次の休み時間

(´・ω・`)「やあ。ギコ」

(゚Д゚)「おう、ショボン・・・」

(´・ω・`)「元気ないな。どうした?」

(゚Д゚)「そ、そうかあ!?何でもねえよ!」

ギコは嘘をつくのが下手なため完全に声が裏返っていたがショボンは気づかないフリをした。

(´・ω・`)「そか。なら良いんだ。ところでさっきトイレ行った時ニダーと何か話したか?」

(゚Д゚)「べ、別になにも!?一言も口きいてねえよ!本当だぞ!
じゃ、じゃあ俺チョット飲み物買ってくるから!あとでな!」

そう言ってギコはいそいそと教室からでていった。

(´・ω・`)「(あいつもニダーと話してからおかしくなったな・・・偶然にしては・・・できすぎか?)」

ショボンはブーンのいる席へ視線をむける。するとニダーがまたブーンのところへ行っていた。
ニダーは一方的にブーンに喋りかけていた。
悲しそうな表情でブーンはニダーの話を聞いている。

(´・ω・`)「(あいつ・・・なんだって急にブーンにまとわりつくようになったんだ?)」

ショボンの足は自然にブーン達の方へ向かっていた。

<ヽ`∀´>「・・・で、ジョルジュ君たちも内藤君が好きじゃないみたいニダ」

( ^ω^)「そうなのかお?仲良くしてくれてると思ってたのに・・・」

<ヽ`∀´>「それはショボン君達がいるからニダ。人気者の前では自分をよくみせたいと言ってたニダ」

( ^ω^)「・・・そうかお・・・」

<ヽ`∀´>「あいつは何の取り柄もないのにショボン君達と一緒にいてウザイと言ってたニダ。」

(´・ω・`)「やあ。なんの話?」

( ^ω^)「ショボン・・・」

<ヽ`∀´>「ニダ!?ショ、ショボン君・・・」

突然あらわれたショボンにニダーは驚いた。

<ヽ`∀´>「な、なんでもないニダ。じゃ内藤君またニダ」

そそくさと逃げ帰るように席につくニダー。

(´・ω・`)「(ますます怪しいな・・・)な、ブーン」

( ^ω^)「・・・なんだお?」

(´・ω・`)「その、ニダーには、気をつけろよ。」

ショボンがそういうとブーンの表情が変わった。
ショボンがしまったと思ったときにはもう遅かった。

( ^ω^)「なんでショボンがそんな事いうお?」

(´・ω・`)「え?いや・・・その・・・」

( ^ω^)「ニダー君は良い人だお。僕が気づかなかったいろんな事教えてくれたお。」

(´・ω・`)「ブーン・・・」

二人の間に気まずい沈黙が流れる。

( ^ω^)「(ショボンは僕が嫌いなんだお。僕が誰かと喋ってるだけでムカつくから
こんな事いうんだお・・・うう・・・)」

ブーンは泣き出したくなる気持ちを必死でおさえた。

キーンコーンカーンコーン

( ^ω^)「・・・そろそろ授業始まるお・・席、着いた方がいいお・・・」

(´・ω・`)「そだな・・・。な、ブーン。」

( ^ω^)「?」

(´・ω・`)「今日生徒会休みなんだ。ギコも今日部活ないし・・・だから今日久々に3人でゲーセンでも行かないか?」

ショボンの誘いは嬉しかった。しかし心の底では自分の事を笑っているのかと思うと
その誘いにのる事はできなかった。

( ^ω^)「ぼ・・・僕は・・・寄るところがあるお・・・」

(´・ω・`)「・・・そか・・・ごめんな。」

ブーンは嘘をついた。ここの所、ずっとこんな調子でギコやショボンの誘いを
断り続けている。

ブーンの様子は明らかにおかしかった。まるでショボンに、いや、クラスメイト
全員に怯えているかのようだった。休み時間、ニダーがこないときは
一人で机に伏せているようになった。
原因はもうハッキリしている。ニダーだ。しかし、証拠がない。

