◆MsdInw62ztuy の ・書き溜めの進行度 ・日記 ・ブーン系感想 …などを書いておくところ

円の一端のようです

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10月感想スレ再録

自分が10月の感想スレに書いた内容を微妙に修正して再録。
url貼り直しやら文章を直したり。



('A`)守るために殺すようです

ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1281537577/

シベリア軍の戦い、そして兵士たちの家族や友人たち。
戦場の不条理を描く重厚な雰囲気の作品。

淡々と進む戦闘、その裏で育まれる友情…。
果たして戦士たちは無事シベリアを防衛し、
故郷に帰ることが出来るのか…。
       
戦争ものに慣れてない人でも分かるように細かい注解つき


(  ω゚)「ククク・・・」

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1282925824/

◆SHBVDwnca.氏によるギャグ短編集。
ブーン系を書きなれた人間の香りがする。

全編安心して読めるクオリティ!
ジャンル的にギャグだけど、それだけではないのがこの人。
散りばめられた恋愛要素やほのぼの分が、なんとも言えない。
     
本人曰くスランプらしいけどガンガレ、超ガンガレ


('∀`)鬱ナせぇるすまん

ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1279996980/

同名、藤子・F・不二雄作品のパロディ作品。
喪鬱毒造が近寄る人間を次々に襲う恐怖!
心のスキマを埋めたとき、何かが起こる…。
サラリと読める一話完結の暗黒童話は、
いい意味で『嫌な読後感』を与えてくれる。



( ^ω^)は落ちこぼれのようです

ttp://boonsoldier.web.fc2.com/otikobore.htm

ジャンルはファンタジー

強力な魔力を誇る名家の出であるにもかかわらず、
地方政府の内政調査官という閑職に甘んじるブーン。
魔力を封印された彼は、自らを『落ちこぼれ』と呼ぶ。
しかし…それは彼の実像ではなく…。
       
どんでん返しまたどんでん返し!そして厨二バトル!
怒涛のような展開がテンポよく繰り出されるのが魅力の作品だ。


( ^ω^)魔女の弟子とカレーの呪いのようです

ttp://iroirotunpeni.blog11.fc2.com/blog-entry-764.html

近頃投下されたギャグの中で特に光ってた作品。

あらすじ、とかよりまず読んでみて欲しい
AAを多用するスタイルで、往年のギャグ作品を彷彿とさせる。
AAのチョイス、そしてギャグセンスともに素晴らしい。
まだもし読まなかった人がいるとすればぜひ目を通して欲しい。


( ・∀・)爪゚ -゚)それでも、私は君と空を飛ぶようです

http://nanabatu.web.fc2.com/boon/soredemo_sorawo_tobu.html

ある日、南部統一軍大尉モララーのもとに新兵器が送られてくる。
その新兵器とは、一人の少女だった。

ドッグファイト、戦闘機同士による空中戦。
そこに身を置くパイロット達の物語。
確かな展開力と文章力で、読み出したらきっと引き込まれる。


( ФωФ)は六畳魔王のようです

http://kawasemituusin.blog134.fc2.com/blog-entry-8.html

日々、のほほんとした生活を送っていた魔王ロマネスク。
しかし彼の居城は先代魔王と行政側との契約により、
道路建設のため取り壊されることに…。

召使いにまで見放され、就活することになった魔王だったが、
面接を受けたすべての会社で、次々にお祈りされる。
途方にくれたロマネスクがたどりついたのは、場末の中華屋だった…。

テンポよく進むストーリーと、よく練られたギャグ。
これから魔王さまの六畳生活がどうなっていくのか楽しみ。


( "ゞ)デルタは青い夏を感じるようです

作者:◆AoH6mbCY.w 氏
ジャンル:小説家の卵、夏の旅

http://deltabluesummer00.web.fc2.com/top.html
http://hookey.blog106.fc2.com/blog-entry-543.html#tn543

小説家学校に通う関ヶ原デルタは、スランプに陥り閉塞感に悩んでいた。
そんな中、行きつけのチャットルームで知り合いの i に旅に出ることを勧められる。
そして小説家学校の教師である高岡の後押しをうけ、「永夏島」へ旅立つデルタ。
そこで出会う島の人々と、青く美しい空と海…。

地の文は厚めだが、平明な文章でとても読みやすい。
デルタの抱える悩みとか閉塞感がには共感できる人も多いと思う。
実生活で行き詰まったり、迷っている人におすすめの作品。
  1. 2011年01月03日 17:52 |
  2. 感想
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  4. | コメント:0

第七話投下完了

投下完了。
今日は正月だからなのか、ようです検索の検索結果も活気がありましたね。
ブーン系に活気があるとやはり安心しますね……。


あとご報告が一つ、ちょっとまた投下をおやすみするかもしれません。
二ヶ月くらいこれないと思います。
読んでくださってる方には申し訳ない。

なるべく隙をみて投下したいのですが…。
難しいところです。

その間、ほそぼそと書き溜めながら
このブログで感想でもやりたいと思います。
  1. 2011年01月02日 01:29 |
  2. 未分類
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  4. | コメント:0

第七話

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:41:07.73 ID:lTdAWPak0 [1/3]
いけるかなどうかな代理

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:43:44.71 ID:xkD7i7nK0 [1/24]
まとめサイト様

くるくる川 ゚ -゚) ttp://kurukurucool.blog85.fc2.com/blog-entry-297.html
オ ム ラ イ ス ttp://vipmain.sakura.ne.jp/688-top.html

あけましておめでとうございます

3 名前: ◆MsdInw62ztuy [] 投稿日:2011/01/01(土) 22:44:25.11 ID:xkD7i7nK0 [2/24]
( ^ω^)ブーンと円のようです

第七話

「にぎやかな山家」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:45:46.66 ID:wLlPA33J0
待ってた支援

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:45:58.35 ID:lTdAWPak0 [2/3]
支援するよ

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:49:04.23 ID:xkD7i7nK0 [3/24]

J( 'ー`)し「あら、この皿まだ汚いわよ」

( ФωФ)「お、本当だ。これは黄身か?落ちにくくて仕方ないな」

J( 'ー`)し「なかなか取れないわよねぇ黄身って」

森にはさわやかな風渡り、日差しも出て、今日は暖かくなりそうだった。
内藤家では老夫婦が二人で仲良く洗い物をしている。
実にほほえましい光景だったが、問題はその妻のほうがすでに死んでいるということだった。


('A`)y-~


内藤家は禁煙だったので、ドクオは外の物干し場で一服していた。
と言っても、ここはだいぶ前から使われていない。
この家は男所帯だから洗濯する物が少なく、洗濯物はすべて乾燥機行きなのだ。

だがほぼ不要となった物干し場には、いまだにポカポカと陽の光が当たっている。
まさに絶好の昼寝日和だった。
ドクオはタバコをもみ消すと、早速置いてあったゴザを引っ張ってきて横になった。

(-A-)(まったく、妙なことになったよな……)

友人は異次元に連れ去られ、死人がよみがえる。
次は何だ?大量のチュパカブラがつちのこを武器に襲ってくるのか?
うとうとしながらのこんな妄想も、さほど荒唐無稽に思えなくなってくる。

そして短いねむりの後、家の中からドクオを呼ぶ声がした。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:52:26.44 ID:xkD7i7nK0 [4/24]

J( 'ー`)し「ドクオくーん、おとーさんが呼んでるわよ~」

('A`)「はーい今いきます」

おとうさん、ロマネスクがそう呼ばれるのを聞くのは何年ぶりだろう?
彼をそう呼ぶのは、ブーンの母であるカーチャンしかいない。

('A`)(いつの正月だったかな)

その正月はブーンは家族で帰省してきて、
そこに居合わせたドクオにはリア充死ねとか思った覚えがあった。
まさか、あんな形で本当になるとは思いもよらなかったが。

お勝手から上がると、ロマネスクとカーチャンは夫婦でテレビを見ていた。
番組の中では男が銀色のスプレーを植木鉢に吹きつけている。
一体、何が楽しくてそんな事をしなくてはならないのか、ドクオには分からない。

( ФωФ)「これに汚れ加工をしてブロンズ風にするんだとさ」

J( 'ー`)し「うちの庭には似合わないわねぇ」

('A`)「園芸かなんかですか?」

J( 'ー`)し「そーそー、NHKの園芸講座よ」

( ФωФ)「今日で見るのは二回目だ」

テーブルにかけると、カーチャンがすかさず保温ポットからお茶を注いでくれた。
ども、と言いかけてドクオははっとした。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:54:32.25 ID:B47P0TkZ0 [1/11]
支援

