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問合せ
( ^ω^)ブーンはフォースを駆るジェダイのようです
SHOT-V
2 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:14:48.62 ID:c6/4/uRk0
※本編を読まれる前に※
・本作はG.ルーカス監督のSF映画『スターウォーズ』シリーズを元ネタとしています
・原作を知らない方が読むことを前提として作っているので、S.W初心者の方も安心して読んで頂ければと思います
・基本的なコンセプトは映画と同じですが、物語の都合上(或いは作者の無知故に)
オリジナルとは多少違う設定を構える可能性があります
・本作は映画の新旧三部作の300年後の世界を描いています
よって、スピンオフ小説内で発生した出来事とは無縁のパラレルワールドだと思って頂ければ幸いです
【用語解説】
ジェダイ…フォースに仕える者達の総称。洗練された心技体を兼ね備えており、銀河の平和と秩序を守る正義の使者とされる。
フォース…万物に等しく流れる摩訶不思議なエネルギー。ジェダイはこのフォースと通じることで様々な奇跡を起こすことができる。
ライトセーバー…ジェダイが太古より使い続けている光線剣。いくつかの種類が存在する。
ジェダイ・マスター…ジェダイとしての高い資質を兼ね備えた者に与えられる最高称号。単純に目上の者に対して使用することも多い。
ジェダイ・ナイト…一人前と認められたジェダイに与えられる称号。
ジェダイ・パダワン…見習いジェダイ。
3 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:16:06.61 ID:c6/4/uRk0
銀河共和国…数千の星々から成る宇宙規模の民主主義組織。また、この共和国を運営する組織を元老院と呼んでいる。
ジェダイ・カウンシル(評議会)…六人のジェダイ・マスターよって構成されるジェダイの最高意思決定機関。
ジェダイ・オーダー…ジェダイ騎士団。ライトサイドに立つジェダイ達の全体的な集まりを指す。逆にダークサイドの集まりをシス・オーダーと呼ぶ。
シス…フォースの暗黒面(ダークサイド)に魅入られた者達の総称。私欲の為にフォースを使う。ライトサイドに立つジェダイの天敵。
PMC…民間軍事企業。基本的に法人化された『ラウンジ・ニューソク・オオカミ』の三社を指す事が多い。
【登場人物紹介】
( ^ω^)…ナイトウ=ホライゾン(32)
・ジェダイナイト
・柄の両端から翡翠色の光刃を展開するダブルブレイドセーバーを愛用
・最近、威厳を保つ為に髭を生やそうかと考えてる
( ∵)…ビコーズ
・ドラム型多目的万能ドロイド
・R2-D2みたいなのを想像してくれておk
・ブーンの相棒
ξ゚听)ξ…ツン=E=アシュクロフト(15)
・ブーンのパダワン
・毒舌少女
・最近ハマっているのは肉なし肉ジャガ
5 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:23:16.99 ID:c6/4/uRk0
川 ゚ -゚)…クール=レヴァンティエ(28)
・ジェダイナイト
・水没惑星オニオンナの出身 平均寿命は約200歳
・最近、拷問について興味を持ち始めた
爪*゚〜゚)スズキ=タムラ(15)
・クールのパダワン
・着痩せタイプの隠れ巨乳
・最近の心配事は、内容が穏やかじゃない本を師匠が読み始めたこと
(´・ω・`)ショボン=ダッチマン(32)
・ジェダイナイト
・通称ジェダイオーダーの悪性核弾頭
・何をどうしたらこんな人間が生まれるのか分からない
ノパ听)ヒート=アルバティエ(20)
・ショボンのパダワン
・水没惑星オニオンナの出身 平均寿命は200才以上
・女の子なのに女好き
イ从゚ ー゚ノi、…バシリア=アーバンフォウド(??)
・「マナ・テンプル」の最高指導者
・魔女。巨乳。狐耳
・愛称はギン
从´ヮ`从ト…タツキ(??)
