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( ^ω^)心のままに、のようです


第12話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:31:14.17 ID:bjGcDomx0
今晩は。本日は十二話と十三話の投下をさせていただきます。

前回までのまとめはこちら

Boon Novel 様
ttp://booooonovel.web.fc2.com/kokoro/kokoro.html

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:32:02.43 ID:bjGcDomx0
第十二話 世界は二人のため、心は一人のため

暗がりの部屋の中。あの時の僕は、今思えば。

(  ω )『・・・ツン、ゴム、は・・・』

愚かだった。
確かに、この時の僕は何もかもがどうでもよく、もはや避妊の事等、
さほど大事ではないと。むしろ、妹との性行為は大事ではないのだと、思っていた。

ξ* )ξ『だ・・いじょう、ぶ・・アッ・・ハァッ・・・つけ・・た・・ッ!!』

僕の上に跨るその様は、まるで殺し屋。
ただ、僕は動かず、彼女が自ら動くだけで。

ξ* )ξ『アァッ!!いい、いいよぉっ!!』

卑猥な音が、声が、部屋を犇く。

( ; ω )『ッ・・・で、るお・・・!!』

白濁した液体は、間もなく。
ツンの中へと、注ぎ込まれた。

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:33:01.56 ID:bjGcDomx0
 
 
( ^ω^)「あっ・・え・・・?」

瞬間、フラッシュバックが起こり、あの夜を思い出した。

本当に、ツンは、僕にゴムを付けたのだろうか?
あの暗がりの中、実は、付けたフリをしただけなんじゃないのか?
そうだ、そもそも、何故僕はちゃんと確認しなかった?

( ^ω^)「あ、あ、あ・・・」

射精の瞬間を、覚えているか?
ゴムを外したのを、覚えているか?

( ; ω )「う、うわぁああああああああああ!!!!!」


その後のことは、覚えていない。
ただ、気づいたら朝が来ていて、そうやって、昨日のことは夢だったのだと。
思いたくて仕方なく。

( ^ω^)「・・・嗚呼、何だ・・・」

そうだ、夢だったんだろう。
そうだ、あんなこと、あるわけが無いのだ。
妊娠なんて、有り得るはずが、無いのだ。

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:34:05.39 ID:bjGcDomx0
( ^ω^)「・・・そうだお、有り得ないんだお・・・」

願うような形で、僕はダンヒルを手に取り、胸に当てた。


時刻は九時になり、やはり、この日もツンが来た。

ξ゚ー゚)ξ「お早う、お兄ちゃん」

いつもの、ツン。嗚呼、やはりあれは夢だったのだ。
悪い夢だったのだ。

ξ*゚ー゚)ξ「―ん、パパ、の方が、いいかな?」

( ^ω^)「――」

瞬間、手元にある時計を、ツンに投げつけた。
ツンは僅かに避けたが、関係ない。
手当たり次第に、あるもの全てをとっ掴み、投げる。

ξ;゚<)ξ「ちょっ、止めて、止めてよ、お兄ちゃん!お腹に当たっちゃうよぉ!!」

止めろ。止めてくれ。
夢ではなかったのか。有り得ない話だったのではないのか。

( ;ω;)「出てけ!!出てけぇ!!!!!」

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:35:04.29 ID:bjGcDomx0
溢れる涙の感覚すら分からず、僕は叫ぶ。
もう、嫌なんだ。止めろ、僕の前に顔を見せるな。
投げるものも無くなり、ただ涙を流す僕と、立ち竦むツン。
ツンが何かを言おうとしたが、僕は布団を被り、阻止した。

