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【+ 】ゞ゚)棺桶死オサムは行き来するようです 2008.10.03
【+ 】ゞ゚)棺桶死オサムは行き来するようです
( ゚ゞ゚)「人間について知識を深めたいのだが、いい方法はないだろうか」
川 ゚ -゚)「はいオサム様。やはり人間のことを知るには人間になりすまし、人間界に潜むのがよいかと」
人間界とは別世界に位置魔界。そのとある断崖に聳える古城の、人型の吸血鬼達による定例会議。
今回の議題は城主の棺桶死オサムが述べたように、来る人間界侵攻に向けての人間の理解であった。
ζ(゚ー゚*ζ「私も同感ですわ兄様」
正式な部下であるクーとモララーに、彼の妹にあたるデレを加えて、会議は粛々と進んでいる。
( ゚ゞ゚)「だろうな。だが如何せん手段がない。開発部部長よ、アレの完成はまだかね?」
( ・∀・)「オサム、ナイスタイミングだ。大量生産にはコストの都合上まだ難しいが、
少数なら既に完成した。一つは完全にテスト済み、なんなら今すぐいけるぜ」
( ゚ゞ゚)「ふむ。……ならば試してみるか」
目視の方が伝聞よりも把握しやすいというオサムの意見に、クーとデレは反対したが、
本人の意思と失敗時の立ち回りを考慮し、最高の魔力を持つ彼が出向くことになった。
出立の準備は瞬く間に整う。転送機である棺桶を祭壇に立て、中にオサムが入り、蓋をするだけ。
ζ(゚ー゚*ζ「気をつけていってらして、兄様」
( ・∀・)「ふむ、では僕は土産を頼もうかな」
川 ゚ -゚)「オサム様、あなたが持ち帰れるのは情報だけです。くれぐれも頓痴気の戯言を真に受けないよう」
旅立つオサムに、彼らなりの激励が飛ぶ。棺桶を取り囲んで城の重鎮が話しかけているその様は、
もし部下が見ていたら絶句し、白昼夢だろうと思うくらいシュールであった。
( ・∀・)「オサム、ノイローゼの言葉を鵜呑みにするな。その棺桶に入るサイズなら、持ち運ぶことも可能だ」
川 ゚ -゚)「貴様にはまだ前科はないが、それが今日刻まれるとも限らん。主を危険に晒すなゴミめ」
ζ(゚ー゚*ζ「生水飲んだくらいじゃお腹は壊さないでしょうけど、怪我には気をつけてね」
【+ 】「ははは、皆心配どうも。この行動が我々の糧にならんことを祈っていてくれ、いってくるよ」
オサムは皆の顔を想像し、余裕をもって答えた。
ζ(^ー^*ζ「向こうで他の女に見とれたら殺すわよ」
【+ 】「…………」
川;゚ -゚)「…………」
(;・∀・)「…………」
数秒の沈黙が場を支配した後、オサムは唐突に旅立った。クーとモララーには逃げたように映った。
同時刻、人間界に魔界からの来訪物。オサムの入った棺桶である。
地上から2メートル程離れたところに突如現れたそれは、
魔界の2倍はある重力を受け、尋常に落下した。
【+ 】「痛っ!」
魔界の技術力で人間界の物理法則に逆らうことは出来なかったらしく、また緩衝材も無かった為、
オサムは中で頭と腰をしこたま打った。内部の計器に損傷は無かったが、肉体にはあったようだ。
【+ 】「おぉー……」
棺桶の隙間から漏れる、鈍痛に呻く、悲痛な声。オサムは誰も見ていないと思い、素直に苦悶した。
さて、彼もとい彼の入った棺桶はどこに落ちたのかと言えば、お手本のように寂れた公園であった。
木のベンチは両端が朽ち、全ての遊具は赤錆に覆われている。中心に位置する噴水は完全に枯渇しており、
本来の機能を果たせるのは、隅に位置する水飲み場だけという有様。
【+ 】ゞ゚)「……?」
中に入ったまま棺桶を立てて蓋をずらし、顔の半分を出して片目で周囲を窺うオサム。
人間の事を知らない彼に、人間界の予備知識などあるはずもない。様相を見、彼がはじき出した結論は、
人間界は既に何者かに征服されていた、もしくはされているということだった。
【+ 】ゞ゚)「なんたることだ……」