・ギンの世話役
・お母さん肌。狸耳
6 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:26:42.86 ID:c6/4/uRk0
Episode4:アーバンフォウドの銀狐 〜SHOT-3〜
( ^ω^)「さあさあさあさあ。どうしたお!?」
ξ;゚听)ξ「くっ」
次々と迫る翡翠色の光刃を必死に防ぐ。
( ^ω^)「脚を交差させるなお。フォースを周囲に張り巡らせ、敵の脅威を感じとれ!」
ξ#゚听)ξ「このっ野郎!」
苛立つ青い光線剣が反撃だと言わんばかりに激しく蠢めく。
だが、その猛刃は一太刀たりとも己の師に与えることが出来ていない。
それどころか、あてずっぽうに振り回されるせいで剣の主の体力は目減りが激しくなり足を引っ張る始末である。
( ^ω^)「体力任せに動くな! 実戦でのスタミナ消費量は訓練の比じゃないお」
ξ゚听)ξ「そんなことっ」
8 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:28:45.07 ID:c6/4/uRk0
そんなことは分かっている。
だが、手数を増やして防波堤を築かないとダブルブレイドセーバーという波に一瞬で呑まれてしまうのだ。
ツンの師であるナイトウ=ホライゾンはジェダイオーダーの中で唯一両刃の剣を扱う特異なジェダイである。
ダブルブレイドセーバーと名付けられたこの剣。一見して酷く扱い辛い武器に見えるが、
ナイトウ―――――つまりブーンはまるで自分の手足のようにそれを扱っていた。
まさに一心同体。ライトセーバーとブーンは本当に血肉を通わせているかのように華麗に動いていた。
嵐のように目まぐるしく動くブーンの殺陣に圧され続け、ツンには反撃の余地すらない。
( ^ω^)「どうしたお。足元がお留守だお」
ξ゚听)ξ「くそっ! 手数が多ければいいってもんじゃないでしょう」
( ^ω^)「その通り。命を奪うのは百のかすり傷ではなく一つの致命傷だお。だから――――」
( ゚ω゚)「こいつはどうだァッ!!」
((ξ;゚听)ξ))「うっ、わぁああ!!」
9 :
の
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:32:33.08 ID:c6/4/uRk0
突如、ブーンは床へライトセーバーを投げ捨てた。同時に身体を独楽のように一回転させる。
そしてツンへの振り向き様、槍のように片腕を突き伸ばした。
手には青い火花を散らしながら不気味な輝きを見せる新たなライトセーバーがひとつ。
ξ;゚听)ξ「(スーパーエージェントセーバー《超過粒子剣》だ!
あんなもの直撃どころか受け止めるだけでも木っ端微塵になるじゃない!)」
ブーンの持つ剣の凶悪さをよく知るツンは悲鳴を上げながら全力で床へ突っ伏した。
直後、ツンの頭上を極太の青い光線が通過していく。
風に揺れる何本かの金髪が高熱の粒子に曝されて消し炭になった。
ξ;゚听)ξ「(大理石の壁に……大穴が……)」
鉄板すら容易に両断するライトセーバーはパワーセルと呼ばれる大容量バッテリーを動力源にしている。
親指程度の大きさにも関わらず、それ一つで超電磁砲三十発分のエネルギーを蓄えるパワーセルは、
状態が非常に不安定で個人が携帯するには手が余る長物だった。
そんな制御の難しいライトセーバーの内臓エネルギーをまともに動かす立役者となるのがアデガンクリスタルであった。
( ^ω^)「おっと。ライトセーバーが壊れたお」
ξ;゚听)ξ「当たり前でしょ。ただの模造剣《人工クリスタル》がパワーセルの最高出力に耐えられるわけないじゃない……」
11 :
の
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:36:52.92 ID:c6/4/uRk0
アデガンクリスタルはパワーセルの吐き出すエネルギーを集束・解放するライトセーバーの制御機関としての役割を担っている。
クリスタルはライトセーバーの心臓とも呼べる重要な要素であり、
これを二つ以上搭載すればクリスタル同士の焦点を調整することで剣の長さを変えることも可能であった。
通常、ライトセーバーの攻撃力として採用されているエネルギーはパワーセル平均出力の百分の一以下と言われている。
これは、セルから供給される熱エネルギー量がアデガンクリスタルの耐熱値を超過して破損《ショート》することを防ぐためだ。
