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川 ゚ -゚)σ);^ω^)同居しているようです

第1話

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:23:44.19 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)y―・~「……」

 今日も良いことはなかったな。と煙を吐き出しながらブーンは思った。
 日中の出来事は悪くなかった、寧ろ良かった。しかしやはり、家に帰って鏡で見た自分の顔が醜すぎて、最悪な気分になった。

( ^ω^)y―・~「なんで僕、ブサメンなんだろお……」

 12の頃、親に教えられた煙草。
 それが多少なり関わっているのかと思うが、今更それらをやめる気にもならない。

 嫌なことがあった日、ブーンはバルコニーで煙草をふかしながら夜空を見て、陰鬱な気分を晴らす。
 だから彼は、雨が大嫌いだ。星も見えないで、バルコニーに出て煙草を吸うこともできない。

( ^ω^)「この口元がもっとこう、キリッとしてれば……いきなりイケメンなんだけど」

 あっという間に小さくなった煙草を灰皿に押し付けて火を消した。
 こんな言い訳をしたって、実際にイケメンになる訳じゃない。あの綺麗な星に敵うはずもない。

 あの、だんだんと大きくなってくる光のようには――。

(;^ω^)「は……?」


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:25:58.53 ID:szsNfwxjO
 
 ごうごうと光の音が聞こえてきた。光の塊は間違いなく自分のほうに向かっている。

(;゚ω゚)「あ、あ……どうしよ、どうしよお」

 ブーンは焦燥しきって、ただバルコニーを駆け回ったが、その場所が案外広いということが分かっただけだった。
 光はどんどん大きくなり、白く輝きながらブーンのもとへ飛来する。

(; ω )「っ!!」

 そして突如、光が弾けて、ブーンは急に昼が訪れたような心地がした。
 辺りが真っ白な光に包まれている。生半可な昼よりもずっと明るい。月の光を集めたようだった。

 それが少しずつ収まり、ようやく元の宵闇が戻った頃。ブーンはゆっくり目を開いた。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:28:07.02 ID:szsNfwxjO
 
川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「……」

 ブーンはまず何をすべきか迷った。
 目の前に全裸の少女がいるのだから、犯して差し支えないだろう。

 然し、自分には心に決めた人がいる。
 こんないかにも「性病はいかが?」といった様子の女とセックスするには、すこし後ろめたいものがあった。

( ^ω^)「……誰。……だお」

 やっとの事で沸き上がる性欲を抑え、彼女の部分を見ないようにしながらブーンは訊いた。

川 ゚ -゚)「……私か、私は迷子の子猫ちゃんだ」

 真っ黒な髪の少女はちょっと辺りを見回してから言った。
 その答えは、普段のブーンなら発狂するほど、彼のツボを突いていた。
 しかし今は平時ではない。もとより夜の町に「萌えー!」なんて叫ぶほど非常識でもない。
 ブーンはむしろ冷静に彼女を観察していた。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:30:02.44 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「……産業」

 結局ブーンはそう言わざるを得なかった。

川 ゚ -゚)「説明しよう。
    私は月の世界の姫、かぐやちゃんだ。しかしあちらの世界には気に入る男がいなかったため、
    人間界で私の夫となるにふさわしい男を探しに来た」

( ^ω^)「かぐや姫かお」

 なんとなくそんな気はしていた。
 古典の授業で読まされたばかりの竹取物語に、先刻のような状況があったと言えばあった。
 しかしまさか本当にこんな事が起こりうるか? 有り得ない。だったらこれは、夢なのだろう。

 それなら、少しくらい思いきったことをしてもいいだろう。

( ^ω^)「帰ってくれお」

川 ゚ -゚)「オゥフ」



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:32:04.90 ID:szsNfwxjO
 
川 ゚ -゚)「うむ、いい部屋だな」

( ^ω^)「ねぇ、聞いてんの?」

 少女は勝手にガラス戸を開けて、ブーンの部屋に侵入する。
 悪意があるとは思えないのだが、何かとんでもないことをしそうだった。ブーンは慌ててついていく。

( ^ω^)「おおい、出ていけってば」

川 ゚ -゚)「なんだよ、冷たいやつだな。私は月の世界の姫だぞ、この世界のことなど何も知らん、少し説明してくれよ」

( ^ω^)「説明したら帰るかお?」

 いかに月の美少女といえど、勝手に部屋をまさぐられるのは気分がよくない。
 ブーンは深くため息をついたあと、腰に手をついて言った。

川 ゚ -゚)「あぁ、わかった、この家は出ていこう、だから分かりやすく説明してくれよな」

( ^ω^)「……しゃあないお」



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:34:53.47 ID:szsNfwxjO
 
 ブーンはだいたい日本の文化とか習慣とか、マナーやタブーを話してやった。
 少女はそれを真剣に聞き、時折頷き、問い、理解を深めていった。

 こういう人間ばかりとで授業できたら、教師たちも楽なのだろうなと、ブーンは心底思った。しかし省みはしない。

 ただ、彼女のなんたらは、ブーンたちのものとよく似ていて、ほとんど学ぶこともなかったように思える。
 空を飛ぶ馬車があるかないかぐらいの違いであった。
 ブーンは未だに、少女がメルヘンなのか、これが夢なのか、判別がつかなかった。

川 ゚ -゚)「なるほど、よくわかった。ありがとう……」

( ^ω^)「僕はブーンだお」

 そういえばまだ名前を言っていなかったなと思って、ブーンは咄嗟に名乗った。

川 ゚ -゚)「そうか、ありがとうブーン。私のことは……そうだな、クーとでも呼んでくれ。月の世界の姫とバレては問題がある」


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:36:08.53 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「……ん、わかったお、クーさん」

 少し抵抗はあったが、ブーンは何となく少女を信用してもいい気がした。
 もちろん月の世界があるだなんて言い出さないが、彼女がどうやら困っていることは判った。

 勉強も素行もどうでもいい、とにかく困っている人がいたら、絶対に助けろというのが母の持論だった。
 ブーンだってそれを受け継いでいる。だから、彼女の助けになりたいと思うのはごく自然だった。

川 ゚ -゚)「クーで良い。これから一緒に暮らすのに、そんな堅苦しいのはなしだ」

( ^ω^)「おっおー、わかっt……」

 だからって、これは少しばかり話が違う。

( ^ω^)「いやいや。出ていくって約束だったお」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:38:05.71 ID:szsNfwxjO
 
川 ゚ -゚)「君は面白いことを言うな。右も左も分からない、いたいけな美少女を蒼月の下に放り出そうと言うのかね」

( ^ω^)「右と左は教えたお。ほら、いったいった」

 人のベッドにうつ伏せになっているクーをひっくり返す。
 と、さっきから彼女がずっと布団を被っていたので忘れていたが、彼女はずっと全裸だった。

(;^ω^)「……服なら貸すから。クーが家にいるのは、僕ちょっと無理だお」

 ブーンには片想いの相手がいる。童貞はその人に捧げると決めた。
 しかしクーの存在は、彼の決意をひどく揺らがせた。クーが同居するとなれば、ブーンは多分一日か二日で彼女を強姦する。

