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( ∴)早く人間になりたいようです |
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 17:38:16.12 ID:kOcRyRAwO
- >>1
ありがとうございます! このスレは、 252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/13(月) 17:17:52.29 ID:kOcRyRAwO どなたか代理でスレを立ててはくれないか スレタイはそちらに任せる。自由に決めてくれ そのタイトルから即興で話を考えて、ながらで進めていきたい (後略) ~~~~~~~~~~ という試みのもとに立てていただきました ながらで、ゆっくり投下していきます じゃあ、投下を始めようか
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 17:42:16.90 ID:kOcRyRAwO
-
すまない。 失敗してしまったんだ。 ごめん。ごめんな―― 神様は、そう言って、ぽろぽろ涙を零した。 本当は人間にしてやりたかった。 ごめん―― 神様は、そう言って、優しい手で、僕を撫でてくれた。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 17:47:30.97 ID:kOcRyRAwO
-
神様の手が僕の顔を、体をなぞる。 まんまるな顔。 ぽっかりあいた、3つの穴。 小さな体。 毛なんか1本も生えていない。 ごめん―― 大丈夫です、気にしてないから。 僕はそう言って、神様に近付こうとしたんだけど。 足を、滑らせてしまった。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 17:48:47.98 ID:kOcRyRAwO
-
あ。 あ、あ。 空が遠くなる。神様が遠くなる。 あ、あ、あ。
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 17:53:04.87 ID:kOcRyRAwO
-
痛っ。 何か、硬いところにぶつかったぞ。 どこだろ、ここ―― ξ;゚⊿゚)ξ 体を起こして辺りを見渡すと。 僕よりもずっとずっと大きな女の子が、僕を見下ろしていた。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 17:55:05.03 ID:kOcRyRAwO
-
( ∴)「?」 きみ、だあれ? そう訊こうとした瞬間。 女の子は、僕を鷲掴みにした。 ( ∴)早く人間になりたいようです
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 18:03:51.79 ID:kOcRyRAwO
-
僕を掴んだ女の子は、突然走り出した。 揺れる視界で、なんとか、彼女が家の中に入ったことを確認できた。 ξ;゚⊿゚)ξ「お父さん! お父さん!!」 _ ( ゚∀゚)「んー? 忘れ物か?」 ξ;゚⊿゚)ξ「違う! 何か変なの捕まえた!!」 (;∴) 痛い痛い。そんなに握りしめないで。 文句を言いたいのに、ぎゅうっと体を握られたまま振り回されるので、 何も言えやしない。 言いたいことも言えないこんな世の中じゃ。 ぽいずん。 女の子は、彼女より更に大きな男の人に、僕を突き付けた。 _ ( ゚∀゚)「どうせ虫だr……」 _ ( ゚∀゚) え、眉毛飛んだ?
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 18:04:45.62 ID:2HUCHYPUO
- 眉毛wwwww
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 18:11:11.22 ID:kOcRyRAwO
-
ξ;゚⊿゚)ξ「ねっ! 変でしょ!」 _ ( ゚∀゚)「い……」 ξ;゚⊿゚)ξ「い? ていうかお父さん眉毛!!」 _ ( ∀ )「い、いっ」 カシャーン!! _ ≡≡ ( ;∀;)「ぃいいやぁああああああああああああああああああ!!!!!!」 うるさっ。 ξ;゚⊿゚)ξ「お、お父さん!? ていうかお父さん眉毛!!!」 ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの、お父さん」 あ、また人が増えた。 女の子より大きくて、男の人より少し小さい、女の人だ。 _ ( ;∀;)「母さん! ツンが! ツンがぁ! 怖いの持ってきたぁあああああ!!」 男の人は女の人にしがみつく。 女の人が、きょとんとした顔で首を傾げた。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 18:22:25.32 ID:kOcRyRAwO
-
ミセ*゚ー゚)リ「ツン、この人どうしちゃったの?」 ξ;゚⊿゚)ξ「これ見せたらこうなった」 今度は女の人に僕を突き付ける。 女の人は暫く僕と女の子を交互に見遣って―― ミセ*゚ー゚)リ「もう。お父さん怖がりなんだから、そういうの見せちゃ駄目でしょ」 何か普通に女の子を注意した。 ξ;゚⊿゚)ξ「お父さんほど驚くのもアレだけれども! だからといってそれは反応薄すぎだろ!」 _ ( ;∀;)「やらぁあ! らめぇ! それ持ってこっち近付いちゃらめなのぉ!」 ξ;゚⊿゚)ξ「うっぜえ!」 _ ( ;∀;)「ふぇええん……」 ミセ*゚ー゚)リ「よしよし」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 18:25:53.36 ID:kOcRyRAwO
-
……何なんだろう、この状況。 色々気になるけど、まずは、とりあえず。 (;∴)「……あの、放して……」 ξ;゚⊿゚)ξ _ ( ;∀;) ミセ*゚ー゚)リ _ ξ;゚д゚)ξ( ;∀;)「喋ったぁあああああああああああああああ!!!!!!!!」 ミセ*゚ー゚)リ「あらまあ」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 18:42:33.00 ID:kOcRyRAwO
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生き物は、生まれる前に、神様に形作られる。 顔や体がどんな風になるのか、神様には決められない。 神様は材料を用意して、そこに命を吹き込んでくれるだけ。らしい。 必ず成功するわけじゃないけど、かといって、失敗することはまず無いそうだ。 ただ――僕は、その、滅多に起こらない「失敗」に巻き込まれてしまったんだとか。 僕は人間になる予定だったのだと、神様は言っていた。 だけど、とても人間とは呼べない姿になってしまった僕は、 生まれることが出来なくなってしまった。 そういった命は、神様の手によって消されなければいけないんだけど。 僕もその筈だったんだけど。 ……足を滑らせて、どうやら、下界に落っこちてしまったらしい。
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 18:50:13.17 ID:kOcRyRAwO
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――といったことを説明したものの。 _,、_ ξ゚⊿゚)ξ _ ( ;∀;) 当然というか何というか。 まったく理解してもらえなかった。 男の人に至っては聞いていたかすら怪しい。 ミセ*゚ー゚)リ「神様っているのねえ」 女の人は飲み込めたようで、のほほんと頷いた。 いや、寧ろ本当に理解したのかどうか分からない。 適当に相槌うっただけじゃないか、この人。 女の子が、僕の額をつっついた。 ξ゚⊿゚)ξ「変なのが変なこと言ってる」 ( ∴)「信じてくれなくてもいいよ」 ξ゚⊿゚)ξ「……そう言われちゃうとなあ……」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 18:59:08.40 ID:kOcRyRAwO
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ミセ*゚ー゚)リ「ま、こうやって存在してる以上、受け入れなきゃね」 ξ゚⊿゚)ξ「んー……」 ミセ*゚ー゚)リ「それより、学校は? 遅刻しちゃうよ」 ξ;゚⊿゚)ξ「あっ! い、いってきます!」 途端に、女の子は慌てた様子で家を出ていってしまった。 学校。人間の子供が行くところだっけ。 ミセ*゚ー゚)リ「お父さんも、会社」 _ ( ;∀;)「うううう……」 男の人も、よろよろと覚束ない足取りで家を出る。 会社。人間の大人が行くところ。 ぱたん、とドアが閉まって。 ミセ*゚ー゚)リ ( ∴) 女の人と、僕の2人きりになった。
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 19:09:44.85 ID:kOcRyRAwO
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ミセ*゚ー゚)リ「さーて。ゼアちゃん、お腹へってない?」 女の人は僕を掌に乗せると、にっこり笑って訊ねてきた。 ( ∴)「……ゼアちゃん?」 ミセ*゚ー゚)リ「『ゼアフォー』の、ゼアちゃん」 ( ∴)「なあに、それ」 ミセ*゚ー゚)リ「あなたの名前。名前ないと、呼びにくいでしょ?」 ( ∴)「……」 名前。名前か。 人間って、生まれた後に名前をつけられる。 でも僕は生まれられなかったから、名前が無い。 だけど、僕は名前を貰った。ゼアフォーだって。 (*∴) ――まるで、この世界に生まれることが出来たみたいじゃないか。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 19:12:54.30 ID:kOcRyRAwO
-
そうだ、名前といえば。 ( ∴)「あなたは、何ていうの?」 ミセ*゚ー゚)リ「私? ミセリ」 ( ∴)「ミセリ」 ミセ*゚ー゚)リ「よろしくね、ゼアちゃん」 ( ∴)「……そういえば、何でゼアフォー?」 ミセ*゚ー゚)リ「そんな顔だもの」 ( ∴)「……」 この人、よく分かんない。 *****
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 19:25:30.56 ID:kOcRyRAwO
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ξ;゚⊿゚)ξ「まだいる!」 夕方。 帰ってきた女の子は、テーブルの上に座る僕を見て、目を真ん丸にさせた。 ミセ*゚ー゚)リ「だって、ゼアちゃんどこにも行きようがないでしょ」 ξ゚⊿゚)ξ「ぜあちゃん?」 ミセ*゚ー゚)リ「名前付けたの。ゼアフォー。で、ゼアちゃん」 ξ゚⊿゚)ξ「ゼア!」 僕の名前を何度も呼びながら、女の子は僕をぐりぐりした。 ( ∴)「君の名前は?」 ξ゚⊿゚)ξ「ツンっていうよ。長岡ツン」 ( ∴)「つん」 ξ゚⊿゚)ξ「ゼア」 ぐりぐり。つんつん。むにむに。 ツンは、僕を触るのが気に入ったらしい。
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 19:32:31.98 ID:kOcRyRAwO
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ξ゚⊿゚)ξ「ゼア、うちに住むの? それとも帰るの?」 ( ∴)「帰りたいけど、どうしたら帰れるか分からない」 ミセ*゚ー゚)リ「帰り方が分かるまで、うちに居ればいいじゃない」 ξ゚⊿゚)ξ「いーじゃない!」 どうやら、僕を住まわせてくれる気満々らしい。 嬉しい。 *****
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 19:40:55.96 ID:kOcRyRAwO
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_ ( ;∀;)「ぁあああああっあああまだいるぅううううう!!!!!」 夜。 帰ってきた男の人は、ツンの頭に乗っかる僕を見て、その場にへたり込んだ。 ミセ*゚ー゚)リ「ゼアちゃん、いい子よ」 _ ( ;∀;)「何それ! 名前!?」 ξ゚⊿゚)ξ「ゼアフォーだって」 _ ( ;∀;)「こわい! 妻と娘の順応力こわい!!」 ( ∴)「あなたの名前、何?」 _ ( ;∀;)「ジョルジュ長岡ですぅうう! VIP商社の長岡ですぅううう!」 泣き叫びながら、ジョルジュは小さな紙を差し出した。 名刺というやつだな。さすがサラリーマンだ。 ミセ*゚ー゚)リ「あ、ゼアちゃん、今日からウチの子だからね」 _ ( ;∀;)「んあああああああああああああああああああああん!!!!!!」 ジョルジュは、うるさい人だなあ。
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 19:50:03.52 ID:kOcRyRAwO
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家族が揃ったから、お夕飯。 みんなは焼き魚とかお浸しとか、普通のご飯。 僕は、僕に合ったサイズのおにぎり。 ツン達なら一口で食べれちゃいそうな大きさだ。 ミセ*゚ー゚)リ「ゼアちゃん、あーん」 ミセリが、焼き魚をほぐして僕に食べさせてくれた。 美味しい。 (*∴)) モクモク _ ( ゚∀゚)ξ゚⊿゚)ξ(上の穴が口なんだ……) ふりかけが混ぜられたおにぎりをかじる。 これも美味しい。
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 19:57:41.48 ID:kOcRyRAwO
-
(*∴)=3 ケプゥ ごちそうさま。美味しかった。 ミセ*゚ー゚)リ「ツン、お風呂入っちゃいなさい」 ξ゚⊿゚)ξ「お風呂! ゼア、お風呂入ろ」 _ (;゚∀゚)「!? いけません! そんな怖いのと風呂なんて!」 ξ゚⊿゚)ξ「だってゼアちっちゃいから1人でお風呂に入るの危ないかも」 ミセ*゚ー゚)リ「それとも、お父さんがゼアちゃんとお風呂に入るの?」 _ ( ゚∀゚)「のぼせるなよ、ツン、ゼア」 ξ゚⊿゚)ξ「はーい」
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 20:10:30.82 ID:kOcRyRAwO
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ξ*-⊿-)ξ ゴクラク (∴*) いい湯加減で。 ξ゚⊿゚)ξ「寝る!」 パジャマに着替えたツンは高らかに宣言し、僕を連れて彼女の部屋に入った。 ベッドへ倒れ込み、僕を枕元に座らせる。 ξ゚⊿゚)ξ「んー」 ( ∴)「何?」 そのまましばらく僕を見つめたかと思えば、ベッドを下りて、箪笥を漁り出した。 ξ゚⊿゚)ξ⊃□ ハンカチー ξ゚⊿゚)ξ△ タタミタタミ そして、タオル地のハンカチをどんどん折り畳んでいく。 水色のそれを、ツンは僕に差し出した。
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 20:48:08.50 ID:kOcRyRAwO
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( ∴)「?」 ξ゚⊿゚)ξ「ゼアの枕」 (*∴)「……ありがとう」 ξ゚ー゚)ξ「ん」 ――おやすみなさい。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 20:54:37.79 ID:kOcRyRAwO
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翌朝。 ξ゚⊿゚)ξ「ゼア、学校行く?」 ……昨日の朝の様子から、ツンは両親に比べればマトモな子なのかと思ってた。 でもちょっとアホの子なのかもしれない。 ( ∴)「僕みたいなのが外に行くのは危険じゃないかな」 ξ゚⊿゚)ξ「どうして?」 ( ∴)「いや……だって変でしょ、僕」 ξ゚⊿゚)ξ ξ゚⊿゚)ξ「そういえばそうだね」 この子やっぱりアホだ。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 21:00:02.78 ID:kOcRyRAwO
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で。 (*゚ー゚)「……なあに、これ」 ξ゚⊿゚)ξ「ゼア」 結局、僕は学校に連れてこられた。 それどころかツンが友達に見せびらかした。 アホだ。アホだよ。
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 21:08:31.87 ID:kOcRyRAwO
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ただ、これで分かったことがある。 ツンは小学2年生だということ。 ツンのクラスメートは、3人ぐらいしかいないということ。 学校とは、たくさんの子供がいる場所だと聞いていた。 でも、元々人が少ない地域じゃ、子供も少ないとも聞いた。 ここは、そういう場所らしい。 (*゚ー゚)「ぜあ?」 (´・ω・`)「変なの」 ('、`*川「ちっちゃーい。可愛い」 また一つ、分かったこと。 子供って割と何でも受け入れるんだ。
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 21:15:58.43 ID:kOcRyRAwO
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しばらくして、大人がやって来た。 先生ってやつだな。 ( ^ω^)「みんなおはようおー」 (*゚ー゚)「せんせー、ツンが変なの持ってきたー!」 ( ^ω^)「おー? そんなの日常茶飯j……」 ξ゚⊿゚)ξ⊃( ∴) (^ω^ ) ξ゚⊿゚)ξ⊃( ∴) (^ω^ ) ξ゚⊿゚)ξ⊃( ∴) ( ^ω^) ξ゚⊿゚)ξ⊃( ∴) (^ω^;)彡 「!!?」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 21:22:36.04 ID:kOcRyRAwO
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(;^ω^)「な、何この薄緑色の。人形?」 ξ゚⊿゚)ξ「ゼアだよ」 (;^ω^)「ゼア? 人形?」 ξ゚⊿゚)ξ「ゼアフォー、で、ゼア」 (;^ω^)「へえ。人形?」 ξ゚⊿゚)ξ「人形じゃないよ」 (;^ω^)「人形じゃないんだ。人形?」 ξ゚ -゚)ξ「人形じゃないもん」 (´・ω・`)「生きてるみたい」 (;^ω^)「へ、へえぇ」 (;^ω^)「人形?」 ('、`*川「動揺しすぎだろ」
