2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/25(日) 23:57:28.48 ID:
yW3GiEVx0 私が造った機械なら、全てさしあげます。
私が発表した研究なら、全てさしあげます。
その代わり、あの人を返してください。
あなたたちが殺したあの人たちを、返してください。
返せないのなら、
―――死んでしまえ
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/25(日) 23:58:00.29 ID:
yW3GiEVx0('A`)ドクオは勇者になったようです
‐15‐『手』
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/25(日) 23:59:08.98 ID:
yW3GiEVx0o川*゚ー゚)o「―――魔王様、ちょっとよろしいでしょーか」
( <●><●>)「なんだ」
o川*゚ー゚)o「クックルが裏切りましたぁ。
城中に爆弾仕掛けてたところを、発見されたみたいです」
( <●><●>)「……クックルは?」
o川*゚ー゚)o「アサピーが、勝手に持ってっちゃいました」
( <●><●>)「……そうか。まぁ、いい」
( <●><●>)「それより、『電波塔』の方はどうなっている」
o川*゚ー゚)o「あ、最終確認が終わったみたいなので、
いつでも使用可能ですぅ」
( <●><●>)「なら、起動しろ」
o川*゚ー゚)o「はぁい。……それよか魔王様、あの『電波塔』って一体何なんですか?
ラウンジ中に電波流すってのは分かるんですけど。ラジオかなんかやるんですか?」
( <●><●>)「……機械細胞や亜人細胞を入れた大体の人間に、とある機械を埋め込んできた。
その機械は、特定の電波を受けて効果を発揮する」
o川*゚ー゚)o「訳が分かりません」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:00:14.14 ID:
029w/uVK0( <●><●>)「……脳を揺さぶる小さな機械を、
今まで改造してきた大体の人間に埋めたということだ。
最初の数人には埋めていないがな」
o川*゚ー゚)o「?」
( <●><●>)「……。……もう行け、キュート」
o川*゚3゚)o「あ、今、説明しても無駄だって思いました?!」
o川*゚3゚)o「どーせわたしはバカですよぉーだ」
( <●><●>)「……」
o川;゚3゚)o「少しは否定してくださいよ……」
o川*゚ー゚)o「そうそう。魔王様、VIPから来た勇者の登録『以外』に一人、
ラウンジに追放された人間がいるみたいです」
o川*゚ー゚)o「名前はシュール。勇者法案の考案者で、
その手柄をモナーに横取りされて、ラウンジに転送されたようですぅ」
( <●><●>)「手柄を横取り……」
o川*゚ー゚)o「今は勇者たちと一緒にヒロユキ街を北上して来てます。
ま、なぁんの役にも立たない、ただの小娘ですよ」
( <●><●>)「……」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:01:12.31 ID:
029w/uVK0o川*゚ー゚)o「一応そんな奴もいるってことで ( <●><●>)「キュート、お前は早急に電波塔を起動させろ」
o川;゚ー゚)o「へ? あ、あれ? 魔王様? どこに行くんですか?」
( <●><●>)「その『追放された女』に、興味が沸いた。
ここにお連れする」
**********
**********
見渡す限りの、砂の海。
一歩足を踏み締める度に、足元からはざくざくという音がする。
空は太陽が燦然と輝いて、情け容赦なく僕らを灼く。
草木一本すら生えないこの砂漠に足を踏み入れて、数時間。
この耐え切れないほどの暑さに、まず音を上げたのは、
(;・∀・)「あーもう暑い!! 暑くて腹立ってきた!!」
モララーだった。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:02:07.62 ID:Fq1/yfg+0
きたこれしえん
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:02:13.17 ID:
029w/uVK0(;・∀・)「なぁ、なんで皆そんな涼しい顔して歩いてんの?!
