2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:23:30.64 ID:
jKxogjTC0 朝が来たら窓を開けて、新鮮な空気を取り込みます。
窓を開けたら、ご飯の用意。
ご主人様の好きなものをなるべく入れるように心がけて、
彩りよく作ります。
お皿を割らないでお料理を完成させた時は、
「よく割らないで頑張った」と褒めてくれるんです。
だから、何も割らないように気をつけなくちゃ。
テーブルにお皿が並ぶ頃、ご主人様を起こします。
「さぁ、そろそろ起きて下さいドクオ様」
―――今日も良い天気ですよ。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:24:41.15 ID:
jKxogjTC0 ('A`)ドクオは勇者になったようです
‐13‐『再会』
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:25:43.06 ID:
jKxogjTC0 『VIPが何者かによって襲われた』と、弟者から連絡を受けた僕らは、
一目散に廃棄街へと向かっていた。
足を一歩踏み出す度、不安がどんどん大きくなっていく。
VIPに暮らす両親やメイドロボットの安否が気になって、
何度も何度も足が縺れて転びそうになった。
そして、『その臭い』に一番最初に気付いたのは、ツンだった。
ξ;゚⊿゚)ξ「……臭いが」
(;^ω^)「臭い?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……血の臭いがする」
(;・∀・)「……血の臭いなんて、するか……?」
ξ;゚⊿゚)ξ「すっごい臭いじゃない。普通の人間ならともかく、
あんた亜人でしょ? 分かんないの?」
(;・∀・)「……あ……」
ツンの云う『血の臭い』が、僕みたいな普通の人間にも分かるようになったのは、
それからすぐ後のこと。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:27:00.06 ID:
jKxogjTC0 風向きが変わったのか、廃棄街の方角からは、
ゴミと一緒に血生臭いにおいが流れてくる。
その臭いからして、『死体』の数は決して少なくないというのも、
……想像できる。
川;゚ -゚)「一人ふたりの臭いじゃ、ないな……」
lw;´‐ _‐ノv「……」
(;^ω^)「……」
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
(;・∀・)「……」
(;'A`)「……」
何もまだ目の当たりにしてないのに、身体中に鳥肌が立った。
前に進むことを足が拒否して、またも転びそうになる。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:28:06.53 ID:
jKxogjTC0 ξ;゚⊿゚)ξ「……なによ……これ……!!」
一番最初に廃棄街に入ったツンが後ずさった。
川;゚ -゚)「なんで……」
いつも冷静なクーまでもが、今は大きく顔を歪めていた。
(;゚ω゚)「あぁ……あ……」
二人の後から恐る恐る廃棄街に入ったブーンが、
腰を抜かして座り込んだ。
lw;´‐ _‐ノv「う……」
(;゚ω゚)「これ、……VIPの看板だお」
(;'A`)「……こっちには……死体……」
(;・∀・)「 」
あぁ、
(;゚ω゚)「この人……僕の家の近くのコンビニの店員さんだお!」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:28:55.63 ID:
jKxogjTC0 あぁ、
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
やめろ、止めてくれ
吐きそうなくらい、嫌な、予感が、
(; A )「……」
(; A )「……」
ぎりぎりと心を蝕むような嫌な予感が、
:)
▽:)
。▽:)
イ 。▽:)
ものの見事に、
メイ 。▽:)
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:29:34.33 ID:
jKxogjTC0 ―――的中した。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:30:29.68 ID:
jKxogjTC0 (;゚A゚)「あ……ああ……」
(;゚A゚)「あ……」
川;゚ -゚)「ドクオ?」
見間違うはずがない
だって、毎日一緒にいたんだ
……それでも、今だけは、見間違いであってほしかった
(;゚A゚)「う」
瓦礫や死体の山の中、身体中に皹を纏って、微動だにしない、
メイ 。▽:)
うちの、うちの、メイドロボットが!!
(;゚A゚)「うわああああああッッッ!!!!」
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だなんで、なんで、何でだ、
ふざけんなよ、なんでだよ!!!
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:31:28.91 ID:
jKxogjTC0 ( ;A;)「メイドさん!! メイドさん!! ッッ畜生!
誰がこんなことをっ! 絶ッ対に許さねぇ、絶対に! 絶対に!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ど、ドクオ……」
( ;A;)「ああああ!! っくそぉおおぉぉっ!!!
