January 01, 2011
( ^ω^)それでも転がる石を追いかけるようです
参考
Bob Dylan 「Like A Rolling Stone」
Eagles 「Desperado」
0.
肥溜めのような風俗街。
腐ったように深い緑のネオン。
そして君の瞳のような青いネオン。
( ^ω^)
僕みたいなならず者にはお似合いの場所さ。
でも、本当に君はこんなところで働いているのかい?
ξ゚⊿゚)ξ
ミス・ロンリー。
落ちぶれちまったもんさ。
君はいつだって人を突っぱねてきた。
お金があって、遊んで、それが全てだと思っていたんだろう?
「気をつけろよ、こんなことしてたら、堕ちるとこまで堕ちるぜ」
冗談だと思ってた?
そうだろうな。
いつだって僕のようなろくでなしを見下してた。
いい時にはコインも投げてただろ?
こんなところにいたんじゃ、君も同じだな。
ああ。そうだよ。
君の見下してた僕みたいなろくでなしと、さ。
でも今はそんなに声を上げないんだろうな。
そして、今の君は何にも誇らしく見えない。
目も当てられないね。
それでも。
それでも、君に恋してる。
くだらない男だろ?
なあ、ツン。
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 21:37:11.01 ID:pygvnsMI0
( ^ω^)それでも転がる石を追いかけるようです
1.
いまからどのくらい前の話かな。
2年くらい。
いや、もっと経ってるかもね。
とにかく、ハイスクール時代の話。
('、`*川「ほら」
( ^ω^)「お?」
('、`*川「見て。いつもあの子、一人でいる」
ξ゚⊿゚)ξ
いつも窓際で空を見ている女。
それに、ペニサスがいきなり指を刺したんだよ。
びっくりした。
そんな女、興味無いかと思ってたのさ。
( ^ω^)「そうだおね」
僕は適当に相づちを打った。
なんせ僕自身、興味がなかったからね。
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 21:46:31.74 ID:pygvnsMI0
あの子の名前はツン。
それは後から知った名前なんだけど。
でも、あだ名だけは知っていたよ。
「ミス・ロンリー」
いつも一人でいる寂しいお嬢さんにぴったりの名前だろう?
誰がつけたかは知らないけど。
その当時から顔は悪くない。いや、美人だったよ。
ブロンドの巻き毛は綺麗に手入れされてるようで、崩れているところを見たことが無い。
('、`*川「話しかけて来ようかな」
( ^ω^)「行ってくると良いお」
確か僕は頬杖を付いて喋ってたんだ。
本当にどうでもいいことかのようにね。
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 21:50:09.44 ID:pygvnsMI0
ペニサスはミス・ロンリーの元に行った。
なんでまた突然こんなことしようと思ったんだろう。
相変わらず良くわからないやつさ。
僕は頬杖を付いたまま、その様子を見ていたよ。
ミス・ロンリーのそばにある窓からさわやかな青空が覗いていたっけ。
('、`*川「ねえ、あなた」
ξ゚⊿゚)ξ
ペニサスがミス・ロンリーに話しかけたようだ。
僕は耳を澄ました。
なに、聞いてやろうと思ったのさ。
ペニサスがあのミス・ロンリーとどうやって打ち解けるか。
気になるだろう?
ペニサスの声に気づいたようで、ミス・ロンリーは窓から目を離した。
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 21:57:13.54 ID:pygvnsMI0
ξ゚⊿゚)ξ「なに?」
('、`*川「いや、いつも一人だから気になっちゃってさ」
ξ゚⊿゚)ξ
遠くからでも分かる。
ミス・ロンリーの声は美しかった。
透明な水のように澄んだ声だったよ。本当に。
もうそのときには彼女に興味が湧いていたのかもしれないな。
ただの寂しいお嬢さんとして見れなくなってたのかもね。
('、`*川「こんな私でも、友達になれたら嬉しいな」
ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿にしてるの?」
('、`;川「え?」
だけど、美しい声には棘があった。
(;^ω^)
彼女の発した言葉に、頬杖を付きながらびっくりしたもんさ。
ξ゚⊿゚)ξ「私をあなたたちと一緒にしないで」
('、`;川「ご、ごめん」
ペニサスは、とぼとぼとこっちに戻ってきたよ。
あんなこと言われちゃあ、当然のことかも知れないけど。
( ^ω^)「ざまあないお」
('、`;川「聞いてたんだ。恥ずかしい」
恥ずかしそうに片手を顔に当てるペニサス。
こんなペニサス、滅多に見れないからね。
そりゃ茶化したさ。
('ー`*川「茶化さないでくれよ」
その時僕も彼女と話したいと思った。
あのミステリアスな空気に惹かれてしまったんだろうね。
でも、彼女と喋ることになるのはしばらく後の話。
だって僕自身、積極的なタイプじゃないもの。
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 22:09:46.42 ID:pygvnsMI0
暴力、セックス、ドラッグ。
こんなの当たり前だ。
そんな腐ったハイスクールの中でミス・ロンリーは自分を貫き通していたね。
ペニサスはそんな君と、仲良くなりたかったんだろうな。
あいつはそういうところあるから。
でもね、ミス・ロンリー。
こんなんじゃ、このスラムでは生きてはいけないだろう。
ξ゚⊿゚)ξ
( ^ω^)
あれから僕は巻き毛の女を遠くから眺めながらずっとそんなこと考えていた。
なんだか、ここの人じゃないみたいで。
ほんと余計なお世話さ。
喋ったことのない人のことを心配している。
・・・気になってしまうんだよ。
なんかね。
形だけの授業が終わると、僕はいつものところに向かった。
バスでほんの5分くらい。
その場所はとても広くて見晴らしが良い。
しかし、僕の目的はそのすばらしい景色じゃないんだ。
墓地公園って言ってね。
その名の通り、墓が沢山ある場所なんだ。
( ^ω^)
僕は綺麗な灰色をした墓石の前に立つ。
沢山の墓石の中でハインの名前を見つけるのはもうその頃には慣れていたかな。
とにかく、毎日のように通っているんだ。
多少迷ったってハインは怒りはしない。
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 22:23:00.79 ID:pygvnsMI0
('A`)「おい、ブーン」
( ^ω^)「なんでこんな所にいるんだお?」
行ってみれば、ハインの墓石の前にドクオが立っていた。
ドクオっていうのは、僕と同じ孤児院で育った友達。
子供の時から一緒に遊んだりした中だから、僕にとっては家族のような男。
潰れたミートパイのような顔をしているけど良い奴なんだ。
もちろん、今でも良く会う仲さ。
('A`)「ここに来れば合えると思ってな」
( ^ω^)「ドクオにしたら利口な考えだお」
('A`)
('A`)「俺の聞きたいことは、分かってるんだろ?」
( ^ω^)
('A`)
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 22:28:58.57 ID:pygvnsMI0
ああ。
その時は本当に嫌だったね。
どうしてもドクオに目を向けられなかったよ。
でも言わなきゃいけないことだ。
家族、だから。
( ^ω^)
('A`)
( ^ω^)「・・・・・・陽性、だったお」
('A`)
( ^ω^)
('A`)「そうか」
本当に言いたくなかった。
ドクオの奴は予想通り、しけた面しやがった。
だから言いたくなかったんだ。
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 22:34:04.47 ID:pygvnsMI0
確か、その時化た面を眺めるのが嫌で、立ちっぱなしになっているドクオを無視して
墓石を磨き始めたんだ。
なんだかんだ、結構汚れててね。
毎日来てても気づかないところまで汚れていた。
( ^ω^)「やっぱ汚いお~」
とか言いながら、まるでさっきの話を無かったことにするかのように磨いたよ。
('A`)「なあ、ブーン」
( ^ω^)
( ^ω^)「なんだお?」
ドクオの呼びかけに答えるのを躊躇った。
聞かれるのはやっぱりさっきの事だってわかってるからね。
('A`)「お前、怖くないのか?」
( ^ω^)
('A`)「死ぬんだぞ?」
( ^ω^)
('A`)
('A`)「最高に苦しんで死ぬんだ」
( ^ω^)
('A`)「ハインだって、そうやって死ぬのが嫌だから自ら命を絶ったんじゃないか」
( ^ω^)
( ^ω^)「あれは、ドラッグのせいだお」
耳を取ってしまいたかった。
本当に嫌な話さ。
君と話しているとき、僕は怖かったよ。
陽性の結果が出る前から怖かった。
ドクオ。
僕が恐怖して無いとでも思ったかい?
