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( ^ω^)ブーンはフォースを駆るジェダイのようです

SHOT-X

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/12(日) 22:16:06.97 ID:zO0iO+l/0
>>1
もしかして規制受けてたの?

6 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:18:17.71 ID:5xHM/5OUO
【登場人物】
( ^ω^)…ナイトウ=ホライゾン(32)
・ジェダイ・ナイト
・柄の両端から翡翠色の光刃を展開するダブルブレイドライトセイバーを愛用

( ∵)…ビコーズ
・ドラム型多目的万能ドロイド
・R2-D2みたいなのを想像してくれておk
・ブーンの相棒

ξ゚听)ξ…ツン=E=アシュクロフト(15)
・辺境惑星の住人
・ブーンに見込まれてジェダイ聖堂に向かうことになった
・毒舌少女

7 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:21:22.43 ID:5xHM/5OUO
( ^ω^)「ツン。紅茶が入ったお」

ξ )ξ「…………」

( ^ω^)「……ツン?」

ξ--)ξクー クー

( ^ω^)「なんだ。寝ちゃったのかお」

Episode3:ツン=E=アシュクロフトの憂鬱

〜SHOT-5〜

万物の主人公は宇宙である。
あらゆる時間は宇宙を中心に動き。
あらゆる事象は世の集合体である宇宙に帰結する。

そんな宇宙が気まぐれに生み出した人間。
彼等の想いなど宇宙は微塵も気にせずに針を進める。
足元で餌を運ぶ蟻に気を止めるものなどいるだろうか。

時よ止まれ。
世界よ停まれ。

こんな悲痛な願い持った者が銀河に幾千幾万いたことだろう。

宇宙は常に絶対であり公平だ。
何故なら。宇宙は己が中に住まう者達に一切の関心を払わないから。

8 :>>5規制ではないです ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:24:14.95 ID:5xHM/5OUO
( ^ω^)「まったく。君の無茶苦茶な行動のせいで、湿っぽい出発になっちゃったお」

ξ--)ξクークー

( ^ω^)「…………」

あの後。
ヘソ山での騒動の後。
マフィア拘束の為に駆け付けたニューソク社のPMCと共に仕事を一段落させたブーンは、そのまま惑星VIPへと発っていた。
無論、ツンも一緒だ。

( ∵)「ピピッ。ブブ」

( ^ω^)「お、もう結果が出たかお。今そっちに行くお」

故郷から抜け出したいという念願が叶ったにも関わらず。
ツンはブーンが乗ってきた美しい宇宙船を見ても、漆黒の吸い込まれるような宇宙空間を見ても、
ハイパースペースの瞬きするような苛烈な光景に直面しても、云とも寸とも言わなかった。

ブーンには少女が無感動になる理由が分からない。

心辺りが無いわけではなかった。
むしろ、多過ぎるから分からないのだ。

9 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:25:59.81 ID:5xHM/5OUO
( ^ω^)「ビコーズ。抽出した数値をジェダイのベースモデルと比較してくれお」

( ∵)「パプ」

( ^ω^)「……やっぱり」

白い画面に映し出された映像を片目に紅茶を啜るブーンは満足気に席を立った。
途中、味気無い琥珀の液体をダストシュートに放り込む。
やはり、飲食はアンティークに倣うに限る。
急速冷凍した茶葉とはいえ、宇宙食にしてしまえば香りや味にムラっ気が出てしまうのだ。

( ^ω^)「贅沢は敵。贅沢は敵。でも、趣味に関する贅沢は敵に非ず」

ξ--)ξ「…………」

宇宙空間を一望できる大きな窓辺で寝耽るツン。
姫君に毛布を掛けたブーンは、その横で紐のように伸びた星の軌跡に目を細める。

10 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:27:17.88 ID:5xHM/5OUO
( ^ω^)「”白の反対は黒。では、正義の反対とは何ぞや?”」

( ^ω^)「ツン、君はこの問いに対してどう答えるお?」

ξ--)ξ

( ^ω^)「僕は……僕は今でも、あの魔女の問いに対して完璧な返答をしたと確信しているお」

ξ--)ξ

( ^ω^)「僕が君に憎悪を抱いているのは、きっとその答え故なのかもしれないおね」

ξ--)ξ

( ^ω^)「若く。美しく。愚かな少女。
       たぶん、君がこれからどんな道を歩もうと。どれほど偉大になろうと。
       僕は君の全てを受け入れることは無いお」

ξ--)ξ

( ´ω`)「僕は先生のようにはなれない。先生ならきっと君を殺していたのに……僕は君を斬ることができなかったお」

12 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:29:37.80 ID:5xHM/5OUO
ξ--)ξ

( ^ω^)「君のこれからの運命は六人のジェダイによって決められる」

ξ--)ξ

( ^ω^)「僕の道案内はここまで。あとは、しっかりと自分の意思で進むんだお……おやすみなさい」

ξ゚听)ξ「…………」

電灯を消し、部屋を去って行くジェダイ。
ふらりと揺れる大きな肩を蒼い両眼はじっと見つめていた。


  ※※  ※※  ※※


( ^ω^)「お、もう起きちゃっていいのかお?」

肩に毛布を引っ掛けたままコントロールルームにやって来たツンにブーンは笑って問い掛けた。

ξ゚听)ξ「ええ。おかげさまでぐっすり眠れたわ」

( ^ω^)「もうすぐVIPに着くお。暫くは忙しくなるから目を回さないように」

ξ゚听)ξ「びっぷ?」

( ^ω^)「僕とツンがこれから行く星だお。首都惑星VIP。政の全てが集う場所」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/12(日) 22:31:29.46 ID:zO0iO+l/0
始まるたびにスターウォーズのテーマが脳内で鳴る

14 :>>11いえいえ、有り難いです ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:33:00.98 ID:5xHM/5OUO
ツンは思っていたよりも元気そうだった。
一眠りしたことで気分も晴れたのだろう。
ブーンの快活な笑みも手伝って、ふたりの間にギクシャクした空気が漂うことはなかった。

( ^ω^)「お腹空いたお? 御馳走になった御礼に、今度は僕が食事に招待するお」

ξ*゚听)ξ「うん」

ビコーズをボーイ役にブーンとツンは簡易式の台所へ向かう。
銀色の流線シルエットが特徴的な惑星ナブー産のこの船には、搭乗者が宇宙航行をする上で必要な備品をきっちり揃えていてくれている。

