('A`)が武器で、もとい('A`)と武器で戦うようです


94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 02:13:24.15 ID:8zca7QPHP


でぃ達と戦場を別れて、ハローはポンに苦戦していた。
いまだ能力らしい能力は見せていないが
恐るべきは、その基礎能力だった。

)リ゚ー゚从ト「アハハハ! 逃がさへんで!」

ハハ;ロ -ロ)ハ「くっ!」

ハローは体をねじって、紙一重で双大剣を回避した。
すでに、左腕があの刃の上で回る刃に巻き込まれた。
今までであった武器の中で、間違いなく最大威力だ。
ドクオの武器も強かったが、この双大剣は範囲も威力も桁違い。

ハローは撃っておいた弾丸の時を動かした。

)リ゚ー゚从ト「おっと」

ポンはそれを剣で弾いた。
何故、音のない弾丸を防げるのだ
ハローは奥歯を噛みしめて、後ろ足のまま岩肌を駆け上った、

)リ゚ー゚从ト「!」

 

 



96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 02:15:50.20 ID:8zca7QPHP
ポンが何者かと剣を交わした。
透明になった貞子だ、これもおかしい、何故透明の攻撃を見極められる。
貞子のお陰でハローは、一息つけたが、貞子も力負けして、足下の岩がごろりと崩れ落ちた。

   「うあ」

バランスを崩した貞子は、急斜面の岩山を転がる。
透明で姿は見えないが、音と揺れる岩で、その様子は分かった。

自らが持った刀が刺さるかもしれない。などという心配は出来なかった。
それ以前に、ポンの双大剣が迫っていたからだ。

ハハ;ロ -ロ)ハ「貞子さん!」

トリガーとハンマーを立て続けにひいたが、弾丸は出ない。
いまだリロード時間中なのだ、浮き出た汗が頬を濡らした。
あと何秒だったか、十秒か、五秒か。それでは間に合わない。

ハハ;ロ -ロ)ハ「出て! 出て頂戴!」

夢中でハンマーを弾き続けるが、弾丸は発射されない。
ポンが岩を駆け下りて、今まさに双大剣を振るおうとしている。
出ろ! 撃て! ハローは祈りを込めてハンマーを弾き続けた。

ハハ ロ -ロ)ハ「来た!」

 



 

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 02:26:50.47 ID:8zca7QPHP
祈りが通じたのか、銃は振動と爆音を響かせて
立て続けに四発の弾丸を撃ち出した。
ポンは途端に、ぐっと方向を変えると、剣を交差させて、銃撃を防いだ。

それから、交差させた剣の隙間からにやりと笑って
残念そうな声を発した。

)リ゚ー゚从ト「はー、逃がしたかー」

川;д 「はぁ……、はぁ……」

離れた場所で、貞子が透明化を解除した。
膝を着いて、肩で息をし、刀を握っている。
ハローは、不思議で仕方がなかった、透明な貞子を見分けること自体至難のはずだ

ハローは息をととのえながら
この不可解な現象の、共通点を考えた。

時を動かした弾丸に反応する
完全に無色透明な貞子の攻撃を避ける。

ハハ ロ -ロ)ハ「……」
 

101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 02:31:40.92 ID:8zca7QPHP


弾丸の回転音。
地を駆ける音。
刀を振るう音。

ハハ ロ -ロ)ハ「まさか……!」

)リ゚ー゚从ト「ん?」

ポンはハローの方を見上げたが
二人の対話が始まる前に、貞子が割って入った。

川д川「……聴力を高めるのが、あなたか、その武器の能力ですか?」

ポンは貞子に注意を戻して、表情を変えずに質問した。

)リ゚ー゚从ト「……、どうしてそう思うん?」

川д川「私の能力は、視覚的存在を完全に消します……。だから残るのは、嗅覚か、聴覚か……」

)リ゚ー゚从ト「嗅覚よりは聴覚の方が何となく自然、と」

川д川「……」

ポンは屈託のない笑みを浮かべた。

 

 


106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 03:11:32.37 ID:8zca7QPHP

)リ゚ー゚从ト「そうかもしれん、でもそうじゃないかもしれん。
       うちはな、自分から能力を明かすほど、あほじゃないねん」

川;д川「……」

)リ゚ー゚从ト「あんたらはうちらに、能力が隅の隅までバレとんのや。
      その変のハンディキャップナメたらあかんで
      敵の能力が分からないってことほど、怖いものはないから、なぁ!」

ポンが大剣を交差させたまま駆けだした。
駆ける先は貞子だ、貞子の姿は一瞬で背景に染まる。
しかし、ポンの足は迷うことがない、細かな刃が火花を散らす。

    「!」

)リ゚ー゚从ト「アッハハハハハァー!」

ポンが岩をゼリーのように切り裂いた。
貞子は透明なまま、攻撃の手を逃れた、応戦できる状況ではない。
ポンはそれを追い続ける、こうなればあとは時間の問題だ。


 

 

107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 03:19:17.96 ID:8zca7QPHP

ハハ ロ -ロ)ハ(聴力、弾丸の回転音)

ハローはポンに照準を合わせたまま、能力について考えていた。
空気との摩擦音を聞き分けるなんてあり得るのか? 仮に聴力が高いだけなら、それで説明がつくが
聴力だけでは難しいはずだ。

ハハ ロ -ロ)ハ(それじゃあ、嗅覚?)

