ブーン系小説をまとめて紹介しているサイトです
HOME | 問合せ
( ^ω^)ブーン達はマインスイーパに集められたようです

第2話

6 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:23:18.85 ID:yYIMITJi0
二手目、クーさんが開いたマスに現れたのは、またも数字の1
しかも一番最初に開いたマスとは離れた、関係のない所。
盤の下端だ。
リスクを恐れた故の、リターンの少なさ。

致命的。命取りの誤判断。
そしてクーさんは、マウスを動かすのをやめる。
それどころか、マウスから手を離してしまう。

川;゚ -゚)いい加減にしてほしいものだな

開けた2箇所の周りは、それぞれ1/5の確率で地雷だ。

他の箇所は、81マス盤から12を引き69箇所。
地雷は8つ。
まったく別のところをやれば、8/69の確率で地雷。

川 ゚ -゚)私は、二度も賭けに出られるほど、勇気のある人間では無いんだ

(;^ω^)……

僕は、見守ることしか出来ない。

7 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:24:39.60 ID:yYIMITJi0
嫌な状況だった。
命をかけたマインスイーパとしては初戦だ。
それが、こんな苦戦を強いられている。

川 ゚ -゚)おい、スピーカー

クーさんは、マウスから手を離さずに、スピーカーの男に話しかけた。

「なんだ?」

川 ゚ -゚)発言をしても良いか?

「もちろん、プレイヤーの言動は自由だからね」
「だが、後にいる9人は、それに反応してはいけないよ」

川 ゚ -゚)わかってる。とにかく、今からかなり喋るが、良いな?

「ああ、聞かせてもらいたい。興味がある」

8 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:26:42.16 ID:yYIMITJi0
川 ゚ -゚)私は、このシステムに無駄を見つけた。

(;´・ω・`)(……無駄?)

川 ゚ -゚)とりあえず目立つのは「上級」と「オリジナル」の存在だ。これが一番大きな無駄だろう

( ゚∀゚) ……

川 ゚ -゚)死なないというプレイ条件ならば、そもそも存在する意味がない。
     最初からそれらを省いて、10人で初・中級に挑戦させれば良い

「……」

川 ゚ -゚)なぜある?計画的に拉致・監禁までするような奴らだ。
     きっと無駄なことにも理由がある。
     今は、その理由は分からんが、な……

絶望的な状況における冷静な考察。
それができる人は強い。が、滅多にいるものではない。
クーさんは、できる人だろうか、できない人だろうか。

川 ゚ -゚)それにこのスピーカーの男、監視というよりも……私達を観察しているように思える

10 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:29:05.85 ID:yYIMITJi0
「観察?」

スピーカー男の声。
耳にまとわりつくような、嫌な声だ。
この追いつめられた状況が、僕らにそう感じさせるのかも知れない。

川 ゚ -゚)そうだ。
     私達の話し合いや、プレイの様子、ルール説明時の反応
     そういったものを、観察しているように思える。


しばらく、誰も言葉を発さなかった。
僕ら9人は当然だが、スピーカーの男も、クーさんも、しばらく黙っていた。

そこで僕は思考に耽った。

観察。
言われてみれば、男は確かに僕たちを観察しているように思えた。
脅迫しているわけでも、誰かを拷問にかけているわけでもない。

11 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:31:17.16 ID:yYIMITJi0
この部屋だって、まだコンクリートが新しい。わざわざ作ったと思われる。
先ほど入ったトイレは使った形跡が無かった。そのことからも新築だと分かる。

天井にも蜘蛛の巣などは無い。
電灯も、一つたりとも切れていない。

全てが、僕らを閉じこめるために新しく作られているようだった。

( ^ω^)……

そこまでして僕らを観察したいのか。

僕ら自身に価値があるとは思えない。
僕はただの中学生だし、小学生や60歳の男性に何か特殊な価値があるとも思えない。
強いて言えばクーさんが薬の研究をしていることが目立つが、それについても触れてこない。

