長岡速報 |
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2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:02:32.36 ID:Omy7nGea0
例えば、人々が紡ぎ出す物語の終わり。 時に感動的で、時に絶望的で、そして余りに必然的な最期。 その日まで僕は、その暇で僕は、ただ何かをしたかった。 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/16(水) 21:03:02.98 ID:Omy7nGea0 六話 いきのはじまり
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:57:48.53 ID:aUalDh0W0
「死後の世界」が存在するか。 一に何かを足せば何になるかを考えるようなものであり、一に一を足して五にするようなものでもある。 全くの不明。 それでも僕は、それに興味を持った。 誰もが一度は通る道だろう。僕はまだ、その道の途中にいる。 生きる事への興味を失ったいつか、真っ先に浮かんだのは当然の様に自殺だった。 そして、僕を思いとどまらせたのは「無知」だ。 僕はまだ「生きる」事を学び終わっていない。 その状態で、仮に「死後の世界」とやらに行けたとしても、一抹の不安は残る。 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:58:18.83 ID:aUalDh0W0 ――と、言うのは全て嘘かも知れない。 僕はただ、死ぬのが怖いだけなのかも知れない。 あるいは、本当なのかも知れない。 確実なのは、僕が余りに「無知」だという事だけだった。 76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:58:49.76 ID:aUalDh0W0 五話 さめのはじまり
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:49:25.73 ID:aUalDh0W0
いつしか、そこは戦場だった。 「戦争」などと言うものを明確に知らない僕でさえ、それを一瞬で連想した。 血飛沫が舞い、怒号が飛び、誰もが「赤」に濡れている。 そこはきっと、戦場だった。 僕はきっと、死人だった。 58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:49:55.58 ID:aUalDh0W0 四話 しちのはじまり
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:43:11.02 ID:aUalDh0W0
道すがら、奇妙な女にあった。 女は路肩で、一目で占い師だと分かる衣装に身を包み、僕の顔を見るや否や、呼び止めた。 「死相が、色濃く見えます。自殺でもお考えですか?」 僕は少し嬉しくなって、笑顔で答える。 「そのつもりでしたが、止めます。面白いものを見つけました」 女は妖艶に笑って、「お代結構です」とだけ言った。 もう僕には興味もないようだ。 僕も「また来ます」とだけ言ってその場を後にした。 やはり、返事はなかった。 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:45:08.72 ID:aUalDh0W0 三話 よいのはじまり
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:33:43.48 ID:aUalDh0W0
僕らは互いの連絡先を交換して、別れた。 きっと計画は順調だ。一つの失敗もない。 「……はあ」 なら、この憂鬱な気持ちはなんだ。 それも恐らく、辞書には載っていないのだろう。 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:34:14.28 ID:aUalDh0W0 二話 あさのはじまり
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:22:18.73 ID:aUalDh0W0
自分のしている事が恐らくただの現実逃避であると、不幸にも僕は知っていた。 「恐らく」などと誤魔化す意味がない事も、「不幸」などと飾る意味がない事も、やはり僕は知っていた。 「さぁ、僕はこれからどこに向かうんだろうね?」 誰ともなく尋ねてみる。 それの答えを僕は知らない。 ただ一つ知らず、比喩ではなく最期の希望となったこれに、僕は全てを投げ出してみる事にした。 「何をしたってやっぱり無駄なんだろうけどね。足掻くよ。最期くらい」 呟いた僕の声は、やはり世界中の誰にも届かなかった。 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/11(金) 23:22:55.97 ID:aUalDh0W0 一話 ことのはじまり
