February 20, 2011
爪 ゚Ⅳ〉禁じられた契約のようです
人の欲は尽きない
金を 富を 地位を 権力を
人を 心を 体を 命を
“永遠”という 夢物語すらも
人は欲する
人は手を出す
たとえそれが 禁じられたものだとしても
爪 ゚Ⅳ〉禁じられた契約のようです
禁じられた契約/フレディ波多江とエレハモニカ
ここに在って ここに無い
在ってはならぬものであり
同時に 在らなければならないもの
私は人の“夢”であり 私は現実の“敵”である
私は此処にいる
“何処にも無い”此処にいる
“何処にもない”場であり、“何処にでもある”場
それは人の心の奥底 深層心理の海の底
人の心理は一番深い処で一つに繋がっている
私は そこに居る
時折 ここまで堕ちて溺れてくる人間の 望みを叶えてやる
望みを叶えてやることに、意味はない
私は“叶えるもの”だから
叶えるに値する望みを持つ者だけが、此処にくる
今日もまた、ほら……
闇 闇 闇
そこには夜色の闇しかない
そこに ぽつり 白い影
否 白く長いワンピースを着た 小柄な少女
まだ幼い彼女の目は虚ろで どこか含みのある笑みを称えている
今日の来訪者は彼女のようだ
私はいつものように 丁重に挨拶をする
爪 ゚Ⅳ〉「こんばんは お嬢さん ようこそ 闇の果てへ」
(*゚―゚)「……あなた だぁれ?」
彼女は形式を無視する
私は気にしない
爪 ゚Ⅳ〉「私に名はありません。
存在自体も実にあやふやなのです。
強いて名をつけるというのなら………“アンノウン”と、お呼びください」
(*゚―゚)「…アンノウン……?」
6 : ◆zynqho4iRI:2011/02/19(土) 19:41:38 ID:f3XKS80g0
爪 ゚Ⅳ〉「えぇ。此処に在って此処に無い
意味があって意味がない
在らなくてはならないもので、同時に在ってはならないもの
それが、“私” …なので“アンノウン”」
(*゚ー゚)「よく意味がわからないわ」
爪 ゚Ⅳ〉「…それで、いいのですよ」
左半分を仮面で覆った顔で、そっと微笑んでみせた
爪 ゚Ⅳ〉「さて、貴女は今回、此処へ―望みを叶える闇へ―…何をしに来たのですか?」
(*゚ー゚)「……?」
爪 ゚Ⅳ〉「どんな願いがあるのですか?
……勿論対価は戴きますが私はそれを 叶えてみせましょう」
私の話を聞いた彼女は、白い花のようにふんわりと笑い
無邪気な望みを口にした
(*゚ー゚)「永久の、生命を」
彼女は語る
幼い瞳をきらきらと輝かせ
夢を語るように 望みを語る
(*゚ー゚)「私ね、もうすぐ死ぬの。
心臓の病気なんだって …でも私はね、まだ生きたい」
(*゚ー゚)「私には、好きな子がいるの ギコ君ていうのよ。
ギコ君といっぱい遊んで、ギコ君の彼女になって、
ギコ君といっぱい愛し合って、ギコ君と結婚して、子供生んで、
……ギコ君を最期まで、見送りたいの」
(*゚ー゚)「だから、期限はわからない
だから、ずっと、ずっと生きていたい」
浅はかな望みだ と、思った
爪 ゚Ⅳ〉「その為に、“永久”を望むのですか?」
(*゚ー゚)「えぇ ギコ君と一緒に居たいもの」
爪 ゚Ⅳ〉「そのギコ君とやらがもし、亡くなってしまったら?」
(*゚ー゚)「生まれ変わったギコ君に、会いに行くわ」
いたいけな幼い少女は まだ絶望を知らないのだろう
残酷なまでの結末を 知らないのだろう
それでも 彼女が望むのならば 私はそれを 叶えてみせましょう
爪 ゚Ⅳ〉「……そう、ですか。 …では、私と契約をしましょう」
ぱちん と、指を鳴らす
目の前に現れたのは、猫足の丸テーブルと、白の羽ペンと蝙蝠の血のインク
そして羊用紙の契約書
それらを彼女に勧める
爪 ゚Ⅳ〉「さぁ、ここにサインを。
私は貴女のその望み、叶えて差し上げましょう」
(*゚ー゚)「本当!?」
爪 ゚Ⅳ〉「えぇ、本当です ただし、対価は必要になりますが、よろしいのですか?」
(*゚ー゚)「ギコ君と幸せになる為なら、なんだってあげるわ!!」
彼女はなんの躊躇いもなく、ペンを手に取った
9 : ◆zynqho4iRI:2011/02/19(土) 19:46:48 ID:f3XKS80g0
にやぁり
口元に笑みが滲む 悪い癖だ
幼い 儚い
まだ何も知らない 無知でいたいけな少女
しかし言質は取った
彼女は対価も聞かぬまま、稚拙な筆跡で契約書にサインしていく
これで契約は完了
あとは彼女に 残酷なまでの“生”を与えるだけ
爪 ゚Ⅳ〉「ククク……あはははは…………」
おかしくて たまらない
狂おしくて たまらない
無知は罪だ
此処が闇だと 彼女は知らない
