289:◆/wOcNhjd4U
12/16(土) 22:37 V2EJAVvPO
(; ^ω^)「はぁ……はぁ……」
もう何度目かわからない戦闘が終わる。既に体力も底が見え始め、そろそろ戦闘も辛い。
早く山を下りなければ。
∧ ∧
∬゚ー゚)「お疲れさまっ! 大丈夫だった?」
( ^ω^)「なんとか生き延びれたお」
労りの言葉をかけるネコ耳の彼女の名前はニア。
今の僕の最高のパートナーだ。
( ^ω^)「ここらへんはモンスターが強力だから気をつけるお」
∧ ∧
∬*゚ー゚)「心配してくれてありがと。私は大丈夫よ」
彼女との馴れ初めは至極単純なものだった。
──助けてっ!!
森に響き渡る悲鳴。
木々の間を駆け抜ける人影は既にぼろぼろでその後ろを追走する三体の魔物に痛め付けられたのだろうことはすぐに推測できた。
細くおぼつかない足は案の定数メートル先で主を地面に這いつくばらせる。
飛び掛かる魔物
絶対絶命
その時
「フレイムッ!!」
目の前の魔物は消え、代わりに魔法を唱えたであろう一人の剣士が立っていた。
それが
∧ ∧
∬゚ー゚)「私よ」
( ^ω^)(僕だったらよかったのに……)
∧ ∧
∬゚ー゚)「ほら、またモンスターよ。早く私の後ろに」
( ^ω^)「了解だお、戦闘は任せたお」
当初、ブーンは魔法剣士だった。しかし手に負えない魔物に手を出してしまい逃げているところを同じ魔法剣士であるニアに助けられた。
それ以来、度々パーテイーを組み次第に意気投合していくのだが……
∧ ∧
∬゚ー゚)「アイスソードッ!」
(; ^ω^)(……また一撃だお)
片一方がずば抜けて強い場合、もう一方は補佐にまわるしかない。そして魔法剣士が補佐では効率が悪い。
∧ ∧
∬゚ー゚)「ブーン! 回復お願いっ!」
( ^ω^)つ「おっおっ、ヒールッ!」
最終的にブーンは僧侶へと転職、現在に至る。
( ^ω^)つ(……魔法剣士……強くなりたかったなぁ……)
∧ ∧
∬゚ー゚)「ほら、ブーン」
( ´ω`)つ(原作は逆なのに……作者なんて嫌いだお……)
290:◆/wOcNhjd4U
12/16(土) 22:42 V2EJAVvPO
∧ ∧
∬゚ー゚)「ブーンってば!」
( ^ω^)「……おっ。もう終わったかお?」
∧ ∧
∬゚ー゚)「ええ、そんなことより見てっ!」
( ^ω^)「お?」
少し先で跳ねるニアに促されて崖の方へ駆け寄る。
そこに広がっていたのは
深い森に囲まれた鮮やかな城下街だった。
(* ^ω^)「SUGEEEEEEEE!!」
(* ^ω^)「これだお!僕が求めていたのは!」
トントン
(* ^ω^)「眼下に広がる自然!」
トントン
(* ^ω^)「美しい町並み!!」
(* ^ω^)「活気あふrドンドンドンドンドンドンドンドンドン
(^ω^ #)「うっせえお!! どこのどいつd
ドガシャン
振り向き様に頭を掠めるドアが意識を仮想世界から現実に引きずり出す。くの字に曲がったそれはそのまま壁に叩き付けられ再び衝突音を響かせた。
ξ )ξ「……どこのどいつだかわかった?」
(; ^ω^)「はい、僕の天使のツン様です」
ξ;゚听)ξ「島から帰ってきてから一週間もカウンセリングに来ないと思ったら……ずっとゲームしてたわけ?」
そう。僕が今しているのは『バリアントアイディールファンタジー』通称『VIP』という今流行のオンラインRPGだ。
島にいる時のいよぅとの話を切っ掛けに始めて、今では夢と希望に溢れるその世界にどっぷりとハマッている。
(; ^ω^)「べ、別に僕が何しようと関係ないお」
ξ;゚听)ξ「何言ってるのよ? 私はアンタを脱ヒキさせるためにいるんだから」
ξ゚听)ξ「そんなネコ耳にハマッてないでさっさと」
(# ^ω^)「ねっ、ネコ耳言うなおっ!!」
気弱だった表情に力が入る。突然の豹変ぶりに面食らったツンは逆に少し弱腰気味に話す。
ξ;゚听)ξ「な……何怒ってるのよ?」
(# ^ω^)「いいからでてくお!! ツンの顔なんて見たくないお!!」
デュクシ!!