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:55:33.91 ID:xkD7i7nK0 [5/24]
(;'A`)「触れられるんですか?物に」

J( 'ー`)し「ん?ああ触れるよ?」

カーチャンはこともなげにそう言うと、
テーブルの上に伏せてあった湯のみを両手に持って見せる。
彼女はそれをゆらゆらと左右に振って見せる。

J( 'ー`)し「えっと、ポスター…なんだっけ」

( ФωФ)「ポルターガイスト?」

J( 'ー`)し「ああそうそう」

J( '皿`)し「ポスターガイストだぞ~がおー」

(;'A`)「……」

がおーってなんだよ。
ドクオがそう言いかねていると、カーチャンはやがて黙って湯のみを元に戻した。
そして、深い溜息を吐く。

J( 'ー`)し「滑っちゃった」

( ФωФ)「うん」

J( 'ー`)し「まあ、こうして少しは触ってられるけど、わずかな間しか物に触れてらんないのよ。
      せいぜい頑張っても二十秒ちょっとが限界ね~」
      
(;'A`)「…難儀なもんですね」      

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:55:36.85 ID:lTdAWPak0 [3/3]
この夫婦すごく微笑ましいよなぁ支援

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:58:59.36 ID:xkD7i7nK0 [6/24]
それから、しばらく三人でTVをみていた。
おおきなプランターに適当にいろんな花の種を蒔くと、
なんか見た目それなりに綺麗だよとか、あまり役に立たない情報ばかりだった。

……ドクオとしても、なにかを期待して見ていたわけでは無かったが。

( ФωФ)「なあ、どうせだし昼飯も食っていかないか?」

そんな時間かと時計を見てみると、もうとうにお昼を過ぎている。

('A`)「あ、じゃあすんません、いただいてきます」

J( 'ー`)し「もうだいたい用意出来てるから。
      もうちょっと待ってね?」

('A`)「いやーありがとうございます」

J( 'ー`)し「あいよー」

カーチャンはよっこいせと立ち上がると、
冷蔵庫からなにかの干物を二、三枚出して焼き始める。
汁はもう出来ているようだった。

( ФωФ)「今日は君の好きな大根の味噌汁だそうだよ」

じつはさっきから味噌汁の香りがここまで漂ってきていた。そのせいで腹が減って仕方なかった。
そして魚焼き器からは、つぶつぶと魚の脂が跳ねる音がしている。
多分、秋刀魚だ。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 22:59:35.33 ID:B47P0TkZ0 [2/11]
しえん

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:02:22.90 ID:xkD7i7nK0 [7/24]

(*'A`)…グギュウ

ドクオはその匂いを嗅いでいるだけで、腹の下あたりから幸福感がはい登ってくるのを感じた。
こういうちゃんとした家庭料理を食べるのも久しぶりのことだ。
昨日は酒盛り今朝は芋と味噌汁だったから、ちょうどこういうメニューが恋しかった所だった。

( ФωФ)「えー、もしかして秋刀魚か。
       カマスは?冷凍したやつがまだあったよな?」
       
J( 'ー`)し「年金一人分しか収入ないんだから我慢なさいな」 

( ФωФ)「ちぇー」

(*'A`)「さんまの干物とか久しぶりに食うな…」

J( 'ー`)し「あ、寿司もあるよ。サンマの」

(*'A`)「おお…」

さんま寿司は隣県の名物料理で、塩漬けした秋刀魚をネタにした押し寿司だ。
ドクオはこれがやはり好物だった。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:05:21.09 ID:xkD7i7nK0 [8/24]

(#ФωФ)「さっきから我輩の嫌いな物ばかりではないか。
       汁だけで食えというのか」

J( 'ー`)し「いつまでたっても口がお子様なんだから…まったく」

カーチャンは漬物の皿をちょっと乱暴にテーブルに置いて料理の方に戻った。
不満げなロマネスクは、その大根の漬物を黙々と口に運ぶ。

(#ФωФ)…ポリポリポリポリ

(*'A`)ポリポリ ア オイシイ…

ほのかな酸味と共に柚子の香りが口いっぱいに広がる。 
柚子大根だ。そういえば、おばさんが昔よく出してくれたっけ。

('A`)(おばさんと一緒に柚子もいだのを思い出すな……)     

ドクオ達がそうしているうちに、あれよあれよという間にカーチャンは皿を並べていく。
まあ長時間物に触れられないのだから、素早く配膳するしかないのだろう。
漬物しか置いていなかったテーブルは瞬く間に料理で埋め尽くされる。

(;'A`)(昼食ってレベルじゃねえぞ…)

J(*'ー`)し「張り切って作っちゃった」

( ФωФ)「作ったのはほとんど私だがね」

J( 'ー`)し「まあそういう事にしといてあげる」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:06:39.23 ID:B47P0TkZ0 [3/11]
しえんしえん

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:08:39.18 ID:xkD7i7nK0 [9/24]

カーチャンは妙にニコニコしている。
嬉しくてたまらないという様子だ。
ちょっと考えて、その理由に思い当たる

('A`)(…おれか)

おそらく、彼女はドクオと会えたことを喜んでいるのだ。
亡くなってからこのかた、ロマネスクとしか話をしていなかったのだ。
そういえば、とドクオは思う。

なぜ、ブーンは見えるようにしてもらっていないのだ?

J( 'ー`)し「ねえ、はやく食べないと冷めちゃうよ?」

(;'A`)「ああ、すいませんぼーっとしちゃって…」

( ФωФ)「二日酔いはまだ抜けんか、まあ無理も無いな」

そう言うと、ロマネスクは秋刀魚の背のにかぶり付いた。

('A`)「いただきます」

J( 'ー`)し「どうぞめしあがれ」

まあ、話なら後でも出来るだろう。
ドクオもロマネスクに倣い、秋刀魚に背中からかじりついた。
……なつかしい、味がした。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:12:31.64 ID:xkD7i7nK0 [10/24]
―――――――――
―――――
――

豪勢な昼食の後、ドクオは久しぶりにゆったりした気分でいた。
だから、もうすこしで気付かないところだったかもしれない。

ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと外行ってくんねー」

( ФωФ)「ん」

J( 'ー`)し「きいつけて~」

見知らぬ女の子は、お勝手から庭の方に歩いて行った。
ドクオが質問する前に、ロマネスクが言う。

( ФωФ)「ここにいるのは、母さんだけじゃない」

J( 'ー`)し「あの子もなの」

(;'A`)「あの子も、って」

夫婦は窓の向こうの女の子を目で追いながら言う。

('A`)(ああ、そうか……この辺で死んだ人間なんてごろごろいるわけだし、
   見えるようになったらそりゃあ頻繁に見てもおかしくはないか)

小学校に上がる前くらい、そのくらいの子供だった。
彼女は、その年齢にふさわしく元気に庭を走り回っていた。
何をするでもない、ただ走っている。たぶん、それだけで楽しい時期なのだ。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:12:33.50 ID:jvqFb94qO [1/4]
カーチャンが楽しそうな様子が可愛いけれどなんかちょっと切ないな
支援

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:14:09.92 ID:B47P0TkZ0 [4/11]
ふむぅ

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:15:28.84 ID:xkD7i7nK0 [11/24]

('A`)「まさかあの子も亡くなってるんですか?
    ……どこの子でしたっけ、あの子」

( ФωФ)「あれっ?きみも会ったことあると思うが……。
       ああ、そうか君が会ったときはあの子はまだ赤ちゃんだったからな」

(;'A`)「…あー」
   
そういう年の子で、女の子でドクオが知っている子。
そんな子は知る限り、一人しかいない。

(;'A`)「まさか、デレちゃん?」

( ФωФ)「そうだ」

J( 'ー`)し「まあ分かんないわよね~」

( ФωФ)「それにツンちゃんもここにいる」

(;'A`)「ツンさんまでいるのか……」

ドクオはますます分からなくなってきた。
なぜブーンだけ仲間はずれにされているのだろう。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:18:19.02 ID:9W/2mU7mO
支援

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:18:27.86 ID:xkD7i7nK0 [12/24]
('A`)「ブーンは…あいつは知らないんですか?」

( ФωФ)「ああ」

('A`)「なぜ?」

( ФωФ)「ブーンに用意が出来ていないそうでな」

('A`)「分からないな、一番家族に会いたがってるのはあいつなんじゃ?」

ドクオは胸がむかむかしてきていた。
ブーンが苦しんでいるのをロマネスクも良く知っているはずだ。
会えるのなら、会わせてやればいいじゃないか。
ドクオはつい、詰問口調になる。

