February 24, 2011
( ・∀・)太陽について。ようです
・音楽祭参加作
・ほぼゲリラ、飛び入りです。
・歌詞の和訳があやふや、または内容をサラッと無視した部分、暴走した部分が多々あります。
・デッドのファン、ヘッズの方は特にご注文下さい。
参考曲:mexicali blues/grateful dead
( -∀-)"
夏の空、照り付ける日差しに云々。
郷里から三日も掛けてたどり着いたこの街も所詮は同じ地球の一部らしい。
件のクソッタレな労働場と比べても、居心地の悪さはまるで変わらないじゃないか。
──ハイ、お兄さん。こんな所で何してるの?
拝啓、そろそろ天国だか地獄だかに到着したでしょうクソ親父様。顔も知らないけ同じ所でお待ち下さってるでしょう売女様。
貴殿方夫婦の今の寝蔵は、ここより素敵な所ですか?
配給の布団に余りが有れば、俺の分の居場所も用意しといて貰えるかな?
──見た感じ浮浪者っぽいけど、何処から来たの?
そうだ、親父。
あんたが大事そうに取って置いてた金と酒、そっちじゃ要らないだろ?
俺がこっちで役立てたけど、別に構わないよな?
まぁ、あんたからすると俺は──
(゚д゚#*)「……聞けやゴルァ!」
(# ・∀・)「聞こえてるわクソ喧しいッ!」
──あぁごめん、ちょっと待ってて。なんか変なガキに絡まれた。
( ・∀・)「……んで、あんた何?」
(゚、゚#*)「何って、何よ。私はモノじゃないわ!」
面倒くせぇ、whatとwhoの違いごときでギャアギャア喚くなよ。
……一週間も前の俺ならそう思っただろうけど、今は不思議なほど何とも思わない。
時間の使い方ってのは、自力で身に付けられる最高の武器だ。
ただ残念な事に、この小うるさいガキはそんな事は全く考えないらしい。
大方これの両親がジンケンだの何だのと下らない問題を口にしながら育てたんだろう、可哀想に。
( -∀-)「あ、そ。んで、あんたは何なのよ?」
ο(゚、゚#*)「……あなたが凭れ掛かってる塀、そこの家の住民さんです」
(・∀- )彡「うん?」
振り返ると、凭れ掛かっていたのは確かに塀だった。
軽く首を伸ばせば向こう側に小さなアパートが見えるような。
ほら見ろ。暮らしにそこそこ“ゆとり”持つ、社会の平均値だ。
面倒だと思うまでもない、こんな手合いはガキでもサルでも一様。
受け流すに限る。
( -∀-)「あ、そ。で?」
(゚、゚#*)「だから! なんでうちの塀の前で座り込んでるのかって聞いてるの!」
( -∀-)「歩き疲れたから」
だから出来ればもう疲れたくないの。
そういう雰囲気ってのは言葉に出さなくても伝わるだろう、普通は。
(゚、゚#*)「~~!」
何が言いたいかって……このクソガキしつけぇんだよ、空気読め、と。
まぁ俺たち最下層民はこの程度では苛つかない生き物だから良いけど。
(゚、゚#*)「く、この……!」
( -∀・)「……なんで怒ってるのさ」
(゚、゚#*)「それは、だって!」
( -∀・)「……」
(゚、゚*)「……よく考えたら、別に怒る理由なんて無いわね。あなたみたいな浮浪者相手に」
(-∀- )彡「そりゃ良かった」
そりゃ良かった。おめでとう、また一つ成長できましたね。
次からは無駄に体力を消費するなよ。夏場は命に関わるぞ。
視線を元通り前方に向けると、逃げ水の向こうに数人の子供の姿が見えた。
おぉおぉ、若いって良いなぁ。まだ大人と太陽が人類の味方だと思っているんだろう?
だが残念だったな、奴らこそがお前らの命を削り取っている諸悪の根元なんだぜ。
理不尽に強い眠気が首をもたげつつある昼下がり。
ジリジリと焼け付く陽光の下、座り込む俺と傍らに立つ黒髪のお嬢様。お嬢様?
