2 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 21:58:09.50 ID:TXYeokHa0
奴が来た。
アタシらの国を裏切った、奴が来た。
朽ち果て掛けた人工筋肉を無理やりに動かして、
ズタボロになりながらも奴は向かってきた。
奴が憎い。
奴が許せない。
ニューソクを裏切り、必死に生き延びようとする敗残兵を、
同じ国の仲間であるというのに殺す、
あの亡国の鬼が許せない。
今、アタシの殺意は全て奴へと向けられている。
奴を殺す為にアタシはここに立っている。
シィナ・T・ツーとしてこの戦場に立っている。
……オオカミの兵士達と共に。
いけすかないあの裏切り者を殺す。
ただ、あの男との一戦へと臨む為だけに、アタシは行く。
亡国の兵士として、ニューソクの名を貶めるあの男の下へと。
3 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 21:58:58.72 ID:TXYeokHa0
('A`) ドクオは亡国の兵士のようです
第11話 名誉ある愛国者にして独裁者
5 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 21:59:49.63 ID:TXYeokHa0
******
戦艦の内部に侵入した、ディの率いる大神部隊は通路を進んでいく。
手早く敵兵士を排除して、着々と奥へと、先へ先へと進む。
軍靴で地面を鳴らす濃緑の装甲服の兵士達は、
黒の装甲服を纏う兵士達へと銃を向け、引き金を引く。
倒し、通路に敵が倒れていき、死体となって転がる。
その数を増やしていくそれを尻目に、
大神部隊は艦橋へと向かう。
通路を進み、広い部屋を通過して別の通路へと侵入する。
(#゚;;-゚) 「……ッ!」
突如、ディは一歩を下がっていく。
すると、開いた鉄の扉に火花が爆ぜた。
敵が待ち構えていたのだ。
6 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:00:39.83 ID:TXYeokHa0
右から飛んでくる弾丸から敵の位置を割り出した彼女は、
右手に手の平大の球体を握り、上部に付いたピンを抜く。
手首を返して回転の掛けられた軌道を描く球体が、
通路の床に転がって、コロンと小気味の良い音を立てる。
兵士達の足もとに転げたそれは、手榴弾であった。
兵士達が反応するよりも早く、爆発。
衝撃波が艦内に走り、壁に振動が伝わるのをディは感じた。
ディは半身を部屋から乗り出し、
敵がいた筈の方向へと銃を向ける。
突撃銃、XM8を。
その銃口の先、敵らしき人影は無い。
通路が視界の先へと延びていき、奥には左への迂回路があるのが分かる。
ディは、その迂回路がどこへと続いているのか、予測を立てた。
7 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:01:44.12 ID:TXYeokHa0
……恐らく、あの向こうに階段がある。
そう思い、彼女は部下達へと手信号を送る。
進むよ、と。
通路を進んでいき、曲がり角へと後数歩というとこまで近づく。
突如、黒い何かが視界を横切り、続いて赤い物が目の前に来た。
ディは、電気が走ったかのような速さでナイフを抜く。
逆手に構えて、頭上に差し出した刀身に、食らいつく物があった。
肉厚の無骨な刃だ。
ディの頭をかち割らんと振られたそれは、
防御の体勢で構えられたナイフに激突する。
甲高い澄み切った音が通路に響き、火花が散った。
装甲服の人工筋肉が、彼女にパワーアシストを与えている為、
