長岡速報 |
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45 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/02(日) 23:30:13.41 ID:xJz3jwHU0
26.your graduation ~Theme of "Dear Friends"~ ・蒼の薔薇と紅の薔薇(最終話) さっそくの翌日に、内藤は長岡らを引連れて墓場へと出かけた。 N市の外れにある「美府霊園」は、山を切り開いただけあって自然も多いが、 そのぶん内藤邸からは遠く、車の使用を余儀なくされた。 ( ゚∀゚)「二十分ほどでしょうか」 ( ^ω^)「頼むお」 トヨタ・センチュリーの黒塗りに乗り込むと、運転手の長岡にそう促した。 2010年6月14日の今日は外出日和の天候で、雲も白いろのが ぽつぽつと浮かんでいるだけだった。 若干かぜが生暖かいが、梅雨の最中なのだから贅沢はいってられない。 住宅街を抜けて、国道に入って行ったが、それでも二人は会話をしなかった。 険悪なわけでもなく、気まずいわけでもない、ただ、それが自然なのだと 長岡と内藤とが考えたのだった。 山々がみえ、海に面した道を走っているが、この辺りは いかにもデレの死に場所であった。告白文からではそこまで読み取れなかったが、 内藤も、ここがその地であるとは、なんとなしに察していた。 ・・ ・・・ 国道から外れ、複雑な山道をのぼっていくところで、内藤はとつぜん言葉を発した。 ( ^ω^)「わたし……いや、ぼくは……」 ( ゚∀゚)「えっ?」 ( ^ω^)「ぼくは……ペニサスのことが、まだ許せないお」 見るまに変わっていく景色をぼんやり見つめながら、力なくそう呟いた。 49 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/02(日) 23:35:26.81 ID:xJz3jwHU0 ( ゚∀゚)「そう、ですか」 ( ゚∀゚)「(そりゃそうだろうな……できれば、知りたくないことだったんじゃ)」 そろそろ墓地の入口も見えてきた。「美府霊園」は緑に囲まれている。 ( ^ω^)「ぼくは……デレも許すことが……出来ないお」 内藤は俯いた。 ( ^ω^)「ぼくは、ぼくもまだ許していないお」 ・・ ・・・ 51 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/02(日) 23:39:08.00 ID:xJz3jwHU0 駐車場にセンチュリーをとめ、二人は霊園に入って行った。 ふしぎな程に穏やかな場所だった。死者の眠る地としては、これ以上ない やすらかなところだと内藤は前から感心していた。 墓石さえ見えなければ、花畑といわれても納得してしまいそうだった。 柵の外側には季節外れの沈丁花が香っているし、アジサイが花びらに水滴を乗せている。 整えられた芝生が敷き詰められているこの墓地は、まさに天国という言葉を連想させた。 持ってきた線香やマッチ、そして青薔薇を手に目当ての墓碑へ向かい出した。 長岡は水を汲みにいったので、しばらく内藤ひとりの行動だった。 ( ^ω^)「ここだお」 内藤は足をとめた。個人墓ではない、それはデレとペニサスの二人の墓だった。 自然の似合う二人には樹木葬も考えられたが、近場では扱っていないのでやめておいた。 内藤はしばらく洋型のそれを眺めていた。風がそよそよと吹いている。 骨壺も納めていないが、奇妙なくらい、二人がそこに眠っていると実感できた。 長岡がくるまでの間、内藤は無心で立ち尽くしていたのだった。 52 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/02(日) 23:42:46.72 ID:xJz3jwHU0 それから、二人は墓石の掃除を開始した。 雑草をむしり、枯れ花をどけ、線香の燃えカスも丁寧に取り除く。 水を浴びせ、タオルで細かいところまで磨くと、だいぶ石が輝いてきた。 新たに線香をたいてから、内藤は青薔薇を墓碑に添えた。 昨夜は耽美にみえたそれも、いまだと爽やかな模造品に映った。 それでもこの薔薇は生きているのだ、奇跡の結晶なのだ。 ( ゚∀゚)「キレイな色をしてますねぇ」 ( ^ω^)「うん、青薔薇なんて、お伽話のようなものだったのに……」 ( ゚∀゚)「素晴らしいですなぁ」 奇妙な事件の終結には、これ以上ないほどの供物であった。 