mesimarja
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ξ゚⊿゚)ξツンがお預けなようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 11:08:04.81 ID:grtdHddmO
何も見えない。
当たり前だ。
目隠しされているのだから。
聞こえるのはしとしとと降り続ける雨の音と、少し荒くなった私の息遣い。
はっ、はっ、と規則正しく呼吸して心臓の鼓動を緩やかにしていく。
けど今は高ぶった興奮を治めようとする身体作用が凄く恨めしかった。
もっとそのままでいたかった。
いや本音を言えば、もっとのその先へ行きたかった。
だから普通に戻る事は私には苦痛なのだ。

( ^ω^)「ちょっと休憩だお」

私の痛みを知らないようなのんきな声で告げられる。
しかし私は抗議の声をあげる事は出来なかった。
それをしても望み通りにいかないのを私は知っていたからだ。
何回も何回も却下されれば自然とそうなる。
目の前のコイツもそれを分かっていて、わざと口に出しているのだ。
そうする事でコイツは私を服従の道へ連れ込みたいのだ。
だから反抗しないのは、その道へ一歩踏み出した事になるかもしれない。
けど私の息はまだ荒かった。



2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 11:12:22.19 ID:grtdHddmO
( ^ω^)「雨が強くなってきたお」

タバコの匂いがする。
その匂いが体に染み付いては困るのだが、逃げ出す事はできない。
私の両手は手錠にくくり付けられていて、手錠は天井から伸びる鎖にくくり付けられている。
つまりは万歳をしたまま立たされているというような感じ。
そう、奴隷が鞭打ちされるような格好だ。
だから、逃げられない。

( ^ω^)「ツン、トイレ大丈夫かお? もしお腹空いたら言えお」

はぁ……ムカツク。
私がホントに欲しいものは絶対にくれないのに、どうでもいいものばかり満たそうとしてくる。
でも私が欲しいものもコイツに満たしてもらいたくはない。
私は、コイツが嫌いだ。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 11:16:45.33 ID:grtdHddmO
( ^ω^)「そろそろいいかお」

近くに寄ってくる気配。
そして手が私の体を撫でる。
頭、耳、頬、唇、顎、首、肩、腕、手、胸、腹、股、尻、腿、膝、臑、足。
私の体の隅々まで、ゆっくりと指を滑らせる。
再び高まっていく興奮。
そして嫌悪感。
私の心だけは絶対に触らせないと誓いながらも、体はどんどんとコイツを求めていく。
次こそは、次こそはとその手の動きを必死に追い続ける。

( ^ω^)「どこ、触って欲しいかお?」

陰毛に悪戯するように指を絡めながら聞いてくる。
もう少し下が私の弱点だ。
そこをククッと押し潰して左右に小刻みに揺らすと私の体はすぐに極まる。
でも私は残された理性の力を振り絞り、胸と答えた。


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 11:23:09.56 ID:grtdHddmO
( ^ω^)「分かったお」

素直に胸をイジりだす。
クーやヒートのように大きくない私の胸がコイツの指で微かに形を変えていく。
揉み甲斐のない乳を愛おしそうに揉まれるのは何だか複雑な気持ちだった。
やがて乳首へと指は伸びる。
硬く勃起した乳首がさらに引っ張られ、弾かれて、こね回されて。
ピクピクと反応するのを禁じ得ない。

( ^ω^)「ツン可愛いおツン」

嫌いキライきらい。
触らないで。
私はアンタにイカされたくない。
もうイキたいのに。
声を掛けないで。
私はアンタを意識したくない。
もう邪魔しないで。
嫌いキライきらい。


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 11:29:03.35 ID:grtdHddmO
( ^ω^)「好きだお、ツン」

唇と唇、息と息、舌と舌、唾液と唾液、その全てが混ざり合う。
違う誰かに置き換えて妄想してしまえれば快楽だけに溺れられるのに、
コイツの囁きが全てを台なしにする。
そんなのいいから私をイカせる事だけを考えろ!!

( ^ω^)「……」

そんな私の願いが通じたのか、手が私の股に伸びてくる。
私の弱点に二本の指が添えられ、ククッと押さえ付けてくる。
はあっ…! と私の口から一際大きな期待のため息が漏れた。
そう、そう!
もっと強く、変化をつけて、もっと揺らして!
あっ、来た来た!!
イクよ? 私、イクの? あぁ! イッ…イッ…イク!?


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 11:35:10.24 ID:grtdHddmO
( ^ω^)「ちょっと休憩だお」

何で!! そこで止めたらダメなのに!!
馬鹿じゃないの!! 最低男!!
頭の中で、考え得る限りの汚い言葉で、罵るだけ罵る。
そして私の目からは涙が零れた。
一度快楽の波を取り逃がしてしまうと、再度引き寄せるのに時間がかかってしまう。
しかも今日はもう何度も何度も取り逃がしているのだ。
もうやめたい……
もう……

( ^ω^)「そうだ、雨がやんだらデートいくお。
     だから泣くなお」

また優しい言葉をかけられて私は少し正気に戻る。
そうだった。
コイツが与えてくる一時の快楽に負けてはいけない。
負けたら後は本当に奴隷になるしかない。
私がコイツの愛撫でイッてしまうのは絶対にイケナイ事なんだ。
私は私の心を無くしたくない。
大好きな人に私の心を捧げるまでは。
だから私はイッてはいけないんだ。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 11:40:49.16 ID:grtdHddmO
( ^ω^)「そろそろいいかお」

もう何度目になるか分からない最低な愛撫が始まる。
私はもうコイツを誰かに見立てて妄想したりしない。
親の敵とばかりに憎みきる事で嫌悪感を高めていく。
感情を抑え、皮膚の感覚から逃れ、全身でコイツを拒否する。
自由になったら真っ先にコイツを殺す。
絶対に。

( ^ω^)「無駄だお」

そんな言葉と共に私の中に右手の指が侵入してくる。
グリグリと私の膣内を掻き分け、私の体を犯してくる。
人差し指と中指で確実にGスポットを刺激してきた。
さらに余った親指でクリトリスを押し潰して快楽を供給してくる。


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 11:49:00.61 ID:grtdHddmO
右乳首は口に含まれ歯で甘噛みされ、そのまま引っ張られる。
左乳首は背中から回した手でギュゥと抓られる。
小さい私の体の気持ち良い場所をどう触れば良くなるのかコイツは熟知しているようだった。
それに対して一気に私の体は波を呼び寄せてしまう。
ダメダメダメダメ!!!
そんなにグチュグチュ掻き回さないで!!
イッたら負けだイッたら負けだイッたら負けだ!!!

そんなに乱暴にしたら感じちゃうじゃない!!
だからもう攻めないで!! 止めないでよっ!!
ふっ! はあっ!
来ないで!! 絶対にイヤっ!!
あぁっ!! んぅ! イッ……!! だめぇ!!

もう無理もう無理!!
これ絶対イク! 絶対イクよ!!
あっあっあぅっあっあっはぁっ!!
イキたくないのにッ!! イキたくないのにぃッ!!
イヤイヤッ! いやぁーーっ!!


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 11:52:35.70 ID:grtdHddmO
( ^ω^)「あ~あ、イッちゃったかお。
     ツン、おもらししちゃったお」

……
……
……
……

( ^ω^)「また触ってほしいかお? またイきたいかお?」

……
……
……
……
……
……絶対にイヤ。

( ^ω^)「だからツンは可愛いんだお。
     もっともっと愛してあげるお」

雨の音はもう聞こえなくなっていた。

終わり


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 12:00:18.05 ID:grtdHddmO
ゴメンなさい。
もし小説を読みたいと思ってこのスレを開いたのなら、謝るしかありません。

つい勢いで書いた。
今は反省している。

ネタがあれば書くんだけどな…
ほのぼのか…

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 12:06:08.33 ID:grtdHddmO
ξ゚⊿゚)ξ「……」

雨という字には4つの水滴しかないが、
窓の外には無数の雫が曇天から落ちてきている。

ξ゚⊿゚)ξ「はぁ~あ、またお預けか~」

今日はブーンとのデートの日だったのに。
いや、正確に言えば先週も、先々週もな訳だが。
約束が雨で伸ばし伸ばしになっているのだ。
今日こそは、と思っていたのだけれど……
4号のバカヤロー!!

