58 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/22(土) 23:20:36.44 ID:9EcVapg50

( ^ω^)「やっぱり、ツンをホテルに置いてきたのはマズかったんじゃないかお?」

(・ω・ )「なあに、かえって免疫力がつく」

ポツン、と入り口に残された二人。

( ^ω^)「・・・( ゜д゜)」

(・ω・ )「此処へ連れて来る訳にもいかんじゃろ。連絡係としてホテルに残って貰った方が良い」

こんな危険な場所に連れて来るのも何だが、追われている身の彼女一人を置いていくのもブーンにとって心配ではあった。

(・ω・ )「心配するな。彼女は勝手に動かんし、追っ手も来はせんよ。それより、作戦の成功だけを考えろ」

相田はジッと、六人が突入していったビルの入り口を見据えていた。





59 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/22(土) 23:37:42.50 ID:9EcVapg50

マフィアは銃弾を撃ち続ける。
だが、殆どの弾はショホ゛ンの握る短刀で弾かれていた。
平然とした顔を浮かべ、ショホ゛ンはマフィア達へ突っ込んだ。

「う、う、うわああああああああ!!」

化け物に遭遇したかの様な叫び声を断末魔に、マフィアの一人の首が飛んだ。
ショホ゛ンの手には、赤黒い血が滴りついた短刀。

数メートル先からその光景を見ていたマフィアは、思わず後退る。

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」

一言だけ小さく言い放つと、ショホ゛ンは人間とは思えないスピードで、マフィア達の懐へ飛び込んだ。

次の瞬間、他数人のマフィアの首と胴体が離れた。


短刀に着いた血がポタポタと流れ落ちるのも、死体にも気を留めずショホ゛ンは走り出した。

走りながら、ショホ゛ンは腕に着けた腕時計を見る。

(´・ω・`)「後、三分か」

時計から、再び廊下の先へ眼を向けたショホ゛ンはピタリと足を止めた。

65 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/22(土) 23:53:21.77 ID:9EcVapg50

視線の先には、一人の男が立っていた。
大柄で筋肉質だが、それ以外の何かが普通の人間とは違っていた。

「貴様も念能力者、か」

(´・ω・`)「貴方は・・・セメタリービルの警護隊長、で合ってる?」

「いかにも。警護団六部隊の内の一つを統率するのが、私だ」

ショホ゛ンはそれを聞いて「ふぅ」とやる気の無い息を吐くと、ポケットから通信機を取り出した。


(´・ω・`)「こちら、接触完了したよ」

('A`)「こちらも完了」

(*゜ー゜)「良いタイミングね、丁度今よ」

<丶`∀´>「完了してるニダ、早く発動するニダ!」

( ´_ゝ`)「完了」

(´<_` )「完了している」


次々に入る仲間の声を聞き、安心した様にショホ゛ンはホッと息を着いた。

67 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/22(土) 23:57:32.53 ID:9EcVapg50


「こちらからも、いくつか質問がある・・・二日前のテロリスト達の仲間か?」

(´・ω・`)「違う」

「では、何が目的だ?」

(´・ω・`)「・・・それは、言えないかな」

「部下を殺したのは、お前か?」

(´・ω・`)「この近くに居たのは、僕が殺した」

「そう、か。それだけ聞ければ、もういい」

警護隊長は、構える。
オーラは荒々しく体を纏い、凄まじい気迫を発しているのをショホ゛ンは感じた。
しかし、ショホ゛ンは動じない。

すぅ、と息を吸い込み、通信機を手に持ったまま警護隊長を見据えてハッキリと言った。

(´・ω・`)「やあ。ようこそ、バーボンハウスへ」

その瞬間、二人の姿は消えた。




119 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/23(日) 02:44:43.76 ID:QkDSpx2W0

(・ω・ )「時間じゃ」

腕時計を見ていた相田は、ポツリと呟いた。

( ^ω^)「じゃ、行ってきますお」

(・ω・ )「待ていっ」

入り口へ向かっていくブーンは、相田の言葉に足を止めた。

( ^ω^)「・・・何ですかお?」

(・ω・ )「これを着ていけ」

何処から出したのか、相田が見せた物を見てブーンは絶句した。

121 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/23(日) 02:48:51.77 ID:QkDSpx2W0

「ここ、は・・・?」

警護隊長が見回すと、景色は先程と一変していた。
そこは、質素な作りの酒場だった。

木で作られたテーブルが四つ。バーテンダーの居ないカウンターが佇んでいる。

(´・ω・`)「これが僕の能力『騙しの酒場(バーボンハウス)』。キーワードを聞いた相手を念空間へ隔離する」

「キーワード・・・? そうか、あの言葉が・・・」

(´・ω・`)「うん、すまない。通信機を出したのは、この為でもあるんだ」

ショホ゛ンは手に持っていた通信機を、まるで紙くずの様に片手で握りつぶした。
バチバチと火花を噴くのも気にせず、ショホ゛ンは通信機を投げ捨てた。

「通信機越しからの声でも、能力発動は可能だと・・・!?」

(´・ω・`)「そうだね。他の五人も、同じ様な念空間に隔離されているよ。とは言っても、店主・・・つまり僕が居ない念空間は“条件指定”が不可能だけどね」


122 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/23(日) 02:51:42.62 ID:QkDSpx2W0
「条件指定・・・?」

