615 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/13(木) 22:02:31.75 ID:KMwSrCJO0
もうすぐ文化祭。学校がいつもよりも遅い時間まで賑わうこの時期、
とある教室では校内合唱コンクールの話し合いが行われていた。
(´・ω・`)「今年の合唱コンクールはひと味違ったモノを見せてやろう。ゴスペルをやってみないか?」
('A`)「ゴスペル?なんだそれ?」
(´・ω・`)「ゴスペルってのは、黒人教会から生まれた福音歌だ」
( ^ω^)「そんなの歌って、コンクール盛り上がるのかお?」
(´・ω・`)「お前ら、天使にラブソングをって映画、観たことあるか?」
ξ゚听)ξ「あ、あるわよ。不良学生達がゴスペルのコンクールに出て優勝する話ね」
(´・ω・`)「そうだ。あの映画の曲をやってみようと思ってな、楽譜も持ってきたんだ」
(;^ω^)「どれどれ・・・。うわ、英語だらけでさっぱりわからないお」
ξ;゚听)ξ「ほんと、歌詞覚えるだけで大変そうね・・・。こんなの、うちのクラスでできるの?」
(´・ω・`)「少なくとも俺は、お前達ならできると信じている」
('A`)「・・・・」
( ^ω^)「・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・」
( ^ω^)「よし、やってみるお」
ξ゚听)ξ「・・・そうね、面白そう」
('A`;)「大丈夫か?マジで」
こうして、合唱コンクールに向けたブーン達の戦いは、幕を開けた。
623 :ブーンの合唱 :2006/04/13(木) 22:31:19.83 ID:KMwSrCJO0
(´・ω・`)「さて、曲も決まったところで、指揮者と伴奏者を決めよう」
にわかにざわつき始める教室。ほとんどは「お前やれよ」という、無責任な押しつけ。
(´・ω・`)「じゃ、誰にするかな。去年はツンにやってもらったわけだが」
('A`)「おいブーン、お前やってみないか?」
( ^ω^)「いやだお。このクラスで指揮なんて、ガキのお守り押しつけられるようなもんだお」
ξ゚听)ξ「わたしはもうやらないわよ。わたしだって歌いたいもん」
(´・ω・`)「どうだブーン、やってみないか?」
(;^ω^)「う・・・うーん・・・」
沸き上がるブーンコール。悩みに悩んだブーンも、とうとう周りに流されて・・・。
(;^ω^)「・・・わかったお、やるお(ヒソヒソ・・・でもガキのお守りはゴメンだお)」
ξ゚听)ξ「(ヒソヒソ・・・一応わたしもフォローしてあげるから、がんばんなさい)」
(´・ω・`)「よし、指揮者はブーンでいいな?じゃあ伴奏者だが、ピアノ弾ける人・・・」
('、`*川「は、はい・・・私やります」
(´・ω・`)「お、そうか!じゃあ頼むぞ。それじゃあみんな、明日の放課後から早速練習開始な」
いつもと違い、指揮者というカタチで合唱に臨むこととなったブーン。
不安と期待を交らわせ、決意を新たにしたブーンだった。
626 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/13(木) 22:56:55.76 ID:KMwSrCJO0
( ^ω^)「それじゃあ、まず歌詞読みから始めるお」
ξ゚听)ξ「読めない単語あったら黒板に書くから、言ってね」
がやがやと賑やかに楽譜を眺めるクラスメート達。
騒いではいるが、一応着実に読み進めてはいってるみたいだ。
( ^ω^)「ツン、これなんて読むお?」
ξ゚听)ξ「えーと、これはね・・・。ていうか、ブーンは指揮するんでしょ?」
( ^ω^)「そうだけど、指揮者もちゃんと歌えないとダメだって言われたお」
ξ゚听)ξ「あ、そっか。わたしも去年言われてたっけ」
( ^ω^)「そういうことだお」
('A`)「疲れた。目が痛くなる」
( ^ω^)「もう少しだお、頑張るお」
( ゚∀゚)「そろそろ帰ろうぜ。もういいだろ」
次第にだらけムードになっていく教室。
この程度ならブーンの想定の範囲内なのだが。
( ^ω^)「良い感じになってきたお。みんなお疲れさまだお。明日はCDを使って実際歌ってみるお」
632 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/13(木) 23:26:02.40 ID:KMwSrCJO0
それから何日か経ち、ブーン達の合唱もなんとか形になってきた。
しかし同時に、クラスの雰囲気も日に日にgdgdになっていった。
( ^ω^)「それじゃ合わせて歌ってみるお」
( ゚∀゚)「ギャハハハハ!お前何してんの!?アホみてー!」
(´∀`)「あ、誰だモナ!?背中に張り紙したヤツ!」
(,,゚Д゚)「お前マジで気づかねーのな。フツー気づかねーか?」
(#^ω^)ビキビキ
('A`;)「お、おい・・・」
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっとみんな・・・」
( ゚∀゚)「ギャハハハハハハ!」
(´∀`)「アハハハハハハ!」
(,,^Д^)「ギコハハハハハハ!」
(#^ω^)ビキビキビキビキビキビキビキ・・・プツン
('A`;)「あ・・・」
ξ;゚听)ξ「あ・・・」
バンッ!
