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107 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:07:45
(´・ω・`)「ほら、そこそこ」
|┃三 _________
|┃ /
|┃ ≡ _、_ < ぷりっきゅあ!ぷりっきゅあ!
____.|ミ\___っ( ゚∋゚) _ \
|┃=___ \  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|┃ ≡ ) 人 \ ガラッ
※ずれてたらごめんね、ごめんね
( ^ω^)「……」
('A`)「……」
(´・ω・`)「ごめん。『浴衣』を着たお兄さんだった」
('A`)「どんな間違いだよ」
( ゚∋゚)「話は聞かせてもらった!参加しようじゃないか」
( ^ω^)「クックル怖い話できるのかお?」
( ゚∋゚)「なめてもらっては困るな。『浴衣』で一つ、話してやろう」
108 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:10:38
( ^ω^)「じゃ、じゃあ頼むお」
('A`)(´・ω・`)「wktk」
( ゚∋゚)「そうだな……。お前達は、地方にある、
昔から根付いている風習なんてものは、知っているか?」
( ^ω^)「あの……しきたりとか、なんとかいうやつかお?」
( ゚∋゚)「そうだ。その類の話なんだがな……」
( ゚∋゚)「その地方には、古い習慣があってな。
それは、過去から未来へと続く、飽くなき負の連鎖。
まあ、端から言う”悪習”というものだ」
( ^ω^)「kwsk」
(´・ω・`)「リアル雛見○?」
109 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:13:27
――その男は、地方へと移り住んできたばかりの着物商だった。
名前は、なんといったか。
……まあ、それはいいだろう。
その男は、何やら仕事でトラブルがあったらしく、都会から追われるように、
山間に位置する地方へとやってきたのだ。
ミ,,゚Д゚彡「……やはり、この地方は暑い」
とりあえず、移転をしてきたので手続きをしないといけない。
厄介ごとはすぐに済ませよう、そう思った男は、役場へと転入を届出に行った。
役場へ行くにも、トラクターを使って行かないと、行けないくらいの急斜面。
男は、来て早々こうも憂鬱になるものか、と呆れていた。
淡々と、書類を消化していると、隣に二人の女の子の声が聞こえたので、男は振り向く。
そこには、今には珍しい、金髪をくるくると、バウムクウヘンのように巻いた……と言うのか、
かわいらしい髪の毛をした色白の女の子。そして、綺麗な黒髪を腰まで伸ばした女の子。
その二人が、隣の窓口で何かをしていた。
ミ,,゚Д゚彡(……こんな田舎に、金髪とは珍しいものだな)
そんなことを、男は考えながら、判子を押す。
すると、その内の一人が、こちらを見て、何やら言っているようだ。
閉鎖的な地方、故に指差されて笑われているのか?
そんな事を考えながらも、男は判子を押す。
110 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:14:42
『お兄さん?』
ミ,,゚Д゚彡「……?」
ξ゚⊿゚)ξ「お兄さん、どこから来たの?」
川 ゚ -゚)「こら。ちゃんとした口使いをしなさい。だらしない」
急に、その内の一人が男に話しかける。
改めてみると、それほど小さな子でもなさそうだ。
15歳?17歳?
まあ、それくらいだろう。
ミ,,゚Д゚彡「ああ。私は●●というところから来たんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「●●?なぜそんな所から、こんな辺鄙な所まで?」
川 ゚ -゚)「……全く。すいません、妹が馴れ馴れしく……」
ミ,,゚Д゚彡「いや、何も問題は無いよ。少し、仕事に嫌気がさしてしまってね」
ξ゚⊿゚)ξ「そうなんですか。ここは……いいところ、ですよ」
ん?
川 ゚ -゚)「……。お仕事は、何をなさっているのですか?」
ミ,,゚Д゚彡「え?ああ、私は着物商をやっていたんだが……」
111 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:15:47
いいところ……。
何だ?
