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No 440
Date 2011・01・28・Fri
('、`*川は Penny Lane を歌うようです没短編で途中までです。
着地点が上手く掴めず投げた話。 木蓮の咲く頃に書き始めたはずなのに、だいぶかかった上に途中という。 -01>>>>>>>>>>> Penny Lane is in my ears and in my eyes♪ There beneath the blue suburban skies♪ I sit and meanwhile back♪ まどろみの中、どこからともなく聞こえてくる懐かしい歌。 それが夢だとわかっていても、私はその歌に耳を傾ける。 あいつが歌ったその歌は、今も私の耳に残っている。 あれからもう、10年も経ったというに。 私はずっと、それを忘れることはないのだろう。 Penny Lane is in my ears and in my eyes♪ あの小路の風景を There beneath the blue suburban skies♪ 青い空の下にあるあの場所を I sit and meanwhile back♪ 私は思い出す ('、`*川は Penny Lane を歌うようです -02>>>>>>>>>>> 今日もいつもの夢に名残惜しさを感じながら目を覚ます。 あまり夢を見る方でもなく、夢の中身を覚えてる事は少なかった私だが、流石にこう何度も見ればちゃんと覚えている。 覚えてるといっても、夢の中身は単純そのもので忘れようもない。 ただ私が通りを抜けて、どこかの草原であの歌を聞いてるだけだ。 あの日の風景と似た、しかし私だけしかいないという想い出が大きく欠けた夢。 ('、`*川「夢ぐらいは現実から遠くてもいいのにね……」 記憶にあるそれよりだいぶ美化されている点は現実から遠いのかもしれない。 口に出した所で何も変わるはずはないぼやきを振り払うように大きく首を振り、シャワールームに向かう。 眠気を吹き飛ばすシャワーの恩恵に与り、ジーンズ履きのラフな外出着に着替える。 ('、`*川「あ、パン切れてたんだっけ……冷蔵庫は……何もなしと」 どうやら朝食抜きで出かけねばならぬようだが、途中でサンドイッチでも買って行けばいいだろう。 朝はしっかり取る派なので、朝食抜きは考えられない。 私は、仕事用のバッグを手に部屋を出る。 -03>>>>>>>>>>> ('、`*川「んー……、今日もいい天気ね、無駄に」 オフィスワークが多い自分にとって、洗濯物を干しでもしてない限りはこの晴れ模様もさほど意味がない。 雨の日よりは通勤が楽だというぐらいだが、よく考えるとそれはそれで十分意味があるかもしれない。 ('、`*川「ま、無駄ではないかな」 晴れの日の方が気分が良いのは確かだ。 想い出の中のあの場所も、こんな晴れた春の一日だった。 ('、`*川「さて、行きますかね」 マンションとは名ばかりのおんぼろな階段を降り、私は仕事場に向かう。 いつも通りの道を進み、角を2つほど曲がると、少し開けた通りに出る。 小金通りという何とも商売っ気に溢れた名前のその通りは、その名の如くいくつもの商店が立ち並ぶ。 この時間帯から開いてる店が多い所を考えれば、勤勉な人間が多いのだろう。 私の勤め先もこの通りにあるが、とてもじゃないが私を始め、勤勉とは程遠い人間しかいない気がする。 -04>>>>>>>>>>> ('、`*川「おっと、朝食、朝食」 この時間ならフサギコさんのパン屋かな。 私の好きなフィッシュサンドも並んでる頃だろう。 私は朝日を背に通りを進む。 開店の準備をしている顔馴染みの人達が気軽に声を掛けてくれる。 (`・ω・´)「おう、ペニちゃん、おはよう。ちょっと寄ってかないか?」 ('、`*川「おはよう、シャキンさん。髪はこないだ切ってもらったばかりですよ」 床屋のシャキンさんは朝から陽気な口調でハサミを掲げて見せた。 ( ゚∋゚)「おはよう、ペニちゃん。一杯どうだい?」 ('、`*川「おはよう、クックルさん。朝から飲んでるとまた奥さんにどやされますよ?」 酒屋のクックルさんは朝から少し赤ら顔だ。 (-_-)「おはよう、ペニちゃん。注文してた本、今日の午後には届くからね」 ('、`*川「おはよう、ヒッキーさん。帰りに寄りますね」 本屋のヒッキーさんは朝から丁寧に店の前を掃除している。 -05>>>>>>>>>>> おはよう。