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問合せ
( ^ω^)ブーンは食害を食い止めるようです
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:16:28.67 ID:4/IKgXGb0
――食品公害対策センター――
勤め始めて何年も経った、この特殊な職場の仕事にも、慣れた。
ただ、今日はちょっとイレギュラーな事が起こっている。
妹に、彼女の娘のデレを、職場で預かってくれと頼まれたのだ。
( ^ω^)(まったく困ったもんだお……)
今も同僚達のデスク周りを縦横無尽に動き回っている。
本当に邪魔な事この上ない。同僚達には後で謝る予定が出来てしまった。
( ^ω^)「おーい、デレちゃん、ちょっとこっち来いお」
ζ(゚ー゚*ζ「なぁに? おじちゃん」
おじちゃん。
まだまだ若いつもりだったが、もうそんな呼ばれ方をする歳なのか。
だが、デレの年齢からすれば仕方のない事だろう。
( ^ω^)「今日はおじちゃんになんか用事があって来たんじゃなかったのかお?」
ζ(゚ー゚*ζ「うん! 今日は夏休みの宿題の、職業インタビューをしにきました!」
職業インタビュー。
小学校か中学校の授業、宿題の記憶が蘇った。
食品公害対策センターという、少し特殊な職場で働いている僕みたいな人でなければ、楽な宿題だろう。
少しだけ、デレが気の毒になった。
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:17:15.88 ID:4/IKgXGb0
( ^ω^)「そうかお。まぁ何でも聞いてくれお」
ζ(゚ー゚*ζ「うんとね……じゃあ、この仕事に就いた理由は何ですか?」
( ^ω^)「この仕事に就いた理由かお?」
話せば長くなる、と前置きする。
しかし既にデレは話を聞く状態になっていたらしく、無言。
仕方なく僕は、話し始めた。
忌まわしく、人生を変えた出来事を。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:18:13.02 ID:4/IKgXGb0
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
その日の夜、僕は繁華街を歩いていた。
遅くまで研究室に残らされ、日付が変わる寸前で、開放された、その時には既に疲労困憊であった。
疎らではあるが、目障りな通行人。それらが、疲労に拍車をかける。
( ´ω`)(講義も退屈だし、、この世の中には面白いことはないのかお……)
少し頼りない意識の中で、少女が見えた。
深夜の繁華街には似つかわしくない、小学生か、中学生くらいの少女。
独りっきりで忙しなく辺りを見回していた彼女に、思わず僕は声をかけた。
( ^ω^)「ねぇそこの君、もう深夜だお? 帰らなきゃダメだお?」
ξ゚听)ξ「なによ! 子ども扱いしないで! あたしにはやることがあるのよ!」
下心など全くない、善意の言葉を投げかけたつもりだった。
だが、思わぬ しっぺ返しを食らってしまった。
(;^ω^)「んー、でも帰ったほうが――」
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:19:25.85 ID:4/IKgXGb0
と、そこで鳴った低い音。
少女のお腹から発された、空腹を示すサイン。
ξ///)ξ「あ……」
( ^ω^)「……お腹空いてるのかお?」
ξ;゚听)ξ「うっさいわね! あんたには関係ないでしょ!」
気の強い少女だが、放っておく訳にもいかない。
僕は少女と、近くの店で食事をすることにした。
選んだ店は餃子専門店。古い軒先からは、他に客がいないことも伺えた。
入店前に、少し抵抗をされたが、空腹からなのか、すぐに少女も店内へ入った。
店の中には、時間帯を考えれば当然であるが、やはり客はいない。
想像以上に狭い店内の、カウンターテーブルに腰を下ろす。
( ^ω^)「すいませーん」
('A`)「はいはい」
店の奥へと声を飛ばすと、ゆっくりとした足取りで現れた男。
屈強な身体であるが、如何せん顔が気持ち悪い大男。
その男に手渡されたメニューを見ながら、何を頼もうか勘案する。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:20:27.79 ID:4/IKgXGb0
( ^ω^)「君は何を食べるお?」
ξ゚听)ξ「ツンよ」
(;^ω^)「へ?」
ξ゚ー゚)ξ「名前よ、名前。あたしは水餃子でいいわ、勿論あんたのオゴリでだけど」
少女の名前はツンというらしい。
店に入る前は暗くて余り解らなかった彼女の顔だが、今は店内の光に照らされ、はっきりと見えた。
可愛い。そんなイケナイ感情が一瞬巡るが、抑える。