鼻が良ければ、貞子の臭いや、弾丸にこびりついた硝煙の臭いを感じることは出来るかもしれない。
だが、これも聴覚と同じで、一つでは弱い。
そもそも、音や臭いでは正確な位置は掴めないだろう。

ハハ ロ -ロ)ハ(視覚……)

弾丸は時が止まっている場所を見て
貞子が蹴った砂利を見ておけば、あるいは。

)リ゚ー゚从ト

ハハ ロ -ロ)ハ「!」

ハローは一つの結論に辿り着いた。

ハハ ロ -ロ)ハ「感覚器官!」

 



 

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 03:30:32.68 ID:8zca7QPHP

ハローは岩の坂を駆け下りて、すぐさま銃の引き金を引いた。
二発の弾丸が、寸分狂わず襲いかかった。
しかし、ポンは振り向いて、大剣を盾代わりにそれを防いだ。

ハローはポンの視線が自分に向いたことを確認した。
うつむきがちにハンマーを引いて、口を開いた。

ハハ ロ -ロ)ハ「感覚器官の特化」

)リ゚ー゚从ト「んん?」

ハハ ロ -ロ)ハ「聴覚、嗅覚、視覚、触覚、そしておそらく味覚までも。
        その全てを強化するのが貴女の能力」

ポンは薄ら笑いを浮かべた。

)リ゚ー゚从ト「だからうちは自分から言わんて」

ハハ ロ -ロ)ハ「構わないわ、ただ私が言っておきたかっただけ。
        クイズ番組は、答えを呟かずにはいられない気質なのよ」

)リ゚ー゚从ト「はぁーん、意地の悪い性格しとるなぁ。じゃあその心意気に関して答えてやるわ」

ポンはにぃと頬をつり上げた。


 

 

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 03:33:26.32 ID:8zca7QPHP

)リ゚ー゚从ト「はずれ」

ハハ ロ -ロ)ハ「……」

)リ゚ー゚从ト「どうしたん、疑ってるんか。まぁうちからどんな言葉聞いても納得せんと思うけど
      これはホントやで、ポンちゃん出血大サービスの大ヒント」

ハハ ロ -ロ)ハ「どうかしらね」

)リ゚ー゚从ト「ふん、まぁ好きに解釈せぇや。
       ……やっぱ、頭はあんたのがキレるみたいやな。だけど、うちは貞子ちゃんを先に殺させてもらうで。
       透明になる能力ってのは、けっこうぞっとするからなぁ」

ポンは貞子を見た。
貞子は膝を曲げて、臨戦態勢に入った。

    「……」

貞子は、今のポンに対するハローの攻撃に命拾いしていた。
あのまま追われ続けていれば、逃げ切れなかっただろう。

わずかにかすった左肩は切り裂かれ、熱をもって震えていた。
直接受けることは絶対に出来なかった。

 



115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 03:55:56.54 ID:8zca7QPHP
)リ゚ー゚从ト「そろそろ体力もきついやろ、うちの攻撃食らえば即死やから。
       楽になれるでぇ、そこの斜面でぼぉっと立ってる貞子ちゃん!」

    「……!」

やはり見抜かれている。
彼女の能力を詮索するのはやめだ、この場をいかに切り抜けるか。
たぎる体から、全身に血液が行き渡っているということが、にわかに実感できた。

もうポンが私を逃すことはない。



川д川(ダイオード様……)

貞子が透明化を解除して、一歩踏み出した。
ポンは「ほう」と口元をゆがめる。

)リ゚ー゚从ト「いざ尋常に勝負っ! てな具合やな」

川д川「その通りです……」

こつこつと音を立てて、歩み寄る二人。
ハローはひじを伸ばして拳銃を構えているものの、リロード時間はまだある。
今は貞子とポンしか、この世界にいない。

貞子は長い髪の隙間から、ポンを睨んだ。

 

116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:00:44.19 ID:8zca7QPHP
川д川「これが……!」

貞子は思いきり地面を踏み込んだ。
直後、まるで瞬間移動したかのように、貞子の体はポンの目の前に現れた。
足、腕、刀。全ての瞬間が一致して、竜巻のような威圧感を生む。

