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ξ゚⊿゚)ξ私達は後継者のようですζ(゚ー゚*ζ 2008.09.24
目の前に筒状の培養装置がいくつかある。
緑色をした、培養液で満たされているもの。
そして、私の周りも、それで満たされている。
部屋は薄暗い。
ただただ、とても巨大なモニターだけが光っている。
きっと、あれがなければ真っ暗だろうなあ、と思う。
モニターに、人影ができた。
髭をたっぷりと蓄えた、白髪の腰が曲がった老人だ。
右から入って、真ん中で止まった。
そして、モニターの前にある、よく分からないボタンを押した。
私の周りを満たしていた、緑の培養液が抜けていく。
そして、空気が私に触れる。私の頭から体、足へと、少しずつ。
別に培養液中に居たときだって、足は付いていたから特に違和感はない。
筒状の培養装置が二つに割れる。
モニターの前の老人がこちらへやってくる。
そして、その老人は口を開いた。
おはよう、私の後継者達、と。
ξ゚⊿゚)ξ私達は後継者のようですζ(゚ー゚*ζ
その老人は、周りを見渡した。
私も周りを見渡した。
私の横には、もう一人のヒトがいた。
両サイドに、ロールした髪をもつ、ヒト。
私と似ているヒト。
そのヒトが、私に話しかけてきた。
おはよう、デレ、と。
………レ?……dレ?……デレ?
私は目を覚ました。
太陽が眩しく輝いていて、私は思わず目を細めた。
視界が細くなる。
その細い視界の中に、そのヒトが現れた。
ξ゚⊿゚)ξ「デレ!大丈夫?」
……ここはどこだろう。
そう思って、周りを見渡した。
野球場だった。
そうか、さっきのは夢だったのか。
では、今の状況は何だろう。私は、どうしてここに……
そう思って、やっと思い出した。
単純に私は寝ぼけているのだ。
ζ(゚ー゚*ζ「え……あぁ、おはよう、ツン。寝ぼけてたわ」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたね……確かに野球はつまらないけど、こんな暑い中寝ることもないでしょうに」
ζ(゚ー゚*ζ「えへへ……」
そう、彼女はツン。私の双子の姉なのだ。
双子といっても、友達の流石くんたちのようではない。
そう、見た目は似ているが、性格は反対なのだ。
ξ゚⊿゚)ξ「あ、お父さんがきたよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「え?どこどこ?」
ξ゚⊿゚)ξ「ほら、今、ピッチャー交代しているじゃない。あそこよあそこ」
ツンが指差しているところを見てみると、お父さんの背中が見えた。
ζ(゚ー゚*ζ「あ、いたいた!おーい、おとーさーん!」
ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿ねぇ、デレ。聞こえるはずないじゃない」
ツンの言うとおり、ここからマウンドまでの距離と、周りの歓声を考えれば、私の声なんて届くはずがない。
そして、まさにそのとおり、私の声は届かなかった。
しばらくして、キャッチャーがサインを出した。
,. -‐''~´ _,/ ) _,. -‐ミミ
| ̄ ̄ ̄`~/ヽヽ_ノ____,,,._-='_二-ヘミミ/
ヽ;;;;;;;;;;;;/,_ レ'<弋;;;ッ、 ヽ_,/,./i;;;;;;ラヽ .//|
`'''''/ `ヽY/ . ̄ ̄/| /ヽ `'―'''´‐ !/ | <おまえのカーチャンでーべーそー
/ ノ! !_ _;;;| | | |;';;; ,| |//./
l´/´‐'''‐'-‐'''~ヽ' ̄ ヽ__i'''ヽ__ノ  ̄| | |/
.// (´`´ _,.ノ彡彡 ,`ヾ''´'´ミミ_ / //ミミ
/ / '‐''~ )/''‐-----‐''~´|川 iミ/川ヽ
/ / j‐' _,. く :;;;,,,,,,,,,,,,,, /川 /|川
