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( ^ω^)白い塔のようです

第4話

5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 19:50:28.47 ID:1TxomDtk0
('A`)「あの時はまだ誰も気付いていなかったんだ……」

ξ゚听)ξ「……」

('A`)「気付くべきだった、疑うべきだった」

ξ゚听)ξ「……」

('A`)「そうすればあんな事には……」



・・・
・・




6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 19:52:26.22 ID:1TxomDtk0
  _
(; ゚∀゚)「くそっ!」

(メ;'A`)「はぁはぁ」


山の中腹。
怪しいと睨んだ地域に、足を踏み入れてから、
状況が一変した。

休む間も無く襲いかかるキメラの群れ。

もう丸1日、戦い通しだった。


ミメメ Д 彡

ξ;゚听)ξ「えいっ!」


ツンの手が白く光り、フサギコの傷を癒していく。

7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 19:53:21.66 ID:1TxomDtk0

ミ,,゚Д゚彡「はっ!」

ξ;゚听)ξ「はぁ、はぁ……頑張って……」

ミ;,,゚Д゚彡「私ごときにツン様の力を消耗してはいけません!」

ξ;゚听)ξ「ううん、もう誰にも死んで欲しくないの」

ミ;,,゚Д゚彡「しかし……」

ξ;--)ξ「私なら大丈夫……まだまだ余裕なんだから」

ミ;,,゚Д゚彡「……皆を助けてきます」

ξ;--)ξ「はぁはぁ……頑張って!」


即死じゃない限り、ツンによる回復は有効である。

しかし、ツンの能力も無尽蔵にあるわけではない。

8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 19:54:35.39 ID:1TxomDtk0




(メ ^ω^)「ぬぅん!」


ブーンの一撃が空気を切り裂く。

しかし、猫型のキメラは素早くその攻撃を避けると、
爪を振るい反撃に出る。


(メ;^ω^)「くっ」


ブーンは大剣を横に寝かせ、剣の腹で受け止めた。



9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 19:55:39.94 ID:1TxomDtk0

今まで猫型のキメラなど、一刀のもとに葬ってきた。

だがそれは、ドクオのサポートがあって初めて自分の剣が届くからだった。

そして今、見渡すだけでも5体のキメラに囲まれている。


ブーン、ドクオ、ギコがそれぞれ一匹ずつ。

ロマネスク、フサギコで一匹。
つー、オワタで一匹を抑えている。


(メ;^ω^)(僕は一人じゃこんなにも弱かったのかお……)


自分が凌ぎ、ジョルジュかモララーにとどめを任せる状態。

歯がゆかった。


10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 19:57:10.66 ID:1TxomDtk0


(メ'A`)「オオオ!」


剣を突き立てては抜き、攻撃を避け、また剣を振るう。

神具を持たないドクオには、キメラを絶命させる程の一撃がない。

ダメージを積み重ねていくしか無かった。


(メ'A`)(とどめはいつもブーンに任せてたからなぁ……)


それでも自分一人でなんとかするしかない。

ドクオには辛い戦いになっていた。


12 1 2008/03/04(火) 19:58:26.56 ID:1TxomDtk0
  _
(; ゚∀゚)「このままじゃ、ジリ貧だ……」


鷹眼で戦況を把握しながら、弓で射抜く。

上空から複数のキメラに焦点を絞っていた事が仇となり、
ジョルジュは気付いていなかった。



一瞬、ジョルジュの視点が大きく揺らぐ。

  _
(; ゚∀゚)「風か……?バスト!しっかり飛べ!」


ジョルジュは見下ろしていた視点を、


一度上げる。

16 1 2008/03/04(火) 20:00:12.46 ID:1TxomDtk0

その時、見た光景は

眼前にまで迫った、飛行型キメラの大きな爪だった。

  _
(; ゚∀゚)「ッ!」


そしてその光景は、ジョルジュが見た最後の映像となった。

回避する暇もなく、その爪はバストの両目に突き刺さった。


  _
(; "∀")「ぐああぁぁぁぁぁぁ!」

バスト「ギピィ!」



18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:01:34.60 ID:1TxomDtk0
爪は、深くバストの脳にまで達しただろう。

