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No 373
Date 2010・04・01・Thu
(゚、゚トソでも、いっしょのようです・外伝 第一章 第一話(゚、゚トソでも、いっしょのようです・外伝 第一章 第一話
- 外伝 第一章 故郷と私と冬の空 - ~ 第一話 ~ こんにちは、都村トソンです。 寒風吹き荒ぶ師走の頃、迫る1年の終わりの慌しい空気の中、私とブーンの2人は電車の座席に座っています。 時節柄、電車は混んでいるので、例によってブーンは私の膝の上です。 ( ^ω^)「おー……」 (゚、゚トソン「どうしましたか、ブーン?」 ( ^ω^)「人がいっぱいだおね」 (゚、゚トソン「そうですね、いわゆる規制ラッシュというやつでしょうね」 ( ^ω^)「きせいらっしゅ?」 私は、ブーンに規制ラッシュの意味を説明しながら見るとはなく電車の中を見回します。 ブーンが言うように、随分混んでいる様ですね。 普段あまり乗らない電車で、乗らない時期なのでここまで混むとは予想外でした。 -02>>>>>>>>>>> ( ^ω^)「おー、みんなお家に帰ってるとこなのかお?」 (゚、゚トソン「そうですよ、私達といっしょです」 (〃^ω^)「そうだおね、いっしょだおね」 にこやかに微笑むブーンの頭を撫でながら、再び私は車内に目を向けます。 忙しない空気はあるものの、どこか落ち着いた表情をした多くの乗客の方々。 その行く先は私達と同じく自分の家、この場合は現在住んでいる家ではなく、実家と呼ばれるそれなのでしょう。 (゚、゚トソン (帰省ですか……) 私達が普段は乗らない電車に、それも2人だけで乗っているのは正月に実家に帰るためです。 実家に帰るのは随分久しぶりな気もしますが、それもそのはずで、大学に入ってから初めての事です。 普通はお盆や正月ぐらい実家に帰った方が何かと便利というか楽なのですが、私を始めいつもの皆は誰も帰っていませんでした。 その理由は色々ありました。 ブーン達の事もありましたが、何というか休みの間中入り浸る連中の存在とかもあり、何となく皆がそこにいるのが自然な感じに なってしまい、帰る機会を逸していた所もあります。 -03>>>>>>>>>>> しかし流石に2年も3年も帰らないと、家からの帰省の要請は激しくなって来ました。 とは言っても、主にデレと貞子の家の話ですが。 (-、-トソン (デレのご両親は何度かこちらに来られてますしね……) 帰って来ないならこちらから、という感じでデレの家族は何度かデレの家に押しかけて来てます。 なかなか賑やかなご家族さんでした。 うちはまあ、ドライというか割り切っているというか、よく言えば私を信用してくれているのだと思いますので、あまりしつこく 帰らないのかとか言われた事はありません。 元々、両親共働きで忙しいというのもありましたから、休みぐらいはゆっくりしておけば良いと思っていましたし。 (-、-トソン (あのバカはどうしてますかね……) ミセリの家はミセリの家で色々ありましたが、今は少し改善の方向に向かってはいるみたいです。 それにミセリは1度家に帰ってはいるみたいですしね。 その話は詳しくは聞いていませんが、その顔を見る限りは当人も少し吹っ切れたのではと感じています。 (゚、゚トソン (あとは本人次第でしょうね……) あとは私が何かを言うべき話ではないのでしょうから、今回の帰省でまた距離を埋めて来て欲しいものだと思うだけです。 -04>>>>>>>>>>> ( ^ω^)「ねー、トソン、あと駅いくつぐらいだお?」 (゚、゚トソン「もうすぐですよ。あと3つぐらいでしたっけ?」 ( ^ω^)「おー、結構近いおね」 (゚、゚トソン「ええ、そんなに遠くはないですね」 私の実家は、現在私たちが住んでいるVIP町からそう遠くない場所にあります。 方向こそ違いますが、シャキンさん達がいるるん雲辺りとさほど距離的には変わらないでしょう。 