さっぱりするような外装とは裏腹に船内の装飾は可能な限り木材を使用しており、これが長旅におけるストレスを和らげてくれていた。
職人が丁寧に造り込んだ大理石にはシステムキッチンが組み込まれている。
つまり、料理には基本的に事欠くことはない。

問題は食料だ。

掃除はビコーズや備え付けのドロイドが行ってくれるが、何しろ男ひとりが一ヶ月近くも寝食の根城に使っていた船である。
どれだけ探しても冷蔵庫の中にはレトルト食品しか見当たらなかった。

(;^ω^)「カレー、カレー、これもカレー……一ヶ月前の僕は何をとち狂ってこんな大量の香辛食品を買ったんだお? まあ、これでもいいか」

16 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:35:10.52 ID:5xHM/5OUO
ξ゚听)ξ「ブーン。何か手伝うことはない?」

(^ω^ )「ゲストはゲストらしくのんびり待っていてくれお。ボーイ君、あちらのレディに何かお飲みものを」

  ▽
≡( ∵)「プーン」

ξ*゚听)ξ「わぁ。ライトブルーの綺麗な水ね。中から沢山泡が出てる……」

( ∵)「プピ」

ξ゚听)ξ「飲んでいいの? ありがとうビコーズ」

炭酸ジュースの独特の刺激をツンが楽しんでいる間に、ブーンは夕食の準備を始めた。
と言っても、適当に選んだレトルトカレーをレンジに放り込むだけなのだが。
使う食材はライスとルーが合体した即席タイプのレトルト食品だ。
香辛料が使われているので、例え初見の料理であっても食欲がそそられるだろう。

( ^ω^)「へい、お待ち」

ξ゚听)ξ「美味しそう。凄く良い香りがする。なんて言う料理なの?」

( ^ω^)「ボン・カレー」

ξ゚听)ξ「刺激的な名前ね」

18 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:37:34.24 ID:5xHM/5OUO
プラスチックのスプーンで恐る々る褐色の塊を口に運ぶツン。
紅い人参とルーに染まった琥珀色のジャガイモが、熱々の白米と共に彼女の舌に載せられる。

ξ;゚听)ξ「!?」

その時、ツンの中で衝撃が走った。

ξ;゚听)ξ「なん、だと……」

美味い。旨すぎる。

ツンは震える手で何度も何度もスプーンを皿と口の間で往復させた。
絶妙な高熱処理を施されたジャガイモが溶けるように口内で転がり、徹底熟成させられた人参はほど良い甘味を提供してくれる。
これは食材の性質を知り尽くしていなければ成しえない技だ。

そして鼻腔から脳天にかけて突き抜けるこの芳醇な香り!
筆舌に尽くし難い香辛料の素晴らしい芳香群が唾液を分泌させ、胃液を大量に放出させてくるではないか。
黄金に輝く半液状のスープには人を魅力する魔物が棲んでいるに違いない。

19 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:39:36.95 ID:5xHM/5OUO
ξ;゚听)ξ「溶けるか溶けないかの瀬戸際まで煮詰められたオニオンは食欲の掻き立てに一役買い。
      隠し味に入れたと思われるハーブのさりげない主張もしっかり効いているわ」

なんだこの料理は。
いったいなんだと言うのだ。
世の宇宙人どもは、これほどまでに旨い物を食していたと言うのか。

ξ;゚听)ξ「梵・華麗。恐ろしい子……」

( ^ω^)「いや、ただのカレーだし」

ツンが食の革命ボン・カレーを食べ終える頃、船体が少しだけ揺れてアナウンスが入った。
船がハイパースペースを突破し、目的地に到着したのだ。

( ^ω^)「ツン、席に座って。シートを……うん。OKだお」

21 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:41:01.76 ID:5xHM/5OUO
コントロールルームの前方には高解像度の大型液晶画面が設置されている。
窓越しの景色かと見間違えるほど鮮明に映し出されたその光景に、ツンは思わず息を飲んだ。

ξ゚听)ξ「……きれい」

丸い天体が黒い海に浮かんでいた。
それはキラキラと輝いており、灰色の表面を妖しく際立たせている。
あるいは、黒曜石に光の粒子を巻き付けたようにも見えるだろう。

美しい。
ただ、その言葉だけが彼女の脳裏に浮かぶ。

( ^ω^)「かつての首都惑星コルサントに倣って開発された機械惑星だお。星の半分以上に人工的な管理機構を施した歯車の星……」

ツンはここで初めて、もっと自分の星をよく見ておくべきだったと後悔した。
惑星VIPは灰黒色だ。
ならば自分の故郷はいったい何色だったのだろう。

22 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:42:37.29 ID:5xHM/5OUO
果たして、あの緑豊かな惑星はVIPのように蛍が何百匹も集まったような美しい光を放っているのだろうか。
良い思い出は少なかったが、生まれ育った場所であることに変わりはない。
変にふさぎ込まず、素直に好奇心に従っていればよかったのだと反省する。

ξ゚听)ξ「ここがブーンの故郷なの?」

( ^ω^)「いや、僕の出身は別のところだお」

ξ゚听)ξ「……これから私はどうすればいいの?」

( ^ω^)「ツン。君には才能がある。それも百人に一人だとか、千人に一人だとかいうレベルじゃないお」

だから、君はジェダイになるべきなんだお。

そう言い終えたブーンは、ジェダイってなによと眉ねを寄せるツンの質問には答えず、VIPの航空官制の指示に従って船を大気圏に突入させた。

反重力スタビライザがあるとはいえ、惑星突入時にはある程度の振動が発生する。
密度の高い空気が宇宙船の揚力翼に悲鳴を上げさせ、それがツンの不安を煽った。

24 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:45:15.13 ID:5xHM/5OUO
( ^ω^)「おk。着陸」

[医・&・]『マスタージェダイ、お帰りなさい。国際衛生局のバイオハザード対策室です』

電波状況が回復すると、通信機にアストロメクドロイドの立体映像が浮かび上がった。
ブーンが厚生省に予め連絡を入れておいたのだ。

( ^ω^)「ああ、ご苦労様。一通りの検査は終えたので後はよろしく」

[医・&・]「イエス、マスター。ご登録いただいたミス・アシュクロフトは初診ですので検査には数時間ほど要します」

( ^ω^)「うん。了解だお。パスポートやビザに関しては事後発行するのでその辺りの融通は効かせといてくれお」

何の前触れもなく見知らぬ機械人形の口から名前を出されたツンがブーンに説明を求める。

25 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:46:41.82 ID:5xHM/5OUO
( ^ω^)「心配することはないお。ツンの身体に悪い病気がないか調べるだけだお」

