- 3 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:10:59 ID:DX3Cc/eI0
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第21話
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:12:51 ID:DX3Cc/eI0
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結局のところ、人生は自分一人のものだ。
自分さえよければ、他の者の人生なんて知ったこっちゃない。
皆、いつも己の事だけを考えて生きている。
いくら信じようが尽くそうが、それは建前で、他人は所詮他人。
血の繋がりのある者でも。 どんなに愛を囁きあった者同士だとしても。
( ・∀・)
ζ(゚ー゚*ζ
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:14:41 ID:DX3Cc/eI0
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以前は神を信仰する者がこの世界に多くいた。
そうした時代の教会や、それを信奉する聖職者達には奇跡の力が宿り、
それを使役して生命の復活なども行える者すらもいたという伝記もあるらしい。しかし今は、とても祈りを捧げて安寧を得られる事などできない。
民衆の多くは信仰を捨てた。こんな時代だからこそと、敢えて神に祈る人々もいるにはいるが。
それでも霊堂の中へ入ると、神聖味な空気に、身が引き締まる気がする。
神父が一人、十字架に礼拝を捧げていた。 - 6 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:15:51 ID:DX3Cc/eI0
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(-_-)「・・・・・・この世に、神の加護あらんことを・・・・・・」
ζ(゚ー゚*ζ「神父さま。わたしも、一緒にお祈りさせて頂いてもいいかしら?」
(-_-)「や。これは。ええ、もちろんですとも」
(-_-)「人が来るのは久しぶりなので、気づきませんでした。
ましてや、祈りを捧げに来る者など・・・」(-_-)「ささ、こちらで礼拝を捧げるのです」
ζ(゚ー゚*ζ「はい」
( ・∀・)(やれやれ)
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:17:05 ID:DX3Cc/eI0
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モララーは椅子に腰掛け、祈るでも無く二人の様子をぼんやりと見つめた。
( ・∀・)(教会に来たいなんて言い出すから何かと思ったが)
( ・∀・)(単に礼拝するだけか。馬鹿馬鹿しい)
見上げれば、天井から薄暗い光が差し込む。
精霊ルビスを象ったステンドグラスも色褪せて見える。( ・∀・)(まったく、神に祈る奴の気が知れないな)
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:18:26 ID:DX3Cc/eI0
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そうだ。神などいない。
少なくとも自分の人生の苦境には顕現しなかったし、
この世界にもし救いの神がいるのだとすれば、なんと怠惰な神な事だ。結局のところ神頼みってのは、独力で何かを成し遂げようとしない、
他人任せな連中の徒労行為にしか過ぎないんだ。ζ(゚ー゚*ζ「モララー様、お待たせしました。モララー様は、お祈りはしないのですか?」
( ・∀・)「いや、俺は結構。それより、気は済んだかい?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ、モララー様にも、神の加護があるよう祈りを捧げました!」
やれやれ。そんな事に熱中するくらいなら、
腰の振り方でも勉強してもらいたいものだ。 - 9 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:19:55 ID:DX3Cc/eI0
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ζ(゚ー゚*ζ「わたし・・・最近思うんです。神の存在を感じるんです」
ζ(゚ー゚*ζ「モララー様に拾われるまで・・・私は孤独でした」
ζ(゚ー゚*ζ「孤児の私は娼婦の店に拾われてから、ずっと彼処に縛られた・・・」
ζ(゚ー゚*ζ「誰も私を本当の部分を見ようとしない・・・
ただそこにあるだけの商品」ζ(゚ー゚*ζ「そんな私の前に現れたモララー様は、救いの神に見えました。
わたしは、貴方のおかげで解き放たれたんです」別に救ったつもりは無いけれどね。
自分も、そして君も・・・互いを利用しあってるだけだ。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:21:18 ID:DX3Cc/eI0
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ζ(゚ー゚*ζ「モララー様と一緒に旅をしてみて、いろいろな事を知ったんです」
ζ(゚ー゚*ζ「世界がこんなに広い事。人生がこんなにも自由な事を」
ζ(゚ー゚*ζ「目に映る全ての景色が美しく見え始めたとき・・・
神の存在を意識するようになったんです」この荒廃した世界が、美しいだって?
