mesimarja
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( ^ω^)は諦め方を知らないようです
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:32:16.30 ID:VFPhI1sB0
 ブーンは幼いころ、神童と呼ばれていた

 スポーツをさせれば負け知らず、絵を書かせれば大人を驚かせた

 彼より優れた者はまだ現れていなかった

J( 'ー`)し「ブーン学校はたのしい?」

( ^ω^)「楽しいですよお母さん」


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:40:35.21 ID:VFPhI1sB0
 当然ながらブーンの小学校での成績は突出したものだった

 クラスでは人気者で、彼の才能を妬むという発想を持つ子供はいなかった

 ブーンは周りの子供たちと競うという事はなかった

 相手になる子供はいなかった

 そうしてブーンは周りの、自分よりは劣った子供たちに興味を無くしつつあった

 しかしそんなブーンにも気になる女の子はいた

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 18:51:01.71 ID:VFPhI1sB0
( ^ω^)「・・・・・」

ξ゚⊿゚)ξ「」

 ブーンは好意を寄せられる事はあっても、自分から誰かに好意を寄せた事はなかった

 彼女の姿を見ながら、他の人より特別な仲になる事を思い描くだけで終わる事が多かった

 でもそのうち、どうにかうまくいくだろうと思っていた



描くだな 誤字多いと思う

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 19:01:41.69 ID:VFPhI1sB0
 高学年に上がる時、ブーンのクラスに転校生が来た

( ゚∀゚)「長岡です!みんなよろしくね!」

('A`)('A`)('A`)~「よろしく」
ξ゚⊿゚)ξ「よろしくね!」

( ^ω^)「よろしくー」

 初め、こいつとは合わないとかいう事を思う事はなかった

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 19:07:25.93 ID:VFPhI1sB0
( ゚∀゚)「好きなスポーツはサッカーです」

( ^ω^)「ほう」

('A`)('A`)('A`)~「オー!サッカーヤロウゼー」

( ^ω^)(まあ僕にはかなわんだろうが)

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 19:17:29.63 ID:VFPhI1sB0
 ブーンは自分より優れたところがある人間なんて実はいないのではないかと思った事があった

 当然、それは勘違いであった

 彼より、優れた人間はいた

( ^ω^)(こいつめちゃくちゃ足が速い・・・!)

( ゚∀゚)「ホッ!」

( ^ω^)(だめだ、抜かれる!)

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 19:27:58.44 ID:VFPhI1sB0
 長岡はあっさりとブーンを抜き去り、子供たちのザルなディフェンスを突破し

 いとも簡単にゴールを決めた

ξ゚⊿゚)ξ「ゴールだぁ!すごーい!」
( ゚Д゚)「すげー!!ブーンに勝ったよあいつ!」
('A`)「ブーンよりすげーな・・・」

 今まで自分に群がっていた連中が、あっという間に長岡に集まっていくのを

 ブーンは戸惑いながら見ていた

( ^ω^)(あ、あいつら・・・というか)

( ^ω^)(僕・・・より・・?)

 ブーンは、自分が初めて負けた事にようやく気がついた

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 19:36:10.84 ID:VFPhI1sB0
 自分に勝る力を持った人間と初めて出会ったとき、ブーンの心には

 好敵手の出現を喜ぶ興奮ではなく、自分を取り巻いていたみんなが離れていくことの

 焦りや不安だけが満ちていた

 さらに、長岡はサッカー以外でも、ブーンを圧倒した

 ブーンは100点を取ることのできる勉強以外で何一つ長岡に勝てなかった

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 19:46:49.84 ID:VFPhI1sB0
ガララ
( ^ω^)「おはよう」

('A`)「おう、おはよ」
ξ゚⊿゚)ξ「」
( ゚Д゚)「・・・よー」

ガララ
( ゚∀゚)「おはよう!」

('A`)「おはよー!」
ξ゚⊿゚)ξ「おはよう!」
( ゚Д゚)「おーっす!!」

( ^ω^)(なんだこれ・・・)

 子供たちは、ブーンに邪険にしているつもりはなかったが、興味が薄れてしまっていた

 みんなブーンに飽きてしまった

 そしていまや、長岡がクラスの人気者になっているのだった

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 19:56:25.14 ID:VFPhI1sB0
 長岡がクラスに馴染んでからしばらく経ったある日

 ブーンは校庭の隅で子犬を見つけた

( ^ω^)(捨てられて迷い込んだのか?)
( ^ω^)(みんなに知らせれば喜ばれるよな・・・!)

 ブーンはみんなに知らせるため、教室へ向かった

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 20:02:13.78 ID:VFPhI1sB0
( ^ω^)「みんな~すごいよっk」
 とまでいいかけたところで、後ろからブーンを追い抜いて、あいつが

( ゚∀゚)「おおおーい!犬だよ犬!子犬!」
( ^ω^)「なっ」

 長岡は大はしゃぎでみんなに呼び掛けた

 長岡の腕の中には、さっき見つけた子犬が丸まっていた

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 20:07:10.70 ID:VFPhI1sB0
エー!ウソー!
( ゚∀゚)ξ゚⊿゚)ξ (U^ω^)クゥーン ('A`)
ミセテミセテー! カワイイー!

( ^ω^)(・・・・・・)

( ^ω^)()

( ^ω^)「そ」

( ^ω^)「その犬は僕が最初に見つけたんだ!!!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 20:49:43.55 ID:VFPhI1sB0
 ブーンは決して考えなしの人間ではなかった、しかし

 我慢を覚える程には成長していなかった

 ブーンは頭の悪い人間ではなかった、だから

 この状況を

 自分が、一番拙い事を言ったという事をすぐに理解した

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 20:58:43.39 ID:VFPhI1sB0
ξ゚⊿゚)ξ「・・・え?」
('A`) 「はぁ?」
( ゚Д゚)「うわ・・・」

 最悪だ


(;゚∀゚)「あ、そうそう、ブーン君が最初に見つけたんだよね、うん」
( ゚∀゚)「それで僕が連れてきたってこと」

 フォローになっているとはいえなかった

 みんなは誰が最初に見つけたかという事より、ブーンがこの場で

 こんな事を言った事を問題にしていたからだ

(  ω )「ごめんごめん冗談だからごめんね」

 それからどうなったかは覚えていない

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 21:07:30.63 ID:VFPhI1sB0
 放課後、長岡に呼び出された

( ^ω^)(・・・・何を話す気だ・・?)

