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从 ゚∀从日常と非日常が恋をしたようです
2
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:12:03.26 ID:zmul/QozO
少女は廊下に立ちながら、窓の外を見る。
透き通った青空と、綿菓子の様な白い雲が広がっている。
その風景の中を一羽の鳥が気持ち良さそうに羽ばたいている。
いつもと変わらない平凡な日常の証。
从 ゚∀从「…………つまんね」
本当につまらなさそうに空を睨みながら一言零す。
そして窓から視線を外し、自分の両手見た。
だらりと下げられた両腕の先には、水が一杯入ったバケツ。
少女は宿題を忘れ、廊下に立たされていたのだった。
从#゚∀从「あーあ、つまんねーな。くそ!」
今度は先程より少しだけ大きな声を出した。
その声に応えてくれる者はこの廊下には勿論居ない。
時は十二月、窓の外も窓の中もいつもと変わらない平凡な日常。
そんな日常の中で少女は心の底から願う。
从 ゚∀从(おもしれぇ事起きねーかな)
その時、授業時間終了を告げるチャイムが鳴った。
3
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:13:35.48 ID:zmul/QozO
('、`*川「ハイン、シャキン先生の宿題を忘れるなんてチャレンジャーね」
从 ゚∀从「うっせぇ、ペニサス」
从'ー'从「何で忘れたのぉ〜? 私でさえやって来たのに〜」
从;゚∀从「あー、渡辺……それはだな……」
ハインと呼ばれた少女は言葉に詰まった。
彼女はネット上の掲示板にて、夜な夜な小説を投下しているのだ。
その小説の題名は、
从 ゚∀从ハインは可愛いようだぜ
である。
彼女自身が主人公の物語で、内容は知人に見られたらマズい代物だ。
読者の評判はアレだが、話の中とは言えども
美化160%増の自分がいい男達を侍らすのは気分が良く、
昨晩も夢中になって投下をしていた。
『そんな物を必死で投下していましたー』
『だから宿題を忘れましたー』
なんて言える筈も無くハインは、
从 ゚∀从「……宇宙の端ってどうなってんのかを一晩中考えてたからだぜ」
豪快に直球で嘘をついた。
5
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:15:02.50 ID:zmul/QozO
从;'ー'从「ふぇぇー……哲学ちっくだよぉー」
从 ゚∀从「あと、世界の行く末を1億と2千年後までPCでシミュレートをだな……」
('、`*川(嘘くせっ)
/从;'ー'从\「わけわかんないよぉ〜……」
聞いただけで混乱したのか、渡辺は頭を抱えながらしゃがみ込んだ。
一方、ペニサスは冷ややかな目で椅子に座るハインを見ている。
ハインは不作法に机の上に両足を置いた。
ペニサスの目にはハインのどこか憂鬱そうな顔と、白い下着が映った。
生徒達からは男勝りで知られているハインの今まで見せた事の無い表情に、
戸惑いを隠せずペニサスは尋ねる。
('、`*川「……何かあったの?」
从 ゚∀从「あ? 何が?」
('、`*川「……何でもない。あと、下着見えてるわよ」
从 ゚∀从「減るもんじゃねぇし」
/从 ― 从\「宇宙の果て……1億と2千年後……ブツブツ」
6
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:17:13.06 ID:zmul/QozO
再びチャイムが鳴り、教室に教師が来て授業が始まった。
('、`*川「起立、礼、着席」
学級委員長のペニサスの声に従い、生徒達は席を立ち、一礼をし、席に座る。
毎日繰り返される平凡な日常のワンシーン。
机に顔をつっ伏せ、目を閉じながらハインは思う。
从 -∀从(なーにが゛起立、礼、着席゛だ。もっと面白い事言えよ)
从 -∀从(例えば゛起立、礼、昇竜拳!゛とかよ)
そんな事をすれば、ペニサスが教師に注意されるのは分かっている。
しかし、ハインは望んで病まなかった。非日常を。
从 -∀从(つまんね。授業もつまんね。……寝よ)
ハインは睡魔という名の海の波に流されていく。
次第に光が届かない暗い暗い海の底に落ちて行った。
7
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:19:40.04 ID:zmul/QozO
