January 05, 2011
爪'ー`)y‐小泥棒のようです
「大泥棒」ってのは、どんな奴のことを言うんだ。
たくさんの物、馬鹿みてえに高価な物を盗む奴か。
しっかりと信念を胸に抱えた奴か。
そういったのを「大泥棒」と言うのなら。
小金にしかならない物ばかり盗む俺は、
何の信念も無い俺は、
さしずめ「小泥棒」ってとこか。
まあ――そんなもんはどうだっていい。
とりあえず、今日も何か盗むか。
爪'ー`)y‐「あい失礼すんぜ」
窓をぶち破り、一軒家の中に飛び込む。
まずは、さっさと住人を殺すなり気絶させるなりして――
/#,' 3
J(;'ー`)し
爪'ー`)y‐
おう。
包丁なんか持ち出しちゃってまあ随分過激な夫婦喧嘩の最中ですね。
/#,゚ 3「ッんじゃコリャ貴ッ様ァアアアアアアアアアアアア!!」
J(;'ー`)し「たっ、助けて!」
爪;'ー`)y‐「ちょっ、な、何、何」
/#,゚ 3「貴様も、この売女の愛人なんかコルァアアアアアアアアア!!」
キレすぎだろオッサン。
J(;'ー`)し「きゃあ!!」
オッサンが、包丁をめちゃくちゃに振り回す。
オバサンの方が、俺に駆け寄りしがみついてきた。
/#,゚ 3「ま・と・め・て、ブッッッッッッッ殺す!!」
待て待て待て、何で俺まで狙われなきゃならん。
こっち来んなこっち来んな!!
爪;'ー`)y‐「ちっくしょう!」
今さっき入ってきたばかりの窓から逃げ、全力で走る。
そして、曲がり角に停めておいた車に飛び乗った。
エンジンをかけ、すぐに発車させる。
――糞ッ、新年最初の失敗だ。
まさか盗みに入った家であんなことになってるとは思わないだろう。
爪;'ー`)y‐「はあ……」
J(;'ー`)し「はあ……」
溜め息が漏れる。
今日は、おとなしく寝ていよう――
爪'ー`)y‐「あ?」
J(;'ー`)し「助かった……ありがとうねえ」
おい。
何で助手席に、殺されかけてたオバサンが座ってんだよ。
爪'ー`)y‐小泥棒のようです
*****
J( 'ー`)し「あら、あなた泥棒だったの。救世主かと思ってたのに」
爪'ー`)y‐「……あんたらのせいで、今日は収穫ゼロだ」
車を走らせながら俺が家に入った理由を話すと、
オバサンは驚いた様子も怯えた様子も見せず、そうなの、と呟いた。
J( 'ー`)し「まあ、助けてくれたようなものだし。これあげる」
そう言って、オバサンはピアスと指輪を外して俺に差し出す。
爪'ー`)y‐「あ?」
俺は、左手に持っていた煙草を唇で挟み、
空いた手でそれらを受け取った。
爪'ー`)y‐「何だこれ」
J( 'ー`)し「宝石の種類とかブランドとかは詳しくないから分からないけどねえ。
かなり高価らしいから、あげる」
俺も、そういったことには詳しくない。
が、指輪に付いた石のデカさや無駄にゴテゴテした感じは、
たしかにそこらの成金が着けているものに似ている。
……さっき入った家、結構古臭くて小さかったんだが、
このオバサンは意外に金持ちなのか?
J( 'ー`)し「若い子達がね、貢いでくれたの」
爪'ー`)y‐「……」
ああ。
夫婦喧嘩の理由、何となく分かった気がする。
*****
爪'ー`)y‐「――で、俺は、あんたをどこまでお送りすりゃいいんだ」
しばらく適当に運転した後、俺はオバサンに訊ねた。
オバサンは、「え?」と首を傾げる。
爪'ー`)y‐「あの家に帰しゃいいのか、
あんたの若い恋人君のところに届けりゃいいのか」
爪'ー`)y‐「それとも天国――地獄かもしんねえが……まあとにかく、
あの世に行かせればいいのか」
J( 'ー`)し「……あらやだ物騒」
爪'ー`)y‐「通報されるのも困るんでね」
J( 'ー`)し「そうねえ……あなたの家に行くのは?」
_,、_
爪'ー`)y‐
J( 'ー`)し「そんなあからさまに嫌そうな顔しないでよ、もう」
オバサンは俺の手から煙草を奪うと、そのまま口にくわえた。
派手な美人というわけではないが、
まあ、「オバサン」にしては綺麗な顔と体をしていると思う。
太りすぎず痩せすぎず。
何と言うか、総合的に、中の上?
爪'ー`)y‐「……あんた、何歳?」
J( 'ー`)し「なあに、急に」
爪'ー`)y‐「何か気になったから」
J( 'ー`)し「んー、もうそろそろ50歳かしら」
俺の約2倍じゃねえか。
爪'ー`)y‐「40歳ぐらいに見える」
J( 'ー`)し「あんまり変わらないわよ」
爪'ー`)y‐「……それもそうだな」
J( 'ー`)し「というか、まずは名前を先に訊くものじゃない?」
爪'ー`)y‐「聞いたところで」
J( 'ー`)し「そう言わず、歳まで聞いたなら名前も聞いてよ。
――カーチャンって呼んでね」
爪'ー`)y‐「呼ばねえよ。俺はあんたの息子じゃない」
J( 'ー`)し「ふふふ。あのね、名前が『カー』っていうの。
それで、ちゃん付けして『カーチャン』。みんなそう呼ぶわ。
あなたの名前は?」
爪'ー`)y‐「教えねえよ」
J( 'ー`)し「つれない子」
爪'ー`)y‐「……んで、結局俺は、あんたをどこに運べばいいんだ」
J( 'ー`)し「通報する気は無いから天国には行かなくていいわ。
……うーん、今すぐ行って泊めてくれそうな子なら、3人はいるけど」
50手前のババアビッチ。誰得だ。
J( 'ー`)し「あなたに興味があるから、あなたのところに泊まってみたいわ」
_,
爪'ー`)y‐
*****
車を走らせて街の東側に移動する。
明かりが殆ど無い暗い道を進み、適当なところで車を降りた。
J( 'ー`)し「東VIP? ……さすが泥棒ね、危ないところに住んでるもんだわ」
爪'ー`)y‐「恐いか」
J( 'ー`)し「いいえ。恋人に会いに、何度か来たことがあるわ。
その子は2、3年前にチンピラに殺されちゃったけど」
爪'ー`)y‐「……へえ、そうかい」
このオバサン、どうしようもねえな。
さっさと歩き出すと、オバサンも俺の後をついてきた。
俺の服を掴み、はぐれまいとしている。
J( 'ー`)し「車、置いていっていいの?」
爪'ー`)y‐「あれは行く途中に盗んだもんだし、構わねえよ。
放っときゃ誰かが貰ってくれるだろ」
J( 'ー`)し「解体して部品を売ったら?」
爪'ー`)y‐「……」
なかなか、いい性格をしているようだ。
一般人のくせに真っ先にそんな発想をするか。
――通りを歩く。
時折すれ違う奴らが、オバサンを連れている俺を見て妙な顔をしていた。
その視線を無視し、ひたすら進む。
そして、とある建物の前で足を止めた。
廃墟と言っても差し支えがない程ぼろぼろになった、3階建ての建物。
ここが俺の住まいだ。