ξ゚听)ξ「別に病気なんかなってないわよ?」

( ^ω^)「ツンにとっては病気じゃなくとも、別の星の人にとっては死の病になることだってあるんだお」

科学の世界は永遠なり。
安価な宇宙旅行すら当然となったこの時代においても、未だ物理化学が踏み込めない領域は存在する。

例えば、ハイパードライブや超孥級大型兵器などにはなくてはならない量子コンピュータがそれだ。
もはや文明社会になくてはならない存在である彼の超高速演算機が『なんで動いているのかよく分からない』にも関わらず、
日常生活の至る所で使われていると聞けば、たいがいの人間は驚嘆するだろう。

商業工業において技術的ブラックボックスをそのまま商品に転換することなど愚の骨頂だが、
原理上、量子コンピュータは『箱』の中身を”観察した”瞬間に存在が破綻してしまうので、ある意味では仕様がないかもしれない。
少なくとも、この謎の演算装置をハイパードライブに採用して(およそ云百万年が経過するが)何かしらの問題が発生したことはなかった。

26 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:48:27.29 ID:5xHM/5OUO
( ^ω^)「つまり、医学分野においても我々人類は無知の知を自覚し、或いは痛感させられてるわけだお」

ξ゚听)ξ「意味が分からないんですけど」

( ^ω^)「簡潔的に言えば、ツンには少し入院してもらうお。検査のためにね」

[医・&・]「というわけで」

( ○ゝ○)「しばらく貴女を拘束します」

ξ;゚听)ξそ「!?」

どうやら船は宇宙港へ着陸したらしい。
それに合わせて船の中に乗り込んできた怪しい二人組を見て、ツンは悲鳴を上げた。
突然声をかけられたからではない。
怪しい男のひとりは全身をガチガチの防護服で固めており、傍らに立つドロイドは怪しさ全開の謎の機械を腕に装着して直立してたからである。
どう考えても小柄な少女を迎える出で立ちではない。

( ○ゝ○)「万一ということがあるからね。衛生法に則り貴女を無菌室へ暫く隔離します」

[医・&・]「検査自体は数時間で完了しますが、なにぶん未開の惑星から来られたので……」

28 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:50:02.28 ID:5xHM/5OUO
ξ;゚听)ξ「ぶ、ブーンは? ブーンは私と何日も一緒にいるのよ。私に何かあったら彼だって何か起きてる筈よ」

( ○ゝ○)「生れつき免疫力の高いジェダイと一般人を一緒くたに扱うことはできないよ。
      マスター・ホライゾンの体内にある観測ナノマシンからは異常報告が来てないから、たぶん大丈夫だろうけど……」

ξ;゚听)ξ「なんかよく分からないけど、それなら私は安全なんじゃないの?」

まあまあ。と言いつつ、後ずさるツンに迫る医者とドロイド。
本能的な危機を察知した彼女は唯一の頼みへと目を向けるが、細目のジェダイはニヤニヤと笑うだけで動こうとしない。

ξ#゚听)ξ「変なことしたらブッ殺すからね! べ、別に検査が怖いとかブーンと離れるのが心細いとかじゃないんだから!」

( ○ゝ○)「元気な子だなあ。キミ、文明社会に来るの本当に初めて?」

29 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:52:37.96 ID:5xHM/5OUO
両腕を掴まれてズルズル引きずられていくツン。
ビコーズと共に生意気娘の滑稽な様を見届けたブーンは、せいせいしながらジェダイの本拠地である聖堂へと向かう。

( ^ω^)「さてと。ツンが開放されるまで半日と少し、ちょいと休息でもするかお」

( ∵)「プ、ピプ?」

( ^ω^)「評議会に報告? どうせツンを引き合わせなきゃいけないし、後回しにするお。
       あの子を引き取ってくれるジェダイ・ナイトを捜す時間も必要だしね」

( ∵)「ペペポ」

( ^ω^)「僕がツンを? それは御免被るお。僕は死ぬまでワンマンジェダイなんだお」

( ∵)「プ〜ン」

ちょっとした問題発言を相棒にしながらブーンは船のタラップを踏んで外へ出る。
殆どの製品が電気化されているとはいえ、やはり空気はまずい。
なにか旨いものでも食べようか、と食事が出来ないアストロメクドロイドに提案し、中年ジェダイは宇宙港から姿を消した。


   ※   ※   ※




30 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:55:40.25 ID:5xHM/5OUO
ξ゚听)ξ「…………」

”拉致”されてから五時間。
何故か搬送された病院先の看護婦に気に入られ、
「女の子なんだからお洒落をしなきゃね」と退院時に流行りの服を着せられたツンは、
ブーンに指定された駅前で途方に暮れていた。

ξ゚听)ξ「……遅刻するなって言ったくせに」

検査の結果は白。
ツン自身が病に侵されないよう、免疫向上ナノマシンを例の医者に注入してもらい。めでたく開放されたわけだ。

『ツンさん。マスター・ホライゾンから伝言があります』

医者曰く、ブーンがジェダイ聖堂なる場所に連れていってくれるとのことで、ツンは病院の近くにあるリニア駅にやって来ていた。
が、約束の時間になっても肝心のブーンが来ない。
郵便経由で渡された使い方が分からない携帯電話なるものを握りしめ(せめて説明書ぐらい送付しなさいよ!)
ツンは迷える少女を無関心に通り過ぎていく人々を見つめる。

((。。 ))「痛ッ」

ξ;゚听)ξ「あ、すみません……」

(。。#)「…………」プイッ

ξ゚听)ξ「…………」

32 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:57:41.67 ID:5xHM/5OUO
スーツに身を固めた時間に追われる男がツンとぶつかり、そして去っていった。

