February 02, 2011
ミセ*゚ー゚)リ樹海を征く者のようです 第一章 第一話
▼<・>(益)<・>▼「КкαααАН、……Κκυατθ!」
(*‘ω‘ *)「ちっ……!」
ミセ;゚-゚)リ「くう、」
▼<・>(益)<・>▼「ξιηεεαН! НКγηψψΑΗッ!」
ミセリとビロード、ちんぽっぽの3人は、ヨツマ近郊で大人の背丈ほどの大柄な野犬と戦っていた。
以前ミセリが戦った個体よりも大きく、素早い野犬。
もし一人で戦っていたならば、ミセリ程度の冒険者ならばすぐに殺されている。
もし、一人で戦っていたならば。
……しかし、ミセリはもう一人ではない。
( ><)「ぽっぽちゃん、ミセリちゃん、離れて欲しいんですッ!」
(*‘ω‘ *)「よし来た!」
ミセ*゚ー゚)リ「あいッ!」
▼<・>(益)<・>▼「ΓηεΙッ!?」
( ><)「食らうんです!」
2人が跳びすさった瞬間、赤の精霊によるビロードの攻撃が野犬を襲った。
▼< >(益)< >▼「、Ηηι^Δοεπ-βηψοΟ!!」
赤の精霊。その特質は、『力』。
圧倒的な破壊を司る赤の精霊は、五種類の精霊の中で最も攻撃的な色だ。
その働きは、打撃を強化し、爆炎を生み、稲妻を呼び起こす。
赤は血の色、炎の色、怒りの色――何より純粋な暴力の色。
直撃を受けた野犬の顔面が炎上し、動きが止まった。
苦悶に呻く獣をちんぽっぽのワンドとミセリの長剣が前後から叩く。
(*‘ω‘ *)「トドメだっぽッ!」
ミセ#゚ー゚)リ「ッ!」
▼<##(益)//▼「ΓγаΕββοαλΑΗαεッ、……」
2人の連撃に頭部を破壊され、野犬は巨体を地に横たえる。
ビクン、ビクンと数度痙攣した後、彼はその生命を終えた。
(*;‘ω‘ *)「ふぃぃ、なんとか倒せたっぽね……」
ミセ;゚ー゚)リ「本当、もうクタクタだよ……」
(; ><)「もうあんなのの相手は嫌なんです……」
ふらふらとその場にへたり込み、ビロードが呟く。
ビロードの持つ、特殊な親和能力。
彼は見つめた対象を精霊により発火させる事ができる。
これは彼の他に例のない貴重な能力で、そのせいで彼は幼少から天才として特別扱いされ続けてきたとちんぽっぽは言う。
ただ、普段はそう強い火力を出すことは出来ない上に時間がかかり、さらに本人が貧弱極まるという事情から、
あくまで戦闘のサポートとしての役目しか期待できないらしい。
ぐったりした様子のビロードを、ちんぽっぽが怒鳴り付ける。
(*#‘ω‘ *)「お前はもっと肉体労働しろっぽぉ!」
(; ><) そ「そんな! 僕は最初ずっと追いかけられたんです!」
(*#‘ω‘ *)「それはお前がド貧弱だからだっぽ! それが嫌なら鍛えるっぽ!」
(; ><)「無理ー! 無理なんですー!」
(*#‘ω‘ *)「じゃかぁしぃわっ! 女の子に守られなきゃ戦えないなんて、貴様本当にタマついてんのかコラ!」
(; ><)「ちょ、ぽっぽちゃん!? なんて単語口に出してるんですか!」
(*‘ω‘ *)「……ちょっと熱くなっちゃったっぽ。ごめんね、ミセリ」
ミセ;゚ー゚)リ そ「え、なんで私?」
(; ><) そ「普通は僕にじゃないですかッ!?」
(*‘ω‘ *)「さ、街に戻るっぽ。この調子なら、もう少し強い敵と戦ってもいいっぽ」
ミセ*゚ー゚)リ「そだね。ビロード君が居れば、安心して戦えるよ」
( ><) そ
(*><)「えへへ……任せて欲しいんです!」
(*‘ω‘ *)「……ミセリ、中々したたかっぽね」
ミセ*^ー^)リ
ミセ*゚ー゚)リ樹海を征く者のようです 第一章 新緑の木立
第一話『芽吹く若木』
56 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2010/12/22(水) 20:26:22 ID:3ylh27WoO
……
/ ,' 3「どうかね? 今年の若いのは」
背後から響いた冷たい声にモナーが振り返ると、彼の上司が立っていた。
ヨツマ市議会の頂点、荒巻スカルチノフ。
都市の公務一切を取り仕切る、冷酷な指導者。
冒険者上がりの鋭い眼光は、年を経ても尚変わらない不気味な輝きを持つ。
大衆に見せる温厚な仮面の裏側の、もう一つの表情。
( ´∀`)「荒巻議長。……今年は豊作ですモナ」
モナーが冒険者の名簿と簡単な資料の束を手渡すと、その厚さに荒巻は目を細めた。
/ ,' 3「ほう、確かに多いな。例年以上だ」
( ´∀`)「モナ。でも、それ以上に質も高いですモナ」
/ ,' 3「と言うと……ああ、影姫様や『邪視』の小僧も今年の成人だったか……」
( ´∀`)「はい。それと、今年はラウンジ出身の者がとりわけ多いですモナ」
/ ,' 3「む……。ほう、ラウンジの素直姓が2人!」
ペラペラと資料を捲り、荒巻が言う。
素直家は、流石家と並び立つラウンジ最大の名家で、家系には優秀な冒険者が多い。
両都市の関係が冷え切り交流が凍結した今も、彼らはヨツマとの縁を捨てていなかった。
このように優秀な冒険者が漏れ出す所を見ると、もはやラウンジに未来は無いだろう。
長年目の敵としていた都市の没落に、荒巻は落胆を隠しきれなかった。
/ ,' 3「他には……、『竜人』も『笛吹き』もこちらにきたか。確かに、稀に見る逸材揃いじゃの……」
しかし、この内の何人が信用に足るだろうか。荒巻は嘆息する。
彼が挙げたのは、いずれもラウンジで冒険者としての将来を期待されてきた若者ばかり。
幼少から高い親和を示し実力者の目に留まる例、それが今年ヨツマに来た冒険者に集中していた。
( ´∀`)「今年は大陸の冒険者も多いようですモナ」
/ ,' 3「面倒になりそうじゃのう……ん? これは?」
( ´∀`)「その娘は……」
荒巻が途中で資料を捲る手を止めた。
モナーが密かに気に掛けていた少女の名前を、彼も食い入るように見つめている。
/ ,' 3「……くっくっ、面白くなりそうじゃわい!」
( ´∀`)「ええ、楽しみですモナ」
その場に他の議員が居たとしても、彼らの反応を理解できなかっただろう。
記載されている情報からすると彼女に取り立てて秀でた親和があるわけでもない
その平凡な少女を、なぜ二人がこうも目にかけているのか。
荒巻が見つめる資料には、ミセリ・エメリアの名が記されている。
……
ミセ*゚ー゚)リ「護衛?」
(*‘ω‘ *)「獣狩りじゃない、だと……」
∬´_ゝ`)「そう。薬方院の採集者を護衛する、って内容よ。向こうから直々に指名があったわ」
( ><)「大仕事じゃないですか! すごいんです!」
突然言い渡された高報酬の任務に無邪気に喜ぶビロード。
彼が喜ぶのも無理はない。
『(ギルドの名前を記入してください)』(仮)が結成してから数週間、野犬狩り以外の仕事など紹介されたことが無かった。
……だから、ミセリは喜ぶより先に不審に思った。
薬方院は、市内での怪我人や樹海で負傷した冒険者の治療を行う、ヨツマの公機関だ。
その公機関の採集者という重要な人物の護衛には、本来ならばより高い階位の冒険者があてられる。
