156 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:17:13.96 ID:w2LlQKwM0
('A`)「よう、俺ドクオってんだ」
( ^ω^)「ブーンだお!」
(´・ω・`)「よろしく」
('A`)「なんかさっきから教室中がぎゃーぎゃーうるさいんだがよ、
お前……ショボンだよな。ショボンの前行ってた学校ってのは、そんなに有名なのか?」
(´・ω・`)「所謂名門私立ってやつだよ」
('A`)「メーモン?」
( ^ω^)「肛門の間違いだお」
(´・ω・`)「……」
こんなド低脳な奴らと同じクラスだということが、不愉快で仕方がなかった。
結局彼らは僕にまとわりついた。前の学校のやつらと同じように。
また同じことの繰り返しだ。こんな学校、来るんじゃなかった。
そう思った。
それから1週間ほど経ったある日のこと。
('A`)「おいすーショボン、これから俺んちにこねえか?」
(´・ω・`)「悪いけど、これから母さんのお見舞いに行くんだ」
( ^ω^)「お母さんの……?」
('A`)「そういやお袋さん、こっちで療養してるんだったな。
俺たちもお見舞いついていっていいか?」
(´・ω・`)「……いいよ」
本当はこの日、お見舞いに行くつもりはなかった。
ドクオの誘いを断るための口実に使ったのだが、まさか今更断れない。
仕方なくドクオたちを連れて、母のいる病院へ向かった。
157 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:17:58.59 ID:w2LlQKwM0
ショボン母「あらあら、ショボンのお友達? いらっしゃい」
('A`)「ドクオです!」
( ^ω^)「ブーンですお!」
ショボン母「元気ねぇ。ショボンがいつもお世話かけてるんでしょう?」
('A`)「とんでもないです、世話かけてるのは俺たちのほうで……」
( ^ω^)「うんうん、そうですお」
当たり前だ。お前らに世話なんてかけたことない。
母はドクオたちにいくつか質問した。始終楽しそうだった。
僕が友達(だと母は思っている)を連れてきたのは初めてのことだったので、
嬉しかったのかもしれない。
そうして、母は時々、ドクオたちを連れてきて欲しいと僕にせがんだ。
ドクオたちのことが気に入ったようだった。
それに応え、僕は何度かドクオたちを招待した。
母は日に日に元気になっていった。
案外使えるんだな、こいつら――。
僕はそう思っていた。
だがある日突然母の容態が悪化し、そのまま帰らぬ人となった。
158 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:18:44.73 ID:w2LlQKwM0
母の葬儀には学校の意向か、クラス一同出席した。
担任はハンカチを片手に持っていたが、涙なんて流さなかった。
クラスの奴らの大半は我関せずの態度で、酷い奴はお経を読み上げている最中に眠っていた。
結局、クラスの奴で泣いたのはブーンとドクオだけだった。
二人は棺の傍で大声で泣いた。
その光景を見て、参列者は白い目で見たり、別段母と親しいわけではない人ももらい泣きをしていた。
('A`)「……ショボン……」
( ^ω^)「元気、出すお……」
(´・ω・`)「うるさい……」
('A`)「う、うるさいとは何だ!」
(´・ω・`)「うるさいうるさい!
こんなときまでいい顔しようとするなよ!
どうせお前ら、僕と一緒に居れば何か恩恵にありつけると思って付きまとってたんだろ?
お前ら愚図はそういう奴ばっかだよ!
汚いよ。近寄るなよ! どっか行けよ!」
('A`)「ちょ、おま……なんてことを!」
(´・ω・`)「図星だからってキレてるんじゃねえよ!
どうせお前らには、母さんが死んだ僕の気持ちなんて分かるわけないんだ!
あっち行けよ! 来るなよ!」
( ^ω^)「僕、ショボンの気持ち、分かるお……」
(´・ω・`)「お前なんかに、俺の気持ちが分かるわけないだろ!」
( ^ω^)「分かるお。だって僕のお母さん、死んじゃったから」
(´・ω・`)「え?」
160 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:19:29.24 ID:w2LlQKwM0
( ^ω^)「僕のお母さんは、2年前に死んだお。
ショボンのお母さんみたいに、病気で死んじゃったお。
だから、ショボンの気持ち、僕にもわかるお。
僕のお父さんは、仕事ばっかりであまり家にいない人だったから。
だから僕とお母さんはいつも一緒だった。
そのお母さんが死んだとき、僕は苦しかったお。
悲しいとか、そんなものじゃなくて、ただ苦しかったお」
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「……ショボンとショボンのお母さんを見ていたとき、
僕は心の底から、ショボンのお母さんに元気になってほしいと思ったお。
……でも本当は、ショボンとショボンのお母さんに、僕とお母さんの姿を重ねていたお。
ショボンのお母さんが元気になれば、僕たちも救われる気がしてたお。
ショボンの言う、何かの恩恵にありつけるというのが、もしこのことなら、
僕は……」
(´・ω・`)「ブーン……」
( ^ω^)「ごめんだお……お母さん…………
ごめんなさい…ショボン…ごめんなさい……」
(´・ω・`)「バカ…、泣くなよ……謝るなっ……うっ……うう……」
( ^ω^)「うわあああああああん!」
(´・ω・`)「うああああああああああああ!」
('A`)「お前ら……バカヤロ……」
こうして僕たちは3人で肩を抱き合って泣いた。
傍から見れば異様な光景だっただろうが、別に嫌ではなかった。
母のために泣いてくれた彼らが、今では大好きで仕方なかった。
これが、僕たちが友達になって初めて起きた出来事だった。
161 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:20:54.78 ID:w2LlQKwM0
( ^ω^)「……僕、わかったんだお。
大切な人が死ぬ怖さと、その意味が」
(´・ω・`)「意味?」
( ^ω^)「大切な人が死ぬのは怖いお。
だから思わずそのことから逃げようとしてしまうお。
僕はショボンたちに自分の姿を重ね合わせることで、逃げようとしていたお。
でも、それじゃダメなんだお。
死んだ人は、自分の大切な人が逃げようとすることを、望んでいないお。
少なくとも僕ならそうだお。
それを、ショボンとショボンのお母さんが教えてくれたお。ありがとうだお」
(´・ω・`)「僕にはよく分からない……」
( ^ω^)「実は僕も自分で言っててよく分からないんだお。
でも、これだけは言えるお。
僕たちは、死んだ人たちの分まで強く生きていくんだお」
(´・ω・`)「強く、生きる……」
( ^ω^)「僕はそのつもりだお。だから、ショボンも、一緒にだお?」
(´・ω・`)「……うん」
('A`)「俺もな」
……。
それから僕たちはほとんど離れることなく今まで過ごしてきた。
僕は彼らが大好きだ。
(´・ω・`)「だからこそ、僕は……」
彼らを救いたい。助け出したい。
でもこの揺れ動く感情――ツン……。
分からない。僕はどうすればいいんだ。
教えてくれ、ツン……。
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