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(,,゚Д゚) ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです 第6話-a

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:16:23.12 ID:VWOcDaRuO



  _
( ゚∀゚)「んだよ、やっぱりあのフィレンクトとかいうの、負けてんじゃん」

从'ー'从「ククク……、奴は四天王の内で最弱……。何の問題も無いわ」
  _
( ゚∀゚)「何の話だそりゃ?」

从'ー'从「えへへ~、一度言ってみたかったんだ~」
  _
( ゚∀゚)「……まあ馬鹿はほっといて」

从'ー'从「馬鹿じゃないよ~」


  _
( ゚∀゚)「どうするんだい? は瀬川さんよ」

( ^^ω)「…………」


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:18:02.44 ID:VWOcDaRuO

ジョルジュはは瀬川に問い掛ける。
自分を差し置いて向かったフィレンクトが、
実に呆気なくやられてしまった事に不満を抱いているようだ。

( ^^ω)「彼が負けるのは、まあ予想通りホマ」
  _
( ゚∀゚)「はあ? じゃ何で行かせたんだよ」

( ^^ω)「……『知彼知己者、百戰不殆』」
  _
( ゚∀゚)「あ?」


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:21:16.56 ID:VWOcDaRuO

从'ー'从「孫子だね~。彼を知り、我を知れば百戦危うからず、ってね」
  _
( ゚∀゚)「え? いや、違うだろ。お前そういうキャラ違うだろ」

从'ー'从「さっきから私の扱いが酷いよ~」
  _
( ゚∀゚)「そんなんどうでもいい。つまりどういうこった?」

( ^^ω)「フィレンクトは偵察だった、という事ホマ」
  _
( ゚∀゚)「偵察ぅ? それなら最初に『No』共を仕向けたんじゃねーの?」

( ^^ω)「では聞こう、ジョルジュ」

は瀬川は机に肘を着け、両手を顔の前で組み、ジョルジュを正面に見据える。

( ^^ω)「君はあの二人の実力が『No』如きで測れるとでも思うか?」
  _
( ゚∀゚)「……」

ジョルジュの答えは沈黙。その意は、否定を表す。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:23:06.48 ID:VWOcDaRuO

( ^^ω)「そういう事だ。だからこそ彼らの力を測るため、フィレンクトを向かわせたのだ。
       願わくば一矢報いて欲しかったが、それは欲張り過ぎだったホマ」
  _
( ゚∀゚)「するってえと、つまりフィレンクトの野郎は……」

从'ー'从「捨て駒、って事だね。可哀想なんだよ~」

( ^^ω)「ハハ、可哀想か……。ジョルジュ、君もそう思うかな?
       使い捨てとして扱われるフィレンクトが可哀想だと。
       そして、1対2の勝負に向かわせる私は残虐な男だと」
  _
( ゚∀゚)「思わねえな。1対2だろうが負ける方が悪いんだよ。んで奴らの首を持ち帰った後、
     俺を良いように利用しようとしたお前の首と一緒に並べてやるよ」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:25:07.46 ID:VWOcDaRuO

ジョルジュの口の端が歪む。その目は、暗く濁っている。

( ^^ω)「フフ……。お前のそういうところ、私は好きだホマ」



ジョルジュの顔が真顔に戻る。
  _
( ゚∀゚)「生憎、オッサンに好かれる趣味は持ってねえよ」

吐き捨てるように言葉を紡いだ。



从'ー'从「ところで、次は誰が解決屋さんのところに向かうのかな~?」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:27:10.51 ID:VWOcDaRuO

間延びした声が室内を通り抜ける。
  _
( ゚∀゚)「緊迫感の無え声だ……。まあいい。で、だ。
     様子見は終わったんだ。いよいよ本番だろ?」

ジョルジュの目がギラつきだす。余程、戦場に赴きたいようだ。

( ^^ω)「ふむ。君の期待を裏切るようだが……、実は既に向かわせているホマ」
  _
( ゚∀゚)「ああ!? マジかよ!? どこのどいつだ! また簡単にやられんじゃねーだろうな!?」

从'ー'从「どーどー、興奮しちゃダメだよ~」

( ^^ω)「今度は簡単にはやられないホマ。何せ今回はキチンと―――」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:29:29.67 ID:VWOcDaRuO

                                  .









