56 :1:2006/05/13(土) 14:51:09.14 ID:fSm6ASnx0
ガレージを出た後、BOONは大通りに入った。
( ^ω^)「残りの3人は社会人だけど1人暮らしだお。
家に帰る夕方に行くとしてそれまでは下準備だお。」
BOONは大通り沿いにあるホームセンターに入った。
ハンマーの予備やロープ、ナイフなどの道具を買っていった。
その後にコンビニに立ち寄りオニギリと飲み物を買う。
食欲はない。しかし、昨日の夜から何も食べていないので体力が落ちてきているのはわかっていた。
このままではこれからはじまるであろう作業には耐えられないだろう。
( ^ω^)「食欲がなくても食べないともたないお・・・。」
ブーンはコンビニのガレージに停めている車の中で無理やり食事をとることにした。
黙々と食事をとるブーンにはもはや味もよくわかっていなかった。
食事を終えるとカーラジオをオンにした。
お昼のトーク番組が流れているがその合間にツンのニュースが流れる。
内容は昼に聞いたものとほとんど同じだった。まだ捜査的にはそれほど進展はないようだった。
( ^ω^)「とにかく警察が犯人を捕まえる前に終わらせないと・・・。」
58 :1:2006/05/13(土) 14:52:15.08 ID:fSm6ASnx0
ブーンは手帳を開いた。そこにはしぃ、モララー、ジョルジュと書き込まれていた。
ブーンは道路マップを取り出し3人の住所までの道順を確認し始めた。
ルートの確認が終わるとブーンは呟いた。
( ^ω^)「最初はしぃのマンションに行くとして、その次はジョルジュ、モララーの順番に行くお。」
ブーンは車の中で今後の計画を考えていた。とにかく今日中にすべてを終らせなければならない。
しかし、警察が動き出した以上それすらも難しくなった。
ブーンのマンションに来たパトカーはほぼ間違いなく自分に会いに来たのだろう。
自分の携帯電話は昨日の夜から電源を切っている。
そして、今日の会社は無断欠勤しているので怪しまれているのは間違いない。
( ^ω^)「とにかく警察より先手をうって行動していかないとアウトだお。」
ブーンは車の中で残りの3人とのやりとりを脳内でひたすらシミュレーションしていた。
やがてブーンの顔に夕日の光があたるようになってきた。夕方になったのだ。
( ^ω^)「これからは1つのミスも許されないお。」
ブーンは車のエンジンをかけるとコンビニのガレージから出発した。
59 :1:2006/05/13(土) 14:53:15.89 ID:fSm6ASnx0
ブーンはしぃのいるマンションオクトーバーへ到着した。
ここへ向かうまでの間、ブーンは自分が警察につけられていないか注意を払っていたが、
怪しい車や人物を発見することはなかった。
( ^ω^)「とりあえず警察には見つからなかったみたいだお・・・。」
来訪者用のガレージに車を停めたブーンはBOONから降りた。
( ^ω^)「特に残業がなければそろそろ帰っているはずだお。」
ツンの事件が報道されてしまったのでうかつに電話などでターゲットと接触してまうと、
既に本物の警察から連絡がいっている場合、うまく立ち回らないと一瞬で偽物とばれてしまう。
それならば多少強引に動くためにも直接ターゲットに接触する方法がベストだった。
( ^ω^)「結構、大きいマンションだお。」
ブーンはマンションオクトーバーを見上げた。
ガレージはマンションの裏側にあるのでドアではなく部屋の窓が見えた。
ずらりと並んでいる窓を眺めいてるとブーンはふとある事に気づいた。
