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問合せ
('A`)は夜の王様のようです
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/16(木) 00:44:48.68 ID:4rBHs0gQ0
お題
>>50
寝る前に…
>>51
それでこそキング!
完成したので投下しま
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/16(木) 00:45:18.37 ID:4rBHs0gQ0
真っ黒な空を一生懸命照らすまんまるお月様。
草木も眠る丑三つ時だってのに、頑張り屋さんだ。
そんな時間に起きてる俺も頑張り屋さんだよな。
(*'A`)「誰か誉めてー!」
しーん。
あれだなぁ、ツッコミの存在って重要だな。
気を取り直して歩き出す。
わざと靴音高く歩いてみたり。
アニメのワンシーンを再現してみたり。
ミュージカルのように踊ってみたり。
それでも誰にも咎められない。
ああ、この夜は俺の物。
('A`)は夜の王様のようです
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/16(木) 00:45:44.79 ID:4rBHs0gQ0
子供の頃、俺には夢があった。
真夜中の街を一人闊歩する、そんな夢。今になって考えてみればなんとまぁスケールの小さい夢だろう。
とにかく、俺はその頃からずっと夜の闇に心惹かれていた。
('∀`)「あぁ…いいなぁ、夜!真っ暗って素敵だ!」
そして大人になった今。寝る前の散歩は俺の日課―いや、生活の原動力になっていた。
最初はほんの息抜き程度。段々時間が長くなって、仕事に差し障るようになった。
それならいっそと一念発起、仕事を変えた。
給料は前より少ないけど、その分働く時間も短い。朝遅くても問題ないので、散歩はたっぷり楽しめる。
('A`)「まわるーまーわるーよせかいーはまわるー」
両手を広げてくるくる廻る。
くるくる、くるくる、くるくる…やべ、気持ち悪くなってきた。
ちょっと座って一休み。こんなことしても、誰にも何も言われない。楽しいなぁ。
('A`)「……」
自然と視線がお月様に向いた。
俺は黒は大好きだけど、黄色はあまり好きじゃない。でもお月様は別だ。
俺による俺のための俺だけの夜を照らしてくれる、ありがたいものだからだ。
(*'A`)「お月様ありがとー!」
傍から見たら俺、シラフには見えねぇだろうなぁ。誰もいないけどさ。
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/16(木) 00:46:26.23 ID:4rBHs0gQ0
さて。気持ち悪いのも引いてきたし、散歩の続きと行きますか。
今度は思いっきりスキップしてみた。らんらんるー。
('∀`)「らんらんるー!」
(* ^ω^)「うはwww変なやつがいるおwww酔ってんのかおwww」
上機嫌にスキップしていたら、スーツをだらしなく着たおっさんが現れた。
肉でたるんだほっぺたは真っ赤で、足元も覚束ない。頭にはご丁寧にネクタイなんか巻いている。
どう見てもシラフじゃなかった。酒くせぇ。
('A`)「…酔ってんのはてめーのほうだろボケ」
気分がすっと冷めていくのがわかった。最高から最低に一気に落ち込むテンション。
酒を飲むなとは言わないが、俺に絡むな。
俺の世界に入ってくるな。
(* ^ω^)「そう怖い顔すんなおwwwさっきみたいに笑ってたほうがかっこいいおwww」
おっさんが笑うたび、ビール腹がたぷたぷ揺れる。
醜い。
こんなに素敵な真っ黒の中に、こんなに綺麗な俺の世界の中に、こんなに醜い奴がいていいのか?
良くない。良いわけがない。
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/16(木) 00:47:24.31 ID:4rBHs0gQ0
('A`)「…なぁ、おっさん。王様の仕事って何だろなぁ?」
(* ^ω^)「そりゃ税金を搾り取ることだおwwwお蔭で庶民の僕らは苦労してるおwww」
この野郎、頭の中までプリン体か?全然解ってねぇ。
('A`)「王様の仕事ってのはなぁ」
この真っ黒な夜のように―
('A゚)「世界を綺麗にすることさ」
懐に入れておいたナイフを取り出す。月光に照らされたそれは、銀色に輝いていた。
あぁ、綺麗だ。本当に綺麗。俺の世界で闇とお月様の次に綺麗なもの。
(* ^ω^)「危ないもん持ってるおねwwwおまわりさんに捕まっちゃうおwww」
(゚A゚)「あんたは俺の世界を汚した。制裁が必要だ」
(* ^ω^)「お?」
(゚A゚)「死ね」
返事はさせなかった。これ以上、汚い息で俺の世界を汚されたくなかったから。
腹から真っ赤な血を流して、おっさんは倒れた。抜けたナイフも真っ赤。
ちなみに俺は赤色が大好きだ。黒の次ぐらいに。
('A`)「これで俺の世界は汚されない」
世界は綺麗に保たれた。偉いぞ俺!それでこそキング!お努めお疲れ様であります!
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/16(木) 00:47:51.29 ID:4rBHs0gQ0
一通り自分を称えた後、ぐったりとして動かないおっさんを眺める。
流れた血が、徐々にどす黒くなっていく。夜の闇に、俺の世界に溶け込んでくる。
そうだ、それでいいんだよ。郷に行っては郷に従え、ってな。
('∀`)「ようこそ、俺の世界へ」
なんつって。
(*'∀`)「お月様ー!俺、今日もこの世界の王様としてきっちり仕事したよー!」
(*'∀`)「お月様の大好きな、夜の世界を守ったよー!」
なんとなくお月様が微笑んでくれてるような気がした。嬉しいなぁ。
それじゃ、掃除も終わったことだし散歩を続けよう。
鼻歌を熱唱してみたり。
両手を広げて走ってみたり。
道路の真ん中で大の字になってみたり。
それでも誰にも咎められない。
ああ、この夜は俺の物。
誰にも渡さない。誰にも汚させない。
だって俺は、王様だから。
('A`)は夜の王様のようです 終
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