ξ゚⊿゚)ξは夢を見るようです 第9話
- 2014/07/06
- 16:36
- ξ゚⊿゚)ξは夢を見るようです
131 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:16:22 ID:6QwguhgA0
132 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:17:40 ID:6QwguhgA0
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ツンはベッドサイドの棚に飾られた一つの彫刻を見遣る。
英国にある城を摸した作品で、硬度4と比較的柔らかく、色彩も鮮やかな寿山石に惹かれて手作業で彫刻刀を入れたそれは、ツンが高校生の頃に手がけた。
母が好きだった映画のロケ地にもなった仰々しい建造物だが、土台が掌に収まるサイズなのでディテールはかなり繊細な作業だった。
その工程の途中で母が倒れ、しばらく手付かずだったがその母が亡くなった後に再開し、悲しみを追いやるかのような集中力で完成させた。
133 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:19:01 ID:6QwguhgA0
134 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:20:44 ID:6QwguhgA0
ξ゚⊿゚)ξ(そんなのどこ行ったってそれなりにはあるんだろうけどさ……)
今でこそそう割り切れるが、高校生時分やりたいこととやるべきことは違うと、気づいていながら認めたくなくて
そんな未練が今でも、心の奥底に小さく燻っていたようだ。
.
135 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:22:18 ID:6QwguhgA0
しかし何故今になってそんなことを思い出してノスタルジックになるのか。
言うまでもなく、ツンがあの夢を覚えていたからだ。
.
136 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:23:43 ID:6QwguhgA0
137 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:24:46 ID:6QwguhgA0
138 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:26:08 ID:6QwguhgA0
べつにあえて見たいわけではない。ただ、見たくないほど怖いものでもない。
その夢が今の自分に何か影響を与えてるわけでもないのなら、考えるだけ不毛であるし
自分の意識で操作できない以上、夢の中で会うかもしれない誰かに何かを用意したり備えたり、場合によっては気をつけたりすることも、何もできない。
139 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:27:17 ID:6QwguhgA0
◆第9話◆
XX24年 S月
帰宅するなりツンは缶ビールを煽った。
ハインのことは少し心配だが、一応ちゃんと喋れてたし歩けてたし、あの姿を信用して無事に帰宅したことを祈るしかない。
ξ*゚⊿゚)ξプハーッ
キュートと飲む酒が旨いと思ったことなどないが、まさかあんな冴えないメンツとの合コンだったとはさすがに予想外だった。
ジョルジュという存在を承知の上での無神経な誘いなのか
ツンが興味を示さないことを見越した上で引立て役にされたのか
いずれにしても飲み直さないと安眠できない気分なのだ。
XX24年 S月
帰宅するなりツンは缶ビールを煽った。
ハインのことは少し心配だが、一応ちゃんと喋れてたし歩けてたし、あの姿を信用して無事に帰宅したことを祈るしかない。
ξ*゚⊿゚)ξプハーッ
キュートと飲む酒が旨いと思ったことなどないが、まさかあんな冴えないメンツとの合コンだったとはさすがに予想外だった。
ジョルジュという存在を承知の上での無神経な誘いなのか
ツンが興味を示さないことを見越した上で引立て役にされたのか
いずれにしても飲み直さないと安眠できない気分なのだ。
132 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:17:40 ID:6QwguhgA0
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ツンはベッドサイドの棚に飾られた一つの彫刻を見遣る。
英国にある城を摸した作品で、硬度4と比較的柔らかく、色彩も鮮やかな寿山石に惹かれて手作業で彫刻刀を入れたそれは、ツンが高校生の頃に手がけた。
母が好きだった映画のロケ地にもなった仰々しい建造物だが、土台が掌に収まるサイズなのでディテールはかなり繊細な作業だった。
その工程の途中で母が倒れ、しばらく手付かずだったがその母が亡くなった後に再開し、悲しみを追いやるかのような集中力で完成させた。
133 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:19:01 ID:6QwguhgA0
