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( ・∀・)君だけが最高のクスリになるようです |
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 23:10:41.09 ID:avYOaP9BO
- ガタン
ガタンガタンガタン ガ―――ッ ……カシャン ( -∀-)「ぬ、あ、あ」 ( ・∀・)「あ?」 始発列車がまた窓辺の花瓶を落としやがった。 毎度毎度ふざけんな。 ( ・∀・)「安いの選んでも、こう数が多けりゃな」 ボロ部屋の床からほうきを取り上げて、隅へとガラスを押しやる。 積もったそれらが憎たらしく朝日で輝いていた。 ( ・∀・)「けっ」 相変わらず街は小汚く、浮浪者達が右往左往している。 まったく、自由の国はいつからこんな辛気臭くなったんだ? 大した国だよ、ここは。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 23:20:27.00 ID:avYOaP9BO
-
( ・∀・)君だけが最高のクスリになるようです ( ・∀・)「あ? 値を吊り上げろッて?」 ガリガリとけたたましく鳴る電話を受け、返したのはこんな言葉だ。 『ちょっと今月から頑張りたいんでよろしくちゃん』 がめつい日系人はこれだから嫌いだ。 下手下手から、地味に無理を言いやがる。 ( ・∀・)「……で、商品の受け渡しは」 『4ブロック先のBで』 ( ・∀・)「あー、あー、いつもの?」 『それそれ』 この馬鹿は暗号好きで困る。 数分後、俺はくたびれたシャツにライダースを羽織り、微妙にガスった空の下を歩いていた。 途中、はげあがった親父のスタンドでホットドッグを買った。 ピクルスを大量にぶっかけたせいで道端に吐き出しちまった。 まあ、安モンだ。気にもしねぇ。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 23:26:20.88 ID:avYOaP9BO
- 「4ブロック先のB」の正体は、これまた汚いアパートだ。
向かいに小さな劇場があって、とにかくトイレが臭い。 どこかしら水が漏れてない部屋の方が珍しいぐらいで、まあ、基本的に客は目が死んでる連中だ。 こいつみたいに。 ( ・∀・)「ヘイ」 ('A`)「おう、調子はどうだ」 朝っぱらから酒瓶を振り振り答えるドクオは、まさにそれだ。 皮膚と歯茎が腐ってやがる。 ( ・∀・)「まあまあ。お前は」 ('A`)「ひ、ひ……俺は常にサイコーさ」 こんな連中ばっかりだ。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 23:38:10.01 ID:avYOaP9BO
- ぶっ倒れたオヤジをまたぎ、なんか知らんが睨んでくる男を避け、目的の部屋へ。
中ではコトに励む男女が一組。 いい加減部屋の管理ぐらいちゃんとしろよ……。 ( ・∀・)「はいはい、パーティーはお開き」 腹のたるんだ娼婦を軽く蹴りだして、窓から残った衣類を放り出す。 浮浪者のオッサンが上手いこと活用してくれることを祈り、俺は部屋をあさる。 ( ・∀・)「盗聴機……なーし」 そんなもんがあった試しもないけれど。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/19(金) 23:48:23.22 ID:avYOaP9BO
- ( ・∀・)「……」
ひとしきり部屋を探った後、隣の部屋とを隔てるうっすい壁を二度叩く。 まもなく、返答のノックが五回。 間違いなく、仲介人だ。 ( ・∀・)(さて、確認完了) 壁際のベッドを軽くずらし、床スレスレの位置にある穴へ「紙束」をねじこむ。 「紙束」の内容くらいは想像がつくだろ? ( ・∀・)(んで、きっかり5分後に隣へ、と) すると、隣人は既になく、残されたのは隠されたヌイグルミのみ。 中には夢が一杯詰まってる。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 00:05:09.10 ID:avYOaP9BO
- クマってのは不思議なもんで、普通の森にいる本物は危ないが、ヌイグルミだとやたら人気だ。
そりゃ小さな女の子を始めとして、性根の腐った人間にまで。 ( ・∀・)「はいはいどいてねー」 ('A`)「Zzzz....フゴッ……お、おー、今日は随分早いな。久々か?」 ( ・∀・)「馬鹿いえ。俺のがデカすぎて女が逃げちまったんだよ」 ('A`)「ひ、ひ、ひ」 ああ、くだらねぇ。 こいつ含め世界は一度焼けて消えろ。 ヌイグルミも、ヌイグルミの中身も、それを欲しがるキッズも。 神よ、とっとと人類にローリングサンダー作戦かけませんか?
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 00:14:34.88 ID:GFUGS/uvO
- 帰りにまたホットドッグを買って、コークをすすりながら帰宅。
自室で「夢」の外ッ面を剥ぎ、核心をポケット付きベルトに入れ、また外出。 仕入れのお次は小売り。 廃虚でふわふわの素をこっそり受け渡し、お駄賃もらうだけの簡単なお仕事。 ( ・∀・)「あッ、べ、ピグルズがッ、鼻に入ったッ」 本日三本目のホットドッグ。 俺はこのためだけに生きてるみてぇだな。 客はクズだし空は暗い。 したら俺みたいな清い人間は美味しく食べることしかできないわけよ。 ( ・∀・)「……25」 「20って話だったじゃないか!」 ( ・∀・)「大声出すな馬鹿。こっちにも事情があんだよ」 お互いの顔を見ないで済む窓口で売買。 「……わ、分かった、出すよ」 はい、また一名様どん底へバイバイ。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 00:26:37.89 ID:GFUGS/uvO
- コンコン
( ・∀・)「今日から25だけど……あ、100ね。了解」 1パケ20の時は100で5だから……4、か? ( ・∀・)「毎度」 おお、計算あってたみたいだ。 常連ってのは口応えもしなきゃ払い渋りもしない。 理由は色々だろうけど、一番困るのは「こんなことしてんのがバレること」なんじゃねぇの。 どうも服装をチラ見すると、別にリッチなわけじゃなさそうなんだよな。 あー、まあ、半端に立場気にしてんのかね。 「早く、早くッ……虫、虫来る、腕に……」 、ま、こういうギリな客よかマシだ。 ( ・∀・)「はいはい、次は切れる前にね」 こうしてダラダラ新聞読みながら明け方まで売って、最後に上へ電話したら手間賃を抜いて終わり。 売り上げは「夢の抜け殻」ことクマちゃんに詰めて、道すがらのポストへ。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 00:35:41.13 ID:GFUGS/uvO
- この街は必ず路面のどっかしらが濡れてて、夜中は怪しくテカテカしている。
街灯で光る道路には、何年も前から放置されている車や野良犬や時たま死体。 たまんねぇな、たまんねぇよ。 生ゴミと廃ガスの臭いしかしやがらねぇ。 ( ・∀・)「早く帰ろう」 途中玉突き場に寄ろうと思ったが、花瓶が割れたことを思い出して萎えて帰った。 んで、冷蔵庫からバドワイザー出してジュルジュルやったら窓の外には朝日が昇ってくるわけだ。 ちくしょう、たまんねぇな、たまんねぇよ。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 00:45:13.75 ID:GFUGS/uvO
- やぼったい瞼のまま、歩いて5分のデリに向かう。
陽のあるうちは部屋にいないってのがポリシーだ。 自宅の窓越しに浴びる太陽は人体に悪影響でしかないと、俺は信じてるからだ。 じゃなきゃ主婦がキッチンドランカーかつ殺人犯になるかっつうの。 ( ・∀・)「シナモンドーナツとコーヒー」 ( ´_ゝ`)「夜勤明けか」 ( ・∀・)「まあな」 家族で経営しているデリは、小さいし周辺が汚いが、まあまあイケテる。 サンドイッチのパンとローストビーフがパサパサしてないだけでもかなり評価は高い。 ( ´_ゝ`)「最近殺しがあったらしいな」 ( ・∀・)「ああ? 珍しいことかよ」 ( ´_ゝ`)「抗争で、だ」 コーヒーをズルズルやりながら、俺は鼻で笑う。 ( ・∀・)「だからさ。珍しいことかよ」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 00:52:21.93 ID:GFUGS/uvO
- ( ・∀-)「いつだってやってんじゃないの。日系対ヒスパニックが」
頭をかくと、フケが大量にドーナツにかかった。 そういや三日間シャワーを浴びていない。 ( ´_ゝ`)「どうもチャイニーズも参入してきたらしい」 ( ・∀・)「そうなんだ?」 やべぇ、日系と区別つかねぇから気付かなかった。 ( ´_ゝ`)「新勢力を抑えるので揉めてるとか」 とか、なんとか、かんとか。 俺にはそれほど関係ないことだと聴き流した。 流れ弾に当たらなきゃそれでいいわ。 あとホットドッグ食えたらいい。 ( ・∀・)「ドーナツもう一個」 あ、あとシナモンドーナツ。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 01:04:29.89 ID:GFUGS/uvO
