- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:04:11.38 ID:vYMlBGXY0
プロローグ- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:04:51.51 ID:vYMlBGXY0
時は乱世、暗黒の時代。
暴虐の覇王・・・竜王の手によって、世界は邪悪に包まれていた。人対魔物。
闇の支配と、それに対抗する脆弱な人間。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:06:26.52 ID:vYMlBGXY0
田畑は枯れ、動物は禍々しく猛け吠える。風は荒み、空は暗し。
魍魎が跋扈し、人々の血を啜るために蹂躙す。各国が竜王討伐の軍を送るも、音沙汰無し。
徐々に軍備もつき、果ては兵士の心も折れる。民の暮らしは、恐怖と絶望に彩られる。
人々の目から、光が消えた。
人々の心から、祈りが消えた。- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:07:49.19 ID:vYMlBGXY0
いやしかし、希望はある――――ロトの勇者。
彼の伝説の血を引きし者が、竜王成敗に向けて旅足をのばしている。勇者暗躍奮闘の噂は、次第に民の間に広まり、一つの希望の光となった。しかし・・・
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:08:50.30 ID:vYMlBGXY0
(メ;; ∀ )「はぁ・・・はぁ・・・」(メ;; ∀ )「ここか・・・」ギギイィィ・・・ガゴンッッ
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:09:40.17 ID:vYMlBGXY0
(メ;; ∀ )「・・・」やぁ、良くぞ来た。勇者よ。(メ;; ∀ )「お前が竜王か」
いかにも。我こそが、この世を統べる暗黒の王なり。
(メ;; ∀ )「・・・ついに、会えたな・・・」
恋い焦がれておったか・・・?ククク
(メ;; ∀ )「竜王・・・貴様を・・・倒すモナ」
まぁ待て・・・ お前に一つ。
質 問 を し よ う で は な い か ・ ・ ・
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:10:44.52 ID:vYMlBGXY0
巷に凶報流るる。
正義の勇者、ロトの血族が竜王の手に落ちた。
戦いに破れた聖血の戦士は、魔王軍に捉えられ、今なお拷問を受け続けている。
そして尚、悪の軍勢は力を蓄え、人間の明日を、願いを奪うために。伝説の勇者すら敵わないのか。我々の望みは叶わないのか。この衝撃的なニュースは、風のように世界全土へと広まった。
人々の心から、再び希望と祈りが消えた。そして、数年後―――――――
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:13:52.26 ID:vYMlBGXY0
( ^ω^)「カーチャン、起きたかお。今日は体調はどうだお?」母「ああ・・・今日はいつもよりはなかなか調子がいいよ・・・ゴホッ」( ^ω^)「よかったお。じゃあ、森に出て、薪でもとってくるお」
母「ああ、いってらっしゃい。気をつけてね、ブーンや」
( ^ω^)「いってくるお!棚の鍋に、芋の炒め物があるお。ちゃんと食べるんだお?」
母「ありがとうねぇ。魔物に気をつけるんだよ」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:15:08.47 ID:vYMlBGXY0
ここは、ラダトーム城下町。竜王軍の手により、いくつもの国や村が滅ぼされて来ている中、
このラダトームの城下町はかろうじて生き残っていた。
見上げれば、遠くに荘厳にそびえる、ラダトーム城。
この城の規模の大きさこそがそのまま、ラダトームが今まで魔の手に屈しなかった理由の一つでもあるのだろう。ブーンは、城下町の純朴な青年であった。
