( ^ω^)が歌手になりたいようです-第一部

その日いつものようにブーンはドクオと一緒にカフェに来ていた。 

ウエイトレス「ご注文は?」 

('A`)「アメリカン」 

( ^ω^)「オレンジジュースお願いしますお」 

ウエイトレス「かしこまりました。少々お待ち下さい」 

('A`)「とうとう俺たちも4月から3年だな・・・今年の終わりには就職活動か・・・」 

ドクオがため息をつく。今年の4月から二人はVIP大学の3年生になる。 

( ^ω^)「まったく月日がたつのは早いお。ドクオは将来の希望とかあるのかお?」 

('A`)「俺?俺はまあ、とりあえず無難に銀行勤めでもできりゃ万々歳かなとか思ってるけど 
今就職難だしな。最悪どこでもいいから就職できりゃそれで満足だよ。」 

( ^ω^)「うはwwww相変わらずドクオは夢も希望もないお」 

('A`)「ほっとけよ・・・ブーンはどうなんだ?」 

( ^ω^)「僕かお?僕は・・・」 

今までへらへらしていたブーンの顔つきが変わった。それにドクオは少し戸惑う。 

('A`)「な、なんだよ急に真面目になって」 

( ^ω^)「実は・・・僕は、僕は歌手になりたいんだお」 

ブーンのあまりに厨房な発言にドクオは一瞬言葉を失った。 

('A`)「ちょwwwwwは!?え!?それはガチで言ってるのか!?」 

( ^ω^)「ガチもガチ。おおガチだお。僕は真剣なんだお」 

('A`)「マジかよ・・・まあおまえ音楽大好きだもんな・・・」 

( ^ω^)「もう音楽は僕の生きがいなんだお。」 

('A`)「そうかあ・・・いきなりだけどなんだか思い出すなあ・・・あれやこれや・・・」 

( ^ω^)「ちょwwwwかってに回想シーンに入るなおwwww」 

('A`) <推奨BGM ムーンリバー 

ドクオとブーンが初めて出会った日のは大学1年の5月の事だった。 
念願のVIP大学にどうにか補欠で入学できたのはいいが人見知りが激しいためまったく友達ができなかった。 
そして気がつけば周りはもうグループで固まっていてドクオは完全にあぶれてしまった。 

('A`)「あーあ・・・大学じゃたくさん友達できてサークルにも入ってそこで彼女ができたりして 
念願のセクロスができると思ってたのにな・・・やっぱ現実はそう甘くないよな・・・」 
そんな事を考えながらドクオは授業を受けていた。 
大学は高校と違いとても広い部屋で授業を行っている。この教室だけで300人以上の人間が授業を受けていた。 

('A`)「・・・」 
ドクオはごそごそと鞄から持ち運び用の小型CDプレーヤーを取り出した。 

('A`)「俺、真ん中の方にいるし・・・先生こっち見てないし・・・大丈夫だよな・・・」 

そう自分に言い聞かせ、ちょうど今朝買ってきたCDをだす。 

('∀`)「うえへへへ・・・」 

どうやらドクオはもう授業を放棄し、CDに没頭しようと決めたらしい。

 たいていの子供は中学生くらいから音楽を聴くようになる。 

ドクオも中学くらいから音楽を聴くようになった。その頃はSMステーションやOH!OH!YES!などの人気音楽番組を欠かさず 
観ていて人気フォークデュオ「もず」や人気バンド「ラノレク」「グロイ」等を聴いていた。 
その他にもオリコン上位の曲は何でも聴いていた。 
みんなと話が合うように、みんなと友達になれるように。 
しかしドクオは徐々にオリコンには興味を示さなくなった。 
CD屋で視聴したりラジオを聴いたりして自分が良いと思った音楽だけを聴くようになった。 
人と話を合わすために音楽を聴くのはおかしいし、音楽に対して失礼だと気づいたからである。 
そうして次第にドクオはマイノリティな邦楽ロックを聴くようになり、それに伴い友達は少なくなっていた。 
でもドクオは気にしなかった。音楽があったから。 
人と話を合わせたいというだけの理由で聴いていた音楽は、いつしかドクオにとっての支えになっていた。 

('A`)「友達なんかいなくたって音楽があれば俺はやっていけるよ・・・」 
そんな事を考えながらドクオは音楽に身をまかせていた。その時・・・ 

ぽんっ。 

('A`)「おうっ!?」 

急に肩を叩かれドクオは我に返る。 

( ^ω^)「ほい。プリントだお。後ろから回ってきたお。」 

('A`)「あ、ああ・・・すんません・・・」 

プリントを受け取ったとき、ふとその顔に見覚えがあるのを思い出した。 
そしてそれは向こうも同じようだった。

( ^ω^)「あれ?君見たことあるお。もしかして同じ科の子かお?」 

('A`)「え・・・俺はエロゲ科っすけど・・・」 

( ^ω^)「やっぱり!僕もエロゲ科だお!」 

ああ、だから見たことあったのかとドクオは納得した。 

( ^ω^)「奇遇だお。ってあっ!?そのCD!!ワロカンの今日発売のやつだお!?」 

ブーンは半ば興奮気味にドクオの机に置いてあるCDを指す 

('A`)「えっ。ワロカン知ってる!?」 

ワロカンとはワロスンカンフージャナレーションの愛称で今でこそ大人気バンドであるが 
当時はまだまだマイナーな存在であった。 

( ^ω^)「知ってるも何もミニアルバム崩壊アンヤメテの時からの大ファンだお。君は?」 

('∀`)「お、俺も!俺も崩壊からファンになったんだ!」 

( ^ω^)「うはwwww結婚ktkrwwwwwwww僕は内藤ホライゾンだお。ブーンでいいお。」 

('∀`)「じゃ俺はドクオで」 

( ^ω^)「おし。ドクオ、2限終わったら一緒に昼食べるお。学食行こう。」 

それから授業の終わったあと二人は学食へ向かった。 
そして二人で好きなミュージシャン達を言っていったらなんとほとんど同じ人たちであった。 
それ以来二人は大の仲良しとなったのだ。 

ウエイトレス「お待たせいたしまいたご主人様。アメリカンとオレンジジュースです。」 

ウエイトレスが飲み物を持ってきてやっとドクオは回想から戻ってきた。 

( ^ω^)「でさ・・・」 

('A`)「なに?」 

( ^ω^)「欲を言えば僕はドクオと一緒にバンド組みたいお」

('A`)「マジかよ。てかバンドは2人じゃ機能しないだろうが。 
せめてあと1人いなきゃ。しかも俺音楽はやるより聴くほうが好きだし」 

ドクオがそういうとブーンは「やっぱりな」とでも言いいたげな顔をした。 

( ^ω^)「・・・そういうと思ったお。一人じゃ寂しいから万に一つの可能性をかけて言ってみただけだお」 

('A`)「そうか良かった。そういえば俺お前の歌聴いたことないけど歌うまいの? 
歌は音程じゃなくて心だおとか言ったらブン殴るぞ」 

ブーンとドクオはいつも一緒にいて 
ライブやイベントに行ったりしていのだがカラオケ等は行ったことがなかった。 
しかも二人とも音楽が好きな割には普段から鼻歌すら歌わないので 
お互いの歌声を聴いたことがなかったのだ。 

