ζ(゚ー゚*ζ こいをかなえるおにんぎょう! のようです
2011/05/26 Thu 01:39
244 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:08:44 ID:vYplbEBU0
わたし、確かに恋してました。
三三(; ・∀・)
ξ*゚⊿゚)ξ 「キャー!」
(*゚ー゚) 「モララー先輩ー! かっこいー!」
ζ(゚ロ゚*ζ 「……」 ドキドキ
Σ('、`*川 「パス通った……えっ、あの距離から?」
ζ(゚ー゚*ζ (いけっ、シュート!)
.
245 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:09:13 ID:vYplbEBU0
ξ*゚皿゚)ξ 「入っとわあああああああああああ!?」
(゚△゚*川 「うっおおおおおおおお!?」
(*>ー<)ノシ 「すげえええええええ──!」
ζ(゚ワ゚*ζ 「───!」
(((; ´∀`)ノ d(・∀・ ;) (^ω^ )三三
サッカー部のエース、モララー先輩に。
-- ζ(゚ー゚*ζ こいをかなえるおにんぎょう! のようです --
.
246 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:10:49 ID:vYplbEBU0
ξ*´~`)ξ 「はぁぁ~。 先輩ほんっとい~わ~」
(*´¬`) 「DNAの奇跡よね~」
ζ(´ー`*ζ 「……うん。 かっこいいね」 ボケー
('、`*川 「あれ?」
ζ(゚ー゚*ζ 「ん?」
゙('、`*川 「デレ、あたしが前聞いた時は、別にーって感じだったじゃん。
どんな心境の変化?」
Σζ(゚ο゚*;ζ 「えっ!? あ、その……!」
.
247 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:11:38 ID:vYplbEBU0
('ー`*川 「やっと気づいた? 先輩のミ・リョ・ク・に?」
ζ(゚ー゚*;ζ 「う、うーんと……やっぱりよくわかんないかも?」
σ
ξ#゚⊿゚)ξ 「はぁー? ちょっとアンタ何様!?」
(#*゚ー゚) 「ぜーたく言ってんじゃねー! モララーさんディスってっとぶっとばすぞ!」
Σζ(゚ο゚*;ζ 「ご、ごめん! そういうワケじゃなくって……」
゙d('、`*川 「まあいいじゃない。 ライバルは一人でも少ないほうがいいしっ」
_,
ξ゚⊿゚)ξ 「そりゃそうだけどさー」
(*゚ー゚) 「先輩で射程外って……どんだけゼータクなのアンタ!」
ζ(゚д゚*;ζ (あ、あぶないあぶない、気づかれるトコだった)
.
249 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:12:28 ID:vYplbEBU0
_,
ξ゚ 3゚)ξσ 「……B専?」
(*゚ー゚) 「あー、なんかそういうツラしてるよね」
ζ(゚、゚*;ζ 「ひどーい!」
('、`*川 「現れるのかしらね、デレさんのお目がねに適う人は?」
ζ(゚ー゚*ζ 「べつに理想が高いってわけじゃないんだけどね……」
ζ(-、-*;ζ (うう……私だって先輩のこと……大好きなのに……)
.
250 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:14:16 ID:vYplbEBU0
(*゚ー゚) 「今どんくらいいんのかなー? 先輩のファン」
ξ゚⊿゚)ξ 「さーねー。 非公式のファンクラブもあるくらいだしー?」
('、`*川 「もはや考えたくもないわね……」
ζ(゚、゚*ζ (……そう。 この学園の中に、ライバルはいーっぱい)
ζ(-、-*ζ (先輩の周りは、キレイな娘たちがいっつも取り巻いてるんだ。
それにカレは私の名前すら知らない。
とってもとっても遠い存在なの)
(((・∀・ )゙ 「──」 チラッ
Σζ(゚ロ゚*ζ 「!」
Σξ*゚皿゚)ξσ 「きゃああああ! ちょっ、ほらッ!?」
(*>ー<) 「こっち! 今こっち見たよねー!?」
.
