February 20, 2011
( )彼らは人間であり、男は人間ではなかったようです
超短編集。9割洋楽。曲順に拘り有り。
「ブーン系小説音楽祭をご覧の皆様、初めまして。私、」
私は。
( )彼らは人間であり、男は人間ではなかったようです
──
( ^ω^)(お前は黙ってるお)
( ^ω^)(お前は何も必要ないお)
( ^ω^)(さっさと消えてくれお)
(死ねお)
死ね。
ξ゚⊿゚)ξ「死ね?」
貴方は何もわかっていないようですね。
私が貴方の為に何をしてきたか、教えて差し上げましょうか。
まず、涙を流しました。
毎日。毎朝。毎晩。絶え間なく、です。
次に、叫びました。
喉が砕け、声が裂けるまで。
次に、欺きました。
胸に爪痕がどれだけ深く刻まれようと、私は欺きました。
次に、血を流しました。
孤独な私を癒やす、唯一の温もりでした。
それでも貴方は、耳を傾けてはくれませんでした。
あ、後悔なんて要りませんよ。
私はもう何も感じなくなりましたから。
ほら、ご覧なさい。
ξ゚⊿゚)ξ
何度も何度も死んでいった、私の
ξ ⊿ )ξ
貴方を想い、貴方を掴み、貴方を
( ;ω;)「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
(#;ω;)「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
(# ω;)「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
これは夢なんかじゃない。
かと言って、現実かと聞かれると自信はない。
貴方がいるだけで、私は圧倒され、締め付けられ、感じてしまうのですから。
さて、一体。
ξ゚⊿゚)ξ「一体どの口が“死ね”などとほざいたのでしょうね」
(やめてお)
やめて?遠慮しなくていいわ
これは貴方の望んだことじゃないの。
(死ねお)
ええ、死ぬわ。
私は貴方の手首を握り、そして
「堕ちていくの」
going under/Evanescence
──
人は何故、銃を握り。
(,,;゚Д゚)「ハァッ…ハァッ…!」
何故、奪い合い。
(,,;゚Д゚)「うっ、うおおおおお!!」
何故、騙し合うのだろう。
(,,; Д )「ガッ……」
頭を貫いた。胸を貫いた。肩を貫き、腹を貫いた。
小さな鉛玉は、着実に死を引っ張ってきた。
…
彼は待っていた。
争いのない、本当の平和という存在を、彼は信じていた。
現実は、ただの殺し合いだった。
9 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:12:22 ID:AgR8Nz6kO
(,, Д )
人は何故、銃を握り。
何故、奪い合い。
何故、騙し合うのだろう。
簡単だ。
そんなの、考えるまでもない。
(,, Д )(誰かが死ねば…)
それが、平和だから。
10 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:13:13 ID:AgR8Nz6kO
この世の物事に道理や価値なんてない。
あるなら是非聞かせてもらいたいもんだ。
(,,゚Д゚)「俺のm
み、
耳、耳が。
体が、あるうちにな。
(,, Д )
still waiting/SUM41
──
──ここはどこだ?
(あなたが最も望んだ場所よ)
──あんたは誰だ?
(あなたが最も望んだ女性よ)
──…随分と綺麗なとこなんだな
(あなたがそう望んでいたから)
(゚、゚トソン(だから、当然のことなの)
( ゚д゚ )「…」
(*゚д゚ )(可愛い!!)
