74 :1:2006/05/13(土) 15:31:10.99 ID:fSm6ASnx0
ブーンは、ジョルジュの住むマンションオウガストに着いた。日も暮れ周りは暗くなっている。
ジョルジュの住んでいる部屋のあたりから明かりが漏れているのが確認できた。

( ^ω^)「もう家に帰ってるみたいだお。ジョルジュは205号室だお。」

ブーンは車から降りるとジョルジュのマンションオウガストの205号室に向かって歩いていった。
いつものようにインターフォンを押す。ジョルジュがドアを開けて出てきた。

( ゜∀゜)「どなたですか?」

( ^ω^)「警察のものですが少しお話したいことがありますお。」

ブーンはスーツの内ポケットから取り出した警察手帳をジョルジュに見せた。
ジョルジュは表情を1つも変えない。

( ゜∀゜)「お名前聞いてもいいですか?」

( ^ω^)「・・・ウィーと言いますお。」

このあたりは予想している展開の1つなので偽名を使う。
ジョルジュは何かを考え込んでいるようだったが、また話し始めた。

( ゜∀゜)「・・・その手帳を見せてもらってもいいですかね。」

(;^ω^)(な、何を言い出すんだお。)

75 :1:2006/05/13(土) 15:32:08.75 ID:fSm6ASnx0
ブーンは心臓の鼓動が高鳴った。

(;^ω^)「・・・。」

ブーンは何も言えなかった。

( ゜∀゜)「・・・まあ、いいか。外にいるのも何ですし中にどうぞ。」

ジョルジュは怪しむどころかブーンを部屋に招き入れた。
居間でジョルジュから出されたコーヒーを一口飲むとブーンは話を切り出した。

( ^ω^)「現在とある事件を捜査しておりまして、
本日の18時から22時頃くらいまでの間、あなたが何をしていたかお聞きしたいのですお。」

( ゜∀゜)「えーと、昨日は家に帰ってから筋トレしてご飯食ってまた筋トレしてましたね。」

( ^ω^)「筋トレ?どこでですかお?」

( ゜∀゜)「ここですよ。俺、体鍛えるの好きなんですよ。」

ジョルジュはそういうと部屋の隅を見た。そこにはダンベルや鉄アレイ等が所狭しと置いてあった。

76 :1:2006/05/13(土) 15:33:49.74 ID:fSm6ASnx0
( ^ω^)(アリバイ証明するものはなしかお。)

ブーンは目を細めると一気にコーヒーを飲み干した。

( ^ω^)「すみませんが、おかわりもらえませんかお。」

( ゜∀゜)「ああ、はい。」

ジョルジュはブーンのコーヒーカップを手に取ると台所の方へ向かった。
ブーンは鞄の中からすばやくハンマーを取り出すと足早にジョルジュの背後に迫った。
しかし、ジョルジュはすぐさま振り返った。

( ^ω^)「!」

ブーンはハンマーを片手に硬直した。

( ゜∀゜)「・・・やっぱりね。」

ジョルジュは両手でボクシングの構えをとるとブーンに右ストレートを放った。
思い切り顔面を殴られてブーンは吹っ飛んだ。よろめきながらすぐに起き上がったが鼻血が出ている。

77 :1:2006/05/13(土) 15:36:13.64 ID:fSm6ASnx0
(;^ω^)「な、なにするんだお!」

( ゜∀゜)「おいおい、ハンマー片手に持って俺をぶっ殺そうとしている奴が何言ってるんだよ。」

(;^ω^)「な、なんで・・・。」

驚きのあまりブーンは声が詰まってうまくはなせない。

( ゜∀゜)「さっき警察から電話があったんだよ。ツンさんが死んだって連絡ね。
アリバイやら何やらいろいろ聞かれたよ。それで、後でこっちに来るからって言ってたんだよ。
その刑事の名前はショボンとフサギコ。」

(;^ω^)「・・・。」

( ゜∀゜)「で、最後に偽物の警察がそちらに行くかもしれないから気をつけろって言われたよ。」

(;^ω^)「えっ!?」

( ゜∀゜)「偽物が来たら絶対に部屋に入れるなって釘刺されたんだけどさあ、捕まえたら金一封とかもらえるんだろ。
体力には自信あるしおまえを捕まえようかと思ってな。俺、ボクシングジムに通ってるんだぜ。」

そう言うとジョルジュはボクシングポーズからジャブやストレートを打ち込むしぐさをブーンに見せた。

78 :1:2006/05/13(土) 15:37:59.02 ID:fSm6ASnx0
( ゜∀゜)「さあこいよ。」

(;^ω^)「・・・。」

ブーンはハンマーを片手に握っているが今まではすべて不意打ち。
このように正面切った闘いなど初めてだった。もちろん今まで喧嘩などしたことはない。
いくら武器を持っていても不利なのは目に見えていた。

(;^ω^)(でも、やるしかないお。)

