ブーン系男子の雑記◆K8iifs2jk6

ブーン系を書いている◆K8iifs2jk6の雑記。 自作品まとめたり読んだブーン系の感想書いたり雑記書いたり、色々やりたいと思ってます。

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('A`) ドクオは亡国の兵士のようです エピローグ



         ('A`) ドクオは亡国の兵士のようです


              エピローグ  
 

              国境を越えて
            
            ―――兵士二人の黄昏―――





155 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/09(日) 01:53:48.47 ID:Bj3ZqGDy0
エピローグ

******

ニューソク軍の残党が全戦力を投入して、
ニーソク軍中央基地を襲撃した事件から3ヵ月が経った。

川 ゚ -゚) 「………」

素直クールは、中央基地の通路に軍靴の音を響かせ、歩いていた。

無表情に、美しい黒の長髪を揺らして進む彼女の瞳は、
何時も通り鋭い。だが、その下は黒く染まっており、
隈が出来ているようであった。

クールの切れ長の瞳は、目的地を捉えている。

医務室。

ドクオの強化骨格の修理に使っていた、一室だ。
彼女はドアを開けてそこへと入って行く。

この部屋の常連であったドクオは、
やはり、何時も通りに機械のベッドの上で眠っていた。

しかし、以前とは違うところがある。

ドクオの身体が包帯まみれで、左腕は既に無く、
焼かれた右目には包帯で覆われていた。
人工血液の透析機の上で眠る、隻眼隻腕の彼はクールの方を振り向こうとしない。


156 名前:VIPがお送りします[sage]:2009/08/09(日) 01:56:02.75 ID:LXTyxnUYO
否、振り向けない。

生体式人工筋肉が完全に死滅してしまった彼は、
身動きはおろか、寝返りすら満足に打つことも出来ないのだ。

(/A`) 「今日も来たのか」

視線を天井に向けたまま、ドクオはクールへと声を掛ける。

川 ゚ -゚) 「出来る限り毎日来るつもりだ。
      私の所為でお前はそんなザマになっているのだからな」

(/A`) 「ちょっと顔出すだけとかなら、来なくてもいいよ。仕事の邪魔だろうし」

川 ゚ -゚) 「いや、今日は紹介したい子がいてな」

(/A`) 「紹介?」

疑問符を浮かべ、彼は首を曲げて何とかクールの方を振り向く。

川 ゚ -゚) 「入ってきてもいいぞ、トソン」

クールがそう言うと、女性らしい柔らかい顔立ちをした軍服姿が入室してくる。

(゚、゚トソン 「失礼します。ドクオさん。私のことを覚えていますか?」

尋ねられるが、ドクオは面識はないな、と思う。
しかし、この聞きやすい高い声には、聞き覚えがあった。


159 名前: ◆K8iifs2jk6 [sage]:2009/08/09(日) 01:57:30.89 ID:LXTyxnUYO
?と言った顔をドクオがしていると、

(゚、゚トソン 「あなたが食事に誘ったオペレーターですよ」

(/A`) 「あぁ、あの時のね」

(゚、゚トソン 「ドクオさん。やはり考えなおしたのですが、
      お怪我が完治したら、私とお食事にでも行ってもらえませんか?」

誘いに、ドクオは残った左目を丸くして驚く。

Σ(/A`;) 「えっ、いいの!?」

(/∀`) (ギコ! 俺にも恋人が出来るかもしれないぞ!)

頭の中でガッツポーズを取って、ドクオは喜んだ。

(゚、゚トソン 「考えなおしたんですけど、ドクオさんは良い方だとクー大尉もおっしゃってましたし、
      少しあなたの事を知ってからでも遅くはないのでは、と思いまして」

(゚、゚トソン 「ですから……よろしくお願いします」

(/A`;) 「あ、えぇ。こちらこそ」

しどろもどろにそう返すドクオに、トソンは笑みを作る。

(゚ー ゚トソン 「ありがとうございます。やはり、男同士なら居酒屋が良いですかね?」


160 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/09(日) 01:59:12.88 ID:LXTyxnUYO
(/A`) 「え?」

思わず、ドクオは間抜けな声を漏らした。
トソンの言った言葉が、理解できなかったのだ。

(/A`) 「男?」

ドクオの問いに、トソンは不思議そうな顔をして、

(゚、゚トソン 「男ですが?」

(/A`) 「………」

ドクオは、トソンの顔を見て、それからクールの顔を見た。
視線に気付いた彼女は、

川 ゚ -゚) 「所謂、男の娘という奴だ」

(/A゚;) 「帰って貰え!!」

(゚、゚;トソン 「何故ですか!?」

二人が、声を張り上げた。

(゚、゚;トソン 「貴方からのお誘いじゃありませんでしたか!」

(/A゚;) 「手違いだ!! そんな恐ろしい事が出来るか!!」


221 名前:訂正。今更気付いた>>160と>>162の間 ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/09(日) 03:19:24.97 ID:Bj3ZqGDy0
(;、;トソン 「恐ろしいって……」

