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(`・ω・´)はちょっと歩くようです 2008.07.31
小学校高学年ぐらいのとき、思春期ってさ、自分は何でも出来る、どこまでも行けるってみんな思うよね。
夕暮れ時に近くの川の堤防から見た、あの遠く霞がかった山へと吸い込まれていく白いもこもこのようにどこまでも。
きっとこの空一面のオレンジ色はものの数時間でキラキラ光る星のものになるんだろう。
この空の変化を見ながら僕はどこまでも歩いていきたい。
そうだ、雲と一緒に山まで歩いて星と友達になろう。
ははっ、星と友達だってさ。僕、何言ってるんだろう。でもいいんだ、いつもよりちょっと近いところで星をみたいだけなんだ。
そんなことばっか考えてた。
小学生の頃、弟と散歩しているとき本当に急に思い立って僕は歩き始めた。
(`・ω・´)はちょっと歩くようです
(`・ω・´)「なぁショボ、今からあの山までいってみない?」
そういって僕は遠くを指差す。
(´・ω・`)「兄ちゃん、本気で言ってるの?」
ショボは僕の冗談だと思ったらしい。今思い返してみれば冗談だと思うのも無理はない。
もう暗くなりかけてたから。それにショボは年下のくせに妙に現実主義なところがあった。
あの頃はそんな生意気なショボとよく喧嘩した。
(´・ω・`)「今から行けるわけないじゃないか、早く帰ってご飯食べようよ。」
(`・ω・´)「大丈夫だって、ほらすぐそこに見えてるじゃないか。」
すぐそこ、とはいっても見晴らしのいい堤防から地平線の変わりに小さく山が見える、そんな距離である。
(´・ω・`)「そんなに行きたければ兄ちゃん一人でいきなよ。家の鍵ちょうだい。」
僕ら二人はいわゆるかぎっ子という部類に入る。親は共働きで予備の鍵は一つしかなかったから兄である僕がいつも持っていた。
(´・ω・`)「大体なんで急にそんなこと言い出したのさ。」
星と友達になりたいなんてまさかそんなあんなああ、恥ずかしくていえるはずがない。大体思春期のころの妄想を人に晒すことのできる人がいたら見て見たいものだ。
笑っていいとも!で聞いたって100分の0だろうさ。「いませんでしたかー。」「いないですねー。」
僕は急に慌てて目線をそらしどうにか取り繕おうとした。
(`・ω・´)「お、お腹が空いてないんだよ!うん!」
(´・ω・`)「へ?」
(`・ω・´)「だからさ!お腹が空くまで歩こうってこと!」
(´・ω・`)「ふぅん…。まぁいいよ、とにかく行くなら一人でいきなよ。」
この兄を疑うような眼をする弟は心底小憎らしかったけど幼心ながら僕は独りで行くのは嫌だったんだ。寂しさにものすごく敏感な年頃だったんだと思う。
だから怒らず頭を下げた。心底頼んだ。
(`・ω・´)「そんなこと言うなって、一緒に行こう!アイス買ってやるからさ、ベリベリさん。」
※ベリベリさん→ベリベリと薄皮を一枚一枚はぐようにして食べる60円の棒アイス。不思議な触感にベロリンチョウヘヘ。
小学生にとって60円は大金です。ちなみに僕は60円あったらナウい棒を6本買います、コレは大奮発!これで乗ってこないやつは阿呆だNE。
でもショボは、
(´・ω・`)「帰るっつってんだろ!早く鍵よこせよ!」
人が下手に出てたら調子に乗りやがって、小学生の感情のダムはメチャクチャ欠陥だらけ、ここからは一気に爆発してしまった。
(`・ω・´)「うるさいな!弟だろ!兄の言うこと聞けよ!家の鍵は僕が持ってるんだからお前は付いてくるしかないんだって!」
(´;ω;`)「何言ってるんだよ兄ちゃん、何言ってるんだよ!」
DAIJINAKOTONANODENIKAIIIMASITA
ついには弟は泣き出してしまった。自分も少し涙目だ。感情を抑える術がまだ未熟。修行が必要だってヴぁよ。
こうなってはもう収拾が付かない。
その頃も一応年配者としての気概は持ち合わせていたのか、ただその場の空気がつらくて即刻立ち去りたかったのか(多分後者だろう)
僕は鍵を弟へと投げつけ、
(`・ω;´)「もう、いいよ、さっさと、帰れよ。」
といって歩き出した。
よくわかんない悔しさと怒りの感情に疲労を覚えながら後ろを振り向かないのがかっこいいんだなんて馬鹿なことも考えてた。
早歩きを始めてからちょっとして後ろを見たけど、そこにはもちろん弟の姿はなく、
(`・ω・´)「一人でも行けるさ。」
そういってまた前を向き歩き続けた。
堤防は一本道、砂利道、川がある限り続く。
いつも生活してる場所なんかよりとてもドキドキする冒険の道。
橋が見えた。渡ったことのない橋。この橋を越えれば違う県、違う町。それは小さな僕の心をとてつもなくワクワクさせ不安にさせたドキがムネムネ。
ふと空を見る。さっきまでは空の色と同じように幼稚な感情に身を任せ何も周りが見えてなかったけど、もうそこには沢山の――――
沢山の―――――
ーーーーーーーーーーーーー
玄関で、
(´・ω・`)「兄貴、こんな朝早くからどこいくの?」
(`・ω・´)「あー、あれだ、ちょっと腹を空かせに。」
(´・ω・`)「ククッ、兄貴はいつもそれだ。」
(`・ω・´)「うるせーよw」
履き慣れたスニーカーの紐をきつく結ぶ。今日はこの靴を履きっぱなしだろうから。
結局小学生だったあのときはいくら歩いても山は地平線から張り付いてウントモスントモ言わなかった。
ずーっと遠くにある山に負け惜しみを吐き、逃げ帰ってきて真っ暗な中家に帰ってきて親に怒られて弟には馬鹿にしたような眼で見られ…。
でもどこか満足で、それでも心残りで、
そんなこんなであのときのことをたまに思い出すのだ。星が待ってる。空の上で。
この僕と友達になるために。
堤防を歩く。
橋を渡る。
途中の駄菓子屋でベリベリさんとナウい棒を6本買った。
さて、歩こうか――――
―――――(`・ω・´)はちょっと歩くようです―――おわり
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