作者 ID:Nn0yOgKv0さん
1超速少女 スレ ξ゚⊿゚)ξはジェットのようです ttp://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1215780263/(prologue・1)
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/11(金) 21:49:26.61 ID:Nn0yOgKv0
prologue ξ;゚⊿゚)ξ「ちほふしはふー!(遅刻しちゃうー!)」 物語の始まりは、蒸し暑い一日を予感させるような6月の朝。 一人の少女が、パンを口に咥えて学校へと走っていた。 突き当りを曲がった向こう、誰かとぶつかれば、どこかで見たようなドラマの始まり。 しかし、そんな偶然あるはずもなく、少女は乾いたアスファルトを蹴っていく。 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/11(金) 21:52:30.35 ID:Nn0yOgKv0 ξ;゚⊿゚)ξ(…相変らずここのラッシュはすごいわね) ξ;゚⊿゚)ξ(早く青になーれ青になーれ…) 角を曲がって、少女は信号待ちの人の群れに混ざる。 車の流れに飛び込もうとする、小さな姿を少女は捉えた。 「あ、ぶーぶーが…」 「危ない!!」 13 :1:2008/07/11(金) 22:41:05.92 ID:0InVJDpn0 ξ゚⊿゚)ξ「!?」 母親らしき人物の絶句を、少女は聞き取った。 子供は道路へと流されていくミニカーを追って、中腰のままふらふらと歩道を出て行く。 その左方、途切れていた車の列が再びグループを成して突っ込んでくる。 先頭は大型トラック。あくびをしながら朝のラジオを聴くガテンに、道路に飛び出してきた子供など見えるはずもない。 母親は全身を凍らせた。 そして反射的に目を閉じる。 14:1:2008/07/11(金) 22:42:41.77 ID:0InVJDpn0 次にその瞳が開いたとき、子供はなぜか向こう側の歩道で少女に抱えられていた。 15 :1:2008/07/11(金) 22:44:18.84 ID:0InVJDpn0 ξ゚⊿゚)ξ「もー、あぶないじゃない。道路に飛び出したら」 「あ… れ…?」 ξ゚⊿゚)ξ「あ、ミニカー。 はい」 「あり、がと… あれー?」 16 :1:2008/07/11(金) 22:46:01.68 ID:0InVJDpn0 少女は子供を降ろしたあと、再び道路に目を遣る。 タイヤの跡が付けられた食パンが、無残に転がっていた。 ξ;゚⊿゚)ξ「はー。 今朝はついてないわね…」 視線を上に向ける。子供の母親は、瞳に涙を溜める暇なく唖然としていた。 少女はニコッと可愛らしい笑みを見せ、少しだけ乱れてしまったご自慢のツインロールを整える。 そしてまた、トタトタと走り出した。 ξ゚⊿゚)ξはジェットのようです
作者 ID:ei0xbLyY0さん
第一章 反転世界 序章 プロローグ 第一話 第二話 スレ ( ^ω^)現実消去のようです ttp://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1215167811/ (プロローグ・一話・二話)
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 20:20:22.63 ID:ei0xbLyY0
( ^ω^)「さて・・・・・・ここは何処だお?」 内藤が目を覚ますと、そこは空虚な世界だった。 果てなく続く白の大地、空にも色彩を感じ取れない。 自身の存在が異端なのではないかと感じてしまう程、何も無かった。 ( ^ω^)「ここが自由な世界なのかお? 確かに自由だけど、これは嬉しくないというか・・・・・・」 |::━◎┥「ようこそ、アンリアルの世界へ。 初めてプレイする方に説明をさせて頂きたく存じます」 (;^ω^)「のわぁ!!?」 独り言に浸っていると、気付かぬ内に背後には一人の男がたっていた。 もっとも女という可能性もあった。 中性的な顔立ち、生物というよりかは人形のような雰囲気を纏っていた為、仮定的な判断である
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:43:18.22 ID:ei0xbLyY0
