203 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:04:58.21 ID:u4zyimvP0
やがて二人は自宅に到着した
( ^ω^)「ただいまだお」
( )「おかえり
結構遅かったな」
J(‘ー`)し「色々話してたからね」
( )「ふーん」
ブーンはポチの足の裏の汚れをふき取っていた
205 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:07:45.49 ID:u4zyimvP0
( ^ω^)「ポチごはん食べるお」
U゚∀゚U「ワン!」
J(‘ー`)し「アナタ、私達の為に働いてくれてありがとう」
( )「おいおい、どうしたんだ急に」
J(‘ー`)し「いえ、なんでもないわ」
( )「なんだよ、一体・・・」
210 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:11:03.14 ID:u4zyimvP0
ブーンの母は高校を卒業して、すぐに就職した為、大学に進学していない
家が貧しかった為、大学に行く為の学費がなかったのだ
J(‘ー`)し(ブーンはアナタと同じように大学に進んで、立派な仕事に就こうとしている
本当に良かったわ)
経済的な理由で大学に進学できなかった母はブーンが大学にいけるだけの環境が整っていることが
嬉しかった
J(‘ー`)し(ブーン、頑張ってね・・・)
ポチの頭を撫でているブーンを見ながら、母は心でつぶやいた
213 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:13:18.91 ID:u4zyimvP0
( ^ω^)「あれ?」
J(‘ー`)し「どうしたの?」
( ^ω^)「ポチがご飯残しているお・・・」
J(‘ー`)し「まあ・・・
珍しいわね」
( ^ω^)「ポチ?
お腹すいてないのかお?」
U゚∀゚U「ワン!」
ポチはいつもと同じように元気に尻尾を振りながら、吠えた
218 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:15:16.70 ID:u4zyimvP0
( )「ほう
ポチがご飯残すなんて初めてだな・・・」
父はポチの腹の辺りを見ながら、なにやら考え込んでいる様子だった
( ^ω^)「ポチもたまにはご飯残すお」
( )「ふむ・・・」
J(‘ー`)し「そうね
ポチもたまには食べたくない時があるわよね」
( )「・・・」
223 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:18:27.62 ID:u4zyimvP0
翌日、ブーンは学校から帰ってくるといつものようにポチに声をかけた
( ^ω^)「ポチ
ただいまだお!」
U゚ω゚U「ワン」
心なしかポチの鳴き声が小さかった
J(‘ー`)し「ブーン
クラブでどろどろでしょ
お風呂入りなさい」
( ^ω^)「うんだお」
ブーンは庭にあるポチの犬小屋を離れ、風呂場へ向かっていった
226 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:21:01.20 ID:u4zyimvP0
しばらくしてブーンは風呂から上がって、リビングにやってきた
キッチンでは母が夕飯の準備をしていた
( ^ω^)「ふー、すっきりしたお」
J(‘ー`)し「毎日頑張ってるわね」
( ^ω^)「レギュラーだから頑張るお」
J(‘ー`)し「そういえばポジションはどこなの?」
( ^ω^)「サイドバックだお」
231 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:23:13.79 ID:u4zyimvP0
J(‘ー`)し「サイドバック?」
( ^ω^)「そうだお」
J(‘ー`)し「へー、なんだか大事そうな所ね」
( ^ω^)「近代サッカーの要のポジションだお」
J(‘ー`)し「すごいわねー
ポチにご飯あげなさいよ」
( ^ω^)「分かったお」
234 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:25:54.60 ID:u4zyimvP0
( ^ω^)「ポチー
ご飯だお」
ブーンは器にドッグフードを盛って、ポチの犬小屋に向かった
U゚ω゚U「ク~ン・・・」
ポチは寝そべったまま目だけを動かすが、起き上がらない
( ^ω^)「ポチ?
ご飯いらないのかお?」
ブーンはポチの鼻先にエサの入った器を置いた
236 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:28:03.97 ID:u4zyimvP0
J(‘ー`)し「どうしたの、ブーン?」
( ^ω^)「ポチがご飯食べたがらないお」
J(‘ー`)し「今日もなの?
それはおかしいわね・・・」
( ^ω^)「ポチ!
ご飯だお」
U゚ω゚U「クウ~ン・・・」
ポチは相変わらず寝そべったまま動こうとしない
239 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:31:44.63 ID:u4zyimvP0
( ^ω^)「・・・おかしいお」
ポチがブーンの家に来てから6年が経っていた
ポチは6歳である
犬の6歳といえば、まだまだ元気旺盛な時期である
食事を欲しがらないという事は普通ではないのだ
J(‘ー`)し「少し様子を見て、おかしかったら病院に連れて行きましょうか?」
( ^ω^)「うんだお・・・」
ブーンはポチが明らかに元気がないのが、とても心配だった
248 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:36:57.45 ID:u4zyimvP0
ブーンは小学3年生から中学2年生の今に至るまで、常にポチが側にいた
ブーンにとって、ポチはかけがえのない家族であり、小さい頃は同じ布団で一緒に寝たりもした
( ^ω^)「ポチ・・・
元気になってお・・・」
その晩、ブーンはポチを自分の部屋に連れて行き、一緒に寝た
U゚ω゚U「クウ~ン・・・」
ポチはブーンが心配しているのを感じたのか、か細い鳴き声で一生懸命ブーンに答えているように見えた
そして、ブーンの顔を一生懸命舐めるのだ
( ;ω;)「ポチ・・・」
257 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:40:35.72 ID:u4zyimvP0
ブーンは布団にポチを横にして、一晩中撫でていた
ポチは徐々に元気がなくなってきているように感じた
( ;ω;)「ポチ・・・
死んじゃダメだお・・・」
ポチはまるまったまま動かない
しかし、ブーンに撫でられる度にお返しとばかり弱弱しく顔を上げ、か細く鳴いた
それは、まるでブーンにありがとうと言ってるようだった
266 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:46:16.09 ID:u4zyimvP0
やがて、朝がやってきた
ポチは明らかに昨晩より弱っていた
U´ω`U「クゥ・・・ン」
ポチは喘ぎながら、苦しそうに呼吸をしていた
( ;ω;)「カーチャン!
