434 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 12:09:21.54 ID:aNKCkxA00
母が入院してから数日経ったある日ブーンの家に電話がかかってきた
( ^ω^)「もしもしお?」
電話「ブーンのお宅でしょうか?
うは総合病院ですが」
電話は母が入院している総合病院からだった
( ^ω^)「何ですかお?」
電話「結核の患者さんに適応される公費医療負担制度のことですが・・・」
( ^ω^)「コウヒイショウフタンセイド?」
電話「はい
この制度は結核の患者さんに適応されるものでして、申請が承認されると
保険と国から医療費を全額負担する制度です」
( ^ω^)「え!」
439 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 12:11:44.39 ID:aNKCkxA00
電話「ご存知なかったのですか?」
( ^ω^)「知りませんでしたお
どうすれば申請できるんですかお?」
電話「よろしければ手続きは当方で行いますが、どういたしますか?」
( ^ω^)「お願いしますお!」
電話「かしこまりました
では、手続きのほうを行っておきます
国のほうから承認が下りたら、またご連絡します」
( ^ω^)「よろしくお願いしますお」
447 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 12:17:24.14 ID:aNKCkxA00
ブーンの頭に重く圧し掛かっていた黒いおもりが軽くなったようにブーンは感じた
( ^ω^)(これで僕が働けなくなっても、カーチャンは助かるお)
母の医療にお金が必要なくなったのだ
これはブーンにとってまさに天佑だった
( ^ω^)(相変わらず体の調子がおかしいから、もう少しバイト休ませてもらうお)
ブーンの体はいくら休んでもよくならず、むしろ自分の中の深い部分で何かが崩れていくようだった
455 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 12:25:33.78 ID:aNKCkxA00
再び電話がかかってきた
( ^ω^)「もしもしお」
電話「ブーンさんでしょうか
うは総合病院の者ですけど」
( ^ω^)「何ですかお?」
電話「お母様さんに対して結核医療費公費負担制度の適用が認可されましたので
ご報告します」
( ^ω^)「本当ですかお!?」
電話「それで、お母さんの場合は35条の適応ということで、保険外の医療費に関しては
全額公費で負担致します
ですので、お金をお支払いして頂く必要がなくなります」
( ^ω^)「ありがとうございますお!」
ブーンは嬉しさのあまり、おもわず電話の担当者にお礼を述べた
457 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 12:28:07.38 ID:aNKCkxA00
これで、当面のお金の問題からは完全に解放された
ブーンは肩の荷が下りたように感じた
( ^ω^)(なんだかひどく体がだるいお)
しかし、ブーンの気分は晴れなかった
463 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 12:35:04.28 ID:aNKCkxA00
ブーンは自分一人の生活費を稼ぐだけでよくなったので、アルバイトを一つ減らす事にした
交通整理のアルバイトを辞めるのだ
( ^ω^)(これで就職活動する時間ができるお)
だが、果たしてこのような体の状態でまともな就職活動ができるのだろうか
ブーンはそう思い、何やら言い知れぬ不安感に襲われた
それと同時に黒い何かが再び心を締め付け始めた
480 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 12:55:54.35 ID:aNKCkxA00
母が入院してから一月が経った
今年は酷暑であった
玄関で寝ている近所の犬も暑さでうなだれていた
大学では試験の真っ最中である
ブーンは4回生になる時点で、卒業に必要な単位を取得していたので、今期講義を履修していなかった
アルバイトをしながらも、何とか試験勉強をこなしてきた
ブーンは真面目であった
真面目すぎた
542 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:11:46.91 ID:aNKCkxA00
ブーンは母のいない部屋で目が覚めた
相変わらず体がだるい
( ^ω^)(今日こそ大学に行くお)
ブーンはここのところずっと寝たきりの生活を送っていた
アルバイトを一つにした後、折りしももう一つのアルバイト先である工場から電話が来た
( ^ω^)「もしもしお」
電話「ブーン?
ksk工場の社員だけど」
( ^ω^)「お疲れ様ですお」
電話「お疲れ様
実はね、工場を2ヶ月ほど操業休止することになったんだ」
(;^ω^)「え!?
