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問合せ
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
437 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 01:53:50.57 ID:Gi91k6lH0
そこは喫茶店。テーブル席で向かい合う、2人の若い女性
(*゚ー゚)「突然呼び出して、すみません」
(*゚∀゚)「いえ、大丈夫ですけど、あなたは…?話って…」
(*゚ー゚)「だから猫田ギコのことです、知ってるでしょ」
(*゚∀゚)「はあ、ギコさんは会社の上司ですが、あなたは…?」
(*゚ー゚)「猫田しぃ、と申します」
(*゚∀゚)「!!…アヒャ…」
438 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 01:55:37.53 ID:Gi91k6lH0
〜昨日、夕食時〜
(,,゚Д゚)「…」
その時、ギコの機嫌は良くなかった。原因はたいした事でもない。もともとギコは気分屋である
しかし、しぃは心配する
(*゚ー゚)「会社で、何か、あった?」
(,,゚Д゚)「…」
ギコは答えない。単純に、説明する労力が惜しいのだ
(*゚ー゚)「大丈夫?」
(,,゚Д゚)「お前にはわかんねえよ…」
(*゚ー゚)「…ごめん」
少しだけ険悪なムードの中の、夕食
ふと、テーブルに置いてあるギコの携帯が鳴り始める
着信。名前が表示される。それは女性の名前。
440 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 01:59:56.25 ID:Gi91k6lH0
(*゚ー゚)「「つー」…?」
間
(,,゚Д゚)「ぅ、あ」
ギコはあわててテーブルから携帯をひったくるとベランダへとび出す。電話は2、3分で切り上げてすぐに戻ってくる
(,,゚Д゚)「悪い、ちょっと仕事で、部下がな」
(*゚ー゚)「そうかぁ。恋人と話してるみたいだったけどね、ギコくん」
実際しぃに会話は全く聞こえていなかったが、ギコの慌てた様子から、彼女は疑っていた
ギコと、「つー」の関係…
(,,゚Д゚)「しぃ!お前何言って…」
(*゚ー゚)「…」
ギコは自分が怒鳴っていることに気付き、声を弱める
441 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 02:02:52.44 ID:Gi91k6lH0
(,,゚Д゚)「本当に、ただの仕事の関係だ。勘違いするな」
また間
(*゚ー゚)「わかったって、別に気にしてないから」
(,,゚Д゚)「あああ、だよな、はは、あー、しぃの飯は旨いな」
(*゚ー゚)「それはどうも、いつもあなたの為に作ってますのでね」
(,,゚Д゚)「いやあ、本当、いつもありがとうなー、はははは」
(*゚ー゚)(,,゚Д゚)「あははははははは」
444 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 02:06:09.48 ID:Gi91k6lH0
〜現在〜
(*゚ー゚)「率直にお聞きします」
(*゚∀゚)「…はい」
(*゚ー゚)「あなたは猫田ギコと、どういった関係ですか?」
(*゚∀゚)「会社の、上司と、部下ですが」
(*゚ー゚)「納得すると思う?」
(*゚∀゚)「…ごめんなさい」
445 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 02:08:35.73 ID:Gi91k6lH0
〜昨日、夜中〜
ギコはぐっすりと眠っている
しかし、しぃはベランダに居た。数時間前、ギコが「つー」と話をしていた、このベランダ
しぃは手にギコの携帯を持っている。画面を開く
ギコは機械に弱く、ロックなどはかけていなかった。しぃはすばやく受信ボックスを開く
ずらっと並ぶ受信メール 「From: つー」
(*゚ー゚)「…」
そしてメールの内容を見る。二人がどんな関係なのか誰でも想像出来るだろう、内容
正直、見てる方が恥ずかしくなるようなメールにしぃは顔をしかめる
長い沈黙の後、突然しぃが声をあげる
(*゚ー゚)「……はーっ、そうかそうかそうかそうか!」
「つー」のアドレスを自分の携帯に転送し、メールを送る。簡潔な文。ギコのことで話がある、と
447 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 02:12:13.65 ID:Gi91k6lH0
〜現在〜
(*゚∀゚)「…ギコさんと、お付き合い、しています…」
間
(*゚ー゚)「ですよねー、まあ、あいつ(,,゚Д゚)の態度やらメールやら見てたらわかりますよー」