川 ゚ -゚)「わけわかめ。なんで?」

( ^ω^)「なんでって……この世界じゃいろいろあるんだお」

 ブーンはお茶を濁して、窓の外に目を逸らした。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:40:04.44 ID:szsNfwxjO
 
川 ゚ -゚)「……嫌だ。私はここに住むぞ」

 強情にブーンの言葉を突っぱねて、クーは枕を抱いた。

川 ゚ -゚)「このベッドが最高に気持ちいい」

( ^ω^)「あんた、夫を見つけに来てるんだろお? 僕みたいなブサメンに関わってるヒマないお」

 ブーンは椅子に座って、不機嫌そうに言った。そうしていなければふしだらな気持ちが暴走しそうだった。

川 ゚ -゚)「君が夫になってくれ。うん、好きだ、ブーン」

(;^ω^)「っ……僕は月の世界に行くつもりはないお」

川 ゚ -゚)「こっちで結婚しても構わないぞ。結婚しよう」

(;^ω^)「うきゃああああああああああ!!」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:42:05.12 ID:szsNfwxjO
 
(;^ω^)「ええい、うるさいお! そういうのは重要な問題だお、結婚ってのは一生に一回なんだお!」

 ブーンは凄んだように言ってみるが、腰が引けていて迫力などあったものではない。
 しかし、クーは口を尖らせて、枕を放った。隠されていた部分が露わになる。

(^ω^;)「おっおっ……」

川 ゚ -゚)「それではブーン、私に三日くれ」

 背中からそんな声がした。

川 ゚ -゚)「君はどうやら、私のほかに決めた人がいるようだな。だが心配しないでくれ。三日で私は一番になってみせよう」

(^ω^;)「いや、あの……」

川 ゚ -゚)「長々とベッドを占領してすまなかった。それから服も着る。貸してくれないか?」

(^ω^ )「……そこの箪笥に入ってるお」

 ブーンはベッドの脇の箪笥を指差した。

川 ゚ -゚)「ありがとう」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:44:03.26 ID:szsNfwxjO
 
川 ゚ -゚)「ブーン、これで着方は合っているか?」

 まだ全裸じゃないだろうかと恐れながら振り向くと、短いTシャツとズボンをちゃんと着たクーが立っていた。

( ^ω^)「おっ、大丈夫だお」

 少し残念な気持ちで、クーのラフな服装を見つめた。あんなに大きかった胸は、僕のだぼだぼの服で目立たない。
 ズボンはウエストをベルトで締めて、サイズが太いぶん、探検家のズボンみたいだ。

( ^ω^)「……」

川 ゚ -゚)「……ふふ、どうした? もう私の体を抱きたくなったか?」

(;^ω^)「そんなこと……僕はもう寝るから、ベッドを退けお」

ヾ川 ゚ -゚)ノ"「一緒に寝ようおー」

 ベッドを叩いて埃を散らしながら、クーは駄々をこねた。
 先ほどまでの堅い物言いから一転、甘えた声はブーンの心を揺らがせかけたが、彼はクーをベッドから引きずり下ろした。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:46:05.65 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「居候は押し入れか床で寝てくれお」

川 ゚ -゚)「くそう」

 クーは泣いているかのように腕で目を覆いながら、押し入れの上段に飛び込んだ。

( ^ω^)「朝まで出てくるなおー」

川 ゚ -゚)「うわああああん」

 完全に棒読みなのだが、些か喧しかった。
 結局ブーンはその夜、バルコニーで眠ることにした。そして結局眠れずに見た朝焼けが美しかった。

( ^ω^)「明日……いや今日も学校だというのに……ちょっと風邪引いたし……」

 暁が美しかろうが小鳥が鳴こうが、気分は最高に優れない。
 なんだかよく分からない間に、知らない女の子と同居することになった。

 しかもこちらを誘惑する気満々だ。ツンが聞いたら罵られるだろうし、ドクオが聞いたら「くれ」と言うだろう。

 あげられるものならあげたい。しかし、誰にも話すべきではないと自分の心が言っているのは、
 ただ女の子と同棲している、という恥を知られたくないという気持ちだけなのか。

 ブーンには分からなかった。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:48:03.23 ID:szsNfwxjO
 





  川 ゚ -゚)σ);^ω^)同居しているようです







26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:50:03.96 ID:szsNfwxjO
 
 *

('A`)「なんだそりゃ。お前の昨日のズリネタか?」

 朝、眠い目を擦りながら、ドクオと二人でツンを迎えにいく最中、彼にだけ昨晩のことを話してみた。
 クーは母親に世話を頼んで、ブーンは逃げた。母親は単純に働き手が増えたと喜んでいた。

( ^ω^)「ちげーお馬鹿。今日の朝だって確認したけど、やっぱりいたんだお」

('A`)「はいはい、わかったわかった。うまくいったら報告してくれよ」

 ドクオは思いの外、無関心だった。そんな如何わしいものは要らんといった様子だ。

( ^ω^)「からかうなお、ドクオ。僕はあれと上手くいくつもりなんて蚊ほどもないお」

 クーに家事を教えるよう母に言ったのは、特別な理由なんてない。
 月の料理人の腕前を見せてもらおうと思っただけだ、決して「あーん」されたいとかそういう事は、本当にない。

( ^ω^)「僕がものにしたいのは……彼女だけだお」

 ブーンはツン宅のドアをじっと見つめた。そこから不満げな声がして、ドアが開く。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:52:06.92 ID:szsNfwxjO
 
ξ゚听)ξ「お待たせしました、王子さまども」

('A`)「お待ちしておりました、クソ王女」

( ^ω^)「おいすー」

ξ゚听)ξ「おはようブーン。ドクオ後で体育館な」

('A`)「やったー」

 くだらない喋りあいをしながら、ブーンたちは学校までの、そこまで長くない道を歩き出した。

 三人は所謂幼なじみという関係だ。もっともブーンは、それを壊したがっているが。
 幼なじみというのは、ものすごく曖昧な関係だ。これはいつか必ず、離れるときが来てしまうのだ。

 昔は照れ隠しも必要なく、よくツンにプロポーズしていた。
 何で今はしなくなったのだろうか。きっと、思いが真剣味を増して、軽々しく口にできなくなったからだと思う。

( ^ω^)(ドクオ、あのこと、ツンには言わないでくれお)

('A`)(がってん承知ばい)


