2007年10月09日

(´・ω・`)ショボンが悪夢を見るようです その2

(´・ω・`)ショボンが悪夢を見るようです その1の続き

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 21:52:32.63 ID:YFKrH/cs0
※  ※  ※


僕が家について三十分ほどで、雨が降り出した。
学校で友達から聞いたとおり、その勢いは強く、
しばらくやみそうにない。

(´・ω・`)「……なんなんだ、今日は」

僕は部屋にいた。
制服を着替えるのも忘れて、膝を抱えていた。

(´・ω・`)「あれは、なんだよ……」

呟きながら、ついさっきの夢を思い出す。

それはいつもと変わらないパターンだった。
僕はつまらないことを理由に腹を立て、暴力をふるい…
…結果、相手が死ぬ。
相手の死に何も感じていていないのも同じだ。
僕は平気で人を殺す。

――――そして、目が覚めて初めて後悔する。



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 21:54:39.43 ID:YFKrH/cs0
(´・ω・`)「……頭、痛い」

さっきから頭痛がおさまらない。
今までにない激しい頭痛が僕を襲う。
学校を出るときのことも、本当はよく覚えていない。

僕は気付くと生徒玄関に立っていて、それから逃げるように美術室に戻り、制服の上着とカバンを持って学校を出た。家についてからは、ずっと部屋にいた。自分自身に対する恐怖からか、悪寒がいつまでたっても消えなかった。

(´・ω・`)「嫌いなわけ……ないのに」

僕は必死に呟く。
今にも否定され、失ってしまいそうな気持ちを言葉にのせる。

こんな夢をツンが知ったら……きっと、その時こそ、別れが来る。
現実の、別れが。

( ゚∀゚)「兄貴」

(´・ω・`)「……えっ?」

ドアの向こうから、僕を呼ぶジョルジュの声が聞こえた。

時計を見ると、もう七時を過ぎていた。



30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 21:55:45.67 ID:YFKrH/cs0
( ゚∀゚)「開けていいか?」

(´・ω・`)「あ、うん」

僕は慌てて立ち上がり、勉強机の椅子に腰を下ろす。
直後、ドアの開く音が聞こえ、

( ゚∀゚)「なに? もしかして勉強中?」

部屋に入ってきたジョルジュは、つまらなさそうにそう言った。

( ゚∀゚)「偉いねー。さっすが受験生だねー。俺には真似できねーや」

(´・ω・`)「別に……ちょっと考え事してただけだよ」

( ゚∀゚)「そうなん? まー、俺にはどーでもいいけど」

(´・ω・`)「どうでもいい、かな……」

棘のあるその言葉に苦笑する。
昔はもっと仲の良い兄弟だったはずなのに、と思いながら。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 21:57:27.29 ID:YFKrH/cs0
( ゚∀゚)「飯は?」

ジョルジュは苛立ったような口調で言う。

( ゚∀゚)「母親、今日は遅いのか?」

(´・ω・`)「あぁ……そうだ。ごめん、忘れてた」

( ゚∀゚)「腹減ってんだよね。さっさと作ってくれないかな」

(´・ω・`)「……今、やるよ」

僕の心がまた少し震える。

いつも思う……ジョルジュが抱くこの感情は、僕にぶつけられるべきものなのだろうかって。言うまでもないことだけど、僕はジョルジュの受験に、何一つ口を出したことはない。全てはジョルジュと両親の間でのことであって、僕には何ら関係ないはずだった。

( ゚∀゚)「早くしてくれよ」

(´・ω・`)「……」

僕を急かすその言葉に、無言で立ち上がる。

制服のまま階段を下り、キッチンに立つ。
父親の単身赴任の関係もあって、僕は料理には慣れていた。
家庭科の調理実習でも、よく驚かれる。



35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 21:59:27.30 ID:YFKrH/cs0
( ゚∀゚)「偉いねー、兄貴は」

