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('、`*川塔の魔術師と爪゚ー゚)悪魔のようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 00:45:56.75 ID:379BdW/OO
- 代理
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 00:46:07.53 ID:UtRjGYsN0
- 余計なお世話
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 00:49:17.85 ID:dLdAknJeO
- >>1
代理ありがとうございます
7xまとめ様
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/magi_devil.html
それでは、第八話投下に移ります
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 00:50:29.88 ID:9GsmJXvpO
- >>2
世の中お前の見てる範囲で回ってないんだぜ?
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 00:50:49.86 ID:gV+Vh8PEO
- これ好き
支援
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 00:51:42.97 ID:dLdAknJeO
- 爪が抜かれた腹部から、勢い良く血が噴き出す。
直ぐに勢いは収まり、足元には血溜まりが出来上がった。
爪# Д゚)「クッ……」
【+ 】ゞ゚)「――コンニチワ」
跳んで後退した男――いや、悪魔は言った。
種族は、『ヴァンパイア』に区別される。
【+ 】ゞ゚)「早く終わらせてアセロラジュースが飲みたいですね……」
爪# ー゚)「…………」
左手で押さえていた腹からの出血が止まった。
痛みは残るが、戦闘に支障はないだろう。
【+ 】ゞ゚)「あ、私最近アセロラジュースに眼が無くて。
いやぁ、トマトジュースには飽きましたよ、ええ」
爪#゚∀゚)「ッ――!」
ヴァンパイアに人差し指を向け、合わせた親指と中指を擦り合わせる。
【+ 】ゞ゚)「おっと、危な〜いッ!」
放たれた衝撃は、ヴァンパイアに当たることなく、
細い道を隔てた向かいの家に凹みを作った。
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 00:53:11.91 ID:WSiMES5NO
- きたきた支援
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 00:53:24.12 ID:dLdAknJeO
-
第八話 『音』
('、`*川塔の魔術師と爪゚ー゚)悪魔のようです
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 00:55:24.75 ID:dLdAknJeO
- ('、`*;川「ふぅ……」
一通り話し終え、一息吐く。
もう昼は過ぎていた。
そろそろお腹が空き過ぎて、気持ち悪くなりそうだ。
( -∀-)「やはり気になるね。 まぁ、これはいい」
('、`*川「勿体振りたがる年頃なのね」
( ・∀・)「あはははは、まだまだ推測の域を出ないからね」
('、`*;川「…………」
手を叩いて真顔で笑うモララーに、改めて気持ち悪さを覚える。
( ・∀・)「名前の件だが、これは単純に召還の失敗を原因とした記憶喪失だろうね」
('、`*;川「なるほど……」
( ・∀・)「これは、『次元の門』――世界と世界の間にある断層を通った時に……」
( ・∀・)「まぁ、普通は記憶の一部が飛ぶこともないし、事例もないけど」
('、`*;川「はいはい、滅茶苦茶ですみませんー……」
( ・∀・)「そういうこと。 出来るだけ早くに医者に診せることをお薦めするよ」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 00:57:58.12 ID:dLdAknJeO
- くつくつ笑うモララーは、私が投げ付けたマジックを拾うため、席を立つ。
('、`*川「よし……これで相談終了ね」
( ・∀・)「そのようだ、ねっ」
ひょい、とマジックを前屈で拾い上げながら言った。
('、`*川「御礼にお昼でもどう?」
( ・∀・)「確か君は厚生恵与金暮らしだろ? まさか、言って置きながら学食かい?」
('、`*川「何よ、私のこと知ってるんじゃない」
( ・∀・)「んふ……あの時は眼に入らなかったんだよ」
('、`*;川「そう。 そこまで貧乏じゃないわよ……」
( ・∀・)「北はスラム街と言っても……」
('、`*;川「割と好き好んで住んでるのよ!」
( ・∀・)「割と、ね。 じゃあ学食にしようか」
