mesimarja
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( ^ω^)ブーンがアロンアルファを武器に戦うようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 00:51:58.72 ID:GEaydF2T0
( ^ω^)指と指がフュージョンしたおwwwww

( ^ω^)4本指ワロスwwwwwwwwwwwww


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:10:23.94 ID:Bp+MxHeT0
【第1話 : Road】


――世界暦514年・夏――

――トウア国・アロンカセー町――

('A`)「見ろよブーン、来たぜ」

 空は白みきって、快い朝風が木々の葉を揺らす。
 乾いた空気を吸い込んで、空を見上げ、息を吐く。

 街の中央にある広場、更にその中央にある朽ちかけた掲示板。
 そこに貼り出された一枚の紙は、風にさらわれることもなく、その場に佇んでいた。

('A`)「新兵急募……一週間後の正午から、トウア城下町の国立公園で入軍テストか……」

( ^ω^)「随分急だお。いつもなら一ヶ月前には告知するはずだお」

('A`)「ロックタイトの南進の影響だろうな……本格的な戦いになるらしい」

( ^ω^)「兵糧が貯まる秋には……ってことかお……」

('A`)「あぁ……かなりの犠牲が出るだろうしな……。
   その穴埋めか、もしくは、ロックタイト戦での新戦力か――――」

 新戦力。
 胸が、高鳴った。
 いきなり、戦争に出られるかも知れない。"アレ"を手にして、戦場を駆け巡れるかも知れない。
 抱えたいくつかの目的を達成する日が、大きく近付いた気がした。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:12:48.58 ID:Bp+MxHeT0
('A`)「行くよな、ブーン?」

( ^ω^)「当たり前だお! 18歳になってからずっと待ってたんだお!」

('A`)「俺もだ。入軍テストがどんなのかは分からねぇが……。
   ずっと訓練してきた俺たちなら、きっと大丈夫さ」

( ^ω^)「絶対入軍するお……そして、トウア国の天下統一に貢献するお!」

('A`)「あぁ……そして……」

 ドクオは懐から一つの封筒を取りだし、併設された投書箱に入れた。
 侘びしげな表情を浮かべながら。

( ^ω^)「妹さんへの手紙かお……?」

('A`)「あぁ……だが、こんな世の中だ……配達屋が襲撃される事件も起きてる……。
   セメダイン国まで届く可能性は高くないな……」

( ^ω^)「……戦争は色んなものを引き裂くお……肉体と魂だけじゃなく、大切な人との絆さえ……」

('A`)「……お前も、親父さんの仇、討たなきゃいけないもんな……」

( ^ω^)「だお……だからトウア国のために戦うお! とーちゃんもきっとそれを望んでるお!」

('A`)「……俺も、また妹と一緒に暮らすためにも……トウア国を天下に導くぜ」

 互いの拳を突き合わせ、軽く笑った。

( ^ω^)('A`)「くっついて離れねえ」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:14:10.64 ID:Bp+MxHeT0
 足早に過ぎる日々は記憶にもほとんど残らず、気付けば、一週間が経過していた。
 晴天ではないが、雨は降っていない。テストは行われそうだ。

 ブーンとドクオが住むアロンカセー町から、歩いて二時間程度。
 トウア城下町は、それほど離れた場所ではない。
 この日は臨時で輸送屋が町に多く集まっていたので、尚更移動は苦にならなかった。

 普段は子供の遊び場、老人の憩いの場として機能している国立公園だが、この日は殺伐としていた。
 ガタイの良い男たちが、闘志を漲らせている。
 鋭い双眸を光らせ、荒い吐息を振り撒く。
 まだ三十にもなっていない青年ばかりだが、みな血気は盛んだった。

 公園の東側出入り口に設けられた受付で身分証明をし、受験番号を割り振られた。
 ドクオは0863、そしてブーンは0864。到着が遅かったせいもあり、番号はかなり大きかった。

(兵`Д´)「全員志願者だな? 迷子ではないな?」

 反対側の出入り口から入って来たらしい10人ほどの兵士が、公園の中央で固まっていた。
 公園の入口で待っていた志願者たちが、中央へと歩み寄る。
 その数は、千を超えているだろう、とブーンは思った。

