15 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 23:56:16.93 ID:TqdjKxY+0
J(‘ー`)し「ブーン、朝よ
早く起きなさい」
( ^ω^)「はいだお」
ブーンは布団から出ようとした
( ^ω^)「寒いお」
今は10月の終わりで気温もだいぶ下がっていたのだ
( ^ω^)「寒い日の朝は辛いお」
ブーンは自分の部屋から出て、階段を降り、リビングに向かった
( )「ブーン、おはよう」
( ^ω^)「おはだお」
18 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/16(木) 23:59:48.76 ID:TqdjKxY+0
ブーンはそのまま洗面所に行き、歯を磨き、顔を洗った
(;^ω^)「ちべたいお~」
ブーンがリビングに戻るとテーブルに朝食が用意されていた
J(‘ー`)し「水が冷たいと目が覚めるでしょ」
( )「そうだな」
( ^ω^)「確かに目は覚めるお」
テーブルの隅にはポチの写ってる写真が写真立てに入って飾られていた
( ^ω^)「ポチ、
おはだお」
ブーンはポチの写真に挨拶をした
20 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:02:14.71 ID:ql7HwDmI0
( ^ω^)「さて、朝ごはん食べるお」
ブーンはテーブルに置かれたトーストとサラダをほうばった
テレビでは朝のニュースがやっていた
J(‘ー`)し「まあ
自動車が幼児の列に突っ込んだんですって
怖いわね・・・」
( )「最近、ひどい交通事故が増えたよなー」
父は母に新聞の朝刊を読みながら答えた
24 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:04:31.81 ID:ql7HwDmI0
J(‘ー`)し「アナタ!
他人事じゃありませんよ」
母は適当に返事をする父に少しむっとしたようだった
( )「ははは
悪い、悪い
つい新聞読むのに夢中になっててな」
父は頭をポリポリとかいた
J(‘ー`)し「ブーン、アナタも気をつけなさいよ」
( ^ω^)「僕はこれでもスポーツマンですお」
28 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:09:22.31 ID:UZ+/WocV0
( )「ははは
そういえばブーンも来年から3年生だな
いよいよ受験生かー」
父は湯気の出ているコーヒーを口に含んだ
( ^ω^)「そうだお
人生初の受験だお」
( )「トーチャンを目標に頑張るんだぞ!」
( ^ω^)「うんだお」
J(‘ー`)し「ブーンも受験生か
ほんと月日の流れは速いわね
この間まで、こんなに小さかったのに」
母は座っているブーンの頭を後ろから撫でた
32 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:13:47.20 ID:UZ+/WocV0
( )「ブーン、よくここまで健やかに育ってくれた
これからも真っ直ぐに生きてくれよ
例えどんな困難な状況になっても、けっしてくじけず生き抜くんだぞ」
( ^ω^)「うんだお!」
J(‘ー`)し「アナタ、何遺言みたいなこと言ってるのよ
ねえ、ブーン」
( ^ω^)「トーチャン以上に立派な大人になるお」
( )「ははは
ブーンの立派になった姿を見るのが楽しみだな」
40 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:17:08.50 ID:UZ+/WocV0
( ^ω^)「朝練だから、そろそろ行ってくるお」
J(‘ー`)し「いってらっしゃい
車には気をつけてね」
( ^ω^)「うんだお」
ブーンは玄関に向かい、大きなスポーツバッグを持ち、運動靴を履いて出て行った
( )「ほんと、ブーンも大きくなったな」
J(‘ー`)し「この時期の男の子は成長が早いから」
( )「もう俺と身長そんなにかわらんもんな」
J(‘ー`)し「ふふ
そうね」
テレビでは相変わらず朝のニュースが続いていた
43 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:21:03.36 ID:UZ+/WocV0
( )「さて、そろそろ俺も出かけるか」
J(‘ー`)し「いってらっしゃい
アナタも車に気をつけるのよ」
( )「わかった、わかった
気をつけるよ」
J(‘ー`)し「本当に分かってるのかしら」
( )「ああ、今日は仕事で少し遅くなるかもしれん」
J(‘ー`)し「わかったわ
いってらっしゃい」
( )「毎朝、こうやって俺を見送ってくれてありがとうよ
お前のおかげで俺は頑張れてこれたよ」
J(‘ー`)し「いきなり何を言い出すのよ、もう」
( )「いや、何か感謝の言葉を言いたい気分でね
じゃあ行ってくる」
J(‘ー`)し「気をつけてね」
49 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:24:32.27 ID:UZ+/WocV0
授業が終わり、放課後ブーンはクラブ活動をしていた
<丶`∀´>「ブーン!
