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( ^ω^)ブーンはフォースを駆るジェダイのようです

SHOT-V

4 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:11:51.19 ID:+8RCULJCO
【登場人物紹介】

( ^ω^)…ナイトウ=ホライゾン(32)
・ジェダイ・ナイト
・柄の両端から翡翠色の光刃を展開するダブルブレイドライトセイバーを愛用

( ∵)…ビコーズ
・ドラム型多目的万能ドロイド
・R2-D2みたいなのを想像してくれておk
・ブーンの相棒

ξ゚听)ξ…ツン=E=アシュクロフト(15)
・辺境惑星の住人
・とある森の巫女をしている
・貧乳以外の何者でもない

5 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:14:55.60 ID:+8RCULJCO
( ^ω^)『…………』

ξ゚听)ξ『…………』

( ^ω^)『いや、これはどう考えても不可抗r』

ξ#゚听)ξ『 死 ね !』

Episode3:ツン=E=アシュクロフトの憂鬱

〜SHOT-3〜

(メ)ω(メ)「いやぁ。やっぱり朝食に納豆は最高のチョイスだお」

ξ゚听)ξ「そんなに好きなら貴方も醗酵させてあげる。藁の中で眠ってなさい、永遠に」

(メ)ω(メ)「HAHAHA。いや、マジで勘弁して下さい」

爽やかな朝に爽やかな拳闘を叩き込まれたブーン。
公明正大なジェダイが森の巫女に顔が林檎のようになるまで、したたかに打たれた理由を語るには、少しばかり時間を遡る必要がある。

6 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:17:42.63 ID:+8RCULJCO
―――――
―――――――
――――――――――

≡( ^ω^)『朝風呂ってスバラスィー。大自然の中で命と身体の洗濯するお』

ξ;゚听)ξ『へ?』

(;^ω^)『ほ?』

鶏達がやっと鳴き始める、肌寒い時間帯。
マフィアと一悶着始める前に心地良い冷水で気を引き締めようと、ブーンは昨日の狩りで見かけた河川敷へと向かっていた。

その到着地点。
さあ、服を脱ごうと上着に手をかけた際に出くわしたのが、一糸纏わぬ姿で水を浴びていたツンである。

9 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:20:22.54 ID:+8RCULJCO
ξ;゚听)ξ『…………』

(;^ω^)『…………』

透き通るような肌。
凹凸の少ない流線型の肢体。
水に濡れて身体に張り付く金髪は、ツンの女性としての魅惑を激しく引き立てている。
ある意味で完成された構図を持って、ツンはブーンを迎えていた。

要するに、昨晩遭遇し損ねた(ブーンがそれを求めていたかは定かでないが)お約束な展開が二人を襲ったのである。

( ^ω^)『…………』

ξ゚听)ξ『…………』

( ^ω^)『いや、これはどう考えても不可抗r』

ξ#゚听)ξ『 死 ね !』

<ガッシ! ボガ!

<ヒギィイ!

――――――――――
―――――――
―――――

10 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:22:49.81 ID:+8RCULJCO
ξ#--)ξ「ホントに最低。銀河共和国がどれだけ文明が発達してるか知らないけど、
     頭の中身は一寸足りとも進歩してないじゃない」

(;^ω^)「あうあう。弁明の余地はないけど、僕だってそういう被害(?)が起きないようにと、わざわざ早起きして川に向かったんだお」

ξ゚听)ξ「あんな時間、早起きでも何でもないわよ。
     私達は太陽が昇る前に起きて、太陽が沈むと同時に寝るの」

口端にご飯粒を付けたまま怒り心頭の体を為すツンに、ブーンは只々頭べを垂れるしかない。
変態だのケダモノだのと、ブーンの精神を散々摩耗させたツンは、ふと、急に目を伏せてしまった。

何か嫌なことを思い出したのだろうか。
床の上に敷かれた盆をじっと見つめて押し黙ったツンに、ブーンは恐る恐る声をかける。

11 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:26:30.16 ID:+8RCULJCO
( ^ω^)「えっと……ツンさん?」

