ξ゚⊿゚)ξは夢を見るようです 第25話
- 2014/07/14
- 00:41
- ξ゚⊿゚)ξは夢を見るようです
556 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:15:17 ID:dtaqAlqQ0
557 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:18:18 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「………」
これから、内藤の姓を名乗ることになる。
住まいも引っ越して、環境が著しく変わる。
誰かと生活を共にするというだけで、だいぶ自分のペースは崩されるというのに
それが、誰かと一生添い遂げることとなると、自分のペースどころの騒ぎではなく、人一人の生活が大きく動かされるのだ。
結婚する前に、同棲して春夏秋冬を共にしたが、それの延長線上で動かせる話ではない。
.
558 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:19:22 ID:dtaqAlqQ0
しかし今更、これでよかったのか?なんて思わない。
親を亡くしたツンには、出戻れる場所があるわけでもない。
あの人との生活が、数年先にはもう幕を閉じていることを知ってるはずなのに、一人になると軽いマリッジブルーになる自分が
べつに特別な力を持ってるわけでもなく、全てにおいて達観してるわけでもなく
至極一般的な、ただの普通の女性の一人なんだと思う。
.
559 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:21:31 ID:dtaqAlqQ0
あの不思議な夢は、最近見なくなっていた。
そうやって気まぐれに現れては消えていく不可思議な現象など、なんのための何だったのかなんて追究しても答えなんか出ない。
あの夢を見ようが見まいが、結局何も変わらなかったのだから。
夢の中では触れた記憶がなかった、ただ一つの現実を除いては。
.
560 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:22:50 ID:dtaqAlqQ0
( ^ω^)「…ツン、大丈夫かお?寒くないかお?」
なかなか戻って来ないツンを心配してか、晴れて旦那となったブーンが迎えに来た。
確かに、ウェディングドレスは肩周りや腕の露出が多いので、緩やかとはいえあまり夜風に当たってると冷えてしまいそうだ。
初めてお互いの気持ちを確かめ合った時も、同じようなことを言われた気がする。
.
561 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:24:33 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫よ。…よっこいしょっと」
(;^ω^)「あーあー…ドレス汚れちゃうお…」
いつかと似たようなシチュエーションを思い出したツンは、店の入り口に通じる階段に座り込んだ。
その時と同じように、ブーンが隣に座ってくれることを促すように。
主役がいないにもかかわらず、相変わらずの盛り上がりを見せてるらしい店内の活況を背中に感じながら、やっぱりブーンもツンの隣に腰を下ろす。
そういえば今日一日、ブーンともまともに会話らしい会話をしてなかった。
.
562 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:25:42 ID:dtaqAlqQ0
( ^ω^)「ツン、お疲れ様だお」
そう言ってブーンは、薬指の指輪が光るツンの手を優しく握った。
いつも仕事が終わった後に投げ掛けてくれる『挨拶』とはまた違う、同じ空間を共有した者だけに伝わる、確かな『言の葉』だった。
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンこそ。緊張してたんじゃない?」
普段はゆるキャラ扱いをされているブーンだが、式の最中はさすがに強張っていたような気がする。
親や親戚、友人や職場の人間など、こぞって人が集まる滅多にない機会だったのだ。
ツンとは違うプレッシャーもあっただろうし、これから一家の大黒柱となる男性には男性なりの覚悟や決意があるのだろう。
そんな誰にでも訪れる、ごく普通の新郎しかるモチベーションでいてくれてよかったとツンは思ってた。
.
563 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:27:32 ID:dtaqAlqQ0
( ^ω^)「…キュートさんは、無事に帰ったかお?」
ツンが、キュートのことを厄介な奴としか思ってないことはブーンもよく知ってる。
だからこそ、珍しいこととはいえお祝いの席でさっそく醜態を晒したキュートの話などあまり聞きたくはないかもしれないと思ったが
そのキュートを送り出してから、いつまでも戻って来なかったのだ。一応気にはなる。
ξ゚⊿゚)ξ「たぶんね。斎藤君が送ってってくれたみたいだし」
呆れてはいるようだが、思ったより素っ気ない感じでもなかった。
なんにしても、それに対するツンの気持ちが処理されているのならよかった。
.
564 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:30:40 ID:dtaqAlqQ0
( ^ω^)「またんきかお…あいつも苦労人だお」
ξ゚⊿゚)ξ「…やっぱり前にもこんなことあった?」
( ^ω^)「いやまぁ…初めて会った飲み会の時にちょっと…」
あの時ツンとハインが先に帰り、一人残されたキュートはその後今日のように飲み散らかして、一人で帰れる状態ではなくなったらしい。
酔いのせいなのか、何故か泣き出してしまったキュートとタクシーに乗って、彼女の自宅まで送り届けたのがまたんきだったそうだ。
.
