January 02, 2011
( ^ω^)ブーンはモンスターハンターのようです 第8話
第八話「猪突猛進!ドスファンゴ…?」
―――雪山・エリア8―――
舞台は再び、極寒の地、雪山。
そこを、一人のハンターが駆けて行く。
(iiメ゚ω゚)「はぁ、はぁ……ッ!
じょ、冗談じゃないお…!」
岩影に身を隠し、息を整えようとするが。
ざっ、ざっ、と雪を踏み鳴らす音が聞こえてくる。
まずい。
“あれ”に見つかってしまえば、また大変になる。
しかし、このままじっとしていても、いずれは見つかってしまうだろう。
少年は意を決して、赤い刃を持つ剣を握り締める。
彼が、何故このような状況に陥っているのか。
それは、二時間ほど前まで溯る。
―――ポッケ村・ブーン宅―――
(* ^ω^)「………」
何時にも増して、にこやかな笑顔を浮かべるブーン。
その理由は、彼の目の前に置かれた武具にあった。
(* ^ω^)「これが、【ドスバイトダガー】と、【ランポス】シリーズかお…!」
つい先ほど工房の主人から受け取り、包みの袋を開いた。
【アサシンカリンガ】を、“ドスランポス”の爪を使って強化した【ドスバイトダガー】は、刀身が血の様に赤い。
何より、【アサシンカリンガ】よりも刃こぼれしにくくなっているため、使い勝手がよくなっているのだ。
また、“ランポス”の皮や鱗をふんだんに使って作られた防具、【ランポス】シリーズは、以前までブーンが愛用していた【マフモフ】シリーズとは比べ物にならないくらいの頑丈さを誇る。
しかし、【ランポス】シリーズのヘルムは見当たらず、変わりに盾を模した小さなピアスが置かれている。
(* ^ω^)「初めて自分で武具を揃えたお」
【アサシンカリンガ】はギコとしぃの助けを借りた。
【マフモフ】はハンターズギルドに自分の名を登録した時に支給された品。
つまり、ブーンが自分の力だけで集めた素材から作られた武具は、この【ランポス】シリーズや【ドスバイトダガー】が初めてになるのだ。
「こんにちは、ブーン君。
………おや、なにか嬉しい事でもありましたか?」
不意に、男が丁寧な口調で声を掛けてくる。
( ^ω^)「こんにちはですお、フォックスさん。
まぁ、ちょっと……ですお」
爪'ー`)「おや、それは…新しい装備ですか。
……その様子なら、心配は無さそうですね。」
( ^ω^)「おっ?」
フォックスは、ブーンが“ドスギアノス”に敗れた、という話を人伝に耳にしたフォックスには、一つの心配事があった。
それは、ブーンがハンターを辞めてしまう事だ。
父の仇を討つためだけに、ハンターとしての道に踏み込み、生きてきたブーン。
その目的がなくなってしまえば――――
しかし今のブーンを見て、その不安は霧散していくこととなる。
爪'ー`)。o(ブーン君、以前よりも生き生きとしていますね。
これなら、安心ですね)
心の中で安堵の息をつくフォックス。
爪'ー`)「ちょっと失礼…」
懐から煙管を取り出し、口にくわえる。
爪'ー`)y-「ブーン君は、次はどんな依頼を請けるおつもりですか?」
( ^ω^)「もちろんモンスターの狩猟だお!」
新しい装備を、実戦で使ってみたいのだろう。
その気持ちは、まだ駆け出しハンターであるブーンにとっては、尚更の事だった。
爪'ー`)y-「だんだん、モンスターハンターらしい依頼をこなしているみたいですね」
( ^ω^)「はいですお!
もっとがんばりますお!」
一通り、自分の気持ちを言葉にしたブーンは、今まで眺めていた武具を装備し、出かける準備を整える。
爪'ー`)y-「おや、早速依頼を請けにいくのですね?」
そうですお、とフォックスに伝え、家を出ようとするブーンを、慌てて呼び止めるフォックス。
爪;'ー`)「ち、ちょっと待って下さい…!
