22 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:21:05.96 ID:ZcTv2qF+0
( ^ω^)「・・・それじゃ、何かお
          クーは僕を否定するのかお?」

川 ゜ -゜)「そ、そんなことを言ったつもりは!
          ただ・・・それでは・・・・・・」

( ^ω^)「他人のクーが僕個人の問題に
          干渉し過ぎだと思うお、正直困るお」

川 ゜ -゜)「なっ・・・確かに、この件については私が原因だ
          しかし内藤、君の発言には許せないものがある!」
( ^ω^)「失言は無いお」

川 ゜ -゜)「・・・・・・・・・」

( ^ω^)「・・・・・・・・・」



そしてクーはくるり、と僕に背を向け走り去った
一瞬彼女の顔が見えた
頬には涙が流れていて、いつもクールな彼女の顔がくしゃくしゃになっていた

何故だか酷い罪悪感に襲われた


23 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:22:25.67 ID:ZcTv2qF+0
――一時間前

静かな僕の部屋に、単調な音が響く
電話が来ているようだ
どうやら僕はそれに起こされたらしい

相手は―――クーだ
時計を見ると9時過ぎ、何の用だろうか
( ^ω^)「はいはい、なんだお?」

川 ゜ -゜)「夜分にすまないな
          無理に、とは言わないが・・・その」

( ^ω^)「お?」

川 ゜ -゜)「今、内藤の家の近くなんだが
          散歩にでも行かないか?」

突然の不可解な誘いに僕は戸惑ったが

( ^ω^)「別にいいお」


24 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:23:40.62 ID:ZcTv2qF+0
玄関のドアを開けると既にクーはいた

( ^ω^)「少し歩くだけだお?」

川 ゜ -゜)「あぁ、少々話したいことがあってな」

二人で近所を歩き始めた
何てことの無い、ただの会話だったが僕にはそれが幸せに感じた

川 ゜ -゜)「・・・なぁ」

会話の弾んだところで、一拍置いて彼女が話しかけてくる

真剣な眼差しだ

( ^ω^)「な、なんだお?」

急に真面目な顔になったので、僕の顔も強張ってしまう

川 ゜ -゜)「最近、内藤の様子が変だと思ってな
          私でよければ話してくれないか?」

( ^ω^)「・・・・・・・・・」

26 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:24:32.33 ID:ZcTv2qF+0
彼女は今、僕の内部を知ろうとしてる

消したい過去を、掘り起こそうとしてる


偉そうに、他人の事情にまで首を突っ込もうと言うのか、この女は


( ^ω^)「別に何も無いお」

川 ゜ -゜)「そんなことないだろう?
          現に今日だって急いで帰っていたし・・・」

何も無いって言ってるのに・・・
偽善者め――

( ^ω^)「たまたま今日は一人で帰りたかっただけだお」

川 ゜ -゜)「それなら今までそう言ってくれてたじゃないか
          他言はしない、こちらとしても悩みがあ

( ^ω^)「しつこいお!」

僕は彼女がうざったくなり
声を張り上げた


27 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:25:22.35 ID:ZcTv2qF+0
川 ゜ -゜)「別にそんな気は・・・」

( ^ω^)「思い出したくないんだお!」

川 ゜ -゜)「いつまでも、そうやって
          閉じ込めておくから苦しいんじゃないのか?」

( ^ω^)「僕にはそうすることしか出来ないんだお!!」

川 ゜ -゜)「余程の悩みがあるなら尚更、
          いつまでもそうやって蹲っていてもしょうがないだろう」

( ^ω^)「・・・・・・・・・」

( ^ω^)「クーは・・・」

川 ゜ -゜)「何だ?」


お前は――

( ^ω^)「本当の孤独ってものを知ってるかお?」

29 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:26:22.86 ID:ZcTv2qF+0
川 ゜ -゜)「え・・・?」

