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14 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:39:46
第二話「お題 満月」
面接会場からまっすぐに帰宅した俺は、スーツのまま自室のベットに倒れ込んだ。
それから何時間こうしていただろうか。
疲労感と、それを上回る敗北感が俺に襲い掛かってくる。
('A`)「……」
ドアが開いた。顔を布団に埋めたまま、横目でそっちを見る。
カーチャンが立っていた。畜生、こっち見んな。
J( 'ー`)し「ドクオ、面接どうだった? お腹空いたろう?
カーチャン、ご飯作って……」
('A`)「うるせぇ! あっち行ってろよ!」
J( 'ー`)し「ご、ごめんね。夕飯、冷めないうちに食べてね」
('A`)「早く出て行けよ!」
俺が怒鳴ると、カーチャンは一階へ降りていった。
静寂が部屋に立ち込める。
……あ、駄目だ。
もう駄目だ。死ぬしかない。
俺のような駄目人間は生きる資格が無い。
15 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:42:33
('A`)「……」
2年間引きこもっていた俺が社会復帰なんて、夢のまた夢だ。
学歴も無い。コミュ能力も無い。人間不信、童貞。
そうだ、死のう。生きる理由を見出せないんだ。ならば、あの世へ逝くのが得策だろう。
('A`)「首……吊るか」
ロープが必要だ。いや、ロープになるものなら何でもいい。
思い立ったが吉日。俺はロープを求めて部屋を引っ掻き回す。
('A`)「無いな……仕方ない、最後だ。買い物ぐらい、大丈夫だろう」
この世最後の外出だ。これで終わりにしよう。
無駄に生きることは罪だ。俺=罪、OK?
16 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:43:24
時計を見る。ちょうど日付が変わった時刻か。
この時間じゃコンビニくらいしか開いてないな。
いいや、コンビニで。ロープ売ってるかどうかしらないが、代用できれば何でもいい。
万札をポケットにねじ込み、一階に降りる。
('A`)「……あ」
ふとリビングの方へ目をやると、ラップされた料理がテーブルの上に置いてあった。
('A`)「……カーチャン」
近くにメモも置いてあった。
『ドクオへ
面接お疲れ様でした。お腹が空いてたら食べてね。
今日はドクオの好きなから揚げにしたよ。これ食べて頑張って』
('A`)「馬鹿だなぁ」
俺みたいな欠陥息子、早く見放した方が幸せになれるのに。
こんなに気を使いやがって。普通なら見捨ててるっつーの。
('A`)「……ごめんなさい」
生まれてきてごめんなさい。
欠陥人間でごめんなさい。
カーチャンに八つ当たりしてごめんなさい。
俺は死ぬから。もう気を使わなくていいから。
自分の為に生きてくれ。
俺は、メモにそう書き残し、家を出た。
17 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:44:18
('A`)「……」
人気の無い道を、空を見ながら歩く。
空はいつ見ても変わらない。俺が餓鬼の頃見ていた空と、今、俺が見ている空。
あの頃は、まさかこんな駄目な大人……いや、大人にも子供にも成れないなんて思いもしなかった。
中途半端な存在。大人と子供の間で、時が止まってる。
('A`)「感傷的になっちまったなぁ。俺も歳か」
一人、呟きながら歩き続ける。
最後の道を、この世に未練が残らないように踏みしめながら。
18 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:45:00
(´・ω・`)「いらっしゃいませ」
コンビニに入ると、店員の事務的な声が耳に入る。
駅から離れた、過疎ってるコンビニだ。客はいない。
ああ、ロープを探すのも面倒だ。店員に聞いちまえ。
('A`)「ロープって売ってますか?」
(´・ω・`)「ロープですか?」
('A`)「ええ、できれば俺の体重を支えても大丈夫そうな、頑丈なロープを」
店員は、ふふ、と微笑む。
(´・ω・`)「これはこれは、これから首を吊るような言い回しですね」
('A`)「吊るんですよ」
そう言うと、店員は再び鼻で笑う。
(´・ω・`)「ふふ。本当に自殺する人は、誰かに自殺予告なんてしませんよ。
そうやって他人に自殺を仄めかすのは、本心では死にたくない。
誰かに止めてもらいたいと思っているからでしょう?」
19 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:46:36
('A`)「そいつは人によるんじゃないかな。何事も画一的に捉えるのはよくないぜ」
店員の笑みは崩れない。
(´・ω・`)「そうでしょうか? 少なくとも、私にはあなたがこれから死のうと思っているようには
