1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:12:49.49 ID:W0+tZuDF0
ジョルジュ長岡を知ってるか? いろんな人から訊かれた…。
_
( ゚∀゚) あと三分で、みんなぶっ壊れる… なにか言い残しておきたいことはあるか?
(-@∀@) なにも思いつかない…
僕が今いる場所は、これから行われるショーがよく見える、最高のかぶりつきだ。
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:17:14.43 ID:W0+tZuDF0
なぜ僕がイスに縛り付けられ、ジョルジュ長岡から銃を向けられているか。
(-@∀@)
詳しく話しておく必要があるだろう。
僕は電子レンジのセールスマンだ。
毎日上司に怒られ、上司から受け取る資料をなめ回すように読み、 クライアントのところに行って頭を下げ、心にも無いことを言う。
- 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:22:05.09 ID:W0+tZuDF0
足を棒にし、飛行機の離陸音で鼓膜を揺らして、毎月決まった金を受け取り、
高級アパートに新しい家具を買い、充足を得ていた。
だが足りなかった。
決定的ななにかが足りず、僕は僕を少しずつ、失っていった。
やがて僕は不眠症になった。
不眠症は実にやっかいなもので、起きているときは夢うつつのくせに、
ベッドの中に入ると頭が冴える、まるでロック狂の売春婦みたいにあまのじゃく。
(-@∀@) 薬が欲しいんです。睡眠薬が…
( ´∀`) 薬?だめだめ。自然な眠りがいいモナ。適度な運動と…
(-@∀@) ……
( ´∀`) 不満そうな顔モナ。そうだ、君にぴったりの場所があるモナ。教えてあげよう
- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:27:04.55 ID:dGlq3gdw0
僕が教えられたのは、『電子レンジの被害者の会』だった。
そこには電子レンジのマイクロウェーブによって頭がおかしくなってしまった人や、
電子レンジの角に思いっきり頭をぶつけ頭がおかしくなってしまった人や、
レンジモードとトーストモードを間違え、食パンをカッチコチにしてしまった人などが集まる会だ。
(*;゚ー゚) 私は電子レンジのせいで彼氏にふられました!
|゚ノ;^∀^) 電子レンジが爆発して、家が吹っ飛びました…
(
∵) 電子レンジのせいで、顔がボーリングの玉みたいだと、クラスの人からいじめられます…
(-@∀@)(まるでボーリングの玉みたいだ…)
確かに僕は仕事である電子レンジの販売のせいで不眠症になったのだが、
この場所は僕がいていい場所では無いような気がする。
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:32:03.33 ID:dGlq3gdw0
しかしとても居心地がよかった。 実際のところ、仕事とはいえ電子レンジに怒りを抱いていたし、
みんなが電子レンジを批難すると、そこに一種の連帯感というか、 仲間意識というものが生まれ、それが僕は心地よかった。
そこに現れたのが、ミセリという訳の分からない女だ。
ミセ*゚ー゚)y‐ チィース、自分ミセリっていいまーす
彼女はいつもたばこを吸っていたが、今後いちいいちそれを
AAで表現すると面倒なのであとはフィーリングに任せようと思う。
とにかく彼女は、僕の理想郷をぶちこわしにやってきた。
電子レンジに対しての憎しみなど一切なく、単にコーヒーをタダで飲みながら たばこを吸いに来ているだけだった。
生まれかけていた仲間意識は消え去り、僕はまた不眠症になった。
- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:34:36.06 ID:dGlq3gdw0
今度、被害者の会に顔を出したら絶対に文句を言ってやる。
ミセ*゚ー゚)リ チィース、また来ましたー
(-@∀@) あ、ど、どうも…
次に顔を見せたら鼻っ柱に一発ぶちこんでタダで整形してやる。
ミセ*゚ー゚)リ チィース、雨やばいっすねー
(-@∀@) あ、そうだね…傘持ってきた?
次会うときがおまえの最後だ、ミセリ。僕はやるときはやる男なんだ
ミセ*゚ー゚)リ チィース、コーヒーまだ残ってますかぁー?