( ^ω^)「自分ではうまいかどうか分からんけど唯一ブーンする事以外でみんなから褒められたのが実は歌なんだお」 

('A`)「お世辞とかではなくてか?」 

( ^ω^)「僕が今までお世辞でも褒められた事があったかお?」 

('A`)「・・・スマン」 

( ^ω^)「謝らなくていいお。こっちが辛いお。」 

('A`)「しかしいつから歌手になりたいと思ってたんだ?おまえ全然そんな素振りみせてなかったよな?」 

( ^ω^)「高校の時からだお。音楽聴き始めたのもそれからだお。」 

('A`)「だけど・・・へぇ・・・歌手か・・・ブーンぽいっつったらぽいけどな・・・」 

そう言ってドクオはぼんやりとウエイトレスを眺めていた。 

( ^ω^)「こんな事言ったのドクオだけだお。恥ずかしいから内緒にしてくれお。」 

('A`)「安心しろよ。俺おまえとあとネコぐらいしか友達いないから。」 

( ^ω^)「そういえばそうだお。安心したお。持つべきものは友達のいない友達だお」 

('A`)「ちょwwおまえだって俺しか友達いねえじゃねえか!」 

( ^ω^)「バーローwwwww僕はもうあと2人ほどいるおwwww」 

それから小1時間ほど二人でバカな話をした後、カフェから出て二人は別れた。 

('A`)「じゃな。・・・なんつーか、ガンガレ」 

( ^ω^)ノシ「ガンガルおwwwサンキュ。ばいばいおー」

その夜、家に着いたブーンは部屋で悶々としていた。 

( ^ω^)「はあ・・・とうとうドクオに打ち明けてしまったお。もう後にはひけないお。」 

( ^ω^)「あああ、なんかこっ恥ずかしくなってきたお。こんな時はCDでもきくお。」 

そんな独り言を呟きながらブーンはコンポにCDを入れた。 
印象的なギターソロが始まり、そこからベース、ドラムが重なり爆音となりブーンの耳に届く。 

( ^ω^)「うはwwwwwwやっぱブンバーガールは最高だお。」 

ブンバーガールとは2002年に解散してしまった伝説のロックバンドでありニュー速市で行われた 
ラストライブは未だに語り継がれている今もなおファンの多いバンドである。 
ブーンが世界で一番好きなバンドだ。 

( ^ω^)「右肩!エロゲが!張り付き!ヤバスー!!!!!」 

CDと一緒にブーンが歌いだす。歌ってるときがブーンは何よりも楽しかった。生きていると思った。 
一生歌っていたい。そう思っていた。 

( ^ω^)「歌は最高だお。僕が今元気なのも歌があったお陰だお。」 
ブーンはふと高校時代を思い出していた。 

 高校の時、ブーンにはショボンとギコという二人の親友がいた。 
あいにく大学は離れてしまったが中学から高校までずっと一緒にいた。今でもこの二人とは仲がいい。 
ブーンはいつもショボンとギコの3人でいた。今のドクオとそうであるように。 
ショボンは優しく頭脳明晰。運動神経もバツグンで生徒会長までやっていた。 
ギコは口調は荒いがリーダーシップがあり、運動部で主将もやっていて二人とも大変人気があった。 
一方ブーンは走るのは早いが他はとくにこれといった特徴もなくどちらかというと落ちこぼれでタイプであった。 
しかし3人はそんな事気にせず楽しくやっていた。 
だが、そんな3人の関係を妬ましく思っているのもクラスに少なからずいた。 
「なんであんな落ちこぼれが人気者二人とつるんでるんだ?」そう思う人間がいたのである。 

そしてそれは、ある日起こってしまったのだ。 

<ヽ`∀´>「おはようニダ、内藤君」 

( ^ω^)「ニダー君。おはようだお」 

<ヽ`∀´>「あれ?ショボン君とギコ君は?今日は一緒に来てないニダね。」 

( ^ω^)「ショボンは生徒会の集まりでギコは朝練で今日は二人とも早いんだお」 

<ヽ`∀´>「へえ。そうニダか」 

ニダーはクラスであまり目立たない方だった。ブーンともめったに話さなかった。 
そしてニダーはショボンに憧れていた。何でもできて心優しいショボンになりたいとすら思っていた。 
仲良くなりたいと思ったが内気なニダーはなかなかショボンに話しかける事ができなかった。 
そして彼はいつも思っている事があった。 
「なんで内藤なんかがショボン君やギコ君と仲が良いんだ。あいつにはなんのとりえもないくせに」と。 
日に日にその思いは増していき、いつしかニダーは本気でブーンを憎むようになった。 
「あいつをズタズタにしてやる。」そう思うまでになってしまった。 
しかし暴力を振るったらすぐに誰がやったかバレてしまう。 
そしたらショボン君に嫌われてしまう。だから、ココロを、精神をズタズタにしてやろう。 
そう彼は考えていた。 

<ヽ`∀´>「ところで内藤君、聞きたいことがあるニダけど・・・」 

( ^ω^)「うん?なんだお?」 

<ヽ`∀´>「そのショボン君とギコ君の事ニダ。」 

( ^ω^)「あいつらがどうかしたのかお?」 

「あいつら」 
ブーンがそう呼んだのがニダーは気に入らなかった。 

<ヽ`∀´>「なれなれしくあいつらなんて言うんじゃないニダ・・・」 

( ^ω^)「え?何?聞こえなかったお?」 

<ヽ`∀´>「あ、ああごめんニダ。カムサムニダ」 

ハッとニダーは我に返る。どうやらつい声に出してしまったようだ。 
幸い小声だったようで聞こえていなくて良かった。もし聞こえていたら 
自分がブーンを嫌っている事がばれてしまう。それは避けなければ。 

<ヽ`∀´>「あのさ、内藤君、あの二人に何かしたニダか?」 

( ^ω^)「へ?うーん。特になにもしてないと思うお。普通に喋ってるだけだお。」 

<ヽ`∀´>「なーんだ、そっかーやっぱり僕の聞き違いだったニダね。」 

そういってニダーはほっと胸をなでおろした。もちろん、それは全て演技なのだが。 

( ^ω^)「聞き間違い?どういうことだお?」 

<ヽ`∀´>「え!?いや、なんでもないニダ!こっちのこと!アイゴーアイゴー!」 

わざとらしくニダーは慌ててみせる。その素振りがますますブーンは気になった。 

( ^ω^)「なんだお?気になるお。」 

<ヽ`∀´>「いや実はさ、僕昨日聞いちゃったニダ・・」 

( ^ω^)「?」 

<ヽ`∀´>「二人が内藤君の事をむかつくとかなんとか言ってたニダ」 

( ^ω^)「え!?二人が!?」 

<ヽ`∀´>「い、いや、でも多分さっきも言ったけど僕の聞き違いニダよ! 
だって内藤君何もしてないニダろ?だったら言うハズがないニダ。」 

( ^ω^)「・・・うん・・・」 

<ヽ`∀´>「元気だすニダ。ぜったい僕の聞き違いニダ。 
それによく考えたらあの二人が内藤君の悪口言うわけないニダ。 
変なこといって悪かったニダ。謝罪するニダ。」 

