ブーン系男子の雑記◆K8iifs2jk6

ブーン系を書いている◆K8iifs2jk6の雑記。 自作品まとめたり読んだブーン系の感想書いたり雑記書いたり、色々やりたいと思ってます。

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('A`) ドクオは亡国の兵士のようです 第11話

2 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 21:58:09.50 ID:TXYeokHa0
奴が来た。

アタシらの国を裏切った、奴が来た。

朽ち果て掛けた人工筋肉を無理やりに動かして、
ズタボロになりながらも奴は向かってきた。

奴が憎い。

奴が許せない。

ニューソクを裏切り、必死に生き延びようとする敗残兵を、
同じ国の仲間であるというのに殺す、
あの亡国の鬼が許せない。

今、アタシの殺意は全て奴へと向けられている。

奴を殺す為にアタシはここに立っている。
シィナ・T・ツーとしてこの戦場に立っている。

……オオカミの兵士達と共に。

いけすかないあの裏切り者を殺す。
ただ、あの男との一戦へと臨む為だけに、アタシは行く。

亡国の兵士として、ニューソクの名を貶めるあの男の下へと。



3 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 21:58:58.72 ID:TXYeokHa0



         ('A`) ドクオは亡国の兵士のようです



         第11話 名誉ある愛国者にして独裁者



5 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 21:59:49.63 ID:TXYeokHa0
******

戦艦の内部に侵入した、ディの率いる大神部隊は通路を進んでいく。

手早く敵兵士を排除して、着々と奥へと、先へ先へと進む。
軍靴で地面を鳴らす濃緑の装甲服の兵士達は、
黒の装甲服を纏う兵士達へと銃を向け、引き金を引く。

倒し、通路に敵が倒れていき、死体となって転がる。

その数を増やしていくそれを尻目に、
大神部隊は艦橋へと向かう。

通路を進み、広い部屋を通過して別の通路へと侵入する。

(#゚;;-゚) 「……ッ!」

突如、ディは一歩を下がっていく。

すると、開いた鉄の扉に火花が爆ぜた。
敵が待ち構えていたのだ。


6 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:00:39.83 ID:TXYeokHa0
右から飛んでくる弾丸から敵の位置を割り出した彼女は、
右手に手の平大の球体を握り、上部に付いたピンを抜く。

手首を返して回転の掛けられた軌道を描く球体が、
通路の床に転がって、コロンと小気味の良い音を立てる。

兵士達の足もとに転げたそれは、手榴弾であった。

兵士達が反応するよりも早く、爆発。

衝撃波が艦内に走り、壁に振動が伝わるのをディは感じた。

ディは半身を部屋から乗り出し、
敵がいた筈の方向へと銃を向ける。

突撃銃、XM8を。

その銃口の先、敵らしき人影は無い。
通路が視界の先へと延びていき、奥には左への迂回路があるのが分かる。
ディは、その迂回路がどこへと続いているのか、予測を立てた。


7 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:01:44.12 ID:TXYeokHa0
……恐らく、あの向こうに階段がある。
そう思い、彼女は部下達へと手信号を送る。

進むよ、と。

通路を進んでいき、曲がり角へと後数歩というとこまで近づく。
突如、黒い何かが視界を横切り、続いて赤い物が目の前に来た。
ディは、電気が走ったかのような速さでナイフを抜く。

逆手に構えて、頭上に差し出した刀身に、食らいつく物があった。

肉厚の無骨な刃だ。

ディの頭をかち割らんと振られたそれは、
防御の体勢で構えられたナイフに激突する。

甲高い澄み切った音が通路に響き、火花が散った。

装甲服の人工筋肉が、彼女にパワーアシストを与えている為、
斬撃の衝撃には耐えられるが、
手に残る振動だけはどうしようもない。

一歩を引き、強烈な一撃を受け切った刃をディは構えなおす。


10 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:03:44.16 ID:TXYeokHa0
(#゚;;-゚) 「強化骨格」