(兵`Д´)「これよりトウア国軍の入軍テストを行う。
     入口の受付で付けられた受験番号の若い順に前に来い。
     10人同時に行うから、0001番から0010番までが試験対象だ。早くしろ」

 志願者の固まりの中から、慌てて青年たちが飛び出してきた。
 筋肉隆々の男から幼い顔つきの男まで、風貌は様々だった。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:14:54.38 ID:Bp+MxHeT0
('A`)「一番前に行こうぜ。こっからじゃ試験が見えねぇ」

 ドクオに引っ張られ、前に歩み出る。
 他の受験者も思考は同じだったようで、皆が続々と試験の見やすい位置へ移動する。
 やがて、受験者を取り囲む円が出来上がった。

 円の中心では、緊張した面持ちの10人の受験者が、それぞれ、木製の台の前に立っていた。

 そして、異彩を放つ、台上。
 麗美とも、禍々しいとも思える、アロンアルファ。
 明らかに、特異だった。

 滲み出る汗を、抑えきれない。
 ドクオの顔は、興奮からか、緊張からか、赤く見えた。

 皆の視線が、ただ台上に。
 そこに置かれた、アロンアルファ、一般用に、注がれていた。

 細長く、丸みを帯びた黄色いその体。
 煌々と光るシールに張られた『一般用』の文字が際立つ。
 シンプルな形が、かえってその典麗さを引き立たせている。
 存在感溢れる佇みに、受験者たち皆が息を呑んでいた。

(兵`Д´)「試験は簡単だ」

 一番背が高く、威圧感を持した兵士が、台の前に立つ。
 アロンアルファを掴み、掲げ上げた。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:16:36.81 ID:Bp+MxHeT0
(兵`Д´)「このように、アロンアルファを使って、台座と板を接着する。それができれば、合格だ」

 場が、騒然となった。
 たった、それだけ? 今まで訓練して体を鍛えた意味は?
 錯乱が思考を襲う。
 皆から疑問が噴出していた。

(兵#`Д´)「静かにしろ!」

 兵士が恫喝して、静まり返る円形。
 空気まで、震えているように思えた。

(兵`Д´)「では、試験を開始する」

 台の前に立った10人の緊張は、更に深まったようだった。
 誰も、アロンアルファに触れようとしない。

 アロンアルファで接着するくらい、誰でもできる。そのはずだ。
 なのに、それだけで合格とは、一体どういうことだ。
 わけが分からず、駆り立てられる恐怖心。
 それが、10人の腕を固めていた。

(兵#`Д´)「早くしろ」

 先程の恫喝に比べれば、はるかに静かな声。
 しかし、込められた苛立ちは、誰しもが感じただろう。
 その声に突き動かされるかのように、慌ててアロンアルファを握る受験者たち。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:19:03.37 ID:Bp+MxHeT0

 一番右端の気弱そうな男が、アロンアルファを、板に付ける。
 陽光を照り返す一般用のボディ。
 しっかり接着した男が、安心と戸惑いを同時に表現した。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:19:18.41 ID:Bp+MxHeT0
(兵`Д´)「0010、合格」

 アロンアルファを台に置いて、たまらないほど嬉しそうな顔で右手でガッツポーズを見せた。
 その姿を見て、他の受験者たちも次々にアロンアルファを手に取る。
 全員が、それを高々と接着作業に勤しんだ。

(兵`Д´)「0001から0009、全員合格。次、0011から0020だ。早くしろ」

 それから試験はハイペースで進んでいく。
 台の前に立った瞬間、アロンアルファで接着して、合格していく。
 100人を突破しても不合格者は現れず、皆から緊張が消えた。
 薄笑いを隠そうともせず試験に臨む者すらいた。

 300人、500人、700人。
 全て、合格していく。

('A`)「なんだ、こんなもんか……案外楽なんだな」

( ^ω^)「きっと一人でも兵が欲しい状況なんだお。
     アロンアルファを使えるだけの腕力があればとりあえずオッケー、ってとこだお」

('A`)「あんなもん、年齢一桁の子供でも持てるだろ」

( ^ω^)「油断しちゃダメだお。もしかしたらみんな凄い接着テクの持ち主なのかも知れないお」

('A`)「なわけねーって……おっと、もうすぐ俺らの番だな」

 0851から0860も、全員合格。
 0863と0864のドクオとブーンが、台の前に立った。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:20:59.89 ID:Bp+MxHeT0
(兵`Д´)「始めろ」

