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別世界的に関連↓ - [[(-@∀@)とある眼鏡の蔵書目録のようです・SF(すこしふしぎ)版>http://mo-neru.net/portable/boon/00094/index.html]] +[[(-@∀@)とある眼鏡の蔵書目録のようです・SF(すこしふしぎ)版>http://mo-neru.net/portable/boon/00094/index.html]] 設定的に少し関連↓ [[('A`)守るために殺すようです>http://sogomatome.blog104.fc2.com/blog-entry-464.html]] まあ関連していると言えなくもない↓ [[( ゚∀゚)o彡゚みんなまとめて花見のようです>http://sogomatome.blog104.fc2.com/blog-entry-249.html]] 「(´・ω・`)楽しむようです」 510 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 21:32:38.88 発信元:111.89.140.2 私は老人だ、疑いの余地なく。 私は結婚もして、子供も授かり孫もいる。 住むところだってちゃんとある。 けれども私は、人と会話する事が少ない。 (´・ω・`) ふう… 曇天に弱められた春の日差しが照らす小さな公園、その中の古いベンチに私は腰掛けていた。 ベンチの隣では、立派な桜の花が、その色と同じ甘くて淡い香りを漂わせている。 そう、桜が咲いているのだ、このシベリアに。 (´・ω・`) (きれいだなあ…) 私がまだ幼い頃、シベリアに初めて桜が咲き乱れた。 地道な努力を重ねた結果の、品種改良された桜だ。 優しい花と、ひたむきに努力した人々に多くのシベリア民が心をうたれ、イベント広場は花見客で賑わった。 (´・ω・`) (あれは楽しかったなあ) 512 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 21:38:32.41 発信元:111.89.140.2 まだ私が、夢を持っていた頃の話。今のシベリア民は、記録でしか知らない祭り。 それがどうした、という話ではある。 あの祭りの後も、シベリアでは幾つものイベントが催された。 中には、ぜーんぜん盛り上がらずに終わってしまった物もある。だがそれでも、繰り返し繰り返し、催し物は行われている。 明後日も。 つい最近、戦争があったばかりだというのに。 (´・ω・`) (何故だろう) ふと、疑問に思った時。 面白いタイミングで彼は、公園の入り口から私の座るベンチへと歩いてきた。 ( ^ν^) よう、糞爺さん。隣いいよな? …私の、孫だ。 513 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 21:39:09.57 発信元:111.89.140.2 (´・ω・`) やあニュック ふてぶてしく乱暴に腰を下ろしたのに、実際ベンチも揺らさず静かに座った孫は、既に青年と呼ぶべき年齢である。ちなみに今の時刻は、公園の時計で11時丁度。 (´・ω・`) 仕事はどうしたんだい? ( ^ν^) おいおい、今日は休館日だっての (´・ω・`) …ああ、そうだったね、すまない ( ^ν^) ったく、ボケるには早いぜ なんとも座りの悪い気分になり、私は意識して鳥の囀りを衰えた耳で聞き取る。 ( ^ν^) …なあ糞爺さん (´・ω・`) なんだい? 珍しく、孫から話をふってきた。 514 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 21:44:35.55 発信元:111.89.140.2 私の老いた脳に、会話を楽しまなくてはいけないと言い聞かせる。 ( ^ν^) あんた、随分と考えこんでたじゃねーか (´・ω・`) ああ、まあね ( ^ν^) 何を考えてたんだよ、その乾いた脳みそで (´・ω・`) なに、くだらない事さ ( ^ν^) 気になるだろうが (´・ω・`) そうか…ねえニュック ( ^ν^) おう (´・ω・`) 私がシベリアに移住してから今日にいたるまで、随分と祭りがあった ( ^ν^) まあな (´・ω・`) なぜだろう、シベリア民はどうしてこんなにもイベント好きなのだろうかな。普段はとても静かなのに 515 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 21:45:17.92 発信元:111.89.140.2 ( ^ν^) …馬鹿か爺さん (´・ω・`) というと? ( ^ν^) 別にイベントが好きなんじゃねえ。人が増えたから頻度も遊び方も増やしただけだろ。それに、静かな奴ほど感情の発露は激しい (´・ω・`) ああ、そうか…なるほどね ( ^ν^) なんだよ、そんな下らない事を考えてたのか?