どうかしたんですかお?」
電話「まあちょっとね・・・
そんなに大したことじゃないんだけど・・・」
電話から聞えてくる声が心なし低くなった
546 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:16:43.82 ID:aNKCkxA00
だが、ブーンは布団から起きる事がなかなかできなかった
夜中は眠れず、朝からうとうととしてくるのだが、眠りが浅く、寝てはすぐ目が覚めるといった
悪循環に見舞われ、眠くても寝れないといった状態になっていたのだ
( ^ω^)(食事を一日1食にして、光熱費を節約して、バイト再開までしのぐお)
ブーンはバイトを探すのは無理と判断し、生活費を切り詰めて当面をしのぐ事にした
549 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:19:01.02 ID:aNKCkxA00
( ^ω^)(ここのところ誰とも話してないお・・・)
ブーンは母が入院して以来、人と会っていなかった
会話といえばバイト先と病院からかかってきた電話だけである
寂しさには慣れているつもりであったが、母がいなくなってからこの部屋は広く感じた
ブーンにとって、それは広すぎる空間だった
( ^ω^)(カーチャン・・・)
550 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:21:41.14 ID:aNKCkxA00
ブーンは寂しさを感じる時、母を思い浮かべた
母は隔離病棟にいる為、面会は禁止である
会いたくとも会えない状態だった
( ^ω^)「最近独り言が増えたお」
きがつくとブーンは独り言を喋るようになっていた
だが、特に違和感を感じる事はなかった
この部屋で聞える人間の声は自分の声だけなのだ
554 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:24:51.15 ID:aNKCkxA00
ブーンは何度も躊躇しながら、ようやく決意を固めた表情で布団から起き上がった
( ^ω^)「頑張るお
自分が頑張らないと先に進めないお」
ブーンは何度も頑張るの言葉を繰り返した
(;^ω^)「さすがにボサボサだお」
ブーンは鏡で自分の姿を見て、恥ずかしくなったが、大学に向かうのを止めるつもりはなかった
556 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:28:17.65 ID:aNKCkxA00
家から大学まで向かう途中ブーンは面を下に向けながら歩いていた
(;^ω^)(皆きれいな格好しているお
僕はよれよれの服を着てるお・・・)
校舎に入ると、学生でごった返していた
そう、試験の時期特有の現象である
558 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:32:51.64 ID:aNKCkxA00
人が多いほど、孤独感が強くなる
ブーンは学生が沢山いればいるほど孤独を感じた
集団で集まって、笑顔で話している学生の集団達がブーンにはまぶしかった
( ^ω^)(いいんだお
僕にはカーチャンがいるお)
ブーンは足早に校舎を通り抜け、就職課のある塔に向かった
559 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:35:10.64 ID:aNKCkxA00
( ^ω^)「こんにちはだお」
職員「こんにちは」
職員はあまり見慣れない学生に対して、怪訝な面持ちで返事をした
職員「4回生?」
( ^ω^)「そうですお」
職員「相談か何かかしら?」
560 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:37:09.43 ID:aNKCkxA00
( ^ω^)「実は以前に面接を受けたんですが、うまくいかなくて・・・
そのことで相談にのってほしいですお」
職員「そうなの
あまり見かけないけど就職活動はどれくらいやってるの?」
( ^ω^)「・・・まだ1社しか受けてないですお」
職員「そうなの」
職員は困ったような顔をした
>562 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:39:34.67 ID:aNKCkxA00
職員「あまり動いてないのね
就職する意志がないの?」
