('A`)ドクオは異世界に召喚されたようです TALE.3 - TALE.4
カテゴリ: ブーン系
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('A`)ドクオは異世界に召喚されたようです
('A`)ドクオは異世界に召喚されたようです TALE.2
13 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/19(日) 01:28:36.41 ID:WaTTj1Eo
朝―王立士官学校・教室―
川 ゚ -゚)「…むぅ」キラ…
手の平に、淡く輝くペンダントを乗せて唸る。
川 ゚ -゚)「昨日までと少し様子が違う…か?」キラ…
ξ゚⊿゚)ξ「さっきから何をしてるのよ?」
川 ゚ -゚)「ツン、もしかしたらドクオの身に何かあったのかもしれないんだ」
(゚、゚トソン ピク
ドクオと言う言葉にトソンが反応する。
川 ゚ -゚)「その証拠にまだドクオが来ていない」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンもね。寝坊かも知れないじゃない。何であいつの身に何かあったって分かるのよ?」
川 ゚ -゚)「それはな」
('A`)ドクオは異世界に召喚されたようです
('A`)ドクオは異世界に召喚されたようです TALE.2
朝―王立士官学校・教室―
川 ゚ -゚)「…むぅ」キラ…
手の平に、淡く輝くペンダントを乗せて唸る。
川 ゚ -゚)「昨日までと少し様子が違う…か?」キラ…
ξ゚⊿゚)ξ「さっきから何をしてるのよ?」
川 ゚ -゚)「ツン、もしかしたらドクオの身に何かあったのかもしれないんだ」
(゚、゚トソン ピク
ドクオと言う言葉にトソンが反応する。
川 ゚ -゚)「その証拠にまだドクオが来ていない」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンもね。寝坊かも知れないじゃない。何であいつの身に何かあったって分かるのよ?」
川 ゚ -゚)「それはな」
ガチャッ
( ´∀`)「みんな、おはようモナー」
突如教室に入ってきたモナーに、クーの発言は遮られる。
川 ゚ -゚)「おっと、もう授業か」
ξ゚⊿゚)ξ「…空気読みなさいよ、先生」
( ;´∀`)「モナ…?」
(゚、゚トソン「…本当ね」
( ;´∀`)「モ、モナ…」
( ´_ゝ`)「理不尽だな」
( ´∀`)「気を取り直して…コホン。みんな、今日も元気に出席してるモナか?
…って、ドクオ君はどうしたモナ?それにブーン君も」
バァン!
( ;^ω^)「遅れてすみませんでしたお!」
( ´∀`)「おはようモナ。あれ?ドクオ君は一緒じゃないモナ?」
( ^ω^)「一人ですお。遅れてしまったのも、ちょっとドクオのことで…」
川 ゚ -゚) ピク (゚、゚トソン
( ´∀`)「ドクオ君のことで?何があったモナ?」
( ^ω^)「実は…ドクオが風邪を引いてしまったんですお」
( ´∀`)「風邪モナ…」
川 ゚ -゚)「ブーン、詳しく頼む」
( ´∀`)「…」
( ^ω^)「把握だお。普段ならブーンのことを部屋の前で待ってるんだけど」
(゚、゚トソン「(ふむふむ)」
( ^ω^)「今日はいつもの時間になって廊下に出ても、部屋の前にはいなかったんだお」
川 ゚ -゚)「ほう。続きは?」
( ^ω^)「で、部屋の中に入ってみると、ドクオが熱を出して寝ていたんだお」
( ´∀`)「モナ…それで、ブーン君は何で遅刻したモナ?看病でもしてたモナ?」
( ;^ω^)「お…」
( ´∀`)「…」
( ;^ω^)「…実は、寝坊した言い訳にならないかなー…なんて思っちゃったりしたりしてーだお…」
( ´∀`)「…後で職員室モナ。兵士は時間に厳しいモナ」
( ;^ω^)「はいですお…」
( ´∀`)「…それにしても困ったモナ。今日は確か医療室の先生は出払ってしまってるモナ」
( ^ω^)「じゃあ…」
( ´∀`)「ドクオ君の面倒を見られる人がいないモナ。そうしたらここは、クラスの誰かに看てもらうことにするモナ」
(゚、゚トソン ピク
(゚、゚;トソン「(な、名乗り出ようかな…)」ドキドキ…
川 ゚ -゚)「では私が」スッ
(゚、゚トソン「(あ…)」
( ´∀`)「クーさんモナか…だけど男子寮モナ。大丈夫モナ?」
川 ゚ -゚)「私は別段困ることなどない」
( ´∀`)「モナ。ドクオ君も女の子に看病してもらった方がきっと嬉しいモナね…。
じゃあ、クーさんに任せるモナ。だけど一人で大丈夫モナ?」
(゚、゚*トソン「あ、あの」
川 ゚ -゚)「ああ、大丈夫だと思う」
(゚、゚トソン「…」
川 ゚ -゚)「…ぁ」
そこでトソンに気が付く。
( ´∀`)「それじゃよろしく頼むモナ。今日は欠席扱いにはしないから安心するモナ」
川 ゚ -゚)「やはり一人付いてきてもらってもいいか?看病する者がもう一人いれば楽になるのだが」
( ´∀`)「…そうモナね。じゃあ他にいるモナ?」
(゚、゚;トソン「(こ、今度こそ…!)」ドキドキ…
( ^ω^)「じゃあブーンが行くお!」バッ
勢いよく挙手するブーン。
(゚、゚;トソン「(はう…)
( ´∀`)「ここで名乗り出ても遅刻はなくならないモナよ?」
( ^ω^)「それでも構わない―」
ドガァ!
ブーンの後頭部に何かが激突し、
( ^ω^)「お…」
ドサリ
ブーンは机に倒れ込んだ。
ξ゚⊿゚)ξ「空気読みなさいっての…」コソ
土精霊「…石なんかぶつけてよかったのかの…?」コソ
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、問題ないわ。ありがとう。これで邪魔者はいなくなったわ」コソ
土精霊「それじゃ、またの…」コソ
ξ゚⊿゚)ξ+「(そして…またとないチャンス!)」
( ´∀`)「ブーン君?どうしたモナ?」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン君どうしたの!?」タタタッ
ツンがわざとらしく駆け寄る。
ξ゚⊿゚)ξ「何々…後頭部に激痛が?それは大変だわ!先生!」
( ;´∀`)「モナ…」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン君が後頭部に激痛が走っていると呻いているので医療室まで連れて行って看病してきたいのですが!」
( ;´∀`)「そ、それは大変モナね」
ξ゚⊿゚)ξ「はい!」
( ;´∀`)「…」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
( ;´∀`)「…」
ξ゚⊿゚)ξ「…」ギラギラ…
( ;´∀`)「…看病を許可するモナ」
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとうございます!さ、行くわよブーン君!」グイ!ドサッ!
そう言うと、ブーンを椅子の上から引きずりおろした。
ξ゚⊿゚)ξ「あ、でも…」
( ´∀`)「どうしたモナ?」
ξ゚⊿゚)ξ「これだとドクオを看病する人が一人減っちゃうわね。困ったわねー。誰かいないかしらー」
(゚、゚トソン「!」
ξ゚⊿゚)ξ「ま、いいかー。私には関係ないし、もう行くわ…せいぜい頑張りなさい」ズリズリ…
ツンはブーンを引きずりつつ、誰に声をかけるでもなくドアに向かって行く。
(゚、゚トソン「…」コクリ
ガチャ…バタン
(゚、゚トソン「(ありがとう。頑張る)」
「いいいいやっほおおおおおおおおおお!これでブーンと二人きりいいいいいいいいいいい!
いざ医療室へ!ウフフフフ、どう看病してやろうかしら…ハアハアハアハアハアハアハアハア…」
( ´∀`)「…もうちょっと離れたところで言うとかあると思うモナ」
(゚、゚;トソン「…」
( ´∀`)「ま、仕方ないモナ。他に誰かいるモナ?」
(゚、゚トソン「は、はい!あたしが行きます」スッ
( ´∀`)「モナ…他には誰もいなさそうだし、ツムラさんに頼むモナ」
川 ゚ -゚)「よろしく頼むぞ、トソン」
(゚、゚トソン「はい!」
ガチャ…バタン
ζ(゚ー゚*ζ「…青春ですねぇ。私もジョルジュ様を看病したいなぁ」
( ´_ゝ`)「リアジュウユルスマジリアジュウユルスマジ…」
(´<_` )「なんだろうこの扱いの差は…」
―寮・ドクオの部屋―
('A`;)「ゲホッゴホッ…。うぅ…」
('A`;)「(久しぶりに風邪を引いたけど…辛すぎる)」
しかも一人だとこんなに寂しいんだな…。
('A`;)「(…誰か看病しに来てくれたりとか…ねーよなぁ)」
('A`;)「(…とにかく寝よう。気が滅入る)」
('A`;)「はあ…ゴホ…」
ガチャ…
川 ゚ -゚)「邪魔するぞ」
(゚、゚*トソン「お邪魔します…」
('A`;)「ゴホ…Zzz」
川 ゚ -゚)「…寝ているな」
(゚、゚*トソン「…」
川 ゚ -゚)「さて、起こさないように看病でもするか」
(゚、゚トソン「あ、はい」
川 ゚ -゚)「アイス」パキパキ…
クーは水桶に氷を浮かべると、やや厚みのある布を水に浸し、絞る。
そして、そっとドクオの額に布をおいた。
川 ゚ -゚)「これでよし」
(゚、゚トソン「…あの」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
(゚、゚トソン「これだけ、ですか?」
川 ゚ -゚)「看病のことか?定期的に濡れた布の交換はするぞ?ぬるくなってしまうからな」
(゚、゚トソン「あ、そうなんですか」
川 ゚ -゚)「ああ、そうだ」
川 ゚ -゚)「…さてはトソン、看病するのは初めてだな?」
Σ(゚、゚;トソン「な、なぜそれを…!」
川 ゚ -゚)「濡れた布の交換なんてものは常識中の常識だからな」
(゚、゚;トソン「そ、そうだったのですか…」
川 ゚ -゚)「何、落ち込むのはまだ早い。私が看病のなんたるかを手ほどきしてやろう」
(゚、゚トソン「…はい!よろしくお願いします」
川 ゚ -゚)「そろそろ…だな」
(゚、゚トソン「…はい」
川 ゚ -゚)「いいな?そーっとだ。決して病人を起こしてはならない」
□⊂(゚、゚;トソン「は、はい…」ソー…
('A`;)
('A`;) □⊂(゚、゚;トソン「…ふぅ」
川 ゚ -゚)「よし、病人を起こすことなく、ぬるくなった布は確保できたな?」
(゚、゚;トソン「は、はい」
川 ゚ -゚)「では、その氷が浮いている水に布を浸すんだ」
(゚、゚;トソン「はい…。…冷たっ」
川 ゚ -゚)「冷たいのは仕方がないのだ。そして病人はそれ以上にもっと苦しんでいる。
病人を救うため、こんなところで冷水などに屈するわけにはいかないのだ!」
(゚、゚トソン「!」
川 ゚ -゚)「トソン!キミはどんな覚悟でここに来た!」
(゚、゚トソン「あたしは…あたしは…!ドクオを風邪から救い出すためにここに来ました!」
川 ゚ -゚)「よく言った!さあ、恐れず布を冷水に浸し、絞って程よい湿り気を帯びさせるのだ!」
(゚、゚トソン「はい!…はああああああああああああ!」
ヒタ…
(゚、゚;トソン「くっ…!」
川 ゚ -゚)「負けるな!」
(゚、゚;トソン「…やあああああ!」
ギュッ…ピチャピチャ…
川 ゚ -゚)「さあ、ラストスパートだ!」
□⊂(゚、゚;トソン「てええええええい!」ソー…
('A`;)「(…一体なんなの何で叫んでるのコレ)」
(゚、゚;トソン「はあ…はあ…やりました!」
川 ゚ -゚)「よし、よくやった!」
('A`;)「(…これはもしかしなくとも…看病なのか?)」
川 ゚ -゚)「後はコレをひたすら繰り返す」
(゚、゚;トソン「!?…これを後何回も?」
川 ゚ -゚)「そうだ、濡れた布の交換は神経をすり減らす消耗戦なんだ」
('A`;)「(そんなに神経使うもんじゃないだろ…それにしても起きづらい雰囲気だ…)」
(゚、゚トソン「あたしの覚悟はまだまだだったわけですね…」
川 ゚ -゚)「落ち込んでいる暇はないぞ、トソン。次の作業に移る」
('A`;)「(次の作業…?)」
川 ゚ -゚)「熱を出している人間は汗をよくかく。これはトソンも経験したことはあるだろう?」
(゚、゚トソン「はい。汗で服がベタベタに…」
川 ゚ -゚)「そうだ。そこで今回の作業だ」
('A`;)「(…もしかして)」
川 ゚ -゚)「服と下着の交k―」
