4 名前:あらすじ[sage] 投稿日:2007/05/08(火) 00:56:00.47 ID:FiTaKIaG0
高校卒業後、ニートを続けていたブーンはあるとき、ひょんな事から
オタクの町“アキバハラ”のグッズショップ『anim@te』を手伝う事になった。
前店長クーにわたされたサンバイザーをかぶり、無気力なニートが今日も熱血アルバイト店員
────アニメ店長ブーンへと変身するッ!!
6 名前:登場人物紹介[sage] 投稿日:2007/05/08(火) 00:57:13.18 ID:FiTaKIaG0
【総合アニメグッズショップ『anim@te(アニマッテ)』】(ver.1.1)
現在ショボンが取り仕切るアキバハラで一番古いアニメグッズショップ。
競合店が増えたので、最近は売り上げが落ち気味。
( ^ω^) ブーン:本編の主人公。基本的にめんどくさがりなニート。アニメには詳しくない。
この状態だとタダのダメ男だが、サンバイザーをかぶるとギアスをかけられたオレンジ並に変貌する。
(炎^ω^) ブーン:ブーンがクーに譲り受けた店長印のサンバイザーをつけた姿。
ブーンの中の『熱血』が究極まで高められたため、普段は考えられないほどの超アグレッシブで
ポジティブな言動をみせる。自称『アニメ店長ブーン』だが、やってる事はバイト見習い。
川 ゚ -゚) クー:本名、素直空。アキバハラにある総合アニメグッズショップ『anim@te』の二代目店長。未亡人。
アニメやゲームが大好き。アキバハラの街も大好き。
一話にてブーンのスクーターに轢かれるが、本人はその事実に気づいていない。現在入院中。
ξ゚⊿゚)ξ ツン:本名、素直ツン。アキバハラ学園二年生。クーの娘で、『anim@te』の店員。
アニメやゲームに群がるオタク達を本心からキモいと思い、実際につれない態度をとっているが、
その知識はそんじょそこらのオタク以上。
渡辺彩香とは幼馴染で、面倒見のいい性格は彼女とのつきあいからきている。
両親やショボンが作ったこの店を大切におもっている。
ξ金゚⊿゚)ξ ツン:おだやかな心を持ちながら激しい怒りをもったツンが変身した姿。
普段の仕事で少し荒れ気味な茶髪は完全な金髪巻き毛にかわり、体に金色のオーラをまとう。
普段の数倍の萌闘力を誇るが、その分体への負担も大きい。
(´・ω・`) ショボン:肩書きは『anim@te』副店長。だが、実際はクーと彼の亡夫とともに店をたちあげた共同経営者。
(-_-) ヒッキー:アキバハラアニメーション学院(通称アキアニ)に通う専門学生。オタク趣味ならなんでもござれな20歳。
少々人見知りもするが、基本的には無害なアキバ青年。実はツンが好き
8 名前:簡易登場人物紹介(2/3)[sage] 投稿日:2007/05/08(火) 00:58:32.46 ID:FiTaKIaG0
【ドールショップ『ふぃぎゅ@めいでん』】(VER.1.0)
フィギュアやドールを取り扱う専門店。店主は荒巻スカルチノフ。最新のガンプラからアンティークまで取り扱っている。
店内は埃くさく、陳列は雑。店員が気持ち悪い女装をしているため、一般客からのイメージはすこぶる悪い。
ただその筋の人間にとって、店内は宝の山である。
荒巻スカルチノフ / ,' 3:『ふぃぎゅ@めいでん』の店長。普段はドール素材を探して世界を旅している。
少しボケ気味の老翁だが、実はスゴ腕の人形師。
流石兄者 (*´_ゝ`):荒巻の孫。裁縫師。人形の衣装だけでなく、人間サイズのコスプレ衣装もとりあつかう。
普段は「流翠星石」(ながれ・すいせいせき)と名乗り、気持ち悪い女装コスプレをしている。
皆に不評だった格好をはじめて認めてくれたブーンに胸キュン中。
流石弟者 (´< _` ):荒巻の孫。造形師。
放浪癖のある荒巻や使えない兄にかわり、店の経営を一手にひきうける苦労人。
【メイド喫茶『Pure ca@rrot』(ぴゅあ・きゃきゃろっと)】
数あるアキバハラのメイド業種の中で、最も格式と伝統を重んじる、日本初のメイド喫茶。
過剰な演出の多い似非メイドブームに逆行して、写真撮影など派手なサービスが一切ない硬派な店舗。
だが、この似非メイド喫茶ブームを嫌うオタクが集まり、経営は良好。
ハインリッヒ 从 ゚∀从:『Pure ca@rrot』のメイド長(=店長)。
その立ち振る舞いはまさにプロフェッショナルで、アキバハラ中のメイドの憧れの存在。