ジェダイは天然由来のクリスタルを自らの剣に組み込んでいるが、石一個を精製するには途方もない労力と時間を要するため、
先の仕様はクリスタル破損時の代償とライトセーバーの出力低下を天秤にかけた上での結果と言えるだろう。
もちろん実用的なクリスタルを短期間で人工的に精製することは可能だが、
それはジェダイオーダーの容認できるところではなかった。教示に反するからである。
( ^ω^)「いいかおツン。ライトセーバーを相手に戦うときは、
敵がどういったタイプの剣を使っているかを見極める必要があるお」
ξ゚听)ξ「スーパーエージェントセーバーを相手にするときは距離を取らずに懐に飛び込め、でしょ?」
( ^ω^)「その通り。この手の剣は対重兵器には滅法強いけど、一対一の個人戦では案外使い辛い部分があるお。
何せリミッター解除時には刀身が五メートル以上伸びるし、厚みも増す。
だから強いけどに取り回しが効きにくい。強力無比な『解放攻撃』さえかわせば、
接近戦に持ち込むことができるはずだお」
15 :
の
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:41:38.84 ID:c6/4/uRk0
黒墨になった剣を床に捨てたナイトウは汗だくになっているツンにゆっくりと歩み寄る。
まだ稽古は終わっていない。
ツンは師が次にどんな攻撃を繰り出すか神経を張り巡らせながら手に持つライトセーバーを握り直す。
銀狐の魔女が治めるマナ・テンプルに来てからはや一週間。
ツンは何故か今まで教えられなかった『対ジェダイ戦』についてみっちりとした訓練を受けてきた。
戦闘時の立ち回りやジェダイとしての感を養う為の打ち合いは何度も行ってきたが、
本格的なジェダイの殺し方を教わったことは一度たりともない。
何故、ここにきてそのような稽古を積むのか今のツンには分からなかった。
分からないが――――――――
ξ゚听)ξ「とりあえず隙ありぃ!」
( ^ω^)「あまーい」
鞭のようにナイトウの頭上へ叩き付ける筈の剣は空を描き、紙一重の動きを再現したナイトウはぴたりと硬直するツンの背後に廻った。
朗らかな表情に反して傷だらけのナイトウの手はツンの小さな背中にそっと触れている。
( ^ω^)「分かるおね? 次の瞬間には僕のフォース・ショックでツンの肺はズタズタだお」
ξ;--)ξ「むう……」
( ^ω^)「ジェダイの戦いはフォースの戦い。ただ武器を打ち合うだけなら傭兵にだってできるお」
トントン、とブーンの指がツンの背中を叩いた。稽古終了の合図だ。
どんなに激しい打ち合いをしても、いつだって最後はブーンに背中を叩かれて終いとなるのだ。
16 :
の
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:49:22.30 ID:c6/4/uRk0
( ^ω^)「有史以来あらゆる科学技術が世に出てもなお、
剣一振りしか持たないジェダイが宇宙で通用しているのはフォースの技に長けているから」
( ^ω^)「心・技・体。万事に通じるこの三要素をフォースを利用して強化する。
知識と技量さえあれば井戸の水を大海に化けさせることだって出来るお」
ξ゚听)ξ「そんな器用なことが出来るなら私はとっくに針の穴にラクダを通してるわよ」
( ^ω-}~)「ふふふ。授かったフォースを心に傾けるか、躯に傾けるか。そこがジェダイ・オーダーとマナ・テンプルの思想の違いなのでしょうね」
ξ゚听)ξ「ん!?」
ブーンの顔がグニャリと歪んだ。それに伴い彼の声や身体までもが蜃気楼のように揺らめき、姿形を変えていく。
夢で見ているかのようなその異変の正体をツンは早々に気付た。
これはフォースを利用した幻覚術だ。
相手の感覚神経に侵入して操作するマエストロクラス(神業級高等技術)を使い熟すジェダイなど片手で数える程度にしか存在しない。
少なくともツンの師であるブーンはこのような技は持ち得ていない。
18 :
の
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:53:20.29 ID:c6/4/uRk0
ξ゚听)ξ「マナ・テンプルの坊主共が得意とする”狐の化粧”。勝手に人の師匠に化けるなんてタチが悪いわよタツキ」
从´ヮ`从ト「あらあら。流石に驚くことはもう無くなってしまわれましたか」
ムッとした表情をするツンの前に美しい着物を纏った中年女性が一人立っていた。
タツキと呼ばれた女性は少し太めの眉毛と和らぐような微笑みを浮かべながら「ごめんなさいね」と無礼を詫びる姿勢をツンに取る。