('A`;)「へーっくしょい!!とくらぁ!あれ?クーにツムラじゃん!こんなところで何を!?」
(゚、゚*トソン「あ、ドクオ…」
川 ゚ -゚)「おおドクオ、目を覚ましたか。体の具合はどうだ?」
('A`;)「いや、まだよくはないけども!」
川 ゚ -゚)「なら、大人しくまだ寝ているんだ」
('A`;)「あ、いやいや、ちょっと起き上がりたい気分かなーなんて…」
川 ゚ -゚)「病人は安静にしてろ。そして服を脱ぐんだ」ガッ
('A`;)「え、ちょっと!何で服掴むんだよ!ズボンから手を離せ!」グイィィ…
川 ゚ -゚)「汗をたくさんかいているはずだからな。そろそろ交換した方がいいだろう?」グイグイ
(゚、゚*トソン「…」ジィィィィ…
('A`;)「服くらい一人で脱げるから引っ張るな!つーかなんでトソンはそんなジロジロ見てるんだよ!」
(゚、゚*トソン「あ、これはその…」
川 ゚ -゚)「むぅ、それもそうか。じゃあ早く脱ぐんだ」
('A`;)「全く…ゴホ…」
('A`;)「…なあ」
川 ゚ -゚)「ん?」
(゚、゚トソン「ん?」
('A`;)「…着替えたいんだけど」
川 ゚ -゚)「着替えれば良いじゃないか?」
(゚、゚*トソン「…」
('A`;)「いや着替えられないから…部屋、とりあえず出てってくれない?」
川 ゚ -゚)「全く…何を恥ずかしがっているのやら」
('A`;)「ゴホ…」
川 ゚ -゚)「さて、次だが」
(゚、゚トソン「はい!」
川 ゚ -゚)「食事だ」
(゚、゚トソン「食事、ですか」
川 ゚ -゚)「そうだ。食べないことには体力は落ち続ける一方だ。
治るモノも治らない。そこで、栄養のある食事を今回は作る」
(゚、゚トソン「なるほど…」
川 ゚ -゚)「そこで、寮の厨房を借りて料理をしようと思うのだが。
ドクオ、お腹は減っているか?」
('A`;)「まあ、朝ご飯抜いてるしな…。多少は…」
川 ゚ -゚)「と言うことだ。トソン、キミの自慢の料理をドクオに食べさせてやって欲しい」
(゚、゚トソン「!!…わかりました!」
川 ゚ -゚)「…愛情たっぷりの、な」コソ
(゚、゚*トソン「ぅ…では行ってきます!」
川 ゚ -゚)「さあ、ドクオは料理ができるまでもう少し横になるんだ」
('A`;)「ああ…」
川 ゚ -゚)「辛くはないか?」
('A`;)「…一人で横になっているよりかは、いくらかは気分がマシだな」
川 ゚ -゚)「そうか、それなら看病しに来た甲斐があったというものだ」
('A`;)「サンキューな」
川 ゚ -゚)「私だけにじゃなく、トソンにもお礼を言うんだぞ?」
('A`;)「わかってるよ…」
川 ゚ -゚)「それにしても何故風邪を?」
('A`;)「…思い当たるとすれば」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
('A`;)「…最近は訓練の時間のばしてるから」
川 ゚ -゚)「…」
('A`;)「早く強くならなきゃって思って…」
川 ゚ -゚)「…全く」
川 ゚ -゚)「それで体の調子を崩していたら元も子もないではないか」
('A`;)「ゴホ…面目ない」
川 ゚ -゚)「…焦っている気持ちもわかる。だけど、少しは自分を大事にしてほしい」
('A`;)「…その言葉はそっくりそのままお返しする」
川 ゚ -゚)「む…」
('A`;)「自分だけはどうなってもいい、なんて考えるのだけはやめてくれ。…俺が辛いんだ」
川 ゚ -゚)「…それはどういう…」
ガチャ
(゚、゚*トソン「できました!」
川 ゚ -゚)「早いじゃ、ない…か」
トソンが手に持つ皿を見て言葉を失うクー。
('A`;)「もう出来たのか?実は腹が減って我慢できそうに、な…い」
ドクオまでもが言葉を失う。
(゚、゚*トソン「ドクオ!どうかな!?」ズイ
皿の上に盛られていたのは、ぶつ切りにされただけの野菜の山だった。
(゚、゚*トソン「料理はあまりしたことがないんだけど…。少し頑張ってサラダを作ってみた」
野菜が山盛りの皿をドクオに手渡す。
('A`;)「ぅ…気持ちはありがたいんだけど、ちょっと…本当に食欲がなくなってきた…」
川 ゚ -゚)「…トソン、相手は病人だ。言ってなかったが、すぐに飲み込めるような、胃に優しい柔らかいものが好ましい」
(゚、゚トソン「そうだったのですか」
川 ゚ -゚)「ああ、例えば…そうだな。野菜を煮込んだスープなんかが良いかも知れない」
(゚、゚トソン「なるほど…確かにスープなら飲むだけで良いですし、野菜は煮込めば柔らかくなりますね」
川 ゚ -゚)「折角トソンが野菜を切ってくれたことだしな。その野菜を適当な大きさに整えて作ろう」
(゚、゚トソン「はい!」
川 ゚ -゚)「…と言うことだ。もう少し待っていてくれ、ドクオ。一緒に作りに行ってくる」
('A`;)「ああ、よろしく頼んだ…」
―寮・厨房―
川 ゚ -゚)「さて、それでは始めようか」
(゚、゚トソン「はい」
川 ゚ -゚)「っと、その前にペンダントを外さなくては…」スッ
取り外して見てみると、鉱石はもう淡く輝いてはいなかった。
(゚、゚トソン「あれ?以前はペンダントなんて着けてませんでしたよね?」
川*゚ -゚)「これか?これはだな、ドクオと買い物に行って…」
(゚、゚トソン「…そうでした、か…」
川;゚ -゚)「ぁ…えーとだな。私とドクオは別にそういった関係では…」
(゚、゚トソン「いえ、いいんです…」
川 ゚ -゚)「そ、そうか。では始めようか…」
川 ゚ -゚)「…」トントントン…
(゚、゚トソン「…お上手ですね」トン…トン…
川 ゚ -゚)「そうか?そうでもないぞ?」トントントン…
(゚、゚トソン「いえ、謙遜しないでください。料理はどちらで?」
川 ゚ -゚)「…知っての通り、小さい頃に辺境の村に行ってから、教会の神父様のところでだ」
グツグツ…
(゚、゚トソン「そうでしたか。旅の途中でも料理はされてたのですか?」
川 ゚ -゚)「そうだな。ドクオ達は毎夜訓練に勤しんでいたから、自然と私が担当することが多くなったな」
(゚、゚トソン「…美味しそうに食べてくれましたか?」
川 ゚ -゚)「ああ、ドクオはいつも美味い美味いと言ってくれてたぞ」
(゚、゚トソン「そうですか。それはよかったです」
川 ゚ -゚)「やはり美味しいと言って貰えると作った甲斐がある」
(゚、゚トソン「…あたしは…誰が、とまでは言っていませんが…」
川 ゚ -゚)「!!……何が、言いたい」
(゚、゚トソン「…一体いつまで、ご自分の気持ちに嘘をつくつもりでいるんですか?」
川 ゚ -゚)「私は嘘なんか…」
(゚、゚トソン「気付いてますか?クー様。あなたが何か話す時は、自然と彼の話題が多くなっていることに」
川;゚ -゚)「…それは」
(゚、゚トソン「…何故、そうまでして認めないんですか?」
川 ゚ -゚)「…」
川 ゚ -゚)「それはきっと…私は…彼の足枷にはなりたくないはないから…」
(゚、゚トソン「…」
川 ゚ -゚)「私がそれを認めることで、彼が元の世界に戻る時の足枷にはなりたくないんだと…思うんだ。
それに、私は本当にわからないんだ…」
(゚、゚トソン「そうですか」
川 ゚ -゚)「…キミはどうなんだ?以前私は言ったはずだ。彼と必要以上の仲になることは、お互いの為にはならないんだと」
(゚、゚トソン「果たして、本当にそうなんでしょうか?」
川 ゚ -゚)「…」
(゚、゚トソン「仮に、本当にお互いの為にならないのだとしても、それでもあたしは…本当の気持ちを知ってもらいたい」
(゚、゚トソン「確かに、これはただのあたしの我が儘かもしれません。
だけど、気持ちを知ってもらう事って、そんなにいけないことなんでしょうか?」
川 ゚ -゚)「…いざ別れるときが来たら、きっと辛い思いをするぞ」
(゚、゚トソン「それでも…言わないで後悔するよりはずっと良いと思いませんか…?」
川 ゚ -゚)「…私には、わからないよ…」
(゚、゚トソン「…そろそろ出来上がりますね」
川 ゚ -゚)「…そうだな」
(゚、゚トソン「行きましょうか」
昼―寮・ドクオの部屋―
ガチャ
(゚、゚*トソン「お待たせ」
('A`;)「お、やっと来たな…流石に腹が減って辛かったぞ…」
(゚、゚*トソン「なんだ、食欲が戻ってもう元気なんじゃないの?」
('A`;)「いや、俺は体調が悪くても飯は食う派なんだ。具合が悪いことは変わりない…って」
川 ゚ -゚)「…」
('A`;)「クー。どうした?クーこそ元気がないんだが…俺の風邪が移ったか?」
川 ゚ -゚)「ん、いや…なんでもない。それよりお腹が減ってるんだろう?冷めないうちに早く食べてくれ」
('A`;)「…ああ」
(゚、゚トソン「…」
('A`)「…うん、美味いな」
(゚、゚*トソン「本当に?」
('A`)「嘘を言ってどうするんだよ」
(゚、゚トソン「嬉しいな…と言っても、作ったのはほとんどクーさんなんだけど…」
('A`)「でも、ツムラも手伝ったんだろ?ありがとうな」
(゚、゚*トソン「うん…」
('A`)「クーもありがとうな」
川 ゚ -゚)「…」
('A`)「…クー?」
川 ゚ -゚)「…ん?どうした…?」
('A`)「どうしたって…どうかしたのはクーの方じゃないか?さっきからボーッとしてるけど…」
川 ゚ -゚)「…そうだったか?…すまない」
(゚、゚トソン「…」
('A`)「もしかして、本当に具合悪いのか?大丈夫か?」
川 ゚ -゚)「ん…そうだな。…悪いが少し休ませてもらおうかな…。ちょっと外すよ」
('A`)「ああ、気にするなよ」
川 ゚ -゚)「…トソン、ドクオを頼んだ」
(゚、゚トソン「…はい」
川 ゚ -゚)「(自分の気持ちか…)」
川 ゚ -゚)「(彼は私にお詫びと言うことで、このペンダントを贈ってくれた。
買い物はとても楽しかった)」
川 ゚ -゚)「(彼が不意に投げかけてきた言葉に、とても傷ついた。泣いてしまうくらいに)」
川 ゚ -゚)「(彼は、私にお世話になっているお礼にガントレットを贈ってくれた。驚いた。
…覚えている限りでは、これが初めての贈り物だったな)」
川 ゚ -゚)「(始めてと言えば…同年代の異性と一緒に出かけたのは、辺境の村での買い物が初めてだな。
同年代の友達と遊ぶことがなかったから、あの時はわくわくしたな…)」
川 ゚ -゚)「(私が作った料理を、彼は無表情ながらも美味しいと言ってくれた。嬉しかった)」
川 ゚ -゚)「(…他にも、色々…)」
川 ゚ -゚)「(彼は…使命に縛られてからっぽだった私に…色々なモノをくれたんだな…)」
川 ゚ -゚)「あの森で会ったあの日から…」
はじめはいけ好かなかったのにな
おつ
昼―王立士官学校・教室―
( ´∀`)「参加者は他にいないモナ?」
生徒から反応が返ってこないことを確認すると、次の言葉を発する。
( ´∀`)「…それじゃ、武術大会のエントリーを締め切るモナ」
モナーは、1枚の申込用紙を、大事そうに手帳に挟んだ。
( ´∀`)「参加者はドクオ君だけモナね」
('A`)「…はい」
( ´∀`)「まさか1年次から申し込むとは思ってなかったモナ」
('A`)「ちょっと何処までやれるか試してみたくて…」
( ´∀`)「うん、先生は良いと思うモナ。ドクオ君は訓練で、1学年の中で特に図抜けていたモナ。
その力を試してみたくなる気持ちも分かるモナ。…きっと、良い線行くと思うモナ。頑張るモナよ?」
('A`)「はい、精一杯頑張ります」
―王立士官学校・食堂―
( ^ω^)「まさか本当にエントリーするとは思えなかったお!」
持っていたトレイを長机の上に置いて腰を落ち着けると、ブーンが話し始めた。
('A`)「まあちょっとな…。だけど、ブーンも参加すればよかったのに」
( ^ω^)「無茶言うなお。ドクオならまだしも、ブーンなんか参加した日にはボロ雑巾だお」
('A`)「ブーンも良い線いけると思うんだけどな…」
( ^ω^)「それは買いかぶりすぎだお」
('A`)「そうかね…。まあ、相手がどれだけ強いかわからないから何とも言えないけどな」
誰かが後ろに立ったらしい。ふいに、長机に少しだけ影が落ちた。
('A`)「ん?」
「おい」
( ^ω^)「お?」
( `ー´)「そこ、俺がいつも使ってるところだからどけよ。勝手に使ってるんじゃネーノ」
('A`)「…」
影の主を見上げる。
( ;^ω^)「お…で、でもブーン達が先に座って…」
( `ー´)「そんなこと知ったこっちゃネーノ!今日は補助魔法の検査で偶々遅れただけだってーの!
