- 1 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:21:24.145 ID:7oAUw9xw0
- 夜。
人々は眠りに落ち、町は静まり返っている。 犬の遠吠えが響き渡るほど、この世界は静寂に包まれている。 その中で一つ、何やら騒がしい家があった。 (;TДT)「うっ……ぁぁぁ……!!」 (///´//////)「……」 顔中を包帯で巻いた男が、商人に刃の切っ先を突きつけ、ジリジリと詰め寄る。 何やら激しい悶着があったのか、お互いに肩で息をしている。 商人の頬から流れる血と、両目から流れる涙が、顎の辺りで混じり合う。 身を震わせながら、商人は物凄い勢いで後ずさっていく。 だが、いずれは隅に追い詰められる。 背中の後ろで虚空を探る両手が壁に触れた時、商人の顔がみるみると青ざめた。
- 2 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:22:05.136 ID:7oAUw9xw0
- (;TДT)「いっ……嫌だぁ……! 助けてくれっ……!」
頭を地面に擦り付け、商人は精一杯の命乞いをする。 (///´//V////)「……」 (;TДT)「……えっ……?」 すると、生に縋ろうとする商人を哀れに思ったか、包帯の男は鞘に刀を納めた。 (///´//////)「……貰っていくぞ」 男は蔵の隅に置かれた米俵を担ぐと、そのまま闇世の中へと消え去っていった。 (;TДT)「ハァ……ハァ……」 絶命の危機から逃れた商人は、闇の中へ溶け込んでいく男を、ただ呆然と見つめていた。
- 3 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:23:17.680 ID:7oAUw9xw0
-
天下統一が果たされ、戦が影を潜めていく時代。 それに伴い、武士の需要も目に見えて減っていくことになる。 士農工商も今は昔。今は武士とそれ以下の身分の差など、微塵も感じられなかった。 だから、時代が進めば進むほど、武士という身分は意味の無いものになっていった。 職を失った武士は、浪人と呼ばれた。 藩の給料だけで、安泰な生活を送れるは極少数。 殆どの浪人は、日雇いの仕事をこなし、僅かな日銭を稼いで暮らした。 収入源を断たれた末、追い剥ぎや盗みに手を染める浪人も少なくはなかった。 今の浪人たちには何もなかった。 金も。職も。行く宛も。 刀を携え、大義を成すという、かつての使命すらも。
- 4 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:25:10.154 ID:7oAUw9xw0
- ( ´∀`)「………」
( ・∀・)「おい」 ( ´∀`) ( ・∀・)「おい」 ( ´∀`) ( ´∀`) zzzzzzzzzzzzzzzZZZZZ ( ・∀・) | | ガッ と ) | | Y /ノ 人 / ) < >__Λ∩ _/し' //. V`Д´)/ (_フ彡 / ( ・∀・)「起きろ」 (#´∀`)「痛い!!!!」
- 5 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:25:47.221 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「人の店で眠りこける奴が悪い」
( ´∀`)「すっごい寝やすいよ畳」 ( ・∀・)「イビキ凄かったが……昨日寝てないのか?」 ( ´∀`)「ずーっと傘貼ってた」 ( ・∀・)「……傘貼りまで始めたのか」 ( ´∀`)「ゴミ拾いだけじゃそろそろキツくなってきてね」 ( ・∀・)「一人で暮らす分には問題ないはずだろう」 ( ・∀・)「質屋に刀を質入れするなんてことも、しなくていいはずだ」 ( ´∀`)「ん~……そう、冷たいこと言うのはやめてくれよ」 ( ・∀・)「今は何人いるんだった」 ( ´∀`)「3人」 ( ・∀・)「嫁もいねえくせにガキだけ増やしやがって」 (#´∀`)「お前だって独り身だろ」
- 6 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:26:15.510 ID:7oAUw9xw0
- ( ´∀`)「んで、いくらぐらいかな」
( ・∀・)「はい」 ( ´∀`)「……1両?」 ( ・∀・)「ああ、1両」 ( ´∀`)「なあ」 ( ・∀・)「なんだ」 ( ´∀`)「質に入れるたびに値段が下がってないか」 ( ・∀・)「1両も渡したのに文句を言うのか?」 (#´∀`)「元は30両ほどの価値があるんだぞ! 1両ってなんだ!!」 ( ・∀・)「中古品なんだから仕方ない」 (#´∀`)「結構大事に使ってたんだぞ!」 ( ・∀・)「血油が汚らしい」 (#´∀`)「問題なく斬れるだろ!」 (;・∀・)「今のご時世にそんな機会あるかよ!」
- 7 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:26:54.315 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「そもそも何回も同じもん質に入れられて、こっちも堪ったもんじゃねえよ」
( ´∀`)「ケッ、細かいとこにケチつけて利口なこった……」 ( ・∀・)「文句があるなら1両返せ」 (;´∀`)「喜んで売り渡させていただきます……」 ( ・∀・)「いや、このナマクラには1両すら与えすぎだったかもしれないな」 (;´∀`)「もうイジめないでくれよ!」 グギュウゥゥゥゥゥ…… ( ´∀`)「……腹減った」 ( ・∀・)「1両あれば良いモン食い放題だな」 (;´∀`)「そんな軽々しく使えるかよ」 ( ・∀・)「ウチに飯なんて無いぞ」 ( ´∀`)「まだ何も言ってないだろ」 ( ・∀・)「タカられる予感がしたんでな」 ( ´∀`)「失礼な」 ( ・∀・)「すまん」 ( ´∀`)「タカるつもりだったけどね」 ( ・∀・)「謝罪は撤回させてくれ」
