第五話 ラストイケメン
【 川 ゚ -゚) 】 校長室前廊下
( ФωФ)「これが我輩が聞いた作戦内容の全てである」
川 ゚ -゚)「イケメン四天王の処刑とはまた、思い切ったことをしたものだな。
処刑が何を表すのかわからないが、被害者が出てないことを祈るしかないな」
まったくあの三人は何を考えているというのだ。
バレンタインが嫌だという気持ちはわかるが、何故それを実行に移した。
小学生じゃないのだから、分別を持つべきだというのに。
川 ゚ -゚)「教室占拠、クラスメイトの暴力、消火器の使用、放送室占拠、職員室封鎖。
それだけには飽きたらずに、イケメン四天王の処刑に学校封鎖。
もう笑うしかないな」
三人いるのだから、一人くらい止める者はいなかったのか?
特にあの優秀な図書委員の彼。
私の知る彼は、おとなしいが友人思いの優しさと知性をもった人物のはずだ。
それがためらいもなくクラスメイトに暴力なんだから、私はどうリアクションをしたらいい?
……私は彼の何を知っていたというのだろうな。
( ФωФ)「イケメン四天王処刑後は加勢をすると言っていた。
教室へ戻るか、正門へと向うかどちらかであるな」
川 ゚ -゚)「四天王が倒れるまでその居場所がつかめないということか」
川 ゚ -゚)「……やっかいだな」
彼の携帯への連絡は既に何度か試している。
しかし、着信拒否にでもされてしまったのかつながらない。メールも当然無視。
家庭科室の事態をしらせてきた例の男の携帯にも、連絡は試している。
だが、男は一方的に通話を切った後は決して電話に出ようとしない。
( ФωФ)「我輩が連絡をとってもよいのだが、不審に思われて警戒される可能性がある。
連絡は幹部が一方的に行うようになっている」
川 ゚ -゚)「裏切られることも予測しているということか。
教室を押さえてもいいが、首謀者を叩かない限りこの反抗が止まらない。」
( ФωФ)「もしくは職員室の封鎖を解いて職員の力に任せるかであるな」
川 ゚ -゚)「だが、それでは私の目的は果たされない。杉浦、お前も同じだろう」
私も彼も、犯人達の減罰を望んで行動している。
そして、その条件を叶えるためには私たちの力だけで事件を解決する必要がある。
( ФωФ)「だが、職員室の開放は必要である。
あの封鎖を解かない限り、事件は解決したとは見なされないはずなのだらな」
川 ゚ -゚)「しかし、あの封鎖を解くには時間がかかる」
( ФωФ)「我輩は役割を分担することを提案する」
川 ゚ -゚)「それは?」
( ФωФ)「我輩はシュールを見つけ封鎖を解かせる。もしくは、我輩自身が封鎖を解く。
生徒会長は教室もしくは正門で、首謀者を見つけ捕らえてほしい」
悪くないアイディアではある。
大工道具なんて数えるほどしか触ったことがないし、その道具自体どこにあるかわからない。
職員室を任せる人間は必要だし、私はシュールとやらの顔を知らない。
だが、せっかく得ることの出来た貴重な仲間を手放すことがはたしていいことなのか。
杉浦と協力して主犯を捕らえてから、シュールと捕えるのが一番いいのじゃないだろうか?
( ФωФ)「我輩は生徒会長の仲間になったわけではない。
戦力として期待しているのならばそれは間違いである」
川 ゚ -゚)「あくまでもシュールを探すことが目的か。よほど大切なのだな」
( ФωФ)「何とでも言え」
なんとしても杉浦を引き留めたかったが、それほど大切ならばそちらを応援したくもなるな。
大きな口をたたいているが、私の目的だって似たようなものだ。
川 ゚ -゚)「君の言葉に従おう。ところで、件のシュールだが苗字は何と言うのかな?」
【 ('A`) 】 渡り廊下
( ・∀・)
(;'A`)「なななななな、なんでこんなところにイケメンが」
俺の目の前には圧倒的なイケメンがいた。
流石の弟が0.5イケメン、ジョルジュが1イケメンとするならば、モララーは1000イケメンくらいだ。
シャキンは知らね。もちろん異論は受け付よう。主に部長的な意味で。
ζ(゚ー゚;ζ「もももももモララーくぅん。どうしてことに」
ミセ;゚ー゚)リ「もももももモララー様っ?!」
(゚、゚トソン「正直どうでもいいです」
デレたんとその友達も大騒ぎをしている。
あ、一人だけやけに冷静に俺のボディをガンガン蹴っている。
どうせなら顔を踏んでください女王様。ついでにパンツも見れれば最高です!
('、`;川「こ……これはまさかのフラグっ!」
(#'A`)「そんなフラグはいらんっ!!!」
('、`;川「いえ……でも、そんな新しすぎるわ。なんて斬新な発想。
てっきり幼なじみ温厚系かやんちゃ系のどっちかかと……」
(#'A`)「お前ちょっと黙ってろ」
俺は部長を黙らせると、イケメンの方を見る。
何故かキラキラとした光と、イケメン登場っぽい効果音が聞こえるぜ。
ζ(゚ー゚*ζ「いやーん、モララーくぅん☆これチョコレートなんですぅっ!」
ミセ*゚ー゚)リ「受け取ってくださいモララー様ぁっ!」
デレたん変わり身早っ!
ねえ、さっきまでおぱんつ丸出しで俺を蹴りつけていた女王様はどこへ行ったんだ。
これがイケメン力(ぢから)というものか。
( ・∀・)「……君が鬱田ドクオ?」
無表情のイケメンが俺の様子を窺う。
デレたんとその友達は鬼の表情を浮かべている。
一方、部長は何か言いかけたので、その頭を一発殴って黙らせておく。
俺とイケメン、そしてその周囲の女子達の間で緊迫した空気が流れる。
('A`)「如何にも。某その名を鬱田ドクオと申す」
( ・∀・)「ふーん、君がね」
時事問題を華麗にとりあげた必殺っぽい仕事人を参考にした、俺の小意気なジョークはガン無視された。
動揺すらしないとは、このイケメンできるっ!
イケメンは俺の顔を見つめながら、俺へと近づいて来る。
イケメンは俺の真っ正面に立つと俺の顔をじっと見下ろした。
ショボンならともかくイケメンに見下ろされるのは、屈辱のキワミ。イケメン許すまじっ。
( ・∀・)「ドクオ。君がバレンタイン中止騒動の主犯ということでいいのかな?」
(;'A`)「ああ」
呼び捨て止めろという言葉は、圧倒的イケメン力(ようするに迫力)によって発することができなかった。
俺の顔のすぐ上に、イケメンの端正(?)な顔がある。
イケメンの瞳に俺の顔が映る光景は、微妙にシュールだった。
( ・∀・)「ドクオ」
ふと気づくとイケメンの体にすっぽりと抱きしめられていた。
ぎゅうっと力が込められ……え?なんぞコレ?何、部長の悪霊が乗り移った?
――何で俺、イケメンに抱きしめられてるんだ???
【 (´・ω・`) 】 渡り廊下そば階段
(´・ω・`)「メール見ていてくれるといいんだけど」
階段を下りながら僕は、ドクオに向けてメールを送信した。
メールの内容は、シャキン攻略に関する詳細な報告と、『放送室』へ来てくれというもの。
シャキンに関しては『作戦終了』くらいで済ませればよかったのに、ついこってしまった。
思ったよりも時間が過ぎてしまっている。
(´・ω・`)「とりあえず、職員室かな」
職員室から放送室はそれほど遠くないから、少しくらいよって行っても問題は無いはず。
僕は階段をおりて、職員室へと向かう。
く('A`ll)く「うぉぉぉぉぉおおおお!!!」
ん?これはドクオの声?
声の聞こえる方向は……すぐ下の階の、廊下?
僕は声の聞こえた方向へと向けて、歩き出す。
(;´・ω・`)「なんだか、さわがしいな」
ζ(゚Д゚#ζ「ブチ殺すぞ!!!!」
(゚∀゚*川「ぐげげげげげげげ!!きしゃーーーぁああああ!!!
キタゾ!キタキタホモがキタ!!!!新ジャンルktkr!!!
うはwwwwwwww新刊決まったぁっっっ!!!!!」
ミセ;゚А゚)リ「あばばばばばばばばもももモララー様ぁっっ!!!
帰ってきてー!!!正常な世界に帰って来てぇぇぇぇ!!!」
おそらくドクオの声が聞こえ立て来たのはこっちであってるはずなんだけど……。
うん。なんか奇声が聞こえてきて怖いんだけど、こっちであってるのかな。
正直見に行くのがとても怖いんだけど。
(゚A゚;)))「悪霊退散悪霊退散払いたまえ清めたまえ!!!
部長の生き霊よぉぉぉぉおおお!!!成仏しろぉぉぉぉおおお!!!」
あ、ドクオの声だ。
なんで君まで奇声を上げてるのさ。人にシャキンを任せておいて随分楽しそうだね。
(´・ω・`)「ドクオー、そこにいるのかい?」
( ・∀・)(ノ;A;)ノ「いやぁー!!!らめぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
(;´-ω-`)「落ち着けショボン。クールになるんだショボン」
うん。僕は今、何も見なかった。
落ち着こう。あれは、漫研の伊藤さんから受信した電波か何かだ。
きっと彼女の願望が何らかの形で混線しちゃったんだ、きっと。
僕は心を落ち着けると、再び渡り廊下の方へと顔を出した。
( ・∀・)(ノ;A;)ノシ「イケメン怖いー、イケメン怖いよぉぉおお!!!」
(´゚ω゚`)「うっひょー」
違う。落ち着けKOOLになれ、眉下ショボン。
こういう時に言う言葉があったはず。それを行ってまず、落ち着くんだ。
(*´・ω・`)「うほっ、いい男」
(;´・ω・`)「僕が一番取り乱してどうするんだよ!」
あああああ、落ち着け僕。
そう、これは全て部長の隠謀なんだよ!
落ち着くんだ僕。あの役、僕じゃなくてよかったなんてちょっと安心してる場合じゃない。
【 ( ^ω^) 】渡り廊下そば階段
( ^ω^)「おっおー、特別棟にレッツラごーだお」
( ´∀`)】「うーん、おかしいモナ」
僕は両手を大きく広げて歩きながら、職員室へと向う。
その横ではモナーくんがずっと携帯片手に、電話をかけ続けている。
( ^ω^)「どうしたんだお?」
(;´∀`)】「モララーが出ないモナ。
ギコからなら、いっぱいメールとか着信があるのに」
(;^ω^)「うーん。僕たちギコは探してないんだお」
「困ったおね」といいながら僕は階段を下りる。
この階段を下って渡り廊下を抜ければ、放送室のある特別棟に入ることができる。
(*^ω^)「まあ、ショボンやドクオならなんとかしてくれるお!」
(*´∀`)】「そうモナね!」
難しいことは二人に任せれば大丈夫!それが僕クオリティー!
( ^ω^)「わーたりーろうーかーは寒いーおー」
( ´∀`)「でも、今日はあったかい方らしいモナよ」
( ^ω^)「寒いもんは寒いお。あんまんとか欲しいお」
そう話しながら、僕たちが渡り廊下に足を踏み入れた時、
( ;A;)「勘弁して下さいマジ勘弁して下さいホント勘弁して下さい!!!」
(゚Д゚*川「許すはずがないであろうが!!!