('A`*)「おいおい兄ちゃん、こんな可愛い娘を連れてなぁ……イケナイ奴だなぁ」
( ^ω^)「うっせーおww」
('A`)「ところでお嬢ちゃん、あんたの両親、この前この店に来たぜ?」
ξ゚听)ξ「え? なんでそんな事解るのよ」
('A`)「いやいや、髪型とか良く似てるっての」
( ^ω^)「おい、あんまり絡むなおww」
('A`*)「フヒヒww」
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:21:19.26 ID:4/IKgXGb0
非常に気持ち悪い男であるが、気さくで、料理の手際は良いようだった。
小麦粉と水を混ぜ、薄い皮を作り、それに具を落としていく。
完成した生餃子に、調味料を振りかけ、湯に落としていく。
( ^ω^)「いい匂いがするおね……」
ξ゚听)ξ「……あたしがこんな時間まで街中を歩いてたのは、探し物があったのよ……」
唐突に話を始めたツン。
ξ゚听)ξ「最近この辺りを歩くと、原因不明の病気にかかるって話、知ってるでしょ?」
( ^ω^)「噂になってるおね」
ξ゚听)ξ「そう、まだ公式発表とかはされてない病気らしいんだけど、
その病気に、両親が掛かっちゃったのよ」
( ^ω^)「ツンの両親が、二人とも同じ病気に掛かったのかお?」
ξ゚听)ξ「うん。その日の昼食に両親が、この繁華街で食べた食品が原因らしいし、お医者さんからもそう聞かされたの。
それで、その話を聞いてから数日後、面会出来ない状態だった両親は、あたしが一目も見ないうちに死んじゃったわ」
( ^ω^)「……残念だおね……」
ξ゚听)ξ「で、その両親が食べた食品ってのを……あたしが見つけ――」
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:22:12.88 ID:4/IKgXGb0
('A`;)「お待ち!!」
ツンの話に割り込むように、硬質の音が響く。
カウンターに水餃子の皿が並べられた音だった。
焦げ目と、合間に覗く煌めく表面。漂う香ばしい匂い。
ξ゚听)ξ「おいしそう……」
(* ^ω^)「召し上がれだお」
その時、ツンの瞳が、風に揺らめく水面の様に揺れて見えた。
思わず目を逸らし、カウンターの木目へと視線を落とす。
ξ゚听)ξ「……おいしい……」
( ^ω^)「それは良かったお」
美味しそうに水餃子を食べているツン。
彼女の瞳は、既に揺れが収まっていたようだった。
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:23:39.85 ID:4/IKgXGb0
と、そこで目に入った調味料が入っているであろうビン。
( ゚ω゚)「あれは……」
大学で教授が言っていた、あれを含む食品は絶対に食べるな。
あのパッケージだけは忘れず、注意しろ、と。
そして、ツンが今食べている水餃子に、先程の男は振りかけていた。
つまり、彼女が危ない。
(;^ω^)「お、お勘定ここに置いておくお! ツン、帰るお」
ξ;゚听)ξ「え? ええ?」
まだ食べている途中のツンを、半ば強制的に店外へ連れ出した。
案の定、不満そうな表情を浮かべるツン。
ξ#゚听)ξ「ちょっとあんた! まだ食べてる途中だったんだけど!?」
( ^ω^)「ブーンだお」
ξ;゚听)ξ「はぁ!?」
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:24:08.22 ID:4/IKgXGb0
( ^ω^)「僕の名前は――ブーンだお」
( ^ω^)ブーンは食害を食い止めるようです【総合短編】
ξ゚听)ξ「聞いてないっての! もう帰る!」
( ^ω^)「送っていくお」
ξ///)ξ「ば、バカじゃないの!? 一人で帰れるわよ!」
( ^ω^)「明日は、問題の食品を一緒に探すお?」
ξ;゚听)ξ「! 手伝って……くれるの?」
( ^ω^)「勿論だお。明日は祝日だお? だから今日は帰るお」
ξ゚听)ξ「うん……」
本当は一刻も早くツンの検査等をするべきであろうが、あの調味料が本当に危険だという証拠がない。
彼女を病院に連れて行くだけの、理由も。今彼女にあの調味料の事を話しても、混乱させるだけだろう。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:25:07.98 ID:4/IKgXGb0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――VIP大学研究室――
(;^ω^)「誰か居ますかおー?」
ツンを彼女の家まで送っている間、僕は何をすべきなのか、という事をずっと考えていた。
その思考を経て、僕が至った結論は、人に頼ること。その人とは、大学の仲間や、教授達だった。
日付も疾うに(とうに)変わってしまってはいるが、研究室には、まだ灯りが燈っていた。
