スイーツ・オブ・ザ・デッド4
ヨーコが家に帰ると、リビングでママが泣いていた。
ヨーコ「どうしたの?」
レイカ「変態に噛まれたみたいなの」
こんな薄汚いババアを噛みたがる変態が存在することにヨーコは戦慄した。
アタシのような女子高生ならまだしもどんだけ熟女マニアだよって思った。
ヨーコ「ケーサツは?」
レイカ「呼んだよ。すぐ来るって」
ヨーコ「ママ、ちょっと見せみて」
首筋のところにドス黒い歯型が残っていた。
まるで悪魔の歯型だ。人間のものとは思えない、何か暗く得体の知れないものを感じた。
何故かここでさっきのホームレスの言葉がよみがえる。
大した怪我じゃあないのでヨーコの母親は入院を免れたが、そのまま寝込んでしまった。
変質者に襲われたショックだろうか。
警察はひとしきり犯人の人相を聞いたあと、付近のパトロールを強化することを約束して帰った。
夕食の後にヨーコがテレビを見ていると、ニュースで例の変質者のことがやっている。
TV「連続噛み付き魔、各地に出没……警察の発表では複数犯……近隣住民は不安におびえ…」
ヨーコ「ふーん、最近流行ってんだ」
チャンネルを変えると同じようなニュースばかりやっていた。
TV「病院から末期患者が集団で脱走……死体を持ち出した形跡が……なおかじった痕跡も…」
ヨーコ「うっわ、死体までかじってんの? ゲロい」
レイカ「もうこの事件はいいよ、うたばん見ようよ」
ヨーコ「ん」
チャンネルをもう一度変えると、そのことはすっかり頭の中から消えてしまった。
翌朝。
分厚い雲に包み込まれ、街は鬱蒼として静かだった。空気は冷たいが淀んでいる。
ヨーコが目を覚まし時には家にはもう誰の気配もなかった。
ヨーコ(変だな。鍵が開いてる…)
最近空き巣が流行ってるせいで両親は自分と妹にしつこいくらい施錠を命じていた。
それに家には誰もいない。
ヨーコはかすかに鼻をつく腐臭に気付いた。
台所に行って臭気を嗅ぎつけようとくんくんやるが、ニオイの原因はここじゃない。
冷蔵庫や戸棚を開いてみても特に腐ったものは見つからなかった。
再び首を傾げる。
何かがおかしい。
ヨーコ「…あっ、いけない、遅刻する! こんなことしてる場合じゃない!」
携帯を取り出したもののすぐにそれが壊れていることを思い出す。
妹はもう学校へ行ったのだろうか。
父親はいつも自分たちが寝ているうちに出るからいいとして、じゃあ母親は?
病院でも行ったのだろうか。
街は静かだった。静か過ぎるくらいだ。
電車に乗って駅で降りた時、いよいよ疑惑は確信に変わりつつあった。
一つずつ頭の中で疑問を整理してゆく。
ヨーコ「今日は火曜日…日曜日じゃない。じゃあ何故アタシ以外の生徒がいないの?」
ヨーコ「何で? 何でこんなに静かなの?」
駅を出る。
車の姿はなかった。人もいない。
街は墓場のように静まり返っていた。
校門の入り口へ向かうが、門は閉まったままだ。
続く……
ヨーコ「どうしたの?」
レイカ「変態に噛まれたみたいなの」
こんな薄汚いババアを噛みたがる変態が存在することにヨーコは戦慄した。
アタシのような女子高生ならまだしもどんだけ熟女マニアだよって思った。
ヨーコ「ケーサツは?」
レイカ「呼んだよ。すぐ来るって」
ヨーコ「ママ、ちょっと見せみて」
首筋のところにドス黒い歯型が残っていた。
まるで悪魔の歯型だ。人間のものとは思えない、何か暗く得体の知れないものを感じた。
何故かここでさっきのホームレスの言葉がよみがえる。
大した怪我じゃあないのでヨーコの母親は入院を免れたが、そのまま寝込んでしまった。
変質者に襲われたショックだろうか。
警察はひとしきり犯人の人相を聞いたあと、付近のパトロールを強化することを約束して帰った。
