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( ^ω^)ブーンはデジタルワールドを救う勇者のようです

第1話


1 :愛のVIP戦士:2007/02/16(金) 21:43:32.82 ID:kZBIZC7J0
第一話「冒険の始まり」

薄暗く、湿気の篭った部屋に一人の少年が居た。
少年は部屋の中で唯一光を放つ、PCのディスプレイを見つめていた。

( ^ω^)「……」

少年が見ているのは、ある掲示板だった。

他愛も無い、見てもなんのためにもならない書き込み達。

しかし少年は、学生であるのに昼間から部屋に閉じこもり、その書き込み達を読んでいた。

少年の名は内藤ブーン。
現役高校二年生だ。

ブーンはおもむろにキーボードを叩き、掲示板に書き込みをする。

( ^ω^)「く…そ…ス…レ……終了っと……」

そして書き込みボタンを押す。
すぐさま自分の書き込みがスレに反映される。

( ^ω^)「……」

4 :愛のVIP戦士:2007/02/16(金) 21:44:57.73 ID:kZBIZC7J0
なぜ自分は平日の昼間からこんなことをしているのだろうか……

ブーンは自分の書き込み見て、ふとそんな疑問が内から湧き上がるのを感じた。
この疑問は毎日のようにブーンを襲っていた。

本来ならば自分は、学校でみんなとたのしく過ごしているはずなのだ。
それなのに……何故……

いつからこんな生活を始めたのだろう……

はたしてなんでこんなことになったのだろうか……

ブーンはふと、最後に学校に行った日のことを思い出そうとしていた……

たしか……あの日……

グキュルルルルル

( ^ω^)「……腹減ったお」

ブーンは回想するのをやめ、何か食べるものを探すために立ち上がった。
立ち上がる時に腰あたりの骨が音を立てる。
どうやら随分と長いこと動いていなかったらしい。

5 :愛のVIP戦士:2007/02/16(金) 21:46:03.69 ID:kZBIZC7J0
居間には誰もいない。

聞こえるのは家の前の通りを走る車の音だけだ。

テーブルを見る。
以前までは母親の書置きがいつも置いてあったが、それも今は無い。

別に寂しいとは思わない。

でも

すごく申し訳ない気持ちに駆られる。

冷蔵庫を開ける。
夕飯の残り物は見当たらない。

冷凍庫も開けてみるが、おかずはあるもののとてもじゃないが主食には出来ない。

( ^ω^)「買ってくるしかないかお……」

買ってくる……

何処に? 外にだ。

外……ソト……懐かしい響きだ。

6 :愛のVIP戦士:2007/02/16(金) 21:47:20.45 ID:kZBIZC7J0
自室に引き返し、机の引き出しから千円札を一枚取り出す。
ブーンは外出をしないので、当然お金をあまり必要としない。
この千円も、たしか中学時代のお年玉の残りだ。

もしも蓄えが尽き、家の金を盗るようになったら……
その先は考えなかった。
考えたくなかっただけかもしれない。
どの道先にあるのは、ろくなものじゃない。

千円札をズボンのポケットに捻じ込むと、ブーンは玄関へと向かった。

玄関の前に立つ。

考えてみたらずっと家にいるのに、引き篭もるようになってから玄関にくるのは初めてだ。
ずっと家にいるのに、決して玄関を訪れることはない。
すごく不思議で、すごく当たり前のことだ。

ドアノブに手を伸ばす。
しっかりと右手で掴む。
さぁ、あとはこれを押すだけで外に出られる。

しかし、一向にドアが開かれない。

( ;^ω^)「はぁ……はぁ……」

呼吸が乱れる。
脈が異常な速度になっているのがわかる。

なんだっていうんだ。
たかが……
たかが外に出るだけじゃないか……

7 :愛のVIP戦士:2007/02/16(金) 21:48:31.52 ID:kZBIZC7J0
しかし、やはりドアが開かれることは無かった。

仕方無い。昼ご飯はお預けだ。
ブーンはすごすごと自室へと戻った。

なんて情けないんだろう。

ブーンは自分の不甲斐なさを嘆いた。

そして嘆くだけで、全く現状を改善しようとする気にならない自分に気づき、さらに嘆いた。

もっと……もっと自分に勇気があれば……

そうだ……あの時も勇気が無いばかりに……

ブーンはまたPCの前に座った。
ふと目に留まる、一つのスレ。

勇気ある者よ、わし達を助けてくれ(2)

