('∀`)鬱ナせぇるすまん 『 歴女 』
2010/12/26 Sun 04:09
672 :('∀`)鬱ナせぇるすまん:2010/12/23(木) 21:52:04 ID:VbU1KcGM0
私の名前は喪鬱毒造、人呼んで鬱ナせぇるすまん
ただのせぇるすまんじゃございません
私が取り扱う品物は“ココロ” 人間のココロでゴザイマス・・・
この世は老いも若きも男も女もココロの寂しい人ばかりそんなみなさんのココロのスキマお埋めします
いえお金は一銭もいただきませんお客様が満足されたら、それがなによりの報酬でゴザイマス・・・
さて今日のお客様は・・・
('、`*川 ワクワク
('、`*川 伊藤 ヒロ子 28歳 OL
【歴女】
オーホッホッホ・・・・・・
673 :歴女:2010/12/23(木) 21:54:35 ID:VbU1KcGM0
( *б∀б) 「もう一軒行こうもう一軒!」
州-凹_凹) 「あんた飲み過ぎよ」
( *б∀б) 「ええ普通だよ~、ねぇヒロ子?」
('、`*川 「まだ飲み足りないわね」
花の金曜日、伊藤ヒロ子は同僚のOLたちと飲み歩いていた
州;凹_凹) 「で、でももう夜遅いし…」
( *б∀б) 「今日は金曜日だから全然大丈夫だよ!ほら行こっ!」グイッ!
モエはグズるケイコを引っ張っていく
('、`*川 「ふふふ…」
ふとヒロ子は時計に目を向けた、時間はもうすぐ9時になろうというところだった
Σ('、`;川 「ああっ!!やばいっ!」
674 :歴女:2010/12/23(木) 21:56:08 ID:VbU1KcGM0
( *б∀б) 「どうしたのヒロ子?なんかまずいことでも起こった?」
('、`;川 「ちょっと私帰るね!重要な用事があったの忘れてたわ!」
( *б∀б) 「用事があるならしょうがないわね」
州-凹_凹) 「じゃあ私も…」
( *б∀б) 「ケイコはダメ!ほら行くよ!」 ガシ!
州;凹_凹) 「うぐうぐ…」
二人を見届けたあとヒロ子は急いで自分の家と向かった
('、`;川 「早く!早くしなきゃ始まっちゃう!」
幸い家に近かったこともあり10分ほどでアパートに着いた
('、`;川 「はぁはぁはぁ」
675 :歴女:2010/12/23(木) 21:57:38 ID:VbU1KcGM0
ブーツを脱ぎすてカバンを放り投げる
('、`;川 「どこっ!?リモコンどこ!」
ヒロ子は部屋を見回す、目当てのリモコンはテーブルの上に置いてあった
('、`;川 「あった!ううもうっ!」ガシッ
急いでリモコンを掴みTVをつける
TV『ジャジャ~ン!信長伝!!』
('、`;川 「間に合った…」ホッ
ヒロ子は金曜夜10時から放送される大河ドラマ『信長伝』を毎週楽しみにしていたのだ
('ー`*川 「信長様…」ポワ~ン
伊藤ヒロ子は武将マニアだったのだ
676 :歴女:2010/12/23(木) 22:00:40 ID:VbU1KcGM0
('、`;川 「あ、あ、あ…」
今日は本能寺の変、つまり今日で最終回なのだ
('、`;川 「ダメ!ダメよ信長様!」
燃え盛る炎に包まれ、織田信長が自害をするところでドラマは幕を閉じた
('、`;川 「終わっちゃった…」
ヒロ子は肩を落とした、1年間楽しみにしていたドラマが終わってしまったのだ
('、`*川 「ハァ、明日からなにを楽しみにしていけばいいのかしら…」
ヒロ子はビデオデッキからDVDを取りだす
('、`*川 「でもまぁ、録画したのがいっぱいあるし、それを見て楽しむかな」
その時…
ピンポーン
部屋のチャイムが鳴る、誰かが訪ねて来たようだった
('、`*川 「こんな時間に誰かしら?」トコトコ
玄関へ行きドアを開ける、そこには薄気味の悪い男が立っていた
