◆ゲームに集うは、切り札のギャング達のようです◇
2 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:00:18.94 ID:mbj0rV3M0
- ◇7:7並べ
―14:59:33―
(´・ω・`)「着いたよ。」
車に揺られる事、約3時間。
僕はショボンの声にゆっくりと目を覚ました。
寝ている間、うっつら、うっつらと縦に振っていた首の痛みを感じる。
窓の外を見るが、張り付いた雨が邪魔してこの車がどこに着いたのかわからない。
僕は気だるさを感じながらもシートベルトを外し、ドアを開けて、頭をぶつけないように丁寧に外へ出た。
頭に大粒の雨水が当たる。
新調したてのスーツは水を弾き、点々と雫が肩に乗る。
( ^ω^)「…なんだお?コイツは…」
僕の目の前に聳え立っていたのは…あれ、いや…言葉で説明しづらいな。
何だろうこれは…。
僕の目の前には建物らしきものがある。
「らしき」という表現を使わなければいけないのも仕方がない。
正方形だ。
僕の目の前には真黒な正方形の立方体がある。
建物だろうと思ったのは2階建ての一戸建ての家ほどのサイズで、他に中に入れそうな建物らしき物件も見当たらなかったからだ。
そういえば…と、ふと辺りを見渡す。
端的に言えば何もない。本当に何も無いのだ。
見渡す限りの荒野。荒野。荒野。ビルも家も草木も見えない。ただ果てしなく広がる大地。
どうやら僕達は都市部からかなり離れた場所にいるようだ。
- 5 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:02:37.71 ID:46qXBwew0
- そんな枯れ果てた大自然の世界にポツンと置かれている、この真黒な正方形の形をした一戸建てサイズの建物と思われる物体。
いったいこんなところで何をするつもりなのだろうか。
( ^ω^)「と、いうか…ここはどこだお?」
僕はこの国の国土を全てを歩いたわけではないのだが、こんな真っ平らな地平線が見える場所が国内にあったのか?
もう一度時計を確認する。
やっぱり時計の針が示すのは車が発進してから3時間後。
3時間で隣国に行く事は不可能だ。
(´・ω・`)「ここ?ニューソク州だよ。割と郊外の方だけど」
( ^ω^)「ニューソクって…都市部から何百km離れてると思ってんだお…」
(´・ω・`)「それがどうかしたの?普通車ならこんなもんでしょ?」
( ^ω^)「たった3時間で大陸横断できる車がどこにあるんだお」
(´・ω・`)「そりゃあ、君は寝てたからわかんないだろうけど、結構急いだんだよ?」
- 6 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:05:55.10 ID:mbj0rV3M0
- 相変わらず不気味な男だ。
何をしたのか、どこを通ってきたのかもわからない。
まぁ、これ以上追求すると金を請求されかねないな。
ここは体に問題が無いだけ良しとしよう。
(´・ω・`)「まぁこんなとこにいるのもなんだし…中に入れば?」
( ^ω^)「ちょっと待つお」
(´・ω・`)「なにさ。僕としてはこんな大雨の中に傘も刺さず談笑なんてしたくないんだけど」
( ^ω^)「一応聞いておくけど…あの四角の中に入んのかお?」
(´・ω・`)「当たり前じゃないか。おかしなことを言うね」
おかしいのはこの場所だろう。
僕は無事に都市に戻れるのか?
( ^ω^)「…………」
(´・ω・`)「………?」
さて…どうしようか。
- 7 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:06:48.47 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「わかったお。中に入るお」
その悩みはすぐに解消した。
靴の中に水が染み込んできたから。
ここがどこであれ、僕はコイツ、ショボンの挑戦を受けなければならないのだ。
既に勝負の契約は済ませてしまったのだから。
(´・ω・`)「それでは案内しよう。ゲーム場『Dice』へ」
ダイス…なるほど。だからこの建物は正方形なのか。
しかし、どの面にも数字を表す穴が掘られているような形跡はないが。
ただ正方形だと言うだけでサイコロと言うのはどうだろうか。
( ^ω^)「しかし…これどっから入るんだお?」
見たところ入口のような場所は見当たらない。
まさか、地下道でも用意しているのか?
