ブーン系小説まとめ( ^ω^) その他Vip系スレ集めてます |
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2009年06月10日
( ^ω^)ツン、頭をよくしてあげようξ゚听)ξのようです
- 1 名前:VIPがお送りします[]:2009/06/09(火) 20:29:40.08 ID:4Ha+nvdNO
- だいりですよ
- 3 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 20:32:56.59 ID:6ZavaT8L0
- 代理ありがとうございます。
始めます。
- 4 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 20:35:28.68 ID:6ZavaT8L0
-
<現在@>
ξ゚听)ξ「・・・」
ξ゚听)ξ「・・・はなびら、きれい・・・」
・・・おーい!ツン!・・・ツン!
- 6 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 20:40:00.95 ID:6ZavaT8L0
-
ξ゚听)ξ「・・・」
ツンは満開の桜の樹を目の前に、薄桃色に輝く花弁のシャワーの中一人立っていた。
少し肌寒い春の夜の風は花弁を散らし、彼女の髪とワンピースを揺らした。
白いワンピースは街灯に照らされ、ぼんやりと光っているように見えた。
(; ^ω^)「こんな所にいたのかお!勝手にウロウロしちゃいけないって言ったお?」
ξ゚听)ξ「・・・はなびら」
(; ^ω^)「・・・花びら?桜のことかお?」
( ^ω^)「・・・・・・ほら、桜の樹が満開だお。たくさんの小さな花が散って、こんなに綺麗な光景を作るんだお?」
ξ゚听)ξ「・・・さくら・・・?」
僕がそう言うと、花弁の舞うのに夢中だったらしいツンは焦点を目の前の樹に移した。
しばらくツンはその桜の樹を見つめていた。
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
- 10 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 20:42:37.83 ID:6ZavaT8L0
-
ξ゚听)ξ「・・・」
ξ;゚听)ξ「・・・・・・」
彼女の白い首筋に汗が走るのを僕は見た。
明らかにツンは動揺し、青ざめていた。
ξ;゚听)ξ「・・・こわい」
(; ^ω^)「お?」
ξ;゚听)ξ「さくら、こわい・・・」
僕はガタガタと震え始めた彼女の体を抱きしめる。
(; ω )「・・・大丈夫だお・・・・・・思い出さなくていいんだお・・・」
ξ; )ξ「・・・・・・こわい・・・」
ξ; )ξ「こわい・・・こわいよ・・・ブーン」
- 12 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 20:46:25.25 ID:6ZavaT8L0
-
( ゚д゚ )「どうですか?最近のツンさんは」
( ^ω^)「・・・少なくとも、前よりかは良くなってきていると思いますお」
( ゚д゚ )「何か目立った変化などはありますか?」
( ^ω^)「・・・・・・いえ、特にありませんお」
( ゚д゚ )「・・・そうですか。何かありましたらすぐ教えて下さいね」
無機質な病院の一室。骨のように白い壁が蛍光灯で照らされ、
反射光が僕の目にチカチカと突き刺さる。
( ゚д゚ )「今回の診察結果から悪い症状は見当たりませんので、今後も安心して養生なさって下さい」
( ^ω^)「はいですお」
( ゚д゚ )「では・・・今回のお薬です」
白衣を纏った担当医は椅子から立ち上がると、病院のロゴが入ったビニール袋を僕に差し出した。
この一連の動作を今まで何回繰り返したのだろう。
- 15 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 20:50:18.83 ID:6ZavaT8L0
-
( ^ω^)「・・・先生、ツンは・・・この先ずっと薬に頼らないといけないんですかお?」
( ゚д゚ )「・・・・・・現状では、はっきりしたことは分かりません。申し訳ない・・・」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ゚д゚ )「今後自己回復の兆しがあるなら・・・その時は薬を少しずつ減らしていきましょう」