(-@∀@) あ…僕ので最後だけど…よ、よかったらあげるよ
ミセ*゚ー゚)リ サーセンwwwwwww
- 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:37:32.81 ID:cgNfy6VI0
元々気の弱い性格だったので、彼女には結局なにも言えなかった。
それにしても、彼女の奔放さには呆れを通り越して尊敬までしてしまう。
ミセ*゚ー゚)リ チィース!
僕はまだ不眠症だった。 けれど、僕はこの日、運命的な出会いを果たし、不眠症から解放される。
_ ( ゚∀゚) おい
ミセ*゚ー゚)リ え? _
( ゚∀゚) たばこを捨てろ。禁煙だぜ
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:41:48.89 ID:q09PhllL0
このセミナーで初めて顔を合わせる人間だった。
_
( ゚∀゚) 小生意気が可愛いのはジュニアハイスクールとアヴリルラヴィーンだけだ
今から聖書を朗読させられたくなかったら、さっさとたばこを捨てて そのでかいケツごと抱えて消えろ
ミセ#゚ー゚)リ な…なによ…!いいわよ、消えればいいんでしょ!
彼女は顔を真っ赤にさせて、ケツを振りながら消えていった。
\おおおおおおお…/ \クール/
- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:44:07.72 ID:q09PhllL0
(-@∀@)(かっこいい…)
彼はセミナーの人間から賛辞と羨望の眼差しを受けた。
_ ( ゚∀゚) なあ、あんた。このセミナーの常連かい?
(-@∀@) そ、そうだよ… _
( ゚∀゚) 相当電子レンジに恨みがあるようだな
(-@∀@) まあね。君は? _
( ゚∀゚) 言わずもがな、だ
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:49:10.49 ID:q09PhllL0
(-@∀@) 君は一体、電子レンジにどういう恨みがあるんだい? _
( ゚∀゚) 最低だぜ。あれのせいで無人島に漂流したり、殺し屋に命を狙われたり、
しまいには宇宙までいっちまった。地球ってなあ、別の星から見るとケツに入りそうなほど
小さいもんなんだな、なあ?
(-@∀@) ははは…そうかもしれない
|゚ノ
^∀^) お静かに。ただいまからセミナーを始めます
_ ( ゚∀゚) なあ、おまえ名前はなんていうんだ?
(-@∀@) 僕の名前は…
名前を告げると、彼は首を二、三度首を鳴らしてから、甘い流し目で僕を一瞥した。
とてもセクシーでたくましい彼に、僕は一瞬で惹かれてしまった。
もちろん性的なものではなく、なんというか、魂が彼についていこうと鳴き始めたのだ。
- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:53:47.36 ID:q09PhllL0
セミナーが終わると、僕は彼と街を歩きながら飲み、 将来の夢や女のことについて語った。
_
( ゚∀゚) 結局、俺たちの夢ってのは爆発しない電子レンジを手に入れることになるのか
(-@∀@) そうなるね
_ ( ゚∀゚) 信じられねえ。どうせなら電子レンジに乗って過去や未来に行ってみたいな
(-@∀@) 夢があるな、君は
その日の夜、僕のアパートの電子レンジが爆発した。
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
22:58:30.67 ID:q09PhllL0
家が無くなった僕は、あの日セミナーで出会った男、ジョルジュの家に 泊めてもらうことにした。
彼の家はまるで廃墟のような建物だったが、 なぜか電気が通っていて何故か水もそれなりに使えて
なぜか電話もかけられる謎の家だった。 あとバスも家の前に止まってくれるという謎の仕様だった。
_
( ゚∀゚) 今日も飲んだな、相棒
週末になると、必ず彼と飲んだ。
そして彼と殴り合いのけんかをするのだ。
どうして殴り合いをするのか説明をつけるのは難しかったが、
なんというか展開的にというか、殴り合いをしなければいけないような気がしたからだ。
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:02:43.89 ID:q09PhllL0
始めたときは二人っきりのファイトだったが、やがて見物人が集まり、 大きな見せ物になってきた。
僕たちを真似て殴り合いを始める者も出だした。 そしてジョルジュは彼らにやじを飛ばすのだ。
_
( ゚∀゚) そらそらそら、もっと殴れ!おまえの憎しみはこんなもんか!?
