505:15◆p7NLwd/q.6
11/05(月) 00:07 bMPByctVO

 
四十二重 『隣り合う限りなく遠い世界』
 
紅に燃える炎が形を成す。
そして炎は長岡へと牙を剥く。
 
( ΦωΦ)「ふんっ!!」
 
纏っていた炎が拳を振る瞬間、放たれる。
えぐられ、黒焦げた地面。
溶けた遊具。
デレは避難した。
薄情な奴め。
 
(;゚∀゚)「アルカナの威力が段違いだな」
 
地を走る火柱を青い鳥で貫通させ散らし、赤い鳥で消す。
ロマネスクの周囲には握りこぶしほどの紅い球が四つ浮かんでいる。
  
( ΦωΦ)「我輩はデレを殺す 死にたくなければどけ!!」
 
四つの球が同時に長岡へと襲い掛かる。

506:名無しさん
11/05(月) 00:08 bMPByctVO

 
( ゚∀゚)「それ無理 てかさっきまで乗り気だっただろ」
 
青と赤の鳥を目の前で混ぜ合わせ、黄色い球を作る。
炎の球が長岡に当たる直前で黄色の球は破裂し、炎の球が四方へと逸れる。
 
( ΦωΦ)「時間が無くなった!! それだけだ!!」
 
ロマネスクが炎の球を回転させる。
回転は速くなり、まるで火の輪のように炎の尾が伸びる。
とうとう炎の先と尾が繋がり、巨大な火の輪へと姿を変える。
 
(;゚∀゚)「ちっ」
 
火の輪が収縮し、炎を放つ。
焼き尽くす火炎。
黄色の球で方向を変えるが思ったほどに叶わなかった。
赤い鳥を地面にぶつけ、えぐり、穴を掘る。
赤と青を穴の中に何度もぶつけ、隠れる。

