('∀`)鬱ナせぇるすまん 『 まねき猫 』
2011/01/13 Thu 23:22
784 :('∀`)鬱ナせぇるすまん:2011/01/12(水) 22:20:35 ID:Q/U41Jps0
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| :( 'A`):
|__ //\ ̄ ̄旦\_ この前までクリスマスだったのにあっという間に1月中旬ですNE!
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\ヽ-___--___ヽ
ブーン系小説総合スレ 【 イラスト+α 】 まとめさん
http://sogomatome.blog104.fc2.com/blog-entry-467.html
まとめさんありがとうございます、では投下しますお
785 :('∀`)鬱ナせぇるすまん:2011/01/12(水) 22:21:47 ID:Q/U41Jps0
私の名前は喪鬱毒造、人呼んで鬱ナせぇるすまん
ただのせぇるすまんじゃございません
私が取り扱う品物は“ココロ” 人間のココロでゴザイマス・・・
この世は老いも若きも男も女もココロの寂しい人ばかりそんなみなさんのココロのスキマお埋めします
いえお金は一銭もいただきませんお客様が満足されたら、それがなによりの報酬でゴザイマス・・・
さて今日のお客様は・・・
(;ε3ε) 「客来ねェなぁ…」
(ε3ε) 剛田 旨太 52歳 食堂経営
【まねき猫】
オーホッホッホ・・・・・・
786 :('∀`)鬱ナせぇるすまん:2011/01/12(水) 22:23:24 ID:Q/U41Jps0
剛田食堂にて 正午
//;°H°)「あんたどないするんよ!このままだとあたしたち生活出来ないよ!」
(;ε3ε) 「そない言われてもなぁ、客来ないし…」
剛田旨太が経営する剛田食堂は深刻な経営難に直面していた
//°H°)「普通この時間は稼ぎ時のハズなのに誰も来ない…」
(;ε3ε) 「あかんなぁ、このままやとホンマに潰れるで」
剛田食堂は北シベリア商店街の一角に店を置いている
かつては隆盛を誇った北シベリア商店街も最近はトンと客が減ってしまった
近くに大型スーパーが出来たことやネットの普及による時代の流れが原因だった
その商店街の衰退に伴い剛田食堂も客が来なくなってしまったのだ
(;ε3ε) 「あかんなぁ…ホンマあかんわぁ…」
//°H°)「あんたそればっかやな」
787 :まねき猫:2011/01/12(水) 22:26:25 ID:Q/U41Jps0
//#°H°)「そんな悩んでばかりいないで客を呼び方法考えや」
(#ε3ε) 「オレやて考えとるわ!新メニューとかホームページとか!」
//#°H°)「それ全部やったがな!そんで失敗してるやろ!なんか他に考えや!」
(#ε3ε) 「テメェこそ考えろや!なんでオレばっかし考えなあかんねん!」
夫婦喧嘩が始まったその時
ガラガラ
('A`)
大きい鞄を持った男が店にやってきた
('A`) 「おやおや、お取り込み中のようですねぇ」
788 :まねき猫:2011/01/12(水) 22:27:56 ID:Q/U41Jps0
(;ε3ε) 「お、お客さん!?」
//;°H°)「すいませんお見苦しいトコ見せてしもうて」
('A`) 「いえいえ、ケンカするほど仲が良いと言いますからねぇ、オーホッホッ」
(;ε3ε) 「すんまへんな、ささっ!どうぞこちらへ!」
剛田は男を奥のテーブルへと連れて行く
(ε3ε) 「こちらメニューです」
('A`) 「う~んそうですねぇ……」
男は2,3秒考えたあと
('A`) 「アジの開き定食でお願いします」
(ε3ε) 「へいかしこまりました!」
男から注文を聞いたあと剛田は厨房へと向かう、久々の客の来店に剛田の足どりは軽やかだった
789 :まねき猫:2011/01/12(水) 22:35:32 ID:Q/U41Jps0
(ε3ε) 「アジの開き定食や」
//°H°)「ねぇ、あのひと何者やろな」
(ε3ε) 「なんやいきなり、どっかに勤めてるサラリーマンちゃうんかい」
//°H°)「あんな黒服のサラリーマンいるわけあらへんがな、なんか不気味やあのおっさん」
