( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです
2010/08/03 Tue 02:52
803 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/07/06(火) 01:03:11 発信元:219.160.192.201
( ´_ゝ`)「今日は暗号理論の基礎を学ぶ」
( ´_ゝ`)「えー現代の暗号理論は、整数論の分野の応用であって」
( ´_ゝ`)「素数分布の予測が困難なこと、そして巨大数の素因数分解の難しさにその
安全性を依っている」
( ´_ゝ`)「君たちの持ってる電卓で、ランダムに素数を5回かけ合わせてみろ」
( ´_ゝ`)「これは簡単だろう。では、隣の席の者と電卓を交換しよう。
それを素数の積の形に、すなわち素因数分解してみよう」
( ´_ゝ`)「これは掛け算より時間がかかるはずだ
√nまでの素数のリスト持っていなければなおさらだ」
( ´_ゝ`)「生成は簡単だが、復元には時間がかかる。
実際の暗号理論はもっと複雑な計算をしているが、なんでも逆算は
複雑性がますということは分かってもらえたと思う」
804 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/07/06(火) 01:04:38 発信元:219.160.192.201
講師の名はアニジャコフ。
元はヴィップグラードで数学、整数論の研究をしていた。
だが今はシベリアの片田舎の高校で、情報科学を教えていた。
やがて終業のベルがなった。
アニジャコフは非常勤講師だったので、もともと学校に長く残ることはしなかったが、
今日はいつも以上に足早に灰色の校舎を後にした。
向かった先は、シベリアの養護施設。
ここでは事情あって家族と暮らせない孤児たちが暮らしているのである。
そこには、アニジャコフの妹がいた。
805 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/07/06(火) 01:07:17 発信元:219.160.192.201
殺風景な通りには施設のピンク色の門。
そこにチェックの寮服を着た一人の少女が足を絡ませて壁に寄りかかっていた。
( ´_ゝ`)「おう、イモーシャ」
l从・∀・ノ!リ人「アニジャコフー、遅いのじゃー」
飛びつく妹。ふうわりと抱き上げる。
妹は7歳だが、年の割に小さい。
腕の上で目と目があうと、妹は軽くキスをくれた。
( ´_ゝ`)「帽子、ずれてるぞ」
妹を地面に降ろす。
l从・∀・ノ!リ人「うふっ」
小さなレディは帽子をかぶり直した。
( ´_ゝ`)「さ、いこか」
807 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/07/06(火) 01:10:32 発信元:219.160.192.201
町外れまで来た。なめらかな女の腹のような丘の上に病院が見える。
巨大な雲に、血みどろのような夕焼け。
その光景にほとんど飲み込まれそうなくらいだ。
イモーシャの手を引いて、アニジャコフは病院の門をくぐる。
3人部屋の窓際に弟、オトジャコフのベッドがある。
弟はきわめて手術が困難な病気で入院していた。
二人は示し合わせてゆっくりと近づく。
イモーシャが、ベッドの脇にこっそりと近づいて、オトジャコフの足をくすぐる。
l从・∀・ノ!リ人「ふふふっ」
読みかけの本を閉じて、ベッドの脇に目をやる。
(´<_` )「どこのいたずらねずみかと思ったら・・・」
イモーシャはオトジャコフの首を抱いてキスをする。
809 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/07/06(火) 01:12:34 発信元:219.160.192.201
アニジャコフもようやく姿を見せた。
( ´_ゝ`)「具合はどうだ?」
(´<_` )「おう、兄貴」
(´<_` )「まあ、ぼちぼちといったところだな」
( ´_ゝ`)「こうやって、一日本の虫か」
兄は苦笑してベッドに座り、日に日にやつれていく弟に話しかける。
(´<_` )「悪くないな。それより、今月のロシア数学界誌、読んだか?R.氏の研究によるとだな…」
相変わらずの弟に、アニジャコフは苦笑して頭を一掻きした。
もともとは、二人で研究をしていたのだ。
弟が理論的な研究をして、それを兄がプログラミングによって検証するというチームであった。
弟の数学的才能はずば抜けていて、世界がひっくり返るような定理の証明をいくつも独力で
行っていた。弟の名で発表されていれば、だが…
810 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/07/06(火) 01:15:56 発信元:219.160.192.201
窓の外には、夏の鳥たちが、隊列をなして飛来していた。
( ´_ゝ`)「イモーシャ、オトジャコフをちょっと庭に連れ出してやれ
こんなことばっかりでは、気が腐るだろう」
l从・∀・ノ!リ人「わかったのじゃー」
二人が病室から出て行ったのを見計らって、アニジャコフはベッドの
棚の上に山積みになっている書類から、古い茶封筒をより分けた。
これだ。
中を開けてみると、くしゃくしゃのレポート用紙にほとんど判読不能な数式がびっしりと
書き込まれていた。アニジャコフはカバンにそれをねじ込み、本の山を元通りにした。
イモーシャがオトジャコフの手を引っ張って戻って来た。
l从・∀・ノ!リ人「兄者、看護婦さんに見つかったのじゃー」
812 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/07/06(火) 01:19:21 発信元:219.160.192.201
******
妹を養護施設に送り届け、そこの食堂で余り物を妹と一緒に食べる。