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 12:13:20.11 ID:grtdHddmO
ξ゚⊿゚)ξ「ん…?」

携帯が震える。
ブーンからのメールだ。

( ^ω^)(雨だお)

分かってんのよこのバカ!
もっと何かあるでしょ普通……
イヤになった私は携帯を放り出した。
は~あ……せっかくの遊園地がぁ……
これで来週も雨だったら神様がイタズラしてるに違いないわ。
と、居もしない神様を恨んでいるとまた携帯が鳴った。

( ^ω^)(しりとりするお)

私は携帯をブン投げた。

24 名前:ヌくには長編がいいよね :2007/07/15(日) 12:20:48.95 ID:grtdHddmO
ベットの上で跳ねた携帯にまたメールが。
私はさすがに無視して昨日買った雑誌を読み耽る。
次のデートの予習だ。

暇潰しのはずが以外に妄想が膨らんでしまい、一時間が経過してしまった。
ふと思い出してずっとほったらかしだった携帯を開いてみる。

( ^ω^)(じゃあブーンからだお。『台風』!
     ツンは『う』からだお)

正直イラっとした。
ブーンはデート出来ない事を何とも思ってないんだろうか……
私は『うどん』と打って返信してやった。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 12:24:58.54 ID:grtdHddmO
するとすぐに返事が来る。
ずっと待ってたのかな?
暇人だなぁ。

( ^ω^)(一時間考えて『うどん』かおwww
     ツンの負けだおwww)

ちょっと泣きたくなった。

( ^ω^)(しょうがないからブーンの奥の手を出すお!
     『ンジャナメ』!!!)

泣いた。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 12:36:42.20 ID:1QeKdd0w0
ブーン楽しそうだなwww

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 12:38:59.76 ID:grtdHddmO
しかし私もどうせする事がないのだ。
仕方なくブーンに付き合ってやる事にする。
メールでしりとりという恋人同士とは思えない言葉のやり取りを交わす。
語尾を常に『い』や『り』にして攻めたりしてると、
子供の頃を思い出して面白くなったが、ブーンには言わなかった。
( ^ω^)(ん~……『あじさい』だお!)
『い』かぁ……
もうたいていは言い尽くしてしまったしなぁ……
そうだ。

ξ゚⊿゚)ξ(『家に来ない?』)

どうせだから、やっぱり一緒にいたいよね。
メールだけじゃ何か味気ないし。
雨降ってるけど、今日はワガママ聞いてもらおう。

( ^ω^)(うはww文章はwwwダメにwwww決まってるおwwwww)

泣いた。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 12:43:44.33 ID:I41+Zzho0
これは吹いたwwwwwwww

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 12:51:28.48 ID:grtdHddmO
ξ゚⊿゚)ξ(馬鹿馬鹿!!もう知らない!!)

ホントに怒って、怒りマークの絵文字を100個付けたメールを送る。
ブーンは私の気持ちなんか分かろうともしないんだ…
私はこんなにも寂しいっていうのに……
ずっと雨が続いてるのは絶対ブーンのせいだ!
ブーンのバカァ!!

( ^ω^)(『うましか』かお……ツン恐るべし……
     じゃあブーンは『E』だお!
     括弧で括ったEだからカッコイーだおwww)

何と言う柔軟性…
これは間違いなくワギャンランドのしりとり並


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 12:57:44.61 ID:bxyLAJFy0
ワギャン懐かしすぎるw

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 13:04:27.36 ID:grtdHddmO
こんなに脳天気なヤツだったなんて……
きっとブーンの頭の中はいつも晴れ晴れとしているに違いない。

ξ゚⊿゚)ξ(何がカッコイーよ!!
     E加減にしてよね! もう知らない!!)

メール送信と共に電源を切ってしまう。
これで完全シャットアウトだ。
ボフッとベッドに体を投げ出し、無駄な時間を過ごしてしまった事を嘆いた。

ξ゚⊿゚)ξ「もうダメなのかも……」

思いを口に出すと、余計にブーンとの関係が辛いものに感じられた。
心のすれ違いは苦しい。
だから少しだけ泣いて、考えないで済むように眠りについた。
雨の音がうるさかった。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 13:07:06.59 ID:nn4/Pmyx0
>E加減にしてよね!
wwwwwwwwwwwwww

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 13:18:14.60 ID:grtdHddmO
???「……ン……ツ……ツン……」
ξ゚⊿゚)ξ「え? あ、え?? 誰?」

俯せから顔を上げるとそこには――

( ^ω^)「おは~」

ブーンがいた。

ξ゚⊿゚)ξ「……何でいるの?」
( ^ω^)「愛という名の鍵で入らせて頂きましたおwww」
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ?」
( ^ω^)「遊びに来ちゃったお!
      ツンの寝てる姿カワユスwww」
ξ゚⊿゚)ξ「!!」
( ^ω^)「痛い!! 何で殴るんだお!!」
ξ゚⊿゚)ξ「死ねっ!!」

バシバシとブーンを殴る。
それは勝手に部屋に入って来たからでも、寝てるところを見られたのが恥ずかしかったからでもなく、
来てくれたのが嬉しかったからだ。
でもブーンには言わない。
顔にも出さない。
それをブーンに知られる方がよっぽど恥ずかしい。


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 13:20:14.19 ID:grtdHddmO
( ^ω^)「おっおっおっ! ツン遊ぶお!!
     雨だけど遊ぶお!!」
ξ゚⊿゚)ξ「ったく……仕方ないわねぇ」
( ^ω^)「やったお!!」

ブーンが嬉しそうにはしゃぐ。
その脳天気な笑顔を見て私は安心してしまった。
大丈夫、やっていける、と。
そして来週こそはきっと晴れなのだと確信したのだった。

( ^ω^)「次はツンの番だお!
     カッコイーの『イ』からだお!!」

泣いた。

 終 わ り

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 13:27:14.74 ID:grtdHddmO
短編と言っても結構時間かかるものなのね……
1時間半もかかってるw

いかがでしたでしょうか。
ネタないかな~

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 13:29:47.16 ID:3w5s+dRX0
>>48
次はサイコホラーで


といってもプロットに時間がかかるだろうからムリか
面白かった

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 13:41:45.80 ID:sQ2lzPws0
>>48
次はドクオが主人公の話希望

54 名前:今からPCで書くお :2007/07/15(日) 13:46:50.03 ID:F0ChusBY0
ξ゚⊿゚)ξ「雨雨降れ降れ母さんが~」

こんにちは、ツンです。
例によって今日も雨です。

( ^ω^)「ピチピチジャブジャブランランラン♪」

だけど今日はちゃんとデートするのです!
遊園地はさすがに無理なので、映画館に行く事にしました。
私、ちょっと浮かれてますw

( ^ω^)「今日はこれを見るお!!」
ξ゚⊿゚)ξ「サイコホラーデート?」
( ^ω^)「そうだお! 面白そうだお!」

ブーンはそう言うけど……
どう見ても恐怖系です。本当にありがとうございました。
デートだったら普通恋愛モノ見るだろ……
常識的に考えて……

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 13:54:32.79 ID:F0ChusBY0
ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ、ホントにこれにするの?
      違うのにしようよぉ……
      ほら、『('A`)の恋物語』なんて良さそうじゃない?」
( ^ω^)「もう決めてあるからダメだお。
      はい、チケットだお」

私の意見は軽々と却下されてしまいましたとさ。
何だよぉ……
映画見てる間に何となく良い雰囲気になって、
手を繋いだりするのをちょっぴり期待してたのに……
今日の目標は、久し振りのキ……キス、だったのにぃ……

( ^ω^)「ツン! コーラ買うお! ポップコーンも買うお!」

ダメだ。
コイツにロマンチックなものを期待した私が馬鹿だった。
またお預けかなぁ。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 14:05:38.35 ID:F0ChusBY0
('A`)『ふふふ……これだから女の肉はやめられん』

映画が始まった。
いきなり食事のシーンで、男が美味しそうにお肉を頬張っている。
今、女の肉って言わなかったか……?