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:54:06.72 ID:szsNfwxjO
 
('A`)「それでさ……あ、ツン、足元ウンコ」

 それまで、昨日の夜やっていたテレビについて楽しげに語っていたドクオが、いきなり深刻な表情で言った。

ξ;゚听)ξ「うわあぁっ!!」

 ツンが踏み出した一歩の下には、黒い悪意があった。
 ドクオの忠告のおかげで、歩幅を広げて回避できたが、咄嗟の行動だったのでバランスが崩れた。

(;^ω^)「わわっ!」

ξ////)ξ「きゃっ!?」

 幼気な体躯が、ブーンのほうに倒れてきて、ブーンは反射的にその体を支えた。
 抱え込むように伸ばした腕に、とさりとツンが倒れこんだ。

 ブーンの片腕に、おまけ程度の感触を与えて。



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:56:05.28 ID:szsNfwxjO
 
ξ////)ξ「gggごごgごめっ、ごめっ」

 しかし、ブーンがその感触が何によるものか知覚する前に、ツンは自分で立ち上がってしまった。
 それからようやく、あれがツンの胸だったのではないかと勘づいた。

(;^ω^)「い、いや、そんな。ツンが平気ならそれでいいお」

 両手を振って、むしろ謝罪するように言った。
 そのブーンを、ドクオが軽蔑した目で見ている。

('A`)「……ブーン、くさい」

( ^ω^)「オゥフ」

ξ゚听)ξ「そうね、くさいわ。体臭的な意味で」

( ^ω^)「死にたい」

('A`)「台詞もくさい、体もくさい」

( ^ω^)「白菜」


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 22:58:06.91 ID:szsNfwxjO
 
 *

 今日はまぁ、いい朝だったと言ってよかろうか。自分の顔も見てないし、クーの扱い方もなんとなくわかった。

( ^ω^)「……」

 そして何より。
 ブーンは左腕をくっと曲げて、そこに今も残る感覚を見た。
 あれの裸を見たときよりも、さっきのほうがよっぽど興奮して、抑えるのが大変だった。

ξ゚听)ξ「それじゃブーン、ドクオ。また昼休みね」

( ^ω^)「お? あ……うん、また」

('A`)「ったく、なにぼーっとしてんだ? 行くぞ」

 この年、ブーンとドクオは運良く同じクラスになれたのだったが、ツンは違った。
 そのせいでブーンは、授業中にツンと話したり、遠くから似顔絵を描くことが出来なくなった。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:00:12.67 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「……だってさ」

 ツンが教室に入ったのを見計らって、ブーンはドクオに小声で言った。

( ^ω^)「こちとら事故とはいえツンのおっぱいに触ったんだお。少しぐらい悦に入ってもいいじゃないかお」

('A`)「うわぁ……」

( ^ω^)「おまえ、幼なじみのツンデレロリボディのおっぱい支えて同じ感想を抱くかお?」

 少し調子に乗りすぎたか、心底癪に障ったという顔で、ドクオはブーンを黙視していた。

('A`)「そうじゃねぇ……俺、お前のそういうところ、大嫌いだ」

( ^ω^)「……ま、またまた〜。シャッチョサン、アイソワルイヨー」

('A`)「冗談で話してるんじゃねえさ」

 流石にドクオも、苛立ちが声に出ていた。ブーンはばつが悪そうに、それからはもう黙った。


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:02:15.98 ID:szsNfwxjO
 
('A`)「何がツンのおっぱい揉んだだ。何がツンデレロリボディだ。お前はそれで満足いくのかよ」

( ^ω^)「満足って……僕はそんなつもりでツンを好いてる訳じゃないお。ツンを好きになった頃なんか、
        ツンにちんちんが付いてないのは重い病気だからで、これは触れてはいけない話題だと思ってたお」

 すぐ話をいかがわしい方に持って行くドクオに、ブーンはすこしむっとして反論した。

('A`)「綺麗事だ。ガキの頃から好いてりゃ真実の愛か? はっきり言うよ、お前のツンへの気持ちは歪んでる」

( ^ω^)「ゆが……お前、どういうつもりだお。喧嘩の練習でもしたいのかお」

('A`)「喧嘩するつもりはねぇ。お前が何も分かってねぇから教えてやりたいんだよ」

( ^ω^)「真実の愛とやらかお? そんなもんドクオがわかんのかお」

('A`)「全部分かる訳じゃない。だけどお前に言いたいことは山ほどある。聞いてくれよ」

 そこまで言うなら、とドクオを試すような気持ちで脚を組んだ。


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:04:03.09 ID:szsNfwxjO
 
('A`)「長い話になる訳じゃないから、いきなり本題に入るぜ」

 そう前置きして、ドクオは話し始めた。

('A`)「ブーンがよ、ツンのこと好きだって聞いたときは、何を今更って思ったよ。バレバレだったからな。
    ……その分、今のお前がツンを好きだ好きだ言っても、建前みたく聞こえるんだ。
    まぁ、……なんていうか、お前はツンじゃなく、ツンの体を愛してるんだよ」

( ^ω^)「何言ってんだお、しょうもない……確かにツンは無乳だけど、僕はツンが巨乳でもツンを愛するお」

('A`)「……でも、俺さ。お前がツンの事を話すとき、付き合ってどうしたいとかそういうの聞いたことないんだ。
    大抵、体操着ひん剥いて可愛い豆乳首ちゅっちゅしたいとか、スカートの中から潜り込んで顔面騎乗でクンニしたいとか、
    放課後の教室で、人が来るかも知れないのに全裸でバック突きしたいとか、舌が千切れるまでディープキスしたいとか。
    そんなんばっかりだった」

 途中でブーンは耳を塞ぎたくなったが、そうしたら負けになる気がした。

(;^ω^)「……別にいいじゃないかお。好きな人を好きにする妄想をしない男は居ないお」


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:06:04.43 ID:szsNfwxjO
 
('A`)「別にいい、か。ブーン、そのままだと本当にそのかぐや姫とやらに負けるぞ。
    いや、予言する。お前はそいつに誘惑されるがままセックスするよ」

( ^ω^)「……あぁ、そんな奴もいたかお。大丈夫だお、あんなのよりツンの方が一億倍いいお」

('A`)「……普通さ、そんな訳のわからん奴がいたら、いくらエロい体してても警察呼ぶか追い出すよ。
    薄情かも知れんがそう言うもんだ。なのにお前はどうしてそいつを置いておく。……期待しているんじゃないのか?」

( ^ω^)「何に」

('A`)「クーとやらとセックスすることに。それでもう、ツンのことは諦めてるんじゃないのか?
    俺は、一度だって想いを伝えようとしないくせに、好きだ好きだ騒いで、挙句ツンの妄想でオナニーして、
    他のセックス出来そうな女に簡単に尻尾を振るようなお前が、ツンの体目当てにしてるように見えて、大嫌いってこった」

( ^ω^)「だって僕ブサメンだし」


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:08:05.96 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「なんなんだお……」

 反論は認めないとでもいうのか、ドクオは逃げるように席に着き、寝たふりを始めた。

( ^ω^)(ドクオはこういうお節介なところがいけないんだお)