建造物や飛行機など、いわゆる設計図が存在してる造形は、細かい作業に定評のあるツンの得意分野だったが
今にも動きだしそうな躍動感や、風が吹けば靡いてしまいそうな繊細で柔らかい質感が求められる、人物や生花は苦手だった。
裏を返せば、動かないものを摸することしかできないのだ。
しかし突き詰めた芸術の世界では、後者の才が求められることの方が多いはず。
特別絵心があったわけでもなく、活動の一環として課せられたデッサンなんかも人並みで
致命的に創造力に欠けたツンが、大なり小なりいつか挫折を味わうことは請け合いだったかもしれない。
今にも動きだしそうな躍動感や、風が吹けば靡いてしまいそうな繊細で柔らかい質感が求められる、人物や生花は苦手だった。
裏を返せば、動かないものを摸することしかできないのだ。
しかし突き詰めた芸術の世界では、後者の才が求められることの方が多いはず。
特別絵心があったわけでもなく、活動の一環として課せられたデッサンなんかも人並みで
致命的に創造力に欠けたツンが、大なり小なりいつか挫折を味わうことは請け合いだったかもしれない。
134 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:20:44 ID:6QwguhgA0
ξ゚⊿゚)ξ(そんなのどこ行ったってそれなりにはあるんだろうけどさ……)
今でこそそう割り切れるが、高校生時分やりたいこととやるべきことは違うと、気づいていながら認めたくなくて
そんな未練が今でも、心の奥底に小さく燻っていたようだ。
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135 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:22:18 ID:6QwguhgA0
しかし何故今になってそんなことを思い出してノスタルジックになるのか。
言うまでもなく、ツンがあの夢を覚えていたからだ。
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136 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:23:43 ID:6QwguhgA0
最初の何回かはうすぼんやりと覚えてるかそうでないか程度だったので、覚えてる夢の前にも段階があったことまでは知らないが
過去、17歳になった自分に接触した夢は、それも少々断片的ではあるがその断片を繋ぎ合わせれば形になる程度には覚えてる。
その頃実際に経験した話なのだから、断片を形にするにあたりツン本人の実際の思い出が手伝う部分もあるかもしれない。
でもその頃の自分と今22歳になった自分が、会話をする。
それだけは夢でしかありえない話のはずだ。
.
過去、17歳になった自分に接触した夢は、それも少々断片的ではあるがその断片を繋ぎ合わせれば形になる程度には覚えてる。
その頃実際に経験した話なのだから、断片を形にするにあたりツン本人の実際の思い出が手伝う部分もあるかもしれない。
でもその頃の自分と今22歳になった自分が、会話をする。
それだけは夢でしかありえない話のはずだ。
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137 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:24:46 ID:6QwguhgA0
不思議だ。
ただそうとしか思わない。
でも夢なんてご都合主義でなんでもあり。それが何を告げてるわけでもなくただ『そういうもの』。
だから人に話すこともないし特に気にも留めてないのだが
ξ゚⊿゚)ξ(今日は、どうだろう)
普段は眠りに落ちる前に意識がまどろむのでそこまで考える余裕はないが、たまにこうして考える時間があると、確かにどうなるのか気にはなる。
ただそうとしか思わない。
でも夢なんてご都合主義でなんでもあり。それが何を告げてるわけでもなくただ『そういうもの』。
だから人に話すこともないし特に気にも留めてないのだが
ξ゚⊿゚)ξ(今日は、どうだろう)
普段は眠りに落ちる前に意識がまどろむのでそこまで考える余裕はないが、たまにこうして考える時間があると、確かにどうなるのか気にはなる。
138 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:26:08 ID:6QwguhgA0
べつにあえて見たいわけではない。ただ、見たくないほど怖いものでもない。
その夢が今の自分に何か影響を与えてるわけでもないのなら、考えるだけ不毛であるし
自分の意識で操作できない以上、夢の中で会うかもしれない誰かに何かを用意したり備えたり、場合によっては気をつけたりすることも、何もできない。
139 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/15(木) 21:27:17 ID:6QwguhgA0
ξ゚⊿゚)ξ(何もできないなら何もしないに限る)
そう思ってツンはベッドに潜り込んだ。
意識がまどろむ間もなく、目を閉じたその瞬間に眠りに落ちた。
そう思ってツンはベッドに潜り込んだ。
意識がまどろむ間もなく、目を閉じたその瞬間に眠りに落ちた。