( ^ω^)「そういうわけではないですお
お金がなくてアルバイトをしていたんですお」
職員「・・・
まあ、いいでしょう
まだまだ募集している会社はあるから」
( ^ω^)「お願いしますお」
567 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:43:44.62 ID:aNKCkxA00
その後、就職課で1時間ほど懇談した
(;^ω^)(フラフラするお)
時間はたいして経っていないにも関わらず、ブーンはすごい疲労を感じた
(;^ω^)(早く横にありたいお)
ブーンは電車に乗り、イスに腰掛けた
そのt期再びめまいが始まった
(;^ω^)(やばいお
こんなとこで倒れるわけにはいかないお)
ブーンは必死に正常を保とうと努力した
574 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:48:46.88 ID:aNKCkxA00
なんとか家に着き、ブーンはすぐに布団に倒れ掛かった
(;^ω^)(僕は外に出る事ができないのかお・・・)
ブーンは自分の体力が著しく減ったことに愕然とした
(;^ω^)「大学に1時間だけ行くだけでこんなヘロヘロになるなんて・・・
僕はこの先どうなてしまうんだお」
再びブーンの心を黒い何かが覆いはじめていた
ブーンはその時、この黒い何かが不安と絶望であることを悟った
576 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:51:57.38 ID:aNKCkxA00
それからブーンは大学に行かなくなった
もはや就職活動をする気力を失いつつあったのだ
( ^ω^)(このままではいけないお
頑張って就職活動しないと僕の将来はないお)
ブーンは定期的に不安と焦燥感に襲われた
それは徐々に強くなってくるように感じた
580 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 14:54:11.05 ID:aNKCkxA00
( ^ω^)「自分に負けちゃダメだお!」
ブーンは誰もいない部屋で一人叫んだ
何とか気持ちを奮い立たせたかったのだ
しかし、それは不安から来る焦りでもあった
( ^ω^)「カーチャンだって、病気と必死に戦ってるんだお!
僕も頑張るお!」
この頃、ブーンは頑張るという言葉をよく口にするようになっていた
591 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:03:58.97 ID:aNKCkxA00
それからしばらくして、ブーンは異変に気付いた
真夜中にも関わらず、やけに外から人声が聞えてくるのだ
それも一人や二人ではない、まるで昼間の繁華街でも歩いてるかのような騒々しさである
( ^ω^)(こんな真夜中に人が?)
ブーンは不振に思って、時計に目をやった
夜中の3時である
595 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:06:16.56 ID:aNKCkxA00
ブーンが住んでいる所は都心部から離れた郊外の下町である
普段から人通りが少ないのだ
昼間でもめったに人が通らないのに、このざわめきは不自然であった
(;^ω^)(なんだか怖いお)
ブーンは異様な人声に恐怖を感じた
600 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:09:52.11 ID:aNKCkxA00
思い切って窓を開けてみたが、誰もいないひっそりとした夜の街並みがたたずむだけであった
そこに動くものは見当たらない
(;^ω^)(誰もいないお
でも、まだ人声が聞えるお)
人のざわめきは続いていた
(;^ω^)(これは夢かお?)
ブーンはあまりに異様な状態に現実感を失っていくのを感じた
604 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:13:58.34 ID:aNKCkxA00
( ^ω^)「寝るお!」
ブーンは怖さをかき消す為にあえて言葉を発し、再び布団に潜った
頭まですっぽり入るぐらいに布団をかぶせ、目を閉じた
しかし、人ごみの中にいるような騒音は布団をすり抜けて聞えてくる
目を閉じていると昼間の街中にいるかのように錯覚するほどであった
( ;ω;) (カーチャン、僕はおかしくなったのかお?)
