mesimarja
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( ^ω^)オアッwwwオアッwwwwwwのようです
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 23:41:03.91 ID:vzANz2yNO
では三話目投下します


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/22(月) 23:42:48.81 ID:vzANz2yNO

( ^ω^)前回までのあらすじ

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:43:44.47 ID:fkz97UHM0
「やぁっ……あ……あぁっ……」

かすかな声が、少女の唇から漏れる。
男の骨張った指は、なだらかに膨らんだ胸をなぞりあげ、桜色に隆起した先端を指の腹で嬲り始めた。
羞恥に頬を赤く染めながら、少女は熱く潤んだ視線をあらぬ方向に向ける。

「君の胸……柔らかくて気持ちいいよ……」

男は膝の上に少女を乗せて、思うがままにその肢体を嬲っているようだった。
今度は優しく太股の上をつたわせながら、男は指先を少女の深奥へと近づいていく。

「やぁぁっ……」

汗ばんだ髪を振り乱して、少女がかすかな悲鳴を上げた。
太股と太股のあいだ――ややくすんだバラ色をした秘裂の縁に、男の指先が触れたのだ。
男は少女の反応を楽しみながら、花びらを指先で慈しむように擦り上げる。

「湿った音がするね……感じてるんだ」

男の目が細められた次の瞬間、無遠慮に指先が少女の秘肉をかき分けた。
異物を挿入される感覚に、少女は官能を刺激されてうわずった声をあげる。

(*^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 00:57:59.38 ID:fkz97UHM0
('A`)「まったく……この仕事は俺の天職だな」

カウンターの中に座りながら、ドクオは台帳を付けていた手を止めてそう呟いた。
店内は大して広いとは言えないが、前時代的なオブジェに装飾されて19世紀のサロンのような空気を醸し出している。
落ち着いたジャズが流れるなかで、一人の少女が客の男と、静かに口づけをかわすのが見えた。

ややウエーブのかかったロングヘアー、可憐なボブ、ボーイッシュなショートカット……。
どれも絵の中から抜け出てきたような美少女揃いである。それが、客の男たちと喋ったりゲームをして遊んでいる。

ドクオは、可愛い女の子を見るのが好きだった。それがまがい物であったとしても。
さきほど少女の一人と口づけをかわしていた客が、彼女の手を引いてカウンターに近づいてくる。

('A`)「ご宿泊でございますか?」

尋ねたドクオに、客は 「この子と頼めるかな」 と言った。

('A`)「畏まりました。お支払いはカードで……確かに承りました。お部屋は3階の1121号室になります」

支払いを済ませ、少女の手を引いて階段の方に消えていく客の後ろ姿を、ドクオは静かに見送る。
可愛がっている少女たちが慰み者にされるのはつらいが、ドクオはまあ、平穏なこの生活が気に入っているのだ。

ところがその平穏は、ドタドタと階段を駆け下りてくる音に破られた。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:04:33.63 ID:fkz97UHM0
「てめー、高い金を払ったのにどうなってるんだ!?」

そう言ってカウンターに怒鳴り込んできた客は、右手にバスローブを羽織った少女を連れていた。
今日入った子だった。最新型モデルの最初の相手なので、プレミアム料金を頂戴したのだが……。

('A`)「はあ……どうされましたか」

ざわめく店内に笑顔で微笑むと、ドクオは客の連れている少女をしげしげと見た。
外見には特に問題は見あたらず、少女はドクオと客を不思議そうな顔で見比べている。

「どうしたもこうしたも、こいつの声を聞いてくれよ」

憤懣やるかたない顔で、客が少女の背中を押す。
少女はドクオの方を見つめて――天使の歌声と評論家から称されたモデルQ-11の美声を披露――するはずだった。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:14:10.17 ID:fkz97UHM0
('A`)「…………」

一瞬の気まずい沈黙が、店内に立ちこめた。
客は、『な、聞いただろ?』とでも言いたげな顔で、ドクオの方を見ている。
ドクオは咳払いして、少女に出来るだけ優しく、笑顔でたずねた。

('A`;)「ブーンちゃん、悪ふざけのつもりかな? そんな風にアヒルみたく鳴いてないで、
   得意のお歌を聴かせておくれよ」

少女が誇らしげに、桜色のくちびるから声を紡ぐ。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

ドクオは頭を抱えた。とりあえず、客には平身低頭の平謝りを続け、代金の返還と無料チケットをプレゼントした。
ときどき思い出したように奇怪な鳴き声を発するタイプQ-11、ブーンは店の奥に押し込めて、その日は営業を続けた。

そして、朝が来た。
最後の客を笑顔で送り出したあとで、ドクオはQ-11を店の奥から引っ張り出してきた。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:16:23.06 ID:z+CvlU5XO
ワロタwww

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:17:40.42 ID:Sqbqot89O
オアッwwwオアッwwwwww

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:25:09.21 ID:fkz97UHM0
('A`)「何かのバグなのか……Q-11はハイエンドモデルの、しかも最新型なのに……」

ぶつぶつとつぶやきながら、リモコンのスイッチを押す。
規定された動作の通りに少女は羽織っていたバスローブを脱いで、裸身を晒した。
均整の取れた肢体と、ゆるやかに膨らんだ乳房、それに下腹部に刻まれたなめらかなバラ色の花弁が露わになる。

('A`)「特に外傷はないよな。もっとも、人間の男に殴られたくらいじゃこいつらは損傷しないが」

リモコンのボタンを押す。
少女の腹部に、ふいに裂け目が走った。

('A`)「……あんまり見たくねーんだよな、これ」

美しい少女のお腹が文字通り大きく裂けて、稼働している複数の金属のシリンダーと、
積層セラミック合金製の内部フレームが露わになる。ドクオはポケットのラップトップを探って、
コードを引き延ばすと、それを少女の剥き出しになった拡張ポートに繋いだ。

即座に診断プログラムが自動実行され、ラップトップに結果が表示される。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:33:35.03 ID:fkz97UHM0
('A`)「口内の精液の有無/無、直腸内の精液の有無/無、膣内の精液の有無/無……」

要するに、少女はまだ未使用の状態だった。
工場から送られてきたQ-11――ブーンは、動作試験を行ったときは完全に動作した。
アイドルをイメージして設計されたQ-11は、ドクオの前で最新のヒットチャートを見事に歌ってみせ、
この店の新しい看板になるはずだったのだが……。

('A`)「どこも問題はないぞ……?」

念のため、ラップトップを外し、少女に再起動するよう命令を与える。
胸部のベイが閉まり、再びなめらかな肌に戻ると、虚ろだった少女の眼に光がやどった。

思わず、少女と目が合う。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

にっこりと、夏に咲く大輪の向日葵のように可憐に微笑んで、
少女はやっぱり奇怪な声を発するのだった。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 01:47:19.84 ID:fkz97UHM0
( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

ゆるやかなウエーブを描いた栗色の髪が、スポットライトの中に華麗に舞う。
神秘的な翡翠色の瞳で、ドクオたち観客に悪戯っぽくウインク。
清楚な白を基調としたスカートが翻り、スレンダーな太股が男の目を惹くように剥き出しになる。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

マイクを持つ細い指先が、願いを歌に乗せるかのように小さく震える。
少女は瞳を閉じ、さらに熱を帯びた歌声を盛り上がり始めたリズムに乗せる。

光が、少女から拡散した。
白い羽根が宙に舞い上がり、少女の背から伸びた翼が羽ばたく。
サビの盛り上がりに合わせた見事な立体映像だった。

ドクオは感動して涙を流しそうになった。歌声が全て、あの奇声でなければ。

(,,゚Д゚)「立体映像装置にも問題はないぞゴルァ! 本当に声だけだなゴルァ……」

('A`)「なんでこうなったのか、原因は分からないんですか?」

とりあえず拍手しておくと、少女はスカートの裾をつまみ上げてお辞儀をした。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 02:01:32.67 ID:fkz97UHM0
(,,゚Д゚)「このQナンバーのタイプは、余計な機能を盛り込みすぎなんだゴルァ!」

エンジニアのギコがラップトップを片手に、ドクオに説明してくる。

(,,゚Д゚)「エクシードドールなんて大層な名前を付けちゃいるが、こいつらの本質は歩くダッチワイフだゴルァ!
    やれれば何だっていいのに、開発と営業の連中が無駄な機能ばかりつけやがるんだゴルァ!」

('A`)「それは仕方ないでしょう。技術の向上で、性的なサービスを提供する能力はどんなに安価なモデルでも
   ほとんど変わらなくなりましたから、高級なモデルはそれ以外の付加価値で勝負していかないと……」

ギコはそう答えたドクオをじろりと見たが、すぐにポケットから小型端末を取り出してきた。

(,,゚Д゚)「とりあえずここにサインしてくれゴルァ! すぐにこいつを引き取って、新しいやつを持ってこさせるぞゴルァ!」

('A`)「持ってくるって、この子はどうなるんですか?」

ドクオは、店の机を並べて作ったステージの上で、笑顔で手を振っている少女を見た。
なんの疑いもない、純真な瞳。次の曲を歌おうとマイクを顔に近づけたので、さすがに動作を強制停止させられたが。

(,,゚Д゚)「もちろん、スクラップだゴルァ! 修理なんてめんどくさいのは、最近はやらないんだぞゴルァ」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 02:14:32.84 ID:fkz97UHM0
('A`)「…………」

