26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 00:50:45.44 ID:c45wiDMj0
城は帰還した勇者によって大騒ぎであった。
カエラズの森から(公式に)帰った者は彼が初めてだからである。
('∀`)「そのときの血がこの剣の血でございます!」
ドクオはミセリに言われた通りに、王様に戦績を報告した。
/ ,' 3「その血が本当に魔王の血か調べる」
数日後、魔王の血だとわかったとき、今度は国中で噂になるほどの騒ぎとなった。
百姓だったドクオは一躍有名人だ。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 00:57:25.42 ID:c45wiDMj0
ドクオは再び城に呼び出された。
/ ,' 3「ドクオよ。今日はおまえに頼みたいことがあって呼び出した」
('∀`)「なんでしょう!」
/ ,' 3「その前にもう一度、魔王城での出来事を完結に述べよ」
('∀`)「はい! 魔王城には魔王と百匹を越えるガーゴイルの群れ!
私は命を失う覚悟であれやこれや、ちぎっては投げ、ちぎっては投げの猛攻で」
/ ,' 3「簡潔に! 簡潔にね!」
('∀`)「恐ろしい魔王と一騎打ちをし、私の剣が魔王の体を切り裂いたのです。
その私の姿に惚れてしまった囚われの姫のために、今一度討伐部隊を結成し、魔王を倒すべきです!」
/ ,' 3「だそうじゃ」
('、`*川「ふぅーん。うっそくせー話だなーおい」
(;'A`) エ?
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 00:59:41.65 ID:c45wiDMj0
##### ガラクタ魔王のようです #####
第五話「穢れた魔女と俗な王族たち」
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:03:26.02 ID:c45wiDMj0
(;'A`)「し、失礼だな君は! ていうか誰!?」
('、`*川「あぁ? テメーまぐれ当たりで調子に乗ってんじゃねえぞ」
王様の横にいた口の悪い女は、全く遠慮無しにドクオを責め立てた。
/ ,' 3「まあまあ。ドクオよ、この方は魔女じゃ」
('、`*川「チィーッス。ペニサスっていいまーっす」
(;'A`)「ど、どうも」
魔女がどうこうというより、こういうタイプはドクオの一番苦手としている者だった。
完全に萎縮してしまっているドクオは、所在なさげにおろおろとうろたえ始める。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:07:07.06 ID:c45wiDMj0
∑(;゚A゚)「ていうかペニサス!? あの穢れた魔女の!?」
('、`#川「あ?」
(;'A`)「い、いや、その」
ペニサスの殺気がこもった睨みに、ドクオは大きく三歩後ろに下がった。
/ ,' 3「彼女は人の記憶が覗けるらしい。
魔王についてのより正確な情報を得るために、協力してもらうことになった」
('A`)「記憶って……」
(゚A゚)「俺の記憶を覗くってこと!?」
/ ,' 3「そゆこと」
ドクオの顔が見る見るうちに青ざめていく。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:13:51.46 ID:c45wiDMj0
('、`*川「ほら、さっさとこっち来いよ。セッティングはもう終わってんだよ」
ペニサスの後ろに水晶を乗せた台が見える。
確かに準備は終わっているようだが、嘘がばれるのを避けたいドクオは中々前に進まない。
結局兵士に羽交い締めにされ、無理矢理記憶を覗かれることとなった。
('、`*川「さ~てさてさて、真相はなにかにゃ?」
水晶が映したのは、ガーゴイルの巨体、人気の無い城内、楽に攻撃をかわす魔王、
そして動きが止まった魔王に振り下ろされる剣、ドレスを纏った女などだった。
/ ,' 3「ガーゴイルは百匹も見えなかったが………」
('、`*川「明らかに手抜いてるよねこの魔王。どういうこと、これ」
(;'A`)「す、少し過剰に言い過ぎたところはあるけど、でも大体は合ってて……手抜いてる!?」
('、`*川「気がつかなかったの? おまえみたいなへっぴり腰の剣が魔王に当たるわけ無いじゃん」
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:18:32.03 ID:c45wiDMj0
――当たるわけ無いじゃん―――
――当たるわけ無いじゃん―――
――当たるわけ(゚A゚)無いじゃん―――
――当たるわけ無いじゃん―――
――当たるわけ無いじゃん―――
('A`)
ノ( ヘヘ
/ ,' 3「なんか動かなくなったの」
('、`*川「ほっとけ。とりあえず問題なのは魔王」
/ ,' 3「うむ。お主の言う通りじゃったな」
('、`*川「だから言ったじゃん。討伐なんてナンセンス。もっといい使い道があるって」
(;'A`)「な、なに言ってるんだ。討伐しないと安心できないって、国民は」
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:25:11.94 ID:c45wiDMj0
('、`*川「しぃぃらねえよテメェらパンピーの意見はよお!」
(;'A`) ヒィ!