たったゲームの為だけに、そこまで金を掛けるとは…なんと景気の良い奴だ。
(´・ω・`)「いや、普通に裏にドアがあるんだけどね」
( ^ω^)「あっそ」
- 8 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:10:52.53 ID:mbj0rV3M0
- ショボンの後ろについて立方体の裏に回る。
そこにはなんてことはないごく普通のサイズのドアがあった。
この中でいったい何をするというのか。
ドアの横の壁には扉付きの小さなショーケースが設置されてあった。
扉の中には小型のカードスキャナが壁に取り付けられている。
ショボンがポケットからカードを取り出し、その隙間にカードを差し込む。
ピッっと言う音。
その後、ドアのロックが外れる音がした。
ショボンがドアノブを掴む。
(´・ω・`)「さぁ、入ろうか」
僕は促されるままに中に入った。
それに続いてショボンも中に入る。
ガチャンと扉のしまる音がした。
- 10 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:13:21.25 ID:mbj0rV3M0
- ( ;^ω^)「ちょ…またかお…」
中は既に照明が点けられていたようだ。
ただ、その照明は部屋中央のある一点のみを照らしていた。
この立方体の中には1つだけ物があった。
全面ガラス張りの正方形の立方体。
真っ黒な正方形の中にはそれよりも少しばかり小さなガラスの箱があった。
図で説明するとすれば漢字の「回」が適切だろう。
(´・ω・`)「さぁ、あのケースの中に入ってくれ。」
( ^ω^)「…あれはなんだお?」
(´・ω・`)「あれは産業廃棄物さ。昔に取引をした際に貰ったものだ」
( ^ω^)「取引?…何だお、それは」
(´・ω・`)「プルトニウムだよ」
- 12 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:16:36.70 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「プルトニウム…?」
(´・ω・`)「ああ。少し前まで、あのケースの中には5tのプルトニウムが入っていたのさ」
プルトニウム…名前だけ知ってる元素。
なんか放射線物質がものすごい奴だったような
(´・ω・`)「ああ、心配しないでくれ。もう洗浄はきっちりと済ませたから中に入っても問題はないよ」
( ^ω^)「放射線物質って洗えるのかお…」
(´・ω・`)「まぁそんなことは気にしなくてもいいさ。それよりも大事なのは勝負だろ?」
ショボンはそういうとケースを指さした。
確かに、この男が昔どんな取引をしていようと僕らの勝負には全く関係のない事だ。
(´・ω・`)「このケースの中でやろう。」
ガラスの奥には上面が緑で縁が真っ黒に塗られたテーブルと、2つの木製の椅子が置いてあった。
テーブルの中央には貯金箱のように縦に長い穴が空いてあった。
あれはいったい何だろう…?
- 13 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:18:47.26 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「了解だお。それで?なにをするんだお?」
(´・ω・`)「それは君が選んでくれよ。ここにはトランプ、ダイス、ルーレット…何でも揃ってるよ」
( ^ω^)「じゃあこれにするお」
僕は何のためらいもなくポケットからカードケースを取り出す。
中に入っているのは52枚の赤と黒。
(´・ω・`)「トランプね…。いいだろう。何をしようか」
何でもいいらしい。
ならここは僕が大好きなゲームで行こうじゃないか。
( ^ω^)「ゲームは…テキサス・ホールデム」
( ^ω^)「ポーカーだお」
- 14 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:22:20.17 ID:mbj0rV3M0
【◆( ^ω^)ゲームに集うは、切り札のギャング達のようです◇】
- 15 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:25:33.53 ID:mbj0rV3M0
- テキサス・ホールデム。
ポーカーの世界共通ルールだ。
手札は2枚。場には5枚のカードが置かれ、プレイヤーはその中から3枚のカードを選び一番役の強い組み合わせを作り、勝敗を競う。
正確にはそのゲームの中でのベットの駆け引きが物を言うのだが…まぁ詳しくはググれ。
(´・ω・`)「いいね。それで決まりだ」
ショボンは両手を叩くと、ケースに向かって歩き出した。
ケースの外にはまたカードスキャン備えられていた。
ショボンがカードを機械に潜らすと、電子音と共に、ケースの扉の錠が解除されたようだ。
そのまま中に入るのかと思いきや、ショボンは振り向き僕の方を見た。
(´・ω・`)「この【Dice】の施錠キーはこのカード一枚なんだ。」
( ^ω^)「だからどうしたお?」
(´・ω・`)「これは重要な事だから、よく覚えておいて。なんなら身体検査をしてもいいけど…」
( ^ω^)「けっこうだお。お前はそんなつまらん事をするような男じゃないお」
- 16 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:27:10.11 ID:mbj0rV3M0
- (´・ω・`)「あ、嫌なら別にいいんだけど」
僕は素直に感想を述べた。
何を好き好んでコイツの体を調べなきゃならんのだ。
ショボンはまたケースの方を向き、扉を開けた。
( ^ω^)「ちょっと待てお」
僕の声に反応してショボンの動きが止まる。
(´・ω・`)「何かな?やっぱり調べるの?」
( ^ω^)「おめーはどうでもいいお。それよりもケースの方を調べさせてくれお」
(´・ω・`)「この中を?」
( ^ω^)「ここはショボンが用意したステージだお。一応確認させてくれお」
(´・ω・`)「別に構わないけど……ああ、君はそうだったね…」
ショボンは何かに気付いたように、にやついた。
(´・ω・`)「イカサマが弱点だもんねw」
- 20 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:31:42.51 ID:mbj0rV3M0
