381:◆/wOcNhjd4U
05/02(水) 17:51 3mCM9R4nO


秋晴れの正午


駅前の大通りをヒトゴミにまみれながら歩く。



……いや、自分に比べたらこのゴミたちの方が遥かに価値があるのだろう。



ゴミにしか見えない人たちにも誰かのために流す汗があり、誰かに語る夢がある。


それがない人たちだって今進む方向ぐらいは決まってるのだろう。



ならそれすら持ち得ない自分はなんなのだろうか?


ゴミより下になると……



「すいませーん。アンケートにご協力お願いします」



(  ^ω^)「……ふぅ」



後ろから掛かる声に思考を止められる。


まったく……、自分のこともわからないひきこもりに


(  ^ω^)「一体何を聞くんだと」


(*゚ー゚)「ここにちょこっとだけ書いてもらいたいんですが」


(  ^ω^)「……」


(*^ー^)「今ならなんとっ! 答えるだけでヤクルトが一本もらえちゃいますっ!」


(  ^ω^)「……」


(*゚ー゚)「あれ? 嫌いですか、ヤクルト」


(  ^ω^)「……」


(*゚ー゚)ノシ「やー、それは残念です。ではまたどこかで」


(  ^ω^)「……」



青年のモラトリアムをぶち壊し、嵐のように去っていくアンケートのお姉さん




……いや、てかここは漫画版どおりにいくと





「……あっっ!!」



30メートル先でも優に聞こえる大声量


そして道行く人を跳ね除け……てないな。跳ね除けられながらパチンコ玉のようにバウンドしつつこちらに駆け寄るアンケートのお姉さん


(;゚ー゚)「あっ、あのっ! どこかでお会いしたことが……」


(  ^ω^)「よかったよかった。フラグが立たなかったらどうしようかと」


(;^ー^)「や、やだなぁもう。アドリブですよアドリブ」

(  ^ω^)+「……ほぅ」


(;゚ー゚)「ほ、ほら。私もやっとNHKのレギュラー役を頂いた訳だし頑張らないとなーと……」


(  ^ω^)「……」


(;^ー^)「……てへ♪」


(  ^ω^)「……」









(  ^ω^)「やはりしぃくんはNHKを降板しt」

Σ(;゚ー゚)「うそっ! 嘘ですっ! ああああどうか降板だけは」

382:◆/wOcNhjd4U
05/02(水) 18:00 3mCM9R4nO


〜喫茶店〜


(  ^ω^)「でもまさか委員長がキャッチやってるとは思わなかったお」


(*^ー^)「あはは、委員長って高校の時だけだよぉ。キャッチはまあボランティアかな」

(;゚ー゚)(降板は免れたかな……)



(  ^ω^)「ボランティア……。委員長はまだ委員長やってるのかお」


(*゚ー゚)「む。何か含みのある言い方」


(; ^ω^)「いや、特に……」

(*゚ー゚)「昔からそうだよ。ブーンくん私のこと嫌いなんでしょ?」

Σ(; ^ω^)「いやいやそんなこと……」




〜回想〜



(* ^ω^)「いいんちょっ! 物理のレポート頼むお!」


(*゚ー゚)「任せてっ!ちゃんと先生に渡しとくよっ!」




後日


物理教師「えー、内藤くんはレポート未提出のため残念ながら成績は」


Σ(; ^ω^)「!!?」




別の日


(  ^ω^)「いいんちょ! 日本史のノート貸してくれお!」


(*^ー^)「あはは、明日テストだもんね。私はもう勉強終わったから貸してしんぜよう」


(* ^ω^)「サンキューだおっ!」




帰宅



(  ^ω^)「さっそく勉強するお! ノートのーとと……」



┏━━━━┓
┃  数学  ┃
┃   ̄ ̄ ┃
┃    ┃
┃    ┃
┃  しぃ┃
┗━━━━┛

ブーン は 数学のノート を 手に入れた!


Σ(; ^ω^)「!!?」



〜〜



(  ^ω^)「……少し嫌いだったかもしれないお」


(*^ー^)「あはは、本人の前でぶっちゃけちゃうかなそゆこと」


(*゚ー゚)「でもブーンくんに言われたこと、今でも覚えてるよ」


(  ^ω^)「お?」


(*゚ー゚)「えっと……」


(  ^ω^)「……」


(;゚ー゚)「……んーと」




【アンタさ、そん…】
σ( 'A`)Φ クイックイッ 



Σ(* ー )「あ、『アンタさ、そんなに気張ってて疲れな」


(  ^ω^)「セリフ……忘れてたのかお?」


(;゚ー゚)「ぎくり」


(  ^ω^)「……」


(;゚ー゚)「……」


(  ^ω^)「……」





(;^ー^)「……あは♪」





「……やはり委員長役はしぃくんの代わりにギコを」

「いやあああっ! ギコくんだけはやめてええええっ!!」


〜新人しぃ にようこそ!〜

383:◆/wOcNhjd4U
05/02(水) 18:40 3mCM9R4nO


〜キャラ紹介〜




一体何人の読者がこいつを覚えてるだろうか




いや、まず一体何人の読者がいるのか私は知りたい




……とにかく






メイド喫茶編で突如現れ、舞台裏で







「ふっふっふ、私はなんとあの役をやりますよ〜!」





などとのたまってはや半年





ついに






ついにレギュラー参戦を果たした奴の名は








(,,゚Д゚)「オッス、俺ギk」
Σ(;゚ー゚)「ちがうっ! ちがうからっ! 私だからっ!」

(  ^ω^)「……ちっ」


(;゚ー゚)「第一、委員長は女でしょ?」


(  ^ω^)「うっせーお。俺がいいっていったらいいんだお。いいからちゃんと役やれお」


(;゚ー゚)「はぅ……」








(*゚ー゚) しぃ

ブーンの高校の時の同級生。抜けてるとこが多々あるがなんだかんだで委員長をやるぐらいの人望はある。




舞台裏においては監督、ブーンの新人いぢりに耐えながらも大女優であるツンやクーを目指して日々頑張っている。

395:◆/wOcNhjd4U
06/17(日) 21:06 Rlysq8rbO


〜〜



「アンタさ……、そんなに気張ってて疲れない?」



(*゚ー゚)「え?」


(  ^ω^)「いつも真面目に走り周って」


(*゚ー゚)「私は別に」


(  ^ω^)「君はよくても周りはよくないかもしれない」


(;゚ー゚)「……そんな」


(  ^ω^)「それってさ」





「ただのエゴイストなんじゃない?」



〜〜


(; ^ω^)「……僕がそんなこと言ったのかお?」


(*゚ー゚)「やっぱ覚えてないかぁ」



喫茶店で明かされる僕の過去

正直、微塵も記憶にない




(*゚ー゚)「けど高校でてから身に染みたなぁ」


(  ^ω^)「そ、そうかお」


(; ^ω^)(今ならわかる。間違いなく当時、僕は厨二病患者)


