- 2 名前:名も無きAAのようです :2013/09/20(金) 21:44:32 ID:vLfz9J6I0
- 神様と言うのはとても気まぐれで、適当な者なのだろう。
そしてその気まぐれは幸も不幸も、もたらしてくれるらしい。
- 3 名前:名も無きAAのようです :2013/09/20(金) 21:45:53 ID:vLfz9J6I0
- 【古い文献】
21XX年。地球は人の住めない大きな廃墟となっていた。
度重なる大気汚染などにより、土から人間にとって有毒なガスが吹き出すようになったのである。
ガスは人間にしか効かず、動物には影響は無かった。
そのおかげで、人類は三種類の選択を迫られた。
1つ、月や金星に移住するか。
2つ、地球にある僅かなガスの発生しない地域で暮らすか。
3つ、ガスに撒かれて死ぬか。
- 4 名前:名も無きAAのようです :2013/09/20(金) 21:47:46 ID:mz84Iv.s0
- 大半の人間は1を望んだ。その頃には、他の惑星に移住するだけの技術があったからである。
だが、一番の安全圏に避難できるのはやはり有権者だった。一般庶民には地球に残る以外の道はなかった。
残された人類は戦争や飢餓などで、2/3程の同胞を失ってしまう。
そして、今からまた、心地よく住める地球にしようと豪語する者もいたが、気付くのが遅すぎた。
人類は住む場所をおわれ、技術も廃れ、緩やかに衰退の道を歩んでいた。
- 5 名前:名も無きAAのようです :2013/09/20(金) 21:49:43 ID:NEU0Mktc0
- 【図書館】
( ´_ゝ`)「ふぅ…」
目の前に積まれた本を一通り読み終わると、大きく伸びをした。バキバキと関節が鳴る。かなり長い間同じ体勢をしていたようだ。
ふと、窓の外を見ると夕焼けで、景色が赤くなっていた。
( ´_ゝ`)「閉館時間ですね…っと」
高く積まれた本を幾度かに分け、本棚に直していく。
何回も繰り返し読んでいる本なので場所を間違えることはない。
(*´_ゝ`)「�♪」
今日の夕飯は何にしようか、お隣さんにトマトを分けてもらったからオムライスでも良いかも知れない。上機嫌にそんな事に思いを馳せながら最後の一冊を棚に直し、受付カウンターまで戻る。
- 6 名前:名も無きAAのようです :2013/09/20(金) 21:52:01 ID:tEwyx6k60
- ノパ听)
少女が、いた。
先ほどまで自分が座っていた椅子に座り、ガタガタと椅子を揺らして遊んでいる。
赤い、短い髪の毛。勝ち気な瞳。5、6歳程の見た目。高価そうな服。
……見覚えのない少女だ。この小さい村に見覚えのない少女などいない筈だ。
と、いろいろ考えているうちに
パ听)
目があった。否、合ってしまった。
じっ、と緋色の目が俺を見据えている。
(;´_ゝ`)
なにか良くない予感がする。
どうしよう、何か声を掛けようか、と悩んでいる間に少女は俺の足元に立って、こう言い放った。
ノパ听)「お兄さんみたいな人の事、ろりこんって言うんだろ!!」
…奇妙な少女と知り合った。
○ ○ ○ ○
- 7 名前:名も無きAAのようです :2013/09/20(金) 21:57:45 ID:NEU0Mktc0
- (;´_ゝ`)「ええっと…?」
まず、何処から突っ込めば良いのでしょうか。
しらない おんなのこ に とつぜん ろりこん と よばれて しまいました。
しらない。そうだ、知らないと言う事はあり得ないのだ。
(;´_ゝ`)「…君?はどうして此所にいるんだ?」
ノパ听)「見てて楽しいから!」
ふむ、俺はこの子と話すことが苦手だ。
(;´_ゝ`)「お父さんとお母さんは何処に?」
ノパ听)「お空」
- 8 名前:名も無きAAのようです :2013/09/20(金) 22:02:42 ID:Q3A2zQ/.0
- おっと、地雷を踏んでしまったか?少女はムスッとして椅子に座りこんでしまった。
(;´_ゝ`)「あ…ごめんね?」
ノパ听)「別に良いよ。本当のことだもん」
うーん…やりづらい子だ。
質問攻めにするのも悪い気がするが、何せ解らないことが多すぎる。
それに、上手く自白に持っていける会話能力もない。
( ´_ゝ`)「君の名前は?」
ノパ听)「ヒート!」
被せ気味に即答してくれた。
ヒートちゃんか。
( ´_ゝ`)「じゃあヒートちゃん、ヒートちゃんは何処から来たの?」
ノパ听)「お空」
- 9 名前:名も無きAAのようです :2013/09/20(金) 22:04:35 ID:ub2xhLWQ0
- 空から?空から降ってくる人なんて、天使か幽霊くらい…
…違う。ついさっきまで読んでいた文献が頭をよぎった。
『月や金星に移住するか』
『一番の安全圏に避難できるのはやはり有権者だった。』
…すごく、凄く嫌な感じがする。
まだ天使や幽霊の方が幾分かましだ、と思えるくらいに。
残念なことに俺の悪い予感はよく当たる。
(;´_ゝ`)「ヒートちゃん、名字は何て言うの?」
ノパ听)「…素直」
ああ、本当によく当たる。
- 10 名前:名も無きAAのようです :2013/09/20(金) 22:06:14 ID:Q3A2zQ/.0
- 【ある生き字引のメモ】
素直家(すなおけ)
政治家である素直■■を当主とする一族。
■■は政治家としては優秀だが、悪い噂の絶えない人間だった。
21XX年。月へ移住する。
(その後は文字が掠れてしまって読むことが出来ない)
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