367:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:09:32
k3JwUtJuO
諸葛亮曰わく:おハロー
( ・∀・)「いやー暇だなあ」
「ねー、ねー、知ってる?」
「またでしょ?例の昏睡症候群ってやつ?」
「そーそー、もう十人目だよ」
( ・∀・)「昏睡症候群?」
気紛れな相談屋のようです
第十二話 「出会い」
368:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:10:40
k3JwUtJuO
( ・∀・)「ねー、それって何?詳しく教えてくれない?」
「え…誰ですか?」
( ・∀・)「僕はモララー!相談屋さ!」
「…は?」
( ・∀・)「その昏睡症候群ってやつについて聞かせてくれない?」
「いいですけど…」
※
※
※
※
369:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:11:34
k3JwUtJuO
( ・∀・)「マックです!」
「誰に言ってるんですか?」
( ・∀・)「お気になさらず。さ、中に」
( ・∀・)「さ、聞かせてくれない?」
「はあ…いいですけど、詳しくは知りませんよ?」
( ・∀・)「知ってる範囲で構わんよ」
「えと、一週間くらい前からなんですけど、学校の生徒達が連続で意識不明になっているんです」
( ・∀・)「ほう!」
「原因は一切分からなくて、昏睡状態になった子達にも共通点はなくて…」
「せいぜい、みんなウチの学校の生徒達だってくらいだよね」
( ・∀・)「なるほど!ありがとう!あ、ここは僕が払っておくから!」
そう言うとモララーはテーブルに代金を置き走り去っていった。
「なんなんだろ…あの人」
「さあ…」
※
※
※
※
370:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:12:44
k3JwUtJuO
( ・∀・)「さて…こいつは面白いことに出会っちゃったかも」
嬉しそうに笑い、モララーは歩き始めた。
そう、これは、相談屋が結成される少し前のお話−
「まったく…一体どうなっているんだ」
「まるで原因がわからないなんて…もはや何かに呪われているとしか…」
「一体どうすれば…」
学校の教師陣が頭を抱える一方、距離にしてわずか数百メートル離れた所にある洋館。ソファーに座り、紅茶を飲む一人の女が居た。
「さて…」
川 ゚ー゚)「次はどれにしようかな」
※
※
※
※
371:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:13:49
k3JwUtJuO
( ・∀・)「一週間くらい前からはじまった連続生徒昏睡事件」
( ・∀・)「調査によれば、昏睡状態にある生徒達は何かしらの疾患を抱えているわけでも、突発性の病気なわけでもない。また、共通点もこれと言ってない」
( ・∀・)「強いてあげるなら、同じ学校の生徒だということか…」
( ・∀・)「うーん…」
「ままー、あのお兄ちゃん何してるのー?」
「しっ、見ちゃだめ!」
モララーは、住宅街のコンクリート塀の上にあぐらをしながら思案にふけていた。
( ・∀・)「一週間前ねえ…」
( ・∀・)「とりあえず、何か変わったことがあったかどうか聞き込みするかね」
※
※
「一週間前に何か変わったことがあったか?」
( ・∀・)「はい、何かありませんか?」
「んー…特にないわねえ」
( ・∀・)「そうですか」
「ごめんなさいね」
※
※
「お通じがあったわ」
( ・∀・)「知らんがな」
※
※
「給料日だったから旨いもの食べたよ」
( ・∀・)「うらやましい…」
※
※
「彼女ができました!」
( ・∀・)「ぶち殺すぞ」