ξ゚⊿゚)ξ「ねぇブーン……」
( ^ω^)「上映中は静かにするお!」

ブーンは真剣な目でスクリーンを眺めている。
好きなものには夢中になるタイプだからなぁ。
その割にポップコーンを食べる音やコーラを飲む音がうるさいんですけど…
よっぽど人気の無い映画なのか、
私たちの他に客は誰もいないので迷惑するのは私だけなんだけどね。

ξ゚⊿゚)ξ「ポップコーンもらうね」

聞いてるか聞いてないか分からないけど、一応ブーンに了解を得る。
早く時間が過ぎてくれないかなぁ、と思いながら袋に手を突っ込んだ。
ヌルッとした感触が私の手の平を撫でた。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 14:15:22.15 ID:F0ChusBY0
ξ゚⊿゚)ξ「え?」

思わず手を引っ込める。
最初はポップコーンが濡れてるのかと思ったが、
もっと生暖かくて柔らかかった。
館内は暗いので袋の中がどうなっているのかは分からない。
濡れた手の匂いを嗅いでみる。
これは、血の匂いだ。

ξ;゚⊿゚)ξ「ブ、ブーン……ポ、ポップコーンが……」
( ^ω^)「ツン、黙ってるお。今良い所なんだお」

映画の中では男が綺麗な女性のふとももに齧りついていた。
キメ細やかな皮膚を剥ぎ、噴き出す血を残さず吸い取り、
その肉を食していく。
女性の顔は恍惚としていた。

ξ゚⊿゚)ξ「うっ……気持ち悪い……」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 14:23:52.73 ID:F0ChusBY0
ジュースを手に取り、思いっきり吸い込む。
さっぱりとした炭酸が喉を潤してくれるのを期待したが、
私が思い描く味とは程遠かった。
これも、血だ。

ξ゚⊿゚)ξ「うっ……げほっ……」

口の中が、鉄の味で満たされる。
血を見るのには慣れていても、飲む事には慣れていない。
前の座席が汚れるのも気にせずに吐き出してしまう。

ξ゚⊿゚)ξ「ブ、ブーン……何か変だよ……もう出よう?」
( ^ω^)「ツンどうしたお。もうすぐクライマックスだお」

ブーンが生肉らしきものをポップコーンの袋から取り出しているのが、
スクリーンからの明かりで私の目に映る。
肉を食べるブーンの顔に映画の主人公の顔がダブって見えた。

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 14:33:36.44 ID:F0ChusBY0
( ^ω^)「ツン……」
ξ゚⊿゚)ξ「ひっ……来ないで……」

ブーンが私の頬に血で濡れた手を添える。
そしてそのまま自分の方へ引き寄せようとした。

( ^ω^)「ツン……好きだお……」

私はイヤイヤと首を横に振り、ブーンを拒む。
けれど体に力が入らず、逃げる事が出来ない。

ブーンの顔が近づいてくる。
これはキスする時の顔だ。
映画の途中で恋人とキスをする、
そんな少女チックな場面を期待していたのは確かだ。
なのに怖くて仕方なかった。
怖い、怖いよブーン……

( ^ω^)「泣いた顔も可愛いお。
     ツンがそんなに嫌ならもう出るお」
ξ゚⊿゚)ξ「え……? ホント……?」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 14:40:25.95 ID:F0ChusBY0
( ^ω^)「ホントだお。
      でもその前にツンのお肉を食べさせてくれお」
ξ゚⊿゚)ξ「ブ、ブーン……!」

ブーンの口が大きく開き、私の首筋にガブリと噛み付いてきた。
何かブーンって吸血鬼みたいだ、
と私はノンキに考えながらブーンにされるがままだった。

( ^ω^)「ツンとデートできて嬉しいお。
     こんな美味しい思いは久し振りだお。
     ありがとうお」

ブーンが私の血を飲み干していく。
だんだんと意識が薄れていく。
きっと私はこの後ブーンに食べられてしまうんだ。

でもブーンならいいか。
私はブーンの事が好きだから。

ニッコリと笑いかけ、私はブーンにキスをした。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 14:50:22.58 ID:F0ChusBY0
???「……ン……ツ……ツン……」
ξ゚⊿゚)ξ「え? あ、え?? あれ?」
( ^ω^)「ツン、起きたかお。もう映画は終わっちゃったお」

キョロキョロと辺りを見回す。
暗かった館内も今は明るく照明が入れられている。

( ^ω^)「寝ちゃうなんてツン、もったいなかったお」
ξ゚⊿゚)ξ「え、あー寝ちゃってたのか……」
( ^ω^)「これじゃあ映画の感想言い合えないお……」
ξ゚⊿゚)ξ「ゴメンね……」

夢、か。
良かった……
食べられちゃうところだった……

( ^ω^)「いいおいいお。帰るお、ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「う、うん」

ブーンの手に引かれ席を立つ。
あ、でもキスも夢って事になるのか。
ちょっと残念かも……

( ^ω^)「次回はちゃんと食べさせてくれお」
ξ゚⊿゚)ξ「え……?」

 終 わ り

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 14:50:50.37 ID:1QeKdd0w0
これはHappyendなのか…?

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 14:54:47.74 ID:F0ChusBY0
サイコホラーってあんまり分からない~……
ただグロいだけになってしまいました。

('A`)が主人公か…
一応スレタイに絡ませたいので、ちょっと考えますね。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 15:09:34.45 ID:F0ChusBY0
ξ゚⊿゚)ξ「こんにちは、ツンです」

台風が猛威を振るっている暇な日曜日、
カーチャンが見知らぬ女の子を家に連れてきた。

J( 'ー`)し「それじゃあドクちゃん、ヨロシクね」

ヨロシクって何だよ。
何にも聞いてないんですけど……
と、kwsk聞こうとする前にカーチャンは家を出て行ってしまった。

ξ゚⊿゚)ξ「いってらっしゃい」

女の子が少女らしい明るい声でカーチャンを見送る。
つまり、今この家には俺とこの女の子の二人っきり、だ。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

小学生、かな?

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 15:18:12.62 ID:F0ChusBY0
('A`)「こ、こんにちは。名前、何だっけ?」

普段あまり女と話したりしない俺は、
相手が少女と分かっていても何故か緊張してしまう。
仕方ないだろ? 俺はモテないんだからさ。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

少女がこちらに振り向く。
綺麗にカールした髪が美しく跳ねる。
顔は少しキツめだが、将来必ず美人になるだろうと分かる。
少女の澄んだ目が俺の心を見抜いているような気がして少しドキッとした。

ξ゚⊿゚)ξ「あのさぁ……」
('A`)「え? あ、なに…?」
ξ゚⊿゚)ξ「さっき名前言ったよね?
      それに普通そっちから名乗るものじゃない?」
('A`)「そういうモンなの?」
ξ゚⊿゚)ξ「ふぅ……これだから……」

あれ?
さっきと雰囲気が違うな……

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 15:24:26.18 ID:F0ChusBY0
('A`)「俺はドクオ」
ξ゚⊿゚)ξ「私はツンよ。そんな事より女の子に立ち話させる訳?」
('A`)「あ、あぁ……じゃあリビングに――」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたの部屋、上?」

ツン、と名乗った少女は俺の返事も聞かずに階段を上っていった。
短いスカートからスラリと伸びる足。
そしてその奥の……
いやいや、ダメだぞドクオ。
さすがにそれは犯罪だ。

ξ゚⊿゚)ξ「飲み物ちょうだいね」

……分かりましたよ、お嬢さん。
いったい何なんだ……
これなんてエロゲ?
思わずそう言いたくなってしまった。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 15:31:53.77 ID:F0ChusBY0
冷蔵庫の麦茶をコップに汲み、二階へと上がる。
ツンは何故俺の部屋が分かったんだろう?
あ、電気つけっぱなしだったか。

('A`)「持ってきたぞー…って! ヤベッ!」
ξ゚⊿゚)ξ「……」

ツンは椅子に座り、PCを操作していた。
PC上ではさっきまでやってたエロゲが起動されている。
しかも、モロあのシーン。
こんなもの見せたってカーチャンにバレたらヤバいぞ!!