なんで、なんで……!」
川 - )「……」
lw;´ _ ノv「……」
( ;A;)「待ってるって……待ってるって言ったじゃんか!
それなのにッ! なんで……!!」
( ;A;)「なぁなんとか言ってくれよ!! 頼むからッ!
何か言っ……っ! 何か言えよぉおおぉおぉ……!!」
( A )「……っ……」
川;゚ -゚)「……ドクオ ( A )「ごめん……。……ちょっと二人だけにさせてくれないかな」
ξ;゚⊿゚)ξ「……分かったわ」
川 ゚ -゚)「……一緒にいてやれ」
(;・∀・)「……」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:32:36.58 ID:
jKxogjTC0 **********
**********
( A )「ごめん、ごめんメイドさん」
( A )「俺、『勇者』のくせに君を守れなかったよ」
( A )「ごめん」
( A )「ごめん」
( A )「ごめんなさい」
( A )「いつも支えてくれてたのになぁ」
( A )「俺、君に何か出来たかな」
( A )「……」
( A )「こんなダメ人間の元で……
文句も言わずに働いてくれてありがとう……」
( A )「ごめん……」
( A )「こんな奴で……本当にすいませんでした」
( A )「ご飯とか掃除とか……凄く助かってたよ」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:33:58.06 ID:
jKxogjTC0 ( A )「皿何枚割ってもいい。服何枚ダメにしても構わないよ」
( A )「だから……」
( A )「帰って来てくれよ……」
( A )「頼むから……」
( A )「頼むから、何か反応してくれよ……。
主人の命令だぞ……」
メイ 。⊿:)
メイ 。⊿:)
メイ 。⊿:)
メイ 。⊿:)「……」
メイ 。⊿:)「……『ガガ』……ぁ」
(;'A`)そ「メイドさん?!」
(;'∀`)「よ、良かった! まだ動くなら、
どうにか直せるy メイ 。⊿:)「『ガガガ』d……ク……オ様」
(;'∀`)「ん? 何?」
メイ 。⊿:)「……起きてくださ『ガガガ』……朝……ですよ……」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:34:48.60 ID:
jKxogjTC0 メイ 。⊿:)「早く……起きな…『ガガ』…と……」
メイ 。⊿:)「わた…『ガガ』…が……朝食……『ガ』
……全部……頂い……ゃいますよ……」
メイ 。⊿:)「ほ……お外も良い天……た……には……
お外に……『ガガガガ』……出てみ……はいかが……しょう……『ガガ』」
メイ 。⊿:)「あ……『ガガ』ずいぶん……汚れ……ますね『ガガ』」
メイ 。⊿:)「……お掃除と……『ガガ』……お洗濯……しなく『ガガ』……ゃ……」
( A )
( A )「……」
( ∀ )「うん、掃除……また……これからもよろしく頼むよ……」
(; ∀ )「だから……VIPに帰ろう。一緒に、」
メイ 。⊿:)「……『ガガ』」
(; ∀ )「…………」
メイ 。⊿:)「ドク……様……」
(; ∀ )「何?」
メイ 。⊿:)「どうし……『ガガ』……泣いてらっしゃ……のですか……?」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:35:39.12 ID:
jKxogjTC0 (; A )「……」
メイ 。⊿:)「『ガガガ』……泣いちゃ……ダメです……『ガガ』」
メイ 。⊿:)「泣いちゃ……ダメ……『ガガ』……」
メイ 。⊿:)「……みんな……『ガガ』協力して……魔王……
『ガガッッ』……『ガガ』……倒してくだ……い……」
メイ 。⊿:)「『ガガ』……お家で……待ってま……『ガガッ』」
メイ 。⊿:)「ずっと待っ……『ガガ』ます……」
メイ 。⊿:)『ガガッッ……』
メイ 。⊿:)「『ガガ』……『ガ』……朝……す……『ガガガガガガ』……よ」
メイ 。⊿:)『…………ガガ』
メイ 。⊿:)『ガガッッ』
メイ 。⊿:)『…………』
メイ 。⊿:)
メイ 。⊿:)