('A`)
677 :歴女:2010/12/23(木) 22:01:27 ID:VbU1KcGM0
('A`) 「どうもコンバンハ」スタスタ
('、`;川 「ちょ、ちょっと!」
男はヒロ子の制止を無視し、ズカズカと部屋のなかに入ってくる
('A`) 「ほう、なかなかいいところに住んでますなぁ」
('、`#川 「何なんですかあなたは!警察呼びますよ!」
('A`) 「まぁそんな慌てないで、ふぅ」
男はテレビの前に腰を下ろす
('、`#川 「早く出てってくださいよ!」
('A`) 「そうカッカしないで、ワタシはこういう者です」サッ
('、`#川 「ココロのスキマお埋めします、喪鬱毒造…?」
678 :歴女:2010/12/23(木) 22:02:41 ID:VbU1KcGM0
('A`) 「ワタシは現代人が抱えてるココロのもやもやを取り除く仕事をしてるのです」
('、`*川 「カウンセラーみたいなもの?」
('A`) 「カウンセラーというのとはちょっと違うかもしれませんな、いわゆる人生コンサルタントみたいなものです」
('、`#川 「とにかく出てってください!私はこういうの必要ありませんから!」
('A`) 「そうですか、しかし…」
喪鬱はヒロ子の部屋の中を見回す
('A`) 「色々なモノがある部屋ですねぇ、歴史書、刀、和服、そして新撰組の法被」
('、`;川 「私がなに集めようがあなたには関係無いでしょ!いいから早く出てってくださいっ!!」
('A`) 「わかりました、それでは…」スッ
喪鬱は立ち上がり部屋から出て行った
('、`#川 「なんなのよあの男は…」
679 :歴女:2010/12/23(木) 22:04:17 ID:VbU1KcGM0
月曜日 シベリア物産経理課にて
('、`*川 「はぁ、この前の人はなんだったんだろう…」
昼食を食べ終わったあとヒロ子は喪鬱のことについて考えていた
('、`*川 (ココロのスキマがどうとか言ってたけどあきらかに怪しいわよねぇ)
('、`*川 (別に私は悩みなんてないし、どうでもいいわよね)
('、`*川 「ハァ…」ゴクリ
つ旦と
ほうじ茶を一口すする、この渋い味がヒロ子のお気に入りだった
('、`*川 「……」
( б∀б) 「なにたそがれてんのよあんたは…」
680 :歴女:2010/12/23(木) 22:05:59 ID:VbU1KcGM0
('、`*川 「なによ、ちょっと考え事してただけじゃない」
( б∀б) 「ねぇちょっと聞きたいことあるんだけどさ…」
('、`*川 「聞きたいことってなに?」
( б∀б) 「ヒロ子ってさぁ、どういう男がタイプなの?」
('、`;川 「えっ!?男?」
( б∀б) 「そうそう、信子のそういう話聞いたことないからさ」
('、`;川 「え、えっと…」
( б∀б) 「有名人でもいいわよ」
('、`;川 「なら織田―――」
信長と言いかけてヒロ子は言葉を飲み込んだ
('、`;川 (織田信長なんて言ったら間違いなくひかれる、だったらここは…)
( б∀б) 「織田?」
('、`;川 「裕二、織田裕二よ…」
681 :歴女:2010/12/23(木) 22:08:32 ID:VbU1KcGM0
( б∀б) 「へぇ!ああいうのがタイプなんだ!へぇ~」
('、`;川 「うう…」
悔しいがグッと我慢する、武将マニアということを知られたくないのだ
( б∀б) 「じゃあさヒロ子、黒田くんなんかどう?結構かっこよくない?」
('、`*川 「えぇあいつぅ?」
黒田というのは今年入社してきた若手社員のことだ
(・↓・)~♪
( б∀б) 「仕事もそこそこ出来るし、なかなかマメなやつだし…」
