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( ^ω^)ブーン達はジェット世代のようです |
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:07:19.05 ID:YFO+mgDK0
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ブーン達は自分達がまだもっと未熟な時期――小学校の時から、自分達はジェット世代だとしっかり認識していた。 気に入らないモノは破壊すべきだと思っていたし、その反面で各人は好きなものには異常なまでに執着した。 ジョルジュ長岡はポルノ写真を蒐集することに情熱を燃やした。 ドクオは盗撮が趣味だった。流石兄弟は楽器いじりばかりしていた。 そして、内藤ホライズンは強くなりたかった。 「ツンはね。あのね。強い人が好きなの」 幼き頃の記憶ほど強く刷り込まれるものはない。 内藤ホライズンは強さを求める理由を、幼稚園の時に好きだった娘が"そう言った"からだとは記憶していない。 が、その記憶の断片は彼の脳裏にびっしりと刻印され、最早消すこともままならないものとなっていた。 いつの頃からか、彼らは集い始めた。 ジェット機のように、ただ、目標まで一直線に、走るために。 ――チーム名を決めないか? ある日、ドクオはそう言った。 流石兄者が「ジェット ジェネレーション」と答えた。 特に意味はない。 なんとなく豪そうだ、と、いうことだ。 それでも彼らクソガキ連中は、薄々ながらジェット思想というものを理解していた。 「わかった。俺達は今日からジェット ジェネレーションだ」 拳を突き上げて、叫んだ。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:08:00.72 ID:YFO+mgDK0
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「「「「「ジェット ジェネレーション!!」」」」」
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:08:41.68 ID:YFO+mgDK0
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( ^ω^)ブーン達はジェット世代のようです
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:09:28.17 ID:YFO+mgDK0
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( ^ω^)ガチャリ「おいすー」 ('A`)「うっす」カチャカチャ ( ^ω^)「何やってんだお? って聞くまでもねーかお」 ('A`)「まーな。後でお前の分もコピってやるよ」 ( ^ω^)「まさかとは思うが……」 ('A`)「あーはいはい。ツンデレさんはやってねぇよ。お前にボコられたらかなわねぇ」 ( ^ω^)「それは良かったお。で、おなごの方は?」 ('A`)「ぐひひ。こっちですぜ、親分」スゥ ('A`)(^ω^)「どれどれ……」 □ ( ^ω^) ( ω ) (*^ω^)フヒヒ!
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:10:14.34 ID:YFO+mgDK0
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VIP市は県庁所在地とは程遠い、開発とは無縁の市だ。 そういう場所にはえてして廃屋のようなものがある。 ジェット ジェネレーションがアジトと呼ぶ建物もその中のひとつだ。 時代の流れから取り残されたボーリング場。 内部にはクソガキ共の趣味の品――トレーニング用品、ポルノ雑誌、ギター、ベース、乾電池式のアンプがある。 彼らは放課後ここに集まっては、思い思いの活動をしたり、悪だくみをしたりする。 ドクオもまた、趣味である盗撮で手に入れた写真の加工、編集をここで行っている。 内藤ホライズンはドクオのノートPCを覗きこんだ。 画面にはあられもない姿の同級の女子達の姿があった。 (*^ω^)b (*'A`)「フヒヒヒヒヒヒ」 (*'A`)「こっちなんかどうよ?」カチカチ (*^ω^)「お?」 (*'A`)「素直ヒートさんの健康的な肉体美! カッショクサイコー!」カチリ! (*^ω^) ( ω ) d(*^ω^*)bフヒヒヒヒ!
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:10:55.51 ID:YFO+mgDK0
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/| | ||. | | ||o| | ||. |. | フヒヒ ||/彡 ̄ ガチャ (*^ω^)('A`*) 三( ゚∀゚)「おーすっ!」 □ ――やっぱ、日焼け肌こそイデアと思いませんか? ブーン先生? ――その答えはイエスですなぁ。小麦色の肌が織りなすエロス! たまらんお! ( ゚∀゚)ノシ「おーい。ブーン、ドクオー」 ――ちょっとPCを借りていいかお? ――どこ行く気だよ? ――ちょっとお花を摘みに。 ――イカ臭くなるじゃねぇかよ。いやぁそれにしても……。 (;゚∀゚) フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! (*^ω^)('A`*) 『いいもんですなぁ!!』 □
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:11:37.87 ID:YFO+mgDK0
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( ) ミ 『よっこせっと』 (;^ω^)( ゚∀゚)('A`;) □ ――で、今回の作品は? ――フヒヒヒヒ。俺の作品の中でも最高傑作と言っても過言じゃないぜ。 ――どれどれ。 (*^ω^)(゚∀゚)('A`*) □ フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! (*^ω^)(*゚∀゚*)('A`*) □
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:12:18.66 ID:YFO+mgDK0
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(*゚∀゚)「やっべ。すっげぇ可愛い、この娘なんて名前?」 (*'A`)「素直ヒート」 (*^ω^)「陸上で鍛え上げられた脚がたまらんおね!」 (*゚∀゚)「このデカ過ぎないおっぱいは素晴らしい! 美乳すぎる!」 (*'A`)「でも何より……」 ――日焼け肌が最強だー!
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:12:59.81 ID:YFO+mgDK0
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( ´_ゝ`)ガチャ「おいーす」 (´<_` )ガチャ「ういーす」 (^ω^ )ミ クルッ ――二人もこれ見るお! ――ん、ドクオの新作か。 ――今回のシチュは? ――陸上部の部室だお! ――ブスが写りこんでるってのは? ――ないね。完璧な仕事だよ、これは。ま、見てくれ。 ――ふむ。 「「「「「フヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」」」」」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:13:41.13 ID:YFO+mgDK0
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(*゚∀゚)「なぁなぁ、ヒートちゃんは彼氏いんの?」 ( ^ω^)「ドクオ?」 ('A`)「いない。彼女はこれまでも何人かの男に告白されたが、受け入れたのは1年次の5月の時のみ(キリッ だが、ソイツとも翌月には破局。それ以降は彼氏という存在はいない(キリリ 俺の予測では最初の男で、自身は恋愛に興味がないことに気付き、高校時代は部活動に専念しようと思ったと見られる(メガネクイッ」 (;^ω^)(どうしてコイツはこんなにも校内の女子に詳しいんだお。女友達ゼロのくせに) (*゚∀゚)=3ムハー「じゃあ俺が彼氏になっちゃおう!」 (゚A゚)「あ?」イマナンツッタコノセイシノウ (*゚∀゚)「だって彼氏いないんだろっ。俺がこの娘をモノにしても……」 (゚A゚)「お前彼女5人いるじゃねーか!!」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:14:26.03 ID:YFO+mgDK0
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( ゚∀゚)「違うね。今はフリーだ」 (;'A`)「え、お前が? 女とあれば誰でも喰うお前が?」 ( ゚∀゚)「浮気がバレた」 ( ゚∀゚)「なるたけバレないようにやってたんだけどなぁ……」 ( ゚∀゚)「だから今はフリー」 ――やってらんねぇよなぁ。学校の女共はみんなして俺のこと避けるし。 ――だから他校の女の子を引っかけようと、な。 ――あれ? (*^ω^)人('A`*)イエーイ! ∩(^ω^*∩) (∩*'A`)∩バンザーイ! (*^ω^)っ凵☆凵c('A`*)ルネッサーンス!
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:15:06.72 ID:YFO+mgDK0
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(*'A`)「ざっまああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 (*^ω^)「女が多いからって理由で商業高校に行くからだお! 不純な動機に天罰が下ったんだお!」 「おうおう、これからは俺達と一緒だなぁ」オイオイ (*'A`)ノ┌┛))゚∀゚;)ウッゼエ ('A`)「改めてこう呼ぼう……」 (゚A゚)クワッ「非モテ仲間ジョルジュ長岡同士!」 (*^ω^)「仲間~♪」 (゚∀゚;) ( )ミヒュッ (゚∀゚;)ω^)「仲間~♪」 「耳元でささやくな」ウザイ (゚∀゚;)=つ))^ω^)グイ
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:15:52.76 ID:YFO+mgDK0
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(;゚∀゚)「はぁ……べつにいいじゃねぇか。ヒートちゃんが誰と付き合おうがよ」 (゚A゚)「ならん!」 (゚A゚)「俺のアート活動の中でも彼女は屈指の逸材!」 (゚A゚)「俺は彼女の裸体に美のイデアを見出した!」 (゚A゚)「俺が彼女の美しい裸を写真に収めることで、それはいずれイデア界への鍵となる!」 (゚A゚)「それをだ! 貴様のような獣欲淫欲肉欲の権化! サタンの使いが汚しては――」 ――ずぇったいにっ! ならんっ!
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:16:33.40 ID:YFO+mgDK0
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(゚A゚)「ヒートは貴様のような男にはやらん!」 (;゚∀゚)「いやー、そこを頼んますよ。お義父さん。ぼかぁもう1人身に耐えられないんでさぁ……」 ホレ ('A`)つ□(゚∀゚?) ――ヒートの生写真だ。 ――制服姿もいいですねぇ。って、そうじゃなくて。 ――オナニーをしなさい。 ――は? ('∀`)「オナニーなさい。さすれば貴方にもイデア界が認識できるでしょう。 写真というものは物体を間接的に見ることによってイデア界への、云々かんぬん」 (;゚∀゚)「やー、そういやオナニーはもう数年してな……」 ――1、2、3、4! ギュララララララ! ジャッカジャ━━(; ω )━━(; ∀ )━━( A ;)━━ン! ジャカジャカジャーン!
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:17:14.97 ID:YFO+mgDK0
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(∩゚ω゚)パクパク (∩゚A゚)(聞こえねーよ) (∩゚∀゚)パクパク (∩゚A゚)(聞こえねーって) ――だって。 ――あいつらがうるさいんだもの。 ベーンベベベベベベベベベーン!ベベーン! ジャカジャーン!ジャカジャカジャカジャジャーン! ベベベベン!( <_ )ベンベンベン! ジャジャジャジャ(#´_ゝ`)ジャジャジャ! ベンベベベベベベッベベン!ベンベン! ジャーン!ジャカジャーン!ジャカジャーン!