無差別に10人を選んだと見て、間違い無さそうだ。

何のために観察するのか。
そこからは、考えても結論に至ることはできそうになかった。

12 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:33:54.87 ID:yYIMITJi0
川 ゚ -゚)上級やオリジナルが存在する理由。
     それさえ分かれば、お前のハラは読めるんだ

「そうかい」

また、皆が黙った。
クーさんは、静寂の中マウスを握りしめた。

川 ゚ -゚)こんな状況、小説でしか読んだ事無かったな

川 ゚ -゚)あの小説のタイトルもラストも、忘れてしまったが……

「プレイを再開せよ、素直=クール」

クーさんの長い語りにいらだってきたような声が、スピーカーから発せられる。
だがクーさんは物怖じせずに言った。

川 ゚ -゚)もう少しだけみんなと一緒にいさせてくれないか

みんな不安そうにクーさんを見ている。
冷静なドクオさんでさえも、この状況には焦っているように見えた。

15 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:35:47.77 ID:yYIMITJi0
「そう言うなら、話させてやらんこともない」

スピーカー男の偉そうな口調が、癪に障る。
が、僕らには反抗どころか発言すら許されていない。

川 ゚ -゚)礼を言う

クーさんも本心では、こんな奴らに礼など言いたくないだろう。
だが、今はこうするしか無い。
そういう状況なのは、分かっている。

川 ゚ -゚)最後にみんなに、素直に、私の気持ちを伝えたい。

最後だなんて、そんないい方。
これから死ぬみたいにしか聞こえない。

16 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:37:39.17 ID:yYIMITJi0
川 ゚ -゚)まず、私は10人で生きて帰りたかった

なぜ、なんで過去形なのだ。

川 ゚ -゚)死ぬ時っていうのは、なんとなく分かるんだ。

川 ゚ -゚)それでな、君らに頼みたいことがある。

それまでただ俯いていただけのペニサスさんが、クーさんを見つめた。
9人の18の目が、クーさんを見る。

川 ゚ -゚)私には、妹がいるんだ。
     名をヒート。素直ヒートと言う。
     広島の、福山市に私と二人で住んでいた。

川 ゚ -゚)彼女に伝えて貰いたい。
     「素直クールは最後まで頑張って、死んだ」と。

川 ゚ -゚)なんとも辛い役目だが、頼まれてくれるか?

誰も発言はしなかったが、皆の目が答えていた。

川 ゚ -゚)ありがとう、皆。

19 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:40:25.57 ID:yYIMITJi0
僕の隣に座っていたしぃさんが、クーさんの言葉を聞き終えてから泣き出した。
声を出さないように、必死にこらえながら泣いている。

声を出せばしぃさんもクーさんも「ルール違反」になる
クーさんの命がけの勝負を、覚悟を、決して無駄にはしたくない。
その気持ちが、伝わってくる。

川 ゚ -゚)(やれるまでやる、しか無いだろう?ヒート。)

クーさんは、マインスイーパの表示されているディスプレイの、向こうを見つめた。
僕らには、コンクリートの壁しか見えなかった。




川 - -)……私の言いたいことは、これで終わりだ

23 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:42:47.41 ID:yYIMITJi0
川 ゚ -゚)遅くなったが、決断するよ

現在、初級盤の81マスの内、2マスが開いている。
そこに書かれている数字は、どちらとも「1」。

川 ゚ -゚)ここを開く

クーさんが選んだのは、9×9盤の中央。
1・2手目で選んだマスとはなんら関係の無いところ
地雷の確率は8/69。

運との勝負。
当たる確率は低くない。

24 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:45:22.24 ID:yYIMITJi0
川 ゚ -゚)……

カチッ

クリック、盤の中央の一マスが窪むグラフィックに変わる。
マスを圧迫しているマウスを、右手の指を離せば、結果が出る。
吐きそうなほどの緊張。

川 ゚ -゚)

クーさんが、クリックした右手の指を離さない。
マインスイーパの仕組みでは、指を離した瞬間にマウスカーソルがあるマスが開かれる。
が、最後の決断を、しきれないのか。

