最終話 そして、宴の果て
【 / ,' 3 & ( ,'3 ) 】 校長室
悲鳴と大歓声がしたかと思うと、騒がしかった学校はシンと静まりかえった。
その10分ほど後、今日はずっと賑やかだったスピーカーから凛とした声が響き渡った。
川 ゚ -゚)『VIP高校生徒会長・素直クーが学校占拠事件の終了を宣言する。
バレンタインは我々のものだ、それは誰にも支配できない!
首謀者・鬱田ドクオは我々に屈した!残りの者たちも抵抗を止め、投降しろ!』
どうやらあの生徒会長は無事に約束を果たしたようだ。
それと同時に廊下が賑やかになり、ドアが開かれた。
J(;'ー`)し(;-@∀@)「校長っ、大丈夫でしたかっ!」
( ФωФ)「職員室は開放した。これで奴らも終わりなのである」
先生方と共に姿を現した長身の生徒は、一言告げるとすぐに部屋から去っていった。
どうやら生徒会長は短期間でずいぶんと優秀な人材を集めたらしい。
これは約束を守らねばなりませんね。
( ,'3 )「この様な学生たちがいる限り、我が校は安泰ですな」
ヾ ,' 3 彡 ブワッ
【 ('A`) 】 校庭
ζ(゚ー゚*ζ「はーい、チョコレートがほしい人は並んでね☆」
ミセ*゚ー゚)リ「いっぱいあるからあせらなくてもいーよー」
(゚、゚トソン「同じ学校に通うあなた方に日頃の感謝をこめて」
キャイキャイと声を掛けながら、チョコレートが一つづつ配られていく。
そして、それに群がる男たち。
今や校庭はビッチ共による、義理チョコの無料配布会場へと変貌していた。
□('(゚∀゚∩「わーい、チョコだよー」
(*‘_L’)「あ、ありがとうございますっ!」
| ^o^ |\(^o^)/| ^o^ |「やった やった やった」
(´;_ゝ;`)「生まれて初めての家族以外のチョコレート……」
内藤とショボンは裏切り、モララーは無惨にも放送室で散った。イケメンなのに。
そして、俺に残された数少ない同士たちまでもが義理チョコの前に屈服していく。
畜生!義理でもチョコ。俺たちの弱点を明確につきやがって。
( ;A;)「ううっ……」
俺はバレンタインを潰すと言いがら、美人のチョコという誘惑に屈してしまった。
すがすがしいまでの完全敗北。しかし、心は不思議とさわやかだった。
会長の靴の味がとても甘美だったように、会長の(義理)チョコは俺の心を完全に癒してしまっていた。
義理でもいいじゃないチョコだもん!
俺は涙を拭き立ち上がった。
(*'∀`)「うっはーwwwデレたんwww俺にもチョコちょうだーい!!」
美人生徒会長に学園のアイドル、ギャルっぽいかわいこちゃんに、真面目っ子。
このメンツからチョコもらえるなら俺は死んだとしても本望だ!
俺、今超勝ち組じゃね?な、そうだと言ってくれ!!
ζ(゚、゚#ζ「死ねよ豚」
ミセ#゚ー゚)リ「黙れ豚」
(゚、゚#トソン「死んでわびろこの汚物!」
(*'A`)「土下座でも何でもします!舌で靴だって綺麗にします!
ですからこの豚めにチョコレートというご慈悲をー!!!」
土下座をして地面までなめた俺に、デレたんたちは冷たかった。
ちょっと気持ちいいと思うくらい本気で冷たかった。
( ;A;)「チョコくれたっていいだろ!後生だから後生だからぁ!!!
他の奴らにはやってるだろうが!何でだよっ!!」
俺の言葉に、何故か空気が5度ほど下がった気がした。
デレたんたちはこれ以上ないというくらい冷たい目でみている。
気持ちいい通り越してこれは、死ねる温度じゃねーか。
ζ( 、 ζ「豚のくせにモララーくんに抱きしめられた」
ミセ# ー )リ「私たちのアイドルのモララー様なのに」
( 、 トソン「お前の全てが気にくわない」
なんですと?今、何て言った?
モララー?ここでまさかのモララー?ここまできて、何でイケメンなんだよ!