本当にボケちまったか? (´・ω・`) いやいや、なにもそればかりではないよ ( ^ν^) そうかい (´・ω・`) … ( ^ν^) …糞爺さん 516 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 21:49:42.81 発信元:111.89.140.2 (´・ω・`) なんだいニュック、今日はやけに喋るね ( ^ν^) 明後日、図書館の祭り どきり、とした。死んでしまいそうなのであまり負担をかけてほしくないのだが、自業自得であるので致し方ない。 ( ^ν^) 本当に来ないつもりかよ (´・ω・`) うん 明後日、孫の勤めるブーン系小説図書館にて催される祭り。珍しく孫から、来い、と言われている。行くつもりは、無い。 (´・ω・`) …体調が ( ^ν^) 嘘付け (´・ω・`) … ( ^ν^) 糞爺さん、なんで俺が爺を嫌いか知ってるか? (´・ω・`) いや ( ^ν^) 楽しもうとしないからだよ (´・ω・`) うん? ( ^ν^) 自分は歳だから、なんて言って動きやしねえ。散歩するだけ体力があるなら遊びに来いよ 518 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 21:53:32.71 発信元:111.89.140.2 ( ^ν^) なんの為の祭りだよ、寂しくないように皆でワイワイやって皆でパーッと楽しめるから、だから祭りをやるんじゃねえか…カッサカサの爺でも、いればいただけ賑わうんだよ (´・ω・`) 文字通り、枯れ木も山の賑わいってか、ははは… ( ^ν^) …人それぞれだって事くらい分かってる。けどあんた、何度も俺を祭りに連れてってくれたじゃねえか…あれ全部、楽しくなかったってのかよ (´・ω・`) そうじゃないよ…ありがとうニュック、行けたら行くよ ( ^ν^) ちっ…俺はもう行くぜ (´・ω・`) ああ、気をつけてな ( ^ν^) …爺さんこそな。短い余生なんだからせいぜい楽しめ 結局なんだかんだと、私の心配はしてくれる、良い孫である。やや猫背気味だった背中もいまではスラリと伸びていて、はきはきと歩く後ろ姿は見ていて心地良い。 (´・ω・`) おや? 孫の去って行く方向からこちらへと歩いてくる男性が1人。 521 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 21:57:46.84 発信元:111.89.140.2 _ ( ゚∀゚) あ、こんにちは! (´・ω・`) こんにちは _ ( ゚∀゚) お散歩ですか? (´・ω・`) ええ。歩き疲れて少し休憩していた所です _ ( ゚∀゚) お隣いいですか? (´・ω・`) どうぞ 孫よりも10歳くらい年上(正確な年齢は知らない)の彼は、最近になって私の住むアパートのお隣さんとなった人で、以来1人で暮らす私に何かと世話を焼いてくれる。前は軍人だったが戦争が終わってから軍を辞めたそうで、しょっちゅう昼間に顔を見るから暇なのだろう。 その割にはいつも小綺麗なスーツを着て、魔女かスナフキンが持っていそうなトンガリ帽子を被っている。本人曰く、好きな本の影響らしい。 _ ( ゚∀゚) どっこいしょ 彼は腰をおろし、次いで、担いでいた大きい熊のぬいぐるみを隣に座らせた。…言及は避けるとしよう。 522 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 22:02:44.91 発信元:111.89.140.2 _ ( ゚∀゚) いまさっき、お孫さんと擦れ違いましたよ (´・ω・`) ああ、ついさっきまで喋っていたからね _ ( ゚∀゚) へえ、何を話していたんですか? (´・ω・`) …明後日、ブーン系小説シベリア図書館の祭りがあるのを御存知で? _ ( ゚∀゚) …ええ、まあ (´・ω・`) それについて少し _ ( ゚∀゚) そういえば、お孫さんはあそこに勤めていらっしゃるんでしたね (´・ω・`) はい _ ( ゚∀゚) いいですねえ、自分の頑張りをおじいちゃんに見てもらえるのは、嬉しいでしょうね (´・ω・`) そうですねえ…だからこそ、あの子に嫌われてしまいましたよ 523 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 22:03:24.25 発信元:111.89.140.2 _ ( ゚∀゚) え、と言いますと (´・ω・`) 私、行かないと。あの子に言ったんです 一応それなりに理由があっての事だが、到底理解されないだろう。だから簡素に行かないと告げて、それで尚更納得がいかないのだろう。 _ ( ゚∀゚) …理由を、訊いてもよろしいですか? (´・ω・`) …うーん 理由か。