102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 22:26:25.14 ID:QU8Rhs5JO [36/56]
二話『犬も歩けばエクスカリバーにぶっ刺さって死ぬような在り来たりな話』
( ^ω^)「まぁ………なんというかね」
あの後、俺とビロードは和室に連れてこられた。
横長の机10個くらいに、座布団が50人分くらい。
なかなかひろい部屋である。
何をする場所なのかは知らないが、軽い宴会くらいなら出来そうな場だった。
そこに俺、モララーと。
ビロード。内藤さん。ドクオさん。しぃちゃん。そして大根が
それぞれ空いている座布団に座っていた。
この頃にはもう俺も諦めがついたので
「大根なら皿とかに乗せたら?なんで座布団?物凄くシュールなんだけど……」とか言わないようになった。
( ^ω^)「僕の周りでは、いつも不思議な事ばかり起こっちゃうんだお。幸か不幸かは置いといて、とにかく珍しい事ばかりが起きるっていうわけわかんない体質でね」
(;・∀・)「……はぁ……」
( ><)「なるほど、夏目漱石さんもそういう……」
ビロードは既に状況を飲み込みにかかっている。
ただ者じゃねえなこいつ。
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 22:30:47.47 ID:QU8Rhs5JO [37/56]
( ^ω^)「でもまぁ、それだけだお。僕がこういう不思議ちゃん体質だって事以外は、至って普通な旅館だお」
( ^ω^)「とりあえずは、ようこそおいでませ内藤荘へ。歓迎するお!!」
そう言いながら、内藤さんの手が差し伸べられる。
( ・∀・)「……モララーです。よろしく」
先ずは、俺が。
( ><)「よろしくなんです」
次にビロードが、固い握手した。
大きく、それでいて何かを感じる掌だったのが印象深い。
107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 22:36:42.13 ID:QU8Rhs5JO [38/56]
( ^ω^)「じゃあ、とりあえず次は…………」
ヾ( *^ω^)ノ「僕自慢の、従業員のみんなをご紹介するおおおおお!!」
(;・∀・)(いきなりテンションあがった?)
( ><)(なんかめっちゃウキウキなんです……)
( ^ω^)「よし、ドクオ!従業員のみんなを集めるお!!」
('A`)「わかった。ちょっと待ってな。呼んでくるから」
ドクオさんが席を外す。
しかしこの人はこの人で、ホントに自己主張がない。
あれだろうか。自己主張しない事が自己主張とか考えちゃってるタイプの人だろうか。
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 22:45:08.03 ID:QU8Rhs5JO [39/56]
そして、3分。
大根とビロードの話が丁度一区切りの時。
ドクオさんが、和服を来た一人の女の子をつれて帰ってきた。
从'ー'从「あ、初めまして~。渡辺って言います。この旅館で、中居をやってます。よろしくです~」
( *・∀・)「……よ、よろしく……」
( ><)「よろしくなんです!」
めちゃくちゃ可愛い。
そんな第一印象だった。
それでいて、トロそうな話し方もgood。
ホントに中居出来る?お茶こぼさない?大丈夫?って心配したくなる。
('A`)「で、その渡辺の義理の兄のドクオです。主に仕事はしてません。酒ばっかのんでます。よろしく」
( ・∀・)
そして俺の心の中で何かが崩れた。
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 22:49:54.58 ID:QU8Rhs5JO [40/56]
義兄。
義兄ですってよ、お兄さん。
('A`)「うん。あ、俺と渡辺は2階の207号室にいるからね。何か用があればそこに」
しかも同じ部屋。おいおいもういよいよ無理だわ。
俺は何を信じて生きればいいんだろう。
(*゚ー゚)「私はしぃちゃんだよ。よろしくねビロ君!」
しぃちゃんに至っては露骨に俺の名を呼ばない始末。
もう、ちょっと帰りてえ。
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「……なぁ、ドクオ」
('A`)「……んぁ?」
( ^ω^)「……これだけ?」
('A`)「これだけ。」
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 22:54:16.44 ID:QU8Rhs5JO [41/56]
( ^ω^)「ヒッキーは?」
('A`)「買い出し中」
( ^ω^)「クーは……」
('A`)「バイトだって言ってたな」
( ^ω^)「ショボン」
('A`)「仕事中だろあいつの事だし」
( ^ω^)「……荒じい」
('A`)「寝てるだろうな」
( ^ω^)「……半分しかいねえじゃん……」
('A`)「確かにな」
( ^ω^)「なんか自信満々に仲間をご紹介とか言った自分が馬鹿みたいじゃん……」
115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 22:59:51.44 ID:QU8Rhs5JO [42/56]
( ^ω^)「まぁいいか。後で話せば……」
(*゚ー゚)「うん。それより、アレだよ内藤さん」
( ^ω^)「さすがしぃちゃん。今から話そうとしてたとこだお」
( ><)( ・∀・)?
