長岡速報 |
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3 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 22:49:10.04 ID: T2L0gbz30
13.「暗転」 一九九五年。八月十五日。この日のN市の空は、異常透明に 遠くの英国ではoasisとBlurがシングル同日発売による 若者たちの行動ぶりも勢いをましてい、 (,,゚Д゚)「あーあ、あさって学校うぜーよ」 ζ(゚ー゚*ζ「って、登校日なの?」 (,,゚Д゚)「そうそう、制服とか埃まみれなんだけどw」 ζ(゚ー゚*ζ「洗濯、しといてあげたのに……」
4 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 22:51:07.61 ID: T2L0gbz30 ぶっきらぼうな口調でつぶやくデレの肩に腕を回すと、 (,,゚Д゚)「そっちは女子高だからいいよな、こっちは工業高校だぜ?」 ζ(゚ー゚*ζ「えっそれがどうしたの?」 (,,゚Д゚)「あぁ~、知らない? "工業病"ってのをさ」 ζ(゚ー゚*ζ「コーギョービョー?」 小首をかしげるデレに、ギコは得意の口調で、 (,,゚Д゚)「女子の少ない環境に生きてるとなぁ、そう大して ζ(゚ー゚*ζ「へぇ~……」 男友達などほとんど居ないので、そういった話はデレにとって新鮮なものであった。 (,,゚Д゚)「それが続くとなぁ、人間社会を生きていけなっちまうんだよォ」
5 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 22:53:05.05 ID: T2L0gbz30 たいそれた内容にふくらむその話を、デレは面白おかしく聞きこんだ。 (,,゚Д゚)「価値観がさ、ズレちまうんだって」 そこまで言うと、一息ついてから、 (,,゚Д゚)「だから対策しなくっちゃいけない」 ζ(゚ー゚*ζ「どんな?」 しかしギコは、返事をする代わりにデレを抱きしめた。 (,,゚Д゚)「はやいとこ、運命の相手を見つけること♪」 デレの部屋というのに、お構いなくギコは彼女を押し倒した。……
6 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 22:55:38.80 ID: T2L0gbz30 それは、自分がギコに自分を捧げているという いずれにせよ、デレは、ギコに会うたび、交じわうたび、 自分がどうにかなってしまいそう。 デレはしかし、その状態をこばまず、ひたすら受け入れ続けた。 炎が勢いたつのを、ただただ望んでいた。…… 脊髄を駆け上るような快感は、そのとき、汗ばんだデレの身体に押し寄せた。 ζ( ー ;ζ「………!」 そのままベッドに横たわると、ギコが肌のはりを
8 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 22:58:56.25 ID: T2L0gbz30 ζ( ー ;ζ「……へいき、へぇき」 きっと目の前のこのひとは、自分がどれほど デレは大きく息をつくと、身体を丸めながら、 ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、ギコくんはs――」 (,;゚Д゚)「あ、やべ! もう四時!?」 しかしギコは勢いよく遮ると、余韻も捨て去って (,,゚Д゚)「悪ぃ、これから飲み会なんだわ!」 ζ(゚ー゚*ζ「あ、そうなんだ」
9 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:00:14.50 ID: T2L0gbz30 (,,゚Д゚)「おれ、この家出れる?」 どうやら、デレの家族の誰とも会わずに ζ(゚ー゚*ζ「……だったら、、」 デレも立ち上がって、 ζ(゚ー゚*ζ「案内したげるよ」
10 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:01:58.95 ID: T2L0gbz30 (,,゚Д゚)「いや、サンキュサンキュ。この家、でっかいからさぁ」 ζ(゚ー゚*ζ「そうかなぁ」 ぼやくギコによわよわしく微笑むと、それとなく、 ζ(゚ー゚*ζ「つぎはいつ会えるの、かな」 (,,゚Д゚)「えぇ~……あ、わっかんねぇ」 ねじった髪の毛の具合をたしかめながら、 (,,゚Д゚)「またこっちから連絡するわ、ギコハハハ」 ζ(゚ー゚*ζ「そっか」 デレの不満の一つがこれであった。