おはよう。おはよう。 いくつもの挨拶の声が飛び交う小金通りの朝。 青空の下、咲きかけの木蓮の並木道を私は歩く。 ミ,,゚Д゚彡「おはよう、ペニちゃん」 ('、`*川「おはよう、フサさん。いつもの、出来てます?」 やがて私は一軒のお店の中へ足を踏み入れる。 焼きたてのパンの匂いが香るパン屋。 ミ,,^Д^彡「ああ、出来てるよ」 そろそろ食パンが切れる頃だろうから、今朝ぐらいに朝食を買いに来るんじゃないかと予想していたとフサさんは笑う。 私はフィッシュサンドを受け取り、代金を手渡す。 ('、`*川「帰りにも寄りますね」 ミ,,゚Д゚彡「うん、食パン1斤は取っておくよ」 片手を挙げ、フサさんに別れを告げ、店を出る。 -06>>>>>>>>>>> 手提げ鞄と紙袋を両手に、再び小金通りを歩く。 思わず両手を大きく振りたくなるような青空の下を私は歩く。 晴れの日に意味がないなんて、馬鹿な事を言ったのはどこのどいつだろう。 春風に吹かれ、私は鼻歌を歌う。 ('、`*川「~♪」 いつか聞いたあの歌を。 ('、`*川「~♪」 無粋な私の世界を、ほんの少しだけ彩ってくれたあの人の歌を。 小金通りは、この素晴らしい通りの名前にしてはいささか無粋過ぎる。 そんな事を言ってあいつは、小金通りを別の名前で呼び、歌った。 ('、`*川「penny Lane♪」 penny Lane と。 -07>>>>>>>>>>> ────────────────────────────────── ──────────────── ──── ( <●><●>)「今は一般的には授業中の時間帯だと思われますが」 授業を自主的に休講しにして、草の上に寝転んでいた私の上に影が差した。 目を閉じていてもわかるほどの位置に立つそれは、どうやらそこから動く気配はないらしい。 不承不承目を開けた私の前に立つ、折角の心地良い一時の邪魔をした声の主は初めて見る顔だった。 ('、`*川「……創立記念日よ」 ( <●><●>)「なるほど。それは失礼いたしました」 見知らぬ黒目がちで馬鹿正直なお節介男は、私の露骨なウソを素直に信じたのか、そう言い残して去っていった。 ('、`*川(ちょろいもんね……) 私は再び目を閉じ、柔らかな春の風に身を任せる。 耳を撫でる草の音が穏やかな季節の色を伝えてくれる。 私は自然が奏でる音が好きだ。 人の手の及ぶ事のない、世界が紡ぐ音。 風はいくつもの音を演奏してくれる。 -08>>>>>>>>>>> ~♪~ ('、`*川「……」 そんな風の音に混じり、何か別の音が前方から聞こえてくる。 ~vw~♪ ('、`*川「……」 人の手による音が、ひどく不調和な、自己主張の激しい音が。 ~vM/~♪ ('、`*川「……うるせえ」 あまりに耳障りなその音に、私は目を開け、上体を起こす。 一面に広がる緑の先に緩やかに流れる川。 そのほとりの、まだ咲いていない、膨らみかけの蕾をいくつも付けた桜の木の下に先ほどのお節介が立っている。 -09>>>>>>>>>>> この不協和音もその方向から届くので、恐らくはあいつがやっているのだろう。 何かを手に持っているようだが、ここからはそれが何なのかははっきり見えない。 とはいえ、状況や形状から察するにそれが何なのかは判別出来た。 ('、`*川「あの、近所迷惑なんで、余所でやってもらえませんかね?」 ( <●><●>)「どストレートですね」 歩み寄りざまかけた私の言葉に、お節介はギターを抱えたまま肩をすくめてみせた。 確かに知らない人に言う言葉なら、もう少しオブラートに包むべきな気もするが、私は正直を旨としているのだ。 ( <●><●>)「その割には創立記念日等とベタな嘘をお吐きでしたが」 ('、`*川「それはそれよ」 あれは私がサボりたいという欲求と、面倒臭いのに関わりたくないという欲求に正直に従った結果なのだ。 しかし、意外と言うか当然と言うべきか、先の適当な言い訳はあっさり嘘と見破られていたようだ。 そうなるとこいつはそれほどお節介というわけではないのかもしれない。 単に大人としての対面上、一応の注意喚起をしただけなのだろうか。 -10>>>>>>>>>>> まあ、心配して声を掛けた方が白い目で見られる事もある世の中だ。 下手な事はしない方が賢いのではなかろうか。 ( <●><●>)「初日でしたからね。これから何日も見かけるようなら何らかの対処はしたと思います」 ('、`*川「毎日はいないけど……って、あんたは毎日いるつもりなの?」 