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( ^ω^)心のままに、のようです


第10話

[3] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:35:11.79 ID:u7uCrQV00
第十話 僕と彼と彼女と彼女と彼と彼

入院生活を続け、早一ヶ月が過ぎた。
この日々を送る中、僕には辛いことが一つある。
と、いうのは―

ξ゚ー゚)ξ「はい、あーん」

ツンだ。

( ^ω^)「・・・・・」

無言で、差し出された林檎を食べる。
シャクシャク、と、水分の行き渡った果実。
林檎は美味い。

ツンは、毎日ここにいる。
毎日、といっても、休日は朝早くから来ているが、学校のある日は
終わってから直ぐに駆けつけてくる。
時々、ドクオとショボンも来てくれるのだが、やはりその場にはツンもいる。

( ^ω^)「・・・ツン、そろそろ学校に行けお」

この日、平日の10時。
ツンは今日、学校をサボろうとしていたのだ。
[4] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:36:01.41 ID:u7uCrQV00
―そんなに、僕の元に居たいのか。

ξ゚ー゚)ξ「・・・嫌よ。お兄ちゃん、私がいないと寂しいでしょ?」

自分の分の林檎を食べながら、ツンが言う。
一応、制服は着て来ているが―

( ^ω^)「ツン、お兄ちゃんは、ちゃんと学校へ行って欲しいんだお」

少し、願いを請うような顔でツンに迫ってみた。
この生活の中、分かったことがある。

ξ゚ー゚)ξ「―分かったわ。お兄ちゃん、寂しがらないでね?」

ツンは、僕の、お願いに弱い。

ξ゚ー゚)ξ「じゃぁ、また終わったら来るからね」

そう言うと、ツンは僕の頬にキスをした。

―忌々しい。

( ^ω^)(っ・・・何て事を思ってるんだお・・・)
[5] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:37:00.28 ID:u7uCrQV00
最近、こんな事を思うことが増えてきた。
と、いうのも。
ツンは、日に日に愛情がエスカレートしているからだ。
つい先日も、体を拭く、という名目で、僕の体を触りに触ってきた。
その時は堪らなく、もう、殺してもいいのではないか、と思ってしまったのだ。

はっきり言おう。


既に、僕は、ツンが、嫌いだ。
[6] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:38:00.37 ID:u7uCrQV00
 
 
さて、そんな生活にも、実は楽しみが二つある。
内、その一つは―

( ・∀・)「いやぁ、中のいい御兄弟なことで」

モララーと話すことだ。
彼は、よく僕のところへと足を運んでくれる。

―きっと、彼なりの慰めなんだろう。

彼は、気づいている。
僕とツンの関係に。と、いうよりは、気づかないほうが可笑しい。
そんな彼に、僕は、決まって愚痴を垂れるのだ。

( ^ω^)「・・・正直、迷惑なだけですお」

だから、僕は、彼に。

( ・∀・)「傷も、早く治ると良いがね・・・」

全部、話した。
[7] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:38:59.89 ID:u7uCrQV00
 
 
最初、彼はやはりか、とだけ言って顔を俯かせていたのを思い出す。
次に、僕でよかったら、相談してくれ、と言ってくれた。

嬉しかった。
何しろ、彼は、僕もツンも、責めなかったからだ。
どちらが悪いのか、と訊いた時、どちらも悪くない、と。


( ・∀・)「まぁ、早くてあと一週間。遅くて二週間かな」

少し思いに耽っていた僕は、彼の発言をよく聞いていなかった。

( ^ω^)「―お?何ですかお?」

(;・∀・)「いや、だから、後一、二週間くらいで、退院できるよ、って」

―退院、か。
また、あそこに戻らねばならないのか。

ツンのいる、元へ。

( ^ω^)「・・・そう、ですか、お・・・」

考え、気は沈んだ。

僕は、入院中、ずっと考えていたことがある。

ツンとの、生活だ。
[8] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:40:00.69 ID:u7uCrQV00
僕に残された、最後の家族。
ただ一人だけの、家族。
好きだったが―嫌いになってしまったツン。
可愛いが―疎ましいツン。

