(,, ^ω^) 改造されたようです


7 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:22:55.78 ID:yS341aoo0
第一話 ”誕生秘話”



(,, ^ω^) 「おっおっおっ!ブ――――――ン!!」

城南大学陸上競技場では、一人の青年がトラックを走っていた。
両腕を広げ、空を飛ぶかのようなポーズで、独特の掛け声と共に。

ξ゚听)ξ 「ん、12.13秒。相変わらず速いわねぇ。
         ……もっとちゃんとしたフォームでやればもっと速いんじゃないの?」

(,, ^ω^) 「ひゅー、それがそうでもないんだおー。
      前にコーチに怒られてフォームを変えたら、100mが14秒くらいまで落ち込んだんだお!
      コーチに『やる気あるのか』って怒られたけど、マジでこのフォームが僕は一番速いんだお!」

      ナイトウ チヘイ
彼の名は内藤 地平。あだ名はブーン。
城南大学陸上部の2年生である。

                ツデ レイコ
それと話している女性は、津出 礼子。あだ名はツン。
内藤と同じく城南大学の2年生であり、内藤の旧友でもある。



 
10 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:24:39.88 ID:yS341aoo0
  _, 、_
ξ゚听)ξ 「まぁ何度も聞いてるけど、未だに信じられないわよその話。」

(,, ^ω^) 「そのセリフも通算14回目だおwwwww」
  _, 、_
ξ゚听)ξ 「セリフの回数覚える記憶力はあるのよねぇ〜。
         他人との約束はすっぽかすクセして……ったく。」

(; ^ω^) 「……お。いつもごめんお……。」

('A`) 「いやぁ内藤君!いつも素晴らしいね君は!」

(,, ^ω^) 「あ、鬱田さん!」

                                        ウツダ ドクオ
仲良く話している2人に、横から割って入るように話しかけるのは、鬱田 独雄という男だ。
城南大学のOBで、その関係で以前ここへ来た時に内藤の走りを大層気に入り、現在でもたまにここへ来ては内藤と話すのだ。
あまり自分のことは話したがらないが、一応職業は医者らしい。


('A`) 「いやぁ、君の脚の筋肉は凄いね。とても良質だよ。本当に。」

(,, ^ω^) 「いやぁ、照れますおwwwwwwwww」
  _, 、_
ξ,,゚ -゚)ξ 「……………」

11 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:25:39.54 ID:yS341aoo0
('A`) 「きっと、もっともっとタイムを伸ばせるよ。きっとね。ふひひ……。」



――内藤と津出が帰路に就く頃には、既に空は暗くなっていた。


(,, ^ω^) 「ツン、なんか今日機嫌悪いお?……僕のせいかお?」
  _, 、_
ξ゚听)ξ 「……ん……いや……」

(,, ^ω^) 「何かあるなら、言って欲しいお!
      僕は笑ってるツンが好きだお!ツンの機嫌が悪いのは嫌だお!」

ξ゚听)ξ 「………!」

ξ///)ξ 「ちょちょちょちょっと何言ってんのよ!バババババカ!すっすっすっ……好きって!」

(; ^ω^) 「いや……そこまで……?」
  _,
ξ゚听)ξ 「……実はね、アタシ、あの鬱田って人、なんか好きになれないの。」

(,, ^ω^) 「おっ、鬱田さんかお。
      確かに顔はあんまんにアンコの代わりにウンコを入れてすり潰したような感じだけど……」
  _,
ξ゚听)ξ 「いや、顔じゃなくて……っていうかアンタ酷いな。流石の私もそこまでは……。
         なんか、雰囲気……みたいな?感じが悪いっていうか、怖いみたいな感じ、かな。」

12 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:26:40.75 ID:yS341aoo0
(,, ^ω^) 「確かに雰囲気は性犯罪者だけど……でも多分10歳以上は対象外だお?」

ξ;゚听)ξ 「いや、そういうことでもなくて……ていうかアンタ酷過ぎ……。」

ξ゚听)ξ 「……あれ?そういえばアンタ、バイクは?なんでこっちに来てるの?」

(,, ^ω^) 「だって、ツンの家はこっちだお?もう暗いし、送っていくお!」

ξ///)ξ 「……バ、バッカ!余計なお世話よォ!」

(; ^ω^) 「お……でももうツンの家の前まで来たおー。」

ξ///)ξ 「ったく、しょうがないわね……。じゃあ家に上がってk」

(,, ^ω^) 「じゃ、バイブーだお!明日も早いから帰って寝るおぉー!」
  _, 、_
ξ#゚听)ξ 「……そっか、死ねぇえええええええええええええええええええ!!」