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:18:00.17 ID:YFO+mgDK0
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(#゚_ゝ゚)「Go! light!! Go! light!! Go! light!! サンダーロックッ!!!!!!!」 ( <_ )「轟雷!!!!!!!!」 (#゚_ゝ゚)「ノーテンキな頭にッ!!!!!!! 刺さったぁあああああああああああああ!!!!!!」 ( <_ )「轟雷!!!!!!!」 (#゚_ゝ゚)テンションブっ放せ!!!!!!! 瞬間で光速までッ!!!!!!!!」 ( <_ )「轟雷!!!!!!!」 ――電気こそがオレのエネルギー!!!!! 邪魔するやつは許さないッ!!!!!!!! ――Go! light!! Go! light!! Go! light!! ――排気ガスも食べちゃうぜ!!!!!!! 身分証明書は捨ててきたッ!!!!!!! ――Go! light!! Go! light!! Go! light!! ――そうだオレはサンダーロックッ!!!!!!!!!! ――サンダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ――Go!!!!!! light!!!!!
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:18:45.41 ID:YFO+mgDK0
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キ―( ゚ω゚)―ン「終わったかお……」 キ―(゚A゚)―ン「あぁ、なんとかな……」 ――うむ、流石だな。俺達。 ――あぁ、じゃあ次は昨日つくったやつをやるか。 ――よし。 三( ゚ω゚)つ「らめえええええええええええええ!!」 ( ´_ゝ`)「ん?」 ( ゚ω゚)「フルテン(※)はすんなって言ったお!」 ( ´_ゝ`)「そろそろお前らも慣れた頃かなぁって思って……なぁ?」 (´<_` )「うむ」 ( ゚ω゚)「お前らのハウリングだらけの演奏なんて絶対に慣れっこないお!」 ( ゚ω゚)「僕らの耳を破壊したいのかお!」 (※)アンプのコントロールツマミを全て最大値(10)にセッティングした状態を指す。 ('(゚∀゚*∩<要はすっごい音量が出るよ!
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:19:26.81 ID:YFO+mgDK0
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( ゚ω゚)「つーかアンプ使うな! どういう風に弾いたらそこまで歪んだ音になるんだお!!」 ( ´_ゝ`)「へ? フツー」 (´<_` )「フツーだよな、俺ら」 ( ゚ω゚)「――はっきり言ってやるお。お前らは」 ――ドヘタクソだお!! ――んだと豚テメェ! ――ピッツァにロックの何がわかりやがる! ――あー、今デブって言ったー。二回言ったー。絶対許さないおー。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:20:07.83 ID:YFO+mgDK0
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('A`)「始まりましたなぁ」 ( ゚∀゚)「そうですなぁ」 ('A`)「最近は平和だし――」 ( ゚∀゚)「ブーンも暴れる場所がなくて欲求不満ってか」 ( ゚∀゚)「女でも抱けばいいのにな」 ('A`)「無理無理。アイツには心に決めた人がいるから」 ( ゚∀゚)「ツンデレさんだっけ?」 ('A`)「そそ。幼稚園の時から一緒で、高校までストーカーし続けてる」 ( ゚∀゚)「お前らのトコは頭良かったよな?」 ('A`)「まぁ、俺はお前らと違ってオツムの出来が良かったけど、ブーンは大変だったみたいだな」 ( ゚∀゚)「愛の力って偉大だな……」 ('A`)(゚∀゚ )「つーわけでヒートちゃん紹介して」 ('A`)「それはやだ」 ( ゚∀゚)「チッ」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:20:48.49 ID:YFO+mgDK0
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( ゚∀゚)「あ、お前もしかして……」 ('A`)「んだよ」 ( ゚∀゚)「ヒートちゃんのこと好きなの?」 (゚A゚)エ!? ――喰らいやがれ! アンプボンバー! ――デュクシ! デュクシ! ――ざけんなお! 武器使うなお! ――わ、流石デブ。皮下脂肪で衝撃を吸収しているのか!? ( ゚∀゚)フフーン (゚A゚)「馬鹿家よ。俺は傷害をアーとに欠けるって胃ってるじゃないか」 ( ゚∀゚)「そういうことなら仕方ねーな」 (゚A゚)「被写体に欲情する何手事は逢ってならないから、駄目だからね」 ( ゚∀゚)「彼女が綺麗だから、盗撮しまくってたら、惚れちゃったと」 ( A )「……」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:21:37.04 ID:YFO+mgDK0
- ('A`)「はぁ……」
('A`)「今までこんなことなかったんだよ……。俺は諦めた人間として、恋愛に割く時間をアートに充てて大成しようと思ってたのに」 ( ゚∀゚)「もうやめとけよ。盗撮なんて」 ('A`)「それは駄目だ(キリッ 被写体が撮影者に気付いていたら美は損なわれる」 (;゚∀゚)「ヒートちゃんだけはやめとこうってことだ」 ( ゚∀゚)「姿だけ手に入れてもそれは虚しい。やっぱ心を手に入れないとな」 ('A`)「つっても俺、ブサイクだし」 ( ゚∀゚)「馬鹿が。俺らがつるんでる理由は?」 ('A`)「……」 Σ(゚A゚)「おまえぇ!」 ――やっべ! 流石デブだ! ――1発1発が重いぞ! 超ヘビーだ! なんて身体にズシリとくるんだ! ――もう怒ったおーん! ( ゚∀゚)「おーい、お前らー」 (゚A゚)「やめろおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:22:17.81 ID:YFO+mgDK0
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( ゚∀゚)「ジェット ジェネレーション始動だ!!」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:22:59.45 ID:YFO+mgDK0
- (^ω^メ)彡クルッ「お?」
(#)_ゝ(#)「……」 (´<_` )「何だ何だ?」 ( ゚∀゚)「俺達の目的はなんだ?」 ( ^ω^)「楽しむことだお」 (´<_` )「"ジェット機の速度で止まらない。天気予報はアテにしない、直感に命をかけろ" これがスローガンだ」 ( ゚∀゚)「その通り! 快楽というプリミティブな目的で俺達は厨房の時からつるんできた! さて、俺達の今までの実績は?」 ( ^ω^)「一番面白かったのはクスリの売人やってたチームをぶっ潰したことだったおね」 (´<_` )「そうそう。ジョルジュが女をたらしこんで情報を集めて、ドクオがそれを裏付けて、ブーンがアタマを潰して、俺と兄者が騒ぎまくって警察を呼んだんだよな」 (´<_` )「それもよかったが。俺はあっちのが面白かった。"鬼面ライダー"」 ( ^ω^)「あれも凄かったおねー。夜な夜な鬼の仮面をつけて走り回る神出鬼没のライダーを捕まえようと思って、 ドクオが街中の至る所にカメラ仕掛けて行動パターンを割り出したり……」 ( ^ω^)「あ、そうそう! 怪談系といえば"夜明けのメリーさん"のオチが最高に笑えたおね!」 (´<_` )「そうなんだよなー、俺はあれ思い出すと吹き出しそうに……」 ( <_ )「プッ、ククククク……」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:23:42.10 ID:YFO+mgDK0
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( ゚∀゚)「とにかくだ。俺達にできないことなんてない」 ( ゚∀゚)「俺の話術。ドクオの情報収集能力。ブーンの腕力。流石兄弟の……」 (´<_` )「……」 (;゚∀゚)「エンタメ性! そう! エンタメ性がある! 力を合わせれば無敵だ!」 (゚A゚)(ジョルジュの野郎……俺をダシに楽しもうってか……) ( ゚∀゚)bビッ「つーわけで、ドクオ君の恋を叶えようと思います」 (*^ω^)bビッ「おっおー! それは素敵だお!」 ビッd(´<_` )「ううむ。たまにはそういう平和的なものも悪くないな」 ('A`)「お前らなぁ……」 ('A`)「言っとくがオレは 真 剣 (マ ジ) だからな」 ('A`)「失敗しましたー! テヘ///」 (#'A`)bビッ「そんなんじゃすまねぇんだからな!」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:24:24.60 ID:YFO+mgDK0
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――何だかんだお前も賛成じゃねぇかよー! ――うっせ! バーカ! 俺はお前らを利用してやるんだよ! ――おっおー! 頑張るおー! ――お前はいいのかよ? あ? ――おお!? ――俺が終わったら次はテメェの番だ! ブーン! ――ははは。それはいいな。ブーンはヘタレだからな。 ――おおーん! そんなことないお! ――ところで作戦だが、俺達の作ったロックをドクオにやらせて彼女のハートを掴むのはどうだ? ――ガレージなんてJKに流行ってねぇんだよ! アホ! (#)_ゝ(#)…… (#)_ゝ(#)bビッ
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:25:05.39 ID:YFO+mgDK0
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――翌日。放課後。市立VIP高校。校門前。 ((((((;゚A゚)))))))ガクガク ( ^ω^)「ドクオー?」 ((((((((;゚A゚)))))))))「ななななな、何だァ?」 ( ^ω^)「ビビんなお。アドレス聞くくらいなら、そう簡単に拒否られないお」 ((((((゚A゚))))))「やっぱジョルジュは完全には頼れないのか?」 ( ^ω^)「そりゃ他校の人間だからおねー」メンシキノナイニンゲンガキタラアヤシイ。ヒートサンハガードカタイラシイシ ( ^∀^)ヒュバッ『まずはアドレスを聞いて、そっから仲良くなんじゃね?』 ( ^ω^)ヒュッ「そう言ってたお」 ( ^∀^)ヒュバッ『校外に出れば俺達のテリトリーだから後はなんとでもなる、と、思う』 ( ^ω^)ヒュッ「そうも言ってたお」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:25:46.25 ID:YFO+mgDK0
