ブーン系小説をまとめて紹介しているサイトです
HOME
|
問合せ
( ^ω^)ブーンはフォースを駆るジェダイのようです
SHOT-W
7 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 20:55:54.72 ID:UMX6uAgeO
( ^ω^)「ツン、下がってろお!」
ξ;゚听)ξ「きゃあ。きゃあ。なんなのよあれ!?」
(壱 (◎))「…………」
(弐 (◎))「…………」
Episode3:ツン=E=アシュクロフトの憂鬱
〜SHOT-4〜
9 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 20:57:49.29 ID:UMX6uAgeO
午前四時三十分。
太陽すらも上がっていない広大な森の中央。
へそ山の一角では激しい戦いが繰り広げられていた。
(#^ω^)「くそっ。なんて安易な行動だお。見張りとは……奴らの考えを見抜けなかった!」
ξ#゚听)ξ「なによ。私のせいじゃないでしょ!?」
(#^ω^)「ツンじゃなくて、自分に言っているんだお!」
照明が張り巡らされた洞窟を駆けずりながら、ブーンはマフィア達の周到の良さに腹を立てる。
(壱 (◎))「目標を見失うな。素早イぞ」
(弐 (◎))「分かっていル」
電子で形作られた人造音声を出しながら、ブーンとツンを追っているのは一つ目の戦闘用ドロイドだ。
近・中距離用のビームブラスターを構えた三体の機械人形は、抜群のフォーメーションで侵入者達を追い詰めて行く。
12 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 20:59:53.64 ID:UMX6uAgeO
ξ;゚听)ξ「あいつら何者? 真っ赤な雷を撃ってくるわ」
( ^ω^)「PMCだお。ビック3が一角、ラウンジ・カンパニーのV2ドロイドが二体。
あいつら、傭兵派遣会社から戦力を雇うとは……」
今からおよそ三百年前。
旧銀河共和国は分離主義集団による度重なる軍事的威圧行動に対抗すべく、生誕以来初めてとなる
『国家権力維持及び、対外・内的な国家目的達成の為の積極的武力集団』の創設を決意した。
所謂、軍隊である。
13 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:01:00.23 ID:UMX6uAgeO
( ^ω^)「(こんな狭い場所じゃ独楽は使えない。一刀形態で戦うにしても、ツンがいては存分に刀が振るえないお)」
ξ#゚听)ξ「こぉんのドロイド野郎!」
(弐 (◎))「発砲確認。警戒せよ」
(壱 (◎))「原始的な武器ダ。問題なイ」
惑星カミーユで生産された共和国クローン軍団は、瞬く間に銀河中の不穏分子を襲撃した。
戦いは長く苦しい経過を経るも、最終的に旧共和国は分離主義者達の殲滅に成功している。
だが、問題はその後だった。
戦時中。当時の元老院最高議長が、共和国をより一層強固な存在とする為に銀河共和国の解体・再編を宣言したのである。
15 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:03:28.78 ID:UMX6uAgeO
その再編内容は一党独裁。いや、殆ど帝国主義に近い内容であったにも関わらず、
様々な事情と思惑が重なり、議長の提案は万雷の拍手と共に受け入れられてしまった。
それが、長きに渡って人々を恐怖に陥れる銀河帝国の始まりであるとも知らずに。
( ^ω^)「ツン。何処か適当な場所に隠れてろお!」
ξ;゚听)ξ「隠れるって何処に!?」
そこから先の史実は、ひたすら憎悪と反逆に満ち満ちた凄惨な内容となっている。
スターウォーズ規模の戦いが何十回も行われた経緯も重なり、当時の記録は錯綜と誤認に塗れていた。
とくに、帝国の創設と崩壊の分岐点となった決定的で信頼性のある記録は、スターウォーズが終決した現在でも未だに発見されていないという。
17 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:05:30.98 ID:UMX6uAgeO
(;^ω^)「グレネード!」
ξ;゚听)ξ「レモネード? きゃ!?」
だが、史実から学び全会一致で決定した事項もある。
新生共和国は常備軍を持たない。
