1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 22:24:04.23 ID:9QQsoGUh0
第1話「依頼」




今から少しだけ先の未来、買い物は電子マネーで行い、
TV番組や映画は観たいものをダウンロードして観る事が出来る、
そんなネットーワークのインフラが完全に行き届いた世界の物語。

ネットワーク社会が浸透すればするほどハッカーによるハッキングが社会問題として大きくなっていった。
そのため、会社同士の情報交換などは情報漏洩の防止のため、ネットーワークを使用せず、
『運び屋』と呼ばれる者にデータディスクを渡し、相手先まで運んでもらうというアナログ的な方法が主流となっていた。

ここはツーチャンネルシティーにある大企業の1つ、ヴィップインダストリアルの部長室。
部長の荒巻と運び屋のブーンが大理石のテーブルを挟んで向かい合って座っていた。

/ ,' 3 「じゃあ、このデータディスクをシベリア重工のモララーさんに渡してください。」

そう言うと荒巻はブーンにデータディスクを手渡した。

( ^ω^)「わかりましたお。」

ブーンはデータディスクを緩衝材で包んだ後、作業着の胸ポケットに入れるとチャックを締めた。

/ ,' 3 「1時間以内にお願いします。」

( ^ω^)「任せてくださいですお。」

ブーンは立ち上がると荒巻に一礼してから部長室を出て行った。



2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 22:24:41.38 ID:9QQsoGUh0
エレベーターでヴィップカンパニーの地下駐車場に降りたブーンは駐輪場に向かって足早に歩いていった。

( ^ω^)「1時間ならちょっと急がないとまずいお。」

ブーンは駐輪場に止めてある自分の自転車(ママチャリ)のスタンドを外すとサドルに跨った。

( ^ω^)「よーし、シベリア重工まで超特急で発進だお!」

ブーンは地下駐車場の上り坂を自転車で上がっていった。ブーンが駐車場から出ると太陽の光がブーンを出迎えた。
太陽の光を浴びたブーンは自転車を止め、少し考え込んでいた。

( ^ω^)「・・・えーと、出来るだけ信号につかまらないルートは・・・あっちだお。」

ブーンは自転車のペダルを漕ぎ出そうとした。しかし、急にペダルが重くなった。

( ^ω^)「あれ?何かペダルが重くなったお。」

ブーンが後ろを見ると後部座席に知らない女の子が座っていた。



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 22:28:21.21 ID:9QQsoGUh0
ξ゚听)ξ「さ、出発するわよ。」

(;^ω^)「き、君だれだお?!」

ξ゚听)ξ「私?私はツンよ。あなたは?」

(;^ω^)「ぼ、僕はブーンだけど・・・って何で勝手に乗ってるんだお。僕は忙しいから早く降りてだお。」

ξ゚听)ξ「私は今急いでるのよ。ミムラ駅まで乗っけてって欲しいんだけど。」

(;^ω^)「ちょww。僕も急いでるんだお。それにミムラ駅は僕が向かう方向とは全く逆だお。」

ξ゚听)ξ「あらそうなの。じゃあ私を駅まで連れて行ってからにしてね。」

(;^ω^)「無茶苦茶だお。降りてだお!」

ブーンとツンが押し問答をしていると歩道に黒い車が横付けしてきた。



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 22:30:39.63 ID:9QQsoGUh0
黒い車から黒服の男達が数名降りてきた。

ξ゚听)ξ「まずいわっ!ブーン、急いで!」

(;^ω^)「えっ!?」

車から降りてきた黒服の男達はブーンを取り囲んだ。
ブーンの正面に立っている黒服の男が口を開いた。

( ´_ゝ`)「その女をこちらに渡せ。」

(;^ω^)(何が何だかわからないけど、いきなり危険度MAXだお。)

ブーンは冷や汗を流した。

ξ゚听)ξ「ブーン、このままじっとしてたらあなたも捕まるわよ!」

(;^ω^)(・・・しょうがないかお。)

ブーンは覚悟を決め、ペダルを思い切り漕ぎ出した。



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 22:32:08.14 ID:9QQsoGUh0
急発進したブーンの自転車は黒服達を振り切った。

( ´_ゝ`)「逃がすな!追え!」

黒服達は黒い車に乗るとブーンの自転車を追いかけた。
最初は歩道を自転車で走っているブーン達と車道の黒い車は併走していたが、
すぐにブーンはビルの間の細い道に入って車の追跡を振り切った。

(;^ω^)(ふぅ、なんとか振り切ったお・・・。)

ξ゚听)ξ「さ、あとはミムラ駅まで連れて行って。」

しかし、ブーンはミムラ駅とは反対の方へ自転車を進めて行った。

ξ゚听)ξ「ちょ、ちょっと。ミムラ駅は反対よ。」

( ^ω^)「僕はシベリア重工に用事があるんだお。」

ξ゚听)ξ「何行ってるのよ!私は急いでるのよ!」

( ^ω^)「僕だって運び屋の仕事でやってるんだお。ツンの言うことは聞けないお。」



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/07(金) 22:33:51.58 ID:9QQsoGUh0
ξ゚听)ξ「じゃあ、私をミムラ駅まで運ぶ仕事をお願いしてもいいかしら。」

( ^ω^)(・・・どうしようかお。)

ξ゚听)ξ「どうしたの?お金ならあるわよ。急な話しだし料金2倍払ってもいいわよ。」

( ^ω^)「ツン様。よろしくお願いしますだお。」

ξ゚听)ξ「じゃあ、よろしくね。」

( ^ω^)「でも、シベリア重工の仕事の後になるけどそれまでは待ってお。」

ξ゚听)ξ「・・・まあしょうがないわね。そっちの仕事が終わるまで待ってあげるわよ。
そのかわり絶対に私をミムラ駅まで連れて行ってね。」

( ^ω^)「わかったですお。」

ブーンはツンを乗せて自転車を走らせた。


次へ

一覧へ