2 : ◆4972gaB/9o :2010/03/15(月)
23:43:06.08 ID:47+FDpnz0
「モナーさんが死んだ。今すぐ本国に帰ってきてほしい」
たったその一言の留守電を、私は10本の電話番号に告げた。 彼らと会うのはもう10年ぶりにもなるのか。
様々な職種、様々な地で活動しているので、簡単に会える連中ではない。
窓ガラスを開け、縁に寄りかかる。開いた窓からはこの国の都市部の夜景が一望できた。
胸ポケットにしまった煙草を1本取り出し、口にくわえて火をつける。
爪'ー`)y‐「ふぅ…やれやれ」
ここ数日の慌ただしかった日々にも、ようやく切りが着いた事にほっと胸を撫で下ろす。
風の便りでいろんな噂を聞くが、みんなが前回会ってからどれくらい成長したのか楽しみだ。
- 3 : ◆4972gaB/9o :2010/03/15(月)
23:45:15.32 ID:47+FDpnz0
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- 再会が待ち遠しい。
こんな時に不謹慎だが、しみじみと感じてしまった。
不意にポケットから振動が起こる。煙草を左手から口に移し、携帯電話を取り出す。 きっと彼らのうち、誰かが返事をくれたのだろう。
携帯を開くと、私の期待は大きく外れた結果になっていた。
『新しい留守番メッセージが10件届いています』
10の電話から帰ってきたメッセージは全て同時刻に僕のもとに届いた。
―00:00:00―
ちょうど日付の変わる時間。僕は画面を耳に当て、内容を確認する。 その内容は、10件すべて同じ内容だった。
『今の仕事が片付き次第向かう。そっちの時間で明後日の午前には。』
ははぁ。なるほど。
つまりこの瞬間も、彼らは億単位の金を動かしているのだろう。 思わず口角が上がってしまった。携帯をポケットにしまい、落とした吸殻を踏み潰す。
ますます再会が楽しみになってきた。
- 4 : ◆4972gaB/9o :2010/03/15(月)
23:52:36.68 ID:47+FDpnz0
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- ◇1:ソリティア
0日目 ―23:41:38−
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( ゚∀゚)「9994枚…9995枚…9996枚…」
あまり悠長に数えていられないな。急がねーと。
ついさっき突入してきた警官隊は第4トラップまで突入してきた。 この建物に仕掛けた侵入者用の罠も残り39ヶ所。
持って、あと30分ってところか。
ふと、窓の外を見ると、この建物の周りを大きなライトが照らし、数百人のヘルメットをかぶった集団とニュースキャスター、そしてたくさんのやじ馬が囲んでいた。
こんな郊外のおんぼろ廃墟ビルによくもまぁ集まってくれたもんだよ。
いいねぇ。いいねぇ。注目されてるよ俺。
あそこのニュースキャスターは俺のことをどんなふうに紹介しているんだろうか。
【30人の市民を人質とったイケメン立てこもり犯】
とかキャッチコピーで明日の朝刊の一面にあげてくれねーかな。 これだから立てこもりはやめられねぇ。
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- 5 : ◆4972gaB/9o :2010/03/15(月)
23:54:28.87 ID:47+FDpnz0
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- ( ゚∀゚)「9999枚…10000枚。よし」
札束が詰まった3つのアタッシュケースを担ぐとすぐさま脱出の準備に取り掛かる。
ふと、部屋の隅で縮こまった人々が目に入る。
俺が国から預かっている人質30人。口には猿轡、両手両足は縄で縛りつけ、今までずっと部屋の隅に放置していた。
しょうがねぇ。最後にねぎらいの言葉でもかけてやるか。 _ ( ゚∀゚)「あ〜…人質の皆さん、お疲れ様です」
俺の言葉に数人の子供や女性はびくついた。 まぁ無理もないわな。俺、銃持ってるし。
とりあえず【人質後のガイダンス】スタート。
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- 6 : ◆4972gaB/9o :2010/03/15(月)
23:56:38.95 ID:47+FDpnz0
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( ゚∀゚)「この後、警官隊が来るんで、その時になったら解放されますから安心してください。それまでのご信望を」
彼らの顔に安堵の表情が戻った。そりゃそうだ。朝9時から立てこもった訳だから…えーっと14、15時間ぐらい?
