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( ^ω^)ブーンはデジタルワールドを救う勇者のようです

第5話

2 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:05:38.74 ID:zIZkt3ZJ0
第五話 「敵現る」

これからどうしようか。
そんな気まずい空気が、四人の間に漂い始めた。

とりあえずこの川を渡らなければならない。
そして川を渡るには……

( ,,゚Д゚)「シーラモンなら……なんとかしてくれると思うぜ」

( ^ω^)「シーラモン?」

ξ゚听)ξ「まぁ名前で推測するなら、シーラカンスみたいな奴なんでしょ」

从'ー'从「ん〜多分そんな感じかな」

( ,,゚Д゚)「シーラモンなら俺達を向こうまで泳いで渡してくれるぜ。会いに行こう」

そう言うがいなや、アグモンが何処かへ歩き始める。

( ^ω^)「ちょまwwww何処に行く気だお?」

( ,,゚Д゚)「どこって、シーラ岬に決まってんだろ」

3 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:06:14.16 ID:zIZkt3ZJ0
ξ゚听)ξ「あんたね、全員が全員この辺の事情を把握しているわけないじゃないの
     あたしやブーンなんてデジタルワールドの北も南もわかんないのよ」

( ,,゚Д゚)「うるへーな。黙ってついて来いよ」

ξ゚听)ξ「あんだと蜥蜴!」

( ,,゚Д゚)「俺は恐竜だ!」



言い争いを始めるツンとアグモン。
ブーンは思わず呟かずにはいられなかった。

( ^ω^)「あの二人は本当に相性が悪いお」

しかしテリアモンに言わせれば、

从'ー'从「そ〜かな、私は結構仲が良いと思うなぁ」

( ;^ω^)(まぁ似たもの同士ではあるかもしれないお……)

とりあえず言い争うツンとアグモンは放っておいて、
ブーンとテリアモンは一足先に、シーラ岬へと向かうことにした。

4 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:08:43.19 ID:zIZkt3ZJ0

ほどなくして、ブーンとテリアモンはシーラ岬へと舞い戻ってきた。

完全に昇りきった太陽が、海面を照らし
その光が反射して、海を白銀に光らせる。

( ^ω^)(デジタルワールドも現実世界と変わらない自然現象があるみたいだお……)

从'ー'从「え〜と、シーラモンさんはやっぱり海の中にいるのかなぁ?」

( ^ω^)「いや、僕に聞かれても知らんお」

从'ー'从「あ、そうだったねぇ」

从'ー'从「シーラモンさんは夜型の生活しているから、夕方にならないといないんだよねぇ」

( ^ω^)「ちょwwwwwwそういうのは先に言うおwwwww」

ξ゚听)ξ「はぁ? シーラモンとかいう奴っていないの?」

( ;^ω^)「い、いつのまに!」

振り返るといつのまにか、そこにはツンがやたら偉そうに立っていた。
その後ろにはアグモンもいる。

( ,,゚Д゚)「そういえばシーラモンは夕方にしかいないんだっけか」

ξ゚听)ξ「関係ないわ。叩き起こしましょ」

5 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:09:40.93 ID:zIZkt3ZJ0
( ;^ω^)「ちょまwwwwwwww」

叩き起こすのはちょっとまずいのではないだろうか。

そう思ってブーンは、ツンを止めようとしたが、
時既に遅し。
既にツンは、海に向かって大量の石を投げ込み始めていた。

ξ゚听)ξ「おら!起きなさい、シーラモン」

ツンは足元の小石を拾っては投げ、拾っては投げ、
とどめに両手一杯に抱えた、巨大な石を海に投げ込んだ。

反応はすぐに起こった。
突然海の底から叫び声が聞こえた。

「デストラクティブスピア!」

と同時に海面から何かが急に飛び出し、ツンの頬を掠めた。

ξメ゚听)ξ「!!!」

ツンの頬から一筋の血が流れる。

从'ー'从「あらら、おっこらっせたぁ〜」

そして海面に、一匹のデジモンが姿を現す。

彡♯゚ -゚)「だれじゃ! 石を投げ込んでおる不届き者は!」

6 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:13:19.49 ID:zIZkt3ZJ0
おそらくこのデジモンがシーラモンなのだろう。
全身が堅く白い鱗に覆われ、一見魚類にも見えるが、
その発達した手足、特に鋭い爪を持った体は、爬虫類をも思わせる。
まさしくその名の通り、シーラカンスのようなデジモンだ。

ξメ゚听)ξ「そっちこそなによ!血ぃ出たじゃない!どうしてくれんのよ」

彡♯゚ -゚)「なんじゃ、人の住処に石を投げ込みおって!」



( ;^ω^)(こんな感じでシードラモンも怒らせんだろうお……)

まぁ大体予想通りに展開で、ツンとシーラモンは口喧嘩を始めてしまった。
もう既に十分機嫌を損なわせてしまっているが、それでもこれ以上機嫌を損なわせると
向こう岸まで渡してもらえなくなるかもしれない。
そう判断したテリアモンとアグモンは、すぐさま仲裁に入る。

( ,,゚Д゚)「二人ともやめれって、特にツン」

从'ー'从「喧嘩は駄目なんだよぉ」

ξメ゚听)ξ「蜥蜴は黙ってろ!」

彡♯゚ -゚)「悪いのはこの女じゃ、口出しは無用じゃ」

どうも両者共に、おさまりそうには無い。

从'ー'从「う〜んどうしようかぁ」

7 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:14:28.45 ID:zIZkt3ZJ0
( ;^ω^)「でもどう考えても悪いのはツンだお」

( ,,゚Д゚)「だよな。よし」

何故か一人で納得するアグモン。
するとアグモンは、すぐさま行動に出た。

( ,,゚Д゚)つ♯)゚听)ξ グシャ……

ξ♯゚听)ξ「蜥蜴ぇぇ……後で絶対殺す……」

ツンはその場で崩れ落ちた。
ブーンは支えようとしたが、やっぱりよそうと思い直しそのままにしておいた。

ドサリと音を立てて、ツンは砂浜に倒れた。

まぁ特に怪我は無いだろうし、良い薬になっただろう。

( ,,゚Д゚)「とまぁ阿呆は黙らせておいたので、シーラモン、折り入ってお願いが……」

彡゚ -゚)「いやじゃ」

即答だった。

从'ー'从「なんでですかぁ?」

彡゚ -゚)「そこの馬鹿に叩き起こされて、わしは猛烈に機嫌が悪いのじゃ」

ξ♯--)ξ←そこの馬鹿

9 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:20:45.84 ID:zIZkt3ZJ0
その言葉の通り、言葉の一つ一つから不機嫌さがひしひしと伝わってくる。

