5 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 21:45:06.12 ID:QjUDLeay0
( ´_ゝ`)「そうだな。えー、まあ何て言うか……。
結局のところ、現代はコンピューター社会だってことさ」
从 ゚∀从「?」
要領を得ないハインに、「つまりはこういう事さ」と弟者が注釈をする。
(´<_` )「例に漏れず、『COLOR's』でもコンピューターが横行している。
作業を効率良く動かすには必要不可欠と言ってもいい」
( ´_ゝ`)「そうそう、そうなんだよなぁ」
兄者が口角の端を吊り上げる。
それはまるで、悪戯好きな子供のような顔であった。
( ´_ゝ`)「まあ具体的には、どんなところで使用されているかというと―――」
――――――――――――――――――――
――――――――――
―――――
6 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 21:48:06.31 ID:QjUDLeay0
.
(,,゚Д゚)ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです
第15話
「『No』の生産システムとかだったり、ね」
.
7 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 21:51:29.92 ID:QjUDLeay0
※
(;^^ω)「なんだぁ!? 何が起きた!? どうしてエラー表示が出るホマ!!?
これでは『No』の生産が……っ!!」
ミ,,゚Д゚彡「…………」
腕を組み、背を壁に預けて、立ったまま瞑想をしているかのように眼を閉じていたフサギコは、
雄叫びに近いは瀬川の声によって目を開けた。
何があったのかを確かめるために、フサギコは瀬川の近くまで歩み寄り、
は瀬川が一心不乱に操作しているコンピューターの画面を覗き込んだ。
そこにはエラーを示すウィンドウが何十、何百と画面内を埋め尽くしていた。
それどころかますますエラーウィンドウが増加しているようにも見える。
ミ,,゚Д゚彡「どうやら外部から攻撃されているようだな」
ただの操作ミスや不具合では、このような状態に成り得ないだろう。
何者かの手によってクラッキングされているのは火を見るより明らかだ。
8 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 21:54:06.47 ID:QjUDLeay0
(#^^ω)「馬鹿な!! この私が直々に管理しているんだホマ!!
そこらの会社とはセキュリティーが段違いなんだホマ!!
ここにクラック出来る奴なんている訳がっ……」
そこまで口にして、後に続く「ない」という言葉を、は瀬川は出せなかった。
何故なら気付いてしまったからだ。
厳重なブロックを潜り抜け、あまつさえ複雑なシステムを
修復不可能な程に破壊できる、『奴ら』の存在に。
(#^^ω)「流石兄弟……っ!? いやっ、しかし、まさか……」
は瀬川は振り返り、フサギコの顔を見た。
その眼は血走っており、怒りや憎しみなどの様々な負の感情を
フサギコにぶつけているのがハッキリと判る。
ミ,,゚Д゚彡「何か言いたそうな顔をしているな」
フサギコはそんなは瀬川の顔を、至極冷淡な表情で受け流した。
疎まれるのは慣れているのか。
それとも、初めからどう思われようが構わないと思っていたのかもしれない。
9 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 21:57:05.01 ID:QjUDLeay0
(#^^ω)「貴様っ! 流石兄弟を……っ!」
ミ,,゚Д゚彡「……ああ、そうだな。俺は奴らに手をかけてはいない」
(#^^ω)「何だとォ!!? フサギコっ!!
貴様は何故!! 何故奴らを殺していないホマっ!!?」
その事実を聞いたは瀬川は、手のひらでデスクを叩きながら立ち上がった。
フサギコはギコ達に敗れた『COLOR's』を始末している。
ならば当然、敗北を喫した流石兄弟は既に死んでいたものだと、は瀬川は思い込んでいた。
ミ,,゚Д゚彡「奴らはギコに負けた後、組織から逃げていたからな。
自ら去るのなら、わざわざ追いかける必要もない」
(#^^ω)「そんな身勝手な……っ!」
ミ,,゚Д゚彡「そもそもは瀬川。お前は殺すなと言っていただろう。仲間だからと言ってな」
(#^^ω)「ぐっ……!」
痛いところを突かれたは瀬川は、苦虫を噛みしめたかのように顔をしかめた。
腹立たしくも言い返す事が出来ないのか、フサギコに背を向ける。
大きく舌打ちをしながらそのままデスクに座り込み、システムの修復に取りかかった。
13 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:00:06.37 ID:QjUDLeay0
(#^^ω)「……クソッ! そうだ仲間だっただろうホマ!! それをあいつら……!!