('A`)「ほ、ほら、お茶持って来たからさ! 飲めよ!」

慌ててウィンドウを閉じようとしたが、ツンはマウスを放してくれなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「これ何てエロゲ?」

は?

ξ゚⊿゚)ξ「男ってこういうの好きだよね~馬鹿みたい」

そう言ってツンはテキストを読み進める。
声優さんの艶かしい声がスピーカーから流れる。
勘弁してくれよ……
少女とエロゲとかテラシュールwwwwwwwww
みたいなノリは好きじゃないんだぜ。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 15:42:35.37 ID:F0ChusBY0
ξ゚⊿゚)ξ「何で麦茶なの! お客様なんだから紅茶くらい出しなさいよね!」
('A`)「こ、紅茶? そんなのウチにあったかな……
   リプトンとか……?」
ξ゚⊿゚)ξ「話にならないわ。もういい」

心底呆れたという風にツンは大げさなアピールをしてPCの前から退いた。
さっとマウスを取り、エロゲを閉じる。
口止めしとかないとな……

ξ゚⊿゚)ξ「安心しなさい。別に誰にも言わないから」

ビクッと体が反応する。
何で考えてる事が分かるんだ…?
エスパー魔美か?

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとアンタさー、さっきから挙動不審過ぎ。
      絶対モテないでしょ?」
('A`)「う、うるせぇなぁ……」

しかも名前で呼んでくれないし。
あ~もうイヤになってきた。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 15:44:46.65 ID:SwabsQGUO
エスパー魔美とかwww

107 名前:10分くらいかかるようです :2007/07/15(日) 15:51:38.03 ID:F0ChusBY0
('A`)「な、なぁ。何でウチに来たんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなのどうでもいいじゃない。
      アンタは今日一日私の相手をすればいいって訳。
      ね、簡単でしょ?」

ツンがニヤリと笑う。
ちょっと小悪魔チックな感じがツンに似合ってるな、と思った。
こういうのって狙ってやってるのかな?

('A`)「そうは言ってもなぁ……何すればいいんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「何かゲームないの?」
('A`)「プレステか? 格ゲーとか音ゲーとか出来る?」
ξ゚⊿゚)ξ「何それ? もっと私が出来るようなヤツ無いの?」

俺が持ってるゲームを挙げてみたが、ツンが出来るようなヤツは一つも無かった。

ξ゚⊿゚)ξ「しょうがないわねぇ~お金あげるから買って来てよ」
('A`)「は?」
ξ゚⊿゚)ξ「ぷよぷよね。はい、これ」
('A`)「ぷよぷよかよ……ってか金はいいから」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。早くね。あ、後コンビニでデザート買って来て」

ってかワガママ言い過ぎだろ……
一応服を着替えたのだが、案の定ダサいと言われてしまった。
どうせ(ry

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 16:02:35.07 ID:F0ChusBY0
早くね、と言われたのでチャリを飛ばしてぷよぷよを買いに行った。
そして帰りにファミマに寄ってデザートを。
何が良かったのか聞いてくれば良かった……
気に入らないのを選んだらまた文句言われそうだな。
とりあえず新商品が出ていたので買っておく。
不味くても俺は知らんぷりだ。

ξ゚⊿゚)ξ「遅い」
('A`)「はいはい、すいませんね……」

だんだんとツンへの接し方がおざなりになってきてる気がする。
が、嫌うなら嫌えばいいさ。
嫌われるのは慣れてる。

ξ゚⊿゚)ξ「クーさん、突然のお手紙お許し下さい。
      居ても経ってもいられなくて、僕の気持ちをここに書き記す――」
('A`)「ちょ! 何勝手に読んでんだよ!」

クーに宛てたラブレター、結局出せなかったヤツだ。
俺が出てる間に見つけたのだろう。

ξ゚⊿゚)ξ「ふふ、僕はずっと前からあなたの事が気になっていました」
('A`)「おい! やめろって!!」
ξ゚⊿゚)ξ「キャッ!!」
('A`)「あっ……」

気恥ずかしさから思いっきり力を込めて取り返してしまった。
その際にツンを突き飛ばすような形になった。
ツンはベッドに投げ出される。

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 16:09:06.15 ID:F0ChusBY0
('A`)「わ…わりぃ……大丈夫…か?」
ξ゚⊿゚)ξ「……」

ツンは答えない。
顔を伏せたままの姿勢で動かない。

('A`)「ゴ…ゴメン! どっか痛いか?」
ξ゚⊿゚)ξ「女の子突き飛ばすなんてサイテー……」

言葉上では先程と変わらなかったが、その声は確かに震えていた。
泣いてる……?
ツンの肩が時折ピクンと跳ねた。

('A`)「悪かったって……ゴメン。何でもするからさ。
   あの手紙読んだっていいからさ……
   泣かないでくれよ……」
ξ゚⊿゚)ξ「……ホントに?」
('A`)「あ、あぁ……ホントさ」
ξ゚⊿゚)ξ「ふふ」

ツンが顔を上げた瞬間に分かった。
嘘泣きだ。

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ買い物に行きましょ」

と、またあの小悪魔スマイルで俺にワガママを言うのだった。
でも逆らえない俺って……トホホ。

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 16:16:48.18 ID:F0ChusBY0
駅前で貯金を下ろし、少し大きなショッピングモールへとたどり着いた。
子供用の服を売っている店が何件かあるだろうと踏んで来たが、正解だったな。
けどやっぱり女性服の店に入るのは少し、というかかなりイヤだ。

ξ゚⊿゚)ξ「あ、これカワイー♪」

ツンは少しはしゃぎながらあれこれと手にとっていく。
その後ろを情けなくついていく俺。
店員さんに怪しまれないだろうか……

ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ、これどう思う?」
('A`)「え? あ、あぁ、いいんじゃないか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうじゃないって……」
('A`)「え? 何?」
ξ゚⊿゚)ξ「これが私に似合うかどうか聞いてるの!
      服が可愛いのは分かってるんだから!」

何故か怒られてしまった。
そんなの分かる訳ないだろう?
ツンだって俺がセンスないのもう知ってるくせに……
けど、そうは抗議できない悲しさよ。

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと試着してみよ~っと。
      あ、それとこれ、持って来てね」

えぇ~? 俺が~?
もう帰りたい……
ってか金足りるのかな……

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 16:25:45.22 ID:F0ChusBY0
ξ゚⊿゚)ξ「どう?」
('A`)「……」

似合ってる……
ツンの細い体には何を着ても似合うだろうと思うが、
これはツンの為に作られたんじゃないかってくらいに、似合う。

('A`)「に、似合うよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ふ~ん、アンタこういうのが好きなんだ?
      でもこっちも試してみよっかな」