暑いの俺だけ?! んな訳ないよね?!」
(;^ω^)「いや、僕も暑いけど……。
なんかもう暑いと思うのも面倒になってるというか……」
ξ ゚⊿゚)ξ「こんな砂漠で暑い暑い言ってるんじゃ、
先が思いやられるわね―――と、ほらまた油断してる!」
(#);A`)「あ痛ってぇえ!!」
まだツンによる『回避』のスパルタ訓練や、
モララーによる『攻撃』のエグい訓練は続いている。
ちなみに、まだ一度も鞭を避けたことはないし、
ブーンに勝てたこともない。
川; - )「暑い」
lw;´‐ _‐ノv「暑いな……」
あー……何でこんなことになったんだろう……
ヒロユキ街を出た後、
すれ違った人達の格好がやけに砂漠スタイルだとは思った。
思ったけど、まさかこんな場所に砂漠があるとは……
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:03:08.63 ID:
029w/uVK0ξ ゚⊿゚)ξ「ここからもう少し先に行ったところに、オアシスがあるから……
そこまで頑張って」
(;'A`)「そこまでに干からびなければいいな。
ってか、砂漠があるってツン知ってたのか?」
ξ ゚⊿゚)ξ「知ってたわよ。ずっとラウンジで暮らしてるし、
私の住んでる場所はここよりも北東にあるし。ここら辺は庭みたいなもんよ」
(;'A`)「なら、一言くらい……」
ξ ゚⊿゚)ξ「もうすぐオアシスだってば、
少しくらい我慢しなさいよ」
誰かが干からびたら、絶対にツンのせいだ。
あぁ、それにしても……
(;'A`)「あっついな……」
川; - )「暑い」
lw;´‐ _‐ノv「……暑い」
(ヽ´ω`)「ぼ……僕の屍は荼毘に伏してくれるとありがたいお……
もう限界だお……」
ξ ゚⊿゚)ξ「はいはい、早く歩きなさい。
ほんとにもう少しだから」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:03:50.91 ID:
029w/uVK0 ブーンの背を押し、ツンは砂漠を慣れたように進む。
あー……暑い。
思ったよりも砂漠って歩きづらいし、
早くオアシスでゆっくりしたい……。
川; - )「あづい」
(;'A`)「暑い」
(ヽ´ω`)「……」
ξ ゚⊿゚)ξ「もう……みんなしっかりして――― ( ∀ )「ぁう゛」
(;'A`)「あーモララーどーした?
暑いからあまり無駄な動きしたくな (; ∀ )「あ゛っああ゛っあああ゛あ゛あ!!!!」
lw;´‐ _‐ノv「な、なんだ? どうした?!」
川;゚ -゚)「?!」
(;^ω^)「どうしたんだお?!」
ξ;゚⊿゚)ξ「何?!」
(;'A`)「も、モララー、どうした?!」
苦悶の表情を浮かべ、頭を抱えてモララーは砂の上を転げ回る。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:05:18.27 ID:
029w/uVK0冗談でこんな事をするような、趣味の悪い奴じゃない。
じゃあ、いきなりどうしたんだ?!
(; ∀ )「あッッぐあああ゛っあああああああああ゛っ!!!!」
(;'A`)「モララー?! どうしたんだって!!」
荒い息を吐いて苦しんでいるモララーの肩に、手をかけた。
妙に鋭い緑色の目と、視線が合っt
( ∀ )
('A`)「―――?」
あ れ?
なん か
力 が抜 ける
('A`)「あ、れ」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:05:24.45 ID:JFpXgMEE0
ずっと……ずっと待ってたんだからっ!
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:06:09.31 ID:
029w/uVK0 あれ?
寒 い
さ っきまで あんな に暑かっ たのに
(;゚ω゚)「ドクオ!!!」
ど うしたん だよ ブーン
そんなに 目 見開い て……
川;゚ -゚)「ッモララー!! お前何してるんだ!!」
クー までどうし たんだ?
あれ 、
な んか 足に力 が 入ら ない
寒……い……?
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:06:50.41 ID:
029w/uVK0ξ;゚⊿゚)ξ「―――!!」
あ 、ツン が 何 か言って る
何、 言って るんだ ろう
あ 、なん だ
立って るのが…… 辛……
lw;´‐ _‐ノv「―――!!」
何 で、 そん な顔し て……
シューさ ん……
あ、
あ、
なんか、
腹が …… 痛 い……
(; A )「―――っう」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:07:19.02 ID:JFpXgMEE0
ヤバスヤバス
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:07:41.02 ID:
029w/uVK0 あ、いた、痛 い、
痛い
何 、で
モ ララーと 目が 合った
その後… …
剣を 奪 われ て、
腹を 突き 刺され……
( ∀ )「ッははは、あは、あっはははははははははは!!
あはははははっはははははは!!」
…… どうし たんだ よ
モララー
こ んなこと 、する 奴じゃ、なかった だろ
なぁ、
な、 ぁ
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:08:22.34 ID:
029w/uVK0(; A )
ξ#゚⊿゚)ξ「ッ何へらへら笑ってんのよッッ!!」
あ、ダメ 、だ、 ツン、
攻 撃する な
攻撃しちゃ、 ダメだ
仲、 間なんだか ら
くそ、 ちくしょう
声が、出な い
(; A )「―――ぁ」
lw;´‐ _‐ノv「ドクオ!! 大丈夫か?!
