January 02, 2011
( ^ω^)ブーンはモンスターハンターのようです 第1話
はじめに。
この作品はタイトルの通り、モンスターハンターシリーズの
『モンスターハンターP2G』
を元ネタにしています。
が、後から色々と目茶苦茶になっていく予定です。
お暇がありましたらお付き合い下さい。
そして、作者は携帯厨ですので、どこかしら見にくい点はあると思いますが、ご了承下さい…
では、いきます!
~プロローグ~
―――――とある雪山の、山頂付近の道。
激しく雪が吹き付ける中、一つの人影が歩いてゆく。
防寒具を身に着けているようで、寒さに凍えている様子はない。
その人影が、背から何かを構える。
・・・どうやら、武器のようだった。
片手で振るえる、小型の剣と、盾だ。
そして、その近辺に生息していた、大型の草食動物に切りかかる。
一振り、二振り、三振り。
無心で剣を振るう人影。
やがて草食動物は息絶える。
小型のナイフを取り出し、解体作業を始めようとしたところ、ぞくりとした感覚が背中に伝わる。
4 : ◆bUYB7.cOOs:2010/07/29(木) 18:24:35 ID:vpe/sankO
死の感覚が近付いてきた時に第六感が感じとる、不気味な感覚。
人影が辺りを見回すが、何もいない。
ふと、頭上を見上げたところ―――――
―――――“それ”は、いた。
凶悪な姿をした“それ”は、すでに人影を視線に捉えている。
そして、人影の前に降り立った。
大気が裂けんばかりに轟く咆哮をあげ、人影にその爪を振りおろす。
人影は咄嗟に盾で受けるものの、勢いは押さえ切れずに背後の崖へと落ちてゆく。
残った“それ”は、人影が消えた崖を見下ろし、再び咆哮をあげるのだった―――――
( ^ω^)ブーンはモンスターハンターのようです
第一話「新米ハンター」
~~~ポッケ村~~~
雪山に囲まれた高地に存在する、ポッケ村。
辺境ともいえる地ではあるが、人々は活力に満ちていた。
そんな村には派遣のハンターズギルドも設立されていて、これからも発展していく事が見込める村だった。
そんな村の一軒の家から、呻き声が聞こえてくる。
( ω )「う、うぅ…」
( ゚ω゚)「うわぁぁぁぁ!…お?」
うなされ、飛び起きた少年の目に映ったものは、見慣れた天井だった。
周りを見回せば、今、自室にいるのだと確認出来た。
( ^ω^)「おー…?」
確か、自分は雪山にいたはずだ。
その後、大きなモンスターに襲われ、崖から落ちて…
そこからは思い出せなかった。
『ようやく目が覚めましたか、ブーン君。』
自室の外から、別の人物の声が聞こえてくる。
ブーンにとっては、幼い頃から聞いていた声だったので、警戒はしない。
( ^ω^)「お?フォックスさんかお?」
フォックスと呼ばれた男が、部屋に入ってくる。
爪'ー`)「ええ。身体の調子はどうですか?丸一日、眠っていたんですよ?」
(;^ω^)「お?丸一日も…
身体はまだあちこちが痛いけど、全然大丈夫ですお」
爪;'ー`)「たいしたものですね。あんな崖から落ちて、ほとんど怪我が無いなんて…」
( ^ω^)「きっと、雪がクッションになってくれたんですお」
( ^ω^)「そういえば…僕の装備はどこにいっちゃったんですかお?」
自分はあの時、防寒具―――【マフモフ】シリーズと、片手剣【ハンターカリンガ】を装備していた筈だ。
しかし、今身に着けているのは普段着で、あの時の装備は、自室には見当たらない。
爪'ー`)「ああ、それでしたら、鍛冶工房に修復の依頼に出してしまいました。
盾なんか、変形してしまっていてとても使い物にならなくなってしまってましたので…」
恐らく、あのモンスターの爪による一撃を受けた事でそうなってしまったのだろう。
また、もし盾が無かったら、と考えるとぞっとした。
(;^ω^)「わざわざ、ありがとうございますお」
爪'ー`)「いえいえ、お気になさらず。
ベーンさんから受けた恩は、この程度の事とは比べ物にならないくらいのものです。
むしろ、もっと頼って欲しいくらいですよ」
フォックスの話に出てきた人物、ベーンとはブーンの父親であり、ポッケ村が誇る最高のハンターだった。
剣を振るえば古龍を倒し。