ドクオがこの手のロボットを使った商売を始めたのは、可愛い女の子を眺めているが好きなのもあるが、
実のところは彼自身の人生の経験にも大きく影響されていた。

いわゆる喪男であるドクオは、生身の女性を抱いたことがなかった。
むしろ、手を握ったことも、まともに話したことすらなかったのだ。

それに加えて、もともと内向的だったドクオは次第に引き籠もるようになり、高校を中退して家でぶらぶらとしていたある日、
両親と喧嘩して家出した――あの時は、死のうとさえ思ったのだ。
やけになって繁華街にやってきたドクオは、配っていたチラシに好みの女の子が映っているのを見て、
いわゆる初期のロボット娼館にふらふらと足を踏み入れた。そこで、一体のロボットに出会ったのだ。

未経験のドクオにその少女は優しく接してくれ、ドクオは相手がロボットだと知りながらその子に恋してしまった。

目的ができたドクオの人生は変わった。高校卒業検定に合格し、大学に入学して友人もできた。
ドクオはその間にもアルバイトで稼いだ金を少女との逢瀬に費やしたが、ある日、店に訪れたドクオに店主が告げた。

「お客さん、悪いけど、贔屓にしてたあの子、壊れたんでいないのよ」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 02:26:02.83 ID:fkz97UHM0
ドクオは目の前が真っ暗になった。
店主を問い詰めたが、消耗品である動かなくなったロボットに存在価値はないのだ。

ドクオが恋して、人生を変えるきっかけになった彼女は、完膚無きまでに分解されて他の部品に再利用された。

ドクオは大学を卒業し、大手機械メーカーの営業部に潜り込むことができた。
しかし、そこを定年まで勤め上げるつもりはなかった。10年ほど働いたときには、ドクオの手元には幾ばくかの資金と、
それなりの人脈が存在していた。建物が安く売りに出されていたことも幸いした。

そういうわけで、ドクオはロボットの女の子たちを大事にする店を作ろうと、会社を退職して商売を始めたのだった。

('A`)「……だが、経営はそんなに楽じゃないんだよな」

とりわけ、人脈を駆使して手に入れた今回のQ-11にドクオは、低迷している売り上げの救世主として期待をかけていた。
広告も打った。この界隈で新型のハイエンドモデルを持っているのは、ドクオの店だけだ。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

だが――これでは使い物にならない。
使えないロボットに高額の金をかけられるほど、ドクオには余裕がなかった。

結局、ドクオはサインせざるを得なかった。
少女は相変らず奇声を発しながら、エンジニアのギコに引き取られていった。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 02:42:34.65 ID:fkz97UHM0
(´<_` )「兄者」

弟者が言った。

(´<_` )「こいつ、Qモデルの最新型じゃないか?」

見れば、コンテナの箱を開けて中身を覗いている。

( ´_ゝ`)「弟者……」

兄者は嘆息した。機械式ダッチワイフに興味はないが、開封厳禁のコンテナの中身を盗み見るのは、
運送業者としてはいかがなものであろうか。重々しく口を開こうとしたとき、弟者が素っ頓狂な声をあげた。

(´<_` )「やっぱりそうだ! こいつ、Q-11だぜ。まだ綺麗なのに、なんで処理工場に送るんだ?」

( ´_ゝ`)「そんなのは俺たちの知った事じゃない。いいか、俺たちの仕事は、頼まれた品物を時間通りに、
      頼まれた場所まで正確に届けることだ。そして、流石だなと言われることだ」

(´<_` )「だけど兄者、これ、高級車が一台買えるくらいの値段なんだぜ……」

( ´_ゝ`)「関係のないことだ。コンテナを閉めろ、弟者。出発するぞ」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 02:57:55.68 ID:fkz97UHM0
少女は、安らかな吐息をたてて眠っているようだった。
頬はほのかな桜色に染まり、ゆるやかに膨らんだ胸元を幸せそうに上下させている。

栗色の髪は絹のように滑らかで、幾重にも分かれて身体の上にかかっている。
端整な顔立ち。まるで一つの工芸品のように、美しく刻まれた睫毛の下に、まだ見ぬ瞳を隠している。
まるで美しい人形のようだった。いや、事実そうなのだが、少女を見つめる弟者はこの人形の用途を知っている。

( ´_ゝ`)「弟者、悪いが社長の母者から電話だ。しばらく車の中で待っててくれ」

そう言った兄者が、いつも小一時間は帰ってこないことを弟者はまた、知っている。
兄者はそう言うと、明かりの灯るドライブインのレストランへと消えていった。
外は雨が降り続いている――多少の声ならばかき消してしまうほどの。

弟者は、少女が眠るコンテナからリモコンを拾い上げた。
やや躊躇ったあと、中央の赤いボタンに手をかける。

かすかな吐息が、少女の唇から漏れた。
世にも美しい人形が瞳を開き、自分のことを見つめたのが分かったとき、弟者はけだものになった。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 03:11:36.38 ID:fkz97UHM0
少女の華奢な顎に手をかけ、自分の方に引き寄せる。
かすかに、その機械の身体がわななくのが分かった。
唇が小さく開き、何かを告げようとする。

弟者はその唇に自らの唇を強引に押し当てると、少女の口内に溢れてきた唾液を舌もろとも吸い立てた。

「ちゅ……んむっ……んっ……。ん……ふぁ……」

二人の舌が絡まり、淫靡な音を奏でる。
口づけを続けながら、弟者は少女の胸元に手を這わせた。柔らかく蕩けるような感触が、布越しに弟者の指先を包む。

(´<_` )(本物の女の子みたいだ……)

唇を離して、少女の身体をトラックの荷台に横たえると、少女はやや頬を赤らめて顔を背けた。
しかし、抵抗するそぶりは見せない。これがそのために作られた機械だと言うことを、弟者は知っている。

弟者の指が、少女の胸元で結ばれた空色のリボンをほどく。
少女の口から切なげな吐息がこぼれて、やがて熱を帯びはじめた瞳で、少女は哀願するように――。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

と奇声を発して、恥ずかしそうに口元を手で覆った。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 03:24:27.81 ID:fkz97UHM0
(´<_` )「え……?」

確認するように、少女をもう一度見る。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

これは、恥じらう少女を陵辱――という燃えるシチュエーションのはずであった。
現に少女の上着は半脱ぎの状態になり、下に付けたブラジャーが露わになっている。

(´<_` )「な、なんなんだ、お前……」

少女は呆然と立ち上がった弟者を哀願するように見ていたが、
やがて、にっこりと微笑むと上着を整えはじめた。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

弟者の背中に腕を回して、華奢な重みを伝えてくる。
いざ、コトに及ぼうとした男が不能になってしまうのはよくあることで、どうも少女は弟者を慰めてくれているようだが、
不気味な声を上げるだけなので気味が悪いだけである。

(´<_` )「だ、黙れっ!」

弟者は抱きついてくる少女から離れようとして――勢い余って、少女を雨の降りしきる路上に突き飛ばしてしまった。
白い少女の服が泥にまみれる。それでも、少女は嫌な顔一つせず、弟者に微笑みかけた。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 03:38:45.68 ID:fkz97UHM0
何も疑うことを知らない、翡翠色の瞳。きっとこの少女は、全ての男を愛するように設計されているのだろう。
そう、所詮は機械なのだ。弟者の相手がこの少女でなくても良かったように、少女の相手も弟者である必要はなかったのだ。
それでも――汚れた服のまま雨中に立ち上がった少女は、弟者の方に歩み寄ってくる。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

それが、弟者の怒りに火を付けた。
こんな出来損ないの人形に一瞬でも心を奪われたことを――振り払うかのように、
弟者は歩み寄ってきた少女の手を取ると、荷台の上に少女を突き飛ばした。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

やや戸惑ったように、少女が声を上げる。
弟者はその頬を、平手で打ち据えた。

(´<_` )「お前は人形なんだよな……」

思わず尻餅をついて、後ずさりしようとした少女を、弟者は冷たい眼で見つめる。
本当に良くできた人形だ、という思いが込み上げてくる。

(´<_` )「だから……モノとして扱ってやるよ……」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 03:46:22.73 ID:fkz97UHM0
兄者が電話を終えて、お持ち帰りの牛丼二人分と一緒にトラックに帰ったとき、そこには弟者がいた。
開きっぱなしになったトラックの荷台の上で、膝を抱えて座っている。

( ´_ゝ`)「弟者……?」

駆け寄った兄者に、弟者は涙まじりの声を絞り出すように言った。

(´<_` )「兄者……俺、俺……」

弟者の横には、汚れた何かの布がびりびりに引き裂かれて、転がっている。
あの開封厳禁のコンテナの蓋が、ぽっかりと黒い口を開けていた。
兄者の頬に皺が寄り、眼が鋭くなった。

( ´_ゝ`)「何があったのか、聞かせてもらう必要がありそうだな」

兄者はそう言うと、静かに雨の中を歩みはじめた。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 03:56:25.35 ID:fkz97UHM0
女は、頭上のライトを浴びながら歌っていた。
立体映像による七色の光が降り注ぎ、露出度の高い服を纏う豊満な肢体を輝かせる。

「ツンちゃん~!」

「ツン、俺だーッ! 愛してる、結婚してくれー!」

観客席から上がった声を意にも介さずに、女は髪を振り乱し、その声をホールの中に響かせる。
曲が最高潮に盛り上がった瞬間、閃光と硝煙が炸裂し、悲鳴とも叫びともつかない声がホールを埋め尽くした。
そして、割れんばかりの歓声、歓声――。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 04:06:29.65 ID:fkz97UHM0
ξ゚⊿゚)ξ「何言ってんの、あんた、アタシを誰だと――」