トソンは涙を浮かべながら医務室から出ていった。
彼の走り方は、内股で腰をくねらせながら走る女走りであった。

川 ゚ -゚) 「酷いな」

(/A`;) 「普通に無理だから!!」

川 ゚ -゚) 「そんなことだからお前は童貞なんだ」

(/A`;) 「男で卒業しろってのかお前は!?」

川 ゚ -゚) 「まあ、それはいいとして」

クールは部屋の端にあるパイプイスを持つと、ベッドの脇に置いた。
それに腰を落ちつけて、彼女は口を開く。

川 ゚ -゚) 「調子はどうだ?」

(/A`) 「身動き出来ないこと以外は良好」

川 ゚ -゚) 「すまんな。小型人工筋肉の開発は難航しているようだ。
      もう、数年ほど待ってもらうかもしれない」

(/A`) 「もう謝るなよ。聞き飽きた」

川 ゚ -゚) 「恨んでいないのか?」

(/A`) 「それも聞き飽きた」


162 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/09(日) 02:00:47.61 ID:LXTyxnUYO
(/A`) 「あちこち痛いけどさ。苦しいけどさ。これは自業自得だよ」

川 ゚ -゚) 「あの時お前を死なせてやれば、こんな目に合うことは無かったんだぞ?」

川 ゚ -゚) 「渡辺から聞いた。お前の苦しみがどれほどの物かを。
      身動きすることすらままならず、治まることのない激痛に苛まれ続けるのだと」

(/A`) 「生きてるだけまだマシだ」

川 ゚ -゚) 「……すまない。私はお前に何もしてやれない」

(/A`;) 「あぁもう。気にしすぎだって」

(/A`) 「それより、ディの処置はどうなった?」

ドクオの疑問に、彼女は眉を顰めた。
 _, ,_
川 ゚ -゚) 「なんだ、トソンの次はディか?」

(/A`;) 「いや、そういうんじゃなくてさ。それに、男と女の違いがあるだろ」

川 ゚ -゚) 「男女差別をするな」

(/A`) 「じゃあお前は女と女で付き合えるって言うのか?」

川 ゚ -゚) 「ああ、勿論だとも。男女は平等だ」

(/A`;) 「男女平等の使い方間違ってないか!? バイだろそれじゃ!」


214 名前:訂正>>162と>>164の間に ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/09(日) 02:39:20.14 ID:Bj3ZqGDy0

川 ゚ -゚) 「で、ディがどうしたというんだ?」

打って変わって、真面目な問いをクールは返す。

(/A`) 「あぁ、ショボンを殺してこっちに亡命してきたけど、
     あいつの処遇ってもう決まったの? オオカミは何か追及してくると思うんだけど。
     それに、あいつの言ってた真実って、もう聞いた?」

川 ゚ -゚) 「知っての通りニーソクはひとまず彼女を拘束した。
      オオカミは彼女の引き渡しを求めてきたが、彼女の言う、
      ロマネスクの反乱とニューソク軍残党の、
      中央基地一斉襲撃の真実を私達は聞き、上層部に報告した」

川 ゚ -゚) 「先日のことだ。今は公にはしないがな。オオカミの要求は現状では呑まず、
      五大国連合の会談でそれについて決議をすることになった。
      ディの、彼女が明かした真実を、その場で公表する為にな」

(/A`) 「早いな。で、その真実ってのは?」

すう、と息を吸ってからクールが言う。

川 ゚ -゚) 「お前がハインリッヒ高岡から聞いた通り、
      ロマネスクはニューソクの残党と繋がっていた」

川 ゚ -゚) 「ここまでは分かるな?」

ドクオが頷いて、クールが続けていく。

川 ゚ -゚) 「ここからが新事実だ」


164 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/09(日) 02:02:17.57 ID:Bj3ZqGDy0
川 ゚ -゚) 「ロマネスクのデウス・エクス・マキーナと、
      ハインリッヒ達残党と、オオカミ軍の特殊部隊、大神部隊は繋がっていたのだ」

彼女の言う新事実に、
ドクオは、ふーんと関心が無さそうに鼻を鳴らせた。

(/A`) 「で、ニーソクの各地で戦って、援軍を送ることでガラ空きになった中央基地を攻めた、
     デウス・エクス・マキーナとニューソク残党のこの共同作戦に、大神がどう噛んでたんだ?」

川 ゚ -゚) 「あの戦いで、もしニューソクがニーソクの中央基地を陥落させていれば、
      オオカミの大軍がこちらへと進行する予定だったのだ」

川 ゚ -゚) 「そして疲れ切り指揮系統の乱れたニーソクを一掃する。その予定だった」

(/A`) 「でも、何でオオカミは陥落させたら、って条件付きで作戦を行おうとした?」

川 ゚ -゚) 「オオカミには、ハルトシュラーという狸が、いや、女狐が居てな。
      その女狐はクーデターを起こしたんだ。モナー中将とショボンの交信で交わされた、
      軍部の反乱は、その女狐がおこしていたのだよ。ロマネスクという手足を使ってな」