私も帰りますから、戸締まりはきちんと!」
フォックスが家を出たのを確認した後、施錠する。
爪'ー`)「では、頑張って下さいね」
( ^ω^)「ありがとうございますおー!」
村長の元へ向かいながら、礼をした。
175 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/31(火) 23:27:23 ID:s3SLt6qIO
村の中心に向かう途中、鍛冶工房にも顔を出そうと考えたブーン。
改めて、装備を作ってくれた礼をしようと思ったからだ。
店の前に着くと、縦巻き髪の少女が、鍛冶屋の主人となにやら話し込んでいる様だった。
( ^ω^)「こんにちはだお、シャキンさんに……ツン?
何でこんな所にいるんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「こんにちはブーン。 別に、たいした用じゃないわ。
あんたこそ、どうしたのよ」
( ^ω^)「シャキンさんに、装備のお礼を伝えにきたんだお」
(`・ω・´)「お礼にきたって事は、装備はブーンに馴染んだみたいだな!」
袋に入った荷物をしまっていたシャキンが話しかけてくる。
(* ^ω^)「それはもう、ばっちりですお!」
ξ゚⊿゚)ξ「ふーん…
新しい装備、作ったんだ」
( ^ω^)「おっおっお、素材がたまたま集まったんだお」
先日、密林で良く採集できる〈特産キノコ〉を集めて欲しい、という依頼を請けた時に、以前とは別の個体の“ドスランポス”が襲いかかってきた。
その際、ブーンは見事返り討ちにしてみせた。
そして、ランポスの素材が十分な量が集まったのである。
( ^ω^)「自分で集めた素材から作った装備は、愛着感が湧くおね」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなものなの?」
ツンがシャキンに話を振る。
(;`・ω・´)「んー、俺はハンターはやったことないから良く分からないな」
( ^ω^)「そんなものだお」
そんな雑談を少し楽しんだ後、本来の目的を思い出すブーン。
(;^ω^)「あ。そういえば、これから依頼を請けに行くんだったお」
ξ゚⊿゚)ξ「ふーん…
無茶はしない事ね」
(`・ω・´)「頑張ってこいよ!」
(^ω^ )「ありがとうですおー」
そうして、鍛冶工房から出発した。
―――ポッケ村・中心―――
(#゚;;-゚)「おや、ブーン殿。
今日の依頼はこんなものがきているよ」
( ^ω^)「お、どれどれ…」
それは、“ドスファンゴ”の狩猟を目的とした依頼だった。
猪のような姿をしていて、外敵を見つけた途端に猛突進を繰り出してくるモンスター、“ファンゴ”達のリーダーだ。
( ^ω^)「場所は………雪山…?」
(#゚;;-゚)「そう、雪山さ」
ブーンの独り言に相槌を打つでぃ。
( ^ω^)「ん~、分かりましたお!」
早速、雪山へと向かう。
(#゚;;-゚)「今回も、気を付けていくんだよ」
( ^ω^)「はいですお!」
そうして、一人雪山へと歩を進めた。
―――雪山・ベースキャンプ―――
( ^ω^)「なんだか、久し振りだお」
最近は、ずっと密林での依頼をこなしていた為に、雪山を訪れていなかった。
( ^ω^)「〈応急薬〉よし、〈携帯砥石〉よし、〈携帯食料〉よし…」
ブーンも慣れたもので、手際良く支給品をポーチへとしまっていく。
( ^ω^)「よし、行くお」
そう言って、ベースキャンプから駆け出した。
―――だが、すぐに引き返してくる事になる。
180 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/31(火) 23:33:06 ID:s3SLt6qIO
:(( ゚ω゚)):「さぶぶぶぶぶぶぶ………」
これまでのようにエリア4―――氷洞に進入したブーンは、一つの事が頭から抜け落ちていた。
それは、寒さから身を守ってくれていたのは、【マフモフ】シリーズだった、という事。
今、ブーンが身に着けているのは【ランポス】シリーズなので、本来の寒さがブーンに襲いかかってきたのだ。
それからすぐにベースキャンプへ引き返し、寒さを緩和してくれる飲み物を取りに戻った。
( ^ω^)「ほ、〈ホットドリンク〉飲むお…」
以前、しぃも飲んでいた〈ホットドリンク〉を飲み干す。
ピリッとした辛さが舌を刺し、その後に体の中からじんわりと暖まってきた。
( ^ω^)「おぉ…
これなら寒さもへっちゃらだお」