13 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:14:44 ID:AgR8Nz6kO
大きな城の最上階。
窓から見える景色は、青々とした草原。綺麗すぎる青空。
目の前には、天使のような女性。
(*゚д゚ )「おい!!」
(゚、゚トソン(何でしょう)
(*゚д゚ )「抱かせろ!」
(゚、゚トソン(え)
(*゚д゚ )「つべこべ言わずに!ほら!」
(゚、゚*トソン(あっ)
…………
………
……
彼女の裸体は、想像以上に美しかった。
白く透き通った肌。すらりとした体型。
ほのかに香る、女性の匂い。
(*゚д゚ )「はぁ…はあ…」
(゚、゚*トソン(ん……)
全身に舌を這わせる。
冷たい。しかし温もりがある体。
理性なんてとっくに吹き飛んでいる。
そしていよいよ、彼女と一つになる時がきた。
反り立つモノを、彼女の秘部にあてがい──
( ゚д゚ )「──はっ!」
目が覚めた。
( ゚д゚ )「うっわ夢かよ…」
16 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:16:31 ID:AgR8Nz6kO
小鳥の歌声。柔らかい朝陽。
ああ、今日も、社会の奴隷になるだけの1日が始まる。
世の中狂ってる。いや、たぶん神様が狂ってるんだ。
ありもしないパラダイス・シティを、人間に夢見させるなんて。
( ゚д゚ )「しかしまあ、死ぬまでには行ってみたいもんだ」
夢でもいいから、ね。
( ゚д゚ )「……コーヒーでも作っか」
paradise city/GUNS N ROSES
──
ミセ*゚ー゚)リ「はぁー…」
ミセ*゚ー゚)リ「なんか最近つまんないんだよなー…」
ミセ*゚ー゚)リ「学校は楽しいし、バイトも好きだけどさー…」
ミセ*゚ー゚)リ「何がいけないんだろ…」
( ´_ゝ`)「それは"恋心"だよ」
ミセ*゚ー゚)リ「恋心か……」
ミセ;゚ー゚)リ「!?」
19 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:18:13 ID:AgR8Nz6kO
(´<_` )「そう!君に足りないものは恋心!!」
( ´_ゝ`)「俺達が目覚めさせてやるよ…本当の恋にな!まずはベースソロォォォォ!!ビリー・シーンも驚愕のドリルゥ!!」
( ´_ゝ`)ドゥルルルルルルルルルルル
ミセ;゚ー゚)リ「ちょ、うっさ!!てかあんた達誰!?」
(´<_` )「ナイスドリルァ!ネクトゥイズポール・ギルバート、ギタァァァァ!!」
(´<_` )ギュロロロロロピキュンピキュンピィィィ!!
ミセ;゚ー゚)リ「いや人の話を聞けよ!てか演奏うまっ!」
( ´_ゝ`)「お嬢さん!君が悩むのもわかる!でもな、若い頃の悩みなんてどれも馬鹿みたいにちっぽけなもんさ!」
ミセ;゚ー゚)リ「馬鹿はお前らだろ!勝手に人ん家に入ってきて何やってんの!てか誰!?」
(´<_` )「アディキットゥッダッラァァアアアアっ!!!」
ミセ;゚ー゚)リ「お前は黙ってろ!!」
( ´_ゝ`)「まあまあお嬢さん、そうカッカしないで、まずは俺達の演奏を聴きなよ。お金取ったりはしないからさ」
ミセ;゚ー゚)リ「う、うん…」
21 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:19:33 ID:AgR8Nz6kO
(´<_` )ピキュギュッキュイッキュイッキュイッキュン
( ´_ゝ`)ブォンドゥドゥドゥッドゥロロロッ
(´<_` )ピロッピロロロロピロピロピキュィィィン
( ´_ゝ`)ドゥィィィィンドゥルルルッドゥルルルルドロロロンドッ
(´<_` )ピキュキュピキュッピィィンキュンキュイッキュゥゥンピキュキュキュッキュイィィィン
( ´_ゝ`)ドゥドゥドゥッドゥィッドゥィッドゥィッドゥドドドドゥドゥッ
ミセ*゚ー゚)リ「……」
ミセ;゚ー゚)リ「だから何なの!?」
ミセ;゚ー゚)リ「もう帰ってよ!!わけわかんない!」
( ´_ゝ`)「ちょ…わかったよベイビー、もう行くぜ」
ミセ;゚ー゚)リ「誰がベイビーじゃ!早く帰れ!ほら!」
ミセ;゚ー゚)リ「ふぅ…何なのよあいつら…」
(´<_` )「お嬢さん!」
ミセ;゚ー゚)リ「!?」
(´<_` )「俺らさ…なんだかんだ言って」
(´<_` )「この国(日本)が大好きだから!じゃあな!!」
(´<_` )スタタタタタ…
ミセ*゚ー゚)リ「…………」
ミセ;゚ー゚)リ「だから何なの!?」
addicted to that rush/MR.BIG
──
('A`)「……」
時々、考えてしまうことがある。
「孤独な人間なんていない」なんて台詞、どっかのキザな男が女を落とす為だけに考えた戯言なんじゃないかって。
('A`)「……孤独な人間はいるじゃねえか、ここに」
時々、思うことがある。
こんな俺に唯一心を開いた、いや唯一心を開かせてくれたのは、他でもなくこの「街」なんじゃないかって。
