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( ^ω^)ブーンはフォースを駆るジェダイのようです

SHOT-T

3 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:14:43.49 ID:jyA5HiNDO
【知っておくと混乱しない用語解説】

ジェダイ…フォースに仕える者達の総称。洗練された心技体を兼ね備えており、銀河の平和と秩序を守る正義の使者とされる。

フォース…万物に等しく流れる摩訶不思議なエネルギー。ジェダイはこのフォースと通じることで様々な奇跡を起こすことができる。

ライトセーバー…ジェダイが太古より使い続けている光線剣。いくつかの種類が存在する。

ジェダイ・マスター…ジェダイとしての高い資質を兼ね備えた者に与えられる最高称号。単純に目上の者に対して使用することも多い。

ジェダイ・ナイト…一人前と認められたジェダイに与えられる称号。

ジェダイ・パダワン…見習いジェダイ。

銀河共和国…数千の星々から成る宇宙規模の民主主義組織。また、この共和国を運営する組織を元老院と呼んでいる。

ジェダイ・カウンシル(評議会)…六人のジェダイ・マスターよって構成されるジェダイの最高意思決定機関。

ジェダイ・オーダー…ジェダイ騎士団。ライトサイドに立つジェダイ達の全体的な集まりを指す。逆にダークサイドの集まりをシス・オーダーと呼ぶ。

シス…フォースの暗黒面(ダークサイド)に魅入られた者達の総称。私欲の為にフォースを使う。ライトサイドに立つジェダイの天敵。

PMC…民間軍事企業。基本的に法人化された『ラウンジ・ニューソク・オオカミ』の三社を指す。

4 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:17:28.33 ID:jyA5HiNDO
【登場人物紹介】

( ^ω^)…ナイトウ=ホライゾン(32)
・ジェダイナイト 柄の両端から翡翠色の光刃を展開するダブルブレイドセーバーを愛用
・威厳を保つには髭を生やせばよいと考えてる

( ∵)…ビコーズ
・ドラム型多目的万能ドロイド
・R2-D2みたいなのを想像してくれておk ブーンの相棒

ξ゚听)ξ…ツン=E=アシュクロフト(15)
・ブーンのパダワン
・毒舌少女 最近ハマっているのは肉なし肉ジャガ

川 ゚ -゚)…クール=レヴァンティエ(28)
・ジェダイナイト 水没惑星オニオンナの出身 平均寿命は約200歳
・最近、拷問について興味を持ち始めた

爪*゚〜゚)スズキ=タムラ(15)
・クールのパダワン 着痩せタイプの隠れ巨乳
・最近の心配事は、師匠が内容が穏やかじゃない本を読み始めたこと

(´・ω・`)ショボン=ダッチマン(32)
・ジェダイナイト 通称ジェダイオーダーの悪性核弾頭
・何をどうしたらこんな人間が生まれるのか分からない

ノパ听)ヒート=アルバティエ(20)
・ショボンのパダワン 水没惑星オニオンナの出身 平均寿命は200才以上
・女の子なのに女好き

5 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:18:08.34 ID:jyA5HiNDO



 遠い昔、遥か銀河の彼方で―――――





6 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:20:55.88 ID:jyA5HiNDO
銀の瓶を並べよう。
真珠の貝を転がそう。
水晶の額縁を飾ってみよう。


紅茶の碗底に苦葉はありゃすか。
金時計の針は廻っておりゃすか。
風見鶏はいずこを向きゃすか。


傅け毒牙の大蛇。
頭を垂らせ紅眼の烏。
朽ち果てろ水面の山椒魚。

7 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:22:08.77 ID:jyA5HiNDO
わっちはアーバンフォウドの銀狐。
マナに愛された銀狐。
命の暇を与えられた銀狐。

わっちに解せぬ物は無い。
わっちは英知の真理を知っておる。
わっちを越える者などおりはせぬ。

荒れ地の魔女も。
火杯の賢者も。
翡翠の帝王も。
わっちには遠く及ばぬよ。

わっちはアーバンフォウドの銀狐。
マナに愛されし至高の魔女。

正義も悪も。
光も闇も。
ジェダイもシスも。


わっちの手の上で転がそう。


Episode6:アーバンフォウドの銀狐    〜SHOT-1〜

8 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:24:48.45 ID:jyA5HiNDO
ξ;- -)ξ「…………」