- 0日目
―22:13:43―
( ´W`)「なるほど…つまり君があの?」
( ^ω^)「あのって言われるほどでもないけど…まぁ【セブン】の名で通ってるお」
(
´W`)「そうか。今日はすまないねわざわざこんな時間に呼び出してしまって」
( ^ω^)「おっおっおっ構わないおwwシラヒー氏に歓迎されるなんてこの上ない名誉だおwww」
今宵、僕は資産家の豪邸に招待された。
豪華な内装、豪華なテーブル。僕が招待されるのに相応しい。
運ばれてくる料理は全部平らげる。
平らげるためにはお世辞の一つや二つくらい言わないと。
(
´W`)「ちなみに【セブン】殿は現在お幾つで?」
( ^ω^)「ん…まぁ詳しくは言えないけど20代前半だってことだけは言っておくお」
まぁ正確には26だけどな。
そんなことはこの爺さんにも関係無いはずだ。
- 21 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:34:47.21 ID:mbj0rV3M0
- ( ´W`)「ほう、お若い。そんなに若いのにいろいろと無茶をしているようで…」
( ^ω^)「まぁ、人生大団円迎えてるにもかかわらず、自分の金をまだ増やそうとするような老後だけは送りたくないので」
僕は口の周りに付いた汚れを真っ白なテーブルクロスで拭う。( ゚ W ゚)
( ´W`)
一瞬、シラヒー氏の瞳孔が開いた気がするが気のせいだろう。
僕は黙々と食べ続ける。
(
;´W`)「え〜…おや、もう2時間もたってしまったのか…そ、それでは…そろそろ始めましょうか…」
僕はナイフとフォークを止めた。
勘弁してくれ。あと30分は食べていたい。
…が、一応呼ばれた身なのでここは自粛する。
( ´ω`)「…わかったお…」
僕はがっくしと肩を落とし、食器を前に滑らせる。
ああ、どんどん食器が片付けられていく…。
- 23 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:36:57.23 ID:mbj0rV3M0
- ( ;´W`)「ああ…食後にサンドイッチとコーヒーも用意しているので…」
( ゚ ω゚)
サンドイッチと言うワードを聞いて、しょぼくれた目が一気に輝いた気がする。
さぁこい。はやくこい。ほら。
(
;´W`)「あの…セブン殿?」
( ゚ ω゚)
( ゚ ω゚)
( ^ω^)「お?」
- 25 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:40:04.76 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「おー気にしなくていいおwwいつもの事だおwww」
( ;´W`)「ああ、そうでしたか…」
僕は涎を飲みこみ、平然を保つ。
不安そうに顔を窺うシラヒー氏を手であしらいつつ、脳内はサンドイッチでいっぱいになっていた。
いかん…また涎が…。
( ´W`)「それでは…始めましょう。今日はルーレットということで、よろしいですかな?」
( ^ω^)「ああ、構わないおww」
ルーレットは大好きだ。どんなに精巧なイカサマをしても、僕の能力に届く事はない。
僕はコーヒーに角砂糖を2つ入れかき混ぜる。
( ´W`)「ちなみに…今日はいくらご用意を?」
( ^ω^)「今日?今日は…10万レスだけだお」
( ;´W`)「…は?」
( ^ω^)「ああ、問題はないおwwwすぐに100倍になるから」
まずは…暇つぶしにいくら稼ごうか。
- 27 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:42:57.95 ID:mbj0rV3M0
- ―23:24:41―
( ;´W`)「えっ…あ……?えっ…」
( ^ω^)「今日はこんなもんかお」
サンドイッチをむしゃむしゃと口に入れる。
ああ、このレタスはなんてうまいんだろう…。
(
;´W`)「馬鹿な…嘘だ…!」
シラヒー氏は狼狽していて、楽しくサンドイッチ談義が出来ない。
そりゃそうか。
たった一夜にして資産の70%以上を取られたのだから。
( #´W`)「き…貴様っ!いったい何を…イカサマをしたなぁ!!」
とうとう、氏の堪忍袋の緒が切れてしまったようだ。
あらら…僕はまったく関係無いのに。
- 31 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:45:18.33 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「イカサマ?何の事だお?」
( #´W`)「ふざけるのも大概に…!!」
( ^ω^)「あんたが用意したステージ、あんたが用意したルーレット、あんたが用意したディーラー…。どこにイカサマを?」
(
#´W`)「ぐっ…!!」
どうやらこの人は相当負けず嫌いならしく、途中でやめればよかったこのゲームも、ずるずるとここまで引き延ばしてしまって。
だいたい、運営している企業を賭け金に出すなと僕は言いたい。
僕は経営なんてさっぱりなのに。
( ^ω^)「今日は帰らせてもらうお。資産の書類は全て僕が預かるお」
そう言って僕は書類の入ったアタッシュケースを掴む。
最後のサンドイッチを飲み込んでから、僕は振り返り、ドアに向かって歩き出す。
( ´W`)「待て。」
後ろからシラヒー氏の声がした。
僕は進むのを止め、振り返りもせずその場に立ち止まる。
- 34 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:50:28.31 ID:mbj0rV3M0
- ( ´W`)「あんたもまだ若い…こんなところで命を落としたくはないだろう」
シラヒー氏は悟る様に僕に語りかけた。
このセリフを言う、対戦相手は今までにも数多くいた。
後ろを見なくてもわかる。
今まで、壁に立っていただけの使用人が、全員銃を構えている事は。
( ^ω^)「言いたい事ははっきりと言えお」
(
´W`)「君はもう少し年寄りに敬意を払うべきだ。でないと損をするぞ」
( ^ω^)「…一つ賭けをしませんかお?」
(
´W`)「………なんだ?」
僕はポケットから金貨を取り出す。
( ^ω^)「僕が生きてこの家から出られるかどうか…ね」
