June 19, 2011

( ;゚ω゚)ノ凸スイッチを押すようです ―アトカタモナイノ国 のようです―

539 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:33:25.04 ID:JaJXTk6J0


 - 注意と謝罪 -


 この作品はある曲の歌詞を元に作られており、その歌詞をそのまま転用しております
 歌詞の解釈は筆者特有のものであり、また、他の解釈を否定するものではありません
 作詞作曲者に多大な感謝と許可のない使用の謝罪の意をここに表します



541 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:35:26.66 ID:JaJXTk6J0



 きみのことを誰も覚えていない

 名前さえも きいたこともないと言う

 そんな人は 知り合いにはいないよと

 誰も彼も 不思議そうな顔をする





545 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:37:29.81 ID:JaJXTk6J0






アトカタモナイノ国 のようです








550 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:40:45.71 ID:JaJXTk6J0

 ここは夢の中だ。目覚めてもいないのに、それが僕にはわかる。
 それは直感のどこか薄ぼんやりとした不定形の何かではなく、巨大な壁のような威圧感を持って僕に理解を押しつけてくる。

 それは「人間」は生まれた時から己が「人間」であることに疑問を持たないのと似ている。
 あなたは「人間」だ。はい私は「人間」です当たり前。そんな感覚に近い。
 これは「夢」だ。はいこれは「夢」です当たり前。

 だが同時に、執拗なまでの現実感が周囲の空気ごと僕の居る部屋を覆っていた。
 現実よりも現実じみたそれは、ありえないほどのリアルさがかえって夢を強調していた。
 写真が一目見て絵でも現実でもなく写真であるとわかるのと同じ、そういった強すぎる現実感だ。

 無音に近い、しかし聞き取れないほどの小さな音が耳鳴りの中に混じる静けさ。
 打放ちのコンクリートからはカビ臭さと、他人の家に感じるあの異質の匂いが鼻をくすぐる。
 天井から吊られた裸電球は、クモの巣をまとい薄汚れた黄色い光を放っている。
 湿度の高い空気がまとわりつき、僕の動きを緩く阻害して、縫いとめるでもなくただ漂う。



553 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:42:47.16 ID:JaJXTk6J0

 どれもが夢特有の脆さと儚さを持たず、むしろ、現実以上の確固たる何かを主張している。
 同時に部屋は暗く廃退的な空虚さを持って、僕を食らうタイミングを計るように取り囲む。
 まるで、闇の中で野生動物に首元を狙われているかのような、落ち着かない気落ちが僕を並びながら取り囲んでいる。

 それらを振り払って、周囲を見まわした。

 隅に置かれた鎖とよくわからない粗大ゴミのような木材は水に濡れ、光の反射がどことない妖しさを感じる。
 一匹の蛾が電球の回りをふらふらと彷徨い、幾度となく光源を覆うガラスに阻まれては跳ね返る。
 そして何より、正面の壁に取り付けられた、巨大で錆びたスイッチが存在感を放つ。

 古びた、鉄道のレールを切り換えるために使うような巨大なレバー式のスイッチ。
 壁に取り付けたにしては、ずいぶんと大きく、無理をしているように思う。
 周囲を四角く囲む黄色と黒のストライプは剥げかけいて、力ずくで動くのかも怪しいほど鉄錆に覆われている。

 スイッチレバーは今、上を指していて、隣には文字盤らしきものがあり、上に赤く警告ランプが点灯していた。
 近いて少し汚れに躊躇ってから、袖で文字盤を拭うとそこには「ON」とだけ書かれている。
 老朽化して読めないが、たぶん、下段には「OFF」とも書かれていたのだろう。



556 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:44:51.87 ID:JaJXTk6J0

 スイッチ周辺の壁には配線や太いパイプがいくつも這っていて、乱雑な幾何学模様を描いている。
 おそらく僕には窺い知れない複雑な構造になっているのだろう。
 しかしそれにしても、剥き出しというのはなにか構造的な欠陥があるようにも思えた。

 そして、夢を夢であると理解したように、目前に鎮座するスイッチを切ればどうなるのか、僕は知っていた。
 このスイッチ切れば、取り返しのつかないことが起こる。
 どんなに願っても、そのスイッチを切ったことを取りやめて、元に戻すなど出来ない。

 そういったこのスイッチにまつわるルールも、この夢が夢である事実と同様、僕はこの夢の始まりから知っていた。
 まあ、実際のところ夢の始まりがどこなのかはわかりはしない。
 そもそも、夢のスタートを覚えている人間などいるのだろうか?

 少なくとも僕は、ここから始まったなどという時点がある夢を、記憶したことがない。
 きっとどの夢も始まりは唐突で、終わりも唐突なのだろう。
 まあ少なくとも現在記憶にある範疇では、最初から圧倒的に理解していたことだった。

 恐らく目が覚めれば、きっと今より少し前か未来あたりを思い出して、始まりから知っていたと思うのだろう。
 とにかく僕はこのスイッチの意味を知っていた。
 それはつまり、僕にはある決断が迫られていることになる。



560 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:46:56.86 ID:JaJXTk6J0

 決断の時まで、残された時間はそう長くはないだろう。

 この夢が一体いつまで続くのかは知らないし、夢が覚めるまでのタイムリミットを自覚できるかも知れない。
 少なくともこちらは、そう言った予感がある夢を見たことを幾場か思い出せる。
 だが、同時に何かの拍子に目が覚めると言うことも、またよくあることだ。

「スイッチを切るか切らないか」

 僕はこの二つの選択肢を決断しなくてはならない。猶予は、この夢が覚めるまでだ。
 それまで僕は思う存分悩むことが出来る。
 だが、もし最後までに決断しなければ、自動的に切らないことになり、恐らく二度とチャンスは巡らない。

 仮に夢が覚める瞬間とやらを自覚できたとしても、焦って誤った選択をして一生後悔するかもしれない。
 となれば、どちらにせよ、この二択問題に対する決着をなるべく早く決める必要がある。
 それもなるべく後悔をしない選択をして、である。

 「やらないで後悔するよりも、やって後悔した方がいい」などと言うが、今更ながら全く当てにならないと悟る。
 悩む物は悩むのだ、そこに時間があれば、ともかく悩んで納得のいく理由が欲しくなる。
 まして、人生を左右する大切な問題となれば、それは出来る限り悩んで決めた方がいいに決まっている。



563 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:49:10.39 ID:JaJXTk6J0

 このスイッチを切れば、大切なきみが消える。
 きみの痕跡すら全てを許さず、後にはアトカタモナイ。


 その時、ノイズ音が聞こえて、僕ははたと振り返る。
 気がつかなかったけれど、背後には古びたダイヤル式のテレビが置いてあったのだ。
 木製の台の上に、黒い操作盤が銀色の文字を光らせる。

