第二話 イケメンは青空に愛を語る
【 (*゚ー゚) 】 1-1教室
(*゚ー゚)「モナーくんもギコくんも帰ってこないね」
(・∀・ )「まったく、弁当ほっぽり出してどうしたんだろうね?
ギコもモナーを探しに行ったっきりだし」
久しぶりに4人でお昼を食べようということになったのに、教室にいるのは私とモララーくんの二人だけ。
モララーくんと二人っきりだと、周りの女の子の視線がちょっとだけ痛い。
そのたびにモララーくんは庇ってくれて、私は申し訳ない気持ちになる。
(*゚ー゚)「モララーくん。これ、チョコレートなんだけど受け取ってほしいの」
(・∀・* )「ありがとう、うれしいよ」
(*^ー^)「喜んでくれてうれしいな」
(・∀・ )「……そういえば、この前買ってた包装用紙は?」
(////)「……あぅ」
モララーくんの鋭い所って少しいやだなぁ。
どうして、本屋さんで小説と一緒に買ったラッピング用紙まで覚えてるのかしら。
私があの時買ったのはピンク色。モララーくんにあげたのは、男の子向けの水色。
……ギコくんだけ違う色にしたの、気づいて欲しくなかったなぁ。
一番大好きな人のための、本命用のチョコレートだから。
(・∀・ )「しぃちゃんピンク色好きだから。髪留めだってピンク色多いでしょ」
モララーくんは何でもできるのに、少しイジワルだ。
私がギコくんが好きだと知っていて、こうやって聞くんだ。
ギコくんもイジワルするけど、そのイジワルは素直になれないだけだもん。
(・∀・ )「僕ってそんなに信用無い?
僕はしぃちゃんのこと好きだけど、しぃちゃんは僕のことキライ?」
(*゚ー゚)「……違うよ。私はモララーくんのこともモナーくんのことも好き
ギコくんのことも……好き」
(-∀- )「……うん、知ってる。わかりすぎるくらい知ってる。」
(;゚ー゚)「だったら、聞かないでほしいな。恥ずかしいよ」
私は机にかけた、手提げ鞄をじっと見る。
そこには、昨日私が作ったチョコレートが入っている。
モナーくんとモララーくんに用意したのとは違う、特別製。
(*゚ー゚)「あのね、モララーくん。言っておきたいことがあるの」
(*///)「……あのね、私」
モララーくんは私たち四人の中で一番お兄ちゃんみたいな人。
小さい頃はギコくんが一番お兄さんだったけど、今私たちが一番頼りにしてるのはモララーくん。
モララーくんはいつでも落ち着いた態度で相談に乗ってくれる。だから、小さな声で相談してみる。
(*///)「……ギコくんが……好き。告白しようと、思ってるの」
私の顔は今きっと真っ赤だ。
ギコくんに直接言ったわけじゃないのに、ドキドキが止まらない。
モララーくんはそんな私の顔をじっと、見つめている。
(・∀・ )「……応援し『我々は今ここにVIP高の占拠と、バレンタインの撲滅を宣言するっ!』
( ・∀・)(;゚ー゚)「え?」
モララーくんの言葉にかぶさるようにして、放送が流れた。
スピーカーから嘘みたいな言葉が、一杯流れてくる。
あれ、これ何かな?バレンタインの特別放送?
(#'A`)『俺は1-3の鬱田ドクオ!』
(#^ω^)『1-3内藤ホライゾンだおっ!!!』
(´・ω・`)『眉下ショボン。同じく1-3組』
(#゚A゚)『我らと信念を同じくする者は、反逆の火を灯せっ!
チョコを投げ捨てろっ!!!イケメンに死をっ!!!』
( ・∀・)「しぃちゃんゴメン。僕、行くところが出来た」
(;゚ー゚)「……え?え?」
モララーくんは私があげたチョコレートをポケットにしまうと、立ち上がった。
今日はヒマだって言ってたのに、どうしたのかな?
驚く私の目の前でモララーくんは立ち上がり、教室には私一人。
(*゚ー゚)「……一人になっちゃった」
(,,゚Д゚)「いや、帰ってきてたぞ、ゴルァ。
モナーのやつ何処にもいねーぞ」
……びっくりした、急に声をかけるんだもん。
さっきの話、聞かれてないよね?
ギコくんの顔を見ると、私の心は大きく音を立てた。
【 lw´‐ _‐ノv 】 職員室前廊下
廊下じゅうに鬱田残念な顔ーぬ、内藤ピザ饅頭、眉下がっかりの声が聞こえる。
ふむふむ。これは素敵。とってもグレード。チョコフリスピー。
私はいつかは来る異星人の襲来にそなえて、用意していた数々のものを廊下脇倉庫から取り出す。
lw´‐ _‐ノv「でっきるかなでっきるかなはてさてふふ~ん」
スゴイねプロテインだね。
そう、思いながらトンチンカンチンといろいろやってみたりやられちゃったり。
lw*´‐ _‐ノv「シュールが五分でやってくれました。ひゃっほーい」
その勢いの原文ママ、炊きたて米をあしらってみたり。
うーん。主婦タレントの現役アイドル時代以上に輝いてる輝いてるよコシヒカリ。
せっかくだから、外窓にもしっかり飾り付けをしようじゃないか、相談しましょうそうしましょう。
lw´‐ _‐ノv「風邪に舞い上がるブルーシートはとてもきれいでー」
ひとしきりジェバンニっぷりを堪能した私。コメ(笑)
私の思いのポエムよ壁にとどけ。
やっぱり一仕事した後の米はうまいね。そうだ、昼寝でもしよう。
【 川 ゚ -゚) 】 図書室
ノパ⊿゚)「お姉様、あの放送は何だ?」
川;゚ -゚)「――っ!」
突然流れ出した放送は狂気の沙汰としか思えない言葉を並べ立てて、音楽へと切り替わった。
1-3組鬱田ドクオ、内藤ホライゾン、眉下ショボン。
ずいぶんと思い切ったことをしてくれたものだ。
バレンタインを無くすために私用放送?学校を占拠すると宣言?
