1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:25:08.15 ID:bLAra/Q70
森の中を女が駆けている。
その後ろを、数人の男たちが追っていた。
「待て! この売女が!」
ミセ;゚ー゚)リ「って言われて待つほどアホじゃねえよ!」
「いーやおまえはアホだ! 底抜けのまぬけ! だから止まれ!」
ミセ;゚ー゚)リ「好き勝手いいやがって死ね!」
追っているのは兵士たちだった。
女は安っぽいドレスをはためかせて、必死に逃げ回っている。
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:29:26.32 ID:bLAra/Q70
「ま、待て。この先は危険だ」
兵士の内、一人が立ち止まる。
「この先はやつの領地になる」
「そうか! カエラズの森」
「クソ。これでは追えないな」
女の背中が小さくなり、森の奥へ消えていくのを、歯がゆい気持ちで兵士たちは見送った。
「まあいい。これであの女が死んでくれれば、我々の落ち度も無くなる」
「どうせ捕まえれば死刑だったしな」
「さあ我々も帰投しよう。あの尻軽女のせいで、魔物に教われでもしたら報われないぞ」
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:31:22.92 ID:bLAra/Q70
兵士たちが踵を返し、街に帰り始めてから、十数分後のことだった。
( ゚∋゚)
ミセ;゚ー゚)リ
森の奥へ逃げ込んだ女は、三メートル以上はあるガーゴイルの前で、力なく座り込んでいた。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:33:22.96 ID:bLAra/Q70
##### ガラクタ魔王のようです #####
第一話「ガラクタ魔王と尻軽女」
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:37:17.31 ID:bLAra/Q70
ミセ;゚ー゚)リ「いやああああああ! マジで!? 嘘!」
( ゚∋゚)
生まれて初めて見るガーゴイルだった。
大きな爪、凶悪そうな牙、冷たい瞳、ふわふわの毛、大きな翼。
魔物の王様と言われるだけはある威厳を感じる。
( ゚∋゚)
ミセ;゚ー゚)リ「いやいやいや無理無理無理! 私は勇者とか戦士とかそういう類の人間じゃないのわかる!?
かといって魔法使いでも僧侶でも神官でも無いから不思議な力とか持ってないわけオーケー!?
もちろん実は王族の血を引いてたり魔族と人間のハーフでしたなんて設定も無いわけ!
そりゃあ素敵な一般人なのよ見逃してくれない!?」
女は焦っていた。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:41:54.33 ID:bLAra/Q70
襲われればまず命は無い。
やり残していたことは山ほどあった。
ミセ;´ー`)リ「ああ、駄目だ。まるで助かる気がしない。
こんなことならさっさと子供でも孕ませて無理矢理にでも家庭を作っておくんだった……。
どうせならたまにお忍びに来る王家直属の警備隊とか狙っておけば私も上流家庭の仲間入り。
もう腐った毛布にくるまって橋の下で眠らなくて済んだのに……」
命乞いをやめた女は妄想の世界へ逃げ込んだ。
ミセ; ー )リ(やば……お腹空きすぎて目眩が……)
もう三日間、水だけで過ごしていた。
全力で走り続けたので体力も限界である。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:43:43.37 ID:bLAra/Q70
意識の無い内に死ぬのなら、苦しみも少なくて済む。
女はそう考え、混沌とする意識を闇の中へ放った。
「――――――」
誰かの声が聞こえた気がしたが、既に意識は半分以上、溶け出していた。
## ## ## ##
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:47:32.13 ID:bLAra/Q70
_,、_
ミセ*゚-゚)リ「……」
死んだと思ったミセリが目を覚ましたのは、ベッドの上だった。
_,、_
ミセ*゚-゚)リ(天国、じゃあない)
部屋の中を見渡す。
装飾は古くさいが十分過ぎるほど豪華で、家具も高そうなものばかりだ。
自分が寝ていた布団も、手触りが高級品のそれである。
上流貴族の屋敷という雰囲気だ(入ったことないけど)。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:50:26.93 ID:bLAra/Q70
着ているものは、自前の安物ドレスだった。
森で逃げている途中に、所々がほつれてしまって、チープさが増している。
ミセ*゚ー゚)リ(助かったんだ!)
