125 :( ^ω^)が意外にも看護師の資格を持っていたそうです :2006/03/30(木) 06:15:32.94 ID:Zv/3liPM0
事故は大体の場合突然起こる。

だが、日々用心して生活さえしていれば事故に合う確率はグーンと下がる。
それでも事故に巻き込まれる可能性はゼロにはならない。
用心した上で事故に合ったその時は…運が悪かったとしか言いようが無い。

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その日、ドクオは朝からツいてなかった。

目を覚ますと首に違和感、寝違えている。
伸びをすると足に激痛、ふくらはぎを攣った。
パンにつけるジャムは切れてるし、お気に入りのマグカップにはいつの間にかヒビが入っていて唇を切ってしまった。

('A`)「何か今日はツいてないな…
    まあ、俺の人生そのものがツいてないから今更驚きはしないんだが…」


126 :( ^ω^)が意外にも看護師の資格を持っていたそうです :2006/03/30(木) 06:16:57.50 ID:Zv/3liPM0
『ピッ』

テレビをつけると丁度星占いがやっていた、案の定ドクオは12位。
開運アイテムは『恋人の手作りクッキー』だそうだ。

('A`)「恋人なんてイネーよ、嫌がらせかこの番組」

一人でブツブツ文句を言うドクオだったが、そろそろ仕事に行かないと遅刻してしまうことに気付く。
慌てて服を着替え、持ち物を揃え始める。
携帯・財布・定期券…ヨシ、忘れ物無し。
靴を履き、家を出ようと立ち上がったその時、

(;'A`)「…靴紐が切れた。
      俺、ツいてないと言うか、何か憑いてんジャネーノ?」

ベタなコメントをしつつ、ドクオは靴を履き替えて家を出るのであった。

('A`)「あ…黒猫」


127 :( ^ω^)が意外にも看護師の資格を持っていたそうです :2006/03/30(木) 06:17:55.27 ID:Zv/3liPM0
('A`)「一応家を出たはイイけど、仕事行くのマンドクセーな」

寝違えたせいでドクオの首は常にやや左を向いていた、傍から見ると少し不気味だ。
すれ違う人が自分をチラチラ見てくるのが分かる。

('A`)「…(そんなに左を向いた毒男が珍しいかコノヤロー)」

完全にやる気が失せたドクオは青が点滅しだした横断歩道をノロノロ渡りながら仕事を休むかどうか考えてみる。

('A`)「あー、…もうイイや、今日は急いでしなければならない仕事も無いし有休使って休むとするか」

既に赤になっている横断歩道の真ん中で急にUターンしたドクオの目に自動車が飛び込んだ。
やや左を向いて歩いていた為、右から走ってくる車が見えなかったのだ。

(;'A`)「…っ!」

思わず目を瞑るドクオ、急ブレーキをかける自動車。

キキィィィィー!!
ドンッ!
「ディクシ!」

鈍い音と呻き声。


128 :( ^ω^)が意外にも看護師の資格を持っていたそうです :2006/03/30(木) 06:19:01.27 ID:Zv/3liPM0
(;'A`)「…(俺死んだかな…)」

硬直したまま動かないドクオ。

('A`)「…?」

何秒経っても痛みがこないことに気付き、身体の緊張を解いてみる。
…動ける、痛みも無い。

と思ったその瞬間、

ξ;゚听)ξ「…い、痛い痛い痛い痛い!」
(;'A`)「…え!?」

歩道で自動車に轢かれている女性がいた。
恐らくドクオが目を瞑った後に運転手は急ハンドルをきって歩道に突っ込んだのだろう。



事故は誰に降りかかるか、その時になってみないと判らないモノである。


129 :( ^ω^)が意外にも看護師の資格を持っていたそうです :2006/03/30(木) 06:20:18.61 ID:Zv/3liPM0
………。
……。
…。

(;'A`)「本当に申し訳ありませんでした、俺がフラフラ歩いてたばっかりに両足を骨折させてしまって…!」
ξ゚听)ξ「ふぅ…もうイイですよ、貴方も悪意があってやったワケじゃないし」
(;'A`)「また後日、改めて謝罪を…」
ξ゚听)ξ「そんなのイイですって、それよりもちゃんと身体もコッチに向けて話して下さい」
(;'A`)「いえ、あの…今寝違えてて前を見れないんです、スミマセン」
ξ゚听)ξ「あ…そうでしたか、それは失礼しました」
(;'A`)「いえ、謝らないでください、もう本当スミマセン、気が済むまで殴ってください」

