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゚∀゚)「隕石群、第一次接触は二時間後、それまでは好きにさせてもらうぜヒャッハー!」 宣言するや否や、インカムを投げ捨て軽く座席を蹴る。 ステーションのいたるところにつけられた取手を器用に掴み、押しながら進んでいくと _ ( ゚∀゚)「ハインーハインー!?」 从*゚∀从「ヒャッハー!!」 すぐ隣の通路から飛び出してきたハインに衝突した。 すると玉と玉がぶつかったように二人は真逆に弾かれてしまう。 139 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 22:52:23.75 発信元:125.202.2.98 从*゚∀从「ぬわっはっはっは!」 _ (;゚∀゚)「ちょwwハイン痛ぇ」 白を基調とするステーションは中身も白を基調としている。 内壁、配管、取手、彼らの服も。 二人は慣れた手つきで姿勢をなおす。 _ ( ゚∀゚)「無重力って便利だよなぁ。プカプカで楽チンだ」 从 ゚∀从「んなこと言ってると虚弱になっちまうぜ」 星の軌道には当然、重力がない。 体の筋肉を使う一番の理由は、巨大な星の重力に逆らって生きるため。 宇宙飛行士が地上に帰ってきて一番困ることは重力があること。 慣れていないと座っていることも辛く、コップを取り落としてしまうこともある。 つまり無重力下では筋肉を使わないため自然と体が弱くなり脆くなってしまう。 _ ( ゚∀゚)「大丈夫大丈夫。なんせあと二時間だぜ?」 从 ゚∀从「あー確にな。しかし暇になっちま」 _ ( ゚∀゚)「ならば!無重力下におけるおっぱいの観察を」 141 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 22:54:59.01 発信元:125.202.2.98 殴られるフラグである、そうジョルジュは判断した。 しかしハインの鉄拳は飛んでこなかった。 目を開けると _ ( ‐∀゚)「…あれ?」 从//∀从「みみ見たいってんならそそその」 そこには服に手をかけるてハインの姿が _ (;゚∀゚)「ちょ待って落ち着け」 从//∀从「あああと一時間しか」 _ ☆⊂(゚∀゚ )「落ち着け」 从 +∀从「あぅ」 謎の言動をしたハインにデコピンをすると元に戻った。 宙に完全なる球として存在するココアを丸呑みにしながら、二人は宙に座っていた。 手には極めて薄いプラスチックでできた操作盤を持ちひたすらに手と口を動かす。 143 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 22:57:09.47 発信元:125.202.2.98 从 ゚∀从「c3チェンバー固定、望遠レンズ良好」 _ ( ゚∀゚)「チェック。レーダー機能固定。対デブリ装甲起動」 _ ( ゚∀゚)「まっw意味ないですけどね」 流星群というものは、様々な大きさの隕石からなる。 隕石といってもそれは直径数キロのものから目にも見えない程小さいものまである。 ハインたちがいるこの国際宇宙ステーションは、初期宇宙時代から生まれ続けた宇宙ごみ、デブリの脅威が存在することを前提として作られた。 その象徴たるものが『対デブリ装甲』である。 数ミリから数センチのデブリに耐えられるその自慢の装甲でも、ステーション自身よりも大きなものには意味がない。 从 ゚∀从「それがどうした!」 _ ( ゚∀゚)「は?」 从 ゚∀从「下にいるあのブサイク司令と、天才クールのために、俺たちはここにいるんだぜ?」 地の文のささやかな皮肉に反撃しつつ、操作盤を叩き数値を入力していく。 从 ゚∀从「なぁジョルジュ」 _ ( ゚∀゚)「ん?」 从 ゚∀从「お前、なんで残った?」 144 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 22:59:13.52 発信元:125.202.2.98 手元の操作盤に映るのは、レーダーに反応する多数、無数の隕石。 ただの石ころが、超高速で向かっているだけのこと。 ただ二人で死を待っているだけ。 _ (;゚∀゚)「な、なんだよ急に」 从 ゚∀从「地上にいれば一時間は長く生きられるぜ。ここは死地だ」 _ ( ゚∀゚)「なんだ、んなことかよ」 ジョルジュはくるりと回転しハインの顔を真ん前から直視する。 _ ( ゚∀゚)「下のドクオとクールのためさ、ああ一番大きいのは」 ジョルジュはハインをそっと抱き寄せる。 無重力下で二人は同時に近づく。 从*゚∀从「お、おい」 そっと抱きしめて、耳元でささやく。 _ ( ‐∀‐)「ここなら最期まで絶対に、ずっと一緒だ」 すでに真っ赤なハインはいつもの男勝りな気質を引っ込めて、女としてジョルジュと向き合う。 从*゚∀从「そう、だよな。今更地上に戻って重力に引かれるなんてまっぴらだ」 147 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 23:03:16.27 発信元:125.202.2.98 高岡ハインリッヒは空にあこがれた。 