※
※
「一週間前?」
( ・∀・)「はい、何かありませんか?」
「そうねえ…あ、そういえば」
( ・∀・)「何かありますか?」
「たいしたことではないんだけど、ほら、あそこに大きな洋館が見えるでしょ?長いこと空き家だったんだけど、一週間くらい前から誰か出入りしてるみたいなの」
( ・∀・)「マジすか!」
「ええ、確か女の人だったと…」
( ・∀・)「ありがとう!お礼にこの飴ちゃんをあげます!」
「あ、ありがとう…」
※
※
※
※
372:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:15:20
k3JwUtJuO
( ・∀・)「ここか…」
洋館の前にモララーは居た。近隣の民家の軽く二倍はあろうかという大きさで、外壁には蔦が絡んでいた。庭付きで、池が備わっていた。
(
・∀・)「うーむ…」
「あら、何か御用?」
背後からの声に振り向くと、そこには、真っ直ぐな長髪を風に揺らめかせ佇む美しい女性が居た。
川 ゚ -゚)「何か御用ですか?」
( ・∀・)「あー!いえいえ!でっかい家だなーって感心してたんですよ!」
川 ゚ -゚)「ああ、そうだったんですか」
( ・∀・)「あのー、もしやあなた一週間くらい前に越して来た…?」
川 ゚
-゚)「ええ、一週間前にこちらに来ました、クールヴァン・ドリーターと言います」
( ・∀・)「僕はモララー!相談屋さ!」
川 ゚ -゚)「相談屋?」
( ・∀・)「文字通り、誰かの相談事を解決する仕事です!」
川 ゚ -゚)「それは素晴らしいですわね。あ、立ち話もなんだから、お茶でもいかが?」
( ・∀・)「いただきます!」
※
※
※
※
373:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:16:50
k3JwUtJuO
川 ゚ -゚)「お口に合うかどうか…」
( ・∀・)「いえ!いただきます!旨い!熱い!」
川 ゚ー゚)「ふふっ、それは良かった」
( ・∀・)「何故ここに引っ越して来たんですか?」
川 ゚ -゚)「たまたまですよ。流れにまかせて生きているもので」
( ・∀・)「なるほど!」
川 ゚ -゚)「ところで相談屋さん」
( ・∀・)「モララーです!」
川 ゚ -゚)「モララーさん。相談屋って言いましたけど、今何か仕事を受けていらっしゃるんですか?」
( ・∀・)「いえいえ、中々仕事ないんで」
川 ゚ -゚)「あらあら」
( ・∀・)「今は暇潰し中です」
川 ゚ -゚)「暇潰し?」
( ・∀・)「ええ、連続生徒昏睡事件について調べてます」
瞬間、クーの動きが止まった。
川 ゚ -゚)「連続生徒昏睡事件?」
( ・∀・)「おや、ご存じない?最近起きてるんですよ。ここからすぐ近くにある学校で生徒達が次々に昏睡状態になっているんです」
川 ゚ -゚)「まあ怖い」
( ・∀・)「たしか一週間くらい前からなんですよ」
川 ゚ -゚)「ほう」
( ・∀・)「あれ?一週間くらい前ってどこかで聞いたな…なんだっけな」
川 ゚ー゚)「…ちょうど私が引っ越して来た頃ですね」
( ・∀・)「あー!そうだそうだ!いやー!偶然ですねえ!ははは!」
川 ゚ー゚)「本当に」
( ・∀・)「…」
川 ゚ー゚)「…」
( ・∀・)「さて、じゃあ僕はこれで」
川 ゚ -゚)「もうお帰りに?」
( ・∀・)「一人暮らしの女性の家に長居すはりのやよろしくない!」
川 ゚ー゚)「紳士ね」
( ・∀・)「チキンなんで!じゃ!」
川 ゚ -゚)「相談屋…モララー…か」
川 ゚ー゚)「くすっ」
※
※
※
※
374:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:18:27
k3JwUtJuO
