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問合せ
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
484 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 00:53:01.45 ID:WSxk4c6JO
溜息を吐くと幸せが逃げる、なんて言葉を皆耳にしたことがあるんじゃないか。
先人が残した教訓みたいなもんだが、確かにそうかもしれない。
笑う門には福来たる、泣き面に蜂、なんて同じような言葉が一杯あるんだから、ある程度は信憑性のあるものなのだろう。
そして俺は今、身を持って先人たちの教えを体感しているわけだが。
485 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 00:54:35.54 ID:WSxk4c6JO
そんなわけで、ちょっと俺の四方山話を聞いてほしい。そんな堅苦しいもんじゃない、俺が体験している、不思議な不思議な話だ。
普通を絵に書いたような高校生である俺、ドクオと
ドジで間抜けで泣き虫で、そしてどこまでも純粋な死神、しいの物語。
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
488 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 01:00:40.22 ID:WSxk4c6JO
そう、始まりの四月。高校入学の年。櫻の花弁が舞い散るこの季節に俺は
('A`)「学校、いきたくねーな」
絶望していた。
だってそうだろ、勝手知ったる中学からの連れと別れて、右も左もわからない高校という名の未開のジャングルに放り出されるんだ。
('A`)「入学式なんて飾りですよ、お偉いさんにはそれがわからんのです」
最上級生から最下級生へ、一文字違いで大違いだ。友達との距離感、グループの所属、部活、考えただけで頭が痛くなる。
中学の頃は典型的な目立たない奴というポジションに納まっていた。
友達はいるにはいたが、多分もう連絡を取ることもない。醒めた子というのが当時担任だった先生が俺に下した評価だった。
自分でもそうだと思う、醒めていたのかは分からないが、俺は人をある一定の距離より近付けるのを酷く苦手とした。
490 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 01:02:02.16 ID:WSxk4c6JO
理由?自分でもよく分からない。
ただ考えてみたことはあった。
例えば
仮説1.対人恐怖症
人と近づきたくないと考えているなら、原因として真っ先に挙がるのはこれだろう。
しかし、俺の場合これは当てはまらないと思う。ある一定の距離感を保ちたいと思っているだけで、人と話すこと自体に抵抗はないから。
では
仮説2.厨二病
これが一番怪しい。俺は孤独を愛する男、ってな妄想は誰しもが一度はしたことがあるだろう。
それが高一となった今でも続いている、っというのが仮説2。
恥ずかしいことこの上ないのだが、ありそうで困る。
491 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 01:05:26.53 ID:WSxk4c6JO
そして、コイツは一番ありえないと思うのだが
仮説3.寂しがり屋
人と別れるのがつらいから、それなら親しくならないほうが良い、なんていう仮説3。これに関しては感想の述べようもない。
はっきり言って考えるだけ無駄だ。
というわけで、少しは俺のことを分かってもらえただろうか。
つまり俺は、どこにでもいるちょっと痛い普通の高校生であり、それ以上でも以下でもないのだ。
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
('A`)「ああ、入学式始まっちまった」
間の抜けたチャイムを聞いて時計を見ればもう8時40分、つまりは入学式の始まる時刻。
桜の下で、なにをするでなく本を読んでただけなのだが、時間の流れは驚くほど早かった。
492 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 01:07:50.59 ID:WSxk4c6JO
流石に、入学初日にサボりは不味いだろ。
('A`)「よっこらせっと」
桜の堅い根に置いていた腰を上げると、一枚の便箋がヒラヒラと俺の頭上から落ちてきた。
不思議の世界への扉というのは、どうしてこう、目立つように作られていないのだろう。
“ここから不思議の世界ですよ”なんて書かれていたら、今ある漫画やアニメなんかは半数以上成り立ってないのではないか。
だって、そこに不思議があって、自分がその扉の前に立っているなんて気が付いたら、誰だって気付かないふりをして立ち去るだろ。
そこで
『うはwwwラッキーwwwwww』
なんて言いながら、勢い良くドアを蹴り開けていきそうな奴なんて、俺は某SOS団団長くらいしか思い浮かばない。
494 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 01:11:17.05 ID:WSxk4c6JO
例えば、平賀才人だって異世界に召喚されると分かってれば、秋葉原なんかには行かなかっただろうし。