- 8 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:27:16.583 ID:7oAUw9xw0
- ( ´∀`)「……おっ、誰か来たぞ」
( ・∀・)「ん? ありゃあ……」 (-@∀@) ( ・∀・)「アサピーさんじゃないか」 ( ´∀`)「アサピー?」 ( ・∀・)「ああ、商人をやっている」 ( ´∀`)「商人……か」 `)ミ 「ほっ」 (;・∀・)「おい」 (;-@∀@)「やあ、モララーさん。ウチの息子がここに来なかったかい?」 (;・∀・)「あっ、どうもどうも。息子さん、ああ、たしかに来たよ」
- 9 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:28:01.996 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「なんでも、かんざしを質に入れたいと」
(#-@∀@)「やっぱり……実はそれを買い戻しにきたんだ」 (#-@∀@) 「それはウチの女房の形見でね」 (;・∀・)「あらら」 (-@∀@)「キツくしかっとかにゃならんね。それで、いくらだい?」 ( ・∀・)「2両だよ。結構良いかんざしだったからね」 (-@∀@)「そうか、悪いけど買い戻させてくれないかい」 ( ・∀・)「まいど」 (-@∀@)「すまないね」
- 10 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:28:51.056 ID:7oAUw9xw0
- (-@∀@)「ああ、そういえば、号外見たかい? また出たそうだ」
( ・∀・)「商人を襲う盗賊かい」 (-@∀@)「そう。死人こそまだ出ちゃいないようだけど」 (-@∀@)「ウチも狙われんじゃないかってヒヤヒヤしてるよ」 ( ´∀`)「……」 ( ・∀・)「……怖いもんだね」 (-@∀@)「モララーさんも気を付けなよ。けっこう貯めてるんじゃないの?」 ( ・∀・)「いやぁ、ウチなんてドコ探っても何も出ないよ」 (-@∀@)「謙遜しちゃってぇ」 (-@∀@)「……おっ、もう日が暮れるな」 (-@∀@)「じゃあそろそろ行くよ。今日は仕事が遅くまでなりそうでね」 ( ・∀・)「アサピーさん」 (-@∀@)「? なんだい?」
- 11 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:29:11.496 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「タカラくんね、いい息子さんだよ」
(-@∀@)「えっ」 (-@∀@)「アッハッハ……おいおい、何を言ってんだい……」 ( ・∀・)「今回のことは、あまり怒らないでやってくれないかい」 ( ・∀・)「あの子なりに、お父さんが大事なんだよ」 (-@∀@)「…………」 (-@∀@)「……モララーさんが、そこまで言うなら」 ( ・∀・)「ごめんね。変なこと言っちゃって」 (-@∀@)「ハハハ。いや、考えを改める良いキッカケになったかもしれない」 (-@∀@)「思えば女房が死んでから、ずっと苦労かけてきてるしねぇ」 (-@∀@)「……じゃ、どうもありがとう。迷惑かけたね」 ( ・∀・)「いやいや。じゃあ、また」
- 12 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:30:31.895 ID:7oAUw9xw0
- ( ´∀`)「……行った?」
( ・∀・)「別に隠れなくてもいいだろうに」 ( ´∀`)「邪魔しちゃ悪いかなと思ってさ」 ( ´∀`)「それにしても大事なモンを簡単に質入れするなんて、酷いボウズだな」 ( ・∀・)「そういう意味ではお前もそうだろ」 ( ´∀`)「なあ」 ( ・∀・)「なんだ」 ( ´∀`)「帳面には3両で買い取ったって書いてあったぞ」 (;・∀・) (;・∀・)「……人ん家の経済状況を勝手に覗き見るなよ」 ( ・∀・)「……」
- 13 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:30:47.639 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)『かんざし……』
( ・∀・)『これ、お母さんの形見じゃないのかい?』 ( ,,^Д^)『そうです、けど……』 ( ,,^Д^)『でも、これを売って、父さんに何か買ってあげたいんです』 ( ,,^Д^)『母さんが死んで、ずっと苦労かけてきてるから』 ( ,,^Д^)『母さんのことも大事に思ってるけど』 ( ,,^Д^)『それよりも、生きてる父さんを助けてあげたいんです』 ( ・∀・)『……』
- 14 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:31:24.242 ID:7oAUw9xw0
- (;-∀-)「……」
( ´∀`)「商売下手め」 ( ・∀・)「足りない分はお前で補うから問題ない」 (#´∀`) ( ´∀`)「はぁ……お前はいいよなぁ」 ( ・∀・)「なんだよ急に」 ( ´∀`)「俺たち浪人なんて、毎日火の車だぜ」 ( ´∀`)「毎日せっせと働いてても、得られるお金は雀の涙」 ( ´∀`)「それに比べて質屋なんて、店の中で毎日どっしり腰据えてさ」 ( ´∀`)「買うとなれば二束三文で買い叩き、売るとなればウン倍増しで売りさばく」 ( ´∀`)「まったく楽な商売だよな」 ( ・∀・)「根拠のない言い掛かりはやめろ」 (;´∀`)「えげつない値段で刀を持ってったくせに」 ( ・∀・)「それはまあ」 ( >∀・)「……な!」 (;´∀`)「いつか斬ってやる」