やや遅れて、自分の命が助かったということを思いだし、喜びで体が震えた。
そのとき、ギィ、と扉のしなる音が聞こえた。
ミセ*゚-゚)リ「!」
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:52:22.56 ID:bLAra/Q70
∀゚)
ミセ*゚-゚)リ
∀゚)
ミセ;゚-゚)リ
やや開いた扉から、顔を半分だけ出して、こちらを伺う男がいた。
ミセ;゚ー゚)リ「あ、あのー」
∀゚)「気がついたようだね」
声をかけてきたが、部屋には入ってこようとしない。
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:55:15.80 ID:bLAra/Q70
ミセ*゚ー゚)リ「もしかして、あなたが助けてくれたんですか?」
∀゚)「助ける? ああ、ベッドに運んで、手当をしたのは僕だ」
ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう! ガーゴイルに襲われたときは絶対死んだって思ったわ!」
∀゚)「ガーゴイル……?」
ミセ*゚ー゚)リ「ええ。ガーゴイル」
∀゚)
∋゚)ヒョコ
∀゚)
男の頭の上から、あの忘れもしないガーゴイルの顔が、半分だけ出た。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 21:57:15.08 ID:bLAra/Q70
ミセ;゚Д゚)リ「うおおおおおおおおおお!?」
∋゚)
∀゚)「どうした?」
ミセ;゚Д゚)リ「こっちが訊きてえよ! そのガーゴイルは!?」
∋゚)
∀゚)「僕の部下だ」
ミセ;゚ー゚)リ「は!?」
∋゚)
∀゚)「友達でもある」
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:00:02.85 ID:bLAra/Q70
ミセ;゚ー゚)リ「そ、じゃ、え、仲間ってこと?」
∋゚)
∀゚)「そうさ」
女は激しく同様し、ベッドから転げ落ちた。
ドレスがまくれ上がり、下着が見えそうになるが、全く気にしていない。
∋゚)
∀゚)「まだ動かない方がいい。擦り傷は治したが、体調はよくないだろうから」
∋゚)「魔王様。そろそろ部屋に入られてもよいのでは?」
∀゚)
ミセ*゚-゚)リ「魔王……?」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:03:52.21 ID:bLAra/Q70
∋゚)
∀゚)「君は女性に対しての接し方がなってないな。
彼女が部屋に入っていいと言うまで、こうやって紳士的に中を伺うのが礼儀なんだよ。
本に書いてあったんだ」
ミセ;゚ー゚)リ「そ、それ」
間違ってるよ、と言いそうになって口をつぐみ、代わりに中に入ってもいいよと女は言った。
_
( ゚∀゚)「これで話しやすくなった。改めて自己紹介しよう。僕はジョルジュ長岡」
( ゚∋゚)「私はクックルドゥードゥードゥーです。魔王様の、執事をしております」
ジョルジュ長岡、その名前には聞き覚えがあった。
かつて人と魔族の間に大戦が起こり、そのときの魔族の指導者が、たしかそのような名前だった。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:07:25.19 ID:bLAra/Q70
ミセ;゚ー゚)リ「魔王が私に何の用が……」
∑ミセ;゚ー゚)リ ハッ
ミセ;゚ー゚)リ「わかった、わかったわ。私を肉奴隷にする気ね!?」
_
( ゚∀゚)「え」
( ゚∋゚)「え」
ミセ;゚ー゚)リ「人間の若い美しくて綺麗な女を捕まえて子を孕ませて魔族の血を絶やさないようにし
用が終わったらただの性処理用の道具として私にイ○○チオや触○ア○ル責めプレイを迫るのね!?」
_
( ゚∀゚)「クックル。イ○○チオとは何のことだ?」
( ゚∋゚)「……」
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:10:57.52 ID:bLAra/Q70
ミセ*;ー;)リ「いやああああああ! 今までろくなこと無かったけど、最後もこんな感じなの!?
