22 :1:2006/05/13(土) 13:59:44.49 ID:fSm6ASnx0
しばらく考え込んだブーンは腕時計を見た。

( ^ω^)「・・・7時かお。」

ブーンはBOONのエンジンをかけると発進させた。朝靄の中を走り抜けるBOON。

( ^ω^)「まずはクーの方から処理するお。」

BOONはクーの住んでいるマンションジューンに向かった。
いつものようにインターフォンでクーを呼び出す。

川 ゚ -゚)「・・・あの、どなたでしょうか?。こんな朝に。」

ドアを開けたクーはブーンを不審なものを見るような目で見つめていた。
ブーンはいつものように偽の警察手帳を出そうとスーツの内ポケットに手を突っ込んだ。
そのとき、クーが驚いたような顔をしながら言った。

川 ゚ -゚)「あれっ?ひょっとしてブーンさんですか?」

内ポケットの警察手帳を掴んだブーンの動きが止まる。

(;^ω^)「えっ!?」

面識もない女が何故自分のことを知っているのだ。ブーンの心に動揺が走った。

24 :1:2006/05/13(土) 14:01:23.32 ID:fSm6ASnx0
川 ゚ -゚)「ツンの婚約者のブーンさんですよね?ツンにこの前写真を見せてもらったんですよ。」

(;^ω^)「あ、ああ、そうですかお。そうですお。僕はブーンですお。」

川 ゚ -゚)「やっぱりブーンさんでしたか・・・。」

クーは先ほどまでの警戒を解き、安堵の息を漏らした。
そして2人の間に流れる沈黙。その沈黙を破るかのようにクーが話し始めた。

川 ゚ -゚)「それで私に何か用ですか?」

(;^ω^)「へっ?あ、ああ、ええとだお・・・。」

川 ゚ -゚)「?」

偽の警察手帳を見せて部屋に入ってアリバイを聞き、アリバイがなければ殺害という流れが無くなってしまったため、
ブーンは必死で次の計画を考えていた。

(;^ω^)(お、落ち着けだお。こんなところで動揺してどうするんだお。)

ブーンは自分に落ち着くように言い聞かせた。そして、頭をフル回転させる。
こんなことで自分の計画を台無しにしてはならない。それは絶対だった。

25 :1:2006/05/13(土) 14:03:12.19 ID:fSm6ASnx0
ブーンはしばらく黙り込んで何とかクーの部屋に入る方法。
いや、まずはここに来た理由を考えた。理由さえあればあとは何とかいけるはずだ。
難しい顔をして何もしゃべらないブーンを見てクーは眉をひそめた。

川 ゚ -゚)「・・・ブーンさん?」

これ以上黙っていれば怪しまれてしまう。ブーンはとりあえず適当に話をはじめた。

(;^ω^)「・・・じ、実はツンが急にいなくなちゃってここに来ていないか探しに来たんですお。」

川 ゚ -゚)「えっ?」

(;^ω^)「し、知りませんかお?」

川 ゚ -゚)「私の家にツンは来てませんけど・・・。」

(;^ω^)「そうですかお。」

川 ゚ -゚)「ツンの携帯とかにかけてみましたか?」

(;^ω^)「そ、それがつながらないんだお。」

26 :1:2006/05/13(土) 14:03:57.16 ID:fSm6ASnx0
川 ゚ -゚)「そうですか・・・あ、私からもかけてみましょうか。
ひょっとしてブーンさんの携帯の調子が悪いだけかもしれませんし。」

クーはそう言うと玄関の横にある靴棚の上に置いてある携帯を手に取った。
クーは携帯のメモリーからツンを探し電話をかけた。
その瞬間ブーンのポケットに入れていたツンの携帯電話が鳴り始めた。
ブーンの心臓の鼓動が高まる。

(;^ω^)(し、しまったお!犯人からかかってくるかもしれないから電源入れたままにしてたんだお!)