斬撃の衝撃には耐えられるが、
手に残る振動だけはどうしようもない。
一歩を引き、強烈な一撃を受け切った刃をディは構えなおす。
10 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:03:44.16 ID:TXYeokHa0
(#゚;;-゚) 「強化骨格」
眼前に立つのは、黒い強化骨格を纏う、
短髪の赤毛の女性、ツーであった。
巨大なくの字に折れた刀身を持つ、
ククリマチェットを彼女は構えている。
(*゚∀゚) 「はっはー、よーく受け切ったなーお前」
笑みを浮かべて言うツーに対峙するディは、
腰を落とし、油断なく迎撃の構えをとっていく。
(*゚∀゚) 「おぉ、やる気かい? お仲間のとこに逃げなくて良いのかな?」
問いに、彼女は答えない。
息を整え、ツーの身体の動作の一つ一つを読み取り、
行動の予測をする。
(*゚∀゚) 「アタシとしては、引いて貰いたかったんだけどね。
……お前のような雑魚に構ってる暇はねーんだよ。
亡国の鬼の相手をしたいんだ……失せろよ」
ディは、口を固く閉ざし、無言を返答にする。
12 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:05:11.18 ID:TXYeokHa0
(*-∀-) 「そうかい、そうかい。分かったよ。
そこまでやりてーっつーんなら……」
すう、と息を吸い、目を閉じたツーを確認したディは、
隙ありと言わんばかりに刺突を放つ。
(*゚∀゚) 「とことんお前を解体してやんよ」
左胸を狙った刃の切っ先は、肉厚の刀身に防がれてしまう。
パッと目を見開いた彼女は、無造作に刃を振るい、
ディの胴を薙がんとする。
バックステップによる回避で刃をかわしたディは、
片手に構えたXM8で銃撃を行う。
近距離で放たれる弾丸をは避けられるはずもなく、
ツーは、巨大な刃で弾き落として見せた。
強化骨格のパワーアシストが成せる、常人離れした業。
14 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:06:16.75 ID:TXYeokHa0
銃を連射しながらディは距離を取るが、ある声が耳に入った。
「ディ少尉! 敵が後ろから迫っています!」
(#゚;;-゚) 「ちッ! 回り込まれた」
舌打ちをしながら後退をするが、
ほんの僅かに頭の中に入り込んできた雑念に、その動きが鈍ってしまう。
一拍にも満たない時間ではあるが、
強化骨格に身を包むツーにとっては充分に過ぎる隙である。
豹の如く俊敏な動きで、
ディの懐に飛び込んだ彼女は、
逆手に構えたククリマチェットを切り上げた。
腕を薙ごうとした刃に対し、ディは身を後ろに逸らすことで距離を取る。
切られはしなかったが、XM8が変わりに破壊されてしまう。
XM8に刃が叩きつけられた途端に、
それを手放すことで受ける衝撃は最小限に留める。
片手に持ったナイフを、肩に突き立てるようにして降ろす。
すると、ツーは一歩を前に蹴って後退。
腰のホルスターに収めたハンドガンをその隙に抜き、構える。
16 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:07:16.78 ID:TXYeokHa0
遅れて、隣の部屋から響く銃声をディは聞いた。
仲間達が戦っているのをその音で確認し、
次いで、彼女はツーの背後に控える兵士達を見た。
装甲服を纏い、曲がり角から半身を覗かせる彼等。
その中で、眼鏡を掛けたアサピーが苛立たしげに声を上げ、
(#-@∀@) 「ツー! 後退せんか!!