私ってば運なさ過ぎ! 頑張って働いてればいつの日か三食食べられて
屋根のある所に住める生活が送れるって神父様が言ってたのに!」
_
( ゚∀゚)「さっきから気になってたんだが、君は家が無いのか?」
ミセ*゚-゚)リ「ねぇよ! 悪かったな家無しで!」
( ゚∋゚)(なんか開き直ったな)
_
( ゚∀゚)「家が無いって、じゃあどこに帰るんだ?」
ミセ*゚-゚)リ「帰るって、まあ、橋の下とか、今の時期は酒蔵に忍び込んだりして、何とかやってるけど」
_
( ゚∀゚)「家を作ったり、買ったりはしないのか?」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:17:01.24 ID:bLAra/Q70
ミセ#゚ー゚)リ「あーあー魔族のお坊ちゃんにはわからないでしょうけどねー!
私みたいな貧乏人は盗みをやるか体を売ってその日のご飯代稼ぐのが精一杯なのよ!」
_
( ゚∀゚)「体を売る?」
ミセ#゚ー゚)リ「そうだよ! こちとら11歳のときからこの身一つで食ってんだ!
使ってない穴なんてもう無いわよ! 中古よ中古!」
_
( ゚∀゚)「よくわからないが、体を売るというのは肉体労働のことでいいのかな」
ミセ#゚ー゚)リ「合ってるっちゃ合ってるけど、ああもうめんどくせえ! 娼婦だよ私は!」
ひときわ大きく声を張り上げると、部屋の中が一瞬しんと静まりかえった。
_
( ゚∀゚)「娼婦……」
ミセ#゚ー゚)リ「そうだよ! 脂ぎったおっさんのチ○コくわえて、よがって感じてみせるのが仕事だよ!
最低! マジ最悪! 一張羅のドレスしか着るもの無いから、洗濯するときは素っ裸!
客がいないときは乞食の真似して馬鹿にされても靴を舐めて生きてんだ!
あー最悪、あー人生最悪、もうどん底! 生きててもどうしようもないねさっさと殺しな!」
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:18:20.04 ID:bLAra/Q70
_
( ゚∀゚)
( ゚∋゚)
ミセ#゚ー゚)リ
_
( ゚∀゚)
( ゚∋゚)
ミセ*゚-゚)リ
_
( ゚∀゚)
( ゚∋゚)
ミセ* - )リ
_
( ゚∀゚)「すまない。気に障ることを言ってしまったようだ」
ミセ* - )リ
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:23:03.79 ID:bLAra/Q70
_
( ゚∀゚)「君を傷つけるつもりは」
ミセ* - )リ「よく考えたら、なんで生きてるのかわかんなくなった」
_
( ゚∀゚)
ミセ*;ー;)リ「生きてる意味無いじゃん。こんなの。
どうして今まで、こんなになるまで、頑張ってたんだろ……」
_
( ゚∀゚)「それは、幸せになるためじゃないかな」
ミセ*;ー;)リ「無理じゃん。マジ無理。クズだもん。私」
_
( ゚∀゚)「色んなクズを見たことあるけど、君みたいなタイプはいなかったよ」
ミセ*;ー;)リ「無理だよ。頭悪いし、ぶっちゃけそんなに可愛くないし。
はっ、ていうか、私ってば今容疑者なの。逃亡者。人殺しの罪で。ふふふ」
( ゚∋゚)(そうか。それで兵士たちに)
_
( ゚∀゚)「人を殺したのか? それはよくないよ」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:25:59.23 ID:bLAra/Q70
ミセ*゚-゚)リ「殺してない!」
_
( ゚∀゚)
( ゚∋゚)
ミセ*゚-゚)リ「私、殺してない……」
_
( ゚∀゚)「話して」
ミセ* - )リ
女は静かに語り出した。
彼女を買った男が、彼女を抱いたあと自殺した。
地元の名士だったらしく、自殺したことも、娼婦を買ったことも、家柄を守るために隠したかった。
家族の者たちは、娼婦を犯人に仕立て上げ、全てを隠そうとした。
ミセ*゚-゚)リ「ていう、お話」
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:30:20.63 ID:bLAra/Q70
_
( ゚∀゚)「殺してないなら、そう言えばいいじゃないか」
ミセ;゚ー゚)リ「馬鹿? 私の言うことなんて、誰も信じるわけないじゃん」
_
( ゚∀゚)「どういうことだい?」
ミセ*゚-゚)リ「家無しの娼婦のいうことなんて誰が耳を貸すってのよ」
( ゚∋゚)(おそらく兵士側も、真実は理解しているのだろうな。
しかし娼婦一人が死ねば済む問題だと考え、貴族の言い分を信じることにした。
貴族と兵士の癒着か。彼女一人が犠牲になれば、全員が助かるという構図……)
_
( ゚∀゚)「よくわからないな。人間って」
ミセ*゚-゚)リ「もうごたくはいいのよ! 殺すならさっさと殺しなさいよ!