ξ゚听)ξ「なぁに」

( ^ω^)「その。どうかされました?」

ξ゚听)ξ「…………」

(;^ω^)「…………」

何故か気まずくなる空気。
こういう時、とっさに気の利いた台詞を吐けるかどうかで男の格付けが決まる。
とは、とある好色なジェダイの格言だ。

ξ゚听)ξ「どうだった?」

( ^ω^)「はい?」

ξ゚听)ξ「私の身体のことよ。見て、どう思った?」

12 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:28:20.50 ID:+8RCULJCO
(;^ω^)「どうって言われても」

なんだ、その質問は。
茶化しているわけでもなく、自分の肢体を見た感想を吐けと真顔で迫るツン。
予想外のボディブロウに、ブーンは抗うことができない。

ξ゚听)ξ「私は今年で十五になる。でも、村の女の子達と違って身体があまり成長してないの。
     たぶん、十歳ぐらいの時から殆ど変化してないわ」

( ^ω^)「…………」

ξ--)ξ「背が伸びなくなって、胸も成長しなくなって……信じられる? 生理も未だに初潮すら迎えてないのよ」

( ^ω^)「…………」

ξ゚听)ξ「ねぇブーン。これって普通なのかしら? 私の身体はちゃんと成長しているの? 宇宙人なら分かるでしょ?」

14 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:30:38.58 ID:+8RCULJCO
( ^ω^)「第二次性長は種族や個人によって様々だお。ツンが気にする必要は無いお」

ξ゚听)ξ「…………」

( ^ω^)「それと、そういう女の子の大切な秘密は、出会って三日すら立っていない男に易々と話すもんじゃないお。
      相談してくれたことは凄く嬉しいし、光栄なことだけど」

ξ゚ー゚)ξ「相談……ふっ、誰にすればいいのよ」

一転、ブーンを嘲るように笑うツン。
その理由故に、生意気な台詞に対して抗議できないジェダイを置いて、ツンは社本堂の奥へと引っ込んでしまった。
彼女の自嘲に満ちた笑みは、何故か心をえぐる物があった。

16 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:33:27.19 ID:+8RCULJCO
( ^ω^)「(喜怒哀楽が激しい娘だお)」

どうにも、ブーンは彼の少女との掛け合いが苦手のようだ。
外交任務に携わることも多いブーンは、フォース云々抜きにしても対人話術や人心掌握術にある程度の自信を持っていた。
しかし、いざ金髪蒼眼の巫女とぶつかってみれば結果はこの様である。

( ^ω^)「……よし」

座禅の形で暫く瞑想したブーンは、腹を決めて立ち上がった。
食べ終えた食器を盆に載せる。
向かう先は、勿論ツンがいるであろう社の裏方だ。

17 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:37:43.67 ID:+8RCULJCO
( ^ω^)「ツン」

ξ゚听)ξ「なに。食べ終わったのなら、食器はそこに置いておいて」

案の定、ブーンに背を向けた形でツンは狩りの道具の手入れをしていた。
そんな彼女の側へブーンはのんびりと近付き、壁に背中を預ける。

( ^ω^)「さっきの相談の件なんだけど、一つだけ判明したことがあるお」

ξ゚听)ξ「?」

今までの穏やかな喋り方とは一転。陽気な口調になったブーンにツンは違和感を感じながら振り返った。

( ^ω^)「ツンはさ……」

ξ;゚听)ξゴクリ…

m9(^ω^)9m「自分が貧乳だってこと相当気にしてるんだおねwwwwwwバスト、Aカップもないだろ、お前wwww」

20 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:41:19.02 ID:+8RCULJCO
ξ;゚听)ξ そ「……な」

ξ#゚听)ξ「なんですってー!? もう一度言ってみなさいよ、この白豚野郎!」

(*^ω^)「未成熟少女乙wwwwwあの川で見たツンの胸ったら、そりゃもうまな板もいいところでしたわwwwww」

ξ#゚皿゚)ξ「むぎー!! それ以上言ったらそのにやけたファニーフェイスをかち割るわよ!
      だいたい……Aカップだか何だか知らないけどね。何の事を言ってんのよ!?」