アニジャコフは辞退したのだが、妹の要請と寮婦の誘いを受けて、そこで夕食をとった。
妹に別れを告げて、帰宅する。
公営のアパート三階にアニジャコフの部屋はあった。
冷たいドアノブに鍵を挿し込み、音を立ててドアを開く。
( ´_ゝ`)「ただいま」
誰に言うとでもなく、つぶやく。
813 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/07/06(火) 01:21:20 発信元:219.160.192.201
暗闇のなかで、たくさんのPCモニタが明滅している。
明かりもつけず着替もせずに、ひとつのモニタを覗き込んでwebブラウザを立ち上げる。
画像アップローダーに飛ぶ。ひとつの画像を選択する。
一見、青いスポーツカーのなんてことはない画像である。
それをダウンロードし、解析プログラムにかけた…
テキストファイルが生成された。
>件のファイル受領した。今後も宜しく
>報酬は例の口座に振りこんでおいた。確認宜しく。
( ´_ゝ`)「ふん」
そう言うとアニジャコフはファイルをnull埋めスクリプトにかけた…
ファイルはただ削除するだけでは駄目なのだ。
815 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/07/06(火) 01:26:08 発信元:219.160.192.201
次いで、オンラインバンキングで、報酬の額を確認する。
アニジャコフには高校の非常勤講師の他にもうひとつの顔があった。
企業から頼まれて、コンピューターウィルスを作る仕事である。
他のソフトの信頼性を落としたいソフト会社、たえずウィルス対策ソフトを売りたい
ウィルスソフト販売元などが顧客であった。もっとも、これは案件から推理したことで、
仕事の受注と納品はメール元である代理人が行っていた。
ちなみに代理人と一度たりともあったことはない。
( ´_ゝ`)「足りない・・・」
足りない。どうしても足りない。弟の入院費、そして手術費を捻出するにはまだ程遠い金額である。
普通のプログラマなどよりははるかに割りのいい仕事ではあったが、高額な薬と手術費を賄うには
足りない額である。
しかしそのようなことは分かりきっていたことだった。
だからこそ、この茶封筒を持ってきたのだ。
(続く)
816 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/06(火) 01:27:01 発信元:219.160.192.201
深夜のご支援、ありがとうございました。
お題消化一つ目、ウィルスです。
あと二つは後々出てきます。おやすみなさい。
817 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/06(火) 01:29:07 発信元:123.220.152.197
乙!
次が気になる
818 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/06(火) 01:47:05 発信元:219.125.145.54
乙
wktkだぜ
819 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/06(火) 01:55:21 発信元:27.229.53.17
数学の話か…ようやく本命が来た
遅れたが次はきっと支援に回るよ
820 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/06(火) 02:39:05 発信元:124.146.174.80
乙
これは期待
↓※7/11更新分
609 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 02:42:38 発信元:219.160.192.201
あらすじ:天才数学者の弟、オトジャコフと、凄腕プログラマのアニジャコフ。
二人は共同して研究を行っていた。が、今は事情あってシベリアにいる。そして弟を難病が蝕んでいる。
妹は、なぜか養護施設で離れて暮らしている。
非常勤講師だけではとても金が足りないと悟ったアニジャコフは、ウィルス作成とともに別の危険な
商売に手を染める。
,,,,,,,,,,,,, ∧_∧
[|,,,★,,,|] (´<_` ) まとめさんに感謝だな
,( ´_ゝ`) /''',_,'''' ヽ)http://sogomatome.blog104.fc2.com/blog-entry-483.html
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611 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 02:43:51 発信元:219.160.192.201
部屋の明かりは付けずに、デスクライトだけを付けて、茶封筒の中からくしゃくしゃのレポート紙を取り出す。
デスクライトの暖色に照らされた数式は、まるで異世界の呪文のように奇異である。
ひとつの方程式が書かれていたが、それだけでレポート用紙数枚の分量であった。
おそらく第三者には何が書かれているか、全くわからないであろう。内容が高度であるという以前に、
天才にありがちな悪筆という奴である。しかし、長年オトジャコフに連れ添っていたアニジャコフには
すべて分かっていた。そしてこの原稿がいかなる価値を持っているかを知っているのも、オトジャコフを
除けばアニジャコフだけであった。世界で、ただ一人。
アニジャコフはおもむろにキーボードをたたき始めた。
数式をプログラミングで実装し始める。
もはや弟を救う道はこれしかない。そう覚悟を決めて…。
613 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 02:45:09 発信元:61.198.169.95
俺も悪筆だ、、、
となると俺も天才だったのか、、!
