1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 21:39:23.24 ID:vimVhW5e0 [1/24]
(*゚ー゚)ニッ
2月14日
とうとうこの日が来る
私は準備と特訓を重ねてきた
料理なんて自分からすることもないし、
やったとしても酷い物が出来上がるだけだったけど、
全てはこの日の為
2週間前から続けてきたこのクッキーを作る作業も今日でお終い
もう、段取りが頭に染みついてて夢にまで出てくる程だ
※ちょっと閲覧注意
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 21:42:15.73 ID:vimVhW5e0 [2/24]
それなのに、肝心な事を前日まで忘れてた
どうやって渡すのかっていう事だ
渡す時になんて言ったらいいのか
そもそも直接手渡しなんて出来るのかな
その所の予行練習は一切やって来なかったから、
結局昨日は深夜まで眠れなかった
その結果が今の状況
普段と同じ位の時間に起きたけど、
今日ばかりはそれじゃだめだった
どうしてもその日に作ったものを持って行きたかったから、
早起きするつもりだったのに
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 21:49:02.79 ID:vimVhW5e0 [3/24]
お父さんは既に家を出ていたみたいだったけど、お母さんはまだ家を出ていなかった
お母さんには、どうしても作って持っていくと言い張って無理を通した
絶対に遅刻しちゃだめよと言われたけど、
そんなの無理だって分かりきってるよね
―――そして今、8時30分
生地をオーブンに入れて、ようやく一息つけた
このままなら、2限には間に合うかな、なんて考えてた
その時、玄関のチャイムが鳴った
私は、お母さんが忘れ物でも取りに来たのかと思って、
そのまま鍵を開けた
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 21:55:02.25 ID:vimVhW5e0 [4/24]
( ^ω^)「あ、まだいたね」
( ^ω^)「おはよう」
(;゚ー゚)「あ、わっ、わ」
( ^ω^)「大方寝坊でもしたんだね」
( ^ω^)「そんな事になってるんじゃないかとも思ってたんだお」
私は急な展開に驚いて、何が何だか分からなくなった
なぜなら
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 22:00:33.55 ID:vimVhW5e0 [5/24]
(;゚ー゚)「ど、どなたですかっ」
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 22:05:29.33 ID:vimVhW5e0 [6/24]
お母さんだと思ってインターホンで確認もせずに扉を開けたせいだ
誰なんだろうこの人は
私と同じ学校の制服を着てるけど、
学校で見かけた記憶はなかった
( ^ω^)「おじゃましてもいいですかな」
制服がはち切れそうなほど太っていて、ずいっと寄ってきたときには、
生理的に受け付けない悪臭が漂ってきた
さらに、近寄ったせいで肩や襟の辺りにたくさんフケが付いているのが見えてしまった
(;゚ー゚)(き、気持ち悪いっ!)