レンジでチンしたビーンズ缶の方がおまえらよりよっぽど熱いぜ!
(-@∀@) ははは…ははははは!
たまにジョルジュと誰かがけんかをするときもあったが、彼は無敵だった。
どれだけ殴られても、最後には勝ってしまう。
彼はまるで痛みを感じていないかのように――むしろ喜んでいるかのように、
戦いを楽しんでいた。
- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:07:14.01 ID:q09PhllL0
そうして僕たちは、一つの集団を作り上げた。
日常に不満を持ち、怒りを隠し持っていた熱いやつらを集めた、非公式地下格闘軍団。
誰が名付けたか知らないが、会員の者たちはみんなこう呼ぶ。 ファイトクラブ。
_
( ゚∀゚) ファイトクラブのルールその一、誰にも教えるな ファイトクラブのルールその二、絶対に誰にも教えるな
ファイトクラブのルールその三、絶対に絶対に誰にも教えるな
ファイトクラブのルールその四、絶対に絶対に絶対に……
バーの地下倉庫を貸し切って、僕らは毎晩闘った。
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:09:51.40
ID:q09PhllL0
僕の不眠症はとっくに消えていた。
(-@∀@)(ん、電話か…?)
_
( ゚∀゚) ファイトクラブのルールその百十二、絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に…
(-@∀@) なあ、ジョルジュ。電話がかかってきたんで、すまないが失礼するよ
_
( ゚∀゚) あ?ああ、わかった。えーと絶対に絶対に…いま俺何回言った?
(,,゚Д゚) 八十八回です! _
( ゚∀゚) よし、絶対に絶対に絶対に…
- 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:12:05.42 ID:q09PhllL0
(-@∀@) もしもし
「ねえ、最近会ってくれないけど、忙しいの?」
(-@∀@) ?誰だ
「なにそれ。なぞなぞでもしたいの?」
(-@∀@) 君は誰だ。この番号は知らないぞ
「ミセリよ。新しいプレイのつもり?」
(-@∀@) ……?ミセリって、あのセミナーの? どうしてこの番号を知ってるんだ
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:14:36.35 ID:q09PhllL0
「どうしてって…」 _ ( ゚∀゚) おい、電話は終わったか?
(-@∀@) いや…ミセリからかかってきた。覚えてるか?ミセリのこと _
( ゚∀゚) そりゃあ覚えてるぜ…なにせ俺の女だからな
(;-@∀@) なんだって!? _
( ゚∀゚) 電話を貸せ
いつの間に恋仲になっていたのか知らないが、彼女はミセリと付き合っているらしい。
それにしても他人の携帯番号を勝手に教えて連絡を取り合うなんて、非常識にもほどがある。
まあ、このジョルジュの非常識は今に始まったことではないが。
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:21:07.31 ID:q09PhllL0
それから彼女――ミセリはジョルジュの家によく遊びに来るようになった。 彼の家というのは、僕の家でもある。
< あんっ!やあぁ…あん!
< オラオラ!オラー!
僕は毎晩のように彼らの声を交互に聞かなければならなかった。
< プリーズ!プリーズギブミーユアズ!
< オラオラ!オラなんかわくわくしてきたぞ!
ミセリと話をする機会もあったが、決まって彼らのコトが終わってからだった。
別にジョルジュが羨ましいとかそんなことは無いが、彼らのイカれた情事に声だけ付き合わされるのは
勘弁ならなくて、別にジョルジュが羨ましいとかそんなことは無いが、もうあんな女とは付き合うなと
何度もジョルジュに頼んだが聞き入れてはくれず、別にジョルジュが羨ましいとかそんなことは無いが、
簡単にいえばジョルジュが羨ましかった。
- 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:26:18.56 ID:q09PhllL0
ジョルジュは物知りで、妙な趣味があった。
_
( ゚∀゚) 知ってるか?電子レンジと固まったオレンジジュースを混ぜると、 ナパーム弾が作れるんだぜ?