251 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:15:31 ID:vYplbEBU0
((( ・)
('ヮ`*川 「後姿までイケメンだね~。 眼福眼福」
('、`*川 「ん?」
ζ(/ロ/*ζ 「…………」 ポケー
('、`*;川 「ちょっ、おーい、デレー?」
ξ*゚∀、゚)ξ 「 」 ホゲー
(*´ q`) 「 」 ボエー
('д`*;川 「……こっちも」
ζ(/。/*ζ 「……」
──目が合った。
それだけのことなのに、すっごくドキドキする。
私、しあわせです。
いつかきっと、この恋が叶うといいな。
モララー先輩。
.
253 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:17:36 ID:vYplbEBU0
※ ※ ※
かえりみち。
ε-ζ(-。-*ζ 「はぁ~……」
ζ(-、-*ζ 「先輩……今日もかっこよかったな」
目を閉じればまぶたの裏に浮かんでくる。
華麗にシュートを決めたあのシーン。
そして、振り向きざまに私のほうへ向けられた、カレの視線。
ζ(´ー`*ζ (……放課後、サッカー部の応援に誘われたとき、断らなくて良かったぁ)
端正な顔立ちに輝く汗。
今日もモララー先輩はとっても魅力的でした。
.
254 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/21(土) 18:18:10 ID:OwUTQ2uQ0
あーなんか童心にかえるわ いいね
255 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:18:23 ID:vYplbEBU0
ζ( - *ζ (いつか届くといいな、私の気持ち)
けれど、心のどこかでわかってる。 それはとっても難しいのだということ。
残念なことに、部活も学年も違う私とモララー先輩に、接点は乏しい。
カレのことを想いながらてくてく歩いているうち、ふと道の端に目がとまった。
゙ζ(゚、゚*ζ 「あれ?」
道路わきの草むらから、なにかがひょっこり顔を出している。
.
256 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:20:13 ID:vYplbEBU0
ζ(゚o ゚*ζ (……おにんぎょう?)
ひろいあげてみた。
つぶらな瞳にねこの耳。 ふっくらふくらんだほっぺ。
毛糸でできた、てのひらサイズのそれは、
お世辞にも精巧なつくりとはいえないけれど、なかなかどうして愛嬌がある。
ζ(゚ー゚*ζ (ぬいぐるみ、じゃないよね。 ブードゥー人形みたい)
しろいフェルトの名札には、『 こいのぽぽちゃんにんぎょう 』 と書いてある。
どのくらい前から落ちていたんだろう。 すごく汚れてる。
誰が落としたのかはわからないけど、このまま放っておくのもかわいそう。
私は 『 ぽぽちゃんにんぎょう 』 の土を払うと、バッグに入れて持ち帰った。
.
257 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:21:21 ID:vYplbEBU0
※ ※ ※
その日の夜。
ζ(゚ロ゚*;ζ 「────」 ガシャン
私はこれまで生きてきた十数年のうち、一番のびっくりを目の当たりにしていた。
*'``・* 。
| `*。
,。∩∧ ∧ * ぽ!
+ (*‘ω‘ *) *。+゚
`*。 ヽ、 つ *゚*
`・+。*・' ゚_ゝ +゚
☆ v 。*゚
`・+。*・ ゚
えっと……その。
机の上でくるくる回っているそれは。
他でもない、拾ってきたぽぽちゃん人形で。
.
258 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:22:26 ID:vYplbEBU0
(*‘ω‘ *) 「拾ってくれてありがとうっぽ!
前のご主人に捨てられて早数ヶ月。
あのままじゃ、野良犬に噛まれてぼろぼろになってたかもしれないっぽ」
Σζ( □ *;ζ 「しかもしゃべったああああああああああ!?」
(*‘ω‘ *) 「ぽ? なにをそんなに驚いてるぽ?」
ζ(゚□゚*;ζ 「り、リモコンとかついて……ないよね?」
(*‘ω‘ *) 「失礼なニンゲンっぽ!
