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(`ェ´)は思い出すようです |
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:34:18.23 ID:5j1uV5c50
- ガーガタン 、 ガーガタン …
目の前で無尽蔵に踊る機械。 大量のパーツを生み出すこれは、僕の相棒であり、商売道具だ。 ガーガタンガーガタン 毎日機械に触るだけの作業は、辛くないと言えば嘘になる。 しかし、対人恐怖症である僕には、こういう機械を扱った単純作業しかできない。 …いや、できなくさせられたのだ。 今でも思い出す。あの日、あの時、あの掲示板。 僕は4年前、ある掲示板にスレッドを建てた。 そしてその日から、僕の生活は一変したのである。 そう、あの日から――――
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:35:38.87 ID:5j1uV5c50
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(`ェ´)は思い出すようです
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:36:42.87 ID:5j1uV5c50
- 有限会社VIP工場は、どこにでもあるような零細企業だ。
そして現在、どこにでもあるように景気不足による資金難に喘いでいる。 (,,゚Д゚)「おう佐藤! 今日も頑張ってんな!」 背後から強烈な一発。出し抜けに背中に痛みが走る。 大きな音とともに張り手を繰り出してきたのは、この会社の取締役、擬古(ぎこ)社長。 (`ェ´)「あ…はぃ…。おつかれさまです」 2年前、高校卒業にも関わらず就職先が決まらなかった僕に、声をかけてくれた人だ。 (,,゚Д゚)「相変わらず生気がない顔してやがんな! しっかり頼むぜ!」 口では何やかんや言ってくるが、基本的に良い人だ。 この工場は社長に影響されているのか、明るい人が多い。いや、明るい人というよりうるさい人、か。 勿論、うるさいというのは良い意味の方だ。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:42:42.69 ID:5j1uV5c50
- 社長に拾われ入ったこの会社。最初は、毎日辞めたいと思っていた。
当時社会を甘く見ていた僕は、機械仕事と聞き楽な仕事を思い浮かべていたからだ。 しかし、そんな甘い想像をしていた僕を待っていたのは、想像以上の力仕事だった。 機械のレバーを、次々に振り下ろす作業。 単純な反復作業だが、初めは腰や腕の筋肉痛がひどく、日常で歩くのにも支障をきたした。 そして作業が終わり、毎日クタクタになり、帰宅するなり眠りにつく。 それでも、学校から会社という環境の変化に馴れず、体調を崩してしまったのだ。 作業は遅くなり、毎日先輩に怒声罵声を飛ばされる。あまりに遅い時は「帰れ!!!」とすら言われることもあった 入社して3カ月、やっと作業に慣れ始めたが、会社の人間を誰も信用できなくなっていた。 自分でできない、わからない作業も先輩にきくことはなく、ミスを繰り返す。 当然先輩に怒られるが、説教は耳には入っていなかった。 ああ、クビになるだろうな。次ミスしたら、やっとクビになるだろうな。 僕は、完全に自暴自棄になっていた。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:44:14.83 ID:5j1uV5c50
- そんな時、僕はある光景を眼にした。
いつものように挨拶すらせず、タイムカードを押そうと事務室に入った時のことだ。 「……!」 (`ェ´)(ん…?) 隣の部屋で大きな声がしたので、何事かと少し開いたドアから覗いてみる。 そこでは、宝(たから)先輩と古地(こち)先輩が、険しい顔をした社長に言い詰めよっていた。 (,,゚Д゚)「…しかし、佐藤のラインだけ生産力が落ちているんだぞ…?」 (;^Д^)「大丈夫です! 我々が何とかカバーしてみせます!」 ( ゚д゚ )「だから…だから佐藤をクビにするのは、もう少し待って下さい!」 二人は、社長に頭を下げた。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:46:46.85 ID:5j1uV5c50
- (`ェ´)(な…な……)
(;ェ;)(なんで…っ) 先輩達が頭を下げたのを見て、思わず涙が零れる。 拭っても拭っても涙が止まらない。 (グスッ…グスッ…) ( ゚д゚ )「ん…?」 古地先輩が泣き声に気づく。見つかる。が、もうどうでもいい。 (;ェ;)「先輩"…。すびばせ"んでした…すみませんでした…グスッ」 (,,゚Д゚)「佐藤…」