川 ゚ー゚)

クーさんは、笑っていた。
指は離れていない。
笑顔に慣れていないのか、引きつったような笑みだった。


笑顔のまま、クーさんは指を離した。

28 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:49:48.26 ID:yYIMITJi0
現れたのは、地雷



















「素直クール、初級のマインスイーパに失敗」

スピーカーからの声は、憎らしかった

32 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:51:59.65 ID:yYIMITJi0
「始めての脱落者が出たな。殺され方を知りたいか?」

しぃさんが体を震わせた。
クーさんは何も言わない。言えない。
僕も、クーさんのプレイが終わって発言可能になったが、口からは言葉が出てこない。

川;゚ -゚)こ、殺し方は言うな!

「くっくっ、残った仲間達の精神を気遣う余裕があるか」

「執行人、素直=クールを連れて行け」

スピーカー男からの声は、途切れた。
コンクリート部屋にある鉄のドアが開き、黒スーツの男達が5人ほど、銃を持って入ってきた。
体格が良い。銃もかなりの威力がありそうな、大きなものだった。

執行人は何も言わず部屋の中を見渡す。
クーさんを見て、腕を取ると、そのまま鉄のドアを閉めようとした。



「逆らったら「執行人」に容赦なく撃たせる。おとなしくしていろ」

36 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:55:03.65 ID:yYIMITJi0
川 ゚ -゚)最後に一つ、良いか?

「遺言は短めにな」

スピーカーからの見下したような声が、僕らの非力さをあざ笑っているかのようだった。

川 ゚ -゚)みんなは死なないでくれ。
     以上だ

クーさんは、無言で服のポケットから何かを取り出して、僕に投げつけた。
白い小さな紙袋に入っていて、中身は分からない。

(;^ω^)クーさん!クーさん!

クーさんが投げてきた小さな紙袋を左手に握りしめ、名を呼びかける。
それに続ける言葉が見つからない。
クーさんから返ってくる言葉も無い。

鉄の扉の向こうへと、クーさんが消えてゆく。
彼女は、ただ、どこかを見つめていた。

37 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:57:13.95 ID:yYIMITJi0
川 ; -;)……

私は静かにどこかを見つめていた。
最後まで叫んでくれた内藤でも、他の8人でも、スピーカーでも、パソコンでもなく、
両脇にいる「執行人」でも、閉ざされる鉄の扉でも、暗い通路でも、遠くなる部屋の灯りでもなく。
どこかを見つめていた。

10人で過ごした時間は、1時間程度だっただろうか。
私には、そのくらいに感じられた。

彼らの顔が、浮かんでは消える。
みんな、消えないで。
私のそばにいて。

愛する妹、ヒート。消えないで。
家で待っていて。
どうか、お姉ちゃんの帰りを、待っていて。

広島の、私達の家で、待っていて。

38 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:58:12.71 ID:yYIMITJi0
川 ; -;)

消えないで、皆。












私は、消えながら、最後までそう願った。

(クー・初級編終わり)

40 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 00:59:55.77 ID:yYIMITJi0
えっと、以上でクー・初級編は終わりです
一応この後も書き溜めしてあるんで投下しますが、ちょっと休憩します


誤字などあればバンバン指摘してください
質問は後で受け付けます

44 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:06:35.89 ID:yYIMITJi0
休憩終わり

あと、オムさんとBoon Novelさん以外にまとめてくださっているサイトがあれば教えてください
まとめてくださっているのに紹介しないっていうのはアレですから

では、続きを投下します

46 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:08:23.70 ID:yYIMITJi0

「悲しんでいる余裕はないぞ」

クーさんの失格から5分が経った頃に、スピーカーから声がした。
この5分で、クーさんはどうなったんだろう。
考えるだけで、辛くなる。


「次のプレイヤーが決まった」

48 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:11:02.40 ID:yYIMITJi0
「君だ。内藤=ホライゾン」

