January 02, 2011

( ^ω^)ブーンはモンスターハンターのようです 第9話

227 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:19:04 ID:tegKfEMEO

第九話「大地を泳ぐモンスター」



―――ポッケ村―――

('A`)「俺も、そろそろ“ドスギアノス”に挑もうと思う」

(;^ω^)「なんだおいきなり…
      …それで、自信の程は?」

('∀`)「自信? ある訳無いだろ!」

(;^ω^)「じゃあ、まだ挑まない方がいいと思うお…」

村のとある一角にて他愛もない雑談を楽しむ、ブーンとドクオ。

ドクオは、以前のちょっとした手違いによる共闘の後、どんどんと実力を伸ばしてきているようだった。

武器も、【ウォーハンマー改】へと強化させている。

( ^ω^)「今のドクオなら勝てるはずだお」

('A`)「そうか、ありがとよ」



228 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:22:49 ID:tegKfEMEO

ふと、ドクオを視線からところ、そこには荷物を抱えた、見知った女の子の姿。

( ^ω^)「あ、ツンだお。
      おいすー!」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、ブーンにドクオも。
      二人とも、今日は狩りには出ないのかしら?」

('A`)「ブーンは知らんが、俺はこれからクエスト受注に行くさ。
    ブーンに追い付け、追い越せってな」

( ^ω^)「ブーンも負けてらんないお」

ブーンとドクオは、互いが互いを刺激しあい、高みを目指していく事の出来る、良い間柄となっていた。

( ^ω^)「ツンの方は、これから何するんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「ん。 これよ、これ」

そう言って荷物をほどくと、一つの弓矢が現われる。



229 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:24:23 ID:tegKfEMEO

ふと、ドクオを視線からそらしたところ、そこには荷物を抱えた、見知った女の子の姿。

( ^ω^)「あ、ツンだお。
      おいすー!」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、ブーンにドクオも。
      二人とも、今日は狩りには出ないのかしら?」

('A`)「ブーンは知らんが、俺はこれからクエスト受注に行くさ。
    ブーンに追い付け、追い越せってな」

( ^ω^)「ブーンも負けてらんないお」

ブーンとドクオは、互いが互いを刺激しあい、高みを目指していく事の出来る、良い間柄となっていた。

( ^ω^)「ツンの方は、これから何するんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「ん。 これよ、これ」

そう言って荷物をほどくと、一つの弓矢が現われる。



230 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:25:23 ID:tegKfEMEO

( ^ω^)「あぁ、弓かお」

ξ゚⊿゚)ξ「そう。
      弦を引いて矢を射って、的に当てる。
      単純な遊びみたいなものだけど、気分転換になるのよね」

('A`)「ん?
    ツン、確かお前、もう弓道ってやつは辞めたんじゃ…?」

ξ;゚⊿゚)ξ「あー、その、ね!
      情けない事に、まだ弓に未練が残ってたみたいなの…」

  _,,_
(;^ω^)「?」

('A`)「………」

どうやら、三人はそれぞれ違った心境のようだ。



231 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:26:41 ID:tegKfEMEO

ξ;゚⊿゚)ξ「それじゃ、私はもう行くわ!
      ブーン! 無茶して大怪我なんかするんじゃないわよ!」

(;^ω^)「なんでブーンだけ…
      そんなに弱そうに見えるかお…」

('∀`)「……w」

少し慌てた様子のツンに、困惑するブーン。
ドクオは腕を組んで、ニヤニヤと二人の様子を眺めていた。

―――ポッケ村・中心部―――

ドクオに負けじと、一度準備を整え、依頼を請けにでぃの元を訪れるブーン。

( ^ω^)「こんにちはですお!
      今日も依頼を請けに来ましたお」

(#゚;;-゚)「よく来たね、ブーン殿。
     今日は、砂漠地域の依頼が届いているよ」

(;^ω^)「砂漠…
      場所からして暑そうだお」



232 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:30:40 ID:tegKfEMEO

(#゚;;-゚)「暑いだけじゃないよ。 地下の洞窟はいつでも寒いし、外も夜になれば寒くなる。
     厳しい環境だから、今までは依頼は紹介しないようにしてたけど…
     もう、大丈夫だと思ったんだ」

