( ^ω^)美味しいお肉の勧め!のようです
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:14:58.86 ID:PUYX1Bwe0
- 【一】
( ^ω^)「……♪」
上機嫌だ。パスタを上手く茹でる事が出来た。
アルデンテに茹でられた麺を一本だけ口に入れる。
美味い。
ほのかな塩気が良い感じで麺に絡み付いていた。
既に作っておいたボロネーゼのソースに見合うだけの価値がある。
何しろ、たっぷりと時間をかけて煮込んだ物だ。麺自体もそれなりでないといけない。
ソースとパスタを3分の1程からませる。
柔らかめの麺のほうがよく交わったかもしれないが、固めが好きなので割合。
混ぜる作業をしていると、より空腹を刺激される。
その作業を終えた後、ソースをかける時には既に絶頂だった。
-
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:15:51.55 ID:PUYX1Bwe0
- 押さえきれない感情が僕を焦らせる。
部屋の中で走り回る。無論、食事の準備をするために。
( ^ω^)「……♪♪」
鼻歌交じりにファークやら、タオルやらのセッティングを終えた。
席に着き、目の前に置かれたパスタと向き合う。
視覚的には悪いかもしれない。挽き肉がメインである為、こげ茶色である。
そこで、パルメザンチーズを振りかけた。
まるで、大地に舞い降りた粉雪のようだ。美しい。
なによりも、その香りがたまらない。
赤ワインの円熟した香りと、挽き肉の体内に染み込むような匂い。
そして、トマトのほのかな酸味を帯びている匂いを嗅ぐ事が出来た。
思わず、口内に涎が分泌される。
無意識の内に、右手がパスタとフォークを絡ませていた。
-
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:17:02.49 ID:PUYX1Bwe0
- 一回、二回とフォークを回転させる。麺が絡みつく。
少々、多めにパスタをとると、貪るように頬張った。
すると、チーズの香りが嗅覚を満たしていく。
激しすぎない自己主張は、パスタにはかかせないものだと確信させられた。
それと混ざり合うように口内に広がるのは酸味。
トマトのものだろう、赤ワインとの累乗効果で上品な甘みもある。
そして、メインである挽き肉の濃厚な味わいが口一杯に広がっていく。
じゅわと噛んだ肉から汁が溢れ出ているのが分かる。
一つ一つは小さいが、それがいくつも重なると、たまらない味を醸し出す。
パスタ自身にも何の不満も無い。
程よい歯ごたえに、茹で方は完璧だったと思い知らされる。
さらに、次第に柔らかさを増していく麺には飽きを感じさせない。
むしろ、どんどん良いところを発見できる。上質の芸術品に通じるものがある。
うまい、最終的で絶対的な感想だ。
-
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:17:47.84 ID:PUYX1Bwe0
- あっという間に食べ終わった。
夢中のあまり、物足りなさを感じたほどだった。
そんな気持ちを押さえ込んで、流しに食べ終わった皿を運ぶ。
冷たい水が、更に僅かに残ったソースも流していく。
苦労して作ったソースもあっけないものだ。
そんな思いもスポンジに洗剤をつけて、汚れと一緒に捨て去った。
ピカピカに磨かれた皿が白く輝く。
片づけまで完璧にできてこそ、今度も料理をする意欲を湧かせるというもの。
冷えてしまった手は、美味しい料理への感謝と見合うだけの苦労になっているのだろうか。
今日も良い料理をする事が出来た。
明日は何の料理を作ろうか。
食べ終わったばかりで、そんなことを考えるのは僕だけだろう。
思わず、一人、台所で笑みを溢した。
……。
……それにしても、だ。
-
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:18:21.32 ID:PUYX1Bwe0
物足りない。
朝:ハムとチーズのサンドイッチ
昼:お弁当(甘辛煮のハンバーグは、ご飯を汚してしまうため、今後は禁止しよう)
夜:ボロネーゼ
-
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:19:28.68 ID:PUYX1Bwe0
- 【ニ】
( ^ω^)「ツン、今日はどこに行くお?」
ξ゚听)ξ 「んー、ちょっと買いたい本があるから本屋に行こう」
( ^ω^)「おけおけ、ちょうど僕も欲しい本があったんだお」
目的地を決めると、並んで歩き出す。
その姿はカップルのようだろう。自惚れではなく、客観的に見て。
もっとも、僕とツンは恋仲ではない。
所謂、友達以上で恋人未満といったやつか。
自分で言ってて空しい、勝手に考えて勝手に自己嫌悪に陥る。
つまり、僕は彼女に好意を抱いている。
愛と呼べるものだろう。ツンの事を思うと温かい気持ちが胸に溢れる。
だが、僕の片思いである可能性は高い。ツンは凄く綺麗で人気もある。
それでも、一緒にいられるのは凄く喜ばしい事というのは充分に理解していた。
現に、歩いていると僕たちを振り返る人も多い。
釣り合わないとでも思っているのだろうか……はっ、何とでも思え。
お前らと違って、僕は勝ち組なんだよ。
-
8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:20:32.67 ID:PUYX1Bwe0
- ξ゚听)ξ 「……ブーン?」
(;^ω^)「お、おお?なんだお?」
ξ゚听)ξ「いや、なんかニヤニヤしてたからさぁ、気持ち悪いなと」
ツンよ、大声でそんな言葉を言わないでおくれ。
言葉を耳にした人が僕のほうを見た。そして軽く笑った。
『ざまぁみろ』と言われているようで腹ただしかった。クソッ。
ξ゚听)ξ 「アンタさぁ。時折、私の存在を無視するわよね」
(;^ω^)「……すまんお」
ξ゚听)ξ 「今度、奢ってくれたらチャラにするよ!」
(;^ω^)「……まかせるお」
『かしこまりました、女王様』とでも言っておいた方が良かったか。
もっとも、飛んでくるであろう鉄拳を考えると無難な答えだったか。
痛いのは嫌いだ。誰だってそうだし、僕だってそうだ
-
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:21:37.27 ID:PUYX1Bwe0
- ξ゚听)ξ 「なーに奢ってもらおうかなぁ……」
( ^ω^)「…………」
ぶつぶつと呟いているツンの横顔を観察するように眺めた。
いつ見ても美しい。それに年相応の可愛らしさもある。
凹凸のない頬は、ほのかな桜色を帯びていて柔らかそうだった。
僕が彼女に文句をつけるとしたら胸ぐらいのものだろう。
……まな板と桜餅、か。
ξ#゚听)ξ 「何いきなり噴出してるのよ!」
(;^ω^)「な、なんでもないお!ツンが綺麗すぎて笑うしかなかったんだお!」
な、と声にならない声を飲み込んだツン。
ピンク色が一挙に真っ赤に変色する。そして俯いた。
煙が出そうだな、何て事を思った。
-
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:22:37.16 ID:PUYX1Bwe0
- ξ////)ξ「へ、変な事言わないでよねっ!」
( ^ω^)「率直な感想だお?」
ぼんっ、と人間からは発せられないであろう音を鳴らすツン。
これはいよいよ噴火だな、退避しないと危険だ。
それにしても、こんな歯の浮くような台詞なんて言われ飽きてるだろうに。
まだ免疫が出来てないのだろうか。純情にも程があるだろ。
まぁ、そんなとこも可愛いの一言であるのだが。
( ^ω^)「ほらっ、さっさと行くお!」
ツンの手をとって急かす。
ξ゚听)ξ「あ……うん!」
彼女はそんな僕の手を優しく握り返した。
小さな手にこもっている温かさが、僕の心にまで伝わってくるようだった。
-
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:23:31.05 ID:PUYX1Bwe0
ああ、ツン。
君は、本当に、美しい。
朝:おにぎり(時間がなかったので、唯の塩むすび)
昼:コンビニの肉まんを二つ
夜:餃子
-
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:24:26.28 ID:PUYX1Bwe0
- 【三】
( ^ω^)「……よし!」
頭の鉢巻をしっかりと結び、力を蓄えた。
別に何という意味がある訳ではない、用は気分の問題である。
何しろ、今宵はチャーハンを食すのだ。
気合を入れなくては中華三千年の歴史に申し訳ない。
恐らく、チャーハンなんてご飯を炒めるだけじゃないかと笑う人もいるだろう。
甘い、甘すぎる。マックフルーリーのダブルショコラより甘い。
チャーハンを作るというのは、闘いである。
家庭料理として、人気も高いが、実際の所はそう簡単なものではない。
何しろ、火力を見誤ると痛い目にあう。
強火で一気にサッと炒めあげる。これこそ、チャーハンの真髄といっても過言ではない。
現に、両手の火傷痕は痛々しく赤みを帯びている。
これは誇るべき勲章だ。流れ去っていった涙もまた同様。
過去の戦歴を振りかえった後、レンゲを握る。
-
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:25:55.08 ID:PUYX1Bwe0
- 見た目は完璧だ。文句の付け所がない。
綺麗な丸い山は、崩れることなく悠然と構えている。
そして、卵による金色の輝きが、富士山のような威圧感すら放っていた。
ここまで辿り着くまでの過程を考えると、思わず感涙しそうになった。
香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
火の香りとでも言うのだろうか、熱さを損なう恐れを覚えさせない。
なにより、油を使った料理特有の匂いがたまらない。
たちこめる湯気を閉じ込めて、普段から嗅いでいたい。
そんな感情を覚えさせられる出来だった。
( ^ω^)「いざ、参らん!」
覇気を醸し出しながら、ゆっくりとレンゲをチャーハンに差し込んでいく。
すっ、と何の障害もないようにつき進んでいくレンゲ。
この時点で、僕は勝利を確信していた。
口に、チャーハンが進入した。
-
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:27:17.82 ID:PUYX1Bwe0
- ぶわっ、とごま油の香りが僕という空間に広がっていく。
呼吸をする度に、その匂いが僕に至福の時を与えていった。
香ばしい。それ以前に、懐かしい。
中華の歴史、現代の文化、そしてどこか故郷の母の料理が脳裏に浮かぶ。
レンゲを引き抜いて、歯を上下に動かす。
ぱらぱらと一粒一粒が完全に分離していく。
しかし、その一つ一つが絶大なまでの味の風味を帯びている。
更に、コーティングされた卵がその無限に広がる風味を加速させていく。
決め手となったのはネギ、だ。
一見、ネギなんておまけのようだと思うかもしれない。
だがそれこそがチャーハンの味の大きな決め手となっていくのだ。
ネギの甘みがチャーハンの味を大幅に膨らまし、僕を虜にさせる。
流石だ。
ここまで人間を魅了してくれるとは。
中華の歴史に、改めて尊敬の念を覚えた。
-
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:28:52.02 ID:PUYX1Bwe0
- (;^ω^)「食べ終わった……」
鉢巻をゆっくりと解き、机の上に置く。
滴る汗が鉢巻に染み込んで、まさに戦闘の終わりを象徴していた。
もちろん、後片付けも忘れない。
小型とはいえ、中華なべを使ったのだ。これは骨が折れるだろう。
それに、少し自分の世界に入れ込み、本場の職人のように振舞ってしまった。
お玉で格好をつけながら調味料なんて入れなければ良かった……。
油やらでベトベトになった台所を眺めると、そう思わせざるを得ない。
料理する時と食べる時は、ついつい夢中になってしまう。
いや、なりすぎる。我を忘れてしまうとはこの事か。
普段の僕を知っている人なら豹変振りに驚くだろう。
……もし、ツンならどう思うかな。
今度作ってあげようかな。
それがいい、お弁当を持っていってあげよう。普通は逆なんだけどさ。
……。
……でも。
-
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:30:10.65 ID:PUYX1Bwe0
今日も、僕の心は満たされなかった。
そうだ、お肉が食べたいなぁ。
朝:無し
昼:お弁当と、友達のパンを強奪した(朝食べなかったのでお腹がすいていた)
