8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 21:49:50.92 ID:iFvPmS+sO
(;・∀・)「…………」
(´・ω・`)「モララー君」
(;・∀・)「! し、師匠……。なんでしょう?」
(´・ω・`)「そんなに緊張してたら体が固まって咄嗟の時に動けなくなる。
深呼吸でもして気を落ち着けるんだ」
(;・∀・)「……はい。すみません……」
その後ろにはモララーとショボンだ。
セーフティーの外れた拳銃を両手で強く握りしめて、
モララーはせわしなくキョロキョロと辺りを見回している。
一方ショボンは特大サイズのリュックを背負ってはいるものの、
その手には何も持ち合わせていない。
(*゚∀゚)「あーあ、これがピクニックだったら良かったのになー」
从 ゚∀从「そうね。今度行こっか?」
そしてつーが手持ち無沙汰に歩き、最後尾にハインがつーを護るようにして寄り添っていた。
彼ら七人は『COLOR's』の本拠地に向かっていた。
『COLOR's』を倒し、全てに決着をつけるために。
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 21:52:50.78 ID:iFvPmS+sO
ノパ⊿゚)「……見えました。あれです」
先頭にいたヒートが立ち止まり、右腕を横に伸ばして皆に止まれと合図をした。
ヒートは続けて左腕を前に出し、指を差す。
その指の先には土色の建物があった。
川 ゚ -゚)「あれは……、工場、か?」
建物には煙突や巨大なシャッターが取り付けられていた。
よく見ると、建物の左側に簡単に舗装された道があった。
小型のトラックなら通れるくらいに幅がある。
ノパ⊿゚)「あそこはまだVIPコーポレーションが存在していた頃に
使用されていた工場だったようです。
もっとも、工場としての機能を有しているのは一階部分だけです。
隠し扉を抜けて地下に潜ると、秘密裏の実験が行われていた研究所が広がっています」
(,,゚Д゚)「それはそれは……。相変わらず廃棄場の奥底にあるヘドロのようなブラックさだな」
川 ゚ -゚)「ん? 呼んだ?」
(,,゚Д゚)「呼んでねえよ。つーかそれに反応って……。それでいいのかお前」
皆は身を屈め、突入するのに都合のいい場所を探す。
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 21:56:30.59 ID:iFvPmS+sO
(´・ω・`)「……しかし、静かなもんだね」
ゆっくりと音を立てないように動きながらも、ショボンは隣にいたハインに小声で話しかける。
从 ゚∀从「ええ、まったく警戒されてないわ。それはもう不自然なくらいに」
(´・ω・`)「うん。僕らに気付いた上での行動だとしても、これは不自然過ぎる。
恐らく中で何か起こっているんじゃないかな?」
从 ゚∀从「その可能性は高いわね」
(´・ω・`)「うん……。ところで、話は変わるんだけど。不自然と言えばさぁ……」
从 ゚∀从「?」
(´・ω・`)「ハイン。それは無いよ。あまりに不自然だ」
ジト目でハインを見つめるショボン。その見られているハインの格好は。
从 ゚∀从「あら、戦闘服よ戦闘服」
目が痛くなるほど真紅に染め上げられた白衣だった。
と言うか、既に『白』衣ではない。
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 21:59:23.45 ID:iFvPmS+sO
(´・ω・`)「なんでそんな真っ赤っか……」
从 ゚∀从「まあ、個性付けって言うか、流石兄弟との区別?」
(´・ω・`)「……ああ、そう」
从 ゚∀从「でも結構いいわよコレ。気合い入るし」
(´・ω・`)(そりゃ気合い入るよ。どう見ても特攻服にしか見えないし)
ショボンはそう思ったが、心の中にしまっておいた。
地雷を踏んで決戦前にリタイアをするのは情けないからだ。
(*゚∀゚)「あ。ねえねえ、あそこ」
つーが何かに気付き、襟の辺りを引っ張ってギコを呼ぶ。
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:02:42.42 ID:iFvPmS+sO
(,,゚Д゚)「んぐ。コラつー、首を急に引っ張るな。……で、何?」
(*゚∀゚)「あそこ。あの窓から中の様子が見れないかな?」
見ると、建物の上の方に小さい窓があった。換気用の窓なのだろうか。
(,,゚Д゚)「ううむ。確かに突入前に中の様子を見ておきたいな。よし」
ギコは軽く辺りを見渡し、一つの大きな木に目をつけた。
その木に向かって鎖を飛ばし幹に引っ掛け、素早く飛び上がり、木に登る。
(,,゚Д゚)「ん、よしよし。ここからならバッチリ中の様子が見れるな」
ギコは敵に発見されないよう慎重に顔を前に出し、内部の様子を覗いた。
彼の目に飛び込んできた光景。それは―――。
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:07:16.48 ID:iFvPmS+sO
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18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:10:02.79 ID:iFvPmS+sO
(;゚Д゚)(…………き、……)
(;゚Д゚)(きもちわりィィィィィィィイ!!!!!)