(; ^ω^) 「お!?お!?……バイバイブーン!!」


いつもと同じように、また明日会うことを前提として、二人は別れた。

しかし翌日……2009年6月12日、内藤は失踪した。

同大学のある学生の証言によると、最後に見た時には、ウンコのような顔の男性と一緒だったという。


13 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:27:26.95 ID:yS341aoo0

――時間と場所は推移する。
某年某月某日、ここではないどこかの部屋で、巨大なモニターを見ながら、スピーカーからの声を聞く男二人が居た。

『改造人間015号、及び020号よ。
 君たちには、このビルから新薬コード19190721の組成データを盗み出して欲しい。
 先方の人的犠牲は、いくら出しても構わない。というか、姿を見られたらなるべく殺せ。』

(´・ω・`) 「畏まりました。」

『……改造人間020号。返事はどうした?』

(´・ω・`) 「020号はまだ新人でございますから、大目に見てやって頂きたく存じます。馴れておらぬのです。」

(:::::::::::::::) 「………お………」

(´・ω・`) 「ん、020号、もっとはっきり喋りたまえよ。」

(,, ^ω^) 「了解……です。」

『では、今夜午前0時に実行したまえ。以上だ。』

スピーカーの声はそれきり途切れた。

ちなみに、壁の時計は午後9時半を指している。

015号と呼ばれた男が、020号と呼ばれた男に話しかける。

14 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:29:49.07 ID:yS341aoo0
(´・ω・`) 「020号、君は任務は初めてだよね。訓練は積んでるはずだし、その過程で何度も聞いてるだろうけど……
        失敗は絶対に許されないよ。このVIPではね。
        ………さて、作戦を立てようか。君は何が得意だい?」

015号がモニターに触れ、画面内のカーソルを動かして、いろいろなデータを呼び出す。
建物の立体図や、新薬19190721のデータが入っているであろうPCの場所……。

(,, ^ω^) 「僕……は、脚が、丈夫だ。脚の、筋肉が、良質だって、言われた。
      ……あれ、誰にだっけ。」

(´・ω・`) 「うん、データにもそうあるね。ジャンプ力50メートル……凄いじゃないか。
        それなら、この隣のビルの屋上くらいなら飛び乗れるね……。手間がかなり省けそうだ。」

015号は、馴れない020号を気遣ってか、率先して作戦を立てていった。
そして夜は更けていく。時計の針が11時を過ぎた頃、2人は移動を開始した。

(´・ω・`) 「実行を0時に間に合わせるには、早めに移動をしないとね。
        あのビルまではここから30分ってとこか。僕のバイクの後ろに乗りたまえ。
        VIP特製のバイクだよ。タービュレンス号って名づけたんだ。」

015号の操る大型バイクに跨り、二人は夜の街へと走った。
015号の言の通り、30分ほどで目的のビルの付近に着いた。
バイクを停め、人目を忍んで路地裏へと入っていく。

(´・ω・`) 「よし、作戦を確認しようか。君は僕の『糸』を持って、あの、隣のビルの屋上に飛び乗れ。
        そして、そこからもう一度ジャンプして、今度はあのビルだ。
        そしたら屋上の真ん中のモニュメントに、糸を括りつけろ。そして僕を待ちたまえ。」

(,, ^ω^) 「ふふ…了解だ。」

15 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:30:37.42 ID:yS341aoo0
(´・ω・`) 「そして君が屋上の扉を蹴破る。
       その時点で警報装置が作動して警備員が来るから、君はそいつらを殺せ。
        その間に僕は壁伝いに16階へ移動して、新薬19190721を入手する。
        もちろん僕のほうにも警備員が来るだろうけど、問題ないよ。
        こっちが終わったら僕も屋上へ戻るから、一緒に脱出しよう。」