( ^ω^)(調子に乗るなとか言って殴られたりして)

 そのほうが

 
 しばらく待っていると長岡が来た

( ゚∀゚)「やあ」

 そういう事ではないようだ

( ゚∀゚)「今日の、犬の事」
( ゚∀゚)「ごめん、僕が最初に見つけちゃって」

 謝られるかもしれないとは思っていた

 ただ、長岡の謝罪はどこかずれているように思う

 こんな言葉が来るとは想像していなかった

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 21:15:01.02 ID:VFPhI1sB0
( ^ω^)「え・・・いや・・・」

( ゚∀゚)「僕も犬を連れてきてあんな事になるとは思わなくて」

( ゚∀゚)「僕、このクラスに来てまだちょっとしか経ってないけどさ」

( ゚∀゚)「だいたいみんなの事は分ってきてると思うんだ、だから分る気がするんだ」

( ゚∀゚)「もしかしてブーン君」

( ゚∀゚)「君はこのクラスの人気者になりたいのかい?」

( ^ω^)()
( ^ω^)(お前が)
( ^ω^)(来るまでは)
( ^ω^)(僕がッ!!!!!!)

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 21:22:35.48 ID:VFPhI1sB0
( ゚∀゚)「もしそうなら僕も手伝」

ゴッ

 我慢が出来る程には成長していなかった

 考えなしではないはずだった

 それでも、ブーンは長岡が来てからのこのどうしようもない気持ちを

 これ以外に発散させる方法を思いつかなかった

( ゚∀゚)「ううっ ぐっ」

(  ω )「ハーッ ハーッ」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 21:31:41.87 ID:VFPhI1sB0
 まだまだ気持ちは収まらなかった

 渾身の力で2発目を繰り出した

 喧嘩なんてしてこなかったので、加減もわからない

 だが

パチ

 ブーンにとっては殺意が籠った本気の拳もあっさりと止められた

 長岡はブーンより

(;゚∀゚)「待ってよ、なんだよいきなり」

 優れている

(;゚∀゚)「痛てて、なにか悪い事言ったかな?」

(  ω )「・・・・ッ」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 21:43:23.92 ID:VFPhI1sB0
 ブーンは頭が悪いなんてことはない

 自分に原因があるのは分っている

 それでも長岡の態度は許せない

 止められた拳を振り払おうとすると、激しい痛みを拳に感じた

( ゚∀゚)「やめろって ね?」

 長岡はずっと上から僕の事を見ているんじゃないだろうか

 ブーンは長岡に対して初めて恐れを感じた

 引っ込みがつかなくなったブーンと余裕の長岡がしばらく睨み合っていると、

 といっても睨んでいるのはブーンだけだが、その場に誰かが近づいてくる気配を感じた

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 21:50:06.81 ID:VFPhI1sB0
ξ゚⊿゚)ξ「」

 あの子だ

 偶然ここを通りかかったんだろうか

 今この場を見られたら、どう解釈される?

 拙い気が

( ゚∀゚)「おおーツンちゃん、まだいたの?」

 長岡はいつの間にか手を離して彼女の許へ歩いていた

ξ゚⊿゚)ξ「あ、長岡くん!」

ξ゚⊿゚)ξ「長岡くんもまだいたのぉ?いっしょにかえろ!」

( ^ω^)(・・・・そが)

 ブーンはそのまま誰に見つかる事もなく帰宅した

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 22:03:05.71 ID:VFPhI1sB0
 翌日から、ブーンへのみんなの態度は変わっていった

 みんなは、ブーンは自己中心的、目立ちたがり、空気読めない

 という性格、で合意したようだ

 しかし、陰湿なイジメが始まる事はなかった

 それはどうやら、長岡が、そういう事の芽を摘んでいるかららしい

 そうなるとブーンの存在感は一気に薄くなってしまった

 思えば個人的に仲良くなった人なんていなかった

 友好的でもない、攻撃を受けるわけでもない、無視されるわけでもない、空気のような人生が始まった

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 22:09:08.99 ID:VFPhI1sB0
 ブーンがそういう状況に陥って初めて声をかけてきた奴がいた

( ´∀`)「おい」

 ハイエナを思い出した

( ´∀`)「お前散々な目に遭ってんな」

( ^ω^)「・・・ッチ」

( ´∀`)「なんだよ、懲りてねえな?」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 22:15:28.35 ID:VFPhI1sB0
( ´∀`)「だいたい、お前がいけないんだろ、僕が~とかってよ」

( ´∀`)「まあ俺からしたら犬くらいではしゃいでるんじゃまだまだガキだな」

 確かに、今では犬なんてどうでもいい

 みんなだって、今朝にはいなくなっていた犬にさほど気を留めている様子はない

( ´∀`)「でさ」

( ´∀`)「あの犬ほんとにお前が最初に見つけたのか?」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 22:19:12.74 ID:VFPhI1sB0
( ^ω^)「本当だ」

( ´∀`)「俺はうそくせーと思うんだよ、わかんねーのか?」

( ^ω^)「なんなんだよ」

( ^ω^)「犬を見つけて、まっすぐ教室に向かったんだよ」

( ^ω^)「俺が最初のはずなんだ」

 それだけは絶対だ

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 22:25:15.00 ID:VFPhI1sB0
( ´∀`)「だから、長岡は犬を抱えて教室まで来たんだぞ」

( ´∀`)「お前が最初に犬を見つけたとしたら」

( ´∀`)「長岡はお前が教室に向かった直後に犬を抱えて教室に」

 そうだ、あいつは犬を抱えて教室まで来たんだ

 僕は犬を見つけてから教室に来た

 長岡は僕が犬を見つけたのに気づいて、それから犬を抱えて行ったのか?