( ^ω^)「女の子の胸の大きさを表す単位だおwww
      ちなみに、この世でもっとも美しく、均整の取れた胸はC・Dカップで――――」

(*;ω;)アババババ「Aカップはwwwwwもはや女性ではありませんwwwww
           速やかに性転換することをオススメしますwwwww」

21 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:43:43.56 ID:+8RCULJCO
ぷぎゃー、と腹を抱えて床をバンバンと叩き始めるブーン。
中年男の爆笑に青筋を立てたツンは手当たり次第に物を投げ付けた。
それを華麗なフォームで避けながらブーンは小馬鹿な台詞を交えつつ、少女との応酬に興じる。

ξ#;;)ξ「なによ!! さっきは人それぞれみたいな言い方してた癖に、急に手の平を返しやがって!」

( ^ω^)「ご安心下さい。世の中には、まな板に興味を示す奇特な紳士もいますので、Aカップにも需要はありますぞ。
      って言うか泣いてるんすかwwwwwパネェっすよツンさんwwww」

22 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:44:49.12 ID:+8RCULJCO
ξ#;;)ξ「五月蝿い! 泣いてなんかないもん!」

( ゚ω゚)「あ! ちょっと、ツン。今すぐ横を向いて直立してくれお!」

ξ#う;)ξ「……?」

(;゚ω゚)「早く! 僕は大変なことに気付いてしまったお!」

ξξ;゚)クルリ「な、なによ……こう?」

( ゚ω゚)「…………」

ξξ;゚)「……?……?」

( ゚ω゚)「……プッ!」

(((*;ω;)))「やっぱり、どう見ても平らだお!
        隊長! ツン平原は見渡す限り地平線ばかりで、丘がありませーんwwwwww」

ξ#;;)ξ「ゔわぁぁああぁあああぁぁああああ!!! 平原って言うなぁあああ!!!」

23 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:48:22.12 ID:+8RCULJCO
結局、騒ぎを見兼ねたビコーズが仲裁に入るまでブーンとツンの喧嘩は続いた。
大人気ないやり取りで体力を消費した二人は、息を切らしながら冷たい床の上に大の字で倒れる。

ξ;--)ξ=3「まったく……何やってるんだろ、私は」

(;^ω^)「おっおっおっ。ツンもなかなかの毒舌っぷりだったお」

ξ#--)ξ「五月蝿い。ずっとこんな生活をしていれば、性格の一つや二つは捻くれるわよ」

( ^ω^)「おっ。でも、ツンは僕に優しくしてくれたお」

ξ゚听)ξ「あら、この社にドMが一人いるようね。踏み付けてもいいかしら?」

24 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:52:08.19 ID:+8RCULJCO
懲りない口調にブーンは思わず、ふふと笑う。
馬鹿にされたと思ったツンは足を動かし、隣で寝転がる男の腰を蹴った。

「痛い」とブーンが唸り、ツンはそれを無視する。
爽やかな、気持ちの良い風が開け放たれた窓から吹き込んだ。

ξ゚听)ξ「で? どうすんの」

( ^ω^)「なにが?」

ξ゚听)ξ「宇宙人に会いたいんでしょ。行くなら早く出ないと日が暮れるわよ」

( ^ω^)「お、連れて行ってくれるかお」

ξ--)ξ「昨日そう言ったじゃない。でも、約束を忘れないでよ」

( ^ω^)「イエス・マム」

26 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:53:23.11 ID:+8RCULJCO


  ※※  ※※  ※※


出発は比較的早かった筈なのに、歩き出してからもう五時間近くが経過していた。

ツンが住む社は広大な森の端部分にある。
彼女の話によれば、森の中央には突起した巨大岩盤がそそり立っているそうだ。

近隣の住民から『へそ山』と呼ばれる高さ四・五百メートルのそれは、
浸蝕を繰り返した末の階段状の構造になっており、マフィア達はその中腹の何処かにいるという。

28 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:54:09.62 ID:+8RCULJCO
見た目の大きさも相俟って、歩けども歩けども、へそ山に辿り着くことができず。
危険な野獣をかい潜ってどうにか目的地へ二人は到着するが、今度は険しい岩肌を登る始末に追わされた。
平時にも厳しい修業をしているとはいえ、この道程には流石のブーンにも厳しいものがある。