人からすれば、くだらないものなのだが、今までの彼の行いからするに話しても大丈夫だろう。 525 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 22:07:22.53 発信元:111.89.140.2 (´・ω・`) 私、人生を楽しんではいけない気がするんです。特に、明後日は _ ( ゚∀゚) それはまた、どうして… (´・ω・`) 実は私、こう見えて以前シベリア特殊部隊に所属しておりまして _ (;゚∀゚) ビクッッ! _ (;゚∀゚) え、まじすかゴメンナサイ (´・ω・`) ?昔の話ですよ _ (;゚∀゚) え、ええ… (´・ω・`) (…なにかあったのかな?)まあそれで、昔特殊部隊にいたのですが…その頃 (´・ω・`) 親友を、死なせてしまったのです _ ( ゚∀゚) え… 527 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 22:14:56.22 発信元:111.89.140.2 *** 私が現役の頃、とある任務でとある平原にいた私とフォックス、それに同じ部隊の仲間達。 春先の深夜、雪解け水により湿地帯と化した新緑の草原で、隣に座るフォックスは自分の妻について熱く語り、私はそれを聞いていた。 ,,,,,,,,, [|,★,|] 爪'ー`) とにかくしっかり者でさ、そのくせ夜は初々しくて、もう最高だね 最初こそ嫉妬したが、フォックスがあまりに幸せそうなものだから、つい私も幸せな気分になっていた。 ,,,,,,,,, [|,★,|] 爪'ー`) 父さんは、孫の顔も見れて心残りは無いって言ったが、母さんは何て言ったと思う?曾孫を見るまでは死ねないよ、て言ったんだ。母さんらしいよ 528 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 22:17:59.25 発信元:111.89.140.2 気分が高揚していたフォックスは、そういえば写真を見せてなかったな、そう言ってポケットを弄った。 ,,,,,,,,, [|,★,|] 爪'ー`) ほら、これ、二人とも美人だろ フォックスの妻と娘は確かに美人で、舞い上がるのも納得できた。 ,,,,,,,,, [|,★,|] 爪'ー`) ライトが使えればもっとよく見えるがな 平原にはテロリストが潜んでおり、当然明かりは灯せないが、それでも月と星の光は美人二人を良く照らした。 ,,,,,,,,, [|,★,|] 爪'ー`) 一生、いや死んでも大事にするぜ 責任感と力強さに溢れるフォックスへと写真を返そうとした時、私はうっかり、写真を落としてしまい、それは風に舞って私から数歩離れた地面まで攫われ。 フォックスは、おそらく無意識のうちに、最愛の二人を拾い上げようと。 歩き始めた瞬間。 530 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 22:20:20.73 発信元:111.89.140.2 ※閲覧注意 531 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 22:22:29.09 発信元:111.89.140.2 忘れることなどできやしない、フォックスの挙動、装具、小銃、写真のように停止した親友の身体、その表情。 スイカのように飛沫を上げ弾けた、フォックスの頭。 遅れて鳴り響く銃声。 直後に響く、味方の叫び声。 射殺されたのだ、フォックスは。 ソフトポイントの弾頭が侵入し横転し抉るように傷口を広げながら通り抜けるまで思考していた脳は、背の高い草や剥き出しになった泥や綺麗に澄んだ沼のあちらこちらに散らばって。 被っていたシベリア帽は近くの若木に引っかかり、その根本では小さく可愛らしい花を、てらてらと光る眼球が押しつぶしていた。 フォックスの右手は、写真を拾い上げるべく指が広がっていた。 落ちた写真は、月明かりに照らされた水溜まりに沈んでいた。 そのすべて、忘れることなど、できやしないのだ。 私がうっかり…いや、故意も偶然も結果は同じ、とにかく私のせいで、親友は頭の上半分を失った。 *** 532 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 22:26:27.36 発信元:111.89.140.2 _ ( ゚∀゚)… (´・ω・`) それが。日付的にちょうど、明後日なのです _ ( ゚∀゚) …そう、だったんですか (´・ω・`) はい それきり、長いこと沈黙してしまう。 _ ( ゚∀゚) … (´・ω・`) (やはり、良い人だ、私にとっては。上辺だけの慰めや綺麗事を軽々しく口にしない) 彼は口を噤み背を張って、きちっと座ったまま動かない…片手がぬいぐるみの頭をいじっている点を除いて。いまいち格好のつかない男である。 (´・ω・`) … _ ( ゚∀゚) …あの ふと、彼が言う。 _ ( ゚∀゚) 俺、実は昔、テロを起こそうとしたことがあります 随分、驚かせる。今日は本当に心臓に悪い。 (´・ω・`) それで? 534 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 22:29:27.50 発信元:111.89.140.2 _ ( ゚∀゚) 祭りの会場に爆弾を仕掛けようとして…いや、特殊部隊が阻止してくれたんですが…その… 珍しく、彼は言いたいことが上手く捻り出せ無いらしい。新鮮である。 _ ( ゚∀゚) 俺、その場に居合わせた人達に言われたんです。ここは皆で楽しむ場所だから、俺も一緒に楽しみましょうと、俺がやろうとしていた事には触れず誘い入れてくれました (´・ω・`) ほう…そんな事があったのですか _ ( ゚∀゚) そんな俺が、そのあと特殊部隊の方が協力してくれたおかげで軍隊に入れて、誘い入れてくれた人達とも友達になって、今もこうして暮らしています (´・ω・`) うん _ ( ゚∀゚) だから、その…あなたにも、楽しむ事は許されていると思うんです (´・ω・`) … 535 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/04(土) 22:33:37.82 発信元:111.89.140.2 _ (;゚∀゚) や、俺も戦争でそれなりに殺しましたが明後日の祭りは行くつもりですし…えーとですね (´・ω・`) いや、もういいよ、ありがとう _ (;゚∀゚) すんません。なんかゴチャゴチャしちゃいました (´・ω・`) いいんだよ、ありがとう。何が言いたいのかは伝わったよ、大丈夫 _ (;゚∀゚) はい しばし頬を掻いていた彼は、おもむろに立ち上がる。 (´・ω・`) もう行きますか? _ ( ゚∀゚) はい…ショボンさん 552 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 16:28:54.70 発信元:111.89.140.2 (´・ω・`) うん _ ( ゚∀゚) 俺が今から言うことは極めて不躾で、傲慢で、失礼です。だから殴り飛ばしてもらってかまいません…あのですね (´・ω・`) なにかな? _ ( ゚∀゚) 明後日だけはどうか、死者の為の自己嫌悪に浸るよりも御孫さんの笑顔を優先していただきたい (´・ω・`) … 554 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 16:34:12.11 発信元:111.89.140.2 _ ( ゚∀゚) …失礼致しました 彼は深々と頭を下げたまま、顔をあげない。 (´・ω・`) …やれやれ、改まって何を言うのかと思えば 私はドアをノックする時のように、彼の頭を軽く小突いた。 (´・ω・`) 顔をあげてください…いいんだ、君は間違っていないと思うよ とうに死んだ人間と、今生きている人間の、どちらを優先するべきなのか問われれば。 556 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 16:39:33.57 発信元:111.89.140.2 (´・ω・`) もう少し、考えてみますよ _ ( ゚∀゚) …ありがとうございます 彼がクマのぬいぐるみと共に去りしばらくしてから、帰ることにする。 腹へったし。 帰路も随分と静かだが、落ち着いて歩くには都合が良かった。時折、寂しくもあるけれど。 (´・ω・`) ふう アパートに帰り着いた私は、事務手続きでもしているかのように夜を迎え、蒲団に潜る。 夢は見ない。最近、夢を見ていない。いつのまにか眠り、ふと目が覚める。 無意味に早起きなのは、長く眠るには体力が必要だからか。 (´・ω・`) やれやれ 気怠い朝から、私はあれこれ考えた。今日1日を考えることに費やすつもりでいた。自分の頭の錆び付き具合に苛つきながら、食事などの些事を挟みつつ夕方まで考えぬいた。 しかし。 (´・ω・`) なーんも、わからん 557 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 16:43:08.34 発信元:111.89.140.2 日が暮れて星がまたたき、お隣さんから楽しそうな笑い声が聞こえてきても尚、考え抜いて。 結局、老人の乾いた頭では分からなかった。 (´・ω・`) 私は、どうするべきなのかね… 理屈ではない、そちらの答えは既出だ。分からないのは心の問題だ。 分からないままで寝支度を整えた私は、虚無感を抱えたまま蒲団に潜る。 (´-ω-`) その夜、久しぶりに夢を見た。 559 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 16:46:28.12 発信元:111.89.140.2 *** 私は最初、何もない丘の上に立っていると思ったが良く見るとそれは積み上げられた屍体の丘だった。 