長年付き合ってきたんだ。
いくら僕の顔がにやけ面のベビーフェイスだからといって僕の心の中ぐらい見えるだろう?
僕はしばらく続いた沈黙の中で心の中でそんな問いかけをしていた。
伝わるはずの無い、ドクオに対して。
黙って墓石を磨きながらね。
('A`)
('A`)「ペニサスには言ったのか?」
( ^ω^)「言って無いお」
('A`)「あいつお前のこと、好きだぜ」
わかってるさ。
僕にはもったいない女だ。
だから、気づかないふりをしてるんだ。
( ^ω^)「知ってるお」
('A`)「なら・・・・・・」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 22:54:57.15 ID:pygvnsMI0
( ^ω^)「考えさせてくれお」
('A`)「ああ」
( ^ω^)「しばらくは薬で抑えるから、まだ時間はあるはずだお」
今思えば、すぐに言ってしまえばよかった。
下手にもったいぶるから後悔することになるんだよ。
ほんと、僕はクリープ。
どうしようもない、クリープ。
('A`)「ブーン」
( ^ω^)「お?」
('A`)「俺ぐらいでもエイズのことは少しくらい分かる」
('A`)「なにか、俺にできることは無いか?」
いまさらだけど、僕って妙に涙もろくてね。
こんな些細な言葉でも泣きそうになってた。
それで僕は思い出したんだよ。
ハインがどうやって死んだか。
どんな気持ちで、死んでいったか。
***************
((从; ∀从))
( ^ω^)『・・・・・・ハイン?』
((从; ∀从))
( ^ω^)『こんなに汗かいて、震えて』
( ^ω^)『ヤクが切れてるのかお?』
((从; ∀从))
( ^ω^)
( ^ω^)『こんなに部屋を散らかして、暴れたのかお?』
((从; ∀从))
((从; ∀从))『もう、耐えられねえよ・・・・・・』
((从; ∀从))『俺、怖いよ。だって死んじゃうんだよ?』
( ^ω^)
( ^ω^)『僕たちで、乗り越えていくんだお』
((从; ∀从))『ブーンは・・・・・・俺が死んで、寂しい?』
((从; ∀从))『ねえ、教えて?』
( ^ω^)
( ^ω^)『何、馬鹿なこと言ってんだお』
( ^ω^)『まだ、死ぬって決まって無いお』
((从 ∀从))
((从 -从))『優しいな。ほんと、優しい」
((从 ; -从))『大好き。大好きだよ』
( ^ω^)
( ^ω^)『僕も、好きだお。ハイン』
((从 ; -从))『苦しんでっ・・・・・・死にっ・・・・・・たくないよ』
( ^ω^)
((从 ; -从))『殺しっ・・・・・・て・・・・・・』
( ^ω^)『馬鹿なこと、言うもんじゃないお』
((从 ; -从))『お・・・・・・お願いっ・・・・・・だからっ・・・・・・』
( ^ω^)
( ^ω^)『銃を離してくれお』
( ;ω;)『離して、くれお』
从 ;∀从『打ってよ。もっ・・・う、耐えられっ・・・ないんだ』
( ;ω;)『できるわけ無いお!やめろお!』
从 ;∀从
从 ;∀从=y『ほんと、優しい』
( ;ω;)『待てお!』
从 ;∀从=y『じゃあね』
( ;ω;)『ま・・・・・・』
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 23:14:21.32 ID:pygvnsMI0
***************
こんなこと思い出しちゃうもんだから、すごくシックな気持ちになっちゃってね。
僕も、こんな死んじゃうくらい辛いことがこの先に待っているかと思うとさ。
居ても立ってもいられなくなっちゃったんだ。
( ^ω^)「もし、僕が」
('A`)「ん?」
( ;ω;)「もし・・・・・・僕が」
墓石にはぽたぽたと僕の涙が零れていた。
でも、それを拭こうとも思わないで僕は喋り続けたんだ。
( ;ω;)「立てない体になって」
( ;ω;)「言葉も、分からなくなって」
( ;ω;)「糞尿も垂れ流してしまうような体になったら」
('A`)
( ;ω;)「誰が、僕についていてくれるお?」
('A`)
('A`)「俺が、ついていてやる」
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/31(金) 23:23:45.74 ID:pygvnsMI0
( ;ω;)「・・・・・・お前にはクーがいるお。クーと一緒にいてやれお」
('A`)
('A`)「お前を、見捨てることはできないよ」
( ;ω;)
僕は泣き続けたんだ。
もちろん墓石を拭きながらね。
そこからは、なんの言葉も出なかったよ。
早くこの夢から覚めたかった。
これが、悲劇のヒーローを気取る、僕の妄想であってほしかった。
でも、現実なんだ。
この腐ったスラムで生まれ育ったときから決まってた運命なのかもしれない。
クーだって癌と戦ってる。
僕だけが挫けていいことじゃない。
でも、本当に辛かったんだよ。
僕はずっとずっと泣き続けた。
本当に日が暮れるまでね。
2.