俺をわかってくれる人間なんていなかった。
家族も、友人も、キリスト様に熱心な子供達も。
俺を一人にしなかった人間なんて、誰一人いなかった。
26 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:22:26 ID:AgR8Nz6kO
でも、この街は違った。
空はいつだって手を差し伸べてくれた。
星は俺の好きだった歌を歌ってくれた。
風はこんな俺に優しく口付けをしてくれたし、太陽は俺の背中を押してくれた。
だから、俺は決めた。
('A`)「…ありがとよ」
一つ呟いて、俺はあの橋の下へと向かった。
この街で一番好きな場所。
細い橋の下に、俺はいつものように座り込んだ。
('A`)「タバコは残り一本か……ちょうどいいや」
俺は一本だけ残っているタバコを箱に戻し、足元に放った。
まるで俺そのものじゃないか。
孤独を憎んでいたのに、自ら閉じこもった俺…そのものじゃないか。
28 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:23:40 ID:AgR8Nz6kO
そう、本当はわかっていた。
家族の手を振り払ったのは俺だし、友人の言葉を聞かなかったのも俺、十字架を毛嫌いしたのも俺だったんだ。
根っからの孤独な人間だ。
お笑いさ。俺がこの橋の下が好きなのも、ここは空も風も見放してしまう所だからだったんだ。
('A`)「本当、馬鹿だよな」
足元のタバコの箱を踵で踏みつける。
途端、胸から、目の奥から、何かが込み上げてきた。
29 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:24:01 ID:AgR8Nz6kO
(;A;)「………」
ごめん。ごめんなさい。
謝れるなら素直に謝りたい。でもダメなんだ。
なんで生きてるのかすら、もう忘れちまったから。
(;A;)「……」
ポケットに忍ばせていた拳銃を取り、銃口を口に突っ込む。
終わりさ。
これで、全て終わり。
家族も、友人も、キリスト様も。
空も、星も、風も、太陽も。
これで、みんな幸せになれる。
終わりさ。
ちっぽけで、孤独な男が一人、いなくなるだけだ。
under the bridge/Red Hot Chili Peppers
──
ある日の朝。
私は目を覚まさない彼女の額にキスをして、ベッドから降りました。
(´・ω・`)「 」
彼女は頬に引かれた薄い線を丸め、少し笑って見せてくれました。
たまには朝食でも作ってやろうと思いました。
その日の朝、私は幸せでした。
ある日の昼。
私は同僚でもある彼女の隣で、仕事をしていました。
(´・ω・`)「 」
彼女は有能で、とても仕事の速い人間です。
なんだか私まで張り切ってしまいます。
その日の昼、私は幸せでした。
33 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:26:22 ID:AgR8Nz6kO
ある日の夕方。
私は彼女の隣を歩き、スーパーマーケットへ向かいました。
(´・ω・`)「 」
今夜の夕食は、私の大好物であるシチューです。
家の小さなテーブルで、彼女と温かいシチューを食べる。その光景に胸を踊らせながら、私は彼女と食材を選びました。
その日の夕方、私は幸せでした。
ある日の夜。
私は幸せを噛み締めながら、いつものように彼女と同じベッドに入りました。
(´・ω・`)「 」
彼女は悲しそうな目を天井に向け、そして目を閉じました。
私は彼女の頬に優しく触れました。でも、触れられませんでした。
「大丈夫だよ」と言いたかったのに、私の声は彼女には聞こえないようでした。
ある日、私はいつものように会社に向かい、幸せな毎日は、突ぜn
(´ ω `)「 」
ある日、私の体は
(´ ω `)「 」
(´・ω・`)「その日
彼女は
幸せだ
ったの
でしょ
うか。」
one day/Eric Clapton
──
37 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:29:24 ID:AgR8Nz6kO
( ゚∀゚)「あは」
( ゚∀゚)「あはは、は、ははは」
猿だ。猿が歩いてやがる。
( ゚∀゚)「猿だ。ははは、猿がこんなに」
( ゚∀゚)「猿が、虫を、エサを、喰ってやがる。あははは」
猿。猿が。
太陽は昇らない。虫は光に集う。
( ゚∀゚)「あはっ、空が、黒い、黒い」
黒い。でも猿たちの顔は赤い。
( ゚∀゚)「寒い、黒い、赤い。あははっ」
それでも、猿の顔は赤いままなのです。
その街は影が光。地図を歩くは猿と餌。
( ゚∀゚)「猿が、あはは、奪ってる、奪い合ってる」
( ゚∀゚)「赤い。赤い。ははははは」
街は猿に壊され、猿に築かれ、また猿に壊される。
そして猿は、虫を追いかけ回すのでした。
めでたし、めでたし?