( ^ω^)「お、頑張りますお!」

(#゚;;-゚)「それで、今回の狩猟依頼は“ドスガレオス”だね。
     『砂竜』と呼ばれるモンスターたちのリーダーさ」

( ^ω^)「『砂竜』、ですかお」

ブーンの知らないモンスターの名。
後で、寄り道をする必要ができた。

(#゚;;-゚)「うん、そんなところかね。
     〈クーラードリンク〉を忘れないようにね」

( ^ω^)「お、分かりましたお!」

依頼を受注し、すぐさまギコ達の家に向かった。



233 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:31:42 ID:tegKfEMEO

―――ポッケ村・ギコ、しぃ宅―――

二人の家に着いたブーンは、扉をノックしようと腕を伸ばす。

その時、扉のすぐ向こう側から、話し声が聞こえてきた。

『そ…な身…でなんて、無…だよ、…コ君!』

『うるせぇ、俺は諦めねぇぞゴルァ!
 俺は、なんとしてでも…!』

しぃの声は聞き取り辛かったが、ギコの声ははっきりと聞こえた。

その会話の雰囲気は決して和やかな物ではなく、伸ばした手をそっと戻す。

その瞬間、目の前の扉が開かれる。

(メメ゚Д゚)「んお!? …ブーンか、何の用だ?」

(;^ω^)「あうあう、その、えーっと、ちょっと聞きたいお話があったので来たんですけどお…」

(メメ゚Д゚)「………しぃに聞け。
     じゃあな」



234 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:34:16 ID:tegKfEMEO

ブーンの横を通り過ぎようとするギコ。
涙ぐむしぃが扉の前に立ち尽くしているのが視界に映り、どうしていいのかが分からなかった。

だが、思考とは関係なく、気が付けばギコの前を遮っていた。

驚いた様な表情を見せる、ギコとしぃ。
ギコの表情は、すぐに怒りの籠ったものになるが。

(#メメ゚Д゚)「テメェ…
      何の真似だゴルァ?」

普段のブーンならば、竦んでしまうような威圧の籠った言葉だったが。
今のブーンは、不思議と落ち着いていた。

(  ω )「ギコさん、何があったかは知りませんけどお…
     しばらくは身体を休めた方がいいと思いますお」



235 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:36:13 ID:tegKfEMEO

(#メメ゚Д゚)「ほぅ、言う様になったな…
      だが俺も、こればかりは引けねぇんだよゴルァ!」

ギコが背に掛けたヒレのような大剣、【水剣ガノトトス】の柄に手をかける。

(;゚ー゚)「ギコ君、止めてッ!」

(#メメ゚Д゚)「ゴルァァァ!」

振り下ろされる大剣。
その先には、ブーン。

(  ω )「!」

直後、金属同士がぶつかりあう音が鳴る。
遅れて、質量のある物が落ちる音。

(;メメ Д )「ぐっ…」

ギコの手から大剣はなくなっていて、ブーンは盾を構えた腕を真横に、めいっぱい伸ばしている。

盾の面で、振り下ろされる大剣の腹を殴った。
そして、その衝撃に耐え切れずに、ギコは大剣を手放したのだ。


 
237 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:39:50 ID:tegKfEMEO

( ^ω^)「………普段のギコさんなら、こんな簡単に武器を取り落とすなんて事、しないですおね?」

(;メメ Д )「あ、当たり前だ!
      馬鹿にするのも対外に――――」

( ^ω^)「じゃあ、今は『普段のギコさん』じゃあないんですおね?
      例えば……怪我をしてるとか」

(メメ Д )「!」

一瞬だけ身を硬直させるギコ。

( ^ω^)「……しぃさんは、泣いていますお」

その言葉を聞いたギコは、すぐに後ろを振り返る。

( ^ω^)「そんな身体で狩りに出たって、勝てるはずがありませんお。
      いや、悪くすれば、死んでしまいますお…」



――――父さんのように。



238 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:41:34 ID:tegKfEMEO

はっとした表情で、再びブーンに向き合うギコ。
先ほどまでの怒りは、すっかり静まったようだ。

(;メメ-Д-)「…済まねぇな」

( ^ω^)「気にしなくて大丈夫ですお。
      ブーンは、ギコさんにまで死んで欲しくは無いんですお」

(*゚ー゚)「わ、私も!
     ギコ君が傷つく所なんて、見たくない…!」

(メメ-Д-)「……」

二人の声に耳を傾け、静かに考える。

(メメ-Д-)「……俺は、焦り過ぎてたかも知れないな…」

追いつき、そして見返してやりたい者がいるから。

(メメ゚Д゚)「…もう少しだけ肩肘張らずにいってみるか」



239 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:43:15 ID:tegKfEMEO

(*゚ー゚)「ギコ君…!」

ギコの言葉を聞くやいなや、ギコに駆け寄り、抱き付くしぃ。
ギコも、振り払ったりはせずに、優しく抱き返す。

(;^ω^)。o(…これは、話しかけられる雰囲気じゃないお)

