254 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/01(土) 16:43:40.00 ID:iFaBePpU0

('A`)「(まさかこんな場所を使うとは……)」

東京は都心のとあるオフィス。
ベンチャー企業を気取ったその扉の奥は、能力者たちのアジトとして使われていた。

(;´∀`)「弟者〜!! 弟者〜!! 大変だモナ〜!!」

オフィスの扉を開けても、そこには仕事をするような環境はなかった。
机や棚・仕切りなどを全て排除した、がらんどうな空間。

乱雑に置かれたパイプ椅子に腰掛ける能力者たち。

(´<_` )「なんだ騒がしい」

(;´∀`)「大変だモナ!! ニダーがやられたモナ!!」

(´<_` )「!!」

(’e’)「うわぁ〜……」

('A`)「!! ニダーさんが……!?(まさか……)」

(´<_` )「……相手は誰だ?」

(;´∀`)「わからないモナ。ニダーからの最後の連絡によると、銀髪の少年だったらしいモナ」

('A`)「……(違う、か)」

(´<_` )「またわけのわからんヤツが増えたな……わかった。兄者には俺が伝えておこう」

255 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/01(土) 16:44:05.31 ID:iFaBePpU0

(´<_` )「……というわけだ兄者。どうする?」

社長室と書かれたドアの奥。
兄者と呼ばれたその男は、椅子にもたれながら腕を組み、思案に暮れていた。

( ´_ゝ`)「銀髪……そいつは恐らくギコとかいうヤツだろう」

(´<_` )「!! 既に接触済みか。流石だな兄者」

( ´_ゝ`)「噂に聞いただけだ。そうか……その男も誘い入れたかったんだがな……」

(´<_` )「む……」

( ´_ゝ`)「ニダーを殺したとなると、ウチと敵対すると考えていいだろう……ところで」


( ´_ゝ`)「ニダーって誰だっけ」

(´<_`;)「……」

256 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/01(土) 16:44:36.06 ID:iFaBePpU0

(´<_` )「とりあえず皆集まってるぞ。顔合わせだ」

( ´_ゝ`)「わかった」

兄者・弟者がオフィスの扉を開ける。

( ´_ゝ`)「よく集まってくれたな革命の同志よ!!」

パイプ椅子に腰掛けていた男たちが一同に兄者に振り向いた。

( ´_ゝ`)「中には初めてのヤツもいるな。俺が革命軍のリーダー、兄者だ」

( ´∀`)「知ってるモナー」

そう言って兄者はオフィスの中を椅子を縫って歩いていく。

( ´_ゝ`)「くだらん演説をする気はない。俺らは人類を超越し、同じ目的を持った集まりだ」



( ´_ゝ`)「始めようじゃないか……幕を上げよう。盛大に」



(´<_` )「すまん兄者。今日は顔合わせだけで具体的なことはまだ……」

( ´_ゝ`)「……」

257 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/01(土) 16:45:32.30 ID:iFaBePpU0

( ^ω^)「この辺のはずだお……」

東京郊外のとある病院敷地内。
緑に囲まれたその場所で、ブーンは獣のような殺気を孕んでいた。

ドクオの情報はさっぱり掴めないままだった。
日増しに膨らんでいくブーンの焦燥感。

やがて考えることをやめ、能力者の匂いを嗅ぎ付ける毎日だった。

「うう……」

( ^ω^)「!!」

身体能力だけでなく、聴覚・視覚などの五感も鋭くなったブーンは、
離れたうめき声すら聞き取れるようになっていた。

( `ハ´)「ヒヒ……」

(*゚ー゚)「……う」

( `ハ´)「いいなぁ……その体……貧乳好きにはたまんねぇよ……」

(*゚ー゚)「……」

258 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/01(土) 16:45:54.11 ID:iFaBePpU0

( `ハ´)「俺が……きれ〜いに解体してやるからね……」

「それは興味深いお」

( `ハ´)「!! 誰だ!?」

「だけどもっと興味深いことがあるお」

( `ハ´)「クソ!! 誰だ!! 出て来い!!」

言って周りを見渡そうした時。

男の背後に、闇が音もなく降り立った。

( ^ω^)「お前は解体される側に回ったとき……どんな悲鳴を上げるんだお?」

260 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/01(土) 16:46:45.17 ID:iFaBePpU0

( `ハ´)「!! ひぎゃっ!!」

( ^ω^)「……」

( `ハ´)「くそう……なんだお前!!」

男は胸の前でガッツポーズを取った。
すると、右腕の袖が破れ、丸太ほどの太さに急激に膨張した。

( `ハ´)「ふふ……見ろこの逞しい腕を!! コンクリートだって俺にかかっちゃ発泡スチロールだぜ!!」

体とはあまりに不釣合いなその腕で、ブーンの肩を掴む。
しかしブーンの眼は真っ直ぐ男を見据えていた。

( `ハ´)「ははっ!! そぅれブチッと……」

(;`ハ´)「……ブチ……ブ、あれ?」

( ^ω^)「……」

261 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/01(土) 16:47:35.99 ID:iFaBePpU0

男は力を手に入れてから、何人も解体してきた。
TVで名を馳せたプロレスラーだって自分の右腕の前にひれ伏してきた。
自分の力に絶対の自信を持っていたのだ。

しかし、男が力を手にすることで得た自信は、突如降り立った闇によって崩れ去ろうとしていた。

(;`ハ´)「????? なんだコイツ……!?」

自分の腕と比べれば、遥かに細い肢体。
しかしブーンの肩を掴んだことで、男ははっきりと分かってしまった。


……コイツは人間じゃない。人の皮を被ったなにかだ。




262 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/01(土) 16:47:53.14 ID:iFaBePpU0

(;`ハ´)「ひいいいいっ!!」

( ^ω^)「……」

咄嗟に逃げようとする男の体を捕らえ、両手で右肩を掴む。

(;`ハ´)「ひっ!! ちょ、何す……あっ!! あああああ!!」

男は自分の筋肉が引きちぎられる音を聞いた。
破れた肩からピンク色の筋肉が覗いた。
すぐに真っ赤な色で染められ、男とブーンの顔に血が降りかかった。

(;`ハ´)「あっぎゃ!! ああああああ!! やめっ、やめて!!」

( ^ω^)「……」

263 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/01(土) 16:48:24.30 ID:iFaBePpU0

「やめて!!」

(;`ハ´)「!?」
( ^ω^)「!?」

(*゚ー゚)「やめて……!! や、やめなさい!!」

( ^ω^)「……お?」

(*゚ー゚)「それ以上やったら……う、腕が……!!」

( ^ω^)「……な、なに言ってるお? コイツは君を解体しようとしたんだお」

(*゚ー゚)「で、でもあなたが、その……か、解体しなくてもいいでしょ」

予想外の展開にブーンは思わず手を離した。

(;`ハ´)「ひぃっ、ひぃっ」

(*゚ー゚)「大丈夫!?」

(;^ω^)「……」

264 :無一文 ◆yl3K3xulPc :2006/07/01(土) 16:48:42.80 ID:iFaBePpU0

(;`ハ´)「ああ〜血が〜俺の肩が〜」

(*゚ー゚)「……動かないでね……」

女は静かに目をつぶり、そっと肩に手を添えた。

(;`ハ´)「ひっ!?」

(*゚ー゚)「大丈夫」

数秒の沈黙の後。
女の掌が眩く光りだした。

(;^ω^)「おお……!?」