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( ^ω^)心のままに、のようです


第6話

[96] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 16:31:33.98 ID:Nr17MuyDO
第六話 静かな海で
 
( ^ω^)「・・・・・」
 
気づくと、朝だった。
時刻は―9時半。遅刻だ。
のそり、と起き上がろうとして、自分の隣にある違和感に気づく。
 
( ^ω^)「・・・あ・・・」
 
ξ--)ξ
 
―そうだ、そうだった。
 
(  ω )「・・・嗚呼・・・」
 
もう、戻れないとこまで、来てしまったのかもしれない。
 
 
ベランダに出たとき、いつもよりも暖かいことに気づいて、やはり寝過ごしたのだと実感した。
起きたばかりで、まだ完全な機能を果たしていない肺に煙を流し込む。
 
( ^ω^)「・・・おっ・・・」
 
不意に、ポケットにある重みに気づいた。
何だろうか、と、手を突っ込み、それを出してみる。
 
( ^ω^)「携帯かお・・・」
[98] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 16:32:55.93 ID:Nr17MuyDO
黒をベースとした、四角い電子機器。
開けて中を確認してみると、2通のメールと、3つの着信。
 
( ^ω^)「・・・・・」
 
 
1通のメールはドクオからで、今日は休むのかどうかということ。
そして、もう1通のメールは―
 
From:クー
件名:
 
珍しいな、遅刻か?
 
クーからだった。
メールはどうやら8時頃きていたようで、それは学校の始まりの時間を表している。
わざわざメールをくれるところが、可愛いな、と思った。
 
( ^ω^)「電話は―」
 
―3つとも、クーからだった。
[99] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 16:34:49.04 ID:Nr17MuyDO
 
 
( ^ω^)「うん、うん・・・ごめんお、ちょっと体調が悪いんだお・・・」
 
現在の時刻は12時。丁度昼休みに入った時間だ。
クーに電話をかけてみると、3コールもしないうちに出てきた。
 
『そうか・・・やはり、昨日のあれが原因か?』
 
ドキッ、と、した。
 
クーの言うあれって、何だ。
いや、分かっている。昨日の放課後の、セックスのことだろう。
 
(;^ω^)「いや、うん、もしかしたら・・・寒かったし・・・それなら、クーの方こそ大丈夫かお・・・?」
 
―もしも、クーに
 
『私なら大丈夫だ。逆に熱いくらいだったさ』
 
―昨夜、ツンと
 
(;^ω^)「おっおっおっww・・・そ、そうかお、あ、ごめん、またかけるお」
 
セックスしたと、言ったら―どうなるだろう?
 
『うむ、わかった。じゃ、またな』
[101] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 16:36:24.12 ID:Nr17MuyDO
プツッ ツーッ ツーッ
 
電話は、尚も切断音を発している。
 
まるで、僕とクーの関係までもが、切断されたかのような、悲しい気分になる。
 
 
( ^ω^)「あ・・・」
 
気づくと、タバコを吸いきってしまった。
つい先ほどつけた気がしたのに、いつのまにかフィルターにまで火は移動していた。
 
( ^ω^)「もったないお・・・」
 
そのまま、灰皿に押し付ける。
―僕も、このまま、消し炭になれたら、どれだけ楽なんだろう。
 
 
そもそも、僕は何を迷っているんだ。
僕は、クーを愛しているんじゃないのか。ならば、気に病むことなど無いではないか。
例え、他の女性と体の関係を作ってしまったからって―
例え、抱いた女が、兄弟だったからって―
あまつさえ、彼女がいるのに、抱いてしまったからって―
[103] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 16:38:50.91 ID:Nr17MuyDO
( ;ω;)「おっ・・・」
 
気づくと、頬に熱がさしていた。
それは、とても緩やかに線を描きながら、地へと落ちてゆく。
段々と、まるでダムが崩壊するように、流れるソレは、止まらなくなった。
 
ξ゚听)ξ「・・・お兄ちゃん?」
 
どこかで、僕を呼ぶ声が聞こえる。
右か、左か。はたまた前か、後ろか。いや、もしかしたら、上か、下か。
わからないが、このぬるま湯のような、居心地のよい空間から、僕を引き戻そうとしている。
そうか、そんなに、僕は楽をしちゃいけないのか。
僕は、そんなに苦しまなければ、ならないというのか。
 
( ;ω;)「・・・なんだお」
 
ゆっくりと、顔を上げてみた。
すると、目の前には、僕の妹の顔。大好きなツンの顔が、そこにあった。
 
ξ゚听)ξ「・・・どうしたの?」
 
そう言うと、ツンは、僕を優しく抱きしめてきた。
[105] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 16:41:34.15 ID:Nr17MuyDO
ξ*゚ー゚)ξ「・・・大丈夫だよ、私は、ここに、いるもの」
 