頭に生えた獣耳がタツキの柔和さをよく引き立てていた。
それに加え、タツキのおっとりした口調の前だと人はどうにも彼女に頭が上がらなくなる。
長寿な種族なので彼女の年齢が如何程かもツンには分からないが、
あの傍若無人な魔女の世話役を勤めるだけあって流石に持つモノが違った。
ξ゚听)ξ「変だとは思ったのよ。
稽古とはいえブーンが自分の得物以外の武器を持ち出すなんて考えられないもの。
あれも幻だったのね」
从´ヮ`从ト「ふふふ。それにいくらジェダイとはいえ、マナ(※フォースの別称)の導きを知らぬままに
最強の攻撃力を誇るエージェントセーバーを使えば他人どころか己の腕が消え失せていたことでしょう」
19 :
の
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:54:37.83 ID:c6/4/uRk0
しれと受け答えるタツキに対してツンは喰えない女だと内心毒づきながら稽古場を後にする。
すっかり興を削がれてしまった。いまさら剣を降り続ける気にはなれない。
当たり前のように自分の後に続くタツキを余所にツンは巨大な石柱が走る大回廊をズカズカと進む。
向かうべきは弟子の稽古を狸女に任せたまま寛いでいるであろう男の部屋だ。
ξ#゚听)ξ「ブーン。また私の稽古相手をタツキに任せたわね。これで三度目よ。
油売ってないでちったあマスターらしいことをしやがれ!」
(;^ω^)「ありゃ。もうバレちゃったのかお」
柔らかいソファーの上ではなく床の上で座禅を組んでいたブーンは、激しいドアの開閉と共に突撃してきた弟子の抗議を片耳で押さえながら受け流す。
怒るツンが机の上に置かれた果物の切り身をブーンに向かって投げ付けた。
結構な速度で飛んでいく蜜柑は待ち受けていたブーンの口の中へと消えていった。
師弟の漫才(とは絶対に口にしないが)を見ながらツンに続いて部屋に入ってきたタツキは小さな笑みを見せている。
ξ#゚听)ξ「あのさ、気になっていたんだけど」
一通りの攻撃を済ませたあと、空いていた席に座り込んだツンは荒れる鼻息を落ち着かせながら
このマナ・テンプルに来て以来の疑問をブーンにぶつけた。
ξ゚听)ξ「いい加減にここへ来た理由を教えてくれないかしら。任務じゃないってことはもう知っているのよ」
20 :
の
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 22:57:29.68 ID:c6/4/uRk0
一介のジェダイの立場からしてみればツンの言い分は尤もなものだった。
何せマナ・テンプルはツンやブーンが所属するジェダイ・オーダーと歴史的な因果関係こそあれども
決して深い交流があるわけではないのである。
マナ・テンプルはあくまで旧時代に一部のジェダイが独立・派生した小規模な宗教組織であり新生ジェダイ・オーダーとは接点がない。
にも関わらず高級来賓用の客室を提供され、稽古場の自由使用を認められるこの待遇だ。
どう考えても一介のジェダイに出来ることではないだろう。
ブーンとマナ・テンプルには何かしらのパイプがあることは明白だった。
( ^ω^)「……僕の先生がギン女史と懇意の仲だったんだお。
先生は自分の弟子達に『同士との闘いかた』を教えるとき、いつもここを稽古場所に選んでいたお」
ξ゚听)ξ「同志? なぜ仲間と闘う必要があるの?」
イ从゚ ー゚ノi「同志ではなく同士。同じくフォースに通じる者が常に味方であるとは限らん。
その典型例はお前さんも知ってるじゃろ」
23 :
の
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 23:00:24.79 ID:c6/4/uRk0
突然、部屋にいない筈の人物から声をかけられたツンはドキリと辺りを見渡した。
見ればツンの真正面の席。ブーンが何故か座ろうとしていなかった席に長髪の女性がどかりと座している。
マナ・テンプルの最高指導者バシリア=アーバンフォウドだ。
タツキ以上の豪華な十二重をだらし無く着崩す彼女は己の愛称の由来である銀髪を揺らしながら、手に持つキセルに火を落とす。
ξ゚听)ξ「バシリア女史……いつからそこに?」
イ从゚ ー゚ノi「わっちを呼ぶ時はギンで良いと言っておろうに。無論、最初からここにおったよ」
ξ゚听)ξ「(フォースの乱れは感じなかった。タツキが使っていた幻覚術とはまた違うタイプね……)
先ほどの言葉、ダークサイドに堕ちたジェダイの事を指しているのですか?」