何かを含んだ感じの言い方だ……。
川 ゚ -゚)「ああ。それをお辞めになってこちらへ?」
ξ゚⊿゚)ξ「こっちでは何のお仕事を?」
ミ,,゚Д゚彡「そう。こっちでは細々と着物を作ろうと思っているんだけどね。
売るより作るほうが好きなんだ、性分かな」
ξ゚⊿゚)ξ「着物、作れるんですか?」
ミ,,゚Д゚彡「ああ。まあそんなに職人のように複雑な作りや模様はできないんだがね」
川 ゚ -゚)「あっ。ほら、早くしないとおじさんの用事があるわよ」
ξ゚⊿゚)ξ「本当だ。じゃあ、おじさん。またお会いしましょう」
ミ,,゚Д゚彡「あ、ああ」
なんだか、忙しい子達だ。
そんな事を男は思い、その日は終了した。
112 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:17:15
(´・ω・`)「今のところ……何もないよね」
( ^ω^)「少女に萌える話かお?」
('A`)「うひひ……少女……少女……」
( ゚∋゚)「お前達の想像力には脱帽だ。続き、行くぞ」
そうして男がその地方の生活に順応して来た頃、その女の子達に会う事があった。
季節は、うだる様な暑さの夏。
蝉が五月蝿いほど泣き喚き、川のせせらぎがそれを打ち消してくれる。
ああ、いい季節だ。
なんてここは、いいところなんだろう。
/ ,' 3「今ぁ、ここがいいところかと、思われましたかね?」
ミ,,゚Д゚彡「え?あ……あぁはい。ここは都会と違っていいところです」
/ ,' 3「ほっほ。それも、この地方を守ってくださる達磨様がいらっしゃるからじゃよ」
草履を履き、簡素な格好をした老人が、その男へと話しかけた。
突然の事に、大層吃驚したのだが、まあ親しみやすい地方人格なのだろう、そう思っていた。
ミ,,゚Д゚彡「達磨様?この地方には、そのような神様が崇拝されているのですか?」
/ ,' 3「そうじゃよ。この地方がこのように温暖で、綺麗な空気、美味しい水。
肥沃な土壌に恵まれているのは、守り神である達磨様のおかげじゃ」
地方には、守り神崇拝等が多い、と、噂には聞いていたが、ここもそうだったのか。
113 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:19:43
ミ,,゚Д゚彡「信心深い地方なのですね。
都会には、神も何も無い、という人ばかりですよ」
/ ,' 3「そうなのかえ?君も、あそこの神棚に祭られている達磨様にお祈りをしていくといい。きっと、いい事があるぞえ」
老人が指を指した先には、神棚?であろうか……。
何かが祭られているであろう木製の入れ物が、立てられていた。
観音開きを開けると、そこには、達磨を藁で包んだ、藁達磨?
のようなものに、御札がたくさんと貼られており、どうにも、禍々しい雰囲気をかもし出していた。
ミ,,゚Д゚彡「……これが、達磨様?」
/ ,' 3「そうじゃ。達磨様……今日もありがとうございます……」
そして、もう一つおかしい所があった。
それは、”達磨であっても、達磨ではない”、その特徴。
四肢をちょん切った様な、達磨から手足が少しずつ生えたような、
奇妙な……いや、なんとも言葉では表せないものであった。
……そうだ。御玉杓子だ。
御玉杓子が、蛙へと成るその直前の様子にそっくりであった。
/ ,' 3「まあ、この地方に来たのも何かの縁。
よかったら、たまにでも覗いて上げて下さいな。
達磨様は、喜ばれますぞえ」
ミ,,゚Д゚彡「……はぁ。そう、します」
/ ,' 3「もう達磨祭りも近い。目にする機会は増えるじゃろ。ほっほっほ」
そう笑うと、老人は歩いて行ってしまった。
何か、おかしい。
そう思ってはいたものの、すぐに頭からは消えてしまった。
114 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:20:53
そして、今日の用事の一つ。
集会所にて、その達磨祭りに関する話し合いがあるそうだ。
電話も通っていない私の家に、近所のおばさんが伝聞に来てくれたのだ。
集会所へと入ると、もう何人かの大人達が、わいわいとお酒を飲んで騒いでいた。
やはり、集まりあいというものは、昼から酒を飲む言い訳とされることが多い、それはどこも同じのようだ。