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 21:25:55.97 ID:KtFnlIj1O
- 5回訊いたwww
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 21:31:08.40 ID:kOcRyRAwO
-
ξ#゚ -゚)ξ「人間になれなかったの! でもちゃんと生きてるの!」 (;^ω^)「分かんない! 怒られても先生分かんない!!」 ( ∴)「落ち着いて……」 (;゚ω゚)「喋りはったでえ!!!!!」 (*゚ー゚)「だって生きてるもん」 (;^ω^)「生きてるからって何でも喋るもんじゃないの!! 君の家の猫は生きてるけど喋らないでしょ!?」 (*゚ー゚)「うちのギコ結構喋るよ」 (;^ω^)「喋るんだ、ごめん! 相手間違えた!」 (;゚ω゚)「ギコ喋るの!!!??」 (´・ω・`)「先生今日もテンション高いね」
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 21:49:50.49 ID:kOcRyRAwO
-
数十分後。 (;^ω^)「……俄かには信じがたい話だお」 昨日ツン達にした話を先生にも説明すると、先生は一先ず落ち着いた。 ('、`*川「信じなくても、ゼアがここにいるのは変わんないよねー」 ξ゚⊿゚)ξ「うん!」 そうそう、話をしているときに、みんなの名前を訊いた。 (*゚ー゚) この女の子が、しぃ。 (´・ω・`) 2年生でただ1人の男の子、ショボン。 ('、`*川 そして髪の長い女の子、ペニサス。 人数がとても少ないから、みんな仲良しなんだとか。 いいことだ。
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 22:04:49.86 ID:kOcRyRAwO
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(;^ω^)「ぐぅ……まあ……うん……存在自体は否定しないけど……。 でも神様まで絡んでくると壮大すぎるお……」 唸っている先生は、内藤先生とかブーン先生とか呼ばれているらしい。 ('、`*川「うん。いてもおかしくないよね」 ( ∴)「?」 ('、`*川「たしかに変だなって思うけど。 ゼア以外にも、変なの、結構いるよ。この辺」 どんな場所に住んでるんだよ、君達。 ……あ、ミセリがあんまり動じなかったのって、そのせい? *****
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 22:45:10.96 ID:kOcRyRAwO
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――チャイムが鳴る。 授業は全部終わったみたいだ。 みんなが頑張って勉強している間、僕はツンのノートに落書きをしていた。 ( ^ω^)「じゃ、さよならだお。また明日ー」 ξ゚⊿゚)ξ(*゚ー゚)(´・ω・`)('、`*川「さよーならー」 ξ゚⊿゚)ξ「ゼア、帰るよー」 ( ∴)「ん」 ***** ツンが歩く度、頭の上に乗っている僕はぐらぐら揺れる。 気を抜けば落ちてしまいそうで、スリル満点。 ( ∴)「ねえ、ツン」 ξ゚⊿゚)ξ「んー?」
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 22:54:03.21 ID:kOcRyRAwO
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( ∴)「ペニサスが言ってたの、本当?」 ξ゚⊿゚)ξ「何が?」 ( ∴)「変なの結構いるって」 ξ゚⊿゚)ξ「あー、うん。いるよ」 ( ∴)「……ふうん」 当たり前みたいに、ツンは肯定した。 なるほど、本当なのか。 *****
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 23:04:23.13 ID:kOcRyRAwO
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ミセ*゚ー゚)リ「学校どうだった?」 ( ∴)「楽しかった」 お夕飯。 僕のメニューは、おにぎりと沢庵、お猪口に注がれたお味噌汁。 今日も美味しい。 ξ゚⊿゚)ξ「ずっと落書きしてたよ、ゼア」 _ ( ゚∀゚)「鉛筆で?」 ( ∴)「鉛筆使うの大変」 鉛筆は僕よりも少し背が高い。 抱えて動かすのはなかなか難しい。 だからこそやり甲斐もあるけど。 ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、ずっと落書きしてたら疲れない?」 ( ∴)「割と」 ξ゚⊿゚)ξ「やらなきゃいいのに」 こりこり、ツンが指先で僕の背中を押してくれる。マッサージだろうか。 おお、気持ちいい。
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 23:10:30.51 ID:kOcRyRAwO
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ミセ*゚ー゚)リ「それにしても、ゼアちゃん、いつ帰れるんだろうね」 ( ∴)「んん……」 ξ゚⊿゚)ξ「早く帰りたい?」 ( ∴)「出来れば。それで、神様に消してほしい」 ξ゚⊿゚)ξ「……消えちゃうの、こわくない?」 ( ∴)「こわくないよ。――消えて、作り直してもらうんだ」 _ ( ゚∀゚)「便利だなあ」 ( ∴)「そうかな」 ――早く、ちゃんとした姿の人間になりたいな。 *****
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 23:13:47.39 ID:kOcRyRAwO
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ひとりめ:泣き虫な狐
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 23:19:48.78 ID:kOcRyRAwO
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朝になった。 今日も、ツンと学校に行く。 ξ゚⊿゚)ξ「おはよー」 (*゚ー゚)(´・ω・`)('、`*川「おはよー」 (*゚ー゚)「ゼアも、おはよ」 ( ∴)「おはよう」 ***** ( ^ω^)「んじゃ、ショボン、7の段を言ってくれおー」 (´・ω・`)「はあい」 算数の授業。退屈。 落書きも飽きちゃったな。 ( ∴)「ツン」 小さい声で、ツンを呼ぶ。
- 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 23:28:03.61 ID:kOcRyRAwO
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ξ゚⊿゚)ξ「ん?」 ( ∴)「ちょっと、学校探険してきていい?」 ξ゚⊿゚)ξ「いいよ。放課後までに戻ってきてね」 ( ∴)「うん」 ( ^ω^)「――はい、そこのおしゃべりさん。8の段いってみよー!」 ξ;゚ -゚)ξ「むっ!」 頑張ってね、ツン。 僕はツンの机から下りて、教室を出た。 ***** 廊下を歩く。 色んな教室で、色んな人が勉強してる。 どこも、人数は5人ぐらいか、それより少ない。
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 23:34:10.27 ID:kOcRyRAwO
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時たま、教室を覗き込む僕と目が合う人がいるけど、 ちょっと驚いた素振りを見せるだけで、大きな反応をとる人はいない。 本当に、みんな、こういうのに慣れてるらしい。 ***** しばらく歩いていると、まったく人の気配がしない所に辿り着いた。 多分、特別なときに使う教室が集まった場所なんだろう。 「家庭科室」とか「理科室」って書かれたプレートが下がっている。 読めないけど。 ( ∴) ちょっと寂しいな。 誰かいないかな―― ( ∴)「……?」 あれ? 声が聞こえる、気がする。
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 23:45:34.22 ID:kOcRyRAwO
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( ∴) 声のする方へ向かう。 曲がり角。 そこを曲がると、少し埃っぽい階段があった。 そして――下の踊り場に、誰かがいた。 大人の男の人っぽい。 でも膝を抱えて顔を伏せているせいで、よく分からない。 ただ、「変なとこ」を二つ、見付けた。 まず一つが、着物姿であること。 今まで僕が見てきた人はみんな洋服だったのに、 彼は、とても綺麗な着物を身につけている。 もう一つは、耳。 頭のてっぺんに、猫とか犬みたいな耳が付いているのだ。 ( ∴)「ねえ」 爪;ー;)「……ぅえ?」 僕が声をかけると、その人は顔を上げた。
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/13(月) 23:54:56.70 ID:kOcRyRAwO
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( ∴)「そこで何してるの?」 爪;ー;)「……誰だよ、お前」 ( ∴)「ゼアフォー。君は?」 爪;ー;)「……フォックス……」 フォックスと名乗った着物の人。 顔が涙と鼻水でぐしゃぐしゃだ。 ( ∴)「もう一回訊くけど、何してるの?」 爪;ー;)「見て分かんねえのかよ」 ( ∴)「泣いてる」 爪;ー;)「そうだよ、泣いてんだよ」 ( ∴)「どうして泣いてるの?」 爪;ー;)「悲しいからだよ」 ( ∴)「どうして悲しいの?」 爪;ー;)「……居場所が無いからさ」
- 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 00:13:41.96 ID:oCXz0maLO
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( ∴)「居場所?」 爪;ー;)「俺の寝床が壊れちまったんだ。帰る場所が無いんだ」 ( ∴)「へえ……大変だね」 爪;ー;)「で……見ての通り、俺は人間じゃない。 だから人間の暮らしに混ざることも出来ない」 ( ∴)「あらら」 爪;ー;)「……だから泣いてるんだ……」 ( ∴)「……ちょっと、いまいち分かんないなあ」 爪;ー;)「だろうな。相槌適当すぎだから」 ( ∴)「寝床ってどこ?」 爪;ー;)「……」 フォックスは立ち上がり、 ――右側の壁を指差して。 ( ∴)「あ」 消えた。
- 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 04:52:04.72 ID:oCXz0maLO
-
( ∴) フォックスは、どこに行ったんだろう。 フォックスは、一体何者なんだろう―― ***** ξ゚⊿゚)ξ「ゼア、おかえり」 ( ∴)「ただいま」 僕が教室に戻るのと同時に、チャイムが一日の授業の終わりを告げる。 ツンは僕を見付けると、抱えて、頭の上に乗せてくれた。 学校を出る。 僕は、ツンに訊ねた。 ( ∴)「ツン」 ξ゚⊿゚)ξ「ん?」 ( ∴)「フォックスって人、知ってる?」
- 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 04:56:34.87 ID:oCXz0maLO
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ツンは首を傾げる。 慌てて、ツンの髪にしがみついた。 ξ゚⊿゚)ξ「知らない」 ( ∴)「そっか」 ξ゚⊿゚)ξ「それ、誰?」 ( ∴)「僕も分かんない」 ξ゚⊿゚)ξ「変なゼア」 *****
- 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 05:08:17.11 ID:oCXz0maLO
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次の日。 またまたツンと学校に来た僕は、今日も教室を抜け出した。 爪;ー;) そして、昨日と同じところに、フォックスはいた。 ( ∴)「フォックス」 爪;ー;)「……ゼアフォー……」 階段を下りて、フォックスの隣に移動する。 想像してたより、老けてる。 子供みたいに泣きじゃくっているから、てっきり若い人だと思ってた。
- 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 05:21:26.61 ID:oCXz0maLO
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( ∴)「ねえ、フォックス、君は何なの?」 爪;ー;)「ああ?」 ( ∴)「君は、どんな人なの?」 爪;ー;)「……」 爪;ー;)「――……神様」 ぽつり、答えて。 フォックスは、消えた。 *****
- 139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 05:33:10.60 ID:oCXz0maLO
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( ^ω^)「神様?」 ( ∴)「そう言ってた」 休み時間、教室に戻って、先生にフォックスのことを話した。 先生なら知ってるかな、と。 でも、先生も知らないみたいだ。 ( ^ω^)「神様って、君を作ったっていう……?」 ( ∴)「んーん、違う人」 _, ( ^ω^)「?」 ( ∴)「ううん……」 ('、`*川「――ゼアの言う神様と、その神様は違うでしょ」 (;^ω^)「わっ」 ひょっこり、ペニサスが入り込んできた。
- 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 05:40:02.41 ID:oCXz0maLO
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( ∴)「違う?」 ('、`*川「神様って、いっぱいいるの」 ( ∴)「?」 ('、`*川「お米一粒にも神様はいるんだよ」 (;^ω^)「マジ!? 僕どんだけ神様食ってきたの!!」 ('、`*川「……」 ( ^ω^)「ごめん」 ('、`*川「だからね、そのフォックスって人も、神様の1人なんじゃないかな」 ( ∴)「……へえ……」 先生より、ペニサスの方が頼りになるのを理解した。 ('、`*川「で、フォックスは何で泣いてたんだっけ」 ( ∴)「――寝床が無くなった、って言ってた」
- 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 05:52:28.25 ID:oCXz0maLO
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('、`*川「寝床かあ……」 ξ゚⊿゚)ξ「何の話ー?」 ( ^ω^)「ツン、お米一粒一粒に神様がいるらしいお!」 ξ゚⊿゚)ξ「それ常識じゃない?」 ( ^ω^) ('、`*川「神様の寝床……うーん」 ξ゚⊿゚)ξ「ねーねー何の話ー」 ( ∴)「かくかくゼアゼア」 ξ゚⊿゚)ξ「しかじかツンツン。へー、そんなのがいたんだあ」 ( ^ω^) ( ^ω^)
- 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 06:01:56.72 ID:oCXz0maLO
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('、`*川「あ!」 みんなでうんうん唸っていると、ペニサスが大きな声をあげた。 何か分かったらしい。 ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの?」 ('、`*川「祠があるのかも」 ( ∴)「ほこら?」 ('、`*川「神様が住んでるお家」 ξ゚⊿゚)ξ「そんなのあるんだ」 ('、`*川「もしかしたら、それが壊れちゃったんじゃないかな」 ( ∴)「……そっか」 じゃあ、昨日、フォックスが指差した方向は―― ('、`*川「見に行こう!」 ξ゚⊿゚)ξ「うん! ゼア、乗って」 (;^ω^)「ちょっと君達!? これから楽しい国語の時間だお!!」
- 147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 06:18:02.39 ID:oCXz0maLO
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(*゚ー゚)「どこ行くの? 私もついてくー!」 (´・ω・`)「僕も!」 (;^ω^)「いやあああああ学級崩壊ぃいいいいいい!!」 ***** 昨日と今日フォックスが居た踊り場に、みんなを案内する。 もしかしたらまた居るかもと期待したけど、フォックスは戻ってきていなかった。 ( ^ω^)「結局僕もついてきてしまった……」 ( ∴)「寝床はどこなのって訊いたら、こっちを指差したんだ」 右側に手を向ける。 そこにあるのは壁。祠らしきものは見当たらない。 と、いうことは。 ('、`*川「外だね」 ξ゚⊿゚)ξ「外行くぞー!」 ( ^ω^)「もう好きにしたまえ」
- 150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 06:44:25.71 ID:oCXz0maLO
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みんな、内履きのまま外に出た。 方向を確認しながら進んでいく。 ――すると、校舎の端っこに着いた。 雑草がぼうぼうに生い茂っている。 校舎からは、こちら側を向く窓が無い。 草の生え具合から見るに、ここは滅多に人が来ないようだ。 (*゚ー゚)「ホコラを探せばいいの?」 (´・ω・`)「どんな形?」 ('、`*川「形はそれぞれだから分かんないけど……」 ξ゚⊿゚)ξ「何か壊れてるのを見付ければいいんだね!」 草を掻き分け、祠を探す。 ゴミとか、石とか、ぼろぼろの本とかは見付かるけれどなかなか祠が出てこない。 ( ^ω^)「うわエロ本だ。仕方ないなー子供達が見たら大変だしなー。 僕が拾っておかなきゃなーいや別に欲しくはないけどー」 (´・ω・`)「あっ!!」 (;^ω^)「ひゃわぁああ!? 違う、違うお! 本当に欲しいわけじゃっ」 (´・ω・`)「ペニサス! これ、祠ー?」
