ブーン系小説をまとめて紹介しているサイトです
HOME | 問合せ
( ^ω^)白い塔のようです

第1話

4 :1 :2008/02/25(月) 19:16:06.39 ID:QV6LceCk0
「やっぱりここにいたのね。」


その声はどこか寂しく、そして優しい口調。


「もう、一年も経ったのね……」


吹く風に、長い髪が棚引く。


「一年……俺は償えたかな?」

「……彼が、望んだ事なの?」

「……いや」

「……ならそれは、あなたが決める事だわ」

「……」



5 :1 :2008/02/25(月) 19:16:50.22 ID:QV6LceCk0

小さな丘のてっぺんに、不細工に置かれただけの大きな石。

そして、その石には銀色に輝く一本の剣が突き刺さっている。

その前でたたずむ男女二人は、それ以降言葉を発する事なく、
ただ剣を眺めていた。


('A`)「……」

ξ゚听)ξ「……」


風がやさしく、美しい女性の髪をなで、
枯葉を空へと舞い上げる。



6 :1 :2008/02/25(月) 19:17:43.30 ID:QV6LceCk0


('A`)「……俺」

ξ゚ー゚)ξ「ん?」

('A`)「言わなきゃいけない事が……あるんだ」


男の口が開き、今はもう終わった物語の幕が再び上がった。






( ^ω^)白い塔のようです



10 :1 :2008/02/25(月) 19:19:45.15 ID:QV6LceCk0


兵士「キっ、キメラだー!」


後方からあがった奇声に、いち早く反応した影がふたつ。


( ^ω^)「どくんだお!」

('A`)「はっ」


二人が最後尾に着いたときには、猫型のキメラが暴れ回っていた。

爪の一振りで、人間の首が飛び、
牙はバターのように、肉を切り裂く。


11 :1 :2008/02/25(月) 19:20:34.45 ID:QV6LceCk0

( ^ω^)「ドクオ!」

('A`)「分かってます!」


ドクオと呼ばれた小柄な男が、両手に三又の剣を持ち、
キメラへと向かって行く。


('A`)「ッ!」


キメラの攻撃を避けながら、両前足の甲に三又の剣を突き刺す。

その動きは眼で追うのがやっとなくらい、
人間離れしたスピードだった。



12 :1 :2008/02/25(月) 19:21:43.35 ID:QV6LceCk0

('A`)「将軍、どうぞ」


その言葉を受けて、将軍と呼ばれた男は、
両手を高く振り上げた。

その両手には天を貫かんばかりの、大剣が握られている。


キメラもそれを振り降ろす対象が自分だと理解したのか、
必死に離脱しようとしたが、三又の剣は地面から抜けようとはしなかった。


( ^ω^)「ぬぅぅん!」


凄まじい剣圧と、遅れて生じた剣風がドクオの顔をないだと同時に、
キメラはまっぷたつに割れ、ドサリと倒れた。


14 :1 :2008/02/25(月) 19:23:07.71 ID:QV6LceCk0

('A`)「お見事」


ドクオはその肉塊から剣を引き抜くと、
血を払い背中の鞘へと収めた。


( ^ω^)「被害は?」

兵士「はっ!3名死亡、2名が重体です!」

( ^ω^)「手厚く葬ってくれお、重傷者はすぐに手当を」

兵士「はっ!」


男は大剣を、背中の留具に繋ぐと最前列の方へと歩いていった。


15 :1 :2008/02/25(月) 19:24:32.70 ID:QV6LceCk0

川;゚ -゚)「ブーン様!お怪我は!?」

( ^ω^)「大丈夫ですお、さあ城はすぐそこです。参りましょう、姫」

川 ゚ -゚)「良かった……」






王都VIP

世界を統べる大国である。
賢帝ショボンが治める国であり、愛娘クール姫の護衛中の出来事だった。


18 :1 :2008/02/25(月) 19:25:58.39 ID:QV6LceCk0
(´・ω・`)「ブーン将軍、こたびも危ない所をよく救ってくれた」

( ^ω^)「いえ、役目ですので」

(´・ω・`)「しかし」


皇帝の口から、愚痴とも危惧とも取れる言葉が出る。


(´・ω・`)「近頃、キメラの数が多くはないか?」

( ^ω^)「私もそのように感じますお」


キメラ

合成獣
人為的に練成されたもので、凶悪な猛獣が組み合わされている事が多い。
人肉を喰らい、手に負えない獰猛さで最近被害が増えてきている。

以前から少々の被害は出ていたのだが、
ここ数年被害件数が倍増してきている。

19 :1 :2008/02/25(月) 19:27:45.86 ID:QV6LceCk0

(´・ω・`)「なんとかならんものか……」

( ^ω^)「元を叩くしか方法は……」


キメラの創造主。
魔術師とも、魔女とも言われているが、
本当のことは何も明らかになっていない。

誰が、何処で、どのように練成しているのか。

だが、被害状況が無視できるもので無くなって来ているため、
対策せざるを得ない。


( ^ω^)「部下に探らせていますお、近日中には報告が可能かと」

(´・ω・`)「分かった、期待しているぞ」

( ^ω^)「は、失礼しますお」

20 :1 :2008/02/25(月) 19:29:09.95 ID:QV6LceCk0
VIP城には、1本の白い塔が建っている。

国の軍事実権を握る、「将軍」専用の住まい。
軍に属する者は例外なく、塔に住まう事を夢としている。

現在、その塔に住んでいるのは将軍ブーン。

戦闘、知力、人徳 と全てを兼ね備えた名将であった。


その塔の最上階……


( ^ω^)「ドクオ、経過はどうだお?」

('A`)「ビロードが何か情報を掴んだらしい、今戻って来てる」

( ^ω^)「本当かお!吉報なら、いよいよ動けるか」

('A`)「あぁ、長い戦いも終わりだ」

21 :1 :2008/02/25(月) 19:30:28.12 ID:QV6LceCk0
ドクオとブーンは幼い頃からの付き合い。
皆前では取るべき態度を示しているが、
2人きりの場合は昔と同じように、気軽に話す仲だった。


