( ФωФ)冷血非道ロマネスクのようです 最終話5~6
カテゴリ: ブーン系
( ФωФ)冷血非道ロマネスクのようです 目次
706 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/07/23(土) 01:13:31 ID:yfUbGgJo0
( ФωФ) デミタス、書類は書けたか?
(´・_ゝ・`) ええ。既にここに
( ФωФ) デミタス。おやつはまだか
(´・_ゝ・`) 作り置きがございます。どうぞ
( ФωФ) デミタス。部屋の掃除が…
(´・_ゝ・`) 朝の内に済ませておきました
( ФωФ) デミタス、書類は書けたか?
(´・_ゝ・`) ええ。既にここに
( ФωФ) デミタス。おやつはまだか
(´・_ゝ・`) 作り置きがございます。どうぞ
( ФωФ) デミタス。部屋の掃除が…
(´・_ゝ・`) 朝の内に済ませておきました
( ФωФ) いや~やっぱりデミタスがいると仕事が捗るな~
もしもいなくなったら大変だろうな~(チラ チラ
(´・_ゝ・`) すみません、辞表は受け取って頂けましたよね?
規約通りあと二週間ほどは働きますが、意志を変えるつもりはございません
( ;ФωФ) 何故だ!ワシの口が臭いからか!最近まくらからオヤジの臭いがするからか!?
(´・_ゝ・`) 申し訳ございません
( ;ФωФ) 何故だ…
(´・_ゝ・`) 本当に……申し訳ございません
最終話その五「各」
( ゚∋゚)
/ ,' 3 おお、クックルさん、どうされましたかの
( ゚∋゚)
( `ー´) 喋ってくんねーとわかんねーっすよ
/ ,' 3 これ、滅多な事を言うもんじゃない。喋らないのが格好いいんじゃないか
( `ー´) 今時モテねーっすよ?
∧∧
川 - )スー…
( ゚∋゚)
( `ー´) ん?あー、その子は魔王軍じゃなくて、民間人っす
/ ,' 3 のーちゃんたちが敵に襲われたとき、近くにいたらしいですじゃ
そのとき魔力の余波を受けてしまったようで
街の病院より設備がいいもんで、この医務室に運び込まれたんです
( ゚∋゚)
( `ー´) あ、もう行くんすか?何か用事があって来たんじゃ…
/ ,' 3 クックル殿?
( `ー´) あー行っちゃった。何しに来たんだろう
/ ,' 3 ふむ、しかし追いかけるのは辞めた方がいいじゃろうな
( `ー´) 何で?
/ ,' 3 感じなかったか?あの背筋が凍るような殺気を―――
―――2番隊本部
(゚A゚* ) (貞ちゃん、大丈夫やろか)
(´・ω・`) こんなところで、一人で何してる?
(゚A゚* ) ショボーン…
(´・ω・`) 敵に襲われたとはいえ、軽傷だったんだろ
落ち込んでいる暇は無いんだぞ
(゚A゚* ) せやけど、ウチが頑張った所で、しゃあないやん
敵はこっちの戦力も戦い方も知ってんねやで
この前はオサム様に助けてもらったけど、下手したら死んでた…
(´・ω・`) 死ぬのが怖いか?
(゚A゚* ) お前は怖ないん?
(´・ω・`) 怖いよ
(゚A゚* ) やったら…
(´・ω・`) 恐怖は怯えるものではない。克服するものだ
(゚A゚* ) お、おおー、格好ええやん
(´・ω・`) それに、この戦いで戦果を上げれば四天王に昇進できる可能性もある
(゚A゚* ) ああ~、お前らしいな…
(´・ω・`) 僕は僕のできることをする。君も自分に何ができるか、考えることだな
(゚A゚* ) ああ…わかったで
(´・ω・`) それだけだ。じゃあな
(゚A゚* ) ショボーン
(´・ω・`) 何だよ
(゚A゚* ) ちょっと好きになったで
(´・ω・`) 勘弁してくれ
―――零番隊本部
川д川 師匠、もしも結界を破る敵がいたら、どうすればよいのですか…?
lw´‐ _‐ノv ゴーグルをかけるといい
川д川 それはタマネギを刻むときの注意事項です……
lw´‐ _‐ノv 結界が破られたのか?うわ、ダッセー(笑)
川д川 言い返す気力もございません………
lw´‐ _‐ノv 結界なんて絶対じゃないし、破られるときもあるよ!