蒸し暑い水蒸気が漂う部屋。
漢方薬の匂いが立ち込める岩造りの蒸し風呂の中で、ツンはじっと座禅を組んでいた。
最低限の光量を得るために数本の蝋燭がぼんやりと灯され、磨かれた石床には蒸気用の熱水が流れている。
肺の中に水溜まりができるのではないかと心配になるほどガスが充満したこの部屋に、ツンはかれこれ一時間以上も篭っていた。

ξ;- -)ξ「…………」

ここはジェダイ聖堂の中に設けられた浴場である。
床を流れる水に身体が触れぬよう、ツンは岩の上で座禅を組んでいるが、浴用の衣は湿気と汗でぐっしょりと濡れていた。

団子状に結った金髪。
額には汗の粒が光っている。

10 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:28:24.44 ID:jyA5HiNDO
ξ゚听)ξ「ふぅ―――……出ますか……」

肌に張り付く欝陶しい衣を引きずりながらツンは重たい石扉を開けて蒸し風呂を後にした。
幾つかの湯舟を横切り、脱衣所への入口への向かう。
そこを抜けると冷えた空気が一気に身体を包み込んだ。

ξ゚听)ξ「あれ……体重がまた減ってる……」

脱衣所に備え付けられた体重計に乗ると、以前、頭の端に覚え書きした自分の質量よりも減っていることにツンは驚く。
ジェダイとしての修業を初めてから約三ヶ月。
ここまで身体を虐めぬいたにも関わらず、肉体から今だに搾り出せる物があるとは露にも思わなかった。

ξ#゚听)ξ「ただでさえ胸が小さいのに、これ以上体脂肪を減らしてどうすんのよ」

ノパ听)「私は小さい胸でもいいと思うぞ!」

ξ#゚皿゚)ξ「ッ!! 誰がペチャパイ平原貧乳だt……なんだ、マスター・ヒートですか」

11 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:30:28.90 ID:jyA5HiNDO
誰もいないと思っていたジェダイ専用の湯処に半裸の女性が立っていた。
燃えるような朱髪をポニーテールにして靡かせ。キラキラと輝く両眼は髪によく映える朱色を宿している。
何故か下半身にだけ衣を巻いている彼女は、勿論、ツンと同じようにジェダイ・オーダーに席を置く人物であった。
名をヒート=アルヴァティエ。
ジェダイマスター・ショボン=ダッチマンのパダワン《弟子》にして、ジェダイ有数のCQFC《理力接近格闘術》使いである。

ノパ听)「なんだとはご挨拶だな。私とツンの仲だろう。これから一緒に一風呂浴びないか?」

ξ゚听)ξ「何を言ってるんですか。たった今スチームから出たところです。私はもう上がりますよ」

ノパ听)「つれないなあ。悩みがあるなら私が聞くぞっ。女同士、裸の付き合いも必要だろう」

ξ゚听)ξ「悩みなんてありませんってば」

13 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:35:34.78 ID:jyA5HiNDO
嘘だった。
見ていて腹が立ってくる胸を揺らす先輩ジェダイの誘いをツンは断った。
これ以上、汗を流したら貧血で倒れるのは確実だ。

支給品である深茶のローブを着込み、”湯”と大きく描かれた暖簾を潜る。
床は裸足で歩けるよう固めの絨毯が敷き詰められており、
あちらこちらのブースには体内の毒を出し切った何人かのジェダイがクッションチェアで寛いでいた。

ξ゚听)ξ「(マスター・ヒートって妙にスキンシップが激しいのよね。同性好きって噂はホントなのかな……いや、まさかね)」

どっこい実は堂々のレズビアンであるヒートの問い掛けに対してツンは嘘をた。
いや、嘘と言えば少し語弊があるかもしれない。
何故なら、自分の頭の片隅にひょっこりと浮かぶソレが果たして本当に悩みであるのかどうか、ツンは確信が持てなかったからである。