説教や停学どころじゃすまないぞ。確実に退学だ。
川;゚ -゚)「……頼みがある」
ノハ*゚⊿゚)「私は愛するお姉様のためなら何でもするぞ!
だから、結婚してくれ!」
私はまとわりついて甘える後輩に声をかける。
彼女は素直で気もいいのだが、同性である私に愛を訴えることだけはいただけない。
川 ゚ -゚)「私と君は同性だ結婚はできない。
たとえ性別が違っていても私は君を愛していないから結婚はできない」
ノハ*゚⊿゚)「そんなお姉様が大好きだ!」
いや、今はここでこんな話をしている場合ではない。
私は頭を振ると、思考をリセットする。
自体は深刻だ。冷静にならないと対処はできない。
川 ゚ -゚)「君には1-3組の様子を見に行って貰いたい。
私は職員室へ行く。合流等の連絡は携帯に頼む」
ノパ⊿゚)「ふしょー、熱決ヒート!愛するお姉様のためにがんばるぞぉっっ!!」
ヒートは綺麗に敬礼の姿勢を取ると、全速力で廊下を走っていった。
普段ならば廊下を走るなというところだが、今日ばかりは仕方がない。
私も机に広げていたノートを閉じると、鞄に入れる。
川 ゚ -゚)「何故こんなことを……」
職員室で見た光景を思い出す。
全身を黄色い粉で染めた一人の女生徒。
ξ゚⊿゚)ξ「男子が教室を乗っ取りました」
彼女はそう言っていたではないか。
何故、私はあの時詳しく事情を聞かなかった。
後悔するが、もう遅い。時間は止まらないものなのだ……。
【 ξ゚⊿゚)ξ 】 放送室
ξ;゚⊿゚)ξ「……いない?」
スピーカーから流れる曲は、鬱田たちの声から賑やかな曲に変わっていた。
これってアニソンよね?聞いたことのない曲ばかりだけど、確実に鬱田か内藤の趣味だわ。
誰もいない放送室の中で機械だけが動いている。
ξ;゚⊿゚)ξ「アイツら一体、何処に……」
( ・∀・)「さてね」
ξ;゚⊿゚)ξZ「誰なのアンタ」
振り向くと廊下にいた、男子がこっちを見ていた。
女の子みたいな顔立ちにブレーザーとネクタイという制服がよく似合っている。
でも、どこかで見たことがあるような……?
( ・∀・)「そういう君は誰なのかな?何組か忘れたけど学級委員だよね、君。
ちなみに僕は浦良。1年だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「そういえば、校内新聞とかで見た覚えがあるわ。
私は津出麗子よ。残念ながらさっきの馬鹿三人とは同じクラス」
( ・∀・)「で、どうして君は粉まみれなの?」
ξ;-⊿-)ξ「あいつら消火器ぶちまけて、教室占拠したのよ
おまけに実名出して全校放送なんて、ほんと馬鹿」
( ・∀・)「そんな馬鹿のことが君は好きなわけだ」
浦良の言葉に心臓がドクリと音をたてる。
ξ#゚⊿゚)ξ「……わ、私は委員長としてっ!」
( ・∀・)「好きなんだろう?
女の子なのに全身粉まみれのまま追いかけ回すなんて、相当好きなんだね」
ξ#゚⊿゚)ξ「私はっ、先生に怒られるのが嫌で」
( ・∀・)「その鞄の中身はチョコかな?」
……私は息をのんで、浦良をにらみつける。
何なのよコイツ。エスパー?
私は無言で放送室を出る。アイツ等がいないんならここにいる理由はない。
( ・∀・)「好きなら告白したら。しないで後悔するよりはずっといいよ」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
【 ('、`*川 】 空き教室
( *゚¥゚)「聞きましたか、部長!」
('、`*川「ええ、聞いたわよ偽川っ!」
その放送を聞いた時、私と偽川は部室で原稿を書いていた。
部室っていっても、その辺の空き教室を勝手に使ってるんだけどねー。
だって仕方ないじゃない!同好会以下の集まりには部室なんてないんだから!
( *゚¥゚)「漫研はじまって以来の前代未聞の事件ですよ!」
('、`*川「美術部があるだろうといわれ、同好会にもなれなかった私たち。
そんな私たちにもついにチャンスがやってきたわっ!!!」
原稿を握りしめ私は立ち上がる。
偽川はといえばGペンを天に掲げて、荒ぶる鷹のポーズを取っている。
( ゚¥゚)「バレンタイン中止ですよ、部長」
('、`*川「バレンタイン中止って行ったらアレしかないでしょう、偽川っ!」
いそいそと原稿をしまいかわりに、携帯とカメラとスケッチブックを取り出す。
天から聞こえてきた使命に私たちは全力で立ち向かわなければならない。
( *゚¥゚)「圧倒的、百合臭っ!乙女色の禁断の花園!!!」
(゚、゚*川 「圧倒的、薔薇臭っ!ハイパーBLワールド!!!」
( *゚¥゚)(゚、゚*川「うはwwwwネタ広がりまくりんぐwwwww」
さっきの放送だけでドンブリ三杯はいける妄想が広がるわ!