('、`*;川「ちくしょ……」
悪魔のように、地団駄を踏みたい気分だ。
長机に積まれた大量の本の片付けを手伝い、結局学食に向かうことになった。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:00:46.32 ID:dLdAknJeO
- ('、`*川「日替わりランチ」
( ・∀・)「僕はオムライス。 卵はしっかり焼いて」
やって来た学食には、私達以外生徒の姿はない。
料理の受け取り口から近いテーブルに着き、モララーは指を組み、私は脚と腕を組んだ。
('、`*川「オムライスはふわふわとろとろでしょ。 悪魔もそうだったわ」
( ・∀・)「生っぽくて苦手でね。 まぁ、彼と解り合うためにも今度食べてみるよ」
('、`*川「何でそんなに……あの子に興味深々なわけ?」
( ・∀・)「ぶっちゃけた話、彼が欲しい」
('、`*川「爆発的にぶっちゃけたわね」
( ・∀・)「召還師として彼は、凄く魅力的だよ……他にも色々とね」
('、`*川「でしょうね」
( ・∀・)「君には宝の持ち腐れというか……猫に小判、豚に真珠というか」
('、`*;川「ホンット失礼な奴ね……」
( ・∀・)「あはははは! まぁ、僕も君と変わりないと思うけど」
出来ましたよ、というシェフの声に、モララーが私を見て一笑。
ゆっくり椅子を引いて、料理を取りに席を立った。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:03:22.77 ID:WSiMES5NO
- 支援
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:04:53.98 ID:dLdAknJeO
- ('、`*川「…………」
( ・∀・)「姫様、お持ちしましたよ。 よくもまぁ、僕を働かせてくれましたね」
('、`*川「ああ、ありがと」
( ・∀・)「……何か考え事かい?」
('、`*川「ええ……お昼どうしたかな、って」
( ・∀・)「ハムでも齧ってるんじゃないかな?」
('、`*;川「有り得そうで……」
着席したモララーは、両手を握り合わせてから、行儀良く遅めの昼食を取り始める。
( ・∀・)「あ、別に信仰深いわけじゃないよ。 父親がこういうことにうるさくてね」
('、`*川「そう。 いただきますよ……っと」
言いつつスプーンでシチューを掬い、口へ運ぶ。
まず口腔には、牛乳と香辛料の香りが広がった。
('、`*川(そうだ、今夜はビーフシチューにしようかな。 ……ん?)
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「あ……いたいた……」
ふと学食の出入り口へ眼をやると、薄毛と禿のどちらにも付かない頭をした男がいた。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:07:54.57 ID:dLdAknJeO
- (;・∀・)「えええぇ……僕まだ何もしてませんよ?」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「また何かやらかすつもりか……」
('、`*川「あ、禿……パパ先生!」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「おいコラ、誰が禿だ……ってペニサスか」
このどっち付かずの頭をした男は、王立魔術学園魔闘士科の教師の一人だ。
因みにダイオードの担任であり、私の担任のマモン先生の夫でもある。
('、`*川「どうかされたんですか?」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「いやさぁ、何か悪魔が暴れてるらしいんだ」
(;・∀・)「も、もうマモンキッスは嫌です!」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「落ち着け! もう君は反省しただろう!?」
('、`;*川「悪……魔……?」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「あ、ああ、人間同士の喧嘩ならいいんだがなぁ……悪魔だし……」
浮かぶのは、勿論あの真っ赤な瞳をした眼付きの悪いガキ。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:08:25.33 ID:mRuv703zO
- 超支援
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:10:36.00 ID:dLdAknJeO
- 彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「そこでモララー。 妻が君にも協力して欲しいそうだ」
