唯「桜高を卒業して、もう60年か……」
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:44:18.84 ID:YivQgic60
唯「みんなどうしてるかのう……」
そう言って唯は仏壇の遺影に手を合わせた。
そこに写っていたのは1か月前に亡くなった唯の夫だった。
唯「独りになると急に寂しくなりましたよ、爺さん」
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:48:46.00 ID:YivQgic60
唯「会いたいのう、澪ちゃん、律ちゃん、ムギちゃん、あずにゃん……」
唯は押入れを開けた。
確かここに卒業アルバムがしまってあったはずだ。
思い出の品をどかし、ガラクタをかきわけ、
ついに押入れの奥から卒業アルバムを発掘した。
唯「ふぅ、これを見るのも何十年ぶりかのう」
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:53:13.17 ID:YivQgic60
ぺらり、とページをめくった。
60年前のアルバムにもかかわらず、特に劣化や損傷はなかった。
しまいっぱなしだったせいかもしれないが。
最初はクラスごとの集合写真があった。
3年1組、唯のクラスだ。
唯「懐かしいのう」
同級生のことなどすっかり忘れていると思ったが、
顔を見ていると自然に名前が浮かんできた。
唯「これが佐山さん、こっちが新藤さんだっけ……」
そして、その横に写っていたのが、
唯「りっちゃん」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/03(月) 23:58:21.43 ID:YivQgic60
田井中律……。
律は卒業後は東京の大学に進学した。
その後は成人式で帰省してきたときに会ったくらいで、
唯とはまともに連絡を取り合っていなかった。
たまにメールをしたり、年賀状を送ったりするくらいの関係だった。
もっとも、澪は律と密に連絡を取り合っていたようだが。
律から最後に年賀状が届いたのは、52年前のことだ。
ちょうど唯が結婚した歳のことだった。
それから律の消息は分からない。
唯「りっちゃん、元気かのう」
唯はページをめくった。
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:10:13.65 ID:dbdfyurv0
次のページには秋山澪と琴吹紬、そして真鍋和が映っていた。
唯「澪ちゃん、ムギちゃん、和ちゃん」
澪と和は卒業後、地元の有名私立大学に進学していた。
暇な時、唯は2人とよく遊んでいた。
唯が3回生の時、彼氏ができたということを2人に報告した。
澪は「おお、そうか。おめでとう」と祝ってくれたが、
和の方は「ええっ、あんたが彼氏!?」と盛大に驚いていた。
唯『そ、そうだよ……どうしたの、和ちゃん』
和『え、いや、まさか唯が彼氏なんて……』
澪『はは、ちょっとイメージとは違うかもな』
唯『ひどーい、澪ちゃん』
そのあと、落ち着きを取り戻した和は「ま、おめでと」と言ってくれた。
唯がその彼氏と結婚することになった時も、和は色々と手伝ってくれた。
和『ふふ、唯もいつのまにか大人になったのね』
唯『前からずっと大人だよ〜』
和は某有名企業に就職し、生涯独身で過ごした。
そして10年前に癌で亡くなった。
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:18:01.23 ID:dbdfyurv0
澪は大学に行きながら本格的に音楽の勉強を始め、
卒業後に歌手としてプロデビューを果たした。
卒業から3年後、プロとしての活動が軌道に乗ってきたころ、
澪は東京へと引っ越した。
唯『りっちゃんに続いて澪ちゃんまで東京デビューかー』
和『寂しくなるわね』
澪『はは、まあテレビとかラジオとかで見かけたらヨロシクな。
唯、旦那さんと仲良くやれよ。和、仕事頑張れよ』
そう言い残して澪は東京へと旅立った。
澪はあまりテレビに出るタイプではなかったが、
それでも割と売れているようだった。
唯はたまにラジオや雑誌で澪の元気な姿を確認した。
澪は45歳になったころ歌手を引退した。
その後は作詞や作曲などの活動をしているとのことだった。
唯「澪ちゃん、今何してるのかのう」
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:22:49.88 ID:dbdfyurv0
紬は某地方都市の女子大に進学。
卒業後は京都に戻り、良家のおぼっちゃまと結婚して
3人の子供をもうけた。
唯は母親仲間として、紬とは頻繁に連絡を取り合っていた。
しかし13年前に夫を亡くしてしまってから紬は塞ぎこんでしまい、
連絡をとろうとしても相手にしてくれなくなった。
とうとう唯の夫の葬式にも来なかった。
でも、住所が変わっていなければ、紬はまだあの家に住んでいるはずだ。