「如何にも、わっちが言いたいのはシスのことじゃよ」と、紫煙を口で遊びながらギンは肯定する。
( ^ω^)「今でこそシスは滅んだという認識がジェダイ・オーダーの間で多数を占めているけど、
僕の先生はそういった風潮が騎士達の間に蔓延することを危惧していたお」
イ从゚ ー゚ノi「もはや一介の公務員風情に成り下がったジェダイ達の中で
対シス戦の訓練を公に行えばカウンシルから顰蹙を買うことは間違いないじゃろう」
ξ--)ξ「なるほど。そこで思い至ったのがジェダイ・オーダーの管轄外となるマナ・テンプルだったというわけね」
24 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 23:06:08.05 ID:c6/4/uRk0
わざわざニューソク社のクサナギ少佐に隠密輸送を依頼するほどだ。よほど秘匿にしたかったのだろう。
しかし、対ライトセーバー戦。つまりジェダイとしての能力を他のパダワンより抜きん出ることはツンにとっては有り難かった。
ξ゚听)ξ「(速くナイトの称号を取って、お母さんを見つけなきゃ。
その為のスキルならなんだって身につけてやる)」
未開の惑星で育ったツンに父親はおらず、母親の手一つで育てられた。
母曰く、父はツンがまだ腹の中に宿っている時にジェダイの手によって抹殺されたという。
父親が殺された詳細な理由をツンは知らないが、母親の話し振りからして父親はダークサイドに深く関わっていたことは想像できた。
「ジェダイは私達を裏切った」ことあるごとに母親はツンにそう語り、いつかあの坊主共に復讐してやると呟いていた。
そしてツンが生きる為の最低限の知識を得たとき、母親は娘を残して銀河の彼方へ姿をくらましたのだ。
母親が自分を捨てたとは思えない。ツンは肉親が何を思って去ったのか知る由もなかった。
ツンがジェダイの道に入った理由は母を捜すためだったが、
シスを誰よりも憎んでいるブーンにそのこと告げる気には到底なれなかった。
もし、ツンの目的の先にダークサイドの片鱗を少しでも感じ取れば、ブーンは全力でそれを駆逐しようとするに違いない。
それだけはどうしても避けたかった。
ξ゚听)ξ「(お母さん……いったい何処にいるんだろう)」
イ从゚ ー゚ノi「で? これからどうするんじゃ。一通りのカリキュラムは終了したんじゃろ?」
( ^ω^)「ですお。あとは本格的な実地訓練で経験を積むだけですお」
26 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 23:12:28.31 ID:c6/4/uRk0
実地訓練。ということは各地の戦場を渡り歩くことになるのだろうか。
師匠と魔女が自分のことを話しているのをぼんやり聞きながら、
ツンは今この瞬間もどこかで芽吹いているであろう戦火の種を想う。
まだ自分のライトセーバーすら持たないツンはPMCのキャンプ場にこそ入った経験があるものの、
戦場に踏み入ったことは一度もなかった。
しかし、ツンはギンの創りだした幻影によって限りなく現実的な戦場を体感している。
おまけに腹に銃剣を刺されて殺されるというオマケ付きだ。
幻だったとはいえ、まだあの冷たい異物が腹の中に漂っているのではないかという錯覚にツンは今でも時折陥るときがある。
本格的なジェダイの任務に就けるという興奮と、殉職という恐怖がツンの中でまぐわうように共存していた。
ξ゚听)ξ「ブーン。私、まだライトセーバーを造れてないのよ。エレキタクト《模擬刀》じゃ闘えないわ」
( ^ω^)「まだそんな激しい戦場には連れては行かないお。
小手始めに小規模な任務を僕と一緒に順に熟してもらうお。
慣れてくる頃にはライトセーバーの一本や二本なんてチョチョイと完成してるだろうお」
从´ヮ`从ト「それが良いでしょう。ツン様はフォースこそ強力ですが、
まだその制御が効いていない部分が見受けられます。
戦場にはあらゆる思念が渦巻いておりますゆえ、先ずは自分を律し、
万事に動じぬ心構えが必要となるでしょう」
ξ゚听)ξ「例えば誰かが自分の師匠に化けているのを目の当たりにしたり、とかね」
从´ヮ`从ト「あらあら。お褒めに預かり光栄ですわ。うふふふ」
(−_− )「失礼します」
29 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 23:19:39.21 ID:c6/4/uRk0
扉から控えめのノックが聞こえた。
