ξ゚⊿゚)ξは夢を見るようです 第15話
- 2014/07/09
- 09:20
- ξ゚⊿゚)ξは夢を見るようです
266 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 22:59:46 ID:CBudCD2k0
267 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:01:31 ID:CBudCD2k0
一緒にいる。それは構わない。
他に方法がないのも確かだけど、同情が理由というわけじゃないし、ジョルジュへの背徳感もここでは関係ない。
ただその気持ちが、自分にとって何なのかわからないのだ。
愛情。慈しみ。敬慕。寵愛。
しかも現実世界においては、友情の域を出ない関係だ。
それらの均衡の取れない感情を、馬鹿正直に持ち合わせたまま一緒にいると、かえって傷つけるんじゃないか。
そんな困惑が、ツンの中にはあった。
でも
.
268 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:03:17 ID:CBudCD2k0
ξ゚⊿゚)ξ「…もちろんそのつもりよ。だから…安心して」
はっきりと、そう言いながら握られた手に力を込めた。
.
269 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:05:35 ID:CBudCD2k0
外は暗くなりつつあった。
日の入り独特の憂鬱さ加減も相俟って、二人ともソファに腰を沈めながらただ無言だ。
たまに響く、グラスの中の氷の音をきっかけに、話を切り出そうとしてる雰囲気だけは伝わるのだが、いざとなると言葉にできない。
ツンがいつまでこうしていられるのかもわからないのに、二人の間に流れる空気はただ穏やかで、どこか物寂しかった。
270 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:07:04 ID:CBudCD2k0
自分が死ぬ。
いや、この世界においては事後の話だ。
それを聞いて、しかも残された人になんて言ってあげるのが正解なんだろう。
ツンはそればかり考えてた。
ξ゚⊿゚)ξ「…ブーン」
先に沈黙を破ったのは、ツンだった。
271 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:10:01 ID:CBudCD2k0
ξ゚⊿゚)ξ「あたしは、なんで死んだの?」
直球な聞き方だった。
しかしそれさえわかれば、現実世界においてやりようがあるかもしれない。
以前高校生だった自分も、おそらく似たような心情で聞いたのだろう。
その時『結果は何も変わらなかった』ときっぱり否定したのは自分だが、現実から見て未来の話なら、もしかしたら…と期待せずにはいられない。
.
272 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:12:31 ID:CBudCD2k0
そんなツンの思惑に気づいてか、ブーンは観念したように言った。
( ^ω^)「病気だった、とだけ言っておくお。本当に、突然だった…」
正直なところ多くは語りたくなかったが、少なくとも回避できるものではなかった。
それだけは伝わるように、ブーンは慎重にかい摘まんだ。
ξ゚⊿゚)ξ「そっか……」
重たげな口調ではあるが、思ったほど落胆してるようにも見えない。
自分の死を知らされてるというのに、アジテーションも過ぎるとかえって無感覚になってしまうのだろうか。
273 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:14:42 ID:CBudCD2k0
そんな状態のツンだから、どこに眼目を置いてるのかもよくわからない。
いつ結婚したのか。
子どもはいるのか。
何がきっかけで、友達から恋人になったのか。など
もっと根掘り葉掘り聞かれると思ってた。
.
274 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:17:34 ID:CBudCD2k0
( ^ω^)「…やっぱり、辛いかお?」
ツンの素直な気持ちが聞きたかった。
何も我慢してない、ただ正直な気持ちが。
ξ゚⊿゚)ξ「…よくわからない」
それがたぶん、ツンの精一杯の正直な気持ちだった。
.
275 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:18:54 ID:CBudCD2k0
ξ゚⊿゚)ξ「今から気をつければ、防げる病気でもないんでしょ?」
まるですべてを諦めたような、でも努めていつも通りでいようと僅かに気を張ってるような、複雑な声色だった。
.
276 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:20:30 ID:CBudCD2k0
( ω )「……あまりにも突然すぎて、何を最後に喋ったかも思い出せないぐらい」
( ω )「数分前まであった日常が、急になくなってしまったんだお」
( ω )「ツンは我慢してたのに、僕が鈍臭すぎて気づいてやれなかったのか、ツン自身も自覚がないままだったのか」
( ω )「それすらも、わからないんだお」
.
