ξ゚⊿゚)ξは夢を見るようです 第12話
- 2014/07/07
- 20:12
- ξ゚⊿゚)ξは夢を見るようです
189 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 14:54:30 ID:.uv9GCZI0
◆第12話◆
XX24年 S月
次の日はお互い仕事が休みだったので、仕事終わりは久しぶりに外で食事したいとジョルジュに提案された。
ツンは一瞬ブーンの店を思い出したが、なんとなく避けて黙ってジョルジュについていった。
食事も一段落して、たわいもない話を酒の肴にする。
なんてことない、いつも通りの光景だ。
何度もボツくらったラフがやっと仕上がった、今度の企画はどのイラストレーターさんだ、など
ツンとは違って、過程を経て結果に繋がる仕事は、常に何かしらの刺激がありそうだ。
XX24年 S月
次の日はお互い仕事が休みだったので、仕事終わりは久しぶりに外で食事したいとジョルジュに提案された。
ツンは一瞬ブーンの店を思い出したが、なんとなく避けて黙ってジョルジュについていった。
食事も一段落して、たわいもない話を酒の肴にする。
なんてことない、いつも通りの光景だ。
何度もボツくらったラフがやっと仕上がった、今度の企画はどのイラストレーターさんだ、など
ツンとは違って、過程を経て結果に繋がる仕事は、常に何かしらの刺激がありそうだ。
190 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 14:55:58 ID:.uv9GCZI0
かくいうツンも昔は、広告関係の職務に携わっていた。
その時ジョルジュと一緒に仕事をして、ぶつかり合いながら絆を深めたのだが
その仕事に必要とされるスキルに、ツンは秀でてなかった。
そのくせ言いたいことはすぐ口に出す性格も災いして、これ以上彼女をこの部所で使うことが負担になってしまったのだ。
本人は至極真面目だったし、失敗したと気づけば反省も学習もしてたのだが
早い話、的を得てなかった。
.
191 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 14:58:42 ID:.uv9GCZI0
ただでさえ流行ってもいない美術館だ。
企画や宣伝に殊更力を入れなきゃいけない時に、イレギュラーを残して話をややこしくするぐらいだったらと、足切りの第一候補は明白だった。
それでも、興味を持って真面目に取り組んでる勤務態度は買われて館内のスタッフとして残るに留まったのは唯一の救いである。
できることなら、そのままなんとなくジョルジュと疎遠にでもなってればまだ割り切れたのかもしれないが、ツンが館内スタッフに回された時は既に二人は付き合い始めてた頃だったので
一番やりたかった仕事の、その現場に立つ人間のリアルな話を延々聞かされなきゃいけないのは、しんどくないと言えば嘘になる。
それでジョルジュへの気持ちが変わるわけでは、少なくとも今のところないのだから何も言わないが。
192 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:00:01 ID:.uv9GCZI0
かといって、ツンの方は取り立てて話したいほどのことはない。
落ち込むほどうまくいかないことも滅多になければ、達成感を得られるほどのことも、あまりない。
来る日も来る日も同じ平穏な空間を眺めてるだけ。
もちろんそれらに関心はあるが、あえて話題にするほどのことでもない。
こと前述通りの性格のツンのこと、言いたければとっくに言ってるのだ。
そんなわけで、最近は専ら聞き役に回るのだった。
.
193 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:01:47 ID:.uv9GCZI0
( ゚∀゚)「…ツン、なんか考え事でもしてる?」
ξ゚⊿゚)ξ「え?」
確かにしてたかもしれない。
でも、ジョルジュの話を聞いてないつもりでもなかった。
( ゚∀゚)「なんか上の空っぽいけど。疲れてるだけか?」
ξ゚⊿゚)ξ「…まぁ、週の終わりだしね」
.