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:48:02.93 ID:5j1uV5c50
- (;^Д^)「佐藤、俺達が悪かった。ちゃんとお前にもわかるよう教えなかったから…」
(;ェ;)「違います…。僕が悪かったんです…。僕が仕事を舐めていたんです…」 嗚咽が止まらない。 (;ェ;)「自分では何もできないのに…できる気になっていたんです…。ごめ"ん"な"さい"…」 ( ゚д゚ )「…これからは一緒に一歩ずつ進んで行こう。な?」 (;ェ;)「すみませんでした…すみませんでした…」 (*,,゚Д゚)(へっ、荒治療が効いたかな…。ちゃんと成長できたじゃねぇか)
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:48:54.80 ID:5j1uV5c50
- こうして、本当の意味での僕の仕事は始まった。
( ^Д^) 「おらおらノロノロしてんじゃねぇぞ!!!」 ( ゚д゚ )「佐藤!! そこパーツが詰まってんだろうが!!」 先輩は厳しいが、以前とは違う。 わからないことは教えてくれるし、僕からも聞きに行ける。 次第にミスも減っていき、ラインを正式に一本任せてもらうようになった。 そして何より、皆と仲良くなれたことが嬉しかった。 弁当を一緒に食べ、仕事の帰りにはご飯を食べに行く。 そんな当たり前のことが、僕にはとても新鮮に思えた。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:50:09.09 ID:5j1uV5c50
- いろんなことがあって、今では充実した毎日を送っている。
そう、過去のことなど忘れるくらい充実した( ^Д^)「佐藤!」 …宝先輩から呼ばれる。どうやら、何度も声を掛けられていたようだ。 考え事をすると、周りが見えなくなるのが自分の悪い癖である。 (`ェ´)「あ…はい。何ですか先輩」 ( ^Д^)「お前今年成人式だろ?成人の日は会社休むのか?」 成人式。あまり聞きたくない言葉だった。 (`ェ´)「…いや、成人式は出ないつもりなんですよ」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:52:52.04 ID:5j1uV5c50
- あらかじめ用意していた答えを出す。
すると先輩は、顔を顰めて僕に言った。 ( ^Д^)「出ないってお前…。成人式ってのは一生に一回しかないんだぞ」 (`ェ´)「それは…わかってますけど…」 わかっている。わかってはいるが…。 ( ^Д^)「…まぁ、明日までに決めとけよ、シフトのこともあっから」 (`ェ´)「はい、すみません…」 僕がそう言うと、宝先輩は持ち場に戻って行った。 何とか事なきを得る。 それからしばらくして、定時を告げるベルが鳴った。 (`ェ´)(成人式か…)
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:54:59.31 ID:5j1uV5c50
- (`ェ´)「お疲れさまでした―」
社長や先輩に挨拶をしてあがろうとする。 が、古地先輩に呼び止められた。 ( ゚д゚ )「佐藤! 今日どうだ?」 こっちを見て例のお酌を持つ動作をする先輩。 飲みに行かないか、ということらしい。 (`ェ´)「すみません。今日はちょっと用事があって」 ( ゚д゚ )「そうか…それなら仕方ないな」 先輩には悪いが、今日は断ることにした。 昔のふがいない自分を思い出してしまって、酒を飲む気分ではない。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 22:55:59.47 ID:5j1uV5c50
- ( ^Д^)「あ、佐藤。成人式のこと、考えとけよ」
(`ェ´)「はい。考えときます」 もう行かないと決めているが、返事だけはしておく。 余計なことを言うと面倒になるということは、社会生活で学んだことの一つだ。 もう一度先輩たちに挨拶をして事務室を出る。 まだ18時だというのに、辺りはカーテンを降ろしたように暗かった。
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 23:02:06.09 ID:5j1uV5c50
- (`ェ´)「ただいまー」
