379:名無しさん
10/06(土) 16:59 pMVg5RvjO

 
三十三重 『君へ』
 
(;゚∀゚)「なんでなんだ…」
 
新しい能力の確認の為に使ってからかれこれ何分経ったか…彼の手からは光線が出るだけだった。
 
(;゚∀゚)「8:はSEEDだった…だから9:はLEAFだったが、予想の範囲内だ」
 
男が尚も口にする。
 
(;゚∀゚)「だが、なぜ葉っぱが出ない!! ビーム!? 好きさ!! 大好きさ!! でも、納得できねぇ!! 説明も映らねぇ!!」
 
男は叫びながら女を見る。
女はこちらを見ていたが、すぐに視線に気付きそっぽを向く。
 
(;゚∀゚)「…」
 
嫌われたかと思ったが男に心辺りは無かった。
当然、女は男を嫌ったわけではないが話す気にはなれなかった。
 
(;゚∀゚)「…なぁ」
 
男が女に話し掛ける。
女の肩が少し震えた。

380:名無しさん
10/06(土) 17:00 pMVg5RvjO

 
(;゚∀゚)「ごめん 俺、嫌われることしたか?」
 
男が謝る。
女は直ぐさま男を見つめ、首を横に振る。
 
(;゚∀゚)「じゃあなんで…」
 
男の疑問は消えない。
 
从 ゚∀从「……私は」
 
女が消えるような小さな声を搾り出す。
 
从 ゚∀从「………何があってもおまえの仲間、だから……だから、だから……裏切らないから………」
 
女の目が潤む。
そして我慢の限界を超えたのか、流れる涙。
 
从 ;∀从「嫌、嫌わ…ない…ひっ…で…うっ…」
 
鳴咽が漏れ、言葉が上手く繋がらない。
 
(;゚∀゚)「いや、心配しなくても大丈夫だから 泣くのは止めよう、な?」
 
从 ;∀从「ほ、ん…ひっ、とっ…?」
 
(;゚∀゚)「ホントホント 約束するから」
 
男が女の小指に自分の小指を絡め、指切りをする。

381:名無しさん
10/06(土) 17:01 pMVg5RvjO

 
(=゚ω゚)ノ「仲良さそうだょぅ」
 
不意に声が聞こえた方向を向く。
目の前には三歳くらいの男の子がいた。
 
(;゚∀゚)「は?」
 
从 ;∀从「!?」
 
女が車椅子ごと衝撃を受ける。
 
('、`*川「本当ね 羨ましい」
 
いつの間にか三歳くらいの女の子が車椅子を蹴り飛ばしていた。
今までそこに姿が無かったはずだが。
 
(;゚∀゚)「大丈夫か!?」
 
女に声をかける。
 
从う∀从「泣いてる場合じゃないよな」
 
女が目を擦り、涙を拭く。
 
('、`*川「羨ましいわ、ぃょぅ君」
 
(=゚ω゚)ノ「羨ましぃょぅ、ペニサスちゃん」
 
女の子と男の子が手を握り合い、顔を二人に向け、無表情のまま喋る。

382:名無しさん
10/06(土) 17:03 pMVg5RvjO

 
('、`*川「殺しちゃおうよ、ぃょぅ君」
 
(=゚ω゚)ノ「壊しちゃおうょぅ、ペニサスちゃん」
 
無表情だった顔が醜く歪み、醜悪さは幼児には全く見えない。
頬を吊り上げ、不気味に笑うが目に生気は無い。
まるで死んだ魚の目だ。
 
(=゚ω゚)ノ「「ぐちゃぐちゃのばらばらに」」('、`*川
 
男の子と女の子は後ろにジャンプし、姿を消した。
 
(;゚∀゚)「消えた!?」
 
从;゚∀从「姿を消せるのにわざわざ姿を現す馬鹿がいるか!?」
 
(;゚∀゚)「縛りがあるな 能力かアルカナか、まずは見極めるのが大(=゚ω゚)ノ「大事だょぅ」
 
ぃょぅとやらが近くに現れた。
そう、いきなり出現したのだ。

