1 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:00:17.81 ID:ZcTv2qF+0
あるところに、不幸な王子様がいました
王子様には数少ない親友がいます
彼らはいつでも仲がよく、いつでも一緒でした
ある日、王子様は愛するお姫様に告白をします
しかし王子様は断られてしまいます
王子様は深く傷つきました
ですがお姫様も深く苦しんだのです
そして、王子様はとても不幸になりました
――さてこの死体をどうしようか
――内藤、愛してるわ
7 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:03:44.25 ID:ZcTv2qF+0
ふと思い出した
心の奥底に沈めておいた筈なのに
多分、一生だ
一生僕を掴んで放さない
絶対に逃れることは出来ないだろう
僕はそれだけのことをした
そして、された――
8 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:05:12.76 ID:ZcTv2qF+0
頭を強く小突かれる
その衝撃で意識が戻った
( ・∀・)「次!内藤だぞ!」
川 ゜ -゜)「全然歌ってないな
何なら私が一緒に歌うが?」
どうやら少々脳内トリップしてたようだ
ここは・・・カラオケか
( ^ω^)「あ、ごめんお
ちょっとボケてたお」
川 ゜ -゜)「大丈夫か?
何なら私が介抱す
( ^ω^)「平気だおwww
それじゃあ僕の美声に酔ってほしいお」
( ・∀・)「確かに耳障りじゃないけど
別に美しい声ってワケでもないぞ」
( ^ω^)「嘘でもいいから
褒めて欲しかったお」
9 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:06:13.63 ID:ZcTv2qF+0
( ^ω^)「んーまずまずだお」
( ・∀・)「まぁまぁだな」
川 ゜ -゜)「というか、平均的で普通だな」
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
( ・∀・)「・・・・・・ッ・・・」
( ^ω^)「ちょwww鼻で笑うなおwwwww」
川 ゜ -゜)「私は内藤の声
結構好きだぞ!」
( ^ω^)「いや、別に酷い点でもないのに
必死に慰めないでくれお・・・」
川 ゜ -゜)「す、すまない・・・」
( ・∀・)「さて、次は俺だな」
10 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:07:21.86 ID:ZcTv2qF+0
( ・∀・)「うお!何て酷い点数だ!!」
( ^ω^)「ちょwwwこれはあまりにも酷すぎるwwwww」
川 ゜ -゜)「こんな点数出るんだな」
( ・∀・)「いや、驚かれてもな・・・
平然としてるが今にも泣きそうだ」
( ^ω^)「キメェwwwwwww」
( ・∀・)「あ、ちょいと飲み物入れてくるよ」
( ^ω^)「把握したお」
川 ゜ -゜)「・・・・・・内藤」
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
川 ゜ -゜)「デュ
( ^ω^)「だが断るお」
11 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:08:12.31 ID:ZcTv2qF+0
( ・∀・)「さてと、次どこ行くかね?」
川 ゜ -゜)「すまないな、私はここで先に抜けるとするよ
あまり親に心配は掛けたくないからな」
( ・∀・)「ん?あぁ、もうこんな時間か」
( ^ω^)「分かったお、送ろうかお?」
川 ゜ -゜)「いや、大丈夫だ
家はすぐそこだしな、それじゃまた明日」
( ・∀・)「おう、また明日な
それじゃ俺たちも解散だな」
( ^ω^)「仕方ないお、おやすみだお」
そうか、もうそんなに経っていたんだな
彼らと一緒にいると時が経つのを速い
さて、帰るか
12 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:09:08.66 ID:ZcTv2qF+0
後ろから誰かに内藤、と呼ばれ振り向く
( ^ω^)「お?」
―――クーだ
全速力で走ってきたのか、息が上がっていた
何か用でもあるのだろうか
( ^ω^)「どうしたんだお?」
川 ゜ -゜)「ハァ・・・ハァ・・・・・・
その・・・やはり送ってもらおうかな、と」
川 ゜ -゜)「・・・だ、ダメだろうか?」
( ^ω^)「別に良いおwww」
川 ゜ -゜)「そ、そうか
ありがとう・・・」
