January 02, 2011
( ^ω^)ブーンはモンスターハンターのようです 第6話
第六話「再戦、ドスギアノス!」
―――ポッケ村―――
(#゚;;-゚)「……そろそろくる頃だと思ったよ。」
( ^ω^)「………」
でぃの言葉に、無言の反応を返す。
(#゚;;-゚)「請ける依頼は、“ドスギアノス”の狩猟でいいんだね?」
力強く頷く。
(#゚;;-゚)「そう。なら、次こそは勝っておいで。
今のブーン殿なら、きっと大丈夫さ。」
( ^ω^)「……はいですお!」
それは、自分へ発破をかけるかのように。
強く、強く言った言葉だった。
すぐに振り返り、雪山へと向かう。
その途中、大きな荷物を両手いっぱいに抱えたドクオを見つける。
( ^ω^)「こんにちはだお、ドクオ。
その荷物はまたお仕事かお?」
('A`)「よう、ブーン。
こいつは違う。俺が欲しかった物さ。ようやく手に入ったぜ。
………お前は、“ドスギアノス”へリベンジしに行くんだな?」
ドクオに対しても強く頷いてみせる。
('A`)「そうか。その様子なら、今度は勝てそうだな」
( ^ω^)「勝てそう、じゃなくて勝つんだお」
('A`)「大きく出るのはいいが、見くびったりはするなよ?」
その問いかけにもちろん、と返しつつ雪山へと向かうブーンだった。
132 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/13(金) 23:07:50 ID:2.3limoUO
―――雪山・ベースキャンプ―――
( ^ω^)「おっお、今度はちゃんとこれらも使わせてもらうお」
支給品ボックスを開き、〈応急薬〉、〈携帯食料〉、〈携帯砥石〉を取り出す。
それに加え、前回は持って行かなかった品も取り出す。
使い方はギコ達に聞いてあるため問題は無い。
必要なアイテムを全てポーチにしまい、ベースキャンプを出発する。
( ^ω^)「……試してみるお」
何やら、作戦じみたものを携えて。
その後はエリア1からエリア4、エリア5と経由し、エリア6へと向かおうとしていたブーンだが、エリア4にて、少し寄り道をしたようだ。
エリア4の中心部にそびえる、氷の柱の下。
そこで、ありふれた物を拾う。
ブーンが閃いた作戦に使うものだ。
その後はまっすぐエリア6へと向かう。
―――エリア6―――
洞窟を抜けた開けた場所には、以前のように“ギアノス”たちが群れていた。
“ギアノス”たちがブーンの姿を確認し、威嚇の鳴き声をあげる。
ブーンもまた、【アサシンカリンガ】を抜き、一番近い“ギアノス”へと駆けていく。
( ^ω^)「新しい剣の威力は、どうだお!?」
ブーンの得意とする攻撃である、ジャンプ斬りを放つ。
以前は、一撃では皮を断つ程度のものでしか無かった。
だが。
皮を難なく断ち、刃は筋繊維にまで届いた。続けて3、4回攻撃を加えると、その“ギアノス”は息絶えてしまう。
( ^ω^)「ここまで、威力が変わるもんなのかお…!」
圧倒的な違いに少し戸惑うブーンだが、すぐに別の“ギアノス”を仕留めにいく。
“ドスギアノス”と合流されてしまうと厄介だからだ。
(# `ω´)「はぁッ!お!」
“ギアノス”達を一体一体個別に撃破していくブーン。
なるべく一対多数にならぬように、位置取りにも気を配る。
“ギアノス”の噛み付きを躱しつつ横に回り込み、その身に剣を突き立てる。
そこまで力を込めたつもりは無かったが、剣の半分ほどが突き刺さっている。
“ギアノス”の体を足で突き放すようにして剣を抜き取る。
刃が急所を貫いたのか、身動きもせずに力尽きてしまったようだ。
“ギアノス”が残り一体という時に、目的のモンスターが遂にその姿を現す。
