ブーンが死んでしまったようです【長編】〜第一章〜
7 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2005/12/05(月) 03:20:48 ID:aYQKD/DF0
( ^ω^) 「あれ・・・・・・・・・僕はどうしたんだお・・・・・・・・・?」
瞼を開ける。光がまぶしい。街灯が顔の正面に見える
あたりを見回すと、そこは住み慣れた町の光景が広がっていた
時刻はよくわからないが、深夜であることは間違いない
( ^ω^) 「たしか・・・・・・・買い物に出て・・・・・・・それから・・・・・・」
それから・・・・・・・思い出せない
何か、何かあった気がする。とても重大な何かが・・・・・・
( ^ω^) 「なんだっけ・・・・・・・・・・・・・」
周りに、人気は無い
ここにいても仕方が無い。どこかへ行こう・・・・・・・・・
12 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 03:27:30 ID:aYQKD/DF0
とぼとぼと、不確かな足取りで歩く
季節はもう真冬だと言うのに、不思議と寒くはなかった
( ^ω^) 「買い物・・・・・・何を買おうとしてたんだお・・・・・・・?」
ポケットから財布を取り出す
二千円札と、小銭がいくらか入っていた
( ^ω^) 「あんまり大した物を買おうとしてなかったみたいだお・・・・・」
それに、こんな夜中だ
きっと、コンビニに行こうとしていたに違いない
( ^ω^) 「コンビニに行けば、きっと思い出すお!!」
目的が決まれば、急に足が軽くなる
しかし、ブーンは気がつかなかった
自分の足が、降り積もる雪に跡を残していないことに・・・・・・・
( ^ω^) 「とりあえず、おでんでも買うお!」
17 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 03:35:14 ID:aYQKD/DF0
人気の無い通りは酷く寂しい
ビルとビルの間から民家がのぞく
気の早い住人なのだろう、すでにクリスマスのイルミネーションがきらめいている
( ^ω^) 「もうそんな時期かお・・・・・」
一年前なら、きっとうんざりとそれを見ていただろう
だが、今年は違った
( ^ω^) 「今年はツンも一緒だお!」
恋人・・・・・・というわけではない。だが、そうなりたい、なれたら、とは思う
今年は彼女の家のクリスマスパーティーに呼ばれている
自分なんかが参加していいものか、と渋ったのだが
結局、強引に、まるでツンにしかられるままに、頷いてしまった
でも
( ^ω^) 「たのしみだお〜♪」
そう、いやではなかった。むしろ嬉しかった
20 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 03:40:23 ID:aYQKD/DF0
目的のコンビニは遠い
近くのファミマで済ませてもいいのだが、今はローソンに行きたい気分だ
( ^ω^) 「ツタヤのポイントも溜まるし・・・・・・」
自分が何かを忘れている、それを忘れたかのように意気揚揚とスキップ
すると、道の端に誰かが座り込んでいるのが目に入った
( ^ω^) 「どうしましたお? 飲みすぎたのかお?」
年末のこの時期だ。何かの忘年会帰りだろうとあたりをつけ
そう声をかける
しかし、声をかけられた青年は、酔ってなどいなかった
声をかけられたことに、酷く驚き、狼狽した
(´<_` ) 「お・・・・・おまえ・・・・・・・俺が見えるのか・・・・・・・?」
26 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 03:49:02 ID:aYQKD/DF0
( ^ω^) 「見えるってwwww見えないほうがどうかしてるお?」
(´<_` ) 「そうか・・・・・・おまえにはそんなにはっきり見えるのか・・・・・・・」
呟く声は、沈んでいた
しかし、肩を落としたのも一瞬で、男は急に笑顔になった
(´<_` ) 「まあ、お前は見えるって言うんだからな、嬉しいことだ」
( ^ω^) 「どういうことだお?」
(´<_` ) 「・・・・・・・・俺を、変な奴だと思わないか・・・・・?」
突然の質問に、ブーンは首をかしげる
( ^ω^) 「その質問が、すでに変だお?」
(´<_` ) 「ああ・・・・確かにな・・・・・・・」