いいからさっさとどけってーの!」
('A`)「…補助魔法の検査?」
( `ー´)「…なんだ?お前そんなことも知らネーノ?…さては1年ボウズだな?」
( ;^ω^)「は、はいですお…」
('A`)「…よかったら色々教えてくれませんかね?先輩」
( `ー´)「…ふふん、そこまで言うなら教えてやろうじゃネーノ」
先輩、という言葉にきっと気を良くしたのだろう。急に態度が変わった。
('A`)「是非よろしくお願いします、先輩」
( `ー´)「仕方ねーから一度しか言わねーぞ?良く聞いて覚えろってーの」
('A`)「(ブーン、飯を食いながら聞こう)」コソ
( ^ω^)「(お?おっおっ)」コソ
( `ー´)「補助魔法の検査はな、武術大会に出場する生徒が受けるモンなんだってーの」
('A`)「へー。具体的には何をするんです?」モグモグ…
( `ー´)「自分が扱える魔法が、武術の域を脱していないかの検査だってーの」
( ^ω^)「でも、何でそんなことをするんだお?」モグモグ…
( `ー´)「武術大会で普通の魔法をぶっ放した日には、それはもう武術での戦いにならないからなんじゃネーノ?
とはいえ、魔法での強化は武術大会には欠かせネーノ。補助魔法も無しにエントリーするのはバカのすることだってーの」
( ^ω^)「なるほどだお…」
( `ー´)「それで大会出場前に、どの魔法を補助で使って良いか確認するのが今回の検査だってーの」
('A`)「検査を受けずに魔法を使ったら?」
( `ー´)「失格だってーの。検査は試合で使って良い魔法を登録する場でもあるからな」
( ^ω^)「ふむふむ。でも、ドクオには関係ない話だったおね!」
( `ー´)「…どういうことだ?」
('A`;)「…バカ」
( ;^ω^)「…お?」
('A`)「それは…あれです。そもそもエントリーしてないから関係ないって…」
( `ー´)「…しらばっくれるんじゃネーノ。さっき検査でドクオって名前のヤツが呼ばれてたけど来てなかったぞ。
ドクオってのはお前のことだろ?」
('A`)「…」
( `ー´)「で?関係ないってのはどういうことなんだってーの。
まさか、補助魔法も使えないのにエントリーしたのか?バカじゃネーノ?」
('A`)「…はぁ」
気が付けば、周りは自分たちのやりとりに耳を傾けている。
ここにいる全員に聞かれるのかと思うと、うんざりする。
( ;^ω^)「ドクオ…ごめんだお…」
('A`)「…気にすんな。…補助魔法使えないどころの話じゃないですよ、先輩」
( `ー´)「は?」
('A`)「俺は…魔法そのものが使えません」
( `ー´)「…は?」
静寂が訪れた。ドクオの周囲にいた人達は我が耳を疑った。信じられない発言に言葉を失う。
沈黙はドクオの周りにいた生徒から始まり、それはまるで伝染したかのように、やがては食堂全体を静寂で包み込んだ。
( `ー´)「…今、なんて?」
('A`)「だから、俺は魔法が使えません」
ざわめきが起こる。先ほどの静けさはどこかへ行ってしまった。
( `ー´)「魔法が使えない?……ぷ」
( `ー´)「ギャハハハハハ!魔法が?使えない?とんだ落ちこぼれがいたもんじゃネーノ!
しかも、武器の実力も大して持ち合わせていない1年ボウズがエントリーときた!
笑い話にしかならネーノ!ギャハハハハハ!」
腹を抱えて笑う。どうやら本気で笑っているらしく、目の端にはうっすらと涙が滲んでいた。
( ^ω^)「………ねーお」
( `ー´)「ウヒヒヒ…あ?…何だ?」
('A`)「…おい、ブーン」
( ^ω^)「ドクオを笑ってるんじゃねーお。ドクオの強さを知らないくせに、粋がってるんじゃねーお」
( `ー´)「…言うじゃネーノ」
( #^ω^)「ドクオの手に掛かれば、お前なんてけちょんけちょんのボロ雑巾だお!」
('A`;)「おい、やめろってば…」
( `ー´)「面白いじゃネーノ?…なんなら、今すぐここでやり合ってもいいんだってーの…」
一瞬、周囲の空気が重くなったような錯覚を受ける。
( ^ω^)「「!」」('A`)
「何してるの!」
咎めるかのような声に打ち消されたのか、その空気の重さはもう感じなくなっていた。
('A`)「今の声…ツムラ?」
振り向くと、トソンがこちらに駆け寄って来ている。
( `ー´)「…これはこれは、トソン嬢ではないですか。ご機嫌はいかがですか?」
先ほどとは打って変わり、その言葉遣いはとても上品なものになっていた。
(゚、゚トソン「…フン、最悪ね」
( `ー´)「それはよろしくないですね…。どこか具合でも悪いのですか?」
(゚、゚トソン「気を遣っていただかなくて結構。…それで、ネーノ。あなたはこの二人に何をしようとしてたの?」
ネーノと呼ばれた男がそれに答える。
( `ー´)「別に何も?…彼が武術大会にエントリーすると聞いて、激励の言葉を送っていただけですよ」
(゚、゚トソン「…それは本当なの?」
( `ー´)「もちろん」
(゚、゚トソン「…ならいいわ。お行きなさい」
( `ー´)「仰せのままに」
('A`)「…」
( ^ω^)「…」
随分あっさりと引き下がるものだと思った。が、ネーノは少し歩いてから足を止め、振り返った。
( `ー´)「…そうそう。アイシス王女に今年も会いに行きますと伝えてください」
( ;^ω^)「アイシス王女に…?」
(゚、゚トソン「…覚えていたらね…」
( `ー´)「では」
(゚、゚トソン「…はぁ」
( ;^ω^)「トソン、どういうことなんだお?アイシス王女に会うとか?
あいつとは知り合いなのかお?あいつは何者なんだお?」
('A`)「…」
ネーノが去ると、ブーンは矢継ぎ早に質問をする。
ドクオも聞こうと思っていた内容だったが、ブーンが訊いてくれたために、その必要はなくなった。
(゚、゚トソン「…あいつは王立士官学校で、現在もっとも親衛隊に近い男と言われているヤツよ」
('A`)「…」
( ^ω^)「…」
( ^ω^)「「は?」」('A`)
( ^ω^)「…どういうことだお?」
(゚、゚トソン「あいつは、ネーノは過去に2度武術大会で優勝しているの」
('A`)「…マジかよ」
(゚、゚トソン「と言っても、1年次にあいつは留年しているから、実質今は4年次なんだけどね。
優勝したのは一昨年と昨年よ。…そして、今年優勝してしまえば…」
( ^ω^)「2度目の快挙だおね…」
(゚、゚トソン「留年してるけどね」
('A`)「2度目の快挙?」
(゚、゚トソン「そっか、ドクオは知らないのも無理ないか」
( ^ω^)「説明してやるお!」
(゚、゚*トソン「あたしがします!」
( ;^ω^)「お…」
ブーンが気迫に押し負ける。
('A`;)「…頼んだ」
(゚、゚トソン「うん、武術大会はこの学校が出来てからあるんだけど、
過去、3年連続で優勝できた人は一人しかいないの」
('A`)「3年連続?そりゃすごいな」
(゚、゚トソン「ええ。そしてその偉業を成し遂げたのが…あなたも良く知る人物なんじゃないかな」
('A`)「…フサギコさんか」
(゚、゚トソン「そのとおり。それで、ネーノはその偉業にリーチをかけてるってわけ。
武術大会は、親衛隊入隊の登竜門と呼ばれてることもあるから、優勝が2度もあるネーノは一番親衛隊に近いと言われてる」
('A`)「ふ~ん、あいつって強かったんだな。人は見かけによらないんだな」
(゚、゚*トソン「…全くね」
('A`)「?」
( ^ω^)「…そろそろ次の質問に移るかお?」
('A`)「ん、そうだな」
(゚、゚トソン「あいつと知り合いなのかと言うことと、アイシス王女に会う、だっけ?
んー、その前に、武術大会の優勝者に与えられる褒美ってなんだか知ってる?」
('A`)「さあ…褒美があることさえ初耳だ」
( ^ω^)「ブーンも聞いたことないお」
(゚、゚トソン「別に隠すような事じゃないから言うけど、王族との会食が設けられるのよ」
( ^ω^)「…まじかお」
(゚、゚トソン「ええ。親衛隊になり得る存在の者を、王族が直々に見定める場でもあるんだけど」
( ^ω^)「…ところで何でトソンはそんなこと知ってるんだお?」
(゚、゚トソン「だって」
( ^ω^)「だって?」
(゚、゚トソン「あたしも会食に参加してるから」
( ^ω^)「お?」
(^ω^)「お?」
('A`)「こっちみんな」
( ω ) ゚ ゚「おおおおおおおおおおお!?」
( ;^ω^)「どどどどういうことだお!?トソンが会食!?」
(゚、゚トソン「あれ、言ってなかった?あたしの親は王室勤めなのよ。だから会食にも参加してるの」
('A`)「王室勤めっていうのを聞いたのは俺くらいじゃないか?」
(゚、゚トソン「…そうだったわね。まあそう言うわけで、会食の場で会ったことがあるから、あいつとは知り合いよ。
アイシス王女に会うって言うのも、また優勝して会食で会いましょうってこと」
('A`)「なるほどな…」
(゚、゚トソン「…とにかく、あいつは性格悪いし貴族に媚びへつらうしで最悪なの。
武術大会ではあたる可能性もあるから気を付けてね、ドクオ」
('A`)「2年連続優勝か…まあ何が何でも優勝してやるけどな」
クーとの約束を果たすために。
(゚、゚トソン「………」
( ^ω^)「いつになくやる気だおね?どうしたお?」
('A`)「まあちょっとな。つーかブーンも知らなかったとはいえ、よくあんなヤツに啖呵切ったな」
( ^ω^)「あれは勢いだお!男にはひいてはならぬ時があるお。
だけど今の話を聞いて、正直後悔してるお」
(゚、゚トソン「………」
('A`)「ん?どしたツムラ?」
(゚、゚*トソン「ううん…当日あたしは王室の観覧席に行かなきゃならないんだけど…応援してるから。頑張ってね」
('A`)「おう」
夜―王立士官学校・訓練場―
川 ゚ -゚)「ほう、そこまで強いヤツがこの学校にいたのか」
('A`)「ああ。何せ3年連続優勝にリーチだからな」
川 ゚ -゚)「気を付けるんだぞ。あたることになれば、かなり手強い相手だ」
('A`)「ああ…だけど、勝ち続ければいずれはあたる。そして、あいつに勝てれば…」
気合いを込めて剣を振る。流れるような剣閃。
('A`)「確実に強さの証明になる」
川 ゚ -゚)「…ああ」
('A`)「絶対に負けない」
川 ゚ -゚)「…ところでドクオ、実は謝らなければならないことがあるんだ」
('A`)「ん?なんだ?」
川 ゚ -゚)「…武術大会の日なんだが、実家に戻るように言われてしまってな」
('A`)「…そうか」
落胆の色が明らかに見て取れる。
川 ゚ -゚)「…本当にすまないと思ってる。私との約束を果たそうとしているのに…」
('A`)「…いや、大丈夫だ。絶対に優勝してみせるから」
川 ゚ -゚)「ああ…少し離れてしまうけど、応援しているよ。ケガには気を付けてな」
('A`)「おう!」
…
……
………
―闘技場・控え室―
係員「ルールの確認をいたします。…まず対戦相手ですが、こちらのトーナメント表のとおりとなっております」
('A`)「(ネーノは…いきなり決勝か。俺の初戦は…ガナーってやつか)」
係員「トーナメント表を見て既に気が付かれたとは思いますが、ネーノ氏は初戦が決勝となっております。
過去に2度の優勝を果たした成績を考慮してのことです。また、他の出場者を配慮してのことでもあります。不公平がないように」
('A`)「なるほど…」
係員「次に武器ですが、こちらは事前にお伝えしたとおり、刃引きしたものをご利用ください。
魔法は…ドクオさんは使えないんでしたよね。そうすると説明は以上になります。何か質問はありますか?」
('A`)「はい。試合ごとに使用する武器を変更するのはアリですか?」
係員「ルールに則ったものであれば、武器の変更については問題ありませんよ」
係員「他に質問は?」
('A`)「…もう大丈夫です」
係員「そうですか。…それでは時間です。準備はよろしいですか?」
('A`)「はい」
ドクオは大剣を手に持つと、そう答える。
係員「それでは最後に、刃引きがされているか確認をさせていただきます」
('A`)「…どうぞ」
大剣の切っ先を床につけ、片手で支えて見せる。
係員「…はい、問題なしです。健闘を祈ります」
('A`)「ありがとうございます」
獲物を肩へ担ぎ、闘技場へと歩き出す。
―闘技場・一般観客席―
武器を担いだ友人が闘技場に出てきたことを確認すると、ブーンは声をあげた。
( ^ω^)「お、出てきたお!」
ξ゚⊿゚)ξ「随分とまあ大きい剣を持って来たものね。扱えるのかしら?」
( ´_ゝ`)「扱えないモノを持ち出したって仕方ないだろ」
ξ゚⊿゚)ξ「それはそうだけど。あいつ割と細身だし、とてもあの体型に合った武器とは思えないのよ」
(´<_` )「確かにな。まあアニジャの言うことももっともだし、ドクオなら何とか扱えるんじゃないのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「それでもドクオ君、大丈夫かしら…。相手の人もきっと強いよね?」
(-_-)「大丈夫…きっと勝てる…」
―闘技場―
( ‘∀‘)「…よう、トーナメント表を見て知ってるとは思うが、一応名乗っとく。俺はガナーだ」
('A`)「…どーも、ドクオです」
( ‘∀‘)「お前が噂の1年だな」
('A`)「…そうですが、何か?」
( ‘∀‘)「俺はツイてる」
('A`)「…」
( ‘∀‘)「魔法も使えない落ちこぼれが出場するとわかって、参加しておけば良かったと後悔していた連中がたくさんいた」
('A`)「はあ」
( ‘∀‘)「出場を決めてた連中は、そんな奴らとは逆に喜んだ。…労せずして勝ち抜ける可能性が出てきたからな」
('A`)「俺と当たれば楽して勝ち進める。…それでツイてるってわけですか」
( ‘∀‘)「そのとおりだ。運良く今回は、俺がお前を潰す役目を授かったわけだ」
('A`)「油断してると足下すくわれますよ」
( ‘∀‘)「…1年ごときが言うじゃねえか。ま、出場を決めた勇気を表して手加減してやらんでもない。
感謝しろよ?痛い思いをさせずに降参させてやるからよ」
('A`)「…口だけのヤツに限って良く喋るんだよな」
( ‘∀‘)「…てめぇ」
('A`)「感謝しろ、痛い思いをさせずに降参させてやるよ」
( #‘∀‘)「…調子に乗りやがって。さっきのは無しだ。今言ったことをすぐに後悔させてやる」
('A`)「(こんなに安い挑発に乗ってくれるとは…)」
ガナーは手に剣を構える。
('A`)「それは楽しみだな」
対して、ドクオは肩に大剣を担いだままである。
審判が片手を上に振り上げると、闘技場内のざわつきが収まる。
( #‘∀‘)「構えないのか?…もしかして、担ぐのがやっとってか?
