5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 01:18:04.19 ID:b74yk7KH0
(;^ω^)「う・・・うぅ。ここは何処だお?」
ブーンが目を覚まし、立ち上がるとそこは見知らぬ光景だった。
ゴウン、ゴウンと聞こえる機会音。眼の前に広がる、ガラス越しからの景色。
それは、空が一面に広がっていた。
( ^ω^)「飛行船の中、かお?」
周りを見回すと、人が疎らに歩いていた。
随分と広いが、特に何か有ると言う訳では無い。
( ^ω^)「いつの間に飛行船なんて乗ったんだお?」
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 01:20:22.52 ID:b74yk7KH0
設置されていた双眼鏡で覗くと、ブーンの目に映ったのは塔。
雲を突き抜けるほど高い、高い塔。
( ^ω^)「(あ、あれは何だお? 東京タワー?)」
考えていると、子供の声。会話が聞こえてきた。
「あれが天空闘技場。地上251階。高さは991メートル。世界で四番目に(ry」
年は十二、十三歳位だろう。
塔を指しながら、銀髪の少年が得意気に語っていた。
( ^ω^)「(うはwwww説明厨ktkr! 丁度良いから、盗み聞きだお!)」
闘って勝てば賞金が貰え、更に上の階へ行ける。上に行けば行くほど、賞金は上がるシステムらしい。
かなり上まで行けば一回勝利するだけで“億”単位の金が貰えるらしい。
(;^ω^)「(闘技場だったのかお・・・でも、あんな塔。東京に無かったと思うお)」
ブーンは辺りを見回す、どうやら飛行船内の様だ。先程話していた少年は、何処かへ消えてしまったらしい。
やがて飛行船は塔に開いている大きな滑走路に入り、着陸した。
客は皆ゾロゾロと降りて行く。ブーンは少し迷ったが、人の波へ紛れた。
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 01:26:48.71 ID:b74yk7KH0
自動ドアが開くと、ブーンの視界には人込みが映った。
どれも筋肉質な男ばかり。
(;^ω^)「ウホッ。良いおt・・・ブーンは異性愛者だから関係無いお・・・。あの受付の人に、色々と聞いてみるお」
受付「はい、ようこそ天空闘技場へ」
(;^ω^)「ここは一体、東京のどk」
受付「そうですか、登録ですか。ではこちらに必要事項を記入して下さい」
そう言われて、紙とペンを貰う。ブーンは何か言おうとしたが、後ろで順番待ちしている視線が気になる。
( ^ω^)「(とりあえず書いてから話を聞いてもらうお)」
(;^ω^)「(名前、生年月日・・・・闘技場経験の有無?格闘技経験?さすが闘技場、なかなか凝ったアンケートだお)」
サラサラと名前、生年月日を書いていく。格闘技経験は『学生時代はずっと友達のサンドバッグでした』と書いておいた。
受付「はい、分かりました。次の方ー!」
( ^ω^)「あの、此処は一体どk」
いきなり、ブーンは後ろに居た大柄な男に突き飛ばされた。
(♯^ω^)「な、何するお!」
「受付終わったんならさっさとどきな、このチビ!」
( ;ω;)「・・・・・・・」
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 01:32:17.24 ID:b74yk7KH0
スタジアムに入ると、そこは歓声の嵐だった。
( ^ω^)「凄い歓声だお・・・。全く、本当に訳の分からない所だお」
歓声に紛れて、次々と番号がアナウンスされていく。
( ^ω^)「ブーンの番号は・・・まだ先みたいだお」
その瞬間、客席がどよめいた。
ブーンが視線を向けると、少年が自身の数倍もある男を、吹っ飛ばしていた。
少年は片手で軽く押し出した様に見えたが、当の男はまるでピンポン玉の様に飛んでいった。
(♯^ω^)「あんなの、絶対に有りえないお。きっとやらせに決まってるお!」
しばらくすると、また観客がどよめく。
今度は、銀髪の少年が手刀だけで相手を倒したらしい。
(;^ω^)「あ、あれもやらせに決まってるお」
「ナンバー4545番の方 リングHに上がってください」
(;^ω^)「ぶ、ブーンの番号だお・・・・!」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 01:40:20.90 ID:b74yk7KH0
「両者、リングへ」
呼ばれた二人は、歓声の中、リングへと上がる。