- 15 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:34:57.502 ID:7oAUw9xw0
- (;´∀`)「もういいや……飯行こうかな」
( ・∀・)「おっ、じゃあ俺も行こうかな」 (*´∀`) ( ・∀・)「お前の分は出さないぞ」 ( ´Д`)
- 16 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:35:54.110 ID:7oAUw9xw0
- ( ´∀`)「何を食べようかな」
( ・∀・)「1両あんだから良いもんいっとけ!」 ( ´∀`)「さっきからお前、俺の全財産を一回分の食費と勘違いしてるだろ」 ( ・∀・)「まあ、蕎麦でいいんじゃないか」 ( ´∀`)「そうするかぁ」 ( ・∀・)「そういえば、子供らは飯どうしてるんだ」 ( ´∀`)「俺が家にいないことも多いし、何日か分のお金は渡してるよ」 ( ・∀・)「ふぅん……」 ( ´∀`)「……ん」 (´・_ゝ・`) (-_-) ('A`) ('、`*川
- 17 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:36:50.800 ID:7oAUw9xw0
- ( ´∀`)「……町のみんな、表情が暗いな」
( ・∀・)「まあ……無理もないさ」 ( ・∀・)「もう何年も続く冷夏に、飢饉に」 ( ・∀・)「盗みや殺しに手を染める浪人たち」 ( ・∀・)「安心して暮らせって方が、無理あるだろうな」 ( ´∀`) ( ・∀・)「……」 ( ´∀`)「……モララー」 ( ´∀`)「自分が生きる為に誰かを踏み台にするのは、やっぱり悪いことかな」 ( ・∀・)「お前にしては珍しい質問だな」 ( ´∀`)「えっ」 ( ・∀・)「そういう輩は許せないタチかと思っていたが」 ( ´∀`)「……まあ、許せない、けどさ」 ( ´∀`)「んで、どう思う」
- 18 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:38:43.158 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「そりゃあ悪いだろう」
( ・∀・)「無辜の人間を踏み越えていくのは、クズ野郎のすることだ」 ( ・∀・)「それに、踏み台にされた人は、した奴をずっと呪うだろうな」 ( ´∀`)「……じゃあ」 ( ´∀`)「自分以外の誰かを救う為に、誰かを犠牲にするのは」 ( ´∀`)「どうだろう」 ( ・∀・) ( ・∀・)「……同じだ」 ( ・∀・)「自分であれ他人であれ、結局、された人にとっては関係ない」 ( ・∀・)「自分を踏み台にしていったソイツは、永遠の仇になる」 ( ・∀・)「それに、もしそれのお陰で人を救うことになっても」 ( ・∀・)「また別の人を不幸に陥れているんだから」 ( ・∀・)「やっぱそいつは、クズ以下だ」 ( ´∀`)「……」 ( ´∀`)「まあ、当然だよな」 ( ・∀・)「……ああ」
- 19 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:39:43.338 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「なんて言ってる間に着いたな」
( ´W`)「いらっしゃい」 ( ・∀・)「天ぷら蕎麦1つ」 ( ´W`)「そちらの方はどうしましょう?」 ( ´∀`)「……」 ( ・∀・)「1両を眺めても2両にはならないぞ」 ( ´∀`)「……」 ( ・∀・)「おい」 ( ´∀`)「……」 ( ・∀・)「……」 ( ´∀`)「すまん、やっぱやめといていいか」 ( ・∀・)「は? バカかお前、飯誘った奴は誰だよ」 ( ´∀`)「ごめん」 ( ・∀・)「親父、天ぷら蕎麦2つで頼む」 ( ´W`)「はいよ」 ( ´∀`)「いや親父、俺は」 ( ・∀・)「黙って食えよ」 ( ´∀`)「……すまん」
- 20 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:41:14.147 ID:7oAUw9xw0
- ( ´∀`)「ありがとう」
( ・∀・)「気にすんな」 ( ´∀`)「やっぱりモララーは……」 ( ・∀・) ( ´∀`)「……どした?」 ( ・∀・)「いや、アレ」 ( ´∀`)「アレ?」 l从 ∀ ノ!リ人 ( ´∀`) ( ・∀・) ( ´∀`)「……女の子か?」 ( ・∀・)「もう日も暮れてきたのに、1人だなんて危なっかしいな」
- 21 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:41:57.153 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「しかし珍しいな。こんな辺鄙な場所に」
( ´∀`)「全くだ、腐りかけた質屋以外に何も無いってのに」 ( ・∀・)「喜べ。お前の命を絶つのはお前が容赦無く質に入れた武士の魂だ」 (;´∀`)「冗談だよ謝るから鞘に納めてくれ」 l从 ∀ ノ!リ人 ドサッ (;´Д`)「!!」 ( ・∀・)「短い間だが楽しかったよ」 (;´Д`)「言ってる場合か!!あの女の子が!!」 ( ・∀・)「はぁ? ……」 (;・∀・)「……っ! おいおい……!」
- 22 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:43:31.353 ID:7oAUw9xw0
-
……!! 兄者ぁ……!! おっきい兄者ぁ…!!起きてほしいのじゃあ…!!! ちっちゃい兄者ぁ!!ちっちゃい兄者ぁ!!! 目を開けて……!!目を開けてなのじゃ…!! 母者ぁ……!! 父者ぁ……っ!!? うッ……!! ヴェッ……!! …!!
