4 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:21:55.18 ID:yFVhuxmX0 [2/29]
('A`)「皆さんは、挨拶を大事だと思いますか?」
('A`)「皆さんは、挨拶をすることが好きですか?」
(゚A゚)クワッ
(♯゚A゚)「私は挨拶がだいっっっきらいです!!」
('A`)三年虹組弱虫先生のようです
二話『人は泣く』
6 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:23:56.55 ID:yFVhuxmX0 [3/29]
ζ(゚ー゚*ζ「どうしてですか?」
('A`)「『おはよう』と言われたら『おはよう』と返さないといけないじゃないですか」
ζ(゚ー゚*;ζ「……何か問題が?」
(゚A゚)「おおありです!」
('、`*川 「あ、呼びました?」
('A`)「『蟻』じゃないです、有象無象の方の『有る』です」
('、`*川 「さいですか」
('A`)「『おはよう』って言われたら『おはよう』です。これはわかりきったことじゃないですか!
なのに何故人間は生きているうちにこれを何万回と繰り返すんですか? おかしくないですか?」
( ・∀・)「挨拶は人付き合いを円滑に進めるコツですよ」
('A`)「ええ、そうでしょうとも! それが気に食わないんですよ私は」
( ^ω^)「じゃあ先生が新しい『挨拶の代わり』を作ればいいんだお」
('A`)「それですっ!」
7 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:25:57.23 ID:yFVhuxmX0 [4/29]
('A`)「今日の授業は『挨拶の代わり』を考えることです!」
( ´_ゝ`)「出会い頭に頭突き」
('A`)「頭だけにですか? 却下」
(-@∀@)「名刺交換」
('A`)「それは挨拶の一種です」
( ゚∀゚)「おっぱいを揉む」
('A`)「まな板女性と細身の男性に対しては無理ですね」
ξ゚⊿゚)ξ「一曲歌いましょう」
('A`)「出会い頭に私のような男がドレミの歌を歌ったとしましょう」
ζ(゚ー゚*ζ「ドン引きですね」
(;A;)「その通りです!」
(-_-)「ウィンク」
('A`)「おっさんにウィンクされて清々しい気分になる人間がいるのですか?」
(´・ω・`)「おっさんで構いませんよ」
('A`)「君が言うと違う意味で聞こえますよ」
9 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:27:59.47 ID:yFVhuxmX0 [5/29]
('A`)「皆さんもっと真剣に考えてください! 貴方達の発想によっては、この世の『挨拶』の定義が代わるかもしれませんよ!」
(´・ω・`)「男同士ならハグ、女同士ならハグ、相手が異性だった場合は求婚でどうでしょう?」
('A`)「積極的にも程があります! それが受け入れられるのはおそらく君だけです!」
(-_-)「そもそも先生、僕らで『挨拶の代わり』を作っても、世に出回らなければ意味が無いじゃないですか」
('A`)「ふむ、確かにヒッキー君の言う事には一理ありますね」
( ´_ゝ`)「先生、『一理ある』って言いますけど、二理や三理あることってなんですか?」
('A`)「宇宙中探せばあるんじゃないですかね、知りませんけど」
キーンコーンカーンコーン
('A`)「む、チャイムが鳴りましたね。一時間目終了です。先生今日は家が火事な気がするので、早退してもいいでしょうか?」
(´・ω・`)「先生の住んでいらっしゃるアパートここから見えますね。早退するなら荒巻先生に言っておきますよ」
('A`)「……君のような全てを見透かしているような生徒をもって、私は幸せものですよ」
( ^ω^)「ショボン褒められてよかったおね」
( ´_ゝ`)「内藤、『皮肉』って言葉知ってるか?」
( ^ω^)「お? 肉料理の事かお?」
( ´_ゝ`)「……そうだな。たぶん美味しくないけど」
10 名前:支援が付くと嬉しいですね ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:29:59.77 ID:yFVhuxmX0 [6/29]