 言われた瞬間、皆が続々とアロンアルファで接着する。
 次々と合格を告げられ、台から離れていった。

('A`)「そんじゃ俺も」

 ドクオの左手が、アロンアルファを掴み、板に塗り、台座にくっ付けた。
 0863、合格、と兵士が告げ、ドクオが笑顔になった。

( ^ω^)「やっぱ余裕なのかお」

 独り言を発しながら、アロンアルファを、握ったブーン。


 瞬時に、伝わる粘着性。


(;゚ω゚)「ねちゃっ!!!」


 思わずアロンアルファを指に掛けてしまった。
 台から数メートルの場所で、指と指をくっつけるアロンアルファ。
 周りが、騒然とし、困惑していた。

(;゚ω゚)「なななな……な、なんでこんなにくっつくんだお……」

(;'A`)「お、おい、ブーン……!」

 はっとして、すぐに兵士を見た。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:26:15.08 ID:Bp+MxHeT0
 冷徹な瞳で、動じることもなく、ただブーンを見ている。
 半ば、睨みつけるように、蔑むように。







(兵`Д´)「何故、こんなにくっつくのか?
      それは、シアノアクリレートという成分のお陰なのだ」





 言葉を聞いても、ブーンは身動き一つ取れなかった。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:32:00.82 ID:Bp+MxHeT0
(兵`Д´)「シアノアクリレートは一般にはモノマーの状態であり、水のような粘性の低い液体なのだ」


(;'A`)「え!? じゃ、じゃあ何で急にあんな粘着性が出るんですか……!?」


(兵`Д´)「接着するものに付着している、ほんのわずかな『水分』によってシアノアクリレートが瞬間的に重合を開始。
     その瞬間、シアノアクリレートがポリマーとなって一瞬で接着されるのだ」



( ^ω^)「せんせー! さっきの、モノマーとポリマーって何ですかー!?



(兵`Д´)「うむ。良い質問だ」



(兵`Д´)「モノマーとは、重合―――いわゆる化学変化を行う際の基質のことだ。
      逆に、ポリマーとは複数のモノマーが重合することによってできた化合物のことをいう」



( ^ω^)「ほへー! でも、アレって意外と粘着力無いと思いませんかお!?」


(兵#`Д´)「そんな事はないぞ!!」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:40:13.16 ID:Bp+MxHeT0
 兵士は、懐から一本のスティックを取り出す。
 それはアロンアルファとは似て非なる、銀の光を放っていた。

(兵`Д´)「これは硬化促進剤だ」


(;'A`)「促進剤……?」


 ドクオが見ている目の前で、兵士はアロンアルファに硬化促進剤を混ぜて接着した。
 すると、驚くべき変化が起こった。


(;^ω^)「粘ついて接着されない……さっきとは段違いの接着力だお!!」

(兵`Д´)「そうだ。これは接着時に使用することで、通常よりも短時間で強力に接着することができる」

(;'A`)「で、でも。強力にするだけでお金を出すのはちょっと……」

(兵`Д´)「何を言う。促進剤は1000円ほどで何処のホームセンターでも買い求められる。
      それ単体でも接着力を持つ場合も有るのだ、買って損はあるまい」

(;'A`)「な、なるほど……」




(兵`Д´)「更に瞬間接着剤は、意外にも多様な用途がある」



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:47:42.68 ID:Bp+MxHeT0
(兵`Д´)「先程は木板同士だったから大した粘着力は生まれなかったが……おい! アレを!」

(‘_L’)「はっ、ここに」

 従者らしい男が持ち運んで来たのは、どうやら金属板のようだった。
 人一人以上の大きさがあるものと、片手ほどしかない小さな物と、二つ。

(兵`Д´)「この二つの鉄板を、くっ付けて……離す!」

(;^ω^)(;'A`)「!! 促進剤使用時並みにくっ付いている!!」


(兵`Д´)「そうだ。他にも硬質プラスチック、ゴム同士の接着では、垂直方向に極めて強固な接着力を示すのだ。
      まあ衝撃には弱いため、半永久的な目的の接着には向かんがな」