『(ギルドの名前を記入してください)』(仮)の階位はE。下から数えて二つ目。
つまり「トンズラしなかっただけマシ」ということ。
対して、それまで薬方院の護衛任務は主にB級からD級のギルドが対象だった。
ミセ*゚ー゚)リ「でも、そういう仕事ってもっとベテランのやる物じゃないの?」
∬´_ゝ`)「議会の方針らしいわ。例の、優秀なルーキーを伸ばそうってヤツ」
(* ><)「優秀だなんて……照れるんです!」
(*‘ω‘ *)「ビロ、アメちゃんやるからしばらく黙ってろっぽ」
言われてみれば、確かにここ数年で議会の方針は大きく変わってきている。
より積極的に若手を支援する事で、全体の底上げを図ろうというのだ。
最近では、ヨツマのベースキャンプ『キャラバン』で大規模な演習を行うなどと、信用に欠ける噂も流れている。
……この噂に関しては、議会の関係者が纏亭で酔って口走ったのが発生源である為、
ミセリはその信憑性を保証できるのだが。
ともかく、今回の依頼に関して姉者は何も知らないという。
∬´_ゝ`)「詳細は薬方院で聞いてちょうだい。期待してるわ」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、ありがとう」
……
……
ミセ*゚ー゚)リ「そうだ、そう言えば……二人はどの辺りに住んでるの?」
( ><)「あー、ええっと、それは……」
(*‘ω‘ *)「ビロ」
ミセリの何気ない問いに、ビロードは言葉を詰まらせる。
ちんぽっぽが咎めるように短く彼を制した。
(;><)「ご、ごめんなさいなんです!」
(*‘ω‘ *)「……いや、そうじゃないっぽ。私が話す」
ミセ*゚ー゚)リ「?」
二人の表情は強張ったままだ。
まずい事を聞いてしまったかと、ミセリは心配する。
(*‘ω‘ *)「私達は南西地区の、貧民街の孤児院の出身だっぽ。今もそこに住んでる」
(;><)「……」
ミセ*゚ー゚)リ「そうなんだ。私の家は東地区の南の方だし、もしかしたら結構近くなのかな」
( ><)「えっ」
(*‘ω‘ *)「ぽっ」
ヨツマの市街は、城壁の名残によって幾つかの区域に分割されている。
中枢府や王城がある北西地区、市場が半分以上を占める中央地区、居住地として南北に広がる東地区。
そして、貧困街である南西地区。
新世界には多数の孤児が存在する。
ヨツマの場合そうした孤児の多くは貧困街で生活している為、軽蔑や差別の対象になる事も少なくない。
その地区出身の者が起こす犯罪が少なからずある事は、動かしがたい事実だから。
(;><)「ま、待ってほしいんです! なんでそんな風にあっさり……」
ミセ*゚ー゚)リ「なんでって……言わなかったっけ、私は『纏亭』の一人娘だって?
お客さんの中には、南東地区出身の人も孤児院出身の人もいっぱい居るよ」
(*‘ω‘ *)「……初耳だっぽ」
ミセ*゚ー゚)リ「ま、そんな訳で、出身地は大して気にならないかなぁ?
それに、ビロ君たちはビロ君たちだよ」
( ><)「……ふっふっふ」
(*`ω` *)「ぽっぽっぽ……」
ミセ;゚ー゚)リ,,「な、なにさ?」
( ><)「実はですね、先週ぽっぽちゃんと賭けをしようとしたんです。
ミセリちゃんも僕たちの出身を聞いて嫌な顔をするかどうか」
(*‘ω‘ *)「結果は、まぁ見ての通り、だったっぽ」
ミセ;-ー゚)リ「ほぉ、私をダシにして賭けを楽しんでたとはね……」
ちんぽっぽが弾むような足取りで歩きだし、ビロードもそれに続く。
呆れ顔のミセリを、二人は不意に振り返った。
(*‘ω‘ *)「……あ、でも、賭けは成立しなかったっぽ」
( ><)「僕たちは二人とも、ミセリちゃんを信じる方を選んだんです」
ミセ*゚ー゚)リ
( ><)「さ、行くんです。依頼人さんが待っているはずなんです!」
(*‘ω‘ *)「ぽ。ミセリ、ボーっとしてたら置いてくっぽ」
ミセ*゚ー゚)リ そ 「ご、ごめん! 今行くよ!」
…
薬方院があるのは東地区。
市議会が中央地区の北西よりに位置しているため、そこに至るには街中を歩く必要がある。
ヨツマの石造りの広場は今日も活気に溢れている。
露店に並ぶ品は、樹海で取れる果実や作物、獣の肉がほとんどだ。
(*><)「ここはいつ来ても凄い活気なんです! 良い所なんです!」
(*‘ω‘ *)「んな事は分かってるからガキみてぇな騒ぎ方するなっぽ。ねぇミセリ?」
ミセ*゚ー゚)リ「あはは、そうだね……と、ちょっと待ってて」
辛辣なちんぽっぽと憮然とするビロード。
ミセリは二人の返事を待たずに、近くの果物屋に入った。
店主に幾らかの硬貨を渡して品物を受け取る。こんな小さな買い物には、ものの十秒もかからない。
( ><)「ミセリちゃん? 急にどうしたんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「これ買って来たんだ。はい、ビロ君、ぽっぽちゃん」
ミセリが買ったのは、三つの夏蜜柑。
二人に蜜柑を一つずつ渡して残りの一つを剥き始める。
(*‘ω‘ *)「あー、ミセリ。その、ありがとうっぽ」
(*><)「ありがとうなんです、ミセリちゃん! 僕もぽっぽちゃんも、蜜柑が大好きなんです」
ミセ*゚ー゚)リ「良かった! 私も好きなんだ、これ。……う、すっぱい……」
口に放り込むと同時に、ツンとした酸味が広がる。
どうせなら甘い方が良かった。苦々しい顔をするミセリの横で、ビロードも蜜柑を剥き始める。
一口目を食べたビロードは、嬉しそうに笑った。
(*><)「おっ、僕のは甘いんです。きっと日ごろの行いの違いなんです!」
(*`ω` *)「あたしのも甘いっぽね。ミセリは優しいけど腹黒なのが良くないっぽ」
ミセ#゚ー゚)リ「っンだとコラ?」
(;><)「うわわ、ごめんなさいなんですーッ!」
(*‘ω‘ *)「ごめンなさいで済むなら衛士は要らねェンだよォ、なァビロード!?」
Σ(><;)「そ、そんなっ、ぽっぽちゃんだって乗ってた癖に……」
ミセ*゚ー゚)リ「言い逃れは良くないなあ、ボーヤ。さ、歯ァ食いしばれ」
=(;><)「ぎゃああ、不幸なんですー!」
逃げるビロードを、ミセリはちんぽっぽと二人で追いかける。
勿論、身体能力に優れたミセリ達から逃げ切れるはずもなく、ビロードはすぐに足をもつれさせて倒れた。
手を差し伸べるかと思いきや、笑いながらビロードを足蹴にするちんぽっぽ。
ちんぽっぽだけじゃない。気付けばミセリも心から笑っている。
仲間がいて一緒に笑いあえる。ただ、それでいい。
…
( ><)「うー……覚えてろよ暴力女、なんです」
ミセ*゚ー゚)リ「あ?」(*‘ω‘ *)
(><;)「な、何でもないんです! ……それより、ほら。見えてきたんです」
ビロードは前方の白い漆喰の建物を指した。
ヨツマ市唯一の医療機関・薬方院。
市内の傷病者を一手に引き受けるため、非常に広い敷地を持つ。
ミセリ達の居る正門をくぐると、薬方院の前庭には色とりどりの花が一面に咲き乱れていて、
まるで樹海の一部に迷い込んだような感覚に包まれる。