そこに立たれては私達が撃てんではないか!!」
しかし、ツーは構いもせずに笑みを浮かべて、
(*゚∀゚) 「楽しいな」
弾んだ声で彼女は言う。
ディは、自分達が先程までいた部屋をちらりと見てから、
ツーへとハンドガンを突き付けて引き金を引く。
上半身を横に傾ける最小の動きで、ツーはそれを避けた。
次いで、部屋から半身を乗り出した兵士がXM8を放つが、
不意を打った筈の銃弾すらも彼女は避けてみせる。
18 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:08:33.92 ID:TXYeokHa0
直後、通路の奥から銃声が響き、兵士の肩に火花と血が散った。
「ぐっ……」
苦しげな呟きをした兵士は、
部屋の奥にいるはずの味方に引っぱられて行く。
……味方に迷惑が掛かるか。
内心にディは呟き、
……もしこの強化骨格が部屋の中に入れば、まずい。
と思考をする。
瞬きの間に考えをまとめたディは、判断を下す。
ハンドガンの銃口をツーへと向けて、連射をした。
易々と弾丸は弾かれてしまうが、その連射と共に彼女は接近。
ツーの胴目掛けて刺突を放ち、対するツーは軽く防ぐ。
しかし、腕を引いてもう一度突く。
肉厚の刀身に突き立った切っ先が金属音を立てた。
片手を伸ばして、そのまま至近からハンドガンの連射を行う。
顔面を目掛けて突き進む弾丸は、切り払われてしまう。
が、そのうち一発がツーの頬に黒い線を描いた。
20 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:09:59.72 ID:TXYeokHa0
黒い線。
人工血液の黒によって引かれる、黒の線だ。
(*゚∀゚) 「………ッ!」
息を呑むのと同時、
ツーは右足を伸ばしてディの脇を狙った蹴りを浴びせる。
彼女の足、軽装甲と布の防護繊維に覆われた、胴へ食らいつく。
腹部に痛みを感じたディは眉をしかめて、後退する。
ハンドガンの銃火を浴びせて、
ツーに防御行動をとらせ、
その隙に背を向けて全速力で距離をとっていく。
(*゚∀゚) 「ちっ、逃すとでも思ったのかよ!!」
舌打ちと共に、ツーは前傾姿勢を取って、
疾走の動きを作る。
前へと地面を力強く蹴って、駆ける。
強化骨格のパワーアシストが驚異的な速度を生み出すが、
人工筋肉の恩恵を受けているのは、ディも同じ。
性能こそは劣るが、
彼女はそれを慰めとして全力でこの場を離れていく。
味方のいるこの場から、強化骨格という強敵を遠ざける為に。
21 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:11:09.53 ID:TXYeokHa0
******
北方基地の司令室で、
モナーは戦闘を行う部隊へと指示を出していた。
現在、戦況はニーソク側が有利に進んでいる。
ドクオが突撃を行ったことにより、
敵の隊形が僅かに崩れ、前線に居る部隊は一気に押し倒して行き、
前線が攻勢に回ったことで、攻め入ってくる敵の数が減ったのだ。
そのおかげで、後方の部隊は敵の迎撃が容易となり、
守りに回していた分の戦力を攻撃に回し、
ニーソクは進撃を開始した。
攻守逆転である。
この状況に安堵の笑みを浮かべるモナーへと、通信が入る。
機械に映る画面には、
眉の垂れ下った頼りなさげな男の顔が映り、
その男はこう名乗った。
(´・ω・`) 「オオカミ軍特殊部隊“大神”の隊長。諸戊ショボンです。
援軍に駆けつけました。杉浦ロマネスクの貴国への攻撃。
上官に変わりお詫び申し上げます」
ショボンと名乗った男は、深く頭を下げてみせる。
23 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:11:54.18 ID:TXYeokHa0
( ´∀`) 「……君達には、オオカミにはこちらへの攻撃の意思はない、と?」
しかし、不審げにモナーは尋ねる。
無理もないだろう。
いきなりそんな突拍子もないことを言われても、
信憑性は薄く、すぐに信じられる者などそうはいない。
(´・ω・`) 「はい。現在、我が国ではクーデターが起きており、
軍部が暴走しております。その鎮圧がなされるまで、
正式な発表を行うのは難しいでしょうが、そちらへの攻撃の意思はありません」
淀みの無い言葉で淡々と彼は告げる。
モナーは目を瞑って、むう、と唸り、
( ´∀`) 「……これは誰が描いたシナリオモナ?」
疑いの問いを再び掛ける。
(´・ω・`) 「ロマネスクですよ」
短くショボンはそう応えて、
