33 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:38:02.19 ID:17inKkzO0
ブーンが『anim@te』の臨時バイトの仕事についてから3日が経過した。
あやふやなところも多いが店の雰囲気をつかみ、はやくもブーンは仕事にもなれはじめていた。
やる気になれば、人間たいていのことはできるのだ。
(-_-)「ありがとうございました」
(炎^ω^)「ありがとうございましたお。また来てほしいお!」
最後の客が店を後にし、ヒッキーは扉の看板をひっくりかえす。今日もさしたる問題はなく、
総合アニメグッズショップ『anima@te(アニマッテ)』は規定の営業時間を終了した。
34 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:39:23.91 ID:17inKkzO0
(-_-)「ふぅ・・・おわった」
(炎^ω^)「それじゃあ今日もおねがいするお!」
(-_-)「あ・・・はい」
(炎^ω^)「全力で仕事をおぼえてみせますお!」
ブーンは空き時間を見つけて副店長のショボンや熟練バイトのヒッキーから仕事を習っていた。
自分から仕事を習おうとするなど、以前のニートまっしぐらな彼からは想像できない。これも
前アニメ店長(クー)から受け取ったサンバイザーのおかげである。
35 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:41:08.14 ID:17inKkzO0
(-_-)「今日はPOPをつくりましょう」
(炎^ω^)「ガンバスターに乗ってねらってみせるお!」
(-_-)「それはトップです」
(炎^ω^)「悪いが、俺はメラゾーマもマヒャドもつかえないお!」
(-_-)「それは同じ名前だけど意味が違います」
(炎^ω^)「ピピットプリット プリタンペペルト」
(-_-)「・・・ブーンさん。アニメやゲームに疎い、っていう設定じゃなかったですか?」
(炎^ω^)「なぜか知らないけど、頭に情報が流れ来たんだお。きっとこれは大宇宙の遺志だお!」
(-_-)「サンバイザーが“DAT”だった、というほうがまだ説得力ありますよ」
もちろんそんなわけはない。オタクであるドクオと友達だったブーンは、彼と接している間に無意識で
さまざまな知識の断片を吸収していた。深層心理のなかにたまった知識の欠片が三日間とはいえ、
アニメグッズにかこまれた仕事をしているうち、系統だって組み立てられ、知識へと昇華したのだ。
かなり無理のある理論だが、まぁ、“夢”みたいなものだとおもってほしい。用は作者のご都合主義である。
36 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:41:48.04 ID:17inKkzO0
(-_-)「ポップは客の目をひき、興味を持たせるためには必要です。たとえば、明日大人気のライトノベル
『涼宮ハルヒ』シリーズの新刊が出版されるんですけど、宣伝するために・・・」
スタッフルームの文具箱からケント紙を取り出し、鉛筆で下絵をはじめる。各色のマジックやコピック(色ペン)で
簡単に色をつけていく。描きあがったのは『ハルヒ』に登場する読書好きの綾波系、長門由希。
(炎^ω^)「これはすごいお!」
(-_-)「吹き出しの要領で宣伝文を書いて・・・っと。こんなもんかな」
(炎^ω^)「ワクワクさん、俺にもできることはないかお?」
(-_-)「(ワクワクさん・・・・・・)」
(-_-)「じゃあ、これを切り抜いて、棚にあるクリップで留めておいてください・・・」
(炎^ω^)「まかせるお!チョッキン チョッキン チョッキン」
38 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:43:45.86 ID:17inKkzO0
ゴロリ・・・いや、ブーンは8分かけてPOPを切り抜いた。遅い。
(炎^ω^)「できたお!」
(-_-)「その次はこれをおねがいします」
ヒッキーが手渡したのは先日第二期化の決まったマンガ『ゼロの使い魔』のPOP。
ちなみに、煽り文句も含めて一枚完成させるのに10分とかかっていない。だいぶ書きなれている。
(炎^ω^)「このピンク色の髪の女の子、どっかで見た気がするお」
(-_-)「・・・ルイズは人気キャラですから。じゃ、お願いします・・・」
(炎^ω^)「どんどん切っていくお!」
30分ほどかけ、2人は4枚のPOPを完成させた。
39 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:46:03.01 ID:17inKkzO0
(´・ω・`)「はかどっているようだね」
(-_-)「あ、お疲れ様です」
(炎^ω^)「ショボンさん、おつかれさまですお!」
(´・ω・`)「ほぅ、POP作りか。絵心はなくても文章を考えるいい練習になるな。
今の流行もチェックできるし・・・なるほど。『ハルヒ』に『ゼロの使い魔』『ギアス』か」
(炎^ω^)「ブーンもわかってきましたお。この“オレンジ”っていうのが『ギアス』の一番人気なんですおね?」
(´・ω・`)「そうだ」
(-_-)「(!??)」
(´・ω・`)「さて、もう9時だ。そろそろ上がろうか。入金がてら、何か食べていかないか」
(炎^ω^)「賛成だお!俺のお腹がメシを食わせろと輝き叫んでますお」
(´・ω・`)「うん、外でツンが待っているから着替えて出ていてくれ」
(-_-)「あ・・・・・・ボクも一緒させてください・・・」
40 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:48:16.90 ID:17inKkzO0
(炎^ω^)「あー、今日もよく働いたお。お客様の笑顔が俺たちのガソリンだお」
(-_-)「・・・熱いなぁ、ブーンさん」
(炎^ω^)「伊達にアニメ店長は名乗ってないお!