( ^ω^)「ま、とりあえずは報告を待つお」

('A`)「そうだな」



翌日



( ><)「ビロード、ただいま戻りましたんです!」

( ^ω^)「待ってたお、疲れを労ってやりたいとこだけど、
       まずは報告を頼むお」

( ><)「了解したんです!」

23 :1 :2008/02/25(月) 19:31:42.74 ID:QV6LceCk0

ビロードは机の上に、大きな地図を広げると
兵士をモチーフとした銀の置物をトントンと置いていく。


( ^ω^)「……これは?」

( ><)「キメラの被害にあった場所なんです」

('A`)「なるほどな」


被害のあった場所をひとつひとつ特定していくことで、
より発生地に近づいて行く、といった事なのだろう。


24 :1 :2008/02/25(月) 19:32:39.93 ID:QV6LceCk0

( ><)「ここなんです!」


ビロードが腰に携えていた短剣を、ダン!と地図に刺す。

周りに所狭しと置かれた銀の置物が、バラバラと床に落ちる。


( ^ω^)「……ここは」

( ><)「そうなんです、ラウンジ公国北のテラ山脈なんです!」

('A`)「未開の土地か……」



26 :1 :2008/02/25(月) 19:33:51.30 ID:QV6LceCk0

テラ山脈

標高4000m級の山々が連なる、未開の地。

原始文明が残っているとも噂されるが、厳寒の地と険しい山脈という事で、
人の手が入っていない。


( ^ω^)「ここに踏み込むとなると、大部隊じゃ無理だおね……」

('A`)「まぁ、キメラに対抗できるのは7神将位ですしね」

( ><)「少数精鋭での行動が望ましいと思うんです」

( ^ω^)「ふむ、僕は皇帝に進言してくるお。
       ドクオは7神将の招集を頼むお」

('A`)「了解しました」


27 :1 :2008/02/25(月) 19:35:14.77 ID:QV6LceCk0

7神将

VIP王国が誇る、7人の守護者。
能力的に一般人とは一線を画し、その力が故に守護神とも言われている。

実際に、キメラを討伐できる程の力量を持っているのはこの7人しかいない。
後は数百人の犠牲を覚悟して、数の力で倒すしかない。

そのキメラの発生源を叩く、という事は
キメラに遭遇する確立が格段に高くなるという事である。

雑兵は盾程度の力量しかなく、返って邪魔になる可能性が高い。


王宮


(´・ω・`)「事情は分かった、将軍の判断に全権を託す」

( ^ω^)「はっ!了解しましたお」

29 :1 :2008/02/25(月) 19:36:38.57 ID:QV6LceCk0

円卓の間


('A`)「間も無く将軍が来る、皆には分かってると思うが……」
  _
( ゚∀゚)「皆前で言うな、将軍の命令は絶対だ」

('A`)「そうか、ならば俺からは何も言うまい」


ギギィ

と古い木製の扉が開き、入り口をやっと通れる程の大剣を刺した男が入ってくる。


