26話
- ツン:トレイシーは結局実家に帰っても何も思い出せなかったわ
ツン:けど、私たちと一緒にいるよりは実家にいた方がいいから、そうしたわ
ツン:今日が特殊部隊が派遣される日ね
安田:えぇ。首尾良く行けば、夜には終わるそうです
ツン:そう、吉報を期待しているとしましょう
ロッキー:じゃあ俺も行ってくるぜ
ツン:あら?ロッキーさんも行くの?
ロッキー:あぁ。色々と撮ってこようと思ってな
沢:私も行きたいんですがね
ロッキー:戦闘は特殊部隊任せだ。お前がいなくても大丈夫さ
安田:そうです。あなたはさっさと足をお治しなさい
沢:はい……
ロッキー:じゃあな。ま、ゆっくり待っててくれよ
ツン:ロッキーさんの報告によるとアメリカの企業が絡んでいたようね
美鈴:えぇ、サイモン社でしたね。軍需産業の大会社です
ツン:これはアメリカも黙っている訳には行かないわね
美鈴:それに、社長の次男は海軍パイロットで火の玉と呼ばれていたとか
ツン:もしかして火の玉ドッキー?
美鈴:そうです、確かそんな名前です
ツン:呆れた……。因果なものね、運命と言うのは
美鈴:社長がナチスの残党に殺されて、その火の玉さんのお兄さんが後を継いだそうです
ツン:父親を殺されたのにナチスに?
美鈴:理由は分かりません。ですが、救出しようとしたCIAの方々は全員殺されたと聞きました
ツン:そう……
ツン:結局、この戦争は誰が望んだのかしらね?みんな苦しんでいるようにしか見えないわ
ツン:けどそれももうすぐ終わるはずよ。根源は今日断たれるはずだから
- トレイシー:ここが、私の家だそうです
トレイシー:お父さんとお母さんは泣いて喜んでくれました
トレイシー:けど、覚えていないんです。お父さんもお母さんも
トレイシー:この部屋も覚えてない
トレイシー:この庭も覚えてない
トレイシー:この家も覚えてない
トレイシー:お父さんもお母さんも覚えてない
トレイシー:全部知らない。けど、安心する。ここがきっと私の家
トレイシー:私が生まれて育った私の家
トレイシー:私がこれから暮らしていく私の家
トレイシー:私が一緒に暮らすお父さんとお母さん
トレイシー:ここにいれば私はきっと幸せ
トレイシー:でも、忘れている気がする。それはきっと大事なこと
トレイシー:沢山の忘れてしまったことの中に埋もれている大事なこと
トレイシー:それはここにいたんじゃきっと思い出せない大事なこと
トレイシー:私の心は言ってる。ここは私の居場所じゃないんだって
トレイシー:行かなきゃ……私の居場所に
トレイシー:そこならきっと思い出せる。私のとてもとても大事なこと
- ツン:そろそろ肩がついた頃かしら?
ツン:報告を聞いたら一気にエリアVIPまで飛ぶわよ
ツン:そろそろ戦闘が終わった頃かしら?
安田:そうですね。時間的にはちょうどそんな所かと
ツン:報告を聞いたら私はエリアVIPに行くわ。安田さん、美鈴さん、後を頼むわよ?
美鈴:分かっています。国会議員としてのあなたの後は私が継ぎます
安田:けど、お嬢様一人では心配ですわ……
ツン:大丈夫よ、向こうに行けばブーンだってお父様だっているんだから
バンッ
ロッキー:大変だ!!!
ツン:あら、ロッキーさん。随分と早いお帰りね。そんなにあっさり終わったの?
ロッキー:あっさりも何も……すでに蛻の殻だったよ!!
ツン:な、なんですって!?
ロッキー:それだけじゃない!こいつを見てくれ!!
ツン:これは……首都制圧作戦ですって!?
ロッキー:ヤツら、エリアVIPを通り越して首都を狙う気らしいぞ!
ツン:そんな!でも、エリアVIPの人たちが首都に出撃すれば
ロッキー:ダメだ。同時にエリアVIPに陽動をかける作戦だ。首都まで手は回らねぇ
ツン:じゃあ、どうにもならないじゃないの!!
ロッキー:首都を制圧されたら政権交代だ。そうなったら今度はあいつらが反乱軍になっちまう
ツン:エリアVIPの位置じゃ簡単に包囲されちゃうわ!!
ロッキー:恐らく武装解除されて投降させられるだろうな
ツン:投降……
ロッキー:投降したら正規の兵は編入されるかも知れんが、外人部隊のヤツらは……
ツン:なんてこと…先手を打ったつもりがすでに後手だったなんて
- ツン;ダメだわ、エリアVIPと連絡を取る事も出来ない!!
ツン:このままじゃこれまでの苦労が全部水の泡だわ!
美鈴:確か荒巻さんがフランスにいるはずです!お爺様に連絡を取ってみます!
ツン:頼むわ!何とかしてこの事をエリアVIPに伝えないと
安田:国際電話は繋がらないようです!
ツン:なら隣国経由での連絡を試みて!
安田:分かりましたわ!
ロッキー:俺は今からでもエリアVIPへ行く
沢:私もお供しますよ!もう歩けるくらいには治っていますからね!
ロッキー:あんたはどうする?
ツン:……私は後から行くわ
ロッキー:後からか。何かヤル気だな?