珍しい女性パイロットを目指し、努力を重ねた。 やがてパイロットとなり、大空を飛ぶと、雲の上にもその上にも世界があることを実感した。 ハインリッヒの望みは空を飛ぶことではない。 上へ上へ、もっと高いところへと上昇すること。 早々にパイロットを辞めて、VIP宇宙センターの宇宙飛行士の試験を受けた。 一回目はダメだった。 女性の肉体は構造的に男性の筋力との差が出る。 しかし幼いころからの「高さ」への憧れは、そんなものでは潰えなかった。 二回目のテストを粉砕し彼女は初の女性ステーション飛行士として、国際宇宙ステーションの乗務員となった。 彼女はジョルジュ長岡に出会ったのもそのころだった。 軍隊上がりのジョルジュは受験者の中でも体格がよく、力も十分だった。 一回目の試験の時点で彼は合格すると見られていた。 しかし不運なことに彼は不合格だった。 それは彼の能力が基準を満たしていなかったわけではない。 彼が試験会場に来るまでに二人の迷子を家まで届け、故障した電車をその場で直し、倒れた病人の心肺を蘇生させ、 飛び降り自殺を図った青年を説得し、試験会場に着いたときには遅刻どころか試験が終わっていた。 ハインが会場を出てきたときに、膝をつき号泣する男が目に入った。 なぜ泣くのか、理由を聞けば聞くほど笑ってしまった。 どこまでもお人よしで優しい奴だ、ハインリッヒのジョルジュに対する第一印象だった。 二回目のテストは二人が同成績で首位合格という驚異的な結果を叩き出した。 148 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 23:06:45.38 発信元:125.202.2.98 从 ゚∀从「お人よしめ」 _ ( ゚∀゚)「おいおい、俺たちは人類の英雄だぜ?」 操作盤に映されるロケットには今までに人類が集めた全ての知識、技術が詰まっている。 ロケットは星を離れ、誰も知らない宇宙へ進んでいく。 人類の培ったもの全てを乗せて、人類が存在したのだという証として進み続ける。 それには無数の流星と箒星を回避しなければならない。 それには流星弾幕の極めて正確なデータが必要だ。 誰かがもっとも正確にデータの取れる宇宙に残らなくてはならない。 窓から見る彼らの母星は常よりも暗く、都市は人工の光で自己主張を続けている。 人間の作った何かなど、砂粒程度にしか見えない。 宇宙から見える人間は小さすぎる。 _ ( ゚∀゚)「レーダーシステム、本部とのリンク良好。a4b3g5いずれも感度良好」 从 ゚∀从「対デブリ装甲起動完了。システムオールグリーン。コンピューターの予測じゃ俺たちの命を一分ほど保障してくれるみてぇだ」 _ ( ゚∀゚)「なんという紙装甲。実は名前だけで付いてなんじゃね?」 从 ゚∀从「ありえるわwww経費削減とかでww」 150 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 23:10:19.80 発信元:125.202.2.98 _ ( ゚∀゚)「!近接レーダーに反応」 从 ゚∀从「来たか」 レーダーを埋める隕石反応。 反応数は五千を超えてさらに増え続ける。 それでも一番大きいもので直径数センチしかない。 从 ゚∀从「あんなに小さいもんかね」 _ ( ゚∀゚)「人類が?」 从 ゚∀从「いや、こっから見える街と・・・それを吹き飛ばすあの石ころさ」 _ ( ゚∀゚)「小惑星っつってもあの辺の街よりもデカいぜ?」 从 ゚∀从「一度、大昔からの衛生写真みたいなので、街の広がり方を見てみたかったな」 _ ( ゚∀゚)「街の大きさは人類の発展そのものだしな」 从 ゚∀从「それでな、写真をみんなに見せるんだよ」 _ ( ゚∀゚)「?」 152 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 23:14:47.76 発信元:125.202.2.98 从 ゚∀从「家も道も見えないだろって、国境も王様もわかんねぇって」 _ ( ゚∀゚)「・・・ああ、金も人も、見えねぇな」 从 ゚∀从「おい、あれ!」 _ ( ゚∀゚)「ん?」 ハインリッヒが指差した方向、眼下に広がる母星の大都市。 いつもなら24時間で働く電気のおかげで、大都市は自然では見られない光を宇宙に発信している。 しかし、今日だけは違った。 暗い、でもそれは一瞬だった。 _ ( ゚∀゚)「あれは・・・」 何秒だろうか、都市の明かりが消え、次の瞬間には文字が浮かび上がる。 また光が消え、違う文字が浮かぶ。 それは世界中のあらゆる言語で伝えていた。 どうしようもない破滅に瀕した自分たち。 それでも醜く争うことなく、醜態をさらすことなく。 ハンイリッヒたちの使う共通語で「自分たちはここにいる」「忘れないで」「生きている」 きっと誰かがこの光を、観測していることを願って。 