長岡速報 |
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新しい記事を書く事で広告が消せます。 30 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:44:54.43 ID: JAO+O/oE0 ・・ ・・・ ( ^ω^)「……というわけでして、とにかく、えー……皆様の発展も、これからを祈ってですお…… その掛け声の後に、騒ぎ立てるようにして「乾杯!」という異口同音の声が響いた。 若干へどもどしてしまったが、無事に挨拶を終わらせることが出来、ホっとしながらで内藤は壇上から降りた。 (;^ω^)「緊張するんだお……」 「あの、霊視ショウですか?」 (;^ω^)「そうだお」 内藤はコクリと頷いた。
32 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:48:24.28 ID: JAO+O/oE0 会話はそこで打ち切られたが、内藤はひたすら潜心していた。 今日、ようやくデレの行方が分かるかもしれない。 内藤は妻のツンと、次女のペニサスを失っていた。 だが、家族の女が全て、自分の元から去っているという事実は、あまりにも重かった。……
33 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:50:47.22 ID: JAO+O/oE0 ツンは……妻は、二十六年前に交通事故に遭ってしまった。 デレは……長女は、十五年前に一枚のハンカチを残して忽然と姿を消してしまった。 ペニサスは……次女は、五年前に一枚の遺書を残して自殺してしまった。 三人のことを、思い出すだけで、胸が張り裂けんばかりに痛んだ。
34 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:54:03.58 ID: JAO+O/oE0 ハインリッヒが躍動していた。 会場の明かりは、各テーブル毎のアルコール・ランプが主となり、 既にメイン・コースは終了し、 真打であるクー・ルーの霊視ショウに対する、期待と不安が入り交じっているのであった。
36 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 22:57:28.92 ID: JAO+O/oE0 ・ ・・ 内藤の緊張感はただごとではなかった。 (;^ω^)「………」 それにしても……。内藤は俯き加減で、そう考えた。
38 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:02:26.18 ID: JAO+O/oE0 単なる売名ではない。これは内藤の考えであった。 しかし、もうこの場ではいくら不満を漏らしても無駄だ。 フ……と目を閉じて首を上に逸らす。 内藤は、マジックショウの喧騒の中で、半醒半睡となっていった。…… ・・ ・・・ ・・・ ・
39 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:05:45.13 ID: JAO+O/oE0 次だ……。 鼓動が高まり、身体全体が熱っぽくなり、喉がカラカラに渇く。 これから行われるショウは、あまりにも非常識だと思う。 騒ぎが静まった頃、BGMも止み、空気が移り変わった頃、司会が唐突に叫んだ。 「さて! これからのショウは皆様ご存知の通り! さる世紀の大霊能力者とも言うべき方にございまする!
しばらくして、カーテンがゆるく戦ぎ、そうして一人の女性が現れた。 この人が、クー・ルー……。観客のほとんどは息を呑み、ステージの上の美女を凝視した。 クー・ルーは目礼した。 またも訪れた沈黙は、スタッフすら唖然とさせた。
47 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:18:07.04 ID: JAO+O/oE0 「……えー! それでは、内藤様! 壇上にお上がりくださいませ……」 台本すら忘れたかのような混乱した声であった。 内藤は、緊張でどうにかなってしまいそうな身体をおさえ、必死で立ち上がると、ぎこちない歩みで進んで行った。 その瞳の中の虚空が、恐怖を呼び覚ますと同時に、内藤に一つの感覚を与えた。 この娘と……オヤ……? どこか、昔会ったような……という、既視感みたものを……。 (;^ω^)「……どう、も……」 川 ゚ -゚)「よろしくお願いします」 内藤は反対側の椅子に腰掛けると、長く息をついた。
50 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:19:56.58 ID: JAO+O/oE0 スポットライトは失せ、代わりに舞台全体をあてどなく照らすライトに切り替わる。 川 ゚ -゚)「では、それをお願いします」 自分の考えは見透かされている。内藤は愕然とすると同時に飛び上がるように立つと、 六十の老体に、この熱と緊張は危険だ……内藤は半ば朦朧としている意識の中で、そう考えてばかりいた。 泣きそうになりながら、内藤は自分の椅子に向かって腰掛けた。
