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( ^ω^)白い塔のようです

第2話

47 :1 :2008/02/25(月) 20:01:43.15 ID:QV6LceCk0
第2話


ラウンジ公国


5年前、VIP国に戦争で敗れ最後に吸収された国。

元々、VIPと領土を2分割するほどの広大な国であったが、
戦後は当時の5分1程度の領土を治めている。

VIPの北に位置する、寒い気候の国なため
食糧難・生活難に晒されていた。

だが、VIPの領土となってからは、国からの支給や援助などもあって、
国民の生活水準は上がっている。

戦争で獲得した土地ほど、反乱を起こしやすい。
この事実を重視した、ショボン皇帝の温和な対策だった。

一同は、テラ山脈に入るための準備を、
ラウンジ公国の第一都市、ロビーへと立ち寄っていた。

48 :1 :2008/02/25(月) 20:03:07.45 ID:QV6LceCk0

/^ω^))「物資は各々で調達する事、くれぐれも騒ぎを起こすなお」

/'A`))「了解」


全員旅人を装い、布のマントを被って行動する。
VIPの7神将ともなれば、全土に知れ渡る英傑達だ。

バレたとしてもさほど問題は無いのだが、
騒ぎになるのはできれば避けたい。


/^ω^))「2刻後、ここに集合」
  _
/ ゚∀゚))「了解です」


49 :1 :2008/02/25(月) 20:04:06.32 ID:QV6LceCk0

食料・武具等、揃えなければならない物はたくさんある。

大人数であれば、運搬用の兵もいるのだが、
少数であればそうもいかない。

自分の馬に積載できる量にも限界があるし、
連れにしても同じ事が言える。


/;,゚Д゚))(モナーを連れて来たのは間違いだったか……)

/´∀`))「隊長!これも!あれも!」


ただでさえ図体のでかいモナーは、食料も人の数倍は喰う。

戦力としては申し分無いが、少人数パーティとしての使い勝手はイマイチのようだ。

50 :1 :2008/02/25(月) 20:05:16.52 ID:QV6LceCk0

/,゚Д゚))(ミルナやモララーが羨ましいぜ)


ミルナとモララー


7神将でありながら、部隊を一切持たない2人。
単純に個の強さを求めた結果なのか、自分より弱い他人は邪魔なのだろう。

一切、部下も従者も持たず、ラウンジ公国に入る前から単独行動をしている。

今回の目標だけを告げ、自分勝手に動き回って良い
とブーン将軍からも指示されていた。

そんな人との関わりを持とうとしない2人だったが、
どういう訳かブーン将軍の命令にだけは、忠実だった。

将軍の人徳がそうさせるのか、それとも裏での取引があるのか。
ギコには分かりえなかったが、それも含めたブーンの凄さを再実感するのだった。

51 :1 :2008/02/25(月) 20:06:49.34 ID:QV6LceCk0

/,゚Д゚))「そろそろ2刻だ、戻るぞ」

/´∀`))「了解ですモナ」



テラ山脈入り口


鬱蒼とした木が生い茂り、まるで行く手を拒むかのように、
森は静かに威圧感を放つ。

今いる入り口は、まだ標高も高く無く本当の意味で入り口に過ぎない。



52 :1 :2008/02/25(月) 20:09:15.38 ID:QV6LceCk0

( ><)「将軍!ここからキメラの被害が平地の10倍になっている土地なんです」

( ^ω^)「ふむ、各員戦闘の準備は怠るなお!
       最低2人以上のパーティを組むこと。
       ツンとシィは戦闘要員と常に歩けお!」

ξ゚听)ξ「了解!」(゚ー゚*)

( ^ω^)「万が一はぐれた場合、一直線に噴煙の出ているあの山に向かって進めお。
       その場合、キメラとの戦闘はできるだけ避ける事」

('A`)「了解」(゚Д゚,, )

