454:15◆p7NLwd/q.6
10/30(火) 00:03 EDl14b8ZO

 
三十八重 『疑問』
 
大樹の幹がえぐれ、機械の一部が露出している。
葉の一枚一枚が光っている。
人工の物ではあるが樹の霞んで見えない頂上からは生を感じる。
 
ξ(゚、゚*ξ「……落ち込むのは自由だけど私の計画は潰さないで欲しいから話は聞いて」
 
デレが長岡に話しかける。
 
( ゚∀゚)「…なんでおまえは平然としていられるんだ」
 
ξ(゚△゚*ξ「これが私に残された最後の策だからよ」
 
(#゚∀゚)「策ってなんなんだよ!? おまえは俺をどうしたいんだ!?」
 
怒鳴る長岡を落ち着いた様子でデレが見つめる。

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455:名無しさん
10/30(火) 00:04 EDl14b8ZO

 
ξ(゚、゚*ξ「…そこは黒く暗い実験室 そしてその中心には光る球」
 
(#゚∀゚)「なんの話だ…?」
 
ξ(゚△゚*ξ「あなたたちの世界の始まりの話」
 
怒る長岡を制すようにデレが語りかける。
 
ξ(゚△゚*ξ「私たち研究者は擬似的な惑星を造ることに成功したの 遠い昔のこと…」
 
デレが少しの間、目を閉じて開く。

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456:名無しさん
10/30(火) 00:05 EDl14b8ZO

 
ξ(゚△゚*ξ「その惑星を疑問と名付けた 様々な疑問の答えを出すように、と」
 
ξ(゚、゚*ξ「疑問はエネルギーを与える度に膨らんだ 膨らんだ疑問を細かくし、各々の研究者が観察できるように与えられた」
 
ξ(゚△゚*ξ「ここがその実験室なの」
 
( ゚∀゚)「…ただ樹があるだけじゃねぇか」
 
長岡が辺りを見回すがこれといって実験出来るような設備が揃っているわけではない。

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457:名無しさん
10/30(火) 00:06 EDl14b8ZO

 
ξ(゚、゚*ξ「話はこれから 疑問の開発により近く携わった者がこの部屋で観察していた 最も近かったのは九人の研究者」
 
ξ(゚△゚*ξ「そして惑星を自分の好みで改変しだした」
 
デレが見つめるのは赤い燃えるような陽の球。
 
ξ(゚、゚*ξ「ある男は自らエネルギーを作り出し、他の惑星へとエネルギー供給を行える‘太陽’を創り出した」
 
(;゚∀゚)「……」

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458:名無しさん
10/30(火) 00:07 EDl14b8ZO

 
ξ(゚△゚*ξ「そしてそのエネルギーを利用して様々な惑星が創られた」
 
ξ(゚、゚*ξ「そうしてあなたがご存知の惑星の出来上がり」
 
(;゚∀゚)「そんなこと信じられるかよ……」
 
ξ(゚ー゚*ξ「別に信じなくてもいい ただあなたの世界の成り立ちを聞いてもらえれば」
 
デレが長岡にやんわりと微笑みを浮かべる。

459:名無しさん
10/30(火) 00:10 EDl14b8ZO

 
ξ(゚△゚*ξ「そして私たちは‘生物’のデータをダウンロードし、観察を行うことにした」
 
ξ(゚、゚*ξ「疑問にもデータを入れたけど失敗だった ‘たくさんの種’ではなく‘統合された一つの個’として疑問は意識を得た」
 
ξ(゚△゚*ξ「そして数年ほどで観察も要所要所で時を早めたりして、惑星の生物は‘ヒト’へとたどり着き、さらに先の高度な科学を得た」
 
ξ(゚、゚*ξ「そしてヒトは他の惑星へとたどり着いた だけど他の惑星への侵入はいわばハッキング、時にはクラッキングでしかなかったの」
 
ξ(゚△゚*ξ「そして重大な事故が起きた」
 
(;゚∀゚)「……」
 
長岡は話の内容が理解できなかった。
したくもなかったし、一体なんの意味があるというのだろうかという疑問を抱いていた。

460:名無しさん
10/30(火) 00:11 EDl14b8ZO

 
ξ(゚、゚*ξ「ヒトが疑問にたどり着いた」
 
ξ(゚△゚*ξ「疑問の個は迷った ヒトを解析して疑問は疑問を持つ 人は人として何かしら目的を持つ だが自分は空っぽだ、と」
 
ξ(゚、゚*ξ「疑問は悩む 自分の存在意義を見出だす為に」
 
ξ(゚△゚*ξ「そして疑問は連結したネットワークを吸収、膨大な情報を得た樹となった」

461:名無しさん
10/30(火) 00:12 EDl14b8ZO

 
ξ(゚、゚*ξ「疑問は全ての抹消という役割を導く 私たちのいる現実を醜い物と考え、全てを消すことを存在の意味として捉えた」
 
ξ(゚△゚*ξ「効率よく抹消するため、より適合した形を目指す 疑問は樹という殻から抜け出し、自らが知る最も活動に適している形、ヒトに自らの個を入れた」
 
ξ(゚、゚*ξ「そして個は冥王として生まれた」
 
ξ(゚△゚*ξ「だが疑問から冥王へと移る段階で元々入れてあったヒトのデータが混入 冥王はよりヒトに近い存在へと変化した」
 
ξ(゚ー゚*ξ「考えの醜い悪魔にね」

462:名無しさん
10/30(火) 00:14 EDl14b8ZO

 
ξ(゚△゚*ξ「そして冥王は疑問から与えられたエネルギーを放出し、惑星…というよりは現実ごと破壊 こうしてあなたたちの世界のリセット…ビッグバンが起きたの」
 
少女が微笑む。
貼付けたような微笑み。
 
(;゚∀゚)「……」
 
長岡は世界の始まりを聞いた。
故に思う。
内容が重い上にデレは一体いくつなんだ、と。

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