 どうやら、先ほど唐突に電源が入ったらしい。
 しばらく続いた砂嵐の画面は、一度暗転すると、やけに鮮明な映像を映し出した。
 古いテレビなので、モノクロかもしれないと一瞬疑ったが、その映像には色がついていた。

 いや、その表現には多少間違いが含まれている。
 そのテレビは綺麗というよりも、まるで、ブラウン管に窓ガラスをはめ込んだように、現実そのものの鮮明さがあった。
 脳みそから記憶を取り出して編集し、映像として古いテレビが映しているようなそんな気持ちの悪いリアルさだ。

 そこには昔のまだ入学式も済ませていないような僕たちが映っている。
 懐かしい、幼い僕たち四人組。
 僕の視点ではなく、誰かが撮影したような視点で流れるものだから、僕がまるで五人目になったような錯覚さえ覚える。

 映像が続くに従い僕は徐々に熱中し食い入るように、その古いテレビを眺めていた。


565 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:51:11.60 ID:JaJXTk6J0



 きみがくれた手紙がなぜか

 見あたらない 部屋のどこにも

 日記の中に きみが出てこない

 毎日書いていたはずなのに


 アトカタモナイノ国 僕はたどりついた






567 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:53:15.68 ID:JaJXTk6J0

僕とブーンとツン、それからドクオの四人は幼馴染だった。

川 ゚ -゚)( ^ω^)ξ゚⊿゚)ξ('A`)

 気がつけばこの四人組は完成していて、少なくとも小学校に入学するより前から一緒だった。
 近所に住むこの四人はいつ知り合ったかも遠く記憶の霞の向こうで、きっと四人の誰もがそうであったと思う。
 おおよそ幼馴染とはそういうものなのだろう。

 物心ついたその時から、僕はブーンという少年に淡い恋心を抱いていた。
 それくらいの年齢には、恋に落ちる理由どころか、恋というものを把握できていなかっただろう。
 しかし、ツンという少女も同じように、ブーンに恋心を抱いていた。

川*゚ -゚)「ブーンのお嫁さんには僕がなるんだ」

ξ*゚⊿゚)ξ「ツンがなるのー! 前に約束したのー!」

 およめさんというものがどういったものなのかも知らず、ただ無邪気に主張する。
 これが当時の恋の知識にまつわる全てであり、それが出来る者が尊敬のまなざしを受ける何かだった。
 知識と呼ぶにはいささか軽薄すぎる気が、きっとしなかったのだろう。

川*゚ -゚)「嘘だー! 絶対嘘だー!」



568 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:55:16.51 ID:JaJXTk6J0

 ツンの言葉は、子供特有の無邪気な嘘か、あるいは、ブーンが勢いから約束したのか。
 今となっては判然としない。
 当人たちも覚えていないに違いないと、僕は思う。

('A`)「ブーン、したの?」

ξ*゚⊿゚)ξ「したよねー! 絶対したよねー!」

(;^ω^)「おー……覚えてないおー」

ξつ⊿;)ξ「うわーん! ブーンがウソつくー! 婚約破棄で訴えてやるー!」

(;^ω^)「ええー! 訴えられちゃうのかお!? 前科かお?」

 こんな感じに泣きだして、保母さんや親といった身近な大人たちをよく困らせていた。
 他にも、ブーンのファーストキスをツンが奪ってしまって、泣き喚いた挙句、頬へのキスをねだったような。
 そんな今思えば、赤面することしかできない記憶がかろうじて残っている。

 とにかく、小さく純真で恐れを知らない頃は、どちらがブーンの「およめさん」になるかでよく揉めたのだ。
 二人の間に挟まれてブーンは困惑し、ドクオはそれを遠い目で見ていることがよくあったのを覚えている。
 僕がかろうじて覚えている四人一緒の思い出が、その類なのだから幾度もあったことなのだろう。



573 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:57:18.28 ID:JaJXTk6J0

 ツンがブーンを豚と呼び始めたのは、たしか小学校からだったと思う。
 今思うとツンが、ずいぶんと不躾でどこかマセているのは、この頃から始まっていたのだろう。

川 ゚ -゚)「ブーン? どこへいく? 今日は日直だろう? 黒板消しくらいなら手伝うぞ」

(*^ω^)「おー! すっかり忘れてたおー。手伝いサンクス!」

ξ゚⊿゚)ξ「この豚。今日は私の荷物運びなの。借りてくわよ」

(;^ω^)「お!? 訊いてないお!?」

ξ゚⊿゚)ξ「だって、今話したもの」

川 ゚ -゚)「ほう? だがあいにく彼は日直だぞ? 私が代わりに荷物持ちでもしようか?」

(;^ω^)「おー、ダメだおー。どうせツンの荷物は重たいおー」

ξ゚⊿゚)ξ「なら日直の方を代わってくれないかしら?」



577 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 02:59:22.20 ID:JaJXTk6J0

 バチバチと火花を散らし、ブーンが見当違いの合の手を入れる。
 そこに遅れて手に日誌を持ったドクオが間に入った。
 分厚い学級日誌をぴらぴらと揺らしながら、ドクオはそれをブーンに手渡す。

('A`)「ん、ほれ、日誌だろ? どうせ忘れてると思って、やっといたぞ」

( ^ω^)「助かったおー! クーも手伝ってくれようとしてくれて、ありがとうだおー!」

川 ゚ -゚)「(……おいドクオ、裏切ったな)」

('A`)「(いや、俺に言われても……)」

 成長するに従って羞恥心やその自覚が芽生え、奪い合いは消えて……
 けれど、こういった感じで、お互いが恋心を捨てていないことはブーン以外の間では暗黙の了解であった。
 少なくとも、僕はそうであると思っていたし、時折、駆け引きめいたことをするのは日常的でもあった。

 もちろん、ツンとの仲は表立って険悪なことではなく、四人は一組となって仲良く遊んだ。
 むしろ、親友と呼んでも差し支えのない関係だと思っているほどだ。僕の一方的なものかもしれないが。
 なにより、このくらいの年齢にとって恋愛は友情よりも下位の感情だったのだろう。



581 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:01:31.15 ID:JaJXTk6J0

 そういえば僕が小さな火傷を負った時、ツンが烈火の如き怒りを見せていたこともあった。
 あの時はたしか蒸すように暑い熱帯夜の闇の中、花火大会が終わったあとのことだ。
 皆で花火を持ち寄って、そのまま余興の小さな花火二次会を始めたのだ。