あぎゃっぎゃっぎゃっ!!もっとやれ!この私が許すっ!!!」
ζ(゚Д゚#ζ「死ねっ!お前なんか死んでしまえ!この人間の屑めがっ!!
お前なんか邪心の餌になってしまえ!いぁいぁ!!!」
ミセ*;ー;)リ「やーめーてぇー!!!モララー様やめてぇぇぇぇぇ!!!」
( ^ω^)( ´∀`)
( ^ω^ )( ´∀` )
( ^ω^ )「モナーさんモナーさん。あのカオスはなんですかおね」
( ´∀` )「ええ、内藤さん内藤さん。とっても不思議ですモナお」
あ…ありのまま 今 起こった事を話すお!
『僕たちは渡り廊下に足を踏み入れたと思ったら、そこはホモとアイドルと漫研部長の修羅場だった』
催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえお
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったお…
( ^ω^)「どうみても(ホモ的な意味で)修羅場ですありがとうございました」
( ´∀`)「どうみても(アイドル的な意味で)キャラ崩壊ですありがとうございました」
そのまま渡り廊下の入り口に立っているのも何なので、僕たちは廊下へ足を踏み入れる。
あ、廊下の向こう側にショボンがいるから合流するお!
( ・∀・)(ノ;A;)ノ「なぁぁ゙い゙ぃぃどぉぉぉ゙ーーー!!」
早くショボンと合流するおー。
なんだか、携帯の音とか色々うるさい気がするけど気のせいだおね。
廊下の中央を迂回して、僕たちはショボンのいる廊下の向こう側にたどり着いた。
(´ ω `)「落ち着けきっとこれはあれだ、伊藤さんによる洗脳作戦なんだよ
伊藤さんったら怖いなぁははっ。偽川くんは本当にまともな人だったんだもんね」
10分くらいぶりに会ったショボンは、心に深い傷を負っていた。
その目はうつろで、ぶつぶつと何かを呟いている。
家庭科室の女の子たちとは別の意味で怖い。
(;^ω^)「大丈夫かお、ショボン」
ショボンは僕の言葉に顔を上げほっとした顔をすると、ぼろぼろと涙をこぼしだした。
それから、モナーくんの顔を見ると涙を流したまま口を開いた。
(´;ω;`)「君の幼なじみってksmsの人?やらないか?」
(;^ω^)「おっおー。これは重傷だお」
(;´∀`)「お断りします。じゃなくて、違うはずモナ。
モナの見立てが正しければ、ずっと好きな子がいるのは確かではあるモナけど」
僕は渡り廊下にいるメンバーを改めて見回す。
えーと、ドクオとー、モララーくん(本日初遭遇)とー、ペニサス部長とー。
あっ、デレたんがいるお!サイン貰うお!
それからそれから、デレたんの友達っぽいおにゃのこが二人いるお。
(;^ω^)「一体、どうしたんだお」
(´;ω;`)「全ては伊藤さんが悪いんだ!伊藤さんの隠謀なんだよ!」
('∀`*川「こっちにも幼なじみフラグきたわぁー!!!
これは修羅場のYO☆KA☆N!うはwwっwwwwwww」
うん。確かにペニサス部長の隠謀だねプロテインだね。
いや、それはさておいて現状を確認しないと。ショボンが復活できなくなっちゃうお。
( ^ω^)「モララーさんやモララーさんや。
ここにいるガッカリチビはおにゃのこじゃないおー」
モララーくんの肩をぽんぽんと叩き、僕は一番事情を知ってそうな人に声をかける。
デレたんやおにゃのこが悪魔の顔で叫んでるけど、僕には思い出の女の子がいるから関係ないお。
ペニサス部長が腕を振りながら「修羅場!修羅場!修羅場!」と言ってるけど、こっちも無視するお。
( ;A;)「ないとー!!!頼りになるのはお前だけだ!!!」
ドクオが泣いてるけどこっちもスルーだお。ノーと言える僕、かっこいい!
( ・∀・)「――ん?」
( ・∀・)「君はひょっとして、内藤くんかい?モナーから話は聞いてるよ」
モララーくんとは会話が可能なようだったので、僕は返事を返す。
僕の名前に女の子達がざわめく声が聞こえる。すごいお!僕って今日一日で超有名人だお。
ペニサス部長が「おさななじみ(ry」とか叫んでるけどこっちは華麗にスルーだお。
( ^ω^)「おっおー。浦良くんは昨日ファミレスから見たけど、お話するのははじめましてだお」
( ・∀・)「えー、アレみてたの?まいったなー。
あ、僕のことはモララーって呼んでいいから。ドクオもないとーもよろしく」
( ^ω^)「ホライゾンでいいお。何故かみんな名前で呼んでくれなくて、寂しいんだお」
( ・∀・)「ホライゾンって長いからヤダ」
ショボンだって字にすると長いのに、正直それは差別だと思うお。
まあ、いつものことなので、それはおいとくとして。
( ^ω^)「あ、あっちで呆然としてるのがショボンとモナーくんだお」
( ・∀・)ノシ「よー、モナー。お前どこ行ってたんだよ。
そっちのショボンもよろしくなー」
モララーくんは思ったより気さくな人だった。
( ^ω^)「それでーですお。ドクオがそろそろ死にそうなリアクションをしてるんで放してほしいんですお」
( ・∀・)「あー。コイツ俺の顔見るなり速攻で逃げ出しそうな顔したから、つい」
( ^ω^)「つい?」
( ・∀・)「ウチの猫にする調子でつい捕縛を」
ぬこなら仕方ないですよねー。ぬこは目が合うとすぐ逃げるし、思いっきり捕まえるのが吉だおね。
ドクオは知らない人には人見知りさんだし、ぬこと言えばぬこみたいだお。
(*^ω^)「でも、ぬこにしては圧倒的にかわいさがたりないおねー」
( ・∀・)「僕もそう思った」
(#;A;)「俺はぬこじゃねー!!!てか、いい加減に放せー!!!」
(*^ω^)( ・∀・)「ぬこがおこったー」
ドクオのリアクションが面白いので、モララーくんにはこのまま捕獲していてもらうことにしよう。
僕は手を振ると、ショボンとモナーくんを呼ぶ。
ペニサス部長が「ぬこ耳!ぬこ耳!」と叫びながら全力でスケッチしてたけど、やっぱりスルー。
(#;A;)「無視すんなー!!!」
ζ(゚Д゚#ζ「モララーくんから離れやがれ!!この豚!人間以下!」
ミセ#゚Д゚)リ「女なめんなよゴルァ!」
( ・∀・)「うるさい。僕はないとーやドクオたちと話があるんだから黙ってて」
ミセ*゚ー゚)リζ(゚ー゚*ζ「はーい☆」
(゚、゚トソン「私、女だけど。正直それってどうかと思うの」
ずっとうるさかったというよりは、怖かったおにゃのこたちはモララーくんの一言ですぐ静かになった。
ペニサス部長は鼻血を垂らしながら携帯でひたすら写真とっててキモイけど、意地でもスルー。
(#'A`)「俺のデレたんが……イケメン死ね」
(;´・ω・`)「本当にksmsじゃない?僕アッーだけは嫌だからね」
( ´∀`)「ちょっと内藤くんたちに拉致られてチョコ食べてたモナよー」
委員長とかヤンデレとかばかりのバトル大会とかがあったけど、僕たちはようやく合流できた。
放送室じゃないけど、無事会えてほんとうによかったお。
これで、僕も安心してチョコレートを回収したり食べたり食べたりできるお。
【 ('A`) 】 渡り廊下
ウツダシノウ
本気でそう言って首を吊りたいくらい、今の俺の気分は最悪だった。
あこがれのデレたん(天然娘から女王様属性にクラスチェンジ)の前で、男に抱きしめられている。
しかも、にっくきイケメン。マジ死にたい。本気で死にたい。
( ・∀・)「でさー、話って何?」
( ^ω^)「話があるのはそっちじゃなかったのかお?」
俺の救出に現われた内藤は何故か敵であるイケメンとニヤニヤと笑いながら話している。
畜生!裏切ったな内藤!だって涙がちゃう男の子だもん。
(#;A;)「本気で止めて下さいごめんなさい」
(*^ω^)( ・∀・)「やーい。ぬこぬこー」
(;´・ω・`)(;´∀`)「やめてードクオのライフはもうゼロよー」
ショボン。あと、モナー。俺の友達はお前らだけだ。
('A`)「死にたい」
( ・∀・)「いやー、ギコやモナーやしぃちゃんとは違うリアクションだからつい。
あえて言うならギコ系のリアクションで非常に面白かったです。
しぃちゃんのリアクションはかわいい系。モナーは天然のくせにつっこみだから困る」
(´・ω・`)「反省の色ゼロだね」
(;´∀`)「うちのモララーが迷惑をかけて本当に申し訳ないモナ」
(;^ω^)「……正直すまんかったお」
首を吊る縄を探すことを決意したところで、俺はようやく解放された。
さあ、首を吊る度に出発だー!うふふー、それとも練炭がいいかなー?
(;´・ω・`)「ドクオ。しっかりして!」
嫌だなーショボン君。俺は何時だってしっかりしてるじゃないか。
今だって縄や練炭をどうやって調達するのか真剣に考えてるところだよ。
('A`)「死にたい」
(;^ω^)(;´・ω・`)(;´∀`)「やめてぇぇぇぇぇぇ!!!」
( ・∀・)「要するにドクオたちを探していたわけなんだよ、うん」
舌を噛まないように布を噛まされた上、内藤とモナーの二人がかりで俺の両腕は拘束された。
その上で、ようやくイケメンはその真意を語り出した。
誰かこの布とってくれ。俺、今から舌噛むから。
('、`*川「拘束ktkr!!!」
拘束されてる俺を喜ぶ不埒な輩が一匹。
あとで絶対、簀巻きにしてやるから覚えてやがれ!
この恨みはらさでおくべきか!主にはこのドクオ直々の裁きが!
( ・∀・)「さあ、同士たちよ。共に学園にはびこる憎っくきバレンタインを倒そうじゃないか」
ん?何か部長に気を取られているうちにいろいろとすっ飛ばしたような気がする。
今、言ったところもう一度頼む。
(;^ω^)(;´・ω・`)(;´∀`)「えーと、もう一度」
( ・∀・)「いっしょにバレンタイン潰そうぜ!」
(;^ω^)(;´・ω・`)(;´∀`)「……」
( ・∀・)「一言で言うと、俺も仲間に入れて」
(;゚ω゚)(;´゚ω゚`)(; ゚∀゚)「な、なんだってー!!!」
VIP高校イケメン四天王最後にして最大のイケメンは、とんでもないやつだった。
俺は口に入れられた布を吐き出すべく、おもいっきり体を動かす。
おい、待て!それは違うだろ、イケメン様がっ!!!