./ / '´ ノ彡〃川川ヽミ川,.-'´/lll/
/ / )) /ノ〃川川川ヽ,.-'´ |/
,.-''''~~~''-、 ノ~´ ヽ,,,,,,__/ /
私には良く分からないが、つまりはサインなのだろう。
そう、例えキャッチャーがジョセフ・ジョースターに見えたとしても、それは気のせいなのだ。
うん、気のせい。
お父さんが振りかぶった。
程なくして、ストラァァァイク!という声が聞こえた。
そして、その声が聞こえると同時に、私の周りから歓声が上がった。
全く、うるさい人たちだ。たかがストライク一球で。
ふとマウントを見ると、また、お父さんが振りかぶっていた。
甲高いがしたと思う前に、やや鈍い音が聞こえた。
ファールだった。
……何度そのようなやり取りが続いたのだろう。
ゲームはすでに9回の裏。
先ほどが4回の裏であったことを考えれば、お父さんはすでに5回分連続で投げていることになる。
点は、3-3。お父さんのチームが先行なので、ここで抑えれば延長。獲られれば試合終了となる。
ボードを右端を見ると、黄色のランプが2つ、青のランプが3つ、赤のランプが2つ、光っていた。
マウンドを見ると、1,2,3塁、全てに相手チームがいる。
ツーアウトスリーボールツーストライク。しかも満塁。
ここで打たれればほぼ確実に負けるだろう。
しかし、ツンが持ってきた双眼鏡から見えるお父さんは、とても疲れているようだった。
キャッチャーがサインを出した。
運命の一投。
甲高い音がしてすぐに、やや鈍い音が聞こえた。
このパターンは、ファールである。
しかし、この状況はまずい。
すごくまずい。
どれくらいまずいかというと、そう、コーラを飲んだらゲップが出るっていうくらいまずい。
しかし、ここで諦めないのが、投手だろう。
キャッチャーがサインを出す。
初めて、お父さんが露骨に頷くところを見た。
お父さんが振りかぶる。
今までよりも、より甲高い音が聞こえる。
私の視界からボールが消える。
ファールボールにご注意くださいと、アナウンスが聞こえる。
風を切る音が聞こえる。
なんだろう、と思い、空を見上げる。
丸い影が、だんだんと大きくなりながら、私に近づいてくる。
それがボールだと気づいた。
しかし、遅すぎた。
そのボールは、私へと、少しずつ近づいてきて、私の額に直撃した。
私の意識は遠のいた。
気づけば、また、最初の夢を見ているようだった。
私は、おはよう、ツンと、返事を返す。
目の前の老人は、順調のようだのぅと、言った。
そして、私達それぞれに、タオルと、服を渡した。
そして、私達に、体を拭いて、着替えなさいと、言った。
私達は着替えた。
老人は、ついてきなさいと言った。
私達は、それに従った。
また、意識が、遠のいていった。
づけば、頭が割れるような痛みを感じた。
触ってみると、自分でも分かるようなたんこぶができていた。
ツンが、視界に入ってきた。
大丈夫?と、心配そうに聞いてきた。
私はそれに、大丈夫だと思うと、返事をした。
今はいつだろうと思って、ツンに聞いてみた。
まだ、9回の裏だった。
さっきの投球から、2回しか、いや、2回もたっていた。
私は、無駄だと分かりながら、何故か叫んでいた。
お父さん、頑張って、と。
お父さんが振りかぶった。
その顔は、笑っているかのように見えた
今までとは比べ物にならないほど速く、ボールが飛んだ。
一瞬の中のさらに一瞬の出来事のようであった。
誰しもが、球が消えた!?と、思った、とさえ私には思えるほど、速かった。
ボールがミットに入る鈍い音が響いた。
球場に、静寂が訪れた。
審判の声がやけに響いた。
ストライク、ゲームセット、と。
歓声が上がった。
隣のツンが、涙を流しながら叫んだ。
私はまた、意識が遠のいていった。
気づけば、私は薄暗い部屋にツンと一緒にいて、大きな、しかしあの巨大なのに比べると小さい、モニターを見ていた。
そのモニターには、何も移っておらず、真っ黒なままであった。
老人は言った。
