(゚、゚トソンひとでなしのようです(´・_ゝ・`)
- 2014/04/05
- 22:40
- ( ^ω^)ブーン系小説ラノベ祭り2014・春のようです
1 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:14:29 ID:???
2 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:15:17 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「ねえ、一つ聞いてもいいかい?」
(゚、゚トソン「その言葉に答える義理はないです」
(´・_ゝ・`)「まぁ、なんとなく想像はつくけどね。でも、一応聞いておくよ」
(´・_ゝ・`)「――どうして、俺はこんなにお札まみれなんだい?」
(゚、゚トソン「動けないようにするためです」
(´・_ゝ・`)「いや、別に動けるけど。
……俺を動けないようにして、君はどうするつもりだったの?」
(゚、゚トソン「そうですね。杭でも打ってみましょうか」
3 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:15:51 ID:MEHWP0s6
4 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:16:41 ID:MEHWP0s6
(゚、゚トソン「気分はどうですか?」
(´・_ゝ・`)ゞ「そうだね、とりあえず痛いね」
(゚、゚トソン「それはよかった。苦労したかいがあります。
それで、今にも死にそうですか?」
(´・_ゝ・`)「いや、別に」
〆(゚、゚トソン「……おかしいですね。私の研究によると効果があるはずなのですが」
(゚、゚トソン「杭ですよ、杭。
ありがたい五芒星が描かれた、すごい杭なんですよ。
吸血鬼ならこれで天国行き間違いなしです」
(´・_ゝ・`)「そんなよくわからないものと一緒にされても困るな。
研究熱心なのはいいのだけどね、そろそろ抜いてくれないかい?」
5 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:17:34 ID:MEHWP0s6
〆(゚、゚トソン「……いやです」
(´・_ゝ・`)「……」
〆(゚、゚トソン「お断りします」
(´・_ゝ・`)「そんなつれない反応の君が好きだよ」
〆(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「君の目は本当に素敵だね。
湖のような、青いまっすぐな目だ。俺は君のその目が好きなんだ」
(゚、゚トソン「帰ります」
(;´・_ゝ・`)「ちょっと待った、俺はこのままなの?」
(゚、゚トソン「そうですね。そのまま、くたばってください」
6 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:18:56 ID:MEHWP0s6
7 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:19:28 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……君のそのなりふり構わない姿は、本当に可愛らしいね」
(゚、゚トソン
ビチャッ
(;´>_ゝ・`)「これは……水かい? 冷たいじゃないか」
〆(゚、゚トソン「聖水は効果なし。
とても残念です。次は海水と、神社の水あたりを行ってみましょうか」
(;´>_ゝ・`)「ちょっと、海水は傷にしみ」
〆(゚、゚トソン「せっかく買い込んできたんです。じゃんじゃん使いましょうじゃんじゃん」
バシャッ バシャッ
(;´-_ゝ-`)(あー、お気に入りの着物がベタベタだ)
8 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:20:00 ID:MEHWP0s6
9 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:20:32 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……なんで台所でもないのに包丁があるの?」
(゚、゚トソン「死にませんね」
(´・_ゝ・`)「刺さって血が出てるけどね」
(゚、゚トソン チッ
(゚、゚トソン「刺し方が足りなかったのでしょうか。
やるからには、思いきりやらなければいけませんね」
(´・_ゝ・`)つ=lニフ グイッ
(´・_ゝ・`)「……」
(´・_ゝ・`)「危ないからこれは片付けておこう」
10 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:22:01 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「トソン、君の料理はとても美味しいね。
杭が刺さってなければ、もっと美味しいのだけど……」
(゚、゚トソン「そうですか。もっと食べてください」
(´・_ゝ・`)「言われなくても食べるよ。
なんていったって、君の手作りだ。こんなに珍しいことはないからね」
(゚、゚トソン「おかわりもありますよ」
(´・_ゝ・`)「頂こう。少しばかり変わった味だがとても美味いよ」
(゚、゚トソン「そうですか」
(´・_ゝ・`)「ところで、君は食べないのかい?
せっかく作ったんだろう? 食べないのは勿体無い」
(゚、゚トソン「毒の入ったものを食べる趣味はありませんので」
11 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:23:03 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……」
(゚、゚トソン「……何事もないですね」
(´・_ゝ・`)「おいしいよ」
(´・_ゝ・`) モグモグ
〆(゚、゚トソン「これもダメですか。残念です」
(´・_ゝ・`)「君のその冷たい反応と目、好きだよ」
12 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:23:51 ID:hlYZUqF.
13 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:25:33 ID:MEHWP0s6
(゚、゚トソン パラッ
(゚、゚トソン「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」
(´・_ゝ・`)「仏門に趣旨替えかい?
まぁ、君なら坊主頭でも似合うとは思うけど……」
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚トソン パラッ ペラッ
(゚、゚トソン「……天にまします我らの父よ」
(゚、゚トソン チラッ
14 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:26:29 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「何か期待しているみたいだけど、こういうのは信仰心がないと効果がないと思うよ」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「……帰ります」
(´・_ゝ・`)「もう少し話していかないかい?
トソンと過ごす時間はとても楽しいんだ」
(゚、゚トソン「……帰ります」
(´・_ゝ・`)「照れているのかい?」
(゚、゚トソン「私は、あなたが大嫌いです」
15 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:27:38 ID:MEHWP0s6
16 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:29:11 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「正体といってもね……」
(゚、゚トソン「あなたについているそれは、尾ですか?
三指の尾の妖怪など聞いたことがありません」
(´・_ゝ・`)「ああこれ? 意外と重宝するよ」
(´・_ゝ・`)と(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「その耳、形が変です。
触った感じは動物……みたいです。何かの動物が化けているのですか?」
(´・_ゝ・`)「君に触られるというのは悪くないね。
できればずっとこのまま、触っていてもらいたいものだ」
(゚、゚トソン「虫酸が走るので黙っていてください。気持ち悪い」
(゚、゚トソン「その目……瞳孔がないのですね」
(´・_ゝ・`)「さてと、どうだろうね。自分でもしかと見たことがないし、わからないよ。
俺について詳しく知ろうなんてやつも、ここ数百年はいなかったし」
(゚、゚トソン「私だって知りたくありませんよ。あなたみたいなやつなんて」
17 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:29:46 ID:MEHWP0s6
(´-_ゝ-`)「そうかい。それは残念だ」
(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「じゃあ、今度は俺が君に質問をしてみようかな」
(´^_ゝ^`)「白無垢と、ドレスならどちが好き?」
(゚、゚トソン
ガッ
(;´ _ゝ `)「いだっ」
18 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:30:24 ID:MEHWP0s6
(;´・_ゝ・`)「ねえ、今、お腹の杭を思いっきり蹴ったよね?!」
ガンッ ガン
(゚、゚トソン「……知りません」
ガッ ガッ グリグリ
(;´・_ゝ・`)「ね、やめ。あだっ、痛っ」
ガン
(;´・_ゝ・`)「そろそろこの杭、抜いてくれないかい?」
(゚、゚トソン「……何で、死なないのでしょうか」
19 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:31:16 ID:MEHWP0s6
20 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:32:46 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「そういう冷たい君も好きだけどね」
(´・_ゝ・`)「……約束の日、早く来ないかな」
〆(゚、゚トソン
ゲシッ
(;´・_ゝ・`)「痛っ」
ゲシッ ガッ
(;´・_ゝ・`)「杭を蹴るのはやめてって。刺さってるんだよ? 体に」
〆(゚、゚トソン「そうですか」
(;´-_ゝ・`)「トソン、この杭はいつまでこのままなんだい?
そろそろ君に蹴られるのも、悲しくなってきたのだけど」
(゚、゚トソン「あなたが死ぬまでです」
21 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:33:38 ID:MEHWP0s6
22 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:35:05 ID:MEHWP0s6
23 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:35:37 ID:MEHWP0s6
カリ カリ カリ カリ
ペラッ
カカカカカ カリカリ
ゴシゴシ
〆( 、 トソン
カリカリカリ
〆( 、 トソン (早く、何とかしないと……)
ガリガリガリガリ カリッ
24 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:36:32 ID:MEHWP0s6
25 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:37:08 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「それで、俺をどうするつもりなのかな?」
――ザッ
( 、 トソン「死んでください」
ザクッ
.
26 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:38:00 ID:MEHWP0s6
ピチャリ
( 、 トソン (血がいっぱい)
ピチャリ
( 、 トソン (……動かない。首、落とさなきゃ)
( 、 トソン (刀、重い……)
27 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:38:47 ID:MEHWP0s6
ギッ
ミチッ
ミチッ
グチュッ
ハァツ
グチャッ
ハッ
グチュリグチッギシッ メッ グチャゴリグチャグチャ ベキリ
28 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:40:13 ID:MEHWP0s6
( 、 トソン ハァ ハァッ ハ
( 、 トソン「終わった。これ、で」
ゴトッ
( 、 トソン「いくらあいつでも、首を落とせば……」
29 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:41:34 ID:MEHWP0s6
(´ _ゝ `)「――まぁ、普通はそうなんだけどね」
.
30 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:42:35 ID:MEHWP0s6
ジリジリと、何かが焦げる臭いがした。
ガランとしたお社に、ぼうと、強い明かりが灯る。
見回すと壁が、柱が――正確にはそこに貼られたお札が、燃えている。
目を鋭く刺す煙が、空気に混ざる。
吸った息が喉に焼き付いて、私を咳き込ませる。
ずるりと、嫌な音がした。
それから、ごとりと何かが落ちる音と、拾い上げるような音。
目を向けた先に、血にまみれた杭があった。
私がいつか用意した、見覚えのある杭。
そして、
揺れる空気の向こうで、男の体がうごめいた。
31 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:43:19 ID:MEHWP0s6
(゚、゚;トソン「――なんで」
(´・_ゝ・`)「どうしたんだい、トソン?
とても顔色が悪いよ。それにとても疲れているみたいだ」
(゚、゚;トソン「なんで首。しゃべっ」
(´・_ゝ・`)「ああ、その表情はとてもいいね。
いつものすました顔もいいけど、今の君はとても人間らしくていい」
(゚、゚;トソン「……なんで! なんでっ!」
(´・_ゝ・`)「首をくっつけるのはやはり大変だね。
できればこれっきりにしてほしいものだ」
(゚、゚;トソン「首、落ちっ……血が……血が……」
32 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:43:51 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「せっかく君がくれたお札だったけどね。
首をつなげるのに邪魔だから、焼いてしまったよ」
(゚、゚;トソン「やっ……なんで……なん」
(´・_ゝ・`)「それにこの杭も。君のお気に入りだったのに、ごめんね」
(゚、゚;トソン「ばけもの……いや」
(´・_ゝ・`)「おやおや、あまり興奮するのは良くないよ」
(´・_ゝ・`)つ(゚、゚;トソン スッ
(´^_ゝ^`)「ほら、いい子にして」
( 、 ;トソン「――嫌ぁぁぁぁっ!!!」
(´・_ゝ・`)「……」
(´・_ゝ・`)「……逃げられちゃったか。でもまあ、こんな時間もあと少しだ」
33 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:44:32 ID:MEHWP0s6
私は、きっと失敗したのだと思います。
.
