( ^ω^)は人助けをしたいようです
1 : ◆QV5rw/5D.6
:2010/04/19(月) 20:31:36.71 ID:vE3ivweh0
( ^ω^)「僕は悪人じゃないおー!」
( ^ω^)「みんなが悪人なんだお!」
( ^ω^)「殺られる前に殺れ! つまるところ先手必勝!」
( ^ω^)「相手が本性出す前に倒せば俺の勝ち!」
( ^ω^)「油断を誘っている間に畳みかけろ! 殴れ! 斬れ!」
( ^ω^)「善人じゃない!
善人だとしても善人の皮を被った悪党さ!」
( ^ω^)「←ところでこの顔って薄ら笑いしてるように見えない?」
主な登場AA ( ^ω^) (-_-) ( ´_ゝ`) ( ´∀`)
- 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 20:34:21.44
ID:vE3ivweh0
◎The fake star
ぎりぎしぎりぎし、錆びた歯車。
右の頬を撃たれたら左の頬も撃たせろ?
何トチ狂ったこと言ってやがんだ、ファッキン博愛主義者。
右の頬撃たれたら風通しのいい穴が空いて、左の頬なんか無ぇよ。
それとも斜めに撃ったワケ? 頭のほうに貫通? 脳漿ぶち撒ける。いいね。
でも俺はそうなる前に相手を撃つよ。打つよ。叩くよ。殴るよ。蹴るよ。切るよ。
騙されるほうが悪いんだよ。だから、撃たれるほうが悪いんだよ。きっと。
だからおれは撃たれ打たれる前に貴女をぶちのめしてやろうと思ったのですが!
( ´_ゝ`)「これって一体どうユー事なのかナー?」
ζ(゚ー゚;ζ「ひぃっ」
首締めてるワケじゃないんだから、そんな声出さなくったっていいじゃない!
そんな感じに軽くおどけて、女の子の緊張を解そうとする優しいおれ。
しかしおれの顔面筋肉、所謂顔筋は口の周りしか動かない。いっそ懐死しろ。
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 20:38:07.39
ID:vE3ivweh0
そして俺の右頬がじんじんじんじんとっても痛む。これでもかってくらい痛む。
多分、椛みたいな手の型がきっちり赤くついてる。ついてなきゃおかしい。
どのくらい痛いかって言うと、一晩湿布貼ったら朝に湿布が剥がれるくらい。
ちなみに湿布は自主的に剥がしたんじゃなくて、俺の寝相で剥がれたのよ。
( ´_ゝ`)「わかる? ねぇわかるよね?
言葉にしたんだから」
ζ(゚ー゚;ζ「…………」
沈黙って肯定だっけ、否定だっけ。それともおれにドン引きしちゃってるのかな。
おれはむしろ君の行動にドン引きですよ。何このテンプレな反応の仕方。ねーよ。
壁に付いてる手を離して、叩かれた頬を抑えるように右手を添える。
それだけで女の子は体を揺らして可愛いったらありゃしない。もう!
おれの弟であるなんとか者は女の子の股間をいじくる事にしかキョーミない奴だった。
なんて可哀想な奴だと自分でも思う。哀れ過ぎて殺意しかなかった。まあ殺したんだけど。
「だーかーらー、兄より優れた弟なんていないんだよ、俺の世界としてはね
弟がいなくなれば、俺は兄ではなくなってしまう、ただの一人っ子になってしまう
姉妹が上と下に一人ずついるが、そんなことは関係ないのだよ無関係なのだ
弟がいなければ、兄と言う俺のアイディンティティが崩れて壊れてしまう
だが弟はウザい、くさい、しつこい上にねちっこく嫌味たらしい卑怯者だ
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 20:39:46.44
ID:vE3ivweh0
だから半殺しにするのだよ、そして毎日のように病院に脅しへ行けば、
それがお見舞いだと周囲へ誤解され『弟への見舞いを続ける優しい兄』
として俺の株が急上昇するのだ! だから弟は殺してはならない!
殺してやりたいほどに憎く疎ましく煩わしいが、半殺しで我慢せねばならない!