J( 'ー`)し「ホテル?」
爪'ー`)「ああ」
煙草を地面に捨てて、ホテル――「元」ホテル――に入る。
薄暗いロビーの中、スポットライトのように、フロントだけが照らされている。
そこで大口開けて欠伸をしていた少女が、俺に手を振った。
ξ゚⊿゚)ξ「おかえりフォックス。収穫は?」
15歳だったか16歳だったか。
ツンという名前のガキは、自慢の金髪を揺らしながら問いかけてくる。
J( 'ー`)し「フォックスっていうのね」
_,
爪'ー`)
畜生、名前バレた。
ξ゚⊿゚)ξ「……」
ツンは、じろじろオバサンを眺め回し――
ξ*゚∀゚)ξ「――あぁっはっは! お宝ね!」
手を叩いて大笑いし始めた。
ξ*゚∀゚)ξ「あはははは! 誰? お母さん? あはははは!」
爪'ー`)「……母親に見えるか」
ξ*゚∀゚)ξ「目がそっくりよ」
J( 'ー`)し「あら本当」
爪'ー`)「マジか」
ツンの笑い声が谺する。殴りたい。
――そこへ、男の声が割って入った。
( ^ω^)「ツン、うるさいお」
ξ*゚⊿゚)ξ「あ、ごめんなさいね」
ロビーにやって来た、上等なスーツを着た男。
少々肉付きが良く、柔和な笑みを浮かべている。
内藤ホライゾン。
このホテルに住む人間の、リーダーみたいなもんだ。
内藤は、「ブーン」という愛称で呼ばれている。
ツンは、ブーンの腕を右手で引っ張り、左手で俺を指差した。
ξ*゚⊿゚)ξ「それがさあ、聞いてよ。フォックスったらお金じゃなく、
女の人を盗んできたのよ」
爪'ー`)「おい――」
ξ*>∀<)ξ「心を盗んだ、って感じ? あはははははは!」
( ^ω^)「別に、フォックスが何をどうしようが関係ないお。
――それよりも、ツン、僕はこれから仕事に行ってくるお」
ξ*> -<)ξ「んっ」
キスを一つ。
奴らは恋人同士だ。
まだ10代半ばのツンに対し、ブーンは30歳を超えているのだが。
ξ*゚⊿゚)ξ「行ってらっしゃい」
( ^ω^)「うん――」
J( 'ー`)し「あら、ブーン君」
爪'ー`)「は?」
( ^ω^)「は?」
何故、オバサンがブーンの名前を知っているんだ。
振り返ったブーンは俺の隣に居るオバサンを見て、
さっと顔を青ざめさせた。
J( 'ー`)し「ブーン君よね、VIP製薬の。
会社辞めちゃったって聞いてたけど、こんな所に居たのね。
これから仕事? もう夜だけど」
(;゚ω゚)「か、カーチャン!?」
ξ゚⊿゚)ξ「お母さん?」
(;゚ω゚)「えっ!? あ、あの、え、あ、」
J( 'ー`)し「よくホテル行ったわよね、いかがわしい方の。
5年ぐらい前」
ξ゚⊿゚)ξ
爪'ー`)
(;゚ω゚)
ξ゚⊿゚)ξ「5年?」
(;^ω^)「あ、あのねツンちゃん」
ξ゚⊿゚)ξ「……ブーンが私を拾ってくれたのって、6年前よね」
(;^ω^)「……それは……」
ξ゚⊿゚)ξ
(;^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ「たまに帰りが遅いとき、あったよね」
(;^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ「お腹を空かせながら、寂しくブーンを待ってた私を放っておいて」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンは」
ξ゚⊿゚)ξ「ナニをしてたのかな?」
(;^ω^)「……あ、あは、」
J( 'ー`)し「あ、たまーに必死になりすぎたときに
私を『ツン』って呼んでたのは、そういうことね」
(;゚ω゚)「黙って! ちょっと黙って!!」
J( 'ー`)し「5年前じゃ、この子、10歳ぐらいだったのかしら?
そりゃあ手は出せないわね。私で色々晴らしてたってことか。
ブーン君の、そういう線引きが分からない真面目さ、結構好きよ」
ξ゚⊿゚)ξ「……ブーン」
(;゚ω゚)「は、はいっ!」
ξ゚⊿゚)ξ「不潔」
(; ω ) ゚ ゚
爪'ー`)「……」
何つーか、気の毒。
*****
ξ゚⊿゚)ξ「はい」
ツンが、オバサンを睨みながら毛布を乱暴に手渡す。
オバサンはくすくす笑って、毛布を抱えた。
今夜は、オバサンを空いている部屋に寝かせることになった。
……ツンから、ぎすぎすした空気が溢れている。
J( 'ー`)し「今はもう何の関係も持ってないわよ。5年ぶりに会ったぐらいだし」
ξ#゚⊿゚)ξ「当たり前でしょ!」
ブーンは、先程ツンに蹴り出されるような形で仕事に向かった。
その背中は今まで見たことがない程、小さかった。
爪'ー`)(俺はああはならない)
つか、あいつのストライクゾーン広すぎだろ。
ξ゚⊿゚)ξ「あと、これ。ドアが壊れてなきゃ、開くんじゃない」
続いて渡される、錆びたルームキー。
鍵に括りつけられたタグに記されている番号は、俺の部屋の隣。
J( 'ー`)し「ありがと」
ξ゚⊿゚)ξ「おやすみなさい」
爪'ー`)「おやすみ」
――階段を上り、2階に行く。
左右に6つずつ並んだドア。
右側の奥から2番目、205号室が俺の部屋。
オバサンに与えられた部屋は、奥から3番目、204号室だ。
ドアは壊れていなかったようで、鍵を差し込むと、がちゃりと音を立てる。
J( 'ー`)し「おやすみ」
爪'ー`)「……おやすみ」
俺も自分の部屋の鍵を開けて、さっさと中に入った。
部屋に入って早々、服を脱ぎ捨てる。
そして、入口のすぐ隣にあるドアに手をかけた。
このドアの向こうは、風呂場になっている。
爪'ー`)「……あー、めんどくせえぇぇ……」
お湯を浴びながら、盛大に溜め息をついた。
どうしてこうなった。
いつもみたいに適当に人を殺して、適当に物を盗んでいくつもりだったのに。
何なんだ、あのビッチオバサン。
……どこかで無理矢理降ろせば良かった。
それから殺せば良かった。
爪'ー`)「くっそ」
何で、ここまで連れて来てしまったんだ、俺は。
*****
爪'ー`)「――んぁー……」
翌朝。
目を覚ました俺は、薄汚れたベッドから転がるように落ちた。
そのまま、ぼーっと床を見つめる。
何をしよう。
どっかで飯食って、二度寝して、……。
爪;'ー`)「あー」
そういや、隣の部屋にオバサンがいるんだった。
まず、これからどうするかを話し合おう。
クローゼットからワイシャツと黒いスラックスを引っ張り出し、身に着ける。
顔を洗い、寝癖を直さないまま部屋を出た。
71 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/04(火) 01:27:25.08 ID:TRGHd/PvQ
