February 27, 2011

枕物語のようです ―偶然が重なって運命の人ようです―

2 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/21(月) 23:49:03 ID:fgmxDE0EO




 偶然が重なって運命の人ようです


3 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/21(月) 23:50:01 ID:fgmxDE0EO





('、`*川「バス来ぃへんね。」

(´・ω・`)「えっ
     そうみたいですね。」

('、`*川「あれ?
     関西の人ちゃうんや。」

(´・ω・`)「出張ですよ。
     貴方は学校帰りですか?」

('、`*川「デートの帰りやねん。」



4 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/21(月) 23:51:11 ID:fgmxDE0EO

(´・ω・`)「制服でデートなんて、青春ですね。」

('、`*川「えぇやろぉ~
     おっちゃんは嫁さんとかおれへんの?」

(´・ω・`)「いえ僕は…
     恥ずかしながらバツイチでして。」

('、`*川「おっちゃんしょぼくれた顔しとるもんなぁ…。」

(´・ω・`)「それは関係ないでしょ。」

('、`*川「お。バス来たわ。」



5 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/21(月) 23:51:43 ID:fgmxDE0EO



    ピー



…………………………



6 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/21(月) 23:52:23 ID:fgmxDE0EO

('、`*川「おっちゃんまた会うたな。」

(´・ω・`)「こないだの。
     こんな夜遅くまで危ないですよ?」

('、`*川「えぇねん。彼氏が守ってくれとるし。」

(´・ω・`)「今は一人じゃないですか。」

('、`*川「バス停家の目の前やから大丈夫やねん。」

(´・ω・`)「でも気を付けないと、何があるか解りませんよ。」



7 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/21(月) 23:55:09 ID:fgmxDE0EO

('、`*川「え、おっちゃん襲うつもり?
     怖いわぁ。」

(´・ω・`)「そんなつもりじゃありませんよ。
     スミマセン。」

('、`*川「イヤイヤ。
     しっかりツッコんでや。
     ノリツッコミすらされんと淋しいわ…。」

(´・ω・`)「ごめんね。
     まだ関西のノリは難しいんですよ。」



8 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/21(月) 23:56:10 ID:fgmxDE0EO

('、`*川「そんな関東の人みたいな事言って。」

(´・ω・`)「イヤ関東人ですから。」

('、`*川「それや。
     ツッコミ出来てるやん。」

(´・ω・`)「そ、そうですか?」

('、`*川「エェ感じやで。」

(´・ω・`)「…!
     バス来たましたね。」



9 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/21(月) 23:56:44 ID:fgmxDE0EO



    ピー



…………………………



10 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/21(月) 23:59:53 ID:fgmxDE0EO