ミス・ロンリーに興味が湧いてから大体一ヶ月後くらいかな。
この掃き溜めみたいなハイスクールの学生が卒業の準備に追われている頃の話だ。
二回ダブった俺もついに卒業。
まあ、嬉しかったね。
いつもつるんでたペニサスはストレートで卒業。
ドクオは僕と同じで二回ダブってる。
でも、晴れて卒業。
クーは入院してて学校に言ってないからね。
残留決定だ。
ξ゚⊿゚)ξ
ミス・ロンリーはどうなんだろうね。
すかしたお嬢様のことだ。
ストレートなんだろうな。
39 : ◆24es8un4MA :2010/12/31(金) 23:36:27.21 ID:pygvnsMI0
そんないつも以上に忙しいハイスクール。
たしか僕は外でランチを取ろうと思ってベンチに座ってたんだ。
いつもとおんなじ店のサンドウィッチ。
最高にうまいんだぜ?
一度食べたらそりゃあやみつき。
ピクルスもハムも、どれも最高においしいのさ。
本当にグルヴィーなサンドウィッチ。
その店はもう潰れてしまって無いんだけどね。
( ^ω^)「おっお」
ランチボックスを開けると食欲は倍増。
今すぐ喰らい尽きたかったんだけどね。
なんか遠くでうろうろしてる女が目に付いたんだ。
ξ゚⊿゚)ξ
まぎれもなく、やつさ。
寂しいお嬢さんだよ。
どうやら何か探しているようだった。
きょろきょろとあたりを見渡して。
特にベンチを見て回っているようだ。
何か置いてたら無くなってしまったんだろうね。
不運だな。
( ^ω^)
とか考えてたらミス・ロンリーがこっちに向かってきたんだよ。
僕が座っているベンチに置いたんじゃないかって言う風な具合でね。
でも、残念ながら無いよ。
僕が座った時には何にも無かった。
だから十分近寄ってきたとき言ってやったんだ。
( ^ω^)「ここにはないお」
ってね。
ξ゚⊿゚)ξ そ
急に離しかけられて、彼女はすごくびっくりしてたよ。
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「あんた、私が何探してるのかわかるの?」
( ^ω^)「いいや、わからないお」
彼女は恐る恐る僕に聞いたんだよ。
本当にびくびくしながらね。
でも、残念ながら何を探しているかまではわからない。
なんせ、僕はエスパーじゃないから。
で、僕は気になったんだ。
こんなに焦って何を探してんだろうってね。
( ^ω^)「何を探してるんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「あんたには関係ないじゃない」
ああ。
そりゃあごもっともな答えだ。
( ^ω^)「まあそうなんだけどね」
( ^ω^)「でも、もしかしたら僕が見かけたかもしれないお」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚ -゚)ξ
どうだい。
僕も最もなこと、言ってるだろう?
そういったら彼女は黙り込んでしまった。
かわいい口をキュッと結んでね。
でも、ちょっとしてサラッと答えたんだよ。
ξ゚ -゚)ξ「ランチボックス」
おかしな話だろ?
必死こいて探してたのがランチボックスだったのさ。
そんな必死に探すものでもないのに。
だから僕は思わず笑っちゃって。
44 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 00:18:28.08 ID:GmYoDvzD0
( ^ω^)「おっおっお」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「なによ!」
( ^ω^)「いや、そんな必死に探すものでも無いな、と思っただけだお」
すると、彼女はプイッと後ろを向いて僕の前から消えようとしたんだ。
少し焦ったね。
怒ってしまったんじゃないかって。
ただででも気難しそうな子だから。
それに初めて喋れたんだ。
ここで終わってしまうのは勿体無いと思って。
(;^ω^)「ま、待てお」
ξ゚⊿゚)ξ
(;^ω^)「僕のをあげるお」
ξ゚⊿゚)ξ「ハァ?」
(;^ω^)「ほら、うまそうだお?」
彼女が怪訝そうな顔で僕のほうを向いたからランチボックスを見せてあげたんだ。
でも彼女はもっと怪訝そうな顔をした。
ξ-⊿-)ξ
ξ-⊿-)ξ「こんなもの食べれるわけ無いじゃない」
ああ。
ショックだったね。
本当に。
(;^ω^)「じゃあ、ツンはいつも何を食べてるんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ そ
何の気なしに聞いたつもりだった。
けど、彼女はなぜかひどく動揺したんだ。
ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・あたしの、名前・・・・・・」
(;^ω^)「・・・・・・お?」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「なんでも、ないわよ」
とぼけたけど、ぽろっと聞こえたんだよね。
あたしの、名前って。
名前呼ばれたことが嬉しかったんじゃないかな。
そう、思ったんだ。
するとどうだろう。
彼女が自分から喋りだしたのさ。
あの、ミス・ロンリーが。
ξ゚⊿゚)ξ「あんた、同じクラスだったわよね」
ξ゚⊿゚)ξ「名前は確か、ホライゾン」
( ^ω^)「覚えてたのかお」
ξ゚ー゚)ξ「クラスでダブってるのあんただけじゃない」
でもって、笑ったんだよ。
そりゃあ、ぶったまげたね。
しかも、すっごくおしとやかに笑うんだ。
本当にこの腐ったハイスクールの生徒じゃないみたいだ。
気づかなかったよ。
こんな子が今まで近くにいたなんてね。
( ^ω^)「君みたいな子に名前が売れてて嬉しいお」
ξ゚ー゚)ξ「どういう意味かしら?」
( ^ω^)「ご想像にお任せするお」
不思議な子だった。
喋ってると楽しいんだ。
そういうところがハインと一緒だな。
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 01:04:43.10 ID:GmYoDvzD0
でさ、その場の流れで聞いてみたんだよ。
今まで疑問に思っていたことをね。
( ^ω^)「なんでツンはいつも一人でいるんだお?」
ξ゚ー゚)ξ「あんたたちとは違うからよ」
( ^ω^)「どういうことだお?」
僕は馬鹿だったからね。
意味がわからなかったから聞いちゃったんだ。
すると彼女は自分のことを堂々と語ってくれたよ。
ξ゚ー゚)ξ「わたしはね、お金持ちになるの」
ξ゚ー゚)ξ「お金があれば遊べるわ。こんな生活とはおさらばできるのよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あなたたちは今の生活に満足しているでしょう?」
できるならいい暮らしをしたいとは思うけど、別に今のままでもいいと思ってる。
他のろくでなし共はそう思ってるだろう。
僕だってそう思っている。
もちろん今もね。
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 01:13:05.67 ID:GmYoDvzD0
( ^ω^)「まあ、そうかもしれないお」
ξ゚⊿゚)ξ「だから、あなたたちとは違うの」
ξ゚⊿゚)ξ「少しでもあなたたちの下らなさが私に移ったら、このスラムに根付いちゃうじゃない」
( ^ω^)「おーん」
今ならツンの言ってることがわかるね。
でも、当時僕は良く分かってなかったと思う。
ξ゚ー゚)ξ「お金持ちになって、私を馬鹿にしてた人たちを見返すのよ」
本当に意思の強い子だったね。
それはあの頃の僕でも分かった。
彼女の強い笑顔を見てると、なんだか本当に僕たちとは違う存在だと思えてきたんだよ。
( ^ω^)「すごいおー」
僕って単純だろ?