「面倒な―――――」

言葉を交わさずとも十分に意図が伝わる視線を喰らい。ツンの心は畏縮する。
持ち前の反骨精神も四面楚歌では奮い立たなかった。

プルルルルルル

ξ゚听)ξ「あ」

小さな手に包まれた小さな機械が鳴き始める。

ξ゚听)ξ「どうやるんだろ。えっと、看護婦さんはここを押せって言ってたよね」

(;^ω^)『あ、ツンかお!? 僕、ナイトウだけど』

ξ#゚听)ξ「ブーン。今どこにいるの。私ちゃんと言われた場所に来たのよ! いつまで待たせるの!」

(;^ω^)『いや、マジですまんお。ショボン……同輩の内務を急に頼まれて、今手が離せないんだお』

ξ;゚听)ξ「そんな……私どうすれば……」

( ^ω^)『そこからジェダイ聖堂まで徒歩で三十分くらいで行けるお。駅の向かい側にある細長い塔がそれだお』

33 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 22:59:44.28 ID:5xHM/5OUO
ξ゚听)ξ「そこにひとりで向かえってこと? でも私―――――」

( ^ω^)『大丈夫だお。僕も片付き次第すぐに……』

『マスター・ジェダイお急ぎ下さい! クサナギ少佐の船が到着しました!』

(^ω^#)『ッだあ! 分かってるお。なんで外務のジェダイが攻機のゴリラ女の出迎えをしなならんのだ!
        じゃあ悪いけどツン。そういうことだから』

ξ;゚听)ξ「あ、待ってよ。ブーン!」

一方的に電話を切られ。ツンは渋々足を道路に向けた。
細長い塔があると言われたが、そんなものは何処にも見当たらない。
母には銀河共和国共通語の知識を一通り教えてもらっている。
が、活字に関しては久方ぶりに使うということもあって、

ξ゚听)ξ「地図とかないのかな……」

道に掲げられている道路標識を満足に読むことができない。

35 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:01:31.58 ID:5xHM/5OUO
ξ゚听)ξ「(なにやってんだろ私。こんな遠い場所まで来て……)」

ドン。

目頭が熱くなり始めた頃。
うなだれた頭べが再び誰かとぶつかった。

/ ゚、。 /「…………」

ξ;゚听)ξ「…………」

大きい。
背中へ突っ込んだ相手は二メートルはあろうかという長身な女性だった。
ツンを見下ろすという形容以外の何物でもないが、黒い瞳が発する視線は無表情でありながらも先のスーツ男のようなモノは無い。
灰色のマントがビル風になびく様には威厳と静けさが共存している。

ξ;゚听)ξ「す、すみません」

/ ゚、。 /「…………」

ξ;゚听)ξ「…………」

/ ゚、。 /「……迷子?」

36 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:04:23.75 ID:5xHM/5OUO
仮面のような顔立ちの女性の声は、身体の大きさに反してとても小さかった。
透き通るような。呟くような喋り方だ。

ξ;゚听)ξ「えっと。その、ジェダイ聖堂まで行きたくて」

/ ゚、。 /「ジェダイ……貴女はジェダイ?」

ξ゚听)ξ「違います。ただ、ブーン……お世話になった人にそこへ行けと言われたから……」

/ ゚、。 /「ブーン。それは、ナイトウ=ホライゾンのこと?」

ξ゚听)ξ「ブーンを知っているの!?」

ツンの声が上擦る。

/ ゚、。 /「少しだけ。直接話したことは少ないけど、たまに見かける」

ξ゚听)ξ「じゃあ聖堂への行き方は分かりますか? 私、道がわからなくて……」

/ ゚、。 /「ここからの徒歩で聖堂に向かうのは時間がかかる。リニアレールを利用するのが最善。
      もし、必要ならば私は貴女を聖堂まで案内することが出来る」

38 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:08:44.15 ID:5xHM/5OUO
女性は自らをスズキ=ダイオードと名乗った。
聞けば、彼女もちょうど聖堂に用事があるそうだ。
ブーンのことを知っているのなら得に害は無いだろう。
実際、ダイオードの内にあるフォースからは他意は読み取れなかった。
見知らぬ人間に力を借りるのもシャクに触わるが、自力でこの問題を解決できそうにもなかったので、
ツンはダイオードの親切心に素直に甘えることにした。

/ ゚、。 /「乗車券」

ξ゚听)ξ「?」

/ ゚、。 /「これがないと電車に乗れない。私の後についてきて」

病院や宇宙船のときもそうだが、ツンはその性格も手伝って未知の物に対する恐怖心は殆どなかった。
宇宙や共和国に関する情報を一通り教えられていたということもある。
が、そんな彼女もいざリニアレールのプラットホームに足を踏み入れると、思わず息を呑み込んでしまう。

40 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:10:52.07 ID:5xHM/5OUO
ξ゚听)ξ「すご……」

赤、青、緑、白、黒。
様々な肌、様々な姿の人々がそこにはいた。

ジュース缶を手に持つ、角を生やした鬼が、四本腕のエイリアンと親しげに話しながら電車の到着を待っている。
駅員制服に身を包む一つ目のサイクロプスが、昼間から酒を入れて泥酔している首が異様に長い怪人の介抱に手間取っている。

どれもこれもが不可思議な光景だった。
この星に人種という壁は存在しないのだ。

/ ゚、。 /「電車がきた」

ξ゚听)ξ「はい」

/ ゚、。 /「混んでる」

ξ゚听)ξ「はい」

/ ゚、。 /「聖堂前の駅は五分で着く」

ξ゚听)ξ「はい」

/ ゚、。 /「…………」

ξ゚听)ξ「…………」

/ ゚、。 /「…………」

ξ゚听)ξ「…………」

42 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:12:14.26 ID:5xHM/5OUO
車内で窮屈そうに外を眺めるダイオード。
機械のような雰囲気を醸し出す彼女に話しかけるわけにもいかず。ツンは空中高速道を自在に飛び回る車群を見遣るしかなかった。

やがて車内のアナウンスに反応したダイオードが、ふいと電車を降りる。
慌ててその後に続くツン。
脚が長いダイオードの闊歩を追うのは大変だ。
彼女にとっての一歩は他者の三歩に相当する。