( ^ω^)「一つ。この旅館には変わったルールがあるお!」
( ・∀・)「変わったルール……?」
( ^ω^)「お。そうだお」
( ^ω^)「それは、『晩御飯は旅館のみんなで集まって一緒に食べる!』」
(;・∀・)「……絶対?」
( ^ω^)「絶対だお!欠席は何があっても不可だお!」
…………なんという。
客としてもてなしておきながら、客の都合はあまり考えない姿勢を取るらしい。
いや、100円の代償としては安すぎるくらいだけど。
( ^ω^)「気持ち悪いくらいみんな仲良く、がこの旅館のモットーだお!」
なんとも気持ち悪いノリなもんだ。
しかし、悪い気はしない。
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:05:34.75 ID:QU8Rhs5JO [43/56]
('A`)「あ、それなんだけどクーはバイトだし晩飯には出れないと思うよ」
( ^ω^)「え」
('A`)「ついでにショボンもまだ帰ってきてないって事は来れないだろうな」
( ^ω^)「欠席不可なんd」
('A`)「俺もだるいし休もうかな」
(;゚ω゚)「にっ……二度とここから出ていけぇええええ!」
(;><)(はいぃぃぃ!!?)
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:06:49.27 ID:QU8Rhs5JO [44/56]
(;'A`)「あ、うん。ごめん。謝る。謝るから落ち着け」
(;゚ω゚)「知るかお!ストレスがいらつく!頭痛が痛い!」
(;'A`)「ランニング状態で足を止める気かあんた。落ち着けって」
(;゚ω゚)「欠席不可だってんだお!ああもう心頭滅却しても火が熱っちィィィィィィ!!」
ξ゚⊿゚)ξ「うるさいわよ」
(;゚ω゚)
ξ゚⊿゚)ξ「私がお料理頑張ってる最中に、なんの騒ぎかしら。ねえ?」
ξ゚⊿゚)ξ「ブ ー ン ?」
(;゚ω゚)
121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:12:24.69 ID:QU8Rhs5JO [45/56]
(#)ωメ)「紹介が遅れたお。これが僕の妻でありここの給事を担当してる美人、ツンだお」
ξ゚⊿゚)ξ「どうも、ブーンの妻のツンです。腕に寄りをかけてご飯を作るから、楽しみにしててね」
(;・∀・)「よろしくです」
(;><)「よろしくなんです」
これが内藤さんの奥さんである、ツンさん。
ブーンというのは、内藤さんの愛称だろうか。
二人がどんな関係なのかが伺え……
(#)ωメ)
ないな。うん。伺えない。
腕に寄りをかけて作るらしいです。
内藤さんをボコボコにしたこの腕で。
なにそれこわい。
125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:19:55.73 ID:QU8Rhs5JO [46/56]
ξ゚⊿゚)ξ「今日の晩御飯はうまく行きそうよ。特に、ふろふき大根なんかはめちゃくちゃうまく行ってるわ!期待しててね」
( ^ω^)「ま、そういう事だお。ツンのご飯はホントにおいしいお。ふろふき大根もそりゃ大層、うまいはz」
( ^ω^)
( ^ω^)「……大根?」
ξ゚⊿゚)ξ「え。うん、大根よ。あなたが買ってきてくれたんじゃない」
そこで一同……ある事に気付く。
(;*゚ー゚)
(;'A`)
(;><)
(;・∀・)
(;゚ω゚)
从'ー'从?