゙( -∀・)「なんでまだ居るのさ」
(゚、゚*)「別に。どこに居ようと私の勝手でしょ」
(-∀- )"「そーですねー……」
(゚、゚*)「それより、あなたって──」
無駄な質問に対する聞いてもいない回答、愚問と愚答の代表例だ。死ね。
もはや視線を向ける手間すら不要なんじゃないかな。
ガキはまだ何か言っているようだが、俺の興味は既に目の前の金蝿に移っている。ドンマイ、俺も気にしないから君も気にするな。
(゚、゚*)「──って、ねぇ、聞いてる?」
(・∀・ )「聞いてるよ。相手しないだけで」
(゚、゚#*)「……何見てるの」
(・∀・ )「何見てるように見える?」
(゚、゚#*)「わからないわよ。ハエでも飛んでたの?」
(・∀・ )「なんだ、わかってるじゃん」
,_
(゚、゚#*)「……」
とすん、軽い音を立てて左隣に座るガキ。
これにはさすがの俺も驚いた。
゙( ・∀・)「……何、あぁいや何でもない」
無駄な体力は使わない。どうせ「どこに座ろうと私の勝手でしょ」とでも答えられるんだろう。
とは言え、不満気な仏頂面のガキを俺はここでようやく眺め回す気になった。
(゚、゚*)「……なによ」
黒い髪と瞳、ヒラヒラした上質な服。
ガキと言うよりは、少女と言った方が良いかもしれない。
首に下げた金のネックレスなんか、まさに都会育ちの箱入り娘だ。
( ・∀・)「あんた、この街に住んで長いの?」
(゚、゚*)「? ちょっと前に来たばっかりだけど、どうして?」
( -∀-)「金のネックレスなんて、こんな治安の悪い街で堂々と下げるバカは見たこと無い」
(゚-゚;*)「バカ!? そんな失礼な……いいえ、違くて、」
(゚-゚*)「ありがとう。気付かなかったわ」
( -∀-)「……」
ガキ、改め少女は素直に感謝の言葉を言ってから、ネックレスを、……ブラウス? とにかく、服の下にしまった。
なんだ、ガキかと思ってけど育つ所は意外と育ってるじゃん。
……人前、それも自分で浮浪者とか言った相手の前で上着のボタンを外し始めるのは、流石にどうかと思うがね。
そんな俺の助兵心になんぞまるで気付いて居ないのだろう、彼女は幾分か和らいだ顔でまだ話し掛けてくる。
(゚-゚*)「ねぇ、さっきも聞いたんだけど……あなた、どこから来たの?」
( ・∀・)「ん……ベイカーズ・フィールドって街のスラムだよ。知ってる?」
(゚-゚*)「ええ。でも、出身地じゃなくて、その……住んでる家とか」
( ・∀・)「だから、ベイカーズ・フィールドから歩いて来たの。この街に着いたのは、ほんの一時間前」
(゚-゚;*)「え……ええ!? だって、ここから百マイルは離れてるよね!?」
そう甲高い声で叫ぶのは止めてくれ。耳が痛む。
( ・∀・)「うん。だから凄く疲れてるの。ここで少し休ませてくれても良くない?」
(゚-゚;*)「あ……ごめんなさい、私……」
( ・∀・)「……」
何なんだろうね、女の子って。テンションの上がり下がりが急すぎる。
郷里の娘はそんなでもなかったし、もしかして涼しい所で育ったら弾性が上がるのか?
( ・∀・)「あー、まぁ、もう帰るつもりは無いしね。浮浪者なのは間違いないよ」
(゚-゚;*)「でも、でも……」
( ・∀・)「……仕方ないなー」
一人で勝手に落ち込んでゆく少女。……おいおい、まるで俺が悪い奴みたいじゃん、否定できないけど。
ここで泣かれたら流石にちょっと面倒臭いし、こういう場合は驚かせるに限る。
ポケットから秘密平気を突き付けると、少女は驚いて顔を上げた。
( ・∀・)っ◎「これ、俺の旅の相方。富裕層なお嬢様は見たことはございますか?」
(゚-゚#*)「ば、バカにしないでよ! 1ペソ硬貨でしょ?」
( ・∀・)b「ご名答、っと」キィン
弾かれたコインは少女の熱い視線の先で宙を舞い、俺の左手に収まった。
少女は俺の左手を見つめ、不思議そうな顔をしている。
ほら見ろ。女なんて単純な生き物は、もう落ち込む事も忘れていやがるじゃないか。
(゚-゚*)「……何なのよ?」
( ・∀・)「賭けだよ。このコインの裏表を当ててみな」
(゚-゚*)「?」
( ・∀・)「あんたが勝ったら、俺の冒険の経緯を聞かせてやるよ。俺が勝ったら、あんたは俺に褒美を出す。どうだ?」
真面目な顔で俺の左手を見つめたまま、少女は黙り込む。
……こいつ、ちゃんとルール理解できたのか?
