ブーン系男子の雑記◆K8iifs2jk6

ブーン系を書いている◆K8iifs2jk6の雑記。 自作品まとめたり読んだブーン系の感想書いたり雑記書いたり、色々やりたいと思ってます。

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('A`) ドクオは亡国の兵士のようです 第13話

3 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:04:57.71 ID:kn1ueMAY0
昼の世界に陽は昇っている。

その陽の下には争いは無く、皆が手をつなぎ合力する。

平和で平穏な、乱れの無い日常が進む世界。

ゆっくりと進化の過程を進んでいく人類。

誰もが笑みを浮かべるその世界の人々は、
悪意と憎悪を抱いて満面の笑みを浮かべる。

それでも拮抗した戦力の下では、争いが起きることは無い。

一大軍事国家を打ち倒した五大国連合は、人々は、昼を望んだ。


しかし、陽は暮れていく物である。




4 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:05:54.28 ID:kn1ueMAY0

 
       ('A`) ドクオは亡国の兵士のようです

             
                       リタイア
      第13話 夜の世界――――宣戦離脱――――



5 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:06:52.16 ID:kn1ueMAY0
******

見覚えのある白の天井に、一定のリズムを刻んで鳴る電子音が、
やはり見覚えのある四角い間取りの部屋に響く。

硬い枕とベッドに身を預け、俺は薄掛けを被って横になっていた。

目覚めたのだ。

人工血液の透析機の上で、俺は目を覚ました。

電子音を目覚ましとしてどんどん目が冴えていくのがわかり、
起き上がろうとして上半身を起こすと、

(;゚A`) 「………ッ!」

ぐ、と苦い声が零れそうになる。

背筋に鋭い痛みが走り、後に背が張り上がってくるような感覚を得る。

固く、針金みたいにピンと立つ上半身が苦痛を訴え、
そのまま背中からベッドに倒れていった。


6 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:08:14.66 ID:kn1ueMAY0
再び横になった俺は、ふう、と溜息を吐いて、

……なんだ?
と思う。疑問に対し、答えはすぐに出た。

……あぁ、俺、無茶やらかしたもんなー。
頭に浮かんできた答えに、呑気にそう思った。

デウス・エクス・マキーナ師団との戦闘。

敵部隊の戦列を突破し、二体の強化骨格を排除し、
指揮官である杉浦ロマネスクを排除したことによる、
負傷と疲労に対する痛みだ。

強化骨格スーツに覆われていた身体を見れば、
包帯に覆われた胴には、数多くの治りかけの切創と銃創があり、
手の指は数本不自然な形をしている。

それに、呼吸をすればどこか息苦しい。


7 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:10:10.51 ID:kn1ueMAY0
……最後の一撃か。

固定されてこそいるが、中指は下がり気味だ。
装甲服ごとロマネスクの左胸を砕いた反動は、俺の拳を見事に砕いたらしい。

そして、息苦しいのは肋骨などが折れているからであろう。

強化骨格スーツを着ていなければ、こんな物で済むはずもない。
着ていなければ、恐らく俺は死んでいただろう。

……放っておけば、どっちにしても死んでいただろうが。

ここで治療を受けなければ死んでいた。その筈だ。
でも、俺は何時の間にここにいたんだろう。

ロマネスクとの戦いの後の記憶が曖昧だ。

……ボロボロだったからなー、俺。
それでも、誰がここまで手配をしたのかは、予想できる。

……間違いなく、クーだ。
ベッドに横になっていた俺は、目を閉じる。
閉じて、何も考えず、記憶を辿って行く。

ロマネスクとの、戦いの記憶を。


8 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:11:30.61 ID:kn1ueMAY0
******

六角形を描いた艦橋の中で、俺は心臓を握り潰し、
持ち主であるロマネスクに呟いた。

(メ A ) 「俺も、お前と同じだ」

同じだ。

奴も俺も、国の為に戦っているのだから。

国の為に戦い、奴は人類の進歩を望んだ。
進歩の果てに幸福な生活を望んだ筈だ。

オオカミに住む人々の、幸いを。

俺も同じだ。

俺も、国の為に戦っている。


9 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:13:14.67 ID:kn1ueMAY0
だが、