俺が見ているにも関わらず脱ぎだすツン。
慌てて頭を引っ込ませる。
思わず赤面してしまった。
何やってんだ俺……相手は子供だぞ……

ξ゚⊿゚)ξ「いいよ~」
('A`)「ちょ! 下着……!!」

試着室のカーテンに頭だけを突っ込んでいる姿は想像しなくても間抜けだろう。
その上何だかんだと悶えていたのだから、きっと店員にはマークされたと思う。
もう絶対この店には来れないな。
まぁ来る機会もないだろうけど……

結局俺はこの後一時間もツンの試着につき合わされ、
彼女の気に入った服を購入してやった。
金は尽きた。

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 16:34:39.98 ID:F0ChusBY0
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ~面白かった~」
('A`)「それは良かったですね……えぇ……」

身も心も懐も真っ白に燃え尽きた俺は机にガックリとうなだれた。
ツンはよほど気に入ったのか、鼻歌を歌いながら買った服をチェックしていた。

('A`)「もうすぐ五時だな」
ξ゚⊿゚)ξ「え? もう?!」

ツンがすっとんきょうな声をあげる。
少し寂しそうな表情なのは気のせいだろうか。

('A`)「何時に帰るんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「五時……」
('A`)「そうか、やっとお別れできるな。
   ツンもせいせいするだろ?」
ξ゚⊿゚)ξ「……」

皮肉交じりに聞いてみたが、ツンは返事をしなかった。
何だよ、何の沈黙だよ。

ξ゚⊿゚)ξ「アンタってさぁ」

名前で呼んでくれないし……

ξ゚⊿゚)ξ「何でも言う事聞くのね」

仕方ねぇだろ、カーチャンに頼まれたんだからさ。

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 16:44:11.75 ID:F0ChusBY0
ξ゚⊿゚)ξ「私の事ワガママだとか思わないの?」
('A`)「ん、そうだな。ワガママ、だな」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ何で?」
('A`)「何でって言われても……」

いくらなんでも『頼まれたから』とは言えないな。
それくらいは分かる。

ξ゚⊿゚)ξ「ね、私の事、好き?」
('A`)「え…?」
ξ゚⊿゚)ξ「……」

ツンが真剣な目で俺の事を見てくる。
少し潤んだその瞳は、小学生とは思えない程に大人びていた。

ξ゚⊿゚)ξ「私の親、離婚するんだって」
('A`)「え…?」
ξ゚⊿゚)ξ「何でって聞いたら大人の事情だってさ。
      私、そんなの分かんないよ、子供だもん」

子供、か……
俺からしれみればそうは思えないけど。

ξ゚⊿゚)ξ「でも私お母さん好きじゃないからいいんだ。
      お前はワガママだって私の事、ぶつの」
('A`)「……」

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 16:54:30.67 ID:F0ChusBY0
ξ゚⊿゚)ξ「だからこれからはワガママ言い放題なの。
      だから私、悲しくないよ」
('A`)「……」

ツンが笑う。
可愛い笑顔の奥には、きっと泣き顔が隠れているんだろう。
俺は苦しくなって、思わずツンの頭を撫でていた。

ξ゚⊿゚)ξ「やめてよ、もう子供じゃないんだから……」

子供だとか、子供じゃないとか、忙しいヤツだなw
でも俺はやめたげない。
俺がツンに出来る最初で最後のワガママだ。

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ツンが俺に抱き着いてくる。
今度はホントに泣いてるけど、泣き声は聞こえない。
でも俺もツンの泣き顔は見たくない。
あの笑顔だけ見ていたいから、ツンを強く抱き返した。

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ……苦しいよ……」
('A`)「あ、ごめ……」

と、ツンを少し引き離して下を向くと、
ツンが背伸びをして顔を近づけて来た。
え……? これって、キス?

133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 17:05:51.06 ID:OYm63zeSO
頼む
頼むからトリつけてくれ
>>1の作品を追いかけたい

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 17:10:44.23 ID:F0ChusBY0
あのキスが本当なのかどうか、
そしてそこにどんな意味が込められているのか。
それを確かめる前にツンとの別れの時間が来てしまった。

ξ゚⊿゚)ξ「バイバイ」

ツンは小さな手を二回ほど振って俺に別れを告げた。
俺は何も言えずにツンの後ろ姿を見続ける事しか出来なかった。

思い返せばぷよぷよも出来なかった。
デザートの感想も聞けなかった。
そして彼女に何も良い言葉をかけてあげられなかった。
出来ない事尽くしの一日だったかもしれない。

ただそれでも彼女が一緒に買いに行った服を着て、
たまに俺の事を思い出したりしてくれれば……
なんてまた自分勝手な事を思ってみたりした。

結局俺に残ったのはたくさんの後悔と、抱きしめた時の彼女の甘い香りだけだった。


ξ゚⊿゚)ξツンが一日お預けなようです

 終 わ り 

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 17:13:33.38 ID:xzNb0NGxO
次のジャンルはスピリチュアル・カウンセラー

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 17:14:52.40 ID:FJ+gpGZuO
や やべぇ…
ほんとにやべぇ

過去作品とかないの?

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 17:17:52.26 ID:FJ+gpGZuO
なんか こう… 含みのある終わりかたっていいよな…
複雑な心理状況が… お前すげーよ…

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 17:18:58.66 ID:3w5s+dRX0
おしまい?
お題2回も出す形になってスマンかった




http://boonpict.run.buttobi.net/cgi-bin/up/src/boonpic_0732.jpg

152 名前: ◆ODmtHj3GLQ :2007/07/15(日) 17:25:42.38 ID:F0ChusBY0
たくさんの支援ありがとうございますξ゚⊿゚)ξ

上手く終われたかなぁ…
やっぱり締めの言葉は良い言葉にしたいと思いますね。

>>133
いつも使ってるトリを一応つけておきます。

>>137
スピリチュアル・カウンセラーってどんなジャンルですかwww

>>142
ブーン系では過去作品ないですね…
いつか書きたいと思います。

>>147
素敵な絵をありがとう!! これは嬉しいw( ^ω^)


正直そこまでイイ!と言ってくれると思ってませんでしたwありがとうございますw
とりあえず風呂に入ってきます。

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 18:16:12.24 ID:t11F0C560
スピリチュアル・カウンセラー
('A`)と川 ゚ -゚)

でちょっと書くか

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 18:27:18.19 ID:SwabsQGUO
('A`)が半年病になるようです

168 名前:IDが変わってしまったようです :2007/07/15(日) 18:29:21.61 ID:t11F0C560
('A`)「……ん?」

目が覚めた。
と思ったら自分のベッドの上じゃなかった。
本棚が雑然と置かれた大きな部屋。
天井は真っ白に塗られ、どれくらいの高さがあるのか分からない。
本棚よりも高い事は確かだが……

???「あ、起きたんだ?」
('A`)「だ、誰だ?!」

キョロキョロしていると後ろから声を掛けられる。
振り返るとそこには巻き髪ツインテールの女がいた。
これまた真っ白な服。
何の飾り付けもない、ただ身に纏うだけの服。

ξ゚⊿゚)ξ「やぁ、ようこそスピリチュアル・カウンセラーへ。
      まずは落ち着いて椅子に腰掛けて欲しい」
('A`)「は?」

やべ…電波か? 電波ちゃんなのか??