店に出ていないときは関西弁をつかう気さくな姉さん。
本名は高岡貴子、31歳。
伊藤ペニサス ('、`*川:『Pure ca@rrot』の新人メイド。15歳。あがり症。アキバハラ学園1年生。
9 名前:簡易登場人物紹介(3/3)[sage] 投稿日:2007/05/08(火) 00:59:32.66 ID:FiTaKIaG0
【総合アニメグッズショップ『G@MERS』(じー・あっとまーず)】(VER.1.2)
『Pure ca@rrot』の対面に位置する『anim@te』最大のライバル店。
昨年冬の開店以来、綿密なマーケティングにより主に男性向けのグッズを展開。
アキバ男子の圧倒的な支持を得て、いちやく人気店になった。
ベジータ:『G@MERS』の店長。バーゲン民族サイヤ人の王子。得意料理は人参抜きのお好み焼き。
渡辺彩香 从'ー'从:『G@MERS』の筆頭店員。私立アキバハラ学園に通う2年生。ツンとは腐れ縁。
アキバ系アイドルグループ『AKB69』を上回る人気をほこり、ただのバイト店員にもかかわらず
インディーズでCDまでリリースしている。通称“アキバの高校生アイドル店員・渡辺さん”。
現在、甲子園に出場している母校の臨時チアリーダー団長として出かけている。
【その他】
(*゚ー゚) (*゚∀゚) しぃ&つー:双子の幼女。入院している父親のおつかいでよく『anim@te』にやってくる。設定年齢18歳以上。
('A`) ドクオ:ブーンの旧友。大学に通う苦学生のオタク。1話以降出番ナシ
12 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」[sage] 投稿日:2007/05/08(火) 01:02:56.21 ID:FiTaKIaG0
ξ//⊿//ξ「渡辺さん……だめ……」
从'ー'从「だいじょーぶだよぉツンちゃん。こんな時間、誰もこないって」
夕暮れの迫る高校の教室。
壁に背をあずけたツンの頬を渡辺がゆっくりとなでる。顎から頬、首筋にそって細い指をなぞらせ
すでにはだけていた服の中へ進入させていく。
ブラの上から軽くなでるようにさする。開いている左手で起用にシャツとブラをはずし、そのまま両手で
ツンの双丘をすっぽりと包む。
从'ー'从「んー、前よりちょっと大きくなったかな」
ξ//⊿//ξ「だって……渡辺さんがいっつも……その……変な事するから」
从'ー'从「えー。その変な事でいつも気持ちよくなってるのは誰かなぁ?」
ξ//⊿//ξ「そっ、そんなことないわよ! 気持ちよくなってなんてないんだから……」
从'ー'从「ふふふ……そっかぁ。じゃあこんなことしてもうれしくないよね?」
14 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」[sage] 投稿日:2007/05/08(火) 01:05:25.04 ID:FiTaKIaG0
渡辺の両手がツンの胸をやさしく揉む。その感触──肉体的に何度も経験しても、心が慣れないえもいえぬ
心地におもわずツンの息が漏れる。その反応に満足したのか、渡辺はその白い肌に指を這わせ、
その指先が弧をえがくように乳首へと到達する。親指と人差し指でつまんでみたり、軽く押してみたり、
さまざまな方法でツンに刺激をあたえていく。
从'ー'从「どうかな、ツンちゃん」
ピン、と軽く乳首をはじく。
ξ//⊿//ξ「ん……あンっ!」
ツンの口から押し殺した声ではなく、はっきりとした嬌声が漏れた。
从'ー'从「ふふふ……ちょっと待ってて」
15 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」[sage] 投稿日:2007/05/08(火) 01:06:51.42 ID:FiTaKIaG0
渡辺はそばにあった椅子を壁にくっつけ、そこにツンを座らせる。
从'ー'从「はい、あーんして」
ξ//⊿//ξ「……あーん…………ンぐっ」
子供をあやすような渡辺の声に、ツンが口を開く。
素早く両手でツンの顔を抑え、渡辺はかがみこむように自らの唇を合わせた。
チュッ……ペチェペチャ…………チュッチュ……
静かな教室を咥水を啜る艶めかしい音。女の子特有の甘酸っぱい匂いが支配する。
16 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」[] 投稿日:2007/05/08(火) 01:10:37.41 ID:FiTaKIaG0