615 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 02:45:28 発信元:219.160.192.201
話は2週間前に遡る。今日よりも蒸し暑い夕方。
アニジャコフがいつもどおりアパートに帰宅しようとしたときの事だ。
水色のカッターシャツに、茶色のジーパンを履いた背の低い男と、ねずみ色の背広を来た中背の男が
入り口に立ちはだかった。
背の低い方が腕をつかみながら言う。
(-_-)「君は・・・・アニジャコフ君だね?」
( ゚д゚ )「君を待っていた。君に仕事を依頼したい」
( ´_ゝ`)「仕事って…自分はただの高校の非常勤講師ですが」
(-_-)「悪いようにはしない。頼む、ついてきてくれ」
618 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 02:46:49 発信元:61.198.169.95
悪いようにはしないって奴ほど
619 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 02:47:12 発信元:219.160.192.201
アニジャコフは無視してアパートに入ろうとした。
その刹那、後頭部に鈍い痛みが走った。
気がつくと真っ暗な視界、揺れる体。
どうやら目隠しをされて車に乗せられているらしい。
車の音だけ聞くと、どこか高速を走っているようだった。
アニジャコフは何事にも淡白な性格だったが、さすがにこの時は焦りを感じた。
ウィルスを作る、という怪しく危険な仕事ゆえ、セキュリティに関しては最新の注意を払っていた。
個人情報はネット接続されたコンピュータにはおかず、ファイル共有ソフトの類など一切使ったことは
無かった。ファイアウォールの設定も万全だし、一体どこから自分の個人情報が漏れたというのだ…
しばらくするとどこかに車は停止した。
手を引かれて誘導されるままにすると、どこかカビ臭い密室めいたところに連れていかれた。
620 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 02:48:19 発信元:58.91.20.77
ざわ・・・
621 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 02:48:37 発信元:219.160.192.201
おそらく中背の方が目隠しを取る。
すると、やたらと顔の大きいカーキ色の軍服の巨漢が白熱灯の下に立っていた。
( ФωФ)「・・・・・・・・・」
( ´_ゝ`)「…」
アニジャコフは思った。これは、我々と同じスラブ民族ではない。
旧ソヴィエトのどこかの、少数民族の者だろう。先の二人もそんな感じがしたが、この男の血の濃さは
顔つきに顕著に現れていた。そしてそれを裏書するかのように、ひどい訛であいさつをした。
( ФωФ)「ようこそ、我が城へ。
手荒な真似をしてすまなかった。早速だが、君に仕事を依頼したい」
おそらく酋長とか、支配階級の血筋であろう。
見ると、後ろに堂々たる民族衣装をまとったこの男の肖像が掛かっていた。
この小汚い、6畳ほどのワイン蔵のようなカビ臭いアジトを「城」と呼ぶところにこの男の自尊心が現れていた。
623 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 02:50:35 発信元:219.160.192.201
( ФωФ)「君」
( ´_ゝ`)「…はい」
( ФωФ)「君は聞くところによると、コンピューターウィルス作りの名人だそうだね」
( ´_ゝ`)「・・・・・」
( ФωФ)「悪いが君の個人情報は銀行口座から調べさせてもらったよ。銀行に我々の仲間がいるもんでね」
やはり、とアニジャコフは確信した。
ウィルス作成を依頼する代理人だろう。
口を割って金を受け取ったか、オンラインバンキングの際に流れたに違いない。
( ФωФ)「君をかように扱うことは不本意だった。我々は君の才能に感服しているのだよ。
おい、あれを」
そう言うと、背の低い方が数カ月前の新聞を持ってきた。
624 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 02:52:45 発信元:219.160.192.201
巨漢はそれを受け取ると広げてみせた。
一面の見出しには 「ロシア内務省、深刻なウィルス感染によりデータ流出」
( ФωФ)「これ君の手柄だろう?サイバーテロリストとして、一流だということだ」
