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( ^ω^)ブーン達が魔法の世界で戦うようです

第4話

44 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/29(金) 23:35:23.29 ID:xFJ/GDr/O
4話
ロビー

45 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/29(金) 23:38:10.03 ID:xFJ/GDr/O
ドクシン国王ワカッテマスに促され、一行は『ロビー』へ向かう。
ドクシンの東に位置し、またの名を『緑深き国』としている。
その名に恥じぬ深緑は見るものを圧倒する寛大さ。生命の息吹を感じずにはいられない。

( ^ω^)「おっおっお、何度見てもきれいな森だお」

遥か上空から望むその森は、かつて自分が『国家民保護計画』の際に修行を重ねた土地だった。



46 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/29(金) 23:39:00.77 ID:xFJ/GDr/O
(´・ω・`)「いや〜久しぶりだね。やっぱり故郷は落ち着くねぇ。いいオトコもいっぱいいるし」

彼もまた自分の生まれ故郷に帰還したことを喜んでいた。

/ ,' 3「帰郷を喜んでいるヒマはないようじゃよ!」

VIPの高度を下げると、そこではすでに戦争が始まっていた。



47 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/29(金) 23:40:20.10 ID:xFJ/GDr/O
(;^ω^)「この両軍勢…ここは間違いなく最前線!!」

VIPは最前線の真上を飛翔していたのだった。

( ^ω^)「これは都合がいいお!ロビーに加勢するお!全員攻撃用意!」

各自が手元にある透明な球体に手を添える。
球体は、VIPに搭載されている魔関砲に魔力を直結させるための装置である。
さらにこの装置は魔力を数倍に引き上げる効果もある。
よって、本来の魔力以上の攻撃が可能なのである。



48 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/29(金) 23:40:57.84 ID:xFJ/GDr/O
( ^ω^)「荒巻!高度を下げるお!」

/ ,' 3「おk!」

( ^ω^)「攻撃対象はニューソク軍!回復対象はロビー軍!ドクオ!ツン!魔力全開でいくお!」

( ^ω^)「突撃ー!!」

VIPの出撃が始まった。



49 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/29(金) 23:41:47.40 ID:xFJ/GDr/O
つい先程までの戦局とは打って変わって優勢となったロビー軍。
その中に感傷に浸る闘将が一人。

(`・ω・´)「ショボン…ブーン…助かったよ」

彼の名は『シャキン』。
ここロビーに古くからある武家の末裔。そしてショボンの兄である。
また、『国家民保護計画』の際にブーンの教育係として様々な剣技や武術を叩き込んだのも彼である。
『国家民保護計画』に関わるということは国家に認められた賢者クラスの猛者であるということだ。
本来、賢者とは何らかの魔術をもって国家に認められた者である。
それにも関わらずシャキンは魔術を使わずに武術のみで賢者に認められた特異な例なのである。



50 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/29(金) 23:45:45.05 ID:xFJ/GDr/O
( ^^ω)「ちっ、全軍引けー!!」
 
「ウォー!!」

尾を巻いて逃げ帰るニューソク軍の兵士達。その様は正に屍体の参列である。
『生きながらに死す者』そう言ったところだろう。
事実彼等は腐敗仕切ったニューソクの地から生まれ、自らの意思を持たず、上級の悪意を持った者達に洗脳され、うごかされている。
そう、『生きながらに死している』のである。
そんな奴等が精神介入などの黒魔術を使用してくるのだから質が悪い。

( ^^ω)「…今は華を持たしてやろう。だがその華はすぐに枯れるがな…」



51 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/29(金) 23:46:09.56 ID:xFJ/GDr/O
ニューソク軍が撤退したのを見計らってVIPを着陸させ、表に出る。
荒れ果て、燃え尽きた森―――
戦いの後には何も残らない。残るものは絶望だけ。

( ^ω^)「…」

自分は何をしているのだろう?自我に問い掛ける。
『生かすため』だろう?そのためだけに生きてきたじゃないか―――



52 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/29(金) 23:46:29.67 ID:xFJ/GDr/O
荒廃した森の遥か後方のまだ生きている広大な森から聞こえる懐かしい声。

