('A`)と歯車の都のようです


283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 22:47:05.87 ID:Xq8Tr1Vn0
/ ,' 3「えふぇふぇふぇっ……、流石じゃ。
   そこまで狼狽えないか、まぁいい。
   つまり、どういう事か分かるか?」

ξ゚听)ξ「……」

/ ,' 3「分かっているのに黙り込むか。
   ならばワシが言ってやる!
   ……奴、ブーンは貴様の"家族"だということじゃ!」

それを聞いた時、ツンは瞬き一つしなかった。
ただ、そうなのか、とだけしか思わない。
ひょっとしたら、ブーンとは従姉弟なのかもしれない。
ツンの抱いた感想は、思いのほか淡泊だった。

ここで動揺しても得はない。
動揺と共にある種の感情が生まれることぐらい、ツンには分かっている。
その感情こそが、荒巻の目的なのだ。
わざわざ、荒巻の喜ぶ事をしてやる必要はない。

/ ,' 3「ふぇふぇふぇ……
   それでのぅ、少し前にワシの庭に奴が迷い込んで来てなぁ。
   貴様との関係を根掘り葉掘り聞こうと思ったんじゃが、生憎記憶を無くしているようでの。
   今、ワシが保護しておる」

ξ゚听)ξ「で、それが何?」

/ ,' 3「ワシの気分次第では、貴様に預けてやらんでもない。
   のぅ、じゃからワシの話を聞けぃ。
   世の中ギブ・アンド・テイクと言うではないか」



 
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 22:50:13.27 ID:Xq8Tr1Vn0
ξ゚听)ξ「じゃあ無理ね。
      それに、あんたが保護してる奴なんてこっちから御免よ。
      廃品回収にでも出しておくのね」

了承した所で、結果は同じ。
ツンは既に覚悟を決めている。
それに、荒巻は気付いていないのだろうか。
自ら犯した致命的な矛盾に。

/ ,' 3「全てが終わって、精液臭くなったその口が何と言うか、今から実に楽しみじゃのう。
   ……お前たち、武器は使うな。
   安全装置を掛けて床に置け、いいな。
   もし逆らえば、分かるな?」

「……へへっ、分かりました」

荒巻の指示に、嬉々とした声で男達は答えた。
素手で、しかも大人数で女を相手にするのであれば、このぐらいのハンデが丁度いいと考えたのだろう。
連中からしたら、得物を使った一方的な狩りよりかは、無力な女を素手で嬲りながら追う方が楽しいのかもしれない。
地面に銃やナイフと言った、金属の類が置かれる音が次々と響く。

/ ,' 3「……やれ。
   ただし、顔は傷つけるなよ。
   萎えるからな。
   それから、味見はワシがする」

荒巻の言葉と共に、一斉に跫音がツンに向かって殺到する。
こうなってしまったら、ツンも黙って座っている訳にもいかない。
スチェッキンを素早くホルスターに戻し、ツンは大通りを背にして立ち上がった。
そして、ヴィントレスを構える。



 
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 22:53:08.20 ID:Xq8Tr1Vn0
ξ゚听)ξ「あんた達、口が臭いのよ!
      気安く私に近寄るんじゃないわよ!」

横薙ぎに連射。
胸や腕を撃たれた男達が倒れる。
運よく銃弾から逃れた者達は、ツンのすぐ傍まで接近していた。

(*●ω○)「ひゃっはぁっ! 一番乗りぃ!」

右目に眼帯を掛けた一人の男が、奇声を上げてツンに飛び掛かる。

ξ゚听)ξ「あっ、そう! じゃあそのご褒美に、スーパーマンにしてあげるわ!」

ヴィントレスと合気を利用して、飛び掛かって来た男を屋上から投げ飛ばす。
男の体は、地面に向かって自由落下して行った。

(;●ω○)「ひゃあああああああ!!」

絶叫だけが空しく響く。
男は他にもまだ大勢いる。
ツンは格闘戦に備え、ヴィントレスを短く構え直した。
今度は左右二方向から、同時に襲い掛かって来る。

それを軽く躱し、ヴィントレスの銃床で一人の頬を横から殴りつける。
頬骨の折れる音と共に、男は屋上から落下。
もう一人の男の喉元には、ヴィントレスの銃口を突き出す。
喉仏が潰れ、ツンが駄目押しの回し蹴りを放ち、悶絶しながらその男も屋上から落ちた。

ξ゚听)ξ「ほら、男なんでしょう?
      意地はないのかしら、意地は!」



 
291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 22:56:21.18 ID:Xq8Tr1Vn0
連続して放った回し蹴りで、近付いてきた男の首を破壊。
倒れた男の体に、運悪く躓いてしまったもう一人の男の鼻面を、ヴィントレスの銃床で砕く。
ヴィントレスをまるで槍のように扱い、男共を薙ぎ倒す様はまるで―――

「どうなってるんだ!
クールノーの娘が、女スティーブン・セガールだなんて聞いてないぞ!」

そう言いながら繰り出された拳を、ツンはスウェーバックで避ける。

ξ゚听)ξ「……っんだと?」

失言した男の足を払って転ばせ、顔面を踏み砕く。
その横から、ツンの鳩尾に向かって拳が飛んで来た。
回避が不可能と判断し、ツンはその拳を肘と膝を使って止める。
拳を突き出して来た男の胸を勢いよく蹴り飛ばして、ビルから落とした。

ξ゚听)ξ「誰が!」

後ろから迫って来た男の存在を察知し、ツンは後ろに向かって右足を蹴り上げる。
すると、丁度その踵は男の股間に直撃。
体外に出ていてなお且つ守りの無い内臓、即ち睾丸を砕かれ、男は悲鳴を上げることなくショック死した。
男の最大の弱点である睾丸を砕かれては、犯すどころの騒ぎではない。

ξ゚听)ξ「女!」

睾丸を砕いた足を、振り子の様に前に蹴り出す。
前方で、その光景を見て絶句していた男の股間を、ツンの爪先が砕く。
男はこの世のものとは思えない絶叫を上げ、股間を押さえて膝を付いた。