( ・∀・)「これまでずっと、バレンタインってキライだったんだ。
それで、今回の放送だろ?もうこれしかないって思ったんだ」
(;´∀`)「待つモナ!しぃちゃんは今年のバレンタインを楽しみにっ!」
( -∀-)「知ってるよ。だけど、僕は君たちのお兄ちゃんじゃない。
何をしようと、僕の勝手じゃないか。僕は決めたんだ」
イケメンは目を閉じる。背景に花が咲いている幻覚が見える。畜生死ね。
同じポーズ内藤がとったことあるけど、食事の前のお祈りにしか見えなかったぞ。
( ・∀・)「僕はバレンタインが嫌いだ。世界で一番憎んでいると言ったって過言ではない」
イケメンはきっぱりとそう言い切った。
(#'A`)「俺は反対だっ!お前の発言は保身にしか聞こえない」
抑えられる手を振り切って、俺は口に入れられた布を吐き捨てた。
それから、イケメンを指さして叫ぶ。
(#'A`)「お前みたいなイケメン様の言うこと何か信じられるかよっ!」
( ・∀・)「イケメンね。正直そんなのどうでもいいよ。
信じられないって言うなら、この顔を焼いたっていいよ。僕にはいらないから」
その僕は平気ですよ。どう、頭いいでしょ?という態度が本気で気にくわない。
バレンタインの前日からチョコを大量に貰えるイケメン様のくせして、バレンタインは嫌?
ふざけんな!信じられるわけないだろう!!!
( ・∀・)「君たちはバレンタインを潰す証明として、放送で実名を出したね。
それなら、僕も名前を全校に放送するよ。ついでに演説つきでね。
それとも……」
(;´∀`)「も、モララーっ!止めるモナっ!!」
(;´・ω・`)「落ち着いて!」
イケメンはポケットからナイフを取り出した。いわゆる十徳ナイフ。
そのうち一番大きな刃を取り出して、モララーは首に当てる。
( ・∀・)「ここで首でも切ろうか?
この刃の大きさじゃ死ねないだろうけど、それなりに痛いと思うよ」
ミセ;゚ー゚)リζ(゚ー゚;ζ「や、やめてぇーーーー!!!」
( ・∀・)「黙ってろって言ったはずだけど」
イケメンはナイフを首に当てたまま、デレたんたちに冷たく言い放つ。
こいつイケメンのくせに正気じゃない。
いや、これはフェイクで俺たちがあきらめるのを狙ってるというのか?
(;´∀`)「やめるモナ!そればっかりは流石に洒落にならんモナ!」
(;^ω^)「ナイフの使い道はそれじゃないお。
そのナイフはおしゃれにソーセージとかハムを切るもんだお!」
内藤とモナーがあわてふためいた様子でイケメンを止めに入る。
しかし、イケメンの方はナイフを下ろす気配はない。
( ・∀・)「どうするドクオ?君がリーダーなんだろう?」
(´・ω・`)「もうやめなよ!ドクオも止めさせてあげてよ!」
誰もが息をのんで俺と、モララーを見つめていた。
あのイケメン正気か?たかが、バレンタインのために学校生活を賭けるどころか死ぬ気か?
俺たちよりも覚悟が堅いとでも言うのか?
('、`*川「まあ、いいんじゃない仲間にしても。
どっちにしろ、アンタたちはそのうち放送室に行く気だったんでしょ?」
悩む俺に言葉をくれたのは、顔どころかブラウスまで鼻血に染めた部長だった。
部長はいい笑顔で携帯に何かを打ち込みながら、そう告げる。
('、`*川「そこのモララーとやらに放送させて、あんたらはバレンタイン撲滅運動とやらをやれば?
そしたら、このモララーって奴は仲間と見なされてジ・エンド」
('A`)「しかし、俺たちはイケメン四天王を倒さなければ」
俺の言葉に部長は特上の笑顔を浮かべると、デジカメの写真データーをこちらにみせた。
ん?俺の視力じゃよく見えない。内藤頼んだ。
(;^ω^)「えーと、ドクオとモララーくんの写真だお」
('∀`*川「『学校一のイケメン浦良モララーに男の恋人発覚!』この写真を全校にばらまけばいいわ!
これで、イケメンも破滅間違いなしよ!!!私って天才wwwwwwww」
(#゚A゚)「イケメン以前に、俺が破滅するわーー!!!」
( ・∀・)「僕はそれでもかまわないよ」
(#'A`)「お前はアホか!!!俺の身がかかってるんだぞ!!!」
( ・∀・)「じゃあ、あの写真ばらまかれたくなかったら僕を仲間にいれろ」
あれ?何で俺が脅されてるの?
普通逆じゃね?ここ、イケメンの方が焦らなきゃダメだろ。
(;´・ω・`)「……あきらめたら?」
( ^ω^)「もう仲間にしちゃったほうがいいと思うお。仲間は多い方が楽しいお!」
イケメンは俺の顔をみながらニヤニヤと笑っている。
畜生!絶対こいつ性格悪い。しかも、根性悪!
お前なんて女に振られて死ね!
( ・∀・)「僕としては首でも写真でもどっちでもいいよ。
どうするんだい、ドクオ?今ならもれなくモナーもついてくるよ」
(;´∀`)Z「モ゙ナっ?!」
イケメンの言葉に俺はギリギリと奥歯を噛む。
答えはもう決まっていた。というか、決めさせられていた。
('A`)「放送室の鍵だ。ショボン、例の演説データーをモララーに渡してやれ」
この俺がイケメンに屈するなどなんという屈辱のキワミ。だが、是非もなしなこの状態。
いいですよ。俺が腹をくくればそれでいいんだろっ!
('A`)「まだ完全に信用した訳じゃないから、俺たちの今後の予定まではあかせない。
モナーをつけてやるから、連絡はモナー経由で内藤に」
( ・∀・)「理解してくれたようでうれしいよ」
イケメンはナイフをしまうと、鍵とSDカードを受け取る。
ナイフをしまったとたん、おにゃのこ達の露骨なため息が聞こえたけど俺泣かないっ。
('A`)「お前への指令は演説と、そのカード内のデータの放送」
女子に絶大な影響力のあるモララーさえ仲間につければこっちにだって有利なんだ。
あきらめろ、ドクオ。あきらめてこいつに、託すしかないんだ!
('A`)「……頼んだぞモララー、モナー」
( ・∀・)「ああ、僕もモナーも使命を全うさせてもらうよ」
(;´∀`)「ああ、拒否権が完全にないモナ」
(#'A`)「我らの願いはただ一つ!
悪魔の祭典、バレンタインを撲滅!それだけだ!!!」
俺は再び決意を固めるように、渡り廊下中に響く声を出す。
その思いが伝わったのか、内藤やショボンも顔を引き締め、その決意を叫んだ。
( ^ω^)「バレンタインのチョコを我らのものに!」
(´・ω・`)「……バレンタインに告白するものは許さない!」
(;´∀`)「え、えーと。そうだ。お返し三倍の悲劇をふせぐんだモナ!」
( ・∀・)「本命チョコに死を!」
('、`#川「スイーツ(笑)とカップルは死ねっ!
あと、原稿落としませんように!偽川の分で、世界に百合帝国をっ!」
lw´‐ _‐ノv「米は至高。にぼしの日の認知度アップに貢献」
どうでもいい意見が混ざっているような気がするが、そんなの関係ねぇっ!
(#゚A)「リア充とモテに血の粛清を!カップルに死を!チョコを燃やせ!」
――俺たちはバレンタインを撲滅すべく、最後の作戦へと立上がった。
【 (゚、゚トソン 】 渡り廊下
ああ、なんということでしょう。
デレとミセリの二人がモララーに夢中になっているうちに、彼らは決意表明をしてしまいました。
そして、彼らはその場の熱い雰囲気のまま走っていってしまったのです。
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、モララーくんったら素敵☆」
ミセ*゚ー゚)リ「モララー様ぁ……」
何でこの二人はこんな夢見る顔をしてるんでしょう。
モララーさんやイケメンたちにチョコレートを渡すんでしょう?
彼らが立上がってしまった今、彼らを止めない限りは義理チョコだって渡せないんですよ。
(゚、゚#トソン「いつまでそんなことを言ってるんですか。
私たちはチョコレートを配らなきゃ困る理由があるはずでしょうが」
私はそう言いながら、デレとミセリの頭に喝をいれました。
この仲が悪い二人はどうしてこの様な時だけ、団結するのでしょうか。
まったく、理解に苦しみます。
ζ(゚ー゚#ζ「かわいいデレちゃんの顔に何すんのよ、この鉄面皮女!」
ミセ;゚ー゚)リ「ちょっ、痛いなぁー」
(゚、゚トソン「目的を見失っていた罰だと思って下さい。
あなた方二人が不甲斐ないから、憎き標的たちを逃がしてしまったじゃないですか」
私の声にデレとミセリは息を詰まらせました。
どうやら、彼女たちも自分がとんでもない失態をしたことに気づいたようです。
本当に世話の焼ける二人です。
ミセ;゚ー゚)リ「でも、トソンだってモララー様に黙れって言われてしっかり黙ってたじゃないー
トソンもなんだかんだ言ってモララー様のことが好きじゃん」
ζ(゚ー゚;ζ「え?何、アンタもライバルだったの?」
……この二人は何を言ってるんでしょう。
私は黙れと言われたから黙っていただけです。
モララーさんの顔がかっこよかったり、勉強が出来たり、知的だったり、物腰が優雅だったり、
目を伏せる姿勢が女の子みたいに綺麗だったり、声が心地いいことなんかに左右されません。
ええ、断じて。生徒手帳にモララーさんの写真が挟まれていることとは決して関係ありません。
(゚、゚トソン「……勝手に恋心を捏造しないでください」
ミセ*゚ー゚)リ「ミセリはほんとぉーにツンドラなんだからー!」
(゚、゚トソン「人を永久凍土にしないでください」
ζ(゚ー゚*ζ「死ねばいいのに☆」
(゚、゚トソン「あなたこそ一度死んでみればいいと思いますよ」
ミセ*゚ー゚)リ「雪解けはいつかなー。
そっかそっかー、みんなに義理チョコを配れば自然に本命にチョコが渡せるもんねー」
この二人は救いがたい馬鹿です。
私をあなた方と一緒にしないでいただきたいです。
私は本命チョコのために、義理チョコを配っているのではありません。
日頃からお世話になっている人のために私はチョコレートを配りたいのです!
