mesimarja
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(`・ω・´)サラリーマンのようです
1 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 14:51:17.54 ID:RUecekJ60

現代社会を多元化・複雑化しているものと見るのは些か疲れてしまう。

確かに職業の分野は開拓され、科学や情報が乱立している昨今、
時代の見地から説を唱えるなら人の英知は360度どこにでも伸びている。

海底? 山脈? 果ては宇宙?

人という種としての繁栄は、一個人で制覇できる域には既にないだろう。

……とまぁそんなことが嘘か本当か関係無しに。

ただひとつの心理は働かざるもの食うべからずなわけで。

「あーお湯持ってこないと」

出勤前。フロントガラスは霜でモザイク仕様となっていた。

……うん。どれだけ大きな妄想的哲学を広げても、これが俺のリアルなわけだ。

「今朝は特に冷え込むなぁ」



(`・ω・´)サラリーマンのようです


3 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 14:52:43.26 ID:RUecekJ60
ミ,,゚Д゚彡「よお」

「ん? おお」

始業前。自席に到着すると後ろから声をかけられた。
コーヒーを片手に登場したその男は一年違いの後輩だ。

といってもプライベートでも飲みにいくほどには仲も良く、
勤務時間以外ではざっくばらんといった風に付き合っている。

お互いの公私の分け方が似ているからこそ気楽な付き合いができるというもので。

簡単にまとめると、この男―――布佐とは気が合うのだ。

5 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 14:54:13.06 ID:RUecekJ60
ミ,,゚Д゚彡「しっかし不況の波がこういう形で見られるようになるとは思っていなかったな」

「どうした? 手痛いことでもあったのか」

ミ,,゚Д゚彡「いいや。だが見ろよ」

布佐の視線を辿る。
別に何のことはない。うちの課の中を見渡すだけに留まったが。

……布佐の言いたいことはそれとなしに感づける。

「朝から活気に満ち溢れているな」

6 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 14:55:45.58 ID:RUecekJ60
ミ,,゚Д゚彡「カンフル剤になっているのさ」

不況。
それが会社で形になるとき、リストラと呼ばれる首切りが発生する。

もちろん誰だってお断りだ。

だからこそ、自分はリストラできない、そのアピールが必要となってくる。

結果、いい具合に緊張感が生まれ、
始業前に団欒しているのはオッサン二人だけというわけである。

7 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 14:56:18.58 ID:RUecekJ60
「今日直帰?」

「ああ。今やってるプロジェクトの打ち合わせが終わり次第」

「わかった。こっちが終わったら連絡する」

「お前……もう少し労われ。主に肝臓を」

「タバコはやめたんだ。しばらくは好きなようにさせてくれよ」

笑う布佐を見ながらため息をひとつ。
しかしながら、俺の顔にも苦笑がにじんでいることだろうよ。

―――お、9時か。

それでは、今日も一日、お仕事頑張りますか。

8 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 15:09:53.39 ID:RUecekJ60
「課長、時間ですので」

( ´ー`)「おおそうか。準備はできているよ」

先方との打ち合わせのため、課長に声をかける。
表向きは課長の担当となっているからだ。

自分は実働部長とでも言おうか。
肩書きも無く、体よく仕事を押し付けられている状態か。

それについて思うことは特に無い。
地位こそヒラと同じだが、課における自分の立ち位置に不満は無いからである。

給料も一人身にとっては足りていて。
課長の目に留まっているという自負も、こういう形で確認できたからだ。

このままの高度で飛行を続けているなら、リストラの嵐がきても墜落はないだろう。

9 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 15:18:09.36 ID:RUecekJ60
決して大企業ではないが、業界ではそれなりに知られているうちの会社。

だが……やはり沈み行く船なのだろうか。

信号で車が止まると、その場所から見える街並みに目がいく。

かつては煌びやかに飾られた装飾看板なども、錆などが目立っていた。
それも一軒だけではない。並んだ店先全てが、同じように古ぼけているのだ。

……どこもかしこも不況、不況、か。

きれいな外観をしているものとして目を引くのはコンビニくらいか。

( ´ー`)「どうしたかね」

「え、いや、空を見ていたんです」

( ´ー`)「空を?」

「はい。今夜は雪になるかもしれませんね」

10 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 15:24:30.06 ID:RUecekJ60
会社の中で生き残るのは当面大丈夫だと考えていい。

