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問合せ
( ^ω^)ブーンはフォースを駆るジェダイのようです
SHOT-X
3 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:14:48.07 ID:GU1V+bCW0
【用語解説】
ジェダイ…フォースに仕える者達の総称。洗練された心技体を兼ね備えており、銀河の平和と秩序を守る正義の使者とされる。
フォース…万物に等しく流れる摩訶不思議なエネルギー。ジェダイはこのフォースと通じることで様々な奇跡を起こすことができる。
ライトセーバー…ジェダイが太古より使い続けている光線剣。いくつかの種類が存在する。
ジェダイ・マスター…ジェダイとしての高い資質を兼ね備えた者に与えられる最高称号。単純に目上の者に対して使用することも多い。
ジェダイ・ナイト…一人前と認められたジェダイに与えられる称号。
ジェダイ・パダワン…見習いジェダイ。
銀河共和国…数千の星々から成る宇宙規模の民主主義組織。また、この共和国を運営する組織を元老院と呼んでいる。
ジェダイ・カウンシル(評議会)…六人のジェダイ・マスターよって構成されるジェダイの最高意思決定機関。
ジェダイ・オーダー…ジェダイ騎士団。ライトサイドに立つジェダイ達の全体的な集まりを指す。逆にダークサイドの集まりをシス・オーダーと呼ぶ。
シス…フォースの暗黒面(ダークサイド)に魅入られた者達の総称。私欲の為にフォースを使う。ライトサイドに立つジェダイの天敵。
PMC…民間軍事企業。基本的に法人化された『ラウンジ・ニューソク・オオカミ』の三社を指す事が多い。
4 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:16:17.13 ID:GU1V+bCW0
【登場人物紹介】
( ^ω^)…ナイトウ=ホライゾン(32)
・ジェダイナイト
・柄の両端から翡翠色の光刃を展開するダブルブレイドセーバーを愛用
・最近、威厳を保つ為に髭を生やそうかと考えてる
( ∵)…ビコーズ
・ドラム型多目的万能ドロイド
・R2-D2みたいなのを想像してくれておk
・ブーンの相棒
ξ゚听)ξ…ツン=E=アシュクロフト(15)
・ブーンのパダワン
・毒舌少女
・最近ハマっているのは肉なし肉ジャガ
攻リ゚ -ノハ…クサナギ=モトコ(??)
・法人PMCニューソク・インダストリーの士官
・サイボーグお姉さん
・通称『少佐』 性格的な意味合いを込めて『ゴリラ女』とも
5 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:24:21.75 ID:GU1V+bCW0
Episode4:アーバンフォウドの銀狐 〜SHOT-5〜
(#^ω^)「おおおおおおお!!」
<_プー゚)フ「だぁらっしゃぁあああああ!!」
十重二十重の銃声と斬撃音。そしてふたりの男の咆哮。
傭兵であるエクスト=プラズマンのダブルトリガー(二丁拳銃)が火を噴き。
ジェダイナイトであるナイトウ=ホライゾンのダブルブレイドセーバーがそれを叩き落とす。
かつて、廃れた無法惑星で合間えた二人は何の因果か、またこうして火花を散らす闘いを繰り広げることとなった。
(#^ω^)「ぬああああ。いちいちイヤラシイ所に撃ち込みやがって。
性格が悪すぎなんだお、お前!」
<#プー゚)フ「そっちこそチマチマと動くだけで全然攻めてこねーじゃねえか。
弾切れ誘おうってのか?ああん!?」
ブーンと行動を共にしていたツンの姿はない。
初動で獅子奮迅たる攻めを見せたブーンがエクストの動きを一時的に封じることで、ツンを奥の扉へと先に押し込んだのだ。
それは、未熟な弟子を強敵とぶつけたくないという願いの傍らで、この闘いに足を引っ張られたくないというブーンの複雑な思いからでた行動でもあった。
6 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:28:01.18 ID:GU1V+bCW0
端的に言えば失態をしでかしたエクストだったが、自分に立ちはだかる相手が相手である以上、
ツンの追撃はすっぱりと諦めて今はブーンを倒すことに集中しているようだ。
<_プー゚)フ「っていうか、スゲー久しぶりじゃねえかナイトー。遇えて嬉しいぜ!!」