(´・ω・`)「おはよ」 

(゚Д゚)「おっす。」 

ガラっと教室の戸が開きギコとショボンが入ってきた。 

( ^ω^)「あ・・・おはようだお・・・」 

(´・ω・`)「?」 

<ヽ`∀´>「ギコ君、ショボン君おはようニダ!」 

(゚Д゚)「ああ、ハヨー」 

(´・ω・`)「ニダー君おはよう」 

<ヽ`∀´>「じゃ内藤君、またニダ!」 

そう言い残しニダーは自分の席に戻っていった。 

(゚Д゚)「ニダーと話してるなんて珍しいな。やっとお前にも俺ら以外にダチできたかww」 

( ^ω^)「・・・」 

(´・ω・`)「どうした?なんか元気ないぞ。」 

(゚Д゚)「・・・腹でも壊したか?」 

二人が心配そうに聞いてくる。 

( ^ω^)「な、なんでもないお!ちょっと二人で鬼畜エロゲについて語ってて 
あまりにも燃え上がったから疲れちゃったんだお!」 

ブーンは不安を悟られないよう明るくふるまった。 

(゚Д゚)「おまwwww朝からそんなヘビーな話してんなよwwww」 

(´・ω・`)「はは。エロゲ話でそこまで疲れるなんてバカだなww」 

( ^ω^)「無駄な心配かけてゴメンだお。そろそろ予鈴だから席着くといいお」 

(゚Д゚)「お。ヤベ、早く席着かないと担任うるせんだよな。」 

(´・ω・`)「じゃブーン、授業中寝るなよ。」 

二人がそう言って席に着くのをブーンは複雑な気持ちで見つめていた。 

( ^ω^)「(二人が僕にムカつくなんてそんな事はないお。仮にそうだとしても 
ギコはハッキリしてるから僕が何かしたらその場で怒鳴られてるはずだし 
ショボンだって注意してくれるはずだお。やっぱりニダー君の聞き間違いだお。)」 

ブーンはそう自分に言い聞かせたが頭の中ではニダーの言葉がこびりついて離れなかった。 

「二人が内藤君の事をムカつくとかなんとか言ってて・・・」 

( ^ω^)「(・・・聞き間違いに・・・決まってる・・・お・・・)」 

 小学校までブーンはいじめにあっていて友達がいなかった。 
何をしても笑われた。聞こえるように悪口を言われた。 
1年から6年まで、ずっとずっとそうだった。 
原因は分からなかったが、いじめなど得てしてそんなものだろう。 
おそらくこんな日が死ぬまでずっと続くのだろう。ブーンはいつもそんな事を考えていた。 
しかし中学にあがりギコとショボンにであった。 
二人はその時からとても人気があった。 
そしてどういう訳か気づけばいつもブーンのそばにいてくれた。 
二人に出会ってからいじめもなくなった。笑えるようになった。 
3人でいるのがとても心地よかった。 
ブーンは二人が大切で大切でしかたなかった。 
その二人にもし嫌われたら・・・そう思うだけでブーンは目の前が真っ暗になった。

その時ニダーはこみ上げる笑いを抑えるのに必死だった。 

<ヽ`∀´>「(ニダニダニダwwwwあんなにうまくいくと思わなかったニダ。顔真っ青にしちゃってたニダwwww 
やっぱり日本人はバカニダwwwwwww)」 

あまりにもあっさりだまされたブーンが面白くてしかたないようだった。 
そしてそんなニダーをみてショボンはふと考えた。 

(´・ω・`)「・・・(あいつ・・・ブーンに何か言った・・・?いや、でも決め付けるのはまだな・・・)」 

ショボンは前々からなんとなく気づいていた。ニダーがブーンを嫌っていることに。 
だから今朝二人が話していて、その時ブーンの様子がおかしいのが非常に気になったのだ。 

(´・ω・`)「(ブーン・・・ぜったい嘘ついてるよな・・・)」 

ニダーに何を言われたのかはともかく、ブーンが嘘をついてるのは確信していた。 
なぜならブーンは鬼畜エロゲーが嫌いだからである。 
最終痴漢電車よりも姉、ちゃんとしようよが好きだからである。 

(´・ω・`)「(ニダーか・・・気をつけないとな・・・)」 

それから1ヶ月後の休み時間・・・ 

(゚Д゚)「(ふうー50分我慢した後の立ちションは最高だぜ・・・)」 

(゚Д゚)「(にしても最近ブーン元気ないよな・・・)」 

(゚Д゚)「(あんまこういう考え方したくねえけど・・・最近ニダーと話すようになってからなんだよな・・・)」 

あの日以来、ニダーとブーンが話しているのをよく見かけるようになった。 
そしてあの日以来、ブーンは目に見えて元気がなくなっていった。 

<ヽ`∀´>「あ、ギコ君。」 

ギコが用をたしているとニダーが入ってきた。 

(゚Д゚)「・・・お、おう、ニダー」 

<ヽ`∀´>「ふう〜。トイレマンセー。」 

(゚Д゚)「な、ニダー。」 

<ヽ`∀´>「ニダ?なにニダか?」 

(゚Д゚)「お前最近ブーンと仲良いよな。」 

自分でも唐突だと思ったが他に話の切り口が思い浮かばなかった。 

<ヽ`∀´>「仲良いっていうか・・・、まあよく話しはするニダね。」 

その言い方がギコは少し気になったがそのまま話を続ける。 

(゚Д゚)「じゃお前もブーンの元気がないことに気づいてるだろ?」 

<ヽ`∀´>「ギコ君も気づいてたニダ?うん・・・僕も気になってたニダ。」 

(゚Д゚)「なんでかお前、原因知ってるか?」 

ギコがそういうと、ニダーはひどく気まずそうな顔をした。 

(゚Д゚)「なんだよ。お前ブーンからなにか聞いてるのか?」 

ギコがニダーにつめよる。 

<ヽ`∀´>「まあ・・・いや、でもギコ君は聞かないほうがいいニダ。」 

(゚Д゚)「なんでだよ。教えてくれよ。俺やショボンが聞いてもあいつ何も言わないんだ。なあ、頼む。」 

ギコがそういうとニダーは仕方なく、といった感じで話し出した。 

<ヽ`∀´>「実は、内藤君は二人の事で悩んでるニダ。」 

(゚Д゚)「えっ?俺らのことで!?」 

ニダーはこくりとうなずく。ギコは驚きを隠せなかった。 

<ヽ`∀´>「最近二人にたいしてすごくイライラしてる。そう言ってたニダ。 
そして僕は今ブーン君の悩みを聞いているニダ」 

(゚Д゚)「・・・・・・」 

キーンコーンカーンコーン・・・ 
まるで、謀ったかのようにチャイムがなった 

<ヽ`∀´>「おっ、授業ニダ。ほら、ギコ君もはやく、教室に戻るニダ」 

(゚Д゚)「あ・・・お、おう」 

二人はダッシュで教室へ戻る。廊下を走りながら、ギコはブーンの事を考えていた。 

(゚Д゚)「(ブーン・・・嘘だろ。俺ら、お前に何かしたか・・・?)」 

ガララッ 
勢いよく戸が開きギコとニダーが入ってきた。 

( ^ω^)「(ギコ・・・ニダー君と一緒だお・・・何話してたお?)」 

あの日以来、ニダーは毎日ブーンの元へやってきた。 
そしてその度に言うのだ。 

「今日はアイツがブーンを悪く言っていた」と。そして「自分は味方だ。」と。 

人は良い噂より、悪い噂を信じ込むものである。ブーンはすっかりニダーに騙されていた。 
たったの1ヶ月であんなに大切に思っていたギコとショボン、仲の良かったクラスメイト達のことより 
ニダーの方を信じ込んでしまっていた。他の人間は全て敵にさえ見えていた。 

