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川 ゚ -゚)ζ(゚、゚*ζ('A`)お昼休みのようです
365 :川 ゚ -゚)ζ(゚、゚*ζ('A`)お昼休みのようです(関西・北陸):2008/09/18(木) 00:02:54.73 ID:T65482EwO
授業終了を告げるチャイムがなり、教師が教室から出て行った。
現在の時刻は十二時半を少し過ぎている。昼御飯を摂る時間である。
生徒達は学食で、或いは友達と机を並べて弁当を食べている。

川 ゚ -゚)「さーて、ランチの時間だ」

見るからに男子生徒に人気がありそうな黒髪の女子生徒は、
背筋を伸ばしてそう呟くと、学生鞄の中から弁当箱を取り出した。
大きな弁当箱を包む、淡いピンク色の風呂敷を紐解いて行く。

川 ゚ -゚)「今日のおかずは何かな?」

女子生徒は無表情ではあるが、心の中では喜び踊っていた。
そして、やはりピンク色の弁当箱の蓋を開けたと同時、
女子生徒はゴクリと唾を飲んで、身体の動きが完全に止まった。

川 ゚ -゚) ……。

マジマジと弁当箱の中にあったモノを無言で見つめてから、
女子生徒は、隣でご飯を食べている友人の肩を軽く叩いた。

川 ゚ -゚)「なぁ、デレ。こいつを見てくれ。こいつをどう思う?」

366 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西・北陸):2008/09/18(木) 00:04:01.48 ID:2gIAev0CO
ζ(゚、゚*ζ「んもー、クー、どうかしたの?」

デレは面倒臭そうな表情で箸を置き、女子生徒、クーに顔を向ける。
すると、クーの目の前に置かれてあった弁当箱に視線が行った。
クーはチョイチョイと指を動かせ、弁当の中を見るようデレに促す。

川 ゚ -゚)σ「こいつをどう思う?」

ζ(゚、゚*ζ「それは……すごく、爆弾です……」

ζ(゚、゚;ζ「―――爆弾!?」

デレは両手で机を叩き付け、慌ててクーの席から距離を取った。
デレが弁当箱の中に見たモノ……それは、爆弾だったのである。

川 ゚ -゚)「だよな。私の目に狂いは無かった」

ζ(゚、゚;ζ「まままままって、昨日見たSASUKEの話題をしよう!」

川 ゚ -゚)「何故?」

ζ(゚ー゚*ζ「だって、恐怖が和らぎそうだし」

川 ゚ -゚)「ばか」

367 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西・北陸):2008/09/18(木) 00:06:50.19 ID:T65482EwO
クーの弁当箱の中のソレは、機械から生え伸びた赤と青のコードが、
赤色の数字を発光させている、デジタル時計に繋がった爆弾だ。
映画で登場する爆弾と同じ。割りと目にするタイプの時限爆弾である。

川 ゚ -゚)「道理で、今日は鞄が重かった」

ζ(゚、゚;ζ「クーって顔色が変わらないから余裕そうに見えるね」

川 ゚ -゚)「いいや。心の中では悲鳴を上げ、少々漏らしてしまったよ」

ζ(゚、゚;ζ「そっか、そうだよね。……って! そうじゃない!
      早く皆に報せて避難しなくちゃ!」

川 ゚ -゚)「そいつは無理だ」

ζ(゚、゚;ζ「……どうして?」

川 ゚ -゚)「残り時間が一分を切っている」

デレは力無く、ヘナヘナとその場に崩れ落ちた。
周りの生徒達が異変を察したのか、二人に視線を集中させる。
その生徒達の中から、パッとしない顔付きの男子生徒が二人に近付いて来た。

('A`)「話は聞いてたぜ。俺は爆弾にはちょっと知識がある」

368 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西・北陸):2008/09/18(木) 00:08:17.08 ID:T65482EwO
川 ゚ -゚)「ドクオ、ありがとう。だが、人の会話を盗み聞きするな、死ね」

