388 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/02(日) 16:57:08.52 ID:8vfFJDNV0
(*゜ー゜)「これで……もう……大丈夫」
(;`ハ´)「肩が……治ってる……!!」
ブーンが引き裂いた肩は、傷跡さえも消えうせていた。
(;^ω^)「(驚いた……この女も能力者かお)」
(;`ハ´)「……なんで……俺を……?」
(*゜ー゜)「え?」
(;`ハ´)「俺はお前を殺そうとしたんだぞ!? な、なんで助けるんだ!?」
(;^ω^)「それは俺も気になるお」
390 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/02(日) 16:59:37.71 ID:8vfFJDNV0
(*゜ー゜)「……ん〜……わかんない」
(;^ω^)「わかんないって……」
ふふっ、と笑って立ち上がった。
女はなにか喋ろうとしたが……
(*゜ー゜)「あ、あれ……」
(;^ω^)「お、おい!!」
咄嗟にブーンが受け止める。
(;^ω^)「だ、大丈夫かお!?」
声をかけてみるが返事はない。
どうやら気絶してしまっているようだ。
391 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/02(日) 17:00:10.06 ID:8vfFJDNV0
この服装は、病院の入院患者のモノだ。
ブーンは木々の向こうに見える病院を見つめた。
(;^ω^)「……」
(;`ハ´)「なんだ? どうしたんだ?」
(;^ω^)「……お前は……さっさと行けお」
(;`ハ´)「へ?」
(#^ω^)「失せろって言ってるんだお!!」
(;`ハ´)「ひいっ!!」
( ^ω^)「……」
(;^ω^)「……さて……」
392 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/02(日) 17:05:47.24 ID:8vfFJDNV0
(*゜ー゜)「ん……」
初夏の香りを運ぶ風が窓際のカーテンを撫でる。
木漏れ日が差し込む病室で、少女が目を覚ました。
ブーンはベッド脇の椅子に腰掛けていた。
(*゜ー゜)「あ……さっきの」
( ^ω^)「……」
(*゜ー゜)「ごめんね……私また倒れちゃったんだね……」
( ^ω^)「どこか悪いのかお?」
(*゜ー゜)「ふふっ、健康だったらこんなトコにいないよ」
(;^ω^)「ご、ごめんだお……」
(*゜ー゜)「ん〜ん」
393 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/02(日) 17:06:27.49 ID:8vfFJDNV0
( ^ω^)「君も……能力者なんだおね」
(*゜ー゜)「能力……? さっき見せた力のコト?」
( ^ω^)「男の傷を治してたお。あんな力初めて見たお」
(*゜ー゜)「うん……気づいたのは最近なんだけどね……君も、でしょ?」
( ^ω^)「ブーンだお」
(*゜ー゜)「あ、ごめん。しぃです」
そう言ってベッドから体を起こし、ペコリと頭を下げるしぃ。
394 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/02(日) 17:06:51.84 ID:8vfFJDNV0
ブーンはそれから自分のコトを話した。
力を手に入れてからのコト。
ドクオという親友のコト。
……自分の力の意味を悩んでいるコト。
(*゜ー゜)「そんなコトが……あったんだ……」
( ^ω^)「教えてほしいお。しぃはなんであの男を助けたんだお」
そこに、自分が探しているモノがあるかもしれない。
ブーンは出会ったばかりの目の前の少女に答えを求めた。
395 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/02(日) 17:10:40.66 ID:8vfFJDNV0
(*゜ー゜)「……小さい頃からね。ずっと体が弱かったんだ」
(*゜ー゜)「入院と退院を繰り返して……学校もあまり行けなくてね。友達もあまりいないんだ」
( ^ω^)「……」
(*゜ー゜)「一人であたしを育ててくれたお母さんも、仕事で忙しくてさ」
しぃはつらつらと自分のコトを話し出した。
それはブーンが求めた答えとは到底かけ離れた話のようにも思えたが、ブーンは黙って聞いていた。