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 18:41:49.76 ID:t11F0C560
ξ゚⊿゚)ξ「私はお預けのツン。
      べ、別にツンデレって訳じゃないから安心しなさいよねっ!」
('A`)「は、はぁ……」

ツンと名乗った彼女が椅子を差し出してくる。
こんな本棚に囲まれたところで座るのは何だか落ち着かない。

('A`)「で、ここは何なんです?」
ξ゚⊿゚)ξ「その前に私に聞きたい事はないの?
      スリーサイズだとか、好きなタイプだとか」
('A`)「え? じゃあえぇっと……体重は?」
ξ゚⊿゚)ξ「45キロよ」

こいつ、デキる……!
何の恥ずかしげも無く言いやがった。

ξ゚⊿゚)ξ「ここは夢でも現実でもない。
      アンタの心の中、って言えば分かってもらえるかしら」

全然分かりません。




すまない、飯行ってくる。

>>164kwsk
もし似てるのがあったなら謝ります
まぁでもオリジナルにするのは結構辛いから
どこかで影響受けてるかも

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 19:12:31.71 ID:t11F0C560
ξ゚⊿゚)ξ「まぁ細かい事言ってもどうせあんたには関係ないからいいか。
      で、ここは記憶・思い出を預ける場所よ。
      たいていの人は嫌な記憶を預けて帰っていくわね。
      あんたもそうなんでしょ?」
('A`)「……」

ドキリとする。
嫌な記憶、忘れたい思い出が俺にはある。
でもそれを記憶を預けるって、どういう事だ?

ξ゚⊿゚)ξ「ここにある本棚に収められているのは全部人々の記憶よ。
      まぁ読んだって他人には面白くも何ともないものばかりだけど」

試しに本を一つ取り出してページをめくってみる。
記憶、というから映像か何かだと思っていたらただの文章だった。
読む気も起きない。

ξ゚⊿゚)ξ「ここに預けた記憶はその人の中からすっぽりと抜け落ちる。
      だからここの本を取りに来る人なんていない。
      溜まる一方で掃除が大変なの」

確かにこの量は大変だろうな……
でもほこりなんか一つもないけど、全部彼女がやってるんだろうか。

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 19:23:11.74 ID:t11F0C560
('A`)「でもそんなようなヤツ、何かであったような……」
ξ゚⊿゚)ξ「マ○ンドアサシンでしょ。
      あれは消した記憶を思い出す可能性が多分にあったけど、
      ここで預けた記憶は絶対に思い出さないから気をつけて。
      あと、かずいは俺の嫁」
('A`)「いや、攻殻機○隊で……」
ξ゚⊿゚)ξ「そっちは知らないわね。パクリ乙とでも?」
('A`)「いや、俺が言いたいのはバトーは俺の嫁って事だけだ」

そう、と彼女は興味無さげにつぶやいた。
何で俺はこんな会話してるんだ……

ξ゚⊿゚)ξ「で? あんたは何を置いてくの?」
('A`)「……それを話せってか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。それを聞くのがお預けである私の役目」
('A`)「ふ~ん」

一息置き、何から話そうか考えた。

ξ゚⊿゚)ξ「ゆっくりでいいわよ」
('A`)「そうだな……じゃあ――」

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 19:35:03.61 ID:t11F0C560
俺がクーと出会ったのは、台風が猛威を振るった次の日。
台風一過で空は青々と澄んでいたけど、
風はまだ強くて川も増水していて危険だった。

川 ゚ -゚)「……」

なのに彼女は川べりに座って、どこか必死に濁った川を見つめていたんだ。

('A`)「おいアンタ、そんなとこで足滑らせたら流されちまうぜ」

いつもは他人と関わるのもマンドクセぇが、その日は何故か声を掛けちまった。
もちろん彼女が綺麗でちょっとだけ下心があったのは言うまでもない。

川 ゚ -゚)「……」
('A`)「……おい、どうした? 聞こえないのか?」

近くに寄ってみて分かったが、彼女は川を見ているだけじゃなくて、
紙に何かを一心不乱に書いていた。
絵、か。
しかし一心不乱過ぎて俺の声も聞こえないみたいだった。

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 19:50:02.20 ID:t11F0C560
('A`)「……」
川 ゚ -゚)「……」

彼女に声を掛けるのを諦め、彼女の隣に座ってみる。
何を描いているんだろうとキャンパスを覗いてみると、
そこから見える風景をそのまま写し取っているようだった。

鉛筆画で、色の濃淡を上手く使っていて素人目にも凄いと思えたが、
この風景が写生するのに適しているとは到底思えなかった。

川 ゚ -゚)「よし、出来た」
('A`)「完成か?」
川 ゚ -゚)「あぁ、なかなか満足のいく出来だよ」
('A`)「そうか、それはオメデトウ」
川 ゚ -゚)「ありがとう」

初対面でする会話じゃないだろ…常識的に考えて……

川 ゚ -゚)「ところで君は誰だ?」
('A`)「やっと気付いてくれたのか。
   俺はこんなところにいたら危ないぞって注意しに来たんだ。
   土もぬかるんでるしな」
川 ゚ -゚)「そうだったのか、それはすまない」

彼女はちっとも表情を変えずに謝った。
感情の起伏が少ないんだ、というのが言葉を交わしての第一印象だった。

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 20:03:09.41 ID:t11F0C560
川 ゚ -゚)「私はクーという」
('A`)「俺はドクオ。クーさんは美術部か?」
川 ゚ -゚)「クーでいいさ。私は部活はやっていないよ。
     ドクオ君は何かやってるのか?」
('A`)「あ、俺も呼び捨てでいいよ。あと、俺も帰宅部」

でも部活をやってないなんて意外だった。
これだけ絵が上手ければ入賞も狙えるんじゃないかと思ったからだ。
しかも彼女自身、とても絵が好きな様子だったから。

川 ゚ -゚)「いやな、私はあまり評価されないものばかり描いてるからな。
     一人なら好きにやれるしな」

評価されないなんて嘘だと思った。
少なくとも俺にとっては尊敬に値すると思う。
素直に思った事を伝えると、彼女はこう言った。

川 ゚ -゚)「絵画は美術とも言うだろう?
     私にはそれが美しいものだけを対象にしている気がしてならないんだ。
     だから私は汚いものしか描かない。
     まぁひねくれ者だなw」

そう自分を卑下した彼女は確かに変わり者なのかもしれない。
けど口角を微かに上げて笑った顔は、とても彼女らしいと思った。

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 20:11:12.79 ID:t11F0C560
('A`)「変だろ? 会ったばっかりでクーの事なんて何も知らないのにさ」
ξ゚⊿゚)ξ「そうかしら? それが等身大の彼女だったんじゃないの?」
('A`)「ん~まぁそうかもしれないな。……続けるわ」

汚いものしか描かないと言ったクー。
俺はそんな彼女にある提案をした。

('A`)「なぁ、一つ、いいか?」
川 ゚ -゚)「じゃあ一つだけな」
('A`)「俺の事、描いてくれないか?」
川 ゚ -゚)「……ん?」
('A`)「俺はさ、外見も良くなけりゃ中身も汚いヤツなんだ。
   だからクーに俺を描いて欲しい。
   君が描く俺はどれだけ汚くなるのか、知りたい」
川 ゚ -゚)「……」
('A`)「だ、ダメか?」
川 ゚ -゚)「ククク……君は面白いヤツだな」
('A`)「そ、そうか……?」
川 ゚ -゚)「よし分かった。悪魔のように醜く描いてやろう」
('A`)「悪魔って……それは酷くね?」

ハハハと互いに笑い合った。
それがクーとの出会い。

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 20:24:20.34 ID:t11F0C560
ξ゚⊿゚)ξ「へぇ~あんたもなかなかに言うのね」
('A`)「いや、あの時は俺もちょっとな、色々あったんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「いろいろ、ね」
('A`)「ってかイチイチ突っ込むなよ……話しづらいわ」
ξ゚⊿゚)ξ「分かったわよ」

その日から俺は毎日クーの家に寄った。
初めは女の家に行くって事に緊張していたが、
クーの家はどこか殺風景で女の子らしくはなかったので、
すぐに慣れてしまった。
一人暮らしであったのも大きかったと思う。

そして何より、クーはガールフレンドと言うよりは男友達に近かったんだ。
女らしい魅力が無い訳じゃない。
むしろクーはとても女の子だと言う事が後で分かるんだけど、
それに気付く程当時の俺には余裕が無かったのかもしれない。