「おーい!ショボン!ブーン!」

シャキンだ―――

我にかえり、その懐かしい声に応える。

( ^ω^)「ただいまだお〜!シャキン!」

ブーンは師弟の再会を喜び、ショボンは兄弟の再会を喜んだ。

(´・ω・`)「ただいま。シャキン兄さん」



53 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/29(金) 23:47:23.16 ID:xFJ/GDr/O
(`・ω・´)「二人ともおかえり。二人の、いやVIPのみんなのおかげで助かったよ」

( ^ω^)「いえいえですお」

(`・ω・´)「こんなことは言いたくないが、正直魔術の力関係上分が悪くてね。本当にありがとう。募る話もあるから取りあえず軍部に移動しよう」
軍部に着くと、各々解散した。
ドクオとツンは先程の戦闘の疲れから休憩し、ジョルジュと荒巻は森を見に行った。
おそらく四人は気を利かして三人の喋り場をセットしてくれたのであろう。
そんな心遣いもあってか、自然とブーン、ショボン、シャキンの話がはずんだ。
ブーンが修行中のころ。
ショボンがVIPに乗り込むまでのこと。
VIPに乗り込んでからの訓練のこと。

お互いが知っていること、知らないことを話し、話題は尽きなかった。



67 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 14:51:27.60 ID:czD6os9iO
本当の親の名も顔も、ましてや自分の名すらも覚えていない。
ただ物心ついたときから自分の周りには、同じ様に親のことも自分のことも知らずに生きている同年代の子供達と白衣を着た科学者がいた。

「誰が国家と国民をまもるのかな」

『国家民保護計画候補』

それが自分の名だった。



68 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 14:52:31.46 ID:czD6os9iO
自分達『国家民保護計画候補』は一ヶ所の教育施設に集められ、剣術、魔術、肉体格闘を訓練し、さらには軍機操作法などを学んだ。
来る日も来る日も過酷な訓練に耐える毎日。
 
そして体力、技術が充実した年齢の頃行われた『国家民保護計画候補選抜試験』がブーンの心に大きな闇を残した。



69 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 14:53:14.30 ID:czD6os9iO
『国家民保護計画候補選抜試験』
ルールはひとつ『だれか一人になるまで殺し合う』

ブーンは必死に戦った。
死にたくなかったから。
共に訓練に励んだ者達を一心不乱に殺していった。

最後の一人になったときにはすでに心は無くしていた。



70 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 14:54:20.60 ID:czD6os9iO
(`・ω・´)「今日からキミを指導することになった『シャキン』だ!よろしく!」

( ゚ω゚)「よろしく…だお」

(`・ω・´)「キミはなんで死人と同じ目をしているんだ…?」

(`・ω・´)「『国家民保護計画』をこんな死人に任せることはできないよ…一体何があったんだ、話してくれないか?」

ブーンは、この人なら信じるれる、そう直感して話し始めた。
生い立ちのこと。
訓練のこと。
『試験』のこと。

(;`・ω・´)「国家は狂っている…」
 
それ以上何も言わずにシャキンはブーンを抱いてくれた。
ブーンはほんの少しだが心の闇が晴れていた。



71 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 14:56:45.31 ID:czD6os9iO
ミスったorz
>>70の前にこれ入る↓

72 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 14:58:03.55 ID:czD6os9iO
『試験』を受かったブーンは『国家民保護計画』の要である『飛翔戦艦VIP』の指揮官に任命された。
その後、さらなる武術のスキルアップのため『ロビー』での修行が命ぜられた。
肉弾戦を得意とするブーンに、格闘技の進歩が著しいロビーの技術を取り入れさせるためである。

その修行先、ロビーでブーンは自分の運命を変える人物に出会うことになる。



73 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 14:58:51.30 ID:czD6os9iO
では>>70の続き投下

74 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 15:02:39.48 ID:czD6os9iO
(`・ω・´)「さて!さっそくだが一度御手合わせといこうか!」