……もう、やめよう。
俺は考えるのをやめた。

身体が限界を訴え、鋭い痛みが俺を襲い、手や足は震える。
疲労と負傷から来る全身の軋みに、俺は倒れた。

後ろへと引きつけられるように倒れていき、床に横たわる。
小さな衝撃を背中に感じて、目を瞑っていく。

……もう、無理かね。
限界を、潮時を感じた。自分の身体が上げる悲鳴に。

口から溜息が突いて出てきた。

ふう、と吐き出される息に、全身から力が抜けていって、
強張りが解けていく。身体の奥から倦怠感が込み上げて来て、
瞼を重くして眠りへと誘っていく。

……あぁ、寝たら危ないかもしれないな。
淡泊に、自分の命が終わろうとしているのを感じ取るが、
閉じていく瞼を止めることはできず、意識はどこか深くに落ちていってしまう。


10 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:14:15.39 ID:kn1ueMAY0
……気持ち良いな。

痛いけど、苦しいけど、目を閉じれば全てが楽になって行った。
身が、軽くなって行くのを感じる。

艦内に響く銃声や振動も、全てが遠くなっていく。

が、その音の中でも、俺へと向けられる音を聞き取り、
それに意識が引き戻されていった。

「起きて」

目を開けようとするが、瞼が重く、なかなか開かない。
なので、意思だけを声に傾ける。

「死んでるの?」

生きてる、と声を返そうとするが、口も重い。

……死んではいないけど、死にかけだな、こりゃ。
気軽に死期を悟るが、更なる苦しみを感じて考えを正される。


11 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:15:01.63 ID:kn1ueMAY0
(#゚;;-゚) 「生きてるよね」

見覚えのない、傷だらけの顔をした濃緑色の装甲服を着た女が、
俺の腹を踏みつけた。鳩尾にクリーンヒットした。

(メ;゚A゚) 「生きてますけど!?」

装甲服の足が、強化骨格スーツごしでもとんでもない痛みを与えてくる。

痛い。

痛いということは生きていることに変わりない。
俺はまだ生きてる。死ねば痛みを感じることも出来ない。
痛みが感じられるうちは、まだ、死んではならない。

でも、

……痛いのは嫌だよな。
腹を踏みつける女を睨みつける。


13 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:15:57.67 ID:kn1ueMAY0

腰のホルスターに納めてあるスティレットを抜く。
が、ホルスターに伸ばした手は空を掴んだ。

あれ?

疑問符を浮かべる俺の目の前に、女がスティレットを向けてきた。

銃身にはガキが書いたみたいに汚い字で、
       
       エクスト・プラズマン
     Ecst・Plazman

と、かつての戦友の名前が彫られていた。

あ、という形を口が作り、声が出そうになるが、
それよりも早く女が話しかけてきた。

(#゚;;-゚) 「これ、貴方のでしょ? 貴重な武器だから、無くさないで」

スティレットをくるりと180度回転させて、
俺の方にグリップを向ける。


14 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:17:15.02 ID:kn1ueMAY0
?と言った顔をする俺に、ん、と彼女は差し出してくる。

