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もう何も考えられないようです
1
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:14:55 ID:dGBJHDM60
1、始まりから時間(t)を奪えば星が見える
もう何も考えられないときのために、私たちには空白がある。
もう何も考えられないときには、クランからクランへと渡り歩いてもいい。
もう何も考えられないときには、ペットボトルをへこへこしててもいい。
コンビニで買ったおでんは、ここでは異質で、すぐに冷たくなるのだろう。
もう何も考えられにぁいときには、そういうものに話しかけるのも悪くにぁい。
2
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:15:36 ID:dGBJHDM60
('A`)
('A`)
('A`) ヒッ
('A`) 「空き缶の中を覗くと」
('A`) 「キレイな女の子が踊ってるんだ」
('A`) 「僕はもう嬉しくなって」
('A`) 「ここに遅滞する」
('A`) 「……」
('A`) 「……ありますか?」
3
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:16:29 ID:dGBJHDM60
ζ(゚ー゚*ζ「こんばんは」
ζ(゚ー゚*ζ「今日はひどく寒い一日」
ζ(゚ー゚*ζ「手が冷たくなっちゃって」
ζ(゚ー゚*ζ「広場に向かうのも大変」
ζ(゚ー゚*ζ「太陽も風邪をひいているのかな」
ζ(゚ー゚*ζ「なーんて」
4
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:17:13 ID:dGBJHDM60
('A`)「……」
('A`)「誰もいない公園なんだから」
('A`)「わざわざベンチに座らなくてもいいんだ」
('A`)「ブランコだって空いてるし、すべり台の上だっていい」
('A`)「……」
('A`) シリガ ツメタイ…
('A`)「それでもベンチに座ってしまう」
('A`)「……」
('A`)「右の奥にすべり台、その手前にブランコ」
('A`)「真ん中には幅の広いすべり台と砂場」
('A`)「ここから見える、この暗闇の風景が一番落ち着く」
('A`)「……おでん食べよう」
5
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:18:18 ID:dGBJHDM60
ζ(゚ー゚*ζ「もう太陽はとっくに隠れ、見上げれば月が見える」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
ζ(゚ー゚*ζ「どうして大きな声で吠えるのかしら」
ζ(゚ー゚*ζ「よく分からないわ」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
ζ(゚ー゚*ζ「あの子たちは月と話しをしようとする」
ζ(゚ー゚*ζ「月はただ聞いているだけなのに」
6
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:19:03 ID:dGBJHDM60
('A`)「この割り箸には竹を使用しています」
('A`)「……」
('A`)「お姫様を見つけようと、大量に伐採された竹」
('A`)「……図らずも今日は満月だ」
('A`) オデン マダ アッタカイ……
('A`)「……」
('A`)「もうすぐ雪が降る季節の真夜中に」
('A`)「おでんと、コートに包まれた体だけがあたたかい」
('A`)「この夜に異質なのは」
('A`)「……はんぺん、玉子、こんにゃくに大根」
7
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:19:48 ID:dGBJHDM60
ζ(゚ー゚*ζ「広場の隅の草むらに隠したものは」
ζ(゚ー゚*ζ「私以外にはなんの価値もないものだけれど」
ζ(゚ー゚*ζ「きっと別の子が見つけてしまって」
ζ(゚ー゚*ζ「もうそこにはないのね……」
ζ(゚ー゚*ζ「期待なんてしてないけれど」
ζ(゚ー゚*ζ「広場はすぐそこ」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
ζ(゚ー゚;ζ「あっ」
8
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:20:25 ID:dGBJHDM60
('A`) アッ
ζ(゚ー゚;ζ
ζ(゚ー゚;ζ「こんな時間に人がいるなんて……」
9
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:21:07 ID:dGBJHDM60
('A`)「……」
ζ(゚ー゚;ζ「……」