( ^ω^)「・・・僕は、どうすれば、いいんですかおね・・・」

ポツリ、と声を落とした。

( ・∀・)「・・・残念だが、それは、僕が答えていいものじゃない」

彼も、ポツリ、と答えた。
[9] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:41:00.10 ID:u7uCrQV00
 
 
川 ゚ -゚)「やぁ、元気かい」

( ^ω^)「昨日もそれ、言ったお」

現在、12時。丁度、院内食を食べていたときに、彼女、クーはやってきた。

さて、僕のもう一つの楽しみとは。

川 ゚ -゚)「ふふ、そうだったな」

クーと、会えることだ。
クーは、毎日、この時間帯に、わざわざ学校から抜けてやってきてくれる。
折角の休憩時間だというのに、すまない話だ。

川 ゚ -゚)「いや、いいんだ。お前と会えれば、私はそれでいい」

そう言うと、彼女も、自分のお弁当を広げる。
僕は、この院内食が大嫌いなので、よくクーからおねだりする。
すると、やはりクーも、これをやってくれるのだ。

川 ゚ -゚)「ほれ、あーん」

差し出されたのは、ウインナー。
一瞬、ツンの事が頭によぎったが、すぐさま消し去った。

(*^ω^)「あーん、だお」

柔らかい、舌触りだ。林檎のソレとは違う。
[10] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:42:00.71 ID:u7uCrQV00
そのまま細かく粉砕すると、飲み込む。

―院内食も、これだけ美味ければな。

叶わない望みだが、少し、そう思った。

さて、食事も終わり。
ここからが、愛の時間なのだ。

(*^ω^)「・・・クー、寂しかったお」

自分で言っておいてなんだが、少し恥ずかしい。

川*゚ -゚)「まったく・・・しょうがない奴だ」

そう言い、彼女は、キスしてくる。
ほんのりと、タバコの匂いが香ってくる。

(*´ω`)「・・・タバコ、吸いたいお・・・」

当然だが、僕は今、吸っていない。
入院中というのもあるが、吸うと、確実に怒られるだろう。

実際、モララーにはバレていた。
[11] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:42:59.75 ID:u7uCrQV00
『あまり吸わないほうがいい。治りが遅くなる」

と、言われた。
現在は、松葉杖で歩けるようになったので、行こうと思えば何処へでも行ける。
が、隠れて吸おうとした矢先に、これだ。
折角、ドクオが買ってくれたダンヒルは、未だに引き出しの中だ。

川*゚ -゚)「・・・そんなに、吸いたいか?」

(*^ω^)「おっ!当たり前だお!」

そういうと、クーは笑った。

川*゚ -゚)「先ほどまで、この口で吸っていたんだがなぁ・・・」

言い、顔を近づけてくる。

嗚呼、辛抱溜まらん。

(*^ω^)「・・・クーッ!!」

ほら、やっぱりだ。
クーは、いつもこうだ。
少し子供じみたことをして、甘えてくる。
そこが、堪らなく可愛い―

川  - )「―ブーン、あの、娘の匂いが、するぞ」
[12] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:44:00.18 ID:u7uCrQV00
ドキッ、と、した。

川  - )「また、言い詰められたのか・・・?」

( ^ω^)「・・・すまんお、クー・・・どうしようも、無いんだお・・・」

川 ゚ -゚)「・・・ふん」

すると、クーは、僕のベッドに腰掛けた。
丁度、僕に背を向ける格好だ。

( ^ω^)「ごめんお、クー・・・でも・・・」

そっと、両腕を、クーの腰に回し、背に顔をつけた。

( -ω-)「僕は、君しか、愛していないお」

静かに、そう告げた。

川 ゚ー゚)「・・・分かっているよ、ブーン。拗ねて悪かった」

彼女は、体を僕に向けた。
[13] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:44:59.76 ID:u7uCrQV00
(*^ω^)「・・・クー」

彼女の名を、呼ぶ。

川*゚ -゚)「・・・ブーン」

僕の名を、彼女は呼ぶ。

(*-(*  川

静かなキスは、ただ、永遠のように、続いた。
[14] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:45:59.87 ID:u7uCrQV00
 
 
( ^ω^)『―と、いうことが、あったんだお』

初めてクーがお見舞いに来てくれた時、全てを話した。
この傷のこと、ツンのこと、そして―セックスを、してしまった、という事。

川 ゚ -゚)『・・・そうか、そんな、事があったか・・・』

以外にも、彼女は、怒らなかった。
それについて訊けば、

川 ゚ -゚)『人間、誰にでも、過ちはあるんだ。今回も、してしまった後では遅いんだ。
     ブーン、分かったなら、もう・・・しないでくれよ』

そう言うと、彼女は僕に背を向けた。
太陽が彼女に遮られる。

やはり、怒っているのではないか?