夕食の後にヨーコがテレビを見ていると、ニュースで例の変質者のことがやっている。
TV「連続噛み付き魔、各地に出没……警察の発表では複数犯……近隣住民は不安におびえ…」
ヨーコ「ふーん、最近流行ってんだ」
チャンネルを変えると同じようなニュースばかりやっていた。
TV「病院から末期患者が集団で脱走……死体を持ち出した形跡が……なおかじった痕跡も…」
ヨーコ「うっわ、死体までかじってんの? ゲロい」
レイカ「もうこの事件はいいよ、うたばん見ようよ」
ヨーコ「ん」
チャンネルをもう一度変えると、そのことはすっかり頭の中から消えてしまった。
翌朝。
分厚い雲に包み込まれ、街は鬱蒼として静かだった。空気は冷たいが淀んでいる。
ヨーコが目を覚まし時には家にはもう誰の気配もなかった。
ヨーコ(変だな。鍵が開いてる…)
最近空き巣が流行ってるせいで両親は自分と妹にしつこいくらい施錠を命じていた。
それに家には誰もいない。
ヨーコはかすかに鼻をつく腐臭に気付いた。
台所に行って臭気を嗅ぎつけようとくんくんやるが、ニオイの原因はここじゃない。
冷蔵庫や戸棚を開いてみても特に腐ったものは見つからなかった。
再び首を傾げる。
何かがおかしい。
ヨーコ「…あっ、いけない、遅刻する! こんなことしてる場合じゃない!」
携帯を取り出したもののすぐにそれが壊れていることを思い出す。
妹はもう学校へ行ったのだろうか。
父親はいつも自分たちが寝ているうちに出るからいいとして、じゃあ母親は?
病院でも行ったのだろうか。
街は静かだった。静か過ぎるくらいだ。
電車に乗って駅で降りた時、いよいよ疑惑は確信に変わりつつあった。
一つずつ頭の中で疑問を整理してゆく。
ヨーコ「今日は火曜日…日曜日じゃない。じゃあ何故アタシ以外の生徒がいないの?」
ヨーコ「何で? 何でこんなに静かなの?」
駅を出る。
車の姿はなかった。人もいない。
街は墓場のように静まり返っていた。
校門の入り口へ向かうが、門は閉まったままだ。
続く……
スイーツ・オブ・ザ・デッド3
翌朝。
ヨーコは今日も朝食によっちゃんイカ24袋とジンギスカン二人前を食べた。
NOスイーツNOライフに書いてあるデキる女のご飯と言えばコレ。
妹と両親はゲップしそうな顔でこっち見てたけど。
両親はいちいちウルサイからウザイけど妹のレイカは好き。
レイカはすごく頭が良くて、ヨーコと顔を合わせるたびに「これがスイーツ脳か」とか「戦後教育の歪みの落とし子が」とかとても哲学的なことを口走る。
ヨーコにはまったく意味が理解できないけど頭がいいんだと思う。
学校はタイクツ。
授業は何一つ理解できなくて寝たりジンギスカン食べたりして時間を潰してる。
ダイスキな友達のエリとリホと一緒に屋上でお弁当を食べる時間だけが幸せ。
エリ「ねえヨーコ、昨日あれからどうしたの?」
リホ「そーそー、いきなり男とどっか行っちゃったからー」
ヨーコ「えーちょっとラブホ行ってやっちゃったー。ゴムなしで」
エリ「えーマジキモーイ」
リホ「ゴムなしが許されるのはスイーツ(笑)だけだよねー」
三人「キャハハハハハ」
放課後。
学校を出ると校門のところで今のカレのレイジが待っていた。
レイジ「ヨーコ、カネ貸してくれよ。病気の治療費が必要なんだよ」
ヨーコ「えっ、また?」
挨拶代わりのあんまりなセリフにヨーコは思わず濡れた。
レイジ「カネがねーんだよ、頼むよ」
ヨーコ「えっ、だってもうエイズは治ったんでしょ、先週に」
レイジ「エイズは先々週だろ! 先週はエボラ出血熱だ!」
ヨーコ「うん、ごめんね、そうだったね。その前は狂犬病だったよね」
レイジ「なー頼むよ、治療費がないと死ぬかも知れねーんだよ。今度は水虫なんだよ」
ヨーコ「脳に沸いたの? わかった、じゃあヤフオクでパンツ売って稼ぐ」
