141 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 20:59:27.64 ID:J3PgH/K70
ある日、ある看護士2人がブーンの看護に来ていた
「この子、中学生かな?」
「この子大学生だよ」
「え!?
そうなの?
とても見えないね」
ブーンの外見はだんだん幼くなっていってるように見えたのだ
143 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 21:04:50.38 ID:J3PgH/K70
(・∀・)「分裂病患者には、若返り現象が見られることがあるんだよ」
看護士「・・・診療部長」
診療部長がブーンの隔離部屋に入ってきた
ブーンの様子を見に来たのだ
看護士「そうなんですか?」
(・∀・)「以前、こんな患者がいたんだ」
149 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 21:10:55.61 ID:J3PgH/K70
診療部長は昔を思い出しながら、二人の看護士に向かって語りだした
(・∀・)「その患者さんは40代の女性だった
分裂病という診断で、入院することになったんだが、
どう見ても20代にしか見えない」
看護士「・・・」
(・∀・)「その患者さんは自分が20代であるという妄想に取り付かれていたんだ
話し方やしぐさまでが完璧に20代の女性そのものだった
やがて、治療が功を奏して、患者さんは徐々に回復していった
そして、自分の現状を把握することができるまでに至った」
そこで診療部長は軽く一呼吸おいた
150 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 21:14:05.70 ID:J3PgH/K70
(・∀・)「患者さんは自分が今40代であることが分かった
すると、みるみる老けていくんだ
そして、40代の女性としておかしくない外見になった」
看護士「ええ・・・」
(・∀・)「・・・僕は悩んだよ
その患者さんにとって、妄想を取り払う事がはたして本人にとって
よかったのかどうかね
・・・その答えは今も出ていない」
診療部長は泣き笑いのような笑顔を見せた
155 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 21:17:59.45 ID:J3PgH/K70
看護士達はどのような言葉をかけたらいいか迷っていた
(・∀・)「しかし、僕は一人の精神科医として病気で苦しんでいる人を少しでも減らしたい
・・・これは僕の信念なんだ」
診療部長は再び表情を引き締め、ベッドに横たわるブーンを見つめた
(・∀・)「君も必ずおかあさんの元へ返すよ」
203 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:14:03.25 ID:J3PgH/K70
J( 'ー`)し「ごほっごほっ!」
パート「大丈夫?
あんま無理しないようにね」
咳き込む母に心配そうに同僚が声をかける
J( 'ー`)し「ごめんなさい
大丈夫です」
ブーンの母はスーパーで清掃の仕事をしていた
208 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:17:01.48 ID:J3PgH/K70
J( 'ー`)し(ブーンはどうしているかしら)
母は客用のトイレの床を水を含んだモップで磨きながら入院しているブーンを思った
J( 'ー`)し(今度の休みの日に病院にお見舞いにいこう)
母はマスクをしていたが、時折出る咳は一度始めるとなかなか止まらなかった
216 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:25:04.69 ID:J3PgH/K70
母は朝から夕方まで週に5日間のペースで働いていた
病院側がブーンを措置入院にしてくれたおかげでブーンに全く費用がかからない
母は勤務を終え、服を着替えた後、そのままスーパーで買い物をし、家に帰った
J( 'ー`)し(自分で料理を作っても一人だと味気ないわ)
ご飯を食べながら、母はブーンに何を持って行ってあげようと考えていた
J( 'ー`)し(あの子は動物が好きだったわ
犬のぬいぐるみなんてどうかしら)
218 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:29:28.12 ID:J3PgH/K70
もうすぐ大学を卒業する息子にぬいぐるみはどうかしらと思い直し、
母は自分の考えがおかしくなり、ふと笑った
J( 'ー`)し(でも、いいかもしれない
メッセージをぬいぐるみに添えて、枕元に置いてもらおう)
母は紙とペンを取り、ブーンに送るメッセージを考えた
J( 'ー`)し(どんな言葉がいいかしら・・・)
222 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:33:09.41 ID:J3PgH/K70
翌日、母はいつものように働いた後、スーパーのおもちゃ売り場に向かった
J( 'ー`)し(けっこう高いわね・・・)
色々と物色した後、枕元に置くのにちょうどよい大きさの茶色の犬のぬいぐるみを見つけたので、
これを購入した
J( 'ー`)し(これを今度病院にもっていこう)
母は喜ぶブーンの顔を思い浮かべた
229 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:41:47.30 ID:J3PgH/K70