( ´_ゝ`)「…わかりません、言われたままに作ってるだけですから」
これは嘘ではなかった。案件と仕様に従って、彼はプログラムを書いているだけだった。
世事に興味のないアニジャコフは、こんなことが世間で騒がれていること自体知らなかった。
彼は自分の捨てたタバコの吸殻がどこかで山火事になった、というくらいの現実味の無さでこの話を聞いていた。
( ФωФ)「単刀直入に言おう。君の腕を奮って、政府系のオンライン・システムに侵入して欲しいのだ」
( ´_ゝ`)「あなたがたの民族運動の手伝いをする、ということですか」
( ФωФ)「そこまでは求めていない。それは我々がする」
628 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 02:57:27 発信元:219.160.192.201
( ´_ゝ`)「リスクが大きすぎます。それに、何の手がかりもない。
辞退させてください」
そう言い放つと、出口の方に向かった。しかし手下二人が立ちはだかった。
巨漢は懐柔するような調子で言葉を続けた。
( ФωФ)「君は…金に困っているんじゃないかね?」
( ФωФ)「我々の仲間のものが言ってたよ。銀行に度々借金を申し込んだって。
君ほどの才能あるプログラマーが、ウィルス作成などに手を出しているのは、何か
入用な事情があるんじゃないか?」
(;´_ゝ`)
確かにそうだ。ちょうど此頃、アニジャコフは医者に弟の病気が保険適用外だ、という話を聞かされて
焦りを感じていたのだ。だが、金策は無く、病魔は刻々と弟を蝕んでいた。
アニジャコフは振り向いて巨漢を見返した。
629 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 03:00:02 発信元:219.160.192.201
( ФωФ)「我々はすでに狙いは定めている。
成功した暁には、報酬は十分にする。君が生涯に得るだろう金の何倍も、だ」
アニジャコフは生唾を飲み込んだ。手のひらにじっとりと汗をかいている。
( ФωФ)「おい、あれを」
中背のほうが向き直った。そして、内ポケットに手を入れると、中からMOを取り出してみせた。
どうやらこの男が組織のIT担当らしい。だが、MOという媒体が環境の古さを物語っていた。
( ゚д゚ )「この中に、ロシア内務省の極秘資料が入っている
これを見ると、ロシアの国債の取引システムの脆弱性が分かる」
( ´_ゝ`)「ああ、どこかのBBSで噂でしたね。システム受注してた会社が倒産して、
セキュリティ面でガタガタだって・・・」
630 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:01:16 発信元:58.91.20.77
ざわ・・・ざわ・・・
632 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 03:03:29 発信元:219.160.192.201
ロシアは最近、国債のオンライン取引を始めたばかりであった。しかし、受注した会社の良くない評判は
前々から聞いていた。それで、デバッグの不足ーセキュリティ面での脆弱性が囁かれていた。
( ゚д゚ )「この中にはさらに、システム管理者のIDとパスワードが入っている
ただし、問題は」
( ´_ゝ`)「暗号化されている、ってことですか」
( ゚д゚ )「そのとおりだ」
(;´_ゝ`)「そんなもの、解析のしようが・・・」
( ФωФ)「そこを、頼むんだ。我々は君を信用してこれを任せようというのだ
ロシアの金融の中枢を、混乱に陥れる。これはハッカーにとってのエベレスト登頂、のようなものじゃ
無いかね?」
( ゜_ゝ゜)「あの、ハッカーというのはやめていただけませんか」
アニジャコフはハッカーと呼ばれるのが嫌なのではない。むしろ、ハッカーとは高等な技術を有するプログラマーの
尊称であると考えていた。彼の考えでは、これは破壊行為、クラッカーと呼ぶべき者の仕事だった。
633 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:05:17 発信元:110.160.202.161
国を、ましてロシアを相手取るのは分が悪すぎるよな…
634 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:06:15 発信元:211.18.234.84
当たり前田の?