唯は紬に会いに行くことにした。
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:27:59.00 ID:dbdfyurv0
唯「よっこいしょ」
唯はアルバムをカバンに入れた。
他にも見たいページは沢山あったが、
それは軽音部のメンバーで揃って見ることにしよう、と思ったのだ。
唯は着替えて、カバンと財布と携帯電話を持ち、
アパートの部屋から出た。
もともとは一戸建てに住んでいたのだが、2人の子供が自立した後に
その家を売り払い、このアパートに引っ越したのだった。
唯は携帯を取り出し、紬の家に電話をかけてみたが、
やはり繋がることはなかった。
唯「引っ越してしまったのかのぅ」
唯はとりあえず、紬の家に行くことにした。
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:34:34.21 ID:dbdfyurv0
歩くのが少し不自由になっていた唯は、
杖をつきながらゆっくりと歩きだした。
唯「ええと、バスに乗るんじゃったな……」
時は西暦2070年、過去の少子化対策も少なからず効果はあげていたが、
社会の高齢化はスピードを緩めることなく進行していた。
そのため、バスなどの交通機関も唯のような老人にも利用しやすいよう改善が施されていた。
唯「ふう、最近のバスは乗りやすくていいのう」
唯は座席に腰掛け、目的のバス停に着くのを待った。
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:38:26.75 ID:dbdfyurv0
4つほどバス停を過ぎて目的地に着いた。
唯は回数券を支払って、バスを降りた。
老人用パスなどとうの昔に廃止となっていた。
大通りから細い道に入り、少し歩いて右に曲がる。
そこに紬の家はあった。
あるはずだった。
唯「あれ……?」
そこはサラ地になっており、「管理:京都市」の看板がかかっていた。
唯「紬……ちゃん」
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:42:36.44 ID:dbdfyurv0
そこに一人の老人が通りかかった。
唯「あのう、ここに家ありませんでしたっけ」
老人「ああ、なんでも奥さんが亡くなられたとかで……」
唯「え……」
紬はすでに死んでいた。
唯「な、なぜ……そんなこと、聞いてません」
老人「家族だけで葬式をやってたみたいですよ…」
唯「……っ」
老人は去った。
後に残ったのは、だだっ広いサラ地と腰の曲がった白髪頭のしわくちゃ婆さん。
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:48:30.75 ID:dbdfyurv0
意気消沈し、家に帰ろうとした唯に、
何者かが声をかけた。
「唯……か?」
唯「え……」
それは澪だった。
唯「み、澪ちゃん……」
黒髪ロングが似合う背の高い美少女だった澪は、
唯と同じく白髪まみれでしわくちゃになり、
さらに車いすに乗っていた。
それでも、顔つきにはあの日の面影が残っていた。
澪「久しぶりだな」
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 00:55:33.54 ID:dbdfyurv0
澪の声はしわがれていた。
かつての美しい声は失われてしまったようだ。
唯「澪ちゃん、どうしたの……?」
澪「ああ、脚か?ちょっと病気でな……」
唯「いやそれもあるけど、なんで京都に……」
澪「うん、息子夫婦がな、京都旅行をプレゼントしてくれたんだ。
息子夫婦と孫はホテルにいるよ、私一人で抜け出してきたんだ」
唯「澪ちゃん、結婚してたの?」
澪「ああ、40の頃だったかな……すまんな、ちゃんと連絡すればよかったな」
唯の目の前にいる澪は確かに澪だった。
だが、病気やらなんやらで弱り切ったその体には、
かつてベースを弾きながら力いっぱい歌っていた過去を重ねることは
唯には難しかった。
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:24:14.19 ID:dbdfyurv0
唯「……ムギちゃん、亡くなったんだって」
澪「そっか」
小さくつぶやき、澪はサラ地に目をやった。
澪「1回でいいから、5人で揃いたかったな」
唯「……」
澪「ムギも、梓も、もういないのか」
梓は卒業後に音楽学校に行った。
そしてそこを出たのち、ギタリストとしてプロデビューした。
梓はその実力でのし上がっていき、
世界を股にかける活躍をしていた。
唯たちと梓はほとんど連絡を取り合うことはなかった。
いや、取れなかった。
そのまま時は過ぎていった。
そして去年、インターネットのニュースで梓の訃報が報じられた。
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:31:26.67 ID:dbdfyurv0