気を取り直し、再び雪山へと向かって行った。
181 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/31(火) 23:34:44 ID:s3SLt6qIO
―――雪山・エリア7―――
エリア4、5、6、と通過し、エリア7まで足を運んだブーンは、一目でそれとわかるモンスターを発見する。
巨大な体躯に、巨大な牙。
外見は猪なのだが、大きさが桁違いだ。
遠くから見ても、“ドスギアノス”よりも大きい事がわかる。
( ^ω^)「あいつが“ドスファンゴ”かお…」
先制を取るべく、駆け出したブーンが踏み鳴らした、ざくり、という雪の音。
小さな音すらも聞き取り、“ドスファンゴ”はブーンの存在に気付く。
182 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/31(火) 23:36:00 ID:s3SLt6qIO
(;^ω^)「ちょ、ばれたお!」
まだ離れた位置にいるのに気付かれてしまった。
これでは、先制を取れたとしてもあまり効果は上がらないだろう。
(# ^ω^)「でも、突っ込んでいくしかないお!」
赤々とした刃を持つ剣を腰から抜き取り、“ドスファンゴ”へと駆けて行く。
すると、“ドスファンゴ”もブーンの駆けてくる方向へと向かっていく。
もちろん、突進という形で、であるが。
(;゚ω゚)「うぐっ!?」
思わぬ攻撃の直撃を受ける。
“ドスファンゴ”ほどの巨体から繰り出せるとは思えない速度の突進を食らってしまったブーンはいとも簡単に突き飛ばされてしまう。
(#メ゚ω゚)「いきなり何するんだおッ!」
自分を先制を取ろうとしていた事を棚に置き、怒りを顕にする。
(メ ^ω^)「【ランポス】シリーズ、凄く頑丈だお…!」
あの突進を受けても強く打ち付けただけで済んだのは、紛れも無く新調した防具のおかげだった。
再び突進してくる“ドスファンゴ”であるが、横に向かっての軽いステップで小さく躱し、側面に位置取る。
幾度かの中型モンスターの狩猟をこなした経験から、モンスターの側面は比較的攻撃を受けにくく、逆に自分は攻撃しやすい位置である事が分かっていた。
それは“ドスファンゴ”に対しても例外では無い様で、“ドスファンゴ”が体制を整えるまでの短い時間ではあるが、一方的に斬りつける事ができた。
(メ ^ω^)「この剣も、全然違うお!」
以前までの【アサシンカリンガ】から、切れ味の具合こそ変わらないものの、刃の強度が段違いだった。
刃こぼれしにくいその刃を振るえば振るう程に、自身と同じ赤の色を浴びていく。
“ドスファンゴ”が、急に振り向く。
(;メ^ω^)「おっ! なんだお!?」
突進を始める。
(;メ゚ω゚)「やばいお!」
咄嗟に腕を自分の前で交差させる。
しかし、何時までたっても予想していた衝撃は訪れない。
(メ ^ω^)そ 「おっ!?」
“ドスファンゴ”が突進していったであろう方向に振り返ると、すでに遠く離れた位置にいた。
そのままエリア7から離脱していまい、“ドスファンゴ”を見失ってしまう。
(メ ^ω^)「逃げられたお…」
しかし、逃げたという事はブーンの事を脅威と認識したからに他ならない。
ブーンもすかさず後を追っていった。
―――雪山・エリア6―――
“ドスファンゴ”は、間違いなくこのエリアへと逃げ込んできた筈だ。
だが、どこを見回せども、茶色の剛毛に覆われた巨体を見つける事は叶わない。
(;メ^ω^)「いったい、どこに逃げたんだお…」
その時、背後から雪上を駆ける音が聞こえてきた。
(^ω^メ;)彡 「不意打ち狙いだったのか……」
(゚ω゚メii) 「お………」
みるみるうちに、ブーンの顔が青ざめてゆく。
それもその筈。
背後から接近してきているのは、“茶色の巨体”ではなく、“黄色の死神”だったのだから。
(;メ゚ω゚)「な、なんで………」
(;メ゚ω゚)「なんで“ティガレックス”がいるんだおぉぉぉッ!?」
――――それから、ブーンの逃走劇は始まるのだった。
“ティガレックス”の突撃を躱し、エリア8へ通じる道へ向かう。
“ティガレックス”と対峙するのは三度目という事もあってか、轟竜の攻撃を上手く回避しつつ、エリア8へ逃げ込む事に成功する。
187 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/31(火) 23:43:17 ID:s3SLt6qIO
―――雪山・エリア8―――
(iiメ゚ω゚)「はぁ、はぁ……ッ!