それでもうっかり殺してしまった日には父者に、養子でも、出来れば女の子とか、
貰ってくれるよう頼んでみるかね、ひひっひひひひひひひひひひひひひひひ」
なーんてほざいてた昔が懐かしい。覚悟や誓約なんてそんなものです。
衝動的に弟を殺した俺は、太陽が眩しいからと言って殺人する人殺しと同類と。
しかし言い訳くらいさせてくれ女の子よ。おれにはれっきとして動機がある。
( ´_ゝ`)「酷いよー酷いよーだって子供降ろす金欲しいとか言って通帳持ってくんだよ?
俺はお前の貯金箱じゃねぇっつーのっつったら殴ってきやがってね。最低。
お仲間が沢山いるから大丈夫とでも思ったのかな?
かな? レナの真似ー。
もう俺は腸が煮え繰りかえって、お腹の中がモツ鍋になっちゃって、焦げて。
右で殴ったらそのままヤムチャみたいになっちゃったんですよかっこ笑い
そしたら周囲の方々が襲いかかって来てさーどこの世紀末だよヒャッハー!
あ、ネタ通じない?
ヲタクキンモー☆とか思ってる? 思ってるよね、許せない」
目の前のスイーツ、ビッチ、バンギャ、ナオンへの殺意が急上昇する。
- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 20:43:39.20
ID:vE3ivweh0
ζ(゚ー゚;ζ「わ、わた、私は何も」
( ´_ゝ`)「ワタ? ハラワタ? 腸? やだ猟奇イけるの?
女の子で猟奇趣味だなんて」
頬に添えていた手を女の子の首へ、壁に付けていた手を女の子の首へ。
( ´_ゝ`)「確かにあるかもね、いきなり俺の頬にビンタ繰り出したんだから、ね。
でもな、ポケモンの技だったら『はたく』よ『はたく』。ダメージ少しなの。
解かる?
分からないよね、判らないからこんな行動に移ったんだよね」
手を少しずつ絞めていく。脈拍が分かる。少しずつ早まっていくのが解かる。
緊張と恐怖と色々なモノと。これだから女の子いじめはやめられないとまらない。
加速する狂気。失速する理性。そもそもおれに理性も狂気も無えよ!
本能に忠実、衝動に素直なティーンエイジャー! 皆もっと曝け出せよ!
授業中とか勝手にハーフスタンド、エレクチオンする息子に従えよ!
誰に向かって叫んでいるんだろうおれは、目の前には女の子しかいない。
じゃあ女の子がおれの叫びを聞いている。よし、存分にシャウトしよう。
( ´_ゝ`)「ってワケでありまして、さっきの貴女様の行動は何々でしょーか。
意味不明なのです。理解不能なのです。拒絶範囲内なのです。
どうか愚かで無知な一匹の人間である私に教えてくれませんか」
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 20:47:19.04
ID:vE3ivweh0
女の子は息を荒げて体を震わせるだけで、何も喋らない。
何、アレルギー反応? 心臓発作? 仕方ない、おれが続けよう。
( ´_ゝ`)「いやもー本当、体育館裏で壁際に追い詰められてビンタとかさ。
いつの時代だよ。まー大声上げても、股間蹴りあげても、泣いても、
俺にとっては全部テンプレ、想定の範囲内ですぅーなんちゃって!」
ホリエモンと翠星石の合体技は不評のようだ。
( ´_ゝ`)「ビンタを繰り出した。相手はひるんだ。 今の内にコマンド逃げる!
せんせー男子が!
何ー許さんぞーっ! って展開でも狙ってたの?
考えてたの? 二次元じゃないんだよここ? 三次元だよ。現実だよ。
それとも、俺が古紙プレス工場にでも連れて行ってあげようか?
あそこなら紙面限定で二次元に行けるよ、多分。保証はしないけど。
例え三次元に帰って来たくても、二度と帰って来れないけど。残念!」
女の子は今更になって足を振り上げてきた。狙われるマイサン。
いや、狙われるおれのゴールデンボールW。技名みたい。カッくいい。
しかし、おれはその急所を狙われる事を考慮して既に内股になっていた。
ええ一レス目以前からずっと内股ですが何か?