(゚-゚*)「……褒美って何が欲しいの?」
意外と飲み込みは早かったらしい。ごめんね、世間知らずでアホの子みたいな扱いして。
そして、俺の要求は元から決まっている。
( ・∀・)「昼飯。出来れば晩飯も」
(゚-゚*)「……良いわ、両方私が用意してあげる。あ、でも、その前に……」
( ・∀・)「ん?」
(゚-゚*)「そのコインって、どっちが表なの?」
先程の謝罪は全面的に撤回しよう。この子、普通に世間知らずだ。
(゚-゚*)「オーケー、覚えたわ。さ、もう一回投げて」
(;-∀-)b「……」キィン、パシ
若干うんざりしながら、また左手に弾いたコインを収める。
何にうんざりしているって、この少女の目がやたらキラキラしてる事だ。
そして、その目で俺の左手を睨みながら、ずっと低い声で唸っている事だ。
滅茶苦茶やりにくい。こういう相手をペテンに掛けるのって、まだ罪悪感を感じるんだ。
俺にコレを教えたクソ親父なんかだったら、嬉々として騙せたんだろうな。
(゚-゚*)「うー……表、いや、裏……表……」
(;-∀・)「……そんなに俺に飯を食わせたくないのか?」
(゚-゚*)「うーん……そうじゃなくて……あなたの事知りたいから……」
(;-∀・)
ちょっとグラッときた。
女って生き物は本当にわからない。こんなガキがクソ重い一撃を打ち込んでくるんだ。
そのうえ本人はコインに夢中で、自分が何言ったかもわからないと来ている。
世間知らずじゃなかった、世間知らずでアホの子だ。
(゚-゚*)「……表、表にするわ!」
(;-∀・)「ん、おう」
包み隠さず言うと、俺は表でも裏でも望んだ方を出せる。それに、手を開く一瞬で裏表を替えることもできる。
旅の相方って、要は単にペテンの相方だったってだけだ。
ただ……神に誓っても良いが、俺はこのコイントスの結果に対して何の細工もしていない。
だから、俺の掌のコインを見た少女が物凄く嬉しそうな顔をしているのも、ただの偶然だ。
……いや、それこそ俺がたった今誓いを立てた神様がちょっと本気を出したのかもしれない。
本当に俺らしくない、気付いた時には結構マジにそんな下らない事を考えてた。
(゚ー゚*)「やった、私の勝ちだよ! ね!?」
(;-∀・)「そーですね……はぁ」
(^ー^*)「あはは、これであなたの事をちゃんと話して貰えるのよね!」
そう言えば、この少女はずっとムッとしてたっけ。よく考えると、笑顔は初めて見る。
……その太陽みたいな笑顔、もう勘弁してくれよ。調子狂うんだ。
ガキの頃みたいに、あんたが俺の味方だと誤解しちまうじゃねえか。
(゚ー゚*)「さ、教えてよ。あなたの名前は? 年は、所属は?」
(;-∀-)「冒険の経緯じゃないのかよ……。名前はフィルでいいや。18歳。所属……所属って何?」
(゚~゚*)「んー! それ絶対偽名でしょ! 18歳って事は、私の4つ上だね! 所属って何って……!」
ほう、たった一瞬で偽名を見抜いたか。まだ14歳か。なぜ言葉に詰まった。
そして一気に質問及びコメントしようとするな、一気に答えつつ心中で突っ込み入れてる俺が言えた義理は無いけど。
(゚-゚*)「……ごめん。学校のクラスの話だよ」
( ・∀・)「あー、成る程。そりゃ確かに俺には無関係だ」
7歳になる前には工場労働してたし。
(゚-゚;*)「7歳!? そんな小さい時から……?」
(;・∀・)「あっれぇ、口に出てた?」
(゚-゚;*)「それって、その……」
空気が何か気まず、く、なる前に即回避!
