651 名前:(^ω^)達は都市に生きるようです・ドクオ編 :2006/03/28(火) 02:28:31.36 ID:9krXY+lMO
俺はドクオ、都会に住む『大多数の無名の人々』の中でも下層の一人だと自分では思っている。
カッコつけて無理して都会に住み、バイトで日銭を稼ぎ、大した刺激もなく、そんな日々が続くのだろう、
だけどそれはそれで不満は無い、内藤という愉快な仲間がいるし、バイト先のチキン屋の店長はいい人だ。
そんな俺のいつも通りの一日が始まる。
――ピピピピッ!ピピピピッ!
('A`)「ん……、ああ、朝…か…」
('A`)「目覚まし、結構早くにあわせてたんだっけな。まあいいや、朝飯食ったらパソコンでニュースくらいチェックしていくか」
結構、俺はガキの頃から目覚めは良い方だと自負している、都会で暮らすのに得な体質で良かった、といつも思う。
(;'A`)「朝飯っつってもカロリーメイト(ベジタブル)しかないんだっけ…。」
( )'A`)「………(モソモソ)」
(; )'A`)「なんか…むしょうに悲しくなって来るな…」
狭い部屋で一人、モソモソとカロリーメイトを食べる自分が急に情けなく思えて来る、
とにかく何かしない限りこの情けなさは続くと思った俺は予定通りニュースをチェックする事にした。
652 名前:(^ω^)達は都市に生きるようです・ドクオ編 :2006/03/28(火) 02:29:25.71 ID:9krXY+lMO
カチッ
('A`)「えーと、ニューストピックスは…と」
('A`)「ライプドアの社長逮捕…どうでもいいな。」
('A`)「日本メダルとったのか……、…イナ…バウアー?なんだそりゃ」
('A`)「WBC誤審?野球自体興味ないからなぁ」
あまり興味深いニュースは見つからない、とうとうニュースに飽きてしまった俺は暇潰しの方法を考える。
する事は無いけど時間はあるのだ。
('A`)「……!そうだ、ニュースが駄目なら…。」
カタカタカタ
画面上に浮かぶ文字、それは変換されて一字になる。
('A`)「『噂』でググッてみたらどうだ?」
カチ
('A`)「お、ヒットするヒットする」
取りあえず大量の検索結果の中から一つをクリックしてみる。
('A`)「なんだこれ…『某ハンバーガショップの噂』…?」
そこにはそういう題で黒い背景に映える白い字でテキストが書かれていた。
('A`)「要するに『某有名ハンバーガショップで男の子がハンバーガーを頼んだら肉に混じってミミズが沢山入っていました。
店長にその事を伝えたところ、裏口に呼ばれて口止め料を渡されたそうです』って事か」
(;'A`)「ミミズ………。マジかよ…。安いってのは怖いんだな…。」
653 名前:(^ω^)達は都市に生きるようです・ドクオ編 :2006/03/28(火) 02:30:17.03 ID:9krXY+lMO
('A`)「おっと、そうこうしている内にもう時間か」
('A`)「まあこんなの噂なんだろうけどな」
俺は言い聞かせる様にそう言った後、パソコンを消して立ち上がる、そして薄いジャンパーを羽織って玄関のドアを開ける。
('A`)「さて、今日もほどほどに頑張りますか。」
バタン、と背後でドアが閉まった。
655 名前:ドクオ編 :2006/03/28(火) 02:33:21.17 ID:9krXY+lMO
〜バイト先〜
('A`)「おはよーございまーす」
(´・ω・`)「やあ、ようこそチキンハウスへ…って、ドクオ君か。早く着替えちゃって、もうすぐ開店だから」
('A`)「わかりましたー」
俺はさっさと着替えるために奥へ行く。
この小さいチキン屋は俺と店長二人だけで切り盛りしているので、開店すると忙しい。
でもその分高給だから、俺はこのバイトが好きだ。
('A`)「それじゃあ店長今日もヨロシクお願いします。」
(´・ω・`)「うん、頑張ってね」
制服に着替えた俺は、ふとカウンターに立ちつつ開店時刻を待つ店長に今朝知った噂を話して見る。
なんとなく、暇潰しになるかと思ってだ。
('A`)「…って噂があるんですよ、安いって怖いですねー」
