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川 ゚ -゚) 少女クーは‘2’に棲まうモノ達と奇妙な旅をするようです(12) |
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:17:03.51 ID:euBH7bWT0
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川 ゚ -゚) 少女クーは‘2’に棲まうモノ達と奇妙な旅をするようです ⑬ツンとデレの話
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:18:16.10 ID:euBH7bWT0
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「・・・デレ、起きて」 「ん・・・。おねーちゃん?」 「ごはん、貰いに行くよ?」 「・・・うん」
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:19:52.01 ID:euBH7bWT0
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ある日、私 ツンと 双子の妹 デレは お父さん、お母さんの二人を失ってしまいました。 恐ろしい顔をした、威圧的な人たちに両腕を掴まれ 悲鳴を上げながら連れて行かれた二人。 それから、ずっと帰ってくることはありませんでした。 お節介な、両親の知人が言うには・・・ お国に対して、良くない事をしていた そういう容疑がかけられたとのこと。 それから、おそらく もう、君たちの前に帰ってくることはない、とのこと・・・
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:21:27.88 ID:euBH7bWT0
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その知人は、私たちに強く同情してくれました。 生活に困った私たちは、 その人の同情に甘えることに。 それから、私たちはその人の紹介を受けて引っ越した、 煤けた建物の中で日々を過ごしている。 特に不自由はない。 ふかふかしたお布団もあるし、 朝起きれば、一緒に生活している人たちに ご飯もわけてもらえる。 今、食べてるみたいな、あったかい御飯が。 一緒に生活している人たちが、何をしているかは分からない。 助けてくれている知人が、 探っては駄目だと言ったから。 正直、不安はあるけど・・・
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:23:25.14 ID:euBH7bWT0
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私たちは見返りに何かしてあげようとした。 でも、そんなものはいらないといわれた。 だから、せめて、昼間は建物の掃除をしてまわっている。 絶対に入っちゃいけないエリアがあったけど それ以外、私たちは掃除してまわった。 ・・・ 幸せじゃなかったけど 贅沢言わなければ・・・かなり、 ましな生活をしていたのかもしれない。 あの日が、来るまでは
- 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:25:14.11 ID:euBH7bWT0
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ξ゚⊿゚)ξ さあ!会議室の掃除でもしよう! ζ(゚ー゚*ζ うん ξ゚⊿゚)ξ さて、ほうきと雑巾、バケツ・・・あ! (+゚-゚) ・・・ ξ゚⊿゚)ξ でぃさん、こんにちわ ζ(゚ー゚*ζ こんにちわ~ (+゚ー゚) ・・・こんにちわ
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:26:19.38 ID:euBH7bWT0
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でぃさんだ。 でぃさんは大好き。 ここの施設の人は、 私たちが挨拶しても、すごく余所余所しい。 でも、この人は私たちに本物の笑顔を向けてくれる。 それが、素直に嬉しい。 ・・・ただ、この人 ずっと、元気がなさそうなんだ・・・ なにか、悩みでもあるんだろうか。
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:28:45.73 ID:euBH7bWT0
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ξ゚⊿゚)ξ でぃさん、今から会議室の掃除します~ ζ(゚ー゚*ζ でぃさんも、一緒にする~? (+゚ー゚) ・・・そうね ξ゚⊿゚)ξ おお、ありがとです ζ(゚ー゚*ζ 私たちじゃ、届かないとこのお掃除してもらるね~ ξ゚⊿゚)ξ うん (+゚ー゚) ・・・
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:29:42.77 ID:euBH7bWT0
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会議室へと駆け出す私たち。 無言でついて来る、でぃさん。 机を2人で動かして、掃き掃除を始める。 でぃさんは到着すると、 高い棚の上だとか、窓の拭き掃除をはじめてくれた。 私はデレとお話ししながら 掃き掃除を終えた。 でぃさんに、 終わったよと声をかけようとする。 ・・・あれ?