ξ - )ξ「・・・分かった、ごめんね、お兄ちゃん」

数分、いや、数秒だろうか。
しばらくそんな状態が続くと、ツンがそう言い、出て行った。
だが、それでも僕は顔を出さず、ただ、流れる涙をそのままに。
無心を貫いた。

もし、そこの方。訪ねてもよいだろうか。
いや、少しだけでいい、話に付き合ってはくれないか。
僕と、ツン。さぁ、悪いのはどちらだ?
僕と、ツン。さぁ、可愛そうなのはどちらだ?
頼む、僕ではないと言ってくれ。頼む、僕を慰めてくれ。
何をすればいい、何を考えればいい、誰のことを想えばいい。
ツンか、クーか。どちらを想い、考えればいい。
僕は、どうしたらいいのだ。道が見えない。前が見えない。
一寸先は闇で、ただ、僕の立っている位置だけが、上から照らされているように。
にもかかわらず、相変わらず周りは闇で。
どこか、近いような、遠いようなところで。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:36:01.50 ID:bjGcDomx0
産声が響いているような。だが、僕にはそれが疎ましく聞こえて。
それを無かったことに出来れば、どれだけよいのだろう。
いっそ、この手で―ツンを、殺めてしまえば。全てが無かったことになるような気がして。
しかし、僕にはソレが出来はしないのだ。何故か、と問われれば。
彼女は、僕の最後の家族なのだ。大事な、家族なのだ、妹なのだ。
その思いが、僕の心に鎖のように巻きつき、離れない。
そう、ツンは最後の家族だから、大事にしなくては。
大切ナ家族ナノダ。怨ンデハイケナイノダ。
嗚呼、助ケテクレ。誰カ、手ヲ差シ伸ベテクレ。

そんな家族を、僕は孕ませたんだ。
ツンにとっても、最後の家族の、僕が。これは、裏切りなのか?
はたまた、何なのか?分からない、考えたくない。
何故なんだ。何で彼女なんだ。
クーはどうするんだ。彼女を愛しているんだろう?嗚呼、愛している。
だが、妹に子を孕ませてしまった等。これも、裏切りなのか?
嗚呼、裏切りだ。僕は、クーを裏切ったのだ。
それも、最低で最悪な形で、裏切ったのだ。
浮気なのか、いや、違うのか。寝込みを襲われたんだ。
言い訳をさせてくれ、僕は悪くは無かったんだ。
そうさ、ツンが悪いんだ。ツンのせいで、子は出来てしまったんだ。

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:37:16.09 ID:bjGcDomx0
川 ゚ -゚)『そうやって、言い訳ばかりか。本当に、最低な奴だな、君は』

違う、僕は悪くはないんだ。

川 ゚ -゚)『だが、結果的に子はできたんだ。それでも、お前は悪くないというのか?』

止めろ。

川 ゚ -゚)『裏切り者』

止めてくれ。

川 ゚ -゚)『―死んでしまえ』

許してくれ。

川 ゚ -゚)『殺してやる』

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:38:00.82 ID:bjGcDomx0
待ってくれ、聞いてくれ。

川 ゚ -゚)『言い訳など、聞き飽きたんだ。もう、嫌だ」

愛しているんだ、クー。だから、止まってくれ。

川 ゚ -゚)『私も愛していた。けど、もう無理だ』

クー。

川 ゚ -゚)『死ねぇ!!』

クー!!

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:39:00.80 ID:bjGcDomx0
 
 
(;^ω^)「っ・・・」

眼が覚めた。視界は暗く、一瞬、夜が訪れたのかと思ったが、頭に重みを感じて
どけると、どうやら頭まで布団を被っていたようだ。

( ^ω^)「・・・あ、時間・・・」

時刻は、十一時五十分。


いつもどうり、やはりクーも来た。
いつもの時間、いつもの弁当箱を持ち、いつもの僕の隣へ。
自然と、僕は口をあまりきかなく、クーは話題を振ってくるが、僕は、うん、とか、あー、としか返事をしない。

川 ゚ -゚)「・・・美味しくないのか?弁当」

また、うん、と言いそうになったが、慌ててそれを止める。

( ^ω^)「・・・そんな事、無いお。美味いお」

どうにかフォローをし、夢のクーを思い出した。
最後に、クーは僕を殺そうとしていた。
だが、僕の知るクーは、あんなことを言わないし、しない。
ただ、知らないだけであって、実際はそうなのかもしれない。
このまま、黙っていたほうがいいのだろうか。

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:40:02.37 ID:bjGcDomx0
川 ゚ -゚)「ん?どうした?」