507:名無しさん
11/05(月) 00:09 bMPByctVO

 
( ΦωΦ)「奴が来る」
 
焦げた地面と空いた穴。
穴の中から長岡が出て来る。
 
( ゚∀゚)「奴?」
 
ロマネスクに聞き返すと同時に森の木が直線的に何かに潰されたかのように倒れた。
 
(;゚∀゚)「!?」
 
(;ΦωΦ)「速……!!」
 
黒い球体にロマネスクは重力を無視して後方へと体が飛ばされる。
球体はロマネスクを余裕で隠せる大きさ。
 
l从・∀・ノ!リ人「到着なのじゃー!!」
 
妹者が森の中から倒れた木々を踏み付けつつ、現れた。
 
(;゚∀゚)「冥王か」
 
(;ΦωΦ)「厄介なのが現れる前に始末しておきたかったのだが…」
 
舞う土煙と遊具の瓦礫から立ち上がるロマネスクは一言発した。

508:名無しさん
11/05(月) 00:10 bMPByctVO

 
l从・∀・ノ!リ人「ふむ……地球と太陽か 月もいると思ったのだがのう……」
 
(;゚∀゚)「何を…」
 
(#ΦωΦ)「下がれ!!」
 
l从・∀・ノ!リ人「JUDGEMENT:黒の隣人」
 
ロマネスクの声に反応し、長岡がバックステップ。
長岡がいた場所は黒い球体で破壊され、地面が丸く凹んでいた。
 
(;゚∀゚)「なんじゃありゃ」
 
( ΦωΦ)「気を抜いたら即死だ 覚えておけ」
 
( ゚∀゚)「へいへい 何? 俺助けてツンデレになったつもりか?」
 
( ΦωΦ)「ふん……愚問だな 冥王を倒すには貴様が必要なだけだ まず三つ巴は避けるべき」
 
( ゚∀゚)「仕方ないなあロマ太君は 少し手を組んdl从・∀・ノ!リ人「くたばるのじゃ愚図共」
 
黒い球体が二人を襲う。
 
( ゚∀゚)「当たらんさ」
 
( ΦωΦ)「……」
 
二手に別れて回避。

509:名無しさん
11/05(月) 00:12 bMPByctVO

 
l从・∀・ノ!リ人「甘いのじゃ」
 
黒い球体が半分にわかれる。
大きさも半分ほどになった分、追撃する速度があがる。
 
(;゚∀゚)「反則だろ」
 
ロマネスクは炎の塊を地面にぶつけて推進力とし、自らを宙へ飛ばし回避。
長岡は赤い鳥を真横からぶつけて逸らし、青い鳥で更に軌道を曲げる。
 
l从・∀・ノ!リ人「むぅ」
 
二つの球体が速度を徐々に落とし、一度止まる。
そして球体が勢いよく妹者の両手へと戻る。
 
l从・∀・ノ!リ人「まだまだなのじゃ」
 
二つの球体が勢いをつけて襲い掛かる。

510:名無しさん
11/05(月) 00:15 bMPByctVO

 
(;゚∀゚)「まじかい」
 
球体を走って避ける長岡。
ロマネスクも距離をとる。
そしてある一定の距離まで迫ると球体は戻る。
 
( ゚∀゚)「……ちょっと考えるからその球体を防いでくれ」
 
(;ΦωΦ)「ぬぁっ!?」
 
そして妹者の手元に戻り、またも二人を襲う。
速さが増し、手元に戻ってこちらに襲い掛かる頻度が早く、球体が速くなる。
 
(;ΦωΦ)「これを防ぐのは骨が折れる」
 
拳に溜めた紅い炎を球体に向けてやや斜めで打ち込み、方向を変える。
 
l从・∀・#ノ!リ人「しぶとい…」
 
二つの球体が四つにわかれる。
そして器用に操られた球体はロマネスクに向けて四方から襲い掛かる。
 
(;ΦωΦ)「ぐぅ」
 
球体の下に火柱を作り、球体を宙に飛ばして方向を変える。

511:名無しさん
11/05(月) 00:16 bMPByctVO

 
l从・∀・#ノ!リ人「そろそろ散ったらどうじゃの? 陽よ」
 
(;ΦωΦ)「笑わせてくれる」
 
黒と紅が入り交じる。
徐々にだが、炎が圧されはじめる。
 
l从・∀・ノ!リ人「諦めたらどうじゃ? まぁ、どちらにせよこれで終わりじゃ」
 
四つの球体がロマネスクに襲い掛かる。
速度は最初とは比べようもない速さ。
 
( ゚∀゚)「俺に敵う者などない!! 俺が絶対神!!」
 
青い鳥が飛ぶ。
速く、求められた仕事を果たす為に、ただ疾く。
 
l从・∀・;ノ!リ人「!?」
 
球体の後ろに回り込み、通り過ぎる鳥。
だが球体は妹者の操作を離れ、どこかへ飛んで行った。
 
(;ΦωΦ)「何をした?」
 
( ゚∀゚)「何ってヨーヨーの紐を切っただけだ」

512:名無しさん
11/05(月) 00:18 bMPByctVO

 
( ΦωΦ)「よーよー?」
 
( ゚∀゚)「子供の玩具だな 重しに紐を巻き付けて手元に戻すんだ」
 
( ΦωΦ)「よくわからんが、球体は貴様に任せるぞ」
 
( ゚∀゚)「おう」
 
妹者の手にはまたも黒い球体。
 
l从 ∀ ノ!リ人「カスが……」
 
ハンマー投げのように球体を回転させる。
 
( ゚∀゚)「……」
 
赤い鳥を球体と妹者の手元との直線に向けて飛ばす。
紐が切れる。
注意して目を凝らさないと見えないような紐が。
球体は操作を失い妹者の後ろへと飛んでいく。

513:名無しさん
11/05(月) 00:19 bMPByctVO

 
( ΦωΦ)「ぶるぁ!!」
 
二つの炎の槍を妹者の心臓に向けて飛ばす。
 
l从・∀・#ノ!リ人「なめるなよ!! 糞共がぁ!!」
 
素手で炎を弾き、球体を殖やす、殖やす、殖やす。
 
l从・∀・#ノ!リ人「あぁ!!」
 
八つに殖えた球体がバラバラに飛んでくる。
手と紐が繋がっていないため、戻ることはない。
 
( ゚∀゚)「八分割したら簡単に弾けるんだぜ」
 
自分に当たるであろう球体だけを赤と青の鳥で弾く。
 
( ΦωΦ)「ふん」
 
妹者を炎の壁で包む。
 
l从・∀・#ノ!リ人「…っ!!」
 
火力を増す炎。

514:名無しさん
11/05(月) 00:20 bMPByctVO

 
l从・∀・;ノ!リ人「っ!?」
 
炎の壁に紛れて飛んで来た赤い鳥を避けなかった。
否、避けられなかった。
貫かれる胸。
倒れる体。
青い鳥が追撃で襲い掛かる。
顔に当たる寸前で時が止まる。
体は動かない。
だが考えは巡る。
全てを削除する使命を無視しなければ死ななかったかもしれないが、永遠の生命に興味もない。
もしかしたら死にたかったのかもしれないし、普通に生きたかったのかもしれない。
そう考えながら青い鳥に頭を貫かれた。
 
(;゚∀゚)「仕留めたか…?」
 
炎が散り、中からは妹者の頭のない死体のみが残る。
 
( ΦωΦ)「……仕切直しだ」
 
ロマネスクが長岡と距離を取り、拳を構える。

515:名無しさん
11/05(月) 00:21 bMPByctVO

 
(;゚∀゚)「ちっ……」
 
厄介だと思っていたことは片付いてはいなかった。
頭の中がロマネスクに向いていて、背後に迫る人影に気付かなかった。
 
( ΦωΦ)「行くぞ!!」
 
ロマネスクの炎を避ける。
そして胸の違和感に気付く。
後ろにはデレの姿。
 
ξ(^ー^*ξ「冥王討伐ご苦労様…そして」
 
ξ(゚ー゚*ξ「お疲れ様」
 
デレの腕は鋭い刃物となり、長岡の胸を貫いていた。
流れる血液、口には鉄の味。
 
(;゚∀゚)「…おまっ……」
 
ξ(゚、゚*ξ「隙は見せちゃダメ だからあなたは甘いの」
 
デレの手には冥王の鍵と長岡のカード。
倒れる長岡を無視し、ロマネスクに笑顔を向ける。
 
ξ(^ー^*ξ「冥王の初撃を受けたあなたに私を倒せるかな」
 
デレは既に長岡に対して興味はなかった。
長岡は赤い満月を思い出し、薄れ行く意識の中で会話を朧げに聞いていた。

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