(*゚ー゚)「初めはメイド喫茶で働いてたんだけど……」


(  ^ω^)「……まあ過去ログ読んだ限り普通に潰れますおね」


(*゚ー゚)「やっぱりなかなか楽な仕事ってないのよね」


(  ^ω^)「僕が言うのもあれだけどかなり人生ナメてるお」


(*゚ー゚)「でもねっ!」


(  ^ω^)「お?」


(*゚ー゚)「私、すっごい仕事見つけたのっ!」


(  ^ω^)「……ふーん」


Σ(;゚ー゚)「冷たっ! ここ盛り上げるとこだよっ?!」


(  ^ω^)「……」








(* ゚ω゚)「うそうそっ?! すごいねっ! どんなっ?! 僕にも教えておっ、ねえねえ早く早く教えt」

(*´゚ー゚)=3「まあそう慌てなさんな。男の子はもう少し落ち着きのある方がいいと思うよ?」


(# ゚ω゚)ビキビキビキビキッ


(*゚ー゚)「じゃ、今からちょっと行ってみようか」


(  ゚ω゚)「え"?」


(*゚ー゚)「教えて欲しいんでしょ? そうと決まれば早くここを出て」


(; ^ω^)「いや、さっきのは皮肉っていうか」


Σ(*゚ー゚)「あっっ!!!」


(; ^ω^)「ど、どうしたお?」







(;゚ー゚)「おサイフ……忘れちゃった」


(  ^ω^)「はいはいお約束お約束」

396:◆/wOcNhjd4U
06/17(日) 21:24 Rlysq8rbO


(  ^ω^)「ヒッキーにたかるなんて……恐ろしい子!!」

(*゚ー゚)「さあ着いたよ!」

喫茶店を出てから歩くこと数十分


自分の嫌味を完全無欠のウルトラスルーした彼女の指先にはビルの一階にある小さなドアがあった




どうやら地下に続いているようだ



(  ^ω^)「……やっぱり帰るお」

(#*゚ー゚)「何を言ってるのこの子はっ! いいから早く入りなさいっ!」

(; ^ω^)「何故に母親口調っ?! とにかく帰るったら帰るお!」


漠然とした不安から全力で逃げようとする僕の腕をしぃがすかさず引張る




綱引き……開始




カーンッ



(#*゚ー゚)「いーくーのおおおおおっ!!」


(; ^ω^)「いーやーだーおおおおおっ!!」





五分後




(#*゚ー゚)「くぉのおおぉぉおっ!」


(# ^ω^)「でぇえやああぁぁああっ!」




十分後




(#*゚ー゚)「どぅぅおらぁああああっ!」


(# ^ω^)「まぁだぁまぁだああぁぁああっ!」





十五分後




(#゚ー゚)「ふぅにょおおおおっっ!」


(# ゚ω゚)「めるぁあああああっっ!」


(#*゚ー゚)(こうなったら……)


(*>ー<)「ていっ!!」


(; ^ω^)「ちょ、腕に抱き付くと」

(* ^ω^)(あ、胸の感触が腕n)

