438 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 15:27:06.54 ID:av4d0WmX0
バーボンハウス内
(´<_` )「『際限なく開く窓(ブラクラ・ゲット)』」
二人の兄者が、二人の警護隊長を襲う。
「分身能力だと!?」
「散開しろ!」
警護隊長は狭い酒場の中で二手に分かれ、分身の兄者と一対一の打撃戦を行う。
その後方で『本体』の兄者と、弟者がノートパソコンを持ちキーボードを打ち続けている。
兄者の三人目が生成された。
ブーン戦とは比べて、明らかに生成するスピードが速い。
更に、全く動きが鈍る気配が無い。
(´<_` )「やはり、弟者のサポートがあると楽に進むな」
( ´_ゝ`)「流石だよな、俺ら」
やがて、分身と戦っても無意味だと踏んだ一人の警護団長が、分身達を上手く交わして兄者と弟者へ突進する。
(´<_` )「弟者、頼むぞ」
( ´_ゝ`)「念ソフトの解凍作業終了。起動に入る」
439 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 15:45:20.43 ID:av4d0WmX0
ふと、弟者は規則正しいタイピングの音を止める。
そして、人差し指だけを突き出し、あるボタンを押した。
押したボタンは「F5」
( ´_ゝ`)「盗撮者は人気者(タシロキャノン)」
弟者は躊躇い無くF5を押し込むと、パソコンから物凄い勢いで念弾が放たれた。
『パソコンから念弾を放つ』と言うのはいささか滑稽な光景だが、良く見ると弟者はF5ボタンを連打している。
兄者と未だに格闘していた警護隊長は、咄嗟に念弾の存在に気が着き横っ飛びして交わす。
しかし、突っ込んできた方の警護隊長は回避行動を取れず、まるでマシンガンでも撃たれたかの様な勢いで体を撃ちぬかれた。
体中から血を噴きながら、撃たれた警護隊長は倒れた。
(´<_` )「念ソフトは、やはり使い勝手が良いな」
( ´_ゝ`)「どれもDLするのに時間が掛かり過ぎるのが難点だがな」
440 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 15:46:17.12 ID:av4d0WmX0
もう一人の警護隊長は、その光景を見て思わず絶句した。
その時、後ろに何かの気配を感じた。瞬間、背中を思い切り蹴られる。
思わず倒れこんでしまい、慌てて周りを見回す。
すると、いつの間にか十数人の分身兄者に取り囲まれていた。
「くっ!」
( ´_ゝ`)「削除終了」
体勢を立て直し、兄者の輪を飛び上がって抜ける。
しかし、それを狙われていたかの様に弟者の念弾が警護隊長を襲った。
念弾が警護隊長を捉え、凄まじい勢いで体の大部分を撃ち抜いた。
そのまま力なく『警護隊長だったモノ』は地に堕ちた。
(´<_` )「やはり、二人だと楽だな」
( ´_ゝ`)「流石だよな、俺ら」
448 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 16:14:37.76 ID:av4d0WmX0
相田は、誰も居ない廊下を走っていた。
まるで人の気配が無い。
他の七人が上手くやってくれたのだろうか。
(・ω・ )「皆、感謝するぞよ」
相田は、目的の部屋へと急ぐ。
数メートル先を見ていると、不意に人影が相田の視界に入った。
思わず足を止めると、確かに相田の前に人が立ちふさがっていた。
(^Д^)「お前は、誰だ?」
449 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 16:16:50.73 ID:av4d0WmX0
念能力者だった。
オーラ量が少ない事から、念初心者だと相田は見解した。
(・ω・ )「お前こそ、何じゃ?」
(^Д^)「雇われてこの階を見回っている警備員、みたいな者だフ゜キ゛ャーwwwww」
(・ω・ )「じゃ、敵じゃの」
(^Д^)「ま、まさか・・・テロリスト!?」
(・ω・ )「似た様なモノじゃ。ある目的の為に、この階へ来た」
(^Д^)「暗殺、強奪の類か?」
(・ω・ )「分類すればの」
(^Д^)「・・・闘るしか、無いか」
フ゜キ゛ャーは、そう言って構える。
相田は服の袖で隠れていた手を出す。ふとフ゜キ゛ャーが視線を相田の手に移すと、絶句した。
まるで昆虫の鎌の様な形となっている手。
その手をゆらりとフ゜キ゛ャーに向けて、相田は言い放った。
(・ω・ )「あちょ」
458 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 17:07:07.81 ID:av4d0WmX0
(^Д^)「両手の人差し指を強化!」
ノロノロとだが、徐々に両手の人差し指にオーラが集まっていく。
“凝”よりも力強くは有ったが、相田にとってはそれ程脅威でも無かった。