――隣の部屋のドアの前。ノックしても呼び掛けてもオバサンは一向に出てこない。
駄目元でドアの取っ手を捻ると、不用心なことに確かな手応えがあった。
鍵、閉めてなかったのか。
爪'ー`)「おーい」
ドアを開くと、脇にある浴室からシャワーの音が聞こえてきた。
爪'ー`)「なんだ、風呂入っ……」
(*-∀-)
爪'ー`)
爪∩ー`)
部屋の奥、ベッドの上で。
見知った男がすやすやと眠っていた。
爪'ー`)「……モララー。おい」
(*-∀・)「んん……何、まだ足りな、」
( ・∀・)
爪'ー`)
( ・∀・)
爪'ー`)
( ∀ ) ・ ・
J( 'ー`)し「あら」
バスローブを纏ったオバサンが現れる。
はあ。なるほど。よく分からん色気はあるな。
爪'ー`)「どういうことだよ」
J( 'ー`)し「酔っ払った彼が、この部屋に入ってきちゃったの。
鍵を閉め忘れちゃったみたいね、私」
爪'ー`)「ふうん。……そんで、こいつはこの部屋で全裸になるようなことをしたわけか」
J( 'ー`)し「ええ、まあ」
74 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/04(火) 01:55:24.65 ID:TRGHd/PvQ
(;・∀・)「ああ、わ、悪い、お前の女だとは思わなくて――」
爪'ー`)「別に俺の女じゃねえし、好きにして構わねえよ」
モララーは、このホテルの住人の1人。
27歳だったか。俺より2つほど年上。
整った顔立ちをした男で、女には全く不自由しない奴なんだが。
……何故、オバサンに手を出したんだ。
ブーンといい、モララーといい。
J( 'ー`)し「ブーン君より上手かったわねー」
爪'ー`)「すごくどうでもいい」
(;・∀・)「は? ブーン? ブーンとも寝たの?」
J( 'ー`)し「5年前」
(;・∀・)「マジかよ!」
リーダーと穴兄弟ってのも、複雑な気分なんだろうなあ。
*****
とりあえずモララーを全裸のまま追い出して、俺は床に座った。
オバサンはベッドに腰掛けている。
――しばらく使われていない筈の部屋なのに、妙に綺麗だ。
オバサンが掃除したのだろう。
J( 'ー`)し「で、何しに来たの?」
爪'ー`)「これからどうすんのか話しに」
J( 'ー`)し「どうする、って」
爪'ー`)「昨日と同じさ。家に帰るか、恋人君のところに行くか――」
J( 'ー`)し「ここ住みたいわねえ」
爪'ー`)
J( 'ー`)し「旦那の怒りが鎮まるまで。
あそこまで怒ってると、おとなしくなるまで何日かかるかは分かんないけど」
ああ、ああ、ああ。
めんどくせえ。
*****
(;^ω^)「住……むの?」
J( 'ー`)し「だめ?」
(;^ω^)「いやっ、だ、駄目じゃないけど」
ξ゚⊿゚)ξ
(;^ω^)「ツン、ちゃん、は、どうかなあって」
ξ゚⊿゚)ξ「別に」
(;^ω^)「あ、そう? そっか、あはは、優しいねー」
昼。
仕事から帰って来たブーンにオバサンの意思を伝えると、
ブーンはどぎまぎしながら頷いた。
ツンの顔色を窺いながら。
そういう態度をとるから、ツンの機嫌がますます悪くなるんだと思うんだが。
80 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/04(火) 02:35:39.83 ID:TRGHd/PvQ
J( 'ー`)し「ありがと、ブーン君」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンに何かしたら、たたき出すからね」
爪'ー`)「大丈夫、モララーが相手してくれるだろうさ」
(;^ω^)「モ゙ッ、ララー!?」
爪'ー`)「昨晩はお楽しみでしたね」
J(*'ー`)し「ふふふ」
ξ;゚⊿゚)ξ「モララーが……」
(;^ω^)「あいつ元々年上好みだったから……」
J( 'ー`)し「――まあ、それは置いといて」
くすくす笑いながら、オバサンは足元を見た。
爪'ー`)「……おわ」
今更気付く。
昨晩からずっと裸足だったのだろう。
傷だらけの足を指差して、オバサンは言った。
J( 'ー`)し「絆創膏と、靴、貸してくれないかしら」
爪'ー`)「早く言えば良かっただろ」
J( 'ー`)し「タイミング逃しちゃってねえ」
ξ゚⊿゚)ξ「そもそも、気付いてあげなかったフォックスが悪いんじゃない」
ぐるり、ツンがオバサンの足に包帯を巻く。
包帯と、その下のガーゼを撫でてオバサンは小首を傾げた。
J( 'ー`)し「こんなにしなくていいのに」
ξ゚⊿゚)ξ「手頃な絆創膏が無かったから、こうするしかないもの。
……もう、ばい菌入っちゃってたらどうするの……」
J( 'ー`)し「お部屋に入ってすぐ洗ったから、多分大丈夫よ」
J( 'ー`)し「まあ、その後モララー君が丁寧に舐めしゃぶってたからどうなるか分からないけど」
爪'ー`)ξ゚⊿゚)ξ「それは言わなくていいです」
今、とても不必要な情報を得た。
すぐに忘れよう。
(;^ω^)「――靴、買ってきたお」
J( 'ー`)し「ありがとう!」
そこへ、紙袋を提げたブーンが歩いてくる。
オバサンの足に合うサイズの靴が周りに無かったので、
ブーンが急いで買ってきたのだ。
紙袋から出てきたのは、至って普通の革靴。
オバサンは、嬉しそうな顔をして靴を履いた。
J(*'ー`)し「みんな、お洒落な若い女の子が履くような靴ばかり買うんだもの。
これぐらいのが丁度いいわ」
ξ゚⊿゚)ξ「みんな?」
(;^ω^)「……カーチャン、昔から恋人がたくさんいるんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたも、その1人だったわけね」
(;´ω`)
爪'ー`)「お前ら早く仲直りしろよ」
J( 'ー`)し「ブーン君、はっきり言っちゃいなさいな。
『こんなオバサンとはもう何の関係もないんだー!』って」
(;´ω`)「……えっと……」
ξ゚ -゚)ξ
(;´ω`)「つ、ツン」
ξ゚ -゚)ξ
(;´ω`)「こ、こんなオバサン……あ、オバサンって言っても
カーチャンは綺麗なオバサンであって、
『オバサン』より『淑女』と言った方が合ってるんだけれども。
はしたない淑女。淫乱淑女。はは、AVっぽいお。
淫乱っつっても、行動より雰囲気の方がエロくてですね、
そういうところがたまらなくてですね。
熟成された色気と言いますか、何と言いますか」
爪'ー`)「何の話だ」
J( 'ー`)し「ブーン君、どんどん墓穴掘ってるわよ」
ξ#゚ -゚)ξ
(;´ω`)「と、とにかくですね、あのー」
ギュバァアアアアン!!