( ;^ω^)「デジタルワールドを救うと思って一つ協力お願いできませんかお?」

ブーンが恐る恐る尋ねてみる。
するとシーラモンは、はっとしたような顔をして。

彡゚ -゚)「んぁ、よく見るとお主らテイマーとそのパートナーデジモンか? 人間がおるようだが」

( ;^ω^)(あんたはさっきまで人間と喧嘩していたというのに、
       今頃気づいたと言う気かお……)

( ,,゚Д゚)「そうなんだよ、俺達はムゲンドラモンを倒すためにも、向こう岸にわたらなきゃいけないんだ」

これはチャンスとばかしに、必死にお願いするアグモン。
その必死さに、いくぶんかシーラモンも心を動かされたようだ。

彡゚ -゚)「わしとしても、そういう事情ならばすぐにでも力を貸したいところじゃが……」

シーラモンの視線がツンに注がれる。

( ^ω^)「ツン置いてけばいいんじゃne?」

( ,,゚Д゚)「ナイスアイディア」

从'ー'从「いやぁ、それじゃあ私が結構困るんだけど〜」

彡゚ -゚)「とにかく、わしはこの女に一切協力はせん!」

シーラモンが力強く言い放つ。

10 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:25:14.11 ID:zIZkt3ZJ0
( ,,゚Д゚)(シーラモンは変に頑固だからなぁ……)

( ^ω^)(ツンは本当にろくなことしないお……)

从'ー'从「シーラモンさん、そこをなんとかお願いできませんかぁ?」

彡゚ -゚)「ぬぅぅ……」

またもシーラモンの心が動く。

从'ー'从(みんな、シーラモンは若者に弱いんだ。みんなで拝み倒そう)ヒソヒソ

( ^ω^)(そ、そうなのかお?)ヒソヒソ

( ,,゚Д゚)(ああ、結構有名な話だ)ヒソヒソ

( ^ω^)(よし、それじゃあ……)

( ^ω^)「シーラモン、そこをなんとかお願いしますお」

( ,,゚Д゚)「頼みますよ。シーラモン」

从'ー'从「ねぇ、シーラモンさん」

全員(ツン以外)による一斉攻撃。
これにはさすがのシーラモンも折れたようだ。

彡゚ -゚)「よし、じゃあこうしようじゃないか。
    わしは今ブルーリンゴが猛烈に食べたいんじゃ。
    ブルーリンゴを1ダース持ってくれば、向こう岸まで運んでやろう」

12 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:26:17.38 ID:zIZkt3ZJ0
( ,,゚Д゚)「やった!」

从'ー'从「ありがとうシーラモンさん!」

( ^ω^)「……」

( ;^ω^)(ここにきてお使いイベントかお……)

そのとき、突然背後からツンの声が聞こえてきた。

ξ♯゚听)ξ「持って来いってあんた何様の……」

どうやらついさっき目が覚めた様だ。
しかし、そんなことよりも

( ,,゚Д゚)(まっ……)

从'ー'从(不味いぃぃ!)

ここでツンがまたシーラモンの機嫌を損ねたら、もう絶対に向こう岸に渡してもらえない。
全員に緊張が走った。そのとき!

( ;^ω^)つ♯)゚听)ξ アベシッ……

ξ♯゚听)ξ「こんの野郎が……」

またもツンはその場で倒れるはめとなった。

( ;^ω^)「ささ、とまぁそんなわけでみんな、ブルーリンゴ探しに行くお」

13 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:28:54.08 ID:zIZkt3ZJ0
彡゚ -゚)「頼んだぞぉ」

ブーン達は、ツンを引きずりながら逃げるようにシーラ岬を後にした。



それから数十分後のまよわずの森。

ブーン一行は、黙々と各自ブルーリンゴ探しをしていた。
もっとも一人だけ何やらブツブツと呟く者がいた。

ξ♯゚听)ξ「なんであたしがこんなことを……」

慣れない手つきで、茂みを掻き分けブルーリンゴを探す。

なんでもこの世界ではリンゴは地面に落ちているものらしい。
なんだか腑に落ちない話だ。

そんなことを考えながら作業をしていたら、突然手に痛みが走る。
どうやら葉で手を切ってしまったようだ。

ξ♯゚听)ξ「ああもう! 最悪だわ! どうしてあたしもこんなことしなきゃいけないのよ!」

( ,,゚Д゚)「うっせーぞ。黙って探せやゴルァ」

15 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:37:14.91 ID:zIZkt3ZJ0
ξ♯゚听)ξ「あんたはいちいちうっさいのよ!」

(,,゚Д゚)「ぁんだとこのお嬢様よぉ!」



( ;^ω^)「あの二人はどうにかならないのかお?」

突如始まった喧騒に、思わずブーンは手を休めた。

ツンとアグモンの方を見ると、既に二人は取っ組み合いの喧嘩を始めていた。
ツンは全力でアグモンを殴っているようだが、
アグモンは相手が人間であることを考慮して、手加減しているように見える。

从'ー'从「喧嘩するほど仲が良いっておばあちゃん言ってた」

( ;^ω^)「まぁそうとも言うかもしれないお……」

実際喧嘩中の二人は、なかなか楽しそうにも見える。
しかしいつまでも喧嘩したままでは、全く先には進めない。

( ;^ω^)「二人ともその手は殴ることよりも探すことに向けてくれないかお?」

(,,゚Д゚)「おう、そうだったな。わりぃわりぃ」

16 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:37:53.73 ID:zIZkt3ZJ0
ξ♯゚听)ξ「なんであたしが、あんたの指図を受けなきゃいけないのよ!」

(,,゚Д゚)「っていいながら、なんですごい勢いで働き始めてんだよ」

       バキ
ξ♯////)ξつ♯),,゚Д゚)
「ぅっさい!」

从'ー'从「楽しそうだなぁ」

( ;^ω^)(そうかな……?)