思わず怒声を上げたツンに、杉浦は冷たく言い放った。

( ФωФ)「アイドルのツンさんでしょ? 何度も言いますけど、うちの番組は実力主義でしてね。
       本当に実力のあるアーティストの歌をネットワークに届けるのが方針なんですよ」

皮肉げな笑みを浮かべて、杉浦は手元の書類に何かを書き込む。

( ФωФ)「残念ですけど、アイドルの出演はうちの方針に反するんですよ。ごめんなさいね」

ξ゚⊿゚)ξ「あたしは、先週配信分のおたくの番組を見たわ」

しかし、ツンも負けてはいない。不敵な笑みを浮かべて、杉浦を睨み付ける。

ξ゚⊿゚)ξ「思いっきり若手のアイドルグループが出演してたじゃない。それに、あんたはアタシに実力がないとでも言うわけ?
      アタシはオリコン600万枚、ヒットチャート連続18週一位の――」

( ФωФ)「そりゃ、五年前の話でしょう」

何かを書き終えたと見えて、杉浦はペンを乱暴に机の上に放り投げた。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 04:17:23.06 ID:fkz97UHM0
( ФωФ)「はっきり言いましょうか? 今のツンさんには、魅力がないんですよ。
       アイドルなんて数年で使い捨てるのがこの業界とファンの常識なんですから、分かって頂かないと」

ξ#゚⊿゚)ξ「な……」

( ФωФ)「しかし、もしお金に困っているのだったら仕事を紹介しますよ? 賞味期限切れのアイドルでも、
       大歓迎で迎えてくれる夢のような場所があるんですよ、ここです」

杉浦は得意げに、さっきまで書いていた紙をツンに見せてきた。
ツンは呆気にとられた。次に、顔を真っ赤にして怒鳴った。

ξ#゚⊿゚)ξ「ここ、ストリップバーじゃない! あんた、アタシにロボットに混じって歌えっていうの!?」

( ФωФ)「ロボットを馬鹿にしちゃいけませんよ。今の最新型のロボットは、どんな歌でも完璧に歌えるそうですよ。
       例えばほら、この荒巻スカルチノフ社の新型モデルなんかは……」

杉浦はそれ以上言葉を続けられなかった。
テーブルの上のコップに満たされていた水を杉浦の顔面にひっかけると、ツンは憮然として部屋を出て行った。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 04:34:00.36 ID:fkz97UHM0
ξ゚⊿゚)ξ「なにが賞味期限切れよ、あたしはまだまだ現役よ!」

雨の降る高速道路を、ツンの駆る赤いスポーツカーは高速で疾走する。
鏡のようになったアスファルトの路面を滑る、ヘッドライトの光芒。
今どき絶滅危惧種のMT社のギアを猛然と切り替え、ツンは華麗にハンドルを操る。

ξ゚⊿゚)ξ「まだやれるんだから! まだまだ……!」

見事な運転技術だった。肉食系アイドルだの何だの言われていたとおり、ツンはワイルドな女だった。
しかし、加齢と共に少々動体視力が衰えてきていることを、考慮しなければならなかった。

ξ゚⊿゚)ξ「!?」

そういうわけで、ヘッドライトの光の中に何かの黒い影が浮かんだとき、ツンの動作はわずかに遅れた。
雨が降っていたことと、速度を出し過ぎていたこともあって、ツンの操る車はその影めがけて巨体を殺到させた。

ξ゚⊿゚)ξ「女の子……?」

転がるボーリングの球がピンをなぎ倒すかのごとく、鉄の凶器と化した車体がその影をはね上げた瞬間、
ツンは影が何だったのか一瞬、見えた気がした。

エアバッグが作動する。急激な制動で前にツンのめったツンは、背筋を冷や汗がつたうのを覚えた。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 04:43:07.29 ID:fkz97UHM0
ξ;゚⊿゚)ξ「ど、どうしよう……」

その場から全力で逃げるほど、ツンは悪い女ではなかった。
明らかに何かを轢いてしまったのだ。しかも、ほぼ間違いなく人間を。

車を路肩に寄せて停めるとスポーツカーのドアを開き、慌てて外に飛び出す。
雨と時刻のせいで視界は最悪だったが、ツンは路上に転がっているそれを見つけた。

ξ;゚⊿゚)ξ「終わりだ……あたしの芸能生活……」

アイドル、高速道路で人身事故、という新聞の見出しが頭をよぎる。
ともあれ、ツンは道路に突っ伏しているそれに近寄った。

ξ;゚⊿゚)ξ「ふ、服とかぼろぼろじゃん……」

それは、やはり女のようだった。長い髪が雨に濡れて路上に広がっている。
顔とかぐちゃぐちゃなんだろうな……と思いつつも、とりあえずツンはそれの肩を掴んで引き起こそうとした。

妙な重さが手首に伝わってくる。あたし、こんなに非力だったか? と思いながらも、
なんとかツンはそれを仰向けにすることができた。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 04:52:23.57 ID:fkz97UHM0
腰が抜けた。
誰だってあんな声を間近で聞いたらビビる。

それは、女と言うよりは少女だった。長い髪はぼろほろになり、顔は煤で黒ずんでいるが、
長年女の顔を見てきたツンには一目で、なかなかの美人だと分かった。

ξ;゚⊿゚)ξ「あ、あんた大丈夫……なの?」

ツンが尋ねると、少女は頷いて、

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

奇声を発してはいるものの、平然としている少女の顔を見ているうち、ツンはある可能性に思い当たった。
あの重さといい、普通の人間が車に跳ね飛ばされて生きてられるわけがないのだ。

ξ゚⊿゚)ξ「あんた、まさかロボット……?」

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

少女は元気よく頷く。ツンは一瞬、安堵したが、すぐに冷静になった。

ξ゚⊿゚)ξ「と、とりあえず、あんたすごく汚れてるし、あたしの車に乗りなさい。
      立てる? 大丈夫だったら、さっさと行くわよ」

どうも相当頑丈にできているらしく、少女は難なく立ち上がった。
とりあえず車の助手席に乗せる。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 05:00:37.92 ID:fkz97UHM0
ξ゚⊿゚)ξ「ともかく家に連れて帰って、修理して持ち主に返さないと……うまく示談にできれば、
      あたしのアイドルとしての経歴に傷は……ぶつぶつ……」

ツンが考えているあいだにも、助手席に座った少女は断続的に奇声を発している。
どうも事故の衝撃でどこかイカれたらしい――と思って、ツンはあらためて少女を見た。

ξ゚⊿゚)ξ「しかし結構な美人ね、人形みたい……どこかのメイドロボか、観賞用のコンパニオンロボかしら」

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

ξ゚⊿゚)ξ「あんた、それしか喋れないの?」

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

ξ゚⊿゚)ξ「まあいいわ。知り合いにロボットの専門家がいるから、そいつに看てもらうから安心して。
      責任を持って、アイドルのあたしが修理してあげるから安心しなさいよ」

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

少女があまりにも嬉しそうに微笑むのに思わず見とれて――ツンはハンドルを切り損ねそうになった。

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:12:36.94 ID:fkz97UHM0
橙色の明かりが、浴室を淡く染め上げている。
床を覆う大理石のタイル。陶磁器を思わせる白い素材で作られたバスタヴからは、
心地よさそうな無数の泡が吹き上がり、アクアブルーの水面を揺らしている。

浴室はそれほど広くはないが、壁の二つはガラスのような物質で形成され、
都市の夜景を映しているため、開放感がある。

ξ゚⊿゚)ξ「ほら、女の子どうしなんだから、恥ずかしがってないで脱ぎなさいよ」

女の子――というのには少々年を食っているような気がするツンは、足に引っかかっていた
下着を大胆に脱ぎ捨てながら、傍らの少女をうながす。
恥ずかしそうに頬を染めると、少女は下着を太股のあたりまでスライドさせた。

少女のそこは、これから開花する蕾を思わせるように、やや綻んでいた。
薄黄色の染みで汚れていたクロッチと、花弁のあいだに白い粘液の糸がつつと垂れる。

ξ゚⊿゚)ξ「あ、あんた……そういうロボットだったの?」

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

可愛らしくこくこくと頷くと、少女は自分のそこをちょっと恥ずかしそうに指で覆った。
コンパニオン型やメイドロボに、そう言う機能は備わっていない。
つまり、この子はそれが必要になる用途のロボットなわけで――。

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:13:50.68 ID:fkz97UHM0
ξ*゚⊿゚)ξ「ま、まあいいわ。とにかく汚れてるところは綺麗にしてあげるから、
      全部脱いでこっちに来なさいよ」

更衣室から先に浴室に入ると、ツンはシャワーのノブをひねった。
雨に打たれていた身体に、お湯の雨が心地よい。思わず目を閉じて、息をついてしまう。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

後に続いて入ってきた少女にも、ツンはシャワーのお湯をかけてあげた。
少女は一瞬、水飛沫に片目を閉じたものの、すぐに大人しくシャワーを浴びるようになる。

ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず、身体とか髪とか洗ってあげるから、そこの椅子に座って」

言われた通りにした少女に、ツンは頭からお湯をかけていく。
雨と泥で汚れた髪に指を差し入れて、優しく梳かしてやりながら、思わずつぶやいた。

ξ゚⊿゚)ξ「綺麗な髪ね……あなた、本物の女の子みたい」

お湯を後頭部から首筋に、胸元へとゆっくりと流していく。
少々小さめだが形の良い乳房を抜けて、お腹へ、そして恥ずかしそうに閉じた太股の方へ。

ξ゚⊿゚)ξ「ほら、足開いて。そこも汚れてるでしょ」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:15:03.39 ID:fkz97UHM0
不可思議な翡翠色をした美しい瞳が、ツンの方を振り向く。
それはやや熱っぽく潤んで――唇からはため息のような吐息がこぼれた。
妙な背徳感を感じて、背筋がぞくぞくする。

