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問合せ
('A`)たちは水の上に生きるようです
第2話
32 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 00:47:55.92 ID:yuNLpAsb0
第2話「廃品回収」
終業式が終わり夏休みに入った日の午後、早速ドクオたちは行動を開始していた。
ドクオとブーンとショボンは、資材を運ぶためのリヤカーを借りに、港のギコ先輩の所に来ていた。
ギコ先輩の働く東港は、島で唯一大型船が入れる港で、観光客や荷物を載せたフェリーもここに入港する。
コンクリートの防波堤が大きく沖に張り出し、テトラポットが波しぶきを上げ、
道路沿いのスロープにはたくさんの漁船が引き揚げられて並んでいる
フェリーは2日に1便しか運航しておらず、フェリーが来るたびに港は活気付く。
34 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 00:50:18.71 ID:yuNLpAsb0
他に船がつけられる場所は島の南側の砂浜くらいだが、水深が浅く大型船は近寄れず、
島の北側は崖、西側は岩礁があり、船を着けることはできない、
東港はVIP島の大動脈なのだ。
(,,^Д^)「ギコハハハハ!そうか、秘密基地か!」
この豪快に笑う青年はギコと言う
ギコ先輩はドクオたちより3つ上の先輩で、今年入れ違いでVIP島高を卒業し、今は親の跡を継ぐため漁師見習いをやっている。
昔からドクオたちの兄貴分だ。
昔から筋肉質な人だったが、漁船に乗るようになってからさらに鍛えられたようで、もうSASUKEとかに常連で出ていそうだ。
( ^ω^)「そうなんですおw これでもブーンは15歳ですおww」
(,,゚Д゚)「なーに!オレが15んときにゃあもっとろくでもねぇ事しかしてねえさw!」
38 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 00:52:11.32 ID:yuNLpAsb0
('∀`)「先輩は武勇伝には事欠きませんもんね、国語の中松タケノコ*拡張事件とか」
(,,^Д^)「ギコハハハ!中松か!なつかしいなぁ!つっても4ヶ月前までオレも高校生だけどなw!」
(*´・ω・‘) (中松タケノコ事件・・・)
(´・ω・`)「・・・それで先輩、リヤカーの件なんですけど」
(,,゚Д゚)「おう!持ってっていいぞ!1台古くて使ってない奴がある、それだったら好きに使っていいぞ!」
( ^ω^)「ありがとうございますお、完成したら先輩を招待しますおw」
(,,^Д^)「ああ、楽しみにしとくぜ、じゃあオレは荷揚げの続きがあるんでな!」
(*´・ω・‘)「それじゃあお借りします、ありがとうございました」
ギコは片手を挙げてぷらぷらさせながら「いいってことよ!」といって倉庫の中に入っていった。
いい男っぷり全開だ。
40 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 00:54:00.11 ID:yuNLpAsb0
ギコ先輩が貸してくれたリヤカーは木の車体に自転車のようなタイヤがついているオーソドックスなタイプで、しいて特徴を挙げるなら車体が普通のそれより長くなっている
年季は入っているものの、特に壊れている箇所もなく、十分使えそうだ。
('A`)「さて、これから回収任務に移る!」
リヤカーの前に立ったドクオが胸を大げさに張り指揮をとる。
( ^ω^)「イエッサー!」
(´・ω・`)「うん」
('A`)「このギコ中佐殿からお借りしたリヤカーは、G式資材回収車、ギコ猫号と命名する!」
(;^ω^) (またドクオの軍オタが出てきたお・・・)
42 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 00:56:40.51 ID:yuNLpAsb0
('A`)「ショボン通信兵!本部に連絡を入れてくれたまえ!我々はこのまま物資の回収に向かう!回収ポイントで合流せよ と!」
(´・ω・`)「はいはい、ホテルのクーかツンに電話して、そのまま家具を拾いに行くって言えばいいんだね、それでそっちも向かってくれと。」
ちなみに携帯電話を所持しているのはショボンとツンとクーだけで、他の人は持っていない
ヒートも持っていたのだが、3日で壊してしまった。
もともと小さい島だし、携帯電話は大して必要でもないのだ。
('A`)「うむ!」
(;^ω^)(ドクオがテンション高すぎで進化したドクオだお・・・ネオドクオだお・・・)
('A`)「ブーン操縦士!」
(;^ω^)「は、はいですお!」
('A`)「おまえにこのギコ猫号の操縦を任せる!大任だ!頑張ってくれたまえ!」
(*^ω^)「おっ?大任かお?しょうがないおwブーンがやってやるおw」
45 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 00:58:12.72 ID:yuNLpAsb0
('A`)「それでは目標VIP山中腹、物資回収地点!ギコ猫号発進だ!ブーン!」
( ^ω^)「了解だお!ブーーーン!」
ブーンが「操縦」するリヤカー ギコ猫号はドクオとショボンを乗せて、道をぐいぐい走っていく。
途中まではアスファルトで舗装された道路だったが、港から左の道に入り、住宅街を抜けてからは
南の島特有の、赤茶けた土むき出しの道が続く、
道の両脇には木が張り出し、空の3分の2ほどを緑が埋めている、葉っぱの隙間から差し込む夏の光がまぶしい。
(;^ω^)「おっ ついに坂道だお」
('A`)「頑張れブーン、お前がパロットだ!お前がエースだ!」
(;^ω^)「ドクオ、重いお」
('A`)「軍曹と呼びたまえブーン操縦士!君ならやれる!君はわが小隊の誇りだ!」
(´・ω・`) (リヤカー引かせてるだけだけどね・・・)
47 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 00:59:51.78 ID:yuNLpAsb0
⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーーーーン!
