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スーパースコープ
443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:03:57.91 ID:VCzbHN/QO

ある日、男はあなたに言いました

「あなたは死にました。天使か悪魔か。進路希望を書きなさい」


手渡されたのはいたってシンプルなつくりの、銀色の万年筆。

それと、何も書かれていない小さなわら半紙。


うさんくさいなあ、と思いつつも、あなたは迷わず書きました。



ニア 悪魔

444 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:06:16.52 ID:VCzbHN/QO

( ・∀・)「ふーん、悪魔ですか。理由は?」
('A`)「理由?理由……」


まあ天使なんかガラじゃないと思ったから……
ってのが一番の理由だけど。


学校の教室みたいな部屋。
真ん中に置かれたテーブルを挟んで、スーツ姿の男。
テーブルの上には、汚い字で悪魔 と書かれた紙が一枚。

( ・∀・)「えーっと、君の死亡原因は……自殺か……
      へえ、いろいろやっちゃったんだー」

男は何やら資料みたいなものをペラペラめくりながら、半笑いで言った。

('A`)「へ、へへ。やっちゃいました」

あそこに俺の事がいろいろ書かれているんだろうか、少し恥ずかしい。


( ・∀・)「はいはい……じゃあ悪魔ってことでね。うん、手続きしますんで」


('A`)「お願いします」

僕は目の前の男にぺこりと一礼すると、席を立ち教室を出た。

446 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:09:08.98 ID:VCzbHN/QO

教室を出ると、思いもよらない場所に出た。

('A`)「トイレ……?」

公衆トイレだ。
教室から出たつもりだったのに、トイレの個室から出たかっこう。

これはどういう事だと思いつつも、まあ死後の世界と考えれば
このくらいは不思議ではなかった。

( ・∀・)「冷静ですね!」

隣の個室から声がして、覗くと
蓋が閉められた便座の上で、さっきの男が体育座りをしている。

( ・∀・)「まー、悪魔志望がこのくらいで取り乱されても困るけど」

男は便器からひょいと降りると、俺の目の前に立って

( ・∀・)「それじゃ、時間もあまりないし。適性試験始めますか」

そう言うと、すたすたと一人トイレを出た。
('A`)「ま、待てよ」


俺は一応手を洗って、後を追った。
蛇口を捻れたって事は、僕は霊体じゃないって事なんだろうか
それともここは霊界なのかな?まあどっちでもいいか

450 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:16:14.79 ID:VCzbHN/QO

公衆トイレから出ると公園だった。しかもすげえ近所の公園だった。

道理で見たことがあると思っていたが
さっきのとこは近所の公園のトイレだったのな。


( ・∀・)「えーっと。そんじゃ君の名前を決めましょ」

('A`)「名前?…名前ですか…?」

( ・∀・)「もしかして覚えてます?」

('A`)「いいえ」

( ・∀・)「…筋肉ともっこり、どっちがいい?


