February 27, 2011

('A`)俺は幸せ──ようです

39 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:00:21 ID:PJxXnfoYO

──昨夜は


( ・∀・)「あー、ちょっと。君、君」


──美しい


('A`)「……はい?」


──月明かりの下で


( ・∀・)「こんな時間にこんなとこで何やってんの? 住所、氏名は?」


──職務質問を受けたのです


('A`)「……え?」





('A`)俺は幸せ──ようです





40 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:01:06 ID:PJxXnfoYO

(;'A`)「あっっっっちいいいいいいいいいいいい」

(;'A`)「何だこの暑さ……。今夏最高記録じゃね?」

(;'A`)「風が来い」


 現在時刻は正午を少し、過ぎた辺りか……。
朝からずっと歩きっぱなしだし、どこかで一休みでもするかねぇ。


 空を見上げりゃ雲一つない晴天。
 今日は八月の最高気温を記録した三十八度の真夏日。
 現在地は日陰一つない灼熱地獄。
 手元には一口分の水分のみ。


(;;'A`)「詰んだ」



41 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:02:37 ID:PJxXnfoYO

※※※※※※※※※※

(#´・_ゝ・`)「ドクオ! ちょっとこっちに来い!」

('A`)「は、はい!」

(#´・_ゝ・`)「何だ、この書類は?
        脱字だらけで読みにくいわ日本語はおかしいわ……
        お前本当に大学を卒業してきてんのか?」

(;'A`)「すみません、すみません」

(#´・_ゝ・`)「もういい! お前には頼まん!」

(;'A`)「すみません、やり直ししますので!
     本当にすみません!」

(#´・_ゝ・`)「いいと言っているだろう。お前は席に戻れ」

(#´・_ゝ・`)「デルタ! ちょっと」

( "ゞ)「はい」

(#´・_ゝ・`)「この書類を直してくれ。一から作り替えてもいい」

( "ゞ)「分かりました」

(; A )「あ……。ああ……」

※※※※※※※※※※



42 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:05:09 ID:PJxXnfoYO

('A`)「おや。良いところに公園が」

('A`)「民の憩いの場に水道があるのは自明の理」

('A`)「ミッション1、水分を補給せよ」

('A`)「しかし子どもが多いな……夏休みだっけか」

('A`)「フッ、せいぜい今のうちに夏休みってやつを満喫するがいい。
    どうせ大人になったら夏休みなんぞ都市伝説だ」

ノパ⊿゚)「おっちゃん! ちょっと邪魔!」

('A`)「ん? ……ああ、下か」

('A`)「お嬢ちゃん、俺はまだ30代なんだよ。
    おっちゃんは40からだ」

ノパ⊿゚)「何か分かんないけど、そこどいて!
     入口に立ってちゃ邪魔!」

(;´・ω・`)「ヒーちゃん……。あんまり関わらないほうがいいよ……
      あのでっかいバッグの中に、きっとでっかい爆弾とか持ってるんだよ」

ノパ⊿゚)「ば、爆弾!? おっちゃん、ぼまーってやつか!!!」

(;'A`)「お、おい! でかい声を出すな!
     この中にゃ旅行用具一式しか入ってねえよ!」



43 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:07:50 ID:PJxXnfoYO

ノパ⊿゚)「スゲーな!! 爆弾見せてくれよ!!!」

(;´・ω・`)「ダメだよ! 早く逃げないと爆弾で殺されちゃうよ!」


 ヒソヒソ
<爆弾が…………殺されるって…………
<警察呼んだ方が……
<あ、私もう連絡…………怖いわねぇ……
<子ども…………守らなきゃ……


(;'A`)「やめろ! 俺に近づくな!」

ノパ⊿゚)「ちょっとくらい見せてくれよ!!!!
     ばーーくーーだーーんーー!!!!!」

(´;ω;`)「ヒーちゃあん! 早く逃げようよお……」


ピーポー ピーポー


(;'A`)「うわっ、マジかよ! マジで呼びやがった!!」

ノパ⊿゚) ギャーギャー
(´;ω;`) ウワァァン