14 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:37:18.20 ID:jyA5HiNDO
ξ゚听)ξ「(どちらにせよ、ジェダイになったからにはこの事は絶対に墓の下まで持っていかないとね……)」

一見して自由奔放にも見えるジェダイという生物。
世間からはある種の警察機関と見なされているこの組織は、厳格な規律と効率化された二段ピラミッド構造によって完成されていた。

元々はフォースについて探求する哲学者集団として誕生したジェダイだったが、
何百万年という歴史を重ねるうちに、その性質を徐々に変貌させていったようである。
フォースの知識を蓄えることで超人的な能力を得たジェダイ達は、持て余したその力を社会に役立てる為に行使し始めたのだ。

15 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:39:59.81 ID:jyA5HiNDO
( ^ω^)『警察や法では対処しきれない複雑な問題を抱えた有力者達の相談に応じたのが元々の始まりだったようだお』

ξ゚听)ξ『じゃあ、今は?』

( ^ω^)『ご覧の通り。新生ジェダイ・オーダーは超法規的国家機関の一つとして機能しているお。各省庁や機関からの依頼や、独自の活動を行って銀河の平和を維持してるんだお』

ξ゚听)ξ『ふ〜ん。要は選ばれし正義のヒーロー様ってことなのね』

(;^ω^)『なんかツンが言うと皮肉にしか聞こえないお』

現代ジェダイの役割は幾つか存在するが、手当たり次第に任務を熟すというわけではなく、
ジェダイは各々の得意分野を活かした任に就くことが多かった。
適材適所という奴だ。

16 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:41:44.01 ID:jyA5HiNDO
( ^ω^)『例えば僕の場合はライトセーバーを使った戦闘が得意だから、
       銀河中のPMCが戦場で違法行為をしていないか監視する任務をよく請け負っているお』

ξ゚听)ξ『闘うのが苦手なジェダイもいるの?』

( ^ω^)『人並み以上の力は持っているけど、やっぱりそういうのが苦手な人はいるお。
       彼等は外務よりも惑星間交渉の仲介役や、元老議院議員の不正調査などの内務を好むお」

フォースの使用は何も戦闘に限ったことではない。
心身一体とはよく言ったもので、生物が持つ精神状態や肉体のコンディションはフォースに強く影響されていることが古来より知られている。

逆を言えば対象物のフォースを視ることによって、その人間や生物がどのような心理状態なのかを計ることが可能なのだ。
外交能力に特化したジェダイ達は戦闘型ジェダイのようなフォースのアウトプットではなく、フォースのインプットに長けているのである。

17 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:43:16.35 ID:jyA5HiNDO
( ^ω^)『で、そういったジェダイ達の得意不得意を見分けて、個別に任務を与えるのが評議会なんだお』

ξ゚听)ξ『フォースの真理を極めた《マスター》の称号を持ち、ふわふわした椅子に座ってアゴで部下をこき使うオッサン達のことね!』

( ^ω^)『それ、人前で絶対に言わないでね。絶対だぞ』

組織の運用を円滑に行う為にジェダイ・オーダーの階級は三つに絞られている。
フォースに関する高い知識と運用に長け、あらゆる任務を熟してきた強力なジェダイにのみ与えられる最高称号《マスター》。
長く辛い修業と厳しい試練に耐え。一人前のジェダイとして認められた者に授けられる《ナイト》。
そして、ナイトの弟子となり未来の騎士として修業に励むジェダイの卵《パダワン》。

マスター、ナイト、パダワン。
この三段階層はジェダイが生誕したときから変わらない伝統あるシステムである。
広義としてジェダイ達の間では目上の先達に対して『マスター』という敬称が使われいるが、
號《ごう》としてのマスターの肩書を持つ者は数えるほどしか存在しない。
マスターは言わばジェダイのエリートなのだ。

20 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:47:30.47 ID:jyA5HiNDO
( ^ω^)『ジェダイの最高意思決定機関である評議会のメンバーになるには、基本的にマスタークラスでなければ任命されないんだお』

