677 名前:1/6 :2006/01/15(日) 19:12:26.03 ID:/idmjtaT0
日曜あまりに暇だったから短編書いてみたお
屋上に吹き付ける風を両の頬に感じているはずなのだが、思ったより冷たくない。
( ^ω^)「…」
(´・ω・`)「死ぬのかい?」
(;^ω^)「!!!」
突然の声に驚いて振り向くと、そこには僕が見たことない顔の青年が立っていた。
青年の肌は温度を感じさせないような色をしていて、ひどく冷たそうだ。
青年は続ける。
(´・ω・`)「屋上に一人で、しかもそんなに端っこまで歩み寄っておいて、
自殺くらいしかすることがないと思うんだけどね」
青年のその言葉に僕はしばらく考え込んだ後、答えた。
( ^ω^)「…僕はもう生きる意味をなくしてしまったんだお」
(´・ω・`)「どうしてだい?」
( ^ω^)「僕はいじめられっこで挙句引きこもりになって、誰からも必要とされなくなったんだお
誰からも必要とされてない奴は死んだほうがいいんだお」
678 名前:2/6 :2006/01/15(日) 19:12:50.32 ID:/idmjtaT0
(´・ω・`)「どうしてだい?」
(;^ω^)「…?どうしてって…誰からも必要とされてないって事は生きる意味がないってのと
イコールだってことだお」
青年はしばし黙った後、まるで水を垂らすように声をこぼした。
(´・ω・`)「そうなのかい、初めて知ったよ」
( ^ω^)「すまないけど、どっか行ってくれるかお?最後ぐらい一人で逝きたいお」
(´・ω・`)「…」
青年はじっとしてそこを動かない。
(;^ω^)「…?」
(´・ω・`)「君に一つお願いがあるんだけど」
(;^ω^)「なんだお?」
(´・ω・`)「君の血を僕にくれないか?」
(;^ω^)「…?何言ってるんだお?」
(´・ω・`)「僕は吸血鬼なんだ。僕に血をくれたら簡単に死ねるよ」
( ^ω^)「…は?」
679 名前:3/6 :2006/01/15(日) 19:13:17.27 ID:/idmjtaT0
青年は特に僕にかまうことなく続ける。
(´・ω・`)「最近じゃ天使の勢力が大きいから“死にたい人間”からしか血を摂っちゃいけないことに
なっちゃったんだよね、もう、君を探すのがたいへんだったよ」
(;^ω^)「…」
(´・ω・`)「さ、どこでもいいから動脈を出してよ、殺してあげるから」
(;^ω^)「…」
(´・ω・`)「実は最近ぜんぜん血を吸ってないから体調が保てないんだよね、だからもう二分もすれば
僕は死んじゃうと思うんだよ、だからなるべく早くお願いしたいな」
(;^ω^)「…」
なぜだろう、死にたかったはずなのに僕の体は全く動いてくれない。
(´・w・`)「早くしてくれよ、僕には君が、君の血が必要なんだ!」
青年が口の中に隠された牙をむく。
680 名前:4/6 :2006/01/15(日) 19:13:43.09 ID:/idmjtaT0
脅しのつもりだったのだろうか。だけど僕が感じたのは、今まで感じたことがないくらい
深い、深い安心感だった。
( ^ω^)「僕を…必要としてくれているのかお?」
(´・w・`)「そうだけど」
( ^ω^)「…死にたくなくなったお」
(;´・w・`)「えっ?」
( ^ω^)「…でも、君を死なせるわけにはいかないお」
そう言って僕は右腕をまくって青年の下に突き出す。
( ^ω^)「僕と契約してくれお、君が生きるのに必要な分だけ血をあげるから、
君は僕の友達になってくれお」
青年はしばしの間黙ったままだった。
とても長い時間に感じたが、多分2分は経っていない。
(´・w・`)「…」
(´・w・`)「わかったよ」
青年は僕の腕に牙をつきたてた。多少の痛みは感じたが、僕の腕から彼の牙へと流れる暖かい感触は
なぜだか僕の安心感を膨らませてくれた。
681 名前:5/6 :2006/01/15(日) 19:14:05.96 ID:/idmjtaT0
青年は僕の腕から牙を抜いた。
(´・ω・`)「おしまい、ありがとう」
( ^ω^)「契約完了だお」
(´・ω・`)「そうだ、今日から僕はずっと君の友達だ」
( ^ω^)「やったお!友達ができたお、遊びに行くお!」
(´・ω・`)「うん、友達だからね」
僕は両手を広げて屋上の出口へ走っていった。
ちょっとふらふらしたけど多分大丈夫だ。こんなに気分のいい日は今までにない。
(´・ω・`)「僕は生きてるから」
青年は僕に続くことなく、小さくこぼした。
( ^ω^)「え?」
僕が振り向くと、そこには誰もいなかった。
急に頭がくらくらして、僕の視界がぐるんと回って、雲に覆われたどんよりとした空を仰ぐ。
そしてぶつんと暗転する。
682 名前:6/6 :2006/01/15(日) 19:14:22.65 ID:/idmjtaT0
( ´ω`)「…」
気がつくと、僕が冷たい屋上の床に寝転がっているのが分かった。
( ^ω^)「…どこに行ったんだお?」
辺りを見回してみても誰もいない。
(;^ω^)「…どこいっちゃったんだお?友達はさよならを行って別れなきゃだめなんだお!
そういや名前も聞いていなかったお…」
あたふたする僕の、少し潤み始めている目に映ったのは右腕に刻まれた二つの小さな赤い点。
( ^ω^)「・・・」
僕は何を理解した、というわけではなかったのだが、屋上の端に立つことはもうなくなった。
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