ξ#゚⊿゚)ξ≡⊃))ω゚)「マッシュ!!!!!」
ξ#゚⊿゚)ξ「もういい!」
怒鳴り、ツンはどこかへ駆けていってしまった。
あーあ。
爪'ー`)「やっちまったな」
(;##)ω^)「ああ……」
J( 'ー`)し「駄目ねえ、ブーン君」
*****
馬鹿共の痴話喧嘩は放っておくとして。
俺とオバサンは、飯を食うためにホテルを出た。
――「東VIP」と呼ばれる、ここら一帯。
一応飲食店やら娯楽施設やらはそれなりに存在するが、
利用する客の中に善良な一般市民などはいない。
というか、この辺に住んでいる奴に善良さを求めるのがおかしい。
だから、見た感じおっとりしているオバサンが堂々と東VIPを歩いている時点で、
充分変な光景になっているわけだ。
J( 'ー`)し「あら、この道、見覚えがあるわ」
爪'ー`)y‐「恋人君と一緒に歩いたか」
J( 'ー`)し「ええ」
煙草に火をつける。
途中すれ違った知り合いが煙草をせがんできたが、
ケツを蹴り飛ばし、無視してやった。
オバサンが批難するような目を向ける。
睨み返したが、オバサンは全く動じなかった。
爪'ー`)y‐「――うーい」
目的地に到着。
ドアを引くと、がらんがらん、馬鹿デカいベルの音が鳴った。
川 ゚ -゚)「来たか、こそ泥。いらっしゃい」
カウンターの向こうでそう言うのは、アルバイトの女、クー。
結構な美人だが、ここの店主の妻なのでちょっかいを出す気にはなれない。
クーはオバサンを見て、首を傾げた。
川 ゚ -゚)「誰だ?」
爪'ー`)y‐「拾った」
J( 'ー`)し「初めまして、よろしくね」
川 ゚ -゚)「おお……ちゃんと挨拶出来る人間と会うなんて、何年ぶりだろう。
――おい、こそ泥、煙草消せ。その煙は嫌いだ」
爪'ー`)「へいへい」
クーの飲みかけであろう水が入ったグラスの中に煙草を突っ込む。
クーは眉を顰め、俺の額を小突いた。
――サンドイッチを注文し、店内の隅の席に座った。
大して広くない店だ。隅とは言ってもカウンターとはそう遠くない。
さらに、他に客がいないこともあって、クーがサンドイッチを作りながら
若干大きな声で話しかけてきた。
川 ゚ -゚)「なあ」
爪'ー`)「ああ?」
川 ゚ -゚)「お前じゃない。そこの御婦人」
J( 'ー`)し「なあに?」
川 ゚ -゚)「あなたみたいな人が、ここに居ては危ないんじゃないか」
J( 'ー`)し「危ない?」
川 ゚ -゚)「馬鹿に絡まれたらどうする」
J( 'ー`)し「絡んじゃおうかしら。性的な意味で」
川 ゚ -゚)「なん……だと……」
爪'ー`)(冗談に聞こえねえ)
124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/04(火) 14:32:23.35 ID:TRGHd/PvQ
J( 'ー`)し「……まあ、いいんじゃないかしら」
川 ゚ -゚)「ん?」
J( 'ー`)し「絡まれても、別に」
川 ゚ -゚)「みんな、何かしら凶器を持ち歩いているような連中だぞ。
最悪、死ぬかもしれない」
J( 'ー`)し「それはそれで、多分。
――構わないと思うの」
オバサンは、ゆるりと口角を持ち上げた。
クーには見えなかっただろうが、俺には見えてしまった。
笑う顔が、とても綺麗だ。
それから少しして、サンドイッチが運ばれてきた。
美味くもないし不味くもない。
中途半端な味。
爪'ー`)「また微妙な味だな」
川 ゚ -゚)「嫌なら食うな! 嫌なら食うな!」
そのとき、がらんがらん、ベルが鳴った。
(´・ω・`)「ただいま」
川 ゚ -゚)「ショボン、おかえり」
入ってきたのは、ここの店主にして、クーの夫。
ショボン。
(´・ω・`)「あ、フォックス」
爪'ー`)「よう」
(´・ω・`)「……と、そちらは――」
(´・ω・`)
J( 'ー`)し「あら」
J( 'ー`)し「ショボン君」
はいー修羅場第二弾ー。
*****
ξ゚⊿゚)ξ「で、サンドイッチを食べ切る前に追い出されたと」
爪'ー`)y‐「ショボンがクーと付き合ってた期間と、
ショボンがオバサンに手を出してた期間がモロに被ってたからな、そりゃ」
ξ゚⊿゚)ξ「あちゃー」
ホテルに戻り、俺はツンに金を貸してくれるよう言った。
締め出した際に、ちゃっかり料金も取り上げたんだ。クーの奴。
慰謝料も含めてなのか、財布の中身全部抜きやがって。
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、それはショボンのせいだし、気の毒だけど。
あんたに貸したお金、一度も返ってきたことないでしょ。
だからもう貸しちゃダメってブーンに言われてるの」
爪'ー`)y‐「ツーンーちゃーん」
ξ゚⊿゚)ξ「気持ち悪い声、出さないで」
J( 'ー`)し「駄目よフォックス君、お金はちゃんと返さないと」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。盗っ人ー」
爪'ー`)y‐「……じゃあ、ブーン本人に頼む。あいつどこにいる?」
ξ゚ -゚)ξ「知らないもん」
爪'ー`)y‐「……」
そっぽを向きながらも、ツンの目はホテルの出入口を見ている。
また仕事か。忙しいな、あいつも。
しかしブーンも不在となると。
さてさて、どうしようか――
J( 'ー`)し「あら、モララー君」
不意にオバサンが階段の方へ駆けていった。
見れば、モララーが下りてくるところ。
( ・∀・)「ああ、どうも」
コートを着ている。外出するのか。
J( 'ー`)し「お出かけ?」
( ・∀・)「ちょっと飯を――」
――きゅるるるる、と。
オバサンの腹が可愛らしく鳴った。
J(*'ー`)し「あ、ご、ごめんなさい、やだもう……」
ぽっと顔を赤くさせ、オバサンは両手を腹に添えて俯いた。
( ・∀・)「お腹空いてる?」
J(*'ー`)し「す、少し……」
( ・∀・)「奢るよ、おいで」
オバサンの手を取り、モララーが笑う。
オバサンは、顔を上げた。
J(*'ー`)し「……フォックス君も、いい?」
( ・∀・)「えー。いいけど」
モララーが不満そうな表情で俺を見る。
その隣で、
J( 'ー`)しb そ
オバサンが俺に向けて親指を立てていた。
……あー、そう。流石ですね。
*****
連れられてきたのは、東VIPを少し出たところにあるレストランだった。
バイキング式だと言うので、とりあえず皿に溢れんばかりに盛りつけてみた。
( ・∀・)「食いきれんの」
爪'ー`)「分かんね」
モララーは、まあ普通ぐらいの量だ。
席に着くなり食い始めた俺に対し、モララーは頬杖をついて店内を眺めていた。
正確には、何を食べるか悩んで歩き回っているオバサンを眺めていた。
( ・∀・)「あの人さあ、凄いよね」
爪'ー`)「はあ?」
( ・∀・)「20代、ってのは言い過ぎだけど、それにしたって若い女と変わんないよ。
体がさあ」
爪'ー`)「飯食ってるときにそういう話やめて」
( ・∀・)「可愛いし」
爪'ー`)「やめろっつの」
( ・∀・)「化粧しないでアレだもんなあ。化粧したら凄いことになるかも」
なかなか黙んねえ。
水ぶっかけてやろうか。
( ・∀・)「なあなあ、お前は、あの人抱かないの」
爪'ー`)「ヤんねえよ」
( ・∀・)「何で」
爪'ー`)
何でだろう。
モララーもブーンもショボンも、オバサンと寝た。
恋人君も多い。
オバサンは、それなりに魅力があるってことだ。
何で俺は。
J(*'ー`)し
爪'ー`)
――そうか。分かった。
J(*'ー`)し
('、`*川
爪'ー`)「似てるわ」
( ・∀・)「?」
似てる。
母親に。
目元だけ、だが。
( ・∀・)「何が」
爪'ー`)「なぁあんでもねー」
( ・∀・)「んなこと言われたら余計気にな、」
ばしゃん。
水をぶっかける。
( ・∀・)「……」
うん、黙った黙った。
( ・∀・)「おい、こそ泥糞狐」
爪'ー`)「ん?」
( ・∀・)「表出ろ」
爪'ー`)「飯食ってるから後でね」
(#・∀・)「てっめ……」
「――ふざけんじゃねえ!!」
爪'ー`)
あーあ。
何だよ何だよ。
ミ#,゚Д゚彡「俺ァよ、この間、ここのモン食って腹壊したんだ!