635 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:07:04 発信元:118.159.131.25
クラッカー
636 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 03:07:42 発信元:219.160.192.201
巨漢の酋長は失礼を詫びた。
( ФωФ)「失礼。我々に民族の誇りがあるほうに、君にもプログラマとしての誇りがあるだろうからな。
だが、ここまで聞いてしまった以上、ただで返すわけにはいかない」
アニジャコフは巨漢の方を向いたままだったが、自分の背後で銃を抜いてこちらに向けている部下の気配を感じ取った。
******
そのような訳で、アニジャコフはロシア国債のオンライン取引システムを狙う、という危険極まる
仕事に着手したのだった。
最初は情報を漏らした代理人を恨んだ。
が、自分に金が切実に必要なこと、この件に代理人は感知していないであろうことを悟り、今までの仕事に並行して
行うことにした。
しかし暗号化されたパスワードなど、そう簡単に破れるものではない。
超巨大素数を鍵として生成された暗号文は、最新鋭のコンピューターを使っても解読におよそ何百年とかかるであろう。
それもこれも巨大数の素数判定、素因数分解の難しさを要にしている。
637 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:08:57 発信元:211.18.234.84
頭が痛くなってまいりました
638 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:10:23 発信元:110.160.202.161
並列処理でやるにしても情報が漏れる、普通のコンピュータじゃそもそも不可能だしなぁ
639 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 03:11:23 発信元:219.160.192.201
だからこそこの原稿を持ってきたのだ。
一枚目の上部には、
「自然数の集合Nと素数の集合Pの一対一対応における代数的解法、及びその逆写像」と書いてある。
この中に、古今の数学者が夢見て追い求めてきた魔法の数式、そして現在の情報化社会を根底から揺るがす
研究結果が記述されているのだ。
ようやくプログラムは完成した。
正確にに言うと、他のプログラムに組み込むためのモジュールであるが。
アニジャコフは適当なプログラムからモジュールを走らせる。
プロンプトが入力を求める。
>number?
640 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 03:12:16 発信元:219.160.192.201
アニジャコフは適当な数字を入力する。
>10
q(10)=29
>468
q(468)=3323
>2033
q(2033)=17707
( ´_ゝ`)「成功だ…」
アニジャコフは一人つぶやいた。
秘密の鍵は訳もなく開いた・・・・。
(続く)
643 :シベリアに眠れ、のようです:2010/07/11(日) 03:14:28 発信元:219.160.192.201
今回は以上です。
消化したお題は、「コンピューターウィルス」、「国債」、「個人情報流出」でした。
深夜のご支援に感謝します。
644 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:15:58 発信元:58.91.20.77
乙乙!
次回も楽しみにしてます
645 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:16:51 発信元:59.135.38.147
乙!
646 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:17:53 発信元:61.198.129.18
やっべ全然わかんね
641 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:13:17 発信元:110.160.202.161
オトジャコフ天才過ぎるだろう…
642 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:13:38 発信元:58.91.20.77
すげぇな…
647 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 03:20:32 発信元:110.160.202.161
乙
複雑なロシアの社会に切り込んだのはシベリアでも初めての作品だろうな
にしても弟者の頭200年くらいぶっ飛んでるぜ…
↓※8/3更新分
237 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 22:44:18 発信元:124.96.206.208
投下します
アニジャコフはシベリアの高校で情報科学を教えている。オトジャコフは難病により入院している。
イモーシャは養護施設で離れて暮らしている。
高額な手術費をまかなうため、アニジャコフはウィルス作成、さらに危険なことにロシアの金融システムへの
侵入を引き受ける。高度に暗号化されたパスワードを複合する秘策が、彼にはあった。
,,,,,,,,,,,,, ∧_∧
[|,,,★,,,|] (´<_` ) まとめさんに感謝だな
,( ´_ゝ`) /''',_,'''' ヽ)http://sogomatome.blog104.fc2.com/?mode=m&no=483
ノ,ー.=ニ彡、 / l. ,_, i, | ,,,,,,,,,,,,,
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 ̄ ̄ ̄\/____/  ̄(u ⊃
238 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/08/02(月) 22:46:43 発信元:124.146.174.40
キタコレ
239 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/08/02(月) 22:47:01 発信元:121.2.98.95
うおおおおおお支援!
