89 :1:2006/04/08(土) 14:20:32.75 ID:QBUK+lnX0

闘技場内に入り、エレベーターに乗る。
弟者が押した階のボタンには「200」と書かれていた。

( ^ω^)「200階クラスの、闘士だったのかお・・・?」

(´<_` )「兄者もだ。200階クラスからは、“念”能力での闘いになる」

( ^ω^)「“念”?」

エレベーターが上昇を始める。
終始無言のせいか、ブーンには200階に着くまで随分と長い時間だった気がした。
ふと、電子音が鳴り、扉が開いた。

その瞬間、あの嫌な感覚がブーンの体を貫く。

(;^ω^)「・・・・・・・!」

( ´_ゝ`)「弟者よ、誰が彼を連れてきて良いと言った?」

90 :1:2006/04/08(土) 14:20:55.38 ID:QBUK+lnX0
ブーンと弟者の目の前に、兄者が立っていた。

(´<_` )「真実を教えるつもりだ。彼は、“燃”を見抜いた」

弟者がそう言うと、兄者はあからさまに驚いていた。
大きく眼を見開いて、言葉が出てこないらしい。

( ´_ゝ`)「まさか、自分から教えたのでは無いだろうな」

(´<_` )「ねーよwwwwwwww」

兄者はブーンをジッと見つめた。
嫌な感覚が強くなった事を感じ、ブーンは身震いする事しか出来なかった。

( ´_ゝ`)「・・・分かった。とりあえず、信じよう。俺の部屋へ来い」

93 :1:2006/04/08(土) 14:44:23.88 ID:QBUK+lnX0
兄者の部屋は、高級ホテルのスイートルームと見間違える程に広かった。
これで個室らしく、弟者も同じ様な部屋らしい。

(;^ω^)「兄者さんにも、同じ事を聞くお・・・“燃”は・・・嘘だお?」

兄者は椅子にもたれ掛かり、眼を閉じ、大きく溜息を着いた。

( ´_ゝ`)「そうだ。“燃”とは『念を教えてはならない相手に話す嘘』だ」

(´<_` )「本当は“燃”では無く“念”だ」

( ^ω^)「それが、ブーンの怪我を治した力・・・!」

( ´_ゝ`)「自らの体にある『精孔』と言う部分から溢れ出る『オーラ』と呼ばれる生命エネルギーを操る能力・・・それを“念”と呼ぶ」

弟者は、ブーンへ掌を向ける。
すると、手が一瞬光を放ったかと思うと、その光がパソコンの形になり現れた。
ブーンの眼には、手からパソコンが生まれでた様にしか見えなかった。