11 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:04:50.49 ID: T2L0gbz30 その後ろ姿を見送ると、デレは胸が疼いてしまう。 そのとき、内藤の車が走ってきたなり、家の目の前で停まった。 また車を買い替えて、こんどはミニの新作である。 しかし当の本人は気にもしていないのか、 ( ^ω^)「デレ、こんにちわだお! ただいまだお!」 と、上機嫌であった。 ζ(゚ー゚*ζ「あ、父さんおかえりー」 車庫いれすると、内藤は玄関先で娘に迎えられた。
12 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:07:26.22 ID: T2L0gbz30 ζ(゚ー゚*ζ「あれ、可愛いもんね」 と賛同したが、「でも、お父さんにはぜんぜん似合わないね」と付け加えた。 ( ^ω^)「なにいってんだお! 毒舌だお。にしても、デレはさいきんホントかわったお」 ふいに、内藤は話題をかえた。 ζ(゚ー゚*ζ「そう?」 うすうす自覚しているけれども、やはり人から言われると ( ^ω^)「あの彼氏の影響かお?」 ζ(゚ー゚;ζ「!!」 いきなり核心に触れた。
13 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:10:12.55 ID: T2L0gbz30 ( ^ω^)「さっきみえた、あの男のこがそうなんだお?」 ζ(゚ー゚;ζ「え、あぁの……その……」 (;^ω^)「………お」 内藤も腕をくむと、そのまま黙ってしまった。 じっさい娘の色恋沙汰に首を突っ込んだのは生まれて しかし、さきほど見かけた男が娘を幸せにしてくれるのか。 容貌だけみれば眉唾の話だが、娘が本気でその男を けれども、このごろの治安の悪さなどを考えると、 (;^ω^)「(このコは優しいお……もしかしたら、無理してるのかもしれないお……)」
15 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:12:56.83 ID: T2L0gbz30 いまにも倒れてしまいそうな顔色で黙っている娘に、 (;^ω^)「デレ」 内藤はいたわるようにして、 (;^ω^)「ぼくもそんな頑固親父になりたいわけじゃないし、 ζ(゚ー゚;ζ「ウン……」 (;^ω^)「だけどもう一度、考えてみてお。ほんとうにそれでいいのか。 ζ(゚ー゚;ζ「……はい」 話はそこでお流れとなった。 自室にもどったデレは、布団に顔をうずめるとベッドの上で ζ(゚ー゚;ζ「あー、もう……」 小さく不満を唸るようにつぶやいた。
16 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:15:24.60 ID: T2L0gbz30 もちろん、そんな感情はおくびにも出さないが、 それと父親としての尊大ぎみな部分……それらは ζ(゚ー゚*ζ「………」 日増しに熱をあげるギコへの愛は、すでに 彼自身はそんなこと、考えもしていないだろうが、 彼のことを考えるだけで、不仲のペニサスや、 そして、なにより幸せ。……
oasisとBlurのシングル対決も、一応Blur「Country House」の勝利で ともあれ、ブリットポップの狂熱も一九九五年のこの頃では、まだ衰えない。…… ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、いってきまーす」 久々の学生カバンと制服は、どこか気恥ずかしいが、反面すがすがしくもあった。 この日は登校日で、デレにとって級友としばらくぶりに会うが、 教室の引戸の前にたつと、鼓動が高鳴った。 ζ(゚ー゚*ζ「なに考えてんだろ……」 ぼそっと呟くと、無気力に戸をひいた。 華やかな話声と化粧、そしてほのかに漂う汗臭さ、