「ここは一階のリングです。入場者のレベルを判断します。制限時間三分で、持てる力を発揮するように」
(;^ω^)「(な、何か完全に闘う空気(何故か読めない)になってる様な気がするお・・・今からでも、事情を説明すれば)」
(^Д^)「三分なんていらねーよwwww十秒で片付けてやるwwwm9(^Д^)フ゜キ゛ャー」
(♯^ω^)「(・・・! こいつ、良く見るとブーンを苛めてたDQNにちょっと似てるお・・・・! それにあんな事言われて、黙って引き下がれないお!)」
「それでは両者・・・始めッ!」
ゴングが鳴り響く。
(^Д^)「ハンデだ、そっちから掛かって来ていいぜwwwwm9(^Д^)フ゜キ゛ャー」
(♯^ω^)「(なめやがって・・・これはかなりヒ゜キヒ゜キだお。いや、落ち着け。素数を数えて落ち着くお! 部屋の電気の紐で練習したジャブを思い出すんだお!)」
ブーンは一気にダッシュ。距離を縮めて、ジャブを打とうとする。
(^Д^)「この瞬間を待ってたぜwwwww喰らえwww俺のフ゜キ゛ャー拳を!」
(^Д^)はカウンター気味に、ブーンの右頬へ狙いすました右指の一撃を繰り出した。
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 01:44:04.39 ID:b74yk7KH0
ぷに。
( ^ω^)「・・・・・・?」
(^Д^)の一撃は、ブーンの頬を優しく突付いた。
(;^Д^)「・・・・・・・」
( ^ω^)「(こいつ・・・もしかして、弱い?)」
ブーンは、(^Д^)をジロリと睨む。
試合終了のゴングが鳴ったのは、それから直ぐだった。
「4545番。なかなか良い戦いだった」
( ^ω^)「(闘って人から誉められるのなんて、初めてだお。きっと、一気に50階に行けたりするお!)」
「君は十階へ行きなさい」
(;^ω^)「(・・・ちょっとショックだお)そうだ、賞金は?」
後で受付から封筒を渡された。妙に軽い事が気になったが、早速封を開けてみる。
小銭が数枚、掌に落ちる。
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 01:50:46.29 ID:b74yk7KH0
十階
( ^ω^)「一階は勝っても152ジェニーしか貰えないらしいお。ジェニーって単位が引っかかるけど、きっと東京の新しい通貨だお! 東京は凄いお!」
「ナンバー4545、リングCに上がってください」
前の戦いで随分と自信が着いたのか、やる気を漲らせてブーンはリングへ上がる。
( ^ω^)「(最初が肝心だお。いきなり睨みつけて、ビビらせてやるお!)」
と、キッと睨みつけるが、ブーンの視界には腹が映っていた。
呆然としながら顔を上へと持っていくと、いかにも凶暴そうな相手の顔が伺えた。
(;;^ω^)「・・・・・(これは大きすぎるお。マケボノもビックリだお)」
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 01:51:11.94 ID:b74yk7KH0
、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
/⌒` 三ミヽー-ヘ,_
__,{ ;;,, ミミ i ´Z,
ゝ ''〃//,,, ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡
_) 〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
>';;,, ノ丿川j !川|; :.`7ラ公 '>了
_く彡川f゛ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
):.:.:.:.:|.Y }: :! `二´/' ; |丶ニ ノノ
) :.: ト、リ: :!ヾ:、 丶 ; | ゛ イ:} 逆に考えるんだお
{ .:.: l {: : } ` ,.__(__,} /ノ
ヽ ! `'゛! ,.,,.`三'゛、,_ /´ 「相手が大きいのでは無く、自分が小さい」と
,/´{ ミ l /゛,:-…-〜、 ) |
,r{ \ ミ \ `' '≡≡' " ノ 考えるんだお
__ノ ヽ \ ヽ\ 彡 ,イ_
\ \ ヽ 丶. ノ!|ヽ`ヽ、
\ \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