( ^ω^)「ロケット花火は人に撃つ物! それを"ロケット"花火と人は呼ぶ!」

('A`)「甘い! 止まって見えるぞブーン!」

( ^ω^)「外れただけじゃねえかおwwww ああ! 流れ弾が!」

 虫の音が遠くに聞こえる深い闇とそれを斬り裂く光の花弁は、どうにも子供心をくすぐるらしい。
 その上、大人の居ない夜の中、煩わしい注意を受けずに子供たちだけでの火遊びは僕らを多いに刺激した。
 「刺激した」を白熱しただとか没頭しただとか、そういう単語に置き換えても構わない程度の興奮具合だった。

 だから、その白熱した興奮が火花を散らし、それに火傷することは、ある種の必然でもあっただろう。
 いくつもの街灯が生む冷たい光に星明かりも霞み、月だけが輝く夜空を一筋の軌跡が二つに分ける。

川 ゚ -゚)「む? あっつ!」

 その先端が偶発的に、幾ばくか茫然としていた僕へと向かったのだ。



585 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:03:32.15 ID:JaJXTk6J0

('A`)「大丈夫!?」

(;^ω^)「ごめんおー! 大丈夫かお!?」

川 ゚ -゚)「大丈夫、ただの軽い火傷――

 所詮小さな火の粉を浴びただけなので、大した痛みもないのだが、直後雷撃が落ちたような怒声が響いた。
 その落雷の勢いから繰り出されるグーパンチ。
 火の粉よりも直撃を浴びたブーンの方が、僕の目にはとても痛そうに見えた。

ξ#゚⊿゚)ξ「おいこら白豚ぁ!! なにクーのすべすべ柔肌をキズ物にしとんのじゃあああ!」

(;^ω^)「おー、いえこれはですね、元々ドックンが避けるからですね」

(;'A`)「えっ!? これ俺のせい!? ブーンが盛大に外したのに!?」

ξ#゚⊿゚)ξ「二人とも女の子に怪我させて、イイワケするんじゃねええええ!」

(;'A`)「俺もなの!? いえごめんなさい!?」

 ツンはかなり友達想いなところがあって、それは恋の敵である僕も例外ではないらしい。
 何とも毒気の抜かれる話だが、そういう所も彼女らしくていいと思う

(::#)ω`)「反省しますおー」

(::#)A`)「そうしてください」



588 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:05:34.55 ID:JaJXTk6J0

ξ#゚皿゚)ξ「がるるる……」

川;゚ -゚)「ツン? 僕は大丈夫だから。軽い火傷だし……」

ξ#゚⊿゚)ξ「クーも自分を大切にしなさい! ってか火傷を負わせるだけ十分な被害よ!」

川;゚ -゚)「はい……」

 こういう時のツンの怒気は凄まじいものがある。
 女性の敵だとか、弱い者いじめだとか、そういった類の物に、全ての気力を振り絞って野獣のように牙を剥く。
 彼女の攻撃性は、常に正しくない者と自分以上に強き者と、それからブーンへと向けられる。

 とぱっちりを受けることの多い彼ら二人は、だからこそ彼女を宥める方法を心得ていた。
 ただただ、しおらしくすること、その一点に尽きるのだから、僕もそれに従う。
 反省していることを全身で表わせば、それに追撃を加えるほど彼女は我を失うことはない。

ξ*゚⊿゚)ξ「全く私の将来のお嫁さんが傷物になったらどうしてくれるのよ!」

川 ゚ -゚)「おい、僕は婿だ。嫁になるつもりはないぞ!」

 怒りすぎたと思った時には、こうやって、冗談で空気を切り変えてくれる。
 なんだかんだいって、彼女は優しくまっすぐで、とても眩しい。
 僕には、時折眩しすぎると思ったことも多かったけれども。



591 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:07:37.71 ID:JaJXTk6J0

 そうそう、女の敵と言えばこんなこともあった。
 確かあれは中学も半ばを過ぎた夏休みのこと、どこかへと遊びに四人で電車に揺られていた。
 どこに行く途中だったのか、どうにも思い出すことができないのはやはり、事件のインパクトが大きいのだろう。

 地元の電車はいつも満員か、まあ常に座席の倍以上の人数が乗っていて、若者が座れるような空間ではない。
 鉄の囲いに冷気を満たし、うだるような暑さを割いて進む電車は、まあそれでも外よりは快適だった。
 汗ばむ胸元を仰ぎたい衝動を抑えながら、吊革に片腕でぶら下がり、ブーンと話していた時だ。

ξ;゚⊿゚)ξ「ん……あの……」

 初めは小さな異変だった。
 らしくない、か細い声でツンが遠慮するような言葉を出した。
 僕はおしゃべりに外の暑さと同じくらい熱中して、その異変に遠いセミの声と同程度の関心しか抱かなかった。

ξ - )ξ「……やっ……て……」

 普段はやかましい攻撃性を振りまくツンが珍しく静かなのも、生理なのだろうと口を挟まずにいた。
 それが恐怖の無言だと誰が想像しただろう?
 僕にせめてもの弁解が許されるなら、僕らの中で最も遠い位置に立っているツンの姿は人が邪魔で見えなかったことだ。



593 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:09:42.32 ID:JaJXTk6J0

 そして、痴漢とツンの間に割って入るように、ドクオとブーンが身を乗り出す。
 ちらちらと携帯を揺さぶりながら、怒りに狂うブーンを片手で抑えて、彼は少し言葉を選ぶ。

('A`)「見てたよー。とか言っても言い逃れするだろうから、気がついた瞬間にすぐ写メ撮っておきましたよ」

 それからすぐツンに「遅くなってごめんね」と付け加える。
 獲物を完全に包囲してからけしかけるハンターか、その猟犬のような鋭い瞳は、冷酷な怒りに染まっている。
 僕やブーンと違って彼は、烈火ではなく吹雪のような怒りに心を包んでいた。

 狼狽する男の様子をいたぶるように無言で問い詰め、一歩近寄る。

('A`)「ねえ、警察――

 「呼びましょうか?」と問い詰める言葉は、電車が駅に滑り込んだ瞬間遮られた。
 ドアの開くその瞬間に、痴漢は奇声を上げてドクオを突き飛ばしたのだ。
 そのまま反転し、人ごみの中へと紛れ込む。

(#'A`)「おいてめぇ! 待てっ!」

 転びながら冷たい炎は瞬時に燃え上がり、その場の誰もが凍てつくような怒りを声に込めていた。
 ずっと冷静だった人間が突如怒鳴ることが、こんなにも恐ろしい殺意を放つのかと、僕も少し身を竦ませる。



597 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:12:01.42 ID:JaJXTk6J0

 転倒した時に怪我をしたのか、左手を抑えながら追いかけようとするドクオを、けれどツンが引きとめた。
 「もう大丈夫だから」とドクオに、車内の喧騒に呑まれ聞こえるかも危うい声で、幾度も呟く。
 その様子に犯人よりもツンの方が心配になったのか、ドクオも「わかった」と一言呟いて黙り込む。