54 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/02(日) 23:46:17.45 ID:xJz3jwHU0 ( ^ω^)「この墓地のことは、クーにもしぃちゃんにも言ってあるお」 ( ゚∀゚)「ではいずれ会うかもしれませんね」 ( ^ω^)「うーん……でもクーは多忙なんだお、来てくれるとありがたいけど」 しばらくして、ゴミもまとめると、二人は本堂へ向かった。…… ・・ ・・・ (*゚ー゚)「きれいなとこねぇ。こんなとこがN市にあったなんて」 从 ゚∀从「最近できたとこらしーな」 内藤と長岡とが離れたあたりで、別の二人組が霊園を訪れた。 しぃとハインリッヒだった。6月らしいラフな格好で来てい、 手紙を見ながら目当ての墓を探しまわっていた。 程無くして女性二人はデレの墓石を発見した。 まだ煙をたてている線香や、場違いな青薔薇をみて、 周りに人がいるのかとそわそわしたが、無人なのを確認すると、二人そろって手を合わせた。 55 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/02(日) 23:50:03.67 ID:xJz3jwHU0 目を閉じながら、ハインリッヒはしぃに話しかけた。 从 ‐∀从「なあ、デレについてはどう思ってるんだ?」 (*゚ー゚)「どうって、何が?」 从 ‐∀从「こうやって、わざわざ私を誘って墓参りしてるし、謝りたいのかな? て」 (*゚ー゚)「ああ……それね」 しぃは青薔薇を見つめながら口を動かした。 (*゚ー゚)「お父様の経営する会社がね、内藤さんの下請けみたいなものなのよ。 ……過去のことが知れたら、すべておしまいになってしまう」 (*゚ー゚)「だから先手を打ちたかったの。先に謝っておけば……」 ハインリッヒは目をあけ、しぃを見やって、 从 ゚∀从「なるほどねぇ。パーティーのときもそれしたかったってわけか」 (*゚ー゚)「そっ。あのおじ様なら、先に謝れば大丈夫っぽいしね」 56 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/02(日) 23:53:44.53 ID:xJz3jwHU0 从 ゚∀从「あっはっはw 確かにそんな感じだよな。おれももっと売り込めば……」 (*゚ー゚)「あの女が邪魔さえしなきゃあね」 しぃは突然に暗い顔になった。 (*゚ー゚)「クーが騒動さえ起こさなかったら、もっといい形で謝罪できたのに……」 从 ゚∀从「ありゃ驚いたなあ! さすがキチガイって感じだったぜ」 (*゚ー゚)「手紙なんかで謝りたくなかったわ」 それは鉛のように重い口調だった。ハインリッヒも聞き入っている。 (*゚ー゚)「謝るだけでもイヤだったのに、満足できない謝り方…… ほんっと、どうしてこうなったのかしら」 从 ゚∀从「親父さん同士が繋がってたとは災難だったな」 (*゚ー゚)「ほんとほんと! やってられないわ」 背後から向かってくる人物にも気付かないくらい、二人は会話に夢中になっていた。 57 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/02(日) 23:56:11.58 ID:xJz3jwHU0 从 ゚∀从「というか、デレとかクーなんか最近まで忘れてたなぁ。 失踪したっていってたけど、あれって結局どうなったんだ?」 (*゚ー゚)「さあ? ギコが知ってたっぽいけど、全然話さなかったしね。 そのギコもどっか行っちゃうし、あんま首突っ込むとさ、祟られそうじゃない?」 从 ゚∀从「あっ、やっぱお前も死んでるって思う?」 (*゚ー゚)「そりゃそうでしょー。引きこもりだったんだから」 軽やかに笑いながら、しぃは青薔薇に手をやった。 (*゚ー゚)「それにしても、ほんっとキレイねこれ。作りものじゃないみたいだし……」 从 ゚∀从「こんなに青薔薇らしい奴は初めて見たな」 (*゚ー゚)「ねえ、二本あるし一本貰っていかない? 謝ったんだしさ!」 从 ゚∀从「そうだな!」 そのときだった。 二人の背後まで来た人物が、その会話、その行為に向けて殺気を放ったのは。 58 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/02(日) 23:59:27.78 ID:xJz3jwHU0 「なにを、しているんだ?」 从 ゚∀从「!?」 背後の人物の突然の問いかけに、とっさにしぃとハインリッヒは振り返った。 その女は、眉ひとつ動かさずに繰り言する。 川 ゚ -゚)「何をしていると、いっているんだよ」 从;゚∀从「クー……」 (*゚ー゚)「何いきり立ってるの? 