(#ε3ε) 「客にむこうてなに言うとるんや!ぶつくさ言うてないでお冷持っていけ!」
//°H°)「へいへいわかりましたよ」トコトコ
(ε3ε) 「ふん」
アジの干物を取り出し焼き始める
(ε3ε) 「ふんふんふーん」
790 :まねき猫:2011/01/12(水) 22:38:17 ID:Q/U41Jps0
(ε3ε) 「こちらアジの開き定食です」
('A`) 「どうも」
料理を乗せたおぼんを置くと剛田は厨房へと戻っていった
男はアジの開きを一口食べる
(ε3ε) 「……」
儲かっていないが料理の味には自信があった
(ε3ε) (ふふふ、きっと今頃あまりの旨さに舌を巻いてるだろうな…)チラリ
剛田は男の様子をチラリと見る
(゚A゚) 「ううう…」
男は苦しんでいた
791 :まねき猫:2011/01/12(水) 22:41:50 ID:Q/U41Jps0
(;ε3ε) 「お、お客さん大丈夫ですかっ!」
:( A ): 「ううう…」
(;ε3ε) 「きゅ、救急車早く呼ぶんや!」
//;°H°)「あわあわ」
妻の美津代が急いで救急車を呼ぼうとする
( A ) 「……」
(;ε3ε) 「お客さん?」
∩(゚A゚)∩ 「ナーンチャッテ!!」
(;ε3ε) 「うおわ!?」
('A`) 「オーホッホッ、冗談ですよぉ、別に苦しくなんかありません」
(;ε3ε) 「冗談きついっすわお客さん!」
792 :まねき猫:2011/01/12(水) 22:43:05 ID:Q/U41Jps0
('A`) 「いわゆるユーモアってやつですよ」
(;ε3ε) 「面白くないですわそれ…」
//°H°)「それで味のほうはどないでしたか?」
('A`) 「可もなく不可もなくな味でしたねぇ」
(;ε3ε) 「そんな、結構自信があったのに…」
('A`) 「今の時代、これぐらいの料理ならどこへ行っても味わえますよ」
(;ε3ε) 「そうっすかぁ…」
男の辛口な評価に剛田は肩を落とした
('A`) 「そんなにがっかりしないでください、ワタシは不味いとは言ってませんから」
(;ε3ε) 「はぁ(そういう問題ちゃうねん…)」
793 :まねき猫:2011/01/12(水) 22:45:51 ID:Q/U41Jps0
('A`) 「それにしても……」 キョロキョロ
男は店内を見回して一言
('A`) 「誰も居ない店ですねぇ、閑古鳥が鳴いてますよ」
(;ε3ε) 「しょうがないでしょこの商店街人が来ないんやから」
('A`) 「こんなんでは商売あがったりでしょう?」
(;ε3ε) 「しゃアないっすよ、この不景気ですし客足だって遠のきますよ」
('A`) 「不景気だけが原因ですかねぇ、もっと他に理由があるのではないですか?」
//#°H°)「なんやアンタ!うちの定食の味にケチつけるんか!」
美津代が声を荒げる、剛田はそんな妻をなだめる
(;ε3ε) 「落ち着かんかい!まだお客さんなにも言うてへんやろ」
('A`) 「ええ別に味のことに文句を言っているわけではありません
さっき言ったように味のほうはまあまあでしたよ」
(;ε3ε) 「ではなにが原因ですかね?」
('A`) 「それはズバリ人を惹きつけるモノが無いことです」
794 :まねき猫:2011/01/12(水) 22:47:45 ID:Q/U41Jps0
(;ε3ε) 「はぁ、惹きつけるモノですか…」
('A`) 「ええ、あまりのもこの店は地味すぎますなぁ、これでは人が寄りつきませんよ」
(;ε3ε) 「地味ってそんな…」
//#°H°)「じゃあどないすればええんですか!あたしらだって色々と客が来るように努力してんだよ!」
('A`) 「オーホッホッ、ワタシにまかせてください、ワタシの言うとおりにすればこのお店は繁盛しますよ」
(;ε3ε) 「えホンマでっか!??てかあなた何者ですん?」
('A`) 「実はワタシこういう者なんです」サッ
(;ε3ε) 「ココロのスキマお埋めします…もうつどくぞう?なんのこっちゃ」
('A`) 「セールスマンなんです」
795 :まねき猫:2011/01/12(水) 22:54:14 ID:Q/U41Jps0
(;ε3ε) 「セールスマン!?」
//#°H°)「ははーんなるほど!あたしらに何かを売りつけようって魂胆やな!