鈍行列車で行っても、長旅とはいえない程度の時間で辿り着きます。 その程度の距離で今まで一度も帰っていない事、そして両親が一度も会いに来ていない事が私の家庭内での不和を想像させますが、 そんな事はなく、先に述べたように、うちはそんな家系なだけなんだと思います。 ( ^ω^)「どんなとこか楽しみだおー」 (゚、゚トソン「……」 何もないとこだと言いそうになる言葉を飲み込み、私はまたブーンの頭を撫でます。 何もないわけではなく、私にとってさほど興味をそそられるものがないだけなのでしょうからね。 お世辞にも都会とは言えない古びた町。 私はブーンと2人、そんな故郷へ向けて走る電車に揺られていました。 ・・・・ ・・・ -05>>>>>>>>>>> ( ^ω^)「おー……」 (゚、゚トソン「……」 やがて電車は駅に着き、私は久しぶりの故郷の地に足を踏み入れました。 自動である事が奇跡に思えるような改札を抜け、正面出口から外に出ました。 冬の風が運ぶどこか懐かしいような匂いが、帰って来たのだと実感させてくれました。 ( ^ω^)「……ちょっと寂しいとこだおね」 (゚、゚トソン「そうかもしれませんね」 恐らく、ブーンは現在私達が住んでいるVIP町の駅前と比べて寂しいといっているのでしょうが、それは間違いではないでしょう。 大学のあるVIP町に比べ、これといった人の集まる施設もなく、さりとてベッドタウンが必要なほどの都会が近辺にあるわけでもない。 実際、帰省ラッシュの客で溢れていた電車でしたが、この駅で降りる人間はさほど多くありませんでした。 どちらかと言えば郊外に分類されるであろう地域なので、車がメインの文化圏になる故に駅前は発達している感じはありません。 (゚、゚トソン「昔と変わってませんよね」 それでもブーンが言うように寂しく感じるのは、冬の灰色の空の下で見たからでしょうか。 -06>>>>>>>>>>> (゚、゚トソン「さて、ここでただ突っ立っていても寒いですから……」 どこかで時間を潰しましょうという私の言葉は背後から聞こえてきた車のクラクションによって遮られました。 歩道にいる我々が車の進行を妨げているとも思いませんので、このクラクションは私への呼びかけだと判断する方が賢明でしょう。 私が音の方を振り向くと、そこにはやはり見覚えのある車が1台。 (゚ー゚ハハ「トソン、こっちよ」 (゚、゚トソン「お母さん」 車の助手席の窓が開き、懐かしい顔が私を呼びます。 私はブーンの手を引き、車の方に向かいました。 (゚、゚トソン「ただいま、約束の時間には随分早いですが……」 (゚ー゚ハハ「おかえり。あなたの事だから、迎えの時間のより早く着くだろうと思ってね」 待たせるのもなんでしたから、到着時刻より少し後の時間を指定してたのですが、流石と言うべきか私の考え方は読まれていたようです。 私は後部座席のドアを開け、まずブーンを車に乗せます。 ブーンは初めて見る顔と車に興味を惹かれているのか、キョロキョロと周りを見ながら車に乗り込みました。 -07>>>>>>>>>>> (゚、゚トソン「取り敢えず車を出してください」 ここはロータリーですし、そう長時間車を停車させておくのも迷惑でしょうから、私は運転席に向かって話しかけました。 (-@∀@)「相変わらずだね、お前は。おかえり」 (゚、゚トソン 「ただいま、お父さん。わざわざ2人とも来たのですか?」 運転席にいた父が顔をこちらに向け、苦笑しながら車を発進させます。 何が相変わらずなのか聞きたい所ですが、大方、生真面目とか細かいとかそういう話でしょう。 外見的な話かもしれませんが、この年にもなればそう変わるものではないと思います。 父にはただいまとだけ返し、ブーンの方を見ます。 何も言われない所を見る限り、やはりブーンの事は見えてないのでしょうね。 ブーンの事が見えているならこの場で説明する必要があったのでしょうが、見えてないならもう少し落ち着いてからにするつもりです。 ひとまず家に着いてからの方がいいでしょう。 ( ^ω^)「おー……」 (゚、゚トソン「もうしばらく大人しくしていてくださいね」 ( ^ω^)「お、わかったお!」 私の言葉にブーンは膝に手を乗せ、きちんと座り直します。 別にぬいぐるみのふりをしろと言ったつもりはないのですが、ブーンはそう解釈してしまったのかもしれません。 -08>>>>>>>>>>> (゚ー゚トソン「窓の外を見ててもいいですよ?」 (〃^ω^)「いいのかお?」 私が頷くと、ブーンはいそいそと窓の方に張り付きます。 折角知らない場所に来たのに、電車では全く外が見られなかったので残念がっていましたからね。 そんな折、ふと視線に気付くと、助手席の母がこちらに笑顔を向けています。 (゚、゚トソン「何ですか?」 (゚ー゚ハハ「ううん、トソンがそんな風に笑ってるの久しぶりに見た気がしてね」 久しぶりの帰郷でテンションが上がっているとでも思われたのでしょうね。 私にしては珍しい事だと。 別にそういうわけでもないのですが、帰省自体が嫌というわけでもないので曖昧に頷いておきました。 (゚、゚トソン (それにしても……全然変わりませんね……) 車窓から覗く町の景色は、自分の記憶にある景色との差異がほとんど見受けられませんでした。 お世辞にも良いとは言えない空模様の下、時間の流れが止まったかのような代わり映えのしない景色。 勿論、実際には多少の変化はあるのでしょうが、それに気付かないぐらい変わらない町の空気を感じます。 -09>>>>>>>>>>> (゚、゚トソン「この辺りも全然変わってませんね……」 そう何年も離れてたわけではありませんが、これほど変化がないというのも不思議な感じはします。 子供の頃は毎年何かしらの変化に気付けていたような覚えがあります。 願わくば、気付けないのが感覚が鈍化したせいではない事を祈りたい所です。 (゚ー゚ハハ「少しは変わってるわよ。あの角のスーパー潰れたし」 母が指差す方を見ると、確かにそこは人気のない廃墟となったスーパーが見えます。 潰れてどのくらいなのかはわかりませんが、解体も改修もされている様子がない所を見ると、別の店が入るという事もなさそうです。 (゚ー゚ハハ「あの洋服屋のチェーン店も潰れたわね」 (゚、゚;トソン「そういう変化しかないんですか?」 不景気な話しか聞こえて来ない母の言葉に私が眉をひそめると、父が口を開きます。 (-@∀@)「人口も減る一方だし、この町も廃れている感じがするな」 (゚、゚トソン「そうなのですか……」 少なくとも発展しているイメージはありませんでしたが、現状維持も出来てないぐらい廃れて来ているのは初耳でした。 このどことなく漂う陰鬱な空気は、灰色の空のせいだけではないのかもしれませんね。 -10>>>>>>>>>>> (〃^ω^)「お! おっきいお猿さんがいるお!」 窓の外を見ていたブーンが嬉しそうに私に呼びかけて来ます。 ブーンが指差す方を見ると、そこには確かに巨大なゴリラがいます。 (゚ー゚トソン「ああ、あれは看板みたいなものですから、作り物ですよ」 (〃^ω^)「そうなのかお? あそこはゴリラさんが売ってるのかお?」 (゚、゚トソン「そういうわけではないのでしょうが、 確かに何故ゴリラなのでしょうね……」 ブーンが指差したお店は、外に並ぶ大量のタイヤからしてカー用品のお店だった覚えがありますが、なぜ看板がゴリラなのかは不明です。 子供の頃にも同じ疑問を抱いたかも知れませんが、店名がゴリラだとか言うオチもなく、結局その謎を解明するには至りませんでした。 車に興味もなかったですしね。 しかし折角の機会ですし、ブーンも知りたがってますから聞いてみる事にします。 (゚、゚トソン「さっきのあのお店、何で看板がゴリラだったのですか?」 -11>>>>>>>>>>> (-@∀@)「え? ああ、あのお店か……」 父は少し考え込むような仕草をしましたが、今は運転宙なのを忘れないで欲しい所です。 (-@∀@)「ああ、思い出した。