938 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:44:48 ID:L15Gt5dg0

 〜強襲揚陸艦クレイドル・ブリッジ〜


(゚、゚;トソン「本艦単艦で任務続行は無謀です!」

ブリッジ内に副艦長であるトソンの驚愕と若干の怒気を含んだ声が響き渡る。

( ゚д゚ )「正しくは、任務変更となるわけだから、続行というよりは新規という扱いになるな」

対する艦長であるミルナの返答は至極落ち着いたものであった。
艦長、副艦長として過ごした期間はまだそう長くはないはずだが、
ミルナはトソンがこの作戦に反対するであろう事は予測出来ていた。

(゚、゚#トソン「そういう話ではありません!」

話の論点をずらしたミルナの言葉に、先ほどよりは怒気を顕にしてトソンは詰め寄る。
.   _
【( ゚∀゚)】「そんなに眉間に皺寄せてると小皺が増えるぜ、中尉殿」

(゚д゚#トソン「うるさいですよ、ジョルジュ少尉。その眉毛毟りますよ?」

939 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:45:48 ID:L15Gt5dg0

二人の話に割って入るように、ジョルジュと呼ばれた男の顔がブリッジのモニターに映し出された。
.   _
【( ゚∀゚)】「おー怖」

(゚、゚#トソン「何の用ですか? 現在ブリーフィング中なので後にしてもらえると助かるのですが?」
.   _
【( ゚∀゚)】「なーに、そのブリーフィングについての話さ」

(゚、゚トソン「……どういう事です?」

ジョルジュの言葉にトソンはジョルジュではなくミルナの方を向く。
ブリーフィングとは言ったが、まだ自分とミルナとの間での話でしかなかったことだ。
何故戦闘機のパイロットであるジョルジュがその話を知っているのか問い質す目でミルナを見る。

【(,,゚Д゚)】「ジョルジュ、余計な茶々を入れるな。話が進まん」

(゚、゚トソン「ギコ大尉、あなたはこれから艦長が行おうとされている作戦の事を……」

ジョルジュを押しのけるように、この艦の戦闘機隊の隊長であるギコの顔がモニターに映し出された。
どこかへらへらした印象のあったジョルジュとは対照的に、精悍で強面な印象を受ける。

940 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:46:35 ID:L15Gt5dg0

【(,,゚Д゚)】「ああ、知っている。というより、こちらから提案したものだからな」

(゚、゚;トソン「なっ……無謀すぎます!」

【(,,゚Д゚)】「状況をよく見てみろ、トソン中尉」

【(,,゚Д゚)】「今回の作戦はこのクレイドルを始め数艦が囮となり、その隙に帝国の移動要塞に奇襲をかけるというものだった」

【(,,゚Д゚)】「しかし作戦は看破され、奇襲部隊は壊滅。現在、本隊が帝国の攻撃を受けている」

(゚、゚トソン「はい、ですから我々は一刻も早く本隊の救援に向かうべき……」

【( ^Д^)】「それじゃあ勝てねえでしょうが」

(゚、゚トソン「既にこの戦いは我々の負けですよ、プギャー少尉。後は被害を如何に最小に止めるかです」

【(´・ω・`)】「正論ですが、僕達はまだ負けたとは思ってないんですよね」

(゚、゚トソン「常に冷静沈着な貴方の言葉とは思えませんよ、ショボン曹長。ここからどうやって巻き返すつもりです?」

【( ^ω^)】「それがクレイドル単艦による、移動要塞デススター強襲作戦ですお」

941 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:47:47 ID:L15Gt5dg0

(-、-トソン「ブーン伍長……貴方まで……」

次々とモニターに映し出される戦闘機パイロットの面々に、トソンは頭を抱える。
既に彼らはこの無謀な作戦をやる気なのだと。
.   _
【( ゚∀゚)】「やる気も何も、もともとこっちから提案したもんだしな」