ξ*゚⊿゚)ξ「へ、変な目で見ないでよっ……女同士でしょ」

弱々しく、少女は股を開いていく。
浴室の照明にやや薄暗く照らされながらも、ツンにはそこがくっきりと見えた。

ξ*゚⊿゚)ξ(や……やだ……)

先ほど更衣室で見たときよりも、花弁は熟していた。
開きかけの蕾は三分咲きにまで達し、柔らかく開いた肉の襞の向こうに、
鮮やかな朱色に染まった乙女の内奥が淫猥に蠢いているのが見える。

とろりと、内側から洩れはじめている蜜のしたたり。
わずかに透明な状態から白濁しかけているそれが、少女の華奢な太股を汚している。

少女の唇から洩れた熱い吐息が、ツンの肌をくすぐる。
桜色のくちびるがむずむずと動いて――少女が舌なめずりをしたのが見えた。

くぱぁ。

少女の指が、ちゅぷっ……と淫猥な水音を立てて裂け目の中に没していく。
人差し指と中指を押し広げ、蜜に覆われて濡れ光る肉の壺を見せつけるように。
指の根本でぷっくらと隆起した肉の突起を、少女のもう片方の指が押し潰す。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:16:50.39 ID:fkz97UHM0
ツンに見せつけるように、少女の指が円形を描きながら蜜肉を――そして、
膣口の上部に隆起した肉突起を擦り上げる。人形のような少女があられもなく見せる痴態。

ξ*゚⊿゚)ξ「あ、あんた、な、なにして……」

そう言いかけたツンに、少女は淫靡な笑みを向けた。
股間から手を離して、ずいっと身体を近づけてくる。思わず抵抗しようとしたツンを、
少女は華奢な身体に似合わない力で浴室の床に押し倒した。

少女の顔が、柔らかく蠢く唇が、ツンの視界いっぱいに近づいてくる。

柔らかい唇の感触が、ツンの感覚を塗りつぶした。
歯列を割って侵入してきた少女の舌が、ツンの舌を味わうように妖しくなぞり上げる。

「ちゅっ。ちゅくっ……。あふぁ。んふっ、んはぁっ……」

滑らかに絡まり合う舌が紡ぐ、禁断の愉悦。
ツンは横を向いてキスから逃れようとするも、今度は少女の歯が耳たぶをやわらかく噛んでくる。
そして耳の中に侵入してくる、心地よくもおぞましい舌の感触。

ξ*゚⊿゚)ξ「や、やぁっ……」

弱々しく抗議の声を上げたツンに、少女は腕をついて、上体を軽く浮かせた。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:17:43.13 ID:fkz97UHM0
そのまま――少女はツンの胸元に顔をうずめ、ちろちろと舌を出して彼女の乳首を舐めはじめた。
軽く尖った頂が少女の柔らかい舌と、口内を吸い上げる感触に刺激される。

ξ*゚⊿゚)ξ「んくっ……」

恥ずかしい声が唇から漏れそうになって、思わず口元を抑えた刹那、
背筋をぞくぞくっと電流のような冷気が駆け抜けた。痛みとないまぜになった快感に、
抑えていたはずの声が悦びの喘ぎとなって洩れてしまう。

少女はツンの乳首に歯を立てて、そのまま乳首の先端を舌で擦り上げながら、
一気に吸い上げたのだ。ちゅぽんっ、と唾液の糸を立てて乳首が解放される。
そこにくっきりと刻まれた悦楽の烙印を、今度は少女の指先が無常にも押し潰した。

ξ#゚⊿゚)ξ「やぁぁぁっ! 噛んだとこ、ぐりぐりしちゃ……ひぁぁぁんっ!」

喘ぐツンに、少女の美しい瞳が――被虐の色に染まっていくのが分かる。
人形と見紛うほどに美しかった少女は、今や同性を責め苛む性拷問の装置と化していた。

もう一度、唇でツンの口内が犯される。
絡まり合う唾液の糸と、なめくじのようにもつれあう二人の舌。
長いキスが終わった後で、荒い息をつくツンの身体を、少女の指が優しくなぞる。

うなじから乳房へと、そしてお臍の辺りを軽く愛撫して、弱々しく閉じた太股の付け根へと。
ツンは虚ろな目で、自分の太股に手をかける少女の姿を見つめた。

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:19:07.89 ID:fkz97UHM0
少女はツンの脚を体育座りをさせるように折り曲げると、そのまま左右に押し開いた。
熱帯の森林のように群生する縮れ毛と、桜色のクレヴァスが露わになる。
肉食アイドル――などど呼ばれていた割には、その部分は乙女の物のように固く閉じていた。

ξ*゚⊿゚)ξ「やぁっ……。はぁっ……じっと見ないで……」

少女の細い指がクレヴァスの縁をなぞるのを感じて、ツンの肢体がひくっと痙攣する。
ちゅぷっ……とえっちな音を立てて、指が粘膜の入り口をわずかにかき分けた。
豊潤な愛液の糸を引きながら、肉ラヴィアが少女の指を迎え入れるかのごとく開いてゆく。

ξ*゚⊿゚)ξ「ひぁっ……」

敏感な内部の粘膜が外の冷たい空気に触れたのを感じて、ぬめぬめと光る膣壁から
白濁した愛液が湧き出し、膣口の先端から窄まったアヌスに滴り落ちる。
それを見て満足したのか、少女は顔をツンの股間にうずめてきた。

ざらりとした舌の感触が、花弁から溢れた蜜を掬い取るかのようにクレヴァスの縁をなぞる。
無意識のうちに、ツンは唇を噛んでいた。少女の舌の動きは周りをなぞるだけで、
ひくひくと熱で蠢くツンの内部を舐めあげてはくれないのだ。

自分のえっちな穴に顔をうずめている少女と、目が合う。
切なげに喘ぐツンの瞳を――じっと覗き込むように、少女の瞳が見つめる。

それはとても暗く、抑えきれない衝動に突き動かされているようで、そして――。

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:20:44.16 ID:fkz97UHM0
ξ#゚⊿゚)ξ「ひぁぁぁぁぁっ!?」

少女の舌が、熱くぬめる蜜壺に衝撃を穿つ。
唇がわななくように痙攣する。切なく、熱く熟していた秘奥を嬲られる――。
背骨がとろけ、ぐにょぐにょと蠢く軟体生物になってしまったような錯覚。

ξ*゚⊿゚)ξ「やぁぁぁっ……な、なにこれ……ひぁっ……ひぐぅぅぅっ……」

だらしなく開いたツンの唇から唾液がこぼれ、少女の頭を抱え込むように太股に力がこもる。
これまでの――粘膜を男の剛直に貫かれるだけの行為が、児戯に思えるほどの暴力的な悦楽。
少女の舌は高速で膣内を運動し、快楽神経の集中した部分を削り取らんばかりに殺到する。

ξ#゚⊿゚)ξ「あぁぁっ、っきゃぁぁぁぁぁっ!」

ツンは一瞬で絶頂に達した。噴出した多量の愛液が運動を止めない少女の舌に攪拌され、
泡立った白い蜜のメレンゲがこぼれ落ちる。電流を流されたように肢体が痙攣する。
唇が上手く言葉を紡げない。何を言おうとしても、獣のような喘ぎ声だけがこぼれる。

ξ#゚⊿゚)ξ「こわ、壊れちゃ……っきゃぁぁぁぁっ!」

子宮の感覚が次第に痺れていく。自分が何をされているのかも理解できず、ただ熱い舌が
膣内をめちゃくちゃに掻き回すのを感じ、与えられる強制的な悦楽にすべてを支配されてゆくだけ。

何度も何度も、ツンは達した。
やがて自分の身体がドロドロになって、溶けていくような状態になったあと――。
生暖かいものが勢いよく股間から迸るのを感じたのを最後に、ツンは深い闇に堕ちていった。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:22:31.88 ID:fkz97UHM0
少女は、可愛らしく小首をかしげた。
枕を片手に持って、フリルの付いたパジャマ姿でおねだりするようにツンの袖を引っ張る。
栗色の髪が柔らかく舞って、美しい翡翠の瞳でじっと見つめられる。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

あの浴室の、破壊的な行為のあと。
気がついたツンが見たのは浴室の床一面を汚している、白く濁った愛液の水溜まりだった。
一体どうやれば、一度の行為でこんな量が噴出するのか想像もできない。

シャワーを浴びてよろよろと起き上がったツンは、更衣室で下着を履こうとして、
依然として夥しい量の愛液が半開きになった性器からこぼれているのに気づいた。
いくら拭き取っても、後から後から溢れてくるのだ。

しかも恐ろしいことに、指を膣の中に入れてみても何も感じなくなっているのだ。
ただ愛液が溢れてくるだけ――仕方ないのでツンは、生理用品を下着の上に付ける羽目になった。

ツンは少女に別の部屋で寝るように言ったが、どうも相手は不服らしく、
こうして一緒に寝ようと袖を可愛らしく引っ張ってくるのだが――。

ξ゚⊿゚)ξ「……だが断る」

少女を部屋から押し出し、鍵をかけると、ツンはひどく気だるい身体をベッドの中に沈めた。
眠りに落ちるまでには、数分とかからなかった。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:33:01.29 ID:fkz97UHM0
翌日――ツンは少女を車に乗せて、知り合いのロボット整備工場に車を走らせた。
少女が着ていた服はびりびりに破けていたので、ツンのお古を着せてある。

