( ^ω^)愛は誰の心にも、のようです
- 1 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:32:20.94 ID:3u6Sfjzm0
- 人は口々に愛を語る。
( ^ω^)「愛してるお」
ξ゚听)ξ「愛してるわ」
川゚ -゚)「愛している」
('A`)「愛してる」
猟奇短編祭出遅れ作品
( ^ω^)愛は誰の心にも、のようです
(日付変わるまでだと思ってました・・・すみませんでした)
- 2 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:33:48.41 ID:3u6Sfjzm0
- プロローグ.
( ^ω^)「ツン、帰ったおー」
扉を開けて靴を脱ぎながら、僕は嫁の名前を呼ぶ。
しかしいつもなら帰ってくる声は今日はなく、僕が出す物音だけが寂しく響いている。
( ^ω^)「・・・・寝てるのかお」
僕はさっきまで出してた物音を極力出さないようにと心がけながら、電気の点いていないリビングへと進んだ。
玄関から少し進んですぐ左手がリビング。右手には階段があり、奥に進むと洗面所。
この間取りを見たときツンが「どこかのアニメでこんな間取りを見た気がするわ」と言っていたなあ。
そんなことを思いながらリビングへ入り、手探りで電気のスイッチを探す。
まだこの家を買って三ヶ月も経っていないが、リビングのスイッチを容易に見つける程には慣れた。気がする。
- 3 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:35:26.91 ID:3u6Sfjzm0
-
ともかく手に触れたスイッチを押す。
カチッという音とともに天井から吊るされた電気から光が放出される。
僕は眩しさに少し目を細めた。
( ^ω^)「・・・・お」
目が慣れた頃に、僕はリビングに何かが落ちているのを見つけた。
よく見ればそれは嫁であるツンの足であった。スリッパを履いた足は真っ白で細い。
しかしいつも見ていた白い足よりも、もっと真っ白に見えた。
それはバックが真っ赤だったからだろうか。
少しずつリビングの奥へと足を進める。
赤い何かを認めた途端に、鼻に何か生臭い、鉄の臭いが入ってくる。
机の影に隠れていたツンが少しずつ見えてくる。
尻。
背中。
そして、頭。
- 4 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:36:37.82 ID:3u6Sfjzm0
- 綺麗な巻き毛も趣味のいい服も赤い何かが付着している。
何だろう、この臭いと、赤い何かは。
分からない。
本当は分かっていたが、頭が分かりたくないと叫んでいる。
( ^ω^)「ツン。起きるお」
僕はゆっくりと細い肩を揺らした。
手にネチャッ、と赤い液体が付着する。
しかし僕は構わずツンを揺らし続ける。
( ^ω^)「ツン、ツン、起きるお、愛してるから、機嫌を直すお」
揺らす手にどんどん力がこもる。ツンはガクガクと揺さぶられて大きく揺れている。
( ^ω^)「ツン!」
大きく引っ張って、うつぶせになっていたツンが仰向けにひっくり返った。
白い顔には血がこびりついていて、目はカッと見開かれている。
ここでようやく僕は、ツンについていたものが血だったと認識できたのだった。
- 5 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:38:02.32 ID:3u6Sfjzm0
- 1.
川゚ -゚)「大丈夫か」
隣人のクーさんが僕を気遣って、何回目かの問いかけをしてきた。
あれから僕は発狂したように叫び、心配されたクーさんの通報により来た警察に押さえられた。
今はパトカーの中で簡単な事情聴取を受け、署のほうへ行く途中である。
クーさんも隣人ということと、僕たちと仲が良かったこともあり、一緒に署で聴取を受けることになった。
そのためパトカーには僕の隣と前ニ席に警官がいる状態だ。
( ^ω^)「・・・・朝は笑って送り出してくれたんだお」
川゚ -゚)「・・・・」
( ^ω^)「今日は早く帰るお、って言ったら、分かったからさっさと行きなさいよ、て」
( ^ω^)「・・・・素直じゃないけど、でも優しいんだお、僕の、最高のお嫁さん、なんだお」
川゚ -゚)「・・・・すまない」
( ;ω;)「・・・・ツンん・・・・」
僕は泣いていた。
ツンの名前を呼びながら、声を殺して泣いた。
クーさんと警官から同情の視線が向いているのが分かる。
