161 :(;'゜;ё;゜`;)<生肉 :2006/06/30(金) 12:53:23.19 ID:DIUIDPdzO
某スレで投下中のものでしたが、諸事情により省略された部分です。
(本編とは 全 く 関係ない仕様にしております)

>>95から

( ゜∀゜)「お、やっと来たか。」

新宿『マナ&カナ』。古びた雑居ビルの中にあるその雀荘の片隅に、内藤らはいた。
一度は誘いを断った内藤だったのだが、ジョルジュの懇願に“次の休日でよければ”と、しぶしぶ了承したのだ。
その日は奇しくも入学一日前ということもあり、“記念”と称した麻雀大会が今開催された。

( ゜∀゜)「始めはびっくりしたぜ。まさかお前がギャンブルするなんて。」
('A`)「だよな。コイツほど賭け事が似合わない奴もそうそういないぜ。」

元来真面目な性格の彼である。二人の言い分も分からなくはないだろう。
だが意外なことに、内藤はギャンブルに対してそれほど嫌悪感を持ってはいなかった。
良い意味でも、悪い意味でも。

(´・ω・`)「まあいいじゃないか。で、起親はどうするんだい?」
( ^ω^)「仮仮でおk。」
( ゜∀゜)「レートは?」
(´・ω・`)「お好きに。ま、ほどほどにね。」
('A`)「じゃあ、記念ってことで1000点50円でいいか。」
(;゜∀゜)「高えな……OK、把握。そのかわりチップはなしな。」
( ^ω^)('A`)(´・ω・`)「把握した。」



162 :(;'゜;ё;゜`;)<生肉/没稿:2006/06/30(金) 12:55:16.21 ID:DIUIDPdzO

東家 内藤ホライゾン
南家 ジョルジュ長岡
西家 ドクオ
北家 ショボン

普段なら人で溢れるそこは、平日の昼間ということも手伝ってか内藤ら4人だけとなっていた。
カラカラとサイコロの音だけが響き渡る。
“大金”がかかっているとだけあって、皆妙に真剣な顔つきをしている。

( ^ω^)「4だお。うはーヨン様ktkrwww」
(´・ω・`)「ぶち殺すよ」

親の内藤が再び賽を振る。
出目は「7」。対面のジョルジュが素早くドラをめくり、内藤が配牌を取り始める。
ドラは「中」。皆が配牌を取り終えると、内藤は静かに牌を捨て、曲げた。

163 :(;'゜;ё;゜`;)<生肉 :2006/06/30(金) 13:00:58.93 ID:DIUIDPdzO
(´・ω・`)「ほう、いきなりドラを切るとは。君は麻雀というものを知っているのかな」
( ^ω^)「フヒヒヒwwwリーチだお。」
(´・ω・`)「なんだと!?」

昔から悪運だけは強かった彼。それは今となっても少しも衰えた様子はない。
あらゆる空気や緊張感を無視し、内藤は豪快に牌を叩き付けた。

( ^ω^)「ツモ!」

一一一二三(123)12233 ツモ 1

( ^ω^)「ダブリー即ツモった平和純全帯三色一盃口バンバン…」

指が12本折れたところで裏ドラをめくると、当然のようにして九萬が姿を見せた。

( ^ω^)「裏3ktkr!数え役満はなしだけど12000持って集合!」
('A`)「オヤジクセェwww」

165 :(;'゜;ё;゜`;)<生肉 :2006/06/30(金) 13:03:47.77 ID:DIUIDPdzO

【(;'゜;ё;゜`;)】よくわかる麻雀講座【(;'゜;ё;゜`;)】

ダブリー:誰もポンとかチーとかをしていない一順目のリーチ。オスイチチャンス目。

ツモ:ポンとかチーとかをせずに、自分で持ってきた牌であがること。スロでもおなじみの用語である。

平和(ピンフ):役牌を使わず、全ての組み合わせが数の並びであるもの。メイン小役。
一盃口(イーペイコ):全く同じ組み合わせの数並び×2。スロで言えば、スイカ相当の小役。