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(((((゚A゚))))))「何で"じゃね?"だの、"と、思う"だの。語尾に自信がねぇんだよ!!」 ( ^ω^)「おー……。それは」 ――それは俺がイケメン過ぎるからだな! (゚A゚)「あ?」ケンカウッテンノカコノヤロウ ( ゚∀゚)ノ「お待たせー」 ( ^ω^)ノ「おいすー」 ( ゚∀゚)「ロック兄弟は?」 ( ^ω^)「さっきメールが来たお。"追試があったのを忘れてた"って」 ( ゚∀゚)「工業高校で追試くらうってどんだけだよwww」 (#'A`)「それはそうと、お前。さっきのはどういうことだよ?」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:26:35.48 ID:YFO+mgDK0
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( ゚∀゚)「うぅん。よく考えたらな。俺ってば恋愛の駆け引きとかしたことないんだった」 ( ゚∀゚)「声をかけただけで女の子は俺に惚れちゃうんだ。メンドクサイ手続きなしでとっとと一発」 σ(゚∀゚*)テヘ/// (#゚A゚)「イケメン死ねえええええええええええええええええええ!!」 ――誉めるなよ。照れるだろ。 ――死ねって言ってんだ! ばか! あほ! おたんこなす!! (゚A゚)ゼェゼェ ( ゚∀゚)「つーわけで、俺は案外頼りないです」 (゚A゚)「発起人がそれかよ!」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:27:17.04 ID:YFO+mgDK0
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(;'A`)「へへーん! いいもんねー! 俺は昨日ネットで恋愛相談に乗ってもらったんだ!」 ( ^ω^)「どこのサイトで?」 (;'A`)「ちゃんと携帯のメモ帳に保存してあんだ! これを見ろ!」 【成功率97%】ジューシーな恋愛相談室。男女可 437 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/18(金) 17:25:36.84 ID:tMAtwlPyP はっきり言って俺は不細工です 今まで女友達もいたことがりません。だけで高校に入ってからある女子を好きになっていしまいました 彼女と仲良くなりたいのですが、こういう場合いきなりアドレスを聞いても大丈夫なものでしょうか? ('∀`)ヘヘヘ ( ^ω^)(こいつν速民だからなぁ……VIPの事情は知らないんだおね……)
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:28:05.25 ID:YFO+mgDK0
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( ゚∀゚)「回答は?」 ('A`)「ああ、画面をスクロールさせて、と」カチカチ 442 名前:ジューシー ◆Z8ZJY8pTmPh8[] 投稿日:2011/02/18(金) 17:32:17.50 ID:aMoVSoxdO >>437 一生懸命というか、そんなに気持ち悪い言い方しなければ メアドだって教えてくれますよ 女の子は比較的、簡単にはメアド教えてくれますね 「いきなりですみません、この前、あなたを見かけて 友達になりたいなぁって思ったので、よかったらメル友になってくれませんか?」 って笑顔で言ってみてもいいですよ 爽やかに言うとまぁメールくらいなら って教えてくれる方は多いですよ 断られたらくらいつかず、ありがとうではもし次にあったら 教えてくださいよって次をまつとかね 怪しい人じゃないなって思われるのがコツですね 頑張って ('∀`)エヘヘ ( ^ω^)(こういう奴が糞コテをつけあがらせるのか……)
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:28:45.69 ID:YFO+mgDK0
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('∀`)「それじゃ早速行ってくるんだぜッ!」 「はい、イヤホン」 ('∀`)つσ(゚∀゚ ) ('∀`)「いつも通り俺の身体にカメラとマイク仕掛けてあるから!」 ('∀`)「いくぞ! ブーン!」 ( ^ω^)(コイツがテンション高い時って大抵失敗するんだよなぁ……) 三 ⊂二二二( '∀`)二⊃ ドクーン ( ^ω^)「じゃ、ジョルジュ。見守っててくれお」 ( ゚∀゚)ノシ「おう! 達者でな!」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:29:27.53 ID:YFO+mgDK0
- 三( ^ω^)「なぁ、やっぱ部活が終わるのを待ったほうがいいんじゃないかお?」
三( '∀`)「俺たちゃジェット ジェネレーション! エンジンに火が点いたらもう止まらないんだ!」 三( ^ω^)「そうじゃなくて、相手方にも迷惑とかがおね……」 ('A`)キッ「わかる!」 ('A`)「それは重々承知ッ!」 ('A`)「だけどなァ……!」 (#゚A゚)「今この瞬間を逃したら俺はきっと"もっといい時期がある"! そんな考えにとりつかれるんだ!」 ('A`)「"今はその時じゃない""もう少し辛抱すれば"そういう考えで歩みを止めるのはうんざりだ!」 ('∀`)「だから行くのさ! 今すぐに!」 ( ^ω^)「……」 (*^ω^)bビッ「じゃあ急ぐお! 部活が始まっては声もかけられないお!」 (*'A`)bビッ「おうよ!」 三 ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン 三 ⊂二二二( '∀`)二⊃ ドクーン
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:30:18.61 ID:YFO+mgDK0
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――――― ―― (((((((゚A゚)))))))「ア、ア、ア、ア、ア、ア、アアノデスネェン。ボ、ボ、ボ、ボ、ボクトトモダチニ、ニ、ニ、ニ、ニ、ナッテクリャータラウレシイナァ」 ノパ⊿゚)「?」 m9(^ω^)9m(やっぱりこうなったお!!)チャンチャン♪ ((((((((゚A゚))))))))「ソ、ソ、ソ、ソ、ソ、ソ、ソンデ、デネ、ア-ノネ、アーノー、アーノーネー、アーノー、アーノネー、アーアー、アーノーネアノーネー」 ノパ⊿゚)「? ? ?」 ( ^ω^)「……」 ( ^ω^)(小ネタに気付いた人間が何人いることやら……)
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:31:01.76 ID:YFO+mgDK0
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「ヒートぉ?」 ミクルッ ( ハミ 「ゴメーン! ちょっと待っててー!」 (((((((゚A゚)))))))「手のひらに火とって痔を欠いてノム。手のひらに火とって痔を欠いてノム」 ( ^ω^)(それは本番前にやるものだお……) ノパ⊿゚)「あのさ、私もう行かないといけないんだけど……」 (゚A゚)「エート、アノソノ……」 ( ^ω^)(仕方ないおね……)
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:31:43.46 ID:YFO+mgDK0
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――素直さん。実はコイツ、あなたと友達に……。 ムグ(;^⊂('A`) (;^ω^)(こいつ……何を……) ( A )フシュー ('A`)「アドレスを教えてください。友達になりたいと思ったので」 Σ(*^ω^)(おお!) ノパ⊿゚)「ん、ああ。いーよ」 ピッ ノパ⊿゚)□☆□('A`) (*^ω^)(おおおおおおおおおおお!) ノパ⊿゚)「じゃ、私もう行くからね」 ('A`)「はい、ありがとうございましや」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:32:23.98 ID:YFO+mgDK0
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( A )(^ω^*)「やったおね! 第一段階クリアーだお!!」 ( A )「……」 ( ^ω^)「ドクオ?」 ('A`) ('A`,';,';,', ('A,';,';,', (',';,';,', (,';,';, ';,,(' Σ(;^ω^)「ドクオォォォォォォーッ!」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:33:04.64 ID:YFO+mgDK0
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――喫茶店。ヨネダ珈琲。VIP高校前店。 カランコローン ( ^ω^)ノ「ジョルジュー」 ( ゚∀゚)「おう。うまくいったな!」 ――そうなんだけど……。 ――ん、どうした? (^ω^)「こうなっちゃったお」 つ:;....::;.:. :::;.. .....⊂ ( ゚∀゚)「何だよ、これ?」 ( ^ω^)「ドクオだお」 (;゚∀゚)「はぁ!?」 ( ^ω^)「極度の緊張が解けたら砂になってしまったんだお」 ( ゚∀゚)「マジかー」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:34:08.20 ID:YFO+mgDK0
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( ^ω^)セッセ ( ゚∀゚)セッセ (つ;^ω^)「なんとか出来あがったお」 ( )「ん……?」 (*゚∀゚)「ドクオー! おめでとー!」 (*,,゚Д゚)「ははははは、やったぜい!」 ( ^ω^) …… ( ゚∀゚) …… ( ^ω^)(゚∀゚ ) (*,,゚Д゚)「ん、どうした?」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:34:53.19 ID:YFO+mgDK0
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――認めないお! ドクオはこんなんじゃないお! ――そうだ! 俺達の知ってるドクオはこんなに男前じゃない! ――何言ってんだお前ら? ( ゚∀゚)「微修正が必要だな」 ( ^ω^)「わかったお……」ゴキリ (;,,゚Д゚)「え、何? ブーン?」 オラァ!(#^ω^)=○)),, Д)、;'.・ ――ちょ! いきなり何すんだ! ――まだまだだお! c(#^ω^c)っ≡つ)),, Д)、;'.・ ババババ ――イデデデデデデ! ――これでもか! これでもか! ドクオを返せ!