- 6 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:39:26.24 ID:3u6Sfjzm0
- ξ゚听)ξ
ツン。
金色の巻き毛が陽光に輝いて、彼女を綺麗に彩っていた。
彼女はもうこの世界にはいない。
( ^ω^)「ただいまだお」
あれから数ヶ月が経った。
今もツンを殺した犯人は捕まっていなく、警察は調査を続けている。
ただ、滅多にここに来ることはなくなった。
捜査打ち切りになるのも時間の問題、か。
川゚ -゚)「お帰り」
あれから僕は隣で暮らしている。
自分の家を手放した訳ではない。むしろ逆で、僕は手放したくないと警官や不動産やに強く言った。
ならば何故隣に住んでいるか、と言うと。
川゚ -゚)「今日も来ていたよ。全く嫌になる」
( ^ω^)「やっぱり警察に言ったほうがいいんじゃないかお?」
川゚ -゚)「ふむ。検討しよう」
- 7 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:40:34.38 ID:3u6Sfjzm0
- この頃クーさんはストーカーに悩まされているらしい。
男がいると思わせれば諦めてくれるのでは、というクーさんの提案で僕は同居をしている。
ご両親が亡くなって一人で暮らしているクーさんの家は広く、部屋もいくつかある。
その一室を借りて僕は寝泊りしている。
( ^ω^)「ツン、ただいまだお」
ぼくはリビングに置かせてもらっているツンの写真に挨拶をした。
仏壇は自分の家に置いてあり、毎日朝早くに拝みに行っている為、こちらには写真しかない。
もっとも、これ以上置いたら迷惑になってしまうのでできないが。
川゚ -゚)「・・・・食事にしよう。用意できている」
( ^ω^)「お、いつもありがとうございますお。助かりますお」
川゚ -゚)「何、私こそ無理なお願いをしているんだ。これくらいしなければな」
僕より帰りが早いクーさんが自然といつも食事を作ってくれる流れになっていた。
彼女の作る食事は美味しい。
彼女曰く、「食べさせる相手ができたらやる気が違ってくる」とのこと。
( ^ω^)(・・・・ツンは料理下手だったおね)
不器用な彼女は何をするにも失敗がつきものだった。
それでも何回も何回も挑戦して、やっとうまくいった、と向日葵のような笑顔を浮かべる。
- 8 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:42:19.62 ID:3u6Sfjzm0
- ( ;ω;)「・・・・お」
気づけば泣いていた。
ぽろぽろと落ちる大粒の涙が、クーさんの作った料理にポタポタと落ちていた。
クーさんはハッとした顔で僕を見てから、僕の元へ歩み寄ってきた。
そして取り出したハンカチで僕の涙を掬う。
( ;ω;)「ごめ、なさ・・・・お、おぉ・・・・」
満足にしゃべることも出来ず、僕はただただ泣き、クーさんは涙を拭いてくれていた。
ハンカチはびしょびしょになったが、僕の目はまだ止まらない。
川゚ -゚)「・・・・私が、埋めてあげることはできないか?」
濡れたハンカチを握りしめて、クーさんはぽつりと呟いた。
そして、僕に顔を近づけ、触れた。
( ;ω;)「クー、さ」
声を出そうとした唇が塞がられる。
忘れていた異性への欲望がじわじわと蘇っている気がした。
川゚ -゚)「・・・・寝室へ、行こうか」
僕は逆らえなかった。
- 9 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:43:56.28 ID:3u6Sfjzm0
- それから僕たちは幾度となく交わった。クーの温もりがツンを思い出させたからであろうか。
しかし絶対にそれは口に出さなかった。
ソファに座った僕に、のっかかったクーが腰を動かしている。
川゚ -゚)「ああ、ブーン、ブーン」
僕たちはお互いを呼び捨てで呼ぶようになった。
目を閉じてクーの名前を呼ぶ。
目の裏でツンの体を想像しながら。
ツンが動き、悶え、喘ぐ。
僕を飲み込んで喜ぶツン、僕の名前を呼ぶツン。
( ^ω^)「は、は、は」
川゚ -゚)「ブーン、ブーン」
クーの腰を押さえる。
( ^ω^)「・・・・っ
ツン・・・・」
僕は最愛の人の名前を呼びながら果てた。
想像の中で恍惚の顔を浮かべていたツンは、こわばった顔で僕を見るクーの顔へ戻っていった。
- 11 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:45:01.81 ID:3u6Sfjzm0
- 2.