ひっくり返した銅像の陰に身を寄せながらエクストが叫ぶ。
対するブーンは両刃のライトセーバーを器用に回転させながら広間の中央をきっちり陣取り、次の攻撃に備える。
専守防衛。
ジェダイは相手の隙を利用することで攻撃を行う。
( ^ω^)「迷惑千万だお。飴ちゃんあげるから下がれおエクスト」
<_プー゚)フ「お断りするぜ!」
方や傭兵。方や公安。
その職務を全うし続ける限り、いつかどこか星の下で合まみえることはブーンもエクストも判っていた。
そこに死だとか同情などという下手な感情を持ち合わせることはない。
ただ、互いに己の職務を全うするのみである。
8 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:31:37.55 ID:GU1V+bCW0
<_プー゚)フ「そこらの傭兵ではないとは思っていたけどよお。まさかジェダイだったとはなあ」
愛用する二丁実弾拳銃『グレゴリー』と『アイゴリー』の銃底にカートリッジを詰めつつ、銅像の影からブーンを見据えるエクスト。
標的であるブーンは相変わらず広間のど真ん中で両刃のライトセーバーを構えたまま、いつでも反撃できるように態勢を整えている。
本来なら加勢してくるはずのラマ=クレイトンの配下達はエクストによって広間に進入してこないよう指示されていた。
エクストは闘いに古典的な価値観を持ち込む男である。
彼に言わせれば戦士の決闘に茶々入れは不要だった。
常識に言わせれば、それは馬鹿のとる行動以外の何物でもなかった。
常識、に言わせればの話だが。
( ^ω^)「エクスト。僕の剣と君の銃とでは決着がつかないお。
諦めて下がって欲しいお」
<_プー゚)フ「そうはいくかっての。お前にゃ悪いがここで死んでもらうぜ!
これはいつかの陳腐な試合なんかじゃねぇ。
互いのソウルをぶつけあう死合いよぉ!!」
叫ぶと同時にブーンの前へと飛び出したエクスト。
狙う先はジェダイの四肢。
右手の『アイゴリー』は右脚へ。左手の『グレゴリー』は左腕へとそれぞれ狙いをつけて躊躇なく発砲した。
ハーフカットグローブから出た指がトリガーを引き、それに連動する撃鉄が薬室内に納められた銃弾の雷管を発火させる。
乾いた破裂音。
パワースライドが後退しながら空薬莢を宙に排出し、同時に銃口から音速を超えた鉛弾が目標箇所へと発進する。
が、本来なら相手の血肉を蹂躙していたであろう45口径弾は翡翠色の光刃によって二発とも叩き落とされてしまった。
10 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:35:12.48 ID:GU1V+bCW0
( ^ω^)「甘い」
<_プー゚)フ「ちっ……」
撃っては弾く。撃っては弾く。
こんなやり取りをブーンとエクストは懲りることなく何度も繰り返していた。
どちらも致命傷を与えることが出来ず、どちらも致命的な失敗も犯さない。
一進一退の攻防の最大の要因は双方の腕と得物の性質のせいだった。
( ^ω^)「(ったく。いまどき実弾なんて流行らないっての。
化石みたいな趣味を戦闘に持ち込みやがって……)」
<_プー゚)フ「(噂どおりバコバコ叩き落としやがるな。
ビームガンだったらとっくに跳ね返されて死んでたぜこりゃ)」
銀河を代表とする最もポピュラーな殺人道具は銃だ。
無論。ここでいう銃とは重閉殻元素に高い集束性と圧力を加えた光線を発射する、いわゆるビームガンの類いを指している。
固形金属を火薬で発射する実弾銃など原始人すら使わない古典的武器であり、アンチビームシールドを突破して狙撃する必要がある場合や、
クラシカルな狩猟を愛する一部のブルジョアジー程度にしかその需要はない。
コスト、火力、携行性。
どの機能面からしてがクラシック(ソリッド)がモダン(ビーム)に勝る要素は見当たらないのだ
11 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:39:16.94 ID:GU1V+bCW0
<_プー゚)フ「リロード完了。さあ、今度こそブチ抜くぜぇえええ!!」
( ^ω^)「声がでかいなあ……」
ただ、星の数ほどある戦場には稀にイレギュラーが紛れることがる。
馬愚(バグ)とも呼ばれるその連中は、効率性のみを追求すべき戦争の中に自らの思想を重ねる酔狂な輩だった。
彼等は殺し合いの世界の中に自らの愛する趣味を多分に持ち込み、それを何としてでも仕事に活かそうとする。