今もなお抱き合う二人を見て一人、除け者状態のブーン。
この空気の中に切り込んでいく図太さは、ブーンは持ち合わせてはいない。

(;^ω^)。o(いいお、もう…)

結局、“ドスガレオス”についての話を聞くこと無く、二人の家の前から静かに立ち去る。

( ^ω^)「よし、そろそろ出発するお」

村を出て、ブーンは砂漠地域へと向かって行った。



240 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:45:28 ID:tegKfEMEO

―――砂漠・ベースキャンプ―――

じりじりと、強烈な日差しが照り付ける、昼の砂漠。
砂からの照り返しもあり、辺りの気温は体温に近いものになるという、砂漠地域。

(;^ω^)「あ、暑い…お……」

ベースキャンプに設けられていた井戸を覗いてみるが、そこには暗闇が拡がるばかりで、水の一滴も見当たらない。
だが、冷たい風が中から吹き抜けてきたので、多少涼む事ができた。

( ^ω^)「お…?
      ま、いいかお」

些細な違和感も湧いてくるが、狩りには関係の無い事と、すぐに思考の隅に寄せる。

( ^ω^)「支給品チェックだお!
      ……あ、〈クーラードリンク〉あったお」



241 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:46:37 ID:tegKfEMEO

最早お馴染みである青い箱、支給品ボックスからこれまたお馴染みとなった〈応急薬〉、〈携帯食料〉、〈携帯砥石〉に加え。

今回は〈クーラードリンク〉や〈紐のついた小さな樽〉、〈ピンがついた球体〉が入っている。

(;^ω^)「こんなもの、いったい何に使うんだお」

支給される道具は、基本的には狩りに必要だからこそ支給される物であるため、
これらのアイテムも、何らかの形で使う事になるのだろう。

( ^ω^)「……とりあえず行こうかお」

ブーンは、岩影となっているベースキャンプを出て、灼熱の砂漠へと繰り出していった。



242 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:49:50 ID:tegKfEMEO

―――砂漠・エリア2―――

岩場を抜け出せば、そこには砂の海が広がっている。

(;゚ω゚)「天然サウナだお…」

周囲の気温は既に体温を超えてしまっていて、興味本位で持ってきた温度計は40度を超えた値を指していた。

(;゚ω゚)「〈クーラードリンク〉…
     〈クーラードリンク〉はどこだお…」

ポーチを漁る事も億劫だった。
目的の品を見つけると、すぐに栓を開け、一息に中身を飲み干す。

材料として使われている〈氷結晶〉の粒子が、喉を通り、胃に収まっていく様子が冷気という感覚ではっきりと分かる。

そして間もなく、その冷たい感覚は全身へと回っていった。



243 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:51:00 ID:tegKfEMEO

( ^ω^)「ふぃー、これはすごいお!」

〈クーラードリンク〉の効果と速効性に感心する。

( ^ω^)「さぁ、ぼちぼち行くお!」

軽く気合を入れ、広い砂漠を駆け出した。



しばらく走っていると、不自然に砂埃がまき上がる場所を見つける。

( ^ω^)「…? なんだお、あれ…」

砂埃は絶えず移動をしていて、なおかつ一点だけの物だった為、風では説明がつかないのだ。

( ^ω^)「もっと近くに…
      おっ!?」

突如、砂埃の下から何かが飛び出してくる。

―――モンスターの、頭部だった。



244 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:52:05 ID:tegKfEMEO

(;^ω^)「ちょ、なんだおこいつ!?」

突然の襲撃だった為に、咄嗟に武器を構える事が出来なかった。

そんなブーンに、モンスターの攻撃が襲いかかった。

一瞬、視界に火花が走る。
強い衝撃を受けた瞬間に現われる物だ。

(メ ゚ω゚)「な、なんだお今のは…」

直接殴られたりした訳では無かった。
現に、ブーンとモンスターとの間は二丈ほどの距離が開いている。

砂に潜ったモンスターが再び顔を出し、ブーンに攻撃を仕掛ける。

(メ ^ω^)「そう何度も…!」

今度は、十分に警戒していた為、すぐに気付いて、モンスターの正面から離れる。



245 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:54:57 ID:tegKfEMEO

直後、ブーンのいた地点の砂が破ぜる。
その原因は、モンスターの攻撃によるもの。

(;メ^ω^)「こいつ、砂を吐き出したのかお!」

先ほどブーンが受けた攻撃も、これのようだ。

砂を飲み込み、十分に圧縮して吐き出す、砂のブレス。

(;メ^ω^)「って事は、こいつが……
      ―――砂竜、“ガレオス”かお!」

ブーンが叫んだ瞬間に、砂の中から飛び出し、全身を現した“ガレオス”

(メ ゚ω゚)「………でけぇお!!」

“ガレオス”の外見は、どこか魚の様な印象を受ける。
腕はヒレの様に形を変えていて、腹ビレの位置についた脚には水掻きが。
尾ヒレや背ビレまでついている。



246 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:56:10 ID:tegKfEMEO

直後、ブーンのいた地点の砂が破ぜる。
その原因は、モンスターの攻撃によるもの。

(;メ^ω^)「こいつ、砂を吐き出したのかお!」

先ほどブーンが受けた攻撃も、これのようだ。

砂を飲み込み、十分に圧縮して吐き出す、砂のブレス。

(;メ^ω^)「って事は、こいつが……
      ―――砂竜、“ガレオス”かお!」

ブーンが叫んだ瞬間に、砂の中から飛び出し、全身を現した“ガレオス”。

(メ ゚ω゚)「………でけぇお!!」

“ガレオス”の姿形は、どこか魚の様な印象を受ける。
腕はヒレの様に形を変えていて、腹ビレの位置についた脚には水掻きが。
尾ヒレや背ビレまでついている。


 
248 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/17(金) 23:57:14 ID:tegKfEMEO