- 153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 07:00:49.24 ID:oCXz0maLO
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ショボンが大声でペニサスを呼んだのは、 草が他よりもちょっとだけ少ない場所だった。 全員がショボンのもとに駆け寄る。 彼の足元へ目を向け、「あ」と、みんなが気の抜けた声をあげた。 地面から、一本の、木で出来た何かが真っ直ぐ立っていた。 先端がぽっきり折れていて、触ったらトゲが刺さってしまいそうだ。 そして――その隣。 地面に転がる、小さな家みたいな箱。 真四角の箱に、屋根がくっついたものだ。 箱は端っこの部分が割れて、大きな穴があいている。 その穴から零れたのだろうか。 これまた木で出来た、小さな小さな狐が、土に塗れて横たわっていた。
- 156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 07:13:59.51 ID:oCXz0maLO
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('、`*川「これかも」 (*゚ー゚)「狐さん、かわいそう」 しぃは木の狐を拾い上げると、 ポケットから取り出したハンカチで汚れを拭ってあげた。 ( ∴)「君がフォックス?」 問い掛けるも、狐は、何も答えちゃくれなかった。 ξ゚⊿゚)ξ「これ、直さなきゃね」 (´・ω・`)「先生、出来る?」 (;^ω^)「え? 僕? た、多分、くっつけるぐらいなら」 ('、`*川「じゃあ直そう! ほら、道具とか持ってきて!」 ***** 結局、放課後まで僕らは祠の修理に時間を費やした。 ツンとしぃが木の狐を綺麗にして、 先生とショボンが釘や板を使って祠を建て直す。 ペニサスは、どこかの教室から持ってきた布を切って、飾りを作っていた。 僕は――何も、出来なかった。役立たずだ。
- 158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 07:29:18.82 ID:oCXz0maLO
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ξ*゚⊿゚)ξ(*^ω^)(*゚ー゚)(*´・ω・`)('、`*川「出来たー!」 ちょっと形は歪んじゃってるけど、祠の修復が終わった。 古い木材と新しい木材が継ぎ接ぎされていて、見映えはちょっと悪い。 でも、ペニサスがくくりつけた赤い布や白い紙のおかげで、 それも何とか誤魔化せていると思う。 祠には、こういうのが付いているのだとペニサスが教えてくれた。 ξ*゚⊿゚)ξ「で、狐さんを入れて、と」 正面の扉を開き、ツンは、すっかり綺麗になった狐を中に入れた。 ペニサスは、狐にも赤い布を結んでいた。 首元に垂れ下がる、逆三角形の赤色が似合っている。 ぱたん。 扉を閉じると同時に、みんなで再び歓声をあげた。 *****
- 161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 07:38:11.82 ID:oCXz0maLO
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( ∴) 爪;ー;) 次の日。 踊り場に行くと、フォックスが泣いていた。 おい何でだよ。
- 163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 07:47:17.86 ID:oCXz0maLO
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( ∴)「……君の寝床、直したと思うんだけど」 爪;ー;)「ああ……」 ( ∴)「何で、まだ泣いてるの」 嫌だったのかな? せっかく、みんな頑張ったのに。 爪;ー;)「……嬉しくて」 ( ∴)「え?」 爪;ー;)「嬉しくて、泣いてるんだ」 ――何だ。 良かった。 爪;ー;)「ありがとう。……ありがとう……」 よく見ると、フォックスの首に赤い布が結ばれている。 やっぱり、あの狐はフォックスだったんだ。 ( ∴)「みんなに伝えておくよ」 爪;ー;)「ああ……」
- 164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 07:48:29.00 ID:oCXz0maLO
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ぐすぐす、鼻を啜りながら、フォックスは消えた。 ……神様のくせに、泣き虫な狐だなあ。 *****
- 167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 07:52:14.74 ID:oCXz0maLO
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ふたりめ:真ん丸なおばけ
- 172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:02:56.47 ID:oCXz0maLO
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_ ( ;∀;)「んにゃあああああああああぎゃあああああああああああ!!!!!」 夜。 泣き叫びながら、ジョルジュが家に帰ってきた。 ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの、お父さん。 また夜道で真っ黒くてひょろ長いのに追い掛けられたの?」 怖いよ。ちょくちょくそんなのに追い掛けられてるのかよ。 _ ( ;∀;)「今日は違う! 何か! 丸かった!」 ミセ*゚ー゚)リ「可愛いじゃない」 _ ( ;∀;)「可愛いわけないだろ! 絶対人魂系だって! 取り殺される系だって!!」 ミセ*゚ー゚)リ「人魂ってそんなに怖いかしら」
- 174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:11:41.71 ID:oCXz0maLO
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( ∴)「人魂って、丸いの?」 ミセ*゚ー゚)リ「丸く描かれるのが多いかな」 ( ∴)「どれぐらいの大きさ?」 ミセ*゚ー゚)リ「ものによるんじゃない?」 ( ∴)「たとえば、人間の顔ぐらいの大きさ?」 ミセ*゚ー゚)リ「それぐらいのもいるかもね」 ( ∴)σ「じゃあ、あんな感じ?」 ( ∴)σ <_プー゚)フ _ ( ;∀;) ミセ*゚ー゚)リ _ ( ;∀;)「ついてきたぁああああああ!!!!!!」 ミセ*゚ー゚)リ「お父さん眉毛が!」
- 179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:24:53.64 ID:oCXz0maLO
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<_プー゚)フ「人魂じゃないよ、おばけだよ」 丸っこくて半透明なソイツは、ジョルジュの言葉を否定した。 _ ( ;∀;)「あばばばばばばばばばばば」 ミセ*゚ー゚)リ「人魂とおばけは違うのかしら」 <_プー゚)フ「こういう形のおばけなんだもん」 うーん、ジョルジュが怖がるほどのものじゃないと思うんだけど。 何か気さくな感じだし、見た目もぬいぐるみみたい。 ( ∴)「君、誰?」 <_プー゚)フ「エクスト!」 エクスト。 元気なおばけだなあ。
- 180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:32:38.25 ID:oCXz0maLO
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ミセ*゚ー゚)リ「まあまあ、とりあえずお上がりになって。 ツンがお腹空かせて待ってるから」 <_プー゚)フ「わーい!」 _ ( ;∀;)「上がっちゃったよ! 俺今日は外食する!!」 ミセ*゚ー゚)リ「すき焼きなのに」 _ ( ;∀;)「……ぐぐぅう……っ」 ***** ξ゚⊿゚)ξ「エクスト、すき焼き食べる?」 <_プー゚)フ「食えないからお供えして!」 ツンは始めこそ驚いていたものの、すっかりエクストに慣れてしまったようだ。 ミセリの子なだけある。 エクストの前に肉や野菜を乗せたお皿を差し出すと、 何やら満足そうな顔で「ありがとう」と言っていた。 あんなので食べたことになるのか。
- 183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:40:04.59 ID:oCXz0maLO
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(*∴)) モショモショ 僕のご飯は、すき焼きのお肉に包まれたおにぎり。 ミセリが「肉巻きおにぎり」と命名して、 ジョルジュに「これは違うだろ」とつっこまれていた。 よく分からないが、美味しいものは美味しいから気にしない。 ξ゚⊿゚)ξ「エクスト、何でお父さんについてきたの?」 <_プー゚)フ「あ、そうだ、それだ!」 ツンが何気なく問うと、エクストは、はっとした顔でジョルジュを見た。 もそもそ体を動かし始める。 _ (;゚∀゚)「え、な、何……」
- 190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 08:55:32.71 ID:oCXz0maLO
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<_プー゚)フ「これ!」 そして、手……のような部分をジョルジュの顔に向けた。 そこに握られている、携帯電話。 <_プー゚)フ「落としてたぞ」 _ (;゚∀゚)「え――……あ、俺の携帯」 ミセ*゚ー゚)リ「落とし物を渡したかったの?」 <_プー゚)フ「うん。でも声かけたら逃げられた」 ミセ*゚ー゚)リ「エクストちゃん、いい子じゃない。 お父さんったら失礼なんだから」 ξ゚⊿゚)ξ「お父さん失礼!」 _ (;゚∀゚)「ご、ごめん……ありがとう」 <_プー゚)フ「おう。じゃ、用事済んだから帰る!」 ミセ*゚ー゚)リ「あ」 エクストはくるりと後ろを向くと、窓に突進していき―― そのまま窓を擦り抜けて、どこかへ行ってしまった。
- 195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 10:33:50.50 ID:oCXz0maLO
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――翌日の夜も。 エクストは、ジョルジュについてきた。 <_プー゚)フ「鞄落としてた」 _ (;゚∀゚)「おわっ! 本当だ!」 ξ;゚⊿゚)ξ「どうやったら落とすの、そんなの」 ジョルジュに鞄を渡して、エクストは帰る。
- 196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 10:36:37.66 ID:oCXz0maLO
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――その翌日も。 <_プー゚)フ「スーツの上着落としてた」 _ (;゚∀゚)「道理で寒いと思った」 ミセ*゚ー゚)リ「もう、どうせまた部長さんとお酒飲んだんでしょう」 _ (;゚∀゚)「いやあ、素面なんだけど……おかしいなあ」 ジョルジュに上着を渡して、エクストは帰る。
- 197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 10:39:29.16 ID:oCXz0maLO
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翌日も。 その翌日も。 毎日、毎日。 ジョルジュは何かを落として、エクストが届けに来る。 毎日、毎日。 普通は落としそうにないものも。 毎日、毎日。 それを渡して、エクストは帰る。
- 201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 10:46:36.73 ID:oCXz0maLO
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初日は、ジョルジュがエクストに怯えて逃げ出したから エクストは家までやって来た。 でも、2日目から先は、ジョルジュが帰宅してからエクストが現れる。 もうジョルジュはエクストに慣れているんだから、 拾ったときに声をかけて、渡せばいいのに。 黙って、ずっと家までついてきてるのかな。 何か、変じゃないかな。 _ ( ゚∀゚)「おー、ありがとう」 ジョルジュは、もう疑問なんか持っていないのか、 お礼を言って、落とし物を受け取っている。 やっぱり、変だよ。 <_プー゚)フ「じゃあなー」 変だ。
- 214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 12:19:39.37 ID:oCXz0maLO
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( ∴)「ジョルジュ……」 _ ( ゚∀゚)「んー?」 ( ∴)「エクスト、どう思う?」 _ ( ゚∀゚)「いい奴じゃねえかなあ」 ( ∴)「……」 どうしよう。 どうしたらいいんだろう―― ***** ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、ゼアちゃんついていってみてよ」 ミセリに相談すると、にこにこ笑いながら、そう言われた。
- 216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 12:32:35.51 ID:oCXz0maLO
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( ∴)「ついてくって?」 ミセ*゚ー゚)リ「明日、お父さんと一緒に会社に行ってみてよ」 (;∴)「……ジョルジュに?」 ミセ*゚ー゚)リ「うん!」 簡単に言うなあ。 ***** _ (;゚∀゚)「ええ……ついてくんの?」 ( ∴)「お仕事中は、鞄から出ないから」 _ (;゚∀゚)「……本当、頼むぜ、そこは」 ξ゚⊿゚)ξ「私もゼア学校に連れていきたいのに」 ミセ*゚ー゚)リ「ツンは、また明日ね」 翌朝。 なんとかジョルジュに頼んで、連れていってもらうことになった。 まさかお許しが出るとは思わなかった。
- 219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 12:47:43.94 ID:oCXz0maLO
- _
( ゚∀゚)「きついだろうけど我慢してくれよ」 ( ∴)「うん」 鞄に入る。 辺りが暗くなった。 ジョルジュが動く度、かたかた、鞄の中が揺れる。 ペンケースが頭にぶつかった。 (;∴)(痛い……) ジョルジュの職場は、結構遠いらしい。 ……到着するまで、無事に済むかな。 *****
- 221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 13:05:05.99 ID:oCXz0maLO
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――時間を飛ばして。 ジョルジュが仕事を終わらせた辺りまで進めよう。 _ ( ゚∀゚)「ゼア、大丈夫か?」 (;∴)) コクン 会社を出たところで、ジョルジュは鞄を開けて僕に声をかけた。 ちょっと苦しいけど、平気。 _ ( ゚∀゚)「しっかし、何で会社になんかついてきたがったんだか」 ( ∴)「……ちょっと、ジョルジュがどんなことしてるか気になっただけ」 _ ( ゚∀゚)「ふうん……さ、後は帰るだけだ。もうちょっとの辛抱な」 鞄が閉まる。 真っ暗。 少し歩いて、電車で移動。 駅で降りたら、家に歩いて向かうだけ。
- 222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 13:20:15.22 ID:oCXz0maLO
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がたがた。電車に揺られ、 てくてく。家路を歩く。 ……あれー。 もう、普通に家に着いちゃうんじゃないか? ( ∴)「……」 今日は、エクスト、来ないのかな。 鞄を内側から押しやると、ぱちん、と留め具が外れる音がした。 こっそり顔を出す。 夜だし、人の気配もしないから、多分大丈夫だろう。 ( ∴) とっぷり日も暮れて、辺りは真っ暗だ。 明かりは街灯ぐらい。 ( ∴) ジョルジュが歩き、街灯が遠ざかる。 その明かりの下を、何かが通り過ぎた。
- 224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 13:35:06.90 ID:oCXz0maLO
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(;∴)「!?」 ちらりと見えただけ。 でも、その一瞬でも、あの黒いのが街頭よりも背が高いのは理解出来た。 (;∴)「……っ!」 僕が固まっていると、急に強い明かりが降り注いだ。 ジョルジュが、街灯の下を通ったらしい。 少しするとまた周りが暗くなって、街灯が遠ざかり始める。 目をこらした。 街灯は、ただ道を照らしている。 (;∴) さっきのは錯覚だ。そうであってほしい―― (;∴)「――あ……!」 また、何かが通った。 真っ黒で、背が高いと言うより、ひょろりと細長い何か。 ざわざわ、嫌な予感がする。 あれは、多分、触れてはいけないものだ。
- 231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 15:28:29.67 ID:oCXz0maLO
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(;∴)「ジョルジュ!」 叫ぶ。 でも、何の反応も返ってこない。 鞄から這い出して、ジョルジュの手にしがみついた。 (;∴)「ジョルジュってば――」 _ ( ∀ ) (;∴)「――……!?」 僕の声なんか何も聞こえちゃいないみたいに、 ジョルジュは前を向いたまま、ひたすら歩き続けている。 (;∴)「ねえ、ジョルジュ!!」 止まらない。こっちを見てくれない。 どうして?