目に映る惨状に、オサム思わずひとりごちる。しかし彼の誤解を正す者は当然ながらいない。
( ゚ゞ゚)「これが我が侵攻しようとしている人間界か。もう何かに征服された後……なのか?」
そんな彼の横を、ふくらんだエコバッグを持った少年が通り過ぎようとする。
( ゚ゞ゚)つ「待たれいそこな童」
(;'A`)「ぐえ」
オサムは後ろから少年の奥襟を掴み、自分のところへ引き寄せた。
少年の重さを支えきることが出来ず、つんのめって転びかけたが。
(;゚ゞ゚)「失礼した。少し質問したいことがあるのだがよろしいかね」
少年からは死角で、その痴態は見えない。オサムは支配者らしく振る舞った。
(;'A`)「……既に質問していますが」
少年の表情からは、早くこの場から逃げたいという色がはっきりと見えていた。
オサムはしかしこれを無視する。
( ゚ゞ゚)「これは私としたことがついうっかり。さて少年、人間界を現在牛耳っているのは何かね?」
(;'A`)「……は?」
( ゚ゞ゚)「答えられないのか、答えたくないのか。では質問の仕方を変えよう。
ここが荒廃したとき、世間では何を持ち上げていた?」
少年が答えられなかったのは、オサムが想像する情報統制のせいではなく、単純な語彙の乏しさであった。
そして語彙の乏しさは、語意の誤解に繋がる。二つの誤解がもたらした少年の答えは、
('A`)「――そばめし……ふりかけ?」
( ゚ゞ゚)「ぬ?」
オサムが今まで聞いたことのない言葉だった。
【+ 】ゞ゚)「ただいまー」
人間界での任務を終え、オサムは帰還した。今回の頭と腰の痛みは無視できる程であった。
( ・∀・)「お土産は?」
川 ゚ -゚)「形式上労えタコ。オサム様、お帰りなさい」
ζ(゚ー゚*ζ「無事でしたのね兄様」
( ゚ゞ゚)「ああ、本当に心配してくれるのはデレだけだよ」
ζ(゚ー゚*ζ「女の臭いがしたら今頃労いなどせず心中するつもりでした。良かった……」
( ゚ゞ゚)「…………」
オサムは後悔でいっぱいになった。
( ゚ゞ゚)つ□「まあいい……。これが人間界を征服している、『そばめしふりかけ』という物だそうだ」
( ・∀・)「ふむ……さしたる脅威には見えんが。オサム、征服とは?」
( ゚ゞ゚)「向こうで聞いた話を総括すると、人間の食生活に侵入しているということだ。
大人から子供まで例外なく……な」
もちろんその結論は誤解から生じたものである。だが彼の部下達には知る由もない。
川 ゚ -゚)「食生活……ということは食べ物ですか? 恐れながらそうは見えませんが」
( ゚ゞ゚)「ふむ、これは論より証拠だな。開けるから舐めてみなさい」
そう言うとオサムは小袋を引きちぎり、皆の出した掌に中身をふりかけた。
( ・∀・)「ペロッ……、これは!」
川 ゚∀゚)「舌が痺れるような鮮烈な味の中に、ベクトルが複雑に絡み合って芸術を!」
ζ(-∀-*ζ「はふぅー……」
( ゚ゞ゚)「うまくね? マジうまくね?」
魔界の食べ物といえば得てして生肉なり血なり、塩味が効いているものは存在しない。
調理という概念が無いまま魔界は発達してきたのだ。
そんな彼らが加工食品ないし刺激的な調味料に冒されたのは当然である。
( ・∀・)「オサム、これを大量生産したいのですが、構いませんねッ!?」
川 ゚ -゚)「これをうまく扱えば魔界の統一が可能かもしれません」
ζ(゚ー゚*ζ「ふみゅ、お兄ちゃーん、これもっと、もっとちょうだーい?」
( ゚ゞ゚)「そう言うと思って持ち帰れる限界まで運んできた。皆の者、疾く作業にかかるのだ!」
――数日後、魔界を席巻する『そばめしふりかけ』。
その頃、人間界では『ブリガリアヨーグルト』が流行っていた――
おしまい
お題
・棺桶死オサム
・そばめしふりかけ
・ブラコンヤンデレ
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