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:35:35.14 ID:YFO+mgDK0
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(#)A(#)「前が見えねぇ……」 (;^ω^)「戻ってよかったお」ホッ (;゚∀゚)「やービビった、ビビった」 ( ^ω^)「こっからどうするお?」 ( ゚∀゚)「デートとか誘うんじゃね?」 ( ^ω^)「やっぱり頼りにならねーな。腐れイケメン」 ( ゚∀゚)「俺が好きになると相手も好きになっちまうからな」アイテガカッテニナンデモシテクレル ( ゚∀゚)「こういうケースはわからん」 (メ゚A゚)(すっげぇムカつく!)(゚ω゚ )
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:38:40.03 ID:YFO+mgDK0
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( ゚∀゚)「ま、とにかく攻撃をしかけていかないとな」 ( ゚∀゚)「"攻撃こそ最大の攻撃" ジェット思想的だろ?」 (メ゚A゚)bビッ 「よっしゃ! アジトで作戦会議だ!」 (*^ω^)bビッ 「ドクオ! ノリノリおね!」 (*メ'A`)「ったりめーだ! 叩きのめされるまでは止まらないんだよ!」 ( ゚∀゚)bビッ! 「よっしゃ!」 ――せーのーでっ! 「「「ジェット ジェネレーション!!」」」 ギロリ(#゚∋゚) (;゚∀゚) (ФωФ#)ギロ ギロ(#`・ω・´) ('A`;)(;^ω^) (@∀@-#)ギロ ――ごめんなさいね。店の中で騒いで。
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:39:34.80 ID:YFO+mgDK0
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――数カ月後。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:40:15.53 ID:YFO+mgDK0
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ノハ*゚⊿゚)「わー綺麗だねー」 (*'A`)「市内の夜景スポットでもここは穴場らしいんだって」 ノハ*゚⊿゚)「すごーい。街の光が星みたい」 ('A`)「……」 ノハ*゚⊿゚)「ドクオ君?」 ('A`)「素直さん。マジな話をしたい」 ノパ⊿゚)「なぁに?」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:40:55.99 ID:YFO+mgDK0
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('A`)「地球が砕けても、金がなくても、俺はあなたを抱きしめ続けます」 ノハ* ⊿ )「え?」 ('A`)「素直さんのために、俺が出来ることなんて、抱きしめることだけだけど」 ('A`)「好きです」 ――誰よりも。何よりも。 ――大好きです。ごめんなさい。 ――神様よりも。好きです。
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:41:36.58 ID:YFO+mgDK0
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( A )「……」 ノハ* ⊿ )「うん」 (* A )「え?」 ノハ* ⊿ )「いいよ。私も、ドクオ君のこと……」 ――好き、に、なってたし。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:42:35.02 ID:YFO+mgDK0
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( A )(やっ……) (*'A`)「た―――ッ!!」 (*´_ゝ`)「やったな! ドクオ!」 (;゚A゚)「エ?」アニジャ? (´<_`*)「俺達から二人に向けてこの曲を捧げます」 (;゚A゚)オトジャモ? ――爆音ティーンエイジガールッ!!!!!!!!! ギュギャギャガヤ゙アギャギャギャギャギャ! ベベベベベベベベーン! ベンベンベン! ――ベイベベイベ!!!!!!! セブンティーンの夜だぜベイベベイベ!!!!!!!!!!!!!!!! ギュイ―(゚A゚)―ン!(うるせえええええええええええええええええええええええええ!!) Σ(;'A`)ハッ(素直さんは!?)
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:43:41.18 ID:YFO+mgDK0
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( ゚∀゚)「ねーねー。君どこの高校の娘? ちょっとお話しない?」 ノハ;゚⊿゚)「え。いやちょっと……」 (゚A゚)「ジョルジュてめえええええ!!」 ――あいや、待つお! (#゚A゚)「誰だテメェは!?」 (#^ω^)「ここを通りたくば僕を倒していけお!」 (#゚A゚)「人の恋路を邪魔すんじゃねー!」 メメタァ!(#^ω^)=○))゚A)、;'.・ ( A )(ああ、素直さん……) ――ちょっとだけなら……。 ――マジで? じゃあちょっとそこの喫茶店で……。 (;A;)「そんな……そんなことって……」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:44:21.86 ID:YFO+mgDK0
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ジリリリリリリリ! Σ(゚A゚)ハッ (;'A`)「夢か……」 ('A`)(落ちつけ……ドクオ……) ('A`)(今日は大切な日だ) ('A`)(素直さんに告白するんだ……!) (*'A`)「フヒヒ!」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:45:02.58 ID:YFO+mgDK0
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――ヨネダ珈琲。ラウンジ駅前店。 カランコローン。 ('A`)「うっす」 ( ゚∀゚)「おいーす」 ( ^ω^)「おいすー」 ( ´_ゝ`)「よう」(´<_` ) (*^ω^)「遂にこの日が来たおね!」 ( ゚∀゚)「始めはどうかと思ったが、案外うまくいったもんだ!」 ('A`)「……」 ('A`)「ありがとな」ボソ
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:45:43.22 ID:YFO+mgDK0
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Σ(;^ω^)(;´_ゝ`)「! ! !」(゚∀゚;)(´<_`;)3 (;^ω^)(ドクオが僕達にお礼をした!?) (;゚∀゚)(ひねくれもののコイツが!?) (;´_ゝ`)(天変地異の前触れか!?)(´<_`;) ('A`)「んだよ。俺だって人に感謝ぐらいするよ」
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:46:29.24 ID:YFO+mgDK0
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('A`)「ここまでの数カ月。お前らの協力がなかったら、ここまで来れなかったよ」 ('A`)「ありがとう」 (;゚∀゚)「あ、ああ」 ('A`)「ブーンはいつも近くで俺を励ましてくれた。学校で素直さんと話す時もフォローしてくれたな」 (;^ω^)「おー」 ('A`)「ジョルジュは素直さんの友達と仲良くなって外堀を埋めてくれた」 (;゚∀゚)「あー、うん」 ('A`)「流石兄弟は……」 ( ´_ゝ`)「……」(´<_` )
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:47:36.91 ID:YFO+mgDK0
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(;'A`)「ロックだ! 燃えるロックでくじけそうな俺のハートを揺さぶってくれた!」 ( ´_ゝ`)b「やっぱり流石だな、俺ら」d(´<_` ) ('A`)bビッ「そういうわけだ。俺は今日……"やるぞ"……!」 (*^ω^)bビッ「おっお!」 (*゚∀゚)bビッ「頑張れよ!」 (*´_ゝ`)bビッ「成功を祈ってるぞ!」ビッd(´<_`*) (゚A゚)「しゃああああああああ!!!」 「「「「「ジェット ジェネレーション!!!」」」」」 ガキガ从#゚∀从 ('A`;)(;^ω^) / ゚、。 /ヤレヤレ ウホッN|*"゚'` {"゚`lリ (;゚∀゚)<オカンヲカンジル ('、`*#川ウルセェナ ィ'ト―-イ、 (´<_`;)(;´_ゝ`) ( ゚д゚ )ノシ ギリギリ以#`゚益゚以 ――あ、すみませんでした。
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:48:58.19 ID:YFO+mgDK0
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よく晴れた日曜日だった。台風の去った翌日だった。 ドクオにはすべてが自分を応援してくれているように思えた。 喫茶店を出て、待ち合わせ場所である駅前のロータリーへ行く。 時刻は10時を少し回ったばかり。約束まであと30分。 焦りや不安はなかった。 嘘とも思えるかもしれない。だが事実だ。 ――最初のルールを決めよう。"真っすぐ進め。脇目を振らない"。 ジェット ジェネレーション結成当日。ドクオ自身から提案したことだ。 一週間前から仲間内で散々議論したシミュレーションを頭の中に思い返す。 自分が今までどう頑張ってきたか、思い返す。 少し自信がわいてきた。 何だかちょっぴり勇気が出てきた。 今ならきっと行けるさ、ガンバレ! 喫茶店でたむろしている仲間達が、テレパシーを送っているような気がした。
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:49:39.12 ID:YFO+mgDK0
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「お待たせー」 素直ヒートがやって来た。 やっぱりドクオは彼女が好きだった。 しなやかに伸びた手足が好きだった。日に焼けた肌と、白い歯のコントラストが好きだった。 走る時にはゴムで縛られている髪がほどかれ、風にそよぐ姿が好きだった。 ドクオははやる気持ちを抑える。 ――ここまで来て、失敗はしない。あの通りやれば大丈夫だ。 「おはよう。じゃ、行こうか」 手は握らない。手の甲が触れあう距離で歩く。 映画館までの道、色んなことを話した。 ハリウッドの大作映画を見た。 素直ヒートの趣味だそうだ。 映画館の暗闇の中、そこでもドクオは手を握らなかった。 すべてが終わってから、帰り道は手を握って帰ろうと思っていた。 それから喫茶店で映画の感想を言い合う。 時間が過ぎてゆく。 ――そして、その時が来た。 時刻は午後6時30分。朝、待ち合わせた駅前のロータリー。
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:50:19.69 ID:YFO+mgDK0
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ノハ*゚⊿゚)「今日も楽しかった! じゃ、また今度!」 ('A`)「待って」 ノパ⊿゚)「ん?」 ('A`)「あのさ、大事な話があるんだ」 ノパ⊿゚)「なぁに?」 ('A`)「うん……それは」
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:51:00.69 ID:YFO+mgDK0
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「好きです」
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:51:42.90 ID:YFO+mgDK0
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「付き合ってください」 ドクオはそう続けた。 告白の文句は自分だけで考えた。 他人の言葉が入っていてほしくなかった。 自分の気持ちを純粋に素直ヒートにぶつけたかった。 「そっか、そうだよね。うん」 何カ月もの間、アタックをし続けていたのだ。 どんな人間でも好意を察するだろう。 「いいか? ヒートちゃんは待ってる。お前がコクってくんのをよ」 ジョルジュ長岡はそう言った。 ドクオもきっとそうだと思った。 陸上の大会や、合宿以外ではデートの誘いを断られたことはなかった。 それは素直ヒートがドクオを受け入れてくれているということだろう。
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:52:23.54 ID:YFO+mgDK0
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素直ヒートは少しだけうつむいた。 ドクオは彼女の顔を見つめる。 やっぱり可愛いな。と、思った。 素直ヒートの鼻孔が空気を吸いこむ。 ドクオは拳をかたく握る。 素直ヒートの顔がちょっとだけ上を向く。 ドクオの呼吸が止まる。 素直ヒートの唇がかすかに動く。 ドクオは「やった!」と、確信した。
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:53:08.73 ID:YFO+mgDK0
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ノハ ⊿ )「ごめんなさい!!!」
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:54:19.81 ID:YFO+mgDK0
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(*'A`)(やっ……) (*'A`)「タ―――ッ!」 ('A`)「あれ?」 ノハ;゚⊿゚)「ごめんなさい!」 ('A`)「え?」 ―― ( ^ω^)「え?」 ( ゚∀゚)「え?」 ( ´_ゝ`)「え?」 (´<_` )「え?」
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:55:30.25 ID:YFO+mgDK0
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ノハ ⊿ ) (;゚A゚) 『えぇぇぇぇええええええええええええええええええ!!!!!????』 (;゚_ゝ゚)(;゚∀゚)(;゚ω゚)(゚<_゚;)
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:56:13.09 ID:YFO+mgDK0
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――ヨネダ珈琲。ラウンジ駅前店。 Σ(;゚∀゚)「どういうことだよ! わけわかんねー!」 Σ(;´_ゝ`)「弟者! IDだ! またID:r4yVKgzL0がやらかしたかもしれん!」 Σ(´<_`;)「……駄目だ! >>1のIDだ!」 (#゚ω゚)「おおーん!!」 Σ(;゚∀゚)「わ、馬鹿。暴れんな!」 (#゚ω゚)「続き! 続きはどうなんだお!」 ――やめろ! おい! ブーンを止めろ馬鹿兄弟! ――落ちつけ! 受信機が壊れる! ――おおーん! おおーん! ――バカヤロー!! ガシャーン!
