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( ^ω^)心のままに、のようです


第11話

[2] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:39:17.27 ID:mGLjS+z/0
第十一話 狂想曲、初めての呼吸で

こういう場は、小さい頃から慣れている。
どこか、ピリピリしていて、落ち着かない感じ。
肌に突き刺さる視線、妙に続く沈黙。身動きの取れない、この雰囲気。

('A`)「―この間、来た時も思ったが」

最初に喋りだしたのは、ドクオだった。
正直、僕が出るかどうか、迷っていた矢先だった。

('A`)「ツン、お前、ブーンに付きっきりだよな」

初っ端から、切り込んでいくか。
だが、それもドクオらしくて、いい、と思った。
ベッドの隣にいるショボンも、小さく頷いている。

ξ゚听)ξ「そりゃ、ね。何しろ、家族だもの」

ね、お兄ちゃん?と、僕を見る。
だが、僕はそれには答えない。

今回に至って、僕はずっと考えていたことだが―

あまり発言しないように、した。
前回、些細な一言により、ツンのスイッチは入ってしまったのだ。
下手なことを言うよりはいいだろう。
[3] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:39:56.81 ID:mGLjS+z/0
(´・ω・`)「・・・家族なら」

ポツリ、と。ショボンが声を出す。


(´・ω・`)「家族なら―セックスも、するのかい?」


一気に、場は沈黙した。
夕日の光は暖かく感じる。だが、今のこの場は、まるで氷のように冷たい。

(´・ω・`)「・・・すまない。もう、全部知っているんだよ、ツン。ここにいる全員は」

言い、僕を見るショボン。
成るほど、言うときは言った方がいい、か。

( ^ω^)「―ショボンの言うとうり、もう、この場にいる全員には、話したお。
      僕とツンが作ってしまった関係から―」

―僕を、刺した事まで。
[4] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:40:57.32 ID:mGLjS+z/0
 
 
('A`)『―それは、冗談ではなく、本当なんだな?』

あの日も、こんな、夕日のよく映える時刻だった。
僕が、この怪我の原因について話し終えたとき。
ドクオは、僕に聞き返してきた。

今先ほどまで、この場にはツンもいたが、僕が、お菓子が欲しい、というと買いに行ってしまったのだ。
この機を逃すまい、と、僕は、手短に顛末を話した。

( ^ω^)『・・・本当、だお。既に、僕を担当しているモララーっていう先生にも、話してあるお』

暫く、何かを考えている素振りを見せるドクオ。
すると、顔を上げて、真剣な声を発した。

('A`)『ブーン。今度、俺達も含めて、もう一度説得してみよう。
      何、心配することは無いさ。俺達がいる』

そう言い、ニッコリと笑った。

少し、頭が痛い。
ここ最近は、人に説明してばかりだ、と思った。
元より、頭のいい人間ではないのだ。そんな僕が、人に説明をするなど―

( ^ω^)『―馬鹿らしい、かお・・・』

小さく、呟く。
[5] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:41:57.76 ID:mGLjS+z/0
数日後に、ショボンもやってきた。
その日は、丁度ツンが用事で来なかったため、ドクオ同様に、顛末を話した。

(´・ω・`)『いや、大体、想像できていたんだ』

終えると、第一声が、これだった。

(´・ω・`)『そもそも、どうやったら、料理中にそんな傷が出来るんだい?』

と、言い、僕の足を指差す。
確かに、と。僕は小さく笑った。

(´・ω・`)『・・・もう、ツンは、危険な段階だと思う』

そんなことは、分かりきっている。
分かりきって、いるんだ。

次の日、モララーに、今度ツンを説得するという話をすると。

( ・∀・)『・・・成るほどね。すまんが、僕も混ぜてはくれないかい?』

と、言ってきたのだ。
何故、と、問うと。
[6] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:42:58.54 ID:mGLjS+z/0
( ・∀・)『少し、君の妹さんが、許せないんだ。―あぁ、気を悪くしたら、すまん。
      ・・・好きな相手に、傷を負わせるような人が、僕は許せなくてね』

