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( ^ω^)ブーンが魔獣使いになるようです

第6話

5 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:15:10.74 ID:MkKf6AEnO
熱を帯びた風が顔に当たる

地塗られた白い牙

炎が宿ったかのような深紅の瞳

口から溢れ出す黒い炎

闇を写したかのような黒い翼

全てが邪悪だった

目の前のそれが鼻をならし、顔を近付けてくる

纏わりつくような風が身体を包む

足が鉛になってしまったかのように動かない

ただ蛇に睨まれた蛙のようにじっとしていることしかできない

突如、何かに気付いたかのようにそれは動きを止めた

そして、それは見せつけるかのようにゆっくりとその口を開き出した

口の奥で小さな黒い炎が渦巻いている

段々と炎が大きくなっていく

そして……

6 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:17:41.57 ID:MkKf6AEnO
(*‘ω‘ *)「ぽっぽ!ぽっぽ!」

必要最低限の家具だけが置かれた質素な部屋。
その隅に据えられたベッドの上でチンポッポはボインボインと跳ねていた。
チンポッポの足の下では内藤が時折苦しそうな顔をしながら寝返りをうっている。
チンポッポはひたすら跳ねる。
しかし、チンポッポの攻めに屈するほど内藤の睡眠欲は弱くなかった。
かれこれ、チンポッポが内藤の上で跳ね始めてから十分以上経っている。

(*‘ω‘ *)「……」

チンポッポは跳ねるのを止め、内藤の顔をじっと見つめながら考えた。

なぜこの人間はここまでしても起きないのか。
もしかしたら、この程度ではいけないのではないか。
もしかしたら、自分を試しているのではないだろうか。

それらの考えはチンポッポの頭の中を縦横無尽に駆け回り、チンポッポを混乱させた。


7 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:19:08.29 ID:MkKf6AEnO
(*‘ω‘ *)「ぽ!」

チンポッポは短く一声鳴くと、頭から余計な考えを吹き飛ばすかのように頭を横に振った。

自分がすることは主の命を遂行すること。
ただそれだけ。

チンポッポはその考えだけを頭に残し、内藤を目の前に据える。
チンポッポの周囲の空気が段々と熱を含んでいく。
それと共にチンポッポの口から炎が漏れ出ていく。


そして、炎は放たれた。

8 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:21:51.25 ID:MkKf6AEnO
( ゚ω゚)「アッーー!」

チンポッポの放った炎が内藤の頭にぶつかると同時に、狭い部屋に悲痛な叫びが響いた。
内藤の頭はロウソクのように小さな火を宿し、火は髪を嫌な匂いと共に焼いていく。
内藤は素早く身体を起こし、自分をまたぐように立っていたチンポッポを押し退け、ベッドに
頭を擦り付けて鎮火を試みる。

@@@@
(;^ω^)「危うく焼け野原になるところだっ……」

内藤はベッドから離した自分の頭を触り、言葉を失った。
指に絡み付くような髪、潤いなどとは程遠い髪。
内藤が予測していた以上の荒れ模様だった。

@@@
( ゚ω゚)「………………」

内藤は自分の頭を虚ろな目のまま触り、硬直していた。
その時、チンポッポがベッドの横から内藤の目の前に飛び出し

(*‘ω‘ *)「ぽ!」

と、一声短く鳴いた。

9 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:23:05.33 ID:MkKf6AEnO
@@@
( ゚ω゚)「…………」

内藤は目の前のチンポッポを見つめながら思考した。

自分が起きた時、最初に目に入ったのはチンポッポだ。
そして、この部屋にチンポッポ以外がいた形跡は全くない。
つまり、どうやったかは知らないが自分の頭を燃やしたのはこの目の前の馬鹿顔以外
あり得るはずがない、と。


@@@
( ゚ω゚)「このクソ犬がぁ!」

その結論に至ってから十秒近くのラグを置きながらも、内藤はその腕をチンポッポへ向け、横凪ぎに振るう。
しかし、それをチンポッポは後方に跳ねることで避け、床に着地すると内藤を
挑発するようにボインボインと跳ねた。



10 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:25:36.73 ID:MkKf6AEnO
@@@
( ゚ω゚)「このっ!」