( ^ω^)「(きっとまた・・・ギコは僕の悪口を言ってたんだお。・・・なんでだお・・・ 
なんでこんな風になったんだお・・・)」 

ブーンは悲しそうにギコとニダーを見つめていた。 

そしてギコとニダーを見つめているのがもう一人・・・ 

(´・ω・`)「(ギコ・・・?なんか様子が変だな・・・)」 

(゚Д゚)「・・・・・・・・・。」 

ショボンは何かに動揺している様子のギコにすぐ気がついた。 

(´・ω・`)「(あいつ・・・どうしたんだ?)」 

<ヽ`∀´>「・・・・・・」    

(´・ω・`)「(ニダーもなんだかしてやったりみたいな顔してるし・・・)」 

ニダーのその顔にショボンは見覚えがあった。 
あの日、ブーンとニダーが話していたあの日も彼は同じような嫌な笑いを浮かべていたのだ。 

(´・ω・`)「(・・・休み時間になったらギコに聞いてみるか・・・」 

次の休み時間 

(´・ω・`)「やあ。ギコ」 

(゚Д゚)「おう、ショボン・・・」 

(´・ω・`)「元気ないな。どうした?」 

(゚Д゚)「そ、そうかあ!?何でもねえよ!」 

ギコは嘘をつくのが下手なため完全に声が裏返っていたがショボンは気づかないフリをした。 

(´・ω・`)「そか。なら良いんだ。ところでさっきトイレ行った時ニダーと何か話したか?」 

(゚Д゚)「べ、別になにも!?一言も口きいてねえよ!本当だぞ! 
じゃ、じゃあ俺チョット飲み物買ってくるから!あとでな!」 

そう言ってギコはいそいそと教室からでていった。 

(´・ω・`)「(あいつもニダーと話してからおかしくなったな・・・偶然にしては・・・できすぎか?)」 

ショボンはブーンのいる席へ視線をむける。するとニダーがまたブーンのところへ行っていた。 
ニダーは一方的にブーンに喋りかけていた。 
悲しそうな表情でブーンはニダーの話を聞いている。 

(´・ω・`)「(あいつ・・・なんだって急にブーンにまとわりつくようになったんだ?)」 

ショボンの足は自然にブーン達の方へ向かっていた。 

<ヽ`∀´>「・・・で、ジョルジュ君たちも内藤君が好きじゃないみたいニダ」 

( ^ω^)「そうなのかお?仲良くしてくれてると思ってたのに・・・」 

<ヽ`∀´>「それはショボン君達がいるからニダ。人気者の前では自分をよくみせたいと言ってたニダ」 

( ^ω^)「・・・そうかお・・・」 

<ヽ`∀´>「あいつは何の取り柄もないのにショボン君達と一緒にいてウザイと言ってたニダ。」 

(´・ω・`)「やあ。なんの話?」 

( ^ω^)「ショボン・・・」 

<ヽ`∀´>「ニダ!?ショ、ショボン君・・・」 

突然あらわれたショボンにニダーは驚いた。 

<ヽ`∀´>「な、なんでもないニダ。じゃ内藤君またニダ」 

そそくさと逃げ帰るように席につくニダー。 

(´・ω・`)「(ますます怪しいな・・・)な、ブーン」 

( ^ω^)「・・・なんだお?」 

(´・ω・`)「その、ニダーには、気をつけろよ。」 

ショボンがそういうとブーンの表情が変わった。 
ショボンがしまったと思ったときにはもう遅かった。 

( ^ω^)「なんでショボンがそんな事いうお?」 

(´・ω・`)「え?いや・・・その・・・」 

( ^ω^)「ニダー君は良い人だお。僕が気づかなかったいろんな事教えてくれたお。」 

(´・ω・`)「ブーン・・・」 

二人の間に気まずい沈黙が流れる。 

( ^ω^)「(ショボンは僕が嫌いなんだお。僕が誰かと喋ってるだけでムカつくから 
こんな事いうんだお・・・うう・・・)」 

ブーンは泣き出したくなる気持ちを必死でおさえた。 

キーンコーンカーンコーン 

( ^ω^)「・・・そろそろ授業始まるお・・席、着いた方がいいお・・・」 

(´・ω・`)「そだな・・・。な、ブーン。」 

( ^ω^)「?」 

(´・ω・`)「今日生徒会休みなんだ。ギコも今日部活ないし・・・だから今日久々に3人でゲーセンでも行かないか?」 

ショボンの誘いは嬉しかった。しかし心の底では自分の事を笑っているのかと思うと 
その誘いにのる事はできなかった。 

( ^ω^)「ぼ・・・僕は・・・寄るところがあるお・・・」 

(´・ω・`)「・・・そか・・・ごめんな。」 

ブーンは嘘をついた。ここの所、ずっとこんな調子でギコやショボンの誘いを 
断り続けている。 

ブーンの様子は明らかにおかしかった。まるでショボンに、いや、クラスメイト 
全員に怯えているかのようだった。休み時間、ニダーがこないときは 
一人で机に伏せているようになった。 
原因はもうハッキリしている。ニダーだ。しかし、証拠がない。 

(´・ω・`)「(これはもう傍観してる場合じゃないな・・・けど今のブーンには 
多分俺が何を言ってもきいてくれないよな・・・)」 

ショボンは自分の無力さを呪った。友達が苦しんでいるのに助けられない自分をせめた。 
ギコもニダーとの会話以来ブーンと接する時どこかぎこちなくなってしまった。 

それから3人の間が気まずくなったまま月日は流れた。 

J(‘ー`)し「(ブーン、最近元気ないわねぇ・・・)」 

ここのところ、ブーンの母もブーンがおかしい事に気づいていた。 
いつも悲しそうにうつむいて、訳を聞いても「なんでもない」を繰り返す。 
この頃は毎日見ていたテレビすら見なくなり部屋に閉じこもりきりになっている。 