じょ、冗談じゃないお…!」
そして、今に至るのだった――――――
一人の少年が赤い刃の剣を手に、岩影から轟竜の様子を伺っているころ。
もう一人の少年が、茶色の巨体に追い回されていた。
―――雪山・エリア7―――
(;'A`)「う、うわぁッ! 来るなぁッ!」
金属の槌をがむしゃらに振るう。
だが、そのような攻撃が命中する筈もなく。
小柄な少年の身体が宙に舞う。
(メメ A )「ぐッ…
なんだよ、これ……」
自分はただ、〈ポポノタン〉を集めてくるだけの依頼を請けた筈だった。
なのに、目の前には猛り狂い、鼻を鳴らす巨大な猪がいる。
(メメ A )「あぁ、そういや」
あいつも、〈ポポノタン〉を探す時に“轟竜”に遭遇したって言ってたっけな。
そう心の中で呟いた時、再び強い衝撃により突き飛ばされる。
(メメメメA )「どんな事にも油断すんな、って事か…」
一瞬、影が自分を覆ったと思えば、地響きが鳴り響く。
その方向に目を向けたドクオは、抗う事を諦めた。
そこにいたものは、紛れも無く“ティガレックス”。
これにより、前には“ティガレックス”。
背後には“ドスファンゴ”。
これを、絶望と言わずして何と言うのか。
駆け出しの身であるドクオには、切り抜ける事すら、荷が重すぎるのだ。
(メメメメ'∀`)「へへっ、短い人生だったなぁ…」
全てを諦め、槌を背に掛け、目を瞑る。
その時だ。
『させるかおぉぉぉぉ!!!』
いる筈の無い親友の声が聞こえてきたのは。
(メメメ-A-)「!?」
一瞬、瞼の向こうが明るくなり、すぐに落ち着く。
目を開けると、もがく“ティガレックス”。
背後をみれば、“ドスファンゴ”がひっくり返ってじたばたしているではないか。
(メメメ'∀`)「……流石だ、大した奴だぜ…!」
――――ブーン!――――
親友の名を叫びつつ振り向く先には、息を切らした少年の姿がある。
(;メ^ω^)「ま、間に合ったかお!?」
“ティガレックス”を追い、エリア7にきてみれば、取り逃がした“ドスファンゴ”と“ティガレックス”に挟まれたドクオを見つけた為、〈閃光玉〉を使い、2頭の動きを封じたのだ。
(メ ^ω^)「今のうちに逃げるお!」
(メメメ'A`)「おう!」
そうして、二人はエリア6へ退却する。
―――雪山・エリア6―――
(メ ^ω^)「ふぅ、一段落だお」
+(;メ'A`)つU.*「なんでブーンがいるんだ?
