11 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 16:56:56.97 ID:
/dgGdGUd0('A`)
『そこ』は、真っ暗闇の世界だった。
上も下も、どこを見ても黒。
それ以外の色は、どこにも見当たらない。
何だろう、この世界……
なんにもないし、誰もいないんじゃ―――
('A`)『何しに来たの?』
(;'A`)「うわ!」
('A`)『何で、ここに来たんだ?』
(;'A`)「何でって……? というか、……え?」
―――あぁ、なるほど分かったぞ。
これ、夢なんだ。
それなら僕が二人いる理由がつくし、それに、
lw´ _ ノv
もしもこれが現実なら、魔王に攫われたシューさんが、
今ここにいるはずがないもんな。
12 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 16:59:20.96 ID:
/dgGdGUd0( ∀ )
うん、モララーも、ここにいる訳がない。
だからこれは夢なんだ。
川 - )
( ω )
ξ ⊿ )ξ
あぁ、君たちもいたのか
わざわざ、僕の夢にまで出て来る必要はないのにな。
どうせなら、全員現実の世界で集合してると嬉しいんだけど……
('A`)「シューさ…… lw´ _ ノv『―――て』
('A`)「え?」
lw´ _ ノv『―――て』
(;'A`)「? ごめん、……よく聞こえないよ」
lw´ _ ノv『ど―――して』
なんだ?
なんて言ってる?
よく聞こえない……
13 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:01:02.93 ID:
/dgGdGUd0lw´ _ ノv『―の――くせに……』
lw´ _ ノv『勇者のくせに―――』
lw ゚ _ ノv『どうして助けてくれなかったんだ?』
(;'A`)「!」
恨み言を吐いたシューさんの身体が、
どろり
砂人形に水をかけたみたいに、崩れていく。
(;゚A`)「し、シューさん?!」
lw:"::_%"ノv『勇者のくせに、勇者のくせに、勇者勇者勇ののののくせに
勇者のくせにゆ勇者のくせに勇者のくく』
(;゚A`)「……」
lw:"%%_":ノv『ゆ勇者勇者勇者勇者勇者勇者ののののゆゆゆゆううゆ勇者』
(;゚A`)「あ……」
何で……何で僕の夢のくせに、こんな悪趣味な事になってるんだよ!
現実でも夢でも逃げる場所がないなんて、そりゃあ大層悪い夢だ。
夢なら醒めろ、早く、早く!!
16 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:03:13.71 ID:
/dgGdGUd0(;゚A`)「早く…… ( ω )『そもそも、出来るわけがないんだお』
( ω )『ニートが魔王を倒す、なんて。漫画やゲームじゃないんだお?
僕たちみたいな凡人に、主人公補正とかご都合主義がかかる訳もない。
所詮、僕たちは脇役なんだお』
( ω )『その他大勢のうちのひとりで、きっと主人公は他にいるお。
僕たちは、その主人公を引き立てる役でしかないんだお』
(;゚A`)「……」
ξ ⊿ )ξ『アンタさぁ、自分に向けられた手すらも取れないの?』
ξ ⊿ )ξ『この、クズが』
……ごめん……ごめん……
……ごめんなさい……
(; A )
川 - )『お前はいつも口だけなんだよ』
川 - )『戦いたい。強くなりたい。魔王を倒したい』
川 - )『でも、苦労はしたくないし、死にたくも傷つきたくもないんだよな?』
川 - )『ははは、随分わがままじゃないか。
何の犠牲も払わずに、大きな願いが叶うとでも思ってるのか?』
17 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:04:15.64 ID:
/dgGdGUd0 ……君の言う通りだよ、クー。
正論すぎて逆にムカついてくるぐらいだ。
君の言ってることは正しい。
でも、それが普通だろ……?
出来れば苦労したくない。
だから、人は機械やロボットを作った。
死にたくも傷つきたくもない。
だから、薬やら服が出来た。
それは、ニートじゃなくたって同じはずで―――
ξ ⊿ )ξ『ほんっと、アンタって役立たずね』
( ω )『役立たず』
川 - )『この、役立たず』
嫌悪。侮蔑。諦念。
……やめろ、やめてくれ、そんな目で僕を見るな……
そんな視線は、もう充分すぎるくらいVIPで受けてきた!