20 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:21:55.53 ID: T2L0gbz30 すぐさまクーが近寄ると、デレに挨拶してきた。 連日の猛暑と陽光というのに、クーの肌は清らかな雪いろをしている。 ζ(゚ー゚*ζ「元気だった??」 川 ゚ -゚)「そうでもなかったな」 しょうじきに心情をかたるクーを、なつかしいと思いながら、 ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、きょう元気になろーね」 川 ゚ -゚)「……。……そうだな」 そのとき、デレは不思議な感覚にとらわれた。 どこかしら教室の空気が異様であるのだ。
21 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:24:23.31 ID: T2L0gbz30 ζ(゚ー゚*ζ「………」 嫌な予感が駆けた。 川 ゚ -゚)「どうした」 ζ(゚ー゚*ζ「あ、、、いや、なんでもないよ? ン?」 湖底を思わせるクーの瞳に見すえられると、 その間隙をつかれて、悪意が自分の身体を ζ(゚ー゚*ζ「ただ、霊感的にヤバいかなぁって」 おどけて言うと、クーはくったくない笑顔になって、 川 ゚ー゚)「おい、それは私の十八番じゃないか」 ζ(゚ー゚*ζ「あはは、ホラーマニア怒らしちゃったよ」
22 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:26:23.26 ID: T2L0gbz30 しかし、予想とは裏腹にHRは滞りなく進行していった。 担任のたいくつな夏休みの思い出を語るときも、 ζ(゚ー゚*ζ「ほんとメンドくさいね……」 川 ゚ -゚)「こんなつまらん日なら来るんじゃなかったな」 退屈もすぎると、口々に不満を漏らしていった。 わざわざ登校日を設けた意味がわからない。 しかも、あと十日ほどで始業式を迎えるのだから、 ましてやデレとクーには、懐かしむクラスメイトなどほとんど居ない。 ギコを紹介したハインリッヒは相変わらずしぃのグループにい、
23 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:29:29.01 ID: T2L0gbz30 とりとめもない会話が、教室内で繰り広げられた。 しかし、どこかしら異様なのは、 いくらか帰ったとはいえ、まだ大多数が、 ζ(゚ー゚*ζ「………?」 デレは辺りを見回した。 粟立つ寸前のそのとき、 (*゚ー゚)「――ねぇ」 しぃに、肩を叩かれた。
25 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:31:19.41 ID: T2L0gbz30 身体がこわばるのを感じる。 グラジオラスをおもしろ半分に千切ったり、 デレはとっさに周囲に警戒をくばった。 クーが察したように、腰を浮かせて立ち上がりかけている。 その中のひとりが、憤怒にちかい顔でこちらを眺めている。 从 ー 从「………」 ζ(゚ー゚;ζ「ッ……?」
26 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:34:06.79 ID: T2L0gbz30 その道筋を、渡辺はいきなり駆けた。 ζ(゚ー゚;ζ「あの――」 よけるべきか否か。デレは驚愕と選択とでかたまった。 「え――」と、ただぼんやりとしか反応できなかった。 はたかれた頬が、すぐさまジィンと痺れた。 从 ー 从「泥棒猫……」 渡辺の擦れがかった呟きに、デレはもう、 ζ(゚ー゚;ζ「えっ……えっ……」 言葉のひとつもいえないでいた。
27 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:36:12.46 ID: T2L0gbz30 デレには意味がわからない。 視界の隅で、クーが駆け寄るのがわかった。 自分が加害者なのか、被害者なのか。 売女という単語を耳にした瞬間、命が削り取られる思いがした。
从#'ー'从「この売女ァッ!!!」
28 名前: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:38:01.99 ID: T2L0gbz30 待ち構えていたように喚声が飛んだ。 ζ(゚ー゚;ζ「いt――」 クーが騒動に割り込み、さらに教室は騒然となった。 从#;ー;从「バカ! バカ! バカ! 死ね! 死ねよ!」 一心不乱に罵声を浴びせながら、渡辺は手当たり次第に殴りかかった。 川;゚ -゚)「おい!」 デレを庇うさいに、顔へ数発くらったらしく、クーの顔にははやくも痣ができていた。 それでも喚声と嘲笑は、激しくなるばかりであった。
