63 名前:名も無きAAのようです :2013/11/20(水) 01:33:42 ID:fM6XBg1U0
 
(;'A`)「はぁっ……はぁっ……! クソッ! クソォッ!」

ようやく逃げ込んだ荒れ果てた資材倉庫の中で、ドクオは誰に向けるでもない怒りを撒き散らしていた。

川lli - ) ヒュー...ヒュー...

その腕の中では彼が命を懸けて愛したはずの女性が意識を失いぐったりと腕を垂らしていた。
彼女の顔色は信じられないほど悪く、吐く息は弱々しげで、その生命の灯火が今にも消えようとしているのは誰の目にも明らかだった。

(#;A;)「ちくしょうっ! くそったれめ。化け物どもめ……。許さねぇ。全員残らずたたっ殺してやる!!」

(;^ω^)「ド、ドクオ……気持ちはわかるけど今はとりあえず落ち着いて……」

そんな親友と姿を見て、ブーンはただありがちな慰めの言葉をかけるしかなかった。
ドクオはその言葉に、ブーンの胸ぐらを掴みあげることで応じた。

(#;A;)「落ち着け!? これで落ち着けって!? クーがやられたんだぞ!! これで落ち着いていろってのか!!」

(#^ω^)「だったら! そのクーに最期に残された時間を怒りのままに終わらせるつもりなのかおっ!!」

襟元を掴んで激高するドクオを、しかしブーンは一喝する。

(#^ω^)「今のクーを見ろお! この期に及んで薄甘い嘘で誤魔化す意味なんてない、だから簡潔に事実を述べるお。
       ……クーはもう助からないお。ツンと同じように。だったらその最後の数分を、どうしてクーの望むようなドクオでいてあげられないのかお!!」

(#;A;)「…………ッ!」

ブーンの言葉にドクオは黙りこむ。
その怒声が気付け代わりとなったか、倒れこんだクーがゆっくりとまぶたを開けた。

64 名前:名も無きAAのようです :2013/11/20(水) 01:34:56 ID:fM6XBg1U0

川lli -゚)「……う……。そこに、いるのは……ドクオ、と、ブーン……か?」

(;'A`)「クー! 気が付いたのか!?」

川lli -゚)「……私、は……」

(;'A`)「クー! それ以上喋るな! 大丈夫だ、お前は……」

川lli -゚)「ドクオ……いいんだ。自分の体だ……もう、ダメそうなことぐらいは……自分でわかる……」

そう言ってクーは片方の口元を釣り上げて笑った。いや、笑おうとした。
弱り切ったクーの身体は、いつものような表情を形作ることさえも彼女に許さなかった。

川lli -゚)「なあ、ドクオ……お前に頼みがあるんだ……」

(;'A`)「頼み……?」

そう聞き返しながらも、ドクオはおおよそ彼女の『頼み』とやらの見当はついていた。
身体は、心は全力でその解答を認めるのを拒み、少しでもその認識を先送りにするための尋ね返しだった。

しかしクーは、そんなドクオの心情を見透かした上で無視するかのように、笑うことも出来なくなった口から言葉を紡ぐ。


川lli -゚)「お前の手で……私を殺してくれ……」


.

65 名前:名も無きAAのようです :2013/11/20(水) 01:36:25 ID:fM6XBg1U0

(;'A`)「…………!! い、嫌だ!!」

川lli -゚)「頼むよ。私は……私であるまま死にたい」

(;'A`)「それだけは……その頼みだけは聞けない……っ!!」

川lli -゚)「あんな化物には……私はなりたくない……。お前の知ってる……『素直クール』として、死にたいんだ……」

(;A;)「でも……でも、それだけはっ……!!」

川lli -゚)「……そうか。確かに、ドクオには酷過ぎるかもな。なら……ブーン。どうか、頼まれてくれないか……」

( ^ω^)「…………把握したお」

(;A;)「!? ブーン!! テメェ、まさかとは思うが……本当にクーを殺すってのか!?」

( ^ω^)「……その通りだお。僕はクーを殺すお」

(;A;)「なっ……ふざけんな!! たとえクーが頼んだことだって、いくら親友とはいえ、それだけは絶対に許さねぇぞブーン!!」

川lli -゚)「いいんだ……ドクオ。ブーン、すまない……ありがとう……」

クーは意思とは関係なく小刻みに痙攣する手をブーンに伸ばそうとしたが、結果はなんとか数本の指を持ち上げられたにすぎなかった。

(;A;)「ダメだ!! なにか……絶対になにか打つ手はあるはずなんだ!!」

川lli -゚)「ブーン、なるべく早くして……もう、意識がほとんどないんだ……。寒い……」

( ^ω^)「ドクオ、そこをどけお」

(;A;)「嫌だ!! どうしてもクーを殺るってんなら、まず俺を殺してからやれ!!」

クーへと向かおうとするブーンと、その前に立ちふさがるドクオ。

もみ合いになる二人にクーがなんとか声をかけようとしたその瞬間。とうとう、『それ』はやってきてしまった。

66 名前:名も無きAAのようです :2013/11/20(水) 01:38:08 ID:fM6XBg1U0

川lli -゚)「ド、く――――……。うっ!?」

(;^ω^)「!」

(;A;)「!!」

川lli; Д )「がはっ! ゲホガハッ!! あっ、がっ、がああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

全身のあらゆる筋肉をガクガクと激しく痙攣させ、人間の声帯の限界を越えて叫び声を上げるクー。
かつての彼女のメゾソプラノの声からは想像もつかないような、周囲の全てを震わせる絶叫。
それはブーンとドクオ、先ほどまでもみ合いをしていた二人を凍りつかせるのに恐怖を与えるのには充分過ぎるものだった。

その数十秒の叫喚が終わると、自らの筋繊維さえも引きちぎるような痙攣もピタリと止まった。
そして、それはついさっきまで存在していた『素直クール』という人格がこの世界から消失し、かつて彼女だった血と肉の塊だけがこの世に残された瞬間だった。

川  ∀ )「―――――……あ……ああ。―――……ドク、オ……」

そして、その彼女の姿をした血肉の袋がぶつぶつと何かを呟きながらゆっくりと立ち上がる。

(;A;)「あ、あ……クー。…………嘘だ……」

(;^ω^)「…………………」



v川(゜)Q(゜)川v「ドォォォォォォォォクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥオォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッ!!!!!!!!!11」



(;A;)「嘘だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!」







   新型病原体『ADP-2N』のようです




完全に出オチでなんかもうこれで完結しちゃった感が否めないので公開未定


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