ほら帰った帰った!あたしらは何も買わへんで!」
('A`) 「いえいえワタシが取り扱っている商品はモノではないのです」
(;ε3ε) 「ほな何なんです」
('A`) 「ワタシが生業にしているのは人間のココロの救済なのです
人生がうまくいってない人々に救いの手を差し伸べているのです」
(;ε3ε) 「(救いの手?なんや胡散臭いのう…)救済ですか、すごいですねぇ」
('A`) 「現在たくさんの人間が助けを求めています
一見したところあなたたちも相当大きなココロのスキマを抱えてそうですねぇ」
ギクッΣ(;ε3ε) 「べ、別にわたしらはなにも困ってることなんてありませんよ!なぁ?」
//;°H°)「お、おうそうや、なにも悩みごとなどあらへん!」
796 :まねき猫:2011/01/12(水) 22:57:02 ID:Q/U41Jps0
('A`) 「安心してください、ワタシはお金は一切頂きませんので」
(;ε3ε) 「え?金取らないんですか!?」
('A`) 「ええ、ワタシはお客様の喜ぶ顔だけで十分なのです」
(;ε3ε) 「そうとう金取られる思うたわ…」
//;°H°)「で、で、で!どうやったら繁盛するようになるんや!」
金が掛からないということを知るや否や美津代は身を乗り出して喪鬱に食いついた
('A`) 「これを置けばいいのです」ガサゴソ
喪鬱は持ってきた鞄の中からあるモノを取り出した
∧_∧
(:<l><l>)
/::::::::T
~(:::::::::::|
それは猫の置物だった
797 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:02:14 ID:Q/U41Jps0
(;ε3ε) 「まねき猫ですかそれは?」
('A`) 「まぁ似たようなモノです」
//°H°)「しょうもな、ただの置物やないか…そんなもんで客が来るわけないやろ…アホくさ…」
美津代は猫の置物を見た途端に興味を失ってしまったみたいだった
(;ε3ε) 「喪鬱さん、あなたはさっき取り扱いのはココロでモノは売らないって言うてやないですか…」
('A`) 「モチロンそうです、これは別に売るわけではなくあなた達に無償で提供しよう思っているのですよ」
(;ε3ε) 「でもこんなんでホンマに客が来るんですか?」
('A`) 「ええ、明日にこの猫の置いた途端に人がたくさん来るでしょうねぇ」
//°H°)「来るわけあらへんがな、そんなもん幸福になれる壷やペンダントと同じ類やで」
(;ε3ε) 「でも金は取らへんみたいやし一応置くだけでも…」
('A`) 「取りあえずワタシはここで見てますので効果が無かったなら持って帰りますよ」
喪鬱は店の端に椅子を持って行き、そこに腰を下ろした
798 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:06:32 ID:Q/U41Jps0
(;ε3ε) 「とりあえずTVの上に置いときます」
TVは店内の隅に設置してある、喪鬱が持ってきた猫を置くのにちょうど良かった
(:<l><l>)
(;ε3ε) 「……」
置いてもなかなか客は現れなかった
(;ε3ε) 「来うへんな…」
//°H°)「だから言うたやないか、あんたはあのおっさんに騙されてるんや」
(#ε3ε) 「まだ置いたばかりだしわからんやないか!オマエはホンマせっかちやな!