こっちだ!」
( ^ω^)「それっ!」
ブーンがパスを出す為にボールを蹴った瞬間だった
突然、スパイクの紐が切れた
ブーンはバランスを崩し、倒れた
<丶`∀´>「ブーン!
大丈夫か!?」
慌ててチームメイト達が駆け寄る
(;^ω^)「いてて・・・
大丈夫だお」
54 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:27:27.29 ID:UZ+/WocV0
( ^ω^)(買って間もないのに紐が切れるなんて変だお)
ブーンは結局運動靴には履き替えて、その後の練習に参加した
日がだいぶ傾いてきた
時刻は午後6時を回ったところだった
監督「よし!
今日の練習はここまでだ
クールダウンをしたら、解散するぞ!」
ブーンは部室に戻り、征服に着替え、自転車に乗り、自宅に帰っていった
57 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:30:07.02 ID:UZ+/WocV0
やがて家に着いた
( ^ω^)「ただいまだお」
J(‘ー`)し「おかえり」
( ^ω^)「シャワー浴びてくるお」
ブーンは靴を脱ぐと、すぐに風呂場に向かった
ジリリリリン!
電話がなった
J(‘ー`)し「もしもし?」
電話「ああ、俺だ」
J(‘ー`)し「ああ、アナタ、どうしたの?」
60 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:33:05.29 ID:UZ+/WocV0
電話「今日の仕事、思ったよりはやく終わらせることができたんだ
だから今から家に帰るよ」
J(‘ー`)し「そうなの?
じゃあお夕飯作っておくわね」
電話「頼むよ
なんか今日はこってりしたものが食べたいなあ」
J(‘ー`)し「ふふ
分かりました
ご馳走を用意しておくわ」
( )「楽しみにしているよ
じゃあ」
J(‘ー`)し「はい」
そこで電話はきれた
71 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:36:08.21 ID:UZ+/WocV0
( ^ω^)「ふー、さっぱりしたお
何かいい匂いだお」
J(‘ー`)し「ふふ
今日はお父さんが早く帰ってくるからご馳走よ」
( ^ω^)「わーい!
ご馳走うれしいお!」
J(‘ー`)し「そうそうポチにもご飯お供えしなさいね」
( ^ω^)「うんだお」
ブーンは生前ポチが好物だったドックフードを器に盛って、ポチの写真の前に置いた
( ^ω^)「ポチ、沢山食べるお」
78 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:39:59.75 ID:UZ+/WocV0
やがて料理が出来上がり、テーブルに3人分の食器に盛られた料理が並べられた
テーブルは4人がけとなっており、一つはポチの写真とドッグフードが置かれていた
( ^ω^)「トーチャンはいつ頃帰ってくるんだお?」
J(‘ー`)し「そうねー
30分くらい前に電話があったから、もうすぐ帰ってくると思うけど」
( ^ω^)「もうちょっとの辛抱だお」
J(‘ー`)し「お父さんが帰ってきたら、皆で食べましょうね」
( ^ω^)「うんだお」
84 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:42:16.85 ID:UZ+/WocV0
料理が並べられてから1時間が経った
( ^ω^)「トーチャンまだかお?
おなかすいたお」
J(‘ー`)し「変ねえ・・・
会社からうちまでそんなに時間がかかると思えないけど・・・」
( ^ω^)「まあ、もうすぐ帰ってくるお」
J(‘ー`)し「・・・」
母は少しおかしいと思い始めていた
87 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:44:10.01 ID:UZ+/WocV0
ジリリリリン!