……どうでもいいけど、なんでこの子さっきから裸足で地雷原に突貫するような事するんだろう。
( ・∀・)「あ、ちょい待った。先にあんたの名前も聞いて良いかな?」
(゚ー゚*)「……私も偽名で良いの?」
……ま、流石の俺もこの上この子を単純とは言わないさ。
今のこの子の笑顔は、まるで取り繕っているようだ。空気を読んだね、ガキの癖に?
( ・∀・)「ま、名乗るだけなら好きにしたらいいんじゃない?」
(ー゚*)「そうだなぁ、それじゃあ……ビリー・ジーンって呼んで」
( ・∀・)「やだ」
Σ(゚ー゚*)
( -∀-)「あんたみたいなジャガイモがヘレン・スレイター? 全く似合わないから素直に本名名乗れ」
(゚ー゚#*)「シャルロット・ミュレーズ。貴方の本名は」
(;・∀・)「シャ……フレンチ系か。俺はモララー・ドクソン。モララーで良いよ、シィちゃん」
(゚- ゚#*)「し、シィ? 変な省略しないで!」
( -∀・)「……なんで怒ってるの?」
(゚- ゚#*)「むっ!」
( ・∀・)「……しぃちゃーん?」
(゚- ゚*)「むむ……」
( ・∀・)「しぃ?」
(゚- ゚*)「ま、まぁ、それ位なら別に許しても良いかな……」
( ・∀・)「んー……?」
女って生き物は本当にわからない。どうして呼び方一つにここまで拘るんだか。
だいたい俺のモララーってのは、付けたのさえ三日前だって言うのに。
(゚-゚*)「それで、モララーさん。モララーさんはなんで旅してきたの?」
( ・∀・)「あー、えーっと……」
(゚-゚;*)「あの、答えにくい事だったら別に無理にとは……」
全く、ガキが変に気を回すなっての。
そういう下手な気遣いは嘘つきなオトナに任せなさい。……俺もまだ18だけど一応オトナで良いよね。
( ・∀・)「や、どこから話そうか考えてただけだよ。そうだなぁ、ちょっと前に親父が死んだんだよね」
(゚-゚;*)「うっ」
( ・∀・)「だーかーらー、大した話じゃないんだって! そんな顔すんな!」
(゚- ゚;*)「むぅ……」
( -∀・)「元々さ、大して長生きできるような人じゃなかったんだよ。
5、6歳そこそこの俺を労働場にぶち込んで、その金は全部酒に費やすような奴だ。
飯や服だって、覚えてる限りは一度もくれた事が無かったし」
(゚-゚;*)「そんな……モララーさんは、どうやって暮らしてたの?」
( ・∀・)「物心付いた時には残飯漁ってた。幸いアパートの近くにレストランがあったから、それは大して困らなかったね」
( -∀-)「まぁ大体そんな人だったし、詐欺にも手を出してたみたいだから、恨みも買いまくってただろう。
物取りに入られなければ癌か脳卒中で死んでただろうし、そうでなくても誰に殺されても不思議じゃなかった」
(゚-゚;*)「物取り?」
( -∀-)「うん、物取り。親父の溜め込んでた僅かな金に目が眩んだんだとさ。稼いだの俺なのに」
(゚-゚;*)「……! それ、その時モララーさんは?」
( -∀・)「親父が撃ち殺されたのを見て、必死で抵抗したよ。何とか消えて貰った」
殺されたのを見たというか、見殺しにしたというか。消えて貰ったというか、消させて貰ったというか。
まぁ別に嘘ではないし、しぃちゃんも勝手に誤解してくれるだろ。
他人をうまく騙す方法は親父が俺に残した一番の宝だね。
罪悪感がどうとか、そこはそれ。女の子の精神エーセーを健全に保つだから仕方ない。
(゚-゚;*)「そう、なの……それで、その人から逃げるために?」
( ・∀・)「あー、ちょっと違うかな。両親も居ないし家に居る理由が消えたから、世界を見てみたくなったんだ」
