February 27, 2011
('A`)俺は幸せ──ようです
──昨夜は
( ・∀・)「あー、ちょっと。君、君」
──美しい
('A`)「……はい?」
──月明かりの下で
( ・∀・)「こんな時間にこんなとこで何やってんの? 住所、氏名は?」
──職務質問を受けたのです
('A`)「……え?」
('A`)俺は幸せ──ようです
(;'A`)「あっっっっちいいいいいいいいいいいい」
(;'A`)「何だこの暑さ……。今夏最高記録じゃね?」
(;'A`)「風が来い」
現在時刻は正午を少し、過ぎた辺りか……。
朝からずっと歩きっぱなしだし、どこかで一休みでもするかねぇ。
空を見上げりゃ雲一つない晴天。
今日は八月の最高気温を記録した三十八度の真夏日。
現在地は日陰一つない灼熱地獄。
手元には一口分の水分のみ。
(;;'A`)「詰んだ」
※※※※※※※※※※
(#´・_ゝ・`)「ドクオ! ちょっとこっちに来い!」
('A`)「は、はい!」
(#´・_ゝ・`)「何だ、この書類は?
脱字だらけで読みにくいわ日本語はおかしいわ……
お前本当に大学を卒業してきてんのか?」
(;'A`)「すみません、すみません」
(#´・_ゝ・`)「もういい! お前には頼まん!」
(;'A`)「すみません、やり直ししますので!
本当にすみません!」
(#´・_ゝ・`)「いいと言っているだろう。お前は席に戻れ」
(#´・_ゝ・`)「デルタ! ちょっと」
( "ゞ)「はい」
(#´・_ゝ・`)「この書類を直してくれ。一から作り替えてもいい」
( "ゞ)「分かりました」
(; A )「あ……。ああ……」
※※※※※※※※※※
('A`)「おや。良いところに公園が」
('A`)「民の憩いの場に水道があるのは自明の理」
('A`)「ミッション1、水分を補給せよ」
('A`)「しかし子どもが多いな……夏休みだっけか」
('A`)「フッ、せいぜい今のうちに夏休みってやつを満喫するがいい。
どうせ大人になったら夏休みなんぞ都市伝説だ」
ノパ⊿゚)「おっちゃん! ちょっと邪魔!」
('A`)「ん? ……ああ、下か」
('A`)「お嬢ちゃん、俺はまだ30代なんだよ。
おっちゃんは40からだ」
ノパ⊿゚)「何か分かんないけど、そこどいて!
入口に立ってちゃ邪魔!」
(;´・ω・`)「ヒーちゃん……。あんまり関わらないほうがいいよ……
あのでっかいバッグの中に、きっとでっかい爆弾とか持ってるんだよ」
ノパ⊿゚)「ば、爆弾!? おっちゃん、ぼまーってやつか!!!」
(;'A`)「お、おい! でかい声を出すな!
この中にゃ旅行用具一式しか入ってねえよ!」
ノパ⊿゚)「スゲーな!! 爆弾見せてくれよ!!!」
(;´・ω・`)「ダメだよ! 早く逃げないと爆弾で殺されちゃうよ!」
ヒソヒソ
<爆弾が…………殺されるって…………
<警察呼んだ方が……
<あ、私もう連絡…………怖いわねぇ……
<子ども…………守らなきゃ……
(;'A`)「やめろ! 俺に近づくな!」
ノパ⊿゚)「ちょっとくらい見せてくれよ!!!!