 その直後、電車が駅を出発してからも、沈黙は色濃く続いた。
 まるで、口を開けば割れてしまう風船を怖がって、誰もが口を閉じ、その風船が過ぎるのを待つような。そんな気分だ。
 その風船をたたき割ったのは、ブーンだった。

(;^ω^)「おい、ドクオ? その手、大丈夫かお?」

 痴漢騒動が原因ではない冷たい脂汗を浮かべながら、ドクオは大丈夫だと笑って見せるが、その顔は若干ひきつっている。
 そう言われれば、電車に合わせ揺れる立ち姿もどこかいつも以上に頼りない気がしてくる。

ξ;゚⊿゚)ξ「あんたそれ、ちょっと不味いんじゃない?」

 左手はそれから徐々に青紫に変色し、風船のように膨らみ始めると、皆が何度もドクオの説得に乗り出した。
 それから二駅も過ぎた頃には、脂汗は滝のように流れ始める。
 痛みをこらえているのか、奥歯がかみ合わずにがたがたと音を立て始めた頃になって、彼はその説得ようやく応じた。



600 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:14:09.25 ID:JaJXTk6J0

 遊びに行く予定を潰して、ドクオを病院に運ぶと、医者からは小指の剥離骨折だと宣告された。
 ギプスに痛み止めを処方されて地元駅に着いた時には、もう十分陽が傾き始めた頃合いだ。
 金色に輝く夕陽はビルの形に黒く切り抜かれ、それでもなお、空を赤く燃やし雲を煙のように暗褐色に染めている。

 鬱屈とした感情を吐き出すように「あの痴漢野郎」と、ツンが罵ると皆ははけ口を見つけたように怒りを噴出させた。
 それは連鎖的にあふれる性質を持っていて、きっとツンだけがその皮切りになれたことだ。
 だから皆続いて胸の内にあった鬱を、声という形にして叩きつける。

(#^ω^)「あの糞野郎のせいで、ドクオは怪我しておまけに一日丸つぶれだおー」

(#'A`)「あんにゃろう、写メは撮ってるんだから、地獄の底まで追いかけていつか絞め殺す」

ξ#゚⊿゚)ξ「甘いわね、次あの顔みたら即座に固定して、顔の表面を五mmずつゆっくりミンチにしてやるわ」

(;^ω^)「それ、拷問だとしても酷い部類だお……」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ穴という穴全てにミミズを一匹ずつ詰め込む。詰めなくなるまで丹念に詰め込む」

川 ゚ー゚)「人間ミミズソーセージwww」

 それらは特に意味のないただの愚痴だ。
 だから、落ちていた空き缶を蹴り飛ばし、怒りを単純な運動エネルギーに変えて発散する。



602 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:16:10.70 ID:JaJXTk6J0

 ぶつける先を失った怒りを上手く飼いならせるほどに、僕たちはまだ歳をとっていなかった。
 振り仰げば宵闇の濃紺が後ろから進軍を始めていて、あと少しの時間もしないうちに一番目の星が光るだろう。
 コンクリート・ジャングルにも一番星の輝きは、数万年の時間をかけて届くのだ。
 きっと、この呪いと不満と怒りをないまぜにした感情も、空を駆け巡りあの男に届き、天罰を与えるに違いない。

(;'A`)「あーやっべー、俺最高にかっこわりー」

 そんなくだらないことを考えていると、ドクオがうめくように言った。
 それは冷静の境地に立ち返り、電車に置いてきた自省と後悔とがやっと追い付いたような、そんな言葉だった。

ξ゚⊿゚)ξ「あんた、骨折した癖にずいぶん余裕あんな」

川 ゚ -゚)「痴漢されて泣いてたはずのお前もな」

 そんなふざけ合いの中、ドクオが小さく「好きな子の前くらい……」と口の動きだけで言ったのを、僕は見逃さなかった。
 見逃さず、けれど、なにを言うわけでもなく馬鹿話を続けて、見なかったふりをしてあげた。
 彼の言葉も、一番星のように時間がかかってもいい、いつか相手に届けばいいなと、ただその時は純粋に思っていた。

 ただそのときは、やっと顔をのぞかせた一番星が綺麗だと思いながら空を眺めていただけだった。



605 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:18:11.59 ID:JaJXTk6J0

 他にも四人の思い出はたくさんある。

 中学の卒業式、泣き上戸のブーンも、骨折しても涙を堪えたドクオも、皆泣いて別れを惜しんだ。
 テストが赤いと評判のツンに留年がかかった時、別の高校に進んでいた僕たちが勉強を教えた。
 ドクオが浪人しながらも日本最高学府に合格した時は、少し早いお酒に手を出してハメを外したこともある。

 僕は全てを日記に書いて、机の下から二番目の引き出しに鍵をかけて大切に残してある。
 大学に進学した今でさえ、定期的に会う幼馴染というのも珍しいだろう。
 しかしそれは、誰もが大学に進んでも会おうと思えば会える距離だったから成立したことなのだ。

 まさかこの中から欠員が出て、この心地よい関係にヒビが入るなどとは、この時は微塵も思っていなかった。



610 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:20:37.69 ID:JaJXTk6J0




 きみの家を ある日訪ねてみた

 きみの家が あったはずのその場所には

 三階建ての古い郵便局 古いドアが 古い客を待っていた




613 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:24:16.11 ID:JaJXTk6J0

( ^ω^)「おいすー」

 先にドアが開き、中に入るついでのようにドアチャイムが遅れて押される。
 プライバシーのかけらもないこの慣習は、女の部屋を訪れるにはどうなのだろうと首をかしげるべきだろう。
 しかし、長く過ごしすぎた友達というのは、もはや性別も超越している。

川 ゚ -゚)「上がってくれ。今、つまみを作っているところだ」

( ^ω^)「あれ? ふたりは?」

川 ゚ -゚)「まだ来てないな。ツンは何でもゼミが忙しいとか言ってたぞ」

 よく人が訪れるため、部屋は僕としてはかなり片付いている方だ。
 皆、ランダムにこの家を訪れるものだから、常にある程度の覚悟と配慮は出来ている。

 うん、ゴミとか散らかってないし、下着を干してるだとかいうアクシデントにも備えて乾燥機を使うようにしている。
 PCの回りだけはコードやら椅子から手の届く位置に物が過密しているが、こればかりは仕方がない。

 男どもがベッドの上にだけは座ろうとしないため、床敷き用の青と赤のクッションを購入してある。
 本が山積みなのは置く場所がないのだから、まあ仕方がない。
 よく見れば、ロフトの上がかなり雑然とした倉庫のようになっているが、これも目こぼしをくれるだろう。