 やり場のない怒りを、ブーンは否定にぶつけた。
 自分がどうまかり間違っても、あの全裸ウーマンに惹かれるはずがないとブーンは確信していた。

 事実ブーンはツンのことが好きだし、それが多少歪んでいたとして、どんな問題があるのだ?
 ツンとだけ性行為は望んでいるし、彼女以外とならばセックスはただの生殖だ。

( ^ω^)(まったく……ツンに想いを伝えるとか、できっこないお)

 幼なじみの壁を越えたい気持ちはある。
 しかし、壁の上に有刺鉄線が張ってあるんじゃないかと思うと恐ろしい。

 ブーンは結局、何も前向きな考えを持てぬまま、昼休みにツンと話し、何事もなかったかのように三人で帰宅した。
 家に何があるか、忘れかけたまま。


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:10:06.40 ID:szsNfwxjO
 
 *

川 ゚ -゚)「似合うか?」

 似合わないとは言えなかった。特段可笑しな着方はしていないし、それに、素材がよい。
 制服姿の美少女が家にいて、自分に優しく話しかけてきたら誰だってドキリとする。
 だからこれは浮気じゃありません、とブーンは心の中で結論づけた。

( ^ω^)「カーチャン、この子に何したんだお」

 スカートをひらひらさせて踊るクーを、幸せそうに見ている母親に詰め寄る。

J( 'ー`)し「制服を買ってあげたんだよ。それから、学校にも行ってないみたいだから、ブーンの高校に行かせることにしたのよ。
      クーちゃん、すごく頭がいいのよ。先生たちをみんな言い負かしちゃって、特例で入学が認められてね。
      ブーンと一緒のクラスになったから、いろいろ教えてあげなさいよ」

( ^ω^)「おっおー、わかっt……」

( ^ω^)「何してんだよ」


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:12:04.08 ID:szsNfwxjO
 
 最悪の事態だ。家の中でさえめんどくさいこいつが、同じ高校に来る。しかも同じクラスに。
 そうしたら、ただ面倒では済まない。ツンだってクーのことを知るだろうし、同居していることも知られてしまう。

 ブーンは頭を抱えた。どうしたらクーの事を隠し通せるか、或いは誤解のないようにツンに伝えられるか。
 クーのことだ、放っておいたらあることないこと言い出すに違いない。

( ^ω^)「……クー、ちょっと」

 まったくなんで、使えない人間はこういうときだけ仕事が早いんだろうかと思いながら、クーの腕をとった。

川 ゚ -゚)「おおう、早速欲情したかい?」

( ^ω^)「部屋に来いお、話があるんだお」

川 ゚ -゚)「言葉を交わさずとも通じあっているというのにか?」

( ^ω^)「そうだったらいいと思うけど、なんか俺とお前で一方通行しあってるような気がするから確認する」

川 ゚ -゚)「野暮ったいのう」


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:14:05.14 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「お前が言ったのかお? 学校に行ってないって」

川 ゚ -゚)「共に昼食を作って、彼女の人柄は見抜いた。こうすれば、学校に通わせてくれるだろうと思ったよ」

 頭を抱えてブーンはため息をついた。なんて狡猾な女なんだ。
 こんなことなら、学校なんてものがあると教えなければよかった。

( ^ω^)「……お前はいったい何がしたいんだお、クー」

川 ゚ -゚)「あなたのお嫁さんになりたいの」

 至極真面目な顔で言われた。クーがロリボディだったら、ブーンはここで倒れていたかもしれない。

( ^ω^)「それだけじゃないだろお」

川 ゚ -゚)「ほう、言ってみろ」

 明確な答えがあるわけではなかった。ただ今は、本能的に彼女の悪意を感じるのだ。
 何か良くないことが起こる気がする、それだけなのだが、その代わり、確信はしていた。

( ^ω^)「……それはわかんないお」


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:16:06.58 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「……ともかく、僕の近くにいるなお」

 ぶっきらぼうにブーンは話を終わらせようとした。
 自分に取り入るためなら、命令は大抵聞いてくれると思っていた。

川 ゚ -゚)「私がそんな願いを聞くと思ったか?」

 部屋から出ようとして、背中にかけられた言葉は、薄ら笑いが交ざっていた。

( ^ω^)「じゃあ出ていけお……ここは僕の家なんだから」

川 ゚ -゚)「さてなぁ。君の母親がそれを許すかな」

 クーをカーチャンに任せたのは大失敗だった。彼女の身上を聞いたら、カーチャンが見捨てるはずがない。
 困っている人を見捨てるような真似をしたら、自分がカーチャンに見捨てられる。
 しかし、こいつは今日一日で、そこまで見抜いたのか。


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:18:30.52 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「出ていけとも言わないし、学校へ来るなとも言わないお。けど、根も葉もないことは言うなお?」

 ブーンは諦めて譲歩した。

川 ゚ -゚)「当たり前だ。私は嘘はつかない」

 そんな事を言われても、ちっとも信用ならないが、信じなかったところで何が出来ようか。
 ブーンを見つめる瞳に、嘘の色は見えない。気を抜いてはいけないだろうが、少し安心した

( ^ω^)「……それからもう一つ……同居していることは言わないでほしいお」

川 ゚ -゚)「何故私がそんなことをせにゃならん?」

 にやぁと笑うクー。本当に意地の悪い。

( ^ω^)「まだ譲歩を要求するかお……」

 怒鳴ってしまいたかった。
 しかし、相手を怒らせるのは得策ではない。クーにはかなりの弱味を握られているのだ。
 それこそ、僕の高校生活を崩壊させるに十分なほどの。

川 ゚ -゚)「あぁそうだ。うむ、内容は君に任せよう」


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:20:04.38 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「内容を任せる?」

川 ゚ -゚)「そうだ。例えば、一回セックスとか、オナニーを見せてくれるとか」

 ブーンは大量の唾を噴出しそうになって、後片付けの虚しさを思って堪えた。

(;^ω^)「そ、そんなことするわけねーじゃん! バッカじゃねーの!」

 照れた中学生みたいな事を言ってごまかすが、クーは余計ににやにやした。
 それが彼女の嗜虐心を刺激したか。クーは一本指を立てて言った。

川 ゚ -゚)「そうそう、大した事ではないが、この譲歩についてひとつルールを付けよう」

( ^ω^)「そんなもんいらないお」

川 ゚ -゚)「譲歩を受けなくても良いのだぞ?」

( ^ω^)「ごめんなさいお願いします」

 完全に踊らされている。今まで母以外にそんな感想を持ったことは無かったから、ブーンはひどく悔しくなった。


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:22:05.25 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「で、ルールって?」

川 ゚ -゚)「簡単なことだ。一言で言うと、「チャンスは一回きり」だよ」

( ^ω^)「うっわぁめっちゃくちゃ不利やん」

川 ゚ -゚)「やめるか?」

( ^ω^)「まさか。とりあえず、ルールをkwsk頼むお」

 彼女の言ったルールとは、至極単純なものだった。

 譲歩の提案は一度だけ。あまりに利の少ない譲歩はきかず、それ以降一切譲歩は承けない。
 一度で、クーの思う最小限の譲歩を上回る方向で、かつ過度でない譲歩をしなければならない。

