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ジョルジュ

Author:ジョルジュ
心母少女最終話更新
完結おめでとうございます。
08/03

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( ^ω^)ブーンと心母少女のようです14 

2 名前: ◆tOPTGOuTpU :2008/07/22(火) 23:59:45.74 ID:OVtX/UY80

14.明暗とを架ける橋(インタールード)


いつになっても、少女の心には、仄暗い雲のような翳りが篭った。
が、もとよりそれを引き剥がすつもりなどない。

いわばその翳りとは、少女にとって納得のできる足枷なのだ。

視界はどこまでも仄暗く、なにかが浮遊するたびに見定めようとすると、
その寸前でなにもかも遮断されて暗闇へ閉じ込められてしまう。

なにかをしなくては、と思い立つたびに心は萎んでゆく。

十五年。それはあまりに長く、一日々々が絶望的に歯痒かった。

しかも、それだけ待って、会えるのがわずかな時間とは、少女自身も
不満を抱かずにはいられなかったが、しかし待ち侘びるこの喜びも一入だった。




続き →

( ^ω^)ブーンと心母少女のようです13 

3 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 22:49:10.04 ID: T2L0gbz30

13.「暗転」


一九九五年。八月十五日。この日のN市の空は、異常透明に

限りなく近づき、やはり突き抜けるような青色をしていた。


遠くの英国ではoasisとBlurがシングル同日発売による

威信をかけた争いをし、そのブリットポップ対決の余波が遠くの日本にも届いたのだろうか、


若者たちの行動ぶりも勢いをましてい、

たとえばデレとギコのカップルなどは、連日デートばかり繰り返していた。


(,,゚Д゚)「あーあ、あさって学校うぜーよ」


ζ(゚ー゚*ζ「って、登校日なの?」


(,,゚Д゚)「そうそう、制服とか埃まみれなんだけどw」


ζ(゚ー゚*ζ「洗濯、しといてあげたのに……」


 


続き →

( ^ω^)ブーンと心母少女のようです12 

15 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/03(火) 23:19:34.83 ID: +Jfu9JOd0

12.「心母少女 3」


           そこに愛がありますように。


 


 その日は快晴であった。陽光の金色がまぶしい。

木漏れ日が森の中を漂い、空には熱気をはらんだ雲が浮かんだ。


 そよ風が涼しげであった。絶好の散歩びよりであった。

立ちつくすだけで、暖かみと清々しさが味わえる。


 けれども、プルトニーは立ち尽くしても、空気の穏やかな

味わいを知りえなかった。


冷や汗がとめどもなく溢れ、彼女の背中をぬらすし、

からだは完全に硬直してしまっている。


手がおののいて、細かに汗がとびちった。


それでも、目の前の光景から逃げようとは思いもしなかった。


 


 
※劇中劇
続き →

( ^ω^)ブーンと心母少女のようです11 

5 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/03(火) 23:04:46.76 ID: +Jfu9JOd0

11.「心母少女 2」

           木漏れ日のピエロの独白。


 


「あらいやだ。砂糖が固まってるじゃないの」


 ドローレスが頓狂な声をあげながら、砂糖がつまった皮袋を取りだした。

手で袋の感触をたしかめてから、寝ぼけ眼のプルトニーの方を振りかえって、


「ごめんなさいね、朝のコーヒーはもうちょっと時間がかかりそう」


 というので、プルトニーは慌てて、


「あ、いえお構いなく」


 昨日の興奮がまるでさめやまない。

いまでもあの喘ぎ声が、頭のそこから響いてくる。

ドローレスの顔を直視するのは、つらい。


 狩猟にむかったというカレットさえ居れば、

まず、プルトニーは声さえだせなかったろう。


                      


 


 
 
※劇中劇
 
続き →

( ^ω^)ブーンと心母少女のようです10 

4 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/05/30(金) 23:36:48.34 ID: 1dbFQ8gj0

10.「心母少女 1」(第三章)


           ドードーナの森に身を寄せて。


 


「今日はここで死のうかしら」


 プルトニーは川辺にたつと、ほほんでつぶやいた。

といっても、じっさい毎日毎日死んでいるわけではない。

死に場所をもとめてさまよっているうち、ついつい口ぐせとなってしまったのである。


 たとえば、そびえたつ教会の鐘を見上げては、そこから飛び降りたらしねるだろうと空想にひたり、

たとえば、巨大なかまどを見つけては、そこに入れば骨まで灰になるかしらんと考えたり、


たとえば、この川辺から身をなげうったら、海にかえるまでもなく息絶えられるかも、などと

かんがえを巡らすうち、本当に自分がそういった自殺をとってしまったような錯覚に、

プルトニーは陥ってしまうのである。


 死に場所をもとめて旅にでたのに、さしあたって生きながらえているのはこれによる。

いつのまにか、旅が、妄想をして回るためにあるような気さえするのであった。


けれども、心の傷はいえていない。


 とおくない将来のうち、自分は確実にしぬだろうという自覚は、

たしかにプルトニーの胸のうちに潜んでいた。


 


 
 
 
※今回は劇中劇なのでAAキャラはお休み
 
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