川 ゚ -゚)「ブーンさん携帯出なくてもいいんですか?」

自分の携帯を耳に当てながらクーは言った。クーは何も気づいていないようだった。

(;^ω^)「あ、ああ、今はいいですお。」

川 ゚ -゚)「・・・そうですか。」

不思議そうな顔をしたクーは携帯に耳を当てツンが出るのをずっと待っていた。
しかし、その途中でクーは何かに気づき、目を見開いた。そして、携帯電話を切る。
当然、ブーンの携帯電話の音も一緒に消える。

28 :1:2006/05/13(土) 14:08:39.53 ID:fSm6ASnx0
(;^ω^)「あ、携帯切れちゃったお。」

ブーンはしらを切るしかなかった。

( ^ω^)「で、どうでしたかお?ツンは出ましたかお?」

ブーンは何もなかったかのようにクーに話しかけた。
しかし、クーは先ほどまでとはうってかわって険しい表情になっていた。

( ^ω^)「どうかしましたかお?」

クーはブーンの目を見つめキッパリと言った。

川 ゚ -゚)「・・・さっき着信したブーンさんの携帯を見せてもらえませんか?」

(;^ω^)「えっ?」

川 ゚ -゚)「出来ないんですか?」

落ち着きを取りもどしつつあるブーンだったがまたしても動揺が広がる。
とにかく携帯電話を見せるわけにはいかない。
ツンのものとばれたら先ほどまでの会話が破綻する。ブーンは適当に言い訳を考えた。

(;^ω^)「そ、それは駄目だお。エッチな画像とか壁紙にしてるから恥ずかしいお。」

30 :1:2006/05/13(土) 14:09:28.51 ID:fSm6ASnx0
川 ゚ -゚)「かまいません。私ももう大人ですし。」

クーは全く引き下がらなかった。

(;^ω^)(どうしようかお。でも、なんでいきなり携帯電話見たいとか言うのかお。)

ブーンはどうやってこの状況を打開しようかと考え込んでいた。
何もいわずに黙り込んで困った顔をしているブーンにクーははっきりと言った。

川 ゚ -゚)「言ってあげましょうか。なぜあなたが携帯を出せないか。
それは、さっき着信音が鳴った携帯がツンのものだからですよ。」

(;^ω^)「えっ!?」

ブーンは一瞬驚いた顔をするとすぐに表情を戻し、クーから顔をそらした。

川 ゚ -゚)「その着信音はツンのオリジナルの曲です。
どこかで聞いたことあると思っていたのですがあの特徴のあるサビは覚えています。」

そう言うとクーはツンの携帯に再び電話をかけた。ブーンのポケットの携帯が音を鳴らす。
クーが携帯を切るとブーンのポケットの携帯の音も消えた。

川 ゚ -゚)「・・・。」

(;^ω^)「・・・。」

31 :1:2006/05/13(土) 14:09:50.11 ID:fSm6ASnx0
黙ったまま立ち尽くすブーンにクーは話かける。

川 ゚ -゚)「ブーンさんはツンの携帯につながらないと言ってましたよね?
なら、なぜあなたがツンの携帯を持ってるんですか?」

ブーンを問い詰めるクー。ブーンは何も言えずただ俯いているだけだった。

川 ゚ -゚)「ツンを探しているわけではないならなぜここに来たのですか?」

クーの口調がさらに厳しくなる。明らかにブーンを怪しんでいる。

(;^ω^)(もう駄目だお。やるしかないお。)

ブーン達はドアを半分ほど開けて会話していたが、ブーンは強引にクーの部屋の中に入ろうとしはじめた。

川 ゚ -゚)「ちょ、ちょっと何するんですか!」

( ^ω^)「とりあえず部屋の中で話をしようだお。」

強引に部屋に入ってこようとするブーンをクーは思い切り押した。
ブーンは思わずよろめいて後ろに数歩下がる。クーはすかさずドアを閉めようとした。
しかし、素早く片足を閉まりそうなドアに捻りこむブーン。
ガッという音がした。ドアはブーンの靴の隙間分だけ閉まらなかった。
すかさずドアの側面を掴み強引にドアを開けるブーン。
クーは靴のまま短い廊下を走り、部屋の中に入っていった。