 よし完璧。かなりの妥協が入った気がするが、これが私のせいいっぱいなのだ。



617 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:26:25.67 ID:JaJXTk6J0

( ^ω^)「しかし、あのテストが三倍のツンがゼミで忙しいとは驚いたお」

川 ゚ -゚)「三倍とはなんだ? 赤いからか? あ、こっちのは出来てるから運んでくれ」

( ^ω^)「はいおー。シャアもだけど、テストを三回受けるのも含めて三倍だお」

川 ゚ -゚)「ああ、そういう……」

 確かツンは去年テストで追試にすら落ちて、追々試を受けたらしい。
 追々試なるものを初めて訊いたが、授業態度がいいからと目こぼしを貰ったようだ。
 彼女のクラスメイトは早々に投げ出して、私たちが教えるハメになっていた高校生の頃が懐かしい。

( ^ω^)「これおつまみっていうより、もう普通に晩御飯だお」

川 ゚ -゚)「余り物で適当にやってたら案外数が出来てね、夕飯がまだなら米も出すぞ」

( ^ω^)「助かるおー。食費は折半で」

川 ゚ー゚)「堅いこと言うなよ。どうせ余りモノなんだから、おごってやる」

(*^ω^)「マジかお!? 助かったー。今月キツかったんだおー!」

川 ゚ -゚)「どうせゲーセン通いだろう? ロボット同士で戦う前に現実と戦ったらどうだ?」

( ^ω^)「いやーコア破壊しにいったら僕の財布がブレイクされて、今その現実と戦ってるおー」



620 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:29:20.94 ID:JaJXTk6J0

 さりげなく。さりげなく。一息入れた後に、ブーンの前の皿を少し手で押した。
 緊張している素振りを隠そうとすればするほど、余計バレているんじゃないかと疑心暗鬼に駆られる。

川 ゚ -゚)「二人が来る前に味見でもしてくれないか?」

 今日はドクオが日本酒を持ってくると言っていたから、つまみはそれに合わせた。
 段ボールの簡易燻製器を使って作ったゆで卵の燻製。これは昨晩の余りモノであるのは内緒だ。
 あとは、ほぐした明太子とゆず胡椒を乗せただけの冷や奴。これが中々日本酒に合って美味い。

 一口サイズに切って、皮が少し焼ける程度に軽く炙ったシメサバには、その香ばしさに合うようわさびを添える。
 刻んで鰹節をかけた高菜漬けときんぴらごぼうを箸休めに加えた頃に、肴と言うには作りすぎたと思い至った。
 ご飯は人数分炊けているが、メインがシメサバでは軽すぎるか?
 もう一品重めの物を作りたいが、もうブーンが来ていて作る時間はない。

 これで足りないなら冷凍食品で補おう、確か枝豆とから揚げがあったはずだ。
 まあ、それは皆が集まってからでいいだろう。
 ツンが来れないのなら、よく食べるのはブーンだけだから、三人分としては十分な量だ。

( ^ω^)「わかったおー」

 気軽に答えた彼は、箸を掴んできんぴらごぼうを一つまみ、口に運ぶ。



624 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:31:26.17 ID:JaJXTk6J0

 そして訪れる、緊張の一瞬。

川 ゚ -゚)「どうだ?」

 ごくりと自分の唾を飲む音が、やけに大きく聞こえた。

( ^ω^)「なんだこれ」

 だめだったか、と瞬間的に諦める。
 何がいけなかった? 味付けが濃すぎたか?
 そういえば、ごぼうの量が多めだからと砂糖を多く入れすぎたかもしれない。あれがいけなかったか

(*^ω^)「すっごく美味しいおー!」

 胸に広がった絶望感は、嘘のようにかき消された。
 喉の奥を潰すような緊張と窒息感の向こうに、すがすがしい青い世界が見える。
 ここで変に喜んでもきっと彼に怪しまれるだろうと、平静を保つよう心掛けても自然と口角があがる。

川*゚ー゚)「そうかそれはよかった」


628 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:34:16.61 ID:JaJXTk6J0

 ドクオから遅れると連絡があって、僕とブーンはお酒を待つまでもなく夕食とすることにした。
 まあ、つまむ物はなくなれば後から作ればそれでいいだろう。
 日本酒に合わせたためヘルシーな品数が並ぶ中、今日のシメサバは上手く炙れたなどと思っていると、ブーンが口を開く。

( ^ω^)「……ドクオはやっぱツンが好きなのかお?」

川 ゚ -゚)「じゃ、ないか? あの骨折した時の怒り方、尋常じゃなかったぞ」

 ブーンもやはり覚えていたようで、箸できんぴらを摘まみながら、「ああ、やっぱ気付いたのはあの時かおー」などと呟く。
 それを頬張りつつ、ご飯を一口口に運び、咀嚼し味わってから嚥下する。
 少し頬が緩んでいる気がするのは、きっと気のせいじゃない。

( ^ω^)「「好きな子の前くらいカッコつけさせてくれよ」とか、聞こえないよーに言ってたから、気になってたんだお」

川 ゚ -゚)「え? なんだ気付いていたのか? 僕だけだと思っていたぞ」

( ^ω^)「ありゃ気付いてないのは当人たちだけだお。しかし、ツンがドクオを好きかというと……」 

川 ゚ -゚)「まあ、いい線言ってると思うがな。東大生で将来有望、痴漢撃退した時はなんだかんだカッコよかったしな」


631 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:36:17.67 ID:JaJXTk6J0

 そこで言葉が途切れて、しばらく高菜漬けを二人して咀嚼する小気味のいい音が響いた。
 高菜独特の香りが鼻腔をくすぐり、程よい塩加減が舌を和ませる。
 この薄めな塩加減もいいが、漬ける時、少し醤油を増やした方が白米との相性はいいかもしれない。

( ^ω^)「まあ、本人次第かおー、そんなことより僕ら売れ残りがどうするかが問題だおwww」

川 ゚ -゚)「白豚君は生涯永久童貞じゃないのか」

( ^ω^)「ヤバくなったら風俗逃げるんでそれだけはないっすねー」

 そんなことは、僕がさせないけれど。

川 ゚ -゚)「……」

 言おうとした言葉は寸前に口から逃げ、喉の裏に小骨のように張り付いて出てこない。
 僕は口の中でただ空気を噛んで、咀嚼のフリをしてしまう。



632 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:38:19.27 ID:JaJXTk6J0

 結局言葉が出ないままに、数秒の沈黙。
 ブーンが冷や奴を少し摘まんで、口に運ぶ様子を、ただ眺める。

( ^ω^)「お? なにこれおいしい。明太子の適度な辛さに柚子と胡椒の刺激がハーモニー奏でてるお!?」

 冗談じみた告白でもいい。そうなりそうなら、僕が貰おうだとか、そういう軽口を叩くことだってできたはずだ。
 だけど、流れを掴む間もなく、話題は冷や奴へと移って、返ってくることはなかった。