(#)^ω^)「……ふん。ツンなんて知らないお」
アパートの階段を駆け降りる音がドアのない入口から部屋の中へと虚しく転がってきた。
〜仮想世界 にようこそ!〜
292:◆/wOcNhjd4U
12/17(日) 01:41 lh09TH8/O
ξ#゚听)ξ「……何よ。私はブーンのためを思って……」
まだ正午には早い時間に住宅街の道路を大股で歩く。
怒りでつい出てきてしまったが本題は忘れていない。私はブーンを更生させるためにいるのだからするべきことをするだけだ。
ξ゚听)ξ「どうしよーかな……」
無理矢理……というのも手ではあるがそれでは根本的な解決にはならない。現実に興味を持たせなければならないのだ。
ξ゚听)ξ「……ネコ耳、好きなのかしら……」
思わず足が止まる。余りにも単純過ぎる考えに自分で呆れ返ってしまう。
しかし気がつけば道路を走る車を追うように足が自然に目的地へと走り始めていた。
〜
∧ ∧
∬゚ー゚)「どうかしたの?」
(; ^ω^)「いや、リアルが少しうるさかっただけだお」
賑やかな城下町を歩く。目的はドラゴン退治をしてくれる仲間探しだ。
∧ ∧
∬゚ー゚)「あー、そっちも大変なのね」
( ^ω^)「ニアもかお?」
∧ ∧
∬゚ー゚)「お隣りさんが変態のひきこもりで……」
(; ^ω^)(どきっ)
∧ ∧
∬゚ー゚)「まあ、この世界にまでリアルを持ち込むことはないわよね。さっ、早く仲間を探しましょ」
(; ^ω^)「りょ、了解だお!」
ニアはいい理解者だ。数々の冒険を通して築いた友情は決して仮想なんかではない。
「そんなネコ耳にハマッてないでさっさと」
ましてやネコ耳などという言葉で括られるなんて言語道断だ。
( ^ω^)(……ふん。どうせツンなんかに僕の気持ちなんか)
「ニャー」
パソコンのスピーカーではないところから入ってきた音に再び現実に戻される。
( ^ω^)「お、猫が近くにいるのかお?」
とりあえずはめたドアは隙間だらけで外の音がよく入りこんでくる。きっとすぐ近くにいるのだろうと振り替えると
∧ ∧
ξ*゚听)ξ「に、ニャー……
そこには不思議な生命体がいた。
293:眠れない…◆/wOcNhjd4U
12/17(日) 01:43 lh09TH8/O
( ^ω^)「……」
なんだこれは?
∧ ∧
ξ*゚听)ξ「あ、アンタ……こういうの好きなんでしょ?」
頭から生えた白いネコ耳、腰の辺りから垂れる白い尻尾。おそらくどこかの店で買ったのだろうそれは
∧ ∧
ξ////)ξ「だ、だから私……」
万死に値する
(* ^ω^)「……そ、そんなので」
はずなんだが
(; ^ω^)(か、可愛いお……)
ここは怒るべきところだ。ツンはまたニアを侮辱した。
そんなのはわかっている。
けど
∧ ∧
ξ////)ξ「わ……私と遊ぶ……ニャ」
これは……
(* ^ω^)「……ツン」
ツンの方へ歩こうとしたその時、不意に電子音が鳴る。
振り替えるとそこには急に連絡の途絶えた自分を心配するニアの姿がモニターに映し出されていた。
( ω )「で……、でてくお」
∧ ∧
ξ゚听)ξ「え?」
そうだ。大切なニアが侮辱されているのに僕は何を考えている。本当ニアを大切に思うなら
(# ^ω^)「そんなネコ耳なんかで僕を落とそうなんてそうh」
「なんでドアが壊れているんだ?」
聞き慣れた声がブーンの言葉を遮る。ツンの後ろの入口に目をやるとそこには
∧ ∧
川゚ -゚)「まだ夏とはいえ夜は冷えるぞ」
( ^ω^)「なんだクーかお。おいすー」
( ゚ω゚)
∧ ∧
ξ;゚听)ξ「ちょ、クーどうしたのよその耳」
∧ ∧
