長岡速報

 
 
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ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
08/03

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( ^ω^)ブーンと心母少女のようです9 

2 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/05/14(水) 22:30:06.09 ID: 9dZxI4QW0

9.過剰の美学


一九九五年、七月三日。いまだ雲は払われず、薔薇の栄華も極め渡る頃。

ことにヨーク・アンド・ランカスターが女学校の校庭に咲き誇っているのは、なにかの不吉を伝えたいのだろうか。


・・ ・・・


まさしく神秘的だった。

ギコは優しいし、なにより逞しい。

喫茶店で会話をしたあの日から、デレとギコは二人きりで遊びだした。


デレに、男の子と遊ぶ経験は今までまるで無く、ギコとのひと時は全て新鮮に感じられたし、

強引なその腕の引き具合や笑顔の力強さは、デレを興奮させた。


 


しかし、対照的にクーの表情は翳りを増していった。

交換日記も、学校へ持って行くことを何度も「忘れてしまった」り、出すのを躊躇ったりしている。


デレは何度も心配したが、そのたびにクーは弱々しく笑ってみせ、


川 ゚ -゚)「大丈夫だ」


しかしその一言には、何の活力も見出せなかった。


 


続き →

( ^ω^)ブーンと心母少女のようです8 

2 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/04/24(木) 23:44:20.20 ID: kC4jDalT0

8.万華鏡の日々


一九九五年、六月二十日。華やかにアジサイが全盛期を誇り、空には厚く雲が覆う頃。


それまで翳っていたデレの日常は、たちまち色彩が帯びだしたように思われた。


陰険でいながらどこか弱々しい、しぃ達の生臭い苛めも、ある日を境に

スッカリ無くなったとなれば、そう思うのも無理はない。


クーと交換日記をはじめたあの日……

白のグラジオラスが、無残にも生々しい手で花弁を千切られたあの日……

見ず知らずの青年とぶつかって転がったあの日……

ペニサスが珍しく、帰宅したデレの様子を見入っていたあの日から、いきなり変化したのだった。


川 ゚ -゚)「表情が明るくなった」


ζ(゚ー゚*ζ「え、そう?」


照れくさそうに笑ってみせるも、否定はしない。

逆にどこか顔つきに陰が見え出したクーの様子にも、ほとんど気がつかないという体たらくであった。

     


 


続き →

( ^ω^)ブーンと心母少女のようです7 

3 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/04/16(水) 23:09:49.87 ID: 3XiCbO1A0

7.惑る妾とその運命


二〇一〇年。薔薇が咲き誇るには僅かに早い、春の月。


N県の山間に建てられたその一軒家は、見たところ白亜の賽といった風情で、

窓らしい窓も、一角に一つあるかないか程度のもので、はたから見れば人が住んでいるとは思えない。


その建造物の周りには桜が生い茂っていて、季節の見合ったこの頃は薄ピンクに飾られている。

しかし、咲き誇りから日が経っているためか、地面には桜の花弁が散っているし、枝にもまばらに緑が見受けられた。

風にそよぎ、あるいは雀が梢を飛び立ってかすかにたわんだとき、桜の一片々々は数枚空気に乗ってしまう。


裏手には見栄えするローゼン・ガルデンがあるという、

この一軒家の前で、内藤は長岡を連れ添って、呼び鈴を鳴らした。


家主の名は荒巻スカルチノフといい、内藤の義兄に当たる人物だった。


ツンの実の兄である。


 


続き →

( ^ω^)ブーンと心母少女のようです6 

4 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/04/09(水) 00:19:09.97 ID: Owryz0qq0

6.アンチ・スリップアウェイ(第二章)


二〇一〇年。桜咲く四月の始まり。


クー・ルーの過激な霊視ショウからはや一ヶ月が過ぎた。

内藤は突きつけられた「真実」のショックから冷めておらず、いまだ寝床に伏している。


くだんのショウについては、さいわい新聞社が嗅ぎ付けていないため、

さしあたって世間に知られていないが、いずれ暴露されるのは時間の問題だろうと思われた。


自社の運営を人に任せ、自らはチッペンデールの寝台で横になっている。

この状況に内藤は申し訳なさを感じつつも、これからどうすればいいのか分からないでいた。

使用人を部屋から出し、自分一人だけとなった部屋の中で、ひたすら潜心していた。


 


( ´ω`)「………」


 


   


続き →

( ^ω^)ブーンと心母少女のようです5 

3 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 23:07:38.28 ID: rd3nStmX0

5.剣百合


一九九五年、六月十五日。月曜日の朝。


週明けの朝は鬱陶しい。

加えて誕生日の翌日というので、デレは陰鬱な面持ちだったが、

雲ひとつない快晴の中で朝早くに登校し、静かな教室でクーを見つけると、たちまち気分が晴れた。


ζ(゚ー゚*ζ「おはよっ!」


川 ゚ー゚)「おはよう」


クーは教壇の上に花瓶を置こうとしていた。

白いグラジオラスがいくつか差さってい、水もそこそこに満たされている。

朝の陽光に照らされ、ガラスの花瓶はキラキラと金いろに充ちた。


ζ(゚ー゚*ζ「これは?」


川 ゚ー゚)「今日持ってきたんだ。グラジオラスをね」


愛しむように眺めつつクーは返答した。


鞄を自分の机に置いてから、デレはパタパタと教卓の方へ向かった。


 


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