277 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:22:21 ID:CBudCD2k0
( ω )「ツン、苦しんだかな。一人で最期を迎えて寂しくなかったかな」
( ω )「それとも、寂しがる余裕もないままに、亡くなったなら…苦しまなかったにしても」
( ω )「あっちで…悔やんでも悔やみきれないんじゃないかって」
( ω )「いずれにしても…僕は何もしれやれなかったお。そしてこれからも…」
ξ゚⊿゚)ξ「…何言ってんのよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ああやってお盆になったら会いに行って、死んだ後もそこまで思ってくれてるなら…」
.
278 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:23:53 ID:CBudCD2k0
ξ⊿)ξ「責めたくても……責められないじゃない」
( ^ω^)「……ツン?」
遺された人間の、思いの丈というリアリティが、自分の死を受け入れあぐねていたツンの精神に、波及し少しずつ染み渡っていく。
それがついに、無感覚ではいられないレベルに達した。
.
279 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:26:02 ID:CBudCD2k0
ξ⊿)ξ「ねぇブーン。あたしどうしたらいいの?」
ξ⊿)ξ「死んだけど不幸じゃなかった。そう言われれば納得できるものなの?」
ξ⊿)ξ「いろいろ…うまくいかないことばっかりで、胸張れることなんか一つもないけど」
ξ⊿)ξ「ちょっと器用なだけじゃ、ちっぽけすぎてなんの役にも立たなかったけど」
ξ⊿)ξ「また、病気になるの?そんなに、急に?」
( ^ω^)「………」
.
280 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:27:25 ID:CBudCD2k0
ξ;⊿;)ξ「どうして!?なんであたしが!?嫌だよ!死にたくない!!!」
.
281 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:29:15 ID:CBudCD2k0
ξ;⊿;)ξ「あと10年も生きられないって、そんなこと…信じられる!?」
ξ;⊿;)ξ「どうして……どうしてあたし、いつも志半ばで、頓挫して…」
ξ;⊿;)ξ「ブーンみたいに料理の腕もなければ、ジョルジュみたいに仕事もできなくて、ハインみたいに優しくなれなくて、キュートみたいに愛想もなくて!!!」
ξ;⊿;)ξ「…あたしの人生って…なんなのよ……」
.
282 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:30:41 ID:CBudCD2k0
ツンは、自分の死を知らされてから初めて、取り乱した。
ショックで気持ちが麻痺したのかと思ってたが、そうではなく
あまりにもキャパオーバーなその事実を飲み込むのに、時間がかかっただけなのだ。
( ^ω^)「ツン………」
呼吸を荒げて泣きじゃくるツンを、ソファの上でブーンは優しく抱き寄せた。
.
283 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:32:15 ID:CBudCD2k0
( ^ω^)「ツン…落ち着いて聞けるかお?」
ξ;⊿;)ξ「………」
( ^ω^)「ツン、忘れるなお。これは夢だお」
まだ啜り泣きしながらも、ツンが自分の胸でおとなしくしてることを確認し、ゆっくりと、優しく語りかけた。
284 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:33:53 ID:CBudCD2k0
( ^ω^)「ツンはまだ、22歳だお。それが現実だお」
( ^ω^)「だったらまだ、やりようはあるんだお」
ξ;⊿;)ξ「………え?」
( ^ω^)「僕が生きてる現実とは違う生き方を、これからしてみるといいお」
( ^ω^)「もしかしたら気休めかもしれないけど…わかってる未来に向かって歩いてくよりよっぽど可能性はあると思うお」
( ^ω^)「わかってるからこそ…それを回避するために少しくらい抗ってみてもいいと思うんだお」
.
285 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:35:38 ID:CBudCD2k0
( ^ω^)「……だから」
( ^ω^)「もし、君が抗った結果、僕と結婚する未来がなくなったとしても」
( ^ω^)「今こうしていられるだけで、僕は幸せだお」
.
286 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:38:16 ID:CBudCD2k0
そう言ってブーンは、ツンを抱き寄せる腕に力を込めた。
( ^ω^)「…あんまり、自分を卑下するなお」
( ^ω^)「いつも人に提供する仕事だから、帰ったらツンと美味しいご飯が待ってるのは、嬉しかったお。そのためなら頑張れたお」
( ^ω^)「仕事だって、僕が知らないことをいろいろ教えてくれたお。おかげで僕の趣味にも深みが加わったんだお。立派にこなしてたじゃないかお」
( ^ω^)「ツンは優しい子だお。サバサバしてるけど、裏表がなくて、たまに見せてくれる笑顔がたまらなく可愛いと思ったから」
( ^ω^)「ずっとそれを、傍で見てたいと思ったんだお」
.