- 38 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:53:55.16 ID:mbj0rV3M0
- ( ´W`)「そうか…そのケースは意地でも離さないつもりなんだな」
( ^ω^)「負け犬の遠吠えwwww乙wwww」
( ´W`)「…いいだろう。その勝負に乗ろうじゃないか。まったく君もつくづく運の悪い奴だね」
( ^ω^)「ギャンブル成立だおねwww」
そう言って僕はコインをシラヒー氏の元へ弾き飛ばす。
( ^ω^)「僕が死んだらあなたの勝ち、僕が生き残ったら僕の勝ち」
( ´W`)「ふん…下らん」
( ^ω^)「で?」
( ^ω^)「シラヒー氏は何を賭けるんですかお?」
- 40 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
00:57:39.52 ID:mbj0rV3M0
- 僕は振り返り、氏に尋ねる。
シラヒー氏の目は高飛車な態度で僕を見下していた。
(
´W`)「何でもいい。万が一にも私が負けたら、財産も、私の命も全てやろう」
わお。なんて太っ腹な方なんだ。
僕には理解できないね。その口の軽さ。
( ^ω^)「その言葉…忘れませんおwww」
( ´W`)「……撃て」
そう、氏が言った瞬間、僕の周りを囲んだ使用人達は一斉に引き金を引いた。
その銃声で聞こえなかったんだが、この時にフォックスさんから留守電が入っていたらしい。
- 42 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:01:21.90 ID:mbj0rV3M0
- ―23:58:12―
( ^ω^)「お〜…意外と燃えるおね〜…」
僕は広大な氏の豪邸の庭を散策しながら呟いた。
真っ赤に燃え盛る氏の豪邸。
今、彼はどの辺にいるのだろうか。
いや…どの辺で寝ているのだろうか、と言った方が正しいか。
僕はワインボトルの中身を飲み干し、空きビンを館に向けて投げつける。
その時、いやホント偶然。
たまたま携帯を開きたくなったので、携帯を開いた。
その時なんだよ。
フォックスさんの留守電を知ったのは。
- 43 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:05:35.64 ID:mbj0rV3M0
- 5日目
―15:34:10―
(´・ω・`)「もういいか〜い?」
振り返るとショボンがドアの縁に寄りかかっていた。
僕はそういえば…と思い、腕時計を見る。
おっと、探し始めてからもう30分以上たっていた。
( ^ω^)「おお、悪いおね。もう大丈夫だお」
僕はそう言って、席に着く。
ショボンも僕の了承を確認すると、席に向かった。
何やら大道具を持ってきたようだが…何だろう。
その時、ショボンを挟んでいた扉が閉じ、ロックが作動した。
(´・ω・`)「何か変なものは見つかったかな?」
( ^ω^)「とりあえず、聞きたいもんが何個かあるお」
(´・ω・`)「何だい?」
僕はこのケースの天井の四隅のうちの一つに指を突き刺す。
その指につられてショボンも隅を見た。
- 45 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:09:17.94 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「このケースの隅、天井と床の8箇所全てにパイプのようなものがあるけどあれは何の為だお?」
通気口ではない。通気口ならばもっと窓口を開けるはずだ。
どちらかと言えば、そう、雨水でも流す為のような。
(´・ω・`)「ああ、それは…」
( ^ω^)「それと」
僕はショボンの声を遮断するかのように続けた。
( ^ω^)「この机についてだお。この穴も気になるし…」
( ^ω^)「机の横に付いている手錠…こりゃなんだお?」
僕は机の横にぶら下がっていた手錠を持ち上げる。
これは僕の方だけではなくショボン側のテーブルにもついているようだ。
(´・ω・`)「ああ、それらについては今から説明するよ」
そう言うとショボンはテーブルに肘を掛け、僕の顔を見つめた。
- 48 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:13:21.82 ID:mbj0rV3M0
- (´・ω・`)「君は僕の命を代償として差し出した。間違いないね?」
( ^ω^)「おっ」
僕はこくりと首を縦に曲げて頷く。
(´・ω・`)「しかし、僕としてはそれは避けたい。死ぬの怖いもん」
( ^ω^)「まぁそうだおね」
(´・ω・`)「誰でもいいと言った以上、この提案を却下するわけにはいかない。これからは『僕以外』という言葉を付け加えておくよ」
( ^ω^)「これからなんてあんのかお?」
僕はケラケラと笑い、椅子を傾けて遊ぶ。
- 51 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:17:24.33 ID:mbj0rV3M0
- (´・ω・`)「…そこで、僕の取れる行動はやはり君の命をもらうことなんだよね」
( ^ω^)「それが、あのパイプと何の関係があるお?」
(´・ω・`)「ああ、大ありだ。このゲームの勝者に送られるのは、情報と…コイツだ」
ショボンは胸ポケットから1枚のカードを取り出した。
それはこの部屋を閉ざすロックを解除するカードキー。
( ^ω^)「…つまり、敗者ここから出られないってことかお?」
(´・ω・`)「その通り。じゃあ、順番に説明しよう」
そう言うとショボンは反対側に掛けられた手錠を取り出した。
(´・ω・`)「まずこのゲームに参加するには必ずこの手錠を付けてもらう」
(´・ω・`)「見ての通りテーブルに繋がっているし、かなり太めに作った。簡単には外せない」
(´・ω・`)「この手錠を外す鍵は、この机の中に入っている」
ショボンは淡々と僕に説明した。
僕もこのゲームの概要が見え始めてきた。
- 53 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:21:15.87 ID:mbj0rV3M0
- (´・ω・`)「この机の引き出しは、今は空かないがある条件を満たすと開く」
( ^ω^)「条件?なんだおそれは…」
(´・ω・`)「これさ」
ショボンは持っていたバッグを机の上に乗せる。