('A`)「おじさん、あいつは自殺未遂までしたんですよ?
    会わせてやれるなら会わせてあげればいいのに」
    
( ФωФ)「私もそう思うんだがね」    
    
「私はまだ会わない方がいいと思うんです」    
    
突然どこからか声がしたかと思うと、    
寝室につながるドアが開き、よく知る顔が現れる。
ドクオは懐かしいと思うと同時に、なにか肌寒いものを感じた。


ξ゚⊿゚)ξ「どうも、ご無沙汰してました」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:19:22.09 ID:B47P0TkZ0 [5/11]
支援

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:23:03.74 ID:xkD7i7nK0 [13/24]
ツンがドアのところからこちらに小さく会釈をした。
やはり彼女も生きている人間とまったく見分けがつかない。
だが彼女はカーチャンと違い、生前と比べて疲れているように見えた。
こちらのほうが幽霊としては正しいのだが。

(;'A`)「いやこちらこそお久しぶりです」

(;'A`)(やっぱり慣れないな)

死人が目の前に立っている。
でも、生きている人間と見た目は殆ど変わらない。
そんな人にごく普通に挨拶されると、やはりドクオは混乱してしまう。

ξ゚⊿゚)ξ「もしかして、びっくりしてる?」


(;'A`)「それはまあ、びっくりもするよ」

ツンがそれを聞いてニヤッとする。

ξ゚ー゚)ξ「お化けの性ってやつね。
      そこまでびっくりしてもらえるなんて嬉しい」

      
J( 'ー`)し「私の時はもっと驚いてたよ?」


ξ゚⊿゚)ξ「そうですか?うーん…」

('A`)(あ、そこで競うんだ)

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:26:02.03 ID:xkD7i7nK0 [14/24]
ツンがテーブルに着くと、ロマネスクが入れ替わるように立ち上がる。
彼は空になった皿を手早く重ねると、流しに持っていく。
しばらくは口を挟まないつもりなのだろう。

( ФωФ)「汚れた皿を前にして話というのもあれだな」

J( 'ー`)し「ありがとうね」

ロマネスクがその太い指で食器を洗っているのを見るのは、なかなか新鮮だった。
洗ってはゆすぎ、布巾で水を拭き取る。
動作にまったく無駄がない。ここ数年の生活で家事にもだいぶ慣れたらしい。

ξ゚⊿゚)ξ「あの人、いまだに夜たまに泣くんですよ」


(;'A`)「なに?」

ぼーっとロマネスクの手元をみていたドクオにツンがいった。
                                 
ξ゚⊿゚)ξ「で、お義父さんを起こすんです。
      また、夢をみたんだって言って」

      
ξ゚⊿゚)ξ「私たちが死ぬ夢を」


(;'A`)「な」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:28:45.17 ID:B47P0TkZ0 [6/11]
むう

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:29:05.89 ID:xkD7i7nK0 [15/24]
日頃の脳天気な内藤の姿しか見ていないドクオにとって、信じられない事だった。
火事からはもう五年近くが経つ、もうある程度割り切れていると思っていた。
それに、大の大人が親を起こして泣く?

正直なところ、情けないというのがドクオの感想だった。

('A`)「そうか、あいつ……でもそうだったらなおさらツンさんが」


ξ゚⊿゚)ξ「ダメです」


(;'A`)「なんで?」


ξ゚⊿゚)ξ「いま、私達あの人の前に出てくると、あの人は死ぬでしょうね」


(;'A`)「死ぬって…どういうことですか?」

ツン達が姿を現せばブーンが死ぬ?
嬉しさあまって自殺するとでも言うのか。
ますます訳が分からなくなってくる。

ξ-⊿-)ξ「いままで、あの人を見てきた末の結論です」

28 名前:訂正>>27 十六行目 私達× 私達が○[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:31:51.99 ID:xkD7i7nK0 [16/24]
ツンは固く目を閉じたまま、両手の指を目の前で組んだ。
そして、上手く言えないんですがと前置きしてから続ける。

ξ-⊿-)ξ「私たちがいなくなった直後のあの人は、
      私が言うのも何ですけど死んでいるみたいでした。」


ξ-⊿-)ξ「仮住まいの布団の中で夜通し壁を見てるんですよ。
      泣くでもなく何かに当たるでもなく、ぼーっと壁を見てるんです。
      そんなあの人を見るのなんて初めてでしたよ」

      
(;'A`)「ちょっと想像できないな」

ξ゚ー゚)ξ「気持ち悪いでしょ?」

そこでツンは自虐的に笑うと、自分でお茶を注いでちょっと口をつけた。
……幽霊でも口は乾くのだろうか。

ξ゚⊿゚)ξ「それから病院通いしたりなんかしてだいぶ良くなったんです。
      それでも、私たちの夢を見るんですよ彼は」

ξ゚⊿゚)ξ「それで汗ビッショリで飛び起きるんです。子供の夜驚みたいにね」

('A`)(あいつ)                                     

たまにドクオに会うとき、内藤は非常に明るかった。
それこそ、何事もなかった頃と同じように。
だが本当は内藤の心は危うい均衡を保っているに過ぎないのだ、とドクオは悟った。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:31:52.99 ID:jvqFb94qO [2/4]
辛いなこれ
支援

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:34:19.85 ID:B47P0TkZ0 [7/11]
しえん

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:34:59.21 ID:xkD7i7nK0 [17/24]

夜、豆電球の下ではっと目を覚ます内藤の姿をドクオは想像する。
そしてロマネスクの寝床に彼を起こしに行く内藤の顔を思い浮かべる。
しかし、その顔はドクオの中で上手く像を結ばない。
   
ξ゚⊿゚)ξ「それを見てると私は感じるんです。
      彼の心に何か溝というか、裂け目のような物が出来たみたいな……」    
    
( ФωФ)「私にもなんとなくそれは分かるよ。
       たまにそういう顔するんだ、あいつ」
       
('A`)「……そういう顔?」

( ФωФ)「心ここにあらずというか、放心状態というか。
       とにかくぼーっとした顔だよ」

ロマネスクは最後の小鉢を洗い終え、布巾でおざなりに手を拭く。
そしてシンクのところに手をつくと、ふうと息をついた。

( ФωФ)「あーしんどかった。
       ちょっと横になってくる」

J( 'ー`)し「あ、布団だけど隅のほうに避けちゃいましたよ?」

( ФωФ)「いいよ座布団並べてその上で寝るから、じゃあ」

そういうとロマネスクはフラフラと寝室の方に消えた。              
昼前から食事の支度をしたり、洗いものをしていたのだ。
腰が痛い彼にとって、やはりきつかったのだ。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:37:54.88 ID:jvqFb94qO [3/4]
ドクオも何か片付けるの手伝えよ
支援

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:38:18.32 ID:xkD7i7nK0 [18/24]
J( 'ー`)し「お父さんも嬉しいのよ?ドクオ君が来てくれて」

('A`)「よかったです。
    いままであんまりこれなくて申し訳ない」

ドクオは頭を軽く下げる。

ξ゚⊿゚)ξ「いや、でもしょうがないよ。
      この家にもいろいろあったし」

('A`)「…うん」

ドクオはダイニングの中を見回してみる。
少し手狭な台所と、年季の入った食卓テーブル。
そして、今は亡き内藤家の面々。

J( 'ー`)し「あとはここにホライゾンがいればねえ」

お茶をすすりながらカーチャンが独りごちる。
よく見ると、二人ともまったくお茶が減っていなかった。

('A`)(ああ……)

やはり、二人はこの世の人ではないのだ。
いまさらのように、ドクオはその事を実感する。
その時、のんびりとお茶を飲んでいたツンが、ハッとして言う。

ξ;゚⊿゚)ξ「あっえーっとなに話してたっけ?」

J( 'ー`)し「あの子の心の闇と少年犯罪率の増加について」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:40:51.36 ID:B47P0TkZ0 [8/11]
しえ

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:41:24.07 ID:xkD7i7nK0 [19/24]
ξ゚⊿゚)ξ「ああ、そうそうって」

ξ゚ー゚)ξ 「あんまり面白くないですよ?それ」

J( 'ー`)し「……今日はあんまり笑いが取れないね」

('A`)「心の闇かぁ」

闇、という言葉にうなづきながらツンが言った。

ξ゚⊿゚)ξ「あの人の心の闇、裂け目の奥には私たちがいるんです。
      私たちがそこから出てきたら、きっとあの人はこわれてしまう」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオさん、こんな経験ない?
      欲しい欲しいと思っていたものが、苦労の末にようやく手に入ったとき、
      急に楽しくなくなる。ゲームをクリアした途端に燃え尽きたみたいになる」