大丈夫だよな?! 死ぬなよ!!」
( <●lw;´‐ _‐ノv「っくそ! 待ってろ今手当てを―――」
シューさん、 後、ろ
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:08:48.43 ID:JFpXgMEE0
電波こえええええええ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:09:20.46 ID:
029w/uVK0後、ろに、 誰か、
誰か、い る
( <●><●>)「―――こんにちは、勇者さん方」
川;゚ -゚)「あ……」
川;゚ -゚)「わ……ワカッテマス、様……?!」
ワカッ テマ ス……
ク ーとモラ ラーを改造し て……
VIPを 破壊した ……
魔王……!
( <●><●>)「あぁ、久しぶりですね。クー。元気にしてましたか?」
川;゚ -゚)「ッ」
( <●><●>)「純亜人のお嬢さんも、勇者の皆さんも、そうでない方も、
私を倒す為の旅、お疲れ様です。辛く長い旅路だったでしょう」
( <●><●>)「ですが、もう頑張るのは止めていいんですよ」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:11:02.25 ID:
029w/uVK0 くそ、 お前 には 言いたい 事が 沢山あ るんだ
絶 対に、お前だ けは、 許さない
許さな い!!
(;^ω^)「モララーをこんな風にしたのはお前かお!」
( <●><●>)「昔、彼に亜人細胞を埋めた時に、
少し色々といじらせてもらいましたね」
(;^ω^)「な……!!」
く そ
何しに来やがっ た
これ以上……
これ以上、何を 奪っていくつもり なんだ!!
ξ#゚⊿゚)ξ「っざけんな!!」
あ…… ツン、 ダメだ
勝てる わけが、 ない
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:11:54.11 ID:
029w/uVK0魔王が 、何の 策なしに 、 僕らの前 に 来るわけがない んだ
い くら君が強くて も……
魔王には 勝てな い!
( <●><●>)「真面目ですとも。今も昔も、……これからもね。
さあ、モララー」
( ∀ )「はい」
( <●><●>)「―――彼らを、殺してしまいなさい」
川;゚ -゚)「ワカッテマス様!! どうして!! 何でこんなことをするんですか!!
こんなことをしても ( <●><●>)「意味がない、とでも言うつもりですか?」
( <●><●>)「意味がないのは、私が一番分かっていますよ」
( <●><●>)「ですが、それでも許せないものは許せないのです。
意味が無いと分かっているからこそ、やりきれない。許せないのです。
誰にも理解は出来ないでしょうがね」
川;゚ -゚)「……ッ」
川;゚ -゚)「……お願いします!! もう……止めてください!!
先代……ロマネスク様を殺し、VIPを破壊しても、まだ足りないのですか?!」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:12:43.78 ID:
029w/uVK0( <●><●>)「クー。……一番最初にあなたに機械細胞を埋めたあの日から―――
私は魔王として生きると決めました。もう、止まるつもりはありません」
川 - )
川 - )「……分かりました……」
川 ゚ -゚)「―――ならば、あなたは敵だ。私の仲間を脅かす、敵だ」
クー、ダメ だ
君は強い、け ど、
きっ と君は、優し いから、
魔王 を 手に掛 けるのを 、躊躇ってしまう
ダメだ、
( <●><●>)「……モララー、彼らを頼みましたよ」
( ∀ )「了解しました、魔王様」
川#゚ -゚)「モララー、目を覚ませ!!
お前が着いて行くと決めたのは、魔王か?! 違うだろう!!」
川#゚ -゚)「お前は勇者に、ドクオに着いて行くと決めたんだろう!!
だから ( ∀ )「いーや、違う。俺は最初っから魔王派だよ?」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:13:20.62 ID:
029w/uVK0( ∀ )「勘違いしてもらっちゃ困る。
今時勇者なんて流行んねぇっつーの」
(; A )「っ……」
くそ、ち くしょう!!
動 け、立ち上がっ て、魔 王に、立ち向かえ!!
メ イドロボット を、 VIPを壊されて 、悔しいと、
悲しい と思ったから 、戦うと決めた んだろ う!!
言うこと を聞け よ、僕の身体!!