奴はさっき全校放送で告白して大玉砕してたじゃないか。
義理チョコでも俺を阻むというのか、あのイケメンっ!!!
(#'A`)「ちくしょ――!やっぱイケメン死ねぇ!!!!」
【 ( ゚¥゚) 】 校庭
('、`*川「モラドクですねわかります!鬼畜とかマジ好物ですwww」
使命を終え校庭に出た部長は、校庭につくなりミセリさんたちの言葉を華麗に回収して言いました。
一般人のちょっとした会話を聞き逃さないとは流石部長。
しかし、部長は細かい部分に捕らわれて大きな姿で物事が捉えられていないと思います。
( *゚¥゚)「いえいえ、ここはデレミセでミセトソでしょう。
対立は愛情の裏返し、生真面目に怒るあの子がかわいくてついちょっかいかけちゃうの」
デジカメでミセリさんたちを撮影しながら、私は部長にマイフェイバリット萌えを語りました。
三人もかわいい女の子がそろっていて、そこに愛情が生じない方がおかしいでしょう常考。
そんな私の言葉に、部長は笑って「トソミセだろう常考」と答えました。
('、`*川「お主もワルよの」
( *゚¥゚)「いえいえ、部長ほどでは」
( * ¥ )( 、 *川フッフッフッ
現実の人間での妄想は禁断の果実。だけど、それだけに魅力的かつ背徳的なものです。
しかし、その禁断を知らなければ我々の萌えの進化はあり得なかった。
今日得た萌えとネタは、我々を同人界のスターダムへと押し上げる。そう思いました。
【 ξ゚⊿゚)ξ 】 校庭
内藤――ううん、ブーンと一緒に校庭へと出た。
ブーンが教室を開放したとはいえ、まだ私には生徒会長の手伝いと報告という役目が残っていた。
ブーンは私に手を差し出してきたけど、恥ずかしかった私はブーンの制服の端をちょこんとつまんだ。
思い出の男の子は、なんだかとても大きかった。
(*^ω^)「おっおっ、チョコ配ってるお」
校庭に出るとそこには長蛇の列と、列の先頭でチョコレートを配っている三人の女の子がいた。
その女の子たちに向けて、鬱田が土下座をしながら何か叫んでいた。
チョコレートを目にしたブーンはフラフラと列の先頭へと向う。
瞬間、私は腕をつかんでブーンをひきとめていた。
今日はバレンタインだから、他の女の子からのチョコは貰って欲しくなかった。
(;^ω^)「……おっ?」
ξ//⊿)ξ「……チョコなら私があげるから」
とまどうブーンに、やっとのことで言えたのはこんな言葉だった。
バカ!私のバカ!チョコならもうあげたじゃない!
馬鹿な言動に後悔している私に、ブーンはにっこりと笑った。
(*^ω^)「じゃあ、あのチョコはブーンからツンへのプレゼントだお。
ツン、僕のかわりにチョコをもらうといいお」
ブーンの気遣いが嬉しくて、私は口をゆるめる。
ブーンみたいにもっと素直に話せるようになれたらいいのに。
そうしたら、私は言うの。
ξ゚⊿゚)ξ「――ホワイトデー」
( ^ω^)「?」
ξ*゚⊿゚)ξ「お返しは……ホワイトデーがいい」
(*^ω^)「もちろんだお!大好きだお、ツン」
ξ///)ξ「……バカ」
――大好き。
その一言がなかなか言えないで、私の言葉は空回ってばかり。
チョコレート無しに好きって言うには、ずっとずっと勇気が必要みたい。
好きって言うかわりに、私はブーンの手をそっと握る。
心臓が口から飛び出そうなくらいドキドキしたけど、私の手は口よりもずっと素直だった。
この手を通じて私の好きって気持ちが伝わるといいのに。
そしたら、口に出来ない大好きを沢山伝えるから。
【 川 ゚ -゚) 】 校門
川 ゚ -゚)「チョコレートの無料配布か」
事態の終了宣言はしたものの、残存勢力は未だ残っている。
彼らによる反抗が心配だったのだが、どうやらその心配は無いみたいだ。
杉浦の情報にあった男子生徒たちは、チョコレートを片手に浮かれている。