決まりだ、間違いないホマ!! こんなフザケた真似をしたのは流石兄弟ホマ!!
あいつらなら『No』の生産システムの情報を持っていただろうホマ……!
クソッ、クソォォォォオ!!!!」
フサギコに侮蔑の言葉を浴びせた次は、流石兄弟を標的に捉えた。
常に何かに悪態をついていなければ、ストレスで狂ってしまう。
今のは瀬川の心境は非常に荒み、ひび割れていた。
(#^^ω)「クソッ! どいつもこいつも馬鹿にしやがって……!
だいたいあの時だってそうだホマ!!
たかが小娘一体の実験に失敗したからといって、
この俺を主任から降ろしやがって……」
一度難癖を付け出したら止まらない。
は瀬川の愚痴は過去の出来事にまで飛び火をした。
16 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:03:23.67 ID:QjUDLeay0
―――ただ、その言葉を聞いたフサギコの。
ミ,,゚Д゚彡「…………」
表情が変わった。
今まで興味なさげに聞き流していた彼の顔が、急に引き締まった。
目を見開き、は瀬川の背中をじっと見ている。
ミ,,゚Д゚彡「……貴様は以前主任だったのか?」
そして尋ねた。
フサギコが、このような世間話を持ち掛けてくる事は今まで無かった。
他人の過去を知りたがるなど、フサギコの人格を少しでも知る人なら、皆驚くだろう。
それ程までに、珍しい光景だった。
(#^^ω)「そうだホマ! この私の頭脳があれば、
そんな地位は当然だったホマ! それなのに……っ!!」
しかしは瀬川は、その様な小さな異変になど気にもとめない。
自らの不満をブチ撒けるのに夢中だ。
19 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:06:20.01 ID:QjUDLeay0
ミ,,゚Д゚彡「とある実験に失敗した、と。その実験とは何だ?」
(#^^ω)「ああ、もう大分昔のことだが、忌々しすぎて今でも明確に覚えているホマ。
というか、お前も当然知っているホマ? なんせ『お前はその実験の成功例なんだから』。
脳細胞を人工の特別製に取り替えて異能力を産み出す実験―――」
そしては瀬川は『とある計画』の名称を口にした。
「『特質的疑似脳細胞配合計画』、通称『AAB計画』だホマ」
26 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:09:06.68 ID:QjUDLeay0
.
ミ,,-Д-彡「…………」
.
30 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:12:16.29 ID:QjUDLeay0
ミ,,゚Д゚彡「……そうか。貴様は俺が被験者になる前の『AAB計画』の責任者であり、
一人の少女の実験に失敗した為に、失脚した訳か」
静かに、確認するかのように、フサギコが呟く。
(#^^ω)「さっきからそう言ってるホマ!! ……クソッ、思い出してきたらまた腹が立ってきたホマ。
あんな小娘を廃人にしただけで責任を問われるなんて……。
発明とは失敗の積み重ねによって産まれるということを、あの馬鹿共は理解していないホマ!!