槍で突けば牙獣を貫く。
槌で叩けば甲殻を穿ち。
矢を放てば飛竜を墜とす。
その名声はポッケ村だけにとどまらず、ミナガルデやドンドルマといった大都市にまで知れ渡った存在だった。
フォックスは、そんな父・ベーンの親友とも呼べる者であり、何度も助けてもらっていたのだとか。
( ^ω^)「…父さんは父さん、僕は僕だお。
父さんに受けた恩を、僕に返すというのはちょっと違う気がしますお」
爪 - )「……確かに、そのとおりではあります。ですが、その恩を返すべき相手がもういないのですよ…。
それに、ベーンさんはこう言うでしょう。『恩を返したいなら、ブーンの事を頼む』と…」
そう。かの英雄はもうこの世にはいないのだ。
( ω )「…父さん………」
実は、ベーンの死の直前まで、ブーンも側にいた。
覚えているのは、突如現われた“白く巨大なモンスター”からブーンをかばい、命を落としたという事だけ。
いつの日か仇を討とうと、ブーンもモンスターハンターを目指し、二日前にようやくハンターとなった。
( ^ω^)「…僕は、父さんの仇を討ちたいお。
だから…もっと強くならないといけないんですお…!」
爪'ー`)「…そんなに焦る必要はありませんよ。せっかくモンスターハンターになったのです。楽しみながら自分を鍛えてはどうでしょうか?」
( ω )「………ハンターなんて……」
ハンター稼業に、楽しさなんて微塵も感じられない。
原因は、偉大過ぎる父親のせいだった。
村人は皆、自分を“英雄の息子”としてしか見てくれず、英雄の再来を期待する。
自分に向けられた視線は“ブーン”としてではなく、“ベーンの子”としてなのだ。
そんな環境で楽しむ事が出来るほど、ブーンの精神は強くは無かった。
爪'ー`)「いくら親子とはいえ、他人です。ブーン君は、ブーン君の思うようにしてください。
君が自分の意志で選んだ道なら、私は全力で応援させていただきますよ」
( ^ω^)「…ありがとう、ございますお」
フォックスは、自分を見てくれる数少ない人物の一人なのだ。
( ^ω^)「ちょっと、鍛冶工房に装備を引き取りに行ってきますお」
爪'ー`)「そうですか。でしたら、私も今日はお暇させていただきます。
ではブーン君。何かありましたら、いつでも来て下さいね」
そうそう、と玄関の扉を開けつつ、フォックスは言葉を続ける。
爪 'ー)「ベーンさんは、ハンターとしての生活を誰よりも楽しんでいました。
少なからず、この気持ちが実力に反映されてはいたのは確かだと思います。
ブーン君はブーン君なりに、のんびりやってみるといいでしょう」
それでは、とフォックスの言葉の後にパタンと扉が閉まる。
( ^ω^)「……楽しむ、かお………」
今、すぐに楽しむ事は出来ない。
なら、笑っていよう。
笑えば、楽しい気分になれるかも知れないから。
とりあえず、鍛冶工房に装備を引き取りに向かう事にした。
―――ポッケ村・鍛冶工房―――
( ^ω^)「こんにちはですお、シャキンさん」
(`・ω・´)「ん?ブーンか!身体の調子はどうなんだ?」
( ^ω^)「ぼちぼち、ですお。
ところで、修復に出した装備は…」
(`・ω・´)「あぁ、もう完璧に直ったぞ。新品同然さ!」
そう言って、鍛冶工房の主人―――シャキンは、カウンターの奥へと姿を消し、荷物を抱えて戻ってくる。
(`・ω・´)「それにしても、何をしたら盾がへこむんだ?」
( ^ω^)「雪山に出た、黄色っぽい大きなモンスターに攻撃されたんですお」
(;`・ω・´)「そいつは恐らく“ティガレックス”だな。よく生きて帰ってこれたな…!」
自分を襲ったモンスターは、ティガレックスというらしい。
そういえば、父さんから話を聞いた事があったような気がする。
―――飛竜なのに、四本足で活動するんだ!面白いヤツだよな、ブーン!―――
………ちょっと意味が分からない内容だったけれど。
( ^ω^)「でも、やっぱり楽しそうに話してたおね」
(`・ω・´)「ん?どうした?」
(;^ω^)「いや、なんでもないですお」
シャキンから新品同然にまで修復された装備を引き取り、一度自宅へと戻る。
早速、これらを身に着けるためだ。
( ^ω^)「よーし、ぴったりだお!」