- コーヒー休憩に訪れた警官達と入れ替わりに、俺は映画館に向かった。
館長がもうろくしてるババァで、年中スクリーンにはフランスの芸術映画が流れてる場所だ。 また、それがなんだ、すごく俺と相性がいい。 カビ臭いシートに脚を投げ出して、二時間も寝ると最高の目覚めになる。 ( ・∀・)「大人一枚」 トットット ,,,,,(っ・∀・)っワーイ ( ・∀・)=3 ドスン こうして非番の日は喋り、眠り、飲んで、花瓶を買う。 このサイクルは崩されたことがなかった。 ( ・∀・)「寝るぞー」 ζ(゚ー゚*ζ「あの、うるさいんですけど」 少々のイレギュラーはありつつも、だったが。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 01:12:04.70 ID:GFUGS/uvO
- ( ・∀・)「はあ」
ζ(゚ー゚*ζ「チッ」 スゲーぞコイツ。スゲーなコイツ。 一人でバケツサイズのポップコーン食ってやがる。 俺は女からさらにひとつ席を空けて、どっかと足を前の背もたれに投げ掛けた。 ( ・∀-)(とにかく寝るか) ζ(゚ー゚*ζ「マナーが悪い」 おい。おい。 俺はもう一つ席を離した。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 11:03:01.13 ID:GFUGS/uvO
- 紆余曲折を経て、俺はようやく安住の地を見つけた。
( ・∀・)「堅い……」 床の上だった。 ζ(゚ー゚*ζ「上映中。私語慎め」 ここもダメか……。 結局、ロビーに置いてある、ウレタンが半分露出しているソファに避難。 ババァがブツブツ言うのを我慢すれば、そこそこ寝られた。 ( *∀*)「まぶしい……」 全快にはほど遠かったけれど。
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 11:11:58.08 ID:GFUGS/uvO
- 昼過ぎの街には活気が溢れている。
この街以外は。 「命だけは」 「助けて」 「お金なら」 のそのそと映画館を出れば、そんな言葉が時々聴こえる。 バン。 発砲音とかも。 从 ゚∀从「よう。いつもの?」 ピザ屋のソバカス娘ですら気にしねぇ、日常的な生活音だ。 基本、この街じゃ襲われるような歩き方するのが馬鹿なんだ。 ( *∀*)「ん」 从 ゚∀从「はいよ。ペパロニとマッシュルーム抜き、オリーブたっぷり」 ( *∀*)「おう」 コインを投げて、クォーターのピザを受け取る。 まあ余談だけど、脂の香りで朝のドーナツが少し喉元まで昇ってきたりした。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 11:19:32.82 ID:GFUGS/uvO
- チーズに埋もれたオリーブを摘んで道端に飛ばして遊んでいると、ソバカス娘が言った。
从 ゚∀从「アンタさあ、どうすんの?」 ( ・∀・)「どうすんのって?」 从 ゚∀从「今この辺りのシマ凄いことになってんじゃん。シゴト、危ないんじゃねぇの」 またこの話題か。 ( ・∀・)「知らねぇよ、まずかったら別の仕事探すよ」 从 ゚∀从「就職斡旋所の場所知ってんの?」 ( ・∀・)「お前そりゃあゴロツキの中に取り入れば……」 从 -∀从「ハァ……。しっかりしろよなー」
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 11:27:40.95 ID:GFUGS/uvO
- ( ・∀・)「なんとかなるだろ」
从 ゚∀从「うちのピザ買うヤツが減ると困るんだよ」 ( ・∀・)「へぇへぇ」 生返事に、娘は「クズだな」と笑った。 うるせぇ、掃きだめでクズに上下があるか馬鹿。 真上に投げたオリーブを口で受け、銃声のする路地の前を通り過ぎる。 その後、顔馴染みの通り魔と挨拶を交わし、俺は図書館へと足を運んだ。 小さな建物だが、蔵書は多い。 で、眠たくなるほど文字も多いので、昼寝するにはなかなかいいわけだ。 ,,,,(っ・∀・)っワーイ ( ・∀・)=3 ドスン
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 11:35:35.23 ID:GFUGS/uvO
- ( ・∀・)(経済の基本とはマナジェメントで……)
つ/⌒/⌒/ ( ・∀・)(コキャクの求める……ものが……) つ/⌒/⌒/ ( -∀-)(何、ぐぁ……ugamdtpb:*υ;】) つ/⌒/⌒/ ( ∀ ) つ/⌒/⌒/ 迫り来る数字を千切っては投げる夢ってのはなかなかシュールなもんだ。 <ドサッ ( -∀・)そ つ/⌒/⌒/
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 11:48:10.71 ID:GFUGS/uvO
- ( ・∀・)「大丈夫か?」
頭の上で何冊も本を受け止めていた女に声をかける。 わざわざ声をかけたのは、ロングスカートから覗く強力な魅力を受けたためだった。 ζ(゚ー゚;ζ「ありが――」 ( ・∀・) なんだかなあ。 ζ(゚ー゚*ζ「隙間なく詰まってたみたいで、一冊引き抜いたら全部」 本を元の棚に押し込んで納得。 アームレスラーが両脇から押さえているようなタイトさだ。 ( ・∀・)「じゃ、俺はこれで」 この女といると永久に睡眠がとれない気がする。
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:37:27.85 ID:GFUGS/uvO
- どうも行動に制限のつく日だ。
この不安定さはサスのイカレた車より酷い。 欲求不満、睡眠不足、ホットドッグ欠乏だけは敵わない。 マスタードのない人生に意味などないんだよ。 と、旅立っていた幸せなマスタード&ピクルス畑から、俺は肩を掴まれ引き戻される。 ( ・∀・)「……なんだよ」 ζ(゚ー゚*ζ「本、戻してくれたのは嬉しいけど、読みたい本も元通り」 あ。 ( ・∀・)「と、いうことがあった」 ( ^ω^)「オチは」 ( ・∀・)「ねぇよ」 ( ^ω^)「あ、そ」
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:46:52.42 ID:GFUGS/uvO
- 夕暮れのダイナーでフレンチフライをつつきながら、俺は訊いた。
( ・∀・)「この辺、いま荒れてるんだって?」 つ―∈ ( ^ω^)「興味あるのか」 アジアンてのは口が堅い。 何故なら保守的で慎重派の民族だからだ。 なんてことを聞いたことがある。 だからヤツの目が鈍い光を放ったのも、そういうことだろう。 「余計なことに首をつっこむつもりか」ってな。 ( ・_・)モクモク つと ( -∀・)「いや、世間話」 つ―∈ ( ^ω^)「あ、そ」 まあさ、話題ぐらいは提供しなきゃだろ。 ポテトとコーヒー代ぐらいはあっち持ちなわけだし。
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:55:39.74 ID:GFUGS/uvO
- ( ^ω^)「中国でレアメタルが出土した、とかそういう背景を語っても分からんだろうな」
( ・∀・)「それが何の関係あんの」 ( ^ω^)「本国がノリに乗って来たら、遠征部隊にも資金が行くってわけだ」 ( ・∀・)「あー、まあ、なんとなく分かった」 ケチャップを二振りポテトの山に落とす。 ( ^ω^)「まあ一時の勢いだ。すぐに落ち着くだろう」 ドボッ ( ・∀・)「ん」 ケチャップが皿を覆い尽した。 ( ^ω^)「お前、それは何かの暗喩か?」 ( ・∀・)「へ?」 ( ・~・)モクモク つと
- 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 22:05:16.28 ID:GFUGS/uvO
- その後、付き合いで劇場に足を運んだ。
「4ブロック先のB」のすぐ近くの劇場だった。 ( ^ω^)「たまにはこういうのも良いだろう」 ( ・∀・)「いまは何演ってんの?」 ( ^ω^)「知らん」 あ、そ。 二人分のチケットを受け取り、思っていたよりも整然としたロビーを通る。 ( ・∀・)「へぇ」 正装じゃなくても入れるもんなんだな。 もっと気取ったもんかと思ってた。 「これはこれは、ようこそいらっしゃいました」 ( ^ω^)「おう」 「どうぞこちらへ」 ( ・∀・) つか、コイツがいるからか。 二階のボックス席からは舞台を含め全体が見渡せた。
- 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 22:13:52.89 ID:GFUGS/uvO
- 街に似合わない劇場には、揃いも揃って人相の悪いタキシード姿が詰め込まれていた。