( ^ω^)「ツン・・・・」
ひくつく体が大きく跳ねた。
私と繋がった彼が呼んだのは私ではなくあの女 だった。
川゚ -゚)「・・・・」
荒い息遣いをしながらブーンの顔を見た。
しばらく溶けた顔をしていたブーンが、徐々にいつもの「他人」の顔に戻っていく。
川゚ -゚)(・・・・今までも、そうだったわけか)
私を抱いている時だけはブーンは愛する人を見る目になっていた。
だからこそ私は毎日抱かれた。私が繋がりたいからという理由もあったが。
行為をしている時だけは、私だけのもののような気がしたのだ。
川゚ -゚)(それも・・・・結局はあの女に支配されてた、というわけか)
ブーンがあの女と引っ越してきた日から、私は恋焦がれていた。
彼の微笑みを独り占めしたくてたまらない。
だからストーカーに付きまとわれた時に思ったのだ。
ブーンをあの女から奪うチャンスだと。
- 12 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:45:54.36 ID:3u6Sfjzm0
- ( ^ω^)「・・・・クー」
息を整えたブーンが、申し訳なさそうな顔をこちらに向けてくる。
川゚ -゚)(どういう意味の、申し訳ないなんだろうな)
無表情の裏に、強い嫉妬の炎が燃えていた。
彼を送り出したあと、コーヒーを淹れてテーブルの上に置いた書類に目を通す。
平日が休みのことが多い仕事をしている為、ブーンとはあまり時間が合わない。
それにアレを知ってしまったからには、一日を共有するのはまだ気持ちの整理が足りない。
川゚ -゚)「・・・・」
太陽が眩しい。
前ならこの時間にあの女が遊びに来ていた。
ξ゚听)ξ「お菓子作ったのよ。けっこう美味しくできたと思うから食べて」
世間ではあの女と私は仲がいいと映っていただろう。
あの女もそう思っていただろうな。
- 13 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:46:46.03 ID:3u6Sfjzm0
- 川゚ -゚)「有難う。いつも悪いな」
ぽつりと笑って、帰ったのを見届けて、いつもそれをゴミ箱に叩きつけていた。
あの女の作ったモノなんか、食べれない。
川゚ -゚)「・・・・っ」
思い出していたら手に力が入っていたらしい。
書類がシワクチャになってしまった。
川゚ -゚)「・・・・落ち着け・・・・あの女はもういないんだ」
川゚ -゚)(ブーンは私のものなんだ)
川゚ -゚)「く、く、くふ、ふ・・・・ふふふ、あははは」
一人高らかに笑う。
リビングの端っこに置かれたツンの写真を見ながら。
写真の中のツンはこちらを向いて微笑んでいる。
まるで私を見て笑っているように思えた。
「ブーンはまだ私のもの」と言っているようだった。
- 14 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:47:28.49 ID:3u6Sfjzm0
- 川#゚ -゚)「っ!」
途端に頭に血がのぼった。
写真を乱暴に掴みテーブルに叩きつける。
ガツッ、ガツッ。
薄いガラスが割れて破片が飛び散る。
それでも構わずに打ちつけ続ける。
ガツッ、ガツッ。
川゚ -゚)「お前は、死んだんだ、お前は、死んだんだ」
打ち付ける度に呪詛のように繰り返す。
確認するように、繰り返す。繰り返す。
バキッ。
やがて短い音を立てて写真立ては大破した。
中の写真もビリビリに破いてゴミ箱へ投げた。
川゚ -゚)「っ・・・・っ・・・・」
乱れた髪を直しながら椅子へ腰掛ける。
飲みかけの冷めたコーヒーを飲み干し、乱れた息を整える。
- 15 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:48:10.81 ID:3u6Sfjzm0
- 川゚ -゚)「・・・・少し寝よう」
冷静になり自分の今までの醜態を思い出し、少し罪悪感に襲われる。
なくなってしまった写真の言い訳をどうしようか考えなくてはいけなかったが、今は先に眠りたかった。
寝室へ向かう為に階段を上ろうとした矢先、ドアのチャイムが鳴り響いた。
一瞬ドキッとしたが、そんなわけが、と首を振りドアへ向かう。
宅配か何かだろう。
私は覗き穴も覗かずに鍵を開け扉を開けた。
その瞬間何かがぶつかり、私は倒れこんだ。
逆光で分からないが、彼女でないことだけは確かだった。
そして私は薬品の臭いのする布を押し付けられ、気絶した。
- 17 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:49:17.18 ID:3u6Sfjzm0
- 3.