('A`)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
('A`)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
('A`)「おでん……、玉子食べます?」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、黄身だけ」
10
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:22:17 ID:dGBJHDM60
('A`)「黄身だけね……」
ζ(゚ー゚*ζ「はい」
('A`)「おでんの容器のフタに置きますから」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう」
('A`)「……」
ζ(゚ー゚*ζ ハグハグ……
('A`)「……白身もちゃんと火が通ってますよ?」
ζ(゚ー゚*ζ「好みの問題なんです」
('A`)「それなら仕方にぁい」
ζ(゚ー゚*ζ「えっ?」
11
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:23:13 ID:dGBJHDM60
('A`)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
('A`)「玉子美味しかったですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「それはもう」
('A`)「なら」
('A`) 「にゃんって言ってみてください」
ζ(゚ー゚*ζ「はい?」
('A`) 「にゃんって言ってみてください」
ζ(゚ー゚;ζ「な、なにいってるの……、この変態!」
('A`)「そういうのいいですから……」
ζ(゚ー゚*ζ「えっと……」
('A`) 「いいから、にゃんって言うんだにゃん!」
12
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:24:01 ID:dGBJHDM60
ζ(゚ー゚;ζ「……」
ζ(゚ー゚;ζ「にゃ、にゃん……」
('A`)「いいぞ、その調子」
ζ(゚ー゚;ζ「そ、そうですか、にゃん」
('A`)「君、すごくかわいいね……」
ζ(゚ー゚*ζ「よく言われますにゃん」
('A`)「こんな時間にどうしたの?」
ζ(゚ー゚*ζ「それは秘密ですにゃん」
('A`)「そう……」
ζ(゚ー゚;ζ「……」
13
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:24:38 ID:dGBJHDM60
('A`)「そうだ」
('A`)「頭を撫でてもいいかな?」
ζ(゚ー゚;ζ「イヤです! ……私もう行きますから!」
('A`)「すーっと撫でるだけ、すーっと」
ζ(゚ー゚#ζ「さようなら!」
('A`)「……」
('A`)「あぁ……」
('A`)「……」
('A`)「……あたたかいか、確かめたかっただけなのに」
14
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:25:35 ID:dGBJHDM60
('A`)「……」
('A`)「おでんを食べたら、煙草を吸おうと思ったのに」
('A`)「ライターは台所の近くに置いたまま……」
('A`)「換気扇の下で吸ったのが悪かった」
('A`)「出かける前に」
('A`)「……」
('A`)「マグマのように灼熱に輝いて燃える灰皿の吸殻を」
('A`)「まだ覚えている」
15
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:26:18 ID:dGBJHDM60
('A`)「水道から流れる水は」
('A`)「ようやく戻ってきた自分にようこそと囁き」
('A`)「僕はもう何も考えられない」
('A`)「……」
('A`)「時間はアパートに置いたまま」
('A`)「だから、何もかもが星に見える」
('A`) 「……」
('A`) 「そういうものが、ありますか」
おわり
16
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:27:43 ID:dGBJHDM60
<次回予告>
lw´‐ _‐ノvの日記
コンビニでチョコなどを買った。
明日の私は、軽くなったお財布に悲しんでいるかもしれない。
ちょっと気持ちが分かるので、ポッキーは残して置きます。
そうそう帰り道に公園の前を通ったら、ベンチに人が座っていた。こんな時間なのに。
よく見たら彼の足もとには猫がいて、何やら話しているみたいだった。
その気になれば、何であろうとお話しできるのかもしれない。
私も、目の前のいちご味ポッキーと話しをしてみたい。
17
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 03:29:59 ID:dGBJHDM60