ξ゚听)ξ「にしてもブルーリンゴなんてどこにあるのかしら?」

気を取り直して、ブルーリンゴを探す作業に戻るツン。
草を掻き分けると、目の前に奇妙な生物を発見した。

(Z▲Z)「ん?」

ξ゚听)ξ「……」

巨大芋虫。
しかも黄色と青の体色が毒々しさを増し、生理的嫌悪感を掻き立てる。

ξ゚听)ξ「ぎゃゃゃゃ!!!死ね!氏ね!市ね!」

(Z▲Z)「あた!痛い!痛い!グーはやめて!」

その悲鳴を聞いて、アグモンが駆けつけてくる。

17 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:44:58.42 ID:zIZkt3ZJ0
(,,゚Д゚)「どうした!?ってお前はあのクネモン!この間はよくも!」

すぐさまアグモンもツンに加勢する。

(メメZ▲Z)「ちょwwwwwやめwwww痛いwww」



( ;^ω^)「さっきから騒がしいけど、どうしたっていうんだお?」

この騒ぎに、ブーンとテリアモンも駆けつける。
するとそこには、二人から一方的に攻撃を喰らっているクネモンの姿がいた。

(,,゚Д゚)「ブーン!良いとこに来た!今すぐ進化だ!こいつにトドメを刺すぞ!」

(メメメメメZ▲Z)ピクピク……

( ;^ω^)「どう考えてもお前らが悪役だと思うお……」

(,,゚Д゚)ξ゚听)ξ「え?」

確信犯って怖いな。
と思うブーンであった。

从'ー'从「この芋虫もう死んでるんじゃないかなぁ」

さらりと物騒なことを言ってのけるテリアモン。

从'ー'从つ肉「ほらぁ、この肉でもたべなよぉ」

18 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:46:35.33 ID:zIZkt3ZJ0
テリアモンが優しく肉をクネモンに与えようとする。
しかし、強引に肉を口の中に押し込もうとするあたり、悪意があるのではと勘ぐってしまう。

(メメZ▲Z)「おお……ちょっと元気出てきた……」

クネモンの体に力がちょっとだけ戻ってきたようだ。
先ほどまで死体のようにぐったりしていたが、よろよろとだが体を持ち上げた。

(,,゚Д゚)「さて、もうこいつのことは放っておいてブルーリンゴ探そうぜ」

当の加害者であるアグモンは、自分は何もしていませんでしたといった感じで、
早速捜索に戻ろうとする。それをクネモンが引き止める。

(メメZ▲Z)「ちょ……ちょっと待ってくれ!」

(,,゚Д゚)「ん?」

一瞬歩みを止める。
そしてクネモンが、次の一声を吐こうと息を吸った。
そこで

(,,゚Д゚)「はい、ちょっと待ったー。行こ行こ」

(メメZ▲Z)「ええええ!!」

( ;^ω^)「いや、ちょっとは話は聞いてあげようお」

19 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:51:03.30 ID:zIZkt3ZJ0
(メメZ▲Z)「ありがとう……実はお前達に頼みたいことがあるんだ」

( ;^ω^)从'ー'从(,,゚Д゚)「えええええ!やなこった!」

ξ゚听)ξ「うぇ……」

(メメZ▲Z)「……」




クネモンの話とはこうだ。
なんでも最近クワガーモンの様子がおかしいというのだ。

焦点の定まらない虚ろな眼をぎょろつかせ、
ふらふらと夢遊病者のように辺りを彷徨い歩いているというのだ。

(,,゚Д゚)「鬱病か……?」

(メメZ▲Z)「鬱病なんかじゃねぇ! あの黒い歯車が兄貴をおかしくしやがったんだ!」

ξ゚听)ξ「黒い歯車? なにそれ?」

20 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:51:33.71 ID:zIZkt3ZJ0
(,,゚Д゚)「さぁ……聞いたことねぇな」

(メメZ▲Z)「と、とにかく!あんた達に兄貴を元に戻して欲しいんだ!」

ξ゚听)ξ「駄目ね。パスパス。あたし達は先急いでるし、
     ブーン達の反応を見る限り、あんたは敵サイドでしょ?」

(メメ;Z▲Z)「確かにそうだけど……
      でもさ、あんた達はブルーリンゴを探しているんだろ?」

クネモンが不敵な笑みを浮かべる。

( ^ω^)「その笑みは……まさか!」

ブーンは直感する。
間違いなくクネモンは、取引をしようとしている。

(メメ;Z▲Z)「クネモン族のみが知るブルーリンゴの穴場があるんd……」

クネモンは最後まで喋ることが出来なかった。
ツンに胸ぐら……らへんを掴まれたからだ。
実際クネモンの胸ぐらが何処にあるのかはよくわからない。

ξ゚听)ξ「そんなとこ知ってんならさっさと言いなさい!さあ吐け!吐け!」

21 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:53:09.48 ID:zIZkt3ZJ0
クネモンはツンによってメトロノームのように激しく前後に揺らされる。
それを見てアグモンも加勢に入る。

(,,゚Д゚)「それ、吐かぬとこうだぞ!」

アグモンは左手でクネモンの胴体を掴んで動けなくし、
右手でくすぐり攻撃を始めた。

(メメ;Z▲Z)「ウヒャ、ウヒャヒャヒャちょwwwwwやめwwwwアッヒャヒャ」

ξ゚听)ξ⊂二二二( ;^ω^)二⊃(,,゚Д゚)「二人ともやめwwwww」

すかさず止めに入るブーン。

( ;^ω^)「良いお。引き受けたお」

(,,゚Д゚)「何言ってるんだブーン!こいつは敵だぞ!」

ξ゚听)ξ「そうよ!今殺らずにいつ殺るのよ!」

( ;^ω^)「昨日の敵は今日の友だお!それに僕としても困ってる人は助けたいお」

ブーンはきっぱりと言い放つ。

(,,゚Д゚)「……なんて良い奴なんだ……なんか目から変な汁が……」

ξ゚听)ξ「ま、まぁそこまで言うんなら言うとおりにするわよ……」


22 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:53:51.06 ID:zIZkt3ZJ0
みながブーンを尊敬の眼差しでみつめる。
それを見てブーンも何かがこみ上げてきた。

( ^ω^)「みんな……」

(,,゚Д゚)ξ゚听)ξ「ブーン……」






从'ー'从「まぁあの人達は置いといて、早速クワガーモンのとこに案内して貰えるかなぁ?」

(メメ;Z▲Z)「あ、ああ。」



( ^ω^)「あれ? テリアモンとクネモンはどこに行ったお?」

(,,゚Д゚)ξ゚听)ξ「あれれぇ〜?」


23 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:58:19.85 ID:zIZkt3ZJ0


そんなこんなで二人と三匹は、まよわずの森のはずれにやって来た。

(Z▲Z)「ほら、あれが兄貴だ」

クネモンが頭を使って、ある方向を指す。
そこには、木の幹に寄りかかって昼寝をするクワガーモンの姿がいた。
口は半開きでだらしなく緩み、全身の力が抜けているように見える。