ツン:私一人言った所でどうにもならないわ
ロッキー:そりゃ俺だって同じだが
ツン:だからもっと強力な援軍を引き連れていくのよ
ロッキー:援軍か。動くかね?アメリカさんは
ツン:出させて見せるわよ!こうなったら私は戦乙女にでもなってやるわ
ロッキー:ヒュー、そいつは頼もしい。じゃあそれにお供する事にするか
沢:今から行くにしろ、時間からするともう手遅れでしょうしね
ツン:見てなさい!これからが私の戦いよ!!
安田:お嬢様、ダメです。国自体に通信規制がかかっているようです
ツン:そう、ならもういいわ。チャーター機を用意して頂戴。あと急いでアポ取って
安田:分かりました。けど、どこにです?
ツン:ホワイトハウスよ
ツン:出来るだけ、出来るだけ多くの戦力をせびってみせるわ!!
ツン:必ず……必ず助けに行くから!だからそれまで絶対生き残ってよね!!
- ('A`)ようやく作戦の日がやってきた
('A`)今日こそ俺は、俺が空を飛ぶ意味を思い出せるんだろうか?
兄:ドッキー、ようやく来たぞこの時が!
('A`)あぁ、そうだな
兄:戦闘機隊は戦闘が終えたら空母には戻らず首都へ来るように
('A`)本当にこれを捨てるのか?
兄:散々苦しめてくれたお礼に最大限の贈り物をしたいだろう?
('A`)贅沢なこったな
キィィィィン……ガガ…ピーーー……
兄:アーアー、諸君、艦内放送は聞こえているだろうか?
兄:社長のサイモンだ。司令や艦長に変わって作戦の前に一言言わせてくれ
兄:この作戦は君たちにとって、それぞれの意味を持つものだ
兄:反政府軍の諸君。この戦いが終われば君たちは晴れて政府軍だ
兄:マフィアの諸君。この戦いが終われば君たちは富を得る事が出来る
兄:ナチス敗残兵の諸君。この戦いが終われば祖国再興の礎が築かれる
兄:この艦に乗っているものは一度は苦渋を舐めた者達だ
兄:我々はようやくその苦渋を舐め尽くしたのだ。もはや舐めるとすれば敵の生き血だけだ
兄:全てはこの戦いだ。この戦いの先には君たちの愛すべき未来がある
兄:幕を開こう!新しい闘争の開演だ!
兄:そして諸君らの勝利を以ってその幕は閉じられるのだ!!
兄:往こう!敵が!戦火が!未来が!君たちを待っているぞ!!
- ( ^ω^)幾らかの戦車を発見して破壊する事には成功したんだお
( ^ω^)けど、これじゃ焼け石に水だお。敵はもっと多いはずだお!
兵士A:大変です!!敵の大編隊がこちらに向かっています!!
ラウンデル:なんだと!?到達にどれくらいかかる!?
兵士A:あと10分程度だと思われます!!
ラウンデル:哨戒任務に出ている隊を呼び戻せ!!
兵士A:了解しました!!
津雲:これは恐らく、地上空母の艦載機が全部出てきていますな
ラウンデル:強襲ですな……もはやレーダーなどお構いなしか……
(´・ω・`)なんだって!?分かった!!
( ^ω^)どうかしたのかお!?
(´・ω・`)敵がエリアVIPに攻めて来ているそうだよ!
キム:じゃあすぐにでも戻らないと!!
ナムリス:少尉!!海の方に機影が!!
( ^ω^)海からも敵が来るのかお!何機だお!?
ナムリス:これは…1機、1機だけです!!
(´・ω・`)時間をかけていられない!一撃で行くよ!!
キィィィィィィィン
無線:ザザ……リアーと言う事はショボンか!聞こえるか!?
(´・ω・`)無線…!?そうだけど、誰だい!!
FOX:私だ!FOXだ!!
( ^ω^)ついに敵が動き出したお!それに合わせたかのようにFOXが戻って来たお!
( ^ω^)きっと戦いが…エリアVIPがFOXを呼んでいるんだお
- ( ^ω^)戻った時は既に激しい空中戦が展開されていたお
( ^ω^)フーバー達の頑張りでエリアVIPからは少し離れた所が戦場になっているお!
ラウンデル:FOX様!!良くぞ戻られました!!
FOX:良くここを守ってくれたな…と言いたい所だが守るのはこれからのようだな
津雲:敵は恐らく空母の全機を振り向けてきていると思われます
FOX:私も出たいところだが、いきなり出ても足手まといになるな
ラウンデル:なりませんぞ!我々はここでFOX様を失う訳には参りません!!
FOX:よし、私は司令室で指揮を執る!
ラウンデル:了解しました!参りましょう!!
津雲:私は出ようと思います。FOX様の代わりにはならないかも知れませんが
FOX:宜しく頼む、武運を
( ゚∀゚)必ず!戻れ!!
津雲:さぁ行くぞ!
(´・ω・`)了解!
( ^ω^)みんなあんまり無理はしちゃいけないお!危なかったら戻るんだお!
キム:僕達は大尉たちについて行きます!!
ナムリス:僕だってエリアVIPのパイロットなんですよ!
中隊員C:そうだ!俺達はみんなでショボン中隊なんだ!
中隊員D:生き残るなら中隊全員で!!
(´・ω・`)みんな…!
津雲:さぁ、行こう!この基地を守るぞ!そして生き残るぞ!!
( ^ω^)了解だお!!さぁ、フーバー達を助けに行くんだお!!
( ^ω^)敵味方が入り乱れる戦いの渦へと俺達は出撃するお!
( ^ω^)俺達は生き残るお!ツン、俺は負けないお!!
戻る 第27話へ