きらびやかなネオンの輝く大通りから一本脇道に入り、
それでもなお賑やかな通りをさらに曲がると、辺りは静寂に包まれる。
天まで塗りつぶしそうな人工の光たちも、この通りまでその勢力を広げることはできない。
あたりを支配するのは沈黙と、夜。
その宵闇に紛れて、バーボンハウスは存在する。
バーなのか、喫茶店なのか、はたまた雑貨屋なのか骨董屋なのか、外観では判断できない。
磨き抜かれた木製のドアに、長年使い込まれた鈍い光を放つドアノブ。
我々の持つ西洋というイメージをそのまま具現化したようなその佇まい。
(´・ω・`)「やあ。 ようこそバーボンハウスへ。
これはサービスだから、どうか見てやってほしい」
ドアを開けると、ベルが音を立てる。
意識しなければわからないほどのささやかな音量で流れる、異国の音楽。
並べられた本棚、そこに並ぶのは古書、洒落た古着に宝飾品、地球儀、食器。
爪'ー`)y‐「日本酒……また、店に似合わないものを出してきたものだね。
サービスというなら、タダで飲ませるのが道理ってものじゃないのかね?」
(´・ω・`)「流石にそこまでサービスしたら、商売あがったりだよ」
離れ小島のように並べられたテーブル、イス、食器棚、そして暖炉。
思い出したように絨毯が引かれ、その上には硝子細工のビー玉や銀製のランプが並べられている。
無秩序なのか、計算通りなのかわからないが、妙な統一感のある空間だった。
爪'ー`)y‐「商売する気なんて、はじめからないだろうに」
(´・ω・`)「まあ、ね」
年代物のジュークボックスと、酒瓶が並べられた作り付けの棚。
調理器具の並ぶ小さな厨房と、そこに直結したカウンターテーブル。
店主のいるこの一角だけが、ここが飲食店であることをかろうじて告げている。
爪'ー`)y‐「ちなみに、飲み物じゃない方のオススメは?」
(´・ω・`)「埋れた音楽家の未完の作品たち。今流れてるのからきっちり三曲後に流れる曲が僕のオススメ。
そこの棚にある未来の有名作家の新作なんかも面白いんじゃないかな?」
爪'ー`)y‐「食べ物について聞いたつもりだったんだがね」
そう呟きながらも、私は食器棚から未来の作家の新作とやらを手に取った。
その隣にあった、青い色が微かに入ったグラスも一緒に手にする。
海の色か、空の色か。店の照明に、透明な硝子とその中の微かな青が光る。
この青ならばきっと、金魚が映えることだろう。
爪'ー`)y‐グラスフィッシュ・リリーのようです
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