治療費寄越せや治療費をよぉ!!」
フサギコっつったっけか。
最近調子こいてきたチンピラ。
そいつが、店員に向かってがなり立てている。
( -∀・)「……」
モララーが溜め息をついた。
席を立ち、オバサンのもとに行く。
オバサンとモララーが何事かを話し、頷いたオバサンが皿を置いた。
モララーに手を引かれ、店を出る。
名残惜しいが、食いかけの飯を放って、俺も店を出た。
( ・∀・)「飯食う所で馬鹿騒ぎする奴は死ねばいい」
早足で歩くモララーとオバサンに追いつくなり、奴はそう言った。
爪'ー`)y‐「そういうの嫌いでしたねモララー君。
さっき俺に怒鳴ろうとしたくせにね」
( ・∀・)「うっせ」
――モララーが俺を睨むのと同時だった。
発砲音と、数人の悲鳴が後ろのレストランから響き渡る。
フサギコか、絡まれていた店員か、あるいはモララーのように我慢できなくなった客か。
誰が撃って誰が撃たれたのかは分からないが、
まあ、そういうことが起きたんだろう。
オバサンは一度後ろを振り返ったが、何も言わず、前に向き直った。
それぐらいが丁度いい反応だ。
こんなもんをいちいち気にしてちゃ、やっていけない。
発砲音は、何度か続いていた。
*****
ξ゚⊿゚)ξ「で、あんたは帰ってきたわけね」
爪'ー`)y‐「ああ」
モララーとオバサンは、別の飲食店に移動していた。
俺はもう出歩くのが面倒になったので、自室で昼寝することに決めた。
ホテルでツンに事のあらましを説明し、2階へ上がる。
205号室の鍵を開け、室内に入った。
灰皿に煙草を投げる。
少し考えて、そのままベッドに倒れ込んだ。
*****
('、`*川
母親が頭を撫でる。
細い指が髪を梳く。
('ー`*川
母親が微笑む。
幼い俺も、多分、笑った。
母親が父親に押し倒される。
父親の持つナイフが、――、――……
目を開けると、オレンジ色に染まる部屋の中で、
オバサンが俺の頭を撫でていた。
J( 'ー`)し「あら起きた」
何で居るんだ、と問う。
J( 'ー`)し「モララー君が服とか買ってくれたの。私は『いらない』って言ったんだけど。
それをね、見せに来たのよ。……鍵が開いてたから勝手に入っちゃった」
何で頭を撫でるんだ、と問う。
J( 'ー`)し「フォックス君ねえ、昔死んだ息子にそっくりなのよ」
そうかよ。
爪;ー`)「あんたこそ、昔死んだ母親にそっくりだ」
J( 'ー`)し「事故で死んじゃったのよ」
爪;ー`)「ヤク中の親父に殺されちまったよ」
J( 'ー`)し「反抗期だったみたいで、よく私や旦那に怒ってたわ」
爪;ー`)「いつも優しい人だった」
J( 'ー`)し「旦那がね、息子が死んだっていうのに全く悲しまないの。
やかましいガキがいなくなって清々したって言うのよ」
爪;ー`)「親父は反省も後悔もしなかった。
母親が死んだのを確認すると、すぐに金を探し始めた。薬を買うために」
J( 'ー`)し「ほとほと愛想が尽きちゃってね、あの人に嫌がらせするために、
たくさん浮気をしたわ」
爪;ー`)「俺は母親の体からナイフを抜き取って、親父に突き刺した」
J( 'ー`)し「だけど、いつしか、それが当たり前になってたの」
爪;ー`)「もう、それからはマトモになんか生きていけなくなった。
気付けば、人を殺して金を奪ってばかりいる。あの日の親父みたいに」
J( 'ー`)し「私の息子にそっくりだけど、
何より私にそっくりね、あなた」
爪;ー`)「俺の母親にそっくりだが、
何より俺にそっくりだ、あんた」
オバサンが微笑む。
俺も、多分、笑った。
*****
結局、再び眠ってしまった。
もう一度起きた頃には部屋は真っ暗で、オバサンもいなくなっていた。
部屋を出る。
階下が何やら騒がしいのに気付き、そろそろと階段を下りた。
しかし、途中、1階から階段を駆け上がってきた奴らと鉢合わせる。
(;´_ゝ`)「あっ、フォックス!!」
(´<_`;)「ちょっと来い!」
3階に住んでいる双子、流石兄者と流石弟者だ。
たった今階段を上っていた2人は、俺の腕を掴んで踵を返す。
爪;'ー`)「おい、何なんだ」
(;´_ゝ`)「運ぶの手伝え!」
(´<_`;)「俺らヒョロガリじゃ、あいつを抱えるのは無理だ」
174 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/04(火) 21:08:15.08 ID:TRGHd/PvQ
引っ張られるままに1階に到着する。
そして、唖然とした。
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン、ブーン!」
(; ω )「うぇっぶ……」
フロントに凭れかかるブーン。
ブーンは、ぜえぜえと苦しそうに息を吐き、ぐったりしている。
(;´_ゝ`)「俺と弟者も今帰ってきたところなんだが……」
(´<_`;)「そのときには、もうこんな状態で」
(;´_ゝ`)「何でも、帰ってくるのでやっとだったそうだ。動くのすら難しいらしい。
俺らと一緒に、あいつをベッドまで運んでやってくれ」
爪;'ー`)「おいおい、まずは救急車じゃねえのか、こういうときは!」
ブーンの肩に手をやり、声をかける。
爪;'ー`)「ブーン、どうした? 誰にやられた! 仕事の関係者か!?」
製薬会社に勤めていた経歴を利用して手に入れた様々な「薬」を売りさばく。
それがこいつの仕事だ。
至って普通の風邪薬や胃腸薬を始め、睡眠薬やら避妊薬やら、アレな薬やら。
面倒臭い手順を踏まないと買えないような劇薬も
金さえ出せば売ってくれるので、利用者は多い。
だが、それ故、ちょくちょく危ない目に遭っているのだ。
もしや、今回も何か厄介事に――
(; ω )「お……」
爪;'ー`)「お?」
(; ω )「お酒……飲み過ぎた……」
爪'ー`)「OK、今すぐ楽にしてやる糞豚」
この下戸が。
101号室。ブーンの部屋に運び、ベッドに投げ飛ばす。
爪'ー`)「吐かせとけ」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン、吐くの下手なのよ」
(;´ω`)「息止まるの恐いお……」
(;´_ゝ`)「ったく……1人で飲んでたのか?」
(;´ω`)「仕事の客と飲んでたお……」
(´<_` )「そいつに送ってもらえば良かっただろう」
(;´ω`)「それは嫌だったんだお……あのクソしょーもない野郎……」
ξ゚⊿゚)ξ「また?」
(;´ω`)「おー……」
爪'ー`)「また、って、何が?」
ξ゚⊿゚)ξ「ニダー」
爪'ー`)「……ああ」
