(´・ω・`)は許してもらえたようです
853 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 00:58:40.57 ID:vH4v/shxO
僕は夜空を見上げながら思う。
(´・ω・`)「今日の星空はいつもより綺麗だ。
このまま切り取り水槽に入れ、クラゲを飼いたいな」
僕は自分探しの為、日本中を旅している
そして今は何故か高知県の、とある駅に立っているようだ。
次はどこへ行こうかな
左手を顎に当てながら、電車の時刻表を見ながら考える
(´・ω・`)「(ここからだと、京都行きの夜行列車が走ってるのか
のんびり、夜行列車に揺られながら行くのも風情があっていいな)」
(´・ω・`)「よし京都へいこう」
その切符を買うと、
ついでにキヨスクで『かつおたたき駅弁』とお茶を買う。
「日本で唯一の刺身弁当なんだよ」ってキヨスクのばっちゃが言ってたな
本当は駅弁なんか買わず、食堂車で食べる予定だったのだが、
これも旅の醍醐味らしくていいか
854 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 00:59:08.88 ID:vH4v/shxO
車両に向かう途中、変わった酔っ払いと出会った。
(*^ω^)「私のお墓に佇み泣かないでぇぇぇ
私はそこにはいないぃぃぃ」
(´・ω・`)「(こういう大人にはなりたくないな。もう十分大人だけど)」
彼を軽蔑の目で見ていると、車掌が慌てて走ってき、
そのまま彼はどこかに連れていかれた。
「ンンキムチッ!!」と言う謎の言葉を残して
同じ電車の乗客でないことを祈りたい
855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 00:59:43.48 ID:vH4v/shxO
そうこうしているうちに、目的の電車の乗り込み口まできた
切符に書いてある車両名を確認し車両に乗り込む
『デスメテオ』
まったくセンスのない車両名だな。
でも『マリモ』なんてのがあるくらいだし、アリといえばアリか
重い旅行鞄を引き摺りながら、自分の席へと赴く
その時だ。思いがけない再会をしたのは
もう一生会わないと思っていた
動悸がしだし、全身に冷や汗を掻く。
僕は慌ててソイツの進行とは逆方向に逃げようとしたが、
運悪く目が合ってしまった。
(*゚ー゚)「あっ、あれあれぇ? もしかしてショボン君じゃない?」
(;`・ω・´)「いいえ、人違いでしょう。僕の名前はシャキンです」
そう言って、僕はとっさに眉毛を精一杯吊り上げ他人のフリをした
856 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 01:00:19.06 ID:vH4v/shxO
こんな子供騙しが通用する訳もなく、僕は根気負けし
ここで立ち話もなんだからと、食堂車に出向いた
食堂車の車内は
壁際においやられる様に、テーブルと椅子が律儀に並んでおり、
真ん中だけ人が通りやすく空間が開いている
テーブルには白のテーブルクロスが敷かれ、
その卓上の車窓側には、かさが紅色のテールランプが一つ置かれており、
間接照明の役割を果たしている。
イスは四脚。茜色のそれはテーブルの周りに整然と置かれていた。
僕は彼女より先にそれらの一つに座る。
普通はテーブルを境に対峙して座るものだが、彼女はわざわざ僕の横に座ってきた。
(*´・ω・`)「(ふふっ、すぐくっついてきて、まるで猫みたいなヤツだな)」
(´・ω・`)「(あっ、そうだ。あの駅弁を先に食べないと、刺身だから日持ちしなさそうだし)」
徐に旅行鞄から駅弁出し、テーブルに置いた
858 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 01:02:33.77 ID:vH4v/shxO
(*゚ー゚)「ショボンはホントにマイペースだねぇ」
(´・ω・`)「まあ…ね。
君はなんか頼んだら?
今日は再会を祝って俺の奢りだ」
彼女は余程嬉しかったのか、子供のようにはしゃぐと
少し悩んで、スパゲッティミートソースを選んだ
(´・ω・`)「別に遠慮しなくてもいいよ」
(*゚ー゚)「本当はディナーコースを頼みたかったんだけど、
予約制だから今はもう無理なんだって
もし頼めてたらショボン、
サイフ見ながら泣くことになってたかもね、ウフフ…」
微笑みながら言う
860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 01:03:09.57 ID:vH4v/shxO
(´・ω・`)「ご丁寧にどうも。これでも立派な大人なんだ。お金ぐらい人並みに持っているよ」
(*゚ー゚)「えへへ。じゃ、これ見てもまだそんな事言えるのかなぁ?――」
そう彼女のフリをした小悪魔が言うと、僕にメニューをつきだす
どれどれ
《フランス料理ディナー 10,000円》
(´・ω・`)「正直すまんかった」
高過ぎだろ常識的に考えて
862 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 01:04:09.66 ID:vH4v/shxO
彼女は唐突にこう訊いてきた
(*゚ー゚)「ねぇねぇ私の事まだ好き?」
Σ(´゜ω゜`)「―――ブッ!!」
い、いきなり何を言い出すかと思えば・・・
僕は、本当のことを言うのが恥ずかしくて曖昧に答える
(´・ω・`)「どうだと思う?」
(*゚ー゚)「え〜?質問を質問で返すのって酷くくない?なんかオシムみたぁい」
そういいながらも彼女は穏やかな顔で笑っていた。
(*´・ω・`)「そうだな、ハハハ…」
俺もつられてついつい笑ってしまう。
こんなに笑ったのはいつ以来だろうか。
(*゚ー゚)「笑ってないで早く答えてよぉ、ねぇてば〜」
864 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 01:04:48.92 ID:vH4v/shxO