194 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:03:21 ID:.uv9GCZI0
195 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:05:50 ID:.uv9GCZI0
196 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:07:26 ID:.uv9GCZI0
( ゚∀゚)「なんか…邪魔しちゃ悪いと思ってさ」
その一言で、ツンは気づいた。
同時に、物凄く腹が立った。
ジョルジュはおそらく、そのこと自体が面白くないのだ。
.
197 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:09:47 ID:.uv9GCZI0
それだけでなく、ジョルジュからしてみれば何の気無しにツンの口から『この間知り合いが来てバッタリ遭遇しちゃったんだ』なんて話があえて出て来なかったのも、何故だかわからなかった。
しかもその現場にいたジョルジュが見たツンの笑顔。
確かに二人きりの時でも仕事の話ばかりだし、それさえも最近は職務が違うから噛み合わないことも多少はある。
前みたいに、喧嘩するほど会話がなくなってきてたことは薄々気にしてはいた。
あまつさえ相変わらず色気もない。
だけど、飾り気のないのがツンで
ものぐさでちょっとズボラなくらいが、自分が愛したツンだと思ってた。
だから
.
198 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:11:30 ID:.uv9GCZI0
ξ*゚ー゚)ξ
(* ^ω^)
そんな彼女に、あんな笑顔を向けてもらったのは、いつのことだっただろうか。
それがきっかけで、名も知らぬあの男より、自分は格下なのではないかとジョルジュは疑い始めていた。
もちろん、そこまではツンも気づくことはない。
.
199 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:13:31 ID:.uv9GCZI0
ξ゚⊿゚)ξ「…あっきれた。気になるなら最初に聞けばいいじゃない。それとも何?男と会話したら逐一報告しなきゃいけないわけ?」
なまじ弁が立つので心刔られるが、確かにツンの主張は正論だ。
何も悪いことなど、してないのだ。
( ゚∀゚)「いや、そうじゃねぇけど…」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあどうしろって言うの?」
そう言われてしまうと、勝手に嫉妬した自分の暴走だったと、気づかざるを得ない。
少し考えた素振りを見せた後、ジョルジュは観念した。
200 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:18:58 ID:.uv9GCZI0
( ゚∀゚)「…悪かったよ。勝手に嫉妬して、ちょっとピリピリしちまった」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
しばらく睨むように見つめてたが、気が済むと手元のロックグラスに残ってたラフロイグをくいっと飲み干した。
ξ゚⊿゚)ξ「あー久々に腹立った。でもわかってくれたならよし」
( ゚∀゚)(久々…)
すっきりしたような表情のツンが発する一言にまた引っ掛かるものを感じたが、今度は努めて顔に出さないように意識した。
201 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:21:17 ID:.uv9GCZI0
蝉の声。
墓石。
供えられた花や酒。
まただ…
今度はいつなのだろう?
そう思って、霞む視界をなんとか凝らそうとする。
.
202 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:23:27 ID:.uv9GCZI0
………あれ?
それ以外のものが、何も見えない。
それどころか、蝉の声は聞こえるが陽射しや暑さも何も感じない。
最近たまに見る夢に倣うなら、ツンがそうしたければ目の前にある風景を360度見渡すことなどたやすいはずだが、今日はそれができない。
いわゆる『普通の夢』だ。
こういう夢も、たまには見る。
しかし。
.
203 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:24:35 ID:.uv9GCZI0
ξ⊿)ξ『―――ザザッザザザッ―――――ザザザッ』
自分の声なのだろうが、音声が全く聞こえずたまに雑音まで入る。
もちろんそれを自分の意志で発してるわけではなく、夢に現れた自分が勝手に喋ってるのをただ見せられてる。
本来ならそれが、普通の夢しかる夢のあるべき姿のはずなのだが…
何故かこの世界でも、あの不思議な夢で見た記憶を踏襲してる気がする。
.
204 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:27:00 ID:.uv9GCZI0
( )『―――!?』
自分以外の人物が現れた。
声も聞こえないし、顔もよく見えない。
ξ⊿)ξ『―――ザザッ――――?』
( )『ザザッ――なんで――――に――ザザザッ―――!?』
なんだか緊迫した雰囲気だけは伝わる。
でも、それを何故か
.