ニダー。ここら一帯を統制しようと目論んでる馬鹿だ。
仲間も多いし、金もかなり持っている、らしい。
ξ゚⊿゚)ξ「ほら、東VIPで一番お金を稼いでるのって、多分ブーンじゃない?」
爪'ー`)「だな」
ξ゚⊿゚)ξ「だから、ブーンを自分の仲間に引き込む……、
というより、薬の売買を自分の管理下に置きたがってるみたいなの」
(;´ω`)「今日は、僕を酔い潰れるまで飲ませて、
べろんべろんになったところで色々話を進めようとしてたみたいだお……」
なるほど。
だが残念なことに、こいつは酒を飲めば飲むほど体調を崩すだけ。
ニダーの計画は失敗に終わったようだ。
( ´_ゝ`)「でも、おとなしくニダーの下についた方が、
あんたとしては楽なんじゃないか」
(´<_` )「ここで生きていく上での安全は絶対に確保されるよな」
(;´ω`)「ニダーは嫌だお……」
爪'ー`)「まあ、根性は完全に拗くれてるわな、あいつ」
(;´ω`)「何より……ここに住んでるみんなを捨てることになるお。
それが、一番嫌だお……」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
――このホテルに住んでいる連中は、住む場所が無く困っているところを
ブーンに拾われた奴ばかりだ。
みんながみんな、甘ったるい。
互いに家族だと思っているぐらいに。
それを壊されるのは、まあ、たしかに、嫌だ。
ブーンの部屋を出る。
これから何をしよう。眠くはない。
あまり食欲も無い。
爪'ー`)「……盗みに行くか」
金も無くなったし。
準備をするため、2階に行く。
俺の部屋の前に人影があった。
爪'ー`)「ん」
J( 'ー`)し「あ、フォックス君」
爪'ー`)「何してんの」
J( 'ー`)し「ちょっと、お話がしたかったの」
爪'ー`)「……はあ」
部屋に入る。
煙草を一本取り出し、火をつけた。
爪'ー`)y‐「これ吸い終わったら、出掛ける」
J( 'ー`)し「泥棒しに行くの?」
爪'ー`)y‐「ん」
J( 'ー`)し「頑張って」
頭を撫でられる。
それを振り払い、窓辺に寄り掛かった。
爪'ー`)y‐「そういうの、応援するもんか?」
J( 'ー`)し「そういえば変ね」
オバサンは、くすくす笑う。
J( 'ー`)し「でも、あなたが泥棒じゃなかったら、私、旦那に殺されてたわ」
爪'ー`)y‐「……ああ」
J( 'ー`)し「……別にね。死ぬのはいいの。向こうに息子がいるし。
ただ、旦那に殺されるのだけは絶対に嫌」
爪'ー`)y‐「どうして」
J( 'ー`)し「母親が父親に殺されたなんて、息子が何て思うか――」
はっとして、オバサンは口を手で覆った。
J( 'ー`)し「……ごめんなさい」
爪'ー`)y‐「別にいいよ」
J( 'ー`)し「……」
爪'ー`)y‐「っつーか、殺されそうになったのは自業自得じゃねえか」
J( 'ー`)し「まあ、そうなんだけど」
爪'ー`)y‐「その時点で、息子は悲しんでるかもな」
J( 'ー`)し「たしかにね」
沈黙。
煙草が短くなっていく。
爪'ー`)y‐
最後に一度深く吸い込んで、吸い殻を灰皿に押しつけた。
昨夜脱ぎっぱなしにしていた上着を拾い上げて、部屋を出る。
すると、
J( 'ー`)し「気を付けてね」
204号室の前に立ったオバサンが、俺にそう言った。
爪'ー`)「おう」
J( 'ー`)し「行ってらっしゃい」
――何だか、母親みたいだ。
爪'ー`)「……行ってきます」
*****
199 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/04(火) 23:11:38.01 ID:TRGHd/PvQ
ホテルを出て、ぼーっとしながら歩く。
……寒いな。
どこかで車を奪って、暖房で暖まろう。
上着のポケットに手を突っ込む。
爪'ー`)「……んあ」
右手に硬い感触。
引っ張り出して、それがピアスと指輪であることを知る。
爪'ー`)「ああ……」
そういえば、昨日オバサンが渡してきたんだった。
恐らく結構な金になる代物。
これがあるなら、今から泥棒に行く必要もない。
が、一応外に出た手前、このまま帰るのもな。
これは小遣いのようなものだとしておこう。
*****
適当に車を盗み。
適当に家を選び。
適当に忍び込み。
適当に人を殺し。
適当に物を盗む。
全部が全部適当で、おざなりな犯行。
小泥棒らしいや。
爪'ー`)y‐「2日は贅沢なもん食って暮らせるか」
収穫物を眺め、呟く。
空が白んできた。
――今更、腹が減ってきた。
金も入ったし、どこかで何か買うとしよう。
川 ゚ -゚)「こんな朝っぱらから……」
爪'ー`)「どうせ、すぐ作れるだろ」
ショボンの店に行く。
開店準備をしていたクーにサンドイッチを作るよう頼んだが、
物凄く嫌そうな顔で断られた。
川 ゚ -゚)「アルバイトの仕事に、営業時間外のサービスは含まれていない。帰れ」
爪'ー`)「そもそも、店主の妻やっときながら何でバイトしてんだよ」
川 ゚ -゚)「店員に比べれば、バイトの方が気が楽だ」
爪'ー`)「何でわざわざ働いてんだって話」
川 ゚ -゚)「ショボンの手助けになればいいと思って。
あと小遣い稼ぎ」
爪'ー`)「立派でございますね。ショボンと仲直りはしたか」
川 ゚ -゚)「8割」
爪'ー`)「そうか。残り2割も頑張れよ」
209 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/04(火) 23:54:58.10 ID:TRGHd/PvQ
何だかんだ言いながら、クーは手早くサンドイッチを作ると
持ち帰り用の袋に突っ込んで俺に突きつけた。
川 ゚ -゚)「金が入ったなら、もっと良いものを食いに行ったらどうだ」
爪'ー`)「美味くもなく不味くもないってのは、なかなかいいもんだ。
これといった感動が無いから、食ってて楽」
川 ゚ -゚)「褒めてるのか貶してるのかどっちだ」
フォークを向けてくるクーに手を振って、俺は店を出た。
クーとショボンは8割仲直り出来ているらしい。
ブーンとツンはどうだろうか。
夜の出来事で、痴話喧嘩自体忘れたのかもしれない。
あいつらは、毎回毎回、喧嘩してたことをすぐに忘れるし。
車を放置して、歩いてホテルに向かう。
ああ、今の内にブーンとツンに金を返すか。
いざってときに借りられないのは困る。
金の使い道を考えながら、ホテルへの道を辿る。
金を返して、モララーに何か奢ってやって、それから……。
ホテルの中に入ったと同時に気付いた。
