128 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/12(木) 06:11:24 ID:GfCUERUw0

 黒は不吉な色だろうか?
 僕らはふと、そんなことを考えた。

 葬式の時も服は黒だし、漆黒の闇は人々に恐怖に与えるという。

 でも、今の僕たちには、禍々しい白なんかより、漆黒と呼んでもいいような黒の方が安心感を与えてくれる。
 それは間違いない話だ。

ξ;゚听)ξ「ここが?」

ミ,,゚Д゚彡y―~~「ああ、そうだ」


( ^ω^)は役人のようです
      第七話「黒い男達」

129 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/12(木) 06:13:23 ID:GfCUERUw0
 そこは、誰もいない集落。
 転がっている骨は、人間だろう。
 それも、きっと小さな子供のものだ。

 誰もいない理由。
 それは、僕が、いや、部外者がここにやってきたからだ。

 なぜなら、集落の奥の森から、何千という白い点々が
 かすかに赤みを帯びた瞳が、静かにこっちを覗き込んでいるのだから……

ミ,,゚Д゚彡y―~~「おれだ、フサギコだ!」

 フサギコが大声で叫ぶと、森から一人の男が姿を現した。

(_ ̄ )「何の用だ?」

 漆黒の肌。
 そして、それとは対照的な真っ白な瞳。
 若干身を引けてしまったブーンとツンに、漆黒の男は不快な視線を投げた。

130 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/12(木) 06:21:57 ID:GfCUERUw0
 一瞬、時間が止まる。

 見れば、フサギコも驚きの表情をしているとうだ。
 漆黒の男から感じられる感情は、怒り。

 なぜ、怒りを感じているのか
 やはり、フサギコの案内とはいえ、部外者が入ったことが許せなかったのだろうか?

 無意識的に、ブーンはツンの一歩前へ立ちふさがった。
 ツンは無言で口ぶるをかみ締めている。

 やがて、フサギコが漆黒の男へ向かって口を開いた。

ミ,,゚Д゚彡y―~~「誰だお前?」

131 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/12(木) 06:24:12 ID:GfCUERUw0


(_ ̄;)「いや、村の者だけど……」

 当惑する漆黒の男に、フサギコは質問を続ける。

ミ,,;゚Д゚彡y―~~「おいおい、じじいはどうした?」

 何気ないフサギコの問いに、黒い男の表情は一気に暗いものになった。

(_ ̄ )「聞いてなかったのか」

 ため息をつき、死んだよ。と告げた。
 そして、お前ら、役人のせいでな、と繋げた。

ミ,, Д 彡「……そうか」

 対するフサギコは短く返し、近くに煙草を投げ捨てた。
 漆黒の男はその仕草を見て、また不快な顔になる。

132 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/12(木) 06:32:30 ID:GfCUERUw0

(_ ̄ )「……」

 男の視線の先には投げられた煙草があった。
 ブーンは不安になり、拾おうと思ったが、思うように体が動かなかった。

 漆黒の男は、煙草から、フサギコへ視線を戻し、そしてもう一度地面へ視線を傾ける。
 フサギコが心から悲しんでいると察したからだろう。

ミ,,゚Д゚彡y―~~「それで、お前が新しい村長か?」

(_ ̄ )「……いや、今この村に村長なんていない」

ミ,,゚Д゚彡y―~~「どういうことだ?」

(_ ̄ )「村長が死んだことで、県長派の動きが弱まった。
    しかし、弱まっただけだ。反対派を村長にする決定まではさせてくれない」

133 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/12(木) 06:39:13 ID:GfCUERUw0

( ^ω^)「?」

ミ,,゚Д゚彡y―~~「まぁ……そうだろうな」

( ^ω^)「どういうことだお?」

 暗い空気の中、思い切って聞いた。
 聞かなければ、真実にたどり着くことはできない。

 そう思ったからだ。

 漆黒の男の白い瞳がこっちを覗き込むのを感じた。

(_ ̄ )「県庁は、地主の……
    いや、正確には素直家の力をな」

ミ,,゚Д゚彡y―~~「大英雄、シャーミン松中の行った改革をなかったことにしようとしてやがる」

(_ ̄ )「……それだけは、歴史の針を戻すことだけはやってはいけない」

134 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/12(木) 06:44:41 ID:GfCUERUw0

ξ;゚听)ξ「でも……」

 ツンの呟きに、フサギコと漆黒の男は鋭い視線を投げた。

(; ^ω^)「ツン!」

 大声で、ツンの言葉を遮る。
 この二人は、盲信者なのだ。

 反対理論を唱えることは、死に至る可能性がある。

 ブーンの怒気を孕んだ声に、ツンは言葉を詰まらせた。

 それでいい。下手なことを言っては、群馬では長生きできない。

ミ,,゚Д゚彡y―~~「あの野郎、今警察が力を失ったらどんなことになるか考えていないんだ」

135 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/12(木) 06:46:24 ID:GfCUERUw0
(_ ̄ )「……野郎?
    確か、県長は女だと思ったが……」

 漆黒の男の呟きに、フサギコは信じられないという顔をした。

ミ;,,゚Д゚彡y―~~「こまけえこたいいんだよ!」

 急に大声になるフサギコに、漆黒の男は驚いた顔をし、目をパチパチした。

ミ,,゚Д゚彡y―~~「それよりあんた、名前は?」

(_ ̄ )「……田中さ
    田んぼの田に中国の中で田中なのさ」

 そう言って、漆黒の男は悲しそうな顔をした。



( ^ω^)は役人のようです
      第7話「漆黒の男」 終

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