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05 Jan 2009
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Common Crawl
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TIMESTAMPS
( ^ω^)が一億円を手に入れたようです
1
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 19:53:57.45 ID:gb3u/rpN0
1.
ここは都内にあるボロアパート。
独身男にありがちな汚い部屋のベッドに仰向けになり、内藤は預金通帳を眺めていた。
( ^ω^)「はあ……」
溜め息が出る。
底知れない虚無感が溶けた吐息だ。
ベッドサイドテーブルのスタンドの下に通帳を置いて、寝返りを打つ。
そしてまた通帳を手に取って開き、金額を眺める。
『預金残高 100,021,030円』
内 藤 が 一 億 円 を 手 に 入 れ た よ う で す
5
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 19:55:02.11 ID:gb3u/rpN0
2.
夢じゃあない。確かに今、自分は一億円持っている。
リアルじゃない金額だ。
現実感がないのは仕方ないが、このどうしようもない空しさはなんだろう。
( ^ω^)「これなら当たる前の方が楽しかったお」
買ってきた宝クジを手作りの神棚に捧げ、当たるよう祈願した日々。
その祈りはイヤになるほど真っ直ぐ神様に届き、内藤はあっさり一億円を手に入れた。
一億円。
人の命がティッシュペーパーよりも軽くなる値段だ。
( ^ω^)「ま、庶民が突然大金を手に入れてもこんなもんだお。メシでも行くお」
内藤はすき屋に行き、牛丼を大盛りで頼んだ。
更に豚汁とサラダをつけて少しだけ贅沢したが、空しさは募るばかりだった。
7
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 19:56:02.45 ID:gb3u/rpN0
3.
寝る前に布団の中で一億円の使い道について空想するのは楽しかった。
しかし実際に手に入れてみると、内藤はどうしようもない虚無感に苛まれた。
今ようやく、自分は何の夢も持っていなかったことに気付いたのだ。
( ^ω^)「空しい……空しいお」
さっきからケータイがひっきりなしになっている。
内藤はうっとうしくなって電池を引っこ抜いた。
どこで聞きつけたのか親戚やら恩師やらが電話をかけまくってくるのだ。
自分で使い道のないカネといっても、他人にくれてやる気も毛頭ない。
( ^ω^)「やることないし、もう寝るお」
早々に布団に入って目を閉じる。
その晩、内藤は子供のころの夢を見た。
10
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 19:57:11.70 ID:gb3u/rpN0
4.
( ^ω^)「ムニャムニャ、面舵いっぱい……」
ジャングルジムで冒険ごっこをしていた時の光景だ。
そこで目が覚めた。
( ^ω^)「ハッ!? 夢かお。……ああ、そうだ。僕は子供のころ、船長になりたかったんだお」
( ^ω^)「そうか……船長になるお! このお金はそのために使うお!」
翌日、内藤はさっそく船舶免許を取る手続きを取った。
実技でちょっとつまづいたが何とかオマケして合格を貰い、免許を手に入れる。
続いて3000万円ほどの居住区付きクルーザーを一括払いで購入した。
( ^ω^)「うーん、カッコイイお! これをブーン号と名づけるお」
港に浮かべた自分の船を眺めてニヤつきながら、航海の旅に思いを馳せる。
( ^ω^)「……そうだ、もういっそのことアパートを引き払ってここに住むお」
13
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 19:58:16.29 ID:gb3u/rpN0
5.
もはや今の生活に何の未練もない。
帰宅した内藤は家具などを少しずつ捨てたり売ったりして準備を始めた。
( ^ω^)「三日もあれば片付くお。フヒヒ、楽しみだお!」
いよいよ出発を翌日に控えたある日の夕方。
ゴミを出した内藤は改めて自分のアパートを見た。
( ^ω^)「このボロ屋とも今夜限りだお。まったく、ロクなとこじゃなかったお」
夜な夜な大騒ぎするDQN一家ともこれでお別れだ。
階段を上がって自分の部屋に戻ると、ドアの前で小さな女の子が泣いていた。
ξ ;?;)ξ「ひっく、ひっく」
( ^ω^)(DQN一家の娘だお。また殴られたのかお)
15
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 19:59:18.99 ID:gb3u/rpN0
6.
