275 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 23:39:59.97 ID:QBUK+lnX0
ニダーは抗議したが、結局覆らなかった。
<ヽ`∀´>「こ、こんな勝負は認めないニダ!時間切れじゃなきゃ、ウリが勝っていたニダ!」
終いには捨てゼリフを吐き、リングを去っていった。
(;^ω^)「悔しいけど、相手の言う通りだったお・・・」
足取りも重くブーンが廊下を歩いていると、また流石兄弟が待ち構えていた。
(´<_` )「まさか、ニダーと闘っていたとはな」
( ´_ゝ`)「俺達に報告無しとは、なかなか度胸があるじゃないか」
(;^ω^)「も、申し訳ないお・・・言ったら、止められると思ったお」
(´<_` )「ニダーは、元200階クラスの闘士だ」
(;^ω^)「え・・・!?」
276 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 23:40:36.94 ID:QBUK+lnX0
200階クラスはそれまでの階とは違い、4敗した瞬間に即失格となる。
更にファイトマネーも払われず、勝ち取る事の出来る物は『栄光』のみ。
闘いには念能力が必至。念を覚えていない者が上がれば、死ぬ事すら有り得る危険地帯。
(;^ω^)「・・・そ、そんな場所だったのかお・・・!」
(´<_` )「ニダーは過去に、兄者が叩きのめした事がある。それを妬んで、兄者と一緒に居たお前に敵意を持ったんだろ」
( ´_ゝ`)「しかし、まさか奴がこの階とは思っていなかった。迂闊だったな、弟者よ」
(´<_` )「だが、ニダー相手にあそこまで戦えれば問題は無い筈だ、兄者。200階も、夢では無いかもな」
そう言った後、兄者と弟者の姿は消えた。
312 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 00:20:05.55 ID:+1u+j3DO0
天空闘技場 200階
( ^ω^)「つ、遂に来たお! 天空闘技場、200階!」
ニダーとの戦闘から、二カ月。
勝ったり負けたりを繰り返しながら、ようやくブーンは200階へ到達した。
エレベーターから降りると、そこには流石兄弟の弟者が立っていた。
(´<_` )「ようこそ、200階へ」
(;^ω^)「おっ・・・お」
弟者は、いつも見ている弟者とはまるで違っていた。
ブーンを、弟子ではなく一人の闘士として見ている。
(´<_` )「受付はこっちだ」
弟者に連れられ、ブーンは受付を済ます。
200階には、申告戦闘制と言う制度がある。
一試合ごとに90日の戦闘準備期間が用意され、期間内であればいつでも試合をすることが出来る。
一度試合をすると再び90日の期間が与えられる。
90日の期間内に一度も試合の申込をしない場合即刻失格となり、登録が抹消されてしまう。
( ^ω^)「とにかく、90日以内に試合すれば問題ないお!」
(´<_` )「そういう事だ・・・早速、試合の申し込みをしたい所だが、お前にはまだやる事がある」
314 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 00:30:54.29 ID:+1u+j3DO0
弟者の部屋へブーンは連れて行かれた。
( ^ω^)「・・・ッ! ぶ、ブーンは異性愛者だお!」
(´<_` )「・・・? 何を言っている。それより、練はもう出来る様になったんだろうな?」
(;^ω^)「あれから二ヶ月だお! もう出来るお!」
眼を閉じ、ブーンは集中する。
ブーンのオーラは徐々に密度と大きさを上げ、力強いオーラとなっていた。
(´<_` )「やはり、纏や絶に比べると苦手な方らしいな・・・。まぁ、良い。これから、お前のオーラのタイプを判断する」
(;^ω^)「オーラの、タイプ?」
ふと、テーブルの上にグラスが有った。
水一杯に満たされている、その水の上には葉が一枚乗っていた。
(´<_` )「水見式、と呼ばれる選別法だ。これに手を近づけて、練を行え」
言われた通り、ブーンは恐る恐るグラスに手を近づけ、練を行った。
362 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 00:54:58.23 ID:+1u+j3DO0
( ^ω^)「み、水が増えているおッ・・・!」
ブーンが練を行うと、グラスの水は脈打つ様にドクッドクッと増えていた。
(;^ω^)「何か、嫌な増え方だお」
(´<_` )「『水の量が変わる』のは強化系の証だ。強化系は、モノの働きや力を高める能力が多い」
( ^ω^)「・・・弟者は、何系なんだお?」
弟者がグラスに手を近づけると、水の中に何やら白い様な透明の様な物体が現れた。
(´<_` )「『水に不純物が生成される』のは、俺が具現化系を現している」
( ^ω^)「ニダーとかは何系だったのかお?」
(´<_` )「奴は特質系だ。あの系統は、かなり珍しい。通常、起こらない変化を見せたら、それが特質系だ。ちなみに、奴の水見式の変化は『水が精液に変わる』だ」
それから、受付で戦闘の申し込みを済ませ、弟者と別れた。
弟者から課せられたのは『水見式の変化をより大きくする事』だった。