工場の中には人工生命戦闘員、『No』が大量にひしめき合っていた。
皆が皆、同じ身長、同じ服装、同じ髪型、そして同じ顔なので、
まるで幻覚を見ているような気分になり、ギコは強い不快感を得た。
(;゚Д゚)「ううう……」
げんなり、といった表情でギコは木から降りてくる。
そんなギコの様子に、クーは何事かと尋ねた。
川 ゚ -゚)「どうしたんだギコ。スレタイに釣られて
画像開いたら蓮コラだった時のような顔をして」
(;゚Д゚)「イヤな例えだな。でも妙に的を射てるよ。ありゃ蓮コラそのものだわ」
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:14:42.81 ID:iFvPmS+sO
ギコはみんなに、中は『No』で溢れかえっている事を伝えた。
(´・ω・`)「うーん。どうやら既に生産に乗り出しているようだ」
(*゚∀゚)「どーすんだー? 一回帰る?」
从 ゚∀从「それはダメ。多分、今この時もどんどん造られている筈よ。だから今叩かなくちゃ」
(´・ω・`)「ま、こうなる事が判ってたから僕らが来たんだけどね」
ショボンは背中のリュックに手を伸ばすと、長さ一メートル以上はある
筒状の火器―――ロケットランチャーを取り出した。
(´・ω・`)「さあ、僕が道を作るから、ギコ、クー、ヒートちゃん、モララー君の四人は、
その勢いで地下に行ってくれ。あの人形達は僕ら三人が相手になろう」
(,,゚Д゚)「……三人で大丈夫か? かなりの数だぞ?」
(*゚∀゚)「まっかせろー! つーちゃんが全部バラバラにしてやるから!」
从 ゚∀从「ま、やられそうになったら大人しく退散するわ。
だからアナタ達もチャッチャと片付けてきなさい」
川 ゚ -゚)「……判った。無理はするなよ」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:17:17.85 ID:iFvPmS+sO
ノパ⊿゚)「御武運を祈ります」
( ・∀・)「僕らも、必ず帰ってきますから」
互いが互いの顔を見合い、全員が無事に帰れることを祈った。
後は只、暴れるのみ。
(´・ω・`)「じゃあ、行くよ。発射と同時に突撃してくれ」
その言葉に頷く進入組の四人。
了承を確認すると、ショボンはロケットランチャーを肩に掛ける。
(`・ω・´)「さあ―――」
武器を手にしたショボン。
彼は戦闘態勢に入ると、普段の落ち着いた物腰は完全に払拭され、
好戦的で暴力的な性格に変わる。
もはや戦闘狂と化したショボンは、嬉々として引き金に指を掛けて。
そして引いた。
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:20:25.68 ID:iFvPmS+sO
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(,,゚Д゚)ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです川 ゚ -゚)
第13話
「開幕の狼煙だ!」
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26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:23:29.99 ID:iFvPmS+sO
一瞬の閃光。
次いで爆音が辺りに轟いた。
弾が当たった工場の壁は粉々にされ、もうもうと土煙が巻き起こる。
その地点に向かってギコ、クー、モララー、ヒートの四人が一丸となって駆けていった。
川 ゚ -゚)「ふっ!」
走ってきた勢いのまま、四人の先頭にいたクーが壁のガレキに蹴りを繰り出す。
道を塞いでいたガレキは工場の中へ吹き飛ばされた。
そのまま止まる事無くクーが、少し後から他の三人が内部へと進入する。
工場の中では、緊急事態を知らせる警報が喧しく響く。
床には大量のガレキと、爆発の巻き添えを喰らった数体の『No』が倒れていた。
しかし未だ、部屋を埋め尽くさんばかりの数の『No』は健在で、
その色の無い瞳は全て、ギコ達に注がれている。
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:26:30.33 ID:iFvPmS+sO
(,,゚Д゚)「ヒート! 地下への階段は何処だ!?」