政府関連の重要施設や要人警護用に最低限の自衛戦力だけを持ち、その他侵略用の軍備を破棄したのだ。
一方で、史実から学んでいない部分もある。
新統一歴制定から三百年近くが経過した現在でも、戦争は各地で起き続けている実情がそれだ。
殺人技術と平和技術の共存関係は常に満足関係を保っている。
20 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:08:13.67 ID:UMX6uAgeO
( ;ω^)「ゲホッ。ゲホッ。煙幕弾とは……ツン、ツン何処だお!」
”Private Military Company”
俗にPMC(民間軍事企業)と呼ばれるそれら組織は、現在の銀河共和国になくてはならない存在だ。
個人にせよ国家にせよ、両者の間で何かしらの問題が発生した場合は、
基本的に当事者同士に解決させる事がセオリーとなっている。
それこそが民主主義の正義であり、本質だからだ。
しかし、かつてのスターウォーズ勃発が全て惑星間のいさかいが火種となった経緯は見過ごせない。
第三者。つまり、銀河共和国による仲裁は現在でも必要不可欠と言わざるを得ないことも確かなのだ。
22 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:11:43.00 ID:UMX6uAgeO
そこで、共和国軍に代わる新たな治安維持要素として着目された組織がPMCである。
PMC。
即ち民間軍事企業。
その名の通り、民間会社が特定の武装勢力・組織・国に対して戦闘員を派遣するレンタルミリタリサービス業を営む者達の総称を指す。
ミセ*゚ー゚)リ『ラウンジ・カンパニーは安価で安全な戦力を提供します。徹底管理されたAI達は速やかに敵を掃討するでしょう』
従来の傭兵業との徹底的な違いは、警備や戦闘業務はもちろん、兵站・整備・訓練指導など、
提供するサービスが多域に渡る側面を持つことに尽きるだろう。
また、個人から国家まで幅広い層を顧客とし、そのニーズに柔軟に応えているのも特徴の一つだ。
23 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:13:02.29 ID:UMX6uAgeO
从'ー'从『宇宙戦闘でお困りのお客様は、是非、我がニューソク・インダストリーを御指名下さい。
最高品質の兵器群が貴方の要望に柔軟にお応えします』
銀河中に何千以上とあるPMCだが、その中でも特別に異彩を放っているのが法人化PMCの存在だ。
つまり、銀河共和国から『信頼性の高い暴力』と正式に認定された国家保証が付いた団体である。
共和国公認の戦争屋と表した方が良いかもしれない。
24 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:14:42.82 ID:UMX6uAgeO
ハハ ロ -ロ)ハ『最高の結果と最高の品質を約束するオオカミ・コーポレーションです。
弊社のクローン兵は長年の研究成果であるオリジナルの遺伝配列の恩恵により、
スマートで完璧な仕事を熟すでしょう』
法人化された組織は『ラウンジ・カンパニー』『ニューソク・インダストリー』『オオカミ・コーポレーション』の三社。
何れも、他の軍事会社より一歩抜きん出た存在であり、その技術力も人材も超一流の品質を保持するPMC界のビック3だ。
彼等は軍隊を持たない銀河共和国の代理人として、あらゆる平和維持活動を行う。
25 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:16:16.54 ID:UMX6uAgeO
( ^ω^)「ツン! くそ……見失ったお」
(壱 (◎))「対象を発見」
( ^ω^)「ふん。僕を殺したいならヘルドロイドでも担いで来いお」
解せない。
V2ドロイドの放つビームを弾きながらブーンは思う。
こいつらは、ラウンジ・コーポレーションが独自に開発したバトルドロイドの発展機だ。
数発の被弾などものともせずに、腕部固定の8mmビームバルカンを連射する局地制圧用の切り込み隊長。
装甲も厚く。AIのパフォーマンスも高い。
(#^ω^)「問題なのは、法人PMCであるラウンジが何故ジェダイに歯向かっているかだお。そら、お返しだ!」
(((弐メ(◎))))「グっ!?」