ばーーくーーだーーんーー!!!!!」
(´;ω;`)「ヒーちゃあん! 早く逃げようよお……」
ピーポー ピーポー
(;'A`)「うわっ、マジかよ! マジで呼びやがった!!」
ノパ⊿゚) ギャーギャー
(´;ω;`) ウワァァン
└('A`;)┐≡ 「チクショオオオオオオオォォォォォォォ!!!!!」
44 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:10:14 ID:PJxXnfoYO
(;'A`)「ハァハァハァハァハァハァ……ハァ」
(;'A`)「アブねー……。子どもを守る母親パねえ」
('A`)「……ったく、俺は不審人物じゃないっての」
('A`)「まぁ、見た目は汚い服に伸びた髭と髪……
所謂ホームレスっぽい感じはしなくもない」
('A`)「……人を見た目で判断しやがって。
もし俺が爽やかイケメンだったら──」
ノパ⊿゚)「かっこいいお兄ちゃん! ちょっとどいてください」
(´・ω・`)「でっかいバッグもちょっと汚れた服も、かっこいいなぁ……。
僕もかっこいいお兄ちゃんみたくなりたいな」
ノパ⊿゚)「ねぇ、かっこいいお兄ちゃん!!
バッグの中には何が入ってるの?」
('+ー`)「爆弾だよ」
ノハ*゚⊿゚)「爆弾!? スゲー!! 超かっこいい!!!!」
(*´・ω・`)「かっこいいお兄ちゃんの爆弾は、やっぱりかっこいいのかな?
僕も欲しいなぁ」
<爆弾ですって…………やっぱりイケメンは……
<イケメン………何を持っても……
<私のハート…………爆破されて……
<もうちょっと近くへ…………イケメン最高……
(*'A`)「ってな感じになるよなぁ……。
その後は人妻と、幼女と、キャッキャウフフ……」
('A`)「はぁ……馬鹿らしい。もうちょっと現実を見ような、俺」
(;'A`)「っつーか結局水飲めなかったじゃん! ああ、畜生!!」
46 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:12:42 ID:PJxXnfoYO
※※※※※※※※※※
从'ー'从「わーい、お昼の時間だよー」
('、`*川「あー……疲れた。ご飯どうする?」
(*゚∀゚)「駅前のランチ行こうぜ!」
('、`*川「結局そこか」
从'ー'从「安いし、あそこのオムライス美味しいもんねぇ」
(*゚∀゚)「早く行こう! 腹減った」
('、`*川「はいはい……っと。あ、貞子も行くー?」
川д川「……ううん、私はいいや」
('、`*川「そっか。じゃ、お昼休憩いただきまーす」
47 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:14:01 ID:PJxXnfoYO
从'ー'从「あ、見て見て。ドクオさん、またこっち見てる……」
(*゚∀゚)「うへぇ、相変わらず気持ち悪いなぁ」
('、`*川「確かに……顔が、っていうよりは雰囲気がキモイよね」
(*゚∀゚)「こっち見んなよww」
从'ー'从「何でいつも私たちのほうをチラチラ見るんだろうね~」
('、`*川「好きな人でもいるんじゃない?
例えば……ワタちゃんとか!!」
从;'ー'从「ええ!? い、嫌だよ~」
(*゚∀゚)「ワタちゃんモテモテで羨ましいなーww」
从;'ー'从「本当に嫌なの!」
(*゚∀゚)「もードクオなんかどうでも良いから放っとこうぜー」
('、`*川「それもそうね。早く行きましょ」
('A`)「伊藤さんたち、何を話してたんだろ……
なんか俺のほうを見てたような」
('A`)そ「まさか……俺の事が好きとか?」
(*'A`)「参ったなぁ。俺は貞子さん一筋なのになぁ」
(*'A`)「昼休憩はいつもデスクに残って、
何か考え事をしている姿を見るのが俺の日課」
(*'A`)「嗚呼、貞子さん可愛いよ貞子さん」
( "ゞ)「貞子、お待たせ!」
川д川「あ、デルタさん。お疲れさまです」
(*'A`)
('A`)
( "ゞ)「ご飯食べに行く?」