- 23 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:44:12.268 ID:7oAUw9xw0
- l从-∀ ノ!リ人 「………ぁにじゃ…………」
l从-∀・ノ!リ人「…………」 ( ´∀`)「起きた」 l从・∀・ノ!リ人「のじゃあああああああああ!!」 (;´∀`)「のわあああああああああああ!!!」 l从・∀・;ノ!リ人「のじゃあああああああああああああああ!!!???」 (;´∀`)「のわあああああああああああああああああああ!!!!????」 ( ・∀・)「落ち着け」 ( ´∀`) l从・∀・ノ!リ人 (;・∀・)「なんて順応力の高い奴らだ……」
- 24 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:44:57.526 ID:7oAUw9xw0
- l从・∀・ノ!リ人「ここは……」
( ・∀・)「俺の家だ。君が道端で倒れていたから介抱した」 ( ´∀`)「目が覚めてよかったよ」 l从・~・ノ!リ人「……んん?」 ( ・∀・)「どうした?」 l从・∀・ノ!リ人「口の中に何かあるのじゃ」 ( ´∀`)「ああ……多分それは米だ」 l从・∀・ノ!リ人「お米……」 ( ´∀`)「何日も食べてないんだろうと思ったから」 ( ´∀`)「だから無理やり、お粥を突っ込ませてもらったよ」 ( ´∀`)「と言っても、腹を満たすには全然足りないだろうけど」 l从・∀・ノ!リ人「……ありがとうございますじゃ」 ( ・∀・)「なぁ、どうしてあんなところにいたんだ?」 l从・∀・ノ!リ人「……は グゥゥゥギュルルルルルルルルルル l从 ∀ *;ノ!リ人 (;・∀・) (;´∀`)
- 25 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:45:37.121 ID:7oAUw9xw0
- l从・~・*ノ!リ人 モグモグモグモグ
( ´∀`)「おいしい?」 l从・∀・*ノ!リ人「はい!本当にありがとうですじゃ!」 ( ・∀・)「お前、貴重な米の蓄えじゃないのか」 ( ´∀`)「まあ、しゃあない」 ( ・∀・)「……」
- 26 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:46:10.347 ID:7oAUw9xw0
- l从・∀・ノ!リ人「ご馳走様でしたのじゃ」
( ´∀`)「もういいかい?まだお代わりもあるけど」 l从・∀・ノ!リ人「十分ですじゃ!もうお腹いっぱいですじゃ」 ( ´∀`)「なら良かった」 l从・∀・ノ!リ人「……」 ( ・∀・)「落ち着いたかい?」 l从・∀・ノ!リ人「あっ…はいですじゃ」 ( ・∀・)「じゃあ、聞かせてもらえないか。…ツラいだろうけど……」 l从・∀・ノ!リ人「……はいですじゃ」
- 27 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:47:06.437 ID:7oAUw9xw0
- l从・∀・ノ!リ人「妹者のいた村では、米を育てていましたじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「田んぼが大きくて、いつも他の村より沢山のお米が獲れたのですじゃ」 l从・∀・ノ!リ人「でも最近、夏でも涼しい日が続いて、お米の育ちが悪かったのですじゃ」 ( ´∀`)「……」 l从・∀・ノ!リ人「それはどこの村でもそうだったようですじゃ」 l从・∀・ノ!リ人「でもウチの村は田んぼが大きい分、それなりの収穫はあったのですじゃ」 l从・∀ ノ!リ人「それで、この間」 l从 ∀ ノ!リ人「刀を持ったお侍様たちが」 l从 ∀ ;;ノ!リ人「妹者達の、村、を」 l从 ∀ ;;ノ!リ人「みんなをっ」 l从 Д ;;ノ!リ人「ヴッ………!!!」
- 28 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:47:54.066 ID:7oAUw9xw0
- (;´∀`)「っ!! 大丈夫か!?」
l从 Д ;;ノ!リ人「ヴェエエエエッ……!」 ( ・∀・)「……もう十分だ。ありがとう」 (;´∀`)「落ち着くまで寝かせてやろう」 ( ・∀・)「ああ」 ……………… l从-Д-ノ!リ人 スー…スー… ( ´∀`)「………」 ( ・∀・)「報復の可能性を考えれば、村人を生かす意味はない」 ( ・∀・)「あの子の家族も……だろうな」 ( ´∀`)「冷夏による飢饉で米も満足に獲れない今だ」 ( ´∀`)「仕方ないだろうさ」 ( ・∀・)「……ああ、胸糞悪い話だがな」 ( ´∀`)「……」
- 29 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:48:46.761 ID:7oAUw9xw0
- ( ´∀`)「モララー」
( ・∀・) ( ´∀`)「この子、俺が引き取れないか」 ( ・∀・)「こっちに来いっ」 (;´∀`)「おっ、おい!襟を引っ張るなっ」 l从-∀-!リ人 zzZ ピシャッ!! l从・Д・ノ!リ人「のじゃっ!」 l从・∀・ノ!リ人「……あれ」 l从∀・ 三 ・∀ノ!リ人 l从・∀・ノ!リ人「……二人ともいないのじゃ?」 l从・∀・ノ!リ人「!」 「…………ッ」 「………!」 l从・∀・ノ!リ人「戸の奥で声が聞こえるのじゃ」 l从・∀・ノ!リ人「……」 l从・Д・ノ!リ人 )) ソオッ
- 30 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:49:56.864 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「一回の夕飯も賄えない浪人がどう引き取るってんだ?」
