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問合せ
( ^ω^)心のままに、のようです
第15話
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:02:57.58 ID:GdYm5+v70
第十五話 皆が笑う、僕も笑えば
('A`)「どうすんだよ」
あの後、すぐさま僕達は屋上へとたどり着くと、ドクオが言った。
丁度弁当箱を開けようとしたときに、これだ。
(;^ω^)「おっ・・・」
正直に言おう。
僕にはもう、分からないのだ、ツンのことが。
今までずっと二人だった。辛いことも、痛いことも、悲しいことも。
全てを二人で分かち合ってきたんだ。
そのはずなのに。心までは、理解しあえない。
いや、そうではない。僕は、分かっていたつもりだったんだ。
僕は、ツンの全てを知っているつもりだった。
にも関わらず、今になって、ツンのことが分からないのだ。
考えても見ろ、もしも兄弟がいたとして、兄が、弟が、姉が、妹が、
自分を好きになると思う人はいるだろうか?
そんなわけが無い。僕がそうなのだから。
それだけじゃない。あの日、初めてツンが僕を好いているのだと言ったあの日からだ。
まるで、別人のようなツンが僕の前に出てきたのは。
その度に、僕は否定し続けた。
違う、お前はツンではない、別人だ、と。
だが、人とは、外見までは知れても、中身までは本人以外知りえないのだと。
僕は今、痛感した。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:03:57.34 ID:GdYm5+v70
さて、本当のツンとは、誰だ?
今まで、僕と生活を共にしてきたツンか?
僕に愛を呟いてくるツンか?
分からない。何しろ、僕は兄であっても、本人ではないのだから。
(;^ω^)(何で・・・何でなんだお、ツン)
思うは、ツンだ。
何故、君は僕に愛を囁いてくるのだ。
何故、前までの状況を維持しようとしないんだ。
何故、僕の思うように、なってくれないんだ。
嗚呼、嫌だ。疲れる。考えたくない。面倒くさい。
( ω )(もう、ほっときゃいいんじゃないかお?)
思い、即刻否定した。
ほっといてみろ、何をしでかすか分からないのだぞ、今のツンは。
証拠に、足を刺されているではないか。
まったく、忘れたとは言わせないぞ、僕よ。
(; ω )「・・・もう、どうすりゃいいんだお・・・」
果たしてきたつもりだった。説得だって、もう何度もした。
それでも、ツンはアレなのだ。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:04:57.24 ID:GdYm5+v70
―ξ゚ー゚)ξ「?・・・別に?私に逆らったのが、悪いんじゃない」―
( ゚ω゚)「―!」
―残る手段は、逃走?それとも、闘争?―
嗚呼。
そうか、簡単な手があったじゃないか。
何、別に殺すまではいかない。ただ、僕だって、やられっぱなしは好きじゃないんだ。
ここにきて、何故、今まで僕は、これを否定してきたのか、不思議に思った。
そうさ、分からないのなら、体で分からせれば、いいじゃないか。
ツンがそうしたように、僕だってそうすればいい。
これは、悪いことか?いや、違う。これは―そう、躾だ。
そうだ、よし、これだ。これでいこう―
(´・ω・`)「―例えば、もし、君が。暴力を考えているとしたら・・・」
グニャリ、と。世界は震えた。
(´・ω・`)「打 ち 殺 す ぞ」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:05:58.17 ID:GdYm5+v70
気づけば、僕は立ち上がり、ショボンの襟を掴んでいた。
足の痛みなど、まるで感じない。
( ゚ω゚)「るっせぇお・・・」
待て、どうした、僕。何をしている。
落ち着くんだ、体よ、その手を離すんだ。
手を上げるべき相手が、違うぞ。
( ゚ω゚)「考えた挙句が、もう、それしかねぇんだお!」
(´・ω・`)「ツンと、同じ事をする気なのか、お前は!?」
僕が叫ぶと、ショボンも叫んだ。
(´・ω・`)「何故、離れない!ツンを、もう、放っておけばいいだろう!?」
その言葉で、僕の体に血が行き渡る。
どこかしらか、力がみなぎり、もしかしたら、このまま、ショボンを殴るだろう。
( ゚ω゚)「―馬鹿言うんじゃねぇお!!!」
止めろ、落ち着け。
せめて、拳だけは、放たないでくれ。
なんとか体を制御すると、ショボンを突き飛ばすだけで終わった。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:06:57.78 ID:GdYm5+v70
( ゚ω゚)「あいつを一人にしてみろお!僕がいなかったら、それこそ危ないんだお!
