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('A`)たちは水の上に生きるようです

第22話

5 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:04:26.20 ID:4npKsXOa0

第22話 「五里霧中」


窓から朝日が差し込み、まぶしさで目が覚める

(´・ω・`)「もう朝かぁ・・・」

まだ寝ているドクオたちを起こさないようにそっと蚊帳から這い出て、窓の外を見る

水の上には、一面に濃い霧が広がっていた

(´・ω・`)「うわぁ・・・」

あまりの光景に思わず声が漏れる、喜ぶべき光景ではないのだが、窓から見える景色は幻想的で、美しかった

風は水面より高いところで流れているらしく、霧に動く様子はない


7 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:08:20.82 ID:4npKsXOa0

('A`)「なんだ、どうかしたか?」

声に振り向くと、蚊帳の中でドクオが眠たそうに目をこすっていた

(´・ω・`)「いや、一面に凄い霧がでちゃっててさ」

('A`)「どれどれ」

そう言ってドクオが立ち上がる

(;'A`)「ぐぁあ・・・体中いてぇ・・・今日になって筋肉痛が・・・」

ドクオはおぼつかない足取りで寝床から這い出て、ショボンの隣に立つ



10 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:10:23.71 ID:4npKsXOa0

('A`)「あらら・・・こりゃあすげぇな」

(´・ω・`)「太陽が昇れば消えると思うんだけどね」

('A`)「しっかし一面真っ白だな・・・」

そういいながら大きく伸びをし、あくびをする

(´・ω・`)「もうちょっと寝てたら?筋肉痛なんでしょ?」

('A`)「ん?今何時だ?」

(´・ω・`)「午前5時だね」

ショボンがポケットから携帯を取り出して時間を見る

('A`)「なんだよ・・・まだ3時間しか寝てないじゃねぇか・・・」


12 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:13:27.29 ID:4npKsXOa0

(;´・ω・`)「ハインには悪い事しちゃったね、遅くまで付き合わせて」

(;'A`)「・・・アレ?」

(´・ω・`)「何?」

ドクオの手が震えながらショボンのポケットを指差す

(;'A`)「けっけけけ、携帯電話あああああ!!」

(;´・ω・`)「・・・・・・あっ!?」

あわててポケットから携帯を取り出し、画面を見る

左上に「圏外」と表示されていた

(´・ω・`)「・・・・・・圏外です」


14 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:15:35.02 ID:4npKsXOa0

(;'A`)「もしや、と思ったけど、やっぱそうだよなぁ・・・」

(´・ω・`)「圏外じゃどうしようもないね」

ξ-听)ξ「んー・・・あんた達もう起きてたの?」

ツンが上半身を起こし、声をかける

(´・ω・`)「あ、まだ寝てて大丈夫だよ」

ξ゚听)ξ「いいわよ・・・もう目が覚めちゃったし」

もそもそと寝袋から出て、起き上がるツン

('A`)「わりいな」

ξ゚听)ξ「で、何を騒いでた訳?」


16 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:17:54.78 ID:4npKsXOa0

(´・ω・`)「最初は外に霧が出てたので起きたんだけど」

('A`)「そういえば携帯の事忘れてたってなってな」

ξ;゚听)ξ「携帯電話なんてアタシも試したわよ・・・」

(´・ω・`)「そうだよねぇ」

ξ゚听)ξ「それにしても凄い霧ね」

('A`)「あー・・・無駄に期待感膨らんじまった・・・」

(´・ω・`)「堅実にいくしかないよ、とりあえず作業再開する?」

('A`)「流石にもうちょっと寝たほうがいいと思うぞ」

ξ゚听)ξ「ショボンとドクオはもっと寝ないと駄目よ」

(´・ω・`)「でも作業が」



18 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:20:45.87 ID:4npKsXOa0

ξ#゚听)ξ「寝なさいよ・・・・・・っ」

(;´・ω・`)「・・・・・・はい」

ツンの気迫に押され、しぶしぶ寝床に戻るショボン

ドクオと並んで寝転びながら、ショボンが小さな声でドクオに話しかける

(;´・ω・`)「ねぇ、なんかツン気合入ってない?」

(;'A`)「どうしてこうもウチの女どもは気が強いのばっかりなのかね・・・」

仕切りの布ごしに、隣で静かに眠るハインを見る

(´・ω・`)「昨日なんかあったのかな?」

('A`)「うーん・・・なんかあったんじゃない?」


20 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:23:57.64 ID:4npKsXOa0