ξ゚听)ξ「セガールだって?!」



 
294以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 22:59:03.02 ID:Xq8Tr1Vn0
飛び膝蹴りをその男の顔に直撃させ、ツンはそれを踏み台にして飛び越え、屋上の中央に向かって走り出す。
包囲網を脱すれば、ゼロに近い可能性が生まれる。
この時、ツンの勇ましさと決断力の速さは称賛に値した。
だが、それでも。

ξ゚听)ξ「……くっ!」

限界は、来てしまうのだ。
先程は大通りを背にしていた為、一度に背後を除く約6方向を相手にすれば事足りた。
合気を利用すれば、位置の関係で突っ込んで来た相手を簡単に処分できたのだが。
移動してしまった為、ツンは同時に背後を含む約12方向、下手をすればそれ以上を相手にしなければならない。

相手にするのは、物理的に不可能だった。
踏鞴を踏んだツンを中心に、輪を描くように囲まれる。
しかし、すぐには手を出してこない。
どうやら、味方の睾丸が容赦なく潰された光景が目に焼き付いているらしく、躊躇っているのだろう。

<゚Д゚=>「余計な手間こさえさせやがって……
     それなりの覚悟はできてるんだろうなぁ?」

集団から一歩進み出たギコタイガーが、邪悪な笑みを浮かべる。
残った相手の人数は、30。
ここまで、粘った方だろうか。
手にするヴィントレスは先程、何度か激しい打撃に使った為に正確な射撃は期待出来ない。

しかも、弾倉内に弾は無い。
ヴィントレスを銃床から地面にゆっくりと置く。
ツンは両手を胸の前で組んだ。

/ ,' 3「貴様等はそいつを取り押さえておけ、最初に犯るのはワシじゃ」


 
297以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:02:07.97 ID:Xq8Tr1Vn0
ギコタイガーの横から、荒巻が姿を現す。
そして、荒巻の言葉にエクストが喰いついた。

<_プー゚)フ「え、いやいやいや。
        荒巻さん、ちょっと待ってくださいよ。
        ここは俺に譲ってくれませんかねぇ?」

荒巻に対峙する形で歩み出たエクストは、媚びへつらうような笑みをその顔に浮かべる。
が、荒巻は表情一つ変えずに言い返した。

/ ,' 3「ああ?
   すまんの、よく聞こえん。
   とりあえず、そこをどけい。 邪魔じゃ」

エクストの横を、荒巻が通り抜けようとする。
それを、エクストは体を移動させて強引に防いだ。

<_プー゚)フ「もう一度、大きな声で言いますぜ。
        最初に味見する権利は、俺に譲ってくれませんかぃ?」

大きく、恫喝するような声。

/ ,' 3「若造が、出しゃばるな。
   折角、ワシが聞かなかった事にしてやったんじゃ、大人しく退け。
   貴様等はワシの後じゃ」

<゚Д゚=>「まぁ、待ってくださいトラァ。
     荒巻さん、どうしても俺達に譲る気はないんですトラァ?」

/ ,' 3「……くどいのぅ」



 
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:05:13.58 ID:Xq8Tr1Vn0
溜息と共に吐き出された声は、年老いた獣の唸り声の様だった。
かつては都のチンピラを率いていただけの事はあり、その実力は未だ健在だった。

<_プー゚)フ「……ちっ」

<゚Д゚=>「エクスト、手前、どうするトラァ?」

<_プー゚)フ「この耄碌爺の後は御免だぜぇ。
        いっつも中で出して汚すから、後の連中が迷惑するんだ。
        種付けするなら、自分のおもちゃだけにしとけってんだ。
        輪姦す時もそんな調子なんだ、やる時、気持ちわりぃんだよ」

<゚Д゚=>「だよな。
     ……おい、お前らはどうするトラァ?」

ギコタイガーが、後ろに控えている男達に声を掛けた。

「正直に言えば、そうっすね。
汚れてたら嫌っすもん。
やっぱ、お下がりでも綺麗な方がいいっす」

/ ,' 3「貴様等ぁ、ワシに逆らうとどうなるか、分かって言っているのか?」

<_プー゚)フ「嫌だなぁ、逆らうなんて"まだ"言っていませんよ。
        そこで提案がありまさぁ。
        どうです?
        早い者勝ちってことで、ここはひとつ」

<゚Д゚=>「へっへへ、それなら平等だトラァ。
     荒巻さんも、これだったら文句はありませんよねぇ?」



 
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:08:03.55 ID:Xq8Tr1Vn0
ここで文句があると言えば、間違いなく荒巻は殴り殺される。
それか、屋上から生きたまま投げ捨てられるのは必至だった。
荒巻が忌々しげに頷いたのは、状況的に仕方がないと言えた。
何故なら、エクストもギコタイガーも、おそらくはこの場に揃っている男達は皆、ツンに負の感情を抱いているからだ。

その負の感情を無理に押さえつけようとすれば、倍になって反発するのは当然と言える。

/ ,' 3「……では、先に言っておくぞ。
   ワシに最初の権利を譲った者には、七千万渡そう」

荒巻が言い終えた時、どこからともなく、パチンと指を鳴らす音が聞こえた。
それを契機に、ツンを囲んでいた男達が動き始める。
目には狂気の色が浮かび、口元は歪む。
飢えた獣の手が伸びる。

獣達の下半身は滾り、ズボンの上からでも分かる程に肥大化していた。
おぞましい。
気持ち悪い。
吐き気を催す。

獣の群れが欲望を発散する対象に向かい、襲い掛かる。
犯せ。
犯す。
犯しつくすと、声にならない叫び声を上げながら。


―――そして、悪夢が始まった。





 
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:11:41.78 ID:Xq8Tr1Vn0
――――――――――――――――――――

全く抵抗する素振りを見せないツンに、最初に到達したのはエクストだった。
勢いよくツンを押し倒し、組み伏せる。
他の仲間が、素早くツンの両手足を押さえつける。
少し強く倒しすぎた気もしたが、気にしない。

どうせ、楽しみ終わったら嬲り殺しにするのだ。
後頭部を強打して重傷になろうが、犯っている間に死ななければ問題はなかった。
屍姦は趣味ではないが、ツン程の美人なら悪い気もしない。
一先ず、ツンの前髪を掴んで顔を持ち上げる。