(;・∀・)「えー……学園に来た特務は『鋼鉄』や家の兄の仕事でしょう……?」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「お前の兄さんは研究室から出て来ないし、『鋼鉄』は捕まらないんだ……」
(;・∀・)「……僕は彼女と食事中ですし……スイエル姉妹なんかどうです?」
彡⌒ミ
(#´_ゝ`)「つべこべ言わず――」
('、`*;川「私が行きます! 多分、その悪魔の一人は私の相棒です!」
言い放ち、ペニサスは出入り口へ向かって走り出す。
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「え?」
( ・∀・)「行きましょう、先生」
ペニサスを追い掛けるため走り出すモララー。
遅れてパパが二人に追って疾駆を開始した。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:12:10.94 ID:WSiMES5NO
- しえんしえ
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:12:54.05 ID:dLdAknJeO
- 王立魔術学園西門。
ここまで並んで疾走していた三人が、脚を止めた。
('、`*;川「それで、悪魔はどこに……ッ!?」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「すまん、それは解らないんだ……。 どうやら屋根を伝って縦横無尽に動いているらしいが」
( ・∀・)「役立たずな……」
彡⌒ミ
(#´_ゝ`)「黙れ、小童!!」
('、`*#川「…………」
怒鳴ったパパは、ペニサスの冷たい視線に気付き、
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「ンン゙……急がなければ、事情を知らない妻は、
どちらの息の根も止めてしまうだろう……」
それを咳払いで、払ってて話し出した。
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「途中ペニサスに訊いた話因ると、その悪魔は話せないようだしな」
彡⌒ミ
( ´_ゝ゚)「私はもう戦いから身を引いて……あれ?」
パパの眼前にいたはずの二人の生徒の姿は、既にそこには無かった。
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:15:25.30 ID:dLdAknJeO
- 王立魔術学園の西門。
ここまで並んで疾走していた三人が、足を止めた。
('、`*;川「それで、悪魔はどこに……ッ!?」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「すまん、それは解らないんだ……。 どうやら屋根を伝って縦横無尽に動いているらしいが」
( ・∀・)「役立たずな……」
彡⌒ミ
(#´_ゝ`)「黙れ、小童!!」
('、`*#川「…………」
怒鳴ったパパは、ペニサスの冷たい視線に気付き、
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「ンン゙……急がなければ、事情を知らない妻は、
どちらの息の根も止めてしまうだろう……」
それを咳払いで払って話し出した。
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「途中ペニサスに訊いた話因ると、その悪魔は話せないようだしな」
彡⌒ミ
( ´_ゝ゚)「私はもう戦いから身を引いて……あれ?」
パパの眼前にいたはずの二人の生徒の姿は、既にそこには無かった。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:16:51.69 ID:dLdAknJeO
- 両手の人差し指から『不可視の銃撃』が矢継ぎ早に放たれる。
【+ 】ゞ゚)「肉眼で捉えられない一見不可解な攻撃ですが……」
しかし、ヴァンパイアに命中すること無い。
全て跳んで、易々と避けて見せている。
爪#゚Д゚)「ッ……」
【+ 】ゞ゚)「狙いを定めるてから指を鳴らすまでの時間が少々長い」
悪魔の立つ屋根から、斜め向かいの屋根にヴァンパイアは降り立つ。
背には、蝙蝠が持つような羽を生やしている。
【+ 】_ゞ゚)「それと指を鳴らすことで、標準がズレますものね、ええ」
爪# ー゚)「チッ……」
【+ 】ゞ^)「指を鳴らさなければいいのに……何て無理ですよね、ええ」
2メートル弱はある棺桶を傾け、口元を隠してクスクスと笑う。
【+ 】ゞ゚)「私、よく訊かされてないんですがね……どうして何ですか?」
爪# Д゚)「――ッ!」
また、指が鳴らされる。
向かう衝撃が目指すヴァンパイアは、軽やかなサイドステップで回避。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:19:05.41 ID:31bGuhx9O
- おお! 来てる!
