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( ^ω^)白い塔のようです

第5話

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:03:38.43 ID:AwdGvkOQ0
あらすじ


キメラ

合成獣
人為的に練成されたもので、凶悪な猛獣が組み合わされている事が多い。


キメラによる人的被害が拡大し、それを食い止めるため
発生源を叩く作戦を立てた、王都VIPの将軍ブーンと7神将。

発生源が近づくにつれ、次々と襲い掛かるキメラの群れ。

一人、また一人と仲間が倒れていく中で、
一行は洞窟の中へと逃げ込んだのだった。

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:04:45.91 ID:AwdGvkOQ0

(,,゚Д゚)「ツン!」

ξ;--)ξ「ギコ!無事だったのね!」

(,,゚Д゚)「俺はいい、ロマネスクをすぐ診てやってくれ」

(メメメФωФ)


ギコは自分の体より一回り大きいロマネスクを、
ゆっくりと背から降ろす。


(; ^ω^)「ロマネスク!」

ξ;--)ξ「ひどい……」

(,,゚Д゚)「俺をかばって攻撃を喰らったんだ、治してやってくれ!」

ξ;--)ξ「……」


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:06:02.30 ID:AwdGvkOQ0

ツンの手から出た白い光が、
横たわっているロマネスクを包み込む。


丁度その時、遅れて駆けていたフサギコとドクオも到着した。


ミ,,゚Д゚彡「ギコ!」

(,,゚Д゚)「兄貴……」

ミ,,゚Д゚彡「ロマネスクは!?」

ξ;--)ξ「……」


ツンは無言のまま、首を横に振った。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:08:07.27 ID:AwdGvkOQ0

ミ,,゚Д゚彡「そんな……」

('A`)「……」


(; ^ω^)「……ツン?」

ξ;凵G)ξ「もう……事切れてるわ」

(,,゚Д゚)「……」


背中にしょっていた時には、
確かに体温を感じた、息遣いを感じた。

だが遅かった。


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:09:12.67 ID:AwdGvkOQ0

(,,゚Д゚)「……滝を浴びてくる」


ギコの体を染め上げた赤い色は、
返り血なのか、ロマネスクの血なのか。
もはや区別が付かなくなっていた。


( ^ω^)「……10分後にここに集合するお。
      休息を取り、今後の対策を決める」

('A`)「……」
  _
( ゚∀゚)「……」

ξ;凵G)ξ「……」


誰の返事を聞かないまま、
ブーンはスタスタと洞窟の奥へと歩いていった。


( ;ω;)(ロマネスク……)


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:10:25.92 ID:AwdGvkOQ0






  _
( ゚∀゚)「なぁ、つー」

(*゚∀゚)「どした兄貴、目が痛む?」
  _
( ゚∀゚)「……俺を、……殺してくれ」


洞窟の奥で休んでいた二人。
ジョルジュは失明し、足元もおぼつかないため、
つーがピッタリと寄り添っていた。


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:11:23.95 ID:AwdGvkOQ0

(*;゚∀゚)「ばっ、馬鹿なこと言うなよ!7神将だろ!?」
  _
( ゚∀゚)「鷹眼はおろか何も見えやしねぇ。
      弓すら射れない男が7神将だと?」

(*;゚∀゚)「それは……」


ジョルジュは腰に下げていたサーベルを抜き、
つーに差し出す。

  _
( ゚∀゚)「俺ぁ足手まといだ、だが将軍はそんな俺を間違いなくかばう。
      あの人はそう言う人だ」

(*;゚∀゚)「……」


差し出されたサーベルを受け取り、
立ち尽くすつー。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:12:58.60 ID:AwdGvkOQ0

  _
( ゚∀゚)「お前にゃあ、悪ぃ事したな」

(*;∀;)「兄貴!山を降りよう?もう充分じゃん、後は将軍達に任せてさ」
  _
( ゚∀゚)「お前……俺を担いで、来た道を戻れると思ってんのか?」

(*;∀;)「あっ……」
  _
( ゚∀゚)「ここで引き返すイコール、死だ」


どう考えても、生き残れるビジョンが浮かばない。

数々の戦場を渡り歩いて来た二人だからこそ、
結果は明白に予想できた。

  _
( ゚∀゚)「お前は将軍達に付いていけ、生き残れる可能性があるならそれだけだ」

(* ∀ )「……分かった」


つーがサーベルを引き、切っ先をジョルジュの胸へと向ける。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:15:49.48 ID:AwdGvkOQ0






( ;ω;)(ロマネスク……)


薄暗くなる程、奥へと歩いて来た。

立場上、涙を見られる訳にはいかない。

モナー、しぃ、ビロード

いずれの死も、七神将達は受け入れてきた。
自分の弱さを見せる事はできない。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:17:18.83 ID:AwdGvkOQ0

( ;ω;)(仇は取る………お?)