逃げたのは逃げたんだけどね。ただし保安官から。
親父はともかく、もう一人を殺ったのは間違いなく俺だし。
(゚-゚*)「世界を見てみたく……?」
( -∀・)「そ、薄汚い労働場しか知らずに死ぬのは嫌だったからさ。
物取りが落として行った財産と家中の金を引っ掻き集めて、
ついでに親父が大事に取っといてた酒も持って、何となくこっちに来た」
(゚-゚*)「……」
( ・∀・)「大体こんな経緯だよ。大した話じゃないだろ? さ、次はあんたの番だ」
σ(゚-゚;*)「え、私も?」
( ・∀・)「あんたも。当たり前じゃん」
そんな訳あるか、俺が話したのはあんたが賭けに勝ったからだ。
……って、俺が言わなきゃ気付かないんだろうなぁ、このドアホは。
(゚-゚;*)「んー……えーっと……」
(0゚・∀・)ワクワクテカテカ
Σ(゚-゚;*)「う、うう……」
……顔芸一つにそんなドン引きされても悲しくなるな。
しぃちゃんは幾らか考えてから、おずおずと話し始めた。
(゚ー゚;*)「あのね、私……」
(0゚・∀・)ワクワクテカテカ
(゚ー゚;*)「わ、私……もうすぐ食事の時間だから」
(0゚・∀・)ワクワ・・・ピタ
……おいちょっと待て、そりゃ無いだろ。
無駄になった俺の顔芸を返せ。
( ・∀・)「そか、残念だけど仕方ないな。それじゃ」
(゚ー゚*)「ええ、家で話しましょ」
( ・∀・)「……は?」
(゚- ゚*)「だから、お昼御飯を用意するって言ってるの! ……嫌だった?」
( ・∀・)「」
嫌じゃないけどさ。確かに昼飯賭けさせたの俺だけどさ。
でも、だからって……
(;-∀・)「いやいや……流石に浮浪者捕まえて家に上げるのは無茶苦茶だろ」
(゚ー゚*)「モララーさんには一応帰れる家はあるんだよね? じゃあ浮浪者じゃないじゃん」
だから帰るつもりは無いっつの。下手したら逮捕拘留だ。
まぁ何も知らないしぃの立場からすると百パーセント正論が、そこには常識成分がまるで無い。
(゚ー゚*)「それに家には誰も居ないから、心配しなくても大丈夫だよ。用心棒も使用人も居ないもん」
(;-∀・)「そういう無防備な所が良くないって言ってるんだよ! なんでわざわざ俺に言うんだ!」
(゚- ゚*)「……モララーさんなら、信用しても大丈夫だと思ったんだもん」
人を見る目が無いのはよーくわかった。
と言うか、見ての通りか。こんなにのほほんとした女なんだから。
(;-∀-)「……少しは人を疑えよ。俺なんて最も信じちゃいけないタイプだろ」
(゚- ゚*)「……モララーさんも私を騙すの?」
(;-∀-)「そういう訳じゃないけど……って、」
モララーさん“も”、だって?
(゚ー゚*)「じゃあ良いじゃない、ね?」
( -∀-)「……」
何だって俺はこんな青っちぃ小娘の事を気に掛けてるんだか。飯や金の為じゃないんだろうけど。
確かに見た目はスゲー可愛いさ。笑った顔なんて、そう、太陽みたいだと思ったね。
でも多分、俺がこの娘に興味を持ったそもそもの原因はそんな事じゃないんだ。
( ・∀・)「では御言葉に甘えて、御相伴に与るとしますか。
あぁできれば辛い物は止めてね、三日間タコスで暮らしてたんだ」
(゚ー゚;*)「……って事は、四日間タコスでも大丈夫だよね」
( ・∀・)「」
(*^ー^)「さ、来て! ……たぶん普通の料理も作れるよ!」
(;・∀・)「あ、ちょっと待てって! それ本当だろうな!?」
仕方ないよな?
だって、「ありがとう」なんて言われて笑顔まで向けられて、そんなの生まれて初めてだったんだ。
( -∀-)=3
(゚ー゚*)「おぉーい、モララーさぁん……」
仕方ないよな?
