上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
383 : ◆dTrVy510HE :2006/02/20(月) 14:48:41.58 ID:5R/h8vuV0
ブーンは野原に寝転がった
( ^ω^)(うわあー、空がすごく美しいお
まるでクリスタルみたいだお)
雲は静止画のようにその形を変化させることはなかった
まるで完全に時間が止まっているようだった
( -ω-)(気持ちいいお)
ブーンは目を閉じた
聖歌は相変わらず続いている
ゴーン・・・
ゴーン・・・
やがて協会の鐘のような音が聞こえてきた
392 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 14:53:26.83 ID:5R/h8vuV0
( ^ω^)(なんだお?)
ブーンは体を起こし、立ち上がった
( ^ω^)「おお・・」
先ほどまでは見えなかった巨大な十字架がはるか遠方に建っていた
いや、建っているというよりは浮いているといったほうが正しいか
巨大は十字架はブーンのはるか彼方に静かに浮いていた
( ^ω^)(何て大きな十字架だお・・・)
ブーンはしばらく十字架を眺めた
ゴーン・・・ゴーン・・・
再び鐘の音が響く
396 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 15:00:02.55 ID:5R/h8vuV0
十字架の後光を射すよう淡く光り輝いていた
( ^ω^)「ポチ・・・
僕はなんて美しい景色を眺めてるんだお
ポチはここを知っていたのかお」
U゚∀゚U「ワン!」
ポチは肯定とも否定ともわからぬ声だった
( ^ω^)「なんだかとても幸せな気分だお・・・」
401 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 15:09:20.07 ID:5R/h8vuV0
ふと人の気配を感じたので、ブーンは後ろを振り返った
そこにはいつの間に現れたのか、黒いローブをまとった大勢の人々が静かにたたずんでいた
皆、はるか遠方に輝く十字架に向かって祈りを捧げる様に胸で両手を合わせていた
「あれは南十字だよ」
( ^ω^)「え?」
ブーンの耳に誰かの言葉が入ってきた
誰の声なのかは分からなかった
421 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 15:41:07.13 ID:5R/h8vuV0
「サザンクロスだよ」
落ち着いた男性の声がした
( ^ω^)「お?」
また誰かが話した
「おや、音楽が変わったね
これは交響曲第9番ホ短調だね」
老婆の声のようだ
「そうですね
なんと美しく荘厳な響きなのでしょうか・・・」
今度は若い女性の声だった
469 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 18:51:59.72 ID:5R/h8vuV0
「さて、そろそろ時間です・・・
参るとしましょう」
「ええ
乗り遅れるといけませんからな」
辺りにいた人達が囁きあっている
( ^ω^)(何の話だお?)
「さて、行きますか・・・」
478 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 18:57:59.86 ID:5R/h8vuV0
それまで十字架の方を見つめていた人達が皆動きだした
大勢の人達が移動しているにも関わらず、足音や草を分ける音は一切に聞こえてこない
フルートやホルン、トランペットが奏でるメロディーだけが辺りに響いている
「ああ・・・
もうすぐ第4楽章が終わりますね」
「そうですね
私はこのパートが一番好きなのですよ」
ある者は話しながら、ある者は両手を胸元で合掌しながら、同じ方向に向かって歩いている
( ^ω^)(なんだか分からないでけど、ついて行ってみるお)
ブーンも同じように歩き出した
( ^ω^)「ぬ?
ポチいくお」
U゚∀゚U「ワン!」
482 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 19:03:55.87 ID:5R/h8vuV0
皆は静かに列になって歩いている
「アナタはどこから来たのかしら?」
隣を歩いていた老婆がブーンに話しかけてきた
( ^ω^)「僕ですかお?
よく分からないですお
暗い地下道みたいな所を出たら、ここにいましたお」
「そうなの・・・
アナタは他の人と少し違う色をしているわね」
( ^ω^)「色?
よく分からないですお・・・」
「アナタ、切符をお持ち?」
( ^ω^)「切符?」
483 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 19:07:10.56 ID:5R/h8vuV0
老婆「切符がないと乗車できないわ・・・」
( ^ω^)「何にですかお?」
老婆「鉄道に乗れないわ」
( ^ω^)「鉄道?」
老婆「そうよ
みんな鉄道に乗っていくのよ」
( ^ω^)(切符なんて持っていたかお?)
U゚∀゚U「ワン!」
( ^ω^)「ぬ?
ポチなんだお?」
484 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 19:09:23.47 ID:5R/h8vuV0
ブーンはポチを見た
老婆「このワンちゃんはアナタの連れかい?」
( ^ω^)「そうですお」
老婆「ああ、それで・・・
じゃあ切符はいらないねえ・・・」
老婆をそういうと前を向き、静かに歩き続けた
( ^ω^)(よく意味が分からないお・・・)
ブーンは老婆の言っている事が理解できなかった
487 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 19:13:47.18 ID:5R/h8vuV0
しばらく歩くと、鉄道の駅のプラットホームのような物が現れてきた
しかし、プラットホーム以外、線路や建物、改札口などの施設が何もない
( ^ω^)(なんじゃ、こらお?)