こんな事はしょっちゅうあったが、内藤は見てみぬフリをしてきた。
DQN父親がヤクザというもっぱらの噂があったからだ。
( ^ω^)「どいて欲しいお。部屋に入れないお」
女の子は真っ赤に晴らした目でこちらを見上げ、黙って場所を空ける。
ドアを開けて部屋に入り際、内藤はふと思い出したように呟いた。
( ^ω^)「明日の朝一番に僕は家を出るお。もう二度と戻って来ないお」
ξ ゚?゚)ξ「?」
( ^ω^)「君も連れて行ってあげてもいいお。朝五時までにドアをノックするお」
ξ ゚?゚)ξ「……」
部屋に入ってすぐ、頭の中いっぱいにハテナマークが回転した。
自分の行動がまったく理解できない。
18
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:00:22.44 ID:gb3u/rpN0
7.
( ^ω^)「ん? 何で僕はあんなことを言ったんだお?」
( ^ω^)「まあいいお。あんな小さな子がついてくるわけないお」
コンビニ飯を適当に食べ、内藤は明日に備えてすぐに横になった。
眠りに落ちるとまた子供のころの夢を見た。
( ^ω^)「むにゃむにゃ、全速前進……」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翌朝、まだ真っ暗なうちに目が覚めた。
時計を見ると4:55を差している。
着替え、荷物を確認し、再び時計を見る。
五時を少し過ぎていた。
( ^ω^)「ま、こんなもんだお。さらば故郷よ」
20
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:01:00.61 ID:gb3u/rpN0
8.
部屋を出ようとドアを開けると、そこで今まさにノックしようと拳を振り上げた女の子がいた。
びっくりして大きく眼を見開いている。
(;^ω^)「おお!?」
ξ ゚?゚)ξ「!!」
( ^ω^)「ついてくるのかお」
ξ ゚?゚)ξ「う、うん……」
内藤はリュックを背負った彼女の前にしゃがみ込み、顔を覗き込んだ。
( ^ω^)「言っておくけど、本当にここへは二度と戻って来ないお。それでもいいのかお」
ξ ゚?゚)ξ「う、うん……いいよ」
( ^ω^)「じゃあ約束だお。僕は内藤ホライゾン、これからよろしく」
ξ ゚?゚)ξ「津田ツン」
指きりを交わし、二人は家を出た。
21
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:02:01.65 ID:gb3u/rpN0
9.
始発に乗って港につくころには夜が明け、朝日がまぶしくブーン号を照らしていた。
( ^ω^)「あれが僕の船だお。ブーン号って言うんだお」
ξ ゚?゚)ξ「内藤さんのお船なの?」
( ^ω^)「そうだお。今日からここが家になるんだお」
イカリを上げ、ブーン号は輝く水面を滑るように走り出した。
( ^ω^)「ヨーソローだお。出発!」
ブーン号にはどでかいキッチン、バス、寝室、ナビコン、魚群探知機までついている。
海に行くのも船に乗るのも初めてらしいツンは興奮した様子でそこらを走り回っていた。
ξ ゚?゚)ξ「すごいな、すごいな」
( ^ω^)「気をつけるお、甲板は滑るお」
22
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:03:01.99 ID:gb3u/rpN0
10.
ξ ゚?゚)ξ「うん。ねえ内藤さん、これからどこへ行くの?」
( ^ω^)「ん? んー……ツン、紙飛行機作れるかお」
ξ ゚?゚)ξ「え? う、うん」
( ^ω^)「そこに釣具屋でもらったチラシがあるから、ちょっと折ってくれお」
ξ ゚?゚)ξ「うん」
ツンはチラシを使って上手に紙飛行機を折った。
( ^ω^)「よし、それじゃそれを思いっきり飛ばすお。思いっきりだお」
ξ ゚?゚)ξ「えいっ」
紙飛行機は海風に乗り、東の方へ飛んで行った。
内藤は船の進路を東に変えた。
( ^ω^)「これこそ放浪の旅人だお!」
23
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:03:59.99 ID:gb3u/rpN0
11.