もしかしたら、自ら死を選ぶかもしれない!誰かを巻き添えに、傷つけるかもしれない!
あいつには、僕という薬がなければ、狂っちまうんだお!!」
そう、いつか、ショボンが言っていた。
―(´・ω・`)『・・・もう、ツンは、危険な段階だと思う』―
そうだ、そのとうりさ、ショボン。
もう、ツンは、駄目なんだ。人にして、人にあらずなんだ。
それは、僕を刺したとき。いや、僕に愛を告げたときに、分かっていたことかもしれない。
心のどこかで、ずっと思っていたことかもしれない。
何故、今。こんなことを考え、思ってしまったんだろう。
そして、何故、この考えは、どうも真実味を増しているんだろう。
ツンは、狂っている。
何故、狂っているかなど、愚問だ。
愛ゆえに、狂うのだ。我が物にするために、狂うのだ。
どこかで、こんな言葉を聞いたことがある。
『愛は人を狂わせる』―嗚呼、まったくもって、そのとうり。
誰だか知らないが、大層な格言を残してくれたものだ。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:07:57.92 ID:GdYm5+v70
( ;ω;)「・・・僕だって、もう、嫌なんだお・・・悩みたくないお・・・苦しみたくないお・・・。
以前までの生活に、戻りたいお・・・ツンを、これ以上、嫌いになりたくないお・・・。
クーを裏切りたくないお・・・君たちに、迷惑かけたくないんだお・・・!!」
いつしか流れていた涙は、頬を伝い、落ちる。
もしも、ここから飛び降りたら、楽になれるだろうな。
だが、そんなこと、できはしない。死にたくなんてない。
どこからか、タバコの匂いがする。
それは、普段も嗅いでいる匂いだが、ほんのりと甘みがある匂いで、安らいだ。
何だろう、と。見ると、ドクオがタバコを銜えていたのだ。
('A`)「そう、そうさ、ブーン。それで、いいんだ」
その発言をされ、何を言うのだ、この男は、と思う。
('A`)「ようやっと、俺らに、本心ブチマケやがって・・・遅すぎだっつの」
煙が、ドクオから零れる。ソレは天高く舞い、どこかへと消え行く。
('A`)「お前は、いっつもいっつも!ギリギリになるまで、自分が限界になるまで、それだ」
ニヤニヤと、何故か恥ずかしそうな顔をしながら、ドクオが近づいてきた。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:08:57.96 ID:GdYm5+v70
('A`)「―言ったろ、俺たちに、頼れよ、って。だってよ、俺たちはよ―」
―親友なんだぜ?