寒さで悴んだ手で玄関のノブを回し、ドアを開く。 車庫に車があったので、母さんはもうパートから帰っているようだ。 そんなことを考えていると、台所から母さんがエプロンで手を拭きながら出てきた。 「あら、おかえり」 (`ェ´)「ただいま。父さんはまだなの?」 父さんは役所に勤めている。 公務員というと楽で定時に終わるイメージがあるが、父さんの部署はそうではないらしい。 「今日も遅くなるって言ってたわねぇ。まぁ、あの人は仕事が生きがいだから」 クスクスと笑いながら台所に戻る母さん。 確かに父さんは仕事第一だ。 息子のことにも構ってはくれない。 あの時も、そうだった。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 23:11:19.73 ID:5j1uV5c50
- 階段を上り、自室に入る。
雑誌や食べかけの袋であちこち散らかっているが気にしない。 掃除をしなくていいというのは、彼女がいない男の利点である。 (`ェ´)「あ"ー」 我ながら情けない声を出しベットにダイブする。 目を瞑ると、どこからか疲れがドッと出てきた。 体中がギシギシ音をたて、脳は目を閉じることを命令する。 まどろむ意識の中で、引っかかる言葉が一つ浮かんだ。 (`ェ´)(成人式…か…)
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 23:24:58.24 ID:5j1uV5c50
- *
「佐藤君っておもしろーいwww」 女子が僕の名を呼び笑う。 高校入学で舞い上がっていた僕は、あの手この手で女子の興味を惹こうとした。 ギャグ、一発芸、授業中に当てられた時の珍回答。果ては階段を逆立ちで降りたりもした。 男子も僕のくだらない行為に同調してくれたのか、僕を慕ってくれた。 教師すら僕を笑い、僕の存在と笑いはどんどん広がっていく。 そして気がつくと僕は、学年でも知らない人がいないくらい人気者になっていた。 (*゚ー゚) 「あ、あの…これ読んで下さい!」 そして念願の告白もされ、彼女もできた。 僕の高校生活は順風満帆だった。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 23:30:58.11 ID:5j1uV5c50
- しかしその一方で、人気を妬むものもいる。
( ^ω^)「佐藤ってうるさいし、何かむかつくおね」 ('A`)「ん?ああ、そうだな」 (´・ω・`)「ぶち殺すぞ」 所謂リア充とは反対側にいる奴らだ。 奴らは僕の人気に嫉妬し、影口を叩き始めた。 ( ^ω^)「佐藤って実はマザコンアニオタゲーオタ幼(*゚ー゚) 「ねーよ」 …が、僕の人気はそれくらいでは崩れなかった。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 23:35:44.34 ID:5j1uV5c50
- 女子に良い顔をしたい僕は、そんな奴らとも仲良くしようとした。
しかし、 これがいけなかった。 こいつらが原因で 僕の人生の歯車は、狂ってしまったのだ。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 23:40:19.11 ID:5j1uV5c50
- ( ^ω^)('A‘)(´・ω・`)(ヒソヒソ…)
(`ェ´)「ようwww何の話してんのwww俺も混ぜてくれよwwwww」 (´・ω・`)「あ? ぶち殺すぞ」 ( ^ω^)「何でもないお。どうせお前にはわからん話だお」 ('A‘)「まんどくせ」 (`ェ´)「ちょwwwお前らwwwwテンション上げてけwwwwww」 ( ^ω^)「うるさいおねー。お前には…んっ(ピキーン)」 ( ^ω^)(そうだお。こうしたら…)
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 23:46:47.42 ID:5j1uV5c50
- ( ^ω^)「おっ! 佐藤は家にはパソコンあるかお? ネットはできるかお?」
(´・ω・`)「ブーン、なにを」 ( ^ω^)「(いいからちょっと黙ってろお)」 (`ェ´)「パソコンあるぜwwwww兄貴のだけどwwwwwwww」 ( ^ω^)「そうかお! じゃいいこと教えてあげるお! 実はブーン達は『VIP』って所で遊んでいるんだお」 (`ェ´)「びっぷ?」 変な奴らだ。学校でも遊んでいるのにネットでも遊ぶとは。 まぁ、そこら辺は文化の違いか。 ('A`)「…」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 23:51:14.57 ID:5j1uV5c50
- ( ^ω^)「『VIP』はおね、いい人達ばかりなんだお! だから佐藤も一緒に遊ぶお!」
