February 02, 2011
ミセ*゚ー゚)リ樹海を征く者のようです 第一章 第二話
ミセ*゚ー゚)リ「……」
──ビロード君、ちんぽっぽちゃん、お元気ですか? 私は元気です。
他の参加者の皆も、たぶん元気なんだろうなと思います。
_
( ゚∀゚)o「おーい、ミセリちゃーん! 遅れるなよー!」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、はい!」
――私達がヨツマを出発してから、もう2週間が経ちました。
10人越しの大人数での樹海探索は、それだけ獣からの襲撃も多いと聞きます。
大抵のギルドが少人数で探索を行うのは、そういう理由だったっけ。
(・∀ ・)「まあ、こいつらから離れたくなる気も分かるけどなー」
ミセ*゚ー゚)リ「いやいや、そんな」
──しかし、キャラバンの隊長さんの腕が良いのか、今のところ獣の大規模な攻撃は受けていません。
何度か出てきた獣も、他の参加者の皆さんが倒してくれています。
(実は私はあんまり役にたってないんだ)
とても順調です。
そう、進路は順調なんだけど──
爪'ー`)y‐「……フー、歩き通しだと流石に疲れるね」
ξ゚⊿゚)ξ「……ちっ。だったらその煙草止めれば?」
爪'ー`)y‐「それこそ僕の勝手だと思うが?」
ξ゚⊿゚)ξ「煙たいから止めろって言ってるのも分からないの?」
(-@∀@)「ちょ、ちょっと、ツンさん!?」
爪'ー`),,「良いさ、今回は僕が折れよう。……おい、小娘」
ξ#゚⊿゚)ξ「ああ?」
爪'ー`)「あまり調子に乗るなよ?」
ξ#゚⊿゚)ξ「……はん。なよっちいアンタが、私と戦ろうっての?」
(;-@∀@)「ツンさん!」
爪'ー`)「僕は構わないぜ。但し君のお仲間も遠慮なく巻き込むがね」
ξ#゚⊿゚)ξ「貴様……!」
从 ゚∀从「そこまでにしとけ、2人とも。仲間内でいがみあってどうする」
ξ゚⊿゚)ξ「……わかったわよ」
爪'ー`)「ああ、すまないね」
川 ゚ -)「……全く、下らないな」
(#゚;;-゚)「……ふん」
(・∀ ・)「な?」
ミセ;-ー-)リ「……いやいや、そんな……」
──どうして冒険者の人達って、ここまで反りが合わないのかなぁ。
ミセ*゚ー゚)リ樹海を征く者のようです 第一章 新緑の木立
第二話『勇姿の在り方』
……
一週間前、東門。
ミセ*゚o゚)リ「こんちわー……っす」
( ^ω^)「お、また一人来たおね」
('A`)「……」
○ ('A`)( ^ω^)
○〔 〕○
○ ○ ○
爪'ー`)y-~〔 〕○ ○〔 〕○
○ ○
○ ○
从 -∀从 〔 〕○ 川 ゚ -゚) 〔 〕(゚-;;゚#)
○ ○
ヨツマを囲む外側の城壁は、出入国管理所をも兼ねている。
詰所には常に衛士がいるし、彼らの控える部屋や、入国許可を待つ者の控え室も幾らかはある。
長旅の準備を終えたミセリが指定された詰所の一室に入ると、そこには既に数人の冒険者が集まっていた。
( ^ω^)「とりあえず、空いてる席に座っていて下さい。全員が揃ったら改めて説明しますお」
ミセ*゚ー゚)リ「あい」
ミセリが選んだのは、五つある四人掛けのテーブルの内、まだ誰も居ない一つ。
改めて見渡すと、ミセリと先ほど席を促した二人を除き、まだ四人しか居ない。
招待を受けたのは十六人だというから、まだ半数も集まっていないのだろう。
そんなことより。ミセリは先ほどの男を注視する。
( ^ω^)「~~」
('A`)「~~!」
内藤・ブーン=ホライゾン。ドクオ・ラフロール。ヨツマ伝説のギルド、『VIP☆STAR』のメンバー二人。
かの天嶮、天国山脈を越えて生還した、英雄の中の英雄。
ブーン=ホライゾンは盛り上がった筋肉を持つ屈強な男で、幅の広い片手剣と王族騎士を示す白銀の盾を背負っている。
ヨツマの王族騎士は、文字通り王族を守護する任を帯びており、例外なく高い戦闘能力を持つ。
ブーンは十代半ばという異例の若さでその名誉ある職に上り詰め、その実力を示した。
その彼が樹海での任務に従事した理由は明らかにされていないが、ともかく彼は数年後に天国山脈を越えた。
……何より彼を特徴付けるのは、その人柄である。
横に立つ細い体をした副長ドクオもまた、ブーンらと共に天国山脈を越えた一人だ。
表で光を集めるブーンと対称的に、彼はほとんど全くの影に身を置いている。
『VIP☆STAR』加入前の彼の経歴は一切不明。
現在も、広告塔の役目を果たすブーンらのように存在が公に出ることは無い。
知れ渡っているのは名前と高い治療術、そして『キャラバン』副長の肩書のみ。
彼ら『VIP☆STAR』は若い冒険者の生きた目標であり、尊敬と崇拝を受けている。
噂には、『彼らを見ると親和が覚醒する』といったものから、
『アレは人外の化物』だの『目が合うだけで死亡フラグ』などのものまである。
……実のところ、ミセリは何度も彼らを実家の料亭で見ているのだが。
ミセ*゚ー゚)リ彡
爪'ー`)y-~
从 -∀从
煙草を吸う、長い髪を後ろで束ねた男。
眼を瞑ったまま微動だにしない銀髪。
(-;; #)
川 ゚ -゚)
ニホントウという特異な剣を提げた男。
彼と同じテーブルを囲む、長い髪の女性。
冒険者の装具は、各色の増幅器も含め、それぞれが積んだ経験そのものと言える。
例えば、そこに座る片目を長髪で隠した冒険者。
彼の背負う肉厚の鉈は、その刀身にびっしりと細かい傷が着いている。
先に座っていた四人は、見事にバラバラだった。
武器も増幅器も纏う気配も、それぞれの強い個性が表れている。
ただ一つ共通して分かる事は、彼らが相応の実力を備えているという事だ。
ミセ;-ー)リ「……」
──あれ、これ、私ひとりだけ場違いじゃね?