川 ゚ー゚)「ふふっ自信作だ。冷や奴との相性も抜群だぞ!」

( ^ω^)「これはwwww酒がwww欲wしwwいwww」

 少し遅れてドクオとツンが現れ、宅飲みがずるずると怠惰に始まる。
 彼が持ってきた出羽鶴という、桜色の仄かに甘い酒はとても飲みやすかった。
 噛み締める敗北の味もするりと飲みこめれば、まだ楽に生きられるのかもしれない。



635 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:40:22.93 ID:JaJXTk6J0



 きみの番地を 確かめようと

 アドレス帳をめくってみても

 どこにもない きみの名前が

 まるで全てが なかったように


 アトカタモナイノ国 僕はたどりついた




638 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:42:23.48 ID:JaJXTk6J0

 そうやって鈍い悲しみを乗り越えた日から数日、嵐は前触れもなく唐突にやってきた。
 その日も、いつものように、僕の家に皆が集まっていた。

ξ゚⊿゚)ξ「それ本当なの?」

( ^ω^)「ホントだお。ずいぶん前から考えていたことだお」

 アメリカへの長期留学。行ったら最低でも半年、長ければずっと返ってこない。
 僕ら生まれた時から一緒にいた四人の内、一人が欠ける。
 いつか社会に出て、もしかするとこうなることもあるだろうと覚悟していたことだ。

 高校がバラバラになった時にも同じような覚悟はしていたけれど、それでも会おうと思えば会える距離だった。
 実際、いつの間にか二週間に一度や二度会っていたのだから、それが大学になっても少なくとも卒業までは続くと思っていた。
 そして、それは社会人になっても、会おうと思えば会える距離のまま、過ごすと疑っていなかった。

川 ゚ -゚)「そうか……」

('A`)「……お前が悩んで決めたことなら、それでいいんじゃないか?」

( ^ω^)「語学の勉強がしたいんだお。向こうなら、半年も強制されたら自然と身につくお」



643 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:44:55.30 ID:JaJXTk6J0

川 ゚ -゚)「それなら――」

 それなら、しかたない? それとも、日本だって出来るじゃないか?
 言いかけた言葉は宙を彷徨い、どこかへ飲まれて消える。
 けれど応援することが正しいことなのだろうと、感情を抑えて続けようとして、それを留めたのはツンだった。

ξ゚⊿゚)ξ「……会えなくなるのは、ヤダよ」

ξ゚⊿゚)ξ「皆いつも一緒だったじゃない」

ξつ⊿ )ξ「皆で花火したりさ! 秋葉原行こうとして痴漢にあったりさ! それでこのドジが骨折しちゃったりさ!」

ξ ⊿ )ξ「私、ブーンがいなくなるのヤダよ。生まれた時から一緒だったじゃない。今更欠けるのは嫌だよ!」

('A`)「ツンやめとけ……」



647 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:47:05.31 ID:JaJXTk6J0

ξ ⊿ )ξ「ドクオはいいの? ブーンが行っちゃって、もしかするとそのまま行ったっきりになっちゃって、それでいいの!?」

('A`)「よかないけど、これはブーンが決めることだろ?」

ξつ⊿;)ξ「そうだけどっ」

('A`)「なら、応援するのが筋ってもんだろう」

ξつ⊿;)ξ「だってっ! だってぇ……!」

 駄々をこねる子供のようなツンは、抑えきれない熱い滴を床に落とす。
 僕もこんな風に感情表現できたらいいのだけれど、言いたいことがたくさんある口は何も語らずただうつむくだけだった。
 なんとなく、自分の中にぽっかりと大きな穴が開いたようなそんな気持ち。

 その時、心に大きく開いた穴に、何かが入ってくる。
 それが何なのかもわからず穴を通して、私の心の奥底へ心臓の中へ入り込む。
 そしてそれは鼓動を力強く、視界が揺れるほどに強く、揺さぶり始めた。

( ^ω^)「ごめん、だお」

('A`)「謝るなよブーン。俺たちは友達だ。だから応援してやんねえとな」

( ^ω^)「ありがとうだお」



649 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:49:07.34 ID:JaJXTk6J0

 意を決して言うのは、今しかないと、そう、何故か感じた。
 理屈だとか、タイミングだとか、そう言った勝負事の全ては消え去って、ただ僕は衝動に動かされるように唇を開く。
 心に入り込んだなにかは、そういう衝動を生み出すような、何かを持っていた。

川 ゚ -゚)「……なあ、ブーン。少し話があるんだ。後で話せないか?」

( ^ω^)「お? 今じゃダメかお?」

川 ゚ -゚)「今でもいいが二人きりで話がしたい。大丈夫か?」

( ^ω^)「わかったお。ちょっと席外すおー」

ξつ⊿;)ξ「うん……ぐずっ」

('A`)「……」

 ツンが冷静さを取り戻し泣きやむための時間を与えるのにも、きっとちょうどいいことだろう。
 そう後付けで考えながら、二人でマンションの共用廊下に出る。



655 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:52:05.29 ID:JaJXTk6J0

 ここ大一番という時にも、何故か心は冷静さを保っていた。
 けれど、想いを正確に伝えるために、僕は言葉を選ぶ。

( ^ω^)「なんだお? 話って」

川 ゚ -゚)「まず、一つだけ訊きたい。こっちに戻る気はどれくらいある?」

 戻る気が0だと言うのならば、諦めよう。
 それで、その後、どうしても諦めがつかないなら、追いかけてやろう。
 逃げるためではなく、ただ着実に僕は20年近くの時間をかけて募らせた想いを、確実に吐き出す。

( ^ω^)「まだわからないお。向こうで考えることだから」

 澄み切った頭は酷く冷静に、きっと戻る気がないと言っていても、この想いを伝えるのだろうと先ほどの質問の愚かさを問う。
 十数年の時は恐らく短いが、それでもそれだけの時間しか僕の記憶には残っていないのだ。
 その時間は恐ろしく永く、そして矢のように過ぎて行った気がする。

川 ゚ -゚)「なるほど……」

 幼馴染だからこそ、僕はどうにもタイミングを逃してきた。
 いつでも言おうと思えば言えたのだ。ただ、距離があまりにも近すぎて、タイミングがいつなのかを忘れていた。



657 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:54:06.17 ID:JaJXTk6J0

 いや、そんなものじゃない、ただ、怖かっただけ。
 この心地よい関係が壊れてしまうことを恐れていただけ。
 その前提が壊れてしまったのだもはや恐れるものなど何もない。

