1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2006/04/20(木) 18:37:10.00 ID:j8yUO/Ga0
空は青い。
もし背中に羽があったなら。
あの青空へ飛んでいくだろう。
輝き続ける太陽のほうへ。
この地を蹴って・・・
2 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 18:37:39.77 ID:j8yUO/Ga0
―リリリリリリ
( ^ω^)「ん・・・も・・・あ・・・い。」
今日も昨日と同じように目覚ましのベルに起こされた。
閉め切ったカーテンの隙間から日の光が侵入してきた。
( ^ω^)「眩しいお・・・。」
光を避ける為にベッドに蹲る。
そういえば、ここ最近外に出ていない。そんな事を布団の中で考えていた。
( ^ω^)「腹が減ったお・・・チキンラーメンでも・・・。」
朝食を作ろうとした矢先、電話がブーンの元にかかってきた。
―ルルルル
( ^ω^)「・・・もしもしだお。」
半開きの目を閉じないように頑張りながら耳のほうに神経を集中させる。
電話の向こう側から聞こえる声はかなり慌てている感じだった。
(*゚ー゚)「しょ・・・ショボンが・・・。」
ブーンは何の用意もせず、急いで部屋を飛び出した。
4 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 18:38:32.80 ID:j8yUO/Ga0
ブーンが着いた先は病院だった。
( ^ω^)「はぁ・・・はぁ・・・ブーンしてきたから・・・よ・・・けい・・疲れた・・・お・・・。」
息切れ状態の身体を電話で聞かされた病院の一室へと向かわせた。
―ガラガラガラ
( ^ω^)「ショ・・・ショボンは?!?」
病室のベッドの上には包帯だらけのショボンがいろいろな器具に囲まれて寝ていた。
(*゚ー゚)「・・・命に別状は無いって・・・。」
それでもこの部屋に重い空気が漂っているのはわかった。
( ^ω^)「ショボンは今・・・寝ているのかお?」
膨れ上がったショボンの顔を見ながらブーンが言う。
(*゚ー゚)「うん・・・。」
ショボンとは昔からの親友だ。何故こんなことになってしまったのだ?
( ^ω^)「もう一度説明してくれお。」
7 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 18:53:33.00 ID:j8yUO/Ga0
ブーンはしぃにショボンが何故こうなったのかもう一度詳しく尋ねた。
(*゚ー゚)「最近・・・通り魔がうわさになってるの知ってる?」
( ^ω^)「・・・うーん、なんとなく。」
(*゚ー゚)「警察が捜査を続けているから、そのうち全員逮捕されると思うんだけど・・・ショボンはその通り魔の被害にあったの。」
( ^ω^)「全員?」
(*゚ー゚)「複数みたい。だから通り魔っていうのも少し変なのかもね。」
( ^ω^)「しかし・・・これじゃ完全にリンチだお!!」
ブーンは怒りを露にした。
そしてショボンを見つめる。
(*゚ー゚)「落ち着いて。これまで1人だけ捕まったんだけど・・・なかなか捕まらないみたい。」
( ^ω^)「・・・なんで捕まらないんだお!!警察はどれだけアホなんだお!」
(* ー )「そうだよね・・・被害者はたくさん出てるのに・・・ね・・・。」
しぃはその場で泣き出してしまった。
10 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 19:02:52.87 ID:j8yUO/Ga0
ショボンは昨日の深夜・・・いや、夜明け前に歩いていたところをやられたらしい。
しぃは電話しても中々繋がらず、病院に運ばれたことを知って駆けつけたようだ。
彼女からできる限り聞けることは聞いて、ブーンは病室を出て行った。
( ^ω^)「通り魔・・・かお。」
財布は盗られていたみたいだ。
( ^ω^)「ううう。金目的かお?」
通り魔達の目的を考えてみたが、金目的ぐらいしかわからない。所詮、警察の真似事。
心の奥になんだかつっかえるものがあった。
( ^ω^)「うがああああああああああああああああああ。」
気がついたらバッテイングセンターの前にいた。
―ブン、ブン、ブン!!
( ^ω^)「つぉりゃああああああああああああああああああああああ。」
日ごろのバッドにのせてストレスを発散する。
しかし胸の中に溜まったうやむやは取れないまま。
( ^ω^)「はぁ・・・はぁ・・・なんなんだお一体!!」
テレビなんかでいろんなニュースが流れているけど
実際味わってみると全然違うもんだ。
―カキンっ!