あの三人の受けは攻めは?カップリングは何?
彼らをあそこまでの女性不信へつき動かしたのは何故?
それはホモよ!BL!ksms!801よ!
( *゚¥゚)「お姉様バレンタインが無くなってしまったわ、クスン。
気にしなくてもよくってよ。チョコレートが無くても私は、貴女のことが大好きですわ。
これは、たまりませんっ!!!」
うはーwwこのシチュエーション超うめぇwwwマジメシウマっすよ!
バレンタインが無くなればホモ量産し放題っすよ!
('、`*川「さっそく、取材よ偽川っ!ホモが私を呼んでるわ!」
( *゚¥゚)「ハァハァ私、一生部長について行きます!百合は私にお任せをっ!」
輝かしいネタを求め、私と偽川は旅立った。
【 川 ゚ -゚) 】 職員室前
職員室の窓という窓、扉という扉は、木と釘で打ち付けられていた。
隙間にはご飯粒を塗り込めるという念の入れ様だ。
職員室の入り口にはペンキで文字が描かれていた。
川 ゚ -゚)「米こそ至高……何かのメッセージか?」
どうやら私は彼等を甘く見ていたようだ。
職員室に訴えがあったにもかかわらず、放送はあったのだ。
このような自体も想定しておくべきだった。
ミセ*゚ー゚)リ「あー、会長発見っ!ねーねー、さっきの放送なんだったのー?」
(゚、゚#トソン「あのような放送は至急撤回すべきです、生徒会長」
立ち止まって考え込んでいると、二人の女生徒に話しかけられた。
放送を聞いて不満に思った生徒が何人か職員室にやって来ている様だった。
川 ゚ -゚)「君たちも職員室に?」
ミセ;゚ー゚)リ「トソン義理チョコの鬼だから、さっきからずっと怒ってるの!
もう、嫌になっちゃうよー」
(゚、゚トソン「お世話になった人に感謝の証を送るのは、当然のことです
それが許されないなんて横暴があるでしょうか」
ミセ*゚ー゚)リ「私としても、弟者くんとか、ジョルジュ君とか、シャキンくんとかモララーくんに、
チョコ渡せないのは困るんだけどねー」
(゚、゚トソン「ミーハーは黙れ」
ミセ#゚ー゚)リ「ひっどーい!私はちゃんと四人が好きなんだもん。
イケメンなら何だっていいどっかのビッチとは違うんだから!」
バレンタインが禁止というだけで、職員室に乗り込んでくる生徒がいるのだ。
教室ごとの反応も尋常じゃないだろう。
まずいな、このままエスカレートする様では大騒ぎになってしまうぞ。
ζ(゚、゚*ζ「どっかのビッチって誰のことかしら?この糞女」
ミセ#゚ー゚)リ「そこのビッチに言ってるんだけどなぁ、この性悪ビッチ」
ζ(゚ー゚*ζ「デレはみんなのアイドルなの。わかる?
だから、アイドルにふさわしい男の子にチョコを送って何が悪いの?」
(゚、゚トソン「正直どうでもいいです」
これ以上ここにいても収穫はなさそうだ。何処へ向おうか?
答えはすぐに見つかった。そう、校長室だ。
【 ('A`) 】 廊下
('A`)「さて、これからイケメンの処刑へと向うわけだ。
最初の標的は……そうだな、この流石弟者ってのにするか」
(´・ω・`)「流石弟者先輩なら双子のお兄さんと一緒によく屋上にいるみたいだよ」
( ^ω^)ノ「ショボンせんせーい、双子のお兄さんって何ですかお?」
廊下を自然に、しかし迅速に歩きながら俺たちはターゲットについて相談を交わす。
何せ俺たちは指名手配犯同然。捕まったら正直シャレにならんからな。
イケメンに血の粛清を与える前に、捕まってたまるかよっ!
(´・ω・`)「昨日、本屋の前にいた不審者。アレがお兄さんだよ」
(;´_ゝ`)
( ^ω^)「僕があぶりトロ丼のこと考えてた時の人だお!」
('A`)「アレの弟?
……それって微妙じゃね?マジでイケメンなのか?」
俺の言葉にショボンは制服から使い込まれた手帳を取り出した。
アイツよく手帳に何かメモしてるけど、何が書いてあるんだ?
(´・ω・`)「『総合』情報だと長身にすっとした鼻筋。クールな態度がたまらない。
面倒見がとてもよさそう。あのお兄さんの面倒を見られることにトキメク。
双子萌え。だそうだよ。
『某スレ』情報だと、アレは兄がダメ。兄がダメだから弟がイケメンにry
あの兄はヒドイ。雰囲気イケメン死ね、イケメン死ね、イケメン死ね」
うわっ、情報細かっ!スゴイを通り越してキモイよお前。
作戦立ててくれって頼んだけど、そこまでイケメン情報調べろ何て言ってないぞ。
まあ、調べてあるならそれはそれで助かるんだが。しかし、それにしても……
(;'A`)「……そのイケメン情報、兄ばっかりじゃね?
