mesimarja
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( ^ω^)ボクらは家族のようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 17:36:46.26 ID:SeyGrAK50

(*;ー;)「ごめんなさい。ごめんなさい」

一人の少女が泣く。
うるさいと蹴られた。

ごめんなさいと再び呟くと、その口を縫ってやると胸倉を掴まれる。

こんな場所から早く消えてしまいたいと思う。
大好きな人達が大っ嫌いになっている瞬間は恐ろしい。

嫌いになりきれないことはわかっているから、憎しみが溢れるまえに殺して欲しかった。


「そこまでだ!」


光が見えた。
誰かの声も聞こえた。

けれどそれらを認識するまえに、少女の意識は途絶えてしまった。




2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 17:39:13.68 ID:SeyGrAK50

超少子高齢化による人口の減少。
世界は子供と、それを持つ家庭に優しい世界になっていた。

そんな世界では、殺人と並んで児童虐待が罪深いこととされていた。
虐待を受けていた少女は死の寸前に救われた。
両親は数年の懲役と、子育てができない親のために作られた教習所への通学が科せられた。

(#゚;;-゚)「……ここは?」

少女は目を覚ます。
真っ白な部屋と、綺麗な服を着ていた。

病院と呼ばれるそこを少女は知らなかった。


( ´∀`)「ああ、目を覚ましたみたいモナね」


自然と両親を探してた目に写ったのは、見知らぬ男だった。
少女の父よりも少し年を取っているように見える。

(#゚;;-゚)「あなたは?」

( ´∀`)「キミの新しいお父さん、と言ってもいいかモナ?」


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 17:42:15.31 ID:SeyGrAK50

男はモナーと言った。
少女の遠い親戚だそうだ。
お金持ちで、家庭の事情で捨てられたり、虐待された子供達に手を差し伸べるのが趣味だと言う。

( ´∀`)「ボクには子供がいないから、その分世界の子供達に幸せになって欲しいモナ」

だから、遠い親戚の子供が虐待されていたならば、引き取るのは当然のことらしい。
モナーは少女に両親がどのような罰を受けるのかを正直に告げた。

少女は少しだけ悲しそうな顔をしたが、体中に刻まれた傷を見て納得する。
一生残る傷もあるだろう。簡単に許すことも同情することもできなかった。

モナーは新しいお父さんになりたいと再度告げる。
外の世界をよく知らない少女は知りあいもいない。
両親がいなくなった今、頼れるのは目の前にいる人だけだ。

(#゚;;-゚)「……いいよ」

少女の言葉にモナーは嬉しそうに笑う。
子供のように喜ぶモナーを少女は無表情で見ていた。



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 17:45:18.93 ID:SeyGrAK50

栄養失調で不健康だった体もずいぶんと標準に近づき、少女は退院できるようになった。
大きな車に乗り、ふかふかのシートに座り、少女はモナーの家へと向かった。
車の窓から見える世界はどこもかしこも灰色で、そこにたくさんの人が歩いている。
代わり映えのない風景に少女は冷たい視線を向けていた。

( ´∀`)「…………」

モナーは運転席から不安そうな目でそれを見ていた。
子供のために資金を提供したことはあったが、こうして子供と暮らすのは始めてだ。
上手くやっていけるのかという不安は大きい。

彼には妻がいなかった。
家にはメイドも執事もいない。

お金持ちではあるが、余計なお金を使うくらいならば子供達のためにと思っているのだ。
ずっと家にいるわけにもいかないだろう。
そうなれば、少女は家で一人っきりになってしまう。

両親がいない不安に一人で泣いてしまうかもしれない。
人からの愛情を知ることができないかもしれない。

笑顔を浮かべることがないかもしれない。

それはダメだとモナーは思った。
子供は笑顔が一番だ。少しくらい男勝りでもいいから、笑っていて欲しい。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 17:48:22.77 ID:SeyGrAK50

モナーの家はごく一般的な一軒屋だった。
駐車場に大きな車が入る。車から降りた少女が真っ先に思ったことは、その不釣合いさだった。
何も知らない子供にでも、家と車の差は歴然だった。

( ´∀`)「どうしたモナ?」

(#゚;;-゚)「……なんでもない」

けれど少女は何も言わなかった。興味がなかった。
家の中に入ると、モナーが部屋について説明してくれた。

( ´∀`)「ここが玄関モナ」

(#゚;;-゚)「うん」

( ´∀`)「ここがリビングモナ」

(#゚;;-゚)「うん」

( ´∀`)「ここが台所モナ」

(#゚;;-゚)「うん」

普通の家と部屋割りだったが、少女が住んでいたのは二間しかないような狭いアパートだったために、やけに広い家に思えた。
モナーしか住んでいないため、家には余計なものは何もなかった。
物の少なさが家をさらに広く見せる。