( A )
( A )
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:36:23.50 ID:
jKxogjTC0 ( A )「……」
( A )「メイドさん?」
( ∀ )「はは、……ははは」
( ∀ )「ははは……」
( ∀ )「ほら、見てくれよ。服とかこんなに汚れちゃってるんだ。
だから……早く起きてさ、洗濯とか、また頼むよ……」
( ∀ )
メイ 。⊿:)
( A )「……なぁ……」
( A )「……。っ」
( ;A;)「うああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
**********
**********
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:37:17.54 ID:
jKxogjTC0 lw´‐ _‐ノv
―――親しい人の遺体を囲んで、
名も知らない勇者たちは悲嘆に暮れていた。
神様ってモノが本当にいたとしたら、そいつは私のことが大嫌いに違いない。
何か気に障ることをした覚えは無いんだけど。
ミセ*;Д;)リ
_
( ;∀;)
(;_;)
……廃棄街にいる勇者の大半は、死者を惜しんで俯くばかりだ。
しかしそんな中でも、精力的に動き回る者がいた。
(,,゚д゚)「―――全く、酷いことしやがる奴もいたもんだ」
lw´‐ _‐ノv「……そうだな」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:38:04.97 ID:
jKxogjTC0 全身土埃や血にまみれながら、
死者を一人ひとり瓦礫の山から解放しているこの男は、ギコというそうだ。
左手の甲に勇者番号があるのが見えたから、この男も元ニートだろう。
つまり、……私がここに追いやってしまったことになる
从;゚∀从「なぁ、これってもしかして……」
(*゚ー゚)「?」
ギコと行動を共にしていた二人の女が、
また新たな遺体を瓦礫から引きずり出した。
( ∀メメ)
非常に見覚えのあるその顔は、酷く損傷している。
それでも、これが誰かはすぐに分かった。
ワカッテマスの財産を奪い取り、欲に生きた男。
lw´‐ _‐ノv「……何でここにいるんだ、モナー」
VIP大統領、その人。
lw´‐ _‐ノv「……お前は確かVIPにいたはずだろう?
何故ここにいるんだ? いるべき場所が分かってないのか?」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:39:58.99 ID:
jKxogjTC0 返事がない。ただの屍のようだ、
という言葉がそのまんまピッタリと合うぞ、モナー。
…………。
全く笑えないな……
lw´‐ _‐ノv「…………」
lw´‐ _‐ノv「……お前も私も愚か過ぎたよ。
いつかこうなるかもしれないということは分かってたはずだ」
lw´‐ _‐ノv「恨まれていたのも、分かってたはずだ。
それなのに全く私たちは何も変わらなかった。変われなかった」
lw´‐ _‐ノv「先にお前に裁きが下ったのなら、次は私だな。
自分で仕立て上げた勇者が殺してくれるなら、本望とでも言っておくか」
lw´‐ _‐ノv「……どこでこんな風になってしまったんだろう。
お前がワカッテマスの発明を横取りしなければ、医療法を改正しなければ、
私が勇者法案なんて考えなければ、全てはいつも通りに進んでいたはずなのに」
lw´‐ _‐ノv「なぁ、モナーよ。
私はこのまま、のうのうと生きてていいと思うか?」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:40:53.52 ID:
jKxogjTC0 ……まったく、返事くらいしてくれたっていいだろうに
ずるいじゃないか、お前ばかり逃げて
また面倒は秘書任せか?
給料上げてやれよ
……なぁモナー
どうして私たちは、止められなかったんだろう
……なぁ、モナー
私はこれからどうすればいい?
lw´‐ _‐ノv「……」
<シュールさん、ちょっとこっち手伝ってくれないー?