気絶した彼女は天使のようだった。
黒髪が散らばるように床に広がり、大きな胸が呼吸の度に揺れている。
ドアを閉めて鍵を閉める。
誰にも見られてないはずだ。
この時間に主婦たちは公園か買い物にでかけて居ないことは予め調べてある。
('A`)「ふふ、やっと側に来れた」
倒れこんだ彼女を抱きかかえる。
頭を打ってしまったかな、ごめんね。と俺は謝罪しながら寝室へ運ぶ。
背中に当たる胸が気持ちいい。抱える足もすべすべしている。
('A`)「嬉しいなあ。やっと一緒になれるね、クーさん」
俺は俗に言うオタクだった。
彼女もおらず、大学もいじめが原因でやめ、毎日バイトしてゲームして寝るだけの生活。
出会いを求めて出会い系をしたりしてみたが、女と連絡している途中で急に虚しくなりやめた。
家が近くても、俺を見たらどうせ逃げるに決まってる。
最近ではたまに秋葉原にでかけるのが最高の楽しみであった。
- 18 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:50:08.36 ID:3u6Sfjzm0
- しかしそんな時に彼女が現れた。
コンビニでバイトしていた時に客として現れた彼女。
川゚ -゚)「頼む」
カゴを俺の前に置いた時のまっすぐな顔。
俺は一目惚れだった。愛しくてたまらなかった。
彼女は決まって夕方に来る。
その為に頼み込んで夕方のシフトのみにしてもらった。
つまらないバイトも彼女が来るだけで一日頑張る気持ちになれたのだ。
川゚ -゚)「欝田さん、と読むのか」
('A`)「え!あ、は、ははい」
川゚ -゚)「珍しい苗字だな。名前は、ドクオ、さんか」
しばらく顔を合わせると、彼女は俺の名前を呼んでくれた。
ドクオ、あの唇からそのフレーズを発せられた時、俺はたまらず勃起した。
おつりを渡すとき彼女の温もりを感じ、家でそれを思い出しては何度も果てた。
- 19 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:51:10.57 ID:3u6Sfjzm0
- ('A`)「彼女は、俺を待っているんだ」
俺はそう思うようになった。
あの豊満な体が、カタチのいい唇が、俺を待っている。
そんな気がした。
バイトを辞めて夕方からコンビニを張り込み、彼女のあとをつけた。
そして家を知ってからは、性能のいい双眼鏡を買った。
向かいに丁度アパートがあったので、俺は夜中こっそり二階の空き部屋の鍵をこじ開けその部屋を使い覗いた。
昼には郵便物を見た。名前を知った夜はずっと名前を呼び続けた。
そしてある日見てしまった。
男がクーさんの家に入るのを。
( ^ω^)
それからは毎日家に入っていった。
クーさんが休みの日は朝早くから行ったが、家からスーツを着込んで出てくるのを何回もみた。
俺のクーさんと、一つ屋根の下で、寝泊りしているの、だろうか。
('A`)「・・・・許せない」
あの男は俺のクーさんをたぶらかしているのだ。
そう思い、嫉妬の炎に燃えた。
- 20 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:52:11.96 ID:3u6Sfjzm0
- そんな矢先であった。
いつものように双眼鏡を覗き込み、クーさんがいるリビングを見る。
ソファの上からクーさんの顔が見える。
そしてそのまん前にはあの男の頭がある。
二人して向かい合うようにソファに座っているのか。それにしては近すぎないか。
俺は双眼鏡をもっとズームさせる。カーテンは閉まっていないからよく見える。
クーさんはリズミカルな動きをしながら時々上を向いたりしていた。
両手はソファの背もたれの上に置いて、時々頭の影からはみ出る胸を揺らし、髪を乱れさせている。
('A`)「・・・・ウソ、だろ」
俺のクーさんがあの男の上で腰を振っていた。
俺はショックを受けながら双眼鏡から目を離さなかった。
他の男に抱かれているのに、その姿は相変わらず美しかった、目が離せなかった。
気がつけばクーさんの動きに合わせて自慰していた。
クーさんが跨り腰を振る姿を想像しながら、やがて果てた。
救い出さないと。
手を拭きながらそう考えた。
('A`)「クーさんの隣にいるのはあの男じゃなくて俺のべきだ」
- 21 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:53:01.84 ID:3u6Sfjzm0
- それから俺はあの家に入る為の計画を立てた。
まずあの男が居なくてクーさんが休みの日、さらに近所の人間がいなくなる時間帯。
そしてクーさんの前に行って、目を覚ましてあげよう。
きっと俺がバイト辞めちゃったから寂しくて他の男を家に入れたんだよね?
