257 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/27(月) 14:03:22.72 ID:MSvUbHhx0
その頃、ジョルジュは院内を一通り回り、食堂で遅い食事をとっていた
( ゚∀゚)(建物が新しいだけあって、最新の設備が充実しているな)
ふと見ると白衣を着たそっくりな二人組みの男が食事をしながら話していた
(´<_` )「兄者、この間の危篤患者は結局どうなったんだ?」
( ´_ゝ`)「ああ、無事に蘇生できた」
(´<_` )「さすがだな、兄者」
( ´_ゝ`)「正直言って、俺も諦めていたよ
助かったのは奇跡だ」
(´<_` )「そんなに危険だったのか?」
258 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/27(月) 14:10:16.44 ID:MSvUbHhx0
( ゚∀゚)(・・・ここの医師達かな)
ジョルジュ医師は会話の内容から医者達だと推測した
( =゚ω゚)ノ「ここの食堂の味はどうですか?」
モニュ研修医がジョルジュ医師に声をかけてきた
( =゚ω゚)ノ「私も今から昼食なんですよ」
( ゚∀゚)「いや、おいしいですよ
それにしても、この病院の設備の充実振りには驚かされますね」
( =゚ω゚)ノ「確かにすごいと思います
救急救命病院並みだと思いますよ」
( ゚∀゚)「確かに精神科単独の病院なのにERまであるとは、本当に驚きです」
262 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/27(月) 14:15:55.40 ID:MSvUbHhx0
( =゚ω゚)ノ「救急科を設けてますからね
あそこに座っている人達が救急部長と救急副部長ですよ」
( ゚∀゚)「ああ、なるほど」
( ゚∀゚)(それで、さっきの会話の内容だったわけか)
ジョルジュ医師はモニュ研修医から聞いたことが二人が話していた内容が理解できた
ジョルジュ医師とモニュ研修医が食事をとっていると、患者らしき少年が近くのテーブルに座った
(-_-)「・・・」
( ゚∀゚)(・・・ん?
なんか、あの子、こっちを見てる?)
ジョルジュ医師は少年の視線がこちらの方に向かっているのを感じた
277 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/27(月) 14:23:47.73 ID:MSvUbHhx0
少年は黙ったまま、こちらを見つめながらカレーライスを食べていた
( ゚∀゚)(トウシツ患者かな?)
ジョルジュ医師は、少年のおかしな態度にそう思った
( ゚∀゚)(まあ、精神病院じゃよくあることだ)
ジョルジュ医師は、それから気にしなくなった
やがて、二人とも食事をたらいあげ、席を立った
( ゚∀゚)「モニュ先生、今日は色々とありがとう」
( =゚ω゚)ノ「とんでもないです
何かあったらいつでも声をかけて下さい
力になりますので」
( ゚∀゚)「では、また後日」
二人は食堂を出たところで別れた
521 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/28(火) 04:14:59.89 ID:+Xz9ydR30
( =゚ω゚)ノ(あの患者が生き返るとは思わなかったな)
モニュ研修医は、廊下を歩きながら考えていた
( =゚ω゚)ノ(やはり救急部長の腕がすごかったからか?
それとも・・・)
モニュ研修医はブーンが蘇生した時のことを思い出していたのだ
( =゚ω゚)ノ(あの患者は蘇生したのをきっかけに昏迷状態から抜け出している
このような臨床例は聞いたことがない)
モニュ研修医はブーンの治療の経過がますます気になるようになった
( =゚ω゚)ノ(もしかすると、すごい成果が得られるかもしれないな・・・)
525 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/28(火) 04:22:56.96 ID:+Xz9ydR30
モニュ研修医はブーンの病室へ向かった
コンコン
(ヽ^ω^)「・・・はいですお」
( =゚ω゚)ノ「こんにちは、ブーン君
調子はどうかな?」
(ヽ^ω^)「気持ち悪くて寝てましたお
・・・どなたですかお?」
( =゚ω゚)ノ「ああ、ブーン君と話すのは初めてだったな
医師のモニュという者だよ
君が眠っていた間、治療をしていたのは僕なんだよ」
(ヽ^ω^)「そうだったんですかお
それはどうもありがとうですお」
( =゚ω゚)ノ「いやー、大変だったよー
ともあれ、意識が戻って良かった」
(ヽ^ω^)「これも先生のおかげですお」
540 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/28(火) 07:29:50.33 ID:+Xz9ydR30
( =゚ω゚)ノ「薬の副作用とかどうだい?」
(ヽ^ω^)「・・・何が副作用か分からないですお」
( =゚ω゚)ノ「そうだろうね、素人が分かるわけないよね
君が飲んでる抗精神薬は、きつい副作用を伴うものが多いんだよ」
(ヽ^ω^)「コウセイシンヤクですかお?
どんな薬なんですかお?」
( =゚ω゚)ノ「簡単に言えば精神病に効く薬さ
君のかかってる統合失調症などに作用する薬だ」
(ヽ^ω^)「・・・トウゴウシッチョウショウ?」
544 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/28(火) 07:34:54.09 ID:+Xz9ydR30
( =゚ω゚)ノ「そう、統合失調病は昔、精神分裂病と呼ばれていて、治らない病気とされていたんだよ
昔は偏見がひどくて患者は狂人扱いされていたんだ
知識のなかった昔の人から見ると頭が狂ってしまったように見えたんだよ」
(ヽ^ω^)「・・・看護婦さんの話では僕はノイローゼって言ってましたお」
ブーンの表情がみるみる内に曇っていく
( =゚ω゚)ノ「あれ?