涙をこすったブーンの目に、写り込んだものは


サーベルを構え、今まさに突き刺さんとする、つー。
そしてジョルジュの姿だった。

  _
( ゚∀゚)「VIPに栄光あれ」

(; ^ω^)「つー!!止め」


壁にもたれかかっていたジョルジュの胸に、
銀色に光るサーベルが突き立てられた。

剣はジョルジュの体を貫通し、後ろの壁へと突き刺さる。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:19:41.93 ID:AwdGvkOQ0

( ;ω;)「あああぁぁぁっっ!」

(* ∀ )「……」


ブーンはジョルジュに駆け寄り、
サーベルを抜こうと手を掛ける。

が、そのブーンの手をジョルジュの手が掴んだ。

  _
( ゚∀゚)「……将軍……お元気で」


その言葉を最後にジョルジュの腕が、
力無く地面へと垂れ下がった。


( ;ω;)「ジョルジュッ!ジョルジュッ!」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:21:51.15 ID:AwdGvkOQ0

ガクガクと体を揺さぶる、ブーンのその後ろで、


ゴトッ と音がした。


( ;ω;)「!?」


振り返るとそこには、自らの喉を付き、
うつ伏せに倒れたつーの姿があった。

血がじわりと地面へと染み込んでいく。


( ;ω;)「……どうして」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:25:29.16 ID:AwdGvkOQ0



「キメラだー!」


( ;ω;)「ッッ!」


悲しむ間もない。

まだやらなければならない事が残っている。

ブーンは、ぐいと涙を拭うと入口の方へと走り出した。





19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:27:40.14 ID:AwdGvkOQ0




(;'A`)「くっ、何故だ!?」


猫型のキメラに応戦しながら、
ドクオが嘆く。


戦闘を避けるため洞窟を選んだのに、
こんなにも早く嗅ぎ付けられるとは。


(,,゚Д゚)「ドクオ!抑えるぞ!」

('A`)「ああ、分かってる!」


満足に戦える者は、ギコとドクオとモララーだけ。

ツンも疲弊しきっており、深手を負う事も許されない。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:30:20.93 ID:AwdGvkOQ0

('A`)「くっ、モララー頼む!」

( ・∀・)「雷!」


一体一体確実に仕留めていくが、
次々にキメラが入り込んでくる。


(,,゚Д゚)「チィィ!」


押し込まれるのも時間の問題かと思われた、その時。


(# ^ω^)「どけお!」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:32:28.96 ID:AwdGvkOQ0

(;'A`)「ブーン!何を!?」


ブーンの持つ巨大な剣が、洞窟入口の天井へと突き刺さる。

凄まじい力で突き刺さった剣から、
入口側の天井が崩れ落ちてくる。


(;,,゚Д゚)「おわっ!」

(;'A`)「うおっ!」


二人が後ろへと飛び退き、崩落から離脱する。

それと共にズズズと轟音が鳴り響き、
洞窟は闇に包まれていった。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:34:55.43 ID:AwdGvkOQ0






(  Д )「危なかった……」

( A )「やるなら言って下さいよ」

(  ω )「悪かったお、モララー?」


「炎」


ボッ と赤い炎が立ち上がり、暗闇に灯かりに照らされる。

松明を作り、それを囲うように集まった。


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:37:11.06 ID:AwdGvkOQ0

( ^ω^)「戦力の確認をするお、ドクオ」

('A`)「俺、ギコはまだいけます」

( ^ω^)「僕を入れて主力前衛は3人かお」

('A`)「モララー……はまだいけるな?」

( ・∀・) コクッ

( ^ω^)「できるだけ魔力を温存して、止めを頼むお」

('A`)「ツンは……」

ξ--)ξ スースー


力を使い果たし、今は深い眠りに付いている。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:39:15.24 ID:AwdGvkOQ0

ミ,,゚Д゚彡「ツン様は私が守ります」

(,,゚Д゚)「兄貴……」

ミ,,゚Д゚彡「私にできる事は……もうそれだけです」

( ^ω^)「任せたお」

('A`)「ジョルジュと、つーは……あれ」


キョロキョロと薄暗い周りを見渡すが、見える範囲にはいないようだ。


( ^ω^)「……ジョルジュとつーは山を降りたお」

('A`)「……」

(,,゚Д゚)「……」


その意味をその場にいる全員が感じ取っていた。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:42:00.31 ID:AwdGvkOQ0