( ^ω^)「ここからが勝負所だお…!」
今、エリアにいるモンスターは“ギアノス”が一体と、彼らのリーダー、“ドスギアノス”。
“ギアノス”はリーダーがいると動きが変わり、少し対応し辛くなる。
先に仕留めてしまおう、と考えた。
しかし、それには“ドスギアノス”が邪魔になる。
動きを止めたい。
前回ならその方法は無かったが―――――
――――今回は、ある。
( ^ω^)「よし、使ってみるお…!」
武器を一度しまい、“ギアノス”と“ドスギアノス”の間に…挟みこまれる様な位置に、自ら移動する。
そして、ポーチからある道具を取り出し、投げ付けた。
( ゚ω゚)「これが必殺の…
太!陽!拳!」
奇妙な掛け声と共に放られたものは、放物線を描いて飛んでいく。
そして、その頂点に達した瞬間、強烈な閃光を放った。
ブーンは上手く隠れたが、“ギアノス”たちは閃光を直視しまったため、今は眼が焼かれるような感覚に悶えているのだろう。
ブーンが放ったもの、それは〈閃光玉〉と呼ばれる狩猟の道具だ。
上手くモンスターに『閃光を直視させる』事が出来れば、そのモンスターの視力を少しの間奪う事が出来るのだ。
“ドスギアノス”の視力を奪い、行動を封じる事が出来た。
“ギアノス”も巻き込める様に投げ付けたため、ブーンが一方的に攻撃できる状況だ。
( ^ω^)「焦らずに、まずはギアノスから!」
剣を“ギアノス”に投げ付ける。
剣が“ギアノス”に突き刺さる。
一気に駆け寄り、剣の柄を握り、下に向かって振り抜き、続け様に斬り上げる。
傷は深く、“ギアノス”は絶命した。
後は、“ドスギアノス”だけとなった。
( ^ω^)「……さぁ、決着をつけるおッ!!」
“ドスギアノス”も視力が回復したようで、ブーンを睨み付けている。
先手は、“ドスギアノス”だった。
駆け出し、ブーンに向かって飛び掛かる。
かなりの速度ではあったが、飛び上がる地点は遠かったので、目で確認してから難なく回避する。
だが、流石に素早く、着地してすぐブーンに爪で斬りかかる。
これも何とか躱したものの、少し体制が崩れてしまう。
(;^ω^)「う…攻撃が速いお…」
と洩らした瞬間、“ドスギアノス”の嘴がブーンの頭を噛み千切らんと、ブーンの頭に口を開く。
バチン、と嘴が閉じられる直前に、転がるようにして回避する。
ブーンは盾を構え、体制を立て直す。
(;^ω^)。o(おい、まだ一撃もできてねーお…)
やはり速さは向こうが上か、こちらが手を出す前に“ドスギアノス”の攻撃がくるため、ブーンは反撃も出来ずに避ける事で精一杯の様だった。
( ^ω^)。o(う~ん、どうしたもんかお)
思考の途中に“ドスギアノス”は再び飛び掛かってくる。
(;^ω^)「うわっち!あぶねっ!」
前に前転する様にして躱す。
するとどうだろう。
“ドスギアノス”の側面に位置取る事が出来た。
( ^ω^)「お?」
突如飛び込んだチャンスに少し反応が遅れるも、【アサシンカリンガ】で斬りつける。
以前はこちらの攻撃が一切通用しなかったその鱗を、難なく斬り抜く事が出来た。
( ^ω^)「! 通ったお!」
ブーンへ向き直し、爪を振る“ドスギアノス”。
だが、再び前に向かって躱す。
これで“ドスギアノス”の側面につく。
139 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/13(金) 23:16:45 ID:2.3limoUO
(# ^ω^)「食らえぇッ!」
今度は、少しだけ下がってから駆け出し、ジャンプしての攻撃を繰り出す。
鱗を断ち、皮を裂き、大きな傷を“ドスギアノス”に与える事が出来た。
( ^ω^)。o(いけるかお…!?)