( ´∀`)「だからって放っとけるのか」 ( ´∀`)「あのデカい寝言を聞き逃したわけじゃあるまい」 ( ・∀・)「ああ、凄惨な夢だったんだろうさ」 (#´∀`)「あれは夢じゃない!!」 ( ´∀`)「…………お前もわかってるだろう」 ( ・∀・)「またか」 ( ´∀`)「悪いか」 ( ・∀・)「結構なことだ」 ( ・∀・)「だが悪い癖だ」 ( ・∀・)「文無しのお前が、あの娘も育てていけるのか」 ( ・∀・)「今でさえ満足に寝ていないだろうが」 ( ・∀・)「あの狭い長屋にガキを増やして、お前は重荷を背負うのか」 ( ´∀`)「この1両は返すことになりそうだな」 (#・∀・)「いい加減にしろ!!!!!」
- 31 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:51:05.616 ID:7oAUw9xw0
- (#・∀・)
( ´∀`) (#・∀・)「…………」 ( ´∀`) 「…………」 ( ・∀・)「……何回、手を汚すつもりだ」 ( ´∀`)「なあモララー」 ( ・∀・) ( ´∀`)「俺たち浪人は、たぶん生きてる価値もない屑だ」 ( ´∀`)「いくら昔、戦で刀を振るってようが、今となっては関係ない」 ( ´∀`)「金に困って、己の魂すら飯に変えなきゃならない無惨な現状」 ( ´∀`)「そんでいずれは、ジメジメ腐って死んでいくんだ」
- 33 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:52:57.853 ID:7oAUw9xw0
- ( ´∀`)「自己満足なのは分かってる」
( ´∀`)「やってることはただの強盗だ」 ( ´∀`)「でも俺には、刀で人を救う方法が、これしか思いつかない」 (#・∀・)「刀に固執して何の意味がある!! そんな奴が武士って言えんのか!!」 (#・∀・)「それに言ったはずだぞ!!」 (#・∀・)「人を踏み越えていくような奴は、クズ以下だって……!!」 (#´∀`)「今だって友達の優しさに付け込まなきゃ生きてけないような!!!」 (#・∀・)「ッ………!」 ( ´∀`)「……クズみたいな人生なんだ」 (#・∀・)「……」 ( ´∀`)「それならせめて、このクズにも劣る一人の浪人に」 ( ´∀`)「小さな子供たちの将来を斬り拓いていく、っていう」 ( ´∀`)「自分勝手な“使命”を」 ( ´∀`)「……与えてやってくれないか」 ( ・∀・) ( ´∀`) ( ・∀・)
- 34 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:53:50.884 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「……勝手にしろ」
( ´∀`)「……」 ( ´∀`)「この1両、使わなくてよかったよ」 ( ・∀・)「本当なら質に入れた時より高く売るんだがな」 ( ´∀`)「…………モララーは」 ( ´∀`)「モララーは、優しいからな」 ( ・∀・)「…………」 ( ・∀・)「……どうかな」 ( ・∀・)「さあ、持ってけ」 ( ・∀・)「お前が納得いくまで、使命とやらを遂行するがいいさ」 ( ・∀・)「今度質入れした時は、1両も出さないと思えよ」 ( ´∀`)「……すまん」 タッタッタッタッタッ………
- 35 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:54:22.776 ID:7oAUw9xw0
- l从・Д・ノ!リ人「……」
ガラッ ( ・∀・)「……」 l从・∀・ノ!リ人「あっ……」 ( ・∀・)「ん、ああ、起きたか」 ( ・∀・)「ごめんねお嬢ちゃん、もう大丈夫かい?」 l从・∀・ノ!リ人「……さっきの人、おサムライなのですじゃ?」 ( ・∀・)「……見てたのか」 l从 ∀ ノ!リ人「……怖い……ですじゃ……」 ( ・∀・) ( ・∀・)「大丈夫さ」 l从・∀・ノ!リ人「えっ……?」 ( ・∀・)「あいつは、君の村を襲ったような、悪い奴じゃないから」 l从・∀・ノ!リ人「……」 ( ・∀・)「そう……」 「悪い奴じゃ、ないんだ……」
- 36 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:54:57.410 ID:7oAUw9xw0
- ガララッ
( ´∀`)「よう」 ノパ⊿゚)「おっちゃん!」 (=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」 ξ゚⊿゚)ξ「モナーさん! おかえりなさい」 ノパ⊿゚)「おっちゃん何日ぶりだ!?」 ( ´∀`)「悪いなあ、長いこと帰ってなくて」 ξ゚⊿゚)ξ「頂いたお金があるので大丈夫です」 ( ´∀`)「そうか」 (=゚ω゚)ノ「あれ? また刀を持ってるよう?」 ξ゚⊿゚)ξ「えっ……」
- 37 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:55:24.666 ID:7oAUw9xw0
- ( ´∀`)「ああ……このあと、用事があるから」
( ´∀`)「ツン。悪いけどヒートといようの世話、頼んだぞ」 ξ゚⊿゚)ξ「……わかりました」 ノパ⊿゚)「またどっか行くのか?」 ( ´∀`)「まあな」 ( ´∀`)「ちゃんとツンの言うこと聞けよ」 ( ´∀`)「……じゃあな」 ピシャッ
- 38 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:55:45.291 ID:7oAUw9xw0