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:56:54.34 ID:YFO+mgDK0
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(#゚ω゚)フーッフーッ (;゚∀゚)「あーあ、やっちまった……」 ( ´_ゝ`)「しょうがない。ドクオを待つか」 (´<_` )「でもあまりのショックでそのまま帰るかもしれんぞ」 ( ´_ゝ`)「ううむ。それはあるな」 (´<_` )「メールでこっちに寄るように……」 (´<_` )「言わない方がいいな」 ( ゚∀゚)「あいつに任せるしかねーべよ
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:57:34.96 ID:YFO+mgDK0
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カランコローン (;゚∀゚)「あ……」 ( A )「ははは、ははは」 (;´_ゝ`)「……」 (´<_`;)「兄者。アジトでアレをやろう"天国うまれ"」 ( ;ω;)「ドクオォ……」 ( ;ω;)「遊ばれたのかお? 許せんお」 ( ;ω;)「それなら、女だからって僕は容赦しないお……」 ( A )「はは、へへへへへ」
- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:58:15.44 ID:YFO+mgDK0
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(;゚∀゚)「生きろよ、女なら俺がいくらでも紹介してやるから」 (;´_ゝ`)「名盤を貸してやるからそれ聴いて元気だせ」 (´<_`;)「俺も貸すぞ。あぁ、楽器を始めるのはどうだ? ドラムスが今空いてるぞ」 ( ;ω;)「ドクオ……死んじゃ嫌だお……」 ( A )「ひへへへへへへ」 ('∀`)「アーハッハッハッハッハッハ!」 ('∀`)「あはは。あはは。おーっほほほほほほ!」 ('∀`)「シケた面すんなよ! 俺は勝ったんだぜ」 (;゚∀゚)「んあ?」
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:58:56.33 ID:YFO+mgDK0
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(;´_ゝ`)「それはアレか。ドクオ君のことは好きだけど、高校時代は部活に力を注ぎたい」 (´<_`;)「ありがちだな。大学まで待ってってヤツか」 ( つω;)「お? そうなのかお?」 ('∀`)「まぁそんな所だな! ちょっと違うが!」 (;゚∀゚)「どういうことだ?」 ('∀`)「素直さん、推薦で東京の大学行く予定なんだよ!」 ('∀`)「で、俺の進学はまだわからないだろ?」 ('∀`)「付き合ってその半年後に遠距離恋愛はねーだろ!」 ('∀`)「俺が東京の大学へ進学できたら正式に付き合ってくれるってよ!」
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:59:37.34 ID:YFO+mgDK0
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(*^ω^)「おお!」 よかったじゃねぇか、コノコノー (*゚∀゚)σ))'∀`) ( ´_ゝ`)「それで、素直さんはどこに行く予定なんだ?」 ('∀`)「早稲田!」 (´<_` )「へぇ、早稲田。頭良いんだよな?」 ( ´_ゝ`)「俺達が知ってる大学ということは、頭が良いんだろう」 (;゚∀゚)「え、早稲田……?」 (;゚∀゚)「お前、偏差値いくつだっけ?」 ('∀`)「38! 高校に入ってから勉強してなーい!」
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:01:22.32 ID:Rdou+VQm0
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Σ(;^ω^)「それじゃすぐに勉強しないとだお!」 (;゚∀゚)「待て、別に東京の大学なら他にいくつでもある」 (;゚∀゚)「名前を書けば受かる所だってあるだろ」 (;^ω^)「おお! そうだったお!」 ('∀`)「興味ないね! ヒートと同じ所に行くんだ!」 (;゚∀゚)「早稲田の偏差値っていくつだ?」 (;^ω^)「今、ケータイで調べるお」カチカチ (;゚ω゚)「一番低い所で59! 無理だお! 頭良過ぎだお!」 ↑偏差値36 (;゚∀゚)「59かよ! 高すぎだろ!」 ↑偏差値35 ( ´_ゝ`)「偏差値って何だ?」(´<_` ) ←模試を受けない人達→ ('∀`)「でーじょーぶだって」フヒヒ (;゚∀゚)「つってもなぁ……」
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:02:12.17 ID:Rdou+VQm0
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( ´_ゝ`)「いや、イケるんじゃないか?」 (´<_` )「うむ」 ('∀`)「ほらな!」 (;゚∀゚)「根拠は?」 ( ´_ゝ`)「さっきやろうと思っていた"天国うまれ"の歌詞にこういう一節がある」 ( ´_ゝ`)「"叶わない恋はある。諦めてしまえ。叶わない夢はない。諦めるな"」 ( ´_ゝ`)「つまりこういうことだ――」 ('∀`)「他人の気持ちが介在する恋は叶わないことがある。相手には自由意志があるから! だけど夢は自分だけのものだ! 自分自身の意志でもって叶えられる!」 ('∀`)「入試は自分との勝負! 頑張ればきっと勝てる!」 (;´_ゝ`)「あ、ああ」
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:02:54.78 ID:Rdou+VQm0
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('∀`)「決めた! 目標! 早稲田大学! 現役合格!」 ( ゚∀゚)「はぁ……」 (σ゚∀゚)ボリボリ ( ゚∀゚)bビッ「ドクオの受験を応援するヤツ!」 ( ^ω^)bビッ「おっお」 「当然」( ´_ゝ`)bビッd(´<_` )「勿論だよな、兄者」 ('∀`)bビッ「絶対合格してやる!」 ――じゃあ、いくぞ。 ――待て待て、外に出るぞ。 ――あぁ、さっき怒られたばかりだからな。 ――よーし。
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:03:35.32 ID:Rdou+VQm0
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「「「「「ジェット ジェネレーション!!!!!」」」」」 ( ^ω^)ブーン達はジェット世代のようです ―了―
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:08:36.03 ID:Rdou+VQm0
- あ、使ったネタは書いた方がいいんですよね
ギターウルフの『ジェットジェネレーション』をベースに、 ザ・クロマニヨンズの『恋におちたら』 THE BLUE HEARTSの『君のため』 ぐらいだったかな、多分
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:42:04.07 ID:Rdou+VQm0
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('A`)ロックンロール殺人事件のようです
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:43:09.98 ID:Rdou+VQm0
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バンドは仕事。ロックも仕事だ。 「僕はロックンロールが大好きで、ロックをやるためにロックをやっているんです」 言ってみたいねぇ、そんなこと。 でもな、世の中はせちがない。 カネ! カネ! カネ! 金がなくちゃ始まらない。 金がないから俺はすさんでいる。 金がないから俺達の打ち上げはつまらない。 金がないから俺は誰か死ねばいいと思っている。 んがが。
- 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:44:06.30 ID:Rdou+VQm0
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('A`)「でよ、今日のライブなんだが――」 ( -∀-)「ぐごご……」 ( ^ω^)「ショボ、七味」 (´・ω・`)「あいよ」 ('A`)「俺としてはもっともう少し客の間で話題になるようなライブがしてぇんだ」 ( -∀-)「ぐがー」 ( ^ω^)「やべ、七味かけすぎた」 (´・ω・`)「あぁ、それなら僕のを食べなよ。僕、七味もイケるクチだから」
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:45:13.17 ID:Rdou+VQm0
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('A`)「俺達は何とかメジャーデビューが出来て、雑誌の取材も何度か受けている。 だけどもう一つ何か足りないんだ」 Σ(;-∀-)「ずびっ!」 (;^ω^)「ショボの牛めし、フレンチドレッシングがかかってるお……」 (´・ω・`)「意外とイケルって、喰ってみなよ」 ('A`)「演奏は下手くそ、曲も大していいものが作れない。だったら何か1つだけ突出したものをやればいい。 ロックとはそういうものだと俺は思う」 ( つ∀-)「ふわぁーあ……」 (*^ω^)「あれ……サッパリして意外とイケる!」 (´・ω・`)「松屋はこれっきゃないね」
- 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:01:26.51 ID:Rdou+VQm0
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('A`)「俺の尊敬するラモーンズはやっているのは簡単な曲のくせに、見に来たやつの心を揺さぶる。 何故か。ロックは技術じゃない。どれだけマジになって一直線に進めるかなんだ」 ( ゚∀゚)「っけね。寝てたわ。牛めしもーらい」 (;^ω^)「あ、ナガっち」 (;´・ω・`)「その牛めしは……」 ('A`)「だからこれからは心機一転して、頑張っていこう」 (#゚∀゚)「んだよこれ、俺に何喰わせんだよ? あ?」 (;´・ω・`)「その七味牛めしはブーンがつくったもので……」 (;^ω^)「いや、でもショボが喰うはずだったヤツだお!」 ('A`)「……」
- 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:02:20.57 ID:Rdou+VQm0
