o川*゚ー゚)o となりのとなりの王子様のようです 第一話「春風と王子様」
2011/04/27 Wed 05:08
185 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 20:38:58 ID:/NA5BojM0
春風薫る卯月。
自然界では恋の季節というらしい。
ならば此処、美府市に恋を運ぶはヒバリかウグイスか。
彼らは市の中心にあるヒバリ山に居を構えているという。
桜の名所でもあるここヒバリ山は、毎年四月になると市民が賑わう宴会場へと様変わりする。
山の頂上へと続く桜のトンネル坂を抜けると宴の場となる市立公園が現れ、それを越えれば美府高校が現れる。
o川*゚ O゚)o 「うわぁ……」
包み込まれるような桜吹雪に、思わず感嘆の声が漏れた。
突き貫けるような晴天と新緑に包まれたヒバリ山。それらの手前には校舎の白壁がある。
青、緑、白が成す自然のトリコロールを背景にして、ピンク色の欠片達が楽しげに宙に遊んでいた。
今日から3年間。私こと、素直キュートはこの美府高校に通うのだ。
186 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 20:40:08 ID:/NA5BojM0
『感嘆』などと小難しいを単語を使ったのは受験勉強の名残であり、
私がそれなりに努力して入った学校だというのがうかがい知れるだろう。
美府高校は今年で創立30年を迎える市内有数の進学校だ。
この高校に入れたことは、私にとって幾重もの偶然が重なった奇跡の賜物と言ってもいい。
鉛筆を転がした回数を鑑みれば、その奇跡の確率は(1/6)の30乗を上回るだろう。
お姉ちゃんが試験当日の朝に持たせてくれた合格鉛筆様々である。
o川*゚ー゚)o (私やったよお姉ちゃん……!)
見上げる校舎は、幾重もの改修を経て創立時と変わらぬ輝きを放ち続けている。
未だ熟さぬ私には、まばゆいほどに白く、荘厳な校舎。
私は、その校門の前で歩みを止めた。
体が震えているのは、まだ肌寒い気候のせいだけではないだろう。
かといって、気合を入れた膝上15センチのミニスカのせいでもない。
187 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 20:43:35 ID:/NA5BojM0
私がこれから踏み出す一歩――――。
これは、人類にとっては小さな一歩だが、私にとって偉大な飛躍となるのだ。
o川*- o-)o (落ち着け……私…………)
手がむき出しの腿に触れる。
不意の冷たさに、コブシを握っていることに気が付いた。
イカンイカン!深呼吸だ!深呼吸……、深呼吸……。
今日は姉さんに貰った桜色の髪留めをしている。お気に入りのやつである。
今日の私はかわいいのだ!
o川*゚ー゚)o 「よし……!」
顔を。
目を。
ほころんだ手を。
自分自身を前に向けて、私は小さな一歩を踏み出す。
私はそうして、高校生への境界を踏み越えたのだ。
188 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 20:45:24 ID:/NA5BojM0
――――そのとき。
これからの私を後押しする、再びの桜吹雪の中で。
....o川*゚ー゚)o
ピンクの欠片を従えて、隣を通り過ぎる――――眩しい、影。
( :::∀:::)
それは余りにも、颯爽としていて。
余りにも、まぶしくて。
o川*゚ o゚)o
余りにも――言葉にできなくて――――。
189 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 20:50:39 ID:/NA5BojM0
私は、なびく髪の向こう側から彼の影を覗くことしかできなかった。
そして昂ぶる――私の中の、まだ幼い何か。
o川*゚ O゚)o
それに従い、体は反応する。
鼓動が高まり、酸素を求めて深く息を吸い込もうとする――――
o川*゚ ・・゚)=3
::o川*~ ・・~)o::
――――と、なびく髪が……、髪が、ははなは鼻にににに……!
o川*>д<)o;゚+.:. 「ぶぇっくしょーいっ!!」
190 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 20:53:05 ID:/NA5BojM0
涙が!!
唾が!!
鼻水が!!!!
朝日を煌めかせながら飛散して、私の醜態を輝かしいものとする。
ざわ…… (-_-;)
(゚、゚;トソン
ざわざわっ……
ミセ;*゚ー゚)リ
(;´ー`)
思わぬミラーボール効果で衆人注目を一身に浴びてしまった……。
これはもはや、可愛い新入生を演じたい入学初日としては大失敗――台無しの部類に入るだろう。
o川*うー;)o「ゔ~。クシャミしたら花粉症が――」
カッコつけてマスクして来なかったのが仇になった。薬なんか効かないじゃんおねえちゃんの嘘つき!