( ^ω^)「よっ、ほっ」

ξ;゚听)ξ「ちょっと。案内人を置いて登らないでよ」

( ^ω^)「おっお。ペースを上げなければ日が暮れると言ったのはツンだお」

ξ;゚听)ξ「そうだけどさ……」

ただ、厳しいとは言ってもジェダイがこの程度の労で疲れを見せることはない。
三十路を超えた男の異常な体力にツンは困惑を隠せなかった。

30 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:56:04.12 ID:+8RCULJCO
ξ゚听)ξ「…………」

怪しい奴だとは思っていたが、やはりただ者ではないようだ。
深茶のローブを翻しながら風と雨水が造った天然の階段をよじ登るブーンの姿は、
今まで見てきたどんな人間よりも力強く見えた。

( ^ω^)「ツン、この先は二手に別れているお」

ξ゚听)ξ「さっきも言ったけど、私は連中が空を飛ぶ乗り物でへそ山に入って行く所しか見てないの。虱潰しに捜すしかないわよ」

( ^ω^)「う〜ん。じゃあ、右に行くかお」

ξ゚听)ξ「……随分と適当ね」

( ^ω^)「全てはフォースが導いてくれるお」

ξ゚听)ξ「?」

32 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:58:09.76 ID:+8RCULJCO
フォースってなに、とブーンの横に付きながら質問するツン。
世界の真理、と的を得ているようで参考にならない答えを返すブーン。

昼時になり、予め用意していた軽食を二人は腹に詰め込んだ。
もう、標高百メートル辺りまで登ったのではないだろうか。
少し肌寒くなった空気を感じつつ、ツンお手製の乾パンをブーンは口に放り込む。

( ^ω^)「これ、なんか凄く硬いです」

ξ゚听)ξ「じゃあ食べなきゃいいじゃない」

( ^ω^)「ツンって料理したことあるお?」

ξ゚听)ξ「あるわよ」

( ^ω^)「…………」

ξ;゚听)ξ「な、なによ」

33 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 00:59:40.26 ID:+8RCULJCO
ニヤニヤと笑う男にツンが拳を振ろうとした時、ブーンの眼光が突然鋭くなった。
普段は細められている人なつっこい目が見開かれる。
それが意外にも威圧感のある体を成していたので、ツンは内心強く動揺する。

口を開きかけるツンの唇にブーンはそっと指を当てた。
静かに、という合図だ。
一応、ただならぬ様子だったのでブーンの指示に素直に従うツン。
そして、彼が睨む先に習ってその方角へと彼女は神経を集中させてみる。

ξ゚听)ξ「(誰かいるわね)」

( ^ω^)「(ツン。この岩山で宇宙人以外に住んでる人はいるかお?」

ξ゚听)ξ「(いないわ。動物でも住み着いているのは鳥くらいよ)」

35 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:00:57.12 ID:+8RCULJCO
自分達以外の気配が、賑やかな話し声と共に岩肌を進んでいる。
風に乗って聞こえてくるその言葉が共和国の共通語であることに、ブーンもツンも直ぐさま気付いた。

やはり、マフィア達はこの岩山を活動拠点としていたのだ。
興奮するツンを静止しながら、ブーンは彼等の動向を詳細に観察する。

(`∀´1)「よぉ。聞いたか? ブラックフラグのとこの宇宙工場がニューソク社の単艦船に襲撃されたらしいぜ」

(`∀´2)「嘘吐けよ。あの工場はステルス船を改造した奴だろ。移動ができるんだ。そう簡単に見つかるもんか」

37 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:02:58.79 ID:+8RCULJCO
(`∀´1)「いやいや。それが、見つかったんだって。流石に暫くドンパチしたみたいだが、結局制圧されたらしいわ」

σ(`∀´1)ニューソク側の艦長は何て名前だったかな。
     女なんだよ……確かクサナギ=モモカ……いや、モトコだったか? そんな名前だった気がする」

(`∀´;2)「…………」

(`∀´1)「ギャハハハハ! マジな顔すんなって、俺達なら大丈夫さ。何の為にこんな糞田舎の星にいると思ってるんだよ」

(`∀´2)「あ、ああ。そうだよな! 見つかるわけねーよな!