私はそれがライフワーク。
お世話の気持ちで配っているチョコレートがたまたま気になる人の所へ行くかもしれませんが、
それが目的ということは決してありません。
(゚、゚トソン「これは私への挑戦だと受け取りました」
私は携帯を手にするとかけ慣れた番号へと電話をかける。
電話はすぐに繋がり、無機質な呼び出し音は耳慣れた初老の男のものへと変わる。
(゚、゚トソン「彼らはチョコレートがもらえない恨みで反乱をおこしました。
これはすなわち、私の感謝の気持ちが足りていないということです
ミセ;゚ー゚)リ「え?急にどうしちゃったの?頭だいじょーぶ?」
(゚、゚トソン「私が全校生徒にチョコを渡しさえすれば、この様な事件は起こらなかったはずです。
ライフワークと言うならばもっと徹底するべきでした。
本命を誤魔化すためのカモフラージュだと思われるなど、屈辱以外の何者でもありません」
ζ(゚ー゚;ζ「何をするつもりなの、鉄面皮女」
私は携帯の向こうで控えている、私専属の執事に向けて声を上げる。
全ては、私のライフワークとプライドのため。
【(゚、゚トソン「命令ですセバスチャン。
VIP高校全生徒分のチョコレートを作り、持って来させなさい。
金に糸目はつけません。都村財閥の全総力をあげてやらせなさい!」
( ∵)( ∴)( ∵)】『ゴェエエエエエエ!!!』
Σζ(゚ー゚;ζ「気がくるっとる!」
ミセ;゚ー゚)リ「あわわわわ。トソンが本気だー」
二人組の声を背後に聞きながら、私は執事たちに命令を続ける。
私は義理チョコに全てを賭けた女。
義理チョコを配れないということは、私の人生の死だって表す。
決して、本命チョコが入っているとバレて自棄になったからではないのです。
(゚、゚トソン「奴らがどれほど多勢でも、全校生徒分のチョコに抗えるはずはありません!」
ζ(゚-゚*ζ「……」
ミセ;゚Д゚)リ「トソンがー、トソンがー全力で財力の使いどころを間違ってるー」
何が間違っていると言うのですか。
これ以上の有効活用はないと思いますが。
ζ( ー *ζ「デレはアイドル。デレはアイドル。
学園で一番人気者のデレちゃんが、実はお嬢なんてチートキャラに負けるかよ」
ミセ#゚ー゚)リ「ツッコミどこそこじゃねーだろ、腹黒性悪女」
ζ(゚∀゚#ζ「俺はチョコを配るぞミーハービッチ女!!!」
ミセ;゚Д゚)リ「あばばばば」
アイドルと呼ばれたくらいで粋がっている女が、私に勝てるとは思いませんが。
そこまで言うのならば受けて立ちましょう。
アイドルと言っても一般庶民。我が都村財閥の財力に勝てるとは思いませんが。
ζ(゚Д゚#ζ「糞お嬢になんかに負けるかよ!アイドルなめんな!」
ミセ;゚ー゚)リ「何コレ?何で全校生徒にチョコ渡す流れになってるのー?」
【ζ(゚ー゚*ζ「もしもし、モカーくん?
デレだけどぉ~、ありったけのチョコをもってデレの学校に来て欲しいなぁ~☆」
【(゚、゚トソン「いいですか?大至急ですよ」
ミセリ止めないで下さい。私は私の理想に準ずるのですから。
どさくさに紛れてモララーさんにチョコを渡すつもりはありません。
義理を渡す過程で仕方なくならあるかもしれませんが、私は全校生徒に配るのですから仕方がありません。
【ζ(゚ー゚*ζ「もしもし、テナーくん?
デレだけど今すぐ町中のチョコが欲しいな☆学校まで持って来て!」
【ζ(^ー^*ζ「うん。どっかのミーハービッ……じゃなくてクソ……じゃなくて、
馬鹿女が逆チョコを見てみたいって言うのよ、うん。
で、デルタくんなら逆チョコしてくれるかなって思って☆」
ミセ#゚ー゚)リ「おいコラ、何て言った自称アイドル」
モララーさんは一体どんな顔をするでしょうね。
いえ、今のは間違いです気の誤りです。少しだけ誰かの願望が混じっただけです。
ζ(^ー^*ζ「別に、庶民の馬鹿女には全校生徒にチョコ配りなんて無理だって言っただけよぉ」
ミセ#゚ー゚)リプチ
ミセ#゚曲゚)リ「小市民なめんなよ!この勘違い性格ブス!」
ζ(゚曲゚#ζ「勘違い性格ブスはそっちだろうが!!!」
まったく落着きのない人たちですねぇ。
私はこれからチョコの受け取りに行かなければ行けないと言うのに。
受け取りは……そうですね、グラウンドがいいでしょう。
ミセ#゚ー゚)リ】「父ちゃんっ!私の貯金全部使って5円チョコ買ってきて!ABCチョコとかでもいいから!
今すぐっ!学校に!!!セレブの財力と勘違い女だけには負けられないっ!」
【ζ(^ー^#ζ「フォックスおじさま?デレですけど、デレ、デパート中のチョコを買い占めてほしいの☆
今すぐに学校に持ってきてほしいなぁ。今すぐっ!!!」
(゚、゚トソン「ほら、電話なんかしてないでチョコを受け取りに行きますよ」
私は無駄な抵抗する二人を引きずって、クラウンドへと向う。
待っていてください、全校生徒たち。
私のバレンタインは伊達じゃないってことを見せてあげましょう。
【 ('A`) 】 特別棟階段
( ・∀・)「それじゃあ、僕たちは放送室へむかうからな!」
(´∀`;)「も、モナも本当に行かなきゃダメモナか?
どうしても必要なら、携帯だけもって行けばいいモナ」
( ・∀・)「冗談はそんなところにして、行こうか」
一階あがったところで、俺が促さなくてもイケメンは言った。
イケメンの目はイケメンながらも、何かを覚悟した漢の目でだった。
('A`)「全てお前に任せる、モララー」
( ・∀・)「それは嬉しいね」
( ^ω^)「モララーくんもモナーくんもがんばるお!」
(´・ω・`)「あまり無茶しないでね。あと、モナーの逃亡には注意して」
俺たちはこれから一番目立つ役目を担うことになるモララーと別れを告げる。
半ば脅されて仲間に入れることにはなったが、それでも仲間は仲間。
がんばってくれよ、イケメン。あと、対モララー用の人質の予定だったモナー。
(・∀・ )つ( T∀T)ノノ
('、`*川「それで、僕たちのこれからの予定は?」
モララーたちが去っていった後、俺たちは近くの教室へと入った。
歴史資料室。こんな教室あったか?まあ、人も来ないし丁度いいだろう。
大きな声を出さない限りは、デレたんたちも気づかないだろうきっと。
('A`)「ショボン。当初の予定ではどうだった?」
(´・ω・`)「イケメン四天王の処刑後は同士たちの支援になってるね。
浦良くんの放送次第ではそれなりの反響が起こると思うから、救援は必須だろうね」
( ^ω^)「じゃあ、みんなで教室へ行くお!」
俺はショボンと内藤の意見をそれぞれ検討する。
同士は拠点である教室防衛組、校門占拠組、各教室を回ってチョコとモテ男狩り組に別れている。
そのうちチョコモテ男狩りは居場所がつかめないから、支援するなら残りの二つか。
('A`)「内藤。お前教室に戻って教室防衛と、正門に人員をよこせ。
放送を聞いた奴らに教室を一網打尽されるのはヤバイ」
(;^ω^)「おっ?教室はどうするんだお?」
('A`)「教室は最低限の人員だけ残してダミー本部にする。
俺とショボンは正門と校庭を占拠して、俺たちの力を全校に示す」
(;´・ω・`)「確かに校庭なら教室棟の全教室から見えるけど、危険じゃない?」
俺はこれまで倒してきたイケメンたちの顔を思い出す。
どのイケメンも自分たちが攻撃を受けるはずはないといった顔をしていた。
イケメンたちもほいほい誘い出されてきたし、俺たちの放送はあまり効果がなかったのだろう。
('A`)「いや、校庭を占拠することによって俺たちの力を全校に知らしめる必要がある」
圧倒的な力を見せつけ、全校のモテやリア充に屈服させる。
バレンタイン中止のお知らせを完遂されるには、もうこれしかないっ!
('、`*川「ふーん。じゃ、私たちは校庭ってことでおk?」
('A`)「お前はジョルジュとシャキンの写真とかスケッチとかを全校に配ってこい」
( ゚д゚ *川
(;^ω^)「こっちみんなだお」
('A`)「お前がいると話が横道に逸れる自重しろ」
というか、その顔キモイからやめろ。
('、`#川「なんでー?!私ったら貴方にあんなにも尽してきたじゃない!」
(#'A`)「お前がいつ尽したっていうんだよ!
人のことさんざん妄想の道具にしやがって!」
うわ、何このBカップ。これは絶対女じゃない。何か別種の生物か何かだ。
とまあ思うわけだが、今の俺たちにはそんなことしてる余裕はない。
('A`)「――と、まあ本来なら言いたいところだが。
俺たちの昼放送いまいち効果が無いみたいなんで、何かインパクトが欲しいわけだ」
(´・ω・`)「ああ、なるほどね。
伊藤さんのことなんだかんだ言って頼りにしてるわけだ」
( ^ω^)「ペニサス部長かっこいーお!」
('、`*川「むふふふ。そうであるか、そうであるか。
それならば、私は協力しようじゃないか!」
部長がいい笑顔をしているのが若干腹が立つ。
だが、しかたないだろう。
俺たちには人員も力もないんだから、今いるやつはイケメンでも使うしかない。
【('、`*川「偽川っ!私たち漫研の力を見せつける時が来たわよ!
は?家庭科室?そんなのどうでもいいから!とにかく来いっ!!!」
【('、`*川「PCとプリンターの貯蔵は充分か?PC室乗っ取る覚悟はできたか?!
ならば戦争だ!漫研とバレンタインゲリラの名を全校に知らしめろ!」
それにしてもこの部長ノリノリである。
携帯を通じて相方に連絡を取ると、頼んでないことまで計画を進めている。
いいぞ部長もっとやれ!
('A`)「俺たちはこれから手持ちのカードを全部使い切る。
あとは、カードがないのを如何に誤魔化すかだ」
(´・ω・`)「これからはハッタリと出たとこ勝負ってことだね」
(;^ω^)「うはぉ。ジリ貧の臭いしかしないお」
('A`)「だが、ここでカードを出し渋ってるようじゃ俺たちは勝てっこない!
なにせ俺たちは圧倒的な戦力差の前に戦わなければいけないんだから!」
ケンカのセオリーは先手必勝(ラノベ知識)、戦意喪失さえさせてしまえばコチラの勝ちだ。
俺たちは止まったり立ち止まっている場合じゃない。
('A`)「俺たちは進むだけだ」
(´・ω・`)「まとめるよ。
伊藤さんは長岡、シャキン兄さん、流石兄弟のケンカ写真があるからそれを全校に掲示。
内藤は教室へ戻って、メンバーを正門へ。それから、ダミー本部の運営。
僕とドクオは正門に本部を移して、全校に僕たちの行動を知らしめる。いいかな?」
('、`*川「私たち漫研はどこまでも協力するわよ」
( ^ω^)「校庭脇の用具倉庫に緑化委員用の園芸道具があるから、使うといいお!」
俺たちは顔を見合わせて、打ち合わせをすませる。
('A`)「絶対に成功させるぞ!」
( ^ω^)「おうだお!」
(´・ω・`)「任せておくれよ」
('、`*川「このペニサス伊藤様と、偽川に任せなさい!」
俺たちは先に別れたイケメンたちに「がんばれよ」とメールを送る。
そして、教室を飛び出しそれぞれの目的地へと向う。
('A`)「これが、最後の作戦だ!行くぞっ!!!」
【 (*゚ー゚) 】 1-1教室
(*゚ー゚)「……先生こないね」
(,,゚Д゚)「モララーもモナーも結局帰ってこなかったな」
もうホームルームの時間になっているのに、先生は教室に来ない。
スピーカーからはずっと賑やかで楽しそうな曲が流れたままで、とまる気配もないみたい。
教室にはモララーくんがいないか探す女の子たちが、集まって来ている。
もとからクラスにいた人ととモララーくんを待ってる子が混ざって、教室はとても賑やか。
(*゚ー゚)「先生、呼びに行ったほうがいいのかな?」
(,,゚Д゚)「せっかく来ないんだから放っておけよ。
それよりいいのか?モララーが戻って来ないが」
(*゚ー゚)「うん、そうだね」
相談の途中だったし、ずっと帰ってこないのはとても心配。
モナーくんを探しに行ったのかな?