 例えば一回セックスなんて本末転倒だ。そんなものは譲歩と言えない。
 ではセックスからどこまで落としていいのか? そこが焦点だ。

( ^ω^)(こいつは本当に――)

 ブーンが小心者だと知っていて、こんな提案をしたのか。
 恐らく、かなり大きく出てくると踏んだのだろう。だったら思い通りになってはいけない。

 どこがクーのラインなのか。それを知ることさえできれば良いのだが、はっきりとは分からなかった。


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:24:09.21 ID:szsNfwxjO
 
ヾ川 ゚ -゚)ノ"「セックスし放題とかだったら万々歳なんだけどなー」

( ^ω^)「うるさいお、考えてるんだから邪魔するなお」

 それが万々歳ということは、何処まで行って渋々といった所なのだろうか。
 自分に重圧がかからず、尚且つクーも了承するライン。

( ^ω^)(クーにとって今一番いやな事はなんだお)

( ^ω^)「……クー、今してほしいことは何だお?」

ヾ川 ゚ -゚)ノ"「えっちー」

 話にならない。どうすればラインを知ることができるんだろうか。

( ^ω^)(……誘導尋問)

 単語だけは聞いたことがある。意味も推察できる。しかしどのようにやるのだろう。
 とにかく、適当に質問しまくってみればいいのだろうか。その内ヒントを漏らすかもしれない。


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:26:07.54 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「クー、こっちの世界はどうだお?」

 当たり障りのない質問から始めた。あまり雰囲気に似つかわしくない話をすると、怪しまれる危険性があった。

川 ゚ -゚)「よい。文明が進歩していて非常に快適だ。家中が涼しくて快適だ」

 シャツを少し捲って、ベッドでグラビアアイドルみたいな格好をしているクーの警戒心は皆無だった。
 少し掘り進めてみようか。

( ^ω^)「おっお、バルコニーに出たら暑かったかお?」

川 ゚ -゚)「外は日射しが強くて溶けるかと思った。いや、無論ブーンと学校に行くためなら耐えるが」

( ^ω^)「はいはい。溶けなくてよかったねー」

 ブーンは興味無さげに皮肉を言った。ツンでさえ、自分から一緒に学校へ行こうとは言わないせいで、
 何だか面と向かって言われて照れたのだ。そしてクーはまた、それを鋭く見抜く。

川 ゚ -゚)「暑いと言えば、押入れもひどく蒸し暑かったぞ。もちろんブーンがそこにいろと言うなら我慢するがな」

( ^ω^)「え?」

川 ゚ -゚)「あ」



70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:28:07.36 ID:szsNfwxjO
 
 クーが使っていた布団を押し入れから引っ張り出した。
 本当に蒸し暑かったのだろう、汗の匂いがムンと鼻をついて、ブーンは本能的に勃起した。

( ^ω^)(フェロモンに反応するのは動物の本能です)

 また、誰も聞いていないのに言い訳をした。
 痛いくらい勃起しながら、どうにか布団を運び出して、バルコニーで一時的に干してやる。

川 ゚ -゚)「なんだ、私は今日こんなくの字になって寝るのか? 一緒に寝るということで私は黙っている約束をしたのだぞ」

 フェンスで萎びれている布団を指さして、クーは言った。

( ^ω^)「これは使わないけど、びしょびしょでカビちゃうから乾かさないといけないんだお」

川 ゚ -゚)「なんと。ではこれが乾くまでベッドで待っているか」

( ^ω^)「僕はまだ寝ないから一人で寝てて」

 その方が都合がいいからと言うと、寝込みを襲うのか? と返された。
 つくづくブーンは嫌になった。まるで自分が認めたくない部分を言葉にされているようで。


73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:30:07.34 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「ともかく、まだ寝るような時間じゃないから、あんたは家事を手伝ってやれお」

川 ゚ -゚)「しかし、今すること無いって言われたしな。だからセックスしよう」

( ^ω^)「まぁ落ち着くお。明日は学校がある訳だし」

 何の理由にもなっていないが、とにかく難癖つけて拒否したかった。
 そもそも、クーがここまでセックスをしたがるのにも、何の理由が無かったし。

川 ゚ -゚)「じゃあ、学校が無かったらセックスしてくれるんだな?」

( ^ω^)「残念だけど、あんたの設定した期日までに、学校が無い日は一日もないお」

川 ゚ -゚)「むぅ。そうだ、ではとりあえず、アドレスというものを交換しよう。携帯電話を君の母に買ってもらった」

( ^ω^)「……まぁ、いいけど」

 それだけでは特に問題は起こらないだろう。
 油断だらけでブーンがアドレスをクーに送ったところで、助け船がやって来た。

J( '-`)し「クーちゃん、晩ごはん作るから手伝ってくれる?」


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:32:08.52 ID:szsNfwxjO
 
川 ゚ -゚)「む、わかった」

 少し大きな声でクーは答え、名残惜しそうにブーンを見た。

( ^ω^)「早く行ってあげろお」

川 ゚ -゚)「ブーン」

 動物を追い払うかのように振ったブーンの手を、クーは両手で掴んで撫でた。柔らかくて小さくて、すこし冷たい。
 ブーンはそれだけでドキリとして、手から汗がにじむのを感じた。

 そして、彼女が耳元に寄って。ブーンは何も反応出来ずに、クーの息づかいを聞く。

川 ゚ -゚)「今夜、楽しみにしている」

 するりと手が離れ、ふと気がつくとクーはもう背中しか見えなかった。夢から醒めたようだった。

( ^ω^)「……何もしないってのに」

 ブーンは独りごちたけれど、その言葉に説得力や信憑性が全くなかったのは、自分が一番よく分かっていた。


78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:34:04.56 ID:szsNfwxjO
 
 母親がクーに教えたという肉じゃがは、普段食べているものよりも美味しかった。
 ただのビギナーズラックだろう。勘が良いのは結構だが、それで気取られても困る。

 ふと口をついて出た「美味しい」を、

ヾ川 ゚ -゚)ノ"「実力だぜ」

 とか、

ヾ川 ゚ -゚)ノ"「私と一緒に食べてるからだろー?」

 とか言われても、はっきり言って反応に困る。
 その後は、努めて他の料理を食べるようにし、肉じゃがを食べるときは、必死に喉から絞り出して「まずい」と言った。

 そうするとまた、クーがにやにやする、母親が怒る。
 ブーンは辟易して、早々に肉じゃがを平らげて、部屋に戻る。

( ^ω^)(マジでやばいお。あれが追いかけてくる前に、ツンの写真でオナニーをしなければいかんね)

 ブーンは雑念を払うように首を振った。
 部屋の学習机に大切に飾ってある、ツンとのツーショット写真を取り、ブーンはトイレに駆け込んだ。


80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:36:19.06 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)(いくら歪んでいたとしても、それが僕の愛し方だお)