この地に生まれ、この地で生きてきた。魔物の恐怖に脅かされながらも、病弱な母と二人、質素で穏やかな生活を営んでいる。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:16:06.19 ID:vYMlBGXY0
( ^ω^)「今日も風が冷たいお」( ^ω^)「はやいところ仕事を済ませて、カーチャンのところへ帰るかお」城下町付近の森。そこで、ブーンは薪を取る作業を始める。
城下町に住む大抵の人間は、町の中で業者や猟師から薪を買う。
町の外に出ては、魔物に襲われる可能性があるからだ。- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:16:51.48 ID:vYMlBGXY0
しかし、ブーンはいつもこの森で薪をとっていた。
薪を買う金も惜しい程に貧窮している事につけても、
ブーン自身も気をつけてさえいれば、この辺りのモンスターなら、なんとかやり過ごせる腕をもっていた。
そして、その薪を売り、ブーン家は生計を立てていた。(つ^ω^)o「よっ・・・と」パカン、パカン
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:19:16.35 ID:vYMlBGXY0
古びた斧を振り下ろし、薪を割り、カゴに積んでいく。
一汗を流した後、冷たい川の水を飲み、一息ついて疲れを癒した。( ^ω^)「・・・最近、カーチャンの病状も悪くなって来ているみたいだお」( ^ω^)「もっと栄養のあるものがいるお・・・」
( ^ω^)「! そうだお。魚でも取って帰って、カーチャンを喜ばせるお!」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:20:56.07 ID:vYMlBGXY0
ブーンは心優しい青年だった。体の弱い母をいつも気遣っていた。
そして、母を守る為には、自分が強くあらねばと、森に出て、薪割りや狩りをしたりして、体を鍛えている。( ^ω^)「小さい魚なら・・・手で獲れるお!」バシャバシャ( ;^ω^)「ぬくく・・・」バシャバシャ
( ;^ω^)「とれたお!・・・チビの魚が、2匹」
ゅ ゅ ピチチ・・
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:23:38.59 ID:vYMlBGXY0
(‘A`)「・・・」( ^ω^)(あ・・・人だお。こんなところに、珍しいお)( ^ω^)(黒いローブ・・・この辺りじゃ、変わった格好だお)
( ^ω^)「こんにちは。何してるんですかお?」
(‘A`)「・・・」
(‘A`)「・・・ん?ああ、薬草をとりに。この辺りは、質のいいものが群生しているんだ」
( ^ω^)「そうなのかお。ということは、薬屋さんですかお?」
(‘A`)「・・・いいや、違う」
( ;^ω^)「そ、そう・・・(なんだか、無愛想な人だお)」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:24:29.69 ID:vYMlBGXY0
(‘A`)「・・・そろそろ日が暮れる。はやく家に帰った方がいいんじゃないか?」( ^ω^)「あ・・・本当だ。そろそろ帰らなきゃ・・・カーチャンも心配するお」(‘A`)「一人で帰れるのか?」
( ^ω^)「大丈夫だお。スライムくらいなら、なんとかしのげるお」
日が沈み始めていた。日が暮れてしまっては、魔物に襲われる可能性も高くなる。
ブーンは急いで手じまいの準備をし、家路へとついた。
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:26:25.25 ID:vYMlBGXY0
( ^ω^)「どうだおカーチャン、今日は魚のスープだお」母「あら、いい匂いだねぇ。ブーンも一緒に食べようよ」( ^ω^)「だお。ブーンの分も取り分けてあるお」
母「ああ・・・美味しいよ、ブーン。まぁ、1杯に2匹も・・・贅沢ねぇ」
( ^ω^)「香草も使って香りを出してるんだお。
腕によりをかけて作ったお!でも、お隣さんにまた塩を借りてしまったお・・・」母「ブーンは料理をつくるのが得意ねえ・・・料理人が向いているのかもしれないわ」