(;´・ω・`)「あのね、ここも一応安いのをウリにしてんだからね」
(;'A`)「そうでしたっけ?スイマセン」
656 名前:ドクオ編 :2006/03/28(火) 02:34:10.63 ID:9krXY+lMO
(´・ω・`)「まあ裏で皆何やってるか分からないってのはあるよね」
('A`)「怖い世の中ですねー…」
と、ちょうどのタイミングで開店のベルが鳴る。
カラコロカラコロ…
(´・ω・`)&('A`)「いらっしゃいませー!!」
忙しい一日が始まる。
(;'A`)「フゥ…前半戦終了ですね」
(´・ω・`)「そだね。一回閉めるから、下準備始めてね」
この店は夕方に一度閉店し、そのスキに追加の下ごしらえをする。
そして夜の客に備えるのだ。
(´・ω・`)「僕は機械の掃除と客席の整備やるから、チキンはお願いね」
('A`)「はーい。」
奥の部屋で肉を解凍して、ある程度チキンを作り、また、すぐにチキンに出来る様に肉を用意しておく。
('A`)「胸肉はこっち…腿はこっちで、手羽先はこっちだな」
肉の部位が一つのパックにバランス良く行き渡る様に肉を分けるのも仕事だ。
('A`)「よーし!仕分け終わり!」
仕事が終わってやる事が無くなる。
俺はボーッとチキンを眺めていたが、何か奇妙な感覚を覚える。
(;'A`)「ただのチキン…だよな?」
やがてそれが違和感である事に気付いたドクオはその原因を探すべく、チキンをよりじっくり眺める。
!Σ('A`)「……!」
658 名前:ドクオ編 :2006/03/28(火) 02:34:48.33 ID:9krXY+lMO
(;'A`)「腿肉が…多い?」
そうなのだ、胸肉一つに対して二つの腿肉のハズなのだ。
…しかし…腿肉は圧倒的に多い、その比率を無視しているのだ。
(;'A`)「胸肉を捨ててる…なんて事ないよな、一体なんでだろう?」
冷凍室の中の肉の比率もこうおかしいのだろうか?
好奇心が膨らみ出す、そしてそれはドクオの中で押さえ切れない大きさにまで成長してしまった。
(´・ω・`)「♪機械の油を拭き取りんぐ〜」
('A`)「店長は機械掃除に夢中だしな」
('∀`)「俺は立ち入り禁止だけど…冷凍室一回いってみるか!」
ドクオはこっそり懐中電灯を持って店の更に奥へ進んで行った。
カツーンカツーン
やたらに涼しく、暗くなってくる。
懐中電灯を持って来て良かった、とにかくとっとと確認して戻ろう、
店長に見つかったら怒られてしまうだろうし。
('A`)「よーし、ここが入口か」
ギギギギギ……
重たく、冷たい扉をドクオは引っ張り、開けた。
('A`)「うっ…寒っ…!!!」
660 名前:ドクオ編 :2006/03/28(火) 02:37:23.81 ID:9krXY+lMO
('A`)「えーと、肉はあそこの棚か。」
冷凍室の奥へ進むドクオ。
ドアは開けっ放しだ。
('A`)「この棚か?」
懐中電灯で照らす。
光の中に、見覚えのある肉の色が浮かぶ。
しかし、形は……。
(;'A`)「なっ!なんだこりゃあ!」
棚の中にズラリと並んでいたのはチキンである。
…全て四本足の。
(;'A`)「品種…改良?」
驚愕し、恐怖するドクオ。
自分はこんな不気味な肉を毎日触り、客はそれを食べていたのだ。
(;'A`)「こんな…こんな鶏が…」
(´・ω・`)「驚いたかい?」
突然背後で聞き慣れた声がする。
(;'A`)「ッ!!」
声が出せないドクオをほっておいて、店長は話を続ける。
(´・ω・`)「そういう事なんだ。」
(´・ω・`)「でもさ、言っただろう」
(´・ω・`)「皆裏ではね、何やってるか分からないんだよ」
(´・ω・`)「そういう社会なんだ」
(;'A`)「………」
懐中電灯の光は異形のチキンを照らし続ける。
一刻も早く目を逸らしたかったが、ドクオにはどうしても振り向く事が出来なかった。
(´・ω・`)「君は…クビだね。残念だけど」
(^ω^)達は都市に生きるようです・ドクオ編「完」
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