34 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:45:14 ID:MEHWP0s6
35 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:46:03 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……トソン?」
( 、 トソン「……どうして、死なないの?」
(´・_ゝ・`)「どうしたんだい? 急に」
( 、 ;トソン「やっと殺せたと思ったのに。やっと消えたと思ったのに。
どうして? どうしてなの?!」
(´・_ゝ・`)「今日の君はお喋りだね。
俺としては、君との会話はとても嬉しいものだからいいのだけど」
(゚、゚トソン「――あなたはどうやったら死ぬのですか?」
36 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:46:33 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「どうやったら死ぬの……ね。
そういうことは普通、本人には聞かないものだよ。
研究はもういいのかい? いろいろと熱心にやっていたけど」
(゚、゚;トソン「……」
( 、 トソン「……もう時間がないんです。
あなたが私の目の前から消えるのなら、私はなんだってやります」
(´・_ゝ・`)つ(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「ほら、顔を上げて。せっかくの君の瞳が見えない」
(゚、゚;トソン「……」
37 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:47:55 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……消えろ、か」
(´・_ゝ・`)「そうしてあげてもいいけど、無理だ」
(´・_ゝ・`)「ミルナは絶対に許さないよ。
あいつは当主だ。一族全員の命を背負う義務がある。
そして何より、あれは今の暮らしを愛している」
(゚、゚トソン「……っ」
(´-_ゝ-`)「ミルナだけではない。一族の者たちは絶対に君を許さない。
君のために、金と地位を投げ捨てたいなどと言う者はどれくらいいるのかな」
(゚、゚トソン「……そんなもの」
(´・_ゝ・`)「金や地位なんて、なくてもいい? まぁ、それも真理だね。
だけどだめだ。契約ははるか昔に取り交わされている」
(´・_ゝ・`)「君たち一族と俺は、契約の上に成り立っている。
それを今更、違えることなんてできないよ」
38 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:50:30 ID:MEHWP0s6
39 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:51:39 ID:MEHWP0s6
出で満たす神様。
転じて、――でみたす様。
盛岡家に繁栄をもたらす、神様。
今、私の目の前にいる男は、そのでみたす様だ。
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
40 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:52:23 ID:MEHWP0s6
( 、 トソン「契約を――違えることは出来ない。なら……」
(´・_ゝ・`)「逃げる、かい?
でも、それができないことは君が一番知っているだろう?」
( 、 トソン「……」
(´・_ゝ・`)「ミルナは逃さないよ。
屋敷にいる使用人は、本当は何のためだと思う? 君を逃さないためだよ」
(´・_ゝ・`)「……それに」
41 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:52:55 ID:MEHWP0s6
( _ゝ )「他の誰が認めても、俺が許さない」
.
42 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:53:33 ID:MEHWP0s6
( 、 ;トソン
(´・_ゝ・`)「そうだね、君が捕まるまで、盛岡の一族に不幸をもたらし続けようか。
最初は……そうだね。裏の山が崩れる、というのはどうだろう?」
(゚、゚;トソン「や、山なんて崩れてしまえばいいのです」
(´-_ゝ-`)「随分と君らしくないことを言うんだね。
俺がうっかり、その通りにしたらどうするんだい?」
( 、 ;トソン「~~勝手にすればいいでしょう!」
( 、 ;トソン
(>、<;トソン「――みんな、みんな滅んでしまえばいいんです!」
43 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:54:33 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……君が言うならそうしようか。
でもまぁ、いきなり山を崩すのも面白く無いから……そうだね」
(゚、゚;トソン「え?」
(´・_ゝ・`)「……ミルナの娘はまだ5つだったかな」
(´^_ゝ^`)「ミセリと言ったっけ。
髪飾りの似合うかわいい子。君とも仲が良かったね。」
(´・_ゝ・`)「そうだな、流行病にしよう。
いや、それとも君のお気に入りだ。もう少し悲劇的なほうがいいかな?」
(゚、゚;トソン「……やだ」
(´・_ゝ・`)「そうか。なら、ミルナの弟のところにでもしようか。
順調に行けば来月に産まれる子がいたな。賢くなりそうな男の子」
44 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:55:21 ID:MEHWP0s6
(゚、゚;トソン「……やめて」
(´・_ゝ・`)「うん、気に入った。この子にしよう。
今ここで殺してしまえば、将来ミセリと家督争いをする心配もないしね」
( д ;トソン「おねがい、やめて」
(´・_ゝ・`)「やだよ。やめてあげない」
( д ;トソン「おねがい、お願いだからっ!!!」
(´・_ゝ・`)「……」
(´^_ゝ^`)「――君が悪いんだよ」
45 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:55:53 ID:MEHWP0s6
( 、∩トソン
(´・_ゝ・`)「そろそろ、屋敷が騒がしくなる頃かな」
( 、 ;∩トソン
(´・_ゝ・`)「少しは落ち着いたかい?
君があまりにも必死だから、俺もつい本気になってしまった。
すまなかったね、トソン」
( 、 ;∩トソン「……ぁ」
(´・_ゝ・`)「だけどね、トソン。これは君が望んだことだよ。
みんな、みんな滅んでしまえばいい――君はそう願った。
だから、俺は君のかわりに、君が望む滅びをもたらした」
46 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:58:30 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「そうだね、次はどうしようか」
( 、 ;∩トソン「……つ、ぎ」
(´・_ゝ・`)「そうだよ、トソン。
この程度じゃどうして、滅びなんて言える?」
( 、 ;トソン「や」
(´・_ゝ・`)「子は宝だ。まずは、この宝から消していくことにしよう。
次は、土地だ。土地を枯らそう、水を枯らそう。川には毒を流し、提を切ろうか。
俺の力の及ぶ領域全てに災いをまこう。そうしたら、次は血族の命だ」
(゚、゚;トソン「やだ」
47 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:59:00 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「契約の放棄は死を意味する。君だけじゃない、血に連なるもの全員だ。
君はミルナを、ミセリを、罪のない者たちを殺せと言っているのだよ?」
(;、;トソン「――あ」
(´・_ゝ・`)つ(;、;トソン
(´・_ゝ・`)「可哀想に、泣いてしまって。
大丈夫だよ、君が約束を違えない限りはそんなことはしない」
(´・_ゝ・`)「わかるよね、トソン。いとしい君。君は、優しい子だ」
(;、;トソン
(´・_ゝ・`)「君は全てを犠牲にすることなんかできない。
それができないのは、君が一番わかっているだろう?」
48 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:01:01 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
盛岡の一族は、でみたす様を祀り続けた。
でみたす様に従えば、土地は肥え作物が実った。
山からは珍かなる宝が見つかった。
だけど、でみたす様は同時に災いももたらした。
でみたす様に逆らえば土地は枯れ、水は干上がった。
貢物が絶えた年は、赤子が死んだ。
社が壊れた年には、流行病が起き、山崩れが起きた。
でみたす様が求めた大切な役目が果たせなかった年には、本家の人間が全て病や事故で死に絶えた。
でみたす様は、従わぬものへ祟りをなす。
それがわかっていながら、一族はでみたす様を祀り続けた。
でみたす様は力をつけすぎていた。
でみたす様との契約を破ろうとする者には、ことごとく死がもたらされた。
かつて交わされた契約は、破ることができなくない絶対の掟になっていた。
一族はでみたす様に怯えながらも、崇め祀り続けるしかなかった。
49 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:01:47 ID:MEHWP0s6
50 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:03:44 ID:MEHWP0s6
ミセ*゚ー゚)リ「おとーさんも、おかーさんもあそんでくれないの!
ひどいでしょー、おねーちゃん」
(゚、゚トソン「そうなんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「みーちゃんは一人であそんでだって!
おとーさんもおかーさんも、モナーおじさんたちとおはなししてるのにズルイよね!」
(゚、゚;トソン「モナー、叔父さん?」
ミセ*゚~゚)リ「赤ちゃんしんじゃったんだってー。
ねぇ、おねーちゃん。しんじゃったら、あそべないの?」
( 、 ;トソン「……」
ミセ;゚д゚)リ「どうしたの、おねーちゃん?」
( 、 ;トソン「……ごめんなさい」
ミセ;゚ー゚)リ「おねーちゃんなかないで。
ミセリだいじょうぶだから、ね?」
(;、;トソン「……ごめんなさい。ごめんなさい。ミセリごめんね」
51 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:04:59 ID:MEHWP0s6
52 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:06:04 ID:MEHWP0s6
――私は、きっと逃げられない。
.
53 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:06:43 ID:MEHWP0s6
54 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:07:33 ID:MEHWP0s6
.
55 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:08:04 ID:MEHWP0s6
56 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:08:54 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「ようやく口を聞いてくれたかと思ったら、それか。
気分はどうだい? 毒を抜いて、治療はしたけれどもう大丈夫かい?」
(゚、゚;トソン「ミセリは関係ないのです。伯父だって悪くない!」
(´・_ゝ・`)「君がそういった感情を向けるのは、俺だけにして欲しいのだけど。
……まあ、それだけ話せるなら体も大丈夫だね」
(゚、゚;トソン「二人はどうなったのです?」
(´-_ゝ-`)「無事だよ。かわいそうだったから、今回は見張り役だけにしておいた。
ミルナはあれでも俺の孫だからね。それに、君を育てた働きもある」
(゚、゚;トソン「……見張り役?」
(´・_ゝ・`)「君をお嬢様と呼ぶ奴がいただろう?
