141 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:06:19.11 ID:w2LlQKwM0
('A`)「おい、ショボン、大丈夫か?」
(´・ω・`)「ああ、すまない。それにしてもブーン、何だかやけに様子がおかしかった」
('A`)「だよな……。ま、まさかブーンのやつ……!」
(´・ω・`)「……まさか、というのは、よく当たるって言うしね」
('A`)「あいつ……」
(´・ω・`)「どうする?」
('A`)「追いかけるに決まってるだろ!」


142 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:06:46.64 ID:w2LlQKwM0
ξ゚听)ξ「どうしたのよ、さっきから惚けた顔して」
( ^ω^)「ツン……」
ξ゚听)ξ「さ、さっきからそればっかりじゃない。ほかに何か言うことあるでしょ!」
( ^ω^)「ツン……」

会いたかったツンが、目の前にいる。
夢だろうか。
会いたくて、ずっと待ち焦がれてて、大好きなツンがそこにいる……。

駆け寄り、思いっきり抱きしめた。

ξ゚听)ξ「ちょ、ちょっとブーン! 何こんな道の真ん中で……」
( ^ω^)「会いたかったお! 寂しかったお!」

抱きしめた感触は、確かにツンがそこにいることを証明していた。
柔らかい。ツンがもがくたび、衣擦れの音がした。
ツンのシャンプーの匂い。何の匂いか分からないが、心地が良かった。

涙が、堰を切ったように流れた。
ずっと流すことを忘れていた。
ショボンやドクオと再会しても流れなかった涙が、いとも簡単に流れることが不思議だった。

ξ゚听)ξ「ぶ、ブーン……泣いてるの?」
( ^ω^)「ツン、会いたかったお……!」
ξ゚听)ξ「ブーン……」

最初は僕の腕の中でもがいていたツンも、次第に僕の背中に腕を回してきた。
嬉しかった。幸せだった。こんな自分でも受け止めてくれるツンが有り難かった


143 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:08:12.07 ID:w2LlQKwM0
そのままどのくらい過ぎただろうか。
どちらからともなく腕を放し、面と向かい合った。

ξ゚听)ξ「で、何か言うことあるんじゃないの?」

ツンの意地の悪い笑顔。

( ^ω^)「あ、ただいま、だお!」

それが満面の喜びの笑顔に変わった。


おーい、ブーン!

遠くから声が聞こえてきた。

('A`)「こ、こんなところにいたのか、ブーン……」

息を切らしながら、ドクオが僕のところへ駆け込んできた。

('A`)「お前、まさかと思うけど……」
( ^ω^)「ドクオ、やっぱり嘘だったお。ツンはちゃんとここにいたお」

('A`)「……え?」

息をすることも忘れたドクオが僕を凝視した。
僕がその方向を促すと、ドクオの顔から一気に血の気が引いていった。



144 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:08:38.86 ID:w2LlQKwM0

('A`)「……ツ、ツン、なのか……」
ξ゚听)ξ「なによ、あたしがいちゃ悪いの?」
('A`)「え、いや……え、何で……え?」
( ^ω^)「まったくドクオもショボンもたちが悪いお。
       そういう冗談は顔とエイプリルフールだけにするお」
('A`)「顔は余計だろ!」
ξ゚听)ξ「あんたたちコンビ、全然変わってないわね」
( ^ω^)「もちろんだお、当然だお!」
('A`)「いや、それよりも、一番気になるのは、何でツンが……」

(´・ω・`)「おい、ドクオ、見つかっ……え?」
ξ゚听)ξ「ショボン……」
( ^ω^)「ショボン、さっきはごめんお。こんなことだと分かってれば、あんなに」

(´・ω・`)「誰だ、お前」

ショボンの冷めた一言は、セミたちの鳴き声を物ともせず、僕の耳に届いた。

( ^ω^)「誰だって、ツンだお。ショボン、忘れたのかお?」
ξ゚听)ξ「あんたね、最近会ってなかったからって、誰だはないでしょ!」
(´・ω・`)「……ふざけるな」


( ^ω^)「え?」

(´・ω・`)「ふざけるな。お前は僕たちが、僕が殺したんだ。何でここにいるんだ。
       さっさと死ねよ、ツン」


145 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:09:25.25 ID:w2LlQKwM0
ショボンはいつもどおりの無表情な顔で、しかし声は明らかな怒りを孕み、大きく震えていた。
当然、僕には意味が分からなかった。