ぽぽのカラダにゃ、種も仕掛けもないっぽよ」
ζ(゚д゚*;ζ 「……」
(*‘ω‘ *) 「拾ってくれたお礼に、ご主人の恋を叶えてあげるっぽ!」
──ああ、やっぱり夢を見てるのかな。
ためしに頬をつねってみたけど、すごーく痛かった。
.
259 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/21(土) 18:23:07 ID:.Tn74H66O
シャベッタアアアアアアアアア
260 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:23:16 ID:vYplbEBU0
ζ(゚ο゚*;ζ 「あの、今もその、現実とは思えないし。
聞きたいことは山のようにあるんだけど──」
(*‘ω‘ *) 「ぽ?
ぽぽはぽぽで、それ以上でもそれ以下でもないっぽよ」
ζ(゚-゚*;ζ 「まずはひとつだけ、いいかな」
(*‘ω‘ *) 「聞くといいっぽ」
ζ(゚ー゚*ζ 「さっき言った、『 恋を叶える 』 って、どういうこと……?」
(*‘ω‘ *) 「ぽ! よくぞ聞いたっぽ!」
ζ(゚、゚*;ζ 「……」 ゴクリ
(*‘ω‘ *) 「残念ながら、ぽぽにお願いしたところで、
見ず知らずの二人が一瞬で恋人になれちゃうってわけじゃないっぽ」
ζ(゚ロ゚*;ζ 「う」 グサッ
.
262 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:24:45 ID:vYplbEBU0
(*‘ω‘ *)ノシ 「でもでも安心するっぽ!」
(*‘ω‘ *) 「人は異性を無意識にランク付けしてるものっぽ。
まあ許せるかなって人、なんとも思ってない人、
ちょっと気になる人……みたいにぽ」
ζ(゚、゚*ζ 「う、うーん」
(*‘ω‘ *) 「ぽぽのチカラは、その好感度を5段階くらい繰り上げてやることっぽ!
嫌いは好きに、好きはもーっと好きに。
たとえ知らない相手でも、目を見ただけで電撃がビビッと走るぽ!」
ζ(゚д゚*ζ 「はぁ……」
ζ(゚o ゚*;ζ (そんなことって……あるの?)
.
263 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:25:40 ID:vYplbEBU0
(*‘ω‘ *) 「そこから先はご主人の行動次第! だけど──」
(*‘ω‘ *)b゙ 「相手はご主人にメロメロっぽ!
恋が実っちゃうこと、ほぼ間違いなしだっぽ!」
ζ(゚-゚*;ζ 「……恋が、実る」
(*‘ω‘ *) 「ぽ!」
ζ(゚、゚*;ζ (ぽぽちゃんのこの話しぶり。
まるで心の中を見透かされてるみたい)
(*‘ω‘ *) 「ご主人、好きな相手はいるっぽ?」
Σζ(゚ロ゚*;ζ 「ほへっ!? あ、はいっ」
.
264 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:27:30 ID:vYplbEBU0
(*‘ω‘ *)b 「ひとつだけ注意するっぽ」
(*‘ω‘ *) 「ぽぽの叶えられる恋はひとつだけだっぽ。
もしも新しい恋を願ったら、
前の願いは上書きされて、消えちゃうっぽ」
゙ζ(゚、゚*ζ 「願いが、消える?」
(*‘ω‘ *) 「ぽ。 フタマタかけちゃダメってことぽ」
Σζ(゚д゚*;ζ 「そ、そんなことっ! わたしっ」
私の願いは──きっと、ずっとひとりだけ。
モララー先輩。
好きです。
ζ(゚-゚*;ζ 「……」
ぽぽちゃんのチカラを借りれば、
私の気持ち、届くのかな──?
※ ※ ※
.
265 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:28:28 ID:vYplbEBU0
次の日の、教室。
ζ(-。-*ζ 「はぁ……」
ζ(゚、゚*ζ (夢じゃなかったんだよね?
毛糸でできたぽぽちゃんが、動いて、しかもしゃべったこと。
うっかりウチに置いてきちゃったけど)
(*‘ω‘ *) 『 恋心を芽生えさせるのは簡単っぽ。
相手の目を見ながら、ぽぽの体をぎゅっと握って、
好きになれ好きになれ、と唱えることっぽ 』
ζ(゚-゚*ζ (恋を叶える、かあ。
そんなコト、本当にできるのかなぁ?)