見た目ばかり先行して体型に合ってない、ただただ馬鹿でかい武器を選んだのか?」
('A`)「…」
( #‘∀‘)「そんな考えで俺に勝とうなんざ、甘いんだよ。
そんな鈍重な武器で俺に勝てると思うなよ…」
審判の腕が振り下ろされる。と同時、ガナーは疾駆する。
( #‘∀‘)「…この風の魔法使いの俺になあああああああ!」ヒュダダッ!
( #‘∀‘)「風の補助魔法を使った俺の動きについて来られるか!?」
ガナーは風の後押しを受けて、一気にドクオとの距離を詰める。
ドクオはまだ大剣を担いだままである。
('A`)「…」
( #‘∀‘)「舐めやがって…喰らいな!」ヒュッ!
ガナーの斬撃がドクオに襲いかかる。
ガキィィィイイイン!
('A`)「…誰が大剣を担ぐのがやっとだって?」
( ;‘∀‘)「な…」
('A`)「こんな鈍重な武器に攻撃を防がれてるようじゃ、あんたもまだまだだな」
('A`)「…ハアアッ!」
攻撃を受け止めた大剣に、そのまま力を込めて振るった。
ギャリィィン!
( ;‘∀‘)「くっ!」
大剣の重量でガナーの体勢を崩すと、ドクオは当て身で相手を突き飛ばす。
('A`)「フン!」ドッ
( ;‘∀‘)「がっ!……!」ザッ
ジャキ…
('A`)「…何か言うことはありますか?」
眼前に突き出された刃に、ガナーは一瞬絶句する。そして、
( ;‘∀‘)「…くそったれ」
一言悪態をつくと、剣から手を離した。
( ;‘∀‘)「…降参だ」
―闘技場・一般観客席―
審判より、ドクオの勝利が判定された。
( *^ω^)「!!…やったお!ドクオが勝ったお!」
ξ゚⊿゚)ξ「やるわねぇ。あの剣も楽々と振り回してたみたいだし」
(´<_` )「開始前はやたら険悪な雰囲気だったから、どうなることかと思ったが案外あっけなかったな」
( ´_ゝ`)「やたら煽ってるように見えたもんな。つーか今のガナーとかいうヤツなら俺でも楽勝だったな」
(´<_` )「無理だろバカかお前は」
( ´_ゝ`)「…」
(-_-)「それより…ドクオ君の次の相手…」
(´<_` )「…ああ、そうだったな」
ζ(゚ー゚*ζ「しっかり試合を見て、次はどんな相手かドクオ君に伝えなきゃですね」
―闘技場・王室観覧席―
(゚、゚*トソン「やった!」
_
( ゚∀゚)「おお、やるようになったなぁ、ドクオ」
リハ*゚ー゚リ「えーと今勝った方が、いつもお話ししてくれる人なのね?」
_
( ゚∀゚)「そうそう」
リハ*゚ー゚リ「とても強いのね」
_
( ゚∀゚)「俺程じゃねーけどな」
(゚、゚トソン「…ジョルジュ、いくらアイシス王女が優しいからって、その言葉遣いは無礼よ」
_
( ゚∀゚)「ん?別にいいだろ」
リハ*゚ー゚リ「ええ、私は気にしてないわよ?」
(゚、゚トソン「…そうですか」
リハ*゚ー゚リ「ところで、お父様とあの子は?」
(゚、゚トソン「何やら二人きりで話したいことがあると言うことで、試合が始まる前に出て行かれました。
プギャーが護衛をしているはずですが」
_
( ゚∀゚)「なんだ、あいつらいねーなーと思ったらそんなことか」
(゚、゚トソン「あんたは試合に夢中になってないでちゃんと仕事なさいよ」
_
( ゚∀゚)「へいへい、わかりましたよー」
リハ*゚ー゚リ「あ!次の試合が始まるわ!」
_
( ゚∀゚)「マジで!?次は誰よ!」
リハ*゚ー゚リ「えーと…」
(゚、゚トソン「…はぁ、全く」
ドクオが使ってたのは創造の大剣ってことでよろしいか
>>138
㌧っしたー。その解釈でおなしゃーす
…
……
………
―闘技場・控え室―
( ^ω^)「…それじゃ、気を付けてだお」
('A`)「おう。行ってくる」
( ^ω^)「…クー、観に来られなくて本当に残念だったお」
('A`*)「…うっさい」
( ^ω^)「でも、後でブーン達がドクオの勇姿を伝えてあげるお!」
('A`)「ったく…」
係員「ではよろしいですか?」
('A`)「はい」
闘技場へと歩を進める。
リ´-´ル「…私はリル」
('A`)「…ドクオです」
リ´-´ル「…魔法も使えないのに良く勝ち進んできたね」
('A`)「…運がよかったんでしょうね」
リ´-´ル「運も実力のうちってね。…もっとも、アンタに力がないとは思えない」
('A`)「そりゃどうも…」
リ´-´ル「…今度の獲物はその剣か。大剣、槍、戦斧と毎回のように武器を変えてるけど、何か意味があるのかい?」
('A`)「…」
リ´-´ル「話したくないならいいけど…」
審判が片手を振り上げる。
リ´-´ル「もう情報は事前に入ってるとは思うけど、私の武器はこの棍。そして、雷の魔法による身体能力向上の補助魔法」
('A`)「…魔法の事までは知りませんでした。何故そんなことを?」
リ´-´ル「魔法の使えない相手にフェアじゃないと思ったからさ。決して舐めて掛かってるわけじゃない」
('A`)「…」
審判は勢いよく腕を振り下ろした。
リ´-´ル「雷で活性化された身体能力を侮らない方が良い。女の非力さでも痛い目を見るよ」
('A`)「…はい」
リ´-´ル「じゃあ…始めようか!」ダッ!
雷の補助魔法で脚力を強化させたリルは、ドクオとの距離を一気に詰める。
リ´-´ル「はあっ!」ブォン!
鋭い横薙ぎがドクオに迫るが、バックステップで距離をとり回避する。
('A`)「…」タッ
リ´-´ル「やるわね!」ボッ
横薙ぎで振り抜かず、穂先をドクオに向けたまま突きを見舞う。
('A`)「…」ヒュッ
が、体勢を崩さずステップのみで難なく躱す。
リ´-´ル「せい!せい!やぁあっ!」バババッ!
連続で突きを繰り出すも、全てが躱されてしまう。
('A`)「…」タタッ
リ´-´#ル「く…ちょこまかと…」
('A`)「…本性、出てきたか?」
リ´-´;ル「…なんのこと?」
('A`)「さあな」
リ´-´ル「そう…攻撃しないことには勝てない…よ!」ブン!
棍を振り下ろすが、またもすんでのところで躱される。
('A`)「…」スッ
リ´ー´ル「…そんなギリギリで避けてよかったの?」
リルはほくそ笑む。
('A`)「!」
リ´-´ル「はあああ!」
リルは棍を振り下ろしたところから、自分を中心に棍を大きく一回転させる。
('A`)「くっ」
キィン!
('A`)「(?…随分軽い一撃だったな)」
リ´ー´ル「…やっと防いだね」
剣と棍を交差させたまま、リルは再度笑う。
('A`)「…どういうことだ」
バチバチィッ
('A`;)「っっ!!」
体に痛みが走り、一瞬意識が飛びそうになる。
リ´-´ル「喰らいな!」ビュオン!
('A`;)「!!くそ!」バッ
リ´-´ル「…チッ」
('A`;)「…お前、今のは魔法か?」
リ´-´ル「…今の一撃で仕留められなかったのは痛いね。…その通りだよ、武器に電撃を放った。認可も下りてない魔法さ」
('A`)「…お前と戦った奴らの動きがおかしかったってのは、やっぱりその為か。何か隠してるとは思ったけど、なんでそんなことを」
リ´ー´ル「決まってるじゃないか。勝って、名声を得るためだよ!親衛隊に入れば安泰だからね!
…今までの奴らはさっきの連携で全員気絶してくれたから、ばれなかったけど」
('A`)「…」
リ´-´ル「だが、お前には知られてしまった。知られてしまったからには、ちょっとの間気絶してもらわないとね」
リルは棍を構え直すと、にやりと笑って言い放った。
リ´ー´ル「そう、私が卒業するまでの間ね」
('A`)「…そう言うことなら容赦はいらないな?」
リ´ー´ル「今までずっと手加減をしていたとでも?」
ドクオは剣を一度隠すようにし、
('A`)「まあ…」
構え直した。
('A`)「そんなところだ」
リ´-´ル「…フン。強がっていられるのも今のうちね。次はもっと強いのを流してやるからせいぜい気を付けなさい!」ブォン!
全ての言葉を言い終わらないうちに、棍を撃ち出す。
('A`)「…」ヒュッ
リ´-´ル「…言い忘れてたけど!常に電撃が流れてるから注意することね!」ボッ
('A`)「忠告ありがとよ…と」サッ
リ´-´ル「随分と余裕だね!アンタかアンタの武器に少しでも攻撃を当てれば、私の勝ちになるってのに!」ヒュン!
会話をしつつも、絶えず攻撃は続く。
('A`)「…本当にそうなのか?」バッ
リ´-´ル「何?どういうこと?」
('A`)「さあな」
リ´-´ル「…」
('A`)「ま、攻撃させる前にこっちからも攻撃するんだけどな」ヒュオ!
リ´-´;ル「!!」バッ
リ´-´ル「…アンタ、自分が何してるのかわかってるの?」
('A`)「なにがだ?」
リ´-´ル「私がアンタの攻撃を防いでも同じことになるってことよ」
('A`)「なら好きに防げば良いんじゃないか?」ビュオッ!
リ´-´;ル「調子に乗って…!」スッ
上段からの斬撃を、両手で持った棍で防御する。
ガキィィン!
リ´-´ル「ホラ!防いでやったわ!電撃の威力はどうだい!?」
('A`)「…別に?」
リ´-´ル「…え?」
リ´-´;ル「な、何で!」
('A`)「よ」ガッ
動揺した隙は逃してくれず、すかさず足払いを掛けてきた。
リ´-´;ル「あ」
倒れそうになった拍子に、思わず武器が手元を離れてしまう。
('A`)「棍、いただき」ガシ
リ´-´;ル「ああ!」
ドクオに武器を奪われ、その上ズテン、と音を立てて尻餅をついてしまった。
リ´-´;ル「いたた…」
('A`)「…さて、どうしますか?」
リ´-´;ル「…この状況でわざわざ訊くこと?武器も持ってないし、体勢からして不利…降参以外にないわ」
審判がドクオに勝利の判定を出す。
('A`)「…ほら、返すよ」スッ
リ´-´ル「…ふん」バッ
リルは乱暴に武器を受け取った。
('A`)「…それじゃお疲れさんでした」テクテク…
リ´-´ル「…待って」
急に呼び止められ、ドクオは足を止めて振り返る。
('A`)「ん?」
リ´-´ル「何で…電撃が効かなかったの?」
('A`)「…一度攻撃を喰らうと効かなくなる体質なんだ」
リ´-´ル「教えてくれないのね…ケチ」
('A`)「あ、よく言われる」
リ´-´ル「嘘ばっかりね…もういいわ。何だか疲れた。せいぜい次も頑張りなさいな」
('A`)「どーもです」
('A`)「(…一瞬の間に電気を絶縁する武器を創りましたなんて言えないしな)」
戦いの場面はやはり楽しいな。
回を増すごとにドッくんが格好良くなっていくね。
もうね、ネーノなんて瞬殺いや、三行で決めてもらいたい。
―闘技場・控え室―
( ^ω^)「…次の相手はマッチョムさんだお」
('A`)「マッチョム?」
( ^ω^)「筋肉ムキムキのやつで、武器は大きな鉄球だお」
('A`)「鉄球て…当たったら刃引きしてない剣かそれ以上に危険じゃねぇか。アリなのか?」
( ^ω^)「アリだから使用してるんだお」
('A`)「そりゃまあそうなんだけど…。まあルール自体が曖昧だからな…」
( ^ω^)「武器は何を使うんだお?」
('A`)「俺は…コレかな」
そう言うと、武器の山の中から巨大な鎚を引きずり出す。
('A`)「…しょっと」ガリガリガリ…
( ^ω^)「そんな重そうな武器でよく戦えるおね」
('A`)「ふぅ…慣れだな、慣れ。慣れりゃそれなりに扱える。ブーンは危ないから触るなよ?」
( ^ω^)「そんな重そうなの誰も持ちたくないお」
('A`)「それならいいんだけどな。…そろそろ試合が始まる。観客席に戻ってろ」
( ^ω^)「お、それじゃあ今回も頑張るお!…これに勝てばいよいよ決勝だお」
タッタッタッ…
('A`)「…ああ」シュン
駆けていく友人の背を見送りつつ、手に持っていた鎚を消す。
('A`)「…行くか」シュゥ
そして新たに巨大な鎚を創り出すと、肩に担いで歩き出した。
―闘技場―
( ゚∋゚)「…」
('A`)「でけぇ…」
( ゚∋゚)「…ドクオと言ったか?」
('A`)「…はい」
( ゚∋゚)「魔法も無しに良くここまで勝ち抜いたな。大した実力だ」
('A`)「…クックルさんでしたっけ?」
( ゚∋゚)「ああ、そうだ」
('A`)「あなたは魔法無しで身一つでここまで来たわけですよね?」
( ゚∋゚)「…そのとおりだ」
('A`)「俺は違います」
( ゚∋゚)「?」
('A`)「ある力に頼ってここまで来ましたから。だから、あなたとは違う」
( ゚∋゚)「…それはお前の力なんだろう?なら、それを恥じる必要が何処にある」
('A`)「…そうですね」
審判が片手を振り上げる。
( ゚∋゚)「その力を見せてみろ」
クックルは鉄球を片手に、それに繋がった鎖をもう片方の手に持つ。
('A`)「…はい」
ドクオも巨大な鎚を両手で持ち、構える。
( ゚∋゚)「行くぞ!」
審判の手が振り下ろされた。
( ゚∋゚)「ハァア!」ブン!