('、`*川 「あんな奴のどこが良いのよ、頼りなさ過ぎて話にならないわ!」
( б∀б) 「理想高いわねぇ…そんなんだから男が出来ないのよ」
('、`*川 「ふん…」
以前からモエに男を紹介されることが何回かあったが、どれもヒロ子の眼鏡にはかなわなかった
('、`*川 「ハァ…」
682 :歴女:2010/12/23(木) 22:09:52 ID:VbU1KcGM0
BAR バロ巣
('、`*川 「ハァ…マスター、もう一杯お願い…」
つ□と
( ´W`)つ□ タンッ
('、`*川 「どうも…」
ヒロ子が『BAR バロ巣』に通うようになったのは3カ月前に同僚のケイコに紹介されたのがきっかけだった
( ´W`)
つ□と キュッキュッ
マスターはヒロ子になにも話しかけようとはしない、しかしヒロ子は静かな環境で酒を嗜みたいので好都合だった
('、`*川 (はぁ…なんでこの世の中には良い男がいないのかしら…私の理想が高過ぎ?そんなハズは…)
今日モエに言われたこと思い返す、しかし面倒くさくなり酒を一口入れる
('、`*川 「世の中の男どもが情けなさすぎるのよ」ボソ
('A`) 「あまり飲み過ぎすのも体に毒ですよぉ」
683 :歴女:2010/12/23(木) 22:11:21 ID:VbU1KcGM0
Σ('、`;川 「うわっ!あ、あなたは!?」
('A`) 「どーも喪鬱です、まさかあなたもここの常連だったとは思いませんでしたよ」
('、`;川 「喪鬱さんはいつからここに?」
('A`) 「あなたが来る前からワタシはこの店にいましたよ」
どうやらカウンターの隅のほうで飲んでいたらしい、ちょうど隅は暗がりになっているので気付かなかった
('ー`;川 「そうなんですか、あはは…」
('A`) 「ところでヒロ子さん、あなたさっき世の中の男が情けないと呟いてませんでしたか?」
('、`;川 「そ、それは…」 ギクッ!
喪鬱がカウンターの端からヒロ子の隣へと移動してくる
('A`) 「その話を詳しく話してはくれませんか?」
('、`;川 「ううう…」
684 :歴女:2010/12/23(木) 22:12:56 ID:VbU1KcGM0
('A`) 「ほう!ヒロ子さんは武将マニアなのですか」
('、`*川 「ええそうですよ、悪いですか?」
('A`) 「いえいえ、趣味というのは人それぞれですからね、ということはヒロ子さんはいわゆる歴女というやつですな」
('、`*川 「まぁそういうことになるわね」
('A`) 「ヒロ子さんはなぜ武将がお好きなのですか?なにか理由でも?」
('、`*川 「そりゃまぁ、あれですよ」
つ□とチビリ
ウォッカで舌を濡らしてからヒロ子は答える
('、`*川 「大きいからですよ、人としても男としても…」
('A`) 「ほう」
685 :歴女:2010/12/23(木) 22:18:02 ID:VbU1KcGM0
('、`*川 「昔の男には気概がありましたよ、この国を変えてやるっていう
それに対して今の男はふにゃふにゃですよ、情けない」
('A`) 「ほうほう」
('、`*川 「どんだけ草食なんだよって思いますよ、いやっ…ていうより草!もはや草ですよ今の男は!」
つ□とトンク
('A`) 「時代によって価値観は違うと思うのでなんとも言えませんなぁ」
('、`*川 「とにかく私は強い男が好きなんです!」
('A`) 「ところで武将では誰が好きなんですか?」
('、`*川 「もちろん織田信長です!」
('A`) 「ほうそれは何故?」
('、`*川 「織田信長はすごい野心家なんですよ、とにかく天下統一してやろうという男気がすごかったんですから!」
686 :歴女:2010/12/23(木) 22:19:23 ID:VbU1KcGM0