川 ゚ -゚) 「ロマネスクはハルトシュラーに絶対的な信頼を置いていた。
      だからこそ彼は彼女を信頼し、手を組んだ。
      彼はニーソクで囮になり、我々を引きつけ、更には国内に残った部下達に反乱を行わせた」
      
川 ゚ -゚) 「ハルトシュラーはそれらを討ち取って、軍部での己の地位を確固たるものとさせた。
      誰からも信頼を置かれる存在となった。軍部は、ほぼ彼女の物と言っていいだろう。
      後はロマネスク達に知らぬふりをし、彼がニューソクと結んだ密約を果たし、
      ニーソク軍の力が弱まれば、ニーソクを落としやすくなる」



165 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/09(日) 02:03:13.57 ID:Bj3ZqGDy0
川 ゚ -゚) 「ニーソクを落とさずとも、今回の反乱で、
      自作自演の反乱で彼女が得た地位は巨大な物。
      ニーソクを落とせば更に自分は出世でき、国は潤っていく」

川 ゚ -゚) 「五大国連合からは非難を浴び、脱退させられるかもしれんがな。
      しかし、ニューソクの残党と合流し、新たなる軍事国家となったオオカミに、
      五大国は、いや、テンゴク、パーソク、シベリアの三大国は太刀打ちできないことだろう」

川 ゚ -゚) 「これで新しいニューソクの完成だ。
      正に女狐だ。どちらに転ぼうとも自分は莫大な利益を得るのだからな」

(/A`) 「クズだな」

クールの話を聞き、ドクオは、端的にそう呟いた。

(/A`) 「でも、ロマネスクは、あいつは本物の愛国者だったんだな」

川 ゚ -゚) 「そうだな、自己犠牲にもほどがある。
      自分の権力も信頼も全てを投げ打ってまで、そんなことをしたのだから」

(/A`) 「全てはオオカミの発展と技術の革新。
     いや、第二のニューソクを作る為に、か」

ドクオがそう言うと、クールは黙り込んでしまった。
彼も、特に話すようなことはなく、黙りこくることは無い。

沈黙が二人の間を包みこむ。

ドクオは、この沈黙が心地よかった。
気まずさなど、何一つ無かった。目を閉じ、彼は安堵の息を吐く。


172 名前:>>168ミスッた。忘れてくれ。>>167修正 ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/09(日) 02:06:56.39 ID:Bj3ZqGDy0
すると、クールが切り出してきた。

川 ゚ -゚) 「ドクオ。お前の戦争は、もう終わったか?」

(/A`) 「俺はニューソクの兵士として戦い続けないといけない。生きている限りね」

クールの問いに、ドクオは呆気なく答えてみせた。

川 ゚ -゚) 「生きている限り、か。なら、
      やはり、あのまま終わらせてやるべきだったかな、私は?」

(/A`) 「いや、逆に感謝してるよ、俺は。辛いことばっかだけどね。
     でも、それでも、俺はまだ大切な役目を果たしていける。
     お前が俺を生かしてくれたおかげでね」

意地の悪い笑みを浮かべて、ドクオは続けていく。

(/∀`) 「聞いたよ、あの時泣いてたんだって?
     そりゃもう、子供みたいにさ」

おどけるように言う彼に、むう、と唸って彼女は言う。

川 ゚ -゚) 「笑い事じゃないだろ」

(/A`) 「まっ、それは良いとしてさ。あちこち痛むけど、
     新型人工筋肉が出来上がるまで俺はひとまず休憩出来るってことさ。
     だから俺は、もう一度義務を果たす為に呼ばれるまで、休むことにする」



169 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/09(日) 02:05:20.17 ID:Bj3ZqGDy0
ドクオの言葉を聞いたクールは、はぁ、と溜息を吐いた。

川 ゚ -゚) 「戦うのをやめるという選択はないのだな」

呟いて、クールは頭をドクオの腹の上に載せていく。
ドクオは、彼女の行動を黙って見つめる。

川 ゚ -゚) 「私も、少し休憩が欲しい。しばらく……寝かせてくれ」

クールの声が小さくなっていき、

川 - -) 「ドクオ。一先ず、お疲れ様だ」

そう言って目を瞑って行った。

ドクオは眠って行く彼女を見届けて、
寝息を立てる彼女の頭の上に、震える手を伸ばして撫でていく。

(/A`) 「……お疲れ、クー」

他国の地で亡き祖国を想う兵士は、己を再び戦場に導いた他国の戦友を労う。

朽ち果て掛けた身で戦い続ける兵士が、身を休めるこの空間は、
静かで落ち着いており、彼の戦友の寝息が大きく聞こえた。

亡国を守る為に戦う兵士は、今この瞬間は、戦友の寝顔を見守り続けている。


                                   了


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  1. 2011/10/06(木) 14:51:18|
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最近ブーン系に出戻って、現在は少女は戦争犬という作品をVIPで書いてます。MGSとACが大好物。ブーン系の自作品まとめや感想、自作品語りと近況報告をしていこうと思っていますので、よろしく!

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