眼前に立つのは、黒い強化骨格を纏う、
短髪の赤毛の女性、ツーであった。

巨大なくの字に折れた刀身を持つ、
ククリマチェットを彼女は構えている。

(*゚∀゚) 「はっはー、よーく受け切ったなーお前」

笑みを浮かべて言うツーに対峙するディは、
腰を落とし、油断なく迎撃の構えをとっていく。

(*゚∀゚) 「おぉ、やる気かい? お仲間のとこに逃げなくて良いのかな?」

問いに、彼女は答えない。

息を整え、ツーの身体の動作の一つ一つを読み取り、
行動の予測をする。

(*゚∀゚) 「アタシとしては、引いて貰いたかったんだけどね。
     ……お前のような雑魚に構ってる暇はねーんだよ。
     亡国の鬼の相手をしたいんだ……失せろよ」

ディは、口を固く閉ざし、無言を返答にする。



12 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:05:11.18 ID:TXYeokHa0
(*-∀-) 「そうかい、そうかい。分かったよ。
      そこまでやりてーっつーんなら……」

すう、と息を吸い、目を閉じたツーを確認したディは、
隙ありと言わんばかりに刺突を放つ。

(*゚∀゚) 「とことんお前を解体してやんよ」

左胸を狙った刃の切っ先は、肉厚の刀身に防がれてしまう。

パッと目を見開いた彼女は、無造作に刃を振るい、
ディの胴を薙がんとする。

バックステップによる回避で刃をかわしたディは、
片手に構えたXM8で銃撃を行う。

近距離で放たれる弾丸をは避けられるはずもなく、
ツーは、巨大な刃で弾き落として見せた。
強化骨格のパワーアシストが成せる、常人離れした業。


14 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:06:16.75 ID:TXYeokHa0
銃を連射しながらディは距離を取るが、ある声が耳に入った。

「ディ少尉! 敵が後ろから迫っています!」

(#゚;;-゚) 「ちッ! 回り込まれた」

舌打ちをしながら後退をするが、
ほんの僅かに頭の中に入り込んできた雑念に、その動きが鈍ってしまう。

一拍にも満たない時間ではあるが、
強化骨格に身を包むツーにとっては充分に過ぎる隙である。

豹の如く俊敏な動きで、
ディの懐に飛び込んだ彼女は、
逆手に構えたククリマチェットを切り上げた。

腕を薙ごうとした刃に対し、ディは身を後ろに逸らすことで距離を取る。
切られはしなかったが、XM8が変わりに破壊されてしまう。

XM8に刃が叩きつけられた途端に、
それを手放すことで受ける衝撃は最小限に留める。
片手に持ったナイフを、肩に突き立てるようにして降ろす。

すると、ツーは一歩を前に蹴って後退。
腰のホルスターに収めたハンドガンをその隙に抜き、構える。


16 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:07:16.78 ID:TXYeokHa0
遅れて、隣の部屋から響く銃声をディは聞いた。

仲間達が戦っているのをその音で確認し、
次いで、彼女はツーの背後に控える兵士達を見た。

装甲服を纏い、曲がり角から半身を覗かせる彼等。

その中で、眼鏡を掛けたアサピーが苛立たしげに声を上げ、

(#-@∀@) 「ツー! 後退せんか!!
        そこに立たれては私達が撃てんではないか!!」

しかし、ツーは構いもせずに笑みを浮かべて、

(*゚∀゚) 「楽しいな」

弾んだ声で彼女は言う。

ディは、自分達が先程までいた部屋をちらりと見てから、
ツーへとハンドガンを突き付けて引き金を引く。

上半身を横に傾ける最小の動きで、ツーはそれを避けた。
次いで、部屋から半身を乗り出した兵士がXM8を放つが、
不意を打った筈の銃弾すらも彼女は避けてみせる。



18 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:08:33.92 ID:TXYeokHa0
直後、通路の奥から銃声が響き、兵士の肩に火花と血が散った。