<_プー゚)フ「これならどうだぁあ!!」
( ^ω^)「さっきと大して変わってないお」
<_プー゚)フ「全然違うぜ。叫び方が違うだろーが!!」
(; ^ω^)「…………」
人型を模した駆動兵器の手にわざわざ盾や銃を持たせたり、
手を十字に組み合わせることでレーザービームを照射する強化外骨格など、
愚の骨頂としか言い表せないほどの非効率的な玩具<ホビー>を戦場に投入し、闘う。
(#^ω^)「(くそっ。コイツ、僕の剣速が死ぬタイミングを掌握してやがるお。迂闊に切り込めないッ)」
<_プー゚)フ「おぃいい。いい加減にぶち殺されてくれよな。この弾は全部オーダーメイドなんだぞ!!」
( ^ω^)「弾がライトセーバーで融解しないよう御丁寧にビームコーティングまでしちゃって……
いったい一発あたりどれだけのコストなんだお?」
< ;プД゚)フ「言うな!!」
12 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:43:43.55 ID:GU1V+bCW0
バグが厄介視される理由は彼らが個人としては非常に優秀な能力を有している点に尽きる。
使う道具の性能が他者より劣るのだ。ハンディキャップは才能で補うしかない。
エクストにしても装弾数がたった十数発しかないハンドガンなどではなく、
高い速射性と低反動性を持つビームガンを得物にしていれば、この戦いの進退は随分変わっていたことだろう。
( ^ω^)「(マジでらちが開かんお。長期戦に持ち込めば勝算はあるけど悠長に戦ってる時間はない……)」
仕事中に他人の趣味に付き合う暇などない。
エクストとの戦闘以前に自分たちが四面楚歌であることを憂慮したブーンは、状況打破のために多少のリスクを背負うことにした。
( ω )「先生……力をお貸しくださいお……」
あまり気が進まない選択肢ではあるが"実験の対象"として考えればエクストは格好の逸材だ。
13 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:46:58.53 ID:GU1V+bCW0
ブーンは雄たけびと共に全身のフォースを一気に爆発させ、
右手に握るダブルブレイドセーバーの出力をアデガンクリスタルの耐久値限界まで引き上げた。
血流のようにブーンの細胞ひとつひとつに行き渡ったフォースが主の五感を極限にまで研ぎ澄ます。
血走った黒い両眼が、異変を感じ取ったエクストへギロリと向けられた。
<;プー゚)フ「こりゃあ、やべえなあ。鬼がいるよ」
(# ゚ω゚)「遊びは終わりだ! これで決着だお!」
意図的に高めた戦闘意欲に呑み込まれないよう強力な自制心をかけつつ、ジェダイはエクストへと猛進する。
いつかのコロシアムで感じた脅威と同じ臭いを感じ取ったエクストはグレゴリーとアイゴリーのレシーバー(銃床)横に備えられた
スイッチをセミからフルオートへ瞬時に切り替えた。
<_プー゚)フ「(くそ……嫌なプレッシャーだぜ。
こいつはあんまりやりたくないんだけどなあ……
使った後にどうしても隙ができちまう)」
14 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:49:52.58 ID:GU1V+bCW0
45口径自動拳銃であるグレゴリーとアイゴリーの装弾数は十六発と実弾銃の中では比較的装弾数が多い。
通常は一回の激発で一発の銃弾が射出されるが、この激発を自働化(フルオート)させることで弾丸が尽きるまで連射させることができる。
当然ながら、弾倉が空になればエクストの銃に攻撃力は無くなる。言うなれば捨て身の一撃だった。
<_プー゚)フ「だけどよお。刀一本でこれに耐えれんのかよおおおお!!??」
総計三十二発の弾丸がほぼ一秒で撃ちだされるのだ。瞬間火力はビームガンをも遥かに凌ぐ。
捨て身でエクストに突っ込んで来ているブーンは、たとえライトセーバーを用いてもその全てを防ぐことは不可能だ。
<#プД゚)フ「 堕ちろジェダイ!!」
体重に勢いを付けて迫る大猪を相手にする錯覚を受けながらエクストはトリガーを一気に引き絞った。
がががが、と激しいマズルフラッシュと硝煙がエクストの手元から放たれる。
16 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:52:34.17 ID:GU1V+bCW0