夜:チャーハン
-
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:31:49.76 ID:PUYX1Bwe0
- 【四】
ξ゚听)ξ 「…………」
( ^ω^)「どうだお?」
先日、考えた通りにツンにお弁当を作ってきた。
ついつい張り切って作りすぎた。
ご飯を3合も炊いてしまった。
おかげで、今日の夜はお弁当の残りになるだろう。
時間もたっぷり3時間かけた。4時起きだ。
眠気なんてなかった。これも単に愛の力というやつだろう。
無論、味の方も僕の全力をかけたのだから……。
ξ;゚听)ξ「お、い……」
( ^ω^)「甥?」
ξ*゚听)ξ「しー! おいしー!なにこれ、なにこれ!!」
当然、こうなるだろう。
そりゃあ、料理に命かけてますから。
-
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:33:15.42 ID:PUYX1Bwe0
- ξ*゚听)ξ「おおー、すごいブーン!アンタすごいよ!」
(*^ω^)「おっお、喜んでくれて嬉しいお」
ツンは米粒を吐き出しながら笑顔で食べ進んでいた。
女の子としてどうかと思うが、喜んでくれているみたいなのでいいか。
いたってシンプルな料理のつもりだ。
ただし、料理の種類が多すぎて初見ではおせちのようだ。
重箱はやりすぎた。
もっとも、一口食べれば虜になること間違いなし、と製作者は語る。
玉子焼きに始まり、アスパラのベーコン巻きや、冷めても美味しい工夫を施した野菜炒め。
その他、色とりどりのオカズ達は見るのも、食べるのも飽きさせないだろう。
ただ一つ言える問題は
ξ;゚听)ξ「でも、こんなに食べきれないわね……」
( ^ω^)「ですよねー」
何度でも言うように、量が多すぎる点か。
-
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:35:05.86 ID:PUYX1Bwe0
- ( ^ω^)「まぁ、いいお。残りは持ち帰って僕が食べるから……」
予測していた事態に僕がそう言うと。
ξ;゚听)ξ「ダメ!私が食べるの!」
何故か、ムキになってツンが反論した。
そんなに美味しいのだろうか。しかし、その細い体にこの量が入るはずはないだろう。
その様な事を僕が言おうと考えた。
だが、それよりも早くツンの言葉が僕を貫いた。
ξ;゚听)ξ「せっかく、ブーンが私の為に作ってくれたんだもん……。
無理してでも、全部食べたいよ……」
……まいった。これは反則だ。
何も言えないというというか、反論したくないというか。
料理を作った本人としては、何よりも嬉しい言葉ではあるのだが。
それに、彼女の上目遣いの目線が潤んだ瞳で僕を捕らえていた。
これを見ても尚、逃げる術があったら是非とも知りたいものだ
-
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:37:13.07 ID:PUYX1Bwe0
- ( ^ω^)「わかったお。じゃあ二人で全部食べるお」
ξ*゚听)ξ「ホント!?やった!」
梅雨明けの太陽の様に眩しい笑顔を見せるツン。
この笑顔が見れたのだ。僕の選択は間違ってはいないだろう。
ξ゚听)ξ「じゃあ、おにぎり8個はアンタ一人で頑張ってね!」
(;^ω^)「……お」
例え、僕のお腹がはちきれたとしても、だ。
目の前にそびえ立つお弁当という名の悪魔。
その横で、口一杯にそれを頬張っている天使。
そして、その闘いを眺める事しか出来ない無力な僕。
『綺麗な薔薇には棘がある。』
そんな言葉を痛感した。
どんよりとした曇り空とは関係なく笑顔が溢れる、そんな昼下がりだった。
-
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:38:32.28 ID:PUYX1Bwe0
ツン。
僕は、君の事が大好きだ。
朝:おにぎり
昼:お弁当(おにぎりだけ)
夜:家に残っていたおにぎり(散々だ)
-
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:40:58.58 ID:PUYX1Bwe0
- 【五】
薄く伸ばしたような楕円形が、山のように盛り上がって、どんと構える。
所々にある、ほのかに帯びた茶色の焦げ目が、逆に乙なものだ。
透き通る黄色の向こうには、オレンジ色が映っている。
また、その鮮やかな黄色は、向日葵のような存在感を醸し出していた。
そう、今日のメニューはオムライス。
某人気サイトの事ではないが、老若男女問わず好かれているオムライスだ。
遊び心として、ケチャップで僕の顔を描いてみた。
( ^ω^)
……なかなか上手いのではないのだろうか。
料理は芸術である、これは今日の僕の名言としておこう。
しかしながら、やはりオムライスにケチャップは映える。
デミグラスソースなどもあるが、僕は断固としてケチャップ派だ。
黄色と赤の色彩は、定番でいて至極のものだと断言できる。
-
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:42:45.69 ID:PUYX1Bwe0
- つん、とスプーンでオムライスを突いてみる。
卵のとろけるような柔らかさが、スプーン越しに僕の手に伝わる。
鳥肌が立ちそうだ。思わず、顔がほころぶ。
少し、勿体無い気もするが、真ん中から一直線に切れ目をいれた。
すると、湯気と共に、中のチキンライスの香りが部屋中に広がる。
閉じ込められていたそれは、耐えた分だけ旨味の匂いを凝縮していたのだろう。
一呼吸で、味覚を支配される錯覚すら覚えた。
しばしの間、呆然と見つめていた。なんと美しい事だろうか。
紅葉を彷彿とさせるそれは、まさに大自然の恩恵を受けていることだろう
……涎が机に垂れたところでようやく正気に戻る。
いけない、冷めてしまったら、折角の料理も台無しだ。
駆け込むように、スプーンで山の一欠けらをすくい、口に運んだ。
-
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:44:43.28 ID:PUYX1Bwe0
- 懐かしい味がした、これはケチャップによるものであろう。
子供の頃から親しんでいる味だ。無論、飽きる事の無い完成された味だ。
次にバターの風味が広がっていく。
チキンライスにもオムレツの生地にも使っておいたのだ。
量が多すぎると、くどくなることもあるのだが、これは成功だ。
オムレツはきめ細かい味わいなり、チキンライスはまろやかに仕上がっていた。
全ての要素が、交じり合い、絡み合い、繋がりあい、一つの料理を形成する。
ケチャップ、オムレツ、チキンライス、一つ一つが完璧だった。
故に、それらを総合したこの『オムライス』という料理。
言葉では語り継げないほどの深い味を秘めていた。
( ;ω;)「カーチャン、僕は今、確かに貴方の味を超えましたお」
――そうかい、頑張ったね
声が聞こえた気がした。
-
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:46:45.26 ID:PUYX1Bwe0
- 僕の体は止まることなく、オムライスをたいらげた。
素晴らしい出来に、涙と笑顔が絶える事は無かった。
最もポピュラーな卵の包みオムライスにしたのは良かった。
半熟卵も捨てがたかったが、カーチャンの味と比べられたのだから。
…しかし、一回想像すると、その妄想は絶え間なく広がっていく。
やっぱり、今度はトロトロ半熟卵のオムライスを作ろう。
お皿を洗う前に床に転がった。
食べてすぐに寝ると、牛になるだったっけな。
迷信だか、なんだが知らないが、僕の至福の時を邪魔するのは誰だろうと許さない。
…………。
天井の光が目に染みていく。
その明るさが、逆に視界を奪っていく。
意識が、深く深く、沈んでいく。
-
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:48:29.37 ID:PUYX1Bwe0
お肉が食べたい。
食べたいなぁ。
朝:トースト
昼:お弁当(たこさんウインナーはツンに好評だった、可愛い)
夜:オムライス
-
38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:49:33.59 ID:PUYX1Bwe0
- 【六】
昼下がり、いつもの様にツンと待ち合わせていた。
一度、ツンにお弁当を作って以来、僕達は二人で昼ごはんを食べるようになっていた。
そこには、妙な優越感があった。
大きな柱に寄りかかりながら、ぼんやりと彼女の事を思い浮かべていると、ひゅうと爽やかな風が吹いた。
2、3人の女の人のスカートが捲れる。これは得をした。
だが、そんな中、悠然と髪をなびかせている綺麗な女の人がいた。
川 ゚ -゚)「おお、内藤。こんなとこで奇遇だな」
その人は僕に話しかけてきた。
僕を見つけてから、声をかける。そんな当たり前の仕草もどこか美しかった。
クーだ。ツンの親友で一応は僕の友達でもある。
容姿だけならば、ツンにひけをとらない。それどころか超えている。
もちろん、胸的な意味で。
それを差し引いても、モデルのように細く、長い足は同じ人間とは思えなかった。
-
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:50:46.99 ID:PUYX1Bwe0
- 川 ゚ -゚)「おいおい、じろじろと見つめるなよ。
そんなに見ていると、罰金を払わせるぞ」
クーは言葉と矛盾して、ポーズを決めた。馬鹿か。
とは言うものを、これはお金を払うのも当然の事ではないだろうか。
露出は多いとは言えない、むしろジーンズ姿はガードばっちりだ。
それでも、僕の心を惑わしていく妙な色気は、単に彼女の魅力からくるものなのだろうか。
(;^ω^)「はっ!いけない、僕にはツンという人がいるのに!」
鼻の下を伸ばしてしまい、自己嫌悪に陥る。
川 ゚ -゚)「HAHAHA、付き合っても無いのによく言うよ」
そんな僕に対し、クーは嘲るようにこう言った
痛い所をつかれた。
端整な顔立ち、それ反してユニークなところに文句は無い。
唯、その無表情と、悪気無く毒を吐く性格を何とかして欲しいと本気で思う。
-
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:52:18.62 ID:PUYX1Bwe0
- ( ^ω^)「お前は、遠慮とか空気読むとか考えたほうが良いお」
おっと、間違えた。
脳内より、過激な言葉が口に出てしまった。
川 ゚ -゚)「空気を読んで、憎まれ口を吐いたのだよ」
しかし、クーはその無表情という鉄仮面を外さぬまま、そう言い放った。
遠慮がいらなかったのは、どうやら僕のほうだったようだ。
この女は、見た目と内面のバランスが取れてない。無秩序にも程がある。
例えて言うなら、僕の心をナイフで抉るのを使命とした機械であろうか。
川 ゚ -゚)「人を機械と例えるのは止めるべきだ」
( ^ω^)「人の心を読むのは止めるべきだお」
もし、これが漫画だったら火花が飛び散っているところだろう。
周りの人も、僕と彼女をどこか避けているように感じた。
-
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:54:11.24 ID:PUYX1Bwe0
- 川 ゚ -゚)「ところで内藤よ、いつまで、あのままでいるつもりだ?」
( ^ω^)「いきなり、何の話だお?」
川 ゚ -゚)「ツンとの関係を、だ」
……まさか、いきなりこうくるとは予想外だ。
心の準備も糞もあったものじゃない、だからクーは苦手だ。
川 ゚ -゚)「そんな突然な事のようにするなよ。
私としては、だいぶ前から気になっていたことなんだから」
( ^ω^)「というと?」
川 ゚ -゚)「君達は傍からみたらカップル、いやバカップルだ。
それなのに、実際はキスもしてないし、好きの一言もない。
そんな関係をいつまでも続けるなんて、中学生じゃあるまいし…止めろ」
余計なお世話だ、と言い返そうか迷った。
しかし、実際に今の関係を悩んでいるのは僕も同じだった。
進展の無い関係、近づかない距離、絶え間なく続く擦れ違い。
引き伸ばしの続く、ジャンプ漫画のようなものだ。
-
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:56:03.61 ID:PUYX1Bwe0
- 川 ゚ -゚)「さっさと告白しろ、それが男の勤めというものだ」
( ^ω^)「クーがそんな事を言うなんて意外だお」
川 ゚ -゚)「ほほう、私が処女で男と付き合ったこともないからか?」
いやいや、そうではなくて。
……ん、というか今なんと申したか?