だって蹴られるの嫌だもん。
傍目から見たらキモいのには同意する。全力で同意する。禿同。
もしかして、キモいから女の子は引いてるのか。それなら納得。
- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 20:50:26.11
ID:vE3ivweh0
だが、急所を蹴り上げられるワケにはいきません。当たり前です。
いくらキモかろうが命を守る為だ。生命を守る為なら形振り構わない。
なので、俺は女の子の細い足を膝の間に挟んだまま話を続ける。
挟む前なら尿意を我慢してトイレの場所を尋ねる男子にも見えたけど、
挟んじゃったら完璧に危ない人だねおれ。何するか予想もつかない。
むしろおれの予想がつかない。これから何しようやべぇ女の子どうしよう。
ζ( д ;ζ「ヴ……ぇっ…………」
( ´_ゝ`)「はい? ウエ? 上ですね」
女の子がやっと単語を発してくれたので、素直に上を見上げる。
あらやだわあ、なんて曇り空。今にも雨を降らせておれを殴りそう!
そのデカい雨粒を暴風でおれの体に叩きつけるのね! 酷い人!
そうならない為にも、いち早く校舎内へ避難しなくては。
教えてくれた目の前の女の子ちゃん有難う……ってアレ?
ζ(.Д。 ζ「 」
( ´_ゝ`)「口から泡吹いて、カニみたいですよ女の子さん」
なんだか急に女の子の体重が増したので、首から手を離す。
一昔前にブラウン管で見たキャイーンのポーズで地面に倒れた。笑い所?
- 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 20:53:44.96
ID:vE3ivweh0
それ笑えないよ女の子。古いよ世代が。オールドミスだよ。
( ´_ゝ`)「現実逃避するのやめようぜ俺」
冷静なおれからの突っ込みが入る。待ってました。さあ冷静に。
Coolになれ、Koolに。そのままダウンしろ。落ちろ。どこまで?
バカ言えよ、ここから落ちる場所なんてねえ。おれは底にいる。
最初は高いところに居て一般人と同じ道路歩いてましたなんて、
( ´_ゝ`)「脱線するのもやめようぜ」
すまんおれ。さあ本題に戻ろうか。さあ本題に戻ってどうしよう。
取りあえず生死確認だな。一応、生きてるかもしれないしね。
死んでたら、心臓マッサージやってみればいい。生き返るかも。
そんなワケで、女の子の心臓の位置に手を置く。
これで実は女の子が内臓逆位とかやめてくれよ神様。
神様? 何ソレ。俺が神だろ。つーか全人類が神だ。
全人類が神なのだから、人類皆平等になる。平和。
ラブアンドピース。どうしようおれ世界平和にしちゃったようへへ。
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 20:56:49.79
ID:vE3ivweh0
( ´_ゝ`)「……」
おれが勝手に左手を女の子の胸に置いた。別に反発はしない。
寧ろ、おれがやると脱線して作業が進まないから勝手にやってくれ。
……って、意外とこの女の子おっぱいデケー。推測はEカップ。
アイスだったら腹を下して、一晩くらい寝室がトイレになる量だ。
( ´_ゝ`)「これは……意外にも……」
このムッツリ助平。揉む左手は止まらない。これマッサージなの?
いや仮にこれがマッサージだとして、女の子が生き返ったとして。
その後に待ってる未来はどんな地獄よ。社会的抹殺よ。少年法よ。
頼むから生き返らないでくれ女の子。そのまま死んでてくれ。
いや死んでるのは停止の状態であって、死んだが正しい?
どっち? 知らんがな。脳内で誰かが代弁する。そうだな知らん。
と言うワケで、開き直って両手で揉みしだく。粘土になるくらい。
うひょーたまんねぇこれやべぇまじパねぇげひゃひゃひゃひゃ。
どうしようナイフ持ってくればよかっt
『キーンコーンカーンコーン』
( ´_ゝ`)「あ」
- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 20:59:51.07
ID:vE3ivweh0
人生とは失望、理不尽と残酷さと無情さで構成されている。
どうするか、取りあえず立ち上がろう。ぬ、手が胸から離れん。
おのれ、どうしてくれようかこの両手め、離さぬと申すか。
体の一部が触れてればいいとほざくのなら、踏もうか。
足で触れていたら、後は立ち上がるだけだ。それモニュっと。
( ´_ゝ`)「……おお」
これはイイ。感激した声を出すおれに握手したい! 友よ!