( ^ω^)「ショボン、何言ってるお! 酷いお! ツンに謝れお!
       それにさっきから死んだとか殺したとか!
       意味が分からないお!」

(´・ω・`)「認めない。僕は認めない。ツン、お前は死んだんだ。僕が殺したんだ」

('A`)「ショボン、もういいじゃないか。ツンはこうして生きてた。
   その事実をまっすぐ見ればいいじゃないか」

ドクオがまたもや仲裁にはいる。
ツンは俯いていて、その表情は見て取れない。

(´・ω・`)「……ドクオ、事実をまっすぐ見るのは君のほうだ。
       僕たちが、ツンを殺したんだぞ。勝手に殺したんだ。
       なのに生き返っただって? 虫が良すぎるよ、そんなの」
('A`)「ショボン……」

ショボンの言うことは、僕にはさっぱり理解できなかった。
殺した? 死んだ?
ツンはここにいて、息もしていて、感触もあるじゃないか。
生きてるじゃないか。
ここに存在してるんだ。
何を言ってるんだ、ショボンは。

( ^ω^)「ショボン、君の言うこと、さっぱり分からないお」
(´・ω・`)「ブーン……」
('A`)「……」


146 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:10:03.69 ID:w2LlQKwM0
沈黙だけが、僕たちの間に渦巻いた。
セミの声は、もう耳には届かない。
風のささやきも、小川のせせらぎも。

ツンは俯いたまま、何一つ言わなかった。
もしかして泣いているのだろうか。
友人にここまで言われたんだ。
悲しいに決まってる。
勝手にいないことにされて……。

その沈黙を最初に破ったのは、ショボンだった。
ショボンは意を決したように、はっきりと言った。


(´・ω・`)「もう僕は、君たちの仲間にはなれない。さよなら」


それだけ言い放つと、ショボンは僕たちに背を向けて歩き始めた。

('A`)「ショボン……」
( ^ω^)「さっぱり分からないお……」

ふと、ツンのことが心配になった。
訳の分からないことばかりだったが、ツンが悲しんでるのは確かだ。



147 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:10:41.37 ID:w2LlQKwM0
( ^ω^)「ツン、大丈夫かお?」
ξ゚听)ξ「……だ、大丈夫よ! 大丈夫に決まってるでしょ!」
('A`)「ツン……」
ξ゚听)ξ「なによ、ドクオ」
('A`)「ごめんな、ツン。ごめん……」
ξ゚听)ξ「ドクオ……」
( ^ω^)「そういえば、ショボンは僕たちがツンを殺した、なんて言ってたけど、
       僕たちっていうのはショボンとドクオだお?」
('A`)「あ、ああ……でもいいじゃないか、そんなこと。
   ほんの冗談だよ。ショボンは冗談のキリってのが分かってないから困る。
   あとでちゃんと謝るように言っとくよ」
( ^ω^)「やっぱり冗談だったお?」
('A`)「あ、当たり前じゃないか!」
ξ゚听)ξ「ホントあんたたち、しばらく会わないうちにとんでもない奴らになったわよね!」
('A`)「だ、だからごめんって……」

ξ゚听)ξ「まぁ、今回だけは特別に許したげるわ。
     ねぇそれよりブーン。向こうにいたときの話してよ!」

ずっと俯いていたわりには、ツンはこちらが呆気に取られるほど元気だった。
本当に悲しんでいたか、ちょっと疑わしくなってくる。
それくらい、前と変わらない元気だった。
結局ただの取り越し苦労だったのか。


148 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:11:02.08 ID:w2LlQKwM0
( ^ω^)「いいお。まず外国って、すごいいっぱい外人がいて……」

それから、色々ま話をした。
友人はどんなのだったとか、向こうでやった楽しい遊びとか聞かれたが、
はぐらかしたり、嘘をついたりした。
僕には友人などいなかったから。

こうしてドクオやツンと話していると、本当に彼らのことが大好きな自分に気付いた。
僕の話を聞いてくれてる。
僕と遊んでくれる。
僕を無視しない。
最高だ。
大好きだ。
ずっとずっと、一緒にいたい。
ショボンとも話したかったが、仕方ない。明日ゆっくり話そう。
時間はまだまだ、限りなくあるんだから。


(´・ω・`)「馬鹿野郎……僕たちは、このままじゃダメなんだ……」


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