それでもまだ足りないっていうのか?!
じゃあ、あとどれだけその視線を浴びればいいってんだよ……!
18 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:05:23.13 ID:
/dgGdGUd0(; A )「……」
( ∀ )『味方すら敵に回すなんて、それって本当に「勇者」なのか?』
(; A )「ご……ごめん……」
川 ∀ )『嫌なものを見たくないから目を閉じて、都合の悪いことを聞きたくないから耳を塞いで?
色んなものから逃げ続けて、そこからどうするつもりなんだ?』
(; A )「……ごめん……」
ξ ∀ )ξ『ねぇ、アンタ何が出来るの? 戦うことも出来ないし、
誰かの手を取ることも出来ないんでしょ?
ねぇ、これ以上、何を捨てるつもりなのよ?』
川 - )『なぁ』
ξ ∀ )ξ『ねぇ』
( ω )『聞いてるかお?』
(; A )
ごめんなさい……本当にごめんなさい
ごめん、ごめんなさい
君たちの言う通り、僕は何も出来ません
誰かを助けることも、手を取ることも、戦うことも出来ないんだ
19 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:06:49.81 ID:
/dgGdGUd0川 ∀ )『お前は、なぁんにも出来ないんだよな』
( ω )『誰かの影に隠れることしかできないくせに、言うことだけは達者だおね』
ξ ∀ )ξ『アンタ見てると、勇者ってどういうものだか分からなくなってくるわ』
あと何回謝れば、僕は許してもらえる?
喉から血が出ても謝り続けるから、土下座でも何でもするから、
だから、だから、もう許してください
ごめん、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
( ∀ )『―――俺、忠告してあげたよな?』
( ∀ )『お前には、何も出来ない』
( ∀・)『だから、もう諦めろってさ―――』
それはそれは楽しそうに、モララーは笑った。
……僕じゃ、魔王に勝つどころか、シューさんや君を取り戻す事もできないって……?
『脇役』だから。
『役立たず』だから。
『人を助けることすらできない』から……
21 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:07:51.98 ID:
/dgGdGUd0だから……「―――さい」
「――て―――さい」
(;'A`)「……?」
この声は?
……誰の声だ?
「―――起きてください」
ああもう、この際誰でもいいや
こんな夢から離れられるなら、この声の主が誰だろうが、そんなのどうでもいい
だから、早く目を覚まそう。
夢よりも現実の方がマシだって思う日が来るなんて、今まで一度も考えた事なかった―――
22 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:09:17.51 ID:
/dgGdGUd0 * * * * *
* * * * *
(;゚Aメ)「―――ッ!」
(゚、゚トソン 「あ、やっと気がつきましたか。
かなりうなされてたので、一応起こさせてもらいましたよ」
(;'Aメ)「……。……えっと、君は? そうだ、みんなは? ここどこ?」
(゚、゚;トソン 「質問多いですね」
(゚、゚トソン 「……私は都村トソン。あなたの仲間は全員無事です。
ここは『オアシス』の診療所。あなたは丸2日、眠ってました」
全員無事? ……良かったよ
本当に、良かった。
それにしても、丸2日も僕は眠ってたのか……。
そりゃあ悪夢も見るわけだな……
23 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:10:46.21 ID:
/dgGdGUd0(゚、゚トソン 「砂漠のど真ん中で人が倒れてるのを見つけた時は驚きましたよ。
……傷は大丈夫ですか?」
(;'Aメ)「……うん。……えっと、トソン? 君が助けてくれたのか?」
(゚、゚トソン 「いいえ。正確には、医療都市から来ていたお医者さんが。
私はあなたたちを見付けただけで、別に何もしてません」
(;'Aメ)「……そうか。でも、ありがとう」
(゚、゚トソン 「どういたしまして」
医療都市、か。
どっかで聞いた覚えがあるな、どこだったっけ?