しかしそれとは裏腹に、その眼だけは妙な力が宿っていた。
視るもの全てを萎縮させる邪眼……

ブーンはその眼をみて身震いを起こした。


(Z▲Z)「あれだよ。あれがきっと兄貴をおかしくしたんだ」

言われなくてもわかっていた。

クワガーモンの頭には、何か禍々しさを感じさせる、
漆黒の光沢を放つ、歯車が突き刺さっていた。

  卍 ←
(Z{}Z)ZZzz……

ξ゚听)ξ「なによあの悪趣味な、黒い歯車は」

25 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 21:59:16.32 ID:zIZkt3ZJ0
(Z▲Z)「わからん。いつのまにか兄貴に刺さっていたんだ……」

(,,゚Д゚)「まぁあれが原因で間違いないな……よし、ブーン行くぞ!」

アグモンが勇んで前にでる。
テリアモンもその後に続く。

从'ー'从「よぉし、さくっとあの歯車を破壊しよぉ〜」

ξ゚听)ξ「案外簡単にかたがつきそうね」

ブーンとツンはデジヴァイスを取り出す。
二人が心で強く念じると、すぐにデジヴァイスは光輝き始めた。

( ^ω^)つ(+□::)「アグモン進化だお!」

ξ゚听)ξつ(+□::)「テリアモン進化よ!」

デジヴァイスから光が解き放たれ、テリアモンとアグモンを包む。

(,,゚Д゚)「アグモン進化ぁぁぁぁ!」

(   )カッ

  △
( ,,゚Д゚)「グレイモン!」

26 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:00:29.20 ID:zIZkt3ZJ0
从'ー'从「テリアモン進化〜〜!」

(   )カッ

⊂□从'ー'从□⊃「ガルゴモン!」

光の中から、一匹の恐竜と一匹の獣が姿を現す。

( ^ω^)つ「さくっとあの歯車をぶち壊すお!」

  △
( ,,゚Д゚)「よっしゃー!メガフレイム!」

⊂□从'ー'从□⊃「ガトリングアーム!」

灼熱の火炎球と高速の弾丸が撃ちだされ、まっすぐにクワガーモンへ襲う。

しかし、その行く手を阻むものが突然現れた。

突如一つの影が、クワガーモンの前に立ち塞がり二匹の攻撃を受け止めた。
爆発が発生し、白煙が立ち昇り視界が利かなくなる。

「うふふ……駄目じゃないのよ、もっと楽しまなきゃ☆」

  △
( ,,゚Д゚)「だ、だれだそこにいるのは!」

アグモンが煙の中の者に向かって怒鳴る。
返事は風と共に返ってきた。
一際強い風が吹き、煙を吹き飛ばしその者の姿をあらわにする。

28 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:03:15.47 ID:zIZkt3ZJ0
(▼皿▼)「あちしの名はエテモンキーことエテモンよぉ♪」

白煙の中から姿を現したのは、一匹の黄色猿だった。
しかもその猿。目には濃い黒のサングラスをかけ、手にはステージマイクまで持っている。

  △
( ,,゚Д゚)「……」

⊂□从'ー'从□⊃「……」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「……」

その姿を見てブーン達は言葉を失ってしまった。

黙ったままのブーン達を見て、
何を勘違いしたのか、エテモンはにやりと口元を歪める。

(▼皿▼)「あららぁぁ〜? 驚きのあまり声も出ないのかしら☆」

  △
( ,,゚Д゚)「変態だ……」

⊂□从'ー'从□⊃「変態だ〜」

( ^ω^)「変態だお」

ξ;゚听)ξ「変態だああああああああああああああああああ!!!!!!」

一際高いツンの叫び声がまよわずの森の木々を揺らした。

30 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:03:54.60 ID:zIZkt3ZJ0
エテモンが怒りで頭のちょっぴり出っ張った部分をぷるぷると揺らす。

叫ぶ。

(♯▼皿▼)「ウキィーッ!あちしは変態呼ばわりされるのが一番嫌いなのよ!」

エテモンは乱暴にマイクを口元によせ、ブーン達を指差し、叫んだ。

m9(▼皿▼)「まだ命令が出てないから見逃してあげようかと思ったけど、
      クワガーモンちゃん! やっておしまいなさい!」

  卍 
(Z{}Z)「グガーッ!」

クワガーモンが起き上がった。
と同時に黒い歯車が高速回転を始める。

すると黒い歯車から黒い霧状の物体が流出し始め、クワガーモンを包み込んだ。

m9(▼皿▼)「テイマーどもをメタメタにしておやり!」


  卍
(■■■)ボワッ

   卍 
(灰Z{}Z)「グギャァァァァ!」

31 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:05:33.79 ID:zIZkt3ZJ0
黒い霧の中から、一体の巨大なクワガタ虫が現れる。
クワガーモンが赤と黒の荒々しい体色をしているのに対し、
こいつは灰色と暗い赤色の配色の体を持ち、
より凶暴そうな外見をしている。

  △
( ,,゚Д゚)「こ、こいつは……オオクワモン!」

⊂□从'ー'从□⊃「ちょっと不味いかもねぇ……」

二匹の間にも緊張が走る。

一方緊張感に欠ける二人。

( ^ω^)「お? なんか灰色になったけどなんか不味いのかお?」

ξ;゚听)ξ「あ、あたしに聞かれても知らないわよ!」

そんな二人に、クネモンが叫ぶ。

(Z▲Z)「不味いってもんじゃねぇーよ! オオクワモンは完全体デジモンだぞ!」

( ;^ω^)「え?」

ブーンは、そういえばとメラモンの言葉を思い出す。

たしかメラモンは成熟期の次は完全体だと言っていた。
成熟期のクワガーモンが、一回進化すると……
なるほど完全体になる。


33 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:07:21.96 ID:zIZkt3ZJ0
んでもってこちらは……
成長期の次が成熟期。
二匹とも一回進化したから成熟期。
うん。レベルが一つ違うな……

( ゚ω゚)「不味いじゃないですかお!!!」

ξ;゚听)ξ「え?ちょっと待って。あたしまだわからない」

(;Z▲Z)「つまりあえてポケモンで例えるなら、20レベくらいの差があるんだよ!」

ξ゚听)ξ「へぇ……」

ξ;゚听)ξ「ってえええええ!!!!!」

(;Z▲Z)(あ、ポケモン知ってたんだ……)




   卍 
(灰Z{}Z)「グギャーーー!」

オオクワモンの咆哮が響く。

ギチリギチリと巨大な顎を擦り合わせる。
これから鋏み、切り潰す得物を求め、擦る。


34 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:07:59.44 ID:zIZkt3ZJ0
  △
( ,,゚Д゚)「でも勝てない相手じゃない!行くぞ!」