彼女の家まで送る途中、何度かクーの顔を覗くと
何故だか彼女はとてもにこやかだった
楽しそうに歩く彼女に、何か懐かしいものを感じた
13 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:10:24.92 ID:ZcTv2qF+0
ベッドの上に寝転びながら
今日のことを思い返す、それが僕の日課だ
カラオケのとき何を思い出してたんだっけな
そこまで懐かしくない、でも思い出すのに時間が掛かる内容だ
( ^ω^)「何だったかお、最近物忘れが激しくなったお」
嘘だ、本当は分かってる
何を思い出していたか、何故自分に対して隠そうとするのか
全部分かってる
それは思い出したくない過去で
でも僕は、今、そのことだけを考えている
( ^ω^)「・・・いい加減、忘れるお・・・」
視界が次第に狭くなってきた
このまどろんできた感覚が何とも言えなく好きだ
( ^ω^)「・・・ツ・・・・・・・・・」
14 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:11:22.71 ID:ZcTv2qF+0
目が覚める
ってことはいつのまにか寝てたんだな、と当たり前のことを考える
今日も学校に行かなければ・・・
しかし体が露骨に嫌がっている
僕は友達が本当に少ない
ただ話すだけ、そんな存在すら数えるほどだ
でも、心から友達と呼べる者達もいる
ふとが脳裏に過ぎる
ショボ・・・ドクオ・・・・・・
彼らのことを考えつつ制服に着替える
パンを口に詰め、コーヒーで流し込む
( ^ω^)「熱っ・・・・・・」
急いで洗面所に向かった
コーヒーは冷たかった
15 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:12:16.20 ID:ZcTv2qF+0
いつものように駐輪場へ向かい、自転車に跨ぐ
ゆっくりと、少しずつ、速度を上げて学校へと向かう
遠くない学校までの距離
それさえも僕を憂鬱にさせる
学校に着いた
教室へと向かう途中、後ろから呼ばれ振り向くと彼らはいた
( ・∀・)「おう内藤、おはよう」
( ^ω^)「おいすー、とりあえず
僕にそんな趣味は無いって言ったはずだお」
( ・∀・)「え、何が?」
川 ゜ -゜)「やぁ、おはよう内藤」
( ^ω^)「おいすー
あ、そうだ、借りたままだったアレはいつ
( ・∀・)「いや、何言ってんの?」
( ^ω^)「え?・・・あ、すまないお」
16 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:13:16.13 ID:ZcTv2qF+0
目の前にいるのはクーとモララー
あれ・・・僕は今、誰と会話をしていたんだ?
答えの出ている問いに意味は無い
それでも問いている間は、
その瞬間だけは、
僕はその事実から回避することが出来る
答えは出ていて、自分が逃げていることも分かってる
それでも――
( ^ω^)「半年経つのに・・・僕は・・・・・・
いつまで引きずってるつもりなんだお・・・」
17 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:14:40.51 ID:ZcTv2qF+0
午後の授業を終え、僕は早急に帰宅した
一体どうしたのだ、僕は
何故に昨日、今日と頻繁に思い出すのだろう
( ^ω^)「・・・今更、思い出したところでどうしようもないお」
( ^ω^)「・・・・・・だからまた、沈めるお」
ベッドに横たわり、目を閉じる
気持ちが楽になる
本当に、記憶の一部が空白になるような感覚に陥る
しかし、その空白は覗かなくとも
空白の部分そのものが僕の記憶に居座る結果となってしまう
思い出せそうで、なかなか思い出せない
もどかしく、とても気分が悪い
先ほどまでの安心感は既に無く、ただひたすらに、もどかしい
( ^ω^)「・・・不愉快だお・・・・・・」
18 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:15:41.50 ID:ZcTv2qF+0
何をすることもなく、ただひたすらに天井を見つめる
出来るだけ、出来るだけ何も考えないようにする
そうすれば、楽だから
そうしないと、苦しいから
それでもこの"嫌な感じ”が脳内に侵入してくる
以前とはまた違った"それ”は、確実に僕を蝕んでいた
( ^ω^)「・・・僕が一体、
何をしたっていうんだお?」
( ^ω^)「もう・・・止めてくれお!
僕に何もしないでくれお!!」
行き場の無い怒りとも嘆きとも言えない感情は壁にぶつけられた
部屋の静けさが余計に痛かった