ガラクタ魔王のようです

March 04, 2011

( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第十一話

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/03/03(木) 21:57:40.94 ID:0kzeBQqB0

 雨音が戻ってくると、肌に当たる雨粒の感覚、冷たさも戻ってきた。

 現実が重く心にのしかかる。


(  ∋ )

  _
(  ∀ )(僕は、僕はまた大事なものを、失ってしまった)


 涙は雨と共に流れていった。
 ただ心に流れ込んでくる深い悲しみは、せき止められたまま流れていかない。



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/03/03(木) 21:58:31.75 ID:0kzeBQqB0





 ##### ガラクタ魔王のようです #####










 第十一話「宿命螺旋と禁じられたお人形遊び」






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March 02, 2011

( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第十話

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/28(月) 21:02:10.43 ID:nzHJEyyo0


( ゚∋゚)



 カエラズの森にはクックルの張っている結界が何層もある。
 今、その一つに何かが接触した気配を感じた。


 昼食を作る手を止めて、水気のついた手を拭いた。


ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの?」

( ゚∋゚)「少し、気になることが出来たので、外に出てきます。
     もしかしたら少し遅くなるかもしれません。昼食の準備、お任せしてもよろしいでしょうか?」

ζ(゚ー゚*ζ「いいですわ。いってらっしゃい」

ミセ*゚ー゚)リ「いってらー」



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/28(月) 21:09:35.78 ID:nzHJEyyo0

 王国の者と和解したおかげで、ここ最近侵入者はぱったりといなくなった。
 このような形でクックルが出動するのは久しぶりのことである。


( ゚∋゚)(昼食の準備が終わってからにしてほしかったな)


 王の命令以外でカエラズの森に来る者といえば、ただの冒険者か、
 はたまた魔王城の財産目当ての盗賊なども考えられる。

 どうにしろ、その日もまた、単なる面倒な輩が現れただけだと、クックルは考えていた。




 引っかかった反応があったのは、鬼門の近くの結界であった。

 そして、クックルの視界に異変が起こったのは、鬼門の近くまで飛行していったときだった。



 天地がひっくり返るような悪寒、不可思議な感覚に襲われ、魔力の制御ができなくなる。

 暗転した視界、混乱する思考のさなか、自分が墜落しているのをクックルは感じた。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/28(月) 21:10:58.44 ID:nzHJEyyo0





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 第十話「四天王と襲撃のティータイム」






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March 01, 2011

( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第九話

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/27(日) 23:46:49.85 ID:Ybflg5it0

 しんと静まりかえった城内を彼女は我が物顔で闊歩していた。

 元々他人となれ合うのは苦手だった。
 母親が死んでからはそれがいっそう顕著になり、今では“嫌い”になっていた。


 彼女は夜中眠らなかった。
 かといって昼間に寝ている訳ではなく、数日に数時間ほど、目を瞑って休息を取るだけである。


 眠ると必ず悪夢を見る。
 全てが奪われてゆく日々を思い出す悪夢を見てしまう。

 眠れるはずがなかった。


 「困ったわねえ」


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/27(日) 23:50:21.42 ID:Ybflg5it0

('、`*川「そうなの。このままじゃ計画もおじゃん」

 「おまえの力で何とか出来るんじゃねえの?」

('、`*川「私は魔法使いだけど、神様じゃないの。出来ることと出来ないことがある」

 「お姫様がもっと積極的だったらいいのかしら」

 「そういう問題じゃねえ気がするが」




 真夜中の図書館では、窓から差し込む月明かりだけが拙い光源だ。

 青白く浮かび上がった人影は、ひそひそと談笑を続ける。
 相談というほど深刻な雰囲気は無く、それはあくまで談笑であった。



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/27(日) 23:53:03.27 ID:Ybflg5it0



  _
( ゚∀゚)「何をしているんだい?」




('、`*川「―――あら」




 暗闇から現れた魔王に対し、魔女は表情を変えずにじっと見つめ返した。

 彼女の瞳に人間らしい暖かみは感じず、空に張り付いた月のように、静かに青く揺れていた。



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/02/27(日) 23:54:23.74 ID:Ybflg5it0





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 第九話「パルプノンフィクションと闇夜の来訪者」






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February 03, 2011

( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第八話

91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/02(水) 22:17:00.10 ID:08VZqtnU0



(;゚A゚)「うおおおおおおおおおおお!!」



 ドクオは森の中を疾走していた。

 後ろにはカウデビルが三頭迫っていて、絶体絶命である。


 ところがドクオが魔王城の手前まで逃げると、カウデビルは立ち止まり、ドクオを見送った。

 魔物というのは、あまりにも強い魔力を持つ存在がいると、そこには近づかなくなるのだ。
 つまり魔王がいる限り、城の付近には魔物は存在できないのである。



('A`)「あ、どうも。自分ドクオっス。あと、百姓ッス!」


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/02(水) 22:18:43.80 ID:08VZqtnU0





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 第八話「騎士と勇者の物語」






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( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第七話

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/02(水) 20:18:38.51 ID:08VZqtnU0