それだけ言って、モララーは口を止めた。

( ・∀・)『・・・構わないかな?』

僕は、大丈夫ですお、とだけ返事をした。


それから、長々と計画を立てると、ようやくこの日に辿り着いたのだ。

ふと、ツンを見やると、彼女は僕を見ていた。
その顔に映る感情は、果たして怒りであるか、もしくは、哀しみであるか。

ξ゚听)ξ「・・・ふーん。そうか、そうなんだ・・・全員、知ってるんだ・・・」

その声は、普段の声だった。

が。
[9] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:44:01.14 ID:mGLjS+z/0
ξ゚ー゚)ξ「じゃぁ、いいじゃない。皆、私とお兄ちゃんの関係、認めてよ」

その顔は、僕を見るときの、顔だった。

唖然とした。
またもや、空気が固まったのだ。

('A`)「・・・お前、ブーンを刺して、何とも思ってないのかよ?」

だが、そんな中でも固まらない存在がいた。ドクオだ。

ξ゚ー゚)ξ「?・・・別に?私に逆らったのが、悪いんじゃない」

不意に、ドクオが、椅子から立ち上がった。
慌ててショボンとモララーが抑えにかかる。

(#'A`)「っ・・・ふ ざ け る な よ・・・。お前は、ブーンの気持ちも分からないで・・・!」

低く、響く。
その声は、冷静な怒りの声だった。

(#'A`)「ブーンはな・・・お前のため・・・そして、クー先生のために、一生懸命悩んだんだぞ・・・。
    それなのに、お前は・・・自ら、ブーンを裏切りやがって・・・!」

クーの名前が出て、やはり、ツンの顔が歪んだ。

ξ゚ -゚)ξ「・・・私の前で、その女の名前を出さないで」

(#'A`)「黙れよ、餓鬼。自分ひとりのために、よくも、ここまで酷いことが出来たもんだ。
    ―好きな人を、刺すだって?屑が。ようするに、あれか?ブーンは、お前のペットか」
[10] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:45:03.67 ID:mGLjS+z/0
ドクオの怒りは、止まらない。

(#'A`)「まるで躾だな。はっ、言うこと聞かなけりゃ叩く、ってか。
    ―ふざけんなよ?ブーンはな、言葉を話せば、感情だってある、人間なんだぜ?」

(´・ω・`)「―落ち着くんだ、ドクオ」

場を、ショボンが沈めた。
ドクオは、一気に爆発したからか、まだ興奮は冷めていない。
対してツンは、唖然としている。


ξ )ξ「・・・っさい・・・」

少し静まり返った時。ツンの、小さな声が聞こえ始めた。

ξ )ξ「・・・い・・・さ・・・・・さい・・・っさい・・・う・・さ・・・うる・・・」

ボソボソ、と、呟き続けている。
僕には、何となく分かった。

―嗚呼、駄目だ。ツンが、爆発する。
 
 
[11] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:46:24.18 ID:mGLjS+z/0
ξ#゚听)ξ「煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い!!!!!」

ほら、見ろ。
駄々をこねたツンは、止まらないぞ。

ξ#゚听)ξ「・・・何なのよ、あんた達は?何で、他人につべこべ言われなきゃならないのよ!」

嗚呼、誰か、ツンを止めてくれ。
でなければ、ドクオが―

(# A )「・・・他人、だと・・・?」

頼む、ドクオ。落ち着いてくr―

(#゚A゚)「手前!!!」

ドクオが、ツンの襟を掴む。

(#゚A゚)「嗚呼、久しぶりだぜ。言いたいことがありすぎて、何も言えない事は」

普段、あんなに真っ白な顔のドクオが、真っ赤になっている。
こんなに怒っているのを、最後に見たのは、中学生の時か。

(#゚A゚)「おい、どうする、ツン。俺は、お前を殴るぜ」

大々的な、暴力予告。

(#゚A゚)「腹か、顔か。選べ」
[13] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:47:04.59 ID:mGLjS+z/0
ツンの顔は、酷く引きつっている。
時々、ヒッ、という呻きが聞こえるが、果たして、ドクオの耳には届いていない。

嗚呼、なんて状況だ。
本来、説得するはずだったこの場は、今や処刑場となっている。
ドクオ執行人は、ツン被告を殺したくて堪らないのだ。
神よ、助けてくれ給え・・・。

