5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/19(月) 14:08:53.89 ID:102lzfUM0
プロローグ

異星人の中には当然地球人と仲がいい奴もいればそうでない奴もいる。
前者は例えばパケット星人パケット族。
非力で争いを好まないという性質もあってか、地球人とは友好的な関係を築いてきた。
後者は例えばパケット星人オクティ族。
超能力を操り強靭な生命力を誇り、性質は基本的に邪悪。
同星に住むパケット族を迫害し、地球人に対して攻撃を仕掛けてくる。
オクティ族のちょっかいで死亡した地球人は決して少なくはなく、銀河連邦宇宙軍としても排除したいという意向を以前から示していた。
ただ、奴らの居城である地下要塞「バラデューク」に攻め込むとしたら間違いなく大きな被害が出る。
それに異星人は彼らだけでは無い。
害意があり危険性が高い原始的種族とは言え、下手に戦争を仕掛けて殲滅したりすると地球人という種族全体に悪評が立つ。
そうなると外交や商業流通に影響を及ぼしかねないのだ。
そういう訳でもどかしさを覚えながらも、軍は手をこまねいて待つ他なかった。

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/19(月) 14:10:23.54 ID:102lzfUM0
危うい均衡が崩れた直接のきっかけはパケット族からのSOS。
オクティ族の迫害が激化し、友好種族である地球人に助けを求めたのだ。
それを辺境警備隊が受信、殲滅の大義名分を得た軍は警備隊の中で選りすぐられたファイターを地下要塞「バラデューク」に潜入させる決定を下した。
不思議なのはただの辺境警備隊に多数の精鋭や装備があらかじめ配備されていた事。
実はパケット族のSOSは仕組まれたものだったのでは?という噂が流れたが、真相は定かではない。
残されたのはたった3日でバラデュークが壊滅し、オクティ族がパケット星より駆逐されたという事実だけだった。

ブーンは町を歩いていた。
街頭のテレビでは景気のいい話が流れている。
今後のパケット族との展望、バラデューク殲滅が如何に困難だったか、それを成功させた辺境警備隊の功績等々・・・
それを見てブーンは複雑な思いを抱く。
今、表に出てきているのは明るい未来の話だ。
では暗い過去の話はいつ表に出るのだろう?
被害規模、戦死者、敗者の処遇・・・。
あるいはこのまま葬り去られてしまうのかもしれない。
それはそれでいいのかもしれない。
あそこで繰り広げられた出来事は余りにも血なまぐさい。
表に出たとしても不愉快な気分になるだけだ。
それでも自分は忘れないだろう。
あの忌まわしい3日間を。