電話がなった
J(‘ー`)し「こんな時間に誰かしら?」
( ^ω^)「きっとトーチャンだお」
J(‘ー`)し「そうね
きっと何かあって遅れるとかの連絡ね」
母は受話器を取った
J(‘ー`)し「もしもし」
「内藤さんのお宅でしょうか?」
97 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:46:20.36 ID:UZ+/WocV0
電話からは聞きなれない男性の声が聞こえてきた
J(‘ー`)し「はい、そうですけど
どちら様でしょうか?」
電話「申し送れました
私、県警の交通課の者です」
J(‘ー`)し「警察ですか?」
母はなにやらいやな予感が胸をよぎった
107 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:50:13.92 ID:UZ+/WocV0
J(‘ー`)し「警察が一体何の御用でしょうか?」
電話「事態が緊急を要するので、手短にお話しますが、
実はアナタの所のご主人が事故にあいました」
J(‘ー`)し「え!?」
電話「身分証明書で確認致しましたが、ご主人の物でした
ご主人は救急車でモエス救急病院に運ばれています
事態は一刻を争います!
急いでモエス救急病院に行ってください!」
電話からは緊迫した様子が伝わってくる
J(‘ー`)し「・・・」
母は受話器を持ったまま、その場にへたり込んだ
120 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:53:09.23 ID:UZ+/WocV0
電話「もしもし!
どうなさいました!」
母はショックのあまり、受話器を手に握ったまま、放心状態だった
( ^ω^)「カーチャン!
どうしたんだお!」
ブーンは母の両肩を揺すった
J(‘ー`)し「・・・お父さんがね
交通事故にあったんだって・・・」
母の視線は虚ろだった
(;^ω^)「ええ!?
トーチャンは大丈夫なんかお?」
131 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 00:58:36.94 ID:UZ+/WocV0
J(‘ー`)し「今、救急病院に運ばれてるみたい・・・」
(;^ω^)「早く病院に行くお」
ブーンは母を起こし、タクシーを呼んで、モエス救急病院に向かった
(;^ω^)「カーチャン、着いたお!」
J(‘ー`)し「そうね」
母とブーンは急いで、タクシーから降り、病院の正面出入口に向かった
J(‘ー`)し「すいません
先ほど、交通事故でこちらに運ばれた内藤の家族の者ですが」
受付「ああ、内藤さんは今ERで救命処置を受けています
非常に危険な状態ですので、急いでERに向かって下さい」
135 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:02:05.95 ID:UZ+/WocV0
母とブーンは案内されたERに急いで向かった
扉は閉まっており、扉の上にあるランプが赤く光っていた
母とブーンは中に入ることが出来ない
外で父の無事を祈る事しか出来なかった
J(‘ー`)し「アナタ、死なないで!」
母は扉に寄り添い、必死に声をかけた
(;^ω^)「トーチャン、頑張ってお!」
ブーンも気が気でなかった
139 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:04:33.20 ID:UZ+/WocV0
しばらくして、扉が開き、白衣に血をついた医者が出てきた
医者「内藤さんのご家族の方ですか?」
J(‘ー`)し「そうです」
医者「救命処置を施したところ、旦那さんはわずかですが、意識が回復されました」
J(‘ー`)し「じゃあ、無事ということですか?」
医者「それが・・・」
152 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:10:49.08 ID:UZ+/WocV0
医者は言葉を一瞬詰まらせたが、再び話し出した
医者「旦那さんは腎臓と肝臓、それにすい臓も車に引かれた衝撃で、
完全に潰れてしまってしまっています
腸も数箇所破裂しています
また、タイヤの下敷きになった下半身の骨は全体が粉砕骨折であちこちから砕けた
骨が肉と皮膚を、突き破って飛び出しています
今は鎮痛剤を大量に打ってあるので、痛みは感じていませんが、まもなく出血多量で
意識が混濁してくると思います」
J(‘ー`)し「そんなにひどい状態なんですか!?
主人は助かるんですか!?」
母の顔は完全に血の気が引いており、真っ青だった
160 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:13:41.48 ID:UZ+/WocV0
医者「お気の毒ですが、もってあと1時間程度かと思います・・・
意識がなくなった時が最後でしょう・・・」
J(‘ー`)し「そ、そんな・・・!?