( ゚д゚ )「ですが・・・完全に薬から脱却できる可能性は・・・おそらく低いと思います」
( ^ω^)「・・・そうですかお」
( ゚д゚ )「心配しないで下さい。社会復帰できない、という訳ではないのですから」
( ^ω^)「・・・」
待合室に戻ると、窓の外をぼんやり眺めているツンがいた。
ξ゚听)ξ「・・・」
( ^ω^)「ツン!ごめんお、待たせたお」
ξ゚听)ξ「・・・」
- 18 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 20:53:38.83 ID:6ZavaT8L0
-
( ^ω^)「もうこんな時間だお。ツン、おうちに帰るお」
ξ゚听)ξ「・・・ねこ」
( ^ω^)「お?」
彼女が指差した先、向かい側のマンションのベランダに、まっ白い毛の猫が一匹ちょこんと座っていた。
もしかしたらツンは僕が戻ってくる間ずっと猫を眺めていたのかもしれない、と僕は思った。
( ^ω^)「・・・猫はかわいいお。・・・でもツン、もう僕らは帰らなきゃいけないんだお」
ξ><)ξ「いーやーだー!!ねーこー!!!」
(; ^ω^)「・・・」
駄々をこねるツンを引っ張って、なんとか僕らは帰路につくことができた。
途中でスーパーや本屋に寄り、その日の夕飯や切れかけていた洗剤などを買った。
( ^ω^)「ただいまお」ガチャッ
ξ゚听)ξ「・・・」
( ^ω^)「ツン、家に帰った時は『ただいま』だお?」
ξ゚听)ξ「・・・たらいまぁ」
- 21 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 20:56:56.89 ID:6ZavaT8L0
-
スーパーで買った惣菜をテーブルに並べて、二人で夕食をとる。
( ^ω^)「・・・ツン、なんでさっき本屋に寄ったか分かるかお?」
ξ゚〜゚)ξ「う?」モグモグ
( ^ω^)「今日は猫を見てるのに邪魔をしちゃって悪かったお。そのお詫びに・・・」
僕は本屋のビニール袋からそれを取り出し、ツンに渡した。
ツンの表情が一瞬にして明るくなった。
ξ*゚听)ξ「わあ!ねこだぁ!」
( ^ω^)「ツン、表紙のタイトル読めるかお?」
ξ*゚听)ξ「せ、か、い、の、ね、こ!」
( ^ω^)「・・・(文字は大体読めるようになってきたお・・・)」
夕飯そっちのけで本にかじりつくツンを見ていると、
僕はなんだか表現しづらい安心感というか、心に何かが満たされていくのを感じた。
窓の外では真っ暗な夜の空に、白い雲が霧のように漂っていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
- 25 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:00:01.36 ID:6ZavaT8L0
-
( ^ω^)「じゃあ、いい子にしてるんだお?」
ξ゚听)ξ「・・・」
革靴を履きながら振り返ると、ポカンとこちらを見やるツンがいた。
一日中介護が必要だった頃は大変だった。
こうして僕が毎日出勤できるのも、日々のリハビリの賜物だろう。
( ^ω^)「いってきますお」
ドアを開けて出て行く瞬間は、いつも僕に針のような緊張感を与える。
もしツンが返事をしてくれなかったらどうしよう、という不安が通り過ぎていく。
ξ゚听)ξ「・・・いってらっしゃい」
呆けた顔でツンは呟いた。
僕は安堵し、ドアを閉める。
ツンが再び人間らしい日常を送る為のリハビリだ。
日々の当たり前の家事、挨拶をしっかりこなしていることの確認は、僕の毎日の悩みの種であり、安心の種でもある。
- 27 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:03:21.16 ID:6ZavaT8L0
-
ミ,,゚Д゚彡「内藤さん、ちょっといい?」
(; ^ω^)「今行きますお!」
(´・_ゝ・`)「内藤、この前の報告書だが・・・」
(; ^ω^)「やり直しますお!」
( ・∀・)「内藤くん・・・今晩一緒にあのお店・・・」
(; ^ω^)「また今度にして下さいお!」
('、`*川「お疲れ様でーす」
(; ^ω^)「お先に失礼しますお!」