純全帯(ジュンチャン):全ての組み合わせに「1」または「9」が絡んでいるもの。高確チャンス目的役割。

三色(サンショク):マンズ、ピンズ、ソウズで、同じ数の並びを作ったもの。この場合内藤の手は「123」の三色になる。

裏3:おまけみたいなもの。5号機でいうところのビジ後につくRT。


注)スロ板仕様に書いてあります。

167 :(;'゜;ё;゜`;)<生肉 :2006/06/30(金) 13:07:48.05 ID:DIUIDPdzO
卓の右端、所謂副落牌を晒す場所に100点棒を置くと、親の内藤が再び賽を振る。出目は「7」。

( ^ω^)「一本場だお」

少し前と変わらぬ場所から配牌を取る。
めくられたドラ表示牌は、神の悪戯か「發」。

だが皆の、そして自分の“期待”を素晴らしく裏切り、内藤の第一打は8索であった。
この局は特に見せ場もなく、敢えて言うならジョルジュの誤カンといったところか。
結局この局はドクオとショボンの二人聴牌で流局を迎えた。

続く東二局二本場、ドクオのダマテン3900にジョルジュがぶっ刺さり、僅か4順で終局。
東場後半戦を迎える。
この時誰もが、内藤の断トツで終わるだろうと思っていただろう。
だが、ショボンの発言により、場は再び沸騰する。

170 :(;'゜;ё;゜`;)<生肉 :2006/06/30(金) 13:14:51.39 ID:DIUIDPdzO
(´・ω・`)「全員差しビンタだ。500円。文句がある奴は表へ出ろ。」
('A`)「…面白い。やってやろうじゃねえか。で、ジョルジュはどうすんだ?ま、聞く間でもねえか。あの顔は本気だぜ。」
( ^ω^)「ちょwww志村〜!点差!点差!」
(´・ω・`)「おや、何か問題があるのかい?それに“やってみなきゃわからない”、いつも君が言ってるセリフだよ。」
('A`)「で、受けるのか、受けないのか。ま、チキンじゃしょうがねえか。」
( ^ω^)「…そこまで言われて黙ってるわけにはいかんお。この勝負、受けるお。」

こういうとき、若者はノリがいいものだ。誰かが突拍子もないことを言い出すと、皆それに追従する。
今回、その火付け役をショボンが買って出た。あとの二人はそれに雷同したに過ぎない。
だが発言は取り消すことはできない。それを知ってか知らずか、いつの間にか全員の顔つきが強張っている。
ただ一人、内藤を除いて。


171 :(;'゜;ё;゜`;)<生肉 :2006/06/30(金) 13:18:28.67 ID:DIUIDPdzO
東三局

自らを勢いに乗せることに成功したジョルジュから早いリーチがかかる。

('A`)「ん。それは鳴いとくか。ポン。」
長岡「お、一発消しか?不調者の鳴きは何とやらって言うもんだぜ?」
('A`)「どっちが不調者かはまだわかんねえぞ」
長岡「お、強気に出たな。だが悪いな、ツモったぜ。1000、2000。東ラスだな。」
( ^ω^)「グヒョヒェwwwそんな安手じゃあ痛くも痒くもないおwww」
(´・ω・`)「何とでも言うといいさ。僕の親番だね。」



190 :(;'゜;ё;゜`;):2006/06/30(金) 15:18:30.81 ID:DIUIDPdzO
続く東四局

六順目、まだ河が二段目にも達していない中、内藤からリーチがかかる。
ジョルジュがこれをポン。


( ^ω^)「一発消しかお?不調者の鳴きは何とやらって言うだぜ?」
長岡「だがそれがいいってこともあるぜ」

この鳴きをして、ジョルジュが切った牌はドラだ。聴牌は間違いないだろう。
まあ、いいとこタンヤオ赤赤ってところだろうが。

('A`)「カン。…モロ乗りだな、リーチ。」

だが問題はドクオだ。ドクオは今したカンでドラ4、つまりマンガンが確定した。

(;^ω^)(ヤバイお…勢いでリーチしたはいいけど糞待ちだお。でも……負ける気がしないお)