レイジ「さすがスイーツ(笑)だな」
スイーツスイーツってみんな言うけど、テレるからやめてほしいなってヨーコは思う。
そんなにホメられたら困る。
NOスイーツNOライフにも「スイーツ(笑)と言われた回数が多いほど愛され系」って書いてあったし。
早速パンツ売るためにヨーコはケータイを取り出してBBSに書き込もうとした。
でも電源は一応入るんだけどなんかおかしい。
画面がついたり消えたりする。昨日はそんなことなかったのに。
どうやらあのオヤジの蹴りを食らったときに中途半端に壊れたみたい。ムカつく。
とにかくこれじゃあパンツが売れない。
早めにショップに持ってくとして、この日は帰ることにした。
エリとリホに一緒に街行かないか誘われたけどお金があんましない。
自分のためにもしっかり商売しなくっちゃ。
そんなことを考えながら飲み干したジュースの空き瓶を放り捨てると、ホームレスのおっさんがそれを拾い上げた。
マジキモイ。
しかもおっさんはこっちをじっと見てる。
ホームレス「ポイ捨てしちゃいかんだろう」
ヨーコ「マジキモイ、近寄るなよ」
ホームレス「ヒッヒッヒ、こりゃ嫌われたもんだ」
おっさんはボロボロの歯を剥いて笑った。
それから何か突然神妙そうな顔になり、ヨーコの顔を覗き込んだ。
彼女がその得体の知れない魔力のようなものを持つ瞳にとらわれて身動きができなくなると、彼はしゃがれた声でこ
んなことを言った。
ホームレス「明日、とんでもないことが起こる。想像を超えることがだ」
ヨーコ「は? 何言ってんの?」
ホームレス「明日になればわかる。お前さんのあらゆる虚飾が暴かれる審判の日となるだろう」
気色の悪い予言だか戯言だかを残し、彼は消えた。
ヨーコは嫌悪感半分、疑惑半分に首をかしげながら帰宅した。
続く……
ヨーコは今日も朝食によっちゃんイカ24袋とジンギスカン二人前を食べた。
NOスイーツNOライフに書いてあるデキる女のご飯と言えばコレ。
妹と両親はゲップしそうな顔でこっち見てたけど。
両親はいちいちウルサイからウザイけど妹のレイカは好き。
レイカはすごく頭が良くて、ヨーコと顔を合わせるたびに「これがスイーツ脳か」とか「戦後教育の歪みの落とし子が」とかとても哲学的なことを口走る。
ヨーコにはまったく意味が理解できないけど頭がいいんだと思う。
学校はタイクツ。
授業は何一つ理解できなくて寝たりジンギスカン食べたりして時間を潰してる。
ダイスキな友達のエリとリホと一緒に屋上でお弁当を食べる時間だけが幸せ。
エリ「ねえヨーコ、昨日あれからどうしたの?」
リホ「そーそー、いきなり男とどっか行っちゃったからー」
ヨーコ「えーちょっとラブホ行ってやっちゃったー。ゴムなしで」
エリ「えーマジキモーイ」
リホ「ゴムなしが許されるのはスイーツ(笑)だけだよねー」
三人「キャハハハハハ」
放課後。
学校を出ると校門のところで今のカレのレイジが待っていた。
レイジ「ヨーコ、カネ貸してくれよ。病気の治療費が必要なんだよ」
ヨーコ「えっ、また?」
挨拶代わりのあんまりなセリフにヨーコは思わず濡れた。
レイジ「カネがねーんだよ、頼むよ」
ヨーコ「えっ、だってもうエイズは治ったんでしょ、先週に」
レイジ「エイズは先々週だろ! 先週はエボラ出血熱だ!」
ヨーコ「うん、ごめんね、そうだったね。その前は狂犬病だったよね」
レイジ「なー頼むよ、治療費がないと死ぬかも知れねーんだよ。今度は水虫なんだよ」
ヨーコ「脳に沸いたの? わかった、じゃあヤフオクでパンツ売って稼ぐ」
レイジ「さすがスイーツ(笑)だな」
スイーツスイーツってみんな言うけど、テレるからやめてほしいなってヨーコは思う。
そんなにホメられたら困る。
NOスイーツNOライフにも「スイーツ(笑)と言われた回数が多いほど愛され系」って書いてあったし。