('A`)「こんな感じです」

( ^ω^)「ふむ、シンプルで分かり易いお。
      僕・ドクオ・ギコで迎撃、モララーで止めだお」

(,,゚Д゚)「了解しました」

('A`)「それとひとついいですか?」

( ^ω^)「なんだお?」


ドクオがスクッと立ち上がり、背中に背負っていた剣を抜いた。


(;,,゚Д゚)「な、なんだ」

(#'A`)「オワタァ!!」

\(;^o^)/「ひ、ひぃぃ」


物凄い形相でドクオが、オワタに剣を向ける。

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:45:00.73 ID:AwdGvkOQ0

(#'A`)「今から貴様を叩っ切る!」

(; ^ω^)「なっ!」

(;,,゚Д゚)「お、おい」


ドクオから放たれる殺気。
冗談では無い、本気でオワタを殺すつもりだ。


(; ^ω^)「早まるなお!」

(#'A`)「説明する前に、これで見極めてくれ!」

\(;^o^)/「あわ、あわわわわわ」


オワタも恐怖を感じたのか、ハンドアックスを取り出し、
構えようとした。


だが


その時には、オワタの体は斜めに切り裂かれ、
ズルリと地面にズレ落ちた。


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:47:02.42 ID:AwdGvkOQ0

('A`)「……」

ミ;,,゚Д゚彡「なんて事を……」


2つに分かれ、無残に転がったオワタの体。


(; ^ω^)「ドクオ……?」

('A`)「見ろ!」

(;,,゚Д゚)「!?」


だが、血の噴出しているオワタの上半身が、
モゾモゾと動き出し、両手だけで地面に立ち上がり、
逃げ出そうとした。


ミ;,,゚Д゚彡「げえっ!」


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:49:40.52 ID:AwdGvkOQ0

('A`)「逃がすか!」


ドクオが逃げるオワタに追いすがり、
脳天から地面へと剣で串刺しにした。


\(;^o^)/「あwせdrftgyふじこlp」


しばらくはバタバタと両手で足掻いていたが、
やがて動きが遅くなり、そして動かなくなった。


(; ^ω^)「死ん……だ?」

(,,゚Д゚)「ドクオ……どういう事だ?」

('A`)「ああ、ずっと違和感を感じてたんだ」


動かなくなったオワタから剣を引き抜き、
血を払ったところで、ドクオが口を開く。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:52:33.47 ID:AwdGvkOQ0

('A`)「どう考えても、今までの戦闘。オワタが生き残れるものじゃなかった。」

(,,゚Д゚)「……」

( ^ω^)「……」

('A`)「なのにあいつは敵に狙われる事もなく、ここまで生き残ってきた」


思い返せば、オワタは常に戦闘から外れていた。

ポツンと離れていても、決してキメラから襲われることも無く、
自らも戦闘に参加しようとはしていなかった。

普通の人間なのだから、仕方が無いと思っているだけだった。



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:53:35.43 ID:AwdGvkOQ0

( ^ω^)「でも、それだけで?」

('A`)「決め手は、キメラ共の動きの良さだ」

(,,゚Д゚)「?どういう事だ?」

('A`)「俺らの行く先々、常に複数体のキメラが立ちはだかって来た。
    しかも奴らも連携した動きを見せながら、だ」

( ^ω^)「そう言われれば……」

('A`)「いくらキメラの発生源に近いからと言って、異常なほどの遭遇率だ」


オワタの切れ端を剣先で突きながら、ドクオは続ける。


('A`)「最後に、この洞窟での戦闘だ。
    臭いで追ってきたなら理解できるが、
    この洞窟に入る時、全員滝を潜っている」

(,,゚Д゚)「なるほど」


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 23:56:22.91 ID:AwdGvkOQ0

('A`)「増してや、滝のカーテンがかかってるこの洞窟を容易に探し当てる事も難しいはずだった。
    だが、キメラ共は襲ってきた、ここから予想されることは2つ」

( ^ω^)「……」

('A`)「1つ目は俺らの中に、キメラに対して何らかの交信を取っている者の存在。
    そして、キメラ共が滝の外で待ち伏せずに、洞窟の中にまで入ってきた事」







('A`)「この洞窟の奥には何かある」







第5話  完




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