支援
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:20:21.42 ID:dLdAknJeO
- 【+ 】ゞ゚)「あ、そうか……喋れないんですね、ええ」
爪#゚ー゚)「…………」
【+ 】ゞ゚)「それにしても拙い……」
棺桶を肩から下ろし、右手を置いて杖のように扱う。
( ゚"_ゞ゚)「発想は見事ですよ、ええ。
まさか指を擦った音で『共鳴』させるなんて」
( ゚"_ゞ゚)「そして、未変換のまま物質化させて放つ……並みの芸当ではありませんよ」
爪; Д゚)「…………」
口癖なのか、ヴァンパイアは、ええ、と何回か繰り返し言う。
対する悪魔の顔には、若干の焦燥が浮ぶ。
( ゚"_ゞ゚)「しかし裏返しみたら、あらビックリ!」
爪#゚Д゚)「ンッ――!」
薙ぐような腕の振りから放たれる『不可視の銃撃』。
勿論のこと、狙いを定めていないのだから、当たることは無い。
これは、単なる威嚇のようだ。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:24:47.99 ID:dLdAknJeO
- そんな威嚇は気にも止めず、ヴァンパイアは言葉を続ける。
( ゚"_ゞ゚)「――あなた、悪魔の不条理な『力』を使ってませんよね……。
つまりは使えないってことになりますよね、ええ」
爪; ー )「…………」
悪魔に、影が射した。
そんな悪魔を見たヴァンパイアは、薄ら笑いを浮かべつつ、
棺桶の裏に付いたショルダーバンドに右腕を通す。
【+ 】ゞ゚)「何故なんです? それって『人間のやり方』じゃあないですか」
かつ、と革靴を鳴らして、煉瓦の屋根をゆっくり歩く。
【+ 】ゞ゚)「何故知ってるんです? あなたのような子供が。
魔界では知られていない上に、悪魔には理解も難しい」
屋根の端まで到達したヴァンパイアは、足を止める。
【+ 】ゞ゚)「召還されたのは、初めてじゃあないんでしょうね」
爪# ー゚)「――!」
悪魔がヴァンパイアの乗る屋根まで跳ぶ。
ここから、本式の戦闘が開始された。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:25:20.61 ID:WSiMES5NO
- 支援
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:29:02.38 ID:dLdAknJeO
- 『不可視の銃撃』の正体は、もう見破られていたようだ。
このまま何度遠距離や中距離から狙ったとしても、奴には当たらないだろう。
ある程度の近距離から当てられたとしても、底が知れている。
奴は、悪魔なのだ。
狙うは――
爪#゚∀゚)(零距離からの最大出力……ッ!)
決断したところで邪魔な思考を中断し、
【+ 】ゞ゚)「カモーン」
爪#゚Д゚)「ッ――!」
逃げることを止めたヴァンパイアに、拳を握って突撃。
しかし拳はフェイトだ。 左の手刀で脇腹を――
【+ 】ゞ゚)「遅いな」
爪; Д )「ッ――!?」
頭上から、手が振って来たようだ。
頭を押さえ付けられ、そのまま煉瓦の屋根に叩き付けられた。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:32:08.36 ID:dLdAknJeO
- 【+ 】ゞ゚)「こんなのに何か価値があるんですかね……」
頭上から鈍く声が響くが、何を言っているのか理解出来なかった。
鋭い爪が突き刺さった頭の数カ所が、熱い。
顎から叩き付けられたせいか、意識が、視界が、揺れている。
爪; Д )「ハァッ……」
遅れながらも、ヴァンパイアの言葉を理解した。
俺様の価値は、俺様が決める。
今は、悪魔が、その血が、身を潜めてしまっているだけなのだ。
何と言っても俺様は――
【+ 】ゞ゚)「どうしますかねぇ……」
爪#゚Д )「グァッ……」
頭を押さえ付ける手に、更なる体重が掛けられた。
改めて、喋れないことの不便さを今、実感している。
意識が、遠退く。
ここで終わりなのか――
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:33:29.44 ID:VqTYcMge0
- >>25
フェイト→フェイント支援
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:34:40.89 ID:dLdAknJeO
- ――否。
爪# Д゚)「ック――!」
【+ 】ゞ゚)「ん……」
こんな手は、奴は、押し退けてやる。
それが無理でも――腕が完全立った。
今なら殺れる。
爪# Д゚)(――喰らえッ!)