また、その独特な見た目の他にブーンが驚いた事は、その大きさ。

流石に“ティガレックス”には及ばないものの、次点につく大きさはあるだろう。

体長は、三丈ほどと言ったところか。

(;メ^ω^)「どこを攻撃すればいいんだお…!?」

今までの相手は、ただ斬りかかっていれば倒す事ができた。
しかし、これだけ大きいと攻撃する部位も大切になってくる。

戸惑うブーンに、“ガレオス”の尾ヒレが迫る。
身体を回転させ、遠心力を加えた尾ヒレで打ちつけようとしているのだ。

(;メ^ω^)「やば―――」

身構える事もできず、衝撃に備えて身を強張らせる事しか出来なかった。

だがその瞬間に、身体が勝手に動き出す。



249 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:00:00 ID:3iK4EWtcO

“ガレオス”の尾ヒレの打ちつけは、ブーンの盾によって衝撃は緩和された。

何故、自然に身体が動き、盾を構える事ができたのか。
ブーン本人も分かっていなかったのだが、一つ心当たりが浮かんだ。

(メ ^ω^)「…! 【護りのピアス】かお!」

防具を新調した際、ギコのアドバイスにより、選んだ物だった。

防具には、特殊な力が宿る事がある。
ハンター達の間では、『スキル』と呼ばれる特殊効果だ。

疲れにくくなったり、身体が丈夫になったり。
中には、モンスターの急所を的確に狙える様になる『スキル』も存在する。

今回の現象もまた、この『スキル』によるものだった。



250 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:01:35 ID:3iK4EWtcO

『オートガード』――――

ハンターに危機が迫った時、『強く意識した行動』を取っていなければ、自然と攻撃を防御してくれるスキルだ。

(メ ^ω^)「ギコさん、これを見越して―――」

僕に【護りのピアス】を勧めたのか、と心で呟く。

(メ ^ω^)「複雑な心境だ――――おっ!」

“ガレオス”の攻撃を躱し、首の横につく。

(#メ^ω^)「とりあえず攻撃するお!」

今、必要なのは敵の情報を集める事以上に、敵に攻撃を加える事だ。

【ドスバイトダガー】を抜き、首を斬りつける。

思ったよりも刃はすんなりと通り、“ガレオス”の首に一筋の斬り傷を作る。



251 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:04:05 ID:3iK4EWtcO

“ガレオス”が再び身体を回転させ、尾ヒレを打ちつけようとするも。

(メ ^ω^)「おっ!」

身を屈め、難なく躱す。
余った勢いを御する“ガレオス”の腹の下に潜り込み、斬り上げる様に剣を振るう。
腹部もまた、何ら抵抗なく刃が通る。

振り上げた腕を下ろす様に、立て続けに斬撃を加える。
今度の狙いは、脚。

刃が通らない事はないが、首や腹に比べると斬り辛かった。

(メ ^ω^)「……狙うなら、首か腹、だおね!」

頭を狙えばブレスが。
尾を狙えばヒレ打ちがそれぞれ待っているため、現実的ではない。

ダメージの通りにくい脚もまた然りだ。



252 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:05:40 ID:3iK4EWtcO

狙う場所さえ分かってしまえばこっちのもの。

ブレスやヒレ打ちを躱しつつ、隙が生まれれば次々と斬撃を叩き込む。

20ほどの攻撃を加えた辺りで、“ガレオス”は力尽きる。

(メ ^ω^)「む、やけにあっさり倒せたお」

ということは、こいつはリーダー格の“ドスガレオス”ではないのだろう。

(;メ^ω^)「…もっとでかいのがいる事を覚悟しとかないと駄目だおね」

目の前に倒れている“ガレオス”の亡骸から牙を折り取り、ポーチにしまう。

ついでに〈携帯食料〉をポーチから取り出し、胃に納めつつエリア1へと進んで行った。