240 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 22:47:45 発信元:124.96.206.208
素数を、代数的に求める関数。
しかも、n番目の素数を一意的に求める関数。
今までは、電話番号をランダムにかけて、目的の相手を探すような総当り的な方法しかなかった。
が、この代数的な方法(四則と根計算のみを使用)では、ダイレクトに呼び出しをかけるがごとく、
簡単に素数を発見することができる。
これこそ古今の数学者が夢に見、かつ追い求めてきたものだった。
しかし暗号理論の観点からいくと、その逆関数、すなわち任意の自然数が素数か否かの判定、
またその素因数分解表示を求める方が重要であった。
殴り書きの論文の中には、その逆関数についても記されていた。
それを応用した従来よりもはるかに高速の素因数分解法についても示唆されていた。
アニジャコフは、暗号解析プログラムにこの大発見の種々の成果を組み込んでいった。
天才プログラマは目をこすり、大きく伸びをして立ち上がった。
241 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 22:48:59 発信元:124.96.206.208
台所に行き、冷蔵庫からコーラを取り出して、グラスに注いで立ったまま飲む。
モニタだけが光る部屋。何台ものPCのファンが回り、無機質に息をしている。
のどを潤しながら考える。
あの完璧主義者のオトジャコフが知ったら、何というだろうか・・・・。
未完成な理論を飛び越して、実践、それも犯罪行為への応用をしようとしている。
でも、弟には何とかして生きてもらわねばならない。時間が無い。
これが唯一の償いだ。
アニジャコフは焦っていた。
*****
242 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 22:50:14 発信元:124.96.206.208
この理論が萌芽したのは、今から8年前。
ヴィップグラード大学院在籍中のこと。
下宿の一室、蒸し暑い夏の夕方であった。
アニジャコフは、受け取ったほとんど殴り書き状態の数式の羅列を眺めていた。
(´<_` )「どうだ?」
(;´_ゝ`)「おいこれ・・・・・」
(´<_` )「なかなか面白いだろう、でも証明が完璧じゃないんだ」
(;´_ゝ`)「世界が・・・ひっくりかえるな」
(´<_` )「世界がどうかってのは知らん。一つ言えるのは、整数論の巨大な一歩を踏み出そうとしている、
ってことだ」
(;´_ゝ`)「おい、共同研究者はいるのか?いいか、俺だけにしろ。
これまでみたいに教授や他の研究者に横取りされたらたまらんからな」
243 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/08/02(月) 22:50:15 発信元:121.2.98.95
リーマン予想の解明……?
245 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 22:52:29 発信元:124.96.206.208
必死な兄にオトジャコフは笑顔で答えた。
(´<_` )「横取りされたなんて、人聞きの悪いこというなよ。
ちゃんとクレジットはしてもらったよ」
(;´_ゝ`)「でも全部助手扱いだったじゃないか・・・論文をチェックしたやつが主研究者になっていた」
( ´_ゝ`)「まあ、今回のは俺にも思い入れがある。理論を完成させて、証明を完璧にして、ついでにリーマン予想や
整数論のほかの問題も一緒にやっつける。
どうやら現在の自然数論の公理系では満足されないんだ。
だから大掛かりなものになるだろうね。でも、一度理論が完成してしまえば、そこから
先はいっぺんに解決するはずだ。
ちょうどガロアが群を導入して、方程式論に決定的な解決を与えたようにね」
確かにこの発見はガロアの業績に比することもできるであろう。
前人未到の理論を打ち立てたにもかかわらず、生前認められなかった報われぬ天才。
その影もアニジャコフには重なって見えた。
248 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 22:54:18 発信元:124.96.206.208
当のオトジャコフの方は、この理論をすばらしい速さで組み立てていった。
天才のなせる業であるが、そのエネルギーは学究的なものに加えて、ロマンスのせいでもあった。
彼は恋をしていたのだ。
彼の恋人タナーニャは、死んだ両親が残した郊外の小さな喫茶店を切り盛りしていた。
ある日の午後、オトジャコフはいつもより背筋を伸ばして喫茶店「トロイカ」の扉を開いた。
いつもは片手にたいてい原稿か数学誌を携えているのだが、今日は手ぶらであった。
タナーニャはカウンターに頬杖ついて爪を噛んでいたが、彼に気づくと
从'ー'从「あら、いらっしゃい」
と声をかけた。
(´<_` )「・・・・・」
オトジャコフは何もいわずにカウンター席に腰を下ろした。
249 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/08/02(月) 22:54:29 発信元:121.2.98.95
数学はすごいな
251 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 22:57:09 発信元:124.96.206.208
タナーニャはクワス※を注ぎ、オトジャコフの目の前に置く。