26 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:13:43.91 ID:TXYeokHa0
(´・ω・`) 「全て彼の独断専行」
(´・ω・`) 「ニューソク国解体戦争後の疲弊しきったオオカミ軍は、
軍備を削られ、迷惑しているのです。
オオカミは貴方達と戦うつもりはない」
もっとも、と付け加えたショボンは、
(´・ω・`) 「血迷った連中はそんなつもりのようですが」
気持の籠もらぬ言葉で言う彼に、
では、と繋げてモナーは問う。
( ´∀`) 「血迷ったのは彼らかモナ?それとも、君達モナ?」
否定の言葉でモナーに応え、
(´・ω・`) 「いいえ、血迷ったのは世界の方ですよ」
ショボンは断言してみせた。
27 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:14:27.17 ID:TXYeokHa0
******
奴が逃げていく。
アタシから距離を取って、
ハンドガンで弾幕を張って奴は後退していく。
……早くこいつをぶっ殺す。
その思いで、一気に接近する。
でも、奴はそれでもアタシのナイフから逃れて間合いを開く。
……誘き出されてるな。
誘導されてる事に、アタシは気付いている。
しかし、返ってこれは好都合である。
……こいつをぶっ殺した後、亡国の鬼が探しやすくなるからな。
単独行動を取る、良い口実だ。
あの裏切り者をアタシは殺さないといけない。
ニーソクに尻尾を振る奴をアタシは殺さないといけない。
そうでなければ、怒りが静まることは無いのだ。
30 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:15:09.66 ID:TXYeokHa0
許せない。
亡国の鬼も、ニーソクも許すことが出来ない。
ニューソクの仲間を殺したあいつらを、
許すわけにはいかない。
……邪魔くせえ。
アタシの相手は、お前じゃないんだ。
アタシは亡国の鬼とニーソクの兵士共を倒す為にここにいるんだ。
……邪魔だっつーの。
だからアタシは、敵へと一直線へと駆け抜けていった。
全力を以って、いち早く奴を排除する為に。
装甲服を纏った、オオカミの兵士へと襲いかかって行く。
32 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:16:51.68 ID:TXYeokHa0
******
艦内の通路に、銃声が響いた。
音の発信源はディの持つハンドガンである。
引き金を引き、弾丸が放たれるが、
敵に当たることは無い。
敵、ツーは肉厚のくの字に折れた刃を構えて、
ディへと接近していく。
首を捉えて斜めに振るう刃を、
ディはしゃがみ込むことで避けるが、
ツーは続いて空いた片手で腰のホルスターから、別のナイフを抜く。
小振りの刀身を小さく振るうことで、それはディの装甲服を切り裂いた。
(#;゚;;-゚) 「つ……ッ!」
腹部に走る微かな痛みに、声が漏れる。
反撃として刺突を放つが、ツーは肉厚の刃で防ぐ。
金属音が通路に響き、地面を前へ蹴って後退の動きを作る。
それと共に、ハンドガンを放つ。
34 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:17:56.20 ID:TXYeokHa0
右肩に火花が弾けて、衝撃を感じたツーは、
(*#゚∀゚) 「テメー、とっととおっ死ねよ!!
亡国の鬼をアタシに殺させろよ! 邪魔すんじゃねー!!」
怒声を張り上げて小振りのナイフを放った。
ディは軽く上体を逸らして避け、
もう一度弾を放とうと引き金を引くが、
弾丸が銃口から吐き出されることは無い。
スライドするはずの銃身は、後ろへと伸び切っており、
上部から覗くマガジンには弾が詰まっていなかった。
……弾切れ。
内心に呟き、ディはハンドガンをしまい、
ナイフを構えた右腕を前にして姿勢を取る。
目前へと肉薄してきたツーは、巨大な刃を頭上から振り落とす。
振られてきた刃をディは受け止め、往なし、
ツーは更に攻め立て、突き、薙ぐ。
36 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:19:51.89 ID:TXYeokHa0
高速で行われる連撃は、ディを押していく。
一歩ずつ後ろへと下がって行き、
反撃を行えないまま押されてしまうディ。
ツーの猛攻の最中、彼女は隙を探そうとするが、
大振りのナイフの攻撃の嵐を防ぐことで手一杯だ。
(#゚;;-゚) 「……ッ!」
押し切られ、通路にある壁へと背が付いてしまう。
もはや、後ろに下がることは出来ない。