ミセリの頭にネガティブな感情が生まれる。
と、同時にドアが勢いよく開いた。
静かだった部屋にきぃきぃと響く甲高い声。
遠目にもわかるほど深く、ドクオの眉間に皺がよった。
*(‘‘)*「おら、ここですよ! さっさと来い馬鹿リーダー!」
(-∀ -),,~゚「うーるーせーえーよー……。ギャンギャン喚くな、こっちは寝起きなんだ……」
二人分の声で、石造りの部屋が途端に騒がしくなる。
周囲に無気力を撒き散らすような眠たげな男。彼の襟首を引っ張るとても幼げな少女。
そして、眠たげな方の後ろから更に三人の冒険者。
(-@∀@)「それは間違いなく寝坊した貴方が悪いですって……」
ハソ ゚-゚リ「全くだ。召集時間の十分前まで寝続ける馬鹿が他に居るか?」
ξ゚-゚)ξ「ん……?」
眼鏡の青年、ポニーテールの少女、巻き毛の少女。
リーダーと呼ばれた眠たげな男が欠伸混じりに答える。
(-∀ -),,~゚「でーもさぁーあ、ほらぁ、なんだかんだ時間にはなんとーか間に合って、」
はじめの少女は頭の両横で括った髪を揺らして憤慨する。
*(#‘‘)*「貴様が寝坊したせいで遅刻しかけたんでしょうが! ふざけた事を抜かすのも大概に……わぷっ」
ハソ ゚-゚リ「ヘリ五月蝿い。黙れ」
*(;‘‘)*「ムー……!」
ポニーテールの少女が女の子の後ろから手を伸ばし、その口を無理やりふさぐ。
多少抵抗していた女の子も、振りほどけないと分かるとすぐに大人しくなった。
眠たげな男が楽しそうに笑う。
(-∀ -)~゚「よぉーし、良くやったぞー、なちー……って、痛っ!」
*(#‘‘)*「……」
(-∀ ・;)「ああもう、悪かったよ……。ギルド『ワルハラ』斉藤またんき以下五名、到着しました」
( ^ω^)「おっお、一気に賑やかになったおね。良い事だお」
('A`)「奥の、空いている席に座って待っていてくれ」
(・∀ ・)「あいよ」
またんきと名乗った男が空いているテーブルに向かい、三人がそれに従った。
しかし、ただ一人、巻き毛の少女だけがブーンを睨み付けたまま動かない。
ξ゚⊿゚)ξ「……ちょっと」
( ^ω^)「お? どうかしましたかお、ツン様っとあ!?」
ξ#゚⊿゚)ξ「……」
少女がブーンの腕を引っ張り、強引に部屋の外に引っ張り出した。
扉の外で低く恫喝する少女の声を、ミセリの優れた聴覚が途切れ途切れに拾い上げる。
「その呼び方は止めて。……あんた、何やってるのよ」
「何って、──仕事ですお。議会直々の──……」
「黙れ。──が、あんな老いぼれ共に尻尾振って、それでも元騎士隊長? それとも、──」
「……王族騎士は議会の犬じゃなく、王家の犬です。それに……僕は元じゃない、──」
「……フン。──」
「──、──」
「……」
「──すみませんお」
「もういいわ」
バチン。大きな音が扉の向こうから響いてきた。
再び扉が開き、ムスッとした顔の少女が入ってくる。
そのまま仲間たちの座るテーブルに向おうとする。が……
ξ;゚⊿゚)ξ「……あぅ……」
(・ ∀・)
ハソ ゚-゚リ〔 〕(;-@∀@)
○ *(‘‘)* ○ ξ(゚、゚;ξ
爪'ー`)y-~〔 〕○ ○〔 〕○
○ ミセ;゚ー゚)リ
○ ○
从 -∀从 〔 〕○ 川 ゚ -) 〔 〕(-;;゚#)
○ ○
(・∀ ・)「いやぁー、悪いなツンちゃん! このテーブルは四人用なんだ!」
*(‘‘)*「貴女には致命的なまでに早さが足りないのですよ……」
ハソ ゚-゚リ「油断するな、あれほど言っただろう」
(;-@∀@)「あ、その、本当にすみません」
ξ#-⊿-)ξ「……覚えてろよ、貴様ら……」
冒険者の世界は弱肉強食。即ち、気を抜くとすぐに他者に出し抜かれてしまう、という事だ。
残酷な競争の敗者からミセリはつい目を逸らしてしまう。しかし代わりに視界に入ったのは、
从 ∀从「……、……」
爪'ー`)y-「……」ニヤニヤ
笑いをかみ殺している様子の銀髪と笑いを隠そうとすらしない長髪。
そう、世の中なんてこんなものだ。
と、気をそらしていたミセリに、件の少女が話しかける。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、ここ座ってもいい?」
ミセ*゚ー゚)リ「え? ああ、うん。大丈夫だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう」
木製の椅子に腰を下ろし、荷物を肩から外す巻き毛の少女。
一際目を引く大きな白い盾と片手剣が、テーブルの上でゴトンと音を立てる。
ξ゚⊿゚)ξ「ふう、まったく……。あなた、マーセナリ?」
ミセ*゚ー゚)リ「ううん。本当は仲間が二人いるんだけど、一人が怪我しちゃって……」
少女の言うマーセナリも、ギルドに所属しない冒険者のことだ。
単独で行動するのではなく、他のギルドに短期間のみ雇われたり、そうして生きる。
いずれにせよ、仲間を頼らいない以上、どうしても高い能力が要求される。
しかし、そうした冒険者も居ないわけではない。
ξ゚⊿゚)ξ「そう。あたしはツン、一応は下級騎士よ。あなたは?」
ニコリともせずに言い放ち、少女は軽く盾をもたげた。
騎士を自称する、ツンと名乗る少女。彼女の持つ白い盾にはヨツマ王家の紋章が刻まれている。
例え下級とはいえ、騎士の序列は平民よりは高い。
冒険者の中には騎士に成り損ねた者も多く、彼らの大半は騎士の紋章に気圧される。
恐らくツンは、ミセリが彼らのように圧倒されると踏んでいたのだろう。
──はっ、甘い!