あの放送がヒントになっていたのかも知れない。
モララーくんがいないと、教室で待ち続けてる女の子たちの不満が爆発しそうで怖いなぁ。
(*゚ー゚)「早く帰ってきてほしいな」
( ・∀・)『1-1の浦良モララーです。
本日は皆さんに聞いて貰いたいことがありまして、この場を借りてお話しさせていただきます。
皆さんこんにちは。今日は何の日かわかりますか?
そう、バレンタインです。
僕も何人かの方からチョコレートを頂きました。
だけど、それって正しいことなんでしょうか?
僕がチョコレートを貰うその裏で、チョコレートを貰えない方が多くいます』
突然、スピーカーの音が止まる。
スピーカーが静かになったのはほんの少しの間で、それはすぐモララーくんの声になった。
間違いない。あれは絶対にモララーくんの声。
(;゚ー゚)「モララーくん?」
(;,,゚Д゚)「何だ何だ?」
クラスの人たちもモララーくんの声にびっくりしているみたい。
さっきの放送の時も賑やかだったたけど、それ以上に賑やか。
キャーとクラスの半分以上の女の子たちが声を上げてる。
( ・∀・)『僕らと彼らの間に何の違いがあるのでしょうか。
僕も彼らもVIP高に通う学友です。そこに何の違いもありません。
何故、チョコレートをめぐってここまでの格差が生まれてしまうのでしょうか』
( ・∀・)『バレンタインは容姿や学力、財力という秤で、好意という名の差別を下す日です。
差別を助長するのがバレンタインだと言うのならば、そのようなものは必要ありません』
モララーくんはいつもの淡々とした話し方で、放送を続けている。
その内容は、バレンタインとチョコレートについてみたい。
クラスの女の子の中には涙を流しながらメモをとったり、録音をしている女の子もいる。
( ・∀・)『僕は、学園を占拠するという彼らを全面的に支持します』
モララーくんの声に教室中がざわめきだした。
放送を聞いて、チョコレートの箱をゴミ箱に入れる女の子がいる。
チョコレートを持って泣き出しちゃう女の子もいた。
私はと言えば、モララーくんの言葉が信じられなくて立ちつくすだけ。
(;゚ー゚)「どうして?だって、モララーくんは」
(,,゚Д゚)「……しぃ」
だけど、どうしてモララーくんがこんなことをしているの?
モララーくんは私のチョコレートを貰ってくれたし、私に……。
(,,゚Д゚)「しぃ、聞いてくれ。」
(,,゚Д゚)「俺は放送室へ行ってモララーを止める。
だから、しぃ。お前は教室で待っていてほしい」
ギコくんが真剣な顔をして私のことを見ていた。
スポーツをしている時と同じ、真剣な目。私が大好きなギコくんの目。
騒がしい教室の中で、ギコくんはひとり静かだった。
(*゚ー゚)「ギコ……くん……」
(,,゚Д゚)「なんでアイツがあんな馬鹿なことをやらかしたのかわからない。
だけど、絶対止めてみせるから。信じて欲しい」
ギコくんが怖いくらいに真剣な口調で言う。
私はじっとギコくんの顔を見ていることしかできない。
( ・∀・)『僕の話に賛同するいう人がいるならば、彼らに協力してほしい。
僕は、バレンタインを決して許さない』
モララーくんの声がなんだか、遠く聞こえた。
【 川 ゚ -゚) 】 校長室前廊下
協力者である杉浦と別れた私は、正門と教室のどちらへと向うか検討していた。
目標は鬱田ドクオただ一人。
放送や杉浦の話から鬱田が指導者であることは明白だった。
川 ゚ -゚)「二つの拠点に同時に攻め込むしかないか」
片方に乗り込むのでは、取り逃す可能性が圧倒的に高い。
それならば、ヒートを呼んで二箇所同時に行くべきだ。
問題はヒート無しで高岡ハインリッヒが押さえられるかどうかだ。
( ・∀・)『1-1の浦良モララーです。
本日は皆さんに聞いて貰いたいことがありまして、この場を借りてお話しさせていただきます』
――その時。悩む私をあざ笑うかのように、放送が始まった。
鬱田ドクオでも、眉下ショボンでも、内藤ホライゾンでも、電話の男でもない声。
声の主は、鬱田たちに狙われているはずのイケメン四天王のうちの一人。
川;゚ -゚)「なんだと?!」
浦良モララー。
その容姿から、学内の女子に絶大な影響力を持つ男子生徒だ。
川;゚ -゚)「まさか、本人なのか?」
標的のはずの彼が何故、放送をする。
偽物?それとも脅されているのか?それとも自分の意志だと言うのか?
私の動揺をよそに放送は続いていく。
( ・∀・)『――彼らの行動が冗談だと思っている皆さんも多いでしょう。
それが大多数でしょう。だけど、彼らは本気です。
そして、この僕も本気です。そうでなければ、こうして放送をしていません。
ここに校内でイケメンとして名高い、流石弟者先輩の秘密を暴露したデータがあります。
本気であるの証明としてそのデータを今ここで公開します』
放送が一旦とぎれ、それから録音らしい声が流れはじめる。
(´<_`*)『聞いてくれるか!妹者の魅力といえば、あの有り余るくらいのプリチーさだ。
まだ小学校に上がったばかりなんだけど、家ではおっきい兄者、ちっちゃい兄者と
俺たちの後をついてまわってな、それだけでも可愛らしいのだけれ(ry』
私は流石弟者の声は知らないが、それはなかなかに異常とも思える内容だった。
流石弟者だと思われる男の声は、ひたすら妹に対する愛情を並べ立てている。
川 ゚ -゚)「気持ち悪いな」
【 ( ´_ゝ`) 】 屋上
( ´_ゝ`)「ん?今、弟者の名前が聞こえてこなかったか?」
(´<_` )「俺の名前?」
スピーカーから流れてくるエロゲソングに耳を澄ませながら、俺らは弁当と菓子を食っていた。
いやぁ、菓子はいいね。リリンの文化の極みだよ。傷ついた俺の心が癒されていくよ。
あのケーキ早起きして作ったのに、一年坊主共バラしやがって。
( ><)「そうなんですか?よくわかんないんです」
( <●><●>)「どうやら校内放送みたいですね。
ここからではよく聞こえませんが……」
それにしてもこっちの一年たちは本当にいい一年だ。
お菓子とかお菓子とかお菓子とかみかんとか。
母者が買ってくれないようなレア菓子は今のうちに腹一杯食っとこう。
(*‘ω‘ *)「階段に行けば聞こえるんじゃないっぽ?」
(*´_ゝ`)b「それだちんぽっぽたん!」
(*‘ω‘ *)「『たん』つけんなカモフラージュチョコ男」
( ;_ゝ;)「ひどいっ!弟者たん、なぐさめて!」
(´<_` )「死ねばいいのに」
訂正。こっちの一年生も超鬼畜。先輩に対する敬いの気持ちとか全然無い!
いいんだ、いいんだ。俺にはラブリープリチーエンジェル妹者たんがいるもん。
それにしても弟者も弟者だ。
実の兄に死ねばいいとか、俺泣くから!
(;><)「あう……お兄さん元気をだしてほしいんです」
( ;_ゝ;)「俺に優しくするとは、お前妹者たん狙いだな!」
俺は号泣しながら、階段へと向う。
これ以上ここにいたらビロード(何故かおにゃのこじゃない)の巧妙な作戦の前に敗れ去ってしまう。
(´<_` )「落ち着け兄者……って、ん?」
階段へと通じる扉を抜けたとたん、弟者の声が聞こえてきた。
いや、弟者が話してるんだけどなんか弟者の声が二重に聞こえるというか何というか。
(*´_ゝ`)『そうだそうだ!もっとやれー弟者!
俺たちの妹の愛らしさをもっと伝えてやれ!』
d(´<_` )『まかせろ、兄者。そもそも妹者が生まれたのは俺たちが小学生の』
というか、俺の声も聞こえるじゃないか。
これは一年坊主に俺たちがした妹者たん大好き演説?
(*´_ゝ`)「おお、我らの妹者たんの愛らしさが全校に伝わっているぞ」
(´<_`*)「おお。だがしかし、妹者に手を出す不届き者が出ないか心配だな」
(*´_ゝ`)ノ「不届き者は、我らが倒せばいいじゃないか!
それよりも、このドキドキメモリーは永遠保存版っ!!」
(´<_`*)「家に帰ったらお祝いだな、兄者」
(*´_ゝ`)b「流石だよな俺ら」d(´<_`*)
【 川 ゚ -゚) 】 校長室前廊下
演説とも洗脳とも言える放送は絶え間なく続いている。
私がその妹だったら、まずまちがいなく病院を勧める。それか、親に訴える。
よくもまあ、こんなデータを用意したものだ。これがイケメン四天王の処刑というものだろう。
だとすると、少なくともイケメン四天王のうちの二人が鬱田たちの前に敗れ去ったことになる。
川 ゚ -゚)「浦良モララーか。とんでもない隠し球がいたものだ」
イケメン四天王の処刑だけでも驚くことなのに、学内一の有名人の利用ときた。
学内のほぼ半数を占める女生徒の取り込みと、自分たちが本気だと示す全校規模での粛清。
この放送で動揺する生徒は多いだろう。それこそが彼らの狙い。
川 ゚ -゚)「勝負をかけてきたというわけか」
学校を支配しようとする上でもっとも重要なのは、生徒たちの意見をどこまで支配できるかだ。
操られているということに気づかれないように、如何に上手く煽動するか。
いま流行のスイーツ(笑)、今年流行のモテカワファッション、バレンタインには逆チョコレート。
ヒットラーは何故支配者たり得たか?それはマスメディアを支配したからだ。
世界史の教科書や資料集にでも載っているくらい簡単なこと。だけど、それこそ難しい。
川;゚ -゚)「どうする、素直クー」
この放送はおそらく多数の生徒を動かすはずだ。
もうそうなったら、鬱田ドクオを捕まえるだけでは事態は終わらない。
私だけでは力不足だ。
今の私に必要なのは協力してくれる仲間の存在だ。
川 ゚ -゚)】「……出てくれ、ヒート」
ヒートの番号を呼び出す。
一回、二回、三回、四階……呼び出し音が増えるが、ヒートは出ない。
ノハ*゚⊿゚)「お姉様っ!電話してくれるとは嬉しいぞ!」
いつものヒートならば、三コールまでに確実に出るはずだ。
明るくて賑やかな私のかわいい後輩。
川;゚ -゚)「……何をしているんだヒート」
彼のことだからまさかということはないだろうが、もしということがある。
高岡ハインリッヒが本当に暴れているというのならば、ヒートは。
――ヒート、無事でいてくれ。
【 ノパ⊿゚) 】 家庭科室前廊下
ノパ⊿゚)「うぉぉぉおお!!!あたしは無事だぞお姉様っ!!!」
从#゚∀从「突然乱入してきて何言ってやがる!」
あたしは気合でせまり狂う釘バットを蹴り上げた。
それから、迫ってくる包丁を姿勢を低くしてかわす。
(*゚∀゚)「アヒャヒャ。たのしーなぁー!」
ミ,,;Д;彡「つーちゃん!包丁とかしゃれにならないから止めてー!!」
(゚∀゚*)「うっせーな、フサ!」
家庭科室の前には何とビックリ七人の人間がいたんだ。
そのうち武器を持っているのは四人。
包丁とか釘がいっぱい生えたバッドとか危険なヤツラだ。
*(#‘‘)*「また女ですかっ!シャキンくんには何人の女に手を出してるんですぅ?!」
(;`・ω・´)「もう、いい加減にしてくれっ!君たち」
*(#‘‘)*「だめです!シャキンくんにはヘリがいるってことをわからせてやるんですっ!
