( ^ω^) in the ルームのようです (3)
2010/12/13 Mon 04:47
230 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:05:29 ID:h1tmQVUg0
8)『全ての指針と時針について』
231 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:06:39 ID:h1tmQVUg0
- ( ^ω^) -
時計がないのに、かちかちと針を刻む音が聞こえる。
自分の付けている腕時計からかと思ったけど、そうじゃないみたいだ。
静かになると、今まで気にもしていなかった音が耳に飛び込んでくる。
まさか、スピーカーが発しているのではと睨んだところで、
当のスピーカーから次の命令が吐き出される。同時に音も止む。
『25分経過、さっきの部屋へ』
( ^ω^)「……やっとかお」
硬いパイプ椅子に座り続けて固まった下半身をぶるぶると震わせ解しつつ前進。
ノブを回してドアを開けたら、そこにはorzのポーズを取る毒男の姿。
ポーズがozではない事から、ドアのノブが股間に直撃したとかはなさそうだ。
何かやらかしてしまったのか、いや逆に何もしなかったからか、手遅れなのか。
一瞬そんな事を考えてしまったが、何かする時間も暇も糞もない。
僕はたった今、この部屋から出て来たのだ。
( ^ω^)「毒男、どうしたお?」
232 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:08:14 ID:h1tmQVUg0
( A )「げ……」
( ^ω^)「げっ?」
これは、むしろ毒男が何かやらかしてしまったパターンだろうか。
( A )「ゲロ吐きそうぉェぷ」
( ゚ω゚)「うおおお飲み込むお! いや、ゲッ、ゲロ袋?! 違うトイレ!」
そんなものある訳ない。
( ;^ω^)「大丈夫だお! 服にかからないようにここで吐けばいいお!」
根本的な解決にはなってないが、正直それしかない。
どうせ掃除するのは自分達じゃない。多分、ここの職員がやるだろう。
毒男は口元を抑えて頷くと、屈んで服の裾を握り、吐く体勢に入った。
僕が毒男の背中を擦ろうと手を置いたとこで、スピーカーがぼおんと鳴る。
233 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:08:51 ID:h1tmQVUg0
『目の前のドアを出て右に直進、T字路を左、突き当たり左にトイレ!』
気の所為か、スピーカーの文末にエクスクラメーションマークが見える。
飛び散った食いカスならまだしも、未消化物の悪臭は流石に嫌なのか。
ならば、ここで吐いてその嫌な事をやらせてやろうか。
……と、思ったが、ゲロるのは僕ではなく毒男だ。
( ;^ω^)「我慢できるかお?」
( A )゙ コクコク
人前でゲロるのは、他人の前であれ知人の前であれとても恥ずかしい。
もし僕が今の毒男の立場だったらと考え、立ち上がるのを手伝う。
234 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:09:16 ID:h1tmQVUg0
目の前のドアを出て右に直進すると、さっき探索しろと言われた部屋の前につく。
先に時間が来て部屋で待ってる兄者には悪いが、もうちょっと待ってもらう。
扉を正面に左に曲がると、さっきまではなかった扉が見えた。
扉には丁寧に大きくWCと書かれているので、ここで間違いない。
( ;^ω^)「僕はここで待ってるお」
( A )゙ コクコク
よろけてドアにぶつかりながらWCに入る。酔っ払いか。
( ^ω^)「気をつけるおー」
そんな言葉を投げ掛けてから、一緒に入るべきだったかと汗をかく。
いやでも、こんな時に一緒に入っても気まずいだけか。
それとも、友人として背中でも擦ってやるべきだったのか。
毒男が扉の向こうに消えた今、どうにもならないけど。
( ;^ω^)「んおー……」
235 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:09:52 ID:h1tmQVUg0
ごぼじゃあと水が流れる音を聞きながら、窓を除く。
そこに先に入ると思っていた兄者はおらず、床に倒れる人と赤い水溜り。
それが何かを理解する前に、内藤は部屋のドアノブに手をかけていた。
狂ったようにがちゃがちゃと回すが、ドア自体はびくともしない。
深く考えずに、考える前に助走をつけてドアに体当たりをする。
べりべりと何かが剥がされる音がし、ドアが破られた。
( ;゚ω゚)「うぉっ! とと……」
目の前に広がる真っ赤なものに倒れ込むまいと足を踏ん張る。
そのまま視線をあげれば、壁に飛び散る血飛沫、うつ伏せに倒れる人。
血溜まりで赤く染まった服。左手で左目を乱暴に擦った。
一度滲んでから元に戻った景色は、前となんら変わらない。
236 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:11:00 ID:h1tmQVUg0