ξ゚⊿゚)ξ「あっ!役場でお会いしましたよね?着物の……」
そういって、あの子が話しかけてきた。
顔を覚えていてくれたのであろう、
薄い水色のワンピースを着て、こちらへと無邪気に寄ってきた。
ミ,,゚Д゚彡「ああ。この前の……」
川 ゚ -゚)「お久しぶりです」
ミ,,゚Д゚彡「久しぶりです。君達もお祭りの委員会に?」
ξ゚⊿゚)ξ「いえ、私達は、父について来ただけです」
ああ、そうなんだ。
などと、他愛も無い会話をしていると、話し合いが始まった。
まあ、何を決めるでもなく、去年はこうだった、
今年はこうできたらいい……などと、わいわい賑やかに話しているだけであった。
ビールを口に運ぶ。
氷水で冷やしてあったのであろう。非常に冷えていて、喉通りがよかった。
115 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:21:58
ξ゚⊿゚)ξ「お兄さん、着物、作っているんですよね?」
ミ,,゚Д゚彡「ああ。そうだよ。それがどうかしたかい?」
ξ゚⊿゚)ξ「達磨祭り……。その時に、お兄さんの作った浴衣、着たいと思って……」
浴衣なら、着物を作るより幾倍も簡単であった。
それに、この地方へ着てから初めて親しくしてくれた子達だ、
感謝の代わりに作ってあげよう、そう思った。
ミ,,゚Д゚彡「ああ、それはいい案だね。
君達二人に、よければ作ってあげようか?」
川 ゚ -゚)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「本当ですか?是非、お願いします!!」
また、あの違和感。
長髪の子が、どこか影を射したかのような表情をするので、またおかしく感じてしまった。
ξ゚⊿゚)ξ「あの……。頼んでおいてこう言うのもおかしいんですけど……」
ミ,,゚Д゚彡「ん?」
ξ゚⊿゚)ξ「祭りの二日前までに……、作っていただけませんか?」
ミ,,゚Д゚彡「二日前……。今から2週間か。
ああ。いいよ。なんとか間に合うさ」
それを聞いて、笑顔ではしゃぐ女の子を、僕は何も考えることなくただ見ていた。
そして、家に帰ると生地を取り出し、浴衣を作り始めた。
116 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:23:55
思った以上に、型を作るのに手間取ったか、少し予定をオーバーしてしまった。
男は、申し訳ないが、まだ祭りの前だ。許してくれるだろう。
などと、考えながら、その日に教えてもらった彼女達の家へと、浴衣を二着持っていった。
家を訪ねると、初老のおば様、どうやらあの子達の母親だろう。
『昨日の晩、用事で少し前に出かけてしまった。
明日の祭りには戻ってくるから、用があるなら伝えておく』
そう言った。
まあ、それほど大事な用でもない。
売るのは玄人だが、作るのは素人。
そんな事を考えながら、その場を取り繕い、家へと戻った。
祭囃子が、その一帯に響く頃。
もう一度、その子の家を訪ねた。
ミ,,゚Д゚彡「こんばんは」
出迎えてくれたのは、黒髪のお姉さんの方だ。
川 ゚ -゚)「……こんばんは」
どこか、祭りなのに浮かない表情をしている。
ずっと、そうだ。
この浴衣の話をしだしてから、どうも彼女には影が見えた。
ミ,,゚Д゚彡「浴衣を……持ってきたんだ。我ながらうまくいってる」
川 ゚ -゚)「……ありがとうございます。でも……」
でも……?
川 - )「あのこは、もう、きれません」
117 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:25:10
ミ,,゚Д゚彡「え……?」
川 - )「もういちど、いい、ます。あのこは、もう、ゆかたを、きれません」
無機質な声を、先ほどとは打って変わって言い放つ女の子に、男は少し怯えた。
な、なにがいきなりこの子を変えた?
浴衣が気に入らない?
いや、まだ浴衣を見せてもいない……。
それに、あの子は着れない……とは、どういう事なんだ?
祭囃子が、一瞬、止んだ。
川 ゚ -゚)「みますか?」
ミ,,゚Д゚彡「……な、何を……」
川 ゚ -゚)「……みますか?」
い、一体どうしたっていうんだ!?