それに、“ティガレックス”も…」
ドクオは、〈応急薬〉を使い、傷を治療しつつブーンに訪ねる。
+`(;^ω^)つU*「そ、そんな事知らないお。
多分、村長さんのミスだお」
本来、村長から受ける依頼は、一人でこなす事になっている。
モンスターが、同種と比べて比較的弱いものと判断された依頼だからだ。
その為、同じ地区に同時にハンターを送り出す事は無い筈なのだが。
+('A`)つU'*「まぁ、そのおかげで助かったから、何も言わないけどな。
ブーンもありがとな」
( ^ω^)「おっおっお、気にするなお」
('A`)「さぁ、これからどうしようか」
( ^ω^)「ドクオはどんな依頼を請けているんだお?」
('A`)「俺は、〈ポポノタン〉の収集だ。
麓に“ポポ”がいなかったから、上まで登ってきたら…この有様さ」
以前、ブーンも〈ポポノタン〉収集をした時にも、“ティガレックス”は現われた。
恐らく、“ポポ”の死肉を狙ってやってくるのであろう。
('A`)「で、お前は?」
( ^ω^)「“ドスファンゴ”の狩猟だお」
('A`)「やっぱりそうか…
あの村長がミスするってのも珍しいな」
のんびりと雑談を交わす二人だが、今は2体のモンスターが近くを徘徊している状態だ。
( ^ω^)「うーん、何とかして“ドスファンゴ”をやっつけたいお」
('A`)「そういや、さっきお前なんか使ってなかったか?」
( ^ω^)「お? 〈閃光玉〉かお」
('A`)「そう、それだ。
あれを使って足止めできないのか?」
確かに、〈閃光玉〉は2頭のモンスターの動きを封じる事ができた。
だが、それはできない。
何故なら。
(;^ω^)「実はあれ、自分で試しに作った物だったから、一つしか持ってないんだお…」
(;'A`)「そ、そうか…」
単純な話、所持数が少ないからだった。
(;'A`)「くそっ…
どうすりゃいいんだ…」
( ^ω^)「………」
ブーンは、雪山の地の細部を思い出す為に、意識を集中させていた。
この状況を、切り抜ける策を編み出す為に。
( ^ω^)。o(ここいらで集められる物と言えば…
〈ネムリ草〉だおね)
その名が示す通り、含まれる成分に催眠作用がある〈ネムリ草〉。
扱いも簡単で、手軽に利用できる植物として、ハンター達の情報誌にも取り上げられていた。
問題は、催眠成分をモンスターの体内に撃ち込む方法だが。
(;^ω^)。o(武器に塗り付けたら、武器本体が壊れやすくなっちゃうお…)
ハンターの武器は、本来の使用法からずれた扱いを取ると、刃こぼれを起こしやすくなったり。
或いは、刀身が錆び付いたりと、調子を悪くしやすくなる。
その時、ドクオがぽつりと言った一言が、この問題の、解決の糸口となる。
('A`)「そういやさ、エリア7の所にベースキャンプの残骸があったが…
〈閃光玉〉とか残ってるんじゃないか…?」
( ^ω^)「!」
ドクオよりは、この雪山の地に詳しいブーン。
故に、ベースキャンプ跡地には、〈閃光玉〉は残っていない事を知っている。
だが、それとは別に、利用できそうな道具が残っていた事を思い出したのだ。
( ^ω^)「そうだお…、あれを使えば!」
('A`)「やっぱり、何か残ってるんだな!?