('A`)「大丈夫、分かってるよ」
俺は笑ってみせた。
口元がひくついているのが分かった。
- 22 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:53:39.03 ID:3u6Sfjzm0
- 川゚ -゚)「・・・・う」
頭がくらくらする。
頭を押さえていると誰かが私の頭を撫でた。
川゚ -゚)「ブ・・・・」
私はてっきりブーンが撫でたのだと思った。
しかし影になっていた腕をどけると、そこには知らない顔があった。
川゚ -゚)「ッ!?」
途端に先ほど誰かが部屋に入ってきたのを思い出し、撫でる手を払った。
しかし男はそれでも手を伸ばしてくる。
払おうとする手を押さえつけられ、ベッドで横たわっていた私の上にのっかかってくる。
ここでようやく私は、自分が裸で寝ていたことに気付いた。
川; -;)「離せ!離せ!」
('A`)「大丈夫、落ち着いて」
その細い体からは想像もできない力で、私は身動きが取れない。
やがて抵抗しても無駄だと悟り、力を抜いた。
- 23 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:57:11.94 ID:3u6Sfjzm0
- 川゚ -゚)(こいつがストーカーだったのか・・・・)
力を抜いたことに安心したように、うんうんとうなる男。
ブーンのことに頭がいっぱいで、ストーカーのことをないがしろにしていたことに
今更後悔する。
川゚ -゚)「・・・・殺されるのか・・・」
諦めてぽつりと呟く。
しかし男からは意外な返事が返ってきた。
('A`)「殺されそうだったのか!?」
川゚ -゚)「・・・・?」
言っている意味が分からずきょとんとする。
('A`)「大丈夫、俺があの男から守ってあげるからね」
- 24 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:57:58.47 ID:3u6Sfjzm0
- 川゚ -゚)「・・・・」
馬鹿な勘違いをするストーカー男を心の中で蔑んでいたが、
突如名案が浮かんだ。
私はベッドの上に放り出していた手を男の背中へ回す。
うまく利用すれば、ブーンの心からあの女を追い出せるかもしれない。
いいや、追い出してみせる。
川゚ -゚)「ああ・・・・助けに来てくれてありがとう」
そう言って男を剥がし、唇に吸い付く。
舌を絡めとり愛撫する。
男の股間が膨れ上っているのが視界の隅に映った。
川゚ -゚)(気色の悪い男め・・・・)
嫌悪で吐き気がしたが、我慢しながら男の服を脱がしていく。
そして目を瞑り、ブーンのことを思い出しながら行為を進める。
川゚ -゚)(はは、私も同じことをしている)
ブーンもこんな気持ちだったのか、と虚しいことを考える。
しかしもうすぐだ。もうすぐ私のものにする。
ブーンにあの女は死んだ、と、ハッキリと認識させる。
- 25 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:58:39.91 ID:3u6Sfjzm0
- 川゚ -゚)「・・・・なあ」
('A`)「あ、な、なん、だい」
私は下で悶える男に話しかける。
川゚ -゚)「私を助けてくれないか」
('A`)「も、もち、もちろん、だ、よ」
悶え切れ切れに離す男と対照的に、私はリズムを崩さず、淡々と話をする。
川゚ ー゚)「ありがとう。・・・・ところで君は、何て名前だったかな」
私は小さく微笑んで見せた。
- 27 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 21:59:30.73 ID:3u6Sfjzm0
- 4.
ふたつの家のまん前で僕は立ち止まっている。
片方は僕とツンの家で、もう片方が僕とクーの家。
クーの気持ちは前から知っていた。ずっと前、僕が僕とツンの家に住んでた時から。
クーが僕を見つめる目線が熱かった。
ツンは元々そんなに性行為が好きではなかった。
最初の方は数日に一回はしていたが、お互い結婚生活に慣れてくると回数も減った。
ξ゚听)ξ「今日はそういう気分じゃないの」
あの時の声だけは、いつもの照れ隠しじゃない、冷たい声だった。
だからこそあの時の誘惑に負けてしまったのだろう。
ツンがもしこんなに僕を求める人だったら・・・・そう思い、頭の中で変換することを覚えてしまった。
( ^ω^)「・・・・ツン、ごめんお」
僕はクーの家へ足を進めた。
リビングからの明かりが漏れている。
しかし珍しく今日はカーテンをかけていた。
( ^ω^)「ただいまだお」
しかしリビングには気配がなかったし、返事もしなかった。
代わりに二階から物音が聞こえた。
- 29 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:00:45.54 ID:3u6Sfjzm0
- ( ^ω^)「・・・・今日は寝るの早いおね」
そう言って食事にしようとしたが、どうも物音がおかしい。
まるでケンカでもしているような、ドタドタという音が下に響いてくる。
( ^ω^)「・・・・?」
不思議に思っている矢先、二階から悲鳴が聞こえた。
僕は反射的に二階へあがった。
物音を立てないように、しかし急ぎながら。
上に行けば行くほど物音や声がよく聞こえてくる。