そのためには萌豚ども全部ぶっ殺してやるんですっ!」
川д川「……シャキン……くんと……話さ…ないで……」
从#゚∀从「俺様のシャキンに触るんじゃねえアバズレ共っ!」
奴らは学内の平和を祈るお姉様の敵だ。
武器をとりか弱い男子生徒達を襲おうとしている敵だ。
( ゚¥゚)「ヒートさんしっかりっ!」
ノハ#゚⊿゚)「おうっ!この熱決ヒート、愛するお姉様のためにいざ参るっ!」
入学式のあの日、遅刻した私を笑いながら案内してくれた優しい人。
黒髪を風になびかせて、私はこの学校が好きなんだと言った憧れの人。
川 ゚ -゚)「私はクールなんかじゃないよ。
本当に大切なことは何時だって言えない臆病者なんだ。
だから、自分に素直なヒートがうらやましい」
あたしだけに、こっそりと秘密を話してくれた大好きな人。
女同士でもいいから愛していると言うあたしを、嫌わないでくれた大切な人。
あたしの大好きなお姉様。
お姉様のためならば、あたしは戦う。
だから、お姉様。あたしのことは心配しないでほしい。
ノハ#゚⊿゚)「あたしは女同士であろうと、
この思いが届かなくともお姉様の力になると決めたんだ!」
あたしは叫びながら、根暗っぽい女の手から金槌を叩き落とす。
落ちた金槌は蹴り飛ばして、女の手に届かないところに。
それから、背の低い女の持つハサミを蹴り飛ばそうとする。
(`・ω・´)「気をつけてヒートさんっ!」
*(#‘‘)*「何で他の女と話すんですっ!許せない!許せないですぅ!」
川д川「……邪魔……しないで……」
武器を取り上げて奴らの行動を止める。それから、先生にこいつらを突き出す。
それが、あたしがお姉様のためにできること。
ノハ#゚⊿゚)「あたしはお姉様が本当に素直になれる日まで、
クールの仮面がはずせる様になるように助けるんだ!!!」
( *゚¥゚)「あなたの百合魂しかと心に焼き付けましたよお嬢さんっ!
あなたの恋路に幸多からんことを!」
そう言って男は、家庭科室から走り去っていく。なんてシャイなんだ。
応援してくれて嬉しいぞっ!応援に負けないためにもあたしはお姉様のために頑張るぞ!
【 ξ゚⊿゚)ξ 】 三年教室階廊下
私はどれだけ泣いていたのだろう。
涙は心の熱い部分を少しだけ冷まして、私の気持ちを少しだけ冷静にしてくれた。
ξ゚⊿゚)ξ「――もう、大丈夫」
心は痛いけど、私はまだ立上がることが出来る。
謝ることだってまだ出来るはずだ。だから、まだ遅くないんだって信じたい。
( ・∀・)『僕は、バレンタインを決して許さない』
少しだけ冷静になった私の耳に放送が聞こえる。
( ・∀・)「好きなら告白したら。しないで後悔するよりはずっといいよ」
その声は、放送室で会ったあの男子の声だった。
テレビのタレントみたいな女の子の様な顔をして、私にそう言ったあの男子。
その声が、バレンタインを潰せと叫んでいる。
ξ゚⊿゚)ξ「後悔してるのはアンタも同じじゃない」
アイツに止めなさいと言い続けた私と同じ。
こんなことをしたって思いは伝わらない。
ξ゚⊿゚)ξ「――私はもう後悔しない」
私がしたかったのはバレンタインに対抗するアイツらを止めることじゃない。
「好き」というたった一言をアイツに伝えることだ。
ξ゚⊿゚)ξ「私はあんたみたいに逃げない。
たとえフラれてもたとしても、何も言わないで後悔するよりはずっといい」
涙をぬぐって立上がる。
手に貼った絆創膏に涙がしみて少しだけ痛い。チョコを作るために作った傷……。
ξ゚ー゚)ξ「だって私は――――」
さあ、行こう津出麗子。
ずっと抱えたこの思いに決着をつけるんだ。
泣くんじゃなくて行動しよう。ずっと渡せなかったチョコレートを私は渡すのだ。
【 (,,゚Д゚) 】 特別棟階段
(,,゚Д゚)「何考えてやがるんだ、アイツは」
渡り廊下を突っ切り、階段を飛び越えるように進む。
思ったようにスピードが出なくて、それにイライラする。
上履きが立てる耳障りな音、足を踏み出す度に滑りそうになる階段その全てにイラつく。
浦良モララー。
生まれる前からの腐れ縁の俺たちの幼なじみ。
それが放送室を乗っ取ったと言うのだ。
( ・∀・)「わざわざ大人に反抗するなんてギコは馬鹿だね。
あんなものは適当に顔色を見ておいて、無難にやればいいんだよ」
それがお前の口癖じゃないか。
決して本音は出さずスマートに。そして、馬鹿正直な俺たちを笑うのがお前だろ。
(;゚ー゚)「どうして?だって、モララーくんは」
しぃがぽつりと呟いた声が、忘れられない。
しぃの悲しそうな顔が忘れられない。
なぁ、しぃ。俺はお前のそんな顔は見たくないんだ。
(,,゚Д゚)「……しぃ。モララーの野郎は俺が連れ戻してやるから」
俺は肩に提げた鞄を握りしめる。
鞄の中には俺の相棒とも言える金属バット。
なぜ、俺はこんなものを持ってきたんだろう。
コレで殴るって言うのか?そんなことしたら、しぃがまた泣くに決まっているのに。
(,,-Д-)「俺は――」
階段を下りて廊下へと入る。
廊下と上履きの底が立てる音が耳障りだった。
(,,゚Д゚)「――っ!!!」
気配を感じて、バッドを振るう。
当てるつもりはもとからない。俺はお前に気づいているという威嚇だ。
相手が武器の存在に気づくように、だが、当てないように。
川 ゚ -゚)「驚いた。君は初対面の相手にずいぶんと物騒な真似をするんだな」
放送室へと向う廊下。そこに立っていたのは黒髪の美人だった。
【 (*゚ー゚) 】 1-1教室
(*゚ー゚)「みんな行っちゃった」
みんなで楽しくご飯を食べる予定だったのに、今はひとりぼっち。
女の子の友達は血走った目で放送を聞いていて、私とお話してくれそうな様子じゃない。
それに、さっきからモララーくんにチョコレートを持ってきた女の子がこっちを見ていて居心地が悪い。
モララーくんは人気者だから、一番仲のいい女子の私が恨まれるのも仕方がないのかもしれない。
(*゚ー゚)「……どうしたのかな」
教室の女の子たちはみんなモララーくんのことを大切に思っている。
私を嫌ったり、放送に涙をながしたり、チョコレートをゴミ箱に捨てれるくらいモララーくんが好き。
流石先輩のことを思って、泣いちゃってる女の子もいる。
(;A;* )「嫌や。嫌やよ弟者はん。
なんでこんなことになるん。ウチ先輩のことが好きやったのに」
(;・3・)「お、落ち着くんだYO!アレは兄の方だと思うんだZE!」
(;A;* )「ウチにはわかるんよ。あれは先輩やわ。流石の弟者はんや」
みんな誰かのことが好きで。誰かのことを真剣に思っている。
(#゚;;-゚)「……椎野さん。浦良くんと仲……いいよね?
……放送の件……聞いてる?」
ハハ ロ -ロ)ハ「アナタ幼なじみデス!何か知ってル違いマスか?」
o川*゚ー゚)o「いいから聞かせなさいよ!あんた、モララーくんにチョコ渡してたんでしょ!
あんたがよくて、何で私たちがダメなのよぉ!」
〈::゚-゚〉「……説明」
気がついたら女の子たちに周りを取り囲まれていた。
みんな目が真剣で、とても怖い。
(;゚ー゚)「えっと、ごめんなさい。私もびっくしてて」
話しかけてきた子以外の人たちも、じっと私のことを見ている。
モララーくんのことが好きな子、放送の真意が知りたい人、それからおもしろがっている男の子。
みんなが私の顔をじっと見ている。
o川*゚ー゚)o「知ってるんでしょ。説明しなさいよぉ!」
みんなの目が真剣で、怖い。
怖くて怖くて仕方が無くて、チョコレートの袋を抱て教室を飛び出した。
【 (*゚ー゚) 】 三年教室階
(;゚ー゚)「……はぁっ、はぁっ」
慌てて階段を駆け下りた私は、見つからないようにどこかの教室へと入ろうと決意する。
教室で見たキュートさんの顔が、目に焼き付いて離れない。
私のことが大嫌いだということを隠そうとしない顔。
キュートさんの周りの女の子も、教室でそっと様子を見ていた女の子もみんな同じ顔をしていた。
(;゚ー゚)「ごめんなさい」
あの女の子たちはみんなモララーくんに特別にされたいと思っている。
幼なじみだという理由で特別扱いされる私に怒っているんだ。
私だってそれを知っているのに、モララーくんの優しさに甘えてしまっている。
それだけじゃない。私はモナーくんにもギコくんにも甘えている。
(*- -)「私は……」
みんなは私の大切な幼なじみ。
私の友達であり、兄弟のような大切な人。
そして、ギコくんは世界で一番大好きな人。
(*゚-゚)「このままでいいのかな?」
その時、廊下に響く足音が聞こえた。
キュートさんたちが追いかけてきたのかもしれないと、私はぎゅっと目をつぶる。
ξ;゚⊿゚)ξ「誰かいるの?」
それはキュートさんでも、私を追いかけてきた女の子じゃでもなかった。
くるくると巻かれた素敵な髪型のかわいい女の子。つり上がった目は意志が強そう。
だけど、その制服は何故か黄色い粉で汚れていて、顔にも涙の痕が残っていた。
(;゚ー゚)「あ、ごめんなさい。入っちゃダメでしたか?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうせ三年生は自宅学習なんだし、気にしなくてもいいと思うわ。
私も勝手に入り込んじゃってるんだし」
(*゚ー゚)「三年生じゃないんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「違うわ、一年よ。1-3の津出麗子」
(*゚ー゚)「1-1の椎野しぃです。」
その人の口調は乱暴だったけどやさしかったので、私はほっとする。
私はポケットからハンカチを出して津出さんに差し出す。
(*゚ー゚)「あの。よかったら顔をふいてください」
ξ;゚⊿゚)ξ「え?そんなにヒドイ?