タツキが入るよう促すとマナ・テンプルの修業僧が一人入ってくる。
修業僧は可能な限り頭と視線を低く保ち、ギンの姿を直視しないように細心の注意を払っている。
マナ・テンプルの中でギンと直接対話が許されているのはタツキを除いてごくごく僅かな高級僧のみだ。
下級僧はギンと同じ空気を吸うことすらおこがましいとされ、視線をまともに合わせることすら叶わない。
部屋を訪れたタツキ直属の部下であるこの修業僧も、客室に最高指導者が居座っていることに面食らい。自身でも気付かないままに声が裏返っていた。
ギンの御前で粗相をすれば、どのような恐ろしい処罰が下されるか分からないからだ。
从´ヮ`从ト「用件は?」
(−_− )「船一隻が当院への着陸を希望しております。
リストにない船でしたので拒否したのですが、客人に話せば分かると言われまして」
从´ヮ`从ト「客人……ナイトウ様のことでしょうか。お心当たりはありますか?」
( ^ω^)「あー。そうか、もうここに来て一ヶ月立っていたかお。その船は僕の知人の船だお。通してあげて欲しいお」
修業僧はブーンの言葉を聞いた後、タツキの顔をちらりと見やり「応接間に案内しておきます」とだけ言い残して去っていった。
扉の向こうで激しく蠢いていたフォースが、やがて静かになっていく様をブーンは感じ取る。
30 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 23:27:12.58 ID:c6/4/uRk0
イ从゚ ー゚ノi「PMCかえ? お主が懇意にしておる」
( ^ω^)「よくお分かりで。その通りですお」
イ从゚ ー゚ノi「血生臭い塊が空から降りてくれば、蝿でも軍艦だと気付くわ。
わっちは軍属が嫌いじゃ。はよぅ連れて帰れ」
( ^ω^)「では、教主殿の機嫌が悪くなる前に我々は退散させて頂きますお。
長期に渡る厚い持て成しに感謝しますお」
イ从゚ ー゚ノi「今度来るときは旨い茶菓のひとつでも持ってきぃな」
从´ヮ`从ト「お二方に発たれてしまうと寺院が寂しくなりますわね……さあ、ご案内しましょう」
ふかふかの椅子に寝転びながらヒラヒラと手を振るギンに一礼をしたブーンとツンは、そのまま応接間へとタツキに案内される。
扉の先には十メートル近くもある長机の側に立ち、装飾された窓の外を見つめる見覚えのある人物が立っていた。
法人PMCニューソク・インダストリー社のクサナギ=モトコだ。
31 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 23:30:24.04 ID:c6/4/uRk0
攻リ゚ -ノハ「久しぶりだなナイトウ。相変わらずそうで何よりだ」
( ^ω^)「少佐にそう言われると自分を律したくなる気分になるのは何故かおね」
攻リ゚ -ノハ「後ろめたい秘密を持つ者は白が黒のように見えるものよ。時間がない。直ぐに発つぞ」
紅い瞳をタツキに向けながらクサナギは踵を返して応接間を抜ける。
黒いトレンチコートの後を追いながらツンはブーンにこれから何処に向かうかを尋ねる。
この雰囲気はどう見てもVIPに帰るものではなかった。
攻リ゚ -ノハ「グリーンカラー《戦争屋》の仕事だ。政府の依頼で要人の暗殺を請け負った」
密偵艦エニグマに乗り込み。クルーに指示を出しながらクサナギはそう言った。
船は既に惑星アーバンフォウドを発とうとしている。
環境同調装甲板が周囲の景色に同化し、反重力スタビライザーとイオンエンジンが静かに起動した。
外界を映すモニターにはこちらを見上げているタツキの姿が見える。
33 :
◆909zxcTVWc
:2010/02/13(土) 23:33:49.85 ID:c6/4/uRk0
( ^ω^)「情勢が不安定なB級惑星で国家転覆を狙う不穏分子がいるお。僕達は少佐と共にその親玉を打つ」
ツンは今まで実戦を経験したことがない。
ギンが魅せたあの幻影がどこまで真実に近いのか分からない。
戦争のど真ん中に降ろされたとき、自分がまともに動けるのかもわからない。
ξ゚听)ξ「それって”手初め”の任務なの? どう考えても違うと思うんだけど」
( ^ω^)「怖れる必要はないおツン。未来に耳を傾ければ、フォースが導いてくれるお」
初めての任務。
初めての実戦。
初めての戦場。
それが―――――――
ξ゚听)ξ「暗殺……任務……」
胸が、脈打った。
to be continued...
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