誰だか知らないけど、君はトウシツなんだよ」
(ヽ^ω^)「・・・」
( =゚ω゚)ノ「君、よく幻覚症状が出てるだろ?
妄想と幻覚はトウシツの代表的な症状なんだよ
ノイローゼで幻聴とか幻覚を見たりすると思うかい?」
550 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/28(火) 07:39:24.35 ID:+Xz9ydR30
(ヽ^ω^)「・・・僕は狂ってないお」
( =゚ω゚)ノ「もちろん僕のような専門知識のある医師は、君は病気であって狂ってないことは分かってるさ
ただ、無知の人ってのはそれが病気のせいだと分からないんだよ」
(ヽ^ω^)「・・・そんなはずないお」
ブーンの呼吸が徐々に荒くなってきた
( =゚ω゚)ノ「トウシツ患者は皆、自分が病気であることを認めたがらないもんだよ
だから、君が自分がトウシツと認めたくないのは分かる
しかし、それでは現実から目を背けているにすぎない
現実を直視して、病気と戦わないといけないんだ
僕は君のためを思ってあえて言ってるんだよ」
(ヽ^ω^)「・・・僕はおかしくなんかないお」
551 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/28(火) 07:43:37.73 ID:+Xz9ydR30
( =゚ω゚)ノ「君の気持ちはわかる
でも、それじゃあだめなんだ
例え、治る可能性がほとんどないとしても、戦わないといけないよ
僕もできる限りは手伝うから」
(ヽ^ω^)「・・・」
ブーンは黙ったままうつむいていた
( =゚ω゚)ノ「・・・分かってくれたみたいだね
僕も君の症状に興味があるんだ
だから、積極的に君の治療には関わっていくつもりだ
お互い頑張ろう」
(ヽ^ω^)「・・・」
ブーンは返事をしなかった
565 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/28(火) 08:33:37.57 ID:+Xz9ydR30
( =゚ω゚)ノ「ん?
疲れてるのかな?
まあ、治療は長期間になるだろうから、あせらずゆっくりしたらいいよ
何せ、トウシツ患者の中には数十年病院に入院し続けている沈殿患者と
呼ばれる人もいるぐらいだからね」
(ヽ^ω^)「・・・」
( =゚ω゚)ノ「じゃあ、何かあったらいつでもベルで呼んでくれ」
ついにブーンは顔を上げることがなかった
( =゚ω゚)ノ(やはりトウシツ患者とまともなコミュニケーションを取る事はできるものじゃないな
投薬治療や通電治療がいいのだろう)
モニュ研修医は病室から出る時に、うなだれて動かないブーンに目をやりそう思った
566 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/28(火) 08:39:44.70 ID:+Xz9ydR30
( =゚ω゚)ノ(やはり精神病棟はトウシツ患者の『シュウヨウジョ』である部分がまだまだ大きい)
モニュ研修医は隅に設けられた休憩所のイスに座って、コーヒーを飲みながら、ノートにメモを
記入していた
( =゚ω゚)ノ(トウシツ患者はやはり意思の疎通が困難である為、時としては暴れる危険があることを考慮すると 隔離室に収容するほうが望ましい・・・)
モニュ研修医は現場での臨床研修で気づいたことをノートにメモしているのだった
( =゚ω゚)ノ(麻酔薬や睡眠薬、解熱剤等は使用量を間違えると、患者が死に至ることがある)
モニュ研修医は一通りノートに記入した後、一息つきコーヒーを口に含んだ
( =゚ω゚)ノ「働いた後のコーヒーはうまいなあ」
568 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/28(火) 08:47:59.27 ID:+Xz9ydR30
ブーンは誰もいない部屋で苦しんでいた
(ヽ^ω^)(僕は気が狂ってるのかお?
頭がおかしくなってるのかお)
「そうだ、お前は狂ってるんだ」
誰かが耳元でささやく
(ヽ^ω^)「狂ってないお!」
ブーンは見えない誰かに向かって叫んだ
「お前は頭がおかしいんだ
だから、みんなお前のことを気持ち悪がるんだよ」
(ヽ^ω^)「そんなことないお!」
ブーンは姿が見えない相手に向かって必死に言い返した
569 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/28(火) 08:50:58.51 ID:+Xz9ydR30
(ヽ^ω^)「そんなこと・・・ないお・・・」
ブーンはとてつもなく不安で怖くなった
(ヽ^ω^)「誰か・・・助けてお・・・」
ブーンは犬のぬいぐるみが目に入った
(ヽ^ω^)「ポチ・・・」
ブーンはぬいぐるみを手に取り、顔をすり寄せた
(ヽ^ω^)「ポチ・・・」
「お前はみんなから嫌われているんだ」
見えない相手はあいかわず話しかけてくる
ブーンは耳を塞いだが、声が聞こえなくなることはなかった
(ヽ゚ω゚)ブーンが精神病になったようです 第七部 第四十四話
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