/ ゚、。 /「着いた」

駆け足でたどり着いた場所。
巨大なオベリスクに見護られ。美しい大理石で形造られた巨大な建造物がツンを迎えた。

ξ゚听)ξ「ここがジェダイ聖堂?」

/ ゚、。 /「そう。ジェダイ・テンプル。ここは何人たりとも侵犯できないジェダイの聖地。貴女はここに何をしにきたの?」

ξ゚听)ξ「え……」

43 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:16:59.74 ID:5xHM/5OUO
言われて、ツンは自分がすべき肝心な部分が欠如していたことに気付く。
目的地に着くことは出来たが、そこで何をするかは聞かされていない。
何をすべきかも分からない。
そもそも、ジェダイが何なのかも分からない。

ツンは生まれ故郷の重力から開放された後に何をするかは決めていた。
行為というよりもむしろ目的に近い物だ。
だが、それを他人に言うつもりは毛頭ない。
それを知られることで、一生にあるかないかというこの機会を逃す可能性を憂慮したからだ。

/ ゚、。 /「よく、そうやって履き違える人がいる。目的地に到着すること自体が肝心ではない。大切なのは、目的地で何をするかということ」

ξ;--)ξ「…………」

/ ゚、。 /「悩むこと、間違えることは若人の特権。だけど悩み方を間違えると一生をかけても答えは得られない」

/ ゚、。 /「だから案内してあげる。貴女の運命を見つける手伝いを出来る人達の元へ」

ξ゚听)ξ「運命……」

45 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:18:25.28 ID:5xHM/5OUO
ダイオードの呟くような台詞の意味を上手く飲み込めないまま、ツンはダイオードに言われるがままに聖堂の中へと案内された。
宮殿と呼んでも差し支えないほどの広大さを持つ広間。
完璧に磨きあげられた床石が二人の女性の姿を反射する。
あまりにもフロアが広いために、人影はまばらでどことなく寂しい。
見覚えのある装束を纏った何人かのジェダイを確認しつつ、ふたりは大型エレベーターの中へと入った。

ξ;゚听)ξ「うわっ。高い」

/ ゚、。 /「高所恐怖症には辛い乗り物」

高度数百メートルにまで到達したエレベーターの扉がゆっくりと開く。
その先には絨毯が敷き詰められた大広間。
広間の奧には重厚な造りの観音扉がドッシリと構えていた。
恐らく、あの扉の奧にダイオードの案内する処があるのだろう。

ξ゚听)ξ「ここは?」

/ ゚、。 /「ジェダイ・カウンシル。ジェダイの最高意思決定機関が設置されている場所。皆、評議会と呼んでる。
      貴女はここで自分が今何をすべきかを聞くといい」

46 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:20:00.81 ID:5xHM/5OUO
ξ゚听)ξ「わざわざ案内してくれて有り難う。貴女にも自分の都合があったでしょう」

/ ゚、。 /「問題ない。私もちょうど評議会に用事があった。だから一緒に入るのが最善」

プラスチール製のスライド扉が音もなくスルリと開いた。
恐る々る中に入ると、簡素ながらも威厳の漂う空間がツンを包み込む。

六つの席が円状に並べられ、そこに五つの人影と一つの空席があった。
皆まで言わなくとも、ツンは王座に着席するこの連中が”偉い人”であることを悟った。

/ ,' 3「ジェダイ・カウンシルへようこそ。ツン=E=アシュクロフト」

ツンとダイオードを取り囲むようにして並べられた席。
その真ん中。ツンの真正面に座る小さな緑色の生物がツンに話し掛けた。

ξ゚听)ξ「なんで私の名前を?」

/ ,' 3「ジェダイは未来を見つめる。あらゆることを知っておる。ここにいる者達はそのジェダイを束ねる司令塔《ジェダイ・マスター》じゃ」

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/12(日) 23:21:32.21 ID:zO0iO+l/0
ああ、あのシーンを思い出す…
ジェダイ・テンプルなんかの主要な建物は300年間形を変えていないのかな?

48 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:22:28.79 ID:5xHM/5OUO
/ ,' 3「故に、君がここに来ることも分かっていた。ああ! 申し遅れた。儂はジェダイ・マスターのアラマキ=スカルチノフじゃ。宜しくの」


/ ,' 3 【アラマキ=スカルチノフ】(??)
所属:ジェダイオーダー
階級:ジェダイグラウンドマスター
補足:詳細不明年齢不詳 伝説のジェダイマスター・ヨーダと同じ血を引くと言われている。
   新生ジェダイオーダーを創設した初代メンバーの一角


ξ゚听)ξ「司令塔だか何だか知らないけど、私はブーンに言われてここに来たわ。私の未来がここにあると信じてここに来たの」

(,,゚Д゚)「未来はあくまで予定だ。真に己の進むべき道を見つけたくば、フォースの声を聞かねばならん」


(,,゚Д゚)【ギコ=ウィリアムズ】(38)
所属:ジェダイオーダー
階級:正統派ジェダイマスター
補足:メイス=ウィンドウの再来と呼ばれる天才
   ジェダイ第二の秘剣『ツイン・セイバー』を所有する

49 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:24:37.10 ID:5xHM/5OUO
ξ゚听)ξ「フォースってなに? ブーンもそうだったけど、あなた達は随分とそれに固執しているのね」

( ゚д゚ )「フォースは生命の躍動。万物は無機有機に関わらず、等しくフォースが流れている。
     フォースを知ることは宇宙の真理を知ることと同義なのだ。


( ゚д゚ )【ミルナ=ダルマン】(65)
所属:ジェダイオーダー
階級:正統派ジェダイマスター
補足:”鉄人”の異名を持つ類い稀なる軍才の持ち主
   フォース・グリップの達人


<ヽ`∀´>「そして、フォースの声に耳を傾ければ自然と己が求める道《タオ》が分かるニダ」


<ヽ`∀´>【ニダー=ハンクリフ】(45)
所属:ジェダイオーダー
階級:正統派ジェダイマスター
補足:交渉や外交を得意とする内務特化型ジェダイ

50 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:27:31.29 ID:5xHM/5OUO
ξ゚听)ξ「私は自分の生まれた星が嫌いだった。だから、私はブーンに頼んでここに連れてきてもらった。
      ブーンは私がジェダイになるべきだと……これは運命なの?」

( ΦωΦ)「運命とは諦念であり決意。その運命を是とするか否とするかは手前の認識次第である。
       貴様がそれを運命だと言うのであれば、それを証明してみせろ」


( ΦωΦ)【スギウラ=ロマネスク】(390)
所属:ジェダイオーダー
階級:ジェダイグラウンドマスター
補足:現行最強のジェダイ 
   新生ジェダイオーダーを創設した初代メンバーの一角