言っとくけど奴隷になる気なんてさらっさら無いからね!
そのときは舌をかみ切って自分で死んでやる!」
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:34:14.01 ID:bLAra/Q70
_
( ゚∀゚)「しかし、これでは街に帰すことはできないな」
( ゚∋゚)「そうですね。兵士たちに捕まってしまえばおそらく死刑」
ミセ*゚-゚)リ「街に帰すって、なに言ってるのよ。知ってるわよ。ここはカエラズの森。
この森に入って帰ってこなかった人間は何人もいるの!
あなたたちの仕業だって、街ではもっぱらの噂なのよ!」
_
( ;゚∀゚)「ええええええええええ!?」
ミセ;゚ー゚)リ「え、え、え!?」
_
( ゚∀゚)「ば、馬鹿な……」
_
( ゚∀゚)「どういうことだ、クックル」
( ゚∋゚)「私にはわかりかねます」
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:38:07.19 ID:bLAra/Q70
ミセ;゚ー゚)リ「なに言ってんの?」
_
( ゚∀゚)「僕たちは人間をさらったり、殺したりなんてしていないよ」
( ゚∋゚)「たまに遭難したり、城に攻め込んだりする人間は、記憶を消して街に送り返しています」
ミセ*゚-゚)リ「ていうことは、①街に帰った人間はカエラズの森に入ったことを知らない
②街に帰れなかった人間はあんたたちに保護されてもらえなかったので死亡
結果的に②の人間だけが目立って、カエラズの森になったんじゃない?」
_
( ゚∀゚) ( ゚∋゚)
ジョルジュとクックルは呆然としたまま、動かなくなった。
_
( ゚∀゚)「なんということだ」
( ゚∋゚)「申し訳ございません。私、腹を切る覚悟でございます」
_
( ゚∀゚)「おまえに腹を切られてもなにも解決しないよ」
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:42:34.36 ID:bLAra/Q70
( ゚∋゚)「しかし記憶を消すことを提案したのは私です」
ミセ*゚-゚)リ「どうして記憶を?」
_
( ゚∀゚)「魔王と接触し、生きて帰ったとなると、僕らのスパイだと疑われかねないからね」
( ゚∋゚)「そうなると拷問を受けて、結局死ぬことになります」
_
( ゚∀゚)「しかしこうなると記憶を消す案は無しだな……」
( ゚∋゚)「私たちがいかに友好的であるかどうかをアピールすればよいかと」
_
( ゚∀゚)「じゃあ今度カエラズの森に来た人には、魔王まんじゅうをお土産にあげよう」
( ゚∋゚)「魔王キーホルダーも付けると万全かと思います」
_
( ゚∀゚)「なるほど。考えたね」
「ぷ、くくく」
ミセ*^ー^)リ「ば、馬鹿じゃん! なにが魔王まんじゅうよ!
