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( ^ω^)ブーンが魔獣使いになるようです

第5話

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/10/01(日) 23:36:43.01 ID:8GS1nllhO
風景が一瞬にして後方に流れていく。
風が容赦なくギコの身体を叩く。

( ,,゚Д゚)「クソッ、スライムごときに……」

ギコは悔しそうに顔を歪めながら舌打ちをした。

スライムは本来、単純な行動しかしない。
目的地に向かうときは直線に進み、戦いでは数で押すといったふうだ。
ギコも充分それを分かっていた。
それ故、村から目的地までを直線で進み、もしスライムが村を襲おうとしても途中で
遭遇するようにした筈だった。
しかし、ギコがスライム達と遭遇することはなかった。
スライム達が別の地域に移動した可能性もあるにはあるが、スライム達が目の前に
ある餌を放っておくことはごく稀だ。
つまり、ギコは単純な思考しか持たない筈のスライム達に頭で負けたのだ。
これほど屈辱的なことはないだろう。



6 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/01(日) 23:39:59.49 ID:8GS1nllhO
( ,,゚Д゚)「あの巣の大きさからして数は二十から三十位か……」

スライムはその戦い方故に全てを群れ単位で行う。
その規模は様々で、時には百匹以上のスライムが集まることもあるという。

( ,,゚Д゚)「あいつ一人じゃ少し辛いか……」

その時、ギコの視界に空へと向かう何かが映った。

( ,,゚Д゚)「何だ?チンポッポ、少し止まってくれ」

突如、ギコはその手をチンポッポの首の上に置き、チンポッポの動きを止めさせる。
ギコは額に対し垂直に手を当て、目を細め前方を睨み付けた。

ギコの目に黒煙が映る。
それは災厄の来訪を告げるかのように空へと昇っていた。



8 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/01(日) 23:42:13.89 ID:8GS1nllhO

(;,,゚Д゚)「おいおい……ありゃ村の方角じゃねえか……」

(;,,゚Д゚)「こりゃ、早く戻ら……ん?」

何かに気付いたかのようにギコは鼻をひくつかせた。

( ,,゚Д゚)「ちっ、待ち伏せとは良い度胸じゃねえか」

ギコは前方を見ながらそう悪態をついた。
一見するところ前方には足首辺りまで伸びた草が大地を緑に染めているだけだ。
しかし、ギコはそこに何かあるかのように特定の箇所を睨み付けている。

( ,,゚Д゚)「一……二……三……四……五……数えんのも面倒くせぇ」



10 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/01(日) 23:44:11.94 ID:8GS1nllhO

( ,,゚Д゚)「チンポッポ、一気に片付けるぞ!」

チンポッポはその言葉を聞き、静かに頷く。
それと同時にチンポッポの頭上の空気がゆらゆらと揺らめき始め、辺りの草は
ちりちりと音を立てながら先端から黒に染められていく。

チンポッポの身体の所々で炎が燃え、荒れ狂い、チンポッポの身体を包んでいく。

そして、チンポッポはギコと共に炎の球体に包まれた。



11 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/01(日) 23:48:11.70 ID:8GS1nllhO

ギコ達の前方の草むらが揺れ、何匹ものスライムが現れる。
そして、球体の周りをぐるりと取り囲んだ。
いつまでも攻めてこない敵に業を煮やし、攻めに転じたのか、
本能に従ったのかは分からないが、球体の周りのスライム達はその数をどんどん増やしていっている。

スライム達は球体と一定の距離を置き、敵の出方を伺っている。
辺りを炎が燃える音だけが支配する。

一匹のスライムが球体に近付いた時だった。

ドォォォォォォォン!