- 232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 15:35:21.01 ID:oCXz0maLO
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逃げて、ジョルジュ。 もしもあれに捕まったら、どうなっちゃうか。 ……そういえば、あいつは、今どの辺にいるんだろう。 (;∴) 確認するために振り返ろうとしたけれど、 僕は、動けなくなってしまった。 ひゅうひゅう、と。 か細い息が、すぐ真後ろから、聞こえたから。
- 234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 15:46:15.40 ID:oCXz0maLO
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どうしよう、どうしよう。 ああ。怖い。 どうしよう―― _ ( ∀ ) (;∴)「じょる……」 「――何でもいいから投げろ! 早く!」 ――そのとき。 聞き覚えのある声が、隣から聞こえた。
- 239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 16:37:54.26 ID:oCXz0maLO
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(;∴)「え――」 <_プд゚)フ「鞄に入ってるもんでいいから、何か向こうに投げんだよ!」 真ん丸な半透明。 エクスト。 鞄? 言われるがままに、ジョルジュの手から離れ、鞄に戻った。 視界に真っ黒いものが映ったけど、気にしない。 気にしたら怖じけづいてしまいそうだから。 (;∴)(投げる、投げる――) がむしゃらに、鞄の中から適当に物を引っ掴む。 掴み取った、それ――ペンケースを、目一杯、 ジョルジュからすれば後方、僕からすれば前方へぶん投げた。
- 241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 16:49:34.61 ID:oCXz0maLO
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視界の隅で、黒い何かが蠢いた。 のそのそ、移動しているようだ。 ジョルジュの歩みに伴って、距離が開いていく。 <_プー゚)フ「よくやった!」 (;∴)「え、エクスト……」 僕らと何かの間に浮かび、エクストが満面の笑みを浮かべた。 状況が把握出来ない。 <_プー゚)フ「説明は後な!」 エクストに話を聞きたいのに、ジョルジュは止まってくれない。 どういうことなんだよ、もう。 *****
- 242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 16:59:39.90 ID:oCXz0maLO
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_ ( ゚∀゚)「んお。ぼーっとしてた」 家の前に着いたとき、ようやくジョルジュは我に返った。 独り言を呟きながらドアを開け、中に入る。 ミセ*゚ー゚)リ「おかえり」 _ ( ゚∀゚)「ただいまー」 ξ゚⊿゚)ξ「ゼア!」 玄関でミセリとツンが出迎えた。 ツンは、鞄から僕を引っ張り出して、頭を撫でてくれる。 ξ゚⊿゚)ξ「おかえり、ゼア」 ( ∴)「ただいま」 _ ( ゚∀゚)「ツンちゃん、パパにもおかえりって言おっか」 スリスリ 「んー」ξ*-⊿-)ξ)∴) _ ( ゚∀゚)「ほう……無視ですか……」
- 243 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 17:07:54.64 ID:oCXz0maLO
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<_プー゚)フ「俺参上!」 _ (;゚∀゚)「おわっ、エクスト! 何だ、俺また落とし物したか?」 開けっ放しだったドアからエクストが飛び込んできた。 その手には、ペンケース。 <_プー゚)フ「ほらよっ」 ξ゚⊿゚)ξ「お父さん落としすぎじゃない?」 _ ( ゚∀゚)「我ながら驚いている」 ( ∴)「……」 エクストと、目が合う。 <_プー゚)フ「……ちょっと、こいつ借りるぞ」 ξ゚⊿゚)ξ「ちゃんと返してね」 <_プー゚)フ「勿論」 ツンの手からエクストの上へと移動する。 あ、エクストやわらかい。クッションみたいで気持ちいい。
- 245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 17:21:55.25 ID:oCXz0maLO
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<_プー゚)フ「――あいつ、何か色々引き付けやすいみたいだ」 屋根の上。 エクストは、ちょっと面倒臭そうな声で言った。 ( ∴)「あいつって、ジョルジュ?」 <_プー゚)フ「うん。 おばけに好かれやすいっぽい」 ( ∴)「へえ……」 怖がりなのに、それは不憫な。 <_プー゚)フ「特に、あの黒いやつに大層気に入られちまったらしくてなー。 何か放っとくのも忍びないから、助けてやろうと思ったんだ」 ( ∴)「それが、あの落とし物?」 <_プー゚)フ「おう」
- 248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 17:35:32.24 ID:oCXz0maLO
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<_プー゚)フ「あいつが普段使ってるものを囮にするんだ」 ( ∴)「――じゃあ、今までの落とし物って」 <_プー゚)フ「俺が勝手に奪って囮にしたやつ」 なるほど。 <_プー゚)フ「最初はな、『何か不必要なものでも放り投げろ』って、 本人に直接アドバイスしたんだけど」 ( ∴)「うん」 <_プー゚)フ「あいつ、俺見た瞬間に泣き始めた……」 ( ∴)「怖がりなんだよ……」 <_プー゚)フ「だから、ポケットから携帯電話取って、俺がぶん投げた」 ( ∴)「ふんふん」 <_プー゚)フ「で、次の日からは妙なパニック起こさせないように、 ちょっと意識いじって、適当にあいつの私物使わせてもらった」 ジョルジュが僕の呼び掛けに気付いてくれなかったのは、 どうやらエクストの仕業によるものだったようだ。 凄いなエクスト。
- 250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 17:58:04.59 ID:oCXz0maLO
-
( ∴)「つまり、ここ最近、ずっとエクストが守ってあげてたんだね」 <_プー゚)フ「そんな立派なもんじゃないけど」 笑って、エクストはそっぽを向いた。 照れてるのかもしれない。 <_プー゚)フ「……多分、あと何回か繰り返したら、黒いやつも諦めると思うよ」 ( ∴)「そっか」 それなら、良かった。 ( ∴)「ありがとう」 <_プー゚)フ「何でお前が礼言うんだよ」 ( ∴)「……何でだろ」 何となく出てきた言葉に、自分でも疑問を覚える。 でも、やっぱりお礼を言いたい。 ジョルジュを守ってくれていたのが、僕にとっても嬉しいことのように思えるから。
- 252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 18:05:06.92 ID:oCXz0maLO
-
( ∴)「……そうだ」 ふと、言わなきゃいけないことがあるのに気が付いた。 ( ∴)「エクスト」 <_プー゚)フ「ん?」 ( ∴)「……ごめんね」 <_プー゚)フ「おお、何だ何だ?」 ( ∴)「僕、もしかしたらエクストは悪い人なんじゃないかと思ってたんだ」 <_プー゚)フ「失礼な奴だなー」 ( ∴)「だから、ごめん」 本当に失礼だった。 寧ろ、エクストはとてもいい人だ。 ぺこり、頭を下げる。
- 254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 18:08:38.07 ID:oCXz0maLO
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<_プー゚)フ「ぜーんぜん、怒ってないよ」 真ん丸なおばけは、とっても優しい。 *****
- 264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 20:07:51.04 ID:UloqQ4DtO
- 俺>>1の他の話読んでみたいんだけど。
まとめに載ってたりしてないのかな
- 282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 23:16:29.76 ID:oCXz0maLO
- あああああああああああただいま!
予定より遥かに遅れてごめんなさい 再開します >>263 かわえええええ! 癒される! ありがとう! >>264 長編→( ^ω^)七大不思議と「せいとかい」のようです 短編→('A`)燃え尽きた後のようです ξ*゚⊿゚)ξふたりはなかよし(^ω^*)のようです (*'A`)ふたなりなかだし(゚- ゚*川のようです 川 ゚ -゚)日和のようです (乗っ取り) ( ^ω^)の川 ゚ -゚)ルなナイトのようです (乗っ取り) ( ^ω^)が拳の王となるようです(乗っ取り) ( ^^ω)クリスマスには間に合わなかったようです こんなもんで
- 285 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 23:21:29.44 ID:oCXz0maLO
-
さんにんめ:へたくそな鏡
- 290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 23:35:56.93 ID:oCXz0maLO
-
学校。お昼休み。 (;´・ω・`)「先生こっちこっち!」 (;^ω^)「もー何なんだおー」 ショボンが先生の手を引っ張って走り、 その後を、ツン達女の子が追い掛ける。 ξ゚⊿゚)ξ「何なの?」 (*゚ー゚)「鏡がどうこう言ってたよね」 ('、`*川「割れちゃったとか?」 (;∴)「あわわ、ツン、もっとゆっくり走って」 事の始まりはついさっき、教室でみんなと遊んでいたとき。 トイレに行っていたショボンが何か叫びながら飛び込んできて、 先生を引っ張っていってしまったのだ。 (;´・ω・`)「ここ! ここ!」 どれくらい走ったか、目的地に到着したらしい。 ――男子トイレだ。
- 292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 23:47:14.12 ID:oCXz0maLO
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( ^ω^)「トイレの鏡がどうかしたのかお?」 (;´・ω・`)「いいから入ってよ!」 ショボンにぐいぐい背中を押され、先生は転びそうになりながらも なんとかトイレの中に足を踏み入れる。 (*゚ー゚)「どうしよう」 ξ゚⊿゚)ξ「男子トイレに入るのはなー……」 ('、`*川「いいじゃん、誰かが使ってるわけでもないし」 ツンとしぃはちょっと躊躇っていたけれど、ペニサスが堂々と入っていくと、 2人も後に続いた。 ショボンは、一つの鏡の前で立ち止まった。 至って普通の鏡に見えるけど。 (;´・ω・`)「……ほら、見て」 少し震える手で、鏡に指を向ける。 みんな覗き込み――先生が、情けない悲鳴みたいな声をあげた。
- 297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 23:54:59.29 ID:oCXz0maLO
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(;´・ω・`) |(`・ω・´)| 鏡に映るショボンの顔が、少しだけ違う。 ショボンだけじゃない。 (;^ω^) |( ^^ω)| 先生も、 ξ゚⊿゚)ξ |ζ(゚、゚*ζ| ツンも、 (*゚ー゚) | (゚∀゚*) | しぃも、 |o川*゚ー゚)o| ('、`*川 ペニサスもだ。 ペニサスに至っては、完全に別人じゃないか。
- 302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 00:10:51.32 ID:JrjYigTBO
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( ∴) |(∵ ) | 僕の顔も違う。 上下逆さまになっちゃってる。 (;´・ω・`)「ねっ?」 (;^ω^)「な……何なんだお、これ……」 先生が鏡に手を触れた。軽く叩いてみる。 こんこん、硬い音。 (;^ω^)「感触は、ただの鏡だお……」 変なのは、そこに映るものだけ。 (;*゚ー゚)「なんか気味悪い……」 ξ゚⊿゚)ξ「面白いと思うけどなあ」 ('、`*川「うんうん」
- 312 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 00:22:56.37 ID:JrjYigTBO
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そのとき、チャイムが鳴った。 午後の授業が始まる。 (;^ω^)「あー……とりあえず授業だお、みんな教室に戻った戻ったー」 (;´・ω・`)「えー」 先生がみんなをトイレの外に出す。 僕は、ツンにお願いをした。 ( ∴)「ツン、僕、ここに残っていい?」 ξ゚⊿゚)ξ「ん、いいよ」 ツンは頷き、もう一度トイレに戻ると、 僕をあの鏡の前にある洗面台に乗せてくれた。 ( ∴)「ありがとう」 ξ゚⊿゚)ξ「どーいたしまして!」 ( ^ω^)「ツンー、早くするおー」 ξ゚⊿゚)ξ「はーい! ……じゃ、ゼア、行ってきます」 ( ∴)「行ってらっしゃい」 手を振り合う。みんながいなくなって、僕は一人ぼっちになった。
- 314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 00:35:05.99 ID:JrjYigTBO
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( ∴) |(∵ ) | 鏡の中の僕は、やっぱり逆さまだ。 ( ∴)「ねえ」 声をかけてみる。 ( ∴)「ねえ……君」 返事は無い。 ちょっぴり変な鏡ってだけ? |(∵ ) | ( ∴) |(∵ )ノシ | ( ∴)「!!」 手、振った。
- 318 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 00:54:08.08 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「君、ただの鏡じゃないんだね」 |(∵ ) |「……うん」 喋った。 ( ∴)「名前は?」 |(∵ ) |「ビコーズ」 ( ∴)「ビコーズ?」 名前、ちゃんとあるんだ。 ( ∴)「ビコーズは前から鏡だったの?」 |(∵ ) |「違う」 ( ∴)「……?」 どういうことかと首を捻っていると、 ビコーズは、鏡の中からこっちに手を伸ばしてきた。 ( ∴)「あ」 その手が、鏡面を突き抜ける。
- 321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 01:16:44.74 ID:JrjYigTBO
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(;∴)「わ、わ」 鏡の中から外へ、どんどん腕が伸びてくる。 肩から先が、全てこっち側に現れたところで、ビコーズは動きを止めた。 ちょっと、間を空けて。 (∵ )「えいっ」 一気に、体全体を傾けてきた―― ( ∴)「……あれ?」 ――その一瞬の直後。 ビコーズが、見当たらなくなってしまった。 鏡にも、こっちにも、どこにもいない。 ( ∴)「ビコーズ?」 「――僕には、体が無いんだ」 (;∴)「わっ」 かと思えば、すぐ傍でビコーズの声がした。 びっくりして、体が跳ねてしまう。
- 325 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 01:31:18.41 ID:JrjYigTBO
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(;∴)「ビコーズ、どこ?」 「君の隣」 (;∴)「見えないよ」 「そういうもんなの。僕には顔も体も無いから」 そういうもんらしい。 ( ∴)「それは、鏡と何か関係があるの?」 訊きながら鏡を見ると、正しい向きの僕がいた。 ビコーズがいなくなると、鏡は元に戻るみたいだ。 「――僕、体が欲しいの」 ( ∴)「体?」 「昔、土で体を作ろうとしたけど、僕は不器用だから、出来なくてね」 ( ∴)「……うん」
- 328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 01:40:31.96 ID:JrjYigTBO
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「だから、昨日、鏡の中に入ったの。 そうすれば、鏡の前に立った人の姿を借りられるかと思って」 ( ∴)「……ちょっと、見た目が違うけどね」 「……不器用なんだもん」 ( ∴)「それで、その作戦、上手くいってる?」 「あんまり」 ( ∴)「あんまり?」 「さっき気付いたけど、みんな手を洗ったらさっさと出ていっちゃうから、 ほんのちょっとの時間しか体を借りられないんだ」 ( ∴)「……」 「……不器用なんだもん」 それは不器用というより、 ちょっと頭が良くないだけじゃないだろうか。
- 334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 01:49:11.07 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「どうするの? これからも鏡に居るの?」 「いい方法が浮かぶまでは、ここに居ようかな」 ( ∴)「ん、頑張って」 「頑張るよ」 鏡の中の僕が、また逆さまになった。 |(∵ ) |「お話、聞いてくれてありがとう」 ( ∴)「どういたしまして」 *****
- 339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 02:13:30.73 ID:JrjYigTBO
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次の日、例の鏡に生徒達が群がっていた。 違う姿が映るのが面白いんだろう。 怖がる子もいたけれど、殆どの生徒はけらけら笑っていた。 この学校どうなってるんだ。 ( ^ω^)「やべえwww改めて見ると何だこれwwwww顔面崩壊wwwww」 中でも、先生が一番はしゃいでいる。 見てるこっちが恥ずかしい。 ξ゚⊿゚)ξ「あれ、ビコーズだっけ?」 ( ∴)「うん」 (´・ω・`)「いっぱい人が来たから喜んでるかもね」 ツン達には、ビコーズのことを話しておいた。 ショボンの言う通りに、喜んでるのかな。だといいんだけど。 ('、`*川「……うーん」 ( ∴)「どうしたの?」 ('、`*川「……何でもないけど」 難しい顔をして、ペニサスが唸る。 何なんだろう?