ミセリは驚く代わりに、懐から刺繍の入ったハンカチを取り出した。
ミセ*゚ー゚)リ「私はミセリ。ミセリ・エメリアだよ。民宿の娘をやってます」
ξ゚⊿゚)ξ「民宿の娘って、ええと……?」
ツンの眼前に突き付けられた夜空色のハンカチ、金色の刺繍糸が『纏亭』の二文字を踊る。
ミセ*゚ー゚)リ +
ξ;゚⊿゚)ξ
ツンは少し言葉を探すように狼狽したあと、ついにクスッと笑顔を浮かべた。
武術の心得でも述べるならまだしも、平民を自慢気に語るとは。
ξ゚ー゚)ξ「……いいえ。あなた、本当に面白いわね。
あたしとあんまり変わらない位に見えるけど、あなたも今年の成人?」
ミセ*゚ー゚)リ「うん。……って事は、ツンさんも?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。冒険者になったのは、騎士団の任務のため」
ミセ*゚ー゚)リ「んー……?」
本来ヨツマでは、騎士と冒険者は明確に別の管轄だった。
騎士の役割は国家の防衛であり、冒険者の役割は国家の発展。
二者は共に重要な役割でありながらも、「武」を必要とする点では一致している。
そして、優れた「武」才を持つ者は決して十分に多いとは言えない。
数年前に冒険者の顔たるブーンが騎士団長に抜擢され、この二者の垣根がついに崩れはじめた。
「いつか騎士の階級が形骸と化す日が来るかもしれない」
纏亭を訪れた冒険者であり騎士である一人の男が、寂しげに言っていた。
……ただ、騎士の内情までは、流石のミセリも詳しくない。
聞き返す代わりに、ミセリは別の疑問を投げ掛けてみた。
ミセ*゚ー゚)リ「そういえば……さっき話してたみたいだけど、ホライゾン隊長とは知り合い?」
ξ゚ -゚)ξ「……んー」
ミセリの質問に、ツンは僅かに顔を顰める。
まずいことを聞いたかと心配するミセリに、ツンはやや投げやりに答えた。
ξ;-⊿-)ξ「うーん、まぁそれなりに付き合いはあるわね。ほら、アレもあたしも、同じヨツマの騎士だから……」
ミセ*゚ー゚)リ「ふぅん……」
筋の通った説明ではあるが、疑問はまだ残る。
年も階級も格上のブーンが、お世辞にも経験深いとは言えないツンを様付けで呼んた事。
ミセリはそれ以上聞くまいとしたが、訝しむ様子が顔に出てしまったのだろう。
ツンが観念したように言い添えた。
ξ゚⊿゚)ξ「……本当はちょっとね。面倒な事情があるのよ」
ミセ*゚ー゚)リ「それじゃ聞かないでおく」
ξ゚⊿゚)ξ「ごめん、それは出来れば聞かないで欲し……って、あれ?」
ミセ*゚ー゚)リ +
ξ゚⊿゚)ξ「……良くできた娘ね」
ミセ*゚ー゚)リ「民宿の娘だもん」
ξ*゚ー゚)ξ「あはは、それは恐れ入ったわ! 向こうのアホ面なんてうざったい位に聞いてきたのに」
*(#‘‘)*σ「?」σ(・∀ ・;)
隣のテーブルでこちらの会話に集中していた二人が、ガタガタと音を立てた。
ミセリの眼前に、ツンの白い右手が差し出される。
ξ*゚ー゚)ξ「あなたとは仲良くなれそうな気がするわ。宜しくね、ミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、こちらこそ宜しく!」
ツンの笑顔に、ミセリも笑顔を返す。
──綺麗だな。ただそう感じた。
握り返した彼女の手には、幾つかの剣タコができている。
(・∀ ・)「うおおおい、なんという早さで仲良くなってるんだぜ!? 俺も女の子と仲良くしたいんだぜ!?」
二人の間に陽気な声が割って入る。
ツンは露骨にため息を落とした。
ξ-⊿-)ξ=3「ほら、早速アホ面が来たわよ……」
Σ(・∀ ・)「……え、やっぱりアホ面って俺の事だったの!?」
*(;‘‘)*「むしろ他の誰だと思ったんですか」
(・∀ ・;)「あ、あの……なちとかアサピーとか……」
ξ#゚⊿゚)ξ「んな訳あるか!」
三人の漫才のような遣り取りを見ていると、ミセリも自然と顔が綻んでくる。
薬方院のちんぽっぽとビロードはどうしているだろう、二人の事が気になった。
……そして、また扉が開く。
_
( ゚∀゚)「……ええと、マジすんません。今日は向かい風があまりに強くて……」
('A`)「……。お前が最後だから、ブーンが戻ってくるまで適当に座って待っていてくれ」
_
( ゚∀゚)「おう。……ん、君は……」
恐る恐ると言った調子で入って来たのは、特徴的な眉毛の青年。
彼はミセリを見て、驚いたように太い眉を上げた。
ミセ*゚ー゚)リ「どうも。奇遇ですね、ジョルジュさん」
_
( ゚∀゚)「おお! 奇遇だね、ミ……ミリアちゃん!」
ミセ*゚ー゚)リ「誰だよ。ミセリです」
_
( ^∀^)「おう! ……覚えてたぜ」
快活に笑うこの眉毛はジョルジュ長岡。
二月ほど前に市議会まで案内した、大柄な剣士。
ミセリの背丈ほどもある大剣を背負ったジョルジュはミセリとツンの座るテーブルに歩み寄り、椅子の一つに腰をおろした。
(・∀ ・)
ハソ ゚-゚リ〔 〕(@∀@-)
○ *(‘‘)* ξ゚⊿゚)ξ _
爪'ー`)y-~〔 〕○ ○〔 〕(゚∀゚ )
○ ミセ*゚ー゚)リ
○ ○
从 -∀从 〔 〕○ 川 ゚ -) 〔 〕(-;;゚#)
○ ○
_
( ゚∀゚)「いやぁ、しっかし……まさか君も招待されていたとはな。正直、意外だったよ」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、自分でも驚いてるよ。仲間と一緒だったから、なんとかやってこれたんだ」
_
( ゚∀゚)「仲間、ね。そっちの品の良い嬢ちゃん?」
ジョルジュがツンに向きなおる。
しかし、ツンはそっけなく首を振って隣のテーブルを指した。
眼をやると、件の陽気な男が女の子にガミガミと叱られている。
ξ゚⊿゚)ξσ「いいえ、あたしはあっちのアホ面のグループよ」
Σ(・∀ ・)「またアホ面って言われた……」
ミセ*゚ー゚)リ、「私の仲間は怪我で入院しちゃってるんだ」
_
( ゚∀゚)「ありゃ、そうなの……」
そこで扉が開き、ブーンが部屋に戻ってきた。
自然と会話が途切れ、視線がそちらに集まる。
( ^ω^)「おっお。ようやく最後の一人が到着したみたいだおね。そいじゃ始めますか」
ブーンが全員を見渡し、一呼吸おく。ドクオがその横に並んだ。
( ^ω^)「初めまして、皆さん。『キャラバン』隊長の内藤・ブーン=ホライゾンです。宜しくですお」
('A`)「副長、ドクオ・ラフロール。宜しく」
( ^ω^)「本当なら16名居るはずでしたが、欠席者が5名も居ます。11人の名前の確認をしますので、呼ばれたら返事を」
('A`)「……小学生かよ」
小さい声で言うドクオ。その脇腹にブーンの右肘が突き刺さった。
( ^ω^)「まず、ギルド未所属組は……ジョルジュ長岡」
_
( ゚∀゚)o彡゜「おう」
目の前に座るジョルジュが左手を軽く上げた。
改めて見ると、非常に分厚い筋肉が腕を覆っている事がわかる。
彼の装具……ミセリの背丈ほどもある大剣は、今は彼の足元に寝かせられている。
( ^ω^)「ハインリッヒ高岡」
从 ゚∀从「ん」
長い銀髪で片目を覆った中性的な男が、眠たげに答えた。
ゆったりした麻の服に弓矢と鞘に入った肉厚の鉈とを背負う、軽戦士といった出で立ち。
若さに似合わない、熟達した冒険者特有の鋭角な雰囲気が感じられた。
( ^ω^)「フォックス・イル・メトロハルト」
爪'ー`)y‐「うん」
萎れた色のコートと帽子、そして火の消えた煙草。
ハインリッヒとは対照的な、穏やかで覇気のない気配。
しかし、それでいて腹の底の知れない不気味さを、ミセリはその男に感じた。
( ^ω^)「ギルド『ワルハラ』、斉藤またんき」
(・∀ ・)ノシ「あい、俺だよん」
軽い調子で、アホ面、もとい、またんきが答える。
緊張などとは無縁な性格なのだろう。考えてみれば羨ましいものだ。
彼の纏う衣服もさほど頑丈なものでは無いが、機動性には優れている。
装具を見る限り『ワルハラ』は後衛が多いようだ。
戦線を維持する都合、彼がギルドの要だろうことが予想できる。
( ^ω^)「アサピー・バレントン」
(;-@∀@)「は、はいっ!」
続いて眼鏡の青年が上擦った声で答える。
明らかに緊張しているのだろう、またんきとはまるで反対だ。
白いコートの他にまともな武具や防具はなく、代わりに車輪つきの大柄な鞄を持っている。
白衣は古来より、治療術士の象徴とされてきた。
間違いなく彼も、治療を専門に行うメンバーだろう。
( ^ω^)「ツン・デクレアラ」
ξ゚-゚)ξ「……」
無視。
(; ^ω^)「あの、ツン……さん?」
ξ゚-゚)ξ「……」
無視。
(; ^ω^)「ツンちゃーん?」
ξ゚⊿゚)ξ「……ちっ」
( ^ω^)「はいはい、全く……」
盛大な舌打ちをかましブーンを睨みつける少女を、ミセリは改めて見遣った。
背負った荷物から垣間見える頑丈さを重視した鎧、騎士の印の入った盾と片手剣。
そんなことは、どうでもいい。
淡い金色の髪と明るい空色の瞳、透き通るような白い肌、武器を振るうに似つかわしくない華奢な体つき。
何より、国家の英雄に対しても一歩も揺るぐことの無い強気な態度。軽くあしらわれる憐れさ。
総合すると……
ミセ*゚ー゚)リ(……この子めちゃくちゃ可愛くねぇ?)