こうなってしまうと完全に運否天賦だ。実力もへったくれもない。ヒキ勝負。

('A`)(俺の完璧な読みが外れるわけがねえ…次でツモってやる。)

どちらの運が上回るか。それだけである。

長岡(あのドラが通った以上間違いねえ。勝つのは俺だ。)

それぞれの思惑が交錯する中――


「ツモ」

194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 16:27:13.97 ID:DIUIDPdzO
(´・ω・`)「ツモのみ…500オール。一本場だね。」
長岡「なっ…」

意外なことに、あがったのは親のショボンだった。
500オールと安手ではあるが、リーチ棒を含めて3500点の収入である。

さも悔しそうに手牌を崩す長岡を尻目に、ショボンは静かに洗牌スイッチを押した。


同一本場

('A`)「リーチ!」

7順目、ドクオが赤五萬を切ってリーチをかける。
だがそのとき、実は内藤も好形の一向聴であった。

( ^ω^)(三色が確定する8筒でも引ければ即リーなんだけど…どうするかお。)
(´・ω・`)「ブーン、君のツモ番だよ。」
( ^ω^)「お、スマンお。」

( ^ω^)(……これは…どうするお?)

ツモったのは5筒。三色にならない方を持って来てしまったが、一応は聴牌だ。
都合よく待ちがドクオの現物なことを利用してダマにするか、それとも駄目押しの即リーか。

( ^ω^)「(…行くかお。)追っかけリーチだお!」

内藤の選択は後者だった。流れに乗っている時にあがりに行かなくては、勝てる勝負を落としかねない――

現物の五萬を切り、リーチ。だが

237 :(;'゚;ё;゚`;)<生肉 :2006/06/30(金) 20:39:52.94 ID:DIUIDPdzO
( ゚∀゚)「出したな。リー棒はいらないぜ、そいつだ。」
(;^ω^)「!?」
( ゚∀゚)「七対子赤ドラドラ、8000は11000だな。」

見逃し――
刹那、状況を理屈出来ず頭が真っ白になってしまった内藤だったが、
気付いた時にはもう遅かった。さらに

(´・ω・`)「悪いね、こっちも当たりなんだ、それ。12000。」
( ゚ω゚)「………」

あまりにも、あまりにも無情な声。ダブロン。
この振り込みで、57000あった点棒は、ついに35000を割ることとなった。




238 :(;'゚;ё;゚`;)<生肉 :2006/06/30(金) 20:40:32.23 ID:DIUIDPdzO

――東場終了

内藤ホライゾン 34000
ジョルジュ長岡 18100
ドクオ     18900
ショボン    29000
供託:なし



239 :(;'゚;ё;゚`;)<生肉 :2006/06/30(金) 20:41:33.47 ID:DIUIDPdzO
【(;'゚;ё;゚`;)】よくわかる(ry

一向聴(イーシャンテン):あと一つ有効牌が来れば聴牌になる状態。前兆濃厚演出。

聴牌(テンパイ):次にあがり牌が来ればあがれる状態。ポバジン形式の高確率状態。

ダブロン:二人に対して同時に振り込んでしまうこと。かなり痛い。吉宗と番長でダブルTBTを食らうのに近い。

現物(ゲンブツ):特定の一人に対して、絶対にロンされない牌。
        今回内藤はドクオの現物を切ったのだが、他の二人に当たってしまった。

見逃し:あたり牌が出たにもかかわらず、意図的にそれをスルーする行為。



246 :<ヽ`∀´><生肉 :2006/06/30(金) 21:46:00.07 ID:DIUIDPdzO
(´・ω・`)「何を慌ててるんだい。まだ点棒は34000もあるじゃないか。さ、ブーンの親番だよ。」
(;^ω^)「そ…慌ててなんかないお。大丈夫だお。大丈夫……」
('A`)「賽は6か。さっさと配牌を取れ。」
( ^ω^)(大丈夫…まだ慌
てるような点差じゃない。)

南入。一挙23000点を失った内藤だが、まだ有利であることに変わりはない。
先ほどと比べれば、風前の灯火程度にしか感じられないが。

( ^ω^)「混全帯ドラ1・・・1000オールだお。」


7巡目。素早いフットワークで内藤が1000オールをツモあがる。
だが、それは“素早い”というよりかは“焦りすぎ”という表現がよく似合うもので、
苦労の割には報われない、到底理に適ってるとは言い難いものでしかなかった。