(,,゚Д゚) ここは解決屋『シルバー&ブラック』本社のようです 川 ゚ -゚)



第6話-a

「―――『2対2』だ」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:31:58.27 ID:VWOcDaRuO




(,,゚Д゚)「よーしクー。今の状況を産業で」

川 ゚ -゚)「『COLOR's』からの招待状に
     誘われるままホイホイと
     ある廃ビルまでやって来ました」

(,,゚Д゚)「よく出来ました。モララーは?」

川 ゚ -゚)「今日もショボンのところで調ky……、もとい訓練中だ」

(,,゚Д゚)「おお……、まあ、頑張れよって感じです」


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:34:29.11 ID:VWOcDaRuO

(,,゚Д゚)「しっかし何でこうも廃ビルばっかなんですかね先生?」

川 ゚ -゚)「そうだな……、まあ一番の理由は一般人の目に付きにくいからだろう。あと先生言うの止めれ」

(,,゚Д゚)「ほうほう。んで他には? 先生」

川 ゚ -゚)「……それと、先のフィレンクトの時もそうだったが、
     ここが敵側にとって都合のいいフィールドだから、というのも考えられる」

(,,゚Д゚)「なるほどなるほど」

川 ゚ -゚)「それと……」

(,,゚Д゚)「それと?」





川 ゚ -゚)「レパートリーが……、無いから……」

(,,゚Д゚)「…………」

川 ゚ -゚)「……敵の、だぞ?」

(,,゚Д゚)「判ってる、判ってるよ……」


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:36:31.32 ID:VWOcDaRuO

二人はビルの内部を散策する。今回は、前回のような矢印での案内は無いみたいだ。

しばらく辺りを見て回っていると、ギコが口を開いた。

(,,゚Д゚)「つーかこのビルやけに部屋が多くね?」

川 ゚ -゚)「ふむ。部屋が多い、というよりは、変わった構造をしていると言った方がしっくりくる」

クーの言う通り、このビルの造りは妙だ。
廊下がほぼ無いのだ。

部屋と部屋が扉一枚で隔たれており、先へ進むには用の無い部屋を通過しなくてはいけない。
部屋が多いとギコが感じたのはこの為だ。


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:39:02.40 ID:VWOcDaRuO

(,,゚Д゚)「なーんでこんな面倒くさい造り方するかね?」

川 ゚ -゚)「限られた面積の中でより部屋を広くしようとした結果なのかもしれんな」

(,,゚Д゚)「そんな誰ぞの都合なんてどーでもいいんだよ。
     今! 現在! 俺が困っているのが大事なんだ」

川 ゚ -゚)「自分勝手な奴だ。……とは言え、確かにわざわざ扉を開閉するのは骨が折れるな」

ぶー垂れてるギコを尻目に、クーはもう何度目になるか判らないドアの開閉を行う。





突如、扉の向こうから紫色の煙のようなものが噴射された。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:42:46.61 ID:VWOcDaRuO

川;゚ -゚)「!!?」

(,,゚Д゚)「! クー!」

正体不明の煙を浴びせられたクーの下にギコが駆け寄る。

しかし、辿り着く前に、二人の間に丸い物体が投げつけられる。
地面に落ちたそれは瞬く間に白い煙を吐き出し、部屋を満たす。

目の前が、白一色になる。他には何も見えなくなった。

(,,゚Д゚)「チッ! おい、クー!」

ギコはそれでもクーに近付こうとする。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:45:54.50 ID:VWOcDaRuO