私たちはただお墓参りにきただけよ?」 とつぜんの出会いで、ハインは動揺し、しぃは刃向っていった。 川 ゚ -゚)「墓参り? お前たちがか?」 侮蔑の表情のまま鼻で笑うと、 川 ゚ -゚)「その手にある薔薇は何なんだ?」 (*゚ー゚)「失礼ねぇ。まるで私たちが取るとでも? あなた。ただこの薔薇が……」 从;゚∀从「お、おい…しぃ……。そろそろ帰ろうぜ」 59 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:03:40.91 ID:/kR/MGSF0 川 ゚ -゚)「ああ、消えた方がいいな」 (*゚ー゚)「ほんと失礼ねあんた! ええ、ええ、帰ってやるわよ」 口論を墓前でやりあってから、しぃとハインリッヒは出口に向かっていった。 その後ろ姿を、クーは冷めた視線で追いかけ続けた。 完全に視界から消えうせるまで、身じろぎ一つしなかった。 ・・ ・・・ (*゚ー゚)「何なのよあいつは! 気色悪いほんとに!!」 从;゚∀从「………」 怒りを撒き散らしているしぃとは対照的に、ハインリッヒは黙りこくっている。 たまりかねたしぃが、つい怒りの矛先をそちらにやった。 (*゚ー゚)「ハインもさっきから何なの!? あんなのに怯えるとか……」 从;゚∀从「あいつはキチガイなんだよ! マジでガチモンのさぁ!」 (*゚ー゚)「はぁ? なんかあったわけ?」 从;゚∀从「……ちょっとだけな。ともかく関わんねぇ方がいい」 雨の日の、目前にむけられたカッターナイフを思い出しながら、身体を戦かしていた。 61 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:07:27.42 ID:/kR/MGSF0 从 ゚∀从「あのパーティーのときだってそうさ、おれはアイツとはなるべく関わらんように していたんだ。でもな……ああ・・・・・・ああいうの、なんていうんだっけ? 記憶喪失?」 (*゚ー゚)「記憶喪失? なに? なんの話なの?」 訝しむしぃに、ハインリッヒは淡々とした口調で、 从 ゚∀从「……なあ、おれのステージ、覚えてるか?」 (*゚ー゚)「そりゃ覚えてるわよ? 鳩がバーって出てきて、ハープが鳴ってて…… 鳥嫌いのあんたでも、あんなことが出来るんだなぁって……」 从;゚∀从「………」 从;゚∀从「記憶がねぇんだ」 (*゚ー゚)「嘘でしょ」 从;゚∀从「ステージに登ってから、幕が閉じるまで、まるで記憶にねぇ」 (*゚ー゚)「あの女がなんかやったって?」 从;゚∀从「そうとしか考えられねぇだろ」 65 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:11:31.03 ID:/kR/MGSF0 二人はすでに駐車場まで来ていたが、話の終わりはまるで見えなかった。 (*゚ー゚)「大丈夫よ。とってもいいステージだったわ。あれなら売り出しも完璧……あら?」 しぃは目の前の光景に、唖然とさせられた。 ・・ ・・・ 川 ゚ -゚)「デレ、きっと面白い光景が見れるぞ。あいつらの車をパンクさせてやったのさ」 クーはそれからというもの、墓碑にひたすら喋り続けていた。 15年前に没したデレをひたすらに思いながら。 川 ゚ -゚)「……久し振りだなぁ、N市に来たのなんて……あの崖も、すっかりだ」 墓碑の横に坐りこむと、空を見上げながらつぶやくように言った。 川 ゚ -゚)「そもそも忙しかったし、思い入れも君とのものしかなかったからね……」 67 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:14:06.38 ID:/kR/MGSF0 川 ゚ -゚)「……君の父さんから、手紙を貰ったんだ。いろいろと書かれていた。 最初は見る前に破り棄てようかと思ったんだけどね、読んでよかったよ。 そこには15年前の真相……とやらが、驚くくらいに載っていたんだ」 川 ゚ -゚)「君が父さんと関係を持っていた、ていう日記の内容。 私はね、正直いって、その内容に半信半疑だったんだ。 文の調子もおかしいし、あまりにも今までとはかけ離れていたからね」 川 ゚ -゚)「でも、私は信じることにしたんだ。盲信した。 愛する人のいうことを信じられないワケがないって、自分に言い聞かせて…… デレ、私はね、その内容を信じることで、自分自身に愛の証明をはかっていたんだ。 君の父さんを憎めば憎むほど、君のことを愛しているって計算式さ」 青薔薇を見つめながら、クーは張りのある声で、 川 ゚ -゚)「だから殺してやろうと思ったんだ。