 愛情の再確認である。
 ブーンはツンでしかオナニーしないし、彼女を想って絶頂に達するときが最高に快感を得られるのだ。
 そうである限り、自分の気持ちは揺らいでいないと判る。

 あいつさえ居なければ、バルコニーで出来るのに。
 便座に座り、アンモニア臭に少し顔をしかめながら、ズボンとパンツを一緒に脱いだ。
 左手に持った、写真立ての中にいるツンを見つめ、ゆっくりとちんぽを握る。

( ^ω^)(これはツンの手だ。ツンが恐る恐る、僕のちんちんを握っているんだ)

 そう思うと、ブーンのちんちんは一気にぺニスと化した。生殖行為を行うための形態である。
 ブーンは仮性包茎を剥くと、まるでギターを弾くように、ぺニスをこき始めた。


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:38:06.51 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)(オナニー哀歌。作詞作曲:ブーン)

( ^ω^)「(前奏)」

( ^ω^)「君とでーあーったころ 僕はオナニーなんて知らなかったよ」

( ^ω^)「おちんっちんがー勃起すーるーなんてー」

( ^ω^)「そんなことーさえも知らずにいたーんだーぁー」

( ^ω^)「(間奏)」

( ^ω^)「あぁー 君のーおかーげでー 僕はっオーナニーを覚えったーよぉー」

( ^ω^)「いつもっ君を思ってー オナニーすーるよー」

( ^ω^)「だっけーれどぉー」


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:40:04.03 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「この精子はぁー 君にー届ーかなぁーい」

( ^ω^)「赤くーなるーほどー 出っしってっもぉー」

( ^ω^)「傷つーけるーことー おそろっしくーて眠れないーよー」

( ^ω^)「きーみーはいっちーばんー 大切な人だーかーらー……」



( ^ω^)「オナニーすぅるよぉー! (ビッグバン)」

( ^ω^)「(射精の余韻)」



( ^ω^)「(後奏)」


88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:42:06.03 ID:szsNfwxjO
 
 演奏を終えたギタリストは、首もとまで精液を飛ばし、ぽたぽた垂らしていた。

( ^ω^)「……あぁ……ツンを想ってするオナニーは最高だお……」

 ブーンは小学五年生でオナニーを知った。幼稚園の頃から同じ人間を好いていたにしては、少し遅い。
 しかしだからこそ人一倍オナニーをして、誰よりもオナニーを昇華させた。

 その結果がこれである。

( ^ω^)「さて、トイレットペーパートイレットペーパー……」

 軽い賢者モードに入りながら、やっぱり自分はツンが好きだと再確認出来た。
 他の誰も、ドクオでさえも僕とツンの間に介入する余地はないと、ブーンは嬉しくなった。

( ^ω^)「これであの女の誘惑なんざ余裕だお」

 一緒のベッドで寝ることになっていたから、正直まずいと思ったが、この分ならなにも問題はない。
 ブーンは精子を拭き取ると、紙を流しパンツとズボンを履いて、意気揚々と部屋に戻った。


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:44:04.16 ID:szsNfwxjO
 
川////)「この、精子はぁ……君に、んっ……届かにゃはぁ……」

 部屋に入るとまず、一糸纏わず、人差し指と中指で、自分の壺をかき混ぜているクーが目に入った。
 それから、彼女があえぎ声混じりに歌う歌は、自分がさっき歌っていたものと気付く。

( ^ω^)「……クーさんクーさん、人のベッドで何してんですか」

川*゚ -゚)「あ……ブーン、見れば、分かるだろう。はぁっ……オナニー、してるんだ……んうっ」

 大きな胸を呼吸に震わせ、自らで自らに与えた快感を貪り、体をくねらせる。
 ブーンは一度萎えたちんちんがまた勃起するのを、恥ずかしくも思わなかった。

( ^ω^)「……帰っても?」

川*゚ -゚)「いやっ、だめ……私のオナニー、もっと近くで見て……くれ」

 帰ってもいいと言われれば、意地でも部屋を出ただろう。
 だけれどブーンは、ずいぶん久しぶりに見た気がする彼女の体に、目を奪われていた。


95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:46:02.61 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「じゃあ、見るだけ見ててやるお」

 見ていて欲しいなら、ここにいるのが僕の優しさなんだと、ブーンはまだ言い訳する。
 ツンの写真を机の端っこに置いて、ブーンはベッドに腰かけた。

 クーは器用なほうの右手で秘所をぐりぐりかき回し、左手で乳房を持ち上げて、自分の舌で乳首を慰めている。
 その度にぐちゅくちゅとか、ちゅぱレロとか、とにかく淫猥な水音が響くのだ。

川////)「んうっ……赤くはる、ほど……出して……ぁ、きじゅひゅける事が……ねむれないぃ……」

(;^ω^)(僕の歌がなんとなくバカにされてる気がするのはなんでだお……)

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:48:04.27 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「女って気持ち良さそうにオナニーするおー」

 ブーンは感心したように言った。
 狂ったように肉壺をぐちゃぐちゃと鳴らし、とっかえひっかえ自分の乳首を舌先で必死に舐めている。
 快感無くして、ここまでの事はしないだろう。

川////)「あぁっ……そう、きもちひい……」

( ^ω^)「オナニー見られるってどんな気分だお?」

川////)「ん……恥ずか、しい……あくっ!」

( ^ω^)「僕もあんたの歌を聞いてると恥ずかしくなってくるお」

川////)「いい歌だ、あれは……聴いてて……オナニーが、我慢できにゃく……ひゃううっ」

 クーはぞくぞくと鳥肌を立てて、その部分をピンポイントに撫ではじめた。
 びくびくと、汗ばんだ体が震えて、クーの目が何かを求めるように悲しげになる。


98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:50:04.61 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「見るだけだって言ったお」

 物欲しげなクーと目が合って、ブーンは慌ててサディスティックな笑みをつくる。

川////)「んう、あうぅ! あぁ、そこ、ひもちいいぃ……」

 そして、ブーンの初めての言葉攻めはシカトされた。
 自分にはきっとこういうのは向いていないなと、変なところで適性を知ることとなった。

川////)「あぁ、は、ふぁは! ぶーん、ぶーん、はぁん!」

( ^ω^)「……」

 鼓動がドクドクと高鳴るのを感じた。ブーンはSには向いていない。つい優しくしてしまうから。
 オナニーしている少女に名を呼ばれるのは、ここまでときめくことなのか。

川////)「ぶーん、いっちゃうから……いっちゃうからキス、ひて、あぁっ……」

 口の端から涎が一筋流れていた。それさえ美しく思えた。何とかは盲目というのは本当らしい。

 大切な何かが砕ける音がした。

 キスしていいのか、ブーンはちょっと迷った。しかし、クーに上ずった声で早くとせがまれて、
 ブーンはクーに向かって、いまいちな顔面を降下させた。


100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:52:08.69 ID:szsNfwxjO
 
 クーの唇が近づく。彼女がかいた汗の甘ったるい香りに、狂ってその唇を、舌を貪りたくなった。
 しかしゆっくり、ブーンは彼女に顔を近付けて、あと一寸で唇が重なるというところで、