川゚ -゚)「ああ、ドンキでツンを見掛けてな。パーテイーでもしてるなら私も参加しようと……」
( ^ω^)「結婚して下さいお」
∧ ∧
ξ゚听)ξ「……は?」
ツンの間の抜けた顔を横目にクーへとアプローチをする。透き通るような黒い長髪から飛びでてる黒いネコ耳。腰から垂れる黒い尻尾。
Fantastic!!(ドツボ)
∧ ∧
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと……」
( ^ω^)「一生幸せにしますお」
∧ ∧
川゚ -゚)「最高級のネコ缶を用意すると誓え」
(* ^ω^)「オブコォォォスッッ!!」
∧ ∧
ξ;^竸)ξ「わ、私も」
( ^ω^)「野良は消えるお」
パソコンごと吹き飛ばされたのは言うまでもない。
〜ネコ耳 にようこそ!〜
296:◆/wOcNhjd4U
12/20(水) 10:07 LtKLITN3O
Σ(#)^ω^)「……はっ! ツンは?」
目を覚ますと同時にツンが部屋にいないことに気付く。何度も気絶させられてるだけあって目が覚めてからの頭の切り替えは早い。
∧ ∧
川゚ -゚)「ツンなら涙ぐみながら出ていっt」
(; ^ω^)「頼むから耳は外してくれお」
川゚ -゚)「……少し気に入ってたのだが」
(; ^ω^)「と、とにかくツンを追わないと」
Σ(; ゚ω^)「ひでぶっ!!」
ツンを追うため外へ駆け出そうとするが固い何かの塊に足を引っ掛け盛大にずっこける。
(; ^ω^)「あいたたた……。これは……?」
見ると足元には中身の詰まったビニール袋が転がっている。
川゚ -゚)「それはツンがネコ耳と一緒に買っていたものだ。食べ物コーナーもうろついていたからおそらくブーンに食わせるものでも入ってるのだろう」
( ^ω^)「……ツン」
……僕はバカだ。いつも大事なものを見落とす。今まで自分を支えてくれたのは誰だったか。今日だって顔も見たくないなんて酷いことを言ったにも関わらず食べ物まで買ってきてくれるなんて……
( ^ω^)「……ネコ缶?」
ビニール袋から取り出した缶詰を凝視する。側面に描かれたネコのイラストが自分の考えが間違っていないことを主張していた。
( ^ω^)「……」
(; ^ω^)「早くツンをっ!!」
これはネコ耳のオプションなのか
それとも本気で食わせる気だったのか
ついさっきまでとは全く違う方向のベクトルにつき動かされて走りだす。
(; ^ω^)「……いないお」
しかしやはり出るのが遅かった。
遮るものの無い入口の先には人影はなくただ足元にドアが転がっているだけだった。
( ^ω^)「ツン……僕が悪かったお」
空を仰ぐ。そこには太陽はなくただ灰色の世界が広がっていた。
( ^ω^)(ネコ缶……どっちだったのかお)
「まあ反省してるなら許さなくもないわよ」
( ^ω^)「お?」
ξ*゚听)ξ「で、でも私の言うことちゃんと聞いてもらうんだからねっ!!」
297:◆/wOcNhjd4U
12/20(水) 10:12 LtKLITN3O
( ^ω^)「……ずっとドアの下に隠れてたのかお?」
Σξ;゚听)ξ「そっ、そんなのはどうでもいいでしょっ!」
服の裾を払うツンにわかりきったことを聞く。
というより聞かずにはいられなかった。
( ^ω^)「それはそうとツ」
ξ゚听)ξ「フリィィィィズ!!!」
顔面に突き付けられた手の平に思わず口を紡ぐ。
ξ゚听)ξ「アナタニハァ ワタシノイウコトォ キイテモライマス」
(; ^ω^)「な、なにをいっt」
ξ゚听)ξ「フリィィィィィィズ!!!」
(; ^ω^)「……」
何故に片言?