川#д川「私の本気です!」

)リ゚ー゚;从ト「速っ――」

刀と大剣が衝突して、金属音。そして旋風が巻き起こった。
拳銃を構えていたハローは片目をつぶった。
どちらが圧し勝ったのか。

川д川「……」

)リ゚ー゚从ト「……」

ハローは交錯した二人を見て、声を漏らした。

ハハ;ロ -ロ)ハ「く……」

川д川「……」

貞子の刀が根本から折れていた。

そして

ハローの足下に、貞子の左腕が転がった。

 

 

117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:01:41.55 ID:8zca7QPHP
川;д川「う、あぁ……」

ハハ;ロ -ロ)ハ「……」

ポンは振り向いて、ぱっくりと割れた頬から出た血をぬぐった。

)リ゚ー゚从ト「見事やな、タイマンでうちに怪我させるとは」

川;д川「あっ、あっ、ああぁ」

)リ゚ー゚从ト「でも、武器化してるとはいえ、腕飛ばされたら」

ポンは大剣をすりあわせた。

)リ゚ー゚从ト「再起不能や」

川;д川「うぁあああ!!」

滝のように貞子の血が噴き出した。
膝から崩れ落ち、地面に這いつくばって腕を押さえている。
ポンは貞子の様子を見て、息を吐いた。ポンは今の攻防に違和感を覚えていた。

貞子の攻撃は完璧に受けきれるはずだったが
折った刀に頬を斬られてしまった。
ポンにとって、それは計算外のことであった。

 

 

118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:03:14.15 ID:8zca7QPHP
)リ゚ー゚从ト「……あんたか」

ハハ ロ -ロ)ハ「……」

ハローは貞子を視界の隅に捕らえたまま、拳銃をポンに向けている。

)リ゚ー゚从ト「助けなくてええんか」

ハハ ロ -ロ)ハ「のこのこ寄ったら、私も斬られて、結果的に助けられないでせう」

)リ゚ー゚从ト「冷静やね」

ハハ ロ -ロ)ハ「あなたは集中力がとぎれたようね」

)リ゚ー゚从ト「……なんやて?」

ハローはうふふ、と笑った。

ハハ ロ -ロ)ハ「貴女の弱点は感覚が敏感すぎる事ね
        小さな音にも体が反応してしまう」

)リ゚ー゚从ト「ほぉ」

ハハ ロ -ロ)ハ「あなたがさっき弾いた二発の弾丸。
        あれ、すぐに時を止めたんだけど
        交錯の瞬間、時を動かしたのよね」

)リ゚ー゚从ト「……」

 



 

122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:10:06.94 ID:8zca7QPHP
ハハ ロ -ロ)ハ「そしたら、あなたの行動が数瞬遅れたわ。
        あと、貴女の能力は『運動能力の全強化』でせう。
        貞子さんのあの動きに反応できたのがその証拠よ」

)リ゚ー゚从ト「恐ろしいわ、ハローさん……よくこれだけで」

ハハ ロ -ロ)ハ「これだけ? 貞子さんが片腕を犠牲に伝えてくれた情報よ。
        それだけのものを汲み取る義務が私にはあるわ」

ポンは大剣を首の後ろに回した。

)リ゚ー゚从ト「ふーん、面白いやっちゃな、そんで次はどうするん?
       それが全部事実だったとして、うちを攻略できるんか?」

ハハ ロ -ロ)ハ「出来るわよ、ついでに言うともう計画は始まったわ。
        貞子の腕が飛ばされた時点でね」

)リ゚ー゚从ト「なんやと……?」

ハローは足下にあった、貞子の腕のそばにしゃがんだ。

ハハ ロ -ロ)ハ「悪いわね貞子さん、少しだけ『血』借りるわよ」

)リ゚ー゚从ト「……!」

川;д川「……はぁ……はぁ……な、何を」

ハローは地面に流れた血を掌ですくい上げ
顔をはじめとする、体全身に塗りたくった。
そうしてから、歩き出し、斬られた腕を貞子に渡した

 



 

125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:12:02.81 ID:8zca7QPHP

全身血まみれで、ハローは青い瞳を光らせた。

ハハ ロ -ロ)ハ「私アイドルだけど、こういう需要もあるかしらね」

)リ゚ー゚从ト「何を考えてるんや……?」
 
ハハ ロ -ロ)ハ「血の臭いは強烈だから、この場にも充満してるんじゃなくて?
        私も血にまみれれば、ここ一帯の空気と同化できるわ」

)リ゚ー゚从ト「はっ、それで追いつめてる気かいな。透明じゃないあんたがやっても
       何の意味もないように思うけどな」

ハハ ロ -ロ)ハ「聴覚と視覚はフェイントが利くのよ、だから嗅覚を潰させてもらったわ。
        それに貴女は、五感全てを駆使して、ようやく貞子さんの位置を特定していた。
        その内一個が欠けてしまえば、さっきみたいな超反応は出来ないわ」

