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酒場【バーボン渋澤シベリア支店】のようです」の最新版変更点

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 1 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:07:14 ID:Rj0yeEaE0
 
 
 極寒の地【シベリア】
 
 過酷な環境が日々追いやられた人々を痛めつける氷に閉ざされた街
 この世界の流刑地
 罪人、冤罪、運の無い者、心無い者、心を痛めた者、無法者
 この地を愛し、身を寄せる者
 様々な事情あらゆる人種が混在する、
 そして時には人でない何かが紛れることも少なくない不可思議な街
 
 そんな街の娼館や酒場が賑わう歓楽街を外れて、
 掠れた看板からは店名は伺えない、それでも不思議と誰もがそこが酒場だと疑わない
 そんな一軒の古いバーが、ひっそりと、開かれていた。
 
 
 
- _______ 品 [] 品 ふ 冉 [] 茴 ふ 
+#aa(){ _______ 品 [] 品 ふ 冉 [] 茴 ふ 
 .  |i:¨ ̄ ,、    ̄¨:;i|=============== rーr、 
   |i: /ヘ\    :i|∩ _,「!,_∩∩百百 _モ丁|ア⊇
   |i:〈`_、/´_`>.、  :i|| ̄|,___,|; _n__ ̄ ̄ (\//| 
   |ii~~'、;'´`,'~,;~~~~:i| `i |r-、| )厂|: _,{},_ iー'个' 
 .  |i`::;:':::::;;;;;:;':::::::::::i|lllll|.|ー'( |/ :|((二))|__」__  
 .  |i:::`::::´:::::::::::::::::::i| ̄ ` ̄´) ̄´ ` ̄´ ̄ ̄ ̄  
 .  |`ー=====一゙|ヤ二二二テ'          
    `ー―――‐一´    ̄ ̄             
      '';;iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii;;,,              
        ''';;iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii;;,,, 
         ''';;;iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii;;;,,, 
-         '''';;;iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii;;;,,,,
-
-
-
-
+         '''';;;iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii;;;,,,,}
 
 
 
 
 
 
 
 酒場【バーボン渋澤シベリア支店】のようです 
 
 
 2 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:08:07 ID:Rj0yeEaE0
 
 カランカラン!
 
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「いらっしゃい」
 
 店に入ると、白髪混じりの黒髪を撫でつけたマスターが貴方を出迎えた。
 こんな時間帯にも関わらずカウンターやテーブルにはちらほらと先客の姿が見られる。
 
 ( *・∀・)つU  ∬´_ゝ`)
 
 カウンターで酒を煽る青年と、スラリとしたシルエットのスーツを着た女性。
 席を一つ挟んだ二人の間に会話はなく、マスターが時折女性の話に相づちをうつ。
 
 (  ω )
 
