163 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/07(金) 21:34:31.68 ID:p9D9a3mVO
休息を初めてから、僕はこの場から動けないでいた。
肉体的な疲労もそうだが、精神的な疲労が僕を蝕んでしまっている。

「後、三人かお……」

三人。
その事実が大きく重く僕の心にのしかかった。
果たして今の状態で、三人の人間を殺せるか。

どくお、荒巻、そして、ツン。

殺人クラブのノートによればツンは僕の事が好きだという。
それに気付かなかった僕に殺意を抱いた。

「むちゃくちゃ、だお」

僕の口から自嘲の笑いがこぼれた。
ツンに逢ったら、何て言おうか。
ツンの唇の感触が甦る。
無性に、ツンに逢いたかった。
ツンならば僕は殺されてもいいとさえ思う。
どうせ僕はもう人殺しなんだ。
そうだよ、ツンに殺されよう。


165 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/07(金) 21:35:49.22 ID:p9D9a3mVO
僕はのろのろ立ち上がり、ツンの居場所に向かう事にした。

旧校舎、二階北の女子トイレ奥から二番目。

確信があった。
ツンはここに居る。

だが、居たのはツンじゃなく、陰欝な顔。

「ぬらりひょんには会えたかい?」

こいつは。
僕の決意を踏み躙った。
許さない。

僕の八つ当りの力を乗せたバットは、どくおの顔面をあっさり潰した。

「……ツン」

僕は天井で見えない夜空を仰いで、愛しい人の名を呟いた。

僕は再び動きだす。
毒なんて時間切れは許せない。
ツンに殺されてやるのだ。
残り時間、一時間半。


167 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/07(金) 21:38:26.72 ID:p9D9a3mVO
解毒剤が、無い。
図書館倉庫の棚を、手当たり次第に引っ繰り返した。
体育館も隅から隅まで探した。
それでも、無い。
残る場所は、校門横の校長像。

もしかして、僕は見当違いの場所を探しているのか。
だが、すでにそんな事を言っている時間はない。
一縷の望みを賭けて、僕は玄関を出た。

「荒巻……!」

校長像にもたれかかった荒巻が僕に顔を向けた。

「部長を呼び捨てかい?内藤よ」

誰が部長だ。
キチガイめ。

「解毒剤をよこすお!」



168 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/07(金) 21:42:35.54 ID:p9D9a3mVO
荒巻が思い出したように、ああ、と呟いた。

「ツンだよ。あいつが持ってる」

それだけ言うと、荒巻は崩れ落ちた。
よく見れば、荒巻の足元には血溜りができている。

「あいつ…俺達を裏切りやがった」

その顔は、すでに死人だ。

「ツンはどこだお!?」

僕の言葉に荒巻は何も答えなかった。
すでに息絶えている。

ツンは、どこかにいる。
でも、一体どこに。



169 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/07(金) 21:43:26.30 ID:p9D9a3mVO
僕は今日の話を必死で思い返した。

どこかに見落としをしているのか。
今日話で出た七不思議は、なんだった。
考えろ。

「あっ……!?」

そうか。
僕はまだ六つの場所しか回っていない。
七不思議とは無関係だと思っていた場所。
そこは。

僕はバットを捨てて全力で走り出した。

残り時間、五分。


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