( ・∀・)「―まぁ、そのくらいにしておやりよ」

―何ということだ、神はいたのだ。
優しくドクオの肩を叩くと、そう述べたのだ。

が―

(#゚A゚)「無理だね。こいつにゃぁ、言っても分からんのさ。こいつのお得意の、躾をしてやろうじゃないか」

嗚呼、ドクオは、神に歯向かおうとしている。
ドクオよ、君は悪魔になったのか。いや、そもそもが、無神論者か。
まるでモララーの言うことに、頷きはしない。

( ^ω^)「・・・ドクオ・・・手を出すのは、止めてくれお」

そんな、馬鹿なことを考えていた僕だが、口を出す。

( ^ω^)「目の前で兄弟が甚振られるのは、見たくは無いお・・・」

言うと、ドクオは手を離して、椅子に座った。
[14] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:47:57.58 ID:mGLjS+z/0
('A`)「っ・・・すまねぇ・・・つい、カッとなっちまった・・・」

一気に態度を急変させたドクオ。
誰かが、小さな声で僕に向けて、ハレルヤ、と呟いた。
残念だが、僕は神ではないぞ。

( ・∀・)「ふむ・・・少し、皆落ち着こうか?」

ここで、モララーが休憩を挟んだ。
正直、今のままの空気で話を進めたら、誰かが死ぬ光景を見そうだから、嬉しかった。

それにしても、先ほどから、ずっとショボンはだんまりだ。
何か、考えているんだろうか。


(´・ω・`)「・・・はっきり言おう」

数回目の長い沈黙を破ったのは、今度はショボンだった。

(´・ω・`)「ツン。君のやっていることは、独りよがりだ」

ショボンも直球だな。

(´・ω・`)「きっとブーンのことだ。はっきり言われたんだろ?愛していない、と」

尚も、続く。
[15] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:49:01.19 ID:mGLjS+z/0
(´・ω・`)「―こんな形にしてまで、自分の思うようにしたいのかい、君は?
      自分のやっていることが、愚かだとは・・・失礼、思っていなかったんだったね」

先のツンの発言を思い出してか、語尾を濁した。
が、それでもまだ続く。
この男、やはり、修羅場になれているようだ。

(´・ω・`)「・・・例え、君自身がそれでよいとしよう。だが、肝心のブーン自身は、良いとは思っていない。
      君が愛し続けても、これから先、こんなことを繰り返すのならば」

果たして、愛と呼べるのだろうか?

(´・ω・`)「いいや、違うね。そんなもの、ただ単に相手に無理やり愛情を押し付けてるに過ぎないんだ。
      君なりの愛し方なんだろうが、愛とは、受け入れるものがあって、初めて成り立つんだ」

・・・。

(´・ω・`)「・・・さて、ブーンは、誰を愛している?決まっているだろう、クー先生さ。
      いや、決して、君を愛していないわけじゃないだろう。が、それは―家族として。だろう、ブーン?」

嗚呼、そうか、君も。

( ^ω^)「うんお」

怒っているんじゃないか。物凄く。

(´・ω・`)「ほら、ああ言ってるよ。分かるかい?君は、一人の女性として、見られてなんかいないんだよ。
      単なる家族、兄弟、妹。それだけ、さ」
[16] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:50:02.24 ID:mGLjS+z/0
ξ゚听)ξ「・・・で?」

ここに来て、ツンの往生際の悪さが、出た。

ξ゚听)ξ「何?兄弟だから、何?愛されていないから、何?」

ふと、ドクオを見てみた。
鼻息が、荒い。

ξ゚听)ξ「兄弟だからって、愛し合えないの?そんなわけないじゃない。世の中には、そんなの多いもの。
      愛されていないって、今はでしょ?そんなの、時間が解決してくれるわよ。馬鹿よね、あんた」

と、またドクオが立ち上がろうとした、その瞬間だ。
どこかで、プチッ、と。そんな音が聞こえた。

(´・ω・`)「・・・打ち殺すぞ」

ショボンの、低い声だった。

ξ゚听)ξ「何、逆切れ?言い返せなくて悔しい?間抜け、下衆、垂れ眉毛」

本当に、我が妹は、口が悪い。どこで覚えたんだろうか。
ショボンに視線を向ける―


(´゚ω゚`)「どうやら、本格的に馬鹿なんだな、手前は」


―!?
[17] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:51:02.45 ID:mGLjS+z/0
(´゚ω゚`)「そもそもな。ブーンには手前なんざ眼中にねぇんだよ、カス」