- 341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 02:32:55.66 ID:JrjYigTBO
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('、`*川「あんまり、ビコーズに近付かない方がいいかもしんないね」 教室に行くなり、ペニサスがそう言った。 (*゚ー゚)「え?」 ( ∴)「どうして?」 昨日はペニサスも面白がってたのに。 ('、`*川「ビコーズは、物に取り憑けるんだよ。 いつか、誰かの体を乗っ取っちゃうかもしれない」 (;´・ω・`)「……こわい」 ('、`*川「『かもしれない』、だからね。絶対ってわけじゃないよ」 ( ∴)「……」 そっか。土で体を作ろうとしたってことは、 体さえあれば、それを操れるようになるってことだ。
- 348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 04:33:52.92 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「……でも、そんなこと、するように思えないよ」 ('、`*川「そう?」 ( ∴)「うん」 ('、`*川「んー……」 ビコーズは、そんなのしない、と、思いたい。 ……しないよね。 ***** |(∵ ) |「こんにちは、今日も来たんだ」 みんなは授業を受けてる時間。 僕は、昨日のように、ビコーズの所に行った。 自力で洗面台に上るのにはなかなか苦労した。 ( ∴)「こんにちは。ビコーズ、体が欲しい?」 挨拶もそこそこに、直球で訊ねてみる。
- 349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 04:38:18.03 ID:JrjYigTBO
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|(∵ ) |「急だね」 ( ∴)「気になるから」 |(∵ ) |「……欲しいよ」 ( ∴)「じゃあ、誰かの体を欲しがったりする?」 |(∵ ) |「?」 ( ∴)「……人の体を、奪おうって、思う?」 |(∵ ) |「……」 ( ∴)「……」 |(∵ ) |「そっか」 |(∵ ) |「そういう方法も、あるね」 ( ∴)「……ビコーズ」 |(∵ ) |「自分で体を作る必要も無いし、こんな鏡に居なくてもいいね、それなら」
- 350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 05:00:15.34 ID:JrjYigTBO
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|(∵ ) |「でも、しないよ」 ( ∴) |(∵ ) |「それじゃあ、体の持ち主が可哀相じゃない」 ( ∴)「……そっか」 |(∵ ) |「だから、しない」 ( ∴)「……ビコーズがいい人で、良かった」 |(∵ ) |「えへへ」 *****
- 351 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 05:07:26.87 ID:JrjYigTBO
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――次の日。 ビコーズは、鏡の中から消えていた。 |(∴ ) | ( ∴) |(∴ ) | ( ∴)「……ビコーズ?」 |(∴ ) | 鏡に映る僕は、顔が、ちゃんと正しい向きになっている。 僕が手を挙げれば、鏡の僕もしっかり手を挙げる。 話し掛けても、答えてくれない。 ビコーズが、いない。
- 353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 05:30:28.96 ID:JrjYigTBO
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ξ゚⊿゚)ξ「いなくなっちゃったの?」 (;∴)「うん」 教室に戻って、ツンにビコーズが消えたことを伝えた。 授業中だったけど、気にしない。 (;´・ω・`)「……誰かの体に入っちゃったのかな」 (;^ω^)「え!? 何!? 入るって何!?」 (;*゚ー゚)「そ、そうなの? ペニサス」 ('、`*川「私には分かんないよ」 ξ゚⊿゚)ξ「……ゼア、どうする?」 ( ∴)「……どうしよう」 探したいけど、ビコーズは姿が見えない。 誰かの中に入ってるとしても、そんなの調べようもない。
- 355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 05:40:08.37 ID:JrjYigTBO
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ξ゚⊿゚)ξ「……せんせー」 (;^ω^)「お?」 ξ゚⊿゚)ξ「私、ちょっと、ゼアと一緒にビコーズ探してくる」 (;^ω^)「授業中だお!?」 ξ゚ -゚)ξ「行くったら行くの!!」 僕を抱えて、ツンは教室を飛び出した。 後ろから先生の声がしても、止まらなかった。 ***** 爪'ー`)y‐「……で、何で俺のところに来んの」 校舎の裏、端っこ。 僕とツンは、祠の前にやって来た。 この間まで雑草だらけだった一帯は、すっかり綺麗になっている。 祠を直した後、先生が、他の教師達に祠の存在を教えてあげたのだとか。 今じゃ、教師と生徒が交代で祠のお手入れをしている。
- 356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 05:53:21.49 ID:JrjYigTBO
-
その祠の上に、フォックスは座っていた。 初めて、泣いてない彼を見た気がする。 小さな祠なのに、大人――の姿――のフォックスが座ってもびくともしない。 丈夫、というより、フォックスの方に何かあるのかな。 たとえばとても軽いとか。神様だし。本体は小さな木彫りの狐だし。 ( ∴)「フォックスなら、何か分かるかなって思った。神様だから」 爪'ー`)y‐「安易な理由だなあ」 _,、_ ξ゚⊿゚)ξ「……たばこ、けむい」 ツンが顔を顰める。 ――フォックスは、何故か煙草を吸っていた。 ( ∴)「それ、どうしたの?」 爪'ー`)y‐「お供えされてた。美味い」 ぷかぷか、煙を浮かべるフォックスは、本当に嬉しそうだ。
- 360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 06:09:34.69 ID:JrjYigTBO
- _,、_
ξ゚⊿゚)ξ「むううう」 ツンが、ぱたぱた手を振って煙を散らす。 煙草、嫌いなんだなあ。 爪'ー`)y‐「――ま、お前らには世話になったし。 助けてやらないこともないよ」 ( ∴)「本当?」 爪'ー`)y‐「ああ」 祠の上で立ち上がり、フォックスは、辺りをきょろきょろ見渡した。 そして、飛び下りる。 音も立てず、僕らの隣に着地した。 爪'ー`)y‐ すう、と、煙草を一気に吸い込む。 ――そのまま、斜め上を見上げ、煙を吹き出した。
- 361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 06:24:03.71 ID:JrjYigTBO
-
( ∴)「――おお」 ξ゚⊿゚)ξ「おー!」 煙は空気に溶けることなく、するする、紐が風に吹かれるように流れていった。 爪'ー`)y‐「ほら」 フォックスが、煙の向かう方向に顎をしゃくる。 追い掛けろってことかな? ( ∴)「ツン」 ξ゚⊿゚)ξ「うん」 ツンも分かったようで、僕を抱えたまま駆け出した。 ありがとう、と声を張り上げると、 おう、というフォックスの返事が微かに届いた。 *****
- 363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 06:34:18.71 ID:JrjYigTBO
-
――煙は、校庭の隅っこに来ると、ふんわりと渦を描き始めた。 何かを包むみたいに。 すると、煙の中から、けほけほ、咳込む声がした。 ( ∴)「……ビコーズ?」 呼び掛ける。 途端に煙は霧散し、そこには何も無くなった。 いや、無くなったように見えるだけで、 ちゃんとビコーズがいる。 「――……見付かっちゃった」 どこかしょんぼりした様子で、ビコーズが言う。 ツンが、「ほんとにいた」と呟いた。
- 365 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 06:47:05.84 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「逃げないでね」 念のため、ビコーズに釘をさす。 逃げられたら、またフォックスのところに戻ってお願いしなきゃいけない。 「……うん」 ( ∴)「じゃあ、訊いていい?」 「いいよ」 ( ∴)「――どうして、鏡から消えちゃったの?」 問い掛ける。 返事が、なかなか来ない。 沈黙。 ( ∴)「……ビコーズ、いる?」 僕らには、ビコーズが見えない。 だから逃げられても分からない。 ちょっと、不安になった。 「いるよ」 ほっ、と、僕とツンが同時に息をついた。
- 366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 07:01:53.72 ID:JrjYigTBO
-
また、少し沈黙が流れて。 「……恐くなった」 ぽつり、言葉が落ちた。 「君から、誰かの体を奪うかって訊かれたとき、 僕は初めてその方法に気付いた」 「でも、昨日言った通り、そんなことしたら相手が可哀相だ」 「だから、やっちゃいけないでしょ。 分かってるよ。駄目だって」 「……分かってるけど……」
- 369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 07:08:54.10 ID:JrjYigTBO
-
「考えれば考えるほど、魅力的に思えるんだ」 「どんな人を狙えばバレにくいかなんてことさえ、考え始めた」 「……恐くなった。本当に実行しちゃいそうで」 「あのまま鏡にいたら、誰かが鏡の前に立ったとき、 その人の体に入り込んでしまいそうで」 ( ∴)「……それで、鏡から離れたの?」 「……うん」
- 370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 07:24:44.85 ID:JrjYigTBO
-
( ∴)「……ごめんね。僕が余計なこと言ったから」 「ううん。どうせ……いつか、同じことを思いついてたよ、きっと」 ξ゚⊿゚)ξ「……ねえねえ」 不意に、ツンが僕の頭を指先でつついた。 ( ∴)「なあに?」 ξ゚⊿゚)ξ「体、作ってあげようよ」 ( ∴)「……どうやって?」 ξ゚⊿゚)ξ「分かんないけど」 ( ∴)「……」 ***** というわけで。 爪'ー`)y‐「また来たのかよ」 今度はビコーズを連れて、再びフォックスのもとを訪れた。
- 373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 07:42:54.39 ID:JrjYigTBO
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爪'ー`)y‐「体ねえ……」 煙草を咥えて、フォックスは考え込む。 ちらちら視線を僕らの後ろに向けるが、もしかしてビコーズが見えるのだろうか。 気になったので訊いてみるが、「居るのが分かるだけだ」と返された。 それも充分凄いけど。 ――しばらく経って。 フォックスは、ぽんと手を叩いた。 爪'ー`)「ちょっと、こっち来い。ビコーズとかいうの」 煙草を指で弾く。 地面に落ちる前に、煙草は跡形もなく消えた。 「……どうするの?」 爪'ー`)「そこに座れ」 祠の下を指差して、フォックスは言う。 フォックスの目が、上から下へゆっくり移動したところを見ると、 ビコーズは言われた通りに座ったようだ。
- 375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 08:04:52.95 ID:JrjYigTBO
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爪'ー`)「どんな姿になりたいのか、強く思い浮かべろよ」 ビコーズが居るであろう場所に掌を翳し、フォックスは目を閉じる。 ――そのとき、土が、僅かに盛り上がった。 上に向かって形を変えていく土。 ξ゚⊿゚)ξ「……あれって」 徐々に出来上がるそれを見て、ツンはぽかんと口を開けた。 ( ) ( .) 小さな、人間を簡略化したような形。 ぽつんと穴があく。 見覚えがある。 あれは――
- 377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 08:23:02.07 ID:JrjYigTBO
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( ∵) 僕を映したときの、ビコーズの姿。 大きさも、僕と同じくらい。 爪'ー`)「……何だ、そんなのでいいのか」 ( ∵)「これがいいんだ」 ビコーズは、茶色い両手を見比べる。 彼の頭のてっぺんをフォックスが叩くと、 ビコーズの体が薄い黄色に変わった。 綺麗な色だ。 爪'ー`)「俺の家の下にある土だからな、ちょっとやそっとじゃ壊れないし、 水に濡れてもへっちゃらだ」 ( ∵)「……ありがとう」 爪'ー`)「ふん」
- 378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 08:32:27.04 ID:JrjYigTBO
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( ∵)「……みんな、ありがとう……」 ( ∴)「ううん。――良かったね、ビコーズ」 ( ∵)「うん。……うん……」 ξ*゚⊿゚)ξ「ゼアが増えたみたい!」 ツンが、ビコーズと僕をまとめて抱きしめる。 何度も頬擦りを繰り返し、 _,、_ ξ゚⊿゚)ξ「……ビコ、柔らかくない」 不満そうな顔をした。 爪'ー`)「そりゃあ土を固めて出来てるからな」 ξ゚⊿゚)ξ「あっ」 ツンの手からビコーズを奪い、フォックスはビコーズを肩に乗せた。
- 380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 08:41:41.14 ID:JrjYigTBO
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爪'ー`)「俺が作ってやったんだ。 礼代わりに、しばらく俺と一緒に居てもらうぜ。 ここ、祠の手入れ以外にゃ滅多に人が来ないから、退屈なのさ」 ( ∵)「うん。……僕も、1人じゃ寂しいから、是非」 爪;ー;) ブワッ ( ∴)「あーあ」 せっかく、今日は全く泣かなかったのに。 (;∵)「な、何、何なの?」 ( ∴)「泣き虫なだけ」 爪;ー;)「やっと一人ぼっちから解放された……」 (;∵)「そんなことで泣いてるの……よしよし」 そのとき、チャイムが鳴った。たしか、これから給食の時間だ。 ξ゚⊿゚)ξ「あっ、ゼア、戻ろう! フォックス、ビコ、またね!」 ( ∴)「またねー」 ツンが走り出した。 落とされないように踏ん張りながら、僕は2人に向かって手を振る。
- 382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 08:46:49.24 ID:JrjYigTBO
-
ビコーズは、まるでそう出来るのが嬉しくて堪らないかのように、ぶんぶん手を振った。 へたくそな鏡は、自分の体を手に入れられたのだ。 *****
- 309 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 00:18:33.27 ID:ySUmsuHiO
- しえーん
 http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_390.png
- 379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 08:35:51.34 ID:0vBhMKvGO
- 作者はこの間からずっと何かしら書いてるが、せいとかいの番外は大丈夫か
支援
- 383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 08:54:23.40 ID:JrjYigTBO
-
キリがいいところで 外出の時間だ。若干遅刻しそう 今日は昼までには帰ってこれる筈だから、昨日よりはガシガシ進められる、といいな 午前中も、空いてる時間に書き進めていくと思う >>309 かわいいいいいわああああああああああ! ありがとう! ツン! ツン! ツンんんんんわああああああ! ゼアぁああああいああああああ!! >>379 一応書き溜めはしている。何とか間に合うといいなと思っている
- 389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 10:12:15.37 ID:JrjYigTBO
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よにんめ:お喋りな猫
- 390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 10:27:41.13 ID:JrjYigTBO