lw´‐ _‐ノv「…………」
lw´ _ ノv「今行く……」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:41:34.60 ID:
jKxogjTC0 辛いし、怖いんだよ
私が追いやった勇者が苦しむのは辛いし、
ほとんど怒らずに、一緒に魔王を倒しに行こうと言ってくれた、ドクオが……
どうしようもないくらい、怖いんだ。
……私は、一生この罪悪感と、付き合って行ける気がしない。
**********
**********
川 ゚ -゚)「……」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
廃棄街に新しく加わった『廃棄物』は、
誰に対しても、些か刺激が強すぎるように思う。
築かれる死体の山には死肉を喰らう虫や小動物がたかり、
視覚的にも臭い的にもかなりきついものがある。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:43:47.01 ID:
jKxogjTC0 ξ ゚⊿゚)ξ「……酷いわね」
川 ゚ -゚)「……そうだな」
やりきれなさそうな表情のツンと一緒に、
地獄のような光景を見つめていたら、
( ´_ゝ`)「―――あ、あんた、ドクオの知り合いか?」
突然、後ろから声をかけられた。
振り向くと、ひょろりとした男が私を見下ろしている。
川 ゚ -゚)「ああ、そうだ。……あんたは?」
( ´_ゝ`)「俺は兄者。VIP出身の、ニートだ。……ドクオは?」
川 ゚ -゚)「……メイドロボットとやらの傍にいる。
ちょっと今は話し掛けないでやってくれ」
( ´_ゝ`)「……そうか。分かった」
ξ ゚⊿゚)ξ「やっぱり……これは魔王がやったこと?」
( ´_ゝ`)「多分な……。さっき、辛うじて息があった人が言ってたよ。
『亜人や化け物や勇者が色々なものを壊していった』ってな」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:44:58.25 ID:
jKxogjTC0 川 ゚ -゚)「……勇者?」
( ´_ゝ`)「アンタらは知らないかもしれないが、
勇者が魔王城に誘拐されるって話がつい最近あったんだよ」
( ´_ゝ`)「さらわれた勇者達は、魔王に何かされてからVIPに送り返されたんだと思ってる」
川 ゚ -゚)「……ワカッテマスが……」
ワカッテマス、……あなたは一体、何がしたいのだ。
ロマネスク様を殺し、使用人を殺し、私に機械細胞を埋め込んで
かと思えば、勇者をさらってみたり。
新たな魔王になって、今あなたは何を見ているのだ。
( ´_ゝ`)「……まぁ、これは俺の願望だ。
もしかしたら、VIPを襲った勇者は自分の意思で襲ってたのかもしれない。
考えたくはないけどな……」
( ´_ゝ`)「……まぁ、そういう事だ。
ドクオによろしく言っといてくれ」
川 ゚ -゚)「あぁ。ありがとう。気をつけて」
背中を丸め、男は廃棄街の奥へと去って行った。
ξ;゚⊿゚)ξ「集めた勇者に何かしてVIPに送り返したって、
魔王は何でそんな面倒なことをしたのかしら」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:45:28.52 ID:
jKxogjTC0 川 ゚ -゚)「さあ……。あの人の考えていることは、今も昔もよく分からないままだった……。
……とりあえず、杉浦城にドクオ達を連れて行こう」
川 ゚ -゚)「非情なようだが、死体を見せることで、
勇者たちの闘志をへし折るのが魔王の狙いという可能性もある」
ξ゚⊿゚)ξ「分かった。……それにしても、本当に、酷いわね……」
……VIPから来た奴らは、立ち直れるんだろうか。
親しい者の死体を見た勇者に、
死体を作り出すきっかけを作ったかもしれないワカッテマス……。
私自身も機械細胞なんてものを埋められている。
それでもワカッテマスを心の底から憎み、嫌いになりきれないのは、
10年前の、あの日々があったから。
……いっそのこと、心まで機械になれたら……
彼を『魔王』として見れるのに……
心まで機械になれたら、
……こんなに辛い気持ちになんてならなかったのに。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:46:50.72 ID:
jKxogjTC0 ξ゚⊿゚)ξ「モララーはどこに行ったのかしらね」
川 ゚ -゚)「……そういえば」
……言われてみれば、モララーの姿が見当たらない。
ドクオの所から離れた時までは一緒にいたはずだ。
……どこに行ったんだろう。
川 ゚ -゚)「それに、シュールもだな。
あの二人は、どこに行ったんだ?」
あぁ、勇者がVIP襲撃に加担したと知ったら、
シュールは取り乱すかもしれないな
ワカッテマスは、なんてことをしてくれたんだ
こんなことをしても、ただただ虚しいだけじゃないか。
勇者をVIPに返せる技術があるなら、自分が帰れば良かったじゃないか。
本当に、どうしてこんなことを……
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:47:44.35 ID:
jKxogjTC0 ξ゚⊿゚)ξ「ひとまずは、あの二人を捜しに行きましょう」
川 ゚ -゚)「……ああ。行こう」
どっちつかずの宙ぶらりんな自分の気持ちが、辛い。