ショボンの隣ではブーンが笑顔で涎をたらして眠っている

(*-ω-)「フヒヒ・・・ッwww」

(;´・ω・`)「・・・・・・寝言か」

('A`)「キメェw」

(´・ω・`)「あれ、ツン何処いったの?」

('A`)「なんか階段登ってったぞ」

(´・ω・`)「何しに行ったんだろ?」

('A`)「シラネ、もう俺も体中痛いし寝るわ、お前も寝ろ」

(´・ω・`)「はいはい・・・」




22 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:25:06.64 ID:4npKsXOa0


ξ*゚听)ξ「うわぁ・・・・!」

一人屋上へ登ったツンは、霧の海を見下ろしていた

ξ゚听)ξ「なんかもう雲の上にいるみたいね・・・」

しばらくそうして少しずつ流れていく霧を眺めていたが、ふと思い出したように傍らのバッグを持ち上げる

ξ;゚听)ξ (いけないいけない、お洗濯するんだったわ・・・)

バッグから衣類を取り出し、水に浸けていく

しばらく水を吸わせた後に石鹸をこすりつけて洗っていく


23 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:26:14.65 ID:4npKsXOa0

ξ゚听)ξ「服も家から持ってくれば良かった・・・」

服をこすり合わせながら、一人つぶやく

ツンはしばらくそのまま黙々と洗濯を続けていく

ξ゚听)ξ「後はすすいで絞るだけ・・・っと、あれ、大分霧も薄くなったわね」

洗濯物から視線を上げると、先ほどまで濃く立ち込めていた霧はかなり消えてきており

太陽も昇って日差しもだんだんと強くなってきた



24 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:28:43.69 ID:4npKsXOa0

ξ;゚听)ξ「さっさと終わらせないとみんな起きてきちゃうわね」

ツンは急いで洗濯物を絞ると、持ってきていたビニール袋に詰めていく

ξ゚听)ξ「さて、何か干すものは無いかしら」

衣類を掛ける物を探して辺りを見回すと、昨日焚いた焚火の跡が目に入る

まだ熱を持っているのか黒い炭の山の周りだけ夜露で濡れていない

ξ゚听)ξ「・・・ここに干しちゃうと煙まみれになっちゃうわね」

仕方なく洗濯物が詰まった袋とバッグを抱えて階段を下りていく

途中で5階を覗き込むと、蚊帳の中でまだブーンたちは寝息を立てていた

ξ゚听)ξ (・・・・・・みんな疲れてるわよね)


27 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:32:35.27 ID:4npKsXOa0

4階のテラスにでたツンは適当に黒と黄色の工事用のロープを張り、洗濯物を干していく

身長の低い彼女はロープを張るのに苦戦しつつもなんとか30分ほどで全ての洗濯物を干し終えた

ξ;゚听)ξ「あー疲れた・・・やっぱり身長高い人っていいなぁ・・・」

軽く自分の肩を叩きながら呟く

ξ;゚听)ξ (はっ・・・アタシ最近独り言多いかも・・・)

ξ;゚听)ξ (ち、違うわ!いつもはブーンたちが傍にいるから・・・!)

頭を振り、自分に言い聞かせる


28 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:36:19.89 ID:4npKsXOa0

ξ゚听)ξ「そういえばブーンたち起きたかしら」

5階で眠るブーンたちの事が気にかかった

ブーンとドクオは昨日ツンが乗ったベッドを引いてさんざん泳いだし、ショボンとハインは火を焚いていた

自分は役に立てていない

そんな考えがツンの頭を巡る

ξ゚听)ξ「・・・アタシも何かできる事・・・」



30 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:38:29.42 ID:4npKsXOa0


从;-∀从「ん〜・・・換気扇をつけr・・・」

从;゚∀从「ぐわぁあ!夢か!」

从;゚∀从「夢じゃない!?」

ハインは鼻につく異臭で目を覚ましす

隣をみるとドクオたちは寝苦しそうにしつつも未だ夢の中にいるようだ

从;゚∀从「何だよこのにおい・・・」

周囲を見渡すが、においの原因になりそうなものは見当たらない


33 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:41:07.68 ID:4npKsXOa0

周囲を見渡すが、においの原因になりそうなものは見当たらない

蚊帳から這い出て発生源を探ると、どうやら匂いは下の階から上がってきているようだった

恐る恐る階段を下りていくと、ツンがなにかゴソゴソと作業をしているのが見えた

从;゚∀从「ま、まさか!?」

嫌な予感にツンに駆け寄る

从;゚∀从「ツン、何してんだ?」

ξ゚听)ξ「アラ、起きたのねハイン、みんなの朝ごはんを作ってるのよ」

从;゚∀从 (なんてこったぁー!)