晩年の梓はヨーロッパで音楽のプロデューサーをやっていた。
梓がデビューさせた歌手やバンドは例外なくヒットしていた。
唯「あずにゃん、か」
澪「すごいな、あいつは」
唯「うん」
放課後ティータイムの中でもっとも成功したのが梓だった。
唯「ねぇ」
澪「ん?」
唯は聞いてはいけないような気がしたが、
それでも聞かずにはいられなかった。
唯「りっちゃんは、どうしてる?」
80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:37:09.67 ID:dbdfyurv0
澪「ああ、入院してるよ……」
唯「入院……大丈夫なの?」
澪「いや……危ないみたいだ……」
唯「………」
唯はしばらく思案していたが、
唯「澪ちゃん」
澪「ん?」
唯「東京に行って、りっちゃんに会いたい…」
澪「そっか……じゃあ、一緒に行くか」
唯「え、でも澪ちゃんの家族に迷惑じゃ……」
澪「大丈夫だよ……」
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:41:46.78 ID:dbdfyurv0
翌日、唯と澪は東京に降り立った。
澪息子「それでは母さん、平沢さん、僕らはこれで」
澪息子嫁「お体に気を付けてくださいね、お義母さん」
澪孫「ばいばいおばーちゃーん」
澪「うん、ありがとう。楽しかったよ」
唯「澪ちゃん、一人暮らしなの?」
澪「ああ、ヘルパーさんもいるから何とかなってるよ」
唯「そっか」
澪「じゃあ、行こうか、律のとこに」
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 01:50:30.62 ID:dbdfyurv0
病院。
最近新しく出来たようで、施設は真新しい感じだった。
看護師の中には黒人やアジア系の人間が目立つ。
人手不足のために数十年前から積極的に外国人を採用しており、
今となっては見慣れた光景だった。
澪「律が入院してるのは5階なんだ」
澪は車いすを操作し、唯はつえをつきながら、
広いエレベーターに乗り込んだ。
唯「ねえ、りっちゃんの病気って何なの?」
澪「内臓の病気だったかな。詳しい病名は忘れちゃった」
唯「そっか」
癌ではないならば、とりあえず一安心だ。
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:00:20.77 ID:dbdfyurv0
やがて5階についた。
律の病室は廊下を進んですぐのところにあった。
澪「ここだ」
車いすの澪が見上げた先には、確かに「田井中律」という名札がかかっていた。
唯「りっちゃんは、ずっと独身のままだったんだね」
澪「ああ。でもそれ、本人に言うなよ〜?なんか独身なのを気にしてるみたいだから」
唯「あはは」
こんなふうに自然に笑えたのは何年振りだろう。
澪と話していると、60年前に戻ったような気分になった。
唯は病室のドアをノックした。
「はーい」
中から声が聞こえたので、
唯はドアを開けた。
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:07:03.85 ID:dbdfyurv0
部屋に入ると、点滴や小型の医療機器にチューブで繋がれた律が
ベッドに横たわっていた。
これまた昔の面影を全く感じさせないような、
しわだらけ白髪だらけの完全なおばあちゃんへと変貌していた。
律「あ…澪……と……どなた…?」
唯にも律が誰だか分からなかったのだから、
その逆も当然だろう。
澪「ああ、唯だよ」
律「ゆ、唯……?唯って、あの、平沢、唯か?」
唯「りっちゃん、久し振り」
律「唯……!」
103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:12:34.86 ID:dbdfyurv0
律「どしたんだよ、唯、久し振りだなー。元気してたか」
律は60年前となんら変わらないテンションのままで唯に話しかけた。
そのおかげで唯も懐かしい気持ちがこみ上げてきた。
唯「うん、久し振りだね、りっちゃん」
律「ああ……何十年経っても変わんないな」
律は唯の体を眺めまわした。
唯「ふふ、りっちゃんこそ」
律「なあ、どうしてたんだ?今まで」
唯「えー、えっとね〜……」
唯、澪、律は、これまでの年数を埋め合わせるかのように
それぞれの人生の経過を語った。
律「ふーん、唯に子供ね〜。私も結婚すりゃよかったな〜」
澪「律にはそう言うのにあわないって」
唯「そうそう」
律「うるへー!」
108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:19:20.49 ID:dbdfyurv0
3人の間に流れる空気は、60年前のそれそのものだった。
まるでこの病室だけ、あの放課後の音楽室にタイムスリップしたような感じだった。
唯「そうだ……」
唯はカバンから卒業アルバムを取り出した。
澪「それ、卒アルか…」