――――
『ちょっと良いかい?』
優しげな声がハインのすぐ側で聞こえる。
从 -∀从「あー……後にしてくれ」
『少しだけだから』
从#゚∀从「うっせーな! 誰だよ! 寝かせろよ!」
短気な性格の持ち主であるハインは目を開けて、大声でがなり立てた。
そんなハインを待っていたのは有り得ない光景だった。
教師や生徒達の姿が無い。ハインだけがポツンと一人椅子に座っている。
窓の外に目を遣ると、青かった筈の空が暗雲が立ち込めていた。
電気も消えていて教室全体がほの暗い。
从;゚∀从「は?」
脳内処理が理解へと追い付けないハインは、間の抜けた声を出した。
冷や汗を流して、ハインは席を立って教室を見回す。
『こっちだよ』
从;゚∀从「!?」
8
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:22:01.97 ID:zmul/QozO
背後からの突然の声に驚き、ハインは悲鳴を上げそうになった。
胸の鼓動が静かな教室に鳴り響く。
恐る恐るゆっくりと顔を後ろに向けた。
そこには、高校生のハインと同じくらいの年齢だろうか。
しょぼくれた顔をした青年が立って居た。
ハインと同じ学校の制服を着ている。
そして右手にはネギが握り締められている。
(´・ω・`)「こんにちは、ハインさん。僕の名前はショボン」
从;゚∀从「てめえは……何モンだ? これは一体どういうこった」
ショボンと名乗った青年の言葉を無視し、ハインは尋ねる。
そんなハインを全てを見透かした様な目で見つめ、ショボンは口を開いた。
(´・ω・`)「――君は非日常を望んでいるね?」
从 ∀从「ッ!?」
ハインは言葉を失った。
心臓が脈打つ音が先程より大きくなる。息遣いが荒くなる。
この状況に堪り兼ねたハインは、ショボンの胸倉を掴んで大声で怒鳴った。
9
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:25:02.52 ID:zmul/QozO
从#゚∀从「俺の質問に答えやがれ!! 何なんだよ一体!!!」
鬼の様な形相をさらけ出すハインに全く怖気づかず、ショボンは淡々と言葉を投げ掛ける。
(´・ω・`)「君は今の日常が気にいらないんだよね?
だから僕はプレゼントしようと思うんだ。
゛非日常゛を。
勿論プレゼントだから何も代価はいらないよ。
君が『欲しい』と言う、ただそれだけで良い」
从; ∀从「…………」
(´・ω・`)「さぁ、注文を聞こうか」
沈黙するハインにショボンは最後にそう付け足した。
それはノーとは言わせない、ある種の威圧感を秘めた声だった。
胸倉を掴んでいた手を離し、ハインは腕を組む。
ショボンは非日常を無償でプレゼントしてくれるらしい。
ありふれた日常とさようなら出来るのだ。
平凡な日常に飽き飽きしていたハインにとって、願ってもない話だった。
10
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:28:39.50 ID:zmul/QozO
从 ゚∀从(……つーか、これって夢ん中じゃね?)
ここに来てようやくハインは、この状況の真相が分かった気がした。
授業中、ハインは眠りに就いたのだ。
そしてその後に起きている意味不明な状況。
それらを統合して弾き出される解は゛これは夢の中の出来事゛のみ。
そう思うとハインの胸の鼓動と荒い息遣いは収まって行った。
そして、
从*゚∀从「んじゃ、非日常をくれや」
笑いながら軽い口調でショボンに向け言い放った。
その答えを聞いたショボンの表情が、一瞬翳りを帯びたのをハインは見逃さなかった。
从 ゚∀从「どした?」
(´・ω・`)「……いや、何でも無いよ。
放課後に校舎の屋上に来てくれるかい?」
从 ゚∀从「はいはいわろすわろす」
夢の中に現れた人間が現実世界に現れる訳が無い。
おもしれぇ夢だな、とハインは笑う。
夢の中とはいえ、少しだけ非日常に似た物を体験しているハインは満足気に言った。
从*゚∀从「なかなか楽しい夢だぜ」
――――
11
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:30:35.09 ID:zmul/QozO
从'ー'从「ハイン、ハイン〜。もう放課後だよぉ〜」
从 -∀从「Zzz……うるへー」
从 'ー'从σ「あれれ〜? あんな所でドクオ君がクーちゃんとイチャイチャしてるよぉ〜」
从#゚∀从「何だと! よし! 殺す!!」