( ^ω^)「まあ、こういう日もある」 今なら火炎瓶一本で街が色々な意味で綺麗になる気がする。 やがてブザーが鳴り、開幕となった。 話はまたよくあるような、ありふれた、それでいてひねりがなかったかと聞かれると まあ正直、内容が全くよくわからないぐらい頭の辺りで寝てた。 ( -∀-) ( ^ω^) ( ^ω^)「あっ、空飛ぶピザ」ボソッ ( -∀-) ( ^ω^)「ダメか」
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 22:29:15.46 ID:GFUGS/uvO
- 何時間か振りの熟睡を経て、平手打ちを喰らう。
( ^ω^)「起きろ。演目が『始まる』」 (#)∀*)「ん、あ?」 寝起きには何物もよく分からんのがこの世の常で、もちろん俺も困惑した。 ピザ型エイリアンを夢だと理解するまでに、時間が必要だったってのもある。 ( ^ω^)「さて、今夜は何が並ぶか」 ( ・∀・)「役者は帰ったんじゃねぇの」 ( ^ω^)「本番はこれからだ」 『お集まりの皆様。今宵の出会いに感謝致しましょう。私めはG』 _ ( ゚∀゚)『Gとお呼び下さいませ。司会を務めさせていただきます』 舞台に出てきたピンクスパンコールスーツが大袈裟に頭を下げた。 それに客席の、いくらか若い連中が拍手で応える。 _ ( ゚∀゚)『ありがとうございます。さて……発表致しましょう。一夜限り、夢の演題は、ずばり【狐狩り】』 ( ・∀・)「何言ってんのアイツ」 俺はショッキングピンクが嫌いだ。
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 22:57:54.86 ID:GFUGS/uvO
- ( ^ω^)「ふむ……。趣味じゃないな」
_ ( ゚∀゚)『猫は好奇心ゆえ我が身を滅ぼし、犬は飼い主の手を咬み宿を失う。して、狐は?』 テカテカとやかましく光るジャケットがさえずり、体を動かす。 目が痛い。とにかく痛い。 _ ( ゚∀゚)『狐は何故、毛皮を矧がれるか。その理由を問いましょう』 ちくしょう、なんだ盛り上がりやがって。 俺だけおいてけぼりか。 ピンクは母親を思い出すから嫌いだが、自分の理解できないジョークは余計に腹が立つ。 小馬鹿にしやがって。 ( ^ω^)「始まるぞ」 舞台奥がガタガタと鳴る。 壁が開いて、スクリーンが現れた。 _ ( ゚∀゚)『それでは、演者のご紹介を!』
- 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:14:52.07 ID:GFUGS/uvO
- 趣味の悪い仮面を付けた黒服達が紙を配り始めた。
スクリーンには、四人の男と一人の女の顔写真が映っている。 _ ( ゚∀゚)『猟師A! ドブネズミのジェイ! 実績、勝率0.341!』 ( ^ω^)「紙が来たら顔写真に丸付けておいて。一個」 ( ・∀・)「あ? なんで」 _ ( ゚∀゚)『猟師B! 鋼の肉体、ベン! 勝率――』 ( ^ω^)「なんでもいい。ただ……」 ヤツの細目が開かれ、気味悪く濁った瞳と対面する。 ( ゜ω ゚)「『一番上手く殺(ト)りそうなヤツ』選んでくれな」 ( ・∀・)「……ん」 ……コイツの目、近くだとこえぇんだよな。
- 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:35:14.47 ID:GFUGS/uvO
- ――スクリーンの中で狐が走り出した。
(;*゚∀゚)「ハッハッ……」 会場はデカイ倉庫に作られた迷路だ。 かなりデカイ棚が等間隔に並び、その間を板やら荷物やらが塞いでいる。 これはスタッフ総掛かりで三日もかけた仕掛けばかりで、荷物には各種トラップ入り。 即死系はナシとのことだった。 天井付近から吊されたカメラは十台、死角を補うように配置されている。 計算しつくされたそれらにより、観客は神の視点を得る。 とか眉毛が言ってた。 半分ぐらいは聞き逃した。 _ ( ゚∀゚)『さて、狐が勝ち残るにはトラップを利用するしかありませんッ! アーッ倒的不利ッ!』 さっきからこのテンションだ。 うるせぇー。
- 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:50:14.03 ID:GFUGS/uvO
- _
( ゚∀゚)『しッかぁーし、もちろん我々も鬼ではない! 事前に彼女にだけ、こっそり罠の位置を教えてあるのです!』 映像が切り替わり、女が資料を睨みつけるものになる。 _ ( ゚∀゚)『制限時間は10分、そう、10分! 罠の位置を覚えるには長いか短いか、それは彼女が知っています!』 女が血走らせた目に涙を浮かべている。 _ ( ゚∀゚)『そして、今ッ! 記憶力が! 狡猾さが! 試されます!』 ( ・∀・)「……」 ( ^ω^)「どうした」 ( ・∀・)「いや……」 アイツ、興奮しすぎで頭の血管切れそうだなって……。
- 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 23:58:02.60 ID:GFUGS/uvO
- 再び映像は迷路へ。
(;*゚ -゚) 粗い呼吸を抑えているのか、どこか苦しそうな表情の狐が小さく見える。 狐の隠れる棚の向こうには、腹の出たスキンヘッド。猟師D。 なんだっけ、ストーキング・サム? 仲間も殺して配当を奪う鬼畜だとか呼ばれてたな。 猟師Dが腫れぼったい目元を左右に振る。 手にした木材を小刻みに叩きながら。 ( ^ω^)「どう思う?」 ( ・∀・)「痩せろ」 ( ^ω^)「それは同感」
- 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:22:36.34 ID:9Zn2v2zLO
- やがて、迷路は騒がしく。
(;*゚ -゚)そ ガシャーン 猟師の一人が、陶器の像を引き倒して狐を発見した。 目付きのキテる猟師は、黒い革の鈍器を持っていた。 ( ・∀・)「ブラックジャックとか。アレスゲー痛ぇじゃん」 ( ^ω^)「拷問好きなんだろ」 「見つけたぞクソアマ。さぁぁあて。まずはその顔を三倍に腫らそうな」 カメラの距離が少し遠かったが、なんとなく笑っていることだけは分かった。 サディスティックなカスは、大体、圧倒的に弱い人間を屈伏させるのが好きだ。 俺の客にも多い。 (;*゚∀゚)「やめ、て……それ以上近付かないで……」 「良い声で泣けよ、小鳥ちゃ――」
- 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:25:56.21 ID:9Zn2v2zLO
- カスが床を踏むと、カチン、と軽い音が響いた。
そして、瞬く間に包装された荷物の中から、細い物が突き出る。 直後、劇場のお客は騒然。 そりゃ、どうみてもただのスキー板が 「あ、あ? あ? あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ!?」 男の腕を切り落としたら驚くわなぁ。 _ ( ゚∀゚)『【よく手入れされたスキー板】ッ! エッヂがキいてます!』 喚きながら地面に赤のラインを描く猟師。 狐はというと。 (;*゚∀゚)「あ、あ、あ……」 (*;∀;)「アハハハハ! 馬ッ鹿じゃねぇの! 忠告してやってんのによ!」 すごく醜く笑い始めた。
- 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:42:38.43 ID:9Zn2v2zLO
- (*;∀;)「やべ、やべ、腹痛い……ヒィ……」
観客の一部が激怒して紙切れを投げた。 宙に舞ったちっこい厚紙?は、腕を無くした猟師を「信頼」した分の金額が書かれているようだった。 _ ( ゚∀゚)『お客様方、まだまだ席をお立ちになるのは早いですよ。名勝負は大抵、負傷した演者の生み出すものですから!』 ピンクが紙吹雪を見ながらなだめるように言う。 慣れてんな。 (*;∀;)「ヒィ――――死ぬ死ぬ……。なぁ、面白いだろ? なぁッ」ガスッ 倒れた猟師へのサッカーボールキック。 「ぐッ、えぇッ!!」 _ ( ゚∀゚)『……前言のクーリングオフはまだできますでしょうか?』 (*゚∀゚)「なぁに人の脚を見て、んの、さッ!」ガッ おお、どうも猟師の歯が飛んだらしいぞ。
- 128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 00:53:38.17 ID:9Zn2v2zLO
- _
( ゚∀゚)『おっと、騒ぎの場所を特定したのは鋼の肉体! 自慢のナックルサックは今宵も唸るか!』 「自分から居場所を教えてくれるとはね」 ムチムチのトレーニーウェアで猟師が言った。 画の粗い映像だからかもしれないが、一言ごとに胸板がピクピク動いてるように見えた。 (*っ∀;)「あーっ、おっかし。男って馬鹿だよね。ふともも見せればコロリ、だし」 狐は相変わらず笑い続けた。 まあ、次の瞬間絶句してたけど。 「そうか、じゃあ見ないようにしよう」 人間が車のタイヤをぶん投げながら襲ってくるなんて事態、慣れてるヤツはいないだろうしな。