ツッコミたいところは多々あるがとりあえず言うとおりにする。なぜなら
ξ゚听)ξ「シバラクゥ ヘヤデェ マッテイテクダサイ」
顔が本気(マジ)だからだ
(; ^ω^)(とにかく言われた通り部屋に)
ξ゚听)ξ「フリィィィィィィィィィズ!!!」
(; ^ω^)(ちょww)
〜
川゚ -゚)「なかなか大変だな」
(; ^ω^)「わけがわからないお」
なんだかんだで部屋に入れられた後、ツンは再び外へ出ていった。待っていろといったのだからこれで終わりと言うわけでもなさそうだ。
(; ^ω^)「てかさっきのはなんだお?」
川゚ -゚)「ああ、この間じぃが持ってきたアクションものの洋画を私とツンとじぃの三人で観たのだが」
(; ^ω^)「てかいつからそんなに仲良く……」
川゚ -゚)「ツンはアクション映画を見たことがなかったらしくてな。異常なハマりようだったぞ」
(; ^ω^)「……絶対何か間違えてるお……」
ξ゚听)ξ「待たせたわ」
( ^ω^)「お、戻ってきたお」
スムーズな日本語に安堵する。どうやら先ほどみたいな無茶苦茶な
( ^ω^)「……縄?」
……それだけではない。リストバンドを鎖で繋いだような変わった手錠や単体の鎖など小柄なツンには不釣り合いな道具がその右手に集約していた。
ξ゚听)ξ「さぁ、始めるわよ」
(; ^ω^)「……」
何がとは聞けない。
いや、聞くべきではないと悟った。
〜拘束 にようこそ!〜
301:◆/wOcNhjd4U
12/22(金) 10:08 lcBz4dhWO
(; ^ω^)「……で、何をするつもりだお?」
ξ゚听)ξ「……」
ツンが家に戻ってきてから約五分。ツンはブーンをクーと一緒に部屋の隅に立たせると何をするかも告げず黙々と作業に取り掛かった。
(; ^ω^)「窓に暗幕なんかかけてどうするお?」
ξ゚听)ξ「……」
ずっとこの調子である。何を言っても答えず次は散らかった部屋のものをどんどん端へと運び始めた。
(; ^ω^)「あっ! そのエロゲはちゃんとそこの棚にしまうおっ!!」
ξ゚听)ξ「……」
(; ^ω^)「そっちのエロ本はそこの棚に」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「そこのカップ麺の容器は燃えないゴミへ、割り箸は燃えるゴミにちゃんと分けるお。そしてそこにある足の壊れたフィギュアは萌えるゴミ……なんちってwwそれから」
ξ゚听)ξ「……クー」
川゚ -゚)「だそうだ」
(; ^ω^)「わ、悪かったおっ! 謝るから早くそのナイフをしまうおっ!!」
〜
ξ゚听)ξ「……よし、こんなものでしょう」
出来上がったのは暗幕で外部からの光を遮断された広い空間。
蛍光灯に照らされたそこの中心にはパソコンデスクのイスが孤立していた。
ξ゚听)ξ「それじゃブーン、その真ん中のイスに座って」
(; ^ω^)「……はいだお」
言われた通りイスに座る。何をされるかわからないがとりあえず
川゚ -゚)「……」
後ろの既に判明してる危険は回避せねば。
ξ゚听)ξ「そしたら手をイスの後ろにまわして目を瞑って」
(; -ω-)「……」
言われた通り手をまわし目を閉じる。同時にカチリと鍵のしまるような音が手足から聞こえた。
ξ゚听)ξ「目を開けていいわよ」
(; ^ω^)「……お」
目を開けて確認すると手は手錠で後ろで固定され、足もイスに固定されている。つまり抵抗することは不可能。
覚悟を決めなければ
ξ゚听)ξ「それでは、これより『人格矯正手術』を開始します」
(; ^ω^)「な、なんだおそれは……?」
ξ゚听)ξ「要するにブーンのダメ人間っぷりを直すために一度今の人格を壊そうってことよ」
(; ^ω^)「な、なにを」
ξ゚听)ξ「クー、消灯」
川゚ -゚)「了解」
302:◆/wOcNhjd4U
12/22(金) 10:13 lcBz4dhWO
反論する間もなく辺りが漆黒の世界に変わる。
そして次に現れるのは薄暗い世界。その世界を作りだす小さな蝋燭はあまりに頼りなく、なんとも言えない不安に駆り立てられる。
ξ゚听)ξ「クーも何かあったら言っていいわよ」