253 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:07:13 ID:3iK4EWtcO

―――砂漠・エリア1―――

オアシスがあり、少量の草木が茂るこのエリア。
エリア1と番号付けられてはいるが、ベースキャンプと隣接はしていない。

エリア2よりも狭いエリアで、目的のモンスターの姿は見当たらないため、特に気にとめずに先へ進んで行った。



―――砂漠・エリア5―――

エリア2と遜色ない広さである、エリア5。
ここにも、数体の“ガレオス”が砂を泳いでいる。

しかし、ブーンはそのうちの一体に違和感を覚える。
良く観察してみると、違和感の原因が分かった。

体色が、違うのだ。
ガレオス達は淡い――――むしろ、白に近い黄。
だが、あの個体は濃い黄色をしている。



254 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:10:07 ID:3iK4EWtcO

(メ ^ω^)「あいつだけ色が違うお…?」

理由は、考えずともすぐに分かった。

ブーンは、突き出た濃黄の背ビレに駆け寄って行く。

すると、ブーンの接近を察知した個体が砂から姿を現した。

(;メ゚ω゚)「………うっそぉ」

砂の下から全身を現した“ドスガレオス”。
体長だけなら、あの“ティガレックス”にさえ勝るとも劣らない程の体格を持っていた。

しかし。

(メ ^ω^)「身体の作りは、“ガレオス”と同じだおね」

ならば、“ガレオス”達と同様の部位が脆いだろう、と考える。
即ち、首か、腹部。

腹を括ったブーンは、まずは“ドスガレオス”の首元へ狙いをつけ。
“ドスガレオス”に接近するべく駆け出した。



255 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:11:39 ID:3iK4EWtcO

もちろん、“ドスガレオス”もむざむざ接近を許すはずも無い。

ブーンを迎え撃つべく、体内に蓄えている砂を圧縮し、吐き出す。

(;メ^ω^)「ちょっ!」

“ガレオス”の砂ブレスとは、規模が桁違いだった。

身体を大きく反らせての回避をとったために、前進の勢いは止められてしまった。

“ドスガレオス”が、砂のブレスを連続して放つ。
ブーンはただ、その一発一発を大きな動きで避ける事しか出来ない。

しかし、一度下がってしまえば再び距離を詰めるのは至難となるだろう。

(;メ^ω^)「打つ手なし、かお…」

攻撃を躱し続ける事は、驚く程に消耗する。
ブーンのスタミナももう保ちそうになかった。

その時だ。
不意に、砂のブレスが収まったのは―――



256 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:14:11 ID:3iK4EWtcO

(;メ^ω^)「!? 止んだ、お?」

一体どうした、と考えていると、自分の頭上を飛び越えて行く“ドスガレオス”。

それは、飛び込む様な形で。
砂の中に、潜り込んでしまう。

(;メ^ω^)「逃げて行ったのかお…?」

いや、それはないだろう。
少なくとも、“ドスガレオス”は無傷だ。
それならば、逃げる理由が思い浮かばない。

続いて、攻撃を止めた訳について思考を広げると―――

(メメ゚ω゚)「おおお!?」

突然、砂の中から背ビレが突き出し、ブーンの足をかすめる。
背ビレは鋭いようで、足の防具には傷が入っていた。

(メメ^ω^)「少しずつなぶれるって事かお…」

時折迫る背ビレに注意を払いつつ、再び思考に戻る。



257 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:15:37 ID:3iK4EWtcO

攻撃は、砂のブレスの連続攻撃だった。

(メメ^ω^)。o(………考えてみれば、単純な理由だお)

