738 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/08(水) 06:14:53.74 ID:tW9KLcLlO
( ^ω^)「ひいっ、じゅ、住職!」
(´・ω・`)「撫云、ここは寺だ…
死ぬのは恐くない。すぐに天国へ行けるさ…」
腰を抜かしつつも、撫云は後退り戸に手をかけた。
しかし、
(´・ω・`)「どこへ逃げるというのだね?ここは山の奥深く。
こんな嵐の日に、誰が助けてくれる?」
無情な処梵の声に、
撫云の手は止まってしまう。
739 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/08(水) 06:16:58.86 ID:tW9KLcLlO
( ^ω^)「僕はまだ死にたくないお!
命だけは…なんでもするから、命だけは助けてくれお!」
(´・ω・`)「なんでも、だな?」
処梵は取り出した物を腰の辺りにしまいこみ、
言った。
(´・ω・`)「撫云、お前はこれから人殺しだ。」
( ^ω^)「どういう…ことだお?」
(´・ω・`)「さっきから阿弥陀像の横…
賽銭箱の所に誰かいるようでね。大方賽銭泥棒だろうが…」
( ^ω^)「そいつを…殺せ…
処梵が言い終える前に、
賽銭箱の後ろから黒い影が飛び出してきた。
( ^ω^)「あっ、待て!」
741 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/08(水) 06:22:26.81 ID:tW9KLcLlO
撫云が追おうとするが、
処梵が制する。
(´・ω・`)「待て!撫云!良いんだ、そのまま動くな。
…出て行ったようだな。もう大丈夫だ。」
処梵の言葉の通り、
開け放たれた戸の向こうには漆黒の闇があるばかり。
(´・ω・`)「騙して悪かったな。
全て作り話だ。」
( ^ω^)「…へ?」
腰を抜かしたままの撫云、
顔も間抜けなものだった。
742 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/08(水) 06:25:38.26 ID:tW9KLcLlO
処梵は語る。
(´・ω・`)「独男が死んだのは、本当に病のせいだけだ。
蝋燭は普通の物。
そしてこいつも、ほら、扇子だ。」
処梵は腰の辺りを探り
金箔入りの扇子を取り出した。
(´・ω・`)「疑心暗鬼ってやつだな。
恐がっていると、なんでも無いものでもおどろおどろしく見えてしまう。」
( ^ω^)「はー、てっきり刀か何かと…」
(´・ω・`)「泥棒相手に、刀でもあれば良かったんだが。
丸腰ではどうなるか分からんし、策略でお引取願ったって訳だ。」
743 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/03/08(水) 06:29:45.48 ID:tW9KLcLlO
( ^ω^)「見事に騙されて、僕も泥棒もびっくりだお」
腰がやっと直ったのか、
撫云は立ち上がり戸を閉めた。
(´・ω・`)「さて…」
( ^ω^)「飲み直すお!
独男と阿弥陀様に…」
(´・ω・`)( ^ω^)「乾杯!」
〜了〜
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