人体的に顔から出せる汁全てを垂れ流しているのがわかる。うぅ、カッコ悪いよぉ……。
191 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 20:55:19 ID:/NA5BojM0
「大丈夫ですか?」
――男子の声!
声変わりが終わったばかりのハスキーな声――でもよくある雑な感じじゃない。落ち着いた声。
o川*;д;)o「ら、らいじょうふれす……!」
どんな顔をしているのか興味があったけど、下を向いている私には影しか見えない。
でも……、その影が近寄って来る!!
やだ!見ないで!
キューちゃん鼻水なんてホントは出ないの!
ホントに汁的なものなんか一切出ない綺麗なカラダなんだようっ!!
192 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 20:57:47 ID:Z5dhWwzU0
アイドルはウンコなんてしない
193 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 20:58:19 ID:/NA5BojM0
o川*;д;)o(ええと、ハンカチは……)
現実的にはダダ漏れの汁。
それを拭うべくポケットを漁るも――ポケットには何もない。
o川*;д;)oそ (しまった!!)
髪留めを借りるのに気を取られて、ハンカチもティッシュも忘れてきたようだ。
鞄をひっくり返していたら、クスクスという声が聞こえてきた。
頭が真っ白になる私……。
o川*;、 ;)o
私の目から新たな涙がにじみ出る。
これは、この涙は……、きっと花粉症のせいではない。
その証拠に鼻の頭がツンとした。
それでも惰性で鞄を探る作業を続ける私。
何やってんだ、私……。
194 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:01:26 ID:/NA5BojM0
「使ってください」
――今度差し出されたのはハンカチ。
先ほどの男子の声だ。
華奢な彼の手の上に桜色のマーブル模様のサテンチーフが乗っていた。
手に取ると、すぐに高価な物だとわかる手触りがした。
ふと、私の頭にベタな人物が浮かぶ。
それは、子供の頃に少女マンガで憧れた白馬に乗った王子様。
チーフタイが似合うような、紳士的な王子様。
この紳士的な彼も、きっとそんな人なんだろうな。
白馬には乗っていないのだろうけど。
195 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:04:19 ID:/NA5BojM0
乙女の危機の如き醜態を晒した私は、少女マンガの夢を見た。
現実に戻るため、マーブル模様のハンカチで顔を拭う。
彼の方に顔を向けると、私が気にしているのを察して顔を逸らしていてくれた。
o川*∩ー゚)o「ありがとう……」
彼の横顔を覗くが、その顔は涙でぼやけて見えた。
(:::::::::::::)
すっきりとした印象と、清潔感ある頭に、柔和な物腰。
私が今まであったどんな人よりも、その男子は紳士的だった。
196 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:05:10 ID:/NA5BojM0
「じゃあ僕、行きますから。それ、そのまま使ってくれていいので」
o川*;゚ー゚)o「あ、待って――」
私にだって常識くらいはある。せめてお礼くらいしたい。
顔と名前、そしてあわよくば……。
いやいや、待て待て。それだけで十分だ。十分のはずだ。
197 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:06:37 ID:/NA5BojM0
徐々にクリアになる私の視界。
(::::::::::::・)
o川*゚ o゚)o
瞳に写ったその人は、想像通りの――――
(:::::::`)∀・)
_,
o川*゚д゚)o
198 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 21:07:47 ID:Ni2PGT/s0
wwww
199 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:07:57 ID:/NA5BojM0
――期待通…りの王子……様……?