先を続けるブーンの声で、ミセリはようやく正気に戻る。
( ^ω^)「ナスターシャ・ヴィルヘルミナ・フォン・ツィーフロイント……長いおね」
ハソ ゚-゚リ「私だ。ナチで通している」
これもツン達の仲間の一人。
枯れ草色のコートに身を包んだポニーテールの少女が、感情の稀薄な平坦な声で答えた。
彼女が首に下げたルビーのペンダントの増幅器には、大陸風の加工がなされている。
赤の親和を備えつつ武器を持たない所を見ると、特殊攻撃の担当だろう。
( ^ω^)「ヘリカル沢近」
*(‘‘)*「はい!」
( ^ω^)「……君、本当に成人してるのかお?」
見た目にも幼い少女が、わざとらしく溜息をつく。
ブーンは「うっ」と息を詰まらせた。
……この人、女の子は苦手なのか?
*(‘‘)*=3「失礼ですね。レディに年を訊くつもりですか?」
(;^ω^)「あー、済まなかったお」
ブーンが疑いを持ったのは当然だ。このヘリカルという女の子は、まだせいぜい10歳程度にしか見えなかった。
装具も短剣などの軽いものに統一され、増幅器は無い。恐らく前線に出る事などあり得ないという前提の装備。
……彼は知らなかったが、実際にヘリカルは12歳だ。
( ^ω^)「ギルド『シン』、霧村でぃ」
(#゚;;-゚)「……はい」
腰にニホントウという片刃の剣を下げた男が、低く短く答える。
見た目には彼は二十代の前半といった所だろうが、右の頬に走る引き攣った傷跡が彼に老成した印象を与えている。
その幾つもの刀傷は、どう見てもここ数年の内に付いたものではない。
ただ一言の返事を返すと、彼は再び眼を伏せてしまった。
ブーンはやや興味深そうに彼を見るが、再びドクオが肘打ちを仕掛けると、次の名前を呼ぶ。
( ^ω^)「素直クール」
川 ゚ -゚)「はい」
でぃと同じテーブルに座る女性が返す。
道行く誰もが振り返ってしまうような、極めて美しい顔立ち。
……だが冒険者ならば先に彼女のもう一つの特質に気付くだろう。
機能性を優先した服に吊り下げられた、旧世界の遺物である無骨な短銃。
圧倒的な破壊力を持ちながら、反動などの扱い難さから敬遠されがちなその武器を、彼女は唯一の武装としている。
近接戦など考慮すらしない、完全な攻戦専用装備。
あるいは、よほど仲間を信頼しているのか。
ミセ*゚ー゚)リ(……んな事よか、この子もめちゃくちゃ綺麗だなぁオイ!?)
( ^ω^)「んで、次は……と、」
( ^ω^)「ギルド『チェトレ』、ミセリ・エメリア……エメリア?」
ミセ*゚ー゚)リ「はい。……何ですか?」
ブーンは、ミセリの名字を怪訝そうに復唱した。
ミセリは不思議に思い、問い返す。
(; ^ω^)「お……いや、昔から纏亭にはいつも世話になってましたお」
曖昧に答えるブーンの説明に、ミセリは一応納得した。
エメリアは母方の名字だ。纏亭をよく利用するブーンなら、それを知っていてもおかしくない。
ミセ*゚ー゚)リ「あぁ、それはありがとうございます。今後とも纏亭を宜しくお願い致します」
( ^ω^)「……抜け目無いおね」
ミセ*^ー^)リ「アラヤダの娘ですから」
(* ^ω^)「おっおっ! それだけは間違いないお!」
('A`)「ブーン」
( ^ω^)「おっ、ごめんだお。……『チェトレ』のビロード・ミリオム、ちんぽっぽ、それに
『エメロン』の三人は不参加だから、これで全員おね」
招待された16人の内、5人が欠席。
ここにいる11人と2人の英雄、それに、『キャラバン』本部に常駐する数人で全員。
これが残り数週間、共に過ごす仲間。
( ^ω^)「では、詳しい話……ドクオ、任せた」
('A`)「って、おい」
いきなり話を押し付けられ、ドクオはブーンに露骨に嫌な顔をした。
この2人はこれでバランスが取れているのだろう、ドクオが忌々しげに口を開く。
(#'A`)「……君らには、俺達と共にキャラバン部隊に向かう。予定では、そこで暫く過ごした後、独力でヨツマに帰還してもらう。目的は有望な若手の実力を伸ばす事だ。何か質問は?」
ドクオは早口に言い切る。それも、おそらくはかなり端折った上で。
……いやいや、雑すぎるんじゃないだろうか。
左右を伺うと、同じことを思ったであろうツンが一人、何も考えていないだろうジョルジュが一人。
確認の必要など感じないのだろう、ブーンはそのまま続ける。
( ^ω^)「それでは、最後の調整のために一時間だけ待つので、準備を整えてもう一度ここ、東門に集合で」
それからちょうど一時間後に、『キャラバン』への旅が始まる。
……
_
( ゚∀゚)o「しっかし、まだ着かないのかね?」
ミセ*゚ー゚)リ「最初の話によると、もうすぐなのかな?」
( ^ω^)「そうおね。あと半日位で着くはずだお」
ブーンの言葉で、若い冒険者の間に安堵が広がった。
樹海の深部には相応の強さの獣がいる。
ここに至るまでに数度現れた獣はどれも中々に手強かった。
複雑に絡み合った大木の根を歩きながら、またんきが欠伸を出す。
(・∀ ・)「いやぁ、しんどかったなー」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね。ホントにキツかったわ……って、きゃあ!?」
言いかけたツンの肘を、後ろから誰かの腕が引く。
バランスを崩してたたらを踏んだ彼女のすぐ前で、地面が唐突に裂けていた。
裂け目を覗き込むと、暗闇の底からカサカサと異音が聞こえてくる。
('A`)「おいおい、まだ安心するのは早いぜ。油断するのは論外だ」
ξ゚⊿゚)ξ「ッ、すみません……」
ツンの腕を引いた当の本人、ドクオはナイフで掌を浅く切り、血の滴をいくつか裂け目に落とした。
直後、裂け目の底で何かがのたうつ音が聞こえ、すぐに静かになる。
('A`)「根喰い。ワームの系統の蟲だ。
こうして木の根に巣を作り、生き物を落として捕食する。
この辺りでは特にコイツ等に気をつけろ」
彼らの歩いている森は、ヨツマ近郊とは全く異なる様相を見せている。
日差しは折り重なる木々に遮られ大地を照らさず、澄んだ空気は静寂を湛える。
あまりに異質な樹海の雰囲気に飲まれ、随行する新人冒険者の半数は疲労を露にしていた。
( ^ω^)「まあ仕方ないお。少しずつ樹海の深みに慣らしていくしかないお」
('A`)「……ああ」
そして、残りの半日は何事も無く過ぎてゆく。