(※ロシア人大好きな飲み物。発酵性、微炭酸、微アルコール)
向かい合わせに座る。
グラスの中の黄金の液体。揺らめく泡。
彼はそれには口をつけず、しばらく虚空を見つめていた。
不意に、カウンター越しのタナーニャにつぶやくように迫る。
(´<_` )「タナーニャ」
(´<_` )「近いうち、結婚しよう」
从'ー'从 「・・・・今は難しいと思う・・・
あなたには研究があるし、私・・・」
カウンターに組んだ白い両手に、オトジャコフは自分の両手をかぶせる。
天井扇の回転が二人に周期的に影を落とす。
(´<_` )「大丈夫だって」
(´<_` )「もう一息で論文が完成する、そうすれば俺は学会にデビューして、研究者人生の
第一歩を踏み出すことができるんだ。ようやく、陽のあたるとこに出られるんだ」
253 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 22:58:49 発信元:124.96.206.208
从'ー'从「・・・・・」
(´<_` )「二人にないもの、それを築いていこう。
家庭を築くんだ。しばらくはアパート住まいだが、金をためて・・・そして・・・
タセの近くにでも家を借りて、池の庭にはガチョウを放して・・男の子、女の子・・・・」
不意にドアが開いて、客が入ってきた。
タナーニャはオトジャコフの手をやさしく解いて、接客を始めた。
オトジャコフはぼんやりと、先ほど語った夢の続きを見ていた。
そしてようやくクワスに手をつけた。
ここのクワスは、酸味が少々強く、飲み応えがある。
オトジャコフは一息に飲むと、カウンターの上に代金を置き、再び外の日差しの中に出て行った。
256 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 23:02:38 発信元:124.96.206.208
それからしばらく後の事。
(´<_` )「兄貴、タナーニャが妊娠した」
( ´_ゝ`)「そうか・・・・」
(´<_` )「医師が言うには、母子ともに危ない状態にあるんだと」
( ´_ゝ`)「それでも産むのか・・・」
出産予定日が近づくと、二人とも研究そっちのけで病院に通いつめた。
薄暗い待合の廊下に、オトジャコフは椅子の上で寝転びながらつぶやく。
(´<_` )「・・・俺とタナーニャの、合成数か」
そんなことを一人ごちた。
( ´_ゝ`)「おまえ、」
アニジャコフは何か言いかけたが、それを遮るようにして分娩室から手術着の医師が出てきた。
260 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 23:04:55 発信元:124.96.206.208
( ´ー`)「奥さんが危険な状態にあります。是非励ましてあげてください」
(´<_` )「タナーニャ」
从'ー'从「赤ちゃんを・・・赤ちゃんを御願い」
そう枕辺に言い残して、タナーニャは死んだ。
赤ちゃんは無事に取り上げられた。
その女の子は、イモーシャと名付けられた。
二人はその女の子を引き取り、二人の妹、ということにした。
不運はこれだけでは無かった。
ある日、学内の掲示板に、ただならぬ告示が貼られていた。
「アニジャコフ・オトジャコフ、以上の2名を除籍処分とする」
そして下には、「素行不良」等の身に覚えの無い除籍理由が連ねられていた。
が、それは表向きの理由であることは皆感づいていた。
263 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 23:08:25 発信元:124.96.206.208
学長に掛け合ったが、まるで取り付く島がなかった。
( ´_ゝ`)「どういう事ですか」
( ´W`)「どういう事も何も無い。そういう決定だ」
踵を返して、部屋を出る。ドアを開けると、学長は憎々しげに言い放った。
( ´W`)「お前らのような人間には、どこであろうと学問をする場など無い」
アニジャコフとオトジャコフの父親がソ連時代の秘密警察の幹部だということが発覚したのが
原因だ、と言われている。
この件が明るみになるまで、二人は父親がどんな職業についていたのかさえ知らなかった。
(二人が小学校を出る前に、父親は自殺、直後母親は別の男と再婚した。
幸いなことに、引きとって世話をしてくれる親族がいた)。
ヴィップグラード大学長は、ソ連時代からのリベラル派で、5回の投獄を経験していた。
あのソルジェニーツィンなどにも知己があるといううわさだった。
それゆえに、秘密警察に対する恨みは甚大なものがあった。
266 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 23:12:05 発信元:124.96.206.208
彼らは紹介状も持たされず、大学をほとんど着の身着のままで追い出された。
この仕打ちに二人は当然憤慨したが、事を荒立てればイモーシャにも影響が及ぶだろう。
もうヴィップグラードにはいられない。イモーシャを抱いて、東へ、東へ。
そしてシベリアの片田舎である。
それからまたしばらくして、オトジャコフは病気を患った。
アニジャコフは最初はシベリアの気候が合わないのだろう、と思っていた。
が、検査の結果深刻な病気が進行していることが判明した。それも保険適応外の難病である。
もはやイモーシャを養育することは出来ないとアニジャコフは悟った。
それで、イモーシャを養護施設に預けることにした。
これが彼らの身の上である。