ξ゚听)ξ「私は自分の意志でここに来たわ。この運命は私の物よ。ジェダイに私が求める世界があるのなら、私は絶対にジェダイになる!!」

51 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:30:55.84 ID:5xHM/5OUO
ξ゚听)ξ「私は自分の意志でここに来たわ。この運命は私の物よ。
      ジェダイに私が求める世界があるのなら、私は絶対にジェダイになる!!」

/ ,' 3「君がジェダイに相応しいかどうかはマスターの號(ごう)を持つ儂らが決める。
    そう、今ここにいる六人のジェダイ・マスターがのう」

ξ゚听)ξ「六人? 五人しかいないじゃない……」

/ ,' 3「ほっほっほっ。フォースの資質があるからこそ、君はこの場に来れたのかもしれんのう」

ξ゚听)ξ「?」

/ ,' 3「フォースの集中を紹介したいと両刃の騎士が儂らに連絡を寄越した。
    そこで、ある人物に頼んで迷える子羊を捜してもらったのじゃ」

/ ,' 3「この様子だと、どうやら上手く巡り逢えたようだのうマスター・ダイオード?」

ξ;゚听)ξ「えっ?」

/ ゚、。 /「…………」


/ ゚、。 /【スズキ=ダイオード】(105)
所属:ジェダイオーダー
階級:正統派ジェダイマスター
補足:史上最強のスーパーエージェントセーバー『ホワイトクレムリン』の所有者
   身長2メートル

52 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:33:03.69 ID:5xHM/5OUO

/ ,' 3「さあ、役者は揃った。迷えるツン=E=アシュクロフトの運命を見つめてみようか」

/ ,' 3「君にフォースの加護があるかどうかをのう」

ξ゚听)ξ「…………」


   ※※   ※※   ※※


(ヽ´ω`)「…………」

( ΦωΦ)「―――というわけである。貴様に異存はないか?」

(ヽ´ω`)「……タチコマ」

( ΦωΦ)「おい。豚まん」

53 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:35:28.28 ID:5xHM/5OUO
(ヽ´ω`)”「お?」

( ΦωΦ)「今、我輩が言ったこと復唱してみろ」

(;´ω`)「…………」

( ΦωΦ)「…………」

(;´ω`)「…………」

( ΦωΦ)「…………」

(;´ω`)「豚ま(#ΦωΦ)「もういい」

隠密機動艦の”少佐”との付き合いに疲れ果てたジェダイ。
やっつけの仕事を終わらせて評議会に召喚されたブーンは、六人のマスターによるツンの総評報告を受けていた。

/ ,' 3「単純なテストにおいては彼女はジェダイとしての資質を十分備えておる。意思が強く。勘もいい」

(,,゚Д゚)「だが、今のままでは彼女をジェダイとして育てるのは問題がある」

( ^ω^)「おっ。何故ですかお?」

( ゚д゚ )「成長し過ぎている。我が強いことは問題だ」

54 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:37:53.97 ID:5xHM/5OUO
成長し過ぎている。
ツンをジェダイとして育成することに対して評議会が顔を曇らせる理由をブーンは重々承知していた。

ジェダイの教育は生後数ヶ月から三歳ほどまでに開始されるのが通例とされているが、これは人間が持つ『我』を封殺に因るものが大きい。
その気になれば大量殺戮すら可能な能力を持つジェダイは、自身の力を適切に制御・運用することが求められるからだ。

<ヽ`∀´>「喜怒哀楽。フォースの強さは感情に強く影響されるニダ。
      これらの感情を抑圧しなければ、ジェダイはフォースを欲望の為に使ってしまうニダ」

/ ゚、。 /「怒りは哀しみを呼び、哀しみは恐怖を呼ぶ。そして恐怖は憎悪を生み出す。
      喜びと楽しみを得る為に人は悪の花蜜に手を染める」

ジェダイは財産を所有することを禁じられている。
ジェダイの私物は全て支給品で賄われている。
本来ジェダイに仕事という概念は存在しない為、どれほど辛い任務を熟しても給与は発生しない。

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/12(日) 23:39:19.01 ID:lMJDD6UY0
ルークのジェダイ・オーダーは年取ってるレイアとかマラ・ジェイドとかをジェダイとして修業してなかったっけ

57 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:41:56.79 ID:5xHM/5OUO
( ΦωΦ)「人は成長すれば欲望を覚える。その点において、
       ツン=E=アシュクロフトはジェダイに自身の願望の成就を期待しておる。
       資質はあっても資格を有しているかは疑わしい」

( ^ω^)「ですが、ジェダイ育成の年齢制限は廃止されている筈ですお」

(,,゚Д゚)「その通り。新生ジェダイオーダーの創設者たるルーク=スカイウォーカーの逝思を継ぎ、我らジェダイは来る者を拒ない」

( ゚д゚ )「マスター・スカイウォーカーの信念に基づけば、自我に目覚めた者がジェダイとなってもダークサイドに堕ちることはないかもしれん。が、危険過ぎる」

(,,゚Д゚)「俺は彼女の育成に賛成する。創設者の精神は尊重すべきだ」

<ヽ`∀´>「マスター・ギコ。オーダーズセンスの保護は大切ですが、世の中には天秤にかけて良い物と悪い物がありますニダ。ウリは反対ニダ……」

58 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:44:06.76 ID:5xHM/5OUO
( ΦωΦ)「別にいいのではないか? 生意気な娘だが潜在能力は高い。マスター・ニダー、彼女のミディクロリアンの分布数はどれくらいだったであるか?」

<ヽ`∀´>「……一般ジェダイ平均チャートの六倍を超えています。単純比較ですが、この数値はマスター・スカルチノフ、マスター・ダイオードに次ぐ歴代ジェダイ第三位ですニダ」

/ ゚、。 /「…………」

ニダーの報告に評議員達がざわめく。

ミディクロリアンは生物とフォースを結び付ける橋渡し役として知られていた。
太古の昔より人間の細胞内に侵入して共存関係を結んだこの生物は、単位あたりの数が多ければ多いほどにフォースと強く共鳴する。
数百万年以上続くジェダイ史に(善くも悪くも)名を遺すジェダイ達も、このミディクロリアンの分布数が非常に高かった。