薬方院で草花を育てるのは、患者に精神的な安らぎを与えるためだ。
『樹海の進攻』以来、植物は極めて危険な存在であり、管理に厳重な注意を払わなければならない。
すこしでも管理が行き届いていない植物があると、それらはすぐに成長して繁殖する。
もし毒性のある花粉でも撒かれようものなら、それだけで市内全域が危機にさらされてしまう。
ここヨツマでは、よほど高位の親和能力者にしかその育成許可は下りていない。
(*‘ω‘ *)「ううん……やっぱりここは好きじゃないっぽ」
ミセ*゚ー゚)リ「え? どうして?」
( ><)「ぽっぽちゃんは子供の頃からやんちゃだったんです。何度も何度もお世話になったんです」
(*‘ω‘ *)「……」
(っ<;><)「痛いんです痛いんですお願いだから無言で抓らないでくださいぃぃ」
ミセ*゚ー゚)リ「あはは……さ、行こう」
「んー、どちらさまかなー?」
ミセリたちが前庭を通り抜けようとすると、横合いから間延びした声が掛かった。
驚いて振り向くと、背の高い花の間から声の主が顔を出す。
从'ー'从「こんにちはー。ええと、どこか怪我しちゃったのかな?」
向日葵の畑をかき分け現れたのは、草の詰まった籠を背負った女性だった。
パッパッと白衣に付いた汚れを払い、ずれた眼鏡を押し上げてから、彼女はのんびりと言う。
(*‘ω‘ *)「違うっぽ。私たちは仕事の依頼を受けて来たっぽ」
从'ー'从「しごと……ってことはー……」
顎に手を当てて考え込む仕草。
肩口まで伸ばされた薄茶色の髪が静かに揺れる。
それからたっぷり数秒後、女性はようやく思い当ったように顔を上げた。
从'ー'从「君たちが、ヨツマが派遣してくれた護衛のコたち?」
(*‘ω‘ *)「……そうだっぽ。よろしく頼むっぽ」
从'ー'从「うふふ、ありがとう。……私は渡辺っていいます。こちらこそ、よろしくね」
ぺこりと頭を下げる渡辺。
隣のビロードが「可愛いんです」と小さく呟いたのを、ミセリは耳聡く聞き取った。
(*‘ω‘ *)「私はちんぽっぽで、後ろがミセリとビロードっぽ。今回は、薬草の採集の護衛でいいっぽ?」
从'ー'从「そうよ。麻酔に使う花を取りに行きたいんだけど、いつも頼んでた護衛の人が居ないの」
(*‘ω‘ *)「私たちみたいな新米で大丈夫っぽ?」
从'ー'从「そんなに遠くじゃないから、たぶん大丈夫じゃないかなー?」
ミセ*゚ー゚)リ「たぶん、て」
曖昧な答えを返す渡辺に、ミセリは脱力する。
間の抜けた依頼人に、どうにも力が入らない。
一方でビロードは随分と乗り気になったようで、張り切った声で言った。
(*><)「大丈夫なんです! 任せてほしいんです!」
从'ー'从「うん、よろしくね。……じゃあ早速出発してもいいかな?」
(*‘ω‘ *)「大丈夫っぽ」
渡辺は「ちょっと待ってて」と言い残し、薬方院に入る。
それから数分ほど待つと、彼女は空の籠を二つ背負って出てきた。
こうしてミセリ達と渡辺、四人になった一行は樹海へと足を運ぶ。
この任務がミセリ達が三人で行う最後の冒険だった。
…
振り向くと、ヨツマの城壁はいつしか見えなくなっていた。
街を出て南に進むこと数時間、獣の襲撃は今のところ、なし。
隣を歩く渡辺とちんぽっぽの話声が、ミセリの耳にも小さく届く。
(*‘ω‘ *)「そう言えば、渡辺さんは薬方院に入って長いのかっぽ?」
从'ー'从「んーん、まだ一年目なんだ。治療術の訓練はずっとしてたんだけどね。どうしてー?」
(*‘ω‘ *)「いや……二年前に入院したときには見なかった人だと思っただけだっぽ」
从'ー'从「そうだねー、その頃はまだ修行中だったかなぁ」
ミセ*゚ー゚)リ「ねぇビロ君、ぽっぽちゃんが入院したって、どうして?」
( ><)「ああ、大人の冒険者数人と大ゲンカして腕の骨を折られたんで――」
言いかけたビロードの言葉は、中途半端に途切れる。
横合いから伸びてきたちんぽっぽの腕が、彼の首に巻き付いたからだ。
(*“ω“ *)「ビロォオオドくゥゥゥン、その件に関しては他言無用って何度もなァンども言わなかったかなァ?」
(;><)「ぐげあ、ギブギブギブギブ痛い痛い痛いんですーっ! ごめんなさいなんですーっ!」
从;'ー'从「ちょ、ちょっと、ちんぽっぽちゃんストップ! ビロード君が青くなってるよ!」
ミセ#゚-゚)リ「数人がかりで女の子の腕を折るなんて、ひどい冒険者も居るんだね……」
Σ从'ー';从「それは確かにそうだけど、まずは二人を止めようよ!」
渡辺が慌てて止めに入った時には、ビロードはすでに白目を剥いていた。
それから数十秒も締め上げ続けて、ようやくちんぽっぽはビロードを解放する。
げほげほと咳き込むビロードも、ミセリ達には既に見慣れた光景にすぎない。
(;><)「し、死にかけ、たんで、す……」
(*‘ω‘ *)「むぅ、私達はただやられただけじゃないっぽ! 相手も三人とも病院送りにしたっぽ! ……ビロが」
ミセ#゚-゚)リ「そ……れはちょっとビックリだけど、でも、どっちにしても一般人に手を上げるなんて、最低だよ!」
从;'ー'从「び、ビロード君、だいじょうぶ?」
ちんぽっぽがミセリに抗議する脇で、ビロードの背中を優しくさする渡辺。
ビロードの顔色は少しづつ良くなってゆくが、彼を襲う暴虐はとどまらない。
(;><)「わ、渡辺さんは、本物の天使様みたいなんで……げふおっ!」
渡辺に気を取られた一瞬に、ちんぽっぽの膝がビロードの腹を抉った。
彼の肺が無理やり空気を吐き出させられ、歪な悲鳴を上げる。
(*#‘ω‘ *)「なァーにを鼻の下伸ばしてるンだ? 調子に乗るなよビロォォォドくゥゥゥン?」
(;><)「そ、そんな……理不尽なんで……す……」
从;'ー'从 そ 「ビロードくんーっ!? だ、誰か、早く治療師さんをーっ!」
ミセ*゚ー゚)リ「お前がそれを言うのか……?」
(*`ω` *)「……まったく」
…
――二年前、南東地区。
(*‘ω‘ *)「ビロ! ビロード! ちゃんと着いて来いっぽ!」
(;><)「うう、待って欲しいんです! ……ぎゃっ!?」
( ^Д^)「ヘイ、ボーヤ。足元には気をつけて走りなよ、あぶねーぞ?」
院のお使いで中央地区の市場に買い物にでた二人が帰路を急いでいた時。
ちんぽっぽを追って走るビロードの足を、横合いから伸びてきた別の足が引っ掛けた。
ビロードの持っていた買い物袋の野菜が、石畳の上に転がる。
(;><)「うわああ、お野菜が……! 何をするんですかッ!」
( ^Д^)「あ? 俺が何かしたっての? 因縁付けてんじゃねーよ、貧乏乞食のクソガキども」
(*#‘ω‘ *)「ふっ……ざけんじゃねーっぽ! 私は見てたっぽ、お前が足を引っ掛けたっぽ!」
当時二人は今よりもなお小さく、見た目より数年幼く見られることもしばしばだった。
そして、貧民街の住民であることが、こうした理不尽な仕打ちを起こす。
ちんぽっぽが噛み付くように吠えると、男は酷薄な笑みを浮かべる。
彼の後ろで、二人の仲間がニヤニヤと下品な笑みを浮かべた。
( ^Д^)「お前さぁ、誰に口きいてるかわかってんの?