…………夏目漱石さんが、いつの間にかいなくなっていた。
131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:27:45.02 ID:QU8Rhs5JO [47/56]
( ;ω;)「うわああああああ!!!大根!!大根さぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「え?ちょ、ブーン?」
( ;ω;)「おいツン!その大根!!なんか喋ってなかったかお!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「え、いや、大根が喋るわけないでしょ……」
( ;ω;)「【普通】はな!!【普通】はそうだろうけどなああああああ!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「え……な、なんかごめんなさい………」
( 。><)「夏目さん……無茶しやがって…」
(*;ー;)「夏目さんは犠牲になったのだ……」
( ;ω;)「おおおおおおおん!!夏目さあああああん!!」
从;'ー'从「お兄ちゃん、これ……どういう状況?」
('A`)「知らなくていいさ、ナベちゃん」
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:32:03.37 ID:QU8Rhs5JO [48/56]
( ;ω;)「ぐすっ……とりあえずは、晩御飯までまだ時間があるから……二人とも、部屋でゆっくりしててくれお。おい、ナベちゃん」
从'ー'从「わかりました。ご案内しますね~」
(;・∀・)「……はい」
俺は後ろで未だに泣きじゃくる内藤さんが気になって仕方ねえ。
どんだけ思い入れがあったんだよ大根に。
( ><)「わかりましたなんです」
('A`)「じゃ、おれも晩飯まで寝るかな」
(*゚ー゚)「しぃもカウンター見てる!」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ私は料理に戻るわね」
( ;ω;)「お。みんな、お疲れだお」
134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:34:54.21 ID:QU8Rhs5JO [49/56]
( ;ω;)「あ、でも誰か暇なやつは僕と一緒に大根さんの追悼でも……」
そういって顔を上げた時には、誰もいなかった。
( ;ω;)
( ;ω;)「みんなの馬鹿あッ!!」
おっさんが一人、泣いていた。
137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:38:14.92 ID:QU8Rhs5JO [50/56]
( ^ω^)「仕方ないお。こうなりゃ、一人で……」
一人でやってやるかお。
そう言おうとした、その時。
( ><)
まだ一人、そこにいた事に気がついた。
青年。
確か……名は、ビロード。
( ^ω^)「どうしたお?ビロードくん。なんか忘れ物でもしたかお?」
(;><)「……あ、いえ、その……」
( ^ω^)?
(;><)「ちょっと、聞きたい事があって」
138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:39:31.65 ID:QU8Rhs5JO [51/56]
( ><)「内藤さん」
( ^ω^)「お」
( ><)「1999年、7月――――――あなたは、何をしていたか覚えているんです?」
( ^ω^)
( ^ω^)「……お?」
141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:41:51.58 ID:QU8Rhs5JO [52/56]
( ><)「わからないなら、いいんです。でも……」
( ^ω^)
( ><)「【ノートルダムの呼び声】って、ご存知ですか?」
( ^ω^)
( ^ω^)「わりぃお、ご存知ないお」
( ><)「そうですか……」
( ^ω^)「僕が、なにかしたかお?」
(;><)「い、いや!なんにもないんです……」
( ^ω^)?
(;><)「……内藤さん。あの」
(;><)「気をつけて欲しいんです。こんなのはいきなり言われて信じろって方が難しいんですけど……」
「内藤さんは……恐らく近い内に死に直面してしまうんです」
( ^ω^)
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:44:53.20 ID:QU8Rhs5JO [53/56]
( ^ω^)
(;><)
二人だけの空間。
空気が、やけに重たくのし掛かる。
( ^ω^)「……どういう意味だお?」
(;><)「……わかんないんです」
( ^ω^)「は?」
(;><)「わかんないんです。分かるはずの、何かが」
( ^ω^)「それは、どういう」
(;><)「わかる……はずなのに、わかんないんです……内藤さん、あなたの……」
( ^ω^)「おい聞いてんのかおビロード君」
(;><)「……ごめんなさいなんです。詳しい話は、またいつかするんです」
それを最後に、ビロードはそそくさと自室に戻ってしまった。
( ^ω^)「……」
145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/04/12(火) 23:46:33.08 ID:QU8Rhs5JO [54/56]
( ^ω^)旅館取り巻く「奇運」のようです
第二話、終わり。
( ^ω^)旅館取り巻く「奇運」のようです 第三話
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