クーの寝室の前へ来、思い切って扉を開いた。
( ゚ω゚)「−−クー!」
そこには男に犯されるクーの姿があった。
男が動く度にクーは泣きながら何かを叫んでいる。
川; -;)「! ブーン!」
- 30 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:01:29.41 ID:3u6Sfjzm0
- クーはこちらに気付くと体を動かしたが、男に押さえつけられた。
男は僕に気付くとニヤリと笑いながら、クーをこちらに向けて四つんばいにさせた。
川; -;)「いや、あ、み、みないで、ブ、あぁ」
泣き叫ぶクーを見て、ようやく止まっていた頭が動き出した。
( ゚ω゚)「や、やめろお!なんてことをしてるんだお!」
押さえに行こうと思った僕はハッとして立ち止まる。
男は包丁を取り出してクーの首元に置いていた。
('A`)「動くなよ。そこでジッとしてな」
男はそのまま腰を振り続けた。
僕はどうしていいか分からずじっとそれを見ている。
部屋はベッドの軋む音と男女の生々しい声だけが響いていた。
それからしばらくして、男の動きが早くなったかと思うと、短く一言呻いた。
川; -;)「あっ・・・・ああ・・・・」
それと同時にクーが小さく叫ぶ。
男は満足したようにクーから抜くと、僕のほうを見た。
- 31 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:02:05.67 ID:3u6Sfjzm0
- ('A`)「へへ、へ、どうだよ。女を二人も寝取られる気分は」
( ^ω^)「・・・・!?」
僕は訳が分からない。
何を言っているのかが理解できなかった。
('A`)「お前の奥さんな、へへ、俺がさ」
男はベッドから降り、僕に正面から向き合った。
手にはまだ包丁を持っている。
('∀`)「ツンはさ・・・・俺が犯して殺したんだよォ」
( ゚ω゚)「!!」
目がカッと見開かれた。
こいつに。こんなやつに。
僕の、ツンを。ああ。
('∀`)「あの金髪をしゃぶりながら何回も中に出してやったよ」
('∀`)「ひ、ひ。最後のほうはよがってたぜェ」
下衆な笑いをしていた男は、途端に顔を歪ませて叫んだ。
('A`)「ツンは俺が犯して殺したんだよおおお!!」
そして包丁を向けてこちらへ走ってきた。
- 32 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:02:44.31 ID:3u6Sfjzm0
- 刺される。
( ^ω^)「っ!」
咄嗟に目を瞑ってしまった。
目の裏にツンとの思い出が蘇る。
これが走馬灯というものなのだろうか。
しかし、いつまでもこない衝撃に僕は恐る恐る目を開ける。
( ^ω^)「・・・・あ」
('A`)「な、なん、で・・・・」
男は床に居た。
寝転がって、喉から包丁の刃が出ている。
流れ出す血液がぬらぬらと光っている。
男の足元にはシーツが落ちている。
そのシーツは男の足に絡まっており、そしてその先をクーが掴んでいた。
川; -;)「はぁ・・・・はぁ・・・・」
男は程なくして絶命した。
流れ出す血は止まらず、どんどん床を濡らしていく。
- 33 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:03:14.47 ID:3u6Sfjzm0
-
川; -;)「・・・・ブーン・・・・」
僕は呼ばれてようやく男から目を離し、クーの側へと寄った。
( ^ω^)「どうしたんだお、一体・・・・」
クーは僕が触れると同時に抱きついてきた。
体は小刻みに震えていた。
川; -;)「こいつ、私のストーカーだったんだ」
- 34 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:03:59.96 ID:3u6Sfjzm0
- 川; -;)「こいつ、私のストーカーだったんだ」
私はできるだけの迫真の演技をする。
川; -;)「今日部屋に入ってきて・・・・ずっと私を・・・・」
( ^ω^)「クー・・・・」
ブーンが私の体を抱く。
ああ、あとちょっとだ。
あの女が死んだこと、穢されたことを強調しなければ。
川; -;)「それにあいつ!ツンさんにもひどいことした上に、こ、殺しただなんて・・・・」
( ^ω^)「・・・・」
川; -;)「私、私・・・・うあああ・・・・」
- 35 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:04:33.90 ID:3u6Sfjzm0
- もちろんこれは私があの男に提案したことだ。あの男があの女と関わりがあるわけがない。
私はあの男にこの捏造話をしたあとにブーンを殺してくれ、と言った。
私を助けてくれと泣きながら言ったらすっかり本気にした。
あとはすべて演じてくれたあとにシーツで足を引っ掛けて、
倒れたところを隠しているもう一本の包丁で殺せば良かった。
偶然男が持ってた包丁で自滅してくれたからその手間も省けた。
シーツが失敗してブーンが刺されていても、それはそれで看病できるしよかったがな。
心の中の私は低い声で笑った。
- 37 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:05:39.90 ID:3u6Sfjzm0
- 5.
