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(´・ω・`)は赤く染まったようです 2008.12.11
目がない口がない鼻がない耳がない
男は手を慌ただしく動かす。
口がない鼻がない耳がない目がない
虚空に手を這わせ、慌ただしく。
口がない目がない鼻がない耳がない
どんどんと下に下がって行く男の手が、赤く、てらてらと光った断面にべしゃり、と触れた。
…………目がない鼻がない口がない耳がない
それでも男は、現実を否定するように、ひたすら手を動かし、歩きだした。
(*´・ω・`)「うぃ~ひぃっく」
顔を紅く染めた中年が、狭い、住宅街を歩いている。
よたよたと、千鳥足で歩くその中年は、所々ぶつかりながら歩いていた。
(*´・ω・`)「うぃあ~ひぃっく」
よたよた、よたよた、千鳥足で歩く。
ドンっドンっと何かにぶつかりながら。
ドンっ
ドン
ドン
ドン
ドン
ドン
ドン
べしゃり
生ぬるい、ヌルヌルした感触。
どす黒く、染まった中年の一張羅。
(*´・ω・`)「うぃ~…?」
中年は、酔った勢いも相まって、ぶつかった主を確認してしまった。
つい、確認してしまった。
ボロボロのスニーカーを履いた赤い足
ある程度引き締まった赤い尻
鈍く光を反射する赤い手
赤い体
赤い服
赤い地肌
赤い
(;´・ω・`)「えっ…?」
赤い
赤くない。
ない。
顔が、首が、ない。
(;´・ω・`)(なんで?どうして?なんで?なんで)
なんで、首から上がない?
赤い男は、ぬっ、と赤い手を伸ばして、中年の顔を撫で回した。
赤い手で中年の目を鼻を口を耳を頭頂部を後頭部を撫で回した。
(;´ ω `)「うあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
中年の顔はたちまち赤くなった。
目を指で愛おしそうに撫で回す。
(;´ ω `)「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
鼻をつまみ、捻り切る。
(;´ ω `)「んごあ゛あ゛あ゛!」
口に指を差し込む。
(;´ ω `)「ん゛ん゛っ!ぐん゛ん゛ん゛!」
耳に指を入れ、かき回す。
(;´ ω `)「ごぶっ!ばぎががぐぐ!!」
薄くなった頭頂部を掻き毟る。
(;´ ω `)「ん゛あ゛!ぐあ゛あ゛あ゛!!!」
まだ毛の生えて残っている後頭部を、頭皮ごとごっそりと毟り取る。
(;´ ω `)「ぎあ゛… あ゛…!!!!」
男はそれで満足したのか、また、手を動かし、何も無い空間を撫で、歩き始めた。
目がない口がない鼻がない耳がない
口がない鼻がない耳がない目がない………
中年の死に気付く者はいない。
赤い男に気付く者もいない。
中年を拾う者はいない。
赤い男を止める者はいない。
この二人を救う者はいない。
おしまい
お題
・首が無いのに生きている男
タイトルがなかったのでそれっぽいのをつけました
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