96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/28(日) 13:39:36.23 ID:2dROaSJA0
ーーーしょぼんの家 リビングーーー
(´・ω・`)「・・・・・・・」
川゚−゚)レ「しょぼん・・・?」
(´・ω・`)「ちょっと、出かけてくるよ」
ブーンが出て行った数分後、しょぼんはそう言って、立ち上がった。
川゚−゚)レ「え・・・どこへ?」
(´・ω・`)「・・・ちょっと、散歩、だよ」
川゚−゚)レ「・・・・・・」
川゚−゚)レ「そう、か・・・」
(´・ω・`)「1時間ほどで戻ってくる・・・それじゃ」
そのまま、しょぼんは玄関のほうへと去って行ってしまった。
川゚−゚)レ「・・・・・・・しょぼん・・・」
残されたクーは独り、小さく呟いた。
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/28(日) 13:43:52.48 ID:2dROaSJA0
ーーー路上ーーー
(´・ω・`)(まさかとは思うけどあれが・・・)
(´・ω・`)(でも、そうだとしたら大変なことに・・・)
(´・ω・`)(僕も、彼も殺されちゃうよね・・・絶対に)
(´・ω・`)(・・・・・・・)
彼は少し、歩く速度を上げた。
99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/28(日) 13:47:51.78 ID:2dROaSJA0
ーーー某所 工房ーーー
しょぼんがその場所に着いたのは、家を出てから20分後のことだった。
(´・ω・`)「・・・・・・・」
一瞬扉の前で、躊躇い、しかしすぐにノブに手をかける。
ギギィと、木製の扉は悲鳴を上げた。
(´・ω・`)「・・・兄者は・・・いる・・・?」
その部屋は、混沌の様相を呈していた。
101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/28(日) 13:52:29.09 ID:2dROaSJA0
床にはバラバラになった人形の肢体が散らばり、窓ガラスにもヒビが入っている。
以前来た時は・・・これほどひどくなかったはずだ。
(´・ω・`)「兄者・・・」
そこに、確かに兄者はいた。
椅子に座り、全ての力を抜いたような姿勢で、俯いている。
( ´_ゝ`)「・・・・・・・」
(´・ω・`)「兄者・・・少し、聞きたいことがあるんだけど」
数瞬後、兄者は首を上げて、しょぼんを見た。
( ´_ゝ`)「俺に・・・何か用か・・・」
(´・ω・`)「・・・うん」
(´・ω・`)「急用・・・だよ」
102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/28(日) 13:57:34.12 ID:2dROaSJA0
(´・ω・`)「・・・笛は、どうしたの?」
( ´_ゝ`)「・・・・・・・」
(´・ω・`)「ほら、笛だよ・・・あの、ハーメルンの笛・・・」
( ´_ゝ`)「・・・さぁ」
(´・ω・`)「さぁ、じゃないんだよ・・・」
しょぼんは、呆れたような、それでいて泣きそうな声を漏らす。
(´・ω・`)「やっと完成したって・・・あの人にもう、報告しちゃったんだよ」
(´・ω・`)「このままじゃ、僕も、兄者も、殺されるよ」
( ´_ゝ`)「・・・別に、俺は死んでもかまいはしない」
(´・ω・`)「!」
( ´_ゝ`)「笛を作ったのは俺じゃない、弟者だ。それに、弟者はもう・・・」
(´・ω・`)「・・・・・・」
103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/28(日) 14:03:12.76 ID:2dROaSJA0
( ´_ゝ`)「・・・引ったくりにあった」
(´・ω・`)「え・・・」
( ´_ゝ`)「そいつに・・・弟者の遺品を全て、奪われた・・・墓に持って行こうとしたんだがな」
(´・ω・`)「その中に、笛も・・・?」
( ´_ゝ`)「あぁ」
(´・ω・`)「・・・・・・・」
(´・ω・`)「つまり最初から、あの人に渡すつもりは無かったんだね・・・?」
( ´_ゝ`)「・・・そうなるな」