一応さっき、手でぬぐったはずなんだけど」
そう言ってうろたえる津出さんがかわいくて、私は少しふきだしてしまった。
汚れるからと言う津出さんに、私は半ば強引にハンカチを押しつける。
怒られるかなと思ったけど、津出さんは笑ってハンカチを受け取ってくれた。
(*゚ー゚)「何があったんですか?」
ξ゚-゚)ξ「そう言う、あなたは?」
(*゚-゚)「今、放送に出てたモララーくんいますよね。
放送の件でモララーくんを好きな子たちに責められて、逃げて来ちゃいました」
ξ゚⊿゚)ξ「……ああ、あの人。あなた彼女なの?」
(*゚ー゚)「モララーくんとは幼なじみなんです」
私とギコくんとモララーくんとモナーくん。ずっと四人で一緒だった幼なじみ。
私がギコくんのことが好きだと気がついても、その関係は変わらなかった。
モナーくんたちと離れるのが嫌だから、ギコくんともっと一緒にいたかったから。
だから、高校生という年齢になっても私は幼なじみという関係のままだった。
(*゚-゚)「……幼なじみって何なんでしょうね」
ぽつりと言葉が出た。
幼なじみの関係から変わりたいのに、私は幼なじみであるということにずっとこだわっている。
居心地のいいこの関係から、脱出することが怖い。
ξ゚⊿゚)ξ「好きなの?」
(*///)「モララーくんではないんですけど……ずっと……」
津出さんはじっと私の言葉を聞いていた。
(*゚ー゚)「津出さんはどうなんですか?」
ξ-⊿-)ξ「今、暴れてる奴らがいるでしょ。その中にねどうしても止めたい奴がいるの。
だけど、何やっても上手くいかなくて、……大嫌いっていっちゃったの。バカよね」
(;゚ー゚)「つ、津出さんはバカなんかじゃありません!」
ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿なのは私なのにね。チョコレートだって……」
津出さんが泣いていたのは、そういう訳だったんだ。
津出さんの持っている鞄の中身はきっと私と同じ、チョコレートなんだと思う。
(*>。<)「津出さんなら大丈夫ですっ!津出さん優しいからきっと伝わるはずです」
私の精一杯の声が、廊下に響く。
人がいない廊下はとても静かなためか、私の声はすごく大きく聞こえてびっくりする。
初対面なのにすごくあつかましいことを言ちゃったのかも。
私は、恥ずかしくなって黙り込む。ああ、きっとまた顔が真っ赤だ。
ξ゚ー゚)ξ「ありがとう」
そう言って津出さんは微笑むと、廊下を走り去っていく。
その笑顔はとても綺麗で、自分は馬鹿だと言っていたときの弱気な顔じゃななかった。
ξ*゚ー゚)ξ「あなたも、がんばってね」
(*^ー^)「――はい」
津出さんは私よりも弱くって、それでもずっとずっと強い。
それが、うらやましかった。
女の子たちはみんなみんな強かった。
だけど、私はどうなんだろう?
私の17年間はずっと、ギコくんたちと一緒にあった。
ギコくんのことを好きだと、気づいてからの10年間。私は一体、何をしてきたというの?
嫌われないように。これまでの関係が変わらないように。
私の10年間はこれだけだった。
だけど、私はギコくんが大好きだから。
(*゚ー゚)『それから……本命チョコ』
今年こそは変わろう。そう思って用意したこのチョコレートを。
渡さないままで終わるのは嫌。
幼なじみのままの関係で終わるのも、もう嫌。
だから、私は。
(*゚ー゚)「ギコくんがすき」
そう口にしたら、体の震えは収まった。
モララーくんは当日になっても逃げようとした私に勇気をくれたんだと思う。
私が本命チョコを渡すことができるようへの応援。
イジワルなモララーくんらしい、遠回しの応援に心が温かくなる。
(*゚ー゚)「世界で一番好き」
たとえフラれたとしても、幼なじみという関係を失ったとしても。
幼なじみという立場に安住するのはヤメにしたいから。
私は、今日ギコくんに告白します。
息を吸って、チョコレートの入った箱を入れた袋をしっかりと持つ。
ギコくんの所へ行こう。私はそう思って、ギコくんの向った放送室へと向おうとする。
とりあえず廊下を抜けて、渡り廊下へと入って、それから……
('、`;川「わぷぷ……おーいそこの何者やら~」
私が廊下を歩き出すと、渡り廊下のほうから女の人が現われた。
その人は積み上げられた大量の紙を持ち上げていて、顔の変わりに紙が歩いているみたいだった。
(;゚ー゚)「え、はい?」
('、`;川「申し訳ないんだけど、このプリントをそこの掲示板に貼ってくれない?
偽川の野郎印刷にかかり切りで、こっち手伝いやしねぇ」
(;゚ー゚)「……そのぉ」
('、`*川「留めるやつ?それなら私の制服のポケットにテープが入ってるからそれでヨロ
紙はこの紙山の上にあるやつ五枚ね」
急いでるんですけど……。
私がその一言をなかなか言えないでいるうちに、その女の人が矢継ぎ早に話していく。
えーと、手伝った方がいいのかな?
(*゚ー゚)「えーと、一番上の五枚ですね」
こうしているうちにギコくんがどこかに言ってしまっていたらどうしよう。
だけど、この人困っているみたいだし手伝った方がいいよね。
どうしよう?でもこの人、一人で大変みたいだし……。
('、`*川「おお、心の友よ!あなた私トモダチ!腹切り切腹ハラショー!ハラショー!」
女の人はオーバーなリアクションで喜びながら、私が紙を取りやすいように背をかがめてくれる。
私はその紙を上からキッチリ五枚数えて取る。
この紙は何の紙かな?見てもいいやつなのかしら。
('、`*川「テープは上着の右ポッケだから、ズブッとその手を入れちゃっておくんなまし!」
(;゚ー゚)「それじゃあ、失礼します」
おもしろい人だな、と思いながらポケットからテープを取り出して私は掲示板に向う。
テープを何枚か切ってから、紙を取り上げて掲示板にとめていく。
(*゚ー゚)「……?」
何だろう?男の人がケンカをしている写真を印刷したやつみたい。
それから、女の子に迫られて泣いている男の人の写真と……
(;///)「――っっ!!!」
お、男の人のは、ははは裸の写真っ
はわ、はわわわ、え?あぅ?あれ?何これどうすればいいの?
どうしよう。どうすればいいの?
(;///)「あああ、あのっ、ここここれって」
('、`*川「いいでしょーこれベストショット!欲しいならあげよっかー。
いいよいいよ真っ赤にならなくても、それあげるからホレホレ」
(;///)「あぅあぅあぅ……い、いらないです……」
どうしたらいいの?こここれ?
こういうの貼るのはダメだと思います。ダメだったらダメなんです!
言いたいけど、あぅ。言葉が出てこないしははは、はずかしくてぅあぅあ。
('、`#川「カマトトぶらんでいいからさっさと貼れっ!!!
恥ずかしがっても喜ぶのは、萌えオタだけだ!!!」
(*;ー;)「……で、でもでも」
(゚、゚#川「でももヘチマもないわ!さっさと貼れっ!!!
泣くヒマがあったら手を動かせっ!!このブリッコ女!」
(*;ー;)「……ごめんなひゃい」
('、`*川「よしっ、貼ったな!偉いぞ褒めて使わす。
これでこそ我がVIP校女子だ。女はオタでも一般人でも強くてなんぼ!」
男の人の裸なんて、昔見たお父さんとかギコくんたち以来です。
……はぅ。写真の人ごめんなさい。しぃはあの女の人が怖い悪い子です。
保身のために悪いことした私を怒らないで下さい、先生。
('、`*川「うーん。我ながらほれぼれするくらいの家宝っぷり。
自らのイラストながらこのジョルジュ萌えるわ~。
時間があったなら緊縛男子高生の性生活とかタイトルとあおり文句つけたのに」
(*;ー;)「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
('、`*川「やっぱ次の新刊はこれに決まりね!
でも、せっかくゲットした新ジャンルは惜しいわ。徹夜すればどうにか……
ほらみなさい、そこの通りすがりの一般人カマトトブリッコ女(旧ジャンル)!」
(*;ー;)「はい、すいません」
('、`*川「本当は今すぐ各クラスにこの紙を配りに行かなきゃいけないんだけど。
特別に話してあげるわ!本当の萌えってやつを!心して聞きなさいっ!!!」
ギコくんごめんなさい。しぃはとても弱い子です。
頑張って勇気を出すから、それまで待っていてください。
【 (,,゚Д゚) 】 特別棟廊下
川 ゚ -゚)「単刀直入に言う。私に協力しろ」
(,,゚Д゚)「ハァッ?俺は放送室に急いでるんだ、他を当たりな」
川 ゚ -゚)「それを止めろと言っている」
女は金属バットには少しも動じずにそう言い放った。
どこかで見たことのあるような、見たことの無いような女だった。
(,,゚Д゚)「俺は奴をぶん殴ってでも連れもどさなきゃならないんだ。
お前の指図を聞く必要はない」
川 ゚ -゚)「私は今日騒ぎを起している連中を止めたいと思っている。
そのために協力して欲しいと言っている」
(,,-Д-)「断る。俺の目的はモララーただ一人だ。アンタに協力する理由がない」
川 ゚ -゚)「私には仲間が足りない。
それに、君が勝手に行動すると他の奴等を取り逃してしまう可能性が高い」
いちいち生徒会長の顔なんて覚えてられるかよ。
生徒会長だとかいうその女は、冷徹にそう言い放つ。
その冷静な態度が、奴を思い出させて腹が立つ。
(,,゚Д゚)「それはお前の都合だろ。俺には関係ない」
川 ゚ -゚)「私に協力してくれれば、浦良くんの処罰は軽くなると約束しよう。
それでは不満か?」
その言いぶりに、俺は怒鳴り散らしそうになるのをこらえる。
いきなり金属バットを向けたのは悪かったが、その言いぶりはないだろう。
それにエサをちらつかせるその交渉態度がなにより腹が立つ。
(,,#゚Д゚)「俺はお前のことが信用できない。
本音も出さないで、タテマエやエサちらつかせる奴なんて信用できるか」
こいつはモララーと同じだ。
いつも冷静な態度、感情を表情にも言葉にも出さない。
それでいて、自分に都合のいいように言葉を選んでいる。
自分に都合の悪いようなことは間違っても口にしないし、汚れ仕事もしない。
だから、俺は会長とやらを信用しない。
( ・∀・)『僕は、学園を占拠するという彼らを全面的に支持します』
だが、いつものモララーだったら、率先して矢面に立つことなんかしないはずだ。
俺たちをからかうことはあっても、しぃが本気で困るようなこともしないはずだ。
モララー、お前どうしちまったんだ?