しかし、“ドスギアノス”も考えたもので。
自らの爪に凍結液を塗布し、その脅威を増す。
“ドスギアノス”が振るった爪がブーンの頬をかする。
血は出る事はなく、軽く触れると、うっすらと凍結している様だった。
(;メ^ω^)「ひょ、氷結斬りってやつかお!?」
思いもかけない攻撃に勢いを削がれたブーン。
“ドスギアノス”が猛攻をかけようとしたその時、ブーンは再び〈閃光玉〉を投げる。
140 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/13(金) 23:17:52 ID:2.3limoUO
閃光が眼を奪い、のたうち回る“ドスギアノス”。
(メ ^ω^)。o(支給された〈閃光玉〉は今のでラストだお…。
でも、あれ程頭のいい“ドスギアノス”なら…!)
思考しつつ、“ドスギアノス”に斬りかかる。
反撃しようと爪を振り回す“ドスギアノス”だが、ブーンも右から左からと、常に動き回りながら斬りつけるため、正確な位置を掴ませない。
視力が戻る頃には、全身傷だらけとなっていた。
(#メ`ω´)「よし、こいつでッ!」
ポーチから取り出したものを全力で投げ付ける。
“ドスギアノス”は瞼を閉じ、爪で眼を覆う。
その直後に、頭に衝撃が走った。
“ドスギアノス”は完全に不意を突かれ、その衝撃に転倒する。
すぐに起き上がろうとした“ドスギアノス”の目に映ったものは。
剣を手に、飛び掛かってくるブーンの姿だった。
(#メ゚ω゚)「おおぉぉぉぉッ!!」
刃を下に向け、飛び上がった勢いを利用し、倒れこんだ“ドスギアノス”の首に突き刺す。
刃は首を貫通し、“ドスギアノス”は即死。
静かな幕切れが、ブーンの初めてと言える狩りの終わりを告げた。
(;メ^ω^)「はぁ…、やったの、かお…?」
一度は、傷一つ付ける事も出来ずに敗れた相手を、今度は自分がほとんど無傷で仕留める事が出来た。
これは間違いなく、あの二人のおかげだと言える。
(メ ^ω^)「…ありがとう、ですお……」
一人呟き、小型のナイフを取り出す。
そして、先ほどまで戦っていた相手の爪を柄で叩き折り、ポーチにしまう。
続いて、千切れかけた首を切り落とし、布で包んで持ち帰る事にした。
―――ポッケ村―――
雪山から戻り、でぃの元を訪れたブーンは、その結果を報告する。
(メ ^ω^)「“ドスギアノス”の狩猟、こなして来ましたお!」
(#゚;;-゚)「おぉ、そうかい…!上手くいったみたいでよかったよ!
……これからは、もう少し難易度の高い依頼も紹介出来るね…!」
(*メ^ω^)「はいですお!」
少しずつでも、父に近付けているのだろうか。
そして、“奴”を倒す力は蓄えられているのだろうか。
目指す先は未だ見えずとも、今はこの勝利の余韻に浸っていようと思うブーンだった。
143 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/13(金) 23:22:05 ID:2.3limoUO
―――ポッケ村・ブーン宅―――
家に戻ると、自宅前に見慣れぬ防具を纏った人物がいた。
あれは…、恐らく【バトル】シリーズの防具。背には大きな槌を担いでいる。
………ん?槌……?