世の中に勝ち組と負け組がいるとはよく言ったものだ。 確かに人間は小さな頃からランク別に区分されてしまっている。 ドラマや漫画なんかじゃ、その後に奇麗事が続くものだが現実はそう甘くない。 また、勝ち組から負け組への転落は容易に起こる事。 そして負け組に堕ちた人間がそこから這い上がることなんて出来はしない。 ・・・・・・彼女を見ていると、僕は本当にそう思う。 ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・」 「津川さんの教科書とか机って、お洒落だねー!」 「こんなにたくさんの絵が描いてあって、綺麗だね!」 津川の教科書と机には罵倒の文字、カラフルなペンで描かれた酷い絵が描かれている。 嫌味を言っている奴らが書いたのは分かりきった事だが、それ故に反論するのも無駄なことだった。 ケタケタと笑う声、虫唾が走る。
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/04(金) 19:36:51.54 ID:ei0xbLyY0
『アンリアル』というゲームがある。 製作者は不明である。 誰が生み出し、誰が考え付いた物なのかは分からない。 どういったゲームなのかは不明である。 姿形、ジャンル、ハードかソフトなのかすら分からない。 そもそも、それが何なのかすら不明である。 ゲームという定義が正しいのかすら分からない。 もはや、それは伝説。 噂は広まり、実物を目にした等という作り話が蔓延していくようになる。 アンリアルは都市伝説となり、人々はこのゲームの真相を求めるようになっていった。
作者 ID:vS+3fJ4A0さん
一話【死のう】 スレ ( ^ω^)ブーンはできない人間のようです ttp://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1215151564/(一話)
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/06(日) 01:08:00.70 ID:NCay7wkW0
<ながおかけの おやすみ> PM9時 ξ゚⊿゚)ξ 今日はご馳走様でした! 川 ゚ -゚) ありがとうございました (*゚ー゚) いいのいいの! 近所とはいえ危ないから送っていくわね 川 ゚ -゚) すみません ( ゚∀゚) いてらー (#゚ー゚) あんたも行くのよ
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/06(日) 00:52:27.99 ID:NCay7wkW0
<のぞきみ> (*゚ー゚)( ゚∀゚)('A`) ごちそーさまー ( ゚∀゚) やっぱしぃ姉の飯はうまいなー ('A`) 当然だ馬鹿野郎 (*゚ー゚) もー、そんなこと言っても何も出ないわよ ( ゚∀゚) アイス (#゚ー゚) 自分で取りに行け
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/03(木) 23:27:34.12 ID:VUQhd7540
<ぼんごぼんごれ!> 从'ー'从 じゃあね~しぃ~ (*゚ー゚) また明日ね~なべちゃん~ (*゚ー゚) さ お買い物して帰ろうっと (*゚ー゚) 何がいいかしら~♪ 【魚】 安いよ安いよ~活あさり1パック100円! さー買った買った!! (*゚ー゚) お (*゚ー゚) あさりかぁ… 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/03(木) 23:32:38.78 ID:VUQhd7540 (*゚ー゚) おじさ~ん2パックくださ~い 【魚】 あいよ! いつもありがとねーしぃちゃん! おまけでもう1パック持ってきな! (;*゚ー゚) (そんなにいらないんだけど…) ありがとうございます 【魚】 毎日毎日ご飯大変だねえ (*゚ー゚) いえ 割と楽しいんです、実は♪ 【魚】 あれからもう2年か… おっと…ごめんよ (*゚ー゚) いえいえ いいんです おじさんおまけどうもありがとう 【魚】 くぅ~!いじらしいねえ! よーし!もう1パックおまけだい! (;*゚ー゚) (い…いらないんだけどな…)
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/03(木) 22:27:50.37 ID:VUQhd7540
<ながおかけの あさ> (*゚ー゚) おはよー …ってまだ誰も起きてないよね (*゚ー゚) うぅっ 寒い… (*゚ー゚) そうか、もう11月だもんね (*゚ー゚) 皆が起きる前にストーブ出してこよう 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/03(木) 22:28:47.51 ID:VUQhd7540 ガサガサ ズリズリ ドカッ (*゚ー゚) ふぅ 重かった (*゚ー゚) 早いもんねぇ、ついこないだ扇風機出したとこだと思ったら (*゚ー゚) 扇風機といえば、今年の夏は…
作者◆px9AwdvXOgさん
1 ペニサスさん登場 2 赤 スレ ( ・∀・)僕と('、`*川さんのようです ttp://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1214747997/(1・2)