どうやらこの2つが俺の名前の候補らしい。男は無言で、俺の返事を待つ。

('A`)「じゃあ、筋肉で」

俺は自分で言うのもなんだが筋肉とは正反対のガリチビモヤシだ。
まあそれでももっこりよりかは幾分かマシだ

そんなこんなで、テストが始まった

454 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:22:13.97 ID:VCzbHN/QO

('A`)「あの、すいません。ミルキーさんですか」

从;'ー'从「は、はいい?ちがいますけど〜」

('A`)「あの、すいません。ミルキーさんですか」

从 ゚∀从「あぁ?キモッ」


誤解しないでほしい。
これはナンパではないし、気が狂ったわけではない。

もうかれこれ20人の女に「ミルキーさんですか」と声をかけている。

何も趣味でやってるわけではない。これは何もかも、試験のためなのだ。

ミルキーという名前の若い女天使候補だ、とあの男は言っていた。
多分本名では無いだろう

俺と同時期に、この付近で死んだらしい。

ヒントはそれだけだ。まあどうせそれだけの相手だ。どうでもいいが
せめて、見た目の特徴くらいは教えて欲しかった

もう手当たり次第の女に声をかけるのは疲れた
次で最後にしよう。他に方法をさがそ……


ξ゚听)ξ「……!あ、あなた、筋肉さん?」

455 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:24:19.63 ID:VCzbHN/QO

マジかよ。マジかよ、マジかマジか

('A`)「そ、そうすけど、え?ミルキーさん?ミルキーさんすか?」

ξ゚听)ξ「え?あ、はい!ミルキーです!」

なんだこいつ。中学生か、へたしたら小学生?まだ子供じゃないか。
余裕で許容範囲どころかドストライクですけどね。いやいやいや…

ξ゚听)ξ「よかったぁー!私ずっと筋肉さんのこと探してたんですよ!」

('A`)「探してた?俺をですか」

ξ゚听)ξ「何でって、ドクオさん試験内容聞いてなかったの?」

('A`)「聞いてますけど。……??」


聞いてるもなにも。俺の試験内容は何を隠そう「天使候補を殺すこと」

いかにも悪魔の試験らしいっちゃあらしいけど。


('A`)「ちなみにミルキーさんの試験内容は何なんすか?」


ξ゚听)ξ「あたしは、
     来て最初に見た人の願いを聞くこと、です」

460 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:34:49.13 ID:VCzbHN/QO

('A`)「それで、誰を見たんすか?」

ξ゚听)ξ「あ、はい。子供でした。中学生くらいの」

お前だって充分子供だろうが。

ξ゚听)ξ「願いは…スーパースコープがほしい…と
    それがなにかわからなくて。途方にくれてたんです」

('A`)「わからんもんはここにいたって仕方ないでしょ
   調べに行こうとか思わなかったんですか」

ξ゚听)ξ「…私、人に認識してもらえることもできませんから」

('A`)「マジで?」

少女の方に手をやるが、感触はおろか温度すら感じられない。
なるほど。こいつは俺と違って霊体ってわけか
……これを、どうやって殺せ、と?