ブーンはプラットホームしかないのが、おかしく感じた
「ああ・・・
新世界交響曲がやみましたよ」
「もうすぐですね」
人々はプラットホームで立ち止まった
皆、何かが来るのを持っているような様子だ
491 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 19:19:30.80 ID:5R/h8vuV0
ふいにプラットホームの横から風が吹いてきた
( ^ω^)「!」
ブーンは顔を手で覆い、風を防いだ
ポー!
何やら汽笛のような音がかすかに聞こえてきた
ドッドッドッ・・・
何かとてつもなく思い鉄の塊が地を這っているような音が響いてくる
( ^ω^)(なんか来るのかお?)
493 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 19:22:25.51 ID:5R/h8vuV0
ドッドッドッ・・・
地響きのような音と共に地面から振動が伝わってくる
ブーンは音の聞こえる方を目を凝らして眺めた
なにやら黒い点のようなものが見えてくる
( ^ω^)(あれはなんだお?)
黒い点は徐々に大きくなっていった
( ^ω^)(こっちに来るお!)
ピッピー!
警笛音が風をきる音と共にけたたましく響いた
494 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 19:26:40.88 ID:5R/h8vuV0
黒い塊はものすごい速度でこちらに向かってきている様だった
ドドドドドッ・・・
地響きの間隔が狭くなってくる
黒い塊は沢山の煙を噴き上げているようだった
ピー!
警笛音が空気を切り裂くように鳴った
(;^ω^)(なんかドキドキしてきたお)
ブーンは鼓動が早まった心臓の上に左手の手の平を当てた
U゚∀゚U「ワンワン!」
ポチは黒い塊の方に向かって吠えている
509 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 20:27:39.56 ID:5R/h8vuV0
黒い塊は急に眩しく光った
(;^ω^)「おお!」
ブーンはおもわず目を閉じた
ボッボッボッボ!
煙を噴き上げる音が聞こえてくる
ポッポー!
シュゴー!
ブーンは目を開けた
(;^ω^)「!!」
514 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 20:35:59.65 ID:5R/h8vuV0
なんと目の前に入ってきた物体は見たこともないほど巨大な蒸気機関車であった
プシュー!
巨大な車体を支える大きな鉄の車輪が止まり、その隙間から煙が噴出した
ゴゴン・・・
真っ黒な鉄の塊の蒸気機関車はゆっくりとプラットホームの前で停車した
「テルスステーションー、テルスステーションー」
プラットホームにある柱の天井に吊るされた拡声器のような物から声が聞こえてきた
蒸気機関車のドアがガコンッと音をたててゆっくりと開いた
それまでプラットホームに立っていた人達は静かに機関車に乗り始めた
516 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 20:38:34.36 ID:5R/h8vuV0
「さあ、いよいよ宙の旅への出発ですよ」
先ほどブーンに話しかけてきた老婆が微笑を浮かべなら、ブーンに手招きをした
(;^ω^)「は、はいですお」
ブーンは老婆が乗り込んだ後に、続いて機関車に乗り込んだ
U゚∀゚U「ワン!」
ポチもブーンと共に機関車に飛び乗った
525 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 20:44:37.16 ID:5R/h8vuV0
機関車の中は燃えた石炭の臭いに満たされていた
席は前後が向かい合っており、4人が向かい合いながら座ることができるように造られていた
ブーンは空いている木と布と鉄でできた席に腰掛けた
ギシっという音がした
(;^ω^)「ポチ、こっちに来るお」
U゚∀゚U「ワン!」
ブーンに呼ばれて、ポチがブーンの隣に座った
(;^ω^)(ずいぶん旧い汽車だお)
ブーンは機関車から漂う雰囲気に、この乗り物はどれくらい長い時間走り続けてきたのだろうと思った
530 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 20:50:16.78 ID:5R/h8vuV0
「次はディアナですな」
「そうですね、割と近くですからそれほど時間はかからんでしょう」
通路を挟んで、ブーンの席に斜め向かいに座っている初老の紳士が中年の男性と話していた
(;^ω^)(えー、それってどこなんだお?)
ブーンは聞いたこともない名前に一体この機関車がどこに向かっているのか不安になった
U゚∀゚U「ワン!」
(;^ω^)「ポチ・・・」
ブーンはポチの頭を撫でた
プシュー
機関車のドアが閉まる音がした
537 : ◆OwJQwsENTI :2006/02/20(月) 20:55:07.51 ID:5R/h8vuV0
(;^ω^)(ド、ドアが閉まったお
もう降りられないお)
ドアが閉まってから、一瞬の間があり、機関車はゆっくりと動き出した
( ^ω^)「ポチ、僕はどうなってしまうんだお?」
ポチはただ尻尾を振るだけであった
( ^ω^)(カーチャン・・・)
ブーンは窓越しに徐々に遠ざかっていくプラットホームを眺めながら、
機関車の蒸気音を聞いていた
(ヽ゚ω゚)ブーンが精神病になったようです 第五部 第三十三話
スポンサーサイト