从'ー'从「……ぷはぁ。あー、窒息するかと思った」
およそ1分の間、ツンの咥内を堪能した渡辺は荒い息をする彼女の顔を覗き込む。
从'ー'从「どう、ツンちゃん。わたしとのキス……気持ちよかった?」
ξ//⊿//ξ「 ぅん」
コクリとうなずき、普段の彼女と似ても似つかないか細い声でツンは肯定する。
渡辺はニコリと笑い、再度ツンの頬に片手を寄せてキスをする。もう片方の渡辺の手が
彼女の太ももに触れたのを感じながら、ツンは自然と、自分から渡辺の舌へ自らの舌を絡めていく───
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
(-_-)「…………」
17 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」[] 投稿日:2007/05/08(火) 01:11:28.59 ID:FiTaKIaG0
6畳一間の薄汚いアパート。夜中にも関わらず、ガガガガ…とパソコンの音が響いている。
パジャマのズボンを半分ずらしてはき、壁にもたれていたヒッキーは手元の薄い本を、無言でパタリと閉じた。
後ろから抱きついてきた渡辺綾香におどろくツン。アキ学の制服姿の二人(を模した)イラスト。
『いけない制服ごっこ』というタイトルと、墨字“18禁”の二文字がきっちりと表記された同人誌。
おおよそ同人誌などとは関係のない世界の人間はもとより、普通のオタクの中にも
『同人誌=オリジナル非オリジナルを問わず、フィクションキャラを使った創作本』
という認識を持っている人間は多いが、それは大きな間違いである。
国家のトップを一同に介させたブラックジョークから、お笑い芸人同士のからみまで、
同人誌という世界は何もかもを内包している。
そしてもちろん、アキバでは名の知られた売り子である素直ツンや渡辺綾香も例外ではない。
(-_-)「……展開もそうだけど……やっぱり違うよなぁ」
まず髪留めが違う。同人誌の中の彼女は、リボンと一体型の髪ゴムを使っているが、ツンはわざわざ
別にリボンを結わえている。制服のスカートも、多少は縮めるが、あそこまで短くはしない。
目は二次元化という事もあってか、大きくなりすぎてオデコが少し狭くなっている。頬も少しこけ気味だ。
行為のシーンをみても、本の中の彼女の胸は大きすぎる。ヒッキーは別に小さい胸にこだわりを持っているわけでは
ないが、渡辺綾香と同サイズというのはいただけない。何より(本人は認めなくても)親友の
渡辺綾香に対し、“渡辺さん”などと他人行儀な言い方をするツンなど言語道断である。
18 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」 [] 投稿日:2007/05/08(火) 01:13:28.50 ID:FiTaKIaG0
(-_-)「……って、なんで冷静に同人誌と現実の違いなんて探してるんだろう……」
万が一にでもツンや渡辺綾香の耳に入らないよう専門学校の友人に購入してもらい、さらに3人を経由して手に入れた
同人誌だが、結局使うことはできなかった。
いや。ヒッキー自身が使用を拒んだ。
(-_-)「ツン……」
手元の同人誌。ファイルに挟まれた二枚のチケット。壁にかかった『ローゼンメイデン』のカレンダーへと
視線をうつしていき、そのまま彼はしばらく天井を眺めていた。
20 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」 [] 投稿日:2007/05/08(火) 01:14:48.97 ID:FiTaKIaG0
ξ゚⊿゚)ξ「はい、20円のお釣り。ありがとうございました」
常連客A「ツン殿は夏休みの予定はあるのでござるか?」
ξ゚⊿゚)ξ「アンタたちみたいにヒマな客が大挙しなけりゃ遊びに行ってるわよ。
はい、どいたどいた。次がつかえてるわ」
常連客A「つれないでござるな……」
ξ゚⊿゚)ξ「はい、いらっしゃい。コミック4冊とエロ本2冊で2000円ね。
……夏も冬も、よく飽きずに同じようなもの買うわね」
常連客B「それが男の性であります、大佐。それより、この店は猛暑すぎるであります」
ξ゚⊿゚)ξ「エアコン壊れてるのよ。だから、買ったらさっさと出て行って」
常連客B「アイ・マム。了解であります」