凄まじい爆音と共に球体は破裂し、炎がスライム達含め周辺全てを包んだ。

スライムは一瞬で蒸発し、青々と繁っていた草は見る影もなくなっていた。

球体の破裂と共に一筋の炎が疾風のように駆けていったのに気付けるものはいなかった。

12 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/01(日) 23:50:37.46 ID:8GS1nllhO
炎の魔獣を使役するギコにとってスライム達を倒すなど造作もないことだった。
ただ炎を目標に向け吐かせるだけでいいのだから。
その上、相手は人間で言うところの一般兵。
能力も何も持たない雑魚だ。
余程のことがない限り負けることはない。
実際、さっき何十匹ものスライムを始末したばかりだ。

しかし、今ギコはこの依頼最大の危機に直面していた。

( ;ω;)「オーン、オーン」

(;,,゚Д゚)「いい加減泣き止んでくれよゴルァ」

いい年をしているのに泣き止まない男、それを一生懸命になだめる男。
実に奇妙な光景だった。



15 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/01(日) 23:52:20.07 ID:8GS1nllhO

確かに内藤に村を任せた上に戦闘をさせてしまったのはギコだ。

ギコもそのことについては悪いと思っていた。
しかし、ギコがそれについていくら謝っても内藤が泣き止む気配はなかった。

(;,,゚Д゚)(こういうのは苦手なんだよな……本当に……)

ギコは腕組みをし、実に悩ましげに首を傾げる。
そして、その体勢のまま、やれやれといったふうに溜め息をついた。

(;,,゚Д゚)(どうしたものか……)

「誰か!誰か助けて!」

突如、村の方から叫び声が響き、辺りの空気が一瞬にして張り詰める。


18 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/01(日) 23:57:56.14 ID:8GS1nllhO

「スライムが、スライムが……」

村の方から男がふらふらとした足取りで苦しそうに叫びながらギコ達の元へと走ってくる。

「沢山のスライムが……村に……まだ人が……」

男はそう言うとへなへなと大地に倒れ込んだ。

(;,,゚Д゚)「なっ!?まだいたのかゴルァ!」

ギコは村の方へ顔を向け、驚愕の表情を浮かべた。

(;,,゚Д゚)「くそっ!」

ギコは片方の拳で片方の手のひらを強く叩く。
ギコの口からは歯を強く噛み締めているのかギリギリと音がしていた。

( ,,゚Д゚)「あなたはここで休んでいて下さい」

( ,,゚Д゚)「この村は守りきります……絶対に……」

ギコはへたれこんでいる男に近付き、男の肩をしっかりと掴み、力強くそう言った。
男はそれに力なく頷いた。


21 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:01:16.00 ID:+nTYfrtXO

ギコはまだ泣いている内藤の前までゆっくりと歩いていく。
そして、周りに音が聞こえるほど大きく息を吸った。

( ,,゚Д゚)「内藤ぉ!」

(;^ω^)「はっ、ハイ!」

内藤はギコの身体の底まで響くような大声に条件反射的に返事をする。

( ,,゚Д゚)「お前はまだ村に残っている人達を安全な場所へ」

(;^ω^)「でも……」

( ,,゚Д゚)「でも何だ?」

(;^ω^)「もう……」

( ,,゚Д゚)「もう何だ?お前にはまだ人を助ける為の腕がある、
     走る為の足もあるだろ?」



23 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:04:37.42 ID:+nTYfrtXO
( ,,゚Д゚)「ここら辺でまともに動けるのはお前位だ、お前が村の人達を助けるんだ!」

ギコは内藤の胸を軽く拳で叩いた。
しかし、内藤の顔には不安が浮かんでいた。

( ,,゚Д゚)「大丈夫だ、すぐ片付けてやるよ」

ギコは再び内藤の胸を軽く叩き、歯を見せて笑う。
そして、その身をひるがえすとチンポッポと共に村へと駆けていった。

( ^ω^)「…………」

内藤は無言のまま立ち尽くしていた。


27 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:08:50.46 ID:+nTYfrtXO
(;,,゚Д゚)「おいおい……冗談だろ……」