あの価値ある失敗があったからこそ次の成功があった、言わば俺は実験の立役者だったというのに……!」
頭をガリガリと掻き毟り、顔を赤らめて、鬱憤を晴らすかの如く矢継ぎ早に文句を言う。
恐らく、今のは瀬川には他者が全て敵に見えているのだろう。
ミ,,゚Д゚彡「…………」
(#^^ω)「…………ん? おい、フサギコ! お前はいつまで時間を
無駄に使うつもりホマ!! いい加減侵入者の一人や二人、殺してきたらどうホマ!!」
は瀬川は再びフサギコに怒鳴り散らす。
自分は忙しいのに、暇を持て余している様に見えたフサギコに怒りを覚えた、
などという自分本位なモノの考え方から来た発言だ。
32 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:15:06.74 ID:QjUDLeay0
その言葉にフサギコは、一度ゆっくりと眼を閉じ、また開いてから低い声で返答した。
ミ,,゚Д゚彡「……ああ、そうだな」
肯定。
ただし、互いの意図は繋がっていない。
フサギコは見る。
は瀬川の後ろ姿、その後頭部を。
は瀬川は今も忙しなく手を動かしている。
ディスプレイには記号が波のように流れていく。
もう一つ。
続けて。
フサギコは。
付け加えるかのように。
ぽつりと。
ミ,,゚Д゚彡「そろそろ、殺そうか」
と、言った。
34 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:18:23.81 ID:QjUDLeay0
(#^^ω)「それがいいホマ。さっさと奴らを排除してくるホマ。
お前の力なら楽勝ホマ?」
フサギコは歩み寄り、は瀬川のすぐ真後ろに立つ。
(#^^ω)「ん、何だ? まだ私と話すことがあるホマ?」
ミ,,゚Д゚彡「いや、もう何も無い」
短く言葉を返す。
(#^^ω)「私は忙しいんだホマ!! だったらさっさと―――」
不快さを感じているは瀬川の顔。
その顔が、一瞬、ノイズが掛かったかのように歪んで―――。
――――――――――――――――――――
――――――――――
―――――
37 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:21:07.00 ID:QjUDLeay0
.
.
40 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:23:22.66 ID:QjUDLeay0
.
「……外道が」
――――――――――――――――――――
――――――――――
―――――
41 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:25:26.50 ID:QjUDLeay0
※
川 ゚ -゚)「この地下はかなり入り組んでいるな……。まるで迷路だ」
クーは一人、敵もしくは出口を見つけるために走っていた。
あの時、地面が割れてギコやモララー、ヒート達と離れ離れになってしまった。
体感的にフロア三階分ほど落下し、何とか無傷で着地したものの、
よく判らない場所へと来てしまった。
同じように下へ落ちたギコの名を呼んでみるが、返事は帰ってこない。
別の場所へと分けられたのだとクーは推測した。
じっとしていても始まらないので、辺りを散策する事にした。
しかし幾つもの部屋を巡ってみても人っ子一人居ない。
それどころか、いたるところの廊下がスロープになっていたので、
自分が今、地上から何メートル下にいるのかすら判らない状況となっていた。
川 ゚ -゚)「まったく……。この年になって迷子とか冗談じゃないぞ」
ひとりごちながらも足は休めず、次々とドアを開けて先へと進む。
44 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:28:18.80 ID:QjUDLeay0
川 ゚ -゚)「こう部屋が多いと地図が欲しくなるな」
何十回目ともなるドアの開閉を、やや乱暴に行う。
するとその部屋で、今までにない、とある匂いがクーの鼻腔をくすぐってきた。
川 ゚ -゚)「! この匂いは……」
血の匂いだ。
微かにではあるが感じ取れる鉄分の匂い。クーの顔に緊張が走った。
間違いない、この付近には何かある。彼女はそう確信した。
川 ゚ -゚)「……どうやら、この扉の先のようだな」