ξ゚⊿゚)ξ「私は思うんです。
      私たちが今出ていったら、
      あの人の心に同じようなことが起こるんじゃないか」


ξ゚⊿゚)ξ「生きるのを諦めちゃうんじゃないかって」


(;'A`)「そう、かもね」

内藤の中に渦巻くもの、誰しもが抱える闇。
繰り返す悪夢、そのただ中で内藤には何が起こっているのか。
ドクオには想像だにできない。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:43:23.68 ID:B47P0TkZ0 [9/11]
sien

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:45:14.33 ID:xkD7i7nK0 [20/24]
('A`)(俺だったら気が狂うかもな)

ドクオは思う。
内藤は普通に生活し、仕事をして生きている。
案外、内藤はタフなのかもしれない。

('A`)「いつか会える時が来るといいね」


ξ゚⊿゚)ξ「……うん」


J( 'ー`)し「そうねぇ」

ドクオが外を見ると、相変わらず静かな光景が広がっていた。
さんさんと降り注ぐ日差し、風にそよぐ蜜柑畑。
まるで、光と風しかそこにないかのような静寂が内藤家の庭を覆っている。

J( 'ー`)し「それにしてもいいお天気ねぇ」

ξ-⊿-)ξ「ほんとに」

……そこで音をたてているのは、死者だけだった。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:48:05.29 ID:xkD7i7nK0 [21/24]

―――――――――
―――――
――



('A`)「じゃあ、そろそろ俺帰ります」

J( 'ー`)し「もう一晩、って訳にも行かないか。
      もう社会人だものね……じゃあ気をつけて」

ξ゚⊿゚)ξ「あれ?七輪、昨日から出しっぱだけどいいの?」

(;'A`)「あっやべ、忘れてた。
     ごめんなさい今かたします」

帰り際、ツンが出しっ放しになっている七輪を見つけてくれた。
危うく忘れていくところだ。
ドクオは慌てて庭に出て、網も洗わずに助手席の上に放りだした。

('A`)「ふーっあぶないあぶない」

これがあるといろいろ重宝する。磯で取った貝をそのまま焼いてみたり、
冬に釣りに出かけたときには暖を取ったり、ドクオは多彩な用途にこの七輪を使っている。
誰も載せる人がいないので、いつも助手席がこの七輪の定位置だ。
 __
{ー_-‐.'} 「……」

('A`)(エンジンかけとくか)

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:50:36.44 ID:jvqFb94qO [4/4]
支援

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:51:29.67 ID:xkD7i7nK0 [22/24]

ドアのポケットから鍵を取り出すとエンジンを掛ける。
こんな田舎だと、盗難の心配はほぼ無い。
いや、全くないとさえ言っていい。

次にダッシュボードの携帯のことを思い出したドクオは、
そこから携帯を取り出すとろくすっぽ確認もせずにポケットに突っ込んだ。
どうせ、スパムか広告メールくらいしか来てないからだ。

('A`)「うー」

しばらくエンジンが暖まるまで暫く待つ。
田舎ベンツといえど粗略な扱いはしない。
ドクオは変なところで真面目な男だった。

('A`)(あ、そういやロマネスクさんに挨拶すんの忘れてたな。
   でもまだ寝てたりして……まあやめとこう)

十分に時間をかけてから、車を出した。
ここから街に出るまでかなり急な下り坂が続く。
二日酔いの余韻と満腹感から来る眠気に苛まれながらも、ドクオは気を引き締める。

そしてすぐさま、庭から出たところの物陰から飛び出してきた何かをはねた。


((;゚A゚))「うひぇえええ!」キキーッ!

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:52:44.89 ID:B47P0TkZ0 [10/11]
シエナ

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:54:24.87 ID:xkD7i7nK0 [23/24]

なにか白いものが飛び出してきたとしか分からなかったドクオは、ブレーキを思い切り踏み込む。
鹿にしては小さい、猪にしては大きく白いその何か。

そのくらいのものにぶつかればえらいことになるが、なぜだか衝撃はこない。
せいぜい七輪が急ブレーキのせいでひっくり返ったくらいだ。

ζ(゚ー゚*ζ

混乱しているドクオの目が次に捉えたのは、
車の前から悠然と歩き去っていく女の子の後ろ姿だった。


(;'A`)「なんだよ…」


間違いなくさっき外に出て行くのを見た女の子、デレだった。
彼女が無事なのにほっと安堵すると同時に、怒りが湧いてくる。

('A`)「しつけがなってねえな、ったく」

死んでいようが死んでいまいが関係ない。
叱ってやる、子供は地域で育てるものだ。
と、ドクオは怒りに任せてお題目を心のなかで振り回す。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:56:36.74 ID:xkD7i7nK0 [24/24]

('A`)「ねえ!内藤デレちゃん!」


ζ(゚ー゚*ζ


(#'A`)「すみませーん、デレさん?
     あぶないでしょ!?」


ζ(゚ー゚*ζ


('A`)…ムシカヨコノヤロウ

デレはドクオのことがみえていないような様子で、
山の急な斜面に向かって歩いて行く。
よくみると彼女はうっすら笑っていた。

ζ(゚ー゚*ζ「~♪」

(;'A`)「おいおい…」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/01(土) 23:57:32.44 ID:B47P0TkZ0 [11/11]
しえしえ

45 名前: ◆MsdInw62ztuy [] 投稿日:2011/01/02(日) 00:01:00.57 ID:rlt7WuYZ0 [1/18]

なにやら鼻歌を歌いながら少女はどんどん山に入っていく。
どうも様子が変だった。声が聞こえないわけではないはずなのだが。

(;'A`)「こらっもう戻ってきなさい!それ以上は危ないから!」

ドクオは急いで後を追って手を掴もうとするが、あえなくすり抜ける。
ああ、でもよく考えたら幽霊にあぶねえも糞もないか。


(;'A`)(なんつーか俺の存在ごと無視されてるみたいで、すごくむかつくなこれ)


落ち葉で滑る足場だったが、何とかデレの前に出ることが出来た。
ドクオは試しに進路に立ちふさがってみたが、デレはドクオの体をすり抜けて先に進んでいく。


('A`)…   ...ζ*゚)~♪

('A`)「……」

('A`)「いま一瞬俺の下半身を女の子が通過しました。
    つまり、彼女の体内におれのち~中略~これは脱童貞とは言えないだろうか」


やけくそになって最低なシモネタを飛ばしてみるが、反応は全くない。
しかし、放っておくことも出来ない。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:02:38.63 ID:+FjYI8sA0 [1/8]
支援

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:04:24.13 ID:rlt7WuYZ0 [2/20]

('A`)(しゃあねえ、ちょっと後に着いてってみるか…その前に)


ドクオは携帯を取り出すと内藤家の電話にかける。
とりあえず誰かに応援に来てもらわないとどうしようも無い。
二回のコールで、ロマネスクが出てくれた。

( ФωФ)『はいもしもし、内藤ですが』


('A`)「あ、おじさん?いま帰るところなんだけど、
    なんかデレちゃんが山の方に行っちゃって…」


(;ФωФ)『なに!?山に?どのへんだ?』

山という単語を聞き、ロマネスクの声がにわかに緊張を帯びる。

(;'A`)「道路に出るところの脇です。
    でも、結構来ちゃったな…20メートルくらい奥にいます」


(;ФωФ)『マズイな…デレのようすは?』


('A`)「……俺のことは完全無視です」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:07:35.93 ID:rlt7WuYZ0 [3/20]

(;ФωФ)『分かったすぐ行く!
       すまんがなるべく大きな声で声を掛け続けてくれ!
       とりあえず遅らせられるだろう…』

('A`)「え…?」


(;ФωФ)『なんでもない!
       ドクオくん!とにかく大声でしゃべり続けるんだ』


('A`)「わかりましたけど、なに(ry

そこで電話が切られた。ロマネスクはかなり焦っている。
もしかして相当やばいのか、これは?
――――ドクオは次第に不安になったきた。

とにかく、言われるままデレに声を掛け続ける。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:10:03.39 ID:rlt7WuYZ0 [4/18]
(;'A`)「で、デレちゃん可愛いね!」


ζ(゚ー゚*ζ


(;'A`)「おうちに帰らないとお母さんが心配するよ!」


ζ(゚ー゚*ζ


(;'A`)「ちんこちんこ!おまんちーん!」

.  _, ,_
ζ(゚ー゚*ζ


(;'A`)(お!)

