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25 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:38:54
第三話「お題 カラス」
早朝。日はまだ出ていない。何せ今は5時ですらない。
8月某日。 薄暗い水色の空の下、俺は悠々自適に散歩をしていた。
この季節には貴重な涼しい風を、何度も体に受け止めながら
俺はコンビニで買ってきたビール缶を一つ、プシっと開けて豪快にグイと飲む。
( ゚∀゚)「っぷはぁー。ツマミがなくっても、一発目は最高だな」
誰に聞こえるわけでもない。
俺は特に気にせず、決して小さくない声で一人言を発する。
散歩という健康な行いと。朝っぱらからのアルコールという不健康な存在。
このちぐはぐな矛盾具合に、俺は少しばかり笑ってしまう。
目の前のベンチに座り、更にもう一飲、豪快に喉に流し込んだ。
( ゚∀゚)「っかぁー! やっぱ朝のビールは格別だぜぇ!」
……流石に大声を出しすぎたか。
カラスの群れが鳴き声を発しながら、遠くの電柱へと向かっていく。
――……ん?
目の前に、白い鳩が一匹、苦しそうによろよろと歩いていた。
(;゚∀゚)「……っておい! 怪我してんじゃねぇか!!」
その鳩は、よく見ると赤い鮮血を脇から垂らしていた。
俺はビール缶をベンチに置くと、急いでその鳩へと走り出した。。。
26 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:39:59
……とりあえず、包帯を巻いておいた。
まだ飛べるような、いや外に出せるような状態ではない。
俺はひとまず、この鳩を飛べるまで保護しようと考えた。
( ゚∀゚)「……とりあえず、水をあげとくか」
更に水を並々盛り、鳩の目の前に差し出す。
鳩は自分が怪我をしているのを、まるで遠慮しないほどに勢いよく飲みだした。
( ゚∀゚)「……へ。可愛いもんだな」
その鳩を俺はしげしげと観察した。
愛くるしい、黒のくりくりとした目に俺は引き込まれそうになる。
( ゚∀゚)「……ん?」
よくよく見てみると、その鳩には不思議な特徴があった。
それは、右足だけ異常に太いのだ。
左足と比べても、2倍近くあるソレは、何とも奇妙でアンバランスなものであった。
( ゚∀゚)「……奇形って奴か?」
ふぅーン……ま、いいや。
あ! そろそろ学校に行く時間だ。身支度をしないとな。
27 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:40:59
制服を着て、財布 ケータイ ウォークマンの確認。
よし、 鞄を肩に背負い、俺は準備を済ませた。
1階に下りて、母さんに挨拶をする。
朝食は散歩から帰ってきて直ぐに食べるため、お袋が作る必要はなかった。
( ゚∀゚)「あ、母さん! いってきまーす!!」
J( 'ー`)し「あ、あぁ……ジョルジュ。 ゴホっゴホっ!!