律「こりゃまた懐かしいもん持ってきたな」
律は上半身だけ起き上がった。
唯「一緒に見よう」
111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:26:42.86 ID:dbdfyurv0
唯はベッドの上でアルバムをひらいた。
律「うわ〜、すっげえ懐かしい」
澪「そうだな、こんな時もあったな……」
律「ふうん、澪はすごい美少女だったんだな」
澪「今さらかよ〜」
最初の集合写真のページを見ながら、
2人は色々と言い合っていた。
116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:42:17.45 ID:dbdfyurv0
唯「こっちは体育祭だねえ」
澪「これはマラソン大会か……」
律「そしてこっちは……」
唯はページをめくった。
唯「文化祭」
125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 02:52:03.87 ID:dbdfyurv0
そこには体育館の舞台で演奏する5人の姿が映っていた。
ギターを弾きながら歌う唯。
その唯の両隣には澪と梓がいた。
後ろにはドラムを叩く律、キーボードを弾く紬の姿もあった。
3人は懐かしそうにその写真を見つめていた。
律「あったな、こんな時も」
唯「うん」
澪「懐かしいな………ムギ、梓……」
律「そういや、ムギは来てないのか?」
唯「え、ああ、ムギちゃんは……」
唯は紬がすでに死んでいたことを伝えた。
律「そっか……」
131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:00:25.78 ID:bzvaLM6PO
一度栄えたものが見る影もなく衰え忘れられていく様ほど切ないものはない
133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:02:36.50 ID:dbdfyurv0
律「じゃあ放課後ティータイムも、この3人だけか」
律たちは互いの顔に視線を送った。
3人は写真に収められた若く瑞々しい姿とは全く違い、
枯れたような、乾いたような感じに変わり果ててしまっていた。
60年という時間。
それはすべてを過去の彼方に押しやってしまうのに充分過ぎた。
唯「色々あったね」
澪「ああ」
律「そうだな」
3人は記憶の糸をたぐり、少しずつ思い出を引きあげていった。
廃部の危機に瀕していた軽音部。
部員がそろい、再活動を果たしたときの期待感と喜び。
初めての合宿。
文化祭での演奏。
中野梓の入部。
みんなで過ごした放課後の音楽室。
くだらないことを喋って、なんでもないことで笑いあえた日々。
高校生だった自分には、あの時間は永遠に続くと思えていた。
136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:06:12.43 ID:TJqd3vGyO
高校生が永遠に続く…
いいなぁもどりたいな
鬱になってきた
138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:11:57.42 ID:dbdfyurv0
しかし永遠に続く時間などあるはずもなく、
やがて唯たちも卒業することになった。
音楽室に別れを告げ、4人はそれぞれの人生を歩み始めることになった。
唯「……」
大学ではたくさんの友達が出来た。
バイトにサークルにと、ありあまる時間を自由に過ごすことができた。
素敵な恋もして、その人と付き合うことにもなった。
大学を出た後はしばらくフリーター生活をしてお金をため、
仕事が軌道に乗ってきたその人と結婚し、2人の子供もできた。
それから後は家事と育児に追われ、
気付いたら子供たちも大人になり、家を出ていった。
やがて孫ができた。初めて孫を抱いたときの何とも言えぬ喜びを、
唯は今でも覚えている。
自分の作った家族が、さらに家族を作る……。
唯(家族、か……あの頃の私は、家族を作るなんて思いもしなかっただろうな……)
140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:18:09.86 ID:dbdfyurv0
唯がそんなことを考えていると。
澪「私、まだ、持ってるんだ」
そう言って、澪は懐から携帯端末を取り出した。
唯「持ってるって、何を?」
澪「私たちが作った曲」
澪がで端末を操作すると、
スピーカーからなんとも懐かしいメロディーが流れてきた。
律「これ……」
澪「歌おう」
唯「…うん」
143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:22:00.86 ID:dbdfyurv0
唯「君を見てるといつもハートドキドキ」
60年経っていても、そのメロディーと歌詞は体が覚えていた。
澪「揺れる想いはマシュマロみたいにふわふわ」
澪はしわがれたか細い声で歌った。
