292 名前:('A`)ドクオが死んでしまったようです :2006/03/17(金) 18:06:59.37 ID:OnXzdOWFO
一回じゃ書ききれないから二回投下になるけど勘弁してください><



冬の終盤 まだ肌寒い

もう激しくはない雪が、車窓からはまだちらほら見える。
車内は相変わらず静かだけど、気まずいんだろうか運転してるツンの父と
助手席に座るツンの母親はぎこちなく会話をし、たまに僕にも振ってくる。

しかし返答はというと、相変わらず気の抜けた声で「はあ」とか「ええ」とか…
隣でツンが心配そうに見てくるのを気づいていたが
それに応える気力さえ抜け落ちてしまってるらしい、何も喋りたくない。


ドクオ いつも鬱だ死のうとか言ってた僕の親友

覇気のない顔の彼が僕は好きだった


293 名前:('A`)ドクオが死んでしまったようです :2006/03/17(金) 18:09:13.53 ID:OnXzdOWFO
中学に上がってすぐの事


( ^ω^)「痛いお!や、やめてお!」

DQN1「うるせーっつの!ピザが喋んなってwwwww」

DQN2「内藤マジきめぇwwwww本気で死んじまえwwww」

( 'ω`)「うぅ…」


僕はDQNが嫌いだった

一人じゃ何もできないくせに、つるんで強ぶってるこいつらが。
ろくに授業も聞かないで、弱い人間をいじめて、それを誇りにでも思ってるようなこいつらが。

('A`)「お前らやめろよ」

DQN1「ああ!?誰だコラお前一年か?」

('A`)「…2対1じゃ不公平だっつってんだよ」


今も鮮明に覚えてる

初めて出会ったドクオの言葉に、DQNが怖じ気づいてるのを見た瞬間
僕は何か快感を覚え、同時にドクオをかっこいいと思った。

まぁ、その後ドクオもボコボコにされたけど


294 名前:('A`)ドクオが死んでしまったようです :2006/03/17(金) 18:10:24.66 ID:OnXzdOWFO

「…着いたみたいね」

ツンの母親が、どこか控えめに呟いた。
僕はやっと顔をあげて、窓から前方を確認した。

( ^ω^)「……」

黒い服の集団

それと――もう一人の親友と、その父親と母親もみえた。
ツンの父親が車を止め、「ツン、内藤くん、着いたよ」と呼びかけた。


ガチャッ…バタン


車のドアを開けると、親友のショボンがうつむきがちに歩いてきた。
彼は僕とツンの親友であり、また、ドクオの親友でもある。

4人はいつも一緒だった。

(´・ω・`)「行こうか」

ショボンはそれだけ言って顔を背けた


295 名前:('A`)ドクオが死んでしまったようです :2006/03/17(金) 18:11:38.66 ID:OnXzdOWFO

( ^ω^)「うはwwwwwドクオつよすwwwww」

(´・ω・`)「くっそ、また負けたw」

('A`)「へへ…アクション系なら何でも強いぜ」


中学で会った僕ら3人

趣味は同じくゲームだった。それ故に仲は最高に良かった。
だからモテないし、端から見れば良いグループではなかったかも知れない。

しかし僕らには関係なかった

そんなこと気にもとめず、毎日を楽しんだ


306 名前:すまん 3回分けになりそうだ :2006/03/17(金) 18:59:23.44 ID:OnXzdOWFO
>>295続き


ツンと出会ったのは、同じクラスになった中学2年だった。
相変わらずというか何というか、僕ら3人はまた同じクラスだった。

('A`)「はは、腐れ縁ってやつか」

( ^ω^)「またいつでも話せるお!給食も3人で食うおwwww」

冷静に苦笑するドクオ、それに反してクラス分けを見た瞬間
みっともないくらいにはしゃぎ、喜ぶ自分。

(´・ω・`)「何にしろ、またよろしくだな」




307 名前:('A`)ドクオが死んでしまったようです :2006/03/17(金) 19:03:05.13 ID:OnXzdOWFO
―――翌日

中学2年になってもこれといって変化はなかった

( ^ω^)「ちょっとトイレ行ってくるお」
('A`)「行っトイレ」
(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」
('A`)「正直スマンカッタ」
( ^ω^)「っうぇwwwwwwww」