 店の隅のテーブル席で一人静かにウイスキーを傾ける男性。
 グラスの中に揺れる琥珀色の液体をジッと見つめ、ふと思い出したように
 それに口をつける。
 
 ミセ*゚ー゚)リ 「コートをお預かりします」
  
 タイトなシャツにソムリエコートを羽織った女性店員が濡れそぼった貴方のコートを
 預かり、肩に積もった雪を軽く払うと石油ストーブの近くのコート掛けに掛けてくれる。
 
 貴方は彼女に導かれてカウンター席へと腰掛けた。 
 
 
 3 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:09:36 ID:Rj0yeEaE0
 
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「この吹雪だ、外は寒いなんてもんじゃないだろ?」
 
 そう言ってマスターは一杯の温かいコーヒーを出してくれる。
 コーヒーの香りに混じって、湯気からはほんのりと
 ウイスキーの柔らかな匂いが感じられた。
 
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「これはサービスだ。まずは少し暖まってくれ」
 
 ∬´_ゝ`) 「でね、渋澤さん・・・」
 
 _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「注文があればいつでもどうぞ」
 
 ∬´_ゝ`) 「デミタスったら酷いのよ?あんな毒の無い顔してベッドでは・・・
       ・・・聞いてる?渋澤さん?」
 
  _、_
 (;,_ノ` )y━・ 「ああ、聞いてるよ姉者さん」
 
 ( *・∀・)U グビグビ
 
 マスターが女性の席の向かいへ戻ると
 貴方はそっとコーヒーに口をつけた。
 
 ~~~~~ 
 
 
 4 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:11:45 ID:Rj0yeEaE0
 
 ( *∀ )つU 「お姉さん、おかわり」
 
 ミセ;゚ー゚)リ 「モララーさん、今日は少し飲み過ぎですよ」
 
 ( *∀ )つU 「いいんだ、頼むよ」
 
 ミセ;゚ー゚)リ 「モララーさん・・・」
 
 貴方の隣席、青年はカウンターに突っ伏しながら空のグラスを女性バーテン
 へと突き出す。
 彼女は少しカウンターに身を乗り出し、心配そうな面持ちで青年を伺っている。
 
 ( *∀ )つU 「金はあるんだ・・・」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「やれやれ、今日は随分飲むねお兄さん」
 
 ミセ;゚ー゚)リ 「マスター」
 
 見るに見かねたマスターがフラリとこちらの向かいへとやって来る。
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「何か、あったのかい」
 
 ( *∀ )つU 「・・・・・・」
 
 ( *∀ )
 
 ( *・∀・)
 
 「・・・今日は、妹の命日なんだ」
 空のグラスから指を解いた青年がポツリと、そう呟いた。 
 
 
 5 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:12:32 ID:Rj0yeEaE0
 
 ( *・∀・) 「俺は、アイツに何もしてやれなかった」
 
 ( *・∀・) 「それなのにアイツは最期まで俺に頼ってくれた」
 
 ( *・∀・) 「俺は、何も出来なくて、本当に何も出来なくてぇ・・・」
 
 手を握りしめた彼の声は、次第に
 
 ( *;∀;) 「手を握ってやる事しか出来ない俺をォ、妹は昔み、みたいにっ」
 
 ( *;∀;) 「お兄ちゃんて、呼んで、む昔お馬鹿みあいな昔話の」
 
 ( *;∀;) 「ヒーローを見うような、目れ、」
 
 嗚咽に変わっていた。
 
 ミセ ゚-゚)リ 「モララーさん・・・」
 
 ∬´_ゝ`) 「・・・」                              (  ω ) 
 
 
 6 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:13:56 ID:Rj0yeEaE0
 
 ( *;∀;) 「おえには、もっと、ハインにしてやえる事が、きっとあった」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「・・・・・・」
 
 ( *;∀;) 「だえど、分からないンだ、今も、昔も
 ハインあもう、ろこにもいらいのに!」
 
 「・・・・・・」
 
 ( *∀ ) 「そう、・・・いないんだ。何処にも」
 
 その一言で店内は言いようの無い静寂に閉ざされた。
 外の吹雪く音と、氷粒がパチパチと窓を打つ音が、嫌に大きく聞こえた。
 
 
 ∬´_ゝ`) 「マスター」
 
 今までの話を黙って聞いていた女性が不意にその静寂を破った。 
 
 
 7 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:15:32 ID:Rj0yeEaE0
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「なにかな、姉者さん?マスターだなんて偉く久しぶりだ」
 
 ∬´_ゝ`) 「いつもは私ばっか喋ってるけど、今日はマスターの話が聞きたいな」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「随分と唐突だな」
 
 ∬´_ゝ`) 「たまには、ね」
 
 ( *∀ ) 「・・・・・・」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「・・・たまには、か。そうだな」
 
 ∬´_ゝ`) 「うん」
 
 マスターと女性は顔を見合わせて薄い微笑を浮かべた。
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「まずは何か曲を掛けようか」
 
 ∬´_ゝ`) 「明るいヤツね」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「何かリクエストはあるかい?」
 
 マスターは唐突に貴方に問いかける。 
 
 
 8 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:20:09 ID:Rj0yeEaE0
 
 「        」
 
 少し驚いた貴方は、かつて、青春時代にラジオで幾度も耳にした曲名を告げた。
 
 ∬´_ゝ`) 「あら、懐かしいわね」
 
 店内の古いオーディオ機器から懐かしいメロディが溢れてくる。
 
 ミセ*゚ー゚)リ 「ホント」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「そうだな、良い曲だ」
 
 ( *∀ ) 「・・・」
 _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「歳をとるとあの頃よりも遙かに視野が広がっていく
         邪魔なものを切り捨てて、洗練された世界を
         大人達は手に入れ今に立っている」
 
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「だからこそ、今夜は最高に無駄だらけで、複雑で」
 
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「それ故に最高にシンプルだった少年の話をしようか」
 
