134:名無しさん
08/25(土) 00:37 tuspg2P6O
十四重 『時を翔る足を掴む手を狩る鎌』
大きな電光板が売りの大きなデパート。
崩れた壁や割れた窓から以前の面影はない。
入り口はすでに瓦礫によって塞がっている。
内部から激しい音とともに真ん中の潰れた自販機が飛び出した。
(-_-)「厄介だね」
暗い男が宙に舞う八つの黒い手を見た後、男に話しかけた。
(,,^Д^)「それはこっちの台詞だ」
細目の男の両手の光る文字はさらに光りを増す。
135:名無しさん
08/25(土) 00:40 tuspg2P6O
(-_-)「だけど僕は勝つよ」
(,,^Д^)「それ、10回は言ってるぞ」
四つの手が暗い男を襲う。
男は走りだす動作をした後に姿を消した。
(,,^Д^)「…こう何回もやられてれば能力はわからずともタイミングは掴める」
(-_-)「……!?」
暗い男が現れた瞬間に二つの手が襲い掛かる。
男は手を蹴り飛ばし、弾いた。
(,,^Д^)「消えた三秒後に出現するんだから四つを攻めに、四つを待機させて展開させれば済むことなんだよ」
(-_-)「…よく気付いたね」
(,,^Д^)「お前の能力は高速移動か?」
(-_-)「本質的には同じ だけど正解には程遠い」
男は再び消える。
136:名無しさん
08/25(土) 00:41 tuspg2P6O
(,,^Д^)「…!?」
(-_-)「……」
目の前には既に男の姿。
ハイキックを噛ますが両手でガード。
(-_-)「手でガードしていいのかい?」
(,,^Д^)「…心配ねぇよ」
蹴りを両手で軽く弾く。
男の両手は黒い靄がかかっているようだった。
(-_-)「…固いね」
(,,^Д^)「余裕こいてる暇はないぞ」
(;-_-)「…!?」
背後に迫っていた手を間一髪で避け、蹴りで反撃を試みる。
二つの手に防がれたがそのまま力を入れ、弾くと回し蹴りで頭を狙う。
男の両手は思ったより固いため、またも弾かれる。
男の周りでは六つの手が浮遊し続ける。
137:名無しさん
08/25(土) 00:42 tuspg2P6O
(-_-)「…君の両手は固すぎるよ」
(,,^Д^)「能力を利用しているからだが、お前の足も固すぎるな」
(-_-)「これが僕の能力の集大成 言わば完成形だからね」
(,,^Д^)「ほぉ…」
(-_-)「君はさらに変化しそうだけどここで死ぬから関係ないよね」
(,,^Д^)「いや、死ぬのはお前だから」
六つの手が交互に位置を入れ替えながら男へと向かう。
(-_-)(六つ…? 残り二つはどこへ)
さっき二つの手がまたも背後にないか確認した。
何もなかったのは確かだ。
138:名無しさん
08/25(土) 00:43 tuspg2P6O
(-_-)(一体何処へ…?)
一度高く上がった四つの手は急降下したが、難無く回避する。
残りの二つを蹴り飛ばした。
(,,^Д^)「すきありってやつか」
目の前には男が両拳を構えていた。
黒い靄がかかっている手。
(-_-)(なるほど…)
焦らずに避ける。
何故なら相手はこの時間は動けない。
139:名無しさん
08/25(土) 00:44 tuspg2P6O
(,,^Д^)「…また避けたか」
(-_-)「君の能力を観察していてね 効果に気付いたんだよ」
(,,^Д^)「……」
(-_-)「君の能力は付加だね 例えば最初は八つあった手が今は六つになってて両手に二つ付加してたりとかね」
(,,^Д^)「…俺の能力は高いエネルギーの塊みたいなもんだ 何かを掴むことが出来る物に付加できる」
(-_-)「手か」
(,,^Д^)「効果がばれたくらいじゃ俺は負けないが」
(-_-)「それはどうだろうね 僕の能力を知ることが攻略への第一歩」
男の両足が紅く、燃え上がっていた。
140:名無しさん
08/25(土) 00:45 tuspg2P6O
(-_-)「能力の効果はこう使うんだよ」
一瞬足が光ると同時に、蹴りが迫っていた。
(,,;^Д^)「ちぃっ……」
蹴りを防いだ両手から皮膚が焼ける臭いが辺りを漂う。
(-_-)「僕の能力は時間を停止させ、この靴で攻撃を加える」
(,,^Д^)「…時間とか厄介過ぎるな」
(-_-)「余裕なんてないはずだよね」
右足の下段への蹴りをフェイントに左足の上段に蹴り。
周囲が光る。
(,,;^Д^)「ぐっ……」
両手に感じる熱。
(-_-)「手でガードしてていいのかな」
さらに蹴りを加える。
熱さによって手の操作を怠る。
141:名無しさん
08/25(土) 00:46 tuspg2P6O
(,,;^Д^)「…あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
連続で蹴られたため、男の左手が焼き切られていた。
地面を転がる左手。
(-_-)「僕の勝ちだね 手で防御するなんて愚の骨頂」
男は続ける。
(-_-)「手の文字は能力を使用するための選択肢 体から離れたら次から使えなくなるんだよ」
(,,;^Д^)「だがまだ八つある 俺は負けるつもりはない!!」
(-_-)「その八つを消せば僕の勝(,,#^Д^)「うおりゃあぁ!!!」
残った右腕で破壊された床。
落ちる二人。
142:名無しさん
08/25(土) 00:47 tuspg2P6O
(,,#^Д^)「身動き取れない空中で殺す」
(;-_-)「だが僕には足が」
八つの手が四方八方から拳を連打。
(,,#^Д^)「死ねっ!!」
さらにペースを速める。
暗い男の体は血だらけになり既に息をしていなかった。
(,,;^Д^)「…腕が…」
男は自分の腕があったはずの空間を見て、言葉を失った。
143:名無しさん
08/25(土) 00:48 tuspg2P6O
(´ー`)「素晴らしい見世物でした」
(,,^Д^)「!?」
誰もいなかったはずの空間から拍手をしながら微笑んでいる男が現れた。
(,,^Д^)「…お前は?」
(´ー`)「あなたを狩る者です しかし、ぶざまで汚い見世物でした」
(,,^Д^)「…てめぇ」
(´ー`)「あなたの必死さは素晴らしいものです 敬服に値しますね」
(,,^Д^)「…じゃあどうするんだ」
(´ー`)「神に祈る間をあげましょう」
微笑んでいる男が歩き、細目の男の横を通り過ぎる。
144:名無しさん
08/25(土) 00:50 tuspg2P6O
(,,^Д^)「だが断…?」
細目の男首から頭と体は切り離されていた。
(´ー`)「神よ 世の全てを 創りたもうた 偉大なる 我らが神よ」
微笑んでいる男は細目の男の頭を踏み潰した。
(´ー`)「今 ふたつの魂が あなたの元へ 帰りました」
男の手には銀色に輝く鎌。
(´ー`)「その広き懐に 彼らをむかえ入れ 愚かで哀れな魂に 安息と救いを 与えたまえ」
男は神に祈りを捧げ、その場を後にした。
彼が信じる神は、一体どんな姿をしているのだろうか。