163 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:13:08.08 ID:hB5OC/er0
ーーー路上ーーー
(,,゚Д゚)「しーずかなもんだなぁ」
少し大きな声で、ギコは独り言を言う。
当然、返事は無い。
(,,゚Д゚)「・・・あぁ、嫌だな」
更に、独り言。
そうしながらも彼は一路
自宅へと向かっていた。
愛する妻に会いに行くために。
・・・
・・


165 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:17:56.87 ID:hB5OC/er0
ーーー別所 路地裏ーーー
(*゚ー゚)「・・・ん」
しぃはゆっくりと目を覚ます。
まだ薄明すら始まっていない
時間の感覚も狂ってしまっているのだろうか。

あれから
彼女は一度も家に戻っていない。
緋色に染まった拳銃と
緋色に染まった刃物を携え

道行く人を殺し続けていた。

目的も意味も無い
快楽でもない
ただ、なんとなく
殺していた。

168 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:21:24.81 ID:hB5OC/er0
ーーーブーンの家ーーー
時間は止まっている。
何もかもが硬直していて、物悲しい。
・・・
(´・ω・`)「ブーン・・・?」
しょぼんがゆっくりと話しかけた。
( ;ω;)「・・・・・・」
彼はもう、咆哮していない。
ただめそめそと、止め処なく涙を流すだけだ。
その涙は顔から滴り落ちて、ツンの身体に注がれる。
わずかながらに血が洗われた。
まったく
無意味なことだが。

169 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:27:34.99 ID:hB5OC/er0
(´・ω・`)「・・・・・・・」
現状を打開する策が見つからない。
しかし、やはりしょぼんは冷静に分析する。
(´・ω・`)(このままにしてもいられない・・・ランちゃんのこともあるし、何よりハーメルンの笛・・・)

(´・ω・`)(・・・・・・)

(´・ω・`)(・・・よし)
ここは勇気を持つしかないと
しょぼんは心に決め、ブーンに近づいた。

170 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:30:47.65 ID:hB5OC/er0
ありがとう、と
彼女は最期にそういった。
何が「ありがとう」なんだろう
ランじゃなくて自分を選んでくれたこと?
死ぬ間際に自分の傍にいてくれたこと?
・・・わからない
答えを聞きたい
でも聞けない
知りたい
でも永遠に知ることはできない
あぁ
でももう
ダメか
死んでしまった
死んで
・・・

(´・ω・`)「ブーン!」

172 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:33:32.27 ID:hB5OC/er0
( ゜ω゜)「!」
(´・ω・`)「・・・大丈夫?」
( ゜ω゜)「・・・・・・」
(´・ω・`)「・・・・・・・ブーン・・・」

(´・ω・`)「ランちゃんが・・・殺したんだね?」
( ゜ω゜)「!」
何かが、砕けて、崩れた。
次の瞬間、彼は叫んでいた。
( ゜ω゜)「ランはそんなことしないお!」

173 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:37:36.14 ID:hB5OC/er0
(´・ω・`)「・・・・・・」
( ゜ω゜)「ランは優しい子なんだお!僕の娘で・・・可愛くて・・・元気で!」
半狂乱
今の彼の状態はまさにそれだろう。
我を忘れてしょぼんに食って掛かって
もう、自暴自棄で
(´・ω・`)「ブーン」
( ゜ω゜)「そんなランがツンを殺すはずな」
(´・ω・`)「ブーン!」
しょぼんが叫んだ。
そして次の瞬間、
彼はブーンの頬を、勢いよく殴りつけていた。

175 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:40:45.36 ID:hB5OC/er0
( ゜ω゜)「!」
川゚−゚)レ「しょぼん!」
あまりにも稀なことだ
しょぼんが人を殴るなど
それも、感情を剥き出しにして
( ゜ω゜)「何をす」
(´・ω・`)「現実を見ろよ!」
彼は怒鳴りつける。


176 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:44:25.53 ID:hB5OC/er0
( ゜ω゜)「!」
(´・ω・`)「・・・よく聞けよ・・・ツンさんを殺したのはランちゃんなんだ!」

(´・ω・`)「受け入れろよ!そうなんだろう!?」
( ゜ω゜)「そ・・・」
(´・ω・`)「それすらも受け入れられなかったら」

(´・ω・`)「ランちゃんを救うことができないよ!」
( ゜ω゜)「・・・・・・・」
怒号が続く。

177 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:47:54.67 ID:hB5OC/er0
(´・ω・`)「君と僕はさっき約束したよね・・・大切な人を守るって」
( ゜ω゜)「!た、たしかにしたお・・・でも、守れなかった」
(´・ω・`)「守れなかったら!そこで諦めるのか?君は・・・」
( ゜ω゜)「・・・・・・」