帰宅してすぐに、防寒具としての意味合いが大きい防具【マフモフ】シリーズを身に纏い、練度の低い金属で作られた片手剣【ハンターカリンガ】を腰にかけた。
( ^ω^)「それじゃ、行くかお!」
向かった先は、ポッケ村の中心部。
青く輝く、巨大な〈マカライト鉱石〉が置かれていて、その側にたたずむ龍人族の老婆に話しかける。
( ^ω^)「村長さん、こんにちはですお」
(#゚;;-゚)「おや、ブーン殿かい?怪我の方は…」
彼女がこのポッケ村を興した人物である、でぃという者だ。
( ^ω^)「随分とよくなりましたお」
(#゚;;ー゚)「そうかい、それはよかった。でも、次からは十分に気を付けておくれよ」
( ^ω^)「はいですお!」
その後は、でぃの元に寄せられた依頼を教えてもらう。
18 : ◆bUYB7.cOOs:2010/07/29(木) 22:33:55 ID:vpe/sankO
村人が自力では済ます事の出来ない事を依頼という形で村長に伝え、村長が難易度を見極める。
そして、依頼を請けにきたハンターの実力に見合った難易度の依頼を紹介する。
ハンターが依頼をこなしてきたのなら、依頼人から預かった報酬を渡す、といった流れでハンター稼業は成り立っている。
依頼の内容は、小型モンスターの討掃、特定の品物の収集、そしてハンターの花形である大型モンスターの狩猟などがあげられる。
モンスターハンターとはいっても、実力のない者は何でも屋として働く事も多いのだ。
( ^ω^)「……やっぱり、物品収集の依頼ですかお?」
(#゚;;-゚)「だね。まだブーン殿にはしっかりと下積みをしてもらいたいからねぇ。」
( ^ω^)「…わかりましたお」
今回、ブーンが請けた依頼は〈雪山草〉の採集だ。
物品収集の依頼は基本的に難易度は低く見られている。
さらに、今回の依頼は集める量も少ないために、最低LVの依頼である事は明らかだった。
( ^ω^)。o(まぁ、仕方ないおね。のんびりやっていくお)
( ^ω^)「じゃあ、行ってきますお」
(#゚;;-゚)「くれぐれも気を付けておくれ」
そのまま、依頼の品である〈雪山草〉が手に入る、雪山へ向かうために足を進めた。
その途中に、幼い頃からの友人の顔を見つける。
金色の髪を巻き髪にした、ブーンと同じ年頃の女の子だ。
ξ゚⊿゚)ξ「あら、ブーンじゃない。…大丈夫なの?」
( ^ω^)「おっおっお。もう大丈夫だお。ツン、ありがとうだお」
自分の事を心配してくれたのだと思い、感謝の気持ちを伝えたのだが。
ξ゚⊿゚)ξ「はぁ?なんで礼を言われなきゃいけないのよ…
私が言いたかったのは、ハンターとしてやっていけるの?って事よ」
(;^ω^)「お!?」
返ってきた言葉は、辛辣なものだった。
……でも、本当は知っている。
風当たりはきついけれど、それは自分を“ブーン”として接してくれていて。
なおかつ、本心は心配してくれている、と。
要するに、照れ隠しなのだ。
( ^ω^)「…でも、目標はあるんだお。だから、今はだめだめでも、腕を磨いていくお!」
ξ-⊿-)ξ「はぁ、お熱いですこと。…死なない程度に頑張って来なさい」
( ^ω^)「お!ありがとうだお!」
ツンと別れ、村の端まで歩いて来ると、そこにもまたブーンの親友の姿があった。
( ^ω^)「ドクオ?何してんだお?」
('A`)「ん?ブーンか。
アルバイトさ。この村も人が増えてきたから、どんどん拡張していかなきゃいけない。
だからこうして、村を囲う柵を打ち直してるの、さ!」
さ、の発音と同時に、大きな木槌が降り下ろされ、杭を地面に打ち込む。
( ^ω^)「よくそんなでかいハンマーを使えるおね…」
(*'A`)「へへっ、ちょっとしたコツさえ掴めば、使えないものじゃないぜ」
ドクオは、体格に恵まれている訳では無い。
だが、自分では扱えそうにない槌を振るうドクオが、大きく見えた。
('A`)「お前は…これからクエストに行くのか」
( ^ω^)「そうだお。簡単な依頼だけどね」
('A`)「そうか。頑張ってこいよ」
(^ω^ )「ありがとうだおー」
親友に見送られ、雪山へと向かうブーン。
今、狩人となった少年の物語が、始まった―――
第一話 end