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 17:51:17.70 ID:SeyGrAK50

( ´∀`)「そしてここが!」

二階の案内も一通り終え、最後の扉の前に立つ。

(#゚;;-゚)「…………?」

勢いよく開かれた扉の向こう側にあったのは、今までのものとは雰囲気が異なった部屋だった。

薄い桃色のベッドがあり、枕もとには可愛いぬいぐるみが置かれている。
机の上には筆記用具とノートが置かれていて、本棚には絵本や小説、漫画が入っている。
物に溢れたその部屋は少しだけ輝いて見えた。

( ´∀`)「でぃちゃんの部屋モナ!」

(#゚;;-゚)「……でぃ?」

少女は首を傾げた。
思い返してみれば、自分の名前を少女は知らない。
それが名前なのかと尋ねるとモナーは首を横に振る。

( ´∀`)「これはモナーがつけた名前モナ」

本当の名前を始めに呼ぶのは両親と決まっていると言う。
でぃの両親はまだ生きている。いつかは彼女の目の前に現れるだろう。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 17:54:21.67 ID:SeyGrAK50

( ´∀`)「キミの両親が帰ってきたとき、二人を許せるならば本当の名前を呼んでもらうといいモナ」

もしも許せないのならば、新たな名前で、新たな人間として生きていけばいい。
モナーは優しくでぃの頭を撫でる。
暖かい温度にでぃは心の中がもやもやした。

(#゚;;-゚)「わかった」

( ´∀`)「じゃあ、さっそくご飯にするモナ」

一階へ駆け下りていく。
でぃは静かにその後を追った。

モナーが料理する姿を、椅子に座りながら見る。
手慣れた手つきで料理ができていくのを見るのは楽しい。まるで魔法のようだった。

完成したのはオムライスだった。
黄色い卵の上に『でぃ』とケチャップで書かれている。

( ´∀`)「いただきます」

(#゚;;-゚)「……いただきます」

そっとオムライスを食べていく。
名前を崩さないように、少しずつ食べる。


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 17:57:21.76 ID:SeyGrAK50

( ´∀`)「でぃちゃん」

モナーは優しい瞳ででぃを映す。

( ´∀`)「その文字はでぃちゃんに食べられて、でぃちゃんに溶けるモナ」

だから食べていいんだよと言う。
少し悩んでから、でぃは小さく頷いて文字を食べ始めた。

( ´∀`)「ごちそうさま」

(#゚;;-゚)「……ごちそうさま」

食事を終えると、モナーは食器を回収して水につける。
座ったままのでぃの前に先ほどと同じように座る。
沈黙が続く。

部屋の案内は終わった。食事も終わった。
次は何をすればいいのだろうか。
親ならば何をするのだろうか。

(#゚;;-゚)「……あなたは、どこかに行かないの?」

モナーが困っていると、でぃの方から話しかけてきた。


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:00:26.21 ID:SeyGrAK50

( ´∀`)「今日は休みモナ」

(#゚;;-゚)「明日は?」

( ´∀`)「……夕方には帰ってくるモナ」

(#゚;;-゚)「そう」

やはり一人になるのは寂しいのだろうか。
心なしかでぃの瞳が寂しげに揺れたような気がした。

(#゚;;-゚)「あのね」

( ´∀`)「モナ?」

(#゚;;-゚)「あたし、あまり文字読めないの」

部屋にあった本を思い出したのだろう。
モナーは自分の失態を恨んだ。
彼女がまともな教育を受けていないことはわかっていたはずなのに、読み書きについては気が回っていなかった。

( ´∀`)「一緒に買い物に行くモナ」

(#゚;;-゚)「買い物?」

( ´∀`)「一緒に勉強セットを買うモナ!」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:03:25.59 ID:SeyGrAK50