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('A`)「売れないバンドは熟れないバンド」ボソリ (#゚∀゚)「あぁん? てめぇ最近調子乗ってねぇか? 俺とお前、どっちが上よ?」 (;゚ω゚)「ごめんだお! それはナガっちだお!」 ('A`)「ナンチャッテ……」 (#゚∀゚)「ったく、かれー、マジ辛いわー。あーあ、つれーなー。ボーカルが喉痛めちゃったよー」 (;´・ω・`)「……」 (;^ω^)(ナガっちこえー) ('A`)「……」
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:03:02.49 ID:Rdou+VQm0
-
(゚A゚)「いい加減にしろや、このクソボケ共がぁ!!」 Σ(;゚ω゚)ビックゥゥ!! ( ゚∀゚)「うっせーのはてめぇだろ」ボソ (;´・ω・`)「ドクさん。お店の中っす」 (#゚A゚)「あ?」 店員(チ、うっせーな)ギロリ (;'A`)「あ、すいませーん」
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:03:42.84 ID:Rdou+VQm0
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(#'A`)「あのな、俺はバンドのためを思って言っているんだ。なのにお前らときたら――」 ( ゚∀゚)「すいませーん。ドクさん」 (#'A`)「んだよ」 ( ゚∀゚)「帰っていいすか? 反省会終わったら女の子と会う約束してるんで」 (#'A`)「……」 (#゚A゚)「ざっけんなバッキャロー!!」 店員(……)ギロ (;'A`)「ごめんなさいね、マジで」
- 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:04:26.23 ID:Rdou+VQm0
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(#'A`)「誰だよ……」 ( ゚∀゚)「はい?」 (#'A`)「女の子、誰だよ」 ( ゚∀゚)「ライブ見に来てくれた子っすけど」 (#'A`)「お前はナンパするためにハコに行くのか?」 ( ゚∀゚)「割となくはないっすね」 (# A )(あぁ、もう、マジで――ざけんな) (#'A`)「この反省会の趣旨はだな。お前らもわかっていると思うが俺達だけで集まって、バンドをよくしていこう。 どうやったらもっと面白いライブが出来るのかを考えるためにやってるんだ。 なのに、お前ら――どうだ? 話は聞かない。喧嘩はする。最低だ。最低だよ」クドクド ( ゚∀゚)(このオッサン。話クドイんだよなー) ( ^ω^)(抜けよっかな) (´・ω・`)(ブーンが抜けたら僕も抜けよう)
- 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:05:07.09 ID:Rdou+VQm0
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( ゚∀゚)(帰りてー) ( ^ω^)(辞めてぇ) (´・ω・`)(辞めてぇ) (#'A`)(わかってるよ。お前らの考えてることは……。どうせ「辞めたい」だの「反省会終われ」だろ。 俺だってこんな糞メンバーの糞バンドはもう解散させてもいいくらいだ。 でもやっとメジャーデビュー出来たんだ。20代後半になって、やっと……) (#'A`)(解散は、させんぞ) (#'A`)(でもどうする? 完全に活気を失ったロックバンドが観客を魅了することができるのか? どうしたら俺たちは「売れる」ことができる?) ( A )「……」 ('A`)(あ、そうか) ('A`)「いいこと思いついた。俺達が一世風靡する方法だ」 ( ゚∀゚)(んなこたぁいいから早く帰らせろよ)
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:05:47.41 ID:Rdou+VQm0
-
( '∀`)「お前ら、誰か死ねばいいんだ」
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:06:39.60 ID:Rdou+VQm0
-
んがが。 そうなのだ。 ちょっと前まで某レンタルショップで働いていた俺は知ってる。 ゲージツ家ってなぁ死んで一人前だと。 某M・J氏が死んだ日にはいつもクソつまらねぇ巨大資本によるファストフードミュージックなるものをたいらげている凡愚どもがこぞってM・J氏のCDを借りにおあそびもうしたでござるの候。 んがが。 つーわけで、俺のバンドも誰かが死ねばいい。 死ねば話題になる。 話題になればきっと売れるきっかけになる。 どっかのファッション雑誌みてぇなスナップの載る音楽雑誌が取り上げるだろう。 「THE VIP Starsの某死去」ってな感じで。 んが。死ね。んがんが。死ね死ね。 本気でやってないヤツは邪魔なのだ。 死んで俺の礎になりゃあがれ。んがが。
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:07:20.84 ID:Rdou+VQm0
-
('∀`)「ははは……ははは……」 (;^ω^)(ドクさん壊れちゃったお) (;´・ω・`)「じゃ、お開きってことで」 ( ゚∀゚)「そーだな」 ('∀`)(ふはは、見えたぞ。スターへの道、スターロード。ふはははは)
- 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:08:17.38 ID:Rdou+VQm0
- 拙者、宿酔でござる。
あの糞メンバーどもが帰った後も、拙者現実があまりに面白くないもので笑っていたのでござる。 しからばあの悪鬼。松屋の店員。 拙者の心理状態など全く省みず追い出しにかかり申した。ござる。 やってらんねー。の、心理が極限にまで達し、達し、牛丼屋の外でまた大笑いしたでござる。 アスファルトに寝っ転がって、じたばた、じたばた。 やーほほほほほほ。やーおほほほほほ。 したら、店員に殴られた。で、ござる。 やかましい、店の外で騒ぐな狂人。彼奴はそう言って拙者をボコった。 水月辺りにキックがバーンバンバン。 やーほほほほ、こいつはたまらん。 ってことで拙者は退散して、それでもまだ面白くないからコンビニで酒などこうてみた。 店員さん。お酒をくださいな。おーほほほほほほほ。 店員さん。拙者が安酒なんかを購入するのは拙者がバンドマンであるが故に金がないでござるからでござる。おーほほほほ。 店員さん、実に優しかった。 さっきの牛丼屋と違って拙者をぶたなかった。 割り箸つけてっつったらくれた。 巣に帰った拙者は酒盛りを始めた。 がぶ。がぶ。 目が飛んで、頭がうつら、気が付いたら昼で、頭が痛い。 宿酔なのでござる。
- 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 02:00:12.32 ID:Rdou+VQm0
- ('∀`)(フヒヒ……)
ピロロr ('A`)(んあ?) ('A`)(ケータイ鳴ってら) ('A`)(誰だ? スタジオ練習かライブ以外の日にゃ、大抵鳴らないのに) sub:無題 from:ブーン 本文 突然な話ですが、長岡が死にました 電話でお話しようと思ったのですがドクさんが電話に出ないのでメールです 至急連絡ください
- 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 02:00:52.51 ID:Rdou+VQm0
- ('A`)「へー長岡、死んだ……」
('A`)「そりゃヤバいな」 ('A`)】trrrrrrr ( ^ω^)『はいもしもし』 ('A`)『長岡、死んだってマジ?』 ( ^ω^)『マジっすお』 ('A`)『何で?』 ( ^ω^)『強盗に入られたとか、ナントカ』 ('A`)『へー、そう』
- 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 02:03:06.06 ID:Rdou+VQm0
-
案外他人の死というものはあっけないものであった。 牛丼屋での「お前ら死ね」発言。 言った直後、もしやマジで死んだら俺は罪の意識に押し潰されるかもしれん。 などと心の片隅、ほんのチョッピリ思っていたけど全然そんなことなかった。 長岡、死んだ。へーそー。 俺の心はこれでカタがつく。ついてしまう。 話題になりゃいいが、死んだのが長岡ってのはいかんかもしれん。 言いたかないけど長岡ってヤツは美男子で、女の子ウケがいいやつだ。 長岡がバンドから消えたらルックスのレベルがガタ落ちなのである。 っま、いいか。 知り合いから誰か手頃な奴をひっぱってこよう。 そう思って、俺はまた呑んで、翌日。
- 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 02:05:09.58 ID:Rdou+VQm0
-
('A`)(またメールだ) sub:無題 from:ブーン 本文 ショボが死にました 連絡ください
- 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 02:08:07.53 ID:Rdou+VQm0
-
('A`)『もしもし?』 ( ;ω;)『ドクさぁん』 ('A`)『ショボが死んだって?』 ( ;ω;)『……』 ( ;ω;)『はい』 ('A`)『そうか、残念だったな』 ( ;ω;)『う……ひぐっ……』 ('A`)『ところで、死因は?』 ( ;ω;)『強盗が入ったとかナントカで』 ('A`)『そうか、強盗が入ったとかナントカか』
- 117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 02:10:05.71 ID:Rdou+VQm0
-
('A`)「フフフフフーン。フフフフーン。フフフフ、フフフフン」 一昔前の邦ロックの名曲を鼻歌しながら、当面の生活物資をリュックに詰める。 何のために? 逃げるために。 凶悪な殺人鬼がバンドメンバーを狙って殺し回っている。 そんな可能性は無きにしも非ず。 だから逃げるのだ。 それに、何だか放浪したくなった。 人生があまりにも面白くないから。で、ござる。それはもういい。 エロ本、タバコ、ライター、サラダオイル、ポケットティッシュ、マヨネーズ、タオル。 こんなものでいいか。服は着たきりスズメでいい。 さぁ、さすらおうか。つって、玄関の扉をバーンて開けて旅路の一歩を踏み出そうってしたら、居た。 居た。何が? でっかいの。 身の丈2mは超えるであろう巨漢が俺ん家の玄関先につっ立ってた。 んがが。
- 118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 02:11:17.90 ID:Rdou+VQm0
- ( ゚∋゚)「……」
大男は何も言わず、ただ黙って俺を威圧する。 みればその男、筋骨隆々、顔は幾度も修羅場を抜けたよう、肌は浅黒く、全身が凶であった。 こいつぁ、まじいや。 って俺は携帯音楽プレイヤーのコードを持ってヌンチャクみたいに振りまわした。 ぱひゅーん。すんすん。 すぽっ。 コードがすっぽ抜けて本体が男の顔に向かって飛んだ。 ( ゚∋゚)「……」 ぺしっ。って男の鼻の下あたりに当たる。 まじいなぁ、怒らせたかな。ってビビってたらずずーんて男は膝から崩れた。 ( ∋ )「……」 ('A`)(ほえ?)