オレはオマエのその単細胞な頭が昔から大嫌いなんや!」
//#°H°)「あんたに言われたないわ!あんたがアホやから客が来うへんちゃうんかい!」
(#ε3ε) 「なんやとっ!!」
夫婦喧嘩が始まりそうなになったその時
ガラガラ
(ν・ω・)ν 「あの~すいません」
799 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:10:08 ID:Q/U41Jps0
(;ε3ε) 「あっはいなんでしょうか?」
(ν・ω・)ν 「いま開いてますか?」
(;ε3ε) 「あ、はい開いてます」
客をテーブルまで連れて行く
(ν・ω・)ν 「からあげ定食をひとつ」
(;ε3ε) 「かしこまりました…」トコトコ
注文を受け厨房へと向かう
(;ε3ε) 「おいおいホンマに来ちまったよ客が…」
//°H°)「そんなのたまたまに決まってるじゃない、偶然や偶然」
(#ε3ε) 「うるせェな!ぶつくさ言ってねェでさっさとお冷持ってけ!」
//°H°)「へいへいわかりやしたよ」トコトコ
801 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:14:14 ID:Q/U41Jps0
(ε3ε) 「あいつも口うるさくなったな…」
油を入れたフライパンをコンロに乗せ火をつける
(ε3ε) 「(しかしあの喪鬱とか言うおっさんの言うことはホンマなんやろうか…)鶏肉鶏肉っと…」
鶏肉を出そうと冷蔵庫に手を掛ける、しかし
//;°H°)「あんたあんた大変だよ!」
お冷を持って行ったはずの美津代が慌てて厨房へと戻ってきた
(;ε3ε) 「おいおい次はなんや…」
//;°H°)「いいから来なはれや!」
美津代は剛田の腕を掴み食堂へと連れていく
(;ε3ε) 「なんやねんまだオレは作ってる最中やぞ!」
//;°H°)「ほら見てみ!」
(;ε3ε) 「な…!」
剛田は言葉を失った
(∴゚ з゚ )( б∀б)(ΘωΘ)リハ*゚ー゚リ ( ^Д^) (’e’)
そこで見たのは大勢の客の姿だった
802 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:17:47 ID:Q/U41Jps0
(∴゚ з゚ )「生姜焼き定食をひとつ」
( б∀б) 「私はハムカツ定食」
//;°H°)Ф 「生姜焼きにハムカツやね」カキカキ
(’e’) 「プギャーさんなに注文します?」
( ^Д^) 「そうだな……しょうゆバターラーメンだな」
(’e’) 「プギャーさんそういうこってりしたモノ好きですねホント、僕はチャーハンね」
//;°H°)Ф 「醤油バターに炒飯ね、しばらくしたらお持ちします」
~厨房~
(;ε3ε) 「……」ザッザッ
//;°H°) 「あんた生姜焼きにハムカツに醤油バターラーメンに炒飯追加だよ!」
(;ε3ε) 「はいよ!それとこの唐揚げ定食持っててくれ!」
出来あがった唐揚げ定食を美津代に手渡す
美津代はそれを持つと食堂へと急いで運んで行った
(;ε3ε) (こんな忙しいのは初めてや…)
803 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:22:56 ID:Q/U41Jps0
(ν・ω・)ν 「うん…なかなか良いね、悪くないね」モグモグ
//;°H°) ホッ
( б∀б) 「ねぇハムカツまだァ?」
//;°H°) 「しょ、少々お待ちを!」
美津代は急いで厨房へと引き返す
//;°H°) 「あんた早く!注文がつまってるよ!」
(;ε3ε) 「わかっとるよ、オレそやかて急いでるんだ!おんどれも手伝え!」
//;°H°) 「わかったわかった、そんな怒りなさんな」
美津代も剛田の支度を手伝う
//*°H°) 「しかしあの置物の効力は本物やったな!最高やで!」
(;ε3ε) 「調子いいやつ…」
804 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:27:52 ID:Q/U41Jps0
数時間後
( ゚∀゚ ) 「ごちそうさま」 ガラガラ
(;ε3ε) 「ありがとうございました」
//;°H°) 「あぁ疲れた…」
最後の客を見送り、閉店の準備を始める
(ε3ε) 「しかし…」
喪鬱が持ってきた猫の置物をチラリと見る
(ε3ε) 「ホンマに効果があったな…」
('A`) 「オーホッホッ」
(;ε3ε) 「うわっ!喪鬱さん!」
喪鬱が居たことをすっかり忘れていた
805 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:32:16 ID:Q/U41Jps0
('A`) 「ワタシの言うとおりこの猫を置いたらお客様がたくさん来たでしょう?」
(;ε3ε) 「ええたしかに……」
//*°H°) 「全部喪鬱さんのおかげです!ホンマおおきに!」
(;ε3ε) 「お、お前…」
//*°H°) 「いやぁ喪鬱さんは天使やわ、これで食いっぱぐれずにすみますわぁ」
