593:名無しさん
11/25(日) 19:14 G/vpGgUnO
終重 『私を覚えていますか』
最後は少しずつ近付き、今は過ぎ去ります。
忘れない。
私はあなたを追い求め、諦め、平常を装った。
あなたは私に夢を与えた人ですか?
それとも私に絶望を与える人ですか?
あなたは私の光になってくれますか?
それとも私の闇になってくれますか?
何があっても私は求めます。
心から、あなたを。
あなたは誰ですか?
私を覚えていますか?
( ^ω^)がはしゃいじゃうよ
594:15◆p7NLwd/q.6
11/25(日) 19:17 G/vpGgUnO
彼は誰だ。
顔はジョルジュだ。
長岡と同じ懐かしい顔。
だが、違う。
纏っている空気が違うのだ。
_
( ゚∀゚)「ほぉ……第一研究所は精神の交換にも成功していたのか 気付かなかったな 流石だ」
ハインの近くを浮いていた本がジョルジュ…?に引き寄せられ、ページがめくられる。
白い空間の中でも本は一際、存在感を放つ。
_
( ゚∀゚)「ツンは違反だな まあ死んだから関係ないか しかし、長岡を造るのに大した材料もエネルギーも必要ないはずだよ、なぁ?」
向こうを向いたままハインに話を振る。
从;゚∀从「へ?」
_
( ゚∀゚)「へ?じゃなくてな 地球の残骸を見ただろ」
从 ゚∀从「そういえばあった、かな」
_
( ゚∀゚)「ただの蛋白質がベースの肉体に人工知能、人工心臓、その他諸々等を動かすのには材料だけで地球一日分のエネルギーも必要無かったはずだ」
从;゚∀从「そういえば…」
_
( ゚∀゚)「地球が荒廃するにつれて月は満月に近づいていたようだな」
まるで、目の前で見たかのように喋る男。
595:名無しさん
11/25(日) 19:19 G/vpGgUnO
从 ゚∀从「デレは地球の命を月に移していた?」
_
( ゚∀゚)「ご明答 ちなみにデレの精神とツンの精神が交換されていたようだ つまりだな…見た目はデレ!! 頭脳はツン!! その名も……ツンデレ?」
从;゚∀从「知らんよ」
_
( ゚∀゚)「まぁいいさ あいつはツンだ 正真正銘のな」
从 ゚∀从「そうだったのか」
_
( ゚∀゚)「さて、月は何故、地球の命を吸い取ったのかわかるか?」
男が質問を投げ掛ける。
話をしている間も本のページはめくられている。
从;゚∀从「……ツンは確か前の戦いで自分の限界に気付いたんじゃなかったのか?」
_
( ゚∀゚)「近いが違う 正解はデレの肉体が拒絶反応を起こしたからだ 永い時間だった 仕方ない だから自分が大事にしていた地球にすら手を出した」
从 ゚∀从「姉妹だからなんとか保っていたのか」
_
( ゚∀゚)「そのようだな 月が得た命は何に使われたか分かるか?」
从 ゚∀从「いや」
_
( ゚∀゚)「アルカナと能力の細工だ 蘇るなんて禁忌がどの世界でも認められるわけないだろ あの能力に勝てたおまえは称賛に値するな」
从 -∀从「……私だけの力じゃないさ」
首を横に振りながら答えた。
596:名無しさん
11/25(日) 19:21 G/vpGgUnO
_
( ゚∀゚)「周りの力を得ることも強さだ 誇っていいことだ」
从 ゚∀从「そうか」
_
( ゚∀゚)「さて本題だ」
男が後ろを向いたまま、話す。
从 ゚∀从「その前に質問だ」
_
( ゚∀゚)「なんだ?」
男はこちらへ向く。
そっくりな顔だ。
同じと言ってもいいほどだ。
从 ゚∀从「おまえは誰だ」
_
( ゚∀゚)「……The question and establishment of a theory. 疑問とおまえらが呼んでいただろう?」
从;゚∀从「つまりここは」
_
( ゚∀゚)「そう、疑問の中身さ いわば答えだな」
从 ゚∀从「なんでジョルジュの姿をしているんだ?」
_
( ゚∀゚)「人間との会話には人間の形が一番馴染むだろ あとジョルジュは俺の創造主だからな ベースにした」
从 ゚∀从「…そうか」
_
( ゚∀゚)「残念ながら俺は長岡でも無く、ジョルジュでもないからな」
从 ゚∀从「……あぁ」
_
