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( ^ω^)ブーンが魔獣使いになるようです

第7話

3 :猪(ギター):2006/12/17(日) 02:41:10.30 ID:raOzL74yO
( ゚∀゚)「オッス、おらジョルジュ!」

( ゚∀゚)「もろもろの理由で前回のおさらいだ」

( ∵)「ジョルジュさん、何して……」

( ゚∀゚)「村を襲ってきたスライム達にギコ達は辛くも勝利を納めることが出来たんだ」

( ∵)「一体、何をして……」

( ゚∀゚)「スライム達との戦いで気絶したナイトって奴がチンポッポに頭を焼かれたから、さあ大変」

( ゚∀゚)「ギコを責めるナイト。一体どうなるのか? 楽しみにしててくれよ!」

从゚∀从「うるさい!」

( 。∀。)「アギャパ」



( ∵)「……それでは、本編をお楽しみ下さい……ハァ」


4 :猪(ギター):2006/12/17(日) 02:43:43.43 ID:raOzL74yO
@@@
( ゚ω゚)「こんな頭になったのはあの犬のせいだお!」

内藤は怒りを顕にしながら自らの頭を何度も指差す。
内藤は必死に怒りをギコに伝えようとするが、ギコは顎を手で押さえたまま動かず、内藤の
意思が伝わっている様子は全くない。
一度は黙った村人達もその奇妙な光景に再び笑いだす始末。

@@@
( ゚ω゚)「とにかく、責任をとってもらうお!」

内藤は強く責めるようにギコへと言葉を投げ掛ける。
しかし、相変わらずギコは何か考え事をしているようで石のように動かない。

( ,,゚Д゚)「それをチンポッポが?」

内藤が次の言葉を発しようとしているのを遮り、ギコは顔を内藤にわざわざ近付てから
疑問を口に出す。


6 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 02:46:22.20 ID:raOzL74yO

@@@@
(;^ω^)「そ、そうだお」

内藤は急に顔を近付けてきたギコに気圧されながらも返答する。

( ,,゚Д゚)「あのチンポッポがねぇ……」

その答えを聞いたギコはアゴを擦りながら、何か企んでいるような笑みを浮かべる。
内藤はその笑みに何とも言えない恐怖を感じながらもじっとギコの動きを伺う。
村人達も喋るのを止め、行く末を静かに見守っている。
二者の周囲を静寂が包む。

( ,,゚Д゚)「よし! 責任をとってやるぞゴルァ」

ギコは静寂を吹き飛ばすかのように手の平に拳を強く当て、相変わらずの笑顔で自らの決定を内藤に伝える。
内藤は一瞬、ギコの笑顔に何か嫌なものを感じたが、直ぐに頭の端に追いやった。



7 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 02:49:07.73 ID:raOzL74yO

@@@@
( ^ω^)「ほ、本当かお!?」

内藤は今にも予想外でした、とでも言いそうな勢いでギコの言葉を確認する。

( ,,゚Д゚)「ああ、約束だ」

ギコはそう言うとゆっくりと片腕を上げ、握り拳を作り、それを内藤へと向けた。
しかし、内藤はそれに不思議そうな顔で返答する。
ギコはそんな顔を自分へと投げ掛けてくる内藤に不機嫌そうな顔を返す。

( ,,゚Д゚)「ノリ悪いなゴルァ。ほら、拳を出せ」

@@@@
(;^ω^)「こ、こうかお?」

ぎこちないながらも内藤はギコと同じ様な体勢をとり、ギコの顔色を伺う。
ギコは自分の拳を内藤の拳に軽く当て、再び笑みを浮かべる。
内藤は当たっていたことにほっとしたような顔をする。