....( 'A`)・)
o川#*゚皿゚)o 「って不細工ジャマだぁーっ!」
て
(;'A`)そ 「ご、ごめんさな……、ってひどっ!?」
私の王子様とのファーストコンタクトは、これまで見たどんな不細工よりも不細工な男子に阻まれた。
( ・∀・) 「?」
木|
木|::::::)ξフフフ……
木⊂ノ
木|
200 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 21:09:16 ID:RPoHcvr2O
>これまで見たどんな不細工よりも不細工な男子
ひでぇwwwwww
201 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:10:21 ID:/NA5BojM0
o川*゚ー゚)o となりのとなりの王子様のようです
第一話「春風と王子様」
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202 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:11:17 ID:/NA5BojM0
気ダルい陽射しと程よい満腹感が春眠へと誘う昼休み。
ここは美府高校1年9組。
南校舎の3階。日当たり良好。
この教室の中央最後尾が私の席だ。
私は、背の順では真ん中よりちょっと前に並んでいるため、
勉強のことを考えれば決して良い席とは言い難い。
実際、黒板を写す際は少し体を傾けて前を覗いている。
だがしかし、私こと素直キュートはこの席を大変気に入っている。
その理由とは――――。
( ・∀・)「ははは。そだねー。臭いよねー」
彼、モララー君だ。
203 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:12:37 ID:/NA5BojM0
いつもみんなの中心にいて、爽やかに笑う彼。
春風のように爽やかに。軽やかに。
それでいて円やかで、艶やかでありしなやかでもある。
そんな彼の席は、何を隠そう私の隣の隣なのである。
o川*~ー~)o 「いやぁ、眼福ですなぁー。朝の活力剤ですなぁー」
('、`*川 「ババ臭いわね……。あんた、あーゆーのが好みだっけ?」
o川;*゚ー゚)o 「ペニ子ちゃん!やだよぅ、私また声に出てた!?」
('、`*川 「ダダ漏れよ。ていうか、あんたその呼び方したら今度こそ縁切るからね」
o川*>ー<)o 「もう!やだよぅ、ペニ子ちゃんたら、いけず!」
この子はペニサス伊藤ちゃん。
通称『ペニ子ちゃん』。中学からの親友だ。
207 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 21:32:57 ID:Z5dhWwzU0
S H I T !
208 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:33:37 ID:/NA5BojM0
折角私があだ名付けてあげたのに、
本人は頑なに完全拒否の姿勢を3年間貫いている。
コケティッシュでいいと思うんだけどなぁ……。
o川*^ー^)o 「そんなこと言ってペニ子ちゃんとっても優しいんだよねー?次の英語のノート見せて!」
('、`*;川 「コラッ、抱きつくなみっともない。放しなさいよみせてあげるからマッタク……」
o川*~ー~)o 「ありがとー。これで目の保養もうできるよー」
('、`*;川 「まったく。あんた長生きするよ……」
209 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:34:53 ID:/NA5BojM0
( ・∀・)「臭すぎるよねー」
o川*~ー~)o 「あ~、モララーく~ん。なんであんなにカッコいいの~」
ガラッ
.....('A`)・)
o川#*゚益゚)o 「だぁから邪魔だぁあぁっってっっ、ぶぁあああ!!」
(;'A`)そ 「ご、ごめんなさっ!!」
o川*゚ー゚)o 「あはは。まーた謝ってwwww鬱田くんおはよー今日も顔色紫だよー」
(;'A`)「いや、そこまで酷くはないでしょう」
せめて青でお願いします。
そう言いながら私の隣の席に着いた彼は鬱田君という。
今はもう鞄から教科書を取り出している。
そつ無く動くのが数少ない彼の特徴だ。
それともう一つ――――。
210 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:35:18 ID:/NA5BojM0
('、`*;川 「アンタ、よく平気ね。あの”顔面モザイク”鬱田と」ヒソヒソ
o川*゚ー゚)o 「いい人だよ?ペニ子ちゃんいないときとか宿題見せてくれるし。たまにお菓子くれるし」
o川;*-ー-)o 「ま、最初見たときはビビッたけどね。申し訳ないけど」ヒソヒソ
('、`*川 「私は今だに抵抗あるわ。アンタやっぱ大物になるよ……」
この上ないほどお顔の形状がよろしくないのだ。
('A`)「?」
213 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:40:13 ID:/NA5BojM0
('A`)「あの、そういえば素直さん。先輩が呼んでたんですけど」
o川*゚ー゚)o「んー?どの人?」
('A`)「あの女の人――あれ?さっきまであそこにいたんですが……」
そう言って廊下を振り返る鬱田君の背中のど真ん中には、
なぜかA4のレポート用紙が貼り付けてあった。
私が指摘すると、
鬱田君は『おわあああっ!?』とベタな叫びを上げて教室の注目を攫った。
余り言い意味での注目ではない。
クスクスという暗い嘲笑が聞こえる。非常に嫌な気分だ。
なにしろ、彼は悪い人ではないのだ。
