33 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 00:49:58.50 ID:hB5OC/er0
ーーー路地裏ーーー
足音潜め、息を殺し
闇を駆ける・・・
???「・・・えっと、確かこっちだったよな・・・」
目指すところは唯一つ・・・
???「ちょっとした、残酷なパーティーが拝めそうだ・・・」
・・・
・・
・
34 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 00:53:29.99 ID:hB5OC/er0
ーーー留置所ーーー
( ><)(・・・・・・・誰もいなくなった・・・?)
一人、息を潜めている者がいた。
その名は、わかんない。
・・・わかんないと言う名前だ。しつこいようだが、念のため。
( ><)「よし、そろそろ・・・!」
彼は、真っ暗な廊下を走り抜けた。
( ><)「・・・っ!」
( ><)(痛いんです・・・うぅ・・・こけちゃったんです・・・)
35 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 00:57:14.16 ID:hB5OC/er0
ーーー留置所 独房ーーー
消灯時間など、ここはそういったものがきっちりと決められている
ギコのいる独房もまた、例外ではない。
(,,゜Д゜)(・・・・・・)
しかし、眠れるはずも無かった
目を閉じれば浮かび上がる、娘の亡骸とヒッキーの笑顔
(,,゜Д゜)(・・・あぁっ、畜生!)
その度に彼は、頭をかきむしっていた
そんな時
鉄の扉が、小さく鳴り響いた
(,,゜Д゜)「!」
( ><)「ギコさん・・・ギコさん・・・起きてください!」
(,,゜Д゜)「・・・あぁ?」
82 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 19:44:10.41 ID:hB5OC/er0
(,,゚Д゚)(どっかで聞いたような・・・)
記憶の中に微かではあるが。
その独特の声が、記録されていた。
しかし、特定することはできそうも無いので
(,,゚Д゚)「犯罪者に対してえらく腰低い物言いですねぇ!」
嘲るようにして、そう言い返すことにした。
( ><)「あ、いえ、ええと・・・あ、開けてもいいですか!」
(,,゚Д゚)「・・・あぁ、かまいませんけどね」
( ><)「失礼します!」
ガチャガチャと、鍵の開く音・・・
84 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 19:49:28.43 ID:hB5OC/er0
( ><)「失礼します!」
(,,゚Д゚)「・・・・・・」
暗いために、その人物が誰なのかは見分けられない。
(,,゚Д゚)「・・・何の用です?」
( ><)「え、ええと・・・」
( ><)「釈放なんです!」
(,,゚Д゚)「・・・はぁ?」
85 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 19:56:05.98 ID:hB5OC/er0
さすがに、意味がわからない。
何故殺人者である自分が、しかもこんなにすぐに釈放されるというのだろう。
それに今は、真夜中のはずだ。
(,,゚Д゚)「・・・冗談もほどほどにしておいてもらいたいもんですね」
( ><)「じょじょ、冗談なんかじゃないんです!ど、独断ではありますけど・・・」
(,,゚Д゚)「・・・若そうな声ですけど、あなたみたいなのが独断していいもんなんですか?」
( ><)「そ、その・・・」
( ><)「もうここには・・・僕以外、いないんで・・・」
(,,゚Д゚)「・・・?」
( ><)「と、とにかく!ここから出てきてください!」
87 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:01:32.49 ID:hB5OC/er0
少しだけ、ギコは考え込んだ。
自由になれるというのならば勿論、そのほうがいい。
しかし・・・
(,,゚Д゚)「俺、人殺しなんですけどね」
( ><)「・・・・・・・」
(,,゚Д゚)「できればあれですよ、罪の償いぐらいしたいもんなんですが」
( ><)「そんな事してられる余裕、ないんです!」
(,,゚Д゚)「?」
ますます、頭が混乱する。
そこでわかんないはギコに、説明を始める。
もうすぐ、この街が見捨てられること
もうほとんどの住民が逃げてしまったということ・・・
・・・
・・
・