ミセリ達は、日没の少し前にキャラバンのベースキャンプに到着した。
…
……
『VIP☆STAR』のオリジナルメンバーは六人。
うち一人は議会にて政治を担い、二人は今は行方が知れない。
そして、残りの三人はこのキャラバンを率いている。
ブーンとドクオと、もう一人。
( ^ω^)「お疲れ様です。ブーン、ドクオ、及び新人11名到着ですお」
(,,゚Д゚)「おう、待ったぜゴルァ! そいつらが例の新人か!」
ギコ・カトラ・コス。
かつて『VIP☆STAR』を支えた重戦士。
防御的な親和能力を持つブーンと対称的に、彼の持つ親和能力は攻撃に優れる。
盾たるブーンと矛たるギコ、この双璧が『VIP☆STAR』の前線の核だった。
(,,゚Д゚)「ふーん、そいつらが件の新人さんね。今年は豊作なもんだ」
( ^ω^)「お。今年はラウンジや大陸からの冒険者も多いらしいですお」
ギコの視線が、もう一度ルーキーに向けられる。
なかでも一際異彩を放つ数人へと。
(#゚;;-゚)”
从 -∀从「……」
_
( ゚∀゚)「うん?」
ギコの目が、一瞬だけ戦士のそれに変わる。
強敵に出会った戦士の心に沸き立つ、純粋な衝動。
(,,゚Д゚)「……みたいだな。下手したらお前より強いかもしれんぞ?」
( ^ω^)「どうかな。ギコより強い事なら大いにありえるけど」
(,,^Д^)「ハハハ、ブッ飛ばすぞテメェ!」
豪快に笑いながら、ギコはブーンの肩を拳で叩く。
ブーンは涼しい顔をしているが実際には相当な力で殴られたのだろう、
まるで小山のような筋肉を持つブーンの体が、ほんの僅かにぐらついた。
( ^ω^)「ま、ま。とにかく、奥に招待しますお。ギコは帰還の準備ですおね?」
(,,゚Д゚)「おう。じゃ後は任せるぜ、ブーン、ドクオ」
( ^ω^)「お、任されましたお」
('A`)「わかったから安心しろ、安心したらとっとと消えろ」
(;,-Д-)「お前って本当に容赦ないよな……」
ギコはそのままベースキャンプの奥に戻った。
彼はこれから非番、つまり休暇のようなものだ。こうして、数十人のメンバーが交代でキャラバン本部に常駐する。
……ギコの場合、非番の時の所在は殆ど知られていない。
どうやらヨツマにすら戻らない事の方が多いという。
ベースキャンプは、岩壁に沿って森を切り開き、石で簡易な建物を組んだものだ。
岩壁には洞窟があり、建物はそれを守るトーチカとして機能する。
キャンプには常に十数人の冒険者が構えており、この要塞は設立以来数十年間の不落を誇る。
( ^ω^)「さて、改めてご案内いたしますお。付いてきてください」
…
案内された洞窟内は、予想よりも広く整っていた。
蛍の変異種を入れた虫籠を吊るした洞窟内はまるで昼間のように明るい。
ミセ*゚ー゚)リ「うむ、好きかな好きかな!」
簡易な二段ベッドが2つ据えられた部屋で、ミセリは他の冒険者と同じく休息を取っている。
割り当てられたこの六畳程の一室が、滞在期間中ずっと使う部屋だ。
久しぶりに足を伸ばして横になれる事に、ミセリは深く満足の溜息をついた。
爪'ー`)y-「まったく、生き返るねぇ……」
从 ゚∀从「流石に二週間も野営していると疲れるな」
同室は、ハインリッヒ高岡とジョルジュ長岡、フォックスの3人。
「要は一人者を集めてぶち込んだって事さ」とはフォックスの言である。
_
( ゚∀゚)o「あー、そういやぁミセリちゃんはさ」
外套を外したミセリに、ジョルジュが話し掛けてきた。
彼が居るのは、ミセリと別の二段ベッドの下の段。
大きな剣を背中から外して脇にどける姿が上からよく見える。
ミセ*゚ー゚)リ「?」
_
( ゚∀゚)o「ミセリちゃんは平気なのか、男三人と相部屋で」
なんだ、そんな事か。
ベッドの上段に腰かけて武器を手入れするハインリッヒの、苦笑する表情が視界に入る。
ミセ*゚ー゚)リ「うん、別にいいよ。それに──」
( ^ω^)「食事の準備ができたお! 40秒以内に食堂に来い!」
_
( ゚∀゚)o「お、もうそんな時間か。行こうぜ」
夕食を告げるブーンの声で会話が中断された。
この時ミセリが飲み込んだ言葉がジョルジュを大恐慌に陥れるのは、また別の話。
…
食堂は石を切り出したテーブルが幾つか並んだ広間で、数十人程の冒険者が入ってもまだ余裕がある。
ミセリが食堂に着くと、既に他の冒険者達がそれぞれの席にちらほらと座っていた。
テーブルには、道中にはなかった手の込んだ料理が並んでいる。
( ^ω^)「さて、食事の前にお話ししておきますお。これらの肉は、我々が森から狩り取った物です。
ここは冒険者を支援する施設だから、備蓄をただ磨り減らせる訳にはいきません。
明日からの生活では皆様にも任務に参加して貰いますお」
( ^ω^)「ええと……、詳しい話はまた明日にします。まずは腹一杯食べて寛いで欲しいお」
( ^ω^)「それでは……いただきます!」
…
…
ヨツマ市南西地区、孤児院の一室。
(*‘ω‘ *)「ビロ。梨」
(; ><)「はい、はいなんです!」
腕に包帯を巻いた少女が命令を下し、糸目の少年が慌てて応える。
少年が梨と果物ナイフを持って戻ったところで、再び少女の怒号が飛んだ。
(*‘ω‘ *)「おせぇ。さっさとしろっぽ!」
(; ><)「あう、ご、ごめんなさいなんですッ!」
(*‘ω‘ *)「うー、畜生! 利き腕が使えないと不便すぎるっぽ……」
( ><)「うーん、本当なんです。そろそろ治るそうなんですが……」
右腕の包帯を忌々しげに睨みつける少女に、糸目の少年が相槌を打つ。
少女もやがて諦めたように溜息を吐き、代わりに今は居ない仲間の名を口にする。
(*‘ω‘ *)「ミセリ、ちゃんとやってるかなぁ……」
( ><)「心配なんです。あの子、あれで人見知りしますし……あたッ!」
少年が梨を切る手を落ちつけたのを確認して、少女が固めた拳を振り下ろした。
乾いた音とともに、少年の小さな悲鳴が上がる。
(*‘ω‘ *)「ビロの癖に生意気言うなっぽ。お前よりよっぽどマシっぽ」
(; ><)「あうあう、ぽっぽちゃんは心配じゃないんですか?」
(*‘ω‘ *)「心配に決まってるっぽ。アタシが付いてないんだから」
少年に即答する包帯の少女。
馬鹿な事を聞くなとでも言うように、少女は少年を睨む。少年も真っ直ぐに少女を見返した。
( ><)「……さ、早く腕の骨くっつけちゃいましょう!