こうして立てた計画通りに使ったら、金がすぐに無くなっちまう。
悪いな、ブーン、ツン。やっぱり暫く借金は返せそうにない――
/;;,。)ξ
フロント。ツンの定位置。
椅子に座ったままのけ反っている死体。
顔の右半分がぐちゃぐちゃになっているそれは、
見覚えのある、綺麗な金髪を生やしていた。
爪'-`)
まるで俺に見られるのを待っていたかのように。
それが残された唯一の役目だったかのように。
数秒の間を置いて、
死体は、ゆっくり椅子から落ちた。
フロントの向こうで、どちゃりという音がする。
何の物音もしない。
薄暗いロビーに立ち尽くす。
爪'-`)「ブーン! モナー! ミセリ――」
1階に住んでいる奴らの名前を次々に呼んでいくが、
誰ひとり、返事をしなかった。
1階は諦めて、階段をゆっくり上る。
踊り場で足を止めて耳を澄ませても、足音も息遣いも聞こえてこない。
オバサンはどうなった。
一気に駆け上がり、204号室へ向かった。
ドアが外れ、廊下に倒れている。
それを踏みつけ、室内に飛び込んだ。
223 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/05(水) 00:28:57.27 ID:bOxEi1IZQ
オバサンは、ベッドに横になっていた。
J(;;ー,.)し
顔も体も血まみれだ。
見たところ、顔自体に傷は無い。
床に、真っ赤に染まったナイフが転がっている。
これで体を刺されたらしい。
爪'-`)「……おい、オバサン」
ひゅう、オバサンの口から息が漏れた。
J(;;ー,.)し「……か、ぇり……なさ……」
――生きてる。
爪'-`)「ただいま」
J(;;ー,.)し「どうだった……?」
爪'-`)「何が」
J(;;ー,.)し「泥棒……」
爪'-`)「……」
爪'-`)「大して、盗めなかったよ」
J(;;ー,.)し「あら、ふふ……そう……」
爪'-`)「……」
J(;;ー,.)し「……」
爪'-`)「誰にやられた?」
J(;;ー,.)し「さあ……たくさん、人が来たみたいだった……。
みんなの部屋に、入って――多分、みんな、殺された、かなあ……」
229 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/05(水) 00:44:37.61 ID:bOxEi1IZQ
殺された、か。
だが、少なくともオバサンはまだ生きている。
救急車を呼べば、もしかしたら。
J(;;ー,.)し「……待って……」
踵を返そうとした俺の服を、オバサンが引っ張った。
いや、引っ張ろうとしたのだろうが、触れるだけに留まった。
爪'-`)「……」
J(;;ー,.)し「……このままでいいから」
爪'-`)「死んじまうぞ」
J(;;ー,.)し「それでいいから……傍に居て……」
逡巡し、ベッドの傍、床に座る。
オバサンは俺の頭に手を置くと、そのまま、優しく撫で始めた。
手に、べったり血が付いている。
撫でられている俺の髪にも付いてしまっただろう。
それでも、手を払う気になれなかった。
J(;;ー,.)し「……息子に、そっくり……」
爪'-`)「昨日も聞いた」
J(;;ー,.)し「そっくりだから……一緒に居たかった」
爪'-`)「……」
J(;;ー,.)し「……あなたと、暮らしたかったの」
爪'-`)「そうか」
――俺も、そうだったのだろうか。
オバサンが母親にそっくりだから、ここまで連れてきてしまったのだろうか。
J(;;ー,.)し「ねえ……」
爪'-`)「ん?」
J(;;ー,.)し「これからも、泥棒を続けるの……?」
爪'-`)「……さあ……」
J(;;ー,.)し「もし、続けるなら……」
爪'-`)「……」
J(;;ー,.)し「……大きくて、高価な物を盗んでね……」
爪'-`)「……何でだよ」
J(;;ー,.)し「自分の息子にそっくりだってのに、
みみっちい物ばかり盗まれちゃ情けなくて見てられないわ……」
爪'-`)「泥棒辞めろとは言わねえのか」
J(;;ー,.)し「……だって、あなたが泥棒だったから、私は助かったんだもの」
爪'-`)「――そうだったな」
頭を撫でていた手が、頬に移動する。
渇きかけた血の感触がした。
J(;;ー,.)し「もう一個、お願い」
爪'-`)「……何?」
J(;;ー,.)し「――『カーチャン』って、呼んで」
爪'-`)
J(;;ー,.)し「名前じゃなくて。あだ名じゃなくて……」
声が震えている。
泣いてるのか。
もう、限界なのか。
頬に添えられた手を、握りしめた。
239 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/05(水) 01:09:34.70 ID:bOxEi1IZQ
爪'-`)「カーチャン」
J(;;ー,.)し
J(;;ー,.)し「……ど……く、ぉ」
俺の知らぬ言葉――恐らくは名前――を呟いて、
オバサンは、カーチャンは、微笑んだ。
241 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/05(水) 01:18:08.44 ID:bOxEi1IZQ
( ^ω^)
3階の住人も残らず殺されているのを確認して、1階に下りた。
少し、ぎょっとする。
ブーンが、ツンの死体を抱えていたのだ。
爪'-`)「生きてたのか」
( ^ω^)「今さっき、目が覚めたんだお」
爪'-`)「寝てたのかよ」
( ^ω^)「眠らされたんだお。
僕が売った睡眠薬を使われて」
爪'-`)「……誰に」
( ^ω^)「ニダーの手下だったお」
ニダー。
そういうことか。
( ^ω^)「僕が、ここに住んでるみんなを気にかけていることを知っていた。
だから、きっと、みんなを殺したんだお」
見せしめでありながら、
また、ブーンの足枷を断ち切る意味も含んでいる。
根性が、根の更に根の方から拗くれているニダーのやりそうなことだ。
( ^ω^)「僕のせいだお。みんなが殺されたのは、僕の……」
ツンの崩れた唇に口付けをして、ブーンは、そっとツンを横たえた。
立ち上がる。その際に、拳銃がベルトに差し込まれているのが見えた。
爪'-`)「ブーン、どこかに行くのか」
分かっていながら訊ねる。
ブーンが答えたのは、やはり、分かりきった内容。
( ^ω^)「ニダーのところに」
247 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/05(水) 01:41:46.91 ID:bOxEi1IZQ
爪'-`)「それがニダーの一番の狙いじゃないのか。