モナーはでぃの手をとり、家を出た。
近所の総合スーパーに行くだけなので、車は使わなかった。
周りがでぃのことを見ていることには気づいていた。

だが、ずっと家の中で過ごすわけにもいかない。
でぃが傷ついていないだろうかと、モナーは視線を向ける。

(#゚;;-゚)「ごめんなさい」

( ´∀`)「モナ?」

(#゚;;-゚)「あたしのせいで、あなたが変な目で見られている」

( ´∀`)「……そんなこと気にしなくていいモナよ」

(#゚;;-゚)「でも、ごめんなさい」

ごめんなさいと言う言葉が悲しかった。
モナーは静かに繋いでいる手に力を込め、自分の存在をでぃに伝える。


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:06:23.61 ID:SeyGrAK50

スーパーにつくと、モナーは地図を見た。
どうやら、三階に目当ての物はあるようだ。

( ´∀`)「三階モナ!」

エスカレーターに乗り上へ昇る。
二階は衣服が売っていた。

( ´∀`)「可愛い服モナ」

モナーは三階へは行かず、目の前にある服へ惹かれて行く。

(#゚;;-゚)「三階に行くんじゃないの?」

( ´∀`)「後で行くモナ。でぃちゃん、コレ可愛いモナよ」

でぃの部屋にあるタンスにはすでに服は用意されている。
しかし、それは全てモナーのセンスで選ばれている。
やはり衣服は本人のセンスを尊重したい。

(#゚;;-゚)「……ふわふわ」

悲しいことに、彼女は衣服に対して好き嫌いはなかった。
ずっと同じ服を着せられていたがために、己のセンスというものがないのだ。


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:09:14.79 ID:SeyGrAK50

( ;´∀`)「着てみるといいモナ」

試着室にでぃを入れ、外で待つ。

(#゚;;-゚)「どう?」

( *´∀`)「可愛いモナ! さすがでぃちゃんモナ!」

(#゚;;-゚)「でも、動きにくい」

( ´∀`)「ならズボンにするモナ」

モナーはアレもコレもとでぃに服を渡していく。
気づけば一時間ほど経っていた。
でぃが気に入ったいくつかの服を購入し、次こそは三階へ向かう。

子供用の勉強道具が置かれている。
ドリル形式の方がいいのか、玩具のようなものがいいのか。
モナーにはそれすらわからない。
とりあえず、でぃにどれがいいのかを尋ねてみた。

(#゚;;-゚)「……どれでも」

( ;´∀`)「うーん」


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:12:17.85 ID:SeyGrAK50

結局、モナーはドリル形式のものを二つと、イラストの多い百貨辞典を一冊を購入することにした。

(#゚;;-゚)「持つ?」

( ´∀`)「大丈夫モナ」

さすがに百貨時点は重かったが、子供に持たせるわけにはいかない。
二人は帰り道をゆっくりと帰った。

歩きながら見る風景は少し緑があって綺麗だったが、大部分はやはり灰色で退屈だった。
一生懸命に言葉を紡ぐモナーに相槌をうちながら、でぃは真っ直ぐに歩く。

家に帰ってきて、でぃは自分の部屋に向かう。
首を傾げているモナーのもとに戻ると、彼は嬉しそうに顔を綻ばせる。
でぃの手には筆記用具が握られていた。

(#゚;;-゚)「ちゃんとできてるか見てて」

( ´∀`)「わかったモナ!」

テーブルにドリルを広げ、でぃは文字を写していく。
隣に座ったモナーは鉛筆の持ち方や、でぃが読めなかった文字を読んでいく。
そんな作業を繰りかえしているうちに、モナーは先に読み方を教えるべきだったかと気づく。

夜になったら買っておいた絵本を読んでやろう。そう心に誓った。


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:15:23.86 ID:SeyGrAK50

日が暮れ始めたころ、モナーはでぃにドリルを片付けるように言い、夕飯を作り始めた。
いそいそとドリルを片付けるでぃを見て微笑む。

夕飯はハンバーグだった。

(#゚;;-゚)「いただきます」

( ´∀`)「いただきます」

食事はとくに会話もなく、黙々と進んでいったが、気まずさはなかった。
ごちそうさまと二人がいい、テレビをつける。丁度子供向けのアニメが放送されていた。
モナーはその番組をでぃに見せ、自分は昼の分の食器もあわせて洗う。

台所から見えるでぃの姿はテレビに視線を釘付けにされていた。
やはり子供なのだと再認識する。

洗い物を終え、風呂をスイッチを入れる。
お湯がたまるまで、でぃの隣でアニメを見る。可愛い動物のキャラクターが平和な日常を送るアニメだった。

( ´∀`)「そろそろお風呂が沸いたモナ。先に入るといいモナ」

(#゚;;-゚)「わかった」


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:18:17.00 ID:SeyGrAK50

でぃは自室からパジャマや代えの下着を取り、脱衣所へ向かう。
お風呂に入っている間に、モナーはこれからのことについて少し考えた。

(#゚;;-゚)「あがったよ」

( ´∀`)「それじゃ、髪をよく乾かして、湯冷めしないうちにベッドに入るモナ」

(#゚;;-゚)「あなたは入らないの?」

( ´∀`)「ボクは後で入るモナ」

ドライヤーで、でぃの髪を乾かし、二人で二階へ上がる。
せっかくだから、絵本を読んであげるといい、モナーはベッドの横に腰を降ろした。

( ´∀`)「昔々、あるところにショボンという――」

モナーの口から紡がれる物語はでぃの耳に入り、そして抜けていった。
少しずつ眠りの世界に入っていきながら、でぃは朝起きたらまた恐ろしい場所になっているのではないかと思っていた。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:21:23.40 ID:SeyGrAK50

(#゚;;-゚)「……」

眩しさに目を覚ます。
静かな部屋。静かな家。でぃは昨日のことを思い出し、一階へ降りる。

いるものと思っていたモナーはいなかった。
その代わり、テーブルには朝ご飯と昼食があった。
あともう一つ、夕方には帰ってくると、ひらがなで書かれた書き置きがあった。

モナーがいないと、ドリルはできなかった。
意味も読みもわからず、ただ文字を書くのは何かが違う。

家は広かったが、探検できるほどではなかった。
適当なテレビを見てみるが、でぃが面白いと感じるような番組は何一つない。

でぃは絵本を開いた。
文字はよくわからなかったが、絵を見るのが楽しかった。
一冊読み終わると、次は自分で描いてみようと思った。

机の引き出しを開いてみると、十二色の色鉛筆がある。
でぃは紙に絵を描き始める。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:24:16.37 ID:SeyGrAK50