手を伸ばそうとして、激痛を感じるが構わない。これは大事なものだ。
あまり人の手元に置いておくのは気分が良くないし、
断る理由は何も無い。

上半身だけを起こしてスティレットを受け取り、腰のホルスターに収める。

(#゚;;-゚) 「立てる?」

短く問う彼女に、

(メ;'A`) 「あ、あぁ」

しどろもどろにそう返す。

……何かやりにくいなー。
恐らく、デウス・エクス・マキーナと戦っていた、
オオカミの兵士なのだろうが、味方かどうかは分からない。

警戒する必要はあるのだろう。
しかし、目の前の彼女は俺に襲いかかっては来ない。

じゃあ、と思い、俺は彼女に向ける意識を、
警戒から緊張へとレベルを下げることにした。


15 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:18:31.82 ID:kn1ueMAY0

(#゚;;-゚) 「貴方はここで死ぬべきじゃない」

(#゚;;-゚) 「誰にも見付からないようにここから脱出して。
     ここから出て、右の通路を曲がれば甲板に出られる」

(#゚;;-゚) 「私の部下達は機関部に爆薬を設置しに行ってるから、今は安全。
     だから、早くここから出て行って。見つかったら殺される」

え?と、思う前に次々に告げられる事態に、俺は少し困惑する。
しかし、有無を言わさぬ口調で彼女は続けた。

(#゚;;-゚) 「早くここから出て行って」

短い言葉の後に、俺は疑問をぶつける。

(メ'A`) 「何でそれを俺に教えるんだ? いや、何で俺を殺そうとしない」

聞かれたことに、間髪を入れずに彼女は返した。


16 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:19:38.15 ID:kn1ueMAY0

(#゚;;-゚) 「ショボン大佐のやりかたはズルい。賢しすぎて気に食わない」

ショボンというのが誰かは分からないし、
何を考えてるのかは知らないが、とりあえず、俺は動く。

(メ'A`) 「何か知らないけど、ありがとう。アンタの名前は?」

(#゚;;-゚) 「ディ。それだけ覚えていて。
     いずれ、貴方には借りを返してもらう」

(メ'A`) 「そうか……生きてたら覚えておくよ」

言葉を残し、俺は苦痛を感じながらも足を前へと出し、
艦橋を出て行く。目指すのは艦外であり、ニーソクの北方基地だ。

……命令は果たした。
後は帰還するのみ。

そして、次に備えるだけ。

俺は帰還を果たそうと、いまだ敵に溢れる戦艦の中を駆け抜けていった。


17 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:20:46.11 ID:kn1ueMAY0
******

物思いに耽りながら真っ白な天井を見ていると、
視界の端に映るドアが開く。

俺の寝ている透析機から見て、右手側にあるドアからは、

从'ー'从 「あっ、ドクオさん起きてたんですね~」

間延びした声で、渡辺さんが医務室に入ってきた。
柔らかい笑みを受けべる彼女は、驚いたように言う。

从'ー'从 「もう回復しちゃったんですね! 流石です。
      強化骨格がすごいんだか、ドクオさんの体力がすごいんだか分りませんけど」

でも、と付け加えて、

从'ー'从 「あんまり無理したらダメじゃないですか。
      いくら強化骨格って言っても、人工筋肉には寿命があるし、
      撃たれれば怪我はするし、もし人工筋肉が死滅するようなことがあれば……」


18 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:21:38.62 ID:kn1ueMAY0

从'ー'从 「身動きすら、取れなくなっちゃうんですからね」

圧の籠もった、静かな声で言い放つ。

('A`) 「分かってますよ。それぐらいは」

从'ー'从 「……分かってるのに、限界を超えた稼働を行ったんですか?」

鋭い、というか、棘のある質問を渡辺さんはしてきた。
どうやら、はぐらかすわけにはいかないらしい。

今まで隠してきた、誤魔化してきたことは、全て知られていることだろう。

いや。知られている、ではなく、

……理解したんだろうな。きっと。
人工筋肉について学んだのだろう。以前に、検査を受けた事がある。
あの時は人工筋肉を見ても、何も理解できなかったことだろう。

でも、彼女達は学んだ。

俺がニーソクにやってくることで、彼女達は教材を得た。
生きた標本を得ることが出来た。渡辺さん達は教材から学ぶことで、
強化骨格について、人工筋肉について学び、ニューソクの技術へと一歩近づいていったのだ。


19 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:23:38.86 ID:kn1ueMAY0

知っているのだろう。分かっているのだろう。
人工筋肉の“寿命”について。

从'ー'从 「ドクオさん」

聞かれる、と、直感で理解した。

もうはぐらかすことは叶わないだろう。
俺は、知識を得た渡辺さんと真剣に向き合わなければならない。

……俺自身の身体とも。

目を背けるわけには、いかなくなってしまった。

渡部さんは柔らかい表情のまま尋ねてくる。

从'ー'从 「最後にメンテナンスを受けたのは、何時ですか?」

('A`) 「……だいたい二年ぐらいです」

えっ、と、彼女は息を飲み込んで、目を丸くし、

从;'ー'从 「に、二年!?」

驚きの声を上げる。
信じられない、というように。


21 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:25:24.35 ID:kn1ueMAY0
从;'ー'从 「そんな! 今までよく動けましたね!?
       痛くないんですか!? 苦しくないんですか!?」

('∀`;) 「痛くなけりゃ、苦しくなけりゃあ、こんな羽目になってませんよ」

苦笑いを浮かべて、俺は言う。

('A`) 「俺だって、分かってますよ」

('A`) 「強化骨格は通常稼働で、自動変動モードのみの稼働なら5年は保つ。
    でも、任意固定で稼働率を100%に固定して稼働してたら、半年も保ちやしない」

从;'ー'从 「そうならそうと言ってくれれば!……」

('A`) 「そういうわけにもいかなかったんですよ」

从;'ー'从 「もし、それでもし、急に動けなくなったりしたらどうするつもりだったんですか!
       戦闘中にそんなこと起きたら、あなた死んでましたよ!?」


23 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:26:36.60 ID:kn1ueMAY0
('A`) 「実際、何度か動けなくなったことはあったんですよ。
    覚えているかぎり、ギコとの最初の戦闘で一度。
    デウス・エクス・マキーナの、強化骨格の男がここを襲撃した時に一度」