冗談でも笑えるものと、そうでないものがある。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:22:45 ID:DX3Cc/eI0
-
ζ(゚ー゚*ζ「モララー様、これを」
( ・∀・)「・・・・・・? なんだい?」
それは、銀細工の指輪だった。
宝石等の装飾はなく、シンプルなもの。いびつにも見えるが、無骨な味わいがまたそれなりの雰囲気を醸している。
ζ(゚ー゚*ζ「モララー様が剣のお稽古をしている最中に、町で作ったんです」
ζ(゚ー゚*ζ「職人さんに習って、私が作ったんです。
ちょっと出来はよくないかもしれませんが・・・」ζ(゚ー゚*ζ「モララー様の、旅のご無事を祈願してつくりました」
( ・∀・)「・・・・・・」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:24:00 ID:DX3Cc/eI0
-
試しにはめてみた。指にぴったりだった。
ζ(゚ー゚*ζ「お似合いですわ、モララー様!」
( ・∀・)「・・・これを作るにも金がいるだろう。
確かに君にいくらかの金は渡してはいるが・・・」ζ(゚ー゚*;ζ「す、すいません。でも・・・」
ζ(゚ー゚*ζ「モララー様に、喜んで頂きたくて」
( ・∀・)「・・・・・・」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:25:30 ID:DX3Cc/eI0
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ζ(゚ー゚*ζ「モララー様は・・・ときどき、どこか寂しそうな顔をなされますね」
( ・∀・)「寂しい・・・?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。どこか遠いところを見つめるように」
( ・∀・)「・・・・・・」
( ・∀・)「君はさっき、自分は孤独だったといったが」
( ・∀・)「俺もそうさ。孤独だった」
( ・∀・)「でも、それは普通な事さ。人間だれしも孤独なんだ」
( ・∀・)「俺は小さい頃に・・・母親に捨てられた」
ζ(゚ー゚*ζ「・・・・・・」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:26:55 ID:DX3Cc/eI0
-
( ・∀・)「駆け落ちだった。父親以外の人間とね。俺や家族を置いて逃げたんだ」
( ・∀・)「貴族だった俺達の家系に傷がついたことで、
父親は酒に溺れ、俺にあたる。殴る、蹴る」( ・∀・)「それがまたさらに良くない噂になって、周囲から俺は疎外されたよ」
( ・∀・)「まぁ、昔から何でも一通りのことは出来たからね。やっかみ もあるのかもしれないが」
( ・∀・)「そんな環境がとうとう嫌になって、家を飛び出したんだ。
名家の何もかもを捨ててね」 - 15 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:28:24 ID:DX3Cc/eI0
-
( ・∀・)「跡継ぎのいなくなった俺の家系が没落しようと知った事じゃない」
( ・∀・)「そうさ、俺もあの最低の母親と同じ・・・結局は独りなんだ」
( ・∀・)「頼れる者なんて、自分の身以外に何一つありはしない」
( ・∀・)「俺も君も・・・何も繋がっちゃあいないんだ」
( ・∀・)「人なんてそんな生き物さ」
( ・∀・)「母さんも・・・・・・自由気まま勝手に、生きてるのだろうさ」
ζ(゚ー゚*ζ「・・・・・・」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:29:19 ID:DX3Cc/eI0
-
ζ(゚ー゚*ζ「モララー様は・・・・・・お母様を愛してらっしゃるんですね」
( ・∀・)「・・・・・・何だと?」
ζ(゚ー゚*ζ「そう感じました」
( ・∀・)「・・・馬鹿な。自分を捨てた母親だ。愛情なんてある訳が無い。
そりゃ何も知らない幼少の頃は、そんな下らない感情もあったかもしれないが」( ・∀・)「今はそれどろこか・・・憎んですらいるよ。あの最低の」
ζ(゚ー゚*ζ「いいえ。きっと貴方は、今でもお母様を愛してらっしゃるはずですわ」
やめろ。そんな事はない。そんな筈は無い。
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:30:36 ID:DX3Cc/eI0
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ζ(゚ー゚*ζ「わたしも孤独でしたけど・・・でも本当の愛の在処は解ります」
ζ(゚ー゚*ζ「私でよければ、代わりになれれば幸いです」
代わりだと。 お前が、俺の母親に?