校舎が新しくなっただけで何も変わらない僕らの生活。
ただただ楽しかった、この毎日が一生続けばいいと心底思った。

ドンッ

ξ゚听)ξ「きゃっ…」

(;^ω^)「あっ!ご、ごめんなさいお…大丈夫ですかお?」

ξ*゚听)ξ「べ、別に心配してもらっても嬉しくないんだからねっ!」

ぶつかったのは美少女。

『これなんてエロゲ?』

心の中で一人、呟いた


308 名前:('A`)ドクオが死んでしまったようです :2006/03/17(金) 19:03:54.80 ID:OnXzdOWFO
名前はツン

彼女はそう言った。

ぶつかった日から、彼女はすぐに僕らのグループに溶けこんでいった。
不良グループにでもいるのかと思ったが、どうやら他となじめないらしくいつしか僕らと話すようになった。

ξ゚听)ξ「ねぇ ブーンって何?内藤の事?」

(´・ω・`)「ああ、あだ名だよ」

('A`)「愛称というか」

ξ゚听)ξ「じゃあ、あたしもそう呼ぼ」

( ^ω^)「なんか照れるおwwww」

ξ///)ξ「ば、ばバッカじゃないの!?もう知らない!」

('A`)「あーあブーンが怒らせた〜」

(;^ω^)「えぇ!?」


彼女は…なんというか照れ屋で、素直じゃない性格だった。
でもそんな彼女を僕らは暖かく受け入れ、いつしか4人組になっていた


309 名前:('A`)ドクオが死んでしまったようです :2006/03/17(金) 19:04:34.56 ID:OnXzdOWFO
(´・ω・`)「ブーン」

( ^ω^)「え?」


ショボンの呼びかけと、線香の匂いにハッとした。

昔のことを考えていると時間の経過を忘れてしまう。
気づいた時には線香をたてる人の行列と、ドクオの写真が目に入った。

( ^ω^)「ああ、もうすぐ僕かお」

(´・ω・`)「…昔のこと考えてたのか」


ドキッ


( ^ω^)「さすがショボンだおw」

そう言って、僕はうつむき小さく笑った。
前を行くツンが泣いてるのが見える。


328 名前:>>309続き('A`)ドクオが死んでしまったようです :2006/03/17(金) 19:50:48.94 ID:OnXzdOWFO
白い肌 痩せこけた体

見るからに不健康

( ^ω^)「ドクオどの写真も笑ってなすwwwwwwww」

('A`)「うるせー」

滅多に笑顔を見せない
それが彼の普通だったから別に気にもならなかったけど

ξ゚听)ξ「あっ、でもほら!これ笑ってるよ」

(´・ω・`)「うほっ」

( ^ω^)「…ちょうど4人写ってるし、これにするおw」

('A`)「えぇ〜…」

乗り気でなかったドクオ含め、4人全員がそれを選んだ。
4人の男女は肩を組み、珍しくドクオも大口を開けて笑っている。

中学3年 修学旅行2日目の夜の写真。

大人になった現在も4人それぞれの机には、それが置いてある。

時間は過ぎても止まったまま

('∀`)


329 名前:('A`)ドクオが死んでしまったようです :2006/03/17(金) 19:51:42.81 ID:OnXzdOWFO
('A`)



目の前に立てかけられた白黒写真のドクオは、いつものドクオだった。
無愛想な顔で今にも「よおブーン」と言ってきそうなそれに、涙腺が少し緩んでしまう。

( ^ω^)「ドクオ」

線香を立てた後、僕は涙をこらえて無理に微笑んでみせた。
ドクオの両親は、僕の顔をみて余計に涙を流しているらしい。

手を合わせ、祈る。

ドクオが天国にいっても、相変わらずのドクオであることを。

写真のドクオは最後まで笑わなかった。


季節は冬

外の雪はもう止んでいた


おわり


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