(-_-)「2・14 狂犬事件」のようです


1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 13:39:31.36 ID:rPqnFgpP0

 君らにだって誕生日があるように僕にだってあった。
 まーまー、今回は「そういう」誕生日の話じゃないんだ。

 誰だっけ、ほら哲人が言ったろ?
 人は二度生まれるってやつ。

 人として生まれるだとか、素敵な台詞だよね。
 中学生の時はひきこもってそんなんばっかり読んでたよ。

 あ、そうそう。
 どうも、僕はヒッキーと申します。

 高校二年生を控えた今、狂犬を名乗らせてもらってます。
 静かーにね。



 
2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 13:43:39.27 ID:rPqnFgpP0
 どこから話したもんかな。
 「狂犬」の誕生日に焦点を当てるだけなら、二月十四日だけで話は終わるんだけど。

 でもさ、それだけだったらつまんないし、なにより僕が満足しないんだ。
 君らにも、少しは「僕」のことも知って欲しいしね。

 だから初めの事件、去年の四月八日から語るべきだと考えた。
 話下手だから聞き苦しい点もあるかもしれない。

 ま、簡単に言ってしまえば、その日、早速高校デビューに失敗しているんだよね。
 僕という人間はさ。

 
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 13:47:33.95 ID:rPqnFgpP0
「4・8 没落事件」

(-_-)(ヒッキーって呼んでくれよな。趣味はギター、特技はお菓子作り。一年よろしく)

(,,゚Д゚)「以上、よろしく」

(‘_L’)「ありがとう、それじゃ次」

(-_-)(ヒッキーって呼んでくれよな。趣味はギター、特技はお菓子作り。一年よろしく)

( ・∀・)「モララーでっす。中学ん時は陸上部でハードル飛んでたんだけど――」

(-_-)(ヒッキ、ヒッキ、ヒッ)

(;-_-)ゲロォ

ζ(゚ー゚;ζ「わっ、きったなっ!」


 
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 13:51:47.67 ID:rPqnFgpP0
 僕は朝食の納豆と味噌汁とを、机にすっかり吐き戻してしまったんだ。
 知ってる? 同じ大豆同士ってよくなじむんだよ?

 だばだばと漏れた液はようく広がった。
 悲鳴の伝播速度には負けたけどね。

(-_-)(終わった)

 そりゃ吐くわけだと保健室で思ったよ。
 中学時代はお情けで卒業させてもらって、他人に囲まれたのも数ヶ月ぶりだもん。

ξ゚听)ξ「親御さん呼んだから、よく寝てなさいね」

 保険医の先生はまだ若いのに、しっかりと対応してくれた。
 案内されたベッドは中学のそれより少し、上等だったね。

 そんなことに気付けたのは、やっぱり常連だからっていう不名誉な経験からなんだけど。


 
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 13:58:22.63 ID:rPqnFgpP0
 ソクホウ高校の保健室ってベッドが三つもあって、僕は窓際に寝かされたんだ。
 カーテン越しに差す陽光が熱くてね。今でも思い出すよ。

(-_-)(また暗黒の中学時代再来か。いつも僕はそうだ、いつも大事なところでミスするんだ)

(-_-)(体育のサッカーでボールを回されて、焦って手で拾っちゃうし)

(-_-)(テスト中にお腹が痛くなってトイレから出られなくなるしさ)

(-_-)(ホントくずだよ、欠陥人間だよ。生きてても意味がないんだ。最悪だ)

 この時の僕は劣等感のカタマリ――いや、今もないわけじゃないよ――で、自分を卑下しまくってた。
 隙さえあれば、考える時間が一秒でもあれば自己嫌悪。

 後悔先に立たずだって?
 僕の人生の先には後悔のフラグがゴロゴロして、どうしようもない状態だった。

 先人の言葉なんてのは現代人には通用しないんだ。
 自分が望もうと望まなかろうと、ストレスはあっちからやってくる。

 いやおうなく僕らは波に飲み込まれて、胃に穴開ける運命なんだ。

 