('、`*川 「信長は武将という身分でありながら庶民にも分け隔てなく付き合っていたそうです
実際に一緒に祭りで踊ったり工事では率先して汗を流したそうです」
('A`) 「ふむふむ」
('、`*川 「部下にも慕われたそうですよ、家来の中にはなんと黒人もいたそうです」
('A`) 「ほう、それは知りませんでしたなぁ、恥ずかしながら歴史は疎いもので」
('、`*川 「鳴かぬなら殺してしまおうホトトギスと詠われるほど豪快な男なんです」
('A`) 「なるほど」
('、`*川 「はぁ…そういう男はもういないんでしょうねぇ」
('A`) 「……」
('、`*川 「ハァ…信長に会いたい…」
('A`) 「では会いに行きますか」
('、`*川 「え…?」
687 :歴女:2010/12/23(木) 22:20:24 ID:VbU1KcGM0
('、`*川 「いまなんて言いました?」
('A`) 「だから会いに行きましょう、織田信長に」
('、`;川 「はぁ!?なに言ってるんですか喪鬱さん!?信長は何千年も前に死んでるんですよ、会えるわけないでしょう!」
('A`) 「いえいえ本物の信長ではありません、実はワタシの知り合いに『武将BAR』を経営してる人がいるのです」
('、`;川 「武将BAR?なんですかそれ?」
('A`) 「戦国武将の格好をした男性が接客してくれる店です、一時期の歴史ブームに乗っかって開店しましてね」
('、`;川 「そんな店がシベリアにあったなんて……」
('A`) 「ではさっそく行きましょう」ガタッ
喪鬱は立ち上がりヒロ子を促す
('、`;川 「わかりました…」
688 :歴女:2010/12/23(木) 22:21:39 ID:VbU1KcGM0
('A`) 「あそこのビルの7階にあるのですよヒロ子さん」
('、`;川 「……」
ヒロ子はいまシベリア駅前に来ている、道路を挟んで向こう側には薄汚れた雑居ビルが建っていた
('、`;川 「あの中にあるんですか」
('A`) 「ええそうです、あのビルはワタシの友人が管理してましてね、だからよく顔を見せに行くのですよ」
シベリアと言えども駅前にはそれなりに人がいる、なのにあのビルからは人の気配がせず異様な雰囲気が漂っていた
('、`;川 (ホントに大丈夫かしら…)
('A`) 「では行きますよぉ」 トコトコ
('、`;川 「……」
689 :歴女:2010/12/23(木) 22:22:41 ID:VbU1KcGM0
ガチャ
('A`) 「どうも~」
('、`*川 「……」
( ・3・) 「おぅわー毒造さんいらっしゃい!」
('A`) 「今日は武将BARのお客さんを連れてきましたよ」
('、`*川 「初めまして伊藤ヒロ子です」
( ・3・) 「僕ぼるじょあ!よろしくNE!」
ぼるじょあと名乗ったのは背が低い小太りの男だった、体型は喪鬱に似てるが顔はあどけなかった
('、`*川 (何歳ぐらいかな…)
( ・3・) 「武将BARは7階だYO、そのエレベーターで行ってNE」
('A`) 「わかりました、ではヒロ子さん行きましょうか」
('、`*川 「はい」
( ・3・) 「行ってらっしゃ~い」
690 :歴女:2010/12/23(木) 22:25:54 ID:VbU1KcGM0
エレベーター内
('A`) 「……」
('、`*川 「……」
エレベーターが上に行くごとにヒロ子の不安な気持ちがどんどん膨らんでくる
('、`*川 (喪鬱さんは信長に会えると言ってたけど所詮は似非、ただのナヨナヨした着物姿の男が出て来るだけじゃないかしら)
('A`) 「……」
('、`*川 (そうだったらがっかりだなぁ……)
