3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:14:26.95 ID:OJvlAwULO
ねえ
どうして?
どうして君は
ここにいないの?
あたしの傍に。
―――('A`)世界と僕のようです
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:16:47.65 ID:OJvlAwULO
私には、ずっとずっと好きな人がいる。
欝田独男
色素の薄い髪。
どこか遠くを見ている様でその実、しっかりと全てを見据えている瞳。
どこまでも通る声。
私はそんな彼が大好きだった。
彼を初めて見たのは去年の事だった。
その頃私は、体が弱く、よく体調を崩していた。
その日も学校に来たは良いが体調を崩し、廊下の隅に蹲っていた。
みんなが私なんか見ずに
―今考えると、きっと私は誰にも見えていなかったのだろう―過ぎ去って行くなか、彼だけが私を見付けてくれた。
('A`)「大丈夫?体調悪いなら保健室にでも…」
そう言って、友人と一緒だったにも関わらず、私を保健室まで連れていってくれた。
その時から、きっと
私は彼を好きになっていたのだろう。
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:18:24.94 ID:OJvlAwULO
彼はもてる。
優しいし、いろんな事によく気が付く。
男女共に評判が良い。
成績はずば抜けて良いと言う訳では無いが、悪くもない。
普通と言うやつだ。
だが先生方からの評判も良い。
私はいつからか、そんな彼を噂する声や、誉め称える声に、喜びを感じるようになっていた。
そんなある日。
放課後、偶然通りかかった裏庭。
見覚えのある背中を見付けた。
……私が間違える筈が無い。
ドクオ君だ。
声をかけてみようと思い、ゆっくりと近付いた。
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:20:16.98 ID:OJvlAwULO
…………彼は、女と一緒だった。
私は二人から気付かれない様に、物陰に隠れて二人の会話を聞くことにした。
ミセ*゚ー゚)リ「あ、あの…。ドクオくん…、あのね、…私」
告白、と言うやつだろうか。
何故か、私はその女の子に苛立ちを覚えた。
自分でも、気付かないような微かな苛立ち。
ミセ*>ー<)リ「す、好きです!私と、付き合ってもらえませんか…?」
目の前が、暗く、なった気がした。ドクオくんはどう答えるのだろう…。怖い。
('A`)「…………ごめん。その気持ちは嬉しいけど…。本当にごめん」
その言葉を聞いた途端、ほっとした。
次の瞬間。
笑いがこみ上げてきた。自分の立場もわきまえずドクオくんに告白してきて、振られた無様な女。可哀想ね。
でも貴方じゃ釣り合う訳が無いのよ。
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:22:02.65 ID:OJvlAwULO
そう思いながらまだ続いていた二人の会話に耳を傾けた。
ミセ*゚ー゚)リ「ど、どうして!?ドクオくん好きな人いるの?」
好きな人。いるのだろうか、ドクオくんに。
また心臓がどきどきしてきた。
('A`)「…………うん。ごめん」
目の前が、暗く、何も見えない。
誰?誰?誰!?
ミセ*゚ー゚)リ「そ、そっか…」
('A`)「ごめん」
ミセ*゚ー゚)リ「う、ううん!良いよ!こっちこそごめんね!それじゃあ、また」
('A`)「ああ、また」
もう二人の会話は聞こえてこなかった。耳をすり抜けて行く。
誰?ドクオくんの好きな人。
…………そうだ、調べなきゃ。
ドクオくんに似合う人じゃ無きゃ許さないんだから。そう思い、私は急いで教室に戻った。
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:24:33.14 ID:OJvlAwULO
彼が親しくしている女を片っ端から調べあげる。彼の好みは知っている。
親しくしている女の中から、好みと思われる女をリストアップしていく。
その数、10人。
「…10人。この中に、彼が好きな人がいるのよね…」
それは誰?
きっとこの10人も彼の事を憎からず思っているだろう。
だって彼を嫌いだと言う人は聞いた事が無い。そう、彼は人気者。その事実が、私を酷く喜ばせた。
―――何故かは、分からないけど。問題はここからどう絞るかだ。
考えても考えても分からない。ふと時計を見たらもう19時だった。
私は教室で2時間も考えてもいた事になる。
その事実に少々驚きながらも帰る支度をして、帰路に着いた。
家へ向かう途中、ドクオくんを見た。
先程リストアップ10人の内の一人と一緒だ。親しげに話している。
『……まさか、あの子が?』
その親しげな二人を、それ以上見ていられなくなって、私は家へ急いだ。
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:25:33.40 ID:OJvlAwULO
翌日。
学校へ行くと、ドクオくんが落ち込んでいた。
珍しい。
彼は落ち込んでいてもあそこまで表に出さない人だから。
クラスメイトの話を聞くと、友人が亡くなったらしい。
その亡くなった友人と言うのは、昨日見た親しげな女子だと言う。
私は複雑な反面、嬉しかった。
彼に似合わない女が一人消えたのは嬉しい。
でも、彼があんなに落ち込んでいるのは見たくない。
でも、普段から仲が良いわけでは無い私には、彼に何も出来なかった。
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:26:22.14 ID:OJvlAwULO
翌日。
今度は、二人死んだらしい。
偶然なのだろうか?
彼が親しくしていた子ばかり…。
奇妙な偶然。
彼の落ち込み様を見て悲しい気持ちになる。
でもやっぱり少しだけ嬉しい。
これでまた、彼にふさわしくない女が消えた。
あと、7人。
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:27:38.98 ID:OJvlAwULO
3人死んだ。
ドクオくんにふさわしくない女はみんな消えた。
ふふ、ふふふふふ。
でも、ドクオくんにふさわしい人って誰なのかしら?
もう一度、彼の好みのタイプを思い出す。
小柄な身長
さらさらの黒髪
優しい性格
おしとやか
元気過ぎるよりだったら少し体が弱い位が良い
あら?
これって私?
何だ、ドクオくんってば、私の事が好きだったのね?
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:28:56.43 ID:OJvlAwULO
ならそうだと言ってくれれば良いのに。
だって私だって貴方の事が大好きなんだもん。
(;A;)
やだなぁ。泣かないで?
あ、手が汚れてるから拭ったらドクオくんの顔が汚れちゃうね。
あ。服も汚れちゃってるから服に拭っても意味無いや。
あはは。
赤いね。
私何したんだっけ?
ああ、そうそう。
ドクオくんにふさわしくない女をね、みんな掃除したの。
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:30:11.79 ID:OJvlAwULO
あんな人たち、傍にいるだけで悪影響だわ!
でももう大丈夫。
ドクオくんの傍には私だけだし。
…………痛っ
……どうして?どうして
私を突き放すの?
痛いよ。
(#;A;)
危ないじゃない。
痛っ!やめて、蹴らないで!!どうして!?何でこんな事するの!?
…………ああ、そっか。
もう骨の髄まであいつらに汚されちゃったんだね?
可哀想なドクオくん。
でも大丈夫!
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:32:39.90 ID:OJvlAwULO
ζ(ー*ζ世界が助けてあげるよ。
ドクオくん。
大好き
ζ(゚∀゚*ζア イ シ テ ル
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/03(土) 00:34:20.40 ID:OJvlAwULO
以上で終わりです支援ありがとうございました
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- 2009/01/03(土) 01:59:21|
- ブーン系小説(短編)
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