287 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:39:57 ID:CBudCD2k0
ξ;⊿;)ξ「………」
ツンは意識が薄れていくのを感じた。
目が覚める瞬間を自覚したのは初めてのことだった。
でも
( ^ω^)「…ツン。僕は……」
.
288 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:41:27 ID:CBudCD2k0
君と出会えて、結婚できて、幸せだったんだお。
その最後のブーンの言葉は、はっきりと聞こえた。
289 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:42:31 ID:CBudCD2k0
「ツン……」
外は白んでいる。
普段ならまだ起きてる時間ではないらしい。
.
290 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:44:12 ID:CBudCD2k0
(;゚∀゚)「どうした?泣いてるのか?」
隣にいたジョルジュに、また心配かけてしまった。
ξ;⊿;)ξ「………」
涙が止まらなかった。でも、説明のしようがなかった。
.
291 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:45:52 ID:CBudCD2k0
覚えてる。
誰に何を言われたか。
則ち、数年先の結末だ。
ξ;⊿;)ξ「………」
(;゚∀゚)「…ツン……?」
啜り泣きが止まらない。
強気なツンが、よもや怖い夢ごときで泣き出すとは思ってなかったジョルジュは動揺を隠せないが、過呼吸気味な彼女の精神の平穏を優先して、何も聞かずに背中を撫でる。
292 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:47:49 ID:CBudCD2k0
ξ;⊿;)ξ「………」
ジョルジュの手が温かい。
よりにもよって、何故ジョルジュの隣であんな夢を見たのだろうか。
(;゚∀゚)「………」サスサス
いずれ来るこの人との別れを、決定づけるような未来の夢を。
.
294 : 名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:54:24 ID:cLWfd/rw0
295 : 名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:29:56 ID:k3hKElls0
◆第15話◆
XX34年 P月
( ^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ
ブーンのその、今にも泣き出してしまいそうな表情に、ツンは何も厭うことができなかった。
XX34年 P月
( ^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ
ブーンのその、今にも泣き出してしまいそうな表情に、ツンは何も厭うことができなかった。
267 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:01:31 ID:CBudCD2k0
一緒にいる。それは構わない。
他に方法がないのも確かだけど、同情が理由というわけじゃないし、ジョルジュへの背徳感もここでは関係ない。
ただその気持ちが、自分にとって何なのかわからないのだ。
愛情。慈しみ。敬慕。寵愛。
しかも現実世界においては、友情の域を出ない関係だ。
それらの均衡の取れない感情を、馬鹿正直に持ち合わせたまま一緒にいると、かえって傷つけるんじゃないか。
そんな困惑が、ツンの中にはあった。
でも
.
268 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:03:17 ID:CBudCD2k0
ξ゚⊿゚)ξ「…もちろんそのつもりよ。だから…安心して」
はっきりと、そう言いながら握られた手に力を込めた。
.
269 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:05:35 ID:CBudCD2k0
外は暗くなりつつあった。
日の入り独特の憂鬱さ加減も相俟って、二人ともソファに腰を沈めながらただ無言だ。
たまに響く、グラスの中の氷の音をきっかけに、話を切り出そうとしてる雰囲気だけは伝わるのだが、いざとなると言葉にできない。
ツンがいつまでこうしていられるのかもわからないのに、二人の間に流れる空気はただ穏やかで、どこか物寂しかった。
270 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:07:04 ID:CBudCD2k0
自分が死ぬ。
いや、この世界においては事後の話だ。
それを聞いて、しかも残された人になんて言ってあげるのが正解なんだろう。
ツンはそればかり考えてた。
ξ゚⊿゚)ξ「…ブーン」
先に沈黙を破ったのは、ツンだった。
271 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:10:01 ID:CBudCD2k0
ξ゚⊿゚)ξ「あたしは、なんで死んだの?」
直球な聞き方だった。
しかしそれさえわかれば、現実世界においてやりようがあるかもしれない。
以前高校生だった自分も、おそらく似たような心情で聞いたのだろう。
その時『結果は何も変わらなかった』ときっぱり否定したのは自分だが、現実から見て未来の話なら、もしかしたら…と期待せずにはいられない。
.