問題は会社が生き残れるかにかかっている。

入社したときはこんな先のこと思いもしなかったが……。

「課長、もうそろそろです」

( ´ー`)「うむ」

後部座席でタバコをもみ消す音が聞こえる。

課長の歳くらいなら。
退職も目に見えているわけで、不安も微々たるものかもしれない。

人生のアガリに近いわけだからな。

……いかん。
最近はどうも沈黙があると自分の世界に飛ぶようだ。

今はまず自分の仕事だな。
車から降りると、今朝よりも一層、風が冷たくなっていた。

12 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 15:32:54.70 ID:RUecekJ60
「―――以上が、今回のプランとしての案になります。
 ここまででご質問等をどうぞ」

プレゼンテーションを行う上で、一番重要なこと。
それは説得力をもたせることである。

万人を惹きつける企画を出すには時間も労力もかかる。

その場に集まった人に、『こいつの企画ならいけそうだ』という意識を植え付けることを考えるのだ。

重要なのは自信。

自信がある! ということを体中から発散させつつ企画の説明をすることが肝心である。

加えて今回は、課長の代理でプレゼンをしているわけで。
穴がある、とは微塵も感じさせてはならない。

これがマニュアルだ。

13 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 15:38:43.39 ID:RUecekJ60
だが、―――噛み合ってはいけない歯車が、カチリと音を立てた。

「わかりました。これまでを踏まえて検討させてもらいます」

検討。

その言葉に目元あたりから血が引く感覚を覚えた。

「ご、ご質問等はありませんでしたか?」

「ええ。日を改めてご連絡させてもらいます」

食い下がる。

なんだこの反応は。これまでの感触と打って変わっているじゃないか。

おかしい。
おかしい。おかしい。おかしい。

(;´ー`)

……糞狸が。
会社でいるだけの置物なんだからこういうときに役に立てよ!お前がリーダーだろうが!

14 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 15:44:03.25 ID:RUecekJ60
結局、退散する他なかった。

(#´ー`)「あの反応はどういうことかね?」

「……申し訳ありません」

(#´ー`)「私の名前で動いている企画なのだよ?
      君は私に恥をかかせたのを分かっているのかね?」

「……これから会社に戻り見直し案を作成します」

(#´ー`)「……ふん」

なにもしない奴がよく言う。

だが……腹を立てる前に策を考えないといけない。

それに不可解だ。
なぜいきなりプロジェクトを破談させる方向に持っていこうとしたんだ?

わからない……が、このままではいけない。
なにか、なにかをしなければ。

16 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 15:52:48.77 ID:RUecekJ60
ミ,,゚Д゚彡「まだ残るのか」

「……ああ」

デスクに噛り付いている俺と、帰り支度を整えた布佐。

その他はすでにいなくなっている。

まったく、この時期にこんな仕打ちとは。
笑えないが……それでも俺はサラリーマンだ。見青し案ができるまで帰るわけにはいかない。

ミ,,゚Д゚彡「しかし向こうさんも分からんな。今更0にしても得はないだろ」

「……これを見てくれ」

ミ,,゚Д゚彡「……なるほど」

なんのことはない。
うちの会社の知らないところで、話し合いからダービーに変わっていたのだ。

17 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 15:58:59.05 ID:RUecekJ60
ミ,,゚Д゚彡「……最近この名前をよく聞くな」

それは同業の中では新参者でありながら、
すでに一部上場を囁かれていたキラーホース。

「まさか対岸の火事が身に降り掛かる火の粉になるとはね」

やはりうちの会社も落ち目だったのだ。

食われる立場になってしまったか。

不況の中、安寧していられるわけがないが、それでも今日の一件で目が覚めた。
今まで以上に会社を売っていかないと、ヤバイ。

ミ,,゚Д゚彡「俺も手伝うぞ。課長は知らないんだろ?」

「あの狸が知るわけ無いだろ」

だな、と二人で笑い合う。
飲みにはいけなくなったが、コーヒーで乾杯できたことは、ずいぶんと気持ちを落ち着かせた。

18 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/09(火) 16:03:09.37 ID:RUecekJ60
ここで終わりです。
物語を書くことは止めてもしばらくすると無性に書きたくなるから困る。

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