( ^ω^) 「とりあえず、言ってみるお! 聞くだけきくお」
ありがとう、と礼と共に男は言った
(´<_` ) 「俺は弟者。・・・・・・・一週間前、ここで死んだ」
29 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 03:53:57 ID:aYQKD/DF0
弟者の言葉は、にわかには信じられないものだった
ブーンにしてみれば、はっきりと見えているし、足もある
加えて言えば人魂なんて物もまったく見えない
(;^ω^) 「ちょ・・・・・・・冗談にしてもたちがわるいお・・・・・」
(´<_` ) 「自分でも・・・・・そう思う・・・・・・・でもな、本当なんだ」
浮かぶ表情は、皮肉な笑い
道路の路肩に腰を下ろし、弟者は話を続けた
(´<_` ) 「自分でも、信じたくはなかった・・・・・さ」
( ^ω^) 「なんで、そう思うお? 僕にはそうは見えないお?」
(´<_` ) 「ありがとう、俺もそう思う」
「でもな、俺は、見ちまったんだ・・・・・・・・・・」
何を、とブーンが尋ねる前に
(´<_` ) 「俺の死体と・・・・・・・・葬式を・・・・・・・・」
36 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 04:12:38 ID:aYQKD/DF0
(´<_` ) 「忘れもしない、一週間前だ・・・・・・・」
「俺は、兄者のエロゲを買いに行く途中、ここで車にはねられた」
正直、買う前で助かったと思ったな、軽口は、何故か痛々しかった
(´<_` ) 「案外、痛くないもんでな。まったく気がつかなかったよ・・・・・」
( ^ω^) 「それで・・・・・・・・・?」
なんだろう・・・・・・胸が、ざわつく・・・・・・・・・・
(´<_` ) 「それで、も何もな・・・・・・目の前に、俺が倒れてたんだ」
だいじょうぶ・・・・・・僕は、見てない・・・・・・・・
(;^ω^) 「え・・・・・・見てないって・・・・・何をだお・・・・・・・・?」
(´<_` ) 「どうか、したか?」
(;^ω^) 「う、ううん、何でもないお!」
無意識のうちにこぼれた呟きを、必死で打ち消すブーン
気を紛らわせたい・・・・・・とにかく、その一心で先を促す
( ^ω^) 「全部、聞いてみたいお! 早く、続けくれお・・・・・・・!」
言葉は叫びのようになっていた
38 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 04:23:54 ID:aYQKD/DF0
(´<_` ) 「あ、ああ。・・・続きと言ってもな、あまり長くも無い」
うつむく弟者の手には、缶コーヒーが握られていた
( ^ω^) 「それ、どうしたんだお?」
(´<_` ) 「ああ、これか? ・・・・・・まあ、俺は幽霊だからな・・・・」
「イメージすれば、このぐらいは何とかなるみたいでな」
「あまり、気にしなくていいぞ、ただの気分転換だ」
ごくり、とまるで生きてるようにコーヒーを飲む
(´<_` ) 「続き、だがな・・・・・・」
「俺は、病院に搬送される俺を・・・・・・・なんか、ややこしいなw・・・・」
苦笑い
(´<_` ) 「ここで、見送ってた・・・・・ただただ呆然とな・・・・・・」
( ^ω^) 「病院に・・・・・行かなかったのかお?」
(´<_` ) 「ああ・・・・・・・多分、信じたくなかったんだろうな・・・・」
言って、今度はタバコを取り出す弟者
その姿は、とても死人、幽霊には見えなかった
42 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 04:33:22 ID:aYQKD/DF0
(´<_` ) 「流石に、丸一日呆けてたら、家が恋しくなってな・・・・・」
じゅう、と煙をあげながら、タバコが缶に放り込まれる
(´<_` ) 「・・・・・はは、帰ったら、俺の葬式の真っ最中だった」
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(´<_` ) 「ああ、ああ、そんな顔するな。俺が泣きたいぐらいなんだ・・・・・・・」
力なく、笑う弟者。そんな弟者にブーンは何も言えない
(´<_` ) 「ま・・・・・・それから、ずっとここにいるわけだ」
(;^ω^) 「ちょ・・・・・・・・家には、戻らないのかお!?」
バキッ・・・・・・・・・!