兄どんだけ酷いんだよ」
(´・ω・`)「流石弟者の弱点をつくなら、お兄さんの流石兄者を仲間に引き入れるのが妥当だね」
(;^ω^)「お兄さんから圧倒的非モテオーラを感じるお
双子なのに不思議っ!」
('A`)「なら、流石兄者を仲間に引き込んで弱みを握る作戦で行くか」
( ^ω^)(´・ω・`) 「「賛成」だお」
俺たちは屋上へと続くドアを開いた。
【 ('A`) 】 屋上
(*><)「いっただきまーすなんです!」
( <●><●>)「ビロード、ほっぺたが汚れてますよ」
(*‘ω‘ *)「ほら、取ってやるから動くんじゃないっぽ」
ドアをあけるとそこはピクニックの現場でした。
なんかこう、小学生的な何か。
('A`*)「あれれー、流石兄弟がいないよぉー」
(;´・ω・`)「ドクオ、キモイからそれやめて」
(;^ω^)「あー!チョコがあるお!」
(#'A`)「何だと!お前ら教室にいないと思ったら、リア充行事満喫してやがったな!
粛清っ!粛清ーっ!!!」
内藤の声に、我に返る。
畜生、あまりのほのぼのっぷりに一瞬別世界に飛ぶところだった。
ほのぼの恐ろしい子っ!!!
ほのぼのを隠れ蓑にリア充満喫しようとするとは、何て悪魔だ!
(#^ω^)「このチョコは何だおっ!」
(*><)「僕が作ったんです!内藤君も食べるといいんです
あと、こっちのクッキーとカップケーキも僕が作ったんです!」
(;^ω^)「ビロードが作ったのかお?」
マジかよ。アイツ菓子なんか作るのか?いや、そんな嘘にごまかされてたまるか!
(#'A`)「騙されるな内藤!まだ、こっちにチョコがあるぞ!」
( <●><●>)「それは私が買ってきたのなのはわかってます。
ちなみにこれはレシートです」
(*´・ω・`)「これはこれはご丁寧に」
(#'A`)「いや、待て。ここにはちんぽっぽがいるぞ!
こいつらちゃっかりチョコを貰ってるにちがいない」
(*‘ω‘ *)「チョコ?
――なんでチョコなんてあげなきゃいけないんだっぽ?」
ですよねー。どうみてもここ青空の下、ピクニックシートですもんねー。
お弁当広げてるし、駄菓子もいっぱいあるし。おやつは300円までな感じですよねー。
惜しむらくはここが高校の屋上で、服が制服なところか。
(;´・ω・`)「これは、何の集まり?」
(*‘ω‘ *)「月に一度のおやつパーティだっぽ
せっかくなんで、学校遠足も同時開催だっぽ」
( ><)「ちんぽっぽちゃんは、サラミとチーカマとみかんを持ってきてくれたんです」
(*^ω^)「クッキーうめぇwwwうまい棒も食べていいかお?」
うん。まあ、バレンタインな雰囲気じゃないなぁとは思ってたんですよ。
おい、内藤。お前普通にとけ込みすぎだろう。
俺たちの使命を忘れるな!これは聖戦なんだぞ。
( <●><●>)「チョコレート菓子だけ持って行ってください。
あなた方がチョコレートを処分したがってることはわかってます」
(;´・ω・`)「何から何までご丁寧にすいません。
今後とも義理チョコ本命チョコの流通禁止活動にご協力おねがいします」
('A`;)「そ、そうだ、お前ら流石兄弟が今どこにいるか知ってるか?」
このままここにいるとほのぼのの毒気にやられてしまう!
特に内藤が餌付けされかねん。というか、現在進行形で餌付け中だ。
委員長といい、どうしてこう内藤は弱点扱いされるんだ。
( ><)「流石の兄弟さんのいる場所なら多分わかるんです!」
( ^ω^)「モグモグゴックン。知ってるのかお?」
(*><)「はいなんです。僕、妹者ちゃんと同じ水泳教室で泳げるように練習してるんです!
だから、兄弟さんの携帯番号もわかるんです!」
('A`)「妹者ちゃん……。やつらの女かっ!これだからイケメンは」
待望の情報に俺は怒りを覚えつつも、どこかほっとした。
正直この小学生時空をどうにかしたい。というか、どうにかさせてくれ。
( <●><●>)「妹さんなのはわかってます」
(*‘ω‘ *)「あそこの兄弟、小学生の妹と社会人の姉がいるんだっぽ」
あ、そうなんすか。
というか、お前らの幼なじみ小学生と一緒に練習してるぞ。完全に小学生じゃねーか。
なんてうらやま――けしからんのだ。まったく。
(´・ω・`)「悪いけど連絡とってもらえるかな。特にお兄さんの方に用があるんだ」
(*><)ノシ「了解なんです!」
( ><)】「もしもしビロードなんです。
妹者ちゃんにはいつもお世話になってるんです」
俺たちの目の前で小学生と同レベルのクラスメイトが携帯をかけだす。
ショボンは流石兄者だけを屋上に呼び出すように指示を送っている。
ビロードの幼なじみ二人もその様子を興味深そうに見守っている。
(;><)】「え?手なんか出してないんです。はいなんです。
あ、あ、おっきいお兄さんの方はどこにいるんですか?え?あ?」
ガシャンと屋上のドアが開く音がした。
うわっ、追っ手かと振り向いた俺の目に見えたのは。同じ顔をした二人の男だった。
\(*´_ゝ`)/】「ジャーン!ここでしたー」
(´<_` )「ふむ。兄者に何の用だ?」
一人は、長髪を尻尾の様にくくり、おしゃれなのかリボンで結んでいる男。
もう一人は、清潔感あふれる短髪にしている男。
制服の着こなしも長髪の方はかなりだらしないのに対し、短髪の方はきっちりと着込んでいる。
(;><)「あう、ちっさいお兄さんも一緒だったんです」
(*´_ゝ`)「ちんぽっぽーちゃーん!俺にチョコくれチョコくれ!」
(*‘ω‘ *)「お前に食わす菓子はないっぽ」
(*><)「クッキーならあるんです!」
\(#´_ゝ`)/「野郎は黙れっ!俺はロリ巨乳のちんぽっぽたんに聞いてるんだいっ!」
俺にはわかる。この非モテ童貞オーラを垂れ流した男こそ双子の兄、流石兄者だ!