この子……おかしい……!!
くるりと振り返ると、女の子は、奥の座敷へと向かった。
つられる様に、男も家に上がり、女の子の後をついていく。
すると、神棚がある、大きな畳の間へと辿り着いた。
その神棚には、やはり達磨様が飾ってあり、
この地方の信仰者である事が伺えた。
川 - )「あなた、は、あのこ、に、ゆかたをつく、ってくれると、いいました」
ミ,,゚Д゚彡「……ああ」
襖の開けると、右側通路奥にも部屋があるようで、
そこからは、すすり泣くような、いや、笑っているかのような声がした。
寒気と、震えが……男を、襲う。
何だ。
118 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:26:32
これは、何だ。
何の、声だ。
川 - )「みて、ください。これが、だるま、さま、です」
カラ……。
カラ……。
乳母車の音?
それが、この部屋へと、声と共に、近づいてくる。
はぁ……!!
はぁ……!!
息が……苦しい……。
胸が、締め付けられそうになる。
そこへ姿を現したのは。
両手足を無くし、乳母車へとちょこん、と乗せられた、金髪のあの子であった。
ξ゚⊿゚)ξ「お兄さんの作ってくれた、その着物。着れなく……なっちゃった。
切られて、貼られて……手足が無くなっちゃったよ。お兄さん」
歯が、ガタガタと震えた。
な、なんで女の子の両手足が……無いんだ?
119 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:27:44
切られたであろう場所には、釘が10数本、
そして、そこを上塗りするかのようにお札が貼ってある。
女の子の目の焦点は合っておらず、口からヨダレを流し、
体中に包帯を巻いていた。
ミ;,,゚Д゚彡「ひっ……!!ひぃぃ!!!」
男は、腰が抜けてしまい、その場に座り込んでしまった。
女の子を乗せた乳母車は、カラカラと音を立てて男へと近づく。
ξ゚⊿゚)ξ「……ごめんね。作ってもらったのに……切られたから、
着れなくなっちゃった。着たかったのに……祭りに、
浴衣で行きたかったのに……」
黒髪の女の子が、金髪の女の子の頭を撫で、額に口付けをする。
なぜ、こんなことになるのか……。
ミ;,,゚Д゚彡「ど……どうして……こんな事に……」
川 - )「このこは、だるまさまに、なった、のよ」
ミ,,゚Д゚彡「……達磨……」
川 -)「ほら、あなたも、このこに、おめでとう、って、いって、あげて、ください」
ミ;,,゚Д゚彡「はぁっ……!!はぁっ……!!」
息が、出来ない。
目の前が、真っ白に――なる。
120 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:30:36
そして、男が目覚めると、そこは、地方の病院の一室であった。
どうやら、あぜ道に倒れていたらしく、あの日にあったおじいさんが助けてくれたようであった。
その後、男は、その女の子二人に会うことは無く、また、逃げるようにして住居を変えた。
後々調べたところ、あの地方には、達磨偶像の一環として”異端なる女系を捧ぐ儀式”というものがあったらしい。
異端、というのはおそらく、あの女の子の髪の毛、色素が抜けた子の事を指すのだろう。
四肢を切り取り、焼却。
そして、その切断面から、また腕足が生えないように、
釘を刺し、札にて留める。
といったことが、ある周期によって行われているのであった。
もう、あの子が、浴衣を着たいといったときには、
決まっていたことだったんだろう。
だから……二日前に浴衣なんて着たがっていたんだ。
着せて、あげたかった。
彼女の明るい声は、まだ男の耳の中に残り続けている。
( ゚∋゚)「……という話だ」
('A`)「……」
( ^ω^)「……ぶひぃ」
(´・ω・`)「やっぱり、今も地方にはそういう風習が根付いているものなのかな?」
( ゚∋゚)「さあな。これも伝聞だ。話はいつ作られたのかもわからんもんだ。
まあ、車が出てきている点では、最近なのかもしれんがな」
( ゚∋゚)「じゃあ、邪魔したな。次の御代は……『風鈴』。さあ、続きをやってってくれ」
( ^ω^)「……じゃ、じゃあ次は誰だお?」
('A`)「だだだ、誰でしょう……」
