mesimarja
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( ^ω^)間違っているようです
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:16:17.56 ID:Qi4nlCi10
『現代の人々はね、周りにすぐ影響されるんですよ。自分というものを強く持っていないと―――』




「うるせ」

テレビの電源を消した。

朝っぱらから説教じみたトークはごめんだ。

説教と感じるのは何故だ。俺も、周りに影響されやすいタイプなのか。

「いや、俺はちゃんと自分を強く持ってるね」

そう自分に言い聞かせ、時計を確認。

まだ慌てるような時間じゃないが、遅刻はしたくない。

「いってきます」と言って玄関を出た。


―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:18:17.06 ID:Qi4nlCi10
教室に入ると、太った友人が話しかけてきた。ブーンだ。

( ^ω^)「ドクオおはようだお!」

「おはよう」

( ^ω^)「昨日の宿題やってきたかお?」

「やってきた。楽勝だったわ、あれ」

(;^ω^)「僕やってないところがあるんだけど、見せてくれないかお?」

「構わんよ」

ノートの中から折り曲げたプリントを取り出し、ブーンに渡す。

( ^ω^)「さんくす!」

ブーンは渡したプリントを開き、まじまじと見つめた。

( ^ω^)「あれ?」

「どうした?」

( ^ω^)「ここ、間違ってないかお?」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:20:23.18 ID:Qi4nlCi10
「な訳あるか。見せてみろ」

プリントの問題は教科書に載っている問題と似たようなもので、簡単に解けた。

間違えるはずがない。

( ^ω^)「ここだお」

ブーンが指さした所を見直してみた。

何も間違っていない。

「・・・合ってるじゃねーか」

( ^ω^)「間違ってるお。9×7は36じゃないかお。だから、ここは・・・」

驚いた。高校で九九を間違えるとは。

「何言ってんだ。9×7は63だろうが」

(;^ω^)「そうだったかお?」

「しっかりしろよ・・・」

( ^ω^)「朝は弱いんだお」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:22:57.92 ID:Qi4nlCi10
ブーンとは小学校からの仲だが、そんな話は聞いた事が無い。

「そうだっけか。聞いた事無かったな」

( ^ω^)「前から言ってたじゃないかおwww」

そう言われて昔の記憶をひり出してみる。しかし、そんな記憶は無い。

もう一度考えようとしたが、扉が開く音に妨げられた。先生が入ってくる。

( ・∀・)「はーい、席に座ってー」

朝礼の時間か。

もやもやとする気持ちを抑えながら席に着いた。


―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―


時刻15:50

キーン コーン カーン コーン

「じゃ、さいなら」

( ^ω^)「ばいぶー」

今日も学校が終わった。
適当に挨拶を交わして校門を出る。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:24:14.37 ID:Qi4nlCi10
帰り道。
透き通った空を眺めながら歩いていると、見慣れない人影が目に入った。

ヒッキーだった。

中学ではクラスメートの上に近所に住んでいて、すぐに打ち解けた。

卒業後は別々の高校に進んだ。今はいろいろあって不登校・引きこもりになっている。

ヒッキーは何か探しているのか、周りをキョロキョロしている。

「どうした」

(-_-)「あ、ああドクオ。久し振り。い家の猫がど処かへ行っちゃって。探してて」

「あれ?お前の家って猫飼ってたか?」

疑問を投げかける。
確かヒッキーの家は猫ではなく、犬を飼っていた。

(-_-)「な何言ってるんだ、飼ってたじゃないか。あ!」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:25:36.91 ID:Qi4nlCi10
ヒッキーが叫ぶ。視線の先を見ると、動物がこちらへ一直線に向かっていた。

やがて動物はこちらにたどり着き、ヒッキーにじゃれつく。

(-_-)「し心配したじゃないか、まったく」

「え」

探していたのは「これ」で間違いないらしい。

でも、俺は素直に喜んでいいのか分からなかった。

それは間違いなく犬だったから。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:26:40.79 ID:Qi4nlCi10
「えーっと・・・犬、だよな?」

(-_-)「どどこからどう見ても猫じゃないか。どうしたの?」

・・・付き合っていられない。こんな奴じゃなかったのに。

「いや、いい。これを期に少しずつ外に出てみようぜ」

(-_-)「が頑張ってみるよ。ありがとう。じゃ」

ヒッキーが、犬を連れて去った。


首をかしげて考える。

何なんだ、一体。朝のブーンの件といい、ヒッキーの件といい。

まあ、たまたま間違えただけだよな。そう結論付けて、家路についた。


―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:28:30.56 ID:Qi4nlCi10
次の日。

ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリ
J( 'ー`)し「起きて」リリリリリリ
リリリリリリリリリリリリリリリリリリゴシャ!