ξ゚听)ξ『ブーンはナイトで、私はブーンのパダワン。私がナイトになれるのはいつなのかしら』

( ^ω^)『ナイト昇格試験は師匠の推薦と評議会の認可が必要だお。十五才でナイトになった天才もいれば、三十近くで昇格した遅咲きのジェダイもいるお』

ξ゚听)ξ『つまり焦る必要はないってことね』

( ^ω^)『きちんと修業を積んで勉強すれば誰だってナイトになれるお。マスターになるのは難しいけどね』

ツンのような特殊な事例はさておき、ジェダイとしての教育は基本的に幼少期からと相場が決まっている。
物心がつく前から徹底した修業環境におくことで、あらゆる誘惑に負けない鋼鉄の精神を育むわけだ。
銀河中から集められたパダワン候補達は五才〜十才程度になるまではマスターの直接指導による集団教育を受け、コミュニケーション力や教養を培う。
そしてフォースの資質が認められた子供にのみパダワンの號が与えられ、彼等は生涯の師匠になるであろうナイトの門を叩くのだ。

22 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:49:35.97 ID:jyA5HiNDO
ξ゚听)ξ『私イヤよ。ガキんちょと一緒に授業受けるなんて』

( ^ω^)『自尊心ってのもあるからその辺りは心配ないお。ツンみたいな天然系ジェダイには、最初からナイトが就くことになってるお』

ξ゚听)ξ『天然系?』

( ^ω^)『何らかの理由で幼少期にジェダイの教育を受けないまま、独自にフォースの資質を発現させた人達の総称だお。
       自然に生まれたジェダイ……だから天然と呼ばれるわけだおね』

( ^ω^)『ちなみに正統派ジェダイというのは、さっき説明したみたいに幼い頃からジェダイの訓練を受けてきた人達のことを指してるお』

ξ゚听)ξ『なんかそっちの方が偉そうに聞こえるわね』

( ^ω^)『そんなことはないお。歴代の偉大なジェダイの中には天然系も沢山いるお。
       新生ジェダイ・オーダーの創始者であるルーク=スカイウォーカーだって、ジェダイとしての訓練を受けたのは成人近くになってからだお』

23 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:51:09.36 ID:jyA5HiNDO
爪*゚〜゚)「アシュクロフトさん!」

数カ月前のブーンの講義を回想しながら、湯処を出て廊下を歩くツンを女性の声が呼び止めた。
振り返るとツンとさほど年端の変わらぬ少女が立っている。
どことなく草食動物を連想させられる雰囲気を持つ彼女は、マスター・クールのパダワン。スズキ=タムラだった。

ξ゚听)ξ「マスター・タムラ。なんでしょうか?」

爪*゚〜゚)「マスター・ホライゾンから伝言を預かっているであります。湯浴びが終わり次第、宇宙港に来て欲しいとのことであります」

ξ゚听)ξ「了解です」

爪*゚〜゚)「では、自分はこれで……」

ξ゚听)ξ「ねぇ」

爪*゚〜゚)「?」

26 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:53:53.09 ID:jyA5HiNDO
最低限の社交だけを済ませて踵を返すタムラを、今度はツンは呼び止めた。
師匠同士が旧知の仲ということもあって、タムラはジェダイとしての慣れない生活を送るツンを細かくサポートしてきた。
自分の方が先輩であるにも関わらず、タムラはツンに対して常に低い姿勢で接していたが、ツンはそれに対していつも違和感を感じていた。

ツン自身、先輩を立てるだとか尊重するだとかいう縦社会特有のトレンドにあまり賛成していなかったのだが、
それ以上にタムラの何かに怯えるようなその言動が我慢ならなかったのだ。

ξ゚听)ξ「ねぇタムラさん」

爪*゚〜゚)「は、はい?」

ξ゚听)ξ「私達って出会ってからもう三ヶ月近くたっているわ。そろそろ他人行儀なお喋りはやめにしない?」

27 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:56:41.97 ID:jyA5HiNDO
ξ゚听)ξ「私もパダワン。貴女もパダワン。そして私と貴女は同い年で同じ性別。
      ここまで条件が揃っているのに、私達が友人にならないのは惜しいことだと思わない?」