本当はでぃがいいなあと思ってたんですが、そんなお話を二つ覚えているのでやめました。
ネタバレになるのであれですが今年くらいの総合短編と、音楽短編フェスのです。
今回の発想のもとは恐らくそれらです。
何も思いつかないときに書くので不定期です、すみません。
(その割には次回は決まっていて、シューのお話です
ありがとうございました
18
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 10:55:50 ID:veN6fepo0
>>1
の最初の一行にひかれた
乙
19
:
同志名無しさん
:2013/11/17(日) 18:22:03 ID:Yp5AhhrA0
乙
この雰囲気すごい好き
20
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:33:05 ID:66.ifPWQ0
2、認識の霧のなか、39や40の破片
伝達手段としての言葉から、その要素を削ってゆく。
するとこんなにも軽々と、言葉は自由に飛び交う。
私たちがある種の笑いに包まれていた時、まるで車内は楽園のように思えた。
私たちが……、包まれていた……、楽園……。
伝わる言葉と、ただの言葉。
私はどちらも、悲しいくらいに好きだった。
21
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:34:35 ID:66.ifPWQ0
lw´‐ _‐ノv「ただいま帰りました」
o川*゚ー゚)o「あっ。おかえり」
lw´‐ _‐ノv「太陽も風邪をひく寒さ……」
o川*゚ー゚)o「ふふっ、おかしいの。雪だるまみたいな厚着しているのに」
lw´‐ _‐ノv「マフラーどこにしまったかな。あとで探そう」
o川*゚ー゚)o「今年は寒くなるの早いね」
lw´‐ _‐ノv「うん、早い……」
o川*゚ー゚)o「ところで何買ってきたの?」
22
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:35:26 ID:66.ifPWQ0
lw´‐ _‐ノv「麦チョコとポッキーにゃん」
lw´‐ _‐ノv「グミもあるにゃん」
o川*゚ー゚)o「……どしたの、語尾?」
lw´‐ _‐ノv「さっき猫見かけた」
lw´‐ _‐ノv「遠くてよく分からなかったけど……」
o川*゚ー゚)o「にゃん、は付けないの?」
lw´‐ _‐ノv「いや、ええっと」
lw´‐ _‐ノv「……予想よりも恥ずかしかった」
o川*゚ー゚)o「そうだったのかにゃん」
lw´‐ _‐ノv「……」
o川*゚ー゚)o「……あ、ほんとだ」
lw´*‐ _‐ノv「ハハハ」
o川*゚ー゚)o「ふふっ」
23
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:36:02 ID:66.ifPWQ0
lw´‐ _‐ノv「パタパタパタパタ……」
o川*゚ー゚)o「シュー鳩が大空に飛んでいく」
lw´‐ _‐ノv「二階だよ」
o川*゚ー゚)o「うん」
lw´‐ _‐ノv「お母さんは?」
o川*゚ー゚)o「もう寝てるよ。シューも寒いから部屋、暖房つけなよ」
lw´‐ _‐ノv「そうする」
24
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:36:32 ID:66.ifPWQ0
lw´‐ _‐ノv メエー
lw´‐ _‐ノv「ただいま、クマさん」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「そうだね、すぐ暖房をつけよう」
lw´‐ _‐ノv「だけど風がない分、部屋の中の方が快適なんだよ」
lw´‐ _‐ノv「クマさんも今度外出てみる?」
lw´‐ _‐ノv「なんてね」
25
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:37:12 ID:66.ifPWQ0
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「姉は居間で本を……」
lw´‐ _‐ノv「私はこんな夜更けにふらふらと……」
lw´‐ _‐ノv「それでもなんとかやっていける、世界の寛大さ」
lw´‐ _‐ノv「ありがとう」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「マフラーは……」
lw´‐ _‐ノv「あとでいいか」
26
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:37:53 ID:66.ifPWQ0
lw´‐ _‐ノv「幼い頃に貰ったパンダのぬいぐるみは」
lw´‐ _‐ノv「今では擦り切れてやせ細って、パンダの布に」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「パンダちゃんからパンダさん」