その長髪、床屋のおっちゃん怖い行くのメンドクサイで伸びてるだけだと見た!
そして、こいつは間違いなく絶対モテない!俺らと同族だ。
(´<_` )「で、そこにいる見覚えのない三人組は誰なんだ?」
(*´_ゝ`)ノシ「そんなことより、クッキー食おうぜー」
(´<_` )「クッキーはいらないんじゃなかったのか?」
(*´_ゝ`)「手作りクッキーに罪はない」
(;'A`)「……うわー、俺ら完全に無視されてるなりぃ」
非モテの兄者は会話の流れを無視してフリーダムに動きまくっている。
それに対して、弟者の方は特に表情を変えずに冷静に対応している。
どうみても漫才ですありがとうございました。
(#^ω^)「そのクッキーは僕のもんだお!」
(#´_ゝ`)「おにゃのこのクッキーは俺のものだぁーー!!」
(;><)「そのクッキー作ったの僕なんです」
(´く_` ,)「まあ、菓子が食えるならそれはそれでいいや
で、ちんぽっぽちゃんの手作りはどこかな?」
(*‘ω‘ *)「そんなものないっぽ」
兄者は内藤と菓子の取り合い競争にいそしんでいる。
その姿たるや小学生を通り越して完全に幼稚園状態だ。
内藤、俺らが今作戦中だということを忘れてないか?
(´<_` )「でだ、さっきの質問だがそこの三人は誰なんだ?
ちなみに俺は流石弟者。あっちにいるのが俺の不肖の兄、兄者だ」
( <●><●>)「私たちのクラスメイトです」
(;´・ω・`)「あ、どうも」
YABEEEEEEE!!!何で俺ら普通にイケメン(推定)に声かけられてんの?!
まだ兄者を仲間に引き入れてないし!何でこいつら一緒に来るんだ?
双子は学校で一緒に行動しましょうなんて規則でもあるのか。
(´<_` )「兄者が迷惑かけてすまないな」
( <●><●>)「いつものことなのはわかっています」
(;´・ω・`)「こちらこそうちの内藤が……」
弟者が俺たちに言う。このそつのなさまさしくイケメン。
いや、この場でまっとうにしているだけでイケメンに見える。ふしぎっ!
(´<_` )「……内藤?そういえば、さっきの放送」
(;'A`)「内藤っ!兄者を捕まえろっ!!!」
(^ω^;)「え、あ、わかったお!」
(;´_ゝ`)「ちょっwおまwww」
俺の声をきっかけとして、内藤が兄者の足を両手で抱えた。
二人ともクッキーを口に入れてるから、クッキーを取り合ってるアホ二人にしか見えない。
だがしかし、イケメン(確定)に感づかれたからにはどうにかして奴を処刑しなければっ!
(;´_ゝ`)「や、やっぱりお前らこの俺を処刑しに来たんだな!
このイケメン兄者様をっ!」
(´<_`;)「ま、まさか本当に兄者を処刑しにくるとは思わなかった……」
(゚A゚)「誰がお前なんか処刑するか!鏡見ろ鏡!!
俺たちは流石兄者。お前をスカウトしに来た!」
ヽ(;´_ゝ`)ノシ「俺の顔は弟者といっしょだもん。イケメンに決まってるもん!」
口の中のクッキーを咀嚼しながら、イケメンの兄であるアホは間抜けな声を出した。
その見苦しい言い訳こそ非モテの証明!まず、その頭どうにかしろ!ボサノバダンスかっ!
(´・ω・`)「兄者さん。あなたは、弟さんばかりイケメンと呼ばれて悔しくないですか。
弟さんは沢山チョコレートを貰えるのに、自分はそうじゃなくて悔しくありませんか。
僕たちと共に立ち上がりましょう、そして目の前のイケメンに裁きを下すのです!」
( ;_ゝ;)「……ちがうもん!
俺は今年ちゃんとチョコレートをもらったから非モテじゃないもん!!」
(;'A`)(;´・ω・`)(;^ω^)「なんだってーー!!!」(´<_`;)(*‘ω‘ *;)(<●><●>;)
(*><)「おめでとうなんです!すごいんです!」
衝撃の事実に俺たちは騒然となった。
(´<_`;)「どうした、兄者。頭は大丈夫か兄者。早退しよう兄者。
そんな嘘をつかなくても兄者は俺の最高の兄だから時に落ち着け」
(;<●><●>)「貴方が一番落ち着いていないのはわかってます」
(;'A`)「いや、でもそれはないわ」
(;´・ω・`)「どう考えても見栄をはってるとしか思えない」
(*‘ω‘ *;)「そこまで追い詰められてたなんて……」
(;^ω^)「僕のクッキーあげるから落ち着くお」
俺たちはバレンタイン中止騒動も忘れて兄者の頭を心配する。
いや、まて確かちんぽっぽは姉と妹がいるって言ってたな。そいつらか?