272 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:12:31 ID:CBudCD2k0
そんなツンの思惑に気づいてか、ブーンは観念したように言った。
( ^ω^)「病気だった、とだけ言っておくお。本当に、突然だった…」
正直なところ多くは語りたくなかったが、少なくとも回避できるものではなかった。
それだけは伝わるように、ブーンは慎重にかい摘まんだ。
ξ゚⊿゚)ξ「そっか……」
重たげな口調ではあるが、思ったほど落胆してるようにも見えない。
自分の死を知らされてるというのに、アジテーションも過ぎるとかえって無感覚になってしまうのだろうか。
273 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:14:42 ID:CBudCD2k0
そんな状態のツンだから、どこに眼目を置いてるのかもよくわからない。
いつ結婚したのか。
子どもはいるのか。
何がきっかけで、友達から恋人になったのか。など
もっと根掘り葉掘り聞かれると思ってた。
.
274 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:17:34 ID:CBudCD2k0
( ^ω^)「…やっぱり、辛いかお?」
ツンの素直な気持ちが聞きたかった。
何も我慢してない、ただ正直な気持ちが。
ξ゚⊿゚)ξ「…よくわからない」
それがたぶん、ツンの精一杯の正直な気持ちだった。
.
275 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:18:54 ID:CBudCD2k0
ξ゚⊿゚)ξ「今から気をつければ、防げる病気でもないんでしょ?」
まるですべてを諦めたような、でも努めていつも通りでいようと僅かに気を張ってるような、複雑な声色だった。
.
276 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:20:30 ID:CBudCD2k0
( ω )「……あまりにも突然すぎて、何を最後に喋ったかも思い出せないぐらい」
( ω )「数分前まであった日常が、急になくなってしまったんだお」
( ω )「ツンは我慢してたのに、僕が鈍臭すぎて気づいてやれなかったのか、ツン自身も自覚がないままだったのか」
( ω )「それすらも、わからないんだお」
.
277 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:22:21 ID:CBudCD2k0
( ω )「ツン、苦しんだかな。一人で最期を迎えて寂しくなかったかな」
( ω )「それとも、寂しがる余裕もないままに、亡くなったなら…苦しまなかったにしても」
( ω )「あっちで…悔やんでも悔やみきれないんじゃないかって」
( ω )「いずれにしても…僕は何もしれやれなかったお。そしてこれからも…」
ξ゚⊿゚)ξ「…何言ってんのよ」
ξ゚⊿゚)ξ「ああやってお盆になったら会いに行って、死んだ後もそこまで思ってくれてるなら…」
.
278 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:23:53 ID:CBudCD2k0
ξ⊿)ξ「責めたくても……責められないじゃない」
( ^ω^)「……ツン?」
遺された人間の、思いの丈というリアリティが、自分の死を受け入れあぐねていたツンの精神に、波及し少しずつ染み渡っていく。
それがついに、無感覚ではいられないレベルに達した。
.
279 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:26:02 ID:CBudCD2k0
ξ⊿)ξ「ねぇブーン。あたしどうしたらいいの?」
ξ⊿)ξ「死んだけど不幸じゃなかった。そう言われれば納得できるものなの?」
ξ⊿)ξ「いろいろ…うまくいかないことばっかりで、胸張れることなんか一つもないけど」
ξ⊿)ξ「ちょっと器用なだけじゃ、ちっぽけすぎてなんの役にも立たなかったけど」
ξ⊿)ξ「また、病気になるの?そんなに、急に?」
( ^ω^)「………」
.
280 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:27:25 ID:CBudCD2k0
ξ;⊿;)ξ「どうして!?なんであたしが!?嫌だよ!死にたくない!!!」
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281 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:29:15 ID:CBudCD2k0
ξ;⊿;)ξ「あと10年も生きられないって、そんなこと…信じられる!?」
ξ;⊿;)ξ「どうして……どうしてあたし、いつも志半ばで、頓挫して…」
ξ;⊿;)ξ「ブーンみたいに料理の腕もなければ、ジョルジュみたいに仕事もできなくて、ハインみたいに優しくなれなくて、キュートみたいに愛想もなくて!!!」
ξ;⊿;)ξ「…あたしの人生って…なんなのよ……」
.