しかし差し出した右手に左手は無反応、そのまま足を動かす。
まるでうどん粉を練るようにぐにぐにと。お前は香川県民か。
ううむ。この靴を履いたままでも伝わる胸の感触は良し。
だが問題は解決していない。両手は離れたが、今度は両足が。
どうしよう、人に見つかったら。どう言い訳しようかおれ。ねえ。
( ´_ゝ`)「人型の巨大ゴキブリホイホイホイにホイホイされてしまいました。
男子だったらそう言って共犯者を増やすのはどうだろうかねえ」
流石だおれ。名字に流石がつくだけあるぜ。おれの弟はそうじゃなかったが。
そういや芸能人に流石を『ナガレイシ』を読んだ奴いたな。あいつどうなったんだ。
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:03:01.19
ID:vE3ivweh0
なぁああああんて事を考えていたら、目の前に男子。
(;-_-)「……」
誰こいつ。知ってる、あの焼却炉で死体燃やしてた時の奴。
あれ全部殺したんじゃなかったっけ? いや部外者だって。
なんかあの、ちょっと太めの男子と一緒にいたガリ。チビガリ。
(;-_-)「ぼ……」
( ´_ゝ`)「ぼ?」
やべえどうしよう見られた。俺の学生生活いとふゆ。
慌てるな。こんな時のプランAだ。実行する。おk。
( ´_ゝ`)「人型の巨大ゴキ──」
(*-_-)「僕にも踏ませて!」
- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:06:28.39
ID:vE3ivweh0
この瞬間、友情が生まれた。二人で女の子を踏む共同作業。
燃え上がる赤い夕日。ブルースプリング。青臭い春。
バカ言うなそれ青いバネだよ。えーそうなのお?
脳内一人芝居の他に、現実世界での友達が増えた。
(*-_-)「ふふふふふふふふf」
( ´_ゝ`)「はははははははははh」
こんな時でもおれは乾いた笑いしか出さない。出ない。出しやがらない。
心を込めろよ。籠めろよ。篭らせるんじゃなく込めるんだよ。そして出せ。
( ´_ゝ`)「……はははは」
てめぇえええええ!!1 おれが情緒不安定なの知ってるだろ!?
心の無ぇ笑い下痢みてーに垂れ流してんじゃねーぞ! クソが!
ガキの頃バッタの足もいで達磨にして笑ってた精神どこ行っちまったんだよ!
ガキの頃トンボの羽千切ってうっかり体裂いてゲロ吐いてむせてまた吐いて、
それでも笑いながら千切り続けた心はどこに行ったんだよ!
青空の彼方か!?
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:08:07.44
ID:vE3ivweh0
さっきの女子だってそうだぜ! もっと股間滾らせるとこだったのによお!
てめぇもしやEDか! 終わりじゃねーぞエーディーだ!
エンディングじゃねえ!
ある意味終わってるけどな! 相応しい末路だ! ざまーみろ俺メシウマ!
……いんやそーじゃなくって、おれはそういう事が言いたいんじゃなくって。
こんな力の入ってない笑い方じゃストレス発散できないからさ。
どーにかして心から腹の底から笑ってくれないかなあ。ねえおれ。
(-_-)「あれー楽しくないの?」
( ´_ゝ`)「楽しいよ」
楽しいよ。 とっても。 どーでもいいよ。 おれが笑わない限り。
ぎしぎりぎしぎり、鉄屑が歯車の回転を停めている。
◎ 終
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:11:42.78
ID:vE3ivweh0
L消火器ボンバヘッ
午後6時半、辺りは節電のお陰で薄暗く肌寒い。
この季節になると、部活動は体育館で活動するので人もいない。
しかし今日は、校庭のほうがやけに騒がしかった。
( ^ω^)「キャンプファイヤーでもやってるのかお」
時期が時期だから、アリかもしれない。
どれ、僕も祭りに混ざろうと歩を進める。
あまりの出来事に悶絶する。片頬が引き攣った。
燃えていたのは薪ではなく、人だった。
『ギャアアアアァアあqwせdrftgyふじこlp;@:「』
|゚ノ;^∀^)「キャー!」
ξ;゚听)ξ「ちょっと男子、早く消火器! 消火器!」
_
(
#゚∀゚)「やってるのが見えねーのかよ巻き糞女!」
- 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:15:25.65
ID:vE3ivweh0
( ^ω^)「oh...」
あまりにもコメディチックな惨状に、思わず絶句する。
普段は気弱な長岡も、僕がいないからか、大勢の前だからか、
高校の自称アイドル(笑)に本音をかっ飛ばしてしまっている。
燃えている当の本人は、消火器の煙やバケツの水を避け、
校庭の芝生や兎小屋に火を撒き散らし、火の海を拡大させ、
逃げ惑う生徒達に、自身の業火を分け与えている。親切?