此処に在って此処に無い
意味があって意味がない
在らなくてはならないもので、
同時に在ってはならないもの
それが、“私” “アンノウン”=“未知数”
私は此処にいる
“何処にも無い”此処にいる
“何処にもない”場であり、“何処にでもある”場
私は此処まで堕ちて溺れてくる人間の 望みを叶える
私は“叶えるもの”だから
叶えるに値する望みを持つ者だけが、此処にくる
相応の対価を引っ提げて、此処に来る
愚かな愚かな人間達
契約をした瞬間から、絶望は始まるというのに…………
薄暗い部屋には 華奢で豪奢な一つのベッド
爪 ゚Ⅳ〉「どうぞ こちらへ」
雪のようにしんしんと冷たいシーツ
その上に 白いワンピースを身に纏った 色白のいたいけな少女
微かに震えているのは 期待か 不安か
爪 ゚Ⅳ〉「では、始めます。
契約の内容を、絶対に忘れてはなりませんよ」
(*゚ー゚)「…………はい」
爪 ゚Ⅳ〉「まず、この契約は 破棄することは出来ません。
…それも覚悟して、サインをしましたか?」
(*゚ー゚)「……はい」
爪 ゚Ⅳ〉「よろしい。では次に、この契約については 他言無用です。」
(*゚ー゚)「はい」
爪 ゚Ⅳ〉「契約内容についても、私の存在についても、ですよ」
(*゚ー゚)「…はい」
爪 ゚Ⅳ〉「では契約の証として、その胸に紋章を刻ませていただきます」
(*゚ー゚)「…刺青?」
爪 ゚Ⅳ〉「いえ、紋章です……まぁ、墨みたいなものですが」
(*゚ー゚)「…それも、見られるとまずいの?」
爪 ゚Ⅳ〉「ご心配なく。」
にこりと微笑んで見せる
内心で 考える必要すらなくなるのだから と、ひとりごちながら
爪 ゚Ⅳ〉「では、よろしいですか?」
(*゚ー゚)「…………はい。 …お願い、します………」
契約完了
頷いて、ベッドに 彼女に覆い被さる
まだ蕩けそうに柔らかい唇を吸い、右手の指先で、繊細な首筋を弄ぶ
そして左手を彼女のワンピースに手をかける
彼女は恥じらい、私の手に小さな冷たい手を添えてくる
恥らっていられるのも 今のうちだけだ
片手で釦を外していくのを、彼女の碧い瞳は虚ろに追って行く
これから行われる“契約” その穢れのない瞳に 映してしまっていいのでしょうか…?
爪 ゚Ⅳ〉「……悔いることなど、許しません」
(*―)「ぁっ……………―――――― 」
ワンピース上から 小さな小さな双丘の片割れに、強く爪をを突き立てた
薄れてゆく頬の紅 鋼のように
その痛みに耐え忍ぶ叫びは 闇に融けて儚い
永久にに続く生命を得る為に差し出したもの
胸に刻む禁じらた契約
戻ることはできない
…… ―
高揚が止まらない
笑みが絶えない
喜びが抑えられない
我ながら自画自賛してしまう
“彼女”は、最高傑作だ
爪 ゚Ⅳ〉「どうでしょう?素晴らしいでしょう?きっと 気に入って戴けましょう」
その胸に今印された 黒い薔薇の紋章
(*ー)「……………………」
彼女に鏡を向ける
出来栄えを見てもらう為だ
彼女はぎこちなく微笑んでいる
古くくすんだ鏡の向こう側で、
壊れそうな儚さを孕んだ 真っ白い肌を晒した彼女
淡い黒髪だけが 彼女に色を与えている
造り変わった身体はまるで人形のようで…
その実 人形である
彼女は知らない
永久に得た生命の意味
ヒトであることをやめてしまう 禁じられた契約
彼女に残されたのは ほんの僅かな 幼い頃の記憶
彼女は今後 その記憶の中だけで生きていくだろう
抜殻のようになった彼女に、私は糸 ― 意図 ― を括り付ける
これで人形の完成
悔いる時間など許されない
今の彼女にはもう 己が意志などないのだから
戻ることは出来ない
彼女が望んだことだから
誰もそれを知らない
これは 禁じられた契約だから
私は嗤う
彼女は踊る
…私の手によって
可笑しくてたまらない
滑稽でたまらない
実に浅はか
実に愚か
残酷な結末
彼女はもう 絶望を知る術すらない
それはある種の 幸せなのかもしれない
彼女は知らない
彼女は気付かない
私に釣られていたことを
爪 ゚Ⅳ〉「……おいで 『ギコ』」
闇から現れる 残酷な真実
(,,゚Д゚)「…………」
誰もそれを 知らない

爪 ゚Ⅳ〉禁じられた契約のようです 終
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この記事へのコメント
1. Posted by Download ashlee simpson la la December 15, 2011 18:52
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