(,, ^ω^) 改造されたようです
25 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:32:00.17 ID:7XCrIg2O0
- 第三話 ”英雄始動”
夜の街を駆け抜ける乱気流。
内藤ホライゾンは、タービュレンス号に乗って街を徘徊していた。
これで自らの罪が雪げるとは思わない。
しかし、ケジメはつけるべきなのだ。
果たして、彼は見つけた。
(;`v=v´)
闇夜に羽ばたく巨大なコウモリを。
見つけたと同時に、跳んだ。
バイクの推進力が彼を後押しし、異常な脚力が彼を正確に目標へ飛ばした。
26 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:33:07.50 ID:7XCrIg2O0
- (#^ω^) 「ぉぉぉおおおおおおおッッッ!!」
(;`v=v´) 「聞こえてんだよッ!!」
しかし、彼の渾身の蹴りはそいつに届かない。そいつは羽ばたき、身をかわしたのだ。
(;`v=v´)
「何のつもりだよ?俺がせっかく見逃してやったのに……。」
(,, ^ω^) 「……僕は、気づいたんだお。」
(,, ^ω^)
「それは、どこの誰かもわからない。僕にとっては他人かもしれない。」
(,,(:>ω^)
「でも、その誰かも、また他の誰かにとって、大切な誰かで。」
(,,(:>M<:)
「それを奪うことなんては………―――許せないッ!!」
(;`v=v´)
「涙流しながら命乞いしてた奴が、どういう心境の変化か……まぁいい。VIPの邪魔をすんなら、死ね。」
言葉の直後、彼の耳に奇妙な音が聞こえる。
耳鳴りのように微かで、今にも聞こえなくなりそうな高音。
そしてそれが、ひどく不愉快で。
彼は地面を蹴り、そいつに拳を叩きこむべく駆ける。
(;`v=v´) 「無駄だよ無駄ァ!俺は空を飛べるんだからな!」
そいつはその翼の力で大きく浮き上がる。しかし、攻撃してこない。
(,,(:>M<:)
「降りて来い……変身したし、お前らの邪魔もしてるお?僕を殺すんじゃないのかお?」
(;`v=v´) 「ま……焦るなよォ。」
27 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:34:10.09 ID:7XCrIg2O0
- 強気な言葉とは裏腹、内藤の体には、奇妙な疲労感が蓄積されていた。
それは慣れていない継続的な変身によるものなのか……
通常時、変身した彼のジャンプ力は50メートルだが、今の彼では30メートルが限界だろう。
放っておけば、どんどん疲労感が蓄積し、能力が低下していく可能性がある。
だからこその挑発、焦りであった。
(;`v=v´)
「そろそろいいかねェ……ッシャァ!」
空中で停滞していたそいつが、突如猛スピードで舞い降りて、その足の爪で彼の肉を抉る。
彼の右肩に裂傷を作り、またそいつは空へ。
彼が反撃をする隙はない。
そしてまたそいつが舞い降りる……
疲労感の蓄積された彼の体では、そいつの速度に追いつくことはできなかった。
体の多くの個所に裂傷を作り、赤を流しながら彼は考える。
おかしい、奴は僕に疲労感があることを見透かすかのようなタイミングで攻撃してきた。
だからこそ、僕は未だに奴に一発も入れられていない。
この疲労感さえなければ、一発も入れられないなんてハズはないんだ……。
28 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:35:00.39 ID:7XCrIg2O0
- もしも、この疲労感の原因が、変身そのものでなかったら?
以前コウモリ男に襲われて変身したとき、こんな疲労感はなかった。
緊張していたから?今だって心臓はバクバクと音を立てている。状況は変わらない。
それじゃあ……
一つ、思い当った。
先ほどから聞こえる、不愉快なモスキート音。これこそが、奴の能力。コウモリ男の『超音波』だ。
これが自分の体の自由を奪っているのだ。
では、その対処法は?