ギルドランクC『バルバロイ』リーダーの、プギャー・ストロサス様だぜ?
本来ならお前なんかが一生かかってもお話できないような貴族なんだよ!」
(*#‘ω‘ *)「ストロサス? 出来の悪いバカ息子のせいで没落しかけてるショボっちぃ下流貴族じゃねーかっぽ!
穀潰し野郎がいつまでも油売ってねーで、せめて貴族様の名前に迷惑かけねぇように
部屋に引き籠ってショボっちぃイチモツでもシゴいてろ、この【見せられないよ】!」
( ><)「」
( ^Д^)「」
( ^Д^)「ショボっちぃ……だと……?」
(*#‘ω‘ *)「あぁあぁ何度でも言ってやるっぽ! てめえの【見せられないよ】の【見せられないよ】なんぞ、
【見せられないよ】の【見せられないよ】だ!
そんな腐れ【見せられないよ】より、そこのビロードの【見せられないよ】の方がまだよっぽど役に」
(;><)「うわあああああああああああああああああああああ!!!!!! もう止めろおおおおおおおお!!!!!!!」
( ^Д^)「……俺のモノの事じゃねぇよ。てめぇ、ストロサス家をショボっちぃと言ったな」
(*#‘ω‘ *)「あぁ!?」
( ^Д^)「調子に乗りやがって、この糞ガキが。……後悔させてやるよ。おい、お前ら」
男の呼びかけで、彼の後ろに控えていた仲間が前に出る。
それぞれは棍棒と長剣を装備していたが、流石にそれを抜くことはしないらしい。
ぽきぽきと拳の骨を鳴らしながら、棍棒の方の男が進み出た。
( ^Д^)「やれ」
(*#‘ω‘ *)「ビロードッ! 下がってろっぽ!」
(;><)「ぽっぽちゃん!? 逃げましょう!」
ビロードの制止を聞かず、ちんぽっぽは棍棒持ちの懐に飛び込んだ。
彼女を捉えようとしていた棍棒持ちの腕は空を切り、ガラ空きの顎にちんぽっぽが固く組んだ両手が撃ち込まれる。
棍棒の男が一撃で昏倒させられたのは、彼が油断していたからに他ならない。
何にせよ、声一つ上げず男の体は地に沈んだ。
(*#‘ω‘ *)「思ったよりショボっちぃじゃねーか、『バルバロイ』とやらも! てめぇの竿宜しく、不能ですってかァ!?
その中級冒険者の名前と地位はいったいいくら積んで買ったんだっぽ!?」
( ^Д^)「ずいぶん口が悪いじゃねーか。俺のマグナムもギルドも、不能じゃねェよ。なんならしゃぶらせてやろうか、え?」
(*#‘ω‘ *)「あァ? そんなもん――」
「うわぁぁああ!!」
ちんぽっぽが威勢よく切ろうとした啖呵を遮ったのは、ビロードの悲鳴だった。
振り返ると、長剣を首筋に当てられたビロードが、無理やり地面にねじ伏せられている。
(;><)「ぽ……ぽっぽちゃん……」
ちんぽっぽの顔から、一気に血の気が引く。
(;><)「うっ……ぐ……」
(*#‘ω‘ *)「ビロードッ!? お前、お前らッ! 貴族がそんな事、恥ずかしくないのかっぽ!?」
( ^Д^)「落ち着けよ、『俺は人質を取れ』なんて指示は出してない。あいつが勝手にやった、そうだろ? それに、」
(*#‘ω‘ *)「フザケた事を言うんじゃねーっぽ! いいから早く、ビロードを解放さぜッ!?」
ちんぽっぽの後ろ頭を、先ほど打ち倒した男が棍棒で力いっぱい殴り付けた。
( ^Д^)「……あーあ、威勢は良かったのになぁ」
(*;‘ω‘ *)「き……貴様……、うぐっ!」
倒れたちんぽっぽの腹を、目の血走った棍棒男が繰り返し蹴り飛ばす。
一撃ごとにちんぽっぽの小さな体は毬のように跳ね、宙を舞って地面に落ちた。
蹴られる度に、踏まれる度に、引き千切られるような激痛が彼女を襲う。
(*; ω *)「がッ! うぐ……、ぐふッ! がはッ!」
( ^Д^)「お前は油断したから殴られたんだよなぁ? 俺達のせいにはするなよ?」
ちんぽっぽにとって、そして、ビロードにとって、その後の数分ほど長い数分は他に無い。
棍棒男の執拗な蹴りは止まることなく続き、ようやく彼が満足した頃には、その靴は血と吐瀉物にまみれていた。
彼は蹲る彼女を足で仰向けにし、その鳩尾を全体重を掛けて踏みつけた。
ちんぽっぽの口から、新たな血と嘔吐物とが吐き出され、プギャーの顔が愉悦に染まる。
(;><)「や、止めてください! もう許してほしいんです」
( ^Д^)「おいおい、顔はあんまり汚すなよ。萎えるじゃねーか」
(*; ω *)「うっ……げほっ……」
押さえつけられたビロードが必死で許しを乞う声を意に介さず、プギャーは倒れ伏すちんぽっぽに歩み寄る。
棍棒の男は得意げにちんぽっぽから足を退け、彼女の髪を掴みあげた。
まるで力の無いちんぽっぽに唾を吐きかけ、プギャーは残忍に笑う。
( ^Д^)「さぁて……お前、俺のタイタンを短小呼ばわりしやがったな。
本当に小さいかどうか、てめぇの体に確認させてやるよ」
(*; ω *)「!? い、いや! やめて!」
抵抗する力の残っていないちんぽっぽの服を引き裂くプギャー。
ちんぽっぽの真っ白な胸が、淀んだ路地裏に晒される。
80 :【閲覧注意】:2010/12/22(水) 21:10:48 ID:3ylh27WoO
プギャーは自らの衣服の帯を解き、彼女の目の前に彼自身を突き付けた。
本来の形を取り戻したソレは、彼女が唯一知るビロードのソレと比べても、決して小さくなどない。
……彼がモノの事を悪く言われても怒らないのは、まさしく『持てる者の余裕』だったろう。
( ^Д^)「ほら、『ごめんなさい』ってしろよ。『小さいなんて言ってごめんなさい』ってなぁ!