爪*゚〜゚)「友人……友達ということでありますか……」

ξ゚听)ξ「そう。ジェダイ云々なんてものは抜きにして、ひとりの人間同士として私は貴女と付き合いたいわ。だから友達」

爪*゚〜゚)「…………」

ξ;゚听)ξ、「だ、ダメかな……?」

爪;゚〜゚)「――――――」

ξ゚听)ξ「え?」

爪*゚〜゚)「あの……自分なんかで良ければ……その……宜しくお願いしますであります」

ξ*゚听)ξ「ホント!?」

28 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 21:58:48.32 ID:jyA5HiNDO
黄色い声で跳び上がったツンがタムラに抱き着き、肩を激しく揺さ振った。
普段のクールな様からは想像できないツンの興奮にタムラは少し動揺するが、その口元は綻んでいる。

爪;゚〜゚)「あうあう。本当であります。アシュクロフトさん、落ち着いて下さい」

ξ゚听)ξ「ツンでいいわ。さん付けもいらない」

爪*゚〜゚)「では……ツン」

ξ゚听)ξ「なに?」

爪*゚〜゚)「私のことはタムラと呼んで欲しいであります」

ξ゚听)ξ「分かったわタムラ。伝言を有り難う。行ってくるね」

爪*゚〜゚)「行ってらしゃいであります」

29 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:01:30.05 ID:jyA5HiNDO
元気よく去っていく金髪を見送るタムラ。
初めは恐そうな印象で警戒していた少女は、口こそ悪いものの見た目に反してとても優しく、明るかった。
タムラの表情は普段と変わらぬ困り顔ではあったが、その大きな目にはしっかりと友の姿を映していた。

爪*゚〜゚)「…………」

生まれて初めてできた友達を。

   ※※  ※※  ※※

■宇宙港

( ^ω^)「――――というわけで、ちょいとその星まで頼むお」

攻リ゚ -ノハ「それは構わないが、逢わせるには少し早過ぎる気もするわね」

( ^ω^)「まあ、その辺の裁量は僕に一任されてるわけですわ。というわけでヨロシクだお、少佐」

攻リ゚ -ノハ「いいだろう。ナイトウがジェダイとしてそれを要請するのなら、軍人である私はサービスを提供するまでだ」

31 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:04:15.19 ID:jyA5HiNDO
ξ゚听)ξ「マスター! 遅くなりました!」

イオンブースターが唸る宇宙港の一角。
眼光の鋭い女性と人懐っこい眼をした男の間にツンが割って入った。
ふたりの横には細長い黒色の船が浮かび、主の出撃命令を静かに待っている。
知る人ぞ知るPMCニューソク・インダストリーの隠し刀。密偵艦『エニグマ』だ。

( ^ω^)「遅いお」

ξ゚听)ξ「呼ばれてから直ぐに来たわよ。裸で来いって言うわけ?」

( ^ω^)「口答えしない。ツン、もう見知っていると思うけど、こちらのレディがこれから世話になる船の艦長だお。挨拶を」

33 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:06:59.32 ID:jyA5HiNDO
ブーンが手を向けた先には、ツンより少し背が高い女性が腕組みをして立っていた。
ツンはその女性に見覚えがあったが、直接言葉を交わすのはこれが初めてだ。

ξ゚听)ξ「クサナギ少佐ですね? お会いできて光栄です。武勇伝の数々は私も聞き及んでいます」

攻リ゚ -ノハ「エニグマの艦長、クサナギ=モトコだ。港で何度か顔を合わているな。ヨロシク」

ツンと軽く握手をした少佐は、そのままふいとエニグマのタラップを踏んで機内に入ってしまった。
モミアゲの長い紫色の短髪と真紅色の眼を持つ彼女は、最強の擬体使いとして名を馳せるニューソク社のエリート士官である。
黒色のギリースーツに身を包んだその姿。
彼女を見る者は、黒百合のような美しさを感じる前に圧倒的なカリスマ性とプレッシャーを受けてしまうだろう。