……ああ、廃棄街の手前だ。
確か、兄者たちが行った所がそんな名前だった。
医療都市なんていうくらいだ、医者の腕もいいんだろう。
そんな街の人が偶然このオアシスに来てたなんて、
トソンに見つけてもらった事も含めて、僕らは相当運が良かったようだ。
('Aメ)「……僕の他に、何人いた?」
(゚、゚トソン 「3人です。そういえば……皆さん、酷い怪我してましたけど、
あなた達……一体何と戦ったんですか?」
('Aメ)「……」
24 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:12:34.09 ID:
/dgGdGUd0 「何と戦った?」か……
クーたちが傷つきながら戦ったのは、魔王でも化け物でも、亜人でもない。
……ここまで一緒に旅してきた、
( Aメ)「……仲間、……だよ」
仲間「だった」なんて過去形にはしたくない。
過去形になんかしたら、もうモララーは正気に戻らないみたいじゃないか。
「元に戻る可能性が限りなく低くても、口先だけは魔王に屈したくない」
……それくらいの意地は、張ったっていいだろ?
(゚、゚トソン 「……そう、ですか」
('Aメ)「他の3人は?」
(゚、゚トソン 「約2名は、なんの心配もいらないですよ。
まだちゃんと怪我が治ってないっていうのに動き回るんだから」
(゚、゚トソン 「あと1人も、めきめき回復してます。
4人の中では、恐らくあなたが一番危険な状態だったかと」
(;'Aメ)「そ……そうか。みんな生きてるなら、それでいいんだ。本当にありがとう」
みんな相変わらず元気そうで良かった。
誰かにもしもの事があったら、もう僕は『勇者』なんて続けていられないから……。
でも、シューさんもモララーも、魔王側に奪われたままなんだよな……
やっぱり素直には、喜べない。
25 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:13:46.67 ID:
/dgGdGUd0(゚、゚トソン 「そうだ、―――あなた『勇者』……なんですね」
('Aメ)「それはVIPの政府がそう呼んでるだけだ。
本当の『勇者』は、こんなにダメじゃないよ」
(゚、゚トソン 「……」
('Aメ)「助けてくれてありがとう。でも、もう行かなきゃ」
攫われて行ったシューさんを、助けに行かないと。
それと、モララーを正気に戻す方法を考えないと。
そうだ、やらなきゃいけないことは沢山ある。
どれだけ酷い怪我を負っていたとしても、こんな所で暢気に寝てる暇はないんだ……!
(゚、゚トソン 「無理ですよ、まだ怪我も治ってないのに……。
腹に穴空いてるんですよ? そんな人に、一体なにが出来るってんですか」
( Aメ)「……魔王を倒してVIPに戻るって、約束した。
そうでなくても、魔王には、大切なものを沢山持っていかれてるんだ」
メイドロボットも、名前も知らない、VIPの人達も。
魔王に持っていかれて、それはもう二度と戻ってこない。
( Aメ)「でも、まだ間に合うものもあるはずだ。だから取り戻しに行く。
多少の怪我なんか、何も! (゚、゚トソン 「そんな身体じゃ、無理です」
27 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:15:08.77 ID:
/dgGdGUd0(゚、゚トソン 「ここに来る前、あなたたちに何があったか、なんて知らないですよ。
でも、大人しく怪我を治して、万全の状態で魔王に臨むのが『勇者』のやるべき事でしょ」
(゚、゚トソン 「死んだら元も子もないんですかr (; Aメ)「……分かってる、分かってるよ!!」
(; Aメ)「でも、何かしたいんだ!」
(゚、゚トソン 「……」
(;'Aメ)「……ごめん……」
あぁ……くそ、助けてくれた人に八つ当たりなんて最低だ。
トソンに怒鳴り散らしたって何の解決にもならないじゃないか。
命の恩人にかける言葉は、もっと他にもあるだろう!
(;'Aメ)「あ、痛て……」
(゚、゚トソン 「動かないでください」
思うように動かない身体が、もどかしい。腹立たしい。
肝心な時に動いてくれないんだったら、こんな身体、邪魔なだけだ!
