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794 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 20:36:13.13 ID:A9JxYwUx0
ブーンが車内をきょろきょろしていると、近くに帽子を深くかぶった紳士が立っていた
帽子の影に隠れて顔がよく見えない
( )「君はなぜここにいるんだ?」
紳士はブーンに話しかけてきた
(;^ω^)「え?
僕ですかお?」
( )「この車両にはもう君しか残っていない
皆、次の駅で降りるからね」
(;^ω^)「いや、その・・・」
ブーンはいきなりの質問に戸惑った
797 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 20:40:18.65 ID:A9JxYwUx0
(;^ω^)「なんだか訳が分からない内に、ここにいるはめになりましたお」
( )「君はまだここに来るべき人間じゃない」
(;^ω^)「はあ・・・」
( )「君には大切な人がいるだろう?」
ブーンは少し考えて、母の顔を思い浮かべた
( ^ω^)「いますお」
( )「じゃあ、この汽車に乗っていてはダメだ
駅に着く前に窓から飛び降りなさい」
(;^ω^)「え!?
ちょ、窓から飛び降りるって・・・」
804 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 20:44:09.90 ID:A9JxYwUx0
( )「早くしないか
駅に着いたら、もう間に合わない」
(;^ω^)「いや、でも汽車思いっきり走ってますお」
( )「かまわない
早くしなさい」
( ^ω^)「いや、それって何て飛び降り自殺ですかお?
それにポチもいることだし・・・」
ポチは相変わらず席で気持ちよさそうに寝ていた
( )「ポチはいいんだ
お前だけ降りるんだ、ブーン」
( ^ω^)「え?
何で僕の名前を知ってるんですかお?」
812 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 20:48:00.05 ID:A9JxYwUx0
( )「ポチは再び本来いるべき場所に戻るだけだ
このまま汽車に乗せておきなさい」
( ^ω^)「え!?
でも、ポチと別れたくないお」
( )「だめだ
ポチとはここでお別れだ
心配するな、俺がしっかりと連れて行くから」
(;^ω^)「そ、そんなせっかくまた一緒になれたのに・・・」
ブーンは隣で眠っているポチに目をやった
( )「早くしないか!
迷ってる時間はもうないんだ」
817 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 20:52:57.84 ID:A9JxYwUx0
(;^ω^)「い、いやだお!
ポチとはずっと一緒にいるって約束したお!」
( )「お前とポチは本来一緒にいれる関係じゃない
ポチがお前といるということ自体がおかしなことなんだ
お前だってそう思うだろう?」
( ^ω^)「そ、それはそうだけど・・・」
U゚∀゚U「ワン!」
ポチが二人の声で目を覚ましたようだ
( ^ω^)「ポチ、起きたのかお!」
834 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 21:12:50.45 ID:A9JxYwUx0
( )「お前がこのままポチといたいというなら、それもいいかもしれない
だが、そうするとお前は大切な人と会えなくなるぞ」
(;^ω^)「そ、そんな・・・
じゃあ、ポチも一緒に飛び降りるお」
( )「それはできないんだよ
ポチとお前は住んでいる世界が違う
ポチは汽車から飛び降りることは許されないんだよ」
(;^ω^)「いやだお!
ポチと一緒に行くお!」
ブーンは窓を開けて、ポチのほうに振り向いた
(;^ω^)「ポチ!
こっち来るお!」
840 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 21:16:35.56 ID:A9JxYwUx0
U゚ェ゚U「ク~ン・・・」
しかし、ポチはブーンの側に行こうとしない
(;^ω^)「ポチ!?
どうしたんだお!?」
( )「・・・ポチは分かってるんだよ
お前とはここでお別れということを」
(;^ω^)「ポチ!
こっち来るお!」
しかしポチは動こうとしない
( )「ポチ
こっちに来なさい」
U゚ェ゚U「ワフン」
ポチは紳士に呼ばれて、側に行った
841 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 21:19:09.95 ID:A9JxYwUx0
(;^ω^)「ちょ!?
なんでそっちにいくんだお!?」
紳士はポチの頭を撫でた
ポチは紳士になついているようだった
( )「さあ、ブーン早く飛び降りるんだ!
