ガラクタ魔王のようです
March 04, 2011
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第十一話
雨音が戻ってくると、肌に当たる雨粒の感覚、冷たさも戻ってきた。
現実が重く心にのしかかる。
( ∋ )
_
( ∀ )(僕は、僕はまた大事なものを、失ってしまった)
涙は雨と共に流れていった。
ただ心に流れ込んでくる深い悲しみは、せき止められたまま流れていかない。
##### ガラクタ魔王のようです #####
第十一話「宿命螺旋と禁じられたお人形遊び」
March 02, 2011
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第十話
( ゚∋゚)
カエラズの森にはクックルの張っている結界が何層もある。
今、その一つに何かが接触した気配を感じた。
昼食を作る手を止めて、水気のついた手を拭いた。
ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの?」
( ゚∋゚)「少し、気になることが出来たので、外に出てきます。
もしかしたら少し遅くなるかもしれません。昼食の準備、お任せしてもよろしいでしょうか?」
ζ(゚ー゚*ζ「いいですわ。いってらっしゃい」
ミセ*゚ー゚)リ「いってらー」
王国の者と和解したおかげで、ここ最近侵入者はぱったりといなくなった。
このような形でクックルが出動するのは久しぶりのことである。
( ゚∋゚)(昼食の準備が終わってからにしてほしかったな)
王の命令以外でカエラズの森に来る者といえば、ただの冒険者か、
はたまた魔王城の財産目当ての盗賊なども考えられる。
どうにしろ、その日もまた、単なる面倒な輩が現れただけだと、クックルは考えていた。
引っかかった反応があったのは、鬼門の近くの結界であった。
そして、クックルの視界に異変が起こったのは、鬼門の近くまで飛行していったときだった。
天地がひっくり返るような悪寒、不可思議な感覚に襲われ、魔力の制御ができなくなる。
暗転した視界、混乱する思考のさなか、自分が墜落しているのをクックルは感じた。
##### ガラクタ魔王のようです #####
第十話「四天王と襲撃のティータイム」
March 01, 2011
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第九話
しんと静まりかえった城内を彼女は我が物顔で闊歩していた。
元々他人となれ合うのは苦手だった。
母親が死んでからはそれがいっそう顕著になり、今では“嫌い”になっていた。
彼女は夜中眠らなかった。
かといって昼間に寝ている訳ではなく、数日に数時間ほど、目を瞑って休息を取るだけである。
眠ると必ず悪夢を見る。
全てが奪われてゆく日々を思い出す悪夢を見てしまう。
眠れるはずがなかった。
「困ったわねえ」
('、`*川「そうなの。このままじゃ計画もおじゃん」
「おまえの力で何とか出来るんじゃねえの?」
('、`*川「私は魔法使いだけど、神様じゃないの。出来ることと出来ないことがある」
「お姫様がもっと積極的だったらいいのかしら」
「そういう問題じゃねえ気がするが」
真夜中の図書館では、窓から差し込む月明かりだけが拙い光源だ。
青白く浮かび上がった人影は、ひそひそと談笑を続ける。
相談というほど深刻な雰囲気は無く、それはあくまで談笑であった。
_
( ゚∀゚)「何をしているんだい?」
('、`*川「―――あら」
暗闇から現れた魔王に対し、魔女は表情を変えずにじっと見つめ返した。
彼女の瞳に人間らしい暖かみは感じず、空に張り付いた月のように、静かに青く揺れていた。
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第九話「パルプノンフィクションと闇夜の来訪者」
February 03, 2011
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第八話
(;゚A゚)「うおおおおおおおおおおお!!」
ドクオは森の中を疾走していた。
後ろにはカウデビルが三頭迫っていて、絶体絶命である。
ところがドクオが魔王城の手前まで逃げると、カウデビルは立ち止まり、ドクオを見送った。
魔物というのは、あまりにも強い魔力を持つ存在がいると、そこには近づかなくなるのだ。
つまり魔王がいる限り、城の付近には魔物は存在できないのである。
('A`)「あ、どうも。自分ドクオっス。あと、百姓ッス!」
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第八話「騎士と勇者の物語」
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第七話
ζ(゚ー゚*ζ「本当ですか!?」
飛び上がって喜んだデレは、そのまま話をどんどん先に進めていった。