- 148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 10:09:58.15 ID:9Zn2v2zLO
- タイヤってフリスビーみたいなもんじゃねぇだろ。
女が受け取れるわけねぇじゃん。 撥ね飛ばされた狐は別のトラップを起動する。 つか、してしまった。 自分自身に危険な香りを振り撒いたわけだ。 _ ( ゚∀゚)『【古くなった香水】がこぼれた! これはこれは実に目にしみることでしょう!』 立ち込める霧の中で、狐は激しく咳き込み始めた。 _ ( ゚∀゚)『マスタードガス! ……とまではいきませんが、なかなか強力ですよ。くくッ』 「ゲッホ――! ガハッ! 目がッ……!」 「仕上げだ」 猟師が懐のナックルサックを拳にはめて、十字を切る。 小慣れたやり方が、なんだか皮肉っぽかった。 「苦しまない方法が取れたらよかったが」 と、言いつつニヤニヤ。 やだねぇ、こういう男は。 _ ( ゚∀゚)『さァッ! 怒張した鋼鉄【パンピング・スティール】が狩りを終わらせてしまうのかッ!?』
- 149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 10:18:30.27 ID:9Zn2v2zLO
- ( ^ω^)「クスリやってんな。アイツ」
鋼鉄ファン達がにわかに色めき立つ中、隣で囁かれる。 ( ・∀・)「クスリ」 ( ^ω^)「ボディビル崩れをドーピングでどうこうしたんだろ」 二言三言交わす間に、スクリーンの向こうでマッチョな猟師が霧の中に突進。 _ ( ゚∀゚)『特攻し、そしてェ! そしてェ!?』 ( ・∀・)「あー……まずいな」 ( ^ω^)「まあ、あれだけ身動きが取れなきゃな」 ( ・∀・)「んー、つかさ。脳みそまで筋肉になると目も悪くなんのか?」 ( ^ω^)「は?」 バチッ
- 151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 10:37:37.15 ID:9Zn2v2zLO
- バチッバチバチバチッ
「あがっ、が、ばばばばば!?」 ( ^ω^)「……お?」 【古くなった香水】が晴れ、油の切れたロボットによる出来損ないのダンスが見える。 サタデーナイトのクラブじゃブスも寄ってこないほど酷いデキだ。 ( ・∀・)「足元に電線張ってあっただろ。ビニールの剥げたヤツ」 ( ^ω^)「へぇ」 _ ( ゚∀゚)『なんと幸運な! 【ネズミのかじった電気ケーブル】! 漏電が鋼にはよく通りますね!』 落胆の色を隠せない一部の観客達が、頭を振った。 この猟師に期待していなかった連中は、鋼の肉体が床に倒れてケイレンするのを見て爆笑。 ピンクも苦笑いしながら、スクリーンを眺めた。 _ ( ゚∀゚)『さぁ、残るは猟師が二人! 難を逃れた狐はどこに?』
- 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 10:50:09.32 ID:9Zn2v2zLO
- 化粧がボロボロに崩れた狐は倉庫の中央に走っていた。
(; -゚)ゲッホ ゴフッ ヨッタヨタに走ってんけど大丈夫か。 フッ 一瞬迷路の照明が消え、ペカペカの電飾へと変わる。 赤と緑がメインのそれは、まるで……。 ( ・∀・)「勘弁しろよ。俺、あのイベントだきゃ苦手なんだ」 つまりあれだろ、年末に世界を周る怪人の―― 『ホーホーホー!』 やっぱりかよ。 _ ( ゚∀゚)『おーッと、なんとここで闖入者が!? 誰だァッ!?』 ライトアップ。 出てきたのは、真っ赤な衣服に白髭の肥えたジジイ+チェーンソウ。 凶器が超ギュンギュン鳴ってる。 赤いのは返り血だとか言ったらキレるよ、俺は。
- 160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 13:25:30.67 ID:9Zn2v2zLO
- _
( ゚∀゚)『まさか、まさか、サンタクロースが荷物を確認にーッ!?』 ( ^ω^)「不良品だらけだし当然だな」 ( ・∀・)「……クッ」 つっこみ込みで70点ってとこか。 白髭爺さんは手近な袋を覗くと、大袈裟に肩をすくめた。 お気に召さなかったらしい。 _ ( ゚∀゚)『さあ、彼はどうするのか?』 やれやれと言った具合に、白髭がチェーンソウを振り上げ (;; - )「!」 チュギュン ギュガガガガ 巨大な棚の脚を切断し始めた。 _ ( ゚∀゚)『この粗雑な管理体制には見切りをつけた、と。いやはや、子どもの夢を守るためには非情になれるようです……』 乱雑に脚が切り裂かれていく。
- 161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 13:35:25.56 ID:9Zn2v2zLO
- そして、ついに棚がひとつ倒壊する。
(;; -゚)「ぐううぅ」 雨霰と降り注ぐ電灯、彫刻、家電etc.etc.. 巨大なドミノのように、倒壊はもっさりと連鎖していく。 狐は目に見えて焦り出した。 が、どうも視界が利いてない。 足元の小さな荷物につまづきぶつかり、危なっかしい歩き方だ。 「ヒィィィ! 助けぇ―――」 それはともかく、別のカメラでは倒れた誰かが、ぷぢゅっと逝った。 ( ^ω^)「oh...」 南無三、猟師BだかC。 君らのことは多分明日の朝には忘れてるだろうけど、忘れるまで忘れない。
- 165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 13:52:50.35 ID:9Zn2v2zLO
- しばらく映像が埃だらけになり、劇場は悲鳴と雑音で満たされた。
ひたすらに、もうもうと、もうもうと、もう……Zzzzz ( ^ω^) (#)∀・) と彡 パーン☆ _ ( ゚∀゚)『おやおや? 倒れた棚が壁を突き抜けてしまったようですよ?』 カメラが切り替わると、倉庫の壁にはほんの2、3mの穴が空いていた。 なーる、つまりアレだ。 (#)∀・)「狐ちゃんがあそこから逃げられたら勝ち?」 ( ^ω^)「猟師と、その『雇主』の負け」 (#)∀・)「負けを念頭に置くのはペシミストの表現だよな」
- 168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 14:01:52.48 ID:9Zn2v2zLO
- さすが狐と呼ばれるだけはある。
女はまだ粉塵の中で生きていた。 (;; -゚)フゥッ…フゥッ… まあ、無傷とは言わねぇけど。 いつの間にか白髭爺さんは、完璧カオスになった倉庫から姿を消していた。 _ ( ゚∀゚)『果たして彼女は生きて帰れるのか? 狐狩り最終局面と相成りました!』 「どこだアマァ! 出てこい!」 猟師Aが雄叫びをあげ、拾ったらしいパイプをぶん回している。 狐から、ほんの20mも離れていない。 煙が晴れたら一瞬で詰められる距離だ。 狐もそれには気が付いたのだろう。 ( ・∀・)「ま、隠れるよな」 砕けた像の影に入り込み、狐は息を潜めた。 劇場の観客が息を呑む。
- 169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 14:06:41.26 ID:9Zn2v2zLO
- ジリジリと距離が詰まり
あと少しでパイプが届く と、いうところで 「お前はもういらない」 ストーキング・サムが突然現れ 味方の頭をテレビでかち割った。 というよりは、何度も叩き付け始めた。 「ひ、ひひ、ひ……ひひひ……」 何回も。
- 171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 14:12:04.02 ID:9Zn2v2zLO
- _
( ゚∀゚)『Wooo...これは酷い裏切り。誰が予想できたでしょうか』 「いいぞサム!」「それでこそ!」 「ふざけんなサイコ野郎が!」 ( ^ω^)「見ろよ、アイツおっ勃ってやがる」 ( ・∀・)「……なんだかなあ」 まあ、意見は色々あるだろうが俺としてはこんな感じ。 ( ・∀・)「お前らこんなん見て面白いの?」 コイツは ( ^ω^) とりあえず ( ゜ω ゚)ニィ なんだかんだ楽しいんだろうな。
- 172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 14:18:03.20 ID:9Zn2v2zLO
- ――さて、観劇は終了。
おひねりを投げたり、お土産を貰ったり、そんな時間だ。 ( ^ω^)「いやはや、さすがだよ。お前は」 ( ・∀・)「俺が選んだの、大穴だったらしいな」 バックされた金は、トランク一杯分になった。 場末の劇場で見るには、少々金額がデカイ。 ( ^ω^)「ほれ、持ってけ」 ライダースジャケットにねじこまれた札束三つ。 ( ・∀・)「えー、こんないらねぇよ」 の、うち二束と半分を突っ返す。 ( ^ω^)「無欲なヤツだよ、お前は」 ( ・∀・)「欲ならあるっつーの」 主に睡眠欲。