川 ゚ -゚)「まぁ、そんな事は置いといてだな、私はお前達の関係が煩わしいんだ。
普段から親しくしてもらっているしな、幸せになってもらいたい」
( ^ω^)「随分と捻くれたキューピットだお」
川 ゚ ー゚)「くくく、だがな、幸せになってもらいというというのは紛れも無い事実だ」
けらけらと笑いながらクーは言った。
彼女のこんな表情を見るのは極めて稀だ、携帯で写メをとっておきたい。
だが、今回はありがたい言葉だけ、大事に貰っておく事にしよう。
-
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:58:08.28 ID:PUYX1Bwe0
- ξ;゚听)ξ「ごめんブーン !遅くなった……って、クー?どうしたの?」
慌ててやって来たツンは状況を飲み込めない様子だ。
まぁ、無理も無いか。ここは簡潔に説明してあげるとしよう。
( ^ω^)「偶然、あっt」
川 ゚ -゚)「内藤がお茶でもいかないかと誘ってきた。ナンパだ、ナンパ」
……この糞女。
ξ#゚听)ξ「ブーン、今の本当……?」
ああ、ツン様が怒ってらっしゃる。
ていうか、クー。いつの間にいなくなった。
ξ#゚听)ξ「私との約束をほっぽりだしてクーとお茶だなんてどういうことよ!」
(;^ω^)「落ち着くお!何か、もの凄い陰謀があるんだお!」
ξ#゚听)ξ「やっぱり胸ね!あのたわわに実ったデカメロンにかぶりつきたいのね!」
( ^ω^)「それは流石の僕でもひくお」
-
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 20:59:54.00 ID:PUYX1Bwe0
- 罵声がなりやむのはいつの事だろうか。
青く澄み渡った空に、目を奪われながら思った。
今日は間違いなく、昼ご飯抜きだな。
そんな空に浮かぶ綿飴のような雲が、美味しそうなので思った。
クーのやつをいつか懲らしめてやろう。
物陰からこちらを楽しそうに見つめているクーを睨み返しながら思った。
目の前にいるツンは眉尻を寄せ、必死の形相で僕に怒鳴っていた。
いつの時からか、これが嫉妬から来るものだと分かった。
そう思うと、この罵声の一つ一つも愛の形なんだろうな思って顔がにやけた。
それを見て、ツンはまた怒った。クーは物陰で笑った。
ツンの言葉を聞き流しながら、頭の中で先ほどのクーの言葉が蘇る。
告白、か。
この想いを吐き出すとき、僕に幸せは訪れるんだろうか。
-
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:00:59.87 ID:PUYX1Bwe0
この、貪欲な想いを。
朝:りんご
昼:無し(ツンの怒りが収まるには1時間必要だった)
夜:ピザ(ピザハット)
-
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:02:14.14 ID:PUYX1Bwe0
- 【七】
既に我慢の限界は超えていた。
欲望が渦巻いて、僕の心を支配した。
感情のコントロールなど、出来るはずも無かった。
ただただ、本能のあるがままに体を動かした。
冷蔵庫の中を漁る。
ハムがあった。一口で5枚ほど食べる。
ベーコンがあった。一口で全て食べつくす。
ソーセージを見つけた。生のまま口に放り込む。
まだ足りない。まだまだ足りない。
食パンは既に予備の分も食べ終わった。飯ごうの中には一粒も残ってはいない。
ポテトチップスも食べた。賞味期限が切れていたヨーグルトも食べた。
焼きもせずにアジの開きを食べた。マヨネーズも飲んでしまった。
足りない、足りない、足りない、足りない。
僕の欲求はこんなもので満たされる事は無い。
-
52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:03:24.20 ID:PUYX1Bwe0
明日、お肉をかってこよう。
朝:おにぎり
昼:お弁当
夜:家にあるもの全て
-
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:04:27.61 ID:PUYX1Bwe0
- 【八】
ξ゚听)ξ「ほえー、ここがブーンの部屋かぁ」
( ^ω^)「感想はどんな感じだお?」
ξ゚听)ξ「男の一人暮らしにしては片付いてるわね、むしろ綺麗!」
褒められた。嬉しい。
今日はツンを僕の家に招待した。
正直、素直に来てくれると思わなかったが、案外あっさりと承諾してくれた。
ただ、何故かここに来るまで会話は無かった。
僕としては妙に照れくさかったから、まぁ、彼女はどうかは知らないが。
ξ゚听)ξ「いやっふぉー!」
ツンがベッドに思い切り飛び乗った。
みしみしと、嫌な音が鳴っていた。
緊張とか、そういうのを期待した僕が馬鹿だった。
彼女は、まるで初めて動物園に来た子供の様にはしゃいでいた。
そんなところも可愛いと思ってしまう僕は毒されているのだろう。
……ん?これは!
-
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:06:40.11 ID:PUYX1Bwe0
- (*^ω^)「…………」
ξ゚听)ξ「……?」
(*^ω^)「…………」
ξ;゚听)ξ「……はっ!」
ピンク色のスカート、そこから出た柔らかそうな太もも。
その両対の足の間に、完璧なデルタゾーンがあった。穢れない純白だった。
思わず、まじまじと見つめてしまった。
母さん、産んでくれてありがとう。
内藤ホライゾンは今、幸せです。
だが、そんな思いも束の間の幻想。
ゆっくりと視線を上に挙げる。
くびれたウエスト、貧相な胸を越え、更に上へ。
ξ#゚听)ξ
(;^ω^)
猛獣と目が合った。死を覚悟せざるを得ない。
-
55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:07:57.09 ID:PUYX1Bwe0
- ここからベッドのある距離までは僅か2メートル程か。
一瞬で距離を詰めるには充分すぎるほどの間合いだった。
しかし、距離を開けるには足り無すぎる間合いだ。
意味するところは逃げられない、後ろのドアを開けるのはロスが多すぎる。
覚悟するしかないのか。
ξ#゚听)ξ
(;^ω^)
未だ均衡状態は続く。
緊迫した雰囲気が流れ、互いに動き出せない。
いや、そうなっているのは僕だけなのだろう。
所謂、蛇に睨まれた蛙というやつだ、弱肉強食って嫌よね。
ここで名案が閃く。
そうだ、土下座した必死で謝るのはどうだろうか。
……だが、それが迷案だと気付くのにも時間はかからなかった。
ツンなら、僕が下げた頭をフリーキックのように蹴り飛ばすのに躊躇なんて無いだろう。
逃げ道は無い、八方塞りだ。
部屋に響く時計の針が進む音は、死へのカウントダウンにも聞こえた。
-
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:09:35.20 ID:PUYX1Bwe0
- と、思ったのだが。
ξ////)ξ
ツンは急に照れくさそうに、俯いた。
というより恥ずかしがっている。顔はいつかの様に真っ赤になっていた。
ありえない。
こんな状況は説明がつかない、理解の範囲を越えている。
スカートを手で押さえて、見えないようにしている姿なんて悶えるほど可愛いじゃないか。
と、ここで今の状況に気付いた。
若い男女が一つの部屋に二人きり。
僕が出口側にいて、ツンは部屋の奥にいる。
決め手は、彼女がベッドの上でもじもじとしている事だ。
これって、つまりは、そういう事なんじゃないか?