よし、早速いくぞ!」
(;^ω^)「ちょ、そんな焦るなお。
あいつらに見つかったら、大変な事になるお」
急ぐドクオをなだめつつ、二人はエリア7へと向かって行った。
196 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/31(火) 23:56:42 ID:s3SLt6qIO
―――雪山・エリア7―――
先ほどまでこのエリアを徘徊していた“ドスファンゴ”や“ティガレックス”は見当たらない。
エリア7に隣接したエリアは3ヶ所あるが、一つは狭いスペース。
もう一つはブーン達がいたエリア6であるため、残るエリア8にでも行ったのだろう。
( ^ω^)「よし、じゃあ探すお」
(;'A`)「本当に上手くいくのか…?」
成功を信じるブーンと、疑うドクオ。
それは、ほんの僅かな経験の差でも大きく現われていた。
( ^ω^)「まぁ、だめだったらそれでお終いだお。
だったら、今やれる事を全力でやってみるお」
('A`)「……分かった。 お前を信じよう」
どうせ自分に出来る事は無いのだ。
なら、対抗の手段を持つ者に任せてみよう。
ドクオは、そんなことをひっそりと胸に思う。
197 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/31(火) 23:58:12 ID:s3SLt6qIO
少しの間、ベースキャンプ跡地を探ると、目的の物が集まる。
( ^ω^)「よし、後はこれをこうして…」
('A`)「……」
( ^ω^)「よし、できたお!」
数は5。
少し心許無いが、長い間とどまるとあの2頭が襲ってくる可能性があったため、道具を探す時間を取れなかったのだ。
( ^ω^)「なるべくなら、2頭同時に相手にするのは避けたい所だお…
お?」
ふと視線を向けると、そこにいたはずのドクオがいない。
どうしたのかと辺りを見回すと、金属の槌【ウォーハンマー】を振るって、“ポポ”に殴り掛かっている。
やがて、息絶えた“ポポ”を解体し、〈ポポノタン”の剥ぎ取りを始めた。
少しの間、ベースキャンプ跡地を探ると、目的の物が集まる。
( ^ω^)「よし、後はこれをこうして…」
('A`)「……」
( ^ω^)「よし、できたお!」
数は5本。
少し心許無いが、長い間とどまるとあの2頭が襲ってくる可能性があったため、道具を探す時間を取れなかったのだ。
( ^ω^)「なるべくなら、2頭同時に相手にするのは避けたい所だお…
お?」
ふと視線を向けると、そこにいたはずのドクオがいない。
どうしたのかと辺りを見回すと、金属の槌【ウォーハンマー】を振るって、“ポポ”に殴り掛かっている。
やがて、息絶えた“ポポ”を解体し、〈ポポノタン〉の剥ぎ取りを始めた。
199 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/01(水) 00:00:46 ID:MOg7k0/kO
(*'A`)「……悪い、ブーン。
依頼の品が集まったから、一足先に戻るぜ」
( ^ω^)「なん…だと…?」
とは言ったものの、中型より大きいモンスターとの戦闘経験が、ドクオは無い。
それなのに、自分の狩りに付き合わせる訳にもいかないだろう。
( ^ω^)「お、じゃああいつらが来ない内に戻るといいお」
('A`)「ああ、分かった。
次は、一緒に狩りを出来るといいな!」
( ^ω^)「おっ!」
先に繋がる約束を結び。
ドクオは先にベースキャンプへと帰還していった。
何かが、近付いてくる感覚を感じ取る。
死の気配を放つモンスターは、今のブーンは一種しか知らない。
振り返ると同時に、何かが降り立つ。
降り積もった雪が舞い上がり、煙のように辺りに立ち込める。
やがて、雪煙がはれると、目の前には“ティガレックス”が君臨していた。
(ii^ω^)「何度前にしても、背筋がゾクッてするお」
未だ慣れない感覚がブーンを蝕んでいくが、動けない事はない。
201 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/01(水) 00:03:28 ID:MOg7k0/kO