36 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:43:32.95 ID:4npKsXOa0

テーブルの上には開けられた空の缶詰がいくつかと、ボウルに入った謎の物体

かまどでは釜がゴトゴトと怪しい振動を発生させている

从;゚∀从 (貴重な食料が・・・)

ξ;゚听)ξ「どうかしたのハイン?顔色悪いわよ?」

从;゚∀从「いや・・・なんでもない・・・オレ様も手伝うわ・・・」

ξ゚听)ξ「ハインが自分からそんな事言うなんて珍しいわね?」

从;゚∀从「今はちょっとそういう気分なんだよ」

ξ゚听)ξ「そうなの?じゃあまぁお願いするわ」



38 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:45:55.30 ID:4npKsXOa0

从;゚∀从「合点承知!」

ハインはそう言うと急いで釜の方へ駆けていく、恐る恐る蓋を開けてみると中では米がカラカラになりかけていた

从 ゚∀从 (うわ・・・どうすりゃいいんだこれ・・・)

釜の中の光景に一瞬思考が停止する

从;゚∀从 (と、とりあえず水を足せばおかゆみたいのにはなるかも)

急いで水を汲み、釜の中に継ぎ足す

ξ゚听)ξ「アラ?なんで水入れてるの?」

ハインの姿を見てツンが不思議そうに首をかしげる


40 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:49:08.71 ID:4npKsXOa0

从;゚∀从「え?えーっと・・・朝はおかゆの方がいいなーっと思ってな」

ξ゚听)ξ「そう?それじゃあおかゆにしましょっか」

从;゚∀从 (あっちの缶詰はもはや手遅れか・・・)

ξ゚听)ξ「そろそろ上のヤツラも起こしてこよっか?」

从;゚∀从「あー・・・そうだな・・・」

从;゚∀从 (起きてまた眠りにつくと・・・永遠の)

ξ゚听)ξ「じゃあアタシ起こして来るわね」

そういい残してツンは階段を登っていく


42 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:52:43.08 ID:4npKsXOa0

从;゚∀从「さて・・・この謎物体をどうするか・・・」

傍らの皿に盛り付けられた塊を見る

从;゚∀从 (何だ・・・?サバと・・・みかんと・・・何だ?何だこの緑の)

从;゚∀从 (とりあえずみかんは取り除いて・・・)

( ^ω^)「おはようだおー!」

('A`)「うーっす・・・・・・」

(´・ω・`)「おはよう」

まだ眠たげなドクオを両脇から抱えてブーンとショボンがやってきた



44 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:55:39.18 ID:4npKsXOa0

从 ゚∀从「お、起きたのか」

ξ゚听)ξ「ドクオちゃんと立ちなさいよ」

('A`)「すまんのう・・・もう年なもんでのう・・・食欲もめっきりのうなって・・・」

ドクオはそういいながらソファーに崩れ落ちるように寝転がる

从 ゚∀从「ドックンしゃんとしろよー」

('A`)「うるへー、3度寝の誘惑は凄まじいんだよ」

(´・ω・`)「なんかかまどに火が入ってるけどハインが準備してくれたの?」

从;゚∀从「いや・・・オレ様が起きたときにはもうツンが大体・・・」


46 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 21:58:46.57 ID:4npKsXOa0

(;^ω^)「・・・・・・そう・・・かお」

(;'A`)「・・・俺朝飯いいかな・・・」

ドクオがソファーに寝転がったまま呟く

ξ゚听)ξ「駄目よちゃんと食べなきゃ、今日も船の修理とかするんでしょ?」

(;´・ω・`)「まぁ・・・そうなんですケド・・・」

(;^ω^)「ああ・・・」

ξ゚听)ξ「アタシの特製メニューよ、栄養満点なんだから」

('A`)「あ、俺胃潰瘍かも知れない、胃が重い」

( ^ω^)「ブーンは胃がんだお・・・」



47 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:00:31.50 ID:4npKsXOa0

ξ゚听)ξ「バカな事言ってないで座りなさいよ」

そういいながらツンが謎の物体が載せられた皿を運んでくる

(;´・ω・`) (おぉ・・・ジーザス!)
 