立てられたばかりの一つのスレ。

なんのネタ臭さも感じない、明らかな糞スレ。

それでもブーンは開いた。

8 :愛のVIP戦士:2007/02/16(金) 21:49:18.80 ID:kZBIZC7J0
予想通り、そのスレは2レス目で「糞スレ。終了」と書かれたっきりだった。
ブーンは1の書き込みを読む。

そこには一つのURLが貼られていた。

( ^ω^)「……」

ブラクラ。

うん。どう考えてもブラクラ。

しかし、このときブーンは何故か無償に踏んでみたくなった。

つい先ほど自分の勇気の無さを自覚したブーン。
それがあえて彼を、無謀な行動をとらせたのだろうか。

( ^ω^)「……僕は……僕は負け犬じゃないお!!!!」

クリック。

即座に開かれるブラウザ。
そこには、一つの門が映っていた。

そしてポップアップメッセージも一緒に開かれ、そこにはこう書かれていた。

「携帯をかざせ」

9 :愛のVIP戦士:2007/02/16(金) 21:50:03.72 ID:kZBIZC7J0
( ^ω^)「……釣られてやるかお」

意味も無い言い訳を呟きながら、ブーンは自分の携帯を取り出した。
最後の着信日は半年前。掛け主は母親。
ちなみに最後に来たメールは、着信音配布サイトのメルマガ。

( ^ω^)「それ」

ブーンは けいたいを かざした。

( ^ω^)「……」

( ^ω^)「……」

( ;^ω^)「……」

( ;^ω^)「……はぁ……」

( ;^ω^)「……ってうぇ!」

変化は唐突に現れた。
門から無数の文字列が吐き出され、それがディスプレイを突き抜けてきたのだ。

( ;^ω^)「……ちょwwwwナニコレwwww」

その文字列は無数の帯状になり、ブーンの携帯を取り巻いた。

そして


10 :愛のVIP戦士:2007/02/16(金) 21:50:40.03 ID:kZBIZC7J0
( ;^ω^)「…………反応に困るお」

文字列は携帯に全て吸い込まれ、そして中から出てきたのは
戦隊物に出てきそうな感じの、携帯端末だった。

( ;^ω^)「……お?」

ふとPCの画面に戻すと、新たにポップアップメッセージが開かれていた。

「それはデジヴァイス……それを門にかざし、『ゲート・オープン』と叫べ」

( ;^ω^)「……ゲ……ゲート・オープンっすか……」

この部屋――それどころかこの家には今ブーンしかいない。
それでも「ゲート・オープン」の台詞には凄まじい抵抗がある。

( ^ω^)「でも……」

手に握られた携帯端末。
デジヴァイスというらしい。
これは数秒前までは、紛れも無くただの携帯だった。
それが今では謎の文字列によって、こんな変化をしてしまった。

ブーンはデジヴァイスを門にかざす。

12 :愛のVIP戦士:2007/02/16(金) 21:52:00.43 ID:kZBIZC7J0
( *^ω^)「ゲ……ゲート……オープン!」

( *^ω^)「……」

( ;^ω^)「……ってうぇあふ!」

突然門が弾けるように開かれた。

そして門の中から、先ほどのあの文字列の帯が大量に伸びてきてブーンを捕らえる。

( ;^ω^)「あひぃっぃ! しょ……触手ものは好きじゃないから許してえええぇぇぇ!」

必死になってブーンはもがく。
しかし、なすすべも無くブーンはPCの中に引き込まれた。


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