ζ(゚ー゚*ζ「本当ですか!?」


 飛び上がって喜んだデレは、そのまま話をどんどん先に進めていった。


 彼らの言う見合いとは通常のそれではなく、城に住み込んで相性を見るというものらしい。
 つまりは同棲だ。


( ゚∋゚)「よいのですか、魔王様」
  _
( ゚∀゚)「なにか不都合なことがあるのか?」

( ゚∋゚)「彼らをあまり信用しない方がよいかと思います。
     結局は帝国側の者たちですし、裏でなにを考えているかわかったものではありません」


 デレたちが城に住むことを最後まで反対したのはクックルだった。



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/02(水) 20:20:32.56 ID:08VZqtnU0

  _
( ゚∀゚)「確かに怪しい者はいるが」




('ー`*川



  _
( ゚∀゚)「きっと大丈夫さ」



 楽天的ともいえる発言は、彼の持つ強さからくる余裕なのだろうか。

 ジョルジュの考えていることがわからず、クックルは苦悩する。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/02(水) 20:21:14.31 ID:08VZqtnU0





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 第七話「花嫁修業と幸せエックス」






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January 27, 2011

( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第六話

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:49:06.02 ID:ajl1UStm0

 王室でうろうろと落ち着き無く歩き回っている王様がいた。

 彼が心配しているのは政治のことではなく(関係無い訳ではないが)、自分の娘のことだった。



 近くの山に魔物が住み始め、住人達はおびえていた。
 そこにやってきたのが、穢れの魔女という異名を持つペニサスだった。

 彼女はたった一人で魔物たちを駆逐し、特別待遇として城に迎え入れられた。

 しかしこれには裏があり、王様を除く一部の政治家たちをペニサスが脅し、無理矢理取り入ったというのが真実だ。


/ ,' 3「心配じゃのう……」


 王様はペニサスを信頼し、娘を預けたのだが、今更になって彼は後悔し始めていた。


 彼はペニサスの心を覆う、底のない闇に気がついていなかったのだ。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:49:55.73 ID:ajl1UStm0





 ##### ガラクタ魔王のようです #####










 第六話「押しかけ家族と顔の無い道化」






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January 23, 2011

( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第五話

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 00:50:45.44 ID:c45wiDMj0

 城は帰還した勇者によって大騒ぎであった。

 カエラズの森から(公式に)帰った者は彼が初めてだからである。


('∀`)「そのときの血がこの剣の血でございます!」


 ドクオはミセリに言われた通りに、王様に戦績を報告した。


/ ,' 3「その血が本当に魔王の血か調べる」


 数日後、魔王の血だとわかったとき、今度は国中で噂になるほどの騒ぎとなった。
 百姓だったドクオは一躍有名人だ。


 
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 00:57:25.42 ID:c45wiDMj0


 ドクオは再び城に呼び出された。


/ ,' 3「ドクオよ。今日はおまえに頼みたいことがあって呼び出した」

('∀`)「なんでしょう!」

/ ,' 3「その前にもう一度、魔王城での出来事を完結に述べよ」

('∀`)「はい! 魔王城には魔王と百匹を越えるガーゴイルの群れ!
    私は命を失う覚悟であれやこれや、ちぎっては投げ、ちぎっては投げの猛攻で」

/ ,' 3「簡潔に! 簡潔にね!」

('∀`)「恐ろしい魔王と一騎打ちをし、私の剣が魔王の体を切り裂いたのです。
    その私の姿に惚れてしまった囚われの姫のために、今一度討伐部隊を結成し、魔王を倒すべきです!」


/ ,' 3「だそうじゃ」

('、`*川「ふぅーん。うっそくせー話だなーおい」

(;'A`) エ?



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 00:59:41.65 ID:c45wiDMj0





 ##### ガラクタ魔王のようです #####










 第五話「穢れた魔女と俗な王族たち」






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boonkei_honpo at 23:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第四話

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 00:00:05.25 ID:c45wiDMj0

 西棟に入ったのは初めてだった。


ミセ; -゚)リ「ケホッ!」


 ホコリの舞う部屋には、乱雑にものが置かれ、視界がおそろしく狭い。
 ここは物置だった。



 一階から二階に上がるにははしごを使う必要があった。
 質素な木のはしごを一段上る度に、ぎしぎしと不安な音が鳴った。

 二階に上がるとものは無くなり、ただ上に続く螺旋階段だけが見える。


 石段をぐるぐると上っていく内に心がときめいていくのを感じた。
 例えばそれは大人の踏み込まない場所に秘密基地を作った、子供のような。



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 00:02:45.11 ID:c45wiDMj0


 螺旋階段の終わりは、真っ赤な光で溢れていた。




ミセ*゚ー゚)リ「わぁ――――」




 見晴らしのいい景色の中で、広大な自然が赤く、壮大な光に照らされ、目を奪われるほど美しかった。


 展望台に一人佇むジョルジュの横顔を、夕陽が赤く染めている。

 彼の横顔があまりにも寂しそうに見えて、ミセリは息を呑んだ。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/01/23(日) 00:04:08.33 ID:c45wiDMj0