――――
僕は大学時代正直やりちんだった。
誰とでもヤって、ヤった後すぐ捨てた。もちろん女のみだ
今では反省している
彼女とはその荒れてる時代に出会った
彼女はいままで付き合ってきた女の中で、顔・性格いや全て別格だった。
本当に彼女の事を愛していた。
でも僕はなんの躊躇いなく捨てた
あの時の僕は狂っていた。
なんとなく綺麗な女が男に振られ、
醜態を晒す姿がどうしてもこの目で見たくなって捨てた。
そうだ、あの時もそうだった。
猫の様にくっついてきて、「別れないで」と泣き叫び懇願する彼女を、
当時の僕はその顔を見れて満足し、そして捨てた。
そのあと僕は、ここのままではいけないと思い、
今回の旅をしている訳である――――
でも彼女は、そんな事をした僕にこんなに活き活きと話掛けてくれる。
まさか…
Σ(´゜ω゜`)「まさか君、美人局になって復讐しにきたか!!」
(*゚ー゚)「ブッ、いきなり何言ってんのよぉ。その深読み、昔と全く変わってないねぇ」
(´・ω・`)「そ、そうかすまない。ならいいんだ」
こいつは嘘をつくと、すぐ顔に出るタイプだから、今のは真実だな
ちょうど喋り終わったタイミングで、スパゲッティが運ばれてきた
865 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 01:05:32.26 ID:vH4v/shxO
彼女はそれを黙々と食べ出し、僕も釣られて黙って食べた
その間もずっと彼女は僕にくっついている。
いつまでもこの時間が続けばいいのにな、と思った。
―――が
その雰囲気をぶち壊す歌声が車内に響く
この声はまさか
(*^ω^)「私のお墓に佇み泣かないでぇぇぇ
私はそこにはいないぃぃぃぃ」
やっぱりあの酔っ払いか
まさか同じ電車に乗っているとは…ついてないな
声で段々と近付いて来ているのがわかる
彼女はきっと怯えているに違いないと思い、
目を向けてみると酔っ払いに合わせて口ずさんでいた。
(*゚ー゚)「いい曲だなぁ」
(*^ω^)「おっ! お嬢ちゃん気が合うおねぇ」
何、意気投合してんだよ…
866 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 01:06:07.22 ID:vH4v/shxO
(*゚ー゚)「特に歌詞がいいんですよね。
亡くなった人を思い、尊ぶようで」
(*^ω^)「おっおっ。僕も――――」
以前と同じ様に慌てて車掌が来て、彼は連れていかれた。
(#^ω^)「ちょ、まだ言いたい事が――ンンキムチィィッ!
と言う奇声を残して。
彼は千の風になったようだ
彼が去った後も、彼女はずっとその歌の鼻歌を唄っていた
その姿は何故だか愛しく見える
こんな顔がみれたのは酔っ払いのお陰かな?
突然の出会いも悪くないな。うん
食事も終わりこの至福の時間も終焉に近付いていく
言うなら今しかない。僕は覚悟し口を開く。
(´・ω・`)「あの時は…ゴメン」
彼女は突然の謝罪に最初は戸惑っていたが、
顔付きが慈母の様になり語りかけてきた
(*゚ー゚)「そのことはもういいよ」
あんな醜いことをしているのに何一つ怒りもせず、笑いながら許してくる彼女。
罵倒の一つぐらい言いたいだろうに――
868 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 01:06:53.31 ID:vH4v/shxO
その態度をみて、僕は突然流れだす涙を止めることができない
(´;ω;`)「あの時の僕は本当に頭がイカレてたんだ。ゴメン。ゴメン―――」
何度も何度も僕は謝った。
彼女は「ねっ?もう泣かなくていいから。ねっ」と僕を諭すと、
座ったままの僕を、同じ体勢の彼女が上半身だけで包みこむ
(*;ー;)「それよりもね
今日は短い時間だったけど本当に楽しかったよ。
ホントにありがとぉ」
いつのまにか、彼女も泣いていた
僕もただただ泣きながら頷くしか出来なかった
そして彼女は言った。
(*;ー;)「さっき聞きそびれちゃったけど、私のこと今でも好き?」
僕は鼻声で即答する
(´;ω;`)「ああ愛してる。もう僕は一生君を離さない!」
彼女はその言葉を聞けて満足したのか、微笑むと突然立ち上がり
(*゚ー゚)「私もういかないと」
(´;ω;`)「えっ?」
そう言い残すと彼女は走って扉から出ていった
869 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 01:07:27.30 ID:vH4v/shxO
僕は、ここで酔っ払いと彼女が歌っていた歌の歌詞を思い出す
(´;ω;`)「まっ、まさか…いやそんなハズは」
せっかく再会し、許しを得て、僕は君を…一生君を離さないと言ったばかりなのに
(´;ω;`)「そんなのひどい…ひどすぎるよ…」
慌てて僕は彼女を追い掛けた
(#`;ω;´)「くそっ間に合ってくれぇぇぇぇ」
870 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/10(木) 01:08:13.05 ID:vH4v/shxO
Σ(´;ω;`)「―――ガッ!?」
扉を開け、出たところで突然おでこを叩かれた
(*゚ー゚)「だからショボンは深読みしすぎなのよ。
エヘヘ…でも嬉しかったよ。すぐに来てくれて」
そして僕は理解する
彼女にまんまと一杯食わされたようだと。
(*゚ー゚)「これで私の気持ちが少しでも分かったかなぁ? ねえショボンくん?」
(´・ω・`)「う、うん。痛いほどよくわかりました」
さっきの涙はどこへやら
僕はなんだがおかしくなって笑った。
彼女も満足げに笑う
最後に僕はこう叫ばずにはいられなかった
『もう一生君を離さない! ンンキムチィィ!!』
《完》
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妙にキムチイイ心境になった
やっぱりしぃちゃんはギコと結ばれるのがいいと思った