249 :<ヽ`∀´>ニダ:2006/06/30(金) 21:50:08.51 ID:DIUIDPdzO

(;^ω^)「一本場ですお」

次局、南一局一本場。
この局はどうやら皆手の進行が遅いようで、淡々と時だけが流れて行く。
10巡、11巡。誰も動かない。動かないのか、はたまた動けないのか。
12巡。河が三段目に入る。まだ焦りは見えない。しかし13巡目、内藤からリーチが入った。
ガラス張りのリーチが。

(´・ω・`)(あーあ、あんな見え見えの捨て牌で……)
('A`)(随分とナメた真似を…待ちは3-6筒か、或いは――)
( ゚∀゚)(四-七萬か。一萬まで伸びてる可能性もあるな。ま、いずれにせよベタ降りだな)
(´・ω・`)(まあ・・・このままだとツモられるのは間違いないね。4000オールぐらいならいいけど・・・)
( ゚∀゚)(あの捨て牌だ・・・6000オールは下らないだろうな。痛い出費だ・・・)

そのとき、ドクオの脳裏にある閃光が走った。
この非常事態を回避しうる、たったひとつの冴えたやり方が。

('A`)(・・・待てよ、捨て牌を見る限り、4筒はショボンが2枚、そして俺が1枚)
('A`)(残りの1枚を内藤が捨ててるってことは3-6筒は否定だよな。)
('A`)(…ショボンもこれはわかってるはず。なら……)


250 :<ヽ`∀´><生肉 :2006/06/30(金) 21:52:27.94 ID:DIUIDPdzO
15巡目、もう流局間際のこの時、ドクオに聴牌が入った。
待ちは“3筒”。わざとらしく2筒を強打し、ショボンを一瞥する。

(´・ω・`)(…なるほど。七対子ね。待ちは3筒か四萬七萬のどちらかか。ま、間違いなく……)

このドクオの意思を汲んだショボンは、手牌から3筒を抜き打った。

('A`)「ロン。1600は3100。」
(´・ω・`)「ま、それしかないよね。犠打犠打。」
(;^ω^)「くっ…四七萬はどこに行ったお……」

内藤が卓を叩くと、山が崩れ、出て来たのは“それ”の塊。

(;^ω^)「うあ…次で高目8000オールだったお……ちくしょう……」
( ゚∀゚)「死んだ子供の年を(ry」
('A`)「はいはいてんぱいてんぱい」




257 :(;'゚;ё;゚`;)<生肉 :2006/06/30(金) 22:50:38.67 ID:DIUIDPdzO

(;^ω^)(ヤバイお…なんとかしないと…)

彼は困惑していた。いくら1000点50円とは言え、断トツからラスまで転落すれば、
出入り5000円以上の差がつくことになる。
さらに今回、調子に乗ってビンタを受けたのがまずかった。
下手をすれば上下10000円は変わってくる。そしてこれは、二日分の給料に相当する。
失うのは痛い。痛過ぎる。

だが手牌は張り付いたように動かない。もう三人は聴牌か、悪くてもシャンテン気配が濃厚なのに、だ。
おまけに、中途半端な模打をしたのが災いし、安牌候補すら確保できていない。
まあ今回の場合、その必要すらなかったのだが。


( ゚∀゚)「4000オール。だいぶ近付いてきたな。よし、行くぜ。」


258 :(;'゚;ё;゚`;)<生肉 :2006/06/30(金) 22:51:43.26 ID:DIUIDPdzO
背後がざわざわしだしたような気がする。それに何故だか第九まで聞こえて来る。不思議だ。

(;^ω^)(そうか、そういうことか、リリン)

神は僕を見捨てたのだ。だから今、このような窮地に陥っているのだ。
そうだ。そうに違いない。もしも、もしも神に。

もし神に慈悲の心があるなら――








( ^ω^)(この局で…必ず手が入るはずだお。)






続く