だからあつ子も元気出して!吉村先輩はあつ子のこと待ってるよ!
川д川 あつ子じゃないし吉村先輩なんか知りません
lw´‐ _‐ノv そもそも結界が防御するだけの魔法だと思ってんの?
川д川 え……違うのですか……?
lw´‐ _‐ノv カーッ!お前は私の修行に付いてこられた
ただ一人の弟子なのに、そんなことも知らなかったのか!
川д川 師匠の弟子は今も昔も私一人だけでしょう……
lw´‐ _‐ノv 結界はな、本来「大事なものを護るため」にあるんだ
防御するだけで大事なものを護れるとでも思ってる訳?
超ベリーバントだよ一塁手に拾われるような
川д川 そうか……確かにそうだ………!
川ヮ川 師匠、ありがとうございます………!
私、もう一度戦場に行きます……!
lw´‐ _‐ノv あ、おい
lw´‐ _‐ノv (どうしよう。適当に言ってただけなのに…)
―――セクタ110
森林地帯のセクタ110では、生い茂った草と太い樹木の影で非常に視界が悪かった。
昼間なのに薄暗いのは、木々の葉が空を覆い隠しているからだ。
_、_
( ,_ノ` )y━・~ そっちが出てこないなら、こちらから行くぜ
渋澤は妖刀「撫子」を抜刀し、殺気を感じる方へと構えた。
>< ‘ ‘ <●>
渋澤が交戦を始めた頃、「月下の暁」の本部に慌てて駆け込んできた者がいた。
<_;プー゚)フ おい、大変だ!本部に侵入者がいるらしいぞ!
その場にいた数兵の愚連隊は、男と顔見知りであった。
<_プー゚)フ 魔王軍の偵察隊が何人か潜入しているらしい!
急いで全ての出口を固めろ!
男が命令を出すと、統率の取れた動きで暁の者たちは動き出した。
<_プー゚)フ お前たちは兵士を集めてそれぞれの出口へ急げ!
母者には俺から連絡しておく!
そう言って男は奥へ進んでいった。
男は迷路のように入り組んだ暁の本部を、高い魔力を目指して進んでいった。
魔力を目印にして進めば、いずれ母者へと突き当たるからだ。
交差した十字路を右に、突き当たりのハシゴを上に、通路を曲がった先に進み、
トラップの仕掛けていない道を選び、さらに奥へ、奥へと進んでいく。
やがて広い部屋に出た。
「月下の暁」を象徴するマークが描かれたカーテンが、部屋の一面に下がっている。
マークの真下に、禍々しい玉座が鎮座しており、青白い光の柱が玉座を照らしていた。
その拙い光の中に、女は憮然とした表情で座っていた。
ζ(゚-゚*ζ どうしたの
<_プー゚)フ どうやら本部に侵入者が入ったようだ
l从・∀・;!リ人 マジで!?
玉座の隣には、二人の女が立っていた。
∬´_ゝ`) あら、それは大変ね
<_プー゚)フ 俺だけでは不安だ。二人も捜索に当たってくれないか?
l从・∀・ノ!リ人 本部に攻撃を仕掛けてくるとはいい度胸なのじゃ!
妹者、いっきまーす!
幼く見える女の方は、我先にと部屋から飛び出していった。
しかし、残った二人は微動だにせず、焦っている様子も微塵も無い。
∬´_ゝ`) 侵入者は誰かわかる?
<_プー゚)フ いや、顔はよく見えなかった
∬´_ゝ`) そう。昼間なのに、変ねえ
ζ(゚ー゚*ζ エクスト、くつろいでいいよ。お茶でも入れようか?
<_プー゚)フ お茶を飲んでいる場合では…
∬´_ゝ`) こういうときこそ落ち着いて行動するべきよ
ζ(゚ー゚*ζ 姉者の言う通りだ
二人は男を見ながらにやにやと笑っていた。
<_プ-゚)フ 何故、わかったのですか
∬´_ゝ`) わかったって、何が?
質問の意図がわからないはずは無いのに、姉者は笑みを崩さずに聞き返した。
ζ(゚ー゚*ζ 姉者、侵入者がいるそうだから、ちょっと様子を見に行って来てくれないかい?
∬´_ゝ`) え?