(*^ω^)「さぁ、カーチャンいっぱいたべて栄養つけるお!」
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:27:21.66 ID:vYMlBGXY0
次の日――――( ^ω^)(こまったお)( ^ω^)(完全に金がなくなったお)
( ^ω^)(それどころか、他人から借りたりもしているし、むしろマイナスだお)
( ^ω^)(最近じゃ、薪売りの商売もさっぱりだし・・・どうしたもんかお)
( ;^ω^)「・・・・・・」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:28:16.80 ID:vYMlBGXY0
(,,゚Д゚)「おぅ、ブーンじゃねえか!」( ^ω^)「お、ギコ。」(,,゚Д゚)「どうしたい、しけたツラして。なんか悪いもんでも食ったかい?」
( ^ω^)「あー・・・ちょっと、金銭的な問題で・・・」
(,,゚Д゚)「ああ・・・そっか」
( ^ω^)「カーチャンの病気もあるし、何かと物入りなんだけどね・・・うまくいかないお」
(,,゚Д゚)「なるほど・・・ そういやブーン、こんな話を知ってるか?」
( ^ω^)「なんだお?」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:29:21.35 ID:vYMlBGXY0
(,,゚Д゚)「なんでも、竜王討伐の旅に出ると申請すれば、ラダトームから支度金として金がもらえるらしい」( ^ω^)「・・・金?ほお」(,,゚Д゚)「軍の方も兵士が足りない・・・ かといって竜王討伐の遠征を止める訳にもいかない」
(,,゚Д゚)「そこで、屈強で腕のたつ民間人を、送り傭兵として雇うって事だな」
( ^ω^)「そうなのかお・・・」
(,,゚Д゚)「ただし、金を受け取ればこの町からは出ていかにゃならんけどな」
( ^ω^)「まぁそりゃあそうだろうお」
(,,゚Д゚)「まぁそれでも金を持ち逃げする奴もいるだろうさ。 国軍も、藁にもすがる思いなのかねぇ」
( ^ω^)「こんな時世だもの、しょうがないお」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:30:11.48 ID:vYMlBGXY0
(,,゚Д゚)「・・・ところでブーン、俺はこの遠征に買って出ようと思うんだ」( ;^ω^)「え?ギコが?」(,,゚Д゚)「ああ、そうさ」
( ^ω^)「マジかお!?危険な旅になるお・・・それとも、金だけ貰って逃げる口かお?」
(,,゚Д゚)「ばかいえ。俺がそんな事する訳ねえだろう」
( ^ω^)「おお・・・本気かお?」
(,,゚Д゚)「ああ、本気だ。俺には身寄りもいねえ。このままここでくすぶって死ぬよりはな・・・」
(,,゚Д゚)「いろんな所を旅して、冒険して、いろんなもんを見て、町の自警団として磨いて来た自分の腕を試しみてえ」
(,,゚Д゚)「幸い、俺ァ腕っ節には自信がある。だったら、人様の、世の役にたって死にてえってもんだ」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:31:20.55 ID:vYMlBGXY0
( ^ω^)「そうかお・・・覚悟を決めてるのかお」(,,゚Д゚)「ああ、止めても無駄だぜブーン。俺はやる、やるぜ」( ^ω^)「止めはしないお、ギコ」
( ^ω^)「ただ、本気でやるのなら、相当過酷なものになるお」
( ^ω^)「なにせ、あのロトの勇者が失脚した程の道程なんだから」
(,,゚Д゚)「それもわかってる。何より、辛い旅になる」
(,,゚Д゚)「でも俺は、人々の救いの・・・希望になってみてえ」
(,,゚Д゚)「明日か明後日にでも、この町を発つぜ」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:32:14.85 ID:vYMlBGXY0
( ^ω^)「そうかお。昔からの友人として、応援するお」(,,゚Д゚)「おう、ありがてえな、ギコハハッ!」( ^ω^)「・・・ところで、遠征で貰える支度金はどのくらいなのかお?」