チャックを開け、文字通り、バッグの中身をひっくり返した。
中からザラザラと、大量のチップが出てきた。
( ^ω^)「チップ…?かお」
(´・ω・`)「全部で2000点分あるはずだ。お互い1000点ずつでスタートする。これを全てこのテーブルの中に入れればOK」
( ^ω^)「どうやってだお」
(´・ω・`)「テーブルをよーく見てくれ。手元に小さな取っ手があるだろう?」
よく見ると、手元の傍に、小さな出っ張りがある。
僕はそれをつまみ、上へ上げるとパカッと箱のように空いた。
中にはコインシューターが入っており、ここにコインを置けるようになっている。
(´・ω・`)「そこに全てのチップを入れると、重みで下に落ち、スイッチが作動するようになっている」
- 56 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:25:22.49 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「そうなるとどうなるお?」
(´・ω・`)「君の座っている面の引き出しが空き、中に入っている鍵を手に入れる事が出来る」
( ^ω^)「なるほど。つまり手錠を解く事が出来るのは…」
(´・ω・`)「そう。一人だ」
つまりどちらかはこの箱の中に取り残される羽目になるというわけだ。
( ^ω^)「それで?この真ん中の穴は何だお?」
(´・ω・`)「それはこのカードキーを入れる為の穴だ。カードを入れるとゲームが始まる」
( ^ω^)「なるほど。コイツも引き出しと繋がっているのかお」
(´・ω・`)「そうだ。ただし、繋がっているのは引き出しだけじゃないんだ」
( ^ω^)「?」
- 58 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:29:28.29 ID:mbj0rV3M0
- ショボンは天井の隅を指さす。
その先にはパイプが。
(´・ω・`)「このカードキーを中に入れると、あそこから水が入ってくる」
( ^ω^)「水?」
(´・ω・`)「ああ、車を止めていた位置からは死角になっていたと思うけど、この屋上にはタンクがある」
ショボンはケースの隅を指していた指を真上に向けた。
確かによく見ると、この真っ黒な部屋の天井は外で見たときよりも低く感じる。
(´・ω・`)「中にはこのケースを一杯にできるほどの水が入っている。君ならこの意味がわかるよね?」
( ^ω^)「ゲームに負けた方はこの中で溺死かお…。」
ショボンはにやりと口角を上げた。
制限時間があるのは困る。
コイツから全てを聞き出すのにも時間が必要になるからだ。
- 61 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:33:33.36 ID:mbj0rV3M0
- (´・ω・`)「ポーカーのルールに関しては通常通り。最低ベットは20点、上限は無しだ」
(´・ω・`)「ディーラーがいないので、シャッフルは専用の機械を使う」
そう言うと、ショボンは入ってくるときに持ってきた大道具をテーブルの横に置いた。
これはシャッフルマシーンだったのか。
(´・ω・`)「…説明は以上だ。とにかく僕が用意したこのゲームで負けた方は死ぬ。さて、質問がなければ始めたいんだけど…」
( ^ω^)「ここに水がたまるのはどのくらいだお?」
(´・ω・`)「うーん…まぁ2時間ぐらいだけど…扉が開かなくなるまで水が昇ってくるのはまぁその半分くらいかな」
タイムリミットは1時間。
それまでにコイツからモナーさんの死について喋らせる。
( ^ω^)「…もう質問は無いお」
(´・ω・`)「わかった。それじゃさっそくトランプを切って…」
( ^ω^)「待てお。こっちも条件を出させてもらうお」
(´・ω・`)「条件…?」
- 64 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:38:19.59 ID:mbj0rV3M0
- 僕はポケットから1組のトランプを取り出す。
( ^ω^)「使うのはショボンが用意したカードじゃなく、僕のカードを使ってほしいお」
(´・ω・`)「…ああ、モナーさんに貰ったやつね。懐かしいなぁ…」
そう言うとショボンは僕からそのトランプを受け取った。
(´・ω・`)「すごいなぁ…これ、ホントに15年も前に貰った奴?手入れが完璧じゃないか」
( ^ω^)「おっおっおっwwそれほどでもあるおwww」
ショボンは1枚1枚じっくりと見る。
(´・ω・`)「念のため聞いておくけど…これ君にだけしかわからないマークなんて無いよね」
- 67 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:41:47.66 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「僕を誰だと思ってるお?そんな小細工、必要無いお」
その言葉を聞くと、ショボンはあれほど熱心に鑑定していたトランプをまとめた。
(´-ω-`)「…ああ、そうだったね。君には必要ないよ。確かに」
そしてショボンはトランプをマシーンにセットし、スイッチを押した。
すると、ショボンは徐に手錠を掛けた。
その後すぐにテーブルに置いてあったカードキーを拾い、僕に突き付けた。
(´・ω・`)「手錠をしたらこれを中に入れてくれ。一応イカサマは無いという意味をこめて」
( ^ω^)「…わかったお。」
僕は手錠を掛け、カードキーを受け取る。
ちょうどシャッフルが終わり、カードは自動でシューターに移った。
機械がカードを2枚ずつ僕とショボンの元へ滑らせる。
( ^ω^)「それじゃ、始めるお」
僕はカードキーを穴の中に突っ込んだ。
その5秒後、隅にあるパイプから勢いよく水が流れ出た。
(´・ω・`)「僕が死ぬか君が死ぬか。あるいは決着付かずでどちらも死ぬか。楽しみじゃないかw」
( ^ω^)「まったくだおwwwwwwwフヒヒwwwwwww」
僕達は人生で一番の笑顔をしていたと思う。
- 69 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:45:20.84 ID:mbj0rV3M0
- 4日目
―15:00:44―
( ;ФωФ)「そんな…吾輩たちの中に…」
モナーさんは吾輩たちの誰かによって、殺されたというのか?