38 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:04:23.64 ID:+8RCULJCO
下品な笑い声を出しながら、二人のマフィアはツンとブーンが潜む岩影を通過してスタスタと歩いて行く。
食料らしき物が詰め込まれた袋を各々が手に下げている。
恐らく、村へ食料調達に行った帰りなのだろう。
彼等の後を追えば、秘密工場に辿り着ける可能性は高い。

( ^ω^)「ツン。案内ありがとう。後は僕に任せて欲しいお」

ξ゚听)ξ「馬鹿言ってんじゃないわよ。私も着いていくわ」

(;^ω^)「遊びじゃないんだから、聞き分けてくれお」

ξ゚听)ξ「やだ」

(;^ω^)「…………」

39 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:05:38.63 ID:+8RCULJCO
こうなることは最初から分かっていた。
やはりツンは最初からマフィアとド突き合いをするつもりでいるらしい。

その証拠に、彼女は青銅で造られた短剣とショートボウ型の石弓で完全武装している。
”当たらなければどうと言うことはない”精神の元、服装は必要最低限の物だけに抑えた仕様だ。
機動性は確保されているが、防御力は皆無に近い。

( ^ω^)「ツン」

ξ゚听)ξ「あら。力付くで説得してみる? 私の抵抗は五月蝿いわよ」

ξ゚ー゚)ξ「ひょっとしたら。あの宇宙人達の隠れ家まで騒ぎが聞こえちゃうかも」

(;^ω^)「勘弁してくれお」

40 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:08:38.85 ID:+8RCULJCO
どちらにせよ共和国で主流となっている集束型ビーム銃の前では、
偏光・耐熱性能に秀でたハイ-プラスチール鋼以外の金属では太刀打ちできない。

なので、結果だけを見れば彼女の武装選択は正解の部類と言えるだろう。
それがツンがブーンに着いていける理由になるとは限らないが。

ξ゚听)ξ「土地勘は私の方が遥かに上なのよ。きっと役に立つわ」

( ^ω^)「気持ちは分かるけど、連中の科学技術はきっと君の想像を遥かに越えてるお。
      そんな原始的な武器じゃまともに戦えないお」

ξ゚听)ξ「持ち物が違うだけじゃない。それともなに。ブーン達宇宙人はナイフを首に刺されても死なずにいられる身体なの?」

( ^ω^)「それは……」

ξ゚ー゚)ξ「でしょ? 悪くはしないから私も連れて行って」

41 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:11:33.45 ID:+8RCULJCO
梃子でも動かぬ構えを見せるツンに、ブーンは泣く泣く折れるしかなかった。
昨日は付けていなかったであろう、宝石を紐で括った綺麗なネックレスを胸元に下げたツンを見て、
ブーンは必ず自分の指示に従うようにと念を押す。
こんなつまらない事件の為にツンを死なせたくはなかったし、何より彼女を人殺しにしたくはなかったからだ。

( ^ω^)「いいかお。君はあくまで僕のサポート役。敵を観察し、危険が迫ったら僕に知らせるお」

ξ゚听)ξ「OK」

( ^ω^)「昨日の狐を倒した時の技も使っちゃ駄目だお。あれはツンの身体に凄く負担をかけるお」

ξ゚听)ξ「OK」

( ^ω^)「最後に。何があっても僕から離れないこと。
       言うことを聞かなかったら、あの時の約束は無効になることをゆめゆめ忘れないように」

ξ゚ー゚)ξ「分かったわ。おじ様」

( ^ω^)「お兄様と呼べお」

42 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:12:48.25 ID:+8RCULJCO
へそ山の地肌は荒れている。
一歩踏み間違えば崖の下へ真っ逆さまというこの道筋は、下手に分岐した道が表れないので追跡にてこずる事はない。
渇いた砂に刻まれたマフィア達の足跡を追いながら、ブーン達は容易に目的の秘密工場を発見する事が出来た。

( ^ω^)「洞窟かお」

ξ゚听)ξ「ふーん。ここが宇宙人の住み処か。風通しも良いし、物件としてはまずまずね」

数ヶ月前のクールとスズキの捜索任務が思い出される。
あの時のように、中は複雑な通路が張り巡らされているのだろうか、と考えながらブーンは岩陰から様子を伺った。

基本的な戦術に乗っ取れば、現段階では情報収集に辺る『観察』を行うべきだ。

これから乗り込む場所は敵の巣窟である。
半年も居続けているのだから、洞窟内の勝手もマフィア達は把握しているだろうし、万一の防衛策も施しているに違いない。

43 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:13:32.11 ID:+8RCULJCO
いくら超人的な能力を持つジェダイとはいえ、四面楚歌にもなれば命は落とす。
時間はたっぷりとあるので、下準備は入念に行いたい。