/ ,' 3「罰則を設ければ情報が入ると言ったお主の読みは完璧じゃな」
('、`*川「帰ってくるやつは軒並み記憶を消されてたからな。
簡単に帰れないようにすればあるいはと思っただけだが、うまくいったな。
高等魔族の仕業だってのはわかってた。じゃあどうして魔王が人間を救うような真似をするのか。
やつらはある程度友好を図ろうとしてるってこった。
もしくは不干渉を望んでいるかのどちらかだが、人間に対して悪意が無いことは確かだ。ということは」
('∀`)「友達になれる!」
('、`*川「利用できるってこった童貞野郎」
(;'A`)「なぜそれを!?」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:29:20.67 ID:c45wiDMj0
/ ,' 3「して、利用とは一体?」
('、`*川「絶大な魔力を持ってんだぞ。ありゃあ生きた兵器そのもの。
兵器は兵器として利用すりゃあ上等じゃないの、ねえ?」
/ ,' 3「そう、うまくいくのかの」
('ー`*川「ヒヒヒ、水晶が映した魔王を見ただろう?
こりゃあ底抜けのお人好しの顔だ、騙されるために生まれてきました、みたいな?」
/ ,' 3「策があるのか?」
('、`*川「もちろん」
('、`*川「そのために、あんたの娘を使うのさ」
/ ,' 3「なるほど。わしの娘を」
/ 。゚ 3「えええええええええええええええ!」
('、`*川「っるせぇなぁ………」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:31:52.45 ID:c45wiDMj0
/ ,' 3「娘を危険なことに利用するのか!」
('、`*川「危険じゃねえし。話を聞け」
ドキドキ
(;'A`)(俺パンピーだけど、この話をはたして聞いててもいいのかな)
('、`*川「簡単に言えば、お見合いだ」
/ ,' 3「お見合いって、わしの娘と………まさかっ」
('、`*川「そう、あんたの娘を、魔王の嫁に出す!」
/ 。゚ 3「なんじゃとおおおおおおおおおおおお!」
('、`*川「チッ。っるせぇんだよ。チッ」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:33:58.84 ID:c45wiDMj0
―――パパ、見て! パパのにがおえかいたよー!
―――パパ! おままごとしよー!
―――パパ、だーいすき!
/ ,' 3「それは、それだけはならん、それだけは!」
('、`*川「もっかい回想してみ」
/ ,' 3「え?」
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:36:33.27 ID:c45wiDMj0
―――パパ、私がいない間に部屋に入ったでしょ。サイテー
―――パパの下着とは別に洗濯して
―――あのさ、うざい
/ ,' 3「ぎゃああああああ嫌なフラッシュバックが!」
('、`*川「ほらな、娘なんてこんなもんさ」
/ ,' 3「おまえ魔力使って思春期の部分だけ回想させたじゃろ! この悪魔め!」
('ー`*川「あっくまっじゃなっいよ~まっじょっだよ~」
/ ,' 3「むかつく!」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:42:01.22 ID:c45wiDMj0
('、`*川「でもさ、もしも魔王があんたの一族に入ったら、この国は無敵だよ」
/ ,' 3「そりゃあ、確かにまあ、そうじゃろうが」
('、`*川「まぁまぁまぁまぁ、あんたの意向もあるだろうけどさ、ここは娘に判断させようよ」
/ ,' 3「あの馬鹿に物事の判断などできりゃあせん!」
('、`*川「娘を見下し過ぎだろ」
/ ,' 3「しかし、むぅうぅううぅぅぅう」
国を取るか娘を取るかで悩んでいる王に、ペニサスは畳みかけるように誘い続ける。
やがて根負けした王は最終判断は娘に任せるとし、この作戦に乗った。
/ ,' 3「さあ、ここが娘の部屋じゃ」
('、`*川「あんたが勝手に入って怒られた部屋ね」
/ ,' 3「人のトラウマを勝手に覗かないで!」
(;'A`)(俺はパンピーだけどここまでついてきてよかったのか!?)