( ^ω^)「イきたいなら一人でイけお。僕は見てるだけだって言ったお」

 こう囁いた。

川////)「っ……いや、キスし、ふぁ、ぁあう」

 とろんとした目が、一瞬小さくなって、クーは頭を振って駄々をこねて、快感に目を瞑った。
 高まった波が、一挙に押し寄せてくる。胸が大きく上下し、呼吸がもっと激しくなって――。

川////)「やあぁ――――――――っ!」

 クーのメリハリのある体が弓なりにのけ反って、背中が自然に浮き上がる。
 至近距離でクーの酔いしれた表情を見ながら、ブーンは興奮を抑えるのに必死になった。
 賢者モードでなければ、端から堕ちていただろう。ブーンはつくづくツンの写真に感謝した。

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:54:14.34 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「いやらしいお」

 冷めきった口調で言って、ようやく気持ちが少し落ち着く感じがした。

川* - )「はぁ、はっ……んふぁっ……ふぅ」

 クーは愛液でふやけた指を抜くときにも、小さく声をあげた。長く引いた水の糸を垂らして、全身をゆるませる。

 虚ろに瞳を揺らすクーに、いたわるようにキスしてあげられたら。優しく髪を撫でてあげられたらいいのに。
 ブーンは、こみあげる欲情が許されないことを悔やんだ。

( ^ω^)「おつかれ」

 これ以上変な気が湧かないように、ブーンはベッドを立った。

川*゚ -゚)「く、くそう……」

( ^ω^)「……いいもん見せてもらったお」

 クーの恨めしげな声に、舞い戻ってあげたくなる。それでもブーンは立ち止まるだけでこらえた。


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:56:04.92 ID:szsNfwxjO
 
 ブーンは机の下で、額面が粉々に砕けてしまった写真立てを拾った。

( ^ω^)(……ツン)

 さっきこれが落ちていなかったら、自分が代わりに堕ちていたのだろうか。
 額面が砕けなかった代わりに、僕とツンが築いてきた関係が砕けていたのだろうか。

川*゚ -゚)「……まだ、だめなのか」

 覚束ない足取りで、クーがベッドから立って、ブーンの肩を借りた。

( ^ω^)「正直……ぎりぎりだったお。でも、やっぱり僕には大切な人がいるから」
川 ゚ -゚)「この少女か?」

( ^ω^)「ツンだお。僕の幼なじみで、大切な人」

川 ゚ -゚)「ふうん」

 クーはつまらなそうに鼻を鳴らした。


104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:58:04.59 ID:szsNfwxjO
 
( ^ω^)「この写真立ても、ツンにもらったんだお。壊したって聞いたら怒るかお……」

川 ゚ -゚)「ツンか……」

 クーは写真を覗きこんで、ツンの顔をじっと見つめた。

( ^ω^)「……クー。言っておくけど、ツンに何かしたらただじゃおかないお」

川 ゚ -゚)「ふ。月の世界も人間を殺すのは罪さ。案ずるな」

 その様子に、ブーンちょっとした不安を覚え、釘を刺した。否定の言葉を聞いてもやはり心配になる。

( ^ω^)「……乱暴な手段はとるなお」

川 ゚ -゚)「分かっているさ。そんなことをすればブーンに嫌われる。それに……」

 クーは自分のむき出しの乳房を持ち上げた。

川 ゚ -゚)「こんな貧乳を相手に、汚い手などわざわざ使わん」


105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/03(水) 23:59:48.94 ID:szsNfwxjO
 
J( '-`)し「いまは暑くても体は冷えるんだから、服は着て寝なさいね」

 ブーンの母が、そう何度も言ってくれたお陰で、クーはようやく服を着てベッドに入ることを了承した。
 これで今晩はきっと耐えられる。恐らくクーは、暑さをこらえて密着してくるだろうが、
 それでも素肌が触れあうよりずっと気持ちは楽だろう。

( ^ω^)「……逆レイプとか、するなお?」

川 ゚ -゚)「ムラムラしたなら、起こしてくれれば何でもするぞ」

( ^ω^)「寝てろ」

 クーをベッドに突き飛ばして、ブーンはバルコニーに出た。タバコは夜にしか吸わないし、部屋でも嫌だ。
 臭いが移ると部屋にいたくなくなるし、吸いすぎで呼吸に負担を感じたのだ。
 一日一本、夜野外で。これがブーンの喫煙の鉄則だ。

川 ゚ -゚)「あ、私も行くぞ」

( ^ω^)「……勝手にするお」

 ばたばたベッドで暴れていたクーが、慌てて飛び起きてついてきた。
 ブーンは特に気にも留めず、クーをバルコニーに来させてやった。


107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/04(木) 00:02:07.62 ID:IsSd83OVO
 
( ^ω^)y―・~「はぁー……何してんのん」

 クーは何やら月に両手を広げて、なにかブツブツ呟いていた。その内容を、特に聞こうとは思わない。
 しばらくそれを続けてから、クーは手を下ろして振り返った。

川 ゚ -゚)「月にいる両親と連絡をとっていた」

( ^ω^)y―・~「聞こえてたのかお」

川 ゚ -゚)「無視をしてすまなかった。交信が切れてしまうとことだからな」

( ^ω^)y―・~「僕にはよく分からんお。クーにはテレパシー能力があるのかお?」

川 ゚ -゚)「他にもいろいろ出来るぞ。……そうだな」

 クーは部屋に入って、額面の割れたさっきの写真立てを持ってきた。


112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/04(木) 00:04:18.73 ID:IsSd83OVO
 
川 ゚ -゚)「見ていろ」

 クーがそれにゆっくりと手をかざすと、写真立てが青白く、月の光を放った。

(;^ω^)y―・~「うわわわ」

 眩しいほどの明かりがバルコニーを包んで、ブーンは情けない声を上げた。
 光が収束すると、クーは写真立てをブーンに突っ返す。とても自慢気な顔をしながら。

 ブーンは一度タバコを置いて、写真立てを手に取る。

( ^ω^)「……直ってるお」

 砕け散ったはずの、額面のガラスが、傷ひとつなく繋がっていた。
 呆然と呟いたブーンを見て、クーはもっと得意そうに笑った。

川 ゚ -゚)「こんなものさ」


113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/04(木) 00:06:05.30 ID:IsSd83OVO
 
( ^ω^)「驚いたお」

 なるべく賞賛が含まれないような低調なトーンでブーンは言った。
 それからまたタバコを手にし、代わりに写真立てをそこらに置いた。

川 ゚ -゚)「もっと褒めて」

( ^ω^)y―・~「よくできました」

川 ゚ -゚)「なでなでして」

( ^ω^)y―・~「はいはいよしよし」

 容易く彼女に触れるべきではないとブーンは思った。
 クーの髪は、絹のように柔らかく滑るような指通りで、不意にそのまま頭を抱きかかえたくなり、堪えるのが容易じゃなかった。