見た所、高校生の私よりは上、大学生ぐらいのそれほどお節介でもない男は、暇があれば毎日でもと頷いた。 ('、`*川「あのさ、この辺り広いんだからもう少し離れた場所でやってくんない?」 ( <●><●>)「この場所が良いのですよ」 男は、ギターを持ったまま両手を大きく広げ、桜の木を見上げる。 ('、`*川「どうしてさ?」 ここ以外にも少し歩けば桜の木はあり、そこにはきっと誰もいないはずだ。 真昼間からこんなとこにいる暇人はそうはいない。 私はそれを見越して誰にも邪魔されないこの場所にいるのだ。 -11>>>>>>>>>>> ( <●><●>)「ここなら聴衆がいますので」 ('、`#川「ふざけんな」 男がいう聴衆とは恐らく私のことであろう。 周りを見渡しても、他には誰もいない。 憤慨して睨みつけるも、男はまるで動じる様子も見せず、ギターを軽くかき鳴らす。 ( <●><●>)「こういうものは聴き手がいてこそ上達するものですから」 どうせ暇を持て余しているのなら、音楽を聴くぐらい構わないだろうと男は言う。 ('、`*川「私はここが静かだからここにいるのよ?」 全くこちらの言い分を聞く気を見せない男に、怒りを通り越して呆れるしかなかった。 大体、あのひどい音を他人に聴かせたいと思う神経が理解出来ない。 ( <●><●>)「貴女は本当に歯に衣を着せない物言いをしますね」 ('、`*川「言ったでしょ? 私は正直なのよ」 正直は美徳である。大体において、その理屈は通るものだ。 -12>>>>>>>>>>> ( <●><●>)「奥ゆかしさも美徳だとは思うのですがね」 ('、`*川「駄目なものは駄目とはっきり言った方が、お互いの精神衛生上において有益よ」 私の物言いに肩を竦める様子を見る限り、肯定的に受け取っていない事は確かであるが、自説の正しさを延々と説くほど 私は暇人ではない。 ('、`*川「これ以上無駄な議論をする気はないわ」 ( <●><●>)「では、ここで演奏を続けて良いと」 ('、`*川「何でそんな結論になるのよ。余所でやれって言ってんのよ」 恐らく私の主張を受け入れる気は毛頭ないのであろう。 暖簾に腕押し、糠に釘だ。 そうなれば私が移動した方が手っ取り早いのだが、それも何だか腹立たしい。 更に言えば、聴衆がなどと言い出して付いて来ないとも限らない。 もっとも、その場合はストーカーですと警察にでも駆け込めば済む話だが、こちらも脛に傷を持つ身だ。 あまり官憲のお世話になりたくはない。 いや、前科があるわけじゃないけども。 一応学校サボってるわけだしね。 -13>>>>>>>>>>> ~vM/~♪ ('、`#川「──って、おい!?」 ( <-><●>)「はい?」 などと考え事をしていると、論議の決着を待たずして男はギターを弾き始めた。 思わずつっこむと男は閉じていた目を開け、ギターを弾いていた腕を止める。 つーか上手く弾けてないんだから目は開けてろよ。 ('、`#川「何で話の途中でギター弾きだしてんのよ?」 ( <●><●>)「黙り込まれましたし、聴いてくれるのかなと思いまして」 ('、`#川「どこをどう考えたら今の流れでそう捕らえられるのよ」 ( <●><●>)「物事はポジティブに考える性質ですので」 ('、`#川「ポジティブすぎるわ!」 私は思わず握り固めた拳をすんでの所で逆の手で抑え付ける。 このあまりお節介でない男の人を苛立たせる才能は大したものだと思う。 -14>>>>>>>>>>> ('、`*川「あんた、人を苛立たせる大会に出たら優勝するわよ」 ( <●><●>)「もう少し捻った大会名は思い付かなかったのですか?」 ('、`*川「たとえば?」 ( <●><●>)「どっちが苛立たせるでショーバイ商売」 ('、`*川「なげえし後半関係ないでしょ」 ('、`*川「つーか、センスないわね」 ( <●><●>)「よく言われます」 ('、`*川「よく言われんなよ……」 どうにも人を食ったような男の態度に、私の苛立ちは募るばかりだ。 無視して帰ろうと思いもしたが、次来た時もこの下手くそなギターを聴かされるのは正直勘弁願いたい。 -15>>>>>>>>>>> ('、`*川「それで、あんたは何でこんな下手くそな腕でギターなんか弾いてるのよ?」 ( <●><●>)「下手くそだから練習してるんですよ」 ('、`*川「下手は認めるのね」 ( <●><●>)「事実でしょうしね」 ('、`*川「んで、何でそんな腕でギターなんか始めたの?」 ( <●><●>)「始めたばかりは誰しも下手だと思いますが」 ('、`*川「口の減らない男ね」 いい加減押し問答も馬鹿らしくなってくるが、男の言っている事は大体において正論であろう。 ただ、そういう事関係無しにこいつのしれっとした口調で言われると腹が立つのだが。 ('、`*川「始めたばかりなら、まずは部屋の中で音を出す練習でもしてなさいよ」 ( <●><●>)「それはもうやりました」 -16>>>>>>>>>>> ('、`*川「ホントに? そうは思えない腕なんだけど」 ( <●><●>)「その過程を経て、こうやって街頭デビューに至ったのですよ」 街頭ではないと思うが、どう考えてもまだ外に出て他人様に聴かせてよいレベルだとは思い難い。 音は出ているが、出ているだけといった感じで、ちゃんとした旋律を持った音楽ではない。 精々始めて1週間ぐらいの所ではないかと疑ってしまう。 ('、`*川「どのくらいやってその程度なのよ?」 ( <●><●>)「もう、かれこれ5日も練習していますよ」 ('、`;川「まだ5日かよ!」 予想よりさらにひどい状況に頭を抱えたくもなるが、逆に考えれば1週間と予想したのが5日で出来ているのだから、 一応資質はあるのだろうか。 ('、`;川「いや、ねえよ」 一瞬浮かんだ謎のポジティブ思考に即座にツッコミを入れ、改めて男の方を観察する。 -17>>>>>>>>>>> ('、`*川「つーかいい加減男だと面倒なので名乗りなさいよ」 ( <●><●>)「何に対して面倒なのかはわかりませんが、私はワカッテマスと申します」 ('、`*川「ペニサスよ。もう会う事もないから覚えなくていいわ」 自分で聞いておいてひどい話だが、出来れば2度と会いたくない、というより2度と聞きたくないギターなので、 覚えてもらわない方が助かる。 私は、改めてこのワカッテマスと名乗る男を観察してみた。 ('、`*川「見た所、大学生かニート予備軍といった所でしょうね」 ( <●><●>)「どちらにしろモラトリアム人間、といった所でしょうかね」 大学生です、とワカッテマスは答え、再びギターに手をかける。 私をそれを睨みつけ、止めさせる。 ('、`*川「じゃあ、改めて聞くわね、モラトリアム人間さん」 ( <●><●>)「曲目はまだ2曲ほどしかありません」 -18>>>>>>>>>>> ('、`*川「何でギターなんか弾こうと思ったの? 下手なのは置いといて」 ワカッテマスのとぼけた答えを無視し、最初の方に聞いた質問を少し意味合いを変えて再度ぶつける。 こんな音楽のセンスがあるとも思えない唐変木が、何故ギターを始めようと思ったのか不思議な話だ。 ( <●><●>)「ほほう、私のギターとの出会いに興味ありますか?」 ('、`*川「ぶっちゃけると微塵もないけど、演奏よりは話聞いてた方がマシそうだから」 ( <●><●>)「貴女は本当に正直な方ですね」 無表情のままだが、恐らく呆れているのだろうと思える仕草で大きく首を振り、その場に腰を下ろした。 話す事自体はやぶさかではないらしい。 ('、`*川「あんたって、当然学校の音楽の成績も良くなかった口よね」 同じく、草の上に腰を下ろし、思ったままをあけすけに言う。 今更言葉を取り繕う気はない。 ( <●><●>)「筆記テストのお陰で平均的な成績でしたよ」 ('、`*川「それって、筆記がなきゃ落第点って事でしょうが」 -19>>>>>>>>>>> 逆説的に言えばそうなりますと、とぼけた口調で認めるワカッテマスを軽く睨む。 言葉遊びはどうでもいいので、さっさと事実を語れと高圧的に促す。 ( <●><●>)「ギターを弾き始めた理由ですか……もう随分前の事になるのでいささか記憶がはっきりしませんが……」 ('、`*川「まだ弾き初めて1週間も経ってないんでしょうが」 真面目な顔ですっとぼけた事を言うワカッテマス。 どうも馬鹿にされている様な気もしてきたが、取り敢えずは話を続けさせる。 ( <●><●>)「あれは一週間ほど前の事でした。私がこの川の辺を歩いていると、川の中からギター仙人が現れて……」 ('、`*川「このギターを授けてくれたって? へし折って川の中に叩き返してもいい?」 いい加減頭に来た私が実力行使に出ようとしてギターに手を伸ばしたが、思ったよりは俊敏な動きでワカッテマスはそれを 遮る様にギターを抱えて後ろに下がった。 |
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