- 77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:32:44.68 ID:euBH7bWT0
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「・・・でぃさん?」 「・・・」 「何で、泣いてるの?」 「・・・なんでもない・・・の」 「・・・」 「・・・」 でぃさんに近づく私たち。 私たちが、でぃさんに近づくと・・・ でぃさんは、私達を抱きしめてくれた。
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:34:13.40 ID:euBH7bWT0
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「どうしたの?どこか痛いの???」 「・・・」 「でぃさん・・・」 「・・・あなたたち、他に、身寄りないの?」 「・・・ない。どーして?」 「・・・」 「わたしたち、どうかしたの???」 「・・・うん」 「え・・・」 「・・・どっか、行こうか」 「え? ど、どっか???」 「あなたたち、私の子供になりなさい・・・」 「・・・こども」
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:35:58.86 ID:euBH7bWT0
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「いや?」 「いやじゃ、ないです・・・だけど」 「・・・」 「どうしたんですか???きゅうに・・」 「ここは、貴方達の居場所じゃ、無いと思うの」 「・・・」 「そして、私の居場所でもない」 「・・・居場所じゃ、ない?」 「貴方達を連れて来た、あいつ。 あいつが、善意から貴方達を連れてきたとは、どうしても思えない」 「どういうことですか?」 「・・・私の息子も、あいつにいい様に利用されてるのよ もう、あの子は深みにはまって抜けだせない」
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:37:24.83 ID:euBH7bWT0
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「・・・」 「貴方達は、まだ抜け出せるわ ・・・一緒に行きましょう?」 「・・・」 「・・・ギコさんは、いいんですか?」 「・・・あの、バカ息子・・・」 「・・・」 「・・・」 「何で、そう思うんですか?ここにいないほうが、いいって? 居場所じゃない??? よく、わかりません」 「うん・・・」 「教えてください」
- 83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:39:33.03 ID:euBH7bWT0
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「・・・君たちを連れて来た、あいつはね 人を、この国を恨んでるの」 「恨んでる・・・?」 「酷い目に合わせて、自分の気を晴らしたいって、そう思ってる」 「・・・それって、私たちもってこと?」 「・・・ちょっと、違うの」 「え?」 「それに、使おうとしてるの」 「・・・よく、わかりません。 私たちなんて、何もできないのに」 「できるわ・・・いや、できるって、あいつは考えてるの」 「・・・?」
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:40:26.85 ID:euBH7bWT0
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「・・・信じてくれない?」 「・・・わかりません」 「まだ、時間はあると思うの。 決心したら・・・一緒にいきましょう」 「・・・」 「・・・」
- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:41:25.80 ID:euBH7bWT0
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でぃさんの足音が響く。 ・・・会議室から、姿を消した。 私とデレは、呆然と顔を見合わせた。
- 87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:43:30.51 ID:euBH7bWT0
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ζ(゚ー゚;ζ どーいう、ことだろ? ξ゚⊿゚)ξ わかんない ζ(゚ー゚*ζ びっくりしたぁ ξ゚⊿゚)ξ ギコ先生、いい人なのにね? ζ(゚ー゚*ζ うん ξ゚⊿゚)ξ あんな風にいうなんて・・・ ζ(゚-゚*ζ ・・・ ξ゚-゚)ξ ・・・
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:45:02.75 ID:euBH7bWT0
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ζ(゚ー゚*ζ でも、おねーちゃん ξ゚⊿゚)ξ ん? ζ(゚ー゚*ζ わたし、嬉しかったけどなぁ ξ゚⊿゚)ξ ・・・ ζ(゚ー゚*ζ 子供になってって ξ゚⊿゚)ξ ・・・うん ζ(゚-゚*ζ でぃさん・・・何か知ってる風だったね ξ゚⊿゚)ξ ・・・
- 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:47:18.97 ID:euBH7bWT0
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ξ゚⊿゚)ξ デレ ζ(゚ー゚*ζ ん? ξ゚⊿゚)ξ 私も、あの男は怪しいとは思ってるの・・・ ζ(゚ー゚*ζ ・・・須尚のお父さん? ξ゚⊿゚)ξ うん・・ ζ(゚-゚*ζ あの人、怖いもん ξ゚⊿゚)ξ でも、他に行くとこなかったしね・・・ ζ(゚-゚*ζ ・・・うん ξ゚⊿゚)ξ ・・・でぃさんに、ついて行く? ζ(゚-゚*ζ ・・・ ξ゚⊿゚)ξ ・・・ ζ(゚ー゚*ζ ・・・うん
- 92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:49:56.46 ID:euBH7bWT0