( ・∀・)
ζ(/- /*ζ (モララー先輩……先輩は、私の名前すら知らないんだよ?)
.
266 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:29:31 ID:vYplbEBU0
ζ(゚、゚*ζ (んー……)
ζ(-、-*ζ (第一、目を合わせるっていうトコロが、既にハードル高いよ……)
ブブブブブ……
゙ζ(゚ロ゚*ζ 「!?」
ζ(゚、゚*;ζ (あ、携帯。 メールかぁ。
なになに……?)
ζ(゚o ゚*ζ (『 話がある。 放課後、校舎裏で待ってるから、一人で来て 』)
ζ(゚ロ゚*;ζ (え、こ、これって)
※ ※ ※
.
267 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:30:54 ID:vYplbEBU0
放課後。
('、`*川 「……きたか」
ζ(゚ー゚*ζ 「ペニちゃん! あの、話って?」
d('、`*;川 「しっ!
ツン達には会わなかった?」
゙ζ(゚、゚*ζ 「う、うん」
('、`*川 「尾行されてない? 周りもよーく注意してみて」
ζ(゚ー゚*;ζ 「えーと……いないよ、たぶん」
('、`*川 「足元とか大丈夫? 壁は本物? 枝の後ろは?」
ζ(゚ー゚*;ζ 「忍者じゃあるまいし……」
('、`*川 「一匹見かけたら30匹だからね」
Σζ(゚д゚*;ζ (虫かっ)
.
268 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:32:29 ID:vYplbEBU0
(-、-*川 「……コホン。 失礼取り乱した」
ζ(゚ー゚*ζ 「よっぽど他の人に聞かれたくないんだね」
('、`*川 「うん。 今から相談すること、まだ誰にも言ってないから」
ζ(゚、゚*ζ (相談……?)
('。`*;川 「デレだけなの。 このことを打ち明けられるのは……。
誰にも言わないで? お願い」
ζ(゚-゚*ζ 「わ、わかったよ。 約束する」
('、`*川 「……」
ζ(゚、゚*ζ 「……」
.
269 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:33:53 ID:vYplbEBU0
('。`*川 「私、さ」
Σζ(゚、゚*;ζ 「う、うん」 ゴクリ
('、`*川 「明後日──」
(-、-*川 「この場所で、モララー先輩に告白しようと思ってる」
ζ( ロ *ζ
ζ(゚д゚iliζ 「────えっ────」
.
271 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/21(土) 18:35:10 ID:.Tn74H66O
oh...
272 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/21(土) 18:37:19 ID:lZVrCK2o0
うわぁ……
270 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:34:50 ID:vYplbEBU0
('、`*;川 「デレだけって言った意味、わかるよね?
もしもこのこと、ツン達に聞かれたら……」
ζ(゚-゚iliζ 「……」
(゚、゚*川 「……デレ?」
Σζ(゚ロ゚*ζ 「あ、う、うん。 抜け駆けって言われるもんね?」
('、`*川 「そうなんだ。
モララー先輩はみんなのアイドルだし、あいつらには相談できない」
ζ(゚-゚*;ζ 「……」
('、`*川 「デレ。
一緒にサッカー部をインタビューした時のこと、覚えてる?」
ζ(゚、゚*;ζ 「え? あ、うん……」
.
273 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:37:20 ID:vYplbEBU0
覚えているに決まってる。
放送部の仕事で、ペニちゃんと一緒にキャプテン達と話をしたときのこと。
( ´∀`) ( ・∀・) ('ヮ`*川 ζ(///*ζ
噂のサッカー部エースであるカレと、初めて面と向かっておしゃべりして、
…… 一目ぼれした、あの日。
('、`*川 「それまでもキャプテンを通じて話す機会はあったの。
けど、あの日の出来事が縁っていうかさ……。
あれから私、個人的にモララー先輩と何度か会って……」
(-、-*川 「ある程度話せるくらいの間柄になったの」
ζ(゚д゚*ζ 「……」
ζ(゚д゚*ζ 「そう……だったんだ」
.