(^Д^)「見せてやるぜ! 新フ゜キ゛ャー拳を!」
びしっと人差し指を相田に突きつけ、そして飛び掛った。
(^Д^)「m9(^Д^)フ゜キ゛ャー!!!」
両手の人差し指を槍の様に突き、相田の体を狙う。
一発目は体の脇を抜け、二発目は首の横を通り過ぎる。
フ゜キ゛ャーが外している訳でなく、相田が全て避けているだけだった。
(^Д^)「m9(^Д^)フ゜キ゛ャー!m9(^Д^)フ゜キ゛ャー!m9(^Д^)フ゜キ゛ャー!!」
空気の斬れる音と共に、フ゜キ゛ャーは指を突きながら突進。
一方の相田は、後退しながらも人間とは思えない動体視力と反射神経で全ての指攻撃を回避する。
そして、チラリとフ゜キ゛ャーの足元を見ると、右足でローキックを繰り出した。
目の前の相手に集中していたフ゜キ゛ャーは何の回避行動も出来ず、まともに受けてしまう。
バランスを崩したフ゜キ゛ャーは、思わずすっ転んでしまう。
(・ω・ )「足元がおるすになっているぞよ」
459 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 17:09:12.80 ID:av4d0WmX0
四つん這いの状態で、フ゜キ゛ャーは自嘲気味に笑い始めた。
(^Д^)「ふ、ふ、はは・・・なんてことだ、このオレがまるで赤ん坊あつかいじゃないか」
(・ω・ )「レベルの違いじゃ、気を落とすでない」
相田が諭した瞬間、フ゜キ゛ャーは右指を突き出していた。
(^Д^)「もらったm9(^Д^)フ゜キ゛ャー!」
金属音。
鳴る筈の無い音にフ゜キ゛ャーは目を白黒させる。
気が着くと、相田の手の鎌がフ゜キ゛ャーの指を受け止めていた。
(^Д^)「えwwwwちょwwwおまwwww」
(・ω・ )「かまきり拳法に敵は無い・・・あちょ」
もう片方の手の鎌が、フ゜キ゛ャーへ振り下ろされた。
460 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 17:25:44.51 ID:av4d0WmX0
ショホ゛ン能力発動直後、バーボンハウス内
「お前の能力か? これは」
バーボンハウスを見回して、警護隊長は言った。
('A`)「んな訳ねーだろ」
椅子に腰掛けてダルそうにしているのは、ト゛クオ。
警護隊長は、ジリジリと間合いを詰める。
('A`)「はぁー・・・欝だ」
「(恐らく、これは俺を閉じ込めておく時間稼ぎに過ぎない・・・結果、奴自身に大した戦闘力は無い)」
決意を固め、憂鬱に浸っているト゛クオに向かい走り出す。
突っ込んでくる警護隊長を見ても、ト゛クオはダルそうに首を傾けるだけで動こうとしない。
「死ね!」
警護隊長が繰り出した膝蹴りは、座っているト゛クオの顔面へクリーンヒット。
しかし、ト゛クオは椅子に座ったまま全く動かなかった。
蹴りが入った額からは、ツーッと鮮血が滴り落ちる。
血にまみれた顔で、ト゛クオは言った。
('A`)「俺に、触ったな・・・『蔓延する自殺衝動(ウツダシノウ)』」
463 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 17:29:30.68 ID:av4d0WmX0
突然、ト゛クオのオーラが逆流するかの様に警護隊長へ流れ込む。
異様な光景に足を離そうとするが、それをさせまいとト゛クオが両手で足を掴んだ。
徐々にオーラが警護隊長の全身を纏い始める。
数分経つと、抵抗していた警護隊長の力が弱まる。
「・・・はぁ」
溜息を漏らし、腕が力なくダラリと下がる。
やがてはヘタリと座り込んでしまい、ダルそうに口をポカンと開けている。
一方のト゛クオも似たような状態で、無気力で椅子に座っている。
お互いが鬱状態になっている様で、互いの存在が目に見えていないのだろうか。
('A`)「欝だ・・・死にたい」
「あぁ・・・もう死のうかな。丁度、銃も持ってるしな・・・」
警護隊長はそう言うと、服の内ポケットから拳銃を取り出し、自分のこめかみに銃口を当てた。
「生きてても、しょうがないよなぁ・・・」
乾いた音が、響いた。
470 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 17:37:52.63 ID:av4d0WmX0
(;^ω^)「な、何とか撒いたお!」
後ろを振り向き誰も居ない事を確かめ、ブーンは足を止めた。
手を膝に置き、ゼイゼイと息を整える。
必死に逃げてきたので、此処が何処かは分からない。
キョロキョロと辺りを見回すが、特に何も無くだだっ広い廊下が続いているだけだった。
他の階も同じ様な作りなのだろうか、ずっと長い廊下しか見ていない気がする。
ブーンは、相田の言葉を思い出していた。
(・ω・ )「六人で警護隊長は何とか足止めする。雑魚達はお前が誘導しておいてくれ、その間にワシが十老頭を叩く」