( ^ω^)「暖を取るにしてはやり過ぎだお」
( ´_ゝ`)「そんな問題かね?」
いつの間にか隣に誰かがいたが、スルーするー。オウフ寒い。
自分で言った駄洒落にダメージを受けて、身も心も凍りそうだ。
炎を他人に分け与えている優しい彼に、暖を分けて貰いたいところ。
とまあ、軽く冗談を言っている場合ではない。
このままでは彼が温められ過ぎて死んでしまう。
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:17:58.33
ID:vE3ivweh0
( ^ω^)「やっほー長岡君!」
_
( #゚∀゚)「っせーな! 今俺は……」
( ^ω^)「消火器」
_
( ;゚∀゚)「……どうぞ」
( ^ω^)「センキュー」
平成10年度卒業生が贈った記念の桜も、今は赤く。
こうしてはいられない。焼死者は増え続けている。
長岡から受け取った未使用の消火器のピンを外す。
最近お蔵入りの二酸化炭素消火器らしい。
その効果は、今よりお届けいたす。いざ開封。
( #^ω^)「ウヌン、こいつ結構固……」
ボゴォ!
( ;^ω^)「!!?」
年月が経っていたのか、外した瞬間に消火器の底が暴発した。
凄まじい勢いで煙を吐き出し、空へ向かって飛翔する消火器。
その姿はまさにロケット。アポロ13号。月まで届け二酸化炭素。
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:24:02.88
ID:vE3ivweh0
( ^ω^)「テラワロス」
上空を旋回中のトンビに当たり、派手に爆ぜる消火器。
中に圧縮されていたCO2が吹き出る様は、まさに花火。
( ^ω^)「汚ねぇ花火だぜ」
真っ白な煙が頭上にもうもうと立ち込め、風に乗って広がる。
CO2は空気よりも重いので、それは自然と降りてくる。
( ^ω^)「ビューテホー」
その辺の教室のカーテンを引き千切り、マントのようにして身に纏い、
舞い降りる霧の中から現れた光輝く救世主でも演じてやろうか。
しかし、多量のCO2は人体には猛毒。ベニテングダケより危険である。
視認できるくらい濃いこのCO2を吸っては、流石メシアも即死確定。
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:25:26.86
ID:9baU0vT00
幸い、CO2のお陰で火は消えていっている。
走り回る火達磨が動かなくなるのも時間の問題だ。
( ^ω^)「では、さらば!」
三十六計逃げるにしかず。
僕用に転じて、役目が終わったヒーローは立ち去るべきと云う意味。
戦隊モノのヒーローなんて、処分されてナンボだしね。
L 終
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:28:56.31
ID:9baU0vT00
M腹黒ヒトゲノム
(-_-)「ところで…」
陰気の塊が口を開いた。開いた口から瘴気が漏れている。
ドライアイスのようなこれは、幻覚ではないと確信している。
何故なら、こいつは根暗に手足が生えたような奴だからだ。
( ^ω^)「何だね、ヒキ夫君」
寛大な僕は、その漏れ出す瘴気ごと救済しよう。
どうせこいつの事だから、靴にうんこや虫の死骸が入ってたとか、
机に使用済みナプキンやティッシュが入ってたとかに違いない。
(-_-)「君の両親って、何してる人なの?」
( ^ω^)「想定外ブバラス」
(-_-)「え?」
- 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:33:14.79
ID:9baU0vT00
( ^ω^)「しばし待て、しばしな」
全く想定していなかった質問に、少し固まる。
