2007年05月16日

(*゚ー゚)が風船と共に舞い上がるようです

402 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:04:07.01 ID:h9uVKi2hO

(*゚ー゚)が風船と共に舞い上がるようです



私が三歳の時、母が出ていった

幼かった私には、母が出ていった理由がまったく分からなかった


/ ,' 3「ほらっ、椎
風船だよ」


(*゚ー゚)「ありがとう!!」

/ ,' 3「風船は空気を入れても、すぐ萎んでしまうんだ」

(*゚ー゚)「そうなんだ」

その時は全然意識してなかった


403 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:05:38.82 ID:h9uVKi2hO
/ ,' 3「……空気を入れて膨らますのは、風船に命を与えると同時に
終わりを与えるということなんだ……」

(*゚ー゚)「うん、それまでちゃんと大切にするから!!」
お父さんが苦笑いした

/ ,' 3「そうだね、まだ椎にはわからないか
まぁ物は大切にしなさいという事だ」

(*゚ー゚)「はぁーい!!!」

私は浮かれてた、お父さんがくれた様々な色の風船

それを見ただけで心が踊った



404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:06:48.01 ID:h9uVKi2hO
それから私は毎日、風船を膨らませた

お気に入りの色は最後にとっておいた


結局最後に残ったのは暖かな橙色だった

(*゚ー゚)「よしっ!!最後だしこの風船には顔描いちゃおwww」


キュッ、キュッ、キュー


(*゚ー゚)「……よしっとwww
完璧www」

( ^ω^)「…………」


風船に描いた顔は暖かな橙色にどことなく似た
優しそうな顔だった



406 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:08:31.09 ID:h9uVKi2hO
その日は妙に楽しい気持ちになって眠ってしまった

次の日、朝目覚めると・・・


( ^ω^)「…………」

(*,,゚ー゚)「おかしいなぁ、全然この風船小さくならないや」

( ^ω^)「…………」

(*゚ー゚)「まっ、それは良い事だもんね!!」

それから数週間が経った

いつもと変わらない1日だった


/ ,' 3「コラッ!!ちゃんとご飯を食べる前は手を洗わなきゃダメだろう!!」



407 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:09:27.88 ID:h9uVKi2hO
父はお母さんがいなくなってから
家事も全て一人でこなした
普通ならお母さんが注意することも
お父さんが代わりに注意してくれた

お父さんは周りの円満な家族と比べられ
私が卑屈にならぬように色々な事をしてくれた

(* ー )「………」


……まぁ幼かった私にそんな父の気持ちは分かるはずもなく

(*;ー;)「……ふぇーん
ゴメンなさァい!!」



410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:11:16.76 ID:h9uVKi2hO
/; ,' 3「いや、すまないな、大きな声を出して
次からはちゃんと洗うんだぞ」


それから部屋に帰った私は、暫らく風船を見つめていた

(*゚ー゚)「……なにか不思議
なぜかこの子を見てると優しい気持ちになれる」


( ^ω^ )「…………」


その次の日、小学校である事件がおきた

(´・ω・`)「おい、お前んとこかーちゃんいないんだってな」





411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:12:50.00 ID:h9uVKi2hO
(* ー )「……っべ、別に関係ないでしょ……」

人に指摘されるのは初めてだった

(´・ω・`)「おとーさんが、ほかの女の人といけない事してたんだろ?

いやらしいなー」

それは嘘だと直ぐに分かった

コイツが勝手に言っているだけだと……

母がなぜ出ていったのかは分からない


しかし決してあの父の体から他の女の人の匂いがした事
一度たりとも無かったからだ



413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:13:51.18 ID:h9uVKi2hO
恐らくこの男の子は親同士の噂話を聞いていたのだろう


(* ー )「……」

内気だった私には、否定することができない


私はその日、走って家に帰った

妙にあの風船が恋しくなった

(* ー )「……っふぇ」

(*;ー;)「別にお母さんがいなくたって……別に……寂しくなんて……ふえぇーん」

私はベッドの上で泣いた



414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:15:17.83 ID:h9uVKi2hO
ふと顔を上げてみると
あの風船がこちらを見ていた
( ^ω^ )「…………」

やっぱり奇妙な安心感に包まれる


(*゚ー゚)「……なんでなんだろう?
この子を見てるとなんだか元気が出てくる…」

その日、椎はそのまま寝てしまった

(*ー∀ー)「Zzz……」

橙色の暖かな光に包まれながら……


( ^ω^ )「…………」



415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:16:46.90 ID:h9uVKi2hO
朝起きて異変にすぐ気が付いた

(*;゚ー゚)「この子……膨らんでる?」

/ ,' 3「椎!!早くしなさい!!遅刻するだろう!!」


(* ー)「(ビクッ!!)ごっ、ゴメンなさい……」


( ^ω^ )「……ビクッ……」


(*゚ー゚)(……この子今膨らんだわ)