坂井悠次だって自分の魂が喰われると分かってたら、本屋に寄り道することもせず、真っ直ぐ家に帰っていただろう。
つまりは
('A`)「……任務通知?」
この便箋こそが、俺に対するファンタジーへの招待状だったのだ。
『ふひゃあ!?』
間抜けな声が周囲に響いた。どう考えても俺の上から。
('A`)「ん……」
確かめるように視線を上げると
春の心地好い風に揺られるスカートと、そこから覗く純白の白いパンツが目に入った。
496 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 01:13:24.24 ID:WSxk4c6JO
('A`)「………」
絶句、っていうのはこんな時に使うんだろうな。俺は、いきなりの女の子の登場に言葉を失った。
いや、決してパンツに見入ってた訳じゃないぞ。
ここは学校、普通なら制服を着ているはずなのに、その少女の格好は真っ白なワンピース。
先生かとも思ったが、顔立ちは幼く、どう考えても同い年か年下。
木の枝に腰掛け、優雅に本を読んでいたようだ。
('A`)「おい、落としたぞ」
(;*゚ー゚)「落としたって……あれ?どういうこと?何で普通に話し掛けてるの?もしかして私……そんなはずない。教科書にはこんな事書いてなかったもの」
なにやらぶつぶつ独り言を言ってる。
497 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 01:16:06.25 ID:WSxk4c6JO
('A`)「おい、お前。この手紙、お前のだろ?」
聞こえてないようなので、少し大きな声を出した。
(;*゚ー゚)「ああっ、アリガトウゴザイマス」
('A`)「んっ」
少女は小さな声で俺に礼を言った。
なかなか素直ないい子、というのが俺の第一印象だった。
(;*゚ー゚)「あのー、見えてます?」
うーん、おそらくこの見ましたかというのは今も俺の視界でチラチラしてるレースのパンツのことだろう。
('A`)「うーん、見えてないよ」
ここで見えているという馬鹿がいるなら見てみたい。わざわざ相手の神経を逆撫でする必要などどこにも無いのだから。
少女は心底安心したのか、笑顔を取り戻した。
498 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 01:23:46.69 ID:WSxk4c6JO
('A`)「だから、見えてなかったって」
(;*゚ー゚)「じゃあ、なんで私が貴方の後ろを歩いているのに気付くんですか!?」
やばい、この子はどうやら不思議っ子属性ではなく、メンヘラ属性のようだ。
数々のラノベ、エロゲで鍛えてきた俺の脳も容量を越えてしまった。
('A`)「そりゃ、わかるだろ。付いてきてるんだから」
(;*゚ー゚)「じゃあ、やっぱり私が見えてるんですねっ!?」
(;'A`)「ああ、そりゃ見えてるけど」
(;*゚ー゚)「どうしよう!?こんなのマニュアルに無かったよ!?ねぇ!!キミ、どうして私のことが見えてるの!?霊能力者!?」
もうなにがなんだか、この頃には俺の第一印象は空の彼方に消え去り、頭の可哀想な子という残念な感じがプンプンしていた。
('A`)「落ち着けよ、見えるもんは見えるんだから仕方ないだろ」
(;*゚ー゚)「だって!!私は死神だよ!?なんで生きてる人に見えるのさぁ!?」
もう時が止まったね、ザ・ワールド!!みたいな。
だって死神って、メンヘラと厨二を併せ持ってたとしてもこんな事いわねーよ。
499 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 01:26:21.20 ID:WSxk4c6JO
(*゚―゚)「ちょっと……人の話聞いてくれてるのかなぁ?」
('A`)「……ああ、聞いてるけど」
少し拗ねたように唇を尖らしたその子の顔はとても、綺麗で、舞い落ちる桜の中で微笑む彼女は、まるでそこに当然在るべき妖精のような
(*゚―゚)「だ・か・ら!!死神だって言ってるのに!!」
('A`)「地の文に突っ込んでんじゃねーよ」
(*゚ー゚)「地の文?私はキミの心を視ただけだよ」
('A`)「はぁ?」
確かに、口に出しては無かった。と言うよりそんなクサイ台詞を素面で言えるスキルなんて俺にはない。
(*゚ー゚)「へぇー、キミってなかなか詩人だね」
('A`)「………」
全く、何を読んでるんだか。
500 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 01:31:35.65 ID:WSxk4c6JO
(*゚ー゚)「うーん、それにちょっとロマンチスト?」
('A`)「人の心に土足で入ってくるのは、感心しねーな」
(;*゚ー゚)「あっ!?ごめんなさい、なかなか信じてもらえないから」
('A`)「当たり前だ。死神ってなんだよ、そんなの居るわけないだろ」
(*゚ー゚)「それがいるんだよ!しかも目の前にねっ!!」
('A`)「はいはい、わかりましたよっと。それじゃあもっと分かりやすい物で証明してくれよ」
(*゚ー゚)「うーん、良いけど……どんな事?」
そうだなぁ、死神といえばあのでっかい鎌だろ。やっぱり。
(*゚ー゚)「鎌を出せば良いのね」
('A`)「心が読めたらこんなに会話がスムーズなんだな」
(*゚ー゚)「任せてよ!!バッチリ出せちゃうよ!!」
505 :
書けるか!?