内藤氏を殺せば、きっと、 私はこの世の誰よりも君を愛せた、祝福されし人物になれるとね。 だから空想の中で計画も立てた。ステージの上で刃を突き付けるって ストーリーだが、15年後、本当にその舞台が整うとは思ってもみなかったさ」 川 ゚ -゚)「……内藤氏からの依頼内容。『失踪した娘の場所を突き止めてくれ』 正直いって、これには呆れてしまったんだ。ご老人は頭が狂ったのかってね。 自分もデレを苦しめさせた要因のくせして、なに被害者面しているんだって」 69 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:19:42.35 ID:/kR/MGSF0 川 ゚ -゚)「………実際にあのステージでご老人に近寄るまでは、殺すつもりだった。 短剣をドレスの中に忍ばせておいたんでね。こんな具合に」 そういうとクーは、喪服の内側から、マジシャンめいた仕草で一輪の薔薇を取り出した。 供えられた耽美な青いろとは違って、溶岩のように激しい色をしている。 真赤なその薔薇をブルー・ローズの隣にやさしく差した。 川 ゚ -゚)「でも……なんだか、いざその段階になって、君に止められた気がした。 かすかにだけど、君の気配を感じたんだ。デレ。内藤氏が意識を失って、 周りが駆け寄り、私が刃を出そうとしたその刹那に、 きみに、叫ばれたような気がした……」 今度は墓の正面にちょこなんと腰掛け、 川 ゚ -゚)「……君はいたのかい? すくなくとも、今は君の魂を感じることができない。 いや、金輪際あじわえないと思う。もう、成仏してしまったんだろう? でも話を聞いてくれ、私はパーティーの前も、君を感じたことはなかった。 たしかに多忙でそんなに時間はなかったが、デレのことを忘れたことは 一度たりともない! この霊視能力だって、君の霊魂をみて、 会話するっていう、そんなワンダランドからの贈り物と思っているんだから」 クーは次第々々に涙声になっていった。しかし話は止まらない。 74 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:23:34.51 ID:/kR/MGSF0 信念が撃墜した。 生きる目的と定めていた、内藤殺害も、 いまでは全く起こす気もない、動機もない。 川 ゚ -゚)「どうすればいいんだ……」 語りかけるように呟いたが、しかし、三本の薔薇はゆるく風に揺れているだけだった。 そのうち一輪の青薔薇が、困ったように首を傾げる。 川 ゚ -゚)「やっぱり……謝るべきだよな、内藤さんに……」 でも。 でも、でも、クーには、それがどうしても不安だった。 プライドの問題でもないし、手段についてでもない。 否定される恐怖か、 はたまた新たな生き方への不安か。 川 ゚ -゚)「……どうしよう」 川 ゚ -゚)「……この青薔薇、誰が持ってきたんだろう……」 75 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:29:01.15 ID:/kR/MGSF0 川 ゚ -゚)「……ん?」 クーはふと気配を感じた。誰かがここに近寄ってくる。 とっさに付近の木陰に隠れると、そおっと周りを様子見た。 ( ^ω^)「……ふう、暑いお……」 ( ゚∀゚)「でもこの空気なら快晴ですよ」 川;゚ -゚)「あ……!」 思わず声をあげてしまった。 駐車場のトヨタ・センチュリーは内藤の車だったのか。 ということは、れいのブルー・ローズも線香も内藤の行いということらしい。 クーがそわそわ落ち着かないうち、内藤と長岡とは墓前にやってきた。 二人して妙な顔をしていた。とつぜん増えた赤い薔薇の存在についてだろう。 ぼそぼそした喋り声はクーの耳には聞き取れなかったが、内容くらいは察知できた。 78 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:33:45.33 ID:/kR/MGSF0 川 ゚ -゚)「……これは……陰から出ていくべきか……?」 川 ゚ -゚)「でも……ああ……でも、でも……」 川 ゚ -゚)「……何かしないと、謝らないと……」 川;゚ -゚)「だって何もしていないじゃないか、私は……!」 ・・ ・・・ ( ゚∀゚)「とつぜん増えた赤薔薇……なんだかまるであのドレスみたいですね」 ( ^ω^)「ん?」 ( ゚∀゚)「え、ほら、あの時の……」 言いさした長岡が、振りかえった途端いきなり凍りついた。 幽霊でも見たかのようなリアクションに、内藤も、おそるおそる背後に目をやった。 川 ゚ -゚)「………」 (;^ω^)「っわ!?」 