ノパ⊿゚)「二時の方向! 黄色いベルトコンベアの奥側にあります!」
(,,゚Д゚)「よし、飛ぶぞ! みんな俺の鎖に掴まれ!」
ギコは部屋の中央の、天井部にあった太いパイプに鎖を飛ばした。
鎖はパイプに巻き付き、堅く固定される。
(,,゚Д゚)「いくぞモララー! 振り落とされねぇようにしっかり握ってろ!」
(;・∀・)「は、はい!」
川 ゚ -゚)「ギコ! 『No』が来るぞ! 早くしろ!」
ギコは、モララーがしっかりと鎖を握り締めているかを確認していたが、
クーの声に促されるように前を見る。
そこには今にもこちらに掴みかからんと迫ってくる無数の『No』がいた。
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:30:26.81 ID:iFvPmS+sO
(,,゚Д゚)「っし! 行くぞ!」
ギコは掴んでいた鎖をぐい、と引っ張る。
すると鎖の先、天井近くのパイプに巻かれていた部分が、
まるで機械で動かされているかのように、ガリガリと音を立てながら巻かれていった。
巻かれた分だけ、鎖を掴んでいたギコ達の体が浮き上がっていく。
彼らを捕らえようと伸ばしていた『No』達の腕が虚空に振られた。
四人は五メートル程の高さまで一気に上昇したのだ。
ギコ達が居たのは壁際。
鎖の先端が固定されているのは室内中央の天井。
見上げる『No』達を下に並べて、彼らは振り子のように工場内を横切っていく。
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:33:56.43 ID:iFvPmS+sO
振り子の終点までたどり着くと、その慣性を殺さないようにギコはパイプから鎖を解いた。
空を飛ぶ彼らが落ちるポイントは、先程ヒートが指し示した地点。
すなわち地下への入り口だ。
しかし当然その場所にも『No』が待機している。
ノパ⊿゚)「クーさんっ! 脚を借ります!」
川 ゚ -゚)「! 了解した!」
ヒートが自身の武器である鎚を上段に振りかぶりつつ、クーに要請した。
彼女が何をするのかを瞬時に理解したクーは、脚の裏をヒートに向けた。
ヒートはクーの脚の裏を思いっきり蹴りつける。
彼女はクーを足場として、他の面子から一歩飛び出したのだ。
無論、向かうは地下への階段の前に立ちふさがっている『No』達の元だ。
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:37:04.36 ID:iFvPmS+sO
ノパ⊿゚)「『COLOR』、解放っ!」
ヒートの髪と瞳が赤く染まる。
それと同時に振り上げた鎚に炎が纏われていく。
ヒノカグツチ
ノパ⊿゚)「吹き飛べ! 『火之楽鎚・フルドライブ』ッ!!」
待ち受ける『No』達に、ヒートは渾身の力で鎚を打ちつけた。
ノパ⊿゚)「『爆』ッ!!」
そして爆発。
その場にいた『No』達は散り散りに吹き飛ばされ、
同時に隠されていた地下への階段が姿を現した。
(,,゚Д゚)「ナイスだヒート! そんじゃ突撃だ!」
地面に降り立ち、ギコは鎖を回収する。そして四人は一息つく間も無く階段を降りていった。
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:40:14.76 ID:iFvPmS+sO
しかし『No』達も黙って見ていない。
彼らの後を追おうと脚を向けて―――
从 ゚∀从「あら、この先には行かせないわよ?」
一瞬で細切れとなった。
ハインは階段の前に立ち、長さが一メートル以上はある巨大なメスを構える。
从 ゚∀从「この先に行きたかったら俺……、コホン。私を倒して行きなさいな」
ハインの気迫に一瞬たじろいた様子を見せた『No』であったが、
すぐさま列をなして彼女に襲いかかろうとする。
だが、そんな彼らの背後から突如、爆炎が上がった。
(`・ω・´)「ハッハッハァーッ! どうしたマネキン共!? もっと気合い出せよ!」
ショボンだ。
発射口から白煙が漏れるロケットランチャーを掲げ、快活に笑っている。
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:43:48.65 ID:iFvPmS+sO
从 ゚∀从「相変わらずアナタのその変わり身ようは胡散臭いわねぇ」
(`・ω・´)「ハッハッハ、それはギャグで言っているのか?
