19 投下 佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 21:31:18.59 ID:bY6ISOohO
- 空は雲一つない晴天
夏を主張するかのようにセミが鳴いている
パシャ
カメラの音が病院の中に響いた
( )「飛行機がとんでる……この子はブーンと名付けよう」
24 書きながらだから遅い 佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 21:37:41.89 ID:bY6ISOohO
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( ^ω^)「ブーン」
彼の名は内藤ホライズン
彼の父親が【ブーン】という名前にしようとしたが役所入口で母にとめられホライズンという名前になった。
彼が6歳の時彼の母親が面白おかしくそれを話してから彼はブーンという名前を気にいりよく定期テストの名前欄に【ブーン】と書いて減点される
-
ブーンは小学校に入ると、パイロットという仕事に強い関心を示すようになった。
彼は空を飛ぶことにあこがれ、あらゆる飛行機のおもちゃ、プラモデルを買いあさった。
( ^ω^)「ねえ、カーチャン。パイロットになるにはどうすえばいいの?」
J( 'ー`)し「あら、ホライゾンはパイロットになりたいの? だったらたくさんお勉強しなくちゃね」
( ^ω^)「うん! ブーン、たくさん勉強するお!」
J( 'ー`)し「こら、ホライゾン、あなたの名前はブーンじゃないわ」
( ^ω^)「ブーンだもん! ブーン!」
ブーンの卒業文集には、「将来の夢・飛行機のパイロット」と記されている。
-
母に言われたとおり真面目に勉強したブーンは、地域でも有数の中学に進学した。
小学校とはレベルの違う勉強に戸惑うブーンだったが、それでも彼は必死に努力し、
最初の定期試験ででトップの成績を勝ち取った。
「うわー、ホライゾン君すごーい!」
「意外と勉強してんだなー、お前」
(*^ω^)「えへへ、そうかお?」
しかし、この栄光も長くは続かない。
二日日、彼は体育館裏に呼び出された。
-
(;^ω^)「な、何か用かお?」
体育館裏に向かったブーンを待っていたのは、同じクラスの男子3人だった。
「テメー、ちょっといい成績とったからって調子に乗ってんじゃねえよ」
(;^ω^)「そ、そんな、調子に乗ってなんか・・・」
「明日、3万持ってこい。そうしたら許してやる」
(;^ω^)「さ、3万!? そ、そんなの無理だお!」
「てめえ!」
(;゚ω゚)「ぐえっ!!」
ブーンはその場でリンチにあい、サイフをとられてしまった。
- ブーンは定期をサイフに入れていたので、仕方なく徒歩で帰ることになってしまった。
(;^ω^)「歩いて帰ると3時間くらいかかりそうだお、ハァ……お?」 家までの道のりに絶望しながら歩くブーン。
突如彼の視界に、あるものが飛び込んできた。
それは少しづつ姿を大きくしながら、ゆっくりとブーンに向かって近づいてきて、
(;゚ω゚)「ギャッ!」
ブーンの頭にぶつかった。
(;^ω^)「いたた、なんだこれ……」
ブーンにぶつかった物体は、ペーパークラフトの飛行機であった。
- 「すいませーん、大丈夫ですかー?」
道の向こうから、この飛行機の持ち主と思われる少年が走ってくる。
少年は背も低く、ブーンより1,2歳幼いように見えた。
( ^ω^)「大丈夫だお、でも道路で投げるのは感心しないお」
「すみません、向こうのグラウンドで遊んでいたんですが、ちょっと風に流されてしまって」
少年が指差した先には、誰にも使われていない市民グラウンドがあった。
( ^ω^)「いつもあそこで飛ばしてるのかお?」
「ええ、そうなんです。僕、飛行機好きなんで」
-
( ^ω^)「この飛行機、ちょっと見せてもらっていいかお?」
「ええ、どうぞ。出来は良くないですけど……」
少年はそう言ったものの、その飛行機は非常にバランスが良く取れており、
風で流れてきたという話にも頷ける完成度であった。
( ^ω^)「いやいや、とてもいい飛行機だお! どこで買ったんだお?」
「いえ、全部自作です」
( ^ω^)「mjd!? それはすごいお!」
「あの、グラウンドで飛ばしてみます?」
( ^ω^)「是非お願いするお!」
- グラウンドには少年自作の飛行機がいくつか置いてあり、ブーンはそのいくつかを
貸してもらえることとなった。
そのどれもがあまりに良く飛ぶので、ブーンを何度も驚かせた。
「あっ、僕もう帰らなきゃ」
( ^ω^)「それは残念だお。今日は楽しかったお」
「僕も楽しかった。お兄ちゃん、VIP中学の制服ですよね?」
( ^ω^)「そうだお、そこの1年だお」
「僕、来年VIP中学を受験するつもりなんです。自信はないんですが……」
- ( ^ω^)「You Can Do It!!」
「え?」
( ^ω^)「親父がよく言ってた、ブーンの一番好きな言葉だお。お前はできるって意味なんだお」
「あ、ありがとうございます。僕がんばります」
そういって少年は飛行機を持って、グラウンドから走り去っていった。
(;^ω^)「それにしてもすっかり遅くなってしまったお……」