そこに立っていたのは、黒い喪服をきたクーだった。 生気のない瞳で、こちらを薄ぼんやりと見つめている。 83 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:36:51.48 ID:/kR/MGSF0 (;^ω^)「クー……ルー……じゃないかお」 (;゚∀゚)「…ど、どうも…」 川 ゚ -゚)「……どうも」 クーがぎこちない動作で会釈をすると、慌てて二人も続けて同じ動きをした。 霊園に似つかわない空気が流れていた。お互いなにを切りだせばいいのかわからない。 内藤が、とりあえずの咳ばらいをして、切り出そうとしたそのときだった。 ( ^ω^)「えー……」 川 ゚ -゚)「内藤さん!」 ( ^ω^)「……はい」 川 ゚ -゚)「その……何というか、……本当に、本当に、」 クーは腰を曲げた。 「――申し訳ございませんでした」 86 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:42:19.67 ID:/kR/MGSF0 何も言わない内藤と長岡だったが、クーはそれでも、 川 ゚ -゚)「あのステージで、とんだ妄言を吐いてすみませんでした。 あなたを悲しませるようなことばかりをして、、本当にごめんなさい」 川 ; -;)「許してもらおうとは、思っていません……!」 ( ^ω^)「………」 枯れ果てたと思っていた涙が、どっと溢れていった。 嗚咽まじりで、もう言葉が続かない。 なにかを言おうとするたび、胸のうちから何かがこみ上げてくる。 川 ; -;)「……その、………ほん、……、、…っと に、、、」 ( ^ω^)「もういいお、クー」 黙っていた内藤が、優しい声色でそういった。 涙を拭かないクーに、ハンカチを手渡すと、言葉を続ける。 ( ^ω^)「ぼくは、謝られる立場なんかじゃないお」 87 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:46:51.14 ID:/kR/MGSF0 川 ゚ -゚)「えっ……」 ( ゚∀゚)「………」 クーには何のことかよくわからない。 自分の向けてきた殺意、暴言、無礼、それを当然と思っているのか。 ( ^ω^)「ぼくだって悪かったんだお。いいんだお、謝らなくっても」 川 ゚ -゚)「そう、ですか……」 皺だらけの顔でくしゃくしゃに笑って、 ( ^ω^)「嫌われてなくてよかったお」 川;゚ -゚)、 内藤は照れたような表情をしてい、対照的にクーは緊張しきったふうだった。 天気は春のように爽やかだ。 91 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:52:02.95 ID:/kR/MGSF0 それから少しして、内藤はクーに手を差し伸べた。 握手を求めている。けれど、なんだか口では言いにくい気がしたのだった。 川 ゚ -゚)「……」 クーはしばらく皺の寄ったその手を見つめていたが、 振り切ったような笑顔になると、自分も手を差し出した。 握手した。和解の握手でもあって、これからの挨拶でもあった。 川 ゚ -゚)「はは、は……」 ( ^ω^)「よかったお、ほんと……よかったお……」 今度はブーンが涙声になった。眼尻にうっすらと浮かんでいる。 薄目をコーディングしているかのような涙だった。しかし、 ( ;ω;)「ほんとに、よかったお……!」 川 - )「そうです、ね……」 死者から解放された瞬間だった。 92 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:58:03.30 ID:/kR/MGSF0 握手はそれでも続いていた。 氷解していくわだかまりを、じぃっと眺めているような時の流れを感じさせた。 クーも、ぼんやりした表情の中に、時折笑顔を浮かべていた。 今日以前、笑顔をみせたのはデレ以外に居なかった。 15年ぶりの喜びだった。 そんな様子を見てから、長岡は三輪の薔薇に目を向けた。 そのどれもが、美しい処女のような柔らかさを帯びている。 仲間外れは居なかった。 天気は相変わらずの清々しさだった。暗雲はまったく見られない。 梅雨ということを忘れたかのようだった。 雨はしばらく姿を見せない。 ずっと晴れになると確信させた。 (your graduation ~Theme of "Dear Friends"~ 終) コメント
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