守るふりをして、じっと君を見張ってきた役立たずが」
/ ,' 3
(゚、゚;トソン「……荒巻の、お爺さん?」
57 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:10:19 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「自死は契約に反すると、君は知らなかったのかい。
本当に死んでいたら、あの老人程度では済まなかったよ」
(、 ;トソン「……」
(´・_ゝ・`)「確かめてくるかい? 葬式はまだのはずだよ」
(、 ;トソン「……そんな。そんな」
(´・_ゝ・`)「可哀想に。また死んでしまったね、君のせいで」
(、 ;トソン「荒巻の……お爺さん、が」
(´・_ゝ・`)「ああ。でも、本当にかわいそうなのは君か」
(、 ;トソン「……」
(´・_ゝ・`)「――君は本当に死程度で逃れられると思っていたの?」
(、 ;トソン「……っ」
(´^_ゝ^`)「俺は君が死んだとしても、また捕まえるよ。
何度でもだ。死んだって、俺は君を見つけられる」
58 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:11:55 ID:MEHWP0s6
(、 ;トソン「……私、は」
(´・_ゝ・`)「トソン、かわいそうに」
(´・_ゝ・`)「契約の破棄は出来ない。
君は、ミセリやミルナの死を本気で望んでいない。だから、君は逃げることができない。
自死することもギリギリまでためらった」
(、 ;トソン「……」
(´・_ゝ・`)「そして、君は俺を殺すことも出来なかった。
残された時間を全て使って、俺を殺すための研究をしてきたのにね」
(゚、゚;トソン「ならっ……っ、あなたが勝手に死んでください!
死んでください! 私は、あなたに死んで欲しいのです!」
(´・_ゝ・`)「そう必死にならなくても、俺だっていつかは死ぬよ。
……まぁ、君が死ぬよりも先の事になるだろうけど」
( 、 トソン「困ります! 今すぐ、死んでもらわないと困るのです」
59 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:12:31 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「どうして?
何も命をとろうというわけではない。君が従うだけで盛岡が栄えるのだ。安いものじゃないか。
君がお役目を果たせば、誰も死なない。君が心を痛めることはないんだよ」
(>、<;トソン「そうじゃない!」
(´・_ゝ・`)「なぜ、君は嫌がるんだろうね。
これまでにも君のようなお役目はいたけど、ほとんどの者は素直に従ったよ」
(゚、゚;トソン「……嫌です」
(´・_ゝ・`)「聞き分けのない子だね。そんなに嫌なのかい?」
60 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:13:18 ID:MEHWP0s6
(゚、゚;トソン「嫌です。嫌なんです」
(゚、゚トソン「……だって、あなたが死なないと」
(゚、゚;トソン「わたしはっ、 の」
( 、 ;トソン「お嫁さんになってしまうっ――」
.
61 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:14:58 ID:MEHWP0s6
62 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:15:47 ID:MEHWP0s6
63 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:16:53 ID:MEHWP0s6
( 、 ;トソン::「どうして……」
(´-_ゝ-`)「君がどうしてと言うのなら、少しだけ話をしようか……」
(´・_ゝ・`)「俺がまだ何者でもなかった頃、一人の女を見つけた」
( 、 ;トソン「……」
(´-_ゝ-`)「きれいな髪の、色の白い女だった。
まっすぐとこちらを見る目が印象的だったよ」
(´・_ゝ・`)「女は美しい見目をしていた。でも、それ以上に魂が良かった。
青い、湖のような魂の色。
――俺はどうしてもその女が欲しくなった」
(´・_ゝ・`)「だから俺は言ったのだ。あの女を寄越せと。
女を捧げ神として祀るのならば、盛岡の血族は永遠に栄えるようにしてやろう」
64 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:17:29 ID:MEHWP0s6
(゚、゚;トソン「……私は、関係ない」
(´・_ゝ・`)「関係はあるよ、一番最初の女は君だ。
俺は手に入れた女の魂に印をつけて、盛岡の血族に産まれてくるように輪廻を歪めた」
(´・_ゝ・`)「印は、目にした。
あのまっすぐな目に、美しい魂の色が映るようにと」
(´・_ゝ・`)「最初のお前は空といった。次は、緋糸、愁、来雨、久都……。
君の曽祖父の代では、貞子という名だった。あの子は弱かったが、空に似たまっすぐな目をしていた」
(゚、゚トソン「……」
65 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:19:09 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「みんないい娘だった。
俺が惹かれた魂の色は、何度生まれようと変わらずにあった。
盛岡の家などどうでもよかったが、娘の魂とあの目はとても良かった」
(´・_ゝ・`)「そして、都村。君が産まれた」
( - トソン「……」
(´・_ゝ・`)「君は貞子と同じで、体がそう強くはなかったね。
いや、貞子の血と魂を引き継いだからこそと言うべきか」
( - トソン「やめて」
キ ミ
(´・_ゝ・`)「君が死んだ時はとても悲しかった。だけどね、都村は俺に新しいトソンを残してくれた」
(´・_ゝ・`)「トソン。愛しい俺の――」
( д トソン「もうやめて!」
66 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:20:26 ID:MEHWP0s6
「――おとうさんっ!!」
.
67 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:21:13 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
でみたす様に最後に差し出された女は、私の母だった。
都村。
私と同じ名前をした、私の母。
曾祖母と同じく体の強くなかった母は、私を産み落とすと同時に息絶えた。
産まれた赤子――私は、黒い瞳だった。
私はお役目には選ばれなかった。
だけど、年を経るうちにその瞳は母と同じ青へと染まっていった。
今でも思い出す。
瞳の色が変わっていく、恐怖。
私が私ではないものに変わっていく、恐れ。
両目を潰そうとした手は、伯父によって止められた。
でみたす様が次に選んだのは私。
母の次の花嫁として選ばれたのは、でみたす様と母の血をつぐその娘だった。
68 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:21:48 ID:MEHWP0s6
でみたす様の定めたことは、一族にとって絶対だ。
違えれば、一族が死に絶える。
当主である叔父は、でみたす様に従えと言った。
曽祖父であり父でもある人でなしの神へ嫁げと、叔父は言ったのだ。
そして、私はお役目を果たすことになった。
十五になってから、最初に迎える満月。
――明日の晩。
それが叔父の定めた、約束の日。
私の婚礼の日だ。
69 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:23:47 ID:MEHWP0s6
70 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:24:51 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「都村が死んだとき、俺はまた何年も待つのかと思った。悲しかった。
だから俺は、君の魂を産まれたばかりの赤子に移した」
(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「流石に無理かと思ったが、君は大きく育ってくれたよ。
君は黒い瞳だった。都村の魂を持っていても君は、都村ではなった」
(´・_ゝ・`)「俺は次の君を待とうと思った」
(´・_ゝ・`)「だけど、それは間違っていた。
どんな形で引き継がれたとしても、君はやはり君だったんだ」
(´・_ゝ・`)「君のその目が、青く染まった時。俺は歓喜した。
俺の愛しい魂は失われずにここにある。俺の願いは届いたのだ」
71 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:25:31 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「トソン。愛しい都村。
明日になれば、君は俺の花嫁だ。血も、肉もすべてが俺のものになる」
(; ;トソン「……なぜ母を、そのまま死なせてくれなかったのですか。
なぜ私に、母と同じ役目を負わせるのですか!!!」
(´・_ゝ・`)「なぜ、死にゆく愛しい人を手放さなければならないの?」
人でなしが、心の底から不思議だという様に笑った。
(´・_ゝ・`)「トソン。いとしい私の都村」
人でなしが、人でなしの言葉を告げる。
人ではないそれには、父が娘を犯す異常が、罪がわからない。
72 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:26:32 ID:MEHWP0s6
私の母は、でみたす様の妻だ。
私の曽祖母もまた、でみたす様の妻だ。
その前の先祖にも、前の前の祖先にも、でみたす様の妻となった女達の血が流れている。
私の半分は人でなしの血で出来ていて、残りの半分も人でなしの血でできている。
この血が流れているかぎり、きっと私はどこにも逃げることなど出来ない。
それがおぞましくって。だから私は、殺してしまいたかった。
(゚、゚トソン「人でなし」
(´・_ゝ・`)「はじめから、人ではないよ」
(゚、゚トソン「大嫌い」
(´・_ゝ・`)「俺は君を愛しいと思っているよ」
私の父であり、曽祖父であり、何代も前の先祖であるそれが笑う。
仕方のない子だねと、なだめるように。
それはなんでもない父親のように笑って、人でなしの言葉を吐く。
73 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:27:27 ID:MEHWP0s6
(゚、゚トソン「私を放して」
(´・_ゝ・`)「俺は君を捕まえたつもりはないよ。
放す気もこれっぽっちもないんだけどね」
(゚、゚トソン「逃して」
(´・_ゝ・`)「君がどうしてもと望むのなら。
君の一族を殺して、災いを振りまいて、そして、君も殺そうか?」
人でなしが笑う。
獣のような耳、三つ指の尾、瞳孔のない真っ暗な瞳がこちらを見据える。
(´・_ゝ・`)「そうしたら俺は、産まれ落ちる新しい君を迎えに行こう」
( 、 トソン「いやだ」
(´・_ゝ・`)「次はどんな君だろう。
今の君や、これまでの君たちように、まっすぐな目をしているといい」
74 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:28:19 ID:MEHWP0s6
( 、 トソン「やめて」
(´-_ゝ-`)「それなら未来の話をしよう」
夢見るように人でなしは笑う。
私の言葉は、届かない。
それでも私は、聞き分けのない子供のように泣き叫ぶ。
(´・_ゝ・`)「君の産む子は、どんな子だろうね。
男でもいいが、女のほうがずっといい。君みたいなまっすぐな目をした娘だ」
(、;∩トソン「聞きたくない」
(´・_ゝ・`)「その子の魂は、どんな色をしているだろうね。
君のような、青い湖の色をしていればいい」
( 、; トソン「やだっ!!!」
(´・_ゝ・`)「――君はいつもそう言うね」
唇が落とされる。
冷たい感触が、ぞわりと私の皮膚を撫でる。
背に回される太い手と、三指の尾。
私を覗きこむ瞳は、真っ暗な光の見えない目だ。
75 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:28:55 ID:MEHWP0s6
ぱさりと、髪が落ちた。
(´-_ゝ-`)「トソン。いとしい魂を持つ、俺の娘。
俺の末裔にして、最も濃い血を引き継ぐ子よ」
(、 川「……嫌だ」
(´・_ゝ・`)「もし君が望むのなら。
俺の力が続く限り、その生命が続くようにしてもいい」
(- ;川「……嫌だ」
(´・_ゝ・`)「トソン、愛しい娘。
空の魂を引き継ぐ、一番新しい君」
76 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:29:38 ID:MEHWP0s6
もう何も聞きたくなくて、私は目を閉じた。
.
77 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:30:36 ID:MEHWP0s6
「愛しているよ」
.
78 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:31:07 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
かみさま。
人でなしの、いでみたすかみさま。でみたす様。
わたしのおとうさん。
もしあなたが本当に、かみさまならば。
魂のかけらも残さずに
わたし、を
.
