79 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:43:37 ID:C66oNMnQO [13/61]
( ・∀・)の王国のようです
‐第二話‐
僕が逃げ込んだ王国
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80 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:44:16 ID:C66oNMnQO [14/61]
( ・∀-)「……う……ん……?」
穴のあいた屋根から、僕の顔目掛けて日光が差し込んだ。
日光が網膜を焼き付け、僕の視界になかなか消えない影を残した。
( ・∀・)「爽やかな目覚めだなぁ……コンチクショウ。」
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81 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:45:39 ID:C66oNMnQO [15/61]
彼は、彼以外の夢を見る。
体の中に残る魂の映し出した幻影が、彼の罪を責め立てるように毎晩現れる。
( ・∀・)「なんか僕が居たような。
久し振りだなぁ。」
( ・∀・)「僕の名前……なんだっけ。」
言葉を交わすことが無くなり、早数百年。
呼びあえる事でしか活躍しないものは、あっと言う間に記憶の中で風化した。
名前はもう、覚えていない。
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82 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:47:05 ID:C66oNMnQO [16/61]
夢の断片を拾い上げようとするが、ぼんやりとしか思い出せなかった。
( ・∀・)「なんだっけ……?
モ……モナー……?
まぁどうでもいいか。」
名前よりも彼の記憶に残っているのは、ショボンの嫌悪感。
目すら合わせてくれなかった理由がようやくわかった。
( ・∀・)「あの頃は時間が無かったしなぁ。
ごめんね。ショボンさん。」
83 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:48:24 ID:C66oNMnQO [17/61]
「僕もあんな発見、したくなかったよ。」
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84 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:49:40 ID:C66oNMnQO [18/61]
膝で眠りこけているブーンを優しくソファーに下ろし、寝息を立てている彼のために朝食を作る。
本棚からメキメキと音を立てて木が生える。
それに驚いた本棚で眠っていた蝙蝠が、暗い図書館の奥へと飛び去っていった。
( ・∀・)「ごめんね。コウモリ君。」
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85 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:51:03 ID:C66oNMnQO [19/61]
( ∩ωー)「ん……お?おうさま……?」
ソファーで丸まっていたブーンがもぞもぞ動き始める。
蝙蝠の羽ばたきで目が覚めてしまったようだ。
( ・∀・)「さあ、我が家来ブーン君。
朝食の時間だ!」
そう言ってブーンに果物を投げ渡す。
(*^ω^)「お!ありがとうございますお!」
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86 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:52:09 ID:C66oNMnQO [20/61]
がっちりと受け止めた果実に、笑顔でむしゃぶりつく。
(*・∀・)「……。」
つられて笑顔になった彼の視線は、我が子を愛でる親のそれだった。
(*^ω^)「……!」
王様の視線を感じ取ったブーンは彼の足下に立ち、すでに半分になった果実を差し出した。
( ・∀・)「どうしたんだい?」
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87 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:54:28 ID:C66oNMnQO [21/61]
(*^ω^)「これすごくおいしいんですお!
とっても甘くておいしいですお!
おうさまに食べてほしいお!」
(*・∀・)「……ういやつめ。
褒美におかわりを作って進ぜよう。」
ブーンの頭をグリグリ撫でながら、果肉をかじる。
溢れ出す果汁が王様の口を潤す。
エネルギー摂取を必要としなくなった彼は、久し振りの「食事の楽しさ」を噛み締めた。
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88 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:55:35 ID:C66oNMnQO [22/61]
王様はこの時、理解した。
ブーンが丸々と太っている理由を。
20を超える果物の芯の山を眺めて。
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89 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 20:57:16 ID:C66oNMnQO [23/61]
( ・∀・)「ところで、ブーン君は何歳なのかな?」
街へと続く坂道を降りながら、王様は家来に問い掛けた。
今日は街へと観光だ。
隣をトコトコ付いて歩くブーンが呆けた顔をしながら答えた。
( ^ω^)「お……?
わからないですお!おうさま!」
( ・∀・)(年齢の概念が無いのか……。)
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90 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:00:35 ID:C66oNMnQO [24/61]
( ・∀・)「寒くなって雪が降って、雪がとけて暖かくなるよね?」
( ^ω^)「なりますお!さむいのはだいっきらいですお!」
ブーンの元気な返事に頷きながら王様は続ける。
( ・∀・)「暖かくなって暑くなって、また寒くなって暖かくなると『年齢』が一個
それが何回来たかな?」
( ^ω^)「お!3回あたたかくなりましたお!