(-@∀@) 薬品に詳しいんだな。あとレンジに _
( ゚∀゚) 他にもある。電子レンジと石けんで爆弾が作れるし、 電子レンジと配線があれば時限装置が作れるし、
あとは電子レンジと……
彼は電子レンジと薬品の知識を使って、いつもなにかを作っていた。
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:30:27.13 ID:q09PhllL0
ファイトクラブは順調に運営できていた。
N| "゚'` {"゚`lリ( ゚∀゚ )
(゜д゜@ 彡 l v lミ ( l v l) 〈::゚−゚〉 (;TДT) ||‘‐‘||レ( ‘∀‘) i!iiリ゚ ヮ゚ノル
イ从゚ ー゚ノi、从´ヮ`从トリi、゚ー ゚イ`! ( "ゞ) リハ´∀`ノゝ从リ ゚д゚ノリ li イ ゚
-゚ノl|(ノリ_゚_-゚ノリヽiリ,,゚ヮ゚ノi |::━◎┥(十) /▽▽ /◎ ) =| ) [ Д`] 爪゚ー゚)
爪゚∀゚) 爪゚A゚) ( ・−・ )ノリ, ^ー^)li ( ´W`) ( ・∀ ∀・)(;;・∀・;;) リ´−´ル
今や会員数は八千を超える一大組織だ。
街中に地下闘技場が作られ、彼らは毎晩、毎晩毎晩血を流し、笑い、憎しみを溶かしていた。
とても穏やかに毎日が進んでいく。 全てはジョルジュのおかげだった。
- 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:33:13.53 ID:q09PhllL0
- _
( ゚∀゚) テンプレ3にこんな使い道があるとは…
彼が僕の人生を大幅に修正してくれたと言ってもいい。
ジョルジュはイカれているが、頭も切れる。
いつも集団の中で圧倒的な存在感を放っていた。
銀紙をレンジに入れたときみたいに、刹那的な輝きに魅入られながら、毎日が過ぎていた。
(( (-@∀@)〜♪
ミセ*゚ー゚)リ …あ!
(-@∀@) あ…
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木) 23:36:16.78
ID:q09PhllL0
ある日、ミセリと偶然街で出会った。 ジョルジュの家以外で会うのは初めてだった。
ミセ*゚ー゚)リ やあ。最近会ってくれないから、死んだかと思った
(-@∀@) 僕と会ったところで面白くないだろ
ミセ*゚−゚)リ なによ、それ。いつも家に行ったらちゃんと迎えてくれるのに 今日は随分冷たいじゃない
(-@∀@) 迎えに行くのはジョルジュだろ。とにかく僕は関係無いからね
ミセ*゚−゚)リ ……は?
今思えば、セミナーで最初に出会ったときから、ミセリに惹かれていたのかもしれない。
彼女はジョルジュと同じくらい自由で奔放で理不尽で輝いていた。
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:39:02.92 ID:q09PhllL0
(-@∀@) 悪いけど、今仕事中なんだ。すまないね
ミセ*゚−゚)リ …あそう。じゃあね
電子レンジの会社には今でもちゃんと通っていた。
しかしこの日、僕の中でなにかが切れた。
きっかけは些細な上司の一言「ネクタイが無いじゃないか」に、一気に怒りが沸いた。
ずっとため込み続けたものが、あふれ出してしまったんだろう。
僕は上司に辞表を叩きつけて、会社を辞めた。
_ ( ゚∀゚) いい調子じゃねえか、相棒
会社を辞めたことをジョルジュに言うと、彼は上機嫌になり、僕を褒めた。
-
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:42:14.21 ID:q09PhllL0
(-@∀@) いい調子なもんか。最悪だ。これで僕は職無しだ _
( ゚∀゚) 地位や名誉や職業に縛られるくらいなら、俺は泥水をすすって地を這う方を選ぶね
(-@∀@) そういうもんかな… _
( ゚∀゚) そうさ。コンビニのバイトくんも大企業の社長も大統領も浮浪者もいつか必ず死ぬ
すべてを失った者が本当の自由を得られるんだ。覚えとけ
ジョルジュの言葉は僕を奮い立たせた。
この頃から、ファイトクラブの会員たちが僕らの家に来るようになった。
彼らはジョルジュから訓練を受け、まるで軍隊のように生活した。
- 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:45:33.01 ID:q09PhllL0