363 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/09(日) 00:55:27.67 ID:+Ho6ia9p0 放出:水の色が変わる
具現化:水に不純物が出現する
強化:水の量が増える
変化:水の味が変わる
操作:葉が動く
特質:それ以外
432 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 01:42:07.98 ID:+1u+j3DO0
( ^ω^)「200階の部屋は凄いお! ここまで来ると、頑張った甲斐があったお!」
ベッドを飛び跳ねながら、ブーンは叫ぶ。
すると、電話が突然鳴り響いた。
(;^ω^)「・・・も、もしもし・・・」
「ブーンだな?」
( ^ω^)「そ、そうだお! その声・・・兄者かお?」
( ´_ゝ`)「君と試合がしたい・・・そうだな、一週間後位でいいか?」
(;^ω^)「な・・・兄者と、試合・・・!」
( ´_ゝ`)「では、楽しみにしている」
( ^ω^)「ちょwwwwおまwwwww」
電話は、切れた。
試合を申し込みしたその日に、まさか兄者に試合の申し込みをされるとは思ってなど無かった。
(;^ω^)「確かに、あの人は200階クラスだったお・・・でも・・・まさか・・・!」
ブーンは、しばらくその場から動けなかった。
566 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 17:23:35.64 ID:+1u+j3DO0
天空闘技場200階
いつもの暗い廊下が、いつまでも続いているかの様に思えた。
この廊下を抜ければ、闘技場。
ブーンは、いつまでもこの廊下が続けば良いと思っていた。
(;^ω^)「・・・・・・」
師とも呼べる相手が立ち塞がる事が、これほど辛い事と思っていなかった。
廊下を抜けると、190階までの時とは比べ物にならない程の歓声が耳を貫いた。
客は満員、リングは一つのみ。
そのリングの上には、既に兄者が立っていた。
ブーンを見つけると、優しく微笑む。
しかし、眼光は鋭くブーンを睨んでいた。
足が震えそうなのを堪え、一歩ずつ進む。
リングに上がり、兄者の前で立ち止まる。
視線がぶつかり合い、客は一層沸く。
( ´_ゝ`)「言っておくが、手加減はしない」
(;^ω^)「おっ・・・おっ」
「時間無制限! P&KO制!」
ブーンは、大きく深呼吸を一つ。
「始めッ!」
575 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 17:43:41.69 ID:+1u+j3DO0
( ^ω^)「⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン !!」
ブーンは叫びながら、兄者へ突っ込む。
右フックを顔面へ打つが、左手で弾かれる。
ブーンの顔面には既に兄者の右拳が迫っていた。
それを左手で受け止める。
が、勢いに押され、ブーンは軽く吹っ飛ぶ。
一回転してブーンは着地、そしてバックステップ。
再びブーンは兄者へ猛ダッシュ。
猛烈な勢いでパンチを打ち込むが、全て左手で弾かれる。
兄者は一歩下がり、左足を振り上げる。
ブーンの脇腹へ足が入る瞬間、ブーンは両手でそれを受け止め、足を掴む。
そして、力任せに投げ飛ばす。
兄者はリング外まで飛んでいったが、フワリと音も無く着地。
( ´_ゝ`)「格闘技術は、随分と上達したものだな」
(;^ω^)「弟者が、色々と教えてくれたお」
( ´_ゝ`)「そうか。なら、無用な心配は要らんな」
リング外に立っていた兄者の姿が、消えた。
と、ブーンが思った瞬間、腹部に激しい圧迫感。
兄者の拳が、ブーンの腹に入っていた。
578 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 17:55:37.23 ID:+1u+j3DO0
(;^ω^)「ゴッ・・・ガヘッっ!!」
ブーンは数メートル弾き飛び、その体をリングに這いつくばった。
「クリーンヒット&ダウン! 2ポイントッ!」
観客の歓声は、より大きくなる。
だが、ブーンは直に立ち上がり、腹を擦る。
( ^ω^)「(どうみてもニダーのパンチとは重みが違います。本当にありがとうございました・・・だお)」
( ´_ゝ`)「どうした、やめるか?」
( ^ω^)「試合は、まだこれからだおッ!」
ブーンはリングの石版を掴んだ。
ゴゴゴゴゴッ・・・と地響きの音と共に、見事に石版は剥がれた。
その石版を、ブーンはブーメランの要領で兄者へと投げ飛ばす。
579 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 17:59:22.14 ID:+1u+j3DO0
( ´_ゝ`)「ほぅ・・・」
兄者はいとも簡単に、ジャンプして回避する。
(;´_ゝ`)「・・・ムッ!」
ジャンプした兄者の眼の前に、ブーンが拳を振り上げ、飛び掛っていた。
鈍い音と共に、兄者は地に叩きつけられる。
兄者を受け止めた石版は音を立てて砕け、砂煙と共に破片が舞い散る。
(;^ω^)「はぁ・・・はぁ・・・」
「クリティカルヒット&ダウンッ! 3ポイントッ!」