川 ゚ -゚)「もともとチョコがもらえない腹いせ起きた反抗だ。
それを押さえ込むにはもっとも適した方法だと言えるな。
配っている本人達にその自覚があるのかどうかは別だがな」
(;´・ω・`)「まあ、確かにドクオも結局のところチョコで屈服しましたからね」
川 ゚ -゚)「だが、私のショボンは他の女からチョコは貰わないんだ」
(;´・ω・`)「え?」
川 ゚ -゚)「少し欲しいと思っただろう。だけど、ダメだ。
私はこう見えて独占欲が強いんだ」
(´・ω・`)「知りませんでした」
川 ゚ ー゚)「私と君のつながりは、図書室だけだったからな。
これから、知ってくれればいいさ。」
柄にもないことを言っていると、自分でも思う。
だけれど、私たちは付き合いだしたばかりなのだ。
これも、バレンタインってことで許して欲しい。
(゚、゚トソン「会長。チョコはどうしますか?」
川 ゚ -゚)「君たちで食べてくれ」
ショボンがチョコレートを受け取る前に、そう宣言する。
気を悪くするかもしれないと思ったが、私の選んだ男は意外にも笑っていた。
(´・ω・`)「家族からも貰う予定なんですけど、会長としてはどうなんです?」
川 ゚ -゚)「それは大変。奪いに行く必要があるな。
それから、言っておかなけれればならないことがあるんだが」
(´・ω・`)「チョコをわざわざ奪わなくても、僕はクーさんのことが好きですよ。
そんな口実がなくても、僕の家に来てほしいです」
(;´・ω・`)「名前で呼んだらだめでしたか?」
格好良く言ったと思えば、名前通りすぐにしょぼんとする。
彼にそんな一面があるのも意外だった。
ああ、私は彼のことを知っているようで全然知らない。
川*゚ -゚)「かまわない」
ショボンの知らない一面を見ていくことは新鮮で、嬉しくなる。
知ることは喜びだ。それがショボンのことというだけで、その喜びは何倍にもなる。
ノハ;゚⊿゚)「お、お姉様。どうしてそんな男と一緒に」
いつの間にか現れた後輩が私に声を掛けた。
ヒートの体は傷だらけで、乱闘に参入したのがはっきりとわかる姿だった。
ちゃんと釘を刺したというのに、私の頼みは守らなかったらしい。
川;゚ -゚)「無理はするなと言っただろう。傷だらけじゃないか」
ノハ;゚⊿゚)「乱闘はバッチリ終了させて、暴れてた奴らは先生に引き渡したから、大丈夫だぁっ!
それより、お姉様。その男は誰なんだ!お姉様とはどんな関係なんだ!」
自分のことよりも私のことを優先させる彼女らしい答えだった。
頑張ったヒートを心配させておくのも気の毒なので、ショボンのことを紹介することにする。
川 ゚ -゚)「ついさっきから付き合うことになったショボンだ。
彼とは清い交際ののち不純な交際に至り、やがては結婚する予定だからよろしく」
(´・ω・`)「いつのまにか婚約者にされているショボンです。よろしく」
川 ゚ -゚)「君は私の将来設計に不満なのか?」
(*´・ω・`)「いいや、喜んで」
話が逸れたな。ショボンと関わると私が、私じゃないような時があって困る。
さて、事態を把握するためにヒートから乱闘の情報を聞かなければな。
川 ゚ -゚)「ヒート、乱闘の件に関してなんだが」
ノハ;⊿;)「お姉様が汚されたぁぁぁぁ!!!
お姉様はあたしのものなのに!あたしと結婚するのに!!!」
( *゚¥゚)「それはいけません!貴女のお姉様に抱く思いは崇高なもの!
いえ、決してハァハァしているわけではありませんハァハァ」
アベシ(゚¥゚(⊂('、`#川「空気嫁百合厨」
ノハ;⊿;)「うわぁぁぁぁぁん!!!」
ヒートの大号泣が校庭に響き渡った。
決して泣かせたいわけではないのに、今日は思い通りにならないことだらけだ。
素直になるということは、ひどく難しい。ヒート、私は君に何て言えばいいのだろう?