シンプル、と言えば聞こえは良いが子供でも思いつきそうな考えであった。
実際、上手くいっているのが不思議な位だ。
もう相田は十老頭を殺してしまっているだろうか。
そんな事を考えていると、ふと廊下の先に何かが有る事に気が着いた。
(;^ω^)「人、かお?」
駆け寄ってみると、確かに人だった。うつ伏せに倒れている。
しかし、見覚えの有る服装と髪型。
( ^ω^)「・・・ニダー!?」
472 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 17:40:34.55 ID:av4d0WmX0
抱きかかえて顔を確かめて見ると、忘れもしない特徴的な顔付き。
間違いなく、ニダーだった。
( ^ω^)「何が有ったのかお・・・おっ」
まず目に留まったのは、ニダーの腹だった。
肉が抉れ、中の『モノ』まで見えていると言うのに血が一滴も流れていない。
かなり不気味な様子だった。
<丶`∀´>「に、ニダ・・・! き、キムチが足りないニダ・・・!」
( ^ω^)「・・・お、生きてたのかお・・・」
意識はハッキリしていないまま、呻き続けている。
どうやら、ブーンの思っているよりは軽傷らしい。
少し迷ったが『とりあえずは仲間だ』と考え、ブーンはニダーを背負う。
背中に当たる嫌な感触に耐え、ブーンは歩き出した。
( ^ω^)「とりあえず、外に出r・・・お?」
ピピピ、と電子音。
どうやら、ポケットの通信機が音源らしい。
ブーンは素知らぬ顔でニダーを投げ出し、通信機を取り出す。
( ^ω^)「こちら、ブーンだお!」
475 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 17:51:42.64 ID:av4d0WmX0
(*゜ー゜)「こちら、しぃよ。そっちは大丈夫?」
( ^ω^)「何とかだお・・・ところで、相田さんから何か連絡有りましたかお?」
(*゜ー゜)「いえ、無いわ。相田さんもそうだけど、他の人達からも連絡が無いの。戦闘中だと思うけど」
( ^ω^)「あ・・・ニダーが今、此処に居ますお」
(*゜ー゜)「え、死体? それなら捨てていいわよ」
(;^ω^)「いや、あの。重症っぽいけど、一応生きてますお」
(*゜ー゜)「そう。じゃ、悪いんだけどそいつを連れて脱shgはhd巣田h・・・ガガガガガ」
途端にしぃの声が途切れ途切れになったかと思うと、ノイズ音。
(;^ω^)「し、しぃさん!?」
それと同時に、爆発音。
その数秒後、ビル全体がグラグラと大きく揺れ始める。
(;^ω^)「な、なななななんだお!」
地響きの様な音と、震度四以上を思わせる大きな揺れに思わず倒れそうになる。
しかし両足で踏ん張り、ニダーを脇に抱える。
(;^ω^)「と、とにかくビルの外へ脱出だお!」
ブーンは、階段に向かい高速で走り出した。
497 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 20:16:29.15 ID:av4d0WmX0
(^Д^)「ぐ・・・」
フ゜キ゛ャーは左手で右肩を押さえていた。
右肩はドクドクと血が流れ続け、ザックリと深い切り傷が入っていた。
(^Д^)「貴様らの目的は・・・一体何だ?」
座り込んで壁にもたれ掛かっているフ゜キ゛ャーを、相田はジッと見下ろす。
その手は、ベッタリと血で濡れていた。
(・ω・ )「ワシ達八人の目的は『十老頭』の暗殺、それだけじゃ」
(^Д^)「・・・フハハハックックックッヒヒヒヒヒケケケケケ、ノォホホホノォホ、ヘラヘラヘラヘラ、アヘアヘアヘ」
突然、フ゜キ゛ャーが笑い出す。
笑う度に出血量は酷くなるが、それも気にせず笑い続ける。
(・ω・ )「何がおかしい」
(^Д^)「十老頭は、此処には居ない」
500 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 20:20:43.29 ID:av4d0WmX0
(・ω・ )「・・・」
動じているのか、いないのか。相田はフ゜キ゛ャーの言葉を聞いて固まってしまった。
その様子を見てフ゜キ゛ャーはククッと嘲る様にもう一度笑い、続ける。
(^Д^)「何処から十老頭のスケジュールを手に入れたかは知らないが・・・一昨日の騒ぎを知った十老頭は、万一の為にヨークシン入りを直前で取りやめたんだよ」
(・ω・ )「・・・ほぉ」
(^Д^)「今頃、何処かの島でオークションを中継で見てる筈さ。よって、お前らの目的ヴァッ」
フ゜キ゛ャーが言い終わらぬ内に、相田は鎌と化した手を横に薙いだ。
鎌はフ゜キ゛ャーの首筋を捉え、切り裂いた。
鮮血が迸る中、返り血にも気にせず相田は薄く笑い、呟いた。
501 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/30(日) 20:21:06.76 ID:av4d0WmX0