ハハ ロ -ロ)ハ 「hello」
(;^ω^)「おっ!?」
薄暗い研究室の中を見回していると、背後から声をかけられた。
振り向いて、驚愕。背後に立っていたのは、学長であった。
ハハ ロ -ロ)ハ 「How did you do it?」
( ^ω^)「お……」
"どうしたの?"か。
この大学の学長は英語しか喋れないのであろうか。
自分が通っている大学ながら、不安になる。
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:26:09.34 ID:4/IKgXGb0
( ^ω^)「実は、以前にモララー教授が教えてくださった薬品を、街で見つけたんですお」
ハハ ロ -ロ)ハ 「Is it a medicine? Oh, it is the medicine in question」
大学生とはいえ、僕は英語に明るくない。
彼女の発する言葉の、全体には理解が及ばない。
しかし、澱みなく紡がれる彼女の言葉から、意思の疎通が出来ていると思われた。
ハハ ロ -ロ)ハ「The component brought into question is――」
彼女が、かなり速く喋ってはいるが、大筋の流れくらいは理解が出来た。
含有成分の話を、しているのであろう。
ハハ ロ -ロ)ハ 「――Methamidophos -somatic mutation type "Gyoza"」
(;^ω^)「メタミドホス?」
テレビやインターネット、また、自宅近くのスーパーの店頭などでも見かけた言葉。メタミドホス。
殺虫剤の一種で、人体に害がある。という風に記憶していた。
それに――突然変異型――どうやら噂の原因不明の病気の原因は、これのようだった。
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:27:11.23 ID:4/IKgXGb0
残念ながらその先の会話は、専門用語が多いらしく、成り立たなかった。
しかし、少ないが、貴重な情報を手に入れられたようだった。
( ^ω^)(こんな時間だし……英語に詳しい教授もいないおね……)
今日は、仕方がなかった。
また明日、他の教授にも詳しく聞いてみようと思った。
拙い英語での別れの言葉を告げ、研究室、そして大学を後にした。
( ´ω`)(明日は朝からツンとの約束かお……寝る時間が……)
夜の帳が下りきる、丑三つ時。
帰宅してから僕は、三重にアラームを設定し、眠りに落ちた。
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:28:08.12 ID:4/IKgXGb0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――ツン宅――
次の日の朝。
僕はツンの家の前にいた。
インターホンを鳴らすと、なにやら物音が聞こえた後、ツンが扉を開き、飛び出してきた。
ξ゚听)ξ「お、遅いじゃないのよ! さっさと行くわよ!」
( ^ω^)「ごめんだお。ちょっと寝坊したお」
遅刻、という程でもなく、数分遅れてしまっていた。
昨日の僕の苦労を知れ。という言葉を飲み込み、彼女と共に繁華街へと乗り込んだ。
ξ;゚听)ξ「ちょ……流石に人が多いわね……」
(;^ω^)「だおね。逸れないようにするお?」
ツンと共に、繁華街を練り歩く。
正直な所、歩き回ったところで、何か成果が出るとは思えなかった。
というか、そもそも僕は既にツンの両親の命を奪った病気の原因を知っていた。
それなのに、わざわざ今日ここまで来た理由は、確認を取るため。
( ^ω^)(ここかお……)
昨夜入った店。餃子専門店の、問題の店。
ツンに感づかせない為にも、横目で情報を仕入れる。
繁華街でも、人が極端に疎らな所に構えられた店の看板には、"独男餃子"と銘打ってあった。
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:29:16.16 ID:4/IKgXGb0
ξ;゚听)ξ「……」
位置も把握した。店名も把握した。
午後からは、忙しくなりそうだった。
何にせよ、今はツンに付き合う必要があるが――
ξ; )ξ「あ……」
(;^ω^)「ツン!?」
僕と並んで歩いていたツンが、倒れた。
人が少ない地点とはいえ、繁華街で、倒れた。
(;^ω^)「ちょっと離れて下さいお!」
危うく踏まれそうになるツンの小さな身体。
抱き起こすと、大粒の汗を浮かべ、苦しそうにしている。
ξ; )ξ「はぁ……はぁっ……」
(;^ω^)(とにかく病院に……いや、ここからなら大学の方が早いかお……)
昨夜の調味料が、頭を過ぎるが、振り払う。
大学には最新の医療設備も整っている、走ればものの数分もかからない距離。
僕は、ツンを背負い、走り出した。