弟者の手から、そんな音が聞こえた
見ればコーヒーの缶が握りつぶされ、ひしゃげている
(´<_` ) 「あんな・・・・・! あんな家に・・・・・・!!」
「あんな家に、帰りたくなんかない!!!!」
涙を流し、弟者は怒りに震えた声を洩らした
46 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 04:45:09 ID:aYQKD/DF0
(;^ω^) 「ちょ・・・・・・!? なんでだお!? 家族がいるんじゃないのかお!?」
(´<_` ) 「・・・・・・・・うるさい・・・・・・・!」
口からつばを飛ばさんばかりのブーンに、弟者はうっとおしそうに缶をなげつける
しかし、缶は手を離れて十センチも行かないところで虚空へと、解けるように消えた
(´<_` ) 「あれが・・・・・・家族か・・・・・・・・?」
「俺は、今まで、あんな奴を・・・・・兄と呼んでたのか・・・・・!」
(;^ω^) 「ちょ・・・・・・一体、何があったんだお!?」
(´<_` ) 「思い出したくも無い・・・・・・!!」
苦々しく、吐き捨てる弟者は、顔覆い
涙がこぼれないよう、嗚咽が漏れないよう、背を丸めて肩を振るわせる
(´<_` ) 「信じられるか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
( ^ω^) 「だから・・・・・・! 一体なにがだお!?」
(´<_` ) 「香典を見て・・・・・兄者は・・・・・・・・・・・!」
「『これで、新しいPCが買えるなw』って・・・・・・・・・!」
「笑ってたんだぞ・・・・・・・・・・・・・!?」
52 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 04:55:53 ID:aYQKD/DF0
拳を振り上げ、アスファルトに叩きつける
しかし、音はならず、ただただ弟者の拳ばかりが血に濡れる
(;^ω^) 「ちょ・・・・・・!! 何をしてるお!?」
(´<_` ) 「うるさいうるさい!! どうせ・・・・どうせ俺は死んでるんだ!!」
「痛くも・・・・・・痒くも無い!! ・・・・・いたく・・・・ない・・・!!」
号泣。声をあげ、あたりもはばからず、弟者は泣く。泣き叫ぶ
(´<_` ) 「俺は!! ・・・・・おれは・・・・・・・!」
「兄者は・・・・・・・馬鹿で、どうしようもなくって・・・・・・・」
「いっつも・・・・・・・いっつも・・・・・・・・迷惑かけて・・・・・!!」
噛み締める唇は、幽霊だというのに、赤い血を垂れ流す
(´<_` ) 「ニートで・・・・・・・・童貞で・・・・・・・・・!」
「自分はひきこもって・・・・・・ブラクラふんで・・・・・・・!」
(´<_` ) 「それ・・・・れも・・・・・・・・・・・・!!」
「兄者がすきだった!! 兄者を・・・・大切おもってた・・・・・!!」
弟者の涙は、地面のはるか上で、消えていった・・・・・・・・・・
54 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 05:09:47 ID:aYQKD/DF0
なにも言えない。言えるはずも無い
ブーンは、ただただ、その嘆きを聞くことしか出来ないでいた
そんなブーンの耳にふと、弟者以外の声が聞こえた
( ^ω^) (あれ・・・・・・・・なんだお・・・・・・・・?)
音の出所は、子供のように泣き崩れる弟者のその後ろ
( ^ω^) (? ・・・・・・・・糸・・・・・・・?)