( ^ω^)「“ドスファンゴ”がきたら面倒だし、早めに終わらせるお!」
ブーンの言う、終わりとは命を奪う事ではない。
ブーンは、懐から何かを取り出す。
それは、ごく小さな刃。
投げ放つ為だけに作られた刃だ。
その刃には、〈ネムリ草〉をすりつぶし、出てきた汁を塗布してある。
これならば、武器を痛める事なくモンスターに睡眠毒を撃ち込めるのだ。
(# `ω´)「お!」
一本目を放つ。
〈投げナイフ〉に睡眠毒を塗り込んだ、〈眠り投げナイフ〉は“ティガレックス”の前脚に突き刺さる。
しかし、“ティガレックス”は気に止める様子も無く、ブーンに突進を仕掛ける。
(;^ω^)「やっぱ一本じゃ駄目かお」
距離が離れていた為に、余裕を持って躱す事ができた。
ついでに、後ろ脚に2本目の〈眠り投げナイフ〉を放ち、命中させる。
今度は、雪塊を腕の力で押し飛ばしてきたのを、盾でしっかりと防ぐ。
再び、“ティガレックス”が突進を始めたのを確認すると、素早くナイフを取り出し、突進を躱しつつ3本目を撃ち込む。
(;^ω^)「ぜ、全然変化無しだお」
睡眠毒の効果が全く現れない事に、焦りを感じるブーン。
――――雑念は、動きを鈍らせる。
よって、ブーンが“ティガレックス”に捉えられるのもごく自然な事だった。
(メメメメω )「ぐ、うぅ…」
突進に、雪塊飛ばし。
今まで、“ティガレックス”が繰り出してきた攻撃は、これくらいしかない。
全てが、前方への直線攻撃だ。
ならば、とブーンは“ティガレックス”の側面に位置取っていた。
そこに、ブーンの意表を突く攻撃を繰り出したのだ。
心の乱れによる反応の遅れもあり、その凶悪な爪の一撃を受ける事になってしまう。
(メメメメω )「くそ、早くしないと――――」
その先の言葉が紡がれる事は、無かった。
口にする必要が無くなったから。
恐れていた事態が、現実のものとなる。
(メメメメ゚ω゚)「そ、そんな…」
“ドスファンゴ”が現われる。
“ティガレックス”と“ドスファンゴ”は、互いの事は意に介さず、狙う獲物はブーン一人。
まずは、“ティガレックス”が突進を仕掛けてくる。
当然、ブーンは避けるしかない。
先ほどまでは、この瞬間に若干の隙が生まれ、些細な反撃が可能だったが、今はそれは出来ない。
後続として、“ドスファンゴ”の突進が迫っているからだ。
(メメメメ゚ω゚)「ッ!!」
何とか躱すも、既に“ティガレックス”は再び突進の体制に入っている。
(;メメメメ^ω^)「おおぉぉぉぉ!」
身を投げ出す様に躱すが、体制を立て直す前に迫るのは“ドスファンゴ”の猛突進。
(メメメメω )o(やられる…!)
そう確信すると同時に。
(#'A`)「うおぉぉぉらあぁぁぁッ!」
村へと戻った筈の友人が、槌で“ドスファンゴ”に殴りかかっていく雄叫びが聞こえた。
207 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/01(水) 00:12:08 ID:MOg7k0/kO
急な打撃によろめき、その脚を止める“ドスファンゴ”。
(;メメメメ^ω^)「ド、ドクオ!?
村に戻ったんじゃ!?」
('A`)「……俺さ、思ったんだ。
お前に助けてもらった時、お前〈閃光玉〉使ったろ?
もしあれが狩りに使う為の切り札だったら、ってな」
(;メメメメ^ω^)「そんな事…!
目の前で友達に死なれる程、嫌な事なんてないお!」
('A`)「……それは、俺も同じ事だ!」
槌の柄を握る手に力が入る。
('A`)「ブーン、俺はまだお前みたいに立ち回れないから、少しの間しか時間は稼げない。だから…
その間、“ティガレックス”を何とかしてくれ!」
できるんだろ、と聞くドクオに対し。
もちろんだお、と答えるはブーン。
未だ身体の節々が痛みを訴えるが、気力でねじ伏せる。
向かい合うは、“ティガレックス”。
(メメメメ^ω^)「さぁ、こいお!」
ブーンの叫びに答えるかのように、咆哮をあげる。
今の咆哮がドクオに影響を与えてはいないかと、横目で見たが、“ドスファンゴ”の意識を自分に向けさせる事で頭が一杯だからか。
何ら気にもしていないようだ。