(´・ω・`)「守れなかったら救ってあげてよ!大切な人をさ!そうやって現実を受け入れられなかったら!何もできないんだよ!」

しょぼんには前科がある
だからこそ言える事
経験しているから、言える事・・・

179 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:52:12.40 ID:hB5OC/er0
( ゜ω゜)「・・・・・・」
(´・ω・`)「・・・ごめん、僕の言えたことじゃないってことは、わかってるよ、でも・・・」

(´・ω・`)「あのままだと君は何か悪いことをしてしまいそうだったから・・・」

(´・ω・`)「僕も親友として、君を守りたいんだよ」

( ゜ω゜)「しょぼん・・・」

( ;ω;)「ありがとうだお・・・」

180 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:55:24.05 ID:hB5OC/er0
(´・ω・`)「お礼なんて・・・」
( ;ω;)「僕は・・・」
(´・ω・`)「君が今、すべきことは・・・ランちゃんを救うことだよ」
( ;ω;)「わかったお・・・!」

( ;ω;)「でもその前に・・・・」

( ;ω;)「ツンを・・・綺麗にしてあげたいお・・・」
(´・ω・`)「・・・・・・・」

(´・ω・`)「うん・・・そうだね・・・」

181 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 23:59:13.68 ID:hB5OC/er0
見捨てられた街
死者すらも自分達で処理しなければならない
しかしそれは
もしかしたら人間としてあるべき姿なのかもしれない
・・・だが
これが神の望んだことだというのなら
ブーンは・・・・
神を許すことなど、できないだろう。

182 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/06(火) 00:03:19.94 ID:Gpf66o600
ーーー街外れ 路上ーーー
もう東の空が白み始めていた、
ジョルジュとランは狂う子供の潜む場所、閑散とした倉庫街を歩いていた、
・・・
( ゚∀゚)「子供は早起きだよな」
ξ*゚-゚)ξ「・・・・・・」
( ゚∀゚)「そういえば、眠くないか?」
ξ*゚-゚)ξ「・・・だいじょぶ・・・」
( ゚∀゚)「・・・そうかい」

184 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/06(火) 00:07:55.02 ID:Gpf66o600
ジョルジュがランを操った理由は一つだ

ブーンたちの動きを止めるためである
自分の娘が妻を殺したと知ればブーンは何もできなくなってしまうはず
そうすれば、しょぼんも自由には動けなくなるだろうと
画策していたのだ。

しかしそれは、少し甘かった。
ブーンには、親友がいたということ
これが、その策を狂わせた。
ジョルジュは未だ、気付いていない。

185 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/06(火) 00:12:44.00 ID:Gpf66o600
ジョルジュは一つの倉庫の前に立ち、扉を開ける。
鈍い音がして、ゆっくりと扉が開いた。
( ゚∀゚)「・・・まだ寝てるな」
中にいるのは数百単位の横たわっている子供達。
寝息だけは安らかなものだ。

( ゚∀゚)「・・・まぁもう十分だろ」
ξ*゚-゚)ξ「・・・・・・・」
( ゚∀゚)「・・・よし」
ジョルジュは笛を咥え、吹き鳴らした。

彼らは一斉に起き上がった

187 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/06(火) 00:16:41.92 ID:Gpf66o600
( ゚∀゚)「・・・よし、皆起きたな?」
返事はない
無数の瞳がただ、ジョルジュを見つめている。

( ゚∀゚)「・・・まぁ今日やることは一つだ。」

( ゚∀゚)「昨日と同じく、街で人殺し」

( ゚∀゚)「でもまぁ、ほとんど人がいないだろうから根こそぎ、な」

( ゚∀゚)「・・・それだけだ」

( ゚∀゚)「行け」

また、狂った祭りが始まる。

188 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/06(火) 00:21:40.64 ID:Gpf66o600
ーーー???ーーー
???「・・・で、どうなったんだ?結局」

???「成功しましたよ・・・あなたの尻拭いは、ね」

???「・・・・・・・」

???「まぁいいんですよ。お陰で暇つぶしになりましたからね」

???「・・・・・・・・・」

???「ところであなた、今日も何もしないつもりですか?」

???「・・・俺に、何かしろというのか?」

189 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/06(火) 00:25:27.13 ID:Gpf66o600
???「いえ、別に・・・したらしたで、邪魔になりそうです」

???「・・・・・・・」

???「怒ってます?」

???「・・・いや」

???「ならよかった・・・では今日も頑張りますので」

???「あぁ・・・」

・・・

・・