(;゚ー゚)「駄目です!入らないでください!来ないで!」
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 22:11:06.68 ID:vimVhW5e0 [7/24]
力いっぱい扉を閉めようとしたけど、
もう遅かった
その太った人は、体を無理やり扉の間に押しこんできて、どうしても閉まらない
必死に押し出そうとしても、結局力では勝てず、玄関に押し入られてしまった
(;゚ー゚)「な、何なんですか!?何するつもりですか!?」
( ^ω^)「そんな邪険にしないでほしいお、しぃちゃん」
(;゚ー゚)「あなた誰ですか!?どうして私の名前を知ってるんですか!?」
( ^ω^)「今日が何の日か知ってるよね?2月14日だよ?」
太った人は私の質問には答えず続けた
( ^ω^)「バレンタインのプレゼントを頂きに上がりましたお」
太った人は黄ばんだ並びの悪い歯をむき出しにして、笑った顔をした
笑い声は出さず、とても短く息を吸ったり吐いたりを繰り返した
犬のするそれよりずっと速く、今まで見た物の中で最も気持ちの悪い笑い方だった
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 22:17:37.30 ID:vimVhW5e0 [8/24]
(;゚ー゚)「いやあああああああ!!!!!」
(;゚ー゚)「助けて!!!誰かっ!!!」
( ^ω^)「静かに」
そういうとその人は、私の口を押さえつけた
そしてそのまま首を絞め始めた
芋虫みたいな醜い指が首に食い込んで、息ができなくなる
(;゚ー゚)「・・・うう・・・」
容赦なく、凄い力で首を絞めつけてくる
(; ー )「・・・・・・・・」
( ^ω^)「お、そうそう、静かにしないと近所迷惑だお」
――――
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 22:23:53.82 ID:vimVhW5e0 [9/24]
肌寒さを感じて目を覚ました
(*゚ー゚)「ん・・・・・」
何が起きたんだっけ
寝坊して、クッキーを作ってたらチャイムが鳴って、それから・・・
変な人が来て
(*゚ー゚)「そうだ・・・私!」
辺りを見回してみる
私の家の中だった
その時ようやく自分の体勢に気が付いた
ドアノブに両手を括りつけられ、足も縛られて、床に座っていた
(*;ー;)「何なの・・・本当に・・・」
あの太った人は見当たらないけど、まだどこかにいるのかな
(*;ー;)「何でこんな・・・」
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 22:31:08.01 ID:vimVhW5e0 [10/24]
( ^ω^)「呼んだかお?」
(*;ー;)「ひっ!」
太った人は、キッチンから突然ぬっと現れた
いつもはそこにはお母さんしか入らないのに
この家も、キッチンも、お前みたいな醜い奴が入っていい所じゃないんだ
急に悔しさが溢れてきて、ますます涙が止まらなくなる
(*;ー;)「うう・・・・」
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 22:37:15.54 ID:vimVhW5e0 [11/24]
(*;ー;)「・・・何なんですか?・・・あなた誰ですか?・・・なんでこんなことするんですか?」
( ^ω^)「ん~?」
のそのそとこちらに寄ってきて、顔を近づけて言った
( ^ω^)「僕はブーンだお、知ってるでしょ?」
至近距離で口を開いたので口臭を覚悟していたけど、
漂ってきたのは甘い香りだった
(*;ー;)「え・・・?」
(*;ー;)「ねえ何したの?・・・あんた何食べてるの!?」
(*;ー;)「ねえ!!!!!」
( ^ω^)「良い出来だったお~」
( ^ω^)「ヒッヒッヒッヒッヒィー」
気持ち悪い 気持ち悪い笑い方 気持ち悪い臭い 気持ち悪い顔
(*;ー;)「・・・・・・」
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 22:42:43.41 ID:vimVhW5e0 [12/24]
(*;ー;)「せっかく作ったのに・・・」
( ^ω^)「ちゃんと食べてるお、もったいないことないお?」
(*;ー;)「あんたの為に作ったんじゃないのよ!!!」
( ^ω^)「はぁ?」
(*;ー;)「・・・もういいでしょ?・・・」
( ^ω^)「なにが」
(*;ー;)「バレンタインのプレゼントを勝手に食べたんだからもう満足でしょ!?」
(*;ー;)「・・・消えてよ」
( ^ω^)「は」