バストはその爪に捕らえられ、
最後にはキメラの胃の中へと収められた。


(;^ω^)「ジョルジュッ!」
  _
(; "∀")「があああっぁぁあぁぁ」


悶え、暴れるジョルジュをブーンが取り抑える。


鷹眼

契約を交わした鷹の視点を共有できるが、
視覚だけではなく、感覚、痛覚まで全てを共有する。


鷹眼を発動したまま、バストの眼が潰されたため、
ジョルジュの眼も同じ損害を受けた。

20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:02:29.59 ID:1TxomDtk0


(;^ω^)「ツン!」

ξ;--)ξ「だ、ダメよブーン……これは実際の傷じゃない」

(;^ω^)「どういう事だお?」

ξ;--)ξ「鷹眼で受けた傷は、脳が与えた傷……私には…」


脳が、強く思い込んだ事は実現する。

例え実際に受けた傷じゃなくても、
鷹眼の使用条件として、強引に脳が錯覚してしまうのだ。



24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:14:14.56 ID:1TxomDtk0

(;^ω^)「くっ!一時撤退するお!」

\(;^o^)/「ヒィヒィ!」

( ,,゚Д゚)「俺とフサ兄がしんがりをする!将軍達は引いて下さい!」

(;^ω^)「頼んだお!」

(メ ΦωΦ)「我輩も助太刀いたす」

(メ'A`)「俺は退路を確保する!真っ直ぐ南を目指せ!」

(;^ω^)「ドクオ、頼むお!」


25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:14:44.99 ID:1TxomDtk0

ドクオが駆け出し森の中へと消える。

ブーン達も後を追って森の中へと入っていった。



( ,,゚Д゚)「二人共……死ぬなよ」

ミ,,゚Д゚彡「ああ」

( ФωФ)「承知」


撤退戦が始まった。



26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:16:11.17 ID:1TxomDtk0





森の中を高速で走る影がひとつ。


(;'A`)「はっはっ」


体力は限界に近い。
だが止まる事は許されない。

全員満身ソウイ、キメラに襲われない安全な場所を確保しなければならない。


(;'A`)(川……そして滝か)


28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:17:35.70 ID:1TxomDtk0

行きあたったのは川。
少し上流には滝があり、勢い良く水のカーテンが掛っている。


(;'A`)(む!?)


良く気付いたと言うべきだろう。

ドクオはその流れ落ちる滝の違和感に気が付いた。


('A`)(あれは……)


上から落ちる滝の水は、落下中に細かく砕け、
白いカーテンを作り出している。

だが一部分だけ、ポッカリと黒いのだ。

30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:19:20.45 ID:1TxomDtk0


('A`)(洞窟か…)


ここならば滝が天然の盾になり、
キメラも容易には気付かないだろう。


('A`)(よし!)


ドクオは南へ向けて走り出した。




31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:22:09.85 ID:1TxomDtk0




( ,,゚Д゚)「おらぁ!」


ギコが最後尾に立ち、キメラの進行を食い止めている。

フサギコとロマネスクは、ギコの隙を狙われないように、
上手くカバーしていた。


( ФωФ)「ふんっ!」


ロマネスクの大剣はキメラに避けられる。


32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:24:36.60 ID:1TxomDtk0

だがそれでいい。

体格のいいロマネスクから繰り出される一撃は、
ブーン将軍ほどではないとしても、キメラに致命傷を与えうる威力だ。


ミ,,゚Д゚彡(威嚇になるだけでいい)


それに引き替え、自分の槍ではキメラを威嚇させる事すら叶わない。

ただひたすらに、ギコとロマネスクが攻撃を受けぬよう、
キメラの腕を叩き落とす事に専念した。


ミ,,゚Д゚彡(いける!この連携なら被害を出さずに撤退できる!)



33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:26:06.12 ID:1TxomDtk0
長年使ってきた槍だった。

戦場では幾人もの体を貫き、血を吸った。
そしてキメラとも良く戦った。

弟が神具に認められ、7神将に着任したときに、
自分にとって神具のつもりで新調した。

それが、何故


何故、弟にキメラの爪が襲いかかる、このタイミングで……



バキン!