( <●><●>)「ついつい長居をしてしまいましたね。
……本日私がわざわざこんな場所に出向いたのには、理由がありまして」
( <●><●>)「お迎えにあがったのですよ、シュールさんをね」
lw;´‐ _‐ノv「は?!」
な、 え?!
何、 でシューさん を?!
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:13:37.70 ID:JFpXgMEE0
欝の予感がぷんぷんする……
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:14:03.52 ID:
029w/uVK0( <●><●>)「少々彼女に興味があるんです。
ほんの些細な事ではあるのですが、こんな場所で立ち話もなんですから、
我が城にお越しいただこうと思いまして」
lw#´‐ _‐ノv「っふざけるな!!
誰がお前なんかの城に行くものか!!」
( <●><●>)「手荒な事はしませんよ。約束致します」
絶 対にダメ だ、
連れて行かせる なんて 、
絶対に、
……絶対にダメだ!!
(;^ω^)「嘘つくなお!! モララーやクーみたいに、
訳の分からない改造をするに決まってるお!!」
ξ#゚⊿゚)ξ「シューを連れて行くのを、私たちが黙って見てるとでも思うの?」
川#゚ -゚)「悪いが、全力で抵抗させてもらうぞ!」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:14:48.66 ID:
029w/uVK0( <●><●>)「モララー」
( ∀ )「はい」
あ、ああ、
ああ、
あ あああああ ああ、
やめ 、止めろ、
止めろ!!
止めろ!!
( <●><●>)「では―――」
lw#´‐ _‐ノv「近寄るな!! それ以上近寄ったら、撃つ!!」
( <●><●>)「あぁ、懐かしい銃ですね。昔そういう武器を作りましたよ。
ですが、そんな玩具じゃ、私は殺せませんよ」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:15:24.57 ID:Fq1/yfg+0
うおおお…
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:15:36.32 ID:
029w/uVK0 あ あ…… ああ……
ち くしょう、
川#゚ -゚)「ッ邪魔をするなモララー!! どけ!」
(;^ω^)「そこを通してくれお!!」
ξ#゚⊿゚)ξ「邪魔!!!」
( ∀ )「ははっ、あはははははっはははははは!!」
こんな ところ で、倒 れてる 場合じゃ、ない
動 かないと、シューさん が、
シューさんが、連れて行かれ 、る……!!
(; A )「ッく、あ」
lw;´‐ _‐ノv「……何で! 何で……銃が……効かないんだ?!」
( <●><●>)「そんなもので私を倒せると本気で思ったのですか。
少し心外です」
lw;´‐ _‐ノv「―――っやめろ!! おい、離せ!!」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:16:08.19 ID:JFpXgMEE0
もららあああああああああ
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:16:12.04 ID:
029w/uVK0 ああ、あ ああ… …あ……!
起きろ、起きろ、起きろ、
急げ、急がない と、
シューさんが、モララーが、
クーが、ツンが、ブーンが、
みんなが、
バラバラに、なってしまう
ダメだ、嫌だ、
ここまで、一緒に 来たんだよ
ラウンジに来てすぐ、右も左も分からないような状態の僕を、
モララーは、助けてくれた
またんきに襲われてた所を、
クーは、助けてくれた
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:16:52.75 ID:
029w/uVK0今この瞬間、
ブーンが、ツンが、みんなが、助けてくれてる
じゃあ、次は、
僕が、誰かを、助けないと
(# A )「―――ッあ……あああああああああああああああ!!!!」
川;゚ -゚)「?!」
(;^ω^)「ドクオ?!」
ξ;゚⊿゚)ξ「っ動いたら―――!!」
シューさんを抱え た魔王まで、約数メートル。
足がもげても走れ
臓物が飛び出ても、走れ
もう何も奪われたくないなら、
走って、取り戻せ!!
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:17:34.09 ID:
029w/uVK0( ∀ )「ちっ、まだ生きてたかよ!
ゴキブリみたいにしぶとい奴だ!」
川 ゚ -゚)「―――行かせるか!!」
みんな が 協力 してくれ てるんだ
絶対に、連れて は行かせない
もう、何もなくさない!!
lw;´‐ _‐ノvつ
こっちに伸ばさ れた あの手を、掴―――
( <●><●>)「それでは皆さん、―――さようなら」
lw;´‐ _‐ノvつ「ドクオッッ!!」
(;'A`)つ「―――」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:18:14.79 ID:
029w/uVK0 指が かすかに、 触れた。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:18:41.99 ID:Fq1/yfg+0
ゴクリ…
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:19:08.51 ID:
029w/uVK0 でも、
それまで だ
指先が触れ た瞬間
魔王に抱えられたシューさんは、
忽然と姿を消してしまっ た。
間に……合わなかった……
助けられなかった……
ああ、
ああ
なんだよ
本当に僕は、
こんな状況でも
誰も、なにも、助けられない
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:19:18.20 ID:JFpXgMEE0
届けえええええ
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:20:11.28 ID:
029w/uVK0( A )「―――」
川;゚ -゚)「……ドクオ……」
( ∀ )「あっははははははは!!!! けーっきょく誰も助けらんねぇのかよ!!