( ゚∀゚)「ところが、その地図には何も記されていませんでした。陰も陽も、明も暗もないのです。この街にはそれだけの価値があり、文化があり、歴史がある。私はそれを追究し、分析し、解明したい。それだけなのです。それなのに彼らは多角的視点、客観的視点を放棄し、自らを孤立させることによって、独善的な安心を得ようとしたのです」
( ゚∀゚)「と、赤い顔をした猿が仰っておりました」
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
は?
the map/ORANGE RANGE
──
煌びやかなネオンがその街を照らす。
活気のある夜の街を、風のように駆ける男が一人。
(;´∀`)「ハッ!ハッ!」
…否、二人。
ミ,,#゚Д゚彡「おう待てやゴルァ!!」
(;´∀`)「ま、まだついてくるモナ…!」
ミ,,#゚Д゚彡「当たり前だゴルァ!てめえこの俺から逃げ切れるとでも思ってんのか!!」
(;´∀`)「思ってるから逃げてるんだモナ!」
人々の間を縫って走っていく二人。
追い掛けられている方──モナーは、途中で通行人から自転車を強奪した。
(;´∀`)「ちょっと借りるモナ!」
ミ,,#゚Д゚彡「あんの野郎…」
猛然と自転車で走り去るモナー。
追い掛けている方のフサギコは、路上駐車のタクシーの運転席に乗り込んだ。
ミ,,゚Д゚彡「おう借りるぜオッサン!」
ミ,,#゚Д゚彡「今行くぞゴルァ!!」
(;´∀`)「おおおいマジかよ!」
なんとか細い道を選び、自転車で必死に進むモナー。
しかし、フサギコも車を強引に進ませ、モナーの背後へと迫る。
(;´∀`)「くっ…これでどうだモナ!」
ミ,,#゚Д゚彡「!!」
突如、モナーが自転車を後ろへ滑らせながら飛び降りた。
自転車は見事にフサギコのタクシーの前輪に引っかかり、スリップ状態で壁にぶつかった。
(;´∀`)「ハッ、ハッ、…助かったモナ」
ミ,,#゚Д゚彡「まだだゴルァ!!」
(;´∀`)「うっわマジか!」
完全に意表を突かれたモナー。フサギコが着実に背後に迫ってくる。
そして。
ミ,,#゚Д゚彡「ハァ…ハァ…捕まえたぞゴルァ……」
(;´∀`)「ああ…ちくしょう…」
フサギコの手が、まるで凶器のように、モナーに伸びていく。
ミ,,゚Д゚彡「はいタッチ。次お前の鬼ね」
( ´∀`)「こりゃまいったモナ…」
たまにはいいじゃないか。街を飲み込んで、街ごと鬼ごっこをする。
男なんて単純な生き物だ。
ミ,,゚Д゚彡「じゃ、しっかり10秒数えろよ」
( ´∀`)「…よーん、ごー、」
ミ,,;゚Д゚彡「ちょ、卑怯だぞ!」
彼らは逃げ出したかったのだ。例えそれが模擬的なものでも。
escape from the city/Crush40
48 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:34:41 ID:AgR8Nz6kO
──
49 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:36:11 ID:AgR8Nz6kO
私はピアノを弾かされていました。
毎日、毎晩、その部屋に閉じ込められ、私はピアノを惹かされていました。曳かされていました。
「さあ座れ。演奏を始めろ」
川 ゚ -゚)「はいお父様」
「終わったら、ちゃんと俺に抱きつくんだぞ」
川 ゚ -゚)「はいお父様」
「アレを口で掃除するのも忘れるなよ」
川 ゚ -゚)「はいお父様」
「よし、ピアノを弾け」
川 ゚ -゚)「はいお父様」
私はお父様に惹かされていました。曳かされていました。
50 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:36:22 ID:AgR8Nz6kO
たった一人を前にしての演奏会はすぐに終わり、私は言いつけ通りお父様に抱きつき、お父様のものを口に含みました。