この男、ショボンは。

(´゚ω゚`)「まず、兄弟では愛し合えるか、だな?んなもん、できるがな、お前じゃ無理なんだよ。無理。
     どこの世界に、刺してくる妹を好きになれる兄貴がいるかよ。
     第二に、時間だな。お前がwktkしながら待っていてもな、ブーンは絶対ぇに見向きもしねぇんだよ。
     何でかって?決まってんだろ。クー先生がいるからだよ」

中学生時代、それはそれは大層な。

(´゚ω゚`)「何故、と思うだろう?分かるんだよ、俺らにゃぁな。コイツは、あの尼に本気で惚れてるのさ。
     愛してるってレベルじゃねぇ。愛死輝(あいしてる)。こんぐらいだ。『愛は死すらも、輝きで薄める』。
     ―嗚呼、上手いこと言ったろ?なぁ、そうだろう?」

ヤンキーだった。

(;^ω^)「ショボン、落ち着けお。」

そんな彼は、一度この状態に入ると、止まらなくなる。
言葉にも説得力が無くなる上に、何が言いたいのかよく分からない。
これで、完全にツンは付け上がるだろう。
チラリ、と見ると。

ξ゚听)ξブプッwww何、アレwwww

物凄く余裕を持ってしまった。
哀れショボン、ドクオ。君たちは、負けてしまったんだよ、ツンに。

(;^ω^)(参ったお・・・もう、説得は諦めるしか・・・)
[18] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:51:58.62 ID:mGLjS+z/0
正直、もう、無理だと思った。頼みの綱のショボンは、あんな状態だ。
この場は、ほぼ、ツンの一声でどうにもなるだろう。

―いいのか、それで?

何がだろうか。

―決まっているだろう。ツンを、止めなくて良いのか?

止めたいに、決まっている。
だが、僕では無理なのだ。

そもそも、止める、とは。
どういうことだろうか。何を止めたがっているのか?

暴力、愛、家族、生活。

さぁ、どれを止めたいのか。そう考えたとき、ふと気づく。

( ^ω^)(・・・・・・)

家族というカテゴリー以外、全部。
何、不思議ではないだろう。例え、生活を共にしなくても。
家族は家族なのだ。離れていても、血のつながりはあるし、そもそも、連絡が取れるではないか?
[21] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:52:59.94 ID:mGLjS+z/0
と、考えても。
果たして、僕はツンから離れることが出来るだろうか?
答えは単純。ノーだ。
理由はいくつかあるが、そのうちの一つは、ツン自身が許さないだろう、ということ。
逃げ切れば良いだろう、と思うだろうが。
果たして、何故逃げなければならないのか。家族から。

心の中、這うように思いが駆ける。
そのどれもが矛盾に満ち、かつ、我侭な事ばかり。

さて、一体、僕はどうすれば良いのか。
何が一番良いのか。何が一番僕のため、そして、ツンのためになるのだろうか。
分かりきっている。普通に暮らすことだろう。
だが、その普通ができていないから、困った。

( ^ω^)「・・・っぜぇお・・・」

小さく呟いてみたが、どうやら誰も気づかなかったようである。
少し安心し、自分から出た言葉に驚愕した。

うざい。まさしく、僕は今、この状況をうざく思う。
何故、こんなに考えるのだ。何故、僕がここまでするのだ。
そもそもが、ツンのせいだろう。ツンが可笑しいのだ。僕なんかを、好きになるから。
嗚呼、憎らしきかな、ツン。お前のせいで―
[22] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:54:03.20 ID:mGLjS+z/0
(;^ω^)(っ、止めるお!!)