从;゚∀从 (そういや釜の方は大丈夫か・・・?)

ハインは静かにかまどのほうへ行き、釜の蓋を開けて中を覗き込む、

米は無事におかゆになっていた



49 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:04:07.59 ID:4npKsXOa0

从 ゚∀从「お前ら普通のおかゆならあるけど・・・」

(*'A`)「普通!普通っていいよね!俺もうおかゆ大好き!、胃潰瘍だし!」

(*^ω^)「日本人なら朝はおかゆだおね!おかゆ最高!」

(*´・ω・`)「おかゆかぁ!おかゆなら食べれそうだなぁ!」

嬉しそうにハインの下に駆け寄る3人、しかしブーンとショボンの肩をツンが掴んで制止する

(;^ω^)「なっ!」

(´;ω;`)「ドクオー!ドクオー!」


50 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:04:52.56 ID:4npKsXOa0

一人逃れたドクオは振り返って呟いた

('A`)「さらば戦友ども・・・」

从 ゚∀从「哀れな奴ら・・・」

('A`)「あ、普通盛りで頼む」

从 ゚∀从「あいよー」



53 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:06:40.06 ID:4npKsXOa0



ξ゚听)ξ「さぁ、たーんとお食べなさい?」

( ^ω^)「・・・ツン、ドクオはいいのかお?」

(´・ω・`)「そうだよ、ドクオも疲れてるんだし食べたほうがいいよ!」

畳の上のちゃぶ台の前に座らせられたブーンとショボンはツンに抗議していた

ξ゚听)ξ「ドクオは胃が痛いんでしょ?食欲も無いらしいし、じゃあ仕方ないわよ」

( ^ω^)「・・・あ、ブーンも胃が痛くなってきたお」

ξ゚听)ξ「アンタがおなか壊したところなんて見た事無いわよ」

(;^ω^)「・・・・・・」


54 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:08:34.18 ID:4npKsXOa0

(´・ω・`)「実は僕、サバの缶詰アレルギーなんだ・・・」

ξ゚听)ξ「昨日食べてたじゃない?」

(´・ω・`)「昨日の缶はアルミだったでしょ?今日のは亜鉛めっきのブリキだから・・・」

ξ゚听)ξ「?そうなの?じゃあ仕方ないわね」

(´・ω・`) (・・・・・・勝った!)

( ^ω^)「ブーンもサバの缶づ」

ξ゚听)ξ「アンタが買ってきた缶詰じゃない」

(;^ω^)「・・・・・・」




56 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:10:44.32 ID:4npKsXOa0



('A`)「おかゆうめー」

从 ゚∀从「そうか?おかわりいるか?」

('A`)「あー・・・とりあえずブーンたちの分もよそってから頼むわ」

从 ゚∀从「かなりの量あるから大丈夫だとは思うぞ」

(;´・ω・`)「やれやれ・・・助かったよ」

('A`)「お、しょぼくれどうやって逃げたんだ?」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ、ちょっと珍しい病気にかかってね」

从;゚∀从「なにを言ったのかしらねぇけど、まぁ食えよ」

ハインがお粥のはいった碗を差し出す


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/06(水) 22:12:17.58 ID:ATcKoRrfO
あれ?
鋼にスズめっきがブリキで
鋼に亜鉛めっきがトタンじゃない?

