで競りに出されるらしいのじゃが。どうにも、資金不足での」

自嘲気味に微笑む相田の背には、夕日が沈みかけていた。
もうすぐ、夜がやってくる。

(・ω・ )「さて、そろそろ時間じゃの」

(;^ω^)「・・・」

(・ω・ )「そんなに緊張するな。言われた事をやれば良い」

62 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 19:50:47.28 ID:W4w26fqU0
辺りは真っ暗だったが街の明りの所為で、昼と変わらぬ程の明るさとなっていた。
ビル郡の中で、一際大きなビルである“セメタリービル”
大柄な男達が入り混じる中、ビルの入り口に黒尽くめの男女の集団が有った。

(*゜ー゜)「あっ、来た来た」

('A`)「相田の爺と一緒に居るのが、協力者か」

( ´_ゝ`)「そうだ。あれでなかなかの腕だぞ」

(´<_` )「発展途上だがな」

(´・ω・`)「うん、なかなかのオーラだね」

<ヽ`∀´>「あいつとはまだ決着が着いてないニダ! 謝罪と賠償を請求するニダ!」

黒スーツを着込んだ五人は、のんびり歩いてくる二人の男を見ていた。

( ^ω^)「何で、皆は正装なんだお?」

(・ω・ )「こういう場所はの、身なりがしっかりしておらんといけないのじゃ」

六人の集団に、二人が加わる。
ブーンが軽く会釈すると、次々と握手を求められた。

(´・ω・`)「やぁ、君がブーン君か。話は聞いているよ、宜しく」

('A`)「ま、よろしくな」

(*゜ー゜)「ふふ、頑張ってね」

63 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 19:52:08.42 ID:W4w26fqU0
一頻りの自己紹介を終えた所で、流石兄弟が相田を咎めた。

( ´_ゝ`)「待ち合わせ時間のギリギリだぞ」

(・ω・ )「固い事は言わんでくれ。間に合っただけ良いと思わんか」

どうやら、相田は時間にルーズな性格らしい。
物腰が柔らかいイメージは有ったが、どうやら『だらしない』だけらしい。

(・ω・ )「さて、今日の動きを話しておこうかの。とりあえず、今日は偵察だけで良い」

<ヽ`∀´>「今日の内に一気に依頼を達成すれば良いニダ! 今日やるニダ!」

(・ω・ )「幻影旅団が来る、と言えば分かって貰えるじゃろうか」

<ヽ`∀´>「ニダ!?」

二ダーはあからさまに驚く。
それ以外のメンバーは、別段驚いている様には見えない。
ブーンには『幻影旅団』と言うワードを聞いても、何の事か分からないだけだったが。

64 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 19:52:22.99 ID:W4w26fqU0
(*゜ー゜)「理想としては、旅団が来て騒ぎ始めた所を急襲したいと思ってるのよね」

(・ω・ )「恐らく、この三日間内に何か動きがある筈じゃ。その時を狙いたいのじゃよ」

('A`)「何と言うか・・・人任せな作戦だな」

(´・ω・`)「ま、どんな形であれ達成すれば問題無いよ。それじゃ、三人の2チームに分かれよう。一つは中、もう一つは外で」

ショホ゛ンは全員分の通信機を取り出した。

( ^ω^)「これで連絡を取り合うのかお?」

(´・ω・`)「うん、そうだね。何か有ったら素早く連絡する事」

(´<_` )「とりあえず、俺の能力はオークション終了時まで発動していればいいな」

(*゜ー゜)「そうね、大変だと思うけど。頑張って」

弟者は、手からノートパソコンを出現させる。
キーボードをカタカタと叩き始め、何やら集中している。

(・ω・ )「それでは、ジャンケンと行くかの。グーとパーだけじゃよ」

72 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 20:40:59.01 ID:W4w26fqU0