(`ェ´)「そうなのかwwwwwwわかったwwwww俺もやるわwwwwwww」 ( ^ω^)「ただし、始めるのに一つだけやらなきゃいけないことがあるお」 (`ェ´)「? なんだ?」 ( ^ω^)「スレッドっていうのを建てて、自己紹介しなきゃいけないんだお」 (´・ω・`)('A`)「!?」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/14(金) 23:55:05.41 ID:5j1uV5c50
- (`ェ´)「そうかwwwwwそりゃ最初は自己紹介だよなwwwwwww」
(´・ω・`)「(ブーン、それはちょっと)」 ( ^ω^)「(いいから黙ってろお)」 ('A`)「生きるのめんどくせ」 ( ^ω^)「それと、自分で作った顔文字もなきゃ駄目だお」 (`ェ´)「顔文字もかよwwwwww」 ( ^ω^)「当たり前だお。アバターってあるお? それと同じだお」 (`ェ´)「そっかwwwwww納得wwwwwww」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 00:02:18.48 ID:qbOARHZ10
- ( ^ω^)「それじゃスレ建てる方法教えるお」
~~~~~~~~~~ (`ェ´)「なぁ内藤。何でスレッド名が『ここだけ本名を晒すスレ』なんだ?」 ( ^ω^)「いきなり自己紹介されたら困るお? だからだお」 (`ェ´)「なんだwwwwwwそんなことかwwwwwww了解wwwwwww」 ( ^ω^)「これで終わりだお。何か質問はあるかお?」 (`ェ´)「おっけーwwwwwwwじゃ今日の夜にでも建ててみるわwwwwww」 ( ^ω^)「待ってるお」 仲間が増えるのが嬉しいのか、内藤はとても嬉しそうな顔をしている。 こういう奴らでも、話したら結構いいヤツなんだ、と思ってしまった。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 00:11:40.01 ID:qbOARHZ10
- 授業が終わり、帰路につく。
彼女師井は部活があるらしく、一緒に帰れなかった。 (`ェ´)「ただいまー」 いつものように自室には向かわず、兄貴の部屋に向かう。 兄貴の部屋にはデスクトップとノートの2種類のパソコンがあり、ノートの方は俺も使っていいことになっていた。 ノートパソコンを自室に持ち帰り、アダプタを入れ電源をつける。 無線回線なので、新たに回線を繋ぐ必要は無かった。 (`ェ´)「びっぷびっぷ~っと…」 早速ヤフーでvipを検索してみる。 すると、すぐにそれらしきものが出てきた。 (`ェ´)「おっ、これか」 ニュース速報VIP板。 2ちゃんねるという言葉は聞いたことあるが、意味はわからなかった。
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 00:17:59.20 ID:qbOARHZ10
- (`ェ´)「よし…これで…」
内藤に言われた通りにスレッドを建てる準備をする。 初めてのことなので、少し、緊張する。 (`ェ´)「新規スレッドさくせ…あ!?」 クリックした瞬間重大なミスをしていることに気づく。 顔文字を入れてなかったのだ。 家に帰る間、ずっと考えていた顔文字を。 (`ェ´)「すとーっぷ!」 僕の叫びも虚しく、画面は切り替わる。が、 (`ェ´)「『このホストでは、スレッドは建てられません』?」 何か知らないけれど、スレッドは建たなかったようだ。 安心するとともに、少し落胆する。 しかし、そのあと何回やっても同じメッセージが出てくるのだ。
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 00:24:14.60 ID:qbOARHZ10
- (`ェ´)「何だよこれ~! あの豚野郎~!」
想定外の事態に、思わず本当のことを言ってしまう。 何回やってもダメなら、もう諦めよう。その方が賢明だ。 結局スレッドを建てるのは止めて、夕飯まで眠ることにした。 友達は部活をやっている奴ばっかりで、遊びに誘うのに気がひけたからだ。 パソコンを閉じ、ベッドに横たわる。 彼女の顔、友達の顔、様々なことが頭の中に浮かんで、意識は闇に包まれていった。
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 00:31:30.09 ID:qbOARHZ10
- 夕飯を済ませ、テレビを見ているともう10時になっていた。