('A`) 「喜んでもらえてワタシも嬉しいですよ」
(;ε3ε) 「で、喪鬱さん、この置物は明日からもずっと…」
('A`) 「ええ、ずっと置いてもらって結構です」
//*°H°) 「おおきに!!」
('A`) 「ただしひとつだけ守っていただきたいことがあります」
808 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:43:15 ID:Q/U41Jps0
(;ε3ε) 「なんですねん、守ってもらいたいことって?」
('A`) 「それはですねぇ…」トコトコ
(:<l><l>)
('A`) 「実はこの猫はお金が大好きなのですよ」
(;ε3ε) 「はぁ」
('A`) 「この猫を作った職人はお金に目が無い人でしてね
お金がたくさん手に入るように願いを込めてこの猫を作ったのですよ」
(;ε3ε) 「そうなんですか、それがなにか?」
('A`) 「ええそれでですね…」
喪鬱は置物の口元を指差す
そこには横に細長い差し込み口が開いていた
('A`) 「1日の売上の半分をこの猫にあげてほしいのです」
809 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:45:00 ID:Q/U41Jps0
(;ε3ε) 「え?なに言うてはるんですか?」
('A`) 「この口の中に売上の半分を入れてください」
(;ε3ε) 「そんなっ!そしたらわたしらの稼ぎが少なくなるじゃないですかっ!」
('A`) 「半分あげてもお釣りが出るぐらいの稼ぎになるはずですよぉ」
(;ε3ε) 「それに喪鬱さん言うてはったやないですか!お金は一銭も頂かないと」
('A`) 「ええワタシは一銭も頂きません、お金を受け取るのはこの猫です
まぁこの猫に対するお布施、もしくは税金だと思ってくださいよ」
(;ε3ε) 「で、でも…」
//*°H°) 「別にええやないか半分ぐらい!ケチやのうあんたは」
そう言ってから美津代は猫に歩み寄る
810 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:48:46 ID:Q/U41Jps0
//*°H°) 「こんな素晴らしいモノどんな大金を払っても手に入らんで」
(:<l><l>)
//*-H-) 「おうおうかわええなぁ」スリスリ
美津代は置物に頬ずりをし始めた
(;ε3ε) 「美津代…」
('A`) 「奥さんも気に入ったみたいですよぉ」
(;ε3ε) 「そうみたいやね…」
('A`) 「明日からもっと忙しくなるでしょうねぇ、それでは」
喪鬱は帰ろうとする、しかし
('A`) 「それとあともうひとつだけ」
(;ε3ε) 「まだなにかあるんですか?」
('A`) 「いえいえ、ただ昼に食べたアジの開きの代金を払い忘れてただけですよ、それではまた」チャリン
アジの開き定食の代金を近くのテーブルに置き喪鬱は帰って行った
811 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:51:03 ID:Q/U41Jps0
(ε3ε) 「……」チラリ
//*-H-) 「かわええなぁイオリは」スリスリ
美津代はまだ置物に頬ずりをしていた、しかも名前までつけている
(ε3ε) 「なぁ美津代、今日の売上はどこに置いてあるんや」
//*°H°) 「レジの中やで~」
(ε3ε) 「ふん」
置物を抱いている自分の妻を冷ややかな目で見た後、剛田はレジへと向かう
(ε3ε) 「今日はなんぼほどやろな…」
レジを開け売上をチェックする、いつもの違い今日は客が多かったためココロが浮き立つ
(*ε3ε) 「うおっ!?これは!?」
今日の売上は32780円だった
812 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:53:05 ID:Q/U41Jps0
//*°H°) 「1日でこんな稼げるなんてすごいやん!」
今日の売上を美津代に見せると目の色を変えて喜んだ、この女も金が大好きなのだ
(*ε3ε) 「まぁうちらの取り分は半分やけどな」
//*°H°) 「それでも十分やん!ささ、はやくイオリにお供えしいや」
(*ε3ε) 「落ち着けよ」
今日の売上の半分、16390円を猫の口に入れる
(*ε3ε) チャリーン
//*-H-) パンパン
(*ε3ε) 「別に拝まなくたってええやろ…」
しかし美津代が拝みたくなる気持ちも分かる、ただ店に置いただけで何十人も客がやってきたのだから
(*ε3ε) 「さてと、明日からもっと忙しくなるで!」
813 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:54:10 ID:Q/U41Jps0
それから数日後、あれほど客が来ず閑古鳥が鳴いていたあの食堂に連日大勢の客が押し寄せるようになった
(ν・ω・)ν 「レバニラ炒め定食~」
リハ*゚ー゚リ 「わたしはカキフライ定食をお願い」