まるで見えませんね。目に出てますよ。この世に未練がある、ってね」
('A`)「ふうん、そう見えるかい」
(´・ω・`)「ええ」
沈黙が場を支配する。
早く死なないと日が昇ってしまう。
けど、どうしてだろうか。このまま日が昇って、明日が来るのも仕方ないと思っている俺がいる。
死ぬという選択肢が、頭から離れかかっている。
('A`)「一つ、聞いていいか?」
(´・ω・`)「なんでしょうか?」
('A`)「人生って何だ?」
(´・ω・`)「生きることです」
20 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:48:04
笑いがこみ上げてきた。
俺が何度も葛藤し、答えを見出せなかった疑問。
それを一言で片付けやがった。ああ、馬鹿馬鹿しい。ああ、くだらない。
('A`)「帰るわ」
(´・ω・`)「ロープ、いいんですか?」
('A`)「あんたのせいで、気分が冷めちまった」
(´・ω・`)「絶望した自分に酔うのは、若いうちにしかできませんよ。
羨ましいですね。私はもう絶望することすら忘れてしまった。
色々考える前に、生きることが忙しくてね」
('A`)「けっ。自慢か?」
(´・ω・`)「さあ? 捉え方は人それぞれじゃないでしょうか?
人の価値観は画一的では無いのでしょうし」
しょぼくれた店員と目が合う。
そして、互いに少し笑った。
('A`)「俺からすれば、絶望を忘れたあんたが羨ましいよ」
(´・ω・`)「私からすれば、葛藤できる自由さのある貴方が羨ましいですよ」
21 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:49:10
言い終わると、俺は手ぶらでコンビニを出る。
外は少し蒸し暑い。そういや、今は夏か。
('A`)「家に帰ろう」
腹が減った。さっきコンビニで飯買っとけばよかったな。
あ、でも家に飯あるじゃん。あの世話焼き、どうしてこんなに気が利くのか。
息子の俺が無職じゃ割りに合わねえだろうよ。うん。
働いて、その給料で寿司でも食わせてやるか。
('A`)「……あ」
目標、できたじゃん。生きる目的が出来たじゃん。
可笑しいな。こんな些細なことが、生きる目的だなんて。
皆、そんな感じに生きてるのかな。
生きるって、俺が考えていたよりずっとちっぽけな物なのかな。
22 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:49:41
帰ったら、勢いで書いた遺書っぽいメモ捨てなきゃ。
いらん心配かけたくないし、何よりあんなこと書いて死ななかったら恥ずかしい。
それから、履歴書書いてネットで求人調べて、また就職活動の日々だ。
やることありすぎじゃん。早く家に帰ろう。
(;,,゚Д゚)「――ッ!? ――!」
知らない男の人が叫んでる。俺に話しかけてんのか?
でも、何言ってるかまったく聞き取れない。おかしいな。
(*;゚ー゚)「――――ッ!!」
女の人も、何か叫んでる。なんだよ、カップルか。
うざったいな。お前らの相手してる場合じゃないっての。
俺はやることがたくさんあるんだ。早く帰りたいんだ。
なのに、おかしいな。足が動かない。体が動かない。
23 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:50:14
夜空が見える。星がいくつか輝いてる。
子供の頃見た空と、なんら変わらない。
なんだか、頭がぼーっとしてきた。
視線を横に向けてみる。
ああ、なるほどね。こんなに血が出てるんだ。そりゃぼーっとするわ。
すごく眠い。
少し、眠ろう。
明日になったら、また一歩踏み出そう。
('A`)
――――そういえば、今日は満月だ。
24 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:54:56
( ^ω^)「これで僕の話は終わりだお」
ブーンは自分の目の前にある、一本の蝋燭を持つ。
その蝋燭に、激しく息をかけ炎を消した。
(;'A`)「なんつーか……中二病乙です」
(´・ω・`)「お題、あんまリンクしてなくね?」
(#^ω^)「しょうがないお! 20分くらいで適当に考え……ごほんごほん、失礼」
(´・ω・`)「どうするんだ、この暗い空気。次のドクオに期待だね」
(;'A`)「まじ!?」
( ^ω^)「じゃあ、次はドクオの番だお!お題は……」
( ^ω^)「カラス」
第二話「お題 満月」
面接会場からまっすぐに帰宅した俺は、スーツのまま自室のベットに倒れ込んだ。
それから何時間こうしていただろうか。
疲労感と、それを上回る敗北感が俺に襲い掛かってくる。
('A`)「……」
ドアが開いた。顔を布団に埋めたまま、横目でそっちを見る。
カーチャンが立っていた。畜生、こっち見んな。
J( 'ー`)し「ドクオ、面接どうだった? お腹空いたろう?