(#*゚д゚)「もらったああああああっっ!!」










羽のように軽く



鎚のように重く




彼が投げられ叩付けられる一部始終に僕は思わずその目を奪われた


by 通行人A




彼は後に会社の同僚と恋に落ち結婚するが、元カノの執拗なストーカーに苦しむことになるのはまた別のおはなs

Σ(; ^ω^)「別過ぎじゃねっ?!」

(  ^ω^)「……て、あれ?」


どうやら気を失っていたらしい。


何か見逃しがたいナレーションによって覚醒した意識を周囲に向ける。薄暗いホールのような部屋の中には自分以外にも多くの人がおり、みな不安そうな顔をしていた。


コンサートか映画館みたいな感じだ。



(  ^ω^)「一体何が……」


???「あ、やっと起きた」



Σ(; ^ω^)「っっ!!? おっ、おまえはっ?!」



〜おまえはっ! にようこそ!〜

403:◆/wOcNhjd4U
08/01(水) 17:23 PEhki6SFO


(*゚ー゚)「もうっ、急に倒れるから心配したんだよっ!」


(  ^ω^)「いや、今の流れは君じゃなくね?」


(*゚ー゚)「私以外に誰がいるのよ?」


(; ^ω^)「……いや、確かにそうだけどさっきのフリは他の」

(*゚ー゚)「ほらっ! 確かにそうでしょっ!」


(; ^ω^)「……サブタイトルまで使って引張ってそれはなくね?」


(*゚ー゚)「それが♪ NHKくおりt」

(  ^ω^)「はいもうなんでもないですお」



ここでゴネたところで話が進行しないので諦める



(  ^ω^)「てかここどこだお……?」



そう、問題は自分の置かれている状況だ



(* ー )「ふっふっふっ、よくぞ聞いてくれた」


(  ^ω^)「なんかうざいですね」


(*゚ー゚)「まああと少しだけ待ちたまへ。もうそろそろ……」



そう言ってしぃが視線をステージらしきところに向けたその時










……から一時間経過





(; ー )「……」


(  ^ω^)「……」






(  ^ω^)「……あの」


(;゚ー゚)「……な、何かな?」


(  ^ω^)「僕もまだやることいろいろ残ってるからさ」


(;゚ー゚)「……うん」


(  ^ω^)「今日のところはこのへんで」

Σ(;゚ー゚)「もっ、もう少しだけっ! もう少しだけ待ってっ!!」


(# ^ω^)「うっせーおっ! そう言い続けて何分経ってると思ってんだおっ!!」


(;゚ー゚)「ホントにあとちょっとだからっ!! たぶんっ!! あくまでたぶんだけどっ!」


(# ^ω^)「たぶん強調すんじゃねーおっ!」




周りも口々に不満を訴え、帰る素振りをみせている。自分も今のうちにとしぃの手を振り払ったその時




「……あー、あーマイクテストマイクテスト」



今まで沈黙していたステージのスピーカーから男性のものらしき声が流れてきた。

404:◆/wOcNhjd4U
08/01(水) 17:26 PEhki6SFO


Σ(  ^ω^)「おっ!」



今まで周りが見える程度についていた照明が消える。



「レディースッえーんどジェントルメンッ!!」



(; ^ω^)「な、なんだおっ?」


(*゚ー゚)「やっと始まった」


そして突如ライトアップされたステージ



そこにはタキシードに身を包んだ一人の男が立っていた



「おまえらああぁぁぁぁあ!!」



( ゚∀゚)「夢見てるかああああああぁぁぁあっ?!!!」


「「「…………」」」


ステージの男のテンションと裏腹に突然のことに唖然とする観衆


(  ^ω^)「……あの司会。どこかで見覚えが」



(*´_ゝ`)「イェェエエちぇけらっ!」



……そして周りの空気を読めずに一際盛り上がってる男



(  ^ω^)「……」



(*´_ゝ`)「ふぅわっふぅわっ……ん?」


(  ^ω^)「……あ」


Σ( ´_ゝ`)「お、おまえは!」

(  ^ω^)「……これは見覚えないお」

Σ(;´_ゝ`)「これっ?!」

(* ^ω^)「冗談だおっ! 兄者」


( ´_ゝ`)「ブーン……」


(* ;ω;)「兄者ぁあああっ!!」


( ´_ゝ`)「おっと、俺は男と抱き合う趣味は」


(  ^ω^)「斬刑に処す」

Σ(;゚_ゝ゚)「ぐふぉあっ!?」


Σ川゚ -゚)「あれはジョルジュっ! なんでここに」


(  ^ω^)「それはこっちのセリフですお。そろそろ出番ない話に乱入するのやめてもらえません?」


川゚ -゚)+「この流れなら言えるっ! 作者は一人暮らしを始めた際、あろうことか原作漫画を実家に忘れt」

(; ^ω^)「しーっ! しーっ!」


( ゚∀゚)「……そろそろ話進めていいかな?」


(; ^ω^)「あ、すみませんですお」


( ゚∀゚)「失敬。では諸君改めて」








「夢……叶えてみせねぇか?」



〜dreamにようこそ!〜

405:◆/wOcNhjd4U
08/02(木) 06:04 dJah0gspO



〜舞台裏〜





「ざわざわ」



(  ^ω^)「みんな、今日は集まってくれてありがとう」


ξ゚听)ξ「アンタが召集したんでしょ」


( 'A`)「久々の出番が舞台裏か……」


川゚ -゚)「まあたまにはな」

爪゚ー゚)「私も久々」


(  ^ω^)「えー、君達に集まってもらったのは他でもない。重大発表がある」



「ざわざわ」



(  ^ω^)「なんとっ!!」



「ごくっ……」




(  ^ω^)「このスレが一周年を迎えましたっ!」


( 'A`)「……え、それって結構前じゃね? もう8月だs」
(  ^ω^)「黙れ」


(  ^ω^)「思えばこのスレを立てたのは夏休みの部活に向かう電車の中だった……」


川゚ -゚)「典型的な夏厨だな」


(  ^ω^)「プロット? 何それ食えるの? から始まって」


爪;゚ー゚)「いや……、未だにプロットとかないわよね?」

(  ^ω^)「まさか一年後に自分も一人暮らしを始めるとは思わなかった……」


ξ゚听)ξ「まあ勢いで出たようなものだしね」


(  ^ω^)「とにかく、これからもオナニ頑張ろうと思うのでよろしく」


爪;゚ー゚)「……それが重大発表なの?」


(  ^ω^)「あー、大事なこと忘れてた」


(  ^ω^)「いやね、この間漫画買いにいったのよ。この作品にもちらほらネタ出てる奴。アルクかわいーなちくしょう」


ξ゚听)ξ「死ね」


(  ^ω^)「それで本屋で探してたらさ」







「NHKにようこそ! 8巻」






──最終巻





(  ^ω^)「原作漫画終わっちゃった♪」


Σ爪゚д゚)'д`)゚д゚)ξ
「なんですとおおおおぉぉっ!!?」


川゚ -゚)「まあこのスレは3巻ぐらいだからまだまだ先だけどな」


(  ^ω^)「まだ読んでないけどまあ逆にあんまり長くてもあれだしね」


爪゚ー゚)「とにかく当面の目標は」


ξ゚听)ξ「更新速度だろおい」


(; ^ω^)「……はい」








( 'A`)「……あれ? 舞台裏でも出番これだk」

頑張ります……

411:◆/wOcNhjd4U
08/26(日) 18:30 Ri15j4UJO


( ´_ゝ`)「……夢」


川゚ -゚)「夢か……」


(  ^ω^)「夢……」





「……くだらない」



どこからか聞こえた言葉。



……そう、夢なんて所詮個人が自分を騙すために作り出した幻想だ。


それが届かないモノだということに気付かずになお手を伸ばす愚かな奴等と僕は違う。


( ゚∀゚)「『夢なんてくだらない。自分は他の奴等と違って馬鹿じゃない』」


Σ(  ^ω^)「!!」


( ゚∀゚)「ここにいるやつらのうちの何人がこう思ってるんだろうな 」


( ゚∀゚)「気付いてるんだろ? ホントは逃げただけだって」


( ゚∀゚)「諦めたんだろ? 追いかけて傷ついてそれでも近付けなくて」




「……でも……覚えてるんだろ? 」



(  ^ω^)「……」



( ゚∀゚)「あの眩しさを……あの気持ちを……」



(  ^ω^)「……」









……あれは小学生ぐらいの




J( 'ー`)し「ブーン、あの星はなんていうの?」




たしか銭湯の帰りだった




(*^ω^)「あれはシリウスだお。他のあれとあれとでおおいぬ座になるんだお」




星が好きだった




J( 'ー`)し「ブーンは物知りなんだねぇ」




そして、母ちゃんに褒められた。




(*^ω^)「!! ……うんっ、ぼく、大きくなったら天文学者になるんだおっ!!」




たったそれだけで決まった幼い僕の夢。




(*^ω^)「他にもあれがカペラであれが……」




大きくなって




夢も考え方も変わったけれど



あの気持ちは





まさに自分が惹かれた星そのものだった。








(  ^ω^)「……そうだお。僕にだって今はクリエイターって夢があるお」





夢はまだある




まだ




終わってないっ!