 
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:02:54.62 ID:rPqnFgpP0
 ひきこもるのが僕の最高の手だと信じてたね。
 幸い、親はそれなりに僕を養ってくれる自信があったし、篭城準備は完璧さ。

 時折、実家に帰ってくる嫁入り三年目の姉以外、ストレスはおおむね回避できたし。
 ネットの広大な海でおなじみの言葉を書き込みながら、僕はよく呟いたよ。

(-_-)「死にたい」

(-_-)「誰か殺してくれないかな」

(-_-)「隕石が降ってきて世界が終わればいい」

 よくもまあここまで俯いて生きられるもんだ、なんて中学の先生は言ってくれた。
 馬鹿いっちゃいけないよ。

 前を向いたら誰かと視線があって気まずいじゃないか。
 足元を見て転ばないようにうずくまってるのが賢い生き方さ。

(-_-)「もう死にてぇよ……」



 
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:07:15.56 ID:rPqnFgpP0
 目元に掌を当てて、涙が滲んだら誰か心配してくれるだろー、なんて考えてた。
 そんな時だったね、肝が凍ったのは。

「うるさいんですけど」

(;-_-)「!」

 さっきも言ったと思うけど、ベッドは三つあった。
 どれもカーテンで区切られてて、様子はわからなかったけど、先客がいたらしい。

 自分に向けた死ね死ねコールを聴かれた。
 しかも、それをうるさいと怒られた。

(;-_-)(やば、また、吐きそ)

 関連記憶が芋づる式に一本釣りだった。
 注意も叱責も罵声も全部、ここに繋がる。

 ストレス。

 ぐっ、ぐっ、て胃が暴れた。


 


 
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:11:03.23 ID:rPqnFgpP0
 首元に昇ってきた心臓と、裏返る胃の感触。
 これが嫌だから僕は、僕は、壁の中に生きたかっ――

シャッ

( <●><●>)「聴こえましたか。うるさ」

(;-_-)「!」

 短時間に二発も撃ったの経験は君らにはある?

(;-_-) グボッビシャ

 オレンジっぽい水を吐くマーライオンになるんだよ。
 知ってる人にはくどくどとすまないね。

ビタバタタタ

 しかもなかなか止まらないんだ。

 
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:14:40.78 ID:rPqnFgpP0
 四月八日の事件はこんな感じだった。

 山火事よりも素早く噂が広まったね。
 そりゃあ神経伝達速度とタメはったんじゃないの?

 翌日には色んな方面からアプローチがあったよ。

( ・∀・)「お前中学時代イジメられてたんだって?」

(,,゚Д゚)「くせぇんだけど」

 刺々しく深々と刺さる言葉達。
 剥き出しの刃を振るえるクズは死ね。

 でも、それよりも死んで欲しいのが自分だった。

 
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:18:18.00 ID:rPqnFgpP0
 意地になって失敗を取り戻そうとしてみたさ。
 僕だってまた同じ轍を踏みたくないってのが本音だった。

 運命、宿命、どっちが変えられないもんだっけ?
 どっちでもいいけどね。

 哲学をかじったばかりの自分が、少しばかし「価値ある人間」みたく思ってた頃でもあった。
 だからちょっとは頑張った。

(-_-)「ね、ねえ、きょきょきょ、教科書見せてください」

ζ(゚ー゚*ζ「え……いいけど……」

ζ(゚ー゚*ζ チッ

 ところで、二週間くらい耐えたのって頑張ったうちに入る?