ヒッキーの顔面に左手を置き、犬にする「待て」と同じ体勢を取る。
( ^ω^)「んぬぬ」
ここでこいつに「教えてほしいならまずは自分から云々」を言うべきか迷う。
あれは名乗り合いでよくあるものであって、親の職業では特にない。
いや、あるか。
子供の「僕のお父さん社長やってるんだけど君のお父さんは〜」と同じか。
小さいながらも、遠回しで嫌味ったらしい糞餓鬼の生意気な自慢。
つまりヒッキーは、僕の親を見下しながら自分の親の自慢をしたいと。
だからどうしたと叫びつつ、どや顔にストレートをお見舞いしたい。
僕の父親は、一応は誇れる人物だ。
その後、父親と自分を見比べられて惨めな気持ちになるが。
せめてここは、嫌味ったらしく返してやろう。
( ^ω^)「ヒキ郎君のお父さんは、何してる人なのかな〜?」
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:36:24.38
ID:9baU0vT00
(;-_-)「何でいきなり気持ち悪い喋り方になるの…」
OK. 握り拳の用意はできた。
(-_-)「父さんは交通事故でいないよ、母さんは生きてるけど」
( ^ω^)「なんだと」
握り拳を解く。
ここで義父がいるのかどうか聞くのは野暮と言うものだろう。
授業参観の時に、母親しか来てないのはそういう事だ。
再婚して義父がいたとして、来ていないこの事実。
ヒッキーが足止めしたか、本人が来るのを嫌がっているか。
どちらにしろ、来ないのは碌な理由がないからだ。
うむ、今度ヒッキーの家にバーベキューセットでも持って行こう。
( ^ω^)「頑張れよ、辛かったらいつでも頼るんだお」
(;-_-)「あ、ありがとう」
- 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:40:32.82
ID:9baU0vT00
(-_-)「ところで、君の両親は何やってる人なの?」
( ^ω^)「チッ」
いい感じに持っていきたかったが失敗した。
新品のガムテのように粘着質な奴だ。
( ^ω^)「医者とナース、詳細は察せ」
(-_-)「kwsk」
察せと言ったのに、ははは、こやつめ。
ググレカスと返したいが、そう簡単に個人情報が転がってるはずもない。
転がっていたら、寧ろ困る。主にネットを利用する人類が。
( ^ω^)「面倒だから次の点線内を読んでくれお」
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:42:02.74
ID:9baU0vT00
------------------------------------------------
('、`;川「先生大変です!」
( ΦωΦ)「どうした?」
('、`*川「先ほど先生が診察なさった患者さん
病院から出るなりバッタリ倒れてしまったんです」
( ΦωΦ)「ふむ、じゃあ患者さんの向きを180度変えて
そのままにしておきなさい」
------------------------------------------------
(-_-)「黒いんだけど」
( ^ω^)「察せ」
(-_-)「あとこの二人の馴れ初めからエロゲ臭がする」
( ^ω^)「察せ」
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:45:08.18
ID:9baU0vT00
(-_-)「っていうか、これコピペ……」
( ^ω^)「多少は改変した、察せ」
M 終
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:48:11.12
ID:9baU0vT00
N定番サプライズ
『永遠に繰り返される退屈な無限ループの日常と世界からの脱却を!