('A`)「皆さん、蚊の主食を知ってますか?」
('A`)「一話でも話した通り、蚊は雌しか血を吸いません。タンパク質摂取のための吸血ですね。
――で、私は言わずもがな、雄です。血は吸いません」
川 ゚ -゚)「おや毒男先生、一人でぶつぶつ喋っていて気持ち悪いなぁと思ったら、お昼ご飯ですか」
('A`;)「気持ち悪くて申し訳ないですね。――ええ、私の大切なお弁当ですよ」
川 ゚ -゚)「中には何が入っているんですか?」
('A`)「蜂蜜です」
川; ゚ -゚)てそ
川 ゚ -゚)「甘党ですね」
('A`)「ええ、蚊の主食は花の蜜ですからね、それが主成分となっている蜂蜜は、私の大好物なんですよ。
あ、もちろん本物の蚊は蜂蜜なんて食べませ――いえ、食べるかどうかは知りませんけど」
川 ゚ -゚)「でも蜂蜜は糖分八十%ですよ? 体に悪くないですか?」
('A`)「承知の上ですよ」
13 名前:>>12もちろん今回も出ますよー ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:32:01.26 ID:yFVhuxmX0 [7/29]
('A`)「そういえば先生の主食は?」
川 ゚ -゚)「プランクトンですかね。水を飲むだけで済むので食費が浮きます」
('A`)「えーと……蟶貝(マテガイ)でしたっけ? 格好いい名前ですよね、特に虫に『聖』って書くあたりが」
川 ゚ -゚)「ただし塩分を感じやすいので、海水に調味料を入れたりする癖ができるんですよね。好みの味にするために」
('A`;)「海水にですか!?」
川 - -)「塩分過多って医者に言われます」
('A`)「私も糖分過多って言われますけど、医者の言う事は気にしない方がいいですよ」
川 ゚ -゚)「それでは医者の意味が――」
('A`)「『ブラシーポ効果』というものがあるじゃないですか。
医者が『この薬は絶対に効きます!』というのと、『とりあえず飲んでみてください』って言うのとでは効果に差がでるという話ですね。
それと同じですよ。心のもちようです。塩を薬と思って飲めばいいんですよ。少なくとも私は蜂蜜を薬と思っていますし」
川 ゚ -゚)「毒男先生……。あなた早死にするタイプですね」
('A`)「バレてしまっては仕方ないですね」
16 名前:>>14ハロワに居そうですね ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:34:02.52 ID:yFVhuxmX0 [8/29]
川 ゚ -゚)「そういえば先生、先生のクラスの不登校児、ちゃんと気に掛けてますか?」
('A`)?
川 ゚ -゚)「ミセリさんですよ、不登校の」
('A`)? ?
川 ゚ -゚)「まだ一回も学校に来てないじゃないですか」
('A`)? ? ?
川 ゚ -゚)「……もしかして、一回も出席取ってません?」
('A`)「出席ってなんですか?」
川; ゚ -゚)「そこからですか!?」
19 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:36:03.89 ID:yFVhuxmX0 [9/29]
('A`)「ははぁ、つまり出席とは、その日にその人間が学校に来ているかどうかを確かめるためのものなんですね」
川; ゚ -゚)「生徒達に謝った方がいいですよ。先生の所為で生徒達の出席日数がゼロに――」
('A`)「いえ、あれは自分が学校に来たら記すタイムカードのようなものだと思っていたので、
おそらく私の生徒は全員無欠席です」
川; ゚ -゚)「それもダメでしょう!」
/ ,' 3 「どうしたんですかなクー先生。あなたが大きな声を出すとは珍しい」
('A<)「………」(クー先生、私の心を察してください……!)※ウィンクです
川 ゚ -゚)(うわっキモッ)
/ ,' 3 「毒男先生が何かやらかしましたかな? もしも何かトラブルならば、今度こそは校長に訴えてみようかと思いますが」
川 ゚ -゚)「………」
(;'A`)(頼むクー先生……! 結婚してくれ……! じゃない、私を助けてくれ……!)