(兵`Д´)「更には化石などの発掘の際、仮止めに用いられ、医療用接着剤として手術等に用いられる事も多々ある」

(;^ω^)「こ、こんなに使い道が有ったとは……!!」

(兵`Д´)「だが、強すぎる力は災いを呼んでしまう……分かるな?」

(;^ω^)「……?」



('A`)「そうか! 事故か!!」


(兵`Д´)「その通り」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 02:56:32.02 ID:Bp+MxHeT0
(兵`Д´)「昔から、子供などが指同士を接着して取れなくなる事故がしばしば発生する。
      専用の剥離剤も市販されているが、有機溶剤を含むので取り扱いには注意だ。
      何にせよ、親がきちんと子供の目の届かない所に置くべきだろう」


(;^ω^)「ぼ、僕も子供の時にイタズラで500円玉を道に貼り付けた事がありますお……」


(兵`Д´)「これはあまり知られていないが、接着剤は繊維、特に化学繊維に染み込むと激しく反応を起こす。
      なんと100度を超える高温となるため、火傷の原因となりえてしまう。
      特にこれは覚えていて欲しい情報だな」

('A`)「なるほど……」

( ^ω^)「上履きの中に塗られた事が有ったけど、火傷は起こさなかったお」

(兵`Д´)「あれは布だからな、反応は起こらないだろう」

( ^ω^)「むむう…勉強になりましたお!」




(兵`Д´)「お前たちが使うアロンアルファは、確かに便利だ。
      だが、正しい使い道と注意点を守らなければ、それは悪しき兵器と化してしまう」

( ^ω^)「……」

('A`)「……

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 03:04:10.45 ID:Bp+MxHeT0
(兵`Д´)「この試験は『アロンアルファを正しく使える男なのか?』
      それを選別する事が目的だったのだ。腕力や知力は、関係ない」

('A`)「俺たちが心にくっ付けて離さない、正義心……それを試していた、と?」

(兵`Д´)「そうだ。悪へ引っ張られても、決して剥がれる事無く粘り強く耐えられる兵士を育てる為にな」

( ^ω^)「な、なんて深い試験なんだお……!」


(;'A`)「そ、それで! ブーンの結果はどうだったんですか!?」


(兵`Д´)「ん? そうか、まだ試験の途中だったな……」


 すう、と兵士は息を吸い込む。
 見ているこちらが清清しくなるほどの深呼吸。
 それは、これからのブーン達の将来を暗示しているかのようでもあった。





( ^ω^)「僕は、これからもアロンアルファを正しく使って国を勝利に導きますお!」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 03:06:11.94 ID:Bp+MxHeT0
(兵`Д´)「0864、不合格」

 言葉を聞いても、ブーンは身動き一つ取れなかった。






(  ω )  ゚ ゚ 「アロンアルファは用法、用量を守って正しく接着してね!!」















 第1話 終わり

     ~end


49 名前:予告:2008/04/06(日) 03:13:55.52 ID:Bp+MxHeT0
 現れた、トウア国の頂点に立つ男、ショボン―――


(兵;`Д´)「ショボン大将! 一体何を!」

(´・ω・`)「アロンアルファが劣化していた。知らないわけないだろう?
     アロンアルファは古くなると、未開封のままの常温保存でも製造より1年程度で固化してしまう」


そして―――ジョルジュ―――


( ゚∀゚)「入軍おめでとう、新兵諸君」

 皆が緊張を顔に浮かべた。
 背に"EXTRA『速効多用途』"を負った、金髪の男。


―――訪れる、選択の時―――

( ,,゚Д゚)「あとは、二つの寮塔だな。お前らの寝床だ。東塔と西塔がある」


EXTRAシリーズの西塔か、Pro用シリーズの東塔か――――


( ^ω^)「僕は―――」


( ^ω^)ブーンがアロンアルファを武器に戦うようです 第二話 3008年、始動!