何処かで見たような印象を受ける。
とりあえず、声を掛けてみる。
(メ ^ω^)「あのー…、どちらさm…」
('A`)「お、戻ってきたかブーン。
どうだこれ、なかなかカッコいいだろ?」
(メ ^ω^)「…………」
(メ ゚ω゚)「ド、ドクオだったのかお!」
(;'A`)「どうしたブーン、いきなり叫んで…」
144 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/13(金) 23:24:23 ID:2.3limoUO
未だ衝撃から立ち直れないブーンに、ドクオが再び声を掛ける。
('A`)「まぁ、ちょいと話したい事もあるし、家に入れてくれたら嬉しいなー」
(;メ^ω^)「お、分かったお…」
扉の取手に手をかけ、開いた家内には、これまた見慣れた姿が二つ。
(*゚ー゚)「あ、ブーン君おかえりー!」
(,,゚Д゚)「鍵開いてたから勝手に邪魔したぞ」
(;メ゚ω゚)「……た、ただいまですお…」
(;'A`)「…………誰?」
(;メ^ω^)「お、紹介するお。この二人が…」
(*゚ー゚)「ブーン君のししょーの、しぃです!」
(;,,゚Д゚)「んな大層なもんじゃないだろ…助言してやってる程度の間柄だ。
んで、俺はギコだ」
(;'A`)「あ、僕はブーンの友人のドクオです…」
145 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/13(金) 23:25:28 ID:2.3limoUO
それからは、四人で少しの雑談をする。
ギコとしぃに“ドスギアノス”の狩猟の成功を伝えると、用が済んだと帰宅していった。
('A`)「あの人たち、すげぇなぁ…
ハンターランクも3だって言ってたしな…」
(メ ^ω^)「そろそろランクアップの試験も請けられそうだって言ってたお」
('A`)「俺達も、頑張らないとな!」
(メ ^ω^)「おっ!」
ここで、思わぬ来客に流されていた事を思い出す。
(メ ^ω^)「ところで、どうしてドクオはそんな格好なんだお?」
('A`)「あぁ、話して無かったな…
お前が狩りに行くのに、一人は辛いだろうと思ってな。
もともとハンターには興味があったから、良い機会だと思ったんだよ」
(メ ^ω^)「なら、これからは二人でギルドの依頼をこなしていくかお?」
先ほどのハンターランクというものは、実は村長からの依頼をこなしていては上昇していかないのだ。
あれは、あくまでハンターズギルドが定める位なので、村の依頼では認められないのである。
('A`)「いや、もうちょっと後になるな。
ド素人二人で組んでも無駄死にするだけだ。
だから、俺もお前も村長さんからのクエストをこなして腕を磨いてからだな!」
(メ ^ω^)「…分かったお!“ドスギアノス”でやられたりするなお?」
('A`)「お前じゃあるまいしww」
(;メ^ω^)「うぐ…」
近い先、二人で狩場を駆けつつ、共に戦う事が出来るという楽しみが出来たブーン。
また少し、ハンターとしての生活が好きになれたのだった。
第六話 end
147 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/13(金) 23:28:44 ID:2.3limoUO
○おまけ○
( ^ω^)「うっかり説明し忘れちゃったお!」
( ^ω^)「なんで、最後“ドスギアノス”が吹っ飛ばされたかって事をね!」
( ^ω^)「という事で、後付けせつめいスタートだお!」
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
( ^ω^)「実は、あの時投げたのは、只の〈石ころ〉だったんだお!」
( ^ω^)「でも僕は、僕たち『生き物の癖』を利用させてもらったお!」
( ^ω^)「それは、『学習能力』だお!」
( ^ω^)「二度に渡って、僕は“ドスギアノス”に〈閃光玉〉を使ったお!」
( ^ω^)「あれだけの影響を与える物だし、“ドスギアノス”は頭も良い。
二回も使う所を見せてやれば十分学習できるはずなんだお!」
( ^ω^)「物を投げる=眩しい物
って感じに、ね」
( ^ω^)「だから、〈石ころ〉自体のダメージは無くても、学習した事と違う事が起きたから、びっくりして転んだんだお!」
( ^ω^)「ブーンの作戦勝ちだったんだお!やったお!」
おわり
※実際のゲームではこんなことは出来ません!