( ゚∀゚)「俺たちが夢を追いかけるおまえたちに少しだけ後押しをしてやるっ!」


(; ^ω^)φ「おおっ! ここからは全部メモらなければっ!」


( ゚∀゚)「我が社『マイウェイ』なら月に400万以上稼ぐことも可能っ! 」


(; ^ω^)φ「ふむふむっ」


( ゚∀゚)「他にも──」

412:◆/wOcNhjd4U
08/26(日) 18:34 Ri15j4UJO







その頃のブーン宅



ξ゚听)ξ「まったく……、またいなくなったわ。キモヲタ」


(;'A`)「おまえそんなにブーンのこと嫌いだったの?」


ξ゚听)ξ「何ぶつぶつ言ってんのキモヲタ。早くブーンがどこいったか教えなさいよ」


( 'A`)「……ああ、キモヲタって俺のことねなるほどね」


(#'A`)「どこいったか知らん。……があいつにはほとほと呆れてるんだ。相変わらずシナリオ書かないしふらふら出回るし綺麗な女まで連れて」


ξ///)ξ「え、それって」

(#'A`)「ホントあいつにクーは勿体ないよな。……あ、ツンといるとこだけは同情できるけど」










( #)A(#)「ま…とも………つに…………せて……と」


ξ゚听)ξ「え? 『まあともかくあいつには自分の立場を思い知らせてやらないと』……ですって?」



( #)A(#) コクコク



ξ;゚听)ξ「でも何する気なの?」


( #)A(#)「ちょ……み……」

ξ゚听)ξ「『ちょっと耳を貸せ』?」



( #)A(#) ゴニョゴニョコノカリハイツカカナラズカエス


ξ゚听)ξ フムフムカエリウチニシテヤルワ


ξ゚ー゚)ξ「……なるほど、面白いじゃない」



「え、『なら早速準備するぞ』ですって? いいわ。すぐ始めましょ」



ξ ー )ξ「ブーンにたっぷり思い知らせてやるんだから」








( ゚∀゚)「……以上だ」


(  ^ω^)「……すごいお」



輝かしく語られる夢。



数々の嘘のような体験談。



もはやあの司会が神にすら見える。



( ゚∀゚)「さて、そろそろ時間が迫ってるようだ……。え、何の時間かって?」


(  ^ω^)「……」


( ´_ゝ`)「……」




「それはな」




( ゚∀゚)「おまえらが夢へのスタートを切る時間がさっ!!」



(* ゚ω゚)「きゃゃゃぁぁあああっ! 私を抱いてええええぇぇぇええっっ!!」


(* ゚_ゝ゚)「あの司会は俺の嫁」


川゚ -゚)「……まあ楽しそうだからほっとくか」








(* ー )「……大丈夫……私なら……できる……」




〜思惑にようこそ!〜

414:◆/wOcNhjd4U
09/02(日) 16:10 r6gxPJHgO


感動的なステージも終わり人もまばらに帰り始めたホール


しかし未だ興奮を押さえ切れない僕たちは未だその場で互いの思いを語りあってた。



川゚ -゚)「夢か……久しく忘れてたな」


( ´_ゝ`)「ああ……」


(  ^ω^)「お、みんなは小さい時の夢はなんだったんだお? 僕は天文学者だったお」


(*´_ゝ`)「ぶひゃひゃひゃっ!!」


(# ^ω^)「笑うなお」




川*゚ -゚)「……昔はませてたからな」


(* ^ω^)「やっぱりお嫁さんとか」

川゚ -゚)「いや、世界征服」

(; ^ω^)「……まあ小さい頃は」

川*゚ -゚)「流石に高校生には少し早かったな」

Σ(;;^ω^)「高校っっ?! あの頃ツイスターしながらそんなこと考えてたのっっ?!!」


(*´_ゝ`)「俺の夢はペンタゴンすら破壊する天才ハッk」

(  ^ω^)「ブラクラゲッターかお」


川゚ -゚)「なれてよかったな」


( ´_ゝ`)「…………うん」


(*゚ー゚)「あ、終わったー?」


(  ^ω^)「おおっ! そういえばしぃどこいってたんだおっ?! 」


(*^ー^)「あはは、ちょっとね」



(* ^ω^)「今日来てよかったお! もう早く僕も夢を叶えたくてしょうがないお!」


(*´_ゝ`)「俺もだ」


(*゚ー゚)「おや、少し人数が増えてますねー」


川*゚ -゚)「おおっ! もしやしぃか?」


(*゚ー゚)ノシ「あっ、クーちゃん! 久し振りだー!」


川゚ -゚)「……久し振り……か。もうアイツが海を渡ってからそんなに経つんだな」


(;*゚ー゚)「……ごめん。ちょっとそれ記憶にない」


(*゚ー゚)「と、とにかくみなさんも話を聞いたようですしこれからいくところへご一緒しません?」


( ´_ゝ`)「いくいく」


(  ^ω^)「てかどこへ?」


(*゚ー゚)「この業界では有名なみなさんの先輩にあたるスーパーサぴゅライヤー」


(*゚ー゚)「……サプライヤーのとこですっ!」


(; ^ω^)「それは凄いおっ!」


(;´_ゝ`)「早く会ってみたいなっ!」





川゚ -゚)「サぴゅライヤーか……」


(;*゚ー゚)「……すみません。噛んじゃいました」


(  ^ω^)「クーには思いやりが足りないお」

415:◆/wOcNhjd4U
09/02(日) 16:15 r6gxPJHgO


少しへこみ気味のしぃを慰めながら目的地へと向かう



なんでもそのサプライヤーというのは僅か一年でスーパーカーを買ったという伝説の人らしいのだが……




( ´_ゝ`)「電車に揺られて」

川゚ -゚)「2時間弱」


(  ^ω^)「なんという田んぼ。ここは間違いなく田舎」



目の前に広がる田園では黄金の稲穂が今が秋であることを改めて認識させてくれる。



ついでになんで来ちゃったんだろという後悔も。



(*゚ー゚)「さっ、ここからは歩きです」


(  ^ω^)ノ「せんせー、見える範囲に家がありませんお」


(*゚ー゚)「見えない範囲にあるので当然です」


川゚ -゚)「少しは頭を使え」

( ´_ゝ`)「このどあほうが」


(  ^ω^)「兄者、この決着はいずれ必ず」


( ´_ゝ`)「だが断る」


(*゚ー゚)「さあ、元気にいきましょー」





30分後