しかしここで、不意に母者から指示が入り、姉者の表情から笑みが消える。
どうして、と訊きたそうに母者を見つめた。
ζ(゚ー゚*ζ いいから
∬´_ゝ`) …ええ、そうしますわ
男の方を一瞥してから、静かに姉者は退室していった。
ζ(゚ー゚*ζ さて…
<_プー゚)フ もう一度訊いてもいいでしょうか。何故、私が偽物だと?
ζ(゚ー゚*ζ 簡単よ。エクストはもっと下品で低脳だから
<_プー゚)フ なるほど。便利な能力だと思っているのですが、もしかすると
あまり使えない代物なのかもしれませんね。正体を見破られたのは、これで二度目だ
ζ(゚ー゚*ζ 久しぶりね
;;;;;;;;;;;;;ー゚)フ そうですね
【+ 】ゞ゚;;; こんな形で再会するとは、思っていませんでしたがね
ζ(゚ー゚*ζ お茶飲む?美味いお茶っ葉が手に入ってさ
あたしだけで楽しむのもなんだし、あんたにもご馳走するよ
【+ 】ゞ゚) いえ、トマトジュースと血液以外の飲み物は苦手なので
ζ(゚ー゚*ζ ああそう。残念だ
【+ 】ゞ゚) 何だか、雰囲気が変わりましたね
ζ(゚ー゚*ζ そう?まーでも、男子三日会わざれば何とやらとも言うし
女もそれなりに成長するもんさ
【+ 】ゞ゚) 別にそこまで若くないでしょう
ζ(゚ー゚*ζ あんたは変わってないな
【+ 】ゞ゚) 何せ普通の魔族と寿命が違いますからね
ζ(゚ー゚*ζ あまりにも人生が長すぎて退屈だったのかい?
わざわざ死にに来るような真似してさ
【+ 】ゞ゚) あなたは本当に、変わってしまったようだ
ζ(゚ー゚*ζ で?
【+ 】ゞ゚) 良かったです。これで心おきなく、あなたを殺せる
しかしその前に訊いておきたい
何故こんな馬鹿げた真似をしたのですか?
ζ(゚ー゚*ζ 酷い言いぐさだよ「ハイルランドの悪魔」。でもまあ、仕方ないか
【+ 】ゞ゚) 何がですか
ζ(゚ー゚*ζ あんたに理解できる次元にあたしはいないんだ
【+ 】ゞ゚) 理解したくもありません
二人はしばらくの間、瞬きもせずに見つめ合った。
重苦しい沈黙とは性質が異なる、心の昂ぶりが空気を震わせているような空間だった。
互いの目には、様々な感情の光が宿っては消えを繰り返していた。
言葉よりも多くのものを伝える「会話」であった。
十数分後、母者が瞬きをし、まぶたがもう一度開くよりも先に、オサムが攻撃を仕掛けた。
to be continued…
シュールが適当すぎて貞子がヤバい
まじかぁ…なんかショックだ…
既出かも知れんがちなみに作者様は他になんか書いてた?
>>745
ttp://sogomatome.blog104.fc2.com/blog-entry-400.html
個人的最高傑作はアルマゲドン
続きはすごい気になるけど終わると思うと寂しい
外国行くっていうと某作者と被るなw
_、_
( ,_ノ` )y━・~ まだやるかい?
(メ<○><○>) まさか、ここまでとは…
((#);ω; *) 完敗だっぽ
(メ;><) ていうかていうかおかしくない!?
どうして僕たちは戦闘シーンが省かれてるんですか!
僕の超秘奥義が避けられたあの名場面はお蔵入りですか!
(メ<●><●>) そりゃ当たってないからです
_、_
( ,_ノ` )y━・~ さて、そろそろ出てこいよ。見てるだけじゃつまらないだろ?
「ほう、戦いながら俺の気配を感じ取るとはな」
( <●><●>) あんたは…
N| "゚'` {"゚`lリ 君と戦ってはいけないと言われているが、もう我慢出来ないよ
俺は好きなものを最初に食べるタイプなんだ
最終話その六「最強」
o川*゚ー゚)o (みぃーつけた)
魔王城を監視していたキュートは、一人の男が城から出てくるのを確認した。
標的の一人ではあるが、いかんせん強敵なので、戦いをけしかけていいものかどうか迷う。
( ゚∋゚)
o川*゚-゚)o (え?)