彼らの言う見合いとは通常のそれではなく、城に住み込んで相性を見るというものらしい。
つまりは同棲だ。
( ゚∋゚)「よいのですか、魔王様」
_
( ゚∀゚)「なにか不都合なことがあるのか?」
( ゚∋゚)「彼らをあまり信用しない方がよいかと思います。
結局は帝国側の者たちですし、裏でなにを考えているかわかったものではありません」
デレたちが城に住むことを最後まで反対したのはクックルだった。
_
( ゚∀゚)「確かに怪しい者はいるが」
('ー`*川
_
( ゚∀゚)「きっと大丈夫さ」
楽天的ともいえる発言は、彼の持つ強さからくる余裕なのだろうか。
ジョルジュの考えていることがわからず、クックルは苦悩する。
##### ガラクタ魔王のようです #####
第七話「花嫁修業と幸せエックス」
January 27, 2011
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第六話
王室でうろうろと落ち着き無く歩き回っている王様がいた。
彼が心配しているのは政治のことではなく(関係無い訳ではないが)、自分の娘のことだった。
近くの山に魔物が住み始め、住人達はおびえていた。
そこにやってきたのが、穢れの魔女という異名を持つペニサスだった。
彼女はたった一人で魔物たちを駆逐し、特別待遇として城に迎え入れられた。
しかしこれには裏があり、王様を除く一部の政治家たちをペニサスが脅し、無理矢理取り入ったというのが真実だ。
/ ,' 3「心配じゃのう……」
王様はペニサスを信頼し、娘を預けたのだが、今更になって彼は後悔し始めていた。
彼はペニサスの心を覆う、底のない闇に気がついていなかったのだ。
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第六話「押しかけ家族と顔の無い道化」
January 23, 2011
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第五話
城は帰還した勇者によって大騒ぎであった。
カエラズの森から(公式に)帰った者は彼が初めてだからである。
('∀`)「そのときの血がこの剣の血でございます!」
ドクオはミセリに言われた通りに、王様に戦績を報告した。
/ ,' 3「その血が本当に魔王の血か調べる」
数日後、魔王の血だとわかったとき、今度は国中で噂になるほどの騒ぎとなった。
百姓だったドクオは一躍有名人だ。
ドクオは再び城に呼び出された。
/ ,' 3「ドクオよ。今日はおまえに頼みたいことがあって呼び出した」
('∀`)「なんでしょう!」
/ ,' 3「その前にもう一度、魔王城での出来事を完結に述べよ」
('∀`)「はい! 魔王城には魔王と百匹を越えるガーゴイルの群れ!
私は命を失う覚悟であれやこれや、ちぎっては投げ、ちぎっては投げの猛攻で」
/ ,' 3「簡潔に! 簡潔にね!」
('∀`)「恐ろしい魔王と一騎打ちをし、私の剣が魔王の体を切り裂いたのです。
その私の姿に惚れてしまった囚われの姫のために、今一度討伐部隊を結成し、魔王を倒すべきです!」
/ ,' 3「だそうじゃ」
('、`*川「ふぅーん。うっそくせー話だなーおい」
(;'A`) エ?
##### ガラクタ魔王のようです #####
第五話「穢れた魔女と俗な王族たち」
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第四話
西棟に入ったのは初めてだった。
ミセ; -゚)リ「ケホッ!」
ホコリの舞う部屋には、乱雑にものが置かれ、視界がおそろしく狭い。
ここは物置だった。
一階から二階に上がるにははしごを使う必要があった。
質素な木のはしごを一段上る度に、ぎしぎしと不安な音が鳴った。
二階に上がるとものは無くなり、ただ上に続く螺旋階段だけが見える。
石段をぐるぐると上っていく内に心がときめいていくのを感じた。
例えばそれは大人の踏み込まない場所に秘密基地を作った、子供のような。
螺旋階段の終わりは、真っ赤な光で溢れていた。
ミセ*゚ー゚)リ「わぁ――――」
見晴らしのいい景色の中で、広大な自然が赤く、壮大な光に照らされ、目を奪われるほど美しかった。
展望台に一人佇むジョルジュの横顔を、夕陽が赤く染めている。
彼の横顔があまりにも寂しそうに見えて、ミセリは息を呑んだ。
##### ガラクタ魔王のようです #####
第四話「鮮血シアターと二人ぼっち」
January 21, 2011
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第三話
ミセリが城に住み始めてから数日が経った。
三食食べられ、布団の中で寝られるここは、彼女にとって紛れもない天国だった。
ミセ*゚ー゚)リ「おーいたいた」
( ゚∋゚)「何かご用でしょうか」
巨体を小さくして昼食の準備をしていたクックルに、ミセリが声をかける。
ミセ*゚ー゚)リ「いやぁー、なんていうか私って居候じゃん?