(# ゚ω゚)「うおおおおおおおおっ!!」
<_プー゚)フ「馬鹿がッ。ハチの巣だぜ!!」
十分に加速を付けた弾丸はエクストの狙い通りブーンのローブを貫いた。
ブーンの顔が、一瞬、歪む。
(# ゚ω゚)「こんなものおおおお!!」
<;プー゚)フ「えッ。ちょっ……ま、マジ!? 嘘だろ!?」
しかし、それでもブーンの前進は停まることを知らない。
「こいつ、マジで化け物か?」腹に納めた殺人弾を全て吐き終えた銃を突きだしたままエクストは愕然とする。
常識的に考えてもあり得ないことだろう。
例え被弾の痛みに耐えられたとしても、銃弾の運動ベクトルまでは打ち消すことは出来ない。
数百キロある重サイボーグですら堪らず膝をつく銃撃だ。
生身の身体であるブーンならば散弾銃を喰らったように吹き飛ぶはずだった。
17 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 22:56:29.11 ID:GU1V+bCW0
(# ゚ω゚)「死ねえ!ブチ殺してやる!!!」
<#プД゚)フ「くそったれがァ! ジェダイが不死身だなんて聞いてねえぜ!?」
ジェダイが来る。憤怒の形相で向かって来る。
全弾を撃ち尽くし、為す術べもなく、ただ声を荒げることしか出来ないエクストの両手が振り上げられたライトセーバーで両断された。
<;#フД )フ「ぐッあ゛あ゛あ゛あ゛ああああああ!?」
(# ゚ω゚)「疾(チッ)!!」
銃を握ったまま宙を舞う自分の両手を瞳に映して悶絶する傭兵を無慈悲なフォース・ショックが津波の如く襲った。
鍛えられた屈強な身体が空中を回転し、白塗りの壁にエクストは激突する。まともな受け身すらとることが出来なかった。
意識が混濁し、四肢の半分を失い、肋骨の数ヶ所が叩き折られた。
それでもなお意識を失わないのはエクストの戦士としての資質の高さか、それとも見た目に反しない勝気な性格ゆえか。
20 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 23:02:37.80 ID:GU1V+bCW0
<メフД )フ「…………」
(# ゚ω゚)「はぁ……はぁ……」
口を半開きにしながら震える目でこちらを見つめるエクストを横に、ブーンはぜえぜえと息を切らしながら赤い絨毯の上に片膝を付く。
銃弾によって開いたローブのいくつもの穴から血が滲んでいる。
体力の消耗や負傷もあるだろうが、それ以上の何かによってブーンは疲弊しているように見えた。
ブーンは激しく揺らめく自分の中の焔を必死に抑え込みながらエクストが守っていた扉へよたよたと歩き始める。
扉の先は既にツンが先行している。速く追いつかなくてはならない。
(; ゚ω゚)「わ、悪く思うなおエクスト。早めに……医者にいけお……」
二戦二勝。
久方ぶりの強敵とまみえ、それに勝利したにも関わらずブーンの足取りは重い。
(;メ-ω゚)「ぐうう……未完成のフォームとはいえ、ここまでダメージが残るかお。
弾が臓器に達してないのが幸いかお」
扉を抜けるとラマ=クレイトンがいるであろう書斎へとつながる廊下が続いていた。
幸いなことに敵の影は見当たらない。
(;メ-ω゚)「想像以上に精神汚染が強い……能力と対価の採算があってないお。
じ、実戦投入にはまだ早いか……」
21 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 23:04:20.45 ID:GU1V+bCW0
本来ならば貫通するか身体深くで留まっているであろうエクストの銃弾は、ブーンの皮下筋肉繊維のみを傷つけていた。
言い換えれば、勢いを殺された弾が皮膚に付き刺さった。その程度の傷だった。
ブーンを襲った三十六発もの弾丸。その全てが死んでいた。
(;メ-ω゚)「ははは、たかだかフリーランス一人でこの様か。ツンが見たら何て言われるかお?」
腹から突き出た鉛玉の尾尻を手で探りながら、ブーンは静かに廊下を進む。
平和の敵を葬るために。銀河の敵を葬るために。
***** ***** *****
ξ゚听)ξ「…………」
師匠の状況など露にも知らないツンは、日の廻りが良いのか悪いのか目標とするラマ=クレイトンといの一番に接触していた。
22 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 23:06:31.09 ID:GU1V+bCW0