- 174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 14:25:35.91 ID:9Zn2v2zLO
- ( ^ω^)「煙草は?」
( ・∀・)「それは貰っとく」 コイツはやけに良い黒煙草を持ち歩くから、貰える時にガメておく。 ( -∀-)y=・~ あ゙ぁ゙、この堆肥臭はたまんねぇな。 ( ^ω^)「なんでアレを選んだ?」 ( ・∀・)y=・~「そりゃあ」 (;・∀-)y=・~「……あ、目イタッ! 煙しみる!」 ( ^ω^) (#)∀・) と彡
- 176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 14:34:33.72 ID:9Zn2v2zLO
- ( ・∀・)「一番殺(ト)りそうなヤツ選べっつったろ」
( ^ω^)「ああ」 ( ・∀・)「なんとなくだけど」 【(;; ∀゚)「キッ、キモチ悪ぃんだよクズが!」】 ( ・∀・)「普段しれっとしてるヤツが一番土壇場でヤりそうだな、と」 ( ^ω^) ( ^ω^)「まあ、うん。そうだな」 後で聞いた話、狐は「殺人娼婦」だったらしい。 どこぞの幹部を殺ろうとして捕まった、とか、まあそういうアレだってさ。
- 177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 14:42:22.17 ID:9Zn2v2zLO
- 何故女がそうなったかなんてのは知らないし理解もできない。
で、なんとか逃げ切った狐がどこに行ったかなんてのも知らない。 ,,,,( ・∀・)y=・~ とりあえず、俺が言えることは ,,,,( ・∀・)y=・~ きたねぇ街だなぁってことか。 真夜中には花屋も開いていないということを思い出し、花瓶が手に入らないことでうんざりした。 道を切り替えて、デリでサンドイッチを買う。 (´<_` )「ローストビーフ、チーズ、トマト、あとオリーブ多め」 ( ・∀・)「ありがとよ。家族は元気か」 (´<_` )「姉貴から手紙が届いたよ。向こうでもよくやってるらしい」 大体、夜中には弟が店に立つ。 兄に似ず、善良な一般人に収まっていて、俺は結構コイツが好きだった。
- 178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 14:52:36.91 ID:9Zn2v2zLO
- (´<_` )「妹もできればあっちに住まわせてやりたいんだが」
( ・∀・)「だな」 オリーブを投げ投げ、相槌を打つ。 (´<_` )「ん、いらっしゃい」 「水、ちょうだい」 (´<_` )「……アンタ大丈夫か?」 「いいから、水」 ( ・∀・)(オリーブだけ売ってくんねぇかな) つと (´<_` )「まあいいけど……。そっちの椅子に座ってな。持ってってやる」 (;*゚∀゚)「悪いね」
- 181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 15:00:40.75 ID:9Zn2v2zLO
- ( ・∀・)
つ―・ ←オリーブ ( ・∀・) つ ∥ポトッ ―・ ←落ちたオリーブ やだもうこの街。 (;*゚∀゚)「はい、代金」 (´<_` )「何か食うか?」 紙幣を受け取りながら、店員(弟)がレジに向かう。 (;*゚∀゚)「チョコバーある?」 (´<_` )「そこに」 (;*゚∀゚)「いただくわ」 シーン ( ・∀・)
- 184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 15:07:57.03 ID:9Zn2v2zLO
- やけに時計がうるさいのは気のせいか。
気のせいだろうな、絶対気のせいだ。 (;*゚∀゚)「ケホッ」 俺がいるからここに来たわけじゃないよな。 違うよな、うん、絶対違う。 (´<_` )「……おい、トマトが落ちたぞ」 ( ・∀・)「あ、いる?」 (´<_` )「掃除しとけよ」 (;*゚ -゚)コク...コク... (;*゚∀゚)プハ あれ、静かな空気が耳にキンキン来るんだけど、どうしてかな?
- 185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 15:12:28.44 ID:9Zn2v2zLO
- ゆっくり午前三時ぐらいまで居座る計画が完全に崩れた。
なんか良からぬことになりそうな気がする。 今日に限ってかなり勘がアテになる、ような気がする。 さあ、今晩は帰ろう、すぐ帰ろう。 ( ・∀・)「サンドイッチごっそさん」 (´<_` )「随分早いな」 余計なこと言うな。 ( ・∀・)「ちょっと寝ようかと思ってな」 (´<_` )「そうか」 すぐに引っ込むなら訊いてくるなよ! ( ・∀・)「じゃ」 (;*゚∀゚)ケホッ ( ・∀・)「……」
- 187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 15:14:45.46 ID:9Zn2v2zLO
- ( ・∀・)
(*゚∀゚) で、どうして俺の部屋にこの女はいるんだ? (*゚∀゚)「一晩だけ」 ( ・∀・)「無理」
- 188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 15:20:11.04 ID:9Zn2v2zLO
- ( ・∀・)「待て。まず、いつ入ってきた」
(*゚∀゚)「鍵が開いてたから、シャワー浴びてる間に」 ( ・∀・) いやっ、開いてねぇよ。 シャワーなんか四日浴びてねぇよ。 なんでお前振り返ったらいるんだよ。 ( ・∀・)「なんでお前振り返ったらいるんだよ」 (*゚∀゚)「一晩。部屋代に、ほら」 胸元、ふとももをアピールする女。 えー、ちょっと……。 ( ・∀・)「えー、ちょっと……」 質問に答える気は?
- 189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 15:28:17.58 ID:9Zn2v2zLO
- 本当に良いの? と訊く女から距離を空けて、ソファに身を投げる。
ベッドは譲ろう。 シーツも三週間は替えてないしな。 ( ・∀・)(やべぇ、寝られない。寝たら一生目が覚めない予感がする) (*゚∀゚)「シャワー借りていい?」 と、言いながら目前で下着姿になる女。 真新しい打撲や切傷を隠しもしない。 ( ・∀・)(それどうしたのって訊いたらアウト、心配したらアウト……) ( ・∀・)「お湯がなかなか温まらないから気をつけて」 (*゚∀゚)「ありがとう。優しいんだね」 そして外されるブラ。 視界の端で白いボールがたぷたぷしてやがる。 ……見ない、断じて俺は見ないぞ。
- 192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 15:35:56.38 ID:9Zn2v2zLO
- この世で政治家の潔白さと女の白い肌は、同じぐらい信用ならない。
ちょっとぐらい日焼けしてる方が信頼できる。 ピザ屋のソバカス娘の方が、口は悪いがかなりマシだ。 口が悪いっつっても俺のコック咬み千切ったりはしないだろ? (∩・∀・))(聞こえない、シャワーの水音なんてノンノン。サイレントナイト、ホーリーナイト) サンタクロース、安眠できる場所をください。 ジュニアハイスクールで全否定したことは謝ります。 これから毎年赤鼻のトナカイの首を捧げます。 だから頼むから! (*゚∀゚)「サッパリしたよ。ありがとね」 このぷりぷり肌を部屋から消して!
- 194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 15:43:01.41 ID:9Zn2v2zLO
- ガタッ
ガタガタガタガタッ 始発列車が通った。 窓辺から落ちる花瓶はない。 ( *∀*)「朝だ……」 外に出よう。 映画館か図書館か公園に行って寝るんだ。 今日も非番だ。 誰にも文句は言わせない。 (*-∀-) (*∀* ) (*-∀-) ( *∀*) ,,,,,( *∀*) ホットドッグだ。 マスタードさえあればなんとか生きられる。
- 218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 21:30:28.78 ID:9Zn2v2zLO
- 今朝は肌寒かった。
あと一月もすれば一気に冬が来るだろう。 路面は凍り、強姦魔が鳴りを潜め、ヌイグルミに入った夢のハケが悪くなる。 キンキンに冷えたホームレス達が春先まで路地裏に転がり始めたりもする。 ホットドッグスタンドはまだ外に出てない。 親父め、まだ寝てやがるな。 ( *∀*)(マスタード……) 酸味だ、酸味が欲しい。 レモンみたく刺激的でなく、ただのビネガーよりもまろやかな酸味が。 ,,,,( *∀*) 黄色はどこだ。
- 220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 21:40:35.98 ID:9Zn2v2zLO
- すっかり脂ぎった髪をかいてフケを落とすと、そこはかとなく煙草のニオイがした。