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 01:19:51.97 ID:GmYoDvzD0
( ^ω^)「でも、そうやって独りぼっちになって寂しくないかお?」
話の延長線上で聞いたつもりだった。
特に皮肉を言ったつもりは無いんだ。
でも、最もな事さ。
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚ -゚)ξ「寂しくなんて、ないわよ」
すると、そう一言呟いて僕の前から足早に消えてしまった。
そのことについてはタブーだったんだろうね。
きっと。
(;^ω^)「おー」
僕は焦りながらツンの後姿を見ていた。
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 01:25:44.93 ID:GmYoDvzD0
('、`*川「あらら。怒らせちゃった」
(;^ω^)そ
(;^ω^)「いたのかお」
('、`*川「今さっき来たから」
ボーっとツンを見つめてたらいきなり後ろからペニサスが来てね。
本当にびっくりしたよ。
('、`*川「で、何話てたのさ」
(;^ω^)「別に大した話じゃないお」
('、`*川「ふーん」
なんかペニサスも機嫌悪かったっけ。
僕は焦りっぱなしだったね。
それで、黙ってペニサスは僕の隣に座ったんだ。
そして、おもむろに僕のランチボックスを開け始めた。
(;^ω^)「それ、僕のだお」
ペニサスは最高のサンドウィッチを持って僕を見つめた。
緑の瞳が僕を鋭く捉えていたね。
('、`*川「あんた、仲良かったんだ」
( ^ω^)「今、初めて喋ったんだお」
('、`*川
('、`*川「ほんと?」
( ^ω^)「ほんとだってば」
('ヮ`*川「ふーん」
ペニサスの安心したような笑み。
最高に分かりやすい子さ。
そしてニコニコしながら僕のサンドウィッチを食べ始めてしまった。
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 01:39:27.76 ID:GmYoDvzD0
('ヮ`*川「今度おごったげるからさ」
おいしそうにサンドウィッチを頬張るペニサス。
見てたらすごくおなかが減ってきたんだ。
ついてねえなあ。
とか思いながら腕を組んでペニサスが食べ終わるのを待ってたんだっけ。
('ヮ`*川「あんたが買って来たサンドウィッチが一番おいしい」
( ^ω^)「わかってるお」
僕の頭の中はサンドウィッチのことばかりだったよ。
ぽっかりと浮かんだ雲がサンドウィッチに見えたりしてね。
そりゃないか。
景気のいいペニサスの声に少しだけキュンとしたのは内緒だ。
3.
いつも通り学校に行って、いつも通りハインの所に行って。
卒業するまで僕はそれを続けた。
でも、少なからず変わったことはある。
ξ゚⊿゚)ξ
ミス・ロンリー。
ツンの存在だ。
あれ以来、一言二言だけど、喋る機会も多くなった。
で、いつも同じ事を言うんだ。
ξ゚⊿゚)ξ「私はあなたたちとは違うの」
ってね。
それでも僕は話しかけてたよ。
そんなこと言われても話しかけたよ。
もう君に憧れて、恋してたのかもしれないね。
恋? いや、不思議な気持ち・・・・・・。
ハインやペニサスのそれとは違うね。
彼女の時々見せる笑顔が素敵だったし、全然素直じゃないとこだってそれはそれで魅力だ。
でも、君はいつも人の優しさを突っぱねて、プライドだけで自分を保とうとする。
そこだけは頂けないな。
だからいつまでたっても、ミス・ロンリーのまま。
近づきづらい女なんだ。
( ^ω^)「お?」
('A`)「俺の話聞いてたか?」
僕はボーっとツンを見つめていたらドクオの話を聞き流していた。
相変わらず僕は一つのことにしか集中できない駄目な奴さ。
('A`)「だから、これからどうするって話だ」
( ^ω^)「ああ。適当に暮らすお」
('A`)「まあ、予想通りの答えだわな」
じゃあ何で聞いたんだろうな。
不思議な奴。
ああ。
今の状況?
糞みたいに退屈な卒業式が終わってハインの所に行こうとしたとき、ドクオに話しかけられたんだ。
普通に話してたんだけどツンが通りかかってね。
彼女はどうするんだろうな、なんて考えながらツンを見つめてたらドクオの話を聞き流していた。
ただそれだけの話。
('A`)「体の調子はどうだ?」
顔を合わせればいつもこれ。
まあ、気持ちは分かるんだけどね。
( ^ω^)「別に悪く無いお」
何もエイズだからって急に体調が悪くなるわけじゃあない。
薬さえ飲んでおけばね。
じっくりと蝕んでいくんだよ。
僕の体を。
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 02:09:31.49 ID:GmYoDvzD0
('A`)「そうか」
( ^ω^)「クーは元気かお?」
('A`)
('A`)「いや」
( ^ω^)「そうかお」
聞こえるか聞こえないか、本当に小さな声でドクオは呟いた。
それが妙にリアリティを持っていて、僕は言葉を続けることができなかったんだ。
変に気を使っちゃってね。
僕自身、気を使われることが得意じゃないのに。
('A`)「ハインの所に行くのか?」
( ^ω^)「そうだお」
( ^ω^)「一緒にどうだお?」
何の気なしに誘ってみたんだ。
話の流れで。
すると、ドクオは言った。
('A`)「いや、クーの所に行くよ」
ってね。
その頃、僕はあんまりクーの顔を見に行ってなかった。
で、ふと思ったんだよ。
クーの病室に顔を出しに行こうって。
( ^ω^)「じゃあ、ハインの所に行ったら僕も顔出すお」
('∀`)「なんだ珍しいな」
ドクオは不細工な顔して笑ったよ。
滅多に笑わない奴だから少し驚いた。
それだけ嬉しかったって事なんだろうな。
( ^ω^)「まあ、そう言うなお」
('∀`)「ハハッ。悪かったよ」
ドクオは最高にご機嫌になった。
自分の愛する人に友達が見舞いに来る。
確かに、嬉しいことなのかもな。
そのままニコニコ笑顔のドクオと別れて僕は墓地に向かった。
ドクオは最高に幸せそうな顔をするもんだから、僕はバスの中で幸せについて考えたんだ。
目の前で好きな人が脳みそぶちまけて。
その女に毎日会いに行って。
変わらない毎日の中で、巻き毛の女に恋して。
それが僕のクソッタレな人生に色を取り戻させた。
でも、わからない。
そのうち死んでしまう僕が、ハインを守れなかった僕が、もう一度恋をしている。
それって、いいことなのかな。
ってね。
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 02:28:12.28 ID:GmYoDvzD0
墓地公園に着いて、いつものようにハインの下に行った。
そしていつものようにハインが眠る墓石の前に跪くんだ。
美しく輝く墓石。
僕はそれを見ながらバスの中で考えたことについてハインに相談してみた。
( ^ω^)「僕みたいなクリープに好きな人が出来たんだお」
( ^ω^)「お笑いだお?」
もちろんツンのこと。いや、ペニサスも意識してないって言ったら嘘になるかな。
もちろん二年前から眠り続ける彼女は何も答えない。
( ^ω^)「僕の心が勝手に君を忘れようとしてるんだお」
( ^ω^)「僕自身、それに身を任せようとしている」
( ^ω^)「それって最低なことだおね?」
ずっと一人でぶつぶつ言ってたよ。
知らない人から見たら気持ち悪かっただろうね。
なんてったって墓石のまえで独り言。
気味悪いだろう?