川゚ -゚)「把握した」
(; ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「それでは、今日もパソコンでゲームをしていたブーンくんですが」
(; ^ω^)「お」
ξ゚听)ξ「無職のブーンくんはどこからお金を出してるのでしょう?」
(; ^ω^)「そ、それは……母ちゃんからの仕送りで」
ξ゚听)ξ「その仕送りはあなたのお母さんがあなたのために汗水流して稼いだものよ」
川゚ -゚)「おまえは生かして貰ってるんだ」
(; ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「それなのに自分は家にひきこもってゲーム三昧……。申し訳ないと思わないの?」
川゚ -゚)「とんだクズだな」
(; ^ω^)「……」
反論できない。この部屋のせいかツンたち(特にクー)の言葉が直接心に響く。
ξ゚听)ξ「自分の将来を想像してみなさいよ」
(; ^ω^)「え……」
ξ゚听)ξ「五十歳にもなって未だお母さんに養ってもらう自分を」
川゚ -゚)「当然、未だドーテー。男として恥ずかしいな」
(;;^ω^)「……」
五十になってパソコンの前でゲームをする自分を想像する。
開かれないドア
体についた肉
周りに散乱したゴミ
母親の泣き声
川゚ -゚)「そして母親が亡くなったら働くあてのないクズはそのまま家無しに」
(;;^ω^)「……」
川゚ -゚)「社会の底辺にすら混じれないクズはそのまま冬を越せず凍死」
川゚ -゚)「ミミズでさえ自然に貢献してるのに貴様の一生はなんの役にもたたない」
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっとクー」
( ^ω^)「……」
川゚ -゚)「おまえみたいなクズが生きていたいならせめて二酸化炭素から酸素を作れるようになれ」
ξ;゚听)ξ「いくらなんでもそれは……」
( ^ω^)「……」
ξ;゚听)ξ「言い過ぎ……」
( ^ω^)「……死ぬお」
Σξ;゚听)ξ「ちょww」
どうやら手術は成功のようです。
〜壊心 にようこそ!〜
311:◆/wOcNhjd4U
12/26(火) 02:17 a20GACTEO
( ;ω;)「豆腐の角で死ねるってことを証明してやるおっ!!」
ξ;゚听)ξ「ブーン落ち着いて」
川゚ -゚)「騒げば騒ぐだけ二酸化炭素が生産さr」
ξ#゚听)ξ「クーは黙っててっ!」
( ;ω;)「もう嫌だおっ!! 死んでやるお!!」
目から鼻から多量の液体を流しながら縛られた手足を必死に動かしガタガタと暴れるブーン。
今開放したら本気で死にかねない。
ξ;゚听)ξ「クー、わかってるわね?」
川゚ -゚)「ああ、豆腐なら運よく冷蔵庫に。あとは手錠を」
ξ#゚д゚)ξ「外すなって言ってんのよおおおおおぉぉっ!!」
( ;ω;)「うっ……うっ……」
抵抗が無駄だとわかったのか暴れるのをやめるとブーンは歯を食いしばってを声を押し殺していた。
何もないところを貫くようなその目はまるで決して見ることは叶わない自らを睨み付けているようだった。
ξ;゚听)ξ「……見るに耐えないわね」
川゚ -゚)「あの鼻水はちょっとな」
ξ゚ )ξ
川; - )「スマン。キメラアント編が終わって久しぶりにボケに専念できるから浮かれてたんだ。……頼むから地面に下ろしてくれ」
頭を掴まれて宙に浮いているクー。なんとか許してもらおうと必死に謝る。
ξ゚听)ξ「……やっていいことと悪いことがあるわよ」
そう言うとツンはクーを床に下ろした。
川;゚ -゚)「反省しよう」
ξ゚听)ξ「……ブーン」
ξ゚听)ξ「一度精神を崩壊させて私が天使のように救う完璧な洗脳計画が……こんな形で失敗するなんて……」
川;゚ -゚)「……君って奴は」
( ;ω;)「うぅ……」
川゚ -゚)「でもこれはこれで成功ではないのか?」
ξ゚听)ξ「将来へ絶望させる程度でよかったのよ……。なのにクーが存在から否定するから」
川゚ -゚)「……しょうがない。要は生きたいと思わせればいいのだろう」
ξ゚听)ξ「……まあそうだけど」
川゚ -゚)「ブーン」