いってらっしゃい……」
( ゚∀゚)「ん? どうしたん、風邪でも引いたのか?」
J( 'ー`)し「う、うーん。そうかもしれないねぇ、ケホっ……ゴホっ!」
( ゚∀゚)「無理すんなよ……じゃ、行ってきまーす」
俺は家を出て、学校へと向かった。
今日は補習日で半ドンだから、直ぐに帰ってお袋の世話をしてやろう。
あの鳩の世話も、しないとな。
28 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:42:48
高校ってのに、俺は何の楽しさも見出せなかった。
ちょっとした進学校だからだろうか。もう入学して4ヶ月は経っているのに、
まともな友達も……出来やしない。 あるのは予習と小テストの毎日。
( ゚∀゚)「……他の高校行きゃ、よかったんかね……」
かといって、小学中学と、大して友を持っていないが。。。。
父も、海外へ単身赴任をしていて、ロクに顔を見たこともない。
母さんにばっか、俺は頼っていた。
つくづく、今の自分には何もないということを実感させられる。
そりゃぁ、ビールだって飲んじまうさ。タバコもやっちまうよなー。
神様よ、それくらいは許してくれや……
……はあ。そう考えているうちに、授業はいつの間にか終わっていた。
俺は終わると同時にダッシュで校門を出て、
自分の家へ……いや、その前のコンビニへ寄る。
咳止め薬と、鳩の餌用のピーナッツを買うために。
……まぁ、500円ありゃ大丈夫だろ。
俺はコンビニ「トンクス」へ一目散に走った―――………
29 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:43:12
・・・・・・・
( ゚∀゚)「ただいまー」
俺はコンビニ袋を掲げ、帰宅する。
しかし、「おかえり」の返事が返ってこないことに、不思議に思う。
( ゚∀゚)「母さん? 居ねえのー?」
注意深く探りながら歩いていると、和室の方から
かすかに咳音が聞こえた。
もしかして……。
( ゚∀゚)「母さん!?」
俺は和室の襖を勢いよく開ける。
そこには、明らかに先ほどよりも衰弱した母が
布団の中、弱弱しい瞳で俺を見つめていた。
J( 'ー`)し「……あ、ァア。おかえり、ジョルジュ……ガホっ、ゴホッ!!」
(;゚∀゚)「だ、大丈夫かよ母さん!! ちょ、病院行こう!」
J( 'ー`)し「だ、大丈夫だよジョルジュ……。少し風邪が、こじれただけ……」
(;゚∀゚)「そ、そんなこと言ったってよぉ!!」
30 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:43:57
この様子では、もう医者に見せるしかない。
それほどまでに、母さんは弱っている。
J( 'ー`)し「ジョルジュ……」
(;゚∀゚)「な、とにかく行こうぜ! 診療所は目と鼻の先にあるしよォ!!」
捲くし立てているうちに、バサバサっ、と音が背後から聞こえる。
振り返ってみると、あの鳩がいつの間にか一階に降り立っていて、
母さんの近くまでトコトコと歩き、口ばしで母さんの体につつく。
J( 'ー`)し「この鳩は……」
(;゚∀゚)「怪我してたから保護してんだ。 な、母さん。こいつも、行けってさ」
俺は何とか母さんを説得して、
診療所へと連れて行った。
診断結果はただの風邪だそうで、帰りがけに抗生物質を2、3個貰って
その日は終えた。
・・・・・・・・・
朝、いつも通りの散歩を終えて、俺は自室へと向かった。
31 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:44:35
すると出迎えるように、鳩が小さく鳴いた。
( ゚∀゚)「いよっ新しいピーナッツ買ってきたぜ」
昨日買っておいた分は、一日のうちに平らげてしまっていた。
確かに一番小さいサイズの袋を買ったが、だとしても食い過ぎだ。
回復の目処が立っている、てことなんかな。
( ゚∀゚)「……母さん、大丈夫かな」
俺は鳩に話しかける。
無論、返事など期待していない。ただのボヤキだ。
( ゚∀゚)「昔っから自分のことはおざなりでさ……
ホント、俺がいねぇと、いつの間にか倒れそうでよ。心配なんだわ」
鳩が目をパチクリさせる。
( ゚∀゚)「一緒に祈ってくれるか? 母ちゃんが治りますように、てさ」
その言葉に返答するかのように、鳩は頷くようなしぐさを行った。
そんな、何処か滑稽なやり取りをしていく内に、
俺はふと強烈な眠気に襲われた。
今は5時半。
母ちゃんが起きる時間にはまだまだだし、と
俺は眠気に逆らわず、ベッドに入った。
1分もしないうちに、意識は夢の中へと誘われていく。
32 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:46:44
……―――……
母さんが、必死に走っている。
どういうことだろう。
俺は天からの視点で、それを眺めている。
気付く。母さんは、何かから必死に逃げていた。
俺は視点を母さんから、少し離して、進行方向とは反対を見る。
鬼だ。
ヘドロのようにドロドロした形状の鬼が、母さんを追い掛け回していた。
体から溢れる体、気持ち悪くグリグリとしている丸い目。 反吐が出る。
母さんを助けたい! そう願ったとき、
俺は、肩を叩かれるような感触を覚えた。
ふりむけば、そこにはその鬼が 口を開けて 立っていた
(;゚∀゚)「ハっ!!」
俺は悪夢から飛び上がるように起きる。
そして時計を見る。
8時半。
まぁ、そんなもんか、と思いながら空を見て、俺は愕然とした。
(;゚∀゚)「……ッ暗い……?」
そんなバカな!!