( ^ω^)(逃がさないお。)

35 :1:2006/05/13(土) 14:24:23.17 ID:fSm6ASnx0
ブーンはドアをゆっくりと閉めると鍵をかけた。カチャリという金属音が鳴る。
そして、靴を脱いで廊下を歩く。短い廊下を抜けるとそこは居間だった。
壁に映画のポスターが貼られており、女性誌などが小さなテーブルの上に置いてあった。
内装などを見てもいかにも女の子という感じの部屋だった。

川 ゚ -゚)「何しに来たんですか。」

部屋の隅に立っているクーは強い口調で言った。手にはペン立てに入っていたハサミを握っている。
恐怖のためか、力を込めすぎているためか、小刻みに手が震えていた。

( ^ω^)「ちょっと、落ち着いてだお。さっきのはちょっとした冗談だお。」

ブーンは笑顔で話しかけた。

川 ゚ -゚)「冗談?」

( ^ω^)「実はツンに頼まれたことがあって、クーさんにちょっと聞きたいことがあるんだお。」

ブーンはクーの方へとゆっくりと歩み寄る。

川 ゚ -゚)「来ないで!」

36 :1:2006/05/13(土) 14:25:22.80 ID:fSm6ASnx0
クーはハサミをブーンの方へ向けると叫んだ。ブーンは蛍光灯の下あたりで立ち止まる。

( ^ω^)「わかったお。じゃあ、ここでいいお。聞きたいことは・・・。」

ブーンはいきなり蛍光灯から下がっている紐を引っ張った。蛍光灯の灯りが消え、部屋が暗くなる。
お互いの姿が視界から消えると思いきや、カーテンから朝日が多少漏れているのでお互いの場所は薄っすらとわかる。
ブーンははじめから暗くするつもりだったので平静を保っているが、クーは部屋がいきなり暗くなったので動揺していた。
その一瞬の隙さえあればよかったのだ。
ブーンは鞄からすばやくハンマーを取り出すと部屋の端にいるクーのいる辺りへと足早に近づいた。
暗闇から迫ってくるブーンに対して戸惑うばかりで何もできないクー。
ブーンはクーの前にまで近づくとハンマーでクーの頭を正面から思い切り叩いた。

川 ゚ -゚)「!」

クーはテーブルの上にうつ伏せになるように倒れるとそのまま動かなくなった。

( ^ω^)「ハァッ・・・。」

呼吸を調えたブーンが我にかえるとクーはもうただの肉塊になっていた。

37 :1:2006/05/13(土) 14:27:21.71 ID:fSm6ASnx0
ブーンはいつものように鞄に入っている服に着替えると、
クーの部屋を出てマンションの側に停めていたBOONに乗り込んだ。
助手席に置いた鞄の中から手帳を取り出し、
『クー:ツンの高校時代の友達(フリーター)』と書いてある場所に×と上からボールペンで書き込んだ。

( ^ω^)「・・・3人目処理完了。」

ブーンはカーラジオの電源をオンにし、朝のニュースに耳を傾ける。
ツンに関する報道はまだ流れていなかった。ブーンは手帳に再び目を落とす。
そこには『ペニサス伊藤:ツーの高校時代の友達(OL)』と書いてあった。
住所は一戸建ての家が立ち並ぶ住宅街。

( ^ω^)「家が実家だお・・・。」

ブーンは腕時計を見た。時刻は8時前だった。そのときブーンにあることが閃いた。

( ^ω^)「まだ間に合うかもしれないお。」

ブーンはBOONのエンジンをかけるとペニサス伊藤の家に向かった。