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 03:16:13.60 ID:Bp+MxHeT0
第1話は以上です、ありがとうございました

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 15:46:50.90 ID:Bp+MxHeT0
   











――プラスチック城――

 どうしようもなかった。

 接着作業では全てを想定して望むべき、と考えている。
 あらゆるパターンを考え、どんな状況に陥っても対処できるようにするのだ。
 そして自分の構想通りの展開に持っていくべきだ、と。

 しかし。
 味方が裏切ることまで想定していては、接着ができない。
 対処法など、あろうはずもない。

(;・∀・)「お前が裏切るとは思ってなかった……プギャー=アリスト……」

 接着するべく、兵と共にPro用No.1を塗った直後だった。
 突然、城門が閉ざされた。

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 15:52:21.98 ID:Bp+MxHeT0
 どういうことなのか、全く分からなかった。
 しかし、一目見ただけで状況が分かるものがあったのだ。

 城壁で、勝ち誇った顔を浮かべている男だ。

 城壁に立った男は、接着剤を噴出させていた。
 そして、嘲笑った。

m9(^Д^)「まんまとハメられたなwwwwwwwwwショボン大将の計画通りだwwwwwwwwwww」

 そう、それだ。
 それが一番、問題なのだ。

 ショボンが、裏切ってしまったのだ。
 最も裏切ってはならない男が。

 誰もが、信頼していた男が。

 心の底から、あの人を信じていた。
 尊敬していた。
 この人の許で業界シェアNO.1を目指そう、とずっと思っていた。

 しかし、裏切られた。
 そして命を狙われた。

(;・∀・)(くそっ……!)

 疑うべきだったのか。
 先日、何故かプギャーが『フローリング床材接合部のキシミ音対策を任せて欲しい』と言ってきた時点で。

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 15:57:35.58 ID:Bp+MxHeT0
 キシミ音対策など、自分がやってもプギャーがやっても大差はない。
 任せてしまっても問題ないだろうと思ったのだ。
 しかし、まさかこんな意図があったとは。

 自分の手勢は僅か二千。
 この二千は信頼できる。いつも自分が率いてきた兵たちだ。
 しかし、城内に残された八千は――――。

(;・∀・)「……なるほど。キシミ音対策を任せてほしいって言ったのは、そういう意味もあったのか」

 俺の気付かないところで、ロックタイト兵を引き入れていたのか。
 寝返らなかったトウア兵を固め、ロックタイト兵に入れ替えていたのか。

 それでもまだトウア兵は残っているはずだ。
 しかしこの状況下では、トウアに忠誠を誓ったまま生きるのは難しい。
 寝返るか、接着されるか。どちらかの道になってしまう。

 どれほどの兵が残っているのか分からない。
 しかし、城内からの助けには期待できそうもない。

( ^Д^)「散々傲慢な態度に出てくれたよな、モララー。
      俺とお前は同期で、しかも俺のほうが年上だったってのによ」

 嘲笑いながら、憎しみのこもった声をプギャーが発した。

 こんな状況下で、積年の恨みを晴らそうというつもりか。
 相変わらず、肝の小さな男だ。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 16:03:34.55 ID:Bp+MxHeT0
 何故プギャーが将校になっているのか、ずっと分からなかった。
 才能があるのはアロンアルファくらいで、それもNo.5の壁は越えていない。
 接着に関しては、誰かの助けがなければ碌に厚紙工作も出来ないような男だったのだ。

 514年のスーパーゼリー城奪取時、本城から将が補充されたとき。
 プギャーが現れたのを見て、しょぼいやつが来たものだと思った。
 昔から、接着に関する才覚はなかったのだ。

 しかし、トウアに対する忠誠は本物だと思っていた。
 それ以上に、ショボン大将に対する想いは強い、と分かっていたが、やはりトウアの忠臣だろうと。
 ロックタイトに寝返るのではないかなど、疑ったこともなかった。

 それは、プギャーと同様に、ショボンに対しても、だった。

( ^Д^)「ラッキー続きで接着作業に成功したくらいで調子に乗りやがって……。
      今日という日をどれだけ待ったことか」

( ・∀・)「……ずいぶん、高みからの発言だな。ビーズアクセサリー作りしか能がなかったのに」

(#^Д^)「……あ?」

 状況を把握する時間が欲しい。
 今、どうなっているのか。これからどうすべきか。
 すぐにはまとまらない。考える時間が必要だ。

( ・∀・)「どうせだから言っといてやるよ。俺は東塔の中で、お前が一番使えないと思っていた。
     自分の粘着力をひたすら過信して、いざ接着をやらせりゃ役に立たない。
     アロンアルファだって中途半端。しかももう、壁突破の見込みは薄い」