……それとも後ろのボーヤの方が代わりに命で償うほうがいいのかな、下品な雌犬ちゃん?」
(*; ω *)「……ッ」
(;><)「嫌だ、ダメなんです! ぽっぽちゃん、僕のことなんて気にしないでほしいんです!」
(*; ω *)「う……うう……」
( ^Д^)「よぉーし、それで良いんだよ」
髪を掴まれ衣服を剥ぎ取られ、仲間を人質に取られた彼女には、抵抗することなどできる筈もなかった。
プギャーの腰に手を添えると、ちんぽっぽは鼻先に突きつけられた異臭を放つ『それ』を恐る恐る口に含み――
(; Д )「うぎゃあああああああああああああああああ!!?!?!?!?1!
」
(*;‘ω‘*)「……調子に乗るなっぽ、エセ冒険者崩れが……!」
――一息に噛み千切る。
半身を裂かれたプギャーの悲痛な叫びが、南東地区に木霊した。
(; Д )「お、俺の、俺の【見せられないよ】がぁああ!」
(*; ω *)「は……ははっ、どうだ、本当に短くなった気分は!?
これからはシゴくにも一苦労だっぽ!」
(#^Д^)「き、貴様、貴様ァ……!」
彼の宝物は、激しく傷付き血を流しながらも、まだ仁王立ちの姿勢を保っていた。
ちんぽっぽの犬歯は彼の表面と組織を痛烈に傷め付けはしたものの、その機能を失わせるには至らなかったらしい。
しかし、その痛みはプギャーが怒りのあまりに理性を失うには十分な痛手だった。
プギャーの瞳が、真紅にそまる。
(#^Д^)「殺す、殺す、殺す殺す殺す殺す殺す、殺す!」
(*; ω *)「……ッ、あああああああああああ!」
( ><)「ぽ、っぽ、ちゃ……」
ビロードは、叫ぶことすら忘れた。
(#^Д^)「~~~~~~!!」
(*; ω *)「ッ、――ッ……」
ちんぽっぽの腹にプギャーの指突が深々と突き刺さり、路地に血溜りが広がる。
見ていることしかできなかった。
無力な少年は、血を吐いて倒れ伏す少女を見た。
少女を力任せに掴み繰り返し殴り付ける男を見た。
まるで小枝のように圧し折られる少女の右腕を見た。
悲鳴を上げる少女を暴行する歪んだ快楽の表情を見た。
男が少女のもう一方の腕を取ってから先は、見ていない。
無力な少年の目は闇に沈み、彼の本質が代わりに目を開く。
少女の悲鳴の中に消えた意識は、視界を染める血の色によって取り戻された。
次に少年が見たのは、泣きじゃくる少女と無残に焼け焦げた三人の男。
『邪視』の逆鱗に触れた愚かなギルドは、ものの数秒で焼失した。
辛うじて一命を取り留めた貴族崩れは、今や二度と剣を握れない。
( ><)「おおおおお……」
ミセ*゚ー゚)リ「すごい……」
緑鮮やかな木立をしばらく歩くと、四人は小さく開けた空間に出た。
一面に広がる草原に、渡辺を除く三人が感嘆の声を上げる。
咲き乱れる花の色は、透きとおった薄青。
まるで空をそのまま映し取ったかのようなその光景は、ミセリが今までに見たどの風景よりも美しかった。
渡辺が足もとの青い花を一輪だけ摘み取り、三人に見せる。
从'ー'从「この花だよ。この辺りにしか生えてないんだぁ」
(* ><)「きれいな花なんです!」
从'ー'从「そうだねぇ。ちょっと待ってて、すぐに摘み取るから」
しゃがみ込み青い花を集める渡辺。
……そのペースで籠二つを一杯にしようとしたら、日が暮れてしまうだろう。
ミセ*゚ー゚)リ「手伝いましょうか?」
从'ー'从「えぇ? でも、申し訳ないよ」
(*`ω` *)「別にいいっぽ。……つーか、ただ待ってるのは好きじゃないっぽ」
( ><)「渡辺さん一人で集めてたら、きっと今日一日護衛の仕事が終らないんです」
从'ー'从「うーん……それじゃお願いしようかな」
こうして渡辺が折れ、三人は青い花の採集を始める。
ミセ*゚-゚)リ「……ん?」
( ><)「え?」
(*‘ω‘ *)「? どうしたっぽ?」
从'ー'从「……」
ミセ*゚ー゚)リ「今、何か聞こえて……」
地響きのような微かな物音を、ミセリとビロードが感じとった。
なかなか良い感覚を持っている、渡辺は胸の内でそう評価する。
从'ー'从「……ふぅん」
もしかしたら、思ったより面白い子たちなのかも。
『冒険者ミセリ・エメリアの実力を内密に調査し、報告しろ』
渡辺は、市議会から直々に下されたこの命令の意図が理解できなかった。
資料を見る限り、ミセリという少女の親和能力は、せいぜい並の少し上といった所。
天才のビロードの方ならともかく、別段優れてもいない新米の事など調べて何になるのか。
釈然としないまま彼女は薬方院の医術士を名乗り、適当な事情を付けて彼女に接触する。
そうして、予定通りに「ここ」に誘い込むことに成功した。
( ><)「!! ぽっぽちゃん、後ろなんですッ!」
(*‘ω‘ *)「んなっ!?」
ビロードがいち早く叫んだが、腰を曲げた姿勢のちんぽっぽは「それ」に反応しきれない。
……彼女の背後の木々の合間から、灰色の大きな影が飛び出した。
怒りに血走った目に映るのは、ナワバリを侵した愚かなニンゲンが四匹。
渾身の力で前足を振り下ろす影、その一撃を辛うじて受けたちんぽっぽの右腕が嫌な音を出して歪んだ。
痛みに息を詰まらせた彼女に、影は更にもう片方の蹄を振り上げる。
咄嗟に身を固くしたちんぽっぽを凶悪な一撃が薙いだ。
血しぶきが上がり、小さな体が宙を舞う。
(* ω *)「ぐげっ」
ミセ;゚д゚)リ「ぽっぽちゃんッ!」
ミセリが剣を向けると、灰色の何かは数歩身を引いた。
ぐるる、と喉を鳴らして威嚇する姿で、ようやくその正体が分かる。
それは、灰色の毛を持つ、ライオンと馬を掛け合わせたような獣。森に少数存在する、蹄獅と呼ばれる稀少種。
武器は鋭い牙、蹄の先の三本の鉤爪。そして、ちんぽっぽを軽々吹き飛ばした強靭な脚力。
从'ー'从「……さて、噂のミセリちゃんのお手並み拝見といこうかな」
渡辺の小さな呟きを聞き留める者は居ない。
ミセ*゚-゚)リ「ビロード君! ぽっぽちゃんを連れて下がって!」
長剣を握る両手に強い力が籠る。ミセリは緑に染まった目で獣を睨めつけた。
前衛として戦えるのは彼女一人。当然、そうするしかない。
それでも、それは少なからず勇気のいる行動だ。渡辺はミセリへの評価を少し上げた。
ミセリの後ろで、背中から血を流して蹲るちんぽっぽにビロードが駆け寄る。
(;‘ω')「がっ……がふっ……、油断したっぽ……!」
(; ><)「傷を、血を止めなきゃ……! ああもう、どうしたら良いのかわかんないんです!」
……やれやれ。渡辺は密かに溜息をついた。
敵と相対しているときに動揺を見せるなど、愚かだとしか言いようがない。
たとえ優れた才能を持っているとしても、今はただ経験の浅さが目立つ。
从'ー'从「私がするわ。君達二人はアレを何とかして 」
血を流すちんぽっぽに駆け寄ると同時に処置を開始する。
薬方院の名は今だけのものだが、優れた治療術は始めから樹海で身につけていた。
渡辺の瞳が緑に輝く。
緑の親和による治療の本質は、本人の治癒能力を高めること。
白の親和による治療の本質は、傷口の出血・感染を断つこと。
彼女が処置を始めて数秒もしない内に、ちんぽっぽの背中の大きな爪傷は血を止めはじめた。
(; ><)「ぽっぽちゃんッ!」
从'、-;从「ッ!」
ビロードが渡辺のすぐ近くで大きな声を出す。
