68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/30(月) 10:18:05.06 ID:3fTK76o90
>>44の続き

ブーンは深い眠りについた

眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。ブーンは跳ね起き、南無三、寝過したかお、

いや、まだまだ大丈夫だお、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合うお。

今日は是非とも、あの王に、人の信実の存するところを見せてやるお。そうして笑って磔の台に上ってやるお。

ブーンは、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。さて、ブーンは、

両腕を大きく伸ばして、雨中、矢の如く走り出た。


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/30(月) 10:22:51.27 ID:3fTK76o90
僕は、今宵、殺されるんだお。殺される為に走るのだお。プレミアゲームを救う為に

走るんだお。王の奸佞邪智を打ち破る為に走るんだお。走らなければならないお。そうして、

僕は殺されるんだお。若い時からピザを守れ。さらばだお、故郷。若いブーンは、つらかった。

幾度か、立ちどまりそうになった。だお、だおと大声挙げて自身を叱りながら走った。村を出て、

野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって

来た。ブーンは額の汁をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫だお、もはや故郷への未練は無いお。ツンには、

きっといい人が見つかるお。僕には、いま、なんの気がかりも無い筈だお。まっすぐに王城に行き着けば、

それでいいんだお。そんなに急ぐ必要も無いお。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気(のんき)さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。

その時だった。後ろから誰かがついてきてるようだ。


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/30(月) 10:28:15.82 ID:3fTK76o90
JASR◯C「JASR◯Cの者ですが」

しかしブーンは無視して歩き出した

ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧いた

災難、ブーンの足は、はたと、とまった。見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は

氾濫し、濁流滔々と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、

木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。ブーンは茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、

また、声を限りに呼びたててみたが、繋舟は残らず浪に浚われて影なく、渡守りの姿も見えない。

流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。ブーンは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながら

神に手を挙げて哀願した。


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/30(月) 10:35:41.88 ID:3fTK76o90
(;^ω^)「これは無理だお。神様、お願いしますだお」

( ^Д^)「よし、わかった」

(;^ω^)「お前は誰だお?」

( ^Д^)「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。神様だ」

(;^ω^)「かなり古いお」

( ^Д^)「ようするにこの川を渡りたいんだろ」

( ^ω^)「そうだお」

( ^Д^)「気合で行け!」

(;^ω^)「じゃあ何の為に出て来たんだお?」

( ^Д^)「暇つぶし。m9(^Д^)プギャー」

(#^ω^)ピキピキ

( ^Д^)「じゃあな」

神は特に何もせず帰っていった


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/30(月) 10:38:58.73 ID:3fTK76o90
(#^ω^)「畜生だお!肉を斬らせて骨を断つお!」

ブーンは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う

浪を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる

流れを、なんのこれしきと掻きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、

神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。

( ^Д^)「仕方ねぇな」

押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。

ありがたい。ブーンは豚のように大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。

一刻といえども、無駄には出来ない。陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸を

しながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊とJASR○Cが躍り出た。


75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/01/30(月) 10:48:04.62 ID:3fTK76o90
/ ,' 3「待て。」

( ^ω^)「何をするんだお。僕は陽の沈まぬうちに王城へ行かなければならないんだお。放すお」

/ ,' 3「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」

JASR○C「それと著作権料」

( ^ω^)「僕には命とピザの他には何も無いお。その、命も、これから王にくれてやるんだお」

/ ,' 3「その、命が欲しいのだ。」

JASR○C「あと著作権料」

( ^ω^)「さては、王の命令で、ここで僕を待ち伏せしていたと思われるお」

 山賊たちは、物も言わず一斉にマシンガンをかざした。ブーンはマトリックスのように華麗にかわし、

飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、そのマシンガンを奪い取るふりをして、

( ^ω^)「気の毒だが正義のためだお!」

と猛然一撃、たちまち、四人をブーンと言いながら突進して倒し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。


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