)リ゚ー゚从ト「人並みになるっちゅうことか」

ハハ ロ -ロ)ハ「さっきよりはね、で、ポンさん、何か違和感を覚えない?」

)リ゚ー゚从ト「違和感やて……? 何も――!」

)リ゚ー゚;从ト「ん、あぁ!?」

 

 

126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:19:37.28 ID:8zca7QPHP
ポンが空を見上げた。
そこには何もない。
ハローはくつくつと笑っている。

)リ゚ー゚;从ト「くっ……何をしたんや、この耳障りな音は! 不快な感触は!」

ハハ ロ -ロ)ハ「さぁね、でも私を倒せば、消えると思うわよ」

)リ゚ー゚;从ト「このっ……」

ポンは顔をしかめた。
『肉体能力の全強化』。ハローの言ったとおり、それがポンの能力だった。
そして今、ハローの背後から、複数の耳障りな空気の擦れる音をポンは聞いていた。

)リ゚ー゚;从ト「……」

ポンは考える。
私の能力は、感覚器官を強化することと同時に、
音と臭いの居場所を正確に判断することが可能だった。

この居場所の分かる嗅覚と聴覚に加えて、物が動いたときに変化する空気の流れを読み
透明な敵や、背後からの迫った弾丸の、正確な位置を把握することが出来ていた。
だが、状況は変化していた、ハローは血にまみれ、臭いを消している。


 

 

127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:21:03.53 ID:8zca7QPHP

)リ゚ー゚;从ト(それに、この音は……)

複数の耳障りな音の居場所が、脳に入ってくる。
全てハローが撃った弾丸だ、数は三十ほどか……。時止めと解除を繰り返して回転音を延々と響かせている。
たとえこの音が聞こえていようと、聴覚に支障はない、だが、入ってくる情報が多すぎる。

ポンはハローを睨んだ。
こいつは、私の耳の良さを逆手にとって
大量の情報を与えて、脳をパンクさせようとしているのだ。

ハハ ロ -ロ)ハ「やはりあなたも、注意深い性格のようね。気付いたのかしら?」

川;д川「……」

)リ゚ー゚从ト「やれやれ……」

ポンはため息を吐いた。
貞子が立ち上がろうとしている。
血にまみれた貞子透明になられては、正確な位置を判断しかねる。
今、倒さなくては。

ポンが姿勢を低く保った。
そして

)リ゚ー゚从ト「ほんまに、性格悪いわ!」

 

 

128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:23:03.78 ID:8zca7QPHP

双大剣を振りかぶって、岩の地面を蹴る。
ハローはポンを待ちかまえて、トリガーに手をかけた。
ポンは訝しんだ、何故逃げようとしない。

そのとき、ポンは何かを踏みつけた

)リ゚ー゚;从ト「どぉ!?」

不意の出来事にポンのバランスが大きく崩れた
しかし、運動能力強化で踏みとどまり、転倒をまぬがれた。
だが、踏みとどまった一歩が、大きな隙を生む。

ハハ ロ -ロ)ハ「もらっておくわ」

三つの銃声は重なり合った。

)リ゚ー゚;从ト「くぅ!」

ポンはもつれたまま、大剣を振るったが
防御に成功したのは三発中二発だけだった。

)リ ー ;从ト「ぐはぁっ!」

ポンの腹を魔石の弾丸が貫いた。
ハローはそこへ更に二発の弾丸を撃ち込んだ。



 
133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:40:45.43 ID:8zca7QPHP
ハハ ロ -ロ)ハ「私の武器、これでも高速高威力なの」

)リ゚ー゚;从ト「クソアマ……ッ!」

ポンはうずくまりかけた状態のまま
二つの大剣交差させ、弾丸を弾こうとした。

しかし、それも適わなかった。
二発目の弾丸が、一発目の弾丸の尻を押して、軌道を変えたのだ。
時止めの応用による時間差の短縮。軌道の変わった弾は、ポンのスネを貫いた。

)リ ー ;从ト「いッ!」

ハローは残りの一発のためのハンマーを引いた。

ハハ ロ -ロ)ハ「集中力――、これが戦闘に及ぼす効果は大きいわね」

)リ゚ー゚;从ト「お前……」

ハハ ロ -ロ)ハ「あなたは慎重だけど、考えすぎ。三十発の弾丸の位置を思い浮かべながら
        私が臭いを消したことに対しての、対抗策を考え
        トリガーを引く私の指に注目し続けながら
        戦闘不能の貞子さんのことを考えるなんて、なかなか出来るものじゃないわね」

)リ゚ー゚;从ト「っちゅ−ことは、やはり今のは」


 



 

136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:54:07.43 ID:8zca7QPHP
ハハ ロ -ロ)ハ「そう。斬られた貞子さんの腕を透明にしてもらって、そこに置いたの
        彼女には悪いけど、勝つためには仕方がないわ」