渡辺の言葉を聞いたハインは眠りから醒め、勢い良く椅子から立ち上がった。
両手は血が滲み出そうなくらい強く握り締められている。
辺りを血走った目で見回すが、ドクオもクーの姿も見当たら無かった。
从*'ー'从「ハインってドクオ君の事、本当に好きなんだね〜」
从 ∀从「…………」
从*'ー'从「えへへ〜。ハイン可愛い〜♪」
12
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:32:58.99 ID:zmul/QozO
まるでバニラエッセンスとメープルシロップを、これでもかと混ぜた様な渡辺の声が、ハインの耳に届く。
そんな甘くおっとりした声に癒される時もあれば、苛々させられる時もある。
この場合は後者だった。ハインは渡辺に思い切りガンを飛ばした。
从*'ー'从「素直になりなよぉ〜。ドクオ君の事好きなんだよねぇ〜」
从#゚∀从「あんなだっせぇ男、好きな訳ねぇだろ!」
ハインとドクオは幼稚園の頃からの付き合い。
尚且、家が隣同士で今でも一緒に登校している。
高校生という青春真っ直中の者達にとって最高の餌であった。
从 ゚∀从「ケッ! ……あれ、ペニサスは?」
从'ー'从「ペニちゃんはクラス集会だってさ〜」
从 ゚∀从「はーん……」
从'ー'从「あ、そうだ〜。忘れてたよぉ〜」
そう言うと渡辺は、ブレザーのポケットから一枚の白い紙を取り出した。
そしてハインに向け、その紙を差し出した。
13
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:35:40.77 ID:zmul/QozO
从 ゚∀从「何だコレ?」
从'ー'从「男の子からハインに渡して欲しいって頼まれたんだよぉ〜」
眉をひそめハインは渡辺から紙を受け取る。
何の変哲も無い、普通の無地の白い紙だ。そこにはこう書かれていた。
从 ゚∀从「…………」
『この手紙を見た時、君は言葉では言い表せない……。いや言い表したいと思う。
君は゛アトラン○スの謎゛ってゲームを知っているかい?
あれだ。あのゲームをプレイしている時の心境だ。
あのゲームはどうかしている気がする。
まだ分からないかな?
ならFC版゛キ○レツ大百科゛をプレイしている時の心境だ。
あのゲームはどうかしている気がする。
これで分かって貰えたと思う。
という訳で放課後、屋上にて待ってるよ。
ショボン』
从 ゚ー从(お前が一番どうかしてるぜ)
14
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:38:15.40 ID:zmul/QozO
从;゚∀从「……っておい!!」
从'ー'从「?」
ハインは紙に書かれている文章をもう一度読返す。
どうでも良い文字の羅列だ。但し最後の文字を除いて。
从;゚∀从(ショボンだと?)
その名前には覚えがあった。
先程、夢の中で出会った青年の名前だ。
『プレゼントしようと思うんだ。゛非日常゛を』
从; ∀从(……どういうこった)
夢の中に居た青年が、ハイン宛てに手紙を書いたとでもいうのか。
それとも実際にショボンという生徒が居て、いたずらをしているのだろうか。
ハインの脳内は混乱を極めた。
从;'ー'从「どうしたのぉ〜?」
从 ∀从「……何でもねぇよ。用事があっから渡辺は先に帰っててくれ」
15
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:41:10.42 ID:zmul/QozO
从;'ー'从「ふぇ? あ、うん。分かったよぉ〜」
渡辺が教室から出て行った。
ハインは渡辺の姿を一瞥も投げずに、紙をただジッと見つめる
从;゚∀从「…………」
教室の窓から淡い光が差し込む。
風が強いのか、窓がガタガタと音を立てて揺れている。
数分の長考の末、ハインは決めた。
从;゚∀从「行ってみっか……」
行けば分かる。心にわだかまりを残したくは無い。
いたずらならば、殴り飛ばしてやっても良いだろう。
ハインは紙を丸め、ごみ箱に捨てる。
そしてゆっくりと歩き出し、教室を後にした。
廊下に出たハインは歩きながら、窓の外を見る。
いつも通りの空にいつも通りの雲。
そしていつも通りに鳥が羽ばたいている。
――今日も日常には異常無し。
16
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:44:12.61 ID:zmul/QozO