79 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:31:47 ID:MEHWP0s6
殺してください。
(゚、゚トソンひとでなしのようです(´・_ゝ・`) 了
80 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:34:05 ID:???
81 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:34:35 ID:???
82 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 02:01:02 ID:???
86 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 09:06:28 ID:???
87 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 09:35:13 ID:???
88 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 13:06:08 ID:N31DJudA
89 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 15:23:01 ID:lyvMsWYs
90 :ブーン系の名無しさん:2014/03/27(木) 20:53:31 ID:???
91 :ブーン系の名無しさん:2014/03/28(金) 01:16:09 ID:???
転載元
(゚、゚トソン人ひとでなしのようです(´・_ゝ・`)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/16567/1395501269/
いろいろな意味で閲覧注意
2 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:15:17 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「ねえ、一つ聞いてもいいかい?」
(゚、゚トソン「その言葉に答える義理はないです」
(´・_ゝ・`)「まぁ、なんとなく想像はつくけどね。でも、一応聞いておくよ」
(´・_ゝ・`)「――どうして、俺はこんなにお札まみれなんだい?」
(゚、゚トソン「動けないようにするためです」
(´・_ゝ・`)「いや、別に動けるけど。
……俺を動けないようにして、君はどうするつもりだったの?」
(゚、゚トソン「そうですね。杭でも打ってみましょうか」
3 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:15:51 ID:MEHWP0s6
4 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:16:41 ID:MEHWP0s6
(゚、゚トソン「気分はどうですか?」
(´・_ゝ・`)ゞ「そうだね、とりあえず痛いね」
(゚、゚トソン「それはよかった。苦労したかいがあります。
それで、今にも死にそうですか?」
(´・_ゝ・`)「いや、別に」
〆(゚、゚トソン「……おかしいですね。私の研究によると効果があるはずなのですが」
(゚、゚トソン「杭ですよ、杭。
ありがたい五芒星が描かれた、すごい杭なんですよ。
吸血鬼ならこれで天国行き間違いなしです」
(´・_ゝ・`)「そんなよくわからないものと一緒にされても困るな。
研究熱心なのはいいのだけどね、そろそろ抜いてくれないかい?」
5 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:17:34 ID:MEHWP0s6
〆(゚、゚トソン「……いやです」
(´・_ゝ・`)「……」
〆(゚、゚トソン「お断りします」
(´・_ゝ・`)「そんなつれない反応の君が好きだよ」
〆(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「君の目は本当に素敵だね。
湖のような、青いまっすぐな目だ。俺は君のその目が好きなんだ」
(゚、゚トソン「帰ります」
(;´・_ゝ・`)「ちょっと待った、俺はこのままなの?」
(゚、゚トソン「そうですね。そのまま、くたばってください」
6 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:18:56 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(´・_ゝ・`)「やあ、トソン。
そろそろこの杭を抜いてもらえないかい?」
(゚、゚トソン「嫌です」
(゚、゚トソン「今日は、ありがたいお札というものを買ってきました」
(´・_ゝ・`)「またお札かい?
お札なら俺や柱にいっぱい貼ったじゃないか。まだ、満足できないのかい?」
(゚、゚トソン「効果がありそうなものは試す性分なんです」
ペタリ
(゚、゚トソン「貼ります。貼ります。貼ります。貼ります」
(´・_ゝ・`)「すごい数だね。高かったんじゃない?」
(゚、゚トソン「伯父の名前で買ってきました。あとで伯父がどうとでもしてくれるでしょう」
(´・_ゝ・`)「ああ、ミルナか。
金ならいくらでもあるのだから、好きにつかえばいい」
(゚、゚トソン「言われるまでもなく、使ってきました。
これがありがたいお経、お祓いのできる道具、霊力のある壺、神様っぽい像……」
(´・_ゝ・`)「やあ、トソン。
そろそろこの杭を抜いてもらえないかい?」
(゚、゚トソン「嫌です」
(゚、゚トソン「今日は、ありがたいお札というものを買ってきました」
(´・_ゝ・`)「またお札かい?
お札なら俺や柱にいっぱい貼ったじゃないか。まだ、満足できないのかい?」
(゚、゚トソン「効果がありそうなものは試す性分なんです」
ペタリ
(゚、゚トソン「貼ります。貼ります。貼ります。貼ります」
(´・_ゝ・`)「すごい数だね。高かったんじゃない?」
(゚、゚トソン「伯父の名前で買ってきました。あとで伯父がどうとでもしてくれるでしょう」
(´・_ゝ・`)「ああ、ミルナか。
金ならいくらでもあるのだから、好きにつかえばいい」
(゚、゚トソン「言われるまでもなく、使ってきました。
これがありがたいお経、お祓いのできる道具、霊力のある壺、神様っぽい像……」
7 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:19:28 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……君のそのなりふり構わない姿は、本当に可愛らしいね」
(゚、゚トソン
ビチャッ
(;´>_ゝ・`)「これは……水かい? 冷たいじゃないか」
〆(゚、゚トソン「聖水は効果なし。
とても残念です。次は海水と、神社の水あたりを行ってみましょうか」
(;´>_ゝ・`)「ちょっと、海水は傷にしみ」
〆(゚、゚トソン「せっかく買い込んできたんです。じゃんじゃん使いましょうじゃんじゃん」
バシャッ バシャッ
(;´-_ゝ-`)(あー、お気に入りの着物がベタベタだ)
8 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:20:00 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(*´・_ゝ・`)「おや、この匂いはなんだい?」
(゚、゚トソン「今日は方針を変えて、料理など作っていました」
(*´・_ゝ・`)「手料理か。
君の料理が食べられるなんて、夫婦になったみ」
(゚、゚トソン
( ゝ )ニl=と(゚、゚トソン サクッ
(゚、゚トソン「おっと、手が滑りました」
(*´・_ゝ・`)「おや、この匂いはなんだい?」
(゚、゚トソン「今日は方針を変えて、料理など作っていました」
(*´・_ゝ・`)「手料理か。
君の料理が食べられるなんて、夫婦になったみ」
(゚、゚トソン
( ゝ )ニl=と(゚、゚トソン サクッ
(゚、゚トソン「おっと、手が滑りました」
9 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:20:32 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……なんで台所でもないのに包丁があるの?」
(゚、゚トソン「死にませんね」
(´・_ゝ・`)「刺さって血が出てるけどね」
(゚、゚トソン チッ
(゚、゚トソン「刺し方が足りなかったのでしょうか。
やるからには、思いきりやらなければいけませんね」
(´・_ゝ・`)つ=lニフ グイッ
(´・_ゝ・`)「……」
(´・_ゝ・`)「危ないからこれは片付けておこう」
10 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:22:01 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「トソン、君の料理はとても美味しいね。
杭が刺さってなければ、もっと美味しいのだけど……」
(゚、゚トソン「そうですか。もっと食べてください」
(´・_ゝ・`)「言われなくても食べるよ。
なんていったって、君の手作りだ。こんなに珍しいことはないからね」
(゚、゚トソン「おかわりもありますよ」
(´・_ゝ・`)「頂こう。少しばかり変わった味だがとても美味いよ」
(゚、゚トソン「そうですか」
(´・_ゝ・`)「ところで、君は食べないのかい?
せっかく作ったんだろう? 食べないのは勿体無い」
(゚、゚トソン「毒の入ったものを食べる趣味はありませんので」
11 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:23:03 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……」
(゚、゚トソン「……何事もないですね」
(´・_ゝ・`)「おいしいよ」
(´・_ゝ・`) モグモグ
〆(゚、゚トソン「これもダメですか。残念です」
(´・_ゝ・`)「君のその冷たい反応と目、好きだよ」
12 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:23:51 ID:hlYZUqF.
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(゚、゚トソン「祓いたまえ、清めたまえ」
(´・_ゝ・`)「おや、料理はやめたのかい?」
(゚、゚トソン「効果があまり期待できなかったため、方針を変えました」
(´・_ゝ・`)「それは残念」
(´・_ゝ・`)「ところで君は何をしているのかい?」
(゚、゚トソン「お祓いというやつです」
(´・_ゝ・`)「お祓いか。気分がしゃんとして、いいよね」
(゚、゚トソン「気が変わりました。やめます」
(´・_ゝ・`)「……?」
(゚、゚トソン「祓いたまえ、清めたまえ」
(´・_ゝ・`)「おや、料理はやめたのかい?」
(゚、゚トソン「効果があまり期待できなかったため、方針を変えました」
(´・_ゝ・`)「それは残念」
(´・_ゝ・`)「ところで君は何をしているのかい?」
(゚、゚トソン「お祓いというやつです」
(´・_ゝ・`)「お祓いか。気分がしゃんとして、いいよね」
(゚、゚トソン「気が変わりました。やめます」
(´・_ゝ・`)「……?」
13 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:25:33 ID:MEHWP0s6
(゚、゚トソン パラッ
(゚、゚トソン「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」
(´・_ゝ・`)「仏門に趣旨替えかい?
まぁ、君なら坊主頭でも似合うとは思うけど……」
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚トソン パラッ ペラッ
(゚、゚トソン「……天にまします我らの父よ」
(゚、゚トソン チラッ
14 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:26:29 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「何か期待しているみたいだけど、こういうのは信仰心がないと効果がないと思うよ」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「……帰ります」
(´・_ゝ・`)「もう少し話していかないかい?
トソンと過ごす時間はとても楽しいんだ」
(゚、゚トソン「……帰ります」
(´・_ゝ・`)「照れているのかい?」
(゚、゚トソン「私は、あなたが大嫌いです」
15 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:27:38 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(゚、゚トソン「……あなたはそもそも何なのですか?」
(´・_ゝ・`)「何なのと言われてもね。それこそ今更の気がするけど……。
ちなみに、君には俺はどう見えているのかい?」
(゚、゚トソン「最低最悪の人でなし」
(´・_ゝ・`)「君がそう思うのなら、それでもいいよ」
(゚、゚トソン「……」
(´^_ゝ^`)
ガッ
(;´・_ゝ・`)「痛っ」
(゚、゚トソン「……私が聞きたいのは、あなたの正体です。
正体さえわかれば、弱点もわかるはずなんです」
(゚、゚トソン「……あなたはそもそも何なのですか?」
(´・_ゝ・`)「何なのと言われてもね。それこそ今更の気がするけど……。
ちなみに、君には俺はどう見えているのかい?」
(゚、゚トソン「最低最悪の人でなし」
(´・_ゝ・`)「君がそう思うのなら、それでもいいよ」
(゚、゚トソン「……」
(´^_ゝ^`)
ガッ
(;´・_ゝ・`)「痛っ」
(゚、゚トソン「……私が聞きたいのは、あなたの正体です。
正体さえわかれば、弱点もわかるはずなんです」
16 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:29:11 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「正体といってもね……」
(゚、゚トソン「あなたについているそれは、尾ですか?