左の腕と腋の間の空間に、右手を入り込ませる。
その右手は人差し指を立て、親指と中指が合わせてあった。
【+ 】ゞ゚)「おぉ……!?」
次の瞬間、今までとは比べようもない大きな音を指が奏でた。
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:37:04.81 ID:l74Kn2co0
- ショタっ子きてるー
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:38:15.84 ID:dLdAknJeO
- 爪; Д゚)(やった……)
対ヒート戦で使っていたのは、円状拡散型だ。
人間ということ、試験であることを考慮した上でそうしたのだ。
そして今放った衝撃は、鋭利な一点集中型。
肉と骨を貫き、血が溢れ出すことだろう。
あのヴァンパイアも、一旦距離を取らざるを得ないはずなのだが――
( ゚"【+ 】「残念でした」
爪; Д゚)「……!?」
上半身を曲げ、後方を向くと、棺桶を構えるヴァンパイア。
その棺桶には、衝撃に因って抉られ、小さな傷が付けられていた。
急いで奴から距離を取るため、
【+ 】ゞ゚)「ちょっとビックリしましたね、ええ。
まさか……身体強化まで人間と?」
爪; Д゚)「ハァッ……」
必死で、這い摺る。
何と惨めな姿なんだ。
こんな屈辱は、恥辱は、いつ以来だ。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:41:49.44 ID:dLdAknJeO
- 【+ 】ゞ゚)「逃げるつもりですか?
まぁ、そんなことはさせませんがね、ええ」
ヴァンパイアが、畳んでいた羽を開く。
爪; Д゚)「……!?」
【+ 】ゞ゚)「これで――」
ヴァンパイアの背から、全身を漆黒で彩る蝙蝠が幾数も現れる。
蝙蝠は群を成し、一直線に、我先にと悪魔へ向かう。
爪; Д )「――ッ!?」
一匹、また一匹と、悪魔に取り付いていく。
悪魔の姿を、全身漆黒で埋め上げると、
【+ 】ゞ゚)「――オシマイ」
夥しい量の血液が迸り、漆黒は真紅へとその色を変えていった。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:42:57.71 ID:WSiMES5NO
- wktk支援
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:44:41.13 ID:dLdAknJeO
- 取り付いていた蝙蝠が、一斉に離れ、消えて行く。
【+ 】ゞ゚)「大したことないじゃないですか……」
爪メメメメ)「…………」
真紅で染め上げられた満身創痍の悪魔に向かって、言い捨てた。
【+ 】ゞ゚)「それにしても……あなた、どこかで……」
爪メメメメ)「…………」
【+ 】ゞ゚)「まぁ、関係はありませんよね、ええ」
ゆっくりとした歩調で近づき、悪魔の前に立ち、屈む。
そして、悪魔の羽織る赤と黒のポンチョの襟部分を、まるでゴミでも扱うように摘んだ。
【+ 】ゞ゚)「個人的に見ても、あなたは価値がありません。 血液的な意味でね、ええ」
爪メメメメ)「…………」
ヴァンパイアの言葉に、悪魔は何の返事も、反応も、返さなかった。
そんな悪魔を見て一笑したヴァンパイアは、飛び立とうと羽を広げる。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:46:05.13 ID:l74Kn2co0
- ショタっ子は渡さない!!