 ~~~~~~~~~~~~~ 
 
 
 9 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:23:03 ID:Rj0yeEaE0
 
  ('、`*川 「ラジオボーイの話だ」 (-_-)
 
 (-_-)
 
 俺達は皆、ラヂヲを待ってる。
 テレビみたいに目に激しい沢山の情報なんていらない。
 映画みたいな壮大なエンターティナーじゃなくていい。
 小さな声でも、音がトンでても、ノイズが混じってても、
 俺は耳を澄ませるからそれでいいんだ。
 
 少し前の話し、宇宙人がやってきて地球の侵略を始めた。
 世界は大混乱。東京をはじめ関東地方は壊滅。
 自衛隊もほぼ全滅したと言っていいと思う。
 出歩く奴なんていないし、ましてや誰もいない高校の屋上に寝転がってる奴なんて
 俺くらいだ。
 
   「どう?今日は入ってる?」
 
 ('、`*川
 
 それとラジオを聴きにたまにやって来る伊藤先生くらいだ。 
 
 
 10 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:26:31 ID:Rj0yeEaE0
 
 (-_-)  「全然ですよ」
 
 顔を覗きこんでくる先生に、俺はさっきから砂嵐みないなノイズばかり吐き出している
 赤い箱を軽くこづいてみせる。
 
 ('、`*川 「この前のっていつだったけ?」
 
 (-_-) 「一週間前ですね。他の局はテレビと一緒で
      宇宙人とシェルターの事ばっか」
 
 そりゃそうだよ戦争だもん。そう言って先生は俺の横に座った。
 伊藤先生はキレイだ。この人の生徒だった頃から思っていた。
 別に特別美人って訳でもないし、物腰が柔らかいとかそんなでもない。
 今日みたいな青空が似合う、そんな人で。
 だからキレイだ。
 
 先生がここにきた日は決まって下らない事で盛り上がる。
 今日も気づいたら先生が一部の女子にうざがられてる。
 なんて話しに流れてしまって先生が目に見えて落ち込んだので俺は少し焦った。
 
 ('、`;川「まぁでも、気付いてたけどさ」
 
 (-_-) 「そうなんですか?」
 
 ('、`*川「まぁね、だって女の子だもん。でもさ…」 
 
 
 11 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:28:25 ID:Rj0yeEaE0
 
 先生が何か続けようとした時、ノイズばかり吐いていたラジオから不意に、つい最近まで流行っていたアイドルグループのヒットナンバーが流れ出す。
 
   『や――あ!皆元気に―――して―かい!?』
 
 (;-_-) 「うおっ来た!」「キタ―!」('∀`*川
 
  はしゃいだのもつかの間、すぐに俺はラジオのボリュームを最大にねじり。
 先生と二人ラジオの前で口をつぐんで正座した。
 
   『お伝えするのは皆ご存じDJオワタ!最初にお届けしたナンバーは――――!さて本日のスペシアルゲストはこの方達!大人気コメディアン――マサTAKAのお二人で――す!』
      『まさしでーす』『まさしでーす』
        『いや俺がまさしだろ』『いや俺の方が――』
   『もうよそうや、たかし』『えっちょ…冷た―い…』
 
   どっ!
 