24 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:38:04.68 ID:yFVhuxmX0 [10/29]
川 - -)「……借り、ですからね」
/ ,' 3 「はい?」
川 ゚ -゚)「毒男先生がお昼ご飯に蜂蜜を持ってきていたから驚いて声をあげてしまっただけです。
お騒がせしました」
/ ,' 3 「ふむ……。そういうことですか。しかしそれならばクー先生に非はありませんね、
元はと言えば毒男先生が蜂蜜を持ってくるのが悪いワケですし」
('A`)「ええ、そうですよ。私が全て悪いのです。ではご老害、さっさと自分の席につかれたらどうでしょう?」
/ 。゚ 3 「なんたる口の利き方! せめて『ご老輩』と呼べとなんと行ったらわかるんですかねぇ?」
('A`)「ご老廃。貴方様の席はアチラです。どうぞ」
/ ,' 3 「毒男先生、覚えておれよ」
26 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:40:19.84 ID:yFVhuxmX0 [11/29]
('A`)「……三歩歩いたら忘れる可能性も否めませんね、なにぶん馬鹿なもので」
川 ゚ -゚)「毒男先生、あなたはなぜ何時も荒巻先生と言い争うのですか?
やる気の無さそうな顔と老け顔の言い争いはキモイです」
('A`)「クー先生、私はあの老害の事がどうにも好きになれないのですよ。
人の教育方針を崩そうとするスタンスは好きになれません。
そしてクー先生、美人に言われる『キモイ』ほど心に刺さるものはありませんよ」
川 ゚ -゚)「わあキモイ」
(;A;)「泣いていいですか。アハハハハ!」
川 ゚ -゚)「もう泣いているじゃないですか。それに、毒男先生はまだ挽回の余地がありますよ」
(つA;)「え?」
28 名前:>>25ええ、世界観は絶望先生+αですね ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:42:20.27 ID:yFVhuxmX0 [12/29]
川 ゚ -゚)「毒男先生のクラスの不登校児を更正させてください。そうしたら私も先生の事を見直しますよ」
('A`)「言いましたね? 言ってしまいましたね?」
川 ゚ -゚)「その代わり、できなかったら私に博多の塩をプレゼントしてください」
('A`)「安いですね」
川 ゚ -゚)「老後までずっと」
(;'A`)「高いですね!?」
川 ゚ -゚)「では毒男先生、また」
29 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:44:22.21 ID:yFVhuxmX0 [13/29]
('A`)「ミセリさん、ですか……。とりあえず今日家庭訪問してみますかね……」
(´・ω・`)「話は聞きました。僕も行きます」
Σ(;'A`)「うわぁ掘られる!」
(´・ω・`)「生徒の顔を見て開口一番に『うわぁ掘られる!』って凄いキャラですね先生……。
ミセリの家に行くんでしょう? だったら僕もついて行きますよ」
('A`)「君はミセリさんの知り合いですか? にしても、盗み聞きとはいい趣味をおもちのようですね」
(´・ω・`)「はい、ミセリとは小・中学校生活で唯一の女性の友達でした。
それと、僕の趣味は盗撮よりかはマシだと思いますよ?
