ブーン系小説をまとめて紹介しているサイトです
HOME
|
問合せ
( ^ω^)ブーンは駆逐するようです
第13話
333 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 11:56:01.72 ID:Q20amxjg0
第十三話「架け橋」
ツンを抱きとめたブーンはその衝撃とさらに爆風によって自身も吹き飛ばされ、ジープに体を叩き付けられようとしていた。
( ^ω^)「ちょwwwツン思ったより重ぇwwwwwww」
などと受け止めた後の浮遊中に言ったことを、気を失っていてツンが聞かなかったのは幸いだったろう。
( ^ω^)「げふぅ……ツンのせいでダメージ2倍だおw」
_
( ゚∀゚)「司令、聞かれたら戦場で不慮の死に遭遇しますよw」
( ^ω^)「うはwwwwwデッドエンドktkrwwwwwwwwww」
_
( ゚∀゚)「相手がツンだと洒落になってねぇwハインでも洒落になってねぇがw」
从 ゚∀从「お前は今すぐ地獄に送ってやろうか?」
_
( ゚∀゚)「OKハイン。でもこれ以上戦力がなくなるのはまずいと思うんだ……常考」
从 ゚∀从「司令も――」
( ^ω^)「パスwwwwww」
ジープの上から自身の上官に一喝しようと意気込んだハインに、ブーンはとりあえず抱えていたツンを放り投げた。
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 11:56:34.51 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「うわ――っとと」
慌てて抱きかかえたハインが女の子を乱暴に扱うなとさらに叱責しようとしたが、
既にジープに乗り込み無線に手をかけているブーンを見て断念した。
( ^ω^)「ショボン司令ですかお?」
『ブーン……ん……ったかい?』
通信状況が著しくよくないらしい。無線は途切れ途切れに電気信号を音声を変換していく。
『……やく……ろ!!! エ……が来た!!!!!』
その声は切羽詰っている。向こうは必死で何かを伝えようとしていた。
( ^ω^)「どうしたんですお? それよりも司令ミサイルのことで――」
一瞬ジッっと無線が鳴った後、急に無線が調子を取り戻した。
『エレが来た!!!!! 早く逃げろ!!!!!!!!!!』
電子でその通信機の向こう側で必死に声を張り上げていた。
それを最後に無線はジジッと音を上げてその機能を果たさなくなる。
335 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 11:57:21.27 ID:Q20amxjg0
日本がまだ蟲との徹底抗戦を続けられる状態にあった時、
一匹のエレが日本軍の前に立ちはだかり、瞬く間にその戦線を崩壊させていった。
レーダー等の電子制御されている軍事物は、エレの特殊な電磁波にたちまちに役立たずになっていった。
その恐怖の対象が今、なぜこんな僻地に居るかは分からない。
( ^ω^) (それでさっきのミサイルの軌道が……)
( ,,゚Д゚)y ̄~「どうしますか?」
( ^ω^)「とりあえず蟲も先の爆撃で運悪くかなりの被害が出たみたいだお。
南地区に集めていた兵士と合流して予定通り南の海底トンネルまで逃げ切るお。
エレが来ても、こちらの戦力じゃどうせ電子統制されているものは少ないから直接の影響は多くないお。
増援があるかも知れないからとにかく早く逃げるお!」
( ,,゚Д゚)y ̄~「了解!」
( ^ω^) (おそらく、蟲が進行を開始するのは30分後くらいだお。それまでに逃げ切るお)
ブーンたちの本隊は南を目指して再び進行を開始した。
その北方1kmの地点ではその数3分の1まで減らしたフライが再び結集し始め、
火球に呑まれて灰になった同胞と後続のスカラベを喰らうワームがひしめきあっていた。
ブーンはさらにその遥か北方の空を見た。
雲ひとつない空。未だ、空にエレの姿は見えない。
336 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 11:57:46.20 ID:Q20amxjg0
体長200mを悠に越すエレが空を浮遊する姿はまさに空中の要塞のようであった。
土色の体は芋虫のように丸く、蜻蛉の如き薄い18枚の巨大な羽がその巨躯を宙に浮かべている。
体からは時折青い電気のほとばしり、それが自身を痛めつけているようにも思われた。
それはあまりにも醜かった。
その外見だけではない。その肉体は内側から改変され生物としての機構の美しさを完全に消失していた。
もともと大きくなかった体は無理矢理巨大化され、より多くの電子の本流に耐えられるようにするため、
ありとあらゆる生態改造がその身に施されていた。
生物の構造を良く知るものなら、吐き気がするほどの凄惨な状況だ。
もしこの世界に生物を創った神が居るとしたら、それは正しく神への反逆だった。
歪な醜い、生きているのがやっとなほどの創られた生命体。
――未だ、その悲鳴に気が付くものは居ない。
337 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 11:58:19.09 ID:Q20amxjg0
夢を見ている。
何故それが夢だって分かったのかって言ったら、そこには私の知ってるあの人がいつに無く困った顔をしていたらからだ。
私は、この人こんな表情は一度だって見たことがない。
「ツン、ごめんお」
その人は何故だか私に向かって謝った。
私は何を謝られているのかも分からないまま、その人を許してしまう。
その人は酷く申し訳なさそうな表情で、それでも少しだけを気を楽にしたようだった。
そんな表情、私は知らない。
あの人はいつだって微笑んでいた。
辛いことがあっても、過去の哀しい思い出を語っている時も、いつだって微笑んでいた。
その表情は穏やかで、そして酷く人間味に欠けていた。
338 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 11:58:57.55 ID:Q20amxjg0
だってそうだろう。
人間は悲しいときには悲しい顔を、辛い時には辛い顔を、うれしい時にはうれしい顔をするものだ。
顔は人の心を映すのだ。だけど、私が見ていた彼にはそれが無かった。
たとえその表情がなんとなく悲しさを漂わせていても、その顔はあの微笑を湛えたままだ。
仮面のような表情だった。
だから私は彼が英雄だと言ってるのを他人から聞いた時、強い違和感を覚えた。
司令室に掛けられた4枚の絵画の入り口からもっとも遠い4番目。
逆に司令である彼から最も近い場所にあるその絵画は「Demon(悪魔)」と銘打たれている。
絵画に描かれた老人は椅子に座って穏やかな微笑を浮かべ、一心にそれを見るものを見返していた。
人を試すように、そしてどこか見守るように。
私は心のどこかで、それと彼を重ねていた。
だけどその「悪魔」という語が意味も無く私の良心を苛むような気がして、
私は無意識のうちにその感情をしまい込んでいた。
339 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 11:59:40.47 ID:Q20amxjg0
逃げていたのは……私?