(´・ω・`)「ほら、そこそこ」
|┃三 _________
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____.|ミ\___っ( ゚∋゚) _ \
|┃=___ \  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|┃ ≡ ) 人 \ ガラッ
※ずれてたらごめんね、ごめんね
( ^ω^)「……」
('A`)「……」
(´・ω・`)「ごめん。『浴衣』を着たお兄さんだった」
('A`)「どんな間違いだよ」
( ゚∋゚)「話は聞かせてもらった!参加しようじゃないか」
( ^ω^)「クックル怖い話できるのかお?」
( ゚∋゚)「なめてもらっては困るな。『浴衣』で一つ、話してやろう」
108 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:10:38
( ^ω^)「じゃ、じゃあ頼むお」
('A`)(´・ω・`)「wktk」
( ゚∋゚)「そうだな……。お前達は、地方にある、
昔から根付いている風習なんてものは、知っているか?」
( ^ω^)「あの……しきたりとか、なんとかいうやつかお?」
( ゚∋゚)「そうだ。その類の話なんだがな……」
( ゚∋゚)「その地方には、古い習慣があってな。
それは、過去から未来へと続く、飽くなき負の連鎖。
まあ、端から言う”悪習”というものだ」
( ^ω^)「kwsk」
(´・ω・`)「リアル雛見○?」
109 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:13:27
――その男は、地方へと移り住んできたばかりの着物商だった。
名前は、なんといったか。
……まあ、それはいいだろう。
その男は、何やら仕事でトラブルがあったらしく、都会から追われるように、
山間に位置する地方へとやってきたのだ。
ミ,,゚Д゚彡「……やはり、この地方は暑い」
とりあえず、移転をしてきたので手続きをしないといけない。
厄介ごとはすぐに済ませよう、そう思った男は、役場へと転入を届出に行った。
役場へ行くにも、トラクターを使って行かないと、行けないくらいの急斜面。
男は、来て早々こうも憂鬱になるものか、と呆れていた。
淡々と、書類を消化していると、隣に二人の女の子の声が聞こえたので、男は振り向く。
そこには、今には珍しい、金髪をくるくると、バウムクウヘンのように巻いた……と言うのか、
かわいらしい髪の毛をした色白の女の子。そして、綺麗な黒髪を腰まで伸ばした女の子。
その二人が、隣の窓口で何かをしていた。
ミ,,゚Д゚彡(……こんな田舎に、金髪とは珍しいものだな)
そんなことを、男は考えながら、判子を押す。
すると、その内の一人が、こちらを見て、何やら言っているようだ。
閉鎖的な地方、故に指差されて笑われているのか?
そんな事を考えながらも、男は判子を押す。
110 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:14:42
『お兄さん?』
ミ,,゚Д゚彡「……?」
ξ゚⊿゚)ξ「お兄さん、どこから来たの?」
川 ゚ -゚)「こら。ちゃんとした口使いをしなさい。だらしない」
急に、その内の一人が男に話しかける。
改めてみると、それほど小さな子でもなさそうだ。
15歳?17歳?
まあ、それくらいだろう。
ミ,,゚Д゚彡「ああ。私は●●というところから来たんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「●●?なぜそんな所から、こんな辺鄙な所まで?」
川 ゚ -゚)「……全く。すいません、妹が馴れ馴れしく……」
ミ,,゚Д゚彡「いや、何も問題は無いよ。少し、仕事に嫌気がさしてしまってね」
ξ゚⊿゚)ξ「そうなんですか。ここは……いいところ、ですよ」
ん?
川 ゚ -゚)「……。お仕事は、何をなさっているのですか?」
ミ,,゚Д゚彡「え?ああ、私は着物商をやっていたんだが……」
111 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:15:47
いいところ……。
何だ?