それともどっこいどっこいですかね? 似たもの同士ですかね? 先生と僕は」
('A`)「君と一緒にしないでください。先生は弱虫ですからね、君と交際する勇気はありませんよ。
――では、今日の放課後にミセリさんの家へ行きましょう。何か必要な物はあるでしょうか?」
(´・ω・`)「必要なものは特にありませんが、おそらく今のミセリは『動物的』なものが苦手です。
先生の背中の翅は隠した方がいいでしょう。もしくは切断します?」
('A`)「ふざけないでください。私の背中に翅が無かったら、なで肩とマッチした哀愁漂う背中が完成してしまいますよ。
翅は隠します。和服に隠すともっこりして変になる可能性があるのですが、何かよい案は無いでしょうか?」
(´・ω・`)「リュックサックでも背負ったらどうです?」
('A`)「……持ち物もないのにリュックサックですか、なんとも滑稽ですが、それでいきましょう」
31 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:46:28.05 ID:yFVhuxmX0 [14/29]
(´・ω・`)「ミセリが不登校になったのは高校二年生の夏でした。体育祭で彼女はリレーの選手だったんですが、
運の悪い事に相手が全員飛蝗(バッタ)の血統の生徒で、一位から四位まで転落したんです。彼女の周りの人間は全然気にしていなかったんですが、
彼女は自責の念に絶えられず、引き篭もりになってしまいました」
('A`)「ふむ、ところでミセリさんは何の血統なんでしょうか? リレーの選手に選ばれるぐらいならば、中々の血統だと思うのですが」
(´・ω・`)「無血統です」
(;'A`)「――え?!」
(´・ω・`)「先生が驚くのも無理は無いと思いますが、本当です。今の日本では百人以下となっている無血統の人間です」
('A`)「なるほど……。虫の血が流れていない、純粋な人間ですか……。動物嫌いというのはそのためですか?」
(´・ω・`)「本人は言ってませんでしたが、僕の考えるところではそうだと思いますよ。コンプレックスを感じているようでしたから」
('A`)「よし、これでミセリさんの事はだいたい把握できました。で、まだ着かないのですか?」
(´・ω・`)「もう見えてますよ。あの紅い屋根の家です」
('A`)「小さいですね」
(´・ω・`)「先生のボロアパートに比べれば豪邸ですよ」
('A`)「私の実家に比べれば物置ですね、では行きますよ」
(´・ω・`)「今始めて先生に殺意が沸きましたよ。――ピンポーン」
('A`)「自分で擬音を言う人間というのは滑稽ですね」
32 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:48:28.50 ID:yFVhuxmX0 [15/29]
ミセリ母「どちら様?」
('A`)「お邪魔します。VIP高校三年虹組担任の鬱田毒男と申します」
(´・ω・`)「ショボンです」
ミセリ母「あら、ショボちゃんじゃない! 久しぶりー!」
(´・ω・`)「お邪魔してよろしいですか?」
ミセリ母「どうぞどうぞ!」
('A`)「………居ますよね、こういう人」
33 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:50:29.80 ID:yFVhuxmX0 [16/29]
ミセリ母「あの子ったら部屋に引き篭もりっきりで……」
('A`)「お話は出来ますか?」
ミセリ母「ええ、ドア越しに、なら……。申し訳ありません」
(´・ω・`)「僕が説得しますよ」
ミセリ母「……ごめんなさいね、ショボちゃん。ミセリが迷惑かけて」
(´-ω-`)「むしろ今まで待たせて申し訳ありません。僕はミセリに嫌われる事を恐がって逃げていました。
でも、もう逃げません。毒男先生は僕に勇気をくれました」
('A`)(おまえにあげたものはツッコミしか無いと思う)
ミセリ母「じゃあ、後はよろしく頼むわね」
(´・ω・`)「はい、わかりました」
36 名前:>>35蚊文にして知りませんでした? ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:52:30.49 ID:yFVhuxmX0 [17/29]
(´・ω・`)「コンコン」
('A`)「ノックの音まで言うのですか?」
(´・ω・`)「シーン」
('A`)「そこまで言いますか」
ミセ♯*゚Д゚)リ「うるせぇんだよボケナス! ノックは三回だって何回言えばわかるんだタコ!」
(;'A`)「ヒイッ!」
(´・ω・`)「ミセリ落ち着いて、僕僕」
ミセ*゚ー゚)リ「………誰? 僕僕詐欺?」
(´・ω・`)「ショボンだよ」
ミセ♯*゚Д゚)リ「とかなんとか言ってまた母さんの裏声なんでしょ!」
('A`)(あの母親何やってんだよ……)
ミセ*゚ー゚)リ「私は扉を開けない。例えAAが表示されていたとしても、まだショボン達には見えない!」
(´・ω・`)「先生、何のことだかわかります?」
('A`)「さあ?」
38 名前:3DS買って3日で売りました ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:54:33.01 ID:yFVhuxmX0 [18/29]
ミセ*゚Д゚)リ「そこにいるのはショボンだって証拠は!? 証拠はあるの!?」
(´・ω・`)「『逃げろ! 奴が来るぞ! 皆殺しにされる! 女も子供も家畜も関係無いっ! 早く逃げるんだ!