唯一、お父様が幸せそうな顔になる瞬間です。
川 ゚ ー゚)「んぐっ、ん」
「……」
川 ゚ -゚)「んっ…」
毎晩、何やら熱いものが私の喉を流れ、私の演奏会は幕を閉じます。
なんだか、ピアノが寂しげな顔をしているようです。
51 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:37:09 ID:AgR8Nz6kO
だから、私はお父様とピアノをくっつけてみました。
ピアノはお父様の赤い色に染められて、嬉しそうです。
川 ゚ー゚)「……」
私はそのままピアノを弾いてみました。
観客はもう誰もいません。
ですが、その演奏会は今までよりも気持ちがよく、そして良い音色が響きました。
52 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:37:20 ID:AgR8Nz6kO
ああ、お父様。
貴方はこれで満足でしょうか。
私は処女です。しかし、誰よりも人間を知っています。
だから。
川 ゚ー゚)「私は、ピアノを弾きます」
私はピアノを挽きます。
HILF MIR/rammstein
──
54 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:42:13 ID:AgR8Nz6kO
( <●><●>)「息子よ、お前は倒れてしまうことだってできるのだ。彼らは教えてくれるだろう。お前がどこへ行くべきか」
But they won't know.
( <●><●>)「息子よ、全て持っていくがいい。彼らは察しているすべてのことをお前に教えてくれる」
But they won't show.
55 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:42:25 ID:AgR8Nz6kO
( <●><●>)「苦しい、もどかしい、やめてくれ、見ないでくれ」
( <●><●>)「喉が、喉が、」
I needs to be alone, While I suffer.
( <●><●>)「一人にしてくれ、頼む、聞かないでくれ」
Son,
56 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:42:39 ID:AgR8Nz6kO
You've got a way to kill.
( <●><●>)「息子よ、彼らはまだ、まだお前を虐げている。しかし彼らは知らないのだ」
( <●><●>)「許してやってくれ。輝くまで待っていてくれ」
( <●><●>)「彼らはお前のものが何かを教えてくれる。しかし、彼らは私のものを奪っていく」
There's a hole inside my boat.
I need to stay afloat, For the summer long.
57 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:43:27 ID:AgR8Nz6kO
父よ。それならば何故、貴方は私を助けてくれなかったのですか。
私は確かに自力で抜け出せたかもしれません。しかし私は待った。待っていたのです。
夢など見ないほうが良かったのですか。貴方のことは忘れてしまったほうが良かったのですか。
それとも現実を全て燃やしつくしてしまえば良かったのでしょうか。
父よ。私は貴方の何なのでしょうか。
貴方は私を息子と呼んだ。しかし、息子は何も出来なかったのです。
58 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:44:14 ID:AgR8Nz6kO
( <●><●>)「息子よ、お前は私を許せないだろう」
( <●><●>)「しかしお前は落ちるしかない。待つしかない。それを彼らが知る由はない」
They tell you where to go.