565 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:32:26 ID:dtaqAlqQ0
その時何があったかは、ブーンもドクオも知らない。
それ以降二人に交流があったらしい話も聞いたことなければ、それから飲みの席にキュートが現れることもなかった。
しかし今日、この場にキュートが来ることを知ればこうやって帰る足を調達する。
運転しなきゃいけないとなると、もちろん酒も飲めないはずなのにだ。
きっかけはわからないが、またんきにはまたんきなりに、思うことろがあるのだろう。
566 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:34:32 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「そっか…悪いことしちゃったかな」
当時は、自分が置き去りにした友人に手を焼く彼らの苦労など一切考えなかった。
ましてやそれが、今でも根強く続く交遊関係に発展するとなどまるで思ってなかったのだ。
しかしそれが結果なのだ。さすがにツンも多少、自責の念を感じずにはいられない。
( ^ω^)「ツンが気にすることないお。またんきはまたんきで、キュートさんはキュートさんでああいう人たちなんだから」
ブーンは優しく説き伏せた。
その声は、どんな呪縛からも解放されてしまうようだった。
.
567 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:35:59 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「あーーーーあ。あたしも少し酔ったかも」
(;^ω^)「え!?今日はお酒飲んでないのに!?」
唐突に奮い立たされたような声で予想外な自己申告をしたツンに、ブーンは頓狂な声をあげた。
.
568 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:37:47 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「んーなんていうか、雰囲気に酔えることもあるじゃない」
とりあえずそういうことにしておいてよ。と言いたげな強引さだった。
なんだかそれに、水を差してはいけない気がした。
ξ゚⊿゚)ξ「…だから酔っ払いの戯言なんて、あんまり真に受けてくれなくていいけど」
.
569 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:39:28 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「…もしブーンが先に死んだら、毎年お盆とか誕生日とか、それ以外にも会いたくなったらいつでも会いに行く」
ξ゚⊿゚)ξ「ちゃんとお墓きれいにして、お花とかお酒とかいっぱい供えて、近況もいろいろ報告して…」
ξ゚⊿゚)ξ「…あたしだったら、必ずそうする」
( ^ω^)「…僕は、あんまり考えたくないお」
.
570 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:40:55 ID:dtaqAlqQ0
それでも、先立った妻のために尽くす時間を作って
そうやって共有してる時間を大切にしてくれることを、ツンは知っているから
ξ゚⊿゚)ξ「…うん。だから真に受けなくていい。あんまり深く考えなくていいよ」
だからあんたもそうしろ。
だなんて、言う必要はなかった。
.
571 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:42:40 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「ただの戯言だから。酔っ払いの、戯言なんだから…」
戯言。暗示するように呟くそれが、本当であってくれればどんなに良かっただろうかと思わなくもない。
今でも時々、ほの暗い絶望感に襲われることはある。
でも、今隣にブーンがいる。
守りたい人、傍にいてほしい人がいっぱいいる。
そんな人生を自分が生きるなんて、昔は思ってなかった。
それを不幸だなんて思うことなど、できるわけがなかった。
.
572 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:43:47 ID:dtaqAlqQ0
( ^ω^)「ツン……」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
何も考えなくていい。
深く考えなくたって、隣にブーンがいるだけで、勝手に幸せになるのだから。
.
573 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:45:01 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚ー゚)ξ「…ブーン、ありがとう」
ツンは微笑みながら、ブーンに握られた左手に静かに力を込めた。
.
574 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:47:20 ID:dtaqAlqQ0
――――…ツン。僕は……―――
―――君と出会えて、結婚できて、幸せだったんだお。――――
ξ*゚ー゚)ξ「あたし、ブーンと出会えて、結婚できて良かった」
.
575 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:48:53 ID:dtaqAlqQ0
――――もし、君が抗った結果、僕と結婚する未来がなくなったとしても――――
―――今こうしていられるだけで、僕は幸せだお――――
「でも、こうしていられるだけであたしは幸せだよ」
いつか言ってくれたブーンの言葉に重ねるようにそっと呟いて
ツンはただそこにある思慕の情に身を委ねていた。
.