つまらない日常との決別。
初めはただ漠然と思っているだけだった。
しかし時を重ねるにつれ、その想いは段々と強くなってゆく。
そして強くなり過ぎた想いは、ある事件が引き金となり爆発しそうになっている。
ハインの心は開ける事が出来ない幻想の籠の中にある。
その籠の扉を開ける事が出来るのならば、怪しげな誘いにも乗ってやろう。
从 ゚∀从「ま、無理だろうけどな」
ハインは屋上扉の前に辿り着いた。
冷たさを感じる錆びた鉄製の扉が目の前にある。
ガタンガタン、と風に叩かれて音を立てている。
ハインは過去数回、この扉の先を訪れている。――自殺をする為に。
だが四階建ての校舎の屋上から見下ろした地面までの距離は、恐怖を抱くには充分な遠さだった。
从 ∀从(…………)
ハインは手を震わせドアノブを握る。そして少しづつ扉を開いた。
扉の先でまず待構えていたのは思っていた通り、強い冬の風。
ハインは風に揺らされる髪の毛に手を当て、細目で先を見渡す。
狭い視界に映ったのは空と雲と鳥と、そして非日常の姿。
17
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:46:19.67 ID:zmul/QozO
(´・ω・`)「やぁ、必ず来てくれると思っていたよ」
从;゚∀从「…………」
夢の中で見た青年、ショボンだ。やはり右手には何故かネギが握られている。
ハインは我が目を疑いながら、震える足に力を込め、ショボンに近付いて行く。
ショボンとやや距離がある所で、足を止めた。
从;゚∀从「あのよ……」
(´・ω・`)「先に言っておくけど、僕はこの学校の生徒じゃないよ。僕は、そう」
☆⌒(´>ω・`)「魔法使いさっ」
从∀゚ 从「失礼しましたー」
やはりいたずらだったんだ。ハインは手を振って踵をめぐらせる。
そんな彼女の背中に、力強い声が掛けられた。
(´・ω・`)「――約束通り非日常、くれてやんよ」
18
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:48:52.56 ID:zmul/QozO
从∀ 从「!?」
その声によりハインの動作がピタリと止められる。
ハインの願いは自分自身しか知らない。友人には打ち明けた事が無かった。
だがしかし、ショボンは知っている。
ハインの心の中だけにある願いを。
全身に寒気が駆巡る中、ハインはショボンに振り向き問う。
从;゚∀从「……お前、何でそれを?」
(´・ω・`)「信じてくれたかい? なら早速始めようか」
そう言うとショボンは握っているネギを天へと振り翳し、呪文らしき物を唱えた。
*``・*。
| `*。
,。∩ *
+ (・ω・`)*+゚
`*。 ヽ つ*゚* リリカル トカレフ k○ll them all!!
`・+。*・`゚⊃ +゚
☆ ∪~ 。*゚
`・+。*・ ゚
从;゚∀从「パクリかよおおおおおぉぉぉ!!!!!」
19
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:51:35.94 ID:zmul/QozO
呪文を終えたショボンが握るネギは光輝いている。
今、新種のネギが誕生したのだ。
名を付けるとするならば、ディバイン・ネギだろう。
从;゚∀从「……こんで終わりか? 何か変わったのか?」
(´・ω・`)「まだだよ。今このネギに魔力を込めた。
そして発動するにはこのネギをだね……」
(´゚ω゚`)「君の尻穴に刺さなければならないッッ!!!」
从 ゚∀从「あ?」
理解に苦しみ呆然とするハインへと、ショボンは疾風の如く駆け出した。
迫り来るショボンは狂気染みた目をしている。
その目を見たハインはショボンが本気である事を悟った。
从;∀从「ちょwwwこっち来んなwwwww」
ハインは涙目で逃げ出そうとする。
しかし、その判断がいけなかった。
身を翻した時に出来た隙を突き、ショボンはハインへと飛び掛かったのだった。
21
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:54:01.86 ID:zmul/QozO
ショボンに背後からのし掛かられ、ハインは地面へと前のめりに倒れ込んだ。
ハインの首筋をショボンの荒い息が撫でる。
ガッシリと組み伏せられ、ハインは身動きが取れない。
目に涙を浮かべてハインは絶叫する。
从∀;从「やめろ! やめてくれ!!」
(*´゚ω゚`)「僕だってこんな真似はしたくないッ!