ブーンの『ねんれい』は3ですお!」
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91 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:02:09 ID:C66oNMnQO [25/61]
( ・∀・)「うん。それは3歳って数えるんだよ。
ブーン君。君は何歳かな?」
(*^ω^)「はい!ブーンは3さいですお!」
(*・∀・)「えらいえらい。」
頭を撫でられながら、ブーンは質問する。
( ^ω^)「じゃあ!おうさまは『なんさい』ですかお!」
その問いに、王様は空を見つめて頭をポリポリ掻きながら答えた。
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92 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:05:20 ID:C66oNMnQO [26/61]
( ・∀・)「うーん……。王様はねぇ。
500から先は数えて無いんだぁ。」
不思議な顔をしたブーンに、王様は「とにかくいっぱいさ。」と答えた。
歳が一つ増えるごとに、王様の心にヒビがはいる。
終わりが来るはずのない数字を数え続けることは、苦痛でしかなかった。
終わることを願っているなら尚更だろう。
彼の脳は狂うより、数える事を拒否する方を選んだ。
純粋な好奇心をぶつけようとするブーンの視線から逃れるように、歩調は自然と早まった。
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93 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:06:16 ID:C66oNMnQO [27/61]
( ・∀・)「ああ……。
変わっちゃったなぁ……。」
すっかり崩れ落ちてしまった駅を眺めて呟いた。
高架が潰れ、赤茶色の電車がアスファルト上に駐車している。
平日でも夜でも賑わっていた道に散らばる瓦礫を邪魔に感じる者はもういない。
一人と一匹しか立っていない光景はどうも滑稽だった。
そこで僕は
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94 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:10:32 ID:C66oNMnQO [28/61]
( ・∀・)「おちんちんびろーん!」
下半身を露出させ、袋を目一杯広げた。
風が王様の股の下を通り抜ける。
空気の流れが股間の熱を奪い、キュッと縮こまった。
( ・∀・)(これは……。)
常に拘束される息子が表の世界へ。
浴場を超えた広い空間との出会い。
羞恥心と背徳心。それをスパイスにした快感。
(*・∀・)(これは……!!!!)
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95 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:11:38 ID:C66oNMnQO [29/61]
( ^ω^)「何してるんですかお?
おうさま?」
突然朗らかな顔になった王様を、怪訝な表情でブーンが見上げた。
( ・∀・)「いや、ね。フフッ。
昔したくても出来なかった事を。ハハ
やってみただけだよ。フヒヒッ」
(;^ω^)「……。」
ブーンも流石に王様を不審者と見なしたようだ。
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97 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:12:56 ID:C66oNMnQO [30/61]
ドン引きしたブーンを無視し、王様の笑いは大きくなっていく。
(*・∀・)「おまわりさーんw
ここに猥褻物がありますよーw」
(* ∀・)「早く!早く捕まえないと!w」
(* ∀ )「ホントなにしてんだよw
税金泥棒かw職務全うしろよw」
( ∀ )「誰か来いよw
誰か僕を見ろよw」
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98 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:13:55 ID:C66oNMnQO [31/61]
( ;∀;)「ハハハハハハハハははハハハハ
ハハハハハははははwwwwww
ハハハハハははははアハハハハハッははは
はははははハwwwwwww
ハハハハハっwwwww
ヒーッヒッwwww
うははハハはハハハハはwww
wwwwwwwwwww」
笑いと涙が止まらなかった。
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99 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:15:02 ID:C66oNMnQO [32/61]
(;^ω^)「おうさま!見てください!
おいしそうなくだものですお!」
上から聞こえてきたのはブーンの声。
錯乱した王様の気を紛らわすため、雨除けの屋根に生った果実をを掴んでいる。
パキ。と何かが砕ける音がした。
( ^ω^)「……お?」
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100 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:16:49 ID:C66oNMnQO [33/61]
ブーンが掴む柱にヒビが入る。
連鎖するようにパキ。パキ。
柱から屋根にヒビが伝う。
そして、屋根が崩れる。
落下するブーンに降りかかる瓦礫と硝子。
しかしそれが当たる事は無く、ブーンを包む透明な球体が弾く。
王様がかざした右手から生み出された魔力が、防御壁を作ってブーンを守っていた。
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101 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:17:57 ID:C66oNMnQO [34/61]
更に王様の左手が魔力を湛える。
が、左手は落下した鉄板に切り落とされる。
衝撃に負けた天を仰ぐ。
眩しいほどの日射しが、瓦礫によって遮られる。
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102 名前: ◆Zb08y4eL/Y[] 投稿日:2011/04/17(日) 21:18:27 ID:C66oNMnQO [35/61]
■■∀・)ごぇっ
ごめんなさい
つづく
.
( ・∀・)の王国のようです 夢二話
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