川 ゚ -゚)『そんなことは、断じて無いぞ、ブーン』

そう言い、彼女は、僕のベッドを蹴った。
僕が謝れば―

川 ゚ -゚)『だから、怒ってなどいないと、言っているだろう』

と言い、テレビを殴る。

―嗚呼、ご乱心だ。
[15] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:47:00.22 ID:u7uCrQV00
川 ゚ -゚)『あぁ、そう言えばブーンよ』

僕の名を呼び、彼女は近づいてきた。

川 ゚ -゚)『もしや、妹とキスもしたのか?』

訊かれ、頷く。

川 ゚ -゚)『―そうか。じゃぁ』

唐突に、キスをされた。

―舌が、進入してますよ、先生。

川 ゚ -゚)『―煩い』

―すみませんでした。

満足したのか、彼女は顔を離す。

何だか、無性に哀しくなり、彼女を抱き寄せた。
すると―
[17] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:48:01.78 ID:u7uCrQV00
川  - )『・・・ブーンは、私のだ・・・』

ポツリと、呟いた。

そうだお、と。僕も呟いた。

川  - )『誰にも、渡さないんだからな・・・』

声が、震えている。

そうだお、と、呟く。

川; -;)『っ・・・ブーン・・・!!』

いよいよ、泣き出した。
僕に抱きつくと、静かに頭を撫でてやる。
体が震えているようだ。

川; -;)『ブーン・・・』

クーが、顔を上げた。

僕も、彼女の名を呼び、そっと、顔を近づけた。
[19] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:48:59.89 ID:u7uCrQV00
 
 
川 ゚ -゚)「―それじゃぁ、もう私は戻るよ」

甘い一時は、彼女の声を持って、終わりを告げる。

( ^ω^)「・・・分かったお」

正直、まだまだ足りてなんか、いない。
だが、ここで我侭を言ったって、しょうがないだろう。

川 ゚ -゚)「また、来るから、な?」

僕が寂しがっているのに、気づいたんだろう。
クーは近づくと、僕の頭を撫でた。

( ^ω^)「・・・おっ!了解だお!」

今度は、心配させないために、元気よく答えてみた。
クーは、クスッ、と笑うと、じゃぁな、と手を振って出て行った。

( ^ω^)「・・・おっ・・・」

また、静かな時間が始まる。
そして、後数時間立てば。

―ツンが、来る。

だが、今日は、作戦がある。
[20] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:50:00.94 ID:u7uCrQV00
 
 
ξ゚ー゚)ξ「どう、調子h―」

時刻は、四時。
夕日が窓から差込み、暖かな雰囲気を作り出している、病室で。

('A`)「よぉ、ツン」

(´・ω・`)「久しぶり、だね」

ツンは、止まった。
部屋の中に、僕しかいないと思ったからだ。
だが、今日は、違うのだ。
事前に、この日を約束していた。

実のところ、今、僕に携帯は無い。
それは、ツンに取り上げられたからだ。

なので、前回、ドクオが来たときに、この日、三人で集まろう、と決めたのだ。

( ^ω^)「―まぁ、そこに立っていないで、こっちに来いお」

僕は、ツンを呼ぶ。
前回は、失敗した。
だが、それは、僕一人だったからだろう、と憶測した。
なので、今回は、強いスケットが二人と―
[21] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 : 2008/03/17(月) 17:50:59.83 ID:u7uCrQV00
( ・∀・)「―ほら、彼もああ言っている。入ろうか」

―頼れる、スケット。

さぁ、第二回戦だ、ツン。
今度こそ、勝負をつけてやろうじゃないか。


第十話 終

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