 それとも

( ^ω^)「あいつ、僕が犬を見つけるところを見てたのか?」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 22:44:27.68 ID:VFPhI1sB0
( ´∀`)「そういうことかもな」

( ^ω^)「じゃあ、あいつはわざと僕が最初に見つけた事を黙ってたってことか?」

( ´∀`)「最初に見つけたっていうかな、うーん」

( ´∀`)「お前の手柄にさせたくなかったんじゃないか」

 長岡が?そういう事をするんだろうか

( ´∀`)「僕が最初に見つけただなんて言い出したのは、長岡にとって好都合だったろうな」

( ´∀`)「つまりお前は長岡に人気にならないようにさせられてるんだよ」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 22:53:34.00 ID:VFPhI1sB0
( ^ω^)「・・・・・・」

 そうだとしたら、あの放課後の事は

 あの時、あの子が来たのも?

 ξ゚⊿゚)ξ

 もしあの現場を見られていたら、どうなるんだ?

 長岡が、最初に見つけちゃってごめんなんて謝っているところを見られたらどうなるんだろう

 長岡にいきなり殴りかかる僕を見られたら

 昼間にあんな事があった後だ、間違いなく僕が不利になるだろう

 どんなタイミングでも、放課後に二人でいるところを見られるのは僕にとって拙いだろう

 まさか、長岡は狙っていた?

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 23:07:37.21 ID:VFPhI1sB0
 あの子が長岡を見つけた時、長岡に向かってまだいたの?と言っていた

 という事は長岡が前もってあの子をあの現場に呼んだという事ではないだろう

 つまり長岡が僕を嵌めようとしたなら、あの子が放課後にあそこを通りかかると

 知っていたという事になる

 そこまで、できるか?

 急に馬鹿馬鹿しく感じてしまった


85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 23:09:56.42 ID:VFPhI1sB0
( ^ω^)「ありえないよ」

( ^ω^)「くだらないよそんな陰謀みたいな話」

( ^ω^)「だいたい長岡君はそんなことしなくてもクラスの・・・」

 人気者だろ・・・

( ´∀`)「ふーん」

( ´∀`)「まあいいけど、俺はやっぱり嫌いなんだよ」

 嫌いなのか

( ´∀`)「それとな、昨日の放課後、俺見てたんだぜ」

( ^ω^)「え」

( ´∀`)「あいつ、俺が見てるのに気がついたんだよ」

( ´∀`)「そしたらお前の手を離したんだよ」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 23:29:14.97 ID:VFPhI1sB0
 それは

 やはりあの放課後の一件は長岡の策略だったという事につながるのか?

 わからない

 予想外のこいつを見て、手を離して、途中で切り上げたということなのか?

 そんな事は証明できない

 第一証拠がない

( ^ω^)「・・・・やっぱり関係ないよ」

( ^ω^)「今のこの状況は僕のせいだから」

( ´∀`)「あっそ、じゃあまあ空気生活たのしんでね」

( ^ω^)「・・・・・・」

 
 ブーンは陰鬱な心持のまま中学生になった

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 23:45:35.28 ID:VFPhI1sB0
 よくある事だった

 小学校で良い成績を残していても、どんなに真面目でも、

 中学を越えた辺りからなぜだかうまくいかなくなってしまう

 本人にも、なぜ自分がこんなにもうまくできないのか分らない

 そういう事が

 ブーンも同じだった

 授業には熱心に取り組んでいた

 長岡に対抗し得る武器は勉強だけになっていたからだ

 失点すれば負ける、負けたら完全に・・・

 長岡に対抗できるものが一つでもある事が今のブーンの支えだった

( ^ω^)(完全に負けたら、僕は・・・)

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/28(木) 23:53:45.30 ID:VFPhI1sB0
( @∀@)「試験開始してください」

ガタガタ カッカッカッカ カリ カリ

( ^ω^)(準備はした)

( ^ω^)(100点・・・・取る!)

 ブーンは長岡に負けないために

 100点を取るために全力で試験勉強をしてきたのだった

 他の誰より勉強してきたという自負がある

 他のみんなが勉強以外に青春を謳歌している間に

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/29(金) 00:01:54.19 ID:mLplLYoK0
 試験中、あいつの言った事を思い出してしまった

 ( ´∀`)

 あいつ・・・モナーとか言ってたか

 (お前は長岡に人気にならないようにさせられてるんだよ)

 そうだったとしたら・・・

 いや、いまこの試験の点数は100%僕の力量によるものだ

 あいつの妨害が唯一絶対に不可能なものだろう

 だから

( ^ω^)(あれ)

( ^ω^)(やばい、これは)

( ^ω^)(解き方が分らない!なんでだ!)