村に少し入った場所でギコは唖然とした表情を顔に浮かべ、立ち尽くしていた。

( ,,゚Д゚)「数が合わねぇだろ……」

スライム達は村を直線で貫く大通りにの一画に山を築くように集まっていた。
この行動はスライムの性質上、当然のことだろう。
しかし、問題点はそこではなくその数だった。
ギコのいる場所から見えるだけでもその数はニ十以上。
群れから外れたスライムも数に入れれば三十は軽く越えるだろう。
ギコが村に向かう途中で倒したスライムと村付近で倒したスライム、そして、村の中に
いるであろうスライムの数を足すと明らかに巣の大きさと不釣り合いだ。



29 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:13:45.21 ID:+nTYfrtXO
スライムだからといって無駄に仲間を増やすようなことはしない。
無駄に仲間を増やせば餌の供給が間に合わず、群れの全滅に繋がることさえある。
スライムだってそれを本能的に分かっているはずだ。
だからこそこの事態は異常だった。

( ,,゚Д゚)「まあ、集まっているのは好都合だ、チンポッポ!一気にいくぞ!」

その声を合図にギコの横にいたチンポッポの口から炎がちろちろと漏れ出す。
そして、口を大きく開け、限界まで溜めた炎を撃ち出そうとした時だった。

チンポッポの身体を緑の槍が貫いた。



31 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:19:21.96 ID:+nTYfrtXO

斜め上から伸ばされた槍がチンポッポの胴を貫く。
それにより狙いをずらされた炎は青い空に吸い込まれるように消えていった。

(;,,゚Д゚)「なっ!?」

ギコは敵がいるであろう家の屋根に目を向ける。
緑色の牛が禍々しい気を発しながらギコを見下ろしていた。

(;,,゚Д゚)「雑魚を囮にしたのか?」

ギコがそう言い切るか切らないかの所で緑の牛は屋根を踏み抜かんばかりの力で
飛び上がり、ギコへとその前足を向けながら落ちていく。
ギコはそれを後ろへのステップでかわし、敵と距離を取る。



35 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:29:48.58 ID:+nTYfrtXO

( ,,゚Д゚)「牛の骨が素体か……」

緑色の牛の身体から緑色の液体がボトボトと落ち、再び牛の身体に集まっていく。

スライムは時折、他の生物の骨を取り込み活動することがある。
これらは這っての移動から歩く、走るの移動になることで大きな脅威となる。
そして、その状態になるのはほぼ母体となっている。

ギコは短剣を逆手に構え、敵を正面に据える。

( ,,゚Д゚)「チンポッポはしばらく動けそうにないか……」

牛の後ろにはチンポッポが動けず、その炎の勢いを失いながらも腹を上下に動かしている。
そして、牛の殺意は全てギコへと向けられている。
ギコにとってこれは好都合だった。
液体でできたスライムに対してチンポッポの炎は大変な有効打となる。
その点で言えば牛がチンポッポをすぐ殺しにかからなかったのは幸運と言えるだろう。


36 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:32:48.46 ID:+nTYfrtXO

牛は後ろ足で地面をニ、三度蹴り、その身を震わせる。
牛の身体を覆っている液体が揺れ、白い骨を覗かせている。
そして、角をギコへと向け、爆発的な前への跳躍と共にギコに飛び掛かる。

ギコはそれを横へのステップで易々と回避し、更に牛の横腹を切りつけた。

牛は着地し、勢いを殺すために何歩か地面を叩く。
そして、横腹と顔をギコへと向けた。
横腹の切り後はほぼ塞がっており、今まさに完全に閉じようとしていた。

( ,,゚Д゚)「一撃で倒すには力不足か……」

ギコはそう呟きながら背後で倒れているチンポッポに目をやり、牛と自分を貫く直線の上に
チンポッポが乗らないように牛を中心とした円の上を横へ、横へとずれていく。


38 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:35:10.05 ID:+nTYfrtXO
牛もギコの動きに合わせて、常に横腹がギコの正面に向くようにその身体を動かす。

( ,,゚Д゚)(何で横を見せてるんだ?まさか……)