突進を仕掛ける“ティガレックス”。
(メメメメ^ω^)「もう、それは見飽きたお!」
突進を躱し、生まれた隙に腕を【ドスバイトダガー】で斬りつける。
鱗が裂ける程度の傷しか付かなかったが、バックステップで少し距離を取った後、その傷を狙って〈眠り投げナイフ〉を放つ。
209 : ◆bUYB7.cOOs:2010/09/01(水) 00:15:42 ID:MOg7k0/kO
未だ身体の節々が痛みを訴えるが、気力でねじ伏せる。
向かい合うは、“ティガレックス”。
(メメメメ^ω^)「さぁ、こいお!」
ブーンの叫びに答えるかのように、咆哮をあげる。
今の咆哮がドクオに影響を与えてはいないかと、横目で見たが、“ドスファンゴ”の意識を自分に向けさせる事で頭が一杯だからか。
何ら気にもしていないようだ。
突進を仕掛ける“ティガレックス”。
(メメメメ^ω^)「もう、それは見飽きたお!」
突進を躱し、生まれた隙に腕を【ドスバイトダガー】で斬りつける。
鱗が裂ける程度の傷しか付かなかったが、バックステップで少し距離を取った後、その傷を狙って〈眠り投げナイフ〉を放つ。
針の穴を通す様な芸当だった。
傷を的確に捉えたブーンは思わず、口の端が吊り上がる。
離れているとこれしか出来ないのであろうか。
相も変わらず、愚直な突進。
(#メメメメ`ω´)「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
唸り声を上げつつ迫る“ティガレックス”の額に、最後の〈眠り投げナイフ〉を撃ち込んだ。
短い鳴き声を上げたかと思えば、急にその場に崩れ落ちる。
しかし、定期的に聞こえる寝息が、死んではいない事を物語る。
(メメメメ^ω^)「よし…!
ドクオ!」
(メメ'A`)「! やったか…!
…後は、任せたぜ!」
ドクオには幾らか新しく傷が付いていた。
でも、無事でよかったと思う。
(#メメメメ^ω^)「さぁて…てこずらせてくれたおね…?」
元々、ブーンの腕は“ドスファンゴ”には劣ってなどいないのだ。
この後は、ただひたすらに突進しか繰り返さない“ドスファンゴ”を一方的に痛め付ける形で、依頼の目的を達成させる。
(メメメメ^ω^)「鬼の寝てる間に帰るお…」
手早く剥ぎ取りを終えて、村へと戻るブーンだった。
―――ポッケ村・中心部―――
(;^ω^)「お…?」
(;'A`)「どういう事だよ…?」
(#゚;;-゚)「つまり、確かに同じ区域に派遣したのは私の間違いなんだけど…
一緒に戦った、って事実が良くなかったみたいでね。
ハンターズギルドの方に、報酬を没収されてしまったんだよ…」
どうやら、村長の元に集まる依頼は、全て『一人でこなす』為だけに義務付けられているらしく、今回の様に、二人以上で協力してはいけないのだとか。
(;^ω^)「でも、なんで…」
(#゚;;-゚)「……ハンターの実力がつかなくなるから、って理由みたいだね」
(#'A`)「チッ、なんかやり切れないぜ…」
( ^ω^)「こ、これは…?」
(#゚;;-゚)「報酬金は渡せないけど…
これは、私からのお小遣い、って事で受け取って欲しいのさ」
(;'A`)「そ、村長!?」
中身を覗いて見ると、今回受け取れる筈だった報酬金より、幾らか上乗せされた金額が入っている。
(;^ω^)「受け取れませんお!」
(#゚;;-゚)「いや、受け取りなさい。
お二人には受け取る理由があるんだ」
('A`)「…では、御言葉に甘えて」
( ^ω^)「受け取らせて頂きますお…」
そう言って、二人は共にその場を去った。
( ^ω^)「………」
('A`)「………」
今の二人の心境は。
(* ^ω^)「………」
(*'A`)「………」
興奮、冷めやまぬと言った様子だった。
形はどうあれ、同じ狩場に立ち、共に助け、助けられ。
仲間との狩りをしたのだ。
( ^ω^)「今度は、普通に」
('A`)「不正なんかじゃなく、堂々といきたいよな」
村長の優しさにより、実質的な罰は無かったが、やはり迷惑を掛けた事に違いはない。
次は、誰にも迷惑をかける事なく、仲間と共に狩りに出たい。
そう、心に決めたブーンであった。
第八話 end