『大佐殿!出撃の許可をお願いします!』
『構わん!自らの力を信じ、迷わずに突き進め!』
上官からの命令も下された。これはいくしかないですよね。
-
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:10:50.94 ID:PUYX1Bwe0
- ξ゚听)ξ「……ブーン」
(;^ω^)「な、なんだお?」
思わず、声が裏返ってしまった。
危ない、もう少しで暴走してしまうとこだった。
彼女でもないのに、そういう事をするのは僕の美学に反する。
なんて、最後の決心がつかない自分への言い訳を正当化した。
そんな僕の葛藤など露知らず、ツンの話は続く。
ξ゚听)ξ「こんな事、今更言うのもなんだと思うかも知れないけどさ」
ツンの瞳が真っ直ぐに僕を捉える。
その表情は真剣そのものだ、迷いなど感じられない。
緊張から来るものか、どこか焦りのようなものも見られる。
その緊張が僕にまで伝わり、心臓の鼓動が段々と大きくなっていく。
ξ;゚听)ξ「えと、その、うまく言えないんだけどね」
交差させた指をくるくると回した後、僕を見据えてこう言った。
-
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:12:06.52 ID:PUYX1Bwe0
- ξ////)ξ「好き……です」
……。
…………。
(;^ω^)「まじっすか」
ξ////)ξ「……マジっす」
ここにいる女の子は、史上最も顔を赤くした人間だろう。
トマトのように真っ赤だ、と例えるのが至極当然にすら思える。
何よりも、火照った体の熱さが僕にまで伝わってくるようだった。
さて、僕がこんな呑気な考えを抱いているのは何故か。
それは恐らく、宿題をしようとしていたのに母に勉強しろ言われた時の脱力感に似ているだろう。
つまり、僕は今日、ツンに告白しようとして家に呼んだ訳で。
それなのに、彼女の方からしてもらってしまった訳で。
男の面子が丸潰れというやつだ。全くもって不甲斐ない。
だが、だ。
( ^ω^)「うん、すごく嬉しいお」
ξ////)ξ「ああ……そう、そうですか、はい」
何故、敬語だ。
-
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:14:02.23 ID:PUYX1Bwe0
- これは喜ぶべき事態なのだ。
恋焦がれた相手に好きと言われたのだ、文句などある筈が無い。
ちっぽけなプライドなど捨てて、雰囲気に流されるのが一番だろう。
ベッドに彼女を押し倒した。
ぴくりと軽い反応を見せただけで、抵抗はなかった。
体温が伝わる。思ったとおりにツンの体は火照っていて熱かった。
手を握ると、ツンも握り返した。
道端で握ったときとは違って、強い力が篭っていた。
もう、二度と離さないという意志が込められているのかもしれない。
視線が交錯し、静止した時が流れる。
今まで感じた事の無い、甘くとろけるような沈黙だった。
不思議と緊張は無く、こうなるのが当然のようにすら思えた。
口付けをする前に、ツンに言葉を贈った。
-
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:15:10.52 ID:MPU8i5MPO
「いただきます」
-
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:15:28.70 ID:PUYX1Bwe0
( ^ω^)「ツン、君を愛してるお」
僕たちは、交わりあった。
朝:コーヒー二杯
昼:蕎麦
夜:無し(色々な準備に時間がかかった)
-
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:17:10.62 ID:PUYX1Bwe0
- 【九】
ファミレスでコーヒーを飲んでいた。
すると、ガラス越しに一人の女性と目が合った。
相変わらずのジーンズ姿だ。もっとも、スカート姿はある意味、想像もつかないのだが。
その女性は、迷わず店に入ると、僕の向かい側の席に座った。
川 ゚ -゚)「やぁ、内藤。こんなとこで会うとは奇遇だな」
( ^ω^)「クーが、こんなとこに来るっていうのが意外だお」
川 ゚ -゚)「ちょっと買い物の途中でお前を見かけたんでな。
店員さん、私にもコーヒーをブラックで頼む」
高校生らしきバイトの店員がむっとした顔をしながら注文を受け取った。
明らかに、こんなに綺麗な人と僕みたいな奴が、という顔だった。
仮にも、客に向かってそりゃないだろ、とクレームをつけたくなった。
川 ゚ -゚)「まぁ、私といたら誰だって劣って見えるさ」
だから、心情を読むなよ。
-
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:18:30.51 ID:PUYX1Bwe0
- ずずと音をたてながら、熱いコーヒーを飲む。
別に美味しい訳ではないのだが、何も頼まないで居座るのは無理だなと、仕方なく頼んだものだ。
味には期待してなかったが、これなら水道水を飲んだほうがマシだった。
それはクーも同じようで、一口飲むなり、怪訝そうな顔を見せた。
そして、コーヒーと水を混ぜていた。ひでぇ。
( ^ω^)「今日は一人で買い物だったのかお?」
川 ゚ -゚)「ああ、ツンがいないと私には友達がいないのでな」
冗談なのか、冗談でないのか分からない。
だが、なんとなく本当なんだろうなと思った。
というか、そっちの方が面白いと判断したから、そう願った。
川 ゚ -゚)「今日は電話も繋がらなくてな、お前のほうはどうだ?」
( ^ω^)「ん、僕も駄目だったお」
川 ゚ -゚)「そうか、まぁ、風邪で寝込んでたりしてるんだろうな」
コーヒーをもう一口飲む。やっぱり不味い。
-
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:19:51.90 ID:PUYX1Bwe0
- 川 ゚ -゚)「そういえば、どうだったんだ?」
( ^ω^)「このコーヒー、滅茶苦茶不味いお」
川 ゚ -゚)「惚けるな。どれ、クー様に聞かしてごらんなさい」
無駄に輝いている瞳が僕を見つめる。
コーヒーを飲み干してから、質問に答えた。
( ^ω^)「その、なんというか、上手くいったお」
川 ゚ -゚)「そうかそうか!そいつぁ、めでてぇなぁ!」
無表情には変わりないが、嬉しそうだった。無駄に。
その後、赤飯がうんたらかんたらとか言ってたが、聞き流してたのでよく覚えていない。
唯一つ言うならば、キューピットを名乗るとかいうのは止めておいた方が良いという事だけだ。
クーには、死神とかそういう方が良く似合う。
良くても、撲殺天使とかその辺だろう。
-
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:21:35.91 ID:PUYX1Bwe0
- 川 ゚ -゚)「じゃあ一緒にいるのは不味いか、仮にも彼女持ちの男だしな」
( ^ω^)「なんなら、浮気するかお?」
川 ゚ -゚)「先ほどの答えだが、確かにこの店はコーヒーの不味さに定評があるな」
華麗にスルーですか。
まぁ、僕もクーみたいな女は勘弁願いたいものだ。
川 ゚ -゚)「どれ、会計は私が支払っておこう」
( ^ω^)「それは何と言うか、男の役目じゃないかお?」
川 ゚ -゚)「私からの餞別と思って、ありがたく受け取っておくんだ」
『たった300円』の餞別は、ありがたく受け取っておいた。
外に出たら軽い挨拶だけして、別々に歩き出した。
びゅうと音が聞こえるほど、風が強い。
自転車が漕ぎ辛そうな、雲の流れの速い一日だった。
-
72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:22:47.43 ID:PUYX1Bwe0
浮気、か。
笑っちゃうよ。
朝:なし
昼:なし
夜:なし(お腹がすいた)
-
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:23:54.90 ID:PUYX1Bwe0
- 【十】
鉄板の上に乗っている分厚い肉が、じゅうと唸る。
思わず、その音に合わして踊りだしたいほどに、気分が高揚していた。
( ^ω^)「久々の馳走じゃ!ものども、出逢え出逢え!」
なんて冗談も、自然と口から滑り落ちる。
10年ぶりに出会えた恋人に出会えたかのような、至福の時だ。
能面の様に張り付いた笑顔は、そう簡単に剥がれる事はないだろう。
肉汁が、鉄板の上で蒸発したり、爆発して飛び散ったり。
その飛んだ肉汁が肌に当たって熱くて。でも、何故か喜びを感じたりして。
別にMじゃないが、僕が今うかれているのだけは確かだ。
痛みも気にならないし、早くこの肉にかぶりつきたいという思いで一杯だった。
かって来たお肉は、とりあえずステーキにしてみた。
焼き加減はミディアムだ。
特に意味は無い。というかレアにしようとして、ミスった結果である。
ああ、違った。食べたかったんだもん!本当だもん!
-
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:25:24.63 ID:PUYX1Bwe0
- 部屋に充満する濃厚な肉の香り。
旨味が凝縮されているようなそれは、僕の食欲をそそるには充分な破壊力を持っている。
恐らく、カーテンやらに匂いが染み付いてしまうだろうが、気にしない。
( ^ω^)「いただきます!」
神に、自然に、世界に感謝しながらフォークとナイフを手に取った
そして、ナイフを持った右手をゆっくりとお肉に近づけていく。
フルマラソンのゴールへの道のりのように、感慨深いものだと感じた。
ナイフを上下に動かし、お肉を切れ目を入れていく。
その一つ一つの挙動と共に、肉汁がたえまなく溢れ出して行く。
垂れ落ちた肉汁が鉄板に落ちて、じゅわと激しい音を立てる。
その音は、オーケストラみたいに僕の耳に木霊していて、心地よかった。
一口大に分けられたそれを、左手のフォークで刺し、口に運んでいく。
脳裏には、ここに至るまでの苦労が浮かんでいた。
それに見合うだけの価値があるかどうか、今ここに試される。
恐る恐る、肉を噛み締めた。
-
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:26:46.93 ID:PUYX1Bwe0
- 肉汁が、泉のように湧き出る。
それが洪水を引き起こし、僕の体を天国へと誘っていく。
僅かな血の味わいと、塩のみのシンプルな味付けが絡み合う。
肉本来の旨味が、確かにそこにはあった。
付け合せのジャガイモを食べ、口内のリセットを行う。
ほくほくとしたジャガイモは、引き立て役としての役目を充分に果たしていた。
再び、お肉を口の中に運ぶ。
丹念に味わい、感情に浸る。
『ああ、やはり僕の選択は間違ってはいなかった』
そう確信した。
-
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:26:47.78 ID:MPU8i5MPO
ツン、おいしいお
-
80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:27:57.09 ID:PUYX1Bwe0
- しばしの間、食べ終わった皿を見つめていた。
ステーキが無くなってしまった事が、無性に寂しかった。
だが、まだまだ貯蓄の量は消えやしない。
僕の幸福な料理と食事に時間は終わる事は無い。
そう思うと、笑いが止まらなかった。
部屋中に満ちるのは、僕の笑い声と、ステーキの残り香。
自分でも気持ちが悪い程、その声は響き渡り、終わりを見せなかった。
至福の時も、終幕の色を一向に表さなかった。
世界中の人間に、僕は今幸せだと言ってやりたかった。
自慢してやりたいと思った。
例え、相手が飢餓に苦しむ人だったとしても、この気持ちが納まることは無いだろう。
昂った気持ちは、僕の愛だ。
料理と、食事を何よりも重んじる、僕の想いが率直に表れていた。
-
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 21:29:56.76 ID:PUYX1Bwe0
やはり、肉は良い。
朝:スライスした肉に味噌をつけたもの
昼:燻製肉
夜:ステーキ
-
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:02:05.28 ID:PUYX1Bwe0
- 【十一】
公園のベンチに座っていた。一人、食事を摂っていた。
黙々と食べる事だけに集中している姿は、他人から見たら異端なのかも知れないと思った。
まぁ、他人の意見に流される気なんてさらさら無いけど。
ぽかぽかした陽気がとても気持ちよくて、日光を浴びていた。
だが、唐突に光が遮られてしまった。
僕の体は影に包まれていた。
( ^ω^)「また、お前かお」
川 ゚ -゚)「残念だが、また私だ」
そう言いながら、クーは僕の隣に座った。
なんだこいつ、僕に気でもあるのか?