34 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:09:18.59 ID:jyA5HiNDO
ξ゚听)ξ「(あの身体、全部人造器官で造られてるって本当なのかしら)」

( ^ω^)「(脳殻だけであそこまで自由自在に身体を動かせるのは彼女ぐらいだお。
       もしオリジナルの肉体を失っていなかったら間違いなくジェダイになっていたお)」

ξ゚听)ξ「(それ、本人に言ったの?)」

( ^ω^)「(馬鹿言うんじゃねーお。ゴリラに全裸で勝負を挑むようなもんだお)」

腕っ節が強いんだ、と無言のアピールをしながらブーンはツンと共にエニグマへと乗り越む。

ξ゚听)ξ「へぇ、なかなかスッキリしてるわね」

( ^ω^)「相変わらずの内装かお。少佐殿はアンティークがお嫌いなようで」

攻リ゚ -ノハ「無駄口厳禁だ。機密保持の為に艦内の行動は制限させてもらう。一等兵、彼等を休憩室へ案内しろ」

35 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:11:06.60 ID:jyA5HiNDO
どうやら、エニグマの設計者は兵器に艶やかさを求めることを嫌っていたらしい。
必要最低限の備品のみが備えられた簡素な造りの機内には、水兵服を着たニューソク社員達が忙しそうに狭い廊下を往復していた。

社員と言えば聞こえはいいが結局のところは全員が戦闘員であり、一流の殺し屋でもある。
国軍と唯一違うところと言えば、背中に負うものくらいだろうか。
軍隊は自らの魂に祖国の旗を掲げるが、PMC兵は企業アピールの為に広告ワッペンを縫い付けるのだ。

ξ゚听)ξ「男ばっかじゃない。貞操の危機だわ」

( ^ω^)「自分から進んで凶犬に手を出す物好きはいないお」

攻リ゚ -ノハ『ナイトウ。船を出すぞ。準備はいいか?』

( ^ω^)「OKだお。あと、こっちは客なんだから茶ぐらい出して欲しいお」

攻リ゚ -ノハ『セルフサービスだ』ブチッ

( ^ω^)「あっ! 切りやがった……」

36 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:12:43.67 ID:jyA5HiNDO
兵に案内された休憩室の通信パネルから少佐の断りが入り、小さなエンジン音が船を揺らした。
客人を載せたステルス艦はゆっくりとVIPの空へ昇って行く。
強い風を感じたVIPの住人が何かの存在を感じて天を仰ぐが、そこに見当たるものはなかった。

(速1<∴>)「予定航路までの演算を完了。航路上に超新星、恒星、ブラックホールおよび危険オブジェクトの感なし」

(速2<∴>)「環境同調装甲板の起動を確認。自己診断システムからの通達。現在、本艦は完全なステルス状態にあります」

攻リ゚ -ノハ「各員スタンドアローン《完全孤立》を維持しておけ。ハイパードライブ起動」

38 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:14:31.32 ID:jyA5HiNDO
(速1<∴>)「了解。ハイパードライブ起動開始。少佐、目的地に変更はありませんね?」

攻リ゚ -ノハ「ああ、当初の予定通りだ」

攻リ゚ーノハ「大事なお得意様を載せてるぞ。粗相のないようにな」

宇宙空間へ飛び出したエニグマ。
目指す先は辺境の惑星。
この世でもっとも恐ろしい魔女に会う為に、ブーンとツンを載せた船は超光速の世界へ突入していった。


to be continued...