作者 ◆TARUuxI8bkさん
※作者さんは規制中なようです 第一話 ― 弦月の騒動、引き金たるそれは 第二話 ― 白い朝に再会、メイドと鏡と遅れた混乱 第三話 ― 作戦会議前編、討伐されるのはどちら 第四話 ― 作戦会議後編、宴に酔歌の光あれ 第五話 ― 訪れた討伐隊、塔より高いその意志を笑え無人の城主 第六話 ― 五十二年の火蓋、命の差を天秤にかける ■絵 ID:bMRhsMlJOさん作 (><)&(*‘ω‘ *) ![]() ID:dF1eh4Sd0さん作 流石兄弟 ![]() ■スレ 第一話・第二話/第三話/第四話/第五話/第六話
5 :◆TARUuxI8bk:2008/07/14(月) 22:28:30.29 ID:xUr1GQYG0
一歩。 二歩。 肉を求めるように。血を求めるように。 地響きに似た唸り声が弱者を内側から戦かせる。 歯茎に並んだ黄色い歯が、それを奏でる器のように震える。 唸り声をより低くし、一頭が踏み出した。 前足の爪と床とが擦れて鋭い音を鳴らす。 一頭に続いて、後ろに控えていたものたちが続々と足を踏み出した。 他のどれより巨大で、赤い毛並みが艶やかなその一頭は、見るものをそれらすべての王者であると確信させる。 そして今一度、更に幅を大きくして踏み出すと、頭を斜め上にもたげ。 音高く、吼えた。 7 :◆TARUuxI8bk:2008/07/14(月) 22:32:17.51 ID:xUr1GQYG0 第六話 ― 五十二年の火蓋、命の差を天秤にかける ( ´_ゝ`)「お!」 上階から響いて来た咆哮に兄者が反応し、階段の方へ顔を向ける。 いびつに膨らんだ袖を弄っていた弟者が、少し遅れて同じ方へ目をやった。 今度は咆哮ではなく、情けない悲鳴が次々聞こえて来る。 それが聞こえると、兄者は同意を求めるかのように弟者へ笑い掛けた。 阿呆らしいと言わんばかりに、弟者はわざと表情を変えないまま兄者と目を合わせる。 暫くすると背を向け、また袖を弄くり始めた。
3 :◆TARUuxI8bk:2008/06/22(日) 22:39:40.24 ID:M9saCVUi0
あの弦月の夜と同じように、城内は静まり返っている。 狭い視界だけに集中していたブーンは、不意に耳に届いたふくろうの声で、久しく聴覚を意識した。 あの夜、この城に訪れたときからまだ一日しか経っていないのに、今ではその鳴き声も恐ろしくない。 寧ろ今は、動物の声と人の声とを聞き分けるのに必死だ。 未だ耳に届かない後者を、ブーンは鉄扉の間からじっと外を覗き見て、ひたすらに待っていた。 一見、広間にはブーン以外誰もいない。 しかしブーン自身は、背後に”彼”が佇んでいる事を知っている。 ”彼”は姿を消しているが、五感を研ぎ澄ましたブーンにはいつしかそれが判るようになった。 4 :◆TARUuxI8bk:2008/06/22(日) 22:43:42.32 ID:M9saCVUi0 その感覚を察知する度、薄ら寒い気配に生唾を飲んでしまう。 とても不自然で、不穏で、そこに存在しているという事が異様なその気配は、どうしても慣れる事が難しい。 情けない、ブーンは自らを叱る。 それでもやはり、また皮膚の奥の血流が”彼”を感じ取れば、ブーンは本能的に恐怖を覚えた。 静寂に乗じて絡みつく、冷えた空気。 ブーンはその一連に、もしくは自分に苛立っていた。 月は城の真後ろに位置しているため、ブーンからは見えないが、その明かりは扉の外の白い石畳を煌々と照らしている。 石畳の脇に咲いた花が音を立て、吹き抜ける風に揺れた。 夜は更けていく。 遠い草原がざわめいた。遅れて鳥の喚くような鳴き声が、次々に折り重なって聞こえて来る。 羽ばたきと共に小さな点が、幾つも幾つも黒い空へと舞い上がった。 5 :◆TARUuxI8bk:2008/06/22(日) 22:47:32.87 ID:M9saCVUi0 ( ^ω^)(……) ブーンが目を凝らす。 突如、城の天辺の鐘が、重く澄んだ音を丘中に響き渡らせる。 その音は城中のあらゆる場所から反響し、音の高さを歪ませながら消えて行く。 時は来た。 あるいは笑みを濃く深くしながら、あるいは意気込みながら、あるいは茶飯事のような感覚に背伸びをしながら。 城の内側に存在するすべてのものたちが、長いような短いようなその鐘の音を聞いていた。 第五話 ― 訪れた討伐隊、塔より高いその意志を笑え無人の城主
4 :◆TARUuxI8bk:2008/06/08(日) 22:20:03.74 ID:LX8RAdDh0