383:名無しさん
10/06(土) 17:04 pMVg5RvjO

 
(=゚ω゚)ノ「死ねょぅ!!」
 
手足の短さからかリーチがかなり短い。
身長のためか、ガードした両手に当たるが、体が衝撃で吹き飛ぶ。
 
(;゚∀゚)「何と言う馬鹿力…間違い('、`*川「どーん」
 
ペニサスと呼ばれた女の子が現れ、男の腹に左拳でのジャブ。
速過ぎる拳速とぃょぅによって吹き飛ばされていたためガードが出来ず、腹に重い一撃を喰らわされた。
 
(;゚∀゚)「うごっ…」
 
腹部への衝撃で胃液が口から出る。
 
(=゚ω゚)ノ「死ねょぅ!!」
 
ぃょぅがまたも目の前に現れ、ドロップキック。
 
(;゚∀゚)「ぐっ…」
 
腹部の鈍痛のためか、体が動かない。
 
从;゚∀从「残念!! 私の攻撃!!」
 
男の子に向けて扇風機の羽のような物を五つほど飛ばす。
ぃょぅが後ろに跳び、消える。

384:名無しさん
10/06(土) 17:05 pMVg5RvjO

 
('、`*川「むー!!」
 
その後すぐにペニサスが現れたが破壊する。
 
从;゚∀从「動けるか!?」
 
男に手を差し出す。
 
(;゚∀゚)「まだ大丈夫だ」
 
男が手に掴まり、立ち上がる。
 
('、`*川「無視はよくないなぁー」
 
ペニサスが跳び蹴りをする体勢に入る。
 
(;゚∀゚)「ちっ!!」
 
男が舌打ちをしながらペニサスに右手を向ける。
撃ち出される光線はさながらのビーム。
 
('、`;川「あっ」
 
(=゚ω゚)ノ「危なぃょぅ、ペニサスちゃん」
 
ぃょぅがペニサスの腕を引っ張り、ビームの射程から外す。
が、消えない光の柱。

385:名無しさん
10/06(土) 17:06 pMVg5RvjO

 
( ゚∀゚)「ktkr!!」
 
男が光線を放出したまま手を動かす。
 
('、`;川「…っ!!」
 
(=;゚ω゚)ノ「ぅ!!」
 
ぃょぅとペニサスは光線を避け、後ろへと下がり消えた。
 
( ゚∀゚)「硝子の破片をそこら辺に撒け」
 
从 ゚∀从「わかったがなんでだ?」
 
女は手から硝子の球を作りそこら辺に投げ捨てる。
割れて飛び散る破片。
 
( ゚∀゚)「実体があるかないを見極める」
 
男が周りを見渡す。
硝子を踏み締め、割れる音が左から聞こえた。
 
( ゚∀゚)「そこか!!」
 
左手を向け、光線を撃ち出す。
光線は二つに別れ、別々に婉曲し、弧を描きながら一点を目指し、弾ける。

386:名無しさん
10/06(土) 17:08 pMVg5RvjO

 
('、`;川「あぁっ…!!」
 
光線によってペニサスの片腕が吹き飛ぶ。
吹き飛んだ左腕の傷口から血は流れておらず、人間と比較すると違和感を覚える。
 
(;゚∀゚)「人形…?」
 
男はペニサスに気を取られ、もう一人の存在を忘れていた。
 
(=゚ω゚)ノ「囮だょぅ!!」
 
ぃょぅが男に蹴りを入れる。
が、女の右手に防がれる。
 
从 ゚∀从「バレバレ」
 
ぃょぅの右足が消える。
 
(=;゚ω゚)ノ「うわぁぁぁ!!」
 
ぃょぅが無くなった足を見て叫びをあげる。
露出した肉体は人に近いが、それでも作り物だとわかる中身。
 
(;゚∀゚)「一体どういう…」
 
轟音とともに揺れる地面。

387:名無しさん
10/06(土) 17:08 pMVg5RvjO

 