(; ^ω^)ノ「せんせー、見える範囲に家がありませんお」


(*゚ー゚)「見えない範囲にあるので当然です」


川゚ -゚)「少しは頭を使え」

( ´_ゝ`)「このどあほうが」


(; ^ω^)「この流れは」





さらに30分後





(; ^ω^)ノ「せんせー、見える範囲に家がありませんお」


(*゚ー゚)「見えない(ry」


川゚ -゚)「少しは(ry」

( ´_(ry


(; ^ω^)「やはり無限ループ。これは間違いなく作者の陰謀」










(; ^ω^)「徒歩1時間半でバス無しとかどんだけー」


(*゚ー゚)「せっかく着いたんだから喜ぼうよ」



アメリカの郊外のような長い道路を歩いた末にようやく辿り着いた目的地。



(*´_ゝ`)「おおっ、これがスーパーカーかっ!」


川゚ -゚)「確かに高そうだ」


そこにはお目当てのスーパーカーと



(*゚ー゚)「さっ、中に入ろ?」


(; ^ω^)「……お?」


(;´_ゝ`)「これは……もしや」



体当たりでもすれば今にも倒れそうな



川゚ -゚)「……物置だな」



2階立ての小さな木造の物置が佇んでた。



「失敬なっ! スーパーサぴゅライヤーさんの家だよっ! 」


「……噛むなお」




〜到着っ! にようこそ!〜

417:◆/wOcNhjd4U
09/17(月) 21:08 KybIAYBxO


(; ^ω^)「……」


(;´_ゝ`)「……」


(*゚ー゚)「待ってる間、我が社の新製品のこれ食べててね」


川゚ -゚)「ん、ありがとう」



2階の10畳ほどのボロ畳みの部屋で正座をさせられる僕たち








どうやらサプライヤーに会うのは自分たちだけではないらしい


同じく正座した7、8人もそれぞれの目の前に置かれたお椀一杯のどこかで見たお菓子を一心に凝視している



この太い長方形のフォルム
……



(  ^ω^)「……」


( ´_ゝ`)「……」










……あ、兄者がとった。



( ´_ゝ`)「……」


(  ^ω^)「……」











( ´_ゝ`)+「これ、大豆ですから」


(  ^ω^)「もう帰りたいお」


川゚ -゚)「……うまい」



やべーよ絶対ここ危ないよ


横でパクパクとソイ○ョイを頬張るクーを眺めながらそんな考えが浮かんできた頃



(*゚ー゚)「おまたせしましたー」


( ´∀`)「したモナ」



しぃとふっくらした体型の男が手に何やら箱やらコップやらを持って襖を開けて入ってきた



( ´∀`)「お、君はいつぞやの体験くん」


Σ(; ^ω^)「ドクオのとこの講師っ! なんでここにっ?!」


( ´∀`)「……大人にもいろいろ事情があるモナ」


(;;^ω^)「……す、すみません」


(*゚ー゚)「ともかく、みんな新製品は食べてくれたかな?」


(;´_ゝ`)「あ、ああ。一応な」


( ´∀`)「おいしかったモナ?」


(; ^ω^)「いや、なんていうk」

川゚ -゚)「ああ、かなり」

( ´∀`)*゚ー゚)「でしょうっ?!!」

( ´∀`)「この『ジョイソイ』は大豆から生まれたとてもヘルシーなお菓子で──」

(*^ー^)「自然本来の味が生きてる〜って感じよねっ! 他にも──」


(;´_ゝ`)「クーめ、余計なことを……。二人とも調子づいたじゃないか」


川゚ -゚)「うまかったんだからしょうがない」


(; ^ω^)「てかやっぱりソ○ジョイかお」



ヒソヒソと話す自分たちの目の前で洗剤やら何やらの実験みたいなことを次々に始めるしぃとドクオの講師


自分たちを含め明らかにここにいる人たちの空気が不安で充ち満ちている






……とりあえずこれだけは聞いとおかないと

418:◆/wOcNhjd4U
09/17(月) 21:11 KybIAYBxO


(  ^ω^)ノ「……あの」


(*゚ー゚)「ん、何かな? まだこのスーパークリーンデストロイの説明が終わってないんだけど」


(  ^ω^)「これってその商品を他の人に売ったりすると給料が増えていったり……」


(*^ー^)「そうそうっ! よく知ってるねっ!」


(  ^ω^)「思ったんだけどさ……」


(*^ー^)「うんうん」


(  ^ω^)「これ、マルチ商法じゃね?」


(*^ー^)「そうそう」











(*^ー^)「……ソンナコトナイデスヨ?」


(# ^ω^)「やっぱりそうかおっ!」


(;*゚ー゚)「いやホントだって。だって今ならこの洗剤に靴下が二足付いてくるのよ?」
(# ^ω^)「知るかおっ!」




しぃを信じてここまで来たのに


自分たちのやりとりを見ていた周りの人も途端に文句を言い始める。



「やっぱりマルチかっ!!」


「危うく騙されるとこだったっ!!」



声は次第に大きくなり既に暴動が起きるのではないかと思うほど周りの熱気は上がっている



そして









( ´∀`)「……うっさいモナ」




開 き 直 り や が っ た




( ´∀`)「いいから黙って買うモナ」



「うっせえっ! 俺は帰る!」



一際憤慨していた大男が立ち上がって1階に降りる階段に向かったその時



(*>ー<)「緊急事態っ! A班、突撃して下さいっ!」



その階段から駆け上がってきたSAT並の装備をした人たちが大男を瞬く間にに取り押さえた



「にっ、逃げろおおおおおおおっっ!!」



自分たちの最前列にいた男が叫ぶと他の人も我に返ったように一斉に逃げ出s

(;´_ゝ`)「何余裕かましてんだっ!! 俺らも逃げるぞっ!!」


(; ^ω^)「おおぅっ! 唐突過ぎて一瞬わけがわかんなかったおっ!」


川゚ -゚)「こっちだ」


クーが割った窓の外から屋根に移ると自分たちもすぐに続く



後ろではまるで本物の戦場のように次々と人が取り押さえられ、その光景はまさに阿鼻叫喚そのものだった。



( ´∀`)「3人外に出たモナっ!」


(*>ー<)「すぐに捕まえちゃいなさい!」


「「「イェッサーっ!!」」」




〜脱出 にようこそ!〜