( ^ω^)「以上!進軍する!」


54 :1 :2008/02/25(月) 20:10:42.40 ID:QV6LceCk0

深い森の中へと馬を入れる。

素直な動物だ、恐怖を感じているのだろう。
足取りから躊躇いを感じる。

恐らく、この馬達は生きて帰る事は無いだろう。

奥深くまで進めば、馬の通れなくなる道が出るのは当たり前の事。
その場合、馬を乗り捨てて行くことになる。

このキメラが蠢く森の中で、馬一匹。
生き残れるはずがなかった。

馬に「すまない」と頭で思いながら、
脚を先へと進める。


56 :1 :2008/02/25(月) 20:12:23.32 ID:QV6LceCk0




キメラに遭遇するのに、時間は掛からなかった。



  _
( ゚∀゚)「約300m四方にキメラ3体!
     飛行系1、猫型2」


ジョルジュの鷹眼を使い、キメラの存在を感知する。

系統により、人員を配置し有効に当たらせるのだ。


飛行系には弓、猫型には俊敏性。

57 :1 :2008/02/25(月) 20:13:51.05 ID:QV6LceCk0

  _
( ゚∀゚)「つー!引き付けろ!」

(*゚∀゚)「あいさ!」


飛行系のキメラと戦闘をしてるのは、ジョルジュ+つー。

つーがキメラの攻撃をいなし、隙を作る。
そこにジョルジュが ズドン だ。


  _
( ゚∀゚)「良し、いい子だ」


キリキリと弦を引き、鷹の視点で獲物を認識する。

58 :1 :2008/02/25(月) 20:15:29.12 ID:QV6LceCk0

(*;゚∀゚)「はっ、はっ」


つーの攻撃はキメラに通じない。

ひたすら隙を作ることだけに専念している。

  _
( ゚∀゚)「!」


次の瞬間、ジョルジュはめいいっぱい引き絞った弦を離す。

矢が光線のように、一直線。
キメラの頭を貫いた。


(*;゚∀゚)「はぁ…はぁ…流石兄貴」


60 :1 :2008/02/25(月) 20:16:51.70 ID:QV6LceCk0




('A`)「将軍、どうぞ」


今まで何度も同じ言葉を言ってきた。

そして今回もまた同じ言葉を発する。


猫型のキメラは、体の至る所に短剣が突き刺さり、
その短剣からは周りの木々へワイヤーが伸びている。

キメラは全く身動きが取れない状況で、
尚咆哮を続けている。


( ^ω^)「ふんっ!」


毎度の如く、2つに分かれた物体がその場に残った。

61 :1 :2008/02/25(月) 20:19:02.93 ID:QV6LceCk0





(;´∀`)「うっ、ひっ」


巨体が大きな盾を使って、キメラの攻撃を受け止めている。

素早いキメラの攻撃に、防御で精一杯のようだが、
間隙を縫って槍での攻撃が繰り出されている。



ミ#,゚Д゚彡「うぉぉ!」


だが、槍はその分厚いキメラの皮膚を貫通せずに、
ダメージは見受けられない。


62 :1 :2008/02/25(月) 20:19:53.73 ID:QV6LceCk0

だが、キメラにとってはよっぽどうざいのか、
フサギコに向かって攻撃を放つが、それも巨体の男の盾によって阻まれる。

キメラの苛立ちは頂点に達し、渾身の一撃を見舞うべく鋭い爪の付いた腕を振り上げる。




だが、その腕は振り下ろされる事は無かった。


( ,,゚Д゚)「らぁぁ!」


黒い双剣によって、振り上げた腕はボトリと地面へ落とされた。


63 :1 :2008/02/25(月) 20:20:39.32 ID:QV6LceCk0

( ,,゚Д゚)「うぉぉぉぉ!!」


間髪入れずに、双剣振るうギコ。
キメラをバターが如く切り刻んで行く。

やがて、そこに残ったのは細かく分断された肉だけだった。


( ,,゚Д゚)「ふー、怪我は無いか?」

ミ,,゚Д゚彡「あぁ、大丈夫だ」

(;´∀`)「腹が……」

(;,゚Д゚)「ッ!やられたのか!?」

( ´∀`)「減ったですモナ」


64 :1 :2008/02/25(月) 20:21:58.44 ID:QV6LceCk0





( ^ω^)「皆無事かお?」

('A`)「この程度のキメラなら問題無いでしょう、しかし」


と、ドクオは言葉を続ける。


('A`)「森に入った途端に遭遇、しかも3匹。
   明らかにこの地域は異常ですね」

( ^ω^)「確かに、一気に3匹とは今まで経験が無いお」


65 :1 :2008/02/25(月) 20:23:28.36 ID:QV6LceCk0

('A`)「この先に何か秘密があるのは、間違いないでしょう。
    それと……」

( ^ω^)「?……なんだお?」

('A`)「いえ……何でもないです」


この時ドクオが感じた、違和感。

後になってその違和感が判明するが、その時には後悔が先立っている事になる。


('A`)「さぁ、行きましょう」

( ^ω^)「だお」