( <●><●>)「…そんなこと、わかってます」
way to fall/starsailor
59 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:44:24 ID:AgR8Nz6kO
──
( ^ω^)「初めまして、ブーン系小説音楽祭をご覧の皆様。ここまでご閲覧くださったことを、心より感謝致します」
男は両手を広げ、高らかに笑ってみせた。
真っ暗な空間に、円を描くように並べられた10の箱。その中心に男は立っている。
( ^ω^)「自己紹介をさせて頂きます。私、富と趣の男、内藤ホライゾンと申します。以後お見知りおきを」
( ^ω^)「私は長い長い間、人々を見てきました。その中で私が面白いと思った人間…箱を用意しておきましたので、順番に一つずつ、見て参りましょう」
61 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:48:07 ID:AgR8Nz6kO
男は箱の一つに手をかけ、ゆっくりと開いた。
中身は凄惨なものだった。
細かく刻まれた人間の肉体。それらがぎゅうぎゅうに敷き詰められている。
しかし、その中に一つだけ、綺麗なままの部位があった。
ξ ⊿ )ξ
人間の、頭だ。
( ^ω^)「如何でしょうか。これが愛に飢えた女の末路です。彼女の夢見た愛は、それはもう深く、汚く、しかし最も人間らしいものでした」
( ^ω^)「…彼女は"堕ちてしまった"のです。人間の果てへと」
男は箱を閉じ、今度は隣の箱に手をかけた。
その箱の中には、地球儀と銃が一つ、置いてあるだけだった。
( ^ω^)「…これは人間の行為の中で、私が最も気に入っているものであります」
( ^ω^)「人は命令とあらば人を殺すことを躊躇わず、大量の人間が殺し合う戦争とやらが頻繁に起きております」
( ^ω^)「生き物は殺し合うものですが、人間というものは少々過剰なものです。この調子で、この美しい地球を赤く染め上げてほしいですな」
( ^ω^)「…それでは、次の箱にいきますか」
その隣の箱の中には、楽園が広がっていた。
緑は美しく生い茂り、街は人々の幸福にまみれ、城は悠々とそびえ立っている。
( ^ω^)「…それでも人間は、図々しくも理想や楽園を夢見るものです」
男は少しだけ不機嫌そうな顔をすると、箱を見下ろしながら呟いた。
( ^ω^)「"人間がいる限り人間に幸せは訪れない"というのは、私達の世界では有名な言葉ですが」
( ^ω^)「しかし、人間はやはり夢を見るものです。私と致しましては、微笑ましいような、憎たらしいような」
( ^ω^)「まあいいでしょう。それでは次の箱へ」
64 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:49:51 ID:AgR8Nz6kO
その箱には、一枚のCDが入っていた。
男はCDを取り出すと、何度も表と裏を交互に見て、箱に戻した。
( ^ω^)「…確か、これは人間の奏でる音楽を再生するものですね。私が人間を尊敬している理由の一つに、彼らの科学力があります」
( ^ω^)「人間というものは頭がいい。これは素直に認めましょう。しかし…」
男はもう一度CDを手に取り、耳に近づけた。
少しだけ眉間にしわをよせ、口を開く。
( ^ω^)「何故人間は音楽というものに熱狂でき、命を捧げることができるのか、不思議でなりません」
( ^ω^)「それでは次にいきましょうか」
その箱には、小さな街が入っていた。
至って普通の街だ。人々は働き、遊び、関わり合っている。
街の中央の川にはいくつかの橋があり、その中の一つの橋の下に、何やら倒れている男が見える。
( ^ω^)「孤独というものは引き寄せるものであり、築き上げるものです」
( ^ω^)「人間とは関わり合いながら生きるものです。しかし、何にも関わることなく生きる人間も確かにいます」
( ^ω^)「孤独というものは悲しいものです。しかし、栄えある道の一つでもあります」
( ^ω^)「まあ、どう考えるかはあなた方次第ですがね…フフ」
( ^ω^)「それでは、次の箱にいきましょう」
66 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:51:21 ID:AgR8Nz6kO
次の箱には、動かない男性と、無気力に生きる女性の姿があった。
男はそれを眺め、少し嬉しそうな顔を浮かべた。
( ^ω^)「これが人間の純愛、というものなのでしょうか。綺麗ですね」
( ^ω^)「人の死は美化されがちですが、私は純粋に素晴らしいと思いますよ。死んでもなお、彼らは愛しあっているのですから」