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:30:12.61 ID:4/IKgXGb0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――大学医療塔――
大学敷地内に聳える医療塔。
ツンを抱えたままの僕は、医療塔の自動ドアを抜け、エレベーターを使い、三階まで登る。
途中に居たモララー教授も、ついてきてくれた。
ξ--)ξ「ぅ……ん」
三階に達した僕達は、緊急治療室へと足を踏み入れた。
モララー教授により投与された麻酔により、眠るツン。
そのまま治療室内で、精密検査が始まった。
( ・∀・)「んー……何だこりゃ……メタミドホスか?」
モララー教授の言葉で、確定した。
"独男餃子"の"調味料"。含有成分"メタミドホス"。
何とかしなければ。
様々な薬品を投与したことで、ツンの容態が安定し始めた。
( ^ω^)「良かったお……」
( ・∀・)「まぁ、今は安定しているな……だが油断を許さない状況だ」
何にせよ、良かった。
ツンがこのまま死んでしまうかと思ったが、まだ猶予はありそうだった。
彼女の仇を取る、"独男餃子"を、潰すだけの猶予は。
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:31:10.22 ID:4/IKgXGb0
ハハ ロ -ロ)ハ「Hello」
( ・∀・)「学長?」
突然現れた学長。
彼女が英語でモララーに何かを言っている。
ハハ ロ -ロ)ハ「――Methamidophos is polluted the human body.――……」
( ・∀・)「……はい……ええ……」
ハハ ロ -ロ)ハ「……――The solution "serves it a gentian"」
( ・∀・)「……はい、解りました」
それを最後に、学長は出て行った。
よく聞き取れない上に、英語交じりの会話。
その概要を、モララー教授に聞く。
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:32:28.20 ID:4/IKgXGb0
( ^ω^)「何て言ってたんですかお?」
( ・∀・)「ああ、この娘の回復には、竜胆(りんどう)がいるって話だよ」
(;^ω^)「竜胆って、植物の竜胆ですかお?」
( ・∀・)「それも天然で、新鮮なのじゃないと効果がないらしい」
あまり馴染みのない名前であるが、どんな物かは知っていた。
山野に生える植物であり、胃薬として使える、と。
(;・∀・)「しかし、この地域には……それに彼女の容態を見ても、もう時間もない……」
( ^ω^)「探し出しますお……絶対に……」
僕は実際に竜胆を見たことはない。
だが、資料等で形状も記憶している、特徴も。
見つけられると思った。漠然とだが、発見した時のイメージが思いかべられたからだった。
( ^ω^)(でも、今は先にやることがあるお……)
"独男餃子"を潰す。
ツンの仇を取るためにも、これ以上被害者を出さないためにも。
( ・∀・)「連絡しておくよ」
不意に聞こえた教授の声を無視し、退室した。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:34:18.35 ID:4/IKgXGb0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――独男餃子――
( ^ω^)「水餃子を頼むお」
繁華街へと繰り出し、独男餃子で水餃子を頼んだ。
('A`*)「兄ちゃん、昨夜連れていた娘さんは?ww」
男は何も知らずに僕に話かけて来る。
相変わらず鋼のような肉体だった、顔は気持ち悪いが。
( ^ω^)「色々あるんだお……」
('A`)「そうかいwww」
男の作る水餃子。
料理に情熱をかける、とはこの事なのだろう、表情が終始真剣なままだった。
なおさら、放って置くわけにはいかなかった。
( ^ω^)「その調味料は?」
男が水餃子に振りかけようとした調味料を指差し、聞いた。
('A`)「これかい? 某国から仕入れたモノでね、味がいいらしい」
成る程、近くで見るとパッケージに書かれている文字は全て角張っていた。
某国では最近問題が多発している、某国の製品に問題があっても、何ら不思議ではなかった。
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:34:56.68 ID:4/IKgXGb0
>>133
む、間違ってるのか
ならそっちってことで
サンクス
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:37:10.55 ID:4/IKgXGb0