└('A`;)┐≡ 「チクショオオオオオオオォォォォォォォ!!!!!」



44 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:10:14 ID:PJxXnfoYO

(;'A`)「ハァハァハァハァハァハァ……ハァ」

(;'A`)「アブねー……。子どもを守る母親パねえ」

('A`)「……ったく、俺は不審人物じゃないっての」

('A`)「まぁ、見た目は汚い服に伸びた髭と髪……
    所謂ホームレスっぽい感じはしなくもない」

('A`)「……人を見た目で判断しやがって。
    もし俺が爽やかイケメンだったら──」


 ノパ⊿゚)「かっこいいお兄ちゃん! ちょっとどいてください」

 (´・ω・`)「でっかいバッグもちょっと汚れた服も、かっこいいなぁ……。
    僕もかっこいいお兄ちゃんみたくなりたいな」

 ノパ⊿゚)「ねぇ、かっこいいお兄ちゃん!!
      バッグの中には何が入ってるの?」

 ('+ー`)「爆弾だよ」



45 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:11:39 ID:PJxXnfoYO

 ノハ*゚⊿゚)「爆弾!? スゲー!! 超かっこいい!!!!」

 (*´・ω・`)「かっこいいお兄ちゃんの爆弾は、やっぱりかっこいいのかな?
       僕も欲しいなぁ」


 <爆弾ですって…………やっぱりイケメンは……
 <イケメン………何を持っても……
 <私のハート…………爆破されて……
 <もうちょっと近くへ…………イケメン最高……


(*'A`)「ってな感じになるよなぁ……。
    その後は人妻と、幼女と、キャッキャウフフ……」

('A`)「はぁ……馬鹿らしい。もうちょっと現実を見ような、俺」

(;'A`)「っつーか結局水飲めなかったじゃん! ああ、畜生!!」



46 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:12:42 ID:PJxXnfoYO

※※※※※※※※※※

从'ー'从「わーい、お昼の時間だよー」

('、`*川「あー……疲れた。ご飯どうする?」

(*゚∀゚)「駅前のランチ行こうぜ!」

('、`*川「結局そこか」

从'ー'从「安いし、あそこのオムライス美味しいもんねぇ」

(*゚∀゚)「早く行こう! 腹減った」

('、`*川「はいはい……っと。あ、貞子も行くー?」

川д川「……ううん、私はいいや」

('、`*川「そっか。じゃ、お昼休憩いただきまーす」



47 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:14:01 ID:PJxXnfoYO

从'ー'从「あ、見て見て。ドクオさん、またこっち見てる……」

(*゚∀゚)「うへぇ、相変わらず気持ち悪いなぁ」

('、`*川「確かに……顔が、っていうよりは雰囲気がキモイよね」

(*゚∀゚)「こっち見んなよww」

从'ー'从「何でいつも私たちのほうをチラチラ見るんだろうね~」

('、`*川「好きな人でもいるんじゃない?
     例えば……ワタちゃんとか!!」

从;'ー'从「ええ!? い、嫌だよ~」

(*゚∀゚)「ワタちゃんモテモテで羨ましいなーww」

从;'ー'从「本当に嫌なの!」

(*゚∀゚)「もードクオなんかどうでも良いから放っとこうぜー」

('、`*川「それもそうね。早く行きましょ」



48 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:15:29 ID:PJxXnfoYO

('A`)「伊藤さんたち、何を話してたんだろ……
    なんか俺のほうを見てたような」

('A`)そ「まさか……俺の事が好きとか?」

(*'A`)「参ったなぁ。俺は貞子さん一筋なのになぁ」

(*'A`)「昼休憩はいつもデスクに残って、
    何か考え事をしている姿を見るのが俺の日課」

(*'A`)「嗚呼、貞子さん可愛いよ貞子さん」

( "ゞ)「貞子、お待たせ!」

川д川「あ、デルタさん。お疲れさまです」

(*'A`)

('A`)

( "ゞ)「ご飯食べに行く?」

川д川「あの、実はお弁当を作って来たんです」

( "ゞ)「へぇー、貞子は家庭的なんだなぁ」

川*д川「えへへ。それじゃあ屋上に行きましょうか」

( "ゞ)「ああ、楽しみだ」

('A`)