デレの足取りが少し重くなる。
子供はシモネタが好きというドクオのアイデアは、見事に功を奏した。
彼女の反応は予想とは違ったが。

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:13:13.47 ID:dhj0Y420O [1/4]
おいwww
支援

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:13:59.78 ID:+FjYI8sA0 [2/8]
うむ

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:16:03.18 ID:rlt7WuYZ0 [5/20]
('A`)(だが、止まっちゃくれねえか……じゃあもっとどぎついのを)

秘蔵のシモを解き放とうとしたドクオだったが、結局何も言えなかった。
ふと気がつくと、目の前に白い壁のようなものが立ちはだかっている。

('A`)「なんだあれ?」

古い漆喰のような質感の壁だった。
その壁の前で、デレはピタリと動きを止める。
よくみると、周囲には古い生活用品が散らばっている。

('A`)「家かなんかの跡かな?」

ζ(゚ー゚*ζ

デレに質問してみるが、答えは帰ってこない。
その場を、木々がざわめく音が支配する。
あれ、こんなに風吹いてたっけか?

ドクオは上を見て、風の強さを確認しようとした。

('A`)「…あ」

そこに木々などなかった。あったのは、顔、顔、顔。
何かの模様のような、舌の表面の突起を思わせる、無数の顔だった。
いつの間にか、その顔の群れがドクオ達の周りをドーム状に取り囲んでいる。

(;゚A゚)「――うわ」

ぞくり、全身に鳥肌がたつのを感じる。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:18:19.83 ID:dhj0Y420O [2/4]
うわ、こえぇ…
支援

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:19:54.06 ID:rlt7WuYZ0 [6/18]

(;゚A゚)「な……なんだよこれは」


木々のさざめきは、聞いたことのない音に取って変わられ、
頬に生暖かい吐息が吹きつけてくる。
それを感じた瞬間、全身の毛という毛が逆だった。

状況はよくわからなかったが、恐怖がドクオの全身を支配した。

顔の一つに目がいく。
その顔は口を半開きにし歯を周期的に鳴らしていた。

カツン、カツン、カツン……と。

(;'A`)「!」

さっきからしている妙な音の正体に気が付き、ドクオは無意識に耳を塞ぐ。

(;'A`)(……デレちゃん!)

デレの方を見る。
さっきと変わらず、壁の前に立って微動だにしない。
何かを待っているみたいにじっと壁の一点を見つめている。

(;'A`)「やべ、詰んだ」

逃げようにも周りは隙間なく顔に覆われている。
攻撃を仕掛けるという考えがちらりと頭をかすめるが、それらに触れることを想像してやめた。

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:22:11.41 ID:jmnDQ5uv0 [1/2]
しえん

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:23:13.22 ID:rlt7WuYZ0 [7/20]

(;'A`)「くそ…どうすりゃいいんだ」

いくら考えても脱出するすべはないように思えた。
360度上下左右はすべて、人間の顔に覆われている。
じゃあ、穴でも掘るか。
ともおもったが地面の中にもあいつらがいないとも限らない。

……ロマネスクはすでにこちらに向かっているから、なんとかなるかもしれない。
携帯を取り出して時間を確認する。
14:56。ロマネスクに連絡してから五分ほど経っていた。

いつもの休日なら家でけだるくミヤネ屋でも見ている時間だ。

(;'A`)「なんでこんなとこ来たんだお前は……」

ζ(゚ー゚*ζ

デレはドクオの足元で、いまだ壁を見つめ続けている。
まったく、なんだっていうんだ。
ドクオは彼女の横顔を見て小さく溜息をつく。

可愛い幼女といっしょだけど全然嬉しくない。

(;'A`)「……そうだ」

ドクオはまた携帯をひらくとカメラを起動した。
顔の群れに向かって、撮影ボタンを押すとその写真のプレビューを見る。
案の定、何も写っていない。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:24:14.74 ID:+FjYI8sA0 [3/7]
支援だ

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:25:28.25 ID:rlt7WuYZ0 [8/18]

('A`)「……おお」

目の前の光景は、携帯には普通の山に見えるらしい。
だからといって、目の前で蠢いているものを突破して帰る勇気はなかった。

('A`)「……とりあえずvipでも見てるか」

すこし精神の安定を取り戻したドクオは、ネットに繋いでみる。
画面にグロ画像が広がるとか、画面から貞子が飛び出してくるとかいうこともない。
ごくごく穏便に行きつけの掲示板が表示された。

ざまあ見ろ、これが文明の利器ってやつだ。
そう思って一番に近くにあった顔の一つに笑いかけてやる。

( ゚д゚ )

('A`)「やっぱこっちみんなキメエ」

若い男の顔だった。目がカッと見開かれているのを見てまた気分が悪くなる。
精悍な顔立ちとも言えなくはないが、
上下を老女の顔に、横を子どもの顔にはさまれたその顔は不気味でしか無い。

( ゚д゚ )ぐごぎぎ

('A`)「……なんだ?」

急に男の顔が歯ぎしりを始める。
それに反応して、男の顔を中心に歯ぎしりが群れ全体に広がる。
ギリギリギリギリギリギリ、とまるで大量のセミが鳴いているような轟音だった。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:27:38.62 ID:+FjYI8sA0 [4/7]
ふむ…

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:28:45.03 ID:rlt7WuYZ0 [9/18]
(;'A`)「……う」

驟雨のように歯をこすり合わせる音があらゆる方向から降り注ぐ。
ドクオは男の顔から目を離さず、ゆっくりと後ずさった。
これはなにかよくないことの兆候としか思えない。

( ゚д゚ )ぎぎごぎぎ

(;'A`)「ちくしょー!いいかげんにしろ!
     もう俺はちびるぞ!頼むからやめろ!」

( ゚/ /д゚ )ギッ!

(;'A`)「うおっ!」

ドクオの声に反応するように、目の前で男の顔がまっぷたつに裂けそこから腕が一本突き出される。
分断された男の頭だったものがドームの内側に叩き落されると、そこに開いた穴からしゃがれた男の声がした。

「おい!ドクオくん!無事か!?」

(;'A`)「おじさん!」

声の主はロマネスクだった。
さっきまで男の顔があった位置から彼の顔が覗いている。

( ФωФ)「おそくなってすまん!」

そういった彼は、見覚えのあるナイフを手近にあった顔に叩きつけた。
刃渡り5センチほどのナイフだったが、刃が触れた途端にその顔は唐竹割りにされる。
たぶん、さっき仏間で見せられたロマネスクが「マヨイガ」で手に入れた品だろう。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:31:32.96 ID:dhj0Y420O [3/4]
おお、ロマがいるだけでこの安心感
支援

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:31:48.13 ID:rlt7WuYZ0 [10/20]

(#ФωФ)「邪魔だ!どかんか!」

そうして隙間を作ったロマネスクはものの30秒ほどでドームの中に入ってきた。
ロマネスクをここまで頼もしく感じるのは久しぶりだった。
ドクオは安心感でめまいを起こしながらも、ロマネスクの元に歩み寄る。

(;'A`)「おじさん……これは一体なんなんです?」

( ФωФ)「デレは?」

(;'A`)「え?あの壁のところに」

( ФωФ)「分かった!そこにいてくれ」

ロマネスクはデレのもとに駆け寄ると、様子を調べ始めた。
デレの頭のところに触れると、ロマネスクはぎょっとして手を引っ込めた。

(;'A`)「大丈夫ですか!?」

( ФωФ)「……いや大したことはない」

短くそう言うとロマネスクはデレの頭に手を伸ばし、
髪の毛を一本つまんで引っ張った。
デレのクセッ毛とは似ても似つかないまっすぐで太い毛。

大量の顔に隙間なく囲まれたために生まれた薄闇の中、
それがぼんやりと光を帯びているのが分かる。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:33:59.69 ID:rlt7WuYZ0 [11/18]
( ФωФ)「ふっ!」

気合をこめロマネスクがその毛を断ち切ると、
デレが糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちる。
だが、そのデレをロマネスクは見もしない。