( ^ω^)……僕かお


「三分以内にパソコンの前に着席せよ」
「着席せねばプレイ放棄と見なす。放棄のペナルティは、分かっているな?」
「プレイ中のプレイヤー以外の発言は許されない」

すでにお決まりとなった言葉。
今までのプレーヤー、ハインさんとクーさんは、この放送後すぐに着席した。
座らなければ死ぬ。そのことは分かってる。けど僕は、少しだけ時間をとった。

不安が、隠しきれないほど出てきた。
汗が頬から顎を伝うのが分かる。
こんな風に発汗したのは初めてだ。

(;^ω^)お……

不安がっていると、ドクオさん達が僕に話しかけてきた。

51 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:13:53.39 ID:yYIMITJi0
('A`)頑張れよ、内藤。

( ・∀・)焦るな。慎重にやるんだ。活路は見いだせるさ

('、`*川 とにかく動揺しないこと。良いわね?

中級挑戦者から、激励の言葉。
これ以上に頼もしい味方はいない。
クーさんを失った悲しみはあるけれど、僕らは生きて帰らなければいけない。

そのためには初級と中級を、あと3回ずつクリアする必要がある。
頑張らないと、いけない。

( ^ω^)わかりましたお

確実に、さっきよりは回復している。
肉体ではなく、精神が。

54 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:16:03.56 ID:yYIMITJi0
( ^ω^)じゃあ、座りますお……

(´・ω・`)待って下さい

意外な人から声をかけられた。
最年少の「挑戦者」、ショボン君
小学6年と言っていたから、11歳くらいだろうか。

(;^ω^)おっ……?

(´・ω・`)クーさんからもらった白い紙袋。開けてみてください。
    何が入っているか、確認しておきたいんです。

ショボン君の発言は、もっともだ。
僕は小さくて白い紙袋を、丁寧に開封し、中身を確かめた。

中には白い錠剤と、折りたたまれた紙が入っていた。
錠剤を見た時に分かった。
この白い袋は薬袋。そういえば病院で薬を貰う時にこんな紙袋に包んで貰う。

クーさんは薬の研究をしていると聞いた。
だからこの程度なら入手可能なのだろう。

57 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:18:03.13 ID:yYIMITJi0
(´・ω・`)何が入ってますか?

( ^ω^)……錠剤タイプの薬だお……やけにたくさんあるお
      僕には何の薬か、というのは、ちょっと判断できかねるお
     添え書きの方に書いてあるかも知れないお。

そこでスピーカーから声が発せられた。

「あと1分だ」

(;^ω^)おっ。とりあえず薬と添え書きはショボン君に渡すお。
     僕のプレイ中に皆で読んでおいてくれお

ショボン君は頷いて、僕の手から紙袋ごと受け取った。
頑張って下さい。と言い残して、ショボン君はコンクリートの床に座った。

座りながら、後を見た。
ショボン君達8人が見つめている。
そこにクーさんが居ないのが、寂しかった。

60 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:20:26.30 ID:yYIMITJi0
「プレイするランクは?」

( ^ω^)初級だお

「表示はこれで良いか?」

( ^ω^)Meのころの表示が良いお
     XP以降になると目が慣れてないお

僕が家で使っているパソコンは、基本的にスペックは低かった。
自作できるほどのスキルは無いし、そもそもが友人のィョウから譲り受けたパソコンだった。
一番最近彼からもらったパソコンのOSはMeだった。

( ^ω^)(たぶん今は日曜日だから、学校は休み)

( ^ω^)(……ィョウは家で勉強でもしてるかお…?)