(,, ^ω^) 「把握した。」

(´・ω・`) 「……さて、そろそろ時間だ。」

(´8ω8`) 「020号、変身しろ。」

(゚8。W。8゚) 「…僕はもう済んだ。――怪人クモ男、参る。」

(,, ^ω^) 「……了解。」

(,, ^M<:) 「変……身……!」

(,,(:>M<:) 「気持ちいい……――怪人バッタ男、参る。」

そして二人は、行動を開始した。



彼が地面を蹴ると、轟音と共にその体は上空50メートルまで飛び上がる。
そしてあるビルの屋上へ着地した彼は、もう一度飛び、地上90メートルの風を受ける。
次に彼が着地した先は、目的のビルの屋上だった。
屋上で、持ってきた糸をモニュメントにくくりつけると、クモ男はすぐに糸を辿ってきた。

16 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:31:26.12 ID:yS341aoo0
彼が扉を蹴ると、それは簡単に引きちぎれた。
その中に居た警備員たちが、彼の異形の姿を見て、叫ぶ。


              「何だ今の………ぎゃああああああああああああ!!」

     「何だ何だ!?……う、うわぁあああああああああああ!!」

                「バッ、化け物ォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

        「警察だ、警察を呼べ!!」

                     「特殊警棒のスタンガンが効かない!?」

            「応援を!応援を!!防ぎきれないぞ!?」

                   「特殊ガス弾を使う!みんなマスクを!!」


(,,(:>M<:) 「五月蠅い……五月蠅い。」


屋上の扉を蹴破り、建物内に侵入した彼は、警備員の悲鳴に飽き飽きしていた。

だから、跳んだ。廊下という狭い空間だから、軽く地面を蹴るだけでよかった。

一瞬で彼らの頭が、足くらいの高さになった。

17 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:32:11.02 ID:yS341aoo0
続いて、そこにある『ボール』を、思い切り、足の裏で、蹴飛ばしてみた。

土台から千切れて、『ボール』が飛ぶ。

紅い液体が噴き出して、周囲を混沌に染める。


   「うわぁあああああああああああああああああああああああああ!!」


あぁ、五月蠅い。どいつもこいつも、五月蠅い。

蹴られた『ボール』だけは、悲鳴を上げない。

みんなそうなっちゃえよ。


改造人間020号、怪人バッタ男は、そんな風に考えていた。



一方で、クモ男も作戦通りに建物内に侵入していた。

屋上付近でバッタ男が暴れているお陰で、こちらには警備員はほとんどいなかった。

   「うわっバケ………!」

居たとしても、クモ男が口から吐き出す糸によって、悲鳴を上げることすら許されない。
また一人、警備員が顔面を糸で固められ、窒息死した。

18 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:32:54.13 ID:yS341aoo0
(゚8。W。8゚) 「020号……上出来だ。陽動作戦には持ってこいの素材だったな。
       さて、新薬19190721の組成は……ここか?違う。ではこっちか?……あった!」

改造人間015号・怪人クモ男は、一流のハッカーでもあった。
新薬19190721の組成データが入ったPCはインターネットに繋がれておらず、外部からの侵入は不可能だったが、
ひとたびそのPCに触れれば、そのデータを盗み出すことなど容易かった。

(゚8。W。8゚) 「よし……コピーしたぞ。あとはこのPCを……ふんぬっ!」

クモ男は、目的のデータを自分のUSBメモリにコピーすると、元データの入っていたPCを殴りつけ、粉砕してしまった。

(゚8。W。8゚) 「まぁ、どうせバックアップはあるんだろうがな。盗んだモノを分かりにくくする意味もある。」

そんなことを呟いて、クモ男は窓から出て行った。



(,,(:>M<:) 「あーあ、終わっちゃった……ボールがもうない。」

(゚8。W。8゚) 「020号、こっちも終わったよ。脱出しよう。」

(,,(:>M<:) 「了解だ。」

2人は合流すると、屋上に出た。

(゚8。W。8゚) 「僕をおぶってくれ。ビル伝いに、あそこの鬱田医院の屋上まで行こう。
         鬱田医院の院長はVIPの下位メンバーだ。今日の逃走経路に使うことは伝えてある。」

(,,(:>M<:) 「把握した。」

19 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:33:36.43 ID:yS341aoo0
そしてバッタ男がクモ男をおぶって、屋上から跳ぶ。