( ´∀`)「ただいまモナ」

(#゚;;-゚)「それ、誰?」

モナーの声に、でぃは一階へ降りて行く。
そこにいたのはモナーだけでなく、一人の青年がいた。

( ^ω^)「ブーンですお」

ニコニコしている青年はブーンと名乗った。
彼もまた、自分と同じ境遇なのだろうかと、じっと見つめる。

( ´∀`)「彼はロボットモナ」

(#゚;;-゚)「ロボット?」

ロボットの意味が分からず、首を傾げる。
モナーは少し困ったようにブーンを見た。

( ^ω^)「機械のことだお。機械でできた、動くお人形だお」

(#゚;;-゚)「人形が喋るの?」

( ^ω^)「ロボットは喋るんだお」


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:27:27.99 ID:SeyGrAK50

難しいことはよくわからなかったが、モナーが知りあいから譲ってもらったらしい。
まだ製作段階ではあるが、自己意思と学習能力を備えた素晴らしい作品だと言う。

( ´∀`)「ボクがいない間はブーンがいてくれるお」

( ^ω^)「任せてくださいですお」

とにかく、家族が一人増えたようだ。

( ´∀`)「それじゃ、ボクは夕飯を作るモナ」

( ^ω^)「でぃちゃんは何をするお?」

(#゚;;-゚)「……絵本、読んで」

自分で文字が読めるようになりたかった。
ブーンは笑顔でそれを了承してくれる。

( ^ω^)「ところが、そこに悪の帝王ロマネスクが!」

夕飯を作っているモナーは昨日よりも大きな幸せを感じていた。
台所から見える光景は、まさに兄妹のようだ。

( ´∀`)「できたモナー」


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:30:17.97 ID:SeyGrAK50

食事を必要としないブーンはでぃの横で食事の様子を見ていた。
昨夜とは違い、ブーンが積極的に会話をしてくるため、でぃの口数も多くなったように感じる。

夕飯の後は三人でアニメを見た。

( ^ω^)「おお! すごいお!」

( ´∀`)「いや、甘いな」

( ^ω^)「何でだお?」

( ´∀`)「こいつはきっと、後で裏切るモナ」

( #^ω^)「どうしてそんなことを言うんだお! こんなにいい人なのに!」

(#゚;;-゚)「二人ともうるさい」


二人してでぃに注意された。

( ´∀`)「お風呂沸いたモナ」

(#゚;;-゚)「入ってくる」



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:33:27.35 ID:SeyGrAK50

( ´∀`)「……一気に子供が増えて嬉しいモナ」

( ^ω^)「お?」

ポツリと呟いたモナーに、ブーンが首を傾げる。

( ´∀`)「ブーンも、モナーの息子モナ」

( *^ω^)「嬉しいですお!」

( ´∀`)「だから敬語はいらないモナ」

親子で敬語を使うのはおかしいと言われ、ブーンは素直に頷く。
まだまだ改良の余地があると友人が言っていたのを思い出した。
確かに、あまりにも素直だ。しかし、悪くはない。

( ´∀`)「でも寝る前の絵本タイムは譲らないモナ」

( ^ω^)「把握だお」

でぃがあがるまでの間、モナーはブーンを連れて家を案内した。
ブーンの部屋はでぃの部屋の隣だ。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:36:38.13 ID:SeyGrAK50

( ^ω^)「すごいお!」

でぃと同じで、部屋にはベッドと机と本棚がある。
本棚の中身は青年が好きそうな漫画や小説が並べられてある。

( ^ω^)「嬉しいお。ありがとだお」

( ´∀`)「そんなに喜んでもらえて嬉しいモナ」

(#゚;;-゚)「あがったよ」

パジャマ姿のでぃが二階へ上がってくる。

( ´∀`)「ちゃんと髪を乾かすモナー」

ドライヤーをブーンに渡す。
一瞬、きょとんとした顔をしたブーンだったが、すぐにこの役を譲ってくれるのだとわかった。

でぃの髪を乾かしていく。
その間にモナーはお風呂に入っていた。

モナーがあがると、ブーンは自室に入っていく。どうやら、充電をしなければならないらしい。

( ´∀`)「じゃあ、今日もモナーが絵本を読むモナ」


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:39:19.65 ID:SeyGrAK50

朝、目を覚ますとやはりモナーはいなかった。

(#゚;;-゚)

しかし、ブーンはリビングにいた。

( ^ω^)「おはようだお!」

朝から元気だと思うが、彼には寝起きという感覚がないのかもしれない。
ご飯を食べている間も、横で何かを話している。
今日もいい天気だとか、先ほど放送されていた番組が面白いだとか、よく話題がつきないものだ。

