548:名無しさん
11/17(土) 15:07 XtPR6bB4O
四十五重 『迷惑な私の想い』
ξ(゚△゚*ξ「試してみなきゃ、わからないよ そのために私は地球を観察したの」
从 ゚∀从「あんたのせいで何人死んだと……」
ξ(゚、゚*ξ「ブーンが、、私の周りの人が生き返れば何人死のうと構わない」
从#゚∀从「身勝手だ!!」
ξ(゚△゚*ξ「そうね でも止まらない ここまで来てしまったら…止まれないの」
从#゚∀从「まだ止まれる」
ξ(゚、゚*ξ「無理 もう私の心が試すことを求めているの」
从#゚∀从「狂ってる!!」
ξ(゚ー゚*ξ「そうよ 私は狂ってるの だから欲望に純粋」
从#゚∀从「私が止めるぞ!!」
549:名無しさん
11/17(土) 15:08 XtPR6bB4O
ξ(゚、゚*ξ「私に勝てたら持っている冥王への鍵を全てあげる」
从#゚∀从「いらない」
ξ(゚ー゚*ξ「必要よ あなたにとっては だって疑問を造ったのジョルジュだから」
从;゚∀从「そんなこと…」
ξ(゚△゚*ξ「ある 自分で冥王に入って確かめたらどう?」
ξ(゚ー゚*ξ「勿論、私を止められたらだけど」
デレの右手にはカードが数枚。
カードが一つの光る本に変わり、デレが手を離すとその場に浮いたまま静止する。
550:名無しさん
11/17(土) 15:10 XtPR6bB4O
ξ(゚ー゚*ξ「さぁ、世界をかけて戦おう 勝利条件は相手の死亡 敗北条件は自分の死亡 楽しもうか」
从 ゚∀从「悪趣味だな」
ξ(゚△゚*ξ「そうかしら 悪趣味こそ純粋 純粋こそ楽しい」
デレの右手には宙、左手には天の文字。
从;゚∀从「長岡の……」
ξ(゚ー゚*ξ「彼は長岡でジョルジュなの 仮想空間に能力を入れることは簡単」
サッカーボールほどの光の球が十七つ、デレの後ろに浮かぶ。
从;゚∀从「長岡とは違う…?」
ξ(゚△゚*ξ「同じの使うわけない 少しいじった」
从;゚∀从「厄介だが止めさせてもらうぞ」
ξ(゚ー゚*ξ「できるものなら迷惑な私の想い、止めてみせて」
周囲が光る。
いくつかの渇いた発砲音が響き、閃光が空と道を明るく照らした。
551:名無しさん
11/17(土) 15:11 XtPR6bB4O
ヒートの体からは赤い血潮が絶えず流れ出て、傷口には硝子玉が見える。
普通の人間なら立つことは出来ないだろう。
だが平然と立ち、そしてその場から消える……自らの血を周囲に振り撒きながら。
('A`)「やめとけ…って言っても聞こえないか」
ドクヲは無傷。
その場からほとんど前進していない。
ノパ听)「……」
ヒートの血が後ろでゆっくりと宙を舞う。
ヒートの周りの時間はひどく緩やか、だが自分は遥かに速く動くことができる。
この世界の情報伝達を直に感じる能力。
ドクヲに近付き、単純に拳を振るう。
それが最大の攻撃。
なぜならヒートは考えることができないから。
552:名無しさん
11/17(土) 15:12 XtPR6bB4O
('A`)「……」
硝子玉の一つがヒートの居た場所を通り過ぎ、鍵にぶつかる。
ドクヲが舌打ちしたと同時にヒートが後方に跳ねた。
というより吹き飛ばされた。
ノパ听)「……」
ヒートは止まらない。
デレから最後に与えられた命令は道の入り口から半径10m以内に入った者の削除。
ドクヲは中に居る。
だから削除する。
そのために近付く。
ノパ听)「……」
0と1の世界に身を投じた今は、全てが鈍速だ。
もしくは止まっていると表現してもいい。
だが、ドクヲの周りを回っている硝子玉は朧げにしか見えない。
553:名無しさん
11/17(土) 15:13 XtPR6bB4O
('A`)「……」
ヒートがまたも後方へと吹っ飛ばされた。
傷が増え、硝子玉も傷口に増える。
ヒートから飛んだ血が地面へと落ちた。
('A`)「決められた範囲内を縦横無尽に飛び回り、玉同士がぶつかると加速する 単純で強力さ」
ノパ听)「……」
ヒートは立ち上がる。
腕があらぬ方向に曲がろうと足がずたずたになり、血が流れようとも止まらない。
目から涙を流し、一言呟いた。
ノハ;;)「……ころして」
ヒートは止まらない。
('A`)「……」
ヒートの足の傷口の硝子玉が割れた。
そして、足はチェスのポーンの形に変化した。
554:名無しさん
11/17(土) 15:17 XtPR6bB4O
ノハ;;)「……!!」