ただ・・・」
ブーンがサンバイザーをはずす。
( ´ω`)「サンバイザーをはずした後の虚脱感が未だに慣れませんお・・・」
(-_-)「・・・・・・」
42 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:49:47.53 ID:17inKkzO0
【午後9時・『anim@te』・半開きのシャッター前】
???「どうしてもダメなんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「だーかーら。何度も言ったでしょ・・・・・ちょっと、あんたたち」
ブーンとヒッキーが外に出ると、ツンが不機嫌そうに口論している相手を指差す。
ξ゚⊿゚)ξ「あんたたちからも何とかいってやってよ」
ツンの前に立っているのは、高校生にしてはツンよりもなお小さい少女二人。背負っている赤いランドセルからは
そろってリコーダーのおしりが飛び出している。どうみても小学生、それも低学年といったところだろう。
43 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:50:27.14 ID:17inKkzO0
(*゚∀゚)「ねぇ。おにいちゃんたちもお店の人?」
( ^ω^)「いちおうそうだお。ブーンはまだ入ったばかりのバイトだけど・・・」
(*゚ー゚)「おねがいします。ゲームを売ってください」
(-_-)「な、な、なんでこんな時間に君たちみたいな小さな女の子がゲームを買いにきたの?」
挙動不審なヒッキーが質問すると、二人は悲しそうに下を向いてボソボソとつぶやいた。
(*゚ー゚)「・・・・・・お父さん、明日の朝から手術なの」
44 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:52:37.24 ID:17inKkzO0
(*゚ー゚)「お父さん、一年前からずっと入院してるの。明日、すっごく難しい手術があって、それでゲーム好きのお父さんが
入院前に楽しみにしていたゲームをプレゼントして、がんばってもらおう、って思って」
(*゚∀゚)「だからしぃちゃんと一緒にお見舞いにいってから街に買いにきたんだけど
どこも閉まっちゃてて・・・頼んでも、どこのお店屋さんも売ってくれなかったの」
( ^ω^)「そうなのかお・・・それは残念だお」
(-_-)「この街ははやく閉まるからなぁ・・・」
(*゚ー゚)「おねがいします!」
(*゚∀゚)「売ってください!」
ξ゚⊿゚)ξ「あなたたちの気持ちはわかるけど、もうレジも閉めたし・・・」
(-_-)「ちなみに、何てソフトなの?」
(*゚ー゚) (*゚∀゚)「「『はじめてのおやしろさま』です」」
(-_-)・ξ゚⊿゚)ξ「ちょwwww」
はじめてのおやしろさま。
ふたごの幼女といろんなえっちをたのしめる 1 8 禁 ゲ ー ム である。
46 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:55:29.46 ID:17inKkzO0
ξ゚⊿゚)ξ「・・・絶対ダメよ」
(*゚ー゚)「そんなぁ」
( ^ω^)「・・・・・・」
多少は覚えたとはいえ、ブーンは『はじめてのおやしろさま』なるゲームを知らなかった。
だが双子にとって、そのゲームが必要であることはわかった。
助けてあげたい。
三日前のブーンなら「かわいそうだお」だけで終わっていただろう。
だが3日もバイザーをかぶっていたためか、通常状態の心の隅にも、熱血の炎は静かにくすぶっていた。
( ^ω^)「今のブーンに、君たちを助けることはできないお」
(*゚∀゚)「・・・?」
( ^ω^)「でも・・・『アニメ店長ブーン』なら・・・きっと、何とかしてくれるお!」
47 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:56:46.15 ID:17inKkzO0
(-_-)「まさか・・・ダメだ、ブーン君!!」
ξ゚⊿゚)ξ「サンバイザーを被らせるなァー!」
( ^ω^)「いいや、限界だお。かぶるお。
受けてみるお、アニメの力。熱血装甲セキトモサンバイザー。装☆着!」
(炎^ω^)「俺にまかせるお!」
(*゚ー゚) (*゚∀゚)「ほ、本当?お兄ちゃん」
(炎^ω^)「あぁ、レジの前で待っておいてほしいお!」
半分閉まったシャッターをくぐり、ブーンは店の中に戻ってゆく。双子は顔を見合わせると手をとりあい、
ブーンを追って店の中に入っていった。
ξ;゚⊿゚)ξ・(;-_-)「(やってしまったー!!)」
49 名前:第3話「深夜の訪問者、客の期待は裏切れないお!」[] 投稿日:2007/02/19(月) 01:58:43.93 ID:17inKkzO0
(*゚ー゚) (*゚∀゚)「ブーンおにいちゃん、ありがとう。ばいば~い」
その10分後。笑顔の双子は『はじめてのおやしろさま』の入ったふくろをだいじそうに持って
駅にむかって消えていった。
ξ゚⊿゚)ξ「終わった・・・何もかも・・・・・・」
(´・ω・`)「大丈夫だ。いざとなったらヒッキー君が責任をとってくれる」
(;-_-)「(ひどい・・・)」
(炎^ω( )「クーさん・・・俺は確かに今日、アニメ店長として一歩成長しましたお・・・」
ツンに踏まれながら、ブーンはクーのいるであろう方向に向かって親指を突き出す。
ちなみに彼のつきだした方向はクーの病院とは正反対で、その先にあるのは警察署だけであった。
【続く】
(炎^ω^)ブーンがアニメ店長になったようです 4
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