(,,゚Д゚)「たしか、40ゴールドだか50ゴールドだったと思うけどなぁ」
( ^ω^)(ご・・・50G・・・それだけあれば・・・)ゴクリ
(,,゚Д゚)「なんだ、お前も旅に出るか?」
( ;^ω^)「・・・い、いや、ブーンにはカーチャンがいるお・・・カーチャンをおいては旅にはでれないお」
(,,゚Д゚)「そうか・・・いや、お前の腕っ節もなかなかのモノなんだけどなぁ」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:34:05.88 ID:vYMlBGXY0
(,,゚Д゚)「正直、その辺りの自警団じゃブーンには敵わねえ。俺でも危ういところだぜ」( ^ω^)「カーチャンを守る為には、力がいるお。実際、最近治安も悪くなって来ているし・・・」(,,゚Д゚)「ま、でも、お前は竜王討伐の為に旅にでる・・・なんてよりかは、
この町で静かに暮らしていく方が気性にあってると思うぜ?カーチャンに美味い飯つくってさ」( ^ω^)「うん、ブーンもそう思うお」
(,,゚Д゚)「お前も何だったら、自警団に入ってもいいと思うんだがなぁ」
( ^ω^)「自警団員は結構時間の拘束が厳しいお・・・カーチャンの面倒をみないといけないから」
(,,゚Д゚)「ふぅむ・・・そうかあ」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:35:56.07 ID:vYMlBGXY0
( ^ω^)「・・・そういやギコ。しぃさんはどうするのかお?」(,,゚Д゚)「しぃ・・・って、なんでそこでしぃがでてくんだよ」( ^ω^)「あれ?ギコ、しぃさんの事好きだったやんけ」
(//,,゚Д゚)「ばっ!あ、あんな阿婆擦れ、好きでもねえやっ!!」
( ^ω^)「あろろ・・・相思相愛だと思ってたのに」
(,,゚Д゚)「・・・仮に惚れてる女がいたとしても、俺は出て行くぜ。これが、俺の使命だ。そう決めたんだ」
( ^ω^)「ひゅーぅ、かっこいいお」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:36:41.77 ID:vYMlBGXY0
(,,゚Д゚)「ま、とりあえず出発前に挨拶は済ませたぜ。また旅立つときは言うけどな」( ^ω^)「わかったお。じゃあ、出発前に美味いものつくってやるお」(,,゚Д゚)「お、そりゃあ嬉しいねえ、ハハハ」
( ^ω^)「腕を振るうお!期待してろお!」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:37:27.14 ID:vYMlBGXY0
――――夜。 ブーン宅、寝床。
家は消灯し、窓から星月明かりが差し込む。冷たい風が吹き込んでくる。( ^ω^)(・・・旅、かお)( ^ω^)(竜王討伐・・・そんな事が出来るのかお)
( ^ω^)(ギコは偉いお。ちゃんと人の役に立とうとして生きてる。命を懸けてる)
( ^ω^)(ブーンは、カーチャンを守るので精一杯だお)
( ^ω^)(ブーンは・・・)
( ^ω^)(自分はいったい、何者になるのかお)
( ^ω^)(・・・わからないお)
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:38:13.30 ID:vYMlBGXY0
ギコ、出立の日。( ^ω^)「よう」(,,゚Д゚)「おう」
( ^ω^)「出発祝いだお。山でとってきた野鶏と山菜の蒸し物と、豆の羊乳煮だお」
(,,゚Д゚)「ぐっは!こりゃ美味そうだ!すっげえ良い香り!」
(*゚ー゚)「ギコ、いくのね・・・」
(,,゚Д゚)「・・・ああ、いってくら。お前も、自警団の方、ヨロシク頼むぞ」
(*゚ー゚)「うん・・・」
( ^ω^)「冷めないうちに、くえお。美味しいお」
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:39:51.67 ID:vYMlBGXY0
(,,゚Д゚)「おれは世界を見てくるぜ。きっと、竜王を倒してみせるぞ」( ^ω^)「頼もしいお。ギコが言うなら、なんとかなりそうだお」(*゚ー゚)「・・・・・・竜王討伐なんて・・・無理よ。 ギコ、今からでも、考え直せないの・・・?」