28 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:20:43.62 ID:UMX6uAgeO
(壱 (◎))「バルカンを放棄。接近戦モードに以降すルぞ」
( ^ω^)「セラミックナイフごときで、このライトセイバーの熱量にいつまで耐えられるかお?」
税金の免除やハイパースペースの自由利用など、企業であれば誰もが羨むような特権を得る代わりに、
法人化PMCはその活動を行う上で幾つかの規制が設けられている。
そのひとつが共和国への絶対服従であった。
性質上、明確な敵に対して武力を行使する必要があるPMC。
故に同業者と直接的な衝突を起こすことも頻繁にある。
他社に勝れば自社の株が上がることは自明の理であり、むしろ彼等は積極的にぶつかることが多かった。
(弐 / /◎))「馬鹿ナ。は、ヤ……イ」
( ^ω^)「先ずは一体。さあ、次はお前が真っ二つにされる番だお」
(壱 (◎))「…………」
29 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:21:49.74 ID:UMX6uAgeO
だが、銀河共和国としては法人化PMCがそのような不粋な行動を起こすことを歓迎しなかった。
ラウンジ社・ニューソク社・オオカミ社が三つ巴の闘いを演じて弱体化するなど言語道断である。
(壱 (◎))「グッ……つヨい」
( ^ω^)「当然。PMCの一兵ごときにジェダイが遅れを取るわけないお」
故に、法人三社の仕事は全て共和国が発注する。
三社が職場で合間見えることはなく、ましてや共和国に対して害を為すことなど絶対に有り得ない。
(壱メ( ))「ガッ!?」
( ^ω^)「よし。終わり」
31 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:24:15.27 ID:UMX6uAgeO
モノアイカメラごと演算装置にライトセイバーを突き刺し、ブーンは直ぐさま目標の捜索へ入った。
先程のスモークグレネードのやり取りでツンとは逸れてしまっている。
彼女の安否は不明だが、強力なフォースが洞窟内で波打っている辺り、命に別状はないだろう。
( ^ω^)「ビコーズ。PMCニューソク社A2パックの派遣要請を。それと船の準備をしておいてくれお」
今回のブーンの目標は麻薬工場の存在証明と幹部級マフィアの捕獲だ。
自決するような連中ではないので、雇ったPMCが全滅したと知れば勝手に投降してくるだろう。
(#^ω^)「糞ったれの戦略三課め。ラウンジの小遣い稼ぎを見逃したな? 度し難いお」
絶対服従であるはずのラウンジ社が、ジェダイの仕事を邪魔している。
苛々する気分を上手く処理し、洞窟の中を縫うように歩くブーン。
出すものさえ出せば武力を買える。
それがPMCの有用点であり、難点でもあった。
34 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:25:23.23 ID:UMX6uAgeO
(`∀´1)「来たぞ! 殺せ!」
(参 (◎))「了解」
少し開けた場所にブーンが顔を出すと、マフィア数名と一体のV2ドロイドが待ち受けていた。
向けられる銃口をつまらなさそうに一瞥したブーンは、
( ^ω^)「邪魔」
(参;(○))「!?」
予め脳裏で組み立てておいたフォースショックでドロイドの悩核を焼き切った。
(`∀´;1)「う、嘘だろ。V2が……」
( ^ω^)「初期に生産されたV2ドロイドは、設計段階で回線に不備を起こしていた。
そこを突けばどうと言うこともないお。下手にケチらず、最新版を雇うべきだったおね」
35 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:27:14.21 ID:UMX6uAgeO
(`∀´;2)「ちくしょう。どうしてここが分かったんだよ。糞ったれのジェダイめ!」
( ^ω^)「無駄話は豚小屋でやってくれお。とりあえず、聞きたいことがあるから腹割って話そうか」
_,、_
(#゚'ω"゚)「おじさん。君達のこと一ヶ月近くも捜していてさぁ……いっぱいお話ししよーね」
(((;∀;1)))(((;∀;2)))「ひぃいいいいいいいい……」
※※ ※※ ※※
ξ;゚听)ξ「ど、どうしよう」
照明器具の光が届かない洞窟の隅でツンは身体を縮こまらせていた。