(,,(:>M<:) 「音には、音だお!」
彼はすぐさまバイクの元へ走り、ギアをニュートラルへ。そしてアクセルを全開にした。
怪人用に作られたバイクは爆発するような唸り声を上げ、静かに続いていた闘いを、一気に騒音の中へ。
高音は聞こえなくなり、疲労感の蓄積も止まる。
(;`v=v´) 「ガッ……ァ!うるせぇええええええええええええええ!!」
怪人コウモリ男の特筆すべき武器は3つ。
翼と、超音波と、聴覚である。
翼で自由に空を飛び、超音波で対象の自由を奪い、聴覚をもって周囲を探りながら任務を遂行する。
その三つめ、聴覚が今は逆に彼を苦しめていた。
一般人からしても異常なまでの爆音。それを叩きつけられて、彼が平気でいられるはずもなく。
人間だった頃のように、彼は両耳を手で塞ぐ。
すると、腕と一体化した翼は羽ばたけず、彼は地面にたたきつけられる。
29 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:35:46.02 ID:7XCrIg2O0
- そしてバッタ男は、その好機を見逃さない。
ギアをLowに入れ、走り出す。
爆音をそいつの耳にたたきこみながら、そして唐突に
(,,(:>M<:) 「とゥッ!!」
地上の目標めがけて、跳ぶ。
そしてそこから身をひねり、脚を前へ。
(: v=v ) 「ガッ……ァ……グ……」
(; ・v=v・) 「ググ………」
(; ・∀・)
「ア……ガハッ!」
その足がそいつの胸を貫くのは、自然の道理で。
改造人間008号、怪人コウモリ男は人間の姿に戻り、生命活動を停止した。
(,,(:>ω<:) 「………死んだ、かお。」
(,,(:>ω^)
(,, ^ω^) 「………殺した。僕が……闘って、殺した。」
爆音の元を確かめようと家を出た人が見たのは、男の死体がひとつだけであった。
30 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:36:35.79 ID:7XCrIg2O0
(,, ゚Д゚) 「……ここが、新しい『蹴り殺され』たガイシャの居た場所か。」
(,,
´∀`) 「そうだモナ。これで4件、実に18人もの人が『蹴り殺され』ているモナ。」
バズ
(,,
゚Д゚) 「やっぱ、例の怪人Buzzってやつかねぇ……でなきゃ、人間なんて『蹴り殺』せねぇだろうし……マジありえねー……」
(,, ´∀`)
「そう考えるのが現状一番妥当な線かモナ……」
(,, ゚Д゚)
「1件目は製薬会社のビル、新薬開発直後で厳重な警備態勢にも関わらず、警備員のほとんどが『蹴殺』……」
(,, ´∀`)
「しかも、残りは『蜘蛛の糸みたいなもので顔面を固められ』て死んでいた。」
(,, ゚Д゚)
「2件目はそのすぐ近くの路地裏。サラリーマンか何かと思われるも身元不明の『蹴殺』死体。」
(,, ´∀`)
「この2件はわかりやすいモナ。新薬の情報を盗むために製薬会社を襲撃し、
姿を見られたから口封じにサラリーマンを殺した。身元不明はひっかかるけどモナ。」
(,, ゚Д゚)
「3件目は、そのサラリーマンの解剖に立ち会った医師……」
(,, ´∀`)
「何か重大な、犯人につながるようなことに気付いたんじゃないかって噂だモナ。
犯人がそこまで知ってるのも不自然だけどモナ。怪人ならありえなくもないかモナ?」
(,, ゚Д゚) 「そして4件目が、夜の住宅街での殺し……」
31 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:37:22.12 ID:7XCrIg2O0
- (,, ´∀`) 「近隣住民がバイクと思しき爆音を聞いて、不審に思って見に来たら『蹴殺』死体……
あと、証人は爆音で起きた直後は体がだるくて動けなかったって言ってたモナ。」
(,, ゚Д゚)
「これが一番わからん。今までの事件と関連性がなさすぎる。」
考え込む刑事たちに、1人の男が話しかけてきた。
髪を逆立たせ、カメラを持った男。
((( )))
(´∀` ,,) 「すみません、警察の方ですか?