何かを含んだ感じの言い方だ……。
川 ゚ -゚)「ああ。それをお辞めになってこちらへ?」
ξ゚⊿゚)ξ「こっちでは何のお仕事を?」
ミ,,゚Д゚彡「そう。こっちでは細々と着物を作ろうと思っているんだけどね。
売るより作るほうが好きなんだ、性分かな」
ξ゚⊿゚)ξ「着物、作れるんですか?」
ミ,,゚Д゚彡「ああ。まあそんなに職人のように複雑な作りや模様はできないんだがね」
川 ゚ -゚)「あっ。ほら、早くしないとおじさんの用事があるわよ」
ξ゚⊿゚)ξ「本当だ。じゃあ、おじさん。またお会いしましょう」
ミ,,゚Д゚彡「あ、ああ」
なんだか、忙しい子達だ。
そんな事を男は思い、その日は終了した。
112 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:17:15
(´・ω・`)「今のところ……何もないよね」
( ^ω^)「少女に萌える話かお?」
('A`)「うひひ……少女……少女……」
( ゚∋゚)「お前達の想像力には脱帽だ。続き、行くぞ」
そうして男がその地方の生活に順応して来た頃、その女の子達に会う事があった。
季節は、うだる様な暑さの夏。
蝉が五月蝿いほど泣き喚き、川のせせらぎがそれを打ち消してくれる。
ああ、いい季節だ。
なんてここは、いいところなんだろう。
/ ,' 3「今ぁ、ここがいいところかと、思われましたかね?」
ミ,,゚Д゚彡「え?あ……あぁはい。ここは都会と違っていいところです」
/ ,' 3「ほっほ。それも、この地方を守ってくださる達磨様がいらっしゃるからじゃよ」
草履を履き、簡素な格好をした老人が、その男へと話しかけた。
突然の事に、大層吃驚したのだが、まあ親しみやすい地方人格なのだろう、そう思っていた。
ミ,,゚Д゚彡「達磨様?この地方には、そのような神様が崇拝されているのですか?」
/ ,' 3「そうじゃよ。この地方がこのように温暖で、綺麗な空気、美味しい水。
肥沃な土壌に恵まれているのは、守り神である達磨様のおかげじゃ」
地方には、守り神崇拝等が多い、と、噂には聞いていたが、ここもそうだったのか。
113 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:19:43
ミ,,゚Д゚彡「信心深い地方なのですね。
都会には、神も何も無い、という人ばかりですよ」
/ ,' 3「そうなのかえ?君も、あそこの神棚に祭られている達磨様にお祈りをしていくといい。きっと、いい事があるぞえ」
老人が指を指した先には、神棚?であろうか……。
何かが祭られているであろう木製の入れ物が、立てられていた。
観音開きを開けると、そこには、達磨を藁で包んだ、藁達磨?
のようなものに、御札がたくさんと貼られており、どうにも、禍々しい雰囲気をかもし出していた。
ミ,,゚Д゚彡「……これが、達磨様?」
/ ,' 3「そうじゃ。達磨様……今日もありがとうございます……」
そして、もう一つおかしい所があった。
それは、”達磨であっても、達磨ではない”、その特徴。
四肢をちょん切った様な、達磨から手足が少しずつ生えたような、
奇妙な……いや、なんとも言葉では表せないものであった。
……そうだ。御玉杓子だ。
御玉杓子が、蛙へと成るその直前の様子にそっくりであった。
/ ,' 3「まあ、この地方に来たのも何かの縁。
よかったら、たまにでも覗いて上げて下さいな。
達磨様は、喜ばれますぞえ」
ミ,,゚Д゚彡「……はぁ。そう、します」
/ ,' 3「もう達磨祭りも近い。目にする機会は増えるじゃろ。ほっほっほ」
そう笑うと、老人は歩いて行ってしまった。
何か、おかしい。
そう思ってはいたものの、すぐに頭からは消えてしまった。
114 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:20:53
そして、今日の用事の一つ。
集会所にて、その達磨祭りに関する話し合いがあるそうだ。
電話も通っていない私の家に、近所のおばさんが伝聞に来てくれたのだ。
集会所へと入ると、もう何人かの大人達が、わいわいとお酒を飲んで騒いでいた。
やはり、集まりあいというものは、昼から酒を飲む言い訳とされることが多い、それはどこも同じのようだ。