血気盛んに宇宙人のアジトに突撃し、大きな機械の化け物が待ち構えていて、気付けばブーンと逸れてしまった。
今のところ最悪のシナリオである。
38 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:30:17.22 ID:UMX6uAgeO
ξ゚听)ξ「ブーンのバカ……なんで、ひとりで先に行っちゃうのよ」
悪態を付いたところでどうしようもない。
心細い武器をしっかり握りしめながら、ツンは意外にも落ち着きを取り戻した自分の理性と会話する。
ブーンは何処かに隠れろと言った。
ならば、今自分が潜んでいるこの場所はうってつけのポイントだ。
このままブーンが捜しに来るまで待っていれば良い。
ξ゚听)ξ「でも、大丈夫かな。アイツ」
おどろおどろしい鈍黒銀の化け物は赤い雷を沢山撃ってきた。
それは今まで見てきたどんな物よりも速く、あの騒ぎで一発も当たらなかったことは奇跡と言えるだろう。
ξ゚听)ξ「…………」
駄目元で化け物に撃った矢はやはり駄目で、肝心のブーンは武器らしい物をひとつも持っていないようだった。
狩りの時に用いる念力が奴らに通用するかも分からない。
ブーンは大丈夫なのだろうか。
40 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:33:01.78 ID:UMX6uAgeO
ξ゚听)ξ「うん。やっぱり捜しに行こう」
胸元で揺れる宝石を手で握るツン。
辛いときや悲しいときは、いつもこの黒紫色の光が励ましてくれた。
ブーンには約束を果たしてもらわなくてはならない。
もしこの機会を逃せば、自分は一生後悔するだろう。
ξ゚听)ξ「あ」
(`∀´3)「あ」
その時だった。ぐっと足に力を入れて地を蹴った瞬間に宇宙人と鉢合わせになったのは。
迂闊。
ブーンのことばかりに意識を集中していがためのミスだ。
予想外の場所から予想外の人間が飛び出して来たことに、先方も思わず目を丸くしている。
42 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:37:56.96 ID:UMX6uAgeO
ξ;゚听)ξ「あ―――……」
(`∀´;3)「子供? なんだ、お前何処から入ってきた」
流石に攻め込んできたジェダイの連れであるという発想はないらしい。
命からがら逃げおおせた、という表情の宇宙人は疑惑と困惑の視線を少女に傾ける。
ξ;゚听)ξ「く、喰らえ!」
(`∀´;3)「おわっ。危ねぇな。何すんだコイツ!」
本能的に危機を感じ取ったツンは、思わず手に持つナイフで宇宙人を切りつけた。
が、挙動があまりにも大き過ぎる。
た易く交わされてしまった。
43 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:38:45.75 ID:UMX6uAgeO
(`∀´#3)「このアマ。出会い頭に得物突き付けるたぁいい度胸じゃねーか」
ξ#゚听)ξ「五月蝿い! このっ!」
(`∀´3)「はん。基本がなってねーよ。人を斬るのは初めてか?」
(`∀´#3)「悪い子にはお仕置きだ」
ξ;゚-)ξ「きゃあ!?」
宇宙人が腰から抜き出した武器は黒色のビームガン。
ツンを戦々恐々とさせたあの赤い光が飛び出し、彼女が振りかぶったナイフを見事に撃ち抜く。
ナイフに炸裂したエネルギーの余波がツンの右手を焼いた。
45 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:43:22.75 ID:UMX6uAgeO
ξ;゚-)ξ「い、痛……」
(`∀´#3)「喚くな。ただの火傷だ」
ξ;゚听)ξ「来ないで。来ないでよ!」
(`∀´3)「五月蝿ぇ。コイツも何かの縁だ。脱出するまで人質になってもらうぜ」
ξ#゚听)ξ「いやよ!」
(`∀´#3)「五月蝿ぇって言ってんだろ」
ξメ )ξ「アっ!? ウぁアアア!?」
猛烈な塊がツンの太腿を貫く。
真っ赤に燃えた槍が身体に侵入してきたような感覚の前にツンは倒れた。
撃たれた。と分かったのは、激痛の箇所周辺の皮膚が真っ黒に炭化しているのを見てからだ。
46 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:45:23.44 ID:UMX6uAgeO
(`∀´3)「出力を抑えた。次はそんなんじゃすまねーぞ」