これから見せるものをみて、感想を言ってみてくれ、と。
そして、老人は手元にあるキーボードとマウスを操作した。
途端、モニターに光が宿った。
モニターには、機関車トマースという文字が浮かび上がった。
そして、背景には青、黄、緑の人面機関車が3台、並んでいた。
青い人面機関車が言った。
よーし、今日も元気に、しゅっしゅっぽっぽと走るぞぉ!、と。
黄色い人面機関車が言った。
しかし、僕達はなんと環境を汚して走っているんだろうね、と。
緑の人面機関車が言った。
でも、そうしないと、僕達は走れないよ、と。
黄色い人面機関車が応答した。
仕方ないだろう、それでも僕達は走るために作られたんだ、と。
青い人面機関車が、悲観しながら言った。
僕達は、人によって作られた。でも、その技術は、つまりは文明は、元は農耕からはじまったんだよね。
農耕が発達したのは、道具による、つまり、はさみによる大いなる収穫の迅速化や、肥料による収穫の肥大化などによるよね。
収穫物は、自然によって作られるものだった。
そして、人も自然によって作られた。
自然によって作られたものは、自然の中に存在する。
でも、人は自然を破壊しながら、それでもなお、自然の中に存在しようとする。
なんておこがましい存在なんだ!
3両の人面機関車は、口をそろえて言った。
じゃあ、人を滅ぼしてしまおう、と。
そこで映像は途切れた。
君達は、どう思う?と、老人は聞いてきた。
ツンは、人は滅ぼされないといけないと、言った。
老人は、そうか、やはり君もそう思うかと、言うと同時に、デレ、君はどう思った?と、聞いてきた。
私は口ごもった。
どう言えばいいのか分からないのだ。
あの映像を見る限り、そして、現実、いや夢だろうか、球場での観客を見る限り、人はいらないと思える。
しかし、なにか引っかかるのだ。
言葉にできない、何かが。
私は、思い切って、言い放った。
私は、違うと思う、と。
人間は、確かにしてはならないことばかりをしている。
でも、その一方で、彼らは、彼女らは、だからといって殺していいようなものではないのだ。
もし殺してしまえば、それは、私達が彼らと同じだといっているようなものではないか、と。
老人は唸った。
ツンが、横槍を入れてきた。
だが、私達は、人間とは違う。
人間とは違い、人間を滅ぼしたら、それだけだ、と。
私は反論した。
例えば、魚。
魚はとても多くの卵を作る。
それは、卵が敵に食べられたりすることが多いからだ。
しかし、もし敵が居なくなったらどうなるだろうか。
海は子孫で溢れ、魚は自分達が生んだ子孫によって、滅びるのだ。
魚を動物、敵を人間にしたらわかるだろうが、人間は多くの動物にとって必要不可欠であるのではないか、と。
老人は悩んだ。
とても、悩んだ。
そして、無言で、ボタンを押そうとした。
私は、咄嗟に叫んだ。何故か、それのボタンを押すことが、何を示すのかを心で理解していたからだ。
おじいちゃんだめっ!
老人は固まった。
ツンも、固まった。
そして、二人は同時に、こちらを見つめ、そして……
目が覚めた。
お父さんが、インタビューを受けていた。
ツンは、それに視線を固定していた。
周りの人は、いくらか少なくなっていた。
さっきの夢はなんだったのだろうか。
考えに考えるが、分からない。
しかし、どうだっていいのだ。例え私とツンが人でなくても、それでもいいのだ。
私は、ただ、人として生きるだけだから。
お父さんのインタビューが終わった。
アナウンサーらしき人が、ありがとうございましたと言った直後、周りから歓声が上がった。
耳を塞ぎたくなるほど騒がしかった。
しかし、最初のストライクの時のような不快感は、全く感じなかった。
むしろ、私も一緒になて騒ぎたくなるほどに心地よい感覚だった。
漆黒の空にただポツンと光る星が、やけに綺麗に見えた夜だった。
ξ゚⊿゚)ξ私達は後継者のようですζ(゚ー゚*ζ 終わり
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