- ノパ⊿゚)「おっちゃん、何やってんだろう」
(=゚ω゚)ノ「僕たちの為に夜も働いてるらしいよう」 ノパ⊿゚)「本当か!?」 ノパ⊿゚)「いつか恩返し、しないとなー!!」 (=゚ω゚)ノ「だよう」 ξ゚⊿゚)ξ「……」 ノパ⊿゚)「ツン姉? どしたー?」 ξ゚⊿゚)ξ「……なんでもない」 ξ゚⊿゚)ξ「それよりも、そろそろ寝ましょう」 ノパ⊿`)「たしかに……もう眠いぞ」 (=゚ω゚)ノ「僕も寝るよう……」 ξ゚⊿゚)ξ「ええ」
- 39 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:56:07.052 ID:7oAUw9xw0
- ……………
ノハ ⊿`) zzZ (=-ω-)ノ zzZ ξ゚⊿゚)ξ「……」 ξ ⊿ )ξ「……」
- 40 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:57:11.556 ID:7oAUw9xw0
-
既に日は落ち、黒と沈黙が町を呑み込む時間。 商品を蓄積しておく、商品たちが使う蔵。 その眼前に包帯の男はいた。 蔵の錠前を強引に叩き壊し、男は中へと侵入していく。 (///´//////) 男は周囲を見回す。 蔵の中にある様々なものが目に飛び込んできたが、そんな物は問題ではない。 男が目指すのは、金か、食い物か、どちらかしかなかった。 (///´//////)「!」 蔵の奥に、俵で積まれている米を見つけた。 恐らく自分らで食べる物ではなく、元より売却が目的のものだろう。 背負えるだけを肩に背負い、蔵を後にしようと、 そう思った時。
- 41 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:58:29.910 ID:7oAUw9xw0
- (-@∀@)「誰だ!?」
(;///´//////)「!!」 蔵の入り口で誰かが叫ぶ。 多分この蔵を管理する商人だろう。 迂闊だった。しかし、これだけで怯む包帯の男ではなかった。 男はすぐさま刀を抜き、商人の喉元に切っ先を突きつける。 (;-@∀@)「ウッ……」 (///´//////) 刀を中心に、ジリジリと回転していく。 立ち位置を逆転させ、包帯の男が入り口側を確保した。 その時だった。 (;,,^Д^)「うおああああああああああああああ!!!」 (;-@∀@)「タカラ!?」 ドガッ (;///´//////)「ッ……!!」
- 42 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:59:28.814 ID:7oAUw9xw0
- 少年が包帯の男に、猛烈な勢いで突撃する。
バランスを崩した男が、商人にもたれかかるように倒れていく。 (;///´//////)「しまっ……!」 (;-@∀@)「ッ」 ドスッ
- 43 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 12:59:44.017 ID:7oAUw9xw0
-
………………………
- 44 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:01:09.542 ID:7oAUw9xw0
- ( ,,-Д-)
( ,,-Д-)「……うっ」 (;,,^Д^)「あぁっ……いてて……」 (;,,^Д^)「っ! そうだ、父さっ……」
- 46 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:02:59.791 ID:7oAUw9xw0
- ..ィク´ ,,....__ ゙ 、 /
, 斗r ..;/´ .. `ヽ、 ./∨ l' ;/ 丶 ゝ≦/ . ∨ /::::::/ / /:::::::/ / 丶- ' / ', / ハ ./ ハ_ . / `'‐、 . / ..-、 ィ冖‐. \ i / ,' ハ l´゙'、 \ ヽ .} l } / / } | 丶. \ ` ′ `′ .{ 〈 .i | \、 ', ヘ ヘ ゙、 .∧ ', ハ ヘ ハ ヽ ' 、 `ー′ 丶 i ヽ_ ! . `′
- 47 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:03:37.927 ID:7oAUw9xw0
- ( ,,^Д^)
僕のすぐ、目の前に。 血を流しながら横たわる父の姿が、そこにあった。
- 49 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:04:24.984 ID:7oAUw9xw0
-
- 50 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:04:46.452 ID:7oAUw9xw0
- ガララッ
( ・∀・)「いい天気だ……」 __ : : :. |Xl : : :. . |Xl : : :.. |Xl : : :. |Xl : : .:. . |Xl : : .. =ニニニ= : : : : . . . |:: | : : : : : : : :..:|:: | : : : .: : : :..:|:: | : : : : : : : :.. |:: l : : : : : : : : :.|:: | : : : : : : : : |:: |. : : .: : : : : |:: l: : . : : : : : :.: :..|:: |: : : : . : : : .: :..: : :|:: |: : : : : : . : : : : : ..: :|:: |: : : : : : . ..: : : : : : :|:: |: : : : : : : : . : : : ..: : : : |:: |: : : : : : : : ( ・∀・) ( ・∀・)「……はぁ?」