ξメ;;)ξ「ぐ……ブーン……助けて……痛いよぅ」
(`∀´3)「さてと。どう逃げっかなあ」
痛みに耐えるながら目を真っ赤に腫らす少女を見つめる宇宙人。
よくよく考えれば、足を撃ったのは少し気が速かったかもしれない。
生意気な餓鬼だが、容姿は上々。
それに、まだ思春期真っ盛りの年頃だ。
こういう女を欲しがる輩は、銀河中に吐いて捨てるほどいる。
売ればなかなかの額になるだろう。
あまり傷物にしてしまうと価値が下がる。
(`∀´3)「まあ。たいがいは半年ぐらいで廃人から意味ないけど」
47 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:47:57.47 ID:UMX6uAgeO
訂正:
>>46
(`∀´3)「まあ。たいがいは半年ぐらいで廃人になるから意味ないけど」
ξメ;;)ξ「ひぐっ……うぐっ……」
(`∀´3)「いつまで泣いてんだ。おら、行くぞ」
乱暴に髪を掴まれ、ツンは犬のように引きずられる。
ここで奴の指示に従ったら死ぬ。
無茶苦茶になった感情を振り回し、宇宙人の手に噛み付いたツンは直ぐさま逃げようと試みる。
が、焼けた脚の筋繊維がそれを許さなかった。
ξメ;;)ξ「ぅあ゙あ゙」
(`∀´3)「おいおい。あまり手を煩わせないでくれ」
ξメ;;)ξ「いやっ。来ないで、近寄らないでよ!」
(`∀´#3)「甲高い声で喚くな! 勘に触わるぜ。もう一発ブチ込まれたいか!?」
ξメ;;)ξ「ブーン! ブーン! 助けて! 助けてよぉ!」
(`∀´#3)「黙れって言ってんだ!」
48 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:52:45.10 ID:UMX6uAgeO
死ぬ。殺される。
こんなことならブーンの言うことを大人しく聞いていれば良かった。
そう後悔しても、現実は刻々と時を刻み続ける。
ξメ )ξ「あ」
そうだ。まだ自分には念力があるじゃないか。
ツンの脳裏に昨日の巨大狐が頭を過ぎる。
森の害獣を抹殺するのに十分過ぎるぐらいの力だ。
人間相手に使えば一瞬でケリはつく。
( ^ω^)「やってみろよ」
ブーンが言った。
( ^ω^)「殺してみろよ」
ツン=E=アシュクロフト。ゆめゆめ忘れるな。
お前が理力を使えば約束は反古となる。
ξメ )ξ「(じゃあ……どうすればいいのよ)」
50 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 21:57:58.72 ID:UMX6uAgeO
死にたくない。
抗えばブーンは去ってしまう。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
『ツン』
ξメ )ξ「…………」
だれ?
『可愛いツン。私の子』
ξメ )ξ「……あ」
『どうして泣いているの? 愛しい子』
ξ;゚听)ξ「お……かあさん……」
(`∀´3)「ははっ。残念でした。ママはここにはいませんよ」
脳裏に木霊するそれは、遠い昔に去った母の声。
嗚呼、母はいつも自分に何と言っていただろうか。
今までずっと言い付けを守ってきたから生き延びてこれた。
なのに、肝心な時にそれを忘れてしまうなんて。
52 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:01:13.49 ID:UMX6uAgeO
ξ; )ξ「あ……あたま、痛……」
(`∀´#3)「ぁあ?」
『ツン。私の言い付けをよく守ってね』
ξ )ξ「はい。お母さん」
(`∀´#3)「?」
『ツン。麗しき子。私の宝。貴女を傷付ける奴は絶対に許さない』
『だから――――――』
ξ#゚∀゚)ξ「アハハッ」
(`∀´;3)「えっ?」
53 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:03:48.21 ID:UMX6uAgeO
※※ ※※ ※※
(;^ω^)「はぁ、はぁ」
全力疾走が許されない狭苦しい通路をブーンは駆ける。
マフィアは全部で三人。
うち一人は逃げおおせて、この洞窟の何処かに潜んでいる。
泡を吹いて倒れた輩から入手した情報だ。まず確かだろう。
(;^ω^)「くっ。フォースが大き過ぎて位置が掴みきれない」
ツンの危機はマフィア達を縛り上げから直ぐに分かった。