(; ^ω^)「ふう・・・」
大学中退の身で職にありつけたのは非常に幸運だった。
ふと気付くと、この幸運を無駄にしない為に必死に今の職場に満足しようとしている僕がいた。
(; ^ω^)「・・・辛いけど、ツンの生活の為でもあるんだお」
(; ^ω^)「・・・・・・頑張るお」
- 30 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:06:57.13 ID:6ZavaT8L0
-
色とりどりのネオンが夜の街を好き勝手に染めている。
僕はその中の一つに入り、安い酒と適当な肴をレジへ運んだ。
( ^ω^)「(・・・たまにはツンが寝た後に飲むかお)」
川 ゚ -゚)「674円になりまーす」
( ^ω^)「・・・」
川 ゚ -゚)「・・・?お客様?」
( ^ω^)「クー?」
川;゚ O゚)「うわっ!ブーン!!」
( ^ω^)「やっぱりクーだお!!久しぶりだお!!」
ローソン色のエプロンを着たクーが、驚いた顔を浮かべてこちらを見ていた。
昔と変わらない、セミロングの黒髪と、クールな雰囲気を携えていた。
- 32 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:10:49.58 ID:6ZavaT8L0
-
川 ゚ -゚)「本当に久しぶり・・・」
( ^ω^)「そうだお・・・」
川 ゚ -゚)「・・・」
( ^ω^)「・・・」
川 ゚ -゚)「・・・そろそろ上がる時間だからさ、ちょっと外で待っててくれないか?色々話したい」
( ^ω^)「わかったお」
外で十分程待つと自動ドアが開きクーが出てきた。
長々と立ち話する訳にいかないので、二人で向かいのファミレスに入った。
川 ゚ -゚)「内定貰ってる奴なんて周りに一人もいないよ。私これからずっとフリーターかも」
( ^ω^)「最近は大変だお・・・」
- 34 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:14:49.01 ID:6ZavaT8L0
-
川 ゚ -゚)「ブーンはうまくやってるのか?」
( ^ω^)「まあ・・・辛いこともあるけど、それなりにやってるお」
川 ゚ -゚)「そうかぁ、私も資格の一つや二つ取っておけば良かったかもなー」
( ^ω^)「・・・みんなはどうしてるんだお?」
川 ゚ -゚)「どいつもこいつも就活さ。んでみんな全滅。さっき言ったけど」
( ^ω^)「・・・みんな元気かお?」
川 ゚ -゚)「ああ、元気だよ」
( ^ω^)「・・・なら良かったお」
川 ゚ -゚)「・・・・・・」
( ^ω^)「・・・・・・」
川 ゚ -゚)「・・・あれからもう二年か。早いものだな」
しばらく話した後、ツンが心配すると言って彼女と別れた。
帰り際に、また会う約束をした。
大学を辞めてからサークルの仲間とろくに連絡を取っていなかったので、
僕にも、そしてきっと彼女にも、報告することや話したいことがまだ沢山あるだろうからだ。
- 35 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:19:08.30 ID:6ZavaT8L0
-
( ^ω^)「ただいまだお」ガチャッ
ξ゚〜゚)ξ「ふぉかえりー」モフモフ
(; ^ω^)「あ!何食べてるんだお!」
ξ゚〜゚)ξ「じゃむぱん」モフモフ
(; ^ω^)「夕御飯の前に食べちゃいけないって言ったお?」
ξ゚听)ξ「だっておそいんだもん」
(; ^ω^)「・・・悔しいけど言い返せないお」
モフモフとジャムパンを食べているツンの隣で、僕は仕方なく1.5人前の野菜炒めを作る。
二人でそれを食べながら、僕はクーのことを考えた。
( ^ω^)「(・・・クーも、まだ引きずってるのかもしれないお)」
ξ゚〜゚)ξ「もぐもぐ」
( ^ω^)「(・・・忘れることなんてできないお)」
- 39 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:22:12.21 ID:6ZavaT8L0
-
幸せなんてものは常に時間の浸食を受けて、端から削り取られ、色褪せていく。
僕にとってあの頃が幸せなのか、今が幸せなのか、それは僕自身でも分からない。
ただ、とぼけた顔をしたツンと一緒に夕飯を食べている今も、これはこれで好きだったりする。