そういえば懐にシガーがあったはずだ。 ( *∀*)「おはよう……火ィくれ」 すれ違ったオフィスワーカーにマッチを貰い、じぱーっとぞんざいに着火する。 片燃えのままだろうが構わずにモクモク、と。 そのまま歩き続け、空き缶集めに精を出す浮浪者としばし会話をする。 「ちぃと寒いな。今年もキツイ時期が来る」 ( *∀*)y=・~「死ぬなよ」 「おう。お前もな」 黄ばんだ歯をむき出して笑うじい様の口がくせぇ。 「お前もくせぇぞ」 俺もくせぇらしい。
- 222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 21:47:08.59 ID:9Zn2v2zLO
- 道路の向かいで犬がゴミをあさっている。
俺も腹が減ってきた……。 どこかで悲鳴がした。 俺も腹が悲鳴を上げている。 路地から踊り出る女と追剥。 ……これは、俺には関係がないな。 ζ(゚- ゚;ζ「ちょ、やめて、イヤッ!」 「バッグを渡せって」 ζ(゚- ゚#ζ「やめて……あ」 ( *∀*)「あ」 だから俺には関係ないんだってば……。
- 223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 21:53:26.30 ID:9Zn2v2zLO
- 偶然追剥が知り合いだったので、シガー一本で手を打ってもらった。
女はお礼をするとうるさかったので、それに従うことにした。 らしい。 ζ(゚ー゚*ζつ<*∀* )Zzzz... こんな感じで運ばれた後に聞かされたので、自分がなんと受け答えしたか覚えてない。 頭は既にグラグラだったんだから仕方ない話だ。 ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう。朝ごはん、ごちそうするから」 ( *∀*)「g*ja/opa-jg.....」 ζ(゚ー゚;ζ「ごめんなさい、早くて聞き取れないんだけど……」
- 226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 22:06:11.16 ID:9Zn2v2zLO
- なにかしらのスープを膝に溢した時点で、俺はようやく意識を回復させた。
(;;・∀・)「ホアッ!?」 ζ(゚ー゚*ζ「あ、よかった。起きた」 (;;・∀・)「水、水、水」 ζ(゚ー゚;ζ「ワラワラワラ?」 結局、テーブルの上に置いてあった水差しを自分でひっくり返した。 (;;・∀・)「やっべぇ、何、マジやっべぇ。なんで俺ここにいんの?」 ζ(゚ー゚*ζ「お礼。助けてもらった」 女はゆっくりと区切って喋った。 どことなく、妙な訛りがある。 (;;・∀・)「あそう……そうなんだ……」 ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう」
- 227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 22:14:27.04 ID:9Zn2v2zLO
- すッげぇ話は噛み合ってなかったけど、なんとなくマスタードのことと追剥のことは覚えていたので、適当に理解した。
(;;・∀・)「腿あっちー……、あ、つかこのスープうまっ、なにこれうまっ」 ζ(゚ー゚*ζ「ぐっど?」 (;;・∀・)「イケるイケる」 見たとこ、最近移民してきた中国人か。 テーブルの上にある食器もなんかそういうカラーリングだし。 ( ・∀・)「この料理アンタが作ったのか?」 ζ(゚ー゚*ζ「うん」 味覚の怪しい俺でも分かる。 これは美味い。 何がどう美味いかは、まあ、頼むから聞くな。 ζ(^ー^*ζ「えへ」
- 234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 22:50:54.53 ID:9Zn2v2zLO
- ( ・∀・)(あとはマスタードとピクルスがあれば……)
と、思っていると、部屋のドアが激しく音を立てて開けられた。 出てきたオッサンがこれまたチンチクリンで、何かをがなり立てる。 「~~~~~!!」 ζ(゚ー゚;ζ「~~~~! ~~~~、~~~~!」 ( ・∀・)「親父さん?」 ζ(゚ー゚;ζ「~~~……あー、うん、そう!」 すっげ唾飛ばしてくるけどなんなんだろう。 ( ・∀・)「なんか俺邪魔?」 ζ(゚ー゚;ζ「うーん……?」 うん、俺はバイリンガルになるのはやめよう。
- 237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 23:18:12.71 ID:9Zn2v2zLO
- ともあれ波が収まるまでフカフカの白いヤツをかじることにした。
( ・∀・)マフマフ つО 「~~~!」 _, ζ(゚- ゚;ζ「~~~~」 ( ・∀・)マフマフ つО 「~~~(中略) ( ・∀・)「アレうまかったよ」 ζ(´ー`;ζ「そう……」 最終的には追い出される形で公園へ。
- 287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 22:34:09.18 ID:4Gy0xLH50
- アパートの間に作られた公園はそこそこ狭い。
自然なんかこれっぽっちもなく、地面も完全アスファルトだ。 ベンチのペンキは剥げまくり、雨で錆まくり。 まあ、座れねぇわけでもない。。 フェンスで囲われたバスケットコートを眺めながら、俺はあくびをした。 ( ・∀・)(子供がいるなー。今日は日曜日だったっけ。つーか何日だっけ) ζ(´ー`;ζ ( ・∀・)(3日……4日? あ、なんか忘れてる気がする) ζ(´ー`;ζ「あ、あの」 ( ・∀・)(……あ。あ。あ。あ。部屋に置いてきたあの女大丈夫かな。ベッドの下に隠れてたりしないかな) ζ(´ー`;ζ「あのっ」 ( ・∀・)「んっ?」
- 290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 22:43:25.80 ID:4Gy0xLH50
- ζ(´ー`;ζ「どうして訊かないの?」
( ・∀・)「どうしてって? 何を」 ζ(´ー`;ζ「いや、アレとかコレとか」 発音はヘタだが、話のボカシ方だけは達者な女だ。 ( ・∀・)「あ、調理法? あんたら『秘伝』とかいうの好きなんだろ? ニンジャとかもそういう」 ζ(゚ー゚;ζ「私の出身はニンジャの国じゃないよ」 ( ・∀・)「ゲイシャの?」 ζ(゚ー゚;ζ「その隣。……じゃなくて」 聞き取りも結構イケてるじゃないか。
- 291 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 22:50:33.62 ID:4Gy0xLH50
- ζ(゚ー゚;ζ「関わり持って尋ねられなかったのは初めて」
( ・∀・)「だから何よ」 そりゃ親父さんには殴られたっつか唾かけられたし、スネ蹴られたけどよ。 別にそんなん根に持ってたらこの街じゃストレス溜まって頭が―― ζ(゚ー゚;ζ「これだよ、これ」 ( ・∀・)「あ? それが?」 ζ(゚ー゚;ζ「脚、ないじゃない。私」 ( ・∀・) ζ(゚ー゚;ζ「ほら、義足」 ( ・∀・) ( ・∀・)「え? それが何?」 ζ(゚ー゚;ζ「えっ?」
- 294 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 22:58:34.93 ID:4Gy0xLH50
- ( ・∀・)「別に珍しいもんじゃねぇだろ、それ」
ζ(゚ー゚;ζ「そ、そうなの?」 やけに戸惑っている女越しに、公園の脇を通り過ぎる浮浪者を見つけた。 ( ・∀・)「おーい、爺さん」 「なんだァ。またあぶく銭でも分けてくれんのか」 ( ・∀・)「右手で握手してくれんなら分けてやるよ」 爺はガラガラと笑いながら、空き缶をカートに投げ入れる。 「馬鹿野郎。戦争に行く前に言えってんだ」 と、右肘から先がぴらぴらしてるコートを揺すった。
- 297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 23:11:08.61 ID:4Gy0xLH50
- ( ・∀・)「ジャングルでクソ塗られてトゲ刺さっちまってさ、結局切るしかなかったらしい」
ζ(゚ー゚;ζ「へ……へー」 ( ・∀・)「他には……あ、おーい、お前さァ! 確か、イカレた女にチンk」 ζ(゚ー゚;ζ「や、もういいよ。大丈夫分かったから」 心なしか顔色が悪くなったような気がするが、大丈夫だろうか。 正直、片足がないなんてことは図書館であった時から気付いてたさ。 でもま、それはそれで本人の自由だ。 自分で耳を切り落とすのが趣味なんてヤツもいるぐらいだ。 何があってもおかしくないのが世ってもんだろ? 体の部品があったりなかったり、それか、売り買いしたり。 そういうもんだって、俺は思ってる。
- 299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 23:25:11.55 ID:4Gy0xLH50
- 俺が「夢」を捌ける街だぜ?