( ^ω^)「待たせたお」

('A`)「将軍、7神将の招集完了しています」

( ^ω^)「ご苦労だお」

30 :1 :2008/02/25(月) 19:38:25.40 ID:QV6LceCk0
  _
( ゚∀゚)「将軍お久しぶりです」


  _
( ゚∀゚)

ジョルジュ
7神将の一人。

弓を扱わせたら右に出る者無し。
鷹眼を持ち、上空を飛ぶ相棒の鷹「バスト」の視点を共有できる。

樹齢1万年の、神木の弓「アルテミス」を持ち、1km先のリンゴをも正確に打ち抜く。


( ^ω^)「ジョルジュ、久しいお」


31 :1 :2008/02/25(月) 19:39:32.30 ID:QV6LceCk0

( ,,゚Д゚)「ブーン将軍、ご機嫌麗しゅう」


( ,,゚Д゚)

ギコ
7神将の一人。

双剣を扱い、攻防共に安定した力を発揮する。
猫脚を持ち、身軽さを武器に敵を翻弄する。

赤子の血の鉄分から練成された、黒の双剣「グレイスワンダー」を持つ。


( ^ω^)「ギコ、元気そうで何よりだお」


32 :1 :2008/02/25(月) 19:40:39.06 ID:QV6LceCk0

ξ゚听)ξ「ブーン!元気!?」



ξ゚听)ξ

ツン=デーレ
7神将の一人。

癒しの神、エムシュンの加護を受け、ヒーリングが使える巫女。
ブーン将軍の幼馴染で長年共に戦ってきた。

癒しの手「ヒールハンド」を持ち、傷を癒す力を持つ。
戦闘は苦手。



( ^ω^)「ツン!元気だお!」


33 :1 :2008/02/25(月) 19:41:28.08 ID:QV6LceCk0

( ・∀・)「……」


( ・∀・)

モララー
7神将の一人。

通称「闇の魔道師」とも呼ばれる大魔法使い。
4大元素の 火・水・風・土 の魔法を使い、対象に残酷な死をもたらす。

「波動の杖」を持ち、精神を増幅させる作用を持つ。



( ^ω^)「……」


34 :1 :2008/02/25(月) 19:42:31.12 ID:QV6LceCk0

( ゚д゚ )「我、来たり」



( ゚д゚ )

ミルナ
7神将の一人。

呪われた剣「ストームブリンガー」を持ち、魂をも切り裂くと言われている。
自身、黒の鎧に身を包み闇の盟主「ロキ」と契約している。

7神将の中では最高齢で、42歳。


( ^ω^)「ミルナ、今回も頼むお」


35 :1 :2008/02/25(月) 19:44:56.74 ID:QV6LceCk0

('A`)「将軍、皇帝とのお話は?」



('A`)

ドクオ
7神将の一人。

あらゆる武器に長けており、7神将の中で最も個人能力は高い。
神具を持たずとも、補って余りある能力を保有している。

知力も高く、ブーン将軍の補佐的立場で、7神将のまとめ役となっている。




36 :1 :2008/02/25(月) 19:46:52.02 ID:QV6LceCk0


( ^ω^)「全権を任じられたお」



( ^ω^)