59 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:46:36.27 ID:5xHM/5OUO
(,,-Д゚)「つまり、彼女はフォースの”集中”的存在。ジェダイにおける未来の天才というわけか」

( ΦωΦ)「別に天然ジェダイでも問題なかろう。我輩が訓練を受けた時には百歳を過ぎていたである」

(#゚д゚ )「貴公と他の者を一緒くたにするのは如何なものか。ツン=E=アシュクロフトは特殊だが、貴公はそれ以上のイレギュラーだ!」

( ΦωΦ)=3 イシアタマメ

/ ,' 3「と、まあ。実を言うと儂らの間でも意見が分かれていての。マスター・ホライゾン、君の彼女のついての意見を聞かせてもらおうか」

( ^ω^)「おっ……昨今のジェダイは形骸化が進んでいるとも言われてますお。彼女がナイトになれば、良い風が吹くのでは?」

/ ,' 3「…………」

(,,゚Д゚)「…………」

( ΦωΦ)「マスター・ホライゾン。正直に思うところを言ってみるのだ。わざわざ子娘をここに連れてきた理由は本当にそうなのか?」

60 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:48:59.11 ID:5xHM/5OUO
( ^ω^)「…………」

<ヽ`∀´>「ホライゾン。皆は分かっているニダよ」

( ^ω^)「…………」

( ^ω^)「……非常に危険な子供ですお。恐らく、フォースの暗黒面に深く関わりながら育ったかと思われますお」

――――――シス。
それは、ジェダイが最も忌み嫌う者達の総称。
フォースの能力を自身の野望の為に行使し、光明面《ライトサイド》の転覆と殲滅を狙う暗黒面《ダークサイド》の住人達。

之れに光在れば、此こに闇に在り。
ジェダイとシスは歴史の裏で常に衝突を続けてきた。
シスはライトサイドの”受け身と怠慢”に付け込むことで彼らを滅し。
ジェダイはダークサイドの”欲望と怒り”を利用することでこれを退ける。

大局的には多勢のライトサイドが小数派のダークサイドを常に圧倒してきたが、シスがジェダイに勝利するときは必ずと言ってよいほどに大量の血が流されてきた。
旧ジェダイオーダー最後の騎士《ルーク=スカイウォーカー》が、銀河帝国皇帝にしてシスの暗黒卿たるダース=シディアスを討ち取ってから三百年。
大規模な闘いこそあったものの、現在ではダークサイドは完全に息を潜めていた。
シスは完全に滅んだとすら断言する者もいたが、歴史的な経緯から例え実物と合間みえずとも、ジェダイ達の間ではシスの話題は暗黙のタブーとされている。

62 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:50:47.98 ID:5xHM/5OUO
( ゚д゚ )「報告によれば、ツン=E=アシュクロフトはあの年端で既に一人暮らしをしていたそうだな」

/ ,' 3「感情の起伏を用いたダークフォースの訓練。そして共通語の取得。
    彼女の両親は”純粋なシス”を作ろうとしたのやもしれん。シスになるべくして生まれたシスとしての」

( ^ω^)「生活痕からしてツンはここ数年は本当に一人暮らしをしていたようですお。何故、肉親がツンを手放したのかは分かりませんが……
       仮にシスが生存していたとして、連中が彼女を再び取り込む可能性はありますかお?」

(,,゚Д゚)「有り得るな。警戒すべきはアシュクロフトという仙人《天然》が存在したという事実。
     ダークフォースは独学で会得することは難しい。必ず、彼女に暗黒面のイロハを教えた人物がいる筈だ」

<ヽ`∀´>「俄かには信じられませんニダ……ウリ達が暗黒面を感知できないなんて……」

/ ゚、。 /「暗黒面は私達の眼を濁らせる。旧ジェダイオーダーのマスター達ですら、水面下で動くシスの存在を認識できずに滅んだ。油断は大敵」

/ ,' 3「どちらにせよ推測の域は出ない。この会議内でツン=E=アシュクロフトの処遇だけでも決めたいがのう」

64 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:53:09.18 ID:5xHM/5OUO
可能なら誰かの弟子にして監視下におきたいというのがブーンと評議会の共通の見解だった。
無論、そこにはツンをジェダイとして育てることは意識されていない。

仮定の話。
ツンがダークサイドに育てられたとするのなら、必ず”親鳥”が迎えに来る筈だ。
その親鳥をおびき寄せる餌としてツンをライトサイドの囲いに入れてしまえば、事を優位に運べるかもしれない。
ジェダイにとってシスの抹殺は絶対事項だ。
何故なら、シスは常にジェダイを憎み、破壊しようと画策しているのだから。

では、彼女を育てるとしたら。
問題は誰が彼女を育てるかということである。

( ΦωΦ)「イヨウ辺りはどうだ。あれもそろそろ弟子を欲しがる時期だ」

(,,゚Д゚)「いえ、彼にはこれから第三星系の長期監察に入ってもらいます。早くても半年はかかる任務。推奨できない。」

( ゚д゚ )「マスター・ダイオード。貴女の門下生はどうか」

/ ゚、。 /「該当する候補は今のところ記憶にない」

65 : ◆909zxcTVWc :2009/07/12(日) 23:58:00.96 ID:5xHM/5OUO
この瞬間。
ブーンは今まで決め込んできた自分のエゴを破壊する時がきたのかもしれない、と考えた。
ここでツンの弟子を取ると自分が言えば、ひょっとしたらで暗黒面の畜生共をこの手で抹殺できる機会がくるやもしれない、と。

/ ,' 3「ううむラチがあかん……今優先すべきはシスの痕跡を見つけることじゃ。
    致し方ない。ツン=E=アシュクロフトの運命は追って決めるとするかの」

( ΦωΦ)「と、いうわけだ。マスター・ホライゾン。貴様は別命あるまでツンの保護監察に徹しろ。VIPから外に出るなよ。無論、鍛えることも禁ずる」

(;^ω^)「ちょ、ちょっと待って下さいお。シスの痕跡を見つけたのは僕ですお。探索任務に僕を任命してくれないのですかお!?」

(,,゚Д゚)「そう言うな。確かにお前はオールラウンダーなジェダイだが、その道にはその道のプロがいる。今回は探索追跡に特化したスカウトジェダイを採用する」

(#^ω^)「…………」チッ

/ ,' 3「うむ。これで応急処置は完了じゃの。では、これよりシス対策の審議に入る。マスター・ホライゾン、御苦労じゃったな。下がるがよい」

( ^ω^)「イエス、マスター……」

66 : ◆909zxcTVWc :2009/07/13(月) 00:01:18.54 ID:wHgEJXzuO
この後、ツンの住んでいた惑星に数人のジェダイが派遣されることとなるが、
念入りな調査にも関わらず、めぼしい情報が手に入ることはなかった。