明日も学校があるので、早く寝なければならない。 (`ェ´)「あ、そういや」 内藤に言われたスレッド。 帰って来てからやったが建てられなかった。 しかし、内藤も待っているのではないか?『VIP』で。 (`ェ´)「…もう一回やってみるか」 パソコンを開き電源をつける。 windowsのマークが現れ、デスクトップを映しだした。 IE、VIP ここまではさっきやった手順だ。 問題は、スレッドがちゃんと建てられるかだ。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 00:35:11.56 ID:qbOARHZ10
- さっき忘れた顔文字もしっかり入力する。
タイトル名…よし。 本文…よし。 これであとは『新規スレッドを建てる』をクリックするだけだ。 (`ェ´)(建ってくれよ…。眠たいんだから) そんな思いを抱いて、ボタンをクリックした。
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 00:36:08.36 ID:qbOARHZ10
-
ここだけ本名晒すスレ 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/01/14(水) 22:32:04.39ID:y1VDPqtO0 んじゃいくよ 俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 00:40:30.54 ID:qbOARHZ10
- (`ェ´)「おお! 建ってる建ってる!」
スレッド一覧の先頭にある自分のスレを確認する。 顔文字は、自分でも渾身のできだ。 (`ェ´)「さーて、内藤達はきてくれるかな~…ん?」 更新ボタンを押し、あることに気づく。 自分の奴が書き込まれている文字、それは…。 俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー 自分と、全く同じ名前だった。
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 00:47:42.76 ID:qbOARHZ10
- (`ェ´)「な、何だよこれ…」
更新する度に現れる『佐藤裕也』の文字。 明らかに同姓同名などではなく、これらはただ自分のをコピーしただけのものだった。 (`ェ´)「ふざっけんな!」 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 同姓同名がこんなにいんのかよ 。お前らふざけんなよ!!!! スレッドに文句を書きなぐる。 しかし、書き込みの勢いは衰えることがない。 俺も佐藤裕也(`ェ´)ピャー お前ら本名晒すなよww俺?俺佐藤裕也(`ェ´)ピャー お前ら悪乗りすんなよwwwwwwwwwwwwwまぁおれも佐藤裕也なんだが(`ェ´)ピャー 俺と同じ名前多杉だろwwwwwwwww 本名を晒さない方がいいですよ、俺?俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー お願いだから俺の本名晒さないで(`ェ´)ピャー 名前欄には、全て『佐藤裕也』と書かれていた。
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 00:53:11.85 ID:qbOARHZ10
- みんな佐藤裕也(`ェ´)ピャー
全人類佐藤裕也じゃね(`ェ´)ピャー 偶然だな俺も佐藤裕也(`ェ´)ピャー 俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー おまえらいい加減にしろ!! あ、俺? 佐藤裕也と申します。(`ェ´)ピャー ここはひどいインターネッツですね 俺?俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー 今日は天皇誕生日だな。え?俺?俺は佐藤裕也(`ェ´)ピャー (`ェ´)「んっだよこれ……(ハッ)」 ここで初めて気づく。 俺は、内藤に騙されていたのではないか。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 01:02:50.79 ID:qbOARHZ10
- だとしたらマズい。
一刻も早くスレッドを削除しなければ。 しかし、今日vipにきたばかりの自分には、スレッドの落とし方はわからなかった。 (`ェ´)「クッソ…どうしたら…」 その時、あることを思いついた。 ここは掲示板なんだから、皆に聞けばいいのではないか? (`ェ´)「そうだっ…スレッドを新しく建てて…」 本文、内容を入力して、新たにスレッドを建てる。 スレッドの落とし方おしえて 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 削除依頼出すしか方法ないですか? どのくらいの時間ででおちまますか?