顔を近づけ、ツンの頬を舐める。
ゆっくりと。
獲物の味を確かめるようにして、エクストはツンの頬を舐めた。
ツンは、気持ち悪そうに顔を顰める。

堪らない。
この女を、もっと壊したい。
続いて、ツンの唇に自らの唇を重ねる。
強引に口内に舌を入れ、舐めまわす。

歯を閉じられている為、その奥に舌が届かない。
エクストは一旦唇を離し、ツンの頬をやや強めに平手で叩いた。
その後、もう一度唇を重ね、ようやく開いた口内に舌を侵入させた。
ここでエクストの舌を噛んだら、どんな事をされるかぐらいは分かっているらしい。



 
312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:15:18.18 ID:Xq8Tr1Vn0
それでも、自発的に動こうとはしなかった。
エクストだけが、ツンの舌に自らの舌を絡ませている。
下品に音を立ててツンの唾液を啜り、自らの唾液を送り込む事を忘れない。
口の中全てを舐めまわし、ようやく唇を離す。

ツンの強気な眼が、エクストを許すまいと憎悪を込めて睨みつける。
そうだ。
まだ諦めるな。
こうでなくては、楽しくないのだ。

ツンの着ていた服の胸元を横に引き裂くと、白い下着が現れた。
下着が邪魔なので、それを剥ぎ取った。
想像より少し大きめな乳房が露わになり、エクストは舌なめずりをする。
ピンク色の突起を、指で強く摘まむ。

歯を食いしばって苦痛に耐えるツンの表情が、エクストの嗜虐心を刺激した。
突起から指を離し、乳房全体を握り潰す。
前戯とはとても呼べない行為は、事実、前戯ですらない。
強気な女の苦痛に耐える表情が、エクストは大好きなのだ。

後に他の者が控えているので、今ここで壊してはいけない。
ツンの下腹部へと手を伸ばし、邪魔なベルトを外す。
ズボンを引きずり下ろし、ツンの陰部を守るのは薄い下着一枚となった。
ずらすか、それとも下ろすか。

どちらの方が、より興奮するのだろうか。
考えた末、エクストは下着を取る事にした。
結合部をツンに見せつければ、素晴らしい反応を見せてくれると考えたのだ。
乱暴に下着を千切ると、そこに現れた光景にエクストは思わず笑ってしまった。


314以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:18:20.54 ID:Xq8Tr1Vn0
無毛だ。
それを見た他の者達も、一斉に笑いだす。
エクストは、ツンにも笑うよう言った。
しかし、ツンは笑わない。

エクストは唐突に、ツンの腹部に思い切り拳を振り下ろした。
眼が大きく見開かれ、ツンの顔が苦痛に歪む。
もう一度同じ事を言った。
だが、反応は同じだった。

こうでなくては。
クールノーの娘ならば、こうでなくてはいけない。
こうでなくては、楽しめない。
これでこそ、壊し甲斐があると言うもの。

満足げにエクストは笑い、そして。
自らのズボンのチャックを下ろし、興奮でそそり立つそれを取り出した。
子供の握り拳並みの太さがあるそれは、欲望を爆発させる瞬間を今か今かと待っている。
一瞬、それを見たツンの顔が恐怖に強張ったのをエクストは見逃さない。

性交に慣れた者ならばまだしも、処女でこれを受け入れるのはまず不可能だろう。
だがそれはエクストには一切関係がなく、ましてや容赦するような間柄でもない。
握ると言うよりかは掴むようにして、エクストはそれをツンの陰部に押し当てた。
ロクに前戯もしていない為、ツンの陰部は全く濡れていない。

これはますます、壊れる可能性が高かった。
が、最初に挿入するのは他ならぬエクストだ。
自分の番さえ楽しめれば、他の者が壊れたおもちゃで遊ぼうと構わない。
かと言って、濡れていなければ自分の陰茎が危ない。



 
317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:21:04.96 ID:Xq8Tr1Vn0
仕方なく、エクストは自分の指を唾で濡らして、ツンの陰部にそれを塗りたくる。
これで、一応は大丈夫なはずだ。
少なくとも、エクスト自身は、だが。
少しずつ力を込めて腰を突き出し、ツンの中に陰茎を埋めてゆく。

押し広げながら進む度、ミチミチと何かが引き裂かれるような音が鳴る。
エクストの陰茎は、未だツンの処女膜には達していない。
つまり、ツンの陰部が裂けているのだ。
それでも声を漏らさないのだから、流石としか言えない。

裂けた場所から血が流れ、傍から見れば気が滅入る光景だった。
女の血を見て興奮するようなサディストを除けば、だが。
陰茎が半ばまで進んだ辺りで、それまでとは違う感触を僅かに感じ取った。
これから、その膜を引き裂く事をツンに宣言。

一気に、貫いた。
血液が潤滑液として作用し、想像よりも比較的スムーズに貫けた。
が、流石は初物。
潰されるかと思うほど強烈な締め付けに、エクストは思わず呻き声を上げる。

ツンの顔を見る。
薄らと、涙が浮かんでいた。
最高だった。
本日最高の気分であった。

ツンの腰を掴んで、陰茎を引き抜いては突く。
相手の事を考えず、己の欲望を発散する為の単純なピストン運動。
その度、ツンの体が大きく揺れる。
結合部から、鮮血が滴り落ちる。



 
320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:24:02.77 ID:Xq8Tr1Vn0
油断をしていれば、すぐに射精してしまう程の快楽を耐える。
ツンの小さな体が壊れて行く。
運が悪ければ、ツンの生殖機能はこれで駄目になったかもしれない。
それを想像して、あまりの気持ちよさにエクストは笑い出した。

ふと、エクストは面白い事を考え付いた。
結合部に手を伸ばし、ツンの陰部にある小さな突起を爪で抓ったのだ。
途端に、エクストの陰茎を包む肉壁が収縮する。
そろそろ絶頂だ、とツンに告げた。

一番奥にまで突き入れ、そして引き抜く。
それを数回繰り返した時、遂に限界が訪れた。
限界に達する直前に引き抜き、ツンの腹の上に射精した。
血に染まった陰茎から白い精液が大量に放たれ、エクストの全身に電気が走ったかのような快感が満ちる。