夜
暗がりの中を一人の女子生徒が歩いていた。恐らく部活で遅くなったのだろう。
「あー疲れた」
どうやら、例の洋館の前が通学路のようだ。
「…」
洋館の屋根に佇む人影があった。
「あれでいいか…」
そう呟くとその人影は飛び降りようとする仕草を見せた。その時
「動くな」
「!」
背後からもう一つの声が響いた。
( ・∀・)「どうも、モララーです」
川 ゚ -゚)「あら、こんばんは」
( ・∀・)「こんなところで何をしてるんです?」
川 ゚ー゚)「同じ質問を返しましょう」
( ・∀・)「いや、僕はただ」
一陣の風が二人の間を駆け抜けた。
( ・∀・)「連続生徒昏睡事件の犯人を探しに」
川 ゚ー゚)「私だと?」
( ・∀・)「違います?」
川 ゚ー゚)「何故分かったの?」
( ・∀・)「いや、ほとんど勘ですよ。時期的に合ってるっていうのと、あなたが人間じゃないってことと」
川 ゚ -゚)「私が人間じゃないといつ分かった?」
( ・∀・)「会った瞬間」
川 ゚ー゚)「なるほどね…。ま、隠す気もないからいいか。いかにも、私が犯人よ」
( ・∀・)「なんでまた」
川 ゚ー゚)「若い子の夢は旨いのよ」
( ・∀・)「なーるほど…夢魔か」
川 ゚ー゚)「ご明察、で?あなたは私をどうする気?」
( ・∀・)「暇潰しついでに、とっちめますか」
川 ゚ー゚)「あはは!夢魔の王たる私に、人間の分際で戦いを挑むのね!いいわ、面白い。遊んであげましょう…!」
375:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:20:13
k3JwUtJuO
先に動いたのはモララーだった。指を鳴らし、クーの周りに火球を生み出した。
川 ゚ -゚)(大気中から炎を生み出したのか)
( ・∀・)「くらえっ!」
火球は爆発し、クーは噴煙に消えた。が、次の瞬間、噴煙から飛び出したクーは、勢いそのままにモララー弾き飛ばした。
( ・∀・)「うおっ!」
川 ゚ー゚)「そんなんじゃ私はやれないわよ?」
月を背景に浮遊しながら、クーは右手を挙げた。すると、色鮮やかな光球がいくつも現れ、クーの指先の動きに合わせてモララーに襲い掛かった。
(;・∀・)「うわわっ!」
川 ゚ー゚)「ふふっ、いつまでもつかしら!」
( ・∀・)「にゃろう!」
モララーは地面を叩いた。すると、叩いた地面から槍が生み出され、クー目がけて発射された。
川 ゚ー゚)「ふふっ」
発射された槍は次々と光球で粉砕されていく。
川 ゚ー゚)「そろそろ諦めなさいな。人間が私に勝つなんて無理な話よ」
クーが掌をモララーに向ける。すると、一際大きな光球が発生した。
川 ゚ー゚)「さようなら、多少は楽しかったわ」
( ・∀・)「!」
モララーに向け巨大な光球が発射された。
川 ゚ -゚)「!」
しかし、光球はモララーに当たる直前、いきなり進行方向を真逆にした。つまり、クー目がけて飛んできたのだ。
( ・∀・)「進行方向の力を対価に反対方向に打ち返す!」
川 ゚ -゚)「くっ」
咄嗟に防ぐクー。しかし光球は大きな音を立て爆発した。
洋館の半分が抉れる程の威力だった。
376:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:22:10
k3JwUtJuO
( ・∀・)「げほげほ。ひでえ威力だ」
瓦礫の下からモララーが顔を出した。
川 ゚ -゚)「見事ね。見くびっていたわ」
クーはモララーの十数メートル離れた位置に立っていた。ダメージは受けていないようだが、服が少し破れていた。
川 ゚ -゚)「まさか人間にここまで出来る者がいるなんてね」
( ・∀・)「いやー、誉めても何も出ないよん」
川 ゚ -゚)「敬意を表し、夢魔の王たる力をお見せしましょう」