カーチャン、ご飯作って……」
('A`)「うるせぇ! あっち行ってろよ!」
J( 'ー`)し「ご、ごめんね。夕飯、冷めないうちに食べてね」
('A`)「早く出て行けよ!」
俺が怒鳴ると、カーチャンは一階へ降りていった。
静寂が部屋に立ち込める。
……あ、駄目だ。
もう駄目だ。死ぬしかない。
俺のような駄目人間は生きる資格が無い。
15 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:42:33
('A`)「……」
2年間引きこもっていた俺が社会復帰なんて、夢のまた夢だ。
学歴も無い。コミュ能力も無い。人間不信、童貞。
そうだ、死のう。生きる理由を見出せないんだ。ならば、あの世へ逝くのが得策だろう。
('A`)「首……吊るか」
ロープが必要だ。いや、ロープになるものなら何でもいい。
思い立ったが吉日。俺はロープを求めて部屋を引っ掻き回す。
('A`)「無いな……仕方ない、最後だ。買い物ぐらい、大丈夫だろう」
この世最後の外出だ。これで終わりにしよう。
無駄に生きることは罪だ。俺=罪、OK?
16 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:43:24
時計を見る。ちょうど日付が変わった時刻か。
この時間じゃコンビニくらいしか開いてないな。
いいや、コンビニで。ロープ売ってるかどうかしらないが、代用できれば何でもいい。
万札をポケットにねじ込み、一階に降りる。
('A`)「……あ」
ふとリビングの方へ目をやると、ラップされた料理がテーブルの上に置いてあった。
('A`)「……カーチャン」
近くにメモも置いてあった。
『ドクオへ
面接お疲れ様でした。お腹が空いてたら食べてね。
今日はドクオの好きなから揚げにしたよ。これ食べて頑張って』
('A`)「馬鹿だなぁ」
俺みたいな欠陥息子、早く見放した方が幸せになれるのに。
こんなに気を使いやがって。普通なら見捨ててるっつーの。
('A`)「……ごめんなさい」
生まれてきてごめんなさい。
欠陥人間でごめんなさい。
カーチャンに八つ当たりしてごめんなさい。
俺は死ぬから。もう気を使わなくていいから。
自分の為に生きてくれ。
俺は、メモにそう書き残し、家を出た。
17 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:44:18
('A`)「……」
人気の無い道を、空を見ながら歩く。
空はいつ見ても変わらない。俺が餓鬼の頃見ていた空と、今、俺が見ている空。
あの頃は、まさかこんな駄目な大人……いや、大人にも子供にも成れないなんて思いもしなかった。
中途半端な存在。大人と子供の間で、時が止まってる。
('A`)「感傷的になっちまったなぁ。俺も歳か」
一人、呟きながら歩き続ける。
最後の道を、この世に未練が残らないように踏みしめながら。
18 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:45:00
(´・ω・`)「いらっしゃいませ」
コンビニに入ると、店員の事務的な声が耳に入る。
駅から離れた、過疎ってるコンビニだ。客はいない。
ああ、ロープを探すのも面倒だ。店員に聞いちまえ。
('A`)「ロープって売ってますか?」
(´・ω・`)「ロープですか?」
('A`)「ええ、できれば俺の体重を支えても大丈夫そうな、頑丈なロープを」
店員は、ふふ、と微笑む。
(´・ω・`)「これはこれは、これから首を吊るような言い回しですね」
('A`)「吊るんですよ」
そう言うと、店員は再び鼻で笑う。
(´・ω・`)「ふふ。本当に自殺する人は、誰かに自殺予告なんてしませんよ。
そうやって他人に自殺を仄めかすのは、本心では死にたくない。
誰かに止めてもらいたいと思っているからでしょう?」
19 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:46:36
('A`)「そいつは人によるんじゃないかな。何事も画一的に捉えるのはよくないぜ」
店員の笑みは崩れない。
(´・ω・`)「そうでしょうか? 少なくとも、私にはあなたがこれから死のうと思っているようには
まるで見えませんね。目に出てますよ。この世に未練がある、ってね」
('A`)「ふうん、そう見えるかい」
(´・ω・`)「ええ」
