922 名前:( ゚∀゚)短篇 :2006/04/20(木) 19:06:19.41 ID:L93qvZPVO
(;゚∀゚)「チッ、この街は糞みたいだぜ……」
こう言いながらも、俺はこの街から未だ離れられないでいる。
理由は単純明快。退屈しないからだ。
ムカつくような排気ガスの臭い。
至る所の喧騒。
ゴミを漁るカラスの鳴き声。
全てが俺向きだ。
だがしかし、毎朝のようにガキ共に因縁を付けられるのは、少し考え物かもしれない。
( ゚∀゚)「オラオラ、ガキ共。通行の邪魔邪魔」
俺は喧嘩を吹っかけてきたガキ共を道路の角に蹴っ転がした。
こうして、俺の一日が始まる。
923 名前:( ゚∀゚)短篇 :2006/04/20(木) 19:07:24.16 ID:L93qvZPVO
「あの、私の妻が浮気をしているんようですお」
目の前の男、内藤、とか言ったっけ――、は、悲痛な面持ちでこちらを見つめてくる。
( ゚∀゚)「はーいはい」
それに対して俺は、おっぱい写真集を見ながらの生返事。
大抵の客はコレで怒って帰ってしまうのだが、この男は大物か。それとも、俺の評判を知っているのか。
――壊し屋ジョルジュの評判を。
「あの、引き受けていただけますかお?」
ふむ、この依頼には、裏があると俺の勘が告げている。
俺はおっぱい写真集を机に置いた。
( ゚∀゚)「お任せ下さい。
このおっぱい探偵ジョルジュ長岡が、必ず奥さんの浮気を暴いて見せますよ」
「はぁ、頼もしい限りですお」
内藤に、安心した様子はない。
うむ、おっぱい探偵は言い過ぎたか。
924 名前:( ゚∀゚)短篇 :2006/04/20(木) 19:08:14.45 ID:L93qvZPVO
( ゚∀゚)「奥さんの写真はありますか?」
ようやく本腰を入れ始めた俺に、細い目を輝かせつつ内藤は傍らの薄い鞄から写真を取り出した。
( ゚∀゚)「ふむ、86ですか」
いい、おっぱいだ。
内藤にはもったいないおっぱい。
これは、浮気の心配もしてしまうだろう。
( ゚∀゚)「浮気の心当たりはあるんですか?」
内藤は再び顔を伏せる。
「……様子がおかしいんですお。
妙にツンツンして、怒りっぽいし、僕に対してよそよそしいんですお」
普通に考えたならば、これは内藤の杞憂に過ぎないだろうが、俺は普通の探偵じゃあない。
( ゚∀゚)「ふむ、分かりました。
とりあえず二、三日調査します」
こいつは何か、キナ臭い。
久しぶりに俺の拳が唸りそうだ。
925 名前:( ゚∀゚)短篇 :2006/04/20(木) 19:08:57.35 ID:L93qvZPVO
( ゚∀゚)「朝七時、旦那を送り出す、と」
探偵の基本、張り込み。
朝からぴったりとマークしてなきゃ、真実なんて掴めやしない。
まぁ、俺が張り込み好きってのもあるが。
内藤の家は、閑静な住宅地だ。
見た目によらず、稼いでやがるな。あいつ。
( ゚∀゚)「ん……?
まさか、初日からビンゴ、か?」
十時、おめかしをして、お出かけ。
駅に向かうようだな。
行き先は、と。
(;゚∀゚)「俺の街かよ」
こんな所に何の用があるのだろうか。
が、浮気にはもってこいの場所とも言える。
926 名前:( ゚∀゚)短篇 :2006/04/20(木) 19:09:53.79 ID:L93qvZPVO
十一時半、昼食。
流行のオープンカフェにて
( ゚∀゚)「俺も食うかな」
尾行をしながらの昼食。
しかも追跡者のすぐ後ろ。
うーん、この緊張感が堪らないねぇ。
(;゚∀゚)「ごふぁっ!?」
いけね、スパゲッティが鼻から出そうになった。
いきなり内藤の奥さんに接触する男が現れたら、どんな名探偵だってこうなる。
「すみません、私、この街の人間じゃないんで」
どうやら、ただ道を尋ねただけのようだ。
びっくりさせやがる。
ショボくれた顔をしやがって。
928 名前:( ゚∀゚)短篇 :2006/04/20(木) 19:18:32.39 ID:L93qvZPVO
十二時、移動開始。
さて、何処へ行くのかな。
追跡者はラブホテル街に……。
(;゚∀゚)「アん?此処って……」
俺は、自分の勘を呪った。
まさか、俺が、こんな。
929 名前:( ゚∀゚)短篇 :2006/04/20(木) 19:20:38.24 ID:L93qvZPVO
「で、妻は、どうでしたかお」
内藤が心配そうに尋ねるが、俺にはそれが腹立たしい。
( ゚∀゚)「えー、内藤さん。
奥さんに浮気の心配はありません。
ご安心ください。」
じゃあ、なんで。と、身を乗り出す内藤を、俺は手を出して封じた。
( ゚∀゚)「早く奥さんの所に帰ってやんな。
調査料は、御祝儀にくれてやんよ」
どこか釈然としない様子で内藤は事務所から出て行った。
930 名前:( ゚∀゚)短篇 :2006/04/20(木) 19:21:41.89 ID:L93qvZPVO
ふん。
この街は糞みたいだ。
ムカつくような排気ガスの臭い。
至る所の喧騒。
ゴミを漁るカラスの鳴き声。
それでも、新しい生命には関係ない。
幸せそうな顔で産婦人科から出てくる新米妊婦。
それに人の好さそうな旦那の顔。
この街にも、きっと希望は残っている。
( ゚∀゚)「なぁ、貧乳。
今晩付き合えよ」
俺はすがるように貧乳の助手に声を掛けてみた。
「あんまりそういう事言うと、訴えますよ?
それに私には彼氏とデートがありますから」
ふん、この街はやっぱり糞だ。
名探偵だって、たまにはポカをするさ。
終わり
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