双眼鏡から一度顔を離し、もう一度覗いた。
( ゚∋゚)
o川*゚-゚)o (気のせい、か?)
一瞬だけ彼と目が合ったような気がしたが、キュートは魔王城から2キロほど離れた場所にいる。
常識的に考えて、肉眼で視認できるような距離ではなかった。
o川*゚ー゚)o (どうするかね。とりあえず尾行して、妹者ちゃん辺りに連絡取るかな)
クックルを見失わないように注意しながらキュートは移動を始めた。
徐々に彼との距離を詰めていく。
o川*゚ー゚)o (この距離が限界かな)
今、彼との距離はおよそ600メートルである。
荒野には身を隠す岩や草木が多く、隠れながら尾行するにはうってつけだった。
( ゚∋゚)
o川*゚ー゚)o (こちらに気がついている様子は無いな)
双眼鏡から顔を離し、通信機のスイッチを入れた。
周波数を調節し妹者に連絡を試みる。
この間、およそ6秒であった。
もしも彼女が神がかった反射神経と、鋭い第六感を持っていなかったら、
攻撃を避けることは出来なかっただろう。
全身が鳥肌に襲われ、お腹の奥と心臓の辺りが冷たくなる感覚を覚え、
そして襟足辺りに熱を感じた。
同時に彼女は体中の瞬発力を使って横に跳んだ。
o川;゚-゚)o (うそ、ばっ、なっ!?)
跳んでいる最中の不安定な姿勢のまま、まず爆発が見え、次に爆音が聞こえ、それからクックルを認識した。
ついさっきまで600メートルは離れていた彼が、すぐそこまで来ていた。
( ∋ )
o川;゚-゚)o (どうして…)
彼がここにいるのか、というのは考える必要は無かった。
最初から彼は彼女の存在に気がついており、かつ数秒の間に数百メートルの距離を縮める
能力を持っていた、というそのままの事実があるだけだ。
( ゚∋゚)
地面に半円状のクレーターができ、その中心にクックルがいた。
突き立てた拳を地面から引き抜くと、泥の塊がぼろぼろと手から落ちた。
o川;゚ー゚)o (データによると、あいつは魔法が使えないはず。
ってことは今のはただのパンチ?嘘、そんなの、考えられない)
( ゚∋゚)
o川;゚ー゚)o (魔法が使えないのなら、当然テレポートや時空間移動も使えない。
じゃあ600メートルの距離を走ってきたっていうの?
しかも私が注意をそらしたことを見抜いてから?)
o川;゚ー゚)o あんたってさ、化け物だね。えへへ。いい意味でさ…
このままでは救援は呼べない。
o川*゚ー゚)o でも、いいや。相手してあげるよ
( ゚∋゚)
o川*゚ー゚)o いくらあんたが強かろうと、私の能力を破る術が無い以上、私は無敵なのよ
だって…っ!
目の前からクックルが消え、再び鳥肌と悪寒に襲われた。
o川;゚ー゚)o うわ!
クックルの圧力を前方から感じ、両足を使って斜め後方に跳躍した。
( ゚∋゚)
先ほどまでキュートの立っていた空間の辺りでクックルの拳が宙を裂く。
キュートが本当の恐怖を感じたのは、攻撃された瞬間ではなく、彼の拳が鳴らした
風切り音を聞いてからだった。
ガラクタのスピーカーが大音量でノイズを発したような、不気味で凶暴な風切り音だった。
当たればかするだけで体が砕け散るだろうと彼女は想像した。
o川;゚ー;;;;;;;;; (くっちゃべってる場合じゃない!本気で行く!)
キュートの体が霧状になっていくのを、体勢を整えながらクックルは傍観していた。
( ゚∋゚)
o川*゚;;;;;....;;....... (今度はあんたが恐怖を感じる番だ)
o;;..;゚;;;;..;;...........;;;;;;;;..... (ヴァンパイアが何故恐れられる民族か教えてあげる!)