すぐ自分の部屋に戻ると思っていたジョルジュは、しかし居間のドアの前で足を止めた。見下すような視線を僕にぶつけながら、

( ゚∀゚)「勉強も出来る、家事もこなせる。いやー、立派な息子さんだこと」

(´・ω・`)「……何が言いたいんだよ」

僕は振り向く。

(´・ω・`)「僕がジョルジュに何か言ったか? 全部父さんと母さんの――」

( ゚∀゚)「うざいんだよ」

ジョルジュは冷たい声で言い放った。

( ゚∀゚)「兄貴がそんな優等生だから、俺まで高望みされるんだろーが。比較される俺の気持ちがあんたにわかるか? わからんだろーが。……わかって欲しくもないけどね」



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:02:43.11 ID:YFKrH/cs0
(´・ω・`)「じゃあ突っかかってくるなよ。僕は僕で普通にしてるだけだ」

( ゚∀゚)「そーだよね、兄貴は生まれながらの出来る人だもんね」

(´・ω・`)「……そういうことは努力してから言ってよ」

( ゚∀゚)「はん? 説教? やめてくれよ。兄貴からの説教なんて、一番聞きたくねーよ」

(´・ω・`)「……」

( ゚∀゚)「早めに頼むぜー、晩飯。俺、寝てるかもしんねーからさ、そん時は起こしてな、お兄ちゃん」

言って、ジョルジュは居間を出た。



39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:03:21.90 ID:YFKrH/cs0
僕はキッチンに向き直り、鍋に水を入れてコンロにかける。
火がはぜる低い音を聞きながら、冷蔵庫の中から豆腐をとりだす。

(´・ω・`)「……」

流し台の上にまな板と包丁を用意し、そこで少し迷う。

どっちから先に済ませるか……夕食の準備か、苛立ちの解消か。

(´・ω・`)「そうだな……そっちの方が効率いいし」

僕は包丁を持ち、コンロの火を止めた。



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:06:04.62 ID:YFKrH/cs0
ノックもせずに、ジョルジュの部屋のドアを開ける。
マンガを読んでいたらしいジョルジュが緩慢な動作で後ろを振り向く。

僕の顔を見、心底苛立ったというように顔をしかめ、

( ゚∀゚)「おい、なに勝手に――」

その声が止まった。
僕の手に握られた包丁を見たのだろう。

(;゚∀゚)「あ、兄貴? ど、どうしたんだよ、そんな危ねーもん持って……」

(´・ω・`)「僕がずっと誉められるだけだったとでも思ってるの?」

(;゚∀゚)「な、なに?」

(´・ω・`)「自分だけ自分だけ……ってね。駄々をこねるなら相手が違うんじゃない?」

言いながら、僕はジョルジュとの距離を詰める。慌ててジョルジュは立ち上がった。その顔から血の気が引いていく。普段の、不遜なほどに余裕の溢れたジョルジュにはない、本気の表情。

本気で僕を怖れる……そんな顔。



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:09:56.38 ID:YFKrH/cs0
(;゚∀゚)「や、やめろよ! なんなんだよいきなり!」

(´・ω・`)「僕が傷つかないとでも思ってるなら、大間違いだよ。これでも色々大変なんだ……本当に、いろんなことがどうでもよくなるくらいに」

(;゚∀゚)「落ち着けって! なぁっ! こんなコトしたら、受験とか――」

(´・ω・`)「うるさいよ」

僕は包丁をふるう。
ジョルジュの着ていたシャツの胸元が切れ、そこから血が飛び散る。
僕の着る真っ白なワイシャツに、どす黒い血が染みこんでいく。

(;゚∀゚)「あ……あに、き……」

(´・ω・`)「もう聞きたくないよ、そんな言葉。全部自分のせいだって、本当はわかってるんだろ?」

(;゚∀゚)「わ、悪かったよ! 謝るから――」

(´・ω・`)「随分調子いいじゃない」

(;゚∀゚)「あっ……」

ジョルジュの左腕に新しく赤い筋が走る。



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:11:46.99 ID:YFKrH/cs0
(´・ω・`)「どうしたの? 自分の美学守る根性もないの?」