( ^ω^)「あれ?あの開いてる窓ってしぃの部屋じゃないかお?」
ブーンは手帳を開けるとしぃの住所を調べた。
そこには、しぃの部屋はマンションオクトーバーの201号室。と書いてあった。
マンションの2階の両端の窓のどちらかが201号室と思われるがそのどちらの窓も開いていた。
どちらの部屋のカーテンも風でなびいている。
60 :1:2006/05/13(土) 14:54:49.64 ID:fSm6ASnx0
( ^ω^)「もう帰ってきてたのかお。」
ブーンは急いでマンションオクトーバーに入っていった。
201号室のインターフォンを押す。しかし、反応はなかった。
念のため何度も押してみたが全く反応はなかった。
( ^ω^)「あれ?窓が開いてるのに誰もいないのかお。」
ブーンは首をかしげた。どうしようかと悩んでいたが思い切ってドアノブを掴み、捻ってみた。
ギィィ・・・という音と共にドアはゆっくりと開いた。
(;^ω^)「えっ!?ドアが開いてるお!」
ブーンはまわりを見回し、誰も居ないことを確認するとすばやく201号室に入った。
部屋に入るとすかさずドアを閉める。そして、玄関でブーンは声を出した。
( ^ω^)「すみませーん、誰かいませんかおー?」
しかし、部屋の中からは全く反応はなかった。
( ^ω^)「・・・。」
ブーンはしばらく考え込むと靴を脱いだ。思い切って部屋に入ることにしたのだ。
短い廊下を歩いてつきあたりにあるドアのドアノブを掴むとゆっくりと捻った。
ドアをゆっくり開けつつ顔を部屋の中に入れていく。
まず最初に気になったのは部屋に充満する血の匂いだった。
61 :1:2006/05/13(土) 14:58:23.95 ID:fSm6ASnx0
ブーンが部屋に入るとそこには腹に包丁を刺されて血まみれになって倒れているしぃがいた。
(;^ω^)「!」
確認するまでもなくしぃは死亡していた。そして、どう見ても他殺だった。
(;^ω^)「しぃが死んでるお・・・一体何がどうなってるんだお・・・。」
自分が殺すかもしれない人物が既に殺されている。ブーンは混乱していた。
しばらく立ち尽くした後、ブーンは無理やり頭を動かした。
( ^ω^)「とにかくこんなところでじっとしているわけにはいかないお。
とりあえず・・・いつ殺されただけでも調べるお。」
ブーンはすぐさま部屋を調べ始めた。
床に飛び散っている血はまだ完全に固まってはいなかった。
( ^ω^)「・・・死んでからまだそんなに時間が経っていないみたいだお。」
しぃが殺されたのは今日。しかも、ブーンがこの部屋に来るほんの少し前ということはわかった。
( ^ω^)「一体誰が殺したんだお・・・。」
そのとき、部屋のインターフォンが鳴った。
(;^ω^)「!」
62 :1:2006/05/13(土) 15:00:28.96 ID:fSm6ASnx0
ブーンは息を殺して気配を消す。
(;^ω^)(こんな時間に誰が来たんだお。)
ドアの方から「宅急便でーす。」という声が聞こえてきた。
(;^ω^)(宅急便かお・・・。さっさと帰ってだお。)
ブーンがしばらくじっとしているとやがて宅急便の配達者は去っていった。
(;^ω^)「・・・これ以上この部屋にいると何かとまずいかもしれないお。」
しぃのことをもう少し調べてみたかったがまた誰か来たらまずいとブーンは判断した。
最悪、合鍵を持っている彼氏などが来る場合もある。ブーンは血の匂いの充満する部屋を出た。
そして、玄関のドアののぞき穴を確認する。誰も居ない。