カン高い音を立てて折れた槍。

34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:28:43.80 ID:1TxomDtk0


(;,,゚Д゚)「ッ!」


ギコは他のキメラの爪を、双剣で受け止めている状態。

猫脚も双剣も使えない。


ミ;,,゚Д゚彡「ギコ!」

(;ΦωΦ)「!!」



鮮血が、飛び散った。


35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:30:23.16 ID:1TxomDtk0




('A`)「ブーンッ!」

(;^ω^)「ドクオッ!」

('A`)「この少し上流に身を隠せる洞窟がある!」

(;^ω^)「本当かお!」

('A`)「ああ、滝の裏側に隠れてる。とりあえずそこに向かえ!
    俺はギコ達をサポートする!」

(;^ω^)「頼むお!」


休む間も無く走り出した。

36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:31:53.62 ID:1TxomDtk0

(メメФωФ)「……」

ミ;,,゚Д゚彡「ロマネスクッ!」


体を斜めに切り裂かれ、大量の血が溢れ出る。


(;,,゚Д゚)「ロマネスク!大丈夫か!?」

(メメФωФ)「……」

ミ;,,゚Д゚彡「ダメだ、傷が深い!すぐツン様に……」


だが、人の都合はお構い無しにキメラは襲いかかる。


38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:33:59.08 ID:1TxomDtk0

(;,,゚Д゚)「くっ!」


ギコが応戦するが、多勢に無勢だ。


ミ;,,゚Д゚彡「ギコ!」


フサギコも折れた槍を捨て、ロマネスクの剣に手を掛ける。




重い


こんなにも重い剣を、ロマネスクは振るっていたのか。



39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:35:17.69 ID:1TxomDtk0

ミ;,,゚Д゚彡「ぬぅぅ」


持ち上がらない。


(;,,゚Д゚)「兄貴!」


だが、これしか武器はない。
これしか手がない。


ミ#,,゚Д゚彡「うあぁぁぁぁ!」


ありったけの力を込める。力を込める、力を込める。
腕の筋肉がはち切れんばかりに膨張し、
剣は地面から離れた。


41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:36:45.95 ID:1TxomDtk0

ミ#,,゚Д゚彡「があぁぁぁぁ!」


持ち上げた反動で、そのまま剣を横に薙ぐ。


一振りで3本もの木が倒れた。


( ,,゚Д゚)「!?」


ギコが倒れる木を避け、後ろに引くと、
フサギコは更に剣を振るった。

次々と倒れる木に、キメラもたじろいでいる。


43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:38:26.35 ID:1TxomDtk0

ミ,,゚Д゚彡「ギコ!今のうちにロマネスクを!」

( ,,゚Д゚)「分かった!」


ギコがロマネスクを担ぎ、後方へと走り出す。

フサギコもそれを追い、木を切り倒しながら下がった。


( ,,゚Д゚)「ロマネスク!今、ツンの所に連れてってやるからな!」

( ΦωΦ)「……」


ロマネスクは声を発する事は無かったが、
ギコの背中にしがみついた手に力を込め、合図した。


45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:40:27.31 ID:1TxomDtk0




('A`)「ギコ!」


不意に横から声がかかり、ギコは足を止める。


( ,,゚Д゚)「ドクオ!ツンは!?」

('A`)「この先の滝の裏に洞窟がある!そこへ行け!」

( ,,゚Д゚)「分かった!」

ミ,,゚Д゚彡「急ごう!」

('A`)「俺は最後尾につく、後ろは気にするな」


三人は滝に向かって走り出した。

46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:41:49.77 ID:1TxomDtk0

洞窟


  _
( ゚∀゚)「何も……見えねぇ……」

(*;゚∀゚)「あ、兄貴……」

(; ^ω^)「つー、大丈夫だお!外傷は無いから命に別状はないお」
  _
( ゚∀゚)「へっ、鷹眼のジョルジュも此れ迄か……」


洞窟の中で疲れを癒しながら、ジョルジュの症状を確認する。


しかし

完全に失明していた。


48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:42:59.80 ID:1TxomDtk0

ξ;--)ξ「他に怪我をしてる人は……?」

(; ^ω^)「ここにいる皆は、もう大丈夫だお。
        それよりもツン、少し休んだほうがいいお」

ξ;--)ξ「まだ……ドクオ達が来てないわ……」

(; ^ω^)「ドクオ達なら大丈夫だお、……きっと」


外がやや暗くなり始めている。
完全に夜が来る前に、ここに来れたのは良かった。

ドクオ達も間も無くここへ着くだろう。


49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:44:00.97 ID:1TxomDtk0




だがこの時、洞窟の奥から聞こえてくる小さな声に、
ブーン達が気付くよしも無かった。




第4話 〜fin〜

51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/04(火) 20:47:29.25 ID:1TxomDtk0
4話終わりです。
支援ありがとうございました。



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