三指の尾の妖怪など聞いたことがありません」
(´・_ゝ・`)「ああこれ? 意外と重宝するよ」
(´・_ゝ・`)と(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「その耳、形が変です。
触った感じは動物……みたいです。何かの動物が化けているのですか?」
(´・_ゝ・`)「君に触られるというのは悪くないね。
できればずっとこのまま、触っていてもらいたいものだ」
(゚、゚トソン「虫酸が走るので黙っていてください。気持ち悪い」
(゚、゚トソン「その目……瞳孔がないのですね」
(´・_ゝ・`)「さてと、どうだろうね。自分でもしかと見たことがないし、わからないよ。
俺について詳しく知ろうなんてやつも、ここ数百年はいなかったし」
(゚、゚トソン「私だって知りたくありませんよ。あなたみたいなやつなんて」
17 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:29:46 ID:MEHWP0s6
(´-_ゝ-`)「そうかい。それは残念だ」
(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「じゃあ、今度は俺が君に質問をしてみようかな」
(´^_ゝ^`)「白無垢と、ドレスならどちが好き?」
(゚、゚トソン
ガッ
(;´ _ゝ `)「いだっ」
18 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:30:24 ID:MEHWP0s6
(;´・_ゝ・`)「ねえ、今、お腹の杭を思いっきり蹴ったよね?!」
ガンッ ガン
(゚、゚トソン「……知りません」
ガッ ガッ グリグリ
(;´・_ゝ・`)「ね、やめ。あだっ、痛っ」
ガン
(;´・_ゝ・`)「そろそろこの杭、抜いてくれないかい?」
(゚、゚トソン「……何で、死なないのでしょうか」
19 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:31:16 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(´-_ゝ-`)「……もうすぐ満月だね。ミルナとの約束の期日だ」
〆(゚、゚トソン「まだ時間はあります」
(´・_ゝ・`)「せっかく来てくれたのと思ったのに、研究かい? 君も熱心だね」
〆(゚、゚トソン「……必死にもなります」
(´・_ゝ・`)「研究に夢中になる君も素敵だけどね。俺としてはもっと君と話がしたいよ」
〆(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「ほら、その目で俺を見てくれないかな」
(´・_ゝ・`)「ここは君とミルナくらいしか来ないから、退屈なんだ」
〆(゚、゚トソン「一生、暇でいてください」
(´-_ゝ-`)「……もうすぐ満月だね。ミルナとの約束の期日だ」
〆(゚、゚トソン「まだ時間はあります」
(´・_ゝ・`)「せっかく来てくれたのと思ったのに、研究かい? 君も熱心だね」
〆(゚、゚トソン「……必死にもなります」
(´・_ゝ・`)「研究に夢中になる君も素敵だけどね。俺としてはもっと君と話がしたいよ」
〆(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「ほら、その目で俺を見てくれないかな」
(´・_ゝ・`)「ここは君とミルナくらいしか来ないから、退屈なんだ」
〆(゚、゚トソン「一生、暇でいてください」
20 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:32:46 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「そういう冷たい君も好きだけどね」
(´・_ゝ・`)「……約束の日、早く来ないかな」
〆(゚、゚トソン
ゲシッ
(;´・_ゝ・`)「痛っ」
ゲシッ ガッ
(;´・_ゝ・`)「杭を蹴るのはやめてって。刺さってるんだよ? 体に」
〆(゚、゚トソン「そうですか」
(;´-_ゝ・`)「トソン、この杭はいつまでこのままなんだい?
そろそろ君に蹴られるのも、悲しくなってきたのだけど」
(゚、゚トソン「あなたが死ぬまでです」
21 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:33:38 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚トソン「約束の、日」
(゚、゚トソン(……時間)
(゚、゚トソン(……このまま止まればいいのに)
.
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚トソン「約束の、日」
(゚、゚トソン(……時間)
(゚、゚トソン(……このまま止まればいいのに)
.
22 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:35:05 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(-、-トソン (弱点、わからなかった)
(゚、゚トソン (お札……効果があるかどうかわからない。効いてないのかも)
(゚、゚トソン (聖水効果なし。だめ元で買った道具やお経もだめ)
(゚、゚トソン (信仰心はありません。神様は、嫌い)
(゚、゚トソン (包丁も毒も効果なし)
(゚、゚トソン (杭。今のところ一番効果があるけど……
……効いてるのか、効いてないのかわからない)
(゚、゚トソン(時間が、ない)
〆(゚、゚トソン カリ カリ カリ
(-、-トソン (弱点、わからなかった)
(゚、゚トソン (お札……効果があるかどうかわからない。効いてないのかも)
(゚、゚トソン (聖水効果なし。だめ元で買った道具やお経もだめ)
(゚、゚トソン (信仰心はありません。神様は、嫌い)
(゚、゚トソン (包丁も毒も効果なし)
(゚、゚トソン (杭。今のところ一番効果があるけど……
……効いてるのか、効いてないのかわからない)
(゚、゚トソン(時間が、ない)
〆(゚、゚トソン カリ カリ カリ
23 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:35:37 ID:MEHWP0s6
カリ カリ カリ カリ
ペラッ
カカカカカ カリカリ
ゴシゴシ
〆( 、 トソン
カリカリカリ
〆( 、 トソン (早く、何とかしないと……)
ガリガリガリガリ カリッ
24 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:36:32 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(゚、゚トソン ……
(´・_ゝ・`)「やぁ、トソン。少しだけひさしぶりだね」
(゚、゚トソン ……
(´・_ゝ・`)「その手に持っているものは、刀かな?
随分と古式ゆかしいものを持って来たんだね」
(゚、゚トソン ……
(゚、゚トソン ……
(´・_ゝ・`)「やぁ、トソン。少しだけひさしぶりだね」
(゚、゚トソン ……
(´・_ゝ・`)「その手に持っているものは、刀かな?
随分と古式ゆかしいものを持って来たんだね」
(゚、゚トソン ……
25 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:37:08 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「それで、俺をどうするつもりなのかな?」
――ザッ
( 、 トソン「死んでください」
ザクッ
.
26 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:38:00 ID:MEHWP0s6
ピチャリ
( 、 トソン (血がいっぱい)
ピチャリ
( 、 トソン (……動かない。首、落とさなきゃ)
( 、 トソン (刀、重い……)
27 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:38:47 ID:MEHWP0s6
ギッ
ミチッ
ミチッ
グチュッ
ハァツ
グチャッ
ハッ
グチュリグチッギシッ メッ グチャゴリグチャグチャ ベキリ
28 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:40:13 ID:MEHWP0s6
( 、 トソン ハァ ハァッ ハ
( 、 トソン「終わった。これ、で」
ゴトッ
( 、 トソン「いくらあいつでも、首を落とせば……」
29 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:41:34 ID:MEHWP0s6
(´ _ゝ `)「――まぁ、普通はそうなんだけどね」
.
30 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:42:35 ID:MEHWP0s6
ジリジリと、何かが焦げる臭いがした。
ガランとしたお社に、ぼうと、強い明かりが灯る。
見回すと壁が、柱が――正確にはそこに貼られたお札が、燃えている。
目を鋭く刺す煙が、空気に混ざる。
吸った息が喉に焼き付いて、私を咳き込ませる。
ずるりと、嫌な音がした。
それから、ごとりと何かが落ちる音と、拾い上げるような音。
目を向けた先に、血にまみれた杭があった。
私がいつか用意した、見覚えのある杭。
そして、
揺れる空気の向こうで、男の体がうごめいた。
31 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:43:19 ID:MEHWP0s6
(゚、゚;トソン「――なんで」
(´・_ゝ・`)「どうしたんだい、トソン?
とても顔色が悪いよ。それにとても疲れているみたいだ」
(゚、゚;トソン「なんで首。しゃべっ」
(´・_ゝ・`)「ああ、その表情はとてもいいね。
いつものすました顔もいいけど、今の君はとても人間らしくていい」
(゚、゚;トソン「……なんで! なんでっ!」
(´・_ゝ・`)「首をくっつけるのはやはり大変だね。
できればこれっきりにしてほしいものだ」
(゚、゚;トソン「首、落ちっ……血が……血が……」
32 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:43:51 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「せっかく君がくれたお札だったけどね。
首をつなげるのに邪魔だから、焼いてしまったよ」
(゚、゚;トソン「やっ……なんで……なん」
(´・_ゝ・`)「それにこの杭も。君のお気に入りだったのに、ごめんね」
(゚、゚;トソン「ばけもの……いや」
(´・_ゝ・`)「おやおや、あまり興奮するのは良くないよ」
(´・_ゝ・`)つ(゚、゚;トソン スッ
(´^_ゝ^`)「ほら、いい子にして」
( 、 ;トソン「――嫌ぁぁぁぁっ!!!」
(´・_ゝ・`)「……」
(´・_ゝ・`)「……逃げられちゃったか。でもまあ、こんな時間もあと少しだ」
33 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:44:32 ID:MEHWP0s6
私は、きっと失敗したのだと思います。
.
34 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:45:14 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(´・_ゝ・`)「今日はもう来ないんじゃないかと思っていたよ」
(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「随分と顔色が悪いね。大丈夫かい、トソン?」
(゚、゚トソン「……問題、ないです」
(´・_ゝ・`)「それは、よかった。とても心配していたんだよ。
――ああ、俺かい? 首ならこうして綺麗につながったよ」
(´-_ゝ-`)「君が嫌がると思ったから、ちゃんと着替えたし。この社も清めさせたんだ」
(*´-_ゝ-`)「呼び出された時の、ミルナの顔といったら。とても愉快だったよ」
(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「トソン。首を切り離すなんて大変だったろう?
昨日はよく頑張ったね」
( 、 トソン「……」
(´・_ゝ・`)「今日はもう来ないんじゃないかと思っていたよ」
(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「随分と顔色が悪いね。大丈夫かい、トソン?」
(゚、゚トソン「……問題、ないです」
(´・_ゝ・`)「それは、よかった。とても心配していたんだよ。
――ああ、俺かい? 首ならこうして綺麗につながったよ」
(´-_ゝ-`)「君が嫌がると思ったから、ちゃんと着替えたし。この社も清めさせたんだ」
(*´-_ゝ-`)「呼び出された時の、ミルナの顔といったら。とても愉快だったよ」
(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「トソン。首を切り離すなんて大変だったろう?