 
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:24:42.90 ID:rPqnFgpP0
「5・1 GWの屈辱」

 なんとか学校に復帰しようと克己心を奮い立たせようとしたのが、大型連休中。
 ゴールデンウィークっていう、ひきこもり人達には縁遠い日々だった。

(-_-)「まだいける、僕はまだ生きていける、いける」

 春の気温の高さか風の爽やかさか、まあその手の要素が僕を健やかな気持ちにさせたんだ。
 いつもだったら後ろめたくて怖い朝日が違って見えたね。

 オタクがひょんな出会いでリア充になるスレを読んだのも、関係あったかもしれない。
 スペックの「キモヲタ」を信じて希望を持ったんだ。

 変化は外にあり!
 僕はまず、アマゾンの利用を止めて書店に歩いていった。

 ニュータイプと少年Aが欲しかったんだ。



 
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:31:06.18 ID:rPqnFgpP0
 しかし早速失敗を予感したね。

 なんせ僕ら一家は、とある理由で住み慣れた土地を離れてたんだ。
 中学から離れた、僕でも入れるような高校の最寄駅付近まで引っ越して二ヶ月、土地勘なんか皆無だった。

 とある理由? 訊くなよ、そんな野暮なこと。

(;-_-)(人が多い。服を笑われてる気がする……)

 道行く人は休日を満喫する若者ばかりで、足は駅に向かってる。
 僕なんかに構ってくれそうになかった。

 線路を挟んで向こうに見えた本屋に辿り着けない。
 自分のダメさを痛感するばかりで、気付けば現在地が分からない。

 家を出たときに持ってた勇気のストックは、歩いているだけで急激に消費されていった。

 



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:35:15.10 ID:rPqnFgpP0
(-_-)「死にたい」

 ほら、またこれだ。
 自分で思いながら、その四文字はノンストップ。

(-_-)「死にたい死にたい死にたい」

 目の前に広がる春の街に降り注ぐ隕石、の妄想。
 外回りのサラリーマンが頭を砕かれて死んだ。

 アスファルトはえぐれて集団で歩く高校生達に多段hit。
 ははは、死ね死ね、僕も連れて行ってくれ。

 天国でなくてもいいから――

( ・∀・)「待てよギコ、女の子もいるんだからな!」

(,,゚Д゚)「早くカラオケ行こうぜ!」

 僕も、連れて行って、くれ?



 
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:40:51.12 ID:rPqnFgpP0
 頭に描いていた大惨事はさくっと消え去って、現実が急にクリアになった。
 アスファルト連弾に殺されたはずの高校生の一人が、僕の方に顔を向けた。

 即座に僕は俯いて、物陰を探す。
 下げた視線に映る丈の短いスウェットと汚れた靴。

 日曜日にプリキュアの間に流れる小学生向けのスニーカーと似た形だ。
 母親が買ってくる靴だから黙って履いていたんだけど……。

(;-_-)(いやだ、見つかりたくない、会いたくない)

 まさかここまで言って話の展開が分からない奴はいないよね?
 もしいたら、すぐ辞書で予定調和とか、その辺の単語を調べてみなよ。

 大体こういう時はこうなるってのが、お決まりなんだよ。

( ・∀・)「よーう! ヒッキーじゃねーか!」

 こうなるんだ。
 ノートに書いて赤線引いておきな。


 
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:45:56.46 ID:rPqnFgpP0
 華の高校生が七人、集まってた。
 男が三人に、女が四人。

 自己紹介の時に人の名前なんて聞いてられなかった。
 でも、これだけは見た目で本能が理解した。

 「こいつらは僕の上位種だ」ってね。

 認めたくないもんだけど、人間も動物なんだよ。
 直感は大体あってるし、こと、関係性については正確性が増す。

 経験ないかな。
 こいつには敵わないって肌で感じた経験は。

ζ(゚ー゚*ζ「……うわ」

 それと、嫌悪感を全身で知った経験についても尋ねておこうかな。



 
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:50:00.60 ID:rPqnFgpP0
( ・∀・)「どうしたんだよゲロ男w 寝ぼけて出てきちゃったのか?ww」

(,,゚Д゚)「止めろよモララーww」

 笑いってのは不思議だよ。
 笑ってる人がいると自分も笑顔になるんだ。

(;-_-)「あは、あははは」

 どうだい?
 いい笑顔だろ?