( ^ω^)「おっ、やっとヒットだお。」
その後も持っている金をほとんど使ってバッドを振り続けた。
11 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 19:08:35.14 ID:j8yUO/Ga0
バッティングセンターの帰り道、コンビニによった。
( ^ω^)「なんかアイス食いたいお。あ、あとチキンラメーン。」
『相変わらず好きだな。キチンラーメン。』
後ろからの声に振り向く。
( ^ω^)「チキンラーメンだお!!」
('A`)「わりぃ。」
そこに立っていたのはドクオだった。
( ^ω^)「ド・・・ドクオ!!なんでこんな所に!?」
('A`)「いや・・・コンビニぐらい誰でもくるだろ。」
お菓子コーナーに進むブーンの後ろを追いながらドクオが言う。
( ^ω^)「こ、こんな所では、話かじぇ・・・話かけられても困るお!!」
('A`)「何動揺してんだよ。ショボンの話・・・聞いたか?」
ドクオもショボンよりは付き合いは短いが、決して浅い仲ではない。
( ^ω^)「聞いたお。」
子声でブーンは言った。
15 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 19:46:46.46 ID:j8yUO/Ga0
お菓子コーナーでポテトチップスを手にとったブーンにドクオが言う。
('A`)「犯人・・・早く捕まるといいな。」
( ^ω^)「もし、見つけたらぼっこぼこにしてやるお!!」
レジに向かいながらブーンが言う。
('A`)「だな。ぼっこぼっこにしてやろぜ。」
今日は雰囲気が重たい。
こんな日は久しぶりだ。
店員「温めますか?」
( ^ω^)「僕の心をあたた(ry」
店員「?」
( ^ω^)「・・・温めなくていいですお。」
店員「ありがとうございましたー。」
2人は暗いムードを連れてコンビニの外へと出て行った。
16 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 19:51:17.23 ID:j8yUO/Ga0
淀んだ空を見上げながらドクオが呟く。
('A`)「そういや、天気予報でこの後雨だったな。」
( ^ω^)「傘持って来てないお・・・早く家に帰らないとやばいお!!ドクオ、また今度だお!」
ブーンはドクオに大きく手を振り家のある方へとコンビニ袋を抱えて走っていった。
―ゴゴゴゴゴゴ
( ^ω^)「雷かお?こりゃあ、早く帰ったほうがよさそうだお。近道通るお。」
滅多に通らない近道を使う事にした。
( ^ω^)「けどあそこは質の悪い少年達が・・・まぁ、いいお。素通りすればいい事だお。」
細い道を進んでいくと、やはりいた。
もうすぐ雨かもしれないというのに傘も持たず少年達はたむろしていた。
18 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 20:00:05.60 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「素通りだお・・・。」
心の中で何度も呟いた。
しかしそれは無意味のようだった。
少年達の1人が喧嘩を売るときのような顔つきでブーンの方に向かってくる。
「俺達のさ、仲間がさ。被害にあったんだよね。通り魔とかいう。」
そして後ろ側から野次が飛ぶ。
「もしかして、通り魔ってそいつじゃねぇの?オタクみたいな顔してよ。ちょっとからかわれたから、キレたんじゃね?」
( ^ω^)「ふざけるなお!!お前達みたいなのが人を傷つけたり、殺したりするんだお!!」
生きてきた世界が違う。
だから、知らない世界もある。
ブーンのほうに歩み寄ってきた少年が言う。
「どういうことだ?俺達みたいなのってどういうことだよ?」
ブーンは目の前にいる少年に胸元をつかまれる。
( ^ω^)「ほ、ほら・・・そうやってすぐキレるのはお前達じゃないかお。殴ればいいお。お前らは犯罪者の塊なんだお!」
―バシっ
鈍い音が鳴る。
19 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 20:02:47.32 ID:j8yUO/Ga0
( ^ω^)「うっ・・・・。」
ブーンの頬に少年は思い切り殴りつけた。
「なんで俺達はいつも世間からそう思われなきゃいけないんだよ!!」
( ^ω^)「こういうことをやってるからだお。」
殴られた頬を見つめながらブーンが言う。
そして少年は狂ったかのようにその拳をもう一度振り上げた。
「うわああああああああああああ。」
その後なにが起こったのかよく覚えていない。
ただ、殴られ続けた。
殴り返したかったけど・・・怖かった。
力がなかった。
弱い。
僕は・・・弱い。
20 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 20:10:11.27 ID:j8yUO/Ga0
気付いたら家の中に居た。
( ^ω^)「・・・顔がかなり腫れてるお・・・。」
鏡を見ながら呟く。
そして、ここまで来た経緯を頭の奥から必死の思いで引きずり出す。
( ^ω^)「そういえば・・・。」
無抵抗なブーンが殴られている途中に通りすがりの警察が駆けつけてきたんだっけ。
( ^ω^)「それで・・・警察があいつらを僕から離そうとしている間に・・・。」
走ってその場から逃げたんだった。
―なんで俺達はいつも世間からそう思われなきゃいけないんだよ!