**********
**********
川 ゚ -゚)「―――悲しいのは充分に分かる。悔しいのも当然だ。
私が今、このタイミングでこんな話をするのは非情過ぎるとも思うかもしれない。
思ってくれて構わない」
( ・∀・)「……」
( ^ω^)「……」
lw´ _ ノv「……」
川 ゚ -゚)「でも、兄者も言っていた通り、
私も、勇者がVIPを襲うように仕向けたのは、十中八九ワカッテマスだと思うんだ」
('A`)「どうしてそう思う?」
川 ゚ -゚)「城にいた頃、ロボット開発と一緒にあの人は、とある研究をしていた。
『脳を操る方法』とでも言えばいいか?」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:48:49.81 ID:
jKxogjTC0 川 ゚ -゚)「何のためにそんなものを研究しているのかは、知らないままだったが……。
それが、勇者の脳を揺さ振ったきっかけになったと考えるのは、不自然な話じゃない」
('A`)「……そうか……。
じゃあ、やっぱりまたんきに着いて行かなくて正解だったんだな。
一歩間違えれば、俺もVIPを襲ってたかもしれない」
杉浦城の、応接室。
ドクオはすんなりとロボットの死を受け入れたように振る舞っていた。
……ただの強がりなのは、ドクオを見ていればよく分かる。
そうするしかないというのも、分かる。
だが、
川 ゚ -゚)「……ドクオ、お前大丈夫か?
目が据わってるぞ」
悲しいときは悲しいと、感情を出すのは大切だと思うのだ。
こいつはロボットなんかじゃないんだから。
('A`)「大丈夫。……でも、クーは複雑な気持ちになるかもしれないけど、
俺は絶対に魔王を許せないよ」
('A`)「例え殺されたとしても俺は魔王を倒す」
('A`)「だから、戦う」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:50:10.04 ID:
jKxogjTC0 まるで自分に呪いをかけるかのように、
ドクオは「戦う」と繰り返す。
強がりだろうと本音だろうと、泣き寝入りするよりはマシだとは思うが……。
ここまで早く立ち直られるのも、少し心配だ。
( ^ω^)「……僕も……。戦いたいお……」
( ;ω;)「でも……それより今は、悲しいんだお……」
( ;ω;)「VIPの人が一体何をしたんだお!!
いつもと同じように生活してただけなのに!
それなのに、こんなのって無いお!!」
ブーンが乱暴に涙を拭う。
lw´ _ ノv
シュールは応接室のソファーに腰を沈め、俯いたまま微動だにしない。
ちらりと覗いた額は、真っ青になっていた。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ツンは、泣きじゃくるブーンの傍らでそっと肩を叩いてやっている。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:52:10.12 ID:
jKxogjTC0 ( ∀ )「……」
モララーは、
( ・∀・)「……皆に話したい事があるんだ」
乾いた笑みを顔に貼付けて、
( ・∀・)「実は俺―――VIPの人間なんだよ」
今まで誰も知らなかった話を始めた。
**********
**********
( ・∀・)「実は俺―――VIPの人間なんだよ」
何の起伏もない声で、モララーが信じられない事を言ったのを、
僕はぼんやりとした頭で聞いていた。
( ・∀・)「ただ、あっちでは俺は『お嬢様を誘拐した』犯罪者だけど」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:53:06.81 ID:
jKxogjTC0 ( ^ω^)「……お嬢様?」
( ・∀・)「中央地区の大富豪の一人娘を誘拐したって事になってる。
まぁ、そこら辺の話は別にどうでもいいんだよ。
俺にとっちゃ、そんな事よりも、大富豪の娘―――レモナの方が大切だったし」
ξ ゚⊿゚)ξ「……その……レモナって人は……?」
( ・∀・)「さっき見つけた。死んでたよ。死んでたんだ。
肩から下が無い状態で、他の死体に紛れて、ひっそりと、
たった独りで、死んでたんだよ。死んでたんだ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……」
( ・∀・)「……大富豪の娘を誘拐した罪で、俺は8年前にラウンジに追放された。
そして、ふらふらラウンジをさ迷ってたら……」
( ・∀・)「ワカッテマスに会ったんだ。
取っ捕まって、クーと同じように『手術』されたよ。
この前クーも言ってたよな」
( ・∀・)「機械細胞や、『亜人細胞』がどうたらって。
……俺が埋め込まれたのは、亜人細胞の方だ」
川;゚ -゚)「な……!」
ξ;゚⊿゚)ξ「だ、だからさっき、血の臭いが分からなかったの……?」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:53:57.01 ID:
jKxogjTC0 ( ・∀・)「一応は半分人間、半分亜人だからな。
純粋な亜人と比べたら、そりゃあ劣るところもあるだろう。
犯罪者が仲間だなんて言ったら、軽蔑されると思って今まで言えなかった」
……ワカッテマスは、どこまでやれば気が済むんだろう。
普通の人を改造して、VIPを破壊して、
メイドロボットを、人を、街を、沢山壊して。
何がしたいんだよ。
何が……!!