お前それでも勇者か? あっははははははは!!」
―――勇者か
勇者なわけがないだろう
僕はただのニートだ
引きこもって、全てから目を逸らしてきた、逃げてばかりの臆病者
本当の勇者なら、モララーがこんな風におかしくなる前に何とか出来たはずだ
シューさんを取り戻して、あの場で魔王を切り伏せたはずだ
それが出来るから、勇者なんだ
じゃあ、なんにも出来ない僕は、一体何なんだろうな
( A )「はは」
( A )「わっかんねぇや」
分かんねぇよ、もう。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:20:48.80 ID:
029w/uVK0(;^ω^)「ドクオ、君はそこで休んでろお!!」
ξ ゚⊿゚)ξ「モララーは、私たちがどうにかするから!」
川 ゚ -゚)「……自棄になるなよ!」
( ∀ )「やれるもんなら、やってみな」
クーの銃が、ツンの鞭が、ブーンの鉄棒が、モララーに襲いかかる。
その頃には、モララーはとっくに移動して、
三人の背後に回っていた。
速さも強さも、格段に上がっている。
あれだけ素早く動けたら、ツンの鞭を避けるのもたやすいだろうな、なんて。
魔王と戦うはずだったのに
何で、モララーと戦うことになったんだろう
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:21:14.27 ID:Fq1/yfg+0
絶望的…
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:21:30.75 ID:
029w/uVK0(; ω )「っぐえっ!!」
ブーンが、こっちに吹き飛ばされてきた。
その身体は傷だらけで、ブーンはぴくりとも動かない。
ξ;゚⊿゚)ξ「ぶ、ブーン!!」
ツンがブーンの名を叫ぶ。
クーとツンが苦戦するほど、モララーは強くなっていた。
今まで味方だった奴とも、
戦わなきゃ、ならないのか。
魔王を倒す為に、戦わなきゃならないのか
そんなの嫌だと言ってるから、僕は何も出来ないままなのか
魔王を倒すためには、大切なものも捨てなきゃならないのか
川;゚ -゚)「っ」
ξ;メ⊿ )ξ「きゃああ!!」
顔に引っ掻き傷を作ったツンが倒れる。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:22:22.98 ID:
029w/uVK0残るのはクーと、
( A )
盾になる勇気すらなく、何の役にも立たない、抜け殻だけ
川;゚ -゚)「っく」
おかしくなったモララーは、本当に強かった。
またんきくらいなら、一人でも倒せるんじゃないかと思うほど、強かった。
でも、僕は弱かった。
川; - )「くそ……っ!!」
ついに力尽きて、クーまでもが砂漠に伏す。
ああ、残るのは僕だけか
痛みももう感じない
喪失感だとか、虚無感ばかりが広がる
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:23:14.58 ID:
029w/uVK0( ∀ )「8208番目の勇者さん、」
( ∀ )「魔王討伐なんて、止めた方がいいよ」
( ∀ )「どうせお前には、何も出来やしないんだからさ」
( A )「―――そうかもな」
笑って、答えてやった。
身体を引き裂かれ、飛び散る血を見ながら、
色々考えるのさえ面倒くさくて、
僕は考えるのをやめた
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:23:47.35 ID:
029w/uVK0('A`)ドクオは勇者になったようです
‐15‐『手』
終了
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:24:45.25 ID:
029w/uVK0支援ありがとうございました。
負けイベント、大好きです。
何かあったらどうぞ。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:24:55.12 ID:Fq1/yfg+0
カーズになってんじゃねーよドクオオオオオオ乙!!!乙!!!
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:24:57.15 ID:JFpXgMEE0
おうふ……乙
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:27:10.45 ID:LqFP2bay0
今北読むほ
毎回楽しみにしてる
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:28:43.23 ID:LqFP2bay0
そして乙
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/26(月) 00:33:02.13 ID:W8iwEkjjO
おつ
スポンサーサイト