翌日の昼前、宿屋の前で落ち合う面々。
朝っぱらからツンは教会へ行き、新しい白の修道服を無事借りることができた。
( ^ω^)「それじゃまたいつか、世話になるかもしれないお」
(´・ω・`)「聖地にこの街の調査の結果が届くよう、手配しておくよ」
アァ从*'Д(⊂ξ゚听)ξ「ありがとうございます。では、またいずれ」
頭を下げ、三人はショボンと別れる。
魔術の存在を知った彼は、ツンやその周辺に今後どのような影響を与えるだろうか。
何も聞かなかったものとして、今まで通りに商業都市の発展に努めるのだろうか。
本来は『枯木の魔女』以外の人間が使用することのできない魔術。
『魔導具』という器を用いることで、誰もが使える可能性を秘める超常的な力を見て、彼は。
そこで、ツンは考えた。
『負の感情を糧にする』という特性さえ無ければ、魔導具ほど素晴らしい技術はないではないか、と。
ショボンのような大きな力を持った者が優秀な人材を集めてこの研究にかかれば、どんな結果が得られるだろうか。
新たな発展が望めるのではないか、新たな歴史を切り開けるのではないか、これまでの人類史を、塗り替えられるのではないか。
しかし体に刻まれた父達錬金術師の答えは、その可能性を否定し、ツンも気付けば、それを受け入れていた。
クーの言うように人の生が千変万化だというならば、魔術を受け入れ、人類の英知とすることはできなかったのか。
確かに過去の結果は変わらない。しかし、今を生きる者達の『これから』は、どうなのだろう。
自身が体に抱えるのは破壊。だが今、彼女の頭は魔術の可能性を肯定しようとも考えている。
未来へ向けた答えの一つを、誰も掴もうとはしない一つを、『枯木の魔女』は一人で抱えているのかもしれないのに。
そこでふいにブーンらの顔を見るが、よく、わからない。正午へ向け徐々に活気づき始めた街も、それを知らぬ顔で。
ep2. 一族最後の女 おしまい。