なんとかならないんですか!?」
医者「最善は尽くしたのですが、もはやどうしようもありません・・・」
J(‘ー`)し「・・・」
母は今にも気を失いそうだった
医者「最後に話されますか?」
J(‘ー`)し「はい・・・」
母とブーンはERに入っていった
171 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:25:38.04 ID:UZ+/WocV0
中に入ると台に横たわっている父の姿があった
首から下にはカバーらしきものが被せられていた
見るに耐えないような状態であるからだろう
( )「・・・ん・・・お前達来たのか・・・」
J(‘ー`)し「アナタ、ほんとドジなんだから・・・」
( )「ははは・・・
いやな、たまたま歩いていたら、中学生くらいの子が自転車で俺の横を通り過ぎたんだ
なんかフラフラしててあぶない運転してたんだよ
そしたら、ふいに道路を反対側に渡ろうとしたんだ
そこに猛スピードで走ってくる車が来たんだよ」
J(‘ー`)し「・・・」
母は涙を目に浮かべながら、父の最期の言葉を聞いていた
177 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:29:41.45 ID:UZ+/WocV0
( )「車は中学生が道路を横切っているのを見て、スピードを緩めると思った
しかし、そんな気配がないんだよ
どうも携帯電話を片手に話しながら運転していたみたいなんだ」
J(‘ー`)し「・・・」
( )「また中学生も車が止まるものと思ってたのか、そのまま平気な感じで道路を渡り続けるんだ
このままだとぶつかると思った俺はとっさに中学生を跳ね飛ばした」
J(‘ー`)し「・・・」
( )「最後に見た光景は車のライトが目の前に来たところだった
気がついたら、このありさまだよ・・・」
J(‘ー`)し「・・・なんで、そんなことしたのよ」
185 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:32:51.35 ID:UZ+/WocV0
( )「うーん、なんでだろうなあ
きっと自転車に乗ってた子がブーンと同じくらいの年頃の子だったからかもな
考える前に体が動いたんだよ」
J(‘ー`)し「アナタらしいわね・・・」
母は涙を流しながら、笑った
( )「ははは
そうだろう」
( ;ω;)「トーチャン・・・」
( )「ブーン、そんな悲しい顔するなよ
トーチャンは人の命を救ったんだぞ」
193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/02/17(金) 01:36:17.06 ID:/wGZ/yTgO
(´;ω;`)
194 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:36:35.35 ID:UZ+/WocV0
父は苦しそうになってきた
意識が薄れてきたのだろう
( )「母さん、今までこんな俺に着いて来てくれてありがとうよ
俺は本当に幸せ者だよ
こんな幸せな家庭を築けたんだからな・・・」
J(‘ー`)し「アナタ・・・」
母は涙で言葉が詰まった
( )「ブーン、お前は立派な子だ
トーチャンはお前を誇りに思うよ」
( ;ω;)「うう・・・
トーチャン・・・」
199 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:41:20.81 ID:UZ+/WocV0
( )「ブーン、カーチャンを大切にな
これからはお前がカーチャンをしっかり守っていくんだ
お前ならきっとそれができる」
( ;ω;)「わかったお」
( )「母さん、先に逝ってしまう俺を許してくれるかい?」
J(‘ー`)し「何弱気な事いってるのよ」
( )「もっともっと生きて、お前と共に人生を歩んでいきたかったよ・・・
本当にすまん・・・」
J(‘ー`)し「いいえ・・・
私もアナタと共に歩めて本当に幸せでした」
( )「そう言ってくれると、俺も気が楽になるよ・・・」
父は呼吸が乱れ、視線も虚ろになっていた
203 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:44:52.52 ID:UZ+/WocV0
( )「ブーン、お前が立派に成長した姿が見たかったなあ・・・」
( ;ω;)「トーチャン、まだ死んじゃだめだお!
僕が会計士になった所を見るお!」
( )「ははは・・・
そいつは酷な注文だよ、ブーン・・・」
父の話す言葉は小さくなってきた
( )「ふう・・・
そろそろ疲れたなあ・・・
なんだか目の前が暗くなって、お前達が見えなくなってきたよ・・・」
J(‘ー`)し「アナタ!」
205 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/17(金) 01:47:26.83 ID:UZ+/WocV0
( )「どうやら、そろそろお別れみたいだ・・・」
( ;ω;)「トーチャン!」
( )「母さん、ブーン・・・今まで本当にありがとう・・・
そして、さよう・・・なら・・・」
父はそういうと目を閉じた
J(‘ー`)し「アナター!!」
( ;ω;)「トーチャン!!」
(ヽ゚ω゚)ブーンが精神病になったようです 第四部 第二十八話
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