長岡速報 |
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1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:13:43.83 ID:OGTlTZcI0
第1話『剣』 ――私達のいる場所とは異なる時空に存在する世界、『ツーチャネル』。 発展と衰退を繰り返すこの世界には、とある伝承が存在した。 この世の行く末を左右する二振りの剣、 創世剣『アフラ・マズダ』と、 葬世剣『アンリ・マンユ』。 その二本の剣が世界に現れる時、未曾有の厄災と至上の福音が同時に訪れ、 世界は新しい産声を上げる、と。 その伝承通り、世界は一度『アンリ・マンユ』によって滅亡の危機を迎え、 『アフラ・マズダ』によってその危機は回避された。 これが、後の世に伝わる『魔剣戦争』である。 そして『魔剣戦争』から1000年の月日が流れ、 『魔剣戦争』も実際にあった歴史ではなく、 遠い昔の御伽噺としてしか認識されなくなり、 人々は過去の戦禍も忘れて穏やかな生活を享受していた。 だが―― 人々はまだ、殆どの者が気づいていなかった。 第二の『魔剣戦争』が、目前にまで迫ってきていることに。 ――これは、一つの世界が終わるRPG―― 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:23:55.27 ID:OGTlTZcI0 「総員戦闘態勢!! 盗賊どもを一網打尽にしろ!!」 周囲にいる騎士達に比べ、一際立派な鎧に身を包んだ中年の騎士団小隊長が大声で命令を飛ばす。 それに合わせ、簡素な、しかし機能性は充分に考慮された鎧を纏った下っ端騎士達が、 一糸乱れぬ統率の取れた動きで廃屋を取り囲む。 ツーチャネルでも有数の大国、VIP王国の首都、シタラーバの北の外れ。 その閑静そのものな地域にある、今は住む人のいない没落貴族の館を、 大きな盗賊団が根城にしているという情報が入ったのがおよそ2時間前。 それを受けて盗賊団撲滅の為に騎士団が緊急出動したのが、 この騒動の原因であった。 「いいか! 決して館から一人も逃すな! 誉れある我らがVIP王国騎士団の力、悪党どもに存分に教えてやれ!!」 小隊長の怒号に部下達が呼応し、一斉に鬨の声を上げる。 このVIP王国は『騎士の国』と呼ばれるように、 精強かつ大規模な騎士団を有していることが、一番の特徴であった。 だからこの国の者にとって騎士団とは憧れの的であり、 また絶対的な力の象徴でもあった。 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:25:51.48 ID:OGTlTZcI0 (,,゚Д゚)「…………」 そんな中――館の裏口ではうら若い少年が同僚に混じって見張りをしていた。 少年の名は、ギコ=アベルワード。 半年前に騎士団に入ったばかりの新米で、 実践へ出動するのは、これが始めてであった。 (,,゚Д゚)「…………」 ギコの手は細かに震え、息がやや荒くなっていた。 強く剣の柄を握り直し、強引に震えを抑える。 が、早鐘のように鳴る鼓動と、荒い息だけは、どうしても治まりがつかなかった。 (,,゚Д゚)「!!!」 大きな音を立てて、裏口の扉が勢い良く開け放たれる。 同時に、中から数人の盗賊達が駆け出してきた。 「どけぇッ! この糞騎士どもが!!」 盗賊が抜き身の剣を持ち、騎士団の囲いを崩そうと突進してくる。 しかしギコは、そんな状況になっているというのに、 まるで他人事のように呆然と突っ立っているしか出来なかった。 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:29:50.31 ID:OGTlTZcI0 「ギコ! そっちに行ったぞ!!」 (,,゚Д゚)「!!!」 同僚の声を受け、ようやくギコが剣を構えて臨戦態勢を整える。 「おらァ!!」 直後、盗賊の一人が大上段の構えからギコめがけて剣を振り下ろしてきた。 (,,゚Д゚)「くッ!」 ギコが剣でその一撃を受ける。 しかし盗賊は一旦剣を引くようなことはせず、 更に剣に力を込めてぐいぐいとギコを押してくる。 (,,゚Д゚)「う……おりゃあッ!!」 ギコはそんな盗賊の腹を蹴って、強引に突き飛ばした。 「がッ!」 蹴り飛ばされ、盗賊が重心を崩してその場に尻餅をつく。 勝機―― ギコはその瞬間を逃さず、盗賊の胸元に剣先を突き入れようとする。 が―― 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:32:21.47 ID:OGTlTZcI0 (,,゚Д゚)「…………ッ!」 剣が盗賊に触れる寸前で、ギコは剣を止めた。 やらねばやられる。 