⊂□从'ー'从□⊃「あいよぉぉ!」

グレイモンとテリアモンが二手に分かれ、オオクワモンを間に挟む。

  △
( ,,゚Д゚)「どすこーい!」

グレイモンが真正面からオオクワモンにぶつかる。
オオクワモンも、グレイモンの手を手で受け止める。

衝撃で両者の足元の草が千切れ、飛ぶ。

  △
( ,,゚Д゚)「く、くそっ!なんて馬鹿力だ……」

一瞬対等な押し合いにも見えたが、その拮抗はすぐに破られた。
オオクワモンが圧倒的な力でグレイモンを押す。

グレイモンも必死に足を踏ん張るが、地面を抉るだけだ。

(▼皿▼)「あははははは!オオクワモンちゃんの力を甘くみないで貰いたかったわね!」

エテモンが高らかに叫ぶ。

ξ゚听)ξつ「援護よ!ガルゴモン」

⊂□从'ー'从□⊃「あいさ!ガトリングアーム!」

35 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:08:50.76 ID:zIZkt3ZJ0
グレイモンと取っ組み合いになり、オオクワモンは満足に動けない。
そこでガルゴモンが素早く背後に回り、ガトリングアームを打ち込む。

   卍 
(灰Z{}Z)「グギャー!」

ガトリングアームから撃ちだされた高速の弾丸がオオクワモンの甲殻に当たる。

その殆どは頑強な甲殻に、弾き返されるだけだ。

しかしそれでもダメージは大きいらしく、オオクワモンが悶え滅茶苦茶に体を動かす。
その拍子に、軽々とグレイモンは吹き飛ばされた。

  △
( ,,゚Д゚)「うぁたぁ!」

土と葉を散らし、グレイモンが地面を転がる。

   卍 
(灰Z{}Z)「ギチギチギチギチ……」

妙な異音が響く。
オオクワモンがその巨大な顎を擦り合わせて音を鳴らしているのだ。

そして吹き飛ばしたグレイモンには目もくれず、
ゆっくりと新しい得物――ガルゴモンの方へ振り返る。

⊂□从'ー'从□⊃「あれれ〜?もしかして怒ってるのかなぁ」

(▼皿▼)つ「さぁオオクワモンちゃん! 進化して手に入れた力をみせておやり!」

36 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:09:28.81 ID:zIZkt3ZJ0
   卍 
(灰Z{}Z)「シザーアームズΩ!」

オオクワモンの羽が大きく展開される。
その巨大な顎を鳴らし、眼球をギョロリと動かしガルゴモンを捉える。
そして地面を蹴った。

   卍 
(灰Z{}Z)「グガアアアアァァァァ!」

空気を揺らし、
風を切り裂き、
まっすぐにガルゴモンへと吶喊する。

⊂□从'ー'从□⊃「あれれ? 早いよぉぉ」

あまりのスピードに、ガルゴモンは反応が遅れた。

気がついたら目の前にするどい棘の付いた顎が迫っていた。

⊂□从'ー'从□⊃「せいやぁぁ」

ガルゴモンは体を落とし、突っ込んでくるオオクワモンの下を潜り抜けようとした。
しかし巨大なガトリングアームが引っかかる。

金属のひゃしゃげる、ゴキャリとすさまじい音が鳴った。

後にはガトリングアームを片方失ったガルゴモンが残った。


37 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:10:09.73 ID:zIZkt3ZJ0
⊂□从'ー'从⊃「あれれ〜私のガトリングアームが無いよぉ」

ガルゴモンは余裕を持った口調で話すが、
流石に表情には、驚きを隠せないようだ。

(▼皿▼)「余裕こいてられるのも今のうちよ☆オオクワモンちゃん。
     そろそろ本気を見せておやり!」

( ;^ω^)「ほ……本気!?」

今までの攻撃ですら手を抜いていたというのか……
一同に戦慄が走る。

いや、一人まったく空気の読めない者がいた。

ξ゚听)ξ「何よ、本気なんて最初っからみせなさいよ。余裕こいてんのはそっちじゃないの!」

(▼皿▼)「生意気な女ねぇ。いいわ、オオクワモンちゃんの本気をとくとみなさい!」

   卍 
(灰Z{}Z)「アガガガガガガガ!!!!!!」

耳を劈くような叫び。
そしてオオクワモンはまたも羽を広げ、飛んだ。

そしてその姿が霞み始める。
速すぎるのだ。

39 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:11:18.68 ID:zIZkt3ZJ0
  △
( ,,゚Д゚)「っておい!早いってレベルじゃねーぞ!」

あたりを異常なほど大きい羽音が支配する。
高速のスピードで飛ぶことによって、自身の姿をみえづらくし、
さらには羽音で聴力を奪い、相手の感覚器官を殺す。

衝撃波こそ出ないものの、パロットモンのソニックデストロイヤーの数倍性質が悪い。

  △
( ,,゚Д゚)「そこだ!グレートアントラー!」

グレイモンがなんとかオオクワモンを捉え、体当たりをぶちかます。

しかし

逆に高速でこちらへ向かってくるオオクワモンに弾き飛ばされる。

グレイモンはそのまま周囲の木々に突っ込んだ。
木が押し倒され、葉が舞い落ちる。

   △
( メメ,,゚Д゚)「くそぅ、完璧力負けしてるぞゴルァ」

グレイモンが苦しそうに呻く。
今ので大分傷を負ってしまったようだ。
起き上がろうと足に力を入れるが、グレイモンは起き上がるが出来なかった。

40 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:11:51.82 ID:zIZkt3ZJ0
   △
( メメ,,゚Д゚)「くそ……力がはいらねぇ」