ブーンは弟者の背中から伸びる、光る糸だと気がつく
糸は、ブーンからみて右の方向に伸びていた
( ^ω^) 「家は・・・・・・・あっちかお?」
(´<_` ) 「・・・・・・俺に・・・・もう家なんか・・・・・・!!」
(#^ω^) 「答えるお!!」
ブーンのあまりの剣幕に、思わず弟者はひるむ
(´<_` ) 「あ、ああ。・・・・・・・・そっちの方だ・・・・・・」
( ^ω^) 「なら、今から行くお!!」
(´<_` ) 「!? な・・・・・・なにを・・・・・・・!?」
ブーンには、聞こえていた
糸から響く、弟者を呼ぶ、男の声が・・・・・・・・・・
58 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 05:19:01 ID:aYQKD/DF0
動こうとしない弟者の首根っこをひっつかみ、ブーンは走る
そして、糸の終着点、弟者の家にたどり着いた
(´<_` ) 「くっ・・・・・・・! ・・・・・・ここになんか、用は無い・・・・・!」
( ^ω^) 「黙るお!」
(´<_` ) 「余計なお世話なんだよ!? ・・・・・・・いまさら、アイツの顔なんか・・・・・!」
バシィンっ!!
(´<_` ) 「え・・・・・・・・・?」
( ^ω^) 「黙れ、と言ったお・・・・・・・・・!」
ブーンの掌は、弟者の頬をはたいていた
それは、弟者にとってはまったく予期できない衝撃であった
(´<_` ) 「な・・・・・・・なん・・・で・・・・?」
(#^ω^) 「見えるし、触れたんだから、叩けても不思議じゃないお!?」
おろおろと、混乱する弟者を他所に、ブーンが吼える
( ^ω^) 「顔が見たくないんなら、ここで声だけでも聞くお!!」
62 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 05:40:49 ID:aYQKD/DF0
塀と家の壁。それだけ障害物があるならば、声など聞こえるはずも無い
だが、弟者には、何故か兄者の声が鮮明に聞こえていた
(´_ゝ`) 「なあ、弟者・・・・・・・・・・・」
(´<_`) 「・・・・・・なんだよ・・・・・PCの礼か・・・・!?」
青筋を浮かべ、聞こえもしないのに声をあらげる
当然、それに気づくはずもない兄者はぽつぽつと喋り続ける
(´_ゝ`) 「お前が、欲しがってたノートPCだ」
「これで、もう俺のPCを横から除く必要はないぞ・・・・・・・・・」
(´<_`) 「・・・・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・?」
(´_ゝ`) 「・・・・・・・・妹者がな・・・・・・・・」
「飯のたびに、お前の部屋に行くんだよ・・・・・・」
「『ちっちゃい兄者!! ごはんなのじゃ〜!!』ってなw」
クスリ、とちいさな笑い。そして、ためいき
(´_ゝ`) 「もう・・・・・・お前はいないっていうのにな・・・・・・・w」
63 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 05:41:21 ID:aYQKD/DF0
カチリ、と百円ライターの音がする
続いて、深呼吸のような呼気。どうやらタバコに火をつけたみたいだ
(´_ゝ`) 「ほら、お前も吸え。・・・・・・・天国も今ごろ、嫌煙厨が多いだろw?」
喫煙者はどこでも辛いな、と、無理をした笑い声だった
(´_ゝ`) 「母者も・・・・・な。・・・・・・お前の分まで飯つくるんだぞ?」
「ちゃわんまで用意してなw それで・・・・・・・・いつもぶちきれるんだ」
(´<_` ) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(´_ゝ`) 「弟者が、いつまでも降りてこない、ってなw そりゃ・・・・・降りてこないよな・・・・・」
カタリ、と今度は何か固い物を置く音がした
(´_ゝ`) 「まったく・・・・・・お前がいつまでたっても買ってこないから・・・・・・・」
「俺が買ってきちまった・・・・・・・・・・・一応、そなえておく・・・・・・・」
(´<_` ) 「エロゲ・・・・・・そなえるなよ・・・・・・・・・!」
弟者の声は、だんだんと、ゆらいできた
66 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 05:45:31 ID:aYQKD/DF0
しばらく、静かな時間が続いた
上を見上げれば、窓から煙がふたすじ、入道雲のようにのぼっていく
そして、その煙が途切れたとき、沈黙を奇妙な音が破った
バギィッ!!