帰ってきたミセリちゃんをビックリさせるんです!」
(*‘ω‘ *)「おいビロ」
( ><)「はい?」
(*‘ω‘ *)「梨!」
(; ><)「は、はいなんですッ!」
……
(・(エ)・ )「……」
ミセ*゚ー゚)リ「」
( ・(エ)・)「……?」
ミセ*゚ー゚)リ「……か」
( ・(エ)・)「……クマー」
ミセ*゚ー゚)リ「可愛いッ!」
从 -∀从「やれやれ……」
ミセリ達が到着した、翌日。
キャラバンに参加したルーキーにも、それぞれ仕事が与えられていた。
二人一組の編成は若手が効率良く実力を付けるよう配慮されてのものだ。
キャラバン生活初日、ミセリの役割は哨戒。
とりあえず森を彷徨して外敵の襲撃に備えること。他には、付近でさ迷う冒険者が居たら保護すること。
開始から数時間が経過、収穫は野犬が数頭。
一帯の獣はヨツマ近くの個体よりも大きく俊敏で、ミセリを苦戦せしめた。
まだ遭遇はしていないが、付近には更に大型の、より強力な種すらいるという。
もしそんな怪物と遭遇しては、野犬一頭一頭に苦戦するミセリ一人では何もできまい。
……横を歩く弓を背負った相方のように、たまに襲いかかる犬など容易く葬れるならまだしも。
ミセ*゚ー゚)リ「うーん、平和だねぇ」
从 ゚∀从「今は獣も蟲も活発じゃない時期だからな。根喰いとやらにさえ気を付けていれば問題ないさ」
隣を歩く当のハインリッヒが、ミセリのぼやきに返事を返す。
思ったよりも気さくなハインリッヒの様子に、ミセリは内心で安堵していた。
言葉を交わした事は殆ど無かったが、なんとか険悪な雰囲気に陥る事は避けられそうだ。
ミセ*゚ー゚)リ「ハインリッヒさんは、」
从 ゚∀从「ハインでいい」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、ハイン。ハインはなんで強いの?」
从 ゚∀从「経験」
ミセ*゚ー゚)リ「経験?」
从 ゚∀从「ああ。大陸の方で、もう十年以上森で生きてる」
ミセ*゚-゚)リ「十年……」
ハインは事も無げに言う。しかし、樹海で過ごす十年は決して短い時間ではない。
多くの冒険者はその前に挫折したり、悪くすると死を迎えたりする。
……それに、ハインはどう見ても二十代の半ばに届いていない。
从 ゚∀从「今は弱くても、その内お前も強くなれるさ」
ミセ*゚ー゚)リ「……うん、ありがとう」
ミセ*゚ー゚)リ「そうだ、それじゃハインが私に戦いを教えてよ」
从 ゚∀从「やだよ」
ミセ*゚ー゚)リ「む」
从 ゚∀从「……まぁ、お前が教えるに値すると俺が判断したらな。考えてやる」
ミセ*゚、゚)リ「むぅ……」
从 ゚∀从σ「それより、そいつ」
ミセ*゚ー゚)リ「うん?」
(・(エ)・)「?」
先程からミセリの後を着いてきている小熊をハインは指さした。
ミセ*゚ー゚)リ「この子?」
从 ゚∀从「追い払わなくていいのか? そいつは無害でも、親熊がどこかに居るはずだぞ?」
ミセ*゚ー゚)リ「ん、うーん……」
(・(エ)・)「……?」
樹海の熊は、自らの子に深い愛情を注ぐ事で知られている。
なぜこの小熊が親元を離れているのかは分らないが、大方親が食糧を取っている間に好奇心に駆られて一人歩きしてきたのだろう。
あるいは……親熊が既に何らかの理由で死んでいるか。
いずれにせよ、親熊と遭遇してはミセリなどではひとたまりも無い。
ミセ*゚ー゚)リ「まぁ良いよ。大きいのが来たら逃げるとして、それまでは連れていこう」
从 ゚∀从「なんで?」
ミセ*゚ー゚)リ「だって、放っておいたら他の獣にやられて死んじゃうかもしれないし」
从 ゚∀从「だから同情して手を出す、と?」
ミセ*゚ー゚)リ「私がそうしたいんだよ」
从 ゚-从「お前がそうしたいから、俺まで危険に晒すつもりか?」
ミセ*゚ー゚)リ「私は死んじゃうかもしれないけど、ハインなら熊の二、三頭に襲われても平気でしょ?」
从;゚∀从「んな……いや、そうだけど、」
ミセ*゚ー゚)リ「ほら、問題なかろ?」
从;-∀从「まぁ良いか……」
ミセ*゚ー゚)リ「ありがと! さぁ行こう、ハイン、ポン太!」
从;゚∀从「ぽ、ポン太?」
(・(エ)・)「……クマー?」
小熊を連れたまま行動すればリスクが増す。それはミセリも理解している。
しかし、この幼獣は放置すると命を落とし兼ねない、脆い存在だ。
せめて親熊が現れるまで付いていてやりたい。そう思った。
……このミセリの情が、1つの戦いと2つの出会いをもたらす。
きっかけは数時間後。森に轟いた破裂音だった。
──ッ!