律「いつも頑張る君の横顔」
歌っているうちに3人は60年前に帰ったような気がした。
唯「ずっと見てても気づかないよね」
澪「夢の中なら2人の距離」
律「縮められるのにな」
145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:26:03.08 ID:dbdfyurv0
そこにいた3人の老人たちは、
紛れもなく「放課後ティータイム」だった。
唯「ああ神様お願い」
澪「2人だけのドリームタイムください」
律「お気に入りのうさちゃん抱いて」
唯「今夜もお休み〜」
「ふわふわたーいむ・ふわふわたーいむ・ふわふわたーいむ………」
唯「ふぅ」
澪「ふふっ」
律「ははっ」
歌い終えた3人は互いの顔を見比べ、笑みをこぼした。
147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:30:18.27 ID:dbdfyurv0
唯「久しぶりに2人に会えて、良かったよ」
澪「それはこっちだって同じさ」
律「よし、じゃあ退院したら今度は私たちが京都に行くから、
そんときは色々案内してくれよな!」
澪「えーっ、私、今日京都から帰って来たばっかりなのに〜」
唯「あははっ」
60年前と何も変わらない光景がそこにあった。
どれほどの時が過ぎようと、彼女たちの友情は変わらない。
放課後ティータイムも、けして消え去ることはないのである。
けいおん! 第14話「しわしわ時間」
完
148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:31:36.52 ID:GsRRAyD40
しわしわ時間www
乙
154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:33:03.25 ID:7PYD36htO
タイトルあんまりだwww
155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:35:01.46 ID:UuLRNtAW0
しわしわ時間wwwwww笑わすなwwwwwwww
乙
157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/04(火) 03:38:06.66 ID:dbdfyurv0
これで終わり
青春とは無縁の人生を送っている人間が
「しわしわ時間」というオチをやりたいためだけに書いた
反省はした
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タイトルひっでぇwwww
あぁ、ムギの旦那は俺だからな。
しわしわwww
唯の旦那俺なんで
まさかのしわしわww
じゃあオレはあずにゃんのマネージャー
いい話と思ったらタイトルがひどすぎてwww
>>1さっさとあの世に帰れ
さて、律を娶りにいかなくちゃ
あずにゃんは猫っぽいから化けそうだな、と思ってしまった
うるっときたのにwww最後ww
(ノД`)・゜・。
乙www
けいおん見たことないけどこれはせつない・・・
呼び方が変わってないのがいいね
あの時の時間がまだ流れている感じ
せつない、せつないが
最期w
せつない、せつないが
最期w
律ずっと独身だったのか…
俺のことをそこまで思っててくれたなんて…
俺の切なさを返せwww
律が独身を貫いたのは俺のせいかもしれない
和が一番かわいそすな気がする
いろんな意味で
きついわ
永遠の青春が欲しい
このスレの続きはのせるなよ
いや、むしろ載せろ
己のSSをあそこまで汚せる奴は他にいない
けいおんSSは面白いな
珍しくうるっときたのに・・・
サブタイw
あれ?和んだの俺だけ?
ちょっと切なくなったよ
サブスレはともかく泣けた
あれ?憂は?
18話で完結のはずだが、15〜17は…な
深夜まで残ってたよな…続編は?
60年後に思い出す思い出がない
このスレリアルタイムで読んでたwww
その後書かれた○○ト○や○た○○やスラム街の話も
載せて欲しいわww
自分がこれよりもっと寂しい老後を過ごすんだろうなと考えたら、
すごい泣けてきた。人生やり直したい(´;ω;`)
律ファン的には生きていてくれて嬉しかった
ただあずにゃんが…
(ノ_・。)
これはいいばあちゃん話
しわしわwww
オチがwwwww
台無しwww
これほどの台無し感は久し振りwww
衰えていくといえばジョセフ
オチくっそワロタw
すごく暖かい気持ちになれました( ̄▽ ̄)bすごくおもしろかったです(^-^)/続き読みたいですσ( ̄∇ ̄ )よかったら書いてください_(._.)_
唯は名字変わらないのか?
10分くらいの深いい話
しにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくない…それでもまえをむく
唯の最初の独言が役割老人語で引っ掛かる
いや大丈夫だ。
また生まれ変わって再び出会うと信じてる