( ^ω^)「僕の中で君が過去になろうとしてるんだお」
( ^ω^)「二年前の僕が聞いたらぶん殴られてると思うお」
( ^ω^)「でも、君には嘘をつきたく無いお」
嘘をつきたく無いとかもっともらしい事言ってさ。
僕って卑怯者。
結局は自分じゃないか。
でも、僕は結ばれたいとは思っていない。
そのうち死ぬ身。傷つけてしまうだけ。
( ^ω^)「・・・・・・今日、クーに会いに行くお」
( ^ω^)「久しぶりだから楽しみだお」
( ^ω^)
( ^ω^)
( ^ω^)「そろそろ行くお」
正直、この場から早く立ち去りたかった。
ハインが悲しむようなこと言って、自分で居たたまれなくなって。
本当、くだらないね。
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 02:37:36.92 ID:GmYoDvzD0
クーが入院してる病院はここから少し離れたところにあるんだ。
地下鉄でだいたい30分くらい。
ちなみに入院費はドクオが出している。
クーは僕たちと一緒で親がいないからね。
だからドクオは毎日バイトで大忙しだった。
僕じゃ、とても体が持たないと思う。
彼らは最高に不幸なカップルさ。
でも、自分たちが不幸なんか思っちゃいない。
それって幸せなことなんだろうな。
いや、それだけで幸せってことなんだろう。
誰かに愛されて。
誰かを愛して。
・・・・・・僕は、幸せになりたいのかな。
その悩みは今でも続いてるよ。
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 02:42:02.20 ID:GmYoDvzD0
( ^ω^)「来てやったおー」
('∀`)「おお」
川 ゚ー゚)「ブーン久しぶりだな」
僕が病室に入ると二人はニコニコと迎えてくれたよ。
そんな僕も二人の顔を見てたら嬉しくなってね。
もともとのにやけ面をもっとにやけさせて二人に近寄った。
( ^ω^)「ほら、差し入れだお」
僕は右手の紙袋をドクオに渡したんだ。
中身は駅前で買ってきたマカロン。
なかなか高かったよ。
('∀`)「ブーンにしては気が利くじゃないか」
川 ゚ー゚)「ああ」
二人はすごく嬉しそうだったね。
買ってきて良かったと思った。
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 02:46:37.93 ID:GmYoDvzD0
('A`)「そうそう、後でペニサスも来るってさ」
( ^ω^)「おー。あいつの差し入れが楽しみだお」
川 ゚ー゚)「じゃあ今日は賑やかだな」
ペニサスも来ると分かってクーは嬉しそうに顔を歪めたんだ。
本当に綺麗な女だよ。
ドクオとは不釣り合いだな。
でも、前はもっと綺麗だった。
すっかり痩せこけてしまって。
髪も抜け落ちてしまったのか、ニットを被っていた。
弱弱しくなったクーを見てたらなんだか胸が痛んだよ。
未来の自分を見てるようで。
川 ゚ー゚)「みんな来るなら先に言ってくれれば良かったのに」
('∀`)「ほんとだよな」
それでも、楽しそうに笑っていた。
死ぬことが怖くないのかなって、そのとき思ったんだよ。
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 02:51:46.47 ID:GmYoDvzD0
('、`*川「よっす」
程なくしてペニサスが来た。
確か、ペニサスにしては珍しくレザーだったんだ。
川 ゚ー゚)「ペニサス久しぶり」
('∀`)「遅かったな」
( ^ω^)「おっお」
('ヮ`*川「クー!久しぶりー!」
着いて早々クーにキスをかます。
腕を広げて嬉しそうにね。
クーも本当に嬉しそうだ。
僕と同じで、しばらく合ってなかったみたいだ。
('、`*川「なんだブーンもいたんだ」
( ^ω^)「なんだとはなんだお」
で、チラッと僕を見て一言。
クー以上にクールな奴さ。
('、`*川「気分はどう?」
川 ゚ -゚)「君たちが来てくれたから上々だ」
こういう光景を見てると不安になる。
僕がクーみたいに寝たきりになってしまったら、こうやって会いに来てくれるのかな。
どうだろう。
どうなんだろうね。
それはそうなってみないと分からないこと。
('∀`)「今にも治りそうな勢いだ」
川 ゚ー゚)「ああ」
('ー`*川「じゃあ毎日会いにくれば治るかもね」
僕は、彼らが笑顔で戯れるのをただただ見ていた。
空虚な目をして。
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/01(土) 03:00:24.27 ID:GmYoDvzD0
僕の持ってきたマカロンとペニサスの紅茶でささやかなお茶会が行われた。
ドクターに見つかったら怒られちゃいそうだね。
幸いこの病室はクーしかいないみたいだし、ドクターが来ることもなかった。
('、`*川「ちょっとトイレ」
( ^ω^)「早く行って来いお」
ふと、ペニサスがこの病室から居なくなったんだよ。
そしたらクーが妙なこと言い始めたのさ。
川 ゚ -゚)「ドクオに聞いたよ」
( ^ω^)「エイズのことかお?」
川 ゚ -゚)「ああ」
('A`)「すまん、言っちまった」
( ^ω^)「別に良いお」
別に良かったよ。
僕も、丁度そのことを話そうと思ってたところだったしね。
川 ゚ -゚)「ペニサスには言ってないらしいな」
( ^ω^)
川 ゚ -゚)「きっと、君の事好きだぞ」
( ^ω^)「知ってるお」
クーはドクオと一緒のことを言うな。
いつのまにかドクオに似てしまったんだ。
いや、ドクオがクーに似てしまったのかもね。
川 ゚ -゚)「じゃあ、なんで・・・・・・」
( ^ω^)「怖いんだお」
( ^ω^)「傷つけるのが、怖いんだお」
('A`)
川 ゚ -゚)
やっぱりしけた面しやがった。
( ^ω^)「本当は誰でもいいから愛されたいお」
( ^ω^)「でも、そんなエゴでペニサスを傷つけてしまったら」
( ^ω^)「いつか死ぬかもしれない、体を重ねられない、そんな男を愛していたと知ったら」
( ^ω^)「どう思うお?」
川 ゚ -゚)
('A`)
二人はだんまり。
何にも言えないだろうね。
自分も、友人からこんな話聞かせられたら口を結んでしまうだろう。
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)「一人ぼっちだな」
( ^ω^)
その時、ボソッと呟くように放たれたクーの言葉が胸に突き刺さったよ。
ああ。
一人ぼっちなんだなって。
そこで、ようやく気づいたんだよ。
僕は一人ぼっちだ。
ハインが僕の前で死んで以来、ずっと一人ぼっちなんだ。
ξ゚⊿゚)ξ
君と一緒だね、ミス・ロンリー。
思えば、僕も自分が幸せになる手段を突っぱねてきた。
ミス・ロンリーと喋る前から、ペニサスに会う前から、そしてハインが死んだときから。
川 ゚ -゚)「そうやって一人ぼっちになって、君は満足かい?」
( ^ω^)
('A`)「・・・・・・おい」
川 ゚ -゚)「・・・すまん」
( ^ω^)「いや、いいお」
満足なもんか。
本当は愛されたい。
愛されたいよ。
121 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 13:55:41.61 ID:R2L6Op4E0
――――帰りの地下鉄。
ペニサスと二人っきりだった。
勝手に僕一人が気まずく思っててね。
ダサいだろ?