川 ゚ -゚)「えへへー」

( ^ω^)y―・~「……その力はいったいどういう原理なんだお?」

 照れ臭くなり、クーの頭から手を離して、ブーンは話題を反らした。


114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/04(木) 00:08:10.46 ID:IsSd83OVO
 
川 ゚ -゚)「原理か。……まぁ、物を操ると言えば良いのだろうか。私がこの写真立てに歩けと言えば歩く。
    写真立てに直れと言えば直る。それから人間にも応用がきくな」

( ^ω^)y―・~「人間に? 人を操れるってことかお?」

川 ゚ -゚)「うむ。私がブーンに手をかざして、タバコを止めろと言えば君は止める。私とセックスしろと言えば、
    君は私と激しくセックスをする。ねっとり舌を絡めてキスをして、私を好きだと叫びながら、
    私のきつきつまんまんに挿入し、何度も何度も激しく突いて、子宮に大量の精子を中出しする」

( ^ω^)「……ふぅん」

 訊いてはいけない話題だったかもしれないと、この後の展開を畏れながらブーンは思った。

川 ゚ -゚)「だが案ずるな。こんなレイプまがいの方法で落とそうなどと考えてはいないからな」

( ^ω^)「是非、正々堂々とお願いするお」

 勝てる気なんてしなかったが、ブーンは月を見ながらそう願い出た。
 少しだけ欠けた、満ちた明晩の月であった。


115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/04(木) 00:10:05.62 ID:IsSd83OVO
 
( ^ω^)「さて、そろそろ戻るかお。ここも寒いから風邪を引きかねんお」

川 ゚ -゚)「そうだな。あぁ緊張する、これからブーンと同じベッドで……」

( ^ω^)「同じベッドで寝る だけ、だお」

 自分に言い聞かせるようにブーンは言った。灰皿を処理して部屋に戻ると、
 写真立てを今度は丁寧に置き、何も意識しないようにベッドに倒れこんだ。

川 ゚ -゚)「失礼します」

 クーはブーンに触れない程度、近くに来て寝転んだ。
 冷房をガンガンかけて、地球温暖化に貢献していると言うのに、体が熱く、呼吸が乱れる。

川 ゚ -゚)「そういえば、ブーン」

 さっさと眠ろうとしたのに、クーはいちいち話しかけてきた。
 恐らく彼女はここに賭けている。自分がクーを襲うとしたら、ベッドが一番確率が高いからだ。


117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/04(木) 00:12:08.46 ID:IsSd83OVO
 
川 ゚ -゚)「こうして、同じベッドで寝ていることは、そのツンとやらに言っていいのか?」

 自分に好意を持った少女が、同じベッドで寝転んでいる。
 クーの声が、それを否応なく意識させた。

( ^ω^)「……言って良いわけないお」

 背中を向けたまま、ため息をついて答える。
 きっとクーは、こっちがどう答えるかなど分かってて訊いている。
 自分の存在を強く意識させることが、彼女の狙いなのだろう。

川 ゚ -゚)「ほう、なるほど。では、」

 クーが少し近くに寄った。シーツとパジャマが擦れる音と、吐息でわかる。
 自分の感覚が研ぎ澄まされているのに気づいて、ブーンは口惜しくなった。完全に思い通りになっている。


118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/04(木) 00:14:05.85 ID:IsSd83OVO
 
川 ゚ -゚)「私のオナニーを、ブーンが見守っていたというのは、話してもいいのか?」

 そうだ。
 今、自分がドキドキしながら寝転がっているベッドは、すぐ傍で熱い息を吐いているクーが、
 オナニーをしていたベッドだ。そういえば、足元に冷たさを感じる。これは彼女の汗か? それとも――。

(;^ω^)「だめに決まってるお、そんなの」

 ブーンは頭を抱えたくなった。それまで半勃起だったぺニスがオーバーぺニスしている。
 併せて性欲が増幅する。振り返ってクーを抱きたい衝動が襲いかかる。

川 ゚ -゚)「なぁ、私のオナニーは興奮しただろう。ツンのものを想像するより、ずっと」

(;^ω^)「有り得ないお。ツンが一番だって言ったお」

川 ゚ -゚)「本当か? いやらしい匂いだって、音だって、私がオナニーしているさまだって、実際に感じ取れたろう。
    君はいつも、匂いのことまで考えて想像するか? なぁ、本物は興奮しただろう?」

 クーの指が襟足をするする撫でる。ブーンは奥歯を噛み締めて、必死に感情をこらえた。

121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/04(木) 00:16:03.62 ID:IsSd83OVO
 
 興奮しました、だなんて告白できるはずもない。痛いくらい勃起しただなんて言ったらそこで敗北だ。
 必死に、あの艶かしい思い出が蘇らないように、ブーンは呻いた。

(;^ω^)「僕は……」

川 ゚ -゚)「ブーン。私はまだ体が疼いているよ。君が最後のときにキスをしてくれないからだ」

 クーの儚げなイキ顔が、ブーンの視界にありありと浮かび上がる。物欲しげな瞳で、必死にキスをせがまれた。

 写真立てさえ落ちていなければ僕は、彼女の唇を一気にとらえて、舌を無茶苦茶に絡めて。

 それからクーに覆い被さって、求め合うキスをしながら、ガチガチに勃起したぺニスを取り出して、
 彼女の指を引っこ抜くと、いやらしい涎を垂らして、きゅんきゅん引き締まるクーのアソコに挿入していただろう。
 そしてクーの唇をべろべろ舐めて、激しいピストン運動を繰り返し、彼女の一番奥で射精をしたに違いない。


124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/04(木) 00:18:04.53 ID:IsSd83OVO
 
 違いないけれど――。

(;^ω^)「……そうかお。僕はもう寝るから、何だったらトイレでオナニーでもして来いお。
        で、うるさいからここではやらないでくれお。僕は学校にそなえてもう寝るから」

 ブーンは布団を引き上げて、足が水溜まりに触れないように、体を縮めて目を閉じた。
川 ゚ -゚)「むうぅー」

 パジャマの背中が掴まれても、全力でスルーした。
 しばらくすると流石に飽きたか、眠くなったかで攻撃は止み、ブーンは安息をついた。

( ^ω^)(どうやら眠れそうだお)

 ブーンはようやく肩の力を抜いて、ベッドに全身を預けた。
 クーも大人しく寝ており、鼾もかかなかったので助かった。
 それからは眠りを妨げられることもなく、無事に朝を迎えることができ、ブーンは心底安心した。

 自分が夢精していたことに気付くまでは。



125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/04(木) 00:20:10.69 ID:IsSd83OVO
 

 一日目「月から来た同居人」 終





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