まぁそのぐらい監禁されてたんだもんな。
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( ゚∀゚)「本日は、わざわざ人質に協力してくださり誠にありがとうございます。皆さんの貴重な時間を使わせてもらい大変助かりました。…最後に」
息を吐き出してからまた吸い込む。
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( ゚∀゚)「最後に。3名ほど死んでもらえると助かるのですが。立候補の方はいらっしゃいませんか?」
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- 7 : ◆4972gaB/9o :2010/03/15(月)
23:59:34.50 ID:47+FDpnz0
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- 暗い室内がざわめく。当たり前だ。解放と思いきや、まさかの殺害宣告。
そりゃビビるよ。 _
( ゚∀゚)「こっちも立てこもり犯なんでね、脅す気がないとバレると今後がまずいんですよね〜。あっ脳天に弾をぶち抜くんで痛いのは一瞬なんで大丈b…」
ん?あらあら…女の子が泣き出しちゃったよ。うるさいなぁ…。 もちろん誰も手をあげようとはしない。仕方がない、時間の無駄だ。
_ ( ゚∀゚)「…いないのであれば、こちらからランダムに選出させていただきます」
そう言うや否や、泣き出した女の子の頭にすかさず銃を向け引き金を引く。 鋭い破裂音の後、女の子の頭部から赤い液体が噴出した。
座っていた体がバランスを失いその場に倒れる。
猿轡の奥から吐き出た、曇った悲鳴がビル中に響く。
俺はその悲鳴を無視し、2発の弾丸を放った。 一人はサラリーマン風の男性。 一人は初老の女性。
- 8 : ◆4972gaB/9o :2010/03/16(火)
00:01:56.17 ID:yeq7+w0q0
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- あっという間に俺が欲しかった3つの死体の出来上がり。
ほんと、ご協力感謝するしかないね。 _
( ゚∀゚)「ありがとうございます。それではみなさん、本日はご協力ありがとうございました! またいつか会いましょう!」
くるっと後ろを向き、脱出ルートへ向かう。 ビルの周りには警官隊。ビルの下にも警官隊。
さて、四方八方囲まれた俺はどこへ逃げればいいのでしょうか?
答えは簡単だよな。子供でも分かる。
上だ。
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- 9 : ◆4972gaB/9o :2010/03/16(火)
00:05:10.31 ID:yeq7+w0q0
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- 予め用意した小型ロケットを背中に背負う。
これは子供の頃に見たアニメの主人公が使用していた物を、俺が憧れて自分なりに試行錯誤して作り上げたものである。
リュック型になっており、リュックの底には噴射行が付いており、そこから熱エネルギーを噴出させることで空中へ飛ぶことができる。
まぁ、小型なので滞空時間はもって2分だが。
しかしそれだけの時間があれば大丈夫。
今宵このビルの上空にはヘリコプターが数台、ぐるぐると飛び回っている。 狙いはそこだ。
準備は札を数える前に終わっているので、時間には余裕がある、むしろおつりがくるぐらいだ。
ロケットにスイッチを入れ、星の瞬く空へ飛び立つ。噴射口の音はうるさくて堪らないし、けっこう足が熱い。早くしないと火傷する。
目指すはテレビ会社のヘリ。あまりの突然の出来事に、反応が間に合わなかったヘリをジャックすることはバゲットを真っ二つに折る事よりもたやすい。
何故なら俺のコードネームは【ジャック】。占拠のプロだ。
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- 11 : ◆4972gaB/9o :2010/03/16(火)
00:10:57.86 ID:yeq7+w0q0
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- ヘリの中には3人の人間がいた。運転手に体つきの良いカメラマンと美人で巨乳のニュースキャスター。
カメラを構えていたからヘリのドアは開けっぱなしだ。馬鹿め。 _
( ゚∀゚)「お出かけの際は鍵の戸締りに十分注意しましょう。たとえそれが上空でも」
すかさずカメラマンの胸倉を掴み、外に放り出した。
リュックから腕を外し、ヘリに飛びこむ。
狭い室内なのに、怯え逃げ惑うキャスターの首を、後ろから強く叩く。
最後に、運転手を外に捨てて準備完了。運転手はとても驚いたような顔をしていた。
俺が運転できないとでも思ったのか?俺は占拠専門のギャング、【ジャック】ことジョルジュ様だぜ?
空いた運転席に間も無く座り、操縦に専念する。
警察はまさかヘリが盗まれるとは思っていなかったのか、一台も航空機を用意していないし、
万が一に来ていたとしても、こっちには美人でボインの人質がいるし、撃たれる心配もないだろう。 _
( ゚∀゚)「さてと、…夜空のデートと洒落込みますか」
プロペラの音を響かせながら俺を乗せたリムジンは夜の街へと消える。
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- 12 : ◆4972gaB/9o :2010/03/16(火)
00:15:21.54 ID:yeq7+w0q0
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- ふと、携帯電話が震えていることに気付いた。ディスプレイには「フォックス」と表示されていた。
懐かしい人からかかってきたもんだ。
_ ( ゚∀゚)「お〜フォックスさんだww久しぶりだな〜wwwwwなんだろ?」
左手でヘリコプターを操縦しながら右手で内容を確認する。 どうやら留守番電話を入れてくれたらしい。
すぐに耳に当てて、声を聞く。
その中身は仕事の成功など、どうでもよくなるほどのものだった。
- 13 : ◆4972gaB/9o :2010/03/16(火)
00:17:05.39 ID:yeq7+w0q0
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【◆爪'ー`)y-ゲームに集うは、切り札のギャング達のようです◇】
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