ξ゚听)ξ「で、筋肉さんのこと探してたんです」

('A`)「は?」

ξ゚听)ξ「同じ天使候補の筋肉さんという人は
    私を助けるのが試験だ、と聞きました」

('A`)「…は?」

462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:38:00.39 ID:VCzbHN/QO

どういう事だ。
相手には俺について違った情報が渡っているらしい。

…まあいいや。助けてやろう。

仲間と思わせておいた方が何かとやりやすい。


('A`)「そうと決まれば
  まずはスーパースコープとやらが何かを調べないとな」

ξ゚听)ξ「は、はい。なんなんでしょう…スーパースコープ…」

('A`)「さあな。スコープっていうからには望遠鏡とかなんかじゃないすか」

ξ゚听)ξ「望遠鏡ですね!あたし調べてみます!」

ミルキーは嬉しそうに笑うとすうっと消えた。

どこに調べに行ったんだか…。

('A`)「俺は俺なりに調べてみるか…」

まず思い付いたのはネットだが、俺には環境がない
パソコンはもちろん携帯もない。

家に帰れば自室にパソコンがあったかなとも思ったが
何しろ家がどこにあるかわからない


465 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:40:26.08 ID:VCzbHN/QO

そもそもスーパースコープが何か解ったところで、金も人脈もない
俺達にどうやってそれを手に入れろと言うんだ

だいたい、願い事が物ってのがいやだよ
なんというかもろに現代ゆとりの発想だよ。
好きなあの子とお喋りしたいとかそういう考えはないのかよ


ああなんかだんだん腹立ってきた

ξ゚听)ξ「筋肉さん!見つけた!見つけましたよ!」


('A`)「あ?」

あぁそうか、筋肉って俺か。

ξ゚听)ξ「スーパースコープ!見つけましたよ!」

('A`)「ほう。
  それで、なんだったんすか、スーパースコープってのは」

ξ゚听)ξ「わかりません!でもなんか武器っぽかったです!」

('A`)「武器?」

意外な展開だ。

('A`)「なんかよくわからんからその見つけた場所に連れてってください」

467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:47:53.61 ID:VCzbHN/QO


連れてこられたのは、古い雑貨屋だった。

ξ゚听)ξ「ほら!これです!スーパースコープ!」

ミルキーが嬉しそうに指さしてるのは
ふるぼけたガラス戸に飾られた、バズーカみたいな玩具。

明らかに手書き(やたら達筆)で書かれた値札には
ちゃんとスーパースコープ、と書いてある。


ξ゚听)ξ「いちじゅうひゃくせん…」

('A`)「5万?無駄にたけえな…」

ξ゚听)ξ「筋肉さん!今ちょっと手持ちがなくって…
    天使になれたらすぐ返すのでここは…その」

('A`)「まあ…どうせ俺は死んでるし金なら出してもいいすけど」


いくらでも出していいけど、通帳と印鑑がどこにあるか
思い出してからだな


/ ,' 3「なんか気になるもんがあったのかえ?」


469 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:50:48.19 ID:VCzbHN/QO

突然ここの主人っぽいじじいが奥から、出てきたので
俺はすかさずスコープについて質問してみた。

('A`)「じいさん、このスーパースコープってなんなんすか?」

/ ,' 3「ほっほっほ。
    このスコープに目をつけるとはお目が高い」


じいさんの説明によるとこれは
表向きはスーパーファミ○ンの周辺機器に過ぎないらしい
しかしてその実態は

/ ,' 3「バズーカ型対魔武器、なんじゃ!」

('A`)「あ、そうですか…」

どうやらこのじじいは頭がアレしてしまっているらしい
老人は子供帰りするというから、恐らく彼は今中2なんだろう

/ ,' 3「お前さんたちが人でないことはわかっておる…
    店に入ってきた時から、わかっておったぞ」

あーはいはいワロスワ…

('A`)「じ、じいさんこの子が見えてるのか?」

470 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:54:49.18 ID:VCzbHN/QO

/ ,' 3「この子?…はてなんのことやら…
   さぁ。そのスコープを持って行くんじゃ
    この先の森は妖魔の多い地域と聞くぞ」

('A`)「じ…じいさん…あんた、何者だ…」

/ ,' 3「わしはただの武器屋のじじいじゃよ」

('A`)「…必ず生きて帰るぜ、じいさん」


そんなこんなで
わかってるんだかわかってないだかわからんじいさんの店を
出た俺は、なんとなくスーパースコープをかついでみた。
結構重い。

じいさんは対魔効果があるとか言ってたけど…

ん…じゃあもしかしてアレじゃね?これでこの女を殺せるんじゃね

俺はミルキーにスーパースコープの照準を合わせ、引き金を引いた。

…まあ、引き金っつーかボタンを押しただけだけど


('A`)「許せ!ミルキー!」

ξ;゚听)ξ「っ……え!?」

472 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 22:59:23.28 ID:VCzbHN/QO

ぽかんとした表情をした後、けらけら笑うミルキー。
ちっ、やっぱ駄目か…

ξ゚听)ξ「私は天使候補なんだから対魔兵器なんか効きませんよ
    変な冗談やめてくださいよー」

('A`)「あー、ははは。いやいや、はは」

ξ゚听)ξ「仮に悪魔だったら効くかもしれませんけどね」

('A`)「はは…そうだな」

(´・ω・`)「ははは、君たち楽しそうだねえ」

('A`)ξ゚听)ξ「!!」

振り返った時には既に、そこにはマント姿の男がいて

逆十字の装飾が施された銀色の銃が
ミルキーのこめかみにぴったり当てられていた。

(´・ω・`)「こんなとこに天使候補がいるなんてな。ラッキー」

舌なめずりして、ニヤニヤ笑っている。

舌が、青白い。人間じゃない
…こいつ、悪魔だ。候補とかじゃない、本物の、悪魔。

ぞわぞわ、と背中に鳥肌が伝った。

473 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 23:01:02.85 ID:VCzbHN/QO

