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( ^ω^)ブーンが剣の道に踏み出すようです

第壱話

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:37:58.14 ID:ldQsz8PE0
ブーンで時代劇
少しだけ参加型。つってもこの時間人いないか。

…開幕

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:38:58.00 ID:ldQsz8PE0
時は遥か昔。少なくとも近代と呼ばれることはないそんな時代。
雑州のド田舎に、詩辺利亜と呼ばれる一つの小さな集落が存在していた。

山間に囲まれた、本当に小さな里である。大して米を産するでもなく、
特産の一つがあるでもなし。住人たちは猫の額ほどの畑を耕し、山菜
を取りながらその日暮らしを続けている。

そんな場所に、一人の侍気取りがいた。


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:39:18.56 ID:ldQsz8PE0
出自はどうにも知れぬ。
自らは「先祖代々武士であるお」と言うが、ならばこんな田舎に腐って
おるわけも無し、ということで、里の誰も信じてはおらぬ。

しかし本人は至って真面目で、これも先祖伝来と嘯く長物を左腰に下げ、
継ぎ接ぎだらけながらいかにも武士然とした袴姿で、毎日里を闊歩して
おる。

しょうがないので里のものも若様なんぞと呼んでいっぱしに扱ってやっては
いるのだが。


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:39:46.40 ID:ldQsz8PE0
 まぁともかくも。

その侍気取り、齢はやっこさ十四に届いたところ。
流れ者だった親は若くして夭折し天涯孤独。生まれは知れず育ちは雑州は詩辺利亜。

名を、内藤ホライゾンという。

やがて天下一の武芸者になる……かも知れない男だ。

         
          ( ^ω^)ブーンが剣の道に踏み出すようです


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:40:42.28 ID:ldQsz8PE0
第壱話 

雑州といえば、武郷である。
かつて人々は、「雑州じゃ新参もやっとう(剣術)使い」と、皮肉にも
称えにも聞こえる言葉で雑州を指したものだ。

( ^ω^)「だから違うお、ドクオ! ここを、こうだお! 気組で押すお!」

('A`)「いやでもそうやったらここがこう、こう詰まるだろ。常考」

(;^ω^)「え、……そ、そこを気組でなんとか!」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:42:02.84 ID:ldQsz8PE0
場所は里の裏山にある空き地。そこで内藤ホライゾン、里の若集の中では
なぜかブーンと呼ばれている少年と、ドクオという名の少年が木刀を振るっていた。
剣術の型の練習のようだが、その技量はというと、双方とも拙いものである。

ブーンの方は気組を連呼する割には腹が据わっておらず、気が定まらない様子。
ドクオはどうもやる気が空回りしているようで、振りが乱雑で鋭さがない。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:43:18.06 ID:ldQsz8PE0
そもそも型というのがいい加減で、先ほどからあっちこっち詰まったり足が
続かなかったりするのである。

これでは、練習にならぬ。

('A`)「おいブーン! 真面目にやれよ!」

先ほど言ったように、雑州といえば武郷である。

しかし、この詩辺利亜はその武郷の空白地帯、武芸や剣術とはまるで縁の薄い
土地柄なのであった。

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:44:21.96 ID:ldQsz8PE0
元来、この里の者は気が軟く、他人と争うを好まぬ。

戦国の世の血風もたくみにかわし、ここ二百年、里に入った剣の総数は今ブーンの
腰にぶら下がっている長物を足しても数える程にしかならない。

('A`)「お前さっきからまるっきりナマクラじゃねーか。 本当に武士なのかよ?!」

まぁそんな事情がブーンが下手に武士を名乗ってもあざ笑われない里の状況を
作っているのだが。

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:45:51.64 ID:ldQsz8PE0
(;^ω^)「ぶ、武士だお! ぼ、……拙者は武士だからやっとうはよーく
知ってるお。剣が一日にして成ってたまるかお! 後もうちょっと頑張るお」

('A`)「でももう一週間続けてるのにちっとも強くなった気しないし。
しかも決行まで後三日しかないんだぜ? 大体おめぇだって、よく見たら全然弱いじゃねーか」

そんな里でも厄介事は向こうからやってくるものだ。
しかも武芸を知らず、武器も持たぬ里人たちは厄介ごとに対抗する術がない。

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:47:15.61 ID:ldQsz8PE0
(;'A`)「>>20を山賊なんかに渡してたまるかよ……」

里は、ある山賊の一団に支配されていた。

自分たちではやれ腐った世を立て直すだの、ここから発して天下を号令するだの
大言を吐くが、やっていることが山賊だから山賊としか言いようがない。

里からいくらか離れた山に山城もどきを構え、女や食い物を献上させる。
気に入らぬことがあれば降りてきて家を焼く。

実に、横暴の極みである。

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:49:29.20 ID:PE+8mMkAO
エンゼルフレンチ

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:51:21.72 ID:ldQsz8PE0
>>20
すまん、進める前に聞きたい。

エンゼルフレンチってなんだぁああ!!

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:52:03.41 ID:nb709HWx0
ttp://www.misterdonut.jp/menu/donuts/donuts002.html
これじゃね?

