上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
899 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 21:53:15.98 ID:TqdjKxY+0
第4部
J(‘ー`)し(ここはどこかしら・・・)
ブーンの母は息苦しさに目を覚ました
目を開けた瞬間入ってきたのは、白いコンクリートの天井だった
J(‘ー`)し(薬品の匂いがするわ・・)
母はまだ意識が朦朧としているのか、体が動かなかった
903 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 21:55:51.39 ID:TqdjKxY+0
「気がつかれましたか?」
ふいに母の耳に中年の男らしき低い声が入ってきた
J(‘ー`)し「ど・・・なた・・・です・・・か・・・」
「私は医者ですよ」
J(‘ー`)し「お・・・いしゃさ・・・ん・・・?」
「あなたはスーパーで働かれている最中に倒れたのですよ」
J(‘ー`)し(そういえば・・・)
母は記憶を思い出そうとした
908 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 21:59:32.05 ID:TqdjKxY+0
J(‘ー`)し(そうだ
私は血を吐いて、気を失ったんだ)
母は自分の手の平についた真っ赤な血を見た所まで思い出すことができた
しかし、その後の記憶がない
どうやら、そこで気を失ったようだ
「思い出されましたかな?」
J(‘ー`)し「はい・・・」
母の意識はだいぶはっきりしてきた
912 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 22:05:54.99 ID:TqdjKxY+0
(゚∞゚)「それは良かった」
母は医者の顔がはっきりと認識できるようになった
年齢は60代以上だろうか
多少白髪が混じった、温厚そうな雰囲気の医者だった
J(‘ー`)し「ここは病院ですか?」
(゚∞゚)「そうです
アナタは職場で倒れられた後、救急車でここへ運ばれたのですよ」
医者は穏やかな口調で話を続けた
(゚∞゚)「吐血されましたな?
以前に、何か肺疾患を患ったご経験は?」
J(‘ー`)し「・・・肺結核を患いました
入院しておりましたが、良くなったとのことで今は通院しています」
(゚∞゚)「そうですか・・・
肺結核ですか・・・」
老医師は言葉が止まった
913 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 22:08:29.58 ID:TqdjKxY+0
(゚∞゚)「吐血されたのは初めてですかな?」
老医師は質問をしてきた
J(‘ー`)し「初めてです・・・」
(゚∞゚)「そうですか・・・
失礼ですが、奥さんは肺結核という病気について詳しくご存知ですかな?」
J(‘ー`)し「いいえ、あまりよくは知りません」
(゚∞゚)「ふむ
それでは簡単に噛み砕いてご説明申し上げましょう」
老医師は軽く咳払いをした
920 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 22:18:20.20 ID:TqdjKxY+0
(゚∞゚)「肺結核はですな、簡単に申しますと菌によって肺が食われますのじゃ」
J(‘ー`)し「肺が食べられるんですか?」
(゚∞゚)「そうです
肺結核は幸いなことに、感染率が非常に低く、痰の中に菌がいなけれな感染はほぼしない」
J(‘ー`)し「・・・」
(゚∞゚)「しかし、やっかいなのは初期症状がとても弱いのです
だから、感染しても大抵は風邪か何かだと思って軽くみてしまう」
921 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 22:21:39.87 ID:TqdjKxY+0
(゚∞゚)「だからまさか自分が結核であるなどと思いもつかない
そして、残念ながら症状が出る頃にはかなり症状が悪化しているのです」
J(‘ー`)し「そうなんですか・・・」
(゚∞゚)「詳しく調べなければはっきりとは申し上げられませんが
アナタの病気はかなり悪化しとると見てよいでしょう」
J(‘ー`)し「・・・私は助かるのでしょうか?」
(゚∞゚)「・・・」
老医師はしばらく黙ったままだった
922 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 22:25:29.09 ID:TqdjKxY+0
(゚∞゚)「菌によって食われた肺が元に戻る事があると思われるかな?」
J(‘ー`)し「・・・いいえ」
(゚∞゚)「そういうことですじゃ」
老医師はこれ以上は答えなかった
(゚∞゚)「とにかく熱を下げないといけないので、しばらくはこのまま安静にしていて下さい」
J(‘ー`)し「分かりました」
母の左手首には点滴が打たれていた
938 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 22:41:49.68 ID:TqdjKxY+0
母は熱で頭がまだ多少朦朧としていた
J(‘ー`)し(私はもう長くないかもしれない
でも、今私がいなくなるとブーンはどうなってしまうのでろう)
母は一人残されることになるブーンの身を案じた
J(‘ー`)し(あの子は重い病気と闘っている
私以外に誰も頼る身寄りのいないあの子は生きていく事ができない」
病室は静寂に包まれていた
940 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 22:45:55.60 ID:TqdjKxY+0
J(‘ー`)し(せめてブーンの病気が治るまでは生きたい!)
母は残された自分の時間があとどれくらいあるのか考えた
J(‘ー`)し(ブーンの治療は長期間かかると医者は言っていた
それまで何としても生き抜かなければ!)
母は神に祈るように手をきつく握り、願った
J(‘ー`)し(ブーンが治るまで私を生かしてください!
お願いです!)
母は再び意識が朦朧となり、意識を失った
950 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 23:17:17.82 ID:TqdjKxY+0
「ブーン」
ブーンはふと誰かに呼ばれたような気がして目を覚ました
( ´ω`)(カーチャン?)
それはブーンが聞きなれた声のように感じた
ブーンは辺りを見渡した
しかし、目には行ってくるのは冷たいコンクリートむき出しの壁と
どこまで続いているのか分からないほど暗い闇だけであった
952 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 23:22:20.98 ID:TqdjKxY+0
( ´ω`)(気のせいかお?)
ブーンはひどく息苦しかった
( ´ω`)「はあはあ・・・
空気が薄いのかお?」
ブーンは起き上がり、今まで進んできた方角に向かって再び歩き出した
( ´ω`)「カーチャン・・・
この先にいるのかお?」
ブーンは息苦しさで今までのように走る事ができない
ゆっくりと一歩ずつ前に進んだ
( ´ω`)「カーチャン・・・
もうすぐ着くから待っててお・・・
もう少しの辛抱だお・・・」
957 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 23:26:56.57 ID:TqdjKxY+0
ブーンはしばらく歩き続けたが、辛さに耐え切れずやがて足腰が立たなくなってきた
(;´ω`)「ふう・・・
少し休むお」
ブーンは先ほどのように、座り込み壁にもたれ掛かった
再び天井につるされた裸電球が目に入ってきた
裸電球は時折ついたり消えたりしながら、不規則に細々と光り続けていた
もういつ消えてもおかしくないように見えた
970 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 23:31:08.45 ID:TqdjKxY+0
(;´ω`)「はあはあ・・・」
ブーンは息苦しさで喘いでいた
(;´ω`)「く、空気・・・」
沢山息を吸おうと深く呼吸したが、息苦しさは変わることがなかった
(;´ω`)「カーチャン・・・
もうすぐ行くから我慢しててお・・・」
病院に入院しているであろう母の姿が脳裏に浮かぶ
ブーンは母が一度退院したことを知らないのだった
母が自宅に戻った時には、すでにブーンは昏迷状態に陥っていた
やがてブーンの意識は薄れていった
(ヽ゚ω゚)ブーンが精神病になったようです 第四部 第二十七話
スポンサーサイト