昨日はよく頑張ったね」
( 、 トソン「……」
35 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:46:03 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……トソン?」
( 、 トソン「……どうして、死なないの?」
(´・_ゝ・`)「どうしたんだい? 急に」
( 、 ;トソン「やっと殺せたと思ったのに。やっと消えたと思ったのに。
どうして? どうしてなの?!」
(´・_ゝ・`)「今日の君はお喋りだね。
俺としては、君との会話はとても嬉しいものだからいいのだけど」
(゚、゚トソン「――あなたはどうやったら死ぬのですか?」
36 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:46:33 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「どうやったら死ぬの……ね。
そういうことは普通、本人には聞かないものだよ。
研究はもういいのかい? いろいろと熱心にやっていたけど」
(゚、゚;トソン「……」
( 、 トソン「……もう時間がないんです。
あなたが私の目の前から消えるのなら、私はなんだってやります」
(´・_ゝ・`)つ(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「ほら、顔を上げて。せっかくの君の瞳が見えない」
(゚、゚;トソン「……」
37 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:47:55 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……消えろ、か」
(´・_ゝ・`)「そうしてあげてもいいけど、無理だ」
(´・_ゝ・`)「ミルナは絶対に許さないよ。
あいつは当主だ。一族全員の命を背負う義務がある。
そして何より、あれは今の暮らしを愛している」
(゚、゚トソン「……っ」
(´-_ゝ-`)「ミルナだけではない。一族の者たちは絶対に君を許さない。
君のために、金と地位を投げ捨てたいなどと言う者はどれくらいいるのかな」
(゚、゚トソン「……そんなもの」
(´・_ゝ・`)「金や地位なんて、なくてもいい? まぁ、それも真理だね。
だけどだめだ。契約ははるか昔に取り交わされている」
(´・_ゝ・`)「君たち一族と俺は、契約の上に成り立っている。
それを今更、違えることなんてできないよ」
38 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:50:30 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
私の先祖は人でなしだったらしい。
金とか、土地とか、栄誉とかそんなもののために、踏み込んではならない領域に手を出した。
そして、私の先祖は正体のわからないバケモノと手を組んだ。
そいつが富をもたらすために出した条件は二つ。
一つは己を神として祀り上げること。
そして、もう一つはそいつの定めたお役目を果たすこと。
人でなしの先祖は、その条件を受け入れた。
屋敷の一角に社を作り、よくわからないそれを神として祀り上げた。
家を栄えさせる。それだけのために、一族の女にお役目を押し付けた。
盛岡家に出で、満たす神。
神は約束の通り、盛岡家に繁栄をもたらし続けた。
一族は神のために、さまざまな貢物を捧げた。
盛岡家が栄えれば栄えるほど、その神は力を増していった。
私の先祖は人でなしだったらしい。
金とか、土地とか、栄誉とかそんなもののために、踏み込んではならない領域に手を出した。
そして、私の先祖は正体のわからないバケモノと手を組んだ。
そいつが富をもたらすために出した条件は二つ。
一つは己を神として祀り上げること。
そして、もう一つはそいつの定めたお役目を果たすこと。
人でなしの先祖は、その条件を受け入れた。
屋敷の一角に社を作り、よくわからないそれを神として祀り上げた。
家を栄えさせる。それだけのために、一族の女にお役目を押し付けた。
盛岡家に出で、満たす神。
神は約束の通り、盛岡家に繁栄をもたらし続けた。
一族は神のために、さまざまな貢物を捧げた。
盛岡家が栄えれば栄えるほど、その神は力を増していった。
39 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:51:39 ID:MEHWP0s6
出で満たす神様。
転じて、――でみたす様。
盛岡家に繁栄をもたらす、神様。
今、私の目の前にいる男は、そのでみたす様だ。
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
40 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:52:23 ID:MEHWP0s6
( 、 トソン「契約を――違えることは出来ない。なら……」
(´・_ゝ・`)「逃げる、かい?
でも、それができないことは君が一番知っているだろう?」
( 、 トソン「……」
(´・_ゝ・`)「ミルナは逃さないよ。
屋敷にいる使用人は、本当は何のためだと思う? 君を逃さないためだよ」
(´・_ゝ・`)「……それに」
41 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:52:55 ID:MEHWP0s6
( _ゝ )「他の誰が認めても、俺が許さない」
.
42 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:53:33 ID:MEHWP0s6
( 、 ;トソン
(´・_ゝ・`)「そうだね、君が捕まるまで、盛岡の一族に不幸をもたらし続けようか。
最初は……そうだね。裏の山が崩れる、というのはどうだろう?」
(゚、゚;トソン「や、山なんて崩れてしまえばいいのです」
(´-_ゝ-`)「随分と君らしくないことを言うんだね。
俺がうっかり、その通りにしたらどうするんだい?」
( 、 ;トソン「~~勝手にすればいいでしょう!」
( 、 ;トソン
(>、<;トソン「――みんな、みんな滅んでしまえばいいんです!」
43 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:54:33 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「……君が言うならそうしようか。
でもまぁ、いきなり山を崩すのも面白く無いから……そうだね」
(゚、゚;トソン「え?」
(´・_ゝ・`)「……ミルナの娘はまだ5つだったかな」
(´^_ゝ^`)「ミセリと言ったっけ。
髪飾りの似合うかわいい子。君とも仲が良かったね。」
(´・_ゝ・`)「そうだな、流行病にしよう。
いや、それとも君のお気に入りだ。もう少し悲劇的なほうがいいかな?」
(゚、゚;トソン「……やだ」
(´・_ゝ・`)「そうか。なら、ミルナの弟のところにでもしようか。
順調に行けば来月に産まれる子がいたな。賢くなりそうな男の子」
44 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:55:21 ID:MEHWP0s6
(゚、゚;トソン「……やめて」
(´・_ゝ・`)「うん、気に入った。この子にしよう。
今ここで殺してしまえば、将来ミセリと家督争いをする心配もないしね」
( д ;トソン「おねがい、やめて」
(´・_ゝ・`)「やだよ。やめてあげない」
( д ;トソン「おねがい、お願いだからっ!!!」
(´・_ゝ・`)「……」
(´^_ゝ^`)「――君が悪いんだよ」
45 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:55:53 ID:MEHWP0s6
( 、∩トソン
(´・_ゝ・`)「そろそろ、屋敷が騒がしくなる頃かな」
( 、 ;∩トソン
(´・_ゝ・`)「少しは落ち着いたかい?
君があまりにも必死だから、俺もつい本気になってしまった。
すまなかったね、トソン」
( 、 ;∩トソン「……ぁ」
(´・_ゝ・`)「だけどね、トソン。これは君が望んだことだよ。
みんな、みんな滅んでしまえばいい――君はそう願った。
だから、俺は君のかわりに、君が望む滅びをもたらした」
46 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:58:30 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「そうだね、次はどうしようか」
( 、 ;∩トソン「……つ、ぎ」
(´・_ゝ・`)「そうだよ、トソン。
この程度じゃどうして、滅びなんて言える?」
( 、 ;トソン「や」
(´・_ゝ・`)「子は宝だ。まずは、この宝から消していくことにしよう。
次は、土地だ。土地を枯らそう、水を枯らそう。川には毒を流し、提を切ろうか。
俺の力の及ぶ領域全てに災いをまこう。そうしたら、次は血族の命だ」
(゚、゚;トソン「やだ」
47 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 00:59:00 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「契約の放棄は死を意味する。君だけじゃない、血に連なるもの全員だ。
君はミルナを、ミセリを、罪のない者たちを殺せと言っているのだよ?」
(;、;トソン「――あ」
(´・_ゝ・`)つ(;、;トソン
(´・_ゝ・`)「可哀想に、泣いてしまって。
大丈夫だよ、君が約束を違えない限りはそんなことはしない」
(´・_ゝ・`)「わかるよね、トソン。いとしい君。君は、優しい子だ」
(;、;トソン
(´・_ゝ・`)「君は全てを犠牲にすることなんかできない。
それができないのは、君が一番わかっているだろう?」
48 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:01:01 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
盛岡の一族は、でみたす様を祀り続けた。
でみたす様に従えば、土地は肥え作物が実った。
山からは珍かなる宝が見つかった。
だけど、でみたす様は同時に災いももたらした。
でみたす様に逆らえば土地は枯れ、水は干上がった。
貢物が絶えた年は、赤子が死んだ。
社が壊れた年には、流行病が起き、山崩れが起きた。
でみたす様が求めた大切な役目が果たせなかった年には、本家の人間が全て病や事故で死に絶えた。
でみたす様は、従わぬものへ祟りをなす。
それがわかっていながら、一族はでみたす様を祀り続けた。
でみたす様は力をつけすぎていた。
でみたす様との契約を破ろうとする者には、ことごとく死がもたらされた。
かつて交わされた契約は、破ることができなくない絶対の掟になっていた。
一族はでみたす様に怯えながらも、崇め祀り続けるしかなかった。
49 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:01:47 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
/ ,' 3 「トソンお嬢様。
ミセリお嬢様がお越しですが、お通ししてもよろしいですか?」
(゚、゚トソン「……」
/ ,' 3 「トソンお嬢様?」
(゚、゚;トソン「……! 通してください」
ミセ*゚ー゚)リ ヒョコッ
ミセ*゚ー゚)リ「トソンおねーちゃんー!!」
(゚、゚;トソン「ミセリ。あなた無事ですか? 怪我とか、してませんか?」
ミセ*゚ー゚)リ「どうしたのおねーちゃん? それより、あそぼー」
( 、 ;トソン「よかっ……た」
/ ,' 3 「トソンお嬢様。
ミセリお嬢様がお越しですが、お通ししてもよろしいですか?」
(゚、゚トソン「……」
/ ,' 3 「トソンお嬢様?」
(゚、゚;トソン「……! 通してください」
ミセ*゚ー゚)リ ヒョコッ
ミセ*゚ー゚)リ「トソンおねーちゃんー!!」
(゚、゚;トソン「ミセリ。あなた無事ですか? 怪我とか、してませんか?」
ミセ*゚ー゚)リ「どうしたのおねーちゃん? それより、あそぼー」
( 、 ;トソン「よかっ……た」
50 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:03:44 ID:MEHWP0s6
ミセ*゚ー゚)リ「おとーさんも、おかーさんもあそんでくれないの!
ひどいでしょー、おねーちゃん」
(゚、゚トソン「そうなんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「みーちゃんは一人であそんでだって!