私、朝目新聞のカメラマン兼記者の一文字と申します。お尋ねしたいことがあるのですが――」
悪魔はすでに、動いていた。
32 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:38:06.53 ID:7XCrIg2O0
(; ^ω^) 「おー……流石に使い方が無茶だったかお?」
内藤は廃墟で、タービュレンス号を眺めていた。
美しさと力強さを兼ね備えた白い車体は、先日の闘いの際に内藤が酷使――走らせたまま車体から飛び降りたり――
したせいで、ところどころヒビが入ったり、部品が欠けたりしていた。
外装が多少壊れているのは、みすぼらしいが、まぁ走るのに影響はしない。
しかし最大の問題は、ミラーが両方とも消し飛んでいることだ。
これは安全の観点から、非常に問題である。
(,,
^ω^) 「……久々に、あそこに行くかお。」
というわけで、彼は昔からの行きつけのバイク屋へとやってきたのだった。
表に出ている看板には「H○NDA」、「SUZUKl」、「YAM∧HA」などの文字に混じって、「タカオカモータース」と書いてある。
(,, ^ω^) 「おやっさーん!覚えてるかおー?僕だおー!」
彼が店の奥へと声をかけると、中から罵声が帰ってくる。
「その声は間抜け面の内藤かー!?っていうか……」
33 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:38:51.79 ID:7XCrIg2O0
- 从#゚∀从 「おやっさんって言うなっつってんだろぅがぁああああああ!
アタシはこれでもピチピチギャルだぞおんどりゃぁああああああああ!!
お姉さまと呼べお姉さまと!」
(,, ^ω^)
(この気迫で『お姉さま』はないだろjk……『姐御』ならまだしも)
(,, ^ω^) 「なにはともあれ、このバイクの修理を頼みたいんだお。
ちょっといろいろ壊れてて……とりあえずはミラーだけでもお願いしたいお。」
从,,゚∀从
「おうわかっ……何だこのバイク?どこの会社のだよ?」
(; ^ω^) 「おっ……知らないバイクかお?僕も詳しくはわからなくて……」
_, 、_
从,,゚∀从 「はぁ?持ち主のお前がわからないって……盗品か?」
(; ^ω^)
「……詳しくはちょっと言えないんだお……ごめんお。」
从,,゚∀从 「ふーん……まぁいいけどな。お前なら別にそう悪いことはしねぇだろぅし?
しっかし、市場で見たことはねぇな。多分国外製か、あるいはどっかの誰かの自作だろ。
となると、同じ部品は用意できねぇ。ざっと見て、規格の合うパーツが思い浮かばねぇ。」
(; ^ω^) 「おっ……直らない、かお……?」
从,,゚∀从 「『直す』のは無理だな。こりゃぁ。復活させてやれねぇ。」
(; ^ω^)
「おぉ……僕が、変な使い方をしなければ……コイツは……。僕のせいだお……」
34 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:39:36.71 ID:7XCrIg2O0
- 从#゚∀从 「おやっさんって言うなっつってんだろぅがぁああああああ!
アタシはこれでもピチピチギャルだぞおんどりゃぁああああああああ!!
お姉さまと呼べお姉さまと!」
(,, ^ω^)
(この気迫で『お姉さま』はないだろjk……『姐御』ならまだしも)
(,, ^ω^) 「なにはともあれ、このバイクの修理を頼みたいんだお。
ちょっといろいろ壊れてて……とりあえずはミラーだけでもお願いしたいお。」
从,,゚∀从
「おうわかっ……何だこのバイク?どこの会社のだよ?」
(; ^ω^) 「おっ……知らないバイクかお?僕も詳しくはわからなくて……」
_, 、_
从,,゚∀从 「はぁ?持ち主のお前がわからないって……盗品か?」
(; ^ω^)
「……詳しくはちょっと言えないんだお……ごめんお。」
从,,゚∀从 「ふーん……まぁいいけどな。お前なら別にそう悪いことはしねぇだろぅし?