( ゚∀゚)「そろそろ本題に入るが質問はあるか?」
从 ゚∀从「いや、ない」
_
( ゚∀゚)「俺は疑問に答えを出すだけだからな 人間が、生物が、ゴキブリですらいない大地は悠久の時を過ごした 核の冬なんぞ古代の話、おまえらの建築物はただの遺跡 そしておまえは最後の人間 地上を見たくはないか?」
从 ゚∀从「…興味はあるな」
_
( ゚∀゚)「そうだろ、そうだろ なかなか興味深いぞ」
白い空間が消え、視界が暗転した。
そして目が醒めた。
夢を見ていた気持ちだった。
597:名無しさん
11/25(日) 19:25 G/vpGgUnO
从;゚Д从「はっ…ドリームか!?」
_
(;゚∀゚)「ねぇよ さて現実に戻ってきたわけだ」
从 ゚∀从「おまえの体はどうなってるんだ」
_
( ゚∀゚)「その疑問に答えよう ただの立体映像だ 研究所を地上に出すぞ」
疑問の声とともに地面が動き出した。
浮いていたはずの惑星は土星のみ。
後は瓦礫のみ。
あるはずの死体もない。
疑問に聞くと
_
( ゚∀゚)「精神と肉体は密接にリンクしているからな 無くなっても不思議じゃない」
と言っていた。
専門外の知識はわからん話だ。
第一研究所は広い。
所員の人数よりも少し研究室が余るようにと、十五の研究室がメインの情報管理室を囲むように設計されている。
そして研究室に入る手前にはドアが二つあり、一つはそのまま研究室へ入るドア。
もう一つが居住スペースへ続くドアだ。
_
( ゚∀゚)「かなり深かったから時間かかるな……シューの研究は知ってるか?」
从 ゚∀从「植物……系だった気がする」
_
( ゚∀゚)「あいつはかなりまともだった 研究は植物に対して全般だ 確かオルティマバイオだったな」
从 ゚∀从「それが何か関係あるのか?」
_
( ゚∀゚)「まぁな あいつは植物の種子を全て持ってる所が凄いぞ 水陸の植物も持ってた 米は改良種まで集めてたな」
从 ゚∀从「そうか」
_
( ゚∀゚)「おまえがクローン技術だよな」
从 ゚∀从「まぁ、完璧な複製なら造れる」
_
( ゚∀゚)「複製で止まるからこそ諦めた研究か」
从 ゚∀从「……オリジナルは造れないからな」
_
( ゚∀゚)「そうか……ん?」
598:名無しさん
11/25(日) 19:26 G/vpGgUnO
从 ゚∀从「どうしたんだ?」
_
( ゚∀゚)「長い年月をかけて研究所付近が泥土で埋まっちまった……」
从;゚∀从「どうすんだよ」
_
( ゚∀゚)「慌てんな ワタナベの研究が確か……ちっ 欲の塊だな」
めくられていた本が止まる。
_
( ゚∀゚)「金の錬成に兵器開発、麻薬に生体実験、合成生物、etc…」
从;゚∀从「……」
_
( ゚∀゚)「まぁいいさ」
一度だけ、研究所が大きく揺れた。
_
( ゚∀゚)「ビコーズの瞬間移動は……実験段階か ザ・フライは勘弁だな……お、ヒートの反重力はいけるか」
从;゚∀从「何やってるんだ?」
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( ゚∀゚)「まぁ、とりあえず待ってろ」
599:名無しさん
11/25(日) 19:28 G/vpGgUnO
体が浮き上がる感覚。
衝撃。
そして、開かずの入り口のドアが開いた。
_
( ゚∀゚)「さて、これが地上だ 植物と昆虫のみが蔓延る世界」
外はただ、緑が広がるだけ。
時々様々な色の花が咲いているだけで緑が主体となっていた。
降り注ぐ日差しが眩しい。
从 ゚∀从「……」
言葉は必要なかった。
_
( ゚∀゚)「植物はシューから種子をパクって撒いた 観察するためにな 昆虫はまたんきが研究していたからおまえのクローン技術で殖やした」
从 ゚∀从「……そうか」
_
( ゚∀゚)「動物は残念ながら……ワタナベのDNAの構成データしかないから生み出せないんだ」
从 ゚∀从「……」
_
( ゚∀゚)「本題に入ろうか」
从 ゚∀从「本題?」
_
