February 03, 2011
( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第七話
ζ(゚ー゚*ζ「本当ですか!?」
飛び上がって喜んだデレは、そのまま話をどんどん先に進めていった。
彼らの言う見合いとは通常のそれではなく、城に住み込んで相性を見るというものらしい。
つまりは同棲だ。
( ゚∋゚)「よいのですか、魔王様」
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( ゚∀゚)「なにか不都合なことがあるのか?」
( ゚∋゚)「彼らをあまり信用しない方がよいかと思います。
結局は帝国側の者たちですし、裏でなにを考えているかわかったものではありません」
デレたちが城に住むことを最後まで反対したのはクックルだった。
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( ゚∀゚)「確かに怪しい者はいるが」
('ー`*川
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( ゚∀゚)「きっと大丈夫さ」
楽天的ともいえる発言は、彼の持つ強さからくる余裕なのだろうか。
ジョルジュの考えていることがわからず、クックルは苦悩する。
##### ガラクタ魔王のようです #####
第七話「花嫁修業と幸せエックス」
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( ゚∀゚)「でもまずは、君たちの部屋を準備しなくてはいけないな」
( ・∀・)「部屋ですか。デレ様はともかく、我々は寝られればどこでもよいですよ」
('、`*川「我々ってもしかして私も入ってる?
ザケンなよ阿呆がこんなにいい城なんだからセコいこと言わせねえよ」
( ;・∀・)「お、おい発言をわきまえろよ!」
( ゚∋゚)「魔王様。あの女キャラが変わっております。やはりスパイか何かでは」
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( ゚∀゚)「彼女は元々ああいう子さ。気がつかなかったのか?」
( ゚∋゚)「み、未熟者ゆえ……」
ζ(゚ー゚*ζ「部屋の準備とはどういうことでしょうか?」
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( ゚∀゚)「見ればわかるさ」
ジョルジュが案内した部屋は、元々は寝室だったようだが、何十年も放置されていた結果
蜘蛛の巣や積もったほこりで、くつろげるような部屋ではなかった。
ζ(゚、゚;ζ「あ、あら……随分と、お掃除を怠ったようですね」
ミセ*゚ー゚)リ「そうよ! ここは人間が住めるような環境では無い! 去るべし!」
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( ゚∀゚)「み、ミセリさん、そこまで言うのか……」
ζ(゚ー゚*ζ「つまり、掃除をしましょうってことですね?」
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( ゚∀゚)「その通りだ」
ζ(゚ー゚*ζ「掃除なら得意分野ですわ。道具はどこかしら?」
( ゚∋゚)「こちらに用意してあります」
ζ(^ー^*ζ「ありがとう執事さん」
( ゚∋゚)「いえ」
最初はクックルの姿に恐怖したデレだったが、早くも彼に慣れているようだった。
ζ(゚ー゚*ζ「さあ、人数分の部屋を掃除しますわ。皆さんはりきってまいりましょう」
( ・∀・)「はい!」
('、`*川「私パス。部屋いらないから」
一人そそくさと輪から離れようとしているペニサスをジョルジュは引き留める。
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( ゚∀゚)「待ってくれ。部屋が無いと色々と不都合だよ」
('、`*川「図書室くらいあるでしょ? 一晩中本読んでるから大丈夫よ。私眠らないし」
ミセ*゚-゚)リ「えー肌に悪いよ?」
('ー`*川「ひひひひひ。だぁーいじょぉーぶ。肌はもうボロボロだからさ」
ニタニタと笑う彼女に、ジョルジュ以外全員が半歩後ろに退いた。
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( ゚∀゚)「わかった。でも部屋が欲しくなったらいつでも言ってくれ。一人で掃除は大変だろうからね」
('、`*川「ありがとさん。んじゃ私はちょっくら辺り散歩してくらぁ」
ペニサスが去ったあと、部屋の掃除が始まった。
デレは掃除が得意分野と言ったがそれは嘘ではなく、
クックルも感心するような手際でどんどん掃除を進めていった。
数日前にミセリとジョルジュが一部屋掃除したが、それとほぼ同じ時間で三人分の部屋を掃除しきった。
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( ゚∀゚)「凄いな。お姫様って言うのは掃除の教育も受けるのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「教育というほどではありませんわ。ただ家庭教師の人が細かいことにうるさい方で。
部屋の掃除を怠るとすぐに叱られたのです。それで掃除がちょっと得意に。えへへ」
( ゚∋゚)「見事でした。王族の方というのは、身の回りのことは別の者がやるのだと思っていました」
ζ(゚ー゚*ζ「そういう方もおられますけど、私は自分でやりますわ」
( ゚∋゚)「ご立派ですね」
ζ(^ー^*ζ「クックルさんは口がお上手ですね」
( ゚∋゚)「魔族は嘘をつきません」
ミセ*゚ー゚)リ「ちょっと姫ー!? ここにほこりが残ってるわよ!」
( ・∀・)「おお、すまない。そこは俺がやったとこだ」
ミセ*゚-゚)リ「舐めろ」
( ;・∀・)「えぇぇぇぇ予想外に辛辣!」
ミセ*゚-゚)リ(なによ! 魔王様もクックルもデレデレしちゃって。あんな女のどこがいいのよ!)