問いかけながら、僕は手についたジョルジュの血を舐める。
空気に触れたせいか、少し粘り気を帯びたそれは、舌先に強烈な快感を与え、消えていく。

(  ∀ )「……兄貴、てめぇ」

ジョルジュの視線が僕の顔に定まった。
戸惑いはゆっくりと姿を消し、やがて純粋な怒りがその表情を彩る。

(;゚∀゚)「やってくれんじゃん……兄貴も」

(´・ω・`)「なに? やっと本気になった?」

(#゚∀゚)「黙れこらぁっ!」

ジョルジュが殴りかかってきた。
僕のワイシャツの胸ぐらを掴み、拳を振り上げ……

そして、動きを止めた。



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:13:12.91 ID:YFKrH/cs0
(´・ω・`)「……」

(  ∀ )「あ……あに、き……」


苦しそうにしゃべるジョルジュの喉元に、包丁が深々と刺さっていた。今際の淵でジョルジュが見たのは、たぶん僕の微笑みだっただろう。


(  ∀ )「な、ん……で、だよ……」


徐々に光を失っていくジョルジュの目から、涙がこぼれ落ちた。



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:15:46.51 ID:YFKrH/cs0
  ※  ※  ※


外から響く雨音が、いよいよ強さを増してくる。
気付くと、僕は真っ暗な居間の隅にいた。

(´・ω・`)「……夢、だよ。……夢に決まってる」

さっきから呪文のように僕は呟いていた。
体が震える。
こんな感情を味わうのは初めてじゃないはずなのに……怖い。

静まりかえった家、消えたままの電気、作りかけの夕食……。
全てが、一つの結論を指し示しているようで、例えようもなく。

――怖い。

(;´・ω・`)「じ、時間、は……」

ふるえる声で呟いて、僕は居間の時計に目を向ける。
蛍光塗料の塗られた長針と短針が、ちょうど午後の十一時を指す。

(´・ω・`)「……母さん?」

僕は呟く。
誰かの存在が欲しい。笑って否定して欲しい。
悪い夢を、見ただけだと。

僕は立ち上がる。



53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:17:17.33 ID:YFKrH/cs0
その時、

(´・ω・`)「あ……」

玄関が開いた。

(´・ω・`)「母さんっ」

ほとんど叫ぶように言って、僕は居間を出る。
明るい電気のついた玄関に、母親はいた。

でも、

J( 'ー`)し「……なに? 何か用でもあるの?」

僕を見る母親の視線に、優しさなんて微塵も含まれていなかった。

酔っているのだろう、ふらつく体を壁に手をついて支えながら、

J( 'ー`)し「用があるなら明日にして……今、気分悪いの。晩ご飯もいらない。……お母さん、寝るから」

(´・ω・`)「あ、母さん、僕、話が――」

J(#'ー`)し「明日にしてって言ってるでしょ!」

母親は叫んだ。
長い髪の毛をぐしゃぐしゃにかきむしって。



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:18:45.10 ID:YFKrH/cs0
J(#'ー`)し「わたしの何が悪かったって言うの!?プレゼンの前まではヘラヘラ笑ってたくせに……落ちたら全部わたしの責任!?ふざけないでよっ、昨日まであんなに持ち上げといて!」

(´・ω・`)「……母さん、僕、聞いて――」

J(#'ー`)し「あんたは勉強でもしてればいいのよっ!」

(´・ω・`)「……」

僕はやっと思いだした。
機嫌が悪いときの母親を。

J(#'ー`)し「あんたは勉強してればいいのよ……そうよ! そしていい大学に入りなさい。どうせ社会は学歴なのよ。そうじゃなきゃわたしがあんな俗物に負けるはずがない……。ショボン、わかってるの!? ジョルジュはもうダメなんだから、あなたしかいないのよ!」



59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:22:16.21 ID:YFKrH/cs0
母親は僕のことを見ようともせず、階段を上がり、自分の部屋へ向かった。
悲しみや後悔がすごい勢いで僕の心に広がっていく。

こんないびつな家族が他にあるだろうか。
言葉通りの仲良し家族ごっこ。
出演者の機嫌が悪くなれば、そこで芝居はおしまい。

仮初めの刹那に見せるそれは……まさに夢。
どれだけ僕が頑張ったところで、簡単に終わりは来る。
いつか消えるとわかっていたら、そんなもの、僕は望んだだろうか。

こんなにもくだらない、虚像……虚ろに象られた幻。

(´・ω・`)「……じゃあ」


――――壊そうか。



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:24:11.47 ID:YFKrH/cs0
(´・ω・`)「聞いて欲しいことがあったんだ」