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/29(金) 00:10:06.58 ID:mLplLYoK0
数学
1位 長岡 93点

2位 ドクオ 82点

3位 ブーン 80点





 負けた

 誰の邪魔も入らない唯一絶対の平等な勝負ができる状況で

 つまりブーンは長岡に勝っているところが

 
 何一つないということである


 

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/29(金) 00:16:26.03 ID:mLplLYoK0
 ブーンは長岡に会うまで、些細な挫折さえ経験する事がなかった

 それでも、わがままに育つ事はなかった

 ブーンは頭が悪いわけではなかったからだ

 しかし、こういう時に、この事実をどう受け止めればいいのか分らなかった

 他の人たちと違い、知らないふりをしたり、関係ない物や人に八つ当たりしたり出来なかった

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/29(金) 00:23:59.33 ID:mLplLYoK0
 クラスのみんなは知りもしないだろう

 ブーンが一つのテストに異常なまでの気迫で臨み、

 あっけなく敗北したことで、心まで壊れかかっている事に


( ´∀`)「あーあお前長岡に負けたのかよ」

 ブーンはモナーを攻撃したりしない

( ´∀`)「ま、あのテストで80点つったら十分すげえよ」

( ´∀`)「平均点見たろ?18,9点だ」

(  ω )「・・・いつに・・てなきゃ・・いみ・・ない・・・・」

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/29(金) 00:30:50.11 ID:mLplLYoK0
ξ゚⊿゚)ξ「長岡君すごいよ!ほんと!すごい!」
( ゚Д゚)「すっげー!いやマジスッゲー!!」

( ゚∀゚)「いや、たまたま山が当たっただけだよ、運が良かったの ねえ?ドクオ君」
('A`)「へ?はは、うん、山当たっちゃって」

 山をはるというなら、ブーンは山をはって台地を作ったといえるだろう

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/29(金) 00:38:55.64 ID:mLplLYoK0
( ゚Д゚)「いや~勉強できて、サッカー部のエースって言ったら最強超人だろこれ!!」
( ゚Д゚)「そういやマネージャーは」

ξ゚⊿゚)ξ「うん!私!」

 長岡はサッカーを続けている

 あの子はサッカー部のマネージャ

 ブーンは部活も遊びもせずに挑んだテストで敗北した

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/29(金) 00:45:22.38 ID:mLplLYoK0
( ´∀`)「はぁ~」

( ´∀`)「馬鹿ばっかりだなこの世の中は」

( ´∀`)「あいつらの点数一桁台だぜ、よくへらへらしてられるよ」

( ´∀`)「おまえ、自殺とかすんなよ」

 モナーはブーンがそんな事をしないと分って言った

(  ω )「・・・・・・スーッ・・・ハ」

 続く他教科のテストも、ブーンは全てにおいて長岡に敗北した

 ブーンの点数が平均を下回ったテストもあった

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/29(金) 00:53:31.58 ID:mLplLYoK0
 ブーンは長岡に自分の居場所を完全に奪われてしまった

 勉強、スポーツ、魅力、どれをとっても今やブーンはかなわない

 これだけのことが学生にとってはほぼ全てと言っていいほど重要なのだ

 10代の貴重な時間を、ブーンは溝に捨てながら無為に生きた

 ただ受け身で授業を受け、不とも可ともいえない成績をとり、

 友人は作らず偶にモナーが話しかけてくるのに答えるだけだった

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 18:31:59.47 ID:Yg3ZiJVz0
 手を抜く事を覚えた

 言い訳はいつの間にか癖になっていた

 作業のような、繰り返しの日々

 何も得る事は出来なかった

 受け流している

 時間が経つのが

 あまりに早く感じた


184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 18:33:31.07 ID:Yg3ZiJVz0
ξ゚⊿゚)ξ('A`)( ゚Д゚) (゚∀゚ )

 1日に1度は長岡の周りで大騒ぎが起きる

 みんなが大声で笑っている

 昔は長岡に向けられた笑い声がつらかった

 長岡に優しいものが自分には刺さった

 しかし今は何とも思わなくなってしまった

 それに気付くたびに感じる無力感は昔よりずっと強くなった

185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 18:35:24.51 ID:Yg3ZiJVz0
 今にして思えば

 自分は本当に人気者だったのだろうか

 いつも沢山の人に囲まれていたあの頃

 長岡がやってくるまでのあの時間は

 何かの間違いだったのではないか

 本来、あの場所には自分がいるべきではなかったんだ

 自分は、偶然、強者の不在を理由に分不相応の待遇を受けていたんだ

 そう思う

 だから


 あるべき位置に戻っただけなんだ

187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 18:36:57.73 ID:Yg3ZiJVz0
( ´∀`)「高校はどこを目指すか決めたか?」

( ^ω^)「・・・・・・・・・・・」

( ´∀`)「聞いてるか、おい」

 特には決めていない

 自分がどうなるか、どうするか、全く分らなかった

( ^ω^)「たぶん、普通に地元の」

( ´∀`)「あっそう」

( ´∀`)「長岡もそのまま地元の高校に行くみたいだぞ」

( ^ω^)「・・・・・・・」

189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 18:38:56.09 ID:Yg3ZiJVz0
( ´∀`)「サッカーの強豪校に行くのかと思ったけどな」

( ^ω^)「地元の高校だって弱いわけじゃないんだろ」

( ´∀`)「まあそうだけど」

 こいつは昔、長岡の事が嫌いだと言っていたが

 なんでこいつは僕に長岡の事をいちいち伝えるんだろう

( ´∀`)「お前は普通に地元の高校に行くって言うけどさ」

( ´∀`)「将来どうするとかは決めてるのか?」

 将来

 普通の人なら、将来自分が何になるか、何をするか、ぼんやりとでも思い描いているんだろう

 僕には出来なかった

 長岡が来たから

 長岡のせいで

192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 18:40:59.79 ID:Yg3ZiJVz0
 なんで長岡のせいなんだろう

 めちゃくちゃな言いがかりだと思う

 でも、将来の事を思うと、長岡も同時に浮かんできてしまう

 何になっても、どこへ行っても、長岡に取って替わられてしまう自分が映って、

 いつもそこで考えるのをやめる

 夢を持って生きたら、何だか生きる力が湧いてくるという話は偶に聞く

 でも、それなりに生きる力を持っている人しか夢なんて持てないと思う


194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 18:42:58.79 ID:Yg3ZiJVz0
( ^ω^)「・・・・・・・」