川 ゚ -゚)「それはない」
だそうだ。
もう突っ込む気すら起きやしない。
唯、太陽の光が、彼女の黒髪に反射して輝いていたのを僕は見た。
いや、正確に言うなら目を奪われた。
不覚にも、食べる作業も止めて見とれてしまった。
-
101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:03:16.86 ID:PUYX1Bwe0
- (;^ω^)「で、今日は何の用だお?」
そんな自分の思いを隠すかのように、慌てて声を出した。
見透かされていたかは知らないが、クーは微笑を漏らした。
くそ、この弱みを握られたかのような気分はなんなんだよ、全く。
川 ゚ -゚)「ふむ、用事というか、なんというかだな」
クーは一呼吸置いてから、続きを言葉にした。
川 ゚ -゚)「最近、ツンと会ってるか?」
そう言って、クーは真っ直ぐに僕を見据えた。
悪さをした子供に、かまをかけている先生の視線のようだった。
まぁ、こいつが先生なんて死んでも有り得ないと思うけどね。
( ^ω^)「会ってないお、クーはどうだお?」
川 ゚ -゚)「私もだ。電話も繋がらない」
相変わらずの無表情だった。
-
102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:04:11.99 ID:PUYX1Bwe0
- 川 ゚ -゚)「家にも帰っていないらしい」
( ^ω^)「そうかお、不思議だお」
川 ゚ -゚)「どこかへ出かけたきり、だそうだ」
( ^ω^)「ますます、意味がわからんお」
クーの視線が僕から外れる事は無かった。
瞬きも少ない。僕の一挙手一同を監視しているかのようだ。
ただ、何故か僕の心臓は高鳴ってしまっていた。
まぁ、なんていうか男の性だよね。
生理現象だ。
しかし、クーの言葉は冷たかった。
川 ゚ -゚)「何故、お前は冷静でいられるんだ?」
無表情には変わりない。
だが、怒りが篭っているように感じた。
川 ゚ -゚)「恋人だろう?いつも一緒にいた相手だろう?
そんな人がいなくなって、どうして何も変わらない?」
淡々としていた。
間髪要れずに次々と言葉が紡がれていった。
-
103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:05:23.93 ID:PUYX1Bwe0
- ( ^ω^)「落ち着くお」
川 ゚ -゚)「私は極めて冷静だ。それより、答えろ内藤ホライゾン」
何を答えろと言うんだ。
僕がお前の求める答えなんて、知るわけが無い。
ただ一つ言えるとするならば。
( ^ω^)「僕だって、ツンの笑顔が見たいお」
それだけ言った。沈黙が流れる。
クーの視線が僕から外れた。
だが、僕は彼女を見つめたままだった。
川 ゚ -゚)「そうか……そうだよな……誰よりもお前が……」
クーは独り言のように、そう呟いた。
公園の中央の方から、子供たちの笑い声が聞こえた。
サッカーをしているらしい、僕たちとは違って和やかな雰囲気だ。
すると、ボールが飛んできた。クーの足に当たった。
-
105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:07:02.64 ID:PUYX1Bwe0
- 川 ゚ -゚)「…………」
クーは無言でそのボールを子供たちの方へ蹴り返した。
少年達が一斉に『ありがとうございます!』と叫んだ。
そして、何事も無かったかのように、再びサッカーを始めた。
川 ゚ ー゚)「…………」
そんな光景を見て、彼女は軽く笑みを零した。
似合わない。が、その笑顔はとても温かいものだ。
( ^ω^)「気分は落ち着いたかお?」
川 ゚ -゚)「ああ、すまないな。どうやら取り乱していたらしい。
……今日のところは、ひとまず帰るとするよ」
クーは立ち上がって、歩き出した。
振り返りもしない。小さくなっていく背中を僕は見つめる他無かった。
麗らかな日の光が気持ち良い、良く晴れた日の出来事だった。
-
106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:08:16.60 ID:PUYX1Bwe0
そんな事とは関係なく僕は思う。
今日のご飯は何にしようかな。
朝:ミートパイ
昼:お弁当
夜:メンチカツ
-
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:09:28.68 ID:PUYX1Bwe0
- 【十二】
すっかり、僕の部屋は肉臭くなってしまった。
まぁ、連日食べ続けているんだから当たり前か。
( ^ω^)「けど、今日もお肉だお〜♪」
リズムに乗せて、歌うように言った。
だが自分でも思う。
下手糞だし、音痴だ。
それに、何だか妙な恥ずかしさが湧いてくる。死にたい。
首を振って、そんなつまらない考えを振り切った。
今日のご飯はハンバーグ、小さな頃から大好きな一品だ。
カーチャンの作ってくれたやつは、たまに生焼けだったなぁ。
ほろ苦い思い出に浸りつつ、僕が作ったハンバーグに目を移す。
……完璧だ。
お店で出されても、文句は言えないというぐらいのレベルだ。
脂身の少ないこのお肉には、ハンバーグという料理が適しているだろう。
かってきた時から、作るのがとても楽しみだった。
実際、完成された物を見ると、僕の予感は正しいと思わされる。
-
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:11:42.62 ID:PUYX1Bwe0
- 誘惑に耐え切れず、フォークで押してみる。
溢れ出る肉汁。旨味成分が凝縮されているのが分かる。
ステーキの時よりも、僕の興奮の度合いは上だった。
もしかしたら、オルガスムスに近いものが僕を襲っていたのかもしれない。
……さて、いただきますか。
ナイフを入れると、すっと切れていく。
そして、切れ目から肉汁が出てくる、出てくる。
少し多めに空気を入れたのは成功だった。柔らかい。
ほんの少しだけ、肉汁を飲んでみるか迷ってしまった。
というか、後で飲もう。
まぁ、今日はあっさりと決めてみようと、口に入れた。
だが、そんな僕の思いは打ち砕かれる。
旨味という衝撃が、僕の体を駆け巡ったのだ。
-
110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:13:34.43 ID:PUYX1Bwe0
- 濃厚なデミソースが舌に交わっていく。
どろりとしていたそれは、深い味を秘めていた。
何日も煮込んだものだ、野菜の甘味も含んでいて美味しいに決まっている。
そして、それが肉と絡み合う。
濃厚なソースと濃厚な肉だ、しつこさを増すのかと思った。
だが違う、二つの味は混ざり合い、新たな世界を生み出す。
互いに、邪魔をしないのだ。
むしろ足りない部分を補っていた。
底が見えないほどに、味の奥行きが広がっていく感覚。
絶え間なく、美味しさの波が訪れ、僕は完璧に溺れてしまっていた。
ああ、これは良い。実に良い。
空まで飛び上がってしまうような、興奮と脱力感だ。
ひょっとして、僕は天才なんじゃないだろうか。
料理も、そして食材選びも。
-
115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:20:37.25 ID:+km57zW/0
- ついつい、ご飯も3杯ほど食べてしまった。
最後の1杯など、デミソースをかけて食べていた。
もっとも、ハンバーグ以上に手間暇かけたものだし、致し方ないか。
そういえば、お肉の貯蓄が大分少なくなってきた。
心もとないといった感じか、実に寂しいものだ。
明日からは普通の料理も食べないといけない。
というか、そろそろ鮮度が落ちてきて、味の質も落ちてきている。
全くもって煩わしい。食の道というのは実に厳しいものである。
……本当に悲しい。
なかなか、かって来れるものじゃないのに、たまったものじゃない。
文明がもう少し進んで、半永久的に保存出来るものが発明すれば良いと本気で思う。
タイムマシンやら、どらえもんやらより先に、飯を優先しろ。
生きる為にかかせないものなんだからさ。
……卑屈だ。僕は。
自己中心的な考えだったか。
最近は感情の制御がうまくいかないことが多すぎる。
-
116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:21:37.83 ID:+km57zW/0
欲望が、止まらない。
朝:串焼き
昼:お弁当
夜:ハンバーグ
-
117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:22:48.04 ID:+km57zW/0
- 【十三】
周囲の人間がざわめいている。
今日で、ツンが姿を消してから、2週間が過ぎた。
携帯も繋がらなければ、姿を見たという報告すらない。
消息不明という言葉が、今の現状を簡潔に表現していた。
色々な憶測が飛び交う。
誘拐されて、危険な目にあってるなんていう話があった。
殺されて、海の底にコンクリで固められて沈んでいるという話もあった。
最も可笑しかったのは、宇宙人に連れ去られたとかいう話だった。
何でも、改造されて人の姿をしてないらしい。
頭の中に妖怪人間ベムのテーマが流れる。
一度、思い浮かべると、脳内にこびり付いて落ちる事は無かった。
( ^ω^)「よーかいにんげんベムなのさー♪」
音痴だ、それだけは変わら無い。
-
118 :>>117修正
:2008/02/10(日) 22:24:07.30 ID:+km57zW/0
- 【十三】
周囲の人間がざわめいている。
今日で、ツンが姿を消してから、2週間が過ぎた。
携帯も繋がらなければ、姿を見たという報告すらない。
消息不明という言葉が、今の現状を簡潔に表現していた。
色々な憶測が飛び交う。
誘拐されて、危険な目にあってるなんていう話があった。
殺されて、海の底にコンクリで固められて沈んでいるという話もあった。
最も可笑しかったのは、宇宙人に連れ去られたとかいう話だった。
何でも、改造されて人の姿をしてないらしい。
是非とも見てみたいものだ。
頭の中に妖怪人間ベムのテーマが流れた。
一度、思い浮かべると、脳内にこびり付いて落ちる事は無い。
( ^ω^)「よーかいにんげんベムなのさー♪」
音痴だ、それだけは変わら無い。
-
119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:24:45.72 ID:+km57zW/0
- 川 ゚ -゚)「はやく人間になりたーい!」
無駄に良い声だ。逆にむかつく。
当然のように僕の隣にいるが、先ほどまではいなかった筈。
忍者の末裔なんじゃないかと思った。
川 ゚ -゚)「くのいちか、悪くない」
はいはい、お約束、お約束。