友達の事ばかり浮かんでくる。
心配されるべき状況なのは自分だというのに。
もっとも、ィョウの方は僕がこんな状況だというのは知らないだろう。

62 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:22:38.72 ID:yYIMITJi0
「少し待っていろ。」

それから、スピーカーからの声が、20秒ほど途切れた。
その間、僕は指や肩、首のストレッチをして体をほぐす。
普段からあまり運動をしていないので、かなりの関節が音を鳴らした。

ハインさんとクーさんがプレイしていた、XPのマインスイーパ画面が一旦暗くなる。
そしてすぐに、マインスイーパの表示が、僕の見慣れた表示に切り替わった。

「ゲームを開始しろ」

一手目、悩むことなく僕はクーさんが最後クリックした位置にあるマスを押した。
初級の9×9盤、その中心マス。
初手が地雷である確率は0だが、ここで土地が開けるかどうかはかなり大きい。

64 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:25:06.54 ID:yYIMITJi0
土地は、小さくだが、開いた。
空白マスは2マス。それを囲むように数字マスが10マス。
数字は「1」がほとんどだが、中には「2」もある。

( ^ω^)これならもう楽勝、だおね

从 ゚∀从(油断だけはするな、内藤)

これだけ開けば、十分だった。
はっきり言って、ここから失敗するのはよっぽどの初心者だ。
ルールと定石をある程度知っていれば、クリアできる。

初級ならば「不可予知」はほぼありえない。
このままいけば、81マス全てを開拓するのも難しくは無いだろう。

( ^ω^)(ちょっと、考えるかお)

プレイ中は、スピーカーからの声がほぼ無くなる。
クーさん自身が話しかけた時は返答があったが、ハインさんの時は邪魔してこなかった。

66 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:27:16.30 ID:yYIMITJi0
プレイを中断し、長考する。
他の8人のプレイについてだ。
いや、正確にはハインさんを除く7人について。

スピーカー男はハインさんのクリア後に「今はハインリッヒは選ばない」と言った。

ハインさんを連続指名して連続クリアされると、10人全員に回らない可能性が出る。
極端な話、ハインさん一人で10回連続指名・10回連続クリアだってあり得たのだ。

それを避けての発言だったと推察できる。
つまり、「10人全員に一度は回ってくる」と見て間違いないだろう。

僕らにプレイの順番を決めさせないことも、それを裏付ける理由になる。
僕らが自由に決めると、先ほどの例のように10連続クリアだって出てきてしまうからだ。

67 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:29:24.44 ID:yYIMITJi0
ここで僕がクリアすれば、未プレイ者7人+既クリア者2人で8回クリアすれば良い。

全員に1回はプレイさせるという推察が正しければ、次のようになる。
8回の内7回は未プレイ者のしぃさん、ドクオさん、モララーさん、ペニサスさん、ジョルジュさん、モナーさん、ショボン君の7人が一度ずつプレイ。

7人が全員無事にクリアすれば、残りは1回。
残り1回を、誰かがプレイする。
残るのはクーさんがクリアできなかった「初級」

その時の9人のクリア者の中の誰か一人が、二度クリアせねばならない。

( ^ω^)(しかも「残り1回」っていう数字は、未プレイ者7人が全員クリアできたらの話だお)

( ^ω^)(これ以上人が減るのは、いろんな面で辛いお)

69 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:32:21.71 ID:yYIMITJi0
これからまた人が減れば、一人一人のプレイ回数が増えてくる。
プレイ回数が増えれば、自然と死ぬ危険が大きくなる。

( ^ω^)まずは自分の役割をクリアすることだお

言葉に出ていたが、それに答える者は、誰もいない。
ふと後を見る。
誰もいないかのような錯覚に陥る。




そこには不安そうな顔で見つめてくるしぃさんや、震えているモナーさんが居た。
8人が、そこにはきちんといた。

( ^ω^)(良かったお……)

自分の脳内を駆けめぐった感情に、反応する。

「良かったお」…?
何が、「良かったお」なんだ?

自分一人だけがこんな目に遭っていないで、「良かったお」?
皆が巻き込まれていて「良かったお」?

僕は何を言ってるんだ

71 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:34:51.14 ID:yYIMITJi0
最低か、僕は。

無意識の思考は、本心。
最低だ、僕は。

(#^ω^)ああああーーーーーーーーーー!!!!もう!!!!
      最低だから!せめて、せめてクリアするんだおっ!!!

( ・∀・)(…冷静になれ。落ち着いてやれ!!)