\ `'ー-、 // /:.:.} `'ー、_
`、\ /⌒ヽ /!:.:.|
`、 \ /ヽLf___ハ/ {
′ / ! ヽ
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 01:51:30.83 ID:b74yk7KH0
( ^ω^)「・・・特に意味を成さなかったお」
その瞬間、ブーンの腹に重く、強烈な一撃が入った。
ブーンの体は簡単に吹っ飛び、勢い良く地に叩きつけられる。
(;^ω^)「くぁwせdrftgyふじこlp;」
そこで、ブーンの意識は途切れた。
「4609番の勝利・・・4545番? 4545番!! 誰か、誰か直に担架を!!」
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 01:59:32.54 ID:b74yk7KH0
医務室。
死者が出ても可笑しくない天空闘技場では、各階に一つずつ医務室が設備されていた。
「どうですか? 容態は?」
「思わしくはないな。アバラもかなりやられてるし、内臓も潰れかけてる。設備のある病院に連れて行かないと、命に関わる」
ベッドに横たわるブーンの耳には、自分の体についての会話が聞こえていた。
眼を閉じている為、医務室の人間はまだブーンが気を失っていると思っているらしい。
医務室に運ばれた直後に意識は戻ったが、体全体が鉛の様に重い。
起き上がろうとしても出来ず、結局は腹部の痛みを耐える事で精一杯だった。
「とにかく、飛行船の手配を」
「その必要は無いぞ」
突然ドアの開く音と共に、若い男の声。
ブーンが薄らと眼を開けると、部屋に二人の男が入ってきているのが見えた。
顔立ちも良く似ている。恐らく、兄弟だろう。
(´<_` )「ときに兄者。一般人の居る中で“念”を使うと言うのはマズイのではないか?
( ´_ゝ`)「心配するな、弟者。使った所でバレはしない」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:03:53.95 ID:b74yk7KH0
医務室の人間が呆然としている中、二人はツカツカとブーンのベッドへ近づく。
二人の姿は何処か人間の世界を逸しているかの様な風格を持っている、様な気がした。
そう、まるで何か“オーラ”を纏っているかの様な。
ブーンはピクリとも動けず、眼を見開いたまま二人を凝視していた。
( ´_ゝ`)「多少の素質は持ち合わせている様だな。弟者の予想通りか」
そう言って、兄者と呼ばれていた男はブーンの腹へ手を置いた。
( ^ω^)「・・・・・・・・!」
首だけを持ち上げ、その様子を見ていたブーンは絶句してしまった。
腹部の痛みが、まるで無くなっていく。
不思議な感覚に襲われつつ、数分。
男が手を離すと、先程とは違い、ブーンの体は信じられないほどに軽くなっていた。
( ´_ゝ`)「それでは、失礼する」
ドアの近くで待機していた弟と共に、兄者は去った。
ブーンは思わず、ベッドから飛び起きた。
「な、何と・・・!」
医者が信じられない、と言わんばかりの顔でブーンを見ていた。
だが当の本人はそれを無視し、ドアを乱暴に蹴飛ばし、彼ら二人を追った。
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:08:20.61 ID:b74yk7KH0
(´<_` )「ときに兄者。あの者は開放しなかったのか?」
( ´_ゝ`)「弟者よ。確かに、あの者はなかなかの素質だった。しかし、急いで開放する必要も無いだろう」
(´<_` )「いや、あのタイプは早熟だぞ。兄者。のんびりとやっていては、才能が枯れるかもしれん」
( ^ω^)「ま、待つお!」
駆けて来る音と共に、廊下に大声が響く。
二人が振り返ると、そこには手を膝に着き、苦しそうにゼェゼェと肩で息をしているブーンの姿が在った。
(;^ω^)「さ、さっき・・・ブーンに何をしたお!」
( ´_ゝ`)「ただの治療だ。体の方は、もういいのか?」
(;^ω^)「・・・も、もう痛みも無いお」
(´<_` )「なら、それでいいではないか。こちらは、礼の一つも言って貰いたい所なんだが」
そう言って、二人はまた歩き出してしまう。
ようやく息が整ってきたブーンは、先程よりも大声で、叫ぶ様に言った。
(♯^ω^)「訳も分からない力で治されても、礼なんて言えないお!」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:08:54.46 ID:b74yk7KH0
