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<_プー゚)フエクストプラズマンの憂鬱のようです #5「欲望という名の戦車」




2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/17(火) 23:47:51.55 ID:wX54q6wN0 [2/11]
 素直ヒートが逮捕された。

 ヒーローに憧れ、いつしかヒーローに苛立つようになり、
いつしか自分自身を完全無欠の主人公だと思い込んだこの間の少女である。

 始まりはこうであった。
ドクオとフサギコ君が彼女を街中に据え置いたところ、やがて、気絶している彼女に一般市民が気づいて警察を呼んだ。

( ^Д^)「その場合はヒーロー機関じゃなくて、警察に通報するんすねー」

 まるで興味のないような口調であったが、鋭い意見であった。

 そしてこの通報者の行動から、一般市民を囮に使う方法はきわめて有効だということが容易に見通せた。
一般市民を街中に放置し、心配した市民が近寄ってきたところを、近くに身を潜めていた我々がまた襲う。
これならば芋蔓式に人質や改造被験者を増やすことができる。だが我々は善良な大衆に牙を剥くことはない。

 第一発見者の男性は少女に駆け寄り声をかけた。
反応がないので肩を揺さぶってみたりもした。

 やがて寝苦しそうに彼女が目を覚ました。
大事無いようだと安心した彼の顔が、思い切り殴られる。

 後に彼は「おれに強姦されると思ったのかもしれません。この子の行動は仕方ないです」と語っている。

 騒ぎが大きくなると、人はどんどんと集まってくる。
絶叫する少女の殴る蹴るの暴行を、身を屈めて必死に耐える男性。
声だけ聞いた人々の中には痴話喧嘩だろうかと推測するものもいただろうが、現状はそんな段階ではなかった。

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(-_-)と天使のようです/二話目


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/16(月) 22:43:29.83 ID:uyn98eV/0 [2/40]





[(-_-)と天使のようです/二話目]





ここは、木や山が全く無いような都会ではない。
けれど店がぽつりぽつりとしか無いような、そんな田舎でもない。

ただ、季節が変われば、その季節を少しは感じることが出来る。
時間の流れが少し遅い、そんな街だ。


('A`)「不思議だなあ。空から見下ろすだけの世界が、こんなに身近にあるなんて」


空を覆い隠すような大きな雲は、ゆっくりと時間をかけて流れていく。
その下の赤い屋根の一軒家の住人は、この暑さに悶えていた。


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<_プー゚)フエクストプラズマンの憂鬱のようです #4「個人的な独断と偏見的な意見が集合する中で」



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/16(月) 02:06:25.45 ID:rHemQn9b0
 まったくもって、厄介なことになった。

 畳が返され、壁に穴は開き、襖が破れ、布団が切られて焦げ、食器やコップもいくつか割れた。
現在の私の部屋の内装はまるで慈悲の一片もない悪漢が蹂躙しつくしたあとであった。
ただでさえ薄い隣との壁を更に削り、空間を同一化させようとでもいうのか。敷金が心配である。

 人気のない場所で戦闘をしていた胡散臭い笑いを浮かべた「自殺志願者」と、猪突猛進な自称「ヒーロー」。
前者はまったく死に向かうその姿勢が顕示されないため私は虚言であろうと踏んでいるが、問題は後者であった。
自分自身が正義だと思い込んでおり、我々悪人を一個体残さず殲滅させる気でいた。視線が合い直後、戦闘の結果が私の部屋の現在である。

 状況を整理しようと思う。

 私と笑顔の男性は破壊の顕現と言える少女が怒り狂うあの場に居ては大怪我をするぞと察して逃げ出した。
そのすれ違い様、私はシュールの名前を呼んだ。幼い彼女の外見ならば親しみやすいと推定したためである。
「彼女に説明して納得させてやってくれ。分別と、自分の犯罪行為を。できるだけ穏便に!」こういった意味を込めて。

 するとどうだろう? 私の思い通りにことが進んだであろうか?
否、断じて否であった。現実とは常に予想もしない遥か斜め上の事態を私に向けてくるのだ。

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<_プー゚)フエクストプラズマンの憂鬱のようです #3 「ホープ・アイ・ダイ・ビフォー・ゲット・オールド」



1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/15(日) 01:59:31.24 ID:i0uXAfVm0 [1/15]
 私が汎用型人型戦闘員のドクオに食料の買出しを頼むと、彼は両手に材料によってはち切れんばかりの
ビニール袋に苦闘しながらも、野菜や果物を何一つ落とすことなく基地へと帰還してきた。私は疑問を浮かべる。
私が頼んだものは片手のビニール袋に収まる程度のものであったからだ。蓄えがなくなったわけではない。

 私の部屋に入れて、その旨を問いただしてみると、どうやらこれら全ては無料で手に入ったものらしい。
私の管轄内ではできるだけ穏便に(目標以外への最小被害)ことを進めたいため、犯罪行為には釘を刺している。
資金も豊潤ではないが、かつて大所帯であったころのような飢餓の心配は現在なく、部下のストレスもたまっていないはずだ。

 それにドクオには善良な人々を襲うといった悪徳極まりない行動を起こすような性格はしていなかった。
貧相な肉体。冴えない頭脳。沈静で従順。可もなく不可もなく、平々凡々。彼の性能はその程度であった。
そして私は現状にめげることなく精一杯生きているドクオをいたく気に入っている。鯛の尾頭付き件など気にしていない。

<_プー゚)フ「つまり、どういうことだ?」

(メ'A`)「ですので、ですので、別部隊の組織のものと出会ったわけです」

 彼の右頬には一生傷が残っている。カタカナの「メ」のような十字傷だ。

 とある一人のヒーローが支給された武器に浮かれていたため、力加減を間違えたのである。
そのときのヒーローはそれ以来見ていない。組織の上部に命令によってどこか別の地方に飛ばされたのではないかと私は睨んでいる。
鋭利な刃物により鮮血沙汰でイメージアップするはずがないのだ。我々の技術力では傷を消すことができず、不甲斐ない気持ちが浮かんでくる。

 短文を二回繰り返す癖があるが、これは生来のものであった。同じ言葉を続けている間に次の言葉を考えているのだ。
傍聴側はもどかしいが、ビーズに糸を通すかの如くゆっくりと、途切れ途切れに言葉を紡がれるよりはマシである。
文章の終わりでも彼は繰り返すことがある。それは多分強調しているのだろう。それか、もののはずみであろう。

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( ・∀・)君だけが僕の天使のようです(゚、゚トソン 前編


1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/08/14(土) 19:44:39.08 ID:DdoVuBQx0 [1/52]
1.
 男ならば誰だって運命の女を探しているものだ。

この広い世界のどこかで、自分との出会いを待ち続けている女を。

まあ、これまた誰だって、結局見つける前に適当な女と結婚してしまうんだけどね。

 割引シールが貼られた、干からびたコンビニ弁当みたいな女とさ。


( ・∀・)「えっと……ここかな」


 パワーウィンドウを下げて運転席から身を乗り出し、敷地の奥にある建物を睨む。

いやはや、でっかい家だな。

税金をクソ真面目に払ってたんじゃあ一生住めないね。





 君だけが僕の天使のようです 前編

(原作 ジム・トンプスン『死ぬほどいい女』)


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