)リ゚ー゚;从ト「どんだけドライやねん……」

ハハ ロ -ロ)ハ「うふふ」

川;д川「……はぁ、はぁ、でも、ダメージを与えられました」

ハハ ロ -ロ)ハ「二つの弾丸の内、一つは急所に着弾したわ。
        不思議なものね、戦いって。もう私が有利な状況にあるのだから」

)リ゚ー゚;从ト「く……」

ハハ ロ -ロ)ハ「でも、その逆もあり得るってこと。私は油断しないわよ。
        何故私が、弾丸を一発残したか分かるかしら」

ハローはトリガーを引いた。
ポンは身構えたが、放たれた弾丸は、あらぬ方向、地面に撃ち込まれた。
そうしてポンが「おかしい」と感じた瞬間。

)リ ー ;从ト「ぐはぁ!」

ポンの太ももが、血を噴いた。

 

 

137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:55:13.63 ID:8zca7QPHP

)リ ー ;从ト 「あぁ、ヤバい……、めっちゃ頭痛いわ……」

ハハ ロ -ロ)ハ「安心して、すぐ楽にしてあげるわ」

)リ゚ー゚;从ト「楽になるかボケ……! まだや、まだこれから……!」

ハハ ロ -ロ)ハ「……?」

ポンが剣を捨てて、岩肌を駆け上がった。
ハローは驚いた。
何をするつもりだ。

川;д川「ハローさん、す、みません。私、う、動けそうにないです……」

ハハ ロ -ロ)ハ「全てあなたのおかげよ。ありがとう。
        あとは任せて、私は彼女を追うわ」


 

 

138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 04:56:37.51 ID:8zca7QPHP

ハローも後を追った。
もともと相手は深手だ、10秒と走り続けることは出来ないだろう。
きっと、今、あの岩の丘を上がったところで、足を引きずっているはず。

ハローも岩を駆け上って
すぐに、ひじを伸ばして、拳銃を構えた。
しかし、姿は見えない。

ハハ ロ -ロ)ハ「いない……、そういえば、運動能力の強化。
        まだ走れるってことかしら」

高低差の激しい入り組んだ地形のため、陰となる部分が多くある。
ハローは銃を構えたまま行進して
したたり落ちた血痕を見つけた。

これを追えば。

ハハ ロ -ロ)ハ「……何か、嫌な予感がするわね」

ハローは、金色の髪を揺らして、先を急いだ。



 

143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 05:05:20.76 ID:8zca7QPHP




( ^Дメ)「ハローさん達は……どうなりましたかね」

(#゚;;-゚)「加勢しにいこう! あっちの双子は頭が良さそうだった」

( ^Дメ)「そうですね、苦戦しているかもしれないですし……」

( ^Дメ)「ん?」

プギャーは足音を聞いた。
振り返ると、腹に穴の開いたコンの方へ
ポンが走り寄っていた。

しかし、ポンは息も切れ切れで
足はがくがくと震えて、バランスをとることさえ難しそうだった。
それでもなお走っている。

プギャーはランスを構え
でぃは、空を踏んで飛び上がった。



 

 

144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 05:06:01.38 ID:8zca7QPHP
(#゚;;-゚)「あいつは私が止める!」

( ^Дメ)「無茶しないで下さいよ……」

(#゚;;-゚)「テメェに言われたくはない」

でぃは仰向けに倒れているコンの前に立った。
ポンは右手で腹を押さえたまま立ち止まった。
額には汗が浮かんでいる。

)リ゚ー゚;从ト「ちょっと、そこ……どいて欲しいんやけど……」

(#゚;;-゚)「通すわけねぇだろボケ、テメェ、お嬢達をどうした」

)リ ー ;从ト「いいからどいて欲しいわ。こっちは相当きついんやて」

でぃは空中を蹴った。

(#゚;;-゚)「どかねぇっつんでだろうがぁ!」

)リ ー ;从ト「まずいわ……」

でぃが爪をポンに振り下ろした。

(#゚;;-゚)「!?」

)リ゚ー゚;从ト「お」

 

 

145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 05:06:57.05 ID:8zca7QPHP
しかし、でぃの攻撃は届かなかった。
透明な壁が現れ、攻撃を阻んだのだ。
この透明な壁に、でぃは見覚えがあった。

(;#゚;;-゚)「まさかっ!」

でぃは振り返った。
ごつごつとした岩場の上に黒い人影があった。

イ从゚ -゚ノi,「……」

(;#゚;;-゚)「なんだと……」

コンは風穴を開けたまま立ち上がっていた。
でぃは、前後を交互に振り返った。

)リ゚ー゚;从ト「大丈夫だったんか……」

イ从゚ -゚ノi,「……危なかった」

(;#゚;;-゚)「そんな、なんで、どういう……!」

)リ゚ー゚;从ト「ポンちゃんはなんでも作れる。肉体すら。
        だから体内全部、頑丈なように自分で作り変えたンや」

ポンは言いながらコンへ近づいていく。
その動作の途中で、ハローの声がうしろからかかった。

 