でも腸から魔力吸収するのが効果が早く出るんだよ!!
し、仕方が無い事なんだ!!!」
从∀;从「う、嘘つけ! てめえ楽しそうだぜ!!?」
(*´゚ω゚`)「それにほら、これも非日常っぽいじゃないか!!!」
从∀;从「これは非日常じゃねえだろ! 非常識だ!!」
ショボンは器用にハインのスカートの中へと手を入れ、下着を脱がしにかかった。
段々と露になるハインの、艶やかなお尻。
その尻穴にディバイン・ネギがあてがわれた。
从∀ 从(オワタ)
22
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 10:57:05.65 ID:zmul/QozO
ハインが諦めかけたその時である。
屋上の扉がガチャリと開かれた。
天の助けか、そこから現れたのは三人の男子生徒。
(,,゚Д゚)(;'A`)(・∀ ・)
不良グループのギコとまたんき、そして気の弱い幼馴染みのドクオだ。
きっと、屋上でドクオをいじめるつもりなのだろう。
何時もなら助けてやる所だが、今はそれどころでは無かった。
ハインは三人へと助けを求める。
从∀;从「お、おい! お前ら助けてくれぇ!!」
(*´゚ω゚`)「僕達の愛の営みを邪魔しないでくれ!!」
(,;゚Д゚)(;'A`)(・∀ ・;)「………………」
三人はただ黙って様子を見るだけに止どまった。
放課後の屋上で、女子生徒が男子生徒に組み伏せられ、ネギを尻に突っ込まれようとしている。
三人の脳のキャパシティーを軽く超えていたからだ。
(*´゚ω゚`)「さ、さぁ、入れるよ!!」
从∀;从「カァァァァァネギィィィィhooooooole!!!??」
(,,゚Д゚)('A`)(・∀ ・)
―――尻の穴にネギが入る瞬間を初めて見てしまった。
24
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:00:01.70 ID:zmul/QozO
――――
从;∀从「うっ……うっ……」
ハインは地面に横たわりながらすすり泣く。
それもこれも後ろの初めてを奪われたが故にだ。ネギで。
そんなハインへとどこか満足気な表情で見下ろし、ショボンは口を開く。
(*´・ω・`)「効果は明日の朝から現れるよ。
君が望んでいた゛非日常゛が明日から始まるんだ」
ショボンはそう告げ、屋上から立ち去ろうとする。
ゆっくりと数歩歩いた所で立ち止まり、チラリと振り向いた。
そして小さな声で囁く。何処か悲しみがこもった重々しい声。
( '・)「……僕はね、平凡な日常こそ幸せだと思うよ。
平凡な日常の中で何か楽しい事をひたすら探すんだ」
从;∀从「…………?」
『また、会おう』
その言葉を最後に、ショボンは屋上から去って行った。
25
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:02:44.81 ID:zmul/QozO
从#;∀从「もう、わっけ分かんねぇ!!」
ハインは全身に力を込めて立ち上がる。
喚き散らしながら、足早に扉へと向かって行く。
言うまでも無く、ネギは尻に刺さったままである。
(,,゚Д゚)('A`)(・∀ ・)「………………」
(,,゚Д゚)「俺達も帰るか」
('A`)「そうですね、ギコさん」
(・∀ ・)「帰ろう」
(,,゚Д゚)「つーか、あいつ風邪ひいてんのか?」
('A`)「ネギだし。多分そうだと思います」
(・∀ ・)「ネギだからねー」
(,,゚Д゚)「効くんかな、アレ」
('A`)(・∀ ・)「さぁ…………」
26
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:04:32.68 ID:zmul/QozO
ハインはネット小説の投下を終え、両腕を上げて背筋を伸ばす。
PC内蔵の時計に目をやると時刻は丁度24時。
そろそろ寝なくては明日に差し支える時間だ。
ハインはPCの電源を落とし、席を立つ。
そして女の子らしい淡いピンク色で統一された布団へと、もぞもぞと潜り込んだ。
从 -∀从「今日は散々だったぜ……」
目を閉じ、今日起こった事を思い起こす。
ショボン、明日から始まるらしい非日常、幸せ、ネギ――。
从 ゚д从「ネギ?」
果たして自分はネギを抜いただろうか。
屋上で酷い目に会ってから記憶が無い。
気が付けば自宅へと辿り着いていたのだ。
嫌な汗が身体中から溢れ出てくる。
ハインは自分の尻へと恐る恐る手を伸ばす。
すると指先が悪魔に触れた。
?从 ∀从「ちょwwwwww」
深々と突き刺さったネギとの、長い戦いの幕が開けた。
27
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:06:28.23 ID:zmul/QozO