お前は胡散臭い上に厚化粧までしてるのに」
ハインはジト目でショボンを非難し、ショボンは自然体でハインを煽る。
因みに二人とも攻撃の手を休めていない。
从#゚∀从「ああ!? ちょっ待て、今のは聞き捨てならねーぞ!? 俺のどこが厚化粧だ!?」
ショボンの煽りに激昂するハイン。言葉遣いがかなり乱暴なモノへと変わっている。
(`・ω・´)「おう、早速化粧が剥がれたか」
从;゚∀从「むうっ……。そっちの意味だったか……」
一枚上を行かれた事に気がついたハインは、苦虫を噛みしめたような顔をした。
ショボンはロケット弾を辺りにばらまきながらも、ハインの方を見てニヤニヤと笑っている。
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:46:58.90 ID:iFvPmS+sO
(`・ω・´)「なあに、無理して男勝りを直す必要は無いぞ。それにお前の女言葉はキモい」
从#゚∀从「後でテメエの体100分割してやっから覚えとけよ!!」
(`・ω・´)「ウハハハハ!」
ハインは怒りながら、ショボンは笑いながら、二人は『No』を切り裂き、吹き飛ばしていた。
しかしその行動はあまりにも無差別なモノだったので―――。
(;*゚∀゚)「ちょおっ! 危ない! 危ないよぉー!!」
二人の近くにいたつーは、その被害を受けていた。
敵のではなく味方の攻撃を避けるのに四苦八苦している。
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:50:05.05 ID:iFvPmS+sO
从 ゚∀从「あ、ゴメンつー」
(`・ω・´)「お、いたのかつー。ちっこいから気がつかなかったぞ」
(#*゚∀゚)「バトルはちゃんと前を向いてから! わかった!?」
从 ゚∀从「「はーい」」(`・ω・´)
(*゚∀゚)「よーしナイス返事! それじゃあ……」
つーは手に持っていた、特注品であるチェーンソーのスイッチを入れる。
耳障りな音をかき鳴らしながら、黒鉄に塗られた刃が高速で回転を始めた。
(*゚∀゚)「目標! 敵軍殲滅っ! ものども、かかれーっ!!」
その号令と共に、乱戦は更に激しさを増していく。
戦力、三。
残る『No』は、未だ無数―――。
.
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:54:20.95 ID:iFvPmS+sO
※
ギコたち四人は工場の地下、元『COLOR's』の研究所として使われていた建物の廊下を走っていた。
長い一本道の廊下は、清潔感のある白で統一されている。
天井には照明が一定の間隔で欠ける事無く
取り付けられており、爛々と廊下を明るく照らしていた。
(,,゚Д゚)「なんだ、中も『No』共がウジャウジャしてるかと思ってたけど、一匹もいないじゃん」
拍子抜け、といった様子のギコ。
それもそのはず、地下に入ってから彼らの走りを阻害するモノは、今まで一つも無かったからだ。
川 ゚ -゚)「『No』の生産を止める事は出来なかったが、奇襲自体は成功したようだな」
ノパ⊿゚)「ええ。しかし、まだ残りの『COLOR's』は全てこの建物内に居るはずです。
気を抜かずに行きましょう」
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 22:58:12.14 ID:iFvPmS+sO
彼らはひたすらに走り、そして廊下の終点に辿り着く。
そこには大きな観音開きタイプのドアがあった。
恐らく、内部は大広間になっているのだろう。
(;・∀・)「! 皆さん、あの先に……っ!」
モララーの『危険察知』が彼の頭に警報を鳴らす。
それは、この先に敵がいる事を示していた。
(,,゚Д゚)「ああ、判ってるぜモララー。ドア越しに強烈な敵意が突き刺さってきやがる」
川 ゚ -゚)「間違いない。『COLOR's』がいる」
ノパ⊿゚)「このまま突入します!」
ヒートは鎚を振り回し、ドアを破壊しつつ中に入る。
そのすぐ後にギコとクーが侵入。
ギコはヒートの右側に、クーは左側へと展開する。
最後にモララーがヒートの後ろに立った。
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:02:31.57 ID:iFvPmS+sO
.