J( 'ー`)し「――えっ!?」

背後から声をかけると、よほど驚いたらしく、母親は勢いよく振り向いた。驚きのせいか、それともアルコールのせいか、母親は口元を押さえ、目を見開いて僕を見る。

J( 'ー`)し「ショボン! あなた、ビックリするでしょ!いきなり声かけるなんて――」

(´・ω・`)「聞いて欲しかったんだ、僕」

J(;'ー`)し「な、なんなの? あなた……どうかしたの?」

(´・ω・`)「もう遅いよ」

僕は呟く。
だって僕には見えてしまった。

母親だから愛してくれるはず? くだらない理想論だよ、それは。人が何を愛し、何を大切にするかなんて、そんなの本当に十人十色なんだから。



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:25:19.05 ID:YFKrH/cs0
母親は僕を求めていない。
求めるのは、社会に対する自分の憂さを晴らしてくれる、誰か。
別に僕でなくてもかまわないということ。

求める条件を満たすことが重要で、求められた条件以外のものは、
全て無価値。

そんな人に、僕が何を求められるだろう。

そんな人のために、何を耐える必要があるだろう。

(´・ω・`)「僕のこと、サンドバッグか何かだと思ってたのかな、母さんは」

J(;'ー`)し「ショボン……なに言ってるの? あなた――」

(´・ω・`)「僕はなに?」

J(;'ー`)し「えっ……」

(´・ω・`)「母さんにとって、僕はなんなの?」

J(;'ー`)し「……」

母親は沈黙した。
しばらく待っても、答えは返ってこなかった。



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:28:49.35 ID:YFKrH/cs0
(´・ω・`)「……無言が答え?」

J(;'ー`)し「えっ……」

(´・ω・`)「答えられない、か……」

どうしようもなく笑えた。
無回答という解答、最高じゃないか。

(´・ω・`)「ははっ! よくわかったよ!」

J( 'ー`)し「しょ、ショボンっ――」

僕は両腕をつきだした。母親の喉元を狙って。

J(;'ー`)し「あっ……な、たっ、なにを――」

(´・ω・`)「答えられないんだね。せめて一言くらい、僕の存在を肯定する何かが欲しかったけど、それさえも高望みだったんだね」

J(;'ー`)し「や、めなさ――」

(´・ω・`)「もういらないよ、親としての言葉なんて」

僕は腕に力を込める。
強い力で押されたせいか、母親が背にしていたドアが開いた。
僕達は折り重なるように倒れ込む。それでも手は放さない。
馬乗りになり、さらに体重をかける。



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:32:20.12 ID:YFKrH/cs0
(´・ω・`)「これでも必死に頑張ってきたつもりだった……。見てくれてると思ってたんだよ。甘いよね、僕は。でも……たぶん僕は、信じてたんだよ。母親なら、ちゃんと見ていてくれてるって」

J(;'ー`)し「……しょぼ、んっ」

(´・ω・`)「必死だったんだ。ここが僕の限界だった。わからなかったかな? ……わからないか。自分の代用品を求めていたあなたには」

J(;'ー`)し「は、はなしっ、て……」

(´・ω・`)「最後にもう一回聞くよ。僕って、母さんにとってなんだった?」

問いかけて、僕は手を放す。
母親は真っ赤な目で僕を睨みつけ……、



68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:32:49.02 ID:YFKrH/cs0
(´・ω・`)「やっぱり答えられない?」

J(;'ー`)し「……」

(´・ω・`)「じゃあもう――」

J( 'ー`)し「じ……」

(´・ω・`)「……えっ?」

母親の口が動いた。
苦しみに歪んでいたはずの表情が、
何故か微笑みを形作って――――


J(;'ー`)し「きまっ、てる……で、しょ。じま……ん、の……息子、よ」



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:36:02.92 ID:YFKrH/cs0
――目が、覚めた。


(;´・ω・`)「うわぁぁぁ!」

僕は走った。
全てから逃げるように居間から飛び出し、洗面所に駆け込む。

(;´・ω・`)「う、げぇ……うぅあぁっ!」

嘔吐感がこみ上げてくる。
蛇口を目一杯に開き、大量の水で胃液を流しながら。

(;´・ω・`)「……こ、これはなんだよっ!」

精一杯の声で叫ぶ。
全て夢であるはずだった。だって現実の僕があんな感情を肯定するとでも?そんなことあるはずないじゃないか。僕はツンのことが好きだ。僕が嫌われるとかそういう問題じゃなく好きだったんだよ!