沈黙が場を支配する。
早く死なないと日が昇ってしまう。
けど、どうしてだろうか。このまま日が昇って、明日が来るのも仕方ないと思っている俺がいる。
死ぬという選択肢が、頭から離れかかっている。
('A`)「一つ、聞いていいか?」
(´・ω・`)「なんでしょうか?」
('A`)「人生って何だ?」
(´・ω・`)「生きることです」
20 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:48:04
笑いがこみ上げてきた。
俺が何度も葛藤し、答えを見出せなかった疑問。
それを一言で片付けやがった。ああ、馬鹿馬鹿しい。ああ、くだらない。
('A`)「帰るわ」
(´・ω・`)「ロープ、いいんですか?」
('A`)「あんたのせいで、気分が冷めちまった」
(´・ω・`)「絶望した自分に酔うのは、若いうちにしかできませんよ。
羨ましいですね。私はもう絶望することすら忘れてしまった。
色々考える前に、生きることが忙しくてね」
('A`)「けっ。自慢か?」
(´・ω・`)「さあ? 捉え方は人それぞれじゃないでしょうか?
人の価値観は画一的では無いのでしょうし」
しょぼくれた店員と目が合う。
そして、互いに少し笑った。
('A`)「俺からすれば、絶望を忘れたあんたが羨ましいよ」
(´・ω・`)「私からすれば、葛藤できる自由さのある貴方が羨ましいですよ」
21 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:49:10
言い終わると、俺は手ぶらでコンビニを出る。
外は少し蒸し暑い。そういや、今は夏か。
('A`)「家に帰ろう」
腹が減った。さっきコンビニで飯買っとけばよかったな。
あ、でも家に飯あるじゃん。あの世話焼き、どうしてこんなに気が利くのか。
息子の俺が無職じゃ割りに合わねえだろうよ。うん。
働いて、その給料で寿司でも食わせてやるか。
('A`)「……あ」
目標、できたじゃん。生きる目的が出来たじゃん。
可笑しいな。こんな些細なことが、生きる目的だなんて。
皆、そんな感じに生きてるのかな。
生きるって、俺が考えていたよりずっとちっぽけな物なのかな。
22 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:49:41
帰ったら、勢いで書いた遺書っぽいメモ捨てなきゃ。
いらん心配かけたくないし、何よりあんなこと書いて死ななかったら恥ずかしい。
それから、履歴書書いてネットで求人調べて、また就職活動の日々だ。
やることありすぎじゃん。早く家に帰ろう。
(;,,゚Д゚)「――ッ!? ――!」
知らない男の人が叫んでる。俺に話しかけてんのか?
でも、何言ってるかまったく聞き取れない。おかしいな。
(*;゚ー゚)「――――ッ!!」
女の人も、何か叫んでる。なんだよ、カップルか。
うざったいな。お前らの相手してる場合じゃないっての。
俺はやることがたくさんあるんだ。早く帰りたいんだ。
なのに、おかしいな。足が動かない。体が動かない。
23 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:50:14
夜空が見える。星がいくつか輝いてる。
子供の頃見た空と、なんら変わらない。
なんだか、頭がぼーっとしてきた。
視線を横に向けてみる。
ああ、なるほどね。こんなに血が出てるんだ。そりゃぼーっとするわ。
すごく眠い。
少し、眠ろう。
明日になったら、また一歩踏み出そう。
('A`)
――――そういえば、今日は満月だ。
24 : たけし ◆SXCV.2heRo :2007/07/08(日) 00:54:56
( ^ω^)「これで僕の話は終わりだお」
ブーンは自分の目の前にある、一本の蝋燭を持つ。
その蝋燭に、激しく息をかけ炎を消した。
(;'A`)「なんつーか……中二病乙です」
(´・ω・`)「お題、あんまリンクしてなくね?」
(#^ω^)「しょうがないお! 20分くらいで適当に考え……ごほんごほん、失礼」
(´・ω・`)「どうするんだ、この暗い空気。次のドクオに期待だね」
(;'A`)「まじ!?」
( ^ω^)「じゃあ、次はドクオの番だお!お題は……」
( ^ω^)「カラス」
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