だって、「好きなだけ食べて」なんて言われて食いきれないだけの料理を出されて、そんなの生まれて初めてだったんだ。
ところで、タコスは飽きたなんて言った奴、今すぐ出てこい。お前が三日間食ってたのは、タコスの姿のパン耳だったらしいぞ。
( -∀・)「や、旨かったよ。御馳走さん。……悪いね、郷里に居た頃の一週間分くらいは食わせて貰ったよ」
ぼんやりと息を吐いたここは、しぃの自室のソファーの上。
長旅で汚れた衣服は早々に剥ぎ取られ、今は洗濯されるのを待つ身だという。
それに、俺本体はシャワーと卸したての服まで借りるという、ものすごい厚待遇まで受けた。
聞くとどうやら、食卓に砂埃が落ちるのが気に入らないらしい。
25 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/20(日) 22:07:06 ID:EFZkWTDAO
(゚ー゚*)「本当、凄い食べたね。作った私も嬉しいわ」
( -∀-)「あー、うん。かなり満足できたよ。料理、上手いんだね」
(^ー^*)「でしょ! 私の得意料理なんだ!」
( -∀-)「んー。アレが食い続けられるなら死ぬまでタコス生活でもいいや……」
食欲が満たされると、次は凄まじい睡眠欲が襲いかかってくる。
俺は目を瞑っていたから、しぃがどんな顔をしていたのかを知らない。
( -∀-)「……さて、んじゃ次は、俺があんたの話を聞く番だ。俺が眠くならないように話しな」
(゚ー゚;*)「何よ、清々しい位に偉そうね……何処から話せば良いかなぁ」
しぃはそのまま「あー」だとか「うー」だとかと唸るばかり、肝心の話に到達しない。
……あー、イライラしてきたぞ。
女って生き物は本当にわからない。あんたの歴史なんて、あんたが産まれた所から順番で良いじゃないか。
(#・∀・)「……名前は!? 歳は!? 所属は!?」
(゚ー゚;*)「あぅ……シャルロット・ミュレーズ、14歳、昨年まで聖ルーシー中等部の家政院に居ました」
( ・∀・)「家政? 何それ面白いの?」
この問いに、しぃは表情を凍り付かせた。
明らかに楽しんでなんていないなんて、その顔見てれば猿でもわかる。
(゚-゚*)「……全然。良妻賢母がどうとか神の思想がどうとかって、そんな下らない話ばかりよ。嫌になるわ」
(;-∀・)「ならなんでそんな所に……」
口を開くと、まるで滝のように不満が流れ出すという。
女って生き物は本当にわからない。さっきまでは『悪意なんて見た事もございません』って顔してた癖に。
急に無表情になった小女優は、何かのスイッチが入ったように続けた。
(゚-゚*)「お父様の言い付けよ。私の意志なんて、まるで考えない人だから」
(;-∀-)「あー……父親なんてそんなもんだよ。君の為を思ってるんだろ、たぶん」
(゚-゚#*)「そんなのあり得ないだわ! お父様は私を玩具程度にしか見ていない! 勝手に就学先を決めて勉強する科目を決めて、
……いいえ、私が着る服や食べる物や、付き合う人達も、時間の使い方も全部全部、私の人生全部よ!
挙げ句『来月この男性と結婚しろ』ですって! 私はその日まであの男の顔も知らなかったのに!」
(;・∀・)「おおう……」
(゚-゚#*)「ええ、ええ、何が大富豪ミュレーズ家の名君よ! 中身を見れば、ただの保身と欲望に狂った豚だわ!
綺麗な服だとか宝石だとか美味しいご飯だとか、そんなモノを与えれば人を自由にできると思ってるの!
そんな、そんなモノを与えれば、人ひとりを踏みにじってもいいと思ってる、そんな最低な人!」
(;-∀-)「服と石と飯……。ウチは石だけだったな、飛んで来たの」
瓦礫と宝石比べちゃ、いくら何でも失礼か。
……肩で息をしながら、吐き捨てる様に言うお嬢様、俺にはこの娘を人形扱いできる肝っ玉がわからないんだけどさ。
(゚-゚#*)「……明日の午前中に、お父様がここに来るの。あの婚約者の男を連れてね。
せっかくあの家を出て、宝石を売ったお金でこの家を借りて、やっと少しは自由になれたと思ってたのに……」
(;-∀・)「あー……諦めちゃ駄目なの? そうしたら少なくとも暮らしに不自由は、」
(゚-゚#*)「あなたに何がわかるって言うの!」
( -∀・)「……」
……しまった。地雷踏んだっぽい。
(゚-;#*)「お父様が私をどう扱っていたかわかるの!? どんな風に私を“育てた”か想像できる!?
あの男がどんな風に私を“愛する”か、どんな風に私を“使う”か、あなたに想像できるの!?