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:54:22.86 ID:ldQsz8PE0
('A`)「畜生……。三日しかないんだぜ? 三日後の夜にはエンゼルフレンチ、あの極上の味が、
犬野郎にひでぇ目にあわされるんだ。それを防ぐためにも、ブーン!」

(;^ω^)「は、はいっ!」

('A`)「おめぇが俺に一端のやっとうを叩き込んでくれにゃならねぇ!
それなのになんだこれは! 大体この前奴らが来た時お前どこ行ってた!」

(;^ω^)「や、山で山菜取ってました」


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:55:29.54 ID:ldQsz8PE0
('A`)「そんなんで武士が名乗れるかよ。 山菜取ってて悪が討てねぇで何が侍だ!」

(;^ω^)「御免だお……」

('A`)「……まぁいい。ともかくも剣だ!続きをするぜ」

( ^ω^)「……わかったお。次は組太刀するお!」

ドクオとブーンの下手な組太刀の音が、かっかっ、と山に鳴り響いた。

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:57:09.98 ID:ldQsz8PE0
さて、今ドクオに剣を教えているブーンという少年だが、侍というのは
まるきり出鱈目というわけでもない。

この詩辺利亜の里からかなり離れた、しかし同じ雑州に、美府という割と
大きな城下町がある。

内藤というのはここに城を持つ大名ひろゆきに五十石の扶持を貰っていた
家臣の家で、ブーンの父親はこの内藤家の遠縁にあたるのだ。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:58:00.81 ID:ldQsz8PE0
故に名字帯刀をゆるされてはいたが、次男であり、大した人物というわけ
でもなかったので、暇にかませて諸国を漫遊していたわけである。

さすがというべきか、この父親は剣においては中々の腕利きであった。

田代夢想流免許の腕前であり、詩辺利亜に定住するまではその剣の腕前で
飯を喰っていたようだ。

それが流浪中にできた子がホライゾン、つまりはブーン。

産んだ女は、萌絵伽羅ヶ得得雑談というややこしい名の地方で拾った娘である
というが、詩辺利亜の里に来たときには死に別れて世にいなかった。

――その父親が流行り病で逝ったのが、六年前である。

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 14:59:11.68 ID:ldQsz8PE0

(;^ω^)「腹! 腹で切るお!」

(;'A`)「はっ! ぃああ!!」

日が暮れそうになっても少年たちの剣術稽古は終わる気配を見せない。
その気迫と熱心さだけは大の大人にも引けを取らぬであろう。

しかし、拙い。

ドクオは元々が痩せた体格である上に、脚の使い方がなってない故、重心が
定まらず木刀の重さに振り回されている。

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:00:39.26 ID:ldQsz8PE0
ブーンはというと、>>33

 下手を通り越して、これは微笑ましい。

 事実、彼らの剣術もどきを眺めていた彼は、口に満々と笑みを湛えていた。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:02:31.52 ID:RWnCODXvO
動きが鈍重

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:04:27.30 ID:ldQsz8PE0
ブーンはと言うと、動きが鈍重で、体が硬くなっているのが見て取れるのである。

( ´∀`) 「ふほっほ」

(;^ω^) 「誰だおー!」

(;'A`) 「闇討ちかぁあああ!!!?」



 翁であった。

 歳の頃は六十ほどであろうか。風に揺れる白髪と山羊の如き髭。
 古びてはいるが、キリリと着こなされた武士装束。

 何より目立つは腰の二本差し。

 翁は、侍であった。

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:05:43.68 ID:ldQsz8PE0
 どうも、今まで少年たちの稽古を覗き見していたようである。

('A`) 「さ、山賊の手のものか! ブーン、こうなったらアレだ!」

(;^ω^)「おのれ悪の輩! 拙者内藤ホライゾン正則が……ドクオ、台詞を忘れたお! どうするお!」

(;'A`) 「おまっ、ちゃんと覚えとけとあれほど……」

( ´∀`)「ほっほ。ヌシら面白いのぉ。まぁ焦るでない。ワシは山賊とやらではないから」

 翁はそういうと、ヒョイヒョイと軽い足取りで少年たちに近づいた。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:06:49.33 ID:ldQsz8PE0
( ^ω^)「あ……!」

ブーンの木刀をあっさりと奪い取る翁。
そして翁は、木刀を振りながら舞い始めた。

舞というしか、あるまい。

それほど華麗にして、凄まじい動きである。

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:07:40.76 ID:ldQsz8PE0
('A`)「な……っ」

上段に振り上げた木刀が、鋭い踏み込みから一直線に振り抜かれる。

かと思うと、ぐるりと翻り、横から一閃。さらにそこから跳躍するように、
強烈な突きを放つ。

揺らぎなき芯。
されど神速。

すべるように動く脚に迷いはなく、恐るべき速度で移動していく。

翁が大きく動きながら斜めから薙いだ。返す刀で引き付けるように切る。

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:08:41.39 ID:ldQsz8PE0
一手一手がすべて実であり、虚がない。老いたはずの肉体の隅々に
気が行き届いており、ブーンやドクオにはついに翁自身が一本の剣と化したようにすら
見えた。

足場は細かい砂である。しかしながら、翁の周辺に土ぼこりなど一つとして見えぬのである。
あれほど激しい動きでありながら。

実に、神妙であると言えよう。 

ブーンとドクオは、完全に「飲まれて」いた。

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:09:15.79 ID:ldQsz8PE0
(;^ω^)「……な、なんだおアレ……」

(;'A`)「……ありゃオメェ……>>45

( ´∀`)「……ほっほ。今日は切れがいまいちじゃの」


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:11:58.44 ID:OaCtvITQO
パンツのにおい嗅ぎたい剣

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:13:09.94 ID:RWnCODXvO
>>45吹いたwww

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/07(金) 15:13:44.28 ID:ldQsz8PE0
(;'A`)「……パンツのにおい嗅ぎたい剣ってやつだろ…」

(;^ω^)「……なんでだよ!」

びしっ!

第壱話、了 ――第弐話に続く


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