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ミセ*゚ー゚)リ「あれ、ゼアちゃん、今日はツンについていかなかったの?」 ( ∴)「うん。おかえり」 お昼。 買い物から帰ってきたミセリは、 テーブルの上でメモ帳に落書きをしていた僕に声をかけてきた。 今日は、家で過ごしたい気分だった。 ミセ*゚ー゚)リ「お昼ご飯、何がいい?」 ( ∴)「ふりかけのおにぎり!」 ふりかけを混ぜたおにぎりは美味しい。 わかめご飯も最高だ。 ミセ*゚ー゚)リ「のりたま?」 ( ∴)「のりたま」 ミセ*゚ー゚)リ「すき焼き味のふりかけも買ってきたけど」 ( ∴)「う……」 僕が迷っていると、ミセリはくすくす笑って「両方ね」と言った。
- 391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 10:41:26.21 ID:JrjYigTBO
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お昼ご飯。 ミセリも僕も、メニューはふりかけおにぎり。 (*∴)) ムグムグ ミセ*゚ー゚)リ パクパク ほんのり甘くて、ほんのりしょっぱい。 美味しいなあ。おにぎり大好き。 ミセ*゚ー゚)リ「あれ」 ふと、ミセリが顔を上げて窓の方を見た。 つられて僕も窓を見る。 (,,゚Д゚) 猫が一匹、そこに座っていた。 ミセ*゚ー゚)リ「ギコちゃん」 名前だろうか、ミセリが呟く。 ん? ギコ、って何か聞き覚えがあるな。
- 396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 12:28:04.12 ID:JrjYigTBO
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ミセリが窓を開ける。 ギコと呼ばれた猫は、するりと中に入ってきた。 ミセ*゚ー゚)リ「待っててねー」 ギコはテーブルから少し離れた所で、お行儀良く座っている。 僕をじっと見つめているが、まさか僕を食べる気じゃあるまいな。 キッチンに引っ込んだミセリ。 少しして戻ってきた彼女は、缶詰を持っていた。 キャットフードみたいだ。 ぱきん、と小気味のいい音を立て、缶詰を開ける。 (,,゚Д゚) ゴルァー ミセ*゚ー゚)リ「はいはい」 急かすようにミセリの足へ擦り寄るギコに微笑み、 ミセリはギコの前に缶詰を置いた。
- 397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 12:48:54.92 ID:JrjYigTBO
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(,,゚Д゚) モチャモチャ 必死に食べてる。 美味しいのかなあ。 (,,-Д-)=3 ケプ (*∴)=3 ケプ ギコがキャットフードを、僕がおにぎりを食べ終えたのは同時だった。 ( ∴)「ごちそうさま」 ミセ*゚ー゚)リ「おそまつさま」 ( ∴)「……ねえ、ミセリ、あのギコって……」 ミセ*゚ー゚)リ「ツンのクラスメートの子が飼ってる猫ちゃんだよ。 お昼になると、ご近所さんに行ってご飯ねだるの。 今日は、うちで食べる気分だったのね」 ――あ。 なるほど、しぃの家の猫か。
- 399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 13:27:09.94 ID:JrjYigTBO
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(,,゚Д゚)「――ふぅ。美味かった。ごっつぉさん」 ( ∴) わあ。喋った。 ミセ*゚ー゚)リ「おそまつさまー」 (,,゚Д゚)「……見ねえ顔だな。ガキが言ってた、『ゼア』って奴か?」 ( ∴)「うん。ゼアフォー」 (,,゚Д゚)「ほーん」 渋い声だなあ。 何歳なんだろう。 ギコは耳の後ろを足で掻いて、欠伸を一つ漏らす。 (,,゚Д゚)「……あーあ。そんじゃな、奥さん」 ミセ*゚ー゚)リ「またね」 開けっ放しの窓辺に飛び乗り、ギコは振り返った。 ……気になる。 ( ∴)「……ねえ」 (,,゚Д゚)「あん?」
- 400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 13:33:12.25 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「どこに行くの?」 (,,゚Д゚)「その辺散歩するだけだ」 ( ∴)「ついてっていい?」 (,,゚Д゚)「……ああ?」 ( ∴)「君と遊びたい」 (,,-Д゚)「……」 (,,゚Д゚)「ま、いいか」 乗れ、とギコが背を向ける。 ミセリが僕を抱え、ギコの背中に乗せてくれた。 (,,゚Д゚)「しっかり掴めよ」 ( ∴)「うん」 ミセ*゚ー゚)リ「気を付けてねー」
- 401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 13:48:48.13 ID:JrjYigTBO
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たん、と、ギコは窓辺を蹴った。 (;∴)「――ちょぉおおおおおっ!?」 迫る地面。浮遊感。 それもほんの一瞬で、ギコは難無く着地する。 ギコの、舌打ちする音がした。 (,,゚Д゚)「うるせえよ」 (;∴)「ご、ごめん……びっくりしたから」 (,,゚Д゚)「ったく」 あからさまに溜め息をついて、ゆっくり歩み始めた。 ***** ギコは僕が乗っているのを考慮してか、人気のない所を進んでいった。 ふわふわな背中が心地良い。
- 404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:01:03.24 ID:JrjYigTBO
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<_プー゚)フ「おー、ギコ」 (,,゚Д゚)「よう」 ( ∴)「あ」 <_プー゚)フ「あ」 すれ違いざま、ギコに挨拶をしていったもの。 真ん丸で半透明なおばけ。エクストだ。 <_プー゚)フ「ゼアフォーだ」 ( ∴)「こんにちは、エクスト」 つい数日前から、エクストは家に来なくなった。 ジョルジュを狙っていた「あいつ」が、ようやく諦めたのだそうだ。 <_プー゚)フ「ギコと友達なのか?」 (,,゚Д゚)「さっき会ったばっかだ」 <_プー゚)フ「ふーん、友達でもないのに背中に乗せるなんて珍しい」 (,,゚Д゚)「美味い飯食って機嫌良いからな」
- 406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:11:33.89 ID:JrjYigTBO
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エクストとギコは知り合いなのか。 結構親しげだ。 <_プー゚)フ「そんじゃーなー」 (,,゚Д゚)「ああ」 いくらか雑談をして、一区切りついたところでエクストはどこかへ行ってしまった。 ( ∴)「ギコ、エクストと仲良いの?」 (,,゚Д゚)「まあな。――この辺の奴らとは大体知り合いだ」 ( ∴)「……ギコって何者なの……」 (,,゚Д゚)「たかだか50年生きてるだけの、普通の猫さ」 ( ∴) まじか。
- 408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:24:27.66 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「……50年って普通なの?」 (,,゚Д゚)「さあなあ。――多分、人間共は、俺みたいなのを猫又って呼ぶんだろうさ」 ( ∴)「ふうん……」 じゃあ、ギコは、ジョルジュや先生より年上なんだ。 みんなより小さいのに、何か、凄い。 ( ∴)「ギコって、昔からしぃに飼われてたの?」 (,,゚Д゚)「いや、飼われたのは最近だ。2、3年ぐらい前だな」 狭い道を進む。 いや、道とも呼べないような、何と言うか草むらみたいな所だ。 ――しばらく行くと、草むらが途切れた。 古めかしい、赤い何かが現れる。
- 410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:31:17.46 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「何、これ」 (,,゚Д゚)「鳥居っつーやつだ」 ( ∴)「とりい?」 トリイとかいうものの下を潜る。 すると、大きな建物が正面にあった。 ( ∴)「あれは? お家?」 (,,゚Д゚)「神社。神様が居る」 ( ∴)「神様……フォックスみたいなの?」 (,,゚Д゚)「何だ、フォックス知ってんのか」 ( ∴)「うん」 (,,゚Д゚)「そういや最近会ってねえな……泣き虫なのは治ったのかね」 ( ∴)「すぐ泣くよ」 (,,゚Д゚)「はは、そうかい」
- 413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:46:06.63 ID:JrjYigTBO
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平らな石で出来た道。 ギコはその道の端っこを歩く。 そして、適当な場所で足を止めると、その場に丸くなった。 (,,-Д-)「どっこいせっと」 おじさんくさっ。 (,,-Д-)「あー……きもちいい」 ( ∴)「そうなの?」 (,,-Д-)「神社でするひなたぼっこは最高だよ」 ( ∴)「ふうん……」 僕からすれば、ギコの上はもふもふで暖かいし、それだけで気持ちいいから 神社がどうとか、あまり関係ない。 たしん。 ギコの尻尾が一度、地面を軽く叩いた。
- 416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 14:54:48.71 ID:JrjYigTBO
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とくとく、ギコの心臓の音が聞こえる。 あったかいなあ。 静かだなあ。 (,,-Д-) ( ∴) 眠たくなる。 寝ちゃおうかな。 でも、昼寝したら、夜に眠れなくなるかも。 どうしようかな―― (,,-Д-)「……俺はよ」 沈みかけた意識が、ギコの声によって浮上する。 ( ∴)「ん?」 (,,-Д-)「生まれたときは野良だった」 ( ∴)「……うん」
- 418 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 15:06:20.17 ID:JrjYigTBO
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(,,-Д-)「大人になっても野良だった。 野良のまま生きて、歳くって、よぼよぼになって」 (,,-Д-)「ある日、ぱったり倒れたまんま、起き上がれなくなった。 死んじまうんだろうなって思った」 (,,-Д-)「――そこに、女のガキが来た」 (,,-Д-)「俺を抱えて、家に連れ帰った」 (,,-Д-)「ろくに動けねえ俺に、なんとかして飯食わせようとしてた。 あんまりにも必死だったからよ、一口だけ食ってやったよ」 ( ∴)「……それから、どうしたの?」 (,,-Д-)「その一口のせいかなあ。一日だけ、持ちこたえた」 (,,-Д-)「でも、やっぱり、次の日には意識が無くなっちまったんだ」 ( ∴)「死んじゃったの?」 だけど、ギコはこうして生きてるし、心臓も動いてる。 何があったんだろう。
- 421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 15:22:13.15 ID:JrjYigTBO
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(,,-Д-)「目を覚ましたら、この神社の前に居た。 体が、若いときみたいに軽くて、頭も冴えきってて。 何が何だか分かんなかったよ」 (,,-Д-)「しばらく町をぶらついてたら、知り合いの猫に会った。 話を聞きゃあ、どうにも、俺の意識が無くなってから 数ヶ月経っていたらしい」 (,,-Д-)「ますます混乱した。 知り合いも、俺が若々しくなってんのに気付いて驚いてたな」 ( ∴)「それは――生き延びたってこと?」 (,,-Д-)「俺も分かんねえや。 何ヶ月も気絶して、奇跡的に生きていられたのか、 一度死んでから生き返ったのか――。 分かるのは、現在進行形で生きてるってことだけさ」 (,,-Д-)「……そんで、俺を拾ったガキのことを思い出した。 礼だの何だのがしたかったわけじゃねえ。 ただ気になったから、見に行ったんだ」 ( ∴)「見付かったの?」 (,,-Д-)「うんにゃ。……引っ越したらしかった。 俺が目を覚ます、ほんの数日前に」
- 424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 15:39:17.83 ID:JrjYigTBO
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(,,-Д-)「何なんだろうなあ。寂しいんだか知らないが、変な気持ちになった」 (,,-Д-)「それから何年も町をぶらぶらしてる内に 俺を拾おうとする人間が数人いたが ……あのガキのことを考えると、どうにも、関わる気になれなかった」 (,,-Д-)「まあ、一匹きりだろうと、何十年も生きれるもんだ。 言葉も覚えた。物事を知った。 何でも出来るようになった」 (,,-Д-)「ただ、あのガキに会うことだけは、どうしても出来なかった」 (,,-Д-)「――そして、一昨年だったか、それより前だったか。 しぃってガキに会った」 昔俺を拾ったガキに、どこか似てるんだ」 (,,-Д-)「この俺が……自分から、拾ってくれるよう頼んだ。 一緒にいたかったのさ」
- 425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 15:51:51.79 ID:JrjYigTBO
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(,,-Д-)「そしたら――なあ、信じられるか、お前。 あのガキに会えたんだよ」 ( ∴)「あの、って……」 (,,-Д-)「昔俺を拾ったガキさ。歳はとってたが……。 しぃの母親だったんだ。 何でも、最近になって、またここに戻ってきたんだと」 (,,-Д-)「そいつは俺を見て、『昔見た猫に似てる』って背中を撫でた。 ……いてもたってもいられなくてよ、『それは俺だ』って言っちまった」 (,,-Д-)「当然みんな驚いてたが、それでも、みんな俺を受け入れてくれた」 ( ∴)「凄いね。何十年越しに再会したんだ」 (,,-Д-)「ああ。こんなこともあるんだぜ」
- 430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 16:09:13.09 ID:JrjYigTBO
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(,,-Д-)「ゼアフォー。縁って、大事なもんだ。 一度でも会って仲良くなれたなら、その相手との記憶を大切に持ってろ。 たとえ何年も何十年も会えなくても、毎日一緒にいても、 相手への想いは忘れずにいろ」 (,,-Д-)「縁があって、また会えたとき。 そのときに抱えている想いが強ければ強いほど、 想いは、また大きくなる」 ( ∴)「……ごめん、よく分かんない……」 (,,゚Д-)「――要するに、家族でも友達でも、好きな奴らへの気持ちは 大切にしろってこった」 ( ∴)「うーん……」 (,,-Д-)「分かんなきゃ分かんないでいいさ」 ( ∴)「難しいけど……分かったこともあるよ。 ギコは、しぃのお母さんが好きなんだね」 (,,゚Д゚) (,,゚Д゚)「ばっ」 (*;,゚Д゚)「ばっ……!」
- 434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 16:22:06.26 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「? そういうことじゃないの?」 だって、ギコの言うことがギコ自身の体験から学んだことなら、 ギコの「好きな奴」は、しぃのお母さんってことじゃないか。 (,,//Д//)「ばばばっばっばばっ」 (;∴)「ぎ、ギコ?」 がばりと身を起こし、ギコは足に力を入れた。 尻尾がぶんぶん振られ、心臓も激しく鳴っている。 そして―― (;∴)「ぅうっ、うっわぁあああっ!?」 ギコは、全力かと思える速度で走り出した。 (,,//Д//)「ばばばバーカ!! そんなんじゃねえんだよ! ただ、貸し、貸し作っちまった気がして、なんか気持ち悪いから 探してただけだ!! わざわざ会いたかったわけじゃねえ!!」 (;∴)「ギコ、ギコ! 落ち着いて! ねえってば!」 速い。速い。がくがく揺れる。 僕、飛んでいっちゃいそうで恐いよ、ギコ。
- 438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 16:37:24.40 ID:JrjYigTBO
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(,,//Д//)「別に、別に、あんな人間なんか何とも思ってねえよ!! 日中は父親もしぃも出掛けるから家は俺とあいつの2人きりになるけど、 それが何だか気恥ずかしいからって毎日外に出歩いてるわけじゃねえ!! あいつと一緒に飯食うのが恥ずかしいから他所で貰ってるわけじゃねえええ!」 (;∴)「何の話!? どうしちゃったの、ギ――」 あ。 (;∴)「――!」 必死に掴んでいたギコの背中。 そこから、僕の手が、離れた。
- 439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 16:49:20.33 ID:JrjYigTBO