lw´ _ ノv「……この前……」
……俯いたままのシューさんが、小さな声で呟いた。
lw´ _ ノv「……魔王の目的は何だろうという話をしただろう?
ワカッテマスは政府に強い恨みを持ってるはずだと」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:54:05.89 ID:oygZp6ppO
朝鮮人参と一緒に来るなよ支援が大変だろ待ってたぞコノヤロー
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:54:44.79 ID:
jKxogjTC0 川 ゚ -゚)「……それがどうかしたか?」
lw´ _ ノv「恐らくワカッテマスが最も忌み嫌っていたであろう、
モナーの死体も、廃棄街にあった」
lw´ _ ノv「……最悪、魔王はVIPそのものを破壊するまで満足しないのかもしれない」
( ゚ω゚)「そんなの絶対に駄目だお!! 早く止めないと!!」
そう、早く魔王を止めないと。
魔王を倒さないと。
僕も同意見だ。ブーン。
でも、頭では分かってるのに、身体を動かすのが怠い。
重りを入れられたかのように、手足が動かない。
川 ゚ -゚)「……行けるのか?
まだ心の整理がついてないんじゃ?」
( ゚ω゚)「もちろんだお! でも、僕はVIPの生き残りの人達を守るんだお!
いつか帰る場所を守るんだお!!」
( ・∀・)「……ああ行こう。身体さえ動かしてれば、
少しは気も紛れてくれるかもしれない」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:55:52.09 ID:
jKxogjTC0 lw´ _ ノv「……私には、ここで悲しむ暇も、後悔する暇も無い。
そうだよな? 突き進まなきゃ、いけないんだよな?」
ξ ゚⊿゚)ξ「……アンタは?」
行くよ。
戦わなきゃならないのは、理解してるんだ。
VIPを、守らなきゃ。
メイドロボットの仇を討たなきゃ。
戦って、魔王を倒すんだ。
そうだ。
その為には強くならないといけない。
強くならなきゃ。
いつかテレビで見た『勇者』に近付かないと。
そうしなきゃ何も守れないなら、救えないなら、喜んで努力しよう。
('A`)「……行こう」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:56:38.65 ID:
jKxogjTC0 だから、
行動の枷になる、感情は押し殺せ。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:57:17.08 ID:
jKxogjTC0 ('A`)ドクオは勇者になったようです
『再会』
終了
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 21:59:04.08 ID:
jKxogjTC0 もおおおおおおお全然40レス分書けねええええええ!!!
支援ありがとうございました!
何かあったらどうぞ!
>>23
打ち切りってどこから出た情報?
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 22:04:05.22 ID:3ndWOgLn0
来たと思ったら終わってた
超乙!いまから読む!
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 22:07:03.23 ID:IHEirTqW0
乙
次待ってる
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 22:07:16.67 ID:Fr83S9xYO
ケータイからですまん
乙!
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 22:11:23.37 ID:FuG5TAS00
乙おつ
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 22:18:28.93 ID:j9MecZ6fO
これから読む乙
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/28(月) 22:18:37.64 ID:OSObY9S40
やっぱメイドロボ駄目だったか…('A`)が自棄になりませんように
そしてモララーの正体の予想をしていたんだが外れすぎワラタ
乙乙
スポンサーサイト