ブーンは思わず母の顔を思い浮かべた
涙がブーンの頬を伝った
617 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:28:47.29 ID:aNKCkxA00
その晩から、ブーンは騒音が聞えてくることが多くなった
( ^ω^)(病院に行って診てもらうお)
ブーンは近くの内科の病院に行く事にした
ブーンはこれまで、大病を患った事がない
いや、通院した事自体、ほとんどなかったのだ
( ^ω^)(病院で診てもらうなんて久々だお)
ブーンはこの頃自分の体がどこか変になっていると思うようになっていた
その思いは、めったに行かない病院に足を運ばせるほど強くなっていた
618 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:31:17.56 ID:aNKCkxA00
自分が診察されるなんて久々である
ブーンは待合室で待ってる間、少し緊張した
「ブーンさん、お入り下さい」
診察室のドアが開き、若い看護師が声をかけた
( ^ω^)「はいですお」
ブーンは診察室へ向かった
620 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:32:38.03 ID:aNKCkxA00
医者はまだ若い印象を受けた
年は30代後半ぐらいだろうか
医者「どうなさいました?」
( ^ω^)「それは・・・」
ブーンはどう説明したらいいか迷った
自分でも自分の状態が把握できていないのだ
627 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:35:21.28 ID:aNKCkxA00
( ^ω^)「最近めまいや吐き気がひどいんですお
それとよく風邪をひくようになりましたお
風邪をひいたらなかなか治らないんですお」
ブーンはとりあえず内科に関わるような症状を説明した
医者「なるほど
自覚症状が出たのはいつぐらいからですか?」
( ^ω^)「今年の4月くらいからですお」
医者「結構長いですね」
医者はカルテに目を落とし、走り書きをしながらブーンの説明を聞いていた
631 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:38:13.08 ID:aNKCkxA00
ブーンは一通り説明をし終えた
だが、騒音が聞えることは話さなかった
どう説明すればよいのか分からないのだ
医者「では、調べますね」
医者はブーンの口を開き、喉の奥をルーペで見たり、胸や背中を触診した
医者「喉が赤いですね
風邪でしょう」
一通り診察を行い、若い医者はそう言った
639 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:40:42.04 ID:aNKCkxA00
医者「抗生物質の飲み薬と解熱剤を1週間分お出ししておきますから、
しばらくそれで様子を見て下さい
何かありましたら、たまお越し下さい
それでは、お大事に」
( ^ω^)「ありがとうございましたお」
ブーンは軽く一礼して、席を立ち、診察室から出た
646 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:43:35.13 ID:aNKCkxA00
受付で問診票を受け取り、近くの薬剤店で薬を受け取り、ブーンは家に戻ってきた
( ^ω^)「これでよくなるお」
ブーンはこれから解放に向かうであろうと思い、いささか安堵した
( ^ω^)「はやく風邪を治して、就職活動頑張るお!」
その日ブーンは久しぶりに心が晴れやかで軽かった
660 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:50:46.04 ID:aNKCkxA00
それから1週間が過ぎた
大学の試験期間は終わり、夏休みを迎えている大学生が多かった
ブーンの容態は依然として変わっていなかった
ブーンは目を覚ました
(;^ω^)「薬が弱いのかお?
なかなか熱が下がらないお」
( ^ω^)「うっ!
げほっ!」
ブーンは喉がからからに渇いていた
その状態で声を出した為、むせて咳き込んだのだ
(;^ω^)(み、水・・・)
ブーンは慌てて台所へ行き、水道の蛇口をひねり、コップに水を注いだ
666 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:54:41.10 ID:aNKCkxA00
勢いよく水を飲み干し、一息ついた
( ^ω^)「ふう
空気が乾いてるのかお
このところ目が覚めると喉と口がからからに渇いているお」
湿度の高い日本の真夏である
空気が乾燥しているはずがなかった
( ^ω^)「薬が切れたから、もう一度病院に行って薬もらうお」
ブーンは寝汗でびしょびしょに濡れたパジャマを脱ぎ、部屋に放り出してあった外出用の服を着た
671 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 15:58:57.59 ID:aNKCkxA00
真夏の日差しが眩しい郊外の静かな町並みを
ブーンは汗をかきながら、自転車を漕いでいた
家から10分ほどで病院に着く
(;^ω^)「はあ、はあ、着いたお」
ブーンは呼吸を乱しながら、病院の扉を開けた
676 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 16:02:20.17 ID:aNKCkxA00
医者「経過はどうですか?」
医者は愛想なくそう尋ねた
( ^ω^)「あまり変わらないですお」
医者「そうですか
じゃあ、今度は2週間分出しておきます