59 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:13:54.93 ID:4npKsXOa0

(´・ω・`)「おっとどうも、さて、今日はボートの修理を終わらせないとね」

('A`)「そろそろ屋上で煙も上げたほうがいい」

从 ゚∀从「じゃあさっさと食っちまうか」





( ;ω;)「おいしいお、おいしいお」

ξ*゚听)ξ「たくさん食べなさいね!」

( ;ω;)「わかったお、食べ物は粗末にしちゃいけないお」

ξ*゚听)ξ「ほらブーン、口の周りについてるわよ」

( ;ω;)「わかってますお、それもしっかり食べますお」

ξ;゚听)ξ「いや、そうじゃなくて拭いてあげるって・・・」




60 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:16:09.65 ID:4npKsXOa0



目を覚ますとやはりそこは見慣れた廃墟ではなく、どこまでも水平線がつづく世界だった

それどころか今日は薄く霧まで出てきている

ノハ;゚听)「やっぱり・・・夢じゃないかぁ!」

地面に転がっていたためか、体中が痛む

周りに生えた草には夜露が珠になって輝いていた

ノハ;゚听)「夢だけど、夢じゃなかったぁあ!」

ノパ听)「こんな事言ってる場合じゃないな!うん!」

ノパ听)「とは言ってもやれる事はないし・・・」


62 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:18:34.44 ID:4npKsXOa0

うーん、と唸りながら水の中を覗き込む

水の底では赤土の上で雑草がゆらゆらと揺れていた

ノハ;゚听)「・・・これくらいなら歩いて渡れる・・・!?かも!?」

考えてみれば石垣が沈まない程度なのでヒートが水に入ってもせいぜい腰まで沈む程度だろう

ノハ;゚听)「うーん・・・どうせここには何もないし・・・いっちょ行ってみるかぁ!?」

しばらく水際で悩んでいたが、意を決して着ていたハーフパンツを脱ぎ、水に飛び込む

ノパ听)「おお、けっこう浅いじゃないかあああ!!」

足で水の底を探り、感触を確かめる、どうやら抜けなくなったりする心配もないようだ



64 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:20:34.88 ID:4npKsXOa0

ノハ;゚听)「それじゃあ・・・いくぞおおお!!」

つばをゴクリと飲み込み、一歩目を踏み出す、水の抵抗もあってなかなか進みにくい

ノパ听)「気合だあああ!!」

しかしヒートは勢いをつけて水をざばざばと派手に掻き分けながら歩いていく

ノパ听)「楽勝楽勝!」

ノパ听)「むしろ楽しいなあああ!!!」

ふと足を止めて後ろを振り返るヒート

水の上に浮かぶ海神神社は、もう指の先ほどの大きさになっていた

それを見たヒートを言い知れぬ不安感が襲う

ノハ;゚听)「らく・・・しょう」



65 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:24:02.93 ID:4npKsXOa0

ノハ;゚听) (今ならまだ引き返せる・・・?)

さっきまでいた地面がとても恋しく思える

戻るべきか、進むべきか

水に半分浸かりながら悩んでいると、世界がぐるぐると回っているような気がして、平衡感覚がおかしくなってきた

ノハ;゚听)「ぬぬぬぬぬ、ぬぬ!」

悩んだ末、ヒートが下した決断は

元いた神社に戻る事だった

ノハ;゚听)「うわああああ!!!」


67 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:27:11.60 ID:4npKsXOa0

急いで戻らないと神社が消えてしまうような気さえして、ヒートは全速力で元来た道を戻っていく

途中、あせりのあまりに足を取られて、全身ずぶぬれになってしまう

ノハ;゚听)「あー・・・」

神社まで戻ったヒートは安心感と脱力感で地面に転がった

ノハ;゚听) (まさか自分がここまで怖がりだとは・・・!)

思わずため息が漏れる

ノハ;゚听)「まぁ、ドクオも非常事態では冷静になれって前に言ってたしなあああ!!」



71 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:30:55.46 ID:4npKsXOa0

ノハ;゚听)「さっきのはどう考えてもノリで行っちゃったしな!」

ノハ*゚听)「冷静に!冷静になるぞおおおお!!!」

ノハ;゚听)「とりあえず服がびっちゃびちゃだぞおおお!!」

さっき水の中で転んだせいでヒートは全身ずぶぬれになってしまっていた

ノパ听)「んー・・・とりあえず服を乾かさないと」

周りを見渡して、服を干せそうなものを探すが見当たらない

何より流石に人がいないとはいえ、かわりの服も無いのに服を脱ぐのには抵抗感があった



74 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:35:53.60 ID:4npKsXOa0

ノパ听)「着たまま乾かすには・・・火がいるなぁ」

あいにくライターの類の物は持っていない

恐る恐る拝殿の中も探してみたが、使えそうなものは見当たらなかった

ノハ;゚听)「こうなったら・・・アレしかないな」

乾いた木を二つ用意して、一つを地面に置き、一つを手で持つ

ノパ听)「このアタシのパワーならあああ!!!たやすい事だぞおおおお!!!」

地面に置いた木を足で押さえ、もう一方の手に持った木と激しくこすり合わせる



76 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:38:16.08 ID:4npKsXOa0

ノハ*゚听)「オラオラオラオラオラオラオラオラオラアアアアア!!!!!」

ノパ听)「お!熱くなってきた!これはいける!」


10分後

ノハ;゚听)「なぜだあああ!!!なんで点かないんだあああ!!」

木は熱くはなるものの、どうしても火が点かない

ノパ听)「原因はなんだろう・・・?」

休憩がてら地面に横になる

空のはるか上で雲がゆっくりと流れていた


78 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:41:53.34 ID:4npKsXOa0
ノパ听) (・・・・・・)

