10 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 15:23:06.47 ID:SQlHMclA0
∞「へ〜最近姿を見ないと思ったらそんなことがね〜」
高層ビルの屋上。
ムゲンと話すときは喫茶店なんかに入るわけにもいかないので、人がいない場所を選んでいた。
( ^ω^)「……初めて告白されたお」
∞「いいね〜いいね〜若いモンは〜」
(;^ω^)「ブンブン飛び回るなお。目障りだお」
( ^ω^)「ってか若いモンって、お前何歳なんだお?」
∞「35だよ」
(;^ω^)「ちょwwwそんな年いってたのかおwwwオサーンwwww」
∞「35はおっさんじゃない!!」
(;^ω^)「三十路ボンバイエwwwww」
∞「うるさい!!」
11 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 15:23:54.99 ID:SQlHMclA0
( ^ω^)「オサーンのくせに彼女の一人もいないのかおwwwww」
∞「いたよ。妻と娘がね」
(;^ω^)「!! あ……わ、悪かったお」
∞「いや……」
(;^ω^)「……復讐っていうのは……?」
∞「うん。妻と娘の敵討ちってトコだよ」
(;^ω^)「……」
∞「……」
12 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 15:24:10.69 ID:SQlHMclA0
∞「ゴホン!! それよりその子どうするんだい?」
(;^ω^)「どうするって?」
∞「君も気に入ってるんだろう? 返事してやらなきゃ」
(;^ω^)「あうあう。なんか、こう、正式な告白じゃなかったし……」
∞「話聞いてる限り良さそうな子じゃないか。癒しの力を持った病弱な女の子……絵になるね」
(;^ω^)「まぁ……ブーンも……」
13 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 15:24:55.61 ID:SQlHMclA0
∞「……もういいんじゃないか?」
(;^ω^)「お?」
∞「降りてもいいんじゃないかってことだよ。君は殺してでも友達を止める気だろう」
∞「今までの狂った能力者を殺すのとはわけが違うよ」
(;^ω^)「それは……」
∞「その子と一緒になって、こんな血生臭いコトはもうやめるのが賢明だと思う」
(;^ω^)「ムゲンはどうするお」
∞「そうだな。あのギコとかいうヤツをあたってみるさ。ダメならまた考える」
∞「その力は……これからその子を守る為に使うんだよ。きっとそれが正しい道だ」
( ^ω^)「……」
17 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 15:41:13.60 ID:SQlHMclA0
( ^ω^)「正しい道、か」
ブーンは溜息をついて、しぃが入院している病院の前に立っていた。
右手にはいっぱいのバラの花束。
しぃにお見舞いと告白の返事を込めて。
……ちょっと手足が震える。
いつからか慣れてしまったはずの門をくぐるのに、10分以上足止めを食った。
( ^ω^)「よし、行く……お?」
(;^ω^)「!! この気は……!!」
∞「ブーン!! 能力者だ!!」
(;^ω^)「ムゲン!! 来てたのかお!!」
∞「急げっ!!」
(;^ω^)「くっそ!!」
18 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 15:43:18.59 ID:SQlHMclA0
一息でムゲンを追い越し、第六感が告げる場所へ走る。
そこにはブーンが想像したくなかった光景が広がっていた。
( ´∀`)「モナ? また新しいのが来たモナ」
(;`ハ´)「……」
(;゜ー゜)「ゴホッ」
(;^ω^)「しぃ!!」
口を真っ赤に汚す弟者の一味の男。
立ち向かうように立つこないだの右腕の男。
その後ろに、しぃが胸から血を流して膝をついていた。
19 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 16:13:54.10 ID:SQlHMclA0