('A`)「おっぱい、かな」
ミセ*゚-゚)リ「死ね」
(;'A`)「えぇぇぇ脈絡無しに辛辣!」
数日もすればデレたちは完全に城に馴染んだ。
ふらりと居なくなり、またいつの間にか戻ってくるペニサスだけは決して誰ともなれ合おうとしなかったが、
それ以外の者はまるで魔王城であることを忘れているかのようにくつろいでいる。
ζ(゚ー゚*ζ「クックルさん、お洗濯ですか?」
( ゚∋゚)「ええ。人数が増えたので、ちょっとした労働になりました」
ζ(゚、゚*ζ「あっ、ごめんなさい」
( ゚∋゚)「いえ、別に責めているわけでは」
ζ(゚ー゚*ζ「一人では大変でしょう。お手伝いしますわ」
( ゚∋゚)「それは助かります」
-゚)リ
娼婦は見た!
次の日。
ミセ*゚ー゚)リ「クルックルー! 洗濯してんの? 手伝うわよ!」
( ゚∋゚)「それは助かります。では魔王様の衣服をお願いします。あと私の名前はクックルです」
ミセ*゚ー゚)リ「ガッテン承知の助だよ!」
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( ゚∀゚)「……クックル、僕の服がえらく見窄らしくなっているんだけども」
( ;゚∋゚)「そ、それは」
ミセ;゚ー゚)リ「キャー凄く似合ってるわよー!?
なんていうか、北斗○拳の伝承者が最高に怒ったときの服装にそっくり!」
ζ(゚、゚*ζ「まあ大変! 直せるかわかりませんが、私に任せて頂けませんか?」
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( ゚∀゚)「縫ってくれるのかい?」
ζ(゚ー゚*ζ「裁縫は苦手ですけど、頑張ります」
苦手と言った彼女だが、破れた場所をうまく繕い、元通りとはいかないがまともな服に仕立て上げた。
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( ゚∀゚)「ありがとう。君はなんでもできるんだな」
ζ(////*ζ「いや、そんな、あの、できることだけですから……」
ミセ#゚皿゚)リ=333
ミセ#゚皿゚)=○);A゚)グハァ!ナゼ!?
ζ(゚ー゚*ζ「クックルさん。人数が増えたから料理も大変でしょう。お手伝いします」
( ゚∋゚)「いやあ、助かりまs」
ミセ#゚ー゚)リ「クックル! 料理手伝うよ!」
( ゚∋゚)「ど、どうも。ではデレ様はパンプキンスープを。ミセリ様は………サラダをお願いします」
ζ(゚ー゚*ζ「わかりましたわ」
ミセ#゚ー゚)リ「んマーイ娼婦風サラダね!?」
( ゚∋゚)「いえ普通の」
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( ゚∀゚)「うむ、美味い」
( ・∀・)「今日も美味しい。クックルさんは料理上手だなあ。
特にこのカボチャスープなんて最高だよ」
( ゚∋゚)「そのスープは私が作ったのではなく、デレ様に作って頂いたものです」
( *・∀・)「やっぱり!