('A`) 「ヒロ子さん」
('、`;川 「えっ!?なんでしょうか?」
('A`) 「オーホッホッ、安心してください、きっと満足できましたからね……」
ちょうどそのときエレベーターが7階へと到着した
('A`) 「着きましたよ」
('、`;川 「はい…」
691 :歴女:2010/12/23(木) 22:26:38 ID:VbU1KcGM0
|(●), 、(●)、| 「喪鬱さんではないですか!いらっしゃいませ!」
('A`) 「お久しぶりですねぇダディさん、どうですお店のほうは?」
|(●), 、(●)、| 「いやぁ最近は客が以前より減りましてねぇ」
('A`) 「どこも不景気ですからねぇ」
('、`*川 「あの喪鬱さん」
('A`) 「おおっとすいません、実はこの店のオーナーであるダディクールさんとは昔からの知り合いでしてね、ついつい話し込んでしまいました」
('、`*川 「はぁ」
|(●), 、(●)、| 「オーナーのダディ・クールです、我が武将BARへようこそ!」
('、`;川 「い、伊藤ヒロ子です」
さっきのぼるじょあと同じくちんちくりんな体系をしている、年齢は喪鬱よりちょっと上か
692 :歴女:2010/12/23(木) 22:29:55 ID:VbU1KcGM0
|(●), 、(●)、| 「では伊藤さん、いったい誰を指名しますか?」
('、`;川 「そうねぇ…」
|(●), 、(●)、| 「いま流行りの坂本龍馬なんかどうですか?それとも勝海舟?」
('、`#川 「(龍馬と勝海舟は武将じゃないだろ!)織田信長はいるかしら?」
|(●), 、(●)、| 「ええモチロン居ますとも、では先に席にご案内しますね」
ヒロ子を店の奥へと案内される、その間に店内を見回してみたが、あまり客は入っていないようだった
|(●), 、(●)、| 「では呼んできますのでここで待っててくださいね~」
('、`*川 「……」
('A`) 「どうしましたかヒロ子さん、心配そうな顔して」
('、`*川 「いや別に…」
|(●), 、(●)、| 「おまたせいたしました、こちら信長です」
ヽ`・-・) 「どうも初めまして信長です」
693 :歴女:2010/12/23(木) 22:32:13 ID:VbU1KcGM0
('、`;川 「えっ!?」ドキッ!
ヒロ子の前に現れたのは、背が高く筋骨隆々の若い男だった
ヽ`・-・) 「隣に座ってよろしいですか?」
('、`;川 「あっ!ど、ど、どうぞ!」
男はヒロ子の隣に腰を下ろす
ヽ`・-・) 「……」
('、`*川 (ああ…なんて良い男なのかしら…)
正直ヒロ子はこの店に期待していなかった
薄汚れたビル、不気味なオーナー、閑散とした店内を見たあとだけに期待などできなかったのだ
ヽ`・-・) 「あのあなたのお名前は?」
('、`;川 「あっ、い、伊藤ヒロ子といいます…」
694 :歴女:2010/12/23(木) 22:33:35 ID:VbU1KcGM0
ヽ`・-・) 「ヒロ子さんは普段どんな仕事してるの?」
('、`*川 「普通にOLよ、経理とかその他諸々」
ヽ`・-・) 「ふーん」
('ー`*川 (ああ…なんてかっこいいのかしら…)
男は鼻筋の通った二枚目で精悍な顔つきをしていた、よく教科書やテレビで見るのっぺりとした肖像画とは大違いだった
ヒロ子はもっと男の近くへと寄る
ヽ`・-・) 「僕の顔に何かついてる?」
('ー`*川 「いいえ、ただなんてかっこいいんだろうと思って」
ヽ`・ー・) 「ハハハ、そんなことないよ、たいしたこと無いって僕なんて」
('ー`*川 「意外と謙虚なのね」
695 :歴女:2010/12/23(木) 22:34:55 ID:VbU1KcGM0