(,,゚Д゚)「おおっ!うまっ!鶏肉めっちゃ柔らかくて、ジューシィだなぁ」
(*゚ー゚)「・・・」
(,,゚Д゚)「しぃ、もう決めたんだ。いくって。世界の為に出来る事を、俺は探しに行くぜ。
俺は外で戦う。だから、お前は町の中で、自警団としてみんなを守ってくれよ」(*;ー;)「ギコ・・・」
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:41:53.92 ID:vYMlBGXY0
( ^ω^)「しぃさん、男にはやると決めたら、譲れないものってのがあるんだお。
ギコなら、きっと竜王をやっつけて、ここにまた戻ってくるお」(,,゚Д゚)「そうそう、そう簡単にゃ死なねーぜ、ギコハハハ!」(*;ー;)「・・・期待しないで待ってるよ!」グスン
(,,゚Д゚)「おう。ほれ、この豆のスープも超うまいぜ。くいねぇくいねぇ」
( ^ω^)「これは自信作だお。ギコ、ブーンの料理食い納めなんだから、腹一杯食えお」
(,,゚Д゚)「ああ。ありがとう、ブーン」
(*゚ー゚)「・・・ホント、おいしい!」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:43:16.55 ID:vYMlBGXY0
村人「たっ大変だ!魔物が・・・せめてきたぞ!!」( ;^ω^)「!?」(;,,゚Д゚)「なんだと・・・っ!?」
村人「今、数体の魔物が町に・・・ 自警団員も既に何人かやられた!
城の方に知らせに人を向かわせたが・・・兵士がくるのも時間が・・・あぁ・・・」(,,゚Д゚)「・・・くそぉっ・・・!!」
村人「頼む!アンタらの力、貸してくれ!ここらの腕っ節自慢のあんたら3人なら・・・」
(*゚ー゚)「広場の方・・・!?いきましょう!!」
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:44:58.35 ID:vYMlBGXY0
――――――ラダトーム城下町、広場。魔物「グォオオオッッ!!」 魔物「グルハァアッッ!!」(;*゚ー゚)「・・・あれは・・・」
(;,,゚Д゚)「リ、リカントだ・・・ちくしょう、この辺には生息してない筈だが・・・なぜこんなところに・・・!」
村人「さっき、見慣れない奴がきて・・・あの魔物をけしかけて去っていったんだ!
きっと魔王軍の奴だ・・・!ついにラダトームにも・・・? あああ・・・」( ;^ω^)「村人を襲ってるお!はやく助けないと・・・こん棒のようなものを貸してくれお!」
村人「あ、ああ・・!」
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:46:24.93 ID:vYMlBGXY0
リカント「グゥルルルォォオオオッッ!!」村人「ひぃいいあああっっ!!」ザクッ!ドシュッ(,,゚Д゚)「ちっ!やるしかねえ!」
(♯,,゚Д゚)「うおおおッッ!!」ザシュッ!!
リカ「グルォォッ!?」
(♯^ω^)「・・・ふっ!!」ドスッ
リカ「ガアアォッ!!」
- 64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:47:33.33 ID:vYMlBGXY0
リカ「グウゥゥウ・・・」リカ「ガアアォッ!!」(*゚ー゚)「きゃあっっ!!」ガスッ
(;,,゚Д゚)「しぃ!!ちくしょうっ」ビヒュッ
リカ「グルルっ!」ヒラリ
(;,,゚Д゚)「だ、だめだ・・・かすり傷を与えるくらいしかできねえ・・・」
( ;^ω^)「魔物の数は2体かお・・・」
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:48:28.71 ID:vYMlBGXY0
(* ー )「う・・・」ドクドク(,,゚Д゚)「しぃ!大丈夫か!しっかりしろ!自警団員だろっ!」(* ー )「ギ・・・コ・・・」
リカ「ガアアアッ」
(;,,゚Д゚)「あぶねえっ!・・・くそっ」バッ
( ;^ω^)「ギコっっ!!!!」
(#,,゚Д゚)「うっぉおおああああああああああ!!!!」
ド シ ュ ッ ッ ! !
