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( ^ω^)心のままに、のようです


第14話

13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:20:01.12 ID:R9bQQvWd0
第十四話 歪なる生活、始動

日々とは。過ごしている間は長く感じるものだが、過ぎてみれば短く感じるものだ。
僕もその例に漏れず、気づけば病院を退院してしまった。

退院に至るまで、特に語るべきは無いが、あるとすれば、それはやはりツンのことだろう。
ツンはあれ以来、らしくもないが、大人しくなった。
と、言うのも。どうやらクーの説教が効いたようで、それはそれは静かなのだ。

さて、退院した僕だが、一体どこにいるか、というと。

( ^ω^)「久方ぶりの我が家だお」

ξ゚听)ξ「・・・本当にね」

我が家だ。

最初、クーは、私の家に来い、と言って来たのだが、流石にツンを一人にはさせられない
ということに気づいた僕は、渋々我が家に帰ることを決意した。

( ^ω^)「ツン、元気ないのかお?」

ξ゚听)ξ「ううん、大丈夫」

―これはまた、ツンであって、ツンではない感じだ。

14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:22:16.23 ID:R9bQQvWd0
見た感じ、まるっきり元気が感じられない。どこか、近づきがたい雰囲気もある。
だが、僕はどこか安心していた。
ようやく、ツンが前のように戻ったからである。
恍惚とした顔ではなく、普段どうりの顔で僕を見てくれる。
嬉しかった、安堵した。
そのお陰か、以前までのように、とは言えないが、少なからず、嫌悪感は薄れた。


( *´ω`)「うんめーお・・・」

そんな僕だが、先ず、家に帰ってきて、一番にしたこととは。
すぐさまベランダにでると、タバコに火をつけることだった。
久方ぶりのダンヒルは、やはり、美味かった。

ξ゚听)ξ「世界は二人のために!!」

( ゚ω゚)「回り続けているよぉ!!!」

急に尻を蹴り上げられ、よろけた僕。
拍子に、まだ完治していない左足のせいで、僕は転んでしまった。

(;^ω^)「もっこす!!」

久しぶりの喫煙は、久しぶりのお決まりにより、中断させられた。

15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:24:38.16 ID:R9bQQvWd0
(;^ω^)「痛いお!まだ、足治ってないんだお!?気をつけろお!」

ツンに刺された足を擦りながら、そう言った。
見上げると、ツンは顔を顰めていた。何だ、その顔は。

ξ゚听)ξ「煩いわね。赤ちゃんに影響でちゃうじゃない!禁煙よ、禁煙」

言われた言葉に、僕は動揺した。
嗚呼、ツンよ、まだ信じているのか。その腹には、何も入ってはいないのだよ。

( ^ω^)「・・・ツン・・・」

立ち上がり、ツンを呼ぶ。

( ^ω^)「まだ、そんな事言ってるのかお?」

そう、僕は、ツンに何度も説明した。
だが、その度にツンは聞こうとはせず、変なこと言わないの!と、あしらわれるばかりだった。

ξ゚听)ξ「何よ?」

16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:26:33.33 ID:R9bQQvWd0
そんなツンだから、僕は、このままでいいのかもしれない、と思う。
もしかしたら、このまま、夢を見続けているだけ、幸せでいられるだろう。
いつか来る、絶望と引き換えに。
その絶望とは、分かりきっている。生まれてこない、ということ。

( ^ω^)「・・・いや、いいお」

そう考えると。今だけは、ツンに夢を見させてあげよう、と思った。
僕が愛せない分、その腹の中の、いない我が子が愛の代わりとなるだろう。

( ^ω^)「んなことより、腹減ったお!飯!」

なんとも居た堪れない気分になり、中に戻っていくツンに声を上げた。

ξ゚听)ξ「はいはい、まったく、本当に困ったお父さんでちゅねー?」

ツンは、腹を擦りながら、そう言ってキッチンに向かった。

これで、いいのだ。
今のこの現状以外、いい方法が思いつかない。
ツンは、未だ夢を見続け、僕はというと、クーを愛し。クーは僕を愛する。
ツンは、腹の中の存在しない赤子に夢中で、それを僕はよしとしている。
嗚呼、もしも他人が、この現状を見たら。果たして、どう思うのだろう?
そんなこと、構うものか。僕は、僕のために生きるんだ、やるんだ。
そう考え、松葉杖をつきながら、中へと戻った。