( ^ω^)「外に行かないかお?」

(#゚;;-゚)「え」

今日はブーンに本を読んでもらったり、ドリルをしようと思っていた。
けれど、笑顔で誘われたため、断りにくかった。でぃはためらいながらも頷いたしまった。


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:42:20.57 ID:SeyGrAK50

( ^ω^)「いい気持ちだお!」

両手を広げ、走るブーンを後ろの方で見る。
周りの目が痛い。

( ^ω^)「でぃちゃん、お花が咲いてるお!」

ブーンが指差すのは小さな白い花だった。
綺麗だねと返すと、ブーンは嬉しそうに笑う。

( ^ω^)「ブーンはお花の冠だって作れるんだお」

小さな花を摘み、器用に編みこんでいく。
モナーが作る料理のように、きっとこれも魔法だとでぃは心の隅で思う。

じっと冠作りを見ているのも飽きたので、辺りを見渡してみる。
灰色の世界に変わりはなかったけれど、家の前に作られた花壇は綺麗だった。

( ^ω^)「できたお」

その声に振り向くと、そっと頭に冠が乗せられた。

( ^ω^)「よく似合うお」

(#゚;;-゚)「……ありがとう」


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:45:20.79 ID:SeyGrAK50

それから、でぃとブーンはたくさんのことを二人でした。

( ^ω^)「ブーンも絵を描いたお」

(#゚;;-゚)「……下手」

( ^ω^)そ

(#゚;;-゚)「あたしも描いたよ」

( ^ω^)「う、上手いお……」

でぃの絵は上手かった。
色合いはいつも灰色だったけれど、それがまた深い味わいをだしている。
モナーが帰ってくると、二人は絵を見せた。

( ´∀`)「二人とも上手いモナ。ボクは絵が全然描けないから羨ましいモナ」


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:48:31.33 ID:SeyGrAK50

( ^ω^)「自転車に乗ってみるお」

(#゚;;-゚)「二人乗りはダメだよ」

( ^ω^)「……やっぱり歩くお」

(#゚;;-゚)「うん」

散歩に行くとき、ブーンはカメラを持っていた。
でぃと一緒に見たものを一枚、一枚大切にカメラに収めた。
メモリがいっぱいになると、現像してモナーに見せた。

( ´∀`)「綺麗モナ。今度はモナも一緒にいきたいモナ」

青い空や、小さな花。流れる小川に、少し変わった家。
ゆっくりと周りを見てみると、面白いものはたくさんあった。

( ^ω^)「楽しみだお」

(#゚;;-゚)「うん」


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:51:19.34 ID:SeyGrAK50

( ^ω^)「今日は家事をするお」

(#゚;;-゚)「できるの?」

( ^ω^)「朝飯前だお!」

でぃはブーンに言われるがまま、洗濯をし、ブーンは部屋の掃除をした。
一日かけてそれらを終えると、二人で夕食作りを実行に移す。

( ^ω^)「本日のメニューは……カレーだお!」

(#゚;;-゚)「カレー」

ブーンが材料を切り、それをでぃが炒め、煮込む。
始めての料理にしては上手くできたのではないかと思う。

( ´∀`)「お、美味しいモナ。美味しすぎて……涙が……」

本当は美味しくないのかと思った。
けれど、後で聞いてみると本当に嬉しかったらしい。
一人身には手料理が心に染みると言われたが、でぃにはよくわからない。
ブーンにもよくわからなかったようだ。


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:54:27.46 ID:SeyGrAK50

毎日を繰りかえすうちに、寝る間際の不安は消えていた。

( ´∀`)「今日は休みモナー」

( ^ω^)「じゃあ散歩に行くお!」

ブーンがカメラを持ち、モナーは財布を持ち、でぃは手ぶらで外へ出た。
周りの目はもう気にならない。というよりも、周りもすっかりでぃの姿に慣れたようで、今では好奇の目で見る人もいない。

小さな花を見つけ、変わった形の雲を見つける。
途中で見つけた駄菓子屋で、当たりつきの黄粉棒を食べた。
当たりが連続してしまい、喉が乾いてしまう結果となったが、ブーンは満足そうだ。

( ´∀`)「あんなところに駄菓子屋があったとは」

( ^ω^)「ブーン達もついこの間見つけたばかりだお」

(#゚;;-゚)「美味しかった」

いつも以上に会話は弾む。


しかし、でぃはまだ一度も笑っていなかった。



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 18:57:23.84 ID:SeyGrAK50

(#゚;;-゚)「ブーンは一人なの?」

一冊の本を手にでぃが尋ねる。
その本は量産型のロボットが出てくる話だった。

( ^ω^)「ブーンは一人だお」

でも、ロボット仲間はいたと告げる。
ブーンを作っていた会社は、いくつかのロボットを作った。
モナーはその中でも温厚で、明るい性格のブーンを譲り受けたのだ。
友人の方も、違った環境でロボットがどう変化するのかが見たかったらしい。

(#゚;;-゚)「どんなロボットがいたの?」

珍しくでぃが興味津々なのを感じて、ブーンは饒舌になる。

( ^ω^)「男性型がボクを含めて五人。女性型が三人いたお」

陰鬱とした性格で、自殺願望者と一緒にはとてもできないようなロボットがいた。
似たような顔ではあるが、片方はおとぼけで、片方は真面目なロボットがいた。
熱血で、正しいことを愛するロボットがいた。