それは、分かっている、 しかし―― どうしても、それ以上剣を動かすことが出来なかった。 「マヌケ野郎が!」 盗賊は、その隙を見逃さなかった。 眼前に突きつけられていた剣を払い、 お返しとばかりにギコに向かって剣を突き出す。 (,,゚Д゚)「!!!」 しまった……! ギコは瞬間的に己の馬鹿さ加減を呪い、同時に死を覚悟した。 が、その時―― 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:34:48.50 ID:OGTlTZcI0 「何やってんだ、ギコ!!」 同僚の一人が、盗賊を突き飛ばした。 盗賊が大きく吹き飛び、ギコに刃が届く寸前に最悪の事態が回避される。 「この野――」 突き飛ばされた盗賊が、怒りの矛先を突き飛ばしてきた騎士に変え襲い掛かろうとしたが、 その動作が最後まで行われる事は無かった。 近くにいた更に別の騎士が、盗賊の首に剣を突き立てていたからだ。 「あ……え……あ……」 声ともつかぬ呻き声を2、3度上げ、盗賊がその場に倒れて絶命する。 (,,゚Д゚)「あ……あ……」 ギコはただ、その様子を放心状態で見ていることしか出来なかった。 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:37:10.12 ID:OGTlTZcI0 * * * 「この大馬鹿者が!!」 小隊長の拳が、ギコの頬にめり込んだ。 (,,゚Д゚)「…………ッ!」 ギコは何も言わず、黙ったままその一撃を受けた。 「お前は自分が何をしたか分かっているのか!? 何故、すぐに止めを刺さなかった!!」 小隊長が更にギコを打ち据える。 しかしギコは何一つ反論することなく、 ひたすらに耐え続けていた。 VIP王国騎士団本部、ぼるじょあ隊第3小隊小隊長部屋。 盗賊の討伐を終えて戻ってきてすぐ、ギコはこの部屋に呼び出された。 出動の時、盗賊を斬ることが出来なかった失態の査問の為だ。 「敵を斬らないことで、お前が死ぬのは勝手だ! だが、一歩間違えば他の者が命を落とすかもしれなかったのだぞ!?」 ギコは一切抗弁しようとはしなかった。 出来る筈もなかった。 小隊長の言葉が正しいということは、彼が一番良く分かっていたからだ。 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:39:57.75 ID:OGTlTZcI0 「……もういい。 ギコ=アベルワード。 お前を、謹慎2ヶ月の懲罰に処する」 (,,゚Д゚)「…………!」 この小隊長の言葉に、流石のギコも顔色を変えた。 名誉と誇りを重んじる騎士団にとって、懲罰とは致命的な傷である。 経歴に傷がつけば当然昇進などもかなり不利となり、 ましてや2ヶ月などという長期の謹慎処分など、依願退職を促しているも同然である。 「何だその目は。 返事はどうした」 高圧的な目で、小隊長がギコを睨む。 (,,゚Д゚)「……了解しました」 ギコは咽まで出かけた他の言葉を何度も飲み込んだ末、 小さくそう答えるのだった。 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:42:08.38 ID:OGTlTZcI0 * * * (,,゚Д゚)「…………」 謹慎処分を言い渡された日の夜―― ギコは一人、薄暗い山道を歩いていた。 その足取りは重く、ややもすれば今にもその場に倒れてしまいそうな程である。 それだけ、ギコが受けたショックは大きかった。 (,,゚Д゚)「…………」 ギコは立ち止まり、背負った剣にそっと手を当てた。 剣。 人を殺す為の、道具。 そのことに目を背けていたつもりはなかった。 だが、あの時。 あの時どうしても、斬ることが出来なかった。 怖かったのだ。 人を殺すことが。 人殺しになることが。 斬らねば、自分だけでなく、他の者まで危険に晒してしまう。 それが分かっていて、それでも―― 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:44:43.33 ID:OGTlTZcI0 『――あなたに、騎士なんて似合わないですよ』 数年前、騎士を目指して村を飛び出す前に、 あの人が言っていた言葉が頭の中で再生される。 分かっている。 自分が騎士に向いていないことなんて、百も承知だった。 人を斬る覚悟もない。 だから、誰かを護ることだって出来やしない。 そんな自分が騎士として生きていくなんて、 笑い話にもなりはしない。 だが、それでも、 ギコは騎士という夢を捨て去ることが出来なかった。 何故なら、ギコにとって騎士になるということは―― 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:46:56.85 ID:OGTlTZcI0 (,,゚Д゚)「…………」 いつしか、ギコはうらびれた山小屋の前に立っていた。 