初夏の風は暖かく、天気も最高だ。
海鳥たちが見送りにやって来た。
ξ ゚?゚)ξ「あ、かもめ!」
( ^ω^)「ありゃウミネコだお」
ξ ゚?゚)ξ「ネコ?」
( ^ω^)(ん? ウミネコってカモメの一種だったっけ? ……まあいいかお)
内藤はかつてなく心が満たされるのを感じていた。
あのどうしようもない空しさがまるで悪い夢のようだ。
( ^ω^)「ああ、“生き甲斐”という言葉の意味が真に理解できた気がするお」
しばらくすると腹の虫が暴れ出した。朝食なしだったせいだ。
そこでとりあえず船を止め、釣り糸を垂れてみた。
26
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:05:00.74 ID:gb3u/rpN0
12.
( ^ω^)「フヒヒ、魚群探知機のおかげでばんばん釣れるお」
ξ;゚?゚)ξ「……ひ、ひいっ」
( ^ω^)「ん? どうしたお」
ξ;゚?゚)ξ「む、むし……」
どうやらツンは釣り餌のゴカイに触れないようだった。
( ^ω^)「ほら、こっちのオキアミを使うお」
ξ ゚?゚)ξ「うん」
一時間ほどでバケツは名も知れぬ雑魚でいっぱいになった。
キッチンで捌き、網で焼いてみる。
( ^ω^)「お、なかなか美味いお。これはアジかお……くそ、こっちは小骨がやたら多いお!」
ξ ゚?゚)ξ「ガツガツガツ」
( ^ω^)「そんな急いで食うなお。詰まるお」
27
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:05:59.91 ID:gb3u/rpN0
13.
ξ ゚?゚)ξ「うん……」
内藤はツンが妙に痩せていることに気付いた。
食事にろくに与えられていなかったらしい。
( ^ω^)「(何と不憫な……)ほら、このおにぎりも食べるお。コンブだお」
ξ ゚?゚)ξ「うん」
食事が終わった後は甲板に寝椅子を並べて昼寝した。
( ^ω^)「ああ、人生万歳だお。生まれてきて良かった……」
ξ ゚?゚)ξ「?」
( ^ω^)「ん? ツン、何やってんだお」
寝椅子から抜け出したツンは四角い金属の箱の前にいた。
その箱の下からぶら下がっている紐をいじっている。
31
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:06:59.67 ID:gb3u/rpN0
14.
内藤は椅子から飛び起きた。
(;^ω^)「ああああ、それは触っちゃダメだお!!」
ξ ゚?゚)ξ「!!」
ツンは慌てて手を離した。
( ^ω^)「これは中にゴムボートが入ってるんだお。紐を引っ張ると……ん?」
ξ ;?;)ξ「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
彼女は震えながら眼を伏せ、両手で頭を守っている。
いまだかつてここまで脅えている子供を見たことがなかった。
( ^ω^)(あ、そうか……)
崩壊家庭と虐待が作り出した傷だ。日常的に暴力を受けていたに違いない。
内藤はうっかり怒鳴り声を上げてしまった自分を悔やんだ。
34
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:08:00.75 ID:gb3u/rpN0
15.
( ^ω^)「もういいんだお。誰もお前を叩かないお」
ξ ;?;)ξ「……」
( ^ω^)「いいかお、この箱の中には緊急用のボートが入ってるんだお。紐を引っ張ると
風船みたいに自動的に膨らむんだお。だから船が沈みそうな時以外は触っちゃダメだお」
ξ ;?;)ξ「……」
⊂ニニ( ^ω^)ニ⊃「もう怒ってないってば。ほら、ブーーーーン」
ξ ゚?゚)ξ「ブ、ブーン?」
⊂ニニ( ^ω^)ニ⊃「そうだお。辛いときも悲しいときもとりあえずブーンだお。ツンもやってみるお」
⊂ニニξ ゚?゚)ξニ⊃「ブ……ブーン」
⊂ニニ( ^ω^)ニ⊃「その調子だお。ブーーーーン」
⊂ニニξ ゚ー゚)ξニ⊃「ブーーン、ブ……ブフッ! ふふふ、くすくす……」
⊂ニニ( ^ω^)ニ⊃(ふう、やっと笑ってくれたお)
それからしばらくの間、二人ははしゃぎながら甲板を一緒に走り回っていた。
35
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:09:00.65 ID:gb3u/rpN0
16.