J(‘ー`)し「もうあの子も高3で受験だし・・・気が滅入ってるのかしら・・・ 
はやく元気になってくれればいいけど・・・心配だわ・・・」 

そんな事を考えながら、何気なく新聞を手に取った。 

J(‘ー`)し「あら?・・・コレは・・・」 

コンコン 

( ^ω^)「はいお。」 

ノックに答えると、ブーンの母が入ってきた。 

J(‘ー`)し「ねね、ブーン。今日の新聞みた?」 

( ^ω^)「みてないけど・・・なんかあるのかお?」 

J(‘ー`)し「ほら、今日の7時30からあんたの大好きな漫画のナルトがやるのよ!」 

そういって母は新聞を広げブーンに見せた。 

( ^ω^)「ちょwwww母ちゃん、ナルトじゃなくてチクワだおwwwww」 

チクワとは週間直立で連載されている人気忍者漫画でブーンの大好きな漫画の一つだ。 

J(‘ー`)し「ブーン最近元気なくて母ちゃん心配なんだから。これ見て元気だしなさい。」 

( ^ω^)「・・・母ちゃん心配かけてごめんお。でも僕は何ともないお。元気だお!」 

そう言ってブーンはピースサインをする。 

J(‘ー`)し「なら良いんだけど・・・じゃ母ちゃんはそろそろ夕飯作りに戻ろうかなっ!」 

母は明るくそう言っておどけた顔をする。 

( ^ω^)「うん!早くご飯作ってお!僕もうお腹すき過ぎで死にそうだお!」 

J(‘ー`)し「ふふふ。はいはい・・・」 

そして母は台所へと戻っていった。 

( ^ω^)「(母ちゃんにまで心配かけて・・・僕は最低だお。だからみんなから嫌われるんだお。)」 

ブーンは最近事あるごとに自分を責めるようになっていた。 
そしてこんなダメな自分を責めるのは当たり前の事だと思っていた。 

それから小1時間後・・・下から声が聞こえてきた。 

J(‘ー`)し「ブーン。ご飯だよー」 

( ^ω^)「はいおー」 

ブーンは2階にある自分の部屋から1階に降りる。 

( ^ω^)「父ちゃんは?」 

J(‘ー`)し「今日は残業で遅くなるみたいよ。先に食べちゃいましょう。」 

( ^ω^)「いただきますおー。あ、7:30だお」 

J(‘ー`)し「あらあら、忍者マッタリ君の時間ね」 

( ^ω^)「ちょwwwwチクワだってばwww母ちゃんふざけてるのかお?」 

そう言いながらブーンはテレビをつける。 
ちょうどチクワは始まったばかりのようでOPが流れ始めた。 

( ^ω^)「・・・・・・!」 
テレビからはアニメソングとは思えない疾走感の溢れるロックサウンドがかかっていた。 

( ^ω^)「(・・・!な、なんてカッコイイんだお・・・)」 

ブーンはご飯を食べるのも忘れてOPに見入っていた。音楽に心奪われたのは生まれて初めてだった。 

( ^ω^)「(アニソンに心奪われるなんてwww 
・・・でもめちゃめちゃカッコイイお。一体誰が歌ってるのかお?)」 

テレビ画面には「遥かファービー ワロスンカンフージャナレーション」と書かれていた。 

( ^ω^)「(ワロスンカンフー・・・名前ナガスwwww)」 

J(‘ー`)し「ブーン、ほらほらボーっとしてると冷めちゃうわよ。」 

( ^ω^)「あ、ああうっかりしてたお。」 

( ^ω^)「(何でこんな魅かれるんだか分からないけど・・・カッコイイお・・・)」 

その夜、ブーンは興奮してなかなか眠れなかった。 
頭の中では一晩中OPの曲が流れていた。 

ブーンは次の日になってもあのOPが頭から離れずにいた。 

( ^ω^)「(これはもうCDを買うしかないお・・・CD買うなんて久しぶりだお・・・)」 

ブーンはそれまでまったく音楽を聴いてこなかった。そもそも歌自体あまり好きではなかった。 
小学校時代、歌のテストの度にみんなからクスクスと笑われたりしていたからである。 
だから歌を歌うのは嫌いだったし、人の歌を聴くのも好きではなかった。 

( ^ω^)「(昔の事はもう忘れるお・・・まあ今も昔もちっとも僕は変われていないけど)」 
そんな事を考えてブーンは自虐的に笑った。 

その日は学校が終わるのが待ち遠しくて仕方なかった。 

学校が終わるとブーンはキョヌーレコードへと足を運んだ。 
ブーンが住んでる地域で一番大きく全国展開もしている店である。 

( ^ω^)「うはー広いお・・・どこを見ればいいんだお?」 

CD屋にほとんど足を運んだことがないブーンはどこをどう探せばいいか分からなかった。 
なのでとりあえず店員に聞くことにした。 

( ^ω^)「あのー」 

(・∀・)「いらっしゃいませー。何かお探しですか?」 

( ^ω^)「あ、あのえーとなんだっけ?あのワロスンカントン・・・」 

ブーンはバンド名が長すぎたため中途半端に間違えて覚えていた。 

(・∀・)「はい?」 

(;^ω^)「え、えとチョトど忘れしてしまったんですけお、ワロスンナントカっていう・・・」 

(・∀・)「ワロス・・・?ああ!ワロスンカンフージャナレーションの事ですか?」 

( ^ω^)「そう!それですお!」 

(・∀・)「でしたらそちらはインディーズの商品ですので2階へおあがり下さい。」 

( ^ω^)「はいですお。ありがとうございますお。」 

ブーンは店員に言われるまま2階へと上がった。 

2階はフロア全体がインディーズ商品のみになっていてブーンが知らないミュージシャンばかり並んでいた。 

( ^ω^)「どの人たちもさっぱりわかんないおwwwワロスンナントカはどこだお?」 

ブーンがフロアを彷徨っていると特集コーナーに突き当たった。 
その特集はちょうどブーンの探しているワロスンカンフージャナレーションの特集だった。 
そこにはワロカンのCDが平積みされており 
「今インディーズシーンを賑わす大注目のアーティスト!」と書かれていた。 

( ^ω^)「へえー。あの人たち実は注目を浴びていたのかお。知らなかったお。 
えーと、遥かファービー遥かファービーと・・・あった。ってシングルじゃなくてミニアルバムしかないのかおwww」 

予想よりちょっと高くついたがブーンはいそいそと会計を済ませ浮き足立ちながら家へと帰った。 
CDを買ってこんな嬉しい気分になったのは初めての事であった。 

( ^ω^)「さて、と・・・」 

ブーンは早速自分の部屋に行きコンポにCDを入れた。 
なぜ音楽を聴かないブーンがコンポを持っているかというと 
母が数年前何気なく応募した懸賞が当たったからである。 

( ^ω^)「再生っと・・・」 

ブーンが再生ボタンを押す。キュルルルルとCDが回る音がし、そして音楽がはじまった。 
ベースソロで始まりそしてそれにギターとドラムが重なり、ボーカルが歌いだす。 

( ^ω^)「やっぱりカッコイイお・・・」 

ミニアルバムでは全部で6曲入っており、どの曲もブーンはとても気に入った。 
そして曲は5曲目へと進む。 

( ^ω^)「おお・・・これもイントロからしてカッコイイお・・・」 

5曲目は勢いのいいドラムからはじまりそしてどこか哀愁の漂うギターが絡み合い始まっている。 

君を深く 突き刺してしまった 

そんな歌詞が流れていた。 

( ^ω^)「なんだかこれは僕の歌みたいだお・・・ギコ・・・ショボン・・・最近あんま話してないお」 

歌詞カードを読みながら、ブーンの頭には二人の笑顔が浮かぶ。どうしてこんな風になってしまったのだろう。 


( ;ω;)「うっ・・・」 

ブーンは泣いた。音楽を聴いて、大事な人を思い浮かべて、泣いた。 

その日を境に、ブーンは音楽に没頭するようになる。 

ブーンはありとあらゆる音楽を聴くようになった。まるで何かにすがるように。 
助けを求めるように。 

ジャズ、クラシック、邦・洋ロック、ブルース。 

その全ての音楽がブーンを優しく包み込んだ。特にブーンは邦楽が好きだった。 
自分の悲しみ、辛さを代弁してくれるようなロックが好きだった。 

そしてまた月日は流れる・・・ 

( ゚∀゚)「えー、それでは文化祭の打ち上げはお好み焼き・ツンデレになりました! 
2時間食べ放題です!」 

クラスから拍手が沸き起こる。今日は文化祭の打ち上げ日なのだ。 
本当は文化祭当日に行われるハズだったのだが片付けに手間取ってしまい 
その日は打ち上げをする時間がなくなり、後日、という事になったのだ。 