( ;ω;)「……うぅ」
「生きるというなら 接 吻 してやろう」
312:◆/wOcNhjd4U
12/26(火) 02:19 a20GACTEO
( ^ω^)「僕は気付いたんだお。人が生まれるのには必ず意味があるんだと」
ξ゚听)ξ「……」
( ^ω^)「例え今はその意味が見出だせなくても……いつか必ず僕が生まれた意味がわかる時が来るんだと」
川゚ -゚)「……」
( ^ω^)「だから……僕は……」
「こんなところで死ぬわけにはいかぶほぉっちょやめやめ死ぬホントに死ぬメメタァっ!!」
ξ#゚听)ξ「ふー……ふー……」
川゚ -゚)「……死んだな」
自分の足下まで広がった血溜りを見てクーは悟る。
ξ#゚听)ξ「帰るっ!!」
そして拳に血を染めたツンはズカズカと未だドアのない入口から外へと出ていった。
川゚ -゚)「ツンもしょうがないな……。それではブーン」
クーはツンの用意していたガムテープをカードほどのサイズに切り
川゚ -゚)「ベタではあるが」
ブーンの口を塞ぐように貼り付けると
「これで勘弁してくれ」
そこに約束である口付けをゆっくり落とした。
川*゚ -゚)「……またな」
そう言ってドアをちゃんとはめるとクーはツンの後を追うようにその場を走り去った。
〜
Σ( ^ω^)「……はっ! はんへふひほふははへへふほ(なんで口を塞がれてるお)」
ホントに毎回気絶させられてるだけあってこういう時は頭の回転が早い。
( ^ω^)(ツンたちは帰っちゃったのかお)
そして同時にツンたちがいないことにも気付く。
当然と言えば当然か。どうせ自分は誰の役にも立たないクズ……
……あ、また死にたくなってきた。
(; ^ω^)(だめだめ。暗いこと考えるのは無しだお)
そう自分に言い聞かせ、とりあえず立ち上がろうとする。
( ^ω^)(ありゃ、手錠がついてるから立てないお)
( ^ω^)(……)
(;;^ω^)(……お?)
改めて現状を考察する。
手足共に固定されて動けずさらには口まで塞がれている自分。
暗幕とはめられたドアによって出来上がった密室。
もちろん周りに人はいない。
(;;^ω^)(……もしかして死亡フラグktkr?)
ブーンの監禁生活が始まった。
〜死亡フラグ にようこそ!〜
317:◆/wOcNhjd4U
12/31(日) 02:07 GZY/YM1cO
──翌日
【ツンサイド】
ξ#゚听)ξ「ふんっ! なによ、クーのき……キスなんて嘘ででれでれしちゃって……。今日は会ってやらないんだから」
ベッドに寝転がりながら足をばたつかせてみる。枕元の猫のぬいぐるみは一向に返事を返してはくれることはなかった。
……当たり前か
ξ゚听)ξ「今日一日反省すればいいのよ。さ、早くショッピングにでもいこ」
〜
【ブーンサイド】
( ^ω^)(とうとう丸一日たったお……)
空腹感は否めないが心理的にはまだ余裕がある。
その要因は二つ。一つはゆっくりではあるが縛られたままでも移動できることが判明したこと。これで小便ならなんとかすることができる。
そしてもう一つはツンの存在。彼女は普段からよく家に遊び?に来る。
つまり自分はただ待ってればいいのだ。
( ^ω^)(……腹減ったお。ツン……早くこーい)
〜〜〜
──三日後
【ツンサイド】
ξ#゚听)ξ「全くっ! 連絡もよこさない……なんてっっ!!」
カキーン
勢いよく振ったバットは見事球の真芯を捕らえる。
川゚ -゚)「おおっ!ホームランに当たったぞ」
ξ*う竸)ξ「ふぅ……やっぱこういう時は体を動かすに限るわ」
そう。今日はクーと一緒にバッティングセンターに来ているのだ。
川゚ -゚)「しかしブーンもしょうがないな」
ξ#゚听)ξ「そうよっ! 一度くらい会いに来たっていいじゃないっ!!」
↑
手足縛った人
川゚ -゚)「もしくは電話の一つぐらいしてもいいだろうに」
↑
口塞いだ人
「もうっ! 今日はどっちがより多く打てるか勝負よクー!」
「……ふふっ、昔『黄金バットのクー』と呼ばれた私に挑むとは……愚かな」
「……アンタ何歳よ?」
〜
【ブーンサイド】
( ;ω;)(死ぬぅぅ! ホントに死ぬぅぅぅぅぅぅ!!)