パートが休みの日、母は午前中から用意をし、ブーンの入院する病院に向かった
J( 'ー`)し(ブーンはよくなってるかしら)
ブーンが入院してからもうすぐ1ヶ月になる
母は少しは回復しているのではとの淡い期待を胸に秘め、病院に入っていった
231 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:44:17.98 ID:J3PgH/K70
J( 'ー`)し「すいません
ブーンが入院している部屋はどこでしょうか?」
受付「はい
ブーンさんですね
少々お待ち下さい」
受付はパソコンのほうを向き、患者が入院している部屋の画面を開き、キーボードを打ち始めた
受付「お待たせしました
第1病棟の2035室になります」
J( 'ー`)し「ありがとうございます」
237 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:47:23.94 ID:J3PgH/K70
母は近くになった病院の案内図に目をやり2035室を探した
J( 'ー`)し(あったわ)
母は2035室を見つけ、急ぎ足で歩き出した
エレベーターで2階に昇り、ナース・ステーションで軽く挨拶をし、ブーンのいる2035室へ向った
2035室の扉には鍵がかかっていた
J( 'ー`)し(これじゃあ入れないわね)
247 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:50:34.26 ID:J3PgH/K70
母はナース・ステーションに戻り、近くに座っていた看護士に声をかけた
J( 'ー`)し「すいません
2035室に入院しているブーンの母ですけど」
看護士「ああ、こんにちは」
看護士は笑顔で返事をした
J( 'ー`)し「ブーンの見舞いにきたのですが、部屋に鍵がかかっていて・・・」
看護士「ああ、じゃあ鍵を開けますね」
そういうと看護士は机の引き出しを開き、2035とかかれた鍵を取り出した
249 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:52:42.71 ID:J3PgH/K70
看護士はナース・ステーションから出てきて2035室に向いだした
母は看護士についていった
2035室の前に着くと、看護士は鍵をはずした
看護士「さあ、どうぞ」
J( 'ー`)し「すいません」
255 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:57:10.46 ID:J3PgH/K70
母は少しそわそわしながら扉を開けた
そこには点滴と鼻チューブをされ、抑制帯でベットから落ちないように固定され
まるで植物人間のようなブーンがベットに横たわっていた
J( 'ー`)し「ブーン・・・」
母はブーンの姿を見て、ひどく衝撃を受けた
母の目には色々な管に包まれたブーンはもはや生きた抜け殻のように見えたのだ
258 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/06(月) 23:59:12.20 ID:J3PgH/K70
母は衝撃のあまりしばらく呆然としたまま動けなかった
看護士「お母さん、大丈夫ですか?」
様子を見ていた看護士が心配になり声をかけた
J( 'ー`)し「・・・」
母は思わず左手に持っていたぬいぐるみの入った紙袋を落としそうになった
261 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/07(火) 00:01:10.55 ID:ypwkSDED0
J( 'ー`)し「・・・ブーンは生きているんですか?」
母はおもわずそんな質問を看護士に聞いた
看護士「もちろん生きています
ですが、いまだにこちらからの反応には全く応じないですが・・・」
看護士は気の毒そうにそう説明した
268 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/07(火) 00:09:03.21 ID:ypwkSDED0
J( 'ー`)し「そうですか・・・」
母はやがて気を取り直し、ブーンの傍らに立った
ブーンは母が近くに来ても、全く動くことなく、相変わらず宙を見つめたままであった
J( 'ー`)し「ブーン・・・」
母は目頭が熱くなり、頬に涙が伝った
271 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/07(火) 00:11:49.66 ID:ypwkSDED0
母は折り畳み式の椅子を広げ、ベットの側に座り、ブーンの手を握った
ブーンの手は暖かかった
J( 'ー`)し「ブーン、頑張るんだよ
カーチャンはブーンが元気になって家に戻ってくるのを
いつまでも待ってるからね」
ブーンは動かない
母は流れる涙を拭おうともせずに、ブーンにささやき続けた
277 : ◆vUsDOjbm1w :2006/02/07(火) 00:15:03.68 ID:ypwkSDED0
母はしばらくブーンを見ていたが、紙袋からぬいぐるみを取り出し
ブーンの枕元に置いた
ぬいぐるみには紙が貼られていた
紙には“ブーンへ
早く元気になって、また一緒に仲良く暮らそうね
ファイトだ、ブーン!
病気なんかに負けるな!
カーチャンより”
と書かれてあった
(ヽ゚ω゚)ブーンが精神病になったようです 第二部 第十三話
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