馬鹿、3DSなんて買ってる暇は無い! 3D酔いしたら逃げられないだろうが! オイッ!』」
ミセ*゚ー゚)リ「………ショボン、なのね」
('A`)「先ほどの意味不明な文章について質問があるのですが。山ほど」
(´・ω・`)「ミセリ、扉を開けてくれ」
ミセ*゚ー゚)リ「嫌よ」
('A`)「………」←スルーされて軽くショック
(´・ω・`)「頼む、開けてくれ」
ミセ*-ー-)リ「………」
39 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:56:34.64 ID:yFVhuxmX0 [19/29]
ミセ*゚ー゚)リ「私は絶対に扉を開けない。この扉は私の心の防衛線よ」
('A`)「心の防衛線ですか、私も一時期作りましたねぇ心の防衛線」
ミセ*;゚ー゚)リ「そこにいるのは誰!?」
(゚A゚)「今気づいたんですかっ!」
(´・ω・`)「先生だよ。君と僕の」
ミセ*゚ー゚)リ「先生……? なんだ、税金泥棒さんか! そうならそうと言ってくれれば罵ってあげたのに!」
('A`;)「この子恐いですね……。それはそうと、心の防衛線ですよ」
('A`)「先生昔、虐められていた時期があるんですよ。というか昔の思い出は全部虐めの日々ですね」
(´・ω・`)「容易に想像できますね」
('A`)「君はちょっと黙ってください」
(´・ω・`)「アハン」
('A`)「黙れ」
('A`)「――私はね、ウイルスを媒介しやすい体質なんです。それが原因で合唱コンクールの前にクラスで伝染病が流行ってしまったんです。
学級閉鎖でした。私、怒られましたよ……。
生徒にも、先生にも――。他のクラスの人間まで私を罵りました。『おまえの所為だ』って」
41 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 19:58:54.65 ID:yFVhuxmX0 [20/29]
ミセ*゚ー゚)リ「……辛かったですか?」
('A`)「ええ、とても辛かったですよ。――あの頃の私は本当に馬鹿でした。馬鹿で真面目でした」
ミセ*゚ー゚)リ「それで?」
('A`)「死のうとしました。居なくなろうとしました」
ミセ*゚ー゚)リ「………」
('A`)「最初は、学校の屋上からの飛び降り自殺をはかりました。フェンスに手を掛けて、跳びました」
(´・ω・`)「ハハッ、蚊なのにフライですか」
('A`)「黙れ。――私はちゃんと屋上から飛んだんです。するとどうでしょう? 不思議と恐くないのです。心が軽くなった気がしました。
しかし地面が近づいてきて、恐くなった時には、私は翅を羽ばたかせていました。自殺失敗です」
ミセ*゚ー゚)リ「次は?」
('A`)「首吊り自殺をしようと思いました。しかし首を吊ってものの数秒で、私の本能が翅を翅ばたかせたのです。
死ねませんでした。足元には転がった椅子、天井から吊るされたロープに首を突っ込み、背中の翅が鬱陶しい羽音を響かせる」
(´・ω・`)「シュールな光景ですね」
('A`)「………。そうですね、私はある意味生きる『滑稽』です。『滑稽の権化』とでも申しましょうか。
やる気の無い顔に柄物の和服、背中から生えた大きな蚊の翅」
('A`)「しかしそれでも、生きています」
42 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 20:00:55.37 ID:yFVhuxmX0 [21/29]
('A`)「自殺に失敗した私は心の防衛線を作りました。人との関係をできるだけ作らないように生活していました。
あなたと同じく引き篭もりだった時期もありましたが、親の目が恐くて長続きしませんでした」
(´・ω・`)「財閥の跡取りが引き篭もりというのは評判落ちますよね、やっぱり」
('A`)「しかし、私は気づきました。防衛線はあくまで防衛線でしかないのです。何時かは絶対破られる時が来ます。
誰かに破られるならば、自分から破いた方が良いのではありませんか?」
