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( ^ω^)ここは闘技場のようです 2008.12.24
( ^ω^)ここは闘技場のようです
雨は降らない。
乾いた風だけが、何年もこの地を吹き抜けていた。
荒野。
茶色の地平線と、雲一つない空の堺。
一つの建造物がそこで存在を叫んでいる。
ここは平和な世界。
ここは平和な地獄
ここは平和な天国
ここは平和な闘技場。
目を開くと、太陽の下にいた。
周囲では観客がざわめいている。
円状に広がった舞台。向かいにもう一人見える。
( ^ω^)「おっおっお、ドクオ! ふるぼっこにしてやんよ!」
僕は先に声を出して向かいに話かけた。
('A`)「うるせぇ、この前負けたのはブーンの方だろ!」
向かいの男。細い体に低い身長。
彼は大柄な僕とは正反対の体格だった。
もっとも、それで完全に不利と言う訳ではないが。
( ^ω^)「さぁて、始めるかお!」
僕は背負った大剣を握り、真横に振り払う。
風が空間を揺らした。
('A`)「ああ、一瞬で終わらせてやるさ!」
ドクオは腰にさした刀を抜き放つ。
揺れていた空気が切られ、無風の舞台に僕達は駆けだした。
歓声。
観客達の声で再び空間が揺れる。
僕達の距離はどんどん縮まる。
やがて舞台の中央で互いの剣が迫る。
衝撃。
僕の真横からの一撃とドクオの真上からの一閃。
火花を散らせながら、砂を巻き上げながら、衝突した。
ドクオは力をながし、僕は力任せに、二人とも硬直する。
だが、この鍔迫り合いは僕の勝ちだ。
力で劣るドクオが後退を始める。
('A`)「ちっ!」
ドクオが更に一歩下がる。
力が緩んだ。
同時に僕は大きく一歩踏み込む。
(#^ω^)「うおおおおぉッ!!」
地面に叩きつけた右足を軸に大剣を振り抜く。
金属が弾ける音。
ドクオが壁に向かって吹き飛んだ。
僕はそれを追う。
だがドクオは空中で一回転し刀で勢いを殺す。
上手く停止しながら構えをなおす。
('A`)「やれやれ。 新しいのを試すか」
ドクオは壁を背にして僕が来る前に刀を鞘にしまい、体を沈める。
(#^ω^)「叩き斬る!」
('A`)「その前に避けられるか?」
肩に背負った大剣を振りかぶる。
次の瞬間、ドクオの体が大きくなった。
(;^ω^)「!?」
閃光が視界を埋めた。
僕の大剣がずれる。目の前に、ドクオが居る。
ドクオの小さい呼吸と同時に僕の左手が飛んだ。
鈍い痛み。
案外慣れないものだ。
(;^ω^)「ぐっ!」
振り抜かれてはずの刀が既に鞘に収められていた。
次の閃光。
今度は左腕が吹き飛んだ。
血のしぶきの中、ドクオが口を開く。
('A`)「な?避けられないだろ? ほれ、もう一発」
左肩が飛ぶ。
慣れたと思っている痛みが大きくなっていく。
同時に攻撃にも慣れてきた。
( ^ω^)「っと!」
右足を振り上げドクオを踏み台に向かいの壁に飛ぶ。
右肩に大剣を担ぎながら。
僕が間合いから外れた事で刀を閉まったまま止まる。
壁を蹴り、一瞬で間合いを詰める。
('A`)「!」
僕の斬撃をドクオの刀が迎え撃つ。再び、火花が散った。
僕の勢いは死んでいない。
そのまま腰を捻り左足をドクオの刀身に叩きつける。
( ^ω^)「……!」
(;'A`)「……!」
折れた。
ドクオの刀の半分が宙を舞う。
僕は更に上半身を捻る。
左足の勢いを乗せて大剣をドクオに振り放つ。
血しぶきが視界を覆った。
(A )「…」
ドクオの首がその視界の中で回っていた。
僕が地面に着地し、遅れてドクオの首が落ちてきた。
僅かの間、その首を眺めて観客に向き直る。
右手の大剣を掲げた。
再びの歓声の中大剣を背負い直す。
( ^ω^)「…おっおっお! 僕の勝ちだお、ドクオ!」
徐々に歓声が小さくなっていく。
(A )「…あーあ、そうですねー」
首だけのドクオが口を開く。
会場から人々が『消えて』いく。
('A`)「結構自信あったんだけどな~。 あの技」
( ^ω^)「良い技だけど僕には使えんお」
('A`)「知るかよ。 お前体術なんか使えたか?」
( ^ω^)「ジョルジュから盗ったお!」
('A`)「ああ。 俺も槍術辺り、クーから盗むかな」
もう観客席には誰もいない。
二人だけの部隊にアナウンスが響く。
『本日の第404闘技、405闘技、406闘技を終了します』
『各闘技場プログラムのラーニングが終了するまでお待ちください』
『すでに終了している405闘技のプログラム二名はマザーサーバーに転送します』
『次の闘技は一時間後です。観戦ありがとうございました』
最後の一言が終わると同時に僕達の体が光の泡に分解されていく。
( ^ω^)「お、じゃあまただお!」
('A`)「おう。 次は武器変えてると思うぜ」
―彼らは戦う―
―意味も、疑問も無く―
―それは彼らにとって悲しむべき事なのか―
( ^ω^)「おっおっお、この僕に勝てるとでも?」
―これはある世界の姿―
―人間と呼ばれる存在が消えた世界―
―ある遺跡での、平和な日常―
('A`)「バカヤロウ、次はふるぼっこにしてやんよ」
僕達は光の中でいつもの様に笑った。
そして、荒野の闘技場から全てが消えた。
雲一つない空、何も無い地平線。
一つの建造物がそこで存在を叫んでいた。
ここは平和な世界。
誰もいない世界の、誰かがいた名残。
ここは平和な地獄。
互いの思いをぶつける地。
ここは平和な天国。
笑顔の絶えない理想郷。
ここは平和な闘技場。
さあ、共に踊ろう。
( ^ω^)ここは闘技場のようです
お題
・ふるぼっこにしてやんよ
・鍔迫り合い
・飛び蹴り
・('A`)「な?避けられないだろ? ほれ、もう一発」
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