内藤はベッドからチンポッポへ向けて跳びはねるが、それもあえなく避けられ
内藤は頭から壁に直撃した。
チンポッポは頭を抱えながら起き上がる内藤の横で再びボインボインと跳ねた。
そして、すぐ近くにあった扉の前まで移動し、その前足で丁寧に扉を開けると内藤を一瞥し、駆けていった。

@@@
( ゚ω゚)「ウガァァァァ!」

内藤は獣のような叫び声を上げ、憎悪で形成されたオーラを纏いながらチンポッポの後を追った。

廊下の突き当たり、右への曲がり角にチンポッポはいた。
チンポッポは内藤の姿を見受けるとやはりボインボインと跳ねた。

@@@
( ゚ω゚)「ウガァァァァアアアア!」

内藤は一際大きく叫ぶとチンポッポへと突進していく。
その目には確固たる狂気が宿っていた。
チンポッポへ内藤の全ての破壊衝動が向けられる。
しかし、チンポッポはそれにも関わらずゆっくりと角を曲がっていく。

11 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:29:38.11 ID:MkKf6AEnO
@@@
( ゚ω゚)「その命貰ったぁ!」

内藤は角につくと大声をあげながらチンポッポがいるであろう方向に飛び付く。


しかし、内藤がチンポッポを捕らえることは叶わなかった。

12 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:31:31.72 ID:MkKf6AEnO
空気を掴む両腕。
下へと続いていく何段もの段差。
そして、真下にいるチンポッポ。

@@@
( ゚ω゚)「…………」

内藤はこの状況を理解出来ず、空中で固まる。
しかし、重力はそんな内藤にも容赦なくかかり、内藤は段差との距離を詰めていく。

@@@
( ゚ω゚)「って、アッーー」

内藤は状況をなんとか理解したが時既に遅く、段差は目と鼻の先まで迫っている。

@@@
( ゚ω゚)「オオオオォォォ!」

内藤は両腕を顔の前で固定し、衝撃に備える。
直後、轟音と共に内藤は段差を転がっていく。
そして、内藤の意識は全身に走る衝撃と共に途絶えた。

@@@@
( ´ω`)(気絶してばっかりだお……)

13 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:32:32.84 ID:MkKf6AEnO
「起きて下さい、起きてくださーい」

妙に間延びした奇妙な声により内藤は目を覚ました。

@@@@
( ^ω^)「ここは……?」

内藤は全身の痛みに耐えながら、起き上がり辺りを見回す。

「私の家です」

内藤は突如、横からかけられた声に反応し素早く首を横に向ける。そこには村長がビックリしたようとも心配しているとも
とれる顔を内藤に向けていた。

「どうかしたのですか?」

@@@@
(;^ω^)「いや、足を踏み外しただけですお」

内藤は首を激しく横に振った。
内藤はこれで先程の出来事を隠しているつもりなのだが、誰がどう見ても隠しきれていなかった。

「別に言いたくなければ構わないですけど……」

村長は少し不満そうな顔をしたが、直ぐに元に戻した。
沈黙が二人の間を包む。



16 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:47:51.12 ID:MkKf6AEnO
@@@@
( ^ω^)「あの……犬みたいな生き物をか見ませんでしたかお?」

「ああ、それならギコさんの近くにいると思いますよ」

村長は入り口のドアをちらりと見ながら言った。

@@@@
( ^ω^)「ありがとうございますだお」

内藤は丁寧にお辞儀をし、ゆっくりとドアへと向かった。

「あの……」

内藤は歩みを止め、首だけを村長に向ける。



17 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 01:48:16.93 ID:MkKf6AEnO
「これくらいの青い玉を見ませんでしたか?」

村長は両手を使って手のひら大の大きさの円を作る。
よほど大事なものなのだろうか村長の顔には明らかな心配が見てとれた。

@@@@
( ^ω^)「知らないですお」

「そうですか……」

村長はガックリと肩を落とすと溜め息をついた。

@@@@
( ^ω^)「一応、探してみますお」

「お願いします」

そんな言葉を背中に受けながら内藤は外へと向かった。

19 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 02:03:31.43 ID:MkKf6AEnO
「ゴルァゴルァゴルァゴルァゴルァーー!」