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 22:50:42.28 ID:vimVhW5e0 [13/24]
( ^ω^)「言ってる事が分からんお」
( ^ω^)「ちゃんと僕の話を聞いてたか?」
( ^ω^)「バレンタインのプレゼントを頂きに来たって言ってるんだお」
( ^ω^)「しぃちゃんから渡されるプレゼントを貰うって意味だお、分かってる?」
(*;ー;)「あんたの為のプレゼントなんてないわよ!!このキ●ガイ!!」
( ^ω^)「そりゃあ困るお」
(*;ー;)「困るじゃない!出て行け!死ね!消えろ!」
( ^ω^)「しぃちゃんに渡す気がないとなると、こりゃあちょっと強引な手段に出るしかないお」
(*;ー;)「・・・何をいってるの・・・?」
( ^ω^)「ちょっと待ってろお」
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 22:56:33.36 ID:vimVhW5e0 [14/24]
ブーンと名乗る男は、洗面所とキッチンを何度か行き来して、
タオルと麺棒を持って戻ってきた
( ^ω^)「強引に奪って、血が沢山出るのも困るお」
(*;ー;)「奪う・・・?血って・・・」
おぞましい予感 そして今の自分の体勢を再確認して全身の毛が逆立つ
手足を括られて、実に無防備だ
胸を触られたとしても、払いのける事も出来ない
( ^ω^)「痛くないようにがんばるお」
またしても不愉快な笑い方をする
ブーンはどこか見当外れな所を見つめながら笑い続けている
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 23:05:06.58 ID:vimVhW5e0 [15/24]
(*;ー;)「残念でした」
( ^ω^)「ん?」
(*;ー;)「血なんか出ないわよ」
( ^ω^)「出るお」
(*;ー;)「出ないのよ!あんたに奪えるものなんて何もないの!」
( ^ω^)「出るお 僕が下手うてばそりゃあもうたくさん」
(*;ー;)「馬鹿じゃないの?それとも悔し紛れ?」
( ^ω^)「話がかみ合わなくなってきたお」
(*;ー;)「よ、寄るな!」
( ^ω^)「子は親を選べないとは良く言ったものだお」
( ^ω^)「いや、関係ないか?」
さらにブーンが近寄る
思わず目を瞑った
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 23:14:54.17 ID:vimVhW5e0 [16/24]
(*>ー<)「っ・・・・・・」
あの不細工な指が触れてくるのかと思うと体が強張った
しかし、ブーンが手を出したのは想像していたところと違うところだった
ブーンは、私の右腕の袖をまくり、肩の辺りから先を露出させた
ずっと腕を上げた状態を保っていたせいか感覚が鈍っていて、
ブーンが何をしているのかよく分からなかった
恐る恐る目を開いて、右腕を見る
ブーンは持ってきたタオルで、二の腕辺りに輪を作っていた
(*;ー;)「・・・何する気?」
最早返事は帰って来なかった
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 23:18:56.78 ID:vimVhW5e0 [17/24]
ブーンは無言で作業を進めていた
ブーンはタオルで作った輪と腕の隙間に麺棒を突っ込み、
麺棒を回し始めた
捻じれたタオルが腕に食い込む
(*;ー;)「な、何してるの!?」
尋常でない力で腕が締め付けられている
(*;ー;)「い、痛っ・・・」
実際には痺れで痛みは殆ど感じられなかったが、
痺れがなければ今頃は大声を上げているかもしれない
( ^ω^)「んんんぎぎぎ」
万力のような力がか細い腕を圧迫している
そう予想する
外れてはいないだろうと思う
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 23:23:40.27 ID:vimVhW5e0 [18/24]
( ^ω^)「んん~ぎぃ~~」
ブーンが全力で麺棒を回しているのか、
私の体にも震えが伝わってくる
今までの物と性質の異なる恐怖がやや遅れて襲ってきた
(*;ー;)「何してるの?・・・う、腕が・・・」
ブーンは一切口を開かない
麺棒をガムテープで固定した後は無言でどこかへ行ってしまった
(*;ー;)「ま、待って!取って・・・これ取ってよ!!」
返事はなかった
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 23:29:45.79 ID:vimVhW5e0 [19/24]
ブーンが居なくなってから、数十分が経った
大声を出してみても、誰かが来る事はなかった
右腕の感覚はなくなっていて、
