番外編 ツン
744 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/10/26(水) 00:18:51 ID:YnJAp7VS0 ツン:日本に戻ってもう一週間
ツン:お父様は元気にしているかしら?
―――――
社長:さぁ、おいで。一緒にお空へ行こう
ツン:やーよ!高いところは怖いもの!
社長:そう言わずに……
ツン:ヤダったらヤダー!!
母:あらあら。あなたの娘なのに、この子は空が嫌いみたいね
社長:なんでだろうなぁ…。父は哀しいぞ…うぅ……
ツン:だって落ちたら痛そうなんだもの
社長:そりゃあ落ちたら誰だって痛いが……
母:フフ、そんな事言ったらもっと怖がってしまうわよ
社長:あぁそうだった……
母:ほら、ヌイグルミにしがみついてしまったわ
社長:な、そう言わずにお父さんと飛行機に乗っておくれ
ツン:ヤダっていってるでしょーー!!
社長:イタタタタ!ひ、髭を引っ張らないでくれ
母:あらあら。お父様が痛がっているわ
社長:…ふぅ。そんなに空は嫌なのか?
ツン:お空なんて嫌い!!
―――――
ツン:あの頃は本当に空が嫌いだったわ
ツン:どうせ同じ青い所なら海がいいと思っていたものよ
747 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/10/26(水) 00:32:19 ID:YnJAp7VS0 ツン:きっかけは何だったかは忘れたけど、空がとても嫌いだったわ
ツン:思えば、いつもお父様を放さない空に嫉妬していたのかもしれない
――――
母:た、大変よ!お父様が!!
ツン:お父様がどうかしたの?
母:具合が悪くなって倒れたらしいの!
ツン:お父様が!?
母:あの飛行機の中よ!
ツン:お父様!!
社長:おぉ……来てくれたのか……
ツン:お父様!元気を出して!!
……ゴォォォ
ツン:…え!?う、動き出した!?
社長:ハハハ!発進してしまえばこっちのものだ!
ツン:ちょ!?二人とも、私を騙したのね!!
母:まぁ!騙しただなんて人聞きの悪い
社長:お前がずっと父さんの言う事を聞いてくれないからだぞ
ツン:もぉぉ!!!
社長:うわっ!?こらっ!やめんか!
ツン:絶対に許さないんだから!!
社長:悪かった悪かった。それより外を見てみなさい
ツン:振り向いた私を迎えてくれたのは、雲のおしろいを塗った真っ青な空だった
749 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2005/10/26(水) 00:44:42 ID:YnJAp7VS0 ツン:意地の悪い二人は大嘘をついて、まんまと私を飛行機に乗せたの
ツン:けど、今ではそれに感謝しているわ。初めて気付く事が出来たのだから
―――
社長:ほら、雲の上に出るぞー
ゴォォォォォォォォォ
ツン:わぁ……
社長:どうだぁ?雲の海だぞぉ
母:いつ見ても綺麗だわねぇ
ツン:凄い……
フィィィィィィン……
社長:まだ怒っているのかい?
ツン:当たり前よ!どんなに心配したと思ってるの!
社長:す、すまん……
母:あなた、失敗だったみたいねぇ……
ツン:でも…、雲の海はもう一回くらい見てあげてもいいわ
ツン:それからは毎週のように飛行機に乗っていたっけ
ツン:私はやっぱりお父様の娘だと実感したものだったわ
ツン:お父様。あんなお父様だったからそんなに心配はしていないわよ
ツン:けど、また一緒に雲の海を見るのは楽しみにしているわ