48 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:47:32.97 ID:ZcTv2qF+0
――半年前
雨が降り出した
そこは小さな、小さな公園で
もう誰にも使われていない遊具は錆びに身を包んでいる
僕は昔、多くの時間をここで過ごした
思い出も沢山ある、僕にとっては大事な場所だ
"これ”の喉を拭き、指紋を消した
問題なのは痣だ、そこはもう運に任せるほかは無い
さてこの死体をどうしようか
49 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:48:44.09 ID:ZcTv2qF+0
僕は誰にも見つからないように警戒しながら
急いで家へと戻り、自分の部屋に戻った
しかし、絶対に誰にも見られていない、と言えば嘘になる
早急に着替え、寝ているフリをした
大丈夫だ、僕は捕まらない
疲れが一気に僕へとのしかかる
今僕は、6人分の死を背負っている
彼ら全ての死、その原因が僕だと分かった今
するべきことは――
――何だ
50 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:49:40.44 ID:ZcTv2qF+0
朝起きると、既に正午が近かった
前日、僕は自分の携帯から指紋を拭き取り
公園に捨てた
ツンと一緒に置いてきた
敢えて着信履歴は消さずに残す
僕は数日前より携帯を無くしていたことにし
僕はツンと通話していなかったことにする
正直なところ、そんな嘘がどこまで通るか心配だった
ここからは僕次第だ
いかに、彼女を殺したのが僕でないと思わせる演技が出来るか
僕はアイツと誓った
何があっても生き続ける、と
捕まってしまったら、刑務所に入ってしまったら
その時、その分は死んでいるのと同じだ
僕は、絶対に捕まらない
51 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:50:39.86 ID:ZcTv2qF+0
その日の夕方頃、訪問者が現れた
ある程度、予想はしていた人物
――警察
以前より連続して同じクラスの死人が出ていたことにより
僕が、もしくは僕らが
警察に目をつけられていたことは分かっていた
そこに一緒ではなかったツンの死亡が確認され
皆の共通点である、僕に対して
厳しくなることは必至だった
彼女の死亡推定時刻に何をしていたか、彼女をどう思っていたか
散々聞かれたものの、曖昧に答えておいた
僕は周りの人間が6人も死んでいるのだ
次は僕かもしれない、といった感情を剥き出しにしていなければならない
なかなか大変だ
53 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:52:12.53 ID:ZcTv2qF+0
それより、コイツはどこかで見たことがある
どこだったろうか、以前どこかで会った筈だ
不愉快な笑みを常に浮かべている
聞き込みに不釣合いなその顔に僕は苛立った
適当に相槌を打っていた警察官との質問も
終わりが近づいていたらしい
最後に礼をして、家から出て行こうとする前に、ヤツは言った
( ^Д^)「内藤、ツンに告白は出来たのかい?」
( ^ω^)「・・・お?」
( ^Д^)「やっぱり忘れてたか
別に今から覚えてくれても構わないが」
( ^Д^)「プギャーだ
昔はよく遊んだろう?」
54 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:53:35.57 ID:ZcTv2qF+0
思い出した、そうだアイツ――
昔、ツンと三人で遊んだような気がする
僕よりも少々年上で、警察になるのが夢とかで・・・
よく相談にも乗ってもらった記憶がある
そうか、なれたのか
よかったじゃないか
( ^Д^)「最後にあったのはいつだろうな
もう十年位前になるのかな」
( ^ω^)「そんなになりますかお」
( ^Д^)「そんな他人行儀は止めてくれ
昔みたいに気楽に頼むよ」
( ^ω^)「把握したお」
( ^Д^)「今回の事件、君にとっては
辛いことばかりだろうけど頑張ってくれ」
( ^ω^)「・・・分かってるお」
( ^Д^)「ツンを殺した犯人は、きっと捕まえて見せるからな!」
55 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:54:24.71 ID:ZcTv2qF+0
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
え?
