670 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:02:43.30 ID:HCkFMZxY0
2週間後、母はブーンを連れて再び病院に来ていた
J( 'ー`)し「先生、息子を宜しくお願いします」
医者「わかりました
では、こちらの同意書にサインをお願いします」
母は手渡された同意書に署名し、医者に返した
672 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:07:28.17 ID:HCkFMZxY0
医者「では、うちの院長がまもなく挨拶に伺いますので、しばらくそのままお待ち下さい」
そういうと医者は席をはずした
しばらくすると一人の男性がやってきた
('A`)「はじめまして
院長のドクオと申します
息子さんは責任を持って当病院で預からせて頂きます
全力でブーン君の治療にあたるので、ご安心下さい」
J( 'ー`)し「何とかブーンを治してやって下さい」
母は院長に深々とお辞儀をした
675 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:10:42.52 ID:HCkFMZxY0
J( 'ー`)し「じゃあブーン頑張るんだよ
カーチャン、できるかぎり見舞いに来るからね・・・」
(ヽ゚ω゚)「・・・」
ブーンに話しかけた後、母は病院を後にした
('A`)「さて、ブーン君のカルテを見せてくれないか?」
医者「これです」
医者は院長にブーンのカルテを渡した
676 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:16:12.11 ID:HCkFMZxY0
院長はしばらくカルテを見ながら考えていた
('A`)「ふむ、トウシツか・・・
進行状況はどれくらいだい?」
医者「はい、私が診ましたところ
強度の妄想、また昏迷が見られる為、外界からの刺激に対しての反応が見られません」
('A`)「・・・そうか
かなり症状が進行しているなあ」
院長はブーンをちらっと見た
680 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:21:24.62 ID:HCkFMZxY0
('A`)「君、診療部長を呼んできて」
院長はそばにいた看護婦にそう話した
「わかりました」
そういうと看護婦は診察室から出て行った
しばらくして一人の男が診察室にやってきた
685 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:24:25.08 ID:HCkFMZxY0
(・∀・)「院長、お呼びでしょうか」
('A`)「ああ、忙しいところすまないね
確か君はトウシツの第一人者だったね
彼の症状をどう見る?」
院長は診療部長にブーンのカルテを手渡した
診療部長はしばらく黙ってカルテを見ていた
692 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:31:00.36 ID:HCkFMZxY0
診療部長はブーンに目をやり、院長に答え始めた
(・∀・)「・・・だいぶ進行していますね
私が診た感じでは陰性症状もきつく出ているように見えます」
('A`)「そうだね」
(・∀・)「今は暴れるといったことはないように見えますが、投薬治療を始めると、どういった
反応がでるかわかりません
安全を期すためにも、しばらくは閉鎖病棟で様子を見たほうがよいと思います」
699 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:37:08.65 ID:HCkFMZxY0
('A`)「そうだね
陰性症状が収まってくると、衝動的な自殺や自傷行為をする事も考えられる
やはり閉鎖病棟で徹底して注意を払ったほうがいいな」
(・∀・)「幻覚が発病しているかどうかは、今の状態では分かりかねますが、恐らくは
なんらかの幻視、幻聴があると見ても差し支えないでしょう」
('A`)「私もそう思う
だが、本人が全くしゃべれないのでは確かめようがない」
(・∀・)「その通りです
ここまで反応が見られないのは、やはり治療をはじめる時期が遅すぎたと
いうことでしょう
当面はまず陰性症状を和らげる事が大切だと思います」
700 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:41:20.86 ID:HCkFMZxY0
('A`)「ここまで重度のトウシツ患者は私も初めてだ
やはりここはチームを編成して、複数で治療に当たらないといけないな」
(・∀・)「私もこのような症例は初めてです
出来る限り優秀なスタッフでチームを編成して当たる必要があると思います」
('A`)「うむ
看護も責任者クラスの人物が必要だな」
院長はしばらく考え込み、やがて電話の受話器を取り、内線番号を押した
703 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:46:29.45 ID:HCkFMZxY0
ξ゚⊿゚)ξ「院長、お呼びでしょうか?」
しばらくしてやってきたのはツン看護部長だった
('A`)「彼の治療に当たってチームを編成しようと思うんだが、君もチームに加わってくれたまえ」
ξ゚⊿゚)ξ「彼ですか?