(´<_` ) 「え・・・・・?」
(´_ゝ`) 「ちくしょう・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
バコっ! バコッ! 何かを叩く音が続く
(´_ゝ`) 「ちくしょう・・・・・・ちくしょう・・・・・・・ちくしょう・・・・・・・・!!」
(´<_`;) 「あ、兄者・・・・・・・・・・・・・?」
何の音か、まるで分からない。そして兄者の罵りの意味もまた分からない
(´_ゝ`) 「こんな・・・・・! こんなもんのために・・・・・・・・・!!」
「こんな、くだらないもんのために・・・!!!」
「おま・・・ぇ・・・・は・・・・・・・・!! お前は!!!!」
「おまえは・・・・・・・・・しんじまったのかよ・・・・・・・・・・・!!」
(´<_` ) 「あ・・・・・・・・・・・・・・・まさ・・・・・・か・・・・・・?」
弟者は、そこで気がついた
兄者が、今、ボコボコにしているのは
欲しがっていた、あのエロゲだということに・・・・・・・・
68 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 05:52:15 ID:aYQKD/DF0
そんな・・・・・と、弟者が困惑する
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・どうしたお?」
(´<_` ) 「だって・・・・・・だって・・・・・・・・・!!」
目を見開き、唇をふるわせ、弟者は泣きそうな声を出す
(´<_` ) 「だって・・・・兄者は・・・・・・いつも言ってたじゃないか・・・・・!」
「右手と・・・・紙かjpgがあれば・・・・女はいらないって・・・・・・・」
「だから・・・・・・・・・エロゲは恋人だ・・・・って・・・・・」
わなわなと、全身が揺れる
(´<_` ) 「それを・・・・・・・・・・・くだらない・・・・・・・って・・・・」
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ブーンは、何も言わず、ただやさしく、弟者の肩を叩いた
70 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 05:59:35 ID:aYQKD/DF0
(´_ゝ`) 「おれは・・・・・・・・これから・・・・・!!!!」
「何を・・・・・・! 何をして生きればいいんだ!?」
もう時刻は真夜中だ。だというのに、兄者は大声を上げる
いつもなら、絶対に鉄拳制裁を加えに来るはずの母者も、なぜかこない
(´_ゝ`) 「もう・・・・・・ブラクラげっとしても・・・・・・・」
「エロ画像げっとしても・・・・・・ハス画像げっとしても・・・・・・!!」
「お前がいなきゃ・・・・・・だれが・・・・・・・・・・だれが・・・・・・!!」
「だれが、俺のとなりにいてくれるんだよ・・・・・・・・!!!!」
あとはもう、人間の言葉とは思えない、嗚咽と、叫びだけしか続かなかった
(´<_` ) 「あに・・・・・・・・じゃ・・・・・・・・・・・!」
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(´<_` ) 「あに・・・・・・・・・・・・・!!!!!!」
「うわああああああああああああああああああああああっっっっっ・・・・」
そして、弟者も、共鳴するように、泣き叫んだ・・・・・・・・・・・・・・・
100 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 09:11:20 ID:aYQKD/DF0
ふたりの哀哭が収まり、住宅地に夜本来の静けさがまたやってくる
(´<_` ) 「・・・・・・・・・・・なあ」
( ^ω^) 「・・・なんだお?」
膝をつき、手をつき、四つんばいの姿勢で、弟者が問う
(´<_` ) 「なんで・・・・・・・なんでおれ・・・・・・・」
「なんで・・・・・・こんな、つまんないことで・・・・死んじまったんだ・・・・・・?」
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
(´<_` ) 「俺は・・・・・・そんなに、悪いこと・・・・・・したか・・・・・・?」
「したんなら・・・・・・いくらでも謝る・・・・! あやまるから・・・・・」
ギリリッ、とアスファルトを握り締めるように拳をつくる弟者