だからさぁ、何にもしないのはちょっと駄目かなと思って、何か手伝いでもっと」
( ゚∋゚)「魔王様はなにもしなくていいと仰いましたよ」
ミセ*゚ー゚)リ「そりゃあ言ったけどさ、こちとらそこまで無神経じゃないっつーか……」
( ゚∋゚)「ええ、よい心がけです。ではお言葉に甘えて、料理の手伝いをしてもらいましょうか」
ミセ*^ー^)リ「オッケー! 曲がりなりにも女だかんね。料理くらい楽勝!」
ミセ*゚-゚)リ「ぎゃあああああ指切った!」
ミセ;゚-゚)リ「ひっ! お皿割っちゃった!」
ミセ*>-<)リ「しょっぱ! 塩の分量間違えた!」
ミセ*;ー;)リ「ひぃぃぃぃ形容しがたい物体Xが誕生した!」
( ゚∋゚)「ミセリ様。その、申し上げにくいのですが……」
ミセ*゚-゚)リ「うん、わかってる。みなまで言わないで」
##### ガラクタ魔王のようです #####
第三話「有能執事と夢見がちな魔神」
January 19, 2011
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第二話
69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 23:13:15.76 ID:bLAra/Q70
小鳥の鳴き声で目を覚ました。
ふかふかの毛布の中で、小さく伸びをしたあと、ベッドからはい出る。
ミセ*´ー`)リ(気持ちよかったぁ~~~~~~~)
ベッドの上で寝られるのがこんなに幸福なことだっとは、ミセリは感動している。
ミセ*゚ー゚)リ(そういえばこの部屋って、魔王様の部屋なんだっけ)
空き部屋が無いので、ひとまず自分の部屋で寝ろとジョルジュは言った。
てっきり体を要求しているのだと思い、服を脱いで迫ったが、渋い顔をされてはねのけられた。
ミセ*゚ー゚)リ(失礼しちゃうわよね。乙女からの誘いを断るだなんて。いうか魔王様はどこで寝てんだろ)
( -∀-)「むにゃ?」
部屋から出ると、廊下のカーペットの上で寝ているジョルジュを見つけた。
ミセ;゚ー゚)リ「ええええええ城主なのに!?」
##### ガラクタ魔王のようです #####
第二話「抽選勇者と囚われの姫」
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第一話
森の中を女が駆けている。
その後ろを、数人の男たちが追っていた。
「待て! この売女が!」
ミセ;゚ー゚)リ「って言われて待つほどアホじゃねえよ!」
「いーやおまえはアホだ! 底抜けのまぬけ! だから止まれ!」
ミセ;゚ー゚)リ「好き勝手いいやがって死ね!」
追っているのは兵士たちだった。
女は安っぽいドレスをはためかせて、必死に逃げ回っている。
「ま、待て。この先は危険だ」
兵士の内、一人が立ち止まる。
「この先はやつの領地になる」
「そうか! カエラズの森」
「クソ。これでは追えないな」
女の背中が小さくなり、森の奥へ消えていくのを、歯がゆい気持ちで兵士たちは見送った。
「まあいい。これであの女が死んでくれれば、我々の落ち度も無くなる」
「どうせ捕まえれば死刑だったしな」
「さあ我々も帰投しよう。あの尻軽女のせいで、魔物に教われでもしたら報われないぞ」
兵士たちが踵を返し、街に帰り始めてから、十数分後のことだった。
( ゚∋゚)
ミセ;゚ー゚)リ
森の奥へ逃げ込んだ女は、三メートル以上はあるガーゴイルの前で、力なく座り込んでいた。
##### ガラクタ魔王のようです #####
第一話「ガラクタ魔王と尻軽女」