恐ろしいほどに新しい何かを! 新たなる全てを! 法則と法律を!』
( ^ω^)「うるせー」
選挙カーが学校の校門前を堂々と通り過ぎて行く。そのまま地平線の彼方へ
行ってくれれば有り難かったのだが、そのままそこに停車して喚き始めた。
選挙じゃなく占拠カーに改名しろ。今なら許す。法律が許さなくても俺が許す。
余りの苛立ちに懐からナイフを出す前の席の男子。ナイフは外へ投擲。
物見事に演説している奴の眉間へヒット。吹き出す噴水。ナイス。
今のナイスはナイフとかけてるんじゃないんだからねっ! と。
頭の中ではそう一人芝居しつつ、後で通報しておこう。退学おめでとう。
君の犠牲は無駄にしない。大人しく僕の心の糧となるがいい。永遠に。
( ´∀`)「内藤、今先生が読んだ場所の続きを朗読しろ」
( ^ω^)「黙読じゃ駄目でしょうかお?」
( ´∀`)「ろ ・ う ・ ど ・ く しろと言ったんだよベイベー」
( ^ω^)「じゃあ5」
- 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:51:16.20
ID:9baU0vT00
( #´∀`)三ニ━「今は古典じゃああああ!!」
三ニ━)゙ω゚);`;:゙;`
(;-_-)「うわぁ……」
あの教師の肩、同じ年齢なら間違いなく甲子園を狙える。
兆弾したチョークは別の生徒の後頭部にめり込んだ。
その生徒はそれを意にも介さずにぐうすか寝ている。
二発目が届くだろう。僕は退室する事にした。
決して不良ではない。DQNではない。
妄想の中の邪気眼の生徒は、こうして教室を抜け出し、
世界を救うのだろう。だから僕もそうだ。そうなのだ。
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:54:18.84
ID:9baU0vT00
( ^ω^)「そんなワケでして、定番の体育館裏です」
(-_-)「え? 僕教室にいたのに、え? ここどことか、えっ?」
( ^ω^)「細かい質問はなしだおヒッキー、そんなものだお」
(-_-)「僕教室にいたのに瞬間移動? テレポート?
次元位相が?」
よくわからない世界に行ってしまったヒッキー。哀れなりその姿。
しかし、そんな哀れなものよりもっと哀れなものが目の前にある。
体育館裏で、いじめっ子集団にリンチされているいじめられっ子だ。
( ^ω^)「これまた定番だおね」
(-_-)「トンネル効果で僕が壁を擦り抜けた?
つまり僕は全ての壁を通過可能……?
つまり女子トイレや女子更衣室も通過可能! みなぎってきた! 滾って来た!」
もう駄目なヒッキーを後にして、集団に近付く。
- 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 21:57:23.21
ID:9baU0vT00
( ^Д^)「オルァ! プギャルァ!」
変な掛け声だ。蹴られてる奴もそんな掛け声の奴に黙って蹴られている。
体を丸めて頭を防御している。もしかしたら、隠れた表情は笑っているのか。
僕は掛け声がツボに入ってしまい、たった今囲まれたところだ。おい起きろ。
( ^ω^)「オラ立ち上がれいじめられっ子!
立てよ! むしろ勃たせろ!
そうしたらこいつらは間違いなく逃げる! ついでに僕も逃げる!
僕らだけじゃなく教師も逃げる! お前の親も、兄弟従兄弟もだ!
社会がお前から逃げる! つーか弾く! 外す!
切り捨てる!」
ちょっとアレな性癖の方々は寄ってくるかもしれないが、その時はその時だ。
今はこの窮地を脱する事が大切だ。さあ勇気を奮い立たせ勃たせろ少年。
( ^ω^)「……」
(;^Д^)「……」
いじめられっ子からの反応なし。冷たい木枯らしが吹く。
僕の心にも吹いた。冷たくて寂しい風だ。一枚の木の葉が舞う。
どうせなら、松岡修造パターンで熱く励ませばよかったのか。
だがもう遅い。起き上がるタイミングを逃したいじめられっ子は蹲り続ける。
僕らはとても気まずい空気に硬直したまま、オブジェのように在り続ける。
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 22:01:23.43
ID:9baU0vT00
( ;><)「あれ……?」
( ^ω^)「?」
いじめられっ子Dあたりが疑問を漏らす。クエスチョン。
その視線の先にあるいじめられっ子。んん、何か変だ。
( ^ω^)「こいつ……」
動かない。いや、蹲ってるからそうなんだけど。なんつーか。
机とかに突っ伏してる時とか、体が勝手にビクッとなるじゃないか。
それがない。ついでに呼吸するから少しは上下する筈の背中も動かない。
嫌な予感を頭の中に留まらせつつ、呼吸確認。息してない。