( ゚∀゚)「なお、強制全員参加!これは委員長命令です!こなかった人はおっぱいうpです!」 

クラスに笑い声が起こる。ブーンはそれを暗い気持ちで見つめていた。 

( ^ω^)「(全員参加か・・・てことはギコとショボンもくるお・・・きまずいお・・・)」 

ブーンは行きたくないと思ったがおっぱいうpもしたくないので仕方なく参加することにした。 

全員「かんぱーい!」 

お好み焼きやでは和やかに打ち上げが行われあっという間に2時間がすぎた。 

( ゚∀゚)「えーそれでは2次会の場所を発表します!場所はカラオケ触るんだ村です! 
いきたい人は手をあげて!」 

ジョルジュ委員長がそういうと、みんな一斉に手を上げる。 

(゚Д゚)「ブーンも行くよな!なっ?」 

( ^ω^)「僕は・・・」 

(´・ω・`)「行こうよ。ね?ブーン来なきゃつまらないよ。」 

自分は二人に嫌われている。しかしそれでも優しい言葉をかけてくれる 
そんなショボン達の気持ちがブーン嬉しくてたまらなかった。 

( ^ω^)「(たとえ嘘でもそう言ってくれるのは嬉しいお。 
ショボンもギコも本当に優しい奴だお)」 

( ^ω^)「うん、行くお・・・」 

゚Д゚)「よっしゃ決まりなっ!そういやブーンとカラオケいくの初めてだよな!? 
もう今日はみんなで歌いまくろうぜ!」 

そう言って笑いながらギコはブーンと肩を組んだ。 

カラオケ店触るんだ村は料金が安く学生に人気の店であった。 

( ゚∀゚)「おーし!今日は朝まで騒ぐぞ!とりあえず酒飲もうぜ!」 

ジョルジュ委員長はそういって適当に酒を頼む。どうやら飲み放題コースを頼んだらしい。 

(゚Д゚)「ほら、ブーンも飲も・・・ってアレ?ブーンは?」 

ブーンはいつの間にかニダーに呼び寄せられ端の方の席に座っていた。 

<ヽ`∀´>「まあ内藤君も気づいてると思うけどショボン君たちがいってたの、あれ演技ニダよ? 
本当は二人は内藤君に来て欲しくないってさっき言ってたニダ」 

ニダーはキツい口調でブーンに言う。どうやらブーンがショボンやギコに誘われて 
2次会まできたのが気に入らないらしかった。 

( ^ω^)「そんなの・・・分かってるお・・・」 

<ヽ`∀´>「それなら何でわざわざ来たニダ?辛いのは内藤君ニダよ? 
僕は内藤君を心配していってるニダ。 
このクラスの奴はみんな影でコソコソな内藤君を笑ってるニダ。酷い人達なんだニダ」 

( ^ω^)「・・・」 

そんなの、分かってる。 
そう言いたかったけど、何か一つでも喋ったらブーンは泣いてしまいそうで 
それ以上何も言えなかった。 

「そこの二人ー!!何コソコソ話してるー!!」 

<ヽ`∀´>「ひっ!」 

酔っ払ったジョルジュが突然二人の間に割って入ってきた。 

( ゚∀゚)「みんなと騒いでない罰としておっぱいうp!と言いたいとこだけど 
お前ら女子じゃないからいいや。代わりに歌えー!歌いまくれー! 
これは委員長命令だー!ほら内藤、歌えー!」 

( ^ω^)「ええ!?僕かお!?」 

( ゚∀゚)「お前最近元気ないからな!クラスみんな心配してんだぞ! 
だから歌って元気な事をアピールしろ!」 

そういってジョルジュはカラオケ本とマイクをブーンに持ってくる。 

( ^ω^)「えっ?みんなが・・・?だって僕はみんなから・・・」 

動揺するブーンにニダーが小声でささやく。 

<ヽ`∀´>「委員長の言ってることは嘘ニダよ。どうせ無理やり歌わせて 
また内藤君をバカにする材料にするニダ。歌わない方が良いニダ。」 

( ^ω^)「・・・それでもいいお。」 

<ヽ`∀´>「アイヤー!な、なんでニダ?」 

( ^ω^)「たとえニダー君が言った通りになったとしても、 
ジョルジュ君が言った事が嘘だとしても、僕にそう言ってくれた事が嬉しいお。 
元気がないって気づいてくれたんだお。だからバカにされてもいいお。」 

( ゚∀゚)「なにしてるー!早く歌えー!」 

( ^ω^)「おーし!じゃアニソン歌うお!」 

ブーンはそう言ってリモコンに番号を打ち込む。 

( ゚∀゚)「うはwwwwアニソンかよwwwww」 

遥かファービーのイントロが始まりみんなから拍手が沸き起こる。 
ブーンは酔っ払ったみんなの手によってセンターに移動させられた。 
ブーンに再び小学校の時の音楽の授業の光景が蘇ってくる。 
バカにしたような、あの笑い声。向けられる、冷たい視線。 
鮮明にフラッシュバックしてくる。 

( ^ω^)「(もういいお・・・ヤケクソだお。みんな笑うなら笑うがいいお・・・)」 

ブーンは歌った。力いっぱい歌った。もうどうだってよかった。 
歌っている時はあの時と違ってなぜかものすごく気持ちよかった。 
そして曲が終わった。 

( ^ω^)「お粗末様でしたお」 

ブーンがそういってペコリとお辞儀する。 
先ほどあんなに騒いでいたクラス一同がシーンと静まりかえっている。 

( ^ω^)「(やっぱり僕は音痴なんだお。またバカにされてしまうお・・・)」 
と思った矢先・・・ 

ワー!!!!!!!!! 

( ^ω^)「!?」 

突如大歓声がブーンを包む。 

( ゚∀゚)「すげええええええ!うめえええええ!おっぱい触りてえええええ!」 

(゚Д゚)「ちょwwwwwwwお前そんな歌うまかったなんて知らなかったぞwwwww」 

(´・ω・`)「かっこよかったよおおブーン!」 

( ^ω^)「え!?え!?」 

鳴り止まない拍手と賞賛の嵐にブーンはうろたえる。 

女子1「ブーン君歌うますぎ!」 

女子2「ねね、もう1曲歌って?」 

( ^ω^)「(僕が・・・褒められてる・・・?しかも歌で・・・?)」 

ブーンは今自分の身に起こっていることが信じられずにいた。 

ブーンは小さいときからあまり、いや、まったくと言って良いほど人に褒められた事がなかった。 
それでも両親はブーンが家の手伝いをする度、学校で作った作品を持ち帰るたび、 
テストだって0点じゃなければいつだって褒めてくれた。 
ブーンもそれは嬉しくて、それだけを支えに頑張ってきたのだが、いつも満たされるという事はなかった。 
両親は大好きで、褒めてくれるのは本当に嬉しいのだけれど 
やっぱり一人でも良い、他人から認めてもらいたい。褒めてもらいたい。そう思っていた。 

しかし現実に他人から言われる言葉は「お前は何の取り柄もない」だの 
「役立たず」だのそんな辛辣な言葉ばかりであった。 

そんなブーンが今、たくさんの級友達から褒められている。 
しかもあんなに嫌いだった歌で。 
今、こんなにも褒められている。ブーンという存在が、認められている。 
ブーンは恥ずかしかったけど、それ以上に背筋がゾクゾクする程の快感が走った。 

