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76 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 09:38:18.83 ID:p2KXYWpW0
ブーンは一日の大半をベッドに横になって過ごしていた
(ヽ^ω^)(うう・・・口と喉がカラカラだお)
薬の副作用で、しょっちゅう口と喉の水分がなくなる
しかし水差しの水はほとんど残っていない
あまりに水を飲む量が多すぎるのだ
(ヽ^ω^)(水を持ってきてもらうお)
ブーンは呼び出し用のブザーを押した
78 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 09:42:33.40 ID:p2KXYWpW0
しばらくすると看護婦がやってきた
看護婦「どうかしましたか?」
(ヽ^ω^)「す・・・いま・・・せん
水を・・・下さい・・・お・・・」
口の中が乾ききっている為、うまくしゃべれない
看護婦「水ですか・・・
ブーンさん、この頃水の摂取量が異常に多いですよ」
看護婦はそう言いながらも、水差しに水を補給してくる
看護婦「できるだけ少しずつ口に含んで一気に飲まないようにして下さい
このままじゃ、水中毒になってしまいます」
看護婦はそう注意してから、水差しを渡した
79 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 09:45:36.46 ID:p2KXYWpW0
しかし、ブーンは水差しの水を一気にがぶ飲みした
(ヽ^ω^)「ああ、生き返るお・・・」
看護婦「ブーンさん、私のいったこと聞いてましたか?
明らかに水分の取りすぎです」
(ヽ^ω^)「でも、喉が乾くんですお・・・」
看護婦「そういう時は少しずつ口に含んで、渇きを潤して下さい」
(ヽ^ω^)「・・・はいですお」
84 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 09:52:29.36 ID:p2KXYWpW0
(ヽ^ω^)(看護婦さんは僕のことを嫌っているんだお・・・)
ブーンは看護婦や他のスタッフが自分のことを嫌っていると感じるようになっていた
(ヽ^ω^)(きっと僕なんてさっさと死ねばいいと思ってるお)
ブーンは時々、無性に死にたくなる衝動に襲われた
(ヽ^ω^)(もう生きていてもしかたないお
死にたいお・・・)
しかし、ブーンの部屋には自殺に使えそうな物が一切置かれていない
窓には鉄格子がかかっている為、飛び降りることもできないのだ
88 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 09:59:03.44 ID:p2KXYWpW0
(ヽ^ω^)(僕なんて誰からも必要とされてないお)
ブーンはものすごい絶望と不安に襲われるとじっとしていられず部屋を走り回りだす
(ヽ^ω^)「うおおおおおおおおー!!」
恐怖から逃げたくて、絶叫しながら病室をグルグル駆け回るのだ
そして、壁に自分の頭を何度も叩きつける
(ヽ^ω^)「誰か僕を殺しておー!」
叫び声を聞きつけた看護士がやってきて、ブーンを取り押さえる
看護士「ブーン君!
そんなに頭をぶつけたら、死んでしまうよ!」
93 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 10:29:16.66 ID:p2KXYWpW0
(ヽ^ω^)(僕の人生もう終わってるお
生きていても苦しいだけだお・・・
死んだ方が楽な気がするお)
ブーンの自殺願望は日に日に強くなっていった
病室には外部からの勝手な情報を得ないようにとパソコンやテレビ、ラジオなどが置かれていない
だから、ブーンは自殺方法を調べることができなかった
(ヽ^ω^)(絶食したら、死ねるかお?)
そう考え、ブーン7は病院から出される食事を全く採らない様にした
100 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 10:58:39.61 ID:p2KXYWpW0
昼食を下げに来た看護婦がブーンが食事に全く箸をつけていないのを発見した
看護婦「ブーン君、ご飯ちゃんと食べないと体力つかないよ」
(ヽ^ω^)「・・・雨が土砂降りだお」
ブーンはそう答えた
看護婦「雨?」
看護婦は窓の方に行き、外の様子を見る
今日は暖かな日差しの小春日和で、雨など全く降っていなかった
看護婦「雨なんて降ってないよ?」
(ヽ^ω^)「ものすごい雨の音がするお
ザーザーって・・・」
看護婦「・・・」
102 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 11:02:15.52 ID:p2KXYWpW0
(ヽ^ω^)「まるで台風がきているみたいだお」
看護婦はそれ以上、何も言わず出した時と全く同じ状態の食事の膳を持って病室から出て行った
(ヽ^ω^)「カーチャン、雨に濡れてないかお?
風に気をつけるお」
ブーンは母の身を案じた
(ヽ^ω^)(カーチャンは体が弱いから、心配だお)
ブーンは誰もいない病室で一人ブツブツと呟いていた
104 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 11:06:52.23 ID:p2KXYWpW0
(ヽ^ω^)「ポチ・・・
天国は楽しいかお?」
ブーンはベッドから上半身を起こし、母が置いていった犬のぬいぐるみを両手に抱え、
じっと見つめた
(ヽ^ω^)「もうすぐしたら僕もそっちに行くお
天国でポチと楽しく暮らすお」
ぬいぐるみの目は無言のまま、ブーンを見つめていた
(ヽ^ω^)「もう生きていたくないお・・・
友達なんて一人もいない・・・
家族もいない・・・
僕は一人ぼっちだお・・・」
ブーンは孤独だった
117 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 11:39:54.66 ID:p2KXYWpW0
(ヽ^ω^)「マイちゃん、向こうでは元気に走り回っているかお?」
ブーンは冷たいコンクリートの天井を見上げた
(ヽ^ω^)「こっちじゃ、満足に体を動かすこともしゃべることもできなかったお・・・
マイちゃん・・・
マイちゃんは向こうで元気な体を取り戻せたかお?」
マイはブーンの高校時代の唯一の友達で、筋ジストロフィーという現在の医学では
治療が不可能な先天性の難病に冒されていた
||‘‐‘||レ「ブーン君、マイは自由に走ることも笑うこともできるようになったよ!」
天井に映るマイがブーンに語りかけてくる
(ヽ^ω^)「そうかお・・・
それは良かったお
マイちゃんは今、幸せだお」
ブーンは天井のマイに向かって微笑んだ
マイは笑いながら、元気よく遠くに走り去っていった
214 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/12(日) 18:41:55.42 ID:p2KXYWpW0
(ヽ^ω^)「マイちゃん・・・
辛かった高校時代に僕と友達になってくれたのはマイちゃんだけだったお
マイちゃんのおかげで僕は大学に進むことができたお・・・」
ブーンはマイとの日々を振り返った
(ヽ^ω^)「僕も死ねばマイちゃんと会えるかお?
早く死んで向こうに行きたいお」
ブーンはベッドに横になった
どうも熱が出てきたらしい
体中の力が抜け、手足がかすかに痙攣していた
(ヽ^ω^)「カーチャン・・・
僕は親不孝な息子だお
ごめんお・・・」
ブーンは意識が薄れきたのと同時に瞼が下がってきた
(ヽ^ω^)ブーンが精神病になったようです 第十部 第六十一話
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