 お笑いやコントなんていつも見ていた筈なのに、不思議とラジオから流れてくるそれは堪らなく楽しくて。
 気付いたら笑いを堪えることも忘れて俺と先生は腹を抱えて大笑いしていた。
 コーナーは変わって、リクエストで俺は聴いたこともない洋楽が流れる。
 
 アコギの静かで優しいメロディーに乗るハスキーな女性シンガーの歌。 
 
 
 12 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:29:21 ID:Rj0yeEaE0
 
 ('∀`*川「ハハッあ―笑った笑った!」
 
 先生が目尻の笑い涙を拭いながら言った。
 それからしばらく、何を言ってるか分からない優しい歌に耳を澄ませていた。
 
 ('ー`*川「ここやっぱり良いね。音の入りも良いし」
 
 何より気持ちいいし!そう言って先生は手足をほっぽって寝転がる。
 あんまり先生が気持ち良さそうにしていたものだから、
 俺も後を追うように寝転がる。
 
   「………」
 
 突き抜けるように青く高い秋の空。
 太陽の下を雲がゆっくりと流れて俺達のもとに陰をおとした。
 
 (-_-) 「…先生」
 
 ('、`*川「なにかな?」
 
 (-_-) 「さっきは何を言おうとしたんですか?」 
 
 
 13 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:30:55 ID:Rj0yeEaE0
 
 流れきった雲の肩から覗いた太陽に、うっかりと目を焼かれ俺は目を閉じた。
 
  ('ー`*川 「…ああアレね。ちょっと感傷に浸ってただけよ」
 
  (う_-) 「へぇ」
 
   少しの間をおいて先生は続けた。
 
  ('、`*川 「結構短かったけど私も先生だし。
        もうここが学校じゃないんだって思うとね
        なんだか女子の悪口一つとっても大事な、
        懐かしい写真みたいに思えるんだ」
 