(*#゚∀゚) 「おおぉぉぉらああああぁぁぁぁぁッ!」
後ろへと手一杯引かれたククリマチェットを、
彼女は、渾身の力を込めてディへと叩き込む。
最高速度を以って放たれる突き。
ディの喉元へと向けて放たれたそれは、
彼女の首のすぐ傍に突き立った。
37 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:20:33.75 ID:TXYeokHa0
首を逸らすことで、何とかかわしてみせたディ。
しかし、
(*゚∀゚) 「アヒャッ!!」
彼女にもう後は無い。
狂人の笑みを浮かべるツーは、
ディのすぐ傍に突き立つ、己のナイフに手を掛ける。
先程放った、小振りのナイフだ。
壁に刺さったそれを引き抜き、手首を返して一閃。
左からの横薙ぎ。
同時に、反対側に突き立ったククリマチェットを抜き、
ディの首を挟み込むようにして切り裂く。
39 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:22:30.89 ID:TXYeokHa0
双刃は、互いの刀身を打った。
(*゚∀゚) 「……ッ!」
振られた空間に首は無く、二つのナイフ身を震わせる。
双刃を振るった、その一瞬の隙を突き、
ディは、ツーの懐へと入り込んでいた。
前にのめり込むような体勢をしたツーの懐は、ガラ空きである。
だから、ディはそこへと飛び込む。
そして、逆手に構えた刃を、彼女の顎へと叩き込んだ。
(* ∀ ) 「ぐぉ……ッ!」
断末魔が空しく響き、黒い血液がディを濡らす。
ナイフの切っ先に顎を突き破られ、脳を貫かれたツーは、
苦しみの表情を見せずに、笑みを浮かべて倒れていった。
ディは、無感動な瞳で満面の笑みを死に顔にしたツーを一瞥し、
ロマネスクがいるはずである、艦橋へと単独で向かっていく。
40 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:24:30.50 ID:TXYeokHa0
******
兵士達が道を塞ぐ通路を、進んでいく者がある。
ボロボロの濃緑色のコートを翻し、
黒の強化骨格に白い血液を滴らせた彼は、ドクオだ。
傷だらけの身体で細長いバトルアックスを構え、
装甲服を着た兵士へ袈裟がけに振るう。
肩に食らいついた湾曲した刃は、
装甲服の装甲ごと身を切り裂いた。
踏み込み、敵の群の中に飛び込んで、
身を独楽のように回転させて360度の範囲に振るう。
ドクオを囲んだ兵士達の胴が薙ぎ払われた。
空中に血の瀑布が上がって行き、
通路が赤く塗られていく。
41 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:25:20.11 ID:TXYeokHa0
前進し、艦橋へと走る。
立ちはだかる敵は次々に雑木のように切り倒されていく。
デウス・エクス・マキーナの兵士達に溢れた通路は、
次第に真っ更になって行った。
一歩を踏み込み、進む。
血の滴るバトルアックスを構えたドクオは、
艦橋へと繋がるドアの前に辿り着く。
湾曲した巨大な刃を振りかぶり、ドアを破壊。
内部へと侵入したその先には、ロマネスクが立っていた。
六角形をした広い室内の中央に堂々と立ち、
重厚な装甲を備えた、甲冑のような装甲服を身に纏う彼は、
こちらへとゆっくり振り返る。
視線を送り、口の端を歪めて、
43 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:26:34.95 ID:TXYeokHa0
( ФωФ) 「デウス・エクス・マキーナへようこそ」
両の手を広げて、ドクオを出迎えるようにそう言った。
('A`) 「はっ……」
溜息を吐いてドクオは彼と対峙する。
('A`) 「たったこれだけの人数でニーソクを落とすつもりだったのか?」
疑問符で浮かべる彼に、ロマネスクは薄笑いを浮かべて、
艦橋内に響きわたる声で答えた。
( ФωФ) 「もちろん」
と、短く、自信の籠もった強く張りのある声。
( ФωФ) 「貴様こそ、死にかけの人工筋肉で、
摩耗しきった人工筋肉で我々を倒すつもりであったのかね?」
ロマネスクの返す言葉は、問いだ。
ドクオは、無表情で答える。
44 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:30:22.35 ID:TXYeokHa0
('A`) 「もちろん」
と、短く、自信の籠もった強く張りのある声。
( ФωФ) 「我々はやってきた」
( ФωФ) 「貴様を倒す為に、
ニューソクの残滓を掻き消す為に、
ニーソクを崩壊させる為に!