単純な理由。
それは、体内に蓄えた砂がなくなってしまったから、と考えれば筋が通る。

(;メメ^ω^)「おっお」

なおも背ビレの刃を躱した時、この状況を打破できうる、一つの疑問が浮かぶ。

(メメ^ω^)「……砂の中に潜ってるのに、どうやって僕の場所を知るんだお…?」

それは、“ドスガレオス”の索敵方法。
砂の中にいる今、視覚は当然使えない。

嗅覚は考えられなくもないが、常に砂の中を泳ぎ続ける“ドスガレオス”が匂いを辿るとは思えない。



258 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:18:18 ID:3iK4EWtcO

触覚は、視覚と同じ理由で却下だろう。
味覚は論外だ。

残る一つは。

(メメ^ω^)「『音』、かお…!」

こちらの位置を割り出す方法が分かったのはいいが、対抗策が分からない。

(;メメ^ω^)「どうすりゃいいんだお」

“ドスガレオス”は、砂の中から頭だけをのぞかせ、砂ブレスの連射を始める。

(;メメ゚ω゚)「それは反則じゃないかおぉぉ!?」

砂ブレスの弾幕をなんとかくぐり抜け、“ドスガレオス”に接近を果たすブーンだが。

斬撃を加える前に、“ドスガレオス”は砂の中へと姿を消す。

(#メメ^ω^)「ああもう! なんか!? なんか無いのかお!?」

乱暴にポーチに手を突っ込み、中身を漁る。
すると、支給された球体が手に触れる。



259 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:20:38 ID:3iK4EWtcO

(メメ^ω^)「お? そういえばこれ、何なんだお?」

出発前にギコ、しぃの二人から話を聞きそびれてしまった為、どんな物かは分からない。

(メメ^ω^)「わざわざ支給するくらいだから、役立つ物だお!」

球体についたピンを引き抜き、前方に放り投げる。

その球体は、地面に落下する前に破裂。
同時に、周囲にきぃん、と甲高い音が鳴り響く。

するとどうだろう。
砂の中から奇襲を仕掛けようと接近していた、“ドスガレオス”が砂から飛び出してきたではないか。

(;メメ^ω^)そ「わお!? 何事!?」

突然の事態に驚き、戸惑うブーンだが、
砂の上でばたついている“ドスガレオス”の様子を確認すると、落ち着きを取り戻した。



260 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:22:55 ID:3iK4EWtcO

(メメ^ω^)「チャーンス!」

【ドスバイトダガー】を手に、駆け寄る。
そして、首もとにジャンプしてからの斬撃を繰り出す。

“ガレオス”と同じく、抵抗なく斬れる。
やはり、基本的な身体の作りは“ガレオス”と変わりはないようだ。

(#メメ`ω´)「おおぉぉぉぉッ!!」

今まで攻めあぐねていた分を全てぶつけるかの如く、次々と剣を振るった。

やがて、体勢を立て直した“ドスガレオス”はブーンを払いのける為に、身体を回転させ、尾ヒレを振り回す。

(#メメ`ω´)「おっ!」

前転をする様な形で、“ドスガレオス”の股下をくぐり抜ける。

上手く尾ヒレを躱したブーンは、腹部に攻撃を仕掛けた。



261 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:25:01 ID:3iK4EWtcO

(#メメ゚ω゚)「食らえお!」

腕を突き出し、剣を突き刺す。
そのまま裂く様に剣を動かす。

しかし、“ドスガレオス”も必死で抵抗する。

ふと、身体に浮き上がる感覚が訪れる。

(;メメ^ω^)「…こいつ、このまま砂に潜り込むつもりかお!?」

砂の中に引きずり込まれてしまえば、息ができず、熱も酷い。
数刻と待たずに死ぬだけだろう。

(;メメ^ω^)「死んでたまるかお!」

力任せに剣を引く。
ず、と少し刃が引き抜かれる。
しかし、刀身の六割程は依然として突き刺さったままだ。

“ドスガレオス”が砂に潜り込む。
続けて、剣の柄を掴んで離さない、ブーンの腕が砂に沈む。



262 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:28:20 ID:3iK4EWtcO

(メメメ>ω<)「ぎゃふんっ!」

腕が埋もれた直後に、ブーンの身体が砂に叩きつけられる。