420:◆/wOcNhjd4U
09/19(水) 23:24 biFXX7qTO


川゚ -゚)「ふっ」


(  ^ω^)「ほっ」


(;´_ゝ`)「ぐっ」



屋根から地面に飛び降りる



(; ^ω^)「こ、ここからどうやって逃げるおっ?!」


川゚ -゚)「駅までかなりあるぞ」



後ろからは階段を駆け降りる音


一刻の猶予もない



なにか……



(;´_ゝ`)「おいっ! この軽トラ鍵が付いてるぞっ!!」


少し離れた位置で白のボロい軽トラを指さして兄者が叫ぶ


(; ^ω^)「ナイス兄者っ! 運転できる人は」

川゚ -゚)「私がやろう。二人は荷台に乗ってくれ」

(; ^ω^);´_ゝ`)「OK!」

クーが運転席に、僕と兄者が荷台に飛び乗る


エンジンをかける音


軽トラの後ろからはSAT軍団

(; ^ω^)「早く出るおっ!!」

(;´_ゝ`)「捕まるぞっ!!」

川;゚ -゚)「今やっているっ!」


継続的にエンジン音がするがなかなか掛からない


敵の腕が荷台を掴もうと伸び──


(  ^ω^)「もうだめp」

川゚ -゚)「掛かったっ!」


クーが声を張り上げると同時にけたたましい音が響き渡る

間一髪


今まで静止していたタイヤが一気に地面を蹴り上げ駆け出した












──後ろに



「ぎゃああああああぁぁっ!!」

「うわあああああああっ!!」

「ぐはぁあああぁぁああぁっ!?」


「俺……この戦争が終わっ……けっ……ぐふ」




(  ^ω^)「……南無三」


(;´_ゝ`)「流石に同情する」


荷台に座る自分たちの目の前で次々と蹴散らされていくSAT軍団


さっきのが阿鼻叫喚ならこれは地獄絵図といったところか


一通り撥ねると軽トラはやっと停止、そして屍の山を背に今度こそ前へと走り出した



(  ^ω^)「とりあえずなんとか脱出できたお」


( ´_ゝ`)「ああ。あそこで敵を倒したから一安心だ。クーもなかなかやるな」


川゚ -゚)「……」


(  ^ω^)「……クー?」



荷台からクーを覗き込む



見ればいつになく真剣な顔でハンドルを握っている



(  ^ω^)「……今さらだけど、クーって運転できたんだおね」



ふと思ったことを何気なく口にする

421:◆/wOcNhjd4U
09/19(水) 23:27 biFXX7qTO


川゚ -゚)「まさか私が運転できないと思っていたのか?」


(; ^ω^)「……いや……なんとなく」

川;゚ -゚)「鋭いな」

Σ(;;´_ゝ`)「ホワットっ?!!」

Σ(;;^ω^)「ちょっ……えっ…ええええええええっ?!!」


川;゚ -゚)「後ろに走り出した時は死ぬかと思ったぞ」


(; ^ω^)「で、でも自分で運転するって」


川゚ -゚)「みなが嫌がる仕事を進んでやってこそ」

(;´_ゝ`)「そんなキャラじゃなかったじゃないっ!!」
(; ^ω^)「そういう時は全力で断っておっ!!」



確かにそういえば心なしか蛇行運転している気がする


両脇は田んぼ


この道をはみ出したら間違いなく転倒する



(; ^ω^)「と、とにかくゆっくりスピードを落として一旦止まるお」


川;゚ -゚)「ああ」


( ´_ゝ`)「……どうやらそれは無理っぽいぞ」


(  ^ω^)「お、なんでだお?」



クーから目を離し、後ろを見つめる兄者の視線を追う



自分たちの遥か後ろで起きる砂煙



その茶色の空間の中に一際目立つ赤



あれは紛れもなく




(*゚ー゚)「みっけた!」


( ´∀`)「僕の愛車から逃げ切れるはずないモナ」



あの家にあったスーパーカーだった



(; ^ω^)「追手かおっ!」


(;´_ゝ`)「むしろ真打ちだな」



こちらが駆るはオンボロ軽トラ


相手が駆るのは最新スーパーカー



性能差は歴然



道が悪くスピードは出辛いとはいえ追いつかれるのは時間の問題だ



(; ^ω^)「しかもこっちの運転手は」


川゚ -゚)「大丈夫だ。ゲームならやったことがある」


(; ^ω^)「……グランツーリ」

川゚ -゚)「マリオカートこそ唯一神」

(  ^ω^)「\(^o^)/オワタ」


(;´_ゝ`)「とにかくなんとかせねばっ!」


(; ^ω^)「そんなこと言ったってっ!」


(;´_ゝ`)「大丈夫だっ! 耳を貸せっ!」





くすむ白と光る赤




田園を舞台に今、デッドレースの火蓋が切って落とされた




〜カーチェイス にようこそ!〜

422:◆/wOcNhjd4U
09/21(金) 20:56 T+9nd1EGO


( ´_ゝ`)「俺に策がある」

(; ^ω^)「どうすればいいんだおっ?!」


( ´_ゝ`)「落ち着け。あいつらから逃げ切るには俺たちのスピードアップか向こうのスピードダウン、どちらかの条件を満たせばいい」



確かによくよく考えれば至極当然なことだ



やはりこういう時は兄者の方が頼りになる



( ´_ゝ`)「というわけでクー。なぜかここにある豆腐が崩れないよう荷重移動を意識して」

川゚ -゚)「うおっと」

(; ゚ω゚)「ぶふっ」

川;゚ -゚)「スマン、障害物があった。で、兄者、何か言ったか?」

( ´_ゝ`)「いや、これ以上崩れようがないしいいや」



顔に食らった豆腐爆弾を拭き取って再び後ろを確認する

少し目を離していた間にも両者の距離は確実に無くなりつつあった



(; ゚_ゝ゚)「どどどうすばいんだああああぁっ?!」

(# ^ω^)「てめぇ策ってそれだけかおっ!!」



やはりこういう時に兄者は頼りにならない



(  ^ω^)「……クズが」


(;´_ゝ`)「声でてるぞ」


(  ^ω^)「とりあえず落ち着くお」




(  ^ω^)「ようは相手の速度を落とすか自分たちの速度を上げればいいお」


(;´_ゝ`)「微妙に言い方変えてるけどそれ俺が言っt」
(  ^ω^)「素人に豆腐屋ばりのテクを即興で覚えさせようってのが間違ってるんだお。間違えるのは存在だけにするお」

