105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 18:17:05.37 ID:lhhi4eEd0
(;^ω^)「狼男ktkrwwwww」
<#ヽ゚∀゚>「は、はん!! 見た目でビビらせようったってそうはいかないニダ!!」
ミ,,゚Д゚彡「それは自分で……」
<#ヽ゚∀゚>「!!」
ミ,,゚Д゚彡「確かめるんだな!!」
瞬きの間にニダーの肩に後ろからまたがる少年。
<#ヽ゚∀゚>「!!」
106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 18:18:36.58 ID:lhhi4eEd0
右手で口を押さえ左手で頭を掴み、そのまま右回りに回転させた。
小気味よく鳴る骨の音。
頭が180度回転し、丁度自分の方を向いたところで、掌底を下からかち上げた。
前に折れ曲がった首。
天井を見つめるうつろな目。
生物のデザインからかけ離れた姿になったニダーは、そのまま前のめりに崩れ落ちた。
( ,,゚Д゚)「お〜くせえくせえ」
独り言を漏らし肩から飛び降りた少年。
長くなった銀髪は抜け落ち、すっかり元の姿に戻っていた。
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 18:19:01.44 ID:lhhi4eEd0
(;^ω^)「……お……」
( ,,゚Д゚)「あ? なんだテメーまだいたのか」
(;^ω^)「お前は何者だお!!」
( ,,゚Д゚)「失礼なヤツだな……キムチ嫌いの善良な一般人だよ」
(;^ω^)「キムチ嫌いってトコしか合ってないお!! お前も能力者だろうがお!!」
( ,,゚Д゚)「……能力者??」
(;^ω^)「変身してたお!! しらばっくれるなお!!」
( ,,゚Д゚)「……ギャーギャーうるせえヤツだなゴルァ……」
(;^ω^)「うっ」
108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 18:19:29.38 ID:lhhi4eEd0
∞「ブーン、喧嘩腰になるな!!」
(;^ω^)「うう……」
ブーンは喧嘩腰になっていたわけではなかった。
自分の中にある少年への恐れ。
ニダーを殺した時の能力を見たブーンは、直感的に悟ったのだ。
――――――自分はこいつには敵わない。
∞「とりあえずこっちの事情を話してみよう。かいつまんででもいい。何か知っているかもしれない」
(;^ω^)「……わかったお」
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 18:20:16.13 ID:lhhi4eEd0
( ,,゚Д゚)「へぇ〜……友達がねぇ……」
(;^ω^)「弟者と呼んでいたお。そこの男も一味なんだお」
( ,,゚Д゚)「……聞いたことねーな。それに俺には関係ねぇし」
(;^ω^)「!! なに!?」
( ,,゚Д゚)「勝手にドンパチやってりゃいいだろうが。俺も社会からはじき出された存在だしな」
(;^ω^)「あいつらは人の命をなんとも思ってないんだお!! 止めないと大変なコトになるお!!」
( ,,゚Д゚)「しつけえなぁ……俺には関係ねえよ」
(;^ω^)「……!!」
114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 18:50:50.14 ID:lhhi4eEd0
(#^ω^)「……お前もあいつらと一緒かお!! 人の命をなんとも思わないクソ野郎だお!!」
( ,,゚Д゚)「……なんだと?」
∞「やめろブーン!!」
(#^ω^)「蝿は黙ってろ!!」
(#^ω^)「能力者はクソばっかだお!! なんのための能力なんだお!! 」
(#^ω^)「人を傷つける為に手に入れたのかお!! そんなものは人間にとって害悪でしかないお!!」
ブーンは腹の中に溜め込んでいた行き場のない思いを、目の前の少年にぶつけていた。
答えを期待しているわけではない。
それは自問自答に近いモノかもしれない。
115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 18:51:32.47 ID:lhhi4eEd0
( ,,゚Д゚)「白豚が……!!」
すでにブーンの少年に対する恐怖心は麻痺していた。
それより強い怒りによって。
(#^ω^)「うおおおおおお!!」
ブーンは思い切り殴りつけた。
( ,,゚Д゚)「ぐおっ!?」
端に積んであった材木に突っ込む少年。
立ち込める砂埃の中から、口から血を流し立ち上がった。
( ,,゚Д゚)「やりやがったなゴルァ!!」
116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 18:51:50.51 ID:lhhi4eEd0
(;゚ω゚)「うぐっ!!」
鳩尾に叩き込まれる回し蹴り。
その足を軸に、少年は空中で回転すると、前のめりになったブーンの顔面へ蹴りを見舞った。
( ,,゚Д゚)「!! んだコイツ……」
