107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/12(水) 22:33:18.64 ID:kZVs3VGl0
時刻は18時前、楽屋に役者、スタッフ全員が集まる。

(´・ω・`)「いよいよ初日の公演がはじまる。みんな全力でがんばってほしい。」

そう言うとショボンはみんなを輪になるように立たせてその真ん中に手を伸ばした。

( ^ω^)「?」

ショボンの手の甲の上にみんなが手をのせていく。

( ^ω^)(あ、そういうことかお。)

ブーンもみんなの手の上に自分の手をのせた。

(´・ω・`)「よっしゃあっー!いくぞーっ!」

ショボンが大きな声で言った。

「おうっ!!!!」

みんなが気合の声と共に手を下に押した。気合いれは無事に完了した。



108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/12(水) 22:36:20.68 ID:kZVs3VGl0
気合入れも終わったブーン達は楽屋で待機状態になった。

(;^ω^)「あうあう、緊張してきたお。」

( ゚∀゚)「この緊張感がたまらんのよ。」

ジョルジュはそわそわして落ち着きがなかったが、楽しそうな表情をしていた。

('A`)「・・・。」

ドクオはイヤホンをして音楽を聴き、自分の世界に入っていた。

(*゚ー゚)「よいしょー、よいしょー。」

しぃはひたすらストレッチをしている。ツンはずっと脚本を読んでいた。

( ^ω^)(なるほど、みんないろんな方法でリラックスしたり、集中したりしてるんだお。)



109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/12(水) 22:38:19.45 ID:kZVs3VGl0
ブーンも何かしようと思い、脚本を読むことにした。

( ^ω^)(やっぱり脚本を読み込んでミスしないようにしないとだお。)

ブーンが脚本を夢中になって読み込んでいると舞台の袖の方からざわざわとした音がしはじめた。

(*゚ー゚)「あ、客入れはじまったみたいね。」

ストレッチをしていたしぃが動きを止めた。

( ^ω^)「えーと、客入れはお客さんの入場が始まったってことかお。」

( ゚∀゚)「そうだ。30分前から客入れはじまるからあと30分で本公演がはじまるな。」

(;^ω^)「そうだお。あと30分ではじまるお。」



110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/12(水) 22:39:51.78 ID:kZVs3VGl0
(*゚ー゚)「では、恒例の客席覗きを・・・。」

( ゚∀゚)「俺も俺も。」

しぃとジョルジュはそう言うと舞台の袖を隠している暗幕の隙間から観客を覗き込んだ。
暗幕に隠れているのでしぃ達は客席からは見えない。

(*゚ー゚)「あー、つーちゃん来てる。がんばらないと。」

( ゚∀゚)「うお、ニダー来るっていってたけど今日だったのか。」

小声で観客の様子を話し合うジョルジュとしぃ。
ブーンは緊張しているので脚本を読むことで気を紛らわせていた。
そして、お客は順調に集まり公演開始まであと2分となった。



111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/12(水) 22:40:55.69 ID:kZVs3VGl0
客入れの時に流す音楽が最後になった。この音楽が終われば公演がはじまる。

(;^ω^)(うおおおっ!もうはじまるお。心臓バクバクだお。)

そして、最後の音楽が終わり暗転になった。

(;^ω^)(暗転キター。はじまるお!)

暗転の中、舞台の袖で自分の出番を待っているブーンの耳元に声がした。

ξ゚听)ξ「今までどおりやれば大丈夫だから。がんばろうね。」

(;^ω^)(ツ、ツンかお?)

ブーンがツンから声を聞いてしばらくすると舞台が明るくなった。
照明が舞台を照らす。ツンは既に舞台の中央に居た。

ξ゚听)ξ「私が新世界の神になるっ!」

ツンの澄んだ声が舞台に広がった。とうとう芝居がはじまったのだ。



112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/12(水) 22:42:58.14 ID:kZVs3VGl0
(;^ω^)(もうすぐ僕の出番だお・・・。)

ブーンは舞台の袖から舞台の様子を見ていた。ジョバンニの台詞でQが登場する。

('A`)「世界探偵Qというのはあなたですか?」

(;^ω^)(よし、僕の出番がきたお。いくおっ!)

ブーンは舞台袖から舞台の中に飛び込んだ。ブーンに照らされる照明。そして、観客の視線。
全てがブーンにとって初体験だった。しかし、ブーンはパニックにならず普段どおりの演技をはじめた。

( ^ω^)「私が世界探偵と言われているQですお。」

('A`)「私はジョバンニです。世界探偵と一緒に事件を捜査できるのは光栄です。」

ドクオはブーンに握手を求めた。

( ^ω^)「申し訳ありませんが私はあなたをまだ信用していませんお。だから握手はしませんお。」

('A`)「・・・。」



113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/12(水) 22:44:40.08 ID:kZVs3VGl0
ショボンは客席の1番後ろで芝居を見ていた。

(´・ω・`)(ブーンの演技が一段とよくなってるな。ブーンは本番でさらに実力が上がるタイプか。)

照明の熱さや緊張のためだろうか、ブーンは体中に汗をかいていた。
しかし、ブーンの演技に衰えは全くなかった。むしろ生き生きとしていた。
舞台は何事も問題がなく進み、とうとうブーンの最後の台詞まできた。

( ^ω^)「VIPNOTEが恐ろしいんじゃない。VIPNOTEを使うものが恐ろしいんだ。
私達は人間の本当の恐ろしさを今知ったのです。」

そして、ゆっくりと暗転しVIPNOTEは終わった。照明がつくと役者が舞台上に並んでいた。
カーテンコールがはじまったのだ。鳴り止まないお客からの拍手。ブーンは舞台の中央で拍手を受けていた。

( ^ω^)(終わったお・・・。)

ブーンはいつの間にか涙を流していた。

金曜日に1回、土曜と日曜に2回ずつ行われた公演は無事にすべて終了した。
すべて満席でお客の評判もとてもよかった。
アンケートでの1番人気はツンで、ブーンの演技もそこそこ評判がよかった。
日曜の最終公演が終わってから舞台を片付け終えた劇団員達はオールナイトで打ち上げをした。
ブーンにとっては劇団に入ってから今日まではあっという間のできことだった。



114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/12(水) 22:48:06.19 ID:kZVs3VGl0
それから一ヵ月後。第2会議室に集まる劇団VIPの面々。輪になって座っている中でショボンが話し出す。

(´・ω・`)「まあ、1ヶ月お休みにしてたわけだけど。そろそろ次の公演の準備に入ろうかなと。」

( ゚∀゚)「次はどんな脚本なんだろうなあ。」

(*゚ー゚)「今度はセクシーな女をやってみたいわー。」

('A`)「俺は渋い役をやりたいな。」

ξ゚听)ξ「久しぶりに少年役とかやってみたいかも。」

( ^ω^)「僕は役がもらえるだけで嬉しいですお。」

その時、ドアをノックする音がした。

(´・ω・`)「おっと、その前に紹介したい人がいるんだった。
この前のVIPNOTEを見て、ぜひともうちの劇団に入りたいって子が来たんだよ。」

そう言うとショボンはドアにまで移動してドアを開けた。1人の女の子が第2会議室に入ってくる。

('、`*川「ペニサス伊藤です。この前のVIPNOTEにすごく感動して私も役者やりたいって思いました。
特にQの役をやっていた人が1番よくてほんとに元気をたくさんもらいました。」

( ^ω^)(・・・僕の演技で元気になった人がいたお!もっともっとがんばるお!)

感動から感動へのバトンタッチは誰にだってできるのだ。少しの勇気があれば。


おしまい


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