ノハ*゚听)「・・・・!そうかあああ!!!わかったぞおおお!!!」

飛び起きて、さっきまで擦っていた木を手に取る

ノパ听)「空気が足りなかったんだな!空気が!」

ノパ听)「じゃあこうしてやる!」

置いていた木の下に穴を掘り、空気の流れを作る

さらに木を石垣の角で削って溝をつけた

ノパ听)「これならいけるだろ!」



82 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:44:19.70 ID:4npKsXOa0

再度火おこしに挑戦する

ノハ*゚听)「オラオラオラオラオラオラオラオラオラアアアアア!!!!!」

今度は1分ほどで小さな火ができた木屑の上でちろちろと煙を上げた

ノハ*゚听)「やったあああ!!!火だああああ!!火だ!!!」

消えないうちにそっと運んで枯れ草に燃え移らせる

ノパ听)「これで服が乾かせるな!」

拝殿を多少破壊して手に入れた薪をくべると火はどんどんと大きくなっていった

ノパ听)「ん・・・?これは?」


86 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:47:23.39 ID:4npKsXOa0



ξ;゚听)ξ「煙だわ!」

屋上にツンのあわてた声が響く

聞きつけたドクオたちも続々とツンの元に集まってきた

(;´・ω・`)「本当かい!?」

从;゚∀从「どこだ!?」

(;'A`)「ちょっとオペラグラス貸してくれ!」

ツンからオペラグラスを借りて、水平線の辺りを探す

ξ;゚听)ξ「もっと左のほうよ!」



89 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:50:52.79 ID:4npKsXOa0

( ^ω^)「見えたお!あそこだお!」

ブーンが水平線を指差す

(;´・ω・`)「なんで目視でみえるのさ!?」

( ^ω^)+「ブーンの視力は4.5だお」

(;'A`)「マジだ、煙が上がってる!」

从;゚∀从「オレ様にもみせてくれ!」

一気に色めきたつ秘密基地の屋上



95 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:55:57.55 ID:4npKsXOa0

(;'A`)「おっと、煙の方角を記録しねぇと!」

ドクオは自分の立っている地点を起点にしてコンクリートの床に石で線を引き、煙の上がった方角を記録する

(;´・ω・`)「ボートのほうはもう水に浸けても大丈夫かな!?」

(;'A`)「だいたいは塞いだし、水に溶けない接着剤だから大丈夫だとは思うが」

(;^ω^)「進水してもバケツで掻き出せばおっけーだお!」

ブーンがボートの中にバケツを放り込む

('A`)「あとは一応水と食料って所だな」

ξ゚听)ξ「用意するわ!」

そう言ってツンが階段を駆け下りていく

从;゚∀从「お、オレ様も手伝ってくる!」

ハインもあとに続く


99 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 22:58:37.73 ID:4npKsXOa0

(;^ω^)「あとはパドルとかかお!?」

('A`)「えーと・・・一応ライターとランタンとかも持っていくか!」

(´・ω・`)「そうだ!打ち上げ花火が余ってたよ!」

('A`)「お、それも何かと使えそうだな!」

( ^ω^)「ブーンが持ってくるお!」

(´・ω・`)「花火は4階の木箱に入ってるから!」

階段を駆け下りるブーンに後ろから声をかける



101 : ◆ct9JfRCXVU :2009/05/06(水) 23:03:00.79 ID:4npKsXOa0


('A`)「さて・・・あとはボートを下ろすだけか」

(´・ω・`)「あ、ロープを忘れてたよ」

(;'A`)「おっとそうだったな」

(´・ω・`)「忘れ物は無いようにしないとね」

そういってショボンは煙の見えた方角に視線を移す

('A`)「・・・あそこに誰がいるんだろうな」

(´・ω・`)「さぁ・・・クーかヒートか・・・はたまた別の人間か・・・」

('A`)「なんにせよ、行ってみるだけだな」

ドクオも水平線を見据える


何処までも続く水平線の上には、太陽が燦々と輝き、大きな入道雲が浮かんでいた


第22話 「五里霧中」 おわり




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