577:名無しさん
11/24(土) 01:34 gZSviKgtO
四十七重 『( ^ω^)がはしゃいじゃうよ』
落下する体。
地面へ近づき、死が迫る。
ξ(゚△゚*ξ「……やっぱりダメだったか」
薄々感づいていた。
成功しないことに。
ξ(゚、゚*ξ「……やっと楽になれる」
疲れたのは体と心。
一人で全てを果たしてきた。
目的のために身を粉にして研究していた。
だが絶望より、安心感で彼女は充たされていた。
思い出すのは昔。
そう、ずっと昔。
ブーンとデレがいた昔の話。
578:名無しさん
11/24(土) 01:35 gZSviKgtO
―――――
―――
―
独裁政治によって平和は保たれていた。
だが、そこに自由はない。
ただの平民は量産された機械のように働かされた。
自由に生きることができる人間は政治家と研究者。
だから、科学は発展し続けていた。
平民でも勉強はできる。
研究者は頭の良い人間が研究所に呼ばれることでなれた。
研究所に呼ばれることは殆どの者にとって自由を意味する。
その自由の権利は家族も持つことができる。
だから子供を勉強させて自分の幸せを得ようとする。
だが、ツンは例外だった。
両親は姉のツンも妹のデレも別け隔て無く愛した。
勉強はしたくなければしなくてもいい、なぜなら家族で一緒に暮らせれば幸せだから。
両親は姉妹を愛し、姉妹もまた両親を愛した。
天才。
そう、ツンは天才だった。
579:名無しさん
11/24(土) 01:37 gZSviKgtO
勉強はした。
常識程度に、だが。
周りのように非常識なほどはしていなかった。
そして十二歳のとき、第十六研究所へ呼ばれた。
研究所の数は一に近づく程に優秀な証となる。
研究所が百八まである中、一際注目された。
ブーン。
その研究所で彼と出会った。
研究者の年齢は一際高い。
その中で二人は歳も近い中、仲良くなるのは至極当然だった。
ブーンとは家族ぐるみで生活していた。
彼に家族はいなかった。
ブーンは初めて幸せを感じた。
そして矛盾も感じていた。
ツンが十六歳になった年に第一研究所に移された。
家族とブーンも一緒だった。
そこには歳の近い仲間と出会ったがまた別の話だ。
研究者としては最高の地位を得たブーンは各研究所を見回っていた。
その時、彼は地域も見て回っていた。
彼は幸せだったが、平民の生活を見て自分だけの幸せに疑問を持った。
何故、自分はこんなに不自由無く自由に生きているのだろうか、と。
幸せとは皆と共有すべきではないのか、と。
580:名無しさん
11/24(土) 01:39 gZSviKgtO
そして、彼は国に、世界に喧嘩を売った。
最後に( ^ω^)「僕ははしゃいじゃうお」、そうツンに伝えて彼は消えた。
後日、研究者によるテロが起こった。
同時期にジョルジュ達はある物を完成させた。
The question and establishment of a theory (疑問と理論の確立)
研究者は愛情と信頼を持ってQUESTIONから疑問という愛称で呼んだ。
テロは数週間という短い期間で鎮圧、処刑が行われた。
ブーンの名を聞き、ツンも、仲間の研究者も嘆いた。
そして全てを巻き込む出来事が起き、世界は一変した。
テロを行った研究者の一部が第一研究所に潜入。
名前はまたんき。
第一研究所出身の彼はジョルジュにより疑問の力を聞いていた。
581:名無しさん
11/24(土) 01:41 gZSviKgtO
ジョルジュの命をベースに疑問を起動、世界の情報を把握後に全ての研究所を地下へと隠した。
そして疑問は世界の核を発射させた。
一瞬で世界は崩壊したがこの事実は死んだまたんき以外誰も知らないので闇へと葬られた。
ちょうど第二研究所へ視察に行っていたツンは事故を起こしていた。
核の衝撃による機械の破損により、実験動物の暴走で瀕死の重体。
第一研究所へ運ばれた。
疑問の情報収拾は続いた。
研究所へと目をつけ、情報を集めた。
冥王は百八の研究所を見て回った後に生まれた。
生まれた冥王は狂喜の塊、百七の研究所を破壊した。
両親は他の研究所へ見学に行っていたために死亡した。
デレは一人になった。
そんなとき、ツンの研究を発見した。
意識と記憶の交換。
肉体はそのまま、肉体と精神、記憶を全て交換するという壮大な研究。
成功は未だ無かったがデレには関係無かった。
582:名無しさん
11/24(土) 01:43 gZSviKgtO
愛するツンが生き返るなら自分を犠牲にするだけだ。