「ぐっ……」

苦しげな呟きをした兵士は、
部屋の奥にいるはずの味方に引っぱられて行く。

……味方に迷惑が掛かるか。
内心にディは呟き、

……もしこの強化骨格が部屋の中に入れば、まずい。
と思考をする。

瞬きの間に考えをまとめたディは、判断を下す。

ハンドガンの銃口をツーへと向けて、連射をした。

易々と弾丸は弾かれてしまうが、その連射と共に彼女は接近。
ツーの胴目掛けて刺突を放ち、対するツーは軽く防ぐ。

しかし、腕を引いてもう一度突く。

肉厚の刀身に突き立った切っ先が金属音を立てた。
片手を伸ばして、そのまま至近からハンドガンの連射を行う。

顔面を目掛けて突き進む弾丸は、切り払われてしまう。
が、そのうち一発がツーの頬に黒い線を描いた。


20 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:09:59.72 ID:TXYeokHa0
黒い線。

人工血液の黒によって引かれる、黒の線だ。

(*゚∀゚) 「………ッ!」

息を呑むのと同時、
ツーは右足を伸ばしてディの脇を狙った蹴りを浴びせる。
彼女の足、軽装甲と布の防護繊維に覆われた、胴へ食らいつく。

腹部に痛みを感じたディは眉をしかめて、後退する。

ハンドガンの銃火を浴びせて、
ツーに防御行動をとらせ、
その隙に背を向けて全速力で距離をとっていく。

(*゚∀゚) 「ちっ、逃すとでも思ったのかよ!!」

舌打ちと共に、ツーは前傾姿勢を取って、
疾走の動きを作る。

前へと地面を力強く蹴って、駆ける。

強化骨格のパワーアシストが驚異的な速度を生み出すが、
人工筋肉の恩恵を受けているのは、ディも同じ。

性能こそは劣るが、
彼女はそれを慰めとして全力でこの場を離れていく。

味方のいるこの場から、強化骨格という強敵を遠ざける為に。


21 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:11:09.53 ID:TXYeokHa0
******

北方基地の司令室で、
モナーは戦闘を行う部隊へと指示を出していた。

現在、戦況はニーソク側が有利に進んでいる。

ドクオが突撃を行ったことにより、
敵の隊形が僅かに崩れ、前線に居る部隊は一気に押し倒して行き、
前線が攻勢に回ったことで、攻め入ってくる敵の数が減ったのだ。

そのおかげで、後方の部隊は敵の迎撃が容易となり、
守りに回していた分の戦力を攻撃に回し、
ニーソクは進撃を開始した。

攻守逆転である。

この状況に安堵の笑みを浮かべるモナーへと、通信が入る。

機械に映る画面には、
眉の垂れ下った頼りなさげな男の顔が映り、
その男はこう名乗った。

(´・ω・`) 「オオカミ軍特殊部隊“大神”の隊長。諸戊ショボンです。
      援軍に駆けつけました。杉浦ロマネスクの貴国への攻撃。
      上官に変わりお詫び申し上げます」

ショボンと名乗った男は、深く頭を下げてみせる。


23 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:11:54.18 ID:TXYeokHa0
( ´∀`) 「……君達には、オオカミにはこちらへの攻撃の意思はない、と?」

しかし、不審げにモナーは尋ねる。

無理もないだろう。

いきなりそんな突拍子もないことを言われても、
信憑性は薄く、すぐに信じられる者などそうはいない。

(´・ω・`) 「はい。現在、我が国ではクーデターが起きており、
      軍部が暴走しております。その鎮圧がなされるまで、
      正式な発表を行うのは難しいでしょうが、そちらへの攻撃の意思はありません」

淀みの無い言葉で淡々と彼は告げる。
モナーは目を瞑って、むう、と唸り、

( ´∀`) 「……これは誰が描いたシナリオモナ?」

疑いの問いを再び掛ける。

(´・ω・`) 「ロマネスクですよ」

短くショボンはそう応えて、


26 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:13:43.91 ID:TXYeokHa0

(´・ω・`) 「全て彼の独断専行」

(´・ω・`) 「ニューソク国解体戦争後の疲弊しきったオオカミ軍は、
      軍備を削られ、迷惑しているのです。
      オオカミは貴方達と戦うつもりはない」

