359 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:00:51.10 ID:gXTJcpnV0
第9部
(`・ω・)「うつ病に効く新薬かい?」
( =゚ω゚)ノ「はい
やはり薬に関しては薬剤師の方に聞くのが一番よいと思いまして」
(`・ω・)「う~ん、何かなあ」
薬剤課長は腕を組んで考えていた
( =゚ω゚)ノ「最近はSSRIのものが注目をあびていると聞いたことがあります」
(`・ω・)「ああ、確かに
副作用が比較的少ないということで、パキシルなんかがそうかなあ」
( =゚ω゚)ノ「パキシル・・・ですか?」
367 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:06:03.92 ID:gXTJcpnV0
(`・ω・)「うん
ただ、アメリカでは18歳未満の患者への投与が禁止されたけどね」
( =゚ω゚)ノ「禁止?」
(`・ω・)「うん
アメリカで臨床実験したところ、有効性が確認できなかったばかりか
逆に悪化したとの結果がでたんだよ」
( =゚ω゚)ノ「ほう
それは実に興味深いデータですね」
モニュはパキシルの検査に関心を持った
(`・ω・)「うん
自殺願望が強くなるとの結果も出たようだよ」
( =゚ω゚)ノ「ふむ・・・」
モニュ研修医は何か考えごとをはじめた
376 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:11:35.84 ID:gXTJcpnV0
(`・ω・)「あと、患者さんからの報告では断薬した際の禁断症状がかなり強いとのことで
依存性の高さが問題視されつつあるようだね」
( =゚ω゚)ノ「禁断症状は麻薬を絶った時のような感じですか?」
(`・ω・)「難しいところだね
具体的な症状は、悪夢、強度の眩暈、吐き気などだが、パキシル特有の禁断症状として
シャンシャンといった音が耳元で聞こえてくるらしい
いや、耳というよりは頭の中で響き続けるんだ
あと、脳がビリ・・・ビリ・・・といった感じで接触不良のような感じの現象も起こるらしい
スイッチが入ったり切れたりみたいな感じの様だよ」
( =゚ω゚)ノ「なるほど・・・」
379 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:15:36.83 ID:gXTJcpnV0
(`・ω・)「ただ、効果があることは事実なんだよ
他の抗うつ薬では効果が現れなかった患者さんでもパキシルを服用することで
改善されている人も多いんだ」
( =゚ω゚)ノ「なるほど」
(`・ω・)「だから、量を減らす際は少しづつ減らさないと、一気に絶ってしまったりしてはいけない」
( =゚ω゚)ノ「ふむ・・」
(`・ω・)「それなのに、自分の判断で勝手に薬の量を減らしたり、絶ってしまう患者さんが多いんだよ」
( =゚ω゚)ノ「やはり、薬を飲むことに抵抗があるんでしょうか?」
380 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:20:43.51 ID:gXTJcpnV0
(`・ω・)「そうみたいだね
脳の働きに作用する薬だから、怖いといった感情がでるのは仕方ないことだよ」
( =゚ω゚)ノ「ふむふむ」
(`・ω・)「パキシルにしたって、セロトニンの量を調節するわけだからね
患者さんからしたら、脳を薬でいじられてるように感じるわけだよ」
( =゚ω゚)ノ「なるほど」
(`・ω・)「あと、薬を飲むことで正常な感覚を取り戻すって事は、もし薬がなかったら
うつ状態から抜け出せない
つまり、薬への依存に不安になる患者さんもいるね」
( =゚ω゚)ノ「精神病患者の投薬は他の科と比べて著しく困難ですね」
382 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:25:36.41 ID:gXTJcpnV0
(`・ω・)「これはうつ病に限ったことじゃないね
他の精神病患者にしても、基本的に薬を嫌う傾向が見られる
ナースが頼み込んで、しぶしぶ飲む患者さんなんてざらにいるよ」
( =゚ω゚)ノ「しかし、精神病は薬の服用なくしては回復は非常に難しいですよね」
(`・ω・)「うん
薬を飲まないことには回復しない病気が大半だよ
なんといっても、精神病はれっきとした『病気』だからね」
( =゚ω゚)ノ「なるほど」
(`・ω・)「まあ、そんなところかなあ
こんな感じでいいかな?」
( =゚ω゚)ノ「はい
大変参考になりました
お忙しいところ、お時間を頂いてすいません」
(`・ω・)「どういたしまして
ま、頑張りなよ」
385 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:30:45.40 ID:gXTJcpnV0
モニュ研修医は一礼して、薬剤課をあとにした
( =゚ω゚)ノ「なるほど、パキシルには禁断症状がでるんだな
実際に禁断症状がでている所を見てみたいな・・・」
モニュ研修医は通路を歩きながら、考えていた
( =゚ω゚)ノ(18歳未満の患者が飲んだらどうなるんだろう)
モニュ研修医は話だけではなく、実際に臨床実験をしてみたいとの気持ちにかられた
( =゚ω゚)ノ(・・・医学の発展には多くの実験によるデータのサンプリングが必要不可欠だ)
モニュ研修医は18歳以下のうつ病患者のリストアップを頭の中で行った
391 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:34:22.46 ID:gXTJcpnV0
しぃ看護婦長はまことの病室に来ていた
(*゚ー゚)「まこっちゃん、具合はどうよ?」
(-_-)「・・・ん、いつもどおりって感じ」
(*゚ー゚)「ふんふん、もう昔のように死にたいとか思わなくなった?」
(-_-)「そうだなあー
前ほど死にたいとは思わないかも」
(*゚ー゚)「それはいいことだ
薬はちゃんと飲んでる?」
(-_-)「飲んでるよ
心配すんなって」
(*゚ー゚)「そりゃ心配にもなるよ
まこっちゃん、以前は全然薬飲んでくれなかったもん」