黒い霧となった彼女は辺りに拡散し、その身を空中で溶かしていった。
「逃げるなら今の内よ。追う気はないからさ」
( ゚∋゚)
「そう。じゃあいいわ。遊んであげる」
( ゚∋゚)
(゚∈゚ )
(゚∈゚ )
( ゚Θ゚ )
( ゚∋゚)
静かな空間だった。
気配が全く無いので、まるでたった一人で荒野に佇んでいるような気さえする。
しかし右脇腹に突然の異物感を感じ、手でそっと触れた。
( ゚∋゚)
手に付いていたのは、間違いなく自分の血であった。
見てみると、鋭利な刃物で切られたような傷が一直線に見える。
続いて右頬に熱を伴った衝撃がやってきた。
バランスを崩したクックルは受け身を取れずにその場に転んだ。
( メ゚∋゚)
彼はすぐさま起き上がり、周りの空間を手当たり次第殴りつけた。
しかし宙を舞うだけの拳が何かに当たることは無かった。
ヴァンパイア(吸血鬼)は高い魔力と常識外れの身体能力を持ち、さらに
特有の能力をいくつか持っている。
例えば変身能力はその内の一つだ。
鼻の真ん中を蹴られたような感触がした。
すぐさま反撃したが、やはり拳は空しく空回るだけだった。
( メ゚∋゚)
変身能力は戦闘には使えないが、そのほかに体を霧状(粒子状)にする能力がある。
この状態になれば攻撃を受ける可能性は限りなくゼロとなる。
また同状態で魔法を使えば(高等魔法は使えないが)安全に相手を攻撃することができ、
物理攻撃も相手に触れる瞬間だけ具現化すれば、これもリスクの無い攻撃となる。
くわえてこの状態は相手の結界をすり抜けることもできる。
ほとんど無敵の能力だが、辺り一帯を攻撃できる相手(从 ゚∀从 ( ФωФ) ζ(゚ー゚*ζ)
には使えず、魔力の消費も安くない。
しかし物理攻撃しか持たないクックルでは、かなりの難敵といえる。
(メ゚∋゚)
拳がまた宙を切る。
相手に攻撃が当たることはないが、少しずつ、だが確実にクックルの体には
ダメージが蓄積していった。
..;;;;;*.;;ー゚.;;.....;;;;;;;; (やっぱデータ通りだ。こいつは魔法を使えない。ラッキー!勝ちじゃん!)
(メ゚∋゚)
キュートの攻撃が体を傷つけ、クックルの拳が空を切る。
繰り返し、繰り返し。
第三者が見るとクックルが一人で不格好なダンスを
踊っているように見えるかもしれない、滑稽な動きだった。
(#メ゚∋゚)
皮膚が破れ、骨にヒビが入る。
それでも彼の拳は当たらない。
片目が塞がり、視界の半分が無くなった。
骨が潰れ、体の形が少しずつ変わってきている。
輪郭が変わり、腕が妙な方向に曲がり、片足が曲がらなくなり、開いた傷口から骨が飛び出した。
それでも彼は拳を振るった。
(メメ%∋メ)
拳を振るしかないのだ。
彼は魔法を知らなければ、防御さえ知らない。回避もできない。
ただひたすらに拳を突き出す。これが彼の戦い方であった。
(メメ%∋メ)
裂傷、打撲、火傷、骨折、傷だらけになった体で、なおも彼は拳を振り続けた。
愚直に拳を振り続けるその姿は、彼の人生を表しているようだった。
魔力の素質が無く、特殊能力も無い彼にとって、体を鍛えるしか強くなれる方法は無かった。
死ぬギリギリの負荷を肉体に与え、その日をかろうじて生還するトレーニングを行った。
いつしか、発達しすぎたヒッティングマッスルによって、声帯が震えなくなった。
それでも彼は愚直にトレーニングを続け、肉体一つで最強を目指した。
(メメ%∋メ)
頑張れクックルさん…!!
相手が攻撃してくるなら、その攻撃を喰らい殴る。
相手が魔法を使うなら、その魔法を受け止めて殴る。
相手が攻撃を躱すなら、攻撃が通るまで殴る。
逃げることも、防御することも、躱すこともせずに、
思考することを全て放棄することによって培ったこの戦法は、
最高の肉体を持っている彼にしか出来ない、ただ一つにして究極の必殺技だった。
(……?)