日々のリハビリを否定するような言い方になってしまうけど。
( ^ω^)「ツン、食べ終わったらお勉強だお」
ξ゚〜゚)ξ「ふぁーい」
少しずつではあるが、ツンの頭はよくなっている。
病院の検査に反映する程のものではないが、一緒に生活している僕には、もとい、恋人の僕には分かるのだ。
僕は本棚から小学生用の国語テキストを取り出し、テーブルの上に広げた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
- 43 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:25:34.64 ID:6ZavaT8L0
-
<過去@>
穏やかな日差しがあふれる春の午後。
窓の外ではサークル勧誘の群衆がざわざわとひしめき合い、
チアリーディングの喚声やブラスバンドの演奏が窓を伝い教室に響いていた。
僕は窓からの陽の光を浴びながら、ぼんやりと外の音に耳を傾けていた。
少し経ってから教室の扉が開き、灰色の背広に身を包んだ老教授が入ってきた。
教授はゆっくりと歩いて教卓に着き、ゴホンと大きな咳払いを一つすると、重みのある声でしゃべりだした。
/ ,' 3「えー、新入生の諸君。入学おめでとう」
/ ,' 3「この荒巻ゼミを希望してくれてどうもありがとう。だが残念な事に、このゼミには定員という厄介な制度があってね」
このゼミは定員20名と授業案内パンフレットに載っていた筈だ。
ざっと教室を見た所、人数は20人ぴったりか、ほんの少しオーバーかといった所だろう。
/ ,' 3「以前に取ってもらったゼミ希望報告書によると、希望者が22名いるみたいなんだ。
・・・申し訳無いけど、この中から二人抜けてもらう事になる」
- 48 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:28:12.83 ID:6ZavaT8L0
-
22分の2の確率。
よほどのアンラッキーマンでない限り生き残りは確実だろう。
僕は机の下の両足を伸ばし、安堵した。
/ ,' 3「ここでくじを作ったりしてたら時間の無駄だからね。もう結果はこちらで出してしまったんだ」
教室がざわめく。
/ ,' 3「・・・じゃあ発表します。・・・学籍番号0190、1021の二人だ」
( ^ω^)「・・・・・・」
- 50 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:31:25.32 ID:6ZavaT8L0
-
僕は教室の扉を閉め、木の臭いがする廊下の空気を一杯に吸い込んでため息をついた。
(; ^ω^)「・・・しょっぱなからついてないお」
(; ^ω^)「朝の占い一位だったのに・・・そりゃないお」
さてこの時間どうしたものかと思いを巡らせていると、いきなり後ろの扉がガラリと音を立てた。
僕は無意識のうちに振り向いていた。
ξ゚听)ξ「・・・」
( ^ω^)「・・・」
開かれた扉から、僕と同じ年くらいの女の子が現れた。
その女の子はきらきら輝く金髪の巻き髪を揺らしながら、
強気そうな眼をこちらに向け、どこか怪訝そうな表情を浮かべていた。
- 54 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:34:26.97 ID:6ZavaT8L0
-
( ^ω^)「・・・」
ξ゚听)ξ「・・・」
(; ^ω^)「・・・君も抽選で落ちたのかお?」
気まずい沈黙を払うために、僕は頭に浮かんだ言葉をとりあえず彼女に投げかけた。
だが、その女の子は返事もせずにただ僕を見つめている。
(; ^ω^)「・・・?(なんだお?この子)」
僕が戸惑いを感じ始めたその時、女の子は突然口を開いた。
ξ゚听)ξ「あんた、もしかして、ブーン?」
( ^ω^)「―――!!」
- 57 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:38:13.61 ID:6ZavaT8L0
-
彼女のその言葉で思い出した。
僕はこの子を知っている。彼女は、彼女の名前は・・・
( ^ω^)「・・・ツン、かお・・・?」
ξ*゚听)ξ「もう!思い出すの遅いのよ!とろい所は相変わらずね!」
ツンと僕は、いわゆる幼馴染みの関係だ。