(;、;*川「…。」

(;、;*川「…グスッ
     ズビッ」

(;、;*川「なんでやねん…。」

(´・ω・`)「ひとりでツッコミしてどうしたの?」

(;、;*川「おっ…ちゃん…ズズ。」

(´・ω・`)「言ってごらん。
     楽になるかもよ。」



11 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:01:54 ID:gfH7EHsEO

(;、;*川「あんな…エグッ
     彼氏がな。二股、しててん。」

(;´・ω・`)「それは…ショックだったね。」

(;、;*川「アタシ女テニやねんけどな。
     彼氏は男テニやねん。」

(´・ω・`)「テニ…テニス部か。」

(;、;*川「せやねん…
     でな。二股相手やねんけどな。」

(´・ω・`)「うん。」

(;、;*川「…ダブルスのペアの子やってん。」

(;´・ω・`)「それは…。
      またややこしいね。」



12 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:03:49 ID:gfH7EHsEO

(;、;*川「せやろ?
     二年間ペア組んどったのに…
     なんで気付けへんかったんやろ。
     アホみたいや。」

(´・ω・`)「近すぎると解らないもんかもね。」

(;、;*川「イヤ普通解るもんちゃう?」

(´・ω・`)「…僕も、妻の浮気に気付かなかったしね。」

(;、;*川「おっちゃんダッサ。」

(´・ω・`)「おっちゃんはアホだからね…
     ってキミもだよ。」

(う、;*川「ノリツッコミ出来とるやん。
     ふふ。」



13 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:04:40 ID:gfH7EHsEO

(´・ω・`)「…バス来たね。
     君は笑ってる方が似合ってるよ。」

('ー`*川「へへ。ありがとうな。おっちゃん。」



14 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:05:34 ID:gfH7EHsEO



    ピー



…………………………



15 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:06:38 ID:gfH7EHsEO



('、`*川「おっちゃーん!」

(´・ω・`)「お。元気そうだね。」

('、`*川「あんな。彼氏振ったってん!」

(´・ω・`)「キリ付いたんだ。よかったね。」

('、`*川「なんであんな男好きやったんやろ…。
     『オレを捨てんといてや!』
     やってさ。どっちが悪いねんwww」

(´・ω・`)「うわっ。女々しい…。
     よかったね。」



16 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:07:56 ID:gfH7EHsEO

('、`*川「へへ…。
     なんで浮気なんかするんやろね。
     頭イっとると思うわ。」

(´・ω・`)「僕もされた側だから解んないよ。」

('、`*川「アタシら似たモン同士やな。」

(´・ω・`)「残念な共通点だけどね。」

('、`*川「浮気された心当たりとかあるん?」



17 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:09:36 ID:gfH7EHsEO

(´・ω・`)「…あるよ。」

('、`*川「なんなん?」

(´・ω・`)「遠慮無いね。」

('、`*川「えぇやんえぇやん。
     アタシかて色々言ってんから。」

(´・ω・`)「…うん。多分だけどね。
     仕事にかまけすぎたんだ。」

('、`*川「何?嫁さんは寂しかったとか言ったん。」

(´・ω・`)「そうだね。一言一句そのまんま。」

('、`*川「んなモン言い訳にすらなっとらへんわ。」

(´・ω・`)「でも…事実だと思うからさ。」



18 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:10:23 ID:gfH7EHsEO

('、`*川「おっちゃんあんま優しなかってんな。」

(´・ω・`)「僕は優しくないよ。」

('、`*川「アタシは優しい思うねんけどなぁ。
     うん。アタシが言うから間違いないで。」

(´・ω・`)「根拠になってないよ。

     …ありがと。」

('、`*川「あ…
     バス来てもた。またな。」



19 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:10:49 ID:gfH7EHsEO



    ピー



…………………………



20 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:11:48 ID:gfH7EHsEO



ひんやりとした吊革を掴み、体重を預ける。

バスの揺れに合わせて見慣れ始めた景色が揺れる。過ぎ去る。

頬が少し熱を帯びている事に気が付いた。
彼女の笑顔に当てられたからではない。

『優しい』と言われた事が恥ずかしかった。

僕は、優しくなんか、ない。



21 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:13:26 ID:gfH7EHsEO

仕事が忙しい。

それはただの言い訳に過ぎない。

自由を許されない家庭という環境が、窮屈で仕方が息が詰まった。

一度愛した人を、自分の自由のために、見捨てた。

そんな男が優しいと言えるだろうか?



22 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:15:04 ID:gfH7EHsEO

…それでも、彼女は優しいと言ってくれた。

これはなんなのだろう。
ただの罪滅ぼしのつもりかもしれない。
それとも、本当に優しくなれたのだろうか。

彼女の涙を見て、僕は自然と寄り添わなければいけないと思った。
あの時、『助けて』と声が聞こえた気がした。

自己満足の気持ちなんて、なかった。

そう思った瞬間、気付いたんだ。



23 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:17:12 ID:gfH7EHsEO


彼女と話すだけで、心はカーニバルのようにキラキラ光り輝いていた。


か細い彼女の手をギュッと握りたくなった。



そう。僕は彼女に恋をした。



…………………………



24 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:18:17 ID:gfH7EHsEO



(´・ω・`)「やぁ。」

('、`*川「おっちゃん!
     今日スーツちゃうんや。どないしたん?」

(´・ω・`)「うん。今日は引っ越しの準備をしてたんだ。」

('、`*川「引っ越し!?また転勤なん!?」

(´・ω・`)「そうなんだ。次は東北さ。」

('、`*川「そっかぁ…寂しなるなぁ…。」

(´・ω・`)「…。
     そうだね。」



25 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:20:03 ID:gfH7EHsEO

('、`*川「仕事ちゃうんやったらなんでこんな時間におるん?」

(´・ω・`)「君に、お礼がしたくて。」

('、`*川「なんやねんお礼ってw」

(´・ω・`)「うん。
     君がいたお陰で楽しく仕事が出来たし、学べる事もあったからね。」

('、`*川「さすがアタシやろw
     尊敬して。」

(´・ω・`)「イヤ、調子に乗りすぎでしょ。」



26 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:21:10 ID:gfH7EHsEO

('、`*川「せやなw
     まぁ東北行っても頑張ってや。」

(´・ω・`)「ありがとう。
     頑張るよ。」

('、`*川「バス来たな。
     じゃ、またな。」

(´・ω・`)「だから東北に行くって。」

('、`*川「知っとる知っとるw
     頑張ってな!」

(´・ω・`)「うん。」



27 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:22:01 ID:gfH7EHsEO



    ピー




28 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:22:49 ID:gfH7EHsEO

バス停に残され一人、呟く。



(´・ω・`)「君のお陰で頑張れるよ。」



「貴方のことが好きでした。」



 

29 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:24:03 ID:gfH7EHsEO


彼女と僕は偶然出会えた。


乗り換えの駅が偶然一緒になっただけ。
僕らの進むターミナルは別なんだ。


それでも、君の笑顔が、僕の心を照らしてくれた。


強い光で。色を変えてしまうほどの大きな光で。



30 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:24:35 ID:gfH7EHsEO




まるで、ストロボのように。



 

31 : ◆Zb08y4eL/Y:2011/02/22(火) 00:26:29 ID:gfH7EHsEO


ジョニー・ストロボ


今出会った
未来を擦り減らして
出会えたんだ 戻れない旅の途中
傷になって治らないままの
愛の深さなんてわからない
手と手を伸ばして合わせたんだ
ギュッと握ってみたい

永遠じゃなくたって価値がある夜
カーニバルみたいな光を放つ


苦手だった
優しく振る舞うなんて
嘘をついた後の気分 逃げ出したい
キミはちょっと僕を油断させる術を
身にまとった猫のよう
そっと寄り添って聞こえたんだ
声無き声

偶然が重なって運命の人
ターミナルはきっと別だとしても
一瞬で燃え尽きる流れ星でも
何かを照らしたんだ
ストロボのように



boonkei_honpo at 01:58│Comments(1)TrackBack(0)恋愛 | 音楽短編フェス

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この記事へのコメント

1. Posted by fuseok   December 07, 2011 01:40
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