第四話 ― 作戦会議後編、宴に酔歌の光あれ ( ^ω^)(もしかすると、僕が考えてるよりフクザツな事になっちゃったのかもしれないお) 柔らかな光が差し込む廊下、響く足音は二つ。 かたや擬音で表現するならば「にこにこ」と、しかし決して穏やかではない笑み。 かたやその後ろ、慣れない手触りの服を着慣らして、相も変わらず周囲を見回しながら歩く青年。 時折何かを考え込むようにしては、ふいに顔を上げてまた辺りを見回しての繰り返しだった。 6 :◆TARUuxI8bk:2008/06/08(日) 22:24:36.43 ID:LX8RAdDh0 ( ^ω^)(っと、だめだめお、またやってるお。……もしかしてこれ、癖付いて来ちゃったお?) 周囲を見回すという一番簡単な状況確認を、青年―――ブーンは昨夜目を覚ましてから何度も行っていた。 それぞれの部屋に特徴がある建物、例えるなら記憶喪失で迷い込んだ見知らぬ城。 そんな場所と条件でなら状況確認の回数も増えて当然なのだが、ブーンがそれを行うとどこか間抜けなものがある。 彼自身鏡で見た自分の顔をどこかでそう自覚しているので、尚更だ。 ブーンの数歩先を行く黒いマント。 その高い襟が、ゆったりとした歩みと共に右へ左へ揺れている。 襟ですら楽しそうな動きをするものだ、ブーンはいつしかその襟に視線を集中させながら考えていた。 ( ^ω^)(城主さんで吸血鬼さんで、なんだか不思議な人で、ノリがよく掴みきれないけど。 けどきっとこの人は、僕が考えているより、だいぶ遠い所にいるんだろうお) ブーンがそう確信したのは、つい先ほど連れて行かれた応接室での事である。
3 :◆TARUuxI8bk:2008/06/01(日) 02:46:51.78 ID:24V73Bg10
第三話 ― 作戦会議前編、討伐されるのはどちら ( ゚д゚ )「隊長隊長、隊長はトールヒルの噂話信じてます?」 会合を終えた兵士達が次々出て行く休憩所に、少しハイトーンな男性の声が響く。 若々しいその声には緊張感が無く、ただでさえ重々しい軍用施設の空気には不似合いなものだった。 一言で言えば、更に少し悪く表現するなら、やかましいという単語がそれに当て嵌まる。 隊長と呼ばれた方の男性はかなり年老いており、椅子に腰掛けたまま眠るように頭を沈めている。 どちらも軍服を身に着けているが、老いた兵士の方は服の迷彩色が薄れ、年季を感じさせる傷が所々に見受けられる。 老兵からの返答は無い。 若い兵士はそれを気に掛けた様子もなく、一人で喋くり始めた。
149 :◆TARUuxI8bk:2008/05/25(日) 23:15:57.91 ID:bLG+B6IJ0
第二話 ― 白い朝に再会、メイドと鏡と遅れた混乱 ああ、顔も知らない父さん、母さん。 僕は煮込んだりとかそういう感じでアレコレされて食べられてしまうのでしょうか。 ああ、顔も知らない弟よ、妹よ。 僕はあなたがたの声すら思い出せないままで死んでしまうのでしょうか。 ああ、顔も知らない恋人…は果たして、僕にいたのでしょうか。 故郷に帰って暖かいお布団で眠りたい。それがどこなのかも忘れてしまったけれど。 あんな城、次生まれ変わったらもう絶対行かないお。 僕はそう堅く、胸に誓ったのだった。おしまい。 / ,' 3「諦めてはいかんぞ」 154 :◆TARUuxI8bk:2008/05/25(日) 23:19:21.12 ID:bLG+B6IJ0 うは?おじいたん何してんの? / ,' 3「おじいたんではない、師匠と呼べ。 それより聞け小童よ、お前はこんな志半ばでポックリと逝ってしまって良いのかと」 そりゃ嫌に決まってるお。だけど腰抜けちゃったし、逃げたりとかムリだったもんお。 きっと僕がこうしてる間にも、もっともっと怖くてオワタな展開が続いてるんだお。 / ,' 3「諦めてはいかん。要はネバギバやね。諦めてはいかんのよ」 ええー。ネギトロも何も僕ただの人間ですお。 だって何か、こう、あの男の人とか。それっぽい感じだったじゃんお。 / ,' 3「あらあら…うふふ…」 あ、ああ!待って師匠、遠ざかって行かないで! どこに行くんですかお!僕を一人にしないで下さいお! ……ああ、めのまえがまっしろに―――
1 :◆TARUuxI8bk:2008/05/25(日) 21:21:51.18 ID:bLG+B6IJ0
愚かな科学者が手に手を取り合い、危篤な開発が発展し続けた時代。 戦に使われるものだけが進化し、進化し、ひたすらに進化したその末。 例えば女性だけに感染する細菌。例えば小指程度の大きさをした爆弾。例えば人間の体を基に作られた殺戮兵器。 そんなものが「沢山」という単位では数えられない勢いで生み出された世界。 戦、戦を! 戦、戦を! 戦を、戦を、世界に戦を! ―――最早科学者は盲目の域にあった。戦は愛されるべき、最も尊重されるべきが当然。 しかしその時代の流れをことごとく無視し、ただ過ぎていく日々を各々の思うままに過ごそうとする者達が存在した。 科学者を含めた人民すべての自由が許されないこの時代に、彼らは戦場に赴こうとせず、武器すら持たなかった。 何故なら、彼らは。 「人民」である事を否定し、否定されたからだ。 |
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