確かあの店の店長の子供の頃のあだ名がゴリラだったとかそんな話だったと思う」 (゚、゚;トソン「そんな理由なのですか?」 理由は至ってシンプルなものだったようです。 どちらかといえばいじめられてた類じゃないかと思われるあだ名を持ってくる感覚はさておき、長年の謎が、と言ってもつい先ほどまで完全に 忘れていましたが、それがこうも簡単に解き明かされるとは思ってもみませんでした。 私はブーンに店長さんが自分に似ていたゴリラを気に入ってマスコットにしたのだと説明しました。 (〃^ω^)「おー、その店長さん見てみたいおー」 (゚ー゚トソン「私も少し見てみたい気がしますね」 しかしながら父はよくそんな事を知ってましたね。 どちらかといえば、堅物な書物の虫というイメージで、それほど地域の噂話のような話題には興味がないかと思っていましたが。 -12>>>>>>>>>>> (-@∀@)「一応、役所勤めだし、地域の事には詳しい方だけどね」 (゚、゚トソン「そういえばそうですね」 (-@∀@)「それに、この話は昔お前に聞かれた覚えがあったからね」 (゚、゚トソン「私に?」 私が首を傾げるていると、父は少し残念そうな表情を浮かべます。 父の話では、小さい頃の私に同じ質問をされて、その時は答えがわからなかったんで後で調べたのだと言う。 (-@∀@)「答えがわかったのはだいぶ後になったからね」 その頃には私はもう、そんな話には興味がなくなっていたから伝えそびれたという事でした。 何となく覚えているような覚えていないような話ですが、多分本当の事なのでしょう。 少し悪いことをした気持ちになりますが、子供の頃の話なので、興味の対象がすぐ変わるのは仕方ないかとも思います。 そんな事を考えていると、少し意外そうな表情をした母の顔が目に入りました。 (゚、゚トソン「何ですか?」 (゚ー゚ハハ「いや、何となくね、ちょっと感じが変わったかなって」 -13>>>>>>>>>>> (゚、゚トソン「そうですか?」 男子三日会わざるばなんとやらという言葉もありますように、最後に会ってからそれなりの時間が経っています。 成長して、感じが変わって見えるのも無理のない事だと思います。 (゚ー゚ハハ「うん、少し幼くなったかなと……」 (゚、゚;トソン「何ですと……」 幼いは言い過ぎだが、素直になった感じがすると母は言います。 何となく釈然としない話ですが、そういう事ならまあ、わかる気もします。 (〃^ω^) 私は窓の外を一心に眺めるブーンの姿を横目に、自分の変化を改めて考えてみました。 自分ではそう変わったとは思わないのですが、見る人が見れば変わって見えるのでしょうか。 確かに昔はもっと愛想がなく、好奇心は控えめだった気もします。 愛想はさておき、少なくとも好奇心は何にでも興味を示すブーンに釣られる形で、旺盛になったかもしれませんね。 それはきっと、良い変化なのだと思います。 -14>>>>>>>>>>> 私は母に苦い笑いで返し、座席に深く寄りかかりました。 父も母もそれ以上は何も言わず、私が疲れているのかと気遣ってそっとして置いてくれるようです。 私はブーンの方に少し身を寄せ、頭を撫でます。 ブーンはこちらを振り向き、にっこり微笑んでくれました。 (゚、゚トソン「何か面白いものが見えましたか?」 (〃^ω^)「山の方に大きな階段みたいなのが見えたお!」 (゚、゚トソン「あれは階段ではなく、段々畑という畑の一種ですよ」 ( ^ω^)「お? あそこでお野菜とか作ってるのかお?」 (゚、゚トソン「この辺はどちらかといえば果物でしょうね。 あれは確かミカンの木ですね」 (〃^ω^)「おー、ミカンかお。食べたいお!」 私とブーン、それと両親を乗せた車は家路を走ります。 もう間もなく、家に帰り着く事でしょう。 私はブーンといっしょに懐かしい景色を見ながらこれからの事を考えていました。 ~ 第一話 おしまい ~ - つづく - |
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