ジョルジュだって同じだ。
あんなのただのわがままじゃないか。
それくらい僕だってわかってるさ!

母さんだって……母さんだって疲れてただけだろう!?あれくらいで僕が逆上するはずがない。するはずがないんだ。だって全部夢だ。夢なんだよ、そうだって言ってくれよ!こんなのは全て幻でまた目が覚めたら平和な現実が待ってるって――、



71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:37:54.94 ID:YFKrH/cs0
(´・ω・`)「あ……」

顔を上げた僕の目に、それは飛び込んできた。

鏡に映った、僕のワイシャツに滲む……赤黒い斑点。

(´・ω・`)「血……」

血の色。

飛び散った、ジョルジュの血。


(´゚ω゚`)「うあぁぁぁっ!」



73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:40:51.19 ID:YFKrH/cs0
  ※  ※  ※


家を出た僕は、気付けば近くの橋の上にいた。
激しく降る雨のせいで、川は増水している。
いつもより量の多い水が、激しく下流に流れていく。

(´・ω・`)「……僕は、なんだ」

体を濡らす六月の雨も気にならなかった。
もう全部終わった気がした。たくさんの大切にしたい人を殺した。

僕が、僕自身の手で、殺したんだ。

夢の世界じゃない、現実の世界で。

殺すほどの理由なんてどこにもなかったはずなのに…
…僕は、殺した。



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:41:40.73 ID:YFKrH/cs0
(´・ω・`)「一番に死ぬべきは……僕じゃないか」

顔を濡らす雫をぬぐう。
深夜の川は、真っ黒なうねりとなって、全てを押し流していく。

体が冷たい……寒い。
雨を吸ったシャツが、重く僕の両肩にのしかかる。

血の付いたワイシャツは、どこかで脱ぎ捨てたらしい。
無我夢中だったけど……それは正解だ。
もう二度と、あんなものは見たくない。
 
せめて、最後くらい、汚れない自分で――、

(´・ω・`)「……」

遠くでサイレンの音が聞こえる。


僕は、黒い濁流に向かって飛び降りた。



75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:42:46.16 ID:YFKrH/cs0

――…


記録的な大雨の降った、その翌日。

J( 'ー`)し 「ショボン! いい加減に起きなさい!」

大きな声をあげながら、母親である彼女は階段を上がった。普段ならとうに起き出してくるはずの息子が、まだ姿を現さないのだ。

J( 'ー`)し「もう、あの子は……制服に油絵の具なんてこぼして。ショボンっ!」

もう一度大きく言って、彼女は息子の部屋のドアを開ける。

そこには

J( 'ー`)し 「ショボン――えっ? ショボン? どこに……ショボン!?」

そこには、誰もいなかった。



76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/10/03(水) 22:43:27.83 ID:YFKrH/cs0

Q 夢と現実の境界線って、どこにあると思う?

A 僕は、現実と認識したその瞬間から、夢は現実になるんだと思うよ。




(´・ω・`)ショボンが悪夢を見るようです 

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この記事へのコメント
  1. Posted by at 2007年10月10日 00:24
  2. 配役がちょっと、ん?って感じだったけど
    ちょっと自分にはキツい内容だ・・・・
  3. Posted by 七誌 at 2007年10月10日 09:47
  4. 5
    世にも奇妙な物語見たいな感じで面白かったじゃまいか
  5. Posted by あ at 2007年10月10日 09:59
  6. 最近の世にキモよりも良かった
  7. Posted by ´・ω・` at 2008年03月24日 02:06
  8. なんてゆーか、引き込まれる…なぁ
  9. Posted by スミス at 2009年10月11日 22:33
  10. 5
    すげ・・・
  11. Posted by あ at 2010年09月24日 21:14
  12. 5
    すごかった。