274 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:39:37 ID:vYplbEBU0
('、`*川 「カレと会って、たくさん話をして、よーくわかったことがある。
モララー先輩はね……」
゙ζ(゚-゚*;ζ 「う、うん」 ゴクリ
(/、/*;川 「そ、その、さ」
(-、-*川 「カッコいいのはもちろんだけど、それだけじゃなくって。
本当に優しくて。
すっ……ごくいい人だったんだ」
ζ(゚-゚*;ζ (……)
全然気づかなかった。
ペニちゃんは、私の知らないモララー先輩を、知っている。
('、`*川 「昨日応援に行ったとき、先輩、チラッとこっちを見たでしょ?」
(((・∀・ )゙ 『 ── 』
ζ(゚、゚*;ζ 「あ、うん」
('、`*川 「カレも私も、周りに人がいた手前、話すことはできなかったけど……。
あの視線、たぶん私に向けてのものだったんだと思う」
ζ( - i|iζ 「───!」
.
275 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/21(土) 18:41:34 ID:ggFStVgMO
すごく、きついです
276 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:42:37 ID:vYplbEBU0
('。`*川 「ふう……でもまあ、上手くいくなんて思ってないの」
ζ(゚-゚i|iζ 「……え?」
(-、-*川 「ようやく決心がついたんだ。 でも、それだけ。
ダメ元ってのはわかってる。 玉砕覚悟ってやつ?」
('、`*川 「先輩、今はカノジョいないらしいけど──。
魅力的な人は周りにわんさかいる」
ζ( - *ζ 「ペニちゃん……」
('、`*川 「……うん」
(-、-*川 「相談っていうか。 誰かに聞いて欲しかったんだ」
明後日、ここでペニちゃんは告白する。
── モララー先輩に。
ζ( ロ iliζ 「あ、あの!」
('、`*川 「え?」
.
277 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:44:13 ID:vYplbEBU0
ζ( 、 iliζ「…………」
ζ( 。 iliζ 「……頑張って。 その……告白」
゙(゚、`*川
(-、-*川
('ー`*川 「ありがと」
ζ(^ー^i|iζ
※ ※ ※
.
278 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:45:20 ID:vYplbEBU0
ショックだった。
ペニちゃんがモララー先輩のことを本気で好きだったなんて。
きゃあきゃあ騒ぐだけの、周りのコたちと違って。
先輩と実際にお話して。
私の知らないところで、親密な関係を築き上げていたなんて。
私の知らないモララー先輩を、
たくさん知っていたなんて。
.
280 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:46:23 ID:vYplbEBU0
ペニちゃんの言うとおり、カレの周りには、たくさんの女の子がいる。
キレイな娘もいっぱいいる。
でも。
でも、もしも先輩が。
── ペニちゃんのことを好きだったとしたら。
.
281 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:47:06 ID:vYplbEBU0
ζ(;-;*ζ 「……」
(*‘ω‘ *) 「どうしったぽ? ご主人、元気を出すっぽ」
勝てない。
かないっこないよ。
私。
ζ(;д;*ζ 「わ、たし、私……」
── 奇跡でも、起きない限り。
.
282 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:47:59 ID:vYplbEBU0
※ ※ ※
('A`) 「おーい、モララー」
( ・∀・) 「ん?」
('A`) 「なんか……お前にお客さんだぞ。 女の子」
( ・∀・)゙ 「mjd?」
('A`) 「お前……いったい何人の女をたらしこめば気が済む……?」
(; ・∀・)ノシ 「へ? いっ、いやいや」
.
283 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:48:35 ID:vYplbEBU0
('A`) 「アレか……? 女を吸い込むブラックホールか……?
この……バミューダ野郎……!」
(; ・∀・) 「べ、別にそんなんじゃないって!