その部屋の奥には、一人の女性が立っている。
(゚、゚トソン「騒々しいですね。ドアくらい普通に開ける事が出来ないのですか……?」
冷淡な目でギコ達を見るのは。
ノパ⊿゚)「『トソン=ホワイトルシアン』……っ!」
『COLOR's』が一人、『白』の名を冠する者であった。
.
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:05:42.64 ID:iFvPmS+sO
※
(;^^ω)「なんだ何事だっ!? 一体何が起きたというのだ!?」
廃工場の地下深くの、とある一室で、は瀬川は焦燥していた。
部屋の中では警報が間断無く鳴り響いている。
ミ,,゚Д゚彡「何が起きたも何も、賊が侵入してきたに決まっているだろう」
は瀬川と同室にいたフサギコは、壁に寄りかかるようにして立っている。
その様子は、は瀬川とは正反対で、至極冷静であった。
(;^^ω)「賊ぅ!? 賊だと!? いったい誰が……っ!」
ミ,,゚Д゚彡「ふん。未だ表立った動きを何もしていない俺達の元に
やってくる者共など、限られているだろう?」
(#^^ω)「……っ! 『銀』と『黒』かっ!!」
は瀬川は拳を思いきりデスクに叩きつける。
苛つきを隠そうとする気は微塵もない。
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:10:20.76 ID:iFvPmS+sO
(#^^ω)「よりにもよってこんな大事な時に……。何故この場所がバレたホマ!?
いや、そもそも『ピンク』はどうしたホマ!?
奴がいればここに辿り着く事は出来ないんじゃ無かったのか!?」
ミ,,゚Д゚彡「ああ……。『ピンク』なら、ここを抜けた」
(#^^ω)「何ィ!?」
今までフサギコには目もくれず、デスクトップを必死で睨みつけていた、は瀬川。
だが、そのフサギコの発言は見過ごせなかったようで、勢いよく彼の方を見た。
ミ,,゚Д゚彡「この場所をギコらに教えたのも奴だろうな。
もっとも、『赤』が向こうの仲間に加わった時点で、
この場所など既に割れていたが」
(;^^ω)「はぁっ……!? あ、『赤』がいるのか!? な、なんで……?」
は瀬川の口がぽかん、と開かれる。
思考が追い付かず、軽いパニック状態に陥ってしまっている。
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:12:57.42 ID:iFvPmS+sO
ミ,,゚Д゚彡「ふん。報復されて当然の事をしておいて、どの口が言う?」
フサギコの、蔑むような冷たい目線。
それに気付いたのかどうかは判らないが、は瀬川は輪をかけて激昂する。
(#^^ω)「きっ、貴様……! 何故それらの事を報告しなかったホマ!」
ミ,,゚Д゚彡「無論、言うまでもなかった事だったからだ。
それに俺から言わせてもらえば、お前が周りを見てなさすぎる」
(#^^ω)「ぐぐっ……っ!」
フサギコの指摘に自覚があったのか、は瀬川は言葉に詰まる。
は瀬川の胸の中には、吐き出す事すら出来ないドロドロとした怒りが熱を帯びていた。
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:15:53.82 ID:iFvPmS+sO
(#^^ω)「っ! もういいホマ! 今すぐ全員殺してこい!」
デスクを蹴り上げ、唾液を振りまきながら、は瀬川は叫ぶ。
血走った目には、理性などとうに残っていない。
ミ,,゚Д゚彡「言われずとも、トソンを送っている。俺も直に出る」
(#^^ω)「クソっ! こうなったら、フルピッチで『No』の生産を続けてやるホマ!」
再びデスクトップに目を向け、一心不乱といった様子でキーボードに打ち込んでいく。
(#^^ω)「そうだ、こちらには無限とも言える駒が存在するホマ!