( ^ω^)「どこぞの女とは大違いですね」
( ^ω^)「それでは次にいきましょう」
その箱を開けるなり、男は大笑いを始めた。
中には、たくさんの猿と虫が、コンクリートジャングルを這いずり回っている。
( ^ω^)「これはお笑いですな!人が猿を見下した上で、人を猿に見立てている!」
( ^ω^)「同族を皮肉ったつもりなのか、いやはやそれにしても滑稽な図だ」
( ^ω^)「人間というものはユーモアに溢れております!私はこの箱がどうも面白いようです」
男はその顔を笑いに歪めながら、箱の蓋を閉じた。
( ^ω^)「それでは、次にいきましょう」
箱の中では、二人の男が壮絶な追いかけっこをしていた。
街を巻き込み、人を巻き込み、彼らは走り回る。
( ^ω^)「おお、これは熱くなるレースですな…そうだ、いけ!逃げろ!…ああ」
( ^ω^)「まあ彼らの気持ちはわからなくもないです。時には逃げたくなりますし、追いたくもなります」
( ^ω^)「彼らは模擬的にそれを行っている。これまたなんとも面白い図ですが、これが人間というものなのでしょうね」
( ^ω^)「では、次にいきましょうか」
69 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:52:42 ID:AgR8Nz6kO
その箱には、ピアノに潰された男と、狂ったようにピアノを弾き続ける少女が入っていた。
( ^ω^)「これもまた、歪んだ愛の形ですね。性的欲求を娘にぶつけていた父親と、その中で喜びを見いだした娘。なんとも興味深い図です」
( ^ω^)「それにしても、どうして娘は父親を殺したのでしょうね。単に父親とピアノと自分を一体化させたかったのか、或いは……」
男はニヤリと笑い、箱の中に目を向けた。
ピアノを弾く少女は、いつの間にか演奏を止め、父親の死体の下半身を愛おしそうに舐めている。
( ^ω^)「…それでは、次にいきましょうか。これが最後ですね」
70 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:53:41 ID:AgR8Nz6kO
箱の中には、2人の父子がいた。
しかし、互いに顔は知らないようだ。2人とも、周りをキョロキョロと眺めている。
( ^ω^)「私は、この箱が最も悲しい人間の形だと思っております。何も知らないまま家族の愛は育まれ、終わったのですから」
( ^ω^)「人間とはつくづく身勝手な生き物です。家族でなければ、それを愛と呼ぼうとしないのですから」
( ^ω^)「…これで、すべての箱を見終えましたね。ああ楽しかった」
71 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:53:56 ID:AgR8Nz6kO
男は名残惜しそうに箱を見回すと、右手を上げて指を鳴らした。
直後、10の箱は一瞬にして消えてなくなった。
( ^ω^)「さて、そろそろ私の正体は皆様にもわかってきたでしょうか」
( ^ω^)「私は富と趣の男、人間には悪魔と呼ばれております。以後お見知りおきを」
( ^ω^)「さて、私は──」
ξ゚⊿゚)ξ「何を言ってるの?」
(;^ω^)「──え?」
背筋を冷たいものが流れていく。
振り返ると、そこには死んだはずの女が居た。
(;^ω^)「ど、どうして…」
ξ゚⊿゚)ξ「どうして?これは貴方が望んだことじゃないの。ブーン」
(;^ω^)「ち、ちが、僕は内藤ホライゾンだお!ブーンなんかじゃ…」
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ」
死んだ女の声は、男の全身を重く固まらせる。
ξ゚⊿゚)ξ「どうして」
一歩、一歩、ゆっくりと女は男へと歩み寄る。
「どうして、貴方は私を殺したの?」
やめろ。やめてくれ。聞きたくない、堕ちたくない。
そう叫びたいのに、言葉が出ない。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえブーン、貴方は悪魔なんかじゃない。人間なの。気づいてるでしょ?」
(; ω )「………」
ξ゚⊿゚)ξ「貴方は人一倍、人間というものを知りたがった。だから、いろんな人間の観察を始めたの」
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、ブーン」
女の手が男の頬に触れた。
冷たい。あまりの冷たさに顔が歪む。
ξ゚⊿゚)ξ「そんなに悪魔になりたいなら……人間を辞めたいなら、私に良い案があるわ」