おk。落ち着け僕。脈だ。脈確認。脈がない。おおおお落ち着け僕。
(;^ω^)「ちょいと、ちょいとそこな御方」
いじめっ子達を手招きして、いじめられっ子の手首を掴ませる。
思いの外、素直に手首を掴んだ。てっきり○○菌が〜とか言い出すかと。
- 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 22:05:01.50
ID:9baU0vT00
(;^Д^)「お、おいコレ」
コレ、It。物扱い。Itと呼ばれた子。まあ死体だから物か。妥当だ。
(;<●><●>)「え、いや、ちょ、はァ? 何ですか」
僕が聞きたいわ。どんだけ加減しなかったんだお前ら。
(;*゚ー゚)「うっそマジ?」
マジっすお。嘘だとしたらいじめられっ子はすごい技術の持ち主だ。
( ;><)「…………」
その沈黙に僕も混ぜて欲しいお。
- 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 22:08:25.34
ID:9baU0vT00
(;^Д^)「……」
(;*゚ー゚)「……」
(;<●><●>)「……」
( ;><)「……」
( ^ω^)「……」
取りあえず、焼却炉行きだな。
僕以外全員。
N 終
- 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 22:11:45.44
ID:9baU0vT00
O毛根滅亡ラグナロク
フィンブルの冬が始まり、生き物が死に絶える。
星々が天から堕ち、大地は振動する。
スルトの劫火が世界を焼き尽くす。
世界が面白くなければ自分で面白くすればいい。
正義の味方がいなけりゃ自分がなればいい。
倒す極悪人がいなけりゃ自分で作ればいい。
世界はとてもシンプルに出来ている。シンプルイズベスト。
複雑だと思い込んでる奴らの思考回路が複雑なだけなのだ。
脳の皺は少ないほうがいい。頭のほうはツルツルにならなくていい。
願望はあるけどそれを越える諦めが襲いかかってる?
ハハッ、髪の毛の次は持ち金を搾取されるハゲ哀れ。
( ^ω^)「と言うワケでぇ、誰かハゲてくんない?」
_
( ;゚∀゚)「「ハァ?」」(-_-;)
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 22:15:44.46
ID:9baU0vT00
二人の声が見事なハーモニーを奏でた。合唱団へ入れ。
(-_-;)「なんでいきなり、ハゲろとかそんな無茶な……」
_
( ;゚∀゚)「俺ら元々髪の毛ないA」
言ってはいけない事を言おうとしたので、瞬時にボールペンを首筋に添える。
ペンは剣よりも強し。正しいぜ昔の偉人。持ち歩き出来る小型暗器最強。
( ^ω^)「無性に、ハゲにカツラ被せて助けたくなったんだお」
(-_-)「中年教師の一人二人に隠れハゲいなかったの?」
( ^ω^)「それがいなかったんだお……」
この学校の教師は全員確認した。老若男女問わず全員。
釣り竿と釣り糸、後は素手で確認作業をした。穏便に。
うっかり力を入れ過ぎて、頭皮ごといった教師もいた。ごめん。
(;-_-)「その教師にカツラあげてくればいいんじゃないの?」
( ^ω^)「盲点だった」
- 42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 22:19:24.89
ID:9baU0vT00
けど、自分でハゲさせておいてカツラ被せるとか。
それなんて自作自演マッチポンプ式黒幕うふふ?
そんなの僕のプライドが許せない。
( ^ω^)「ハゲ……ハゲ……どうする、俺的若ハゲ候補にでも渡そうか」
(-_-)「それ凄く嫌なんだけど、演劇部にでもプレゼントしたら?」
演劇部。そうか、あそこなら小道具にカツラや衣装やらその他諸々があったな。
人助け以外にも慈善活動をする事に拒絶反応はない。よし、プレゼントしよう。
(-_-)「ところでそのカツラ誰の?」
( ^ω^)「理科室の床に落ちてたお」
_
( ;゚∀゚)「え?」
( ^ω^)「理科室の床に落ちてたお」
別に大事な事だから二回言ったのではない。
長岡が僕の応えを聞き返してきたからだ。
- 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/19(月) 22:22:50.04
ID:9baU0vT00
二回目を言い終わると同時に、ヒッキーと長岡が一緒に青褪めた。
お前ら仲いいな。何時の間に僕を除け者にしたんだ。ええおい。
O 終
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