……あはは、それとも、あなたも私を“使っ”てみる? まるで天国に居るみたいな気分になるんだってさ!」
( -∀・)「……」
(;-;#*)「親子なんかじゃなかった。まるで奴隷みたいに、……!!」
( -∀・)「……」
あぁ、これは嫌な予感がするな。
頼むから、次に──を付け足すのは止めてくれよ。
……ま、俺みたいな悪党の願いを聞き入れる程、神様も暇じゃ無いみたいだけど。
(;-;*)「ご、ごめんなさ、い、自分の事、ばっかり……あなただって、ずっと辛い思いを、」
( ・∀・)「黙れ」
ほら、やっぱり『ごめんなさい』、なんて言い始めるんだ。
……収拾つかなくなっちゃうじゃないか、俺まで熱くなったら。
( ・∀・)「親父はさぁ、酒を飲むか俺を殴るかしかしなかったけど、立派に親父だったぜ?
あの人は信じる生き方全部を、自分の態度で俺に示した人だった。
『気に入らない奴はブチのめせ』『欲しい物は騙し取ってでも手に入れろ』
『自分以外は何も信じるな』『使える物は何だろうと使え』『時間を無駄にするな』
……それに、『俺の人生は俺だけのものだ』って事もだ」
(;-;*)「……、ッ、」
(#・∀・)「馬鹿にするんじゃねぇよ! 俺は今まで一度だって辛いとなんて思ってねぇ!
俺はあのドクオ・モレルを一度だって恨んだ事は無いんだよ、
例え名前すら寄越さなかったクソ親だとしても!
くたばる寸前まで強欲貫くブービーのクソ野郎でもだ!」
(;-;*)「名前……すら……?」
(#・∀・)「……あんた、俺に美味いタコス食わせてくれたよな。だから俺はあんたに借りがある。
一言でいい、『助けて』って言え。そうすれば、俺があんたを照らしてやる」
(ρ-;*)「っ、ぐっ……」
……俺が正気に戻ったのがこの辺。
それから数分間は、こんな感じ。
近くに有ったタオルをしぃに投げ渡して、何言ったか思い出して一頻り身悶えして、一部を過去に葬って。
これまで数分間は、そんな感じ。
……しぃが正気に戻ったのがこの辺。
( ・∀・)「……落ち着いた」
( *゚-)「……おかげさまで」
(;-∀・)「あー、サッキハゴメンネ。色々とアレな事言っちゃって」
( *゚-)「……取消すの、 私を照らしてくれるって話?」
(///∀/)←既に黒歴史
( *゚-)「……名前も、結局偽名じゃない」
(//・∀・)「……俺には戸籍すら無いんだ。そもそも本名なんて初めからなかったんだよ。
だから、歩きながら考えた。モレル家の、ドクオの息子で、モララー・ドクソン。格好良いだろ?」
( *゚ー)「うん、最高に格好良い。……決めたわ、さっきの話!」
( ・∀・)「うん?」
ベッドに腰かけていたしぃが、ソファーに座っていた俺を小さく手招きする。
ところで、女の子がベッドの上で人形や抱き枕を抱え込む姿って、すげぇ可愛いよな。
なんかもう、芸術の領域と呼んでも差し支えない気がするんだよ。
どうして聖母だかなんだかを頑張って書いてる連中は、すぐ脇に抱き枕を添えないんだ?
……こんな下らない事を考えながら特に警戒せずに近付いた俺の胸に、しぃが飛び込んできた。
(*゚ー゚)「モララー、私はあなたに助けなんて求めない! その代わり『対価』を支払って依頼するわ」
( ・∀・)「……!」
(*゚ー゚)「私を助けなさい、その対価は……。これから何年掛けてでも支払ってあげる」
彼女は俺をベッドに引き倒し、強引に唇を重ねた。
女って生き物は、本当にわからない。まだガキみたいな年齢の癖に、抜群にイイ匂いがするんだよ。
……
街道を北の方にしばらく歩くと、小さなオアシスがある。
普段から人通りは少なく、野盗も多い街道。
その日は、一人の青年が立っていた。
( ・∀・)「……お、アレかな」
視線の先には、馬に乗った二人の人影。
彼の読み通り、二人はオアシスで馬を繋ぎ、休息を取る。
青年はなるべく自然な笑顔を浮かべて二人の男に歩み寄った。
( ・∀・)「ハロー、旅の人。あんた達、何処から来たの?」
(,,゚Д゚)「あん? 何だ、テメエは……」
( ^ω^)「止したまえ、ギコ君。……君は私達に用かお?」
( ・∀・)「んー、いや、そういう訳じゃないけどね、ただ、」
(#,゚Д゚)「チッ……喧嘩売ってんのかゴルァ」
( ^ω^)「だから止せと言っているだろう。短気なのは君の唯一の欠点だお」
34 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/20(日) 22:47:51 ID:EFZkWTDAO
( ・∀・)「……あー、ただ、立派な目付きの人達だったからね。名の有る人なのかな、と」
(,,゚Д゚)「お? なんだ、意外とわかる奴じゃねーか! この方は世界に名だたる大富豪、ブーン・ミュレーズ氏だ。
……お前だって、大富豪ミュレーズ家の名前位は聞いた事があるだろう?」
( ・∀・)「あぁ、やっぱり凄い人だったのか! すると兄さんは保安官か何かかい、かなり腕の立つ人に見えるが……」
(*,^Д^)「ギコハハハ、コイツは照れるな! おう、その通りだ。俺はギコ・エヴァンズ、近々この人の婿養子になる保安官さ」
( ^ω^)「おいおい、その辺りで止めておけお」
( ・∀・)「はぁ、すると、兄さんは近々結婚するのか! コイツはめでたいな!