小さい頃姫に作ってもらった料理に味が似てたので、ひょっとしたらと思ってました!」
ζ(////*ζ「ま、魔王様に気に入って頂けて嬉しいですわ」
( *・∀・)「イェーイ完璧シカトだぜ!」
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( ゚∀゚)「ところでこの、黒い、その、なんだろう、これは……」
( ゚∋゚)「謎色13号でございます」
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( ゚∀゚)「材料は?」
( ゚∋゚)「謎色13号でございます」
('A`)「こういう見た目がアレな料理ほど美味いっていいますよね。パクパク。うぐぅっ!」
( ;・∀・)「いやあ、ちょっと体調がアレな感じなので、この料理は残そうかな」
ζ(゚ー゚;ζ「私もお腹がアレなので、残しますわ。ごめんなさい……」
ミセ*゚-゚)リ
食卓に残ったのは、空っぽの皿と、ミセリが作った手つかずの料理だけとなった。
ミセリは無言で立ち上がり、一人でダイニングから出て行った。
思い詰めた表情をした彼女をクックルは引き留めようとしたが、どうにも口から言葉が出てこなかった。
続々とダイニングから人が出て行く中、まだテーブルに座ったままでいるジョルジュにクックルは声をかける。
( ゚∋゚)「魔王様。実はこの料理は」
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( ゚∀゚)「わかってる。ミセリさんが作ったんだろう」
( ゚∋゚)「ええ」
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( ゚∀゚)「せっかく作ってくれたんだから完食しようと思ったんだけど」
ジョルジュの視線の先に、口から泡を吹き、テーブルに突っ伏したまま気絶しているドクオの姿があった。
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( ゚∀゚)「―――無理だった。魔力で舌をガードしても、それを貫いて感覚器官を攻撃してくる味なんだ。
僕にはとても、手に負えなかった……」
( ゚∋゚)「それで無理なら、誰でも無理でしょう……」
ミセリが徐々に元気を無くしているのがわかったが、どうしていいかわからず、時間だけが過ぎていった。
しかしクックルの仕事の一つである図書館の本の整理には、ミセリは欠かさず顔を出していた。
以前のような元気は無いが、こうして一緒に仕事が出来る内は安心だろうとクックルは考えていた。
( ゚∋゚)「ミセリ様、この箱の中の本は歴史書なので全てGの棚にお願いします」
ミセ*゚ー゚)リ「うん、わかった」
ミセ;゚Д゚)リ「重っ!?」
( ゚∋゚)「少しずつ運んで下さい。私は奥の方のガラクタを掃除していますね」
ミセ;゚ー゚)リ「オッケー。それにしても歴史書ってなんでこんなに分厚いの?」
( ゚∋゚)「歴史の重みが宿っているからです」
ミセ*゚ー゚)リ「イイコト言うねぇ~」
ζ(゚ー゚*ζ「あら、ここにいましたのね」
ミセ*゚-゚)リ「げっ!」
ζ(゚、゚;ζ「げってあなた、失礼ですわよ」
ミセ*゚-゚)リ「なにしに来たのよ。魔王様ならいないわよ」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですよの。城中探しているのに何処にもいらっしゃらないから、どうしようかと。
ところであなたたちは、何をされているのですか?」
( ゚∋゚)「蔵書の整理でございます。私はこれが苦手で、ミセリ様に手伝ってもらっているのです」
ζ(^ー^*ζ「あなたは働き屋さんね。せっかくだし、手伝いますわ」
( ゚∋゚)「あ……」
ζ(゚ー゚*ζ「この本はどちらの棚に?」
見なくても、ミセリがどんな顔をしているかわかった。
しかし悪気の無いデレの好意をむげにするのも、自分の信条に関わることである。
( ゚∋゚)「それは教則本なので、Rの棚です。
背表紙についているアルファベット以下の6桁の番号で、正確な場所がわかります」
ζ(゚ー゚*ζ「教則本はR、ということはこの本も同じ棚ね。
ええっと、これも同じ棚。これと、これもか」
手早く同じ内容本を探し当て、要領よく本を棚に収めていく。
ミセ*゚-゚)リ「……むぅ」
同じ作業をしていても、どうしてもミセリは遅れてしまった。
( ゚∋゚)「ミセリ様。そろそろ私は夕食の準備に戻ります。今日の作業はここまでしましょう」
ミセ*゚ー゚)リ「えっと、いいよ、もうちょっとやってく」
( ゚∋゚)「しかし私がいなければ、どの棚の本かわからないのではありませんか?」
ミセ;゚ー゚)リ「わ、わかるよ! えっと歴史書がGの棚で、教則本がJ、だっけ……?
いや、違っ……えっと、なんだっけ……アハハ、ど忘れ」
ミセリはきゅっと口を真一文字に結び、顔を伏せたまま動かなくなった。
( ゚∋゚)「城に戻りましょう。今日はミセリ様の好きな魚のソテーの予定です」
ミセ* - )リ「うん」
( ゚∋゚)「さ、行きましょう。デレ様も、もう作業は終わりにしましょう」
ζ(゚ー゚;ζ「あら、もうそんな時間ですの?
夢中になってたから時間がわかりませんでしたわ。なら、夕食もお手伝いします」
( ゚∋゚)「いえ、疲れたでしょう。今日はゆっくりなさっていて下さい」
ζ(゚ー゚*ζ「んんー、別になんてことないけど……わかりましたわ。お言葉に甘えます」
ガーゴイルはいつもより歩幅を狭くして、とぼとぼと歩くミセリの横を歩いた。
人間よりも格段に優れた聴力が、不安げな胸の高まりを聞き取っていた。
ある夜にジョルジュはベッドの中で目を覚ました。
完全な覚醒ではなく、夢うつつの感覚であったが、感じ取れた気配が確かなものだとわかると、
すぐに頭を切り換え、感覚を研ぎ澄ました。
城の中を誰かが歩いている。
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( ゚∀゚)(女性の足音。ペニサスか?)