( ^ω^)「んで、今日『も』なんのようだお?」
川 ゚ -゚)「何を嫌そうにするか、ひどいんだからぁ」
今度は猫撫で声を出しながら、上目遣いをしていた。
可愛いのは認めるが、何故か殺意が湧いてくるのは僕だけなのだろうか。
( ^ω^)「まぁ、いいお。どうせ僕も暇だお……」
観念したかのように、僕はそう言った。
本心でもあるし、クーが近くにいる事で気が楽になるのも事実だった。
退屈を潰すには、最高の相手だ。
-
120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:26:32.18 ID:+km57zW/0
- ここ最近は、クーと共に過ごす時間が増えていた。
何故そうなったのかは分からない。
ただ、いつも隣には彼女の姿があったのだ。
何をする訳でもなく一緒にいるだけだ。
時には雑談もするし、言い争いになる事もある。
またある時は沈黙の時を共有し、その空気に耐えかねて笑ったりする。
平凡で、穏やかな世界がそこにはあった。
その内、自分でも、自分がどうしたいのか分からなくなった。
川 ゚ -゚)「どうした、今日は一段とブルーじゃないか」
( ^ω^)「……別に何でもないお」
川 ゚ -゚)「君はいつもそうだ、人との距離を置き過ぎる。
もう少し、他人に心を開いて、頼れ」
お前が言うな、的な台詞だな。
クールが売りなんじゃなかったのか。
-
121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:27:46.34 ID:+km57zW/0
- 川 ゚ -゚)「まぁいい。時間が全てを解決してくれるさ、嫌でもな」
クーはそっぽ向いてしまった。
彼女はツンの事を一言も話さなかった。
僕たちにとっては、最も強烈な共有の話題になるはずなのに。
僕から言ってしまおうか迷った。
けれども、平凡な日常を作り出してくれる彼女を前にして、僕はあまりにも無力だった。
頭が下がる一方だ。クーには敵う気がしない。
励ましてくれているのだろう。
駄目な僕を。
前を向いて歩けと言いたいのだろう。
俯く事しか出来なかった僕に。
良い奴じゃないか。
( ^ω^)「……ありがとうだお」
聞こえないように、そう呟いた。
しとしとと、切なくなる様な雨の降る、夕暮れ時の出来事だった。
-
122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:28:49.92 ID:+km57zW/0
クー。
君のそういうとこは、嫌いじゃない。
朝:サラダ(茹でた肉と野菜にドレッシングをかけたもの)
昼:カツサンド
夜:肉じゃが
-
125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:29:53.73 ID:+km57zW/0
- 【十四】
目の前には空になった鍋。
腐りかけた肉をどうするか迷った結果、カレーにぶち込んだ。
落ちた鮮度も、誤魔化せるような気がしたから。
実際、食べてみたら確かに美味かった。
カレーの風味が、全てを丸め込んでくれたのだ。
だが、それは僕の望んでいたものではなかった。
肉本来の旨味を味わうのが好きだったのだ。
これでは、市販の肉を食べていたのと、何も変わらない。
それどころか、豆腐やらで代用だって出来ただろう。
後悔があった。
悲嘆があった。
憤慨があった。
最後の楽しみを自分自身で失ってしまった。
肉の貯蓄は、すでに尽きてしまったのだ。
-
137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:37:16.52 ID:Z535WGbj0
- 試しにと、普通の鶏肉を焼いて食べてみた。
ダメだった。
一度、至高の食材を口にしたものだから、舌が肥えてしまった。
もう、頭から、あの味の妄想が消える事は無い。
弾力のある歯応え。
しかし、噛み切ったときには柔らかさを醸し出す。
少し血生臭い風味。
生命の息吹を感じる、大自然の恵み。
調理する時の、高揚感。
それは愛だ。料理人として、悦楽を感じていた。
なによりも、旨かった。
これに匹敵するだけの食材を、僕は知らない。
狂おしい。求める心は収まらない
-
138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:38:31.74 ID:Z535WGbj0
- 空の鍋に、おたまを入れてかき混ぜる。
そういえば、ヤンデレとかにそんなのがあったな。
( ^ω^)「なにやってんだお、僕は」
かき混ぜる。
笑う。
かき混ぜる。
笑う。
かき混ぜる。
笑う。
かき混ぜる。
鍋が倒れる。
笑う。
お玉を投げる。
壁を殴りつける。
血が、滲み出る。
自分の血を舐める。
-
140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:39:38.26 ID:Z535WGbj0
鉄の味がした。
朝:カレー
昼:カレー
夜;ローストチキン
-
144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:42:28.05 ID:Z535WGbj0
- 【十五】
ツンと最後に会話してから、20日と20時間20分20秒。
そんな記念すべき時にも、やっぱりクーが隣にいた。
今日の彼女は物珍しい格好をしていた。
デニムのミニスカートが恐ろしい程に似合っている。
おめかしというやつだろうか。曝け出されたている生足が艶かしい。
川 ゚ -゚)「内藤、たまには普通に遊びにでも行くか?」
( ^ω^)「んー、遠慮しておくお」
川 ゚ -゚)「そうか……頑張ってきたんだがなぁ」
どうやら、その格好は僕の為だったらしい。
うっかり、ときめいた。
ガックリと肩を落とす姿は、片思い中の女の子のようだ。
だが、相手はクーだ。
どうせ、演技とかそんなのに決まってる。
川 ゚ -゚)「ばれたか」
ほらね。
-
146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:44:34.00 ID:Z535WGbj0
- ( ^ω^)「クーも暇だお」
川 ゚ -゚)「ああ。同じ暇人しか相手はしてくれないだろうな」
こいつの口を切り取ってしまいたい。
川 ゚ -゚)「怖い顔をするなよ、女に逃げられるぞ」
( ^ω^)「お前が離れてくれるなら、いくらでもするお」
親の仇の相手のように睨みあった。
ちなみに、若干僕は本気でいらついている。
何度、こいつの横面を引っ叩いてやろうと思ったことか。
そう空想したところで、僕の左頬からパンと小気味良い音が鳴った。
それを追うように、刺すような痛みが訪れる。
ビンタされた。
(;゚ω゚)「なにすんだおおおおおおおおお!!」
川 ゚ -゚)「つい、やっちゃったんだよおおおおおお!!」
ダメだこいつ。
-
149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:47:15.15 ID:Z535WGbj0
- 大声を出したせいか疲れた。
おまけにほっぺは痛いし、散々だ。
( ^ω^)「クーは、何で僕に構うんだお?」
何と無しに聞いた。
意味も無く、普通の雑談のように。
だが、クーは無視した。
どこか上の空だった。
というよりは、そういう風に見えるよう振舞っていた。
あたかも、この話には応じないと言いたげだった。
どうして、そうするのか僕には分かっている。
けれども、彼女の口から言わせてみたかった。
無表情の仮面に、焦りというひびを与えてみようかと考えた。
( ^ω^)「言えないことかお?」
未だ沈黙。
-
150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:48:57.38 ID:Z535WGbj0
- ( ^ω^)「そこまで親しい仲じゃなかったはずだお。
それなのに、君が僕に付きまとうのは何故なんだお?」
川 ゚ -゚)「付きまとっているつもりはない」
冷たい返事だ。
感情の篭っていない、質疑応答の為だけにあるものだった。
( ^ω^)「言いたく無いなら、それでいいお。僕には全部わかってるから」
押して駄目ならと、引いてみた。
川 ゚ -゚)「そうか、それは助かった」
まるで効果無し。
馬鹿らしくなった。
飽き性ではないが、大した興味を自分が抱いていないのを思い出した。
単なる暇つぶしに、ムキになる必要もないだろう。
自分のめまぐるしく変わる思考に苦笑した。
料理以外のことだと、計画性も糞もないものだ。
-
152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:50:57.71 ID:Z535WGbj0
- まぁ、クーの考えなんて単純なものだと思う。
初めはツンの消失によって出来た、僕の心の隙間を埋めようと思った。
お節介を焼こうと思った訳だな。優しいじゃないか。
あくまで僕の為だったわけだ。
でも、最近のクーは違う。
恐らく、楽しいのだ。
僕と共に過ごすのが心地良いのだろう。僕も同じ気持ちだ。
つまり、自分自身の為だ。
そんな考えを言葉にするのは恥ずかしいのだろう。
だから、頑なに口を閉ざしているんだなと、クーを見た。
顔がほんのりと赤く染まっていた。
ああ、そういえば読めるんだったっけな。
曇り空に自分の心を重ねて、ちょっぴりセンチメンタルになった一日だった。
-
154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/10(日) 22:52:32.11 ID:Z535WGbj0
クー。
君の事が好きになったよ。
朝:トースト
昼:無し
夜:りんご
-
158 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:00:35.94 ID:jIutHeZQ0
- 【十六】
食べ物が、喉を通らない。
新鮮な魚介類が眩しいお寿司も
様々な種類の食物が並ぶ焼肉も
大好きな細麺が入ったラーメンも
さくさくの衣がついたてんぷらも
脂の乗った旬の焼き魚も
影の立役者であるお味噌汁も
和の朝食にはかかせない納豆も
中と外の食感の違いを楽しめる餃子も
とろとろの餡がかかった蟹玉丼も
お祭りの屋台で食べたくなる焼きそばも
男性の心を射止める定番の料理の肉じゃがも
お弁当に入っていると嬉しくなるから揚げも
何も、美味しく感じない。
どれも、僕の料理じゃない。
-
162 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:02:02.53 ID:jIutHeZQ0
ツン、君がいなくなってからは、いつもそうだ。
辛いんだ。
もう君が帰ってこないのはわかっている。
なら、僕はどうればいいんだい?