ツンと初めて会ったのは小学校に入る前か入った後か、はっきり思い出せないけどそのくらい前のことだ。
公園で一人遊んでいた僕に話しかけてきたのが最初だった気がする。
その後同じクラスだということや、家が近所なことが分かり、僕とツンは学校でも外でも一緒に遊ぶのが多くなっていった。
僕らは同じ地元公立中学校に入学したが、一年生の三学期、ツンは親の転勤の為に学校を去っていった。
長く一緒だった幼馴染みとの別れは流石に辛いものがあった。
だが、日々多くの楽しみや焦燥が飛び交う思春期というものは、僕に悲しみを抱き続けさせようとはしなかった。
ツンとの別れは僕の日常の中に埋もれていき、いつか忘れ去られていった。
- 59 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:44:09.09 ID:6ZavaT8L0
-
( ^ω^)「ツン!!同じ大学だったなんて・・・久しぶりだお!」
ξ*゚听)ξ「本当に久しぶり・・・あんた背ぇ伸びたわね!」
(*^ω^)「ツンも随分変わったお!びっくりしたお!」
ξ///)ξ「ば、ばか!あたしはそんな、あんたに比べちゃ変ってないわよ」
( ^ω^)「・・・(照れ屋な所は変わってないお)」
ξ゚听)ξ「・・・・・・何年ぶりだろうね。こうやって話すの」
( ^ω^)「・・・五年、くらいかお?・・・・・・もうそんな昔になるのかお・・・」
ξ゚听)ξ「早いものね・・・」
( ^ω^)「・・・廊下で立ち話もあれだし、どっか別の場所で話さないかお?」
ξ゚听)ξ「そうね、そうしましょ」
僕たちは校舎の外へ出た。
無量無辺の桜の花弁が、太陽の光できらきらと輝きながら風に舞っていた。
樹の陰のベンチに腰をおろし、僕らはそれからずっと語り合った。
暖かく、綺麗な春の日だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
- 61 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:47:16.69 ID:6ZavaT8L0
-
( ^ω^)「・・・そういえばツンはサークルとかもう決めたのかお?」
ξ゚听)ξ「まだ決めてないわ。てかあたしはサークルとか部活より、あのゼミに入りたかったのよ」
(; ^ω^)「・・・ツンも僕もついてないお」
ξ;゚听)ξ「・・・そうね」
新入生歓迎期間も終わりが近づいてきた頃。
ガイダンスを終えた僕はツンとばったり会った。
( ^ω^)「僕もあのゼミ以外考えてなかったから、これからどこ行くか悩んでるんだお」
ξ゚听)ξ「・・・サークルかぁ、あたしはどうしよっかな」
从 ゚∀从「ヘイ!!そこのお二人さん!!」
(; ゚ω゚)ξ;゚听)ξ「「うわぁ!!」」ビクッ
- 63 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:50:46.83 ID:6ZavaT8L0
-
突然大声をかけられ僕は驚いて振り返った。
長い銀髪と両耳の派手なピアスが印象的な、背の高い女性が立っていた。
(; ^ω^)「ちょっと、びっくりさせないで下さいお」
从 ゚∀从「いやあ、なんか二人仲良く話しちゃっててさ〜、ついイタズラしたくなっちまった」
ξ///)ξ「ちょ、違いますよ!!そういうのじゃないです!」
从 ゚∀从「ふーん・・・まあいいや。君達新入生だよね。ガイダンスの紙袋持ってるし」
( ^ω^)「そうですお」
从 ゚∀从「これ、うちらのサークルのチラシ。よかったら読んでね」
( ^ω^)「ありがとうございますお!」
从 ゚∀从「×日の××時からお食事会あるから、暇だったら来いよ!」
終始テンションが高かったその女性は僕らにチラシを渡すと、何の説明もなしに教室から出て行ってしまった。
- 66 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:54:03.22 ID:6ZavaT8L0
-
ξ゚听)ξ「なんてサークル?」
( ^ω^)「んーと・・・・・・『サブカルチャー研究会』って書いてあるお」
安っぽい青色の一色刷りだったそのチラシには、
色とりどりのマーカーで手書きの説明が可愛らしく書かれていた。
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます!
