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94 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 00:59:19.28 ID:/kR/MGSF0
27.暗がりのステージ(エピローグ) 会場の照明が落とされてから間もなくして、ステージを閉ざした臙脂色の緞帳が静かにそよいだ。 観客のどよめきが止み、そうして意識がステージに向けられた辺りになると、 いよいよ緞帳は震えながら昇っていき、 隠された舞台を今、露わにした。 銀色のスポットライトが円光を作り舞台の中央を照らすと、途端に白煙と共にシルクハットを被ったマジシャンが姿を現した。 観客の迎えの拍手に対し、ピエロめいたお辞儀の身ごなしをすると、拍手は更に強まっていった。 高尚なハープのアルペジオが会場に響き渡る。 観客は騒ぐのをやめて、マジシャンの存在すら忘れてしまいそうになるほどに、その音色に聞き入ってしまう。 ステージの右脇で、長い黒髪を一束に結ったアジア美女がハープを優雅に奏でており、 このBGMが、録音でないことを観客は知る。 ・・ ・・・ 「よし……」 少女はそのとき、そのマジシャンに″憑依″した。 もともと上手くいけるとは思っていなかっただけに、 成功したときの喜びは一入だった、マジックの心得は、 その身体が覚えているのだから、ショウ自体はたやすい。 15年。それは永く寂しい空白だった。 謝罪の意味合いを考えるだけ考えて、会いたい人間の 喜びを引き出せるだけ引き出したかった。 誰かに憑依して、自分の思いを伝えた方がてっとり早かったかも知れない。 けれど、それで喜ばせられるだろうか。 少女はこの永い時の中で、自分が嫌われているのではと恐怖していた。 自分という存在を、死者のくせして表現することに躊躇いを深めていった。 99 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 01:07:23.63 ID:/kR/MGSF0 ショウは壮大に進行していく。 いつものマジシャンなら出来ないような大技を、 憑依した身で軽々とこなしていった。 観客のみんなが、驚き、不安がり、でも最後には拍手をしてくれるのが嬉しかった。 そんな客たちの中で、目当ての父……内藤ホライゾンが凝視してくれていた。 一番、言葉をかけたかった人だった。 しかし少女は言葉でなく芸を魅せることを選択した。 「金平糖の精の踊り」が佳境に入り、フィナーレの盛り上がりが増していく。 父も若々しいふうの表情で夢中になってくれている。 嬉しい反面、これで終わりなのかという焦燥感もあった。 最後の最後、踊り子も立ち去ったあとに、叫んでみようかとすら思う。 父へ、このショウの主役にむけてありったけの思いを告げたかった。 ―― …… 100 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 01:11:06.98 ID:/kR/MGSF0 ………―― 空気がいやに熱っぽい。会場全体の、誰ひとり自分を否定していないのだ。 気がつけば舞台にはシルクハット姿の自分いがい、誰もいなかった。 なにか、せめて、別れの挨拶くらいは贈りたい気がする。 でも、少女は何も言わなかった。 シルクハットが落ちるほどの勢いで頭を下げただけだった。 ……最後に見えたのが、父の、歓喜の表情で良かった。 ζ(゚ー゚*ζ(みんな……父さん……本当に、ごめんなさい――) わたしはそれでも幸せでした、あれでも、満足でした。 そう自分に言い聞かせると、デレは、名残惜しそうに舞台、から消えていった。 それから暫くして、緞帳はゆるやかに降りはじめていって、 露わになった舞台を今、まったく隠しきった。 ・・・・・ ・・・・・・ ・・・ ・・・・・ ・・ ・・・ ・・・ (エピローグ 終) 101 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 01:12:48.77 ID:/kR/MGSF0 ( ^ω^)ブーンと心母少女のようです 終 105 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 01:14:45.29 ID:/kR/MGSF0 あとがき このストーリーを作ったのは、バイト中幼女に挨拶されたのがキッカケです。 俺自身そのときくそ忙しくて、もう、ほんとその挨拶に気がついたのが 幸運なくらいだった。 で、まあ忙しいながらも挨拶し返したわけですが、その後で、おれはハタと思った。 もし、その幼女の挨拶を無視してしまったら、どうなっていたんだろう。 もちろん何か罰則でも適応されるわけでもない。けれど、 挨拶を無視された幼女は、傷つくのかな? 悲しむのかな? そんな想像ばかり膨らんだ。 で、そんな思いから出来上がったのがこの物語です。 ぼくはロリコンじゃないけど、やっぱりか弱い女の子は、傷ついてはいけないと思う。 だから、もし傷ついてしまったらどうなるんだろう、そんな反面教師的な、 おれにとってはタブーのようなストーリーに仕上がりました。 傷ついたり、悲しむ女性は見たくないよね。 108 : ◆tOPTGOuTpU :2009/08/03(月) 01:17:11.39 ID:/kR/MGSF0 こんな作品ですが、なぜか一年以上かかってしまいました。 はじめた当初は三か月で終わらせると豪語してたのに、様子がおかしいな。 半年逃亡していて申し訳ないです。 でも最後まで見てくれた人、ほんとうにありがとう。 自分で言うのもなんだが、毎回毎回、スレの空気が凄く好きだった。 投下するたび早く続き書こうと思わせてくれた。 みなさん、乙でした。 またの機会ありましたらお願いしまする コメント
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