ブーンが黒板に拳を叩きつけた音が響き、一瞬で教室は静まり返った。
(#^ω^)「おまいら、いい加減にするお!やる気ないならもうやめるお!」
怒号が響き、ブーンはまだ静かな教室を一人出て行った。
642 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/14(金) 00:19:44.23 ID:RsdbWMjJ0
呆然としたままのクラスメート達。最初にその静寂を破ったのはツンだった。
ξ;゚听)ξ「わ、わたしブーンを探してくる!」
ブーンは屋上にいた。フェンス越しに、校庭で文化祭の作業をする生徒を眺めていた。
( ^ω^)「はぁ・・・」
ξ゚听)ξ「ブーン・・・」
( ^ω^)「あ、ツンかお・・・悪かったお、いきなり飛び出して」
ξ゚听)ξ「ううん、ごめんね。わたしがフォローするって言ったのに」
( ^ω^)「ツンのせいじゃないお・・・」
ξ゚听)ξ「指揮・・・やってくれるよね?」
( ^ω^)「・・・・・」
ξ゚听)ξ「・・・・・」
( ^ω^)「・・・教室、戻るかお。ブーンが合唱台無しにするわけにはいかないお」
ξ゚听)ξ「え?あ・・・うん!」
(;゚∀゚)「ブーン、その、なんだ。正直スマンカッタ」
(;´∀`)「正直スマンカッタ」
(;゚Д゚)「正直スマンカッタ。また指揮者やってくれ。頼む」
( ^ω^)「みんな・・・わかったお。やらせてもらうお。みんなも頼むお」
'A`)ξ゚听)ξ「ほっ・・・」
648 :ブーンの合唱 :2006/04/14(金) 00:59:31.26 ID:RsdbWMjJ0
いよいよ文化祭まであと数日。合唱の方も大分できあがって来たが・・・。
ジャンッ♪
(´・ω・`)「うーん、最後の盛り上がるトコの指揮がなんか不自然だな」
(;^ω^)「う・・・」
('、`*川「ブーン君、ちょっと残って練習しない?」
( ^ω^)「助かるお。丁度もう少し練習したいと思ってたお」
('、`*川「・・・やっぱり、先生が言ってた所がちょっとわかりづらいかな」
(;^ω^)「そ、そうかお・・・難しいお・・・」
ξ゚听)ξ「ブーン、もっと大胆にやっていいのよ?腕だけじゃなくて、体使うコト意識してみて」
( ^ω^)「体全体・・・やってみるお」
('、`*川「あ、今の良い感じだったと思う」
ξ゚听)ξ「そうね。今までのより全然よかったと思うわ。でももっと派手にやっていいわね」
( ^ω^)「そ、そうかお?ありがとうだお」
(;^ω^)「意外と奥が深いお・・・もっと頑張らないとダメだお」
656 :ブーンの合唱 :2006/04/14(金) 01:59:51.87 ID:RsdbWMjJ0
(´・ω・`)「いよいよだな。今までの練習の成果、全校生徒に叩きつけてこい」
(;^ω^)「おおおおおおおおまいらあああああああああんまり、きき緊張するなおお」
ξ;゚听)ξ「ブーン・・・あんたこそしっかりしなさいよ」
(;^ω^)「そそそそうは言っても、けけけけ結構プレッシャーかかるお」
(;'A`)「おいおい、頼むぞブーン・・・」
そしていよいよ、ブーンたちのクラスの番が回ってきた。
整然と壇上に並ぶクラスメート。ライトアップされる中で一人、最後に入場するブーン。
(;^ω^)(やばいお。思ったより人いっぱいいるお・・・。こんな時は、観衆はナスだと思えばいいって誰か言ってたお)
一礼し、大きく深呼吸をして指揮台に上がる。クラスメート一人一人が、様々な表情でブーンを見据えている。
(;^ω^)(最初の一振り・・・これが重要だお。みんな、いくお)
目で合図を送るブーン。それを見たみんなが、小さくうなずく。
一呼吸置いて、ブーンは大きく腕を振り始めた。それに合わせて、曲が動き出す。
658 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/14(金) 02:04:54.69 ID:RsdbWMjJ0
最初は緊張していたブーンも、曲が始まるとすぐに緊張を忘れ、リズムに乗れた。
それはみんな同じだったようで、最初硬かった表情もすぐにほぐれた。
( ^ω^)(ここはツンのソロパートだお。指揮は大人しめにして、前に出るツンを引き立たせるお)
ツンのソロは綺麗に響き渡り、会場を盛り上げた。ステージの上も自然とテンションが上がる。
( ^ω^)(最後だお。思いっきり派手に締めるお!)
ツンのアドバイスを忘れないように、そしてリズムを崩さないように指揮を続けるブーン。
既に自分の世界に酔っていた。
そして、曲もラストに―――
『ジャン♪』
659 :ブーンの合唱 :2006/04/14(金) 02:11:25.59 ID:RsdbWMjJ0
ξ゚听)ξ「ブーン、お疲れ様!」
( ^ω^)「おつかれだお。ツンのソロ最高だったお。惚れそうになったお」
ξ///)ξ「え、な、なに言ってんのよ!バカじゃないの!?」
('A`)「よーお疲れー。帰りにカラオケでも行こうぜ」
(;^ω^)「お前まだ歌う気かお」
('A`)「いいじゃねーか。合唱も大成功だし、成果もちゃんと出たんだし」
ξ゚听)ξ「そうね。準優勝だもんね。びっくりしたわ」
( ^ω^)「驚いたお。こうなったら来年は、優勝狙うしかないお!」
ξ゚听)ξ「そうね。じゃ、来年も頑張ってね、指揮」
(;^ω^)「ちょwwwwもういいお。来年はやらないお」
来年どころか、卒業式の合唱まで指揮を任されるブーンだが、それはまた別の話。
おしまい。
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