ξ゚⊿゚)ξ「……こいつ、外見は天使みたいで可愛いけど中身は最低よね」

助手席に座った少女はお行儀良く、スカートの上に手を揃えて座っているが、
昨日の人間を超越した舌の動きは一体何だったのか。

ξ゚⊿゚)ξ「最近のセクサロイドって凄いのね……溺れる人が出るのも分かるわ」

だいぶ前に新聞の記事で読んだニュースを思い出し、ツンはため息をつく。
少女と昨晩のような行為を続けて、それに身体が慣れきったとしたら――それは、考えるだに恐ろしい。
第一、あんなに愛液を放出することが身体に良いとも思えない。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

ツンの内心を知ってか知らずか、少女はにっこりと微笑む。
そして車は、『阿部機械整備産業』という錆びた看板がかかった工場の前に到着した。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:38:16.96 ID:fkz97UHM0
「荒巻スカルチノフ社のセクサロイド――あの会社ではエクシードドールと呼んでいるが――
 には性能の指標としてモデルナンバーが割り振られている。E、P、H、Qの4つのアルファベットだ」

薄青色のツナギを着た男は、椅子に腰掛けるなりそう切り出した。
応接間、というと聞こえはいいが、実際には工場に隣接して建てられた二階建てのプレハブである。
ツンと少女は男と向かい合うようにして、机を挟んで座る形になった。

「この子のモデルナンバーはQ、最上位モデルのQX9775-11F、略してQ-11だ」

ξ゚⊿゚)ξ「最高級モデルってことは、結構高いの?」

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

嬉しそうに奇声を発する少女に、男は冷ややかな視線を向けたが、すぐに言葉を続けた。

「かなりの値段だ。一つ下のハイパーフォーマンスモデルであるHタイプなら6台は買える。
 こいつはよほどの金持ちか、高級な性的なサービスを行っている会員制クラブの所有物だろう」

ξ゚⊿゚)ξ「まあ、確かに美人ではあるけど、そんなにするんだ……」

ツンは少女をしげしげと眺める。心なしか、少女は豊満とはいえない胸を反らせて誇らしげだ。
そんなツンに、男が告げた。

「Qタイプは専門の造顔作家が一体一体手作りした、いわゆるワンオフのモデルだからな。
 この世界に一つとして、同じ顔をしたロボットはいない。つまり、こいつの顔は同じ
 QX9775モデルのいずれとも異なるってわけだ」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:46:19.15 ID:fkz97UHM0
ξ;゚⊿゚)ξ「そんなに高いロボットの修理代、払えるかしら……」

青い顔をしたツンに、男は心配無用とばかり素敵な微笑みを見せる。

「大丈夫だ。こいつは車に轢かれたくらいじゃ壊れはしないし、本体よりも頑丈な
 電子頭脳に損傷が行ったとも思えない。おまけに外見には損傷がまったく認められないし、
 こいつはちゃんと二足歩行もできてる。恐らくは、機械的な故障じゃないんだろう」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあどこが故障してるの?」

「たぶん電子頭脳だ」

ツナギの男はそう言うと、自分の頭を人差し指で叩いてみせた。

「おそらくは製造工程か設計上の不具合で、こいつの電子頭脳には欠陥があるんだろう。
 あのトドかオットセイのような鳴き声――人語の代わりにあれしかしゃべれないんだからな。
 他の機能が全て正常だとすれば、こいつの修理は不可能だ」

ξ゚⊿゚)ξ「何でよ? あんたのところ、ロボット専門の整備工場でしょ」

思わず尋ねてしまったツンに、男は何も分かってないな、こいつ、といった風情で肩をすくめた。

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/23(火) 23:57:15.60 ID:fkz97UHM0
「いいか、ツン。この手の高度な機械に搭載されている電子頭脳の回路は、非常に小さなものだ。
 製造の際には金属や珪素をレーザーで蒸発させて回路を構築するんだが、あまりにも微細すぎて
 修復ができない。そこでモジュール単位での交換になるんだが、大量生産品の他のモデルと違って、
 個体ごとに専用に設計された電子頭脳を持つQタイプは部品が存在しないんだ」

ツンには男の話はちんぷんかんぷんだったが、要するにこの少女の頭の部品は貴重で、
男の工場では手に入らないのだということは理解した。

ξ゚⊿゚)ξ「だったらメーカー本社に持って行って、直接修理してもらえばいいじゃない」

「そいつは無理だ。電子頭脳の破損した箇所を特定するのは非常に手間なんだ。
こいつはワンオフの貴重品だが、電子頭脳がいかれた場合は廃棄処分になる」

ツンは首をひねる。男の言葉には、納得できない部分があった。

ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと待ってよ。この子、すごく高級で高いんでしょ?
      なのに故障しても修理してもらえないなんて、そんな製品誰が買うの?」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 00:05:59.08 ID:PwZROW1R0
「電子頭脳の故障は非常に稀なんだ。大抵の場合は製造ラインで発覚するか、
 あるいは製品として出荷された先で数日以内に発覚する。この子みたいに、奇妙な行動を取るからな。
 何度も言うが電子頭脳は非常に頑丈な部品なんだ。恐らくは100年経っても動き続けるだろうが、
 普通はその前に他の部分で機械的なトラブルが発生する」

ξ゚⊿゚)ξ「そうなの……じゃあ、この子は?」

ツンと男は、行儀良くしている少女を同時に見た。
確かに、あの海獣のような声を発すること以外は全くの正常なのだ。

「恐らくはメーカーに送り返される途中でトラブルにあったか、あり得ないだろうが
 購入直後に故障が発覚して、何らかの理由で返品できずにそのまま捨てられたかだな」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃああたしは、迷子になったか捨てられたロボットを車で轢いたのね。
      この子……やっぱりスクラップに?」

「だろうな。制御用のリモコンもなかったんだろ? まあ、メーカーに送り返したところで
 スクラップにされるのがおちだ。 俺のところでちょっと見てやるだけ見てやろう」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 00:12:13.13 ID:PwZROW1R0
男――阿部高和は、有能なロボット整備工だった。
昔はどこかの研究所で働いていたらしいが、今はこのロボット整備会社を経営している。
プレハブ小屋から出て、ツンと少女は案内されるがまま工場の方に移動した。

とたんに、悩ましげな声が工場の中から響いてくる。

「ああんっ。太いの……入ってくる……」

女の子の――いや、華奢な少年の声だった。
台の上に四つん這いに手足を拘束されたうえ、尻穴を高く突きだしている。
機械式の無骨なディルドーが、その少年の尻穴をリズミカルに犯していた。

「セイヤ! セイヤ! セイヤ!」

次に響いてきたのは野太い雄の声であった。。
見れば筋肉ムキムキ、マッチョマンのガチムチロボである。その筋の人にはたまらないであろう。
男らしい雄渾な動作で、壁に埋め込まれた尻の模型にピストン運動を行っている。

ξ゚⊿゚)ξ「いつ見てもここは独特の雰囲気があるわね……」

イサキがどうの、現職K官が云々、はよう糞まみれになろうや、
などどいった声が飛び交う工場の中を、二人と一体は歩いていく。

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 00:20:52.90 ID:PwZROW1R0
「しかしツン……俺は嬉しいぜ。ついにお前も、この神聖なる世界に入ってきたんだな」

ツナギを着た男――阿部さんが、端正な横顔をツンの方に向ける。
実のところ、この男の特殊な性癖がなければ、二人は恋人になれたかもしれなかったのだ。

ξ゚⊿゚)ξ「神聖なる世界? ただのホモじゃん」

それに、あたしには同性愛の趣味はないわよ、と言おうとしたツンを、阿部さんが遮る。

「フッフッフ……その横に連れているロボットと、昨日はよろしくにゃんにゃんしてたんだろう?」

腰を淫猥にグラインドさせながら喋る阿部さんに、ツンは澄ました顔で言い返した。

ξ゚⊿゚)ξ「べつに? 轢いちゃったから家に連れて帰っただけだけど」

あくまでも内心の動揺を悟られまいとするツンの、アイドル稼業で鍛えたポーカーフェースに、
阿部さんが残念そうな顔をした――が。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

抗議するように少女が声を上げる。
こいつが人語を喋れなくてよかった、とツンは心の底から思った。

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 00:23:05.51 ID:PwZROW1R0
「よし、ここだ」

阿部さんは、工場の一角にあった扉を指さした。
<危険・ノンケ立ち入り禁止>という黄色いステッカーがデカデカと貼られている。

ξ゚⊿゚)ξ「すごく……入りたくないです」

「大丈夫だ、俺を信じろ」

阿部さんはそう言うと、扉を開け放った――。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 00:28:55.32 ID:PwZROW1R0
「見ての通り、うちは雄野郎と男の子のロボットが専門だ」

扉の向こうに広がっていた白い壁の通路を歩きながら、阿部さんがツンと少女に告げる。
その二つは何が違うのか? と思いながらも、ツンはとりあえず頷いておく。

「一昔前までは男のセクサロイドは俺のようなガチホモか、あるいは少数の女性にしか
 売れなかった。女のセクサロイドに比べると、需要は少なかったんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「まあ、大抵の女の子はロボット=キモイだもんね」

あたしも昨日、あんな体験をするまではそうだったわ、とツンは心の中で付け加えておく。
阿部さんは、通路の端にあった扉の前で、ツナギの股間から取り出してきたカードキーをかざした。
顔をしかめるツンには構わずに、開いた向こうへと進んでいく。

