ξ゚⊿゚)ξは夢を見るようです 第21話
- 2014/07/12
- 19:36
- ξ゚⊿゚)ξは夢を見るようです
445 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:02:04 ID:uLjBbDWQ0
446 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:05:39 ID:uLjBbDWQ0
前にも会った、地元の大きな川の河川敷。
そこで泣いてた自分に、その時は何も言ってやれなかった。
初夏の候の夕暮れ時。
いつか見た、ロマン派画家の風景画を思い出す。
フランスやイタリアの格調高雅には目もくれず、一生のうちに一度も訪れることもなくただ自分が美しいと信じた地元の近所の風景だけを、描き続けたというあの画家。
.
447 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:11:40 ID:uLjBbDWQ0
英国の田舎が美しいというのも今は周知。
こんな日本の田舎以上都会未満、開発が進んでるわけじゃないが住みにくいほど不便でない土地に比べたら、そこに描く価値を見出だせるのもよくわかる。
でも彼が愛したのは、あくまで地元だ。
地元愛由来の美質なら、今も昔も誰もが持ち合わせてるものだろう。
ツンにとって、この河川敷から眺める春夏秋冬の風景が、育った場所を愛するがゆえの佳処だった。
あの画家のように、人々の喝采を呼ぶような形に残すことはできないけど
少なくとも、その自分が愛した風景を涙で滲ませるのはもったいない。そう思っていた。
.
448 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:14:55 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「まぁいいじゃない。学校も卒業して暇してんでしょ?」
暇してたからといって、それを咎める人も、もういない。
それを示唆したニュアンスを含んでいることに、デレも気がついた。
ζ(゚ー゚*ζ「…今度こそ、何か用があるの?」
とりあえずおとなしくツンの隣に座りながら、デレは聞いた。
.
449 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:16:09 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「んー…まぁ用ってほどのことじゃないんだけど…」
ζ(゚ー゚*ζ「何よ」
ξ゚⊿゚)ξ「あたし、この間誕生日だったの」
ζ(゚ー゚*ζ「………」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ζ(゚ー゚*ζ「………で?」
ξ゚⊿゚)ξ「で?って…それだけ」
デレは、掘り下げたことを後悔した。
.
450 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:17:15 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚;ζ「あんたって人は…年甲斐もなくそんな…」
ξ゚⊿゚)ξ「そう?まだ20代前半だけど」
ζ(゚ー゚;ζ「いやそういうボーダーライン的な意味じゃなくてさ」
デレは大きな溜め息をついた。
なんのために呼ばれたのかと思えば、誕生日でテンションが上がった余韻かと。
しかし何故か立ち去る気になれないのが、同一人物とはいえその人が現れると周りに放たれる不思議な情調だった。
451 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:18:45 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚*ζ「で?彼氏になんか貰ったりしたわけ?ついでに惚気に来たってわけ?」
少々うんざりしたような声だった。
10代の多感な頃の誕生日こそ、母が倒れたり亡くなった後だったりと、苦い思い出ばかりなのだ。
浮かれた話なら大概だと思うのも、無理はない。
ξ゚⊿゚)ξ「もう彼氏はいないって。ったくどいつもこいつも」
ζ(゚ー゚;ζ「えー…急にキレられても…」
.
452 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:22:49 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚;ζ「っていうかそういうネタバレってありなの?」
ξ゚⊿゚)ξ「まぁいいんじゃない?聞きたくなければ止めるし。あんたは?今彼氏いたっけ?」
ζ(゚ー゚;ζ「なんか矛先がこっち来た…」
自分自身に対してだからといって、不条理であっていいとは思わないが、今更この人に道理というものが通用するとも思えないデレは、一歩引いた身持ちでいるしかない。
.
453 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:25:07 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚*ζ「っていうか覚えてないの?斉藤先輩だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「斉藤?」
ζ(゚ー゚*ζ「斉藤モララー先輩」
ξ゚⊿゚)ξ「……あぁ」
その頃の、真剣なりに朧気だった恋愛などあまり記憶にはなかった。
ミーハー精神には縁のないツンだから、惰性や軽い気持ちで付き合うなんてことはまずなかったが、それでもだ。
まぁ、今の自分がそんな関係に不満がなければいいことだろう。
大人になった自分が差し挟むのも、なんだか野暮だ。
454 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:28:50 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚*ζ「で、いくつになったの?」
それを年下の女の子、しかも自分自身に聞かれることなんてまず経験しない。
23歳にして初体験な違和感である。
ξ゚⊿゚)ξ「23だけど」
ζ(゚ー゚*ζ「ふぅん。それって、なんか気持ちの変化ある?」
10代の頃は、歳を重ねるごとに多少の意識の変化があった。
15歳から16歳、16歳から17歳になるということが、大きなプログレスだと思ってた。
.