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 01:11:35.89 ID:qbOARHZ10
- 結論から言えば、その方法は失敗だった。
vipにはIDというものがあって、スレッドを建てたのが自分だとすぐにばれたのだ。 そして、新しく建てたスレッドも『佐藤裕也』の名前で埋まってしまう。 画面に広がるのは、佐藤裕也佐藤裕也佐藤裕也佐藤裕也… 学校で人気者と呼ばれいい気分になっていたが、ネットで自分の名前を書かれても、ちっとも嬉しくなかった。 (`ェ´)「もう…ダメだ…」 これ以上あがいても無駄だと悟り、PCの電源を落とす。 ネットの事なんか忘れて寝よう。こんなこと、誰も覚えてないだろう。 電気を消し、ベットに入る。 明日になれば、何事も無かったようにいつもの生活が続くさ。 そう、思っていた。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 01:17:32.53 ID:qbOARHZ10
- 翌日。
学校に登校した僕を待っていたのは、現実とは思えないものだった。 (`ェ´)「おはよーwwwwww」 いつものようにクラスに入り、挨拶する。 しかし、皆の視線はいつもとは違って、どこか刺すようなものだ。 (`ェ´)「な、なんだよ皆wwww朝から暗いよwwwwwwww」 (*゚ー゚) 「佐藤君…」 (`ェ´)「あ、師井おはよーwwwwwww」 (*゚ー゚) 「佐藤君って…オタクって本当だったんだ…」 (`ェ´)「…え?」 ちょっと待て。 何だそれは。 オタク?誰が?
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 01:24:02.78 ID:qbOARHZ10
- (`ェ´)「な」
(`ェ´)「なに言ってんだよ師井wwwオタクって…」 (*゚ー゚) 「これ」 師井が突きつけてきたのは、一枚のA4用紙だった。 そこには、見たくもない文字が書かれていた。 俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー ちょっと待て。何故それをお前が持っている。 (*゚ー゚) 「校内にばら撒かれているよ…。もう皆知ってる」 (;`ェ´)「ちょ、ちょっと待てよ。何もそれが俺って決まったわけじゃ」 言いかけた瞬間、教室のドアが開く ( ^ω^)「おいーっす」 元凶が現れた。
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 01:30:51.68 ID:qbOARHZ10
- (;`ェ´)「内藤、てめぇ!」
内藤の胸倉を掴む。 しかし、内藤は上から見下ろし ( ^ω^)「なんだお? ブーンが何かしたかお?」 まるで、何も知らないように振る舞う。 怒りで体が震え始めた。 (;`ェ´)「てめぇ…自分がしたことわかってんのかよ」 ( ^ω^)「何をそんなに怒ってるんだお? ちょっと落ちつくお」 (;`ェ´)「てめぇ!!!」 内藤の頬めがけ、拳を打ち出す。 だが次の瞬間、自分の体が宙に浮いていた。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 01:37:50.94 ID:qbOARHZ10
- (;`ェ´)「ギャッ!!」
( ^ω^)「正当防衛、だお」 一本背負い。 見たことはあるが、自分が喰らうとは思わなかった。 (´・ω・`)川 ゚ -゚) 「なんだなんだ」( ・∀・)( ´∀`)ゾロゾロ… 騒ぎを聞きつけ、人が集まってくる。 急いで起き上がろうとするが、内藤が上になっていてどうにもならない。 内藤は完全に体重を預け、僕の動きを封じていた。 ( ^ω^)「こいつが手出してきたからちょっと懲らしめてたお」 おい、何嘘を言って… 「うわっ…佐藤ダセッ」
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 01:43:11.48 ID:qbOARHZ10
- (`ェ´)「!?」
何だと。 「やっぱ噂本当だったんだ」 「何かオタクって言われて怒ったらしいよ」 「うわ~幻滅…」 何を言っているんだ、こいつらは。 俺はハメられたんだ。悪いのはコイツなんだ。 (*゚ー゚) 「佐藤君…もうやめよう。もう別れようよ」 師井? 「ヒューヒュー」 「おいオタクwww何か言えよwww」 「だっせーwwwwwwww」 (*゚ー゚) 「さよなら」 公衆の面前で、別れを告げられた。 ちょっと待ってくれ。本当に何なのだ、これは。