そんな馬鹿な。吾輩たちは…ずっと彼を。
爪'ー`)「じゃあ聞くが、他に誰が殺せる?」
( ;ФωФ)「それは…」
爪'ー`)「はっきり言おう。僕は君達が信用できない。もちろんロマネスク、君もね」
( ;ФωФ)「……」
まさか…。何十年も共に歩いてきた男からそのような言葉を突きつけられるとは…。
爪'ー`)「特に怪しいのはクーだ。彼女はずっとモナーさんの体調を管理していたからね」
(
;ФωФ)「…吾輩はクーにはめられたのか?」
爪'ー`)「さぁ?とにかく彼女は何かを隠しているだろう。それと…」
- 72 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:49:48.90 ID:mbj0rV3M0
- 爪'ー`)「流石兄弟も十分に怪しい」
( ;ФωФ)「?…奴らが何かしたのか?」
クー、流石兄弟…どちらも、昨日共に過ごした連中だ。
いったい奴らは何をしているんだ?
爪'ー`)「恐らく君がモナーさんの亡骸を必要としているのは、ペースメーカーがあるからだろう?」
( ФωФ)「…その通りだ吾輩はクーからペースメーカーを頼まれた」
爪'ー`)「それだよ。そのペースメーカーは流石兄弟が管理しているんだ」
それは聞かされていなかった。
まさか奴らがそんなところでモナーさんを…。
爪'ー`)「しかも…そのペースメーカーなんだが…」
爪'ー`)「モナーさんの体内からは一切発見されなったんだ」
- 75 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:53:40.09 ID:mbj0rV3M0
- ( ;ФωФ)「な、何だと!?」
ペースメーカーが消えただと?
ならば今どこにあると言うんだ。
爪'ー`)「そう考えれば考えるほど、ますます君達が怪しく見えてきてしまう」
爪'ー`)「ツンも、ブーンも、ジョルジュも…君も」
爪'ー`)「君達と再会したあの日に、僕は君らを殺そうとまで考えてしまったんだ…しかたないだろう?」
フォックスから殺気を感じた。
この男も本気で真相を探していたというのか…。
吾輩は自分の無知をつくづく恥じた。
( ФωФ)「……わかった。情報の提供に感謝する」
そう言って吾輩は後ろを向き部屋を出ようとする。
爪'ー`)「ロマネスク…君はどうするんだい?ゲームを続行するのか?モナーさんの真相を突き止めるのか?」
( ФωФ)「……」
吾輩は黙って部屋を出る。
モナーさん…。
あなたは…
- 77 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
01:57:46.63 ID:mbj0rV3M0
- 5日目
―15:45:45―
(´・ω・`)「コール。20点」
( ^ω^)「レイズ。100点だお」
(´・ω・`)「フォールド」
僕達は淡々とゲームを続ける。
3ゲーム目に突入したがまったく展開を見せず。
チップは1060―940。
ショボンは3回連続で降りている。
( ^ω^)「こんな調子でいいのかお?」
(´・ω・`)「ん?何がさ」
( ^ω^)「僕はおめーと心中する気は無いお」
(´・ω・`)「そんなこと言ったって、いいカードが来ないから仕方ないでしょ」
こんなにモタモタしてては不味い。
勝ったとしても、情報が聞けないかもしれない。
床は既にヒタヒタと水が張り始めてきた。
- 80 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:02:22.17 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「次、いくお」
僕は配られた手札を確認する。
スペードとダイヤの9が2枚。
スタートは悪くないが、いかんせん相手が勝負に乗ってこない。
どうにかして勝負に乗せなければ…。
(´・ω・`)「レイズ200点」
ショボンが唐突に点数を張り上げた。
僕の心配は杞憂になってしまったようだ。
( ^ω^)「いいカードが来たのかお?」
(´・ω・`)「まぁね。これは自信があるよ」
ショボンはにやにやと微笑む。
その顔がまた不気味さを引き立たせる。
( ^ω^)「コール。200点」
もちろん僕はその挑戦に乗る。
このゲームには心理戦の要素は全くないことぐらい奴もわかっているだろう。
- 82 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:06:18.18 ID:mbj0rV3M0
- 場に3枚のカードが滑りこんでくる。
スペードのK、ハートの9、ハートの4。
この時点で僕はスリーカードが完成している。
残りのカードで、Kか4が出ればフルハウスの完成だ。
(´・ω・`)「レイズ100点」
ショボンはさらに釣り上げてきた。
相当役に自信があるようだ。
恐らく、2枚のKが手札にあるに違いない。
( ^ω^)「コール。100点」
場に積み重なる600点分のチップ。
これで奴の残高は640。
ここまでくれば一気に追い込めるだろう。
4枚目のカードが来た。
クローバーの4。
フルハウスの完成だ。
これでショボンの300点は僕の物として確定だろう。
- 85 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:09:23.32 ID:mbj0rV3M0
- (´・ω・`)「チェック」
しかし、ショボンは喰らいついてきた。
どういうことだ?