……うるさい、黙って見ていろ、馬鹿が。
渡辺が暴言を吐きかけた時、ちんぽっぽが息も絶え絶えに言う。
(;‘ω')「バカ、いいから、ミセリを……」
おお、良く言った。
渡辺は笑いだしたい気持になった。
出血が収まりつつあるとはいえ、あのレオトーがいる内はまだ危険な事には変わりない。
ミセリとビロードには、そう思っていて貰わなければ困るんだ。
努めて焦燥に満ちた表情を作り、ビロードに視線を向ける。
从'-'从「大丈夫、この娘は私に任せて。一応、医術士なのよ」
(; ><)「……すみません、お願いするんです!」
ビロードが深く息を吐く。
今すべきはレオトーの脅威を排除する事だと、どうやら彼も納得してくれたようだ。
これでいい。予定通り、ミセリとビロードの二人を灰毛とぶつける事ができた。
……しかし、渡辺のこの計算は少しだけ外れてしまう。
( ><)「ミセリちゃん! 援護します!」
ミセ ゚-)リ「ありがとう。でも、何もしないで」
( ><)「え?」
从'ー'从「……?」
ミセ#゚-)リ「こいつは私ひとりでやる」
……おい、てめぇ、何言ってやがる。
( ><)「な、何言ってるんですか!? そんなの危険なんですッ!」
从;'ー'从「そうよ、ここで貴女に死なれたら……! とにかく、無茶は止めて!」
ミセ#゚-゚)リ「わかってる。私は冷静だよ」
強情に援護を拒絶するミセリに少しだけ失望した。
――その判断のどこが冷静だって? 調子に乗るなよ、馬鹿娘が。
渡辺は既に事後処理と間の良い介入を考え始めていた。
从;'ー'从「ちょっと待って! まずは良く考えて……」
ミセ#゚ー゚)リ「大丈夫、私は勝つから」
言い終わるより早く、ミセリは駆けていた。
灰毛が反応して繰り出す前足を掻い潜り、剣を突き出す。
獣は俊敏に身を引くも、彼女は深く追撃せず、小回りを利かせて死角に滑り込む。
パッと身を引いた時には、灰色の蹄獅の体には幾つも傷がついている。
こうしたやり取りが数度繰り返され、その間ミセリにダメージは無し。
一瞬たりとも立ち止まらず軽快に蹄獅を翻弄する彼女に、いつしか渡辺達は見入っていた。
从;'ー'从「うそ……本当にあれがただのルーキーの動きなの?」
(; ><)「は、速すぎて『炎』が追い付かない……」
資料にあったデータとは比べるべくもない、見違えるような動き。
我流だろうか、型破りな部分は多々あるが、それでも冒険者としては一人前の身のこなしだ。
おそらく、彼女がこの数週間で身につけた新たな力。
――間違いない。
これこそが荒巻の期待していた、彼女の持つ『才』。
ミセリ・エメリアは、通常の冒険者の数十倍ものスピードで、急速に樹海に適応しつつある!
从;'ー'从「成る程、確かに面白い人材ね……」
でもね、と渡辺は一人ごちた。
――確かに貴女は面白いわ、ミセリちゃん。
でも、あの『笛吹き』が育てた灰毛の王だって、そこまで簡単に倒せる子じゃないのよ?
…
ミセ;゚-゚)リ「はっ、はっ、……ッああぁぁぁあああ!」
剣を取り落としかける。膝がガクガクと震える。
体に無茶をさせすぎたのだ。
精霊による身体強化は、ミセリの体に過剰な負担を蓄積してきた。
灰毛が圧倒的な体力を見せているのに、彼女はもう汗だくになっている。
次の瞬間、ミセリの右膝がぐらつき僅かに気が逸れた。
その一瞬の分だけ、真上から振り下ろされた蹄獅子の前足に反応が遅れる。
ミセ;゚-゚)リ「しまっ……」
ミセリは身を投げ出し、辛うじて避けた。
地面に深々と残る、三本の鉤爪のある蹄の跡。
もし一度でも直撃しようものなら、行動不能は免れない。
続けざまに繰り出された横薙ぎの前足を、ミセリは全身で受け止める。
方向を合わせて跳ぶ事でダメージを大きく軽減するが、それでも激痛が走った。
ミセ;゚д゚)リ「ッ、どこまでタフなのさッ!」
弾かれたように距離を取るミセリを、灰毛は追撃しなかった。いや、出来なかった。
深傷は無いにしても、彼の獣の体にも多くの剣傷が刻まれている。
ミセリは肩で息をしながら、再び構えを取った。
姿勢を低く伏せ、今にも飛び掛からんとする獣に立ち向かう。
ミセ;゚ー゚)リ「はぁっ、……負けない、よ……ッ!」
灰毛がミセリに踊りかかり、ミセリの長剣が走る。
…
灰毛の爪を避けきれず、ミセリの血が野原に舞う。
ちんぽっぽは歯噛みした。……なぜこんな時に自分は戦えないんだ、と。
(;‘ω')「ビロ……おい、ビロ!」
从;'ー'从「ちんぽっぽちゃん! まだ動いちゃダメよ」
渡辺の制止を振り切って、ちんぽっぽが掠れた呼びかける。
ビロードが気づき、顔を寄せる。
(;‘ω')「私が許す。今すぐ『左眼』を開け」
从'ー'从「……?」
(;><)「え? でも、それは……!」
(;‘ω')「いいからやれっぽ! ミセリは私たちの友達だろうが!」
( ><)「……はい、なんです!」
ビロードが立ち上がり、灰毛を見据えた。
( ><)「もう少し耐えて下さい、ミセリちゃん……!」
…
ミセ;゚-゚)リ「ぁ……!?」
もう何度目になったかもわからないミセリの斬撃を受けた灰毛が、不意に姿勢を低くした。
ミセリは慌てて距離を取ろうとするが、疲労のためか、足がまともに動かない。
身を崩したミセリを、灰色の獰猛な突進が襲う。
牙も爪もない、単純な体当たり。
ミセリを跳ね飛ばしたそれは、最もシンプルな原初の攻撃手段。
ミセ; Д )リ「う、ぐぅッ」
地面に叩きつけられたミセリが顔を上げると、視界を灰色が埋めている。
もはや彼女にはどうしようもない、完全なチェックメイト――
ミセ; - )リ「……ちくしょう……」
地に伏したまま、ミセリは灰色の獣を見上げた。
三人の為に少しでも傷を与えたかったが、それももう限界のようだ。
蹄獅が振り上げる爪はやけにゆっくりに見えるのに、ただ睨むだけしかできない。
死を覚悟したミセリの目の前で、大気が震える。
( --)「ミセリちゃん! 援護するんですッ!」
ビロードが叫び、親和を起動した。
彼の持つ親和。密度を急速に高めた赤の精霊の力。
破壊を、暴力を、憤怒を表す、理不尽な力。
一閃。
全身を激しい炎に包まれ、灰毛が苦しみにのたうち回る。
例えるならば子猫と大虎が互いに似通いながらも違う生き物であるように、ビロ
ードの炎とはまるで違う禍々しい炎。
ミセ;゚д゚)リ「これは……?」
振り返ったミセリの視線の先には、片目をいっぱいに見開いたビロード。
瞳は禍々しい真紅に輝き、その威厳は既に彼とは別の「何か」のものだ。
( <-><●>)「……すみません、遅くなりました。『私』が彼の――ビロード・ミリオムの切り札です」
ミセ;゚ー )リ「……あはは、まるで別人だね」
( <-><●>)「はい。貴女の事はずっと、ビロードを通して見ていました」
ビロード、ではない。らしい。
彼が援護してくれたお陰で、立ちあがる気力を回復できた。
のた打ち回る間に全身の炎は消え、灰毛はすでに身を持ち直している。
( <-><●>)「私が出ていられる時間は長くはありません。すぐに終わらせましょう」
ミセ;゚ー )リ「……うん」
( <-><●>)「貴女のお陰で奴が弱っているのはわかってます」
仲間が助けてくれた。私はまだ生きている。まだ戦える!