手足を一心不乱に動かす。激しく責め立てる空腹によりもはや平常心などかけらもない。
( ;ω;)(このっ! 外れてくれおおおおおお!)
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガ
(誰かあああああぁぁぁ!!)
318:◆/wOcNhjd4U
12/31(日) 02:09 GZY/YM1cO
──五日後
【ツンサイド】
ξ゚听)ξ「どうするべきかな?」
爪゚ー゚)「そういうのに必要なのは手厚い看護よ」
ξ゚听)ξ「……ふーん」
私はじぃと一緒に喫茶店に来ている。話しているのは……知り合いのひきこもりをどうしたら治るかについて。
ξ^ー^)ξ「ありがとじぃ! やっぱりアンタに聞いて正解だったわ」
爪゚ー゚)「いえいえ、これくらいならお安いご用よ」
「よしっ! そうと決まれば準備よっ! 二日後にブーンをあっと驚かせてやるんだから」
〜
【ブーンサイド】
(ヽ^ω^)(……死ぬお。あと二日もあれば確実に死ぬお)
もう空腹感以外何も感じない。
(ヽ´ω`)(童貞……捨てたかったなぁ)
〜〜〜
──一週間後
(ヽ´ω`)(……)
ピロリロリ
(ヽ´ω`)(……パソコンがうるさいお)
自分は間もなく死ぬ。ならせめて安らかにと思うのに耳障りな音が脳に届く。
ピロリロリ
(ヽ´ω`)(この音は……ああ、ニアが呼んでるのかお)
全く、こっちは今それどころじゃないっていうのに…
(ヽ´ω`)(……)
Σ(ヽ゚ω゚)(!!??)
(;ヽ゚ω゚)(そうだお! パソコンなら指さえ動けばなんとか)
そう思うと同時にパソコンの前まで移動する。縛られていても指はぎりぎりキーボードに届いた。
いけるっ!
「ニア! 助けてくれおリアルで死にかけてる! 住所は……」
(ヽ゚ω゚)(こ、これで助けが……)
バンッ
(;'A`)「おい、ブーン! どうなってるんだ?!」
ドアを勢いよく吹き飛ばしすぐにブーンの口のテープを剥す毒男。
(;ヽ゚ω゚)「ぷはぁっ!な、なんで毒男が」
( 'A`)「私がニアです」
(ヽ゚ω゚)「……」
( 'A`)「おまえに所詮恋愛なんて仮想だってのを思い知らせるため……ってあれ?」
(ヽ゚ω゚)「……」
(;'A`)「お、おいっ!! ブーン、死ぬなっ!! おいっ!!」
ξ^竸)ξ「ブーンっ!! 聞いて驚け今日から私が泊まり込みで看病を……」
ξ゚听)ξ「……ってあれ?」
「ツンか?! 大変だ、ブーンが死にそうなんだっ!! くそっ、一体誰がこんなことを……!!」
「……あ」
〜ツンの私生活(+ブーンの監禁生活)にようこそ!〜
320:◆/wOcNhjd4U
01/06(土) 17:48 pOnPcsQZO
( ^ω^)「……それで、いつまでいるつもりだお?」
ξ゚听)ξ「何? 私と同棲よ同棲。本来なら泣いて喜んだあげく死ぬ勢いよ」
( ^ω^)「あいにく最近死にかけたばっかりだお」
ξ;゚听)ξ「う……」
監禁されてから三日後の午後八時。僕は久しぶりに自分の部屋に戻ってきた。
栄養失調による入院生活を終えて。
ξ;゚听)ξ「だ、だから何度も謝って」
(# ^ω^)「本気で死にかけたんだおっっ!!」
自分を殺しかけた奴と同棲?冗談じゃない。今回だってたまたまニアが毒男だったから助かったん……
( ;ω;)「……ニアは毒男……」
ブーンの心に10のダメージ
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっとなにいきなり泣いてるのよ」