(;><)「どうしてみんながおっきいお兄さんのことをいじめるのかわかんないんです」
(#´_ゝ`)ノ◇「これを、みろーっ!!」
(;'A`)(;´・ω・`)(;^ω^)「信じられない」(´<_`;)(*‘ω‘ *;)(<●><●>;)
兄者が手にしていたのは、「私ラッピングって上手じゃないから☆」と言わんばかりの、
素人による包装がなされた小さな箱だった。ピンク色の包み紙に赤いリボンが可愛らしい。
これは間違いなく手作りの予感。
(#´_ゝ`)ノ■「そして、これがその中身だっ!!」
兄者の手にした箱からは小さなチョコレートケーキが出てきた。
若干不格好な、それでも本命だとわかるそんなケーキだ。
(´<_`;)「そんな……まさか兄者が……
俺だってチョコレートケーキは受け取ったことがないのに……」
弟者がその場に崩れ落ちる。その顔に浮かぶのは絶望だ。
イケメン四天王は今ここに敗れ去った。
とりあえず、その表情と姿勢をショボンに携帯とデジカメで撮影させる。
( ^ω^)「……お?」
(;'A`)「どうした、内藤」
( ^ω^)「いや、なんかどこかで見覚えが……」
兄者の足を押さえつけていた内藤がふと、声を上げた。
ニコニコとした饅頭顔をそこはかとなくしかめ、内藤は兄者の持つ箱を見続けている。
(;^ω^)「むむむむむ」
( <●><●>)「流石兄弟とは初対面じゃなかったんですか?」
(´・ω・`)「いや、お兄さんのほうは昨日ファミレスからちらっと」
( ゚ω゚)「あーーーーーっ!!!思い出したお!」
(;><)「どうしたんですか内藤くん」
(;´_ゝ`)「な、なにかな饅頭くん。そろそろ足を放してほしいんだけどなー」
なぜか冷や汗を流す兄者。
その兄者に対して、内藤は鬼気迫る迫力で言った。
( ゚ω゚)「昨日、本屋で!兄者さんの持ってた買い物袋に入ってた紙だお!
そのピンク色の包み紙。間違いないお!!!」
(;゚_ゝ゚)ドキーン
( ><)「そういえば昨日、本屋さんの近くでおっきいお兄さんを見た気がするんです」
( <●><●>)「ブーン芸書店には確か文具コーナーがありましたね」
(;*‘ω‘ *)「……ま、まさか」
俺たち一同はゴクリと息をのんだ。地に臥していた弟者も立ち上がり、自分の兄の顔を見る。
屋上に満ちる張り詰めた空気を壊したのは、ショボンだった。
(´・ω・`)「カモフラージュチョコなんですね。
誰もが一度は考えながらも、実行に移したことはない禁断の技
貴方はそれをしたんですね」
('A`)「やっぱりか」
(´・ω・`)「流石兄者さん。貴方は昨日、ブーン芸書店でその包装紙を買った。
そして、包んだんですね。自分で作ったそのケーキを」
(;´_ゝ`)「お、俺は……やってない!
大体、やったという証拠はどこにもないだろう!」
( <●><●>)「……弟者さんに、家を探して貰えば出てくると思いますよ。
それに、貴方はビロードがクッキーを作ったことに対して驚かなかった。
男でも自宅で菓子を作る。その発想がなければそのリアクションはできません」
ずっと勝ち誇っていた兄者の顔はいつの間にか真っ青になっていた。
そして、誰もがその兄者の顔を同情を隠せない顔で見ていた。
(;><)「でも、おっきいお兄さんは貰ったって言ってるんです。
僕は信じてるんです!」
( ;_ゝ;)「ううっ」
しかし、今の流石兄者には後輩の優しい言葉は最大の凶器だった。
カモフラージュを信じるという純粋さは、汚れてしまった俺たちにはどこまでもまぶしい。
(´・ω・`)「兄者さん。貴方がそこまで非モテの鏡だとは思いませんでした」
( ;A;)( ;ω;)(*;ω; )イイハナシダナー
(;<_; )「兄者……兄者がそこまで追い詰められてたなんて」
チョコレートに踊らされた哀れな被害者、兄者。
その仇はバレンタインを潰すことできっとはらしてみせる。俺たちがそう決意した時だった。
(#´_ゝ`)「ううっ、同じ顔のくせにモテやがって!!!
お前なんかお前なんか死んじまえっ!」
(;^ω^)「ちょ、ま、待つお!」
兄者が内藤の制止を振り払って、弟者の元へと向う。
そして、その顔を殴りつけた。
(´<_`#)「何をする!気でも違ったか!」
抗議の声を上げる弟者の頬を兄者が再び殴りつける。
それだけでは、満足できないのか兄者は弟者の腹を殴りつけた。
( ;_ゝ;)「お前みたいな勝ち組にわかるか!