女ってのは本当にわからないが、ミュレーズ氏の娘君なら、さぞ素敵な娘なんだろう?」
(*^ω^)「おっおっお! 素敵か、確かに最高の娘にする事ができたお!」
(*,^Д^)「ギコハハハ、本当にお前の言う通りだ! ……お前も女には苦労してるみたいだが、頑張れよ!」
( ・∀・)「ハハハ……いや正直あんた達の半分も苦労してないと思うけどさ」
(*,゚Д゚)「うん、何か言ったかい?」
( ・∀・)「いやね、俺の相手はなかなか靡いてくれないから、あんた達の幸福にあやかりたいと思ったんだ」
(*,^Д^)「ハハハ! そんなもん、男なら力ずくで奪い取ってみろよ?」
(*^ω^)「お! 何なら、手引きしてやるお?」
,(・∀・ )"「アハハ、確かにね! 俺もそう思うよ! だからさ、」ゴソゴソ
( ・∀・)y=- スッ
(*,^Д^)「ん?」
ぱぁん。
,,(,※Д。)
(゚ω゚;)「ギっ!? 貴様!」
( ・∀・)y=-「……しぃが聞いたらキレるだろうけど、君たち親子って似た者同士だよね。
こういう治安の所で金持ちアピールなんてしちゃ駄目だってば」
(゚ω゚;)「ま、待て! 今手元にある小銭の数万倍の金が私の屋敷にある!
今私を殺しても幾らの得にもならないお!」
( ・∀・)y=-「うん、知ってる。でも今欲しいのは別のものだし……」
(゚ω゚;)「な……に……? なんだ、山か!? 銀山の権利書でも欲しがるつもりか!?」
( ・∀・)y=-「ハズレ。正解は……あれ、本名なんて言ったっけなぁ……」
(゚ω゚;)「……?」
( ・∀・)y=-「あ、そだ、思い出した。シャルロットだった」
(゚ω゚;)「!?」
( ・∀・)y=-「こほん。『お義父さん、娘さんを僕に下さい』、なーんて」
(゚ω゚;)「わ、わかったお、お前にやるから好きなようにしろ! こ、この住所に住んでる……」
( ・∀・)y=-「さんきゅ。……でさ、さっき言ってた自慢の娘って何の話?」
(゚ω゚;)「そ、それは……床だお、床の奉仕を仕込んだんだお!」
( ・∀・)y=-「ん? どんなのを?」
(゚ω゚;)「そ、そんな事……」
( ・∀・)y=- カチ
(゚ω゚;)「く、口と、手、足、胸と脇、後ろの穴と、髪の毛、あと道具と……」
(;・∀・)y=-「え、そこまでやったの? 流石に引く……」
(゚ω゚;)「ひッ!?」
( ・∀・)y=-「まぁそれは良いや、後で試して貰おう。そいで……さっきの話だけどさ。
シャルロット。しぃ。やっぱりくれなくて良いや」
(゚ω゚;)「な、何故……」
( ・∀・)y=-「だってほら、俺も男だし。力ずくで奪う事にするよ。……それじゃ、」
「ありがたく頂いていきます」
ぱぁん。
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この記事へのコメント
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