( ^ω^)「あんたは味見したことないのかお?」
('A`*)「ああ、俺の料理、特に俺の渾身の水餃子は旨いって解ってるからなww」
そういって無邪気に笑う男。
ツンは苦しんでいるのに。お前は。
怒りで我を失いそうだった。
( ω )「あんたの料理で、被害を受けている人がいるのは知ってるかお?」
笑顔のまま、調理していた男の動きが、止まった。
('A`)「……なんだと?」
(#^ω^)「あんたの料理のせいで! ツンが死にそうになってるって言ってんだお!!」
('A`;)「――ッ!?」
思わず掴みかかった。
カウンター越しに男の顔面を一撃殴る。
そして全力で手前に引き込んだ。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:39:25.34 ID:4/IKgXGb0
('A`;)「ぅお――」
男の身体はカウンターを越えて、こちらに倒れて込んできた。
その身体を、押さえつける。マウントポジションだった。
(#^ω^)「あんた知ってたんだお!? 原因不明の病気、その原因があんたの料理にあるって事を……ッ!!」
('∀`)「ふふ……」
(#^ω^)「……何笑ってんだお!?」
男の袖口を掴み、引き上げる。
そのまま拳を内側に回し、締める。
('∀`)「……ッ……祖父の代からやってきた店なんだよ……ここは……」
(#^ω^)「……それがどうしたんだお?」
('A`)「祖父が使ってた調味料の仕入れルートは……崩せなかった……
例え被害者が出ていようと、三代の伝統を崩すことは俺には……」
(#;^ω^)「そんな理由で――ッ!?」
浮き上がる僕の身体。
男が起き上がろうとしている、というのが解った。
背中に走る衝撃、腹に圧し掛かる重圧。先程までと、体勢が逆転した。
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:41:13.04 ID:4/IKgXGb0
(;A;)「――お前に何が解るってんだよぉ!!」
殴られる。殴られる。殴られる。
男の連打を浴びる。反撃は愚か、姿勢を変えることも出来ない。
でも僕は――
(メメメ^ω^)「――とっておきを、とっておく……。
……それが僕の能力……キャッチザパワー」
――我ながら決まりのないセリフだ。と思った。
(;A;)「ああ!? 何言ってんだ!!」
「「そこまでだ!!」」
(;A;)「へ?」
引き離されていく男の身体。
見覚えのある制服を着た男達が、男を押さえつけ、手錠をかける。
ここに来る前に通報しておいた、警察だった。
"保健所職員"と書いてある名札を胸に着けている男が、店の扉の向こうに見えた。
教授が 連絡しておく、と言っていたが、この事だったのだろう。
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:43:21.38 ID:4/IKgXGb0
( ゚警゚)「君、大丈夫かね?」
(メメメ^ω^)「……大丈夫ですお」
こんな所で倒れている訳にはいかなかった。
一刻も早く竜胆を見つけ出さなければならなかったから。
( ゚警゚)「まぁ、とりあえずは事情聴取を――」
(メメメ^ω^)「そんな事してたら死んじゃういますお!」
( ゚警゚)「何だと? どういうことだ?」
警察の男に、事情を説明すると、警察も竜胆捜索に協力してくれるようだった。
生えているとしたら、最も可能性が高そうなのは、標高が高い山。
それは繁華街の、僕が今いる地点と、大学を結んだ延長線上にある山、ニューソク山。
場所を決めてからは、無我夢中だった。
大学にいた教授、生徒も、モララー教授の呼びかけで捜索してくれるらしく、百人近い人手が揃った。
最後にツンの様子を見に行く、モララー教授を含む数人の教授達が必死で治療を行っていた、時間に余裕はなかった。
全員で山を登り、離散し、合流する。
それを繰り返し、山に生えている植物を見て回るが、それらしきものは見つからない。
徐々に日が暮れて行き、暗闇が支配し始めた山中。
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 13:45:27.48 ID:4/IKgXGb0
( ゚警゚)「これ以上は無理だ。下山しよう」
警察の男の呼びかけで、殆どの人は山下してしまった。
暗闇の中、独りで生えている植物一つ一つを見て回る。
いつの間にか、僕の頬を涙が流れていた。
(メメメ;ω;)「……早くしないと……クソッ!!」
涙を拭ったところで、暗い山の中に鳴り響いた携帯電話。
表示されている文字は、以前の講義の際に登録していたモララー教授の名前。
嫌な予感が走り、電話に出たくなかった。
(メメメ^ω^)(でも、出ないわけにはいかないお……)
(メメメ^ω^)「はいですお……」
( ・∀・)『ブーン君、落ち着いて聞け……』
(メメメ^ω^)「……」
