January 02, 2011
( ^ω^)ブーンはモンスターハンターのようです 第3話
第三話「忍び寄る気配」
―――ポッケ村―――
( ^ω^)「村長さん、こんにちはですおー」
(#゚;;-゚)「こんにちは、ブーン殿。
依頼を請けにきたのかい?」
( ^ω^)「はいですお!」
武器や防具はすでに身に着けており、出発する準備は万全、抜かりはない。
(#゚;;-゚)「そうだねぇ…
じゃあ、この依頼をやってもらおうかね」
そう言ってでぃに紹介された依頼は、〈ポポノタン〉を集めてきて欲しいというもの。
もちろん、難易度は最も簡単なものとしての依頼だ。
( ^ω^)「わかりましたお!」
すぐさま雪山へと向かおうとするブーンに一つだけ、と話しかける。
(#゚;;-゚)「この依頼なんだけど……なんだか、妙な感じがするんだよ。
〈ポポノタン〉を集めてくるだけだから簡単だと思うんだけど、十分に注意しておくれ…!」
(;^ω^)「? わかりましたお」
村長さんが心配してくれるのはいつもの事なのだが、このように注意を促す様な事は初めての事だ。
いつも以上に警戒する必要があるのだろう。
( ^ω^)「それじゃ、行ってきますお」
(#゚;;-゚)「気を付けるんだよ…!」
(^ω^ )「はいですおー!」
そして、ブーンは雪山に向かう為に、村の外側へと歩いていった。
村の端に来ると、何件か、新しい家を建築している人たちがいた。
ほとんどの村は、中心部に村のシンボルがあり、その近辺から家などが建たてられていく。
つまり、村の中心部に近い家ほど昔からある家で、端にいくほど新しいものとなるのだ。
ちなみにブーンの家は中間辺りにあり、どちらとも言えない位置である。
( ^ω^)「おっおっお。村が大きくなっていくのは良い事だお」
その時、家を建築する人々の中に見知った顔を見つける。
( 'A`)
( ^ω^)「あれは、ドクオかお?なんでまた」
以前と同じように大きな槌を担ぎ、家の基礎などを造っているようだ。
( ^ω^)「おーい!
ドクオ、今日は家作りのバイトかお?」
('A`)「ん?ようブーン。
まあ、見てわかるだろ。」
( ^ω^)「ドクオは働き者だおね」
('A`)「いや、実はやりたい事が見つかってな。
今もその為のお金を集めてるところなんだ。」
( ^ω^)「おっ!ドクオなら絶対できるおね」
(*'A`)「そう言ってくれると嬉しいぜ」
ドクオに頑張って、と伝え雪山に向かうと後方から待ってろよ、と声が聞こえてきた。
―――雪山・ベースキャンプ―――
( ^ω^)「支給品ももらったし、行くかお!」
青い箱に入っていた〈応急薬〉、〈携帯砥石〉、〈携帯食料〉、〈ペイントボール〉をポーチにしまい、ベースキャンプを後にする。
―――雪山・エリア1―――
〈ポポノタン〉は“ポポ”という大型の草食動物から手に入れられる。
なんでも、健康に良いという事が分かったらしく、村での人気は鰻上りだった。
今回の依頼もまた、人気にあやかったものなのだろう。
その“ポポ”は、普段ならこのエリア1でも見掛ける事ができるのだが、今日は何故かただの一頭も見られない。
( ^ω^)「お…?このエリアがこんなに静かだなんて…」
やはり、異様だ。
何かがあると感じ取る。
とりあえずは、また雪山の上―――エリア6辺りを探索するのが良さそうだと考えたブーンは、前回のようにエリア4、エリア5を経由してエリア6へ向かった。
―――雪山・エリア6―――
エリア6へやってくると、ターゲットである“ポポ”の群れを見つける事ができた。
早速倒し、〈ポポノタン〉を剥ぎ取るべく【ハンターカリンガ】の柄に手を掛けたその時、あの感覚が襲ってくる。
(ii^ω^)「ーーーっ!!」
そう。死が迫ってきた時の感覚。
言い様もない恐怖がブーンの心を支配する。
そして、“それ”は突然現われる。
空から降ってくる様にして飛んできたモンスター…
轟竜、“ティガレックス”。
(;゚ω゚)。o(やばいおやばいお絶対やばいお早く逃げるお次は死ぬお…)
だが、この時のブーンは運が悪かった。
ブーンのすぐそばの壁のような岩から、雪が落ちてきた。
ドサリ、と音を立ててブーンの真横に落ちる雪。
振り向く、轟竜“ティガレックス”。
見つかって、しまった。
轟竜と呼ばれる所以か。