勢いよく投げ放たれた鉄球は、ほぼ一直線にドクオの元へと飛んでいく。
('A`)「…」スッ
( ゚∋゚)「フン!」クッ
それをしゃがみ込むように回避すると、そのまま駆け出し鎚を振りかぶる。
しかしそれを見越していたらしく、鎖で鉄球の手綱をとり背後からドクオに襲わせる。
('A`;)「!」バッ
( ゚∋゚)「避けたか、良い反応だ。…まだまだ行くぞ!」
球状の鉄塊はドクオを通り越しクックルへと向かうが、それを受け止めず、その勢いを利用して振り回す。
鉄球が一周する毎に、回転速度は増していく。
そして回転速度が増す毎に、クックルへは近寄り難くなる。
('A`;)「…こんなの当たったらシャレになんねぇぞ…」
( #゚∋゚)「オラァァァアア!」ブォォオオン!
('A`;)「!」バッ
ドッガアアアアア!
速度が増しに増した鉄球が闘技場の床へ、轟音を立てて突き刺さる。
鉄球は床板を破壊し、その半分が地に埋まっていた。
('A`;)「アブね…」
ドッ
('A`)「!!!」
( ゚∋゚)「よそ見すんな」
クックルの拳が、腹にめり込んだ。
('A`;)「…がっは!げほ、げ、ぇほ…うぇ…」
激痛と酷い気持ち悪さに襲われ、思わず膝をつきそうになるのをこらえる。
('A`;)「はあっ…ぅえっ…はぁっ…」
( ゚∋゚)「…堪えたか。だがもう一撃」ヒュ
ガッ
('A`)「ぁぐ…!」
重い拳が顔にヒットする。
('A`;)「つ、ぅ…はっ…はぁ…」
( ゚∋゚)「…堪えるな…どれ…もう一――」
ドゴォ!
( ;゚∋゚)「ぐっ!?」ヨロ…
('A`;)「おぇ…はぁ…はぁ…」
( ;゚∋゚)「…どこにそんなハンマーを振るえる余力があったんだ?」
('A`;)「はぁ…すみませんね、このハンマー、俺には羽みたいに軽いんだわ…」
( ゚∋゚)「…それがお前の力か?」
('A`;)「…まあな」
( ゚∋゚)「そうか…では…」スタスタ…グッ
クックルは鉄球を引き抜く。
( ゚∋゚)「仕切り直しと行こうか」
('A`)「…」
( ゚∋゚)「…ハアアッ!」ブンッ
('A`)「おら!」ブン!
ガキィィィン!
ハンマーで飛び掛かる鉄球を弾く。
( ゚∋゚)「!」
('A`)「行くぞ!」ダッ!
( ゚∋゚)「ぬん!」グッ
クックルは鎖を操り、再度ドクオの背後から攻撃をする。
('A`)「…」タッ
対し、ドクオはろくに背後も確認せずに、走る位置をずらして避ける。
( ゚∋゚)「お見通しか…!」ブン!
( ゚∋゚)「…来い!」ブォン…ブォン…
('A`)「…」ググッ
( ゚∋゚)「…」グッ
( #゚∋゚)「「オラァ!」」('A`#)ブォオン!
ガギャアアア!
( ゚∋゚)「…」
('A`)「…」
( ゚∋゚)「…鉄球を破壊するとは…。そのハンマー、材質は何でできてるんだ?」
('A`)「…知らないっす」
( ゚∋゚)「…そうか」
( ゚∋゚)「…降参しよう」
('A`)「…クックルさんなら武器を使わないでも戦えるでしょう?」
( ゚∋゚)「流石に武器がないハンデは大きい。…いや、武器があっても勝てたかわからない」
('A`)「…そっすか。ちょっと不本意ですけど」
( ゚∋゚)「そのかわり」
('A`)「?」
( ゚∋゚)「…決勝では絶対に負けないでくれ」
('A`)「そりゃ負けるつもりはありませんけど…」
( ゚∋゚)「友の目を覚まさせてやってくれないか」
('A`)「…ネーノさんの、ですか」
( ゚∋゚)「そうだ」
('A`)「と言っても、具体的にはどうすれば…」
( ゚∋゚)「勝つだけで良い」
('A`)「それだけですか?」
( ゚∋゚)「ああ…あいつは少し思い上がってる部分がある。それを気付かせてやって欲しい」
('A`)「…まあ、勝つだけで良いなら…」
( ゚∋゚)「本当なら、俺自らがあいつを倒そうと思ってたんだが…。俺ではあいつに勝てそうにないんだ」
('A`)「え?」
( ゚∋゚)「決勝で過去2回連続で負けていてな。…それもあって君に勝ちを譲った。だから頼んだぞ」
('A`)「…善処します」
( ^ω^)「次はいよいよネーノだお…」
('A`)「おう」
( ^ω^)「試合を1回もしてないから、あいつの情報だけはわからないお…」
('A`)「他の学年のヤツに知り合いでもいれば、情報は手に入ったかもな…」
( ^ω^)「後は、モナー先生に訊いてみれば何かわかったかもしれないお」
('A`)「あー…まあ後の祭りだな。いいよ、その為にコロコロ武器を変えてきたんだ」
( ^ω^)「自分の得意な武器とか戦い方を知らせないようにかお?」
('A`)「そーいうこと。これなら、相手に対策をされる心配もない。…じゃ、そろそろ行ってくる」
( ^ω^)「ドクオ…絶対優勝するお!」
―闘技場―
( `ー´)「…よう、来たか」
('A`)「どーも、先輩」
( `ー´)「決勝まで勝ち進むとはな。魔法も使えないくせになかなかやるじゃネーノ」
('A`)「クックルさんも補助魔法が使えないのに2年連続で決勝まで行ったみたいじゃないですか」
( `ー´)「…あの筋肉バカか?あいつに何吹き込まれたんだ?」
('A`)「…あんたに勝ってくるように」
( `ー´)「俺が負ける?ネーヨ。それが不可能だって事、すぐに思い知らせてやるってーの」
審判が手を振り上げる。
( `ー´)「…俺との試合対策か知らねーけど、試合ごとに武器を変えてたみたいだが、そんなの意味ネーノ」
('A`)「…どういう事だ」
( `ー´)「お前の武器は双剣か」
('A`)「…だからどうしたんだ」
( `ー´)「誰がどんな武器を持とうが関係ネーノ」
審判が手を振り下ろした。
( `ー´)「どんな武器持とうが、俺の補助魔法の前では意味がないんだってーの」
ネーノはファイティングポーズをとる。
('A`)「!!」ズ…ン
( `ー´)「…重力の補助魔法の前ではな」
('A`)「くそ…そんなモノまでアリなのかよ…」
( `ー´)「安心しろよ?ちゃんと審査基準でしか重力の枷付けないからよ」
('A`)「くっそ…!」ググッ
( `ー´)「お!驚いたじゃネーノ。結構素早く動けるんだな。
俺には十分すぎるくらい遅いけどな!…じゃ、始めようじゃネーノ」
('A`)「…」グッ
( `ー´)「…安心しろ、すぐには終わらせネーヨ。
こちとら、1試合しか出来なくて消化不良決定だってーの」
('A`)「フン…」
( `ー´)「のんびりまったり痛めつけてやろうじゃネーノ」
('A`)「…行くぞ!」ダンダンダン!
( `ー´)「ブハハ!そんなに踏み鳴らさねぇと走れないのか…遅え!」シュシュ!
ドド!
('A`;)「ぐ…」
( `ー´)「軽いだろ?ほら、お前も攻撃してこいってーの!」
('A`)「…言われるまでもねぇ!」ビュン!
( `ー´)「おっと…惜しかったじゃネーノ!鈍くさすぎるったらねーけどな!」
('A`)「…くそっ!」
( `ー´)「だけどまあ、今まで戦ってきた中で一番良い動きが出来てるよ、お前は」
('A`)「…」
( `ー´)「だからよっと!」シュ!
ドゴッ!
('A`;)「がっ!」
( `ー´)「…もっと楽しませてくれってーの」
('A`;)「…っの野郎!」ブン!
( `ー´)「おっと」ヒュ…シュシュシュ!
ドドドン!
('A`;)「ぐっ…げほっ!」
( `ー´)「おいおい、まさかもう終わりじゃねーよな?
これで終わりなら、まだあの筋肉バカ殴ってた方が楽しかったってーの」
('A`;)「なんだと…」
( `ー´)「あいつは図体でかくてタフだから、殴り倒しがいがあるんだってーの」
('A`)「…なあ、お前はクックルさんの友達じゃないのか?」
( `ー´)「クックルが?…そんなこともあったけどな、今はそんな関係じゃネーノ。
弱いヤツは俺の側にいる資格はないんだってーの。と言っても、この学校には強いヤツはいねーんだけどな。
俺と一緒にいられる強いヤツがいるとしたら、やっぱり親衛隊くらいじゃネーノ?ハハハ!」
('A`)「…こんな腐ってるヤツの目なんか本当に覚めるのかよ」
( `ー´)「あん?」
('A`)「不可能だって言ったよな?俺が勝つのは」
( `ー´)「言った。お前が俺に勝てる確率はゼロだ。この状況を見てみろ?
お前が勝てる要素は何処にある?お前を倒そうと思えば、次の一撃で倒せるんだってーの」
('A`)「…じゃあやってみな」
( `ー´)「…」
('A`)「次の一撃で倒してみろよ。もし俺が勝ったらクックルさんに土下座してもらうからな」
( `ー´)「…言うじゃネーノ。ドゲザってーのがイマイチわからねーが、なんでもやってやろうじゃネーノ」
( `ー´)「それじゃ、覚悟しな…」ズンッ
('A`)「…」
( `ー´)「軽くとはいえ、重力を集めたこのパンチは効くってーの…」グ…
('A`)「御託はいいんだよ、早く来い」ググ…
( `ー´)「…後悔するんじゃねーぞ!」ゴォッ!
ドガァッ!
( `ー´)「…あ?」
('A`)「…確かにちょっと重かったな、そのパンチ」
ドクオは双剣を交差させて、拳を防御していた。
( ;`ー´)「な…!何で防いでるんだ!」
('A`)「お前のパンチは見切ったから」ヒュン
( ;`ー´)「そう言う事じゃネーノ!何で重力かけてるのにそんな動けるんだってーの!」
('A`)「…体が慣れたから」
( ;`ー´)「ふざけるんじゃねえ!そんなすぐに慣れるか!」
('A`)「どうでもいいだろ、そんなこと。とにかく俺は、お前に絶対に勝たなきゃいけないんだよ」
( `ー´)「…クックルの件か?」
('A`)「それとはまた別件で約束してるんだ。…あいつを守るためにな」
( `ー´)「…」
('A`)「本当はこんな戦い方はしたくなかったんだけどな。
だけど、お前のお陰で俺は強さの証を一つ手に入れた。あとはもう一つだ」
( `ー´)「証?」
('A`)「ネーノ、アンタを倒して、この大会で優勝することだよ」
( `ー´)「…こんな戦い方したくなかったとか、強さの証だとか意味不明だってーの。
俺にはお前の都合なんざ関係ない。倒すか倒されるかで良いじゃネーノ」
('A`)「…そうだな」
( `ー´)「本気で行くぞ」
('A`)「もう魔法は効かないぞ」
( `ー´)「もうそんなもの使うつもりもねーよ」
('A`)「じゃあ…行くぞ!」ヒュ!
( `ー´)「ふん!」ガッ!
ドクオの斬撃に対し、ネーノは手甲で刃を反らす。
('A`)「まだまだ!」ビュビュン!
( ;`ー´)「くっ…!」ガガッ!
('A`)「重力で動きを鈍らせたヤツとしか相手しなかったから、腕が鈍ってるんじゃねーのか!?」
( ;`ー´)「っっ!黙れ!」シュ!
ガキィン!
('A`)「…クックルさんの一撃はもっと重かったぞ」
( ;`ー´)「…!!」
('A`)「…ハアア!」ヒュオ!
