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問合せ
('A`)タイトル未定 のようです(゚∀゚*)
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/09/06(土) 15:52:22.07 ID:Z7hJtX6O0
もう少しだ。
もう少しなんだ。
肩が焼けるように熱い、いや、痛い。
血が噴出している。
もうどれだけ走ったか解らない。
恐らく思考能力も低下している。
物事を順序だてて考えられない程に。
足が痛い。
息が苦しい。
それでも。
それでもこの手を離さない。
('A`)タイトル未定 のようです(゚∀゚*)
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/09/06(土) 15:52:56.42 ID:Z7hJtX6O0
「どーくお」
遠くから声が聞こえる。
「くーん」
ゆっくりとした声。
――間を置いて聞こえてくる。
「あーそびーま」
俺を焦らせるつもりか?
だが生憎、俺はもう十分焦って――
(*゚∀゚)「しょ!」
(;'A`)「!!」
突きつけられる銃口。
畜生。
追い詰められたのか?
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/09/06(土) 15:53:40.49 ID:Z7hJtX6O0
(;'A`)「お、おおおおれは」
上手く喋れない。
(*゚∀゚)「どーしたの?」
どれが原因だろうか。
この怪我の所為か
この焦りの所為か
女が苦手な所為か
(*゚∀゚)「……。」
銃には詳しくない。
だから俺には、アレがハンドガンである
程度しかわからない。
あと
この状態であの女が引き金を引けば、
俺は死ぬって事ぐらいしか。
(;'A`)「……た、たたたたすけ」
笑えた。
頭の中はまだまともなのに、喋りが全く出来ない自分が笑えた。
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/09/06(土) 15:55:13.66 ID:Z7hJtX6O0
(*゚∀゚)「……?」
何も出来ない俺を見て、女は軽く首を傾げる。
いい女だ。
美人じゃなくて可愛い系統だけど。
頭の中のカラッポさが滲み出てて、それが全部を台無しにしてるのが惜しいな。
多分、殺しの事しか教わってないんだろうなあ、それじゃ勝てるわけねえよな。
こんな出会い方さえしてなけりゃ、
まぁなんだ、ほのぼのデートでもしたいところだ。
なんてな。
こんな冗談言ったら、おまえ、怒るだろうなあ。
(;'A`)「……。」
ごめんなぁ。
俺もう駄目だわ。
お前を引きずって逃げるので精一杯だった。
ごめんなあ。
無理してよ、身体こんなにズタズタにしちゃってよ。
せめてどっかで墓でも作りたかったんだけどよ。
こんな事なら、あの場で――
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/09/06(土) 15:58:55.02 ID:Z7hJtX6O0
(*゚∀゚)「……。」
小柄な男が、今まで引きずってきた死体に寄り添うように倒れこむ。
今まで殺してきた奴の中で、一番幸せそうに死んでる。
好きな人といっしょだと、幸せなもんなのか。
――オレは悪なのかな?
二人は自分達の事を正義だと思ってた筈だ。
この二人は人を殺していた。
自分達の正義を貫くために。
これからも人を殺す予定だった。
その殺す予定だった人から、オレは依頼を請けた。
正義を殺すのは悪、なのかな。
そもそもこの二人は正義なのかな?
そういえば、父さんはいつも言ってたな。
正義の反対は悪ではなく、また違う正義だ、って。
悪って言うものは存在しないんだ、って。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/09/06(土) 16:01:39.06 ID:Z7hJtX6O0
なら、オレのやったことはこいつらとは別の正義なのかな?
でも、頼まれて人を殺してるだけだし。
オレには確固たる信念もなんにもない。
そもそも正義ってなんだ?
オレはただ教わったように
依頼人の言う通りに
人を殺してるだけだ。
(*゚∀゚)「正義……じゃ、ないよなあ」
二つの死体を見ていると、
作り笑いができなくなる。
殺しの時だけじゃない。
依頼人でさえ見せない「まじめな顔」になる。
過剰なほどの作り笑い。 相手に「こいつはバカだ」と思わせる。
依頼主は裏切りを考えない。
ターゲットはナメてかかる。
オレの生の半分以上は嘘でできてた。
自分に正直に生きてたこいつらが、うらやましかったのかもしれない。
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/09/06(土) 16:05:14.71 ID:Z7hJtX6O0
恋人、か。
二人はいつも二人だったんだ。
死ぬ時も二人でいたかったのか?
いや、それだけじゃない、かな?
そうだったらわざわざ、死体を引きずって逃げ回らないだろうし。
まあ、死体は話してくれないから。
ほんとのとこ、どうだったのかはもうだれもわからないんだけど。
(*゚∀゚)「……。」
特筆すべき事は何も無い。
今回の殺しで得たものは何も無い。 いや、お金は貰うけどね。
いつまで続くんだろうか、これ。
死ぬまでだろうか。 ……やだなあ。
まあ、その為に育てられてきたんだから仕方ない、か。
オレはこの二人とは根本的に違うんだ。
オレはいつだって一人なんだ。
オレは悪でいいや、って、ちょっと思った。
また作り笑いが出来るようになった。
END
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2008/09/06(土) 16:08:06.71 ID:Z7hJtX6O0
おしまい
お題
ほのぼのデートを……
正義の反対は悪ではなく、
また違う正義
俺はいつだって一人
それでもこの手を離さない
おそまつ
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