17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:28:01.36 ID:R9bQQvWd0
 
 
( ^ω^)「おいーす!!」

朝、久しぶりの学校へと到着すると、すぐさまクラスの人間が詰め寄ってきた。
大丈夫か、とか、平気?、とか。そんなありふれたものばかりである。

(;^ω^)「おっおっwwそんな大したこと無いおww」

揉みくちゃにされながらも、なんとか自分の席へとたどり着く。
嗚呼、懐かしきかな、我が椅子と机よ。お前達は僕の帰りを待っていたかのように、
待ち構えているのだな。よかろう、ならばお前達は僕の忠実な僕。
思うが侭に使ってやろう。

('A`)「阿呆か」

スパーン、と。頭を叩かれ、振り返ると。
そこには、いつもどうりのドクオが立っていた。

( ^ω^)「何だ、ドクオか」

('A`)「何だ、じゃねーよ。ヒデェ反応だなおい」

( ^ω^)「いえいえ、滅相も御座いませんお」

('A`)「きめえええぇえwwwwwwww」

( ^ω^)「よし、殺す」

18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:29:00.96 ID:R9bQQvWd0
(´・ω・`)「・・・二人とも、もうHR始まってるよ」

川 ゚ -゚)「むしろ私が殺すぞ、ピザ」

ふと、僕等が漫才をやっていると。
前方から、見知った顔つきが二人。一人は溜息をつきながら、もう一人は怒りを露にしながら。
僕達に声を投げかけた。

( ^ω^)「サーセン」('A`)

正直に謝ると、僕達は着席する。

言い忘れてはいたが、ドクオとショボンにも、ツンのことは伝えてある。
昨日、ようやく我が家についたとき、夜中に二人に電話をして真実を伝えたのだ。
二人とも安堵のためか、話し終えた後、溜息が聞こえてきたものだ。

( ^ω^)「あ」

そこで、ふいに思い出したものがあった。

( ^ω^)「クー・・先生、後で宿題、見せますお」

川 ゚ -゚)「?・・・あぁ、分かった」

戻り際のクーに、話しかけた。
まったく、二人きり以外だと、こんな感じだ。
どこか疲れる。前の席と隣の席の、よく知る二人は、ニヤニヤとしていた。

20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:30:00.68 ID:R9bQQvWd0
 
 
( ^ω^)「んごろすぴーすぴー・・・ブルファン!グガー・・・」

('A`)「エンッ!」

( ゚ω゚)「んがああぁぁぁあああああああ!!!!」

突然の横っ腹に来る激痛。何だ、また刺されたのか。

('A`)「いつまで寝てんだよ。もう昼休みだ馬鹿」

まどろんだ視界の中、ドクオが目に付いた。
嗚呼、そうか、これは刺されたのではなく、殴られたのか。

( ゚ω゚)「グブッ・・・が・・・はっ・・・ヒューッ!・・・(手前、覚えてろお!)」

(´・ω・`)「何やってんの・・・ほら、行くよ」

ショボンはそう言うと、教室から出ようとした。
忠実なる僕たちに、よい働きであったぞ、と呟くと、ショボンに続こうとする。

が。

21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:31:09.78 ID:R9bQQvWd0
(´・ω・`)「あっ・・・」

引き戸を開けると、そのまま止まってしまったショボン。

('A`)「ん?どうした?」

ドクオも不思議に思ったのだろう、そう言うと、ショボンに続いて廊下を見た。

('A`)「っ・・・」

すると、ドクオまでもが止まってしまう。
何だ、どうしたのだ。

( ^ω^)「?・・・どうしたお、二人とも・・・」

まだ痛む横っ腹を擦りながら、松葉杖をついて近寄る。

( ^ω^)「何してんd―」

眼を疑った。

僕達は二年生で、ここは三階。

ξ゚ー゚)ξ「・・・お兄ちゃん、遅いよ」

何故か、ツンが、そこにいた。

24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:32:06.80 ID:R9bQQvWd0
ツンは一年生で、二階に教室があるはずだ。いや、そういうことではなく。
何で、ツンがいるんだ?