 

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 05:09:53.39 ID:8zca7QPHP

ハハ ロ -ロ)ハ「でぃ! ポンを止めて!」

(;#゚;;-゚)「でもあたしじゃあ……!」

魔力の壁は壊せない。
でぃは立ちつくした。

)リ゚ー゚从ト「でぃちゃん、あんたお嬢に言うときな」

(#゚;;-゚)「はっ……?」

)リ゚ー゚从ト「運動能力の強化は、あの双大剣の能力や」

(;#゚;;-゚)「……?」

ハローは射撃体勢のまま、距離を詰める。

ハハ ロ -ロ)ハ「でぃ! 伏せて!」

)リ゚ー゚从ト「もう、遅い」

銃声と同時に
ポンはコンの肩に触れた。
すると、その手がずぶりと肉体に埋まった。
そして肩、頭とどんどん埋まっていく。

 

 

147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 05:10:47.60 ID:8zca7QPHP

(;#゚;;-゚)「えっ!」

/゚ー゚从ト「こんだけ傷つけられたご褒美に、ポリシー曲げてやるわ。
      うちの能力はな……、『妹と合体できる』……や」

ハハ;ロ -ロ)ハ「ちょっと……」

ポンが完全にその身を、コンの中にとけ込ませると
フラッシュをたいたような光がわっと広がって
見る者の目をくらませた。

(;#゚;;-゚)「うわぁ!」

ハハ;ロ -ロ)ハ「うっ!」

ハローは手で顔の前を覆った。

ポンの慎重深さ
コンの無から有を作り出す能力
運動能力全強化の双大剣

それら全てが合わさった。

 



 

150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 05:15:51.83 ID:8zca7QPHP

共戦姉妹は
狂戦士なるのだ。

光がおさまり、一つの人影が現れた。
もうポンでもコンでもない。
あの二人がわずかにもっていた、あどけなさはひとかけらもない。

武器を一度解除して腕輪に戻し
再び手元にもってきた。
体も、万全の状態だ。

プギャーはいくらか離れたところで
それら一通りの光景を見ていた。

力強く握ることが、もはや出来ないであろう拳に汗を浮かべて
現れた魔人に
一言だけ呟いた。

(;^Дメ)「勝てるわけがない……」

禍々しい出で立ちの魔人は
くぐもった声でこう告げた。

イ从゚  ゚从ト「ファンタジーへようこそ」



 
152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 05:20:04.06 ID:8zca7QPHP


    ・

    ・

    ・

    ・

    ・

    ・

(十)

(;'A`)「……チッ!」

ロボットとの戦いは長引いていた。
武装は、その銀の肉体だけだが、ドクオはそれを捌くので精一杯だった。

('A`)「本当にとっておきのロボットらしいな」

森の中での攻防を繰り広げ
ブーンとギコの姿ももう見えない、三人とも散り散りになってしまった。

そんな思考を中断させる、掌打。




 
154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 05:23:49.03 ID:8zca7QPHP
('A`)「おっと」

ドクオはそれを剣で受け止め
すかさず切り返した。
触手の伸びた剣は切れ味も鋭くなっている。

はじめて銀の体に傷が付いた。

(十)

('A`)「ポーカフェイスってレベルじゃねーぞ」

ドクオは木立を盾に、森の中へ中へと逃げ込んだ。
ロボットはそれを追い続けている。

('A`)「どうしようかな……」

こんなときにクー、ブーン、プギャーが居てくれたら。

('A`)「はぁ」

――すぐ他人に頼ろうとするのが、最近の癖だ。

走るスピードは、ロボットの方が速い。

('A`)「来たか」

ドクオはくるりと振り向いて
飛びかかろうとしているロボットに突きを放った。



 
160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 06:14:15.76 ID:8zca7QPHP
すでに攻撃のために足を突きだしていたため
ロボットは剣を足で迎えにいった。
その瞬間に、ドクオは触手を伸ばして、突きの威力を倍増させる

('A`)「らぁ!」

振り上がった足から入って、剣が背中に抜けていった。
ロボットは砕け散る。
ドクオはふぅと息を吐いた。

('A`)「どうにか――」

と、後ろ向きで進んでいたため、足場を踏み外す。
体が下へ引っ張られた。

(;'A`)「あれ……?」

いつの間にか森を抜けた。
しかし、地面はない。

灰色の空が見えて、草の生えていない、茶色の壁も視界に映った。
体はどんどん落ちていく。
あぁ。

(;゚A゚)「ああああぁぁぁぁ……!!」

崖になっていたのか。

 

 