(´・ω・`)「(これはもう傍観してる場合じゃないな・・・けど今のブーンには
多分俺が何を言ってもきいてくれないよな・・・)」

ショボンは自分の無力さを呪った。友達が苦しんでいるのに助けられない自分をせめた。
ギコもニダーとの会話以来ブーンと接する時どこかぎこちなくなってしまった。

それから3人の間が気まずくなったまま月日は流れた。

J(‘ー`)し「(ブーン、最近元気ないわねぇ・・・)」

ここのところ、ブーンの母もブーンがおかしい事に気づいていた。
いつも悲しそうにうつむいて、訳を聞いても「なんでもない」を繰り返す。
この頃は毎日見ていたテレビすら見なくなり部屋に閉じこもりきりになっている。

J(‘ー`)し「もうあの子も高3で受験だし・・・気が滅入ってるのかしら・・・
はやく元気になってくれればいいけど・・・心配だわ・・・」

そんな事を考えながら、何気なく新聞を手に取った。

J(‘ー`)し「あら?・・・コレは・・・」

コンコン

( ^ω^)「はいお。」

ノックに答えると、ブーンの母が入ってきた。

J(‘ー`)し「ねね、ブーン。今日の新聞みた?」

( ^ω^)「みてないけど・・・なんかあるのかお?」

J(‘ー`)し「ほら、今日の7時30からあんたの大好きな漫画のナルトがやるのよ!」

そういって母は新聞を広げブーンに見せた。

( ^ω^)「ちょwwww母ちゃん、ナルトじゃなくてチクワだおwwwww」

チクワとは週間直立で連載されている人気忍者漫画でブーンの大好きな漫画の一つだ。

J(‘ー`)し「ブーン最近元気なくて母ちゃん心配なんだから。これ見て元気だしなさい。」

( ^ω^)「・・・母ちゃん心配かけてごめんお。でも僕は何ともないお。元気だお!」

そう言ってブーンはピースサインをする。

J(‘ー`)し「なら良いんだけど・・・じゃ母ちゃんはそろそろ夕飯作りに戻ろうかなっ!」

母は明るくそう言っておどけた顔をする。

( ^ω^)「うん!早くご飯作ってお!僕もうお腹すき過ぎで死にそうだお!」

J(‘ー`)し「ふふふ。はいはい・・・」

そして母は台所へと戻っていった。

( ^ω^)「(母ちゃんにまで心配かけて・・・僕は最低だお。だからみんなから嫌われるんだお。)」

ブーンは最近事あるごとに自分を責めるようになっていた。
そしてこんなダメな自分を責めるのは当たり前の事だと思っていた。

それから小1時間後・・・下から声が聞こえてきた。

J(‘ー`)し「ブーン。ご飯だよー」

( ^ω^)「はいおー」

ブーンは2階にある自分の部屋から1階に降りる。

( ^ω^)「父ちゃんは?」

J(‘ー`)し「今日は残業で遅くなるみたいよ。先に食べちゃいましょう。」

( ^ω^)「いただきますおー。あ、7:30だお」

J(‘ー`)し「あらあら、忍者マッタリ君の時間ね」

( ^ω^)「ちょwwwwチクワだってばwww母ちゃんふざけてるのかお?」

そう言いながらブーンはテレビをつける。
ちょうどチクワは始まったばかりのようでOPが流れ始めた。

( ^ω^)「・・・・・・!」
テレビからはアニメソングとは思えない疾走感の溢れるロックサウンドがかかっていた。

( ^ω^)「(・・・!な、なんてカッコイイんだお・・・)」

ブーンはご飯を食べるのも忘れてOPに見入っていた。音楽に心奪われたのは生まれて初めてだった。

( ^ω^)「(アニソンに心奪われるなんてwww
・・・でもめちゃめちゃカッコイイお。一体誰が歌ってるのかお?)」

テレビ画面には「遥かファービー ワロスンカンフージャナレーション」と書かれていた。

( ^ω^)「(ワロスンカンフー・・・名前ナガスwwww)」

J(‘ー`)し「ブーン、ほらほらボーっとしてると冷めちゃうわよ。」

( ^ω^)「あ、ああうっかりしてたお。」

( ^ω^)「(何でこんな魅かれるんだか分からないけど・・・カッコイイお・・・)」

その夜、ブーンは興奮してなかなか眠れなかった。
頭の中では一晩中OPの曲が流れていた。

ブーンは次の日になってもあのOPが頭から離れずにいた。

( ^ω^)「(これはもうCDを買うしかないお・・・CD買うなんて久しぶりだお・・・)」

ブーンはそれまでまったく音楽を聴いてこなかった。そもそも歌自体あまり好きではなかった。
小学校時代、歌のテストの度にみんなからクスクスと笑われたりしていたからである。
だから歌を歌うのは嫌いだったし、人の歌を聴くのも好きではなかった。