もう時間がない!」
U゚∀゚U「ワン!」
ポチもブーンを促すように吠えた
(;^ω^)「そんな、ポチ・・・」
846 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 21:22:41.98 ID:A9JxYwUx0
ブーンは窓から離れてポチのほうに行こうとした
U゚∀゚U「ワンワン!」
ポチは激しく吠え出した
まるでブーンを寄せ付けないように
(;^ω^)「ポチ・・・
なんでだお?
なんで近寄っちゃダメなんだお・・・」
( )「ポチもブーンに飛び降りてほしいんだ
ポチの気持ちを分かってやれ
ポチだって、お前と再び別れるのが寂しいのは当然なんだ・・・」
( ;ω;)「ポチ、またお別れなのかお?」
851 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 21:26:18.75 ID:A9JxYwUx0
U゚Д゚U 「ワンワン!」
ポチはブーンに向かってさらに激しく吠え続ける
ブーンはポチの瞳を見つめた
ポチの瞳は哀しげな様子だった
( )「ポチは分かってるんだ
お前がこのままこの世界にいてはいけないことを
ここにいることがお前にとっての幸せではないことを・・・」
U゚Д゚U 「ワンワン!」
854 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 21:30:15.61 ID:A9JxYwUx0
( )「お前がこのままこの世界にいたら、お前は間違いなく不幸になる
お前は一刻も早くこの世界から抜け出さないといけないんだ
ポチはお前の為に吠えてるんだ!
その気持ちを察してやれ!」
( ;ω;)「ポチ・・・
もしかしてお前はこの世界から僕を抜け出せるように出てきてくれたのかお?」
U゚∀゚U「ワン!」
ポチはそうだと言っているようにブーンには聞こえた
( ;ω;)「ポチ・・・
死んだ後まで助けてくれるなんて、お前はどこまで優しいんだお・・・」
856 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 21:32:47.59 ID:A9JxYwUx0
( )「さあ、お別れだブーン」
( ;ω;)「うう・・・
分かったお・・・・」
ブーンは窓に足をかけて、身を乗り出した
( ;ω;)「どなたか知りませんが、ポチを頼みますお」
( )「任せとけ
安心しろ
ポチとは長い付き合いだ」
( ;ω;)「へ?
長い付き合い?」
( )「駅が見え始めた
早くしろ!」
862 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 21:35:31.44 ID:A9JxYwUx0
機関車の前方から光が見えてきた
( )「さあ、行くんだ!」
( ;ω;)「はいですお」
ブーンは窓から飛び出す体制を整えた
( ;ω;)「ポチ・・・
今度こそ本当にさよならだお・・・」
ブーンは振り向き、ポチのほうを見た
U゚∀゚U「ワン!」
ブーンは前を向いた
( ;ω;)「行くお!」
868 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 21:42:25.24 ID:A9JxYwUx0
ブーンは恐怖を克服しようと両目をぎゅっと閉じた
そして、おもむろに足で機関車の床を蹴って、窓から飛び出した
( >ω<)「うおおおおおおおおおっ」
ブーンは真っ暗な空間に飛び出した
「ブーン・・・
頑張って生き抜くんだぞ
カーチャンを守ってやってくれ・・・」
ブーンは下降する直前の無重力空間にいるような瞬間、後ろから声を聞いた気がした
( >ω<)(え?
カーチャン?)
直後ブーンは見えない力で引っ張られるように下に向かって急下降した
( >ω<)「ぎゃああああああー」
894 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/24(金) 22:09:03.77 ID:A9JxYwUx0
ブーンはものすごい速度で落下していった
( >ω<)「・・・!!」
抵抗する空気が思いっきり顔に当たり、ブーンは声を出すことができない
体中の皮膚は上に引っ張られた
まさにジェットコースターで真下に滑り落ちてるような感覚だった
( >ω<)「・・・!!」
吸い込まれているような感覚に、ブーンは意識が遠のいていった
(ヽ゚ω゚)ブーンが精神病になったようです 第五部 第三十七話
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