いい加減、鬱陶しそうに振り返った弟者を兄者が制す。
( ´_ゝ`)「訳の分からない力、とな?」
( ^ω^)「さっき言ってた・・・・“念”って言葉が引っかかるお。それと、何か関係があるのかお!?」
その言葉に、二人は内心驚き、そして感嘆した。
二人は何も言わなかった物の、沈黙こそが『肯定』と言っている様な事だった。
少しして、沈黙を弟者が破った。
(´<_` )「まさか、聞こえていたとは。迂闊だったのではないか、兄者」
( ´_ゝ`)「(更に、見た目と違って勘が良いと来ている。確かに、弟者の言う通りか)ああ。そうだな」
(♯^ω^)「答えて欲しいお!さっきの力は、そもそも、念って一体何だお!?」
二人の思惑を知ってか知らずか、ブーンは追及を続ける。
困った様な視線をお互いに向ける兄弟。
それをジッと睨み続ける、ブーン。
やがて、小さな溜息が漏れた。
( ´_ゝ`)「分かった。君の質問に答えよう」
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:12:56.75 ID:b74yk7KH0
( ´_ゝ`)「念とは・・・・弟者。パソコンを」
横に居た弟者は、いつの間に持っていたのだろうか、パソコンを取り出した。
パソコンの画面を、ブーンに見せる。
そこには『 燃 』と言う文字。そこから上下左右に『点』『発』『連』『舌』と映し出されている画面。
( ´_ゝ`)「まず、中央の『燃』。『燃』とは心を燃やす事。イコール、意思の強さの事だ。『燃』を修行する過程は四つ。それを“四大行”と呼ぶ。」
『燃』の上に有った『点』の文字が、赤く点灯する。
( ´_ゝ`)「『点』で心を一つに集中し、自分自身を見つめ、目標を定める」
続いて、『燃』の右側の『舌』の字が点灯する。
( ´_ゝ`)「『舌』で、『点』のときに頭に想い描いたことを、そのまま言葉にする」
次は、左の『錬』と言う文字が点灯。
( ´_ゝ`)「『錬』で気を練り、その想いを更に高める」
下の『発』の文字が点灯。
( ´_ゝ`)「『発』で実際に行動に映す。と、まぁこんな感じだ」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:13:36.63 ID:b74yk7KH0
(;^ω^)「・・・・・・・・?」
言葉で説明されても、ブーンには特に意味が分からなかった。
それを知ってか知らずか。
( ´_ゝ`)「論より証拠、と言うだろう。弟者」
(´<_` )「ときに兄者。何故俺がやらねばならないのだ」
( ´_ゝ`)「たまには出番を作ってやろうという、兄の思いやりだ」
面倒臭いだけだろう、とブツブツ呟きながら弟者はパソコンを閉じた。
( ´_ゝ`)「これから、弟者が実践して見せてやる。そうだな・・・。じゃ、とりあえずお前を殺してみよう」
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:18:58.12 ID:b74yk7KH0
ブーンは一瞬、意味が理解出来なかった。
しかし、眼を大きく見開いて
( ^ω^)「・・・こ、困るお! まだセクロスもしてない童貞なんだお!」
と、抗議の声を挙げた。
(´<_` )「大丈夫だ。実際に殺しはしない。ただ、過程を見せるだけだ」
そう言って、弟者は構える。いつの間にか、パソコンは何処かへ消えていた。
(´<_` )「点・・・・続いて、舌」
呆然としているブーンを尻目に、弟者は眼を瞑り、呟いていた。
(´<_` )「お前を」
一瞬、空気が止まる様な感覚。
(´<_` )「殺す」
(;;^ω^)「!!!!!!!!!!!!!!」
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:19:55.02 ID:b74yk7KH0
その瞬間。
衝撃がブーンを襲った。
心の底に、重トラックに正面衝突した様な、ナイフを突き刺された様な。
( ^ω^)「ウ、ウ・・・うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
叫びださずにはいられず、恐怖のあまり絶叫してしまう。
狭い廊下が、ブーンの叫び声で満たされる。
弟者が息を着くと、その感覚は消え失せた。
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:22:10.83 ID:b74yk7KH0
終わって尚、余韻が残る。