205 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:28:22 ID:.uv9GCZI0
ξ⊿)ξ『―――!!――ザザッ―――ザザッ――――!!』
見たくない、見ちゃいけないと、誰かが強く拒絶してるようだった。
206 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:30:09 ID:.uv9GCZI0
( )『だって―――すザザザッザザザザザザッッ――!!!』
.
207 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 16:04:40 ID:uyLnk5Ys0
「ツン?ツン、大丈夫か?」
ぼんやりと目を開けると、心配そうに覗き込むジョルジュがいた。
.
208 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 16:06:23 ID:uyLnk5Ys0
先ほど食事しながら少々諍いがあり、許し合って終わったはずだがなんだか気まずい雰囲気が払拭できず、ツンはベッドで、ジョルジュはその下の床で眠りについたままだった。
(; ゚∀゚)「うなされてたけど大丈夫かよ?体調でも悪いのか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……大丈夫。ありがとう」
なんとか呼吸を落ち着かせながら、ジョルジュから受け取った水を煽った。
209 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 16:07:25 ID:uyLnk5Ys0
不思議な夢に体力奪われることはままあったが、こうしてうなされたのは初めてだ。
何が原因で何が起きたかはわからないが、今は何も考えたくなかった。
( ゚∀゚)「……そっち行っても、いいか?」
ξ゚⊿゚)ξ「……うん」
とりあえず、何も考えずに安心できる人の傍で眠ろうと思った。
もう、見たくない夢を見なくて済むように。
かくいうツンも昔は、広告関係の職務に携わっていた。
その時ジョルジュと一緒に仕事をして、ぶつかり合いながら絆を深めたのだが
その仕事に必要とされるスキルに、ツンは秀でてなかった。
そのくせ言いたいことはすぐ口に出す性格も災いして、これ以上彼女をこの部所で使うことが負担になってしまったのだ。
本人は至極真面目だったし、失敗したと気づけば反省も学習もしてたのだが
早い話、的を得てなかった。
.
191 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 14:58:42 ID:.uv9GCZI0
ただでさえ流行ってもいない美術館だ。
企画や宣伝に殊更力を入れなきゃいけない時に、イレギュラーを残して話をややこしくするぐらいだったらと、足切りの第一候補は明白だった。
それでも、興味を持って真面目に取り組んでる勤務態度は買われて館内のスタッフとして残るに留まったのは唯一の救いである。
できることなら、そのままなんとなくジョルジュと疎遠にでもなってればまだ割り切れたのかもしれないが、ツンが館内スタッフに回された時は既に二人は付き合い始めてた頃だったので
一番やりたかった仕事の、その現場に立つ人間のリアルな話を延々聞かされなきゃいけないのは、しんどくないと言えば嘘になる。
それでジョルジュへの気持ちが変わるわけでは、少なくとも今のところないのだから何も言わないが。
192 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:00:01 ID:.uv9GCZI0
かといって、ツンの方は取り立てて話したいほどのことはない。
落ち込むほどうまくいかないことも滅多になければ、達成感を得られるほどのことも、あまりない。
来る日も来る日も同じ平穏な空間を眺めてるだけ。
もちろんそれらに関心はあるが、あえて話題にするほどのことでもない。
こと前述通りの性格のツンのこと、言いたければとっくに言ってるのだ。
そんなわけで、最近は専ら聞き役に回るのだった。
.
193 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:01:47 ID:.uv9GCZI0
( ゚∀゚)「…ツン、なんか考え事でもしてる?」
ξ゚⊿゚)ξ「え?」
確かにしてたかもしれない。
でも、ジョルジュの話を聞いてないつもりでもなかった。
( ゚∀゚)「なんか上の空っぽいけど。疲れてるだけか?」
ξ゚⊿゚)ξ「…まぁ、週の終わりだしね」
.