言動は刺々しいけれど、優しく手を差し伸べてくれるロボットがいた。
いつも冷静で、立ち上がるのをじっと待ってくれるロボットがいた。
男勝りではあるが、いつも励ましてくれるロボットがいた。

( ^ω^)「みんな大切な友達だお」


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:00:21.75 ID:SeyGrAK50

(#゚;;-゚)「……ここにきて、寂しくない?」

( ^ω^)「でぃちゃんも父さんもいるお」

ブーンはいつの間にかモナーのことを父と呼んでいた。
それはでぃが未だにできていないことの一つだ。

(#゚;;-゚)「そう」

少し沈黙の後、でぃは一つの疑問を口にした。

(#゚;;-゚)「ロボットも恋をするの?」

( ^ω^)「お?」

(#゚;;-゚)「だって、優しく手を差し伸べてくれるロボットのことを話すとき、
     とても愛おしそうな目をしてた」

モナーが自分達に向けてくれる瞳とよく似ていたけれど、また違う色を持っていた。
でぃはそれを恋ではないのかと聞く。

( ^ω^)「……そうだおね。きっと、これは恋だお」

(#゚;;-゚)「じゃあ、やっぱり寂しいんじゃないの?」

( ^ω^)「いつか会えるお」



40 名前:>>38 恐れ多い:2010/09/14(火) 19:04:03.66 ID:SeyGrAK50

とても悲しいことだと思った。
けれど安心した。

(#゚;;-゚)「次に会うときはあたしもモナーさんも一緒だよね」

( ^ω^)「当然だお」

笑顔で肯定してくれたのが嬉しかったので、その日はでぃがブーンに絵本を読んだ。
途中で詰まったりもしたけれど、ブーンはニコニコして聞いてくれた。

( ´∀`)「本当に兄妹みたいモナね」

( ^ω^)「兄妹だお」

(#゚;;-゚)「ね」

( ´∀`)「こりゃ失礼したモナ」

家族という空間に、幸せを感じた。


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:07:32.80 ID:SeyGrAK50

でぃは人並み程度には読み書きができるようになった。

( ^ω^)「今日はどうするお?」

(#゚;;-゚)「散歩、行こ」

ブーンはでぃに麦わら帽子を被せて、カメラを持つ。
遠くの方にできている入道雲に心を奪われたり、涼しげな小川に足を入れてみたりした。

青い空も、白い雲も、緑の木々も、世界は美しく色づいている。
歩く人々の服装は薄い色に変化しており、子供たちは日焼けした素肌をさらしている。

( ^ω^)「お茶飲むかお?」

(#゚;;-゚)「大丈夫」

日が暮れる前にと、家へ帰っている途中でモナーも帰ってきた。

( ´∀`)「散歩帰りモナ?]

(#゚;;-゚)「うん」

( ´∀`)「熱中症には気をつけるモナ」

(#゚;;-゚)「わかってるよお父さん」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:11:24.65 ID:SeyGrAK50

( ´∀`)「…………」

モナーは鍵を開ける手を止めた。

( ´∀`)「……聞いた?」

ブーンに顔を向けて尋ねる。
何度も頷いた彼を見て、モナーは顔中で喜びを表す。いや、行動でもその喜びは表されていた。

( ´∀`)「でぃちゃんが、でぃちゃんが!」

(#゚;;-゚)「……ねえ、あたしのこと、でぃって呼んで。
     お兄ちゃんも」

( ^ω^)「お兄ちゃん……ってボクのことかお?」

(#゚;;-゚)「うん」

でぃは小さく頷く。


(#゚;;ー゚)「だって、家族じゃない」



44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:13:39.95 ID:SeyGrAK50

幸せな生活は優しく、ゆるやかに回っていく。
いつの間にか、でぃの十二色の色鉛筆はどれもが短くなってしまっていた。


(#゚;;-゚)「……嘘、だよね」

( ´∀`)「……すまないモナ」

(  ω )


ゆるやかな回転は動くのをやめた。

もともとブーンは試作段階だった。
何が原因かはわからないが、ある朝起きたらその機能を停止させていた。
モナーは友人にどうにかならないかと尋ねてみたが、現状ではどうにもできないと返されるだけだった。

(#゚;;-゚)「……お兄ちゃん」

ようやくできた家族がまた欠けてしまう。
悲しさがでぃの心に溢れる。

( ´∀`)「……でぃ」

何と言葉をかけたらいいのかわからなかった。


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:16:25.50 ID:SeyGrAK50

(#゚;;-゚)「だって、あたし来年からようやく学校に通えるようになるのに。
     学校で、お兄ちゃんのこと自慢したかった。
     料理が上手で、手先が器用で、優しくて……」

でぃは来年から一般の子供達と同じ学校に通えることになっていた。
同じ年の子供に負けない程度の知識はあると判断されたのだ。
つい先日、ブーンとどのランドセルがいいのか言い争ったのはもはや思い出になってしまった。