- 51 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:05:23.320 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「なんのつもりだ、アイツ」
( ・∀・)「玄関前に物騒なナマクラ残しやがって……」 ( ・∀・)「…………」 ( ∀ )「年貢の納め時、ってやつなのかね」 l从・∀・ノ!リ人「……おじさん」 l从・∀・ノ!リ人「この刀と米俵、なんなのですじゃ?」 ( ・∀・)「米俵」 ( ・∀・)「……契約料、かもしれないね」 l从・∀・ノ!リ人「えっ……」
- 53 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:05:39.788 ID:7oAUw9xw0
- ( ・∀・)「うん」
( ・∀・)「行く場所、ないだろう?」 l从・∀・ノ!リ人「……はい、ですじゃ」 ( ・∀・)「そうか、なら」 ( ・∀・)「俺の家にいるといい」 ( ・∀・)「俺が君を育てる」
- 54 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:08:12.566 ID:7oAUw9xw0
-
~ (´・ω・`)「……モナーよ」 ( ´∀`)「はっ」 (´・ω・`)「貴公」 (´・ω・`)「盗んだ米と金は、全て身寄りのない孤児に与えていたそうだな」 ( ´∀`)「……何故それを」 (´・ω・`)「貴公の友人を名乗る者からの情報だ」 ( ´∀`)「友人……ですか」 (´・ω・`)「……話を戻す」 (´・ω・`)「盗んだモノを、貴公自身はどうしたのだ」 ( ´∀`)「使っていませんよ」 ( ´∀`)「自尊心を持たぬ破廉恥な盗賊から得た金など、使いたくないでしょう」 (#,,゚Д゚)「貴様ッ!! 自分が何を言っているのか……!」 (´・ω・`)「待て」 (,,゚Д゚)「はっ……!」
- 55 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:08:39.042 ID:7oAUw9xw0
- (´・ω・`)「……貴公の行いによって、被害を被った人々がいることも事実だ」
( ´∀`)「わかっております」 (´・ω・`)「数々の商人を襲撃し、市井を恐怖と混乱に陥れた罪は重い」 (´・ω・`)「よって貴公を」 (´・ω・`)「獄門の刑に処する」 ( ´∀`) (´・ω・`)「何か、言うことはあるか」 ( ´∀`)「……いえ」 ( ´∀`)「非情な盗賊に相応しい最期でしょう」 (´-ω-`) (´・ω・`)「……刑を、執り行う」
- 56 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:08:54.210 ID:7oAUw9xw0
- :,: :(::)
/⌒''⌒) :,,゜ ' ,,,,,,, (:::::::::::::::!' (::::::) ヽ::::::::';''' ''`` 。 τ'::/ .;: )/ 。 ' 、 ;: 。 `'''`~''・ ' ` f''`⌒( ,,,, !:(',,,,、 ::,,,,,、... ,!,,,、( /::τ ノ:::::::::::::::::) 。 !::::::::::`! 、 :.、 !:::( ノ::`! o (::::::::::::::::::τ (:::,,;,;,、; 。 ゜ (/ ⌒・ . ・、;::::::::::::;;.;`` '' ,,、.. // ノ' //'''`'`'` ` ..,,.. _,,,.、 ・ ,, ...:・.. π /;::::::::(,.,.(;;;::::( ,,., ・っ ;,;;( ):::::;. c::── '`'''::::::::::;'' ):::::::::::::::::::::::::::/ '''''` ` '` ⌒ ` !.:::τ'' `` τ !::::::::::::::::::::::::::::)/,,,,, γ :'`'``:! (::::::::::::::::::::::::::::冫 `'`' 、,:'::::::`:::,,,, !:::::ノ ・ :::':'::::::::::::::::::::::::::::;(,,,,,,,、:::::::-ー''''`'`''''''''"
- 57 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:09:10.270 ID:7oAUw9xw0
- ………………………………………
- 58 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:09:31.382 ID:7oAUw9xw0
- …………………
- 59 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:10:01.933 ID:7oAUw9xw0
- ___
| | | | | | | | ,,,. | | ,'"';, 、''゙゙;、). | | 、''゙゙;、),、 ゙''!リ'' i二二二二!゙''l!リ'''゙ ∥ `i二二二!´ ∥ 昌 |: ̄ ̄ ̄ ̄:| 昌 ( ・∀・) ( ・∀・)「……馬鹿が」 ( ・∀・)「だから、言っただろうが」
- 60 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:10:19.089 ID:7oAUw9xw0