 すごくいい笑顔だ。
 無難な、無害な、踏み付けにされることを待っている従順な表情。

 僕の特技といったらこれだよ。
 愛想笑いっていう、やりすごしメソッド。

 
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:54:13.98 ID:rPqnFgpP0
( ・∀・)「今からクラスの奴とカラオケするんだけどさー、お前も来るよなー?www」

(;-_-)「そっ、そうなんだ! へえぇ!」

ζ(゚ー゚*ζ「……勘弁してよ」

 真横の席の女の子だ。
 今はATフィールド張りに壁を感じる。

(,,゚Д゚)「モララー優しいからなwwwクラスメイトのほとんどに声かけてんだよwwww」

从 ゚∀从「なあ、あいつマジでくんの?」

 近い距離にいたんだ。
 どんなんでも聴こえるさ。

ζ(゚ー゚*ζ「……」

 空気読めよっていう心の声だって聴くことができる。
 人間ってのは優れた生き物だな。


 
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 14:58:00.53 ID:rPqnFgpP0
 他の女子二人は距離を置いて楽しくおしゃべりをしてたね。
 僕のことは眼中にないのが見え見えだった。

 無関心ってのはありがたい。
 僕は一人でいたいんだから。

(;-_-)「ぼぼぼく……俺も行って、いいの?」

 一人でいたかったはずだったんだ。
 あーあ。

( ・∀・)「なにどもってんだよwwこいよww」

 回顧録だからこそ冷静にモノが言えるだけで、テンパったらどうしようもないね。
 馬鹿丸出しだよ。

 もしかしたら、こいつ良い奴かもしれない、なんて思ってたんだから。

 
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 15:02:44.87 ID:rPqnFgpP0
 両肩を掴まれて、僕は連行された。
 後ろから肩を押されて歩か「される」。

 曲がら「される」。

 横断歩道のボタンを押さ「される」。

 横断中に手を上げ「させられる」。

 僕は若干赤面しながら、死にたく思った。

( ・∀・)「なんかゲロヒッキー古い家の臭いすんな」

(,,゚Д゚)「俺も思った」

ζ(゚ー゚*ζ「ねえ、あたし帰っていい? 同じ部屋に入るとか考えられないんだけど」

从 ゚∀从「デレ帰るなら俺も帰ろうかな……」

 後ろに立つお前らが悪い、って誰かがつっこんでくれたら何か違ったのかな。

 
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 15:06:32.04 ID:rPqnFgpP0
( <●><●>)「……」

 と、そこで僕はどこかで見た顔をグループに見つけた。
 ただ一人、さっきからずっと喋っていなかった男子だ。

( <●><●>)「……」

 黒目勝ちな目元にクセ毛の、細い人だった。
 僕のがりがりな細さとは違って、すっと締まった印象だった。

( <●><●>)「哀れだな」

 ぼそりと呟いたのを聴いたのは、僕だけだったらしい。
 彼はそれっきり喋らなかった。

 で、カラオケボックス到着。


 
35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 15:09:38.26 ID:rPqnFgpP0
 受付で二部屋を取ると、モララーは僕に片方の伝票を渡した。

( ・∀・)「あとから他の面子も来るからそっちにいてくれよなー」

(;-_-)「う、うん」

 待つこと30分。

(-_-)

 隣の部屋ではドラゴンボールの主題歌が元気に歌われていた。

(-_-)

 そうだよな、なんて思って、僕は黙ってた。
 曲の入れ方も分からないし、本当にやることなんかなかったね。

 
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 15:13:13.28 ID:rPqnFgpP0
 部屋のドアが開いたのはそれからさらに30分後だった。

('A`)「あの、ここ?」

(-_-)(あ)