('A`)「お、凄いぞブーン!この調子だ!」
⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーーーーン!
(#゚ω゚)「って僕だけ疲れるじゃねーーかお!!!!!」
(#^ω^)「ドクオ、ショボン、手伝えお、せめて降りろお。」
('A`)「指揮官は肉体労働なんてしないもんだが、まぁしょうがねぇ。」
そういってドクオとショボンがリヤカーの後部から降りようとすると、二人の重みがリヤカー後部にかかり―
(;^ω^)「お?」
ブーンは鉄のバーに掴まったまま天高く浮き上がった、7月の空にブーンが浮かぶ。
49 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 01:01:29.62 ID:yuNLpAsb0
( ゚ω゚)「ウヒョオォオオウ!降ろしてお!割と高いお!」
ドクオが車体前部に戻るとブーンはゆっくりと降りてくる
(;^ω^)「あせったお・・・気がつけば鳥になっていたお・・・」
('A`)「ブーンほら、こうやって俺がいったりきたりすると―?」
ブーンの体が浮き上がったり下がったりを繰り返す
( ^ω^)「おっおっ、月面歩行だおww無重力だおwww」
(#゚ω゚)「だからだまされねーお!手伝えお!」
結局三人はリヤカーをブーンが引いてドクオとショボンが押す、といったポジションで走らせていった。
10分もそうしてリヤカーを押していると、ごみ置き場が見えてきた、
ちくちくした葉っぱがたくさん飛び出ているパイナップル畑の向かいに、冷蔵庫やら洗濯機やらベッドやらが捨てられている。
その脇に人影が3つあり、一つはぴょんぴょんと飛び跳ねながら手を振っている。
51 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 01:02:52.28 ID:yuNLpAsb0
ノパ听)「おぉおおおおい!ここだぞおおおおお!!」
从 ゚∀从「オメーラおせーんだよ!」
ξ゚听)ξ「あら立派なリヤカーじゃない」
( ^ω^)「ギコ先輩に貸してもらったんだお」
('A`)「いやー疲れた、港からここまでしんどいわ」
(´・ω・`)「で、どれを持っていくんだい?」
ごみ置き場にはどう見ても使えそうにないテレビだとか、洗面台だとか、よく分からないものもたくさん放置してある。
('A`)「とりあえずはソファーだろ、ソファー」
見れば4人は座れそうな合皮の白いソファーが捨ててある、少し黄ばんではいるものの、まだまだ使えそうだ。
52 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 01:04:18.06 ID:yuNLpAsb0
从 ゚∀从「よーし、やっぱりまずはソファーが欲しいな、リヤカーにのせるぞ」
( ^ω^)「オッケーだお!」
( ´∀`)「お前らなにやってるモナ?」
( ゚ω゚) ビクッ
いつの間にかモナー先生が少し離れたところに立って、ドクオたちがソファーを積み込む様子を伺っていた。
( ´∀`)「何してんだモナ?」
从;゚∀从「ぇ、え〜とぉ〜」
モナー先生の質問にハインは背筋に嫌な汗が吹き出るのを感じた、まずい、今の自分達の行動は怪しすぎる
マズイ、これはマズイ、
55 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 01:05:56.01 ID:yuNLpAsb0
川 ゚ -゚)「廃品回収の手伝いですよ、先生」
いつの間にかクーがハインの隣に立っていた、何食わぬ顔でそれらしい言い訳をしている、
さすが鉄の心臓だとか、氷の女王と揶揄される人間だ。
( ´∀`)「ほほー!そうモナか!廃品回収かモナ!」
( ´∀`)「モナは立派な教え子をもってうれしいモナ!」
モナーは一人納得したようにうんうんと頷いている。
从;゚∀从「そ、そうなんですよ〜ゴミを、ね?回収して回ってるっていうか・・・」
( ´∀`)「モナ?じゃあモナのゴミも回収してくれるモナ?」
('A`)「ぇ・・・」
( ´∀`)「いっぱいあって困ってるんだモナ、廃品回収だモナ、回収してくれるモナ?」
(;´・ω・`)「ええ、もちろんです」
( ´∀`)「モナモナwありがとうモナ!早速頼むモナ」
モナー先生の家はゴミ置き場から200メートルほど離れたところにポツンと建っていた。