だが、アスファルトが削れるわけもなく、ただ無意味に弟者の指が削れて行く
(´<_` ) 「たのむ・・・・・・・・! 兄者に・・・・・・・!」
「兄者に・・・・・・・あやませて・・・・・・・くれ・・・・・!」
ブーンに頼んだところで、どうしようもない
それを分かっていても、弟者は言わずにはいられなかった・・・・・・・・・
102 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 09:19:00 ID:aYQKD/DF0
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ブーンは何も言わず、土下座のような格好をする弟者にちかより
その背中に手をやった
( ^ω^) 「ここから・・・・・・兄者の声が聞こえたお・・・・・」
(´<_` ) 「・・・・・・これ・・・・・・は・・・・・・・・?」
( ^ω^) 「ぼくにも・・・・・よくわからないお。でも・・・・・・」
糸を弟者の目の前に持っていき、真剣な目で、ブーンは言った
( ^ω^) 「これが、君達に、大切なものだってことは・・・・・・わかるお」
(´<_` ) 「ああ・・・・・・・・そうか・・・・・・・・・・」
涙を、血まみれの手でぬぐい、弟者が立ち上がる
(´<_` ) 「この、光の糸が・・・・・俺たちを繋いでくれるんだな・・・・・・」
不思議な感覚だ・・・・・・・
何も分からないのに、何故か確信できた
手の平を、光の糸ごと強く握り締める。すると、光が増し、あたりを昼間のように照らす
(´<_` ) 「俺の気持ちを・・・・・・・・届けてくれ・・・・・・・・・・!!」
106 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 09:48:04 ID:aYQKD/DF0
遺骨の前で、兄者は眠っていた
昨夜は、何故だか弟者がいる気がして、泣きつかれてしまったのだ
(´_ゝ`) 「ぅ・・・・・ううん・・・・・・あさ、か・・・・・・」
いや、日の高さからして、もう昼前だろう
いくらニートだからとはいえ、これは寝すぎだ
しかも、場所が悪い。母者も起こしてくれればいいものを・・・・・・
(´_ゝ`) 「いや・・・・・・・気を使ってくれたのかも・・・・・な」
だとしたら・・・・・・・・・・・・余計なお世話だ
弟の前で泣きつかれる兄貴が、いるものか、と、兄者の自尊心が告げる
(´_ゝ`) 「いや・・・・・・俺は、兄らしいことなど・・・・・何一つ・・・・・・!」
それどころか、自分は・・・・・・・・・・・・
(´_ゝ`) 「弟者も・・・・・俺を恨んでいることだろう・・・・・・・・・」
と、立ち上がりかけ、ある異変に気がついた
(´_ゝ`) 「ノートPCの電源が・・・・・・・・・・ついてる・・・・・?」
107 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 09:48:37 ID:aYQKD/DF0
PCのモニターには、回線を繋いでいないにも関わらず届いたメールが開かれていた
from:弟者
(´_ゝ`) 「!? な・・・・・・・・・・・・・・!」
『兄者! 一週間もたつのに、何をめそめそしている?』
『なにやら、あの事故を気に病んでいるのだろうが、あれは俺の不注意だ』
『兄者のせいなんかじゃない・・・・・・・・・・・・・』
メールを不思議がることも、不気味がることもせず、兄者はそのメールに食い入る
( ´_ゝ`) 「ちがう・・・・ちがうんだ・・・・・・・!」
「俺が・・・・・俺が謝りたいのは・・・・・・・・・・・・!!」
兄者がすべてを言い終える前に、二通目のメールが開いた
『あと、どうせ自分の不甲斐なさに気がついて、後悔しているだろう?』
『そんなの・・・・・・気にする必要などあるのか・・・・・・・・・?』
『俺たちは、二人一つの流石ブラザーズじゃないか・・・・・・』
『俺は・・・・・・そんな兄者も・・・・大好きだったさ』
108 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 09:49:23 ID:aYQKD/DF0
(´_ゝ`) 「二人で・・・・・・・一つ・・・・・・・・・?」
「じゃあ・・・・・! じゃあ・・・・・・・!!!!」
涙声で、ノートPCに叫ぼうとした直前、三通目が開く
『俺が死んだのは、もう仕方が無いことだ・・・・・・・・残念だが』
『だから・・・・兄者は、俺の分まで、可愛い嫁さんをみつけてくれ』