//;°H°) 「はいよ!ちょいとお持ちね!」
美津代は厨房へと急ぐ
//;°H°) 「カキフライ定食にレバニラ炒め定食追加やで!」
(;ε3ε) 「はいよ!」シャカシャカ
//;°H°) 「ああ忙し忙し!」スタタタ
(;ε3ε) 「ああクソ忙しい!」
つい数日前までの店の状況が嘘みたいに食堂は繁盛していた
`ハリ*^ω^ハ 「なんでわたしまで手伝わなきゃいけんのよ…」
(;ε3ε) 「つべこべ言わずさっさと働け!」
`ハリ*^ω^ハ 「へいへい…」
人手が足りないため嫁に出ている娘にも店を手伝わせている
(;ε3ε) 「大変やのう…」サッサッ
814 :まねき猫:2011/01/12(水) 23:58:04 ID:Q/U41Jps0
//;°H°) 「あんたTV局の人が来たで!」
(;ε3ε) 「ホンマか!」
二人は厨房から顔を出す、TV局からは事前に取材させてくれとの連絡があったのだ
リ´-´ル 「今日わたしは、いま最も人気のある剛田食堂さんにおじゃましています」
レポートしているのはテレビシベリアの新人アナウンサー八木リル子だった
リ´-´ル 「剛田食堂の魅力がどこなのかお聞きしましょう、剛田食堂のどこがお好きなのですか?」
(’e’) 「そうですねぇ、なんかこの昔ながらと言うかなんと言うか、落ち着くんですよねぇなんか」
リ´-´ル 「なるほど、あなたは?」
( ^Д^) 「やっぱり早いし安い!この二つですね!」
リ´-´ル 「なるほど、この不景気ですからあまりお金を掛けたくないですし時間も惜しいですからね
まさにいまの時代にぴったりのお店なんですねこの剛田食堂さんは」
(*ε3ε) 「ついにオレの店がシベリア中に知れ渡る…」
自分の店が褒められるのはなかなか嬉しいモノだった、味に関して一切褒めてなかったが
815 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:00:29 ID:ViXoH0HQ0
BAR バロ巣
('A`) 「お店のほうは繁盛してますか?」
(*ε3ε) 「ええモチロンです!すべて喪鬱さんのおかげですわ!」
仕事が終わり今日は喪鬱とBARで酒を飲んでいる
最近はやたら酒が旨く感じるようになった
( ´W`)つ□ タンッ
(*ε3ε) 「おおきに、しかしなかなか洒落た店ですねぇ、わたしこういう店初めてですわ」
('A`) 「好きなもの注文してくださいねぇ、今日はワタシのおごりですから」
(*ε3ε) 「ホンマおおきに!」
('A`) 「ところで剛田さん、例の約束守ってますかぁ?」
816 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:01:28 ID:ViXoH0HQ0
(*ε3ε) 「モチロンですわ、今日も猫に売上の半分を食べさせましたわ!」
('A`) 「それは良かった、あの猫はお金をあげないとへそを曲げますので気をつけてくださいねぇ」
(*ε3ε) 「へそを曲げる?あげなかったらなんか起きるんですか?」
('A`) 「それはもう大変なことになりますよ」
(-A-)
つ□とチビリ
(*ε3ε) 「大変なこと…」
('A`) 「そうです、だから気をつけてくださいねぇ」
(*ε3ε) 「はぁ」
( ´W`)
つ□とキュッキュッ
817 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:03:06 ID:ViXoH0HQ0
(ε3ε) 「ただいま」 ガラガラ
//;°H°) 「う~ん…」
剛田が家に帰ると美津代が唸っていた
(ε3ε) 「どないしたんやそんな顔歪ませて、ますますひどい顔になってるど」
//;°H°) 「ああ実は…」
美津代は剛田に家計簿を見せる
(;ε3ε) 「なんや!全然溜まってへんやないか!」
毎日忙しく働いてるはずなのに貯金は全然溜まっていなかった
(;ε3ε) 「なしてや!あんな稼いだはずなのに…」
//°H°) 「そらあんた家のローンとか借金、食材費で全部消えてくからや、半分はイオリに食べられるし…」
818 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:08:28 ID:ViXoH0HQ0
(:<l><l>)
//°H°) 「はぁ、あの猫どうにかならんかねぇ…」
美津代は早くもあの猫に嫌気がさしたらしい、このまえはあんなに愛でていたのに
//°H°) 「全然暮らしが楽にならんなぁ…」
(ε3ε) 「別にええやないか、あれのおかげでなんとか最低限の金は稼げるし」
//°H°) 「そやけどなぁ…」
(ε3ε) 「ほらほらもう寝ろ、明日も早いぞ」
//°H°) 「へいへい…」
819 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:10:37 ID:ViXoH0HQ0
数日後
(・ ∀ ・)(・↓・)( `v´)リノ、゚テモリ("・」・") ガヤガヤ