lw´‐ _‐ノv「それで何故だかクマちゃんになって、最近はクマさん」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「時を経て、変わっていったぬいぐるみの愛称は」
lw´‐ _‐ノv「そんな彼へのリスペクトだと、私は思う」
27
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:38:29 ID:66.ifPWQ0
lw´‐ _‐ノv「胴と頭をつなぐ、細い糸が切れないかが心配な近頃」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「いつのまにか布地がほつれ」
lw´‐ _‐ノv「中のワタは知らずに減って」
lw´‐ _‐ノv「何度も縫い直して縫い直したけれど……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「形あるものはいつか壊れる、は本当だ」
28
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:39:08 ID:66.ifPWQ0
lw´‐ _‐ノv「だけど、それは」
lw´‐ _‐ノv「霧になって消えてしまったりはしない」
lw´‐ _‐ノv「ガラクタや破片、あるいは布切れになって残るんだ……」
lw´‐ _‐ノv「いつまでも」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「麦チョコ食べよ、……あっ」
lw´‐ _‐ノv「……帰ってきて、手を洗うのを忘れてた」
lw´‐ _‐ノv「洗いに行こう……」
lw´‐ _‐ノv メエエ……
29
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:39:48 ID:66.ifPWQ0
lw´‐ _‐ノv メエー
o川*゚ー゚)o「ん、シューだったか」
lw´‐ _‐ノv メエエ
o川*゚ー゚)o「いつも羊の声を真似してるけど」
lw´‐ _‐ノv メエエエ
o川*゚ー゚)o「これは恥ずかしくないの?」
lw´‐ _‐ノv「……」
o川*゚ー゚)o「……」
lw´‐ _‐ノv「あんまり。これは趣味だから」
o川*゚ー゚)o「趣味だったのか」
lw´‐ _‐ノv「お姉ちゃんもどうですか」
o川*゚ー゚)o「間に合ってます」
30
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:40:19 ID:66.ifPWQ0
lw´‐ _‐ノv「ところで何を読んでるの?」
o川*゚ー゚)o「見てるんだよ」
lw´‐ _‐ノv「そっか、つい……」
o川*゚ー゚)o「ううん」
lw´‐ _‐ノv「……」
o川*゚ー゚)o「……」
lw´‐ _‐ノv「……面白い?」
o川*゚ー゚)o「ちょっと待って」
31
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:40:58 ID:66.ifPWQ0
o川*゚ー゚)o「ほら、このページ」
o川*゚ー゚)o「事、って文字がたくさん。おかしいよねぇ」
lw´‐ _‐ノv「どれどれ」
o川*゚ー゚)o「……の事を彼は? ……出来事が? ……事によると?」
lw´‐ _‐ノv「……の事を彼は、……出来事が、……事によると」
o川*゚ー゚)o「ふふっ」
lw´‐ _‐ノv「うん」
32
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:41:42 ID:66.ifPWQ0
o川*゚ー゚)o「よいしょっと、ちょっとトイレ」
lw´‐ _‐ノv「うん」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「39や40の破片は、消えたりしない」
lw´‐ _‐ノv「いつかまた、きっと……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「伝わる言葉も、自由な言葉も」
lw´‐ _‐ノv「どっちだって私は好きだよ」
lw´‐ _‐ノv「……お姉ちゃん」
おわり
33
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:42:21 ID:66.ifPWQ0
<次回予告>
( ^ω^)のトイレでの呻き
トイレに入って、もう20分は経ったかお
お腹に違和感あるけど、何も出ないお……
34
:
同志名無しさん
:2013/11/19(火) 19:43:23 ID:66.ifPWQ0
前回、でぃが猫の音楽短編フェスのがあると言ってましたが、
間違いだった、総合短編でした。ごめんね……
(どっちもバレンタインのお話しだから、普通に勘違いしてました
>>18-19
ありがとう!嬉しいです!