川 ゚ -゚)「なあ、ブーン?」 

 廊下の向こうに見える黒に近い青色の夜空。
 優しい月明かりと、人工的な蛍光灯の明かりは、何故どちらも冷たく映るのだろう?
 ブーンんの髪を照らす明かりを見ながら、そんなどうでもいいことをふと思い付く。

( ^ω^)「お?」

 共用廊下から見える四角い夜空に星は見えない。
 けれど、あの日、あの夕闇の空の中、一番星は何万年も掛けて、この地球まで光を届けた。
 それだけの時間があっても光は、想いは届く。それと比べて、十数年程度募らせただけの想いが何だと言うのだ。

川 ゚ -゚)「僕は」

 その瞬間が来た時、感情は濁流のように流れてくる物だと思っていたが、案外僕は冷静だった。
 以前は伝えることが、あんなに怖くて、躊躇していたというのに、今日は何故かすらすらと口から出た。
 ただ、長く永く、伝えようとしていた想いをやっと伝えられる、その重圧からの解放感が静かに身体を火照らせた。



662 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:56:27.92 ID:JaJXTk6J0






川 ゚ -゚)「僕はきみが好きだ」







667 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 03:58:35.79 ID:JaJXTk6J0



 ここで僕の 時計は動き出すよ

 ここで僕は これから何をしてもいい

 ここで僕は 自由に息をする

 そして僕は これからどこへ行けばいい?




671 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:00:37.52 ID:JaJXTk6J0

 遠くに蝉の声が聞こえ始めた六月の終わり。
 とはいえ、今は自動車の立てる排気音にかき消され、そのまま夜の静けさに席を譲ろうとする時分だ。
 僕は久しぶりにツンとドクオを家に招いていた。

('A`)「ブーンからまだ手紙来てるん?」

川 ゚ -゚)「ん? ああ、昨日今月分は届いたぞ。見るか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「アホ。恋人同士の熱いラブレターなんぞ読めるもんですか」

 ブーンがあの告白から一ヶ月後にアメリカへと向かい、それからもう半年近く経つ。
 そう、僕らは晴れてあの日に恋人同士となった。

 その関係に疎遠したのか、いつも集まっているのが僕の家だったからか、ブーンが旅立ったからか。
 ツンもドクオも、僕の家に訪れる回数が極端に減った。
 それを悲しくないと言えば嘘になるけれど、当時の僕は積年の想いが伝わったことに浮足だっていたことは事実である。

('A`)「しかしまあ、ブーンの奴も薄情だな。こんな可愛い恋人置いて半年も戻らないなんて」

川 ゚ -゚)「向こうで色々あったらしくてな、さらに半年、向こうから戻らないことを決めたらしい」

ξ ゚⊿゚)ξ「白豚め、ビザのこととか考えてるわけ?」

川 ゚ -゚)「流石にあの馬鹿でも、その辺は考えてる。大丈夫だろう」


677 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:04:46.66 ID:JaJXTk6J0

 台所に立ちながらネギを刻み、クレイジーソルトと料理酒をなじませた皮つきの鶏肉の上に乗せる。
 それを温めておいたグリルに入れて、弱火でじっくりと焼く。
 網目から鶏肉が落ちてしまう物しかなかったので、油が下に滴るようホイルに穴を開けて敷いてある。

 時折、油が焼ける音を聴きながら、盛り合わせの温野菜を適当に切り分ける。
 鶏肉の表に軽く焦げ目がついたら、裏返して裏面も焼く。
 七味をマヨネーズに混ぜて、それとは別にすだちを切る。この二つの味付けは小皿に乗せて、好みで選んでもらおう。

ξ ゚⊿゚)ξ「手伝うことある?」

 ちなみに、ツンは料理が作れない。
 包丁さばきでいえば、ドクオにすら劣っているのは、随分前に確認済みだ。

川 ゚ -゚)「あー、オーブンのスープをテーブルに出してくれないか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「おっけー」



680 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:08:33.53 ID:JaJXTk6J0

 オニオングラタンスープは、時間がかかるから事前にスープだけ作っておいた。
 薄切りの玉ねぎをバターでよく炒め、水とブイヨンを加え回数を分けて煮込み、塩コショウで味を調えたものだ。
 回数を分けて、放置と煮込みを繰り返したスープにはいくぶんか手間取った。
 今はトースターで焦がしたフランスパンととろけるチーズを乗せて、オーブンで焼き終わったところだ。

 焼けた鶏肉を温野菜とともに大皿に盛り付け、次に取り掛かるのはサラダだ。
 これは簡単なもので、料理の合間にやろうと思っていたが、案外追いつかなかった。

川 ゚ -゚)「すまん、みんなの分のご飯もよそってくれ」

ξ ゚⊿゚)ξ「わかったー」

 ハムとチーズは細切りにしてある。
 あとは角切りにしたピクルスと薄切りの玉ねぎ、みじん切りのパセリを混ぜるだけだ。
 オリーブとワインビネガー、塩、荒引き胡椒を混ぜたドレッシングで味付ければ、サラダの完成だ。

 夕食には十分な手間がかかっているだろう。


682 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:11:13.15 ID:JaJXTk6J0

 夕食を食べ終わると、ドクオが持ってきたキャプテンモルガンを皆で飲んだ。
 あまり強い方ではない僕はコーラで割ってレモンの代わりにすだちを数適、ドクオはロックで。
 弱いツンが一口飲んだきり、そのまま買ってきた発泡酒を飲みだしたことも、いつものことだった。

('A`)「なあ、クー。寂しくはないのか?」

川 ゚ -゚)「ん? なにがだ?」

 一番飲んでいないツンが寝てしまうのもまた、いつも通りだった。
 安物の空気清浄機が唸り声を響かせて、今日は涼しくエアコンは沈黙している。
 グラスに付いた水滴が室内灯の光を乱反射させ、僕の持つ暗い色をしたラム酒を彩る。

('A`)「いやさ、ブーンのこと。付き合って一ヶ月ではいばいばい、次はいつになるかわからないけど。じゃないか」

川 ゚ -゚)「む、まあ、寂しくないと言えば嘘になるな。告白で留学を取りやめてくれないか、と少しは願った」

 ドクオのグラスから氷が解けてガラスとぶつかる澄んだ音を響かせる。

('A`)「電話とか、してこないのか?」

川 ゚ -゚)「かかってきたこともあるが、まあ、週に一度あるかないかってところだ」


684 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:13:16.35 ID:JaJXTk6J0

 お互い、電話が好きではない性分もあって、電話よりも手紙のやり取りの方に頼っていた。
 そんなもの、メールで済ませればいいと思うかもしれないが、なんとなくアナログなやり取りは嫌いじゃなかった。