『その人が、きっと兄者を支えてくれるはずだ・・・・・・・・・!!』
『俺は、もう兄者の横にいれないけれど、今も、こうして・・・・見守ってる』
『ps.仕事、そろそろ見つけて、それを生きがいにしろよ?』
『出来のいい弟より、偉大なる兄へ』
(´_ゝ`) 「弟・・・・・・・者・・・・・・・・・・・・・・」
兄者が読み終わると同時に、PCの電源が落ちた
再度電源をつけてみても、メールは残っていなかった
気がつけば、兄者の目から滝のように涙が流れ出していた
(´_ゝ`) 「結局・・・・・・・俺らは、PCから離れられんのだな・・・・・・・」
このままではいけない・・・・・・・・・涙をぬぐい、決心する
(´_ゝ`) 「父者ー!! 履歴書の書き方教えてくれー!!」
光のケーブルが、ノートPCから、こっそりと抜け落ちた・・・・・・・・・
113 名前: ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/12/05(月) 10:06:52 ID:aYQKD/DF0
( ^ω^) 「・・・・・・気持ちは、伝えきれたかお?」
(´<_` ) 「いや・・・・・全くもって足りん・・・・・・」
足りない、って言うのに・・・・・・・・
(´<_` ) 「兄者は、もう立ち直ったみたいだ・・・・・・・」
「五通目まで・・・・・用意したんだけどな・・・・・・・・」
はは、と笑う弟者は、口調の割にはさっぱりとした表情だった
( ^ω^) 「送らなくて、いいのかお?」
(´<_` ) 「ああ・・・・・・・こいつは、俺が墓場まで持っていくさ」
と言っても、もうすぐなんだがな、と軽口を叩く
(´<_` ) 「それじゃ・・・・・・・・・・・・・」
( ^ω^) 「行くのかお・・・・・・・・?」
(´<_` ) 「ああ、世話になったな、ブーン!」
光のケーブルは、兄者の部屋を離れ、天空へと上り
そこを、伝って、弟者は空へと還って行った・・・・・・・・・・・・
( ^ω^) 「よかったお・・・・・・本当に・・・・・よかったお・・・・・」
天に昇る弟者を見送り、ブーンは満足そうに、おおきく頷く
弟者が消えた空にはもう太陽が燦然と輝いている
気がつけばもう夜があけてしまっていたのだ。だが
( ^ω^) 「・・・・・・・でも、なんだかおなかがすかないお・・・・・・?」
それどころか、喉も乾かないし、眠くも無い
( ^ω^) 「・・・・・きっと、変に気を張ってたからだお!」
元気に、そう言う。無理に、元気に言う理由はきっと
どこかで、気がついているのだろう、それはごまかしだと・・・・・
自分に言い聞かせ、何かに気づく前に、ブーンは歩き出す
どこへ行こうかと、考え、そして思いつくのは
( ^ω^) 「そうだお! 弟者にお線香をあげるお!」
どうせ、すぐそこだ。そのぐらいしなければ罰があたる
しかし、ブーンは気がつかない
それが、自分に、どんなことを伝えるのかを・・・・・・・・・・・
壁をぐるりと回り、ほどなくして玄関の前についた
インターホンを押そうとして、ふと気がつく
(;^ω^) 「あ・・・・・・なんて言って家に上げてもらうお・・・・・・・?」
そう、弟者とは生前に面識が無い
今、そこで話していた、などと言って通じるとは思えない
( ^ω^) 「そうだお! 一週間前に話したって言えばいいお!」
たったそれだけで、家に上げてもらえるとは思えないのだが
ブーンはそこまで考えが至らない
むしろ、これは名案、ぐらいにしか思っていなかった
( ^ω^) 「ピンポーン♪」
自分で言って、押す
だが、実際にはピンポーンという音はしなかった
( ^ω^) 「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
それどころか、インターホンはへこんですらいなかった
(;^ω^) 「あれ? ・・・あれ? ・・・・・・・・・あれ・・・・・?」
ぐっ、ぐっ、ぐっ、・・・・・・・・・・・・・・・
何度も何度も、繰り返し押してみるが、手ごたえは無い
次第に指が痛くなってくる
( ^ω^) 「・・・・・・・・は、ははw・・・これ・・・・・壊れてるお・・・・・・」
そんなわけは無い。押せてもいないのに、気がついているのに、そう結論する
指をさすり、今度はドアノブに手をかける
( ^ω^) 「・・・・・開かない・・・・開かない・・・・・・・・・・・!」
「鍵・・・・・・・だお。きっと、鍵がかかってるんだお・・・・・・!!」
そうだ、そうに決まってる!