('ヮ`*川「今日はクーと会えて本当に良かった」
( ^ω^)「クーも嬉しそうだったお」
僕は、悩んでいた。
エイズのことを打ち明けるかどうか。
やっぱり喋ってしまったほうがペニサスは僕に縛られないですむんじゃないかって。
こんなくだらなくて、すぐ死んでしまうような男じゃなくて、君にはもっと素敵な人が似合ってる。
・・・・・・君に愛されたい気持ちもある。
ミス・ロンリーはたかだか憧れだ。
だけど、それは駄目だ。
そうなってしまえば、今度は君が僕で、僕がハイン。
( ^ω^)「なあ、ペニサス」
('、`*川「ん?」
( ^ω^)「僕のこと好きなんだお?」
('、`*川
('、`*川「ばれてた?」
きょとんとしたペニサスの顔。
気づかれてないとでも思ったのかな。
すぐに顔に出るんだよ君は。
( ^ω^)「一つ、聞いてほしいことがあるお」
('、`*川「なに?」
これを言ってしまったらどんな顔するんだろう。
少し、怖かったよ。
すごく緊張してたと思う。
126 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 14:05:42.48 ID:R2L6Op4E0
でね、僕は意を決して言ったんだ。
ろくに顔も見ずにね。
( ^ω^)
( ^ω^)「僕、HIV陽性なんだお」
('、`*川
('、`*川
('、`*川「ふーん」
('ヮ`*川「どうってことないよ」
128 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 14:10:23.80 ID:R2L6Op4E0
从 ゚∀从『俺なんかを愛して、後悔するぞ』
( ^ω^)『どういうことだお?』
从 ゚∀从『みろよ』
( ^ω^)
( ^ω^)『注射のあとかお?』
从 ゚∀从『ヤクだよ。ドラッグ』
( ^ω^)
从 ゚∀从
( ^ω^)『そんなの関係ないお』
从 ゚∀从
从 -∀从『お前なあ・・・・・・』
从 -∀从『・・・・・・あとな、俺エイズなんだよ』
从 -∀从『そのうち、死ぬんだ』
从 -∀从『苦しんで、人間じゃなくなって』
从 ゚∀从『死ぬんだよ』
( ^ω^)
( ^ω^)『だから、どうしたお?』
从 ゚∀从
( ^ω^)『そんなこと言ったって、僕の気持ちは変わらないお』
从 ∀从
从 ∀从
从 ;∀从『お前、馬鹿かよ』
( ^ω^)『自慢じゃないけどそうだお』
从 ;∀从
从 ;∀从『うあぁ・・・・・・あぁぁ・・・・・・』
****************
('ヮ`*川「そんなこといっても、あたしの気持ちは変わらないよ」
まったく同じだったんだ。
同じ、だったんだよ。
あの日の僕とハインのような会話だったんだ。
( ^ω^)
( ω )
怖くなった。
ペニサスも、僕と同じ思いをしてしまうんじゃないかって。
その優しさが僕を恐怖させたんだよ。
('、`*川「ブーン?」
( ω )「だめだお」
( ω )「僕は、君を傷つけてしまうんだお」
( ω )「君よりずっと先に死ぬんだお?」
('、`*川「そんなの関係ない」
( 、 *川「関係ないよ」
ペニサスの声が震えていた。
泣いてまで、僕に訴えている。
そんなにしてまで、愛してくれるの?
(;、;*川「だから、そんなこと言わないで」
僕は混乱してたね。
愛してくれる人が横にいて、僕のために肩を震わせて泣いて。
なにが正しいかなんて分からなかった。
だけど、僕とは一緒になっちゃいけない。
一緒になれば、君はいずれ悲しんでしまう。
ミス・ロンリー・・・・・・いや、ツンに抱いてる気持ちは憧れ・・・恋に近い。
でも、ペニサス。
君には幸せになってほしいっていう気持ちが強い。
これって愛なのかな。
なにも分からなかった。
(;、;*川「お願い・・・・・・一緒に居て」
( ω )
( ω )「駄目なんだお・・・・・・」
ああ、僕はこうやって幸せを突っぱねている。
自分が幸せになることを恐れている。
他人が悲しむことを恐れている。
やっぱり僕はクリープ。
長い沈黙とすすり泣き。
ただそれだけが車内に響き渡ってたね。
電車が大きく揺れて、駅に止まった。
ペニサスが降りる駅だ。
( ω )「ついたお?」
(;、;*川
( ω )「降りなきゃ、駄目だお」
( ω )「僕と一緒に居れば、必ず後悔するお」
(;、;*川
( ω )「僕を困らせないでお!」
思わず怒鳴ったんだ。
ペニサスがビクッとして驚いた。
その拍子に涙がぼろぼろとこぼれたよ。
そして、僕の顔を悲しげに見つめて、席を立ったんだ。
(;、;*川
(;、;*川「・・・・・・振られちゃったね」
そのまま僕に背を向けて電車を降りた。
ああ、行ってしまう。
・・・・・・本当は行ってほしくなかったんだ。
程なくして電車は駅を出発した。
( ω )
僕はずっと俯いてた。
ああ。
なんだろうなこの気持ちは。
ペニサスが行ってしまったことで、心にぽっかりと穴が開いた。
彼女のことが好きだったんだ。
いつも側にいたペニサスが気づかないうちに僕の支えとなっていた。
そんなことも気づかずに、ツンは憧れ?新しい恋?色を取り戻した?
確かにそれは嘘じゃない。
嘘じゃないんだけど。
どうしてしまったんだ僕は。
なんで行かせてしまったんだい?
本当は行ってほしくなかったんだろう?
そんなことを一人の電車でずっと考えていた。
138 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 15:16:49.46 ID:R2L6Op4E0
ふと、パンクしそうな頭を冷やそうと思って顔を上げたんだ。
目の前には車内の落書き。
赤いペンキで書きなぐられたもの。
汚い文字だったけどちゃんと読めた。
”You better let somebody love you.
before it's too late. ”
(誰かに愛してもらおう。まだ、間に合う内に)
くだらない落書きさ。
( ;ω;)
くだらない落書きの前に涙が止まらなかった。
僕は、また後悔する。
また、後悔するんだ。
4.