ツンの腹部は、あっという間に白い液体で汚された。
ツンの上から退き、後続の者に譲る。
そして、ツンの顔のそばに屈みこむ。
どんな気分だと尋ねても、ツンは答えない。

エクストはツンの金髪を掴み、それで自らの陰茎を拭き始めた。
壊すならば、徹底的に。
そして、穢すならば容赦なく。
それが、エクストの信条である。

精液と血を拭った金髪で陰茎を包み、エクストは自らの陰茎を扱き始めた。
尿道に残っていた精液が、ツンの髪に付着する。
綺麗な物を汚すのは、酷く興奮した。
エクストはもう一度ツンの髪で陰茎を拭い、順番が回って来るまでツンが犯される様を遠くから眺める事にした。



 
323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:28:55.01 ID:Xq8Tr1Vn0
今でこそまだ強気な眼をしているが、果たしてどこまで耐えられるか。
エクストの次に控えていた男は、狂ったように腰を振っている。
まだ二回目だ。
締まりは悪くないだろう。

一周した後には、それは期待できない。
だが、そこから先はツンの体を壊しながら犯せば問題はなかった。
締まりが悪くなる度に骨を一本折れば、二周は出来る。
折る骨が無くなれば、少しずつ肉を削げばいい。

どうやら大通りでの作戦は失敗したようだが。
こちらの作戦は成功した。
荒巻スカルチノフの復讐。
もう一つ用意していたサプライズがあったのだが、それは間に合わなかったらしい。

出来ればそれを見てみたかったが、まぁいい。
そのおかげで、こうしてツンの処女を奪う事が出来たのだ。
どうせこの後、エクスト達は殺されるだろう。
それを考えると、やはり一番最初にツンを壊せたのは僥倖だった。

楽しんだ後は、別に死んでも構わない。
その分は既に楽しんだ。
五年前に飲まされた煮え湯の恨みは、こうして発散する事が出来た。
向こうの連中がツンの事に気付くまで、こうして輪姦していればいい。

嗚呼。
気持ちいい。
自らが望んだ通りの展開になると言うのは、麻薬を使った時よりも気持ちがいい。
全身が気だるい。



 
326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:32:30.89 ID:Xq8Tr1Vn0



足元がおぼつかない。
―――何か妙だ。
幾ら気持ちいいからと言って、ここまで脱力してしまうものなのか。
きっと、少し疲れただけだろう。

久しぶりに、少々はしゃぎ過ぎたか。
何故か、体が妙な浮遊感に包まれている。
それでいて、性交時よりも気持ちいい。





エクストは、そのまま正体不明の快楽に包まれ、闇に落ちて行った。







 
329以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:35:33.95 ID:Xq8Tr1Vn0
――――――――――――――――――――

悪夢だった。
眼の前で起き始めた異常事態は、紛れもなく悪夢であった。
ツンに襲い掛かるかと思われた男達が、何を思ったか自分達の仲間に襲い掛かったのだ。
しかも、襲い掛かる、の意味は変わっていない。

女を襲うのと同様、性欲に駆り立てられて襲い掛かっていた。
男が男の上に跨り、服を剥ぎ、平らな胸を揉み、陰茎を弄っている様など吐き気すら覚える。
一番乗り気だったエクストは、ギコタイガーの上に跨って何やらフレンチキスまでしている始末だ。
気持ち悪いとしか言えなかった。
  _,
ξ;゚听)ξ「……な?」

それしか言葉が出なかった。
眼の前で起きている事態を説明するなら、地獄絵図。
悪夢が現実になった、地獄絵図だ。
その手の者ならば歓喜する光景だろうが、ツンにはそのような趣味は無かった。

最悪だったのは、その悪夢の乱交パーティーはツンを囲むように行われているのだ。
何がどうしてこうなったのか、ツンには思い当たる節がない。
まさか、揃いも揃って一瞬で男色家になるウィルスにでも感染したのか。
しかし、それをツンに見せつけられても困る。

仲がいいのは結構なことだが、女に見せて何がしたいと言うのか。
全く理解不能である。
ところどころで、おぞましい男達の喘ぎ声が聞こえる。
組み敷かれている者の中には、白目を向いて口から血の泡を吹いている者までいた。



 
333以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:38:48.28 ID:Xq8Tr1Vn0
食事前後でなくて、本当に良かったと安堵した。
ツンとしては、一刻も早くこの阿鼻叫喚の乱交パーティーから逃げ出したかった。
だが、包囲されている為に逃げようがない。
幸運なのか、それとも不幸なのか。

反応と判断に困ったツンは、冷静になる事にした。
聞くに堪えない男の喘ぎ声を無視して、一先ずヴィントレスを拾い上げる。
最後の一つとなった弾倉に交換して、棹桿操作をした。
照準器を調節。

距離を短めに設定し、精度がどれぐらい落ちているのか確かめる事にした。
手頃な距離に倒れている男―――死体と化していたクマーである―――の米神を狙い、銃爪を引く。
顎だけを残して頭が綺麗に吹き飛び、舌がだらしなく垂れ下がる。
グロテスクな死体となったクマーは、荒巻に犯されていた。
が、荒巻はそれが見えていないのか、全く構う気配がない。

あまつさえ、顎だけとなったクマーの顔を殴り出したではないか。
ここで今すぐ荒巻を殺る事は容易だが、奴には相応の死を与えると決めている為、今は殺さない。
快楽の中で死なれても困るのだ。
しかし、一体何が起きていると言うのか。

皆、何かしらの幻覚を見ているのは間違いなさそうだが。
ふと、視界の端でエクストが立ち上がった。
下半身を晒したまま、何かに導かれるようにフラフラと屋上の端へと歩いて行く。
そして、何を思ったのか、いきなり身を投じた。

エクストが犯していたギコタイガーを見る。
別の男が、エクストよりも更に乱暴に犯していた。
ギコタイガーは白目を向いて、舌をだらしなく出し、失禁までしている。
どう見ても、ギコタイガーは死んでいた。