( ФωФ)「!」

右手に持った髪の毛を軽く引っ張ると、どこかに向かって歩き出す。
どこかにその一筋の髪の毛が繋がっているようなふうだった。

(;'A`)「なにしてるんです?もう切ったでしょ?」

( ФωФ)「これはデレから生えてたんじゃない」

(;'A`)「じゃあなにから……」

( ФωФ)「そこか!」

ロマネスクが思い切り右手を引くと、
地面に放置されていた味噌桶か何かがひっくり返り、なにかが飛び出してくる。
いや、正確にはロマネスクに引っ張られているのだ。

( ФωФ)「うむ…」

(;'A`)「なんだよこれ…」

ロマネスクの足元に、こぶし大くらいの黒い毛の塊のようなものが転がり出てくる。
一瞬、ゴミか何かかとも思ったが、キイキイと猿のような鳴き声を発している。
そしてよくみると、生えている毛の全てがうぞうぞと蠢いていた。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:35:14.65 ID:+FjYI8sA0 [5/8]
ぞくっとした

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:36:46.11 ID:jmnDQ5uv0 [2/2]
支援

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:37:03.77 ID:dhj0Y420O [4/4]
ぎょえぇ…
支援

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:38:02.08 ID:rlt7WuYZ0 [12/20]
( ФωФ)「狸めが…うちの孫を化かしおって」

(;'A`)「……」

ドクオはまじまじとその謎の物体を観察した。

毛の隙間から見える、茶色がかった光沢のある黒い目。
それがいくつも丸い体に不規則に並び、ぎょろぎょろと周りを見渡していた。
突然、その何かは一点を凝視する。
そして……。

(#ФωФ)「消えろ!」

「―――――――――!!!!!」

ロマネスクは何のためらいもなく、思い切り足で黒い何かを踏みつけた。
女とも、男とも、子供ともつかないけたたましい悲鳴が響き渡る。
ドクオが次に感じたのは猛烈な悪臭、動物の死体が腐ったような甘ったるい匂いだった。

――黒いものの死に呼応するように、ドクオたちを取り囲んでいる顔という顔があんぐりと口を開けた。
そして顔たちはグルグルと回転しながら浮かび上がり、渦をまいてどこへともなく飛んでいく。
ドクオはその様子を呆けたように見ていた。

(;'A`)「…」

( ФωФ)「……ふう」

しばらく、誰も何も言わなかった。
三人の真上で鳶が鳴く。
それを聞いたドクオはようやく現実に帰ってきたと実感する。

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:38:08.56 ID:kz9XyVQJO
けうけげんか?

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2011/01/02(日) 00:39:55.78 ID:+FjYI8sA0 [6/8]
私怨じゃ

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:41:21.55 ID:rlt7WuYZ0 [13/20]

ζ(--*ζ

( ФωФ)「……さ、帰ろう」

('A`)「……はい」

潰れた何かに枯葉を被せたあとで、
ロマネスクはデレを抱き抱えてどっこいしょと立ち上がる。
なんでおじさんはすり抜けないのか、麻痺したようなドクオの頭に疑問が浮かぶ。

( ФωФ)「その前に、これに触ってくれ」

ロマネスクは手を出すといままで握っていたものを出した。
家でドクオが見た、錆びた一本の釘だった。

もう、なぜそうするのべきなのか聞く余裕はドクオにない。
人差し指の先で軽く釘の頭に触れた。

ζ(--*ζ

ζ(--:;.:...

:;....::;.:. :::;.. .....

('A`)「……おお」

目の前でデレの姿が消えていく。
その姿は次第に薄くなり、数秒で完全に見えなくなる。
なるほど、『見える』状態を解除するにはもう一回触ればいいわけか。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:44:17.35 ID:rlt7WuYZ0 [14/20]
( ФωФ)「どうだ?」

(;'A`)「もう見えなくなりました」

( ФωФ)「よし、じゃあ行こうか」

透明なデレを抱え、二人は山を降りていく。
ロマネスクは足腰が弱っている割に、
かなりの勢いで歩くのでドクオはついていくのがやっとだった。

(;'A`)「おじさん、あれは何だったんです?」

( ФωФ)「あれとは?」

(;'A`)「あれ全部ですよ!顔とか!黒い毛の塊みたいなのとか!」

落ち着いた様子のロマネスクに苛立ったドクオは声を荒げる。
ドクオには、なぜ彼がそんなに落ち着いていられるのか理解できなかった。

( ФωФ)「……君にはそう見えたのか?」

('A`)「え?」

ロマネスクの言葉に、肌が粟立つのを感じた。
じゃあ他の何に見えたっていうんだ。
凍りつくドクオをよそに、ロマネスクは続ける。

( ФωФ)「あれは悪いものだ。それもかなりたちが悪い。」

( ФωФ)「狸とか狐みたいなもんだよ」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:47:11.71 ID:rlt7WuYZ0 [15/20]
('A`)「狐って……獣っぽい要素ほとんど無かったですけど」

狐というと狐娘とか、不純なものしかドクオには思い浮かばない。

( ФωФ)「そうだな、あえて言うなら妖怪だな。あいつらは」

そう言うとロマネスクはデレを抱え直す。
と言っても、ドクオにはパントマイムのようにしか見えないが。

( ФωФ)「いつもあいつらは山にいる。
       人間の霊魂を吸いとってどんどんでかくなるんだ。
       近くに来た人間を取り殺したり、浮遊霊を取り込んだりして」

( ФωФ)「まあしかし山からは出てこれないようだがね」

とりあえず、今日の夜あらためて襲われる心配はなさそうだ。
ドクオはとにかくほっとした。

( ФωФ)「取り込まれたら最後、あれの仲間になる。
       もう不幸はたくさんだ、この子にもツンちゃんにも」

( ФωФ)「それから私にもな」

内藤もひどい目に会ってきたが、ロマネスクもまた辛かったはずだ。
初孫と嫁に先立たれ、そのすぐ後に妻を亡くしたのだ。
彼らの存在を身近に感じられるだけ彼は幸運なのかもしれない。

('A`)(でも、目の前の人たちは死んでるんだって感じるたびに……)

ドクオはロマネスクを見る。前を歩く彼の表情を伺うことはできない。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:49:45.02 ID:rlt7WuYZ0 [16/20]
その時、さっと視界が開ける。
さっきデレが登っていた斜面の上に出たようだった。
眼下にはドクオの軽トラが降りたときそのままになっているのが見える。

( ФωФ)「じゃあ、気をつけてな。
       迷惑を掛けてすまなかった」

('A`)「いえ……じゃあまた今度」

( ФωФ)「うむ」

それだけ言うと、ロマネスクは母屋に向かって歩いて行く。
その姿を、ドクオはトラックの荷台に寄りかかって見ていた。

('A`)「……」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:50:13.55 ID:ratMdnQ6O
シエンヌ

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:51:14.58 ID:rlt7WuYZ0 [17/20]

庭の中ほどまできたロマネスクが、腕の中を見て微笑むのが見える。
たぶん、デレが起きたのだろう。
……それを見届けたドクオは、運転席に座ってエンジンをかけ直す。

(*ФωФ)

彼は、きっと幸せなのだ。
家族に囲まれて。

('A`)(ちくしょう…車の中が灰だらけだ)

ひっくり返った七輪を元に戻すと、小さく溜息をつく。
解決すべき問題はあるが、とにかく今は日常に帰ろう。
ドクオはそっとアクセルを踏むと、街に向かって車を走らせた。

……今度は何も飛び出してはこない。

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:51:34.40 ID:+FjYI8sA0 [7/8]
しえーん

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:51:55.86 ID:rlt7WuYZ0 [18/20]
第七話 おわり

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:56:31.13 ID:+FjYI8sA0 [8/8]
乙!

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 00:57:56.32 ID:rlt7WuYZ0 [19/20]
支援ありがとうございました。
なにかあればお寄せいただければ幸いです。

>>68
山の中にいる狐狸の一種ですね。
ていうかけうけげんでググった画像が怖かった…。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 01:01:18.01 ID:TFgQ3flmO
おつんつん

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 01:01:18.92 ID:iZGnWLJr0
おつ!