('A`)「なんだ……貞子さん、彼氏いたんだ……」

('A`)「デルタ、かっこいいもんな。仕事もデキルしさ」

(;A;)

※※※※※※※※※※



49 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:16:22 ID:PJxXnfoYO

('A`)「ようやく涼しくなったな」

('A`)「昼間はあんなに暑かったのに」


 水は結局自販機で買った。
 喉が渇きすぎて脱水で死ぬか、なけなしの120円を出して
 一時のオアシスを買うかの極簡単な二択。
 俺は自販機の前で小一時間悩み、決断をした。
 全く、人生ってのは上手くいかないもんだ。


('A`)「おー、夕日が沈んでいく」

('A`)「綺麗だな……」

('A`)「一度、甲州街道を歩いてみたかったけど……
    夢を叶えられるってのは幸せだよな」



50 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:17:56 ID:PJxXnfoYO

※※※※※※※※※※

('A`)「え?」

(´・_ゝ・`)「だから、お前クビな」

(;'A`)「な!? ど、どうしてですか!!」

(´・_ゝ・`)「どうして、って……本気で言ってるのか?」

(;'A`)「納得がいきません!!」

(´・_ゝ・`)「ここは会社なんだ。
        使えない荷物を置いておく倉庫じゃない」

(´・_ゝ・`)「自分の胸に手を当てて、よーく考えてみろ。
        この会社に入社して、自分が何か結果を残せたのか。
        会社に貢献出来ていたのか」

(;'A`)

(´・_ゝ・`)「何も思い浮かんでこないだろう?
        そういう事だ」

(´・_ゝ・`)「明日から、来なくて良いぞ」

(;'A`)「そ、そんな……」

※※※※※※※※※※



51 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:19:34 ID:PJxXnfoYO

('A`)「すっかり暗くなっちまったな」

('A`)「どこかにビジネスホテルでもあれば良いんだけど」


「あー、ちょっと。君、君」

('A`)「はい?」

( ・∀・)「こんな時間にこんなところで何をしてるの?」

(;'A`)「え? え??」

( ・∀・)「名前と住所教えて。あとカバンの中身も」

(;'A`)「い、いや、俺は……怪しい者じゃないです」

(;'A`)「ただの善良な一般市民です。
     会社をクビになった腹いせに今朝、社員ロッカーの扉を接着剤でくっ付けて
     全て開かないようにするなんて悪事も働いてませんし」

( ・∀・)「え? 今なんて?」

(;'A`)「いやっ、ちがっ、俺、違う……」



52 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:20:41 ID:PJxXnfoYO

( ・∀・)「君さぁ」


( ・∀・)『変なクスリをたくさんやってるんじゃない?』

('A`)『とか聞かれたりしました』


( ・∀・)「は?」

(;'A`)

(;'∀`)「えへっ」

( ・∀・)「……署まで御同行を」

('A`)



53 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:22:06 ID:PJxXnfoYO

 あの後、警察官にいろいろ説明している間に段々と夜が明けてきた。
 話を聞いていた彼は、俺が話し終わると涙を流して

 ( ;∀;)「大変だったんだなぁ、リストラは辛いよなぁ」

 とか言いながら弁当をおごってくれた。

 クビになって、都市伝説化していた大人の夏休みを急遽手に入れた俺は
 徒歩でどこか遠くに行きたいと思い立ち、東海道や日光街道等と迷ったが
 なぜか無性にここに惹かれて、歩いてみたいと思った。


('A`)「ま、人生上手くいかないけど、世の中まだまだ捨てたもんじゃないさ」


 手には先ほどの警察官がくれた弁当の温もりがまだ残っていた。


('A`)「あ……日の出……」

('∀`)「綺麗だなぁ」



54 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/21(月) 05:23:25 ID:PJxXnfoYO

甲州街道は──

 甲州街道は──

  甲州街道は──


('∀`)「もう、夏なのさ~」





('A`)俺は幸せ──ようです



歌手:Lantern Parade
歌 :甲州街道はもう夏なのさ


boonkei_honpo at 00:47│Comments(1)TrackBack(0)感動 | 音楽短編フェス

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この記事へのコメント

1. Posted by フィナステリド|ed専門医   December 01, 2011 19:41
書き込みありがとうございます。

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