( ;^ω^)「グレイモン!」

⊂□从'ー'从⊃「あ!危ない!」

( ;^ω^)「うぉ!」

ガルゴモンがブーンに向かって叫ぶ。

すぐさま後ろを振り返るブーン。

そこには……

   卍 
(灰Z{}Z)「アガガガガガガガ!!!!!!」

眼前に迫るオオクワモンの姿が……

そしてオオクワモンはブーンの視界を覆いつくし……そして

41 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:12:19.05 ID:zIZkt3ZJ0



ξ゚听)ξ「だああぁぁぁぁ!!」

オオクワモンの鋏みがブーンを二分割するよりも一歩早く、
ツンがブーンに飛び掛り、押し倒す。

オオクワモンは空を切り、その勢いでそのまま林へと身を投げ込む羽目となった。

ブーンはツンに潰されているため、その瞬間を見ることが出来なかったが、
それでも木々を薙ぎ倒す轟音は、ブーンを震え上がらせた。

もしツンが助けてくれなかったら、自分もあの木々のようになっていたかもしれないのだ……

ξ♯゚听)ξ「何戦闘中にボサッと突っ立ってんのよ!」

恐ろしい剣幕で怒鳴るツン。
これは相当怒っている。

しかし口下手なブーンには、気の利いた弁解が出来ない。

( ;^ω^)「い、いや……テイマーへのダイレクトアタックは禁じ手かと……」

42 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:13:19.31 ID:zIZkt3ZJ0
ξ♯゚听)ξ「この期に及んでなにゲームの話しているのよ!」

( ;^ω^)「あうあう……」

正直ツンの言葉は、ブーンの胸に深く突き刺さった。

確かに自分は、今までこのデジタルワールドを、
すごいリアルなゲーム程度にしか認識していなかったのかもしれない……

考えて見れば、この世界で死んだら一体どうなるのだろうか……

ふとよぎる不安。

その不安という暗雲は、すぐさまブーンの心の空にたちこめ、
あっというまに覆ってしまった。

( ;゚ω゚)「……怖いお……」

ξ゚听)ξ「ブーン……」

ツンがすくりと起き上がり、ブーンを見下ろす。
ツンは今まで見せたことの無い、優しい目をしていた。

しかしツンはその表情のまま、乱暴にブーンの胸ぐらを掴む。
ブーンを無理矢理起こす。
そして額と額がぶつかりそうなまでに近づけ、言った。

ξ゚听)ξ「怖気づいたのなら下がってて。邪魔よ」

43 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:14:18.07 ID:zIZkt3ZJ0
( ;゚ω゚)「僕は……デジタルワールドを……」

救う。

言えない。

喉まで出掛かっているのに……言えない。

怖い。

恐ろしい。

ξ゚听)ξ「まぁいいわ、闘う気が無いなら巻き添え喰らわないように端に寄ってなさい」

ツンは手をブーンの胸ぐらから、突き放すように離した。

ξ゚听)ξ「行くわよ! ガルゴモン!」

⊂□从'ー'从⊃「よっしゃ! まかせて!」

オオクワモンが再度突進をしてくる。
それをガルゴモンは、ガトリングアームを突き出しくいとめる。

ガツンと、金属と金属がぶつかる凄まじい音が響く。

⊂凹从'ー'从⊃「あ、やばい」

ガルゴモンの小さな呟きは、オオクワモンの雄叫びに掻き消える。
オオクワモンはガトリングアームを顎でしっかりと挟み込む。
メシャリと音を立てて、ガトリングアームが半壊する。

44 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:14:53.41 ID:zIZkt3ZJ0
そしてそのまま顎を上に上げる。

ガルゴモンの体が宙に浮く。

そして、投げた。

⊂凹从'ー'从⊃「おわっ」

放物線なんてものは描かない。
直線的にビュワリと投げられる。

そして吹っ飛ばされた先には

   △
( メメ,,゚Д゚)「ちょwwwwwこっち来んじゃねぇ!」

そこには倒れたままのグレイモンが居た。

   △
( メメ,,゚Д゚)⊂凹从'ー'从⊃「うぎゃ!」

ガルゴモンが猛スピードでグレイモンにぶつかった。
ガルゴモンもそれなりの体格があるため、結構なダメージが加わる。

   △
( メメ,,゚Д゚)⊂凹从'ー'从⊃「イテテテテ、ってうぁ!」

45 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:15:30.19 ID:zIZkt3ZJ0
すぐさま起き上がろうとする二匹。
ふと見上げると、既にオオクワモンがこちらに突っ込んでくるのが見える。

どう考えても間に合わない。

今度こそ間に合わない。

ガトリングアームも壊された今、防ぐ手立ても無い。
万事休す。

オオクワモンが迫る。

そして……ぶつかる! その寸前!

   卍 
(灰Z{}Z)「アガッ!」

突然オオクワモンが、見えない壁にぶつかったかのように、空中で止まった。

いや、正確には蜘蛛の巣状に張り巡らされた細い電気の糸によって突進を阻まれたのだ。

   卍 
(灰Z{}Z)「ギ……ギギッギッ……」

オオクワモンは電気の糸から抜け出そうとするが、それはかなり丈夫らしく、
なかなか破ることが出来ない。

(▼皿▼)「ウキッー! 誰よ、良いとこで邪魔する空気の読めない子は!」

46 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:16:10.50 ID:zIZkt3ZJ0
(Z▲Z)「悪かったな! 空気が読めなくて!」

クネモンがオオクワモンの前に立ち塞がる。

そして、そのままエテモンの方へと向き、ビシリと言う。

(Z▲Z)「兄貴を元に戻すためだったらなんだってするぜ!」

(▼皿▼)「成長期の分際でぇ〜……生意気な奴は」

エテモンがクネモンに向かって跳躍する。

(Z▲Z)「え……?」

一瞬にして間合いを詰める。
クネモンは声を出すのが精一杯で、それ以外の何も反応をすることが出来なかった。

(▼皿▼)「嫌いなのよっ!」

エテモン必殺のグーパンチが、クネモンの顔面を襲う。

(メメZ▲Z)「グァッ!」

クネモンが倒れる。
ただの拳とはいえ、成長期と完全体にはとてつもない力の差があるのだ。

エテモンは地面に倒れたクネモンを、足で踏みつける。

47 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:16:36.54 ID:zIZkt3ZJ0
   △
( メメ,,゚Д゚)⊂凹从メメ'ー'从⊃「ク、クネモン!」

二匹が呻く。
クネモンを助けようと体を叱咤するが、動けない。

(▼皿▼)「オオクワモンちゃん! まだその網は破れないの!」

   卍 
(灰Z{}Z)「ギ……ギギッギッ……」

オオクワモンは呻くだけだ。
体にはまだ何本もの糸が絡み付いている。
もっとも、既に破った糸もまた、体の下にパラパラと落ちている。

(▼皿▼)「まだかかりそうわね……
     まぁいいわ、この芋虫は私が片付けてあげるわ」

ゴリュリとクネモンを踏んでいる足を捻る。

(▼皿▼)「あそこに突っ立っているテイマーどもも片付けてやりたいけど……
     あの人がまだ泳がせておけっていうから駄目ね。」

ちらりとエテモンは、ブーンとツンを見る。

(▼皿▼)「二人とも黙って見ているといいわ。
     所詮人間風情に、何も出来ないのを思い知るといいわ」

48 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:18:14.25 ID:zIZkt3ZJ0
( ;゚ω゚)「や、やめるお!」