( ,,゚Д゚)「約束だ……」

ギコは胸に刻み込むかのように誓いの言葉を小さく呟いた。



8 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 02:52:30.56 ID:raOzL74yO

( ,,゚Д゚)「ああ、そうだ。出発は明日の朝だから今日はこの村に泊まるぞ」

( ,,゚Д゚)「それと……これ持て」

ギコは今さっき思い出したかのように喋りながら足下の工具箱を内藤に渡す。

@@@@
( ^ω^)「これは一体なんだお?」

( ,,゚Д゚)「ちょっとしたサービスだ」

ギコはあの不敵な笑みを浮かべながら踵を返し、内藤の疑問の目を背中に受けながら片手で
こっちに来いと合図をしながら歩いていく。
内藤はギコの背中をしばらく見ていたが、ギコが振り返り再び合図を出したので渋々ながらも
ついていくことにした。

( ,,゚Д゚)「次はここか……」

ギコ達が暫く歩くと穴が空いた家が何軒か並んでいた。
村人が木の板を当てているものもあれば、そうでないのもある。
ギコは修理されてない内の一番近い一軒に近付き、穴の前で口笛を吹いた。
透き通るような音が村を突き抜ける。
それと同時に何かが疾風のように連なっている屋根の上をギコ達の下へと駆けていく。
ギコ達の近くまで来たそれは屋根から跳び跳ね地面に着地し、砂煙を起こした。


9 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 02:55:50.77 ID:raOzL74yO

@@@@
( ^ω^)「これはまさか……」

内藤の頭に嫌な顔がよぎると共に砂煙が晴れ、予想通りの顔が現れた。


(*‘ω‘ *)「ぽ!」

チンポッポは口に木の板をくわえながら、短く鳴いた。
そして、自分を指差しながらブルブルと震える内藤を他所にギコの隣に板を置き、屋根の
上に飛び乗ると再び駆け出していった。

@@@
( ゚ω゚)「この糞犬が待て……」

( ,,゚Д゚)「まあ、落ち着け。それよりこっちを手伝ってくれ」

向こうへと消えていくチンポッポに罵声を投げ掛ける内藤の言葉を切り、ギコが穴の近くへと呼ぶ。
内藤は苦い顔をし、そのままギコの下へと向かう。

( ,,゚Д゚)「釘を取ってくれ」

ギコはいつから持っていたのか分からないトンカチを取り出しながら内藤に頼む。
内藤は苦い顔をしたまま工具箱から釘を取り出し渡す。
釘を受け取ったギコは淡々と板を打ち付けていく。


10 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 03:01:27.34 ID:raOzL74yO

( ,,゚Д゚)「ごめんな、巻きこんじまって」

ギコは内藤の顔を見ず、板を打ち付けながらゆっくりと喋る。
内藤は黙ってそれを見ていた。

( ,,゚Д゚)「今回の依頼を甘く見すぎていた。全部俺の責任だ」

( ,,゚Д゚)「お前がいなかったらと考えるとゾッとする」

ギコはそこで作業を止め、内藤の方を向く。

( ,,゚Д゚)「本当にすまなかった」

ギコは頭を深く下げ、謝罪の意を伝える。
内藤は何を言うべきか迷っているかのように視線を空中で泳がしている。

@@@@
( ^ω^)「もういいお」

内藤は決意をし、真っ直ぐギコを見ながら口を開いた。

@@@@
( ^ω^)「別に人を助けるのは嫌いじゃないお。それに過ぎたことだお」

( ,,゚Д゚)「そうか……ありがとう」

ギコは顔を上げ、小さく笑った。
内藤もそれにつられて小さく笑う。

11 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 03:04:52.52 ID:raOzL74yO

( ,,゚Д゚)「ああ、約束は守るぞゴルァ」

ギコはそう言うと再び作業を始めた。
内藤はそれを何時もの顔で見守る。

( ,,゚Д゚)「そういえば、スライムに落とした奴は何だったんだ?」

ギコはスライムとの戦闘中に内藤が落としたであろうものについて釘を打ちながら訪ねる。

@@@@
( ^ω^)「ああ、あれは屋根の上に置いてあったタンスだお」

( ,,゚Д゚)「屋根?」

ギコは首をかしげながら屋根を見る。
確かにこの村の全ての屋根は平らになっていて物を置くことが可能ではある。
しかし、何故わざわざそんなことをしたのだろうか。
何か事情があるのであろうか。