で? 相手はどこ? 誰?」
('A`) 「……誰かは知らん。
教室の入口。 一年生」
((( ・∀・) 「りょーかい! すぐ行く!」
('A`) 「リア充乙」
('A`)
('A`) 「氏のう……」
※ ※ ※
.
285 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/21(土) 18:49:29 ID:.Tn74H66O
ドクオ頑張れ超頑張れ
284 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:49:11 ID:vYplbEBU0
( ・∀・)゙ 「えーと、あっ」
放課後。
明くる日の放課後。
( ・∀・)ゞ 「ひょっとして、僕を呼び出したのって──」
( ・∀・) 「今から? 校舎裏の?
……わかった。 行こう」
明後日ではない、放課後。
((((・∀・ ;)彡 「倉庫の裏か。 ここ全然人来ないから、ちょっと怖いよね」
( ・∀・) 「それで、話って?」
つまり──告白する日の、前日。
.
286 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:50:03 ID:vYplbEBU0
ζ(゚ロ゚*;ζ 「は、は、はいっ、その……」
私はとうとう、行動に移してしまった。
── モララー先輩を、校舎裏の倉庫の影へ、呼び出したんだ。
ζ( 、 *ζ (これは裏切りじゃないの、裏切りじゃない、裏切りじゃ──)
何度も自分に言い聞かせる。
( ・∀・) 「確か君は、ペニちゃんの友達の、デレちゃんだよね」
Σζ(/ロ/*;ζ 「ほへ!? は、はいぃぃっ!」
先輩は、私の名前を知ってた!
なんというサプライズ。
おもわず、手に抱えた 【 それ 】 を取り落としそうになる。
.
287 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:52:16 ID:vYplbEBU0
ζ(゚△゚*;ζ 「あの、あの、そうです。 私、放送部の」
心臓はバクバク。
手汗だらだら。
( ・∀・) 「もちろん覚えてるよ。 サッカー部のインタビューで……」
Σζ(/◇/*ζ 「はわ!? そ、そそそそうれす!」
ダメ元なんだ。
友達として、ペニちゃんと後悔のない付き合いを続けていくためには。
( ・∀・) 「あの時は楽しかったよ!
──それで、話って?」
彼女にも、私の本当の気持ちを知ってもらわなきゃ。
真実を知ってもらわなきゃ。
だから、私は。
ここでこうして、当たって砕けておかなきゃいけないんだ。
.
288 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/21(土) 18:52:44 ID:lZVrCK2o0
血は出ないけど、ここんとこがすごく痛いんだ……
290 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/21(土) 18:53:40 ID:86PQhRog0
>>288
ちゃんと洗わないから・・・
289 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:53:33 ID:vYplbEBU0
ζ(゚ロ゚*;ζ 「ひゃい! あの、しょれは……」
……と、まあ。
色んな言い訳しているけど、けっきょく私は。
ζ( □ *;ζ 「だ、大事なお話が……あって……」
ともすれば。
親友であるペニちゃんを、出し抜こうとしている。
( ・∀・) 「うん。 それで、話とは?」
ζ( д *;ζ 「ひ……あ、の……あぅぅう」
(*‘ω‘ *) 『 恋心を芽生えさせるのは簡単っぽ。
相手の目を見ながら、ぽぽの体をぎゅっと握って 』
ζ( Ο *;ζ 「あのっ!」
( ・∀・)゙ 「うん?」
.
291 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:56:00 ID:vYplbEBU0
大きく息を吸い込んだ。
──これで、玉砕。
ずっと抱えてきた想いは、ここで終わり。
結果を隠すつもりはない。
明日には笑ってペニちゃんに話すんだ。
いや……ちょっとだけ、泣いちゃうかも。
けれど。
きっと、そうすることで。
本当の親友になれるんだ。
今よりずっと、仲良しになれるんだ。
ζ(゚□゚*;ζ 「ず、ずず、ずっ……」
……でも。
玉砕するかもしれないけど。
恋は終わっちゃうかも知れないけれど。
できることなら──私。
(*‘ω‘ *) 『 好きになれ好きになれ、と唱えることっぽ 』
……叶うのなら?