( ^ω^)「将来なんて、わからない」

( ^ω^)「自分の将来が想像できない」

( ´∀`)「長岡のせいでか?」

 こいつ

( ^ω^)「・・・・・・・・」

( ´∀`)「図星か、ぐふふ」

( ^ω^)「・・・・お前はどうなんだよ」

( ´∀`)「俺はそれなりに決まってるよ」

( ´∀`)「聞いても教えねえけど」

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 18:45:19.14 ID:Yg3ZiJVz0
 好きにしてくれ

 何にでも好きになればいい

( ^ω^)「・・・・・・・」

 それより

( ^ω^)「お前、なんで長岡の事嫌いなんだ」

 どうしても気になる

( ´∀`)「・・・・・・・」

 答えなかった

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 20:24:07.35 ID:Yg3ZiJVz0
( ´∀`)「俺のいとこがな」

( ^ω^)「は?」

( ´∀`)「天才といえばこいつっていうくらい凄いやつでな」

 何の話だ

( ´∀`)「どのくらい凄いかっていったらなあ」

( ´∀`)「まあ、長岡なんて比較にもならんわな」

( ^ω^)「・・・・・・」

( ´∀`)「くっ ふっふっ ふへへへへ」


211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 20:26:56.33 ID:Yg3ZiJVz0
 長岡を超える人間

 そんな奴がいたのか

 そいつと長岡が対峙したら

 長岡のすかした顔が歪むのか


 あり得ない

 見たくないと思った

 
 こいつのいとこか

 何だか急に、そいつに対して苛立ちを覚えた

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 20:29:06.10 ID:Yg3ZiJVz0
( ´∀`)「ん?どうした?ん?」

( ^ω^)「なんだよ」

( ´∀`)「お前いま俺のいとこを疎ましく思ったろう」

( ^ω^)「・・・・・・・」

( ´∀`)「同じ理由だよ」

( ^ω^)「は?」

( ^ω^)「何の?あ」

( ´∀`)「俺もしばらくはイカサマだと信じてたんだけどな」

215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 20:32:21.66 ID:Yg3ZiJVz0
( ´∀`)「イカサマだろうがあの人気はもう本物になってしまってるしな」

( ´∀`)「イカサマだけじゃあれは無理だろうし、事実優秀なんだな、あいつは」

( ^ω^)「お前・・・」

( ´∀`)「俺はずっとお前に勝てなかった」

( ^ω^)「・・・・・・・・」

 でも、僕は負けた

( ´∀`)「長岡が来たときは驚いたなあ」

 僕を完膚なきまでに叩きつぶした

( ´∀`)「疎ましい事この上ないとはこの事だ」

 そんな事を思っていたのか

 だからあの時話しかけてきたのか

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 20:34:58.28 ID:Yg3ZiJVz0
( ´∀`)「あの日の放課後、俺もプライドを打ち砕かれたんだよ」

 モナーは笑っている

 こいつはあの放課後

 僕と長岡を見ていたんだった

( ´∀`)「おかげで無駄な事をせずに済んだ」

( ´∀`)「長岡が来てから、俺は」

( ´∀`)「諦めがついたっていうのかな、どうだろう」

( ´∀`)「自分より全てが上の人間の存在を認める事が出来るようになった」

( ´∀`)「お前が長岡に挑むため努力している間」

( ´∀`)「俺はゆっくり自分のやりたい事を探したよ」

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 20:36:37.19 ID:Yg3ZiJVz0
 僕はどうなんだろう

 自分より上の存在

 全てが優れている 長岡

 何をしていても、価値を見いだせない

 (あいつに勝てなきゃいみない)

 その悪夢から未だに抜け出せていない

( ´∀`)「長岡のおかげだよ全く、ふへへ」

( ^ω^)「だから、お前は」

( ^ω^)「やりたい事が見つかったのか」

( ^ω^)「将来について考える事ができたのか」

( ´∀`)「まあそうかもなあ」

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 20:39:39.42 ID:Yg3ZiJVz0
( ´∀`)「でもお前は大変かもな」

( ^ω^)「・・・・・」

( ´∀`)「俺いとこなんていねえし」

 嘘か

 落胆した

 わずかに安堵した

 そんなことだから

 僕は悪夢から抜け出せないんだ

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 20:42:11.30 ID:Yg3ZiJVz0
( ^ω^)「・・・・じゃあ僕はどう」

( ´∀`)「ああ?」

 目を逸らしてしまった

 責めるような目をしていた

 モナーに縋ろうとしたんだ僕は

( ´∀`)「俺に頼るなよ」

( ´∀`)「自分の劣等感には自分でけりをつけろ」

( ^ω^)「・・・・・っ」

( ´∀`)「ふふへっ 気負いすぎ ふへへ」

( ´∀`)「まあ頑張れよ、元化け物」

 そんな風に見えていたのか

244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/30(土) 23:58:07.90 ID:Yg3ZiJVz0
 僕が長岡から受けるプレッシャーと同じものを、

 モナーは僕から受けていたのだろうか

 どうすればこれを打ち消せるんだろう

 モナーは長岡の出現で吹っ切れたというが

 僕は

 長岡を超える人間が現れた時、解放されるのだろうか

 そんな奴

 いるはずがない

 いて欲しくない

 まだそんな事を思っている

245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 00:01:44.72 ID:74vpPdOQ0
 地元の高校へは、すんなりと入学できた

 落とす試験ではないように感じた


 僕は、僕の悪夢に、

 それが新たな悩みの種になるとしても、

 何かを齎してくれる

 そんな人間の存在を期待し

 不在を願った

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 00:04:22.87 ID:74vpPdOQ0
 入学から数カ月経って

 経ったのに

 全ては長岡を中心に回っている

 いないのか

 長岡に勝る者は

 何者も長岡の人気に不満はないんだ

 僕が何をしてどう変わるというんだ

 僕がすべきこと

 それは長岡に

249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 00:08:02.87 ID:74vpPdOQ0
 だめだ