警察へ通報しようと思い、部屋を出ようとした僕をクーの手が止めた。
ねだる様な、すがる様な目を僕に向け、そのまま僕にキスをしてくる。
川; -;)「お願いだ。行かないでくれ」
( ^ω^)「でも、警察に・・・・」
もう一度。
今度は先ほどよりも濃厚に。
川; -;)「怖いんだ。お願い・・・・ブーン」
クーはそのまま僕をベッドに押し倒した。
彼女が僕の体中に口付けをし、服を脱がす。
まだ血が流れる男が隣に居て、先ほどまで陵辱を受けていたベッドで、
今は僕たちが絡まっている。
彼女はいつもより積極的に、大胆に僕を支配する。
川゚ -゚)「ああ・・・・ブーン、愛している」
激しく腰を動かし髪を振り乱す。
僕を飲み込む。
- 38 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:06:27.65 ID:3u6Sfjzm0
- 川゚ -゚)「愛してる」
ξ゚听)ξ「愛してる」
いつものように二人の姿が重なり、変わっていく。
僕の上で腰を振る愛しいツン。
絶対に見せてくれなかった、ツン。
('A`)「俺がツンを犯して殺した」
( ゚ω゚)
突如隣で息絶えた男が頭の中に入ってきた。
('A`)「俺がツンを犯して殺した」
やめろ。
('A`)「俺がツンを犯して」
やめろ。
('A`)「俺がツンを犯」
お前なんかが。
('A`)「俺がツンを」
ツンの名前を呼ぶな!
- 39 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:06:59.61 ID:3u6Sfjzm0
- 川;゚ -゚)「!?」
僕はクーを無理やりベッドへ倒した。
そして乗りかかり足を抱える。
今まで僕が率先して行為をすることがなかった為か最初驚いていたクーは、
しかしすぐに目を瞑り喘ぐ。
( ^ω^)「・・・・クー」
川゚ -゚)「っぁ・・・なん、あっ」
喘ぎながら僕を見つめてくる。
昔のままの、熱い視線。
僕は少し悲しくなった。
( ^ω^)「・・・・僕は、分かってるん、だお」
川゚ -゚)「っ・・・・?」
顔を紅潮させながら、僕のほうを見ている。
何を言っているのか分からないという顔だ。
動きを早める。
終わりが近い。
( ^ω^)「ツンを殺したのが、あいつじゃない、ってこと」
- 40 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:07:40.71 ID:3u6Sfjzm0
- もう終わりにするべきなんだ。
これ以上ツンを穢すわけにはいかない。
川゚ -゚)「・・・・なんの、はなし、を、あ、あ」
クーは僕を好き過ぎた。
そして僕は、ツンを好き過ぎたんだ。
川;゚ -゚)「ぐっ!」
僕はクーの首に手を回し、思い切り力をいれた。
途端にクーの表情が歪む。
必死に僕の手を剥がそうと両手で掴んでくる。
爪が食い込むが僕は構わず絞め続ける。
( ^ω^)「だってクー?」
腰を打ち付ける。
僕を包むクーが力強くなっていく。
首を絞めると締りが良くなるというのは本当のことだったようだ。
川; - )「ああっ・・・っが・・・・」
舌を出しながら悶えている。
僕は彼女を絞める手を強めながら、言った。
( ^ω^)「ツンは僕が殺したんだから」
クーが絶命した瞬間、僕はクーの中に果てた。
- 41 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:08:15.55 ID:3u6Sfjzm0
- 6.