足が形を変え、立つことができなくなる。
だが立ち上がろうとする。
立ち上がり、敵を削除する。
これが仕事、命令、存在意義。
('A`)「……」
ドクヲは無言で見ていた。
表情を変えずに。
ヒートの傷口の硝子玉が次々と割れる。
割れた硝子玉は肉体を使い、ポーンに変化させる。
ノハ;;)「……!!」
骨の形が無理矢理変わる。
鈍い音が響く。
ヒートの頭に硝子玉が撃ち込まれた。
('A`)「……」
彼は一筋の涙を流し、最後に声が聞こえた。
「ありがとう」という一言を。
ドクヲは走り出した。
白い道の前には大きな、人一人分ほどのポーンが立っていた。
ポーンは上を見上げているようだった。
空を、雲を、太陽を、月を、冥王を、そしてドクヲの後ろ姿を。
555:名無しさん
11/17(土) 15:18 XtPR6bB4O
閃光が空を覆う。
デレの周りに浮かぶ無数の光の玉。
そしてハインが次々と狙いを定め、撃ち抜く。
光の玉は凍り、落ちて砕ける。
砕けた瞬間、玉が輝く。
弾を使いきった銃から薬莢を抜き、下に落とす。
下に落ちている沢山の薬莢がこの行為が繰り返されていることを語っているようだった。
从;゚∀从「ちっ」
繰り返し同じ行為をしていると溜まるものがある。
疲労。
この場合は肉体的な疲労ではなく、精神的な疲労を表している。
疲労は確かな命中力でさえ鈍らせる。
能力による補助で確実に命中させていた弾がぶれる。
ぶれは少しずつ、だが確実に。
556:名無しさん
11/17(土) 15:19 XtPR6bB4O
从;゚∀从「……っ!」
ここでミスが生じた。
ハインにとっては痛恨の、デレにとっては最良の、転機。
光の弾が現れる度に撃ち落としていたが、一つ外す。
そしてハインは焦り、光の弾は一つ、また一つと殖える。
ξ(゚ー゚*ξ「能力の効果はここ一番の時に発動ってのが勝利への近道」
撃ち残した光の玉が線状に伸びる。
伸びた光は他の光と連結し纏まり、大きな光の玉となる。
玉は光を放ちながら、膨らむ。
从;゚∀从「でかいな」
何度も撃つが表面が凍るだけで大きな変化は起こらない。
その間も光は膨らむ。
557:名無しさん
11/17(土) 15:20 XtPR6bB4O
ξ(゚△゚*ξ「終わりは呆気ないものよ この世界なら特に THE MOON:SEED」
光の玉が楕円形になる。
そして更に丸みを帯び、真円へと姿を変える。
从;゚∀从「そんな簡単に死なんよ」
足元を撃つ。
何度も、何度も。
ξ(゚、゚*ξ「しつこいのは嫌い あなたもそろそろ私の前から消えてくれないかな」
光の玉がより一層輝き、ハインへと進む。
玉は遅く、大きい。
道を覆うほどに。
避けることはできない。
从;゚∀从「効果はここ一番ってか」
撃ち出された弾は、今までと同じ大きさ。
弾が進む。
弾が貫いた空気は凍る。
空気にガラスの破片が撒かれたように、空気を輝かす。
そして光の玉に弾の先端が接着し、周囲には光と氷が舞った。
光が凍る
包まれた氷からは光が漏れだし、地面に落ちて割れた。
砕けた氷からは輝きが、放たれた。
558:名無しさん
11/17(土) 15:21 XtPR6bB4O
ξ(゚、゚*ξ「……むぅ」
舞い散る氷の破片に包まれながら、デレが前を見据える。
そこには無傷のハインが立っていた。
从;゚∀从「危ねぇ」
吐いた息は白く漂い、消える。
ξ(゚△゚*ξ「あなたは何度立ち塞がるの?」
氷がとけ、水が周囲を濡らす。
ξ(゚、゚*ξ「ロマネスクも、ビコーズも、ドクヲも、ジョルジュも皆」
ξ(゚△゚#ξ「私はみんなと暮らしたいの!! ブーンが望んだ自由を、皆がはしゃげる世界のために私は!!」
光の玉が浮かび、消える。
そしてまた浮かび、消える。
光が弾けるように。
559:名無しさん
11/17(土) 15:23 XtPR6bB4O
('A`)「デレ」
ξ(゚、゚#ξ「ドクヲだってクーを蘇らせたいはず!! だから研究していた!!」
(;'A`)「おまえ」
ξ(゚△゚#ξ「皆、消えればいい!! 私が蘇らせてあげるから!!」
光の輪が二つ、デレの両肩付近に浮いてた。
ξ(゚、゚#ξ「私を生かしたデレのために私は勝つの!!」
氷の破片は風に飛ばされ、輝きとともに消える。
とけた氷は雨となり、降り注ぐ。
空を見上げているポーンは涙を流すかのように、水に濡れている。
かつての友人達の争いに心痛めるように。