 いま僕は全てを棄てるところだった

 しばらく余計な事は考えないでみよう

 もはや小学校でのみんなの僕に対する評価は消えうせたに等しい

 だから、人気者と言わないまでも、

 普通に高校生活を享受しよう

 しばらくはそれでいいんだ

 問題がなければそのままでいい・・・

250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 00:16:07.69 ID:74vpPdOQ0
( ・∀・)「ブーンよお」

( ^ω^)「ん?」

( ・∀・)「お前、部活は入らねえの?」

( ^ω^)「入らね」

( ・∀・)「そうかあ お前、運動嫌いってわけじゃねえだろ、面倒なんか?」

( ^ω^)「面倒面倒」

( ・∀・)「まあ部活は運動だけじゃねえけどな、文化系とか」

( ^ω^)「文化系か」

 興味はなかった

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 01:30:25.52 ID:74vpPdOQ0
( ^ω^)「モララーこそ何か入るのか?」

( ・∀・)「もう入ってる」

( ・∀・)「ブーン、普通は4月とか5月ごろに入るんだぜ」

( ^ω^)「じゃあもう遅いじゃん」

( ・∀・)「遅い、遅いよ」

 部活に入っていないと普通の高校生活とは言えないんだろうか

 言えない事もないが、入っていたほうがいい

 その位ではないのか

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 01:53:20.42 ID:74vpPdOQ0
( ・∀・)「部活入んねーとつまらないと思うけどなあ」

( ^ω^)「ああ、考えてみるわ」

( ・∀・)「入るなら急いだほうがいいぜ」

 当たり障りのない会話が出来ている

 何もおかしいところは無いはずだ

 でも

 ぎこちなさを感じる

 多分、

 これは真似なんだ

 当たり障りのない会話をする人の真似

 おかしくないふりなんだ

259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 02:40:13.82 ID:74vpPdOQ0
 ぎこちなさを感じながらも、まともな人間のふりを続けた

 効果は少しずつ現れた

 空気のような中学生時代と違い、

 社交性というものを持てるようになった

 あんな生活を送っていたのは、

 長岡のせいなどではなかったのだ

 長岡さえいなければみんなと仲良くできるんだなんて、

 的外れな妄想だった

 絶対的な才能や成績など無くても、やれる事はあるんだ


261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 03:38:19.30 ID:74vpPdOQ0
 しかし

 僕が長岡を怖れる理由

 それは長岡が僕と取って替える事が出来る人間である事

 同じものを欲したとしたら、

 間違いなく僕は望みを叶えられないという事

 モナーの言った事が本当だとすると、

 あいつも同じ事を思ったんだろう

 ただ、これはより優れた人間が現れる事で本当に消え去るものなのだろうか

 僕の些細な努力も、捻じ伏せられてしまう

 すぐにまたその考えに戻ってきてしまいそうだ

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 03:51:38.41 ID:74vpPdOQ0
 いずれ来るかもしれない敗北

 用済みにされる事

 惨めさを感じる事

 怖ろしいのはそれなんだ

 怖ろしくて怖ろしくて、

 結局何も始める事が出来ない

265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 03:59:28.55 ID:74vpPdOQ0
 他の

 他の人たちはどうして大丈夫なんだ?

 今まではモナー以外の人間とこういう話をした事がなかったが

 今度、モララーにでも聞いてみようか・・・


297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 19:26:21.30 ID:74vpPdOQ0
保守してくださっている人たちには感謝しています



( ´∀`)「お前最近まともに人と喋れるようになったじゃねえか」

( ^ω^)「別に最近じゃないよ」

( ´∀`)「嘘つけ、中学の頃を知ってんだぞ」

( ^ω^)「別に、あの頃だって喋ろうと思えばできたよ多分」

( ^ω^)「今は喋ろうと思ってるっていうだけだよ」

( ´∀`)「へ~え」

( ^ω^)「実際、まだ何も変わってないんだよ」

( ^ω^)「何も起きてないんだから」

 誰も現れなかったから

( ´∀`)「・・・・・・・」

( ´∀`)「やっぱりお前は大変だよ」

( ^ω^)「・・・・・・」

299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 19:31:49.33 ID:74vpPdOQ0
 しばらくして、モララーの入っている部活というのはサッカー部だと知った

 当然長岡も入っているようだ

( ・∀・)「どうした?サッカー部に入る気になったのか?」

( ・∀・)「でも、さすがに遅いと思うぞ・・・」

( ^ω^)「いや、そうじゃねえよ」

( ・∀・)「なんだよ入らないのかよ」

 どっちだよ

( ^ω^)「入らない」

( ・∀・)「じゃあなんなんだ」

( ^ω^)「部活って楽しいのかなって」

( ・∀・)「楽しい?」

( ・∀・)「・・・・ああ、ちょっときついっていうのが勝ってるかも・・・」

300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 19:34:52.04 ID:74vpPdOQ0
すいません、止まってしまったら他の事し始めるので、いつ再開できるか
自分でもはっきりしないんです



( ^ω^)「じゃあ」

 やけに緊張する

( ^ω^)「辞めようとかは思ったりする?」

( ・∀・)「ん~辞めてく奴はいるけど」

( ・∀・)「俺はあんまりないな、そういうのは」

( ・∀・)「別に、辞めたら部員と気まずくなるからとかじゃないぞ」

( ^ω^)「・・・・・・」

( ・∀・)「それだけ?」

301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 19:36:35.88 ID:74vpPdOQ0
( ^ω^)「試合に負けたりしてもやる気持つの?」