*****
267 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/08/02(月) 23:13:05 発信元:123.220.198.215
苦労人だな…
268 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/08/02(月) 23:13:47 発信元:121.2.98.95
報われてほしいもんだ
269 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 23:15:05 発信元:124.96.206.208
気がつくと、窓の外が明るかった。
アニジャコフの疲労は絶頂にあったが、ほとんどプログラマの本能でコードを書き上げ、
何回かテストの後完全に動作することを確認した。
ついに、暗号解析プログラムの完成である。
アニジャコフは組織の男から渡されたロシア金融システムの暗号化IDとPASSを入力した。
夕方までには解析は完了しているだろう。
今日もまた高校で情報科学を教える。
いそいそと支度をし、すべてが整うと、出かける間際に再度PCを覗き込んだ。
そして匿名掲示板にコピペを貼りまくった。
「8/12に決行せよ!」
「8/12に決行せよ!」
「8/12に決行せよ!」
「8/12に決行せよ!」
「8/12に決行せよ!」
「8/12に決行せよ!」
「8/12に決行せよ!」
270 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 23:17:17 発信元:124.96.206.208
8/12。
それは旧ソ連がコリチア自治区に軍事侵攻した、コリチア人にとって屈辱の日である。
30年前のその日、何の不安もなく暮らしていた人々は武装したソ連軍の前に打ち破られた。
ソ連側の言い分によれば、「旧態依然とした封建政治からの解法」という名目だが、本当の理由は
コリチア自治区に眠る莫大な天然資源が狙いであったと言われる。
実際、彼らを追い立てたあとに地下資源の採掘が盛んに行われた。
これは件の依頼主である元酋長が明かしたことである。
( ФωФ)「私も当時結婚したてだった。だが、無残にも妻は殺された。
その時私は復讐を誓った」
そして部下の方を指さしながら、
( ФωФ)「この者たちはその時孤児になった者たちだ」
( ゚д゚ )(-_-)
274 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 23:23:47 発信元:124.96.206.208
( ФωФ)「我々の同胞の多くは土地を追われ、ロシア全土に散った。
我々の同胞はそこでもまた迫害を受けている」
外見や行動習性が一般のロシア人たちとは大きく異なる彼らは差別の対象となっていた。
その鬱憤がさらに排外的な民族運動に駆り立てていた。
そのコリチア人たちの独立運動のネット上の牙城と鳴っているのが、匿名掲示板「コリチア独立自治政府」であった。
もちろん、例の団体と関係がある。
そこにアニジャコフはプロキシ経由で盛んにコピペを貼りまくる。
何の感情も持ちたくなかったが、同情に似た気持ち、そして中央に対する憎悪にも似た気持ちを抑えることは
難しかった。
繰り返される行為の中に、彼の中に眠っていた怒りが先鋭化されて来た。
275 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 23:26:19 発信元:124.96.206.208
「8/12、屈辱の日を忘れるな!
我々ひとりひとりの力は小さくとも、一斉に集まれば強大な大河となって敵を打ち倒すであろう。
我々には銃も大砲も無いが、キーボードを通して戦うことが出来る!
我々から血を吸い上げて肥えているクレムリンを許すな!
8/12、20:00にWeb上でF5アタックを開始せよ!」
その下にはロシア金融当局のURLが載せられていた。
決戦は明日の夜だ。
血が冴えていくのを感じる。
そして彼は表の顔を装うべく、高校へと出かけていった。
(続く)
281 :( ´_ゝ`)シベリアに眠れ、のようです:2010/08/02(月) 23:35:52 発信元:124.96.206.208
ご支援ありがとうございました
ロシアにチェドノフスキー兄弟というのがいて、全身麻痺の天才兄貴とプログラマの弟でπの世界記録を
更新しまくっているんですが、その二人がモデルになっています。
あと2,3回で終了の予定です。
重ねてありがとう。
276 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/08/02(月) 23:27:49 発信元:114.51.208.228
乙。
期待してる。
277 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/08/02(月) 23:28:09 発信元:121.2.98.95
乙! 待ってます!
278 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/08/02(月) 23:29:10 発信元:124.146.174.10
乙乙
279 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/08/02(月) 23:30:38 発信元:123.220.198.215
乙!次も楽しみです
普通にノーベル賞欲しいだけ貰えるな
暗号化も全く通用しなくなる
リーマン予想も証明出来るな
わくわくする