余所は知らないけど、ここじゃそんな程度だ。 ( ・∀・)(とはいえ) 自分の部屋にいる殺人鬼を受け入れる理由にはならないよな。 ぼちぼち対処法を考えないと。 ζ(゚ー゚*ζ「これ、特別じゃないんだ?」 ( ・∀・)「あ、も、ぜーんぜん。フツー。バーガーキングのオニオンリングに唾がかかってるのと同じレベルにフツー」 あの女どうすっかなぁ。 ζ(゚ー゚*ζ「そっか」 ( ・∀・)「なによ」 とりあえず、明日は仕事だから部屋で電話受け取れないと困るんだけど。 ……晩飯時にちょっとだけ覗いてみるか。 ζ(^ー^*ζ「……えへ」
- 300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 23:37:40.08 ID:4Gy0xLH50
- 繁華街まで強制出張して、レストラン。
の、席で俺は小首を傾げて訊き返した。 ( ・∀・)「意味分からん」 ( ^ω^)「……いいか、もう一度言う。黒髪女からは離れておけ」 コイツはまた良く分からないことを。 半ば拉致っぽく車に乗せておいて、昼間っから何よ。 ( ^ω^)「さっき会ってた女だが、関わらない方がいい」 ( ・∀・)「オシゴトの意味で?」 ( ^ω^)「それも訊かない方がお前のため」 差し向けられたワインボトルを断ってから、炭酸水を注文する。 ( ^ω^)「分かったか?」
- 301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 23:47:44.99 ID:4Gy0xLH50
- ( ・∀・)「会うな、っつてもなあ」
ほんの一日や二日でこんなに何度も会うとか、俺が求めたことじゃねぇよ。 ( ^ω^) と、言って通じる相手でもねぇのよな。 テーブルにサーブされた何かの料理から、肉だけを選んで口に運ぶ。 ( ・~・)「まー、気を付けとくわ」 と ( ^ω^)「そうしておけ」 小さく頷いて、口元を袖で拭う。 やべ、シャツにソースがついちまった。 ( ・∀・)「シミ抜きもってねぇ?」 ( ^ω^)「ねぇよ」
- 303 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 23:53:31.18 ID:4Gy0xLH50
- と、答えるが早いか、子分の一人がサッと進み出た。
(‘_L’)「シミ抜きです」 ( ^ω^)「あんのかよ」 (‘_L’)「すみません」 ( ・∀・)「ありがとさん。で、どうやって使うのコレ」 説明を受けてもいまいち分からなかったので、結局上を全部脱いで渡した。 (‘_L’)「すぐに終わらせます」 炭酸水が、苦い。 シュガーフリーを選ばなければよかった。
- 305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 00:03:40.05 ID:zeG2Nazd0
- ( ^ω^)「相変わらず、いい体だな」
( ・∀・)「気持ち悪ぃ。男の体見て何がおもしれぇんだよ」 胸をがりがりかいて、垢を床に落とす。 腕を動かすと脇の下から酸っぱい香りがプンプンする。 クセになる香りだよな、これ。 ( ・∀・)「ここんとこ随分暇なんだな」 ( ^ω^)「下のモンがよくやってくれてるからな」 爪の間に詰まった垢を親指の爪に集めながら、首を鳴らす。 ( ・∀・)「いいことなんじゃねぇの。何事もないってのは」 ( ^ω^)「まあ、な」 ( ・∀・)「俺の理想だよ、家畜みてぇな生活。食って寝て」
- 306 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 00:23:36.01 ID:zeG2Nazd0
- ( ^ω^)「ほどよくお世話もされて、ぬくぬくお昼寝か?」
肩をすくめながら口の端を上げて肯定。 爛れた生活はのぞむところさ。 ホットドッグと睡眠時間が確保されてりゃ文句はいわねぇよ。 他のことは、むしろカットされちまった方がいい。 思考停止万々歳。 考えるのは苦手だ。 (‘_L’)「こちら、済みました」 ( ・∀・).「ん。ありがとよ」 (‘_L’)「恐れ入ります」
- 309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 00:46:48.21 ID:zeG2Nazd0
- シャツを受け取る時、視界の端で微妙な動きをするヤツがいた。
顔面脂汗だらけのウェイターだ。 アジアンのそいつは、トレーの下から「何か」を出そうとしているように見えた。 黒っぽく、鉄っぽく、そして凶器っぽい何か。 で、そこまで見えた後、深く考えるのが苦手な俺としては、とりあえずアレだ。 ( ・∀・)「おっと手が滑ったァ」 思いっきり蹴飛ばしておくことにした。 瞬間、発砲音がレストランに響く。 (;;・∀・)「うあっ!?」 ( ^ω^)つ( ∩∀∩)「……」 暴発した銃がライダースのど真ん中に穴を空けるかもしれないってことまでは、考えておいた方が良かったかもしれない。
- 311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 01:02:41.28 ID:zeG2Nazd0
- (‘_L’)「さすがです」
( ∩∀∩)「うん……何もなくてよかったね……」 ( ^ω^)「泣くなよ」 俺頑張り損なんだけど。 マジふざけんなよ。 こいつらスゲー平然としてんじゃねぇか。 っつか、俺が蹴り入れた瞬間に銃抜いてんじゃねぇよ。 ( ^ω^)「また出やがった。おい、雇用担当呼べ」 (‘_L’)「了解しました」 いつの間にか縛られてるウェイターをさらに蹴る。 たまにはそういう気分の日もある。 ( ・∀・)(あ、ラッキー。コイツ財布持ってる) 15ほど頂いて、残りはテーブルへ。
- 313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 01:12:06.36 ID:zeG2Nazd0
- ( ^ω^)「三流寄越しやがって」
車の中でコイツは不機嫌だった。 簀巻きにしたウェイターがトランクで暴れると余計に。 ( ^ω^)「山奥の猿で頭数揃えたところで話にならねぇのも分からんのか」 ( ・∀・)「なあ、コイツどうすんの?」 昼間の道路を、ガタガタうるさい荷物積んで走るのってどうよ。 如何にやる気のない警官連中もさすがに注目しちゃうだろ。 ( ^ω^)「そうだな。『劇場』関係者にでも流すか」 うへぇ。
- 316 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 01:22:53.34 ID:zeG2Nazd0
- 埠頭の倉庫に到着すると、ピンクじゃないGが帳簿を片手に現れた。
目が痛くないのは良いことだ。 _ ( ゚∀゚)「『猿』一頭の納品を承りました」 別れ際に鼻糞を耳の中に落としてやると、ウェイターは嬉しそうにじたばたした。 あんまりにも嬉しそうだったので、もう片方には砂をまぶした。 ( ・∀・)ニヤニヤ _ ( ゚∀゚)「おや、あなた様は前回の?」 Gが俺に頭を下げる。 ( ・∀・)「あんた客の顔いちいち覚えてんのか?」 それはもう、とG。 _ ( ゚∀゚)「特にあれほどの高配当をお受けになった『観客』ともなりますれば」
- 317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 01:29:24.33 ID:zeG2Nazd0
- _
( ゚∀゚)「わたくしどもの理念としましては、お客様の満足を第一に考えておりまして――」 なんか語り出したぞ、ピンクが。 よくまあ舌の回る。 _ ( ゚∀゚)「――と、右からくれば左へ、左からくれば右。このように万物の流れを仲介することにも――」 ( ^ω^)「また『猿』が捕まったら投げ込みに来るか」 (‘_L’)「左様で」 _ ( ゚∀゚)「――そうしてお客様がお喜びになれば恐悦至極、と、こういうわけでございます!!」 ( ・∀・)(腹減ってきた) 車に乗り込む前に、ふと思いついてGに話しかけた。
- 318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/23(火) 01:35:37.95 ID:zeG2Nazd0
- ( ・∀・)「『動物』は『劇』が終わったらどうなるんだ?」
_ ( ゚∀゚)「は。と、おっしゃいますと」 ( ・∀・)「例えばさっきの奴が、まあ、なんだ、生き残ったとするじゃねぇか」 なるほど、といった顔でGは答えた。 _ ( ゚∀゚)「もちろんいくらかの報酬と、閉幕後の自由時間をお約束しておりますよ。あくまでも演者ですので」 ( ・∀・)「いやぁ、さすがに御礼参りとかされるだろ?」 _ ( ゚∀゚)「いえいえ、迷子タグを付けますのでそんな心配もございません」 迷子タグ? ( ^ω^)「おい、行くぞ」 _ ( ゚∀゚)「おや、長々と失礼いたしました。また夢の席でお会い致しましょう、旦那様方」 ( ・∀・)「迷子タグねえ」
- 414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:32:44.37 ID:8Vg63WaS0
- 夜ってのはいいもんだ。
汚いモンを見なくて済むことが多い。 一人歩きも、まあ、気持ちが良いかもしれない。 そして、闇に隠れてこそこそする連中にさえ目をつむれば…… いや、つむったら襲われて終わるから目は開いてないとまずいか。 ( ・∀・)「ちょっと待って、そのテンションはおかしい」 アジア系の男が腰だめにナイフを持って突進してきたりするからな。 「~~~~!!」 ( ・∀・)「それおかしいじゃねぇか、何よ、何かしたってか」 手首を掴んでフォークダンスのようにぐるりと回し、足をかける。 ころり、転がし膝を鳩尾へと落とせば、はい完成、と。
- 416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:41:01.10 ID:8Vg63WaS0
- 「ガッ、ゲフッ!」
手首を掴んだままで俺の片膝は鳩尾キープ。 暴れても動けないんだよなァ、これ。 ( ・∀・)「ナイフもらっとくけど、思い出の品か何か?」 「~~~……f、ファック!!」 言うに事欠いてそれっすか。 その言葉が出るまでにどれだけ時間かかってんの。 ( ・∀・)「……ん」 え、っつか。 やべぇ。 なんか俺、微妙に囲まれてる?