(*゚∀゚)「…」
449 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 02:14:26.49 ID:Gi91k6lH0
〜昨日、さらに深夜〜
「つー」にメールを送ってから、しぃはまだ、ベランダに居た。ただ座り込み、ぼうっとしている
ふと、ギコの灰皿が目に留まる
置きっぱなしの煙草とライターも、見つける。しぃが嫌がる為、ギコはいつもベランダで煙草を吸っていた
しぃは煙草は嫌いだ。しかし何故か今、煙草をくわえ、火を着けている
しぃの人生初めての煙草、咽せたりはしなかったが煙が目に滲みたのか、涙がこぼれる
(*゚ー゚)「許したくないけど…」
しぃが考えていたのは、ギコを許せるかどうか…
しかしどうしても頭に浮かんで来るのは、ギコとの楽しい思い出であった
しぃは気付く。自分のギコに対する執着に
(*゚ー゚)「私、馬鹿みたい」
しぃは決意をする。煙はまだ目に滲みていた
450 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 02:18:33.17 ID:Gi91k6lH0
〜現在〜
(*゚ー゚)「違うんです。別に、咎めるつもりはありません」
(*゚∀゚)「…!?」
(*゚ー゚)「言いたかったのは…」
(*゚ー゚)「猫田ギコを、父を、よろしくお願いします」
しぃは頭を下げる。本当に、今のしぃの心からの願い
(*゚∀゚)「…しぃさん」
(*゚ー゚)「父に恋人がいると知った時、ショックでした。ずっと私だけの父だったのにって」
451 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 02:23:39.33 ID:Gi91k6lH0
あなたにメールを送った時、その時は父を盗らないでって言おうと思ってた
父を許せない、とも思った。私よりあなたが大事になってるなんて、許しがたいって
母も捨てて私も捨てるのか!?って。可哀想な自分に酔ってましたね
でも、やっぱり気付いたんです。私はあまりにも子供だって。気持ち悪いファザコンだなーって
私が5才の時…母と父が離婚して…それから8年間も、父はちゃんと私を育ててくれました
離婚する時、どうしてもって私を引き取ってくれて…離婚の原因だって、父が悪い訳じゃないんです
あー、何が言いたいんだろう、私。すみません
453 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 02:36:38.93 ID:Gi91k6lH0
言いたいのは、父は、猫田ギコは良い人です
私が言うのも変ですが、子供っぽいし適当だし気は利きませんが
素直で優しくて、私は好きです。すみません、やっぱりファザコンだ…
つーさんも良い人そうだし、上手くいくと思います
まあこれはお世辞かもしれないけど、実際どうなるかなんてわかんないけど
でも、つーさんにお願いしたいんです、父を
父をよろしくお願いします
(*゚ー゚)「…それだけです、突然、すみませんでした」
455 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 02:47:49.06 ID:Gi91k6lH0
(*゚∀゚)「いえ………ありがとうございます…」
つーは頭を下げている。深く、深く、中学生の小娘に。本当に感謝をしている
(*゚ー゚)「…じゃあ、」
しぃはすばやく立ち去る。つーに顔を見せずに。
(*゚ー゚)「…」
458 :
(*゚ー゚)は許したくはないようですが
:2008/09/24(水) 02:52:37.16 ID:Gi91k6lH0
涙が出かかって、顔をあげられなかった。何とも恥ずかしい
本当は許したくはない、と思っている。まだ、私は父親から離れられていない
8年間、ずっと2人だけで暮らして来た。最近は私の料理が上手くなり、父は毎晩喜んでいた
ふざけて「ギコくん」と呼ぶと父は怒った、それも、私は嬉しかった
父もつーさんのことを気にしていた。実際、私が父離れできていないのをわかっていたのだろう
でもこんなのきっと病気だ、おかしい。私は思春期で、父親なんか毛嫌いして反抗するお年頃ではないか
459 :
(*゜ー゜)は許したくはなかったようですが
:2008/09/24(水) 03:02:01.65 ID:41sffNksO
そうだ、ちゃんとしよう
ちゃんと大人にならねば。もう中学2年生なんだ、私も大人になるって、父にも教えなくては
そうだ、少しは反抗してやろう、そうだ、煙草だ
(*゜ー゜)「ははは」
私が煙草を吸ってる姿を見て、慌てる父を想像して、楽しくなって笑った
(*゜ー゜)「ギコくん、怒るだろうなあ」
終わり
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