その後、ヒロ子は夢のような時間を過ごした
('ー`*川 「アハハ」
つ□と
普段はあまり多くは飲まない酒を何杯も飲み干す
('ー`*川 ウットリ…
ヒロ子は男の逞しさ、凛々しさ、体から放たれる生気あふれたオーラの虜になってしまっていたのだ
('ー`*川 (ああ…信長様…)
('A`) 「ホッホッホ、ヒロ子さん目がハートマークになってますなぁ」ボソッ
ヽ`・-・) 「あっとすいません、もう僕行かないと」
('、`*川 「ええ~、もっと話したいのにぃ」
ヽ`・-・) 「ハハハすいません、またいつか会いましょう」
そう言うと男はどこかへと行ってしまった
('、`*川 「ちぇっ」
('A`) 「ヒロ子さん、明日も仕事ですし、そろそろ終わりにしましょう」
('、`*川 「そうですね…」
もう少しここに居たかったが帰宅することにした
696 :歴女:2010/12/23(木) 22:36:03 ID:VbU1KcGM0
翌日 シベリア物産経理課にて
('ー`*川 「……」
ヒロ子は楽しかった昨日を思い返す、自然と顔がニヤついてしまう
('ー`*川 (昨日は良かったわ…あんな良い男が存在したなんてなぁ)
昨晩ヒロ子の相手をした男の顔を思い出す
('ー`*川 (本物の織田信長じゃないけどナイスガイだったわ…)
('ー`*川 ニタニタ
( ;б∀б) 「ヒロ子、朝からなにニヤニヤしてるのかしら?」
州;凹_凹)「さぁ…」
('ー`*川 (うふふ…)
697 :歴女:2010/12/23(木) 22:36:40 ID:VbU1KcGM0
しかし時が経つごとに浮き立っていた気持ちが冷め、逆にある思いが膨らんできた
('、`*川 「ハァ…」
('、`*川 (またあの人に会いたい…ハァ…)
思えば思うほど男に会いたい気持ちが大きくなってくる
('、`*川 (喪鬱さんに頼んだらまた会わしてくれるかしら…)
('、`*川 (ハァ…帰ろう)ガタッ
定時になったのでヒロ子は家に帰ることにした
('、`*川 「ハァ…」
698 :歴女:2010/12/23(木) 22:38:38 ID:VbU1KcGM0
数日後 BAR バロ巣
('、`*川 「喪鬱さん先日はまことにありがとうございました、とても楽しかったです」
('A`) 「喜んでいただけたのならワタシも満足です」
('、`*川 「まさに私の理想を絵に描いたような男性でしたよ、あぁかっこ良かったなぁ…」
('A`) 「あのときのヒロ子さんは夢見心地な状態でしたなぁ」
('、`*川 「お恥ずかしい」
('A`) 「いえいえ、楽しんでいただけたのならワタシも紹介した甲斐がありましたよ」
('、`*川 「そこでまた喪鬱さんにお願いなのですが……」
( ´W`)
つ□と キュッキュッ
('、`*川 「またあの店に連れてってください」
('A`) 「ほう」
699 :歴女:2010/12/23(木) 22:39:09 ID:VbU1KcGM0
('、`*川 「あの日からあのひとのことが頭から離れなくて離れなくて、仕事や家事が手につかないんです」
('A`) 「なるほど」
('、`*川 「だからお願いします、また彼に会わせてください喪鬱さん」
('A`) 「残念ながらそれは出来ませんなぁ」
('、`;川 「えっ!?なんですか!」
('A`) 「ヒロ子さん、あそこにはもう行かないほうがいいです、夢というのは夢のままで終わらせたほうがいいのです」
('、`;川 「で、でも…」
('A`) 「他にもっと良い人を見つけてください」
('、`;川 「うう…わかりました…」
わかったと言ったもののヒロ子は納得することが出来なかった
('、`;川 (ふん…だったら一人で行ってやる!)