 
336以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:41:04.71 ID:Xq8Tr1Vn0
一応、ツンはギコタイガーの頭を撃ち抜いた。
何処かに道を作れば、この乱交パーティーの場から抜け出せる。
せっかくなので、ギコタイガーを犯している男も撃ち殺した。
油断していると、別の男が死体を犯そうと群がって来るので、ツンは急いで開いた穴から外に出た。

屋上へと続く階段のそばに来たツンは、後ろを振り返る。
ツンなど眼中にないかの様に、男達は互いに犯し合い、呻き声を上げていた。
階段の近くにある、ツンのせいであちらこちらに穴の開いた脱出装置を開き、アンカーを発射する装置を取り出す。
狙いを定め、銃爪を引いた時だった。

銃爪を引いていると言うのに、アンカーが発射されない。
貫通した弾のせいで、発射装置を壊してしまったのか。
何もこんな時に壊れなくてもいいのにと、ツンは舌打ちをしようとして気付く。
―――違う。

これは、壊れているのではない。
"二次事故防止の為の安全装置"が作動しているのだ。
では、何故作動しているのか。
答えは一つ。

このビルに向かって、接近している者がある。
遂に来た。
急いで装置から離れ、ツンは装置に突き刺さっているアンカー。
正確には、その後ろに付いているワイヤーを撃とうとする。

しかし、遅かった。
ピンと張ったワイヤーに狙いが定まった時には、それはもうこのビルに着地している。
ツンの居る場所のちょうど反対側に着地したそれは、着地した姿勢のまま動かない。
更に、悪い事は連鎖するものらしい。



 
339以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:44:45.55 ID:Xq8Tr1Vn0
それまで気色の悪い乱交をしていた者達が、その動きを止めたのだ。

/;,' 3「……な、なんじゃ、こりゃあ。
   ……男?
   お、おおおおおおおとっこおおおお!?」

「ひへっ?!な、何でお前が……!!
おい、大丈夫か、おい!!」

「おっ、男?!
うわっ、うわああああああ!!
先っちょにいいいいい!」

どうやら、皆揃って正気に戻ってしまったらしい。
結局、状況は元通りになると言うことか。
強いて大きな変化があったと言うのならば、ギコタイガーやその他の男達が死んでくれた事だろう。
だがそれを帳消しにするぐらい最悪な者が今、脱出装置を挟んでツンの眼の前に現れていた。

それが、ゆっくりと立ち上がり、ツンを見る。

( ゚ω^)「……」

ξ゚听)ξ「……何の用?」

後ろに一歩下がり、ツンは眼の前のそれに尋ねる。
荒巻達はツンから見て左手側、大通りに面する東側にいる為、下がっても問題はない。
背後にあるのは、このビルよりも10メートルほど高い建物。

( ゚ω^)「助けに来たんだお」



 
342以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:47:10.73 ID:Xq8Tr1Vn0
もう一歩、ツンは下がる。
と、同時に。

( ゚ω^)「思い出したんだお」

眼の前のそれが、意味不明な事を口にした。

ξ゚听)ξ「はぁっ? 何を?」

( ゚ω^)「全部をだお。
     だから、今からツンを助けるお」

ξ゚听)ξ「いつ、誰が、あんたに助けてくれなんて頼んだ?
      それと、気安く人の名前呼ぶんじゃないわよ、屑が」

( ゚ω^)「……」

/ ,' 3「……どうした?
   記憶が戻ってそうそう、いきなり仲間割れか?
   はっ、所詮は野良犬だったか、とことん使えん奴め!」

ズボンを履き直し、愉快気そうな声を出す荒巻。
あんな事をしていたと言うのに、その態度は冷静だった。
その理由を、ツンは知っている。
荒巻は焦ってなどいないし、焦る理由がないのだ。

むしろ、荒巻にとっては喜ばしい事態になっていると言っても良い。
眼の前の糞野郎が現れた事は、荒巻の予想の範疇。
荒巻の差し金と言っていいだろう。
ツンの言葉を理解できていないのか、目の前のそれは言った。



 
345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:50:30.37 ID:Xq8Tr1Vn0
( ゚ω^)「じゃあ、あいつらを倒すお。
     それで、信じてくれるかお?」

ξ゚听)ξ「片目で? 冗談でしょ?
      足手纏いはさっさと失せろよ。
      大体、私があんたを信じる理由が一ミクロンだってないのよ」

( ゚ω^)「一緒に戦ってくれお」

キザったらしいその言葉で、ツンは遂に噴き出した。
行動の目的が全て知られているのに、それを知らずに茶番劇を続ける様を見るのは、こんなにも愉快なのか。
相手は、何故ツンが笑い出したのか分かっていない。

ξ゚听)ξ「助けに来たとかほざいてたのに、急に一緒に戦ってくれ?
      言ってる事が滅茶苦茶ね。
      下らない事言ってないで、さっさと溶鉱炉に落ちて親指立てて溶けろ」

ツンの言葉を無視して、それは目の前の脱出装置を避けてツンに歩み寄った。
同じ歩数、同じ距離だけツンは下がる。
そして、ツンはヴィントレスを構えた。
銃口を向けられ、それはツンの目の前10メートルの地点で立ち止る。

( ゚ω^)「……撃つのかお?」

ξ゚听)ξ「当然」

言うのと同時に、それの顔に向けて三発撃ちこんだ。
突然の事に、それは両手で顔を押さえてうずくまる。

(//‰゚)「ナ……ゼ……?」



 
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/04(日) 23:58:01.71 ID:Xq8Tr1Vn0
不意打ちの攻撃に、だがそれは無事だった。
この距離なら対物ライフル並みの破壊力がある弾丸でも、致命傷には至っていない。
顔の皮膚が剥がれ、金属の骨格が露出。
大きな弾痕が、金属の骨格に傷を付けているだけだ。

どうやら、急所の装甲は他とは別物らしい。

ξ゚听)ξ「だから、あんたを信じる理由がどこにもないって言ってんのよ。
      ……荒巻、後少しで成功だったのに、残念だったわね。
      生憎、三文芝居の台本の中身はもう分かってるのよ。
      ネタバレした三文芝居を、まだ続けるのかしら?」

ツンは大げさに溜息を吐き、荒巻を睨みつける。
さながら、バジリスクに睨まれた蛙のように荒巻は身を強張らせた。
額に汗が浮かび、その手はしきりに開閉を繰り返す。
明らかな動揺だった。