153 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 23:18:20.13 発信元:125.202.2.98 从 ゚∀从「なかなか粋なことをする奴もいるんだな」 _ ( ゚∀゚)「きれいだな」 从 ゚∀从「全くだ、ところでジョルジュ」 _ ( ゚∀゚)「ん?」 从 ∀从「さっきから」 _ (;゚∀゚)「ん?」 从#*゚∀从「胸揉んでんじゃねーよこのおっぱい星人!!」 _ つ)゚∀゚)「ぐっはっ!しかし恥じらいと怒り混じったその顔も素敵だ!」 从*゚∀从「宇宙じゃデキねーよ」 _ ( ゚∀゚)「それは試してみないとわからない」 从//∀从「おまっ」 ハインリッヒのパンチを受けながらもジョルジュはハインリッヒに抱きつく。 从//∀从「うあっ・・・ぁ・・・」 首筋をそっとなでて耳にそっと息を吹きかける。 155 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 23:22:37.30 発信元:125.202.2.98 从//∀从「す、ストップ!だってジョルジュ!任務中!」 _ ( *゚∀゚)「おっぱい神の加護を享けた俺は止められない!!」 愛し合う二人を止めたのは、あるタイマーだった。 pipipipipipipipi 終わりを告げるタイマーの音。 从 ゚∀从「時間・・・だな」 _ ( ゚∀゚)「・・・そうだな」 しっかりと手を繋ぎながら、僅かな力で壁を蹴り、通信機を取る。 从 ゚∀从「データ確認完了、ズレはねぇ」 _ ( ゚∀゚)「司令室との通信、オン!」 座席に付けられたカメラが彼らを映した。 从 ゚∀从「やっぱりこういう時は」 _ ( *゚∀゚)「明るくなくちゃ!!从∀゚*从 ジョルジュがマイクのボタンを押す。 二人が見る画面には暗い表情を隠そうとする責任者とその隣でいつもと変わらない無表情な天才が立っていた。 156 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 23:26:29.28 発信元:125.202.2.98 从*゚∀从「ヒャッハー!!こちらステーション!隕石群とクソ小惑星の最終データを送るぜ!」 _ ( *゚∀゚)「あと5分でこのステーションは隕石群に接触する!帰りの電車は要らねぇぜ!」 『 「…予定通りです」 ('A`)「そうか、ステーション!こちらドクオ司令だ!」 ドクオはあの絶望的なステーションに残ってくれた二人に、感謝しきれない。 ('A`)「最終データは確認した!貴重なデータを感謝する、必ず打ち上げてみせる!」』 从*゚∀从「そりゃそうだぜ!」 _ ( *゚∀゚)「じゃなきゃ報われねーよ!任せたぜ!」 『 川 ゚ -゚)「………」 ('A`)「最終任務ご苦労だった!全職員!敬礼!」』 从*゚∀从「ステーション通信終わり!」 そう言うとハインは少々強めの力で通信を切った。 157 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 23:30:21.69 発信元:125.202.2.98 从 ゚∀从「ヤバイヤバイ、あと5分しかねーぜ」 _ ( ゚∀゚)「気にしないさ」 从//∀从「お、俺はさっきの続きが・・・したいな」 _ ズバ---(゚∀゚)---ン その一言はジョルジュの心を撃ち抜くには充分だった。 _ ::( ∀ )::「せっかく俺はやせ我慢してたんですよ」 从*゚∀从「へ?」 _ ( *゚∀゚)「その気になっちゃうじゃん」 ジョルジュがそっと、しかししっかりとハインリッヒの肩を掴んだ _ ( *゚∀゚)「ヒャッハー!!」 从*゚∀从「なっ、うわっ!」 無重力下での初ルパンダイブ成功者はジョルジュである。 159 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 23:32:49.77 発信元:125.202.2.98 从//∀从「おまっ、あと4ふ」 ハインリッヒの口をジョルジュの口が塞ぐ。 舌を絡めて、互いの味を楽しみ交換する。 そして記憶する、互いの存在をさらに更新していく。 从//∀从「ぷはっ」 _ ( *゚∀゚)「愛してるよ、ハイン」 从//∀从「わかってる・・・あっ」 二人の更新はさらに熱を増していく。 二人の熱は二人の愛を増していく。 二人の愛は二人の心を一つにする。 二人は一人、一人で二人。 星屑の群れが白い基地に穴を開けていく。 炎が上がり、自身を撒き散らしながら崩れていく。 崩壊と炎は決して二人を逃がさない。 160 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2012/05/03(木) 23:35:07.74 発信元:125.202.2.98 从*゚∀从「なぁジョルジュ」 _ ( *゚∀゚)「ん?」 从*-∀从「キスして」 _ ( *゚∀゚)「ん」 二人とも逃げる気なんてさらさらない。 だれも二人を分かつことなんて、できやしない。 そして二人は・・・。 END