そして私は悟った

(*゚ー゚)(……この風船は私の悲しい気持ちを吸い取ってくれていたんだわ……)



426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 03:55:29.20 ID:h9uVKi2hO
(* ー)「……ということは、このまま膨らみ続ければ……」

それから私は変わった

今まで内気で引っ込み思案だった性格を
自分自身の努力で変えていった




二年の歳月が流れた

まだあの子は割れていない

(´・ω・`)「お前のとこの母さんまだ帰ってこないんだろ?www」


(*゚∀゚)「うるさい!!タレ眉!!
調子乗ってるとそのモヒャッとした鼻潰すぞっ」



432 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 04:08:57.60 ID:h9uVKi2hO
(´・ω・`)「しょぼーん」

言いたいことは、ハッキリという

以前の私には出来なかった事だ

学校が終わると一目散に家に帰った

(* ∀ )「……はぁ……はぁっ、良かった、割れてない……」


そしてある日、突然それは起こった……


(* ∀ )「……お父さんが事故?」


……何かが私の中で音を立てて崩れさった……



433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 04:10:11.99 ID:h9uVKi2hO
(*;∀;)「えっぐ、えっぐ、お父さん……」


病院に行かねばならない

父の様子を見に行かねば

しかし行けない

万が一、父が亡くなって……

そう思うと病院に行く気に成れなかった




『パァン!!』


何かが割れる音がした

そして全てが白に染まった……




438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 04:15:32.32 ID:h9uVKi2hO
(*゚ー゚)「ここは?いったいどこだろう?」


( ^ω^)「ここは君の心の世界だお」


(*゚ー゚)「あなたはあの風船なの?」


( ^ω^)「そうだお!!君のことをずっと見てたお!!」

(*゚ー゚)「私もあなたに何度も助けられたわ
……そして今度は私が頑張って貴方を助ける番だと思ってたのに……」


( ^ω^)「そう気にする必要はないお
僕達は空気を、命を吹き込まれたときから死が必ず付きまとうんだお」



441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 04:20:55.95 ID:h9uVKi2hO
ふと父の顔が頭をよぎった

(* ー )「……」


( ^ω^)「君は強くなったお
立派だお!!
お母さんのことを言われても決して卑屈にならず
前に進み続けてきたお」


(* ー )「…………」

( ^ω^)「……でも急に歩みがとまったお」

( ^ω^)「お父さんは今、手術室のなかで必死に闘ってるお」


( ^ω^)「君がお父さんを信じないで誰が信じるんだお!!」



445 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 04:25:51.75 ID:h9uVKi2hO
……その通りだ

私が信じないで誰が信じる
あの優しかった父が、あの大きかった父が


死ぬはずが無い

(*゚ー゚)「……ありがとう、風船さん」


決心が付いた


(*゚ー゚)「……じゃあ、私急がないと……」


( ^ω^)「おっwwwその意気だおwww」


(*゚ー゚)「ありがとう。全て貴方のお陰よ」



447 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 04:29:11.95 ID:h9uVKi2hO
( ^ω^)「そんなことはないおwww」

その子は照れたように後ろ髪を掻き分けた


(*゚ー゚)「……ねぇ、最後にあなたにはお名前あるの?」


( ^ω^)「あるお!!
ボクの名前は内藤ホライゾン!!
ブーンと呼んで欲しいお!!」


そして私は再び

白の世界に意識を奪われた


目覚めると私はベッドの上で寝ていた




449 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 04:31:14.57 ID:h9uVKi2hO
(* ー )「……ありがと……ブーン……」


(*゚ー゚)「さっ、早く病院にいく準備をしなきゃ……」



453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 04:34:17.31 ID:h9uVKi2hO
今日はvipデパートの開店日だ


(*゚ー゚)「お父さん!!
早く!!早く!!」

/ ,' 3「そんなに急がなくても大丈夫だろ」

(*゚ー゚)「なに言ってんのよ、一番狙わなきゃwww」

『ドンッ!!ドンッ!!』

振り替えるとデパートの屋上から花火が打ち上がったようだ

様々な色のボンボリが弾け飛んだ


/ ,' 3「綺麗だな」

(*゚ー゚)「本当だね」



456 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/11(金) 04:37:47.33 ID:h9uVKi2hO
中に入ると店員さんが子供たちに何かを配っていた


店員「お嬢さんも一つどうですか?
ピンクでも水色でも好きな色をお選び下さい」


「じゃあ橙色で」






(*゚ー゚)「お帰り、ブーン」




END


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この記事へのコメント
  1. Posted by   at 2007年05月16日 13:59
  2. 何このモナー板