…………。
-
163 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:03:36.02 ID:jIutHeZQ0
そうか。
そうだね。
それしかない。
-
164 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:04:35.98 ID:jIutHeZQ0
明日、お肉を狩ってこよう。
朝:無し
昼:無し
夜:無し
-
167 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:07:01.78 ID:jIutHeZQ0
- 【十七】
川 ゚ -゚)「ほほう、ここが内藤の部屋か」
( ^ω^)「感想はどんな感じだお?」
川 ゚ -゚)「悪くない、褒めてやろう」
( ^ω^)「ありがたき幸せ」
褒められた。嬉しい。
だけど、デジャビュ感はいなめない。
クーを家に招待すると、あっさりと承諾した。
女というものは、ここまで簡単に誘えるものなのだろうか。
いや、普通は違うだろう。もてる男は辛いね。
川 ゚ -゚)「さて、今日は一体なんのようだ?」
( ^ω^)「いつもと、質問の立場が逆だお」
川 ゚ -゚)「確かに、面白いな」
そう言うなら、笑顔の一つぐらい見せやがれってんだ。
-
168 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:08:52.46 ID:jIutHeZQ0
- ( ^ω^)「今日は、僕の料理を食べてもらおうと思ったんだお!」
大げさに手を広げながら言ってみた。
クーはぴくりとも反応を見せなかった。なんか恥ずかしい。
川 ゚ -゚)「そうか、私は味にはうるさいぞ?」
( ^ω^)「まぁ、大丈夫だお。まかせとけ!」
クーを食事用のテーブルの前に座らせた。
木製のそれは僕のお気に入りだ。海外のブランドもので高かった。
ご飯を食べるなら最高の環境が必要だというのが僕の持論でもある。
川 ゚ -゚)「よし、さっさと飯を持って来い」
( ^ω^)「ちょっと待ってるおー」
ぱたぱたとスリッパの音を響かせながら、台所へ向かう。
料理は作っておいたので、後は温めるだけで完成だ。
僕が彼女に食べさせる料理、それはシチュー。
作るのに丸二日かかった、大作だ。
-
171 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:10:37.57 ID:jIutHeZQ0
- 妖しさを感じさせる赤黒いシチュー。
様々な調味料、野菜、そして肉を丹念に煮込んだ。
本格的に作れられたそれは、僕の全身全霊をかけたと言っても過言ではない。
肉は、もちろん僕が仕入れたあれである。
最後に残された一欠片を、クーの為の料理に使った。
勿体無い気もしたが、最高の味を与えてあげる為だと妥協した。
良い感じで煮込まれて、とろとろになっているだろう。
それを思うと、思わず興奮してしまった。
段々と湯気が立ち込めていく。
台所には既に匂いが充満している。
涎が出てくるのは、致し方ない事だ。これはたまらない。
ふんだんに使った野菜のおかげか、すっきりとした良い香りだ。
そろそろ、いいだろう。
-
172 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:13:22.39 ID:jIutHeZQ0
- 皿にシチューを盛り付けていく。
僕とクーの二人分である。
どろりと濃厚なそれを見ていると、今すぐに食べてしまいたくなる。
独り占めをして、皿を舐めて、一滴たりとも残さない。
そんな煩悩を押さえ込むのも一苦労だった。
再び、スリッパの音が鳴り響く。
駆けるのは、僕の早く食べたいという気持ちの現われである。
川 ゚ -゚)「おお、良い匂いだな」
( ^ω^)「あったりまえだお」
机に皿を置きながら、僕も椅子に座る。
無駄のない、迅速な行動だ。
クーも目の前のシチューに目を奪われていた。
恍惚とした表情だ。
それを見ると、僕もまた得意な気持ちになる。
-
174 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:15:33.79 ID:jIutHeZQ0
- 川 ゚ -゚)「いただきます」
( ^ω^)「いただきます」
言葉と同時に、スプーンを掴んだ。
撫でるようにスプーンを浸してすくい上げる。
微妙な光の反射により、まるでシチューが輝いてるみたいだ。
ず、と僅かな音を立てて口の中にそれが注がれていく。
途端にワインの重厚な香りが、強烈に響いた。
アルコール等とは別に、大人の味わいというのが口に広がる。
渋みと甘味が同時に襲ってくるのだ。
丸々一本分が入っているので、それもある意味では納得である。
野菜が溶けて、どろりとした口当たりがまた良い。
それに、様々な種類の野菜が口の中で踊るのだ。
豊富な味は、限りなく続く世界を凝縮しているようだった。
-
175 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:17:35.91 ID:jIutHeZQ0
- 肉の香りも申し分ない。
一晩、赤ワインに漬け込んだおかげか、シチュー全体に染み渡っている。
それでいて、しつこくない。
口内に広がる味に反して、喉を通るとあっさりと消えていく。
飽きのこない、素晴らしい出来だった。
川;゚ -゚)「…………」
見れば、クーは一口だけ食べて固まっていた。
信じられないと言いたいのだが、声がでないといった感じか。
川;゚ -゚)「君は、なんなんだ」
苦し紛れに出た一言は、なんとも間抜けなものだった。
というか、それに対して僕はなんと答えればいいんだよ。
まぁ、そんな事よりだ。
( ^ω^)「美味しかったお?」
-
179 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:24:20.63 ID:hQJcwCD20
- 川 ゚ -゚)「…………」
ふ、と軽いため息を漏らした。
川 ゚ ー゚)「ああ、君には驚かされるばかりだ」
そして、軽い笑みを見せてそう言った。
僕の料理の破壊力がクーに勝った。記念すべき事態だ。
何よりも、お皿の中身ををたいらげてくれたのが嬉しい。
残さず食べてもらえるというのは、とても喜ばしい。
彼女を見て、僕の顔がほころぶのは無理も無い事だった。
食事を終えると、団欒の時間というのが日本での決まりだ。
いや、僕が勝手に決めたんだけれども。
だから、僕たちもそれに乗っ取って雑談していた。
何の変哲も無い。ありふれた日常だった。
……でも。
それでは意味がなかった。
-
181 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:25:51.45 ID:hQJcwCD20
- ( ^ω^)「クー、ツンの事で話があるお」
唐突に切り出した。
ツンの事を話題に出した瞬間、明らかにクーの顔が歪んだ。
答える隙も、考える時間も与えずに話を続けた。
( ^ω^)「ツンが何でいなくなったのか分かるかお?」
今度は時間を置いた。
クーはその間を見逃しはしない。
川 ゚ -゚)「……何らかの事件に巻き込まれたというのが妥当だと思う」
その通り。
何も知らない人間なら、間違いなく行き着く模範解答だ。
真実を知らない者の、限りなく正解に近い解答だ。
でも、僕にとっては不正解だ。
だって、僕は真実を知っている立場にいるから。
-
183 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:27:45.88 ID:hQJcwCD20
- ( ^ω^)「妥当、という意味ではそれが正解だお」
川 ゚ -゚)「……どういうことだ?
君は、憶測ではない考え方が出来るとでもいうのか?」
何も分かっていないという顔だ。
クーが薄々感づいているかもしれないというのは、僕の思い過ごしだったか。
まぁ、どうでもいい。
( ^ω^)「そもそも、僕の質問が間違ってたって分かるかお?」
川 ゚ -゚)「ますます、意味がわからない」
間髪入れずに答えた。
( ^ω^)「ツンは、いなくなってなんか無いんだお」
彼女はいつも、いつでも傍にいた。
今も、過去も、この先も。
一時足りとも、離れてなんかいなかった。
-
184 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:29:06.30 ID:hQJcwCD20
- 川 ゚ -゚)「何が言いたい?」
( ^ω^)「これ見て欲しいお」
椅子から立ち上がった。
少し歩いて、近くにある引き出しを開けた。
ツンはずっと、そこにいた。
暗い闇の中で待たせてしまったゴメンね。
ゆっくりと持ち上げて、抱きしめる。
後ろから、ひっと声にならない悲鳴が聞こえた。
クーかな。嫉妬でもしているんだろうか。
ツンはそれに対して、何も言わなかった。
きっと、見せ付けてやれとでも思っているんだろうな。
僕も同じ気持ちだった。
パタパタと、スリッパの音が五月蝿い。
-
186 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:30:39.26 ID:hQJcwCD20
- ( ^ω^)「隠していてごめんお。ツンはここにいたんだお」
胸に抱えたツンをクーに曝け出す。
ツンは相変わらず美しい。
やっぱり、僕は彼女の事を愛していると思い知らされる。
満面の笑みを見せる僕に対し、クーは真逆の反応を示していた。
どたんと大きな音を立てて、椅子から転げ落ちる。
今までに見たことが無いような、脅えたような表情をしている。
失礼だなぁ。
( ^ω^)「久しぶりに会えた親友だお?
君が僕とツンをここまで親しい仲にしてくれたんだお?
それなのに、何をそんなに可笑しい格好をしているんだお?」
まるで、生まれたての鹿みたいだった。
笑いが止まらないじゃないか。
川;゚ -゚)「……な、内藤。それは何の冗談だ?」
冗談?
( ^ω^)「クーこそ、何の冗談だお?」
-
187 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:32:26.37 ID:hQJcwCD20
- 川;゚ -゚)「冗談にしては、たちが悪いぞ。
されこうべの模型などという物で、人を脅かそうなど……」
模型だってさ。
ツンが可哀想だ。
( ^ω^)「これは正真正銘ツンだお。
僕と愛し合っている、最高のパートナーだお」
――ねぇ、そうだお?
――もちろんよ!
川;゚ -゚)「貴様、ツンを殺したのか……!?」
( ^ω^)「違うお、僕の愛の形だお。
ずっと一緒にいたかったから、こうするのが一番だったんだお」
ぎゅっと、ツンを強く抱きしめる。
――ああ、ごめん
苦しかったね。
もう少し、優しく抱きしめるから許しておくれ。
-
189 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:32:56.25 ID:hQJcwCD20
- 川;゚ -゚)「それなら、他の部位はどうした!
何故、頭蓋骨しか残っていないんだ!?」
可笑しな事を言うもんだ。
君だって、さっきツンと交わったばかりじゃないか。
( ^ω^)「ずっと一緒なんだお。だから」
――あはははははは
川;゚ -゚)「……なん、だと?」
( ^ω^)「……聞こえなかったかかお?
美味しかったって言ったじゃないかお」
『さっきのシチューの中にも、ツンはいたんだお』
本当に美味しかった。
全部食べてもなお、僕の食欲が収まる事は無かった。
それほどまでに、ツンの『肉』は至極のものだった。
そして、食べればずっと傍にいられる。
僕の血肉となって、ツンは生き続けるから。
-
190 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:33:33.30 ID:hQJcwCD20
- 『おえええええええええっ』
びちゃびちゃ
クーが床に嘔吐物を撒き散らした。
馬鹿なことをするなぁ。
その中には、ツンもいるっていうのに。
ゆっくりと救い上げて、それを食べた。
胃酸が混じっているせいか、強烈な酸味が僕を襲う。
けれども、その中には確かにツンの味があった。
ははは、それに。
やっぱり、クーも美味しいじゃないか。
( ^ω^)「でもね、僕は浮気性なんだお。
ツンだけじゃ、満足することが出来なくなったんだお」
――ごめんね、ツン
――いいのよ、私もクーと一緒なら嬉しいわ
スタンガンを手に取った。
ツンの時と同じように、一度眠ってもらうのがいいだろう。
-
191 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:34:13.68 ID:hQJcwCD20
- ばちばちっ
破裂するような音と共に、クーの首筋から火花が飛び散る。
どさっと、音を立ててクーは崩れ落ちた。
これで、数時間は目を覚ます事はないだろう。
もっとも、スタンガンだけならね。
ツンには一度、部屋に帰って貰うことにした。
調理を見せるのは、少し残酷かなと思ったから。
その前に口付けをした。
これから浮気するけど、君の事を誰よりも愛してるよ。
そう心で呟いて、引き出しを閉めた。
さぁ、久しぶりの大作業だ。
ツンの時は初めてだから大変だったけど、少しは上手に出来るかな?