いかに奴らが強かろうが圧倒的な数の前には無力だホマぁ!!
ふ、ふふふあはははは……」
ミ,,゚Д゚彡「…………」
ブツブツと独り言を言いつつ、笑うは瀬川。
フサギコは、次第に壊れていく彼の背中を、ただ静かに睨みつけていた。
.
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:19:51.39 ID:iFvPmS+sO
※
ノパ⊿゚)「『トソン=ホワイトルシアン』……っ!」
(゚、゚トソン「おや、そう言う貴女は裏切り者の『赤』ではないですか」
ギコ達を待ち受けていた『COLOR's』、トソン=ホワイトルシアン。
ヒートを見つめる彼女のその視線は、荒野を駆る一陣の矢の如く鋭かった。
ノパ⊿゚)「……私は、裏切ったんじゃない」
そのプレッシャーを正面から受けても、ヒートの堅固なる意志は貫けない。
そして彼女は否定した。
なぜなら、実際に彼女は操られていただけであるし、
それにトソンの言葉を拒絶する事によって、
心象的に不利になるのを避けるという意味合いでの否定でもあったからだ。
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:23:16.44 ID:iFvPmS+sO
(゚、゚トソン「知ってますよ。は瀬川に操られていたのでしょう」
だが、トソンはすんなりとそれを認める。
駆け引きだとか、そういう行為には興味はないようだ。
それに心なしか、トソンの言葉からは嫌悪を孕んだモノを感じた。
恐らくその嫌悪の矛先は、は瀬川なのだろう。
ノパ⊿゚)「……そこを通しては貰えませんか?」
(゚、゚トソン「ほう、なかなか大胆な提案ですね。理由を聞きましょう」
トソンの気持ちの揺らぎを感じ取ったヒートは、無血での決着を申し出る。
ノパ⊿゚)「トソンさんも、あの男がいかに邪悪であるかを判っているはずです」
(゚、゚トソン「まあ……、そうですね。確かにあの男は不快そのものですし、
私がアレと立場上仲間であるという事実に対しては、強烈な程に吐き気を覚えます」
隠す気など一切ないといった様子でトソンは話す。
余程は瀬川の事を嫌っているのだろう。
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:28:19.09 ID:iFvPmS+sO
ノパ⊿゚)「だ、だったら! そこを通して下さい!
私達は、あの男の蛮行を止めなければならないんです!」
半ばすがるようなヒートの声。
しかしトソンはその鋭い眼差しを止める事は無い。
(゚、゚トソン「でも、それが一体どうしたと言うのですか。
今、私と貴女は向かい合っている。
私はこの場に立ち、貴女はこの先へ進もうとしている。
ならば、衝突は避けられない。貴女は私を乗り越えなければ先には進めない」
無情な宣告。
お互いが通り過ぎるには、道はあまりにも狭かった。
トソンは左手に持っていた『杖』を両手で持ち直す。
この杖が彼女の武器であるのだろう。
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:31:42.33 ID:iFvPmS+sO
ノパ⊿゚)「っ! どうして! 立ち塞がるんですかっ!?」
(゚、゚トソン「無論、は瀬川などという下衆の為ではありません。
私の行動の総ては、あの人に起因します」
トソンは杖を掲げる。
彼女の目線も杖の先端部分、八面体の白い水晶に向けられている。
それはまるで、王に忠誠を誓う騎士の姿のようだった。
(,,゚Д゚)「……フサギコの事か」
ギコが口を出す。
トソンの背後にフサギコを、倒さなければならない男の姿を見たからだ。
(゚、゚トソン「そうですよ、弟君」
(,,゚Д゚)「けっ」
『弟』―――。
フサギコの弟として見られている事に機嫌を悪くしながらも、ギコは話を進める。
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:35:28.01 ID:iFvPmS+sO
(,,゚Д゚)「とにかく、そこを退く気は無ぇんだろ?