28 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:16:18.49 ID:
/dgGdGUd0(; Aメ)「くそッ、ちくしょう! 動け、動けよ! 早く助けに行くんだ!
一刻も早く、魔王を倒すんだ!! 廃棄街で誓っただろ!
こんな場所でっ! こんな場所で寝てる場合じゃないんだよ!」
(; Aメ)「回避とか、戦う練習とか、やらなきゃいけないことは沢山あるんだ!! 早く! 早く!!」
(; Aメ)「ああぁあぁあ!! ッちくしょう!! 動け! 動けよ!!」
(゚、゚トソン 「……」
(゚、゚トソン 「……あなたが目を覚ますのを、ずっと皆待ってましたよ」
(゚、゚トソン 「今、呼んで来ますね」
(; Aメ)「……」
……ごめん、トソン。
普通の人の前でこんな醜態晒すなんて……『勇者』のやることじゃないよな……。
もう、僕はとことんダメだ……
32 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:17:40.75 ID:
/dgGdGUd0( ^ω^)「―――ドクオ!! やっと意識が戻ったのかお?! 良かったお!」
ξ ゚⊿゚)ξ「おっそいわよ、バーカ。心配させるんじゃないっての」
川 ゚ -゚)「待ちくたびれたぞ。怪我は大丈夫か?」
程なくして、クーたちが枕元にやって来た。
大丈夫。まぁ多少傷は痛むけど、元気だよ。
―――さぁ、次は何を言う?
『役立たずだから、お前はここで置いていく』とでも言うか?
( ^ω^)「顔色も、まぁ良さそうだおね!」
ξ;゚⊿゚)ξ「え……そう?」
助けを求めてたシューさんの手を取れなかったこと、責めればいい。
夢の中では、散々言いたい放題言ってたじゃないか。
心の中じゃ、本当はそう思ってるんだろ?
気遣いの言葉なんか、いらないよ。
33 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:19:01.72 ID:
/dgGdGUd0('Aメ)「……」
ξ ゚⊿゚)ξ「まぁ、アンタいつも顔色悪いしね」
( ^ω^)「傷は痛くないかお?」
('Aメ)「あ……あぁうん、もう大丈夫……」
川 ゚ -゚)「それなら良かった。さぁ、早く怪我を治せ。魔王城まではまだ、遠いぞ」
( ^ω^)「ゆっくりしてる暇はないお」
ξ ゚⊿゚)ξ「ま、意識戻って良かったじゃないの。
鞭の相手が一人しかいないんだから、さっさと復帰しなさいよ。
ビシバシ指導してあげるんだから」
( Aメ)「……」
( Aメ)「うん……分かった」
人の心の中は、分からない。
いつか見限るつもりなら、優しい言葉なんかいらないんだよ
『まだ僕にも出来ることがあるかもしれない』
なんて勘違い、もう……したくないんだ
34 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:20:03.57 ID:
/dgGdGUd0(;Aメ)「……。ごめん……」
川;゚ -゚)そ
(;^ω^)そ
ξ;゚⊿゚)ξそ
ξ;゚⊿゚)ξ「え?! 何?! 何で泣くの?!」
(;Aメ)「ごめん……ごめん……」
ほら、あの夢みたいに―――
『役立たず』と言えばいいじゃないか。
僕は皆の足を引っ張るぞ。
だから、ここで黙って見捨てて先に行けば良かっただろ?
僕がのんきに寝てる間、いつだって進めたはずだ。
なのに、目を覚ましたら、皆いてくれた。
それどころか、待ってるから早く怪我を治せとさえ言ってくれる。
こんなに良い奴らに恵まれてるってのに、何で僕はこんなに……クズなんだ……
36 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:21:18.32 ID:
/dgGdGUd0(っAメ)
(;^ω^)「な、何だお?! どうしたんだお、ドクオ! 傷が痛むのかお?!」
ξ;゚⊿゚)ξ「泣く労力を、怪我の回復に回しなさいよ! バカね!」
川 ゚ -゚)「……」
(;'Aメ)「う……ご、ごめん」
(゚、゚トソン 「―――そうそう、大人しくしてればいいんですよ」
(゚、゚トソン 「本気で魔王を倒したいなら、尚さらね」
あ……そうだ、トソンにもかなり迷惑をかけたんだった
ちゃんとお礼言わないと―――
('Aメ)「―――ん?」
少し離れた所に立つトソンの左手に、見慣れた番号が見えた。
『0009』
……あれって、『勇者』の数字……だよな?