それとビタミン剤も加えておきますので、それで様子を見て下さい」
( ^ω^)「分かりましたお」
今度は特に触診もなく、このようなやり取りだけで終わった
690 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 16:08:37.15 ID:aNKCkxA00
( ^ω^)(テレビ見るのもしんどいお)
ブーンはこの頃、テレビも新聞も見なくなっていた
見たいという欲求が湧いてこないのだ
むろん本や漫画も読む気にならない
むしろ欲求そのものがなくなってきているような感じだった
( ^ω^)(布団に入って、ぼーっとしてるのが楽だお)
ブーンは布団で仰向けになり、うつろな視線で天井をぼんやり見つめながら思った
703 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 16:14:22.56 ID:aNKCkxA00
何も変化のない部屋の中で時間だけが過ぎていった
ブーンはだんだん時間の変化が感じられなくなってきた
いつ起きて、いつ寝ているのか
それすらあまりはっきりと分からない
時々、騒々しい騒音が聞えてくる
(|||^ω^)「はやくどっか行けお!」
ブーンはいるはずもない人々に向かってそう叫ぶのだ
しかし、騒音がそれで止む事はなかった
ブーンはそんな時、母の笑顔を思い浮かべ、恐怖心と必死に戦いながら、
布団の中で静かになるのをひたすら待った
718 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 16:22:54.62 ID:aNKCkxA00
ブーンは今晩も眠れぬまま、朝が来るのを待つ為に真っ暗な天井を眺めていた
( ^ω^)「・・・」
聞えてくるのは、今は時計の針が時間を刻む音だけであった
( ^ω^)「・・・」
ブーンは尿意を催し、トイレに行く為に、起き上がった
ずっと微熱が続いてる為、立ち上がると足元がおぼつかない
まるで自分の体が空気のように軽く感じた
壁にもたれながら、トイレに向かい、小用を済ませ、手を洗い、ふと鏡を見た
730 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 16:28:09.15 ID:aNKCkxA00
(;^ω^)「!?」
ブーンはあまりに変わり果てた自分の顔を見て、驚いた
髪は潤いをなくし、ぱさぱさになっていた
頬はこけ、目の周りはくぼみ、肌は土色になっている
唇は水分を失ってかさかさになり、皮がめくれている
目は表情を失くし、まるで死んだ魚のようである
明らかにブーンはやつれていた
(;^ω^)「風邪でこんな風になってしまうのかお?」
ブーンは自分が本当に風邪なんだろうかと疑問に思い始めた
758 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 16:43:01.62 ID:aNKCkxA00
ブーンは薬がきれても、前の病院には行かなかった
診察に疑問を感じているからである
( ^ω^)「別の病院に行くお」
ブーンは家から少し離れた別の内科の病院に向かった
その病院は建物が新しく綺麗であった
( ^ω^)「病院は綺麗なほうがいいお」
ブーンは病院の中に入っていった
767 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 16:47:19.52 ID:aNKCkxA00
医者「どうしました?」
今度の医者は前の医者よりも年配であるように見えた
年は50前後ぐらいであろうか
微笑を浮かべた感じの良い医者であった
( ^ω^)(この医者なら大丈夫だお)
ブーンはそう思い、前の医者と同じように症状を説明した
773 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 16:49:31.99 ID:aNKCkxA00
医者「そうですか
他には何かありましたか?」
医者は一通り話を聞いた後、さらに聞いてきた
( ^ω^)「そういえば手が勝手に震えたりしますお
文字が書けない時がありますお」
医者はカルテになにやら、書き綴っていたが、ふとその手が止まった
779 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 16:52:07.79 ID:aNKCkxA00
医者「・・・」
医者はしばらく考え込んでいた
医者「他にはありましたか?」
( ^ω^)「夜中に下半身だけ寝汗を大量にかきますお
まぶたが痙攣したりもしますお
あと、筋肉がひくつくことがありますお」
医者はそれ以上カルテに何も書かなかった
788 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/02(木) 16:57:12.86 ID:aNKCkxA00
医者「ふむ
とりあえず血液検査をしてみましょうか
それで詳しい状態がわかるかもしれません」
( ^ω^)「お願いしますお」
医者「では注射を打ちますね」
採血をした後、色々と調べて診察は終わった
医者「血液検査には1週間ほどかかりますから、また1週間後にお越し下さい
喉が赤く腫れているので、とりあえず風邪薬をお出しします
それと熱を下げる為の頓服、これは少しきつめです
めまいをとめるお薬をだしておきますので、発作が起きたら飲んで下さい」
( ^ω^)「分かりましたお」
前の病院より処方された薬が増えていた
( ^ω^)ブーンが精神病になったようです 第一部 第四話
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