次回はだいぶ先になると思います
ありがとうございました
35
:
同志名無しさん
:2013/11/20(水) 12:54:14 ID:Xj7xXjrA0
乙
次回が気になりすぎるwwww
36
:
同志名無しさん
:2013/11/20(水) 18:07:29 ID:VmhGT6uM0
じwかwいwよwこwくwwwwwwww
37
:
同志名無しさん
:2013/11/22(金) 06:39:21 ID:NuIQNfNA0
いいね
38
:
同志名無しさん
:2013/11/22(金) 09:33:36 ID:YPGq.p5wO
好きなタイトルなんだけど
>>1
がstarじゃなくてsarになっちゃうんじゃ、と思ってしまってしょうがない
39
:
同志名無しさん
:2013/11/22(金) 09:59:19 ID:fDwZwETE0
わろた
40
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:09:52 ID:O27IaOYs0
3、ぼやけた隙間に一瞬だけ浮かぶ明かり
全身全霊で考えても、どこかに選択の余地は残る。
流れる時間、決断を迫られる瞬間、その先の行方。
たとえばそれは、秤動する岩の部屋やトイレの中。
あとから思い出して感傷に浸るのは、いつも一人の時だった。
41
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:10:48 ID:O27IaOYs0
( ^ω^)「不規則な生活をしていると」
( ^ω^)「朝起きてトイレに入っても、何も出ないことがあるお」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「だけど今は夜中だし、最近は時計のような生活だったお」
( ^ω^)「なぜ出ない……」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「思えば僕の一日は、トイレに始まりトイレに終わるお……」
42
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:11:30 ID:O27IaOYs0
( ^ω^)「朝起きて、シリアルを食べ」
( ^ω^)「まだ眠い頭を引きずって、トイレに入るお」
( ^ω^)「出たらすぐに着替えて、自転車に乗って」
( ^ω^)「駅前の駐輪場のおじさんに、行ってきます」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「喫茶店の看板娘の猫を横目に駅に向かって」
( ^ω^)「会社に着いて仕事をして」
( ^ω^)「帰宅して夕飯を食べたら、もう明日が迫っていて」
( ^ω^)「トイレに入るお」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「人生とは、トイレなのかお……」
43
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:12:49 ID:O27IaOYs0
(# ^ω^) ムムムンンン!
(; ^ω^)「ぬぬぬ……」
(; ^ω^)「……出ないお」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「トイレに入って、もう20分は経ったかお」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「一日の三分の一は眠っているから」
( ^ω^)「眠っているときの思考も尊重するべき」
( ^ω^)「なんて新書を昔に読んだお」
44
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:14:12 ID:O27IaOYs0
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「僕は、朝と夜に30分以上トイレに入っているから」
( ^ω^)「一日の二十四分の一はここにいるお」
( ^ω^)「二十四日で、まる一日トイレで過ごしたことになるお……」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「そう考えると、トイレ環境をもっと快適にするべきなのかもしれないお」
( ^ω^)「何だろう……、観葉植物とか置くかお?」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「いや、まずはお高めの芳香剤とか……」
45
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:15:04 ID:O27IaOYs0
( ^ω^)「ああ、紙質のいいトイレットペーパー」
( ^ω^)「重要すぎて、すっかり失念してたお」
( ^ω^)「僕ほど執拗に尻を拭く人はいないんじゃないかと思うお」
( ^ω^)「ダブルのトイレットペーパーを四重にして」
( ^ω^)「紙をのせた指を、第一関節までお尻に押し入れて」
( ^ω^)「そうしてキレイに拭かないと、どうもしっくりこないお」
( ´ω`)「おかげで僕は毎日切れ痔だお……」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「だけど、そのへんの男より括約筋を意識してる」
( ^ω^)「そんな妙な優越感もあるお……」
46
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:16:07 ID:O27IaOYs0
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「何も出ないままトイレに座っていると」