ドガガッ!
( `ー´)「…ぐ………くそ…」
ドサ…
どくおがイケメンすぎる
俺と同じぐらいかっこいいな
やだ…ドックン格好いい///結婚して!
―闘技場・一般観客席―
( ^ω^)「勝ったのかお…?」
ξ゚⊿゚)ξ「…勝ったわね」
ζ(゚ー゚*ζ「ですね…」
(´<_` )「おいおいマジかよ。あっけなさ過ぎだろホントに」
( ´_ゝ`)「勝ちは勝ちだろ。それ以上でもそれ以下でもない」
(-_-)「…よかった…」
―闘技場―
/ ,'3 「クックル」
( ゚∋゚)「はい」
/ ,'3 「今年は惜しくも3位になってしまったな」
( ゚∋゚)「ええ、出来れば一度くらいは優勝を経験してみたかったのですが、それは俺に実力がなかっただけのこと。
それに、優勝以外の目的は無事に達成できました」
/ ,'3 「そうか。何にせよ、3位入賞おめでとう」
( ゚∋゚)「ありがとうございます」
/ ,'3 「ネーノ」
( `ー´)「…」
/ ,'3 「今年は優勝できなくて残念だったの。…今の気分はどうかの?」
( `ー´)「…フン」
/ ,'3 「…ま、これからが大事なんじゃよ。準優勝おめでとう」
( `ー´)「…」
/ ,'3 「そしてドクオ」
('A`)「はい」
/ ,'3 「正直驚いたわい。魔法が使えない身で、まさか1年で優勝するとは」
('A`)「…はい」
/ ,'3 「…もしかして、何か使った?」
('A`)「…実はガッツリ」
/ ,'3 「…ふむ、それもお主の実力じゃ。ひけらかすような事じゃないが、自信を持ってええとは思うぞ。
とにかく、1年での優勝という快挙を成し遂げたわけじゃ。おめでとう」
('A`)「ありがとうございます」
/ ,'3 「さて、お集まりの皆々様方。
本日は忙しい中、この様な催し事にお集まりいただいて感謝申し上げる」
闘技場内はしんと静まりかえった。
/ ,'3 「さて、3年連続優勝を期待されたネーノだったが、惜しくもそれを逃す結果になってしまった。
まずは、彼の健闘を讃えて、拍手を送っていただきたい」
( `ー´)「…」
観客席から、われんばかりの拍手がわき起こる。
/ ,'3 「さりとて、彼はとても優秀な人材であることは紛う方なき事実。
それをお忘れなきようお願い申し上げる。続いてクックル」
( ゚∋゚)「…」
/ ,'3 「彼も3年連続入賞を果たすが、奇しくも今一歩優勝に手が届かなかった。
魔法を使わずにこの快挙を成し遂げた彼に、どうか盛大な拍手を送っていただきたい」
/ ,'3 「そして、ドクオ」
('A`)「…」
/ ,'3 「彼も魔法を使わずに、そして優秀なクックルでさえ成し遂げられなかった優勝を手にした。
しかも1年目にしてである。まるで、かつての親衛隊隊長のフサギコ殿を彷彿とさせるようではござらんか?」
闘技場のあちらこちらで、同意するような頷く動作が見られた。
/ ,'3 「彼に今後のさらなる活躍を期待して、より一層盛大な拍手をお願いしたい」
スカルチノフ、出場者、観客一同による、長い長い拍手が行われた。
/ ,'3 「…このように、我が校には優秀な人材が溢れている。もちろん、今大会に参加していない者も含めてです。
いずれは兵士や傭兵となり、皆様方のお役に立つ日が来ることでしょう。中には魔王を倒す存在が現れるやも知れませぬ」
/ ,'3 「我が校の生徒達の活躍を期待して、最後にもう一度大きな拍手を」
…
……
………
―王立士官学校・教室―
( ´∀`)「ドクオ君、本当におめでとうだモナ」
( ^ω^)「おめでとうだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「おめでとう」
ζ(゚ー゚*ζ「おめでとうございます」
( ´_ゝ`)「「おめでとうリア充」」(´<_` )
(-_-)「…おめでとう」
('A`*)「…ありがとうございます。…ところでクーは?」
( ´∀`)「まだ用事から戻ってこられないそうだモナ。残念モナ」
('A`)「そうですか…」
( ´∀`)「モナ。それと、さっきお城の遣いの人から伝言を預かったモナ」
('A`)「伝言…。会食がどうのってやつですか?」
( ´∀`)「そうモナ。明日、昼過ぎにこの書状を持って城まで来て欲しいそうだモナ。
詳しいことは中に書かれているそうだモナ」カサ
モナーは、丁寧に折りたたまれた手紙をドクオに手渡す。
('A`)「じゃあちょっと失礼して…」ビッ…カサカサ
手紙の開封を済ませ、中の手紙を取り出してひろげる。
('A`)「…何々」
('A`)「えー―武術大会優勝者ドクオ様」
( ´_ゝ`)「挨拶の文なんかどうでも良くないか?」
('A`)「…それ言ったらツムラに怒られるぞ。まあ良いけど。
えっと―素晴らしい功績を上げた貴殿を祝したい為、下記の日時に城を訪ねていただきたい。なお…」
ξ゚⊿゚)ξ「なお?」
('A`)「…ブーン・ホライゾン及びツン2名の出席もお願いするものである」
( ^ω^) ξ゚⊿゚)ξ「「…」」
( ^ω^) ξ゚⊿゚)ξ「「は?」」
昼―王都・王城前―
( ;^ω^)「…なんでブーンもなんだお?何か悪いことでもしたかお?逮捕されるのかお?」
('A`)「知らん。同じ文書で呼びだしたことを考えると、それはない気がするけどな」
( ^ω^)「…確かにそうだお。焦って損したお」
('A`)「…悪いことをした心当たりがあるのか」
( ^ω^)「ないお」
('A`)「じゃあいつまでも突っ立ってないで、さっさと行こうぜ」
ξ゚⊿゚)ξ「ほら、行くわよブーン」
( ;^ω^)「わ、わかったお…。って言うかなんで二人はそんなに落ち着いていられるんだお?
仮にも王様の住んでいるところに押しかけるのに、緊張しないのかお?」
('A`)「…なんだろうな。王様っていう存在の不鮮明さというか何というか…」
( ^ω^)「そう言えばドクオは記憶喪失だったおね」
('A`)「…ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
('A`)「ま、それはそうとだ。待たせちゃ悪いし行くぞ」
( ^ω^)「わかったお」
('A`)「…改めて近くで見ると、かなりでかい城だな」
白い石造りの城。頑強な造りではあるが、決して厳ついわけでなく、どこか清廉さも感じられる。
しばらく城に見とれていると、城門前を巡回中の兵士より声が掛けられた。
城門兵「こんにちは。どの様な用件ですか?」
('A`)「あ…俺、ドクオって言います。先日の武術大会優勝者の…」
城門兵「ああ、伺っております。念のため、書状を拝見させてください」
('A`)「…はい」カサ
ドクオは書状を取り出し、兵士へと手渡す。
城門兵「はい、確かに。お二人がホライゾン様とツン様でいらっしゃいますか?」
( ^ω^) ξ゚⊿゚)ξ「「はい」」
城門兵「それでは城内へと案内をさせていただきます。こちらへどうぞ」
―王城・客室―
城門兵「では、こちらの部屋でしばらくおくつろぎください。城内は好きに見学されて構いませんので。
なにかございましたら、お近くの兵士かメイドに申しつけください」
('A`)「はい、ありがとうございます」
城門兵「では失礼いたします」
ギィ…バタン
( ^ω^)「…すごい部屋だお」
ξ゚⊿゚)ξ「こんなの初めてだわ…。なんなのこの調度品」
( ^ω^)「ソファーもふっかふかだ…」
( ^ω^)「お…」
('A`)「…?どうした?」
( ^ω^)「…緊張のしっぱなしでトイレに行きたくなったお」
('A`)「…」
( ^ω^)「…トイレはどこかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「さあ?」
( ^ω^)「まずいお…限界が近いお…」
('A`;)「おいおい勘弁してくれよ?ちょっと誰かに訊いてくるから我慢しろ!」
( ^ω^)「頼ん…だ…お」
…
……
………
('A`)「まったく、騒がせやがって…」
ξ゚⊿゚)ξ「ホントね…」
('A`)「そう言えばさ、ツンと二人きりになったことってなかったな」
ξ゚⊿゚)ξ「…そうね。…ねえ」
('A`)「ん?なんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「…大事な…話があるの」
('A`)「大事な話?」
ξ゚⊿゚)ξ「…まず、一つ確認したいことがあるの。答えてもらっていい?」
('A`)「…まあ俺に答えられることならな」
ξ゚⊿゚)ξ「大分前にした話を掘り返すことになるんだけどさ…」
('A`)「?」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ…アンタ、本当に異世界から来てないの?」
('A`)「…」
ξ゚⊿゚)ξ「あのやりとりの後も、色々考えてみたの。
アンタが私に、召喚された者が帰る方法を訊いたときのこととか」
ξ゚⊿゚)ξ「…思い返してみると、色々とおかしい場面が多かった。だから…」
('A`)「…そうだな、例えば俺が異世界から本当に来たとする。それが事実だとして、何か問題でもあるのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「…本当にそうならば、私はアンタに謝らなくちゃいけない」
('A`)「…おい、それってどういう…」
ξ゚⊿゚)ξ「私が、アンタを喚んだのかもしれないってこと…」
('A`)「…」
ξ゚⊿゚)ξ「アンタ、あの時怒ってたわよね?何も知らずに喚び出された者にそんなこと関係あるかって」
('A`)「…ああ、そうだな」
ξ゚⊿゚)ξ「確かに、私は今まで召喚の利便性だけを考えて異世界の住人を使役してたわ…。
住人達も喜んで来てくれてるって…。けど、もしアンタがその何も知らずに喚び出された者だというなら、私は謝らなくちゃいけない」
('A`)「…」
ξ゚⊿゚)ξ「…だから教えて。お願い…」
('A`)「…ツンが俺を喚び出した証拠はあるのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
ξ゚⊿゚)ξ「…およそ1年とちょっと前に、私は召喚を行おうとして失敗した」
('A`)「失敗?」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。今思えば失敗でも何でもなかった。現にアンタがここにいるんだから」
('A`)「…なんでツンはその時失敗だと思ったんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「…ノームを召喚するときに見たことあると思うけど、召喚の際は魔方陣が浮かんでくるわ」
('A`)「あの時の黄色い陣か…」
ξ゚⊿゚)ξ「それね。因みに召喚する際は、召喚する世界を象徴する色をイメージするの。
ノームは地の世界の住人だから、黄色の魔方陣だった」
ξ゚⊿゚)ξ「…話がそれちゃってごめん。あの時は魔方陣を描いてる感覚はあったんだけど、
私の目の前に魔方陣が現れなかったの。それで…」
('A`)「…失敗だと考えたのか」
ξ゚⊿゚)ξ「うん…」
('A`)「…時期的に考えても、ほぼ同じだな」
ξ゚⊿゚)ξ「…じゃあやっぱり」
('A`)「…ああ、俺は異世界から来た。ツンに召喚されてきたと考えても間違なさそうだな」
ξ゚⊿゚)ξ「…それなら、改めて謝らせて」
('A`)「いや、いい」
ξ゚⊿゚)ξ「え、何で…?」
('A`)「あの時は俺もカッカしちゃって済まなかった。いつかちゃんと謝ろうと思ってたんだけどな」
ξ゚⊿゚)ξ「アンタが謝ることないじゃない。元を正せば私が悪かったんだし…」
('A`)「いやな…実を言うと、ツンには感謝してるんだよ。この世界に喚んでくれたことをな」
ξ゚⊿゚)ξ「へ?」
('A`)「まあ詳しい話は恥ずかしいから割愛させてもらうが」
ξ゚⊿゚)ξ「う、うん…」
('A`)「俺が怒ったあの時点ではもう既に、とにかくあることをやり遂げるまでは、俺は元の世界に帰らないつもりでいたんだ。
…それなのに、あの時は随分身勝手なヤツだって思って怒っちまった。…悪かった」
ξ゚⊿゚)ξ「ううん、それでもやっぱり私が悪いんだから…」
('A`)「いや、そんなことは…って、何か水掛け論になりそうだからやめるか。
召喚の件で訊きたいことがあるし、よければ答えてくれないか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね…。私に答えられることなら何でも答えるわよ」
('A`)「そうか、ありがとう」
ξ゚⊿゚)ξ「ううん…罪滅ぼしってわけじゃないけど、そんなことで良いならいくらでも」
('A`)「ただ、訊きたいことって言っても一つだけなんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「そう、何?」
('A`)「ツンがどういった意志をもって俺を喚んだのか、ということだ」
ξ゚⊿゚)ξ「…つまりは帰る方法ってことね?」
('A`)「ああ…だけど帰るために訊くんじゃない」
ξ゚⊿゚)ξ「どういう意味?」
('A`)「俺は俺の目的を達成するまでは帰らない。
だから、何をしてしまうと帰らされてしまうのかを、俺は知りたい。…ツンには悪いんだけどな。」
ξ゚⊿゚)ξ「…ううん、仕方ないもの。その権利がドクオにはあるわ」
('A`)「本当にすまない…」
ξ゚⊿゚)ξ「うん。…私の意志はね…」
…
……
………
( ^ω^)「暇だおねー」
('A`)「そうだなー。…二人で城内の見学にでも行ってきたらどうだ?」
ξ;゚⊿゚)ξ「へ?」
( ^ω^)「ドクオはどうするんだお?」
('A`)「俺は部屋でのんびりしてるから行ってこいよ。昨日の疲れがまだ残っててな」
( ^ω^)「わかったお!それじゃ行くお?」
ξ*゚⊿゚)ξ「う、うん…」
ガチャ…バタン
('A`)「(帰る方法…はっきりしたんだかしないんだか…)」
コンコン…
('A`)「ん…?どうぞ」
ガチャ…
(゚、゚*トソン「や」
('A`)「お、ツムラ。どうした?」
(゚、゚トソン「うん…。えっと、優勝おめでとうって言いにきたんだ」
('A`)「そうか、ありがとう。立ってないで部屋に入ったらどうだ?」
(゚、゚トソン「そうだね、お邪魔します」
バタン…
(゚、゚トソン「改めて…優勝おめでとう、ドクオ」
('A`)「ああ、ありがとう」
(゚、゚トソン「王室の観覧席からずっと見てたよ。やっぱり強いね」
('A`)「いや、俺なんてまだまだだけどな。…実は魔法使ったし」
(゚、゚トソン「やっぱりそうだったんだ。ネーノの時に動きが急に変わったからおかしいと思った」
('A`;)「あれってやっぱり反則か?スカルチノフ校長は容認してくれてたけど…」
(゚、゚;トソン「う~ん…。魔法無しでフェアに戦ったと考えればなくはない…かな…」
(゚、゚トソン「それはそうと、会食の時はよろしくね」