282 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:30:41 ID:CBudCD2k0
ツンは、自分の死を知らされてから初めて、取り乱した。
ショックで気持ちが麻痺したのかと思ってたが、そうではなく
あまりにもキャパオーバーなその事実を飲み込むのに、時間がかかっただけなのだ。
( ^ω^)「ツン………」
呼吸を荒げて泣きじゃくるツンを、ソファの上でブーンは優しく抱き寄せた。
.
283 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:32:15 ID:CBudCD2k0
( ^ω^)「ツン…落ち着いて聞けるかお?」
ξ;⊿;)ξ「………」
( ^ω^)「ツン、忘れるなお。これは夢だお」
まだ啜り泣きしながらも、ツンが自分の胸でおとなしくしてることを確認し、ゆっくりと、優しく語りかけた。
284 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:33:53 ID:CBudCD2k0
( ^ω^)「ツンはまだ、22歳だお。それが現実だお」
( ^ω^)「だったらまだ、やりようはあるんだお」
ξ;⊿;)ξ「………え?」
( ^ω^)「僕が生きてる現実とは違う生き方を、これからしてみるといいお」
( ^ω^)「もしかしたら気休めかもしれないけど…わかってる未来に向かって歩いてくよりよっぽど可能性はあると思うお」
( ^ω^)「わかってるからこそ…それを回避するために少しくらい抗ってみてもいいと思うんだお」
.
285 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:35:38 ID:CBudCD2k0
( ^ω^)「……だから」
( ^ω^)「もし、君が抗った結果、僕と結婚する未来がなくなったとしても」
( ^ω^)「今こうしていられるだけで、僕は幸せだお」
.
286 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:38:16 ID:CBudCD2k0
そう言ってブーンは、ツンを抱き寄せる腕に力を込めた。
( ^ω^)「…あんまり、自分を卑下するなお」
( ^ω^)「いつも人に提供する仕事だから、帰ったらツンと美味しいご飯が待ってるのは、嬉しかったお。そのためなら頑張れたお」
( ^ω^)「仕事だって、僕が知らないことをいろいろ教えてくれたお。おかげで僕の趣味にも深みが加わったんだお。立派にこなしてたじゃないかお」
( ^ω^)「ツンは優しい子だお。サバサバしてるけど、裏表がなくて、たまに見せてくれる笑顔がたまらなく可愛いと思ったから」
( ^ω^)「ずっとそれを、傍で見てたいと思ったんだお」
.
287 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:39:57 ID:CBudCD2k0
ξ;⊿;)ξ「………」
ツンは意識が薄れていくのを感じた。
目が覚める瞬間を自覚したのは初めてのことだった。
でも
( ^ω^)「…ツン。僕は……」
.
288 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:41:27 ID:CBudCD2k0
君と出会えて、結婚できて、幸せだったんだお。
その最後のブーンの言葉は、はっきりと聞こえた。
289 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:42:31 ID:CBudCD2k0
「ツン……」
外は白んでいる。
普段ならまだ起きてる時間ではないらしい。
.
290 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:44:12 ID:CBudCD2k0
(;゚∀゚)「どうした?泣いてるのか?」
隣にいたジョルジュに、また心配かけてしまった。
ξ;⊿;)ξ「………」
涙が止まらなかった。でも、説明のしようがなかった。
.
291 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:45:52 ID:CBudCD2k0
覚えてる。
誰に何を言われたか。
則ち、数年先の結末だ。
ξ;⊿;)ξ「………」
(;゚∀゚)「…ツン……?」
啜り泣きが止まらない。
強気なツンが、よもや怖い夢ごときで泣き出すとは思ってなかったジョルジュは動揺を隠せないが、過呼吸気味な彼女の精神の平穏を優先して、何も聞かずに背中を撫でる。
292 : ◆7mt.DZ.sYo :2013/08/18(日) 23:47:49 ID:CBudCD2k0
ξ;⊿;)ξ「………」
ジョルジュの手が温かい。
よりにもよって、何故ジョルジュの隣であんな夢を見たのだろうか。
(;゚∀゚)「………」サスサス
いずれ来るこの人との別れを、決定づけるような未来の夢を。
.
294 : 名も無きAAのようです :2013/08/18(日) 23:54:24 ID:cLWfd/rw0
乙!
295 : 名も無きAAのようです :2013/08/19(月) 00:29:56 ID:k3hKElls0
乙