その衝撃で、“ドスガレオス”に突き刺さっていた剣は抜けたようで、砂に埋もれるのは腕のみで済んだ。

(;メメメ^ω^)「げほ、げほっ…
       口がじゃりじゃりして気持ち悪いお…」

つい愚痴をこぼすブーン。
だが、それはまだ元気な証拠。

(メメメ^ω^)「…“ドスガレオス”、見失っちゃったお…」

砂に潜ったまま、別のエリアへと逃げて行ってしまった様だ。

幾ら辺りを見回せども、砂埃の立つ場所が見当たらない。

(;メメメ^ω^)「面倒な事になったお…」

これからは、モンスターに遭遇したらすぐに〈ペイントボール〉をぶつける事を心掛けよう、と強く思うブーンだった。



263 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:29:57 ID:3iK4EWtcO

―――砂漠・エリア6―――

エリア5に存在する、地下洞窟の入口から進入できるこのエリアはとても広い。
また、一日中、日が当たらない為。

((メメ゚ω゚))「さぶぶぶぶぶぶぶ…!」

とても寒いのだ。

それも、雪山の洞窟と変わらない程に。

今は〈ホットドリンク〉を持っていない為、さっさとこの洞窟を通過してしまうことにする。

―――砂漠・エリア7―――

近くを流れる川のおかげで、幾らか涼しいこのエリアの隅に、“ドスガレオス”の姿を見つける。
頭を軽く垂れたまま動きがない。

眠りを取って、体力の回復を計っているのだ。



264 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:31:21 ID:3iK4EWtcO

(メメメ^ω^)「眠ってるのかお…」

(メメメ^ω^)つU「カイフクスルナラ…」

+.(メ^ω^)*「イマノウチ!」

ブーンもまた、支給された〈応急薬〉で傷を癒す。

(メ^ω^)「武器も研がないとだめだおね」

ポーチから〈携帯砥石〉を取り出し、【ドスバイトダガー】の刀身を研ぐ。

切れ味を取り戻したところで、軽く息を整える。



そして。

(メ^ω^)「一気に……決めるお!」

未だ眠り続ける“ドスガレオス”に向かって行った。



265 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:34:17 ID:3iK4EWtcO

(#メ`ω´)「おおぉぉ!」

先ずは、一番威力の大きく攻撃できる、ジャンプ斬りを繰り出す。

狙いは、腹部。
大きく腹部を斬り裂いた。

“ドスガレオス”が飛び起きるが、尚も攻撃の手は緩めない。

(#メ゚ω゚)「まぁぁだまだぁぁぁぁ!!」

縦に、横に、斜めに点に、あらゆる角度から斬り続けた。

(メ ゚ω゚)「ッ!」

尾ヒレの一撃が振るわれる。
この攻撃を察知したブーンは盾を構えて防ぐものの、勢いは削げきれず、後方にのげぞってしまう。

すると、待ってましたと言わんばかりに。
“ドスガレオス”の放つ砂ブレスの弾幕がブーンに襲いかかった。



266 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:35:36 ID:3iK4EWtcO

(;メ^ω^)「うっ…攻め切れなかったお…」

“ドスガレオス”は瀕死となっている。
とどめを刺せれば良いのだが、この状態では近付く事は出来ない。

(;メ^ω^)「砂の粒子なんて盾で防いでもあんまり意味無いし…
      どうしたら…」

近付かずに攻撃する方法は、あるにはある。
ただ、リスクも大きい。

本来、遠距離攻撃は出来ない片手剣なのだから当然ではあるが。

(メ ^ω^)「しょうがない、じり貧でやられるよりマシだお!」

剣の柄を強く握った。

それからのブーンは、タイミングを伺った。
砂ブレスに、攻撃を妨害されない瞬間の訪れを。



267 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:36:44 ID:3iK4EWtcO

(メ `ω´)「! 今だお!」

振りかぶり、剣を投げ付けた。

剣は“ドスガレオス”の首を目掛けて真直ぐ向かっていく。



しかし、その瞬間に“ドスガレオス”は頭を下げてブレスを放ったため、“ドスガレオス”の首は射線から外れてしまう。

結果、ブーンの放った剣は、“ドスガレオス”の背ビレを切り落とすが――――


(;メ^ω^)「…………」

\(メ^ω^ )/「オワタ」

