February 24, 2011
浮遊追想のようです
( <●><●>)「…」
彼は 見つめている
じっと じっと
ベッドの下の、ほんの数センチの闇を
浮遊追想のようです
浮遊追想
RENTRER EN SOI
歌詞:http://sound.jp/xxensoixx/Lycs/fuyu2.html
※音の暴力にお気を付けください
電気を煌々とつけたままの深夜の自室
時折天井まで細く黒い影が伸びてはゆらゆらと揺れているのは
視界にとらえれば消えてしまうことはわかっています
幻覚だとわかっています
幻覚とは自覚していても見るものなのでしょうか わかりません
それら長い人影の幻覚は無視して私はベッドの下を監視し続けます 瞬きも忘れて
開いた瞳孔は時折今ここにないものを瞬間的に映し出します
脳に異常がいったのでしょうか わかりませんが私は監視を続けます
何もいない・何も出てこないのは常識的にはわかってます
感情が許さないのです 目が離せないのです
かち かち かち かち
目覚まし時計の秒針の音が煩い
壁掛け時計はとうに外して電池を外して床に残骸をぶちまけている
カチ カチ カチ カチ
カチ カチ カチ カチ
秒針の音が 耳を介さず直接脳に響く
眩暈 動悸 何か白い視界の中に、鮮やかな何かがフラュシュバック
なんだあれは 私の記憶ではない ……はず
大人に遠隔操作されるフラッシュバックで埋め尽くされていく記憶達
この欠片達は、今から私の記憶 に、なる“もの”達 ?
『私』とは何なのですか 存在意義をオシエテクダサイ
鳴り止まない心音と鳴り止まない秒針が 私の崩壊へのカウントダウンを告げる
迫るように鳴り止まない事自体が恐怖でしかし鳴り止んでしまうこと自体も恐怖で
このままなにもかもわからなくなって私は『私』ではなくなって体も心もズタズタに引き裂かれて
神よ 世間にはネジが外れて狂った人達で溢れています
モニターの向こうで何を思っていますか
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ……………………
目覚まし時計は日常生活には欠かせないと思い我慢してきたが、限界もここまでのようです
( <●><●>)「…………邪魔、煩わしいです」
秒針による精神汚染 臨界点を突破
( <●><●>)「……」
まるで作り物のように動かなくなった表情
虚ろなまま 目覚まし時計を勉強机の足の角へ向けて 力任せに投げた
音は聞こえない
音量が大きすぎたせいか
もうノイズと機械音声(元はヒトの声だったもの)しか聞こえてこないイヤホンで塞いでいる
視覚では、いままでカチカチ煩かった目覚まし時計が跡形もなく無残に破壊されていく姿だけを見ていた
( <●><●>)
神よ 世間にはネジが外れて狂った人達で溢れています
モニターの向こうで何を思っていますか
存在意義をオシエテクダサイ
そして今夜もまた 回帰の波が押し寄せてくる
雁字搦めの精神状態 秒針一つで脆く崩れてしまいそうなズタズタの自我
『雁字搦めの精神状態 部屋の中で狂いそうになる』
聴覚を越えて直接脳を揺さぶる声は唄は低く低く囁く
『顔面をナイフで切ってみたらまだ綺麗な血が流れてきました』
( <●><●>)「……私は半分 腐っているというのに」
『空虚な存在がずっとずっと追いかけてくる』
( <●><●>)「『現在午前4時12分
部屋の底がぐにゃりと歪に形を変えたのは ―錯覚なのでしょうか…?』」
かち かち かち かち
目覚まし時計の秒針の音が煩い
壁掛け時計はとうに外して電池を外して床に残骸をぶちまけている
カチ カチ カチ カチ
カチ カチ カチ カチ
秒針の音が 耳を介さず直接脳に響く
鳴り止まない事自体が恐怖でしかし鳴り止んでしまうこと自体も恐怖で
このままなにもかもわからなくなって私は『私』ではなくなって体も心もズタズタに引き裂かれて
神よ 世間にはネジが外れて狂った人達で溢れています
大人に遠隔操作されるフラッシュバックで埋め尽くされていく記憶達
『私』とは何なのですか 存在意義をオシエテクダサイ
記憶が 視界が そっと白く黒く暗転
おそらく シャットダウン
『私』 機能停止
( <―><―>)
きっと明日も 同じことの繰り返し
神よ 世間にはネジが外れて狂った人達で溢れています
浮遊追想のようです 終