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:47:22.95 ID:dLdAknJeO
- が――
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ちょいと待ちな」
【+ 】ゞ゚)「ん……?」
今、将に飛び立とうとしていたヴァンパイアの後方から、
嗄れ声を発する筋肉隆々の女性――魔女クラの担任教師、マモン・サスガが立っていた。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「アンタらねぇ……殺り合うなら外でやんな」
【+ 】ゞ゚)「これは失礼。 とんだ御迷惑を」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「動くわ動くわ。 一周したようなもんだよ」
【+ 】ゞ゚)「そうでしたか……」
悪魔を摘んでいた指が、襟から外れた。
追うように鈍い音を立てて、悪魔が煉瓦の屋根に落ちる。
瞬間、ヴァンパイアが鋭い爪を以てマモンに襲い掛かった。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:51:06.05 ID:dLdAknJeO
- エクステイル通りの上空を浮遊する真っ白な綿毛。
¥・∀・¥「マニー!」
しかしよく見れば生物だった。
きゅ、とふわふわとした体毛が縮み、降下を開始。
¥・∀・¥「ふぅっ!」
再びふわふわとした体毛が現れたのは、
( ・∀・)「御疲れ様。 さて、どうだったかな?」
('、`*川(露骨に可愛い……)
モララーの左手に着地する直前のことだった。
¥・∀・¥「移動はしていませんねー。 だけど、一人増えてるっぽいですよー」
( ・∀・)「そうか、ありがとう」
生物は真っ青な粒子となり、弾けて消えた。
( ・∀・)「マモン先生が介入したようだ。 急ごう」
('、`*川「ええっ!」
両者頷きつつ、北西の戦場を目指し、駆け出した。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:54:11.20 ID:dLdAknJeO
- (;゚"_ゞ゚)「……油断しましたよ、ええ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「どうかねぇ?」
二人の距離は、凡そ10メートル。
ヴァンパイアの長い前髪の隙間から窺える額には、脂汗が滲んでいる。
右肩の棺桶は下ろされ、横たわる悪魔の隣に転がっていた。
対面するマモンの右手には、頗る長い竹箒が握られている。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「それじゃあ決めるよ」
マモンの足元に、茶色く光る魔法陣が展開される。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「空間砕片――」
(;゚"_ゞ゚)「――またの機会に!」
羽を開きつつヴァンパイアは、横へ疾駆を開始。
転がる棺桶を抱え、屋根から飛び降りた。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:54:25.14 ID:VqTYcMge0
- し
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:55:06.58 ID:WSiMES5NO
- 支援!
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 01:58:41.85 ID:dLdAknJeO
- しかし、再びヴァンパイアが姿を現す。
しっかりと棺桶を背負い、羽をばたつかせての飛翔。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「土産だ。 受け取りな」
【+ 】ゞ゚)「――!?」
マモンの周りに浮かぶ、硝子の破片のようなものが、ヴァンパイアへ向かって一斉飛来。
【+ 】ゞ゚)「ッ――!」
振り返り、一時停止。
羽織るマントで全身を包む。
破片の飛来が止むと、バランスを崩しながらも、また直ぐに飛翔を続行させた。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「…………」
そんなヴァンパイアの姿は、既にマモンは眼に映してはおらず、
爪メメメメ)「…………」
全く動き出す様子がない、全身を血で染めた悪魔を映し出していた。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:01:37.17 ID:WSiMES5NO
- 支援
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:03:28.78 ID:dLdAknJeO
- 戦場となっていた北西の住宅区。
先刻到着したペニサス達の双眸には、信じ難いものが映し出されていた。
('、`;川「…………」
ペニサスの頬からは、コンプレックスだと言う頬の赤味は消えている。
('、`;川「あ……」
( ・∀・)「治療を急いだ方がいい。 彼は、彼女の悪魔です」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「そうかい。 何か妙だと思ったんだよ」
マモンの逞しい腕に抱かれているのは、
爪メメメメ)
まるで精気の無い悪魔だった。
漸く事態に思考が追い付いたとんがり帽子の少女が、泣き叫び始めた。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:03:56.10 ID:8JxOIojz0
- 支援
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:04:45.99 ID:l74Kn2co0
- @@@
@#_、_@
(* ノ`)「……これは介護が必要だねぇ、…………アタシの」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:06:15.08 ID:JZqw82fSO
- 一つ言っとくけどさぁ!