おとーさんもおかーさんも、モナーおじさんたちとおはなししてるのにズルイよね!」
(゚、゚;トソン「モナー、叔父さん?」
ミセ*゚~゚)リ「赤ちゃんしんじゃったんだってー。
ねぇ、おねーちゃん。しんじゃったら、あそべないの?」
( 、 ;トソン「……」
ミセ;゚д゚)リ「どうしたの、おねーちゃん?」
( 、 ;トソン「……ごめんなさい」
ミセ;゚ー゚)リ「おねーちゃんなかないで。
ミセリだいじょうぶだから、ね?」
(;、;トソン「……ごめんなさい。ごめんなさい。ミセリごめんね」
51 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:04:59 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
( ゚д゚ )「……トソン」
(゚、゚トソン「……」
( ゚д゚ )「……わかって、いるな」
(゚、゚トソン「……伯父様」
( ゚д゚ )「モナーは怒っている。
お前が役目を果たそうとしないから、祟りが起きたのだと……」
(゚、゚トソン「……」
( ゚д゚ )「お前には、本当にすまないと思っている。
だけど、お前をかばい続けるのはもう限界だ」
(゚、゚トソン「……」
::( д )::「すまない、トソン。本当に……」
(-、-トソン「……」
( ゚д゚ )「……トソン」
(゚、゚トソン「……」
( ゚д゚ )「……わかって、いるな」
(゚、゚トソン「……伯父様」
( ゚д゚ )「モナーは怒っている。
お前が役目を果たそうとしないから、祟りが起きたのだと……」
(゚、゚トソン「……」
( ゚д゚ )「お前には、本当にすまないと思っている。
だけど、お前をかばい続けるのはもう限界だ」
(゚、゚トソン「……」
::( д )::「すまない、トソン。本当に……」
(-、-トソン「……」
52 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:06:04 ID:MEHWP0s6
――私は、きっと逃げられない。
.
53 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:06:43 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(゚、゚トソン「……」
人目が途絶えたところを見計らって、戸棚から小瓶を取り出した。
山に生える青い花。その根を乾燥させて作った小瓶の中身。
いつか料理に入れたことを、思い出す。
でみたす様は美味しいといっていたが、きっとおいしいものなんかじゃないのだろう。
(-、-;トソン「……」
水と一緒に飲み干した。
口に走るしびれは、やがて苦しみとともに私の命を奪うだろう。
( 、 トソン「もっと早く、こうしていればよかったです」
なかなか踏み出さなかったのは、きっと自分がかわいかったからだ。
それでも、 もう、 いい
これで、 ぜんぶ おわる
から
.
(゚、゚トソン「……」
人目が途絶えたところを見計らって、戸棚から小瓶を取り出した。
山に生える青い花。その根を乾燥させて作った小瓶の中身。
いつか料理に入れたことを、思い出す。
でみたす様は美味しいといっていたが、きっとおいしいものなんかじゃないのだろう。
(-、-;トソン「……」
水と一緒に飲み干した。
口に走るしびれは、やがて苦しみとともに私の命を奪うだろう。
( 、 トソン「もっと早く、こうしていればよかったです」
なかなか踏み出さなかったのは、きっと自分がかわいかったからだ。
それでも、 もう、 いい
これで、 ぜんぶ おわる
から
.
54 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:07:33 ID:MEHWP0s6
.
55 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:08:04 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(´・_ゝ・`)「――おはよう、トソン」
(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「ミルナが動かない君を連れて駆け込んできた」
(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「明日は、約束の満月だ」
(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「最後の夜が近づくとこういうことが起こるから、ミルナには目を離すなと言っていたのだけれどもね」
(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「可哀想に、ミルナも真っ青になっていたよ。
娘の――ミセリの命だけは助けてくれと言っていたな」
(´・_ゝ・`)「ああなっては当主の威厳の欠片もないね。
でもまあ、そちらの方が人間らしくて面白いのだけど」
(゚、゚トソン「……ミセリは。伯父は」
(´・_ゝ・`)「――おはよう、トソン」
(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「ミルナが動かない君を連れて駆け込んできた」
(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「明日は、約束の満月だ」
(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「最後の夜が近づくとこういうことが起こるから、ミルナには目を離すなと言っていたのだけれどもね」
(゚、゚トソン
(´・_ゝ・`)「可哀想に、ミルナも真っ青になっていたよ。
娘の――ミセリの命だけは助けてくれと言っていたな」
(´・_ゝ・`)「ああなっては当主の威厳の欠片もないね。
でもまあ、そちらの方が人間らしくて面白いのだけど」
(゚、゚トソン「……ミセリは。伯父は」
56 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:08:54 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「ようやく口を聞いてくれたかと思ったら、それか。
気分はどうだい? 毒を抜いて、治療はしたけれどもう大丈夫かい?」
(゚、゚;トソン「ミセリは関係ないのです。伯父だって悪くない!」
(´・_ゝ・`)「君がそういった感情を向けるのは、俺だけにして欲しいのだけど。
……まあ、それだけ話せるなら体も大丈夫だね」
(゚、゚;トソン「二人はどうなったのです?」
(´-_ゝ-`)「無事だよ。かわいそうだったから、今回は見張り役だけにしておいた。
ミルナはあれでも俺の孫だからね。それに、君を育てた働きもある」
(゚、゚;トソン「……見張り役?」
(´・_ゝ・`)「君をお嬢様と呼ぶ奴がいただろう?
守るふりをして、じっと君を見張ってきた役立たずが」
/ ,' 3
(゚、゚;トソン「……荒巻の、お爺さん?」
57 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:10:19 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「自死は契約に反すると、君は知らなかったのかい。
本当に死んでいたら、あの老人程度では済まなかったよ」
(、 ;トソン「……」
(´・_ゝ・`)「確かめてくるかい? 葬式はまだのはずだよ」
(、 ;トソン「……そんな。そんな」
(´・_ゝ・`)「可哀想に。また死んでしまったね、君のせいで」
(、 ;トソン「荒巻の……お爺さん、が」
(´・_ゝ・`)「ああ。でも、本当にかわいそうなのは君か」
(、 ;トソン「……」
(´・_ゝ・`)「――君は本当に死程度で逃れられると思っていたの?」
(、 ;トソン「……っ」
(´^_ゝ^`)「俺は君が死んだとしても、また捕まえるよ。
何度でもだ。死んだって、俺は君を見つけられる」
58 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:11:55 ID:MEHWP0s6
(、 ;トソン「……私、は」
(´・_ゝ・`)「トソン、かわいそうに」
(´・_ゝ・`)「契約の破棄は出来ない。
君は、ミセリやミルナの死を本気で望んでいない。だから、君は逃げることができない。
自死することもギリギリまでためらった」
(、 ;トソン「……」
(´・_ゝ・`)「そして、君は俺を殺すことも出来なかった。
残された時間を全て使って、俺を殺すための研究をしてきたのにね」
(゚、゚;トソン「ならっ……っ、あなたが勝手に死んでください!
死んでください! 私は、あなたに死んで欲しいのです!」
(´・_ゝ・`)「そう必死にならなくても、俺だっていつかは死ぬよ。
……まぁ、君が死ぬよりも先の事になるだろうけど」
( 、 トソン「困ります! 今すぐ、死んでもらわないと困るのです」
59 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:12:31 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「どうして?
何も命をとろうというわけではない。君が従うだけで盛岡が栄えるのだ。安いものじゃないか。
君がお役目を果たせば、誰も死なない。君が心を痛めることはないんだよ」
(>、<;トソン「そうじゃない!」
(´・_ゝ・`)「なぜ、君は嫌がるんだろうね。
これまでにも君のようなお役目はいたけど、ほとんどの者は素直に従ったよ」
(゚、゚;トソン「……嫌です」
(´・_ゝ・`)「聞き分けのない子だね。そんなに嫌なのかい?」
60 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:13:18 ID:MEHWP0s6
(゚、゚;トソン「嫌です。嫌なんです」
(゚、゚トソン「……だって、あなたが死なないと」
(゚、゚;トソン「わたしはっ、 の」
( 、 ;トソン「お嫁さんになってしまうっ――」
.
61 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:14:58 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
子孫代々に続く繁栄をもたらそう。
――ただし、約束を守るなら。
でみたす様は、盛岡の最初の当主に言いました。
でみたす様は、当主に二つの条件を出しました。
一つは、己を神として祀ること。
もう一つはでみたす様の定めたお役目を果たすこと。
盛岡家にかされたお役目。
それは、でみたす様が定めた娘を、妻として捧げることでした。
でみたす様は定めた娘に、印をつけました。
印のある娘は十五になると、お役目としてでみたす様に捧げられました。
そして、それは私も同じ。
――私は、やがてでみたす様に捧げられる生贄だ。
子孫代々に続く繁栄をもたらそう。
――ただし、約束を守るなら。
でみたす様は、盛岡の最初の当主に言いました。
でみたす様は、当主に二つの条件を出しました。
一つは、己を神として祀ること。
もう一つはでみたす様の定めたお役目を果たすこと。
盛岡家にかされたお役目。
それは、でみたす様が定めた娘を、妻として捧げることでした。
でみたす様は定めた娘に、印をつけました。
印のある娘は十五になると、お役目としてでみたす様に捧げられました。
そして、それは私も同じ。
――私は、やがてでみたす様に捧げられる生贄だ。
62 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:15:47 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
(´・_ゝ・`)「お嫁さんか。そう言うと存外に可愛い響きだね」
::( 、 ;トソン::「……なんで、私なのですか」
(´・_ゝ・`)「それは君に印があるからだよ」
(´・_ゝ・`)つ( 、 ;トソン::
(´・_ゝ・`)「君のその目。湖のように美しい青い瞳。これが印だ」
( 、 ;トソン::
(´・_ゝ・`)「ああ」
(´・_ゝ・`)「こんなに震えてしまって、可哀想に」
(´・_ゝ・`)「お嫁さんか。そう言うと存外に可愛い響きだね」
::( 、 ;トソン::「……なんで、私なのですか」
(´・_ゝ・`)「それは君に印があるからだよ」
(´・_ゝ・`)つ( 、 ;トソン::
(´・_ゝ・`)「君のその目。湖のように美しい青い瞳。これが印だ」
( 、 ;トソン::
(´・_ゝ・`)「ああ」
(´・_ゝ・`)「こんなに震えてしまって、可哀想に」
63 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:16:53 ID:MEHWP0s6
( 、 ;トソン::「どうして……」
(´-_ゝ-`)「君がどうしてと言うのなら、少しだけ話をしようか……」
(´・_ゝ・`)「俺がまだ何者でもなかった頃、一人の女を見つけた」
( 、 ;トソン「……」
(´-_ゝ-`)「きれいな髪の、色の白い女だった。
まっすぐとこちらを見る目が印象的だったよ」
(´・_ゝ・`)「女は美しい見目をしていた。でも、それ以上に魂が良かった。
青い、湖のような魂の色。
――俺はどうしてもその女が欲しくなった」
(´・_ゝ・`)「だから俺は言ったのだ。あの女を寄越せと。
女を捧げ神として祀るのならば、盛岡の血族は永遠に栄えるようにしてやろう」
64 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:17:29 ID:MEHWP0s6
(゚、゚;トソン「……私は、関係ない」
(´・_ゝ・`)「関係はあるよ、一番最初の女は君だ。
俺は手に入れた女の魂に印をつけて、盛岡の血族に産まれてくるように輪廻を歪めた」
(´・_ゝ・`)「印は、目にした。
あのまっすぐな目に、美しい魂の色が映るようにと」
(´・_ゝ・`)「最初のお前は空といった。次は、緋糸、愁、来雨、久都……。
君の曽祖父の代では、貞子という名だった。あの子は弱かったが、空に似たまっすぐな目をしていた」
(゚、゚トソン「……」
65 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:19:09 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「みんないい娘だった。
俺が惹かれた魂の色は、何度生まれようと変わらずにあった。
盛岡の家などどうでもよかったが、娘の魂とあの目はとても良かった」
(´・_ゝ・`)「そして、都村。君が産まれた」
( - トソン「……」
(´・_ゝ・`)「君は貞子と同じで、体がそう強くはなかったね。
いや、貞子の血と魂を引き継いだからこそと言うべきか」
( - トソン「やめて」
キ ミ
(´・_ゝ・`)「君が死んだ時はとても悲しかった。だけどね、都村は俺に新しいトソンを残してくれた」
(´・_ゝ・`)「トソン。愛しい俺の――」
( д トソン「もうやめて!」
66 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:20:26 ID:MEHWP0s6
「――おとうさんっ!!」
.
