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新しい記事を書く事で広告が消せます。 11 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:16:32.53 ID: JAO+O/oE0 内藤ホライゾンは六十を迎えた現在では、肝臓が弱っており、アルコールを強く嗜むことが出来ない。 そのため、マジシャンの前座も終わり会場の明かりが点いた今では、多くの客が上等な酒を味わっていた。 ホテルのパーティー・ルームが会場なだけあって設備やクオリティは安定しており、 主役である内藤ホライゾンは、会場の隅の円卓に、鷹揚な様子でついていたのだが、 その瞬間、パーティーの参加者は一斉にそちらを向き、遠くの者は会釈をし、
12 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:19:20.69 ID: JAO+O/oE0 初老の男が頭を何度も下げつつ歩みよった。 ( ^ω^)「どうも、ありがとうございますお」 互いに会釈し合うと、事務所所長のモララーは、早速といった風に、 ( ・∀・)「ところで、如何でしたでしょうか先程の出だしは……」 ( ^ω^)「勿論楽しませていただきましたお」 ( ・∀・)「それはよかったです……何分、途中やり過ぎたかとハラハラしまして……」 モララーは本心から安堵した様子で、「フウ」と息をつくと、 ( ・∀・)「内藤さんの誕生日ですし、例のプログラムもある以上……」
14 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:21:23.98 ID: JAO+O/oE0 ( ・∀・)「あ、ありがとうございます! ありがとうございます!」 繰り返しお辞儀をし、モララーの手のレッドアイが弾みで零れそうになる。 ( ・∀・)「では、こちらがさきほどの娘でございます……どうぞ、お見知りおきを」 内藤にそれを渡した。 ハインリッヒ高岡 (27) 大人じみた風情を持ちつつも、どこか少女のような雰囲気も携えていた娘だった。 内藤はグラスを持ったままで胸ポケットに名刺をしまい込むと、モララーに了解の仕草をした。
16 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:24:06.55 ID: JAO+O/oE0 ハインリッヒは慌てながらも、優しく子供達を宥めながら風船を作り続けていた。 眺めているうちに、続々と子供達が増えてハインリッヒを取り囲んでいった。 そもそもハインリッヒ自体に懐いてしまっているらしく、バルーンを貰っても全く動こうとはしない。 笑顔でその光景を見つめていた内藤は、ふと物寂しさに襲われた。 内藤の愛する、デレという心優しい娘の面影を。
18 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: >>17 追々あると思うw 投稿日: 2008/03/19(水) 22:25:58.12 ID: JAO+O/oE0 今日、デレを見ることが出来るのだろうか。 ( ・∀・)「彼女はとても熱心で、それで気配りも忘れない人でして……」 ( ^ω^)「とても優しそうな人ですお」 ( ・∀・)「はい、大変優しく、それだけでなく勿論技術の方も……」 モララーの言葉は、それ以上聞こえなかった。 同時に、積年の疑問までもが押し寄せてくる。 デレよ。なぜ私を置いていった? そしてお前とは、今日会えるのかい?
20 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:28:24.86 ID: JAO+O/oE0 娘の失踪の裏で急成長を遂げている自分の会社に、虚無感めいたものを内藤は抱いていた。 「ヨカッタじゃないか。娘が居なくとも、これで満足できるだろう?」 そういう文句が、今にも後ろから囁かれるようであった。 しかし、内藤はその妥協を潔しとせず、娘を捜索し続けた。 会社の利潤を認めたら、その瞬間自分は、娘の失踪を受け入れてしまいそうだ。 歯がゆいジレンマを過ごしているうちに、酒が喉を通らなくなった。だが、今更アルコールの未練など無かった。 そうして過ごしていたある日、一つの朗報が舞い込んできたのであった。
22 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:30:07.82 ID: JAO+O/oE0 だが、彼は確かに"つて"を持っていたのだが、クー・ルーは多忙のため、内藤の願う日付に取り合わせられなかった。 内藤は思いを振り切るようにかぶりを振ると、いつもの取引行儀でモララーと会話をした。 クラッカーかと勘違いするほどの拍手に驚きつつも、一人々々に握手していく。 内藤が社員の輪に囲まれている頃では、場全体の雰囲気もスッカリ団欒めいたものとなった。
23 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:32:23.07 ID: JAO+O/oE0 しばらく、団欒の空気は続いた。 七時になれば、皆はテーブルについて、食事を待つことになる。 社員の輪を抜けた内藤は、ボーイにレッドアイの御代わりを貰ってから、再び歩き出した。 勿論、そんな感情はおくびにも出さずに内藤は次々と握手していった。 「内藤さん!」 近くに居た男が、バリトン調の声をかけた。 ( ^ω^)「これは! 先日はどうも……」 ( ´∀`)「いえいえ、誕生日おめでとうございます!」 クー・ルーとのアポを取り付けた、モナーであった。
25 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: >>24 おっとこれ以上は 投稿日: 2008/03/19(水) 22:35:18.89 ID: JAO+O/oE0 ( ^ω^)「いやあ、来てくれてありがとうございますお!」 内藤はそう言いながら、秘書に軽く目配せをした。 ( ^ω^)「ところで、例のはこれでいいんですかお……?」 一頻りの恒例的な挨拶が済むと、レッドアイを秘書に持たせてから、絹の包みを解いて中のものをモナーに見せた。 薔薇は雪のような純白色をし、どうやら品種は、フラウ・カール・ドルシュキーのようである。 ( ´∀`)「はい、おそらく……デレさんの念の強い品であれば、とのことですモナ」 ( ^ω^)「では、これを……ステージで……」 神妙に頷いてから、内藤はハンカチを秘書に渡し返した。
26 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:37:29.59 ID: JAO+O/oE0 すると、間もなくして、鮮やかなドレスに身を包んだ淑女が近づいて来た。 (*゚ー゚)「内藤様、誕生日おめでとうございます」 ( ^ω^)「ありがとうだお、しぃちゃん!」 長女デレと同級生であったというしぃに、内藤は朗笑と共に言葉をかける。 そういえば、マジックショウのときの、あの優しい芳香は消えてしまったのかしらん。
時間は六時四十分となった。
28 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:40:59.75 ID: JAO+O/oE0 客人の半数近くは自らの座席につき始め、子供などは既にナイフをフォークを持ち、キンキンと音を立てて遊んでいた。 既に、マジシャンショウの前に乾杯は済ませてあったが、食事が運びこまれる前に ( ´∀`)「まぁー忙しくはないですけどね、ま、その分、ミスだけはないようにしないと……」 ( ^ω^)「そうですお、でもだから神経使っちゃって……」 などと言いつつ、二人とも辺りを気にしだした。 (*゚ー゚)「内藤さん」 ( ^ω^)「ん? 何でしょうかお?」
29 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:42:24.12 ID: JAO+O/oE0 (*゚ー゚)「すみません。パーティーが終わったら……少し、お話したいことが。どうしても……」 と、今までとは違った物言いで、真剣な意味合いが含まれているのだろう、 ( ^ω^)「分かったお、しぃちゃん」 丁重な言葉で返した。 ・・ ・・・ 時間は七時となり、再び照明は落とされた。 (挨拶風景 終) コメント
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