【 ( <●><●>) 】 屋上
(*‘ω‘ *)「あ、チョコレート配ってるみたいだっぽ」
(*><)「わーい。もらいに行くんです」
鬱田くんたち会った後、授業の中止を悟った私たちはのんびりと時間を過ごしていました。
ワンテンポずれている所のある幼なじみたちは、特に状況に疑問を抱くこともなく楽しそうでした。
(;><)「だけど、何でチョコレート配ってるのかわかんないんです」
(*‘ω‘ *)「バレンタインだからじゃないっぽ?」
(;><)「でも、鬱田くんたちは中止だって言ってたんです。
わけわかんないんです」
寒い寒いと言いながら三人で食べるお菓子は、チョコレートよりもずっと価値のあるものです。
こんな時間を過ごせるのだから、私たちにはバレンタインは必要が無いのかも知れません。
( <●><●>)「私たちはずっとこのままでいられるといいですね」
(*><)「よくわかんないけど、僕もそう思うんです」
(*‘ω‘ *)「当然だっぽ!」
【 ( ´_ゝ`) 】 屋上近くの階段
(*´_ゝ`)「正直、俺には妹者たんさえいればいいと思うんだ」
(´<_` )「死ね、変態」
(*´_ゝ`)「そう言うお前こそ、妹者のチョコ貰えるって聞いて大喜びしてたじゃないか」
(´<_` )「妹者のあの愛らしさに喜ばん男の方が異常だ。
むしろ妹者の愛らしさとかわいさと素晴らしさは全国に広めるべきだね」
(*´_ゝ`)「流石だな、弟者」
(´<_`*)「兄者こそ、流石だな」
どうして鬱田たちはぷりちー妹者たん演説の最中に逃げてしまったのだろう。
弟者の妹者大好き演説はどこまでも続く壮大なものだと言うのに。
正直、あの短さで妹者たんの全てを語り切れたとは思わない。
l从・∀・*ノ!リ人『チョコあげるから学校おわったら早くかえってくるのじゃー
ホワイトデーには妹者と姉者と母者におかえしするのじゃー』
学校が終わったらさっさと帰ろう。
学校がバレンタイン中止でも、我が家のバレンタインはまだ始まったばかりだ!
_
【 ( ゚∀゚) 】 廊下
_
(;゚∀゚)「誰かーーーーっ!」
俺の声が廊下に響くが、誰も様子を見にくる様子はない。
正直誰にも来てもらいたくないんだが、そうすると俺はいつまでもこのまんまなわけで。
というか、正直生まれたままの自分を強制的に解き放つこの状態だけはなんとかしたい。
おっぱいは女の子のものがいいのであって、男の乳首なんて邪道以外の何者でもない。
从'ー'从「……誰もこないねぇ」
そんな俺のすっぽんぽんをのんびり眺める貧乳が一人。
_
( ;∀;)「せめて服を着させて下さい、渡辺様」
从'ー'从「でもー、じょるくんは貧乳の女の子は人間じゃないって
じょるくんは私のことキライでしょぅ?」
_
( ;∀;)「もう勘弁してくださいっ!!」
おっぱいの小さい女は悪魔だ。
【 ミ,,゚Д゚彡 】 特別教室棟廊下
ミ,,;゚Д゚彡「ひぃぃぃぃぃぃいいい!!!」
フサは迫り来る包丁の脅威から全力疾走してるから!
ハインちゃんと戦っていたつーちゃんは今、なぜだかフサを追いかけてるから。
何、この理不尽感。
(*゚∀゚)「フサの大好きな包丁だぞー」
ミ,,;゚Д゚彡「フサは包丁なんか好きじゃないからー!!!」
(*゚∀゚)「遠慮しなくてもちゃんと、お前のうっとうしい毛を丸刈りにしてやるから大丈夫だー」
ミ,,*゚Д゚彡「ハレンチっぽい言葉なのに全然エロくない。ふしぎっ!」
ハインリッヒたちは先生たちに捕まってたのに、どうしてつーちゃんだけ無事なのかも不思議!