(´・ω・`)「寒いねぇ」

( ^ω^)「外組は辛いお・・・」

('A`)「・・・何で男だけになるんだ」

( ´_ゝ`)「ドクオ、お前の所為だ」

ワイワイと騒ぐ街の中を、黒服の四人組が歩いていた。
中組はニダー、相田、しぃ、弟者になっている。

街中を練り歩く訳にも行かないので、セメタリービルを中心とした数kmの偵察だった。
四人は店で食べ物を買い、偵察とは名ばかりで、フラフラと歩いているだけだった。

('A`)「兄者、お前の能力で外組を作れば良いんじゃなかったのか?」

( ´_ゝ`)「俺の能力で見張りにさせるには、余りにも短時間で止まってしまうからな」

(´・ω・`)「ブーン君、おでん食べるかい?」

( ^ω^)「あ、頂きますお」

('A`)「おでんって何だ?」

( ´_ゝ`)「極東の島国の伝統的料理だ。起源は(ry」

そして、そのまま三十分ほどが過ぎた。
夜の都会と言うのも、意外と良い物だった。
見上げると星空。その下には、街の光が照らしていた。

73 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 20:50:25.63 ID:W4w26fqU0

特に変化無し。通信機も全く意味を成さず、眠気すら襲ってくるほどだった。

( ^ω^)「そろそろ、戻りますかお?」

('A`)「うーん・・・そうしたいのは山々だけど、相田の爺から連絡が入るまで見張り続けないと駄目なんだ」

(´・ω・`)「あ、気球」

( ´_ゝ`)「お、珍しいな。何処だ?」

ショボンが指差すと、確かに気球が街に浮かんでいた。
喉かな町の昼間に浮かぶならまだしも、夜の都会に不気味に浮かんでいると、不信感を持つのは当然だった。
十人ほどの男女が乗っている事は分かったが、

( ´_ゝ`)「どうする、相田に連絡するか?」

('A`)「別に良いだろ。旅団が気球で移動している訳でも無いんだし」

と、言った瞬間。
全員の通信機が一斉に鳴り響いた。


79 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 21:31:26.08 ID:W4w26fqU0
全員、通信機を耳に当てる。

( ^ω^)「何だお?」

(・ω・ )「もしもし、相田じゃ」

相田の声は、全員に送られている様だ。

( ´_ゝ`)「こちらは変化無いが、そちらは?」

(・ω・ )「地下競売会場に、旅団が現れたかもしれん」

ブーンを除いた三人に、戦慄が走る。
何故それ程緊張するのか、まだブーンには分からなかった。

('A`)「・・・かもしれん? 何故、ハッキリしない」

(・ω・ )「弟者のパソコンによると、地下で大量の人が死んだ事が確認された。その時、強大なオーラを持つ三人組が現れている」

( ´_ゝ`)「で、今はその三人組の位置は?」

(・ω・ )「街の上空を飛んでおる。マフィア間の情報だと、不審な気球を目撃したらしい。恐らく、それに乗っておる筈じゃ」

相田の言葉の後、四人は上を見る。
丁度、四人の真上を気球が緩やかに飛んでいる。

86 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/16(日) 22:21:07.23 ID:W4w26fqU0
(・ω・ )「隠獣も動いているらしいからの。この機に乗じて暗殺と行きたいのじゃが・・・」

( ´_ゝ`)「どうした? 何か問題でも?」

(・ω・ )「十老頭の姿が見えんのじゃ。どうやら、まだ此処に居ないらしい」

相田の声の後ろで、ドスの効いた声が入り混じっている。
どうやら、会場はかなり混乱している様だ。絶好のチャンスだが、標的が居ない。

(・ω・ )「誠に不本意ながら、依頼の実行は不可能そうじゃ。一応、もう少し捜索してみるがの」

( ´_ゝ`)「分かった。何か有ったら、連絡してくれ」

そこで、相田からの通信は切れた。気球は荒野の方向へと飛んでいる。
四人はお互いに眼を合わせ、ニヤリと笑った。


('A`)ノ「へい、タクシー」

タクシーを拾い、気球が飛んだ方向へと向かわせた。