( ゚∀゚)「おまえは疑問の全てを手に入れた 全てを得る権利があるし、全てを滅ぼす権利もある 死人は生き返らないが疑問の力を利用して研究してもいい……この莫大なエネルギーをどうしたいか、だ」
从 ゚∀从「無から有は造れない が、有に近ければそれをおまえなら造れるか?」
_
( ゚∀゚)「…造れる しかし、有に近い何かは消える その点を考慮して考えろ」
从 ゚∀从「私の願いは……海に生物を造ってもらうか」
_
( ゚∀゚)「対価はおまえの命だ おまえの命から複製させるぞ それでいいのか?」
从 -∀从「あぁ、わかってるさ もう疲れたんだ」
_
( ゚∀゚)「未練はないのか?」
从 -∀从「あるさ だが、叶わない 追い求めるには長すぎる時間だった」
_
( ゚∀゚)「そうか…… なら、叶えようか おまえの願いを」
本が閉じ、疑問に吸い込まれていった。
600:名無しさん
11/25(日) 19:29 G/vpGgUnO
从 ゚∀从「…?」
_
( ゚∀゚)「人間がいなければ俺も用無しだな 俺も稼動を停止することにした」
从 ゚∀从「ん」
_
( ゚∀゚)「疑問が自ら動くのはこれで何度目か……ジョルジュの意識を取り入れて人間に近付き過ぎた」
从 ゚∀从「……」
_
( ゚∀゚)「余ったエネルギーとやらでジョルジュを呼ぶか」
从;゚∀从「どういうことだ」
_
( ゚∀゚)「こういうことさ」
紐が切れた人形のように倒れ、起き上がる。
_
( ゚∀゚)「やぁジョルジュだよ☆」
从 ゚∀从「……わかんねぇよ」
_,
( ゚Д゚)「あれは俺が研究所に入った頃の話だ」
从 ゚∀从「?」
_
( ゚∀゚)「ゴメン 証拠になるような話ないや」
从;゚∀从「しっくり来ないやつだな」
_
( ゚∀゚)「ちなみに俺は死ぬ直前に意識を疑問に移していたから精神だけの存在だ まさに神!! 俺が絶対神!!」
从 ゚∀从「ジョルジュだな」
_,
(;゚Д゚)「……」
从 ゚∀从「……久しぶりだな」
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( ゚∀゚)「久しぶり? それはないな」
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( ゚∀゚)「なぜなら俺がずっと見守っていたからさ!!」
从 ゚∀从「ストーカー乙」
601:名無しさん
11/25(日) 19:31 G/vpGgUnO
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( ;∀;)「ひでぇ」
从 ゚∀从「で、どういうことさ?」
_
( ゚∀゚)「疑問の中で精神だけになりながら見てたってことだ」
从 ゚∀从「……」
_
(;゚∀゚)「反応薄いな」
从 ゚∀从「そうか ずっといたのか…」
_
( ゚∀゚)「まぁ、精神だけなんでそろそろ寿命だ 何か言いたいことは?」
从 ゚∀从「最後に会えて嬉しかったよ」
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( ゚∀゚)「そうか」
从 ;∀从「大好きだった ずっと、ずっと前から」
_
( ゚∀゚)「……俺もだ」
ジョルジュが薄くなり、霧がかかる。
そして一陣の風が吹いた。
そこにはジョルジュの姿はなかった。
从 ;∀从「……また、今度」
「時間だ …未練は?」
疑問と思われる声が聞こえる。
未練? 決まってるさ。
从 ;∀从「無くなった」
そして息を吐く。
目を閉じる。
从 -∀从「……」
視界が白に支配される。
そして意識が途絶えた。
「さて、最後の仕事か」
ハインの体が消える。
そして、疑問は停止した。
602:名無しさん
11/25(日) 19:33 G/vpGgUnO
海には生命が溢れていた。
時間をかけて、ゆっくり、確実に地上に生命は増えた。
緑の植物と沢山の水が美しく広がる星となった。
時間は流れる。
人間も現れ、増えた。
世界は発展する。
神はいない世界。
そこには、自由が溢れている。
笑顔が溢れている。
皆、はしゃいでいる。
幸せがすぐ側です。
( ^ω^)おわり