29 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:39:41.26 ID: T2L0gbz30 視界が秩序をなくしてから随分たったが、泥沼は悪化する一方だった。 しかし、壁のほうで愉快そうに腹をかかえるしぃを見つけると、 唐突すぎるもつれ合い。 从#;ー;从「ギコ君を返せ! 返せよォ!!」 もうひとりの被害者であった。 ζ(゚ー゚ ζ「なにそれッ!?」 昂ってかえすと、また一段としぃたちの嘲弄がひどくなる。 そんなものに今更かまっている余裕はデレにはない、 ζ(゚ー゚ ζ「ギコ君が!? なんなのよッ!?」 从#;ー;从「うるさいバカァ!! かえせ!」
30 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:42:12.81 ID: T2L0gbz30 クーは、ことの真相に思い当たると、確認するように 愉快愉快と顔を歪ませる、穢れた少女達。 怒りと同時に、死にたい衝動に駆られた。 从#;ー;从「お前がギコ君を誑かしたんでしょ!? 死ね!」 なおも罵声と暴力を与えようとする渡辺に、とうとうデレも我慢ならなくなって、 ζ(゚ー゚#ζ「誑かしたってなによ!! ワケわかんないこと言わないで!」 从#;ー;从「バカ! バカ! うそつくなよ!!」 まったく埒が明かず、事態はこのまま悪化するだろうと思われた矢先、 川#゚ -゚)「しぃ!!」 クーが、ついに"真犯人"に向かって怒鳴った。
31 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:45:29.97 ID: T2L0gbz30 (*゚ー゚)「えぇ~……w どうしよっかなぁ……w」 いやらしく身体をくねらせながら、気味悪いほど落ち着いた声でいうと、 (*゚ー゚)「だってねぇ……カワイソウじゃない」 川#゚ -゚)「なにがだ」 いままでの恨みも燃え盛っているのか、ひどく強張った声でクーは遮って、 川#゚ -゚)「どうせお前らの仕業なんだろ」 (*゚ー゚)「へぇ? 憶測でものを言わないでよねぇ?」 川#゚ -゚)「ッ……!」 その態度をみれば、渡辺とデレをけしかけた
32 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:47:55.85 ID: T2L0gbz30 川;゚ -゚)「しまっ……」 あわててクーもそれをとめに入る。 川;゚ -゚)「(教師はなにをやっているんだ……)」 すでに、他の教室の生徒も見学しに廊下に集結している。 从#;ー;从「バカ……ばかぁ……」 渡辺もさすがに疲労してきたらしい、機械的に「バカ」を口に 从#;ー;从「死ね……死ねばいいんだ」 ζ(;ー;#ζ「ッ……!」
33 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:50:08.79 ID: T2L0gbz30 囃し立てるようなクラスメイトの姿を、しかしデレは 緊迫した空気と、祭りあげる空気とが同時に流れた。 しばらく経ったそのとき、しぃはついにカン高い声で笑い転げた。 (*;ー;)「アハハハ! アハハハ……」 ついに笑い泣きすらする始末であった。 現場の人間は、このとき、困惑に包まれた者と真相を知る者とに隔てられた。
34 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:54:17.04 ID: T2L0gbz30 川 ゚ -゚)「……そういうことかい」 (*;ー;)「まあ、ねw だってさ、でも、しょうがないよねぇ?」 "女王"は取り巻きに言葉をふった。 この状況では、さすがのデレや渡辺も黙って状況を見守るほかはなかった。 涙を指でかるく拭いながら、 (*゚ー゚)「しょうがないよねぇ? だって、だって、陰キャラだもんねぇ」 「陰キャラ」という単語で、取り巻きは一斉に吹き出した。 場は一気に収束するばかりか、あらぬ展開に持ち込まれてしまった。