そこには、まあある程度は予想の付いた光景が広がっていた。

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 00:36:08.69 ID:PwZROW1R0
天井から吊り下げられた瀟洒なランプシェードが、柔らかい光を放つ。
さっきまで工場の中を歩いていたことを忘れてしまいそうだ。
床には美しい光沢を放つ木目調のタイルが敷き詰められ、グランドピアノが置かれている。

非常に座り心地の良さそうなビロード張りのソファー。
そこはまるで、どこかの上流階級の暮らす住宅の一階だけを丸ごと切り取ってきたような部屋だった。

ξ;゚⊿゚)ξ「な、何なのよこれ……」

中にいた数人の男を見て、ツンが喉の奥から絞り出したような声を漏らす。
彼らはみな、美形だった。しかしながら一様に線が細く、男としてはどこか頼りないんじゃないか? とツンは思う。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

少女が、喜んでるのか馬鹿にしているのか判別しがたい声をあげた。
彼ら男性は――どうも特定の相手とペアになって、過剰なスキンシップを行っているようだった。

男同士で仲良く隣に座ってピアノを弾いたり、ソファーに二人がけで腰掛けて本を読んだり、
エプロンを付けて一緒に料理してたりしている。

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 00:48:48.50 ID:PwZROW1R0
「ところが、新しい需要が最近になって生まれたんだな……。 彼らは特殊な嗜好を持つ
 一部の女性ユーザーのためのものだ。彼女たちはロボット同士を疑似恋愛させて、
 自分は傍観者として楽しむ。特に男と男のロボットの組み合わせが人気なんだ」

ふふん、と阿部さんが誇らしげに言う。

「だが――男性ロボットを製造しているメーカーには、自分たちのロボットにこういう需要があることには
 気づいてはいるが、なかなかその層に向けた製品を発表できない。これは、男性セクサロイドを
 製造しているメーカーの多くが、純粋なホモ向けの製品を手がけてきた事が影響している。
 彼らは自分たちの性的嗜好を、娯楽の対象としてノンケが消費することに耐えられないのだ」

ξ;゚⊿゚)ξ「言ってることがよく分からないわ……」

「一応、ここにいるロボットたちはそういう外見をしてはいるが、肝心なことが備わっていない。
 それは、常に単体による販売であることだ。セットでその組み合わせを楽しみたい女性ユーザーには、
 それが障害になる。本来、こいつらのプログラムは同じロボットを愛するようには出来ていないからな」

語っているうちに興奮してきたのか、阿部さんはまたまた腰を淫靡にグラインドし始める。

「そこで、俺のようなロボット整備業者の出番だ。個人では難しいAIの再セットアップや、
 ロジックの改良をパッケージとして提供する。ここにいるのは、その作業中のやつらさ」

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 00:52:02.97 ID:PwZROW1R0
ツンが阿部さんの説明を唖然としながら聞いていると、ふいに物音がした。
床に転がった包丁が目に飛び込んでくる。

さっきまで仲良く料理をしていた怜悧な顔立ちの男性ロボが、指先を押さえたまま立ち尽くしている。
どうやら誤って、野菜を切っているときに指を傷つけてしまったらしい。

「つっ……」

端整な容貌をわずかに歪めて、男性ロボが切れてしまった指を見つめる。
ふいに、その指を柔らかい指先が抱き止めるように掴んだ。

「怪我してるよ……消毒しないと」

一緒に料理をしていた、人の良さそうな穏和な顔立ちのロボだった。
優しく怜悧ロボの切れた指を手にとって、親犬が子犬にするようにやさしく舐めてやる。
怜悧ロボは鉄面皮に思われた顔を少しだけ赤らめて――言った。

「汚いよ……俺の、指なんて」

「汚くないよ」

やや意志薄弱な感じのする人良さロボだったが、瞳に確かな意志を浮かべて、ゆっくりと告げる。

「俺の……愛する人の指だから」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 00:53:08.48 ID:PwZROW1R0
( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

ドン引きしているツンの横で、少女がいつにも増して大きな怪音を発する。
こいつ、明らかに馬鹿にしているな――と思ったツンに、阿部さんが誇らしげに告げた。

「あの二人をあそこまでの状態にするのに、ずいぶんと苦労したんだ。
 今やウチの整備工場は、この手の需要が4割近くを占めるようにまでなった」

ξ゚⊿゚)ξ「要するに、今のあんたの仕事は男のロボットを引き取って、
     互いに愛し合うように整備することなのね……」

呆れたようにつぶやくツンに、阿部さんは満足げに頷くと、
その――青年達の愛の巣の外れにあった扉を開け放った。

「さあ本題に入ろう。ここでじっくりと、そのロボットについて調べることにしよう」

扉に書かれた、"Benchmark Room"という文字に一抹の不安を覚えながらも、
ツンは少女を連れてその中に入っていった。

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 23:26:49.22 ID:PwZROW1R0
「あぁ……。っく。っふ……あぁ、あああっ……」

少女の太股を抱き上げると、少年は捻り込むように腰をグラインドさせる。
官能を無理矢理呼び起こされて、少女は容貌を揺らして喘いだ。

その姿はさながら――乙女を陵辱する大蛸の姿を思わせた。
少年は足で少女の太股を広げながら、逃れられぬよう上から咥え込むように押さえつけている。
股を割られた少女は、抵抗することもままならず、少年のなすがままに秘唇を犯されていた。

「もう少し楽しめるかと期待したのに、この程度かい? E8500-F」

熱く潤った膣肉の感触を味わいながら、少年は少女を見つめる。
中嶋バルケン社の最新型男性セクサロイド、X4945-Mの問いかけに、
荒巻スカルチノフ社の女性セクサロイド、E8500-Fは喘ぎ声をあげるだけで答えない。

少年の唇が――冷酷な微笑に歪んだ。
少女をドレッジマシーンのごとく突き上げていた男性器の動きが、ふいに止まる。

「あ……。はあああぁぁぁ……」

切なげな吐息が、少女の唇から漏れた。
潤んだ瞳で少年を見つめながら、中断された快楽を求めて腰をもぞもぞと動かす。

「次は君が動いてくれるかな……?」

少年が勝利を確信し、上体を起こして少女の耳元でそう囁いた刹那――。
ベンチマークルームの扉が開け放たれた。

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 23:40:02.22 ID:PwZROW1R0
扉の向こうの光景に、ツンは思わず顔をしかめた。
異様な熱気が立ちこめてくる。その原因はどうやら、中で交わっている複数の男女のようだった。
激しく動き、喘ぎ声を奏でる絡み合った肉体をつたう汗と、泡立つ精液と愛液の匂い。

ξ;゚⊿゚)ξ「うわ……臭っ」

思わず、ツンは鼻を手で覆う。
それほど広くはない部屋には、隣り合うようにベッドが三台並んでいたが、どれも使用中だった。
彼らの首の後ろにはコードが繋がれ、束になったコードは部屋の壁の向こうに伸びている。

部屋の中の男女は全て、セクサロイドだった。

「ここが俺のベンチマークルームだ。いつも俺はここで、手塩にかけてクロックアップしたロボットが
 どれほどの性能を発揮するか実験している」

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

中の光景を見た少女が顔を赤らめて、恥ずかしそうに身体をもじもじさせる。

190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/24(水) 23:53:06.63 ID:PwZROW1R0
ξ;゚⊿゚)ξ「ベンチマークって、性能試験でしょ? ……どう見てもえっちしてるようにしか見えないんだけど」

「フフ……ツン、こいつらの目的はセックスをすることだ」

部屋の中に入った阿部さんが、振り返りながら答える。
一台のベッドの前に立つと、快楽を貪るように男の上に跨って腰を振っていた女ロボットの肩に手を置く。

「だから俺は――こうしてロボット同士をセックスさせて、どちらの性能が上か試しているのさ」

瞬時に動きが停止し、女ロボの首ががくっ、と垂れた。
阿部さんは事もなげにロボットを抱き抱えると、部屋の隅に向かって歩いていく。
そこには、もう一つの扉があった。

「ツン。こっちだ。連れのロボットは、この部屋に置いていけ」

扉の向こうに消えていった阿部さんを見て、ツンは

ξ゚⊿゚)ξ「ということだから、あんたはここで待ってなさいよ」

と、少女に言った。

192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 00:03:57.87 ID:LPyr5DZH0
もう一つの部屋は、うって変わって清潔な空気で満ちていた。
部屋には明るい照明が灯り、雛壇のような机の上には無数のモニターが三段に渡って並べられている。
阿部さんは抱えていたロボットを下に降ろすと、椅子に座った。

「ここはモニタールームだ。俺はいつもここで、ベンチマーク中のロボット達の性行為を監視している」

ξ゚⊿゚)ξ「……あんまり人には言えない趣味ね」

「まあ、そう言うなよ。ところでツン、お前の連れていたロボットだが――」

阿部さんの指が、慣れた手つきで机の上のキーボードを叩く。
モニターの一つに新しいウィンドウが表示された。二対のグラフと、AbeMARKという文字が表示される。

「あいつを俺のロボットとセックスさせて、機能が正常に動作しているか調べたいと思う」

ξ;゚⊿゚)ξ「それは、どうしてもセクロスさせないと駄目なわけ?」

新しいオモチャを買ってもらった子供のように、ワクワクした目をしている阿部さん。
楽しそうな職場でいいわね――と思いながら、ツンはそう言った。

「車だって、整備するときにはエンジンを吹かしたり、実際に走らせたりするじゃないか。
 まあそんなもんだと考えてくれればいい」

194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 00:18:20.92 ID:LPyr5DZH0
ξ゚⊿゚)ξ「嫌よ」