 ##### ガラクタ魔王のようです #####










 第四話「鮮血シアターと二人ぼっち」




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boonkei_honpo at 23:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

January 21, 2011

( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第三話

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/20(木) 21:23:23.33 ID:vP6KENfE0

 ミセリが城に住み始めてから数日が経った。

 三食食べられ、布団の中で寝られるここは、彼女にとって紛れもない天国だった。


ミセ*゚ー゚)リ「おーいたいた」

( ゚∋゚)「何かご用でしょうか」


 巨体を小さくして昼食の準備をしていたクックルに、ミセリが声をかける。


ミセ*゚ー゚)リ「いやぁー、なんていうか私って居候じゃん?
      だからさぁ、何にもしないのはちょっと駄目かなと思って、何か手伝いでもっと」

( ゚∋゚)「魔王様はなにもしなくていいと仰いましたよ」


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/20(木) 21:27:42.79 ID:vP6KENfE0

ミセ*゚ー゚)リ「そりゃあ言ったけどさ、こちとらそこまで無神経じゃないっつーか……」

( ゚∋゚)「ええ、よい心がけです。ではお言葉に甘えて、料理の手伝いをしてもらいましょうか」

ミセ*^ー^)リ「オッケー! 曲がりなりにも女だかんね。料理くらい楽勝!」



ミセ*゚-゚)リ「ぎゃあああああ指切った!」


ミセ;゚-゚)リ「ひっ! お皿割っちゃった!」


ミセ*>-<)リ「しょっぱ! 塩の分量間違えた!」


ミセ*;ー;)リ「ひぃぃぃぃ形容しがたい物体Xが誕生した!」





( ゚∋゚)「ミセリ様。その、申し上げにくいのですが……」

ミセ*゚-゚)リ「うん、わかってる。みなまで言わないで」



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/20(木) 21:28:57.29 ID:vP6KENfE0





 ##### ガラクタ魔王のようです #####










 第三話「有能執事と夢見がちな魔神」




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boonkei_honpo at 01:01|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

January 19, 2011

( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第二話

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 23:13:15.76 ID:bLAra/Q70



 小鳥の鳴き声で目を覚ました。

 ふかふかの毛布の中で、小さく伸びをしたあと、ベッドからはい出る。



ミセ*´ー`)リ(気持ちよかったぁ~~~~~~~)


 ベッドの上で寝られるのがこんなに幸福なことだっとは、ミセリは感動している。


ミセ*゚ー゚)リ(そういえばこの部屋って、魔王様の部屋なんだっけ)



 空き部屋が無いので、ひとまず自分の部屋で寝ろとジョルジュは言った。

 てっきり体を要求しているのだと思い、服を脱いで迫ったが、渋い顔をされてはねのけられた。


ミセ*゚ー゚)リ(失礼しちゃうわよね。乙女からの誘いを断るだなんて。いうか魔王様はどこで寝てんだろ)


 

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 23:14:55.23 ID:bLAra/Q70



( -∀-)「むにゃ?」




 部屋から出ると、廊下のカーペットの上で寝ているジョルジュを見つけた。




ミセ;゚ー゚)リ「ええええええ城主なのに!?」




75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 23:15:53.70 ID:bLAra/Q70





 ##### ガラクタ魔王のようです #####










 第二話「抽選勇者と囚われの姫」






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boonkei_honpo at 07:18|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第一話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 21:25:08.15 ID:bLAra/Q70

 森の中を女が駆けている。
 その後ろを、数人の男たちが追っていた。


 「待て! この売女が!」

ミセ;゚ー゚)リ「って言われて待つほどアホじゃねえよ!」

 「いーやおまえはアホだ! 底抜けのまぬけ! だから止まれ!」

ミセ;゚ー゚)リ「好き勝手いいやがって死ね!」


 追っているのは兵士たちだった。

 女は安っぽいドレスをはためかせて、必死に逃げ回っている。


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 21:29:26.32 ID:bLAra/Q70

 「ま、待て。この先は危険だ」

 兵士の内、一人が立ち止まる。


 「この先はやつの領地になる」

 「そうか! カエラズの森」

 「クソ。これでは追えないな」


 女の背中が小さくなり、森の奥へ消えていくのを、歯がゆい気持ちで兵士たちは見送った。



 「まあいい。これであの女が死んでくれれば、我々の落ち度も無くなる」

 「どうせ捕まえれば死刑だったしな」



 「さあ我々も帰投しよう。あの尻軽女のせいで、魔物に教われでもしたら報われないぞ」



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 21:31:22.92 ID:bLAra/Q70

 兵士たちが踵を返し、街に帰り始めてから、十数分後のことだった。





( ゚∋゚)

ミセ;゚ー゚)リ




 森の奥へ逃げ込んだ女は、三メートル以上はあるガーゴイルの前で、力なく座り込んでいた。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 21:33:22.96 ID:bLAra/Q70





 ##### ガラクタ魔王のようです #####










 第一話「ガラクタ魔王と尻軽女」






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boonkei_honpo at 07:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)