ミセ*゚ー゚)リ「……私は、学校へ行くのが恐いです」
('A`)「わかっていますよ。しかし、大丈夫です。先生もショボン君もいますからね」
(´・ω・`)「今のクラスで、ミセリと前に同じクラスだった人間は僕とモララー君しかいないよ。
モララー君は高飛車な態度でウザイけど、女性には優しいから安心だね。
――それに、二年生の頃の体育祭の事なんか誰も覚えてないさ」
(;'A`)「君、今さりげなく友達をウザイって言いましたよね……」
ミセ*-ー-)リ「………。先生、ショボン」
('A`)「何ですか?」
(´・ω・`)「何?」
ミセ*゚ー゚)リ「私、明日から学校行く!」
43 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 20:03:20.51 ID:yFVhuxmX0 [22/29]
('A`)「よく言いましたね」
(´・ω・`)「僕は嬉しいよ、ミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……二人ともありがとう!」
('A`)「ところで、姿を見せてくれませんか? 一度あなたの姿を見てみたいです」
(´・ω・`)「明日見れるじゃないですか」
('A`)「会った時に『誰?』ってなったら気まずいと思いません?」
(´・ω・`)「それもそうですね」
ミセ*゚ー゚)リ「パジャマですけど……こんな感じです」
(´・ω・`)「ガチャン」
('A`)「扉の開く音がガチャンですか? それはむしろ閉まる音――。なんだ、美人じゃないですか」
ミセ*゚ー゚)リ「毒男先生、思っていたよりキモイですね」
(;A;)「私は今日何回キモイって言われてるんですかっ!」
ミセ*゚ー゚)リ「気を落とさないでください先生。先生は見た目は悪くても、心はそこまで悪くありませんから」
('A`)「『そこまで』って所がポイントですか?」
45 名前:今日は調子良いんで3話も投下しようかなぁ ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 20:05:22.05 ID:yFVhuxmX0 [23/29]
ミセ*゚ー゚)リ「ところで、後ろのリュックサックは何が入ってるんですか?」
('A`)「リュックサックの背中が当たる部分に穴を開けて、中に翅を入れられる設計にしました。
少々変形するかもしれませんが、明日には元に戻ると思うので大丈夫です。
そしてあなたの露骨な話題の切り替えに先生泣きそうです」
(´・ω・`)「なるほど、先生も考えましたねぇ。でも、もうそんな気遣いもいらないんですよ
ミセリは学校に来る決心をしたんですから、動物嫌いともおさらばです」
ミセ*-ー-)リ「……うん、私はもう平気だよ。勇気を貰ったからね」
('A`)「そうですか、リュックサックはもういりませんか」ポイッ
ミセ*゚ー゚)リ「凄い翅ですね」
('A`)「自慢の翅ですよ。ではまた明日会いましょうね」
ミセ*^ー^)リ「はい、弱虫先生!」
('A`;)「清々しい笑顔で言われると不思議と嫌じゃないですね……」
47 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 20:07:24.53 ID:yFVhuxmX0 [24/29]
('A`)「『今日はとにかく疲れた』」
('A`)「『瞼が重すぎて何も書けそうにない』
('A`)「『寝よう。寝なければ死んでしまう』」
(A`)「今日も、一日、嫌な日、でした……?」
48 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 20:09:24.97 ID:yFVhuxmX0 [25/29]
川 ゚ ー゚)「凄いじゃないですか、毒男先生!」
('A`)「え?」
川 ゚ -゚)「ミセリちゃんのことですよ。更正したらしいじゃないですか!」
('A`)「ああ、そういえばそうでしたね」
川 ゚ -゚)「そういえばって……。なんだか元気無いですね、死に際ですか?」