ξ゚⊿゚)ξ「(あー常連うぜぇ……)」
とか思いつつも、常連の顔を覚え、それぞれ違う対応をしているあたりは律儀である。
21 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」 [] 投稿日:2007/05/08(火) 01:17:52.47 ID:FiTaKIaG0
ξ゚⊿゚)ξ「はい次……あら、しいちゃんにつーちゃん。」
(*゚ー゚) (*゚∀゚)「「こんにちは。ツンお姉ちゃん」」
ξ゚⊿゚)ξ「いらっしゃい。お父さんの調子はどう?」
(*゚ー゚)「うん。大分よくなったよ。今日も朝から元気にゲームしてたし……あっ、ブーンおにいちゃん」
(炎^ω^)「ツン、電気屋さんに電話したら修理は今週末までムリらしいお」
ξ#゚⊿゚)ξ「ファック!」
(;゚ー゚) (;゚∀゚) 「「(ビクッ)」」
ξ;゚⊿゚)ξ「ご、ごめん。お姉ちゃん驚かせちゃったね」
ひきつった顔の双子に気づき、ツンはあわてて表情をやわらかくする。
23 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」 [] 投稿日:2007/05/08(火) 01:19:14.07 ID:FiTaKIaG0
(炎^ω^)「今日もお父さんのお使いかお?」
(*゚∀゚)「うん。病室に張るポスターを買いに来たの」
ξ゚⊿゚)ξ「暑いのにエラいわねぇ……ブーン、あんたこれから休憩でしょ?奥でジュースでも出してあげたら?
用もないのにうろちょろされると暑苦しくてたまんないわ」
(炎^ω^)「俺のどこが暑苦しいんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「いろいろと。ていうか、サンバイザーはずせば?」
(炎^ω^)「それは無理だお。今俺がこれを取るとニートらしく帰宅してしまうんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「イバるな。いなくなるのも困るけど、無駄に動かれてもうざったらしい」
(炎^ω^)「わかったお。じゃあ二人とも後ろに行くお。俺に続けッ!」
3人が狭い店内を走っていくのを見ながらツンはレジに向かってくる客にむけて営業スマイルを準備した。
24 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」 [] 投稿日:2007/05/08(火) 01:21:50.15 ID:FiTaKIaG0
『さぁアキバハラ学園1点ビハインドの9回裏2アウトランナー2塁。バッターはアキバハラ学園唯一の1年生、
好リリーフをみせているピッチャーのモナー君。対するはここまで毎回の20三振をうばっている豪腕不知火君。
完封で3回戦進出なるか?』
『しかし何でアキバハラ学園は代打を出さないのかな?ピッチャーだってまだいるでしょう?』
『振りかぶって第1球……投げた!』
『これは速い。160キロは出てますね』
(-_-)「(高校球児ってレベルじゃないなぁ……)」
腕をくんで机につっぷしてラジオに耳をかたむけていると赤のサンバイザー、そして
小さな揃いのリボンが視界に入る。ラジオの音を落としてヒッキーは体を起こした。
(-_-)「あ……お疲れ様です」
25 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」 [] 投稿日:2007/05/08(火) 01:23:21.78 ID:FiTaKIaG0
(-_-)「君たちも来てたんだ……こんにちは」
(*゚ー゚) (*゚∀゚)「「こんにちは、ヒッキーさん」」
(-_-)「2時半…そろそろボクも行こうかな」
ブーン「冷蔵庫のジュース勝手にとってもいいかお?」
(-_-)「うん」
椅子にかけていたエプロンをかけ、店に出る。まばらな店内。レジでは携帯電話を片手にレジをうつツンの姿。
そんな店員を前にして目の前の客は明らかに腹をたてている。
_、_
(# ,_ノ` )「…………」
(-_-)「…………」
とりあえずタイムカードを打つ前にレジを打つことにした。
26 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」 [] 投稿日:2007/05/08(火) 01:24:50.08 ID:FiTaKIaG0