( ^ω^)「・・・何しに来たお?」

ようやく、普通のツンに戻った―いや、そう言うのは可笑しいだろうか―と思ったのに。
その顔は、僕を見るときの顔だった。

ξ゚ー゚)ξ「お弁当。一緒に、食べよう?」

放たれたのは、まるで彼女のような発言。

( ^ω^)「・・・おまっ・・・何言って・・・」


ξ゚ー゚)ξ「だって、私達、夫 婦じゃない」


瞬間。時が止まった。
ちょっと待て。何だ。何を言った。
夫婦だって?そうか、ツンは妊娠しているのだからな。そう思うのも当たり前。
いや、違うだろう。ツンには、子供などできてはいない。本人がそう思い込んでいるだけだ。
嗚呼、そうか。ツンの夢は、酷い悪夢のようだ。

25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:33:11.79 ID:R9bQQvWd0
( ^ω^)「馬鹿なこと言ってんじゃないお・・・」

どうやら、僕達は何時しか、夫婦と呼べる仲になったらしい。

ξ゚ー゚)ξ「何が?ほら、赤ちゃんが寂しがってるの。一緒にいてあげて」

何ということだ。もしかしたら、これは。
余計に酷くなっているのではないか?

(;^ω^)「だから、ツン、お前のおなかの中に、赤ちゃんは―」

('A`)「行こうぜ、ブーン」

突然、話に割り込んできたのは、ドクオだった。

('A`)「悪いな、ツン。ブーンは俺達と食う約束をしていてな」

その物言いに、ツンが反論する。

ξ゚听)ξ「そう、なら、私も一緒に食べるわ。いいでしょう?」

27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:34:15.99 ID:R9bQQvWd0
引く気は、無いようだ。
嗚呼、何なんだ。全てがうまくいくのではなかったのか?
ツン、もう、止してくれ。下らない夢から、醒めてくれ。
君の腹の中には、何も入ってなどいやしないのだ。
僕達は、夫婦なんて、愛し合った関係などではないのだ。

(´・ω・`)「残念だが、他をあたってくれないか。君の顔を見ながらご飯を食べたら、吐き気がするんだ」

ショボンの、突き刺さるような言葉。
まさに、今の僕は吐きそうなまでに、混乱している。
どうするんだ、そうだ、まずは、この状況から、逃げ出さねば。
しかし、どうする。

ξ゚听)ξ「お生憎様、私もよ。ほら、行こう、お兄ちゃん?」

そう言って、手を掴もうとするツン。
どうする、この手をとるか?いや、それは駄目だ。僕はそんな気などない。
何より、下手なことはしたくないし、二人きりになりたくない。
この状態のツンは、何をするか分かったものではないのだから。
何かされるだろう、確実に。
どうする、どうする―

29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/24(月) 18:35:00.56 ID:R9bQQvWd0
川 ゚ -゚)「おや、ツンデレさんじゃないか。丁度いい」

すると、クーの声が聞こえてきた。
左側の廊下から、こちらに向かって歩いてくる。

川 ゚ -゚)「ちょっと、手伝ってはくれないかな?今から一年のクラスに、運ぶものがあってね」

嗚呼、素晴らしい。君は女神だ、クー。
愛してくれるだけではなく、助けてまでくれるとは。

川 ゚ -゚)「・・・い い か な ?」

強い、声。
少し、僕はクーが怖いと思ったが、何しろ、きっと僕のためであろう。
有難う、クー。愛しているよ。

ξ゚听)ξ「・・・えぇ、分かりました」

ツンは、渋々、といった感じで、申し出を受けた。
クーは、ふむ、と呟くと、そのままツンを引き連れて階段へと向かった。
下り際、僕と目線があう。
その目線は、任せろ、とでも言うように、心強いものだった。


第十四話 終


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