220 名前:('A`)と(´・ω・`) 〜相棒〜 :2006/01/31(火) 00:44:34.53 ID:XplDN4eP0
―――ピピピピピ…
穏やかな昼下がりに突然鳴り響いた携帯電話。僕は嫌な予感がした。
吸いかけの煙草を消し、ゆっくりとケータイを上着から取り出した。
発信者はドクオ。底知れない不安が胸をよぎった。
ドクオからの電話は不吉の始まり…そう決まっていた。

(´・ω・`)「…はい」
 ('A`;)「はぁ…はぁ……ショボン、助けてくれ!!」
(´・ω・`)「!? まぁ落ち着けよ、相棒」
 ('A`)「はぁはぁ…ああスマン。…例の奴等に追われてるんだ」
(´・ω・`)「例の…、ラウンジのグループか」

ラウンジとはこのVIPの街を仕切ってる大きなグループで
僕とドクオとは些細なことから度々衝突していた。
荒かった息を整え、ドクオは続きを話し始めた。

 ('A`)「今、ニューソク通りの路地裏で隠れている。奴ら血眼で捜してるぜ」
(´・ω・`)「一体何があったんだ?」
 ('A`)「なぁに、あっちから因縁つけてきたから、何人か返り討ちにしたまでよ」

またか…僕の居ない時に面白い事しやがって、と苦笑した。
ふと窓の外を見ると雲行きがあやしくなってきていた。
これは一雨くるかもな、と二三度自分の頬をかいた。

 ('A`)「今度ばかりはダメかも知れん…情けないぜ、この俺がピンチだとはな」
(´・ω・`)「そう弱気になるなよ、これから急いで行く」
 ('A`;)「頼むぜ相棒。お前が来てくれたら無敵d……!!? くs」
―――ツーツーツー…


222 名前:('A`)と(´・ω・`) 〜相棒〜 :2006/01/31(火) 00:55:21.91 ID:XplDN4eP0
二人を裂くようにして電話が切れた。奴等に見つかってしまったのか?
僕は急いで支度をし家から外へ出た。ニューソク通りまでは10分もかからない。
閑静な住宅街を通り抜け目的地に全速力で駆けた。空を雲が覆い、辺りは薄暗かった。
頼む、間に合ってくれ…と、そう願いながらドクオの元へと向かった。

10分弱でようやく暗い路地裏に辿り着いた。辺りを見回したが、奴等の姿はなかった。
ただ一人…しゃがみこんだドクオがいた。僕はすぐに駆け寄った。

(´・ω・`;)「はぁはぁ…間に合わなかったか…」
 (メA`)「数が多くてやられちまったよ。あの日の約束…守れなかったな、スマン」

ポツポツと雨が降り出し、それが二人の会話をさえぎった。
降り続く雨の中しばらく沈黙が続いたが、ドクオが静かに切り出した。

 ('A`*)「けど、お前が来てくれて嬉しいよ」

ボロボロのドクオに照れながらそっと手を差し伸べた。
ドクオも手を伸ばし、僕はその震える手の平を強く握った。

僕達はいつも二人で一つだったよな。二人が組みさえすれば地元では負け知らずだった。
でも…今までこのVIPに憧れて生きてきた。
あの頃やっと辿り着いたこの街で、夢が、全てが手に入る気がしたから。
故郷を捨て、喧嘩して、でかい夢を追いかけて、笑って…そうやって歩んできた。

雨がやみ、僕はドクオの手を肩にかけゆっくりと歩き始めた。
帰りに僕達が見た景色は、あの日、旅立った日の美しい空に似ていた…

〜fin〜


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