病状はどういったものでしょうか」
(・∀・)「トウシツです
しかもかなり進行して、末期に近いと言ってもいい」
ξ゚⊿゚)ξ「末期ですか・・」
707 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 20:49:28.39 ID:HCkFMZxY0
看護部長はしばらくブーンを見つめていた
ブーンは視線を合わせることなく、宙をさまようように目を見開いている
ξ゚⊿゚)ξ「・・・わかりました
私がチームに加わっている間、看護部の統括は副看護部長に任せる事にしましょう」
('A`)「うむ、そうしてくれ
とにかくなんとしても急性期を切り抜けれるようにしたい」
713 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 21:04:49.23 ID:HCkFMZxY0
('A`)「薬剤課長を呼ぶか」
院長は再び電話の受話器をとり、内線を押した
電話「はい、薬剤課です」
('A`)「ああ、院長のドクオだが、課長はいるかね?」
電話「少々お待ち下さい」
しばらくして電話から別の声が聞えてきた
電話「お疲れ様です
どうしたのでしょうか?」
('A`)「おつかれ
すまないが、ちょっと第2診察室へ来てくれないか」
電話「了解しました」
721 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 21:10:20.35 ID:HCkFMZxY0
やがて薬剤課長が第2診察室に到着した
(`・ω・)「すいません
おまたせしました」
('A`)「わざわざ来てもらってすまないね
この患者に関して、話があるんだが」
院長はブーンのカルテを薬剤課長に手渡した
729 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 21:15:33.87 ID:HCkFMZxY0
(`・ω・)「・・・なるほど、ルーラン8を処方したんですね
ですが、これだけ重度だと一日にこれだけの量ではあまり効果がでないかもしれません」
薬剤課長はカルテを一通り見た後、こう話した
('A`)「やはり、そうか
だが、ルーランはまだ新しい薬だ
うかつに量を増やすのもどうかと思う」
ξ゚⊿゚)ξ「今の段階では、臨床例がまだまだ少ないですね」
(・∀・)「確かに副作用の情報もまだまだ足りません」
736 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 21:25:25.91 ID:HCkFMZxY0
(`・ω・)「確かにルーランの量を急速に増やすのは私も危険だと思います
ルーランは今の量に押さえ、別の薬を投与してみるほうがよいと思います」
('A`)「私もそう思う
どのような薬を投与するかは、あとでミーティングを開いて話し合おう」
ξ゚⊿゚)ξ「患者はかなり体力を消耗しているように見えます
自発的に食事を採ることが不可能ですし、栄養剤を点滴しましょう」
('A`)「そうだね
そうしてくれ」
(・∀・)「患者の部屋の割り当てですが、第1病棟の2035室がよいと思います
あそこはナースステーションから近いし、緊急の際にも速やかに対処できると思います」
789 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 22:31:16.01 ID:HCkFMZxY0
('A`)「診療部長、この件で最も気をつけるべき点はなんだろう?」
(・∀・)「私は今まで多くのトウシツ患者を診てきました
そして、一つの結論に達しました
それは、分裂病とはありとあらゆる手段で自分を抹殺しようとする病気だということです」
診療部長は語気を強めて、そう説明する
(・∀・)「傍から見ると分裂病の患者はみずから望んで他人から嫌われるようなことをします
そうやって周りから孤立し、自分を死に追いやっていくんです」
795 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 22:36:23.40 ID:HCkFMZxY0
('A`)「なるほど・・・
診療部長、君がこの患者の主治医として事にあたってくれ
よろしく頼む」
(・∀・)「わかりました
全力で治療に取り組みます」
診療部長は姿勢を正し、はっきりとした口調で返事をした
ξ゚⊿゚)ξ「では患者を第1病棟の2035室に運びます」
ツン看護部長は看護士を一人呼び、二人でブーンを車椅子に座らせ、2035室へと向かった
801 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/05(日) 22:44:27.30 ID:HCkFMZxY0
第1病棟は急性期の患者が収容される施設である
ここには暴れる患者を収容する為の隔離室もあった
精神病棟の暗いイメージの象徴である鉄格子や鍵の施錠された鉄の扉などは、いわゆる隔離室に備わった設備だ
ベットには抑制帯がつけられており、暴れる患者の腰や手足を固定できるようになっている
精神病棟は近年、非常に開放的な仕組みになっていったが、旧態依然としたイメージが隔離室には残されていた
(ヽ゚ω゚)ブーンが精神病になったようです 第二部 第十一話
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