ブーンの姿を捉えた“ティガレックス”は、恐ろしいほどの咆哮をあげる。
ビリビリと、音がブーンを襲う。
そして。
“ティガレックス”はブーンに向けて突進を始めた。
(;゚ω゚)「おおぉぉぉぉ!!」
これは、盾を使っても意味を持たないだろう。
ブーンは身を投げ出す様にダイブし、間一髪で突進を回避する。
すぐに起き上がり、走る。
(;゚ω゚)「ハァ、ハァ…!ま、間に合えぇ…ッ!」
走る先には道があり、先が細くなっている。
これなら“ティガレックス”は通る事が出来ない。
後ろを見れば、“ティガレックス”は再び突っ込んできている。
逃げ切るのが先か、それとも――――
( ゚ω゚)「おおおおぉぉぉぉ!!!」
その細道に飛び込んだ。
直後、質量感のある物同士がぶつかりあう音が響く。
後ろを見れば、“ティガレックス”の頭が見える。
ガチガチと歯を鳴らし、必死にブーンを噛み千切ろうとするも、届く事はなかった。
ようやく諦めたのか、頭を引き抜き何処かへと去っていく“ティガレックス”。
それを見届け、ようやく胸をなで下ろす事ができた。
(;´ω`)「ふぅ、助かったお…
村長さんが言ってたのって、あいつの事だったのかお…」
と、ここでブーンは一つ失敗を犯していた事に気付く。
(;^ω^)「やべ、あんなやつがいるんなら〈ペイントボール〉をぶつけとけば良かったお…」
〈ペイントボール〉とは、モンスターにぶつけると強烈な匂いを放つアイテムだ。嫌な匂いではないため、狩猟に支障はない。
その匂いを辿れば、ぶつけたモンスターがどこにいるかがわかるのだ。
今、この状況で“ティガレックス”の居場所が分からないのは大きな不安要素となってしまった。
(;^ω^)「どうするかおー…」
悩んでいても仕方がない。
この細道を進めばエリア7へ行けるので、そのまま向かう事にする。
―――雪山・エリア7―――
ここは、雪山の九合目にあたる地点にあるエリアだ。
岩影にはテントの跡地がある。
かつて、ここにベースキャンプの設置を試みたのだろうか。
辺りを見回すと、ここにも“ポポ”がうろついていた。
( ^ω^)「こんな山中まで、ご苦労なこったお」
だが、こちらも依頼をこなさなければならない。
【ハンターカリンガ】を構え、“ポポ”に切りかかった。
何度も切り付けていくと、やがて“ポポ”は息絶えた。
( ^ω^)「ちゃっちゃと剥ぎ取りしないと、また奴がくる―――」
お、と発音したその瞬間。
ズン、と重量感のある音が後方から聞こえてくる。
冷汗が溢れ出す。
外れて欲しい予感を確かめるべく、振り向くと。
咆哮が響き渡る。
再び、“ティガレックス”が現われた。
(ii゚ω゚)「冗談きついお…」
“ティガレックス”が、その腕の力を利用し雪の塊を押し飛ばしてくる。
咄嗟に盾を構えて防ぐものの、勢いは押さえ切れなかった。
後ろへのけぞるブーンを今度こそ仕留めんと、突進をはじめる“ティガレックス”。
ブーンはダイブする様に飛び退き、突進を回避するものの、依然として状況は悪かった。
前方に、山頂への道が見えた。
例によって道が狭くなっていて、逃げ切れれば“ティガレックス”は追ってこれないだろう。
しかし、そこまで駆ける間、身を隠せる岩などは、ない。
55 : ◆bUYB7.cOOs:2010/08/04(水) 21:24:05 ID:OaIkQpb.O
(#゚ω゚)「でも、行くしかないお!」
駆け出すブーン。
ブーンは、ここで一つ賭けに出た。
先ほどの様に、突進してきたのならば盾で防いでも“ティガレックス”自身の体重等の点を考えると、まず助からないだろう。
だが、たった今ブーンは一筋の光明を見出し、そこに賭けた。
全ては“ティガレックス”の、次の行動にかかっている。
そして、“ティガレックス”が繰り出した攻撃は―――
――――雪の塊を押し飛ばす事だった。
( ^ω^)「いよっしゃあ!!!」
心の底から喜びの気持ちが湧いてくる。
先ほどに、この攻撃なら盾で防ぐ事が出来た為である。
さらに、攻撃を防いだ時、さっきは勢いを押さえ切れずに後ろにのけぞってしまったが、今は、勢いを殺す必要は無い。
ばこん、と盾に雪塊がぶつかる。
その瞬間、ブーンは後ろに向かってジャンプした。
ジャンプの勢いに、雪塊を防いだ勢いが加わり、かなり後方に飛ばされてしまうのだが。
