367:名無しさん
10/06(土) 05:53 pMVg5RvjO

 
三十二重 『隠し事』
 
流れる白い雲の中から光が少女へと降り注ぐ。
少女は表情を崩さないまま右手を頭上に上げ、光を逸らす。
 
lw´‐ _‐ノv(光が当たらないとわかっていながらの連用)
 
奇妙としか言いようがない。
自分は決して追い込まれているわけではなく、むしろ優勢だ。
相手の顔を伺う。
焦っているかと思ったが、表情は合いも変わらず。
 
( ゚∀゚)「C G M V カード」
 
少女の四方を囲むように薄いカードのような形をした光を造る。
 
lw´‐ _‐ノv「マンネリ」
 
( ゚∀゚)「繰り返しが大事だって担任が言ってたぜ?」
 
カードの一枚が前方から少女に向かって進む。
左右から他の二枚が挟み込む。
 
lw´‐ _‐ノv「……」
 
( ゚∀゚)(アルカナの効果を把握しておきたいのが正直なところだが…)
 
少女がジャンプし、避ける。
その時を待っていたかのように少女の真下でカードが止まり、上へと進む方向を変える。

368:名無しさん
10/06(土) 05:55 pMVg5RvjO

 
lw´‐ _‐ノv「まるで夏に食べるぜんざいのように甘いぜ」
 
少女がしゃがみ込み、右手を足元に向ける。
光のカードは何かの力に押されて一度地面にぶつかり、跳ね上がる。
少女が左手を前に出しながら一、二歩ほど宙を歩き、振り返りながら左手と右手を入れ替える。
左手の近くまで来ていたカードが弾かれて消される。
 
( ゚∀゚)(あの娘が立つ場所は全て足場になる 多分空間に見えない足場を造るか、またはそれに準ずる効果だな)
 
だが何か釈然としないものを感じることを否めない。
雲を歪めたことを説明できないからだ。

369:名無しさん
10/06(土) 05:56 pMVg5RvjO

 
lw´‐ _‐ノv「消耗戦は好きじゃないんだ」
 
少女が右手を引き、宙を殴る。
 
( ゚∀゚)「意味がわから…っ!?」
 
少女が右手を振った位置、角度が自分にピンポイントで向いていた。
そして浮いていた雲と空気を歪めながら何かが迫る。
 
(;゚∀゚)「ちっ!!」
 
男が反応し、見えない何かを回避する。
後ろに浮いている雲を蹴散らす。
 
lw´‐ _‐ノv「避けたか」
 
( ゚∀゚)「戦闘のし過ぎで経験値たっぷりだからな」
 
lw´‐ _‐ノv「どうしてなかなか…君は強いね」
 
( ゚∀゚)「何を薮から棒に」
 
lw´‐ _‐ノv「君はこの世界が何だと思う?」
 
少女が男に質問する。
ただ、先程までの緊張感が嘘のような身替わりだ。

370:名無しさん
10/06(土) 05:58 pMVg5RvjO

 
( ゚∀゚)「なんか…神とかいう奴が造ったゲームみたいなものじゃないのか」
 
男が当たり前の事を言っているかのように答える。
 
lw´‐ _‐ノv「半分正解 ここを造ったのは地球の神 だけど君の考えとは少し違う」
 
( ゚∀゚)「違うってどういうことだ?」
 
lw´‐ _‐ノv「死人を生き返らせるのは莫大なエネルギーがかかる だが生まれている人は固定されていじることができない だから死人の設定をいじり、蘇らせた」
 
( ゚∀゚)「は?」
 
lw´‐ _‐ノv「僕のように空間を物体として扱うアルカナや色々な能力はゲームとしては重すぎる しかもこれだけ広大なフィールドに様々な設定はエネルギーを使いすぎるよね」
 
( ゚∀゚)「神だから問題ないんじゃ」
 
lw´‐ _‐ノv「神だって万能じゃないんよ 一人一人がかなりの容量を持っている状態の世界と普通世界 二つの世界を維持するのは不可能に近い どうしたらいいか考えてみて」
 
(;゚∀゚)「まさか…」
 
男は気付き、冷や汗が頬を流れる。

371:名無しさん
10/06(土) 05:59 pMVg5RvjO

 
lw´‐ _‐ノv「お話はこれまでかな」
 
少女が右手を振るう。
 
(;゚∀゚)(空間を物体として打ち出しているのか)
 
少女は空間を物体として扱うと言っていた。
つまり押すことも可能だということ。
厄介なアルカナだ。
攻撃の範囲が広くなるうえに短い範囲を補助する役割がある。
 
( ゚∀゚)(だが…)
 
弱点も増える。
自分の前に光の箱を出現させて空間の弾を防ぐ。
 
lw´‐ _‐ノv「ほぅ…」
 
防がれるとは思っていたがこんなにも早く止められるとは。
だが、全ての攻撃が防がれたわけではない。
 
lw´‐ _‐ノv(引きが肝心)
 