ブーンとツンが出会ってから約一ヶ月後。
ブーンは生まれて初めて弟子《パダワン》を持つこととなる。
パダワンの名はツン=E=アシュクロフト。
圧倒的な潜在能力を秘めた彼女は、ジェダイへの道が切り開けた事実を聞くと跳ねるようにして喜んだという。
だが、ブーンにとってのツンの存在は、シスをおびき寄せる為の餌に過ぎなかった。

シスの完全殲滅。
これこそがブーンの悲願であり、志半ばで倒れた師への献花であったのだ。
無論、両刃のジェダイの思惑は誰にも悟られないよう、心の奥底に封じ込めてある。
そして一方のツンも、彼女自身の秘めたる目的を見据えてジェダイの道を歩き始めた。

闇を忌み嫌う騎士と闇に育てられた姫君。
後のジェダイ史に大きな変革を齎すこの二人のジェダイの軌跡を貴方は追うこととなる。

歴史は繰り返すのか。
歴史は反復するのか。
歴史は再生されるのか。

貴方は白と黒の定義が出来るのか。


〜the end〜

68 : ◆909zxcTVWc :2009/07/13(月) 00:04:21.36 ID:wHgEJXzuO
从゚×ナ从「ねーやんと」

( ・3・)「ボルジョアの」

从゚×ナ从「「オマケコーナー!!」」( ・3・)

从゚×ナ从「皆さんコンバンハ。ブーン系の裏アイドルことねーやんやで」

( ・3・)「ブーン系の裏AA。ボルジョアです」

从゚×ナ从「なんや、このコーナーに出るのえらい久しぶりに感じるわあ」

( ・3・)「ここ最近、遅筆ですからねぇ。ただでさえ存在感の薄い作品なのに更新が遅いとか……読者に見離されてしまいますよ」

从゚×ナ从「このコーナーは読者の質問に答えたり、劇中で解説しきれなかった設定を公開する企画なんや。で、今日の解説題材はなんなん?」

( ・3・)「えっと……ダークサイドとジェダイ・カウンシンル(評議会)についてですね」

从゚×ナ从「ダークサイド。フォースの暗黒面に魅入られたジェダイ達のことやな」

( ・3・)「その通り。昼があれば夜があるように、フォースにも光明面(ライトサイド)と暗黒面(ダークサイド)があるんですね」

70 : ◆909zxcTVWc :2009/07/13(月) 00:06:21.72 ID:wHgEJXzuO
从゚×ナ从「具体的な違いがよく分からんわあ。要するにダークサイドってのは悪い奴なんやろ?」

( ・3・)「ジェダイ達の間では強力なフォースを私利私欲のために使う者をそれと定めているようです」

( ・3・)「また、フォースに関して専門的な知識があるという点では、ダークサイドもジェダイと括れますが、
     ライトサイドと差別化するため、一般的にダークジェダイを『シス』と自他共に呼び慣らわしています」

从゚×ナ从「ツンの両親はシスやったんやなあ」

( ・3・)「あくまでブーン達の予想ですけどね。さあ、次はジェダイ・カウンシルについてですよ」

从゚×ナ从「カウンシル……評議会ってことかいな」

( ・3・)「その通り。EP1でも語られましたが、ジェダイ評議会は世にあるジェダイ達を統括・指揮する最高意思決定機関です」

从゚×ナ从「評議会は四名の常任メンバーと、就任期限付きの非常任メンバー二名で構成されとるんや」

( ・3・)「非常任は基本的に三年から五年ほどで他のマスターの称号を持つジェダイと入れ代わります。このシステムの狙いは、評議会が形骸化することを防ぐことにあるようですね」

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/13(月) 00:10:15.75 ID:+Ka1RLKk0
ヴェントレスとかもシスではないけどダークサイド側の人間だよね

73 : ◆909zxcTVWc :2009/07/13(月) 00:11:23.05 ID:wHgEJXzuO
从゚×ナ从「今回、怒涛のように登場したマスター達やけど、誰が一番偉いんや?」

( ・3・)「全員が同じ権限を有しているので、肩書の上では皆平等です。が、アラマキとロマネスクに関しては頭が上がるジェダイはいないようです」

( ・3・)「ちなみに、あのメンバーの中で非常任議員はギコとニダーの二人です。その為、他に比べて年齢が若いですよね」

从゚×ナ从「ふむ。まあこんなとこかいな。ほな、読者さんからの質問に答えましょか〜」

( ・3・)「既に支援代わりに出されている質問には順次お答えさせていただきますね」

78 : ◆909zxcTVWc :2009/07/13(月) 00:18:37.07 ID:wHgEJXzuO
(;・3・)「>>5 ぐっ……これについては言い訳のしようがありません」

从゚×ナ从「勘忍したってな。作者のプライベートがここ最近になって阿呆のように忙しくなってしまったんや」

( ・3・)「リア充とは無縁の生活をしてる筈なんですけどねぇ……」

从゚×ナ从「>>47 作者の設定ではかつてのジェダイ・テンプルは帝国によって完全破壊されてるんや。
     でも、今の聖堂は当時の物と似せてあるさかい、同じ感じのをイメージしてくれておkや」

79 : ◆909zxcTVWc :2009/07/13(月) 00:24:44.55 ID:wHgEJXzuO
( ・3・)「>>56 そうですね。スピンオフのルークは当初は身近な人間からジェダイとしての訓練を施していたようです」

从゚×ナ从「本作品のオリジナル設定は新・旧三部作以後からとなっているんや。せやから、スピンオフの設定や物語とは無縁なんやなあ」

( ・3・)「一応、SW初心者の方でも楽しめるように映画で描かれた部分を逸話として扱っています。スピンオフ以後とは別物の物語と思って頂ければ幸いです」

从゚×ナ从「>>72 ええとこを突くわあ。この物語のテーマの一つは『定義と認識』なんや。今後、そういったグレーな存在が重要になってくるで」


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