だが。





(=゚д゚)「ヒャオオオオッッ!!」

(,,゚Д゚)「っッ!!」

突如、煙の中から男が現れる。そして、手にしたトンファーを袈裟に振り下ろしてきた。

ギコは最速の動作で腕に鎖を巻き、ガードする。
しかしとっさの事で反撃に移れない。

その隙を突いた目の前の男はギコの胸倉を掴むと―――

(=゚д゚)「シィィイイイヤッ!!」

片手でギコを地面と平行にぶん投げた。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:48:03.63 ID:VWOcDaRuO

(,,゚Д゚)「おわっ!」

真横に飛ばされるギコ。
そして行き着いた先は。



(,,゚Д゚)「え?」

外だった。
ギコは窓のガラスを突き破り空へと放られた。



(;゚Д゚)「ちょ、マジかよっ!!」

ここは何階だったかギコは覚えていなかったが、
普通の人間なら命が危ぶまれる程度の高さはゆうにある事は判っていた。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:50:12.05 ID:VWOcDaRuO

(,,゚Д゚)「あーもう! 何でこんな短い期間に二度もビルから落ちないといけねーんだよ!?」

ギコは大声で愚痴りながら下の階の窓へと鎖を飛ばす。

鎖がビルの中の何かに巻き付き固定されたのを確認すると、
引っ張って自分の体をビルの中に滑り込ませた。

その数瞬後、ギコに追って先程の男も同じ窓から入り込む。

手を着いて着地した男は立ち上がり、ギコに話しかけてきた。



(=゚д゚)「オイラ流の挨拶はどうだったラギ?」

(,,゚Д゚)「まあ、どうだったと言われれば」

(=゚д゚)「言われれば?」

(,,゚Д゚)「最悪だったと言わざるを得ない」


28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:52:21.65 ID:VWOcDaRuO

(=゚д゚)「そうラギか。そいつは何よりラギ」

(,,゚Д゚)「そうか。残念ながら俺とお前は一生分かり合えないらしい」

(=゚д゚)「もっと努力してみてからでも遅くないラギよ?」

(,,゚Д゚)「そんな努力なんざしたくねぇよ」

(=゚д゚)「同意ラギ」

(,,゚Д゚)「何だ分かり合えたな、俺ら」

(=゚д゚)「喜ばしい事ラギ」

(,,゚Д゚)「じゃあ親睦の証として好きなものをあげよう。何がいい?」

(=゚д゚)「お前の命」

(,,゚Д゚)「やっぱり分かり合えないな、俺ら」

(=゚д゚)「残念ラギ」


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:54:17.29 ID:VWOcDaRuO

(,,゚Д゚)「しっかしいきなり外に投げ飛ばす事はないんじゃね?」

(=゚д゚)「あの場所にずっといたら危なかったラギよ?」

(,,゚Д゚)「ほう、そのこころは?」



(=゚д゚)「『アイツ』と一緒に戦ったらコッチまで巻き添えをくらうって事ラギ」



(,,゚Д゚)「……成る程ね。『1対1』って訳ね」

(=゚д゚)「お察しの通りラギ」


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:56:40.27 ID:VWOcDaRuO

(,,゚Д゚)「さて、さっきの発言だが」

(=゚д゚)「ラギ?」

(,,゚Д゚)「『あのままあそこにいたら危ない』って事は、だ」

ギコはニヤリと笑い、



(,,゚Д゚)「コッチは安全なのかな?」

その言葉を受けた男は、ギコと同じ様にニタリと目を細めて笑い、



(=゚д゚)「こっちはコッチで、デンジャラスだラギ」

右手は先程のトンファー、左手は腰に手をやり、
右手のものと全く同じトンファーを取り出し、構えた。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 21:58:32.15 ID:VWOcDaRuO




川 ゚ -゚)「煙が、晴れてきたな……」

クーはぼんやりと見えだした辺りを軽く見渡す。

今さっき、ガラスが割れる音が聞こえた。
そしてその前後の音から推測するに、ギコは窓から落とされたらしい。

まあギコなら問題ないだろうと思ったクーは、取り敢えず下に向かうべきだろうと考える。
ギコの後を追って窓から何者かが出て行ったのも感知していたからだ。

川 ゚ -゚)「まあ、それも全部」

煙が無くなっていく。窓が開かれたせいか、どんどん視界がクリアになる。

そしてクーの正面には。





( ‘∀‘)「あら、こんにちは」

川 ゚ -゚)「お前を倒した後、だな」

艶やかに微笑みかける女性が立っていた。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:00:49.02 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)「私の相手はお前か?」