別にここに来ようと思っていた訳ではなかった。 ただ、気がつくとここに足を運んでしまっていたのだ。 (,,゚Д゚)「…………」 ギコは入り口の戸をノックしようとして、躊躇した。 今更ここで、何をしようというのか。 自分はここに、何を求めてやってきたというのか―― 「何入り口で突っ立ってんだ。 入るならさっさと入れ」 (,,゚Д゚)「――――!」 中からの声に、ギコが思わず驚く。 どうして、外も見ずに自分がいることが分かったのだろう。 この距離から、気配を感じ取られたか。 (,,゚Д゚)「……失礼します」 観念したように、ギコはドアノブに手をかけると、ゆっくりと戸を押し開いた。 簡素な、飾りっ気の無い室内の中から、 明かりが外の夜闇へと漏れ出る。 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:48:51.33 ID:OGTlTZcI0 ( `ー´)「……よお。 しばらくだな」 壮年の男が、ベッドに横たわったままの姿勢で顔だけギコに向けて言った。 声や表情こそ何でもなさそうにしているが、男の顔は死人のように土こけている。 (,,゚Д゚)「……ごぶさたしています」 ギコは一礼すると、男の横たわるベッドへと歩み寄った。 (,,゚Д゚)「師匠、お体の具合は――」 そこまで言いかけて、ギコは言葉を切った。 具合は宜しいのですか、などと聞ける筈もない。 そんな体調ではなさそうなことは、医学の素人であるギコの目にも明らかだ。 ( `ー´)「ケッ、良い訳ねえだろ」 皮肉っぽく、男は言った。 ギコが師匠と呼ぶこの男―― 彼こそが、かつて最強と呼ばれた剣聖、ネーノ=アルベインその人だった。 その剣技の凄まじさから、あらゆる国から超厚待遇での仕官の話が持ち掛けられたが、その悉くを拒否。 そのままふらりと行方をくらまして、この人里離れた山奥で、隠遁生活を送っていた。 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:51:13.21 ID:OGTlTZcI0 そんな折、偶然からか運命が引き合わせたのか、 数年前たまたま出会ったギコに、剣を教えることになった。 もとよりネーノはそれまで弟子を取ったことなどなく、最初は単なる気紛れでしかなかったが―― いつしか、ネーノはギコの舌を巻く程の上達ぶりに夢中になっていた。 寝食を忘れる程に日がな互いに剣を振り続け、 血と汗を流し合った。 自然に、ネーノとギコとは深い師弟の絆で結ばれていった。 だからこそ、ネーノはギコが騎士団への入団が決まったと聞いた時―― 嬉しくもあり、また同時に不安でもあった。 ギコの剣の腕は、確かに目を見張るものがある。 だが、ギコには剣に生きる者としては致命的な欠点があったからだ。 それは、ともすれば優し過ぎるその気性。 他人の痛みを敏感に感じ取ってしまうが故に―― ギリギリの場面で、躊躇してしまう節がある。 それが戦場でどんな結果をもたらすかは、明白であった。 だからこそ、心のどこかでは、ネーノはギコに剣を捨てて欲しいとも願っていたのかもしれない。 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:53:58.16 ID:OGTlTZcI0 ( `ー´)「それより、どうしてここに来た。 もうここには来るなと、言った筈だぞ?」 ネーノが苦しそうに体を起こし、ギロリとギコを睨む。 数ヶ月前から、ネーノの体は重い病に侵されていた。 いかに剣術の達人といえど、老いと病には勝つ事は出来ず―― 今や、ネーノの命は風前の灯と言っても差し支えなかった。 まだ40代の歳にも関わらず、その顔はまるで老人の様にやつれ、 かつてはち切れんばかりの威風を放っていた肉体は、無残にも朽ちかけてしまっている。 だからネーノは、そんな自分の姿をギコに見せない為に、 自分が病にかかっていると知った時、ギコに二度と自分の前に現れるなと言い放った。 それは剣に生きる者としての、最後の矜持だったのかもしれない。 (,,゚Д゚)「…………」 ギコは何も答えず、じっと下を俯くままだった。 ( `ー´)「へッ、言いたくねえならいいさ。 だがまあその辛気臭え面めりゃあ、大体想像はつくぜ。 騎士団を、クビにでもなったか」 (;,,゚Д゚)「――――!」 ギコは息を詰まらせた。 どうして、師匠がそんなことを知って―― 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:56:07.00 ID:OGTlTZcI0 ( `ー´)「そんな驚く程のことでもねえさ。 こうなることは、まあ予想出来てたからな」 (,,゚Д゚)「それは、どういう――?」 ギコが思わず訊ねる。 ( `ー´)「大方、肝心な場面でビビっちまって、人を斬れなかったんだろ? で、どうすりゃいいのか分かんなくなって、俺の所に来た。 そう、顔に書いてあんぜ」 (,,゚Д゚)「…………!」 図星を刺され、ギコは絶句する。 しかしネーノにしてみれば、これは大した推理でも何でもなかった。 ギコの性格ならば、いつかは絶対にこうなることは明白だったから。 寧ろ、ギコが命を落としていないのは僥倖とすら言えた。 ( `ー´)「……なあ、ギコ」 しばしの沈黙の後、ネーノは口を開いた。 ( `ー´)「お前はもう、剣を捨てて生きた方が良い。 自分でも分かってんだろ、向いてねえって」 (,,゚Д゚)「…………!」 ネーノの問いには答えず、ギコはただ黙って唇を噛んだ。 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 00:58:47.23 ID:OGTlTZcI0 ( `ー´)「今回はたまたま生きてるからいいが、 このままじゃ、そのうち絶対にどこかで野垂れ死ぬぞ? お前の師として言わせてもらうが―― お前は、剣を頼みに生きるべきじゃない」 本心だった。 ギコの優しくて生真面目な気性と、才覚があれば、 剣でなくとも別の分野で必ずや大成出来る筈だ。 何より―― ネーノは、ギコに若くして死んで欲しくなかった。 (,,゚Д゚)「……師匠――」 ギコが、重く口を開く。 (,,゚Д゚)「それでも―― それでも俺は、諦められないのです。 剣を――騎士の夢を、捨てられないのです。 強くて、立派な騎士になることは――」 ――それは、あの人との、大切な約束だったから。 だから、諦める訳にはいかなかった。 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:01:23.25 ID:OGTlTZcI0 ( `ー´)「……そうかい」 深い溜息をつきながら、ネーノは呟くように言った。 そして、一度ギコから視線を外し、もう一度向き直って、 ( `ー´)「――ギコ」 真っ直ぐにギコを見据えて、言った。 (;,,゚Д゚)「は、はい」 改まった雰囲気に気圧され、ギコが上ずった声で返事をする。 ( `ー´)「――明日、今日と同じ時間にここに来い。 俺が――お前の師匠として、最後に教えなければならない事がある」 (;,,゚Д゚)「教える――って、それは、一体……?」 ( `ー´)「来れば分かる。 さあ、今日はもうとっとと帰れ。」 ネーノはそれ以上説明するつもりは無い、と言わんばかりに、 突き放す様な視線をギコに向ける。 (;,,゚Д゚)「師匠、ですが――」 ( `ー´)「帰れ!!」 (;,,゚Д゚)「…………」 ネーノの怒号にギコはそれきり何も返せず、 黙ったままベッドから離れると、一礼してネーノの小屋から出て行った。 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:03:47.53 ID:OGTlTZcI0 ( `ー´)「……ったく、あの馬鹿弟子め。 下らねえことで迷いやがる」 ギコが出て行ったことを確認すると、ネーノは誰に言うでもなく呟いた。 ( `ー´)「……まあでも、だからこそ、ってやつなのかねえ。 ハン、俺も、ヤキが回っちまったもんだ。 一度は、世を捨てた身だってのに」 ネーノは重い体を引きずり起こしながらベッドから立ち上がると、 壁に掛けてあった一振りの剣に手を伸ばした。 そして、ゴホゴホと苦しそうに咳き込む。 ( `ー´)「しゃあねえ。 出来の悪い弟子の為に、最後に一肌脱いでやるとするかね」 そう言うネーノの目には、優しさと―― 死を目前にしたものとは思えない程の、力強さが宿っていた。 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:06:22.17 ID:OGTlTZcI0 * * * (,,゚Д゚)「師匠、只今参りました」 ネーノに言われた通りの時間に、ギコは再び山小屋へとやって来ていた。 ドア越しに、ギコがネーノへと声をかける。 (,,゚Д゚)「……師匠?」 が、山小屋の中からは、何の返事も返って来なかった。 おかしい。 ギコは訝しがりながら、ドアを開けてみる。 しかし、山小屋の中には、誰も入っていなかった。 (,,゚Д゚)「師匠? 一体どこに――」 ギコが周囲を見回すと―― ( `ー´)「来たか」 (,,゚Д゚)「!?」 いつの間にか、ネーノがギコの後ろに立っていた。 しかしその姿は昨日の寝巻きではなく、 折り目正しい戦闘装束を纏い、腰には長剣を帯刀していた。 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:08:53.29 ID:OGTlTZcI0 (;,,゚Д゚)「師匠! 