( ^ω^)「けっ。いい気味だお。だから、ああいう人間は世間から偏見を持たれるんだお。」
そう吐き出して、ブーンはテレビのリモコンの電源ボタンを押した。
24 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 20:17:51.05 ID:j8yUO/Ga0
なんだろう、イケメンの男がなにやらインタビューを受けている。
( ^ω^)「これって確か・・・今大人気のイケメン俳優の・・・名前は覚えてないお・・・。」
テレビの音に耳を傾ける。
「そうなんですよ。最近はサバイバルナイフを持ち歩くのが趣味でね。」
イケメン俳優が言う。そしてインタビュアーが笑顔で答える。
「そうなんですか〜。みなさんも、サバイバルナイフを持てば、きっとモテるんじゃねいですか?イッケーと一緒だから。」
そういえば、あだ名はイケメンだからイッケーだったっけな。
( ^ω^)「サバイバルナイフなんて持っててもかっこよくないお。」
そして、イッケーは笑いながら言葉を返す。
「そんな事ないですよー。みんな、個性があるんだから。でも、ナイフが御用心にもいいかもしれないですしね。」
インタビュアーもカメラに向かって微笑む。
「そうですね。じゃあ、みなさんも是非是非、サバイバルナイフをファッションとして身につけてみてください!!それではまた来週。」
CMに入る。
( ^ω^)「こんなのがどーせまた流行になるんだお。最近の人は流行に流されすぎだお。」
まだ痛みが微かに残る頬に手を当てながらブーンは言った。
そして、心のどこかで叫んでいた。
強くなりたい。
何故だろう。
痛みを通して、そう感じている気がした。
27 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 20:24:55.07 ID:j8yUO/Ga0
―ザァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
雨が激しく降りだす。
―ガタガタガタガタ
窓が激しい雨風に叩きつけられる。
―ギュルルルルルルル
( ^ω^)「そういえば・・・まだ昼なのかお。」
時計の針は1時を指していた。こんなに朝から動いたのは久しぶりだ。
( ^ω^)「はぁ・・・チキンラーメンでも食うかお。」
―ジョボジョボボボボボボボボ
勢いよくチキンラーメンの容器の中にお湯が注がれる。
―ジョボジョボボボボボボボボ
容器からお湯が溢れだした。
( ^ω^)「あちっあちっあちぁうたtkjsldfじゃljfどぁlhかdshjl!!」
なんだか気分が晴れない。
心にかかったこの暗雲はいつ取れるのだろう。
31 :1(´・ω・`) ◆XTkLTDNHHY
:2006/04/20(木) 20:34:58.07 ID:j8yUO/Ga0
そういえば、誰かが言っていたなぁ。
―頭がもやもやして、気分が晴れないときは運動するといいのよ!!べっ・・・別にあんたの為に言ったんじゃないからねっ!!
( ^ω^)「運動かお・・・。」
―ジュルルルルル
チキンラーメンを口に運びながら独り言を吐く。
( ^ω^)「けど、外は雨だお。運動なんて・・・。」
―ザァァァァァァァァァァァ
この平凡な生活に飽きてきているのかもしれない。
ブーンの心が騒ぎ始めていた。
( ^ω^)「なんか、刺激が欲しいお。なんか、なんか、夢見たいな冒険したいお!!」
―ジュルルルルルルルルウっ!!
チキンラーメンを汁まで全て、綺麗に食べ終えた。