この荒れ狂うフォースの力場は間違いなくツンの物だ。
彼女は今、恐怖に苛まれている。
( ^ω^)「見つけた! ツン!」
(;゚ω゚)「う!?」
54 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:05:28.24 ID:UMX6uAgeO
マフィア達の管理も行き届いていない洞窟の外れ。
その通路の真ん中にツンはいた。
ぺたり、と両足を折り曲げて座り込んでいる。
(;゚ω゚)「(なんということだお)」
ブーンの存在を知ってか知らずか、ツンはブーンに背を向けたままだ。
そして彼女は、じっと自分の腕を見つめていた。
ξξ*゚∀)
天井に備え付けられた照明に翳すようにして細い腕を眺めているツン。
その腕は指先から肘先まで真っ赤なルビー色に輝いていた。
彼女の隣には死体。
ブーンから逃げおおせたマフィアだろうか。
鼻から上側は完全に砕け散っており、慣れていなければ直視すらままならない残虐な光景を晒している。
まるで、頭の中に埋め込まれた爆弾が爆発したような様だった。
57 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:11:58.36 ID:UMX6uAgeO
(;゚ω゚)「…………」
そんな骸の側で反り血を受けた美しい少女が座っている。
それは、何かの芸術作品のようにも見えるし、タチの悪いスプラッタ映画のワンシーンのようにも見える。
だが、少なくともブーンにとってマフィアの生死は眼中になかった。
(#゚ω゚)「あれほど使うなと……言ったのに」
ブーンの怒りの矛先はツンに向けられていた。
あの餓鬼。あの糞女。
見ろ。彼女のあの顔を。表情を。
あれは悦に浸る目だ。
あれは快楽に耽る口端だ。
顔を紅く上気させ、夢心地の面を見せる彼女はオーガズムを感じている。
自分の能力を目の当たりにして、絶頂を感じているのだ。
58 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:13:17.30 ID:UMX6uAgeO
(#゚ω゚)「ツン」
ξ*゚听)ξ「?」
ツンが振り返った。
(#゚ω゚)「なにやってんだ、オマエ」
ξ*゚听)ξ「なにって……?」
ブーンの手には、ライトセイバーが握られている。
(#゚ω゚)「フォースを使ったな。僕との約束を破ったお」
ξ*゚听)ξ「やくそく?」
ξ*゚听)ξ「…………」
ξ;゚听)ξ「……あ」
猛烈な殺気を放つブーンの気に当てられ、ようやくツンは我に返った。
先ず、自分の手を見る。
次に、ブーンの目を。
最後に、マフィアの死体を。
ブーンが激怒している理由など想像するまでもなかった。
59 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:14:18.75 ID:UMX6uAgeO
ξ;゚听)ξ「ぶ、ブーン。違うの……これは……」
(#゚ω゚)「何が違うんだお?」
ξ;゚听)ξ「だって……わ、私……殺されそうに……」
(#゚ω゚)「君ほどの実力者なら、もっと他に手の打ちようがあったはずだお」
ξ;゚听)ξ「そんな……」
理不尽な。
そう言いかけたツンの台詞は、たちまちブーンに圧殺されてしまう。
もはや、ブーンがツンに向けるそれは怒りや哀しみの類いではなく、憎悪そのものだった。
ブーンがライトセイバーを起動する。
機械音を鳴らしながら出現した翡翠色の剣を見て、ツンはそれが非常に殺傷能力の高い武器であることを直ぐさま察した。
60 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:17:52.77 ID:UMX6uAgeO
私を殺すの? と、問うが返答は返って来ない。
血走った目でツンを凝視していたブーンは、やがて踵を返すとそのまま立ち去ろうとする。
ξ;゚听)ξ「ブーン。待ってよ。置いて行かないで!」
( ^ω^)「もう話すことはないお。早く家に帰れお」
ξ;゚听)ξ「お願い! 約束を破ったことは謝るわ。だから……」
(#゚ω゚)「いい加減にしろっ。君は自分が何をしたのか分かっているのか!?」
ξ;゚听)ξ「だって……正当防衛じゃない! 私はブーンの言い付けを守って隠れていたわ!」
(#゚ω゚)「違う。そいつを殺したことを言っているんじゃない。ツン……君は……自分の力を自慰に使ったろう?