毒でも入ってるかと思って誰も食べないよ! あはははは! アホ過ぎ!」
_
( ゚∀゚)「む……」
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:48:44.37 ID:bLAra/Q70
ミセ*^ー^)リ「あははは! ぷ、くく、ひひひひひ!」
ずっと暗い顔をしていた女だったが、腹を抱えて笑い出すと、本来の年齢に見合った若々しさが溢れた。
こんなに笑ったのは数年ぶりだと女は思う。
_
( ゚∀゚)「笑顔が見られてよかった。笑えないのかと思ったよ」
ミセ*゚ー゚)リ「……私も、もう笑えないのかと思ってた」
_
( ゚∀゚)「なあ、クックル。頼みたいことがあるんだが」
( ゚∋゚)「私に頼みごとなど、正気の沙汰とは思えません。命令で十分です」
_
( ゚∀゚)「わかった。これから仕事が増えると思うが、我慢してくれ」
( ゚∋゚)「御意」
_
( ゚∀゚)「ねえ、君」
ミセ*゚ー゚)リ「なに?」
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:50:40.64 ID:bLAra/Q70
_
( ゚∀゚)「もしよかったら、ここに住まないか?」
ミセ*゚ー゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ「え?」
「三食と、屋根付きの生活くらいしか、用意できないけど」。
ジョルジュはそう付け加えた。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:52:48.59 ID:bLAra/Q70
ミセ*゚-゚)リ「い、いいの?」
_
( ゚∀゚)「ああ」
ミセ*゚-゚)リ「わ、私、あんまり上手くないって評判だけど……」
_
( ゚∀゚)「何のことかわからないけど、特になにもしなくていいよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ほ、本当に、本当の、本当に!?」
_
( ゚∀゚)「ああ。その代わり」
「僕の友達になって欲しい」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 22:55:30.59 ID:bLAra/Q70
ミセ*゚-゚)リ「友達?」
_
( ゚∀゚)「うん」
信じられないことの連続で、女はパニックに陥っていた。
そしてこんな時にも、彼女の心を覆う黒いもやもやが顔を出す。
ミセ;゚ー゚)リ「わ、私、ちょっと、信じられない。ごめん……ごめんなさい」
_
( ゚∀゚)「どうして」
ミセ;゚ー゚)リ「だって魔王なんでしょ? 大戦のとき、数万の魔族を引き連れて、人間たちを殺してまわった……」
_
( ゚∀゚)「ああ、それは僕の父親だ」
ミセ;゚ー゚)リ「そ、そうなの!?」
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 23:00:55.16 ID:bLAra/Q70
( ゚∋゚)「大戦の終わり頃、魔王様のお父上、当時の魔王様は亡くなられました」
_
( ゚∀゚)「それから魔族は軍を解散し、冥界へ帰った」
ミセ*゚-゚)リ「あなたは……あなたたちはどうしてここに残ってるの?」
ジョルジュは目をそらし、自身の銀色の髪をそっと撫でた。
_
( ゚∀゚)「小鳥が鳴いて、葉の上を雨の滴が伝って、枯れ葉を踏むと音が鳴って、季節ごとに違う匂いの風が吹く。
そういうのが僕は好きだからだよ」
どれだけ語り合った仲間同士でも、いざとなったら裏切ることを女は知っている。
でもこの男は自分を裏切らないんじゃないかと思えた。
魔族、それも魔王なのに、その深い青色の瞳は、今まで出会ったどの人間よりも澄んでいた。
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/18(火) 23:06:00.81 ID:bLAra/Q70
ミセ* - )リ「本当に、住んでも、いいんだよね」
_
( ゚∀゚)「もちろん。それと君の名前を聞きたいな」
――おい、早くしゃぶれ
――そんな目で見るんじゃねえよビッチ
――おいアバズレ、今度の給料日までにちゃんとケツ洗っとけよ
――待て! この売女が!
ミセ*;ー;)リ「……ミセリ」
_
∑( ;゚∀゚)
また泣き出したミセリの前で、魔界の王はおろおろとうろたえた。
ガーゴイルは無表情に、しかしいつもより暖かい目で彼らの様子を見つめていた。
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 2
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