88 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:05:36.32 ID:hB5OC/er0
(,,゚Д゚)(フサギコさんの言ってたことが・・・マジになっちまったってわけか)
( ><)「そういうわけなんで、罪を償いたいのなら改めて他の場所で自首してください!ともかく・・・」
(,,゚Д゚)「あぁ、わかりましたよ・・・」
よろよろと、ギコは立ち上がった。
(,,゚Д゚)「おかしな世の中なもんだ、まったく・・・」
(,,゚Д゚)(・・・おかしい俺が言えた台詞じゃねえか・・・)
・・・
・・
・
90 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:09:22.12 ID:hB5OC/er0
ーーー留置所周辺 路上ーーー
( ><)「こ、これから」
(,,゚Д゚)「はい?」
( ><)「行く当てとか、あるんですか?」
(,,゚Д゚)「いえ、別に・・・ただ」
(,,゚Д゚)「妻の顔を見ておきたいとは思いますけどね」
( ><)「そ、そうですか・・・」
(,,゚Д゚)「・・・あなたはこれから、どこに行くんです?」
( ><)「まだ決めてません!・・・でも」
( ><)「できれば、お、お偉い人に抗議の一つや二つ・・・」
(,,゚Д゚)「・・・無駄だと思いますけどね」
そんな事を呟いた時、
街灯の光が微かに、その若い警官らしきものを照らした。
91 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:14:27.98 ID:hB5OC/er0
(,,゚Д゚)「!・・・あ・・・お前・・・」
顔を見てやっと気付いた。
その男が、自分の後輩だったということに
(,,゚Д゚)「・・・なんだ、お前だったのか」
( ><)「あ、気付いてくれたんですか!」
(,,゚Д゚)「・・・敬語使ってた俺が、バカみたいじゃねえか」
( ><)「も、申し訳ないです・・・言い出しにくくて」
(,,゚Д゚)「留置所に勤めるようになってたのか?」
( ><)「そういうわけじゃないです・・・でも、ギコさんが捕まったと聞いてここに・・・その、どこも人手不足だったですから」
(,,゚Д゚)「・・・そうかい」
自嘲気味に笑って、ギコは頷いた。
92 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:18:57.24 ID:hB5OC/er0
(,,゚Д゚)「ま、俺自身が言うべきことじゃねえかも知れねえが・・・」
( ><)「?」
(,,゚Д゚)「今の俺はお前の知ってる俺じゃねえ・・・ただの人殺しだ」
( ><)「・・・・・・」
(,,゚Д゚)「俺を釈放したこと、後悔してねえな?」
( ><)「・・・後悔はしてません」
(,,゚Д゚)「へぇ」
( ><)「責任を取らされることは多分無いですし・・・それに・・・」
( ><)「先輩が正義感の強い、誰よりも刑事らしい人だって事、よくわかってるつもりです!」
(,,゚Д゚)「・・・はっ」
93 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:23:04.91 ID:hB5OC/er0
(,,゚Д゚)「相変わらず青臭いな・・・それに」
(,,゚Д゚)「殺人者に向けて言う台詞じゃねえよ、それ」
( ><)「あ、す、すみま」
(,,゚Д゚)「でもまぁ、一応」
( ><)「・・・・・・・・?」
(,,゚Д゚)「感謝、しとくわ」
( ><)「・・・・・・」
( ><)「と、とんでもないです!」
その声を聞いて、
先程より陽気に、ギコは笑った。
94 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:25:45.21 ID:hB5OC/er0
(,,゚Д゚)「・・・んじゃ、気をつけろよ」
( ><)「ギコさんも気をつけてください!」
その言葉を最後として
二人は、別々の道を走っていった
もう一度顔を合わせることは
言葉には出さずとも、双方の願いであることはお互い、わかっていた。
・・・
・・
・
95 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:30:27.18 ID:hB5OC/er0
ーーーブーンの家 庭ーーー
( ^ω^)「・・・・・・」
夜空を見上げて一人
ブーンは庭先にたたずんでいた。
( ^ω^)(綺麗な星空だお・・・それにとても静かだお)
( ^ω^)(・・・・・・・)
(´・ω・`)「いい庭だね」
( ^ω^)「!」
振り向くとそこに