復讐に来たあんたを捕まえて……」
( ^ω^)「だとしても、だお。行かなきゃならない。
捕まりそうになったら――まあ、どうにかして死ぬお」
ブーンが歩き出す。
思わず、その肩を掴んだ。
爪'-`)「おい――」
( ^ω^)「放すお」
ブーンの手が、俺の手を掴む。
強い力で握られて、ぎしりと骨が軋んだ。
( ^ω^)「フォックス。お前は、ここを出てどこかに行くお。
僕を追うな。ニダーのところに行くな。
このことを、誰にも言うな」
爪'-`)「……」
手を離す。
ブーンは、のそのそと歩き、出入口の前に立った。
( ^ω)「それじゃあ、ばいばいだお」
最後に、それだけ言って。
ブーンはホテルを出た。
爪'-`)
煙草を取り出し、口にくわえる。
火もつけず、そのまま――何十分も、何時間も、
俺はそこに立っていた。
(゚、゚トソン「……奇特な人ですね」
爪'ー`)y‐「あん?」
(゚、゚トソン「私なんか拾ってどうするんです。
……あ、もしかしてどこかに売るんですか」
爪'ー`)y‐「そんな面倒なことするかよ」
助手席に座った少女が、訝しげに俺を見る。
――さっき、路地裏で割れた瓶の破片を手首に宛てがっているところを見付けたので、
ほぼ無理矢理俺の車に乗せた。
当然ながら、物凄く警戒している。
253 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/05(水) 02:16:24.97 ID:bOxEi1IZQ
……俺がブーンに拾われたときは、どんな風だったっけ。
警戒はしていなかったと思う。
ブーンのやり方が上手かったんだろう。
(゚、゚トソン「……」
爪'ー`)y‐「お前。友達とか、いるか」
(゚、゚トソン「いませんよ。家族も友達も」
爪'ー`)y‐「そうか。じゃあ、良かったな」
(゚、゚トソン「え――」
o川*゚ー゚)o「家族が増えるよっ!」
('(゚∀゚∩「友達も増えるよっ!」
(゚、゚;トソン「きゃあっ!?」
後部座席からガキが2人飛び出して、助手席の少女の肩を叩いた。
……こいつら。
爪'ー`)y‐「いつの間に乗ってたんだ、キュート、なおるよ」
o川*゚ー゚)o「フォックスのお手伝いしたくてー。えへへ、気付かなかったでしょ」
爪'ー`)y‐「手伝うったって、ただのバイトだぞ」
('(゚∀゚∩「でもー」
(゚、゚トソン「バイト?」
o川*゚ー゚)o「ショボンさんのお店知ってる!? 小さい喫茶店みたいなとこ!」
(゚、゚トソン「ああ、あそこ……。そこで働いてるんですか」
爪'ー`)y‐「割と時給はいいぜ」
(゚、゚トソン「へえ……――それで、これからどこに行くんです?」
爪'ー`)y‐「お前を家まで連れてく」
(゚、゚トソン「家?」
爪'ー`)y‐「ぼろぼろのアパート。貸し切りだ。
……ホテルまでは、さすがに見付けられなかったな」
(゚、゚トソン「?」
o川*゚ー゚)o「キューちゃんや、なおるよみたいな、
住む場所が無い人を住まわせてくれるの!
フォックス大好き結婚して!」
(゚、゚トソン「……私も、そこに?」
爪'ー`)y‐「嫌なら降ろすが」
(゚、゚トソン「――……」
(;、;トソン
爪;'ー`)y‐「うおっ」
o川*゚ー゚)o「あー、フォックス泣かしたー」
('(゚∀゚∩「泣かしたー!」
(;、;トソン「ち、違……あ、あ、ありが、ありがとうございます……」
爪'ー`)y‐「……」
(;、;トソン「家族も友達もいなくて、家も無くなって……こんな場所に1人きりで、
もう、死ぬしかないって思ってたのに、私、私……」
爪'ー`)y‐「……そんな奴ばっかりだ」
2年前だったか、3年前だったか。
ニダーが殺された。
殺した奴と相打ちになるような形で。
それから、東VIPは荒れに荒れた。
一番金を持っている奴と、一番仲間を持っている奴。
そいつらがまとめて死んだおかげで、
東VIP全体を抑えつける存在が無くなったせいだ。
最近ようやく落ち着いたとはいえ、
それに巻き込まれた可哀相な人間はまだまだたくさん居る。
キュートにしたって、なおるよにしたって、
(;、;トソン
この、泣いてる少女にしたって、そうだ。
だから俺は、ブーンの真似事を始めた。
家が無く困り果てている奴を拾って、廃墟となった建物に住まわせる。
ホテルほど広くはないから相部屋にさせているが、
まあ、何とか楽しくやれている。
262 : ◆EpvQephXIa3b :2011/01/05(水) 03:01:15.32 ID:bOxEi1IZQ
ただ、こういった生活をするには定期的にまとまった金が入る方がいい。
そう考えたため、今はショボンの店で働かせてもらっている。
泥棒は続けていない。
……言いようによっては続けているが。
(ぅ、;*トソン
o川*゚ー゚)o('(゚∀゚∩
こいつらを盗んでいる、というか何と言うか。
死ぬか、あるいは糞みたいな生涯を送るしかなくなった奴らを、
無理矢理拾い上げる。
爪'ー`)y‐
ダッシュボードで光るピアスと指輪。
――これより高価で、大きなものだとは思う。
あ、やっぱ今の無し。恥ずかしい。忘れろ。
爪'ー`)y‐「アパートにゃ、大人も何人か住んでる。
――相部屋になるが、ガキと大人、どっちと一緒がいい」
o川*゚ー゚)o「キューちゃんと一緒にする!? 可愛いキューちゃんと一緒がいいよね!」
(゚、゚トソン「物静かな大人がいいです」
o川*゚д゚)o
爪'ー`)y‐「んじゃあ貞子かね。おとなしいし」
車に内蔵された灰皿を出し、煙草を押し潰した。
ハンドルを両手で握る。
爪'ー`)「飛ばすぞ。シートベルト締めとけ」
o川*>ー<)o「いえーい!!」('(>∀<∩
(゚、゚;トソン「わ、わ、待って、待って――」
アクセルを踏み込む。
キュートとなおるよが楽しそうに笑い、
一瞬怯えた顔をした少女も、少しすると小さく小さく微笑んだ。
それを見て。
俺も、多分、笑った。
爪'ー`)y‐小泥棒のようです
おわり
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この記事へのコメント
1. Posted by ('A`) January 10, 2011 03:06
ビッチカーチャン…
ありだな
ありだな
2. Posted by 从 ゚∀从 February 05, 2011 03:01
ねーよ
3. Posted by ああああ February 07, 2011 02:02

4. Posted by あ January 15, 2013 00:18