('A`)「それでも、あいつがいいのか?」

川 ゚ -゚)「……」

 何故か、続く言葉が出なかった。
 留学して戻ってこない彼を、僕はきっと告白で取り戻そうとしたのだろう。
 けれど、彼は行ってしまって、さらに延長まで決定してしまった。

('A`)「一年も恋人を、何年も想い続けて、やっと結ばれた恋人を放置して、そんな奴だぞ?」

川 ゚ -゚)「覚悟の、上さ」 

('A`)「俺なら、放っておかない。なんであいつなんだよ」

 続く言葉に、心臓が跳ね上がる。



686 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:15:36.16 ID:JaJXTk6J0

 それは聞いてはいけないことだと、頭のどこかで警鐘が鳴り響く。
 けれど、何年も言えずに耐えるその辛さを知っているから、止めることを躊躇った。

('A`)「なあ、俺じゃ、ダメか? ずっと昔から、好きだったんだ」

 あの言葉は、夕焼けに染まる空の下、誰にも言えなかったあの言葉は、僕に向けられた言葉なのだ。
 それがわかると胸が締め付けられた。
 断らなくては、そう思っているのに、口が思うように動いてくれない。

川 ゚ -゚)「……」

 沈黙は数秒だったのだろうけど、僕には数時間にも続いたように思えた。
 針の上にいるような緊張感と居心地の悪さと、それから照れとどこから来るのかもわからない罪悪感。
 アルコールがゆっくりと冷静さを奪っていくようにも、逆に取り戻してくれているようにも思えてくる不思議な心地。

('A`)「いや、悪かった。すまん忘れてくれ」

 そう呟いて、彼は手に持ったグラスを傾ける。
 一息に飲み干すような酒でもないのに、罪悪感を飲み干すようにごくごくと、ラム酒を減らす。



688 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:17:37.58 ID:JaJXTk6J0

 たぶん、一年という時間は僕が告白した時に考えた時間よりもずっと長かったのかもしれない。
 時間というのは想像する時は短い癖に、実際に目の当たりにすると、突如長くなる。
 そして、忙しくなったり追いかけたりすると、短く伸び縮みするものなのだ。

川 ゚ -゚)「……少し、考えさせてくれないか?」

 気がつくと僕は、そんな言葉を口にしていた。
 それはイケナイことだ。オカシイことだ。
 そう思っているのに、言葉は真逆のことを伝えていた。

('A`)「……」

 その言葉を聞いて、彼は押し黙った。
 何故そんなことを言ってしまったのか、僕にもわからない。
 ただ、沈黙の中でツンがうめき声をあげて、我に返った僕たちは、この日それ以上この話題を続けなかった。



691 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:21:44.27 ID:JaJXTk6J0




 きみがくれた ぎこちないキスや 抱きしめられた 胸のぬくもり

 もう忘れる もう忘れていい きみの電話を もう待たない

 アトカタモナイノ国 僕はたどりついた





694 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:24:07.22 ID:JaJXTk6J0

 そこで古いブラウン管は途切れて、また砂嵐を映し始めた。
 最後に映った、馴染み深い部屋のカレンダーは、確かに今日の日付を示していた。 
 手紙が届いたのが昨日だというのだから、間違いはない。

 ふと、部屋の湿度の高い匂いが、強くなったような気がした。
 他にも部屋になにか隠されているんじゃないかと思って、色々と乱雑な部屋を引っ掻きまわす。
 けれど、他にはゴミと思しき物以外、ドアすら見当たらない。

 まあ、この夢はスイッチを切るか、あるいは切らないと決意する頃には目覚めるだろう。
 そんな予感じみた物を感じて、僕は部屋から出れないという恐怖を感じることはなかった。

 そして、ゆっくりとスイッチと向き合う。
 巨大な、鉄錆まみれのレバー式のスイッチは、まだ、そこに鎮座して僕を待っていた。


 こんなにも好きなというのに、僕は何故悩んでいる?


 そう考えた時、ふと、全ての答えたが出たような気がした。
 ドクオは今でも友人だし、彼を責めるつもりもなかった。
 この件はこれっぽっちも関係しないと、僕は思っている。いや、関係があるという発想自体今始めてしたくらいだ。



697 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:26:16.72 ID:JaJXTk6J0

 僕は何故悩んでいるんだ? きみと恋人になったことへの後悔? 違う。
 この日々きみから感じる重圧だ。決して、きみに罰を与えようという感情では決してない。

 ああそうだ。僕はきみに消えて欲しいのだ。
 そう気がついた時、僕は自然とスイッチのレバーに手をかけた。

 ふと思い出す、旅立つ前のぎこちないキス、抱きしめられたそのぬくもり。
 ツンの顔。いつも攻撃的だったけれど、それは彼女なりの気遣いでもあった。
 ドクオの顔。時に人は冷たい奴だと言うけれど、僕はそれを冷静さと賢さからくる優しさなのだと理解していた。
 そして、きみの顔。大好きで大好きで、仕方がないきみの愛おしい顔。

 ああ、僕はまだきみが好きなのだ。
 だというのに、このレバーを引く衝動は逆らい難い。

 ごめんなさいと謝っても、きっとアメリカと日本。遠くて届きはしないだろう。
 僕はゆっくりとそのスイッチを切った。
 錆びて硬いものだろうと思っていたが、思った以上にスムーズに動いた。



702 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:28:19.67 ID:JaJXTk6J0



 これで彼女は消える。



( ^ω^)「さようならだお、クー」




 アトカタモナイノ国 やっと僕は眠れる





704 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 04:30:20.57 ID:JaJXTk6J0





   アトカタモナイノ国 のようです


                    おわり






706 : ◆xmNFXyaAwA :2011/06/19(日) 04:32:37.37 ID:JaJXTk6J0
お久しぶり大根
この時間に読むとわかっててちょっとレシピ凝りましたよ、夜食の誘惑に耐えるがいい! ふはは!
柚子胡椒乗せたほぐし明太子の美味さはマジやばいハラヘッタ

元となった曲は谷山浩子の「アトカタモナイノ国」です
元曲:http://www.nicovideo.jp/watch/sm10572315

曲を知っていた方も知らない方も楽しめるように意識しましたが、どうだったでしょうか?
上手くいっていれば幸いです

元々は音楽フェスに合わせて考えていたプロットとかそんなことないですよ
僕が最後みたいですね。
誘ってくれたキロバイトさん、参加者のお二人。最後まで読んでくれたみなさん。寝ちゃった人。お疲れさまでした。
投下は僕が最後、らしいです



boonkei_honpo at 06:36│Comments(1)TrackBack(0)サスペンス | 短編

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1. Posted by アグ ブーツ   September 11, 2012 08:59
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