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血溜まりは今も広がり続け、自分の視界の下まで伸びている。;;;;;;;;;;;;;; ; ; ; ; ; ;,, , ,
; ; ; ; ;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;; ; ; ; ;
ゆっくり川を追っていくと、自分の足が目に飛び込んだ。; ; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ; ; ; ;
, ,; ; ;;;;;;;; ; ; ;'''''
それは入ってきた扉の前まで途切れる事なく続いている。;;;;;;;;;;;;; ; ; ; ;,,,, , , ,
;;;, ''';; ; ; ;,,,, , , ,'''''''
もう一度足元を見る。 ,;;; ,,,,,,,;;;;;; ; ; ;, , ,
;; ,;;;;;;;;;;; ; ; ;
自分の靴は、赤く染まっていた。 ', ,,,,,,;;;;;;;;;;; ; ; ;''''
,,,,,;; ; ; ;'
内藤はようやく悲鳴をあげる。 ,,,,,,,,,;;;;;;;;;;; ; ; ;
,,,,,;;; ; ; ;
237 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:16:27 ID:h1tmQVUg0
( ^ω^)「……」
っ⌒/⌒c
('A`)「……」
( ^ω^)φ゙ ガリガリ

ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_389.jpg
( ^ω^)「……」
('A`)「……」
242 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:39:11 ID:h1tmQVUg0
見取り図の中に、内藤が雑に死体を描き足した。
毒男は死体がどんな形をしていたのか覚えていなかったが、
部屋の中にまで踏み込んで見てしまった内藤が描いたのだから、
これでいいのだろうと思っている。確かめに行く勇気はまだない。
('A`)「落ち着いてきた……か?」
( ^ω^)「毒男こそ」
待機を命じられていたドアに、二人で背を預けている。
('A`)「さっきよりは大丈夫だ、さっきよりは」
( ^ω^)「ゲロ吐いたからおね」
('A`)「うっせ、精神的ブラクラとか言ってる余裕なかったんだよ」
( ^ω^)「そうだおね、モタ男とかの衝撃以上だお……」
軽口を叩くまでの余裕が二人の精神に出来たのではない。
誰かが近くで死ぬという衝撃的な事態があったとしても、
人は体面を繕わない場合、こういった話が簡単に出来る。
243 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:47:31 ID:h1tmQVUg0
人の精神は、常にバランスを取ろうとする。まるで船のように。
抵抗する事の出来ない大きな波が来て転覆する時、人はパニックに陥る。
二人の言葉は、自己防衛機能の一環だ。
死体を知らない第三者でない限り、咎める事は出来ない。
『……』
スピーカーに取り付けられたカメラの向こう側で、見知らぬ誰かはそう考えていた。
244 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:49:39 ID:h1tmQVUg0
('A`)「モーターサイクルのほうがグロくね?」
( ^ω^)「二次元と三次元じゃ度合いが違うお」
('A`)「確かにね……」
日常に戻ろうとして、普段の会話を繰り返す。
そうしながらも、二人の頭の中の冷静な部分はそれぞれの疑問点を捉えていた。
内藤 ホライゾンは、部屋のドアが内側からガムテープで目張りされていたのに、
何故毒男が死体を見て嘔吐する事が出来たのかと考える。
鬱田 毒男は、何故兄者が一向に現れないのかという事を、
想像出来る、有り得る限りの最悪の方向で考えている。
人間は、そういった事が自然に出来るのだ。
245 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 12:50:58 ID:h1tmQVUg0
8話ここまで
次は来月辺りこれたらいいなと思っている
読んでくれた人ありがとう
246 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/09(木) 19:25:39 ID:HL60JeD6o
来てたか乙
247 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/11(土) 04:29:24 ID:y7yfigZY0
`・+。*・ (´・ω・`)
。*゚ 。☆―⊂、 つ
。*゚ : ヽ ⊃
`+。**゚**゚ ∪~
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