特殊部隊にいた頃のままの姿で私は屍体の丘の上にいた。 足下には私が殺した人間の屍体が時系列順に積まれていて、それは下にいくにつれ動物や植物の屍体に切り替わっていった。 初めは私の好物であるピザやパスタ、レタスのサラダやリンゴやパイナップルやバナナだったのが、愛用のベッドやイスやコートなどに変わり、野犬やシベリアアザラシや鹿などになり、さらには虻や蚊や蠅や蜂などになっていった。臭いは無い。 そんな丘の頂上に立つ私を目指して登ってくる人影。 頭の欠けたフォックスだ。 フォックスは無言で登り、私のすぐ前に立ち、私を見据えた。 561 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 16:50:10.93 発信元:111.89.140.2 フォックスの穏やかな表情は、私に激しい自己嫌悪をさせた。 私の脳髄はフォックスの偶像を作り、偶像に赦しを求めさせ、偶像から赦しの言葉を得、物思わぬフォックスから赦された気になれと言うのか…なんて卑怯なんだろう、私は。 (´・ω・`) フォックス それでも話しかけずにはいられなくて、彼の名前を口にする。彼は無言のまま。 それで良い、死者は言葉を発しない。私が殺めた老若男女たちは皆志半ばだったというのに、恨み言ひとつ言われた事がない。 (´・ω・`) フォックス 彼は黙っている…私はてっきり、私の脳髄がフォックスを喋らせるものとばかり思っていたが違うようだ。 ずっと、ずっと。黙りこくるフォックスに痺れを切らした私は言った。 562 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 16:55:00.76 発信元:111.89.140.2 (´・ω・`) おい。私はフォックスの姿をした私から、私がどうすれば…いや、本当はどうしたいのかを喋らせようとしたんじゃないのか、無意識に。違うのか フォックスは、静かに首をふり、体液を散らすことで否定した。 (´・ω・`) ならなんのために、私はこのフォックスを作った… フォックスは、そこで初めて口をきいた。 「わかっているはずだ」 (´・ω・`) なにが 「おまえは自分を慰めているにすぎない」 (´・ω・`) なにがだ 「おまえの思いに意味はない」 (´・ω・`) なぜだ 「死者がまだ生きている人間から同情されてもただの嫌味だ」 (´・ω・`) それはまだ生きている私の考えだ、ひねくれている愚かな考えだ 「償いとは生きている人間にするものだ。受け取れない贈り物に意味は無い」 563 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 16:58:41.81 発信元:111.89.140.2 (´・ω・`) ほら、そうやって、私を罪から解放しようとしている。なんて卑怯なんだ、私は 「それは間違いだ」 (´・ω・`) どこがだ 「そもそも、罪を償うなら遺族にするべきだ。おまえのそれは、ただおまえだけが感じている罪だ。意味がない」 (´・ω・`) ははあ…おまえはここで、私に、どうするべきかを問わせるつもりだな。そして私に、もう忘れろ、と言うつもりだったろう 「違う」 (´・ω・`) なら、なんだと言う 「遺族とは、フォックスが守ったものだ」 (´・ω・`) フォックスの家族には… 「それだけでは足りない」 (´・ω・`) なに? 565 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 17:02:35.46 発信元:111.89.140.2 「フォックスは家族を守ろうとしていた。それは家族の暮らしを守ることでもあり、家族の周囲を守ることでもあり、家族の知る世界を守ることでもあり、家族の現在を守ることでもあり、家族の未来を守ることでもある」 「それはシベリアを守るということであり、住人を守るということであり、住人の幸福を守ることであり、現状維持のための不幸を守ることである」 (´・ω・`) …そんなこと、できやしない。未来永劫、なんて、人間には 「つまり、おまえに償える罪は無い。おまえの行為は意味がない」 (´・ω・`) それは…だからって! 反論しようとして、目が覚めた。やっぱり私は卑怯だ、都合が悪くなると逃げるだなんて。 *** 566 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 17:03:33.89 発信元:111.89.140.2 「フォックスは家族を守ろうとしていた。それは家族の暮らしを守ることでもあり、家族の周囲を守ることでもあり、家族の知る世界を守ることでもあり、家族の現在を守ることでもあり、家族の未来を守ることでもある」 「それはシベリアを守るということであり、住人を守るということであり、住人の幸福を守ることであり、現状維持のための不幸を守ることである」 (´・ω・`) …そんなこと、できやしない。