しかし、その期待もすぐに裏切られる
(´_ゝ`) 「・・・・まずはバイトから探そう!!」
( ^ω^) 「!?」
ガチャリ、と、鍵を開けるような音を立てずに、ドアがひらいた
( ^ω^) 「ちょ・・・・・・・・・すいませんだお!!」
(´_ゝ`) 「ふむ・・・・・・コンビニから行ってみるか・・・・・・・」
出てきた兄者は、ブーンのことを無視するかのように、歩いていった
( ^ω^) 「なんで・・・・・・・なんで・・・だお・・・・・・・・・?」
スタスタと、何も迷う事無く歩く兄者の背中を見ながら、うなだれる
どうして、無視されたのか? ―――――見ず知らずの他人だから
どうして、ドアは開いたのか? ―――――内側からだと鍵が必要がないタイプなんだ
いくつも、いくつも、疑問を考えては、無理矢理な理由をつける
( ^ω^) 「・・・あはw・・・・・・それでも、無視は傷つくお・・・・・・」
目の端に浮いた涙をぬぐう
( ^ω^) 「なんだか、コーヒーでも飲みたいお・・・・・・・・」
喉は渇いてはいない。だが、気晴らしに、何か飲みたい
どこかに自販機はないか、と家の敷地から出ようとしたその時・・・・・・・
( ^ω^) 「え・・・・・・・・・・・・・!?」
弟者の言葉を・・・・・・・・思い出す
『(´<_` ) 「ああ、これか? ・・・・・・まあ、俺は幽霊だからな・・・・」
「イメージすれば、このぐらいは何とかなるみたいでな」 』
その手に、コーヒーの缶が、どこからともなく、出現した
(;^ω^) 「う・・・・・・・・うわあああああああああああああああああ!!!!??」
( ^ω^) 「なんで・・・・・・・なんで・・・・・・・・・・」
とぼとぼ歩きながら、呟く
あの後、走り出したはいいものの、何処へ行くか、決められず
ただただ街を、当てもなく、目的もなく、練り歩く
一度は、家に行こうともした。だが、そう思うたび、弟者の言葉がフラッシュバックする
『 (´<_` ) 「・・・・・はは、帰ったら、俺の葬式の真っ最中だった」 』
・・・・・・・・・そんなものを見たら、もう、戻れない気がする・・・・・・・・
だから、どこへともなく、意味もなく、歩き続ける
( ^ω^) 「あ・・・・・・・・・コンビニ・・・・・・・・・・・・・」
目に入ったのは、行こうと思っていたローソンだった
試しに、自動ドアの前に立ってみる
( ^ω^) 「やっぱり・・・・・・・・・・開かないお・・・・・・・・・」
何故だろう。ただ、ドアが開かない。それだけのことで
まるで自分がこの世のすべてから拒絶されたように感じる
打ちのめされたボクサーのような足取りは、なぜか商店街へと向かっていた
駅の前のここは、むしろ繁華街と言った方がいいのかもしれない
( ^ω^) 「・・・・・・あ」
視線をめぐらせば、弟者のような人もちらほらと見える
うつむく人、はしゃいでいる人、さまざまだが、どれも誰からも相手にされない
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そして、ブーンもまた、相手にしない
相手にすれば、また・・・・・・・・・・・・・・・
( ^ω^) 「いや、いや! ・・・・・・ちがうお・・・ちがうんだお・・・・・!!」
かぶりをふり、叫ぶ
認めない、認めたくない!
叫びは悲痛で、どうしようもなく、ブーンの心を引き裂いていく
すると・・・・・・・・・・・・・・・・・
ツン 「アンタ・・・・・・なにそんなとこでシャウトしてんのよ・・・・・・・?」
( ^ω^) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え」
目の前にあらわれた、愛しい人は、普段どおり、声を、かけてくれた