('、`*川(普通にやればクリアできるけど……)

('A`)(どうしたもんかね、これは)

土地はほぼ開拓し、残っているのはあと少しだ。
旗も地雷の上に10ほど立てた。初級の地雷数と同じ数を、立てきった。
一度チェックしなおす。

旗は全て、正しい。
確認した。間違いない。
残ったのは3マス

残り3

残り2




73 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:37:18.13 ID:yYIMITJi0


「内藤ホライゾン。初級クリア、おめでとう」

まだ解放はされない。ハインさんの時に分かっている。

「残りは初級2回、中級3回、上級2回、オリジナル1回。合計8回だ」
「君らはまだプレイしていない者は7人、クリアした者は2人、合計9人」
「総プレイヤー数が、残り回数を上回ってるね」


「まだプレイして無い者には必ず一度はプレイしてもらうが、な」


やはり、推察は正しかったようだ。根拠の無い推察では無かった。
スピーカー男の発言とこの状況をよくよく考えれば、そういう結論には至る。

スピーカー男は、今まで明確にはそう言わなかった。
全員が1回は挑戦する必要がある、とは。
言わなかったが、皆は気づいていた。

この雰囲気で、そう察することができない方がどうかしている。

76 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:39:42.38 ID:yYIMITJi0
「不公平が出るといけないからね。君ら7人にも挑戦してもらうよ」

「下眉・苛猫・箱捨・古猫・長岡・鬱田、伊藤」

7つの苗字が言われた。
誰がどの苗字なのかは、「鬱田」が「ドクオ」さんだということしか分からない。

( ・∀・)そうか

(*;ー;)……やっぱりそうなのね

( ゚∀゚)やってやるよ!!!

反応はそれぞれだったが、7人とも「自分もやらねばならない」ことが分かっていたようだ。
僕はしぃさんとショボン君の間に座り、周りを見渡す。
皆、やはりストレスがたまっているように見える

78 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:41:46.82 ID:yYIMITJi0
左に座っていたショボン君が声をかけてきた

(´・ω・`)クーさんの添え書き……読みましたよ

( ^ω^)!

これは、僕とショボン君だけが知って良いことではない。
皆は既に僕とショボン君を取り囲むように、耳を傾けていた。

('、`*川 なんて書いてあった?

(´・ω・`)この薬の名前と効果、そして飲み方などです。

それを聞いて少しだけ気が抜けた。
僕らへのメッセージでも残しているのかと思っていたからだ。
もっとも、クーさんはこの部屋で何も書いたりしなかったから、それはありえないのだが。

( ・∀・)なんていう薬だい?

79 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:44:52.87 ID:yYIMITJi0
(´・ω・`)ヴィプクオリティ。
      使用目安は一日一錠。

( ´∀`)聞いたこと無い名前モナ…

僕も聞いたことのない名前だった。
モララーさんやドクオさんでさえも知らない風だった。

( ゚∀゚)あの姉ちゃんは薬の研究してるって言ってたな

薬の研究をしているなら、マイナーな薬も知っているだろう。
クーさんはどこかの大学の薬学部に行き、そのまま研究職についたのだろうか。
少なくとも僕ら素人よりは、かなり多くの薬を知っているはずだ。

(;´・ω・`)効果は、精神安定。と書いてあります

正式な書類では無く、クーさんのメモのようなものだから、細かい効能は書いていない。

('A`)精神安定剤……

(;´・ω・`)いくつか使われた後があります。
    日に1回しか飲めない薬らしいので、クーさんが日常的に使っていたのでは

日常的に使っていたのなら、クーさんがこんな薬を持っていた理由も分かる。

80 : ◆Dti7WkoCEo :2008/08/31(日) 01:46:27.32 ID:yYIMITJi0
( ゚∀゚)気が強そうだったが、精神安定剤に頼った上での強がりだったのかね?













クーさんは、どうしているんだろう

答えをこの目で確かめることはできないが、ここにいる9人は知っていた。


(続く)


第3話へ


HOMEに戻る ニュー速VIPのブーン系小説まとめ
Copyright © 2008 Boon Novel. All Rights Reserved.
inserted by FC2 system