バッタ男の脚力たるや凄まじく、クモ男を背負ったままビル伝いにどんどん移動していく。

しかし

(,,(:>M<:) 「……? 変だな……眼が……?」

(゚8。W。8゚) 「どうしt……うわっ!?」

バッタ男の様子がおかしくなり、二人は突然、あるビルの屋上から路地裏へと転落した。

実は、バッタ男の体内には先ほど警備員の使った特殊ガス弾のガスが残留しており、
そのために意識が一瞬飛んでしまったのだ。

(,,(:>M<:) 「うぁ……痛……僕は……どうし……」

(#゚8。W。8゚) 「この馬鹿野郎!!」

クモ男がバッタ男を殴りつける。バッタ男の頭が、ビルの壁に思い切りぶつかる。壁がへこむほどの衝撃だった。

(#゚8。W。8゚) 「何考えてやがんだ畜生めが……!」

(,,(:>M<:) 「痛っつつつ……あれ?僕はどうしたんだお?」

(゚8。W。8゚) 「あん?」

(;(:>M<:) 「うわっ……化け物ォォオオオオ!?」

(゚8。W。8゚) 「何言って……おぶっ!?」

20 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:34:18.62 ID:yS341aoo0
(,,(:>M<:) 「来るな、来るなァアアアアアアア!!」

(゚8。W。8゚) 「てめっ、何して……グハッ!?」

突然バッタ男が怯え始めたかと思うと、足を振り回してクモ男に攻撃し始めた。

(゚8。W。8゚) 「てめぇいい加減に……!?」

バッタ男の姿が、消えた。
いや、消えたのではない。

(゚8。W。8゚) 「上!?」

バッタ男は無意識に、訓練で何度も練習した技を

(,,(:>M<:) 「うわぁあああああああああああああああ!!」

体で覚えた技を

(゚8。W。8゚) 「ぐ……ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

必殺の飛び蹴りを、繰り出したのだ。



 
22 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:35:03.37 ID:yS341aoo0
化け物の死体はいつの間にか無くなり、同じ場所に、下がり眉の男の死体が現れた。
わけがわからなくなって呻いていると、女性が現われて悲鳴をあげ、カメラで僕の写真を撮って逃げて行った。

ガラスに映る自分の顔が、信じられない。
これじゃあまるっきり、さっきの化け物みたいじゃあないか。
さっきの化け物と違って、眼は二つだけれど。

無我夢中で、死体からサイフとバイクのカギと、USBメモリを奪った。
男の顔を見ていると、妙な大型バイクの姿が目に浮かんだ。
フラッシュバック、というやつだろう。
背景になっているビルは、この近くのはずだ。
逃げよう。あのバイクで。タービュレンス号で。

ガラスに映る顔は、いつしか人間に戻っていた。
きっと、そういうことなのだろう。



第一話 ”誕生秘話” 了
第二話へ続く。



 
24 名前: ◆VBDMmckcvQ [] 投稿日:2010/05/18(火) 22:35:48.65 ID:yS341aoo0

【怪人Data File】
          <(,__,)>          ∧_∧
        (`(゚8。W。8゚)´)        (・ω・`,,)
        ―> :‐十‐: <―        (    )
        /(::=[V]=::)\        | | |
            (_,/^\_,)         (,_,ノ、__,)
名.称  :改造人間015号 怪人クモ男 / 人間体名不明
モチーフ:ニワオニグモ
能.力  :口から吐く糸を武器とする。
       また、噛みついた相手に神経毒・消化液を送り込む力も持つ。
       ハッキングの技術をも持っており、そういった方面の仕事に起用されやすかった。


          - 、     ,r‐
         \__/         / ̄ヽ
         (,,(:>M<:)       (,, ^ω^)
          / 〈  | 〉、     /    〈、
           (_/ r 〈、_)    (,_,/、   Y_,)
          (_,ノ 、_,)       (_,r\,__)

名.称  :改造人間20号 怪人バッタ男 / 内藤ホライゾン
モチーフ:トノサマバッタ
能.力  :バッタの強烈な脚力を有する。
       ジャンプ力50m。
       ビルの壁面などにへばりつくことも可能である。また、2本は普段隠れているが、腕は4本ある。
       基本カラーは緑色。


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