38 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:22:39.32 ID:
/dgGdGUd0(;'Aメ)「あれ? 君も『勇者』だったのか?!
さっきはそんな事、一言も…… (゚、゚#トソン 「私を引きこもりニートなんかと一緒にしないでください!」
(゚、゚#トソン「私はたまたまバイトを首になっただけで、ちゃんと働いてましたから!
ニートと一緒にされるなんて、非常に心外です!
ニートと同類に見られるくらいなら、死んだ方がマシです!!」
(゚Aメ)「すいません!」
ξ;゚⊿゚)ξ「……ま、少しは元気になったみたいで良かったわ」
ξ ゚⊿゚)ξ「さっさと怪我を治すこと。それが、今のアンタに出来ることよ」
('Aメ)「……うん……」
川 ゚ -゚)「最近は戦ってばかりだったからな。たまには休むのもいい。お前も休め。
これから先は、もっと大変になるだろうから」
( ^ω^)「その間は、これからの事とか、モララーをどうするかを考えようお」
('Aメ)「……分かった」
川 ゚ -゚)「トソン、ドクオを頼んでいいか?」
(゚、゚トソン 「構いませんよ。でも、あなたたちもまだ完治してないんですからね。
あまり無茶しちゃダメですよ」
40 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:24:03.85 ID:
/dgGdGUd0川 ゚ -゚)「善処する」
( ^ω^)「努力しよう」
ξ ゚⊿゚)ξ「頑張ってみる」
部屋を出た3人を目で追い、トソンは、呆れたように肩を竦めた。
(゚、゚トソン 「外傷なんて、寝てりゃー治りますよ。余計なことは考えず、寝なさい。
弱ってるうちは、すぐに眠れるでしょ」
('Aメ)「……分かった」
(゚、゚トソン 「なんかあったら言ってくださいね。私はここにいますから」
('Aメ)「……」
―――シューさんは、今ごろ魔王の城にいるのかな
何もされてないといいけど……
モララーは、今なにをしてるんだろう
兄者も弟者も、生きてるよな?
VIPは……今、どのくらい酷い状態なんだ?
('Aメ)「……」
……悔しいけど、こんな状況じゃ何も出来やしないのは確かだ。
何をするにしても、早く動けるようにならないと。
42 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:25:19.54 ID:
/dgGdGUd0* * * * *
* * * * *
―――漫画みたいに、3日やそこらで怪我が完治する訳もなく、
オアシスに担ぎ込まれてから、結構な時間が経った。
この頃は特に何もなく、平和な日が続いていたように思う。
川 ゚ -゚)「怪我の方はどうだ?」
('A`)「おかげさまで、大分良くなったよ」
(゚、゚トソン 「腕のいいお医者さんが来てて良かったですね」
('A`)「うん、後でお礼言わなきゃな」
ξ ゚⊿゚)ξ「ま、お礼とかはここを出ていく時でいいでしょ。
―――それより、ちょっと話し合ってみたんだけど」
('A`)「?」
ξ ゚⊿゚)ξ「これから先、どうしたって魔王や六将との戦いは避けられないでしょ?
でも、こっちは人数や戦力が圧倒的に不利」
ξ ゚⊿゚)ξ「だから、協力してもらわない?」
('A`)「協力?」
45 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:26:34.94 ID:
/dgGdGUd0ξ ゚⊿゚)ξ「えぇ、まともな亜人とか、腕に覚えのある人たちに、
『一緒に魔王討伐しよう!』ってお願いするの」
('A`)「まともな亜人って……。そんな人、いるのかよ?」
ξ ゚⊿゚)ξ「ここから北東に進んだ所に、そういう奴らが住む集落があるの。
外れ者ばかりだけど、いい人達よ」
ξ ゚⊿゚)ξ「私の故郷でもあるの。ちゃんと理由を話せば、きっと事情は分かってくれるわ」
('A`)「魔王討伐……協力してくれるかな」
ξ ゚⊿゚)ξ「どうにかなるわよ。多分ね」
川 ゚ -゚)「とにかく、ツンの故郷の人達に会いに行ってみないか?