  (-_-) 「こんな下らない事がですか?」
 
  ('、`*川 「そっ。良い事も、悪い事も全部」
 
 大事。その声が突然耳元で聞こえたものだから、俺は驚いて身を起こした。
 先生は悪戯っぽく笑っていた。
 
 ('ー`*川 「駄目だね、若いつもりだけど、考えがもうおばさんだ」
 
 (-_-;) 「先生は若いですよ」 
 
 
 14 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:31:40 ID:Rj0yeEaE0
 
 俺は本心からそう言っていたつもりだが、
 先生は困ったように笑いながらそんな俺をみるばかりだった。
 
 ラジオでは曲が終わりラジオDJがコメディアンにインタビューを始めている。
 先生は立ち上がると、ラジオを拾い上げ愛し気にそれを撫でた。
 
  ('、`*川 「皆、このラジオを聴いてるのかな、待ってるのかな?」
  (-_-) 「皆待ってますよ、それくらいしか楽しみなんてないんですから」
 
 先生は眉間にシワを寄せて、変なものでも見るような顔をする。
 
 ('、`*川 「じぃじ臭いね―!ま、あたしも好きだけど、ソォイ!」
 
 瞬間この女は投げやがった。俺のラジオを真上に。
 飛んでる。俺のラジオが空を飛んでる!鳥のように!ちょっと待て 
 
 
 15 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:32:27 ID:Rj0yeEaE0
 
 (゚_゚;;) 「ラジ夫ォォォッ!」
 
 ('、`*川 「キャァッチ」
 
 しばらくの空中遊泳を楽しんだラジオは、
 まるで巣に帰ってくるみたいに
 再び先生の手に収まった。
 
 (#-_-) 「なにするんでスか!?」
 
 ('ー`*川 「ぼんやりとラジオを待ってるだけなんて似合わないぞ少年」
 
 何度も言うが先生はキレイだ。 
 
 
 16 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:33:58 ID:Rj0yeEaE0
 
 ('、`*川  「大事なことも、楽しいことも、辛いことも、
        例えこの世界がもう終わるとしても」
 
 先生ほど青空の似合う人はいないし、
 
 先生ほど雲が、屋上のリノリウムの緑が、手に持ったラジオの赤が、
 
 ふんぞりかえった笑みが。
 
 先生ほど、俺にとって先生が似合う人はいません。
 
 ('ー`*川b 「例え明日死のうが、君は若いんだ!」
 
 (;-_-) 「無茶苦茶だよアンタ…」 
 
 
 17 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:35:24 ID:Rj0yeEaE0
 
   それから数日後。
 先の暴動の煽りを受けた際に先生は暴漢の手によってこの世を去りました。
 なんのことはありません宇宙人が手を下すまでもなく
 最初からこの世界は終わっていたのです。
 
 この地方の人間ではない先生が、何故この街から離れないのかを
 後日知りました。
 先生は東京の恋人を待っていたのですね。
 
 ラジオからの情報によれば数日中に宇宙人が攻撃を再開するそうです。
 あのラジオ番組は今も隙を見つけては流れています。
 電波塔の大半は軍に占拠されているのに大したものです。
 先生、俺、東京に行こうと思います。
 たぶんすぐ死ぬけど、
 きっと今の俺には必要なんです。
 
 怒りますか先生?でも駄目ですよ、
 
 だって俺、若いですから。 
 
 
 18 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:36:07 ID:Rj0yeEaE0
 
 (;-_-) 「ハァ、ハァ・・・やっぱ遠いな東京め!」
 
 ギッコギッコ
 
 そうそれと、じじ臭かろうがラジオは持って行きます。
 
 耳を澄ますと、分かる気がするんです。
 
 (-_-) 「お」
 
 あの番組を待っている間の退屈なノイズの中に、
  
 『___ザーz_…・・やあ!みんな元気にしてたかい?』
 
 
 先生が言ってた大事なものが、いっこ。
 
 ~~~~~~~~~~~~ 
 
 
 19 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:37:07 ID:Rj0yeEaE0
 ~~~~~~~~~~~~
 
 
 
 
 
 
 
 「・・・・・・」
 
 マスターは話し終えると、カウンターの奥に置かれたキャスターを手に取り
 その先にそっと、火を付けた
 
 (  ∀ ) ∬´_ゝ`) 「「・・・・・・」」                         (  ω )
 
 ミセ*゚-゚)リ 「・・・それで、その男の子はどうなったんですか」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「さあな、シベリアに流れてくる話だ。
         本当か嘘かさえ分からない」
 
 ミセ*゚-゚)リ 「・・・・・・」 
 
 
 20 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:39:28 ID:Rj0yeEaE0
 
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「しかし、あの世界の顛末は今もよく耳にする。酷い時代だったらしい」
 
 ∬´_ゝ`) 「・・・馬鹿な子ね」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「そうだな、正気の沙汰じゃない」
 
 「・・・・・・」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「だが、それが男の子だ」
 
 なあ、お兄さん。マスターはそう言って青年に笑いかける。
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「あんたがこの中で一番、彼の気持ちが分かるんじゃないか?」
 
 
 ( ∀ )
 
 何かを発しようと開かれた青年の口は
 
 ( - )
 
 それを飲み込むように閉じられた。 
 
 
 21 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:40:19 ID:Rj0yeEaE0
 
 ( ・∀・) 「・・・勘定を頼む」
 
 ミセ;゚ー゚)リ 「は、はい!」
 
 青年は席を立ち、会計を済ませると彼女からコートを受け取り
 早々と店を後にした。
 
 ∬´_ゝ`) 「ねぇ、渋澤さん」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「なにかな」
 
 ∬´_ゝ`) 「死んだ人の為に出来る事なんてあるの?」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「・・・あるさ」
 
 マスターは彼の居た席をかたしながら答える。
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「その人を忘れずに、それでも突っ走るのさ」
 
 ∬´_ゝ`) 「・・・・・・・・・マスターって」 
 
 
 22 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:41:13 ID:Rj0yeEaE0
 
 女性は優しげに首を傾けて微笑んだ。
 
 ∬*´_ゝ`) 「くさいわねぇ」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「くくっ言うなよ」
 
 貴方の横で二人はクスクスと笑った。
 
 カランカラン!
 