防がれたのなら他の攻撃に移るほうが効率がいい。
 
(;゚∀゚)「T ボール」
 
少女より少し離れた位置に光の球が出現する。

372:名無しさん
10/06(土) 06:02 pMVg5RvjO

 
lw´‐ _‐ノv(そろそろ終わりか…)
 
やはり口だけか。
そう思い、左手を引く。
 
(;゚∀゚)「見えた!!」
 
男が少し横にズレる。
掌の大きさの空間だけが引っ張ることができる。
その為、少し移動するだけで避けることが容易に行える。
 
lw´‐ _‐ノv(…ばれていたか、甘く見ていたね)
 
初見で回避されたのは予想外だったが、まだ焦る必要はない。
次の攻撃に移ろう…そう考えながら手を握ろうとした瞬間、左手首が切断されていた。
夥しい血が腕から流れる。

373:名無しさん
10/06(土) 06:03 pMVg5RvjO

 
lw;´‐ _‐ノv「な…」
 
切断された刹那、光が通り過ぎた。
反射的に右手で弾き消したがあれは前に出された光のカードだった。
 
lw;´‐ _‐ノv「全てのカードを消したと思ったが」
 
( ゚∀゚)「四枚のうちの一枚を三枚に集中してるときに月と重ねて今までばれないようにしていただけさ」
 
光の球を少女に飛ばす。
少女は腕から血を流しながら弾き、消した。
 
lw;´‐ _‐ノv「だがまだ負けたわけじゃ…」
 
( ゚∀゚)「俺の勝利はほぼ確定した」
 
男が少女に走り寄り、距離を詰める。

374:名無しさん
10/06(土) 06:04 pMVg5RvjO

 
lw;´‐ _‐ノv(引いて対処できない…)
 
空間を押して男を狙うが一向に当たる気配がない。
左手の重要性に気付いた気がした。
 
( ゚∀゚)「悪いが子供は早く寝てろ G M P W ヘッジホッグ」
 
男が立ち止まる。
少女の周りには光の球が四つ現れる。
さっきの球と違うのは針が無数に生えているところか。
 
( ゚∀゚)「俺のターン」
 
四つの球から針が全方位に飛ばされる。
少女は右手を振り、少しずつ針を消す。

375:名無しさん
10/06(土) 06:06 pMVg5RvjO

 
lw;´‐ _‐ノv(避けられない)
 
少女は避けきれないことを悟り、右手を前に出しながら男へと走る。
多少は傷つくが弾いていることと一点突破により、さほどの傷にはならない。
 
( ゚∀゚)「だが、ずっと俺のターン!! N SEED」
 
少女の目の前に光の種が出現する。
 
lw;´‐ _‐ノv(我慢し、相手の首を掴み空間ごと押し出せば殺せる)
 
種の熱は確かに高い。
だが、火傷さえ我慢すれば勝てる。
そう思い、種が光を放った瞬間、体を丸める。
だが、放出された熱エネルギーは最初とは比べものにならない程の威力。
体は焼け爛れ、体中から血を流して少女は倒れた。

376:名無しさん
10/06(土) 06:08 pMVg5RvjO

 
( ゚∀゚)「まぁ、そういうことだから約束守れよ」
 
lw´‐ _‐ノv「裏技?」
 
( ゚∀゚)「SEEDは光を使えば使うほど熱を放つ、それだけだ 思い込みに負けたな」
 
lw´‐ _‐ノv「……」
 
少女はずるいと言おうとしたが、言葉を飲み込んだ。
子供と言われるのが嫌だったからだが、男には伝わっていなかった。
内心、安心していた。
 
lw´‐ _‐ノv「…約束、守ってね」
 
少女の体が光る。

377:名無しさん
10/06(土) 06:09 pMVg5RvjO

 
( ゚∀゚)「ん? もちろん守るに決まってる 俺はやればできる子だからな」
 
lw´‐ _‐ノv「崩壊は一時間で始まるからそれまでは新しい能力の練習でもしておくといい じゃ、疑問の樹で待ってる」
 
少女の体は消えていく。
今までの無表情だった顔は少しだけ微笑んでいて、きっとかわいいと言うのはこういうことだと男は思う。
 
(;゚∀゚)「だから意味がわからん」
 
男の頭の中には疑問だけが残っていた。
 
从 ゚∀从「……」
 
女は何も口に出さない。
 
( ゚∀゚)「練習、するか」
 
男が新しい能力を確認する。
風が少しだけ強く吹き、雲はすぐに流れて消える。
頭上には障害物も無く、月の輝きを遮る物はない。
月は神々しく光りを放ち、二人を照らしていた。
少し奥に浮いているドアが開いたようだったが二人は気付かなかった。

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