支援
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:06:33.25 ID:dLdAknJeO
- 第八話は以上です
ありがとうございました
いつものことながら、幾つか誤字・脱字などのミスがありました
申し訳ありません
質問・罵倒などがありましたらお受けします
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:09:21.40 ID:WSiMES5NO
- 乙!次も楽しみにしてるよ
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:10:53.65 ID:l74Kn2co0
- 前回読んで召還の疑問が解けたわ
ペニサスはよくいる自分はデキると思い込んで自己流やっちゃうタイプっぽいね
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:16:59.87 ID:dLdAknJeO
- >>48
実際出来るタイプです
成績優秀、勤勉実直
が、何かを彼女が生き急がせています
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:19:17.57 ID:b656vJuQO
- 作者('、`*乙
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:19:41.63 ID:VqTYcMge0
- 乙
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:37:17.59 ID:dLdAknJeO
- おまけ
( ゚¥゚)「ここは?」
(゚、゚トソン「……研究所のようですね」
( ゚¥゚)「それは見りゃ解りますよ」
(゚、゚トソン「…………」
( ゚¥゚)「あのカプセルに入ってるの……人間じゃあないッスか?」
(゚、゚トソン「……どうでしょう?」
( ゚¥゚)「人間ってああやって生まれるんッスね」
(゚、゚トソン「違うと思われますよ。 彼は赤子ではありません」
( ゚¥゚)「そうなんスか」
(゚、゚トソン「要するに、人間は汚いのです」
おわり
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:38:13.26 ID:FfcMX+SQ0
- 乙
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:45:17.96 ID:dLdAknJeO
- 両手の人差し指から『不可視の銃撃』が矢継ぎ早に放たれる。
【+ 】ゞ゚)「肉眼で捉えられない一見不可解な攻撃ですが……」
しかし、ヴァンパイアに命中すること無い。
全て跳んで、易々と避けて見せている。
爪#゚Д゚)「ッ……」
【+ 】ゞ゚)「狙いを定めてから指を鳴らすまでの時間が少々長い」
悪魔の立つ屋根から、斜め向かいの屋根にヴァンパイアは降り立つ。
背には、蝙蝠が持つような羽を生やしている。
【+ 】_ゞ゚)「それと指を鳴らすことで、標準がズレますものね、ええ」
爪# ー゚)「チッ……」
【+ 】ゞ^)「指を鳴らさなければいいのに……何て無理ですよね、ええ」
2メートル弱はある棺桶を傾け、口元を隠してクスクスと笑う。
【+ 】ゞ゚)「私、よく訊かされてないんですがね……どうして何ですか?」
爪# Д゚)「――ッ!」
また、指が鳴らされる。
向かう衝撃が目指すヴァンパイアは、軽やかなサイドステップで回避。
- 55 名前:↑>>20の訂正版:2009/01/06(火) 02:49:53.39 ID:dLdAknJeO
- >>22の訂正版
【+ 】ゞ゚)「あ、そうか……喋れないんですね、ええ」
爪#゚ー゚)「…………」
【+ 】ゞ゚)「それにしても拙い……」
棺桶を肩から下ろし、右手を置いて杖のように扱う。
( ゚"_ゞ゚)「発想は見事ですよ、ええ。
まさか指を擦った音で『共鳴』させるなんて」
( ゚"_ゞ゚)「そして、未変換のまま物質化させて放つ……並みの芸当ではありませんよ」
爪; Д゚)「…………」
口癖なのか、ヴァンパイアは、ええ、と何回か繰り返し言う。
対する悪魔の顔には、若干の焦燥が浮かぶ。
( ゚"_ゞ゚)「しかし裏返しみたら、あらビックリ!」
爪#゚Д゚)「ンッ――!」
薙ぐような腕の振りから放たれる『不可視の銃撃』。
勿論のこと、狙いを定めていないのだから、当たることは無い。
