(*><)「すごいんです!」
生まれたばかりのわたしの姿を、一人の男の子が見ていた。
男の子の来ている服は、ひらひらしている。
これは『ゆかた』というもので、今日は『お祭り』という日だ。
ずっとお砂糖だったわたしは、ちゃんと知っている。
(*‘ω‘ *)「わたしはすごいっぽ」
そう言ってみたけれど、わたあめのわたしの言葉はだれにも届かない。
ただ、まだお砂糖のわたしたちがクスクスと笑う声がきこえた。
( ´曲`)「おう、坊主。おっちゃんとこの綿菓子はうめぇぞ!」
( <●><●>)「おや、なつかしいですね」
(*><)「おにいちゃん、ぼくあれがほしいんです」
わたしをキラキラとした目で見る、小さな男の子。そして、そのとなりに立つ大きな男の子。
あの子に食べるのかな。だったら、うれしいな。
(;<●><●>)「またですか? お金は大事にしなさいと、お母さんに言われたのを忘れたんですか」
(;><)「あうあう……」
大きい男の子が言う。
その子の手には、わたしの仲間のお菓子や食べ物がいっぱいある。
このままではこの子が行ってしまう。それはいけない。わたしはこの小さな男の子に食べられたいのだ。
わたしがおいしいのは、ほんのちょっとの間だけ。
おいしい時間がすぎてしまえば、わたしはしぼんでおいしくなくなってしまう。
それはイヤだ。せっかく、わたあめになったのだから、おいしく食べてほしい。
(*‘ω‘ *)「ねぇねぇ、わたしはふわふわでおいしいっぽよ」
ポーズをつけておねだりをしてみる。
聞こえないだろうけど、届くといいな。
(*><)「ふわふわ!」
――あ、届いた。
(;><)「おにいちゃん、ボクいい子にするから買ってほしいんです!
お母さんの言うことも、ちゃんと聞くんです」
(;<●><●>)「……」
大きい男の子が、少し困った顔をした。
だけど、しばらく悩んでから『ゆかた』のなかから『おさいふ』というものを取り出した。
( <―><―>)「これで最後ですよ」
(*><)「はいなんです!」
( *´曲`)「毎度あり!」
小さい男の子はにこにこ。わたしもにこにこ。
ついでに、わたしをわたしにしてくれた、おじさんもにこにこ。
そして、おじさんは最後の仕上げにかかる。
( ´曲`)「よーし、坊主。袋は何がいい?」
(;><)「えと……」
( <●><●>)「好きなのを、選んでいいですよ。
くまのショボンでも、正義のヒーロードクオでも、大将ブーンでも」
( ><)ノ「そのミドリのがいいんです!」
おじさんは、『屋台』から、緑色のビニールを取り出した。
緑色のビニールは、わたしのお洋服。
ふわふわなわたしは、緑色のかわいい服を着せられて、おめかしをする。

ふわふわの綿のスカート。
甘いにおい。とってもステキな緑のお洋服。
おじさんから小さな男の子に、そっとわたしがわたされる。
( ´曲`)「はい、どうぞ」
(*><)「わーいなんです!」
はじめまして、あなた。
わたしは、わたしを食べてくれるあなたを、ずっとまっていたのよ。
(*><)「おいしそうなんです」
(*‘ω‘ *)「よろしくだっぽ」
小さな男の子が、わたしを頬張る。
わたしはとけて、また水にもどる。
わたしはどんな味だろう、気に入ってくれるといいなぁ。
(*><)「おいしいんです!!」
男の子の顔が、ふにゃぁと崩れた。
口元にうかぶのは笑い顔で、ほっぺたもりんごみたいな赤色。
ああ、うれしいなぁ。わたしはおいしくなれたんだ。
( <●><●>)「じゃあ、そろそろ帰りましょうか。お母さんが心配します」
(*><)「はいなんです」
小さな男の子と、大きな男の子が笑った。
その笑顔がとてもかわいくて。
この子たちを笑顔にしてあげられる、わたしはほんとうに幸せだなぁと思った。
(*‘ω‘ *)わたあめの妖精さんのようです おしまい
ミセ*゚ー゚)リ作品投下感想祭~お菓子テロ祭りのようです~ の後夜祭参加作品
色鉛筆さんの
こちら にまとめてもらいました
菓子テロで投下されたイラストにお話をつけされてもらいました。
使わせてもらったイラストかわいい