58 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 01:07:25.54 ID:yuNLpAsb0
年季の入った木造瓦屋根の平屋建てで、庭にはたくさんの果樹が植えられている、
小さな物置も据え付けてあり、なかなか広い、そして入り口にトーテムポール。
「MONA'S HOUSE」と刻んである。
ξ;゚听)ξ「トーテムポール・・・」
ノパ听)「なんか・・・こっちを睨んでるぞおお!」
( ´∀`)「モナ?イカスモナ?」
( ´∀`)「それで、回収してもらいたいのはこれモナ」
モナー先生が100人乗っても大丈夫な物置を開けると、そこにはびっちりと詰められた週刊少年ジャンポゥがあった。
軽く300冊はありそうだ。
ちなみにこの少年ジャンポゥは、日本最大部数を誇る少年誌であり、VIP島にはいつも1週間遅れで届けられる。
(;'A`) 「・・・・・・・・ジャンポゥタワー」
300冊の重量感がドクオたちにのしかかる。
60 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 01:09:36.56 ID:yuNLpAsb0
( ´∀`)「なかなか名残惜しくて捨てられなかったんだモナ」
ノパ听)「うっしゃああ!早く運んじゃうぞおお!!」
いまはヒートのテンションの高さがただ頼もしい。
300冊のジャンポゥを載せたリヤカーギコ猫号は、かなりの重量になった
車軸がギリギリと悲鳴を上げる
(´・ω・`)「それじゃあ僕たちはこれで失礼します」
('A`)「ギコ猫号はっしーん」
( ^ω^)「全速前進!だお!」
( ´∀`)「ちょっと待つモナ」
ξ;゚听)ξ「!」
再び全員に緊張が走る、バレたのか・・・? ドクオたちの鼓動が早まる。
62 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 01:11:19.68 ID:yuNLpAsb0
( ´∀`)「これ持ってくモナ!」
モナー先生はハインに何かが入ったビニール袋を手渡した。
从 ゚∀从「先生、何ですかこれ?」
( ´∀`)「開けてみるモナ」
袋を開けてみると、中から甘いいい香りが漂ってきた、中にはマンゴーなどのトロピカルフルーツがたくさん詰まっていた。
( ´∀`)「ウチでとれた果物だモナ、みんなで食べるモナ」
ノパ听)「うぉおおおお!!!先生ありがとおおおおお!!」
川 ゚ -゚)「先生ありがとうございます、それじゃあ私たちはこれで失礼します」
( ´∀`)「おつかれさまだモナ」
64 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 01:13:11.68 ID:yuNLpAsb0
失礼します、と一礼して、ドクオたちは廃ホテルに向かった、空はすでに茜色に染まりつつある。
林の木々が風にゆすられてさわさわと音を立てている。
先生の家から少し離れたところで振り返ると、先生が手を振っていた
( ´∀`)「あんまり危ないことはしちゃダメモナよ〜!」
从;゚∀从「え?」
('A`)「やっぱり先生なんだな・・・」
亀の甲よりなんとやら、何年も教師をやっているモナー先生にはお見通しなのか。
(;^ω^)「最初からバレてたのかお?ゴミあさり」
ξ;゚听)ξ「わからないわ、わからないけど」
('A`)ξ゚听)ξ ^ω^) ゚∀从ノパ听)川 ゚ -゚)「モナー・・・侮りがたし・・・」
66 :
◆ct9JfRCXVU
:2009/03/17(火) 01:15:02.71 ID:yuNLpAsb0
ソファーをホテルの4階に運び込むのが終わったころには、もう空は半分紫に染まり、星が輝き始めていた、
VIPホテルの4階からは、夕日が海に沈んでいくのが良く見える、
('∀`)ξ゚听)ξ ^ω^) ゚∀从ノパ听)川 ゚ -゚)「・・・・・・・・・・」
夕日の周りに浮かぶ雲は1秒ごとに色を変えていく、ほんの薄いピンクから、燃えるようなオレンジ、そして静寂の紫に
だれともなくドクオたちは夕日に見入っていた、今日一日の充足感、
何の目的もない毎日では得られない満たされた感情と、美しい夕日をドクオたちは味わっていた。
きれいだね、と誰かがつぶやいた、
結局7人は夕日が沈みきるまで外を眺めていた。
この日、秘密基地には合皮の大きなソファーと過去6年分の週刊少年ジャンポゥのライブラリーが装備された。
第2話 終わり
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