じゃさっさとやろうぜ。上で今、俺らの仲間が頑張ってるんでね。
早く終わらせたいんだわ」
衝突を促す。
もう会話は不要だとばかりに、ギコの目に力が宿る。
(゚、゚トソン「ええ。が、しかし……」
だが、トソンはそんなギコからの視線を避けるかのように、顔だけを横に向けた。
(゚、゚トソン「私は『COLOR's』三人と同時に戦って勝利を収められる程、強くはありませんから」
(゚、゚トソン「―――なので、二名ほど、落ちていただきます」
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:40:00.43 ID:iFvPmS+sO
(;・∀・)「!!」
その言葉―――いや、その『気配』に気付いたのはモララーだった。
(;・∀・)「ギコさんクーさん飛んでっ!!!」
川 ゚ -゚)「!」(゚Д゚,,)
モララーの叫びに、何事かと考える隙間すら無くギコとクーの二人は跳躍する。
するとその直後、部屋の両端の床が崩れ落ちた。
部屋の中央部にいたトソン、ヒート、モララーは何ともないが、
左右に分かれていたギコとクーの足場は消え、下には終わりの見えない穴が現れた。
川 ゚ -゚)「床が……!」
(,,゚Д゚)「ちぃっ! ヒート! 手ェ出せ!」
ギコは鎖をヒートに向かって飛ばす。
ヒートに体ごと引っ張ってもらい、事なきを得ようとした。
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:45:29.63 ID:iFvPmS+sO
が。
(゚、゚トソン「なるほど、これが『ナチュラル』の……。お見事ですが、しかし―――」
突如、ギコとヒートの間に、半透明の『白い壁』のようなものが出現。
ギコの鎖を止めた。
(,,゚Д゚)「これはっ……!?」
(゚、゚トソン「大丈夫です。別に下には針の山だとか、硫酸のプールだとかは置いていません。
なので安心して落ちて下さい」
(,,゚Д゚)「クソがっ!」
恐らくはトソンの能力であろう壁に阻まれ、ギコとクーは落下を余儀なくされる。
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:47:56.67 ID:iFvPmS+sO
(;・∀・)「ギコさん! クーさんっ!」
モララーが叫ぶ。しかしどうにかしようにも、壁が邪魔で手出しが出来ない。
川 ゚ -゚)「モララー!」
(;・∀・)「!」
川 ゚ -゚)「ヒートを任せたぞ!」
(,,゚Д゚)「お前がヒートを護るんだ! いいな!」
(;・∀・)「っ……!」
(;・∀・)「はい! 判りました! だから、二人も気をつけて!」
最後にモララーに言葉を託し、二人は落下していった。
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:51:05.36 ID:iFvPmS+sO
(゚、゚トソン「……さて。では、いいですかね? 支障がなければ、このまま戦闘開始となりますが」
穴へと消えていった二人を一瞥した後、トソンはヒートとモララーの方に向き直る。
ノパ⊿゚)「トソンさんっ! 貴女って人は……!」
(゚、゚トソン「無粋な真似だというのは重々承知しております。
しかし、私とて一対多で闘うほど愚かではありませんので」
トソンはくるりと後ろに振り向き、彼女の背後にあったドアを引く。
隙間から見える奥の部屋は、彼らが今いる部屋と同じ間取りであった。
(゚、゚トソン「代わりと言っては何ですが、貴女とは
全力を尽くさせていただきましょう。―――こちらへ」
トソンは奥の部屋へと行く。
ヒートとモララーは顔を見合わせた。
ノパ⊿゚)「……モララーさん。私の後ろから離れないようにして下さい」
69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:54:01.73 ID:iFvPmS+sO
( ・∀・)「あ……。でも……」
先程ギコとクーの二人から、ヒートを護れと言われた。
だからモララーは、自分が前に出たかったのだが。
ノパ⊿゚)「相手は『COLOR's』。しかも彼女はその中でも上位の実力者です。
モララーさんには荷が重い。
ここは、同じ『COLOR's』である私が、彼女を倒してみせます」
そう、相手は『COLOR's』。
モララーとしても、自分がトソンとやり合って勝てるだなんて、まるっきり思えなかった。
そしてヒートもモララーよりはるかに強い。故に彼が後方に待機するのは当然の事なのだ。
( ・∀・)「……判ったよ、ヒートちゃん。でも、援護くらいはさせてもらうよ」
しかしそれでも、何もしないでいるつもりも無かった。