194 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:03:21 ID:.uv9GCZI0
仕事に加えて最近たまに見る夢のせいか、疲れてるのは事実だが、ふて腐れたように『ふぅん』と軽く相槌を打つその態度は、本当にツンの疲れに気づいて気遣っているのだろうか?
それすら疑わしく見えるほど、今日のジョルジュは不穏で棘のある雰囲気を隠し切れずにいた。
( ゚∀゚)「…そういえばこの間さ、知り合いでも来てたの?」
ξ゚⊿゚)ξ「……あぁ」
ブーンのことか。とツンはすぐに思い出した。
.
それすら疑わしく見えるほど、今日のジョルジュは不穏で棘のある雰囲気を隠し切れずにいた。
( ゚∀゚)「…そういえばこの間さ、知り合いでも来てたの?」
ξ゚⊿゚)ξ「……あぁ」
ブーンのことか。とツンはすぐに思い出した。
.
195 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:05:50 ID:.uv9GCZI0
ξ゚⊿゚)ξ「キュートの友達でね、昔ハインとかその子の友達とか集まって飲み会したことがあって」
( ゚∀゚)「…ふん、べつにそこまで聞いてないけど」
実は昔というほど昔でもなくむしろつい最近の話なのだが、なんとなくそれを悟られたくない心理が先に働いて、聞かれてもいないことを勝手に喋ったのが逆にジョルジュの機嫌を損ねたようだ。
ξ゚⊿゚)ξ「何それ。っていうか見てたなら言ってくれればよかったのに」
思わず口を尖らせてしまうが、これ以上ジョルジュの機嫌を損ねないように、多少神経使ったつもりだった。
.
( ゚∀゚)「…ふん、べつにそこまで聞いてないけど」
実は昔というほど昔でもなくむしろつい最近の話なのだが、なんとなくそれを悟られたくない心理が先に働いて、聞かれてもいないことを勝手に喋ったのが逆にジョルジュの機嫌を損ねたようだ。
ξ゚⊿゚)ξ「何それ。っていうか見てたなら言ってくれればよかったのに」
思わず口を尖らせてしまうが、これ以上ジョルジュの機嫌を損ねないように、多少神経使ったつもりだった。
.
196 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:07:26 ID:.uv9GCZI0
( ゚∀゚)「なんか…邪魔しちゃ悪いと思ってさ」
その一言で、ツンは気づいた。
同時に、物凄く腹が立った。
ジョルジュはおそらく、そのこと自体が面白くないのだ。
.
197 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:09:47 ID:.uv9GCZI0
それだけでなく、ジョルジュからしてみれば何の気無しにツンの口から『この間知り合いが来てバッタリ遭遇しちゃったんだ』なんて話があえて出て来なかったのも、何故だかわからなかった。
しかもその現場にいたジョルジュが見たツンの笑顔。
確かに二人きりの時でも仕事の話ばかりだし、それさえも最近は職務が違うから噛み合わないことも多少はある。
前みたいに、喧嘩するほど会話がなくなってきてたことは薄々気にしてはいた。
あまつさえ相変わらず色気もない。
だけど、飾り気のないのがツンで
ものぐさでちょっとズボラなくらいが、自分が愛したツンだと思ってた。
だから
.
198 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:11:30 ID:.uv9GCZI0
ξ*゚ー゚)ξ
(* ^ω^)
そんな彼女に、あんな笑顔を向けてもらったのは、いつのことだっただろうか。
それがきっかけで、名も知らぬあの男より、自分は格下なのではないかとジョルジュは疑い始めていた。
もちろん、そこまではツンも気づくことはない。
.