455 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:30:14 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「んー…ないね」
ζ(゚ー゚*ζ「言い切ったね」
ξ゚⊿゚)ξ「ハタチ超えたら、当日いきなり意識が変わるんじゃなくて、日が経ってだんだん自覚してくものよ」
ζ(゚ー゚*ζ「そんなもんかね…そういえばあんまり浮かれてないもんね」
それは、死に一歩近づいたからだよ。…とは、やっぱり言えるはずがなかった。
それに、ああやって自分には内緒で企てられたサプライズが、嬉しくなかったわけもなければ、浮かれてないつもりもない。
456 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:31:39 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「そんなことないよ。今年は祝ってくれる愉快な人達がいたから」
ζ(゚ー゚*ζ「…やっぱり自慢しに来たんじゃん」
ξ゚⊿゚)ξ「何言ってんのよ。あんたがこれから経験するべき未来の話よ?」
拗ねるデレに、そう説き伏せた。
やっぱり、この頃の自分は些か素直じゃない。
.
457 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:33:06 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「今のあんたは、あんまり積極的に人の輪に入って行こうとしないかもしれないけどね」
ξ゚⊿゚)ξ「それでもついてくる人はついてくるってこと」
ξ゚⊿゚)ξ「あんまり人と繋がろうとしてこなかった分、いざ繋がってしまった人との縁は強固よ」
ξ゚⊿゚)ξ「だから今のあんたは、べつに正しくもないけど間違ってもない」
ξ゚⊿゚)ξ「それだけ忘れなければいいかな」
.
458 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:34:47 ID:uLjBbDWQ0
その当時、本当は少し懐疑があったことをツンは覚えてた。
ハインとも違う高校に進学し、そこで出会った同級生らに対し
それなりには関心あるけど、それなりにどうでもいいと思ってしまうことに。
誰とでも仲良くできればいいけど、誰とでも深く付き合いたいわけじゃない。
そんな自分は、薄情者なのだろうかと、思うことがあった。
それが否定されたわけじゃないけど、『ついてくる人はついてくる』。それだけ分かればデレの懐疑を融くには充分だった。
459 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:37:44 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚*ζ「…そういう説教は意味ないんじゃなかったの?」
相変わらず素直ではなかったが、自分自身の言葉に愚直に狂信されてもなんだか薄気味悪いので、何も言わなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「他人から言われたって聞きやしないでしょうに」
ζ(゚ー゚*ζ「…そうだね。あなたに言われるのが一番説得力はあるよね」
もはやただのネタバレだけどね。と、声だけはっきり聞こえた時にはもうデレの姿は意識の向こうにいて
どこか和らぎを含んだその声を漏らしたデレの表情だけは、見届けることができなかった。
.
460 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:39:45 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「……」ボー
目が覚めた時にはもう、正午前だった。
普段の自分ならそろそろ休憩に入ろうとしてる頃だろうか。
縛られない生活というのも、なんだか地に足着かないようで思ったよりも落ち着かない。
.
461 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:41:12 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「……寝違えた」
原因は、誕生日の時にハインがくれた、安眠枕だった。
やれパウダービーズやらメタルチタン加工生地やらの、見た目より重くはなかったそれは、昨今のツンの生気のなさを案じて選んでくれたものなのだろう。その気持ちだけは有り難い。
ξ゚⊿゚)ξ「…今度からは足に敷こう」
そう呟いていつもの枕に取り替えたツンは、特にやることも思い付かず再び横になった。
.