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 01:47:23.54 ID:qbOARHZ10
- (´<_` )「おーい席つけー」
先生が入ってくる。 そして、こちらを見て、言った。 「佐藤は後で職員室に来るように―」 違うんだ。俺は何もやっていない。 俺はハメられたんだ。俺は 俺は 俺は…
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 01:58:10.33 ID:qbOARHZ10
- そこからは何を言っても無駄だった。
オタクではない、と言っても「オタク乙」「ロリコン乙」と言われ、 仕舞には「予備犯罪者」とまで言われる始末。 あれだけ仲良くしていたクラスの連中は皆僕を避け、完全にハブられた。 内藤に詰めよっても、「お前が悪いんだお」の一点。 しつこく言い寄ると、クラスの男子が内藤の周りに集まり「早く消えろ犯罪者」と言われた。 僕は、信用と友達というおよそ生きていく上で大切なモノを、同時に失くした。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 02:08:03.92 ID:qbOARHZ10
- ハブはその後も続き、卒業するまで誤解が解けることはなかった。
日が経つにつれ、学校にもあまり行かなくなる。 登校しても、保健室や図書室で過ごす毎日。 卒業はなんとかできたが、就職はとてもする気になれなかった。
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 02:25:17.29 ID:qbOARHZ10
- ※
(`ェ´)「んっ…」 蛍光灯の光が眩しい。 思わず両手で目を覆う。 ベットに入ったまま、寝てしまっていたみたいだ。 時刻は…午後10時。3時間ほど寝ていたことになる。 しかし (`ェ´)「ハァ…」 また、昔のことを思い出してしまった。 最近は思い出す回数が減ってきたが、いつ見てもあれは気が滅入る
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 02:30:54.14 ID:qbOARHZ10
- 今でもあいつらのことは許していない。
卒業してどこかの大学に行ったとは聞いたが、追いかけてまで復讐しようとは思わなかった。 (`ェ´)「成人式、か…」 成人式。 あいつらも恐らく来るのだろう。 その時―――― 「ご飯よ出来てるわよ―」 階下から母さんに呼ばれる。 考え事はあとにして、今は遅い夕飯を食べることにした。
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 02:35:35.32 ID:qbOARHZ10
- (`ェ´)「父さん…これ、なに…?」
「見ればわかるだろう。スーツだ」 仕事から帰ってきていた父さんは、リビングに掛けたそれを僕に見せつけた。 (`ェ´)「なんでこんなものを…」 「成人式に着て行くためだ。お前、スーツの一着も持ってないだろう」 確かにそうだが、成人式には出る予定はない。 父にそう言おうとするが 「これ、10万したんだからな。ちゃんと着て行けよ」 とても、言えそうになかった。
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 02:42:56.13 ID:qbOARHZ10
- 夕飯を済ませ、10万のスーツと向き合う。
(`ェ´)「成人式…」 あの日、あの時、あの掲示板。 そして、あの連中。 僕は、変われるのだろうか。 僕は、取り戻せるのだろうか。 ただ、一つだけ言えることがある
- 76 名前:-糸冬-:2011/01/15(土) 02:44:03.05 ID:qbOARHZ10
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僕は、確かに生きている
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/15(土) 02:46:37.57 ID:qbOARHZ10
- ネタで書き始めたのにこんなにかかるとはwwwww
最後は強引に終わらせますた しゅみませんでした(´・ω・`) こんな深夜まで多数の支援ありがとうございますた 誤字脱字ばかりですが見て下さってありがとうございます 最後に 俺、佐藤裕也(`ェ´)ピャー
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