何かが砕け散った音と共に目が覚めた。

目覚まし時計が騒いでも気持ち良さそうに寝息を立てている俺に、
母親が業を煮やしたらしい。

枕元には時計の残骸が散らばっていた。あまりにも脆弱すぎる。

J( 'ー`)し「今日早いから、もう行くわよ。朝食は用意しておいたから。行ってきます」

「気を付けていってらっしゃい」


―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:30:15.72 ID:Qi4nlCi10
―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―


一階に降り、朝食を食べようと思ってテーブルの上を見る。

愕然とした。

炊かれていない白米が茶碗に盛られており、その上に割られていない卵が乗っている。

俺は卵かけご飯が好きで、毎日食べていた時期もあった。

最近も何度か食べている。

「なんだってんだ」

目覚まし時計で起きなかっただけで、この仕打ち。

今まではこんな事はなかった。

しかし色々と世話をしてもらっている以上、偉そうなことは言えない。

僅かな希望を携えて冷蔵庫を開けると、ラップを掛けられた冷やご飯が入っていた。


「ラッキー」

レンジに入れて温める。その間に、別の器に生卵を入れ――――られない。

「は?」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:31:20.28 ID:Qi4nlCi10
殻を割っても黄身が出てこない。

代わりに出たのは、固まった白身。

ゆで卵だった。

「わけがわかんないんです・・・」

大いに落胆しつつも、再度冷蔵庫を開けた。


―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―


朝の事で、家を出るのが遅くなってしまった。

このままでは遅刻してしまう。焦りながら走る。

皆勤賞を目指しているわけじゃない、遅刻すると気分的に嫌なだけだ。

「あーくそ!赤かよ!」

いくら遅刻はしたくないといっても、信号には逆らえない。

そのまま青に変わるのを待つ。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:32:51.38 ID:Qi4nlCi10
が、自転車に乗ったおっさんが赤信号の横断歩道に入っていく。信号無視。

交差点の右側を見ると、一台のトラックが自転車へ迫って来るのが見えた。

「あぶない!」

思わず目を瞑る。


瞼を開ける。予想していた惨劇はそこにはなかった。

自転車のおっさんは、何事もなかったかのように走り去る。

トラックがブレーキを掛けて止まったのか。まったく、何だあのおっさんは・・・

心の中で罵倒してやろうかと思ったが、それは出来なかった。

赤信号なのに、次々と人が渡って行く。

青信号の方は、車が止まっている。人が渡りきった後も、それは変わらない。

「いや・・・え?」

とうとう俺も色盲になってしまったか。

学校が終わったら、眼科にでも行くか。



―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:35:18.84 ID:Qi4nlCi10
( ・∀・)「それじゃ、先週のテストを返しまーす。名前を呼ばれたら取りに来て下さい。えーと・・・」

次々と名前が呼ばれ、解答用紙が手渡される。

ある生徒は喜び、またある生徒は嘆いた。

( ・∀・)「次。ジョルジュ」

(,,゚Д゚)「はい」

あれ?

おかしい。呼ばれたのはジョルジュという男子生徒だ。

なのに、ギコが返事をした。どういうことだ。

(,,゚Д゚)「うわーマジかよ!」

何事もないように用紙を受け取り、ギコは相応の反応を示す。

「ちょっと待って下さい。今ジョルジュが呼ばれませんでしたか?」


( ・∀・)「? ジョルジュを呼んだぞ?で、ジョルジュが受け取った。何か問題があるか?」

( ^ω^)「そうだお。どうしたんだお?」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:37:01.09 ID:Qi4nlCi10
「ジョルジュでしょ」

「君の耳は飾りかい」

「ほら、生徒手帳も合ってるじゃん」

「ジョルジュなのはわかってます」

ブーンも周りの生徒も、先生に同調している。

「いや、ギコが受け取ったじゃないですか」

( ・∀・)「おいおいドクオ、しっかりしてくれよ。お前も朝が弱いのは分かるが」

朝が弱いなどと言った覚えはない。

もとより、朝には弱くない。

「いや、そんなことはないですけど・・・分かりました、気をつけます」

引き下がることにした。


一連の出来事に、なんとも言えない気持ち悪さが湧き上がってくる。

なんだこれは。皆おかしいぞ。

口から出そうになるのを何とか抑える俺へ、言葉が飛んできた。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:38:10.57 ID:Qi4nlCi10
( ´,_ゝ`)「おいおいこの年で健忘症か、気を付けろよwww」