たしか、そのはずであった。

思えば、80%以上の稼働率で長時間の戦闘をやり始めたのは、
あの男とここで戦い始めた頃からだった。

アラスカ方面へ行き、北方基地の防衛の為に戦闘を行った時に、
これ以上にないほどの激痛と倦怠感を覚えた。
恐らく、80%以上での稼働は、騙し騙し使ってきた人工筋肉に止めを刺したのだろう。

('A`) 「騙しながら使って来ましたが、
    身体を誤魔化しながら戦って来ましたが」

('A`) 「そろそろ寿命ですね」

俺は、渡部さんに向かって言ったのだが、
やけに自分の耳に反芻されていくことに虚しさを覚えた。

俺は、自分にそう言い聞かせた。


25 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:27:18.87 ID:kn1ueMAY0
******

デウス・エクス・マキーナの攻勢が弱まり、基地内から進撃した私達は、
現在、敵艦へと包囲網を完成させつつあった。

じりじりと近寄って行く円周の陣形へと向けて、敵は弾丸を放つ。

何台か戦車が残っているようだが数は少なく、
こちらのロケットランチャーや擲弾筒によって無力化され、
火柱を上げていった。それらの残骸を隠れ蓑として、敵はなおも抵抗する。

弱々しくも、徹底的な抗戦の意志を見せる彼等は、何かに似ていた。

……何だったか。

思い出せないが、しかし、絶対に忘れるはずもないということだけは分かる。
この抵抗の仕方。敗北が決しているというのに、
なおも抗い続け勝利を確信している彼等の戦い方は、そう。

……あぁ、ニューソク軍のゲリラ達か。
私は、終戦から半年以上が過ぎたのを良い事に、
あれからも数多くの戦いを重ねてきたのをいい事に、
彼等の雄姿を忘れてしまっていた。

国の為に、敗北を認めずに、国の領土へ私達を踏み入れさせない為に、
命を賭けて、命を捨てて、自分の生を顧みずに彼等は戦っていた。


27 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:28:29.13 ID:kn1ueMAY0
……似ている、彼等に。

自分達を取り囲む私達へと向けて、一人でも多くの敵を倒そうと、
果ては全ての兵士を倒そうとする彼等は、ニューソクの兵士達に似ている。

国を愛しているのだ。自分達の国を、オオカミを。

だが、それが何故このような争いを望むことに繋がるのか、理解できない。

否。

……理解できないからこそ、戦争は起き、起きてぶつかり合うのだろう。

私と貴方は違う。貴方は彼とは違う。彼は私とは違う。
あそこは、あれは、向こうは、こちらと違う。

戦争などそんな物にしか過ぎん。

それでも、私は何か裏があるように思う。
送られて来ない増援に、敵として現れた同じ国の部隊。

大神部隊、といったか。


29 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:29:17.43 ID:kn1ueMAY0
どうにもキナ臭さを感じてしまう。

……何を企んでいる、貴様等は。
疑いへと思考が落ちて行くのを感じるが、ここは戦場だ。
他の事に気を傾けている場合では、勿論無い。

私は、塹壕から僅かに身を乗り出して、敵の陣形を眺めた。
火線は既に薄く、こちらへとやってくる弾は少ない。
弾は、こちらへとやってこなくなった。

疑問符を浮かべて、奥へと視線を集める。

すると、敵の陣形が微かに乱れているのを確認した。
敵の中央が割れるように崩れていき、その中心から飛び出して来る影がある。

私は、それに見覚えがあった。

ボロボロの濃緑色の軍用コートに、
黒の強化骨格を纏った彼は、ドクオだ。


31 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:30:18.71 ID:kn1ueMAY0
川 ゚ -゚) 「ドクオ!」

名を呼び、次に、

川 ゚ -゚) 「こちらに逃げ込め!!」

大声で、戦場の喧噪の中でもはっきりと聞こえるように叫んだ。
しかし、全身に傷を拵えた彼にこちらに気付く素振りはなく、
真っ直ぐに北方基地を目指して突っ走っていた。

ち、と舌打ちをして、ヘッドセットのマイクに声を吹き込む。

通信する先はドクオの体内のナノマシンだ。
体内通信によってドクオの耳へと私の声を送って、

川 ゚ -゚) 【ドクオ。お前から見て2時の方向にニーソク製の装甲車が止まっている筈だ。
      その近くにある塹壕に逃げ込め!】

そう命じた。

近くにいたブーンに、医療キットを用意するよう伝え、
私はドクオの位置を確認する。

彼の姿を視界に収めたその時には、既にこちらへと振り返っており、
俊敏な動きで塹壕へと飛び込んできた。
荒い息を吐いて、片膝を突く彼は肩で息をしている。


32 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:31:01.11 ID:kn1ueMAY0
全身に出来た切り傷と弾痕からは、痛々しく白濁の血液が流れていた。