(,,゚Д゚)「邪魔したな」
川;゚ -゚)「ま、待て。待ってくれ。気に障ったなら謝る。
だけど、私は――」
再び放送室に向けて歩き出した俺に向けて、会長が追いすがる。
相変わらずの無表情だったが、どことなく困っているようにも見えた。
俺は足を止めるわけにもいかない、足を止めるわけにはいかないからだ。
会長はそんな俺の背に向けて、
川 Д)「私は――――――なんだ。
――――――――――だけなんだ!!」
叫んだ。
無表情も、タテマエも、交渉も全てかなぐり捨てて叫んだ。
その表情は必死そのもので、俺は足を止める。
川 Д)「だから……協力してくれ、頼む」
(,,;゚Д゚)「……」
会長はモララーとは違った。
いや、モララーも俺が思っているのとは違った一面を抱えているのかも知れない。
それに俺が気づいてないだけなのかも。
(,,゚Д゚)「……」
とにかく、俺は会長に対する評価を改める必要がある。
会長は会長なりに必死で、そのために動いているんだとわかったからだ。
だが、見直したなんて改めて言うのも何か癪だ。
(,,゚Д゚)「俺は、お前を信用する」
正直スマンかったと今では思っている。
あと、かっこつけてるのは俺なりのプライドっぽい奴だ。
別に恥ずかしいとかそんなわけじゃない。
(,,゚Д゚)「協力してほしいんなら、はじめっから助けて下さいお願いしますって言えばいいんだよ。
余計なこと言うより、ずっといいと思うぜ」
川 ゚ -゚)「……そうだな」
(,,゚Д゚)「で、俺はどうすればいいんだ?」
俺は会長の顔を見つめ、返事を待つ。
スピーカーから流れる声は、何時の間にか知らない男のものに変わっていた。
【 川 ゚ -゚) 】 特別棟廊下
(,,#゚Д゚)「俺はお前のことが信用できない。
本音も出さないで、タテマエやエサちらつかせる奴なんて信用できるか」
初対面の男子生徒に私という人間が見透かされたような気がして気分が酷く悪くなった。
彼の不可解な行動。大きくなる事態。思い通りにならないことばかり。
私は今日起こった数々の出来事にいらだっていたのかも知れない。
川 Д)「私は―――」
私が心の底を明かせば、この男子生徒は確実に仲間になるという確証はない。
それなのに、私は叫んでいた。
そして、ヒートのことを思い出した。
入学式でちょっと話しただけなのに、私に懐くようになったヒート。
私は臆病者だとヒートに言ったあの日、彼女は言ったのだ。
ノパ⊿゚)「お姉様が考えてること何でも言えばいいんだぞ!
それが素直ってことだと思うぞ!
臆病者でもかっこ悪くても、私はお姉様のこと嫌いになったりしない!」
ああ、素直になるのはこう言うことなのか。
こんなにも格好悪くて、非論理的で、感情的。その後のことなんて何も考えてない。
(,,゚Д゚)「俺は、お前を信用する」
だけど、その姿こそが私。
そんな自分自身を冷静に分析しているのも、私。
(,,゚Д゚)「協力してほしいんなら、はじめっから助けて下さいお願いしますって言えばいいんだよ。
余計なこと言うより、ずっといいと思うぜ」
川 ゚ -゚)「……そうだな」
これからは、少しだけ素直になろう。
ヒートの様に叫ぶのは無理かも知れないが、思いをそのまま伝えることはできるから。
私は私らしく、思いを伝えられるようになっていこうと思う。
川 ゚ -゚)「遅くなってしまったが、私を助けてほしい」
(,,゚Д゚)「俺は1-1の猫谷ギコ。さっきはすまなかったな。
モララーは俺に任せて貰えるんだろうな?」
思いを伝えることは、みっともないけど時には素晴らしいことだと思うから。
衝突することもあるが、それが人間関係というものだから。
川 ゚ ー゚)「私は素直クー。協力に感謝する」
【 ξ゚⊿゚)ξ 】 渡り廊下
優しくて可愛らしい子だったと思う。
椎野さん。私がが持ちたくてももてない女の子らしさを詰め込んだような子だった。
ξ゚⊿゚)ξ「――私だけじゃないんだ」
あの子が持っていた袋の中身は、たぶん私と同じチョコレート。
バレンタインというこの日に告白しようと思う女子は私だけじゃない。
あのかわいい子が告白できるようにするためにも、事態を止めなきゃと思う。
ξ゚⊿゚)ξ「――委員長だからじゃなくて、私のためあの子のために」
今度こそ、止めてみせる。
どんなことをしてでもアイツを止めて、それで言うのだ。
私は一度、フラれてる様なものだから。もう、怖くない。
ξ゚⊿゚)ξ「放送室に乗り込んで、アイツらがどこにいるのか聞き出す。
それから、アイツのいるところに乗り込む」
私は渡り廊下を渡り、階段へと入る。目指すは、放送室。
ξ;゚⊿゚)ξ「……何アンタたち?」
川 ゚ -゚)「1-3の津出麗子さんだね?
君に助けて貰いたいことがあって、待っていたんだ」
(,,゚Д゚)「よう」
階段を下りてすぐのところで、男子と女子の二人組に声を掛けられた。
一人は朝礼とか文化祭とかでその顔を見る生徒会長。
もう一人は……えーと、どこかで顔は見たことあるような気がするけどわからない。
川 ゚ -゚)「私は素直クー。今日の昼、職員室で君を見かけた者だ。
生徒会長などもやっているから、私の顔は知っているかもしれない」
(,,゚Д゚)「俺はギコ。猫谷ギコだ。
成り行き上、生徒会長に協力している」
ξ゚⊿゚)ξ「……職員室?」
職員室という言葉に覚えはある。
今日の昼、内藤たちが教室を乗っ取った直後真っ先に駆け込んだ場所だ。
先生たちに冗談だと笑い飛ばされて、とても悔しい思いをした覚えがある。
何故、今になって生徒会長たちが……?
内藤たちを止めるって言うのだろうか?
川 ゚ -゚)「私たちはバレンタインに抵抗するグループ並びに、その協力者を止めようと行動している。
そのために、協力してくれる仲間を捜していた。
津出麗子さん。アナタが事件の初期から、主犯たちを追いかけていることは聞いている。
どうか、我々を助けて欲しい」
(,,゚Д゚)「頼む」
生徒会長と猫谷とかいう男子は私に頭を下げる。
突然すぎて、頭が混乱している。
放送があったから?それとも、ひょっとして私を捜していた?
ξ゚⊿゚)ξ「私は学級委員長として内藤たちを探すつもりはもうないの」
川 ゚ -゚)「だけど、君はここへ来た。
職員室へ向う生徒も、放送室へ向う生徒も結局は殆ど現われなかったのに。
だとしたら、何故ここへ来た?」
ξ゚⊿゚)ξ「内藤たちの居場所をぶん殴ってでも聞き出すためよ。
私はもう後悔する気はないの」
アイツに出会って、このチョコレートをたたきつけて長年の思いに決着をつける。
それさえできれば、私は満足。後で先生にしかられようがかまわない。
川 ゚ ー゚)「それで充分だ。私たちに協力するのが嫌ならこう言い換えてもいい。
君に私たちを協力させてくれ。
私はうだうだと考えるのは止めにて、動き出すことにしたんだ」
生徒会長はそう言うと少しだけ、口元をゆるめた。
彼女は、ひたすら校内を駆け回った私とは全く別の行動を取っていたらしい。
(,,゚Д゚)「俺は今放送室にいる馬鹿を止めに来た。
奴の首に縄つけてでも、教室に連れ帰るつもりだ」
川 ゚ -゚)「私は知り合いの処分を軽くするために。この騒ぎを止める
理由は……そこの猫谷にでも聞いてくれ」
ギコはあの浦良モララーの知り合いらしい。
そして、生徒会長もこの騒動に加わった一人の知り合い。
知り合いや友人のためにこうして動いている。
ξ゚⊿゚)ξ「協力するわ。話を聞かせて」
私は大好きなあいつのために。
川 ゚ ー゚)「協力に感謝する、麗子」
川 ゚ -゚)「ギコには先ほど説明したが、彼らは三つの場所を中心に動いている。
放送室、1-3教室、正門の三つだ。
私たちが取り戻さなければならない場所はその三つと、職員室、家庭科室周辺だ。
そのうち職員室と家庭科室周辺には私の知り合いが向っている」
ξ゚⊿゚)ξ「他の三つはわかるとして、職員室と家庭科室?」
(,,゚Д゚)「職員室に関しては木材で完全封鎖されてたぜ。
モナーを探す途中で見た変な女が、犯人らしい」
ξ;゚⊿゚)ξ「モナー?喪前モナー?
喪前ならあの三人にとっつかまってたわよ」
(,,;゚Д゚)Z「マジかよ?!」
どうやら猫谷は喪前とも知り合いらしい。
しかも、単なるクラスメイトじゃなくてその行方を捜すレベルの知り合い。
人の幸せが嫌いな鬱田のことだから、浦良に対する人質にするつもりだったんじゃないかしら。
肝心の浦良が何故というか、いつ仲間になったのかは不明だけど。
(,,;゚Д゚)「畜生、モナーもかよ。
一緒に探さなきゃなんねーじゃねーか」
川 ゚ -゚)「それは、あとに置いておくとして。今は打ち合わせがしたい」
意外と友人思いなギコの言葉を、生徒会長は遮る。
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと待って、家庭科室周辺ってのは何?」
川 ゚ -゚)「私の携帯に知らない人物から連絡があった。
家庭科室周辺で、高岡ハインリッヒ並びに数人の女生徒が乱闘を行っているようだ。
ハインリッヒの煽動を行ったのは、状況から見てあの三人で間違いない」
アイツら何してんのよ。
バレンタインとか関係ないじゃない。そんなに騒ぎを大きくしたいわけ?
私は大きくため息をつく。あいつらが何を考えているのかさっぱりわからない。
川 ゚ -゚)「質問がない様なら先に進むぞ。
私たち三人は、同時に放送室、校門、1-3教室の三つの拠点に突入する。
そして、首謀者たちと浦良モララーを取り押さえる。」
(,,゚Д゚)「頭を叩けば止まるってやつか」
川 ゚ -゚)「そう考えてくれて差し支えない。
他の生徒たちは彼らに煽動されているにすぎないからな。
彼らを倒さないと他の生徒達が影響を受けて、騒ぎがもっと大きくなる可能性が高い」
ξ゚⊿゚)ξ「教室の男子達がいい例ね。」
教室での出来事を思い出す。
初めは教室で驚いているだけの男子が鬱田たちに協力しだしたのは、
井洋いよぅが眉下に殴られて鬱田が何やら叫びだしてからだった。
思えば男子達も眉下の暴力と鬱田の言葉によって、進んで協力しだしたように思える。
川 ゚ -゚)「さて、私たち三人が向う場所だが」
生徒会長が私と猫谷の顔を見る。
その視線を受けて猫谷はまっすぐに視線を返し、私はうなずく。
(,,゚Д゚)「俺はモララーに用事があるから放送室だ。
モナーを見つけた奴がいたら保護してやってくれ、頼む」
川 ゚ -゚)「私は1-3のことはわからないから、校門へと向う。
1-3は防備が堅いらしいから気をつけてくれ。
携帯の番号とアドレスを教えるから、目的を達成したら連絡を頼む」
猫谷と生徒会長がそれぞれ、目的地を口にしていく。
残る場所は一つ。そして、そここそが私の向う場所。
ξ゚⊿゚)ξ「教室へ行くわ」
私は息を吸って宣言する。
私の教室。全てがはじまった場所。
ξ゚⊿゚)ξ「これで終わりにしましょう」
( ФωФ)「ついに見つけたのである」
lw´‐ _‐ノv「……」
( ・∀・)「バレンタインなんて滅茶苦茶にしてやるんだからな!」
(´∀`;)「もう、やめるモナー」
(,,゚Д゚)「絶対に許さねぇ」
(*゚ー゚)「……ギコくん」
( ^ω^)「学校中のチョコレートは僕のものだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「もう後悔はしないわ」
(#'A`)「バレンタインに死を!」
(´・ω・`)「……僕たちは進むしかないんだ」
川 ゚ -゚)「私は私のバレンタインを取り戻す」
ミセ*゚ー゚)リζ(゚ー゚*ζ(゚、゚トソン「全校生徒にチョコレートを!」
役者は集った。最後の戦争の火ぶたが今、切って落とされる。