リリリリリリリリリ――カチッ。
从´―从「ネギが……ネギ……もうちょい寝させやがれ……」
目覚まし時計のベルを止めたハインは、再び眠りに就こうとした。
無理もない。昨晩は夜遅くまで勇敢に戦ったのだから。
今日は休もう、とハインは枕を胸に抱いて意識を睡魔へと明け渡す。
だが、そんなハインを邪魔する者が現れた。
ピーンポーン。
インターホンの音だ。毎朝ドクオが迎えに来るのだ。
ハインは耳を塞ぎ、シカトを決め込む事にした。
从 -∀从「わりぃな。学校行く気分じゃねぇんだ……ムニャムニャ」
『いいや! それは良くないぞ、ハイン!!』
从;゚д从「ド、ドクオ!?」
すぐ側でドクオの溌剌とした声がした。
何故自分の部屋でドクオの声が聞こえたのだろうか。
ハインは驚き、布団から勢い良く身体を起こす。
枕元には一人の修羅が立っていた。
28
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:08:41.53 ID:zmul/QozO
ヽ('A`)ノ 今日も元気に学校へ行こう!!
( )
ノω|
己を解き放った全裸で。
从 ∀从 ゚ ゚
ハインは一瞬目の前が真っ暗になったが、気を持ち直して思考する。
いつもネガティブなドクオが、この上無いポジティブな発言をした。
いや、その前に大きなおかしな点がある。
从//∀从「服! 服着ろよてめえ!!」
('A`)「何を言ってんだ? これはファッションだ!」
从 ゚ω从「………………なら仕方ねーよな」
('A`)「しょうもない事言ってないでさっさと支度しろ!」
从 ∀从「あ、はい」
('A`)「飯作ってやるから着替えて居間まで来い!」
从;゚∀从「……ここ俺んちだよな?」
30
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:11:15.77 ID:zmul/QozO
ハインは制服に着替えながら、今自分が置かれている状況を整理する。
脳という物は例えるならば棚だ。日々の記憶が膨大な数の棚の中にしまわれている。
その中から複数の棚を開き、中から出した物を結合していく。
これこそ記憶を力に変えて創造するという事、かどうかはよく分からない……。
从 ゚∀从(……まさかこれが゛非日常゛って奴か?)
ハインは昨日ショボンに言われた事を思い出した。
『効果は明日の朝から現れるよ。
君が望んでいた゛非日常゛が明日から始まるんだ』
从 ゚∀从(………なるへそ)
これで何故ドクオが全裸なのかを理解出来た。
今日から愛して病まなかった゛非日常゛という名の日常が始まるのだ。
それならば精一杯楽しんでやろうじゃないか、
とハインは心を弾ませ、ドクオが待つ居間へと向かった。
32
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:13:57.54 ID:zmul/QozO
居間のテーブルにはうどんが入っているお椀が置かれていた。
上に揚げとネギが盛られた至ってシンプルな物だ。
从;゚∀从「朝からうどんかよ」
(#'A`)「何か文句あるって言うの!?」
裸にエプロンという出で立ちのドクオは、鬼嫁の如くハインをキッと睨む。
从;゚∀从「いや、ねーよ」
ハインはドクオに気圧され椅子に座り、うどんを食べ始めた。
揚げとネギとうどん麺とだし汁が奏でるシンフォニー。
从*゚∀从「こいつはうめえ……」
('A`)「だろ? お前の部屋にあった光輝くネギを使ったんだが、こいつがなかなか……」
从;∀从「うどんげいんんんんンンンッッ!!?」
(#'A`)「何 故 噴 い た ! 勿体ねぇだろが! 全部食えよ!!」
从;∀从「んな事言われても……」
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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:17:00.99 ID:zmul/QozO
从;∀从「うめえ……うめえな、こんちくしょう……」
ハインは涙を流しながらうどんをすする。
鼻の穴からは噴いた拍子に出たのか、一本のうどんが垂れ下がっている。
正直な所ドクオをぶん殴ってやりたかった。
しかし長い付き合いの中、初めてドクオが自分の為に手料理を振る舞ってくれたのだ。
怒りより乙女心が勝った。勝ってしまったのだ。
ドクオは美味しそうにうどんを食べるハインの前の席に座り、頬杖をついて話し掛けた。
('A`)「…………なぁ」
从;∀从「何だよ?」
('A`)「お前、この家に一人で暮らしてるとか寂しくねぇか?」
从 ゚∀从「………べっつに」