二人が数百発分の接触を繰り返した頃、キュートはほんの少しの違和感を覚え始めていた。
(#メ%#;#;メ)
既に体力も尽き、いつ意識を失ってもおかしくないはずにも関わらず、
クックルの繰り出すパンチの威力が全く落ちていないのである。
間もなく、彼女はもう一つの違和感に気づく。
こちらが攻撃する瞬間、気配を感じていないはずのクックルの体が、
何かに反応しているのだ。
(こちらの攻撃を読んでいる?そんなはずはないわ。慎重に、最高のタイミングを選んで
一番意識の薄い箇所を攻撃しているもの。きっと、気のせいよ。気のせいに決まってる)
このとき、死を感じ始めたクックルの体では、濁流のように血液が周り、
とろけそうなほどの脳内麻薬が五感をさらに鋭利に研ぎ澄ませていた。
クックルの肉体が死を間近にして「進化」を始めたのだ。
(#メ%#;#;メ)
クックルは拳を空高く掲げ、そのままの姿勢で固まった。
キュートは少し警戒して距離を離したが、彼がずっと動かないのを見て
一気に間合いを詰めていった。
(#メ%#;#;メ)
彼との距離はおよそ数歩。
魔力の消費を抑えるために、魔法ではなく磨いだ爪先による攻撃の態勢を取った。
クックルはまだ動かない。
キュートはトドメを刺すつもりで、彼の心臓部分を狙った。
爪先は確かにクックルの皮膚に触れたはずだった。
ところがこのとき、キュートの攻撃が始まるよりも先にクックルが攻撃していた。
気配を感じ取った訳でも、攻撃を先読みした訳でもなく、未来の攻撃に対して
体が脊髄反射を起こしたような、不可解な反撃であった。
o川;゚ー゚)o ぐっ!
クックルの拳がキュートの肩先をかする。
直接当たった訳ではないが、鈍い痛みと反動を受けて、キュートが後ろ向きに吹き飛んだ。
o川;゚ー゚)o い、痛い!痛い痛い痛い痛い!
実は彼女は、戦いにおいて自分の血を見たのは初めてだった。
痛みと恐怖で頭がパニックを起こす。
(#メ%#;#;メ)
o川;゚ー゚)o ひっ
両目とも塞がっているので目が合うことは無いが、クックルはキュートの方を向いていた。
足を引きずりながら、ゆっくりとクックルが近づいてくる。
o川;゚ー゚)o ちょ、くっ
(#メ%#;#;メ)
o川;゚ー゚)o 痛っ、くそ、何よー!もう!
(#メ%#;#;メ)
o川;゚ー゚)o こ、こっち、来ないで!
(#メ%#;#;メ)
o川;゚Д゚)o 待って!ストップ!ちょっとタンマ!
(#メ%#;#;メ)
o川;゚Д゚)o きゅ、休憩しよ!ちょっと疲れたでしょ!?
わ、私ジュース買ってくるよ!
(#メ%#;#;メ)
クックルが拳を振りかぶった。
o川;゚Д゚)o わあああああ!いやあああああああああああ!!!!
降参!降参するから!負けましたー!私の負けでーす!!!
よく見てみると、クックルの耳から血がごぽごぽと垂れ落ちていた。
クックルの耳は早い段階で潰れていた。もはや彼女の声など届いていないのだ。
o川;゚Д゚)o いいいいいいいいいやああああああああああああ!!!!!
(#メ%#;#;メ)
o川;゚Д゚)o
拳を振り上げた姿勢のまま、ぐらりと揺れたと思ったら、
彼女の眼前で糸が切れた人形のように崩れていった。
o川;゚ー゚)o あ…え…?
(#メ%#;#;メ)
限界はとっくに超えていた。
最後の攻撃が当たったとき、既にクックルに意識は無かった。
o川;゚ー゚)o もしかして
(#メ%#;#;メ)
o川;´ー`)o 助かった、か。はー。降参しなきゃよかった
クックルの首筋に手を当て、脈があるのを確認する。
o川*゚ー゚)o 流石、しぶといじゃん。足しになるかわかんないけど
回復の魔法で彼の傷を和らげる。
一度負けを宣言した以上、彼に危害を加える気は毛頭無かった。
そもそも、気を失った相手に追撃を与えるのは美しくない、そう考えている。
不規則な呼吸だったのが、安らかなものへと変わったのを見てから、
その巨体を片手で持ち上げた。
(#;#-∋メ)
o川*゚ー゚)o お土産が焼き鳥ってのは、あんまし可愛くないわねー
暁の本部に向かって、キュートは歩き出す。
to be continued…
「桂正和×TIGER&BUNNY 原画&ラフ画集成」
To LOVEる―とらぶる― ダークネス 3
純潔のマリア(2)
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