(#゚;;-゚)「嘘よ」

涙も流れない。
ひたすらに嘘という言葉を繰りかえす。

( ´∀`)「でぃ、悲しいときは泣くといいモナ」

モナーは優しくでぃを抱き締めた。
静かな家に、でぃの嗚咽が響く。


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:19:26.08 ID:SeyGrAK50

泣き疲れて眠ってしまったでぃをベッドに寝かせ、モナーは静かに部屋を去る。
自室に入り、引き出しの奥にしまっていた写真を取り出した。

( ´∀`)「家族が欠けるのは寂しいモナ」

写真に写っているのは、若いモナーと奥さんだった人だ。
モナーがお金持ちになる前に別れてしまっていた。
離婚届に判を押したにも関わらず、いつか戻ってきてくれるのではないかと思い、一緒に暮らしていた家を離れることができずにいる。

別れた理由は奥さんに子供を作る力がなかったからだ。
モナーはそれでもよかったが、子供好きのモナーを見ているのが辛いと言われてしまった。

( ´∀`)「お前に見せてやりたいモナ。ボクらの子供を」

優しい長男と、優しい長女。
まさに理想だろと静かに呟く。


隣に愛しい人がいたならば、そうねと返してくれるに違いない。



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:22:29.47 ID:SeyGrAK50

(#゚;;-゚)「……お父さん、お兄ちゃんももう目を覚まさないの?」

( ´∀`)「時間が経てば、何か解決策があるかもしれないらしいもな」


目を赤くしたでぃに告げる。
でぃは悲しげに目を伏せて、それならこれをブーンに持たせて欲しいと言う。

渡されたのは一枚の紙だった。
綺麗に折られており、中身は見えない。

(#゚;;-゚)「また、会えるよね」

( ´∀`)「また会えるモナ」



でぃには未来に会うと約束した人が三人いる。
二人は本当のお母さんとお父さん。
もう一人はロボットの兄だ。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:25:21.17 ID:SeyGrAK50

( -ω-)「うーん」

( ´_ゝ`)「あ、起きる」

(´<_` )「マジか」

懐かしい声に目を開けてみると、そこには予想通り、似た顔が二つ並んでいた。

( ´_ゝ`)「おはよう」

(´<_` )「やはり今日起きたか」

( ´_ゝ`)「流石だな」

(´<_` )「ああ、流石だ」

目の前でハイタッチをする兄弟は、まぎれもなく同じ時期に作られたロボットだ。
最後に見たときとは違い、二人とも白衣に身を包んでおり、まるで研究者のようだ。

ξ゚⊿゚)ξ「あら起きたの」

次に現れたのはでぃに指摘された通り、思いを寄せている女性型ロボットだ。

( ^ω^)「……どうしてボクはここにいるんだお?」


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:28:25.54 ID:SeyGrAK50

ブーンはでぃとモナーと一緒に暮らしていたはずだ。
いつかはここを三人で訪れようとは言っていたが、今はそのときではないはずだ。
もしかすると、すべては夢だったのかと焦る。

('A`)「夢じゃないぞ」

(,,゚Д゚)「だから早く用意しろ!」

二人に急かされるが、何を用意すればいいのかわからない。

川 ゚ -゚)「まあ落ち着いてこれでも読め」

从 ゚∀从「んでから、これに着替えろ」

仲間達に言われ、受け取った紙を見る。


( ^ω^)「でぃの絵だお!」


紙には三人の絵が描かれていた。
絵の中の三人は幸せそうで、美しい色の中に住んでいる。
きっと、でぃには世界がこんな風に見えていたのだろう。


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:31:24.51 ID:SeyGrAK50

白いスーツに着替えると、車に放りこまれた。

( ^ω^)「何があるんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「有名な絵本作家が今日結婚するのよ」

ツンはブーンの質問に答えず、世間話をする。
その絵本作家は、色使いが繊細で美しいと評判だそうだ。もちろん、内容も素晴らしい。

( ´_ゝ`)「綺麗だろ?」

(´<_` )「美しいだろ?」

二人に渡された絵本は確かに美しい色使いだった。

( ^ω^)「……見覚えがあるお」

どこで見たのかは思い出せない。
記憶回路の異常かもしれないと告げるが、周りは笑うばかりでまともに会話してくれない。


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:34:28.16 ID:SeyGrAK50

車が止まったのは教会だった。
先ほどツンが言っていた作家の結婚式が行われているのだろうか。

( ^ω^)「みんな、その作家がそんなに好きなのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「うーん。作家が私達のことが好きって言った方が正しいわね」

('A`)「違う違う。作家がブーンのことを好きなんだ」

面識もない人間の結婚式になど出れるわけがないと、ブーンは抵抗するが男三人に背を押され、教会の中へ入っていく。
中にいるのは新郎新婦と、その親戚だけのようだった。


( <●><●>) 「病めるときも健やかなるときも――」

神父の声が響く。

(*  )「誓います」

女の声が聞こえた。

( :ω;)