起きていて大丈夫なのですか!?」 ギコがネーノに駆け寄ろうとする。 が、ネーノはそんなギコを鞘に入ったままの剣の切っ先を向けて制した。 (;,,゚Д゚)「師――匠?」 事態が飲み込めないといった風に、ギコが狼狽する。 が、ネーノはギコのそんな様子などお構い無しといった口調で、 ( `ー´)「ギコ、今ここで私と死合え」 短く、そう告げた。 そしてネーノは、初めてギコの前で自分のことを俺ではなく、私と言った。 (;,,゚Д゚)「――! なッ――!?」 ギコが絶句する。 死合う、だって? 何故、どうして自分が師匠とそんなことを―― ( `ー´)「どうした。 さっさと剣を抜け。 もう、始まっているぞ?」 ネーノは既に抜刀を終え、鞘を地面に投げ捨てていた。 ビュウ、と、一迅の風が二人の間を駆け抜ける。 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:10:49.91 ID:OGTlTZcI0 (;,,゚Д゚)「師匠!? 何を言ってるんですか! 冗談ですよね!? 俺が、師匠と真剣勝負をするなんて――」 ギコがネーノに向けて手を伸ばそうとすると―― ( `ー´)「魔神剣!!」 ネーノが下から剣を振り上げる。 それに合わせて地面を這う衝撃波が発生し、 大地を削りながらギコ目掛けて襲い掛かった。 (;,,゚Д゚)「!!!」 咄嗟に横に飛んで、ギコはその衝撃波をかわした。 まさか、そんな。 師匠は、本気で自分と殺しあうつもりなのか。 ( `ー´)「どうした! 少しは反撃してこい!!」 ギコが考える間も無く、次々と衝撃波が襲い掛かってくる。 ギコは走ってそれを回避しながら、 何とか混乱した頭を落ち着けようとした。 しかし、どれだけ考えても、 今のこの状況が理解出来ない。 師匠と自分とか戦っているという現実を、受け入れられない。 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:13:00.72 ID:OGTlTZcI0 (;,,゚Д゚)「師匠! 考え直して下さい! どうして、何で俺達がこんな事を――」 ( `ー´)「散沙雨!!」 ギコが言い終わらない間に、神速の三段突きが、ギコに向かって放たれた。 (;,,゚Д゚)「くあッ!!」 ギコは何とか二本目までを自分の剣でいなしたが―― 三本目の突きは、かわし切れなかった。 ネーノの突きがギコの右肩の肉を抉り、鮮血を地面に撒き散らす。 ( `ー´)「獅子――戦吼ッ!」 そこに畳み掛けるように、ネーノの更なる一撃がギコを捉えた。 ネーノから発せられた獅子型の闘気が、ギコを大きく吹き飛ばす。 (;,,゚Д゚)「ぐうッ!」 地面に叩きつけられ、ギコが呻き声を漏らす。 強い……! 本当にこれが、余命幾許も無い病人の力なのか!? 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:17:02.54 ID:OGTlTZcI0 (;,,゚Д゚)「くッ……! 瞬迅剣!!」 駄目だ。 このままでは、本当に殺されてしまう。 その恐怖が、ギコを突き動かした。 両足に力を込めて大地を蹴り、 間合いを一気に詰めながら渾身の突きを繰り出す。 ( `ー´)「遅い」 (;,,゚Д゚)「!?」 その突きが、いとも簡単にネーノに弾かれた。 ( `ー´)「踏み込みが甘いぞ、ギコ。 ここに至って――まだ、躊躇っているというのか。 私を殺すつもりで、本気で打ち込んで来い!!」 (;,,゚Д゚)「…………!」 ギコは剣を構えたまま、何も出来なかった。 出来る訳がない。 殺せる訳がない。 だって、ネーノは、師匠は、自分にとって本当に大切な人なのだから。 そんな人を、殺すなんて―― 50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:20:03.52 ID:OGTlTZcI0 ( `ー´)「それがお前の弱さだというのだ、ギコよ! 戦場では、あらゆる者がお前の命を狙っているのだぞ!? それを、殺すのが怖いなどと―― そんな考え方で、これから先生き残れると思っているのか!?」 (;,,゚Д゚)「――――」 ギコは答えられなかった。 分かっている。 ネーノ師匠の言う事が、恐らく正しい。 だが、それでも、それでも―― ( `ー´)「――そうか」 ネーノは落胆した様にそう呟いた。 (#`ー´)「――ならば、何処かの戦場で、 誰やら分からぬ馬の骨にお前が殺される前に、 せめて師である私が今ここでお前の命を絶とう。 それが、師としてのせめてもの情けだ!!」 ネーノが剣を振りかぶり、大きく踏み込む。 