ブーンはハンマーを握り締めるとジョルジュに襲い掛かった。

( ゜∀゜)「遅い!」

ジョルジュはブーンの振り下ろされるハンマーをかわすと腹にボディーブローを放つ。

(;^ω^)「ぐはっ!!!」

予想以上の重い衝撃が腹に伝わり、ハンマーを落としたブーンはそのまま両膝をついた。
すかさずブーンの後ろに回りこんだジョルジュはブーンの首を両腕で締め上げた。

( ゜∀゜)「スリーパーホールドって言うんだ。総合格闘技もやってるんだぜ。
すぐに落としてやる。起きたら警察の取調室だろうさ。」

(;-ω-)「ううう・・・。」

ブーンは意識が遠のいていくのが自分でもわかった。

80 :1:2006/05/13(土) 15:41:36.26 ID:fSm6ASnx0
薄れゆく意識の中でツンの姿がブーンの頭の中に浮かんだ。

( ^ω^)(ツ、ツン!)

ブーンはほんの少しだけ息を吹き返した。

( ゚∀゚)「まだ落ちねえのかよ。めんどくせえな。」

( ^ω^)(こ、こんなところで終わるわけにはいかないんだお!)

ブーンは手をばたつかせると床に落としたハンマーに触れ、握り締める。
そして、思い切りハンマーで自分の後ろにいるジョルジュの頭を殴った。

( ゚∀゚)「いってぇええ!!」

ハンマーにうまく力が入らなかったため、致命傷にはならなかったが、
ジョルジュの腕の力は弱まり、スリーパーホールドから脱出することはできた。

(;^ω^)「ゴホッゴホッゴホッ・・・。」

ブーンはむせ返っていた。

( ゚∀゚)「こりゃ完全に正当防衛成立だな。おまえぶっ殺してやるぜ。」

ジョルジュはブーンに掴みかかってきた。

81 :1:2006/05/13(土) 15:43:17.10 ID:fSm6ASnx0
ブーンはジョルジュから逃げようとしたが足を捕まえられてしまった。

( ゚∀゚)「関節技で足折ってやる!もう逃がさねえ!」

しかし、ブーンはテーブルの上にあるコーヒーカップを手に取り、ジョルジュの頭に振りかけた。

( ゚∀゚)「熱っ!!!」

熱いコーヒーを頭からかぶったジョルジュは床に転がってのたうちまわる。
ブーンはそのジョルジュの頭を思い切りハンマーで叩きつけた。

( ゚∀゚)「!」

ジョルジュが動かなくなるまでブーンは何度も何度もハンマーを叩きつけた。

( ^ω^)「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・。」

呼吸を調えたブーンが我にかえるとジョルジュはもうただの肉塊になっていた。

82 :1:2006/05/13(土) 15:46:03.07 ID:fSm6ASnx0
(;^ω^)「あ、危なかったお・・・。でも、僕の行動が読まれているとは・・・。」

息を整えたブーンは考えを整理し始めた。

(;^ω^)「ショボンとフサギコという刑事は、
おそらく僕のマンションのガレージですれ違ったパトカーに乗っていた人達だと思うお。」

ブーンはガレージですれ違ったパトカーに乗っている刑事に何かを感じていた。

( ^ω^)「・・・とにかくあと1人。モララー。次でラストだお。ここに長居は無用だお。」

返り血をあびた服を脱いだブーンは鞄の中に入っている服に着替えた。
そして、ジョルジュの部屋を出ようとした。そのとき、インターフォンが鳴った。

(;^ω^)(ま、また宅急便かお・・・。)

ブーンは息を殺して宅急便の配達者が去るのを待つことにした。
しかし、ドアの向こうから聞こえてきた声は予想外の声だった。

ミ,,゚Д゚彡「すみませーん。先ほど電話した刑事のフサギコというものですが・・・。」

84 :1:2006/05/13(土) 15:49:06.24 ID:fSm6ASnx0
(;^ω^)「!」

さきほどジョルジュが言っていた刑事がやってきたのだ。
このまま誰も出ないと管理人に鍵を借りるなりして無理やり入ってくるかもしれない。
ブーンの心臓が高鳴った。

(;^ω^)(落ち着けだお・・・。ここを乗り切ることができればすべて終わるんだお。)

ブーンは焦りながらも頭をフル回転させた。その時、視界にベンチプレスが入った。

( ^ω^)「そうだ!これだお!」

ブーンはベンチプレスの重りとなるプレートを限界までシャフト(両手で持つ棒)に装着させた。
そして、鞄からロープを取り出すとシャフトにくくり付けた。

( ^ω^)「あとは窓から降りればいいお。」

ブーンはロープを窓から垂らすと2階から降りた。その頃フサギコはドアの前でひとりごちていた。

ミ,,゚Д゚彡「それにしてもショボンさんどこいったんだろ?
ちょっと探し物があるって言ってたけど。ここまで一緒に来たのならこっちに来たらいいのに・・・。」

85 :1:2006/05/13(土) 15:50:33.04 ID:fSm6ASnx0
ブーンは2階から降りるとすぐさま道端に停めているBOONにまで戻った。
しかし、そこには思いもよらぬ人物がブーンを待ち構えていた。