700 :歴女:2010/12/23(木) 22:40:37 ID:VbU1KcGM0
ガチャン
('、`*川 「……」
ヒロ子は喪鬱と別れたあと、一人であの店があるビルに来ていた
( ・3・) 「あるぇー、ヒロ子ちゃんじゃんかYO、今日は一人ぃ?」
('、`;川 「(ぼるじょあさんだったかしら…)ええ、そうです、今日もあの店で飲もうと思いまして」
( ・3・) 「えぇー、あの店に行くのぉ~?でもあの店はぁ」
('、`*川 「なにか問題でも?」
( ・3・) 「別にぃ、なんでもないYO」
('、`*川 「ふん」
ぼるじゃあの反応が引っかかったが構わずにヒロ子はエレベーターに乗り、目的の場所まで急いだ
701 :歴女:2010/12/23(木) 22:41:39 ID:VbU1KcGM0
('、`*川 「……」
エレベーターが上に行くごとにヒロ子のココロが浮き立ってくる
('ー`*川 (この前は不安で不安でしょうがなかったのに、今日は楽しみでしょうがないわ…)
これからまたあの男に会えると思うだけでヒロ子のココロは弾むのだった
('、`*川 「ふふふ…お金のことは気にしないでとことん楽しむぞー」
事前にATMで金はおろしてあった
前回は喪鬱に払ってもらったためにどのくらい金が掛かるかわからなったため、できる多くの金を用意していた
('、`*川 「お!」
気がつくとエレベーターはすでに6階を通過し、店がある7階まであと少しだった
('、`*川 (もうすぐ信長様に会える!)ドキドキ
ヒロ子がそう思ったとき、7階へと到着したことを知らせる音が鳴った
('、`*川 「着いた!」
エレベーターの扉が開いた
702 :歴女:2010/12/23(木) 22:42:33 ID:VbU1KcGM0
('、`;川 「なっ!?」
扉の向こうに広がっていたのはヒロ子が想像していたものとはまったく違っていた
('、`;川 「そんな…なんで?」
店はもぬけの殻だった、あったはずの椅子やテーブルは撤去されていて、そこらへんにコップや瓶などの破片が散らばっていた
('、`;川 「え、え、ちょっと待ってよ」
ヒロ子は足元に気をつけて店内に足を踏み入れる
('、`;川 「この前まで普通に営業してたのに…」
ヒロ子は店の中を探索してみる、しかし織田信長の格好をしていた男はおろか、ダディクールの姿さえ無かった
('、`;川 「そんなぁ、みんなどこ行ったのよ…」
ヒロ子は近くに転がっていた木箱に腰を下ろした
('、`;川 「ハァ…」
ヒロ子が深いため息を吐いたその時―――
('A`) 「オーホッホッホ」
705 :歴女:2010/12/23(木) 22:44:08 ID:VbU1KcGM0
('、`;川 「も、喪鬱さん!?なんでここに!?」
('A`) 「この店には行かないでくださいと言ったはずでしたけどねぇ」
('、`;川 「なんで誰もいないんですか喪鬱さん!?何故営業していないんですか?」
('A`) 「実はこの前ヒロ子さんがここに来た翌日に、この店は閉店したのですよ」
('、`;川 「閉店!?なぜですか?」
('A`) 「去年この店をオープンしたときは歴史ブームの流れに乗っかりそれなりに繁盛しました
しかし所詮はブームです、時が経てばみんな冷め、こんな店に誰も目もくれなくなりました」
('、`;川 「そんなぁ…」
('A`) 「きっとダディさんは次にどんな店を開くのか、構想を練ってるところでしょうねぇ」
('、`;川 「……」
706 :歴女:2010/12/23(木) 22:56:24 ID:VbU1KcGM0
('A`) 「なのでヒロ子さん、もう諦めてください、きっと他に良い男性が…」
('、`;川 「喪鬱さん!」ガシ
ヒロ子は喪鬱の腕にすがりつく
('、`;川 「お願いです喪鬱さん!他の!他の店に連れてってください!まだあるでしょどっかに!」
('A`) 「残念ながらシベリアにはこの一軒だけですなぁ」
('、`;川 「そこをなんとか…もう一度あのひとに会わせてください…」
('A`) 「……」
('、`;川 「もう一度信長さんに会わせてください……」
('A`) 「しかたないですねぇ、わかりました会わせてあげましょう」
('ー`;川 「ほ、ほんとですか!?」
('A`) 「しかし、もう後戻りはできませんよ」
('、`;川 「え?」
m9('A`)
ド―――m9('∀`)―――ン!!!!!