色を見ることすら怖くて出来ない
(*;ー;)「お願いですから許してください!!」
何度も繰り返したが、やはり返事はない
力なく項垂れる
このままの状態が続けばどうなるのだろう
腕は・・・
考えているうちにまた泣いてしまった
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 23:35:35.71 ID:vimVhW5e0 [20/24]
(*;ー;)「・・・助けて・・・」
( ^ω^)
いつの間にかブーンは私の右隣りに立っていた
(*;ー;)「えっ!あ、た、助けてください!お願いします!」
(*;ー;)「許してっ!プレゼントならあげるからっ!」
ブーンは私の右腕を解放してくれる気になったようで、
ごそごそと何やらやり始めた
(*;ー;)「取ってくれるの?あ、ありがとう!ね、早く取ってよ、お願い」
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 23:41:55.29 ID:vimVhW5e0 [21/24]
ブーンは口を開かず、私が声を出すのを止めると、
ゴリゴリという妙な音だけが耳元で響く
そのうちバチ、バチ、という音に変わり、
最後にバン、バン、という壁を叩くような音が数回して、
それきり静かになった
(*;ー;)「取ってくれたの・・・?」
右肩まで痺れていて、腕を下ろそうとしてもなかなかうまく動かない
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 23:46:20.63 ID:vimVhW5e0 [22/24]
ゆっくりと肩を動かしてみると、
もう右手は括られていないのか、自由に動ける事が分かった
(*;ー;)「ありがとう・・・ありがとうね・・・」
ふらりと腕を下ろす
タオルと麺棒は未だに腕に付いていた
その先は見当たらない
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 23:49:03.28 ID:vimVhW5e0 [23/24]
(*゚ー゚)「・・・・・・」
( ^ω^)「これから1か月」
(*゚ー゚)「・・・・・・」
( ^ω^)「蜜月を存分に味あわせていただきますお」
( ^ω^)「ヒッヒッヒッヒッヒィー」
( ^ω^)「あ、スリスリと」
タオルの辺りで終わる腕
その続きはブーンの醜い顔を撫でている
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/14(月) 23:54:18.90 ID:vimVhW5e0 [24/24]
(*;ー;)「~~~~~!!!!!!」
自分の頭が真っ白になるほどの絶叫を上げ、
ようやく辺りに血生臭いにおいが立ちこめているのに気が付いた
( ^ω^)「3月14日には倍返ししてあげるから、お楽しみに、だお」
ブーンはそれをしゃぶりながらヒィヒィと笑った
( ^ω^)「さーて何からしようか、しぃちゃん」
それに向かって話しかけながら、ブーンは家を出て行った
(*;ー;)「・・・・・・」
(*;ー;)「ギコくん・・・・・・ごめんね・・・」
(*;ー;)「ふふふふふふふ・・・」
――――
63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/15(火) 00:02:02.04 ID:UlgmQDCI0 [1/5]
('A`;)「何これ・・・」ペラッ
( ^ω^)「机の中に入ってたお」
( ^ω^)「チョコかと思ったら、えらいものが入ってたお」
( ^ω^)「一体誰だお、こんな酔狂なものを僕の机に入れたのは」
ξ゚⊿゚)ξ「私よ」
( ^ω^)('A`;)「お前かよッ」
ξ゚⊿゚)ξ「気に入ってくれたかしら」
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/15(火) 00:07:46.33 ID:UlgmQDCI0 [2/5]
( ^ω^)「ねーお リア充死ねもここまで行ったら病気だお」
( ^ω^)「なあドクオ」
('A`;)「お、おう」
( ^ω^)「お前、何で前かがみなんだお?」
('A`;)「し、仕方ねえだろ!」
(;^ω^)「・・・・・・」
(;^ω^)「ツン、一言ないのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「しょうがないわね、一応謝ってあげるわよ ごめんなさいね はいこれでいいでしょ」
ξ;⊿;)ξ(14日に一日中こんなことしてた人間だってね、被害者なのよ!それを分かれっつーの!)
ξ゚⊿゚)ξm9「ついでに、インターホンは確認しとけよ」
終
スポンサーサイト