.
292 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:57:15 ID:vYplbEBU0
ζ(///*ζ 「ずっと前から、も、ももモララー先輩のことが……
すっ、好きでした!」
( ・∀・)
ζ(/ロ/*ζ 「わ、わ、わわわわわわ……私なんかじゃ……ダメでしょうけど……」
( ∀ )
ζ(>ロ<*;ζ 「わ、私っっっ!」
顔を上げる。
視線が重なる。
ぽぽちゃん人形を、汗まみれの両手でぎゅっと握り締める。
好きになれ、好きになれ、好きになれ!
.
293 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:58:28 ID:vYplbEBU0
(; ・∀・) ζ(゚□゚*;ζ
モララー先輩。
どうか、私を。
私を、私のことを、好きになってください。
『 お願いします。 私と付き合ってください! 』
その時。
私の全身を、電撃が駆け抜けた。
.
294 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 18:59:55 ID:vYplbEBU0
( ∀ )
( ∀ ) 「い……い……」
ζ( ロ *ζ
───── え っ 。
(* ・∀・) 「い───やッっっっっっっっっほおおおおおおぉぉぉぉぉおお!!」
ζ( □ *ζ
───── 信じられなかった。
(* ・∀・) 「つッ! 付き合うッ! 絶対に付き合うともおおおおおおおッ!!」
───── な ん だ 、 こ れ 。
.
295 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/21(土) 19:01:26 ID:lZVrCK2o0
モララーwwww
296 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 19:01:31 ID:vYplbEBU0
ζ(゚□゚*;ζ 「…………」
ζ(゚□゚i|iζ 「──な、な……?」
なぜなら。
私。
(* ・∀・) 「デレちゃん! よく言ってくれたね!
僕はずっと前から君を好きで好きでしょうがなかったんだ!」
ζ( △ i|lζ 「───??????????????」
【 好きでもなんでもない人に 】
【 告白してしまってたから 】 。
.
297 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 19:02:51 ID:vYplbEBU0
(* ・∀・) 「僕はいつも君を見ていた。
他のヤツに悟られないように、いつもいつも。
気づけば君を目で追っていたんだ」
ζ(゚д゚*ζ (う、嘘っ。 私……あれえ?)
ζ(゚-゚*;ζ (どうして? 私、なんでモララー先輩のことを好きになっちゃったんだろう?)
その時。
私の脳裏に、ペニちゃんの言葉が蘇った。
('、`*川 『 ──あれ。 以前はあんた、別にー……って感じだったじゃない 』
ζ(゚д゚*;ζ (そうなんだ。
以前からモララー先輩の話は聞いてたし、
学校で見かけたことも何度かあった)
.
298 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 19:04:33 ID:vYplbEBU0
(* ・∀・) 「どんな方法を使っても、手に入れたいと思っていた」
ζ(゚-゚*ζ (けど私、サッカー部にインタビューするまでは、好きでもなんでもなかったの。
あの日以来なの。
先輩が好きで、いても立ってもいられないようになったのは)
('、`*川 『 ──どんな心境の変化? 』
ζ(゚、゚*;ζ (わからない。
今ここでそれを思い出したのも、冷静に考えられるようになったのも。
まるで───夢から覚めたみたい)
(* ・∀・) 「そうなんだよ、放送部のペニちゃんに近づいたのだってね──」
体から力が抜けていく。
ぽとり。
私の手から、何かが転げ落ちた。
Σ( ・∀・) 「────!?」
(; ・∀・) 「信じられない! あ、あの薄汚い、【 あれ 】 !」
ζ(゚o ゚*;ζ 「!?」
.
299 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 19:05:41 ID:vYplbEBU0
モララー先輩の視線の先を追う。
そこには、私が取り落とした──ぽぽちゃん。
(; ・∀・) 「 【 あいつのおかげだったのか 】 !」
恋を叶える、毛糸のアイテム。
(*‘ω‘ *) 『 新しい恋を願ったら、前の願いは上書きされて消えちゃうっぽ 』
私が拾ったおにんぎょう。
Σζ(゚ロ゚i|iζ (───まさか!)