66 :1 :2008/02/25(月) 20:25:01.49 ID:QV6LceCk0




森を抜け、湖を渡り、そしてまた森に入る。

奥地へ進むにつれ、遭遇するキメラの数が増える。
それだけではなく。手強いキメラも増えてきていた。


(;´∀`)「モナッ!」


モナーの右手に絡みつくのは、蛇型のキメラ。

体は数十メートルの長さを持ち、体にはムカデのように無数の足が生えている。



67 :1 :2008/02/25(月) 20:25:45.81 ID:QV6LceCk0

ミ;,゚Д゚彡「くっ!」


モナーがその長い胴に巻き込まれて行く。
だが、自分は槍で攻撃する他に何も出来ない。

その槍も硬い鱗に弾かれてしまう。


ミ;,゚Д゚彡「ギコ!まだか」


一方、ギコは



69 :1 :2008/02/25(月) 20:26:53.70 ID:QV6LceCk0

(;,゚Д゚)「くぅ」


キメラの後方、尻尾にてこずっている。

無数にある足がギコの進路を邪魔し、2人の元へ辿りつけない。


(#,,゚Д゚)「がぁぁ!」


双剣を振るう度に、何本もの足を切り落とすが
如何せん数が多い。

焦燥感がギコを覆い尽くしていた。



70 :1 :2008/02/25(月) 20:28:01.89 ID:QV6LceCk0

(;´∀`)「モ"ッ!」


モナーの体から伸びたキメラの頭が、大きく顎を開き仰け反る。

誰の眼から見ても、次なる行動は予測できた。


(;´∀`)「モ"モ"モ"、ギコ隊長!!たすk」


次の瞬間、モナーの上半身はキメラの頭部に食い千切られ、
巻きつかれた、下半身だけがジタバタと手足を動かすだけになった。

だがそれもやがて、動かなくなり、残った胴体もキメラの体内へと取り込まれて行った。



71 :1 :2008/02/25(月) 20:29:40.33 ID:QV6LceCk0

ミ;,゚Д゚彡「モ、モナー……」


槍を構え、呆然と立ち尽くすフサギコ。

そして、その畏怖の対象は鋭い眼でこちらを向く。


ミ;,゚Д゚彡「ヒッ!」


背中を向け、フサギコは一直線に逃げ出す。

しかし、キメラは再度仰け反り、反動を付けて一直線にフサギコを目指す。



74 :1 :2008/02/25(月) 20:31:03.36 ID:QV6LceCk0


シューーーーー


振り向きはしない、振り向きはしないが、分かる。

アレがこっちに向かってきている。


ミ,,;Д;彡「はぁっ、はぁっ、ああああぁぁぁぁぁ!」


絶望と恐怖に支配されたフサギコに、出来ることは叫ぶことだけだった。




77 :1 :2008/02/25(月) 20:32:29.42 ID:QV6LceCk0

突如、背中に衝撃が走る。


「あぁ、終わった」


と一瞬考えたフサギコが、振り返った先には

ギコによって、×字に切り裂かれたキメラの頭部があった。


ミ,,;Д;彡「はぁ……はぁ……」


放心状態で尻餅を付くフサギコに、返り血を浴び真っ赤に染まったギコが近寄ってくる。


( ,,゚Д゚)「大丈夫か!兄貴!」


79 :1 :2008/02/25(月) 20:33:52.82 ID:QV6LceCk0

ミ,,;Д;彡「あ、あぁ……」

( ,,゚Д゚)「……モナーは……?」

ミ,,;Д;彡「すまない……」

( ,,゚Д゚)「そうか……」


恐らく、一般兵としての力量であれば
フサギコは相当な力を持つであろう。

モナーにも同じことが言える。

そのフサギコが、涙ながらに逃げる程の敵。

敵と呼ぶには、一般人には驚異的過ぎた。

82 :1 :2008/02/25(月) 20:36:09.27 ID:QV6LceCk0

ミ,,;Д;彡「俺に……もっと力があれば……」

( ,,゚Д゚)「兄貴……仕方の無い事だ」


蛇型のキメラなど、今まで見たことも戦ったことも無い。

今までの常識を全て覆すような戦いだった。


( ,,゚Д゚)「行けるか?」

ミ,つД゚彡「あぁ、行く。行くとも」


自分の力は役に立たない。
それはもう分かりきっていた。


84 :1 :2008/02/25(月) 20:37:33.97 ID:QV6LceCk0

しかし弟が戦っている。
戦友のモナーも死んだ。

ここで引き返す訳には行かない。


ミ,つД゚彡「必ず……奴らを滅ぼす!」

( ,,゚Д゚)「あぁ、その通りだ!将軍達と合流しよう」

ミ,,゚Д゚彡(モナー……先に待っていろ)

85 :1 :2008/02/25(月) 20:38:27.37 ID:QV6LceCk0

死ぬのかもしれない。


いや、死ぬのだろう。


それを受け入れ、戦士たる誇りを持って死ぬ。



国のため、民のため、そして弟のため。




第2話 〜fin〜



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