( ´_ゝ`)「おっと来たよ来たよこの流れ」

(  ^ω^)「現実問題、こっちのスピードアップは正直厳しいお」


(;´_ゝ`)「しかし」


川;゚ -゚)「クソッ、スターがあれば田んぼを横切れるのにっ!!」


( ´_ゝ`)「おk。今はっきり把握した」


(  ^ω^)「そこで相手のスピードダウンを計るお」


(;´_ゝ`)「それこそどうやって」



……あまりに無謀な






それでいて危険を伴う作戦






けれど










もうこれしかない







(  ^ω^)「……僕たち2人で向こうに飛び乗るお」


Σ(;´_ゝ`)「mjsk?!!」

423:◆/wOcNhjd4U
09/21(金) 20:59 T+9nd1EGO


(; ^ω^)「作戦内容を説明すると」



敵迫る





2人で飛び乗る





相手スピードダウン



( ´_ゝ`)「まったく説明してない件について」


川;゚ -゚)「そろそろ追いつかれるぞっ!」



クーに言われて後ろを確認する



( ´∀`)「もう追いつくモナよっ!」


(*゚ー゚)「大人しく買いなさーいっ!」



既に距離は10メートルほどしかなく相手の声すら聞こえる

(;´_ゝ`)「クソっ!! もうどうとでもなれっ!!」


(; ^ω^)「タイミングを合わせるおっ! クーはそのままのスピードで走っておっ!」

川;゚ -゚)「わかったっ!」



今までがむしゃらに走っていたクーが安定させるために少し速度を落とす


必然的に相手との距離が詰まる


( ´∀`)「スピードが落ちたモナね」


(*゚ー゚)「でもなんか荷台の2人が立ち始めたよ?」






(; ^ω^)「覚悟はいいかお?」


(;´_ゝ`)「俺だって漢だ」

川; -;)「おまえらの気持ちは決して無駄にしない……私は必ず逃げきる」







深く息を吸い敵を見据える




「「いち……」」




風に吹き飛ばされそうになりながらも2人で腰を落とす



(;´∀`)「……ま、まさか」



「「にの…………」」




タイミングがずれないよう息を合わせる



チャンスは一度。ミスは許されない



(;*゚ー゚)「……嘘でしょ?」






( ´_ゝ`)


(  ^ω^)



最後に……2人で顔を見合わせる






わかってる






俺たちは











友達だ





「────さんっ!!」


(;´_ゝ`)「うおりゃあああああああああああっ!!」

(;´∀`)「うわああああああっ!! ホントに来たモナあああああっ!!」

(;*>ー<)「きゃああああああっ!!」



荷台を蹴り勢いよく飛び出す兄者。宙に舞った身体はその大き過ぎる赤い敵に一矢を報いようとその細身を当て





再び人形のように宙を舞った。


川; -;) ;ω;)「兄者ああああああああああああああっ!!!」



〜犠牲 にようこそ!〜

426:◆/wOcNhjd4U
10/24(水) 12:31 ZQGmsCxrO


(  ^ω^)「……」


川゚ -゚)「……」



(; ´∀`)「僕のスーパーカーが……」


(*うー;)「ちょっと涙でた……」



依然追従する赤い機影。



兄者の命を賭した反撃は空しくも車のボンネットを大きくヘコませるにとどまった。








当の兄者はというと田んぼに頭から刺さったのを最後に視界から完全に消えさった。



(  ^ω^)「冷静に考えればこんなの成功するはずないお」


川゚ -゚)「……そうだな。私たちはちょっとどうかしてたな」



落ち着いてきたところで改めて現状を確認する。



(  ^ω^)「とりあえず人間爆弾(兄者)の成果は……」



再び後ろを走る車に目をやる。



未だ走り続けるスーパーカー




その運転席で怒りの感情を露にする二人の追手




広がらない相手との距離











(  ^ω^)「……荷台が広くなったくらい……かな」


川;゚ -゚)「まあ何もないよりは……」


(  ^ω^)「さて……どうしますか」


川;゚ -゚)「えらく落ち着いてきたな」


(  ^ω^)「いや、なんかもう…………いいかなって」


川;゚ -゚)「……私のキャラが立たないじゃないか。とにかく後ろのをなんとかしてくれ」


(  ^ω^)「はいはい」



渋々後ろのうるさいシャア専用機をなんとかするために広くなった荷台を漁ってみる



(; ^ω^)「こ、これは……」


大きな紙袋を見つける。というより先ほどまで兄者が座っていたため全く気付かなかった







(  ^ω^)「まだ温かい」


川゚ -゚)「それはキモい」


(  ^ω^)「中身は……肥料かお?」



HだのOだのと化学式が書いてあるがたぶん間違ってない






(  ^ω^)