戸惑っているような、
ただ意味が理解できていないような顔をしている

( ^ω^)「知らなくていいお
          寧ろ世の中には知らない人のほうが多いお」

( ^ω^)「知りもしない君に、
          僕を知ろうという方が間違いだお」

初めて彼女が黙った
僕はあくまで冷静に、話を続けようとしていた

川 ゜ -゜)「・・・・・・・・・」

川 ゜ -゜)「・・・ならば、直のことだ
          苦しいのだろう?そんなものに縛られながら生き続けるのは」


30 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:27:39.39 ID:ZcTv2qF+0
川 ゜ -゜)「大体、そんな暗い考え方
          君らしくもないじゃないか」

しかし彼女は引き下がらず、
そして僕を、僕と言う存在全てを把握しているかのように話す

彼女は僕の全てを知っている、例えばそう仮定しよう
その上で、彼女はそれが僕らしくないと言う
何故だか、それが許せなかった

( ^ω^)「・・・・・・・・・」

川 ゜ -゜)「君には私が

( ^ω^)「クー」

川 ゜ -゜)「な、何だ?」

( ^ω^)「・・・それじゃ、何かお
          クーは僕を否定するのかお?」


31 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:29:05.13 ID:ZcTv2qF+0



再び家に戻り、シャワーを浴びてベッドの上に寝転んだ
いつもの日課で、一日を振り返る
が、考えることなど他にない

先ほどのことだ

何をやってるんだ、僕は――



彼女に当たってどうしようというのか
彼女はただ、僕のことを心配してくれて――

だめだ、どう考えても僕が悪い
今日はもう時間も遅い、明日は土曜だから電話でも掛けて謝ろう


直接謝れない自分の臆病さが情けなかった

33 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:30:15.26 ID:ZcTv2qF+0
そういえば、彼女の言っていた
許せないところ、とはどこだったのだろうか
というか、僕は何を言ったっけ?


電話を掛けたがクーは出なかった
時間を空けて、もう一度掛けるが出る気配は無い


ドクンッと鼓動が大きくなるのを感じた
嫌な感じはしない
これはただ、単純に



―――恐怖感

忘れられないなどと嘆きつつも、僕は都合よく忘れていたらしい
あれだけの恐怖を、孤立感を味わっておきながら

そうだ、彼らのおかげだったんだ
そんなことすら忘れていた
僕を救ってくれた、クーとモララー

もう独りは嫌だ


その日、クーは一度も電話には出てくれなかった

35 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:31:19.05 ID:ZcTv2qF+0
会って話をする

情けないけど、それが今日の目標だ
こんなことなら昨日のうちに謝っておけばよかった
一日空いて余計に会いに行きづらい

それでも今日は許してくれるまで帰らないぞ、と心の中で呟き自転車を跨ぐ
でも帰れといわれたら帰るつもりだ


クーの家の前に着いた
門がとても大きな壁に見えてしまう
覚悟は出来てるんだ、いつでも出て来

川 ゜ -゜)「あれ、内藤?」

( ^ω^)「おお!?」


後ろから彼女に呼ばれた


36 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:32:30.56 ID:ZcTv2qF+0
彼女は大声を上げて笑っていた
おかしい、こんな筈では――

僕は彼女に謝り、許してほしいと頼んだのだ
すると彼女は笑いをこらえながら申し訳なさそうにして僕に話し始めた

川 ゜ -゜)「携帯を落としてしまっていてな
          交番に取りに行ってたんだ」

クーはいつまでも笑っていた
一見嬉しそうにも見える
僕は、ただただ恥ずかしかった

川 ゜ -゜)「大体、君からの電話を
          無視する筈が無いだろう?」

( ^ω^)「何にしても、許してもらえて良かったお」

川 ゜ -゜)「あぁ、大丈夫だ
          元より私は怒ってなどいない」

( ^ω^)「お?」


37 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:33:27.89 ID:ZcTv2qF+0
川 ゜ -゜)「誰にでも、言いたくないことはある
          それを無理に聞こうとした私が悪い」