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 01:03:26.10 ID:UP/NoWuXO
おつですゆ

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/01/02(日) 01:09:17.37 ID:rlt7WuYZ0 [20/20]
あ、そうだ。

876 名前: 【吉】 [] 投稿日:2011/01/01(土) 00:47:02.36 ID:xkD7i7nK0 [2/9]
よーし俺も便乗
吉以上なら今日現行投下

これで約束は果たしたぜ!
それでは皆様おやすみなさい…

  1. 2011年01月02日 01:12 |
  2. 自作品まとめ
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/(^o^)\ナンテコッタイ


いつもブログのアクセス数を確認するときはアクセス解析を見ていたのですが、
ある時まったく誰も閲覧してないことになってた。

これじゃあ進行状況とかの報告に使えてないな。
なんて思っていたら、ただテンプレ変えたときにアクセス解析用コードを入れ忘れていただけでした。
自分アホすぎワロタ

*―――――*

あらチーさんが完結されましたね。
二回ほど安価を取って大歓喜したのはいい思い出です。
ケツから土石流と疎密をどうのこうのというやつ。
あの辺りからデミタス戦にかけてが楽しかったな~。

しかしすごい作品だった。
二スレ消費が当たり前とかまさにチート級。
二部に期待大ですね。

書き溜め進行状況

7話 現在28k  

30k超えそうですしかも大幅に。
年内は無理かな…

  1. 2010年12月30日 04:29 |
  2. 未分類
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黄昏の天狗のようです

365 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 00:58:50.19 ID:tJS9rtk90 [2/24]
夕立が去ったあとの森は、しっとりと湿っている。
私はその森の木の上に座し、雨の香りを残す空気を味わうのを日課としていた。
やはり、ここから見る風景はいつ見ても飽きない。

( ゚∋゚)チュンチュン

( ^ω^)「天狗様、またここにいらっしゃったのですかお」

( ゚∋゚)チュン?

森に住む猿が、いつの間にか梢までやってきていた。

( ^ω^)「また、面倒事にございますお」

( ゚∋゚)チュチュン?

( ^ω^)「はい…ばあ猪と来たばかりのムジナの若造が」

( ゚∋゚)チュン…

( ^ω^)「お願いしますお…このままでは死者が…」

( ゚∋゚)…

なにやら、また住人同士の争いが始まったらしい。
……今年に入ってから一体何度こんな事があっただろうか。

バッサバッサw( ゚∋゚)wクルポッポー!

とにかく、いそいでムジナの巣へと向かう。間に合えばいいのだが。

366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/14(火) 01:01:28.08 ID:BFZecXgMO [3/21]
支援

367 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:03:19.26 ID:tJS9rtk90 [3/24]
巣の上空まで来ると、ある臭いが下から濃厚に放たれていた。
それに混じって、猪の血の匂いも。

J(; ー )し「く…」

('A`)「ババアめが、おれに牙を剥いたのが運の尽きであったな」

( ゚∋゚)…チュン

(;'A`)「ぬ…天狗殿、何用かな?
    見ての通り、今は取り込んでいるのだが」
    
ムジナが、穴に落ちた猪を見下ろしている。
巣穴として掘っていたものを、即席の落とし穴に仕立てたのだろう。 
猪の足からは尖った木の根か何かで傷つけたのか、勢い良く血が流れていた。

( ゚∋゚)…チュン?

('A`)「はて、何のことやら私はそんなものは…」

あくまでシラを切るムジナだったが、この臭いが現の証拠である。
こやつめは――――――。

( ゚∋゚)「……下手な嘘はつかぬほうがよいぞムジナよ。
     この臭いは一里の先から嗅ぎとっておった」
     
('A`)「……」

( ゚∋゚)「貴様、人間をさらってきたな?」


368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/14(火) 01:04:13.79 ID:BFZecXgMO [4/21]
おぉ、喋った

369 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:06:38.60 ID:tJS9rtk90 [4/24]
( ゚∋゚)「はじめは子どもが迷い込んだのかと探してみたが、
     森の境に履物が落ちていたきり。
     てっきりそこで帰ったかと思うていたが……」
     
私は、言いながら扇を取り出し、臭いの元ににじり寄った。

( ゚∋゚)「まさか、我らの懐まで来ていたとはな」

扇を一振り。
ふわり、とそよ風がその場に吹いた。
まだ若いムジナの術などこの程度で消し飛ぶ。

(;'A`)「あっ!」

お粗末な幻術は色水が吹き流されるようにして掻き消え、
その場に隠されていたものが露になった。    

lw´ _ ノv

(;'A`)「な、ばかな!」

( ゚∋゚)「人間や並の獣に通じても私には効かん。
     ……さて、新参者の分際で面倒事を起こした罪は重いぞ」
     
(#'A`) 「貴様ぁ…おれの獲物を……鳥風情が横取りする気か!?」
     
(#゚∋゚)ヂュン?

(;'A`) 「…ひ」

370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/14(火) 01:08:14.72 ID:BFZecXgMO [5/21]
ドックンそれ死亡フラグや

371 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:11:03.01 ID:tJS9rtk90 [5/24]
(#゚∋゚)「もう我慢ならん……貴様のような愚かな獣がこの山でどうなるか。
     とくと……思い知るがいい」
     
(;'A`) 「…なにをs)ry

(#゚∋゚)コッケコッコー!!!!!!!

腰に差した大団扇を、下から上にぶうんと振り上げる。    
瞬間的に凄まじい風が吹き、ムジナのちいさな体を空高くに打ち上げる。 

(;゚A゚)「き、きいっ」

私は瞬時に、落ちゆくムジナのところに飛ぶ。
無論、助けるためではない。 

(;'A`)「た…たすけ」

(#゚∋゚)「そおい!」

(゚A゚)「ぎいっ!?」

今度は奴の横っ腹を直接団扇でぶん殴ってやる。
その一撃で再び起きた強風で、なすすべなくムジナはどこかに吹き飛ばされていった。

―――――――きいいいいいいいいいいいいっ。                

……飛ばされていくムジナの声は次第にちいさくなり、やがてふっつりと途絶えた。

372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:14:34.10 ID:T5dAEWX4O [3/4]
クックル△支援

373 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:16:11.00 ID:tJS9rtk90 [6/24]

( ゚∋゚)シュタ

私が着地した一瞬あと、風で吹き上げられた雨露が遅れてその場に降り注いだ。
そして暮れかけの夕日の下、つかの間の虹が森を七色に彩る。

……やはり無礼な獣は、こうするに限る。

J(; ー )し「うー、天狗殿…余韻に浸ってないで助けてくだされい」

( ゚∋゚)「おう、すまぬなババ殿」

私は老いた猪の巨体をどうにかこうにか穴から引き上げると、
その重みに思わずほう、と息を吐いた。

(*゚∋゚)(お…今のはフクロウのようだったな。
     ……鳥の鳴きまねがまたひとつ増えた)
     
J(; ー )し「うう…」

(;゚∋゚)(おっと、いかんいかん)

いそいで足に腰から下げた手製の膏薬を塗ってやると、
猪の顔から苦悶が徐々に抜けていった。
仕上げに傷口を布で拭きとってやると、もう傷は跡形もなく消えている。

J(;'ー`)し「へえ…へえ…危うくあの若ムジナに殺されるところだったわい」

猪は流石ににまだ動けないらしく、土の上で荒い息をしている。
猪が先程までいた穴を覗くと、そこにはかなりの量の血が溜まっていた。

374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/14(火) 01:18:32.38 ID:BFZecXgMO [6/21]
支援ぬ

375 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:20:12.33 ID:tJS9rtk90 [7/24]
( ゚∋゚)「足は折れていないか?」

J(;'ー`)し「大丈夫…ですがしばらく動けそうにありませぬ」

( ゚∋゚)「そうか……とにかく私はこの子を里まで送って行く。
     猿!そこにいるのだろう?」

私が呼ぶと、草つきの中から猿が音もなく現れる。
       
( ^ω^)「……なんでございましょうかお」

( ゚∋゚)「熊には私から手を出さぬように言っておいてあるのだが…。
     念のためだ、ババ殿が歩けるようになるまで見張っておけ。
     あやつは最近、食うものに困っているようだからな」
     
( ^ω^)「承知しましたお」 

J(;'ー`)し「……猿に守られるほど衰えてはおらぬ!
      と、言いたいところだがそういう訳にもいかぬのう」
      
( ^ω^)「おっお、僕のつぶての腕は山一番だお。
       安心して横になっててくれお~」 
       
( ゚∋゚)「よし頼んだぞ、猿」

やおら立ち上がった私が背を向けたとき、ぼやくように猪が呟く。

J( 'ー`)し「しかし……いつまでこんな事を続けるのですか?  
      かつては、我らの土地に入った人間は勝手に喰う。
      ……というのが流儀であったはず」

376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/14(火) 01:21:02.46 ID:BFZecXgMO [7/21]
こえぇ

377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:24:51.50 ID:tJS9rtk90 [8/24]