海に出て一週間が経った。
もちろんというか当然と言うか、ツンは学校に行っていない。
海辺の町で生活用品を買い込む時、下校中の子供たちが冗談を言い合いながら歩いているところに
遭遇したりすると、ツンが少し寂しそうな顔をするのを内藤は何度か見た。
( ^ω^)「学校に行きたいかお、ツン」
ξ ゚?゚)ξ「……」
彼女は何も答えなかった。
( ^ω^)(せめて読み書きくらいは僕が教えないと……)
本屋で子供向けの本やらノートやらを買い込み、内藤が臨時の教師となった。
しかし彼女についてはどうしようもない不安がある。
これでいいのか?
本当に、このままでいいのか?
36
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:09:59.58 ID:gb3u/rpN0
17.
( ^ω^)(ううう、だってツンが自分でついてくるって言ったんだお……
でもこのままずっと連れ回して、それで一体どうするんだお? うう、どうすれば……)
ξ ゚?゚)ξ「内藤さん、どうしたの?」
( ^ω^)「んあ? ああ、そうだ、九九カードを作るお。ハサミ貸してくれお」
ξ ゚?゚)ξ「うん」
この時は何とか振り払ったものの、この考えは後々内藤を悩ませ続けることになる。
本当にこのままでいいのか?
ツンをどうすればいい?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そんなある日のこと、ナビコンに人口ゼロの島が浮かび上がった。
( ^ω^)「お、無人島だお。行ってみるお」
ξ ゚?゚)ξ「うん!」
39
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:11:01.37 ID:gb3u/rpN0
18.
島に人影はないが、廃墟とごくごく小さな船着場はあった。
どうやら昔は人が住んでいたらしい。過疎化で打ち捨てられたのだろう。
( ^ω^)「お、砂浜もあるお。泳ぐお!」
ξ ゚?゚)ξ「う、うん……」
( ^ω^)「どうしたんだお。あ、もしかして泳げないのかお」
ξ ゚−゚)ξ「ち、違うの……あのね、あの……」
ツンは上着の袖を手首の方に引っ張ってもじもじしている。
( ^ω^)「? まあ、イヤならツンは浜辺で遊んでりゃいいお」
内藤は船からスウェットスーツと水中銃を持ち出してきた。
水中銃はゴムの力で銛を撃ち出すボーガンみたいなシロモノだ。
( ^ω^)「よっしゃあ、巣潜りに挑戦だお! よゐこ濱口がなんぼのもんじゃー!」
44
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:12:14.01 ID:gb3u/rpN0
19.
とは言え、素人がそうそう泳いでいる魚を打てるもんでもない。
結局海底の貝をいくつか拾っただけで収穫を終え、海を上がった。
( ^ω^)「とったどー! ツン、ほら、サザエだお」
ξ ゚?゚)ξ「あっ」
砂浜にいたツンに背後から声をかける。
すると彼女は慌てて腕まくりしていた袖を引っ張った。
ツンは何気ない仕草をよそおったが、内藤にはその腕にいくつもつけられた黒い点が確かに見えた。
( ^ω^)(あれはもしかして、煙草を押し付けた跡じゃないかお……)
初めてツンの親に対する憎悪が沸いてきた。
そしてそれは多分、ツンに対する自分の感情が変化してきたからでもあると内藤は自己分析した。
情が移るってヤツだ。
47
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:13:12.94 ID:gb3u/rpN0
20.
( ^ω^)「愛することはその身を削る、だお」
ξ ゚?゚)ξ「なーに、それ?」
( ^ω^)「何でもないお。さあ、サザエの壷焼きと行くお」
夕食を取った後は浜辺に寝椅子を置いて眠ることにした。
波の音は静かで、夜の潮風は夏の匂いをたっぷり含んでいる。
内藤は満天の星空を眺めながらラジオを聞いていた。
( ^ω^)「ツン、寝たかお」
返事はない。
さっきまで浜辺で拾った貝殻に糸を通してネックレスを作っていた筈だが、寝椅子で横になっている。
静かな寝息が聞こえた。
( ^ω^)「僕も寝るかお……ん?」
ラジオに緊急速報が入った。
49
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:14:11.27 ID:gb3u/rpN0
21.