会員は増え続け、コーヒー屋のウェイター、ガソリンスタンドの店員、
弁護士や医者、果ては警察の中にまで会員は増えていった。
ファイトクラブの会員というのは、つまりジョルジュの手下だ。
彼らはジョルジュの命令ならなんでも聞いているようだった。
そしてテロが始まった。
ジョルジュが指揮し、会員たちはお手製の電子レンジ爆弾を街に仕掛け始めたのだ。
(;-@∀@) …
ジョルジュに恐怖したのはこれが初めてだった。
どうしてテロを?と思ったが、彼が電子レンジだけではなく、
この身を取り巻く環境全てに憎悪を抱いているのは前から知っていたので、 あまり深く考える必要は無かった。
- 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:51:06.74 ID:q09PhllL0
(-@∀@)(ジョルジュのことを放っておいていいのかな…)
彼らのテロは毎日ニュースになった。
ジョルジュは徹底的な秘密主義を貫き、会員たちに口を閉ざすよう強要した。
もちろん、彼の恋人であるミセリにも、テロのことは秘密だった。
ミセ*゚−゚)リ なんか隠してるでしょ
ミセリと出会ったのは、また偶然だった。 ファイトクラブが始まるまで時間があったので、カフェに寄った。
すると外を歩いていた彼女が僕を見つけ、中に入ってきたのだ。 そして、この一言を言いはなった。
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:53:39.38 ID:q09PhllL0
(-@∀@) なにも隠してないさ
ミセ*゚−゚)リ 嘘よ。あんたの家、なんか変なやつらが出入りしてるし
(-@∀@) 関係無い
ミセ*゚−゚)リ 隠さないで!なんか…あんたのこと、よくわからない
(-@∀@) わかる必要は無いだろ
ミセ*゚−゚)リ え?
(-@∀@) 君は僕の彼女じゃないんだから
ミセ*゚−゚)リ …最低!
ジョルジュの彼女のくせに、どうして僕にまとわりつくのか、よくわからない。
- 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/01(木)
23:57:06.06 ID:q09PhllL0
ジョルジュと連絡を取って、彼になんとかしてもらおうとしたが、 よくよく考えれば彼は携帯電話を持っていなかった。
しかも最近、彼はどこかへ行ったまま家に戻っていなかった。
ミセ*゚−゚)リ ジョルジュは…
(-@∀@) 彼は消えた
ミセ*゚−゚)リ はあ?
(-@∀@) ジョルジュはどっかにいっちまったよ
ミセ*゚−゚)リ ……っのサイコ野郎!
捨て台詞を吐き、ミセリは店を出ていった。
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:01:27.27 ID:9MNhGSiY0
(-@∀@)(なんなんだ、あの女は…)
|::━◎┥ あの女、どうしますか?
(-@∀@) は?
冷たくなったコーヒーの処分を考え始めたとき、カフェの店員が話しかけてきた。
そういえばこいつは、ファイトクラブのメンバーだ。
|::━◎┥ あいつは組織のことを感づいてる。やはり処分すべきでは?
(-@∀@) いいよ、放っておけ
|::━◎┥ でもジョルジュさん自身が、以前あの女は危険だと仰っていたじゃありませんか
(-@∀@) ジョルジュの言うことなんて聞き流しておけよ
- 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:03:17.41 ID:9MNhGSiY0
|::━◎┥ それはなんのテストですか?
(-@∀@) テスト?いや、テストなんてしてない
|::━◎┥ 今、ジョルジュの言うことは聞き流せ、と…
(-@∀@) 言葉の通りさ
|::━◎┥ ジョルジュはあなたでしょう
(-@∀@) ……
(-@∀@) ……な…は?
- 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:07:02.74 ID:9MNhGSiY0
|::━◎┥ とにかく、ジョルジュさんの指令通り、あの女は組織で捕まえることにします
(;-@∀@) …?…??
|::━◎┥ …っと、外での相談はルール違反でしたね… ではまたファイトクラブで
ぐるぐると頭がミキサーされ、ノイズ混じりの記憶が次々と蘇ってきた。
僕は店員に金を支払わないまま店を出て、ふらふらと辺りをうろついた。
(;-@∀@)(ジョルジュは…どこだ?)
