上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- --/--/--(--) --:--:--|
- スポンサー広告
-
-
311 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 17:32:24.43 ID:V3kDELJoO
君はころりと地面に横たわっていた。
僕はそのさらさらの白を撫でようとしゃがみこんで、そっと手を伸ばす。
指先に触れた君はひどく冷たくて、僕は妙に悲しくなったんだ。
真っ白で痩せ細った君は、雪の降る中、何を思うんだろうね。
ねぇ、寒いと思わないかい。
僕も寒いんだ、だから暖めておくれよ。
寒いんだ、寒くて寒くて、泣いてしまいそうなんだ。
ねぇ、しぃ
僕を暖めておくれよ。
静かな夜のようです。
313 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 17:34:14.51 ID:V3kDELJoO
君はよく僕の膝に乗って、頬擦りをしては僕に甘えてきたね。
この時計ほしいなあ、なんて雑誌を見ている僕の膝に乗っかって。
ふわふわでさらさらで、とても暖かい君。
僕はそんな君が大好きで、何度も抱き締めようとした。
けれど君は抱き締められるのが嫌いだから、嫌がって暴れて、蹴られたり噛まれたりしたっけ。
手や顔にたくさん傷が付いたけど、不思議と嫌な気分はしなかったんだ。
君が確かにそこに居る、それが幸せだったから、蹴られたって引っ掛かれたって、なんにも気にならなかったのかな。
ねぇ、しぃ
こないだ君に引っ掛かれた頬の傷、まだ痛むんだよ
ねぇ、頬擦りをして、いつもみたいに少し申し訳なさそうな顔をしてよ。
膝の上に乗って、首を傾げてよ。
314 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 17:36:06.64 ID:V3kDELJoO
あれはいつ頃だったかな、僕がツリーの飾りつけをしている時。
君がツリーに悪戯をして、ツリーを倒してしまったんだ。
ツリーは折れて、オーナメントはぐちゃぐちゃで。
つい、かっとなって君に怒鳴り付けてしまったね。
ごめんね、驚いただろう。しょうがない事だとわかっていたのに、つい怒鳴ってしまったんだ。
君は、僕の声に驚いて家から飛び出してしまった。
慌ててそのあとを追いかけたんだけれど、君の姿、あっという間に見失ってしまった。
ずっと探したんだよ。
ずっとずっと探したんだよ。
それでも君は見つからなかったんだ。
316 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 17:38:03.24 ID:V3kDELJoO
君は何日経っても帰ってこなくて、僕は君がお腹を空かせていないか、寒がってはいないか、ずっと心配だった。
事故にでもあってたら、誰かにつれてかれてたら。
ずっと、胃を痛めながら過ごした。
何で怒鳴ったりしたのかと、ひどく後悔した。
お願いだから帰ってきてと、膝の上にいない君に涙した。
それでね、今日、雪が降る中、傘をさして出掛けていたんだ。
そうしたら、通りかかった路地の奥に見えたんだ。
僕が君に巻いてあげたリボン。
そして、真っ白な君の姿。
318 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 17:40:06.33 ID:V3kDELJoO
もう辺りは暗くて、それでも君の姿は白く浮かぶようによく見えた。
慌てて駆け寄った僕は、君の前にしゃがみこんだ。
君はとても冷たくて、動かなくて。
君の隣には、僕が欲しがっていた時計が転がっていて。
ごめんね、ごめんね、ごめんね、
僕が怒ったから、だから、君は、
あああ、僕は、もっと早く、君を見付けるべきだった。
こんなに冷たくなる前に、見つけなきゃいけなかったんだ。
しぃ、しぃ、ねぇ、しぃ
僕の膝に乗って、頬擦りしておくれよ。
ねぇ、しぃ
319 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 17:42:05.78 ID:V3kDELJoO
僕は傘を投げ捨てて、君を抱き締めた。
小さくて冷たくて、固くなってしまった君を。
見てごらんよしぃ、雪が降ってるよ、君みたいに真っ白だよ、ねぇ。
( ・∀・)「……ねぇ、しぃ……綺麗だね」
僕の呟きは、夜と雪に消えて行く。
冷たい君は、もう動かなくて、
(*^ー^)『にゃあん』
君の声が聞こえた気がした。
でも君は、くったりと目を瞑っている。
夜はとても静かで、静かで
僕としぃを、ゆっくり雪の中に消して行くように、ただただ、静かだった。
おわり
スポンサーサイト
- 2008/12/26(金) 04:19:06|
- ブーン系小説(総合)
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0