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私とデレは、でぃさんを探しに行きました。 今、決めた事を伝えるために。 その途中、ギコさんに会いました。 ギコさんは、ちょっと慌てているみたいでした。 どうしたんだろう? 声をかけてみました。
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:53:53.19 ID:euBH7bWT0
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ξ゚⊿゚)ξ ギコさーん。どうかしたんですか? (,,゚Д゚) あぁ・・・ツンちゃんか ζ(゚ー゚*ζ デレもいるー! (,,゚Д゚) おお・・・デレちゃんも、おはよう ξ゚⊿゚)ξ ・・・でぃさん、探してる? (,,゚Д゚) ! そうなんだよ。どっかで会ったか? ゴルァ ζ(゚ー゚*ζ 私たちも探してる~ (,,゚Д゚) そか、ゴルァ・・・一緒に探すか? ξ゚⊿゚)ξ はい ζ(゚ー゚*ζ うん
- 95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:54:45.70 ID:euBH7bWT0
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私たちは、探しました。 ・・・? 見つからない・・・ 一時間・・・二時間・・・ 敷地内全てを探したのに 見つからない。 でぃさん、滅多に敷地内から出ないのに・・・
- 96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:56:01.49 ID:euBH7bWT0
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(,,゚Д゚) ・・・やばいな ξ゚⊿゚)ξ どうしたんだろ・・・ ζ(゚-゚*ζ 朝、一緒にお掃除してたのにね (,,゚Д゚) ・・・なんか、お袋いってたか? ξ゚-゚)ξ ・・・んーん。世間話だけ・・・ ζ(゚-゚*ζ ・・・うん (,,゚Д゚) おふくろ、最近なにか思いつめてるみたいなんだ 俺に、何か隠してる ξ゚⊿゚)ξ ・・・ ζ(゚-゚*ζ ・・・
- 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:57:20.27 ID:euBH7bWT0
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(,,゚Д゚) なんか、知らねえか? ξ゚⊿゚)ξ ・・・ギコさんこそ (,,゚Д゚) え? ξ゚⊿゚)ξ 何を隠してるんですか? ζ(゚ー゚;ζ え、つんちゃん・・・ (,,゚Д゚) ・・・ ξ゚-゚)ξ ・・・ ζ(゚-゚*ζ ・・・ (,,゚Д゚) ・・・すまねぇ。ゴルァ
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:58:23.11 ID:euBH7bWT0
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ギコさんは、私たちから視線を逸らし うなだれたまま去って行った。 ・・・ なんだろう? 私達に出来ることなんて何もないのに 私たちは、よっぽど酷い事に使われるんだろうか・・・ なんだか、胸の中が嫌な空気で満たされ 苦しくなってくる ・・・でぃさんを待たず、 逃げようか そう、デレに話そう。 そう思った、その時
- 99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 21:59:41.70 ID:euBH7bWT0
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「やあ、ツンちゃん、デレちゃん。こんな所にいたのか」 「あ・・・」 「・・・」 「・・・挨拶は、どうしたんだい?」 「・・・こんにちわ。須尚のお父さん・・・」
- 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:00:08.01 ID:euBH7bWT0
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・・・クーちゃんのお父さん。 私達を、ここに連れて来た人。 久しぶりに、この人をみる。 この人、最近この施設内で見なかったのに。 ・・・凄く、嫌な予感。 まさか、でぃさんがいなくなったのも・・・? ・・・
- 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:01:13.45 ID:euBH7bWT0
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須尚のおとーさんは、私達をお昼御飯に誘ってきた。 この施設内で、この人に逆らえるはずもない。 私たちは、諦め、ついて行った。 ・・・普段使っている食堂ではなく 入ったことのないエリアにある 客室の様な部屋に通されました。 見た事もないような、豪華そうな料理が 視覚を裏切らなそうな匂いを漂わせながら 私達を待っていました。 でも・・・まったく、美味しそうに感じられません。
- 103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:02:27.93 ID:euBH7bWT0
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「わー、おいしそう!」 「だろう?さあ、遠慮なく食べてくれよ」 「・・・デレ・・・ちょっと待ってね。 須尚のお父さん。一体、何の用があって私達を?」 「そんなに、構えないでくれよ。 最近、忙しくてね。 君たちとも話す機会が中々なくて・・・こうして、たまには話したいじゃないか」 「・・・」 「・・・どうか、したのかい?」 「私たちを、何に使うつもり?」 「・・・」
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:04:31.31 ID:euBH7bWT0