彼女を攻めてはならないだろう。
何しろ、あの夜、ツンとヤってしまった夜。
もしも、ちゃんと拒否できていれば。僕は今、こんなとこにいなかったのでは。
そう考えることで、やはり自分が一番悪かったのだ、と思った。

( ^ω^)(そうだお・・・僕が悪いんだお・・・ツンを攻めては、駄目だお・・・)

そうだ、僕が悪いのだ。
悪い事をしたのだから、それなりにケジメをつけなければならない。

( ^ω^)(・・・そうだお・・・もう、いいお、僕・・・十分、悩み続けただろうお・・・)

本当は、もう、嫌なのだ。考えること、悩むこと、苦しむことが。
だが、それら全部は、僕から頭を下げれば、全てが終わるような気がして。

そもそもの、理由を忘れたような。嗚呼、なんだったろうか。


川 ゚ -゚)『ブーン』


( ^ω^)「!!」

駄目だ、僕。諦めるのは、まだ早いようだ。
脳内で、彼女が僕を呼ぶ声が響いた。まだ、大丈夫だ。

さぁ、眼が覚めたぞ。ここからだ。
言葉を紡げ、口を開け。
[23] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:54:56.96 ID:mGLjS+z/0
さぁ―

( ・∀・)「すまん、ブーン君。少し、いいかな?」

と、意気込みを固めた瞬間、モララーが言を発した。

(;^ω^)「おっ?何ですかお?」

ようやく、口を開けたのだが、それはモララーの方向に向かう。

( ・∀・)「・・・少し、君が喋る前に、僕にまかせてくれないか?」

そう言う彼の眼には、深く、淀んだ黒が沈んでいるように見えた。

(;^ω^)(っ・・・何か、怖いお・・・)

よくよく彼を観察すれば、見に纏っている雰囲気が尋常じゃない。
どこか、冷めたような、それでいて、融けそうなほどに、熱いような。
いずれにせよ、彼に説得させてみよう。
そうだ、まだ彼は、全然発言していないじゃないか。

(;^ω^)「・・・分かりましたお、お願いしますお」

( ・∀・)「有難う」

クルリ、と、彼はツンを見た。

( ・∀・)「さて、ツンさん」
[24] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:55:57.20 ID:mGLjS+z/0
そのまま、少しツンに寄ると、椅子に座っているツンの顔を覗くように、少し屈んだ。

( ・∀・)「―君、この病院に、何度、来ているんだい?」

と、聞こえてきたのは、分けの分からない質問。

ξ゚听)ξ「・・・さぁ?お見舞いに来すぎて、覚えてません」

あっさりと、ツンは返した。

( ・∀・)「・・・ふむ、じゃぁ、こう聞けば、分かるかな?」

少し、間をおいた、モララー。

何だろう、この感じ。どこか、粘つくような、嫌な感覚。


( ・∀・)「―産婦人科には、何度、来ているんだい?」


(;゚A゚)「!!??」(゚ω゚`;)

( ^ω^)「・・・は?・・・」

―何を言っているんだろう、この人は。産婦人科?

ξ゚听)ξ「っ・・・何で、先生が・・・?」

( ・∀・)「・・・知り合いがいてね。この間、君が通っている、と」
[25] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:56:56.87 ID:mGLjS+z/0
目の前で話しているんだろうか、彼等は。
しかし、僕には、遠くから聞こえてくるような。
ちょっと、待て。何だって?

( ^ω^)「・・・産婦人科・・・?」

とは、確か。赤ちゃん・・・出産?認知?えーと・・・何だ、新たな生命・・・。

( ^ω^)「・・・え?」

ツンが、産婦人科に、通っている・・・?

( ^ω^)「あのー・・・一体・・・何を言ってるんだお?」

はは、嫌だな、先生、ツン。馬鹿なことを。

( ・∀・)「・・・すまない、ブーン君、黙っていて。僕から言うことでは、無いと思ったんだ。
      ・・・だから、ツンさん」

コクリ、と。ツンが、頷いた。
何だ、何が起こっているんだ?

ξ゚听)ξ「・・・御免ね、ずっと、黙ってて・・・」

ポツリ、とツンは言うと。お腹を撫でた。頬が、赤くなっている。
[26] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/20(木) 15:57:57.98 ID:mGLjS+z/0
 
 
ξ*゚ー゚)ξ「・・・赤ちゃんが、出来たのよ。―お 兄 ち ゃ ん の」

目の前が、真っ暗になった。
嗚呼、ここが、宇宙?
なんだ、思っていたより、暗いんだな。

( ^ω^)「・・・え?・・・」

僕の名前は内藤ホライゾン。あだ名はブーンだ。
身長はそれなりで、体格はほんの少しピザ。
僕には、可愛い妹がいて―


―今、赤ちゃんが、お腹の中にいるそうだ。


第十一話 終

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