何もしないのなら着いてきた意味など無い。
それにギコやクーも自分の力が必要だから連れてきたのだと思うし、
別れ際のあの発言も、自分を信頼しているからこその発言だと思われるからである。
モララーはその期待に応えるために、手に持っていた拳銃を強く持ち直した。
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/27(木) 23:56:57.15 ID:iFvPmS+sO
ノパ⊿゚)「はい。では、行きましょう」
( ・∀・)「……うん!」
ヒートは悪を断つ為に、決して立ち止まらない事を誓い。
モララーは絆を護る為に、己の全力を尽くす事を決意する。
二人はそれぞれの思いを胸に抱き、扉の先へと足を踏み入れた。
―――――――――――――――――
――――――――――
―――
72 : ◆KrvshEaXS2 :2011/01/28(金) 00:01:00.01 ID:x1ge0AFtO
※
(,,゚Д゚)「結構落ちたな……。ここから上に登っていくのは無理そうだ」
ギコは顔を上に向けて独りごちる。
無事に着地はしたものの、もう一度先程の場所へ戻るのは出来なそうだった。
(,,゚Д゚)「ま、モララーが何とかしてくれんだろ。
アイツ危険を回避するのだけはべらぼうに上手いし」
次にギコは視線を壁に向けた。
二、三度ほど、拳の甲の部分で触診するかのように叩いてみる。
(,,゚Д゚)「おおーい! クー! 聞こえるかぁー!!」
彼と同様に落ちたクーへと呼び掛けてみる。
しかし自身の声が反響するだけで、クーからの返事は無かった。
(,,゚Д゚)「やっぱ無理か。落ちた階層すら違うのかもな……」
クーと連絡を取り合うのも諦めたギコは、今いる部屋を改めて見回してみた。
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/28(金) 00:04:40.14 ID:x1ge0AFtO
広さ九畳ほどのその部屋にはベッドが二つ。
あと理科の実験で使うような器具が置かれた棚が四つほど。
まるで病院の一室のような印象を受けるその部屋の最奥に、一つのドアがあった。
どうやら、この部屋を出るにはそのドアを通過しなければならないようだ。
(,,゚Д゚)「やれやれ。どうも誘導されてるようで気に食わねえが……」
ギコはそのドアの前に立つ。
(,,゚Д゚)「ま、出るしかねえよな」
そして、ドアを開けるためドアノブに触れようとした。
―――その時。
75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/28(金) 00:07:26.77 ID:x1ge0AFtO
(,,゚Д゚)「!!?」
思わず、出した手を引っ込める。
目線を、ドアノブから正面に変えた。
勿論まだ開けていないので、視界に映るのは白く無機質なドア以外に無いのだが―――。
(,,゚Д゚)「この、全身を槍でブッ刺されたような強烈な殺気……!」
確かに、いる。
自分の喉を噛み切り、その血で体を赤く染めたがる、飢えた獣が。
この、扉の向こうに。
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/28(金) 00:10:42.79 ID:x1ge0AFtO
しかも、この殺気。
(,,゚Д゚)「どーも身に覚えがあるなぁ」
ギコは髪をぐしゃぐしゃとかき乱す。
(,,゚Д゚)「知っている。俺は知っているぞ、コレを」
ドアノブを回し、ゆっくりと開ける。
キィ、と軋む音を奏でつつ現れたのは、それなりに広い部屋。
戦闘を行うにはちょうどいい広さ、とも言える。
そんな部屋の中央に、『奴』はこちらに顔を向けて座っていた。
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/28(金) 00:14:14.10 ID:x1ge0AFtO
(,,゚Д゚)「よお。生きてたのか? テメエ」
ギコの声に、
「カッ。死なねえよ。俺が死ぬ訳ねえだろ」
その男が返した。
男はのそりと立ち上がる。
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/28(金) 00:18:08.69 ID:x1ge0AFtO
.
_
( ゚∀゚)「テメエの心臓をこの手でえぐり取るまで、死んでたまるかよ」
男の名は『ジョルジュ=クレイジィグレイ』。
狂気と言う名の泥に沈んだ『灰』の牙が、再びギコに襲い掛かろうとしていた。
第13話 おわり
→第14話に続く?
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