もしかして彼は本当にキングを2枚持っているというのか?
対戦相手が僕と言えどあり得ない話ではない。
もし相手がイカサマしていたらの話だが。
( ^ω^)「…チェック」
ここでオールインするつもりだったが、慎重にいかせてもらう。
奴はいったい何のカードを用意しているんだ?
5枚目のカードが来た。
スペードの6。
もちろんこの場には一切関係のないカードだ。
僕とショボンはどちらもチェックを選択した。
- 88 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:12:45.07 ID:mbj0rV3M0
- ショーダウン。
僕とショボンは手札を場に出した。
僕はもちろん9のフルハウス。
一方のショボンは…
(´・ω・`)「ちぇ、惜しかったね」
クローバーの6、そしてスペードの4。
4のフルハウスだ。
結果はもちろん僕の勝ちだ。
ショボンの300点は僕の持ち点に移動する。
しかし何か引っ掛かる。
ショボンは何故こんなに大量にベットをしたのだろう。
僕は常に高いハンドになることぐらい彼も知っていたはずなのに。
最初のベットラウンドの時点で、場には何のカードも出ていなかった。
そして彼のポケットカードは4と6。
なぜ彼は初っ端から高額ベットをしたのだろうか。
- 91 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:14:31.66 ID:mbj0rV3M0
- (´・ω・`)「……ねぇブーン」
突然、ショボンが僕に声を掛けてきた。
( ^ω^)「…なんだお?」
(´・ω・`)「君は…どうやったら死ぬんだろうね」
( ^ω^)「?……何を言ってるんだお?」
この男、急に負けるのが怖くなったのか?
何故僕の死について語り始めたんだろうか。
(´・ω・`)「例えばだよ?僕がリンゴを取り出したとして、君にこう言うんだ。」
(´・ω・`)「『これはリンゴかどうか賭けるかい?』」
- 96 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:18:55.58 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「何が言いたいんだお」
(´・ω・`)「そして僕は『これはリンゴである』ことに掛ける。さて…君はどうする?」
( ^ω^)「馬鹿馬鹿しいお。さっさとゲームに戻るお」
(´・ω・`)「仮にも、君が『これはリンゴではない』に掛けた場合、それはリンゴじゃなくなるのかい?」
さっきから何が言いたいんだこの男は。
こんな馬鹿げた話をする意味がわからない。
(´・ω・`)「君の能力は完璧じゃない…。君は『同じハンデを持った人間と行ったギャンブル』のみしか勝てないんだろう?」
( ^ω^)「だったら早く賭けろお。勝ってから言えお」
(´・ω・`)「フフフ…今にわかるさ」
- 98 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:21:11.05 ID:mbj0rV3M0
- 5ゲーム目。
(´・ω・`)「レイズ200点」
ショボンはまたもや高額ベットをしてきた。
また役に自信があるのだろうか。
イカサマをしていたのならばすぐに見破る。
( ^ω^)「コール。200点」
僕は今回も彼のベットに付き合うことに決めた。
その後はチェックの繰り返し。
結局ショーダウンまで額が動く事はなかった。
僕はスペードのフラッシュだ。
そしてショボンは…。
(´・ω・`)「10のスリーカード。また僕の負けのようだね」
- 101 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:24:09.40 ID:mbj0rV3M0
- ( ^ω^)「これで差は1000点だお」
(´・ω・`)「いやいや…さすがは一流のギャンブラー。強いね」
素で言っているのか、ふざけているのかもわからない。
昔からこの男はそうだった。
何を考えているのか分からず、周囲とは違う異質を放っていた。
それにもかかわらず、どんな件でも、当事者でさえ知らない事実まで知り尽くしており、それを他人に高額で売っていた。
その情報は的確で、高額な請求でも安いくらいだという者まで出てくる始末だ。
( ^ω^)「もういいお。次にいくお」
イカサマをしていたとしても、僕に通用しないようじゃ意味がない。
このゲームもこれで終わりにしよう。
2枚のカードを僕は拾い上げる。
- 104 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:27:09.50 ID:mbj0rV3M0
- 6ゲーム目
ポケットカードは2枚ともA。
かなり良い手だ。
ここは勢いよく賭けるべきだろう。
( ^ω^)「レイズ。200点」
僕は200点分のチップの山を中央に寄せる。
さぁショボン。君はどうする?