あ、そういえばバレンタインって聖バレンチヌス様が処刑された日なんだって。
それなら、おいかけられるのは普通だよね☆
(*゚∀゚)「今日はばれんたいんだからな!いっぱい追いかけてやるぞー」
【 (`・ω・´) 】 廊下
(;`・ω・´)「……なあ、君たち。先生たちにつかまったんじゃなかったのか?」
俺はじりじりと後退して、目の前の女の子たちから少しでも離れようとした。
川д川「……シャキン……くん……」
从 ゚∀从「シャキン……」
*(‘‘)*「保健室に行ってきますってちゃんと言ったから大丈夫だよっ☆」
そんな俺の気持ちには気づかずに、彼女たちはじりじりと俺に迫る。
その手には金槌と、釘バットと、ハサミ。
川*д川「……私の……愛……を…」
从*゚∀从「この思い受け取ってくれるよな」
*(*‘‘)*「だーいすきっ!」
(`;ω;´)「わぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
【 lw´‐ _‐ノv 】 特別棟廊下
( ФωФ)「ほれ生徒会長に挨拶したら、先生による説教コースだ」
lw´‐ _‐ノv「君は実にバカだなぁ」
まさしくツンデレ。コレは流行るね何年か前か後くらいに。
それよりも私はロマネスにまたおにぎり(二個目)を食べるという崇高にして至高にして究極の……
( ФωФ)「どうせ月曜には怒られるんだ。今のうちに怒られてこい」
lw´‐ _‐ノv「ぶーぶーくっしょん」
ロマたんは冷たい。恐竜が絶滅するくらい氷河期マンモス万博展示。
お姉ちゃんを助けるために校内を駆けめぐったりしてくれないの?
シュールを守るのは我輩しかいない的な何か。
そしてロマネたんは誕生日に米10キロをプレゼントしてくれるのであります。
lw´‐ _‐ノv「ありがとうおかえしはしないけどね!」
( ФωФ)「さあ、行くぞ」
( ФωФ)つlw;´‐ _‐ノv ガシッ
【 ('A`) 】 校庭
ζ(゚ー゚*ζ「モララーくぅぅぅん☆」
ミセ*゚ー゚)リ「これ、本命なんですぅ☆」
(゚、゚*トソン「義理です。義理ったら義理です」
涙と鼻水を垂れ流しながらの俺の言葉は、デレたんたちは届かなかった。
デレたんたち三人は男達の列を放棄し、軽やかな足取りでどこかに向う。
その先には――
(#'A`)「モララーだと……」
モララーとモナーが並んで歩いてい('、`#川「幼なじみ最強」やがった。
オウドウガー(;、;*川⊂( ;゚¥゚)ハイハイジャマシナイデクダサイネ、ブチョー
一瞬うるさいのがいたけど俺は何も見なかったことにしよう。
デレたんとミセリたんは、他の義理より豪華なチョコをモララーに差し出していた。
ツムりんだけは普通に義理チョコをモナーとモララーに差し出している。
俺の中で都村トソンの好感度が10上がった。
(*´∀`)「ありがとうだモナ。
モララー、みんながチョコくれるらしいモナよ」
( ∀ )「しぃちゃん。しぃちゃんなんでなんだよ
フォロー入れちゃうなんて僕もバカだなぁ
そんなんだからお兄ちゃんっていわれちゃうんだよ。ハハハ
何だよ、僕もギコもモナーもみんな幼ななじみだろ
僕ってそんなに性格悪そう?イジワル?むしろいい人でおわっちゃうの?」
一方、イケメンは圧倒的負のオーラを放っていた。
こ、これは完全に負け犬臭がするぜ!ざまあwwwとかそんなレベルじゃない。
(;´∀`)「……」
( ∀ )「あははお兄ちゃんかー。お兄ちゃんと妹は結婚できないんだよねー
僕とモナーは好きなのに、ギコだけは大好きとかね
ギコの分だけピンクのラッピングで本当にしぃちゃんはかわいいなぁー」
(;´∀`)「今、モララーは10年越しの大失恋中だからそっとしておいてほしいモナ
モララー下手に器用だから、モナも全然わからなかったモナ」
ミセ;゚ー゚)リζ(゚ー゚;ζ「えぇーっ」
(*'A`)「そのチョコを私めにっ!!!」
ミセ#゚ー゚)リζ(゚、゚#ζ「黙れ、ゴキブリ」
(゚、゚トソン「あちらに見えるのは噂のしぃさんたちですね」
デレたんの前で土下座してあわよくばパンツを見ようとしていた俺は、ツムりんの言う方を見る。
そこには、全校放送で告白したとは思えないほど清楚は椎野と、ギコ(死ね)がいた。
フツメンなのに!馬鹿なのに!なんで、アレがモテるんだ?何で!運動部補正?