( ・∀・)「試合に負けてやる気失せてたら高校までサッカーやってねーよ」

( ^ω^)「・・・悔しいとは思うよな?」

( ・∀・)「そりゃあお前、試合に負けたら悔しいだろ」

( ^ω^)「そりゃあ・・・そうか」

 よく分らない

 なんで悔しさを感じつつやる気を持つ事が出来るんだ

 僕は長岡に対して悔しさを感じていると気付いた時には、

 やる気を失ってしまっていた

 だから、この悔しささえ消し去ることができればうまく行くんだと思った

302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 19:39:02.57 ID:74vpPdOQ0
 よく考えてみればおかしいんだ

 モナーは本当に悔しさを消し去ることができたんだろうか

 あいつはあいつなりに目的を持って、あいつなりに充実した生活を送っているらしい

 それは事実だと思うが

 モララーは悔しさを感じてもやる気を失う事は無いという

 モナーも、まさか、未だに・・・

303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 19:40:41.23 ID:74vpPdOQ0
 モナーが今どう思っているのかは分らないが、

 モララーはなぜ大丈夫なのか

 それが知りたくて、言わなくてもいい事を言ってしまう

( ^ω^)「・・・サッカー部に長岡っているだろ」

( ・∀・)「おう」

( ^ω^)「あいつ、かなりうまいんだろ」

( ・∀・)「ああ、うまいなあいつは」

318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 23:09:19.89 ID:74vpPdOQ0
 劣等感を感じる事は無いのか?

 何より聞きたかった

( ・∀・)「長岡がどうした?」

( ^ω^)「ああ、・・・ああの」

( ^ω^)「小中学校が一緒でな・・・」

 言い出せない

 しかし言ってしまったら何か気まずくなる気がした

320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 23:10:41.98 ID:74vpPdOQ0
( ・∀・)「小中学校が一緒な奴ってこの学校結構いるんじゃないの?」

 確かに、地元を離れなければこの高校に来るだろう

 変な誤魔化し方だったかもしれない

( ^ω^)「それもそうか」

 長岡に対する感情を漏らすことなく

 さっさと話を切り上げてしまった

321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 23:11:39.74 ID:74vpPdOQ0
 厭な夢を見た

 夢の中で、僕は高校に入ると同時に、

 サッカー部に入っていた

 そこで長岡と

 ( ^ω^)(゚∀゚ )

 実に親しげに会話を交わしているのだった

 僕は長岡の能力を認めつつも、

 腐ることなく、

 日々練習に勤しんでいるのだ

322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 23:13:13.20 ID:74vpPdOQ0
 夢の中で僕は長岡にかなりの信頼を寄せているようだった

 長岡はもちろんのこと、

 練習を怠らなかった僕は、

 試合に出る事を許された

 


 試合で、長岡は大いに活躍した

 それが同時に出場している僕の励みにもなるのだった

 不思議な気分だった

323 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/31(日) 23:14:49.79 ID:74vpPdOQ0
 夢を見ている時の高揚感と

 目が覚めてから、改めて内容を確認している時の不快感が入り混じったまま、

 僕はその日登校した

 今日はある決心をしている


 サッカー部の見学に行こう・・・

330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 01:12:12.96 ID:/DgOt5M00
ガララ

・・・・・・・・

( ´∀`)「よう、へへ」

( ^ω^)「おう」

( ^ω^)「今日、サッカー部の見学に行くよ」

( ´∀`)「ほう」

 短くそう言った

( ´∀`)「入部するのか」

( ^ω^)「多分な」

331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 01:18:38.08 ID:/DgOt5M00
 放課後、グラウンドの外から、サッカー部の活動を見ていた

 といっても、まだ準備体操以前のようだった

( ・∀・)「ブーン、何してんだ?」

 急に呼びかけられた

 僕は、落ち着きを取り戻しながら、

( ^ω^)「見学しに・・・」

( ・∀・)「見学か!」

 モララーはやけに嬉しそうに言った

( ・∀・)「じゃあ・・・」

( ^ω^)「じゃあ?」

( ・∀・)「さっさと体操着に着替えてこい!」

( ^ω^)「お、おう」

333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 01:25:09.54 ID:/DgOt5M00
 綺麗な白い体操着でグラウンドに入るのは、酷く恥ずかしかった

 モララーは顧問らしき人物としばらく話した後、こっちに近づいてきた

( ・∀・)「とりあえず、今日は初心者組の練習に加わってくれ」

( ^ω^)「分った」

( ・∀・)「じゃあ、頑張れよ」


335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 01:27:53.76 ID:/DgOt5M00
( ´ー`)( ∵)( ^Д^)

 初心者組というのは彼らか

( ´ー`)「じゃあ準備体操して、10km走始めますか」

( ^Д^)「よっしゃ」

 一歩も走ってないのに嫌な汗が出始めた・・・

337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 01:35:50.16 ID:/DgOt5M00
 僕はやはりとてつもない勘違いを、頭のどこかでしていたのだろう

 長岡がさえいなければ

 長岡がいる限り、僕は


 何とも恥ずかしい事に、僕の頭の中では、その次に


 NO2にしかなれない


 そう続くのだった

 はっきりと悟った

 NO2どころではない

 第一歩のランニングで初心者組の彼らに、何度抜かされたか分らない

 とうとう僕は両手を地につけてしまった

340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 01:39:37.42 ID:/DgOt5M00
( ・∀・)「お、おいブーンよお・・・」

( ・∀・)「もうへばっちまったのかよ・・・」

( ・∀・)「あ」

( ・∀・)「長岡っ」

 今までで一番激しく働いているであろう心臓が、さらに壊れそうなほどに脈打った

( ゚∀゚) 「初心者さんかな?」

( ・∀・)「ブーンだよ、小中学校で一緒だったんだろ?」

( ゚∀゚) 「え、あぁ~、ごめん、ブーン?」

 頭が鉛のようだった

 力を振り絞って頭を持ち上げ、あいつの顔を見た

(;・∀・)「あ、ああ~ 俺は~練習に戻るわ」


 あいつの顔を


 ( ゚∀゚)