今この部屋には二つの死体が転がっている。
僕が利用した女と、女に利用された男。
僕はツンの温もりを忘れるのが怖かった。
最初は僕だけのものになったことに喜び泣いた。
他の人は悲しんでると思ったかもしれないが、違う。
僕は僕だけのものになったことに感激していたのだ。
しかししばらくして、僕はふいに「あれ、ツンに髪の匂いはどんなだったっけ」と思った。
その途端僕は怖くなったのだ。あんなに愛していたツンのことを忘れてしまったと。
だからクーの体をツンに見立てた。
ツンの温もりだけは絶対に忘れないようにと、ツンと毎晩結ばれる夢を見た。
しかし利用しやすいと思ったクーは、逆に僕を怒らせた。
あの男にツンの名前を呼ばせ、あまつツンに泥を塗った。
- 42 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:08:57.62 ID:3u6Sfjzm0
- 僕はツンを愛している。誰よりも、だ。
ツンより大事な存在なんていない。
僕以外の人間がツンの名前を呼ぶことさえ許さない。
大事に大事にしていた鳥が鳥かごから逃げようとした、なんて、悲しすぎる。
こんなに愛しているのに、どうしていらない人間からの愛しか受けられなかったんだろう。
ツンは出会い系にはまっていた。
携帯の中でツンというキャラクターが男と愛を語らっていた。
メールの中の何通もに「ツン」と書かれていた。
僕は携帯をへし折った。
ξ#゚听)ξ「何で勝手に携帯使ったのよ!しかも壊すなんて!」
(#^ω^)「僕たちは夫婦なんだお!?何で駄目なんだお!」
朝起きたツンが携帯を見つけ、大ゲンカになった。
二人とも譲らなかったが、ツンがふいにため息をついた。
ξ゚听)ξ「別れましょ。もう限界」
そう言ってツンは二階へ上がっていった。
ツンは僕と別れて別の男のものになってしまうのか。
想像しただけで嫉妬心が心の中を駆け巡った。
- 43 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:09:38.15 ID:3u6Sfjzm0
- そうだ。いっそ殺して全部僕のものにしよう。
そう思い、実行した。
昼に仕事を抜け、家で携帯のチラシを見ていたツンを殺した。
首を絞めたあとにメッタ刺しにした。
返り血を浴びないように毛布の上から刺し、家の押入れの中に隠した。
他の布団を重ねながら閉まった毛布は、警察に見つかることはなかった。
メッタ刺しにしないと警察がツンの死体を見て惚れてしまうかも知れない。
僕なりの知恵だった。
そして何食わぬ顔で会社に戻り、帰宅してツンを見つけたフリをした。
通り魔や強盗の犯行なら僕が捕まることはない。この家を、思い出を手放すこともない。
そして僕は今日まで隠してきたのだ。
でも
- 44 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:10:18.29 ID:3u6Sfjzm0
- ( ^ω^)「でももう、だめだお」
ふたつの死体を見ながら呟いた。
僕はフラフラと玄関に向かった。
そして僕とツンの思い出が詰まった家へ、僕とツンが使ったベッドの上へ。
包丁を持って。
( ^ω^)「ツン、今行くお」
僕は包丁を喉へ持っていった。
隣には微笑むツンが居た。
- 45 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:10:56.25 ID:3u6Sfjzm0
-
エピローグ.
あたしは後悔していた。この男と結婚したことを。
( ^ω^)「ツン、愛してるお」
最初は好きだったはずの顔が、いつしか邪魔くさくて仕方なくなっていた。
いつしかあたしは出会い系をするようになった。
出会い系で男とメールしてるときだけが幸せな時間だった。
ξ゚ー゚)ξ「・・・・ふふ、ドクオさんて面白い人」
その中で一番お気に入りだったのが、ドクオさんだった。
彼とのメールだけが一番の楽しみだった。
しかししばらくするとドクオさんは退会していた。
いい人を見つけたのだろうか。私は悲しくなった。
心のよりどころがなくなったあたしは、次にお菓子作りに没頭した。
実のところ、そんなに料理は下手ではなかった。
結婚当時は慣れていなかったので失敗もあったが、数ヶ月もしたらそこそこ作れるようになっていた。
- 46 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:11:45.49 ID:3u6Sfjzm0
- しかしブーンが憎らしくて、うざったくて、美味しいものを作る気がなかった。
わざと分量を間違えた。洗剤を入れたこともあった。
それであたしに飽きてくれればいい。
・・・・しかし彼は変わらなかった。
もう少ししたら、彼に別れ話をしよう。
実家にも電話しよう。
ξ゚听)ξ「・・・・あら、おしょうゆ切れてる」
あたしは買い物をしに近くのコンビニへ行く。
('A`)「・・・・1362円です」
愛想の悪い店員にお金を払い、家へ向かう。
あの男の人、絶対彼女いないわね、と心のなかでクスクス笑う。
ξ゚ー゚)ξ「これ作ってみたの。食べてみて」
作ったお菓子を隣の家におすそ分けする。
川゚ -゚)「いつもありがとう。美味しそうだ」
綺麗な黒髪を揺らす彼女に手を振り、家へ戻る。
この人がブーンと浮気して持っていってくれないかしら。そう考える。
- 47 名前: ◆bFlAm.bHJU 投稿日:2010/07/19(月) 22:12:26.08 ID:3u6Sfjzm0
- ξ゚听)ξ「おかえり」
冷めた声で挨拶をする。
( ^ω^)「ただいまだお!」
暑苦しい男とまた時間を共有しなければならない。
誰かこの男がいない世界へ連れて行ってくれないかと思う。
ξ゚听)ξ「はあ」
今日やっと別れ話をした。
心の荷がひとつ降りた気分だ。
出戻りなんて怒られるけど、耐えるなんてもう無理。
携帯のチラシを見ながら、もう少ししたらキャリーバッグを買いにいこうと考えた。
そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
ξ゚听)ξ「あら、何かしら」
はーい、とあたしは声をあげた。
了.
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