(-_-)「流石にメールしながら接客しちゃダメだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「うん……ちょっとぼんやりしてた。綾香にメールしてたらお客さんがきて……アレはダメね」
(-_-)「渡辺さんか…甲子園に応援に行ってたんだよね。残念だったなぁ……」
ξ゚⊿゚)ξ「え? モナーのバックスクリーン直撃ランニングホームランでサヨナラ勝ちしたって聞いたけど」
(-_-)「へ?」
ξ゚⊿゚)ξ「とても先週アニメのDVD-BOXが手に入らなくて泣いてたオタクには思えないわね。
やっぱり男はやるときはやらないと」
(-_-)「(やるべき時、か……)」
漫画『シグルイ』絵柄のウチワ(購入済)でブンブンとあおぎながらヒッキーは先日、アキバハラの
連続恐喝事件(7話)を解決した事を思い出していた。ツンにいいところをみせるためにと
慣れないアクションにチャレンジしたのはいいが、ブーンの大岡裁きのためおおっぴらにはできない。
「ボクが頑張ったから、モナー君は甲子園で活躍できるんだよ」
自分からウチワを奪い、メールの文章を組み立てている目の前の少女にそう言ってやりたかった。
27 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」 [] 投稿日:2007/05/08(火) 01:27:03.57 ID:FiTaKIaG0
(-_-)「でもすごいね。あの強豪・ネオホワイト学園を倒すなんて」
ξ゚⊿゚)ξ「ほんと。いつも同じガッコで見てるキモいオタク連中には見えないわ。知ってる?
甲子園での成績がよかったらコミケに出展されてる同人誌を優先的に代理購入できるようになってるのよ」
(-_-)「なるほど……」
夏の甲子園と真夏のオタクの祭典・コミックマーケットはほぼ時を同じにしている。
数年前、この時も都大会決勝に進んだアキバハラ学園野球部は9回ウラまで100点リードしながらも
“コミケにいけない”という事実に気づいて大逆転を食らったことがあるのだ。
ξ゚⊿゚)ξ「勝てば勝つほど綾香は帰ってこないし……」
(-_-)「寂しい?」
ξ゚⊿゚)ξ「まさか。明後日遊ぶ約束してたからね。ヒマになっちゃった」
(-_-)「(明後日か……)」
28 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」 [] 投稿日:2007/05/08(火) 01:28:30.22 ID:FiTaKIaG0
レジの下から両替用の小銭を取り出しつつ、壁にかかったシフト表をみる。確かにツンは休み。
自分のシフトは3時までだった。
友達にもらった映画のペアチケットを思い出す。期限まででツンと自分がまとまって開いている時間は
この日しかなかった。
(-_-)「ツ、ツン!」
ξ゚⊿゚)ξ「なっ、どうしたの? いきなり……」
珍しく大きな声をだしたヒッキーに、逆にツンがおどろいている。
(-_-)「あ、あのさ……」
ξ゚⊿゚)ξ「うん」
(-_-)「ヒマだったら、明後日────」
29 名前:第8話「ドキがムネムネ、キミとデートに行きたいお!!」 [] 投稿日:2007/05/08(火) 01:30:43.65 ID:FiTaKIaG0
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(-_-;)「どうしよ…………」
あっさりとOKもらったのは意外だった。
でも、それ以上に自分があのツンをデートに誘おうと行動した事が意外だった。
思うだけで満足だった。考えるだけで終わりのつもりの言葉と事態が、実際に自分の声になり、
展開していく。
積極的に女──片思いの相手にアクションを起こしたのは21年生きて初めてだった。
ξ゚ー゚)ξ「ま、付き合ってあげるわ。アンタから誘ったんだから、しっかりエスコートしてよね」
ニヤリと笑い、客が来てるわよと脇を突くツン。
その表情が、未だに頭の中から離れない。
(混-_-乱)「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
彼の安アパートにはいつものPC音と、現実に心が追いついていない漢の叫びが響いていた。
【続く】
(炎^ω^)ブーンがアニメ店長になったようです 9
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