未来永劫、なんて、人間には 「つまり、おまえに償える罪は無い。おまえの行為は意味がない」 (´・ω・`) それは…だからって! 反論しようとして、目が覚めた。やっぱり私は卑怯だ、都合が悪くなると逃げるだなんて。 *** 567 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 17:08:06.72 発信元:111.89.140.2 (´・ω・`) …最悪だな 人生最悪の目覚めだった。時計を見ると、いつもより1時間ほど遅かった。 (´・ω・`) … 無言で、朝の支度をし飯を食べ、日課の窓拭きを終えラジオをつける。 ムジカ・シベリアが、図書館の祭りを宣伝していた。 (´-ω-`) ふう …結局無意味だと、言うのなら。孫の頑張る今を見に行くぐらい、良いだろう…。 (´・ω・`) …フォックス ごめんね、どこまでも卑怯で救いようのない私は、呟き出掛ける支度を始める。 568 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 17:13:45.98 発信元:111.89.140.2 ( ^ν^) …じいちゃん、来たのか (´・ω・`) ああ ( ^ν^) そっか (´・ω・`) 今日は、なじらないのか ( ^ν^) 職場でそんな事できるか (´・ω・`) そうだな…お前も立派な社会人だものな ( ^ν^) ふん…ほら、これ (´・ω・`) これは…シベリア桜の栞かい? 手渡されたのは儚くも美しい桜が押し花にされた一枚の栞。 ( ^ν^) 記念に配ってんだ、館長の案でな (´・ω・`) ふうん、良いね 571 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 17:15:09.65 発信元:111.89.140.2 ( ^ν^) じゃ、俺忙しいから (´・ω・`) うん、がんばってね ( ^ν^) …じいちゃん (´・ω・`) なんだい? ( ^ν^) ありがとな、来てくれて (´・ω・`) ニュック… 言いながら孫は、奥の部屋に入ってしまった。 (´・ω・`) … (´・ω・`) …さて 572 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 17:26:21.67 発信元:111.89.140.2 会場である図書館内部は、盛況だった。 物語を読む者、書く者。絵を描く者、見る者。さらには熱く語り合う者。皆がそれぞれ祭りを楽しみ、忙しない職員ですら微笑みをたたえている。 lw´‐ _‐ノv 弟者ー、イラストの回収終わったよーん (´<_` ) よっしゃ、俺がニュッさんとこ持ってくから、次の作画開始時刻アナウンスしてきてくれ lw´‐ _‐ノv はいよー そんな中に、彼を認める。 _ ( ゚∀゚) 彼は実に楽しそうに、誰かと喋っている。 周囲をぐるりと見渡し、最後にカウンターを見た。 そこには女性が一人立っていて、とても幸せそうに祭りの様子を見守っている。彼女はまるで聖母のよう、つい見とれてしまい、目があった。 川 ゚ -゚) どうかなされましたか? 573 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 17:31:47.56 発信元:111.89.140.2 何でもありませんと言おうか失礼致しましたと言うべきか無視してしまおうかと迷った丁度その時。 カウンターの隅にかけられた柱時計が、独特の音色でもって鐘を鳴らす。 図書館に訪れていた人々は、全員が意識をそちらに向けた。 ふっ、と熱気が穏やかになり、誰も彼も手を止め口を噤み鐘の音に耳を傾ける。 良い柱時計だと素直に思った。 音が止み、周囲が再び動き出しても尚、私は女性と見つめ合っている。 胸のプレートには、館長であることが記されていた。 川 ゚ -゚) 良い、時計でしょう 私は頷く。 575 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 17:37:01.43 発信元:111.89.140.2 (´・ω・`) この時計、随分と歴史がありそうですね。いつ頃からあるのですか? 川 ゚ -゚) これは当館の初代館長に贈られた物で、図書館が開館された当初からあるそうです (´・ω・`) 贈り物なのですか 川 ゚ -゚) はい。初代館長の友人からで、裏面には文も刻まれています。 (´・ω・`) ほう、なんと? 576 :(´・ω・`)楽しむようです:2012/02/05(日) 17:41:42.00 発信元:111.89.140.2 川 ゚ -゚) 親愛なるブーンへ、君の努力と情熱に敬意を込めて。君の友人の名無しより *** 時計の針は止まらない。 きっと、私が死んだ後も。 終