586 : 名も無きAAのようです :2013/08/30(金) 07:38:02 ID:o9Vdctb60
◆第25話◆
XX28年 Y月
酔っ払いを乗せた車を見送り、大通りから外れたツンはまだなんとなく、店に戻る気にはなってなかった。
そういえば、式が始まる前からやたら人に見られ続けてたし、二次会で少しは肩の力は抜けたがそれでも常に周りに人がいた。
疲れたと言ってはなんだか失礼だが、気がつけば今日一日、一人になって考え事などする暇がなかったせいか、今この瞬間が本当の意味でやっと一息つけたのかもしれないとツンは思った。
XX28年 Y月
酔っ払いを乗せた車を見送り、大通りから外れたツンはまだなんとなく、店に戻る気にはなってなかった。
そういえば、式が始まる前からやたら人に見られ続けてたし、二次会で少しは肩の力は抜けたがそれでも常に周りに人がいた。
疲れたと言ってはなんだか失礼だが、気がつけば今日一日、一人になって考え事などする暇がなかったせいか、今この瞬間が本当の意味でやっと一息つけたのかもしれないとツンは思った。
557 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:18:18 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「………」
これから、内藤の姓を名乗ることになる。
住まいも引っ越して、環境が著しく変わる。
誰かと生活を共にするというだけで、だいぶ自分のペースは崩されるというのに
それが、誰かと一生添い遂げることとなると、自分のペースどころの騒ぎではなく、人一人の生活が大きく動かされるのだ。
結婚する前に、同棲して春夏秋冬を共にしたが、それの延長線上で動かせる話ではない。
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558 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:19:22 ID:dtaqAlqQ0
しかし今更、これでよかったのか?なんて思わない。
親を亡くしたツンには、出戻れる場所があるわけでもない。
あの人との生活が、数年先にはもう幕を閉じていることを知ってるはずなのに、一人になると軽いマリッジブルーになる自分が
べつに特別な力を持ってるわけでもなく、全てにおいて達観してるわけでもなく
至極一般的な、ただの普通の女性の一人なんだと思う。
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559 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:21:31 ID:dtaqAlqQ0
あの不思議な夢は、最近見なくなっていた。
そうやって気まぐれに現れては消えていく不可思議な現象など、なんのための何だったのかなんて追究しても答えなんか出ない。
あの夢を見ようが見まいが、結局何も変わらなかったのだから。
夢の中では触れた記憶がなかった、ただ一つの現実を除いては。
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560 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:22:50 ID:dtaqAlqQ0
( ^ω^)「…ツン、大丈夫かお?寒くないかお?」
なかなか戻って来ないツンを心配してか、晴れて旦那となったブーンが迎えに来た。
確かに、ウェディングドレスは肩周りや腕の露出が多いので、緩やかとはいえあまり夜風に当たってると冷えてしまいそうだ。
初めてお互いの気持ちを確かめ合った時も、同じようなことを言われた気がする。
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561 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:24:33 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫よ。…よっこいしょっと」
(;^ω^)「あーあー…ドレス汚れちゃうお…」
いつかと似たようなシチュエーションを思い出したツンは、店の入り口に通じる階段に座り込んだ。
その時と同じように、ブーンが隣に座ってくれることを促すように。
主役がいないにもかかわらず、相変わらずの盛り上がりを見せてるらしい店内の活況を背中に感じながら、やっぱりブーンもツンの隣に腰を下ろす。
そういえば今日一日、ブーンともまともに会話らしい会話をしてなかった。
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562 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:25:42 ID:dtaqAlqQ0
( ^ω^)「ツン、お疲れ様だお」
そう言ってブーンは、薬指の指輪が光るツンの手を優しく握った。
いつも仕事が終わった後に投げ掛けてくれる『挨拶』とはまた違う、同じ空間を共有した者だけに伝わる、確かな『言の葉』だった。
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンこそ。緊張してたんじゃない?」
普段はゆるキャラ扱いをされているブーンだが、式の最中はさすがに強張っていたような気がする。
親や親戚、友人や職場の人間など、こぞって人が集まる滅多にない機会だったのだ。
ツンとは違うプレッシャーもあっただろうし、これから一家の大黒柱となる男性には男性なりの覚悟や決意があるのだろう。
そんな誰にでも訪れる、ごく普通の新郎しかるモチベーションでいてくれてよかったとツンは思ってた。
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563 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:27:32 ID:dtaqAlqQ0
( ^ω^)「…キュートさんは、無事に帰ったかお?」
ツンが、キュートのことを厄介な奴としか思ってないことはブーンもよく知ってる。
だからこそ、珍しいこととはいえお祝いの席でさっそく醜態を晒したキュートの話などあまり聞きたくはないかもしれないと思ったが
そのキュートを送り出してから、いつまでも戻って来なかったのだ。一応気にはなる。
ξ゚⊿゚)ξ「たぶんね。斎藤君が送ってってくれたみたいだし」
呆れてはいるようだが、思ったより素っ気ない感じでもなかった。
なんにしても、それに対するツンの気持ちが処理されているのならよかった。
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564 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:30:40 ID:dtaqAlqQ0
( ^ω^)「またんきかお…あいつも苦労人だお」
ξ゚⊿゚)ξ「…やっぱり前にもこんなことあった?」
( ^ω^)「いやまぁ…初めて会った飲み会の時にちょっと…」
あの時ツンとハインが先に帰り、一人残されたキュートはその後今日のように飲み散らかして、一人で帰れる状態ではなくなったらしい。
酔いのせいなのか、何故か泣き出してしまったキュートとタクシーに乗って、彼女の自宅まで送り届けたのがまたんきだったそうだ。