上書きされた、一つ前の願い。
(; ・∀・) 「あの人形の言ってたことは、本当だったんだ!」
── 【 前の持ち主の 】 願い。
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300 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 19:06:51 ID:vYplbEBU0
ζ(゚Ο゚i||iζ 「ひょっとして、ぽぽちゃん人形を捨てたのは────」
(;* ・∀・) 「叶った! 僕の願いが! ヒャッホウ!」
( ´∀`) ( ・∀・) ('、`*川 ζ(゚、゚*ζ
( ´∀`) ( ・∀・)゙ ('、`*川 ζ(゚д゚*ζ !?
( ´∀`) ( ・∀・) ('ヮ`*川 ζ(///*ζ
ζ( д i|lζ (インタビューの日、ぽぽちゃんに恋の成就を願ったのは!)
── モララー先輩。
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301 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 19:07:52 ID:vYplbEBU0
ζ(゚□゚i|iζ 「…………」
私の想いは、
ずっと抱えてきた恋心は、作られたものだった。
他でもない、先輩の手によって。
(;* ・∀・) 「君の話し声、髪型、うなじ、肩、胸……腰尻脚まゆげ鎖骨肩甲骨!
そしてそのくりんとした瞳!
た、たまんない、たまんないよ!」 ハァハァ
ζ(゚、゚i|iζ 「───!」
モララー先輩の様子がおかしい。
しきりに視線が泳ぐ。 汗だくで、顔が真っ赤だ。
((ζ(゚д゚i|iζ 「…………」
三(;;・∀・)つ 「待って!」 ガシッ
Σζ(゚ロ゚*;ζ 「きゃっ!? は、離してください!」
(;;;・∀・)つ 「どうして? 今日から君は僕の彼女だよ!?」 ハァハァ
後ずさりしようとした私の手を、先輩が掴んだ。
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302 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 19:09:06 ID:vYplbEBU0
(;* ・∀・) 「前からこんなに好きだったのに!
実際に目の前にすると、もっともっともっと好きで! もう僕おかしくなりそう!
好きな気持ちが膨れ上がって、心臓が爆発しそうだよ!」
ζ(>□<i|iζ 「やっ、やめて、離して!」
『 ぽぽのチカラは、その好感度を5段階くらい繰り上げてやることっぽ! 』
Σζ(゚д゚i|iζ (先輩が、元々私のことを好きだったのなら……)
(( (;;;・∀・) 「もう我慢できない! 全てが愛しい愛苦しいそそる!
たまんない! 欲しい! 欲しいんだ! 今すぐに君が!」
(( ζ(;-;*ζ 「いやっ! 私、あなたのことなんて好きでもなんでもない!」
先輩は息を荒げて迫ってくる。
(;;; ∀ ) 「美味しそう……!」 ジュルリ
Σζ( д i|iζ 「……ひっ」
『 嫌いは好きに、好きはもーっと好きに 』
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303 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 19:10:01 ID:vYplbEBU0
(;;;゚∀・) 「へへっ、ひへへへえ!」
Σζ(;Ο;i|iζ (そ、そうだ、ぽぽちゃん!)
(*‘ω‘ *)
(;;;゚∀・) 「しゅごおおおおおおおい! やっ、柔らかいなあああああああ!!」
ζ(;ロ;*ζ 「たすけてぇ! ぽぽちゃん、おねがい!」
(*‘ω‘ *)
ζ(;□;*ζ 「どうして!? 何か言ってよ、ぽぽちゃ……」
(*‘ω‘ *)
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305 : ◆FAK4iy85GI:2011/05/21(土) 19:10:41 ID:vYplbEBU0
(( (; ・∀。) 「ひ、ひゅへへへっっっっっ」
ζ(;△;i|iζ 「!!」
三三三(; ∀ ) 「ひへへへへへへへへへへ!!」 ガバッ
Σζ(;д:*ζ 「いッ───!?」
『 いやああああああああああああああああああ…… 』
(*‘ω‘ *)
- 終 -
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