サブカルチャー研究会は、日々サブカルな話題が飛び交う楽しげなサークルです!
オタク、アングラ、サブカルな学生大歓迎!!!もちろん初心者も大歓迎!!!
興味を持った人は今すぐ×号館×××号室へ!!
新歓お食事会 ×月×日××時 サークル棟中庭、桜の樹の下にて
代表:ショボン 090−××××−××××
ξ;゚听)ξ「・・・具体的に何するサークルかよく分からないわ」
(; ^ω^)「・・・すごく胡散臭いお・・・・・・」
- 68 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 21:58:09.21 ID:6ZavaT8L0
-
僕はその後の数日間、食事会やコンパを巡ってタダの飲み食いを満喫した。
入部しようと思う所はまだ無かった。
やがて、サブカル研究会のお食事会の日がやってきた。
( ^ω^)「ここが部室かお・・・」
( ^ω^)「・・・ごめんくださいお」ガチャ
僕は緊張しつつドアを開けた。
使い古されてそうな長机とパイプ椅子の席に、数人の男女が各々の作業をしながら座っていた。
漫画を黙々と読み僕が来たことさえ気付いていない男の人や、
本棚のラジカセから伸びるイヤホンに夢中でヘッドバンギングしている女性(この人は僕にチラシをくれた人だ)など。
奥のテレビでゲームをしている男性が振り向き、僕に言った。
(´・ω・`)「やあ、君は新入生かい?」
( ^ω^)「そうですお!」
(´・ω・`)「サブカルチャー研究会にようこそ。僕は会長のショボン」
o川*゚ー゚)o「君はなんて名前?何学部?」
(‘_L’)「おお新入生か。今年はなかなか多くて嬉しいね」
- 69 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 22:01:33.46 ID:6ZavaT8L0
-
从 ゚∀从「あ!おめぇ彼女は一緒じゃねえのかよ〜」
(; ^ω^)「彼女じゃないですお!」
(´・ω・`)「まあまあ、自己紹介とか色々したい所だが、もう時間だし歩きながら話そうか」
サークル棟の中庭には大きな桜の樹がその腕を広げてそびえ立っている。
根元にひかれた青いシートには既に多くの人が座っていた。
ξ゚听)ξ「あっ、ブーン!」
( ^ω^)「ツン!いたのかお!」
ξ゚听)ξ「うん、今日ちょうど暇だったし来ちゃった」
- 71 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 22:04:22.64 ID:6ZavaT8L0
-
ショボンさんが前に出ると、ざわざわとうるさい皆の前でしゃべりだした。
(´・ω・`)「えー本日は我がサブカルチャー研究会、第一回お食事会にお越し頂き誠にありg」
从 ゚∀从「しらけた挨拶してんじゃねーぞ!」
(,,゚Д゚)「さっさと始めろ〜!」
(´・ω・`)「ぶち殺すぞ。今日は大いに食べて飲んでいってください。かんぱーい」
「「かんぱーい!!」」
ξ゚听)ξ「先輩とも仲良くなったし、結構居心地いいのよ、ここ」
( ^ω^)「普段何してるんだお?」
ξ゚听)ξ「別に?ダベってるだけじゃない?ゲームしたり」
- 73 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 22:09:45.89 ID:6ZavaT8L0
-
(´・ω・`)「そもそもサブカルチャーというのはだね」
Σ(; ^ω^)「うわっ!いたんですかおショボンさん」
(´・ω・`)「世の中の主流な文化とは相入れない、いわば裏方の文化のことなんだ」
ξ;゚听)ξ「もう酔ってるんですか?」
(´・ω・`)「酔ってないよ。カウンターカルチャーとも言われるがね。社会的支配力を持つメインカルチャーに対抗する、若者的且つ副次的な文化」
(; ^ω^)「酔ってないならこの腕をどかして下さいお・・・」
(´・ω・`)「まあ定義が色々あって言い切ることは難しいんだけどね。基本的にマイノリティーが作り出すものがサブカルだ」
(´・ω・`)「現代のオタク文化もサブカルだし、オカルト、SF、アングラ、パンク、など」