ブーンは思わず膝を着いてしまい、ガクガクと震えだす。
(´<_` )「簡単に言うと『お前を殺す』と言う思いを強くさせた。お前は、その殺気にビビッただけだ」
( ^ω^)「・・・・ハァ・・・はぁ・・・!!」
( ´_ゝ`)「これが『燃』だ。満足したか?」
ブーンは、答える事が出来なかった。
(´<_` )「その・・・・ブーン君。こんな時に悪いが、股間が濡れてるぞ」
それについてもブーンは答える事が出来なかった。
そのまま二人は行ってしまい、それからしばらくしてブーンは立ち上がった。
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:28:01.23 ID:b74yk7KH0
あれから塔を出た。
外は完全な夜となってしまった。
結局、152ジェニーしか持っていないブーンは、当然では有るが野宿を余技なくされた。
( ^ω^)「明日は、また一階からかお・・・。着替えも無いし、食べ物も無いお・・・」
振り返れば、高くそびえる塔。
いくつか明りが灯っている。選手達の部屋だろう。
自分を見下ろしているかのようで、惨めでもあった。
( ^ω^)「『燃』なんて、とんでもない物が存在していたのかお・・・。信じにくいけど、あれは本物っぽかったお・・・!」
思い返せば、今でも震えそうだった。フラッシュバックする、あの感覚。
あれは人間の域を超えている。ブーンは、そう直感した。
( ^ω^)「待つお。『燃』・・・ktkr!」
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:28:53.75 ID:b74yk7KH0
ブーンは見よう見まねで、弟者がやっていた様に構える。
( ^ω^)「意思を集中させるお・・・!」
自分の中に、思いを凝縮させる。
( ^ω^)「ブーンは」
一瞬、ブーンの周りの空気が止まった。気がした。
( ^ω^)「童貞を卒業できるお!!」
何も起こらない。
ブーンの大声が、闇に飲み込まれる。
(♯^ω^)「ブーンは、おにゃのことセクロスできるお!」
何も起こらない。
(;^ω^)「ブーンに、可愛い妹が出来るお!」
何も起こらない。
(;^ω^)「おかしいお・・・思う力を上げれば、何でも出来るんじゃないのかお?」
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:30:31.71 ID:b74yk7KH0
(´<_` )「ときに、何をしている」
(;^ω^)「な、アンタは・・・弟者!」
いつの間にか、目の前には弟者が立っていた。
全く人影も無かった。それ以前に、人の気配すら無かった筈だった。
(´<_` )「・・・・何も持っていないだろうと思ってな。兄者と俺からの差し入れだ」
そう言われ、バッグを投げ渡される。
中には、寝袋や着替え、少量の食料があった。
(;^ω^)「べ、別に泣いて無いお! 心の汗だおっ!」
またブーンは涙腺が緩くなり、涙ぐんでしまう。
眼をゴシゴシと擦る。
(´<_` )「それでは」
(;^ω^)「ちょ、ちょっと待つお!」
弟者は、振り返る。
その言葉を待っていた様に、弟者の反応は早かった。
(´<_` )「何だ?」
前と同じ感覚だった。恐怖心が、心の底から湧き上がる。
しかし、今回は堪える。
( ^ω^)「さっき言ってた“燃”は・・・嘘、だお?」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/08(土) 02:33:04.68 ID:b74yk7KH0
弟者は、突然大笑いを始めた。腹を抱え、涙目になりながら笑い続ける。
二人しか居ない夜の闇の中、笑い声だけが響くのは、いささか不気味だった。
ブーンは、突然恥ずかしくなった。
(♯^ω^)「な、何が可笑しいんだお!」
(´<_` )「い、いや。すまん。まさか、そう言うとは思っていなくてな」
一回、弟者は大きく深呼吸をする。
そして、真剣な眼差しで内藤を見据える。
(´<_` )「何処からが、燃について嘘だと思う」
( ^ω^)「断言は出来ないお・・・でも、多分“燃”自体が嘘だと思うお」
(´<_` )「何故、そう思う?」
(♯^ω^)「燃についての実験をしてみたお。でも、何も成果は無かったお。それに、それだけじゃブーンの治療について説明が着かないお!」
それを聞いて、弟者は唸る。何となく、嬉しそうに見えた。
(´<_` )「よし、良いだろう。着いて来い。真実を教えてやろう」