(´・ω・`)「・・・無気力すぎるよ」
( ´_ゝ`)「どうでもいい」
(´・ω・`)「・・・・・・・」
( ´_ゝ`)「だが」
兄者は脱力した笑みを浮かべる。
( ´_ゝ`)「ひったくりが持っていったんだ。もしかしたら、見つかるかもしれないぞ?俺が墓に埋めるより・・・マシな結果だろう」
(´・ω・`)「・・・・・・・追いかけなかったの?そのひったくりを」
( ´_ゝ`)「追いかけたさ・・・だが、見失った」
105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/28(日) 14:08:45.26 ID:2dROaSJA0
( ´_ゝ`)「・・・そういうわけだから、俺にもう、聞く事はないだろう?」
(´・ω・`)「・・・・・・でも・・・」
( ´_ゝ`)「・・・逆にこちらが聞きたいな」
(´・ω・`)「?」
( ´_ゝ`)「お前は何故、あの人の手伝いなどをしているんだ?」
(´・ω・`)「・・・・・・・」
(´・ω・`)「こうでもしないと・・・クーが」
( ´_ゝ`)「・・・・・・・」
( ´_ゝ`)「・・・フン、お前も家族、か」
(´・ω・`)「君も・・・?」
( ´_ゝ`)「いや・・・弟者がな・・・」
( ´_ゝ`)「こんな廃れた工房だ。一ヶ月に入ってくる金なんてたかがしれてる・・・だが」
( ´_ゝ`)「あの人は、あの笛さえ完成させれば多額の報酬をくれると言った・・・だから」
(´・ω・`)「・・・そう」
( ´_ゝ`)「だがまぁ・・・もうそれもどうでもいいことだ・・・元々病弱だった弟者も死んだ。金など要らん」
106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/28(日) 14:15:47.18 ID:2dROaSJA0
(´・ω・`)「この工房は・・・」
( ´_ゝ`)「廃業だ。元々この工房は弟者の腕前で成り立っていた・・・フン・・・俺はただの居候に等しい」
(´・ω・`)「じゃあ兄者は・・・」
( ´_ゝ`)「死ぬ。孤独死・・・いや、野垂れ死にか」
まるで他人事のように、兄者は言う。
(´・ω・`)「・・・・・・」
( ´_ゝ`)「・・・まぁ」
( ´_ゝ`)「お前には謝らないといけないな。お前まで巻き込む必要は、無かった」
(´・ω・`)「・・・謝るぐらいなら最初から」
( ´_ゝ`)「あぁ、すまない」
(´・ω・`)「・・・・・・・」
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/28(日) 14:21:41.68 ID:2dROaSJA0
( ´_ゝ`)「・・・・・・さ、用事は終わりか?」
(´・ω・`)「・・・僕と一緒に、笛を探してくれる気には」
( ´_ゝ`)「なれない」
(´・ω・`)「・・・・・・わかった」
( ´_ゝ`)「フ・・・まぁ、せいぜい死ぬな」
(´・ω・`)「兄者も・・・」
( ´_ゝ`)「俺は殺されるのを待つさ・・・あの人に殺されるのか、飢えに殺されるのか・・・どちらかはわからないがな」
(´・ω・`)「・・・・・・」
しょぼんは兄者に背を向け、歩き出す。
( ´_ゝ`)「一つ、忠告しておこうか」
後ろから、声。
( ´_ゝ`)「・・・愛する人間だけは、守れ・・・俺みたいに抜け殻になりたくなければな」
(´・ω・`)「心に・・・・留めておくよ」
( ´_ゝ`)「あぁ・・・それじゃあな」
しょぼんはノブに手をかけ、扉を開く。
( ´_ゝ`)「またいつか地獄で会おうか」
・・・
・・
・
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/28(日) 14:24:42.45 ID:2dROaSJA0
(´・ω・`)(笛を・・・探さないと)
(´・ω・`)(僕はいい・・・でも・・・クーは・・・)
(´・ω・`)(・・・いっそのこと・・・逃げる・・・?)
(´・ω・`)(いや、それは無理だ・・・あの人から逃げるなんて・・・)
(´・ω・`)(・・・・・・・・)
(´・ω・`)(あの人がこっちにくるのは・・・多分、2、3日後・・・それまでに・・・なんとしてでも・・・!)