今のVIP高校へと進学してからすぐに、ハインの両親は事故で他界している。
親戚が引き取るという話もあったが、ハインは頑なに断った。
両親と過ごした思い出に必死でしがみついたのだ。
从 ゚∀从「何だよ、突然」
('A`)「………べっつに」
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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:19:33.64 ID:zmul/QozO
ドクオは、ハインと同じ台詞で返した。
ハインはうどんを啜るのを止め、ドクオを睨む。
昔から変わらない陰鬱とした顔がハインの目に映る。
ジッと見つめていると不意にドクオと目が合った。
気恥ずかしさからか、ハインはそっぽを向く。
('A`)「どした?」
从* ∀从「べ………べっつに」
二人だけの空間に静寂が訪れる。
ハインがずるずるとうどんを啜る音だけが部屋に響く。
从* ∀从「…………」
こんな穏やかな時がずっと続けば良いのに、とハインは思う。
だけど神様という奴は何時如何なる時も悪戯好きだ。
ハインがうどんを食べ終わったと同時に、インターホンの音が鳴った。
从 ゚∀从「誰だ?」
('A`)「二人きりで登校とか寂しいからな。クーを呼んどいた」
从 ゚∀从「クーを?」
36
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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:21:15.75 ID:zmul/QozO
クーはドクオと同じく、幼稚園の頃からの付き合いだ。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能……。
大方の褒め言葉はクーの為にあると言っても過言では無い。
唯一欠点があるとすれば、しれっと素直に物を言ってしまう点くらいだろう。
そんなクールな彼女の物腰から゛クー゛というあだ名が付けられた。
本名は行方不明 万子(なめかたしらず よろずこ)という。
从;゚∀从。oO(川 ゚ -゚)『人が呼んでるんだから早く出て来ないか。大体、昔から君はだな――』)
ハインの脳内で、クーの小言がエンドレスで聞こえる。
ピーンポーンピーンポーンピピピピピピピピピンポーン。
从;゚∀从「あの野郎、怒り狂ってやがる……。ドクオ行くぜ!」
('A`)「お前歯磨いてなくね?」
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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:25:15.89 ID:zmul/QozO
学生鞄を持ち、ハインは急いで玄関へと向かう。
ドクオは裸エプロンのまま、ハインを追いかける。
どう見ても女子高生が変態に襲われている光景だろう。
――ピピピピピピピピピピピピピピピピピピンポーン。
玄関扉の先には、いつも通りの日常――
ピーンポーン。
ガチャリ。
川*^ー^)「遅いぞー♪ ドクオ君とラブラブしてたのかなっ?」
は無かった。
从 ゚∀从「えーっと……お前誰よ?」
川*゚ー゚)「???」
('A`)「おはよう、クー」
日常と非日常が恋をした。
夢にまで見ていた楽しい楽しい幻想が、始まった。
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支援有難う御座いました
:2007/11/28(水) 11:27:42.76 ID:zmul/QozO
あとがき
出てこなけば、やられなかったのに!!
39
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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 11:30:09.79 ID:zmul/QozO
普通のあとがき
今書いている物が詰まってのでついカッとなって投下しました。
全国のネギ農家さんにはごめんなさいしたい。
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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2007/11/28(水) 13:34:27.93 ID:zmul/QozO
……サブタイ忘れてた。
第0話
「サブタイ? そんなのもあったね」
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