早速パンツ売るためにヨーコはケータイを取り出してBBSに書き込もうとした。
でも電源は一応入るんだけどなんかおかしい。
画面がついたり消えたりする。昨日はそんなことなかったのに。
どうやらあのオヤジの蹴りを食らったときに中途半端に壊れたみたい。ムカつく。
とにかくこれじゃあパンツが売れない。
早めにショップに持ってくとして、この日は帰ることにした。
エリとリホに一緒に街行かないか誘われたけどお金があんましない。
自分のためにもしっかり商売しなくっちゃ。
そんなことを考えながら飲み干したジュースの空き瓶を放り捨てると、ホームレスのおっさんがそれを拾い上げた。
マジキモイ。
しかもおっさんはこっちをじっと見てる。
ホームレス「ポイ捨てしちゃいかんだろう」
ヨーコ「マジキモイ、近寄るなよ」
ホームレス「ヒッヒッヒ、こりゃ嫌われたもんだ」
おっさんはボロボロの歯を剥いて笑った。
それから何か突然神妙そうな顔になり、ヨーコの顔を覗き込んだ。
彼女がその得体の知れない魔力のようなものを持つ瞳にとらわれて身動きができなくなると、彼はしゃがれた声でこ
んなことを言った。
ホームレス「明日、とんでもないことが起こる。想像を超えることがだ」
ヨーコ「は? 何言ってんの?」
ホームレス「明日になればわかる。お前さんのあらゆる虚飾が暴かれる審判の日となるだろう」
気色の悪い予言だか戯言だかを残し、彼は消えた。
ヨーコは嫌悪感半分、疑惑半分に首をかしげながら帰宅した。
続く……
スイーツ・オブ・ザ・デッド2
次の駅。
駅の医務室でヨーコは駅員に顔面にバンドエイドを貼ってもらっていた。
むっつりとしたヨーコは豚のようなわめき声でひたすらあたりのものを怒鳴りまくる。
豚と言ってももちろんセレブなヨーコの場合はセレブな豚だから。セレ豚だから。
ヨーコ「だからあのオヤジを逮捕しろっつってんだし! まじうぜーし!」
その場には駅員と駅長と警官がいたけど、誰もヨーコを相手にしてないようだった。
かわいそうなヨーコは鼻血を噴き出しながら必死にうったえた。
ヨーコ「あのオヤジがいきなり蹴ったんだし! 私の顔を蹴ったんだし!」
駅員「京都のお祭りで出るのは?」
駅長「山車だし」
警官「ああ、名古屋名物の」
駅長「赤出汁だし」
駅員・駅長・警官「ぶわっはっはっはっは」
大人ってキタナイ、大人ってヒキョウ。ヨーコはそう思った。
警官「だがちょっと待って欲しい。こうは考えられないだろうか? つまり…『君はオヤジに蹴られたのではなく、たまたまオヤジの足が放たれた方に君の顔面があった』」
ヨーコ「フザケんなよ! あんた頭おかしいじゃない?」
駅長「大体なんで床に座っていたんですか?」
駅員「事件性なしですね。一軒落着、寿司でも食い行っかぁ~」
どうしようもないやり切れなさだけがヨーコの中に残った。
アタシは何にも悪くないのに。
ヨーコは荷物から愛読している雑誌「NOスイーツNOライフ」の今月号を取り出した。
万引きするのに手間取っただけあって今月号は特に貴重なもののように感じられる。
次の電車が来るまでの間、ヨーコは嫌な気分を振り払おうとそれを読みふけった。
今月号では「プチうつ」が特集されていた。
まさに今のヨーコにぴったりな特集。
ヨーコ「ふむふむ…プチうつとは…」
ヨーコ「…」
ヨーコ「長いなあ。読む気しない」
三行以上の文章を読むとめまいがする。この読めるのはガリベンとオタクだけだと思う。
もちろんケータイ小説は読むけどファッションとメイクにも気を使うヨーコはセレブだけど。
そんな読者にも気を使っているらしく、その記事の下にはこんなことが書いてあった。
『頭が弱い人向けに一行で解説…自分のことだけ考えてろ』
なるほど、わかりやすい!