(´<_` )「自身のオーラを“パソコンに具現化”する・・・これも、一種の念能力だ」

すると、弟者の手にあったパソコンがフッと消えた。

99 :1:2006/04/08(土) 15:05:15.10 ID:QBUK+lnX0
(´<_` )「まぁ、自分が念能力者になってみれば分かるさ」

弟者は、ブーンの目の前に立ち、掌をブーンの胸に当てた。
その手が光ったかと思った、瞬間。

(´<_` )「いくぞ・・・・ッ!」

( ^ω^)「えwwwちょwwwおまwwww」

ブーンに、何かが流れ込んだ。



( ^ω^)「おっおっおっおっ!!!」

ブーンの体から、蒸気が物凄い勢いで噴出し始めた。

( ^ω^)「す、凄いお! 湯気だお!! ギア2だお!!」

(´<_` )「今、お前の全身の精孔を開いた。オーラが眼に見えるだろう」

( ´_ゝ`)「悠長な事は言ってられんぞ。このままオーラを出し続ければ、全身疲労で立つ事も出来なくなる」

( ^ω^)「ちょwwwwwwおまwwwwど、どうすればいいお!!?」

102 :1:2006/04/08(土) 15:09:33.79 ID:QBUK+lnX0


未だに全身からはオーラが噴出し続け、ブーンは早くも疲労し始めていた。

( ´_ゝ`)「オーラを体に留めようと念じながら構えろ。想像しろ、オーラが血液の様に流れるイメージを!」

ブーンは眼を閉じ、必死にイメージを膨らませる。
やがて、ただ猛烈に体から噴出すオーラが縮まり始め、体の周りに留まっていく。

( ´_ゝ`)「(・・・おかしい。こうも簡単に『纏』をマスターするだと・・・?)」

(´<_` )「眼を開けて」

ブーンのオーラは滑らかに体を纏っていた。
薄らとブーンは眼を開ける。

(´<_` )「どんな感じだ?」

( ^ω^)「精液の中に居る感じだお・・・」

(´<_` )「・・・むぅ。例えは悪いが、そのイメージを持ち続けろ。『オーラが拡散しないように体にとどめる技術』、それが『纏』!」

( ^ω^)「イメージするのは、割と楽だったお。妄想はお手のもんだお!」

119 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 15:55:31.60 ID:QBUK+lnX0
弟者の部屋で、ブーンは朝を迎えた。
しかし、一睡も出来なかった。
自分が“念”を獲得してしまった事への恐怖と、弟者が襲ってくるのではないかという恐怖に板ばさみだった。

起き上がると、既に弟者はテーブルでコーヒーを飲んでいた。

(´<_` )「良く眠れたか?」

(;^ω^)「あんまり、だお」



120 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 15:56:22.72 ID:QBUK+lnX0
弟者は椅子に座る様に促し、フラフラとブーンはテーブルへと着いた。
勧められたコーヒーを一杯飲み、ブーンの心は落ち着いた。

(´<_` )「纏は、マスターした様だな」

(;^ω^)「随分と簡単だったお。あれが、念能力かお?」

(´<_` )「あれは、基本の一つだ」

他にも、弟者は色々と教えてくれた。
『精孔を閉じ、オーラを絶つ』技術である“絶”
『精孔を開き、通常以上にオーラを生み出す』技術である“練”
『自分のオーラを自在に操る』技術である“発”

(´<_` )「理解しなくても良い。経験を積めば、嫌でも身につく技術だ。しかし、今すぐお前には“練”を身に着けて欲しい」

( ^ω^)「練・・・? 何で、それを身に付ける必要があるんだお?」

(´<_` )「練は、特に戦闘で重要になるからな。出来れば、九月一日までにお前は基本の技を全て身につけて欲しい。」

この時、何故九月一日までなのか、ブーンには分からなかった。

151 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 17:53:01.80 ID:QBUK+lnX0

それから、一週間程が経過した。
ブーンは兄者と弟者に徹底的に鍛えられた。

纏は簡単にマスター出来た様だが、練は思う通りに修行が進まなかった。
その代わり、絶は纏よりも簡単にマスターしてしまった。

ブーン曰く、

( ^ω^)「教室内でいつも存在感が薄かったから、こんな事は朝飯前だお!」


188 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 20:31:54.10 ID:QBUK+lnX0
天空闘技場、一階

「両者、リングへ」

流石兄弟の勧めから、ブーンはもう一度挑戦し直す事になった。

( ´_ゝ`)「纏さえ使えれば、結構良い所まで行ける筈だぞ」

とは言われていたが、ブーンはやはり不安だった。
しかし、リングへ上るブーンの顔には、緊張の色はもう無かった。

相手は、ブーンの数倍はあるかと思う程の巨漢。
だが、自然と恐れは無かった。

「ここは一階のリングです。入場者のレベルを判断します。制限時間三分で、持てる力を発揮するように」

一度聞いた事のある、ジャッジの声。

「それでは両者、始めッ!」

ゴングが大きく鳴り、相手はブーンへ突進。
当のブーンは、大きく深呼吸。

巨漢は張り手をブーンへ勢い良く、繰り出す。

190 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 20:36:12.89 ID:QBUK+lnX0
バチィン! と、乾いた音が響く。

( ^ω^)「・・・・!」

ブーンは両手を突き出し、張り手を受け止めていた。

審判は、唖然としていた。
それは観客も、相手選手も同じだった。

その隙を着き、ブーンは相手の懐へ飛び込む。
がら空きの腹へ、蹴りを一撃。

「ゴフッ・・!」

その衝撃に相手はよろめき、続けてブーンが繰り出した拳は顔面へと入った。
相手は鼻血を吹きながら吹っ飛び、リング外へ弾き飛ばされた。

「あ・・・4545番の勝利・・・す、素晴らしい、五十階へ行きなさい」

ブーンはチケットを受け取り、リングを去った。


廊下には、流石兄弟が待ち構えていた。

( ´_ゝ`)「どうだ、随分と楽だったろう?」

( ^ω^)「確かに『纏』を使うと、とんでもなく防御力が上がるお! これは、ちょっとビックリだお!」

(´<_` )「百階まで行ける様になっていれば、その頃には体術もかなりのモノになる筈だ。頑張って、勝ち上がる事だな」

208 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 21:15:54.52 ID:QBUK+lnX0