そして裂帛の気合を放ち―― (#`ー´)「アルベイン流剣術、秘奥義が壱――」 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:22:54.07 ID:OGTlTZcI0 ― 秘奥義 ― ─────────────────────────────────── | l / | _______∧,、_/ ~'‐、 _,;‐'~ l | .| _ _______ _____  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` | ー' < | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ .. | ____, ''~'' .l i、 < ─────────────────────────────────── 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:26:58.80 ID:OGTlTZcI0 (#`ー´)「漠空旋裂爪ッッ!!!」 全身全霊の力を込め、ネーノが剣を振り下ろした。 その凄まじい剣圧によって空気に歪が生じ、 猛烈な風がその歪に吸い込まれていくかの様に吹き荒れる。 そして歪みに集中した風が臨界点にまで達した瞬間―― 今度は逆のベクトルの力となって周囲に向かって爆散する! (;,,゚Д゚)「ぐああああああああああああああ!!!」 ギコはその衝撃を全身に受け、体が大きく宙を舞った。 そのまま、幾度も空中で回転しながら、勢い良く地面に叩きつけられる。 (;,,゚Д゚)「がッ……! ぐあッ……!」 全身が引き裂かれそうな痛みに、ギコが倒れたまま身を悶えさせる。 駄目だ――強過ぎるッ! 殺すとか殺さないとか以前に―― こんなの、絶対に勝てっこない……! ( `ー´)「……どうした、立て。 立ち上がれ、ギコ!! 寸前に、咄嗟に直撃だけは避けているのは分かっているのだぞ!!」 (;,,゚Д゚)「…………!」 ネーノの言う通り、ギコは急所にまともに喰らうのだけは回避していたが―― 言い換えれば、それだけだった。 ただ、即死しなかった、それだけ。 まともに立ち上がる事さえ出来ないダメージを受けたことに、変わりはない。 58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:29:32.31 ID:OGTlTZcI0 (#`ー´)「立て、ギコ! お前の力は、こんなものではないだろう! 立――」 と、ネーノがガクンと膝を折った。 (;`ー´)「くッ……かはッ! ゴホ、ゴホゴホゴホッ……!」 ネーノの口から、大量の血が吐き出された。 咳き込むたびに口から血が流れ落ち、地面にどす黒い水溜りを作る。 (;,,゚Д゚)「し――師匠!!」 ギコは、無理矢理立ち上がって叫んだ。 やっぱり、師匠の体は限界寸前だったのだ。 それなのに、どうしてこんな無茶な事を……! (;`ー´)「来るな、ギコ! まだ終わってなどいない! まだ、死合いは終わってはおらぬぞ!!」 口についた血を拭い、ネーノはそれでも気丈に剣を構えた。 しかしその剣先にさっきまでの力はこもっておらず、 足取りもおぼつかない。 立っているだけで、精一杯の様子だった。 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:33:05.12 ID:OGTlTZcI0 (;,,゚Д゚)「師匠! もうやめて下さい! 俺には、あなたと戦うなんて出来ない!!」 ギコは叫んだ。 もう、終わりにしたかった。 これ以上、ここで戦って、それが何になるというのだ。 どうして、何故師匠はこんなことを―― ( `ー´)「……どうしても、戦えないと、そう言うか」 ネーノが、確かめるようにギコに問うた。 (;,,゚Д゚)「……はい」 ギコが、小さくその問いに答える。 ( `ー´)「――そうか」 ネーノは一つ息を吐き、 ( `ー´)「ならば、もしお前がここで私を殺さないというのならば、 私はお前を殺した後麓に下り、目に映った者全てを斬り殺そう」 (;,,゚Д゚)「――――!!?」 ギコは耳を疑った。 今、師匠は何と言った!? 目に映った者全てを殺すって―― 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:36:52.10 ID:OGTlTZcI0 (;,,゚Д゚)「師匠、何を言ってるんですか! 殺すだなんて、本気で、そんな――」 街には、何人もの人が住んでいる。 いくらネーノが病に侵されているとはいえ、 その気になれば何十人――いや、何百人もの人間を殺すことも可能だろう。 もしそうなれば―― 街は、一瞬にして地獄と化す。 それを、 師匠は本気でそんなことを―― ( `ー´)「私は本気だよ、ギコ。 さあ、どうする? 今ここで、私を止められるのはお前だけだ」 (;,,゚Д゚)「やめて下さい!! 