彼の行きそうな場所を手当たり次第探したが、彼は見つからなかった。 ひどく頭が重い。
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:10:27.00 ID:9MNhGSiY0
自分の身に何が起こっているのか、本当は理解していたのだろう。 けれど認めたくなかった。
とにかくジョルジュに会いたかった。
向かいのホーム、路地裏の窓、電子レンジの中、こんなとこにいるはずもないのに、
記憶の中の彼の姿を追って、街中を走った。
彼はどこにも居なかった。 探していない場所はもう、
僕の頭の中だけだった。
(;-@∀@) ジョルジュうううううう!どこにいる!?ジョルジュうううううううううう!!
- 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:12:53.82 ID:9MNhGSiY0
_ ( ゚∀゚) どうした?そんな大声出して…動物愛護団体のデモ行進の練習でもしてんのか?
テキーラの瓶を片手に、彼は突然僕の前に姿を現した。
今まで信じていたものが、音を立てて崩れていく恐怖を覚える。
(;-@∀@) おまえ…おまえは誰だ _
( ゚∀゚) ジョルジュさ…飲むか?
(;-@∀@) いらない! _
( ゚∀゚) まあ落ち着けよ相棒
- 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:18:03.83 ID:9MNhGSiY0
(;-@∀@) うるさい! _ ( ゚∀゚) そうさ…俺はおまえだ。おまえの理想像だ
おまえの思い描いた夢が俺なのさ
けれどおまえは素直じゃない…おまえは俺を自分とは思わず、見ている気分になったりしていた
だが俺は紛れもなくオマエ ファイトクラブを立ち上げ、テロ組織を動かし、ミセリと愛し合ったおまえだ
ついでに、自分の家を電子レンジで爆破した…な
(;-@∀@) おまえだったのか!僕のアパートを爆破したのは…!
そうか…ミセリは僕と付き合っていたのか…!やったー! _ ( ゚∀゚) よかったな
- 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:21:16.89 ID:9MNhGSiY0
(#@∀@) いや…違う。消えろ!僕の中から消えていなくなれ! _
( ゚∀゚) おいおいおい酷いこと言うじゃねえか 俺を作り出したのはおまえだ。おまえが俺を必要とした
(;@∀@) でも…もういい。こんなことは望んでない! _
( ゚∀゚) 今夜、この街の高層ビルが軒並み爆破される
(;@∀@) なんだって!? _
( ゚∀゚) 俺が指揮したテロ組織…いや、実際のところおまえが指揮したんだがな
とにかく、俺はもう止められない。俺はおまえだからな おまえには絶対に止められない
(#@∀@) ふざけるな!
- 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:25:46.12 ID:bfiaMlyS0
- _
( ゚∀゚) 動き出した電子レンジは、誰にも止められない…
僕が最後に覚えているのは、眼前に迫ったジョルジュのこぶしだった。
ジョルジュ長岡は謎の人物。 頭が切れ、大胆不敵で自由奔放で、誰にも縛られない男。
やつは誰だ、いろんな人から訊かれた。 まさか僕自身だったなんて、誰が予想できる。 _
( ゚∀゚) なにか言い残しておきたいことはあるか?
(-@∀@) …やっぱりなにも思いつかない
とても親切に状況を説明すると、つまり>>1に戻ったということである。
- 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:29:07.59 ID:bfiaMlyS0
- _
( ゚∀゚) いい景色だろ…
ここは廃ビルの一室で、窓からはいくつもの高層ビルが眺められた。
僕はいつの間にかイスに縛られていたが、やつは自由の身だ。 つまり僕は、本当は縛られていないんだ。
なぜならやつは僕だから。
(;@∀@) く… _
( ゚∀゚) 縄を外そうとしても無駄だぜ。その縄は、おまえだけに見える意識の縄だ
おまえがぐーたらに送った人生の中で、自ら縛り上げた自由を放棄する縄なんだ
外せるわけねえだろ…おまえが。なあ?