(# うω;)「うっ、うっさいお!! そんなにうちに"居 候"させてもらいたいならそっちが泣いて頼めばいいおっ!」
ξ゚听)ξ「……は?」
(* ^ω^)「そうすればうちに"居 候"させてあげてもいいお」
ξ゚听)ξ「……」
ツンは言葉を失って唖然としている。予想通りだ。ツンの性格上ここまで言われたら確実に帰る。
ここは僕の唯一の居場所。絶対不可侵の城。
そう易々と他人が住んでいい場所じゃないんだ。
( ^ω^)(さっさと諦めて帰ればいいお)
「……二十万よ」
( ^ω^)「お?」
ξ゚听)ξ「ブーンが入院中に郵便受けに届いた請求書の合計」
ξ゚听)ξ「オンラインゲーム、ネット通販、電話代、光熱費、水道費、家賃」
(; ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「お母さんからの仕送り、今月はなかったんだって?」
Σ(; ^ω^)「なっ、なんでそれをっ!」
ξ゚听)ξ「全て私が支払いました」
(; ^ω^)「……」
「さて、ここで質問です」
ξ゚听)ξ「"誰" が "誰" んちに居候するって?」
( ;ω;)「……僕がツン様の家に居候させていただきます」
……どうやらこの城は僕のモノではなかったらしい。
そう思うと何故か急に目から汗が溢れた。
321:◆/wOcNhjd4U
01/06(土) 17:52 pOnPcsQZO
ξ゚听)ξ「さて、それじゃ晩ご飯にしましょうか。って言ってもさっき買ったコンビニ弁当だけど」
( ^ω^)「手抜きだお」
ξ;゚听)ξ「うっさいわね。明日はあっと驚くような手料理を作ってあげるから我慢しなさい」
そう言って渡される唐マヨ丼390円
ツンが封を開けているあじわい幕の内弁当680円
感じられない愛
priceless
何故か唐マヨ丼はいつも以上にしょっぱく感じた。
〜
ξ^竸)ξ「ご馳走さま。あーおいしかったっ!」
( ^ω^)「……ご馳走さま」
ξ゚听)ξ「さてご飯も食べ終わったしあとは寝るだけね」
( ^ω^)「あー、布団はあいにく一枚しかないお」
Σ(; ^ω^)「!!?」
……そうだ。よくよく考えれば女の子が一つ屋根の下で夜を過ごすなんてセクロスフラグ以外の何物でもない。それなのに何をシリアスに自分の城とか言っちゃってんの僕は問題はそんなことじゃないだろ早くツンを押し倒していやしかし紳士的には優しくリードしてでも向こうに任せるのもまた一興けどけどだからっ_________
<○√
‖
くく
しまった!
ここは糞作品だ!
オレが止めているうちに
他作品へ逃げろ!
早く! 早く!
オレに構わず逃げぐぇ
(; ゚ω゚)「うっせえおっ!!今からみなが求めた官能小説編やってやんだから黙って見てろおっっ!!」
(; ゚ω゚)「フオオオオォッッ!! ツウウゥゥゥゥンンッッ!!」
ひでぶ
ξ;゚听)ξ「え、僕は押し入れで寝る? いや、そこまでさせるのは悪いわ」
返事はない。ただのしかばねのようだ。
ξ*゚听)ξ「ツンに布団を使ってもらわないと困る? な、なにカッコつけてるのよっ!!」
返事はない。ただのしかばねのようだ。
ξ///)ξ「そ、そこまで言うなら使ってあげるわよっ!! あ、ありがとうなんて言わないからねっ!!」
返事はない。ただのしかばねのようだ。
ξ゚听)ξ「よっこらせ……っと」
ドサ
ξ^ー^)ξ「じゃあおやすみなさい、ブーン」
返事はない。ただのしかば(ry
ピシャン
目が覚めた時、ブーンにその夜の記憶はありませんでした。
〜同棲 にようこそ〜