それを誤魔化すかのように、荒巻は逆に睨み返してきた。

/;,' 3「な、何の事じゃ!
   ワシは貴様等に何があったかなんて知らん!
   い、いきなりワシに話を振るな!」

この状況でもハッキリと分かる程に顔を真っ赤に染め、荒巻は怒鳴り散らす。
当然だろう。
絶対に気付かれないと思っていた罠に、ツンが気付いていたのだから。
ツンは視線を一旦眼の前にいる"それ"移し、それからその後ろにいる荒巻に移した。

350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:00:43.64 ID:8f5I62SD0
ξ゚听)ξ「あんたの考えそうなことよ。
      あんたが誰かを精神的に叩き落とそうとするなら、一旦上げてから、一気に落とす。
      大方、私のピンチにこいつが助けに来る、っていう粗筋だったんでしょう。
      で、私がこいつを信じた途端、こいつが裏切る。

      後は、あんたの好きそうな事を一緒に犯る。
      まぁ、大まかな筋書きはこんな所でしょ。
      違うかしら?
      ここまで、上手くやったものね。

      あぁ、自信を持っていいわ。
      情けないけど、私も途中までは騙されてたから。
      まぁ、最終的には自力で気付けたけど。
      ……こいつは、ブーンなんかじゃない」

/ ,' 3「何が……言いたい?
   では、そいつがブーンでないなら、な、何者だと言うんじゃ!」

荒巻の声は、焦りや狼狽を通り越し、怒りの色で染まっていた。
どこまでも否定したい気持ちが強く出ているのが、よく分かる。
長年の計画が、今眼の前で水泡に帰そうとしているのだから。
それも、こんな小娘一人に。

相手からしたら、絶対に認めたくないは筈だ。
ふと、ツンは何かに気付いたかのように口元に笑みを浮かべた。

ξ゚听)ξ「くふっ……そうね。
      たぶん、ラウンジタワーで私達を襲ってきた歯車王の私兵じゃないかしら?
      それの外見をあいつに似せて、後は適当にいろんな部分を肉付け。
      どっかの誰かさんが、それらしいヒントを大声で言ってたもの」



 
353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:04:54.63 ID:Xq8Tr1Vn0
ツンが言っている誰かとは、またんきの事だ。
フォックスがツンの眼の前に現れ、一旦消え、そしてこいつが現れた時に言った言葉。
その言葉と、荒巻の目的。
この二つを合わせると、幾つかの真実が垣間見えて来る。

そして、それらは全て正解だった。
荒巻の所有するラウンジタワーをツン達が狙撃に使ったのは、荒巻達にとっては予想外の事であった。
重ねて予想外だったのは、そのラウンジタワーに複数の死体が残されていた事だ。
仮面を掛けた歯車王の私兵部隊が複数。

―――そして、息絶えていたオワタである。
オワタの生命活動は停止していたが、奇跡的に生きていた部位が存在する。
それは、機械化の施された脳であった。
高度な技術の結晶である機械化は、欠損した部位を補う事が出来る。

例えそれが、一度撃ち抜かれた脳であっても例外ではない。
"生前"のオワタの死因は、抗争時に脳を損傷した事が直接の原因である。
損傷した脳を補うには、機械化は必然的に脳に施される。
結果、オワタの脳は通常とは構造が異なり、また、機能も頑丈さも異なっていた。

オワタの脳は、ゼアフォーシステムのプロトタイプに使用する材料として回収された。
その過程で、荒巻は監視カメラに写っていた男。
ツンの心に足を踏み入れる事を許可された数少ない男、ブーンに目を付けた。
フォックスに相談し、ツンを絶望の底に叩き落とす策を巡らせた。

栄えあるプロトタイプの型は、オワタの残骸を使用し、ブーンを模した物となった。
人工的な"記憶喪失の記憶"を埋め込み、更には様々なプログラミングを施した。
こうして生まれたのが、ブーンの姿をしたゼアフォー、その名を"ブーン"。
機械化とゼアフォーシステムの融合によって誕生した、荒巻の切り札である。



 
356以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:08:43.98 ID:8f5I62SD0
ξ゚听)ξ「ご丁寧に、"スクラップ"やら"産業廃棄物"呼ばわりしてたからね。
      それにしても、随分と手の込んだ芝居だったわね。
      ここまで証拠が揃っても気付かないのは、そこら辺の尻軽女ぐらいでしょうけど。
      どう? これでもまだ、糞下らない芝居を続けて滑稽な姿を晒すのかしら?」

(//‰゚)「……」

/ ,' 3「くっ、ぐぬぬぬ……!」

心底悔しそうに、荒巻は唸る。
怒りで歯を鳴らし、手は拳を作って震えていた。
一体何年がかりの計画かは知らないが、いい気味だ。

ξ゚听)ξ「私を騙して、当然、それ相応の覚悟は出来てるんでしょうね?」

/ ,' 3「調子に乗るなよ、小娘!!
   こちらにはまだ人数がおるわ!」

ξ゚听)ξ「そうね。
      足腰と尻が大変そうだけど、役に立つのかしら?
      あら?
      何であんたら、揃いも揃って股間に糞を付けてるの?