不意に涙が溢れ出した。
止まらぬ涙にブーンは困惑する。


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:37:27.85 ID:SeyGrAK50

誓いの口づけが終わり、新婦がブーンの方を向く。

(*゚ー゚) 「お兄ちゃん!」

純白のドレスを着た花嫁が走ってくる。

( ^ω^)「でぃ……」

自然と言葉が出た。
胸に飛びこんできたでぃをしっかり抱き締める。

(*゚ー゚) 「良かった! 本当に目を覚ましたのね!」

ミ ゚Д゚彡「その人がお兄さん?」

(*゚ー゚) 「ええ! あたしの最高の兄よ!」

( ^ω^)「でぃ……ボクは、夢でも見てるのかお?」

虐待の傷もすっかり消え、美しい姿になったでぃを再び目に映す。
少し眠っている間に、妹はすっかり純白のドレスが似合う女性になっていた。

( ´∀`)「夢じゃないモナ」

目じりに涙を浮かべながら、モナーが近づいてくる。
ブーンの両手をしっかり握り、その感触を確かめる。


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:40:22.13 ID:SeyGrAK50

( ^ω^)「お父さん、すっかりおじさんになってるお……」

( ´∀`)「十二年も経てば、おじさんにもなるモナ」

( ^ω^)「十二年……?」

ここにきて、ブーンは始めて自分の機能が停止していたことを知る。
機能の理由は、急激に感情や思い出を増やしたためによる負荷だったらしい。

(*゚ー゚) 「ずっと待ってた。お兄ちゃんが目を覚ますまで、結婚はしないって言ってたの」

ミ ゚Д゚彡「無事に結婚できて良かったです」

( ^ω^)「ボクの知らない間に……」

目覚めて早々、妹が人妻になってしまった悲しさは大きい。

(*゚ー゚) 「さあ、次はお兄ちゃんの番よ」

( ^ω^)「お?」


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:43:23.96 ID:SeyGrAK50

でぃの指が向いている方向へ視線を送ると、そこにはもう一人、花嫁がいた。


ξ゚⊿゚)ξ「早くしなさいよ」


口の悪い花嫁だ。

('A`)「何のための白スーツだよ」

背中を押され、花嫁の隣に立つ。

ξ゚⊿゚)ξ「ずっと、ずっと待っててあげたんだから」

そう言ってから、少しだけ不安そうにする。

ξ゚⊿゚)ξ「……嫌だったら、別にいいのよ」

( ^ω^)「嫌じゃないお」

目が覚めたばかりなのに、幸せばかりが続いている。
こんなに幸せばかりが続いてもいいのだろうか。

口づけを交わすと、でぃに連れられて教会の庭に出る。
二人はブーケを手に頷く。


59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:46:39.08 ID:SeyGrAK50

ξ゚⊿゚)ξ

(*゚ー゚)


二人の花嫁から投げられたブーケは、二人の女性の手に落ちた。

|゚ノ^∀^)

(*゚∀゚)

受け取った女性は、どちらも既婚していてもおかしくないような年齢だった。
二人は少し恥ずかしそうに顔を赤らめている。

(*゚ー゚) 「お母さん、再婚してね!」

( ^ω^)「お、お母さん?!」

(*゚ー゚) 「うん」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:49:30.76 ID:SeyGrAK50

でぃはブーンの手を取り、嬉しそうに言う。


(*゚ー゚) 「あたし、しぃって言うの!」


本当の名前を言う。
大きな声で、自分の存在を主張するように。


|゚ノ^∀^)「ねえ、私達も再婚する?」

( ´∀`)「いいモナ?!」

|゚ノ^∀^)「娘も息子も結婚しちゃったし、寂しくなるでしょ?」


ブーケを受け取った女性がモナーと言葉を交わしていた。


どうやら、ブーンが寝ている間に世界は大きく変わっていたらしい。



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:52:43.36 ID:SeyGrAK50

(*゚ー゚) 「お兄ちゃん、今度遊びにきてね」

( ^ω^)「絶対行くお」

ミ ゚Д゚彡「待ってます」

( ´∀`)「部屋が二つも空いてしまうモナ」

|゚ノ^∀^)「ツンちゃん、しばらくうちで暮らさない?」

ξ゚⊿゚)ξ「えっ、そんな……悪いですよ」

(*゚∀゚)「しぃ、本当によかった……」



空白の時間は埋められない。
しかし、これからの時間を作ることは容易だ。




( ^ω^)ボクらは家族のようです



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 19:54:42.11 ID:SeyGrAK50

以上で終了です。

(#゚;;-゚)可愛い。(#゚;;-゚)が可愛すぎて困る。
最後の辺りがブーンばかりなので、題名には( ^ω^)にいてもらいました。

支援ありがとうございました。
質問等ございましたらどうぞ。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 20:06:11.56 ID:RuY4TTmU0

しぃの本当の親は?

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/14(火) 20:40:08.22 ID:SeyGrAK50
>>66
(*゚∀゚)が母親です。
父親とは離婚しました。

コメント

何このスーパーハッピーエンド
感動した
[2010/10/16 23:00] URL | #- [ 編集 ]


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