(;'A`)「ミルキーさん!」

ξ゚听)ξ「き、筋肉さ…!」

(´・ω・`)「ん、君は悪魔候補じゃないの。なんで天使候補と一緒に?」

ξ゚听)ξ「あ、悪魔候補…?き、筋肉さんが?」

ミルキーがこちらを見て、口をぱくぱくさせている。

(´・ω・`)「はいはいはい。どうせ消えるんだからどうでもいいよ」

悪魔の手にぐっと、力が入るのがわかった



――ヤバイ。このままじゃ……


俺は、ハイパースコープを構えて、悪魔に向かって、打った。

477 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 23:09:06.15 ID:VCzbHN/QO

さっきボタンを押してもなんでもなかったスコープの発射口が
まるで火がついたみたいに赤くなり

力が全身から指へ、指の隙間にまで行き渡ると
発射されたレーザー光線が、悪魔の胸を貫いた。
そんで悪魔は死んだ。スイーツ(笑)

マジで対魔効果あんのかよ…これ…


ξ゚听)ξ「筋肉さん!」

('A`)「ミルキーさん。大丈夫でしたか」

ξ゚听)ξ「だ、大丈夫です…
    そ、それより筋肉さん、…悪魔候補だったんですね」

('A`)「まあね」

ξ゚听)ξ「じゃあ…なんで私を助けたんですか?」

('A`)「……そうだな、君を…好きになってしまったから……かな」

ξ*゚听)ξ「き……筋肉さん」

…あれれ〜?冗談のつもりだったんだけどナー

( ・∀・)「ちょいす。この辺りで悪魔が殺されたと聞いてきますた
    君たち、悪魔を殺しちゃったの?」

480 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 23:14:28.58 ID:VCzbHN/QO

気が付けば、その場にミルキーの姿はなく

( ・∀・)「もうこりゃテストどころじゃないねえ」

その変わりにいたのは、あの男だった

('A`)「…!そんな、じゃあ俺はどうなるんだ」

( ・∀・)「天使候補を殺すことも出来なかったみたいだし…
     悪魔側が君を受け入れるかどうか」

('A`)「マ、マジかよ…」


( ・∀・)「まあ、処分はあとで協会が決定を下すだろう。
      それまで君は待機だ」

('A`)「た、待機って…」



こうして俺は人間界に置いていかれて、一人処分を待った。
その間漫画を書店で立ち読みしたりパチンコしたりして過ごした。

481 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 23:16:29.63 ID:VCzbHN/QO

〜そんなこんなで数年後


ξ゚听)ξ「筋肉さん!どこいってたんですかあ!」

('A`)「あー…すいません。ちょっとタバコ買いに」


ξ゚听)ξ「もう!やる気あるんですか!
     そんなんだから悪魔候補のまんまなんですよ!」

俺はミルキーさんと一緒にいた。別に今では俺の嫁です…とかじゃなく

試験が再開されたからだ。

('A`)「あんただって候補のまんまじゃないすか…」

そんなわけで、スーパースコープを見つけた俺達は
それを欲しがった中学生を探しているのだ。

ξ゚听)ξ「う、うるさいわねっ…!だから今こうやって
    二人で天使になれるようにって頑張ってるんじゃないの!」

('A`)「二人でって…俺は悪m…」

ξ゚听)ξ「まだ候補ってだけで悪魔になったわけじゃないし!
    恋人同士なのに離ればなれなんていや!」

482 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/07(火) 23:20:40.18 ID:VCzbHN/QO

女はスイーツ脳だった


俺が試験を放り投げてまで悪魔を殺し彼女を守った

と思い込んでいるらしい、

本当は、
ここで悪魔にミルキーを殺されては俺が試験に受からないと思ったからで
悪魔を殺してから銃を奪い取りミルキーも殺すつもり
だったわけだが…まあ黙っておいたほうが良さそうだ

俺と好き同士だと思い込んでいるこの天使のお嬢さんを
どういう風に殺してやろうか。

それを楽しみに

しばらくこのお嬢さんの試験に付き合ってやることにしよう。

想像してたらニヤけてきた。


ξ゚听)ξ「ちょっとー何ニヤついてるんですか!」

('A`)「あ、いや、なんでもないです……」

ξ゚听)ξ「もー!先に行きますよ!」

('A`)「あ、ちょっと待ってくださいよ」


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