      最近の流行は、よく分からないわね」

ツンの声は、雪解け水の様に澄んでいた。
一方の荒巻はと言えば、嵐の様に荒れた声だった。
荒巻の立場からしたら、この状況で冷静でいられる筈がない。
何もかもが、成就する前に見破られたのだ。



 
359以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:11:29.59 ID:8f5I62SD0
完璧だと思っていた罠が見破られた今、当初と同じ効果を期待する事は出来ない。
絶望の内にツンを犯すと言う荒巻の楽しみが、あと一歩と言う所で。
荒巻は声を荒げ、オワタに命令した。

/ ,' 3「黙れぇええええええ!
   オワタ!
   その女の両足を切り落とせ!
   生きている内に犯し殺してやる!」

(//‰゚)「了解」

オワタと呼ばれた機械の両手の甲から、見覚えのある長剣が飛び出た。
その長剣は間違いなく、ラウンジタワーで見たのと同じ物だ。
あの時は室内だったが、今は遮蔽物の少ない屋上。
少々厄介だった。

ξ゚听)ξ「年甲斐も無く男の尻を喜んで掘ってたくせに、良く言うわね!」

ツンはヴィントレスを腰だめに構える。
肩付けでは、あまりにも隙が大きくなるからだ。
瞬間、オワタの姿が掻き消えた。
しかし、ツンの対応はそれよりも疾く、そして冷静だった。

一歩引くのではなく、大きく一歩前に踏み出したのだ。
その動作は、オワタが動くのとほぼ同時に繰り出されていた。
つまり、ツンは相手の動きを予想していたのだ。

(//‰゚)「ッ!?」



 
362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:15:04.54 ID:8f5I62SD0
足を切れと言われている以上、その他の部位を傷つけるわけにはいかない。
故にオワタは、接近して来たツンに一瞬だけ両手を振るうのを躊躇った。
その躊躇いは、オワタの顔面にツンの足を直撃させるのに十分な時間を与えた。
高速で突っ込んで来たオワタが、ただ蹴られただけで、後ろに吹き飛ぶ。

ツンは、"軽く飛び蹴りを放った"だけ。
カウンターである。
向かってくる大きな力に対して、小さな力で的確に迎え撃つ事で、強力な効果を発揮する。
オワタの場合、それは顕著に表れた。

蹴り飛ばされたオワタは、背後にあった脱出装置に背中から激突。
顔から崩れ落ちるも、両手の剣を杖代わりにして素早く立ち上がる。
そして、立ち上がったオワタは目の前で起きた事態に、瞠目した。
荒巻も、遠くからその様子を見る男達も。

皆、ツンの取った行動に我が目を疑った。

/ ,' 3「な、何をするつもりじゃ……」

ξ゚听)ξ「あんたらの目的を実行できなくすれば、私の勝ち。
      違うかしら?」

/;,' 3「自ら死を選ぶつもりか?!」

屋上の縁に両足で立つツンを、皆が凝視する。
ツンの後ろには、フェンスも何もない。
あるのは、虚空。
強風が吹いてバランスを崩せば、あっという間に落下し兼ねない。

落下すれば、待っているのは死。



 
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:19:02.05 ID:8f5I62SD0
ξ゚听)ξ「さぁ、どうなるかしらね?
      運が良ければ植物人間になれるかもしれないわ」

/ ,' 3「馬鹿か、貴様は!
   この高さから落ちて、助かる訳がない!」

確かに、そうだ。
この高さから落ちれば確実に死ぬ。
だが、荒巻の目的である凌辱が確実に阻止できるだけでなく、"殺される"事も無い。
これが、ツンの考えた最良の手だった。

ξ゚听)ξ「助からなかったとして、だからどうしたの?」

(//‰゚)「……ヤメロ」

ξ゚听)ξ「黙れ」

/;,' 3「くそっ、誰かそいつを止めろ!」

ξ゚听)ξ「無理ね」

そう。
無理だ。
誰も、ツンを止められない。
止まるつもりは無い。

ツンはゆっくりと、足を後ろに動かす。
足元の縁に残された幅は、精々三歩がいい所。

―――後、二歩。


 
368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:22:34.87 ID:8f5I62SD0
(//‰゚)「ヤメロオオオオ!!」

ツンは勝ち誇ったように笑う。
オワタが駆けようとするも、距離的に間に合わないと判断したのか、駆けようとした姿勢のまま動かない。
賢明な判断だ。
ここで突っ込んでも、ツンを押し出してしまう可能性がある。

―――後、一歩。

/ ,' 3「えぇい、構わん!
   撃て、誰かそいつの足を撃て!」

荒巻の部下と、捨てた銃の距離はオワタとツンよりも離れている。
当然、間に合わない。
勝った。
ツンの、勝ちだ。

ξ゚听)ξ「……任せたわよ」

それだけ言って、ゆっくりと瞼を下ろす。
そして―――



【時刻――04:00】


―――そして、黒のロングコートを靡かせながら、その体は宙を舞った。





 
372以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:27:49.54 ID:8f5I62SD0
――――――――――――――――――――

(´・ω・`)「……ふむ」

一人の特徴的な垂れ眉の男が、屋上にいた。
上質な黒いスーツを着こなす様は、やり手のサラリーマンのように見える。
だが、こんな時間にサラリーマンは普通、屋上にいない。
事実、男はサラリーマンでは無かった。

書類の上では精神科医。
便宜上は手品師。
口頭上は道化師。
本当の職業を知る者は、そう多くない。

男は、この建物の屋上から約10メートル下の光景を眺めていた。
一対多数。
女が一人、後は男が多数、それに機械人形が一つ。
圧倒的に不利な状況にもかかわらず、女は臆していない。

(´・ω・`)「流石、あの人の娘だ」

頷き、腕時計をちらりと見る。
後30秒程で、時刻は四時になろうとしている所だった。
ふと、男は何かに気付いた様に時計から眼を上げた。
背後にある非常階段の出入り口の扉が、勢いよく放たれる。

(´・ω・`)「……行くのかい?」

返事はない。


374以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:30:02.22 ID:8f5I62SD0
(´・ω・`)「なら、急いだ方がいい」

跫音が背後から迫る。
荒い息遣いが聞こえてくる。

「……短い間だったが、世話になった」

横を通り抜ける際、そう言葉を掛けられた。
それは、男の声だった。

(´・ω・`)「そんな些細な事は気にしなくていい。
      さぁ、今は一秒でも時間が惜しい。
      僕にできるのは、ここまでだ。
      後は、君にしかできない。

      いや、君達と言うべきかな」

垂れ眉の男は、駆け抜けて行った男の背にそう言った。
返答はない。

(´・ω・`)「……今度、気が向いたら二人で一緒に遊びに来ると良い。
      あの人も喜ぶし、皆も喜ぶ。
      その時は、僕が美味しい紅茶と茶菓子を用意して待っているよ」