ふと思いつく









先ほどの人間爆弾(兄者)とは違うあまりに恐ろしい考え







成功すれば確かに後ろの敵はまける





しかし果たしてこれはやっていいのだろうかすら疑う





けど









やはりやるしか……






(  ^ω^)「なんという行間のデフレ」

427:◆/wOcNhjd4U
10/24(水) 12:37 ZQGmsCxrO


川゚ -゚)「何か思いついたのか?」


(  ^ω^)「ん、ちょっと」


川;゚ -゚)「大丈夫なんだろうな。できれば次で終わらせたい」


(  ^ω^)「まあとにかくやるしかないお」



運転席からの質問に曖昧に答えるととりあえず準備を開始する





(  ^ω^)「よいっしょ……」



肥料の袋を荷台の後ろの方に運ぶ



結構重い。20キロぐらいはありそうだ




(  ^ω^)「びりびり……と」



紙袋の口を手でちぎって開く




中には白い粉




まあたぶん予想通り肥料だろう





(  ^ω^)「せー……」





そしてそれを一気に







(  ^ω^)「のっ」





ひっくり返す









肥料が煙幕になるのではないか




王道すぎる至極単純な考えだった












甘かった



(; ^ω^)「うおうっ!!」


Σ(;´∀`)「ちょっ、前がっ!!」

(;*゚ー゚)「なんも見えないよっ!!」



モクモクとした煙がちょっと視界を悪くするぐらいだろうという予想に反し、爆発したのかと思うほどの純白の粉塵が一瞬でスーパーカーを一帯ごと飲み込む




ブーンの視界に既にスーパーカーはなく





モナーたちの視界に既に白以外は存在しない




(;´∀`)「うわあああああっ?!」


(;*>ー<)「きゃああああああっ!!」




元々細い畔道




当然視界無しで走れるはずもなく




スーパーカーが粉塵の中から再び現われた時には遥か後ろで田んぼに転げ落ち大破した無残な姿へと変貌していた







川゚ -゚)「よくやったブーン!」


(; ^ω^)「……いいのかお」


川゚ -゚)「何か不満か?」


(; ^ω^)「いや、やっぱ最後はクライマックスというか山場というかこう盛り上がりが」

川゚ -゚)「甘い。クライマックスでは既に不貞寝、山場では下り坂、それがNHKクオリティ」


(; ^ω^)「……絶対クオリティって言えば済むと思ってるお」



〜それがっNHKクオ(ry にようこそ!〜

432:◆/wOcNhjd4U
11/18(日) 23:06 FD4b+5YlO


(  ^ω^)「委員長たち、大丈夫かお……」


川゚ -゚)「しっかり見捨ててきたくせに何を言っている」



聞こえない聞こえない。


あの後無事駅に辿り着いた僕たちはもう我が家の目と鼻の先まで来ている



久し振りの……



(  ^ω^)「久し振りの我が家……あ、ちょっと潤んできた」


川゚ -゚)「話の中では一日だがリアルだと6ヶ月前だからな」



アパートの階段を上る。この軋む音も何もかもが懐かしい。


ドアの前では緊張すらして思わず立ち止まってしまう。




深呼吸をして懐かしき我が家のドアを……





「ただいm――」


ξ*^竸)ξ「はっぴばーすでーっ!! ブーンっ!!」

(*'A`)「喜べっ! また一つジジイに近付いたぞっ!!」




ドアが開くと同時に炸裂するクラッカーの音。


そこから吹き出されるカラフルなテープと紙吹雪。



満面の笑みから浴びせられる賛辞




(  ^ω^)「……お?」



一瞬状況が飲み込めずに間の抜けた声が出る





そして理解する



(  ;ω;)「……どうして」



思わず涙が溢れる



ひきこもりの僕が誰かに誕生を喜ばれたのだ



きっと今日は生きてきた中で一位二位を争うぐらいの思い出になるだろう








……なるはずだった



(  ;ω;)「…………どうしてクー先に入っちゃうんだお」


川;゚ -゚)「……スマン。なかなか入らないから……つい」


ξ;゚听)ξ「…………あちゃ」


(;'A`)「……やべ」



自分に向けられるはずだった紙吹雪と紙テープ、そして笑顔と賛辞を一身に受けたクーをただ悔し涙で霞む目で眺める。


まさに自分のプレゼントを目の前で開けられた心境。



そしてブーンとクーを間違えたことに気付いたツンとドクオも先ほどまでの笑顔は消え失せ、気まずそうな顔をしている。












死にたい



(  ;ω;)「クラッ……カーもグスっ……おめでひっく………とうも…………みんっ…みんな僕のっ……ひっく」

Σ川;゚ -゚)「ホントにっ! 今回ばかりはホントにすまなかったっ!」

ξ;゚听)ξ「ねっ? 泣かないでブーンっ!!」

(;'A`)「ブーン! 大丈夫だからっ! なっ?」

433:◆/wOcNhjd4U
11/18(日) 23:12 FD4b+5YlO


(  ^ω^)「…………………………」



川;゚ -゚)(……これは気まずい)


ξ;゚听)ξ(なんとかしないと)



( 'A`)「ブーンっ! 実は俺たちプレゼントを用意してんだっ!」 


(  ^ω^)「……プレゼント?」


ξ;゚听)ξb(そういえばそれがあったわっ! ナイスドクオ!)


( 'A`)b グッ(任せとけ)


(  ^ω^)「ほ、ホントかお……?」


( 'A`)「ああ、嘘じゃないぜ」




( 'A`)「俺からは本人にバレないよう密かに研究を重ねて作ったこの1/5サイズツンフィギュアを」

ξ#゚听)ξ「ううらああああああああっ!!」




唸るソバット




吹っ飛ぶドクオ






川;゚ -゚)「そしてツンの首が宙を」

ξ#゚听)ξ「それをツンって言うなああああああぁっっ!!」




(  ^ω^)「僕の……」


Σξ゚听)ξ「……はっ」


(  ;ω;)「プレゼント……」

ξ;^竸)ξ「次っ、次私からのプレゼントねっ!」


ξ゚听)ξ「はい、どうぞ」

(  ^ω^)「お、なんだおこの本」


ξ^竸)ξ「『ひきこもりにおける考察と脱出理論 ツン・デレ著』。これがあればブーンのひきこもりも治ってNHKにようこそも一気に最終回へ 」

(  ^ω^)「いらないお」



ξ^竸)ξ


(  ^ω^)











ξ゚д゚)ξ


(; ^ω^)「ありがとうだお。大事にするお」


川゚ -゚)「次は私だ」


(; ^ω^)「てかクーはさっきまで一緒に」


川゚ -゚)「なに、ちょうどここにソイジョイが3本あってな」


(; ^ω^)「……ああ、持って帰ってたのね。ありがとうだお」

川゚ -゚)「好きなのを1本選べ」

(  ^ω^)「ちょwww1本だけかおwwwww3本寄越せwwwwww」



(  ^ω^)「でも」


(* ^ω^)「でもこんなに誕生日を祝ってもらったのは初めてだお」


(*'A`)「俺たち友達だろ」


川゚ -゚)「友人の誕生日を祝福するのは」


ξ*゚听)ξ「当たり前じゃない」



(* ^ω^)「……みんな」







ホントはありがとうって言いたかったけど



これ以上はまた泣きそうだから言えなかった





〜はっぴばーすでーっ にようこそ!〜

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