川д川「あの、実はお弁当を作って来たんです」
( "ゞ)「へぇー、貞子は家庭的なんだなぁ」
川*д川「えへへ。それじゃあ屋上に行きましょうか」
( "ゞ)「ああ、楽しみだ」
('A`)
('A`)「なんだ……貞子さん、彼氏いたんだ……」
('A`)「デルタ、かっこいいもんな。仕事もデキルしさ」
(;A;)
※※※※※※※※※※
49 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:16:22 ID:PJxXnfoYO
('A`)「ようやく涼しくなったな」
('A`)「昼間はあんなに暑かったのに」
水は結局自販機で買った。
喉が渇きすぎて脱水で死ぬか、なけなしの120円を出して
一時のオアシスを買うかの極簡単な二択。
俺は自販機の前で小一時間悩み、決断をした。
全く、人生ってのは上手くいかないもんだ。
('A`)「おー、夕日が沈んでいく」
('A`)「綺麗だな……」
('A`)「一度、甲州街道を歩いてみたかったけど……
夢を叶えられるってのは幸せだよな」
※※※※※※※※※※
('A`)「え?」
(´・_ゝ・`)「だから、お前クビな」
(;'A`)「な!? ど、どうしてですか!!」
(´・_ゝ・`)「どうして、って……本気で言ってるのか?」
(;'A`)「納得がいきません!!」
(´・_ゝ・`)「ここは会社なんだ。
使えない荷物を置いておく倉庫じゃない」
(´・_ゝ・`)「自分の胸に手を当てて、よーく考えてみろ。
この会社に入社して、自分が何か結果を残せたのか。
会社に貢献出来ていたのか」
(;'A`)
(´・_ゝ・`)「何も思い浮かんでこないだろう?
そういう事だ」
(´・_ゝ・`)「明日から、来なくて良いぞ」
(;'A`)「そ、そんな……」
※※※※※※※※※※
('A`)「すっかり暗くなっちまったな」
('A`)「どこかにビジネスホテルでもあれば良いんだけど」
「あー、ちょっと。君、君」
('A`)「はい?」
( ・∀・)「こんな時間にこんなところで何をしてるの?」
(;'A`)「え? え??」
( ・∀・)「名前と住所教えて。あとカバンの中身も」
(;'A`)「い、いや、俺は……怪しい者じゃないです」
(;'A`)「ただの善良な一般市民です。
会社をクビになった腹いせに今朝、社員ロッカーの扉を接着剤でくっ付けて
全て開かないようにするなんて悪事も働いてませんし」
( ・∀・)「え? 今なんて?」
(;'A`)「いやっ、ちがっ、俺、違う……」
( ・∀・)「君さぁ」
( ・∀・)『変なクスリをたくさんやってるんじゃない?』
('A`)『とか聞かれたりしました』
( ・∀・)「は?」
(;'A`)
(;'∀`)「えへっ」
( ・∀・)「……署まで御同行を」
('A`)
あの後、警察官にいろいろ説明している間に段々と夜が明けてきた。
話を聞いていた彼は、俺が話し終わると涙を流して
( ;∀;)「大変だったんだなぁ、リストラは辛いよなぁ」
とか言いながら弁当をおごってくれた。
クビになって、都市伝説化していた大人の夏休みを急遽手に入れた俺は
徒歩でどこか遠くに行きたいと思い立ち、東海道や日光街道等と迷ったが
なぜか無性にここに惹かれて、歩いてみたいと思った。
('A`)「ま、人生上手くいかないけど、世の中まだまだ捨てたもんじゃないさ」
手には先ほどの警察官がくれた弁当の温もりがまだ残っていた。
('A`)「あ……日の出……」
('∀`)「綺麗だなぁ」
甲州街道は──
甲州街道は──
甲州街道は──
('∀`)「もう、夏なのさ~」
('A`)俺は幸せ──ようです
終
歌手:Lantern Parade
歌 :甲州街道はもう夏なのさ
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この記事へのコメント
1. Posted by フィナステリド|ed専門医 December 01, 2011 19:41
書き込みありがとうございます。