「あぁ、楽しみにしておく」

(´・ω・`)「では、また逢おう」

376以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:31:44.83 ID:8f5I62SD0
そう言って、垂れ眉の男は踵を返した。
屋上を駆ける男は、黒いロングコートを着ていた。
顔には白い包帯を巻いて、その背には何よりも大切な信念を背負っていた。
その瞳は、都の黒雲の上に広がる蒼穹の色をしていた。

――――後、三歩。

―――後、二歩。

――後、一歩。

屋上の縁に足を掛け、一気に跳ぶ。














―――そして、男は黒いロングコートを風に靡かせ、その体を虚空へと投げ出した。






 
379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:34:44.89 ID:8f5I62SD0
【時刻――04:00】

屋上の縁ギリギリで踏みとどまったツンの眼の前に、それは何の前触れなしにいきなり現れた。
あまりにも唐突で、予測不可能な展開に、ツンを除いた周囲は動揺する。
ツンの前に、一人の男がどこからともなく。
―――否、背後のビルからここに向けて跳んで来たのだ。

高低差を考えて、どうにか届くと言った距離。
しかし、10メートルの落差がある。
並みの人間なら、恐怖で足が竦む様な高さだ。
それでも、男は跳んで来た。

もし、ツンが後ろに下がっていなければ着地する事は出来なかっただろう。
こうする事を通信で事前に伝えられていたからこそ、ツンは移動していたのだ。
ギリギリまで下がったおかげで、男は着地を可能にした。

/;,' 3「なっ……!」

ようやく声を発したのは、荒巻だった。
発したとは言っても、それはどうにか絞り出したと言った方がいい。

/;,' 3「な……何者だ、貴様は!」

男は荒巻の質問に答えようとはしない。
ツンの前に壁の様に立ち、動こうともしない。
黒いロングコートが、ビル風に靡く音だけが聞こえる。

(//‰゚)「……馬鹿ナ、何故」

唯一オワタだけが、ようやくまともな反応を示していた。



 
381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:37:29.13 ID:8f5I62SD0
(//‰゚)「赤外線デ確認した筈ダ……
     確かニ、あの時は何も無かっタ」

両手の剣を、その男に向ける。

(//‰゚)「何故ダ。
     答えロ、棺桶死オサム」

【+  】ゞ゚)「気になるなら、その節穴でもう一度見てみるんだな」

ツンの前に現れたのは、棺桶を背負った男。
棺桶死オサム。
しかも、今までの声量と比べ、若干大きくなっている。
強風の中でも、何を言っているのかハッキリと聞き取れた。

(//‰゚)「……ッ。
     そうカ、対赤外線繊維ダナ……」

狼狽するオワタに、オサムは言い放つ。

【+  】ゞ゚)「その通り、残念だったな。
       お前が馬鹿で本当に助かった」

オサムとツンが身に纏っているロングコートは、ただのロングコートではない。
元はハインドの赤外線暗視装置を逃れる為に着ていたのだが、それが思わぬ形で効果を発揮する事になったのだ。
赤外線の反応がないから死んだと、安易に答えを出したオワタの失態だ。

【+  】ゞ゚)「……この棺桶も、中々馬鹿に出来ないな。
       今度、あいつに茶菓子でも持って行くとするか」

382以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:40:39.83 ID:8f5I62SD0
見せつけるように、オサムは棺桶を背負い直す。

(//‰゚)「ダガ、あの瓦礫からドうやって逃げ出したのダ」

然り。
ジャンゴ社崩落の前。
手榴弾がオサムの眼の前で爆発する直前、オサムはこの棺桶に入って難を逃れたのはまず間違いない。
問題だったのは、その後だ。

崩れ落ちて来た瓦礫の山は、オサム一人でどうにか出来る重さと量ではない。
あの場から脱出する為には、誰かの手を借りる必要がある。
重機でも持ち出さない限り、あの瓦礫は撤去できる筈がない。

【+  】ゞ゚)「さぁな、それを貴様に教えるつもりはない」

ξ゚听)ξ「……それで、貴方は何をしに来たのかしら?」

ツンは、少し嬉しそうな声でそう言った。
何かを期待しているようなその声に、オサムは迷わずに答える。

【+  】ゞ゚)「護りに来た」

ξ゚听)ξ「何を?」

徐々に、ツンの口元が緩む。
この答えを、待っていたのだ。
声が弾むのが押さえられない。


 
386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:43:48.04 ID:8f5I62SD0
【+  】ゞ゚)「約束を」

ξ゚ー゚)ξ「そう……
      それで、私はどうすればいいのかしら?」

ツンは、挑発的な笑みを浮かべる。
その問いに、オサムはどう答えてくれるのか。

【+  】ゞ゚)「俺に出来ない事をしてほしい」

ξ゚ー゚)ξ「それは何?」

【+  】ゞ゚)「ツン、俺にお前の槍を貸してくれ。
       "眼の前にある全てを貫く槍"があれば、足りない物はない」

ξ゚ー゚)ξ「私が手を貸すとして、貴方は何をするの?
      それと、これからは"どっち"の名前で呼べばいいのかしら?」


【+  】ゞ゚)「……どっちでも、好きな方で呼んでくれ。
       俺は約束を。
       そして、ツンを―――」


そう言って、オサムは顔に巻いていた包帯に手を掛ける。
端を掴むと、それを一気に引いた。
オサムの顔を包んでいた包帯が全て解け、オサムの素顔が露わになる。
だが、ツンに背を向けている為、ツンからは見えない。



 
390以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/05(月) 00:48:05.81 ID:8f5I62SD0
しかし。
ツンはもう分かっていた。
オサムの。
否、"彼"の正体を。

―――オサムの顔を隠していた包帯が、その手を離れ、夜が明け始めた都の空に舞う。

/;,' 3「ば、馬鹿な!
   なぜ、何故貴様が、生きている!?
   あ、有り得ない! 貴様は死んだ筈じゃ!
   どう、どうしてここに!」

荒巻の言葉を遮る様に、その男は棺桶を地面に置いた。
短く刈りそろえたオールバックの黒髪が、小さく風に揺れる。
蒼穹色の瞳が、眼の前で狼狽える荒巻とその一同を睨みつけた。
荒巻はたじろぎ、後退る。

ゆっくりと笑みを浮かべ、男はハッキリとした声で堂々と言い放った。





( ^ω^)「護り抜く」









 

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