ブーンもすぐに立ち上がった。
顔を抑える手からは鼻血が漏れている。
( ,,゚Д゚)「かってえヤツだな……!!」
117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 19:11:10.91 ID:lhhi4eEd0
スピードは圧倒的に少年のほうが勝っていた。
虚しく空を切るブーンの拳。
防御力の面では優位に立っていたブーンとはいえ、少年の攻撃は確実にダメージを蓄積させていった。
(;^ω^)「……くぅっ!!」
∞「ブーン……!!」
( ,,゚Д゚)「はっ!!」
118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 19:11:28.47 ID:lhhi4eEd0
(;゚ω゚)「がはっ!!」
( ,,゚Д゚)「フン、さっきのヤツよりだいぶ腕が立つようだが……喧嘩売る相手を間違ったな」
(;^ω^)「クソ……なんで……なんでだお……」
( ,,゚Д゚)「あ?」
本当に強いお……やっぱりコイツには勝てないお……
でも……
なんでそんなに強い力を持つのに……
(;゚ω゚)「なんでだお!!」
119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/30(金) 19:12:17.04 ID:lhhi4eEd0
( ,,゚Д゚)「ホントにしつけえヤツだな……」
ため息をついて、真正面から突進してきたブーンを軽くいなした。
それでもすぐに立ち上がり、ブーンは何度も突進した。
( ,,゚Д゚)「(こいつ……!!)」
次第に、ブーンの体に変化が起こってきた。
さっきまで無防備に受けていた少年の攻撃を、不器用ながら腕で防ぐようになってきた。
( ,,゚Д゚)「ちっ!!」
少年の打撃を完璧に防ぐ。
そのままブーンは少年の腕を掴み取った。
(;゚ω゚)「そんな強い力を持ってるのに……!!」
(;゚ω゚)「自分の力の意味を考えたコトはないのかお!!」
目の下から顎に向かって一直線に伸びる黒い線。
首まで伸びた紋様。
ブーンの黒いシミは、最早完全に体を覆いつくしていた。
171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 00:53:33.48 ID:iFaBePpU0
( ,,゚Д゚)「な、なんだそりゃ……!?」
(;゚ω゚)「うおおおおおお!!」
( ,,゚Д゚)「うっおお!?」
形勢はあっという間に逆転した。
力・スピード・動体視力。
接近戦において重要とされる基本能力が飛躍的に上昇したブーンには、さしもの少年も歯が立たない。
多少自分のスピードに振り回されてもいたが、少年との戦いは既に一方的なモノになっていた。
( ,,゚Д゚)「ぐはぁっ!!」
(;゚ω゚)「ふーっ!! ふーっ!!」
∞「すごい……まだまだ成長するとは思っていたが、まさかここまで強いとは……!!」
( ,,゚Д゚)「……っの野郎……!!」
∞「!!」
ブーンに目を奪われていたムゲンは、少年の気の高まりに驚いて振り向く。
ミ,,゚Д゚彡「いっぺん死んで来いゴルァ!!」
∞「!! まずい!!」
172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 00:53:54.70 ID:iFaBePpU0
二人の実力を目の当たりにしたムゲンは、二人が衝突すればお互い無事では済まないと直感した。
……そしておそらくそれは当たっていた。
∞「止めないと……!!」
(;゚ω゚)「うう……!!」
∞「……!? ブーン……!?」
ミ,,゚Д゚彡「あ……なんだ?」
定まらない目線のまま、ブーンは二、三歩ふらつく。
糸の切れた人形のように、そのまま倒れこんでしまった。
∞「ブーン!! 大丈夫かブーン!!」
ミ,,゚Д゚彡「……」
174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 00:54:21.18 ID:iFaBePpU0
………………………………
…………ーン…………
………ブーン……
…………
175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 00:54:47.22 ID:iFaBePpU0
('A`)「なんだ来てたのかブーン。遅刻だぞ」
ドクオ!?
('A`)「ああ、見ろよ。俺がやったんだぜ……」
('A`)「今日もお前にコレを見せたくてさ」
ドクオ……!! やめるお……!!
('A`)「いいじゃねえか別に。一般人が何人死のうが知ったこっちゃねえ。そうだろ?」
なんでそんな事言うんだお!! ブーンの知ってるドクオはそんなヤツじゃないお!!
('A`)「いい子ぶってんじゃねえよ。お前にも力があるならわかるだろ? この高揚感……」
('A`)「お前なら分かるだろブーン!! コレは復讐なんだよ!! 俺らを追いやった社会に!! 世界に!!」
そんなことしちゃダメだお!! そんなのは復讐じゃないお!!