【( ^Д^)】「後は許可を貰うだけっスよ」

【(´・ω・`)】「まあ、許可が出なくても我々だけで実行するつもりですが」

(-、-;トソン「何故その様な無茶を……」

【( ^ω^)】「無茶でもやるしかないんですお!」

(゚、゚トソン「ブーン伍長」

【( ^ω^)】「ここであの移動要塞を叩かなければ、地球は危機に陥ってしまいますお」

【( ^ω^)】「そうしたら僕の大切な人達が戦火に晒されるんですお」

【( ^ω^)】「それだけは断固として阻止しなければならないんですお!」

942 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:49:11 ID:L15Gt5dg0

(゚、゚トソン「それは……」

それは確かに正論で、これ以上の侵攻を許すと、戦火は地球へ広がるだろう。
ブーンに限らず、自分やその他の乗員達にも地球には守りたい人達がいるのだ。

ここで止めたいと思うのは、皆の共通の思いだ。

(-、-トソン「守りたい人ですか……それは地球に思い人がいるという事ですね」

【(;^ω^)】「え、あ、その……それはその……家族とか……」

(-、-トソン「とか?」

【(;^ω^)】「えっと……その……彼女とか……」

【(#^Д^)】「お前彼女いたのかよ! 初耳だぞ?」
   _
【(#゚∀゚)】「新人の癖に生意気だぞ! 氏ねよ!」

【(;^ω^)】「え、いや、その……」

944 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:49:56 ID:L15Gt5dg0

【(#^Д^)】「ふざけんな! もげろ!」
   _
【(#゚∀゚)】「ガキが色気づきやがって! 爆発しろ!」

【(´・ω・`)】「やれやれ、もてない男のひがみは見るに耐えないね」

【(#^Д^)】「うるせえ、ホモ野郎!」

【(´・ω・`)】「なんだとコラ? ……掘るぞてめえ」

【(;^Д^)】「すいませんしたッ!」

【(;^ω^)】「アウアウ……」

(゚ー゚トソン「フフ……」

【(,,゚Д゚)】「そのくらいにしておけ……で、作戦だが……」

ギコは淡々と作戦の説明を始める。

945 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:52:45 ID:L15Gt5dg0

現在、クレイドルを始め数艦は本隊とは別の宙域にあり、本隊とは分断された形だ。
敵戦力はほぼ全て本隊の方に向かっており、こちらが向かってこない限り、
こちらは無視を決め込んでいる様だ。

本隊を壊滅させれば、こちらは後でどうとでもなると判断したのだろう。

【(,,゚Д゚)】「普通に考えれば、その判断は正しい」
.   _
【( ゚∀゚)】「けど、俺達は普通じゃねえ」

【( ^Д^)】「戦闘機の操縦の腕は天下一品、泣く子も黙るVIP小隊たあ俺達の事だ」

【(´・ω・`)】「まあ、その素行の悪さから本隊からは遠ざけられてるんだけどね」
.   _
【( ゚∀゚)】「うるせえよ!」

【( ^Д^)】「余計な事言うんじゃねえよ!」

【(,,゚Д゚)】「お前ら俺の話の邪魔ばかりすんじゃねえよ。へし折るぞ?」
.   _
【( ゚∀゚)ゝ】【( ^Д^)ゝ】【(´・ω・`)ゝ】「ラジャ!」

946 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:56:02 ID:L15Gt5dg0

【(,,゚Д゚)】「でまあ、作戦だが、作戦というほどのものはない」

【(,,゚Д゚)】「クレイドル単艦で離脱可能ラインまで突貫」

【(,,゚Д゚)】「その後俺たち五機を射出してクレイドルは後退」

【(,,゚Д゚)】「俺達がデススターのコアを一点爆撃で沈めるって寸法だ」

説明を終えたギコは満足げな顔で頷く。
ジョルジュやプギャーも同様の顔で笑顔を見せるが、聞かされたトソンを始め一部の顔は強張っている。

(゚、゚:トソン「何と言いますか……」

【(´・ω・`)】「頭の悪い作戦だな?」

(゚、゚:トソン「はい……あ、いや、その……」

【(,,゚Д゚)】「作戦はシンプルに限る」

【(´・ω・`)】「少々シンプル過ぎますけどね……しかしまあ、今はこれが最上でしょう」

947 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:56:50 ID:L15Gt5dg0

(゚、゚:トソン「そう……でしょうか?」

確かに、作戦としてはシンプルだが成功の可能性がないわけではないとは思う。
しかしながらかなり過酷な作戦だ。
特に戦闘機のパイロット達は死地に赴くに等しい。
.   _
【( ゚∀゚)】「おいおい、中尉殿、あんま難しく考え過ぎだって」

【( ^Д^)】「何の勝算もなしに俺達がこんな作戦立てたりしねえって」

【(´・ω・`)】「立てたのは大尉と僕だけどね。まあ、シンプルだけど成功する作戦にはなってますよ」

【( ^ω^)】「僕達は必ずこの作戦を成功させますお!」

(゚、゚トソン「皆さん……」

パイロット達の顔は皆一様に自信に溢れていた。
そこに悲観の色は全くなく、彼らならばと思わせてくれる。
それはトソンの頭によぎる死の影を払拭するには十分なほどであった。