あれからしばらく経った。
大体2年くらいかな。
ちょうどこないだの話さ。
僕はというといつも通りどうしようもない生活を送っていた。
腐ったようにぬめった酒の並ぶバーで働いて。
体臭の消えない我が家に帰って。
グダグダとテレビを見て。
最高のろくでなしっぷりだな。
自分でもそう思うよ。
だけど、こんなどうしようもない生活の中で3つほど変化があった。
一つはクーが死んだことだ。
それを知ったのはドクオからの電話。
滅多に使ってない携帯電話が光りだすからびっくりしてね。
飛び出すようにそれに出たんだ。
「ブーンか?」
冷たく、しわがれたドクオの声。
もうそこから嫌な予感がしてたよ。
( ^ω^)「・・・・・・クーのことかお?」
で、恐る恐る聞いてみたんだ。
「ああ。死んだ」
案の定予想は当たった。
卒業式の後にクーに会いに行った後、もう一度だけクーに会いに行った。
ペニサスの事を話そうと思ってね。
今思えば、それが最後のクーとの会話だったんだな。
143 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 15:46:46.75 ID:R2L6Op4E0
僕は急いでドクオに会いに行った。
なんというか、今すぐ会って話を聞きたくなったんだ。
僕も、いずれはクーのように死ぬ。
彼女がどう思って死んだのか、どんな顔をして死んだのか。
それを知りたかった。
なんか、最低だろ?
でも、知りたかったんだよ。
どうしてもね。
時間が経って、あの頃より自分の死をよりリアルに感じるようになった。
エイズ患者同士のライフサポートの会にもいったし、自分なりにエイズの勉強も始めた。
まあ、それが二つ目の変化になるかな。
特にエイズの仲間に出会って、僕の中でいろいろと変わった。
新しい世界が広がったんだ。
( ^ω^)「ドクオ」
('A`)「ブーンか」
待ち合わせた場所は寺院の裏の墓場。
葬式は挙げなかったみたいだから、そのままこの下に埋められたんだろうな。
僕が綺麗なクーの墓石を見ていたらドクオは静かに喋り始めた。
('A`)「クーは」
('A`)「笑ってたよ」
('A`)「でな、幸せだったって」
( A )
( A )「幸せだったってよ」
ドクオの声が徐々に震えてきてね。
僕はドクオを見ることができなかったよ。
なんだろうな。
この話を聞きたくてここに来たんだ。
でも、なんだか聞きたく無くなっちまった。
( ^ω^)「そうかお」
( A )「クーは」
(うA;)「幸せの中死ねたんだっ・・・・・・」
(;A;)「それってっ・・・俺にとってもいいことっ・・・なのかな?」
(;A;)「教えてくれよっ・・・・・・ブーン・・・」
(;A;)「お前なら・・・わかるだろう?」
( ^ω^)
ああ。
わかるよ。
それって最高なことさ。
死ぬと予告されてる者は誰でも憧れるよ。
幸せの中で死ぬこと。
今の僕の夢でもある。
( ^ω^)「ドクオにとっていいことか分からないけど」
( ^ω^)「クーにとってはいいことだお」
( ^ω^)「だってそれは最高なことだお」
(;A;)
(うA;)
(;∀;)「じゃあ俺にとってもいいことだな」
そういったらドクオはぽろぽろと涙を流しながらにっこりと笑ったんだ。
本当に不細工で幸せそうな笑顔。
誰かに愛されることは、死んで無くなってしまってもなお、続くことなんだな。
それを再確認したよ。
僕はハインから愛をもらった。
そしてペニサスからの愛を突っぱねた。
本当は僕だって幸せ者だったんだ。
――――それから、三つ目の変化。
これは僕には直接関係無い。
ミス・ロンリーのことさ。
かなり遡れば、卒業して一ヶ月ほど。
テレビで流れたんだよね。
君の姿が。
ξ゚⊿゚)ξ
綺麗なドレスを身にまとって。
指には大きな指輪。
そして、隣には・・・
( ´∀`)
スカしたシルクハットのお偉いさん。
驚いたね。
ほんとに金持ちになっちまった。
君の理念は変わらなかったね。
腐ったスラムの中でも、媚びる事は無かった。
本当に立派だ。
僕はそんな君に惹かれていたのかもしれないね。
君はハインともペニサスとも違う気持ちを僕に植え付けた。
これは恋に似た何か。
でも、ハインやペニサスに感じたそれとは違う。
一体、なんなんだろう。
テレビの中の君を見ていると、違う存在なのは分かっているのに、なんだか寂しくて。
もともと遠い存在なのに、もっと遠くなってしまうような気がして。
ξ-⊿-)ξ
でも、心なしか寂しい顔をしていたね。
なんでだい?
ミス・ロンリー。
わかってるよ。
僕にはわかる。
今も、プライドだけで自分を保とうとしてるんだろ?
そんなの楽しいわけないじゃないか。
持ってるお金を僕らみたいなろくでなしに投げつけて、君は本当に満足?
自分に嘘をつき続けた女。
僕は君の事をそう解釈している。
そして、君の欲望は止まらなかった。
君がテレビに出るたび、男が変わっていったね。
あるときは、外交官。
あるときは、プロデューサー。
あるときは、弁護士。
君は様々なお金持ちから搾り取っていった。
ξ゚⊿゚)ξ「沢山お金があって、遊んで、それが全て」
いつだかインタビューにそう答えていたね。
ハイスクール時代となんにも変わっちゃいない。
僕を前に語ってくれたことと変わらないじゃないか。
行く当てが無いようにお金持ちの間を行き来して。
本当にどうしようもない奴だ。
僕以上のろくでなし。
( ^ω^)
ああ、でもなんだろうな。
彼女の整った顔を見てると、なんだか。
心が躍るんだ。
やっぱり、君に恋してるのかな。
いや、恋憧れているんだ。
自分の幸せを自ら掴み取ろうとするあまり人を突っぱね続ける君と、人を傷つけないように自分の幸せを突っぱねていた僕。
彼女は僕にとって斬新すぎたのかもしれない。
だから惹かれたのかもね。
163 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 17:58:53.63 ID:hh18lSWg0
――――そしてある日、非常にショッキングなニュースがテレビで流れた。
君を見るためにテレビのニュースを欠かさず見てたようなもんだからね。
もちろん新鮮な情報だったよ。
(;^ω^)
開いた口が塞がらなかった。
簡単に言えばこうだ。
「様々な男からお金をちょろまかし過ぎたため、逮捕」
な、簡単だろ?
あっという間に君は法の前にひれ伏した。
法は君から奪えるものは全て奪って行ったね。
自業自得かもしれないけど、僕はショックを受けた。
ひどく落ち込んだものさ。
それからしばらく経って、今くらい。
ふと耳にした情報で、ツンは今ラウンジの風俗街で働いているらしい。
信じられないだろう?
全てを奪われてすっぽんぽんになってしまったらそのまま風俗街か。
落ちぶれたもんさ。
ミス・ロンリー。
彼女は今、幸せ?