これは、単なる威嚇のようだ。
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:49:56.00 ID:VqTYcMge0
- 誤字と思われる箇所をば。
しかし、ヴァンパイアに命中すること無い
しかし、ヴァンパイアに命中することは無い
【+ 】ゞ゚)「私、よく訊かされてないんですがね……どうして何ですか?」
【+ 】ゞ゚)「私、よく訊かされてないんですがね……どうしてなんですか?」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:55:18.62 ID:dLdAknJeO
- >>56
感謝です
見直した上でお恥ずかしい
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 02:57:26.66 ID:dLdAknJeO
- >>20訂正版
両手の人差し指から『不可視の銃撃』が矢継ぎ早に放たれる。
【+ 】ゞ゚)「肉眼で捉えられない一見不可解な攻撃ですが……」
しかし、ヴァンパイアに命中することは無かった。
全て跳んで、易々と避けて見せている。
爪#゚Д゚)「ッ……」
【+ 】ゞ゚)「狙いを定めてから指を鳴らすまでの時間が少々長い」
悪魔の立つ屋根から、斜め向かいの屋根にヴァンパイアは降り立つ。
背には、蝙蝠が持つような羽を生やしている。
【+ 】_ゞ゚)「それと指を鳴らすことで、標準がズレますものね、ええ」
爪# ー゚)「チッ……」
【+ 】ゞ^)「指を鳴らさなければいいのに……何て無理ですよね、ええ」
2メートル弱はある棺桶を傾け、口元を隠してクスクスと笑う。
【+ 】ゞ゚)「私、よく訊かされてないんですがね……どうしてなんですか?」
爪# Д゚)「――ッ!」
また、指が鳴らされる。
向かう衝撃が目指すヴァンパイアは、軽やかなサイドステップで回避。
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 03:00:18.30 ID:dLdAknJeO
- >>25訂正版
『不可視の銃撃』の正体は、もう見破られていたようだ。
このまま何度遠距離や中距離から狙ったとしても、奴には当たらないだろう。
ある程度の近距離から当てられたとしても、底が知れている。
奴は、悪魔なのだ。
狙うは――
爪#゚∀゚)(零距離からの最大出力……ッ!)
決断したところで邪魔な思考を中断し、
【+ 】ゞ゚)「カモーン」
爪#゚Д゚)「ッ――!」
逃げることを止めたヴァンパイアに、拳を握って突撃。
しかし拳はフェイントだ。 左の手刀で脇腹を――
【+ 】ゞ゚)「遅いな」
爪; Д )「ッ――!?」
頭上から、手が振って来たようだ。
頭を押さえ付けられ、そのまま煉瓦の屋根に叩き付けられた。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 03:01:39.21 ID:VqTYcMge0
- 電話作者は大変だよな
俺読み専のくせに差し出がましいようで申し訳ないぜ
あらためて乙、がんばってくれい
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 03:05:08.25 ID:dLdAknJeO
- >>30訂正版
爪; Д゚)(やった……)
対ヒート戦で使っていたのは、円状拡散型だ。
人間ということ、試験であることを考慮した上でそうしたのだ。
そして今放った衝撃は、鋭利な一点集中型。
肉と骨を貫き、血が溢れ出すことだろう。
あのヴァンパイアも、一旦距離を取らざるを得ないはずなのだが――
( ゚"【+ 】「残念でした」
爪; Д゚)「……!?」
上半身を曲げて後方を向くと、そこには棺桶を構えるヴァンパイア。
その棺桶には、衝撃に因って抉られ、小さな傷が付けられていた。
急いで奴から距離を取るため、
【+ 】ゞ゚)「ちょっとビックリしましたね、ええ。
まさか……身体強化まで人間と?」
爪; Д゚)「ハァッ……」
必死で、這い摺る。
何と惨めな姿なんだ。
こんな屈辱は、恥辱は、いつ以来だ。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/06(火) 03:07:34.70 ID:dLdAknJeO
- >>60
いえ、本当にありがとうございました
支援もそうなのですが、誤字などの指摘も凄く嬉しいことなんです
それでは