( ^ω^)「いつになっても、あの頃を思い出すお」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「バンドを始めたばかりの友達が」
( ^ω^)「ギターが必要だと言って、僕を誘ってくれたお」
( ^ω^)「音楽に憧れてた僕は、二つ返事で快諾して」
( ^ω^)「すぐさまギターを買って、バンドに加わったお」
( ^ω^)「……」
47
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:17:01 ID:O27IaOYs0
( ^ω^)「市が高校生に無料でスタジオを貸し出していて」
( ^ω^)「彼らはそこでいつも練習していたお」
( ^ω^)「途中から入った僕は」
( ^ω^)「次にバンドがやる曲を、一人で先に練習することになったお」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「どこかで聞いた曲をメンバーが練習するなか」
( ^ω^)「僕は譜面台に教本を置いて、コードから」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「必死さも根性も足りなかったことを」
( ^ω^)「今の僕ははっきりと」
48
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:17:41 ID:O27IaOYs0
( ^ω^)「そうだお」
( ^ω^)「つまらなくなったのは、自分のせいだったんだおね」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「やがて高揚感は消え、残ったのは冷めた練習だけ」
( ^ω^)「ある時僕は、スタジオを抜けトイレの個室に」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「ただじっと座っていたお、何も出ないのに……」
( ^ω^)「そのうち友達が声を掛けにきてくれたなあ」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「もうあの頃には戻れないけど」
( ^ω^)「腐らずにやっていたら、あるいは……」
49
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:19:09 ID:O27IaOYs0
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「もう、だいぶ経った気がするお」
( ^ω^)「……ああ、そうだお。トイレに置くための時計がいるお」
( ^ω^)「……」
(* ^ω^)「おっ」
( ^ω^)「ぬぬぬぬ」
(# ^ω^)「ふぬぬ、ぬにににゃああんん!!」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)+ スッキリ
( ^ω^)「よし」
50
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:20:45 ID:O27IaOYs0
( ^ω^)「だけど、やけにアンニュイな気分になってしまったお」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「二十四分の一くらいなら」
( ^ω^)「そういうのもいいか、お」
( ^ω^)「……」
( ^ω^)「よいしょっと。明日は帰りに時計を買うの」
( ^ω^)「忘れないようにしないと……」
( ^ω^)「あ、あれ? 足が沈むような……」
(; ^ω^)「……」
(; ^ω^)「ちょ、床が無くなっ、落ち……」
(; ゚ω゚)「おわああああああ!!!」
アアア……
おわり
51
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:22:11 ID:O27IaOYs0
<次回予告>
('A`)「本物の星が、そこらじゅうで燃えている……」
o川*゚ー゚)o「私はキュート、これでも一応シューの姉です」
lw´‐ _‐ノv「よく分からないけど、地球の外だよね」
( ^ω^)「そうだった、まだ手を洗ってないお……」
52
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 02:24:32 ID:O27IaOYs0
>>38
自分もあとで気付きました、sarってなんだ、うわあ……
あとで無理やりなんとかします、ありがとう
読んでくれた方ほんとにありがとう!主役が揃ったよ!
がんばります、次回は12月中に
53
:
同志名無しさん
:2013/11/24(日) 04:45:52 ID:tvS7PLP60
思っていたより不思議世界だった
面白乙
54
:
同志名無しさん
:2013/11/30(土) 11:34:41 ID:cg0JE0O.0
乙
ギャグだと思ってたら全然違った
55
:
同志名無しさん
:2013/12/19(木) 00:36:02 ID:n45aFb9A0
乙乙、この空気大好き
>>38
「始まりの終わりから時間(t)を奪えば星が見える」に勝手に脳内変換されてたわ……
56
:
同志名無しさん
:2013/12/25(水) 23:09:29 ID:y51dQylM0
なかなかいいじゃないの
57
:
同志名無しさん
:2014/02/09(日) 17:23:06 ID:Z8YGeYYQ0
好きな雰囲気で好きだわ
続き待ってます
58
:
同志名無しさん
:2014/09/30(火) 19:10:54 ID:ztvPw/uM0
待ってるよー
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