499 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/05(水) 19:37:08.38 ID:CZLhXZBoO
目を覚ますと、そこは新聞部の部室だった。
空席は七つ。

「一体、なんだったんだお…?」

酸欠からの復帰の為か今だに働かない頭を振りつつ、僕は立ち上がり、周りを見渡した。
変わった所は…机の上に古びたノートと懐中電灯。
ノートの表面は擦れていてよく分からないが、書いてある事は予想できた。

【殺人クラブ】と。



500 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/05(水) 19:40:58.26 ID:CZLhXZBoO
背筋に悪寒が走った。
僕は、殺人クラブに選ばれたのか…?
震える手でノートを一枚めくる。

【殺人クラブ規定】

一、標的は、クラブ員全員の恨みを受けている事。

二、標的が生き延びてしまった場合、標的は永遠に解放する事。

三、標的の通知はこのノートを以てする事。

四、制限時間は三時間迄。

五、解毒剤の在処は決して口外しない事。

六、うらみっこなしよ。

一項目から五項目までは綺麗な毛筆。
だが、六項目になるとボールペンに丸文字。
明らかに追加。
なるほど、もうゲーム感覚で殺人クラブを楽しんでいるのがわかる。



501 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/05(水) 19:43:48.69 ID:CZLhXZBoO
冗談じゃない。
殺される身にもなってみたらどうだろう。
僕はいらつきを押さえページを飛ばした。

写真に、何か文章が書かれていることが分かる。
その最後のページに、見慣れた顔があった。

【内藤ホライゾン】
【標的の理由】

僕は…一体なぜ殺されなければいけないんだろう。
もしかすると、僕は知らない内に殺されてもしょうがない罪を犯してしまっているのか。



502 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/05(水) 19:45:09.87 ID:CZLhXZBoO
ジョルジュ長岡:日課の体操中、白い目で見られた。
…なんだこれは?あんな変な体操、みんなだって白い目で見ていたはずだ

クーデレ:妹を殺された。

妄想も甚だしい。

どくお:購買にて順番を抜かされた。

覚えが無い。

モナー:朝挨拶したのに無視された。

同じく、覚えが無い。

ショボン:態度が生意気。

今日、初めて会ったのに?

ツンデレ:私の気持ちに気付かなかった。

馬鹿な。
彼女が僕の事を好きなら喜んで付き合いたいのに。

荒巻:俺の地位を狙っている。

このノートに荒巻部長の名が出てきても、僕は不自然だとは思わなかった。



503 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/05(水) 19:46:58.82 ID:CZLhXZBoO
そうか…。今日の集まりは僕の為に開かれたのか。

こいつらは狂っている。
結局は人さえ殺せれば、誰でもいいのだろう。
それが、僕だった。

「死にたくないお…」
僕は思わず呟いていた。
だが、その行動は僕の崩れかけた心を奮い立たせる。
そうだ。
僕はまだ死ねない。
人並みだけど、僕はこれまで幸せだったんだ。
それがこんな不条理な理由で、奪われる訳にはいかない。

僕の復活しつつある思考は、極限状態の為研ぎ澄まされ、フル回転で稼働し始めた。



504 :( ^ω^)殺人クラブ:2006/04/05(水) 19:48:48.79 ID:CZLhXZBoO
生きる為にはどうしたらいい?
―解毒剤を手に入れる。

残り時間は?
―およそ、二時間四十五分。

解毒剤の在処は?
―さて。

僕を殺すだけならこんなまどろっこしい事をする必要はない。
僕が気絶した時に殺せばいいだけだ。

相手の気持ちになるんだ。
これは、命を賭けたゲーム。
ゲームを楽しむ為には、簡単じゃ、面白くない。
つまり、七人が一斉に襲って来る事は無い。

そして、一人一人が襲って来るとしたら…?
闇雲に標的を捜し回っても効率が悪い。ならば。

「今日の話で出た場所、かお…?」

確信は無いが、無闇に解毒剤を学校中探していては、夜が明けてしまう。

「…行くお」

僕の人生にとって、一番短い二時間半が、始まる。

残り時間:二時間半。


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