フォースを人に使ったらどうなるか試したかったのだろう!?」
61 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:18:57.24 ID:UMX6uAgeO
ξ;゚听)ξ「そんなことない! 私は最善の選択をした筈よ!」
(#゚ω゚)「最善? よくもまあぬけぬけと……君、さっきまでどんな自分が表情をしていたのか分かっているのかお。
あれは欲を満たした動物の顔そのものだった! 君は自分の好奇心を満たす為だけに人を殺した!」
ξ;;)ξ「違う! 私はそんなんじゃない!」
(#^ω^)「とにかく。あの時の約束はなしだお」
泣き崩れるツンを一瞥し、ブーンはその場を立ち去る。
もう、十分もすれば要請しておいたPMCが到着するだろう。
あとは現場検証と物品の回収に立ち会い、マフィア達の身柄を警察に引き渡せば良い。
それで任務完了だ。
後腐れも得るものも無い。
63 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:20:43.84 ID:UMX6uAgeO
ξ;;)ξ「ブーン! 待ってよぅ!」
( ^ω^)「なんだお。手を離せお」
ξ;;)ξ「お願い。行かないで。私、何でもするから……なんだってするから連れて行って。私を見捨てないで!」
( ^ω^)「…………」
昨日。
月が綺麗だと思った夜。
ツンがブーンと交わした約束。
それは、万事が円滑に完了したらツンを宇宙へ連れて行くことだった。
ξ;;)ξ「もうこんな生活は嫌なの。ブーンだってもう気付いているでしょう!?
どうして私があんな場所に住んでいるのか!」
( ^ω^)「…………」
64 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:23:18.72 ID:UMX6uAgeO
ツンはこの星からの脱出を切望していた。
何故、二十歳にも満たぬ少女がたったひとりで危険な森に住んでいるのか。
何故、彼女は神官などという役を担っているのか。
何故、彼女には両親がいないのか。
その理由がブーンには容易に想像できた。
彼女のような人間をブーンは何人も見てきたからだ。
( ^ω^)「ツン」
ξ;;)ξ「…………」
今回のケースはブーンに取って初めてとなる要素が含まれていた。
それ故に、ブーンはツンに畏れを抱いていた。
それ故に、ブーンはツンを抹殺することすら考えていた。
だが、ひとりのジェダイが正義の名の元で剣を振り落とすには、少女はあまりにも幼な過ぎた。
65 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:24:19.88 ID:UMX6uAgeO
( ^ω^)「選べお。ここで僕に殺されるか、それとも一生この星で暮らすか」
ξ;;)ξ そ「…………」
この質問に深い他意はない。
ブーンはツンに自分の運命を選ばせようと決心した。
( ^ω^)「さあ、どうするんだお」
ξ )ξ「…………」
( ^ω^)「…………」
ξ )ξ「…………」
( ^ω^)「…………」
ξ )ξ「……テ」
( ^ω^)「…………」
ξ゚听)ξ「殺して」
66 :
◆909zxcTVWc
:2009/05/04(月) 22:26:25.79 ID:UMX6uAgeO
張り手が飛ぶ。
ツンの頬をしたたかに打ったブーンは、抜け殻のようになった彼女に言い放つ。
( ^ω^)「手前の尻も拭けない糞餓鬼が、いっちょ前な台詞を言うなお」
ξメ゚听)ξ「…………」
( ^ω^)「お前みたいなジャリ餓鬼には一流の躾が必要だお。だから、約束通り連れて行ってやるお」
( ^ω^)「ただし、連れて行く場所は観光スポットじゃなければ難民救済センターでもない」
ξメ゚听)ξ「…………」
( ^ω^)「君が向かう先はジェダイ・テンプル。その捩じ曲がった根性、ジェダイオーダーの名の元に叩き直してやるお」
朝日が、昇る。
to be continued...
SHOT-Xへ
HOMEに戻る
ニュー速VIPのブーン系小説まとめ
Copyright © 2008 Boon Novel. All Rights Reserved.