176 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:34:08.52 ID:w2LlQKwM0
('A`)『……ショボンに変わる』
(´・ω・`)『やあ、久しぶり。バーボンハウスへようこそ』
( ^ω^)「……くだらない用事なら切るお」
(´・ω・`)『いやちょっと待ってくれ。ちょっと大事な話がある。
ツンと一緒に、うち、じゃなくてドクオの家に来てくれないか?』
( ^ω^)「え? 明日じゃダメかお?」
(´・ω・`)「今すぐだ」
せっかくのツンとの甘い甘いひと時……。
この日を逃せば、もう二度と来ないかもしれない……。
( ^ω^)「……ごめんお、行けないお……」
(´・ω・`)「え?」
( ^ω^)「悪いけど、今日は無理だお! 今日は僕とツンの甘い一日になるお!
英語で言うと、すうぃーとでいだお!」
(´・ω・`)「え、ちょ、ブーン」
ピッ
ξ゚听)ξ「なんだったの?」
( ^ω^)「なんでもないお。それより、僕の家に行くお」
足早に、僕たちは家を目指した。
早くツンと一緒になりたい。
いや、性的な意味を取り払って、でも百歩譲ってキスまでだとしても、
それでもやっぱりツンと二人っきりでいられることの幸せを実感したかった。
177 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:35:24.69 ID:w2LlQKwM0
「……ブーンのやつ……」
「やっぱりダメだったか?」
「ダメだ。こうなったら、また僕が……」
「殺すのか?」
「ああ。それがブーンのためになるなら……」
「ブーンのためか……」
「……なんだい?」
「ブーンのためというより、お前自身のためじゃないのか? ショボン」
(´・ω・`)「何言ってるんだ。僕はブーンが」
「ブーンが? 今のあいつは、少なくとも僕たちより幸せだ。ずっとずっと」
(´・ω・`)「幸せかもしれない。でも僕たちはいい加減子供を卒業しなきゃいけない。
君だって、だから煙草なんか吸い始めたんだろ、ドクオ」
('A`)「……」
178 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:35:52.74 ID:w2LlQKwM0
(´・ω・`)「僕は、ツンを殺す」
('A`)「あのときお前は言ったじゃないか。
『僕たちは、過ちを犯した。人を殺した。大切な人を殺してしまった。
罪を知った。だから僕たちは、これから先、同じような過ちは犯さないだろう』
ってな。あの言葉は嘘だったのか」
(´・ω・`)「嘘じゃない」
('A`)「じゃあなんで、またツンを殺そうとするんだ?
ツンは生きてた。それでいいんじゃないか?
少なくともブーンには、それでいいはずだろ?」
(´・ω・`)「良くない。いいわけない。あいつは、忘れてるんだ。
昔っから忘れっぽいやつだったからな。
だから、目を覚まさせてやらなくちゃ」
('A`)「あいつなら、もしかすると、ツンを幸せに出来るかもしれない。
俺たちが為せなかったことが、ブーンにならできるかもしれない」
(´・ω・`)「でもあいつは幸せにはなれない」
('A`)「……」
(´・ω・`)「これは、僕がつけなきゃいけないけじめなんだ。
分かってくれ、ドクオ。
僕はもう一度罪を犯すんだ。
ツンを、殺すんだ」
('A`)「……行く前に、この煙草くらい吸わせてくれや……」
(´・ω・`)「ドクオ……」
('A`)「……俺だって、諦めたわけじゃ……」
179 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:36:27.40 ID:w2LlQKwM0
とうとう着いた。
家の玄関の前に、ツンと二人で立った。
ツンは俯いている。耳は真っ赤だった。
( ^ω^)「ツン……」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「……いいお?」
ツンが小さく頭を縦に振った。
僕が一歩を踏み出し、引っ張るような感覚で、ツンを連れた。
家に入り、玄関に上がり、階段を上り、僕の部屋に行く。
この動作の一つ一つがやけに長く感じた。
部屋に入るなり、ツンはちらりと見回した。
ξ゚听)ξ「……片付いてるね」
( ^ω^)「まだ引っ越してきたばかりだからだお」
ξ゚听)ξ「そっか。ブーン、結構こういうことにはずぼらだったのにね」
( ^ω^)「な、なんで知ってるお。ちょっと恥ずかしいお」
ξ゚听)ξ「ふふっ、ごめんね……」
ツンに座るように促すと、しずしずとベッドに腰掛けた。
( ^ω^)「(こ、これはフラグktkrかお!?)」
180 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:37:21.78 ID:w2LlQKwM0
ξ゚听)ξ「ねぇ、ブーン」
( ^ω^)「は、はいお!」
ξ゚听)ξ「こっち、来て……」
( ^ω^)「(フラグが立った! フラグが立った!)」
ぎこちなく立ち上がり、ツンの隣に腰掛ける。
ベッドは二人分の重みで、軋み……。
( ^ω^)「あれ?」
ξ゚听)ξ「ど、どうしたの?」
立ち上がった。
ベッドはまた軋みの悲鳴を上げ、布団のたるみはなくなった。
( ^ω^)「あれ? なんでだお?」
同じ動作を繰り返した。
僕の重みでベッドは軋み、僕が立ち上がると、またベッドはまっすぐになる。
( ^ω^)「なんで……ツンが座ってるのに、ベッドはまっすぐなままなんだお……」
ξ゚听)ξ「ごほっ、ごほっ」
( ^ω^)「ツン?」
いつの間にか、ツンは咳き込んでいた。
しまった、僕が何度もベッドを揺らしたから、埃が舞ってしまったのか。
( ^ω^)「ごめんお、ツン、ごめんお」
僕は咳き込むツンの肩を抱いた。
ツンの顔は真っ赤になっていた。額を触ると、とんでもなく熱かった。
181 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:38:04.72 ID:w2LlQKwM0
( ^ω^)「ツン、風邪治ってないお!?」
ξ゚听)ξ「ごほっごほっ……ごめんね、ブーン……」
( ^ω^)「謝らないでいいお! それよりベッドに横になって……」
「待った」
部屋のドアが、勢いよく開いた。
その先にいるのは、ショボンとドクオだった。
( ^ω^)「ショボン、ドクオ、いいところに来たお!
ツンが熱を出したお! 助けて欲しいお!」
('A`)「……」
(´・ω・`)「ツンはここにいるかい?」
( ^ω^)「目の前にいるだお!」
(´・ω・`)「……本当に助けて欲しいのかい?」
( ^ω^)「当たり前だお! 助けてショボン!」
(´・ω・`)「じゃあ、これから僕がする話を、しっかり聞くんだ」
そう言って、ショボンは僕の前に立った。
(´・ω・`)「昔、この町に、可哀想な女の子がいた」
( ^ω^)「ショボン、そんな昔話なんてどうでもいいお!」
(´・ω・`)「女の子には、誰一人友達がいなかった」
( ^ω^)「ショボン!」
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