 目が嗤っていた

341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 01:42:23.38 ID:/DgOt5M00
(  ω )「」

( ゚∀゚)「休むならグラウンドを出てね」

( ゚∀゚)「ま、ちゃんとやってる人の邪魔だけは」

( ゚∀゚)「しないでね」

(  ω )「」

343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 01:47:38.51 ID:/DgOt5M00
 練習が終わった

 制服に着替えに教室に戻ると、モナーがいた

( ^ω^)「いたのか」

( ´∀`)「ああ」

( ´∀`)「お疲れ」

( ´∀`)「見てたぜ」

 ああ

 モナーのいる席からは、グラウンドがよく見える

 モナーの前の席に座った

( ^ω^)「疲れた・・・・」

( ^ω^)「本当に・・・・」


 疲れた

344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 01:53:38.52 ID:/DgOt5M00






 「くそおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」







346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 01:54:38.29 ID:/DgOt5M00
 怒鳴るような声を上げたつもりだった

 何もかもぶち壊して、吹き飛ばして

 そんな声を出すつもりだった


 甲高い、ひょろひょろとした声で呻くだけだった


 泣いた

347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 02:05:12.63 ID:/DgOt5M00
 震えがようやく止まると、モナーが突然言った

( ´∀`)「湧き出てくるものなんだよ」

(  ω )「」

( ´∀`)「劣等感や悔しさが無くなった人間なんていねえよ」

 モナーを見る

 無表情だった

 真面目な顔のつもりなのかもしれない

( ´∀`)「俺らに出来るのは、精々、飼いならし方を覚える位だよ」

348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 02:13:35.77 ID:/DgOt5M00
 薄々気づいてはいたんだ

 こんな気持ちが

 こんな苦しさが、体から剥がれていくはずがないんだ

 劣等感や悔しさなしに、この自分が存在するなんてあり得ない

( ^ω^)「無くなるわけじゃ、ないんだな」


( ´∀`)「入部やっぱりやめるか?」

( ^ω^)「やめないよ」

( ´∀`)「そうか」

( ´∀`)「やっぱりお前が羨ましいよ」

350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 02:30:33.41 ID:/DgOt5M00
 ブーン

 最後まで、斜に構える事はしなかったな

 劣等感や悔しさを持つ事は悪い事じゃないんだ

 他人を羨む事は、決して自分を否定する事でもない

 敗北なんて常に自分のすぐそばにあるんだ

 遠ざけたり消したりなんか、できない

 誰にでも、すぐそばにあるんだ

351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 02:31:38.16 ID:/DgOt5M00
( ´_ゝ`)「全く」

( ФωФ)「全くだ」

( ゚∀゚)「本当に」

( ´_ゝ`)「テストの点が悪いと停部とはな」

( ФωФ)「まあこの学校は文部両道を掲げているわけだし、仕方ないな」

 サッカー部の彼らは練習後、図書館で勉強をしていた

( ´_ゝ`)「しかし、こうも厳しいとつい」

( ФωФ)「カンニングか」

( ´_ゝ`)「ああ」

( ´_ゝ`)「いっそ、ちょっとやってみようか」

( ФωФ)「やめとけやめとけ どうせ無理だ」

( ´_ゝ`)「やってみなきゃ分らないだろ、やったことないんだろ?」

( ФωФ)「ないけど・・・」

( ´_ゝ`)「長岡は?」

352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 02:32:59.87 ID:/DgOt5M00
 久しぶりに気分が良かったんだ

 浮かれていたんだ

 だから


( ゚∀゚)「中学の頃、1度だけ」



 終わり

356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 02:54:31.94 ID:Ol+f4cR6O
350のセリフはモララーってことでいいの?
あと、この終わり方は長岡たちはカンニングするって解釈でいい?

357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 02:56:14.13 ID:/DgOt5M00
350はモナーですよ
長岡たちがこれからどうするかは特に考えてません
しないんじゃないでしょうか

358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 03:03:04.00 ID:Ol+f4cR6O
そうですか
ありがとうございます
あともう少し質問します
じゃあ中学のカンニングは一番始めの頃のってことなんでしょうか?
ブーンが長岡に勝とうと頑張ってたときのですかね



希望が見える終わり方で素敵ですね
長岡が邪悪なやつでブーンを陥れるのかと思ってました

360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 03:08:54.11 ID:/DgOt5M00
そうですあの数学のテストの事です

長岡の最後の発言と、本性については推し量ってください

363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 03:16:30.25 ID:Ol+f4cR6O
ありがとうございます
長岡はあまりいいやつには見えないですね
完璧を装うとして最後にボロを出してるし
自分がブーンに感情移入してるからそう見えるような気もしますけど

359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 03:03:17.24 ID:M+kV22omO
だれか落ち説明してくれ

362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 03:14:40.55 ID:kfwRUDXQQ
ジョルジュがドクオに同意を求めた時にしたんだろ
そんで最後のはジョルジュがカンニングを肯定して、
フーンがサッカー部のカンニングの計画を推し進めていくみたいな感じじゃねーの?
で最初は成功し味をしめたジョルジュはやり続けるものの
推薦がかかった試験でバレて、推薦取り消し


365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/01(月) 03:25:54.83 ID:/DgOt5M00
今更ですが、保守していただいた方に改めてお礼します。
気付いている方もいるかも知れませんが、始めた時に想定していた
終わり方とは大幅に変更されています。
そうでなければさくっと終わると思いますなんて言っておきながら、
ここまで遅くなる事も無かったと思います。
待っていただいた方にはお詫びいたします。

コメント

久しぶりに感情移入して読んじまった。
最後の落ち以降~は、
「小中で一緒だった奴は多い」→噂が広まって総スカン食らう→長岡落ちぶれ
みたいな、まぁ定番じゃねえのかなぁ。
[2010/12/01 22:25] URL | #- [ 編集 ]


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