( ‘∀‘)「ええ、そうよ。もう一人のターゲット、
       『銀』の方は私のパートナーが行っているわ」

川 ゚ -゚)「パートナー、か。そう言う割には1対1で戦うんだな」

( ‘∀‘)「……」

川 ゚ -゚)「サシでの勝負なら負けないとでも思ったか?
     その様な温い考え、この拳で叩き割ってやろう」

そう言い放って、クーは戦闘態勢に入る。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:03:02.78 ID:VWOcDaRuO

( ‘∀‘)「あらあら、怖いわね」

それに答える女性。口ではそう言っているものの、その表情には余裕が見られる。

( ‘∀‘)「余りにも怖いから、ちょっと助っ人でも呼ぼうかしら」

その発言のすぐ後、女性と対面するクーの背後に、第三者の気配が現れた。

川 ゚ -゚)「!」

それに気付いたクーが、すぐさま後ろを振り向く。すると其処には。





川 ゚ -゚)「な……?」





( ‘∀‘)「あら、こんにちは」



自分の目の前に立っていた女性が、『後ろにも』いた。


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:05:19.74 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)「これは……?」

慌てて前に向き直る。すると確かに其処には女性がいる。
瞬間移動をしている訳ではない。紛れもなく同じ部屋に同じ人間が二人いる。

川 ゚ -゚)「双子か?」

思わずこぼれたクーの疑問に、二人の女性は答え出す。

( ‘∀‘)「双子か、ですって?」

( ‘∀‘)「残念、不正解よ」

「「そう、何故なら」」





「「私達も、いるからね」」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:07:29.45 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)「!?」

クーの耳に届いたのは、前後の女性の声とは別に、新たに左右から声が一つずつ。

そして、クーは。



( ‘∀‘)

( ‘∀‘)

( ‘∀‘)

( ‘∀‘)



四人の、見た目が全く同じ女性に囲まれてしまった。


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:09:22.66 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)「…………」

クーは判断する。
これはもう、四つ子とかそういうのでは無い。
これこそがこの女の『能力』なのだ、と。



ふと、場の空気が変わる。同時に四人の女性に変化が起こる。

その髪、その目が黒から『紫』に変わっていく。


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:11:32.89 ID:VWOcDaRuO

やがてその変化は終わり、クーの正面に立つ女性が語り出す。



( ‘∀‘)「私の名前はガナー=パープルヘイズ。『COLOR's』の一人で、『紫』よ」

未だその笑みは崩さず、そして『彼女たち』は構え出す。
その動作―――手や足の動き、重心の移動も全く同時に、同一に。





「「「「さあ、私を楽しませてね」」」」

四方から放たれた声は中央で重なり、クーの耳へと届いた。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:13:26.79 ID:VWOcDaRuO

「「「「じゃあ始めましょう!」」」」

川 ゚ -゚)「チィッ!」

四方向から一斉に襲いかかってくるガナー。

この位置のままでは不利と判断したクーは包囲網からの離脱を試みる。

川 ゚ -゚)(何とか隙間を狙って……)

僅かな隙間を突いてクーが飛び出そうとするが。

「「させないわ!」」

直ぐに近くのガナーたちが隙間を埋めるようにしてクーの進路を防ぎ、押し返す。


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:15:42.86 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)「くっ! やはりそう易々とは通してはくれないか……」

( ‘∀‘)「当たり前ね。有利な状況を自分から逃す愚か者なんていないわ」

川 ゚ -゚)「ああ、その通りだな」

それから数度、試してみるも彼女らはそれを許さなかった。
彼女らはこの陣形を崩さない事を第一として置いているようだ。

川 ゚ -゚)(これほど守りが固いとなると、抜け出すのはほぼ無理、か)

何せ1対4なのだ。相手も素人でない以上、簡単に出来るものではない。

川 ゚ -゚)(1対4では無理というなら)



川 ゚ -゚)(どうにか一人だけでも行動不能にさせるしかない……!)