ポチが危ないお!
朝一番で病院に連れていくお!」
J(‘ー`)し「そうね!
でも、病院は9時からだわ
まだ開いてない・・・」
こうしている間にもポチの呼吸はどんどん弱くなっていった
271 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:51:33.33 ID:u4zyimvP0
( ;ω;)「このままじゃポチが死んでしまうお!
電話して、時間外診察をお願いするお!」
ブーンはそう言うと、急いで近くの動物病院に電話した
電話「プルルルル・・・
プルルルル・・・
ガチャ
はい、うましか帽物病院です」
( ;ω;)「もしもしだお!
うちの犬が死にそうだお!
急いで見て欲しいお」
電話「すいませんが、当病院は9時開院になっています
時間外診察は受け付けておりませんので、9時にお越し下さい」
( ;ω;)「そんな・・・!!
ポチが死にそうなんだお!」
電話「申し訳ございませんが、当病院では時間外診察は行っておりません
それでは失礼致します」
そこで電話はきれた
279 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:54:49.16 ID:u4zyimvP0
まだ9時まで1時間ある
ブーンは気が気ではなかった
( ;ω;)「ポチ!
もう少しの辛抱だお」
U´ω`U「クゥ・・・ン・・・」
ポチは丸まってるのが、辛くなってきたのか、完全に横になって喘いでいた
呼吸は今にも止まりそうなほど弱弱しい
( ;ω;)「ポチ!
頑張るお!」
ブーンのポチの側を離れずに、一生懸命ポチの体をさすり続けた
285 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 01:57:15.61 ID:u4zyimvP0
U´ω`U「ゲフッ!」
ポチは体を横たえたまま急に嘔吐した
( ;ω;)「ポチ!」
ポチの体は小刻み震えている
U´ω`U「ガフッ!
ゲフッ!」
ポチの嘔吐はしばらく続いた
290 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 02:00:26.32 ID:u4zyimvP0
ポチは震えながら、立ち上がり、どこかに向かいだした
( ;ω;)「ポチ!
どこに行くんだお」
ポチはよろけながら、庭の自分の犬小屋のところまで歩いていった
( ;ω;)「ポチ!
無理しちゃダメだお!」
ポチは自分の犬小屋につくと、そこでゆっくりと横になった
U´ω`U「クゥ~ン」
ポチはそこで一声鳴いた
ブーンは自分が呼ばれているように感じた
294 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 02:03:13.51 ID:u4zyimvP0
( ;ω;)「ポチー!」
ブーンは急いでポチの所に走り寄った
ポチはもはや動く気力がないのか、全く動かなくなった
かすかに呼吸音だけが聞こえる
( ;ω;)「ポチ!
死んじゃダメだお!
また元気になって一緒に散歩するお!」
U´ω`U「・・・」
ポチは目だけを動かして、ブーンを見つめた
301 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 02:05:56.64 ID:u4zyimvP0
( ;ω;)「ポチ!
ポチ!
頑張ってお!」
ブーンはポチにすがりつき必死に声をかけた
U´ω`U「ク・・・・ン・・・・」
かすかに聞こえる程度の小さな鳴き声でポチはブーンに答えた
もはやポチの体温は冷たくなりつつあった
305 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 02:09:11.26 ID:u4zyimvP0
( ;ω;)「ポチ!
寒いのかお!
今暖めるお」
ブーンは急いで毛布を持ってきて、ポチにかぶせた
ポチは目だけ動かし、ブーンを見つめ続けていた
ブーンは必死にポチを毛布の上からさすり続けた
( ;ω;)「ポチ!
死んじゃいやだおー!」
ブーンはポチに抱きつき、暖めようとした
309 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/15(水) 02:12:38.78 ID:u4zyimvP0
U´ω`U「ワ・・・ン・・・」
ポチは鳴いた
それがポチの最後の鳴き声であった
( ;ω;)「・・・ポチ?」
ブーンはポチの顔を見た
ポチの目はブーンに向けられていた
しかし、その目には生気が感じられなかった
ブーンはポチの胸に手をあてた
手の先からは何の鼓動も感じられなった
( ;ω;)「うわああああああああ!
ポチー!」
ブーンはその場に崩れ落ち、大声で泣き続けた
(ヽ゚ω゚)ブーンが精神病になったようです 第三部 第二十三話
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