35 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:56:40.13 ID: T2L0gbz30 取り巻きの一人が、いきなり素っ頓狂な声をあげながら窓辺で騒いだ。 (*゚ー゚)「なんだ、やっと来たの?」 冷淡なしぃの声が突き刺さっても、なお クーは、いますぐ窓からその光景を眺めたい衝動にかられた。 じりじりするクーを横目に、しぃはデレの方をむいて、 (*゚ー゚)「気になるなら、覗いてみるといいんじゃない?」 ζ(;ー; ζ「………」 それでもその場を離れないデレだったが、しかし渡辺は
36 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/20(金) 23:59:57.07 ID: T2L0gbz30 渡辺のかすかな吐息はガラスを濡らしていき、次第々々に強くなっていくと、 从 ー 从「どう……して……」 と、短く呟いた。 川 ゚ -゚)「……デレ……」 見ないほうがいい。 ζ(;ー; ζ「………」 目元をぬぐうのも忘れて、デレはさらに窓へ詰め寄った。 校門はまだみえない。
37 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:02:49.66 ID: BQF9uppM0 いきなり、咆哮のような叫びが飛んだ。 从#;ー;从「どおして! どおしてっどおして!」 デレも、その勢いに驚きつつ、気持ちを抑えてそぉっと地上の光景を見下ろした。 校門に、一人の男が壁に寄り掛かっているのを発見した。 だがしかし、そのギコの隣には、一人の娘がはにかんで横に並んでいた。 ζ(;ー; ζ「あ……あっ……」 やがて帰る段取りがついたらしく、足を動かし始めたが、 口は閉じたままだし、それらしい身振りもないが、言いたいことは (,,゚Д゚)『さよなら。今までアリガトサン』
39 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:07:20.13 ID: BQF9uppM0 (*゚ー゚)「知らなくって当然かな? 陰キャラだもんね?」 言葉のひとつひとつに勝ち誇ったような含みを持たせ、なおも、 (*゚ー゚)「かれ……ギコ君がさ、有名な女タラシってことをさぁ」 从#;ー;从「いやだ!!」 ピントのずれた言葉でさえぎる渡辺に、しぃは哀れみの目で、 (*゚ー゚)「ほんとだもん。しょうがないよね。……まあ、ほんと、見境ないって感じだし……」 从#;ー;从「いやだ……いやだよぉ……やだぁ…………あ……」 ついに渡辺は泣き崩れた。 しぃはそれでも追い討ちをかけるように、 (*゚ー゚)「いやもうほんと、見境ないんだから。 从#つー;从「ぅうっ……あ……だぁ……もう、、ぁ……ぅ……」
41 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:11:05.99 ID: BQF9uppM0 教室に残る少女たちが、一人の少女を苦笑いしながら見下ろすという図は、 (*゚ー゚)「ですって、デレちゃん。ねぇ、どう思う?」 ζ( ー ζ「どう……思うって……」 口車にのせられるデレへ、たまらずクーが、 川 ゚ -゚)「ねぇ、デレ。もうやめよう! さっさとさ、帰ろっか、、、」 しかし俯いたままで歩こうとしないデレを、クーは無理に引っ張ると、 川 ゚ -゚)「おい、しぃ」 低く唸るようにいった。 (*゚ー゚)「エッ、なぁに?」 いっけん慈悲深くみえるような笑みをしながら、余裕のある返答をするしぃへ、 川 ゚ -゚)「覚えとけよ。今日のことを」
42 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:12:59.92 ID: BQF9uppM0 川 ゚ -゚)「帰ろう」 (*゚ー゚)「………」 ときおりデレの肩をやさしく擦りながら、クーはゆっくり引戸のほうへ導いていった。 こうして場は冷め切った。 やっぱりレズだから……、ほんと空気読めない……、狂ってるよね……、 そうした詰りを背に受け止め、なお歩み続けるクーに、 (*゚ー゚)「……ねぇ!」 いきなりしぃが笑いもせず尋ねた。 川 ゚ -゚)「…なんだ」
43 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:15:10.68 ID: BQF9uppM0 (*゚ー゚)「どうかしてるんじゃないの……自分がやられてるときは、何も言わなかったくせに……」 若干こえが震えているしぃに、クーは、忌々しげに向き直りながら、 川 ゚ -゚)「だからどうしたんだ? そんなの関係ないだろが」 女とは思えぬ低音で喋ると、無造作に戸を引いて、「それより」と付け加え、 川 ゚ -゚)「いいか、覚えとけよ……万が一、デレに何かあったら……」 ζ( ー ζ「………」 (*゚ー゚)「………」 そして、去り際に、 川 ゚ -゚)「殺してやるよお前ら。。。」 ・・ ・・・