匂いの元を追った先には、一つの扉。
クーは慎重にその扉を開けた。
扉を開けて第一に感じ取ったのは、むせかえる程の血のそれであった。
どうやら匂いの発生元はこの部屋らしい。
48 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:31:22.47 ID:QjUDLeay0
「……来たか」
クーの耳に入り込んできたのは、重厚な男の声。
部屋の中は、何らかの資料が散らばったデスクや、家庭にあるものより一回り大きいコンピューターなどが所狭しと並んでいた。
そしてその部屋の中央。椅子にもたれ掛かり背を向けていた男が、立ち上がりクーの方を向いた。
川 ゚ -゚)「……やれやれ。彷徨った挙げ句にたどり着いたのは、敵の本丸だったか」
ミ,,゚Д゚彡「貴様らに敵う相手など、そうは居ないだろう。だから、俺が出る必要がある」
フサギコ。
ギコの実兄にして『COLOR's』の頂点。
『王金銃(おうごんじゅう)』と呼ばれた金髪の男が、クーの前に立ちはだかった。
ミ,,゚Д゚彡「さて、貴様にも色々と俺に聞きたいことがあるだろうが……。まずは俺の問いに答えて貰うとしよう」
ともすれば今すぐにでも交戦が始まるかもしれないと身構えていたクーであったが、意外にも会話を要求されて肩透かしをくらう。
しかし特に断る理由もないので、ひとまずは話を聞いてみることにした。
クーの無言。それが質問の提示の許可だと理解したフサギコは、言葉を続ける。
52 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:34:28.23 ID:QjUDLeay0
ミ,,゚Д゚彡「さて、それでは聞こう。貴様はここでどうするつもりだ? この俺を殺すのか? 貴様の目的を知りたい」
挑発にも取れるフサギコの言葉。
だが、その裏に不敵さなどは含まれていない。
恐らく、純粋に疑問を持っているのだろう。
川 ゚ -゚)「……」
質問の意図にクーは疑問を感じたが、悩んでも謎は解けないので正直に答える。
川 ゚ -゚)「……いや、そのつもりはない。私達のターゲットはは瀬川だ。奴は何処にいる?」
ミ,,゚Д゚彡「ほう。奴をどうしようと?」
川 ゚ -゚)「は瀬川の身柄を確保して警察に突き出す。これで今回の事件は収束するだろう」
クーとしてはフサギコと戦う主だった理由などなかった。
これまでの戦いによって、は瀬川という男こそが一連の首謀者であり、危険人物である事が判明している。
故に、は瀬川さえ止めれば『COLOR's』という組織は危険視するものではないとクーは考えている。
まあ、ギコとしてはフサギコと決着をつけたいのだろうが。
53 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:37:07.40 ID:QjUDLeay0
ミ,,゚Д゚彡「警察、か。自らの手で裁こうとは思わないのか?」
川 ゚ -゚)「人が人を裁くなどという思い上がった事なんてしない。私達は……」
ミ,,゚Д゚彡「手を汚すのがそんなに嫌か?」
川 ゚ -゚)「!」
全てを見透すかのようなフサギコの視線。
その目で見られると自分の思考が包み隠さず覗かれそうで、クーは居心地の悪さを感じた。
ミ,,゚Д゚彡「どのみち刑が下されば、は瀬川には死罰が与えられるだろう。かつての荒巻博士と同様に、だ」
川 ゚ -゚)「…………」
荒巻博士。
前『COLOR's』の主軸とも言われ、『COLOR's』崩壊後に死刑となった人物。
『荒巻の子供』の内の一人として在し、彼と親しい間柄だったクーにとって、そのフサギコの言葉は胸に深く突き刺さる。
57 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:40:08.67 ID:QjUDLeay0
ミ,,゚Д゚彡「それはつまり、は瀬川を殺す事と同意ではないのか? 自らの手で奴を断つ事と何が変わる?」
川 ゚ -゚)「……は瀬川を庇うつもりか?」
ミ,,゚Д゚彡「まさか。アレに関しては情を与えるだけ無駄というものだ」
川 ゚ -゚)「……それでも、私は」
慈悲深い、無情な言葉。
さながら禅問答のようなフサギコの問いは、クーの脳裏に一つのテーゼを浮かび上がらせる。
川 ゚ -゚)「人の手で人を殺すのは間違っていると思う。法律で定められているから、なんてものではなく、道理的に。