( 、;川 「いやああああああああああ!!!!!!!」
709 :歴女:2010/12/23(木) 23:16:42 ID:VbU1KcGM0
('、`;川 「はっ!?ここは!?」
ヒロ子が気づくとそこは森の中だった
('、`;川 「たしか喪鬱さんが信長さんに会わせてやるって言ってそれから…」
何故森の中にいるのか、そして喪鬱はどこに行ったのか、考えてもなにも浮かんで来なかった
('、`;川 (とりあえず森から出よう…)
ヒロ子は足場に気をつけながら歩きだす
('、`#川 「ったくなんなよここは!喪鬱さんはなんだってこんなところに私を運んだのよ!」
森は思ったほど深くなかったようで、しばらく歩くと森の出口が見えた
('、`;川 (ふぅやっと出れる…)
ヒロ子は森から出る、しかしそこに広がってしたのは想像外の光景だった
('、`;川 「えっ…」
710 :歴女:2010/12/23(木) 23:30:32 ID:VbU1KcGM0
そこに居たのは…
(ΘωΘ)( `v´)("・」・")
鎧を身にまとい懐に刀を差した男たちだった
('、`;川 「なっ!」
(ΘωΘ) 「信長様」
ヽ`・-・) 「なんだ殊能よ」
(ΘωΘ) 「敵陣に偵察を送りましたがいつまでたっても戻ってきません、どうしますか信長様、ここは突入しますか」
ヽ`・-・) 「まぁ慌てるな殊能よ、ここで行ったら武田側の思うつぼかもしれん、ここはまだ機でないぞ」
(ΘωΘ) 「わかりました」
('、`;川 (もしかしてこれは…長篠の戦い!?)
そうなのだ、伊藤ヒロ子は喪鬱によって1575年に飛ばされたのだった…!
( 、;川 「あ、あ、あ、あ……」
711 :歴女:2010/12/23(木) 23:37:21 ID:VbU1KcGM0
('A`) 「ヒロ子さんには織田信長が生きていた時代に飛んでもらいました、信長が居たのは戦国時代です
その戦国の過酷な状況であのひとは生きていけるのか、もしかしたらそのままのたれ死んでしまうのか
まぁそんなの、ワタシの知ったことではないですけどね」
('∀`) 「オーホッホッ…」
('A`) 「ん?」
('∀`;川 「きゃああああああ!!本物!本物の信長さまぁぁ!」
ヽ;`・-・) 「え?え?」
(;ΘωΘ) 「な、何者じゃ!なんなんだいったい!」
('∀`*川 「私、信長様大好きなの!だから結婚して!お願い!もしくは側室して!側室にしてよぉ!」
ヽ;`・-・) 「なんだこのおなごは…」
('∀`*川 「喪鬱さんありがとう!私すごくうれしいです!ありがとう!バンザーイ!!」
('∀`) 「お灸をすわせたつもりが、かえってあのひとを喜ばしてしまったみたいですなぁ
いやぁあのひとは逞しい女性ですなぁ!!オーホッホッホッ!!!!!」
【歴女】 完
713 :('∀`)鬱ナせぇるすまん:2010/12/23(木) 23:41:52 ID:VbU1KcGM0
支援ありがとうございますお
ラストはオチをどうするか寸前まで悩んでたので少し遅れてしまって申し訳ない
質問、指摘等あればお願いします
あとワタシは歴史に疎いので間違ってるところがあっても笑って許してNE
714 :('∀`)鬱ナせぇるすまん:2010/12/23(木) 23:45:25 ID:VbU1KcGM0
ちなみに今日で連載を開始してから半年が経ちました
時が経つのは早いですのう…
今年中にあと一回は投下したいお
715 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/23(木) 23:46:44 ID:Z5gM8DxYO
幸せって何なんだろ。乙で
ハッピーっぽいエンドは、かろうじてモララー以来か?
717 :('∀`)鬱ナせぇるすまん:2010/12/24(金) 00:01:35 ID:MBvZyytM0
>>715
モララーのは
718 :('∀`)鬱ナせぇるすまん:2010/12/24(金) 00:10:22 ID:MBvZyytM0
途中で送信してしまった…
>>715
多分ハッピーエンドっぽいのはポセイドン田中以来かな
712 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/23(木) 23:40:40 ID:/Qx0vZuo0
まあ、幸せにはなれたのか
乙!
716 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/23(木) 23:51:51 ID:Cx46H35o0
乙!
歴女逞しすぎるwww
719 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/24(金) 18:15:55 ID:pskw00W20
`・+。*・ (´・ω・`)
。*゚ 。☆―⊂、 つ こういうオチもいいなw
。*゚ : ヽ ⊃
`+。**゚**゚ ∪~
コメント