('A`)「そう言えばツムラも会食に参加するんだっけ」
(゚、゚*トソン「うん。ちょっとおめかしもするから…期待しててね」
('A`)「ん?おお」
(゚、゚トソン「食事もとっても美味しいから、ブーンとツンにも期待するように言っておいて」
('A`;)「あ!」
(゚、゚トソン「どうしたの?」
('A`;)「クーだよクー!」
(゚、゚トソン「…クーさん?」
('A`;)「すっかり忘れてたんだけど…会食にクーも参加させてやれないかと思ってたんだ」
(゚、゚トソン「…そっか」
('A`)「ブーンとツンは招待されたんだけどさ、クーはやっぱりダメなのかな?」
(゚、゚トソン「…大丈夫だよ。今回はドクオの友人として、あの二人は呼ばれたんだ。
…だからクーさんも招待はされてるはずだよ」
('A`)「本当か?よかった…」
(゚、゚トソン「うん…それじゃ、あたしはそろそろ行くね」
('A`)「おう!色々ありがとうな!」
夕方―
ξ゚⊿゚)ξ「それにしても遅いわね。会食とやらはまだかしら」
コンコン…
( ^ω^)「お?もしかしたらこれかお?」
('A`)「そうかもな。…どうぞ」
ガチャ…
メイド「失礼いたします。会食の準備が整いましたので、ご案内に参りました」
ξ゚⊿゚)ξ「やっとね。待ちくたびれたわ」
( ^ω^)「それじゃ行くお!」
―王城・食堂―
( ^ω^)「おー…」
部屋の中には、10人が並んでもまだ余裕がありそうな長さのテーブルがあり、白いクロスが掛けられている。
また、テーブルの上には花瓶と燭台が載っており、それがまた高級感を醸し出している。
メイド「それではこちらにお掛けください」
3人は案内された席へと腰掛ける。
メイド「まもなくトソン・ツムラ様、王女様、国王様がお見えになりますので、もう少々お待ちください」
そう言うと、メイドは部屋から退室した。
ξ゚⊿゚)ξ「…これは中々体験できるものじゃないわね」
( ^ω^)「ドクオには感謝しないとだお。ブーン達は友人として呼ばれたんだお?」
('A`)「まあそうらしいな」
ξ゚⊿゚)ξ「食事も美味しいらしいじゃない。楽しみだわ」
ガチャ…ガチャ…
('A`)「ん?具足の音?」
ギィ…
兵士「…失礼します。王女様達がお見えになりましたので、ご起立願います」
( ;^ω^)「は、はいですお」ガタッ
ξ゚⊿゚)ξ「はいはい」ガタッ
('A`)「…」ガタッ
兵士「ありがとうございます。それでは…ご入室ください」
入り口から、ドレスを纏った女性が入ってくる。そして、
リハ*゚ー゚リ「あ!あの人が優勝した人!?キャー!」
嬌声。
('A`)「へ?」
次いでトソンが入室する。
(゚、゚トソン「そうですけど、少し落ち着いてください」
リハ*゚ー゚リ「えへへ。話には聞いてたけど間近で見るのは初めてだもん」
('A`)「えっと…」
リハ*゚ー゚リ「初めまして!私はアイシスです。王女をやってます!」
('A`)「あ、はい。俺…わたしはドクオと申します」
リハ*゚ー゚リ「うんうん。キミの事は色々とあの子から聞いてるよ」
('A`)「あの子?」
リハ*゚ー゚リ「そろそろ入ってきたら?」
部屋の外へそう声を掛けると、ドレスを纏った女性がもう一人入ってきた。
川 ゚ -゚)「…やあ、ドクオ」
( ^ω^)「お」
ξ゚⊿゚)ξ「あ」
('A`)「よお、クー…ってなんだその格好」
川 ゚ -゚)「む、このドレス似合わないか?私も着慣れていないせいで違和感があったんだが…」
('A`)「いやいや、綺麗だけどさ…。なぜにドレスなんだ」
兵士「…お客人、そろそろ言葉遣いを慎んでいただけますかな?王女様に失礼です」
('A`)「え?アイシス王女にですか?」
兵士「あの方は諦めてます」
リハ*゚ー゚リ「むぅ」
兵士「クール第2王女様に対して言葉を慎んでください、と言ってるのです」
('A`)「クール」
( ^ω^)「第2」
ξ゚⊿゚)ξ「王女様」
川 ゚ -゚)「呼んだか?」
('A`) ( ^ω^) ξ゚⊿゚)ξ「「「…は」」」
('A`;) ( ;^ω^) ξ;゚⊿゚)ξ「「「はああああああああああああああああああああああああああああ!?」」」
('A`;)「え?どゆこと?」
川 ゚ -゚)「簡単に説明するとだな、身分を偽って生活をしていたことになる。
クールが本名でクーというのは偽名…というほどのものでもないか」
( ;^ω^)「今まで王女様と一緒に生活をしていたことになるのかお…。
えーっと、今まで大変失礼しましたお…」
川 ゚ -゚)「言葉遣いは今まで通りでいい。呼び方もクーのままで頼む。
クーの方が好きなんだ。それと兵士もそう目くじらを立てないでくれ。私の友人なんだ」
兵士「…かしこましりました」
ξ゚⊿゚)ξ「まさか王女様だったなんてね。
何でクーを差し置いて私たちが友人として招待されてるのかと思ったわ」
('A`)「あれ?でもツムラはクーを招待してって言ってたよな」
(゚、゚トソン「…ふんだ」
('A`)「?」
リハ*゚ー゚リ「それじゃ、いただきます!」
一同「いただきます」
('A`)「って、王様がまだ来てないんだけど…」
川 ゚ -゚)「あの人は忙しいからな。また仕事が入ってしまったんだろう」
(゚、゚トソン「先に食べてていいって言ってたわ」
('A`)「それなら良いんだけどさ」
リハ*゚ー゚リ「それじゃドクオ君に質問のコーナー!はい!どうぞ私!…いいかな?」
('A`;)「…はい、どうぞ」
リハ*゚ー゚リ「クーちゃんとドクオ君は一緒に旅をしてきたそうですが」
('A`)「はい」
リハ*゚ー゚リ「二人はどこまでいったのかな?」
('A`;)「…はい?」
(゚、゚トソン「むっ…」
( ^ω^)「おっおっ」
ξ゚⊿゚)ξ「ほう…」
('A`;)「…どこまでって…なぁ?」
川 ゚ -゚)「うむ。王都までだが?」
('A`)「…」
リハ*゚ー゚リ「…そういうことじゃないよ、クーちゃん」
川 ゚ -゚)「む?」
('A`)「お約束だな…」
ガチャ
「楽しそうにやってるじゃないか」
食堂の入り口が開けられると、男の野太い声が聞こえた。
('A`)「ん?」
声の主と思われる男は空いている席にどっかりと腰掛けると、威厳たっぷりに言い放った。
「ほう、お前がドクオだな?」
('A`)「はい、そうですが…」
「中々良い面構えしてやがる。どうだい?この後俺と一緒に」
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i r-ー-┬-‐、i
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N| "゚'` {"゚`lリ や ら な い か
ト.i ,__''_ !
/i/ l\ ー .イ|、
,.、-  ̄/ | l  ̄ / | |` ┬-、
/ ヽ. / ト-` 、ノ- | l l ヽ.
/ ∨ l |! | `> | i
/ |`二^> l. | | <__,| |
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.| {.| ` - 、 ,.---ァ^! | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l
__{ ___|└―ー/  ̄´ |ヽ |___ノ____________|
}/ -= ヽ__ - 'ヽ -‐ ,r'゙ l |
__f゙// ̄ ̄ _ -' |_____ ,. -  ̄ \____|
| | -  ̄ / | _ | ̄ ̄ ̄ ̄ / \  ̄|
___`\ __ / _l - ̄ l___ / , / ヽi___.|
 ̄ ̄ ̄ | _ 二 =〒  ̄ } ̄ / l | ! ̄ ̄|
_______l -ヾ ̄ l/ l| |___|
('A`;)「…えっと」
リハ*゚ー゚リ「何言ってるの?お父さん」
N| "゚'` {"゚`lリ「はは、ちょっとしたジョークだ」
川 ゚ -゚)「紹介しよう、この人がこの国の王、アベ国王だ」
N| "゚'` {"゚`lリ「よろしくな、少年」
('A`;)「…はい」
来年も楽しみにしてるぜ
今年も楽しませてくれそうだ。期待してる。
N| "゚'` {"゚`lリ「「…で、そっちの二人はクールの友人か?」
( ;^ω^)「は、はいですお。ブーンと言いますお、王様」
ξ゚⊿゚)ξ「私はツンよ」
N| "゚'` {"゚`lリ「二人のことはジョルジュとプギャーから色々聞いてるぞ。
街をいくつか救ってくれたみたいだな。礼を言う」
( ;^ω^)「こ、光栄ですお。でも当然のことをしたまでですお」
リハ*゚ー゚リ「ブーン君だっけ?そんなに緊張することないよ。
そんなに堅苦しい言葉も遣わなくていいよ」
( ^ω^)「でもお相手は王様ですお?緊張するなって言う方が無理ですお…」
N| "゚'` {"゚`lリ「そうだな、普段であれば俺も気を遣うなとでも言っただろうが、今日はちょっと違う。大事な話をしに来た」
リハ*゚ー゚リ「え?」
N| "゚'` {"゚`lリ「本来であれば、今回の会食の出席者は武術大会優勝者のドクオだけだった。
だが、俺はドクオ以外の人間の同席を許した。クール本人に、信頼に足る友人を選定させてな」
(゚、゚トソン「…」
川 ゚ -゚)「どういうことだ…」
N| "゚'` {"゚`lリ「言わなくとも察しはついているだろう?クール、お前の魔王討伐の旅における同行者だ。
まあ、選定させた意味なんて、ほとんど無いに等しいがな」
( ^ω^)「え?」
ξ゚⊿゚)ξ「は?」
川 ゚ -゚)「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「正式な通達は後日出すつもりだ。今日は事前に知らせておきたくて喚んだ」
ξ゚⊿゚)ξ「…訊きたいんだけど」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、いいぜ」
ξ゚⊿゚)ξ「…他にも強い人はいっぱいいるじゃない。何で私たちが魔王を退治しに行かなきゃならないの?」
N| "゚'` {"゚`lリ「そうだな。正直、お前達より強い奴らはたくさんいる」
( ^ω^)「じゃあ…」
N| "゚'` {"゚`lリ「お前達はフサギコの事は知ってるか?」
( ^ω^)「…?もちろんですお。この国一番の騎士様ですお」
ξ゚⊿゚)ξ「やたらと強いって話らしいじゃない、その人」
N| "゚'` {"゚`lリ「概ねその認識であってる。一緒に旅をしたそっちの二人は言わずもがなだな?」
('A`)「…ええ」
川 ゚ -゚)「…ああ」
ξ゚⊿゚)ξ「で、その人が一体何なの?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、そのフサギコの行方がわからなくなってだな」
( ^ω^) リハ*゚ー゚リ「「え?」」
('A`)「…」
ξ゚⊿゚)ξ「…話が見えてこないわ。私たちが魔王を倒しにいく話にも繋がるとは思えないんだけど」
N| "゚'` {"゚`lリ「順を追って説明する。まあお前達の認識通り、フサギコはこの国最強の騎士だ」
( ^ω^)「でも、その最強の人が行方不明なんて…」
N| "゚'` {"゚`lリ「それだよ」
( ^ω^)「え?」
N| "゚'` {"゚`lリ「実はな、フサギコにはある任務を負ってもらっていたんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「任務?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ。ずばり魔王の討伐任務だ」
( ^ω^)「魔王…」
N| "゚'` {"゚`lリ「いつだったか、北方で魔王らしき存在が確認された。
その存在の確認と、場合に依っては討伐すること。これがフサギコの任務だった」
ξ゚⊿゚)ξ「魔王だとか、魔王らしきとかはっきりしないわね…」
N| "゚'` {"゚`lリ「その存在の確認が取れてないからな。
どちらにせよ、砦を丸ごと消すようなやつは放っておけなかった」
ξ;゚⊿゚)ξ「…砦を丸ごと?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、人間業じゃない。魔王か魔王の仲間の仕業と見て間違いないだろう。
何にしろ、ただ者ではない事はわかってた。そこで、フサギコに出張ってもらったわけだが…」
('A`)「…そいつにやられて行方不明」
N| "゚'` {"゚`lリ「…そう言うことだ」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなに強い人までやられちゃうなら、私たちが行ったところで尚のことどうしようもないじゃない」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、そうだな。相手はフサギコを伸しちまうやつなんだからな。
この国にあいつを超えるやつは、現時点ではまずいないだろう」
( ;^ω^)「だったら、その魔王らしき存在はもう倒せないってことかお…?」
N| "゚'` {"゚`lリ「武術で挑んだんじゃダメだろうな。…なあ、召喚師?」
ξ゚⊿゚)ξ「…知ってたのね。人が悪いわ」
N| "゚'` {"゚`lリ「すまねえな。だが、ジョルジュとプギャーから、二人のこと色々聞いてるって言ったろ?」
( ^ω^)「じゃあ…」
N| "゚'` {"゚`lリ「ブーンは光の魔法が使えるんだってな?まだまだ発展途上らしいが。
しかし光の魔法が途絶えて久しい中、これは朗報だった。とても強力と聞くからな」
N| "゚'` {"゚`lリ「強力な魔法を使えるやつが2人もいるんだ。何とかなると思わないか?」
( ^ω^)「だけど王様が仰っていたように、光の魔法は使えてもまだまだ未熟なんですお」
N| "゚'` {"゚`lリ「何、いざという時は優勝者がいるから問題ないだろ」
アベの熱い視線がドクオに注がれる。
('A`)「…え、俺?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、そうだ。武器のみで優勝したと聞いた。
そして、お前の魔法は召喚魔法より特別なモノだ」
('A`)「召喚魔法より特別…?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ん?クールから聞いてないのか?」
('A`)「…はい」
川 ゚ -゚)「…ドクオ、済まない。時期が来たら話すつもりでいたんだ。…後少しだけ待って貰えないか?」
('A`)「もちろんだ。あまり気にするな」
( ^ω^)「っていうかドクオ、魔法使えたのかお?」
('A`)「ああ、まあな…。黙ってて悪かったとは思ってる」
( ^ω^)「別に気にしてないお!何か事情があったって事くらいはわかるお!