真夜中におかしな行動を起こしそうな者として、真っ先に彼女のことが思い浮かんだ。
しかしペニサス特有の禍々しい魔力が感じられない。
気配は真っ直ぐジョルジュの部屋に向かっていた。
やがてジョルジュの部屋の前で気配は立ち止まり、しばらく間があった後、ゆっくりと扉が開く音がした。
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( ゚∀゚)(ミセリさん?)
ミセ* - )リ
この時点で気配の主が誰かわかっていたが、
目的がわからなかったので、ひとまずジョルジュは寝ているフリをした。
ミセリの気配はおそるおそるベッドに近づいてくる。
彼女がベッドに膝を乗せると、少し沈んだベッドからスプリングの軋む音が鳴った。
背を向けているジョルジュの布団に手を差し込み、体に触れそうになったところで、
ジョルジュは彼女の手首を掴んだ。
ミセ;゚-゚)リ「ひっ」
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( ゚∀゚)「何のようだ」
ミセ;゚-゚)リ「き、気づいてたんだ……」
起き上がったジョルジュとミセリは、ベッドの上で気まずく見つめ合った。
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( ゚∀゚)「一体こんな時間に、どうしたんだ?」
ミセ*゚-゚)リ「えっと……あの」
口ごもったミセリの格好をよく見ると、普段の寝間着とはかなり趣が異なることに気がつく。
下が透けるキャミソールから下着が丸見えだった。
短い裾から伸びる足が、薄暗い部屋の中で艶めかしく光る。
彼女の髪からいい匂いがした。
ミセ* - )リ「よ、夜伽、しようかなって……」
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∑( ;゚∀゚)「なっ……」
下を向いた彼女の表情はわからない。
ジョルジュは動揺していていつもの冷静さを失っていた。
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( ;゚∀゚)「なんでそんなことを? 以前もこういうことがあって、断っただろう」
責めるような口調になったことを、ジョルジュはこの後すぐに後悔する。
ベッドの上に崩している彼女の足に、大粒の涙が落ちた。
顔を上げた彼女の顔は、涙でぐしゃぐしゃに濡れていた。
ミセ*;-;)リ「だって、だって私、こういうことしか出来ないんだもん」
この数日間にため込んだ様々な感情が、頬をつたう涙と共に一気にあふれ出ていた。
ミセ*;-;)リ「お掃除もお料理も出来ないんだもん。洗濯だって満足に出来ないし……。
私って馬鹿だから。デレみたいに賢くないし。何にも出来ないから。
だから、エッチしかないじゃん。私に出来るのって、これくらいだから……」
ミセリは嗚咽混じりで話し続けた。
自分自身を責め立てる言葉を容赦なく吐き続けた。
言葉で自分を切り裂き、自分で自分を殺そうとしているようだった。
ジョルジュはなにも言わず、ただ彼女の呪いの言葉を聞き続けた。
かける言葉が思い浮かばなかったので、あふれ出る感情をひたすら受け止めた。
やがて涙も枯れ果て、ミセリは泣くのを止めた。
それを待っていたかのようにジョルジュはしゃべり出す。
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( ゚∀゚)「何もしなくていいって言っただろう」
ミセ* - )リ「でもっ、私は……」
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( ゚∀゚)「それでも何かしたいと言うなら、出来ることを探していこう。
少しずつでいいんだ。自分にしか出来ないことなんて、元から一つしかないんだ。
君は君にしかなれないし、誰にも君にはなれない。
そうだ、出来ることを一緒に探していこう。一人は大変だけど、二人いればそれもきっと楽しいよ」
ミセ*゚-゚)リ
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( ゚∀゚)「それから、自分をいじめないで欲しい。君は僕の大切な友人なんだから」
ミセ* ー )リ「ありがと……」
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∑( ;゚∀゚)
一呼吸置いて、ミセリはまた泣いてしまった。
よく泣くものだと、心の中で自分で自分に突っ込んだ。
それからどうしてジョルジュがこんなに優しいのか、どういう訳かわからないがミセリは理解できた。
84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/02(水) 22:06:26.17 ID:08VZqtnU0
――魔王様ってばさ、どうして私にそこまでしてくれるの?
――ああ、それは
―――もしかして惚れちゃった!?
――似てるって思ったから
―――誰に?
「誰だろう。僕のよく知ってる誰かだよ」
彼も自分と同じ、居場所が無かったからだと。
続き( ゚∀゚)ガラクタ魔王のようです 第八話