ギコのその思考に反応するように牛の横腹が隆起し始める。
そして、牛を包む液体が幾多もの緑の槍となりギコを襲った。

( ,,゚Д゚)「やっぱり、こういうことかよっ!」

ギコは横へ飛び退き、槍を避け、素早く体制を立て直す。
ギコが今までいたところを見ると、そこにはいくつもの小さな穴が空いていた。
何かの骨を芯にしているのか殺傷力は人間を殺すには充分過ぎる程だ。


39 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:37:03.48 ID:+nTYfrtXO

( ,,゚Д゚)「これじゃ受けることもできねぇな……」

ギコは頼りなさそうな短剣を見つめる。
その間も槍はギコを貫かんと鎌首をもたげている。
そして、再び槍の雨。
ギコはそれを大通りの奥へと走りかわす。
槍は的確にギコがいたところを貫いていく。
ギコはどんどんスライム達の山に近付いていく。
そして、ギコの目と鼻の先まで山が近付いた時だった。

ギコは突如として踵を返し、牛へと接近していく。
ギコの急な行動により幾つかの槍は山を貫き、それにより山は呆気なくボロボロと崩れていく。

( ,,゚Д゚)「おぉぉぉぉ!」

ギコは自らを奮い立たせるように叫ぶ。


43 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:44:38.13 ID:+nTYfrtXO
山を貫いた槍は反転し、ギコの背中へと向かい、まだ牛からそう離れていない場所にあった槍は
前方からギコへと向かっていく。
しかし、前方からの槍は突き刺さる前に短剣で叩き落とされ、ギコに浅い切り傷を負わせる程度だ。

ギコは牛との距離を詰め、後方からの槍はギコとの距離を詰めていく。
そして、短剣が牛に、槍がギコに届くか届かないかまで接近した時だった。

ギコは思い切り大地を蹴り、牛を飛び越えた。

目標を失った槍は勢いを殺すことも出来ずに次々と牛を貫いていく。
そして、牛はその衝撃で吹っ飛び、大地に倒れたまま動かなくなった。


46 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 00:51:22.30 ID:+nTYfrtXO
猿支援していただいた方々ありがとうございます。

え?何で投下中にレスしてるのかって?
そりゃ、書き溜めが尽きたからですよ、ハハハハハ。





三週間をかけてこれだけの俺オワタ
皆さんすいません、これからリアルタイムで書かせてもらいます。

58 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 01:46:12.09 ID:+nTYfrtXO

コツン

不意に路地裏から飛んできた小石が牛の頭に当たり、小さな音を立てる。

コツン

再び小石が当たり、牛の殺気が路地裏へと向けられる。

コツン

路地裏へと頭を向けた牛の頭にまたまた小石が当たる。
単純な思考しかしないはずのスライムが感情を持っているのかは分からないが、
前足で何度も地面を擦っている牛は端から見て怒っているようだった。
そして、全ての槍が路地裏へと向けられ、撃ち出された。

( ,,゚Д゚)(一体、何なんだ?)

ギコは何とか頭を動かしこの事態を見守っていた。
正確には見守ることしかできなかった。

ズゥゥゥゥゥゥン!

突如、大きな音が村に響いた。

61 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 02:09:47.93 ID:+nTYfrtXO
牛の周囲に煙が立ち込める。
牛に何かが起こったことは分かるが、それが何なのかはギコの目では確認できなかった。

煙が段々と晴れていく。

そこにはボロボロになってはいるが豪華な装飾がなされ、腰ほどまでの大きさであろう
タンスらしきものに頭と槍を絶たれた牛がいた。

( ,,゚Д゚)(今度は何だ、一体?)

突如、路地裏があるあたりの屋根の上から何かが飛び降り、尻餅を付いた。

m9(^ω^)「カッコいいこと言っといて、ピンチになってるおwwww」

内藤だった。
人差し指をギコに指し、馬鹿にしているようだが、その足はガタガタと震えていた。

( ,,゚Д゚)「無茶……しやがって……」

そう言ってギコはぎこちなく笑った。

66 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 02:39:15.26 ID:+nTYfrtXO
( ^ω^)「で、大丈夫かお?」

