289:名無しさん
09/12(水) 22:09 If4wzPdSO

 
二十七重 『車椅子のあの娘』
 
(;゚∀゚)「ランクが上がったのはいいが敵とは会いたくなかったな」
 
周辺は赤茶けた大地。
生き物の気配は無くただ不毛な土壌が広がる。
雲一つない青空、輝く太陽が少し欝陶しく思えるほどに。
 
(;゚∀゚)「N地区までは誰もいなかったんだがな…」
 
空に浮かぶ、灰色の扇のような物体。
 
( ゚∀゚)「練習にはなるからいいんだが」
 
三つの扇のような物体が細く絞まる。
ねじれだし、回転しながら男に向けて振り落ちる。
 
( ゚∀゚)「A D M」
 
扇に向けて十字架のような光りが落ちる。

290:名無しさん
09/12(水) 22:10 If4wzPdSO

 
( ゚∀゚)「この速さでも一つ一つ狙いが絞れるようになったぜ」
 
男が笑みを零す。
さらに扇が動きを見せる。
 
(;゚∀゚)「ちょっと一人だと難しいな…やっぱり辛いな」
 
無数の扇が降り注ぐ。
 
(;゚∀゚)「A B E F I j N O Q R S U V W Y Z」
 
扇に向けて光が降り注ぐ。
 
( ゚∀゚)「遠隔型なら扇が集まって描く円の中心を狙うのみ」
 
岩陰から扇が飛び立つ。
 
( ゚∀゚)「見つけた!!」
 
岩の陰には車椅子に座り手から扇のような物体を宙に舞わせる女がいた。

291:名無しさん
09/12(水) 22:11 If4wzPdSO

 
从 ゚∀从「…」
 
( ゚∀゚)「…」
 
从 ゚∀从「…あ、名前忘れたけど久しぶりー♪」
 
( ゚∀゚)
 
( ゚∀゚ )
 
( ゚д゚ )
 
从 ゚∀从「こっちみんな」
 
(;゚∀゚)「そんなことより」
 
从 ゚∀从「なんだよ」
 
(;゚∀゚)「髪の毛どうしたんだよ!?」
 
女の髪は記憶の中の黒髪ではなく真っ白に染まっていた。
ツヤは記憶の中と今も変わらず、むしろ美しいくらいだった。
 
从 ゚∀从「いろいろあったんだよ 綺麗だろ」
 _ 
(*゚∀゚)「凄くいいです」
 
おっぱいが気にならないほどに記憶の相手は変わっていた。

292:名無しさん
09/12(水) 22:13 If4wzPdSO

 
( ゚∀゚)「それは置いといて 俺、美しい思い出の相手に攻撃されるとは思わなかったわ」
 
从 ゚∀从「仕方ないだろ 車椅子だから相手に見つかったら危険だし、確認無しでガンガン押さないとな」
 
( ゚∀゚)「あれが…何番?」
 
从 ゚∀从「50thだ あれは能力とは違うぞ」
 
(;゚∀゚)「は?」
 
从 ゚∀从「私の能力は「無」と「有」だ ちなみに6:」
 
( ゚∀゚)「だけど扇を飛ばしてただろ」
 
从 ゚∀从「黙って話聞け 「無」が手に触れた物を消す」
 
(;゚∀゚)「魔王め」
 
从 ゚∀从「はっはっは、ぶち殺すぞ」
 
(;゚∀゚)「能力使うならパーティ組んでからにしろ」
 
从 ゚∀从「組むの?」
 
(;゚∀゚)「組まないのか?」
 
从 ゚∀从「冗談だ」
 
軽い電子音とともに頭上には(・∀・)のマーク。

293:名無しさん
09/12(水) 22:14 If4wzPdSO

 
( ゚∀゚)(久しぶりだな……)
 