ミセ*゚-゚)リ「っ!? なに、今の音?」
从 ゚∀从「銃だろう。近いぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「銃って……ことは?」
銃。完全に壊滅した旧世界の、数少ない遺産の一つ。
樹海のごく限られた一部で取れる火薬を用い、加工した金属の塊を撃ち出す武器。
火薬を利用する特性から赤の親和を載せやすいため大きな破壊力を生み出すことも容易だが、
製造にも維持にも極端に高いコストが掛かり扱いも難しいため、使用する冒険者は極めて少ない。
ミセリが知る限り、銃を持っているのは、纏亭の宿泊客に二人。そして、同じ『キャラバン』の参加者に一人。
从 ゚∀从「行ってみよう。もしかしたら、獣に襲われているのかもしれない」
ミセリはすぐに頷いた。
……
川 ゚ -゚)「……ん」
(#゚;;-゚)「……」
森の中の少し開けた場所に出ると、そこには良く知った2人の冒険者の姿があった。
1人は拳銃を片手に下げた美しい銃士、もう1人は黒い服にニホントウの剣士。
予想していた2人の取り敢えずの無事を確認し、ミセリはホッと胸をなで下ろす。
从 ゚∀从「素直に霧村。今の轟音はお前たちか?」
川 ゚ -゚)σ「ああ。そこの……」
素直が指差す先を見ると、一頭の大熊の死体。
その頭は半分から上が吹き飛ばされており、明らかに即死していた。
ミセリの腕の中の小熊が一声鳴いた。
川 ゚ -゚)「それを仕留めた。何か不都合が?」
从 ゚∀从「いや、念のため確かめに来ただけだ。お前たちの仕事は害獣駆除だっけ」
川 ゚ -゚)「ああ。それより……」
ハインの話を興味無さげに聞くクールが、急にミセリを振り向く。
正確には、ミセリが腕に抱えた小熊を。
ミセ;゚ー゚)リ「な、なに?」
っ( ・(エ)・)「?」
川 ゚ -゚)「小熊、見付けてくれたんだな」
ミセ*゚ー゚)リ「え……」
っ(・(エ)・ )「……」
川 ゚ -゚)っ「さぁ、引渡してくれ、始末しておく」
※
ミセ*゚-゚)リ「……やだ」
川 ゚ -゚)っ「……は?」
ミセ*゚-゚)リ「やだ」
川 ゚ -゚)「どういうつもりだ?」
ミセ*゚-゚)リ「そんなの気に入らない」
川 ゚ -゚)「……どうせ生かしておいても、すぐに死ぬぞ?」
ミセ*゚-゚)リ「……」
川 ゚ -゚)「生きていても、そのデカいのと同じ害獣として駆除される」
ミセ*゚-゚)リ「……」
川 ゚ -゚)っ「さぁ、渡せ」
ミセ*゚-゚)リ「……やだ」
川 ゚ -゚)「おいおい、何を言ってるんだ? そんな我儘な、」
ミセ*゚-゚)リ「やだって言ってるんだよ」
川 ゚ -゚)「ッ! だから、」
(#゚;;-゚)「クー、もういい」
川 ゚ -゚)「……でぃ?」
(#゚;;-゚)「ミセリ、だったな」
ミセ*゚-゚)リ「……うん」
(#゚;;-゚)「冒険者の流儀だ。志有らば、」
(#゚;;-゚)「力を示せ」
※
まるで彼自身が刃物であるような、研ぎ澄まされた気迫が、向かい合う男からビリビリと伝わってくる。
霧村でぃ。
手を柄にかけたまま立つ彼に、ミセリは今まで感じた事のない強烈な威圧感を受けていた。
数秒、でぃが口を開く。
(#゚;;-゚)「……お前は、」
ミセ*゚-゚)リ「……?」
(#゚;;-゚)「お前は弱い。まともに戦うならば、お前には勝ち目は無い。それでも、どうしても俺と戦うのか」
ミセ*゚-゚)リ「……」
ミセリは沈黙を以て返した。
その意を汲んだでぃが溜息を吐く。
(#゚;;-゚)「……わかった」
腰の刀の鞘に片手をあてがい、納刀したまま柄を僅かに下げる。
それは、彼の得意とする難攻不落の結界──抜刀の構え。
(#゚;;-゚)「……来い。親和ならいくら使っても構わん」
ミセ*゚-゚)リ「ん……」
親和を行使したミセリが、静かに動く。
──『縞』。
野犬狩りの内に獲得した、ミセリの歩法、無音高速の舞踏。
一足ごとにより強く足を踏み込み、間合いを詰め、──
(#゚;;-゚)「……速さはそろなりにあるようだな。だが」
ミセ;゚-゚)リ「ッ!」
( #゚;;-)「まだ、俺には届かん」
ミセ; д)リ「かっ……!」
──ミセリの放った高速の一撃は、でぃの刀にあっさりと受けられた。
彼がいつ抜刀したのか、どのようにミセリの剣を受けたのか。
そして、どのようにミセリに反撃したのかも。ミセリには何も見えなかった。
気が付くと、地べたを転がっていた。
自身を襲ったのが鞘による打撃だと知ったのは、立ち上がってからだ。
ミセ;-д)リ「ぐ……ぅ、」
脇腹に走る、呼吸が止まる程に深い痛みに、ミセリは咳き込んだ。
口元を押さえた手が、吐き出した血の色に染まる。
(#゚;;-゚)「……」
でぃはただ無表情にミセリを見下ろすのみ。
もし彼が本気でミセリを殺そうとしていたならば、この僅かな時間のみでも数度はそうできたはずだ。
圧倒。
強さの格が違いすぎる。
…
川 ゚ -゚)「ふん、呆気ないな。あんなチビがでぃに勝てるはずが無いだろう」
決闘を続ける2人から少し離れたところで、素直が呟く。
血を吐いて噎せ込むミセリは、未だ立ち上がれる様子がない。
同じく二人の決闘を見つめるハインも、何も言わなかった。
川 ゚ -゚)「そろそろ止めに入ったらどうだ? もう終わったも同然だろう?」
从 ゚-从「……いや」
ハインがミセリを指さす。
2人の視線の先で、少女は体中の力を振り絞って立ち上がろうとしていた。
ミセ;>д)リ「いてて……このぉ……!」
从 ゚-从「そう簡単には終わらないさ」
ミセリは剣を握り直す。
その瞳は未だ緑の輝きを失っていない。
ハインの目が、剣を交える二人を冷たく見据える。
……
(#゚;;-゚)「……」
ミセ; дメ)リ「ゲホッ、ゲホッ、ぐ……」
川;゚ -゚)「お、おい! いい加減に諦めろ!」
素直がだす大声が、遥か遠く聞こえる。
あれから数分の間に、何度地面に転がされたのかも分からない。
鞘で、柄で、拳打で、掌打で、肘打で。
ミセリの小柄な身体は一撃ごとに宙を舞い、今や立つ事すらままならない。
でぃはミセリに刃を向けようとしない。
そんな必要すら無いほど力の差は開ききっている。
牙を向いて見せる必要すらない程の、非常な力の差。
一太刀すら入らない。髪の毛一筋にも触れられない。
ミセリには、それが悔しかった。
ミセ; дメ)リ「……やだ」
殆ど意地だけで、意識を、親和を繋ぎ止める。
自分を心配している素直の声でさえ、今のミセリには鬱陶しい。
もう少し、なんだ。
川;゚ -゚)「く……お前も何か言ったらどうだ!」
从 ゚-从「……本人がまだやると言っている」
川;゚ -゚)「~~~~!!」
そう、それでいい。
お願いだから、邪魔しないで欲しい。
せっかく……掴みかけてきたんだから。
(#゚;;-゚)「……まだ諦めないか」
不思議だなぁ。ミセリは思う。
どうして、素直さんが張り上げる大声よりも、でぃさんの声は強く響くんだろう。
私が諦める? そんなはずがない。
だって……私は、こんなにも楽しんでいると言うのに!
ミセ; ーメ)リ「、当たり前じゃん」
(#゚;;-゚)「……そうか」
川;゚ -゚)「!? おい、でぃ! よせ!」
でぃが、ミセリに刃先を向けた。
肘を畳んで脇に構えた型は、必殺の突きを放つ型。
次の一撃は、本当に加減無しで打ち込まれるだろう。
(#゚;;-゚)「殺す気で撃つ。死ぬ気で避けろ」
ミセ* ーメ)リ「……」ニッ
川;゚ -゚)「……」
从 ゚-从「……」
(#゚;;-゚)「……行くぞ」
でぃがぴたりと動きを鎮めた。
ミセリの世界から音が消える。
──一閃。
(#゚;;-゚)「……!!」
川;゚ -゚)「な……!」
从 ゚∀从「……」ニッ
ミセ;゚ーメ)リ「……へへ。やっと捕まえたよ」
でぃが刀を突き出したその両腕を、ミセリはしっかりと脇に絡め取った。
途切れかけた意識を必死につなぎ止め、上半身を振りかぶる!