463 : 名も無きAAのようです :2013/08/23(金) 23:31:00 ID:IYk2UWD.0
◆第21話◆
XX20年 Z月
ζ(゚ー゚*ζ「なんか呼ばれた気がしたんだけど」
ξ゚⊿゚)ξ「…やればできるもんね」
久しく見てなかった、あの夢。
無性に昔の自分に会いたくて、どうにかして見れないものかと何日かただ祈ってた末だった。
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XX20年 Z月
ζ(゚ー゚*ζ「なんか呼ばれた気がしたんだけど」
ξ゚⊿゚)ξ「…やればできるもんね」
久しく見てなかった、あの夢。
無性に昔の自分に会いたくて、どうにかして見れないものかと何日かただ祈ってた末だった。
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446 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:05:39 ID:uLjBbDWQ0
前にも会った、地元の大きな川の河川敷。
そこで泣いてた自分に、その時は何も言ってやれなかった。
初夏の候の夕暮れ時。
いつか見た、ロマン派画家の風景画を思い出す。
フランスやイタリアの格調高雅には目もくれず、一生のうちに一度も訪れることもなくただ自分が美しいと信じた地元の近所の風景だけを、描き続けたというあの画家。
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447 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:11:40 ID:uLjBbDWQ0
英国の田舎が美しいというのも今は周知。
こんな日本の田舎以上都会未満、開発が進んでるわけじゃないが住みにくいほど不便でない土地に比べたら、そこに描く価値を見出だせるのもよくわかる。
でも彼が愛したのは、あくまで地元だ。
地元愛由来の美質なら、今も昔も誰もが持ち合わせてるものだろう。
ツンにとって、この河川敷から眺める春夏秋冬の風景が、育った場所を愛するがゆえの佳処だった。
あの画家のように、人々の喝采を呼ぶような形に残すことはできないけど
少なくとも、その自分が愛した風景を涙で滲ませるのはもったいない。そう思っていた。
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448 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:14:55 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「まぁいいじゃない。学校も卒業して暇してんでしょ?」
暇してたからといって、それを咎める人も、もういない。
それを示唆したニュアンスを含んでいることに、デレも気がついた。
ζ(゚ー゚*ζ「…今度こそ、何か用があるの?」
とりあえずおとなしくツンの隣に座りながら、デレは聞いた。
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449 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:16:09 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「んー…まぁ用ってほどのことじゃないんだけど…」
ζ(゚ー゚*ζ「何よ」
ξ゚⊿゚)ξ「あたし、この間誕生日だったの」
ζ(゚ー゚*ζ「………」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
ζ(゚ー゚*ζ「………で?」
ξ゚⊿゚)ξ「で?って…それだけ」
デレは、掘り下げたことを後悔した。
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450 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:17:15 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚;ζ「あんたって人は…年甲斐もなくそんな…」
ξ゚⊿゚)ξ「そう?まだ20代前半だけど」
ζ(゚ー゚;ζ「いやそういうボーダーライン的な意味じゃなくてさ」
デレは大きな溜め息をついた。
なんのために呼ばれたのかと思えば、誕生日でテンションが上がった余韻かと。
しかし何故か立ち去る気になれないのが、同一人物とはいえその人が現れると周りに放たれる不思議な情調だった。
451 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:18:45 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚*ζ「で?彼氏になんか貰ったりしたわけ?ついでに惚気に来たってわけ?」
少々うんざりしたような声だった。
10代の多感な頃の誕生日こそ、母が倒れたり亡くなった後だったりと、苦い思い出ばかりなのだ。
浮かれた話なら大概だと思うのも、無理はない。
ξ゚⊿゚)ξ「もう彼氏はいないって。ったくどいつもこいつも」
ζ(゚ー゚;ζ「えー…急にキレられても…」
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452 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:22:49 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚;ζ「っていうかそういうネタバレってありなの?」
ξ゚⊿゚)ξ「まぁいいんじゃない?聞きたくなければ止めるし。あんたは?今彼氏いたっけ?」
ζ(゚ー゚;ζ「なんか矛先がこっち来た…」
自分自身に対してだからといって、不条理であっていいとは思わないが、今更この人に道理というものが通用するとも思えないデレは、一歩引いた身持ちでいるしかない。
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453 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:25:07 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚*ζ「っていうか覚えてないの?斉藤先輩だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「斉藤?」