ワカッテマスは用心深いからな。
向こうの方が明らかに優勢でも、私たちを迎え討つために相当の戦力は確保してあるだろう」
('A`)「……」
川 ゚ -゚)「……今、『勇者』はどれくらい残ってるんだ?」
('A`)「分からない。でも、半分くらい残ってたらいい方だと思う」
川;゚ -゚)「……半分、か……」
47 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:27:59.69 ID:
/dgGdGUd0(;^ω^)「……仕方ないお。僕らは、死んでもコンティニュー出来ないから……」
ξ ゚⊿゚)ξ「それに、魔王には改造した亜人や化け物がいるもんね……。
その気になれば、死人を生き返らせる事だって出来るわ」
(;'A`)「……」
川 ゚ -゚)「どっちみち、私たちが不利だということは確かなんだ。
こちらの状況が良くなる可能性があるかもしれない。
とりあえずは、ツンの意見に乗らないか?」
(;'A`)「協力してもらえるなら、ぜひお願いしたいけど……」
ξ ゚⊿゚)ξ「じゃあ、アンタが普通に動けるようになったら、一度北東に行きましょう。
力になってくれるわ。きっと」
('A`)「分かった」
川 ゚ -゚)「それと、モララーについてだけど」
(;^ω^)「……最悪、モララーを正気に戻す方法が見付からなかった場合―――。
僕たちは、モララーを『敵』と見做さなきゃならないと思うんだお」
('A`)「……」
('A`)「それって、最悪の場合はモララーと戦うってことか?」
50 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:29:07.98 ID:
/dgGdGUd0(;^ω^)「……」
(;^ω^)「言いたくはないけど、そういう事だお。
でも、あくまでも『正気に戻す方法が見付からなかった場合』の話だお。
きっと、何か方法はあるお!」
('A`)「……モララーとは、戦いたくないな……」
ξ ゚⊿゚)ξ「そんなの、皆同じに決まってるじゃない」
( ^ω^)「とにかく、出発しないと話は始まらないお」
川 ゚ -゚)「そうだな。後はお前だけだ、ドクオ。
待ってるから、早いところ完璧に怪我を治せ」
('A`)「……分かった」
……話は着々と纏まっていく。
でも、モララーに刺され、ここに運ばれ、あの夢を見てから僕は、
('A`)「(あの夢の中でみんなが言っていた言葉は、全部本音なんだろうな……)」
('A`)「……」
……皆が言ってくれるどんな言葉も、素直に受け取れなくなった。
52 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:30:33.28 ID:
/dgGdGUd0人の心の中なんて、誰にも分からないだろ?
誰かが魔王側に行ってしまう事だって、これから先、絶対に無いとは言い切れない。
だったら最初から誰も信じない方がいいって考えるのは、おかしい話じゃない。
クーたちには、本当に悪いことをしてるんだと思う。
でも、……これ以上、信じてた人が魔王の所に行ってしまうのが、怖いんだ。
皆いつかはいなくなると思っていれば、本当にいなくなった時にショックが軽くなる。
そう、思っていれば気が楽で……。
( ^ω^)「じゃあドクオ」
('A`)「あ……うん」
( ^ω^)「また、明日来るお」
ξ ゚⊿゚)ξノシ
川 ゚ -゚)「……。お大事に」
('A`)「……」
―――あの『夢』が作った、小さな亀裂。
それが完全に割れて砕けるのは、もう少し後の話。
55 名前:
忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/04/01(金) 17:31:51.94 ID:
/dgGdGUd0('A`)ドクオは勇者になったようです
‐16‐『砂煙の町』
終了
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