美味しいお肉の為なら何だってするけどね。
-
192 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:34:25.90 ID:hQJcwCD20
さぁ、料理開始だ。
朝:無し
昼:無し
夜:ビーフシチュー(まだまだ夜は続く)
-
200 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:39:58.16 ID:Bo8RjJRe0
- 【十八】
クーの心臓は、どくどくと脈打っている。
気を失ってはいるが、生きている証拠だ。
それでいい、死んでしまったら色々と面倒だ。
何の躊躇いも無く、クーの首筋を掻っ切った。
動脈を正確に狙い済まして、刃を振るう。
筋肉が邪魔して切り辛かったが、割とすんなりといった。
びゅ、と鮮血が飛び散る。
そして、先ほどの鼓動のリズムに従って流れ続ける。
綺麗だ。少し飲んでおく事にしよう。
新鮮なそれは、なかなか美味だと感じた。
とめどなく溢れ出ているから、喉の渇きを潤すにはぴったりだった。
けれど顔は真っ赤に染まってしまった。鉄の匂いがすごい。
気付くと、心臓が止まっている事に気付いた。
まぁ、血抜きは終わっているしこれでいいか。
これをしないと、すぐ肉が硬くなってしまうからなぁ。
部屋が汚れてしまうのが難点だが。
-
203 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:42:04.71 ID:Bo8RjJRe0
- 血に塗れたクーは、今までで一番美しかった。
正直に言うと、僕の肉棒は限りないほどに勃起していた。
ぴくりともしない口に、僕の舌を捻じ込む。
クーの方が動く事は無いが、必死でこちらの舌を絡ませる。
ぬちゃぬちゃ
先ほど飲んだ血と、唾液が交わって、なんとも言えない快感だ。
赤い液が糸を引いたのをみて、僕は至極満足だった。
( ^ω^)「やっぱり、最高だお」
率直な感想だった。
次第に冷たくなってしまう体に、切込みを入れていく。
とりあえずは、付け根あたりから、手を分離させていく事にした。
肉の部分はまだ良い、だが、問題は骨だ。
ゴキゴキと音を鳴らしてはいるが、これでは切るというより、削るだ。
血のぬるぬるとした感触のせいで、包丁を持つ手が滑ってしまう。
何度も手を拭いては切り直し、ようやく解体に成功した。
断面図の真ん中にある骨が、美しく見る事が出来る。
よし。
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207 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:44:14.89 ID:Bo8RjJRe0
- ざくざく
がりがり
ぼとり
首を切り落としたら、すっかり化け物みたいになってしまった。
美しく気高いクーの面影はどこにもなかった。
むしろ、生首の方が顔がある分、わかりやすいだろう。
なんとなく、ピンク色の断面図を撫でてみた。
ぬちゃぬちゃと音を立ててるし、所々が硬い。
骨をぎゅっと引っ張ってみたが、とれる訳でもなかった。
意外と丈夫にできてるみたいだ。
でも、ちょっと面白いなと感じた。
医者とかでもないと触れない人間の内部だ。
人肌の温もりが残ってるのが、また心地良いじゃないか。
それに、とっても美味しそうだ。
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208 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:46:31.61 ID:Bo8RjJRe0
- ( ^ω^)「……つまみぐい、だお」
歯で、無理矢理千切ってみた。
かなり硬くて、切れないかと思ったが、どうにか噛み千切れた。
……これは旨い。
生肉というものはあまり食べた事が無いが、病み付きになりそうだ。
血の生臭さが、なんとも素晴らしい。
レアのステーキとかそういうのとは比べ物にならない。
強い生命力を感じる。
それに、筋肉の固さが逆に良い。
柔らかいだけの高級な肉というのはあまり好きではない。
ぞぶ、と肉を噛み千切る音が口内に響くのが悦楽を感じさせる。
はは、やはり新鮮さは大事だ。
左手と顔を無くしたクーが目の前には横たわっている。
今日もスカートを履いていたせいで、下着が露になっていた。
いつも美しいと感じていた足も、今日は無防備だ。
どくん。
どくん。
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209 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:47:57.99 ID:Bo8RjJRe0
料理は、一時中断だ。
朝:前記通り
昼:前記通り
夜:前記通り
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212 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:50:06.50 ID:Bo8RjJRe0
- 【十九】
クーを全て食べ終わってから思った。
新鮮さはとても重要なんだと。
しかし、僕は肉が食べたい。
それ以外の食材など、僕は目もくれたくない。
つまり、だ。
『新鮮で美味しい肉』
それを、僕は手に入れないといけない。
どうしようか悩んだ。
…………。
…………。
考えた末に行き着いた。
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213 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:52:04.80 ID:Bo8RjJRe0
美味しいお肉は、こんなにも近くにあった。
朝:クー
昼:クー
夜:クー
-
216 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:54:09.48 ID:Bo8RjJRe0
- 【二十】
考えを終えると、僕は包丁を手にとった。
よく研いだおかげか、銀色に光っている。
何年も使ってきた相棒だ。最後まで、お前に任せようじゃないか。
自分の舌を、半分ほど切り落とした。
ざく、と小気味良い音が響いた。
びた、と切り落とされた舌が地面に落ちた。
襲い来る傷みは尋常ではなかった。
口の中が焼けているかのように、熱い。
残された舌が僕とは別に生きているかのように、びくんびくんと跳ねている。
それに、流れ出る血が止まらない。
僕の高鳴る心臓と共に、溢れ出る量もどんどんと増えていく。
『ひはああああああああ!!』
悲鳴は、声にはならなかった。
けれども、絶叫に身を任せば幾分かはマシだった。
しかし、自分の夢の為にしたことだ。
心は、躍る。
-
219 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:56:34.49 ID:Bo8RjJRe0
- 落ちた舌を拾い、口に入れた。
普段、当たり前のように口内に存在しているそれが暴れまわる。
残された舌と、その分離した舌がぶつかる度に、激痛が走る。
だが、それでいい。
ようやく捕まえた舌を、思い切り歯で噛み切った。
切れないものかと思ったが、切れ目が入ると、そのまますんなりと切れていく。
ざぶり
ようやく、柔らかい感触が伝わってくる。
血の味が濃い、生々しい感触が素晴らしい。
分厚い肉が千切れていく度に、心が歓喜する。
『ひひひひひ、ひはははははは!!」
笑いが止まらなかった。
こんなに美味しいものが、すぐ傍にあったなんて!
気付く事が出来てよかった!
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221 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/10(日) 23:59:06.55 ID:Bo8RjJRe0
- 次に、左手の親指を切り落とす。
舌とは違って、骨があるため切りにくい。
包丁を押し当て、全身の体重をかけそこに集中させる。
ごりごり
ごりごり
ばきっ
ようやく、切る事が出来た。
びゅっと再び血が飛び散る。
既に、痛みなんてものは気にならなかった。
脳内に分泌されるアドレナリンのせいかもしれない。
ぽつんと残った親指。
それの生命を感じられるうちに、口の中へ放り込む。
断面を吸うと、中に詰まった血が少しずつ絞り出される。
口にしたのが、鉄の塊だったかのような錯覚すら覚えるほどの匂い。
だが、その癖の強さが旨い。
『ひひひ、ひははは』
-
223 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/11(月) 00:00:41.13 ID:mmkJe9260
- 骨を中心としている為、こりこりとした食感だった。
爪の部分を先に噛み千切って吐き出した。
ばちっ、と音を出しながら口内で分解される様子はなんとも愉快なものだ。
どうやって食べようか迷った結果、骨を残すことにした。
スペアリブ状になる。
肉が切れては、骨に歯の進入を止められる。
こりこりとしていて、食感を楽しませる為にあるかのようだった。
肉は、舌とは違って若干固いか。
だが、これにもまた違った美味しさがある。
ごりごり
ざくざく
ばきん
骨が折れた。
肉に混じってしまう。
だが、喉に刺さらないようにして飲み込んだ。
カルシウムの塊だ。
体に悪いなんてことはないさ。
-
225 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/11(月) 00:02:02.43 ID:mmkJe9260
- 足元を見ると、血の水溜りが出来ていた。
舌と指からだけでも、溢れ出る量は尋常ではないものだ。
口から出てくるものは出来るだけ飲むことにした。
ごくり
ごくり
血が止まる事は無い。
水道が僕の口内に直接出来ているようだ。
それに鉄の香りで、既に嗅覚はまともに作動していなかった。
……さて、そろそろメインデッシュにいこう。
包丁をゆっくりと自分のお腹に突き刺した。
ずぶずぶと進んでいく様子に、これは料理だったなと思い出した。
『ひひははははははは!!』
それにしては、随分とでかい肉だ。
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228 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/11(月) 00:03:31.42 ID:mmkJe9260
- 『ひひ、ひひひひひひひひ!!』
笑いによって起きる振動と共に包丁が奥へ。
ズボンの中に白い液体があるのを感じた。
今までも何度か感じた事はあったが、ここまでの快感は初めてだった。
ぎーこ
ぎーこ
手を右に左に動かすと、どんどんと切れていった。
僕の相棒は今日という日の為に生まれたんじゃないかと思う。
血に濡れた刃のなんと美しいことか。
ぎーこ
ぎーこ
今度は動きを上下に変えた。
肉をブロック状に切り分けようと思ったからだ。
ぼとりと肉が落ちたときの事を考えると、興奮が更に加速した。
ああ、早く自分を食べてしまいたい。
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233 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/11(月) 00:05:11.00 ID:mmkJe9260
- ツンを切り落とした時は愛を感じた。
クーを分解する時には性欲を感じた。
僕自身を解体する時には、絶頂が訪れた。
それなら、口にしたときにはどうなるのか?
きっと、そこには天にも昇る想いが訪れるに違いない。
ぎこぎこぎこぎこ
ぎこぎこぎこぎこ
切るスピードを速めた。
もっと速く、もっと速く、もっと速く。
僕を食べるんだ。
僕を食べるんだ。
美味しいお肉がそこにある。
味わった事の無い幸福がそこにある。
この欲望を満たす答えがそこにある。
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237 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/11(月) 00:06:57.00 ID:mmkJe9260
…………?
からんからんと、金属の落ちる音がした。
…………??
どさりと、大きな物体が地面に横たわる音がした。
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240 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/11(月) 00:08:51.56 ID:mmkJe9260
…………???
へんだ な からだ が
うご か な
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241 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/11(月) 00:09:35.46 ID:mmkJe9260
最後の晩餐:僕
( ^ω^)美味しいお肉の勧め!のようです―――完
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259 : ◆9d9cVF02x2
:2008/02/11(月) 00:14:54.14 ID:mmkJe9260
- 【あ☆と☆が☆き】
ベタってすっごい好き!
と言っても、単に面白いオチが浮かばないだけなんだけどね!
初めは料理大好きのようです!ってほのぼの短編だったはずなんだ。
なんで、こうなったのか……不思議。
ぶっちゃけて言うと、【二十】は投下中に書いてました。
すいません、ごめんなさい。もうダメダメっぷり曝け出してすいません。
睡眠時間削ったし、今日中に投下したかったんだ……。
今日はさるさんと仲良し投下でした。
あとがきというか、言い訳になっちまってすまねぇ。
【ボツネタ!】
( ^ω^)「うわー、チャーハンのIT革命だおー」
やらなくてよかた。
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