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:46:29.93 ID:c45wiDMj0
/ ,' 3「デレ」
国王が名前を呼びながらノックすると、少し間があってからドアが開いた。
ζ(゚ー゚*ζ「あら、どうしたの?」
父親と、その後ろに控えている妖しい女、それからやせ細った男を順に見渡す。
この部屋に客を連れてくるのが珍しかったので、デレは王に批判気味の視線を送った。
/ ,' 3「ちょっとその、なんていうか、見合いの話があるんじゃが」
ζ(゚、゚*ζ「またぁ?」
/ ,' 3「そうじゃ。中に入ってもいいかのう?」
国で最も権力を持っている男が、娘の機嫌を伺いながら話しているのを見て、ペニサスは笑いがこらえきれない。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:50:46.66 ID:c45wiDMj0
ζ(゚ー゚*ζ「いいわよ。後ろのお二方もどうぞ」
('、`*川「どんもー」
(;'A`)「し、失礼します」
個人の部屋とは思えない広さだった。
年頃の娘にしては質素な部屋だったが、調度品は全て超一流のもので揃えられていた。
('、`*川「お見合いは嫌い?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。私は当分結婚する気はありません」
/ ,' 3「うむ! ならこの話は無かったことになるな!」
('、`*川「ちょっと黙ってて」
/ ,' 3「はい………」
('、`*川「お姫さま、例えば相手が人間でなかったらどうでしょうか」
ζ(゚、゚*ζ「人間でない?」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:55:43.01 ID:c45wiDMj0
('、`*川「率直に言うと、魔王」
ζ(゚ー゚;ζ「まっ」
あまりのショックで口が回っていなかった。
数回の深呼吸のあと、顔を引きつらせて声を荒げる。
ζ(゚、゚*ζ「とんでもない! 魔王と結婚!? ふざけているんですか!」
('、`*川「私は生まれたときから一瞬も例外なく真面目よぉ?」
ζ(゚、゚*ζ「パパ!?」
/ ,' 3「えっとね、パパはね、反対派の体で話をね………」
ζ(゚、゚*ζ「人の機嫌ばっか伺って! だからパパは嫌いなの!」
――だからパパは嫌いなの!――
――だからパパは嫌いなの!――
――だから/ ,' 3パパは嫌いなの!――
――だからパパは嫌いなの!――
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 01:58:33.74 ID:c45wiDMj0
/ ,' 3「出家する」
(;'A`)「王様!?」
/ ,' 3「頭も丸める」
(;'A`)「もう一本も残ってないのに………」
('、`*川「じゃあ、これ見てくれる?」
ζ(゚、゚*ζ「水晶? あなたは、もしかして魔女ですか?」
('、`*川「もしかしなくても魔女。そうら、見えてきた」
ζ(゚、゚;ζ「な、なにをするつもりか知りませんが、魔王とお見合いなんて」
('、`*川「はい、映ったよ」
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 02:02:28.64 ID:c45wiDMj0
_
( ゚∀゚)
水晶に現れたのはドクオの記憶、初めて対峙したときの魔王の姿を鮮明に映し出していた。
/ ,' 3「この氷のような目! なんか怖い銀色の髪! 冷たい表情!
よくよく考えればこのような男に娘を差し出すなぞ、正気の沙汰ではない!
ペニサスよ、すまんがこの話は無かったことにしてくれ」
('、`*川「そう? 娘はまんざらでもなさそうだけど」
/ ,' 3「え?」
ζ(´ー`*ζ「な、なんて、素敵な殿方………」
/ ,' 3(;'A`)「ええええええええ」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 02:06:34.68 ID:c45wiDMj0
まるで夢見る乙女の表情だった。
水晶に映った魔王に顔を近づけ、うっとりと見入っている。
ζ(´ー`*ζ「たまらん、たまらんわこれマジで」
('、`*川「ちょー格好良くなーい?」
ζ(゚ー゚*ζ「マジやばいこれー。なに、超イケてるんですけどー」
('、`*川「こいつは?」
つ(;'A`と
ζ(゚、゚*ζ「無い」
('、`*川「魔王は?」
ζ(´ー`*ζ「超イケてるんですけどー」
('、`*川「お見合い、どう?」
姫が首をたてに振るのに、全く時間はかからなかった。
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/23(日) 02:11:02.66 ID:c45wiDMj0
/ ,' 3「ほ、本当にやる気か?」
('、`*川「もちろん。そのために色々と協力してもらうわよ。王様、ドクオ」
/ ,' 3「うむぅ………」
(;゚A゚)「俺も!?」
('、`*川「ったりめーだ。それから王様、私との約束、お忘れなく」
/ ,' 3「魔女の永住権か。わかっておる」
水晶に目が釘付けになっているデレを見下ろして、ペニサスは冷たく微笑んだ。
「面白くなりそうじゃん」周りの者には聞こえない声で彼女は呟いた。
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 6
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