次にドアをゆっくり開けまわりに誰もいないことを確認するとすぐに201号室を出て車に戻った。
運転席に座ったブーンは助手席に置いた鞄の中から手帳を取り出し開いた。
( ^ω^)「・・・。」
しばらく悩んだ後、手帳に書いてあるしぃの場所に?と上からボールペンで書き込んだ。
( ^ω^)「・・・一体誰が殺したんだお。」
ブーンはしばらく考え込んでいたが、やがてハンドルを握り締めた。
( ^ω^)「とりあえずこの件は後回しだお。あと2人で全てが終わる。そっちに集中だお。」
ブーンはBOONのエンジンをかけるとマンションオクトーバーの来訪者用のガレージを出発した。
63 :1:2006/05/13(土) 15:02:06.12 ID:fSm6ASnx0
時間は今日の昼ごろに戻る。ブーンの乗っていたBOONを見失ったあと、
ショボンとフサギコはすぐにつーの家に向かった。2人はそこでつーの死体を発見していた。
ミ,,゚Д゚彡「こ、これは!?」
(´・ω・`)「死んでるね。」
ショボンは手袋をはめると死体を調べ始めた。
ミ,,゚Д゚彡「ツンさんを殺した犯人と同一犯の犯行とみてよさそうですね。」
フサギコは興奮気味に話し始めた。
しゃがみこんで倒れているつーの死体を調べているショボンが言った。
(´・ω・`)「それはないだろうね。」
ミ,,゚Д゚彡「えっ?」
(´・ω・`)「多分、ツンさんを殺した犯人とつーさんを殺した犯人は別だよ。」
ミ,,゚Д゚彡「なぜわかるんですか?」
64 :1:2006/05/13(土) 15:02:51.35 ID:fSm6ASnx0
(´・ω・`)「フサギコ君さぁ、人に聞く前に頭使いなよ。」
ミ,,゚Д゚彡「い、いや、でもツンさんが殺されて、
その直後に知り合いのつーさんが殺されていたら同一犯と思うのですが・・・。」
(´・ω・`)「そんな予想誰だってできるよ。僕らは捜査して結論を出さないと。」
ミ,,゚Д゚彡「はあ・・・。」
(´・ω・`)「まず、ここ見てみなよ。」
ショボンはつーの後頭部を指差した。
ミ,,゚Д゚彡「・・・後頭部を鈍器で殴られて殺されたようですね。」
(´・ω・`)「んで、次はこれ見てみなよ。」
ショボンはテーブルの上を指差した。
ミ,,゚Д゚彡「テーブルにはコーヒーカップが1つありますね。」
65 :1:2006/05/13(土) 15:04:09.44 ID:fSm6ASnx0
(´・ω・`)「それで、つーさんの側にもコーヒーカープが落ちてるよね。
つまり、つーさんがコーヒーカップにお湯を入れようとしているところを後頭部から殴られたということね。」
ミ,,゚Д゚彡「はい、そうなりますね。でも、それが同一犯じゃないって証明になりますか?」
(´・ω・`)「・・・。」
ミ,,゚Д゚彡「・・・。」
(´・ω・`)「・・・まあ、いいか。いくよ。
被害者と犯人がコーヒーを飲んでいたというシチューエーションはツンさんが殺されたときに似ている。
犯人が同一犯なら毒持ってるんだから毒殺すればいいじゃん。
なんで鈍器で後頭部殴るなんていうリスクの高いことしなきゃいけないの。
殴る前にばれたり、一撃で死ななくて逃げられたりしたらかなりまずいよね。」
ミ,,゚Д゚彡「ああっ、そうかっ!!」
フサギコは目を見開いて感心していた。
(´・ω・`)「頭は使いなさいよね。ほんと。駄目になっちゃうよ。」
ミ,,゚Д゚彡「・・・すみません。」
フサギコは頭を下げた。
ミ,,゚Д゚彡「しかし、そうなるとややこしくなりますね。犯人が2人いるってことですか?