―やめろ、今の僕に、そんなことを言うな。
 
ξ*゚ー゚)ξ「ねぇ、大好き。愛してるの」
 
―そんな言葉を、使うな。
 
ξ*゚ー゚)ξ「お兄ちゃんがいなかったら、私は、死ぬわ」
 
 
―嗚呼
 
 
( ;ω;)「―ッ!!!」
 
ξ* )ξ「ッ―!!ッ――!!ッ!」
 
 
―僕は
 
 
(( ;ω;))「・・・・!!」
 
(ξ* )ξ)「――ッ・・・・!!!」
 
 
―何なんだろう。
[110] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[さるさんうぜえええ] : 2008/03/16(日) 16:55:49.26 ID:Nr17MuyDO
 
 
暗い空間。
気づけば、僕はそこにいた。
まるで、僕の心を表したかのような―そんな、暗さだ。
 
( ^ω^)「んっ・・・」
 
いや、これは、夜の暗さか。
どうやら、また寝てしまったらしい。隣では、ツンが寝息を立てている。
( ^ω^)「・・・・・」
 
ゆっくりと起き上がると、キッチンへと歩く。
冷蔵庫の扉を空け、飲み物を取り出し、摂取する。
 
―また、やってしまったんだな。
 
( ^ω^)「・・・ははっ・・・」
 
もう、笑うしかないだろう。
この世の中に、もしも僕みたいな人間がいたら、殺してやりたい気分だ。
こんな、生きる価値も無い人間はいらないだろう。近親相姦だって?
 
―馬鹿馬鹿しい。
 
だが
[112] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 16:57:47.62 ID:Nr17MuyDO
( ^ω^)「自分でやっといて、そりゃねーお・・・」
 
また小さく、笑ってみた。
 
ダンヒルは、減っていない。
[113] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 16:59:36.33 ID:Nr17MuyDO
 
 
夜。本来、この時間帯は、何も動かない時間帯。
にもかかわらず、とある道路で、一台の車が走っていた。
 
川 ゚ -゚)「すまん、急に、会おうだなんて言って」
 
黒い、車。その中に、僕とクーはいる。
何故こういう状況なのか、というと。ほんの一時間前に、クーにドライブに行かないか、と
誘われたのだ。
断る必要もなし。むしろ―
 
逃げたかった。あの、空間から。
 
( ^ω^)「おっ。いいんだお、僕も暇だったし」
 
何の不自然な動作も無く、携帯を開いてみた。
 
( ^ω^)「・・・・・」
 
メール30件。着信15件。
 
―全部、ツンからだ。
 
僕は、気づかない、というように、ダンヒルに火をともした。
味は―分からなかった。
[114] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 17:01:44.49 ID:Nr17MuyDO
 
 
( ^ω^)「海、かお・・・」
 
流石に冬の海は寒い。なんたって、海だからだ。
だが、冬のせいもあってか、空は異常なまでに綺麗で、月が海面に浮かんでいる。
しかし、砂浜の上は、歩きにくい。
 
川 ゚ -゚)「どうだ?暇なとき、私はよく来るんだ」
 
先を歩いているクーが、楽しそうに喋っている。
雰囲気は、大人びているようにも見える。言動なんてなおさらだ。
しかし、見た目が小さいのと、こういう、子供じみたところが、また可愛いのだ。
 
クーは、両手を広げると、そのまま歩き出した。
やはり、歩きにくいのだろう。足がたどたどしい。
 
川 ゚ -゚)「ほら、ブーン。お前の真似だ」
[116] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 17:04:55.20 ID:Nr17MuyDO
―嗚呼
 
( ^ω^)「・・・ふぅ・・・まったく・・・」
 
―有難う、クー
 
( ^ω^)「全っ然!なってないお!いいかお、よく見てるんだお!」
 
―僕は、やっぱり
 
( ^ω^)「こう、やるんだお――!!」
 
―君を愛しているんだ。
 
この心に、偽りは無い。
有難う、クー。気づけたんだ。本当に、切欠なんてものは、些細なんだ。
例え、他の女性と体の関係を作ってしまったからって―
例え、抱いた女が、兄弟だったからって―
あまつさえ、君がいるのに、抱いてしまったからって―
 
それでも、僕は君を愛しているんだ。
懺悔ならいくらでもしてやる。贖罪しろというのなら、身を投げやってやる。
だから、もう二度と迷わないから―
[117] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 17:06:44.03 ID:Nr17MuyDO
川 ゚ -゚)「うわっ、あぶないじゃないか、ブーン」
 
( ^ω^)「クー・・・」
 
川 ゚ -゚)「ん?」
 
( ^ω^)「愛してるお・・・」
 
 
―愛させてくれないか。
 
 
夜、静かな海で。
 
僕達は、唇を、重ねた。
 
 
第六話 終
[128] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/16(日) 17:23:49.25 ID:Nr17MuyDO
>>127
どこかのまとめさんがまとめてくれたら続きから
ないようならまた初めからですね

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