川 ゚ -゚)「じっとしていてくれよ」
('A`)「あ、あぁ……」

被写体になると自分から言っておいて何だが、
結構大変なものだな。
動いても良いとクーは言ってくれたんだけどな……

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 20:36:01.58 ID:t11F0C560
スッスッと鉛筆の走る音だけが部屋を支配する。
彼女に俺はどう写っているのだろうか。
描き終わるまでが長すぎるくらいに長かった。

川 ゚ -゚)「出来た」
('A`)「ホントか! あ~肩凝ったぜ……」
川 ゚ -゚)「が……」
('A`)「……が?」
川 ゚ -゚)「……気に入らんな。ドクオ、また明日来い」
('A`)「え……?」

そう言ってクーは俺を家から追い出した。
それから何度も何度もクーの家に足を運び描いてもらったが、
一枚として俺に見せてくれる事は無かった。
その内俺は不満を漏らすようになった。

('A`)「なぁ、何で見せてくれないんだ?
   何が気に食わないんだよ」
川 ゚ -゚)「ん…? まぁドクオに言っても分からんよ」
('A`)「またそんな事を言いやがって……
   どうせ被写体が悪いから出来も悪いんだろ」
川 ゚ -゚)「そんな事はない。
     このクーの前に出来の悪い被写体などありはしないさ」
('A`)「けどなぁ……」
川 ゚ -゚)「男がガタガタ言うんじゃない。これで我慢しろ」
('A`)「ちょ、おま――」

クーはやっぱり無表情のまま、俺にキスをした。
彼女の唇は柔らかかった。

209 名前:もうすぐ終わらせる予定 :2007/07/15(日) 20:51:23.29 ID:t11F0C560
それからクーは絵を描く前後に1回ずつ俺にキスをした。
女の家に入る事には慣れてもキスにはとても慣れる事はできないと思った。

川 ゚ -゚)「ふふ、では始めるぞ」

でも無表情のクーにとってはキスなんか挨拶代わりなんだとも思っていた。

('A`)「お、おぉ」

そして無言の時間が過ぎる。
何か気の利いた事でも喋れば良かったのだが、
その頃の俺はクーの事を意識し始めていた。

川 ゚ -゚)「……」

黒く光るロングヘアーに似合うだけの長身を備えたクー。
ぷっくりとしたその唇でキスをしてくれるのだと思うと、
心臓は嫌でもドキドキと鳴った。
視線を下に落とすと大きな胸が目に入る。
クーに言えば簡単に触らせてくれるかもしれないが、
そういう事を言う勇気はまだ無かった。

何より絵を見せてくれないのが俺の中では大きかった。
彼女の描いた絵を見る事ができたら、
彼女の俺に対する気持ちも分かるかもしれない。
そう思っていたから。

でも絵が完成してもうキスしてくれなくなるかと思うと、
今の状態がずっと続けばいいな、とも願ってしまう俺もいた。

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 21:01:18.85 ID:t11F0C560
そうこうしている内に夏休みになった。
とても暑い日だった。

川 ゚ -゚)「なぁドクオ」
('A`)「あぁ?」
川 ゚ -゚)「プールに泳ぎに行かないか?」
('A`)「また急だな……」
川 ゚ -゚)「いや、暑いからな」
('A`)「まぁいいけど」
川 ゚ -゚)「よし、じゃあ行こう」

水着を手に市民プールへ。
プールサイドに立つ彼女の水着姿は、悩殺という言葉が一番似合っているだろう。
制服の上からでもその大きさが分かるくらいだからな。
あれは一種の凶器だった。
それでいて余分なところは一つもなく、完璧だった。

川 ゚ -゚)「どうしたドクオ。行くぞ」
('A`)「あ、あぁ……」

俺は始終上の空だった。

('A`)「あ、水着姿は忘れたくないから、今のは書き加えなくていいよ」
ξ゚⊿゚)ξ「……エロイな」

221 名前:エロなしか… :2007/07/15(日) 21:08:13.01 ID:t11F0C560
プールにゲーセンにカラオケに。
ショッピングもしたし、食事もしたし、映画を見たりもした。
この町で出来る事はやり尽くしたと言えるくらいに俺達は夏休みを満喫した。
その間、絵は一枚も描かなかった。
その事をクーに問うと、

川 ゚ -゚)「まぁいいじゃないか。夏休みだし」

とのん気に答えた。
でも俺もそれで良かった。
クーと一緒に居れれば俺も何でも良かった。

そして夏休みも終わりに差し掛かる。
久し振りにクーの自宅で過ごす事になった俺達。
けれどその日のクーはいつにも増して無口だった。

('A`)「何を考え込んでんだ?」
川 ゚ -゚)「ん、いやな……」
('A`)「何だよ」
川 ゚ -゚)「……」

それっきり喋らない、というやり取りが何回か続いた。

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 21:15:56.13 ID:t11F0C560
('A`)「俺、帰るわ……」

いつもと違う雰囲気に耐えかねて俺はそう告げる。
するとクーはいきなり俺を後ろから抱きしめた。

('A`)「え? おい、どうしたんだよ?」

今でも可笑しいと思うけれど、
キスはされてたけど抱きしめられた事はない、という二人の関係だった。
だから俺は恥ずかしくて少し暴れたが、クーからは逃れられなかった。

川 ゚ -゚)「か、帰らないでくれ……」
('A`)「……え?」
川 ゚ -゚)「一緒に、いたい……ぞ」
('A`)「……」
川 ゚ -゚)「……ダメ、か?」

その時のクーはとてつもない破壊力で俺の理性を打ち砕いた。
それまで抑えていた心の中の思いを全てクーにぶつけていた。
クーも俺の全てを受け止めてくれた。
幸せだった。

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 21:24:47.57 ID:t11F0C560
ξ゚⊿゚)ξ「何だ、全然良い話じゃない。
      何で忘れたいのよ」
('A`)「だから~話の腰を折るなって言ってるだろ……
   まだ終わりじゃないの」
ξ゚⊿゚)ξ「それよりその夜の事をもっとkwsk教えなさいよぉ!
      クーの体、どうだったの? ん?」
('A`)「……その後一週間、クーと連絡が取れなくなった。
   ようやく連絡が来たと思ったら、大学病院からだったんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「無視された……鬱だ……」

俺は残暑の残る中、病院へチャリで急いだ。
汗が飛び散るのも構わずクーの病室へと駆け込んだ。

川 ゚ -゚)「ドクオ、すまない」
('A`)「すまない、じゃねぇよ……何なんだよ……」

彼女の腕にはお決まりのように点滴が刺さっていて、
彼女自身も何だかやつれたようだった。
それでも俺を見るその表情だけはいつもと変わらなかった。

('A`)「病気、か?」
川 ゚ -゚)「……」

クーが珍しく視線を逸らした。
いつも真っ直ぐに俺を見ていたあのクーが、だ。

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 21:32:35.44 ID:t11F0C560
川 ゚ -゚)「ドクオ、これを」
('A`)「……」

クーが備え付けのテーブルからスケッチブックを取り出した。
中はきっと俺の絵が入ってるに違いない。
見るまでもなく分かってしまう。
けれど、それをとうとう俺に見せる事の意味は分からなかった。
推測は付いたけれど、分かりたくはなかった。

('A`)「今さら、何だよ……」
川 ゚ -゚)「今しか、ないかもしれないんだ」
('A`)「嫌だ! クー! 俺は見たくないよ!
   汚れた自分、なんてもう俺にはどうだっていんんだ!
   クー! 俺は君が好きなんだよ!!
   だから、だから……」
川 ゚ -゚)「ありがとうドクオ。私も君の事が好きだ」

初めてだった。
言葉で互いの気持ちを確かめ合うのは。
でも、どうしてこんなにも悲しいのだろうか。

川 ゚ -゚)「ドクオ。
     私が汚いものしか描かない理由、知ってるか?」

235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 21:43:13.68 ID:t11F0C560
('A`)「……美術が何たらってヤツだろ」