- 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:31:39.41 ID:bfiaMlyS0
(;@∀@)(僕はやつだ僕はやつだ…縛られていない…縛られていない…)
_
( ゚∀゚) とっておきのエンターテイメントも用意した 見てみろよ
ミセ;゚=゚)リ ……んー
(;@∀@) ミセリ! _
( ゚∀゚) もう地の文も面倒だから俺が口で言うが… どうして彼女が縛られているかわかるか?俺がやったんだ
つまり、おまえがやったんだよ
- 53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:35:47.94 ID:bfiaMlyS0
(;@∀@) 彼女を解放してやれ!彼女は関係無い! _
( ゚∀゚) あるね。やつは俺の女だ。つまりおまえの女だ 関係、大ありだ
それから…見えるか?見えるよな、この銃が 今からあの女の頭をぶち抜いてみせよう
(;@∀@) やめろ! _ ( ゚∀゚) 自分に言えよ。おまえは俺だ。俺はおまえなんだから
(;@∀@) そんな、あいつが俺で俺があいつで…みたいな… _
( ゚∀゚) それは確かBLゲーのタイトルで今の状況とはなんの関係も無い
- 55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:39:24.65 ID:bfiaMlyS0
(;@∀@) やめろ!やめてくれ!なんでもするから…彼女だけは…
ミセ;゚=゚)リ …?
(;@∀@) 好きなんだ…彼女のことが
ミセ*゚=゚)リ ……… _
( ゚∀゚) “自分”に言えよ。俺はおまえなんだ
(-@∀@)(俺は…おまえ…?)
_
( ゚∀゚) …ほら、早く気がつけって!ちょうどスレを立てた頃から見始めた映画が
もうエンドクレジットなんだよ!元ネタがそろそろメニュー画面にいくぞ!
(;@∀@) ちょっと待てよ!突然いつもの調子になったから頭が混乱して…
- 58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:42:50.00 ID:bfiaMlyS0
- _
( ゚∀゚) あーもうメニュー画面になっちゃった!
DVD取り替えて別のやつ観るか!?手元にはショーシャンクの空にがあるけど…
(;@∀@) そうか…やつが銃を持っている…ということは…
銃を持っているのは本当は僕なんだ!僕が…銃を持っている! 銃を……!
(-@∀@)つ□
(-@∀@) ……AA的に明らかに銃じゃないぞ、これ つ□と
_ ( ゚∀゚) 電子レンジ型のピストルさ
- 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:45:42.52 ID:bfiaMlyS0
(-@∀@) とにかく銃は取り返した…! いや、本当は最初から持っていたんだけど…
_
( ゚∀゚) それでどうするつもりなんだ?
(-@∀@) …こうするのさ
_
( ゚∀゚) …なんだそれ
(-@∀@) もっと説明しろ _
( ゚∀゚) どうして銃を自分に突きつけるんだ
(-@∀@) おまえが僕だからさ。おまえの体は幻だけど、僕の体はおまえの体でもある
- 61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:47:14.40 ID:bfiaMlyS0
- _
( ゚∀゚) …おい、待て、考え直せ
(-@∀@) ジョルジュ…最後にこの決めぜりふを言わせてくれ
“僕の目は見えている”
パンッ!
_ ( ゚∀゚) …なんだよ…それ………グフ
- 62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:48:55.20 ID:bfiaMlyS0
ミセ;゚=゚)リ …んー!んーんー!
< ん……?
( ・∀・) ……生きてる…?
そうか…バズーカ砲でも防ぐ防弾メガネをかけていたからか…
( ;・∀・) あ…ミセリ!大丈夫か!?
ミセ;゚ー゚)リ ぷはあ!死ぬかと思った!
- 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:50:53.44 ID:bfiaMlyS0
( ・∀・) よかった…
ミセ#゚ー゚)リ なにがよかったよ!勝手に連れ出してきて体を縛ったあげく!
( ・∀・) ミセリ…ごめん。迷惑かけたね。もう大丈夫だから
ミセ*゚−゚)リ そ、そうなんだ…
( ・∀・) 愛してるよ、ミセリ
ミセ*゚ー゚)リ ほ、本当に?ジョルジュ…
( ・∀・) いや…
ミセ*゚ー゚)リ え?
( ・∀・) 僕の名前はモララーだ
- 65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/02(金)
00:52:46.00 ID:bfiaMlyS0
/⌒ヽ⌒ヽ ■■■■■ ■■■■■■■
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