ブーン
7神将の一人。

VIP王国稀代の将軍。
身の丈を超える、「ヴォーパルブレード」を持ち、
すべてを一刀の元に両断する。

白い塔に住まいを置き、全軍の頂点に座している。




37 :1 :2008/02/25(月) 19:47:54.19 ID:QV6LceCk0

('A`)「そうですか、部隊はどうしますか?」

( ^ω^)「7神将をメインに20人程度の少数で向かうお」

('A`)「人選は?」

( ^ω^)「各々に委ねるお、1名ないし2名の同行を許す」

( ,,゚Д゚)「了解しました」

( ^ω^)「出発は、明後日。馬に乗り正門前に集まるお」

  _
( ゚∀゚)('A`)「了解」(゚Д゚,, )ξ(゚听 ξ

( ゚д゚ )「御意」

( ・∀・)「……」


38 :1 :2008/02/25(月) 19:49:42.78 ID:QV6LceCk0

二日後


正門前には、そうそうたる面々が揃った。



( ^ω^)「良し、行軍を開始するお」

( ><)「了解したんです」


( ><)

ビロード
ドクオの部下。

俊敏な動きと、隠密性の高い動きができ、
偵察・索敵をこなせる。


39 :1 :2008/02/25(月) 19:50:35.82 ID:QV6LceCk0
ミ,,゚Д゚彡「了解です」


ミ,,゚Д゚彡

フサギコ
ギコの兄・部下。

長槍を持ち、近・中距離での戦闘が可能。
ギコの補佐をメインとした動きをする。


( ´∀`)「了解ですモナ」


( ´∀`)

モナー
ギコの部下。

大戦斧を持ち、力は国内でも類を見ない。

40 :1 :2008/02/25(月) 19:52:18.76 ID:QV6LceCk0
(*゚∀゚)「へへっ、wkwkして来たぜ」

つー
ジョルジュの妹&部下。

ジョルジュとは似ず、細身の小剣を操る女剣士。
戦闘能力は高くないが、行動力・俊敏性が高く凡用性がある。

男勝り。

( ФωФ)「承知」

ロマネスク
ブーン直属の部下。

ブーンに憧れ、ブーンとまではいかないが大剣を操る。
今回は志願して行軍に参加した。

41 :1 :2008/02/25(月) 19:53:28.59 ID:QV6LceCk0
(*゚ー゚)「ツン様、参りましょう」



(*゚ー゚)

シィ
ツンの部下。

ヒーリング能力を持つツンの従者。
力量不足ではあるが、希少な能力を持つものとして同行。



\(^o^)/「行軍ハジマタ」

オワタ
国軍代表

宰相、オトジャの専属近衛兵。
両手にハンドアックスを持ち、振り回す。

42 :1 :2008/02/25(月) 19:54:17.04 ID:QV6LceCk0

(´<_` )「ブーン将軍!」

( ^ω^)「宰相!わざわざ見送りに!?」

川;゚ -゚)「ブーン様!」

(;^ω^)「クール姫まで……」

(´<_` )「あぁ、我が国の命運を握っている戦いと言っても過言ではないからな」

川;゚ -゚)「絶対に……絶対に無事で帰って来てくださいね」


43 :1 :2008/02/25(月) 19:55:06.11 ID:QV6LceCk0

( ^ω^)「必ず勝利をもたらします、と皇帝にお伝えください」

(´<_` )「把握した、オワタも使ってくれ」

\(^o^)/「宰相イッテキマス」

( ^ω^)「心遣い、ありがとうございますお。
       では行って参ります」

(´<_` )「御武運を」

( ^ω^)「開門!」


45 :1 :2008/02/25(月) 19:56:35.51 ID:QV6LceCk0


14名の精鋭を率いた、国内最強の布陣。

今、VIP国から旅立った。

国民に見送られる訳でも無く、声援を浴びるでも無く、
秘密裏に、寂しく国を出た。



46 :1 :2008/02/25(月) 19:58:03.98 ID:QV6LceCk0

・・・
・・




('A`)「あの時は、このメンツなら何でもできる。
    って思ったんだが……な」


ξ゚听)ξ「……」

('A`)「……話を進めよう」




第1話     〜fin〜


第2話へ


HOMEに戻る ニュー速VIPのブーン系小説まとめ
Copyright © 2008 Boon Novel. All Rights Reserved.
inserted by FC2 system