川 ゜ -゜)「寧ろ、私の方こそすまなかった」

( ^ω^)「それは別にいいんだお
          それよりも、一つ気になっていたことがあったお」

川 ゜ -゜)「なんだ?」

( ^ω^)「その・・・前に言ってた
          僕の発言の中に許せないものがあるって」

( ^ω^)「正直な話、勢いで言ってたから
          自分が何言ってたのかよく覚えてないんだお」

川 ゜ -゜)「それか」

クーが顔を少し赤らめた
そして深呼吸をし、真剣なまなざしで僕に言う

川 ゜ -゜)「私を、他人と言わないでほしい」


38 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:34:31.34 ID:ZcTv2qF+0
( ^ω^)「・・・・・・・・・」

( ^ω^)「・・・・・・お?」

あれ、それはどういう―――

川 ゜ -゜)「・・・・・・・・・」

クーは真剣な眼差しで僕を見つめていた


今のは告白か?
まさか、それはないだろう
無愛想だけど、顔は良くスタイルも良いから
学校でも人気なクーが僕に対してそれはな

川 ゜ -゜)「私と付き合ってほしい」

クーが僕に対して

川 ゜ -゜)「どうだろうか?」

それは・・・

( ^ω^)「・・・・・・僕は」


39 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:36:02.06 ID:ZcTv2qF+0
( ^ω^)「僕は」

汗が額から流れる



どう答えればいい

何が最善だ

僕の意志はどうだ

彼女に不満は無い、寧ろ喜んで受けるべきだろう



いや、ダメだ

僕はきっと、彼女を不幸にするだろう

きっと、ではない、必ずだ

だから、僕は―――


40 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:37:25.98 ID:ZcTv2qF+0
( ^ω^)「僕は、クーとは付き合えないお」

僕は言った
これで少なからず、彼女と距離は空いてしまうだろう
それでも彼女を不幸にするよりは――

川 ゜ -゜)「・・・そ、そうか
          なら仕方ない、諦めよう」

彼女は笑顔で言った
いつもと何ら変わりない、不自然な笑顔と


それに涙が足されてた




川 ゜ -゜)「一つ、いいかな?」

( ^ω^)「・・・お」

川 ゜ -゜)「私のどこがダメだったんだろうか?」


41 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:38:18.84 ID:ZcTv2qF+0
川 ゜ -゜)「諦めるとは言っても
          そう簡単には諦めきれないんだ」

( ^ω^)「クーに不満があるわけじゃないお!」

川 ゜ -゜)「・・・?な、ならば・・・」

( ^ω^)「僕はクーのこと、好きだお」

嘘じゃない
嫌うべき点がない

川 ゜ -゜)「!!」

彼女は赤面した
僕も死にたいくらい恥ずかしい

( ^ω^)「でも、ダメなんだお」

川 ゜ -゜)「何故・・・?」




( ^ω^)「多分、僕はクーを殺すお」


42 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:39:36.27 ID:ZcTv2qF+0
沈黙


その場の空気が変わった
クーの表情は変わってはいなかったが、黙ってしまった
きっと混乱しているのだろう

僕はこれだけ伝えきると、帰るつもりだった
しかし

川 ゜ -゜)「なぁ、内藤」

( ^ω^)「何だお?」

僕はあくまで冷静に応答する
しかし、正直驚いていた
僕を仮にも好きな相手だとし、その相手に殺人予告をされて
普通、話しかけるだろうか

川 ゜ -゜)「君のこと、余計に知りたくなったよ
          今度は退かない、過去に何があったのか教えてほしい」

優しい笑みを浮かべていた
前とは違う、ただの好奇心ではなく
本当に僕を救ってくれそうな、そんな気がした

( ^ω^)「・・・・・・・・・」

( ^ω^)「いいお」


43 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:40:22.42 ID:ZcTv2qF+0
僕は彼女に全てを話した

全てだ


ギコのこと

しぃのこと

ショボのこと

荒巻のこと

ドクオのこと


そしてツンのこと





僕のこと――