ドクオは自分の代わりに轢かれた女性を病院に連れて行き、謝罪を繰り返していた。
女性の名前はツン、少しキツそうな印象を受けるが紛れもない美人だ。

(;'A`)「本当にスミマセンでした、あの…警察の事情聴取があるので今日はこれで失礼致します」

そう言ってドクオは病院を後にした。

ξ゚听)ξ「…ハァ」

一人になった途端、思わずタメ息の出るツン。

ξ゚听)ξ「参ったわね、片足だけならまだしも両足骨折とは…」

平謝りするドクオに気を使わせまいとああは言ったものの、
このまましばらく入院することになりそうだ。


131 :( ^ω^)が意外にも看護師の資格を持っていたそうです :2006/03/30(木) 06:21:33.26 ID:Zv/3liPM0
ξ゚听)ξ「…早く足治らないかしら」

ツンが入院してからまだ半日しか経っていないが、やはり、ただベッドに横になっているのは暇なようだ。

ξ゚听)ξ「相部屋で良いって言ったのに、お父様ったら…」

しかも個室、話相手すらいない。
可愛い愛娘のために個室を用意したのだろうが余計なお世話だったようだ。

ξ゚听)ξ「ギプスをしているとは言え、やっぱり痛いわね
      …痛いの痛いのとんでけー、痛いの痛いのとんでけー」

余程暇なのだろう、足におまじないをかけ始めたツン。
二十歳過ぎの女性が一人でブツブツおまじないを呟いているその様は、かなり恥ずかしいものがある。

ξ゚听)ξ「痛いの痛いのとんで…」
ガラッ!
( ^ω^)「失礼しますおー」
ξ;゚听)ξ「キャー!!」
(;^ω^)「(ビクッ!!)」

突然の訪問者に取り乱すツン。
無理も無い、今まで超恥ずかしい一人遊びをしていたのだから。


132 :( ^ω^)が意外にも看護師の資格を持っていたそうです :2006/03/30(木) 06:22:42.46 ID:Zv/3liPM0
ξ;゚听)ξ「…ブーン!?ビックリするじゃないの!」

今病室に入ってきた男の名はブーン、ツンとは中学以来の友人である。
高校を卒業してから合う機会が無かったが、まさか見舞いに来てくれるとは。
暇を持て余していたツンにとってブーンは救世主に思えた。

(;^ω^)「ビックリしたのはコッチの方だお!
      …アレ?ツンじゃないかお」
ξ;゚听)ξ「『アレ?』ってアンタ…何だと思ってこの部屋に来たのよ」
( ^ω^)「そりゃ患者の様子を見に来たに決まってるお
      僕はココで看護師として働いてるお」

ブーンは予想外の答えを返してきた。
それにしてもこの男、笑顔がよく似合う。

ξ;゚听)ξ「看護師!?…てっきりプー太郎でもやってるのかと思ってたわ」
(;^ω^)「プー太郎てwwwwツン酷いおwwww」
ξ;゚听)ξ「ご、ごめんなさ…(ハッ!)、何で私がアンタに謝らないといけないのよ馬鹿!」

むしろココは謝るべきところなのだが、
ツンは何故かブーンに対してだけは素直に接することができない。
何故か素直に話すのが恥ずかしくて仕方が無いのだ、男子小学生かよ。


133 :( ^ω^)が意外にも看護師の資格を持っていたそうです :2006/03/30(木) 06:23:44.64 ID:Zv/3liPM0
(;^ω^)「ま、まあ落ち着いて欲しいお」

ツンのこういう態度には慣れているのだろう、ブーンは優しくツンをなだめようとしている。
どうやらブーンは見た目通り温厚な性格らしい。

ξ;゚听)ξ「え、ええ、落ち着いたわ」
( ^ω^)「ともかく、これからよろしくだお!
      何かあったらいつでも呼んでほしいお!」
ξ*゚听)ξ「…(何かあったらいつでも…)」
( ^ω^)「ん?どうかしたかお?」
ξ*゚听)ξ「アンタに世話されるのも悪くないかなt…(ハッ!!)、せせせせいぜい私の迷惑にならないようにしてよね!」
( ^ω^)「まかせんしゃい!」

さっきまでは苦痛に思えた入院生活も
一変して楽しみになってきたツンであった。



人生、何が起こるかわからないものである。



一応完


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