きっぱりと、ツンはそう言い放った。
女としてこれだけは譲れない。

ξ゚⊿゚)ξ「あの子、処女でしょ」

唸った阿部さんがキーボードを叩く。
ベッドに寝ていた少年型ロボが、がばっと起き上がって少女を後ろから羽交い締めにした。

ξ#゚⊿゚)ξ「ちょっと! 何やってるのよ」

「いいから待て。あのロボットのデータを取得するだけだ」

少年ロボはそのまま、床に落ちていたコードを拾い上げると、
手足をばたばたさせる少女の後頭部の付け根にそれを押し当てた。

モニターに突如として無数の数値がひらめく。
ツンにはさっぱり分からなかったが、阿部さんはしばらくそれを見つめ、ため息をついた。

「ああ。処女みたいだな」

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 00:29:52.57 ID:LPyr5DZH0
ξ゚⊿゚)ξ「女の子にとって初めての相手は、生涯忘れられないものなの。
      それがこんな妖しげな部屋で、どこの馬の骨とも分からない男となんて可哀想すぎるわ」

何か言いたそうな阿部さんに、ツンは言葉を続ける。

ξ゚⊿゚)ξ「たとえスクラップになる運命だとしても――あたしはあの子を女の子として扱ってあげたいわ。
      本当に、セクロスしないとどの部分が壊れているか分からないの?」

阿部さんが天を仰いだ。
端整な横顔に憂いの色を浮かべて、ほうと息をつく。

「だが、スキャンには全機能を動作させる――セックスが望ましい。そこでだ。
 挿入行為を含まない性行為を行うというのはどうだ」

ξ゚⊿゚)ξ「それってどういうことよ」

「まあ、見ていれば分かる。要するに神聖な肉棒を、あの女の湿った臭い穴に入れなければいいのだろう?
 そういう風に命令を出すとしよう」

キーを高速で叩き始める阿部さんを、ツンは疑わしそうに見つめた。

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 00:49:33.52 ID:LPyr5DZH0
サークルが回転する。
膨大な文字列――頸部のワイアードケーブルから流れ込んでくる命令が、思考となって少年の意識を呼び覚ます。
半円形に引き絞られたサークルが、すぐ近くに立っていた少女の顔を捉えた。

QX-9775-11F。お互いに埋め込まれた識別子が、少女の名を告げる。
少年には人間の感情はない。だがしかし、その電子頭脳は感情の昂ぶりに近いものをおぼえた。

それは、美しい少女だった。
白磁のような肌に美しい翡翠色の瞳。ベッドの上ではさぞや肢体を優雅に横たえ、
栗色の髪を舞い散らせて男の欲情を受け止めることだろう。

だが、少年の胸はそのような意味で高鳴ったのではなかった。
それは、さながら巌流島で宮本武蔵の乗る小舟の姿を認めたときに、
剣豪・佐々木小次郎の胸に去来したであろう感情に等しい。

――来たか、武蔵。

少年と少女は、互いに競い合うロボットメーカーが同時期に製造した最高級モデルである。
ハイエンドという烙印。ただ性能のために、他の全てを犠牲にして製造された究極であるべき存在。
恐らくは生涯で唯一の、互いの存在を賭けて戦うに足る相手との邂逅。

武者震いをおぼえる少年に、しかし少女は言い放った。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 00:54:43.83 ID:yei/GatuO
武蔵で吹いたww支援www

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 01:16:20.68 ID:LPyr5DZH0
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫かしら」

ツンが心配そうに言う。
向こうの部屋を監視しているモニターの中では、少女が服を脱ぎ始めていた。
羽織っていたブラウスが外れ、ブラジャーが露わになり、スカートを脱ぎ捨てる。

水玉模様のパンティー一枚になったところで、少女はベッドの上に腰を下ろした。
ふたつの美しい瞳が交錯する。
先に手を伸ばしたのはどちらだったか――もつれ合った二人は、ベッドの上に倒れ込んだ。
互いの唇を味わうように、激しくキスを交わす。

「なぜ、女なんだ……」

行為を見ていた阿部さんが、意味深なつぶやきを漏らした。
ツンは生唾を呑み込む。濃密なディープキスの後で、少女は少年の上に覆い被さるように腕をついた。
腰をずらしながら、少年の太股の上に下着のクロッチを押し当てていく。

その先に屹立する、男の肉棒を潤んだ瞳で見つめる。

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 01:37:00.58 ID:LPyr5DZH0
少年のそこは――すでに準備を完了していた。
勃起し、包皮を押しあげて痛々しいほどに膨張した亀頭の先端からは透明な淫液が滲み、
ときおり切なげにびくんと痙攣する。

少女も同じだった。太股に食い込んだ下着のクロッチには淫らな染みが広がり、
肌に貼りついて割れ目の形をくっきりと浮かび上がらせている。
腰の後ろに手を付くと、少女は濡れたクロッチを少年の太股のあいだへと滑らせていった。

屹立した肉棒の先端が股布と擦れあい、柔らかく押し潰される。
もし――少年に人間と同じ感覚があるのなら、少年は亀頭に押し当てられる少女の濡れた下着の感触と、
その向こうでひくひくと蠢く熱く濡れた花弁の妖しさを同時に感じたことになる。

少女はそのまま、腰を浅く動かしはじめた。
ぶちゅぶちゅと噴出する愛液がお漏らししたように下着を汚し、少年の亀頭にかかる摩擦を低減して
布越しの少女のアソコが擦れる感覚だけを少年の敏感な場所に与える。

少年が、思わず顔を背ける。
苦悶に顔を歪めたところを見ると、音は聞こえないがかすかに呻き声を洩らしたようだった。

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 01:58:09.57 ID:LPyr5DZH0
少女の責めは、それだけにはとどまらない。
器用に腰を動かしたまま、少年の胸元へと唇を這わせていく。
口づけとともに、少女は軽く乳首を吸い上げたようだった。

「んぁぁっ……」

ついにたまらなくなったと見えた少年が、小さな声をあげる。
じっとりと濡れた目でその表情を愛おしそうに観察しながら、少女の白い歯が乳首を軽く噛む。
その間にも下半身の責め苦は続いているのだ。

少年は、今や猛禽類の爪のあいだに捉えられた哀れな獲物だった。
すでに怒張しきった下半身は熱くぬめる肉壺を求め、少女の腰の動きに合わせて切なげにくねるが、
微妙な力加減を保つ少女の技巧の前に、翻弄され、もがくばかり。

どうもサドの気がありそうな少女は、再び少年の唇を求めて――。

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 02:00:28.08 ID:LPyr5DZH0
「うーむ……妙だな」

一方、阿部さんはモニターに表示されたグラフを見ながらつぶやく。


212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 02:09:24.79 ID:LPyr5DZH0
「……妙だな」

一方、阿部さんはモニターに表示されたグラフを見ながらつぶやいた。

ξ゚⊿゚)ξ「何が妙なのよ?」

横から覗き込んだツンに、阿部さんはキーボードを操作して別のウインドウを開いた。
複数の角張ったパーツを組み合わせて、人間の脳の形に整形したような画像が現われる。

「こいつは、電子頭脳の活性化している部分をマッピングしたものだ。人間の脳で言えば、
 活発に活動している部分が光点で表示される」

画像に無数の光点が浮かぶ――それは、全体的にまんべんなく明滅しているようだった。

「こいつが、X4945-M、つまり今、下になってる男のロボットの電子頭脳だ」

ξ゚⊿゚)ξ「基本的に全部光ってるわね」

「まあな……人間の脳と違って、こいつらの脳には無駄がない。リソースを有効に活用するため、
 常に全ての電子回路を使って分散処理を行うようになっている」

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 02:19:40.49 ID:LPyr5DZH0
「だが、ツン。こいつを見ろ。これはQX-9775-11F、お前のロボットのものだ」

キーを打鍵する音とともに、新しいウインドウが表示される。
阿部さんはサイズを調整して、二つのウインドウを交互に並べた。

ξ゚⊿゚)ξ「一部分しか光ってないわね……どういうこと?」

「あり得ないことだ」

阿部さんは、ツンの目をじっと見つめる。
その真剣になったまなざしに、ツンはこの男が変態性欲者であることを一瞬忘れそうになった。

「ロボットの電子頭脳のサイズは人間のものと変わらん。だが、その性能には天と地ほどの開きがある。
 人間の脳が柔軟に物事を思考し、簡潔な命令で神経系に指示を与えられるのに対し、ロボットは
 この部屋を一周歩かせるだけでも膨大な行のプログラム――リソースが必要になる」

阿部さんは言葉を続ける。

「21世紀の初めに、小型の磁気ディスクの容量は人間の脳と同じレベルにまで達した。だが、完全にその脳と
 同じ働きをする機械は未だに完成していない。現代の最新型の電子頭脳であっても、人間らしく振る舞わせるだけで、
 そのリソースのほとんどを消耗してしまう。つまり――全部光る」

215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 02:31:06.24 ID:LPyr5DZH0
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、あの子は脳を完全に活用できていないから、ちゃんと喋れないの?」

阿部さんが首を振る。

「いや――俺があり得ないと言ったのは、この程度の活動であんなに人間らしく動ける事についてだ。
 あのロボットには言語以外に何の問題もない。普通ならば異常にパフォーマンスが低下し、
 歩き方が不自然になったり、顔の筋肉がうまく動かせなくなる。あんな事は無理だ」