176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 00:55:33.74 ID:iFaBePpU0
('A`)「お別れだ……お前もいつか気づくだろ。その能力を無駄使いしてるってコト」
行っちゃダメだお!! 無駄使いってなんだお!! ブーン達の能力は一体何のために……!!
('A`)「なぁブーン……お前も来いよ。一緒にこの世界を変えるんだ」
('A`)「いつでも来いよ。待ってるぞ」
行っちゃダメだお!! ドクオ行っちゃダメだお!!
「待ってるぞ……」
177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 00:56:06.95 ID:iFaBePpU0
( ;ω;)「ドクオーーーーッ!!」
∞「ブーン!!」
( ;ω;)「……お?」
∞「大丈夫か!? お前いきなり倒れたんだぞ!!」
( ;ω;)「……」
∞「ブーン……!?」
(;^ω^)「大丈夫だお……心配かけてすまんかったお」
( ,,゚Д゚)「ったく……拍子抜けだぜ」
(;^ω^)「!! 少年……!!」
182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 01:15:27.49 ID:iFaBePpU0
心配そうに覗き込む(蝿の姿だからよくわからないが)ムゲン。
少年は壁にもたれかかっていた。
∞「ホントに大丈夫なのか? 痛いトコあるか?」
(;^ω^)「あ、ああ……大丈夫だお……」
( ,,゚Д゚)「大方慣れない力の使いすぎってトコだろ」
(;^ω^)「……」
( ,,゚Д゚)「そんな身構えんなよ。こっちはもうやる気失せたぜ」
(;^ω^)「……お」
(;^ω^)「ご、ごめんなさいだお!!」
( ,,゚Д゚)「は?」
(;^ω^)「過去ログ読み直したら、先に手出したのブーンだったお……」
( ,,゚Д゚)「……」
(;^ω^)「ごめんだお……」
( ,,゚Д゚)「……ちっ、変な野郎だな」
185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 01:46:43.60 ID:iFaBePpU0
少年は頭を掻きながらブーン達に背を向け歩き出した。
(;^ω^)「あっ、待ってお!!」
( ,,゚Д゚)「……なんの為の能力かって聞いたな……自分の力の意味を考えたコトはないのかって」
足を止め、振り向かずに少年は語りだした。
( ,,゚Д゚)「……俺の力はお前らと違って生まれつきなんでな。そんなのずっと考えてきたさ」
(;^ω^)「……」
そう言った少年の背中は、どこか寂しげな影がさしていた。
186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 01:47:11.28 ID:iFaBePpU0
( ,,゚Д゚)「考えて考えて出した結論はコレだ。『気にしない』」
(;^ω^)「気にしない……」
( ,,゚Д゚)「わかるか? 俺には答えなんて見つからなかった。答えがわからないなら考えるだけ無駄ってコトさ」
(;^ω^)「で、でも少年はそれでいいのかお!? 答えがないままなんて、生きてる意味さえわからないお!!」
( ,,゚Д゚)「自分の価値観を人に押し付けるのはやめてほしいもんだな。不愉快だ」
(;^ω^)「う……」
187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 01:47:50.58 ID:iFaBePpU0
( ,,゚Д゚)「……手にした力を、欲望のままに使いたがるのは普通なんじゃないか?」
(;^ω^)「そんなコトないと思うお……(深夜に跳ね回ってたけど)」
( ,,゚Д゚)「お前は何故それをしない? 恐らくその力ならお前に敵はいないだろう」
(;^ω^)「……」
( ,,゚Д゚)「……まぁいい。お前がどんな答えを見つけるのか楽しみだな」
( ,,゚Д゚)「それと!!」
少年はくるっと振り返った。
( ,,゚Д゚)「少年じゃねぇ。俺の名前はギコだ。覚えとけゴルァ」
(;^ω^)「ギコ」
( ,,゚Д゚)「気安く呼ぶな!!」
(;^ω^)∞「ちょwwwww」
( ,,゚Д゚)「じゃあな。次会うときにはその力の使い方覚えとけゴルァ!!」
188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/07/01(土) 01:48:40.34 ID:iFaBePpU0
( ^ω^)「ギコ……かお。不思議なヤツだったお」
∞「生まれつきって言ってたね。僕らとは違った力なのかもな」
( ^ω^)「コイツも殺されちゃったし……また振り出しに戻ったお」
∞「そうだね……プロテインだね……」
( ^ω^)「(ドクオ……お前は今、どこで何してるんだお……)」