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温かいようです 2008.10.04
ハインの体重を預かっていたはずの右腕が、今はもぎ取りたい程に軽い。
咄嗟に振り返ったけれど、遥か下の分厚い雲が何もかもを白く飲み込んだ後だった。
突き刺した鉄串を握る左手が俺を生かしていた。
内藤が落ちた。
兄者が吹き飛ばされた。
渡辺は泣き叫びながら視界から消えた。
ハインの愛しい体温が残る掌はからっぽになった。
('A`)「ふざけんなよ」
怒りはとっくに通り越した。
息すら奪う轟風はただただ憎しみだけを膨れさせていくだけ。
強烈な速度で空を疾る巨鳥は人を喰う。
大人は我が身を守る為にイケニエを捧げた。
俺達をただ、肉として扱った。
('A`)「殺してやる」
残った温もりが一秒でも長く俺に遺るように、胸に手を当てる。
あいつらの声が体を駆けていく。
眩しい笑顔が背中を押す。
俺の手は、震えていた。
('A`)「聞けくそったれ」
(# A )「おまえはしね。これ以上俺から何も奪わせない」
(#'A`)「いいか! 何ひとつ奪わせねえからな! 村を殺し尽くす事も、俺の命も、残ったあいつらの温もりも!!」
一握りもある羽の芯を掴む。体を引っ張りあげ、抜いた鉄をさらに上へ刺す。
脳天を貫けばお前は死ぬだろ?
やってやるよ。
お前を奪ってやる。
抱いた温もりは死ぬまで俺のもんだ。
了
お題
・温もり
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