こんな時に何だと思う。
もっと他に聞きたい事は山ほどあるのに。
でもクーは続けた。

川 ゚ -゚)「それもある。けどもう一つある」
('A`)「もう一つ……?」
川 ゚ -゚)「汚いものを進んで描くようにすれば、
     美しいものはもっと美しく私の目に映るだろうと思ったんだ。
     少し斜に構えて物事を見てしまう私には、
     この世の全てが汚く見えてしまうんだ。
     だから私は、ホントは美しいものを探していたんだと思う」

川 ゚ -゚)「そしてとうとう見つけたんだ、私の美しいものを。
     それがそのスケッチブックの中に詰まっている」

俺は、泣いていた。

川 ゚ -゚)「私は君の絵を描いて欲しいという願いを叶えた。
     だから君にも私の願いを聞いてもらおう。
     その絵を見て欲しい。
     いいか、帰ってからだぞ?
     全部見た後、どうするかは君に任せるよ。
     泣くなよ、私も泣きたくなるだろ」

それが俺の見た最後のクーの笑顔さ。

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 21:52:57.12 ID:t11F0C560
ξ゚⊿゚)ξ「それで、スケッチブックは見たの?」
('A`)「あぁ、もちろん見たよ。
   中には予想通り俺の絵が全部納められてた」
ξ゚⊿゚)ξ「汚かったの? 醜かったの?」
('A`)「いや、まるで自分じゃないかのように……上手く描けてたよ」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。それでお話は終わり?」
('A`)「……」

スケッチブックの最後のページは、俺宛の手紙になっていた。

川 ゚ -゚)(どうだったかな? 上手く描けてただろう。
     もし気に入ったら一生大事にして欲しい。
     私の残す最後の作品になるかもしれないのだからな。
     ……
     明日、私は手術する。
     そして死ぬだろう。
     でもそうなったとしても君にはこの汚い世界を生き抜いて欲しい。
     そして私の代わりに美しいものを探してくれ。
     ではまた会えたら会おう。
     バイバイ)

('A`)「明日ってのは、もう今日の事さ」

248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 22:07:27.91 ID:t11F0C560
ξ゚⊿゚)ξ「いい話じゃない」
('A`)「そうか? こんな話巷には溢れる程に転がってるじゃねーか」
ξ゚⊿゚)ξ「そういうモンかしら? まぁいいけど。
      で、クーの事を忘れたいって事でいいのね?」
('A`)「あぁ」
ξ゚⊿゚)ξ「でもどうして? 
      そんなにアンタの事を思ってくれた人を忘れちゃっていいの?」

('A`)「俺にとっての美しいものは、クーが美しいと思うかどうかが基準なんだ。
    クーがいたからこの世界も満更じゃないんだって思えた。
    けどクーがいなくなったら、俺は以前の俺に戻っちまう。
    だってそうだろ?
    クーが死んだらどうやって美しいかどうかを判断すりゃあいいんだよ。
    俺だけじゃ、出来ないよ」

ξ゚⊿゚)ξ「は、とんだ言い訳ね」
('A`)「何ぃ?」
ξ゚⊿゚)ξ「何よ、ただ恋人の死を受け入れるのが怖いだけじゃない!
      一人になるのが嫌なだけじゃない!
      そんなの勝手過ぎる……
      彼女の言葉を生きる力に変えて頑張ろうって思わないの?
      それが彼女の美しいものとしてのアンタの役目なんじゃないの?!」

254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 22:14:39.78 ID:t11F0C560
('A`)「俺の……役目……」

ξ゚⊿゚)ξ「だいたい彼女が死んじゃうかどうかもまだ分からないんでしょ?!
      大切な人の死を見届ける事をしようともしないで何が『好き』よ!
      最後になったとしても、その瞬間まで一緒に居てあげなさいよっ!!」

('A`)「お……俺……なんてこったい……」
ξ゚⊿゚)ξ「ようやく分かったようね」
('A`)「……俺、クーに会いに行くよ」
ξ゚⊿゚)ξ「えぇそうね。
      でもその前にクーの事忘れなきゃ帰れないわよ」
('A`)「え?! そんな!!」

ξ゚⊿゚)ξ「アンタが言ったんじゃない、クーの事忘れたいって。
      何かを置いてかないと、帰れないのよ」
('A`)「そんなのってアリかよ! もういいから帰してよ」
ξ゚⊿゚)ξ「逃げたって無駄よ。ほら、じっとしてなさい!!」
('A`)「え? あ、ちょ!! 待っ――アッー!!!!!!!!!」

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 22:18:24.73 ID:Ug03cOBfO
何この外道wwwwwww

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 22:19:32.41 ID:Kon/PGR9O
ツン外道wwww

支援

261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 22:24:04.27 ID:t11F0C560
('A`)「ウヴァー!!!」

はっ! 夢か?!
悪夢を振り払うように頭を左右に振る。
そして携帯を開いて日付と時刻を確認した。

7月16日(月) 7:35

手術の日だ。

('A`)「あ! 行かなきゃ!!」

バタバタと慌てて自室を飛び出す。
スケッチブックさえ忘れなければ後はどうでも良かった。
今は容姿を気にしている場合じゃない。
笑われてもいい。
今は、クーに会いたい。
そして言おう。
ずっと一緒に生きようって。

今日も暑くなりそうだ。

266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 22:34:44.30 ID:t11F0C560
ξ゚⊿゚)ξ「は~あ、あんな長話聞いて結局収められるのはこれだけか~」

空いてる本棚を探し、10ページにも満たない小さな本を保管した。
その中には『ドクオがクーの事を忘れようと思った事を忘れた』と書かれている。

ξ゚⊿゚)ξ「何だかんだで惚気話が大半だったしね~
      あんまり面白くなかったなぁ。
      あとはクーって子が死ななければハッピーエンドなんだけど、
      そこまでは私じゃどうしようもないしね」

すっかり板についてきた独り言を誰に聞かせるでもなくつぶやく。

ξ゚⊿゚)ξ「さーてと、また暇になっちゃったな。
      あ、そうだ!
      ここ殺風景だから、流行のメイド喫茶みたいにしてみようかな?
      服はゴスロリでー、紅茶なんか出してみちゃったり?
      キャー! 面白そう♪」

と言ってる間に、次のお客さんがツンの前に姿を現してきてしまった。

ξ゚⊿゚)ξ「ふぅ、たまには休暇が欲しいわね。
      やぁ、ようこそスピリチュアル・カウンセラーへ。
      まずは落ち着いて椅子に腰掛けて欲しい」


ξ゚⊿゚)ξツンが『お預け』なようです
 終 わ り 

267 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 22:36:40.56 ID:bxyLAJFy0
涙がとまらない・・・
ありがとう、あんたすげーよ

269 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/15(日) 22:40:37.65 ID:Kon/PGR9O
やっぱりあなたは天才だ…

272 名前: ◆ODmtHj3GLQ :2007/07/15(日) 22:44:16.90 ID:t11F0C560
書き\(^o^)/オワタ!!

全然短編じゃないし、書くの遅いし、しかも途中面白くないし……
たくさん支援して頂いたのに申し訳なく思うところもあります。
まだまだ修行が足りないようですね。
精進します。

さて、愚痴はこれくらいにしておいて。

本当にたくさんすぎる支援、ありがとうございました。
まさか一日中書くとはwww
今日の予定丸投げでお送りした『ξ゚⊿゚)ξツンがお預けなようです』はいかがでしたでしょうか。
昼からずっと付き合ってくださった方もいるようで感激しております。

全ての読んでくれた方々へ、サンクス!!
また機会があればお目にかかりましょう。

ξ゚⊿゚)ξ「次はエロも頑張ります」

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