J( 'ー`)し「人間の匂いがしたときは久方ぶりにあなたの目の届かぬところで、
      人間を思う存分喰えると浮かれておったのですが…。
      まったく骨折り損のくたびれ儲けですわ」

そういうと猪は溜息のつもりなのかフゴフゴと鼻を鳴らして見せた。
その様子が滑稽で、思わず吹き出しそうになる。    
     
( ゚∋゚)「時代は変わったのだよババ殿。
     見境なく人を襲えば鉄砲で撃たれる」

( ゚∋゚) 「子どもがいなくなればすぐさま山狩りが始まる。
      そして犬が放たれ、うりぼうたちがその爪に引き裂かれる」

J(;'ー`)し「それはそうなのですが…」              

( ゚∋゚)「穏便に事を済ますのが、我々にとっては一番なのだよ」

J( 'ー`)し「……そうですかなあ」

猪が不満げに鼻を鳴らす音を背後に聞きながら、
私は女の子を抱えて山と里の境まで歩き出した。

378 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:29:41.05 ID:tJS9rtk90 [9/24]
―――――――――
―――――
――


目を覚ますと、赤茶けた天井が目の前にある。
周りには見覚えがあった、お寺の庫裡だ。
妙にグラグラする頭を振ると、余計に気分が悪くなった。

( ゚д゚ )「おお、気がついたか?」

lw´‐ _‐ノv「だれ?このハゲ」

( ゚д゚ ) 「誰って…この寺の住職じゃ。
      見れば分かるじゃろ?」

lw´‐ _‐ノv「…でどうして私はここに?
       誘拐して写真とってネット上に流すの?」
       
(;゚д゚ ) 「はあ?なんじゃそれは?
       奇っ怪なことを言う子じゃのう」
      
老人をからかうのは楽しいものだ。

lw´‐ _‐ノv「じょうだんだよ…で私はどうしてここに?」

( ゚д゚ )「お前さんは石段のところで倒れておったんじゃ。
     あそこで一体何をしていたんじゃ?」                                 

lw´;‐ _‐ノv「え…石段のところ?」         

379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/14(火) 01:32:22.62 ID:BFZecXgMO [8/21]
見知らぬ人をハゲ呼ばわりwwwwさすがシュー

380 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:32:31.74 ID:tJS9rtk90 [10/24]

わたしはさっきまで家の裏で遊んでいて、それから。
……それから?
そういえば、よく覚えていない。

lw´‐ _‐ノv「家の裏で遊んでたら、森のほうから優しい声がしたの。
       それで、そっちの方を見たら気が遠くなって」
       
( ゚д゚ )「おお、狢か何かに化かされたのかの?
     しかし、この辺じゃあもう何十年もそんな事は起きとらんが」
     
lw´‐ _‐ノv「非科学的だね」

( ゚д゚ )「そういうもので割り切れんものもある」

カッカと笑うと、お坊さんは袂からいくつか飴を出して私の手に乗せた。

( ゚д゚ )「この飴もそういうものの一つじゃ、なめてみな」

lw´‐ _‐ノv「飴常備とかおばあちゃんかよ。
       それともロリコン?」
       
そう言いつつも、わたしはその飴を口の中に放り込んだ。
見かけはべっこう飴のようだったが、
口に入れると果物のような匂いがふんわりと口の中に広がる。

lw´*‐ _‐ノv「うまいな」

でも、なんだろうこの不思議な味は。
私はこんなにいい匂いのする果物を、私は知らない。

381 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:35:28.34 ID:tJS9rtk90 [11/24]

( ゚д゚ )「そうじゃろう?気分もだいぶ良くなってきたんじゃないか?」
     
lw´*‐ _‐ノv「確かに」

そういえば頭痛が消えている。
さっきまで吐き気まで催していたのに。                               
さらになめていると手足にも力が戻ってきた。

( ゚д゚ )「そういう飴なんじゃよ。
     さ、もうお帰り、気をつけてな」
     
lw´‐ _‐ノv「うん」

立ち上がって、庫裡の戸を開けるともう日は落ちかけていた。
早く帰らないと、お母さんに叱られちゃう。
もう一度、お坊さんの方を振り返る。

お礼を言おうと思ったのだ。

lw´;‐ _‐ノv「あれ?」

お坊さんはいつの間にかいなくなっている。
明かりもいつの間にか消えていた。
ただ奥に下がったにしては早すぎる。

lw´‐ _‐ノv「……へんなの」

とにかく、わたしは急いで家に帰ることにした。
またムジナに化かされるのも嫌だった。

382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/12/14(火) 01:38:20.14 ID:BFZecXgMO [9/21]
天狗様カッコいい

383 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:38:40.87 ID:tJS9rtk90 [12/24]
その時、遠くの方に見える山からぽおんと躍り上がったのがのが目に入った。
そのなにかは人の形をしていて、さらに向こうの山のほうへと飛んでいった。
おばあちゃんから聞かされた、天狗の話を思い出す。

lw´‐ _‐ノv「あ…」

迷った人を里まで送り届け、森を荒らすものをやっつける。
そんな山に住む、心優しい天狗さまのおはなし。

lw´*‐ _‐ノv「…天狗様か」

夕立の残していった水たまりを避けながら私は走った。
おねえちゃん達に自慢してやるのだ。
……天狗様を見たんだと。


388 名前:(;゚∋゚)「猿っ貴様ぁ!」(^ω^;)「その猿とはちがいますお!」[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:55:18.23 ID:tJS9rtk90 [13/24]
―――――――――
―――――
――


(メ゚∋゚)…チュン

木の上から子どもが走り去っていくのを見届けた私は、
ぶるりと体を震わせて羽についた水滴を落とす。
山から山へ飛んだ時、着地に失敗したのだ。

(メ゚∋゚)(…天狗も頭から木に突っ込む)

懐から紙を取り出すと短くそう書き付けた。 
そこに、猿がやってくる。

(;^ω^)「天狗様、猪は無事に帰りましたお」
      ってずぶ濡れでいらっしゃるのはどうしてですか?」

(メ゚∋゚)「……気にしてくれるな」

ほう、とさっき習得したフクロウの鳴きまねをしてみるが、
あまり上手くはなかった。

ふと猿が、木の上からの眺めを見て驚いたように言う。

(*^ω^)「おお…ここからだと人里が良く見えますおね。
       なかなか美しいものですお」
       
( ゚∋゚)…チュン

392 名前:黄昏の天狗のようです[] 投稿日:2010/12/14(火) 01:58:18.48 ID:tJS9rtk90 [14/24]
人里にかかっていた最後の夕日が山に遮られ消えるまで、
我々はじっとその様子を見ていた。

( ゚∋゚)「私は昔、人間だったことがあってな」

(;^ω^)「へ?」

( ゚∋゚)「夕方、こうして里の様子を見ていると思い出すんだ。
     あたたかな夕餉、そこに集まる家族。
     何もかもが懐かしい……。
     人間でなくなって百年近くになるのにな」

明かりが灯りはじめた里から、団欒の音が風に乗って聞こえてくる。 
……この気持ちはなんというのだろうか。
郷愁、哀惜、孤独――うまい言葉は見つからない。                            

( ゚∋゚)「ご苦労だった。
     お前はもう帰れ」

( ^ω^)「天狗様は……?」

( ゚∋゚)「私はもう少しここにいる」

( ^ω^)「……はい、では失礼いたしますお」

( ゚∋゚)チュン

猿がと木から降りて行くと、
木の上には僅かな虫たちと私だけになる。

395 名前:>>389いこうか[] 投稿日:2010/12/14(火) 02:03:56.16 ID:tJS9rtk90 [15/24]
そうすると、里の音がより鮮明に耳に入ってくる。
……どうやらあの妙な子供は、無事に家に帰りついたらしい。
興奮した様子で、私のことを家の者に話している。

( ゚∋゚)…

家族のうちほとんどが子供の言う事を信じていなかったが、
一人だけ信じたものがいた。子供の祖母だった。

「……わたしも会ったんですよ、その昔にね」

「……山で迷った私を助けてくれて、お土産までくれたのよ。
 ふしぎな味のする飴で……」

( ゚∋゚)チュン

今日は、風が体に染み込むようだ。
黄昏に吹く風の中、私は静かに目を閉じると少し眠ることにした。
幸せな夢が見れるといい、そう願いながら。


396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/14(火) 02:05:39.31 ID:tJS9rtk90 [16/24]
おわり


珍しく楽しくさらさら書けた作品。
……現行で詰まっている時ほど書けちゃう不思議。
  1. 2010年12月30日 04:15 |
  2. 自作品まとめ
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