(’e’)「ドクオ、ここでいいんじゃねーの」

( ´∀`)「モナ。まあこんなこったろうと思ってたモナ」

 現れた三人は揃いも揃って、なんというか、アレだった。
 同族の臭いに満ちてたね。

 初めの奴はドクオ、次にジョーンズ、最後にモナー。
 チビガリ、中肉中背、大柄ややデブ。

 ズッコケ三人組には及ばない点だらけの、さえない連中だった。
 僕? 僕はどん底劇団ひとりだよ。

 
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 15:17:45.57 ID:rPqnFgpP0
( ´∀`)「曲入れていいモナ?」

 モナーは好きに曲を入れてマイクを握った。
 っていうか、あのよくわかんない機械で曲選べるのか。

(’e’)「うわぁ〜。頭っから五曲も入れんなよ〜」

 見る見る予約曲だらけになるモニター。
 僕は隅っこの方でずっと黙ってた。

('A`)「ポルノいれといて。なんでもいいから。ジョーンズ、飲み物何?」

(’e’)「コーラ」

 死んだ魚のような目をしたドクオが、彼らのまとめ役らしかった。
 生意気そうな印象を、すこーしだけ覚えたかな。

('A`)「君は?」

 すぐに、考えなおしたけどね。


 
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 15:22:54.58 ID:rPqnFgpP0
 僕はやることもないので、熱唱するデブ(こいつが女性ボーカル曲ばかり歌ったんだ)を眺めてウーロン茶を飲んでた。
 喋ることもないので、どんどん水位は減るし、そもそもから中身も少ないのですぐ氷にチェンジしてたね。

 氷をがりがりしながら、気だるげに歌うドクオを見てた。
 そういや僕だけだったんじゃないかな。

 部屋の外でニヤニヤしながら様子見に来るモララーたちに気付いてたの。

 別にいいさ。
 どうせ僕もこうなるんだろうなとは予想してた。

 奇形をネタに金を取るサーカスってのが世界にあるけど、そんなんだろ。
 いいよ、別に。

 いいんだよ。


 
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 15:26:13.18 ID:rPqnFgpP0
 携帯のカメラでその様子がクラスの連中に広がったのは、すぐだったんじゃない?
 情報化社会って怖いね。

 ま、ゴールデンウィークの思い出はこんなもんだよ。
 ニュータイプも少年Aも帰りに買って、シコって寝た。

 でも何でかは分からないけど、ゴールデンウィーク明け、僕はまた高校に顔を出してた。
 多分あれだ。

 モララーの標的が僕だけじゃないんだろうって分かったからだ。


 
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 15:33:02.03 ID:rPqnFgpP0
 さて、今度はどんな話をしようか。
 もう既にアナル公開してるような気持ちなんだから、隠すことはないんだ。

 色々ありすぎたと言えばありすぎたけど、中学時代ほどじゃなかった。
 陰湿な悪戯はいくらでも受けたけど、昔の方が酷かったな。

 その思い出話は長いし、聞いてる方が気分悪くなるかもね。
 あー、自分の流血体験と他人の血液とどっちが生理的にダメ?

 僕自身の流血だったら、自転車三台に紐で繋がれて200m引きずられたとか、そんなん。
 背中に小石が刺さって五針縫ったかな。

 またあいつら、立ち漕ぎなんかするから凄い勢いでさ。
 あ、頭も一部ちょっと禿げてるんだけど、その時の名残だよ。

 他人の血液は、生理用ナプキンが上履きに詰められてたとかいうのなんだけど。
 どっちも大して面白くもないか。


 
47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/08(月) 15:37:00.02 ID:rPqnFgpP0
 昼食は一人で食べてたよ。
 ドクオ達が近くで食べてた時は声かけてくれることもあったかな。

 気恥ずかしかったというか、傍目が気になって静かな場所見つけて食べてた。
 あーあーあー、思い出した。

 そうだよ、とんでもなく蒸す夏の日だ。
 曇天のおもっ苦しい日に、僕は彼と初めてまともに喋ったんだった。

 その日は梅雨の中ごろで、雨が降るかもしれないって良純がいってたんだ。
 だから逆に、僕は屋上に行って一人の昼食を楽しもうとしたんだよ。

 


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