この俺が毎年毎年どれだけ惨めな思いをしているか!」
(´<_`#)「貰ったチョコは兄者にやってるだろうが!」
(#´_ゝ`)「それが屈辱だと言ってるんだ!!」
殴られた弟者も黙っていない。
殴られた腹を庇いながら、兄者のがら空きの足下に蹴りを放つ。
兄者がひるんだ瞬間、その顔面に弟者のパンチが飛んだ。
(;><)「ケンカしちゃダメなんです!」
(#*‘ω‘ *)「やれー!パンチだっぽ!」
(;'A`)「……なんであいつらケンカしてるんだ?」
( <●><●>)「バレンタインの犠牲者はここにもいたってことなのはわかってます」
事態において行かれた俺たちの横で、兄弟のガチ喧嘩は続いている。
(#^ω^)「がんばれ兄者ー!イケメンはぶっつぶせだお!」
(#´・ω・`)「がんばるんだ!兄者!」
そうだ、俺たちはイケメンの粛清の為にここに来たんじゃないか。
行け兄者!非モテを代表してイケメンは潰すんだ!
(#'A`)「弟なんてぶっ潰しちまえ!!」
(;><)「だめなんです!!兄弟でケンカなんてだめなんです!!」
(;<●><●>)「落ち着きなさいビロード」
そんな中、一人だけ非モテとモテの戦争中止を求める声がした。
ビロードは涙をこぼしながらお菓子と携帯電話をじっと見ている。
(#><)】「これ以上ケンカするなら妹者ちゃんに言いつけるんです!」
(;´_ゝ`)「!!!」(´<_`;)
俺たちが制止するよりはるかに早く、ビロードは携帯の通話ボタンを押した。
(;´_ゝ`)「ごめんなさいごめんなさい仲良くしますごめんなさい」
(´<_`;)「ホントすいません嫌わないでさい。ちっちゃい兄者なんてキライ?
ごめんなさい。今度、アイスクリームおごってあげるから。
わかってます、世界で一番妹者はかわいいです。はい、ですから許して」
( ;_ゝ;)「ごめんなさい。ケンカしません。妹者たんゆるしてください」
兄弟たちは携帯に向ってびっくりするほど挙動不審な態度を取っていた。
携帯に向いひたすら土下座をしたり、手を振ったりしている。
(*´_ゝ`)「え?チョコ?流石は俺の妹者たん!」
(´<_`*)「何を言う。妹者は俺のだ」
ヽ(*´_ゝ`)ノシ「あははははは」ヽ(´<_`*)ノシ
(;'A`)「キモっ!俺が言うのも何だけどキモっ!!」
(;^ω^)「正直これはひくお……」
兄弟はしばらく携帯に向けて話していたが、手を振りながら急に笑い出した。
青空の下携帯へ向ってニヤニヤしながら踊る二人は完全に不審者だ。
そんな、不審者二人の様子をショボンはデジカメで冷静に撮影していた。
( ><)「兄弟さんは妹者ちゃんが大好きなんです」
( <●><●>)「年の離れた妹さんだということで相当溺愛しているのだとか」
(*‘ω‘ *)「正直ひくレベルだっぽ」
(;^ω^)「クール(´<_` )だったのが、ヽ(´<_`*)ノシ面白キャラになったお。
正直変わりすぎってレベルじゃねーお」
(´・ω・`)「いや、これは使えるかもしれないよ」
(;'A`)「ショボン?」
どん引きで俺たちは携帯相手にはしゃぐ双子を見ていた。
そんな中、ショボンは真剣な表情でデジカメを兄弟に向けている。
(´・ω・`)「僕たちはイケメン流石弟者を処刑に来たんだ。
クールで評判の彼のあの妹萌えっぷりが全校に伝わったらどうなると思う?」
('A`)「アイツの評判はガタ落ち。一気に面白人間になるってわけか」
(´・ω・`)ノ□「そして、ここには動画が撮れる携帯もデジカメ。
長時間の録音が可能なICレコーダーがある」
(;^ω^)「ショボン、恐ろしい男だお……」
('A`)「あの流石弟者さん。そんなに妹さんが大好きなんですか」
(´<_` )「ん?」
携帯に釘付けの兄弟から、弟者を引き離し俺は聞く。
ICレコーダーは制服のポケットに隠し、ショボンはベストポディションに待機している。
邪魔しそうな幼なじみ三人組は、内藤に任せてある。
食べ物大好きの内藤の世話を三人に任せたとも言えるが、気にしたら負けだ。
('A`)「よろしければ。その妹さんの魅力を私たちに教えて欲しいと――」
(´<_` )「妹者の魅力だと……」
(;'A`)「ええ、それほど先輩方が夢中になるなんてどんな妹さんかなぁと」
(´<_`*)「聞いてくれるか!妹者の魅力といえば、あの有り余るくらいのプリチーさだ。
まだ小学校に上がったばかりなんだけど、家ではおっきい兄者、ちっちゃい兄者と
俺たちの後をついてまわってな、それだけでも可愛らしいのだけれども。
俺のことをな、弟者お兄ちゃんっていえばいいのに、兄者は兄者なのじゃーと頑張って
兄をつけて呼ぼうとするそのけなげさ。それでもって、兄者たちが大好きなのじゃという素直さ。
妹者が水泳教室へと通うことになったとき、俺たちは反対したんだよ。あの妹者の水着姿が
他人にさらされると思うと心配で心配で。しかし、そこのビロードが同じ教室に通うって言うから、