394 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:36:42.68 ID:gXTJcpnV0
(-_-)「それは前のことだろ
今はちゃんと飲んでるじゃん」
(*゚ー゚)「そだねー
いい子、いい子~」
しぃ看護婦長はまことの頭を撫でた
(-_-)「ちょ、子ども扱いすんなよ」
(*゚ー゚)「アタシから見たら、まこっちゃんは弟みたいな感じだからねー」
(-_-)「なんだよ、そりゃ」
まことを顔を赤らめて、しぃから目を背けた
397 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:41:14.46 ID:gXTJcpnV0
( ’_’)「おー、まこと君も言うようになったわねー」
まことの主治医である牧野女医が病室に入ってきた
(*゚ー゚)「牧野先生~
まこと君が意地悪するんですぅ~」
(-_-)「意地悪なんてしてないだろ」
( ’_’)「まあまあ
仲がいいのはいいことだわ」
(-_-)「先生、何のよう?」
( ’_’)「いや、回診に来たのよ」
400 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:44:47.59 ID:gXTJcpnV0
(*゚ー゚)「宜しくお願いします」
(-_-)「なんでしぃさんが言うんだよ」
(*゚ー゚)「だってアタシの弟だも~ん」
( ’_’)「はいはい
・・・で、気分はどう?」
(-_-)「特に変わらない感じです」
( ’_’)「まだうつ状態の波が来る?」
(-_-)「間隔はだいぶ開いてきましたけど、まだあります」
( ’_’)「なるほどね・・・」
牧野女医はまことのカルテに素早く文字を書き込む
406 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:50:41.16 ID:gXTJcpnV0
( =゚ω゚)ノ「失礼します」
ふいにモニュ研修医がまことの病室に入ってきた
(-_-)「・・・」
まことはモニュ研修医をジロリとにらんだ
( ’_’)「あら
モニュ君、何の用かしら?
今、回診中なんだけど」
( =゚ω゚)ノ「いえ、牧野先生の診察の様子を少し拝見させて頂こうと思いまして」
( ’_’)「私の?
私なんて見ても仕方ないわよ」
( =゚ω゚)ノ「いえ、私を先生を尊敬しておりますので、ぜひ今後の自分の診察の参考にと」
( ’_’)「あんまり患者さんの前でそういう話はしたらダメよ
・・・まあ、いいわ
じゃあ、そこら辺にかけてなさい」
( =゚ω゚)ノ「ありがとうございます」
モニュ研修医は牧野女医に頭を下げ、近くにあった折り畳みイスを広げ、座った
415 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 17:55:36.00 ID:gXTJcpnV0
( ’_’)「まこと君、ごめんなさいね
じゃあ、診察を続けるわ」
(-_-)「・・・いえ」
( ’_’)「最近、食欲もだいぶでてきているみたいね
肌の色もよくなってきたし、少し薬を減らしてみましょうか」
(-_-)「はい」
( ’_’)「睡眠はどう?
眠れているかしら?」
(-_-)「以前よりは・・・」
( ’_’)「今まではハルシオンを寝る前に飲んでいたけど、まだ飲んだ方がいい感じ?」
(-_-)「うーん・・・
ある方が助かるかも」
416 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 18:00:08.73 ID:gXTJcpnV0
( ’_’)「そう・・・
じゃあどうしても寝れないときだけハルシオンを飲むようにしてちょうだい」
(-_-)「わかりました」
( ’_’)「そうね・・・
ベゲタミンBは一旦出すのをやめるわ
・・・引き続き、トレドミンは朝夕と寝る前に飲んで」
(-_-)「わかりました」
( ’_’)「今後は少しずつ薬は減らしていけるようにしましょうね
薬が減るということは、それだけまこと君が良くなっているわけだから」
(-_-)「はい」
418 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 18:03:05.61 ID:gXTJcpnV0
( ’_’)「じゃあこれで私は行きます
看護婦長、あとはよろしくね」
(*゚ー゚)「はい、お疲れ様です」
牧野女医はカルテを持ち、病室から出て行った
( =゚ω゚)ノ「・・・」
注意深く牧野とまことのやりとりを見ていたモニュ研修医も席を立ち、部屋を後にした
(*゚ー゚)「よかったね、まこちゃん!
だいぶよくなってるんだよ」
(-_-)「へへ・・・」
まことは照れくさそうに少し笑った
423 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 18:08:24.81 ID:gXTJcpnV0
(*゚ー゚)「まこちん、これからもちゃんと薬飲むんだよ」
(-_-)「わかってるよ」
(*゚ー゚)「よしよし
じゃあ、そろそろ行くね」
(-_-)「しぃさん、あのさ・・・」
(*゚ー゚)「何?」
(-_-)「さっきの男の医者だけどさ・・・」
(*゚ー゚)「ああ、モニュ先生のこと?
あの人がどうかしたの?」
(-_-)「気をつけたほうがいいよ」
(*゚ー゚)「?
あー、さてはアタシが襲われるの心配しているの?
大丈夫だよ、モニュ先生は真面目な先生だから変なことしないって」
425 : ◆OwJQwsENTI :2006/03/05(日) 18:11:56.24 ID:gXTJcpnV0
(-_-)「え?
いや、そういう意味じゃあ・・・」
(*゚ー゚)「もー、まこちんは心配性だなあ
大丈夫だよ、じゃあね~」
しぃ看護婦長はまことに手を振り、病室から出て行った
(-_-)「・・・」
まことの表情には憂いの色が浮かんでいた
(-_-)(あいつは危険なヤツなんだ・・・)
まことは、枕元にあった漫画を手に取り、読み始めた
(ヽ^ω^)ブーンが精神病になったようです 第九部 第五十話
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