( ^ω^)「はいですお!」

両腕を広げ駿足で自分に向かってくるブーンに、シャキンは感嘆した。
だがシャキンは一歩も退かず、それを拳で受け止める。

(`・ω・´)「ふんっ!その程度か?これは鍛えがいがあるな…それから」

(`・ω・´)「その両腕を広げて走るの格好いいね。『ブーン』て感じで…そうだ!今日からキミの名前は『ブーン』だ!」

(;^ω^)「ちょwwwwwおまwwwww」

(#`・ω・´)「師匠の言うことは絶対だよ!!」

(;^ω^)「あうあう…」

こうしてブーンは『ブーン』と言う名になったのだった。



75 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 15:03:06.57 ID:czD6os9iO
シャキンはこの後、自分の弟をブーンに紹介する。
彼がのちのVIPクルーとして搭乗することになる『ショボン』である。
ただこのときにはブーンとショボンはあまり関わりは持たなかった。
ショボンがブーンに、オトコとしての興味をそそられなかったからである。
ショボンはこの当時からゲイとして開花していたのであった。



76 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 15:03:41.13 ID:czD6os9iO
ロビーでの修行を始めて一年後

(#^ω^)「うおー!!」

繰り出される拳の連打。

(;`・ω・´)「ちぃっ!これは…くっ!」

(#`・ω・´)「ふんっ、上が留守になってるよ!!」

顎を打とうとする、しなやかに伸びた足の甲。
が、首を退き間一髪で避ける。

(;^ω^)「あぶないお…ちょww風圧でホッペ切れてるww」

頬から流れる一筋の赤。だが負けてはいない。これなら勝てる。いや、勝たなければならない。

(#^ω^)「いくお…」

両腕を広げ、一度開いた間合いを詰めるため疾走。
伸び切った腕から高速で放たれた拳が頬を狙う。
瞬間、狙った標的が消えたと思ったときには、高速を超える音速の拳で頬を打たれていた。

クロスカウンターか…お?



77 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 15:04:08.91 ID:czD6os9iO
(;゜ω゜)「がっ!…ぶるぁ!」

(;`・ω・´)「はぁはぁ…強くなったね…ブーン」

(;^ω゜)「くっ…まだまだですお…」

(;`・ω・´)「これ以上やったら俺のほうがもたないよ…」

そして別れの節を告げる。

(`・ω・´)「ブーンに教えられることはもうないよ…」

(`・ω・´)「ここまでだ!ブーン…明日にはここをでるといいよ」

(;^ω^)「えっ!?そんな急にかお?」

(`・ω・´)「ハハッ!思い立ったら即実行ってねww覚えておくといいよ」

(;^ω^)「そんな…」

(`・ω・´)「師匠の言うことは?」

( ^ω^)「絶対…だお」



78 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 15:05:03.82 ID:czD6os9iO
翌朝

(`・ω・´)「ブーン、支度は出来たか?」

( ^ω^)「大丈夫だお!」

(`・ω・´)「忘れ物はないか?」

( ^ω^)「ないお!」

(`・ω・´)「あっ…忘れてた」

(;^ω^)「なんですかお…」

(`・ω・´)「これを持って行くといいよ」

そう言って渡されたのは一本の刀。

(`・ω・´)「これはロビーの刀匠、イキモノキライが作った名刀でね…まぁイキモノキライは森の奥深くに住んでいる偏屈な爺さんなんだけどね…」

(`・ω・´)「まぁ…なんと言うか餞別だよ!これを俺だと思って戦いに使ってくれ!心強いだろwww」

( ^ω;)「ありがとうですお」



79 : ◆ZGuRy.Pfdg :2006/12/30(土) 15:07:50.17 ID:czD6os9iO
(`・ω・´)「…死ぬなよ…ブーン…」

(`・ω・´)「生きてもう一度ここへ来い!お前は俺の愛弟子だ!」

( ;ω;)「はいですお!絶対…絶対帰って来るお!」

(`・ω・´)「さよならは言わない…必ず…必ず帰って来いよ!!」

( ;ω;)「はいですお!!…それじゃあ…行って来るお」
 
ブーンの心の闇はこの一年ですっかり晴れていた。そして戦うことへの覚悟もできていたのだった。
 
二人はいつまでも手を振っていた。
ブーンが見えなくなって、シャキンは初めて涙をながしたのだった。




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