44 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:17:23.53 ID: BQF9uppM0 川 ゚ -゚)「……大丈夫だから、うん」 クーはデレを連れたまま廊下を渡り終え、玄関口まで到着した。 川 ゚ -゚)「脱げる……?」 ζ( ー ζ「……うん」 もぞもぞと上履きをぬいで、クーに渡された靴をはくと、デレは肩を震わせて、 ζ( ー ζ「ごめんね……」 川 ゚ -゚)「………」 川 ゚ -゚)「何がだよ……」
46 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:19:55.30 ID: BQF9uppM0 川 ゚ -゚)「いいよ、行こう、もう……」 ふたたび、デレのふるえる肩に手を添えて、クーはゆるやかに校庭へ向かった。 うす暗い玄関から校庭へ差し掛かると、いきなり視界が白く歪んだ。 校庭は嫌味なほどに日当たりがよく、歩くだけで汗がたしかに滲んだ。 川 ゚ -゚)「なあ、デレ……このまま家まで送ってあげる、よ」 ζ( ー ζ「……ありがとぅ」 か細い身体を強張らせながら、コクコクと小さく頷いた。 川 ゚ -゚)「どうした」 熱っぽくデレの横顔をみつめていたが、
47 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:22:41.46 ID: BQF9uppM0 クーはしかし、瞬時に悟った。 ギコが、別の女と待ち合わせをしていた、その場所……。 川 ゚ -゚)「(デレ……)」 顔を戻すと、デレの表情に目がいった。 彼女は俯いたまま涙を流していた。 デレは動こうとはしなかった。 しかし、それよりもクーの気掛かりとなったのは、 教室にいるしぃ達からの蔑む目線、他の教室からの、好奇の瞳。
49 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:26:50.30 ID: BQF9uppM0 それでも、クーは開き直ったのか、 デレはいまだ小刻みに震え続けていた。 いまのデレの心に、どうすれば安らぎを与えられるのだろう。 すくなくとも、この場にいるだけで彼女を傷つけさせているのは間違いない。 今こうして立ち尽くしているが、どれほど苦痛か。 クーはむずかしい顔になると、太陽をにらみつけた。
50 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:28:50.48 ID: BQF9uppM0 ……しかし、かといってデレをこの場からむりやり移動 デレはやはり、ギコのことを考えてるのか……。 ギコのことをどれだけ愛しているのか、 その経緯をしっていただけに、心境は逆にはかりかねた。 彼女はいま、なにを望んでいるのだろう。。。 でも、とりあえず帰宅させてあげなくては。
クーが、とりあえず手を繋ごうと思い立った、そのときであった。
51 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:30:41.46 ID: BQF9uppM0
ζ(;ー; ζ「もうイヤぁあぁああああぁああッ!!」
52 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:32:31.56 ID: BQF9uppM0 おもむろに思いを爆発させ、慟哭するデレに、クーもさすがに戸惑った。 一、二歩よろけるように歩くと、デレは手で顔を覆って涙を流しだした。 なお泣きじゃくるデレは、校舎からの視線など完全に忘れさったのか、
そうして嘔吐するかの如く、身体を大きく揺らすと、 川;゚ -゚)「デレ……」 川;゚ -゚)「デ、……デレッ……! まって……」
53 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:34:54.04 ID: BQF9uppM0 往来を駆けた。 脇目もふらず、髪も乱れさせて逃げ出すデレのほうが、遥かに重要なのだから。 やがて、ギコとはじめて会った商店街へ差し掛かった。 その付近にまでくると、ひとときを思い出したのか、すこしばかりデレは