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(;∴)「いったあ……」 地面に打ち付けた体が痛む。 立ち上がり、辺りを見渡した。 道路かな。近くには家も何も無いし、人もいない。 歩道の隣には山か林があるみたいだ。 ……どこだろう、ここ。 ギコは見当たらない。僕が飛ばされたのには、気付かなかったか。 ( ∴)「……んん」 とりあえず、歩こう。 頑張れば帰れるかもしれない。 *****
- 441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 17:01:51.81 ID:JrjYigTBO
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(;∴)「うええ……」 だいぶ歩いた。へとへとだ。 周囲の風景はすっかり変わっている。 薄暗くて、何だか狭苦しい道。 ……僕、帰れるかな。 ツン達に、会えるかな。 (;∴)「ううう」 ナァゴ (;∴)「……ん?」 鳴き声? 俯かせていた顔を上げて――ちょっと、驚いた。 ( ・∀・) ニァア ミ,,゚Д゚彡 ニャオ 猫が2匹、僕の前に佇んでいたのだ。 ギコと同じか、それよりちょっと大きいくらいの猫。 何を言ってるのかは分からないけど、嫌な予感はする。
- 442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 17:12:39.27 ID:JrjYigTBO
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じりじり、2匹は近付いてくる。 (;∴)「……こ、来ないで……」 ( ・∀・) クルルルル (;∴)「っ、あ!」 片方の猫が、前足で僕を叩いた。 その拍子に倒れてしまった僕を、足で押さえつける。 ミ,,゚Д゚彡 ミアッ もう片方の猫が爪を立ててきた。 頬っぺたが僅かに裂ける。 痛い、痛いよ。 (;メ∴)「やめて! やめてってば!」 叫んでも、2匹には通じない。 また、爪が僕に傷を付けた。今度は体だ。 (;メ∴)「放して――」 僕がもがけばもがくほど、彼らは楽しみを覚えるらしい。 叩いて、引っ掻いて、踏みつける。
- 445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 17:23:51.93 ID:JrjYigTBO
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痛い。 恐い。 辛い。 苦しい。 嫌だ、こんなの。 (;メメ∴) 声も出なくなる。 息をすると、傷口が痛む。 ( ・∀・) ナァアン 猫が。 大きく口を開いて、僕の頭に牙を突き刺そうと、顔を下ろした。
- 447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 17:38:18.50 ID:JrjYigTBO
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「ゴォオオオルァアアアアアッ!!!!!」 (;・∀・)そ ミ;,゚Д゚彡 そ ブニャァアッ!? (;メメ∴)「……!?」 怒鳴り声。 何か、ぶつかる音。 僕の上から重みが消える。 (#,゚Д゚)「調子に乗んじゃねえぞ糞ガキ共ォオオオオオ!!」 あ。 ギコだ。 <_フ;゚ー゚)フ「ゼアフォー!!」 エクストも。 何でここに?
- 451 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 17:53:10.09 ID:JrjYigTBO
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<_フ;゚ー゚)フ「大丈夫か!?」 エクストが僕を抱える。 柔らかい。優しい感触。 (#,゚Д゚)「てめぇらァアアア! 何でもかんでも甚振って遊ぶなって前に言ったろうが! ――やっぱり、やられる側になんなきゃ分かんねぇか? ああ!?」 毛を逆立たせて喚くギコ。 大きな口から覗く牙が、逞しい前足の先の爪が、 今以上に凶悪な形に肥大し、歪んでいく。 ――そこまで見届けたところで、僕は気を失った。 *****
- 454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 18:09:11.93 ID:JrjYigTBO
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(□∴) ξ;⊿;)ξ 目を覚ますと、ツンの顔が視界一杯に広がった。 ξ;⊿;)ξ「ゼア!!」 (□∴)「ツン……」 傷口に、ガーゼや絆創膏が貼られている。 誰が手当てしたのかな。 あ、ツンが居るってことは、ここは家か。 それならミセリがやってくれたんだろう。 ξ;⊿;)ξ「ゼアぁ!」 ツンは僕を抱え、わんわん泣いた。 あんまり力を入れられると、痛いんだけど。
- 472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 20:06:51.74 ID:JrjYigTBO
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(□∴)「ツン、痛い痛い」 ξ;⊿;)ξ「ひぐう」 ミセ*゚ー゚)リ「あ、起きた?」 ぱたぱた、ミセリがやって来る。 ツンから解放されてようやく気付いたけれど、ここ、ツンの部屋だ。 <_プー゚)フ「ゼアフォー」 (,,゚Д゚) ゴルァー ミセリの後について、エクストとギコも現れた。 ギコは、普通の猫の姿をしている。 牙も爪も、大きくなんかなっていない。 (,,゚Д゚)「……すまんな、俺がお前を落としちまったから」 (□∴)「平気」 まだ、ずきずきするけど。
- 475 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 20:20:58.06 ID:JrjYigTBO
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――なんでも、騒ぎながら走っているギコを見付けたエクストが、 ギコを落ち着かせたとか。 僕がいないことをエクストが指摘して、ギコはようやく気付いたらしい。 そして2人で僕を探し回り、2匹の猫に虐められているところを発見した、と。 ξ;⊿;)ξ「ゼア、死なない? 大丈夫?」 (□∴)「死なないよ」 ツンは泣きじゃくりながら僕の頭を撫でる。 こんなに心配してくれるなんて、嬉しい。 (□∴)「……2人共、ありがとう」 <_プー゚)フ「おーう」 お礼を言うと、エクストはくるんと回転して返事をしたけれど、ギコは欠伸をしていた。 それを見てエクストが苦笑いを漏らす。 (□∴)「ギコ、ありがとう」 改めてお礼を言うと、
- 476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 20:23:51.09 ID:JrjYigTBO
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(,,゚Д゚)「……おー」 お喋りな猫は小さな声で返して、照れ臭そうにそっぽを向いた。 *****
- 479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 20:30:14.41 ID:JrjYigTBO
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「いた」 「……」 「そうか」 「……」
- 480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 20:41:15.78 ID:JrjYigTBO
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( ∴) 下校。ツンが、楽しそうに歌っている。 ξ゚⊿゚)ξ「ひとーにすーがたをみっせらっれぬ、けもののーよーなこのからだー」 アニメか何かの歌らしい。 ミセリが好きだとか何とか。 ξ゚⊿゚)ξ「はやく、にんげんになりたーい」 ( ∴) あっ。 ( ∴)「そういえば僕、人間になりたいんだった」 ξ;゚⊿゚)ξ「……そんな大事なこと忘れてたの?」
- 481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 20:49:46.00 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「何だか楽しくて、忘れてたよ」 ξ゚⊿゚)ξ「楽しかったんならしょうがないね」 ( ∴)「どうやったら、神様のところに帰れるかな」 ξ゚ -゚)ξ「……ゼアが帰っちゃうの、寂しい」 ( ∴)「ん」 神様のところに行ったら、こっちの人達とは会えなくなっちゃう。 それは。 ( ∴)「……寂しいね」 *****
- 483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 21:00:44.03 ID:JrjYigTBO
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(*∴)) アグアグ ミセ*゚ー゚)リ「ちょっと高いふりかけ買っちゃった。美味しい?」 (*∴)「美味しい」 _ ( ゚∀゚)「米粒ついてんぞー」 ξ゚⊿゚)ξ「お父さんも頬っぺたにご飯付いてるよ」 美味しくて、楽しくて、幸せ。 ( ∴) アグ… 人間になるのと、このままじゃ、どっちが幸せなんだろう。 *****
- 485 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 21:09:21.99 ID:JrjYigTBO
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ミセリが作ってくれた枕に頭を乗せて、ツンの隣に横になる。 電気を消して、ツンは「おやすみ」と言った。 僕も「おやすみ」と返して、目を閉じる。 ――どれくらい経ったか。 するり、僕の頬を撫でる、心地良い感触に気付いた。
- 486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 21:12:50.92 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「……?」 目を開ける。 感触の正体を知って――僕の頭は、真っ白になった。 枕元に、女の人が立っている。 川 ゚ -゚) 真っ白いドレスみたいな服を着た、とても綺麗な女の人。 ( ∴)「……神様……」 僕を作った、神様。
- 490 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 21:22:24.46 ID:JrjYigTBO
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慌ててツンに振り返るけれど、ツンが目を覚ます気配は無い。 川 ゚ -゚)「やっと見付けた……」 (;∴)「あ……ご、ごめんなさい、僕」 川 ゚ -゚)「気に病むな、あれは事故だ」 僕を掌の上に乗せ、神様は目を伏せる。 川 ゚ -゚)「……見付けるのが遅れてすまない」 ( ∴)「いいえ。大丈夫です――」 川 ゚ -゚)「大丈夫じゃ、ないだろう」 神様は、鼻先を僕の頬に擦りつけ、囁く。 川 ゚ -゚)「長い間、ここに居たんだ。……情が移ったんじゃないか」 ( ∴)「……」
- 494 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 21:28:14.95 ID:JrjYigTBO
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川 ゚ -゚) ( ∴) じっと、見つめ合う。 何だか、ふわふわ、変な気分。 会えて嬉しい。 けど、会えたのが、恐い。 川 ゚ -゚)「……君は」 神様が、再び口を開く。 川 ゚ -゚)「人間に、なりたいか」 ( ∴) ( ∴)「……はい」 川 ゚ -゚)「……そうか」 神様、悲しそうだ。 どうして? ( ∴)「神様――」 川 ゚ -゚)「残念だが、君が人間になるのは、難しいことだ」
- 501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 21:36:45.10 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「……え……」 川 ゚ -゚)「君は、この世界で名前を貰って、『家族』と暮らした」 川 ゚ -゚)「この世界で、生きてしまったんだ」 ( ∴)「……」 川 ゚ -゚)「もう、そのままの姿で、ここで暮らしていくしかない」 ( ∴)「……そんな、」 川 ゚ -゚)「ただし」 川 ゚ -゚)「どうしても人間になりたいなら、 一つだけ、方法がある」 ( ∴)「……」 川 ゚ -゚)「――君と関わった者の、君に関する記憶を、全部消す」 川 ゚ -゚)「君が、ここで生きたことを、無かったことにするんだ」
- 506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 21:43:54.82 ID:JrjYigTBO
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――人間になれないと言われたときより。 そっちの方が、ショックだった。 ( ∴)「……」 川 ゚ -゚)「……迷うか」 川 ゚ -゚)「やっぱり、君は、この世界にすっかり染まってしまったようだ」 たとえば、今、後ろで寝ているツン。 僕が怪我をしたときに泣いてくれたツン。 彼女の中からも、僕は消えてしまうの? ( ∴)「……」 川 ゚ -゚)「……私と話しても、決められないだろう」
- 507 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 21:46:45.53 ID:JrjYigTBO
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川 ゚ -゚)「もう一度、会っておいで。この世界に生きる人外に。 彼らを見て、決めておいで」 神様が、僕の頭のてっぺんに、唇を押し付けた。 目の前が真っ白になって。 それから。 *****
- 508 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 21:52:26.96 ID:JrjYigTBO
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( ∴) 真っ白な世界。 辺りを見渡していると、突然、目の前に見知った人が落ちてきた。 「ぶげっ!!」 ( ∴)「あ」 爪;ー;)「いてて……何だよ急に……」 ( ∴)「フォックス」 爪;ー;)「ああ? ……おう、ゼアフォーか」 僕を見て、フォックスは涙を着物の袖で拭った。 爪'ー`)「……はあ。で、何だ、ここ。夢ってもんじゃなさそうだが」 ( ∴)「んっと……」
- 510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 22:00:44.95 ID:JrjYigTBO
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ちょっと説明が難しかったけど、何とかフォックスに事情を話し終える。 フォックスは、「ふうん」と興味無さげに答えた。 ひとりめ:フォックス 爪'ー`)「で、お前、どっちがいいの」 ( ∴)「……分かんない」 爪'ー`)「分かんないっつったってな」 ( ∴)「うーん」 爪'ー`)「んじゃあ、人間になりたいと思う理由って何だよ」 ( ∴)「……理由……」 フォックスを見ていると、初めて彼と会ったときのことを思い出した。 祠が壊れて、泣いていたフォックス。 みんなが、祠を直してあげた。
- 513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 22:10:17.33 ID:JrjYigTBO
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ツンとしぃが木の狐を綺麗にした。 ショボンと先生が祠を直した。 ペニサスが飾りを作った。 僕が出来たことなんか、何も無かった。 ( ∴)「……人間になったら、人の役に立てる」 爪'ー`)「役?」 ( ∴)「僕は、フォックスに何も出来なかった。 みんなは頑張って色々してあげてたのに」 僕が大きかったら。 力持ちだったら。 知識を持ってたら。 人間だったなら。 あのとき、僕も、何かしてあげられた筈だ。
- 520 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 22:41:42.16 ID:JrjYigTBO
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爪'ー`)「……」 かりかり、フォックスは頬を指先で引っ掻いた。 爪'ー`)「あのさ」 ( ∴)「……何?」 爪'ー`)「お前は、一番大事なことをしてくれたと思うよ」 ( ∴)「?」 爪'ー`)「俺に気付いてくれた。俺を見ても逃げなかった。 ……みんなに、教えてくれたじゃないか」 ( ∴)「……」 爪'ー`)「お前がいなかったら、そもそも祠の修理なんかされなかっただろ」