そして、たまたまツンさんの知り合いが殺されたと・・・。別件になるんですかね?」
66 :1:2006/05/13(土) 15:06:37.22 ID:fSm6ASnx0
(´・ω・`)「いや、別件じゃないとは思うよ。」
ミ,,゚Д゚彡「えっ?」
(´・ω・`)「まあ、そこまでややこしいわけでもない。」
ミ,,゚Д゚彡「?」
(´・ω・`)「頭使いなさいよ。」
ミ,,゚Д゚彡「は、はい。」
(´・ω・`)「じゃ、次はどこに行くかわかる?」
フサギコは手を組んで考え込んでいたがやがて声を上げた。
ミ,,゚Д゚彡「・・・ツンさんの知り合い・・・。」
(´・ω・`)「もうちょっと具体的に。」
ミ,,゚Д゚彡「えーと・・・OLとその会社仲間が殺害されたから次も会社の知り合い関係?」
(´・ω・`)「そういうこと。行くよ。あ、この部屋に来る鑑識とかの連絡は全部やっといてね。」
ミ,,゚Д゚彡「あ、はい、わかりました。」
ショボンとフサギコはつーの部屋を出て行った。
70 :1:2006/05/13(土) 15:26:00.94 ID:fSm6ASnx0
つーの部屋を出たショボンとフサギコはツンの会社の知り合い関係を片っ端から捜査していった。
その結果、モナーの死体を発見した。
そして、さらに捜査をツンの交友関係に広げた結果クーの死体を発見した。ここはクーの部屋。
ミ,,゚Д゚彡「それにしても酷いもんですね。」
(´・ω・`)「そうだねえ。」
ショボンはしゃがみ込んでクーの死体を調べていた。
(´・ω・`)「ん?何か握っているな。」
ショボンはクーがハサミ以外にも何かを握っているのを発見した。
丁寧に指を開いて取り出す。フサギコもしゃがみこんで横にやってきた。
ミ,,゚Д゚彡「・・・メモですかね?」
(´・ω・`)「そうみたいだね。」
ショボンはメモを開いた。そこには『ブーン』と書いてあった。
ミ,,゚Д゚彡「こ、これは!」
(´・ω・`)「ダイイングメッセージっぽいね。多分ハサミはペン立てに入ってたんだろう。
で、ついでにペン立てからペンを取り出して急いで名前だけ書いて手に握り締めたってところかな・・・。」
71 :1:2006/05/13(土) 15:27:59.95 ID:fSm6ASnx0
ミ,,゚Д゚彡「犯人2人のうち1人はブーンさんが濃厚になりましたね。」
(´・ω・`)「そうなるね。」
ミ,,゚Д゚彡「・・・。」
(´・ω・`)「だんだんと見えてきたでしょ?」
ミ,,゚Д゚彡「は、はい・・・。婚約者を殺されたブーンさんが、
怒りのあまり犯人と思われる怪しい人達を次々に殺害していく・・・。」
(´・ω・`)「そのあたりが妥当だね。ツンさんは誕生日パーティーをブーンさんとやる予定だったみたいだしね。
ブーンさんがツンさんの死体を発見してその後は言うまでもなくという展開だ。」
ミ,,゚Д゚彡「でも、肝心のツンさんを殺害した人は誰になるんでしょうか?」
(´・ω・`)「そうだね。そっちの方はまだ何とも言えないけど・・・まあ・・・。」
ミ,,゚Д゚彡「まあ?なんですか?」
(´・ω・`)「だから頭使いなさいって。」
ミ,,゚Д゚彡「す、すみません。」
72 :1:2006/05/13(土) 15:30:13.54 ID:fSm6ASnx0
(´・ω・`)「さて、こうなるとのんびりしてはいられない。」
ミ,,゚Д゚彡「そうですね。ツンさんの交友関係にある人達の命が危険です。」
(´・ω・`)「だね。先手を打っていこう。あと、ブーンさんは多分警察のふりをして家に入ってるんだと思う。
まあ、僕らが警察だから出る発想かもしれないけどね。」
ミ,,゚Д゚彡「・・・えーと、それはつまり面識のない人が他人の家に簡単に入る方法は、
警察のふりをするのが1番ってことですか?
あと、ブーンさんの仕事がデザイン関係だから警察手帳の偽物も作りやすい。」
(´・ω・`)「やればできるじゃない。」
ミ,,゚Д゚彡「あ、ありがとうございます。」
(´・ω・`)「じゃあ、これからブーンさんが行きそうなところへ連絡を入れておいてよ。」
ミ,,゚Д゚彡「はい、わかりました。」
フサギコは手帳を取り出すとツンの交友関係のリストに目を通し始めた。