(*゜ー゜)「この病院ね、長く病と闘ってる人たちが多いんだよ」
(*゜ー゜)「同じ病室の子たちが死んでいくのを……今までいっぱい見てきた」
(*゜ー゜)「あたしの力、病気には効かないみたいなんだよね」
そう言って唇を噛みしめるしぃ。
(*゜ー゜)「ごめんね。あたしにはブーン君の質問に答えられないや」
( ^ω^)「……いいんだお」
お)」
(;`ハ´)「……なんで……俺を……?」
(*゜ー゜)「え?」
(;`ハ´)「俺はお前を殺そうとしたんだぞ!? な、なんで助けるんだ!?」
(;^ω^)「それは俺も気になるお」
396 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/02(日) 17:11:57.54 ID:8vfFJDNV0
それからブーンは彼女の病室に毎日のように通いだした。
特異な力を持ち、それでも屈託無く笑える彼女に惹かれていたのかもしれない。
( ^ω^)「おいすーwwww」
(*゜ー゜)「おっす!!」
( ^ω^)「お? 今日は元気だおね」
(*゜ー゜)「私はいつでも元気だよ〜w ねぇ、今日天気いいからお散歩しようよ」
( ^ω^)「お」
6 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 15:20:59.90 ID:SQlHMclA0
(*゚ー゚)「あ、こっちこっち!!」
(;^ω^)「おまたせだお」
(*゚ー゚)「ありがと〜!! あたし好きなんだよね、あそこの自販のミルクセーキ」
( ^ω^)「そんな甘ったるそうなのよく飲めるおね」
(*゚ー゚)「むむ。そんなこと言うなら飲んでみなよ。おいしいから」
(;^ω^)「お……(か、間接キスだお……)」
(*゚ー゚)「きめえwwwwww」
(;^ω^)「ちょwwww心を読むなおwwwwww」
7 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 15:21:52.05 ID:SQlHMclA0
病院の裏手は林になっていた。
初めて二人が出会った場所。
他愛もない話をしながらぶらつく二人。
(*゚ー゚)「ね。なにかわかった? 友達のコト」
( ^ω^)「……」
(*゚ー゚)「……そっか……」
足を止め、黙りこくってしまうブーン。
そのうちしぃが伏目がちに訊ねた。
(*゚ー゚)「……ねぇ、変なコト聞いていい?」
( ^ω^)「ダメって言ったらどうするんだお」
(*゚ー゚)「聞かない」
(;^ω^)「……なんだお」
(*゚ー゚)「……なんでブーン君はドクオくんについていかなかったの?」
( ^ω^)「!!」
8 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 15:22:22.56 ID:SQlHMclA0
( ^ω^)「……ドクオは……」
( ^ω^)「……ドクオはずっと悩んでいたのかもしれないお」
(*゚ー゚)「悩んで……?」
( ^ω^)「自分の存在に……ブーンもニートだったからなんとなくわかるお」
( ^ω^)「悩んで悩んで……きっと自分が嫌いになっちゃったんだお」
(*゚ー゚)「……」
二人のあいだを風が吹いた。
それは木々を揺らし、沈黙の間を緑がさわさわと歌っていた。
( ^ω^)「だから力を手にしたとき……溜まっていたものが爆発したんだお」
(*゚ー゚)「……なんでブーン君はそうしなかったの?」
( ^ω^)「ブーンは空っぽだったんだお。今まで何も考えずにニートやってきたから……空っぽなんだお」
( ^ω^)「ただ……それだけだお」
(*゚ー゚)「馬鹿!!」
(;^ω^)「!?」
9 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/04(火) 15:22:39.22 ID:SQlHMclA0
(*゚ー゚)「馬鹿にしないでよ!!」
(*゚ー゚)「あたしは……!! あたしは空っぽの人を……好きになったりしない!!」
( ^ω^)「!! しぃ……」
(*゚ー゚)「お願い……自分を卑下しないで。ブーンは今まで他人を救おうと頑張ってきたんでしょ?」
( ^ω^)「……誰も助けられなかったお。女も……ドクオも……」
(*゚ー゚)「あたしのコト助けてくれたじゃない」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「……また……来るお」
(*゚ー゚)「ブーン君……」