 その時、真鍮製のウェルカムチャイムをかき鳴らして雪塗れの
 若い警察官が来店した。
 
 ( ^Д^) 「やあー寒い寒い!ども!毎度お馴染み
        シベリア警察署の定時巡回です!」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「こんな夜更けにいつもご苦労さん」
 
 ミセ*゚ー゚)リ 「こんばんはプギャーさん、コートをお預かりしますね」 
 
 
 23 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:42:19 ID:Rj0yeEaE0
 
 ( ^Д^) 「やや!いつもすいませんね!」
 
 警察官は彼女にコートを預けると頭の雪を払いながらこちらへと
 歩み寄って来る。
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「どうぞ、座って暖まって行って下さい」
 
 そう言ってマスターは貴方が来た時と同じように警察官に
 アイリッシュコーヒーを振る舞う。
 
 (*^Д^) 「ややや!これはかたじけない!ん~旨い!ぶっちゃけ
        本官定時巡回の度にこれが楽しみで仕方がない!」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「ハハッ!そいつは良かった」
 
 ( ^Д^) 「しかしここの店は随分上等な酒を飲めるみたいですな!」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「・・・?そいつはまたどうして?」 
 
 
 24 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:44:03 ID:Rj0yeEaE0
 
 ( ^Д^) 「シベリアなんてのは大抵、元の住処を規制されて
        泣く泣くやって来るとこでしょう?すれ違う人間だって
        大方憂鬱そうな顔してるのが常ってもんです」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「そりゃまあね」
 
 ( ^Д^) 「だけどさっきすれ違ったサッケ臭いアンちゃんは
        なんつーんですかね?妙に嬉しそうっつーか
        さっぱりした面してましたよ!」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「・・・・・・そいつぁ」
 
 ∬*´_ゝ`) 「「!!!」」 ミ(゚ー゚*セリ 
 
 思わずにやけた口元を手のひらで覆うマスター。
 二人の女性はそれぞれとてつもなく嬉しそうに互いと貴方の顔を見合う。
 そんな彼女達に釣られて貴方も交互に二人を見てしまう。
 
 (^Д^ ) 「ん?・・・どうかしました???」
 
 ただ一人、置いてきぼり喰らった警察官が困惑した表情でマスターを見やる。 
 
 
 25 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:45:26 ID:Rj0yeEaE0
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「くくくっ!いいえ、なに」
 
 ( ^Д^) 「?」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「シベリアでも、心までは規制出来ないってことですよ」
 
 ( ^Д^) 「・・・はあ」
 
 ∬*´_ゝ`) 「やだマスターくっさいってば!」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・ 「だから言うなって」
 
 ミセ*´∀`)リ 「ホントですよ~www」
  _、_
 (;,_ノ` )y━・ 「ミセリ、お前もか」
 
 「「くっさ~~~い!」」 
 
 
 
 26 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/04/18(日) 06:46:07 ID:Rj0yeEaE0
 
 ( ^Д^) 「・・・・・・なんかよく分からんのですが」
 
 ( ^Д^) 「本官グッジョブ?」
 
 (*^Д^) 「ハハハッ!流石だな本官!」
 
 『「くくっ!」「ハハハッ!」「アハハ!」「ふふ!」「♪」』
 
 5人の嬌声はシベリアの夜に溶けていく。
 
 
 まだ、夜は始まったばかりだ。