(´<_` )「お前が言える事じゃないだろう弟者」

双子の兄弟だ。

調子に乗っている方が兄者で、冷静な方が弟者のはずだ。

それが、逆になっている。

「お前らまで、どうしたんだよ・・・今日はエイプリルフールじゃないぞ」

(´<_` )「俺『は』何もおかしくないぞ。あと、そんなことは分かってる」

( ´_ゝ`)「俺もだろ、兄者。そもそもおかしいのは―――」

吐き気を催し、最後まで聞かずに教室を出て行った。

トイレに行って吐こうと思ったが、結局吐かなかった。

病院に行ってみよう。



―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―



普段の夜は落ち着いて過ごせるが、今日ばかりは落ち着けなかった。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:41:05.61 ID:Qi4nlCi10
『何も異常はありませんね。正常です』

医者からは、それだけだった。

まあ当たり前だ。俺はなにもおかしくない。俺は俺だ。

青と赤を間違えたりしないし、猫と犬を間違えたりもしない。

ましてや、クラスメートの名前を間違えた事などない。

俺の名前も、間違えられてなかったじゃないか。

でも、俺は朝に弱くなんかない。


俺から見た俺と、他人から見た俺に違いなんてないはずだ。

だが兄者の言葉が頭をよぎる。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:42:09.84 ID:Qi4nlCi10
「もしかすると他の皆が正常で、俺が・・・・・・」

いや、そんなわけはない。

そんなわけはないのに、疑問と不安が頭の中を支配していく。

あいつらは何なんだろう。俺は何なんだろう。

自問自答しようとしても、答えは出てきやしなかった。



―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:43:33.27 ID:Qi4nlCi10
結局、昨夜は殆ど眠れなかった。

母親もおらず、食欲もなかったので何も食べずに登校する事にした。

外の様子は、「相変わらず」。



―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―



教室に入ると、違和感があった。

「ん?」

席が変わっている。

いつの間に変わったんだ。溜息をついて席を探す。

「あれ」

無い。無い。俺の席が無い。そんなばかな。

狼狽していると、クラスメートの女子が話しかけてきた。

名前は何だったか。何故か思い出せない。

川 ゚ -゚)「おい、そこの君」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:45:03.68 ID:Qi4nlCi10
「俺?」

川 ゚ -゚)「そうだ。ここで何をしている」

「何って、俺の席を探して・・・」

川 ゚ -゚)「あるわけないだろう。君は誰だ?このクラスの生徒じゃないだろう」

「・・・え?何言ってるんだ、ドクオだよ」

川 ゚ -゚)「嘘をつくな。ドクオ君は昨日、明日は用事があるから遅刻すると言っていたぞ」

言ってない。

川 ゚ -゚)「そもそも、君は本当にこの学校の生徒なのか?」

いてもたってもいられなくなり、教室を飛び出す。

鞄は置いたまま。形振り構わず走り、校門を抜けた。



―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―  ―

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:46:38.74 ID:Qi4nlCi10
「はぁ、はぁ」

無意識に走った末、気が付いたら帰宅していた。

体力も気力もなくなっていた。



暫く自分の部屋のベッドにうつ伏せになっていると、玄関が開く音が聞こえた。

誰だ?

こんな時間に母親か父親が帰ってくるとは思えない。

鍵も掛けている。泥棒か?

追い出そうと思い立ち、玄関の前に急ぐ。

到着。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:47:59.37 ID:Qi4nlCi10





玄関から入って来た入って来たのは、男だった。

体は痩せており、覇気のない顔をしている。




あぁ、おかしいのは俺の方だったんだな。

そうかそうか。

あの時のテレビ番組を思い出した。


『自分というものを強く持っていないと―――』


あぁ、俺、以外に弱かったんだな。

何も言えずにいる俺に、相手が話しかけてきた。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:48:48.60 ID:Qi4nlCi10






('A`)「誰だよ、お前」





48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:50:24.28 ID:Qi4nlCi10



俺は誰なんだろう。


俺は何なんだろう。


俺の名前は―――


そう思った瞬間。

意識は闇に落ちていった。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:53:11.40 ID:Qi4nlCi10
おわりです。

代理の方、支援をくれた方々、ありがとう。


「鏡に映った自分と、他人が見た自分って、同じなの?」

っていう書き込みをどっかで見た時、思いついた。

どう反応されるかヒヤヒヤしました。

では、あでゅー

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 22:56:22.91 ID:8vCoL800O

怖かったけど、オチというかこの状況の理由の説明とかないの?

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/22(土) 23:00:34.36 ID:Qi4nlCi10
>>63

作中で説明できなかったのが残念。

ドクオの心が折れなければ、オチのような事にはならないと思います。


勢いって怖い・・・

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