34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:47:28.95 ID:mjMLpNWGO
【第六話 約束】


内藤と欝田は血の付いた着物を着替えると津出の待つ座敷に向かう。

津出はすぐに障子を開け二人を迎えた。

(,,゚Д゚)「まず今回の件。心から礼を言おう。考え以上の働きであったぞ」

(,,゚Д゚)「実はな、先程捕らえた男の一人は浪人では無い」

('A`)「・・・藩士ですか?」

(,,゚Д゚)「うむ、奴は弍田の腹心の家来だ」

( ^ω^)「・・・」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:48:48.95 ID:mjMLpNWGO
(,,゚Д゚)「奴もよっぽど焦りがあったと見える。
    それとも浪人どもだけでは気掛かりだったのかの」

('A`)「では先程の男を奉行所に届けるのですね」

(,,゚Д゚)「うむ。しばらくは目付けの取り調べで弍田派は下手に動けまい」

(,,゚Д゚)「明後日には殿がお帰りになる。
    すぐに引家様が今回の件と共に殿の御前で糾弾するという訳だ」

津出は愉快そうにそこまで話すと酒をあおった。
既に呑んでいたのだろう。空の銚子が転がっていた。

二人も酒を勧められるがやんわりと断った。
とても酒を呑む気分ではない。

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:50:07.04 ID:mjMLpNWGO
(,,゚Д゚)「滞りなく事が進めば引家様直々に褒美の言い渡しがあろう」

(,,゚Д゚)「お主らの今回の働き、洩らさずお伝えしようぞ」

よほど嬉しいのだろう。
津出の話は途切れる気配が無かった。

しばらくしてやっと解放された二人は部屋を出た。
一応の為、今夜も内藤は津出の屋敷に泊まり
欝田は帰ることになった。

欝田に改めて今回の件の礼を言い別れる。
内藤はあてがわれた寝屋に入ると乱暴に着物を脱ぎ布団に入った。

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:51:37.43 ID:mjMLpNWGO
( ^ω^)(やはり派閥争いは恐ろしいものだお)

津出に聞かされた生々しい藩政の裏のやりとり。
初めて人を斬った先程の斬り合い。

この二つが内藤の頭を離れずに
体は疲れているのに寝れそうに無かった。



内藤が布団の中で悶々としていると襖越しに声が聞こえた。

「内藤。起きてる?」

(;^ω^)「ツンどの??」

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:52:46.89 ID:mjMLpNWGO
内藤は布団から飛び起き寝間着を正した。

「あ、そのままでいいわよ。私も寝間着なの」

(*^ω^)「お、そうですかお」

内藤の胸が高鳴る。二人は襖越しに会話を始めた。

「ちょっとあんたにお礼が言いたくてね」

(*^ω^)「お気にめされることはござらんお。務めを果たしたまでですお」

「それでもお礼が言いたいのよ!・・・ありがとう」

(*^ω^)「お、お安い御用でござるお」

「ぷっ。何よそれ」

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:55:31.68 ID:mjMLpNWGO
( ^ω^)(幼少の頃に戻ったようだお)

お互い顔が見えないからだろうか。普段より素直に話せた。




「ねえ内藤。約束憶えてる?」

( ^ω^)「? 何のでござるか?」

「何忘れてるのよ!私を一生守るって約束したでしょ!
だからツンをめとりたいって!」

「私が道場を辞めた時よ!」

(;^ω^)「あ、あれは」

確かに内藤は道場を辞めたくないと拗ねるツンに向かって
そのようなことを言った記憶があった。

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:58:39.33 ID:mjMLpNWGO
(;^ω^)「しかしあれはまだ幼き頃の話ゆえ」

「ふーん。武士が二言するわけね」

(;^ω^)「いや、武士に二言は無いですお!」

( ^ω^)「しかし身分というものが・・・」

「はぁ。あんたってやつは」

「あんた今回の件でおそらく加増されるじゃない。それに父上も気に入ってるわ」

「でもそれだけじゃ足りないわね。次の御前試合、あんた誰にも負けないで」

「藩内一の刀の遣い手。これなら誰も文句ないでしょ」

少しの間の後、内藤は覚悟を決めた。

先程の斬り合いの前に真っ先に浮かんだ守りたい人。それはツンである。

内藤は改めてツンを一生守りたいと思った。

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:59:50.40 ID:mjMLpNWGO
内藤は襖をそっと開ける。
廊下にツンが膝を着いて座っていた。

ξ//)ξ 「急に開けないでよ!」

( ^ω^)「ツンどの」

ξ*゚听)ξ「何よ」

( ^ω^)「拙者の気持ちはあの頃と何も変わってござらんお」

( ^ω^)「御前試合にて勝ちをおさめたあかつきには」

( ^ω^)「ツンどのと祝言を挙げれるよう津出どのにお頼みしますお」

( ^ω^)「よろしいか・・・お?」

内藤はゆっくりと自分の気持ちを口にした。

いつの間にか雲が晴れ、外は月明かりでぼんやりと明るかった。
おかげでツンの真っ赤な表情がよく見えた。

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 01:01:12.38 ID:mjMLpNWGO
ツンは真っ赤になり俯いていたが静かにうなずいた。

( ^ω^)(綺麗だお・・・)

月に照らされたツンを見ると愛しくてたまらず
内藤がそっとツンの手を握った。

ξ//)ξ「・・・!!」

ツンはそっと握り返した。

ξ//)ξ「絶対に負けないでよ。」

ツンの言葉に内藤は力強くうなずくのだった。



続く



('A`)「褒美もらったら嫁は喜ぶかの」
('∀`)「フヒヒヒ」


質問等


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 01:03:34.81 ID:mjMLpNWGO
投下終了ですお

第五話は書いてて楽しかったけど
六話は大変でした…ツンデレになってないし

質問ありましたらお願いします

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 01:06:58.30 ID:N7p+dhY3O
>>54
作者乙!
ドクオの剣の腕はいかほどでござろうか?

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 01:10:34.38 ID:mjMLpNWGO
>>60
書こうと思いながらも忘れてました
内藤には及ばないものの道場では4〜5番目位の設定です
内藤と同じく速い攻撃が得意です

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