ミセ#゚ーメ)リ「今までボコスカやってくれた、お返しだッ!」
(# ;;-)「ぐ……!」
腕を取られ身動きが取れないでぃを、ミセリの渾身の頭突きが入る!
…
(# ;;-)「う、おぉあああッ!」
全身のバネを使って放たれたミセリの一撃に、でぃは倒れなかった。
脳髄を揺さぶる激しい衝撃に、それでも耐えた。
力を使い果たし崩れ落ちるミセリを視界に捉えると同時に、本能が体に命令を下す。
両腕を封じるミセリの腕は、すでに外れている。
このまま刀を振り下ろせば、
川#゚ -゚)「でぃッ!!」
从 ゚-从「もう止めろ。もう十分だろう?」
力を使い果たし倒れたミセリの前に立ち塞がる者が居た。
よろめいたでぃが咆哮と共に振り上げた刀を掴む者が居た。
素直クール。ハインリッヒ高岡。
(#゚;;-゚)「……!」
でぃは戦慄した。もし二人の介入が無ければ、自分はミセリを斬り殺していた
だろう。
この倒れ伏す少女の気迫に、最後は完全に呑まれていた。
これでは……!?
(#゚;;-゚)「……!?」
ミセ; -メ)リ「まだ、まだ戦えるよ。私は、まだ負けて、ないッ!」
川;゚ -゚)「……」
少女が、四肢を踏ん張り、身を起こそうとする。
幾つもの傷を体に刻み、尚も立とうとする。
この先どれだけ打ちのめそうと、きっとこの小さな勇者は諦めない。
(#゚;;-゚)「……引き分けだ」
ミセ; -メ)リ「なに言って、……げほっ」
(#゚;;-゚)「底なしのバカを降参させる手段など無い。まだ熊と戦う方がマシだ」
踵を返すと、相棒の困惑と安堵の混じった顔が目に入る。
川 ゚ -゚)「でぃ?」
( #゚;;-)「帰るぞ、クー。いずれにせよ、害獣は駆逐した」
川 ゚ -゚)「……ああ」
(#゚;;-゚)「ミセリ。この勝負は次に持ち越しだ。それまで、無駄死にするなよ」
ミセ; -メ)リ「待、って……」
出来るなら、と、でぃは心中で付け加えた。
出来るなら、次は戦いでない形で会ってみたい。
…
身体中が痛み、動く事すらままならない。
ハインの手を借りながらミセリがようやく立ち上がった時には、既にでぃ達の姿は無かった。
――何が引き分けなものか。私は、たった一撃しか入れられなかった。
俯いたままでいるミセリの頭を、ハインが平手で殴る。
从 ゚∀从「無理すんな、バカタレ」
でぃの打撃よりマシとは言え、やはり痛い。
だが、涙が止まらないのは、決して痛みのせいではない。
ミセ; -メ)リ「……私、あいつに……」
从 -∀从「ああ、お前の勝ちだ」
ミセ; -メ)リ「何を……きゃあ!?」
何を言っているの、と続けようとした。
しかし、首筋の打ち傷を走る生暖かい感触が、ミセリの思考を吹き飛ばす。
ミセ;゚дメ)リ「? ……!?」
(・(エ)・)「クマー!」
从 ゚∀从「ほら、それがお前が勝ち取ったものだ」
子熊は、ミセリの傷を丁寧に舐め続けた。
そう、まるで、最後まで戦い抜いたこの戦士を労るように。
从 ゚∀从「カッコよかったぞ」
ミセ*;-メ)リ「……うん」
っ((エ)・ )「?」
子熊が傷を舐める暖かさが伝わり、ぐちゃぐちゃに縺れていた心が解れてゆく。
小さな温もりを、ミセリは両腕できつく抱き締めた。
……
ミセ*゚ーメ)リ「ごめんね、ハイン。つい感情的になっちゃって」
从 ゚∀从「俺は謝るような事は何もされていないがな。あまり無茶はするなよ?」
ミセ*゚ーメ)リ「わかってるよ。だから、ごめん。それと、ありがとう」
緑の精霊は、生命を司る。
その力は戦闘のみならず、身体を活性化させる事で傷の治癒を行うことすらその腕中に含む。
ハインの助けも有り、ミセリは何とか立てる程度に回復した。
全身の痛みは相変わらずだが、それも直に消えるだろう。
骨や内臓を痛めていないのは、でぃが上手く加減していたから。
それに思い至ったミセリは、改めて彼の技術の深さに感じ入る。
从 ゚∀从「それで、そいつはどうするつもりだ?」
ハインは子熊を顎で指す。
先ほどポン太と名付けられた子熊は、ミセリを見上げて首をかしげて見せた。
ミセ*゚ーメ)リ「ん? んー……、一緒に来る?」
(・(エ)・)「?」
ミセリが問い掛けると、子熊は暫く首を傾げていたが、やがて小さく一声「クマ」と鳴いた。
ミセ*゚ーメ)リ「来るって言ってるみたい」
从;゚∀从「嘘つけや」
嘘じゃないよ、たぶん。
どうあれ、ミセリは小熊をこのまま放り出す気は無い。
ミセリの意思の固さは、ハインも知っている。
ミセ*゚ーメ)リ「それで、ハイン? ハインは私を認めてくれるんだよね?」
从;-∀从「あー……、うん、わかってるよ……」
ハインは渋々頷いた。
从 -∀从「お前、放っておいたらどんな無茶やらかすか分からないからな。
……俺が飽きるまでは滅茶苦茶厳しく指導してやるよ」
……それに、ハイン自身がミセリを気に入ったことも、大きな理由だ。
ミセ*゚ーメ)リ「強くなって、次にでぃさんに会う時には私がボコボコにしてやる!」
从;-∀从「……いや、まぁ頑張れよ」
ハインの苦笑の意味にミセリが気付くのは、それから更に数時間の後の話。
……
( ^ω^)「おっおっ! 食事の時間だおっ!」
川 ゚ -゚)「あ……」
(#゚;;-゚)「む」
先に食卓に座っていた二人を見て、ハインの口角がつり上がる。
从 ゚∀从「案外、早い再会だったな」
ミセ;-ーメ)リ「そーですねー……」
っ(・(エ)・ )「クマー……」
二人はミセリと子熊を視界に認めたようだ。
ハインの目が愉悦に光る。
从 ゚∀从「えぇと、お前さっき何て言ってたかなぁ?」
ミセ;-ーメ)リ「……記憶に、ございません……」
っ( ・(エ)・)「クマ?」
素直……クーはミセリの頬の傷を見て、少し申し訳なさそうな顔になった。ああ、クーさん達は別に悪くないのに。
……ハインの肩が楽しげに揺れる。
从 ゚∀从「クックッ、次会う時にはボコボコにしてやる、だったよなぁ。……さ、頑張れ」
ミセ;-ーメ)リ「いやいや、今すぐは流石にちょっち勘弁願いたいッス……」
っ( ・(エ)・)「クマー」
从 ゚∀从「なぁ二人とも──」ミセ#゚дメ)リ「止めてぇぇえ!?」
こうしてハインはミセリの師となり、しばし彼女を教え苛め導くこととなる。
……これは樹海を歩む少女の物語。
樹海を歩む少女が、彼女の師たる射手と出会った頃の物語。
樹海を旅する剣士が、侍と銃士の二人組と出会った頃の物語。
第二話『勇姿の在り方』了