ζ(゚ー゚*ζ「娼婦でも、付き人でも。妻でも、母親でも」
ζ(゚ー゚*ζ「貴方が私を望むままに・・・」
ζ(゚ー゚*ζ「お慕いしております、モララーさ
ふざけるな。
( ・∀・)「ふざけるな」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:31:37 ID:DX3Cc/eI0
-
(♯・∀・)「お前の様な娼婦に、何が解る。俺の何を知っている」
(♯・∀・)「アカの他人を理解した風な口を・・・きくな!」
モララーは、指輪を投げ捨てた。
指輪が壁に当たり転がる音が、広い霊堂の中で反響する。
神父が、オロオロと様子を見ている。 - 19 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:32:24 ID:DX3Cc/eI0
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ζ(゚ー゚*;ζ「モララー様!」
( ・∀・)
モララーは教会から出て行った。
悲しげな表情の女性と、それに慰めの声をかける神父だけが残された。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:34:55 ID:DX3Cc/eI0
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( ^ω^)「・・・・・・最近、ずいぶん鳥が多い気がするお」
空を見上げて、ブーンは言う。
ξ゚⊿゚)ξ「そうね・・・そういえば、確かにそうだわ」
寄り添うツンが応じる。
ブーンとツンの二人は、リムルダールの市場を散策していた。 - 21 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:35:58 ID:DX3Cc/eI0
-
今後の旅のテーマは、“ラダトームへの帰還”となる。
まずは、姫であるツンをラダトーム城へ無事に帰す事。
それに、暴王住まいし魔の島へ渡る為の方法の一つ・・・
“太陽の石”の情報・・・あわよくば、現物を入手するため。( ^ω^)(・・・・・・)
ブーンは考えていた。
ツンをどうするか、である。 - 22 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:38:31 ID:DX3Cc/eI0
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このまま一緒にラダトームへ進むか。
それともツンをリムルダールへ預け、ラダトームからの迎兵を待たせるか。
もし二人共にあの道を引き返すならば、相当の覚悟がいる。
暗闇の洞窟ありき、さらには毒の沼も待ち構える。二人でいけば、ブーンは自分の身を守る事で精一杯かもしれない。
だが、結局の所、ラダトームから姫の迎えを出兵させたとしても、
それ達はブーンと同じ道程をたぐる事になる。屈強な兵士でも、あのコースを巡れば、それなりに命を落とす者もいるはずだ。
それならば、自分一人でツンを送り届けた方が良いか。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:40:37 ID:DX3Cc/eI0
-
それに。
ξ゚⊿゚)ξ「嫌!ブーンと離れるなんて、嫌よ!」
( ^ω^)「ツン」
何より、本人がブーンと共にある事を選んだ。
こういう状態のツンは頑固だった。数日ほど前にリムルダールにツンを一人で残し、
づーのいる聖なる祠に足を運んだ時も
帰って来たらツンはもうブルブルと震え、怯えていたのだ。今は一人が、怖いのだろう。
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:44:13 ID:DX3Cc/eI0
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ならば、共に行こう。
あの洞窟からの旅中で、命を助け合った二人だ。
ここまできたら一蓮托生でも構わない。この薄幸の姫君を、必ずや守り通してみせよう。
( ^ω^)「ラダトームか・・・懐かしいお」
ξ゚⊿゚)ξ「お父様・・・きっと心配しているわ・・・」
ラダトームに向けての旅支度を始める。
市場でいろいろと見て回ろう。
今日はいつにも増して、市場に活気がある気がした。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:46:15 ID:DX3Cc/eI0
-
( ^ω^)「・・・ん?」
( ・∀・)「・・・お」
あの戦士だ。市場の裏の、目立たぬところに
樽に腰をかけて休んでいた。しかし、よくよく顔をあわせるものだ。
それなりに広いこのリムルダールで。何かの腐れ縁なのだろうか。