(*゚ー゚)「……手、つないでいい?」
(,,;゚Д゚)「――っ!!」
(*///)「手、つなごう?」
(,,*゚Д゚)「……」
(*///)⊃⊂(//Д)
(,,*゚Д゚)「お、お前がどうしてもって言うからしょうがなくだなぁ」
(*^ワ^)「それでも、うれしい」
(//Д)「……転ぶなよ」
(´∀`;)「あっちも十年越しの大恋愛がかなった瞬間だから、
そっとしておいてあげて欲しいモナ」
( ;∀;)「僕の何が悪いんだよ!
ギコのチョコ、あきらかに気合いの入り具合が違うし!
本命の子がくれる明らかな義理チョコってどうかと思うんだよね!」
(;´∀`)「モナは貰えるだけ充分だと」
(#゚A゚)「うっせえ、黙れイケメン!義理すら貰えん非モテの恨みぃっ!!!」
こっちとら、信じ切ってたダチ二人に彼女が出来たばっかりだ!
アイツらだって毎年毎年家族以外からチョコ貰えなかったくせに!
それなのに、どうしてそろいもそろってあんなにかわいい子から!!!
( ;∀;)「僕はしぃちゃんから以外のチョコなんていらないんだよ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫。モララーくんには私がいますっ♪」
ミセ*゚ー゚)リ「泣いてるモララー様もかわいーー」
(;´∀`)「アワワワワ」
(#;A;)( ;∀;)「バレンタインなんてほろびちまえ!!!!」
俺たちの魂の声は学校中に響き渡った。
補習日に来ていた全生徒を巻き込んだ、俺の反逆計画はこうして終わりを迎えた。
エピローグ 少年よ大志を抱け
('A`)「どうして、こう世の中ってやつは不条理なんだ」
地獄のような説教と、学校中の先生に加えカーチャンだけじゃなくトーチャンまで呼び出した大反省会、
連日の説教と、反省文50枚、おまけにグランド10周を一週間という苦痛の日々を俺は過ごした。
ブーンとショボンはそれぞれ委員長と会長の擁護があり反省文が25枚に減ってやがった。死ね。
モララー奴は「僕は彼らの志に賛同しただけです」と主張していたが、
全校放送の効果はいかんともしがたく、反省文が20枚になっただけで俺らと同じメニューだった。
モナーは両親の呼び出しこそ避けたが、反省文10枚と俺らと同じry。ギコも同じだったが死ねばいいのに。
( ・∀・)「まったくだね」
(;´∀`)「偉い目にあったモナよ」
俺たちの崇高な理念の協力者たちはそれぞれ説教の上、反省文10枚。
後になって参加したやつらは、反省文5枚だった。
(;'A`)「お前ら何でわざわざ、こっちの教室に来るんだよ」
( ・∀・)「グランド10周仲間じゃないか」
ちなみにあれだけの大騒ぎになったのに女子はまったくのおとがめなし。
いや、シャキンをめぐる乱闘大会のメンツだけは反省文と説教だったな。うん。
('A`)「イケメンはさっさと教室帰って、女子にチヤホヤされやがれ」
長い苦行の末に訪れた平和な日常を俺は全身全霊をもって満喫していた。
いやぁ、先公に呼び出されないお昼っていいなぁ!弁当がうまい!
……このイケメンさえいなければ。
( ・∀・)「いいだろ、どうせボッチ飯なんだし」
( ´∀`)「モナたちギコとしぃちゃんの雰囲気に割って入れなくて、困ってるんだモナ」
ゴルァ(Д//,,) (゚ー゚*)ギコクンアーンシテ?