逐一俺たちに報告させて妹者が誰かによって不埒な目に遭わないようにと」
弟者は信じられないほどの言葉並べはじめた。
(;'A`)「……」
キモイ。信じられないくらいキモイ。
妹萌えとかシスコンとか通り越して完全に不審者の領域じゃないか。
ヤバイこの兄(弟だけど)どうにかしないと、本気でマズイ。
(´<_`*)「糸目だらけの我が家に現れたとは思えないくりくりの目。本当に愛らしいその顔。
母者のかなり遠縁の親戚にあんな感じの顔の女の人がいたから、母者の家系なんだろう。
それにしても、妹者は成長したら絶対美人になるぞ。そう簡単に嫁には行かさないけどな。
嫁といったらこの前、妹者が「大きくなったら兄者たちのおよめさんになるのじゃー」って言っ
たんだけどな。ヤバイ何あれかわいすぎ。妹じゃなければ本気で嫁にする領域だね。
どうして妹者はあんなにかわいいんだろうな。今日だって補習がなければずっと妹者と家に
いたかったよ。それから、ゲーセンにでも連れて行ってぬいぐるみをとってやるんだ。
妹者は猫のぬいぐるみが大好きだから、取ったら絶対に喜ぶぞ。俺のとったぬいぐるみを抱いて、
えへへーって笑うんだ。いや、笑ってない妹者だってかわいいぞ。
妹者はピーマンが嫌いですぐに残こそうとするんだが、
それを注意するとむーと不機嫌そうになるんだが、それが本当に可愛らしくって」
(;><)(;<●><●>)(;*‘ω‘ *)「………」(^ω^;)
あ、内藤たちも完全にどん引きでこっち見てる。おーい、この弟いつになったら止まるんだ?
(´<_` )「おい、聞け!確か放送では鬱田って言ってたか?俺の妹者演説はまだ続くぞ」
(*´_ゝ`)「そうだそうだ!もっとやれー弟者!
俺たちの妹の愛らしさをもっと伝えてやれ!」
d(´<_` )「まかせろ、兄者。そもそも妹者が生まれたのは俺たちが小学生の頃でな、
下に兄弟が生まれるとは思わなかったから、相当はしゃいだものだった。まいにちまいにち、
いつ生まれるの?とか弟?妹?としつこく聞いては母者に怒られていたものだった。
妹者が母者のお腹で動くようになってからは、毎日母者の腹に耳をつけてだなこっちが兄者で
こっちが弟者ですよー。と言ったものだった。その甲斐あって、妹者は俺たち兄弟を絶対間違え
ることがなくてな。家の両親は未だによく間違えるけど、妹者だけは違うんだ。
俺たちはたまに入れ替わって遊ぶんだが、それでも妹者だけはばっちり見分けてな。
ああ、そのたびに俺はちゃんと弟者で、兄者はちゃんと兄者だと思うわけだ」
(;'A`)「あの……そろそろ…」
(´<_`#)「何を言うここからが言い所じゃないか。しっかり聞け!
妹者はお菓子が大好きでな。
でも家は大家族だからなかなかおいしいデザートとかは買ってやれんわけだ。
特にテレビに出るやつなんかは絶対に食べられない。そこで俺らはいかに妹者に喜んで
もらえるかを考えてな。そうだ、俺らが作ればいいんだと考えたわけだ。
この菓子作りは兄者の方が上手くてな。
今から考えれば、バレンタインに兄者が菓子もらったって言った時点で疑えばよかったんだが、
いや、話がそれたな。俺たちが作ったお菓子をおいしいのじゃーと笑う妹者の顔と言ったら」
(;´・ω・`)「すいません。先輩これで失礼します。
先輩方の貴重なお話は後日、ここにいるビロード君が喜んで聞いてくれるそうです」
( <●><●>)「どさくさにまぎれて、人の幼なじみを巻き込まないで下さい。
ビロードはアホの子ですら、かれこれ5・6回はあの演説を聞いているんですよ」
(;><)「アホって言わないでほしいんです」
(;'A`)(;´・ω・`)「し、失礼しましたー」
(*^ω^)ノシ「また、お菓子わけてくれなんだおー」
未だに続く流石(弟)の演説を無視して俺たちは屋上を脱出した。
屋上から続く階段をひとしきり下りたところで、ほっと一息つく。
(;'A`)「誰だよ、アレをイケメンって言い出したやつ」
(;^ω^)「兄だけじゃなくて、弟も相当アレだったお」
しばらく、あの双子にあうのは勘弁願いたい。
次に会ったが最後、延々と妹萌えトークを聞かされること間違いない。
(´・ω・`)「さてと。放送室に今戻るのはマズイだろうから、次のイケメンの所へ行こうか」
('A`)「フフフ。次に放送がかかるときが年貢の納め時だ、流石弟者!」
(;^ω^)「そのセリフ完全に小物臭がするお」
俺たちは次のイケメンを求めて、走り出した。
この誰もいない階段の向こうには、まだみぬ強敵(と書いてイケメンと読む)達が待ちかまえている。
俺たちは絶対に負けるわけにはいかないのだ!!!
(*´_ゝ`)b「流石だよな妹者っ!」d(´<_`*)
(*><)「パチパチなんです」
(;<●><●>) 「……うわぁ」
(;*‘ω‘ *)「……うわぁ」
俺たちの冒険はまだはじまったばかりだ!