新たなる軍事大国の建国の為に!!
我々の祖国の為に!!」
( ФωФ) 「その意志に相違はなく、
打算は無く、皆全力を挙げて貴様らを打倒しにやって来た」
( ФωФ) 「手抜かりなどは一切なく、我輩は、
我々は一切の抜かりなく用意を進め、駒を進めてきた」
46 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:32:47.08 ID:TXYeokHa0
( ФωФ) 「状況は進み、戦場は進み、貴様等は進み、我等は進んだ」
( ФωФ) 「後は、終えるのみ。ぶつかり合い、
相手を打倒し戦場に終止符を打つ権利を得るのみだ」
笑みを消して、鋭い視線をドクオに浴びせて、
己の戦意を言葉にして相手へとぶつける。
静かに、身体の奥へと響いていく声。
( ФωФ) 「戦争を、杉浦ロマネスクの戦争を、始めるぞ!」
弾丸の如く鋭い言葉をドクオに放ち、
ロマネスクは踏み込んでいく。
オオカミを、祖国を思う愛国者と、
ニューソクを、亡国を想う裏切り者の、
戦争が始まった。
49 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:35:37.14 ID:TXYeokHa0
ACが分からない人はついてこられないおまけ
******
(#゚;;-゚) 「レイテルパラッシュ、ウィン・“ディ”・ファンションだ」
○
。゚
('∀`) 「なんつってwwwなんつってwwww」
川 ゚ -゚) 「そんな妄想でそこまで楽しめるとは、愉快な男だなお前は」
('A`) 「しぃもでぃもアルファベットから名前着てるからな」
川 ゚ -゚) 「つーは?」
('A`) 「2、じゃね?」
川 ゚ -゚) 「おい、それじゃあ“に”だろ」
('A`) 「いや、だから2なんじゃないかな?って」
川 ゚ -゚) 「だから、“に”とつーがどう関係あるというんだ?」
('A`) 「……もういいわ、でも、ディがウィンディーってのはあり得ないな」
川 ゚ -゚) 「ほう、何故だ?」
('A`) 「ウィンディーは作者の中でワンダフルボディーだから。
ディのようなイクバールフレームのボディじゃウィンディーに相応しくない」
51 : ◆K8iifs2jk6 :2009/07/28(火) 22:37:28.87 ID:TXYeokHa0
(#゚;;-゚) 「つまり私は貧相な身体をしている、ってこと?」
('A`) 「そういうことだなー」
('A`;) 「って……あれれー? 俺の後ろにコジマキャノンを構えたディさんがいるよー」
(#゚;;-゚) 「はしゃぎ過ぎたな、自動人形」
('A`;) 「待ってくれ。降参だ!
俺は作者に言わされただけなんだ。あいつがいなけりゃ、戦う意味もない」
('A`;) 「それに、あんたは大体貧乳のイメージで通ってる!
ノーカウントだ、ノーカウント!!
な、分かるだろう? 同じ一行AAじゃないか」
(#゚;;-゚) 「殉ずるがいい。己の答えに」
(゚A゚;) 「マジかよぉ……夢なら覚めてくれ!!」
(#゚;;-゚) 「裏切られることなど、貧乳の常とは言え……。
今、この瞬間は…貧乳こそが全てだ! 私を超えてみろ!!」
川 ゚ -゚) 「小さな存在だな……(バスト的に)」
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- 2011/10/06(木) 14:22:00|
- 自作品まとめ
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