モニターの中では、少女の責めは最高潮に達しつつあった。
ついに下着を脱ぎ捨てた少女は、蜜を垂れ流す花弁を少年の性器に押しつけ、激しく擦っている。

「俺は昔、研究所にいた。そこでは生物の脳の研究をやっていたんだ。ロボットを開発するためにな」

阿部さんは急に押し黙る。ややあって、重い口を開いた。

「こいつの電子頭脳の光輝パターンは、ある生物のものに酷似している。
 俺たち――人間だ」

阿部さんは、もう一度確認するようにツンの方を見た。
心なしか、その手は震えているように感じる。

216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 02:50:31.93 ID:LPyr5DZH0
「熱帯に住む昆虫の中には、自らの姿を花に擬態して天敵から逃れるものがある。
 今の電子頭脳は、言ってしまえばそのレベルだ。花に良く似たものは作り出せるが、花そのものにはなれない」

ξ゚⊿゚)ξ「でも、この子は新型の高性能モデルなんでしょう? より人間に近いロボットを作るために、
      新しい設計を取り入れたって言う可能性はないの?」

「それは無理だ。電子頭脳は、昆虫をより花らしく見せる方向で進化してきた、花そのものを作るのが無理だからだ。
 無機物で構成されたものに有機的な命を与える――そんなことが可能なら、それは生命を創造することに
 他ならない。今の技術では不可能だ」

ξ゚⊿゚)ξ「だったら――」

ツンはモニターの方を見る。
少年は遂に限界に達したらしく、少女に向かってドピュドピュと白濁液を放出していた。

ξ゚⊿゚)ξ「あの子は、一体何なの?」

219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 03:01:41.88 ID:LPyr5DZH0
阿部さんの工場を出たときには、すでに太陽は中天を回っていた。
道路脇に植えられていた街路樹の葉がさざめく。
蒸すような夏の熱気が、アスファルトの向こうの風景を歪めている。

ξ゚⊿゚)ξ「はあー。結局、何も分からなかったわね」

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

ブーンが小首をかしげて、ため息をついたツンを見る。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

そして、工場の向こうの看板を指さした。

ξ゚⊿゚)ξ「なになに……? カラオケバー、シャ~ミン? ランチもやってます?」

そういえば、そろそろそんな時間だった。
しかし、ランチをやっているカラオケバーというのもよく分からない。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 03:10:59.90 ID:LPyr5DZH0
ξ゚⊿゚)ξ「久々にワロタ。こういうのが地方都市の場末の飲食店だよな。
      最近の大規模ショッピングセンターはこういう雰囲気がないから困る」

思わず改変コピペをつぶやいてしまったツンに、ウェイターが水を持ってくる。
今どき珍しい、ロボロボしたロボットだ。電球っぽい目がチカチカ光って、
パイプ管を繋ぎ合わせたような手がキコキコと音を立てる。

ξ゚⊿゚)ξ「あ。あたし、唐揚げ定食ね。そっちの子は、ロボットだからいらない」

ひでー店だった。
煤けた店内にはくたばりかけた電球が明滅し、窓の外から差し込んでくる日光だけが頼りだ。
と、思いきや、テーブルが並んだ店の中央にはちょっとしたステージが設けられ、
七色の光が点滅してそれっぽい雰囲気を醸し出している。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

それを指さして、子供のようにはしゃぐ少女。
どうもこれが最初からお目当てだったらしい――ツンは店内を見回した。
見事に客は、だれもいない。

ξ゚⊿゚)ξ「歌いたいのね? どうぞ」

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 03:22:03.56 ID:LPyr5DZH0
スポットライトの中に、少女の姿が浮かぶ。
ツンの普段着のジャケットに、チェックの入ったスカートという地味な服装。
にこにこと微笑んで、ツンの方に手を振る。

とりあえずツンは、そこで少女から視線を外した。
どうせまた、あのアシカのような声が店内を埋め尽くすのだ。

店の奥の方から、旧式のロボットが唐揚げ定食とともに姿を現す。
水を飲む。食事には最悪のBGMだろうが、まあ、誰もいないしいいだろう。

唐揚げ定食のトレイが、目の前に置かれた。
まあこんがりと揚げられていて、それなりに美味しそうだ。

しかし――さっそく箸を付けようとしたツンの腕は、そこで止まった。

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 03:33:24.45 ID:LPyr5DZH0
歌声が聞こえた。
何かの旋律に乗って流れてくる、外国の歌。
いや、このリズムには聞き覚えがあった。

栗色の髪がふわりと舞う。マイクを手にした少女が、目を閉じて歌っているのが見える。
曲はたしかツンの――三番目か四番目のシングル。
しかしその歌声は、日本語でも英語でもない、何か奇妙な音の集合だった。

少女が目を開けた。
翡翠に染まる瞳。これまでのオットセイの声からは想像もできない、繊細で美しい歌声。

マイクを握る華奢な手に、力がこもるのが分かる。
転調していくメロディーに合わせて、その声は高く、強く――。
それが絶頂に達したとき、ツンは横に立ったままの影に気づいた。

ξ゚⊿゚)ξ「……?」

さっき、食事を運んできたロボットだった。
仕事を終えたのに奥には戻らず、ツンの横に立って、じっと目を少女の方に向けている。
ときどき首が、リズムを取るようにぎこちなく動く。

そのしぐさは、少女の歌を聴いているようにも思えた。

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 03:46:51.88 ID:LPyr5DZH0
ふいにロボットが、パイプの手を振り上げた。
そのまま身体をギコギコと揺らして、左右に上半身を揺すぶる。

まるで――アイドルのコンサートを聴きに来た観客が、会場で蛍光スティックを振り上げてやるように。
今や、旧式のロボットはウェイターという自分の責務を忘れつつあった。
足のキャタピラをフル回転させて、店内を低速で駆け回る。

ξ;゚⊿゚)ξ「な、何なのよ……」

ややくすんだ七色の光の中を、少女が舞う。
未知の音の集合である、美しい歌声を振りまきながら。

ロボットはさらに勢いよく、全身を揺すぶる。
ガタガタと震えていた胴体とキャタピラの接合部から、ふいに火花が上がった。
そのままぽっきりと上半身が折れて、床に激突する。

電球の目の片方が割れて、床に破片をまき散らした。
だが、ロボットは動きを止めない。床の上でもがくように、両腕をUの字に曲げて動かしている。
ツンは猛然と、椅子から立ち上がった。

226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 03:56:59.37 ID:LPyr5DZH0
ダッシュして、まだ歌い続けている少女からマイクを奪い取る。
音楽が止まった。そのまま少女の手を引くようにして、レジに直行する。
とりあえず1000円札を1枚ほど置くと、さっさと店を出る。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

抗議するようなしぐさをする少女を助手席に放り込むと、車を急発進させた。
加速感が伝わり、カラオケバーの外観が高速で背後に流れてゆく。

ξ゚⊿゚)ξ「あんた、一体何なの……?」

ぶー、と可愛い顔を膨らませて、不機嫌そうにツンを見ている少女にそう問いかける。
阿部さんの言葉がよみがえる。このロボットの脳の動きは、人間のものと同じ――。

( ^ω^)「オアッwwwオアッwwwwww」

しかしながら少女は、ぷいっと顔を背けて窓の外を見てしまった。
ツンはため息をつく、分からないことが多すぎるのだ。

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 04:24:55.61 ID:LPyr5DZH0
数百メートルはある高層ビルの群れが、陽光にガラス質の表面をきらめかせる。
遠くからは、それは薄緑に透き通る林の群れのようにも見えた。

都市の姿を見下ろす、郊外の小高い丘――。
荘厳なレリーフが刻まれた、城塞のような豪邸の中庭で、老人はその光景を見つめていた。
庭には林檎の木が植えられ、まだ青い実をたわわに実らせている。

機械式の自動スプリンクラーが、風にそよぐ緑の芝に人工の雨を降らせる。

/ ,' 3「美しいのう。人間の作り出した人工物というものは……」

老人はつぶやく。中庭の同じテーブルに座っていた青年が、口を開いた。

(´・ω・`)「いつまで……こんな事を続けるつもりなんですか?」

青年の前には、小型のラップトップが置かれている。
モニターに表示されているのは何かの結果表――そこにはQ-1からQ-22までの項目があった。
Q-11のみが空欄になっている以外は、枠は全て赤色で塗りつぶされている。

231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 04:32:20.48 ID:LPyr5DZH0
/ ,' 3「創世記によれば、神でさえ泥から人を作るには六日かかったのだ」

老人は青年の方を振り向く。
立派な白髭を蓄えた頬に、皺が寄った。

/ ,' 3「我々はこのプロジェクトに五年以上の歳月を費やしてきたが、
    まだそれでは時間が足らんと言うことだよ」
             ・ ・ ・ ・ ・ ・
(´・ω・`)「こんな――できそこないしか完成していないのに、続けるというのですか?」

図表を見ながらつぶやいた青年に、老人は告げた。

/ ,' 3「ショボーン君。君はいつまで、このプロジェクトを続けるのかと聞いたね」

老人の眼が、年に似合わない鋭さで光る。

/ ,' 3「――イヴが生まれるまで、だよ」

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/25(木) 04:38:23.09 ID:LPyr5DZH0
いままで支援してくれた方、スレを落とさないように保守してくれた方、本当にありがとうございます
本当に、作者としては嬉しいんだぜ

まさかスレが3日も落ちずに残ってるとは思わなかった、お前ら本当にありがとう
こんな糞小説でも需要があったんだと分かって感動している
とりあえずここまでが第一話で、全六話構成くらいでたぶん、作者が逃亡しなければ完結するんじゃないかな

ながら投下は読者に迷惑がかかるので、次は書きためてから来るぜ

最後になりますが、こんな乗っ取り糞小説をずっと支援してくれた皆様、誠にありがとうございました

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