ξ゚听)ξ「あんたが殺ったの?」
ブリーフィングで見た写真と同じ顔をした男は額に穴を開けて床の上に転がっている。
既にフォースが消え失せた骸を横目に、ツンは書斎の窓から外の景色を眺める男に声をかけた。
(メ゚"_ゞ゚)「ええ。彼はもう用済みだったのでね」
ひょろりと長い背丈を持つその男は少し掠れた声を出しながらツンへと顔を向ける。
その顔を見たとき、ツンは一瞬叫び声を上げそうになった。
男の顔は傷だらけで顔じゅうに縫い目が走っている。
だがその傷はつい最近付いたものではないことは明白だった。
移植され、薄紫色に変色した皮膚を縫い合わせるそれらは男の元の皮膚と綺麗に同化し、
まるで生まれたときからそこにあったかのように馴染んでいる。
(メ゚"_ゞ゚)「はじめましてお嬢さん。いや、ジェダイの卵さん?」
ξ゚听)ξ「……!」
24 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 23:12:50.94 ID:GU1V+bCW0
身体を包みこむ蝙蝠のようなマントを着た継ぎ接ぎ顔の男は、ツンが僅かに眉根を動かす様を見逃さない。
(メ゚"_ゞ゚)「ふふふふふ。それほど不思議なことでもないでしょう。
貴女のこめかみから垂れるその三編みはパダワンの証し。
他人に己の未熟を知らせる太古より続くさしたる意味のないジェダイのならわしなのです」
窓から離れ、ゆらりとこちらに近づいてくる気味の悪い存在にツンは起動させたライトセーバーを瞬時に向ける。
手が震えていることも、足が棒のように固まっていることも、真っ赤な目を持つこのイレギュラーは見透かしているのだろうか。
未完成ゆえに本来の力を発揮することが叶わない未熟な剣を向けられても、継ぎ接ぎ顔の男は少しも動じない。
何か策があるのか、それとも単にツンを侮っているのか。
継ぎ接ぎ顔の男はツンの無言の警告を無視し、ラマ=クレイトンの死体をまたいで棚に飾られたワインボトルに手を伸ばす。
(メ゚"_ゞ゚)「ううむ。クレイトンめ、なかなか良い趣味をしていますねえ」
喉元にライトセーバーを向けられたまま、継ぎ接ぎ顔の男はグラスにワインを注ぎ。それをゆっくりと飲み干す。
生き血を飲んでるみたいだ、とツンは思った。
25 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 23:14:16.35 ID:GU1V+bCW0
ξ゚听)ξ「あんたは何者? ニューソク社の人間じゃないわね。クレイトンの用心棒って感じでもない」
(メ゚"_ゞ゚)「法人PMCですか、懐かしい。若かりし頃に勤めていましたねえ。
今はしがない武器商人をしておりますが……ああ、もちろん用心棒でもありませんよ」
ξ゚听)ξ「商人!やっぱりラマ=クレイトンの仲間だったのね。なぜこいつを殺したの?」
(メ゚"_ゞ゚)「だから先ほども申しあげたでしょう。用済みだった、とね!!」
そう言い放つと同時に継ぎ接ぎの顔を持つ男はツンのライトセーバーを跳ねのける。
長いマント下に隠し持っていたセラミックナイフが焼け焦げた。
(メ゚"_ゞ゚)「おっとっと。やはりこんな玩具で対抗はできませんね」
ξ#゚听)ξ「なめんなッ」
27 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 23:17:04.58 ID:GU1V+bCW0
対ジェダイ用戦闘フォーム『マカーシ』を展開したツンはナイフを床へ投げ捨てた男に攻撃を仕掛ける。
マカーシは攻撃と防御をバランスよく配合した汎用フォーム『シャイ=チョ―』とは違い、一対一に特化した直線的な攻撃スタイルを持っている。
師匠であるブーンは『シャイ=チョ―』と、独自に開発したダブルブレイドセーバー専用の『独楽』という二種類のフォームを愛用しているが、
対シス戦に備えて『マカーシ』も心得ていた。
ツンが今使っている『マカーシ』もブーンから教わったものである。
ξ#゚听)ξ「パダワンだと思って油断すると痛い目みるぞ!」
(メ゚"_ゞ゚)「ふっふっふっ。威勢の良いお嬢さんだ」
ここで、ツンの人間としての性格。そして、戦士としての未熟さが災いし始める。
ジェダイが最初に習得するフォームは安定した性能を持つ『シャイ=チョ―』である。
これは剣術とフォースの両方を同時に鍛えることが出来るためであり、