(#^Д^)「なんだと?」

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 16:09:54.01 ID:Bp+MxHeT0
( ・∀・)「ようやく納得がいったよ。ショボンの手駒だったってわけか。
     ゴム印のはがれ補修くらいもできねーやつが、なんで将校なのか疑問だったんだよ。
     ありゃヒイキだったってわけか。美味しいポジションだな、まったく。
     ショボンの忠犬として働いてりゃ楽々昇進ってわけだろ? 戦功はなかったもんな」

(#^Д^)「おい、黙れよモララー。まんまとハメられた男が粋がってんじゃねーぞ」

( ・∀・)「ショボンには上手くやられたよ。全く予想していなかった。俺のミスだ。
     でもお前はそれに付き従っただけだろ? お前こそ粋がってんじゃねーよ。
     能無し野郎、お前だけがロックタイトに寝返ったんならむしろラッキーだったんだ。
     ショボンの裏切りは痛すぎる。お前は心底どうでもいいが」

(#^Д^)「……固めるぞ」

( ・∀・)「やってみろよ。たかだかNo.5、一滴で接着してやるよ。
     首が大事なら引っ込んでろ、エセ将校」

 プギャーの冷静さを奪うことは、成功したようだ。
 相変わらず単純な男だった。

 しかし、この場でプギャーを接着するべきか。
 成功するかは分からない。一騎打ちとはいかないだろうからだ。
 となると、やはり逃げを先に考えるべきか。

 ショボンが裏切った今、自分が固まってしまってはトウアが崩壊しかねない。
 ここは、生き延びなければならない。

(#^Д^)「……いいこと教えてやるよ。こうしてる間にも、ロックタイトがお前の後ろに迫ってるぞ」

( ・∀・)「ッ……」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 16:13:07.75 ID:Bp+MxHeT0
 そうか。しまった。
 こちらから接合する予定だったため、悠長に構えすぎた。
 ロックタイトと連携を取っているなら、確かに後ろから迫られておかしくない。

( ^Д^)「それと、こいつは捕虜として預かっとくぜ。ま、接着してもいいんだがな」

(;・∀・)「なっ……!」

 しまった。
 まだ城内には、将校がいたのだ。
 自分とプギャー以外にも、プラスチック城に入っていた将がいたのだ。

(;><)「……モララー中将……」

 ビロード=フィラデルフィア。
 両手を固められている。
 どうやら不意を突かれて捕らえられてしまったようだ。

( ^Д^)「お前があんまりなめた口を利くようなら……ここで唇を接着してもいいんだがなぁ」

 プギャーのNo.5の先端が、抵抗できるはずもないビロードの唇に、近づいていく。
 開くキャップ。唇につく切っ先。

(#・∀・)「やめろ!!」

( ^Д^)「なら大人しくしてろよ。お前の行動次第じゃ、こいつは数時間口を開けなくなるぜ」

 身動きが、取れない。
 ビロードを捕虜に取られてしまっては。

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 16:14:09.83 ID:Bp+MxHeT0
(;><)「僕はどうでもいいから逃げてくださいなんです!! モララー中将が固められたら……!!」

( ^Д^)「黙ってろよ。どのみちモララーは接着するんだよ。
      ま、ロックタイトに忠誠を誓うってんなら生かしてやらんでもないが」

 お前如きが、弄ぶつもりか。
 そう思ってしまう状況だった。

 しかし、粘着質の恨みを持った者が優位に立つと、面倒なことになる。
 嫉妬交じりの粘ついた恨みであり、筋が通ったものではないのだが、プギャーにとっては同じことだろう。
 いずれにせよ、恨みなのだ。

 このまま何もしなくても、ラウンジが迫ってくる。
 しかし、下手を打てばビロードが固められる。
 そして自分も。

 どうすべきだ。
 何が、最善だ。

(;・∀・)(くそぉ……!!)

 考えが追いつかない。
 有利な材料が足りない。時間も足りない。
 それでも、何とかしなければ。

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 16:15:21.28 ID:Bp+MxHeT0
もう、駄目。限界。

コメント

くそwwwこんなので爆笑するなんてwww
[2012/10/20 20:30] URL | #- [ 編集 ]


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