元々傷跡だらけだった顔には新しい傷が刻まれており、
白の血の色に塗れている。何時もの無表情は苦しげに口を開き、

(メ'A`) 「任務は終わった……」

擦れた声で、任務の完了を告げた。

……律儀な。そんなボロボロの体で。
呆れにも似た感情でそう思うが、しかし、

川 ゚ -゚) 「そうか。御苦労」

短く、私は彼の功績を労う。


33 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:32:06.75 ID:kn1ueMAY0
すると、彼は僅かに表情を緩めて、

(メ'ー`) 「………」

あ、という形を口は作ったが、言葉が発されることはなく、
ドクオはそのまま地面へと倒れていった。

ほぼ同時。

私がその場にいる部下達に指示を飛ばす。
応急処置を施し、北方基地で治療を行い、
中央基地へと移送しろ、と。

……渡辺なら、なんとかしてくれる。
そんな思いを抱きながら、私は装甲車へと担架で運ばれていくドクオの姿を見送った。



35 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:32:55.56 ID:kn1ueMAY0
******

川 ゚ -゚) 「デウス・エクス・マキーナ師団は、師団長ロマネスクの死によって統率を失い、
      現在ゲリラ戦を展開しています。が、鎮圧にはさほど時間は掛からないでしょう」

通信室で、私は機械の画面に映るモララー中将にそう報告した。
中将は皺の刻まれた頬を緩ませ、オールバックの頭を頷かせると、

( ・∀・) 「そうかそうか。クール君。君は引き続き北方基地に留まり、
       残党の鎮圧に当たってくれたまえ。その後は物資を補給し、
       中央基地近辺にある基地の応援に向かってくれ」

川 ゚ -゚) 「了解」

中将の命令に、私は短く返答を返すが、

( ´∀`) 「激務モナね~。モララー。
      ちょっと働かせすぎじゃないモナか?」

気楽な声で、横にいたモナー中将が抗議するように言った。

( ・∀・) 「内紛鎮圧部隊とは、このような事態の為に作られたのだ。
       突如として各地に展開した部隊に、各基地は対処しきれていない。
       終戦後の爪痕も、ゲリラ達の鎮圧も済んでいないのだから、当然だね」


39 名前:>>37コピペミス。忘れてくれ ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:37:08.50 ID:kn1ueMAY0
( ´∀`) 「でも、クーちゃんばかりに働かせるのも、ちょっと酷モナ」

……何時の間にクーちゃん呼ばわりされるようになったのだ、私は。
知らぬ内にこちらへと距離を縮めてきたモナー中将に、私は不信感を覚える。

( ・∀・) 「残念なことに、中央基地の部隊はもうほとんど出払っているのだよ。
       他の基地への援軍にね。これ以上こちらの部隊を出撃させることになれば、
       この基地の防衛戦力が致命的にダウンしてしまう」

( ・∀・) 「すまないがね、クーにゃんには頑張って貰う他無いのだよ」

……おい、何だこのオッサン達は。
何時の間にクーにゃんなどと私に渾名を付けたのだ。
こんなどこかのアイドルのような渾名を付けられては、堪った物では無い。

ドクオに付けた『亡国の鬼』のように広報が流布して、
もし、したとしたら、これから私は部下に、
 _、_
( ,_ノ` ) 「了解。クーにゃん大尉」

ξ゚⊿゚)ξ 「クーにゃん大尉。XM8の弾薬が尽きかけているのですが、
       何時弾薬は納入されるのですか?」

( ^ω^) 「流石クーにゃん大尉ですお! 狙撃もお上手ですお!!」
  _
( ;∀;)σ 「クーwwwwにゃんwwww大www尉wwってwwwマwwジwwwすwwかwwww大尉wwwww」

('A`) 「クーにゃん大尉? 別にいんじゃね?」

クーにゃん大尉と呼ばれてしまう……。


40 名前:>>37コピペミス。忘れてくれ ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:37:59.75 ID:kn1ueMAY0
特に、ジョルジュなんか不必要に呼びまくるぞ。
いかん、今ここで訂正をしなければ。

しかし、

……相手は中将だしな。
どうお諌めすれば良いのか。どんな言葉で言えば無礼にならないのか。
分からない。難しいな。

プラン1.