( ;∀;)「しぃちゃん……」
しぃという名前が聞こえた瞬間、モララーは人目もはばからずに号泣し出した。
ボロボロと涙を流し、鼻をすする姿はイケメンの面影まったく無しだ。
全校規模の聴衆の中10年の思いに破れたこのイケメン、
今では『ブロークンハートの帝王』の名を欲しいままにしている。
他のイケメン達が評価を下げまくったのに対して、「情熱的で素敵☆」と評価が上昇しているくらいだ。
相変わらずモテまくっているし、正直死ねばいいのにと思う。
(#'A`)「女に振られたくらいで泣くんじゃない、こっちだってなぁ」
川 ゚ -゚)「さあ、ショボン。恋人同士の甘いひとときを過ごそうじゃないか」
(*´・ω・`)「うん、そうだね。でも、ヒートさんも一緒なのかい」
ノハ*゚⊿゚)「たとえ恋人ができたって、この熱決ヒートはお姉様一筋だっ!!」
原稿描け('、`;川ノ( *゚¥゚)百合ktkr!
川;゚ -゚)「私にはショボンと二人っきりでいちゃつくという使命が」
ノハ*゚⊿゚)「冷たいお姉様も大好きだぁぁぁぁぁっ!!」
(*´・ω・`)「そういうわけだから、ごめんね」
ノハ;゚⊿゚)オネーサマー!! イチャ川*゚ -゚)(´・ω・`*)イチャ
('A`)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「――内藤。ちょっと用事があるんだけど」
(*^ω^)「ツン!一緒にご飯食べるお」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっ、アンタには恥じらいってもんはないの!」
(*^ω^)「僕はツンが好きだから一緒にいたいんだお」
ξ///)ξ「……ぅ」
( ^ω^)「ところで用事って何だお」
ξ*゚⊿゚)ξ「……」
ξ//⊿)ξ「アンタと同じよ!!」
(*^ω^)「じゃあ、僕たちおそろいだおね」
ξ*゚⊿゚)ξ「……知らない」
(*^ω^)「たとえツンが知らなくても、僕はツンが大好きだからいいんだお」
ξ///)ξ「……ブーンの、ばか」
('A`)「……」
( ;A;)「ぢぐじょぉぉぉお!!!裏切り者っー!!!」
あのファミレスでの熱い誓いは何だったんだ!
教室での宣言、放送での実名公表、廊下での決意は偽物だったのか?!
( ;A;)「カップルなんて死んでしまえー!!!
( ;∀;)「しぃちゃん好きだーー!」
(;´∀`)「ふ、二人とも落ち着くモナ」
(;’e’)「白昼堂々と負け犬の遠吠えとは、ドクオさんマジパネェっす」
\(^o^)/「いまだあきらめないそのショボさ」
(;‘_L’)「チョコの為なら靴をなめることを厭わない、そのプライドのなさ」
(*’e’)\(*^o^)/(*‘_L’)「ドクオさんマジかっけぇ」(*´・_ゝ・`),(・)(・),*(*・∀ ・)
ζ(゚ー゚*ζ「あぁーん、泣いてるモララーくんもかっこいいーー」
ミセ*゚ー゚)リ「好きな人のためならプライドを捨てれるところも素敵っ!」
(゚、゚トソン「(こいつらウゼェ)」
バレンタイン――それは愛の日。
一握りの勝者と数多くの敗者が生まれる戦いの日。
俺は戦いに負け、多くのものを得たのかも知れない。
(#'A`)「こうなったら聖戦じゃぁぁぁぁっ!!!」
(#・∀・)「ホワイトデーこそは邪魔してやるんだからな!モナー、お前も協力しろっ!」
(;´∀`)Z「ええ――――っ!!」
(*’e’)\(*^o^)/(*‘_L’)「俺らも協力しますっ!!!」(*´・_ゝ・`),(・)(・),*(*・∀ ・)
('、`*川「当然っ、協力はさせて貰うわよ!
うはwwwwwフラグ継続うめぇwwwwwww」
( *゚¥゚)「我々、漫研は父兄呼び出しにも反省文にもグランド10周にも負けません!
徹夜作業にも締め切りにも、炎天下の暑さにも、極寒の寒さにも慣れてますから!」
(*'A`)「おお、我が同士たちよ!!!」
ζ(゚、゚;ζ「何だってーーー!!」
ミセ;゚ー゚)リ「そんな、私のおかえしがぁっ!!!」
(゚△゚#トソン「許すものか!!!」
恋する乙女と非モテがいる限り戦いは終わらない。
そう、これは愛のための戦争なのだ!
(#'A`)ノ「行くぞ、同士たちっ!!戦争だっ!!!!!!!」
THE ENDっ!!