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:17:59.82 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)(幸いコイツらの動きは大したものではない。
     とは言え厳しいのは事実だが、やるしかあるまい)

ひとまずは回避行動に専念する。ここは耐え続け、反撃のチャンスを見つけ出すべき。
クーはそう決意する。



四方から、前後左右から拳や足が飛んでくる。

それを躱し、いなし、捌く。洗練されたその体の動きはさながら踊っているかのように華麗だ。


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:20:04.25 ID:VWOcDaRuO

( ‘∀‘)「あら、お上手」

川 ゚ -゚)「お褒めに与り至極光栄に存じます、マドモアゼル」

( ‘∀‘)「ご丁寧にどうも。棒読みじゃなきゃ、もっと嬉しかったわ」

軽口を叩き合いながらも、攻防の激しさは少しも衰えることはない。



そしてついにその時は来た。
ガナーたちの内の二人の体が、互いにぶつかりそうになったのだ。


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:22:03.06 ID:VWOcDaRuO

そもそもあまり広くない室内。今までその様な事が起きなかった方がおかしかったのだ。
それが無かったのはガナーの技量によるものだったのだろうが、遂に発生してしまう。

二人はぶつからないように、反射的に少しの間立ち止まった。
それはほんの少しの時間で、隙とは呼べないようなもの。

それでも、クーにとっては充分だった。



川 ゚ -゚)「そこだ!」

クーの右足は最短距離の道を進んで、一人の頭を吹き飛ばさんとばかりに襲撃し―――


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:24:09.16 ID:VWOcDaRuO

それは、外れた。



川;゚ -゚)「な……!?」

いや、外れたというのも違う。

当たった。
クーの足は確かに相手を捉えていたのだ。



なのに、





―――『すり抜けた』。



そこに敵の顔を視認していたというのに、まるで煙を蹴ったかのように。

何の感触もなく、クーの足はガナーの頭をすり抜けていった。


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:26:32.14 ID:VWOcDaRuO

一体何が起きたのか。
これもガナーの能力の一部なのか。
クーにはその理由を知ることは出来なかった。

ただ、結果としてクーの蹴りは空振りになり。



( ‘∀‘)「それじゃ、ファースト・アタックはいただきね」

つまりそれは大きな隙を生み出す事となる―――!

川;゚ -゚)「ぐあぁっ!」

横薙ぎの拳がクーの肋骨辺りに突き刺さった。


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:28:52.63 ID:VWOcDaRuO

軽く体が飛ばされる。
何とかダウンするのは避けられたが。

川;゚ -゚)(マトモに受けてしまったか)

クーの胴体部分は金属ではない、肉と血で出来ている人間の体だ。
普通の人間の体よりは耐久力があるものの、それでもかなりのダメージを受けてしまった。

( ‘∀‘)「うふふ、そのダメージじゃさっきのように
       完璧に避け続けるなんて事は出来ないんじゃない?」

川 ゚ -゚)「……さて、な」

( ‘∀‘)「じゃあ試してみましょうか」

再び四人はクーに襲いかかる。陣形を崩さない事も無論、忘れずに。


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:31:02.87 ID:VWOcDaRuO

一方的な攻防が再開する。迫り来る打撃の嵐をかいくぐっていく。

しかし。

川;゚ -゚)「っっ……!」

先程のダメージが尾を引いて動きが鈍る。そこに容赦なく拳が放たれる。

川;゚ -゚)「くうっ!」

被弾。
直撃は免れたが、それでも血が飛び散る。
しかし立ち止まる訳にはいかない。すぐさま体勢を立て直し、防御に徹する。

今はとにかく耐え続けなくてはいけない。



川 ゚ -゚)(……いや、耐えているだけじゃ駄目だ。何とかして打破しなくては)


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:33:16.53 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)(まず、何故私の攻撃が届かなかったのか。その謎を解かねば勝ち目は無い)

川 ゚ -゚)(少し確かめてみよう)

クーはそう言うと、自分の着ているカッターシャツの胸元に手をやる。
そこのボタンを引き千切ると手の中に収め、しばし時間を置く。
そして気付かれないようにして、そっとボタンを一人のガナーに向けて飛ばした。

ボタンはガナーの足下へと飛んでいき、当然かのように再びすり抜けていった。

川 ゚ -゚)(やはり、か。実体ではない?)