師匠、嘘だと言って下さい!! もしあなたが本当にそんなことをするというのなら、 俺は、俺は――!」 ギコの持つ剣が震えた。 師匠は本気だ。 ギコは一瞬でそれを理解した。 ネーノの目には、一切の虚飾も無かったからだ。 ネーノは本気で、殺戮を行うつもりなのだ。 62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:39:20.58 ID:OGTlTZcI0 (#`ー´)「ならば私を斬れ! そして――私を止めてみせろ!!」 (;,,゚Д゚)「!!!」 ネーノの一喝に、ギコの剣の震えが止まった。 ――やるしかない。 もう、言葉は意味を成さない。 剣で、ケリをつけるしかない。 だけど―― 出来るのか? 本当に、自分に―― 67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:41:56.89 ID:OGTlTZcI0 (#`ー´)「いくぞ、ギコ! これが、私の最後の一太刀だ!!」 ネーノが駆ける。 ひたすらに。 自分の残りの命を燃え上がらせる様に。 (,,゚Д゚)「う――うわあああああああああああああああああああ!!」 それに呼応するかのように、ギコもネーノに向かって駆け出した。 答えは、決まっていない。 それでも、ネーノを止めねばならない。 ネーノの、たった一人の、弟子として。 (#`ー´)「虎牙――」 (,,゚Д゚)「虎牙――」 二人が同時に剣で斬り上げながらの跳躍。 空中で剣と剣が激突し、周囲に赤い火花を散らす。 ( ,,゚Д゚)「「破斬!!」」(#`ー´) 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:44:59.58 ID:OGTlTZcI0 (,,゚Д゚)「師匠! 師匠!!」 地面に横たわるネーノの体を、ギコは何度も揺さぶりながら彼の名を呼んだ。 しかしネーノの顔に既に力はなく、体からは、どんどんと体温が失われていく。 ( `ー´)「全く――最後の最後まで、甘さの抜けない奴だ。 この期に及んで、急所を外すとは――」 ネーノが力無く呟く。 彼の腹部は、血で赤く染まっていた。 普通なら死には至らない程度の傷ではあるが―― しかし、病魔に犯された彼にとっては、致命傷と言って差し支えない傷だった。 (,,;Д;)「師匠、俺は、俺は――」 ギコは泣いていた。 師匠が、大好きだった。 なのに――なのにどうして、こんなことに―― 71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:48:19.09 ID:OGTlTZcI0 ( `ー´)「気にするな、ギコ。 お前が止めなければ、私は罪の無い人々を殺していた。 お前は、正しい事をしたんだ。 それに――」 ゴボリと、ネーノが口から塊のような血を吐く。 ( `ー´)「それに、どの道私の命は、明日まで持たなかっただろう。 だからギコ、お前が、私を殺してしまったなどと気に病む必要は無い」 (,,;Д;)「まさか……! まさか師匠は、俺の為に――」 ギコは胸が締め付けられそうな思いでいっぱいになった。 最初から、師匠はこうするつもりだったのだ。 自分の命がもう僅かにも残っていないことを悟り―― 最期に、こうしてギコに道を示してくれたのだ。 剣を持つ事の意味を。 人を斬るという事の意味を。 その命で、教えてくれたのだ。 ( `ー´)「へッ、よせやい…… 俺はそんな柄じゃねえよ……」 ネーノがいつもの口調に戻り、照れ隠しの笑みを見せた。 しかしその顔はもう殆ど生者のそれではなく、 死人と言っても差支えがないくらいに、憔悴し切っていた。 73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:51:11.57 ID:OGTlTZcI0 ( `ー´)「……いいか、ギコ。 さっきのを、忘れるな」 最期の力を振り絞るように、ネーノは言った。 ( `ー´)「剣は、人を殺す為の道具だ。 そんな物を何故人は作り――何故使うか―― それは、剣が必要だからだ。 他でもない、殺す為に」 (,,;Д;)「…………」 ギコは涙を流したまま、黙ってネーノの言葉を聞いていた。 ( `ー´)「剣を取って生きるってのは、つまりは殺すという業を背負って生きるってことだ。 ――世の中には、正しいとか正しくないとか、そんな事は関係無く、 斬らねば――殺さなければならない時ってのが、存在する。 護らねばならないものの為に――殺さなければならない事が、ある」 (,,;Д;)「…………」 だけど、それでも。 それでも、殺さずに済むならば、その方がいい。 ギコは――そうネーノに、伝えたかった。 ( `ー´)「……俺もな、お前と同じようなことがあったんだよ」 (,,;Д;)「?」 