( ^ω^)「(こんなに気持ちよかったのはエロゲをやりながら 
ダッチワイフ「明美」を使ったとき以来・・・ 
ううん、それ以上に気持ちいいお!こんな気持ちいい事がこの世にあるのかお!?)」 

その日ブーンはみんなのリクエストに答えて知っている曲、 
聴いたことのある曲はとにかく歌いまくった。 
その度にみんなからの歓声、巻き起こる拍手は鳴り止む事がなかった。 

ブーンは嬉しくて嬉しくて仕方なかった。自分でも他人を喜ばすことができる。 
それがとにかく嬉しかった。 

それ以来、ブーンは少し強くなった。 
歌うことの快楽を知ってしまったから。音楽で人を動かせることを知ってしまったから。 

人に嫌われてる事を悲しんでる場合じゃない。 
いや、悲しいならその気持ちを歌にすればいい。 
そうすればきっと自分は誰かに受け入れてもらえる。強く、そう思った。 

( ^ω^)「(・・・たとえみんなに嫌われていたとしても、 
あの時褒めてくれたみんなの気持ちはきっと本物だお。 
だからもう僕は悲劇のヒロインをやってる場合ではないお。もう大丈夫だお)」 

文化祭後の、あの一日は、今まで生きてきたどの瞬間よりも嬉しかった。 
生きてて良かった、これからも生きていける。そうブーンは思った。 

それからブーンはようやくニダーによって沸き起こっていたショボンやギコ、 
そしてクラスメイトに対する猜疑心を、 
昔を思い出し再び戻ってきたあのドロドロとした悲しい感情に見切りをつける事ができた。 

そして1週間後の朝、またいつものようにニダーがブーンの元にやってきた。 

<ヽ`∀´>「内藤君、あんな調子に乗って歌なんて歌ったからまたブーム君達が・・・」 

( ^ω^)「ニダー君、もういいお。」 

ブーンは優しくニダーに言う。 

<ヽ`∀´>「ニダ?どういう事ニダ?」 

予想していなかったブーンの返答にニダーはきょとんとする。 

( ^ω^)「だから、今までみたいに誰が僕を嫌ってるとか、 
ばかにしてるとか、そういう事はもう教えてくれないでいいお。」 

<ヽ`∀´>「な、なんでニダ!?ウ、ウリは内藤君が心配だから 
一応相手にどう思われてるか知ったほうがいいと思って親切で・・・」 

( ^ω^)「それは分かってるお。ニダー君がいなかったらきっと僕はショボンやギコ、 
それにみんなにも甘えて調子に乗ってしまっていたと思うお。 
だからみんなから好かれてるなんて思わないほうがいいと 
伝えてくれたニダー君には感謝してるお。でも、もう良いんだお。」 

今までと違い、生気のこもったブーンの瞳を見て、ニダーは戸惑う。 

<ヽ`∀´>「な、何を言ってるのかよく分からないニダ!は、ハングルでお願いするニダ!」 

( ^ω^)「分からなければそれでいいお。今までありがとう、カムサムニダお。」 

(´・ω・`)「やあブーン、おはよう」 

戸口が開き、ショボンが入ってくる。 

( ^ω^)「ショボンおはようお。という訳でニダー君も、今までありがとだお。」 

(´・ω・`)「なになに、何の話?」 

<ヽ`∀´>「・・・・・・」 

ニダーは黙ってその場を離れた。その顔はとても悔しそうだった。 

(´・ω・`)「なんか二人とも妙に神妙だったけどどうしたの?」 

( ^ω^)「なんでもないお。それよりショボン、あとで話したいことがあるお」 

(´・ω・`)「え?今じゃダメなの?」 

( ^ω^)「今はギコがまだ来てないから・・・昼休みにでも話すお。」 

(´・ω・`)「そか。ん。わかった。」 

ブーンの口調にもう誰かに怯えている様子はなくなっていた。 
また前のように、どんな人でもすぐ好きになってしまう、疑うことを知らない、 
そんな人の良さが前面にでたブーンの雰囲気に戻っていた。 
ショボンにはそれがとても嬉しかった。 

昼休み・・・ 
屋上でブーンとショボンは持ってきたお弁当を、 
ギコは学食で買ってきたパンを食べながら話をしていた。 

(゚Д゚)「で、なんだよ、話って。俺今日はもう150円しか持ってないぞ。」 

悪戯っぽく笑いながらギコが言う。 

( ^ω^)「ちょwwwww金の話じゃないお」 

(´・ω・`)「でも本当になに?話って。」 

( ^ω^)「うん、あの・・・」 

(゚Д゚)「なんだよ。愛の告白かwwww?」 

ひどく緊張したようなブーンにギコが軽口を叩く。そんな気遣いがブーンは嬉しかった。 

( ^ω^)「実はここ半年くらい、僕はずっと誰も信じる事ができなくなっていたお。」 

(´・ω・`)「・・・・・・うん。」 

そう話を切り出したブーンにショボンは優しくうなずく。 

( ^ω^)「原因は・・・まあいいお。それで僕はクラスのみんなや、シ 
ョボンやギコ達の事まで信じることができなくなってしまったんだお・・・ 
みんなに嫌われている僕はこの世にいらないと思ってたんだお・・・」 

(゚Д゚)「なっ、そんな事あるわけ・・・」 

口を挟もうとしたギコをショボンがそっと制し、ブーンに話を続けさせる。 

( ^ω^)「僕は自信がなかったんだお。小学校の時はずっといじめられてて、 
みんなからも、先生からも、誰にも褒めてもらえなくて・・・ 
中学に上がってギコとショボンにあっていじめはなくなったけど 
それでも僕は自信がつくことなんてなかったんだお・・・」 

(´・ω・`)「・・・・・・」 

( ^ω^)「僕は走るのは速いけど、それだって普通よりちょっと上ってぐらいで 
本格的に陸上をやってる人には敵わないし・・・ 
ショボンみたいに何でもそつなくこなすこともできないし、ギコみたいに頼りがいだってない。 
僕は何の取り柄もない役立たずだって、今までずっとそう思ってたお。」 

ぽつりぽつりと、まるで涙を落とすように話すブーンを、二人は優しく見守っていた。 

( ^ω^)「でも文化祭のあの日、僕は初めてあんなに大勢の人から褒められたんだお。 
二人はこんな事でって思うかもしれないけど、本当にそれは自分でも思うけど・・・ 
でも僕はあの時ほど生きたいって思ったことはなかったんだお。 
たかがカラオケ店での出来事だけど、みんなとってはただの楽しい思い出だけど、 
僕にとっては・・・」 