33 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:48:00
何で8時でこの暗闇の空なんだよ!! おかしいだろ!!!
8時で暗いって言ったら、午後の話じゃねェか!!
それじゃぁ何か。
俺は、14時間以上寝ていたってワケか?
そんなこと……!
(;゚∀゚)「ありえない……!」
俺は急いで一階の和室へと向かった。 母さん!!!
ドタドタと、騒がしい音を立てながら俺は階段を降りる。
どうして、どうして俺は半日以上眠っていたんだ?
それはつまり、母さんが俺を起こせる状態ではない、てことだ。
っく……今、母さんはどれほどの痛苦に耐えているのだろう。
ちくしょう、ちくしょう!
……あれ、そういえば。 起きたときに鳩の姿が見えなかったような……?
(;゚∀゚)「母さん!!」
まあいい。俺は和室を覗き、
そして その光景を見て力なく腰が崩れてしまった。。。
34 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:49:06
(;゚∀゚)「……え、……へ、……え?」
おかしい。
目の前の母さんだったであろう、その"肉塊"は1匹の鳥の餌となって、
腐臭を漂わせながら段々と原型を失っていった。
そして、その腐肉を食いつばんでいる鳥……には、見覚えがある。
……あの、鳩だ。
(;゚∀゚)「うわああああああああ!!!!!」
俺の金切り声の絶叫を聞き、その鳩はくるりと俺の方へ体を向けた。
クリクリとした目が、狂気を滲ませて俺に凄惨な雰囲気を味合わせていた。
真っ白な体に母さんの血を浴びた、鳩のその体は
カラスのように黒ずんでいた。
カラスのように黒ずんでいた。
カラスのように黒ずんでいた。
カラスのように黒ずんでいた。
カラスのように黒ずんでいた。
35 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:50:41
カラスのように黒ずんでいた。
(;゚∀゚)「……お、鬼め……」
その"鬼"の足を何気なく見た俺は、更に驚愕した。
足が、 さんぼん あるぞ
何で、何で、何で……。
あの右足の異様に肥大したその姿は、「もう一本の足を隠していた」とでも?
三本足の、カラス。 聞いたことがある。
(;゚∀゚)「やた……がらす」
伝承では、神の使いなんだっけ?
あはははははあああはあははははは
だとしたら、神はとんだ狂食人種の仲間だなぁあぁあぁぁぁぁぁあ
( ゚∀゚)「えはははははははっはははははは………」
タガが外れたように、笑いが止まらない。
しゃっくりのように、無意識のうちに、いつまでもいつまでも腹からワキオコル
"やたがらす"が俺へ向かって、羽ばたいてくる。
母さんの血を、匂いを漂わせながら――――――
……そして、俺は気絶した。
だが、俺はすぐに、起こされる羽目となった。
どうやら鼻を噛み千切られたようで、 イタイナァ
36 : キレイキレイ ◆tOPTGOuTpU :2007/07/08(日) 10:56:48
('A`)「……どうよ」
ドクオは多少自慢気に、他の二人を一瞥しながら
指で蝋燭の火を潰し消した。
(;^ω^)「ほんと、ドクオって悪趣味だお」
(´・ω・`)「反吐が出るぞ、せっかく暗い空気を晴らそうと考えたのに……」
(;'A`)「えぇ! 駄目かぁ!!」
(´・ω・`)「君の怪談話はニーズに一致していないな。やれやれ」
ショボンは目の前に蝋燭を置く。
(´・ω・`)「次は僕が行くしかないようだね。ドクオ、お題は?」
(;'A`)「あぁん!? え、じゃ……じゃあ……」
('A`)「一人ぼっち」
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