199 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:13:31 ID:.uv9GCZI0
ξ゚⊿゚)ξ「…あっきれた。気になるなら最初に聞けばいいじゃない。それとも何?男と会話したら逐一報告しなきゃいけないわけ?」
なまじ弁が立つので心刔られるが、確かにツンの主張は正論だ。
何も悪いことなど、してないのだ。
( ゚∀゚)「いや、そうじゃねぇけど…」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあどうしろって言うの?」
そう言われてしまうと、勝手に嫉妬した自分の暴走だったと、気づかざるを得ない。
少し考えた素振りを見せた後、ジョルジュは観念した。
200 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:18:58 ID:.uv9GCZI0
( ゚∀゚)「…悪かったよ。勝手に嫉妬して、ちょっとピリピリしちまった」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
しばらく睨むように見つめてたが、気が済むと手元のロックグラスに残ってたラフロイグをくいっと飲み干した。
ξ゚⊿゚)ξ「あー久々に腹立った。でもわかってくれたならよし」
( ゚∀゚)(久々…)
すっきりしたような表情のツンが発する一言にまた引っ掛かるものを感じたが、今度は努めて顔に出さないように意識した。
201 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:21:17 ID:.uv9GCZI0
蝉の声。
墓石。
供えられた花や酒。
まただ…
今度はいつなのだろう?
そう思って、霞む視界をなんとか凝らそうとする。
.
202 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:23:27 ID:.uv9GCZI0
………あれ?
それ以外のものが、何も見えない。
それどころか、蝉の声は聞こえるが陽射しや暑さも何も感じない。
最近たまに見る夢に倣うなら、ツンがそうしたければ目の前にある風景を360度見渡すことなどたやすいはずだが、今日はそれができない。
いわゆる『普通の夢』だ。
こういう夢も、たまには見る。
しかし。
.
203 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:24:35 ID:.uv9GCZI0
ξ⊿)ξ『―――ザザッザザザッ―――――ザザザッ』
自分の声なのだろうが、音声が全く聞こえずたまに雑音まで入る。
もちろんそれを自分の意志で発してるわけではなく、夢に現れた自分が勝手に喋ってるのをただ見せられてる。
本来ならそれが、普通の夢しかる夢のあるべき姿のはずなのだが…
何故かこの世界でも、あの不思議な夢で見た記憶を踏襲してる気がする。
.
204 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:27:00 ID:.uv9GCZI0
( )『―――!?』
自分以外の人物が現れた。
声も聞こえないし、顔もよく見えない。
ξ⊿)ξ『―――ザザッ――――?』
( )『ザザッ――なんで――――に――ザザザッ―――!?』
なんだか緊迫した雰囲気だけは伝わる。
でも、それを何故か
.
205 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:28:22 ID:.uv9GCZI0
ξ⊿)ξ『―――!!――ザザッ―――ザザッ――――!!』
見たくない、見ちゃいけないと、誰かが強く拒絶してるようだった。
206 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 15:30:09 ID:.uv9GCZI0
( )『だって―――すザザザッザザザザザザッッ――!!!』
.
207 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 16:04:40 ID:uyLnk5Ys0
「ツン?ツン、大丈夫か?」
ぼんやりと目を開けると、心配そうに覗き込むジョルジュがいた。
.
208 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 16:06:23 ID:uyLnk5Ys0
先ほど食事しながら少々諍いがあり、許し合って終わったはずだがなんだか気まずい雰囲気が払拭できず、ツンはベッドで、ジョルジュはその下の床で眠りについたままだった。
(; ゚∀゚)「うなされてたけど大丈夫かよ?体調でも悪いのか?」
ξ;゚⊿゚)ξ「……大丈夫。ありがとう」
なんとか呼吸を落ち着かせながら、ジョルジュから受け取った水を煽った。
209 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/17(土) 16:07:25 ID:uyLnk5Ys0
不思議な夢に体力奪われることはままあったが、こうしてうなされたのは初めてだ。
何が原因で何が起きたかはわからないが、今は何も考えたくなかった。
( ゚∀゚)「……そっち行っても、いいか?」
ξ゚⊿゚)ξ「……うん」
とりあえず、何も考えずに安心できる人の傍で眠ろうと思った。
もう、見たくない夢を見なくて済むように。