@@@@
( ^ω^)「聞いてるかお?」

( ,,゚Д゚)「あ、ああ」

ギコはひとまずずこの謎を頭の端に追いやることにした。



12 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 03:12:36.86 ID:raOzL74yO

@@@@
( ^ω^)「それで戦友の作戦であのタンスを使うことにしたんだお」

ギコがタンスについて考えている間にも内藤は話を続けていたらしく、今は
何故タンスを落としたのかについて語っていた。

( ,,゚Д゚)「戦友?」

@@@@
( ^ω^)「村長の子どもだお」

ギコはこの村に来たばかりの筈の内藤がすでに戦友と呼べる友人を作っていたことに素直に驚く。


@@@@
( ^ω^)「まず戦友が石を投げて注意を反らして、そこにタンスを落とす作戦だお」
ギコは随分と勇気のある人がいたものだと思いながら釘を打っていく。

@@@@
( ^ω^)「で、見事に成功したわけだお」

嬉しそうに語る内藤の話をギコは小さく微笑みながら聞く。



13 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 03:16:44.04 ID:raOzL74yO

@@@@
( ^ω^)「それから……」

( ,,゚Д゚)「よし、終わった」

内藤が新しく話をしようとすると同時にギコの作業が終わった。
辺りを見てみると村人達はもうすでに殆んどの穴を塞いでいた。
どうやら、これで最後だったようだ。

( ,,゚Д゚)「今日は村長の所に泊めてもらうから村長の家に帰るぞゴルァ」

話を途中で止められた内藤は不機嫌そうな顔をする。
ギコは困ったような顔をしながら不機嫌そうな内藤に喋りかける

( ,,゚Д゚)「後でいくらでも聞いてやるから、な」

ギコは子どもを諭すように内藤に話し掛ける。
内藤も聞いてもらえればいつでも良いらしく、顔を普段通りの笑顔に戻した。


14 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 03:17:19.43 ID:raOzL74yO

@@@@
( ^ω^)「じゃあ、早く帰るお」

( ,,゚Д゚)「ああ」

先に駆けていく内藤を見つめながら、ギコは微笑む。
村は沈み行く太陽に赤く染められていた。

16 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 03:43:57.33 ID:raOzL74yO
「ギコさん、これ位の青い石を知りませんか?」

長方形の机に座るギコと内藤、そして、村長。
机の上にはパンや干し肉などが乗せられ、内藤は無我夢中でそれらを食べている。
ギコはコップに注がれた動物の乳を少しづつ飲みながら、村長の方に体を向ける。

( ,,゚Д゚)「いえ、知りませんが、何か?」

「とても貴重なもので……」

村長はそう控えめに答えた。
ギコは顎に手を当てて少し考えると、何かを思い出したのか

( ,,゚Д゚)「詳しいことを教えてくれますか?」

と、村長に尋ねた。

「少し装飾の入ったタンスに入れていたんですが……そのタンスが見当たらないんですよ」

「火事場泥棒みたいなのに盗られないように屋根の上に置いていたのが……」

その言葉を村長が発した瞬間、内藤の口から何度か咀嚼されたパンが飛び出し、綺麗な放物線を
描きながらギコのコップの中に着水。
コップの中身が軽く跳ね、ギコの顔に飛び付いた。

17 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 04:10:36.21 ID:raOzL74yO

( ,,゚Д゚)「やっぱりか……」

ギコは自分の顔に付着した白を服の袖で拭き取りながら、内藤を睨み付ける。
内藤は胸を苦しそうに叩き、慌てながらミルクを飲み、大きく息を吐き出す。
内藤はギコの視線に気付いたのか非常に気まずそうな顔をしながら再びコップを口に運ぶ。

( ,,゚Д゚)「すいません、そのタンスは自分が壊しました」

ギコが膝の上に手を置き、深く頭を下げる。
村長はギコが言ったことが未だ信じられないようで、目を丸くして停止している。
同じ様に内藤も驚いた表情のまま停止していた。

( ,,゚Д゚)「スライムが投げ付けてきたので仕方無く……」

( ,,゚Д゚)「すいませんでした」

ギコは更に深く頭を下げる。
村長は目を丸くしたまま黙っていたが、小さく息を吐くとギコに微笑み掛けた。



18 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 04:12:42.15 ID:raOzL74yO
「気にしないで下さい。事故ではしょうがないですよ」