そもそも全く同じ人間が四人いる事が異常なのだ。それを考えると―――

川 ゚ -゚)(本物は一人で残り三人は虚像、といったところかな?)


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:35:03.51 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)(いや、だが実際には一人というのなら攻撃も一人分しかないはず。なのに……)

クーは真っ直ぐ向かってくる拳に対し、手を使っていなす。
その際、確かに手に相手の体温を感じていた。

川 ゚ -゚)(この四人から放たれる攻撃は間違い無く本物だが……、どういう事だ?
     こちらの攻撃は通さずに、自分の攻撃だけは通す。いったいどんなカラクリを……)

クーが思考の海に沈んでいると、ふと背後から敵の気配を感じる。

川 ゚ -゚)(っと、いかん。考えに集中しすぎたか)

こちらに向かう拳を捌くため、クーは振り返るが。


70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:37:02.86 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)「!!?」

捌ききれずにバランスを大きく崩す。その隙を狙って追撃が繰り出される。

川 ゚ -゚)「っ!」

体を無理に捻ることで間一髪で回避できた。すぐさま呼吸を整えて敵の攻めに対応する。

川;゚ -゚)「ぐ、む……!」

急に体を動かした為か、全身に激痛が走る。肋骨のダメージはなかなか癒えない。



( ‘∀‘)「あらら、辛そうね。大丈夫?」


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:39:25.08 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)「ふん、余裕のつもりか? 過信は身を滅ぼすぞ」

( ‘∀‘)「まあ、ご忠告ありがとうね」

軽口を交わしながらも戦闘は続くが、クーの意識は別のところを向いていた。



川 ゚ -゚)(何だったんだ、今のは……?)

川 ゚ -゚)(何か、強烈な違和感を覚えた。覚えたんだが……)

その正体が掴めない。しかしクーはどこか確信めいたものを感じ取っていた。



その違和感こそが、この状況を打ち破る為の『鍵』であるのだと。


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:41:39.10 ID:VWOcDaRuO

川 ゚ -゚)(いったい何が……。何かが決定的に不自然なんだ)



川;゚ -゚)(くっ、判らない。答えはもう目の前に有るはずなのに……)

クーは解けない問題を前にして、停滞していた。
この追いつめられた状況で、それは焦りを生み出し。

その焦りは、クーの行動を鈍らせた。



川 ゚ -゚)「!!」

敵の拳がクーの目の上を掠る。そこから少量の血が流れ、両目に流れ落ちる。

クーは目を閉じる事を余技無くされた。


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:43:33.22 ID:VWOcDaRuO

川;- _-)(しまった、視界が……)

目を封じられたクー。緊急的に他の感覚を総動員して敵の気配を探る。

川;- _-)(早く……、目を開けないと)

耳で聞き、肌で感じて相手の位置・行動を把握する。
記憶が風化するほどの回数の戦闘を経験したクーだからこそ出来るテクニックだ。

川;- _-)(よし、敵の位置は判る。目も……、もう大丈夫だ)

クーは大方敵の動向を掌握する。これで敵の攻撃にも対応出来る。

そして、クーは目を開いた。


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/05(日) 22:45:40.04 ID:VWOcDaRuO

視力を取り戻したクーの前に現れたのは。



川 ゚ -゚)「え……?」



混乱。



硬直したクーに飛び込んでくる拳。



それを何の抵抗もなく受け入れ、体は数メートル宙を舞い、無残に地面を転がった。



第6話-a おわり


→第6話-bに続く?



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