人が犯す殺人には、どうしても不純物が含まれてしまう。個人的な感情を拒めずにはいられない筈なんだ」
人間か、否か。
半人半機の体を持つクーは、人間とは一線を画している。
だからこそ、彼女はことさらに人間で在ろうとする。血肉が足りないのなら、魂で補う。
『COLOR's』が消えて、荒巻と別れて、ギコと共に過ごし始めた彼女は、そう思いながら日々を生きてきた。
ミ,,゚Д゚彡「…………」
彼女の返答を聞いたフサギコの顔に色は湧かない。
それは彼にとって理解の外の考えなのだろうか。それとも。
59 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:43:06.61 ID:QjUDLeay0
川 ゚ -゚)「何故、お前はそんな事を聞いた? お前は私に何を聞きたい?」
ミ,,゚Д゚彡「……少し、貴様の志を見ておきたかった。純粋な興味だ」
川 ゚ -゚)「純粋な、興味……」
フサギコの言葉に、クーは意外性を感じた。
見た目からは他人に興味のない、それどころか感情すらない、まるで機械のようなイメージを、フサギコに抱いていたからだ。
ミ,,゚Д゚彡「可笑しいか? しかし俺とて人間なんだがな。別に人の皮を貼り付けた殺戮機械等では無い」
川 ゚ -゚)「む……」
また考えていた事を読まれた。
思考が素直すぎるのだろうか、とクーは軽く思い悩む。
63 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:46:11.56 ID:QjUDLeay0
ミ,,゚Д゚彡「ただ……」
川 ゚ -゚)「?」
自己の在り方について考えていたクーであったが、フサギコの声質の変化に気付き、意識を彼に向けた。
気のせいかも知れないほど些細なモノであったが、僅かばかり声が重くなったような、圧力が加わったような……。
ミ,,゚Д゚彡「世には、人ならざる精神を持つ輩も―――確かに存在する」
川 ゚ -゚)「!」
今、何かが変化した音をクーは見逃さなかった。
恐らく、フサギコの身に纏う空気が一瞬だけ、変わった。
今までは彼から闘気や殺意は感じなかった。
だが一瞬だけ、怒りと思われる感情を、クーは確かに彼から読み取ったのだ。
そして現在は、様々な意志の濁流がフサギコの周りで渦巻いているのがはっきりと見える。
67 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:49:27.82 ID:QjUDLeay0
ミ,,゚Д゚彡「例えるなら……」
そしてフサギコは、物陰から『とある物』を手に取った。
クーからは死角となって見えていなかった『それ』は、フサギコの手を介して彼女と『対面する』。
ミ,,゚Д゚彡「―――コレとか、な」
その、フサギコの左手にあったモノは。
( ゜゜ω)
瞳孔が極限まで肥大し、舌をだらりと伸ばした、まだ血が滴っている男の生首であった。
69 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:52:13.17 ID:QjUDLeay0
川;゚ -゚)「なっ……!?」
ミ,,゚Д゚彡「ああ、顔を知らなかったのか? こいつがは瀬川だ」
驚愕に身を固めるクーに対し、「よく確認するといい」とでもと言いたげな様子のフサギコは、は瀬川の首を前に差し出した。
フサギコに髪の毛を掴まれたその生首は、ブラブラと左右に揺れている。
川 ゚ -゚)「貴様っ!!」
ミ,,゚Д゚彡「ふむ……、怒るのだな。この様な畜生に対しても」
川 ゚ -゚)「ッ……、何故、殺した……?」
ミ,,゚Д゚彡「何故、か。そもそもの話、今まで生かしておいた、というのが正しいな。
しかし『聞きたかった事を全て聞き終えた』今、この男は死を迎えたという訳だ」
川 ゚ -゚)「…………お前は……」
少し冷静を取り戻したクーは、先程フサギコが一瞬だけ見せた怒りがは瀬川に向けられたものだと理解した。
一体、フサギコとは瀬川の間に何が起こったのか……。それを知る術は、彼女には無い。
72 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:55:08.43 ID:QjUDLeay0
ミ,,゚Д゚彡「さあ、どうする? 貴様らの目的は俺の手によって潰えたぞ?