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「・・・やっぱり、ディさんに何か聞いたのかい?」 「・・・あんた、もしかして、ディさんを・・・っ!?」 「お、おねーちゃん?どういうこと?」 「デレ。ディさんが急に居なくなったの、もしかしたら、こいつが」 「・・・聡い子は嫌いだ」 「あ、あんた・・・!」 「でぃさん・・・」 「子供は、大人の言う事を聞いていればいいんだよ? クーのように・・・」 「・・・クーちゃん?」 「・・・」 「クーちゃんに、何かしたの?」 「別に何も?」
- 106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:06:12.38 ID:euBH7bWT0
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「・・・」 「・・・」 「・・・須尚のお父さん、私たち、ここから出ていきます」 「・・・あてが、あるというのか?」 「ないけど、ここには安心していられません」 「・・・」 「・・・はぁ。せめて、最後くらいは、 いい思いをさせてやろうと思ったのにな」 「・・・さいご?」 「・・・」
- 107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:07:33.33 ID:euBH7bWT0
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無言で、立ち上がる須尚のお父さん。 そのまま、部屋の外へと出て行った。 私とでれ はきょとんとした顔で その後姿を見る。 二人、互いの顔を見つめあって 同時につぶやいた。 「さいごって、どういうこと?」
- 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:09:11.68 ID:euBH7bWT0
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・・・それが、たぶん 最期の言葉だったんだと思う。 突然、変な臭いが部屋に充満し始めて。 それに伴い、視界がぼやける。 でれ の顔が、変な風に歪んでる。 でれ が、ソファーの上に崩れ落ちる。 私もすぐ、耐えられなくなり、 でれの上に覆いかぶさるように倒れ 意識が途絶えた。
- 111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:10:47.05 ID:euBH7bWT0
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・・・ ここから先は、おそらくタダの悪夢。 私は、薄暗い中、目が覚めるの。 蓋のあいた木の箱・・・の中かな。 まるで、棺みたい。 すごい、体中が重くて 頭も、まともに動かなくて・・・ でも、すぐ隣に でれ の息遣いを感じた。 ちょっと、安心した。 一緒にいる、良かったって。 でれ の姿を見たくて、 私は体を起こそうとしたの。
- 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:11:29.62 ID:euBH7bWT0
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・・・異常に、重い。 特に、体の右側が・・・ 「で、でれぇ・・・」 「・・・」 「・・・ひっ!」
- 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:12:26.69 ID:euBH7bWT0
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理解できなかった。 私の体の右手がない。 いや・・・ 右手どころか、 私の右半身のかなりの部分が欠落していた。 でも、そこに、何もないわけじゃなくて・・・ そこを埋めるように わたしの、でれ の体が、合わさっていて・・・ 私の右肩があった辺りから、 顔色の悪い でれ の頭部が生えている。
- 114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:13:43.66 ID:euBH7bWT0
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・・・ 私の小さな悲鳴で気がついたのか でれ が苦しそうに呟く。 眼は、開かないみたい。 この悪夢は、認識できないみたい。 いや、そうであって・・・ ほしい
- 116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:16:26.10 ID:euBH7bWT0
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「・・・ぉ、おねぇちゃん・・・」 「で、でれ・・・」 「おねえちゃん、どうしたの? 苦しいの?」 「だ、だいじょうぶだよ・・・私は・・・」 「でれ ね、ちょっとしんどい・・・」 「うん、寝てて、でれ」 「うん・・・」 「ゆっくり、寝てて。その間に、楽になるから・・・」 「うん・・・」
- 119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:19:33.57 ID:euBH7bWT0
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・・・ でれ は、再び動かなくなった。 ・・・ 突然、ぱちぱちぱち、 耳障りな音がする。 苦労して、そちらの方を向くと・・・ 須尚のお父さんがいた。
- 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:23:22.90 ID:euBH7bWT0
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「でれちゃんを気遣っての事かい? 涙ぐましいな・・・」 「あんた・・・」 「優しい子だ。それに、強い。 よくまあ、あの手術を受けた後でそれだけの憎しみを持てるものだ」 「・・・ころしてやる」 「・・・素晴らしい。それでこそ、リョウメンスクナになるに相応しい」 「・・・? りょうめん・・・すくな・・・?」 「日本書紀にその名を残す魔人だ」 「・・・」 「飛騨に現れ、朝廷に背いて民衆を苦しめていたが、 仁徳天皇65年、朝廷が差し向けた武将・武振熊命により退治されたとされている」 「彼の姿は異形にして、身の丈一丈・躯は一つにして顔が両面にあり、 四手四足であったとして伝えられている」 「・・何よ、その化け物は・・・」