( ・∀・)『――』
(メメメ ω )「――」
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 14:08:13.64 ID:4/IKgXGb0
ツンが、死んだ。
モララー教授も、最善を尽くしたが、メタミドホスによる汚染の拡大を防げなかったらしい。
そんな事は、どうでも良かった、悔やみきれない事が多すぎた。
あの時水餃子の店に入らなければ。
ツンに水餃子を食べさせなければ。
僕が竜胆を見つけられれば。
僕が――ツンに出会わなければ――。
ハハ ロ -ロ)ハ『若いあなたなら……迷うこともあるでしょう……』
(メメメ;ω;)「お……?」
携帯電話を伝って聞こえる学長の声。
先程まで難解だった英語、しかし今は何故か、全てを理解出来た。
ハハ ロ -ロ)ハ『しかし、人との繋がりを疑う事は、迷いではなく――』
次々と彼女の英語を日本語へと処理していく脳。
ハハ ロ -ロ)ハ『愚かな事です。信じる事を忘れた人には、幸せは訪れませんよ』
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 14:11:01.10 ID:4/IKgXGb0
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
――食品公害対策センター――
( ^ω^)「そこから先のことは、あまり覚えてないお、気が付けば家のベッドで寝ていんだお。
次の日の目覚めは最悪だったおね。ツンが死んだ、という事だけがはっきりと解って――」
ζ(-ー-*ζ「……Zzz」
(;^ω^)「まだデレには難しかったかおね……」
('A`)「おいブーン、また食害事件が起きたみたいだ、現場行くぞ」
( ^ω^)「おkだおドクオさん。今日も張り切って仕事しますかお!」
ζ(゚ー゚*ζ「! デレも一緒に行くー!」
(;^ω^)「ちょwwお前は待ってろおwww」
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[さるってたスマソ]2008/10/12(日) 14:12:11.81 ID:4/IKgXGb0
この国に蔓延る偽装、政治問題。
疑いの中に育つ子供達は、しかし真っ直ぐに成長しようとしていた。
それを助けてやるのも僕達の仕事。
真っ直ぐでなくとも、育つことすら許されなかった子供達がいる。
その痛みを知る僕らだからこそ救える、助けられる事もある。
だから――僕は人を信じ、今日も仕事を頑張れる。
( ^ω^)ブーンは食害を食い止めるようです
end
,
152 :
◆080mxUe5zE
[]2008/10/12(日) 14:12:47.14 ID:4/IKgXGb0
ちょっとオマケ入ります
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 14:13:41.34 ID:4/IKgXGb0
( ^ω^) おk、おk。本編は今からだっての!
( ^ω^)ブーンは食害を食い止めるようです
( ^ω^) 本編START!
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[>>153 よくわかったな貴様]2008/10/12(日) 14:14:50.62 ID:4/IKgXGb0
( ^ω^) あ! ダンボール入り餃子!
( ^ω^) 食い止めるお! 食う! 食う! 食う!
(;^ω^) ゲプ……流石に気持ち悪いお……
( ^ω^) あ! 事故米だお! 納豆ご飯にして食い止めるお!
( ^ω^) 食う! 食う! 食う!
(//^ω^) ……ガンになったお
( ^ω^) あ! あれは――
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 14:15:15.94 ID:4/IKgXGb0
(;^ω^) ――やっと今日の仕事が終わったお……
( ^ω^) あ! 蒟蒻畑! 食害を食い止めるお!
( ^ω^) 食う! 食う! 食う!
(;^ω^) 普通にうめーお……
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
[]2008/10/12(日) 14:17:51.01 ID:4/IKgXGb0
さるなんか初めての経験で、ちょっと手間取いました
お題は
・竜胆
・Methamidophos -somatic mutation type "Gyoza"-
・渾身の水餃子
・とっておきを、取って、置く。
それが彼の能力……キャッチザパワー
少し改変も加えましたが、消化出来ましたね
難解なお題でしたが、筆は進みました
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