161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 06:15:17.00 ID:8zca7QPHP
    ・

    ・

    ・

    ・

    ・

    ・

兄者、ダイオード、トソンは
倉庫郡を走っていた。
背後からは、赤い目をした横堀が砂埃を巻き上げて追っている。

/ ゚、。 /「結局逃げるしかないのだ」

(/‰ ゚)「……」

高防御力で高攻撃力。
つけいる隙があるとすれば
移動が直線的で、カーブする度にブレーキがかかることだった。




 

170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 14:48:57.95 ID:8zca7QPHP
( ´_ゝ`) 「奴の防御力はどれくらいなんだ?」

(゚、゚トソン 「見たとおりでございます。私と兄者様のW攻撃は、全く効果がありません」

/ ゚、。 /「我の能力十撃程度では、傷も付けられないのだ」

( ´_ゝ`) 「……じゃあ、こういうのはどうだ」

兄者の言葉に耳を傾けて
ダイオードとトソンは頷いた。

/ ゚、。 /「しかし、可能であるか? 耐久度的に」

( ´_ゝ`) 「分からない。が、俺は武器化しているし、これしか手がないだろう」

/ ゚、。 /「それじゃあ……任せるのだ!」

横堀は、倉庫の角を曲がって
加速しかけた。

だが、足を止める。

(/‰ ゚)「……ム」

(゚、゚トソン 「ご機嫌いかがでございますか、横堀様」

トソンが火炎放射器を構えて
そこに立ち止まっていた。

 

 

171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 14:51:44.68 ID:8zca7QPHP
(/‰ ゚)「兄者の能力デハ、死人ハ回復出来ナイゾ」

(゚、゚トソン 「承知の上でございます」

(/‰ ゚)「ナラバ死ネ」

横堀は太い腕を振りかぶった。
3メートルの巨体から振り下ろされれば、防御は意味をなさないだろう。
トソンは、放射口を横堀に向けた

(゚、゚トソン 「横堀様は、火炎など効かないでしょうが……」

(/‰ ゚)「ムウ!」

横堀の体を火炎が包んだ瞬間
トソンは、火炎を固定した。
全身のほとんどをコーティングされて、横堀は動けなくなった。

(/‰ ゚)「……!」

(゚、゚トソン 「そのパワーは脅威でございますが、火炎の固定は私の能力。
      茶色い蟹が、茹でれば赤くなるように。固定した火炎は、あくまでも固定されたままでございます」

(/‰ ゚)「く……」

(゚、゚トソン 「どうやら熱も効いているようでございますね。
      熱さえ固定いたしますので、密着していれば、相当のダメージにございます」

(/‰ ゚)「ナラバ……」

 

 

172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 14:54:17.73 ID:8zca7QPHP

横堀は、強引に体を動かし
火炎の手が届いていなかった背面から、足を引きずり出そうとした
固定火炎の伸びる火炎放射器を手に持ったトソンは、ぐいと引っ張られて、唾を飲み込んだ

(゚、゚トソン 「やはり……3メートルの巨体をまるまる覆うのは無理でしたか」

ですが。
トソンは天に向かって
大きな声で仲間の名を呼んだ。

(゚、゚トソン 「兄者様! 今です!」

( ´_ゝ`) 「ああ!」

兄者が、大槌を振りかぶって、トソンの背後から駆けてきた。
炎が伸びず、剥き出しになっている腹の一部分へ
兄者は狙いを定めた。

( ´_ゝ`) 「横堀……俺は貴様を倒すためだけに、このゲームへの参加を決意したんだ」

(/‰ ゚)「……!」


 

 

173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 14:55:48.53 ID:8zca7QPHP


( ´_ゝ`) 「弟を止めてくれたことは感謝している。
       だから複雑な感情なんだ、お前に感じているものは。
       単純な憎しみや怒りではない」

( ´_ゝ`) 「だが俺は、弟を護るという使命に目覚めた。
       そのためには横堀、弟者を倒したお前を倒さねば
       兄としての威厳が、崩れたままなんだよ!」

( ´_ゝ`) 「覚悟しろ横堀! 俺のいかなる人生においても
       弟がいなくては、意味がない!
       その弟を取り戻すための一撃をブチ込んでやる!」

兄者はトソンを通り過ぎて、ますます加速した。

(/‰ ゚)「何ヲ……」

( ´_ゝ`) 「ダイオード! 協力してくれ!」

/ ゚、。 /「任せるのだ!」

兄者が現れた更に背後から
ダイオードが姿を見せた。

 

 

174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 14:56:37.88 ID:8zca7QPHP

/ ゚、。 /「……我のトライデントによる100の衝撃。
      それを大槌にのせて、爆発的な勢いを生み出す……!」

( ´_ゝ`) 「大槌の後ろ側は砕け散るだろうが
       勢いが止まることはない。
       トソンが動きを止め、ダイオードが力を分けてくれて、俺が直接叩き込む!」

