253 名前:( ^ω^)ブーンが一人暮らしをしたようです【起】 :2006/01/24(火) 15:44:02.79 ID:p34cxD580
話の発端は母の一言からだった。
毎日働きもせず、家でごろごろしているブーン。特にすることもなく一日を消費する。
そんなブーンは母に頼りっぱなしであったが、ある日のこと…

J(#'ー`)し「そんなにわがまま言うなら一人暮らしでもしなさいよ」

ブーンの母は威圧するように、仁王立ちでブーンに怒鳴った。
普段優しい母に慣れていたせいか、目を丸くしたまま呆然とするブーン。
手に持っていたポテチは行き場を無くした様に床に落ちた。しばらくしてブーンは言い返した。

(#^ω^)「上等だお! やってやるお!!」
J( 'ー`)し「どうせ三日坊主になるだけだよ」
(#^ω^)「やってみなきゃ分からないお! こんな家出て行ってやるお!!」

勢いそのままに一人暮らしの提案を飲み、一週間、仲直りせぬまま事が進んだ。

( ^ω^)「…ここが僕の新しい城かお」

六畳一間、壁も張り替えてあり白くきれいな部屋の中でブーンはつぶやいた。
右手は握りこぶしをつくっており、一人暮らしに対する気合が見て取れる。
ついにブーンの一人暮らしが始まったのだ。


254 名前:( ^ω^)ブーンが一人暮らしをしたようです【承】 :2006/01/24(火) 15:45:59.10 ID:p34cxD580
( ^ω^)「まずはバイトを始めるお。初めてだからドクオと一緒の所がいいお」

意外にも、すぐにドクオと一緒のコンビニのバイトに決まった。
夕食はコンビニ弁当をもらえるし、お金も稼げるし一石二鳥のバイトだった。

( ^ω^)「お疲れ様だお〜」
 ('A`)「ブーン…正直、おまえの事みくびってたよ。やればできんじゃん」
 ('A`)「店長も言ってたが、おふくろさんもほっとしてるだろうなって」
(*^ω^)「ドクオ。そう言われると照れるおww」

ドクオはブーンの肩をポンッとたたき、「期待してるぜ」とささやいた。

( ^ω^)「大変だけど毎日が充実してるおww一人暮らしも悪くないお」

くたくたになって帰ってきたブーンは、シャワーを浴び、濡れた格好でコーラを飲みながらそう思った。
「今頃はカーチャンも見直してる頃だろう」とほくそ笑むブーン。
コーラを飲み終えると、くしゃくしゃの布団に滑り込み、しばらくすると眠りに落ちた。
これが一人暮らしをして一週間後のことだった。
思いのほか全てがうまくいっていた。


255 名前:( ^ω^)ブーンが一人暮らしをしたようです【転】 :2006/01/24(火) 15:48:03.29 ID:p34cxD580
次の日の朝、まだ新しい目覚まし時計の大きな音が、朝日の差す冷えた部屋中に響き渡った。
今日は、初めて布団をかぶったまま目覚ましを止めた。
布団の中でうずくまりながら、次第に体が思うように動かないと気付き始めた。

( 'ω`)「今日も朝からバイト…ゴホッゴホッ…!!?」
(;'ω`)「ちょ……風邪かお? こんな時に…。電話を…」

(;'ω`)「…もしもし? 今日のバイトは風邪で休んでいいっゴホッゴホッ」
 ('A`)「マジかよ? 忙しい時になに風邪ひいてんだよ。健康だけが取り柄のヤツが」
(;'ω`)「ご、ごめんだ…お…」
 ('A`)「ま、早く治すんだな。店長には俺から言っておく。じゃあな」

それから眠るまでは地獄だった。咳が眠るのを遮り、熱が体の自由を奪った。
布団の中から出られないので、水分さえろくに取れない。
薄暗い部屋の天井を見ながら、横になっているブーンは一人暮らしの辛さをかみしめた。
誰一人として忠告もしない、自己管理が必須…自由と責任を伴う一人暮らし。
ブーンはあの時どれだけ自分勝手だったのかが分かった。

(;'ω`)「う〜ん…う〜ん……お? このタオル…」

目覚めたブーンの額には冷たいタオルが載せてあった。熱もひいていて体が楽になっていた。
「誰かが…泥棒じゃないし…」と不思議がるブーンに、ひどく懐かしい声が。

???「大丈夫かい? ブーン…」

すぐに横を向くブーン。心配そうに隣で見つめていたのは紛れもなくブーンの母だった。


256 名前:( ^ω^)ブーンが一人暮らしをしたようです【結】 :2006/01/24(火) 15:50:05.57 ID:p34cxD580
(;^ω^)「カーチャン!? どう…して…?」
J( 'ー`)し「コンビニの店長から聞いて、慌てて飛んできたんだよ」
(;^ω^)「店長が…? 知り合いだったのかお?」
(;^ω^)「…バイト先がすぐに決まったのも、カーチャンのおかげだったのかお…」
J( 'ー`)し「ごめんよ。あんたは一人でやりたかったんだろうに」
(; ω )「ううん。多分、僕一人だったらここまで続いてないお」

一粒の涙がふかふかの布団に吸収された。母の温かさがブーンを覆った。

―――数日後、コンビニにて

( ^ω^)「おはようだお!!」
 ('A`)「おう、ブーン。もう元気になったらしいな。会うのが久々な感じだ」
( ^ω^)「バリバリだお! ドクオの分も頑張るお」
 ('A`)「おいおい、俺がクビになっちまうよww」
 ('A`)「…で、一人暮らしはどうだ? うまくいってるか?」
( ^ω^)「もう一人暮らしは止めたお。当分はカーチャンと一緒に住むお」
 ('A`)「どうしたギブアップか? 情けねぇ」
( ^ω^)「なんとでも言うお。…あ、いらっしゃいませだお!」

交通量の多い道路に面したコンビニから、今日もブーンの声が聞こえてくる。


〜fin〜


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