女はそのまま両手を伸ばし、男の首を掴んだ。
ξ゚⊿゚)ξ「死んでしまえばいいのよ。人間に呪われながら、恨まれながら」
(; ω )「あっ……かッ…」
ξ゚ー゚)ξ「あの世で会いましょう、内藤ホライゾンさん」
(; ω )「あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
76 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:57:26 ID:AgR8Nz6kO
( ^ω^)「お、今日の弁当はサンドイッチかお」
ξ゚ー゚)ξ「ええ。あなた好きでしょう?サンドイッチ」
( ^ω^)「ツンの作ったものならなんでも美味しいお!いただきますお!」
ξ*゚ー゚)ξ「ふふ…」
(*^ω^)「美味いおツン!いやマジで美味いお!!ありがとうだお!」
──
77 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:58:14 ID:AgR8Nz6kO
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!もう出ないと遅刻するわよ!」
(;^ω^)「わ、わかってるお!てかわざわざ部屋まで上がって来なくていいお!」
ξ;゚⊿゚)ξ「うるさいわね!ほら早く!」
(;^ω^)「準備できたお!今い…」
ドン
ξ゚⊿゚)ξ「──え」
( ^ω^)「あ……」
ξ;゚⊿゚)ξ「キャアアアアア!!」
(;^ω^)「ツン!!」
ξ ⊿ )ξ
(;^ω^)「ツン!!ツン!…嘘だお…!」
──
(お前がツンを殺したんだ)
( ;ω;)「ちが、違うお!」
(なら何故ツンを突き飛ばした?)
( ;ω;)「わざとじゃないんだお!違うんだお…」
(お前が殺したんだ。いい加減、罪を認めたらどうだ?)
( ;ω;)「違うんだお…もうやめてくれお……」
お前は、人間失格だ。
──
79 :以下、VIPに代わりまして名無しのようです:2011/02/19(土) 02:59:30 ID:AgR8Nz6kO
人間が憎かっただけ。
罪を忘れたかっただけ。
愛に溺れていたかっただけ。
人間を見下していたかっただけ。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
「私は、悪魔なんかじゃございません」
sympathy for the devil/The Rolling Stones
( )彼らは人間であり、男は人間ではなかったようです 【完】
今回、全部で11曲の楽曲を使わせていただきました。
すべて僕が好きなアーティストから一曲ずつ抜擢し、それらしく曲順を作って書いていったものです。
歌詞というより、曲の雰囲気で仕上げました。なので歌詞を無視したものもいくつかあります。
気分を害した方、申し訳ございません。
あとで全曲をまとめて、これにて僕の音楽祭作品投下は終了とさせて頂きます。
ありがとうございました。
>>81さんありがとうございます(;_;)
あと>>22でのご支援ありがとうございました!
さて、今回使わせて頂いた楽曲のまとめです!
興味のある方は是非聴いてみてください
1.going under/Evanescence
2.still waiting/SUM41
3.paradise cityGUNS N ROSES
4.addicted to that rush/MR.BIG
5.under the bridge/Red Hot Chili Peppers
6.one day/Eric Clapton
7.the map/ORANGE RANGE
8.escape from the city/Crush40
9.HILF MIR/RAMMSTEIN
10.way to fall/starsailor
11.sympathy for the devil/The Rolling Stones
言い忘れていましたが、私の本酉は◆f3StfLHJdo
ヴィップハザードのようです の作者です
知ってる人いるかな…
それでは皆様、音楽祭はまだまだ続きます!
楽しんでいこうぜ!!
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この記事へのコメント
1. Posted by (^O^) February 21, 2011 00:20
8はなんかそれっぽいなーと思ってたら当たって嬉しかったww
crush40はソニックで好きになったなー
crush40はソニックで好きになったなー