('A`)「いや、元気が無いから死ぬってことはありませんが……。
なんだか昨日自分の過去を語っているときに気が付いたのです。
自分が始めてする説教らしい説教だったかもしれないなぁ、と」
川 ゚ -゚)「やっと教師らしいことしたんですね」
('A`)「ええ、教師になって初めて教師らしいことをした気がするんですよ」
50 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 20:11:26.76 ID:yFVhuxmX0 [26/29]
川 ゚ -゚)「まぁ……。先生は凄いと思いますよ」
(*'A`)「そうですか?」
川 ゚ -゚)「ええ、特に私に気づかれずに私の机の下に監視カメラを仕掛けるとか」
('A`)「ドッキーン!」
川 ゚ -゚)「今回は先生の功績を称えて不問にしておきますが、次やったら冗談抜きで」
('A`)「どうか警察だけは勘弁していただきたいです」
川 ゚ -゚)「いえ、冗談抜きで先生の家に蚊取り線香を置きます」
(゚A゚)「死んでしまいますよ!」
54 名前:>>51了解しました これ以降しません ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 20:13:27.36 ID:yFVhuxmX0 [27/29]
キーンコーンカーンコーン
('A`)「あ、チャイム鳴りましたね」
川 ゚ -゚)「では行きましょうか」
('A`)「了解しました。――さて、二時間目は何の時間にしましょうかねぇ……」
川 ゚ -゚)「愛を語ってみるのはどうですか?」
('A`)「私には一生かかっても無理ですね」
川 ゚ ー゚)「自分を語ることのできる人間ならば、愛だってきっと語れますよ」
('A`)「………? わかりませんね。私は自分を語るのが精一杯な人間ですから」
('A`)ノシ「では」
川 ゚ -゚)ノシ
川 ゚ -゚)「何ですかねぇ、この気持ち」
55 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 20:15:28.52 ID:yFVhuxmX0 [28/29]
('A` )「はい着席ー! 着席と言ったら着席しないと先生がセクハラするぞー!」
( ´_ゝ`)「先生、ショボン君が一生座りません」
(´・ω・`)「どうぞ」
('A`)「……遠慮しておきましょう。着席」
(´・ω・`)「ガタン」
('A`)「………」
ミセ*゚ー゚)リ
('A`)
ミセ*>ー゚)リ
('A`)てそ
( ^ω^)「先生、今日は何するんだおー?」
('A`)「む、そうですね……じゃあ」
('A`)「今日も皆で『挨拶の代わり』でも考えましょうか」
「「「おーーー!」」」
ミセ*;゚ー゚)リ「………え、これ授業?」
57 名前: ◆vTW8/HN3gg [sage] 投稿日:2011/04/01(金) 20:17:29.38 ID:yFVhuxmX0 [29/29]
('A`)「『今日は凄く楽しい一日だった。私が「楽しい」などという言葉を使うのは初めてではないだろうか?』」
('A`)「『小さい頃から親の圧力に屈してきた私にとって、今日ほど「自由」を感じた日は無い』」
('A`)「『親の反対を押し切って教師になって、本当によかったと思えたのは、今日が初めてな気がする』」
('A`)「『まだ新学期を受け持って一週間も経っていないが、なぜか私はこのクラスで本当に良かった、と思える』」
('A`)「ふぅ、なんだか今日は体が軽いですね」
('A`)「久しぶりに飛びましょうかね、風も無いし。――いえ、しかし近所迷惑というものを考えますか」
('A`)「寝ましょう。そうしましょう」
(A`)「今日も……。今日『は』」
(A`)「一日……。『楽しかった』」
('A`)三年虹組弱虫先生のようです
二話『人は泣く』(終)
('A`)三年虹組弱虫先生のようです 第三話
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