頭が弱くてほんとに良かったとヨーコは思った。
ヨーコは自分のことを考えた。
でもいつも自分のことばっかり考えてるからあんまり意味なかった。
いつもNOスイーツNOライフに書いてある通りに自分を大事にしてるしアタシってマジで愛され系だと思う。
そんなことを考えてると少し気分が良くなってきた。
真っ赤なったティッシュの鼻栓を詰め替え、ヨーコは電車に乗った。
そうだ、明日はこの理不尽なゲンジツのボーリョクに耐えた自分へのご褒美を買っちゃおう。
続く……
駅の医務室でヨーコは駅員に顔面にバンドエイドを貼ってもらっていた。
むっつりとしたヨーコは豚のようなわめき声でひたすらあたりのものを怒鳴りまくる。
豚と言ってももちろんセレブなヨーコの場合はセレブな豚だから。セレ豚だから。
ヨーコ「だからあのオヤジを逮捕しろっつってんだし! まじうぜーし!」
その場には駅員と駅長と警官がいたけど、誰もヨーコを相手にしてないようだった。
かわいそうなヨーコは鼻血を噴き出しながら必死にうったえた。
ヨーコ「あのオヤジがいきなり蹴ったんだし! 私の顔を蹴ったんだし!」
駅員「京都のお祭りで出るのは?」
駅長「山車だし」
警官「ああ、名古屋名物の」
駅長「赤出汁だし」
駅員・駅長・警官「ぶわっはっはっはっは」
大人ってキタナイ、大人ってヒキョウ。ヨーコはそう思った。
警官「だがちょっと待って欲しい。こうは考えられないだろうか? つまり…『君はオヤジに蹴られたのではなく、たまたまオヤジの足が放たれた方に君の顔面があった』」
ヨーコ「フザケんなよ! あんた頭おかしいじゃない?」
駅長「大体なんで床に座っていたんですか?」
駅員「事件性なしですね。一軒落着、寿司でも食い行っかぁ~」
どうしようもないやり切れなさだけがヨーコの中に残った。
アタシは何にも悪くないのに。
ヨーコは荷物から愛読している雑誌「NOスイーツNOライフ」の今月号を取り出した。
万引きするのに手間取っただけあって今月号は特に貴重なもののように感じられる。
次の電車が来るまでの間、ヨーコは嫌な気分を振り払おうとそれを読みふけった。
今月号では「プチうつ」が特集されていた。
まさに今のヨーコにぴったりな特集。
ヨーコ「ふむふむ…プチうつとは…」
ヨーコ「…」
ヨーコ「長いなあ。読む気しない」
三行以上の文章を読むとめまいがする。この読めるのはガリベンとオタクだけだと思う。
もちろんケータイ小説は読むけどファッションとメイクにも気を使うヨーコはセレブだけど。
そんな読者にも気を使っているらしく、その記事の下にはこんなことが書いてあった。
『頭が弱い人向けに一行で解説…自分のことだけ考えてろ』
なるほど、わかりやすい!
頭が弱くてほんとに良かったとヨーコは思った。
ヨーコは自分のことを考えた。
でもいつも自分のことばっかり考えてるからあんまり意味なかった。
いつもNOスイーツNOライフに書いてある通りに自分を大事にしてるしアタシってマジで愛され系だと思う。
そんなことを考えてると少し気分が良くなってきた。
真っ赤なったティッシュの鼻栓を詰め替え、ヨーコは電車に乗った。
そうだ、明日はこの理不尽なゲンジツのボーリョクに耐えた自分へのご褒美を買っちゃおう。
続く……
スイーツ・オブ・ザ・デッド1
高校二年生になったばかりのヨーコは、駅で始発が出るのを待っていた。
また朝帰りになっちゃったけどヨーコは幸せな気分で体が浮かび上がりそうだった。
だってもう会えないと思っていた恋人、ヒカルに会えたから。
それは本当にただの偶然だった。
友達と買い物をした帰り、夜の町で二人はばったり再会したんだ。
ヨーコ「ヒカル……」
ヒカル「あれっ? ヨーコ?」
見詰め合っただけで二人の頭の中をものすごい勢いでキオクが駆け巡る。
河原でセックス、野原でセックス、満員電車でセックス、観覧車でセックス。
欲情もとい愛の欲求に引き寄せられたヨーコとヒカルはラブホで一年ぶりに愛し合った。
久々にヒカルのジャイアントスイング後背位をされたヨーコは幸せで頭がいっぱいになった。
血が昇っただけだとも言う。
でもそんなヨーコにも少し胸にモヤモヤすることがある。
それは今付き合っているレイジのこと。
彼のことももちろんダイスキだけど、私やっぱりヒカルのこと忘れられない……
ヨーコの小さな胸と小さな脳ミソは押し潰されそうだった。
でも脳ミソの方は物理学的に考えてこれ以上圧縮したらブラックホールが発生してしまう。
私のせいで地球が重力崩壊を起こして人類文明がアッという間に滅亡したらどうしよう……
ヨーコはそんなことも心配せずにはいられない優しい子だった。
電車が来た。
徹夜明けで帰るサラリーマンとか学生たちで結構混んでる。
ヨーコはドアに背を預ける形で床に座り込み、ケータイを開いた。
こんな気分の時はダイスキなケータイ小説「恋ソーラ・レイ」を読むって決めてる。
とうとう今日は最終回。
どんな結末を迎えるのかとっても楽しみ。
ケータイ小説とか読んじゃうヨーコは自分のことをとってもセレブでデキる女だと思う。
更に自分の周囲にジュースのペットボトル、灰皿と煙草、酒瓶、ビューラー、コンパクト、簡易用トイレなんかを配置したら準備は万全♪
気合い入れて読むぞー☆
恋ソーラ・レイの最終話は本当に悲しくて、ヨーコは思わず泣いてしまった。
まさか主人公の恋人がモビルスーツに乗ったままソーラ・レイを食らって蒸発しちゃうなんて!