- 417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:47:02.78 ID:8Vg63WaS0
- 前方に二人、後ろには一人。
囲まれてるっつったら大げさだけど、安全な状態かっつったらそうでもない。 ( ・∀・)「いや、いやいや」 スーパーマンでもバットマンでもないし、ジャスティスリーグとかにゃ間違っても入れない存在なわけ。 俺ってのは一般人。 だからさすがに銃弾なんか避けられない。 自慢になるけど根性もないんで一発貰ったら泣いて謝る自信がある。 しかも相手は三人ときてる。 銃弾が最低三発は来るわけだ。 (;・∀・)ジワッ 絶対痛い。 弾丸とか絶対痛い、正直怖い。 銃怖くないヤツいんのか。 (;・∀・)「あー、言葉通じるヤツは?」
- 418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:52:29.21 ID:8Vg63WaS0
- 二秒後、質問を間違えたと思った。
言葉通じてても答える意味がない上に、言葉通じてなかったら返事を期待できるわけがねぇ。 銃声がしてもなぁ、ここらじゃ見向きもされねぇしよお。 (;・∀・) (;・∀・)「KONNICHIWA」 「シネ」 クソ、言語間違えた。 これやべぇな、と通算8回くらい考えた末、コスい手を使うことになりました。 (;・∀・)「こいつ、ひ、人質だぞー」 ジェスチャー混じりに「俺はやるぞー本気だぞー」アピール開始。
- 419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 00:58:49.68 ID:8Vg63WaS0
- 男達がにわかに動揺したのを確認してホッとする俺ってどうなんだろうな。
相手が捨て身じゃないとか、キチガイじゃないってかなり重要だと思うけど。 足元の男にナイフを当てて立たせると、存外素直に従った。 ありがてぇ、コミュニケーションは言葉だけじゃないなマジで。 (;・∀・)「そこどいてくんねーかな」 銃口下ろせ、まずそれをこっち向けんな。 (;・∀・)「なんか知らないけどどうにかなろうか」 あー、もうふざけんな。 俺ナイフとか刃物好きじゃねぇんだよ。 持ってるとプルプルしちゃうんだって。 不器用な異文化コミュニケーションをすること1分ばかり。 ようやく三人が包囲を解いてくれた。
- 422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:07:07.81 ID:8Vg63WaS0
- さて、どの道から逃げるか。
ルートはいくつもあるけど、比較的安全なのは二つ。 飲食店の裏を巡る道か、近くのアパートに入ってベランダ伝いの道。 まあ経験上、後者がお気に入りなんでそっちへ。 理由1、映画っぽい。理由2、飯屋の裏はごみが臭い。 ( ・∀・)(3,2……1と) 人質の背中を蹴ってきったねぇアパートの扉をくぐる。 と、同時にやっぱり飛んでくる銃声。 (;;・∀・)(ハナッから撃ってこなくてよかったあああ) 階段を駆けあがり、壁紙剥げまくりの踊り場で、 コケる。
- 425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:12:16.73 ID:8Vg63WaS0
- 確実にスネが階段の角で削れた。
地味に痛い、すごく地味に痛い泣ける。 でも立ち止まれない男の子強い、俺今スーパーマン。 鋼鉄のスネを持つ男の子痛いこれ痛いやべぇ痛い!! ( ;∀;)「―――――」 走らないといけないから走るけど! 休めるなら休みたいな! 目が醒めるよチクショウ! 追いかけてくるチアリーダーも冴えねぇオッサンどもだし、勘弁しろよ!! ドアのカギがぶっ壊れてる空き部屋に飛び込み、割れっぱなしの窓から外へ。 街灯が地面の水たまりをギラギラとさせているのが見えた。
- 427 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:22:23.93 ID:8Vg63WaS0
- 謎の煙がもうもうと立つ路地の方へ周り、非常階段を昇る。
右脚がジクジクとするので、決して速度は出せていない。 「~~~!!」 外にいた一人が俺と視線をカチ合わせて叫んだ。 さっきの人質だ。 (#;∀;)「クソ、クソ、お前らのせいだ」 屋上まで出ると、隣の建物に飛び移ることができた。 このクソ寒い中、風をモロに浴びるところにはあまりいたくないもんだ。 「~~~~!!」 (#;∀;)「あ゛っ!?」 振り返れば、遠くにオッサンが二人いるではないか。 手にはもちろんオハジキ。 もうね。 身を伏せてゴロゴロしたよ、俺。 遮蔽物ないんだもん。
- 428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:24:39.99 ID:8Vg63WaS0
-
たった一つ考えてたのはこれだけ。 〃∩ _, ,_ /) 〃∩ _, ,_ /) 〃∩ _, ,_ /)゛ ⊂⌒( `Д´)ミ( ⌒ヽつ⊂⌒( `Д´)ミ( ⌒ヽつ⊂⌒( `Д´)ミ( ⌒ヽつ `ヽ._つ⊂ノ⊂( ,∀、)つ.`ヽ._つ⊂ノ⊂( ,∀、)つ.`ヽ._つ⊂ノ⊂( ,∀、)つ 洗濯物ってこんな気分なのかな、と。
- 431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:37:09.73 ID:8Vg63WaS0
- ようやっと逃げ切った頃には息が完全に上がっていた。
ちょうどまともなトレーニングを開始したロッキーみたいにだ。 ミッキーが付いてたら頑張ったかもしれないが、ここんところの俺には不運しかない。 ジーンズをめくったら案の定スネは血まみれ。 どっかでぶつけた時にシャツも裂けたらしい。 自室に着く頃には、すっかり体が冷え切っていた。 久しぶりにシャワーが浴びてぇ。 ( ・∀・)つ|| ガチャ (*゚∀゚)「おかえりぃ。マフィンあるけど」 ( ・∀・) バタン ∧∧ /⌒ヽ) ……。 i三 ∪ |三 | (/~∪ 三三 三三
- 434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:46:42.38 ID:8Vg63WaS0
- ( ・∀・)そ
あれ、何で俺「失礼しちゃってごめんなさい」って感じなのかな。 ガチャ (*゚∀゚)「急にドア閉めてどったの?」 ( ・∀・)「一晩だけって?」 女は唇に指を当てて考えるそぶりを見せた。 それも、とびきりチャーミングっぽく。 (*゚∀゚)「居心地いいのよ、ここ。もう少しいていいかな?」 ウィンク付き。 そして、ついでに言えば下着姿。 ( ・∀・)「……あー」 「あー、って言うのは脳味噌が足りてない証拠だぜ」と誰かに言われたことを思い出しながら、言葉を捻り出した。 ( ・∀・)「花瓶、買ってきてくれるなら」 花瓶だってよ。 笑える。
- 436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:54:27.08 ID:8Vg63WaS0
- シャワー室は冷気を閉じ込めて俺を殺しにかかった。
が、それよりもシャワーヘッドから噴き出した熱湯の方が威力は高かった。 大事な時に限って水しか出ないのに頑張るなよ。 スネが痛ぇんだよ。 「あ、さっき使ったばっかりだからお湯出るよ」 (#・∀・)「知ってる」 真っ赤になった腕がジンジンとした。 多分明日は左腕がひきつってるんだろうな。 「ビール貰ってもいいかな」 (#・∀・)「好きなだけ」 今度は水だぜ、水。 タマが不必要にきゅっとなっちまうっつの。 「それとさ、いい?」 (#・∀・)「あん?」
- 439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 01:58:25.32 ID:8Vg63WaS0
- 冷水と熱湯が波のように入れ替わって出てくる。
手がかじかんで石鹸が上手く掴めない。 「このシャツなんだけどさ」 (#・∀・)(ささささ、寒い、いやアツッ! だからシャワーはイヤなんだよ!)つるっ 滑って落ちた石鹸を追いかけて屈むと、排水溝の臭いが昇ってきた。 くっせぇ。 「きいてる?」 (#・∀・)「シャツが破れてるんだろ、知ってるよ」つるっ 「そうじゃなくて」 「真っ赤だけど、何人殺してきたの、これ」
- 440 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:00:33.01 ID:8Vg63WaS0
- ……お。
おおお。 ( ・∀・) え、っと。 「二人ぐらい?」 ( ・∀・) えっと? 「あんまり外歩く格好じゃなかったよね」 ( ・∀・) ええっと……。
- 444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:08:59.39 ID:8Vg63WaS0
- シャワーの下から、裸電球の下へ。
女の元へ寄ると、女はシャツを掲げた。 ( ・∀・)「ウソだろ?」 電球に照らされたシャツは、黒っぽい赤に染まっている。 胸から腹にかけて、ベタベタとした血で。 (*゚∀゚)「ちょっとちょっと、本気で言ってんの? これで?」 なんてこったい。 (;・∀・)「いつやったか覚えてねぇー……」 だから刃物は嫌いなんだ。
- 447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:17:56.48 ID:8Vg63WaS0
- ぜんっぜん思いだせねぇ。
すぐにポイするつもりだったのに「人質だぞー」やってたせいだ。 (;・∀・)「あー。あっ、ジーンズも汚れてる!」 一本しか持ってないのに血付いちゃってる! (*゚∀゚)「アンタ夢遊病かなんか?」 呆れたように女が言う。 ムユウビョウってなんだ。 (;・∀・)「洗っとかないとまずいよなー」 (*゚∀゚)「あんまりオススメはしないね。経験上」 (;・∀・)「だよねー、経験者は語るって奴か」 (*゚∀゚)「んっ?」 (;・∀・)「んっ?」
- 448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:21:55.07 ID:8Vg63WaS0
- (*゚∀゚)
( ・∀・) (*゚∀゚) ( ・∀・) ( >∀<)イッキシッ (*>∀<) クション とりあえず、お互い服を着ることにした。
- 451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/25(木) 02:25:07.26 ID:8Vg63WaS0
- 今回はここまでにしておきます。
体がしんどいのでそろそろ休ませてもらいますね。 あとただいまって言いそびれてました。 ただいま。 保守も支援もありがとうございます。 あと、僕がいない時は雑談スレにでもしてもらって結構ですよ。
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面白かった
[2010/12/15 21:49]
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