横堀の目の前まで迫って
両手で大槌を、大きく、大きく振りかぶった。

( ´_ゝ`) 「これが三人の力を合わせた
       最初で最後の一撃だァーッ!」

大槌がロケットの如く撃ち出された。
その最強の一撃が、横堀の腹を捉える。
ぐしゃりと、小気味の良い音がした。

破壊した! 三人がそう思った、その瞬間。

(/‰ ゚)「ウオオオォオオ!!」

(゚、゚トソン 「!」

 

 

175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 14:58:23.17 ID:8zca7QPHP
突然横堀が咆吼を上げたかと思うと
まとわりついていた火炎が、わん曲し
大きく広がって、横堀の体から離れてしまった。

伴って、トソンの体も後方へ吹き飛んだ。
まるで、何か強大な力に押されているようだった。

(゚、゚トソン 「これは……」

(;´_ゝ`) 「こ、こいつ……」

体の自由になった横堀から
兄者は距離を取ろうとした。
しかし、横堀の伸ばした手に、見えない力で吸い寄せられる。

(;´_ゝ`) 「ぐう!」

(/‰ ゚)「捕マエタゾ」

横堀は兄者の首から肩を、大きな手で掴んだ。
着せ替え人形を手にしたように、兄者の体を絞めつける。

(;´_ゝ`) 「うぐ……ああ……」

兄者は半壊した大槌を手から取りこぼした。

(/‰ ゚)「今ノ攻撃、見事ダッタ」

 

 

176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 15:01:09.98 ID:8zca7QPHP
横堀の体には一本のヒビが入っていた。
だが、それだけ。
そのヒビも深くない。

(゚、゚トソン 「兄者様を離しなさい」

トソンが放射器を手にして走り出した。

(/‰ ゚)「俺ハ、魔界の戦士ダ。
      タダ勝利すルコト。……ソレシカ興味はナい」

(; _ゝ )「うあ、あああぁあ」

(/‰ ゚)「アラユル拳法を覚エ、体を改造シタ
      俺の思う戦イハ、相手ヲ負カす手段ダ。
      ダカラお前の言ウ、感情を乗せタ戦いハ分かラナイ」

(゚、゚;トソン (間に合わない……!)

/ ゚、。;/「やめるのだ横堀!」

肩が粉々になっていく。

(; _ゝ )「ぐぁぁああああ!!」

 

 

177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 15:03:45.09 ID:8zca7QPHP

(/‰ ゚)「シカシ、その力も今。確カニ存在シテイタ。
      俺ニ傷を与エタ、俺ハお前ニ敬意を表スル」

ぼきりと響いて
首の骨が折れた。

(  _ゝ ) 「く………あ……」

(/‰ ゚)「ダカラコソ俺ハ、ナオサラ、戦士デアリタイ。
     情ケナドカケナイ。勝利ニ執着シテ、アリノママの俺デ倒ス」

最期のセンチを、横堀がつまんだ。

(  _ゝ ) 「……」

(/‰ ゚)「サラバ、戦士よ」

兄者の首が

ちぎれ飛んだ。

(゚、゚;トソン 「――――!」

 

 

178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 15:04:46.49 ID:8zca7QPHP
あぁ。

/ ゚、。#/「――――!!」

そうか。

(  _ゝ )

俺、死んだんだ。

全て、全てを乗せたのに
ちっとも強くなかった。

ごめんよ弟者

――弟者

――弟者

――弟者

――弟、者。

――お、と、じゃ

(´<_` )

――おとじゃ?

(´<_` )「あぁ、兄者、俺だ」

 

 

179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 15:05:51.74 ID:8zca7QPHP

――おとじゃ、ごめんな

――おれ、かてなかった

(´<_` )「でも、傷を与えたんだろう」

――あぁ

(´<_` )「0じゃなかったんだ」

――ぜろ?

(´<_` )「兄者の全部を乗せた一撃が」

(´<_` )「形になったんだ」

――そうか

(´<_` )「最高だ、兄者」

――おとじゃ

――もうすこし

――おおきい、こえで、いってくれ

――みみが、とおくなってきた

 

 

180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 15:07:37.70 ID:8zca7QPHP

(´<_` )「最高だ、兄者」

――もういちど

(´<_` )「最高だ、兄者」

――もう、いち、ど

(´<_` )「最高だ、兄者」

――も、う、い、ち、ど

(´<_` )「最高だよ」

(´<_` )「兄者」


 

 

181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/04/03(土) 15:08:35.25 ID:8zca7QPHP

――

――きこえたよ

――

――おとじゃ

――

――おとじゃ

――

――

――   

――

――

(  _ゝ ) 「じゃあな……弟者……」

第五十二話「全てをのせた一撃」 終

 

 

 


【戻る】
inserted by FC2 system