ニュータイプぱねぇ! マジぱねぇ!
ヨーコ「おろろーん、おろろーん」
大声で泣いてるヨーコをリーマンのオヤジが汚物を見る目で見ていた。
オヤジ「おい、そんなとこに座るな。邪魔だ」
ヨーコ「は? 何このオヤジ。キモイ、マジキモイ」
オヤジ「人に向かってキモイとはなんだチミは! だっふんだ! わしはそんなとこに座ったら他の人のメーワクと言っとるんだよ、チミ」
ヨーコ「クサイ! 息しないで!」
キモイオヤジのキモイ言葉にキモイヨーコはキモくなった。
あまりにもキモイので無視してケータイに視線を戻す。
こんなオヤジ無視無視。
そしたらオヤジが突然片足を上げてヨーコに足の裏を見せるような格好になった。
ヨーコ「なにそれキモイ、マジキモ…」
次の瞬間、オヤジの突き出した足の裏がヨーコの顔面にめり込んでいた。
ヨーコ「ブ…ブルスコォオ!!」
目の前が真っ暗になる。
続く……
また朝帰りになっちゃったけどヨーコは幸せな気分で体が浮かび上がりそうだった。
だってもう会えないと思っていた恋人、ヒカルに会えたから。
それは本当にただの偶然だった。
友達と買い物をした帰り、夜の町で二人はばったり再会したんだ。
ヨーコ「ヒカル……」
ヒカル「あれっ? ヨーコ?」
見詰め合っただけで二人の頭の中をものすごい勢いでキオクが駆け巡る。
河原でセックス、野原でセックス、満員電車でセックス、観覧車でセックス。
欲情もとい愛の欲求に引き寄せられたヨーコとヒカルはラブホで一年ぶりに愛し合った。
久々にヒカルのジャイアントスイング後背位をされたヨーコは幸せで頭がいっぱいになった。
血が昇っただけだとも言う。
でもそんなヨーコにも少し胸にモヤモヤすることがある。
それは今付き合っているレイジのこと。
彼のことももちろんダイスキだけど、私やっぱりヒカルのこと忘れられない……
ヨーコの小さな胸と小さな脳ミソは押し潰されそうだった。
でも脳ミソの方は物理学的に考えてこれ以上圧縮したらブラックホールが発生してしまう。
私のせいで地球が重力崩壊を起こして人類文明がアッという間に滅亡したらどうしよう……
ヨーコはそんなことも心配せずにはいられない優しい子だった。
電車が来た。
徹夜明けで帰るサラリーマンとか学生たちで結構混んでる。
ヨーコはドアに背を預ける形で床に座り込み、ケータイを開いた。
こんな気分の時はダイスキなケータイ小説「恋ソーラ・レイ」を読むって決めてる。
とうとう今日は最終回。
どんな結末を迎えるのかとっても楽しみ。
ケータイ小説とか読んじゃうヨーコは自分のことをとってもセレブでデキる女だと思う。
更に自分の周囲にジュースのペットボトル、灰皿と煙草、酒瓶、ビューラー、コンパクト、簡易用トイレなんかを配置したら準備は万全♪
気合い入れて読むぞー☆
恋ソーラ・レイの最終話は本当に悲しくて、ヨーコは思わず泣いてしまった。
まさか主人公の恋人がモビルスーツに乗ったままソーラ・レイを食らって蒸発しちゃうなんて!
ニュータイプぱねぇ! マジぱねぇ!