歴代のジェダイがそうしてきた例に倣って、ツンもブーンから『シャイ=チョ―』の手ほどきを受けていた。
(メ゚"_ゞ゚)「ほらほら、剣をしっかり握って」
ξ;゚听)ξ「うわっ!?」
28 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 23:20:54.83 ID:GU1V+bCW0
対してツンが『マカーシ』をかじり始めたのはマナ・テンプルで強化特訓を受けた時からだった。
つまり、習熟の度合いからすれば『マカーシ』よりも『シャイ=チョ―』の方が遥かに上であり、
本来ならまだ産声すら上げていない『マカーシ』を戦闘に用いるなどということは自殺行為と云っても過言ではない愚のだ。
目標が身内に殺されるという予想外の事態と、初めての敵との対峙に緊張した頭脳が麻痺し、
慣れ親しんだはずの『シャイ=チョ―』ではなく、表面上心強く、強力そうに見える『マカーシ』をツンは命の手綱として選んでしまった。
ξ;゚听)ξ「うっ……う゛う゛う!!」
『マカーシ』は確かに強力なフォームだが、慣れない大剣を振ることと馴染みのある短剣のどちらがツンの身を守ってくれるかは訊くまでもないことだ。
ゆえに苛烈でありながらも穴だらけなツンの攻撃の隙を、男が突くことは容易かった。
(メ゚"_ゞ゚)「遅い。何もかも!!」
ξ; )ξ「あううっ!?」
魔法のようにマントから取り出した散弾銃をツンに打ち込む継ぎ接ぎの顔を持つ男。
本来ならば細かい金属球が詰まっているショットシェルからは非殺傷用のゴム弾が飛び出した。
小さな胸でまともにそれを受けたツンは木の葉のように吹き飛んでしまう。
内側に折れた肋骨が肺に突き刺さり、どうしようもない激痛と呼吸困難がツンを襲い始めた。
30 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 23:23:37.11 ID:GU1V+bCW0
(メ゚"_ゞ゚)「哀れですね。せめてもの情けで使ったゴム弾ですが、逆に苦しめる結果となってしまいましたか」
「直ぐに楽にして差し上げましょう」そういいながら継ぎ接ぎ顔の男は、
散弾銃ソードオフから空薬莢を抜き取りると今度は正真正銘の実弾をカチャリと詰め込む。
綺麗に気絶してくれればそれで終いにすることもできたが、意識の紐を意地でも握り続けるツンはそれを許さない。
鬼子の形相で歯を食いしばりながら自分へライトセーバーを向ける少女に継ぎ接ぎ顔の男は再度、銃口を向ける。
(メ゚"_ゞ゚)「(オペレーター〈戦闘要員〉とはいえ、女子供に手を出すのはあまり好きではないのですがねえ)」
どうせならその威勢のように派手な華をと、ツンのこめかみに銃の口腔が向けられたその時だった。
(メ゚"_ゞ゚)「むッ!!」
ソードオフが空気を切り裂く音と共にビーム弾で弾き飛ばされた。
動揺するよりも早く継ぎ接ぎ顔の男はその軌跡を目で追い、同時に物陰へと隠れる。
重閉殻イオンが飛んできたであろう方向に人影はなかった。
31 :
◆909zxcTVWc
:2010/04/24(土) 23:30:33.31 ID:GU1V+bCW0
(メ゚"_ゞ゚)「新手ですか。しかも、なかなかの手だれ……」
ライトセーバーの本体が床を転がる音がした。
継ぎ接ぎ顔の男は恐る々る死角から顔を覗かせて、手負いの少女が倒れているであろう場所を見てみる。
金髪の小さな頭は床の上に突っ伏していた。
呼吸困難による酸欠状態が続き、限界を迎えたのだろう。
(メ゚"_ゞ゚)「気を失いましたか。それも結構。手間が省けます」
( )「…………」
(メ゚"_ゞ゚)「ふふふ。第二ラウンドといったところですか。
面白い、ワタクシがただの武器商人風情ではないということをお見せしましょう」
姿を見せない第二の死角に聞こえるよう、継ぎ接ぎ顔の男は死角から威勢よく立ち上がり、目一杯マントを広げて高らかに宣言する。
(メ゚"_ゞ゚)「タァァアアアアアアイム・イズ・マネエエエエエエ!!!!!
掛かってきなさい!!元老院の子犬さん!!
この、棺桶死オサムがお相手になってさしあげましょうっ!!!」
(メ゚"_ゞ゚) ・ チュイン
(;゚"_ゞ゚)「うわっ。危なッ。人の決めポーズ中に攻撃するなんて不躾ですよ!?」
( )「…………」
to be continued...
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