こいつ、今――
( ^Д^)「ん?どうした?」
( ^ω^)「・・・あ、いや何でもないお
・・・犯人逮捕、頼むお」
( ^Д^)「あぁ、任せてくれ
それじゃ失礼したな、またな」
( ^ω^)「仕事頑張れおー」
パタン、とドアが閉まる
不意に笑みがこぼれる
僕は確信した
そう、アイツは、プギャーは僕を全く疑ってない
僕は捕まらない
56 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:55:51.34 ID:ZcTv2qF+0
ツンの死から数日経った
僕はまた学校に通おうと制服に着替えていた
こんなことになるとは夢にも思っていなかった
ツンに告白して、フラれて、気付けば一人になっていて――
僕は、何かしただろうか
僕が、何かしてしまったんだろうか
彼らを殺したのは、僕だろう
彼女を殺したのは、紛れもなく僕だ
それでも、納得はいかない
今僕は、誰も僕のことを待たない学校へと向かっている
それはとても辛い
57 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:57:09.00 ID:ZcTv2qF+0
クラス替えがあった
それもそうだろう、一つの教室から六人もの死者を出せば
学校側としても何かしらの対応をしなければならない
以前から学校を休む者も増え始めている
特に、僕と同じ教室の連中だ
新しく僕と同じ教室になったことで嘆くものも数人見かけた
学校に着き、教室に入るとそこにはいつもと変わりない風景があった
別に何の変哲も無い、ただの教室
僕は自分の机へと向かう
何か張り紙でも張ってあるのだろうか
そんな覚悟のもと、自分の席を確認すると
何も無かった
何もされていなかった
僕は、相手にすらされないようだ
川 ゚ -゚)「なぁ、君、内藤君だろ?
隣り、いいかな?」
58 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:58:17.90 ID:ZcTv2qF+0
( ^ω^)「あ、いいお」
川 ゚ -゚)「すまないね、席が空いていなくて」
( ^ω^)「この時間は混むから仕方ないお」
( ・∀・)「あ、クーじゃん
席空いてないから混ぜてくれよ」
川 ゚ -゚)「すまないが、私も譲ってもら
( ^ω^)「構わないお」
( ・∀・)「どうも、どうも
俺、モララー」
( ^ω^)「内藤ホライゾンだお」
( ・∀・)「よろしく、内藤」
( ^ω^)「よろしくだお」
川 ゚ -゚)「・・・私はクーデレだ
クーでいい、よろしく内藤」
59 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 21:59:11.48 ID:ZcTv2qF+0
( ^ω^)「僕に、友達が出来たんだお」
彼女は口を出さずにずっと聞いていてくれた
同じ学校だ、ドクオまでのことは知っていただろう
その先は、まだ誰にも話したことは無かった
彼女は、僕の過去を共有するに値する存在だと確信した
だから話した
少々、いやとても緊張している
他人が・・・いや君がこれを聞いてどう反応するのか
それは楽しみでもあり、不安でもある
川 ゚ -゚)「・・・・・・・・・」
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
沈黙が続く
川 ゚ -゚)「・・・・・・・・・」
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
クーが沈黙を破る
川 ゚ -゚)「聞きたいことがある」
60 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 22:01:04.12 ID:ZcTv2qF+0
川 ゚ -゚)「君は今、本当のことを、
全てを私に話してくれたのか?」
( ^ω^)「・・・・・・お」
川 ゚ -゚)「・・・そうか」
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
拳の中は汗ばんでいる
彼女は何と言ってくるだろうか
もしかしたら僕を警察に突き出すかもしれない
僕は、どうなる――
川 ゚ -゚)「私は」
62 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 22:02:14.90 ID:ZcTv2qF+0
川 ゚ -゚)「私は君の過去を知った」
川 ゚ -゚)「君がどれだけの思いをしてきたのか
・・・正直私は把握しきれていない」
川 ゚ -゚)「しかし、私は・・・
君が本当のことを話してくれて」
( ^ω^)「・・・・・・お?」
川 ゚ -゚)「話して・・・くれ・・・て」
( ^ω^)「ちょっ・・・・・・クー?」
クーが泣き始めてしまった
突然の出来事に僕は焦った
早く泣き止ませないと・・・
川 ゚ -゚)「本当に・・・嬉しい・・・」
涙拭いて笑顔で言うクー
僕は、確かにクーが好きだ
63 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 22:03:20.96 ID:ZcTv2qF+0
川 ゚ -゚)「・・・内藤」
( ^ω^)「お?」
川 ゚ -゚)「君の過去を踏まえて、
改めて言いたいことがある」
川 ゚ -゚)「内藤、私と付き合って欲しい」
( ^ω^)「クー・・・・・・」
僕は・・・
僕は・・・
64 名前:DIiGr4xG0 ◆Uy.fdqWlZY [] 投稿日:2006/07/24(月) 22:04:43.20 ID:ZcTv2qF+0
( ^ω^)「僕は君をきっと殺すお」
川 ゚ -゚)「私は死なないよ」
( ^ω^)「きっと不幸になるお」
川 ゚ -゚)「君といるだけで幸せだ」
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
川 ゚ -゚)「・・・・・・・・・」
( ^ω^)「・・・僕は・・・犯罪者だお」
川 ゚ -゚)「それらを踏まえた上で、言ってるんだ」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)「僕で、いいのかお?」