67 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:21:13 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
でみたす様に最後に差し出された女は、私の母だった。
都村。
私と同じ名前をした、私の母。
曾祖母と同じく体の強くなかった母は、私を産み落とすと同時に息絶えた。
産まれた赤子――私は、黒い瞳だった。
私はお役目には選ばれなかった。
だけど、年を経るうちにその瞳は母と同じ青へと染まっていった。
今でも思い出す。
瞳の色が変わっていく、恐怖。
私が私ではないものに変わっていく、恐れ。
両目を潰そうとした手は、伯父によって止められた。
でみたす様が次に選んだのは私。
母の次の花嫁として選ばれたのは、でみたす様と母の血をつぐその娘だった。
68 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:21:48 ID:MEHWP0s6
でみたす様の定めたことは、一族にとって絶対だ。
違えれば、一族が死に絶える。
当主である叔父は、でみたす様に従えと言った。
曽祖父であり父でもある人でなしの神へ嫁げと、叔父は言ったのだ。
そして、私はお役目を果たすことになった。
十五になってから、最初に迎える満月。
――明日の晩。
それが叔父の定めた、約束の日。
私の婚礼の日だ。
69 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:23:47 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
( - トソン「……おかしい。あなたは、おとうさんはおかしい」
( 、 トソン「なんで、私をお嫁にするなんて言うんですか。
なんで死なないんですか、なんで人間じゃないんですか」
(´・_ゝ・`)「おとうさん、か」
( - トソン「……っ」
(´・_ゝ・`)「そう呼ばれたのは、随分久しぶりな気がするね。
ここ最近の、あなたというのも良かったが。うん、悪くない」
(´・_ゝ・`)「……」
(´-_ゝ-`)「――なんで、と言ったか」
( - トソン「……おかしい。あなたは、おとうさんはおかしい」
( 、 トソン「なんで、私をお嫁にするなんて言うんですか。
なんで死なないんですか、なんで人間じゃないんですか」
(´・_ゝ・`)「おとうさん、か」
( - トソン「……っ」
(´・_ゝ・`)「そう呼ばれたのは、随分久しぶりな気がするね。
ここ最近の、あなたというのも良かったが。うん、悪くない」
(´・_ゝ・`)「……」
(´-_ゝ-`)「――なんで、と言ったか」
70 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:24:51 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「都村が死んだとき、俺はまた何年も待つのかと思った。悲しかった。
だから俺は、君の魂を産まれたばかりの赤子に移した」
(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「流石に無理かと思ったが、君は大きく育ってくれたよ。
君は黒い瞳だった。都村の魂を持っていても君は、都村ではなった」
(´・_ゝ・`)「俺は次の君を待とうと思った」
(´・_ゝ・`)「だけど、それは間違っていた。
どんな形で引き継がれたとしても、君はやはり君だったんだ」
(´・_ゝ・`)「君のその目が、青く染まった時。俺は歓喜した。
俺の愛しい魂は失われずにここにある。俺の願いは届いたのだ」
71 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:25:31 ID:MEHWP0s6
(´・_ゝ・`)「トソン。愛しい都村。
明日になれば、君は俺の花嫁だ。血も、肉もすべてが俺のものになる」
(; ;トソン「……なぜ母を、そのまま死なせてくれなかったのですか。
なぜ私に、母と同じ役目を負わせるのですか!!!」
(´・_ゝ・`)「なぜ、死にゆく愛しい人を手放さなければならないの?」
人でなしが、心の底から不思議だという様に笑った。
(´・_ゝ・`)「トソン。いとしい私の都村」
人でなしが、人でなしの言葉を告げる。
人ではないそれには、父が娘を犯す異常が、罪がわからない。
72 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:26:32 ID:MEHWP0s6
私の母は、でみたす様の妻だ。
私の曽祖母もまた、でみたす様の妻だ。
その前の先祖にも、前の前の祖先にも、でみたす様の妻となった女達の血が流れている。
私の半分は人でなしの血で出来ていて、残りの半分も人でなしの血でできている。
この血が流れているかぎり、きっと私はどこにも逃げることなど出来ない。
それがおぞましくって。だから私は、殺してしまいたかった。
(゚、゚トソン「人でなし」
(´・_ゝ・`)「はじめから、人ではないよ」
(゚、゚トソン「大嫌い」
(´・_ゝ・`)「俺は君を愛しいと思っているよ」
私の父であり、曽祖父であり、何代も前の先祖であるそれが笑う。
仕方のない子だねと、なだめるように。
それはなんでもない父親のように笑って、人でなしの言葉を吐く。
73 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:27:27 ID:MEHWP0s6
(゚、゚トソン「私を放して」
(´・_ゝ・`)「俺は君を捕まえたつもりはないよ。
放す気もこれっぽっちもないんだけどね」
(゚、゚トソン「逃して」
(´・_ゝ・`)「君がどうしてもと望むのなら。
君の一族を殺して、災いを振りまいて、そして、君も殺そうか?」
人でなしが笑う。
獣のような耳、三つ指の尾、瞳孔のない真っ暗な瞳がこちらを見据える。
(´・_ゝ・`)「そうしたら俺は、産まれ落ちる新しい君を迎えに行こう」
( 、 トソン「いやだ」
(´・_ゝ・`)「次はどんな君だろう。
今の君や、これまでの君たちように、まっすぐな目をしているといい」
74 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:28:19 ID:MEHWP0s6
( 、 トソン「やめて」
(´-_ゝ-`)「それなら未来の話をしよう」
夢見るように人でなしは笑う。
私の言葉は、届かない。
それでも私は、聞き分けのない子供のように泣き叫ぶ。
(´・_ゝ・`)「君の産む子は、どんな子だろうね。
男でもいいが、女のほうがずっといい。君みたいなまっすぐな目をした娘だ」
(、;∩トソン「聞きたくない」
(´・_ゝ・`)「その子の魂は、どんな色をしているだろうね。
君のような、青い湖の色をしていればいい」
( 、; トソン「やだっ!!!」
(´・_ゝ・`)「――君はいつもそう言うね」
唇が落とされる。
冷たい感触が、ぞわりと私の皮膚を撫でる。
背に回される太い手と、三指の尾。
私を覗きこむ瞳は、真っ暗な光の見えない目だ。
75 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:28:55 ID:MEHWP0s6
ぱさりと、髪が落ちた。
(´-_ゝ-`)「トソン。いとしい魂を持つ、俺の娘。
俺の末裔にして、最も濃い血を引き継ぐ子よ」
(、 川「……嫌だ」
(´・_ゝ・`)「もし君が望むのなら。
俺の力が続く限り、その生命が続くようにしてもいい」
(- ;川「……嫌だ」
(´・_ゝ・`)「トソン、愛しい娘。
空の魂を引き継ぐ、一番新しい君」
76 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:29:38 ID:MEHWP0s6
もう何も聞きたくなくて、私は目を閉じた。
.
77 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:30:36 ID:MEHWP0s6
「愛しているよ」
.
78 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:31:07 ID:MEHWP0s6
・ ━ ━━ ━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━ ━━ ━ ・
かみさま。
人でなしの、いでみたすかみさま。でみたす様。
わたしのおとうさん。
もしあなたが本当に、かみさまならば。
魂のかけらも残さずに
わたし、を
.
79 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:31:47 ID:MEHWP0s6
殺してください。
(゚、゚トソンひとでなしのようです(´・_ゝ・`) 了
80 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:34:05 ID:???
スレタイミスしました
(゚、゚トソンひとでなしのようです(´・_ゝ・`) が正しいスレタイです
気づいたらこうなっていた。大いに反省したい
(゚、゚トソンひとでなしのようです(´・_ゝ・`) が正しいスレタイです
気づいたらこうなっていた。大いに反省したい
81 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 01:34:35 ID:???
おおお乙
82 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 02:01:02 ID:???
凄く好みだ
おつ
おつ
86 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 09:06:28 ID:???
乙
なかなか人でなしだった
なかなか人でなしだった
87 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 09:35:13 ID:???
面白かった
まさかこの絵がこんなホラーな話になるとは
まさかこの絵がこんなホラーな話になるとは
88 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 13:06:08 ID:N31DJudA
ぞくぞくした
乙
乙
89 :ブーン系の名無しさん:2014/03/23(日) 15:23:01 ID:lyvMsWYs
おつ
90 :ブーン系の名無しさん:2014/03/27(木) 20:53:31 ID:???
91 :ブーン系の名無しさん:2014/03/28(金) 01:16:09 ID:???
転載元
(゚、゚トソン人ひとでなしのようです(´・_ゝ・`)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/16567/1395501269/