ζ(゚ー゚*ζ「斉藤モララー先輩」
ξ゚⊿゚)ξ「……あぁ」
その頃の、真剣なりに朧気だった恋愛などあまり記憶にはなかった。
ミーハー精神には縁のないツンだから、惰性や軽い気持ちで付き合うなんてことはまずなかったが、それでもだ。
まぁ、今の自分がそんな関係に不満がなければいいことだろう。
大人になった自分が差し挟むのも、なんだか野暮だ。
454 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:28:50 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚*ζ「で、いくつになったの?」
それを年下の女の子、しかも自分自身に聞かれることなんてまず経験しない。
23歳にして初体験な違和感である。
ξ゚⊿゚)ξ「23だけど」
ζ(゚ー゚*ζ「ふぅん。それって、なんか気持ちの変化ある?」
10代の頃は、歳を重ねるごとに多少の意識の変化があった。
15歳から16歳、16歳から17歳になるということが、大きなプログレスだと思ってた。
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455 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:30:14 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「んー…ないね」
ζ(゚ー゚*ζ「言い切ったね」
ξ゚⊿゚)ξ「ハタチ超えたら、当日いきなり意識が変わるんじゃなくて、日が経ってだんだん自覚してくものよ」
ζ(゚ー゚*ζ「そんなもんかね…そういえばあんまり浮かれてないもんね」
それは、死に一歩近づいたからだよ。…とは、やっぱり言えるはずがなかった。
それに、ああやって自分には内緒で企てられたサプライズが、嬉しくなかったわけもなければ、浮かれてないつもりもない。
456 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:31:39 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「そんなことないよ。今年は祝ってくれる愉快な人達がいたから」
ζ(゚ー゚*ζ「…やっぱり自慢しに来たんじゃん」
ξ゚⊿゚)ξ「何言ってんのよ。あんたがこれから経験するべき未来の話よ?」
拗ねるデレに、そう説き伏せた。
やっぱり、この頃の自分は些か素直じゃない。
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457 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:33:06 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「今のあんたは、あんまり積極的に人の輪に入って行こうとしないかもしれないけどね」
ξ゚⊿゚)ξ「それでもついてくる人はついてくるってこと」
ξ゚⊿゚)ξ「あんまり人と繋がろうとしてこなかった分、いざ繋がってしまった人との縁は強固よ」
ξ゚⊿゚)ξ「だから今のあんたは、べつに正しくもないけど間違ってもない」
ξ゚⊿゚)ξ「それだけ忘れなければいいかな」
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458 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:34:47 ID:uLjBbDWQ0
その当時、本当は少し懐疑があったことをツンは覚えてた。
ハインとも違う高校に進学し、そこで出会った同級生らに対し
それなりには関心あるけど、それなりにどうでもいいと思ってしまうことに。
誰とでも仲良くできればいいけど、誰とでも深く付き合いたいわけじゃない。
そんな自分は、薄情者なのだろうかと、思うことがあった。
それが否定されたわけじゃないけど、『ついてくる人はついてくる』。それだけ分かればデレの懐疑を融くには充分だった。
459 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:37:44 ID:uLjBbDWQ0
ζ(゚ー゚*ζ「…そういう説教は意味ないんじゃなかったの?」
相変わらず素直ではなかったが、自分自身の言葉に愚直に狂信されてもなんだか薄気味悪いので、何も言わなかった。
ξ゚⊿゚)ξ「他人から言われたって聞きやしないでしょうに」
ζ(゚ー゚*ζ「…そうだね。あなたに言われるのが一番説得力はあるよね」
もはやただのネタバレだけどね。と、声だけはっきり聞こえた時にはもうデレの姿は意識の向こうにいて
どこか和らぎを含んだその声を漏らしたデレの表情だけは、見届けることができなかった。
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460 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:39:45 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「……」ボー
目が覚めた時にはもう、正午前だった。
普段の自分ならそろそろ休憩に入ろうとしてる頃だろうか。
縛られない生活というのも、なんだか地に足着かないようで思ったよりも落ち着かない。
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461 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/23(金) 16:41:12 ID:uLjBbDWQ0
ξ゚⊿゚)ξ「……寝違えた」
原因は、誕生日の時にハインがくれた、安眠枕だった。
やれパウダービーズやらメタルチタン加工生地やらの、見た目より重くはなかったそれは、昨今のツンの生気のなさを案じて選んでくれたものなのだろう。その気持ちだけは有り難い。
ξ゚⊿゚)ξ「…今度からは足に敷こう」
そう呟いていつもの枕に取り替えたツンは、特にやることも思い付かず再び横になった。
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463 : 名も無きAAのようです :2013/08/23(金) 23:31:00 ID:IYk2UWD.0
連日乙