その日、ブーンは定期券を無くしてしまったと両親に報告し、大目玉を食らった。
- ブーンを呼び出した3人のいじめは、次第に激しさを増していった。
しかしブーンは不屈の精神力でそれらを耐え抜き、ただ黙々と勉学にいそしんでいた。
パイロットになるという決意が、ブーンを突き動かしていたのである。
そして週に1度、ブーンはあのグラウンドへと足を運び、少年と飛行機を飛ばしあって息を抜いた。
中学1年と小学6年が紙飛行機を飛ばして楽しむ光景は、少し奇妙かもしれない。
しかし彼らは真剣であった。
翌年、少年はブーンの後輩となった。
- 中学2年になるとブーンへのいじめも終息し、ようやくブーンに安住の時が訪れた。
それによっていくらか暇が出来たブーンは、少年に誘われて工作部という部活に入部した。
もちろん、当初の目的は紙飛行機作りであったが。
それから1年をかけて、2人は1mほどの飛行機骨格模型を作り上げ、とあるコンク−ルで
金賞の記録を打ち立てることとなった。
もしかするとこの時が、これまでのブーンの人生で最も充実した時間だったのかもしれない。
中学3年となったブーンは、人生の転機を迎える。
- ブーンは授業の一環として、職業適性検査というものを受けることとなった。
これは簡単な作業や問題によって、その人の能力や資質を知る目安として行なわれる検査である。
そしてこの検査の結果が、ブーンを絶望へと叩きのめすことになる。
(;゚ω゚)「そ、そんな……」
ブーンは、飛行機パイロットの資質が決定的に欠けていたのだ。
- 「先輩、元気出してくださいよ。何も絶対パイロットになれないってわけじゃないでしょう」
ブーンは検査の結果のことを少年に相談していた。
(;^ω^)「でもブーンはパイロットに全然向いていないんだお、もっと向いてる人がなるべきだお」
「そんなの関係ないです! 一番なりたいと思ってる人がなるべきでしょう?」
(;^ω^)「……」
「あの時は先輩がYou Can Do It!!って言ってくれたから僕はがんばれたんです、自信を持てたんです!
今度はI Can Do It!!って言ってくださいよ、先輩!」
(;゚ω゚)「……」
「くっ」
少年は失望した表情を見せると、ブーンの前から姿を消した。
後にこの時のことを謝ろうと思ったブーンだが、次第に受験勉強の煩雑さに自由な時間を失っていき、
結局彼とのわだかまりが残ったまま、卒業することとなったのである。
- パイロットになるという目標を失ったブーンは、同時に勤勉さも失い、
秀才の地位からは転落していった。
無気力なまま、なぜ勉強をするのかわからぬまま、ただ学校の勉強を
こなすだけの毎日をすごすブーン。
そしてブーンは高校を卒業し、大学に入り、大学を卒業して、
――必然的に――ニートとなった。
- ( -ω-)(今日もまた、1日が無駄に過ぎていくお……)
週刊誌を立ち読みするためだけにコンビニへと向かう途中、ブーンはふと思った。
非生産的で無駄な生活を送っている自分自身も、無駄な存在かもしれないと。
( -ω-)(でも、今更どうでもいいお……)
ブーンは足元を見ながら、歩いていたため、前から飛んでくる物に気づくことが出来なかった。
そしてその物体がブーンの頭にぶつかる。
(;-ω-)「いてっ、なんだお……?」
ブーンの前方に、彼とぶつかった物が転がっていた。
それを見たブーンの目が見開かれる。
白い翼を持つそれは……
(;゚ω゚)「か、紙飛行機……」
- ブーンはいつの間にか、その紙飛行機を拾い上げていた。
折り紙で出来たそれは、あのペーパークラフトの飛行機と比べると、
あまりにも粗末なつくりである。
しかしどの折り目も、熱心に、力強く、丁寧に織り込まれているのが、ブーンには分かった。
「おっちゃん、拾ってくれてありがとう!」
「おっちゃん? 聞いてる? その紙飛行機、僕のなんだけど……」
「おっちゃん……泣いてる……?」
コンビニへと向かわずに帰宅したブーンは、すぐにパソコンを立ち上げた。
いつもならすぐに起動する2chブラウザも、今日は眼中にない。
ブーンはIEを起動し、そして迷わずGoogle文字列を叩き込んだ。
「パイロットになるには」
- それからのブーンは、まさに死に物狂いであった。
これまでの努力のなさを嘆き、それを糧にして努力した。
航空大学校に入学したブーンは、血反吐を吐く思いで
トップクラスの成績を保持し続け、卒業。
某大手航空会社に採用されることが決まった。
そして今日は、航空会社での訓練初日である。
ブーンは自分の担当教官となる男へ挨拶に向かった。
( ^ω^)「はじめまして! 今日からショボン教官に教えていただくホライゾンです! よろしくおねがいします!」
(´・ω・`)「声が足りないな、もう一度」
(;^ω^)「よろしくおねがいします!!!」
(´・ω・`)「はい。僕が君の担当になったショボンです。よろしく、ブーン君」
( ^ω^)「……ブーン君? 自分の名前はホライズンですお……」
(;゚ω゚)「!?」
(´・ω・`)「You Could do It!! やっとあなたに言えましたよ、先輩」
完
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