それほど大きくない村に奇妙な叫び声とトンカチで釘を打つ音が響く。
草をはんでいた牛は食べるのを止め、鶏は酷く興奮したようすで走り回る。

( ,,゚Д゚)「いっちょあがりだ、ゴルァ!」

規則正しく壁に当てられた木の板を眺めながらギコは汗を袖で拭う。
拭いきれなかった汗が夕陽によりキラキラと輝いていた。

( ,,゚Д゚)「次行くぞゴルァ」

ギコは足元に置いてあった工具箱を持ち、空いた片手を自らを鼓舞するかのように突き上げた。

20 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 02:23:26.42 ID:MkKf6AEnO
( ,,゚Д゚)「それにしても、ほとんどの家に穴があいてるな……」

ギコは片手を顎に当て、足を止めた。
確かにスライムにはほとんど知性がない。
しかし、人がいる家ならともかく、無人の家を破壊することはまず有り得ないことだ。
それにスライムには壁をぶち破れるほど硬い身体を持つものはいない。
何か骨を素体にしたスライムならそれも可能だろうが、ギコ達が倒したスライムに
そのようなことをする時間はなく、別のスライムがいたというのも通常の群れでは考えられない。

( ,,゚Д゚)(いや、今回のは普通じゃなかったからなあ)

ギコは首をかしげ、口をへの字に曲げた。

「まてこらぁぁぁぁぁ!」

突如、ギコの思考を邪魔するような大声が村に響いた。

22 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 02:46:16.31 ID:MkKf6AEnO
( ,,゚Д゚)「この声……」

ギコはその声の元へと目を向ける。

@@@
( ゚ω゚)「こらぁぁぁぁぁ!」

内藤は縮れた髪の毛をゆさゆさと揺らしながら、チンポッポに追従しながら、鬼の
ような形相で向かってきていた。

( ,,゚Д゚)「内藤……」

ギコは短く呟くと工具箱を地面にゆっくりと降ろし、内藤へ向けて走り出した。

二人の距離が物凄い勢いで縮んでいく。

ギコの横をチンポッポが通り過ぎる。

ギコがその両腕を振り上げる。

そして、内藤をその両腕で締め上げた。

23 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 03:12:48.49 ID:MkKf6AEnO
( ,,゚Д゚)「良かった、無事だったのか」

ギコはそう言いながら、両腕に力を込める。

@@@
( ゚ω゚)「死ぬ!死ぬお!絞め殺されるお!」

( ,,゚Д゚)「良かった、良かったぞ」

内藤の言葉を無視して、ギコは腕に更に力を込める。
内藤の骨がミシミシと音を立てて軋む。

( ,,゚Д゚)「いやー、お前が無事じゃなかったらと思うと胸が締め付けられたぞ、ゴルァ」

ギコは満足したのか内藤を解放する。
内藤は圧迫されていたせいか顔色が悪い。

@@@@
(;^ω^)(殺されるかと思ったお)

内藤は苦しそうに肩を揺らし、息をするがギコはそれを無視するかのように
内藤に心配の言葉を投げ掛けていた。

24 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 03:30:20.81 ID:MkKf6AEnO
5時辺りまで少し休息を取ります。
毎回、こんな感じですいません。

誰も見てない気がしますが。

25 : ◆vAq8uG9T0I :2006/11/19(日) 05:22:47.38 ID:MkKf6AEnO
@@@@
( ^ω^)「ちょっと待って欲しいお!」

( ,,゚Д゚)「ん?」

内藤が大声を上げることでやっとギコは喋るのを止めた。
もしそうしなければ永遠に喋っていたかもしれない。

@@@@
( ^ω^)「この頭を見るお!」

内藤は自分の縮れた髪の毛を指差す。
周りから覗き見をしているであろう村人達の小さな笑い声がする。

( ,,゚Д゚)「新しいファッションか?」

ギコのこの間の抜けた答えに周囲の笑い声が大きくなる。

@@@
( ゚ω゚)「ちがーう!」

内藤はそれらを制するように叫ぶ。
周囲の全てのものが沈黙する。


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