- 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 02:13:09.33 ID:Rdou+VQm0
-
('A`)(あー、何だ?) ('A`)「おーい。おーい」 男の身体を足先でつっついてみる。反応なし。 肩をたたく。反応なし。 鼻に指をつっこむ。反応なし。 人体には急所がいくつかあって、それは身体の正中腺に集中している。 その中でも人中と呼ばれる、鼻の下あたりのツボは強い力で突かれたら死に至るともいわれる。 ――というのを漫画で読んだことがある。 ('A`)「あ、あのー、大丈夫ですか?」 ( ∋ )(……) 心音を確認する。やっぱり反応なし。 どうやら秘孔を突いたらしい。 死んでる。
- 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 02:14:32.82 ID:Rdou+VQm0
-
殺されるのを避けようと思った男が、逆に殺してしまうなんて、一体これは何の冗談でショ。 (;'A`)(いやぁ、待て待て、正当防衛) おまわりに事情を話そう、と、思ったけどやめた。 俺はおまわりが嫌いである。 俺の人生において、おまわりがマトモに話を聞いてくれた例がないのである。 俺は、バンドマンだし、貧乏だし、フリーターだし、人相が悪い。から、おまわりのおぼえが良くない。 大体、このでっかいの、まだ俺に何もしてない。 こんな状態で交番にでも駆けこんだら、「テメーがやったんだろ。あぁ」 つって話も聞いてもらえずに、拘留、裁判、懲役、は自明なのである。ウーラララ。 となると。 ('A`)(逃げちゃえ) となる。
- 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 02:16:08.38 ID:Rdou+VQm0
-
ぼかぼか、ぼかすん、と、俺の愛車は不機嫌な排気音を吐きだす。 中古で買った原チャリ。 替え時かもしれない。 ('A`)(殺人事件の時効って何年だっけ) ('A`)(コレを捨てたら、どうしよう) ('A`)(実家に戻ってもおまわりが来るだろうしなぁ) どうも頭がこんがらがっている。 白痴、阿呆、田割け、脳足りん。 そんな精神状態。思考がまとまらない。 こんな時はどうするのか、決まってる。 問題をひとつずつ解決するのだ。 山積みされた問題の数々を見て、気力を無くすのは阿呆である。 少しだけでいいから、1歩ずつ歩む、山をちょっとずつ崩していく。 これが賢いやりかたというものだ。 よって、俺の逃走劇は、携帯音楽プレイヤーを捨てることから始まるのである。
- 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 11:35:32.58 ID:Rdou+VQm0
- 2時間ほど国道を走ると、目的地である県境に着いた。
山だらけである。 俺は原チャリから降りて、適当な山へ凶器を捨てるために入る。 ('A`)(やっぱ、わかりにくい場所に埋めたほうがいいよな) ('A`)(もっと奥へ行こう) ずんずん。ずんずん。 進んでいく、進んでいくと、手頃な開けた場所に出た。 ('A`)(すぐそばには崖か。ここならあまり人も通らないだろうな) と、思って、俺はポケットに手を突っ込んで、凶器を取り出そうとした。 したら、俺が来た方向とは別方面から自動車の排気音が聞こえる。 ――まさか、おまわりか。 そう思ったが、違った。 黒いバンが登って来た。 俺はそのバンの搭乗者に見つからないよう、木の蔭に身を隠す。 隠そうとした、ら、ふいに俺の横から老人がやってきた。
- 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 11:36:13.57 ID:Rdou+VQm0
- / ,' 3 「困るんじゃのぉ。ああいうの」
(;'A`)「へ、何がですか?」 / ,' 3 「いや、あいつらじゃ」 (;'A`)(俺のことじゃないのか) / ,' 3 「あの黒いバンの連中。何をしに山に入るか知っとるか?」 ('A`)「いや、わかんないっす」 / ,' 3 「自殺じゃ」 (;'A`)「え?」 / ,' 3 「といっても、結局死なんがな。車内で練炭だかを焚いとるらしいが、最後には窓を開けてしまう。 気味が悪くてかなわん」 (;'A`)「はぁ、そうですか」
- 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 11:36:54.41 ID:Rdou+VQm0
-
/ ,' 3 「よく見とれよ」 ('A`)(あ、車内が白くなってく。練炭を焚いてるのか) / ,' 3 「いつも通りじゃて」 ('A`)(窓が開いた。うわ、すっげー情けねぇ) ('A`)(ボロボロ降りてきた。おいおい。車内に何人いるんだよ。5人、7人。9人――。雑技団か?) / ,' 3 「な、言った通りじゃ」 ('A`)「そっすね」 / ,' 3 「ところでお兄ちゃん。アンタこんな山奥に、一体何しにきたんじゃ?」
- 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 11:37:35.38 ID:Rdou+VQm0
- (;'A`)「俺っすか。ええと、たまには自然と触れ合うのも悪くないかなー、なんて」
人を殺めた道具を捨てに参りました。なんて口が割けても言えるわけがない。 俺はごまかす、なんとか隠し通そうと試みる。 / ,' 3 「ほーそうかそうか」 / ,' 3 「ワシは山菜をとりにきたんじゃ」 ('A`)「はぁ、そうですか」 / ,' 3 「ここら辺はわりかしたくさんの野草があってのう」 ('A`)「はぁ」 / ,' 3「ホラ、あそこに生えてる黄色いのなんか、天ぷらにすれば美味いぞい」
- 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 11:38:18.63 ID:Rdou+VQm0
- 爺の会話は延々と続く。
何だってこう、老人の話にはキリがないのだ。 まず、目に見える範囲に生えている野草をすべて生態から調理法まで説明された。 次に、この山は他にどんな野草が生えているか、さっきの話と同じように何から何まで教えられた。 したら今度は爺は急に馴れなれしくなって、家族のことを話始めやがった。 / ,' 3 「ウチのデカイ方の息子はのぉ、正月にも帰ってきやせんのだ」 ('A`)「へぇ、それは大変ですねぇ」 / ,' 3 「いやぁ、めんぼくない。それでワシは言ってやったんじゃ――」 まだまだ縁者の話を続ける爺、と、うんざりする俺、と、俺にうんざりする俺。 思えば俺はものわかりの良い子供であった。 「アンタ、小さい頃は本当に手がかからない子だったのにねぇ」と、母から勘当される際に言われた。 やめてくれ、爺。アンタが話をやめてくれないと、俺は自己嫌悪に潰される。 基本的にいい人であろうとする俺を、俺は嫌になるのだ。
- 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 11:39:19.08 ID:Rdou+VQm0
- 爺の一方的な会話が始まってから30分ぐらい経った。
その間に山の天気は変わり、暗雲が上空に広がる状況と相成った。 やべぇなぁ。爺うぜぇなぁ。死ねばいいのに。 って思ってたら、爺もとうとう話題に尽きたか、最近の政治はなっとらんトークの最中で言葉に詰まった。 んじゃ、そろそろ僕ぁお暇しまっす。って帰ろうと思ったら。 / ,' 3 「兄ちゃん、アンタそういえばこんな山奥に何しに来たんじゃ?」 ときた。爺はぼけだった。 そんで、さっきと同じ会話をもう一周した。 最近の角界はなっとらんトークの最中で爺は言葉に詰まって、やっと帰れる。と、思ったら。 / ,' 3 「兄ちゃん、アンタそういえばこんな山奥に何しに来たんじゃ?」 じじい、ぼけ。 もう一周。 最近の自動車のデザインは云々。帰れる。思ったら。 / ,' 3 「兄ちゃん、アンタそういえばこんな山奥に何しに来たんじゃ?」 最近の小説は、最近の喫茶店は、最近の映画は、最近のゴミ捨ては、最近の日本語は、最近のテレビは、 最近の電気会社は、最近の演歌は、最近のポルノは、最近の小学生は、最近の新聞は、 最近の住宅事情は、最近の電化製品は、最近の街は、最近の公園は、最近の喫煙事情は、最近の紙幣は、 最近のホームセンターは、最近の服は、最近の文化は、最近の天気は、最近の雑誌は。 / ,' 3 「兄ちゃん、アンタそういえばこんな山奥に何しに来たんじゃ?」 んがが。そういうわけであるのだ。 日がすっかり落ちるまで俺は爺の永久ループする会話に付き合わされたのである。
- 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 11:40:01.36 ID:Rdou+VQm0
- ('A`)「あのぉ、すいません。もう夜ですし、俺帰りますね」
いくら他人にいい顔をとりたがる俺でも、流石に夜も遅くなるのであればこの場から去ることができる。 爺、さらば。つって、どっかに行こうとしたら。 / ,' 3 「お兄ちゃん。さっきから気になっとったんじゃが、ポッケの中はどうしたんじゃ?」 爺はまだ俺を帰そうとしないのであった。 (;'A`)「はい?」 / ,' 3 「話しとる最中にもポッケに手ぇ突っ込んで、何かごちゃごちゃ気にしとったから」 (;'A`)「何でもないですよ。クセ――そう、これは俺のクセなんすよ」 / ,' 3 「いやぁ、そんなことないじゃろう。絶対なんかあるじゃろ」 (;'A`)「そんな、大したものなんかありませんよ」 / ,' 3 「やっぱり何かあるんじゃないか。見せてくれたっていいじゃろ」 (;'A`)「ひっ、嫌ですよ……」
- 138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 11:41:59.33 ID:Rdou+VQm0
-
爺の追及はしつこい。 俺はなんとかして、それから逃れようとするのだが、爺も執念深く俺を詰問する。 しかし、爺の声の調子に怒りは見えない。俺を諭すように、「見せなさい」って言ってくる。 俺は爺と慣れ合いすぎたのである。 爺は、俺を年の離れた親友と認識しているようで、しきりに身体に触れてくる。 手を握りながら、肩に手を乗せながら、「ポッケにあるものを見せてくれないかなぁ」と、せがんでくるのだ。 そんな爺に、俺はもちろん。 (;'A`)(んだよ、糞爺。死ねっ) と、思う。 / ,' 3 「見してぇよ、兄ちゃん。何が入っとるん?」 そんな俺をよそに、爺はまだ俺のポッケに執着する。 爺の顔が近い。加齢臭がひどい。くさい。 そのせいで頭が痛くなる。 (;'A`)「勘弁してください。俺もう帰りますからっ」
- 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 11:42:41.30 ID:Rdou+VQm0
-
/ ,' 3 「兄ちゃん待ってって。ポッケの中身は?」 (;'A`)(爺、まとわりつくな!) 逃げようと思った矢先、爺はすぐさま俺の首に手をかけて俺を拘束したのである。 立ったままおんぶをしている状態だ。 この姿勢、すごく辛い。 ろくに面識のない爺に背中越しに抱かれている俺ってのは、想像しただけに身ぶるいする。 あと臭い。後ろからパイナップルが腐ったような臭いがする。 それを俺は鼻腔から摂取してしまい、頭がキリリと押し潰される痛みに襲われる。 (;'A`)(離れろっ、爺っ。離れろっ) / ,' 3 「なぁー、いいじゃろー」 爺の猫撫で声。俺は耳までも犯された。 ますます頭痛が激しくなる。 (#゚A゚)(いい加減にしろ!) もう我慢の限界である。 老人だからということで、"いたわり"なんて感情をもった俺が馬鹿だった。 渾身の力を込めて爺を振りほどこうと上体を左右へ激しく揺らし、腰をねじる。 爺もそれに抗おうとするが、若者の力におよぶものか。 俺の首回りに巻かれていた爺の両腕からも次第に力が抜けてゆき、遂に背中から爺特有の嫌な感じのするたるんだ肌の感触が消えた。