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:49:33.98 ID:vYMlBGXY0
リカ「・・・グ・・・ォ・・ゥ」ポタポタ(,,゚Д゚)「・・・・・・」リカ「・・・」ドサッ
( ;^ω^)「ギコ!大丈夫かお!」
(,,゚Д゚)「へへ・・・首に・・・一発だ・・・やってやったぜ・・・」
( ;^ω^)「・・・おまえ・・・腹に・・・」
(,,゚Д゚)「ぁぁ・・・どうやら俺も・・・もらっちまったらしいな・・・」ドロリ・・・
(,,゚Д゚)「も、もう一匹は・・・?」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:50:25.60 ID:vYMlBGXY0
( ;^ω^)「もう一匹は、町の北の方へ逃げたお・・・」(,,゚Д゚)「あいつも・・・はやく・・・なんとかしねえと・・・みんな・・・が・・・」(*゚ー゚)「ギ・・・コ・・・」
(,,゚Д゚)「しぃ・・・大丈夫か・・・」
( ;^ω^)「もういいお!二人ともしゃべるなお!傷が・・・」
(*゚ー゚)「い・・・いか・・・・ないで・・・ギコ」
(,,゚Д゚)「ああ・・・ど・・・こにもいかねえよ・・・ここ・・・」
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:53:14.79 ID:vYMlBGXY0
「ギコ・・・」「しぃ・・・」( ; ω )「うっ・・・うわああああああああっっ!!」
- 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:54:22.82 ID:vYMlBGXY0
( ;ω;)「うっうぉっ・・・!」村人「ああっ!魔物が・・・魔物が民家の集落の方に・・・!」( ;ω;)「!?」
( ;^ω^)(民家・・・!?カーチャン!!)
(#^ω^)「カーチャン!!」ダッ
( ^ω^)(無事で・・・いてくれお!!)
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:55:09.43 ID:vYMlBGXY0
―――――民家集落付近リカ「グラァアアアアッッ」ガブッ村人「ひでぇあっっ!」
母「あ・・・ああ・・・」
リカ「クゥルルァ・・・!」
母「た・・・たすけ・・・ブーン・・・!」
リカ「ゴアアアッッ!!」
- 75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:55:57.99 ID:vYMlBGXY0
( ;^ω^)「カーチャンっ!カーチャン無事かおっ!!」ダダッ( ^ω^)母
( ^ω^)「カ・・・ 」
母
( ω )「・・・・・・ぉぉ」
(# ω )「っ・・・うぉおおおおおああああああああああ!!!!!!!!」
- 79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:57:42.08 ID:vYMlBGXY0
( ^ω^)「!!」リカ「グアアアッ・・・」(#^ω^)「この・・・やろおおおおおおおお」シュッ
リカ「クアッ!!」バゥッ
(# ω )「あぐっ・・・!」ドスッ
(; ω )(ち・・・くしょう)
(; ω )(ギコ・・・しぃさん・・・カーチャン・・・)
- 81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:58:30.34 ID:vYMlBGXY0
(‘A`)「・・・」リカ「ガアァ? グラォオォオッ!!」(‘A`)《・・・ギラ》
黒色のローブを羽織る男が、呪文をとなえた。
男の左手の指先から、灼熱の閃光が放たれる。リカ「ゴアアアッッ!!」
爆炎がリカントの体を包み、焼き焦がした。
肉の焼ける匂い――――魔物は、動かなくなった。- 82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 22:59:24.22 ID:vYMlBGXY0
( ;^ω^)「・・・おお!?」(‘A`)「大丈夫か」( ^ω^)「あ、ああ・・・い、今のは・・・?」
(‘A`)「呪文だ」
( ^ω^)「呪文・・・?」
(‘A`)「魔力を有する者にのみ使える、魔法だよ」
( ^ω^)「はぁ・・・」
(‘A`)「・・・この魔物に、大分村人が襲われたようだな」
( ω )「・・・・・・」
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 23:00:28.18 ID:vYMlBGXY0