ξ゚⊿゚)ξ「あっ!役場でお会いしましたよね?着物の……」
そういって、あの子が話しかけてきた。
顔を覚えていてくれたのであろう、
薄い水色のワンピースを着て、こちらへと無邪気に寄ってきた。
ミ,,゚Д゚彡「ああ。この前の……」
川 ゚ -゚)「お久しぶりです」
ミ,,゚Д゚彡「久しぶりです。君達もお祭りの委員会に?」
ξ゚⊿゚)ξ「いえ、私達は、父について来ただけです」
ああ、そうなんだ。
などと、他愛も無い会話をしていると、話し合いが始まった。
まあ、何を決めるでもなく、去年はこうだった、
今年はこうできたらいい……などと、わいわい賑やかに話しているだけであった。
ビールを口に運ぶ。
氷水で冷やしてあったのであろう。非常に冷えていて、喉通りがよかった。
115 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:21:58
ξ゚⊿゚)ξ「お兄さん、着物、作っているんですよね?」
ミ,,゚Д゚彡「ああ。そうだよ。それがどうかしたかい?」
ξ゚⊿゚)ξ「達磨祭り……。その時に、お兄さんの作った浴衣、着たいと思って……」
浴衣なら、着物を作るより幾倍も簡単であった。
それに、この地方へ着てから初めて親しくしてくれた子達だ、
感謝の代わりに作ってあげよう、そう思った。
ミ,,゚Д゚彡「ああ、それはいい案だね。
君達二人に、よければ作ってあげようか?」
川 ゚ -゚)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「本当ですか?是非、お願いします!!」
また、あの違和感。
長髪の子が、どこか影を射したかのような表情をするので、またおかしく感じてしまった。
ξ゚⊿゚)ξ「あの……。頼んでおいてこう言うのもおかしいんですけど……」
ミ,,゚Д゚彡「ん?」
ξ゚⊿゚)ξ「祭りの二日前までに……、作っていただけませんか?」
ミ,,゚Д゚彡「二日前……。今から2週間か。
ああ。いいよ。なんとか間に合うさ」
それを聞いて、笑顔ではしゃぐ女の子を、僕は何も考えることなくただ見ていた。
そして、家に帰ると生地を取り出し、浴衣を作り始めた。
116 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:23:55
思った以上に、型を作るのに手間取ったか、少し予定をオーバーしてしまった。
男は、申し訳ないが、まだ祭りの前だ。許してくれるだろう。
などと、考えながら、その日に教えてもらった彼女達の家へと、浴衣を二着持っていった。
家を訪ねると、初老のおば様、どうやらあの子達の母親だろう。
『昨日の晩、用事で少し前に出かけてしまった。
明日の祭りには戻ってくるから、用があるなら伝えておく』
そう言った。
まあ、それほど大事な用でもない。
売るのは玄人だが、作るのは素人。
そんな事を考えながら、その場を取り繕い、家へと戻った。
祭囃子が、その一帯に響く頃。
もう一度、その子の家を訪ねた。
ミ,,゚Д゚彡「こんばんは」
出迎えてくれたのは、黒髪のお姉さんの方だ。
川 ゚ -゚)「……こんばんは」
どこか、祭りなのに浮かない表情をしている。
ずっと、そうだ。
この浴衣の話をしだしてから、どうも彼女には影が見えた。
ミ,,゚Д゚彡「浴衣を……持ってきたんだ。我ながらうまくいってる」
川 ゚ -゚)「……ありがとうございます。でも……」
でも……?
川 - )「あのこは、もう、きれません」
117 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:25:10
ミ,,゚Д゚彡「え……?」
川 - )「もういちど、いい、ます。あのこは、もう、ゆかたを、きれません」
無機質な声を、先ほどとは打って変わって言い放つ女の子に、男は少し怯えた。
な、なにがいきなりこの子を変えた?
浴衣が気に入らない?
いや、まだ浴衣を見せてもいない……。
それに、あの子は着れない……とは、どういう事なんだ?
祭囃子が、一瞬、止んだ。
川 ゚ -゚)「みますか?」
ミ,,゚Д゚彡「……な、何を……」
川 ゚ -゚)「……みますか?」
い、一体どうしたっていうんだ!?
この子……おかしい……!!