山頂への道へ、一気に近付くことに成功する。
( ^ω^)「計画通り!さっさと逃げるお!」
山頂への道に駆け込むブーン。
今度は突っ込んでくる事なく“ティガレックス”は去っていった。
―――雪山・エリア8―――
雪山の山頂にあたる地点。
標高が高かろうと“ポポ”にとっては問題ないようで、のんびりと草を食べている。
( ^ω^)「近くに“ティガレックス”がいるかもしれないのに…」
呑気なやつらだ、と心の中で呟きつつ【ハンターカリンガ】を抜く。
〈ポポノタン〉が、先ほど手に入れたものだけでは、依頼された量には足りなかったのだ。
一頭の“ポポ”に切りかかり、仕留める。
小型のナイフを取り出し、解体をはじめる。
(;^ω^)「はぁ、やっと依頼された量が集まったお…!」
後はこれを納品するだけだ。
ベースキャンプへと戻る足並みは、自然と駆け足になった。
エリア7に戻ると、“ティガレックス”が戻ってきた様子もなく、しぃんと静まり返っている。
( ^ω^)「早く戻るおー」
いつまた“ティガレックス”が現われるかは分からない。
のんびりしている時間はないのだ。
そのまままっすぐ走り抜け、エリア2へと向かう。
―――雪山・エリア2―――
高く、切り立った崖があるエリア。
崖には昇降できそうな足場がところどころにあり、少し危険ではあるがうまく進めば一番下まで降りる事ができそうだ。
( ^ω^)「おっ、おっ、おっ!」
ブーンは、高さに臆する事なくひょいひょいと飛び渡る。
その甲斐あってか、あまり時間をかけずに下山出来た。
( ^ω^)「よし、もうちょっとで帰れるお!」
ブーンは両腕を横に広げ、颯爽と駆けていった。
( ^ω^)「やっとエリア1まで帰ってこれたお…」
何時間も雪山を彷徨い歩いた感覚がブーンに訪れる。
実際には、ほんの15分程度でしかないのだが。
気が緩みきっていたその時。
―――遥か上空から、凶気が舞い降りた。
( ゚ω゚)「……お?」
あまりに予想外の展開に、状況を把握しきれない。
混乱するブーンの前に立ちはだかる“ティガレックス”。
ブーンがようやく状況を掴めたのは、轟く咆哮をまともに受け、反射的にうずくまってしまった時だった。
(∩゚ω゚)「耳が痛いお!」
耳鳴りが引き、ようやく顔をあげると。
“ティガレックス”はすでに突進してきているではないか。
(ii゚ω゚)「おおぉぉぉぉ!?」
ギリギリのタイミングで真横に飛び、難を逃れたブーン。
“ティガレックス”の体制が整わぬ内に、ベースキャンプへと駆け出すブーンだが、その上を影が追い越し、再びブーンの前に立ち塞がる。
(;^ω^)「どうあっても逃がさないつもりかお…」
ブーンの呟きに答えるかのように、歯をガチ、ガチと鳴らす“ティガレックス”。
何か手立てはないのか、と考えるブーン。
周囲を見渡すと、一つの方法を閃いた。
( ^ω^)「…やってみるかお!!」
腹を括り、駆け出すブーン。
“ティガレックス”も突進を始めた。
ブーンが向かった先は、エリア4へと向かう道の前にある、高台だ。
ジャンプし、足場の端に手をかける。
“ティガレックス”が突っ込んでくる。
腕を引き、片足をかける。
距離が縮まる。
高台に上りきったその瞬間、“ティガレックス”は高台の壁に衝突する。
(( ゚ω゚))「おおぉ…」
軽く地響きがする。
すかさず駆け出すブーン。
壁に衝突し、怯んだ“ティガレックス”の背の上を一気に駆け抜ける。
(# ゚ω゚)「いっけぇぇぇぇ!!!」
“ティガレックス”は、背の上のブーンに対して何もする事が出来ないようだった。
飛び降り、ベースキャンプへの道へ飛び込む。
ベースキャンプへなんとか生還したブーンは赤い箱に〈ポポノタン〉を納品し、さっさと雪山を後にする。
( ´ω`)「えらい目にあったお…」
村へと戻る足取りは重かったが、それが自分の生還を実感させてくれた。
―――ポッケ村―――
(#゚;;-゚)「そんなことがあったのかい…
なんにせよ、ブーン殿が無事で良かったよ…!」
( ´ω`)「お……ありがとうございますお…」
疲れきっているブーンは、でぃに依頼完了の報告を済ませると真直ぐ家に帰宅した。
【マフモフ】を脱ぎ、普段着に着替える。
【ハンターカリンガ】の手入れもなおざりに、深い眠りについた。
つなぎ止めた生を噛み締める様に――――
第三話 end