- ( ,,^Д^)「……あっ」
( ,,^Д^)「あの……モララーさんですか……?」 ( ・∀・)「えっ……」 ( ・∀・)「あっ……タカラくんか!」 ( ,,^Д^)「やっぱり!」 ( ,,^Д^)「どうも、お久しぶりです」 ( ・∀・)「大きくなったなぁ……!」 ( ,,^Д^)「ありがとうございます」 ( ・∀・)「お母さんのかい?」 ( ,,^Д^)「いや」 ( ,,^Д^)「今日は、父の命日です」 ( ・∀・)「……そうか」
- 61 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:11:02.830 ID:7oAUw9xw0
- ( ,,^Д^)「モララーさんはどなたのお参りに?」
( ・∀・)「古い友達だよ」 ( ,,^Д^)「………ッ」 ( ,,^Д^)「この……供えてある、刀は……?」 ( ・∀・)「ああ」 ( ・∀・)「このご時世に、侍として刀を振るうことを諦めきれなかった」 ( ・∀・)「馬鹿な浪人の物さ」 ( ,,^Д^)「侍…………ですか」 ( ・∀・)「……ああ」 ( ,,^Д^)「父は、侍に殺されました」 ( ・∀・) ( ・∀・)「……すまない」 ( ,,^Д^)「僕こそ、失礼な事を言ってしまってごめんなさい」 ( ,,^Д^)「でも……僕は今も許せないんです」 ( ,,^Д^)「父さんを殺した侍を……」 ( ∀ )
- 63 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:11:32.326 ID:7oAUw9xw0
- だから言っただろうが
犠牲になった側は、一生、相手を仇に思う 何が、武士だ 何が、使命だ 誰もお前を「イイヤツだ」なんて思わない お前は一生、罪人なんだよ 馬鹿野郎……
- 64 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:12:11.047 ID:7oAUw9xw0
- ( ∀ )
( ,,^Д^)「……ごめんなさい、そろそろ失礼します」 ( ,,^Д^)「今日はちょっと、仕事が遅くなりそうなので」 ( ・∀・)「……ああ、父さんの分まで頑張れよ」 ( ,,^Д^) ペコッ ( ・∀・)「……」 ( ・∀・)「俺も、帰るかな」 l从・∀・ノ!リ人「おじさん!」 ( ・∀・)「お前……どうしたんだ? なんでこんなところに」
- 66 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:12:38.312 ID:7oAUw9xw0
- l从・Д・ノ!リ人「ごめんなさい」
l从・∀・ノ!リ人「私たちも、お参りがしたくて」 ( ・∀・)「ああ……え」 ( ・∀・)「私たち?」 ξ゚⊿゚)ξ ペコリ ( ・∀・)「君は……?」 l从・∀・ノ!リ人「来る時に、たまたま知り合ったんだ」 ξ゚⊿゚)ξ「モナーさんに、ずっとお世話になっていました」 ( ・∀・)「あいつに……」 ξ゚⊿゚)ξ「はい」 ξ゚⊿゚)ξ「彼は、恩人です」 ( ・∀・)
- 67 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:13:19.895 ID:7oAUw9xw0
- ξ゚⊿゚)ξ「私たちの為に、一生懸命働いてくれたんです」
ξ゚⊿゚)ξ「でも、きっと、それだけじゃダメだったから……」 ξ ⊿ )ξ「だから、あの人は…………」 ξ _ )ξ「っ…………」 ( ・∀・) l从・ー・ノ!リ人「……ツンちゃん」 l从・∀・ノ!リ人「モナーさんの為にも、精一杯お参りしてあげよう」 l从・ー^ノ!リ人「ね?」 ξ゚⊿゚)ξ「……」 ξ゚ー゚)ξ「……はい」
- 68 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:13:55.471 ID:7oAUw9xw0
- l从・∀・ノ!リ人「そういえば、他の二人はどうしてるの?」
ξ゚⊿゚)ξ「今日は、働きに行っています」 l从・∀・ノ!リ人「へぇ~、偉いなぁ~」 ( ・∀・) ……そうか みんながアイツを悪人だって思っていても 俺たちは知っているんだ あいつは、良いやつだって それにアイツは
- 69 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:14:25.602 ID:7oAUw9xw0
- ξ゚⊿゚)ξ
l从・∀・ノ!リ人 この子たちに、未来を与えることが出来たんだ なら
- 70 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:15:07.177 ID:7oAUw9xw0
-
( ´∀`)『それならせめて、このクズにも劣る一人の浪人に』 ( ´∀`)『小さな子供たちの将来を斬り拓いていくっていう』 ( ´∀`)『自分勝手な“使命”を……与えてやってくれないか』 ( -∀-)「…………なら」
- 71 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:15:42.982 ID:7oAUw9xw0
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あの愚かなサムライは “使命”を果たしたんだと、言っていいかもしれないのかな
- 73 名前:以下、無断転載禁止でVIPがお送りします:2016/04/03(日) 13:16:10.675 ID:7oAUw9xw0
- 終了
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