失敗なら皆で死ぬだけ。
ツンとデレの交換は成功。
ツンはデレの肉体でまたも一人となってしまった。
そして目が醒めたツンは驚愕、そして歓喜した。
疑問の情報とエネルギーに。
その頃からツン…いや、デレは狂ったように人体についての研究を行った。
ドクヲもまたクーを失った喪失感からデレの研究を手伝い、情報の交換を行っていた。
疑問に力を貸すように説得。
説得は失敗し、疑問は自らの鍵を冥王に渡して殻に閉じこもってしまった。
冥王は人間で言うと幼かった。
全てを遊びと勘違いした。
それが幸いしたのか、鍵をいくつかに分け、全員から奪い合うという方式の戦いを冥王は行った。
だが、前々から感づいていたロマネスクに阻止され、疑問が造ったウィルスにより全てがデリートされた。
583:名無しさん
11/24(土) 01:43 gZSviKgtO
だがドクヲは戦いの前から全てを悟っていた。
ドクヲは地球の監視を行うように、デレの箱庭に何度も足を運んだ。
そして何度目かの試行を繰り返し、オリジナルへと近付いた人工知能を造りあげた。
デレはそれをヒトと呼んだ。
だが、ヒトは完全に近づき過ぎた知能のためか周りの人工知能と決裂し始めた。
失敗を目前にしたデレは決断した。
584:名無しさん
11/24(土) 01:45 gZSviKgtO
ヒトとヒトを親密に組み合わせることを。
時間はあまり無かった。
デレとの体に拒否反応が起こり始めていた。
焦ったツンは殺し合いをさせ、心身の上達を計った。
元よりいない神を二人造った。
そして一人を自分が同調し、ヒトを選別したハインの情報を基に、VIPを造った。
ドクヲはもう一人に紛れていたが気付かなかった。
予想を超える出来事がおきた。
覚醒したブーンが死んでしまった。
その代わりジョルジュが旅を終えた。
長岡という名のジョルジュは期待以上の発展を見せた。
長岡の知能はジョルジュと瓜二つなほどだった。
長岡のコピーを得た後は用済みだった。
ただ嘘を伝えて利用するだけ。
585:名無しさん
11/24(土) 01:46 gZSviKgtO
単純だった。
周りの状況に着いて行けず、彼は壊れてしまった。
ξ(゚、゚*ξ「壊れたなんて考えて、私も壊れてたのかな」
落ちて行く中で考える。
月が落下する。
ξ(゚△゚*ξ「約束……間違えたのかな」
ブーンは言った。
「僕が頑張って皆が自由になれる世界を作るから君にも手伝って欲しいお」と。
だから私は頑張って造った。
彼のいない世界を。
デレは言った。
「皆で仲良く暮らそうね」と。
だから私は頑張って造った。
妹のいない世界を。
誰もいない世界はただの間違いの塊だった。
気付いていた。
586:名無しさん
11/24(土) 01:46 gZSviKgtO
地球という箱庭でデレの知能だけが常に植物状態だった。
デレは拒否していたのかもしれない。
誰もいない世界は、自由ではなかった。
一人では、はしゃげなかった。
ξ(゚△゚*ξ「やっぱり造るのは間違いか……まぁいいや このほうが諦めが…気付いていたけど、つくね」
体は血が流れ、地面へと近付いた。
587:名無しさん
11/24(土) 01:47 gZSviKgtO
('A`)「……」
ヒートのアルカナの代償か体からは血が流れ続ける。
体が着いて行かないのだ。
その点ではヒートの神経を潰していたツンは頭がよかった。
地面が近づき、死が迫る。
恐怖はない。
未練はある。
だが、諦めもつく。
最後に月を一瞬だけ目にし、意識が消えた。
地面には二つの赤い点。
その点に寄り添うようにポーンが佇んでいた。
588:名無しさん
11/24(土) 01:48 gZSviKgtO
いつの間にか手にしていた本が真っ黒い空間で光る。
そして視界は白に支配された。
从;゚∀从「ここが……疑問」
思ったことを呟いた。
そして目の前に人が現れた。
「おまえが勝者か……第一研究所研究者、ハインリッヒ」
そう、見覚えのある人だった。
从;゚∀从「おまえは……」
追い求め、そして何度も手から零れ落ちた懐かしい人だった。
_
( ゚∀゚)「おめでとう、だな」
「終わりとは呆気ないもの」
デレの声が頭の中で反芻した。
私は疑問。
答えを出そう、全ての疑問の。
叶えよう。
君の願いを、全ての答えを用いて。
与えよう。
終焉への権利と、その始まりを。
辿り着けた君に託そう。
私の力を、全ての情報を、権利を。
VIPの地面が輝く。
月が落下した。
全てを金色の光で包み、無へと帰した。