もっとも、と付け加えたショボンは、

(´・ω・`) 「血迷った連中はそんなつもりのようですが」

気持の籠もらぬ言葉で言う彼に、

では、と繋げてモナーは問う。

( ´∀`) 「血迷ったのは彼らかモナ?それとも、君達モナ?」

否定の言葉でモナーに応え、

(´・ω・`) 「いいえ、血迷ったのは世界の方ですよ」

ショボンは断言してみせた。


27 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:14:27.17 ID:TXYeokHa0
******

奴が逃げていく。

アタシから距離を取って、
ハンドガンで弾幕を張って奴は後退していく。

……早くこいつをぶっ殺す。

その思いで、一気に接近する。
でも、奴はそれでもアタシのナイフから逃れて間合いを開く。

……誘き出されてるな。
誘導されてる事に、アタシは気付いている。
しかし、返ってこれは好都合である。

……こいつをぶっ殺した後、亡国の鬼が探しやすくなるからな。
単独行動を取る、良い口実だ。

あの裏切り者をアタシは殺さないといけない。

ニーソクに尻尾を振る奴をアタシは殺さないといけない。
そうでなければ、怒りが静まることは無いのだ。



30 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:15:09.66 ID:TXYeokHa0
許せない。

亡国の鬼も、ニーソクも許すことが出来ない。

ニューソクの仲間を殺したあいつらを、
許すわけにはいかない。

……邪魔くせえ。

アタシの相手は、お前じゃないんだ。

アタシは亡国の鬼とニーソクの兵士共を倒す為にここにいるんだ。

……邪魔だっつーの。

だからアタシは、敵へと一直線へと駆け抜けていった。
全力を以って、いち早く奴を排除する為に。

装甲服を纏った、オオカミの兵士へと襲いかかって行く。



32 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:16:51.68 ID:TXYeokHa0
******

艦内の通路に、銃声が響いた。

音の発信源はディの持つハンドガンである。

引き金を引き、弾丸が放たれるが、
敵に当たることは無い。

敵、ツーは肉厚のくの字に折れた刃を構えて、
ディへと接近していく。

首を捉えて斜めに振るう刃を、
ディはしゃがみ込むことで避けるが、
ツーは続いて空いた片手で腰のホルスターから、別のナイフを抜く。

小振りの刀身を小さく振るうことで、それはディの装甲服を切り裂いた。

(#;゚;;-゚) 「つ……ッ!」

腹部に走る微かな痛みに、声が漏れる。

反撃として刺突を放つが、ツーは肉厚の刃で防ぐ。

金属音が通路に響き、地面を前へ蹴って後退の動きを作る。
それと共に、ハンドガンを放つ。


34 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:17:56.20 ID:TXYeokHa0

右肩に火花が弾けて、衝撃を感じたツーは、

(*#゚∀゚) 「テメー、とっととおっ死ねよ!!
      亡国の鬼をアタシに殺させろよ! 邪魔すんじゃねー!!」

怒声を張り上げて小振りのナイフを放った。

ディは軽く上体を逸らして避け、
もう一度弾を放とうと引き金を引くが、
弾丸が銃口から吐き出されることは無い。

スライドするはずの銃身は、後ろへと伸び切っており、
上部から覗くマガジンには弾が詰まっていなかった。

……弾切れ。

内心に呟き、ディはハンドガンをしまい、
ナイフを構えた右腕を前にして姿勢を取る。

目前へと肉薄してきたツーは、巨大な刃を頭上から振り落とす。

振られてきた刃をディは受け止め、往なし、
ツーは更に攻め立て、突き、薙ぐ。


36 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:19:51.89 ID:TXYeokHa0
高速で行われる連撃は、ディを押していく。