(`∀´3)「おつかれー」

(`∀´1)「流石に疲れたぜ。いい加減に住み処を変えたいわ」

(`∀´3)「そう言うな。これも保身の為さ」

「みんな同じ顔ね」と好奇心全開のツンを端に追いやり、ブーンはマフィア達の死角になる位置を陣取ると観察に徹した。

襲撃をかけるなら、明け方より少し前の時間帯が理想的だ。
ツンの集中力の問題もあるので、決行は今夜。遅くとも翌々日の明朝には仕掛けたい。

45 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:21:08.25 ID:+8RCULJCO
( ^ω^)「あんパンと珈琲が欲しいお。甘い物が食べたい……」

ξ゚听)ξ「ここに、希少な氷砂糖があります」

( ^ω^)「御嬢様。この下僕めに入り用がありましたら何なりと」

ξ*゚〜゚)ξ「ん? 特にないわ。わぁ……コレ、超甘くて超美味しいんですけど。え、欲しい? 絶対にあげない」

(#^ω^)「この餓鬼……朝の仕返しのつもりかお」

ブーンがこの星に降り立って二度目の夜が来た。
張り込みに飽きたツンが満点の星々を見上げて数えている間も、ブーンはじっと洞窟の様子を伺い続ける。
その甲斐があってか、想像以上に沢山の情報を得ることができた。

47 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:23:16.58 ID:+8RCULJCO
( ^ω^)「(どうやら出入口はここ一つしかないようだお。
       会話の内容から工場がこの中にあることも判明した。人数は五人以上・十人以下が妥当かお)」

勿論、麻薬工場が一つだけとは限らない。
この星の何処かにまだあるかもしれないし、ひょっとしたら他の惑星にも構えている可能性もあった。

摘発と逮捕はタイミングとスピードが命だ。
この洞窟にいる連中を逮捕して吊し上げれば、それこそ芋づるのように他の隠れ家も発見できるだろう。

理想は幹部級の生け捕り。
最低でも通信網だけは掌握したい。

48 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:26:19.08 ID:+8RCULJCO
( ^ω^)「と、言うわけで作戦会議を開こうと思います」

ξ*゚听)ξ「わー」パチパチ

( ^ω^)「突入→俺強い→逮捕→以上」

ξ゚听)ξ「先が思いやられる内容ね」

( ^ω^)「うん。まあ、それほど入り組んだ感じじゃなさそうだし。上手くいけば無血勝利も有り得るから、リラックスしてやるお」

ξ゚听)ξ「で、私はブーンの背後を守ればいいのね」

( ^ω^)「そんな感じです。でも無茶だけはくれぐれもしないでくれお」

先方に気付かれる恐れがあるので、下手に明かりを点すわけにもいかない。
おまけに今夜の宿は屋根も壁も無い岩の狭間である。
ひょうひょうと吹きすさぶ冷風から身を守るようにして、ブーンとツンは身体を寄せ合った。

50 : ◆909zxcTVWc :2009/04/20(月) 01:28:52.22 ID:+8RCULJCO
隣で揺れる金髪を肌で感じながらブーンは思う。
こうやって夜を誰かと共に過ごすのは、いつ以来だっただろうかと。

( ^ω^)「綺麗な夜空だお」

ξ゚听)ξ「……そうね」

( ^ω^)「今日は朝から大変だったお」

ξ゚听)ξ「……そうね」

( ^ω^)「でも、明日はもっと大変になるお」

ξ゚听)ξ「……そうね」

ジョルジュが見れば、何と華の無い会話なのだと鼻で笑われそうなやり取りをしながら、
それでも二人は久方ぶりの人の温もりを味わった。

( ^ω^)「寝ててもいいお」

ξ゚听)ξ「やだ」

(;^ω^)「大丈夫。置いていったりはしないから。ちゃんと起こすお」

明朝には状況が動く。
次に月を拝む時は、きっと全てが終わるだろう。
静寂を称える晩を過ごせるのは今夜のみの贅沢だ。


to be continued...


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