ヨーコ「おろろーん、おろろーん」
大声で泣いてるヨーコをリーマンのオヤジが汚物を見る目で見ていた。
オヤジ「おい、そんなとこに座るな。邪魔だ」
ヨーコ「は? 何このオヤジ。キモイ、マジキモイ」
オヤジ「人に向かってキモイとはなんだチミは! だっふんだ! わしはそんなとこに座ったら他の人のメーワクと言っとるんだよ、チミ」
ヨーコ「クサイ! 息しないで!」
キモイオヤジのキモイ言葉にキモイヨーコはキモくなった。
あまりにもキモイので無視してケータイに視線を戻す。
こんなオヤジ無視無視。
そしたらオヤジが突然片足を上げてヨーコに足の裏を見せるような格好になった。
ヨーコ「なにそれキモイ、マジキモ…」
次の瞬間、オヤジの突き出した足の裏がヨーコの顔面にめり込んでいた。
ヨーコ「ブ…ブルスコォオ!!」
目の前が真っ暗になる。
続く……
音楽について語ろうぜ。
語ることなんかねえよ。
と言いたいところだが実はちょっとある。
えーこの完全犯罪、音楽にこだわりというものがまったくございません。
なんか「好きな曲とかアーティストあるのが普通」みたいな風潮あるじゃないですか。
カラオケのレパートリーが少なくとも三つか四つくらいはあるのが当然ってさ。
言っとくけどそれリア充の話ですから。
非リア充はいっさいそんなことないですから。
そんな感じで10年前に買ったのにいまだにスカスカなCDラックの内容は見事にゲームと映画の音楽CDだけ。
あとゲーム屋でタダでもらった無料配布CD。アエラだかシンラだかそんなような名前のやつ。
それを適当に入れて適当に聞いてます。
あとラジオ聞いたりとかね。
つまり俺が何を言いたいかっていうとだな、「音楽あまり聞かないんで」って言ったときにビックリしたような呆れたような蔑むような性格暗いやつ見るような、「あ、こいつ変だわ」って顔をするのをやめろ!!
しょうがないから「レザボアドッグスとキルビルの曲なら大好きです、特にキルビルのオーレンイシイと戦うときのシナトラの曲が最高です、あの手拍子から始まるやつ」って言ったら「……何それ? どんなの?」って言うんじゃねえよ!!
俺のことなんかほっとけってんだよリア充はよ!!
キルビルの選曲の素晴らしさも知らずに音楽語ってんじゃねーよ!
劇中に出てくるプッシーワゴンは監督の私物だよ!!
タランティーノあの車で街中走り回ってんだぞ、わかってんのかコラ!!
あと制服姿の千明様最高過ぎるだろ! GOGO夕張なんて名前の日本人いねえよ!!
と言いたいところだが実はちょっとある。
えーこの完全犯罪、音楽にこだわりというものがまったくございません。
なんか「好きな曲とかアーティストあるのが普通」みたいな風潮あるじゃないですか。
カラオケのレパートリーが少なくとも三つか四つくらいはあるのが当然ってさ。
言っとくけどそれリア充の話ですから。
非リア充はいっさいそんなことないですから。
そんな感じで10年前に買ったのにいまだにスカスカなCDラックの内容は見事にゲームと映画の音楽CDだけ。
あとゲーム屋でタダでもらった無料配布CD。アエラだかシンラだかそんなような名前のやつ。
それを適当に入れて適当に聞いてます。
あとラジオ聞いたりとかね。
つまり俺が何を言いたいかっていうとだな、「音楽あまり聞かないんで」って言ったときにビックリしたような呆れたような蔑むような性格暗いやつ見るような、「あ、こいつ変だわ」って顔をするのをやめろ!!
しょうがないから「レザボアドッグスとキルビルの曲なら大好きです、特にキルビルのオーレンイシイと戦うときのシナトラの曲が最高です、あの手拍子から始まるやつ」って言ったら「……何それ? どんなの?」って言うんじゃねえよ!!
俺のことなんかほっとけってんだよリア充はよ!!
キルビルの選曲の素晴らしさも知らずに音楽語ってんじゃねーよ!
劇中に出てくるプッシーワゴンは監督の私物だよ!!
タランティーノあの車で街中走り回ってんだぞ、わかってんのかコラ!!
あと制服姿の千明様最高過ぎるだろ! GOGO夕張なんて名前の日本人いねえよ!!