クーを見つめる。
嗚呼、こんなにも美しいクー。優しいクー。
少し子供のようなクー。可愛いクー。傍にいてくれるクー。
手を繋ぐとき、話しているとき、キスをするとき、セックスをするとき。
どのときも、いつも僕を見てくれるクー。
そんなクーを、僕は裏切ったのか。
こんなにも愛しているのに、裏切ったのか。
嗚呼、すまない、申し訳ない。
あの夜、あの海で。
僕は誓ったというのに。その誓いは、折れてしまったのか。
いや、折れてなどいない。僕はクーを愛している。

( ;ω;)「・・クー・・・」

無理だ、僕は、彼女に嘘はつきたくない。
真実を伝えねばならない。でなければ、僕はまたも裏切ってしまうのだ。
辛い。クーはどう思うだろう。憎むだろうか。
当然だろう。それだけのことを、僕はしたのだから。
けれど。

( ;ω;)「それでも、聞いてくれお、クー・・・」

それでも、いい。僕はクーを愛していると、胸を張っていえるから。
こんなことをしておいて、よくもそんなことを言えるな、と思うだろう。
だが、これだけは本当なのだ。僕はクーを愛しているのだ。
だから、僕は伝えよう。謝ろう。
御免なさい、クー。僕は、最低な奴なんだ、と。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:41:03.14 ID:bjGcDomx0
 
 
時刻は、一時を過ぎた。
僕の部屋には、ただ、沈黙が下りていて、しかし、人は存在している。
ただ、涙を流す僕と。

川 ; -;)「・・・・・」

ただ、涙を流すクー。

本来、戻るべきなのだが、クーは病院にいた。
先ほど、クーの携帯に着信が着ていたが、それには出ず、ただ涙を流していた。
大方、他の職員だろう。流石に、クーの今の状況は不味い。
だが、学校へ行け、とは言えず。
僕は涙を流しているだけ。

ふいに、クーが僕に近づいてきた。
僕がそれに気づき、顔を上げた瞬間、頬に硬い何かの感触があった。
続けて、ゴッ、という音。そう、僕は殴られたのだ。

川 ; -;)「・・・ッ、フーッ・・・」

そのまま、何度も僕を殴る。顔、体、頭、足。
だが、その全部に力は込められていなく、殴られている僕のほうが心配になった。

( ;ω;)「・・・クー、クー・・・」

そんな僕は、ただ、ずっとクーを呼び続ける。
意味なんて無い、いや、あるのかもしれない。ただ、僕は呼び続ける。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:42:02.09 ID:bjGcDomx0
川 ; -;)「馬鹿、馬鹿、馬鹿!死んでしまえ!」

次第に、声がクーから漏れてくる。中には中傷もあるが、それは当然のことなのだ。
すまない、クー。いくらでも殴ってくれ、いくらでも蔑んでくれ。
僕は最低で最悪なのだ。気に病むことも無いだろう。

川 ; -;)「ッ・・・ッ、もう、いい・・・!!」

突然、クーは僕の前から去ろうとする。
だが、僕はとっさにクーの手を掴み、抱き寄せた。

川 ; -;)「止めろ、離せ!!離せぇ!!」

ついに、叫び始めた。
すまない、本当にすまない。
だが、それでも僕は。

( ;ω;)「愛してるお!!愛してるんだお!!」

僕も叫ぶ。

( ;ω;)「僕が最低で最悪なのは分かってる!!許されないことをしたのは分かってる!!
      けど、それでも僕は、君を愛してるんだお!!」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/22(土) 21:43:36.03 ID:lXTpDbEk0
嗚呼、僕の心は、今。

( ;ω;)「お願いだお、離れないでくれお!!嫌なんだお!!失いたくないんだお!!
      クーを愛してるんだお!!」

静かに、愛を叫び続けている。

川 ; -;)「うわ、あ、ああああああぁぁ!!ブーン、ブーン!!うわぁぁぁぁあああ!!」


僕等は、ただ、抱き合いながら。
泣き続けた。


第十二話 終


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