「それに幸いにも村への被害は少ないですし、身代わりになったと思えば……」

村長は諦め、そして、吹っ切れたような穏やかな顔で語っていった。

「湿っぽい空気になってしまいましたね。さあ、どんどん食べてください。まだ沢山ありますから」

( ,,゚Д゚)「ありがとうございます」

ギコは軽く頭を下げ、コップを口に運ぶ。
内藤はそんなギコをどんな顔をすればいいのか分からないといった顔で見つめていた。

19 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 04:51:34.07 ID:raOzL74yO
( ,,゚Д゚)「ふぅ、よく食べた」

ギコが腹をさすりながら、階段を上がっていく。
内藤はその後ろで顔を下に向けながらギコに続く。
階段を上がりきり、ギコが突き当たりの扉に向かっている時だった。

@@@@
( ^ω^)「何で庇ったお?」

内藤の言葉にギコは振り返る。
内藤は硬い表情でじっとギコを見つめている。

@@@@
( ^ω^)「別に自分の責任に出来ることも出来たのに……」

( ,,゚Д゚)「そりゃ、仲間だからだろ」

@@@@
( ^ω^)「え……?」

ギコの答えに内藤は内心驚きを隠しきれないでいた。



20 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 04:52:48.63 ID:raOzL74yO
( ,,゚Д゚)「それにチームの奴等が何かやったら謝るのがリーダーだろ?」

ギコは当たり前なふうに庇った理由を話していく。

( ,,゚Д゚)「まあ、深くは考えないことだ」

ギコはそう言うと扉へと向かい、部屋に入っていった。
通路には複雑な表情をした内藤だけが残された。

@@@@
( ^ω^)「仲間……」

内藤は言葉の意味を確かめるように小さく呟いた。

24 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 07:36:25.30 ID:raOzL74yO
ギコが部屋に入って、暫くしてから内藤が部屋に入るとギコは壁に背を預けながら内藤に預けた剣を研いていた。
その真紅の刀身は研かれるたびに梁に吊るされているランプの光に照らされ、妖しく
揺らめく炎のように輝いている。

( ,,゚Д゚)「遅かったな」

内藤はそれに無言で頷きながら部屋の隅に据えられたベッドへと真っ直ぐ向かっていき、その上に
飛び乗ると、ギコに対してそっぽを向くように横になった。

( ,,゚Д゚)「何だ、話はしないのか?」

@@@@
( ^ω^)「もうよくなったお」

内藤のぶっきらぼうな返答にギコはやれやれと小さく言いながら首を左右にゆっくり振った。

( ,,゚Д゚)「まだ起きてるから話したいことが……」

ギコがそう言いかけると、ベッドから寝息であろう荒い鼻息の音がギコの耳に入った。

( ,,゚Д゚)「もう寝たのか……」



26 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 07:55:15.62 ID:raOzL74yO
( ,,゚Д゚)「それにしても、妙な奴だな」

ギコは内藤の今日一日の行動を思い出しながら呟く。
妙に強かったり、喜んだと思ったら、すぐにふてくされたり。
謎の多い奴だと思いながらギコは鼻息の音と共に横腹を上下させる内藤を見て微笑んだ。

( ,,゚Д゚)「自分も人のことは言えないか……」

ギコは自嘲気味に小さく笑う。

( ,,゚Д゚)「さて、そろそろ行くか」

ギコは剣を研くのを止め、腰に掛けてある鞘に剣を納め、静かに外へと出た。


27 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 08:35:27.14 ID:raOzL74yO
夜の冷たい風が途切れることなく地面の草とギコの身体を撫でるように吹き抜ける。
辺りは生命が存在しないかのような静寂に包まれていた。
ギコはそんな中で何かを感じ取るように目をつぶり、ゆっくりと深呼吸をする。
その手は腰の剣の柄を力強く握っていた。