無害であり、むしろ良い人、善人の部類に入る。
彼のような人が、顔の造りのみを理由にして嘲笑を受ける謂れは無い。
だから、席が隣という縁も相まって、私は積極的に彼に話しかけるようにしている。
o川*゚ー゚)o 「鬱田君、それ何の紙だったの?」
(;'A`)「ええと、なんだろ……?」
214 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:43:25 ID:/NA5BojM0
だが、もう一人。
このクラスには、彼に話かける人がいる。
その人も、彼と席が隣という縁があって彼の人間性に触れたのだろう。
人の内面で物事を図ることができるその人を、私は好ましく思っている。
....( ・∀・) 「鬱田君、なにその紙?クラブの勧誘チラシじゃないの?」
(;'A`)ゞ「モララー君……。いや、入部案内につかまっちゃっいまして」
o川*^ー゚)o 「鬱田くん押しに弱そうだからwwww」
215 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:45:25 ID:/NA5BojM0
私達はしばらくクラブ談義に花を咲かせた。
('A`)
o川*゚ o゚)o彡゚ (・∀・ )
どんなクラブがあるか、中学時代は何をしていたか
('A`)そ
o川*゚ー゚)o m9(・∀・ )
趣味は何か、入りたいクラブはあるか。
('A`*)ゞ
o川*^ー^)o (^∀^ )
一通り話した後、私はがチラシに何か書いてあることに気付く。
216 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:45:58 ID:/NA5BojM0
o川*゚ー゚)o 「えーとなになに……」
o川*゚ー゚)o 「来ぃ、たぁ、れ……ブ-ン、芸、部……。素直キュートよ……、歓迎するぅ……!?」
o川;*゚O゚)oそ 「え゙ー!なんで私!?」
('A`)「ああ、これさっき言ってた先輩からですよ。なんでも入学式の日に素直さんに目をつけたとか」
_,
σ川;*゚~゚)o「んー、めんどいなぁ……」
('A`)「まぁ、強制ではないでしょうし。良いんじゃないですかね」
(;・∀・) 「……」
217 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:46:42 ID:/NA5BojM0
('A`)「ん?どうしたんですかモララー君?」
(; ∀ ) 「す、素直さん……。これ、今のうちに行っておかないと後々厄介になると思う……」
o川*゚ー゚)o 「モララー君このクラブ知ってるの?」
(;・∀・) 「は、ははははははははは!!」
(;・∀・) 「いやいや!まさか!シラナイシラナイよ。このクラブはね、知らない」
('A`)「……」
明らかに何か知っていそうなモララー君。
嘘のつけない所もカワイラシイ……・。
o川*~ー~)o
218 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:48:05 ID:/NA5BojM0
って待てよ!
o川*゚ O゚)oそ
もしやこれは千載一遇のちゃんーす!というやつではないのか!?
o川;*>3<)o 「つ……、つつつつっ……!!」
o川*>д<)o 「連れてってくだしあ!!!」
('A`)「えっ?あ、はい!僕でよければ……」
o川*゚д゚)o
('A`)
o川*゚Д゚)o
(;'A`)「あ、あれ?僕変なこと言いました?」
o(゚ー゚*;|||彡川;*゚ー゚)o 「あれ?あれあれ?モララー君は?」
('A`)「……ネーヨ君達に呼ばれて向こう行っちゃいましたけど」
鬱田君が指差す方向を見ると、男子達に囲まれたモララー君が拝み手をして謝っていた。
まったく人気者さんめ。でもそこがまた……////
219 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:48:48 ID:/NA5BojM0
仲良しのペニ子ちゃんは、お顔のよろしくない男子が近寄ると
ジンマシンが出るという奇病のため、クラスの女子達と駄弁っている。
サクラ×ダンゴか、ダンゴ×サクラか喧々諤々議論する声がここまで聞こえる。ご熱心なことだ。
ちなみに私は、どちらかといえばみたらし団が好きだ。
o川*゚ー゚)o 「仕方ない、鬱田君でいーや。行こ?」
('A`)「ええ。行きましょう」
チラシによれば、ブーン芸部のあるのは第2クラブハウス。通称、文化部棟だ。
二人で北校舎の渡り廊下を北へ、山側へと向かう。
.....o川*゚ー゚)o 「そういえばさ、都合大丈夫だった?」
.....('A`)ゞ「まぁ、僕が言伝を請けたのが原因ではあるので」
嫌だという顔一つせず、頭を掻きつつ申し訳なさそうにしている。
彼はポーズだけでなく、本当に、心の底から申し訳ないと思っているのだ。
これが鬱田君が鬱田君たる所以である。モララー君と私が彼と仲良くなりたいのはそれ故だ。
220 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:50:16 ID:/NA5BojM0
o川*゚ー゚)o 「んーと……、どっちだっけ?」
.....('A`)つ□「チラシの地図によればこっちみたいですね……」
南側のグラウンドに面して騒がしく汗臭い体育会系の第1クラブハウスとは対照的に、
北側の山に面した第2クラブハウスは人気が無く埃臭い。
『ブ-ン芸部』があるのは、そんな第2クラブハウスの中でも更に人気の無い、2階の角部屋だった。
o川*゚ー゚)o 「でもちょっと静か過ぎるよ……。耳痛いし……」
o川*゚ー゚)o(こんなとこにホントにクラブあるのかな……?)