次に貴様のとる行動は何だ、クール=ブラックラック」
川 ゚ -゚)「……そうだな、判った」
一つ、素早く深く息を吐くと、クーはフサギコに対して体を半身にし、腕を上げて戦闘体勢を取った。
川 ゚ -゚)「前置きが長くなったが、結局こうなるのは逃れられない運命だったのかもな。……拳を合わせよう、フサギコ」
クーのその言葉を聞いて、フサギコの顔に僅かばかりの笑みが灯った。
ミ,,゚Д゚彡「そうだ、それでいい。詰まるところ、俺達は戦いでしか主張できない存在なのだ」
川 ゚ -゚)「いや、それは違う。戦いはあくまでも途中経路の一つに過ぎない。少なくとも私はそう努力するようにしている。
お前を叩き伏せたら、説得して刑務所に送ってやる」
ミ,,゚Д゚彡「ふっ、まあどちらにせよ勝者がこの場を好きに出来る事には変わりあるまい。
……さて、とすると、少々このままでは動きづらいな」
そう言うとフサギコは、側に置いてあったデスクの脚を、右手で掴み持ち上げる。
重さが50kgを越えるスチール製のデスクを、彼は悠々と高く掲げた。
78 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 22:58:20.38 ID:QjUDLeay0
川 ゚ -゚)(何だ? 私に投げつけるのか?)
クーは注意深くフサギコの行動を見守る。
襲撃に備え、いつでも飛び出せるように、両脚に力を込めた。
しかし、フサギコが行ったのは攻撃などではなく―――。
ミ,,゚Д゚彡「奮ッッ!!」
フサギコは気合いの掛け声と共に、右手に持ったデスクを横に一回転振り回した。
恐るべき速度で振り回されたデスクは、周りの障害物と激突し、それらを突風に煽られる落ち葉の如く吹き飛ばす。
川 ゚ -゚)「ッ!」
余りの風圧に、クーはたまらず両腕で顔を防いだ。
風が止み、腕を下げた彼女の目に飛び込んできたのは、部屋内に置かれていたありとあらゆるものが
四方の壁際まで押し出され、ひしゃげて転がっているという光景であった。
79 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 23:01:21.84 ID:QjUDLeay0
ミ,,゚Д゚彡「ステージはこんなモノでいいか?」
フサギコによって全ての遮蔽物が弾き出されたその部屋は、がらんとした広い空間として新たに生まれ変わった。
川 ゚ -゚)「……まったく、化け物じみたパワーだな」
ミ,,゚Д゚彡「この程度では自慢にもならん」
フサギコは、原型を想像できない程にあちこちが折れ曲がった手中のデスクを壁際に投げつける。
ミ,,゚Д゚彡「さあ、貴様も邪魔だ」
そして未だ左手に持っていたは瀬川の生首を両手で掴み、力を込めてそれを握り潰した。
少量の血が飛び散り、片方の眼球が弾け落ちて床を転がる。
割れたクルミのように無惨な姿となったは瀬川の残骸を、フサギコは乱雑に後方へと投げ捨てた。
82 : ◆KrvshEaXS2 :2011/08/07(日) 23:04:17.32 ID:QjUDLeay0
ミ,,゚Д゚彡「これで我らを妨げる物は無い。あとは互いに眼前の敵を討ち滅ぼすのみ!」
そして遂に、全ての前準備を終えたフサギコがクーに向かって前進を始める。
床に転がっていたは瀬川の眼球がフサギコに踏み潰され、透明の液体が放射状に散った。
ミ,,゚Д゚彡「俺に貴様の力を示してみろ! 『ラスト・チャイルド』、クール=ブラックラック!!」
一歩一歩にじり寄るフサギコを正面から迎えるクーは、その場で腰を落として待ち構える。
川 ゚ -゚)「私には貫くべき意志がある! お前に負ける訳にはいかないんだ! 『王金銃』、フサギコ=ビッグガンゴールド!!」
『黒』と『金』。
相手を塗り潰すのは、どちらの色か。
戦いが、始まる。
第15話 おわり
→
第16話に続く?
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