スコアは『3−2』ブーンが逆転。
砂煙が晴れると、右頬が僅かに晴れた兄者の姿があった。
何でも無かったかの様に立ち上がり、服の汚れを払う。
( ´_ゝ`)「やはり、君をナメてはいけない様だ・・・」
兄者のオーラが、急に密度を増す。
( ´_ゝ`)「見せてやろう、俺の・・・念能力を」
584 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 18:09:51.43 ID:+1u+j3DO0
( ´_ゝ`)「・・・『際限なく開く窓(ブラクラ・ゲット)』
小さく兄者が呟くと、ブーンはいきなり左頬を殴られた。
(;^ω^)「なっ・・・!?」
兄者は動いていなかった。しかし、殴られた。
事態の把握が出来ぬまま、何とか踏み止まると、突然背中を蹴り飛ばされた。
(;^ω^)「おうっ!!」
またも、ブーンは地を這う。
「クリティカルヒット&ダウンッ! 3ポイントッ! 5−3!!」
ブーンは仰向けのまま、立ち上がれない。
横目で見ると、兄者は確かに全く動いていない。
何とかフラフラと立ち上がると、そこには信じられない光景が有った。
兄者が、三人。
593 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 18:26:01.46 ID:+1u+j3DO0
( ^ω^)「な・・・ちょwwwwwおまwwww」
( ´_ゝ`)「これが、俺の能力。時間が経つにつれ、俺の分身が増えていく」
すると、本体の兄者のオーラが分裂した。
徐々にそのオーラは人を象り、それは完全は兄者となった。
( ^ω^)「・・・ッ!」
驚いている暇も無かった。分身の兄者、三人が襲い掛かる。
一人目のハイキックをバックステップで交わすが、二人目がブーンの顔面に肘鉄を撃つ。
喰らいつつもブーンは踏み止まる。
だが、三人目が飛び掛るのに気着かず、飛び蹴りがブーンの顎に入る。
ブーンはリング外へ飛ばされ、大の字になって倒れこむ。
「ヒット! プラス、クリティカルヒット&ダウンッ! 4ポイント! 9−3ッ!」
既に、分身の兄者は7人にまで増えていた。
606 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 18:45:58.16 ID:+1u+j3DO0
兄者はリング上に立ち、ブーンを待っている。
( ^ω^)「ち、畜生・・・だお」
膝がガクガクと震え、ボロボロになりながらブーンは走り出す。
ダンッと踏み切ると、7人の兄者を飛び越え『本体の兄者』へと向かう。
しかし、本体はまるで動こうとしない。顔面を思い切り殴る。
本体はまるで人形の様に軽く吹っ飛ぶ。
「クリーンヒット&ダウンッ! 2ポイントッ! 9−5!」
(;^ω^)「(何だお・・・今の手ごたえの無さは・・・?)」
疑問を感じる暇も無く、七人の兄者の追撃を避ける。
本体は、本当に人形の様な動作で立ち上がる。まるで、生気が無い様にも見えた。
リング内を駆け回ると七人は追いかけて来る。
八人目の兄者が生まれた。
すると、急に分身の兄者達の動きが鈍る。
( ^ω^)「(・・・まさか・・・?)」
689 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 21:06:18.95 ID:+1u+j3DO0
観客席では、弟者がカタカタとパソコンを打っている。
(´<_` )「9人目・・・そろそろ、時間切れか」
ブーンは未だにリング上を駆け回る。
追い掛ける兄者達は、ブーンとの距離が徐々に離れ始めていた。
( ^ω^)「(時間が経つにつれ、人数が増える・・・人数が増えるにつれ、動きが鈍っていく・・・!)」
ブーンは振り返り、兄者達を迎え撃つ。
一人目を蹴り飛ばし、二人目を投げ飛ばす。
明らかに、分身達の動きは鈍い。
三人目、四人目の拳と蹴りを軽くかわし、五人目の顔面を裏拳で叩く。
残りの分身達の間を抜けて、ブーンは本体へ向けてダッシュ。
本体は眼も虚ろで、ただ立っているのみ。
意識があるのかすら分からなかった。
( ^ω^)「(いけるおッ・・・!)」
そんな希望が頭を過ぎる。拳を振り上げた瞬間、生成されたばかりの兄者の十人目が立ち塞がった。
697 :1 ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/09(日) 21:10:13.86 ID:+1u+j3DO0
(;^ω^)「えwwwちょwwww」
ブーンは驚愕し、思わず立ち止まる。
動きは鈍かったが、十人目はその隙を見逃さず、正拳をブーンへ放つ。
(;^ω^)「・・・!!」
ギュッと眼を硬く閉じていたブーンだったが、自分の顔面に拳は飛んで来なかった。
薄らと眼を開けると、目の前には十人目の拳が有った。
拳が当たる直前に更に動きが鈍くなったのだろうか、拳はノロノロとブーンの顔面へ向かっている。
ブーンが呆然としていると、その拳が鼻先へと軽く当たる。
勿論、痛くも痒くも無い。
( ^ω^)「た、助かったお・・・」
緊張が解けたのか、ブーンはヘタリと座り込む。
「ダウンッ! 1ポイントッ!! スコア、10−5! TKOにより、勝者『兄者』!!」
(;^ω^)「え」