ブーンの必死の叫びも、エテモンにとっては漫才師のネタのように面白いらしい。

(▼皿▼)「あはは、面白い子ね。
     待てと言って待つ奴と、やめろといってやめる奴はいないのよ」

エテモンが視線をクネモンに戻す。
そして腕を振り上げた。

振り上げた腕――その手に黒いエネルギー球が形成される。

(▼皿▼)「ダークスピリッツで一瞬にして消去してあげるわ……」

そして黒いエネルギー球を放とうと、手に再び力を込める。

しかし、突然火炎球が、エテモンの手にあたる。

黒いエネルギー球が消滅する。

エテモンはこの事態に、別段なにも感じていないようだ。
全く驚きも、怒りもしない。

むしろやっぱり邪魔をしてきたかといった様子だ。

(▼皿▼)「折角今は見逃してあげようかと思ったのに……
     邪魔する気?」

49 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:18:47.62 ID:zIZkt3ZJ0
   △
( メメ,,゚Д゚)「当たり前だゴルァ! クネモンは悪い奴だけど俺達の仲間なんだよ!」

火炎球を放ったのはグレイモンだった。
グレイモンが最後の力を振り絞って、クネモンがやられるのを阻止したのだ。

(▼皿▼)「これだから野蛮な男は……
     いいわ、半殺しにしてあげる。半殺しならあの人も許してくれるでしょ」

エテモンが、標的をグレイモンへと移す。

(▼皿▼)「そこの兎も一緒にボコボコにしてあげるわ! 覚悟しなさい!」

エテモンが再び腕を振り上げ、エネルギー球を形成する。

もうこの場に助けに入ることができるデジモンはいない。

クネモンは踏まれたままで……
グレイモンとガルゴモンも動ける状態じゃない。

こんどこそ終わりだ。

   △
( メメ,,゚Д゚)「ち、畜生……」

⊂凹从'ー'从⊃「ここまでなのかな……」

50 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:19:14.90 ID:zIZkt3ZJ0

( ;゚ω゚)「そ、そんな……」

ブーンはがっくりと膝をつく。

しかし、ツンの眼はまだ死んでいなかった。
この状況下で、少しも諦めを見せていない。

ξ゚听)ξ「あんたも中々の坊っちゃん育ちのようね」

( ;゚ω゚)「?」

正直、お嬢様に言われたくはなかった台詞だった。

ξ゚听)ξ「あんな些細な出来事――ただオオクワモンに危うく殺されるところだったってだけで
     こんなにも簡単に心が挫けるだなんて、チキンにもほどがあるわよ!」

( ;゚ω゚)「いや、別にビビッているわけじゃないお……つか実際死ぬとこだったし」

ツンはブーンの弁明の言葉をさくりと無視する。

ξ゚听)ξ「あんたはアグモンが初めてグレイモンに進化したとき、諦めていた?
     もう勝てないと少しでも思ってた?
     どんな状況かは知らないけど、きっと強く心で念じてたはずよ」

ツンはデジヴァイスを取り出す。

ξ゚听)ξ「このデジヴァイスを持ってからあまり時間は経ってないけど、
     それでも一つわかったことがあるの。
     デジヴァイスは持ち主と、そのパートナーデジモンの心に共鳴するのよ!」

51 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:20:08.26 ID:zIZkt3ZJ0

ツンのデジヴァイスが光る。

ξ゚听)ξ「諦めるんじゃないわよ! ガルゴモンも諦めないで」

(▼皿▼)「遅いわよ! ダークスピリッツ!」

エテモンがエネルギー球を放つ。

エネルギー球はまっすぐにグレイモンとガルゴモンへと向かう。

⊂凹从メメ'ー'从⊃「わかった! 諦めないよ! 私は最後まであがく!」

ガルゴモンは、半壊したガトリングアームを突き出す。

そしてエネルギー球を受け止める。

⊂凹从メメ'ー'从⊃「でやぁぁぁああ!」

バキャリと轟音が轟く。
ガトリングアームが、バラバラになる。
欠片があたりに飛び散る。


52 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:20:33.03 ID:zIZkt3ZJ0
そしてガルゴモンは……生きていた!

しかし、一瞬ガルゴモンの体が光り、テリアモンへと姿を戻す。

从メメメメメ'ー'从「後は……頼んだよ……」

   △
( メメ,,゚Д゚)「任せろ! さぁ目を覚ますんだブーン!」

( ;゚ω゚)「え!?」

ξ゚听)ξ「ああもう! ええじゃないわよ! いつまでビビッてるのよ!
     さっさとデジヴァイスを光らせるのよ! デジヴァイスの光りはデジモンに力を与えるのよ!
     いい加減わかりなさい!」

( ;゚ω゚)「え? え?」

ブーンはデジヴァイスを取り出す。

デジヴァイスは光っていない。
ただ暗い液晶が付いているだけだ。

(▼皿▼)「ああ!もう本当小賢しいやつらだわ! 今度こそ死になさい!」

エテモンがさらにもう一球、エネルギー球を放つ!

53 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:21:17.03 ID:zIZkt3ZJ0
   △
( メメ,,゚Д゚)「ブーン!」

ξ゚听)ξ「あんたはここで、クネモンやあたし、テリアモンにグレイモンの頑張りを無駄にする気!?
     パートナーとテイマーは一心同体!
     それをあたしに教えてくれたのは他でもない……あんたなのよ!」


そうだ……

テイマーはただパートナーデジモンを操る存在じゃない。

パートナーと一緒に闘うのが……テイマー!

デジモンテイマー!



(+□::)

光る。

デジヴァイスが光る。

( ^ω^)つ「行くお! グレイモン!」

   △
( メメ,,゚Д゚)「それでこそ俺のテイマーだぜ!!!!ブーン!!!」

デジヴァイスの光りが、グレイモンに力を与える。

55 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:23:04.11 ID:zIZkt3ZJ0
   △
( メメ,,゚Д゚)「メガフレイム!!!!!」

力を取り戻し、最後の力を振り絞り、
グレイモンが灼熱の火球を吐き出す。

(▼皿▼)「そんなものであたしのダークネススピリッツを相殺しようなんて甘いわ!」

灼熱の火球と暗黒のエネルギー球。

両者は猛スピードで飛来し、すぐに距離を縮める。

そして

すれ違った!