ネーノが、ふと懐かしむような口調で言った。 その表情に、後悔の影を見せて。 74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:54:24.55 ID:OGTlTZcI0 ( `ー´)「まだ俺がガキだった頃―― 親友と一緒に盗賊ギルドを成敗しに行ってな。 そん時、相手の死に怯える顔を見て、思わず剣を止めちまった」 ネーノは自嘲するかの様に鼻白んで話を続けた。 ( `ー´)「その隙を突かれてな、盗賊が俺に向かって斬り掛かってきた。 そこを俺の親友が横から割って入って――俺を庇って、死んじまった」 (,,;Д;)「…………」 ギコは息を呑んだ。 そんな―― それじゃあ、自分と全く、同じじゃないか―― ( `ー´)「後悔した―― あの時、何ですぐに殺しておかなかったんだろう、ってな。 だから、ギコ。 お前には、俺と同じ後悔をして欲しくねえんだ」 (,,;Д;)「…………」 ( `ー´)「勿論これは、殺すことに良心の呵責を持つなって意味じゃねえ。 殺す事に何も感じなくなりゃ――そいつはもう、人間なんかじゃなく、ただの化物だ。 だけど――まあ、お前にゃそんな心配、必要ねえか」 ネーノが、ふっと含み笑いを漏らす。 そして彼の体から、急速に何かが零れ落ちていった。 76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:57:11.87 ID:OGTlTZcI0 (,,;Д;)「師匠! 死なないで下さい! 俺はまだ、あなたに色々教えて欲しいんです! 師匠! 師匠!!」 子供のように、ギコは泣いた。 無駄だと知っていても。 分かっていても。 それでも、生きていて欲しいと願わずにはいられなかったのだ。 ( `ー´)「……ったく、ああ、本当に全く―― 最期の最期まで、世話の焼ける弟子を持ったもんだぜ」 薄れゆく意識の中、ネーノはギコの泣き顔をしっかりと見た。 最期に、しっかりと焼き付けておく為に。 ああ、上出来だ。 糞下らねえ人生ではあったが、こうして、最後に自分の為に泣いてくれる奴がいる。 それなら、まあナンボかマシな人生を送ってこれたってことか。 ( `ー´)「まあでも……お前が弟子で、本当に良かった……」 それが、ネーノの最後の言葉だった。 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 01:59:56.68 ID:OGTlTZcI0 * * * (,,゚Д゚)「んしょ――っと」 ギコは地面に深々と剣を突き立てた。 ネーノの使っていた剣。 今はもう、使い手のいない剣。 それが、剣聖と呼ばれ、剣に生きた男―― ネーノの、墓標だった。 (,,゚Д゚)「すみません、師匠。 粗末な墓になってしまって」 だけど豪華だったら豪華だったで、 「ごちゃごちゃ余計な物つけてんじゃねえよ」と怒るんだろうなと、 ギコは一人苦笑する。 (,,゚Д゚)「――俺、謹慎期間を利用して、一度故郷に帰ってみようと思います。 自分がどうして騎士を目指したか、見つめ直す為に。 剣を持つ事の意味を――じっくり考えてみる為に」 ネーノの墓の前に立ち、ギコはそう告げる。 誰も聞く事の無い決意表明。 だが必ず、自分の声は師匠に届いていると信じて。 78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 02:01:58.72 ID:OGTlTZcI0 (,,゚Д゚)「正直、あなたが最後に俺に教えてくれた事、 自分の中でまだ上手く整理出来ていません。 だけど、必ず、自分なりの答えを出そうと思います」 ギコは背中の剣の重みを感じながら、言葉を続ける。 剣を振るという事。 殺すという事。 ネーノが、教えてくれた事。 (,,゚Д゚)「だから――それまで、そこから俺を見守っていて下さい」 墓に向かって深く頭を下げ、ギコは駆け出す。 真っ直ぐに。 どこまでも、真っ直ぐに。 ふわりと、ギコの頬を優しい風が撫でる。 それはまるで、ネーノの微笑みのようでもあった―― セーブしてゲームを終了しますか? →はい いいえ 81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/02(日) 02:04:11.99 ID:OGTlTZcI0 ステータス (,,゚Д゚) ギコ=アベルワード レベル:5 クラス:剣士 称号:落ちこぼれ騎士 術技 ・魔神剣 ・瞬迅剣 ・虎牙破斬 スキル なし 装備 メイン武器 ロングソード サブ武器 なし 頭 レザーヘルム 体 レザーアーマー 装飾 なし コメント
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