[]2008/10/14(火) 02:12:50.40 ID:WSxk4c6JO
いきなり少女の手元が揺れだした。
空間が音を立てて歪む。
歪な亀裂がそこに入り、醜悪で大きな、人の命など一吹きで消せそうな、大きな大きな鎌が一振り、ってのが俺の想像。
ぽんっ、と間抜けな音を立てて上から降ってきたのは小さな小さなかろうじて鎌の形をした、おもちゃの様な物。
(*゚ー゚)「どう!これで信じてくれるよねっ!!」
('A`)「うわー、ちいせー」
(*゚ー゚)「初期の死神は皆でっかい鎌を持ってたんだけどね、今じゃ大きいし、かさばるし、肩こるしで、このサイズなの」
ヒュンヒュンと、鎌を振り回す少女。確かに想像していたのとは違ったが、一応信じてみても良いような気がしてきた。
(*^ー^)「やっと信じてくれた!!ありがとねっ!!!」
('A`)「ああ、信じるよ。それじゃ」
信じるさ、だが死神が実在しようとなかろうと俺には爪の垢程も関係ない。
506 :
猿食らったorz
[]2008/10/14(火) 02:17:54.15 ID:WSxk4c6JO
(;*゚ー゚)「あっ!ちょっと待ってよー。私の事信じてくれたんでしょ?」
('A`)「ああ、信じたさ。でも俺には関係ないね」
(;*゚ー゚)「関係あるよっ!」
('A`)「ほう、どう関係があるんだ?」
―――だって、私
(;*゚ー゚)「貴方を送りに来たんだってば!!」
は?この人は今なんて言った?
送る?俺を?どこに?
('A`)「俺を、送るの?」
(*゚ー゚)「そうだよ、そのために私が来たんだからね!」
送るってのは、つまりあの世にって事なのか。
507 :
('A`)ドクオと(*゚ー゚)しいの不思議な共生生活のようです
[]2008/10/14(火) 02:23:40.57 ID:WSxk4c6JO
(*゚ー゚)「そうだよー。キミって頭良いねー」
(#'A`)「人が聞くの躊躇してんのに勝手に答えんじゃねーよ!!」
(;*゚ー゚)「あっ、ごめんなさい」
まぁ、つまりはこの死神さんは俺をあの世に送りに来たって訳か。なるほど。ありがたや、ありがたや。
('A`)「んで、いつ俺は死ぬんだ」
(*^ー゚)「禁則事項です」
(#'A`)「ふざけんなよ!!なに物真似交えて誤魔化してくれちゃってんだ!?」
(;*゚ー゚)「だって、私新米だし、ただ指令状に書いてあったから。
それに死神は不可視の存在なんだよ!?どうして君が見えるのかが謎だよっ!!」
つまりは、この人は分からないって事か。
('A`)「その手紙に俺が死ぬって書いてあったのか?
508 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/14(火) 02:33:50.28 ID:WSxk4c6JO
(*゚ー゚)「手紙じゃなくて、指令状ねっ。うん、上からの命令は全部この手紙でやりとりしてるの」
なるほど、つまりヒントはこの手紙だけって訳か。
('A`)「じゃあちょっと確認してみてくれる?」
もしかしたら何か分かるかもしれない、その程度の気持ちだった。
(*゚ー゚)「何回読んでも同じだよ。えー、なになに、指令状、以下の者が亡くなった場合、それを確認し、確かな死亡が確認できしだい速やかに天上に送ること。欝田ドクオっと。」
('A`)「それだけ?」
(*゚ー゚)「あっ、ちょっと待ってね。なになに追伸この手紙は決して紛失してはならない。もし人間がこの手紙に触れた場合……」
ワナワナと彼女の手が震えだした。
(* ー )「……その人間は死神を視ることが出来る……」
509 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/14(火) 02:34:21.51 ID:WSxk4c6JO
あー、だからあの手紙を触った俺には死神が見えるわけか。
('A`)「良かったじゃん、これで一つ疑問が……」
(*;ー;)「うぇヒック……ヒッ……うぇー」
('A`)「おいおい、なに泣いてんだよ」
(*;ー;)「だってぇ……死神っていうのは見えちゃダメなんだよぉ」
見えちゃダメって、今更だろ。
('A`)「事故だから仕方ないだろ」
(*;ー;)「でもっ!貴方怖いでしょ!?もうすぐ死んじゃうんだよ?」
('A`)「うーん、実際怖いんだが、まぁ思い残すこともないし、俺の命が尽きる事でまた新しい命が生まれるなら悪くはないな」
これは本心だ。俺が死んで悲しむ人は、たぶん居ない。両親を早くになくした俺は一人で生きていた。
親友と呼べる友達も、やっぱり居ない。
('A`)「だから別に良いよ、今死んでも」
从 ゚∀从「そいつは出来ねぇな」
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