武器である剣を手放してしまった為に、剣を回収するまで攻撃が出来ない。

しかし、“ドスガレオス”が剣を拾いに行く時間をくれるはずも無い。



268 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:38:38 ID:3iK4EWtcO

ブーンの頭の中が諦めの一語で埋め尽くされたその時、事態は思わぬ方向へ進んでいく。



“ドスガレオス”が、倒れたのだ。

(;メ^ω^)「えっ… おー…?」

最後の攻撃は、背ビレを斬り落としただけだ。
とてもじゃないが、とどめになるとは思えない。

だが、実際に“ドスガレオス”は地に伏せている。

そっと様子を伺う。
息が無い。

“ドスガレオス”はもう、死んでしまっていた。

(;メ^ω^)「もしかしてこいつ、背ビレが弱点だったのかお」

鋭さを備え、ハンターの脅威となったヒレはまた、弱点でもあった。
そこを斬り落とされてしまえば、“ドスガレオス”にとってはひとたまりもない。



269 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:39:48 ID:3iK4EWtcO

(;メ^ω^)「うーん…
      ま、結果オーライだお」

先ずは、投げた【ドスバイトダガー】を回収。
続いて、倒れた“ドスガレオス”から鱗や牙を剥ぎ取る。

切り落としたヒレもちゃっかり拝借していくブーンだった。



―――ポッケ村―――
(#゚;;-゚)「戻ったかい、ブーン殿。
     という事は、狩猟は成功したんだね?」

(;メ^ω^)「まぁ成功したにはしたんですが…
      正直、消化不良ですお」

(#゚;;-゚)「ほう、それは、ブーン殿に実力がついてきたからじゃないかな?」

手渡された報酬を受け取りつつ、でぃの言葉に答える。



270 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:41:12 ID:3iK4EWtcO

(;メ^ω^)「そう言う事じゃ無いんですけどお…」

(#゚;;-゚)「おや、余裕だったって事じゃなかったのかい?
     まぁ、無事に帰ってこれたのだから、それでいいじゃないか。
     次も、頑張っておくれよ。」

(メ ^ω^)「はいですお!」

でぃに礼を告げ、自宅へと戻るブーン。
その途中、一足先に戻ってきていたらしいドクオの姿を見つける。

(メ ^ω^)「おいすー、ドクオ!
      狩猟はどうだったお?」

('A`)「ん? そりゃもちろん…」

(メ ^ω^)「失敗かお?」

(;'∀`)「成功させたよ、こんにゃろう」



271 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:43:10 ID:3iK4EWtcO

(メ ^ω^)「おっおっお、よかったお!」

(*'A`)「これで俺も新しい地域に行けるぜ!    
          んでブーン、お前に追いついてみせるぜ」

(メ ^ω^)「ブーンも頑張るお!」

('A`)「ああ!
    んじゃ、今日は帰って装備の手入れするわ。 じゃあな!」

(メ ^ω^)ノシ「ばいばいだおー」

ドクオが帰宅していった後、ブーンも自宅へと戻っていった。

―――ポッケ村・ブーン宅―――

(メ ^ω^)「よっと」

武器や防具を取り外し、椅子に腰を下ろす。

武器の手入れをしながら、ドクオの様子を振り返っていた。


 
273 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/18(土) 00:45:31 ID:3iK4EWtcO

ドクオは、自分よりも遥かに早いペースで依頼をこなしてきている。

少し気を抜けば、あっという間に実力は並ばれ、そして追い抜かれてしまうだろう。

(メ ^ω^)「…負けないお!」

後々は、共に戦う仲間であるが、今は凌ぎを削り合う好敵手。

ドクオには負けたくない。
いつしか狩りに対する思いは、このような気持ちの比重が多くなっていた。





第九話 end



boonkei_honpo at 12:08│Comments(0)TrackBack(0)ブーンはモンスターハンターのようです | ファンタジー

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