くるりと振り返ると、女の子は、奥の座敷へと向かった。
つられる様に、男も家に上がり、女の子の後をついていく。
すると、神棚がある、大きな畳の間へと辿り着いた。
その神棚には、やはり達磨様が飾ってあり、
この地方の信仰者である事が伺えた。
川 - )「あなた、は、あのこ、に、ゆかたをつく、ってくれると、いいました」
ミ,,゚Д゚彡「……ああ」
襖の開けると、右側通路奥にも部屋があるようで、
そこからは、すすり泣くような、いや、笑っているかのような声がした。
寒気と、震えが……男を、襲う。
何だ。
118 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:26:32
これは、何だ。
何の、声だ。
川 - )「みて、ください。これが、だるま、さま、です」
カラ……。
カラ……。
乳母車の音?
それが、この部屋へと、声と共に、近づいてくる。
はぁ……!!
はぁ……!!
息が……苦しい……。
胸が、締め付けられそうになる。
そこへ姿を現したのは。
両手足を無くし、乳母車へとちょこん、と乗せられた、金髪のあの子であった。
ξ゚⊿゚)ξ「お兄さんの作ってくれた、その着物。着れなく……なっちゃった。
切られて、貼られて……手足が無くなっちゃったよ。お兄さん」
歯が、ガタガタと震えた。
な、なんで女の子の両手足が……無いんだ?
119 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:27:44
切られたであろう場所には、釘が10数本、
そして、そこを上塗りするかのようにお札が貼ってある。
女の子の目の焦点は合っておらず、口からヨダレを流し、
体中に包帯を巻いていた。
ミ;,,゚Д゚彡「ひっ……!!ひぃぃ!!!」
男は、腰が抜けてしまい、その場に座り込んでしまった。
女の子を乗せた乳母車は、カラカラと音を立てて男へと近づく。
ξ゚⊿゚)ξ「……ごめんね。作ってもらったのに……切られたから、
着れなくなっちゃった。着たかったのに……祭りに、
浴衣で行きたかったのに……」
黒髪の女の子が、金髪の女の子の頭を撫で、額に口付けをする。
なぜ、こんなことになるのか……。
ミ;,,゚Д゚彡「ど……どうして……こんな事に……」
川 - )「このこは、だるまさまに、なった、のよ」
ミ,,゚Д゚彡「……達磨……」
川 -)「ほら、あなたも、このこに、おめでとう、って、いって、あげて、ください」
ミ;,,゚Д゚彡「はぁっ……!!はぁっ……!!」
息が、出来ない。
目の前が、真っ白に――なる。
120 :工藤 ◆Cy/9gwA.RE :2007/07/19(木) 22:30:36
そして、男が目覚めると、そこは、地方の病院の一室であった。
どうやら、あぜ道に倒れていたらしく、あの日にあったおじいさんが助けてくれたようであった。
その後、男は、その女の子二人に会うことは無く、また、逃げるようにして住居を変えた。
後々調べたところ、あの地方には、達磨偶像の一環として”異端なる女系を捧ぐ儀式”というものがあったらしい。
異端、というのはおそらく、あの女の子の髪の毛、色素が抜けた子の事を指すのだろう。
四肢を切り取り、焼却。
そして、その切断面から、また腕足が生えないように、
釘を刺し、札にて留める。
といったことが、ある周期によって行われているのであった。
もう、あの子が、浴衣を着たいといったときには、
決まっていたことだったんだろう。
だから……二日前に浴衣なんて着たがっていたんだ。
着せて、あげたかった。
彼女の明るい声は、まだ男の耳の中に残り続けている。
( ゚∋゚)「……という話だ」
('A`)「……」
( ^ω^)「……ぶひぃ」
(´・ω・`)「やっぱり、今も地方にはそういう風習が根付いているものなのかな?」
( ゚∋゚)「さあな。これも伝聞だ。話はいつ作られたのかもわからんもんだ。
まあ、車が出てきている点では、最近なのかもしれんがな」
( ゚∋゚)「じゃあ、邪魔したな。次の御代は……『風鈴』。さあ、続きをやってってくれ」
( ^ω^)「……じゃ、じゃあ次は誰だお?」
('A`)「だだだ、誰でしょう……」
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