ブーンがさっきとはうってかわってギコへと心配の言葉を掛けながら近付いていく。

( ,,゚Д゚)「大丈夫……なわけないだろ……」

内藤の言葉にギコは弱々しく答える。

( ,,゚Д゚)「それより……まだあいつは……死んでないぞ……」

ギコのその言葉を聞き、内藤は後ろを勢い良く振り返る。

(;^ω^)「まだ生きてるお」

牛は頭を失ってはいるものの再び立ち上がる。
槍を出すが液体を大量に失ったせいか三本しか出すことが出来ないようだった。

( ,,゚Д゚)「奴の槍には……毒があるぞ……」

( ^ω^)「忠告ありがとうだお」

内藤はそう言いながら、剣を構え戦闘体制に入った。

68 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 03:00:40.78 ID:+nTYfrtXO
( ゚ω゚)「おぉぉぉぉ!」

ブーンは叫びながら牛へと向かっていく。
牛もそれを迎撃しようと槍を振るうが、以前のようなキレはなく内藤の剣により
あるものは叩き落とされ、あるものは切り払われていく。

内藤は牛の身体に剣を突き刺し、そのまま牛の身体を裂くように横に振るう。
前足の骨が剣により取り出され音を立てながら横へと転がっていく。
足を削がれた牛はバランスを崩し、そのまま大地に倒れ込む。
内藤は追い討ちをかけようと剣を突き刺すが、そこにはもう骨しかなく
赤い核のようなものを持ったついさっきまで内藤の足元にいたであろうスライムが
スライム達の山へと向かっていた。

(;^ω^)「嫌な予感がするお……」

内藤は逃げるスライムを追おうとするが、不意に何かに足を取られ顔から地面に倒れ込んだ。

71 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 03:16:00.59 ID:+nTYfrtXO
内藤が足を見ると液体が巻き付いていた。

( ^ω^)「ちょwwwwwwwww」

内藤は素早く剣でそれを払いのけ、スライム達に目をやる。

逃げたスライムが今まさにスライム達の山にぶつかろうとしていた。
そして、逃げたスライムが山にぶつかると、山のスライム達は一斉に震え始め、溶けては固まり
溶けては固まりを繰り返し大きな塊になっていく。

(;^ω^)「これはヤバいかもしれんね」

瞬く間にスライム達は一匹の内藤より巨大であろうスライムへと変化した。
そして、内藤を押し潰さんとその身からは想像できないほどの身軽さで跳び跳ねた。

内藤はそれを避けようとするが、再び液体に足を取られた。

(;^ω^)「ちょっwwww」

74 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 03:34:21.55 ID:+nTYfrtXO
(;^ω^)「ちょっwww待ってwww」

そんなことを言っても、もう落ち始めた巨大な塊を止められるわけがなく
内藤の周囲に黒い影を落としている。
影の色が段々と濃くなっていく。
もう内藤が上を見ても緑色の塊しか見えないだろう。

(;^ω^)「こんなところで……終わるわけには!」

内藤はそう言いながら、剣を上へと向ける。塊が目前まで迫る。

しかし、剣にスライムが刺さることも内藤がスライムに押し潰されることもなかった。

その巨体に見合った巨大な火球がスライムに直撃し、一瞬でスライムが消滅したのだ。



76 : ◆vAq8uG9T0I :2006/10/02(月) 03:47:32.30 ID:+nTYfrtXO
( ゚ω゚)「…………」

内藤は何が起こったのか理解できずに目を丸くしたまま固まっている。
向こうでは炎を吐いたであろうチンポッポがフラフラとした後ドサリと倒れた。


世界は危険で溢れている。
内藤は今日一日の出来事を思い返しながらそう思った。
スタンドを使う人間。
炎を吐く犬。
暴力的な謎のチームのリーダー
村から一歩踏み出せばそこは危険地帯と誰かが言っていたのを思い出しながら、内藤の意識は闇に落ちた。


しかし、内藤がこの程度はまだまだ序の口だと知るのはもう少し後のことで……





( ,,゚Д゚)「あー、動けねぇ、麻痺が取れるまでこのままかよ……」


第ニ章 終


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