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565 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:32:26 ID:dtaqAlqQ0
その時何があったかは、ブーンもドクオも知らない。
それ以降二人に交流があったらしい話も聞いたことなければ、それから飲みの席にキュートが現れることもなかった。
しかし今日、この場にキュートが来ることを知ればこうやって帰る足を調達する。
運転しなきゃいけないとなると、もちろん酒も飲めないはずなのにだ。
きっかけはわからないが、またんきにはまたんきなりに、思うことろがあるのだろう。
566 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:34:32 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「そっか…悪いことしちゃったかな」
当時は、自分が置き去りにした友人に手を焼く彼らの苦労など一切考えなかった。
ましてやそれが、今でも根強く続く交遊関係に発展するとなどまるで思ってなかったのだ。
しかしそれが結果なのだ。さすがにツンも多少、自責の念を感じずにはいられない。
( ^ω^)「ツンが気にすることないお。またんきはまたんきで、キュートさんはキュートさんでああいう人たちなんだから」
ブーンは優しく説き伏せた。
その声は、どんな呪縛からも解放されてしまうようだった。
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567 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:35:59 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「あーーーーあ。あたしも少し酔ったかも」
(;^ω^)「え!?今日はお酒飲んでないのに!?」
唐突に奮い立たされたような声で予想外な自己申告をしたツンに、ブーンは頓狂な声をあげた。
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568 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:37:47 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「んーなんていうか、雰囲気に酔えることもあるじゃない」
とりあえずそういうことにしておいてよ。と言いたげな強引さだった。
なんだかそれに、水を差してはいけない気がした。
ξ゚⊿゚)ξ「…だから酔っ払いの戯言なんて、あんまり真に受けてくれなくていいけど」
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569 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:39:28 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「…もしブーンが先に死んだら、毎年お盆とか誕生日とか、それ以外にも会いたくなったらいつでも会いに行く」
ξ゚⊿゚)ξ「ちゃんとお墓きれいにして、お花とかお酒とかいっぱい供えて、近況もいろいろ報告して…」
ξ゚⊿゚)ξ「…あたしだったら、必ずそうする」
( ^ω^)「…僕は、あんまり考えたくないお」
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570 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:40:55 ID:dtaqAlqQ0
それでも、先立った妻のために尽くす時間を作って
そうやって共有してる時間を大切にしてくれることを、ツンは知っているから
ξ゚⊿゚)ξ「…うん。だから真に受けなくていい。あんまり深く考えなくていいよ」
だからあんたもそうしろ。
だなんて、言う必要はなかった。
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571 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:42:40 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚⊿゚)ξ「ただの戯言だから。酔っ払いの、戯言なんだから…」
戯言。暗示するように呟くそれが、本当であってくれればどんなに良かっただろうかと思わなくもない。
今でも時々、ほの暗い絶望感に襲われることはある。
でも、今隣にブーンがいる。
守りたい人、傍にいてほしい人がいっぱいいる。
そんな人生を自分が生きるなんて、昔は思ってなかった。
それを不幸だなんて思うことなど、できるわけがなかった。
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572 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:43:47 ID:dtaqAlqQ0
( ^ω^)「ツン……」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
何も考えなくていい。
深く考えなくたって、隣にブーンがいるだけで、勝手に幸せになるのだから。
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573 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:45:01 ID:dtaqAlqQ0
ξ゚ー゚)ξ「…ブーン、ありがとう」
ツンは微笑みながら、ブーンに握られた左手に静かに力を込めた。
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574 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:47:20 ID:dtaqAlqQ0
――――…ツン。僕は……―――
―――君と出会えて、結婚できて、幸せだったんだお。――――
ξ*゚ー゚)ξ「あたし、ブーンと出会えて、結婚できて良かった」
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575 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/28(水) 22:48:53 ID:dtaqAlqQ0
――――もし、君が抗った結果、僕と結婚する未来がなくなったとしても――――
―――今こうしていられるだけで、僕は幸せだお――――
「でも、こうしていられるだけであたしは幸せだよ」
いつか言ってくれたブーンの言葉に重ねるようにそっと呟いて
ツンはただそこにある思慕の情に身を委ねていた。
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586 : 名も無きAAのようです :2013/08/30(金) 07:38:02 ID:o9Vdctb60
一気読みしてきた。
素敵な話だな。好きだ。
素敵な話だな。好きだ。