ミセリは剣を握る両手に力を籠め直し、唸り声を上げる獣に猛然と斬りかかった。
……
市議会議長室。
ヨツマ市民最高権力者の執務室としては極めて簡素な内装のその部屋で、渡辺は上司と対面していた。
从'ー'从「──以上です」
/ ,' 3「ふ、ふふ、ふはははは……邪視の小僧も居たとはいえ、あの笛吹きの獣を倒すとはな!」
渡辺が報告を締めくくると、荒巻はすぐに笑い出す。
この冷徹な男の高笑いなど、数年来の腹心である渡辺でも過去一度として見たことが無い。
愉快そうに声を上げる彼の口振りの一部に、渡辺は違和感を得た。
从'ー'从「……まさか、あの2人では勝てないとお思いだったのですか?」
/ ,' 3「おう。あの獣はルーキーが相手取るべき強さではあるまいて。お前に引き摺られて帰ってくると予想しておった」
从'ー'从「この糞ジジイ、とんでもない事をなさいますね。……まあ確かに、結局は引き摺って来ましたが」
敬語が崩れているのは普段からの事だ。重要なのは形式ではないとは、当の荒巻の言である。
もとより、子飼いの忠犬はクビにされる事を恐れる仕事ではない。
/ ,' 3「くく……ミセリ、ミセリ・エメリア。覇王の娘というのは伊達ではない、か」
从'ー'从「それで、次は何をして虐めるおつもりですか?」
荒巻は一度笑いを収め、短く逡巡してから答えた。
/ ,' 3「……そうだな。来月頭の養成計画に参加させよう」
从'-'从「はぁ、まぁ妥当っちゃ妥当でしょうけどね。……まだ流石に無理じゃね?」
荒巻が言うのは、今年から実行に踏み切った計画だ。
樹海奥地にある『キャラバン』本部に新参の冒険者を連れ出し、無理矢理能力を高めさせる。
実力は間違いなく跳ね上がるだろうが、あくまで一定以上の力を持っている事が前提条件だ。
……ただし、これは表向きの一面でしかない。
渡辺のような荒巻の子飼いの冒険者は『キャラバン』にも数多く所属しており、手足のように忠実に彼の命令を実行する。
そう、例えば……大陸や諸外国出身の冒険者の実力を見て、問題があれば安全に始末することも。
彼がこのような回りくどい手段を取るのは、すでに時間の問題となりつつあるラウンジとの戦争の為だ。
今もヨツマに潜んでいるような一人二人の間抜けな間者ならともかくとしても、
一人ひとりが戦局を動かしかねない冒険者が裏切りを起こせば、それがそのまま国家の致命傷になりかねない。
しかし。
荒巻はこうも思う。
/ ,' 3「本当に惜しいものだ。ミセリ・エメリアにビロード・ミリオム、それに……」
从'-'从「惜しい、とは?」
/ ,' 3「世が世なら……せめてラウンジの事が無ければ、だ。
奴等が樹海でどこまでやれるのかが純粋に楽しみだったのに、とな」
从'-'从「……」
一年目にして多くの実績を上げている冒険者は、大抵の場合、他所で経験を積んでいる。
現時点で計画に参加させる予定の冒険者は、半分ほどが異国の冒険者。
……つまり、計画の半分は「暗殺」が目的だとすら言い換えられる。
/ ,' 3「何にせよ、半ば化け物のような連中に囲まれて過ごすことになるからのう。強くなることは間違いない」
从'-'从「……ホライゾンやカトラ・コスはともかく、他の冒険者が上手く機能しますかね?」
ミセリ・エメリアは確かにそれなりに強かった。しかし、それはあくまで一年目としてにすぎない。
同じく計画に組み込む予定の面々と並べるのは、相当な無理がある気もする。
/ ,' 3「あの血筋には才能がある。手っ取り早く伸ばすには、経験を積ませるのが一番じゃ。
……それに、影姫の事を思えば、その程度の実力の者も居なければ釣り合いが取れん」
从'-'从「それなら影姫の方を計画から下ろせば良いのに。下手したら両方死んじゃいますよ?」
/ ,' 3「死なん。どうせ影姫は内藤に守らせるし、ミセリの方は……そこで死ぬならば、それまでだ」
从'-'从「……」
/ ,' 3「ふむ。不満かね?」
从'ー'从「いいえ、どうせそんな事を一々気にする神経すら持ってないジジイに言う意味なんて有りませんし。
それでは私はラウンジでの工作任務に戻りますので、これで失礼します」
踵を返して足早に立ち去る渡辺を、荒巻は無言で見送った。
荒巻に向ける言葉にいつも以上の棘があると、彼女自身は気付いていないだろう。
/ ,' 3「……本当に恐ろしいガキじゃ。あの渡辺を惹き付けるとはな」
……
夢を見ていた。
見渡す限りの荒野の真ん中で月を見上げる夢。
目の前には地平線、振り返ると遠くに白い山が見える。
気付いたら、数人の冒険者が周りを囲んでいた。
見覚えの無い人ばかりだったけど大好きな人達で、その中にはビロ君とぽっぽちゃんも居て……。
ミセ*- _-)リ「……ん」
ミセっд-)リ「んぁ……?」
( ><)「ミセリちゃん! 良かった、目が覚めたんですッ!」
寝起きの頭にビロードの甲高い声がキンキンと響く。
ミセリの頭は次第に夢の世界から引き剥がされてゆく。
ミセっ _-)リ「んー、ビロくんー……?」
( ><)「ちょ、ミセリちゃん!? 顔面が作画崩壊してるんです! ……痛ッ」
(*#‘ω‘ *)「ビロてめコラ。いつ女の子にそんな暴言吐けるほど出世したっぽ?
うるっせェーから病室でギャーギャー大声で叫ぶんじゃねーっぽ!」
鈍い音から察するに、ちんぽっぽがビロードを殴り付けたらしい。
ビロードが悲鳴をあげる。
ミセっ _-)リ「うーん……」
(;><)「あぅ、ごめんなさいなんです……」
(*#‘ω‘ *)「分かったら、ほら、とっとと出てけハゲ!