o川*゚ー゚)o「……」
o川;*゚д゚)oそ 「もしや……!」
221 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:51:08 ID:/NA5BojM0
~~~~
ガラッ
('A`)「連れて来ましたよ先輩。ドゥフフwww絶世の美少女ですぜwwww」
(’e’) 「おーおーwwwwこいつぁ筆舌にし難いほどの絶世の美少女だぜwwww」
::('A`)::「は、早くやっちまいましょうよ、先輩!俺、こんな絶世の美少女見てたらおかしくなっちまう……!」
::(’e’)::「そうだな、絶世の美少女だもんなwwwww」
~~~~
::o川;*゚д゚)o:: (なんてことに……!!アワワワワ…、キューちゃん絶世の美少女すぎるから……!!)
223 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 21:55:27 ID:QUmhBmS20
絶世の美少女なら仕方ない
222 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:53:05 ID:/NA5BojM0
('A`)「……素直さん?入りますよ?」
::o川i|| д )o:: 「ごめんなさい……、絶世過ぎてごめんなさい……」
('A`)「(絶世?)失礼しまーす」
ガラッ
o川#*>Д<)o 「イイイイヤアアアアアアアアアアアア!!!」
「騒がしいわね」
予想に反して、私達を出迎えたのは気位の高そうな女の声だった。
224 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:56:28 ID:/NA5BojM0
――――薄暗い室内。
カーテンがそよ風の拍子で舞い踊る。
黄みがかった木漏れ日が、その調べに合わせてミラーボールのように彼女を照らし、
栗毛色の髪を金色に染めてみせる。
艶やかで、柔らかいパーマが風にそよいだ。
ξ:::::::::)ξ
私達に背を向けて座っている。
おそらく彼女は窓際で風を楽しみながら本を読んでいたのだろう。
振り向く角度が増すたびに、白い肌が陽に透けて煌く。
ξ:::::::゚)ξ
('A`)「……」ゴクリ
o川*゚ o゚)o「うわぁ、きれ――――」
225 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:56:50 ID:/NA5BojM0
ξ ^ω^)ξ「ようこそ、ブーン芸部へ。歓迎するわ」
.
226 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:58:19 ID:/NA5BojM0
o川*゚ー゚)o となりのとなりの王子様のようです
第一話「春風と王子様」 おわり
228 : ◆VOtiJUkl0U:2011/04/16(土) 21:59:42 ID:/NA5BojM0
以上です。
途中オチてゴメンナサイ。
ぶっといアンカーおねがいいいいいいいいい!!!
229 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 22:00:47 ID:RPoHcvr2O
ちょwwwツンちゃんかと思ったのにwww
230 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 22:01:22 ID:7aABp77c0
どういうことなのwwwwwwwwww
231 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 22:04:27 ID:Ni2PGT/s0
乙wwww
ある意味次回が楽しみな展開
次ぶっといアンカー控えてたっけ?
232 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 22:04:30 ID:rbpbPEfo0
ちょwwwwwwwwwwww
227 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 21:58:34 ID:QUmhBmS20
今こそ言わせてもらおう
ちょwww
233 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 22:08:28 ID:RPoHcvr2O
乙www
クラブものって好きだ。続き楽しみ
234 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/04/16(土) 22:11:29 ID:hk9LRGgA0
乙! 最初から一気に読んだ。各作品のバランスがいい感じに交わってるね!
ラスあるなら期待
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