( ω )「・・・友人が・・・カーチャンが、やられたお」(‘A`)「・・・そうか・・・」( ω )「毎日毎日・・・魔物の侵攻の恐怖に脅かされて・・・ 家族が殺されて・・・
自分たちに・・・安寧の日々はこないのかお・・・」(‘A`)「・・・そりゃ仕方ない。弱いからな」
( ;^ω^)「ッ!」
(‘A`)「この今の世界じゃ弱者は悪。自分の身を守れない無力を呪うしかないよ」
(‘A`)「竜王が支配している、この世界じゃな」
( ω )「・・・・・・!」
- 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 23:01:16.54 ID:vYMlBGXY0
(‘A`)「俺は、旅に出る。竜王を倒す旅に」( ^ω^)「旅・・・」(‘A`)「まぁ、といっても、竜王を倒すってのはオマケなんだけど」
( ^ω^)「?」
(‘A`)「じゃあな。とにかく、拾った命を大切にな」
( ^ω^)「・・・まってくれお! いったい、君は何者なんだお?」
(‘A`)「何者でもないよ。名はドクオ」
( ^ω^)「ドクオ・・・ 僕はブーンだお。
さっきの力は・・・?ブーンにも使えるようになるのかお?」- 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 23:02:14.68 ID:vYMlBGXY0
(‘A`)「・・・呪文か。こればかりは才能だからな・・・魔力を身に蓄える力が無ければ」(‘A`)「何十年修練しようが、使えないものもいる。俺も子供の頃から修行を積んでやっとさっきのレベルさ。
みたところ、アンタに魔力は感じない。実用的なレベルのものは、アンタには多分無理だよ」( ^ω^)「そうかお・・・」
(‘A`)「呪文を会得して、どうするんだ?護身用?それとも、」
(‘A`)「アンタも旅にでるのかい?竜王討伐の」
( ^ω^)「・・・・・・」
- 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 23:03:22.59 ID:vYMlBGXY0
翌日、ラダトーム城下町で、葬式が行われた。
今回の魔物襲撃に伴い、死者の数は23名。式は、悲しみの涙と、絶望の涙で濡れる。ブーンは、自分の母の葬に、母が好きだった花を添えた。
ギコ、しぃの墓にも、同じものを添えた。( ^ω^)(・・・・・・)
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 23:06:19.74 ID:vYMlBGXY0
アンタも旅にでるのかい?竜王討伐の( ^ω^)(・・・・・・)( ^ω^)「・・・・・・ギコ・・・」
- 91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 23:07:21.08 ID:vYMlBGXY0
――――ラダトーム城、謁見の場。
数人の屈強そうな男達が、緊張した面持ちで立っている。王座に構える王が、話し始めた。王「ふむ、そなたらも竜王討伐の遠征に、かって出てくれる者か」
王「大きな軍隊を編制して送り込んでも、食料の問題や、敵に目立つ行動を見せては、すぐに襲撃される」
王「結局、精鋭を小分けで派遣するのが最も良い方法じゃ」
王「本来なら、国軍の兵士を送るのがいいのだが・・・」
王「なにせこちらも、人手不足。お前達のような民間人にも頼らざるを得ない治世を、どうか許してくれ」
王「では、旅の支度金として、一人50Gを持って行くが良い。大義な名の仕事に、小額で悪いがな」
- 93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 23:08:39.99 ID:vYMlBGXY0
男たちは、金の入った袋を受け取る。そして、その中にはブーンもいた。( ^ω^)
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/08(土) 23:09:29.86 ID:vYMlBGXY0
家財や家を売り、借りていた借金なども返した。身辺の整理もした。( ^ω^)(この世界を救う為に、今の自分に何が出来るか――――)城下町の店で、装備を整える。
( ^ω^)(ギコ・・・お前の意思を――――)
薬草や防寒具、食料を買い、旅に備える。
( ^ω^)(ブーンが継ぐお)
ブーンは今、旅立つ。生まれてから片時も離れなかった、故郷に別れを告げる。
( ^ω^)(カーチャン・・・自分にどれだけの事ができるかわからないけど)