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問合せ
砂漠の国のようです
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/10/03(金) 03:32:11.79 ID:7DwBNCPn0
(,,゚д゚)「それじゃあ、行ってくる…」
(*゚ー゚)「行ってらっしゃい」
早朝、一人の若者が乗り物に使っているシラネーヨに乗り込んだ。
シラネーヨの背中には荷物が沢山つまれ、まるでキャラバンのようになっていた。
(,,゚д゚)「どれどれ…荷物の確認をするとしようか」
若者は、シラネーヨの背中に積み込んだ積荷の袋を開け、中身を確認する。
中には獣の皮で作られた水の入った水筒や、チーズ等の保存食がぎっしりとつまっていた。
(,,゚д゚)「それじゃあ出発しようか」
若者はそう言うと、背負っていた小銃を積荷の隙間に差し込みたてる。
そして、日射病よけの帽子をかぶると綱を引き、シラネーヨを歩かせる。
砂漠…それは、見渡す限り砂しか存在しない不毛の大地。
(,,゚д゚)「やれやれ…暑いなぁ」
マントを、だぼだぼと動かし風を送る若者。
シラネーヨの歩みは、のんびりとしていて、目的地にたどり着くには夜になっている。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/10/03(金) 03:32:56.78 ID:7DwBNCPn0
(,,゚д゚)「はぁ…」
溜息をつく若者、額に噴き出た汗を布で拭い、それをすぐに絞る。
布からは、大量の汗が絞り出される。
(,,゚д゚)「三本サボテンか…ここからは西に進路を変えてっと」
砂漠の真ん中にぽつんと佇む、三本のサボテン。そのサボテンの近くで
進路を西へと変える。
(,,゚д゚)「あとは…真っ直ぐか」
綱を引き、まっすぐ進み続けるシラネーヨ。
時刻は昼をすぎ、夕刻に近づいていた。
丁度その時だった。砂漠では聞きなれない音が聞こえてきたのは。
(,,゚д゚)「……」
銃を取り出し構える若者。しかし、すぐにそれが戦車だと分かると銃をしまう。
( ^ω^)「おっおっ、キャラバンかお?水を売ってもらえないかお?」
( ・∀・)「ついでに俺のも頼むよ」
('A`)「あ、俺も」
戦車が止まり、中から三人の男が現れる。
男達は戦車の上に乗っかり、水を要求する。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/10/03(金) 03:33:38.43 ID:7DwBNCPn0
(,,゚д゚)「水は銅貨5枚だよ」
( ^ω^)「おっおっ、15枚丁度だお」
銅貨15枚を受け取り、積荷の中から水筒を3つ取り出し、それを手渡す。
(,,゚д゚)「戦争は、まだ続いてるの?」
( ・∀・)「ああ、まだまだ長引くだろうね…」
小銃を肩にかけた男が水を飲みながら答える。
('A`)「まあ、俺達はここの哨戒任務だから、前線の連中ほど危険はないけどな」
大きな機関銃をもった男が答える。
一通り喋り終えた男は、帽子をかぶり、水を飲み始める。
(,,゚д゚)「ふうん…」
( ^ω^)「ところで、貴方はどこから来たのかお?」
(,,゚д゚)「南のオアシスの方から」
( ・∀・)「へえ、結構いい所で暮らしてるんだね」
(,,゚д゚)「まあ…仕事してるからね」
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/10/03(金) 03:34:11.25 ID:7DwBNCPn0
そう言うと若者は、積荷の中からチーズの欠片を取り出し、それを小銃を肩にかけた男に手渡す。
(,,゚д゚)「サービス」
( ・∀・)「おっと、サンキュー」
親指を立てる男、男はそれを三等分し分けると、口に頬張る。
(*^ω^)「いやーうめぇお!」
にこにことした顔の男が賛美する。
それを見た若者を頬を緩める。
('A`)「あんたはこれから首都の方に?」
(,,゚д゚)「そう、積荷を届けにね」
( ・∀・)「へぇ、俺達もそろそろ首都へ戻ろうと思ってたんだ。
よければ一緒にいかないかい?」
(,,゚д゚)「それは助かる」
ペコリと頭を下げる若者、その途端帽子が落ち、長い耳が現れる。
その左耳には白い包帯が巻かれていた。
('A`)「なんだその包帯?」
(,,゚д゚)「2週間前に襲われた時に負わされた傷」
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/10/03(金) 03:34:59.51 ID:7DwBNCPn0
若者はそう言うと包帯を外し、小さな風穴の開いた耳を見せる。
その周りはまだ若干膿んでいた。
('A`)「すまない事を聞いたな」
(,,゚д゚)「いや、いい…この仕事をしているとよくある事だから」
(;^ω^)「でも、中には死んじゃう人もいるんじゃないかお?」
(,,゚д゚)「年間2〜3人は出ている」
包帯を巻きながら若者が答える。
包帯を巻き終わった若者は、シラネーヨから降りると帽子を拾い頭にかぶる。
( ・∀・)「そうか、意外とキャラバンも大変なんだな」
(,,゚д゚)「楽な仕事なんてないだろ?」
( ^ω^)「そりゃそーだお」
にこにことした顔の男が笑い声をあげ、
砂地に似た黄色っぽい軍服のポケットから、煙草を取り出す。
( ^ω^)「一本どうかお?」
(,,゚д゚)「煙草は吸わない」
若者の声を聞き、男は煙草を口に咥え火をつける。
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/10/03(金) 03:35:46.45 ID:7DwBNCPn0
( ・∀・)「おっしゃ、進路を変更して首都へいこうか」
('A`)「あいよ」
帽子をかぶった男が戦車の中に入る。
そして、ゆっくりと戦車が円を書いて動きだし、向きを変える。
( ^ω^)「ところで、あんたは家族何人いるだお?」
(,,゚д゚)「二人…妹がいるだけ」
( ^ω^)「両親はいないのかお?」
(,,゚д゚)「もう死んだ」
(;^ω^)「すまん事聞いたお」
頭をぽりぽりと掻く男、それを見て若者はくすりと微笑む。
( ・∀・)「やれやれ」
そんなにこにこ顔の男を見て肩をすくめる男。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/10/03(金) 03:36:34.58 ID:7DwBNCPn0
時刻は進み夜へとなる。
肉眼でも首都が分かる距離へと近づき、若者はシラネーヨの足を少し緩める。
('A`)「西門でいいんだよな?」
運転を交替した帽子をかぶった男が尋ね、若者が男の声にこくりと頷く。
戦車が西門にたどりつくと、小銃を肩にかけた男が戦車から降り、門番の男にカードを見せる。
(-_-)「そっちのキャラバンは?」
門番の男の声に、シラネーヨに乗っていた若者が、シラネーヨから降り、カードを見せる。
(-_-)「……門を開けてくれ」
門番の男が、近くに垂れていた白い紐を数回引くと、上の方から鐘の音が聞こえ、
門がゆっくりと開いた。
( ・∀・)「そんじゃこれでお別れだな」
(,,゚д゚)「助かった」
若者が手を差し出し、その手を握る男。
握手を交わした後、若者はシラネーヨを連れ街の中へ入っていく。
その後ろ姿を見つめる三人の男達。
ふいに若者が振り向き、何かを告げていた。
『ありがとう』そう彼女が呟いたように男達は聞こえた。
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/10/03(金) 03:37:56.40 ID:7DwBNCPn0
砂漠の国のようです
fin
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