川 //-/) 「クーにゃんだなんて……やめて下さい!」
と赤面しながら恥ずかしそうに言う。

プラン2.

川 ゚ -゚) 「クーにゃんだと? ふざけるな老害。
      馬鹿な渾名を付けるのはやめていただこうか」
と普段通りの口調で言う。

プラン3.

川 >-<) 「どうして私がクーにゃんなのかワカンナイデス!」
とにかくとぼける。

プラン4……いや、全部ダメだな。普通に言うか。


42 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:38:49.19 ID:kn1ueMAY0
川 ゚ -゚) 「中将。クーにゃんという渾名は止めていただけませんか?」

( ・∀・)「何を言ってるのだねクール君。君にピッタリの渾名じゃないかね。
      止めることなど出来ないよ。素晴らしい名とは呼ばれるべきなのだよ。多くの者に。
      クーにゃん。良い響きではないかね。クーにゃん。この“にゃん”が何とも言えんよ。
      可愛らしいじゃないかね。それは、そう、ねこを想起させるような。
      ねこをにゃんこと呼ぶように、女性の渾名には“にゃん”が必須なのだよ。
      にゃんにゃんとじゃれてくる愛らしさが溢れてくるじゃないか。
      君は確かに美しい。君は確かに女性らしい。きちんと言葉を正せば、
      君は慎ましき女性の中の女性となれる。君は美しい。だが、一つ君には欠けるものがある。
      何だと思うかね?それはね、その一つとはね、か わ い ら し さ だよ。
      君にはロリ……いや、小動物のような可愛らしさが足りない。しかし、しかしだね、
      人にはそれぞれ、各々が持つ魅力というものがあるのだ。君は美しい。
      だが君の美しさとは美女としての、艶のある美しさだ。それと幼……いや、可愛らしさとは相反するものだ。
      だから、だからだね。君にクーにゃんと渾名を付けることでその可愛らしさを付与しようと私はしているのだ。
      むしろ、感謝して貰いたいぐらいなのだよ? クーにゃん。素晴らしいではないか。
      クーにゃん。良い響きだ。実に可愛い。クーにゃん。さあ、君も呼んでみようじゃないか。良い名だ。
      さあ、声に出してクーにゃんと……」

      
               川 ゚ -゚)    「お断りします」
              /    \ 
             ((⊂  )   ノ\つ))
               (_⌒ヽ
                 ヽ ヘ }
            ε≡Ξ ノノ `J


43 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:39:45.83 ID:kn1ueMAY0
( ・∀・) 「否! 断じて否だ! 何故この良さが分からない!?
       そうか! そうなのだな!! これが分かり合えぬということなのだな!?
       よろしい! ならば戦争だ!! 桃色の狂気がお相手しよう!!」

(;´∀`) 「モララー……セクハラモナよ。そろそろこの話はお開きモナ」

閑話休題。

モナー中将に突っ込まれると非常に不快なので、この話題は終わりだ。

( ´∀`) 「クール大尉。地の文で何か僕に酷いこと言ってないモナ?」

勘付きやがった。クソ萌え豚が。

( ´∀`) 「……否定はしない」

……読まれた、だとッ!?

( ´∀`)b+ 「……」

モナー中将が親指を立てて目を輝かせる。非常にウザい。
仕方ない。シリアスパートに戻すしかあるまい。

便利な場面転換へ。


46 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:41:18.19 ID:kn1ueMAY0
******

通信室で画面越しにモララー中将と、私達は会話をする。
内容は、今後のデウス・エクス・マキーナとの戦闘についてだ。

( ・∀・) 「しかし、ニーソク全土を囲む程の広範囲に渡った部隊展開、か。
       どうにも、腑に落ちんね。一個師団ごときが」

モララー中将の言葉に、私は、

川 ゚ -゚) 「一個師団だけではありません。
      あのショボンという佐官の言うことを信じるとすれば、
      恐らく、オオカミ軍の他の部隊を扇動し、取り入れた物かと」

私自身の推測を以って応える。
だろうね、とモララー中将は繋げて、

( ・∀・) 「だが、それでも計算が合わんのだ。
       あの男が、軍部全てを掌握していたというのであれば、
       話は別なのだがね。オオカミ軍全てよりも少なく、
       オオカミ軍に匹敵するほどの兵士を集めるとなれば、どうするであろうか」