女の子の寝起きをじろじろ見るのはマナー違反っぽ」
(;><)「はい、はいなんですッ! ……僕はハゲてないんですッ!」
扉が開いた音。その後すぐに閉まった音。
こうして一気に静かになると、眠気がぶり返してくる。
寝直そう、ミセリは自分を甘やかすことに決めた。……が、枕元の少女はそれを許してくれない。
ミセ*-д-)リ「くぁぁ……」
□と(*‘ω‘ *)「ほら、ミセリも起きる! 本当に寝起きは弱いっぽね」
ミセ*-д-)リっ□「ん……」ミ
セ*っ□)リ「むむむ……」
ミセリは仕方なく、ちんぽっぽから手渡されたタオルで顔を拭く。
顔を強く擦るとなんとか眠気が取れて、自分の居場所を確認する余裕が出てきた。
ミセ*゚ー゚)リ「おはよう、ぽっぽちゃん……って、ここ、どこ?」
白と土色を基調としたこの部屋に、ミセリは見覚えがない。
ベッドのそばに立つちんぽっぽが、答えて言う。
(*‘ω‘ *)「おはようっぽ。薬方院の個室っぽ。ミセリは丸2日寝てたっぽ」
ミセ*゚-゚)リ「2日も……」
(*‘ω‘ *)「大丈夫っぽ? 体は痛まない?」
ちんぽっぽが心配そうにミセリの顔を覗き込む。
しかし自分の事よりもまず、ちんぽっぽの右手に巻かれた包帯が、ミセリの目に痛々しく映った。
ミセ*゚-゚)リ「うん、私は大丈夫……だけど、ぽっぽちゃん」
(*‘ω‘ *)「それはいいっぽ。……おーい、ビロ! もう入っていいっぽ」
ミセリの言葉を遮りちんぽっぽが大声でビロードを呼びつけた。
そうしてから、なぜかベッドの脇に山積みにされていた蜜柑に手を伸ばす。
ミセ*゚-゚)リ「えーと、確か蹄獅と戦ってて……」
……あの後、更に数分の死闘の末に灰色の蹄獅は倒れた。
ビロードの強力な援護とミセリの死に物狂いの猛攻が、ついに灰色の獣の体力を削りきったのだ。
ミセリは凄まじい疲労で戦いの直後に意識を失い、安堵したちんぽっぽもそこで意識を手放したらしい。。
そう言えば、ぶっ倒れる直前にビロードの悲鳴が聞こえたような気がする。
そして気付くとここに居た、という事だ。
気絶したミセリと動けないちんぽっぽを運んで帰るのは中々大仕事だった、とビロードは言う。
( ><)「……とにかく! 無事で良かったんです!」
ミセ*゚-゚)リ「うん、それより、ぽっぽちゃん、その腕……」
(*‘ω‘ *)「あぁこれ、グチャグチャに折れてるわ。治るまでは時間がかかるっぽ」
ミセ*゚-゚)リ「そんな……」
ヨツマ薬方院の治療技術は、大陸東端の他の都市に比べても格段に進んでいる。
時間こそ掛るとはいえ完治が保障されただけマシだ。
ちんぽっぽは悔しそうに歯噛みして言った。
(*‘ω‘ *)「せっかく私達に『キャラバン』参加の誘いが来たのに、残念っぽ」
ミセ*゚-゚)リ「誘い? キャラバンから?」
何の事かまったくわからないミセリに、ビロードが補足する。
( ><)「僕達がキャラバンの交替要員に参加しろって誘いです」
ミセ*゚-゚)リ「??」
――ビロードの補足説明は説明になっていなかったため、結局はよくわからないままだったが。
…
近年ヨツマは、若手の冒険者の育成に力を注いでいる。
その内の一つとして、若手の冒険者を樹海の真ん中に集めて鍛え上げる、いわば強化合宿が組まれた。
親和能力は精霊と接するたびに磨かれてゆく。そのため、樹海深部での鍛錬こそが実力をつける一番の近道になる。
命の危険も大きいとは言え、今回の強化合宿は未熟な冒険者にとって垂涎の的だ。
対象となる者は、一年目にしてDクラス以上の功績を積み上げた冒険者、及び冒険者ギルド。
ミセリ達『ギルド名を記入してください』(仮)は数日前の蹄獅征伐の功績で評価を与えられたという。
ミセリは強化合宿の噂が本当だとは知っていたが、どうせ自分たちには無縁の話だと思っていた。
しかし、荒巻議長のサインの入った書状を広げられると、途端に現実味を帯びてくる。
ミセ*゚-゚)リ「でも、ぽっぽちゃんの腕が……」
(*‘ω‘ *)「これは確実に間に合わないっぽ」
忌々しげに右腕を見やるちんぽっぽ。
一週間後の召集の日までに治るとは、とても思えない。
ミセ*゚ー゚)リ「うん……。じゃあ今回は残念だけどお断りだね」
(*‘ω‘ *)「何を言っているっぽ? ミセリ、お前は行けっぽ」
( ><)「僕達はしばらく活動休止なんです」
ミセ*゚ー゚)リ「……え?」
(*‘ω‘ *)「こんな機会なんて滅多に無いっぽ。無駄にしちゃダメだっぽ」
ミセ*゚-゚)リ「でも、だって、」
(*‘ω‘ *)「ミセリまで私にあわせて足踏みする必要は無いっぽ。このサルが居れば道連れは十分だっぽ」
( ><)「今生の別れって訳じゃないんです! 僕たちは必ずまた会うんで……おいちょっと待て、お前今なんて言った」
(*‘ω‘ *)「だから安心して行ってくるっぽ。私達はずっと『仲間』だっぽ」
ミセ* -)リ「うん……2人とも、今までありが(*‘ω‘ *)「黙れ」」
ミセ;゚д゚)リ そ
(*‘ω‘ *)「んな台詞吐くのは死ぬときだけにしろっぽ! 不吉で水くせぇ!」
( ><)「……そうだ。ミセリちゃん、僕たち二人はちゃんとしたギルド名を登録しなおしたんです」
ビロードがミセリに一枚の紙を手渡す。
それは名前を空欄にしたままだった、ギルドの登録用紙。
ミセ*゚-゚)リ「……『チェトレ』?」
(*‘ω‘ *)「ぽ。旧世界の言葉の一つで、四を表す(ってビロが調べた)っぽ」
( ><)「僕とぽっぽちゃんともう一人の僕、それに、ミセリちゃんの四人なんです。それと……」
ミセ*゚д゚)リ「!?」
ビロードが指差した登録用紙の欄。
代表者の項目に、ミセリの名が記されていた。
(*‘ω‘ *)「リーダーはお前に任せるっぽ。あたしは腕がこんなだしこいつは論外だし」
( ><)「あー、うん。もう怒る気力も無いや……」
ミセ*゚-゚)リ「でも、そんなの……」
(*‘ω‘ *)「ちーなーみーに、拒絶の余地なんて無いっぽ。それ、既に提出しちゃったし。なぁミセリ……」
ミセ*゚-゚)リ「?」
(*‘ω‘ *)「私達は絶対にまた一緒に冒険する。大事なのはそれだけだっぽ」
ミセ*゚ー゚)リ「うん……うん!」
ミセ*^ー^)リ
第一話『芽吹く若木』了