- 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:28:12.76 ID:euBH7bWT0
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「まあ、本当にそんあ化け物であったとは思えんがな。 その外見も、恐るべき武芸に対する畏怖を込めた比喩だったのだろう」 「・・・」 「そもそも、日本書記でこそ悪者扱いだが、 現在でも飛騨には彼を英雄と見、信仰の対象にしている者どももいるようだ」 「・・・だから、だから・・・」 「・・・手術の関係上、4手4足にはできなかったな。 だが、そんな事は些細な事さ・・・ 問題は・・・今にまで伝わることによる、 りょうめんすくなに募る恐怖の量。 それから、君らの持つ、もしくは、君らに向かう事になる にくしみ きょうふ・・・ぜつぼう・・・ そのりょうさ・・・あ・・・あはははははは あはははははははははははははははははははははは」
- 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:31:15.38 ID:euBH7bWT0
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「・・・」 「君らの手術・・・ 誰が行ったと思う?」 「・・・ぎこさん・・・?」 「・・・くっくっく。ちがう。違うよ・・・」 「・・・」 「君らの、大好きな、でぃのばばぁさ」 「・・・!?」 「私がやってくれといったら、 喜んでやってくれたよ」 「そ、そんなはずがない! あ、あの人は、わ、わたしたちの・・・ 「そう、おかあさんになってくれた」
- 127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:35:21.78 ID:euBH7bWT0
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「君たちを、りょうめんすくなに、生まれ変わらせてくれたんだ・・・ まさに、おかあさん・・・だなぁ」 「・・・」 「・・・なんだ、その眼は」 「あんただ! あんたが何かしたんだろう!!!」 「・・・ふーむ。どっちの方が効果的か。 憎しみを分散させるより、 あえて真実を話すことで、私に集中させた方が効果的だろうか・・・」 「なにいって・・・んのよっ!!!」 「・・・手術をせねば。 ギコを、拷問にかけて、ころすといった」 「・・・ぎこ、さんを・・・?」 「ああ。そうさ・・・」
- 128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:38:18.74 ID:euBH7bWT0
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「でぃさんは、やっぱり息子を見殺しには出来なかったな。 泣きながら・・・やってくれたよ。 まったく。あの姿は、見るに絶えないものだった」 「・・・おばさん・・・」 「・・・くっくっく。あのばばぁ。 手術を終えて、最後。 気が狂って笑いながら首掻っ切って死にやがった。 まったく、素晴らしい人材だよ! おかげで、我が生涯最高のモノができそうだ。 あっはっはっはっは!!!!」 「・・・」
- 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:42:15.04 ID:euBH7bWT0
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「こ・・・」 「うん?」 「こ、ころしてやる! ころしてやる!!!!!!」 ころしてやるうううううううううううううううううう!!!!」 「あっはっは。 すごいぞ! そんな出来そこないの体で! 化け物みたいに激昂してやがる!!! もっと、憎め、もっと狂え!! あっはっはっはっはっはっは!!!!!」 「うわああああああああああああああああああ」
- 131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:46:02.13 ID:euBH7bWT0
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・・・ばたん。 私たちが入っている、箱の、蓋が閉められる。 その狭い箱の中で、私の叫び声が響き渡る。 私の左手が蓋の内側を引っ掻くたびに 右側にいるデレが、力なく揺れる。 もう、デレは・・・ 先に、デレじゃなくなってしまったらしい。 蓋が閉められて、真っ暗闇でも 何かで真っ赤に染まり、 歪んで何かが見えてくる。 ねじ曲がった、 須尚のくそじじい。 ころす・・・ころしてやる・・・・ ころしてやる・・・・・・・・っ!!!!
- 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:49:22.88 ID:euBH7bWT0
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バタリ。 箱の外。 狂ったように笑っていた男が突然 胸を押さえ、箱にもたれかかる様に倒れる。 それから、2,3回痙攣した後 ・・・動かなくなった。
- 135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:50:09.90 ID:euBH7bWT0
- 今日はこれで終わりです・・・
- 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:54:37.18 ID:DZy9q8bk0
- Happyendなんでしょ?
- 141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:10:08.47 ID:euBH7bWT0
- おつきあいありがとうです。
>>136 それは秘密にしておきます
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