(´・ω・`)「まあ・・・いつの間にかこのサブ研は、ただゲームや漫画でダベるだけのサークルになってしまったんだがね・・・」
このショボンさんのマシンガントークの辺りで記憶がぷっつりと無くなっている。
気付いたら部室の机に顔を横たわらせていた僕がいた。
- 74 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 22:14:15.67 ID:6ZavaT8L0
-
( ´ω`)「・・・うぅ・・・・・・」
('A`)「よう、大丈夫か?」
僕の隣の椅子に、しかめっ面を顔に張り付けた、ぼさぼさの黒髪の男が脚を組んで座っていた。
( ´ω`)「・・・あれ?どちら様ですかお?」
('A`)「おいおい、さっき自己紹介しただろ?覚えてないのかよー」
男の名前はドクオといった。
彼の話に依れば、僕とドクオは先の酒宴にて知り合い、意気投合して酌み交わしたという。
僕はそんなこと一切も覚えていないのだが。
('A`)「さっきポケモン談義で盛り上がったじゃん〜」
( ´ω`)「・・・そうだったかお?」
- 76 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 22:17:52.43 ID:6ZavaT8L0
-
段々と意識がはっきりしてくる。
窓の外はもう暗く、街灯が桜を白く照らして美しく映えわたっている。
下を見ると、桜の樹の下には未だ多くの人が騒いでいる。
('A`)「・・・桜の樹の下には、死体が埋まっている」
( ´ω`)「・・・どっかで聞いたことあるお」
('A`)「梶井基次郎な。俺、文学部なんだよ。さっきも言ったけど」
( ´ω`)「あ、経済学部の内藤ですお。よろしく」
('A`)「さっき聞いたよ」
ガチャ
川 ゚ -゚)「あ、ドクオこっちにいたんだ」
- 78 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 22:20:47.25 ID:6ZavaT8L0
-
('A`)「よう、お前はもう飲まないの?」
川 ゚ -゚)「私は元々あんまり飲めないんだ。・・・そっちの人は新入生?」
( ´ω`)「経済学部の内藤ですお。一年ですお」
川 ゚ -゚)「私も新入生だ。クーという。法学部政治学科だ」
( ´ω`)「よろしくお願いしますお」
('A`)「こいつとは腐れ縁でさぁ、なんだかんだで12年間同じ学校だよ」
川#゚ -゚)「こいつって言うな」
( ´ω`)「・・・幼馴染み、なんだお?」
川 ゚ -゚)「まあ、そういうことになるかな」
- 81 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 22:26:39.09 ID:6ZavaT8L0
-
('A`)「こんな無愛想な奴じゃなくて、もっと可愛い女の子が良かったなぁ」
川#゚ -゚)プチンッ
ギャアアアア
マッテマッテ!
オナカハヤメテ!ナンカデル!ナンカデル・・・
( ´ω`)「・・・ケンカするほど仲がいい・・・のかお」
この二人と僕達に、絶対に拭えない因縁が生まれることを、この頃の僕は知らない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
- 82 名前: ◆vr/kcTmqG2 []:2009/06/09(火) 22:29:26.19 ID:6ZavaT8L0
- 今回は以上です。
一週間後くらいにまた投下したいです。
タイトル及び構想は筋肉少女帯の曲「香菜、頭をよくしてあげよう」から拝借しました。
支援どうもありがとうございました。
( ^ω^)ツン、頭をよくしてあげようξ゚听)ξのようです
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1244546980/
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1年からゼミに所属する大学なんてのもあるんだな