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从゚∀从「ちくわ!?」
206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/09(木) 22:33:42.36 ID:9vvz30ztO
(*゚ー゚)「おやもう帰ってたのかい? 早かったねぇ」

从゚∀从「うん、ただいまばーちゃん。試験前だから部活無いんだー」

(*゚ー゚)「それなら制服くらい脱いでゆっくりなさいな」

从゚∀从「いーんだ。俺コレ気に入ってるからさ」


ポチポチと携帯をいじってた手を止めて見上げると、割烹着姿のばーちゃんが目を細めて俺を見てた。
台所からふんわりと煮物の香りがやってきてる。

ちくわ、入ってるかなーって考えたらお腹が鳴った。
音が聞こえたみたいで、ばーちゃんは嬉しそうな顔をいっそうほころばせて俺の頭を撫でてくれた。

207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/09(木) 22:35:01.12 ID:9vvz30ztO
(*゚ー゚)「今日ははいんの誕生日だからね。ばあちゃんご馳走作ってやるからもうちょっと待っておくれ」

从゚∀从「ちくわ! ちくわ、入ってる?」

(*゚ー゚)「どっさり入れたよ。はいんがちくわ大好きだからね」

从゚∀从「しぃばーちゃんの煮物が良いにおいしてるせいで、急に腹減ってきたー」

(*゚ー゚)「はいはいあと30分くらいで出来ますからね。我慢してねぇ」


そう言ってばーちゃんは台所へ歩いていこうとした。

208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/09(木) 22:36:35.26 ID:9vvz30ztO
(*゚ー゚)「ああ、そういえばアイスがひとつ残ってたっけねぇ。はいん、食べるかい?」

从*゚∀从「おお! もちろん!」


障子の向こうから冷蔵庫を開ける音が聞こえた。
なんとなしにまた携帯に目を落とす。
画面は二年前の今日来たメールを表示していて、短くお祝いの言葉が書かれていた。

その時これは対した価値じゃ無かったんだ。
でも今はこれが宝物。
見てれば声が聞こえる気がするから。

(*゚ー゚)「ほら、はいんちゃんスイカアイスだよ」

209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/09(木) 22:37:20.16 ID:9vvz30ztO


ぱく


从*゚∀从「あふぃふぁほ、ふぁーたん」

(*゚ー゚)「頬張ったまんまお礼言ったって聞こえませんからね。ふふっ」


呆れた微笑みを残して、料理の仕上げが残ってるから、とばーちゃんが退席した。

部屋の畳と縁側のすきまで携帯握ってぼーっとした。
口の中が甘くて冷やっこい。
制服のすき間から、最近冷たくなってきた風が入って抜けた。

アイスと携帯と一人ぼっち。


ふいに後ろで懐かしい声がした気がして、ふっ、と振り返った。

飾ってある両親の写真が夕日に照らされてあったかい色に染まっていた。


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