(´・ω・`)「僕が指定する条件は『念能力を使わない』だ。君も一つ、この酒場内でのルールを設定できる」

警護団長は、何か考え込んでいる様に見えたが、ショホ゛ンを睨んでキッパリと言い放った。

「だが断る。相手の能力通りに易々と乗るほど、私は稚拙では無い」

(´・ω・`)「それじゃ『指定無し』って事になるけど・・・まぁ、いいや・・・設定、完了」

途端に、ショホ゛ンは絶状態になった。

しかし、警護団長のオーラは絶にならない。
この手の能力は強制的“絶”にさせるものと思っていた警護団長は思わず拍子抜けしてしまった。

(´・ω・`)「さて、やろうか」

ショホ゛ンは、絶のまま戦闘の構えを取る。

212 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/23(日) 22:06:34.71 ID:QkDSpx2W0
「⊂二二二( ^ω^)二⊃フ゛ー--------------ン!!!!! 」

けたたましい声と共に、一人の男がセメタリービルの入り口に突っ込んだ。
銃を天井に向け、連射しながら一気に駆けている。

頭には『暗殺上等』と殴り書きされたハチマキ、服は黒コート、背中に大きく金文字で『暗殺者です』とプリントされていた。
更に銃を持っていない方の手には旗が一本、『(´・ω・`)ぶち殺すぞ』と書かれている。

その旗を掲げながら、銃を撃ちながら、ブーンはセメタリービル内を駆け回っていた。

「待てゴルァ!」
「上にも連絡しろ! 暗殺者がビル内へ進入した、と!」

黒服の男達が、次々とブーンを追い掛ける。
しかし、なかなか差は縮まらない。
ブーンはそのまま、階段を駆け上がる。
数十人近くに膨れ上がったマフィアの集団も、釣られる様に階段を駆け上る。


(・ω・ )「よしよし、そのまま頼むぞよ。ブーン」

人気も無く、ガランとした一階にはいつの間にか相田が立っていた。

220 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/23(日) 22:34:38.81 ID:QkDSpx2W0

「オラァ!」

警護団長の右拳は、紙一重でショホ゛ンの頬を掠める。
バックステップして、一度ショホ゛ンは距離を取る。

「・・・どういう事だ? この念空間では強制的に設定したルールを守らせるのでは無いのか?」

(´・ω・`)「別に、強制じゃないよ。ルールは、守りたければ守ればいい」

「ルールを破った場合は・・・なんて質問は野暮か。どの道、お前に一撃当てれば終わる事」

絶を行っている相手に対して、オーラを纏わせたパンチが一発でも入れば、その体は一瞬にして砕けるだろう。
何故ショホ゛ンが自殺的行為とも思える絶を行い続けるのか、警護団長には分からなかった。

一歩、ショホ゛ンに近づく。一歩、ショホ゛ンは下がる。
ジリジリと距離を縮め、飛び掛ろうと体を前へ屈める。

「・・・!?」

突然、警護隊長の視界が歪んだ。
目眩の様な感覚と共に、足がもつれ、何かに躓いた様に倒れた。

すかさず立ち上がるが、頭はグラグラと揺れ、徐々に体中が熱くなっていく。

「・・・何をした」

(´・ω・`)「これが偽りの酒場(バーボン・ハウス)の能力。『ルールを破った者には強制的にテキーラを摂取させる』」


295 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/24(月) 00:38:55.14 ID:5AHWkhLI0
「酒を摂取させる、だと?」

(´・ω・`)「ルールを破っている間は、テキーラ・・・つまりアルコールが体内に摂取される。さっきまで、体が軽かったろう?」

思い起こしてみると、確かにショホ゛ンが言った様な節は有ったが、敵の罠とはまるで考えていなかった。

(´・ω・`)「最初は気が着かずとも、徐々に効果は現れるからね」

すぐに警護団長は絶を行うが、今となっては遅かった。
完全にアルコールは体を回り、体は鉛が乗っている様な重さだった。

足元は覚束なく、顔は火が出る程に熱かった。

(´・ω・`)「ルールは破る為にあるんじゃあない。守る為にあるって事を覚えた方がいい」

ショホ゛ンは警護隊長へ突っ込む。
右腕を振り上げているのが見えたが、とても回避行動に移れず、顔面に拳がクリーンヒット。


296 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/24(月) 00:40:56.69 ID:5AHWkhLI0

「ぐ、あっ!」

受身を取る事も出来ず、酒場の壁に打ち付けられた。
いかにも木製らしいが、大柄な警護隊長がぶつかってもヒビ一つ無い。
流石は念空間、と言った所だった。

急いで体制を立て直そうとするが、意思に反して体は言う事を聞かない。

「(くっ・・・気が着くのが、遅すぎたか・・・)」

警護隊長のオーラが、体を纏った。
途端に、追撃しようとしたショホ゛ンの足は止まる。

(´・ω・`)「いいのかい? 体が持たないよ?」

「ふん・・・これで、お前は・・・攻撃できまい」

肩膝を着いたまま、意地悪そうにニヤリと笑う警護団長を、ジッとショホ゛ンは見下ろす。
笑ったまま、警護団長はゆっくりと倒れ、地に伏した。

728 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/26(水) 02:38:27.32 ID:lD0V2PTF0

(´・ω・`)「気を失った、かな」

酒場がグニャリと歪む。
すると、場所はいつの間にかビル内の廊下に戻っていた。

酔い潰れている警護団長も気にせず、ショボンは廊下の先を見据える。

(´・ω・`)「(他の五人はバーボンハウス内から出ていない・・・僕が一番乗りか)」

どうしようかな、と独り言を呟いていると、下の階から怒声が聞こえてくる事に気付いた。
かなりの大人数らしく、この階にまで響く様に聞こえてくる。
その怒声の中に「⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン!!!!!」と半ばヤケクソ気味の雄たけびが混じっている事にショボンは気が着いた。

(´・ω・`)「ブーン君も上手くやってるみたいだし・・・相田さん、頼みますよ」

ショボンはのんびりと廊下を歩き出した。




続く