一歩ずつ後ろへと下がって行き、
反撃を行えないまま押されてしまうディ。

ツーの猛攻の最中、彼女は隙を探そうとするが、
大振りのナイフの攻撃の嵐を防ぐことで手一杯だ。

(#゚;;-゚) 「……ッ!」

押し切られ、通路にある壁へと背が付いてしまう。
もはや、後ろに下がることは出来ない。

(*#゚∀゚) 「おおぉぉぉらああああぁぁぁぁぁッ!」

後ろへと手一杯引かれたククリマチェットを、
彼女は、渾身の力を込めてディへと叩き込む。

最高速度を以って放たれる突き。

ディの喉元へと向けて放たれたそれは、
彼女の首のすぐ傍に突き立った。


37 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:20:33.75 ID:TXYeokHa0
首を逸らすことで、何とかかわしてみせたディ。

しかし、

(*゚∀゚) 「アヒャッ!!」

彼女にもう後は無い。

狂人の笑みを浮かべるツーは、
ディのすぐ傍に突き立つ、己のナイフに手を掛ける。

先程放った、小振りのナイフだ。

壁に刺さったそれを引き抜き、手首を返して一閃。

左からの横薙ぎ。

同時に、反対側に突き立ったククリマチェットを抜き、
ディの首を挟み込むようにして切り裂く。


39 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:22:30.89 ID:TXYeokHa0
双刃は、互いの刀身を打った。

(*゚∀゚) 「……ッ!」

振られた空間に首は無く、二つのナイフ身を震わせる。
双刃を振るった、その一瞬の隙を突き、
ディは、ツーの懐へと入り込んでいた。

前にのめり込むような体勢をしたツーの懐は、ガラ空きである。
だから、ディはそこへと飛び込む。

そして、逆手に構えた刃を、彼女の顎へと叩き込んだ。

(* ∀ ) 「ぐぉ……ッ!」

断末魔が空しく響き、黒い血液がディを濡らす。

ナイフの切っ先に顎を突き破られ、脳を貫かれたツーは、
苦しみの表情を見せずに、笑みを浮かべて倒れていった。

ディは、無感動な瞳で満面の笑みを死に顔にしたツーを一瞥し、
ロマネスクがいるはずである、艦橋へと単独で向かっていく。


40 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:24:30.50 ID:TXYeokHa0
******

兵士達が道を塞ぐ通路を、進んでいく者がある。

ボロボロの濃緑色のコートを翻し、
黒の強化骨格に白い血液を滴らせた彼は、ドクオだ。

傷だらけの身体で細長いバトルアックスを構え、
装甲服を着た兵士へ袈裟がけに振るう。

肩に食らいついた湾曲した刃は、
装甲服の装甲ごと身を切り裂いた。

踏み込み、敵の群の中に飛び込んで、
身を独楽のように回転させて360度の範囲に振るう。

ドクオを囲んだ兵士達の胴が薙ぎ払われた。

空中に血の瀑布が上がって行き、
通路が赤く塗られていく。


41 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:25:20.11 ID:TXYeokHa0

前進し、艦橋へと走る。

立ちはだかる敵は次々に雑木のように切り倒されていく。

デウス・エクス・マキーナの兵士達に溢れた通路は、
次第に真っ更になって行った。

一歩を踏み込み、進む。

血の滴るバトルアックスを構えたドクオは、
艦橋へと繋がるドアの前に辿り着く。

湾曲した巨大な刃を振りかぶり、ドアを破壊。

内部へと侵入したその先には、ロマネスクが立っていた。

六角形をした広い室内の中央に堂々と立ち、
重厚な装甲を備えた、甲冑のような装甲服を身に纏う彼は、
こちらへとゆっくり振り返る。

視線を送り、口の端を歪めて、



43 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:26:34.95 ID:TXYeokHa0
( ФωФ) 「デウス・エクス・マキーナへようこそ」

両の手を広げて、ドクオを出迎えるようにそう言った。

('A`) 「はっ……」

溜息を吐いてドクオは彼と対峙する。

('A`) 「たったこれだけの人数でニーソクを落とすつもりだったのか?」

疑問符で浮かべる彼に、ロマネスクは薄笑いを浮かべて、
艦橋内に響きわたる声で答えた。

( ФωФ) 「もちろん」

と、短く、自信の籠もった強く張りのある声。

( ФωФ) 「貴様こそ、死にかけの人工筋肉で、
        摩耗しきった人工筋肉で我々を倒すつもりであったのかね?」

ロマネスクの返す言葉は、問いだ。
ドクオは、無表情で答える。


44 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:30:22.35 ID:TXYeokHa0
('A`) 「もちろん」