(▼皿▼)「なんですと!!!」

グレイモンはエネルギー球を全身で受け止めた。

   △
( メメメメメ,,゚Д゚)「ぐあっ……」

’(   ) カッ

( メメメメメ,,゚Д゚)「げふ……」

(▼皿▼)「ふふふ、どうやらこの土壇場で外しちゃったようね……」

56 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:23:35.54 ID:zIZkt3ZJ0
( ^ω^)「それはどうかお?」

(▼皿▼)「え……ま、まさか!」

エネルギー球に当たることも無く、
エテモンに当たることも無く。

メガフレイムが向かった先。
そこは

   卍 
(灰Z{}Z)



(Z▲Z)「兄貴!目を覚ましてくれええええ!!」

灼熱の火炎球が網にかかったオオクワモンを襲う。

そして頭の黒い歯車に当たる!

   卍 
(灰Z{}Z)「グガアアアアア!」

黒い歯車が砕け散る。
欠片は残らない。

砂粒のように爆散し、掻き消えてしまった。


57 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:24:11.23 ID:zIZkt3ZJ0
(灰Z{}Z)「あれ? 俺は一体何を……」

(Z▲Z)「兄貴! 元に戻ったんすね!」

(灰Z{}Z)「あれ、つか何の話?」

      ガスッ
(Z{}Z♯(⊂(▼皿▼)つ)♯Z▲Z)

エテモンの両手グーパンチが、クネモンとオオクワモンにクリーンヒットした。

(♯▼皿▼)「ウキッーーーーー!!! もう許さないわよ!
      さすがのあたしも堪忍袋の尾が切れたわよ!
      命令なんぞ関係無い! 全員ぶっ殺尾おおおおおおおおおす!!!!!」

ξ゚听)ξ「やば……ちょっと起こらせすぎたかしら……」

( ;^ω^)「今更何お!」

エテモンの顔が真っ赤に染まる。

サングラスの色までこころなしか、赤く見えるほどに。

(♯▼皿▼)「真の完全体の力……
      キング・オブ・デジモンの力……うんざりするほど魅せてあげるわ!!!!」

エテモンの全身からオーラが放たれる。

これが……真の完全体ののみが纏う氣!


58 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:24:40.50 ID:zIZkt3ZJ0
( メメメメメ,,゚Д゚)「おいおい、これは気合でなんとかなるレベルじゃねーぞゴルァ」

(♯▼皿▼)「今更後悔しても遅いのよ!!!!!!!」

エテモンの満身の力を込めた拳が、アグモンを襲う。
これを喰らえば間違いなく消去される。

アグモンはおもわず目を瞑った。
来るであろう衝撃に、覚悟を決める。

しかし、いつまでたっても衝撃はこなかった。

アグモンは目を開けた。

そこには

(♯▼皿▼)(´<_` )「命令に反する気か? 上等ではないか」

エテモンの拳を、寸でで受け止める者がいた。

そう、その姿はまさしく竜。

頭と両腕を機械で武装し、
オレンジの鱗。
そして紫色の翼。

半機械仕掛けの翼竜。

59 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:31:31.92 ID:zIZkt3ZJ0
(♯▼皿▼)「う……うるさいわね……帰るわよ! 帰ればいいんでしょ!」

エテモンは突然の闖入者に、大人しく従った。
おそらくこの翼竜は、エテモンの仲間で、エテモンよりも上の立場にいるのだろう。

(´<_` )「ものわかりがいいではないか。ならばさっさと引け」

(♯▼皿▼)「はいはい! すぐ帰るわよ!」

エテモンは最後にブーン達の方を向き、

(♯▼皿▼)「お、覚えてなさい!」

と、お約束の言葉を吐き捨てて、歩き去っていった。

(´<_` )「まったく、試験段階の歯車を無駄に使いおって」

そして翼竜は、呆然とするブーン達の方を向く。

(´<_` )「テイマーども。
       よく覚えておくがいい。私の名はメガドラモン。
       ムゲンドラモン様の右腕といった者だ」

一端言葉を切る、そして

(´<_` )「そしてよく肝に命じておけ。
       貴様らはムゲンドラモン様に生かされているだけだとな!
       今の貴様らにはなんの脅威も感じん。
       じきにこのデジタルワールドは、完全にムゲンドラモン様を支配化となるだろう」


60 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:31:55.82 ID:zIZkt3ZJ0
そしてメガドラモンは、空へと飛んでいった。
後にはブーン達のみが残された。

ξ゚听)ξ「……」

ξ♯゚听)ξ「なによ! あの蛇野郎!
      偉そうに『よく肝に命じておけ』だなんて! 感じ悪いわね! 死ね!」

ツンが誰もいなくなった空へと叫ぶ。

メガドラモンが見えなくなったのを確認してから叫ぶのは、なんともツンらしい。

( ;^ω^)「……」

ブーンは思った。

やっぱ世界を救うなんて偉そうなこと言うんじゃなかったかな。
あいつ滅茶苦茶強そうだったよ……

と。

61 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:32:23.63 ID:zIZkt3ZJ0






その後ブーン達は、クネモンにブルーリンゴがたくさんとれる穴場に案内してもらった。
そこは本当にブルーリンゴがたくさんあり、あっというまにシーラモンの希望の数のリンゴが集まった。

( ^ω^)「ありがとうだお」

(Z▲Z)「なぁに! 兄貴を助けてくれたお礼さ!」

(灰Z{}Z)「なんか俺、随分迷惑かけたみたいだしな」

ξ゚听)ξ「随分なんてもんじゃないわよ! 大迷惑だったわよ!」

从'ー'从「まぁそう言わずにぃ〜」

( ,,゚Д゚)「そうだぞ、心の狭い奴だ」

ξ♯゚听)ξ「あんですって!?」

62 : カエルの歌が♪(東京都):2007/04/06(金) 22:32:49.16 ID:zIZkt3ZJ0




結局オオクワモンは、クワガーモンに戻ることは無かった。

そしてまた、あの黒い歯車がなんなのかもわからなかった。

でも、ブーン達は一つわかったことがある。

( ,,゚Д゚)「俺達は弱い。敵の親玉に命を握られているほど弱い」

ξ゚听)ξ「あのメガドラモンとかいうやつの話が本当なら、そうみたいね」

从'ー'从「ってことは益々マスターティラノモンに会って、強くしてもらう必要があるねぇ」

( ^ω^)(修行は嫌だお……)

( ,,゚Д゚)「よぉし! 気合入れて行くぞー!」

ξ゚听)ξ从'ー'从( ^ω^)「おーーーー!」

第五話 完


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