55 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:36:35.73 ID: BQF9uppM0 道筋からいって、デレはまちがいなく自宅へ向かうつもりであり、 デレが角を曲がるたびに、恐怖で目眩を起こしかける。 やがてデレは自宅へと駆け込んだ。 玄関を開けると、どたどたと慌しく階段をかけ上る音が耳に入ってきた。 だがしかし、デレの部屋の前でクーは立ち往生を余儀なくされた。 デレは、扉の鍵を閉めてしまったのだ。
57 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:39:08.08 ID: BQF9uppM0 川;゚ -゚)「……はぁ……はぁ……」 無心でクーは扉を叩いた。 その音の裏で、すすり泣くデレの声が感じ取れた。 クーは一旦うごきを止めると、囁くように、 川;゚ -゚)「デレ……大丈夫だから……デレ……だいじょうぶ」 しかし、 「………」 扉の向こうは、無言のままであった。
58 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:41:52.65 ID: BQF9uppM0 力尽きたように、クーは扉に寄り掛かった。 段々と、扉と対面しているつもりが、後ろの方を向いてしまう。 やがて背中を扉につけたままで、崩れ落ちるように寄り掛かると、 川 ゚ -゚)「ねぇ……デレ、聞こえる? 寝てなんかいないよね?」 と、落ち着き払った声で尋ねた。 「………。……ウン…」 デレは、掠れた声でいうと、すこしばかり元気を取り戻したように、 「……寝てなんか、ないよ……」 川 ゚ -゚)「そう、よかった……」 天井を仰ぎ見ながら、クーは顔を歪めてこぼした。
59 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:43:39.86 ID: BQF9uppM0 「そう、よかった……」 扉の外から、呻きのような呟きが漏れた。 ζ(゚ー゚ζ「(クーちゃん……)」 真剣に自分のことを考えてくれているクーに、 いますぐ、「ありがとう」と叫んで扉を開け、 しかし、自分にそれが許されないことは、とうに知っている。 たちまちデレの瞳は涙に覆われた。 どうクーに言葉を返せばいいのだろう。
61 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:46:24.76 ID: BQF9uppM0 ζ(゚ー゚ζ「(………)」 「だから、安心してよ。心細いのは、すごくわかるから……」 ζ( ー ζ「………」 「ねえ、デレ……この世の誰よりも、あなたを大切にし…てます」 ζ( ー ζ「ッ……!」 「おねがいだから、苦しまないで……。わたしまで、苦しい」 ζ(;ー; ζ「ぅ……」 「悲しい、です」 ζ(;ー; ζ「ぅっ……ぅ…う……」 デレは再び咽び泣いた。
62 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:48:35.38 ID: BQF9uppM0 川 ゚ -゚)「悲しい、です」 ところどころが、どうしてか敬語になってしまう。 川 ゚ -゚)「………」 沈黙がはじまった。 天を見上げ続け、自分のうしろにいる たとえ命が尽きようと、扉の前で彼女の番人としてありつづけたい。 そんな思いであった。
63 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/06/21(土) 00:50:46.17 ID: BQF9uppM0 しばらくしてから、デレがやっとそういった。 川 ゚ -゚)「なんだい」 「ごめんね……」 それだけ言い終えると、デレはまたも口を噤んでしまった。 川 ゚ -゚)「デレ……」 そう言葉にすると、クーは眠るように瞼をおろしながら、 川 - )「そんなこと、言うなよ……」 それっきり、クーも黙りこくった。 この日を境に、デレが不登校になったことは、
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