( ^ω^)「(昔の事はもう忘れるお・・・まあ今も昔もちっとも僕は変われていないけど)」
そんな事を考えてブーンは自虐的に笑った。

その日は学校が終わるのが待ち遠しくて仕方なかった。

学校が終わるとブーンはキョヌーレコードへと足を運んだ。
ブーンが住んでる地域で一番大きく全国展開もしている店である。

( ^ω^)「うはー広いお・・・どこを見ればいいんだお?」

CD屋にほとんど足を運んだことがないブーンはどこをどう探せばいいか分からなかった。
なのでとりあえず店員に聞くことにした。

( ^ω^)「あのー」

(・∀・)「いらっしゃいませー。何かお探しですか?」

( ^ω^)「あ、あのえーとなんだっけ?あのワロスンカントン・・・」

ブーンはバンド名が長すぎたため中途半端に間違えて覚えていた。

(・∀・)「はい?」

(;^ω^)「え、えとチョトど忘れしてしまったんですけお、ワロスンナントカっていう・・・」

(・∀・)「ワロス・・・?ああ!ワロスンカンフージャナレーションの事ですか?」

( ^ω^)「そう!それですお!」

(・∀・)「でしたらそちらはインディーズの商品ですので2階へおあがり下さい。」

( ^ω^)「はいですお。ありがとうございますお。」

ブーンは店員に言われるまま2階へと上がった。

2階はフロア全体がインディーズ商品のみになっていてブーンが知らないミュージシャンばかり並んでいた。

( ^ω^)「どの人たちもさっぱりわかんないおwwwワロスンナントカはどこだお?」

ブーンがフロアを彷徨っていると特集コーナーに突き当たった。
その特集はちょうどブーンの探しているワロスンカンフージャナレーションの特集だった。
そこにはワロカンのCDが平積みされており
「今インディーズシーンを賑わす大注目のアーティスト!」と書かれていた。

( ^ω^)「へえー。あの人たち実は注目を浴びていたのかお。知らなかったお。
えーと、遥かファービー遥かファービーと・・・あった。ってシングルじゃなくてミニアルバムしかないのかおwww」

予想よりちょっと高くついたがブーンはいそいそと会計を済ませ浮き足立ちながら家へと帰った。
CDを買ってこんな嬉しい気分になったのは初めての事であった。

( ^ω^)「さて、と・・・」

ブーンは早速自分の部屋に行きコンポにCDを入れた。
なぜ音楽を聴かないブーンがコンポを持っているかというと
母が数年前何気なく応募した懸賞が当たったからである。

( ^ω^)「再生っと・・・」

ブーンが再生ボタンを押す。キュルルルルとCDが回る音がし、そして音楽がはじまった。
ベースソロで始まりそしてそれにギターとドラムが重なり、ボーカルが歌いだす。

( ^ω^)「やっぱりカッコイイお・・・」

ミニアルバムでは全部で6曲入っており、どの曲もブーンはとても気に入った。
そして曲は5曲目へと進む。

( ^ω^)「おお・・・これもイントロからしてカッコイイお・・・」

5曲目は勢いのいいドラムからはじまりそしてどこか哀愁の漂うギターが絡み合い始まっている。

君を深く 突き刺してしまった

そんな歌詞が流れていた。

( ^ω^)「なんだかこれは僕の歌みたいだお・・・ギコ・・・ショボン・・・最近あんま話してないお」

歌詞カードを読みながら、ブーンの頭には二人の笑顔が浮かぶ。どうしてこんな風になってしまったのだろう。


( ;ω;)「うっ・・・」

ブーンは泣いた。音楽を聴いて、大事な人を思い浮かべて、泣いた。

その日を境に、ブーンは音楽に没頭するようになる。

ブーンはありとあらゆる音楽を聴くようになった。まるで何かにすがるように。
助けを求めるように。

ジャズ、クラシック、邦・洋ロック、ブルース。

その全ての音楽がブーンを優しく包み込んだ。特にブーンは邦楽が好きだった。
自分の悲しみ、辛さを代弁してくれるようなロックが好きだった。

 

 

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