从 ゚∀从「なんだこれw」
 
( ゚∀゚)「これ→(・∀・)知らないのか」
 
从 ゚∀从「パーティ組んだの初めてだし」
 
(;゚∀゚)「今までどうしてたんだよ」
 
从 ゚∀从「足がこんなんだからな 最初から車椅子を付けてくれたことには感謝っと、だから戦いは逃げたりやむを得ない時は戦ったけどな」
 
( ゚∀゚)「そうか…」
 
从 ゚∀从「だけど今日の私は幸運だぞ」
 
( ゚∀゚)「?」
 
从 ゚∀从「お前に会えた それだけで十分だ」
 
( ゚∀゚)「そりゃよかった」
 
从 ゚∀从「あぁ、よかったよ」
 
( ゚∀゚)「それで…」
 
从 ゚∀从「忘れてた 「有」は生み出すんだ」
 
( ゚∀゚)「生み出す?」
 
从 ゚∀从「想像した物を現実に出すことができる」
 
( ゚∀゚)「反則だな」
 
从 ゚∀从「創造だ 動きも私の想像通りだ」
 
( ゚∀゚)「ほぉ…」
 
从 ゚∀从「まぁ想像を超えられないのが欠点か」
 
( ゚∀゚)「人間の限界が壁か」
 
从 ゚∀从「まぁ大したことできないけどな」

294:名無しさん
09/12(水) 22:15 If4wzPdSO

 
( ゚∀゚)「俺の能从 ゚∀从「そういやお前何番?」
 
( ゚∀゚)「…12番」
 
从 ゚∀从「…12? 造り出す能力だっけ?」
 
( ゚∀゚)「いや、そうだったが…今は違う」
 
从 ゚∀从「今は?」
 
男が腕を見せる。
右手の甲には傷に囲まれた、少し白い皮膚の「宙」、二の腕を一周する傷痕が目立つ左腕には「天」の文字。
 
从;゚∀从「…」
 
( ゚∀゚)「…腕無くなったときにもらったんだ」
 
从;゚∀从「…誰から」
 
( ゚∀゚)「仲間から 仲間はそのとき死んだんだ」
 
从 ゚∀从「そっか」
 
( ゚∀゚)「神になるって約束も一緒にな」
 
从 ゚∀从「仲間はいい人だったのか?」
 
( ゚∀゚)「当たり前だろ」
 
从 ゚∀从「じゃあ腕のお礼のために頑張んなきゃな」
 
( ゚∀゚)「あぁ」
 
从 ゚∀从「私も協力するから」
 
( ゚∀゚)「!!…あぁ!!」
 
澄み渡った青空に一陣の風。

295:名無しさん
09/12(水) 22:17 If4wzPdSO

 
从 ゚∀从「能力は?」
 
( ゚∀゚)「7: ソーラーグラス(日向草)だ」
 
从 ゚∀从「…名前かっこいいな」
 
( ゚∀゚)「だろw 俺が見てるこの視界がA〜Zに区分けされてるんだ」
 
从 ゚∀从「うんうん」
 
( ゚∀゚)「で、その区分けに光を落とす」
 
从 ゚∀从「落とす?」
 
( ゚∀゚)「あぁ 破壊力のある光を落としたりできる なんか十字架になるけど」
 
从 ゚∀从「そうか」
 
( ゚∀゚)「いやいや、まだあるぞ 区内で光の形を思い通りに作り替えることができるのが効果だけどな」
 
从 ゚∀从「使いやすそうだな」
 
( ゚∀゚)「まぁ、こんなところか」
 
男が遠くに光を落とす。
 
从 ゚∀从「そろそろ行くか」
 
( ゚∀゚)「おう」
 
男が女の後ろにつき、車椅子を押し、前に進む。
 
从*゚∀从「あー、なんか久しぶりだな」
 _
(*゚∀゚)「そうだな」
 
空は青く広く透き通るように美しく、疎らに浮かぶちぎれ雲。
真上で太陽が輝き、照らす。
穏やかに吹く風は気持ちのいいものだった。

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