しっかし、市場で見たことはねぇな。多分国外製か、あるいはどっかの誰かの自作だろ。
となると、同じ部品は用意できねぇ。ざっと見て、規格の合うパーツが思い浮かばねぇ。」
(; ^ω^) 「おっ……直らない、かお……?」
从,,゚∀从 「『直す』のは無理だな。こりゃぁ。復活させてやれねぇ。」
(; ^ω^)
「おぉ……僕が、変な使い方をしなければ……コイツは……。僕のせいだお……」
35 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:40:27.04 ID:7XCrIg2O0
- 从,,゚ー从 「……だが、『復活』ではなく『新たな誕生』なら、させてやれるぜ?」
(,, ^ω^) 「ぉ?」
从*゚∀从 「外装はほぼ全部ひっぺがして、アタシの開発中のバイクの部品と付け替える!
そうすりゃ、パーツをここで作れるから、いつでもここで直せるようになるぜ。
まぁ、外見やらは全部変わっちまうけど、それでもいいか?」
(* ^ω^) 「おっ!ありがとうだおおやっさん!」
从#゚∀从 「だからおやっさんって言うなぁあああああああ!!」
――そういうわけで、タービュレンス号はしばらくタカオカモータースに預けられることとなった。
さて、読者諸賢のなかには、疑問に思われる方もいるだろう。
「では、内藤はタービュレンスが戻るまで、どうやって移動するのか?
まさか、某平成ライダーのごとく、電車で移動するのか?」と。
しかし、心配はいらない。タカオカモータース社長、高岡ハインリッヒは、彼に代車として一台のバイクを貸し出した。
(; ^ω^)
「代車用のバイクが出払ってるからって……これはちょっとひどくないかお?
僕が預けたのって明らかにリッターバイクだお?」
そう、彼が代車として借りたバイクは――H○NDA、SUPER CUβ110!
業界でも最低燃費を誇るSUPER
CUβ50が、そのまま110ccになったスグレモノだ。
荷物積載量や燃費において、同クラスでこのバイクに勝るものはない。
郵便局や新聞屋なども利用する、まさに実用型バイクの王様といっていい。
36 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:41:58.89 ID:7XCrIg2O0
- 要するに、排気量が小さくて見た目が野暮ったいのだ。実用的だけど。
ちなみに作者はこの系列のバイクは大好きである。念のため。
……CUβにも慣れてきたある日、彼は街の自動販売機で新聞を買って読んでいた。
アサメ ヨミヨミ
バイニチ
朝目新聞、読読新聞、売日新聞などの新聞を買い、目当ての記事を探す。
これが、彼の日課になっていた。
行方不明事件が新聞に載っていれば、それを辿って怪人の活動を暴くことができるかもしれない。
しかし、廃墟で新聞を取るわけにもいかない。
ゆえに、自動販売機で買うしかないのだ。
もっとも、行方不明事件があれば必ず怪人を見つけられるというわけでもなく……
今のところ、収穫は0だったが。
しかし、今日は違った。
37 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:42:43.72 ID:7XCrIg2O0
- (; ^ω^) 「高校生、謎の連続失踪――ラウンジ高校の生徒が連続して失踪している……
帰宅時や登校時のみならず、授業時間の合間の短い時間にも人間消失……?
今度こそ間違いない……!VIPの仕業だ!」
ようやく奴らの尻尾を掴んだ彼は、颯爽とCUβに跨り、走り出した。
目指すはラウンジ高校。VIPの野望を砕くため、内藤は走る!
闘え、内藤!負けるな、内藤!
第三話 ”英雄始動” 了
第四話へ続く。
38 名前: ◆VBDMmckcvQ
:2010/05/21(金) 00:43:30.08 ID:7XCrIg2O0
【怪人 Data File】
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r'r-、) (,r<77 (_,ノ^\_,)
ウラネコ リン
名.称 :改造人間008号 怪人コウモリ男 / 裏猫 倫
モチーフ:コウモリ
能.力 :初期の改造人間。そして、最初期の実用型。
空を飛ぶことに特化したため、その他身体能力は高くない。
おもに人間を攫って、改造素体に供するのが任務。
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