(;´∀`)「あ〜めんどくさいモナね。一人で来るんじゃなかったモナ」
(;^ω^)「しぃ!! 大丈夫かおしぃ!!」
(;゜ー゜)「あ……ブーン君……えへへ、ちょっとやばいかも」
(;^ω^)「やばいかもじゃないお!! 早くあの力を使うお!!」
(;゜ー゜)「ダメ……私の力は……私には使えないみたいなんだ……」
(;^ω^)「なっ!!」
( ;ω;)「なんでだお!! そんな……!!」
(;゜ー゜)「仕方ないよね……」
(;゜ー゜)「でもね……私、この力好きよ……」
(;゜ー゜)「病気で死ぬ運命だった私に、人を助ける力をくれたんですもの……」
(;゜ー゜)「だから……ブーン君……も……」
( ;ω;)「しぃ!! 死んじゃダメだお!! しぃ!!」
20 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 16:14:27.67 ID:SQlHMclA0
∞「大丈夫だ!! まだ息がある!!」
(;`ハ´)「は、早く病院に運ぶぞ!!」
(;´∀`)「(チャンスだモナ)一旦引かせてもらうモナ」
(;`ハ´)「あ、てめえ待て!!」
(;´∀`)「待てと言われて誰が待つモナ!!」
∞「いいからほっとけ!! この子を運ぶぞ!!」
( ;ω;)「……ムゲン……しぃを頼んだお」
∞「!? ブーン!?」
( ;ω;)「うおああああああああっ!!」
21 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 16:14:59.94 ID:SQlHMclA0
ブーンの体を黒の紋様が走る。
それは容赦なく全てを埋め尽くした。
染めるモノを失った闇は、ブーンの背中から溢れ出した。
それは次の獲物を求める触手のように蠢いていた。
( ゜ω゜)「ぐううう、うう」
∞「ブーン!! 待て!!」
( ゜ω゜)「うおあっ!!」
一匹の獣が走り出した。
捕らえ損ねた獲物を食らうために。
31 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 17:23:28.90 ID:SQlHMclA0
(;´∀`)「全く……能力者集めも楽じゃないモナ」
(;´∀`)「しなーとかいう男は寝返るし……ん?」
モナーは足を止め、後ろを振り向いた。
それは木々を切り倒し、一直線にこちらに近づいてきた。
( ゜ω゜)「ぐううっ!!」
(;´∀`)「な、なんだおま
一瞬にして消し飛ぶ左腕。
モナーが眼を見開いたときには、すでに右腕ももぎ取られていた。
(;´∀`)「!!!!?!?!?!?」
闇の獣は弄ぶかのように四肢をもぎ取った。
歯をむき出しにしてモナーの腹を掻っ捌く。
(;´∀`)「……」
モナーは既に絶命していた。
それは幸せだったのかもしれない。
モナーは挽肉と化すまで獣に蹂躙された。
45 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 19:36:38.51 ID:SQlHMclA0
( ゜ω゜)「はぁ……う、ぐうう」
破壊するものが無くなるとブーンは腕で自分の肩を抱え、地面にうずくまった。
∞「ブーン!!」
( ゜ω゜)「ム……ゲン……」
∞「どうしたんだ!! 大丈夫か!!」
( ゜ω゜)「……大丈夫……落ち着いて……きた、お」
どう見ても強がりにしか見えない。軽く震えている体。
∞「大丈夫って……その背中のひょろひょろはなんだ!?」
( ゜ω゜)「……戻らないお」
∞「!! まさか……そんな……」
46 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 19:37:03.59 ID:SQlHMclA0
( ゜ω゜)「しぃは?」
∞「ああ、今病院に運んだよ。大丈夫、きっと助かる」
( ゜ω゜)「よかったお……」
∞「そんなことよりお前どうするんだ。なんとか元に戻せないのか?」
ムゲンの問いに沈黙で返す。
すくっと立ち上がると、決意を秘めた表情で言った。
( ゜ω゜)「……目を覚ましたら……しぃに伝えてくれお」
( ゜ω゜)「…………ブーンは……やっと答えが見つかったお」
∞「あっ!! おいブーン!!」
そう言い残して闇は走り去った。