- 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 12:01:53.85 ID:Rdou+VQm0
- (#゚A゚)(ハァハァ……ざまぁみやがれ)
俺の背後で何かが地面に落ちた音がした。 爺が地面に激突した際に生じた音だろう。 その音は俺の右手方向へと、音源を移動してゆき、何かひっかかりのある音を立てた後、音は地面よりも下方向から聞こえるようになった。 (;'A`)(まさか……!) やってしまった。 爺、勢いあまって崖から落ちやがった。 (;'A`)(死んでないよね?) って願ったけど、現実はやっぱうまくいかんもんで、崖の下を覗いたらさっきまで爺だったモノは見事に死体に成り果てていた。 / ,゚ 3「……」
- 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 12:02:34.64 ID:Rdou+VQm0
- (゚A゚)「また死んだ……俺が殺した……」
こうなっちゃ俺も現実に対処できない。 ってんで、我武者羅にその場から走って逃げた。 山道を駆け降り、転んで、這いつくばって、下山した。 山の入口に路中してある原チャリに飛び乗って、ただ焦りの感情に任せて道路を走る。 気が付いたら、俺は自宅近くの道を走っていた。 帰巣本能? つーの? そんなのが働いたらしい。 (;'A`)(とにかく、家に帰って、それから対策を……) つって、自宅まで向かって行ったの。 したら、俺のアパートの周りを白黒パンダカラーの車がそこら中を取り囲んでてびっくり。 おまわりが俺の殺した大男の捜査に来たのであろう。 (゚A゚)(ひぃぃぃぃいいい!!) 俺に最早逃げる場所はないのである。 パトカーが視界に入って、すぐ。俺は原チャリをUターンさせて、今度こそ本当に何も考えずに、でたらめにそこら中を走り回る。 下校途中の小学生を轢きそうになる。 ヤバそうなセダンにぶつけそうになる。 蕎麦屋の兄ちゃんに「危ねぇな、バッキャロー」と言われる。 逃げる。逃げる。どこに? どっかに。
- 144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 12:03:15.09 ID:Rdou+VQm0
- だけど、無計画な逃走劇が頓挫する時が来た。
川沿いの道を眼ぇひんむいて走っていた時のことだ。 ギラギラの電飾をつけたデコトラが正面から走って来るのを、俺は激突寸前になるまで気が付かなかった。 (゚A゚)(うわあああああああああああ!!!) 慌ててハンドルを右に切る。 慣性が俺の身体に圧し掛かり、はじき飛ばされそうになるのをなんとか耐える。 原チャリは河川のガードレールに突っ込み、俺は原チャリと空中分解する。 俺は今、空を飛んでいるのだ。 下には芝生が見える。ここの河は市民の遊べる公園にもなっているのだ。 もし通常の河川のように、砂利が敷いてあったり、堤防しかなかったりしたら大事に至っていただろう。 しばらくの空中遊泳の後に、俺は緑の芝生へ着地した。 とはいっても痛みはある。背中からの衝撃を受けて俺はすぐに跳ね起きた。 (゚A゚)(痛って!) (゚A゚)(イタイ! イタイ! イタイ!) Σ(゚A゚)「ん?」 ('A`)「アイツは……」
- 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 12:04:41.53 ID:Rdou+VQm0
- ( ´ω`)「はぁ……」
( ´ω`)(ショボが死んだなんて信じられないお……親友だったのに……) (;'A`)ノ「おーいブーン! ブーンじゃないか!」 俺は河川敷で黄昏るブーンを見つけた。 とにかくその時の俺は、恐慌状態にあったので、誰か話せる奴が欲しかったのだ。 ( ´ω`)「お……」 ( ´ω`)「あ、ドクさ――」 ('∀`)「ブーン!」 ('A`)(あ……) ( ゚ω゚)ガフッ! 原チャリがブーンの頭の上に落ちた。 たぶん死んだんじゃない? さっきまでのパターンから。 俺と同じく空中を舞っていた原チャリは、しばらく上でのんびりした後に、ブーンの身体の上に落ちたようだ。 物理法則? 知るか。目の前で起きてることを信じんと駄目だがな。 南無。こうなると、焦る気すら起きない。 なんかもう虚しい気分しかない。 ギャグだ。こんなもん。 俺は俺の人生を戯曲化して考える。 これから先、俺の人生はずっと喜劇で進んでいくに違いない。 悲しいことも、神様のいたずらで無理矢理面白おかしくなるのである。
- 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 12:05:24.26 ID:Rdou+VQm0
- そうして、しばらくした後。
自らのコメディ性を確認するために俺は警察へ自首した。 俺が笑いの神に好かれたのなら、きっと何か起こるに違いない。そう思ったからである。 ('A`)「あのう、すいません。人を殺したんです」 (;゚∋゚)「なにぃ、誰をだ!?」 お前。 <;ヽ`∀´>「大変ニダ! 大変ニダ! 今すぐ逃げるニダ!」 (;゚∋゚)「うるさいぞ! 今殺人犯が自主してきた所でだな――」 <;ヽ`∀´>「それどころじゃないニダ! 大怪獣が攻めてきたニダ!」 (;゚∋゚)「はぁ?」 <;ヽ`∀´>「外を見るニダ!」 ( ^ω^)「おーん、おーん」 はは、すげぇや。ブーンの顔したゴジラだ。
- 147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 12:06:05.64 ID:Rdou+VQm0
- (;`・ω・´)「大変です! TVが何者かに電波ジャックされました!」
(;゚∋゚)「な! 次から次に!」 『――そういうわけで、我々新日本相撲協会は日本相撲協会に宣戦布告する』 (;`・ω・´)「テレビです! 見てください!」 (;゚∋゚)「……」 ('A`)(どれどれ) ( ゚∀゚)『諸君、新しい相撲の時代が来たのだ……』 へぇ、お前力士になったのか。 ま、いいんじゃない。グラドルとか、女子アナと結婚できるから。 『待ってください! 危険です!』 『うるせぇ!』 (#´・ω・`)『長岡ぁ! テメェ!』 あ、ショボンだ。
- 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 12:06:51.68 ID:Rdou+VQm0
-
(;`・ω・´)「電波ジャックの会場に誰かが乗り込んだようですね」 (;゚∋゚)「うむ」 ―― (#´・ω・`)『会長さんにお世話になっときながら、その態度はねぇんじゃねぇか? あーん?』 ( ゚∀゚)『は、知ったこっちゃねぇ。かかってきな"日協"。"新日"がぶっ潰してやる』 ( ゚∀゚)『そうだな。二ヶ月後のこの日。国技館で白黒はっきりつけようぜ』 (;´・ω・`)『馬鹿を言え。俺の一存でそんなことは……』 ( ゚∀゚)『俺は言ったぜ。別に来なくてもいいがな。そんときは俺達"新日本相撲協会"の不戦勝、てことだな』 ( ゚∀゚)『ははははは。アバヨ』 (;´・ω・`)『な、待て!』 ―― (;`・ω・´)「放送が終わりました」 (;゚∋゚)「なんてやつらだ。新日本相撲協会……」 あぁ、はいはい。そういうパロディね。
- 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 12:08:54.84 ID:Rdou+VQm0
- ( ^ω^)「おーん。おーん」
<;ヽ`∀´>「自衛隊はまだニカ!?」 (;`・ω・´)「課長! 是非"日協"を応援しましょう!」 (;゚∋゚)「う、うむ」 ('A`)「……」 (;゚∋゚)「だが、ひとまず彼の取り調べをやろうか」 落ちついてるねぇ、課長さん。 (;゚∋゚)「こっちだ……」 ('A`)「……」 「ちょっと待ったァ!!」
- 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 12:13:25.41 ID:Rdou+VQm0
- / ,゚ 3「遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ!」
/ ,゚ 3「我こそは古き良き日本を再生せんと試みる、大日本再生党が党首、荒巻である!」 荒巻さん。古いのが好きっつっても、その甲冑いつの時代の? 教科書の挿絵では確か室町時代ぐらいのだと思う。 (;゚∋゚)「はぁ?」 / ,゚ 3「でやああああああああああ!!」 ('A`)(すげ……マジの日本刀だ) / ,゚ 3「ちょいさ!!」 ( ∋ )「ゴフ……」 あ、死んだ。
- 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 12:15:27.07 ID:Rdou+VQm0
- ('A`)「……」
/ ,' 3 「さぁ同士。いざゆかん」 ('A`)「はぁ」 / ,' 3 「ワシがこうして助けにきたのだ。ゆくぞ」 ('A`)「わかりました」
- 154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 13:01:44.68 ID:Rdou+VQm0
- ( ^ω^)「おーんおーん」
('A`)「外に出たのはいいですけど、怪獣がいますね」 / ,' 3 「問題ない」 / ,゚ 3「同士よ!!」 黒いバンが走ってきて、中からわらわらと人間が降りてきた。 全員室町時代風の甲冑を纏ってる。 / ,゚ 3「っけぇぇぇぇえい!」 レーザーとか、ミサイルとか、日本刀とかその他諸々の兵器がいっぱい。 どーんどんどん。怪獣は苦しそうだ。 ( ^ω^)「おーんおーん」 ( ω )「おーん……」 ('A`)「はぁ、凄い」
- 155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 13:02:26.52 ID:Rdou+VQm0
- ('A`)「じゃ、行きますか。どこに行くかは知りませんけど」
/ ,' 3 「その前に同士、ひとつ聞いてもよいか?」 ('A`)「何でしょう?」 / ,' 3 「ポッケには何が入ってるんじゃ?」 そういうオチね。 ―了―
- 157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 13:13:23.03 ID:Rdou+VQm0
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↑ここまで>>1の自己満足 ↓ここから負け惜しみ 物語を書くのって楽しいね 何でも齧ってみると美味しいもんだ 結果は惨憺たるものだったけど、やらないで溜め込むよかマシだ 面白そうだからやってみた、それだけ 俺はナルシストだから、負けても立ちあがる自分に陶酔できる みんなパンクロック聴こうぜ 最初から負け組の奴のためにある音楽だ ブーン系界のキユ先生を目指すわ じゃノシ
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