少し落ち込んだ表情のしょぼんが立っていた。
96 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:34:15.67 ID:hB5OC/er0
(;^ω^)「しょぼんが言っても嫌味にしか聞こえないお」
(´・ω・`)「や、そんな意味じゃ・・・」
( ^ω^)「・・・・・・・」
(´・ω・`)「・・・ふぅ」
(´・ω・`)「やっぱり、僕、バカだよ」
(;^ω^)「そ、それも嫌味にしか」
(´・ω・`)「いや・・・ほんとに」
( ^ω^)「?」
(´・ω・`)「僕は、バカだよ」
97 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:38:38.93 ID:hB5OC/er0
( ^ω^)「しょぼん・・・?」
(´・ω・`)「あの時、僕がするべきことは恐怖を伝えることじゃなかった・・・少しでもいい、ブーンやツンさん、クーを安心させること・・・だったんだよね」
( ^ω^)「それは・・・」
(´・ω・`)「なのに僕はただの仮説なのにまるで真実であるかのように喋ってしまっていた・・・自信たっぷりにね」
( ^ω^)「・・・・・・」
(´・ω・`)「知識人なんて・・・嫌な職業なんだよ、本当はね」
(´・ω・`)「冷たいお金はもらえるかもしれない・・・でも、温かい心は誰もくれないよ」
102 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:56:01.32 ID:hB5OC/er0
(´・ω・`)「・・・・・・」
( ;ω;)「・・・僕を」
(´・ω・`)「?」
( ;ω;)「殴ってくれお・・・怒鳴りつけてくれお・・・」
(´・ω・`)「ブーン・・・」
( ;ω;)「絶縁してくれても・・・かまわないお」
(´・ω・`)「・・・ブーン・・・君も」
( ;ω;)「・・・・・・」
(´・ω・`)「君も、バカだよ」
( ;ω;)「・・・そうだお・・・僕もバカだお・・・」
103 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:57:38.27 ID:hB5OC/er0
(´・ω・`)「僕は君に起こることのできる立場じゃないし、殴るなんてしたくない」
( ;ω;)「お・・・」
(´・ω・`)「だから、約束しようよ」
(´・ω・`)「これからは、どんなことがあっても絶対に嘘をつかない。それと」
(´・ω・`)「大切な人は絶対に守る・・・愛する人も、親友も」
( ;ω;)「しょぼん・・・」
(´・ω・`)「僕が言えるのは、それだけだよ」
そう言って彼は、その右手をブーンに向けた。
(´・ω・`)「指きりって歳じゃないからね・・・握手でもしとこうよ」
正直、握手をする歳でもない気がする
しかしブーンは、左手で涙を拭い
右手でその手を。握り返した。
・・・
・・
・
98 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:42:25.66 ID:hB5OC/er0
( ^ω^)「・・・しょぼんには、クーがいるお」
(´・ω・`)「いや、クーだってこんな僕に幻滅しているに違いないよ・・・」
(´・ω・`)「僕は、親友すら見捨てるような男なんだからね」
( ^ω^)「!」
思い出した・・・いや、心の隅にはずっとこびりついていた。
それが、自己主張を始めたのだ。
見栄を張るために・・・ブーンがあの後、ドクオが死んでしまった工房に戻ったということ・・・
( ^ω^)(僕は・・・・・・)
数瞬の沈黙、そして
99 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:48:04.57 ID:hB5OC/er0
(´・ω・`)「!?ブーン!」
その行為はあまりにも突然だった。
ブーンが雑草の上に手をつき、土下座を始めたのだ。
( ;ω;)「ごめんだお!しょぼん」
そうだ
自分には親友がいる
慕ってくれる娘がいる
愛してくれる妻がいる
なのに何故
つまらない見栄を張ってしまったんだ。
( ;ω;)「あの場に・・・僕は・・・ずっといたわけじゃないんだお・・・」
(´・ω・`)「え・・・?」
100 : ◆xh7i0CWaMo :2006/06/05(月) 20:52:33.15 ID:hB5OC/er0
彼は全てを吐露した。
目の前の親友に全てを
誇りも見栄もかなぐり捨てて
一言一言、口に出すのが辛い。しかし
一言一言、消化する度に、心地よくなった気がした。
・・・
・・
・