(´・ω・`)「本当に、久しぶりだね、こんなブーンはさ」
どこか、照れているのだろうか、ショボンは顔を背けながら言った。
(´・ω・`)「そろそろ、一人だけで考えるのは、よそうか」
まだ頬が赤いながらも、ショボンが顔を向けた。
その眼には、どこかしら、炎が宿っているような、力強いものがあった。
('A`)「迷惑なんざな、いくらでもかけろよ。人は、友達とは、助け合って関係を築くんだ」
ドクオが、僕の頭を、ポン、と叩いた。
(´・ω・`)「―それじゃぁ、ブーン。注文(相談)を聞こうか」
何故か、涙の量は増していた。
しかし、それは決して悲しみからではなく、有り難味から来るものであった。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:09:57.84 ID:GdYm5+v70
友とは。かけがえの無い存在である。
大人になるにつれ、関係は薄れていくものだが。
それには、やはりそれなりの事情があるのだ。
仕事、家族、子供。僕等は、歳をとれば、それだけのものを背負わされる。
だが、真の友情とは、遊ばなくなったからとか、喧嘩したからとか、そういうものでは
決して壊れないのだ。
心さえ通じていれば、例え10年間会わなくても、例え100年会わなくても。
僕等は、ドクオと、ショボンは。永遠に友達なのだ。
本日の学校の終了のチャイムが鳴り響く、午後三時半。
それぞれが帰りを急いだり、また、部活へと行くものがいる。
('A`)「おーい、ブ−ン。行くぞー」
( ^ω^)「ちょっと、待っててくれお!」
既に廊下にいるドクオとショボンに、僕はそういうと。
まだ教壇に佇んでいる、クーの元へと歩み寄った。
( ^ω^)「クー」
川 ゚ -゚)「ん?なんだ、ブーn」
クーは、僕の名前を呼びかけて、ハッ、とした。
まだ、教室には。多くも無く、少なくも無いが、生徒が残っていた。
にも関わらず、僕はクーを、先生、とは呼ばず、クーと呼んだ。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:10:58.39 ID:GdYm5+v70
川;゚ -゚)[馬鹿、先生と呼べ、今はまだ―]
小声でクーが喋りかけてくるが、僕はそれに耳を貸さない。
( ^ω^)「これ、有難うお」
ブレザーのポケットから、長方形の、筆箱ほどの箱を取り出し、クーに渡した。
川 ゚ -゚)「?・・・ああ、これ、私の眼鏡―」
さて、今僕の教室の時間は止まっている。
それも仕方の無いことだろう。何故なら、教師と生徒が、キスをしているのだから。
川 ゚( )
川;゚ -゚)「って、ブーン!!いきなり、何するんd」
( *^ω^)「皆、よく聞けお!!」
またも、クーの言葉を遮る。
どの生徒も、元から僕達の方向を見ていたのだろう、振り向くとすぐに目線があった。
( *^ω^)「僕とクーは!!付き合ってるおー!!」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:12:01.31 ID:GdYm5+v70
さぁ、誰が予測できただろうか。
どの生徒も、それぞれが、まるで彫刻のように、身動きせず、ただ眼を点にさせ、僕を凝視している。
川*///)「ぶぶぶ、ぶ、ブーン、いきなり、何を言うんだ!!」
ふと、クーが声を発したが、僕はソレに耳を貸さない。
ふと、視線をドクオ達に向けてみた。
二人は、ヤレヤレ、としたような顔つきで、僕を見ていた。
( ^ω^)「・・・クー、突然、ごめんお。でも、もう、僕は大丈夫だお」
どこか、僕に変な感じがしたのか。
まるで、クーは全てを察したような声で、僕にこう言った。
川 ゚ -゚)「・・・分かった。頑張れよ。―愛 し て る ぞ !」
それを合図に、僕は駆け出す。松葉杖など、必要にしないほどに、足に痛みは無かった。
それを見たドクオとショボンも、駆け出した。
二人が横に並ぶと、最後に、僕は叫んだ。
( *^ω^)「僕も!!愛 し て る お ー !!」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
:2008/03/26(水) 16:12:57.64 ID:GdYm5+v70
ふいに、頭を叩かれた。
その手を見るに、やはり、ドクオだった。
何だか可笑しくなって、僕は笑い出した。
つられて、ドクオも、ショボンも、笑い始めた。
ここから、きっとよくなっていくだろう。
そんな気がした。
夕暮れの帰り道、僕の両隣には、ドクオと、ショボン。
ただ、笑い声だけが、響く。僕達は、走り続ける。
笑い声は、いつまでも、夕暮れの中に漂っていた。
第十五話 終
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