150 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:12:41.31 ID:w2LlQKwM0
それから、僕、ツン、それにドクオの3人は夏休みを利用して、昔のように、楽しく遊んだ。
楽しかった。
ショボンもいればもっと良かったのだが、ドクオが言うには、
ショボンはこれから先一年後に控える大学受験のため、篭って勉強をしているのだという。
それならば仕方ない。
ショボンは頭がいい。
勉強して、彼が望む「いい大学」に入学することが出来れば、僕たちも嬉しい。
結局、あの頃とは違う、ショボンがいない3人だけで遊ぶことになった。
ある日、川に行った。
( ^ω^)「ツンの水着はどんなのだお……。
大胆水着だったら鼻血もんだお」
ξ゚听)ξ「お、お待たせ……」
( ^ω^)「うはwwww大胆水着ktkrwwwwww」
ξ゚听)ξ「べ、別に、あんたに見せるためにこんな水着着てるわけじゃないんだからね!」
( ^ω^)「そ、そうなのかお……でもいい目の保養だお……眼福眼福」
('A`)「うはwwwwツンのスク水とかマニアックすぎwwwwwwww」
あとから来たドクオが明らかに嬉しそうな顔で走ってきた。
151 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:13:09.18 ID:w2LlQKwM0
( ^ω^)「ドクオ、これどう見てもスク水じゃないお。
こんなに大胆なスク水があったら今からでも転校したいお」
('A`)「え、いや、これどう見てもスク水……ってあれ?
おいツン、今まで着てたスク水はどうした?」
( ^ω^)「何言ってるお。初めっからこの水着だお」
ξ゚听)ξ「そうよドクオ、誰がスク水なんか着るもんですか!」
('A`)「俺の目おかしくなったのかな……」
( ^ω^)「末期だお」
ξ゚听)ξ「末期ね」
('A`)「どう見ても末期です本当にありがとう(ry」
ドクオはどうも思春期の中学生並みに飢えているらしい。
恐ろしいやつになったものだ。
152 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:13:49.96 ID:w2LlQKwM0
あくる日、ドクオの家に行った。
('A`)「汚い部屋だけど」
( ^ω^)「ホントに汚いお。ちゃんと掃除くらいするお。
全く、昔とまるっきり変わってないお」
ξ゚听)ξ「相変わらずきったないわねぇ」
( ^ω^)「あれ? ツンはドクオの部屋に来たことあるお?」
('A`)「いや、俺が知る限りないんだが」
ξ゚听)ξ「あ、相変わらずっていうのは、ドクオの顔と比べて相変わらずってことよ!」
( ^ω^)「……それは……」
('A`)「鬼かお前」
ξ゚听)ξ「い、いいじゃない! フンッ!」
ドクオは本当にショックのようだった。
( ^ω^)「それにしてもドクオの部屋、煙草臭いお」
('A`)「そ、そうか?」
ξ゚听)ξ「あんた、煙草なんか吸ってんの?」
('A`)「お、俺じゃないよ! 俺の友達がよく俺の部屋で吸ってたんだよ!」
ドクオの友達の友達で、煙草を吸う人物。
思い当たる人物はいない。
多分、僕が引っ越してから、新しく出来た友達なのだろう。
そう思うと、大人げもなく、僕は少し嫉妬した。
153 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:14:36.94 ID:w2LlQKwM0
( ^ω^)「うはwwwwwドクオゲームテラウマスwwwwwww」
('A`)「そりゃ俺はずっとひきこもってやってるしな!」
ξ゚听)ξ「自慢するとこじゃないわよ」
( ^ω^)「ツンもやるお? 面白いお」
ξ゚听)ξ「あ、あたしはゲームなんてやんないわ。あんたたちで楽しみなさいよ」
('A`)「じゃあ、そこらにある漫画でも読めば?」
ξ゚听)ξ「何これ……おチョコましまろ?
あんた、ヒキコモリの上、ロリコンなの……」
(;^ω^)「ドクオ……」
('A`)「ろ、ロリコンじゃない! その漫画は本当に面白いの! 萌えるの!
何その目……本当に違うの! 俺はロリコンじゃない!」
ξ゚听)ξ「この本棚の後ろにあるこれは……」
('A`)「あああああああ俺の秘蔵のわ○ーたんフィギュアあああああああ!」
( ;ω;)「ブワッ」
ξ゚听)ξ「人間失格ね」
('A`)「うう……」
( ^ω^)「ドクオ、昔から大事なものを棚の後ろに隠すクセ、まだ抜けてないお……」
('A`)「そこまでカーチャン見ないんだよ……」
ξ゚听)ξ「相変わらずね……」
154 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:15:14.44 ID:w2LlQKwM0
(´・ω・`)「……」
ショボンは一人、考えていた。
丹生速に来てから、こんなに一人きりになることはあまりなかった。
いつもブーン、ドクオが傍にいた。
ツンが雑じってからは、4人でいつも一緒にいた。
ブーンが引っ越してからは、また3人……。
それでも幸せだった。
必ず帰ってくると言ってくれたブーンを待つことは、苦ではなかった。
約束してくれたから。
それにドクオとツンも一緒にいたから。
誰か、大切な人と一緒にいることは、幸せだった。
それを、この丹生速で知ることができた。
ドクオとブーンのおかげで知ることができた。
彼らに出会うまで、僕は一人だった。
友人と呼べる人間はいなかった。
他人が認識していた『僕の友人』は、どれも表面上の付き合いでしかなかった。
僕は小学5年生になるまで、この丹生速から車で3時間ほど行ったところにある町に住んでいた。
その町にある、いわゆる名門私立に僕は通っていた。
自慢ではないが、学年トップクラスの成績を4年間保ち続けた。
事実、そのうちの3年間は主席を譲らなかった。
神童と呼ばれていた。
先生も生徒も、僕の顔色を伺うような、よそよそしい態度だった。
それは僕に対し、畏怖の念を抱いているからということは容易に想像できた。
155 名前:( ^ω^)ブーンのとある夏のようです。 ◆girrWWEMk6 :2006/02/17(金) 19:16:23.78 ID:w2LlQKwM0
だが、そんな僕に付きまとう『友人』とやらが幾人かいた。
そいつらは僕につきまとうことで、何らかの恩恵に賜りたいというせこい人間だった。
僕は彼らの目的を知っていたので、飽くまで表面上のみで付き合った。
それが急遽、母の病気の療養ということで、僕たち一家は丹生速へ越してくることになった。
僕だけあの町に、あの学校に残ろうと思えば、残ることはできた。
でもそれをしなかった。
僕は母が好きだったので、正直なところ別れたくなかった。
前の学校に後ろ髪引かれる思いは全くなかった。
結局僕が転校することを惜しんでいたのは、教師だけだった。
僕が丹生速の小学校へ転入してきたとき、同じクラスにブーンとドクオの姿があった。
僕は自己紹介のとき、前の学校の名を挙げた。
すると教室中は一気に騒然とし、担任の叱責する声が教室に響いても、静まることはなかった。
こんな辺鄙な学校でも、案外有名なんだな、と密かに思った。
僕の紹介が課題だったホームルームは終わり、教室中は結局騒然としたまま休憩時間に入った。
おとなしく席に着いていた僕の耳に入ってくるのは、根拠のない下らない憶測が主だった。
苛められていただとか、夜逃げしてきただとか……。
見世物パンダを見るような視線はねちっこく、不快だった。僕は気分が悪くなった。
そんな僕に最初に話しかけてきたのが、ブーンとドクオだった。
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