ぽとんっとブーンの瞳から涙が落ちた。 

( ;ω;)「・・・僕にとっては・・・最高に・・・嬉しくって・・・ううっ」 

これ以上ブーンは言葉にならなかった。それでもなんとか声を絞り出しブーンは続ける。 


(´・ω・`)「ブーン、もういいよ。」 

涙がとまらないブーンの頭をショボンが優しくなでた。 

( ;ω;)「みっ、みんながっ・・・笑って、く、くれるのがっ・・・嬉しくって・・・ 
みんなっ、僕のしてる事で喜んで、く、れてっ・・・」 

(´・ω・`)「ブーン分かった。分かったから・・・」 

( ;ω;)「うっ・・・うぇっ・・・」 

(´・ω・`)「元気がない理由を話してくれて嬉しかった。ギコと二人でずっと心配してたんだよ。」 

ショボンの言葉をきいて、ブーンはさらに泣き続ける。 

(´・ω・`)「僕達親友なのに、なにもしてあげられなくてごめんね。 
今まで辛かったね。・・・頑張ったんだね。」 

(゚Д゚)「おまえなぁ・・・そんなことで悩んでんだったらとっとと俺らに言えよな。」 

(;Д;)「ほんと・・・バカだなおまえは・・・」 

ギコはそう言って流れ落ちた涙を拭おうともせずがしっとブーンを抱きしめた。 

この半年間、ブーンはほとんど二人の会話にまざろうとしなかった。 
たまに話をしてもまるで喧嘩を売るような口調になって、勝手に自分で話を終わらすこともしばしばあった。 
そんな自分が嫌で嫌で仕方なかった。でもどうすることもできなかった。 

だけどそんなときでも二人は怒らなかった。少し悲しそうな顔をして見守るだけだった。 
今だって優しくブーンを見守って声をかけてくれる。 
頭をなでてくれている。抱きしめてくれる。 

その事がブーンには嬉しくてたまらなかった。 

キーンコーンカーンコーン・・・5時間目の予鈴がなった。 

(´・ω・`)「あ・・・予鈴だ・・・戻らなきゃ。」 

(゚Д゚)「バカ野郎。男3人が泣き腫らした目で教室に戻ってみろ。ものすごく気まずい空気に包まれるぞ。」 

あの時、ギコとブーンが泣きじゃくっている時、ショボンまでもがもらい泣きをしてしまい 
きづいたら3人とも涙で顔がグシャグシャになっていたのだ。 

(´・ω・`)「・・・それもそうだね。」 

( ^ω^)「ここはサボるしかないお。高校生らしく近くの河原にでも行って青春するお」 

ブーンはようやっと泣き止んだようだ。その顔はとてもスッキリしていた。 

(゚Д゚)「おっ、良いね。行くか!」 

(´・ω・`)「賛成。」 

( ^ω^)「おーし、久しぶりにエロゲについて語りあうお!」 

(゚Д゚)「ちょwwww今までエロゲについて語り合ったことねーだろwwww」 

(´・ω・`)「ははは・・・」 

もうこのままダメになるかもしれなかった3人は再び前のように、 
いやそれ以上に仲良く笑いあった。そして3人同時に叫んだ。 

(´・ω・`)( ^ω^)(゚Д゚)「おまえらと友達で良かったー!!!!」 

後日放課後・・・ 

<ヽ`∀´>「ギ、ギコ君にショボン君!何か用ニダか!?」 

ギコとショボンは先にブーンを帰らせ、ニダーを教室に残らせた。 
もう下校時刻はとうに過ぎているので教室にはこの3人しかいなかった。 

(゚Д゚)「やっぱりブーンがおかしくなった原因はお前だったんだな。」 

<ヽ`∀´>「い、いきなり何言い出すニダか!?」 

(゚Д゚)「黙れ。もうみんなバレてるんだよ。」 

先日、3人で河原に行った時ギコはブーンに言った。 
「俺らに文句があるならこれからちゃんと言ってくれ」と。 
前ニダーに言われた事がギコにはずっと気になっていたのだ。 
するとブーンは驚いた顔をして言った。「二人に対して不満等何も持っていない」と。 
もちろんブーンはこんな嘘がつけるような人間ではない。 
そこでギコもようやく気づいた。自分もブーンも、ニダーにはめられたのだと。 

(´・ω・`)「ねえ、ニダー君。」 

静かに、冷たい口調でショボンが話しかける。 

<ヽ`∀´>「ショ、ショボン君・・・ヒッ!?」 

ニダーが口を開くのとほぼ同時にショボンはニダーの座っている机を殴りつけた。 
ショボンの拳からは血が流れ、机にはものすごいヒビが入っていた。 

(´・ω・`)「ブーンはさ、ちょっとトロいけど優しい奴なんだよ。人の事嫌いになれないんだよ。」 

ショボンは淡々と話す。 

(´・ω・`)「ニダー君がブーンを嫌ってたのは、俺前から気づいてたよ。理由は知らないけど。」 

<ヽ`∀´>「・・・」 

ニダーは恐ろしさのあまり声がでなかった。あの温厚で優しいショボンが今自分に対して 
憎悪の感情を向けている。その事がニダーは本当に恐ろしかった。 

(´・ω・`)「嫌いなのは仕方ないよ。それは個人の価値観だから。だけどさあ・・・」 

続いてギコがニダーの胸元をつかんで言う。 

(゚Д゚)「あんな騙されやすい奴に、なんである事ない事嘘ついたんだよ。」 

<ヽ`∀´>「う、嘘じゃにニダ。ほ、ほんと・・・」 

この期に及んでまだ嘘をつこうとするニダーをギコは殴り飛ばした。 

(゚Д゚)「ふざけんなよ。おまえのせいであいつ人間不信にまでなったんだぞ!! 
あいつ誰にも言えなくて、一人で辛い思いしてきたんだぞ!!お前にその気持ち分かるのか!? 
それでも未だにお前の悪口一つ言わないあいつの気持ち分かるのかよ!?」 

<ヽ`∀´>「あ、あいつ、二人に喋ったニダか!?」 

口元から流れる血を拭いながらニダーが言う。 

(´・ω・`)「ブーンは何も言わないよ。これは俺らが勝手にやってるんだ。 
こんな事してるのバレたらそれこそ俺たちがブーンに殴られるよ。」 

<ヽ`∀´>「・・・」 

(´・ω・`)「ブーン、ニダー君のこと、自分が知らなかった事を教えてくれた。 
優しい人だって言ってたよ。」 

ショボンは座り込んでいるニダーに向かって言う。 

(´・ω・`)「頼むからこれ以上ブーンにも俺らにも関わるな。 
それから、もし今後懲りずにブーンに近づいてみろ。」 

<ヽ`∀´>「・・・」 

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ。」 

その言葉は冗談でもなんでもなく、本気だった。そう言い残してショボンとギコは教室から出て行った。 

<ヽ`∀´>「・・・」 

一人取り残された教室でニダーは呟いた。 

<ヽ`∀´>「こ、この恨みはサッカーで晴らすニダ・・・」 

 それ以来ニダーはブーンには近づかなくなった。それに伴いブーンはますます元気になっていった。 
やがて春になりショボンは日本のトップ、最強大学へ、ギコはスポーツ推薦でヌホン体育大学、 
そしてブーンはまぐれでVIP大学へと進学することとなった。 

( ^ω^)「高校3年の時はホント辛かったお・・・でも自分の生きがいも見つけられたし 
本当生きてて良かったお。」 

多分あの時の事は一生心に残るのだろうな。と、ブーンは思った。 

「ブーン!お風呂わいたわよー!」 

( ^ω^)「おっ。今いくおー!」 

自分の思い込みだけで様々な人に迷惑をかけてしまった。傷つけてしまった。その事は決して忘れてはならない。 
それでも人は自分を見てくれた。自分を守ってくれた。だから自分は生きていかなければいけない。 
これに気づかせてくれたのは音楽だ。あんなにも嫌いだった音楽が助けてくれた。音楽が自分を救ってくれた。 

( ^ω^)「うはwwwwww自分カッコヨスwwwwwwww」 

そしてブーンは風呂へと向かっていった。