(´・ω・`)「コール。」
- 107 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:27:59.96 ID:mbj0rV3M0
- 予想通り、ショボンはこの勝負に乗ってきた。
これで決着がつく。
場にカードが出た瞬間を狙う。
それでゲームセットだ。
3枚のカードが滑り込む。
ハートのA、ハートのQ、クローバーのQ。
フルハウスだ。
A入りのフルハウスはほぼ最強の役だと言えるだろう。
ここで乗らない手はない。
( ^ω^)「レイズ、260点」
僕は現在のショボンの残額と同数のチップを場に出した。
これで降りたとしても、この勝負がひっくり返る事はないだろう。
(´・ω・`)「オールイン」
…やっぱり僕は奴の考えている事がわからない。
- 109 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:30:39.37 ID:mbj0rV3M0
- いったい奴は何を狙っているのだろうか。
わざと負けるつもりなのか?
それで何かと屁理屈をこね、僕の負けにするつもりなのだろうか。
( ^ω^)「今のオールインは聞き間違いじゃないおね?」
(´・ω・`)「ああ。オールインだ」
これで勝負が決まった。
…いやもしかしたらショボンはさらに高い役を狙っているのかもしれない。
この場から判断するに、ショボンはロイヤルストレートフラッシュを狙っているのか?
まさか64万分の1の可能性に賭けると言うのか。
しかも、それらはまだ完成していない。
これから出る2枚のカードにかかっているのだ。
馬鹿な。そんな事…僕以外にやる奴を初めて見た。
( ^ω^)「わかったお。これでショーダウンだお」
僕は流れてきた2枚のカードを見つめる。
どちらかにハートのストレートフラッシュを作る素材が入っていれば僕は負ける。
- 114 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:33:01.52 ID:mbj0rV3M0
- (´・ω・`)「さぁ、めくってくれ。」
僕はショボンの顔を見る。
平然とした態度をとっている。
まるで既に勝っているかのような態度で。
僕は不思議に思いつつも、1枚目をめくる。
クローバーの2。
この場では関係のないカードだ。
つまりショボンの手札は2枚ともロイヤルストレートフラッシュを作る要因でなければならない。
残すところは後一枚。
ハートのJか、ハートの10か、ハートのKが出た場合、ショボンはこのゲームに勝つ事が出来るかもしれない。
僕は最後の1枚をめくる。
- 118 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:35:13.05 ID:mbj0rV3M0
- カードは
ハートの3だった。
ロイヤルストレートフラッシュは叶わなかったようだ。
まぁ当たり前だ。
結局、ショボンは僕の能力に勝つことはできなかったのだ。
( ^ω^)「それじゃあ…出してくれお」
僕は手札を広げる。
Aのフルハウス。これを越える役はもう一つしかない。
しかし、それはこのゲームに限り、ロイヤルストレートフラッシュを出す事よりも低確率だ。
僕の能力は無敵なのだ。それはまずあり得ない。
ショボンもカードを広げた。
僕はその2枚のカードを見て驚愕する。
( ;^ω^)「なっ……………!!」
そのカードは
スペードとダイヤのQだった。
- 122 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:37:38.02 ID:mbj0rV3M0
- ―15:56:21―
( ;"ゞ)「おい!どういうことなんだ!?…糞っ!」
<゚Д゚=;>「こんな契約だったなんて…聞いていないぞ!」
( ;゚¥゚)「騙されたあああああああああっ!!」
私は餌を狩る。狩る。狩る。
正直、こんなもんじゃまだまだ足りない。
このままでは『ゲーム』に間に合わない。
(*゚ー゚)「これで3億レス…まだまだ」
徐々に焦りが湧いてくる。
他のPlayerはいったいどのくらい稼いでいるのか。
私は今どのくらいの順位に位置しているのか。
(;*゚ー゚)「こんなんじゃ足りない…!」
- 124 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:40:56.18 ID:mbj0rV3M0
- 私は今できる資金調達方法を考える。
私が立ち上げた宗教の年会費を今まとめて払わせようか?
それとも男を数人誑かせて、目立つような犯罪を犯してもらおうか?
あれこれと考えるが、いつまでたってもいい案が浮かんでこない。
やっぱり私の財源は…彼しかいないの。
(*;ー;)「ギコ君…助けてよぉ…!!」
あの巨大な財布がないと…私は…私は…!!
私は急いで、クーのラボへと戻る。
彼の安否が気がかりだ。
もう、ここ数日、彼の事が心配で心配で…。
夜も眠れないほどだったというのに…。
- 127 : ◆4972gaB/9o :2010/04/25(日)
02:43:07.40 ID:mbj0rV3M0
- 私は彼…ギコ君の事なら何でも知っている。
彼の性感帯も、好きな料理も、趣味も特技も。
彼の生まれた場所も、彼の出身校も。
彼の好きな体位も、彼の職業も。
彼がロマンチストだってことも、
彼がお風呂に入っている間に思いついた女の子を口説くための言葉をいちいち携帯に録音している事も、
彼が毎朝必ず全裸で三点倒立をするのが日課だってことも。
彼が財務省の金を無断で使用している事も、
それをシベリア国に流している事も、
そのせいで殺されかけた事も。
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