その日はいつにもまして店は混雑していた
なぜなら今日は修学旅行の学生がたくさん押し寄せていたのだった
(・↓・) 「とんかつ定食お願いします」
リノ、゚テモリ 「わたしはカレー」
( `v´) 「俺はざるそばで」
//;°H°) 「はいはいわかりましたちょっと待っとってねぇ」
~厨房~
`ハリ;^ω^ハ 「ああもう忙しい忙しい!もう腕が重い!」
(;ε3ε) 「文句言ってねェでちゃっちゃっとやれアホ!」
`ハリ;^ω^ハ 「新しいバイトでも雇いなよ!」
(;ε3ε) 「そんな金無ェんだよ!」
820 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:13:12 ID:ViXoH0HQ0
数時間後
(ν・ω・)ν 「ごちそうさま」ガラガラ
//;°H°) 「ホンマおおきに…」
(;ε3ε) 「疲れた…」
店じまいをするころにはもう二人は疲労困憊だった
`ハリ;^ω^ハ 「わたしはもう帰るからね、ほなね」ガラガラ
(;ε3ε) 「じゃあな…」
//;°H°) 「もう動きたくない…」
(;ε3ε) 「さてと、今日の稼ぎはいくらや…」ガタッ
疲れた体をなんとか動かしレジへと向かう
821 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:15:09 ID:ViXoH0HQ0
(ε3ε) 「……」チーン
//;°H°) 「いくらや…」
(;ε3ε) 「22万…」
//;°H°) 「22万!?ホンマかいそりゃ!」
いつもは1日10万前後の稼ぎだったが今日に限ってはかなりのイロがついていた
//*°H°) 「22万もあればちょっとした贅沢が出来るで!」
(ε3ε) 「まぁ半分は消えるから11万だけどな」
//°H°) 「そこでやなあんた、ちょっとええかい」
(ε3ε) 「なんや?」
//°H°) 「今日の稼ぎはきっと天からの贈り物や、これで贅沢しろっちゅう」
(;ε3ε) 「だからなんやねん!まどろっこしいのう」
//°H°) 「まだわからんのかい、今日の稼ぎは猫にあげへんでわたしらで楽しもうってことや」
35
822 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:16:07 ID:ViXoH0HQ0
(;ε3ε) 「なんやネコババする気かい!」
//°H°) 「ネコババって人聞きが悪いなぁ、ちょいと拝借するだけや!」
(;ε3ε) 「ダメに決まってるやろ!喪鬱さんの約束破るんか!?」
//°H°) 「ええやんちょっとくらい、バレへんって」
(;ε3ε) 「でも大変なことが起こる言うてたぞ!」
//°H°) 「そんなもんデマに決まってるやん、あんた騙されてるんや」
(;ε3ε) 「だけど…!」
//°H°) 「大丈夫やって、心配症やなぁ、これは神様からの思し召しや」
(;ε3ε) (なにが神様やねん…)
とどのつまり美津代は金が欲しいだけなのだ、この女に信仰心が微塵もないのを剛田は知っていた
//°H°) 「ほな今日もいつも通りの金額入れといてな」
(;ε3ε) 「ううう…」
結局いつもと同じ5万円ほどを猫の中に入れた
(;ε3ε) 「……」
売上を入れたあと剛田は後ろめたさからまねき猫を直視することが出来なかった
823 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:17:15 ID:ViXoH0HQ0
次の日
//°H°) 「今日もしっかり稼ぐで!」
(;ε3ε) 「ハァ…」
昨日のこともあり剛田はあまり気分が良くなかった、なにか取り返しのつかないことをしてしまったような気がするのだ
(;ε3ε) チラ
(:<l><l>)
(;ε3ε) (なんか睨まれてる気がするな…)
//°H°) 「あの金でなに買う?やっぱ地デジ対応のTVがええんちゃう?」
(;ε3ε) 「別になんだってええよ…」
//°H°) 「ちょっと厨房見てくるで」トコトコ
美津代は厨房へと消えて行った、美津代は相当機嫌が良さそうだった
そんな妻を見ていると無性に腹が立った
(;ε3ε) 「なんやねんあいつ…」
そのとき、店の扉が開き一人の男が入ってきた
('A`)
喪鬱毒造だった
824 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:17:51 ID:ViXoH0HQ0
('A`) 「オーホッホッホ」
(;ε3ε) 「も、喪鬱さんやないですか!?」
('A`) 「剛田さん、ワタシとの約束を破りましたね」
(;ε3ε) 「うっ!なぜそれを!?」
('A`) 「ワタシはなんでもお見通しですよぉ」
(;ε3ε) 「ううう…」
('A`) 「ワタシは言ったはずですがねぇ、大変なことになると」
(;ε3ε) 「つ、妻に逆らえなくて…」
('A`) 「言い訳は聞きたくありません」
(;ε3ε) 「うぐ…」
m9('A`) 「罰を受けてもらいましょうねぇ」
ド―――m9('∀`)―――ン!!
