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2 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/22(火) 23:59:45.74 ID:OVtX/UY80
14.明暗とを架ける橋(インタールード) いつになっても、少女の心には、仄暗い雲のような翳りが篭った。 が、もとよりそれを引き剥がすつもりなどない。 いわばその翳りとは、少女にとって納得のできる足枷なのだ。 視界はどこまでも仄暗く、なにかが浮遊するたびに見定めようとすると、 その寸前でなにもかも遮断されて暗闇へ閉じ込められてしまう。 なにかをしなくては、と思い立つたびに心は萎んでゆく。 十五年。それはあまりに長く、一日々々が絶望的に歯痒かった。 しかも、それだけ待って、会えるのがわずかな時間とは、少女自身も 不満を抱かずにはいられなかったが、しかし待ち侘びるこの喜びも一入だった。 さて、実際にそのときが来たとき、私はなにをするべきなのだろう。 やはり謝罪し、彼らから私のことを払拭してもらおうべきか。 けれども少女は理解していた。 ただ自分は乗り移り、その人物自身の視点、考えからでしか あの世界と接触できないということを。 その状況をつくりだしたのは自分だということは、心得ている。 でも、どうしたって侘しいではないか。 どんな形でもいい。彼らに、謝りたい。 許されたときのなかで、頭を下げたい。言葉を贈りたい。 そう、謝罪。 5 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/23(水) 00:05:24.25 ID:YYPnUt9e0 謝りきれることではない。 いまこのときだって、彼らは苦しんでいるのだから。 自分のしたことの愚かさは、よくよく承知している。 沙汰の限りとしか思えぬ、どこまでも走ったその結果。 向こう見ずなわたし……! が、だがしかし、少女は後悔していなかった。 その行いについて謝りたいのは事実だが、達成感を抱いているのもまた事実だった。 たしかに、はてしなく虚しかった。 悪夢へ突き進んでいくのはおそろしいだけでは片付けられない。 そう……もし。 少女は考えに耽る。 8 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/23(水) 00:06:45.29 ID:YYPnUt9e0 もし、木枯らしの吹くあの日に戻れたとしても、 自分はまたあの愚かなことをしでかしてしまうに決まっている。 やり直しなど、無意味なのだ。 少女は"あの日"ほど、運命を感じ取ったことはないのだから。 ……薔薇の匂いをたぎらせ、彼らの目の前に現れる。 そうして、ごめんなさいと言ってみたい。 この謝罪も運命なのだろう。 彼らに真意を伝え、頭を下げ、 そうして、 みずからのステージに、完全な幕を下ろしてやりたい。 (インタールード 終) コメント
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