「都内のアパートで殺人事件……暴力団の男……妻を撲殺……」
それは確かに内藤の住んでいたアパートだった。
そして犯人はツンの父親で、殺された方は母親に間違いなかった。
「家庭内暴力の果ての凶行……娘が行方不明……警察は事件に何らかの形で巻き込まれたと見て……」
( ^ω^)(……ツンには黙っとくお)
ラジオを切り、内藤は目を閉じた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドクオ組の事務所では三人の男が渋い顔を突き合わせていた。
('A`)「あー、二人ともテレビは見たな?」
∧∧
ミ,,゚Д゚彡「ニダーのことですね」
∧∧
(,,゚Д゚)「まったく面倒なことになったもんで」
51
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:15:13.88 ID:gb3u/rpN0
22.
('A`)「よく聞け。ニダーのボケが自分の妻を殺したわけだ。それはまあいい、俺らには関係ない。
問題は奴が売人どもに卸す予定だったクスリだ」
∧∧
ミ,,゚Д゚彡「どんくらいです?」
ドクオはテーブルに置かれた大理石の灰皿を見下ろした。
('A`)「こいつに山盛り一杯ってとこだな」
∧∧
ミ,,゚Д゚彡「末端で二千万ちょいですか」
∧∧
(,,゚Д゚)「そいつが消えちまったとか?」
('A`)「まさにその通り。警察はニダーんちを家宅捜索した筈だが、麻薬は出ていないんだ。
ところが奴に面会した弁護士は、ニダーは確かに家に隠したと言ってる」
∧∧
(,,゚Д゚)「ガキが消えたことが何か関係してるんじゃ?」
('A`)「俺もそう思う」
∧∧
ミ,,゚Д゚彡「ガキがシャブを持ち逃げしたってんですか? それはちょっと……」
('A`)「いや、それがニダーという男は用心深いんだかバカなんだか……変なものに隠したんだ」
53
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:16:14.01 ID:gb3u/rpN0
23.
ξ ゚?゚)ξ「?」
寝室で持ち物の整理をしていたツンは、自分の黄色いリュックにおかしな点があることに気付いた。
リュックの背中に当たる場所、クッションを入れる部分を一度切り開いて縫い直した跡がある。
ハサミで切り開いてみると中にクッションは無く、代わりにビニール袋に入った白い粉末が出てきた。
小さな袋に小分けしてあり、全部で十個ある。
ξ ゚?゚)ξ「なんだろ……?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
('A`)「つまり仮定するとだな、ガキがそのリュックをそうとは知らずに背負って家出したかも知れんと」
∧∧
ミ,,゚Д゚彡「なるほど」
('A`)「問題はガキとリュックはどこへ行ったかだ」
∧∧
ミ,,゚Д゚彡「警察が動いてるなら組の者は使わない方がいいですね」
∧∧
(,,゚Д゚)「流石兄弟の出番だな」
54
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/02/14(木) 20:17:13.81 ID:gb3u/rpN0
24.
流石兄弟の二人は自分のオフィスでその依頼を受けた。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「というわけだ、弟者」
∧_∧
弟(´<_` )「なるほど。それで俺らにお鉢が回ってきたと」
二人は表向き浮気調査専門の探偵事務所を営んでいるが、裏ではヤクザに雇われている。
彼らが表立って動けないトラブルが発生した時は二人の出番となるわけだ。
二人はアパートの大家に電話し、事情を詳しく聞いた。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ガキなんぞ見てないとさ」
∧_∧
弟(´<_` )「小学生だろ? そんな遠くに行ける筈はないが……」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ああ、そういえば関係あるかどうかわからんが、ガキが消えた日に隣の部屋の奴が
アパートを引き払ったと言っていた」
∧_∧
弟(´<_` )「クサイな」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「まずはそいつのことを少し調べてみようぜ」
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