- 525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 22:55:33.49 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「……」 爪'ー`)「嬉しかったよ。祠が元に戻ったのもそうだけど、 何より、お前が俺を何とかしようとしてくれたのが嬉しかった」 ( ∴)「……本当?」 爪'ー`)「こんな大事なところで嘘つけるわけねえだろ」 ――そっか。 そうなんだ。 僕も、フォックスのために必要なことを出来ていたんだ。 良かった。 爪'ー`)「ありがとう」 ( ∴)「うん……――あ」 フォックスが、消えた。 そして、今度は、後ろから声。
- 528 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:03:06.98 ID:JrjYigTBO
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<_プー゚)フ「あ、ゼアフォーだ」 ( ∴)「エクスト……」 ふたりめ:エクスト フォックスにしたように、エクストにも僕の現状を説明した。 エクストは、くるんと回転する。 <_プー゚)フ「めんどくさいことになってんなあ、お前」 まあ、否定はしない。 <_プー゚)フ「そーだなあ、人間になりゃ、便利だとは思うぞ」 ( ∴)「便利って?」 <_プー゚)フ「今のお前よりは、やれることの範囲が広がるんじゃないか」 ( ∴)「……だよね」
- 531 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:12:07.91 ID:JrjYigTBO
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<_プー゚)フ「だけど、記憶が何もかも消えちゃうんだよなー」 ( ∴)「……うん」 <_プー゚)フ「お前の中の、ツン達の記憶も無くなるんだろ」 ( ∴)「うん」 <_プー゚)フ「ツン達の中の、お前の記憶も無くなる」 ( ∴)「……」 <_プー゚)フ「お前の中の俺も、俺の中のお前もだ」 <_プー゚)フ「そりゃ、完全に消えちまうなら、後で悲しむことはないよな。 覚えてなけりゃ、悲しみようがないもん」 ( ∴)「……そうだね」 たしかに。 それなら、人間になる方を選んでもいいのかもしれない。 寧ろそうした方が、すべてすっきりする。
- 535 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:36:00.33 ID:JrjYigTBO
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<_プー゚)フ「でもそれは後の話だ」 ( ∴)「え?」 <_プー゚)フ「ちゃんとお前のことを覚えてる今、 お前が人間になることを考えると、すごく悲しい気持ちになるよ」 ( ∴)「……今……」 今。 今は、うん、……悲しい。 <_プー゚)フ「お前を忘れた俺より、お前を知ってる俺の方がいい」 <_プー゚)フ「血の繋がりもない家族が守られてたってだけで礼を言っちゃう、 そんなお前を知っていた方がいい」 ( ∴) エクストがジョルジュを守ってくれていたのを知ったとき、 僕は、自分のことでもないのに嬉しかった。 ――家族だったからだ。 大切な家族だったから、エクストに感謝したんだ。
- 539 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/15(水) 23:48:44.74 ID:JrjYigTBO
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( ∴)「……」 <_プー゚)フ「ま、俺は強制するつもりはないし。 好きにしてくれ」 ( ∴)「……分かった」 エクストが、消える。 次に来るのは、多分―― ( ∵)「ゼアフォー?」 ( ∴)「やあ」 さんにんめ:ビコーズ 3度目の説明。 ちょっと面倒になってきた。
- 543 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:06:07.59 ID:vXQJ6SqSO
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( ∵)「そんなことが……」 ( ∴)「残念ながら事実なんだ」 ( ∵)「うーん……」 ビコーズは、顎の辺りに手をやり、俯いた。 ( ∵)「……僕は、君にそのままでいてほしいと思う」 ( ∵)「それに、僕が体を持つきっかけをくれた君を、忘れたくない」 ( ∴)「……」 ( ∵)「だけど、君は、元々人間になるべき存在だった」 ( ∵)「僕が、欲しかった体を手に入れたように」 ( ∵)「君にも、望んでいた体が与えられればいい」
- 548 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:19:03.27 ID:vXQJ6SqSO
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( ∴)「そう、かな」 ( ∵)「僕は君が幸せになれるなら何でもいいよ」 ビコーズが、僕の手を握りしめた。 固い。冷たい。そういえば、彼は土で出来ているんだった。 ( ∵)「僕は君のおかげで幸せになれた。 感謝してる」 ( ∴)「……大したこと、してないよ」 ( ∵)「君にとっては大したことなくても、僕にはとても重要なことだった」 手を離す。 表情は変わらないけれど――もし彼が感情を顔に表せたのなら、 きっと、優しく笑っていたと思う。 ( ∵)「きみが幸せになれる道を選んで」 一瞬で、ビコーズはいなくなった。 ……次で、最後かな。 隣で、猫の鳴き声がした。
- 550 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:29:48.52 ID:vXQJ6SqSO
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(,,゚Д゚)「……何だ、ここ」 ( ∴)「僕にも、よく分かんない」 よにんめ:ギコ ちょっと疲れてきたけど、きっとこれで最後だ。 気合いを入れて事情を話す。 (,,゚Д゚)「人間になるか、このままか……」 ( ∴)「うん」 (,,゚Д゚)「……お前の姿は、ちぃと奇抜すぎる。 今のまま暮らしていくなら、色んなことに気を遣わなきゃいけなくなる」 (,,゚Д゚)「人間になりゃ、その辺りは問題なくなる。 堂々と生きていけるわけだ」 ( ∴)「……」
- 555 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:40:52.42 ID:vXQJ6SqSO
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(,,゚Д゚)「――俺にも、思うところはある」 でもな、と、ギコは言葉を続けた。 (,,゚Д゚)「でもな。それについては、もうお前に言ってるから、 今更改めて言う気は無い」 ( ∴)「……?」 座り込み、ギコは欠伸を一つ。 眠たそうな声で僕に問う。 (,,゚Д゚)「お前は、みんなが好きか?」 ( ∴)「大好きだよ」 (,,゚Д゚)「そうか」 じゃあ、いいんじゃないか。 ギコがそう言うと同時に、彼は、消えていった。
- 558 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 00:48:36.07 ID:vXQJ6SqSO
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( ∴) 真っ白い場所に1人きり。 みんなの言葉を思い返す。 ――そういえば、ギコが言ってたのは、 この間の、縁がどうのこうのって話かな。 ( ∴)「……」 *****
- 559 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:01:58.90 ID:vXQJ6SqSO
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川 ゚ -゚)「おかえり」 ( ∴)「……ただいま」 ふと気付くと、神様の掌の上に戻ってきていた。 川 ゚ -゚)「どうする?」 直球に、神様は訊ねる。 ――神様。 僕を作るのに失敗してしまったとき、ぽろぽろ、僕を想って泣いてくれた神様。 きっと、神様は、僕が人間になるのを望んでいる。 これから先もこのままの姿で生きていくのは、大変だろう。 それを考えた上で、神様は、僕を人間にしたがっている。 優しい神様。僕を作ってくれた神様。 僕は、勿論ツン達が大好きだ。 それと同時に、神様も大好き。
- 564 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:08:31.62 ID:vXQJ6SqSO
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( ∴)「……神様」 川 ゚ -゚)「ん?」 ( ∴)「僕は、神様が大好きです」 川 ゚ -゚)「私も、君が……みんなが、好きだよ」 ( ∴)「だから、神様の望む通りにしたい」 川 ゚ -゚)「……私の?」 ( ∴)「神様は、僕に、どうなってほしい?」 川 ゚ -゚)「――……人間に、なってほしいと思っているよ」 ( ∴)「……そうじゃなくて」 川 ゚ -゚)「?」 そうじゃ、なくて。 もっと、根本の。
- 565 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:11:27.15 ID:vXQJ6SqSO
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( ∴)「僕に、幸せになってほしい?」 川 ゚ -゚)「っ……」
- 566 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:16:25.48 ID:vXQJ6SqSO
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川 ゚ -゚)「……幸せになってほしい。 だから、人間になってほしい」 ( ∴)「……」 やっぱり。神様は、優しい。 ( ∴)「じゃあ。きっと、僕、幸せになれるから。――神様」 ( ∴)「僕のこと、『君』じゃなくて、『ゼアフォー』って呼んで」 川 ゚ -゚) 川 - -)
- 570 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:24:22.59 ID:vXQJ6SqSO
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「分かったよ。ゼアフォー」 *****
- 575 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:34:29.63 ID:vXQJ6SqSO
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ミセ*゚ー゚)リ「おはよー」 _ ( ゚∀゚)「おはよう、ツン、ゼア」 ξぅ⊿゚)ξ「おはよー……」 ( ∴)「おはよう。ツン、顔洗って目を覚ましたら?」 ξぅ⊿-)ξ「んー」 ツンが洗顔を済ませて、食卓につく。 みんなは、ふりかけご飯に目玉焼き、お味噌汁。 僕は、ふりかけご飯のおにぎり、お猪口に入ったお味噌汁。 ツンが、目玉焼きを細かくして、僕に分けてくれた。 美味しくて、すごく、幸せ。 *****
- 577 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:36:07.39 ID:kx7prRxZ0
- 意味が分からないんだが…
この応答の意味誰かおせーて
- 579 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:45:16.04 ID:vXQJ6SqSO
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爪'ー`)y‐ スパー _,、_ (,,゚Д゚)「久々に会ったと思えば……ヘビースモーカーになってやがったか、ゴルァ」 <_プー゚)フ「けむてー」 ( ∵)「僕は、もう慣れちゃったよ……」 ξ゚⊿゚)ξ「その煙、役に立ったことあるから許してあげる」 ( ∴)「祠に煙草の匂いついちゃいそうだね」 放課後、掃除の時間。祠周りの掃除、今日は2年生が当番の日。 そういうわけで祠に来ると、何故かエクストやギコまで集まっていた。 (´・ω・`)「祠に何かいっぱいいるー」 爪'ー`)y‐「おう、今日もしっかり掃除してけー」 (*゚ー゚)「あっ! ギコ、何でいるの?」 (,,゚Д゚)「んあ、ガキ……」 ('、`*川「ゼアっぽいのがいる」 ( ∵)「僕はビコーズだよ」
- 580 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:53:09.62 ID:vXQJ6SqSO
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(;^ω^)「みんな、行くの速……」 (;゚ω゚)「いやああああああああああ妖怪大戦争!!!!!」 <_プー゚)フ「うるせー奴だなあ」 (;゚ω゚)「怒られた! ごめんなさい!!」 爪'ー`)y‐「ほら早く掃除しろー」 (;゚ω゚)「ケモ耳のオッサンに命令されたあああああ! 何この新感覚プレイ!!」 ξ゚⊿゚)ξ「ゼア、一緒に祠磨こー」 ( ∴)「うん!」 ( ∵)「僕も手伝う」 (*゚ー゚)「ギコ、お昼は家でご飯食べなよ。お母さん寂しがってるよ」 (,,//Д//)「しっ知ったこっちゃねえよゴルァ!」 ('、`*川「今日は賑やかだね」 (´・ω・`)「ね」
- 581 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:55:24.41 ID:vXQJ6SqSO
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楽しいなあ。 僕は、人間にならなくてもいい。 僕はゼアフォーのままでいい。 だって、こんなにも、幸せ。
- 582 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:55:51.84 ID:vVYwyZbRO
- >>577
ゼア(ミセリに付けてもらった名前)で呼んで=今のままがいい ってことだろ?言わせんな恥ずかしい
- 585 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 01:59:26.30 ID:vXQJ6SqSO
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ξ*゚ー゚)ξ「ゼア、楽しいね」 (*∴)「そうだね、ツン」 ( ∴)早く人間になりたいようです おわり
- 596 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 02:07:59.39 ID:vXQJ6SqSO
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終わりだよ! 3日? 4日? とりあえず数日間お付き合いいただき感謝感謝 最後の方、分かりづらかったようで申し訳ない 読んでくれた方、レスしてくれた方、途中保守してくれた方、いたぶってくれた御主人様、 このスレタイでスレを立ててくれた>>1さん、皆さんありがとうございました!! 後半何かスレタイ関係なくなっちまってる気がするかもしれないが、それは気のせいだ >>474 すごくかわいい。ツンぺろぺろぺろぺろ ありがとう! ツンぺろありがとう! >>545 うっひょーまさかの人外共。和みが半端ねえな! ありがとううううう! 絵を描いてくれた方々も、ほんっとありがとうございました! 全部保存しました 質問・指摘とかありましたらばお願いします
- 600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 02:08:57.90 ID:EnDl5I0p0
- (∴)<僕の性感帯はどこですか
- 604 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 02:19:00.26 ID:vXQJ6SqSO
- >>600
開発さえすりゃあどこでも性感帯さ ゼアと神様の最後のやり取りに関しては、>>582の通りです 分かりづらかったか……精進します
- 616 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 02:45:48.26 ID:vXQJ6SqSO
- >>610
みんないるぅうう! すごく嬉しい、ありがとう! ブーンの見切れ具合に吹いたwww 人外共が全員男なのに今更気付いた。ビコーズに性別あるのか知らんけど ちゃんと貞子とかトソンとか女の人外も出そうと思ってたのに…… でもコレ以上長くなるのが恐くて出さなかった。今は反省している
- 607 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 02:23:18.32 ID:W4jHKV1yO
- 作者はドMですか?
- 640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 11:57:57.87 ID:vXQJ6SqSO
- まだ残っとるwwwと思いながらスレ見返してみれば、
一番大事な質問に答え忘れていたではないか >>607 Mなわけないだろ、俺はいたってノーマルだ ほら分かったら答えるのが遅れた俺をさっさと叱れよ。強く、もっと強く!! 皆さん本当にありがとうございました
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