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:46:59 ID:DX3Cc/eI0
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( ^ω^)「また会ったかお」
( ・∀・)「ん・・・あ、ああ。」
( ^ω^)「お?何だか元気ないおね。いつもの憎まれ口はどうしたお?」
( ^ω^)「それに、いつも一緒にいるデレさんは今日はいないのかお。
アンタにはもったない――――――( ・∀・)「うるさい」
( ;^ω^)「・・・おっ?」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:48:49 ID:DX3Cc/eI0
-
何か、今日は機嫌が悪いようだ。
いつもなら、気取った台詞まわしで返答してくるものだが・・・。どことなく真剣味を帯びたその口調に、一瞬ブーンは調を外した。
( ^ω^)「・・・何かあったのかお?」
( ・∀・)「・・・・・・お前には関係ない事さ。口を出すなよ」
( ^ω^)「あっそうかお。確かに関係ないお」
( ^ω^)「でも、そう仏頂面じゃあ、せっかくのイケメン()が台無し・・・」
( ・∀・)「・・・・・・」
( ;^ω^)「まあ、いいお。じゃあ――――――」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:49:41 ID:DX3Cc/eI0
-
「た、大変だ!!魔物の襲撃がくるぞ!!」
「きゃあああああああああああああああ!!」
「女子供は、屋内に隠れろ!!」
( ^ω^)「!?」
( ・∀・)「!」
ξ;゚⊿゚)ξ「っ、ブーン!?」
( ;^ω^)「市場の中央の方だお。何があったお・・・!?」
三人は、声のする方へ移動する。
数名を中心に円状に人だかりが出来ていた。 - 29 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:51:37 ID:DX3Cc/eI0
-
( ^ω^)「もしもし、いったい何があったんですお?」
村人「あ、ああ!実は、水堀の外壁の見回りをしている憲兵から連絡が・・・」
村人「大勢の魔物が、空からこちらの街へ移動してきているとの事だ!」
( ;^ω^)「!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「そんな・・・」
( ・∀・)「・・・・・・」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:52:26 ID:DX3Cc/eI0
-
村人「最近、よく空に見えた鳥達・・・あれは鳥でなく、魔物だったんだ・・・!」
村人「大変だ・・・憲兵によると、もう半刻以内には街へ侵入してきそうだと・・・」
村人「くそっ!いくらスゴい水堀があっても、空から攻められたんじゃ・・・」
村人「とにかく、兵士は今にも街の至る所に配置されるし、
戦える男共は武器をもって備えてくれとの事だ」村人「ぐ・・・無茶だ!兵隊でもない俺達が戦うなんて・・・!」
周囲のざわつきは増し、悲鳴も漏れた。
明らかに混乱している。 自警団らしき者達が、住民を何とか統制しようとしている。
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:54:25 ID:DX3Cc/eI0
-
( ;^ω^)「・・・大変な事になったお・・・!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン・・・私たちも隠れて・・・」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)「・・・ツン。聞いてくれお。ブーンは、街の人と一緒に戦うお」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブ、ブーン」
( ・∀・)「・・・・・・」
( ^ω^)「こんな事態をほっとけないお。それに――――――」
そうだ。彼なら――――――ロトの勇者、モナーなら。
きっとこの場でも、剣をとったに違いない。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:55:23 ID:DX3Cc/eI0
-
( ^ω^)「大丈夫だお。どうしても危なくなったら、
ブーンも戦況をみて離脱するお。元々一人でどうにかできる相手じゃないお」ξ;゚⊿゚)ξ「・・・・・・」
( ^ω^)「とにかく、自分のできる所まで・・・」
( ・∀・)「いやあ、カッコいいねえ。正義の戦士さんは!」
( ^ω^)「!!・・・・・・」
( ・∀・)「アカの他人の為、自分の命すら危険に晒すなんて!