(;゚∀゚)「な、何が从;゚∀从「地区の崩壊だ!! そこ以前の地区からパーティがいなくなったときと一組だけの時で一時間後に地区が崩壊する!!」
 
(;゚∀゚)「どういうことだ!?」
 
从;゚∀从「とりあえず次の地区に行かないと死ぬ」
 
(;゚∀゚)「ドアまで急ぐぞ!!」
 
男が車椅子を押しながら走る。
 
从;゚∀从「嵌められた!! あの二人はパーティじゃなく能力!!」
 
(;゚∀゚)「崩壊までの時間稼ぎか!?」
 
从;゚∀从「わからん が、この奥に元凶がいるはずだ!!」
 
後ろが音を起てながら崩れていくが、それを見る余裕はない。

388:名無しさん
10/06(土) 17:09 pMVg5RvjO

 
(;゚∀゚)「もう少しで…」
 
('、`#川「逃がさない!!」
 
(=#゚ω゚)ノ「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
 
腕のないペニサスと片足のないぃょぅが横に現れた。
 
(#゚∀゚)「てめぇらを相手にしてる暇はねぇんだよ!!」
 
男が右手を二人に向けて、光を撃つ。
 
('、`*川「……ぐき!!」
 
ぃょぅはペニサスを蹴り、光線を避ける。
ペニサスは当たりが悪く、頭が消し飛んだ。
 
(=#゚ω゚)ノ「片足じゃ追い付かなぃょぅ!!」
 
ぃょぅは吹き飛んだペニサスの片足を引き契り、自分の無くなった足に付ける。
 
(=#゚ω゚)ノ「大分マシになったょぅ!!」
 
ぃょぅが追い付き、車椅子に蹴りを入れてバランスを崩す。
 
从;゚∀从「ちぃっ!!」
 
女がぃょぅの頭を掴み、消し飛ばす。

389:名無しさん
10/06(土) 17:11 pMVg5RvjO

 
(;゚∀゚)「急ぐぞ!!」
 
体勢を立て直し、走り出す。
 
(;゚∀゚)「よし、助かっ…」
 
車椅子ごと体が衝撃で投げ出される。
男はドアの手前で倒れた。
 
从;゚∀从「まだ動いたか!!」
 
(;゚∀゚)「ここで仕留めろってことか」
 
片腕と片足、頭のないペニサスだった人形と頭のないぃょぅの人形がまたも追撃に来た。
 
从;゚∀从「あんたは中にいろ」
 
(;゚∀゚)「何言っ…」
 
投げ付けられた車椅子によってドアの中に入る。
そしてドアが閉まる。
 
(;゚∀゚)「開けよ!! 開けってば!!」
 
ドアノブを握り、回そうとするが鍵がかかったかのように開かなくなっている。
 
从 ゚∀从「約 守っ…… あ 、後…で頑ばれ…」
 
ドアの内側から女の声が崩壊の雑音によって微かにしか聞こえなかった。
ドアが消える。

390:名無しさん
10/06(土) 17:12 pMVg5RvjO

 
(;゚∀゚)「何言ってるかわかんねぇよ!! ちゃんとこっち来て直接言えよ!! そこにいるんだろ!? なあ!?」
 
男は暗闇の地区で叫ぶ。
 
(;゚∀゚)「返事しろよっ!!」
 
返事は聞こえない。
 
( ゚∀゚)「…なぁ」
 
男の声は小さくなり、とうとう何も言わなくなった。
 
( ゚∀゚)「…もう疲れたけどがんばるさ…W地区までの崩壊でもう敵も最後だろ……」
 
男は芯のないフラフラとした足取りで進む。
先程の能力を使う者がいるはずの地区。
下には青い地球が大きく広がり、浮かぶ星が限りなく近くに見える。
X地区は空の先、宇宙。
地上より遥かに月と太陽に近付く場所。

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