横にいたモナー中将が、眉を歪めた。
鋭い視線をモララー中将に浴びせて、



49 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:42:36.67 ID:kn1ueMAY0

( ´∀`) 「モララー、君、もう分かっているモナね?」

呆れた声で疑問を発した。

( ´∀`) 「君の話はまだろっこしいモナ。
       結論だけ簡潔に言ってくれないモナ?」

むう、とモララー中将が唸って、

( ・∀・) 「推測にしかすぎんがね、他国の兵士やニーソク国内でテロを行っている者を扇動したのだよ」

( ´∀`) 「他国の兵士? オオカミ軍の兵士を扇動するよりも難しいんじゃないかモナ?」

( ・∀・) 「そうだろうね。だが、それは恐らく現在戦闘を行ってる者達の、
       4分の1にも満たないだろう。純粋なオオカミ軍であった者は、半数ほど」

( ´∀`) 「では、残る半数とは? 彼等の意志に賛同する兵士達は、どの国の兵士達モナ?
      ニューソク国解体戦争終結から、まだ1年も経っていないんだモナ。
      戦争は、五大国連合のどの国も避けたい事態だはずモナ」

( ・∀・) 「いるじゃないかね。無駄に数が多い国が。統率の取れぬデカい国がね」

( ´∀`) 「……テンゴク、モナ?」

( ・∀・) 「まあ、彼等は小物だがね」


50 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:43:34.11 ID:kn1ueMAY0
( ・∀・) 「大穴は、彼らよりも優れた強き兵士であり、統率がとれ、
       戦を望み、五大国連合に、ニーソクに敵意を向いている国が、あるじゃないかね」

モナー中将が、息を呑み込んだのが分かった。
空気で、なんとなく理解した。

私も、モララー中将の言葉に、はっと息を呑んだ。

答えが分かった。

モナー中将も、恐らく理解したのだろう。

川 ゚ -゚) 「ニューソク、ですか?」

( ・∀・) 「そう、あの亡国だよ」

( ´∀`) 「しかし、あの国はもう亡んだモナ。
      あの国が亡んだことでこの戦争が始まったんだモナ」

( ・∀・) 「あの国は亡んだよ。大勢の兵士を失い、大勢の兵士を残してね」

( ・∀・) 「あの国の戦力を、我々は甘く見すぎていたのだよ。
      世界最強最大の軍事大国の戦力を、我々は滅ぼし切ってなどいないのだ」

川 ゚ -゚) 「ええ、私達は中央を一気に突破し、我々は本土を奪い、彼等を追いだしたに過ぎない」


51 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:45:00.89 ID:kn1ueMAY0
川 ゚ -゚) 「狂っていますね。たかが敗残兵が、未だに五つの大国に抗うとは」

( ・∀・) 「だからこそ、なのだよ。だからこそ、彼等はロマネスクの誘いに乗った」

( ・∀・) 「恐らくは、あの戦力の二分の一はニューソクの残党だろう。
       全く、全く面倒なことしてくれたものだよ、ロマネスクは」

川 ゚ -゚) 「オオカミは、全面戦争を仕掛けてきますかね?」

( ・∀・) 「先程名前が挙がった、ショボンの言うことを信じないのであればね。
       仕掛けてくるにしても、これではタイミングが遅いよ。遅すぎる」

( ´∀`) 「クール大尉。あの部隊はこちらに協力的だ。
       一応、信頼出来ると思うモナ」

ですが、と私は続ける。


53 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:45:42.97 ID:kn1ueMAY0
川 ゚ -゚) 「それすらも策の内であったら、どうでしょうか?」

私の問いに、モナー中将もモララー中将は何も返しては来なかった。
言葉を失ったように、彼等は目を伏せる。

そして、モララー中将は口を開いて、

( ・∀・) 「この話は止めにしようか。決着がつきそうにない。
       真実は出ず、我々の推測しか出て来んよ」

( ・∀・) 「クール君。引き続き、各基地の応援をしてくれ。
       『亡国の鬼』が戦闘不能になり、戦力が低下してしまっているだろうが、頼むよ」

川 ゚ -゚) 「了解」

敬礼と共に返答を返し、私は踵を返して通信室を後にした。



54 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:46:25.31 ID:kn1ueMAY0
******

目の前の敵を、斬る。

剣が敵の肩に食らいつき、血飛沫を上げて倒れていった。
続いて敵の戦車へと跳び上がって行き、それをも切り裂く。

赤い切断面を曝して戦車が爆発する。

次。

次だ。

ニューソクを取り戻す為に、俺達の前に立ちはだかる敵を倒さねばならない。
敵を倒し、俺はニューソクを取り戻さなければならない。
取り戻さなければ、

……俺は彼女の許へ帰れない。
彼女が安心して住める場所を、俺は取り戻さなければならない。
一家を、守る者として。彼女を、守る者として。

だから俺は、

……斬る。

目の前に広がる敵も、五大国連合も、ニーソクも、かつての戦友も、

……俺のこの手で斬る!
機械剣No.10“ライジングサン”を構えて、俺は戦場を駆け抜けていく。


56 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:48:06.38 ID:kn1ueMAY0
******