さっすが竜王を倒すなんて吹聴してるだけの事はあるねえ」 - 33 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:56:52 ID:DX3Cc/eI0
-
( ^ω^)「・・・アンタは、戦わないのかお?」
( ・∀・)「フン、馬鹿馬鹿しい。なんで俺が戦わなくちゃならないんだ?」
( ・∀・)「正義の為に・・・なんて、自己陶酔も大概にしたらどうだい?」
( ・∀・)(そうさ・・・人なんて、みんな自分の為に生きる事で精一杯さ――――――)
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 19:58:07 ID:DX3Cc/eI0
-
( ^ω^)「・・・別にアンタが戦わない事に、口を出すつもりは無いお」
( ・∀・)「・・・・・・」
( ^ω^)「だけど、ひとつ頼みがあるお」
( ・∀・)「何だ・・・?」
( ^ω^)「ブーンが離れる間・・・ツンを守ってやって欲しいお」
( ・∀・)
( ^ω^)「なんだかんだいって、アンタそれなり腕が立つお。だから」
( ^ω^)「ツンを・・・よろしく頼みたいんだお」
( ・∀・)「・・・はっ」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 20:00:09 ID:DX3Cc/eI0
-
( ・∀・)「もし俺がいなかったら・・・どうしてたんだ?」
( ・∀・)「ツンさんをおいて残していくんて、そんな非情な真似でもしてたというのか」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ・∀・)「ツンさんも何かいってやりなよ・・・ほら。
コイツはわざわざ命を・・・」ξ ⊿ )ξ「・・・ブーン」
ξ ⊿ )ξ「 死なないで。 」
( ^ω^)「だお」
( ・∀・)「!」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 20:02:15 ID:DX3Cc/eI0
-
( ・∀・)「ツンさん・・・それでいいのかい?もしかしたら二度と会えなくなってしまうかも」
ξ ⊿ )ξ「いいの・・・」
ξ ⊿ )ξ「わたしが生きてるのも・・・今のわたしがあるのも・・・ブーンのおかげ」
ξ ⊿ )ξ「ブーンの心の、毅然とした“正義”のおかげなの」
( ^ω^)「・・・」
ξ ⊿ )ξ「だから、わたしはブーンを止めない。止められない」
ξ ⊿ )ξ「それでこそ・・・ ブーンなのよ」
(;・∀・)「・・・・・・」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 20:03:22 ID:DX3Cc/eI0
-
ξ ⊿ )ξ「だから・・・ブーン・・・・・・」
ξ;⊿;)ξ「絶対・・・帰ってきて。」
( ^ω^)
( ・∀・)
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 20:04:29 ID:DX3Cc/eI0
-
ツンは、涙を流した。
ブーンがいなくなってしまうのかとの、不安からくる涙ではない。
誰かを守る為に、けれん身なく、その命を賭す事ができる――――――
それがブーンの心の強さであり、またその美しさに対して・・・
ツンは、涙で讃えたのだ。
それが今、戦場に立ち向かう戦士に対し、唯一ツンに出来る事だから。
彼女にできる、背一杯の祝福だったから。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 20:05:53 ID:DX3Cc/eI0
-
( ^ω^)「大丈夫だお。ツンを決して一人にはしないお」
ξ;⊿;)ξ「・・・グスン」コクリ
( ^ω^)「って事だお。ツンを頼むお」
( ・∀・)「・・・・・・」
( ^ω^)「アンタに預ければ安心だお。じゃあ・・・」
( ・∀・)「待てよ。それはできない」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 20:06:28 ID:DX3Cc/eI0
-
( ^ω^)「・・・」
( ・∀・)「俺もいく。俺も戦うよ」
( ^ω^)「!!」
( ・∀・)「別に、深い意味は無いけどね・・・」
( ・∀・)「何だか、これじゃあ俺がカッコ悪いみたいじゃないか」
( ・∀・)「それは俺の美学的に・・・」
( ・∀・)+「許せないね」キラリ
( ;^ω^)「あ、そう・・・」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 20:07:59 ID:DX3Cc/eI0
-
( ・∀・)「お前ばっかりに良い格好はさせないぜ」
( ^ω^)「・・・おっおっ!まあいいお」
( ^ω^)「一緒に、やってやるかお!」
( ・∀・)「危なくなったら、速攻逃げるけどな」
( ^ω^)「好きにしろお」
( ・∀・)「水堀の方から攻めてくると言ったな・・・じゃあ、そっちにいくか」
ξ;⊿;)ξ「ブーン・・・」
( ^ω^)「ツン。ショボン先生の病院に、隠れやすい地下室があったお。
そこにかくまってもらうといいお。あそこなら比較的安全な筈だお」 - 43 名前:以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/16(土) 20:10:22 ID:DX3Cc/eI0
-
( ^ω^)(・・・ツン。ありがとうだお)
( ^ω^)(貴方の想いに報いる為にも・・・必ず生還して戻って来るお)
( ・∀・)(・・・・・・)
( ・∀・)(デレは・・・今何処にいるんだ・・・?)
( ・∀・)(・・・・・・・・・)
( ・∀・)(デレ)