54 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: >>48 どこだろう? 投稿日: 2008/03/19(水) 23:22:49.91 ID: JAO+O/oE0 ハンカチを見続けていたクー・ルーは、内藤が椅子に座ったと同時に礼を言った。 川 ゚ -゚)「それでは、これからはじめます……。内藤……デレ さんの……行方を、今……」 そう言うと彼女は固く目を瞑り、ハンカチを握りながらわずかに俯いた。 再び、水を打ったようになった。 (;^ω^)「………」 内藤は、動悸がおさまらないばかりか、呼吸も難しくなるほどの緊張に襲われていた。 ふいに、クー・ルーが顔を上げた。 川 ゚ -゚)「それでは……」
56 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:25:30.61 ID: JAO+O/oE0 いよいよ、始まるのか。 川 - )「………」 フッ……とクー・ルーの表情から生気が失せ、そうして椅子に凭れこんだままで気絶した。 「皆様ご静粛に! ご静粛にお願いします! 内藤様もどうか彼女にお手を触れられぬよう! 内藤はピタリと静止すると、おずおずと後方に下がった。
57 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:27:57.44 ID: JAO+O/oE0 クー・ルーはゆっくりと目を開けた。 川 - )「私は……デレです……」 声色こそ違うものの、イントネーションはまさしくデレのそれであり、 (;゚ω゚)「……デレ……ッ!」 再度、内藤はゾンビのように前進した。 だが、遮るようにして、彼女は、 川 - )「そのままでいて、聞いてください。……私の、私の、今を……」 内藤は足をとめた。興奮がいよいよ臨界点に接してきている。
58 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:30:33.14 ID: JAO+O/oE0 嗚々――この女性こそまさしくミューズ……内藤に、恍惚した感情を与えた。 会場の人間は、誰一人として彼女の身体から目を離さなかった。
川 - )「私は今……この世に居りません……」 (;゚ω゚)「ッ……!」 唐突に、彼女は衝撃の事実を語った。
61 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:33:39.81 ID: JAO+O/oE0 川 - )「私は……殺されました……十五の秋に……」 (;゚ω゚)「なッ……そんな……」 その言葉は会場の全ての人間を震撼させた。 次に、天を見つめていた彼女の視線が、ヒタと内藤の顔を捉えた。
川 - )「実父の……内藤ホライゾンに……私は、殺されました」
64 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:35:54.93 ID: JAO+O/oE0 (#・∀・)「やめろ! 今すぐこのショーを中止するんだ!!」 怒号が鳴り響き、困惑するスタッフは更に困惑していった。 舞台上では、 (;゚ω゚)「……そんな馬鹿な……馬鹿な……!」 川 - )「………」 曇った修羅場が、発生していた。
65 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:38:06.08 ID: JAO+O/oE0 だが、そんなものは内藤にとって、どうでもよかった。 デレが……自分に、この私に、殺されただなんて……! ありえないお……! ありえないお!! その叫びが内藤の口から発せられることは、なかった。 (; ω )「ッ……。ヒィッ……! ヒィッ……!」 力が抜け、内藤はうつ伏せに倒れこんだ。もう、気力はほとんど消耗してしまった。 慌てて駆けつけたスタッフ達が、内藤を抱きかかえ、起こすも、 川 - )「………」
67 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:40:23.94 ID: JAO+O/oE0 よろよろと、今にも倒れそうな動作で内藤はクー・ルーに歩み寄った。 川 ゚ -゚)「寄るなッ……汚らわしい!」 (;゚ω゚)「ッ……」 一喝し、舞台の上の全てのものを硬直させた。 そうして、静かに語りだした。…… 川 ゚ -゚)「どういう気分だ……? 内藤ホライゾン……。この、連続殺人鬼が」 (;゚ω゚)「エッ……な、なん……」 川#゚ -゚)「汚らわしい……女殺しめがッ……!」
68 名前: ◆tOPTGOuTpU Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 23:43:16.89 ID: JAO+O/oE0 何のことだが分からない。 女殺し……? なんのことだ、なんのことだ。 川 - )「……じょを……」 エッ……? 内藤はクー・ルーの小さな呟きを、朦朧とする中で聞き取った。 (;゚ω゚)「デ……レ……っ」 薄れゆく意識の中で、スタッフの「内藤さん!」「大丈夫ですか!」と叫ぶ声 内藤は、精根尽き果てて、意識を失った。……
(霊視ショウ 終) コメント
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