医務室の透析機の上で、ドクオは横になっていた。

上半身裸となった身には包帯が巻かれており、
身体中に管が繋がれていた。

寝そべってはいるが首だけを上げて、
彼はベッドの脇にあるイスに座った白衣の渡辺に視線を送っている。
ドクオは彼女から視線を外して、

('A`) 「俺はここにいていいんですかね」

彼女に向かって、ではなく、誰もいない空間へとポツリと呟いた。

从'ー'从 「今はニーソクの兵士の、仲間でしょ?」

ニーソクの兵士、とは、渡辺は言い切らなかった。

('A`) 「そういう意味じゃなくて、
    俺はここで休んでて良いのかな、って思って」


58 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:48:48.90 ID:kn1ueMAY0
ふう、と一息を吐いて、渡辺は呆れたように言う。

从'ー'从 「みんな、あちこちで戦ってるみたいですけど、
      それぞれの規模は小さいらしいですから、
      ドクオさんが居なくても充分対処できますよ」

('A`) 「そうですか……」

从'ー'从 「それに、もうそんなに戦えないでしょ?
      私が人工筋肉に代わる物を作るから、それまで待って」

ドクオの顔が、どこか悲しげな物へとなっていく。
眉が下がり気味になり、垂れ下った目は伏せられていく。

彼を見た渡辺の表情は、不審げだ。

从'ー'从 「そんなに戦いたいんですか?」

彼女の問いに、ドクオは答えようとはしない。

('A`) 「クー大尉の命令はありますか?」

答えぬ代わりに、問いで彼は返す。
その疑問に、渡辺は気楽な声で、


59 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:49:29.97 ID:kn1ueMAY0
从'ー'从 「あるよ~」

間延びした返事をした。

白衣のポケットから紙片を取り出し、
目の前でそれを広げて、

从'ー'从 「ドクオへ。良くやった親指。そのままゆっくり静養していろ」

('A`;) 「親指……?」

そう言う彼女に、ドクオは疑問符で返した。

从'ー'从 「紙に立った親指が書いてあったの。読みます?」

彼に渡辺は紙片を差し出すが、右手を前に出して拒む。
見なくてもいいよ、と。

('A`) 「命令が無いのなら、それでいいです」

ドクオは、ふう、と溜息を吐いて、天井を見る。
渡部は不思議そうに彼を見るが、
視線をドクオは無視して、一度渡辺を見やる。


61 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:50:25.73 ID:kn1ueMAY0
从'ー'从 「?」

疑問符を浮かべる渡辺に、ドクオは一拍を置いてから、

('A`) 「ロマネスクの演説、聞きました?」

そう切り出していった。
頷くだけで答えを返す彼女を見て、続けて、

('A`) 「ロマネスクは戦争のある世界を夜と言い、平和な世界を昼と言った。
    ニューソクがそれを管理していたが、ニューソクが滅びてしまったことによって、
    戦争の無い昼の世界だけになってしまったと」

('A`) 「でも、俺達はまだ戦っている」

('A`) 「じゃあ、あいつの言う昼の世界ってなんなんだ? この世界は、今、何なんだ?」

敬語の無い言葉でドクオは言う。

渡部はうー、と唸ってから、

从;'ー'从 「私は兵士じゃないしね。
      ドクオさんにわからないなら、私にもわからないよ」


62 名前: ◆K8iifs2jk6 []:2009/08/02(日) 20:51:37.18 ID:kn1ueMAY0
でも、と続けて、

从'ー'从 「どっちかに分ける必要なんて、無いんじゃないかな?」

答えを聞いた彼は、安堵とも分からぬ息を吐く。
そして、起こしていた首を枕に委ねて、目を瞑る。

(-A-) 「……そう、ですね。奴の言うことを真に受ける方が……おかしいのかもしれない」

(-A-) 「もう、寝ます。
     寝て、新しい命令があるまで、休んでます」

ドクオがおやすみ、と言って話しを締め、
渡部は柔らかい笑みを浮かべて「おやすみ」と返した。
が、その声は基地内に響きわたる騒音に掻き消されてしまった。

敵の接近を告げる、警報の騒音に。
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  1. 2011/10/06(木) 14:27:51|
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