更に、それから一ヶ月が経過していた。

ブーンの回し蹴りが、強面の相手の顔面へ入った。
相手は、白目になって石版のマットへ沈んだ。

「4545番の勝利! 君は九十階へ行きなさい。チケットだ」

(;^ω^)「・・・はぁ、はぁ・・・や、やっと九十階だお・・・!」

暗い廊下を歩いていると、見知らぬ人が立ち塞がった。

(;^ω^)「だ、誰だお!」

<ヽ`∀´>「ウリは『ニダー』ニダ! さっきから試合を見ていたら、嫌な匂いがプンプンするニダ!謝罪と賠償を請求するニダ!」

(;^ω^)「な、何だお! 言い掛かりだお!」

<ヽ`∀´>「次、恐らくウリと当たるはずニダ! その時まで、キムチを洗って待っておけニダ!」

それだけ言うと、ニダーは去っていった。

(;^ω^)「・・・・」

ブーンは、ニダーを一目見たときに確信していた。

( ^ω^)「あいつも念能力者、だお・・・」

218 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 21:36:35.11 ID:QBUK+lnX0
九十階

ブーンは、ニダーに関して流石兄弟に話さなかった。
初めての念能力者同士との戦いに、少なからずブーンは興味があった。

( ^ω^)「あそこまで挑発されて、黙ってられないお! 在日はぶっ飛ばすお!」

審判からのコールで、ブーンはリングへ上がった。
ニダーは、ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべている。

<ヽ`∀´>「ここらでお遊びはいい加減にしろってとこを見せてやるニダ!」

ニダーは、明らかに普通の人間の纏うオーラの量を遥かに越えていた。
ブーンは少し気圧されたが、ニダーを睨みつける。

「お互い、準備は?」

<ヽ`∀´>「ニダ!」

( ^ω^)「出来てるお!」

「3分3ラウンド P&KO制! 試合、開始ッ!」

ゴングが高らかに、響いた。

225 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 21:48:10.67 ID:QBUK+lnX0

<ヽ`∀´>「ニダーッ!!」

( ^ω^)「⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン!!」

ニダーとブーンは同時に走り出し、拳を打ち出す。
お互いの拳を、お互いが回避する。

ブーンは右のハイキック。ニダーは屈んでかわし、腹へと正拳を打つ。
急いでガードしようとしたが間に合わず、拳はブーンの腹へと入った。

(;^ω^)「・・・ゴハッ!」

ブーンは吹っ飛ばされるが、何とか着地し、足を踏ん張ってリング内に留まった。

「クリティカルヒット! 2ポイントッ!」

観客は、大きく沸いた。
ニダーは、ニヤリとほくそ笑む。

(;^ω^)「纏でガードしたのに、このダメージかお・・・!」

247 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 22:38:07.11 ID:QBUK+lnX0
(;^ω^)「(ブーンの纏じゃ、あいつの攻撃を防ぎきれないお・・・オーラを増やすには、練しか無いお!)」

ブーンは構え、眼を閉じた。
ニダーは不審に思い、突っ込むのを躊躇する。

(;^ω^)「おっおっおっおっ!!」

一分ほど経つと、ブーンのオーラが微弱ながらも、強みを増す。

<ヽ`∀´>「練もまともに出来ないニダか?」

ブーンは眼をカッと見開き、ダッシュ。
ニダーとの距離を詰め、思い切り拳を振り上げる。

いとも簡単に、ニダーはそれを左手で受け止める。

248 :1  ◆7Dk4kD/nhE :2006/04/08(土) 22:38:35.34 ID:QBUK+lnX0
<ヽ`∀´>「こんな程度じゃ、痛くも痒くもッ!?」

言っている間に、ニダーは手を掴まれ、ブーンに投げ飛ばされた。
リング外へ吹っ飛ばされ、ニダーは体を叩きつけられる。

「リングアウト、プラス、ダウンッ! 3ポイントッ!」

また、会場が沸く。
これでポイントは3−2 ブーンが優勢となった。

叩きつけられて尚、ニダーは平然と立ち上がる。

<ヽ`∀´>「お前は、ウリを怒らせたニダ・・・!見せてやる! 狼牙・・・じゃなくて『要求する謝罪とb」

ゴングが鳴り響いた。

「試合終了! 4545番の勝利!」


<ヽ`∀´>「・・・・ニ、ニダ?」

「時間切れ、だ」