誰にも愛されないまま堕ちてしまったのか?
僕以上に、幸せになりきれてないのかな。
そして、地下鉄の落書きを思い出すんだ。
間に合う内に、誰かに愛してもらえって。
そう考えたら、無性に彼女に会いたくなった。
167 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 18:10:20.35 ID:hh18lSWg0
勝手だが、僕が成し得なかった、いや、突っぱねてしまった、誰かに愛してもらうこと。
それを彼女に与えようとしたんだ。
僕も、全てを失った後で後悔した。
彼女も後悔してるだろう。
金のために男と一緒にいて、一度も愛したことなく、愛されたことも煙たく感じていた。
そんな女に、そんな僕の恋憧れる女に。
僕の気持ちを伝えたい。
でも、一緒に居たいとは思わないよ。
君が僕を愛してしまって、それで僕が死んだら、君は悲しむだろう。
・・・・・・いや、そしたら僕は幸福の中で死ねるのかな?
川 ゚ -゚)
クー。
どう思う?
168 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 18:18:01.57 ID:hh18lSWg0
5.
会えば、答えが出るかもしれない。
ミス・ロンリーが教えてくれるかもしれない。
そういうわけで、僕は風俗街に出向くことにしたのさ。
くだらない理由だろう?
きっと死ぬまでクリープなんだろうな。
・・・・・・出来ることならこの肥溜めから連れ出してあげたい。
とにもかくにも、こんな場所は彼女には似合わないからね。
( ^ω^)
それで今に至る。
目の前に広がるのは様々なネオン。
君の居る場所はもう分かってる。
このくたびれたアパート。
こう見えても風俗店だ。
171 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 18:24:02.47 ID:hh18lSWg0
(´・_ゝ・`)「お客さん。ご指名は?」
中に入ればいかついナイスガイが案内してくれたよ。
ろくでなしの癖にこんな店は初めてだからね。
きっとおどおどしてたと思う。
(;^ω^)「この、ツンデ=レラっていう子をお願いするお」
僕はチラシのミス・ロンリーを指差して言ったんだ。
ここではツンデ=レラとかいうキャッチーな名前で通ってるみたい。
僕の知るツンはずいぶん変わってしまったらしいな。
(´・_ゝ・`)「わかりました。この部屋へどうぞ」
渡された鍵は204号室。
そこにいるんだね。
ミス・ロンリー。
173 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 18:29:57.95 ID:hh18lSWg0
ξ゚⊿゚)ξ「いらっしゃい」
安い香水の臭い。
むせそうな位部屋の中に充満している。
たまらないね。
ベッドに座っているのは巻き毛の女。
ミス・ロンリー、いや、ツン。
間違いなくツンだ。
( ^ω^)「・・・ツン」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「ホライゾン・・・?」
彼女は僕を覚えていた。
お金にしか興味なくて、僕たちとは違うと言っていた彼女がだ。
ビックリだろ?
僕だって驚いたさ。
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「あたしを・・・笑いに来たの?」
長い沈黙を破ったのはツンだった。
すごくつめたい声。
( ^ω^)「違うお」
( ^ω^)「僕は・・・君を」
( ^ω^)「ここから連れ出そうと思って・・・」
ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿にしないで!」
ツンは勢い良く僕に怒鳴った。
突然だったから面食らっちまったよ。
でも、僕は続けたんだ。
( ^ω^)「お金持ちになって幸せだったかお?」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「当たり前でしょ?」
ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿じゃないの?」
( ^ω^)
( ^ω^)「じゃあ、ここの生活は嫌じゃないのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ゚⊿゚)ξ「馬鹿ね」
ξ゚⊿゚)ξ「私はこの仕事に誇りを持っているの」
ツンから出た言葉は信じられないものだった。
耳を疑ったね。
この仕事が誇り?
落ちぶれて腐っちまったのか?
179 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 19:05:33.15 ID:hh18lSWg0
( ^ω^)「嘘・・・だお?」
ξ゚⊿゚)ξ
ξ ⊿ )ξ「・・・・・・嘘じゃないわよ」
ξ ⊿ )ξ「・・・・・・私は幸せなの。お金持ち以上にね」
幸せ?
幸せってこの状況が?
僕は人に愛されて、愛してもらって。
ドクオの話を聞いて、それがどんな状況でも幸せになれることだと確信した。
だからクーは辛くても幸せに死ねたんだ。
僕もそれを望んでいる。
でも彼女はこの仕事が幸せだと言っている。
愛無く付き合った男性と付き合って、仕舞いには全てを奪われて。
今の仕事は愛の無いセックス。
彼女は、それが幸せ?
182 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 19:10:44.81 ID:hh18lSWg0
ξ ⊿ )ξ「わかった?」
ξ ⊿ )ξ「あんたのしようとしてることは迷惑なの」
ξ>⊿<)ξ「わかったら出てって!私を馬鹿にしないで!!」
( ω )
ああ。僕は失望した。
僕の感じる幸せと君の幸せは違うんだね。
価値観の違い?
そんなものじゃ埋められないほど違う。
違うんだよ。
( ω )「こんなに落ちぶれちゃって」
ξ ⊿ )ξ
僕は確かに君に憧れていた。
( ω )「どんな気分だお?」
ξ ⊿ )ξ
君に会うためにテレビを見ていた。
( ω )「なあ、教えてくれお」
ξ ⊿ )ξ
君は美しく、強かった。
でも、僕の幸せを否定した。
( ω )「いつも一人ぼっち」
ξう⊿ )ξ
そのくだらない幸せに僕は失望した。
( ω )「ほら、見てみろよ」
( ω )「帰る所も無くて」
ξう⊿;)ξ
それだけの話さ。
( ω )「誰にも知られること無く」
ξ;⊿;)ξ
僕はベッドに15ドル置いて、立った。
そのまま彼女に背を向けて扉に手をかける。
( ;ω;)「そんなの、まるで・・・・・・」
ξ;⊿;)ξ「ま、待っ・・・・・・」
ああ。
ミス・ロンリー。
僕の気持ちを君に伝えることは出来なかった。
でも、後悔はしてないよ。
君は元からそういう女だったのさ。
( ;ω;)「まるで、転がる石のようだお」
僕はこの肥溜めのような部屋から出て、重い扉を閉めた。
ξ;⊿;)ξ
―――――――バタン
彼女は追いかけてこなかった。
( ^ω^)それでも転がる石を追いかけるようです おわり
194 : ◆24es8un4MA :2011/01/01(土) 19:38:05.40 ID:hh18lSWg0
Like A Rolling Stone の歌詞通り進行しようかと思ったけど、まるで別物になってしまいました。
もはや跡形もありません。
”You better let somebody love you.
before it's too late. ”
っていうのは Desperado の歌詞ですね。
有名な曲なので知ってる人も多いでしょう。
支援等ありがとうございます。
そして新年あけましておめでとう。
何か質問等あれば出来る限り答えます。