目の前の彼はあのいつもの微笑を浮かべない。
どこか頼りなくて、そして私が初めて会った時のあの時のように優しそうだった。
彼の顔には様々な感情が入り混じっていた。
不安と、苦痛と、そして決意。
あの人のそんな表情を私は知らない。
彼は告げる。
「じゃあ、僕は行くお。」
どこへ、とか、何で、とかそんなことを聞こうとしたけど私はただ頷いただけだった。
彼は行くと決めたのだ。
340 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 12:00:15.97 ID:Q20amxjg0
痛みにぼろぼろになった彼を幻視してしまう。
壊れると思った。このままでは確実に彼は彼の理想の圧死すると。
そんなことはわかっているのだろう。
それでも彼の決意は揺るがない。
「さよなら、ツン」
彼が最後に微笑みを浮かべる。
その顔はあのいつもの様子と変わらない。
変わらないのに、なぜこんなにもその違いが分かるのか。
彼の自然な笑顔だった。なんの違和感もない、純粋な笑顔。
私は初めて彼の笑顔を見た気がした。
342 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 12:01:05.05 ID:Q20amxjg0
ジープの中に保護されたツンが「んんぅ……」と小さなうめき声を上げて薄っすら目を開けた。
ξ゚听)ξ (変な夢だったな……)
徐々に意識が覚醒される。
と同時に私は悲鳴を上げた。
ξ///)ξ「きゃ!!!」
(#)^ω^)「いでぇ」
ゴスっという鈍い音が車内に響いた。
ツンを抱えていたブーンに驚いて、手を振り上げた拍子にその拳がブーンの下顎を捉えたのだ。
いやいや、手を振り上げる時にグーですか? って話なんだけどグーなんです。
ξ///)ξ「え!? あ、ごめんなさい! ビックリして!」
_
( ゚∀゚)「いや素晴らしい拳だった。司令が急所からかわしていなかったら意識を刈り取りそうな勢いだった」
ξ///)ξ「だって起きたら抱きかかえられてたし! 何で私いきなり抱えられてるんですか!?」
_
( ゚∀゚)「ジープの中は全部で元から8人が乗っており、とてもツンちゃんを乗せる余裕は無かったのだが
結局どこのジープにもそんな余裕はなかったので、仕方なく司令が抱えていた次第さ」
( ,,゚Д゚)y ̄~「説明ご苦労」
(#)^ω^)「いでぇ」
344 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 12:02:24.82 ID:Q20amxjg0
ξ///)ξ「あ……えと……ごめんなさい」
_
( ゚∀゚)「まぁ、自業自得ってことで」
ξ///)ξ「?」
(#)^ω^)「……」
_
( ゚∀゚)「いやだってほら、ツンちゃんみたいなを抱えていたら悪戯したくなるのが男の性」
ξ゚听)ξ「……なんかしたんですか?」
(#;)^ω^)「……」
( ,,゚Д゚)y ̄~「汗が出てるぞ司令」
( ^ω^)「おっおっおっ」
再び車内に鈍い音がこだました。数回ほど。
346 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 12:03:07.92 ID:Q20amxjg0
(#)ω(#)「前が見えんお」
( ,,゚Д゚)y ̄~「そうでしょうね」
_
( ゚∀゚)「まぁ、司令が俺達をハインに売った時もありましたしね」
(#)ω(#)「そんなこの話のレス数にして150レス以上前の恨みを……」
( ,,゚Д゚)y ̄~「なかなか反撃の機会無かったですしね」
_
( ゚∀゚)「ゴム弾痛かったですしね」
( ,,゚Д゚)y ̄~「ですしね」
_
( ゚∀゚)「death死ね」
(#)ω(#)「ツンの胸柔らかかったなりぃ」
ゴスっ
(#)#(#)「……」
ξ#゚听)ξ
_
( ゚∀゚)「AAかどうかも怪しいな」
( ,,゚Д゚)y ̄~「ああ。哀れだな。こうはなりたくない」
347 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/01/01(火) 12:04:23.79 ID:Q20amxjg0
<幕間>
(#)#(#)ウィーン
(#) # =(#)ヒュ
(#) # =(#) (゚ー゚*)ノシ
(#) # バシ(#)С(゚ー゚*)バシ
(#) # (#)= (゚ー゚*)
(#) # (#)= (゚ー゚*)
(#)#(#) (゚ー゚*)
(#))((#)ギュムム (゚ー゚*)
( ^ω^)ポム (゚ー゚*)
(^ω^) (゚ー゚)
_
(;゚∀゚)「!!!」
( ,,゚Д゚)y ̄~「眉毛ずれてるぞ」
</幕間>
第14話へ
HOMEに戻る
ニュー速VIPのブーン系小説まとめ
Copyright © 2008 Boon Novel. All Rights Reserved.