と、短く、自信の籠もった強く張りのある声。

( ФωФ) 「我々はやってきた」

( ФωФ) 「貴様を倒す為に、
        ニューソクの残滓を掻き消す為に、
        ニーソクを崩壊させる為に!
        新たなる軍事大国の建国の為に!!
        我々の祖国の為に!!」

( ФωФ) 「その意志に相違はなく、
        打算は無く、皆全力を挙げて貴様らを打倒しにやって来た」

( ФωФ) 「手抜かりなどは一切なく、我輩は、
        我々は一切の抜かりなく用意を進め、駒を進めてきた」



46 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:32:47.08 ID:TXYeokHa0

( ФωФ) 「状況は進み、戦場は進み、貴様等は進み、我等は進んだ」

( ФωФ) 「後は、終えるのみ。ぶつかり合い、
        相手を打倒し戦場に終止符を打つ権利を得るのみだ」

笑みを消して、鋭い視線をドクオに浴びせて、
己の戦意を言葉にして相手へとぶつける。

静かに、身体の奥へと響いていく声。

( ФωФ) 「戦争を、杉浦ロマネスクの戦争を、始めるぞ!」

弾丸の如く鋭い言葉をドクオに放ち、
ロマネスクは踏み込んでいく。


        オオカミを、祖国を思う愛国者と、
            
       ニューソクを、亡国を想う裏切り者の、
                  
            戦争が始まった。


49 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:35:37.14 ID:TXYeokHa0
ACが分からない人はついてこられないおまけ

******

(#゚;;-゚) 「レイテルパラッシュ、ウィン・“ディ”・ファンションだ」
             ○
           。゚
        ('∀`) 「なんつってwwwなんつってwwww」            

川 ゚ -゚) 「そんな妄想でそこまで楽しめるとは、愉快な男だなお前は」

('A`) 「しぃもでぃもアルファベットから名前着てるからな」

川 ゚ -゚) 「つーは?」

('A`) 「2、じゃね?」

川 ゚ -゚) 「おい、それじゃあ“に”だろ」

('A`) 「いや、だから2なんじゃないかな?って」

川 ゚ -゚) 「だから、“に”とつーがどう関係あるというんだ?」

('A`) 「……もういいわ、でも、ディがウィンディーってのはあり得ないな」

川 ゚ -゚) 「ほう、何故だ?」

('A`) 「ウィンディーは作者の中でワンダフルボディーだから。
    ディのようなイクバールフレームのボディじゃウィンディーに相応しくない」


51 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:37:28.87 ID:TXYeokHa0
(#゚;;-゚) 「つまり私は貧相な身体をしている、ってこと?」

('A`) 「そういうことだなー」

('A`;) 「って……あれれー? 俺の後ろにコジマキャノンを構えたディさんがいるよー」

(#゚;;-゚) 「はしゃぎ過ぎたな、自動人形」

('A`;) 「待ってくれ。降参だ!
     俺は作者に言わされただけなんだ。あいつがいなけりゃ、戦う意味もない」
     
('A`;) 「それに、あんたは大体貧乳のイメージで通ってる!
     ノーカウントだ、ノーカウント!!
     な、分かるだろう? 同じ一行AAじゃないか」

(#゚;;-゚) 「殉ずるがいい。己の答えに」

(゚A゚;) 「マジかよぉ……夢なら覚めてくれ!!」

(#゚;;-゚) 「裏切られることなど、貧乳の常とは言え……。
     今、この瞬間は…貧乳こそが全てだ! 私を超えてみろ!!」

川 ゚ -゚) 「小さな存在だな……(バスト的に)」



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Author:ボーコク
最近ブーン系に出戻って、現在は少女は戦争犬という作品をVIPで書いてます。MGSとACが大好物。ブーン系の自作品まとめや感想、自作品語りと近況報告をしていこうと思っていますので、よろしく!

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