(゚、゚トソン「……わかりました、艦長」

948 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:57:41 ID:L15Gt5dg0

それまで全く口を挟まずにやり取りを見守っていたミルナは、力強く頷く。

( ゚д゚ )「ああ、……ただし若干の作戦の変更がある」

【( ^ω^)】「変更ですかお?」

( ゚д゚ )「クレイドル、及び、キャスケット級揚陸艦四艦は大尉達を射出した位置で待機」

【(,,゚Д゚)】「!」

( ゚д゚ )「そこで作戦の成功、及び大尉達の帰還を待つ」

【(,,゚Д゚)】「無謀です、ミルナ艦長」

【(,,゚Д゚)】「現状放置されているとはいえ、デススターに肉薄すれば向こうの迎撃艦隊が出てきます」

【(,,゚Д゚)】「止まるのは遠からず全滅を意味します」

( ゚д゚ )「なに、それまでに大尉達が作戦を成功させて帰還してくれればよい事だ」

【(,,゚Д゚)】「しかし……」

949 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/04(金) 23:58:33 ID:L15Gt5dg0

( ゚д゚ )「自信がないかね?」
.   _
【( ゚∀゚)】「んなわきゃねえでしょうが!」

【( ^Д^)】「そんなの余裕っスよ」

( ゚д゚ )「ならば問題あるまい」

【(,,゚Д゚)】「……フッ。無茶なお人だ」

( ゚д゚ )「なに、君達ほどではないさ」

(゚、゚トソン「と言いますか、いつの間に他の艦に連絡を取ったのですか?」

( ゚д゚ )「向こうから取って来たよ。君達のやり取りを流していたらね」

(゚、゚;トソン「さらっと何してくれてるんですか……」

(゚、゚トソン「まあ、結果オーライでしょうけど」

【(´・ω・`)】「さて、それじゃあ早速準備に取りかかろうか」

950 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/05(土) 00:00:07 ID:WZe.lWD20

(゚、゚トソン「待ってください、最後に一つだけ……」

【( ^ω^)】「何ですかお?」

(゚、゚トソン「必ず皆で帰ってくる、それまでが作戦ですからね?」

【( ^ω^)ゝ】「了解ですお!」
.   _
【( ゚∀゚)】「何か遠足みてえな言い方だな」

【( ^Д^)】「トソン中尉って先生みてえだしな」

【(,,゚Д゚)】「茶化すな馬鹿供」

【(,,゚Д゚)】「いいか、俺からも命令するぞ!」

【(,,゚Д゚)】「必ず作成を成功させる! そして……」

【(,,゚Д゚)】「全員で生きて帰るぞ!」
.   _
【( ゚∀゚)ゝ】【( ^Д^)ゝ】【(´・ω・`)ゝ】【( ^ω^)ゝ】「ラジャ!」

951 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/05(土) 00:05:08 ID:WZe.lWD20

 〜強襲揚陸艦クレイドル・戦闘機格納庫〜

  _
( ゚∀゚)「うし、じゃあ行きますかね」

(´・ω・`)「機体の点検は済んでるね? 気を引き締めていかないとね」

( ^Д^)「ま、俺がちゃちゃっとあの星落としてやるけどな」
  _
( ゚∀゚)「は? ドン亀プギャーちゃんが俺に敵うわけねえだろ? 落とすのは俺だ」

(#^Д^)「んだと、この早漏野郎が! 早いだけで何が出来るよ?」
  _
(#゚∀゚)「あ? 何だと、コラもう一編言ってみろや?」

(,,゚Д゚)「そのくらいにしておけ、馬鹿共。殴るぞ」
 _
( ゚∀゚(#)「出来れば殴る前に言ってください」

(^Д^(#)「すんませんした」

952 :( ^ω^)ブーンは星を撃つようです:2011/11/05(土) 00:05:59 ID:WZe.lWD20

(,,゚Д゚)「さて……行けるか?」

( ^ω^)「はいですお」

(,,゚Д゚)「……怖いか?」

( ^ω^)「少し……」

( ^ω^)「でも、僕達ならきっとやれる、そう思いますお」

(,,゚Д゚)「そうか……よし、行くぞお前ら!」
  _
( ゚∀゚)ゝ( ^Д^)ゝ(´・ω・`)ゝ( ^ω^)ゝ「ラジャ!」


彼らは戦場の空へ飛び立つ。
数多の生命が散る戦場の空へと。

その胸に、揺るがぬ決意を秘めて。
守る為に、鋼鉄の翼を宇宙へ羽ばたかせる。



   ( ^ω^)ブーンは星を撃つようです おしまい



あとがき


953 :名も無きAAのようです:2011/11/05(土) 00:10:27 ID:WZe.lWD20

お題
 スターウォーズ

 あとがき 場面切り取り型。
       このスレの短編でシリアスっぽい路線は書いてなかったなあと、ふと思う。

       お題に関してはまず映画のあれが思い浮かびましたが、1〜3しか観てないし、
       1ぐらいしかまともに内容覚えてないので、星間戦争的な意味合いでスターウォーズと
       まあ、デススターとかの辺りはまんま1っぽいですが。
       独自用語も適当に。

       残りお題二つ、今スレ内に終われそうかな。


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