41 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:20:21.61 ID:jyA5HiNDO
〜続☆おまけコーナー〜

( ・3・)「”続”? どういうことですか? 今日はエピソード最終回ではありませんよ」

从゚×ナ从「しゃあないやろ。前回、猿さんを喰らって質問に全部答えられなかったんやから」

( ・3・)「ああ、そうでしたね。私としたことが、すっかり失念していましたよ」

从゚×ナ从「ほんじゃ。とりあえず前回の質問に答えましょか」

42 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:26:27.04 ID:jyA5HiNDO
Q.ミルナのフォースグリップについて

从゚×ナ从「ミルナはんは超怖いで。鉄人の異名を持つ筋肉おじさんや」

( ・3・)「ミルナ=ダルマンは自らのフォースグリップの殺傷力を上げる為に、ある条件付けをしています。
     それさえ満たせば、どんな相手だろうが心臓を握り潰せるという……」

从゚×ナ从「いややわ〜。おそがや、おそがや」

( ・3・)「では、次の質問です」

从゚×ナ从「…………」

( ・3・)「…………」

从゚×ナ从「…………」

( ・3・)「質問は?」

从゚×ナ从「ないよ」

(;・3・)「エッ! たった一つだけですか?」

从゚×ナ从「シツレイな物言いやな」

(;・3・)「…………」

从゚×ナ从「まあ。せっかくやし、もし読者はんの中で今聞きたいことがあったら質問してちょーだいな。これでええんやろ、ぼーくん」

( ・3・)「なんか、僕が偉く悪い奴のような物言いですね」

44 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:37:23.95 ID:jyA5HiNDO
>>43
( ・3・)「その辺りの線引きが実は結構曖昧なんですよね」

从゚×ナ从「基本的にジェダイは欲を生み出さない為に財産の所有は禁じられとるんやけど、その財産ってのは主に金銭面を指しとるんや」

( ・3・)「万能ドロイドであるビコーズはブーンが任務を遂行する上で無くてはならない存在です」

( ・3・)「なので、ライトセイバーと同じようにビコーズも”必需品”として位置付けられているようですね」

从゚×ナ从「もちろん、必要とあればブーンは他のアストロメクドロイドを使うやろうけど、たいがいの面倒事はビコーズで片付くから道連れに選んでいるんやろうな」

( ・3・)「戦闘においてもビコーズはブーンの癖を知っているので、息のあったコンビネーションを発揮できますしね」

46 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:43:01.42 ID:jyA5HiNDO
( ・3・)「趣味に関してはどのジェダイも掟を逸脱しない程度のものは持っているようですね」

从゚×ナ从「ブーンの場合はお気に入りの戦闘機に色々と改造を仕込んでいるし、クールなんかは甘味物をあちこちの星から取り寄せとるようやな」

( ・3・)「ジェダイと言っても人間ですからね。皆、それぞれ息抜きの為のツールは必要ということでしょうか」

47 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:48:04.93 ID:jyA5HiNDO
( ・3・)「>>45。おっと、やはり気付かれてしまいましたか」

从゚×ナ从「新キャラのクサナギ=モトコの元ネタは、日本が誇る傑作近未来ポリスアクション『攻殻機動隊』の草薙素子からきとるんや」

( ・3・)「容姿はまんま素子だと思って下さい」

从゚×ナ从「服装は最新OVAのソリッド・ステイト・ソサエティをイメージしとるけどな」

( ・3・)「興味がある人は是非調べてみて下さい。真に世界に誇れるアニメが攻機にはあります」

追記 : ◆909zxcTVWc :2009/08/02(日) 22:48:04.93 ID:jyA5HiNDO
( ・3・)「>>48 万能細胞由来の臓器移植システムは既に確立しています」

从゚×ナ从「少佐の場合は肉体の性能を上げる為に脳以外の身体は全てニューソク社の提供する人造パーツに委ねてるんやな」

( ・3・)「とはいえ一般人が全身擬体にするなんて真似事をしたらメンテナンス代が馬鹿になりませんし、なにより身体自体がまともに動かせません」

从゚×ナ从「ゲームコントローラーだけで日常生活全てを熟すようなもんやからなあ。通常は万能細胞由来の臓器か、一部だけを機械化して身体の欠損を補うみたいやな」

( ・3・)「では、猿さんを喰らい始めたので今日はこの辺りで退散しましょう」

从゚×ナ从「最後まで付き合ってくれてありがとなあ」

( ・3・)「次回にまでご機嫌よう!」

( ・3・)ノシ「ばいびー」从゚×ナ从ノシ


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