(´・ω・`)「やあ、ブーンさん。会いたかったですよ。」

BOONの運転席のドアの前にショボンが立っていた。

( ^ω^)「あ、あなたは誰ですかお?」

(´・ω・`)「ああ、僕は刑事のショボンです。」

ショボンはそう言うと警察手帳をブーンに見せた。

( ^ω^)(これがジョルジュが言っていた刑事かお・・・。)

そして、ブーンはガレージですれ違ったパトカーに乗っていた刑事なんだろうなと思っていた。

(´・ω・`)「多分このあたりに車停めてるんじゃないかなと思って探してました。やっぱりありました。」

( ^ω^)「それで話って何ですかお?」

(´・ω・`)「こんなこともうやめませんか?」

(;^ω^)「え?」

86 :1:2006/05/13(土) 15:52:01.46 ID:fSm6ASnx0
(´・ω・`)「もう全部わかってますよ。」

(;^ω^)「な、何がですかお・・・。」

(´・ω・`)「あなたは証拠を隠していませんからね。誰を殺したかはもうわかっていますよ。
ツンさんを殺した可能性が少しでもある人達が殺されているのもわかっています。」

(;^ω^)「・・・。」

(´・ω・`)「で、あなたが次に狙うであろうモララーさんにはアリバイがあります。
よってもう行かなくてもいいです。」

(;^ω^)(・・・そこまで読まれていたかお。)

ブーンは俯いて黙り込んだ。

(´・ω・`)「お気持ちは痛いほどわかります。ですが人を殺してはいけません。
私達と一緒に警察に来てくれますか?」

( ^ω^)「・・・は、犯人は・・・。」

ブーンは呟いた。

(´・ω・`)「はい?」

( ^ω^)「ツンを殺した犯人は誰かわかりましたかお?」

87 :1:2006/05/13(土) 15:53:16.60 ID:fSm6ASnx0
ショボンは渋い表情をした。

(´・ω・`)「まだ捕まっていません。そして、おそらくあなたの殺害した人達の中にはいないと思います。」

(;^ω^)「えっ?」

(´・ω・`)「ここから先は私達警察に任せてください。あなたはあなたのしたことを償ってください。」

ブーンはショボンという刑事がかなり優秀であることを肌で感じていた。
ブーンと面識すらないのにショボンがこの場に先回りしている時点でもその優れた能力を感じることが出来る。
その刑事が今まで殺した中に犯人がいないと言っているのだ。おそらく本当のことなんだろう。
ならば、まだここで捕まるわけにはいかない。ブーンの中に新たな力が湧いてくる。

( ^ω^)(まだ終わってはいないお・・・。)

ブーンは顔を上げるとショボンを見つめた。その目は真剣にショボンの目を見ていた。

( ^ω^)「・・・わかりました。一緒に警察に行きますお。」

(´・ω・`)「そうですか。ありがとうございます。」

88 :1:2006/05/13(土) 15:54:40.87 ID:fSm6ASnx0
( ^ω^)「その前に喉が渇いたんで車の中にあるジュースを飲んでもいいですかお。」

(´・ω・`)「ええ、どうぞ。」

ショボンはそう言うとBOONの運転席のドアの前から移動した。
ブーンは車に乗り込むとドアを閉めてロックした。
そして、すかさずキーを鍵穴に差し込み回すとBOONを発進させた。

(´・ω・`)「!」

ショボンは走って追いかけたがあっという間にBOONは街中に消えていった。
立ち尽くすショボンのところにフサギコが走ってきた。

ミ,,゚Д゚彡「ショボンさん!ジョルジュさんの部屋のドアに鍵がかかっていたので、
管理人さんに開けてもらったらジョルジュさんが殺害されていました。
犯人はロープを使って窓から逃げた模様です。」

(´・ω・`)「ツンさんの知り合いを殺している犯人はやっぱりブーンさんだったよ。たった今逃げられた。」

ミ,,゚Д゚彡「えっ!じゃあ、急いで追いましょう!」

(´・ω・`)「うん、そうだね。」

ショボンとフサギコはパトカーを停めている場所まで走っていった。そして、パトカーを発進させる。

89 :1:2006/05/13(土) 15:55:26.01 ID:fSm6ASnx0
ミ,,゚Д゚彡「何とか見つかるといいですね。」

(´・ω・`)「いや、もう行き先はわかっている。」

ミ,,゚Д゚彡「えっ!そうなんですか。」

(´・ω・`)「うん。犯人はあなたの殺した人の中にはいないって言ったからね。」

ミ,,゚Д゚彡「ど、どこなんでしょう・・・。」

そこまで言ってフサギコは黙り込んだ。真剣な表情で考え込むと答えを出した。

ミ,,゚Д゚彡「わかりました!あそこですね!」

(´・ω・`)「お、ちょっとはわかってきたみたいだね。」

ミ,,゚Д゚彡「鍛えてもらっていますからね。」

フサギコは嬉しそうな顔をした。パトカーは向かうべき場所へ向けて走っていった。