ふと、途切れることなく吹いていた風が止む。
完全な無音が草原に訪れた。

( ,,゚Д゚)「ハッ!」

ギコの短い叫びと共に鞘の中に有った真紅が横凪ぎに振られ、新たにやってきた夜風が上下に分断された。

( ,,゚Д゚)(自分が弱いばかりにまた……)

ギコは更に強く柄を握り、歯を強く食い縛りながら袈裟、逆袈裟と高速の連撃を放っていく。
真紅の刃は空中に紅の鮮やかな軌跡を描いていく。
その刃は風を切り裂き、時には大地の緑さえも切り取った。

( ,,゚Д゚)(もっと速く、もっと強く)

剣速は更に速くなり、遂に真紅の刃は向かってくる風を吹き飛ばした。
ギコの正面の草が放射線状に横倒しになる。
真紅の刃はまるで炎がその刀身に宿っているかのように紅蓮に輝いていた。

30 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 10:33:27.49 ID:raOzL74yO
( ,,゚Д゚)「ハァ、ハァ」

ギコは草の上に横になりながら、肩で息をしていた。
その横には元の色に戻った揺らめく炎が装飾されている剣が置かれていた。

(*‘ω‘ *)「ぽ!」

いつの間にかギコの横に立っていたチンポッポが鳴く。

( ,,゚Д゚)「チンポッポか……どうだった?」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!ぽっぽ!」

( ,,゚Д゚)「そうか、村の周りにはもういないか」

ギコはチンポッポのたったの二文字で表せる鳴き声からスライムが村の周りにはもういないと
いうことを理解する。
ギコは上半身だけを起こし、今日で何度目になるか本人さえも忘れてしまった顎に手を当てて考える
体勢を取る。

( ,,゚Д゚)「全部を今回のに注ぎ込んだわけか」

ギコはうーんと唸り、頭を傾げる。



31 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 10:35:44.23 ID:raOzL74yO

( ,,゚Д゚)「スライムは部隊が分けられてるはずなんだけどなあ」

本来、スライムはリーダーによって戦闘にあたる部隊とそれ以外に選別される。
そして、それ以外が戦闘に出ることはよほど追い詰めらていないとまずないはずだ。

( ,,゚Д゚)「深く考えても仕方がないか……今度の集まりで話してみるか」

ギコはこれ以上考えても無駄と判断したのかそう言いながら勢いをつけて
起き上がり、剣を拾い上げて鞘に納める。

( ,,゚Д゚)「チンポッポはどうするんだ?」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!」

( ,,゚Д゚)「見回りをするのか、気を付けろよ」

(*‘ω‘ *)「ぽ!」

ギコとチンポッポは奇妙ながらもしっかりとした会話をし、ギコは村へと、チンポッポは
村とは反対の方向へとそれぞれ駆けていった。

33 : ◆vAq8uG9T0I :2006/12/17(日) 11:08:02.78 ID:raOzL74yO
木々がまばらに生える林、スライム達の巣とは正反対の方向にあるそこに一匹のスライムが
ゆっくりとした速さで近付いていく。
それに呼応するかのように木々の間の闇から黒いローブを来た怪しげな人物が現れる。
その人物の月光に照らされた身体からは邪悪な気配が周囲にばらまかれている。

「随分と遅かったな、村は潰し損ねたか」

男のものであろう声を無視して、スライムは自身から村長が探していた玉を吐き出す。
それを男はほぅと感心したような声を出し、ローブの影に隠された瞳で睨み付ける。

「これが青の宝珠……こんなものが鍵か」

男はそう言って宝珠を踏みつけ粉々に砕く。
宝珠の破片は砕けた瞬間にガラスのようなものから水に変化し、大地に消えていった。

「このスライムもいらないな、食っていいぞ」

男が片手を上げ、合図をとると男の背後から素早く何かが伸び、スライムは逃げる間も無くそれに
飲み込まれた。
それはスライムを飲み込むと同じ様な速さで闇へと戻った。

「後、青は三つか……目標に向かっていくのは楽しいなぁ。お前もそう思うだろ?」

男が邪悪な笑い声を上げるのに追従するように背後の闇が吼えた。


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