クーを中心に半円状の力場が広がり、館を覆い尽くした。
( ・∀・)「これは…」
川 ゚ -゚)「夢現転生。幻術によって生み出した私の夢界を現実に割り込ませる術よ」
( ・∀・)「?」
川 ゚ -゚)「ここは私の世界であり現実。あなたに勝ち目はないわ」
( ・∀・)「幻術で作った世界と現実世界を入れ換えたってこと?」
川 ゚ -゚)「その解釈でいいわ」
( ・∀・)「なんというチート…要するに今あんたは神なわけだ」
川 ゚ -゚)「そうよ。あなたを生かすも殺すも私の胸三寸」
( ・∀・)「うーむ、困った」
川 ゚ -゚)「私にもプライドがあるから、悪いけどあなたには死んでもらうわ」
( ・∀・)「ストップ!」
川 ゚ -゚)「何?この期におよんで命乞い?」
( ・∀・)「いんや、警告。僕を殺すと君も死ぬよ?」
377:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:24:29
k3JwUtJuO
川 ゚ -゚)「何を馬鹿な」
( ・∀・)「気付いてるかもしれんが、僕の能力は何かを対価に、それと同価値の事象を起こすわけ」
川 ゚ -゚)「…」
( ・∀・)「つまり、君が僕を殺すと、僕の命を対価に君の命を頂く、と」
川 ゚ -゚)「たかが人間一人の命と私の命が同価値だと?」
( ・∀・)「もちろん違うだろうね。だから僕が指定した条件は、『僕が殺されたら、僕の命を対価に君を殺す。不足分の対価は周辺の人間の命とする』」
川 ゚ -゚)「!」
( ・∀・)「他の人間がどうなろうが知ったこっちゃない。僕は暇潰しをしたいだけさ」
川 ゚ -゚)「…」
( ・∀・)「いくらここが君の創造した世界といえども、等価交換の原則からは逃げられない。この勝負、引き分けかな」
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ー゚)「…いえ、私の負けよ。中々やるわね」
( ・∀・)「いやいや、君、本気の半分も出してないでしょ」
川 ゚ー゚)「さあ?どうだか」
( ・∀・)「まあいいや、とりあえず、君が負けたって言うなら僕の勝ちだ。言うこと聞いてもらおうか」
川 ゚ -゚)「身体?」
( ・∀・)「いやいや」
川 ゚ -゚)「まあスタイルに自信はあるけど…」
( ・∀・)「話を聞きなさい」
川 ゚ -゚)「?」
( ・∀・)「昏睡状態の生徒達を治してあげな。あと生徒達の夢を食らうのも禁止」
川 ゚ -゚)「えー」
( ・∀・)「えーじゃない!」
川 ゚ -゚)「私が負けからって理由で言うこと聞くのは納得よ。でもそれは一個だけ。もう一つは対価がいるわよ」
( ・∀・)「うーむ…確かに」
川 ゚ -゚)「じゃあこうしましょう」
( ・∀・)「?」
川 ゚ー゚)「生徒に手出ししない代わりに、これからはあなたの夢を食べさせなさい
(;・∀・)「えっ」
川 ゚ー゚)「あなたのせいで家も壊れちゃったし、丁度いいわ。あなたの家に住ませてもらうわよ」
(;・∀・)「マジすか」
川 ゚ー゚)「マジ」
( ・∀・)「うーむ」
川 ゚ー゚)「いいじゃない、私のような美人と生活を共に出来るのよ?」
( ・∀・)「そういう問題?」
川 ゚ー゚)「うん」
378:◆jtHtMr3tGQ
2010/10/07 00:27:25
k3JwUtJuO
※
※
※
※
( ・∀・)「はっ!」
川 ゚ -゚)「どうしたの!モララー」
( ・∀・)「いや、なんだかえらく懐かしい夢を見たよ」
川 ゚ -゚)「あらあら、そんなことよりお腹が空いたわ」
( ・∀・)「はいはい、何食べたい?」
川 ゚ -゚)「…」
( ・∀・)「…あっちですか」
川 ゚ー゚)「さあ、ベッドに行くわよ」
( -∀-)「はいはい」
気紛れな相談屋のようです
第十二話 「出会い」 おわり