(; 3 ) 「ああああああ!!!!!」
825 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:40:50 ID:ViXoH0HQ0
//;°H°) 「なんやなんや急に大声出して!」
(;ε3ε) 「い、いやなんでもあらへん…」
//;°H°) 「なんや知らんけど気いつけなはれや、これから仕事やさかい」
(;ε3ε) 「あ、ああ…」
剛田が気を取り直して開店の支度をしようとしたとき
ガラガラ
(同し同 )
メガネを掛けたスーツの男が店に入ってきた
(;ε3ε) 「ああお客さんすいません、まだ店開けてないんすよ、もうちょっと待っててくださいね」
(同し同 ) 「いえいえ私は客ではありません、実はこう言う者です」サッ
(;ε3ε) 「え!?」
渡された名刺を見て剛田は目を見開いた、そこにはシベリア保健所と書いてあったのだ
826 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:43:29 ID:ViXoH0HQ0
(;ε3ε) 「ほ、保健所がなんの用です!」
(同し同 ) 「実は昨日から数十人が嘔吐や下痢の症状を訴えて病院に運ばれましてね
その症状訴えてる全員がここでお昼に食事をしているのですよ」
(;ε3ε) 「そ、そんな!なんかのまちがえやないんですか!?」
(同し同 ) 「原因を探るために今からこの店を検査いたします」
(;ε3ε) 「んなアホな!なんかの間違いや!」
//;°H°) 「うちから食中毒が出るなんて…」
(;ε3ε) 「嘘や…そんなの嘘や…」
( ○⊿○) 「あのお話いいですか?」
次はメガネでスーツを着た女が話しかけてきた
(;ε3ε) 「(この女も保健所の人か?)なんですか」
827 :まねき猫:2011/01/13(木) 00:44:26 ID:ViXoH0HQ0
( ○⊿○) 「わたしは弁護士の国枝と申します」
(;ε3ε) 「べ、べ、弁護士!?」
( ○⊿○) 「何人かの患者さんからこの店を訴えるよう要請されてましてね
治療費や慰謝料、その他諸々をきっちりと払ってもらいますからね」
(;ε3ε) 「あああ…」
//;°H°) 「もう終わりやで…」
(;ε3ε) 「オレの店が…」
('A`) 「ちょっとした出来心が原因でトンだ災いを招いてしまったようですねぇ
あのあとあの夫婦は食中毒の治療費でどんどんお金を失っていくでしょう
そして最終的には信用も失い、あの店は二度と営業することはないでしょうなぁ」
('∀`) オーホッホッホ・・・・・・ 【まねき猫】 完
828 :('∀`)鬱ナせぇるすまん:2011/01/13(木) 00:46:03 ID:ViXoH0HQ0
今日は以上です、そして支援ありがとうございます!
質問、指摘、日本語の間違い等があればお願いします
829 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/01/13(木) 00:57:34 ID:FiuckTFY0
乙!
前に比べてドーン!から幕引きまでが短い気がしたかな
もっとじわじわ絶望する様子を見せてほしかった
だが次回も楽しみにしてる
830 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/01/13(木) 18:30:49 ID:1FJKj8Wo0
原作はあんま知らないけど
喪鬱のライバルがいたら面白そうだな
831 :('∀`)鬱ナせぇるすまん:2011/01/13(木) 21:49:53 ID:bPEH3EhI0
>>829
そこは今回の反省材料だね
>>830
ライバルがいたらすごい展開になりそうだなwww
ちなみに弟がいるよ
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