('A`)「えー?」

ドクオと呼ばれた男子生徒が、手際よく爆弾を弁当箱から取り出し、
持ち上げ、教室の蛍光灯で照らして、真剣な面持ちで調べ始めた。

('A`)「こいつは時限爆弾だな。間違いない」

川 ゚ -゚)「んな事はわかっちょーだらー!」

('A`)「まぁ、待て。この赤と青のコードがあるだろ?
    この二本の内、どちらかを切れば起動しなくなる」

川 ゚ -゚)「な、なるほど。頭良いな、ドクオ。見直したぞ」

ζ(>、<;ζ「そんなのどうでも良いから、早く何とかして!!」

床に座り込んでいるデレが、悲鳴にも近い声を上げた。
ドクオは爆弾を机の上に置き、クーの筆箱からカッターを借りた。

369 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西・北陸):2008/09/18(木) 00:09:51.40 ID:T65482EwO
('A`)「残り三十秒。助かる道は一つ。クーはどっちを選びたい?」

川 ゚ -゚)「赤かな」

赤とは闘争心を煽る色である。
何者がこのような愚行をしたのかはクーには分からないが、
爆弾を作成するという事は、心の中に煮えたぎる何かがあったに違いない。

('A`)「赤ね。くく……もう疲れたぜ」

川 ゚ -゚)「早いよ。もっと頑張ってくれ」

クーの応援により、ドクオは失い掛けていた力を取り戻した。
カッターの刃が赤色のコードに振れた。…とその時の事だ。

ζ(゚、゚;ζ「ま、待ってよ! ドクオ君が持ってるの、それ……」


ζ(゚、゚;ζ「パンツやないか!」

('A`)「おおっと。カッターと思いきやパンツだったのか」

川 ゚ -゚)「私は筆箱の中にパンツを入れるのが趣味でね」

371 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西・北陸):2008/09/18(木) 00:11:40.54 ID:T65482EwO
趣味。趣味と言われれば仕方がないな。
ドクオは手に握るソレをカッターパンツと命名し、大事にしようとポケットに入れた。
クーはその事に気付かず、机の中にあったハサミを手渡した。

川 ゚ -゚)「ハサミならある。早く赤を切ってくれ」

('A`)「おっけい。俺の漫画での知識からすれば、赤で正解だ」

ζ(゚、゚;ζ「漫画! その自信は漫画から来てたモノだったの!?」

デレは両目で手を覆い、がっくりと肩を落として天井を仰いだ。
もうだめだ。自分の人生は此処で終わってしまうのだ……。
悲嘆するデレの脳裏に、とある過去の出来事が過った。

ζ( 、 ζ「手袋事件。今回の事件、あの事件を思い出すね」

(;'A`)「ば、やめろ! あの事件は円満に終わって―――」

川 ゚ -゚)「そうだぞ! 私達は何もしてない。何も悪くない…」

ζ( 、 ζ「でも、あの子、泣いてた。最期まで生きたがってた」

373 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西・北陸):2008/09/18(木) 00:13:51.14 ID:T65482EwO
川  - )「勘弁してくれ。もう、あの事件は思い出したくはない」

(; A )「ブーン……。すまねぇ、すまねぇ」

此処で昼休みの終わりを告げるチャイムが、教室に鳴り響いた。
三人の様子を見守っていた生徒達も、各々の席へと着席する。

('A`)「……ま、こんなモンか?」

川 ゚ -゚)「我々、演劇部の演技力は一級品だ」

他の生徒達は三人の事を知っているので、見るだけに留まっていたのだ。

ζ(゚、゚;ζ「私は、このシナリオを書いた人に文句を言いたいよ」

('A`)「ブーンだよ」

デジタル時計の数字はゼロを映し、点滅を繰り返していた。
次の授業時間中、三人の腹の音がうるさかったのは言うまでもない。



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