だけど、どんな魔法が使えるのかくらいは今教えてくれないかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね、アンタがひた隠しにしてきた魔法がどんなものか興味あるわ」
リハ*゚ー゚リ「あ!私も知りたい!…ね、お父さん」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ。寧ろ見せてくれないか?報告では聞いていたが、俺も初めて見るからな」
( ^ω^)「お!それは良いアイディアですお!」
('A`;)「えっと…」
川 ゚ -゚)「いいんじゃないか?振るわなければ危険もないし」
(゚、゚トソン「うん、みんな見たがってるし…。…あたしも見たいし」
('A`)「…まあいいか」
('A`)「…じゃあいきます」
( ^ω^)「わくわく」
('A`)「…ほい」シュウ
気合いのない声とともに現れたのは、一振りの刀だった。
( ^ω^)「…お?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ほう…」
リハ*゚ー゚リ「えっと…」
ξ゚⊿゚)ξ「何それ」
('A`)「俺の魔法は武器を創り出すことなんだ。んで、これは刀っていう武器なんだけど…」
リハ*゚ー゚リ「へぇ…」
ξ゚⊿゚)ξ「なんて言うか地味な魔法ね」
('A`)「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「…素晴らしい魔法だ」
('A`)「何て言うか…ありがとうございます」シュン
N| "゚'` {"゚`lリ「世辞ではないんだがな…。まあいい、とりあえず話を戻すぞ」
( ^ω^)「あ、失礼しましたお」
N| "゚'` {"゚`lリ「召喚魔法、光の魔法、そしてドクオの魔法と武術、こいつらが揃ったらなかなか太刀打ち出来るヤツはいないだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「ん、ちょっと待って。クーも魔王討伐に参加するのよね?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、もちろんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「クーも特別な何かを持っていると考えても?」
N| "゚'` {"゚`lリ「その通りだ」
( ^ω^)「おお。クーは何ができるんだお?」
N| "゚'` {"゚`lリ「それは…」
川 ゚ -゚)「私から説明する。…私は氷の魔法以外に、回復の魔法が使える」
( ^ω^)「回復の魔法?聞いたことないお。ツンはあるかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、ないわね…」
('A`)「?」
川 ゚ -゚)「実際にやって見せた方が早いだろう。ドクオ、こっちに来てくれないか?」
('A`)「ん…?ああ」
川 ゚ -゚)「武術大会でできた痣を見せてくれ」
('A`)「えっと、腹なんだけど…」
川 ゚ -゚)「じゃあ上着を捲ってくれ」
('A`)「…腹出すの、ちょっと恥ずかしいんですが」
川 ゚ -゚)「何故?とにかく捲ってくれないことには、私の魔法が見せられないんだが」
('A`)「はあ…わかったよ…」グイ
( ^ω^)「…結構大きな痣だお。これをどうするんだお?」
川 ゚ -゚)「この痣を治癒する…この様にな」パアァァァァ
ξ゚⊿゚)ξ「…痣が消えた」
( ^ω^)「これが回復の魔法かお」
川 ゚ -゚)「ほとんどのケガはこれで治療できる」
( ^ω^)「ケガが治せるのは確かに便利だお!…だけど」
N| "゚'` {"゚`lリ「何か問題でも?」
( ^ω^)「えっと、仮にもクーは王族なわけで、何で魔王討伐っていう危険な旅に出なければいけないんだお?」
(゚、゚トソン「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「鋭いな。…これは俺から説明しよう。いいな?」
アベはトソンへと視線を向け、確認をとる。
(゚、゚トソン「…お願いします」
N| "゚'` {"゚`lリ「簡単に言ってしまうとだな、予見だよ」
ξ゚⊿゚)ξ「予見?」
N| "゚'` {"゚`lリ「王室には未来を視ることができる魔法の使い手がいてな。
そいつは、クーが魔王討伐の旅に出る未来を視たそうだ」
( ^ω^)「未来を?それはすごいお!一体どんな人なんだお?」
(゚、゚トソン「…私の母様よ」
( ^ω^)「トソンのかーちゃんかお?じゃあ…」
リハ*゚ー゚リ「トソンちゃんも、予見の魔法の使い手だよ」
( ^ω^)「そりゃすごいお!じゃあじゃあ、例えばブーン達が魔王を無事に倒して帰ってこれるかもわかるのかお?」
N| "゚'` {"゚`lリ「それは無理な相談だな。トソンの母はもうこの世にはいないからな」
( ;^ω^)「お…。ごめんだお、トソン…」
(゚、゚トソン「気にしないで」
ξ゚⊿゚)ξ「な、ならトソンならわかるんじゃないの?」
(゚、゚トソン「それがね、私の力じゃそこまで遠い未来は視られないの…」
N| "゚'` {"゚`lリ「それについては、生前のトソンの母親が何度も視ようと試みたが、結局視られなかったらしい。
これが嘘か本当か、もう確認のとりようがないんだがな」
N| "゚'` {"゚`lリ「さあ、どうだ?」
( ^ω^)「お?」
N| "゚'` {"゚`lリ「他に知りたい事はないか?なければ、近いうちに出立してもらうんだが」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと待って。私たちが旅に出ることはもう決定事項なわけ?」
N| "゚'` {"゚`lリ「そうだ。ついでに言うとだな、髪を左右両サイドで結った女」
ξ゚⊿゚)ξ「は?」
N| "゚'` {"゚`lリ「常時ニヤケ面の男」
( ;^ω^)「ブーンのことかお?」
N| "゚'` {"゚`lリ「冴えない男」
('A`)「俺か…」
N| "゚'` {"゚`lリ「今言った3人がクーの旅に同行したのを、トソンの母親が視たらしくてな。
正直に言って、さっき述べた理由なんてのは取って付けたモンだ。
悪いが、是が非でもお前らには旅に出てもらう。それが俺に出来る最善の選択だ」
いよいよ討伐の旅がはじまるのか!
次回も期待してるぜ
( ^ω^)「…」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「ムシのいい話だとは思ってるさ」
ξ゚⊿゚)ξ「え?」
N| "゚'` {"゚`lリ「お前達国民を守るのが、王である俺の義務であり使命だ。
しかし実際には違う。兵士には死地に赴くように命令を下し、俺はこうしてのうのうと生きている」
( ^ω^)「そんな…王様が死んだら誰がこの国を導いて行くんですかお」
N| "゚'` {"゚`lリ「その通りだ。俺が死んだら、この国は国として機能しなくなるだろう。要は人類の危機だ。
アイシスやクールもいるが、如何せん若い。民の信用を得るにはそれなりの時が必要なんだよ。
本当なら俺が直接戦いに行きたいところだが、俺が死んだら国そのものが死ぬ」
N| "゚'` {"゚`lリ「死ぬのはいつも俺より若い連中ばかりだ。王なんかでなければ…いつだってそう考える。
…都合の良い言い訳にしか聞こえないかもしれないがな。
だが俺は王だ。私情は挟めない。だから、お前達に命ずる他ない」
アベは話し終えると、一つ小さなため息をついた。
会食の場は、すっかり重苦しい空気に満たされていた。
('A`)「…俺は」
しばしの沈黙の後、ドクオが口を開いた。
('A`)「俺は、行きます。…元よりそのつもりでした」
川 ゚ -゚)「ドクオ…」
N| "゚'` {"゚`lリ「…そうか、ありがとう」
('A`)「お礼なんて言う必要ないですよ。俺は、俺の意思で行こうと思ったんです」
N| "゚'` {"゚`lリ「それでも言わせてもらおう。…そっちの二人はどうだ?」
( ^ω^)「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「そう簡単に覚悟できない事くらい分かってる。何せ若いからな、無理もない」
( ^ω^)「いえ…若さを理由に断ろうと思ってはいないですお。
いずれは、ブーンも魔王を倒す兵士になろうと思ってましたお。それが多少早まっただけでしたからお」
N| "゚'` {"゚`lリ「なら何故だ?」
( ^ω^)「ブーンは…魔王を倒しに行く資格があるとは思えないんですお」
リハ*゚ー゚リ「資格?」
( ^ω^)「…悔しいけど、ブーンは決して強くはないですお。
学校を卒業すれば、それなりにはなれたかもしれないですがお」
N| "゚'` {"゚`lリ「時期が早かった…と?」
( ^ω^)「…その通りですお」
N| "゚'` {"゚`lリ「予知でお前の姿が写されたって言うだけじゃ、魔王を討伐しに行く理由にはならないか?」
( ^ω^)「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「そうか…。…そっちはどうだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「…悪いけど、私は行く理由が見あたらないわ」
N| "゚'` {"゚`lリ「何?」
ξ゚⊿゚)ξ「報告で聞いてるかと思うけど…私は魔物を呼び寄せるわ」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、プギャーやフサギコから聞いている」
ξ゚⊿゚)ξ「そう。だけど、それも今となっては形を潜めてる。
始めは、ここの学校だったら対処法が見つかると思ってたんだけど、その必要も無くなったわ。
正直に言って、私は兵士になるとかどうとか、興味なかったのよ。だから、私は行かないわ」
N| "゚'` {"゚`lリ「なるほどな…まあいい。どういう答えを出そうが、お前達には討伐に行ってもらう」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「…アイシス、クール、後で謁見の間まで来なさい」
リハ*゚ー゚リ「うん」
川 ゚ -゚)「…わかった」
アベは最後にそう言い残すと、席を立った。
―王城・廊下―
(゚、゚トソン「…実はね」
あの後重い空気のまま会食を終え、学校へ戻る為に王城の廊下を歩いていると、ふとトソンが口を開いた。
(゚、゚トソン「あたしも魔王の討伐の旅に付いて行っちゃダメか、陛下に聞いたんだ」
('A`)「…そうか。何て言われたんだ?」
(゚、゚トソン「…ダメだってさ。予知の魔法は母様が亡くなった今、私にしか残されていない。
ある意味でこの国を導く力を持つお前は、絶対に行かせるわけには行かない…」
('A`)「…まあ至極当然な判断だな」
(゚、゚トソン「まだあたしが死ぬと決まったわけじゃないのに…」
('A`)「そりゃそうなんだけどな」
(゚、゚トソン「…ねぇ」
トソンは足を止めた。
('A`)「ん?なんだ?」
(゚、゚トソン「…あたしもこっそり旅に付いて行こうか?」
('A`)「いやいや、国王のアベさんにはっきりダメって言われたんだろ?」
(゚、゚トソン「だから、こっそりと」
('A`;)「う~ん…」
(゚、゚トソン「…ダメ、かな」
('A`;)「ダメって言うか…」
(゚、゚トソン「…あたしはドクオの役に立ちたいの。だから…」
('A`)「俺の役に?」
(゚、゚トソン「うん…」
(゚、゚トソン「あたしはね、本当だったら既に2回死んでいた」
('A`)「え?」
(゚、゚トソン「1回目はあなたを尾行した、あの森の中で魔物に殺されてたはずだった。
2回目は実地演習に行ったあの街で、岩の槍に突き刺さって死ぬはずだった」
('A`)「何を言ってるんだよ。ツムラは今生きてるじゃないか」
(゚、゚トソン「そう、私は生きている。私は自分の死を予知していたの。だけどその2回とも、あなたに救われた」
('A`)「そうか…」
(゚、゚トソン「それまで、予知は絶対に避けられない運命みたいなものだと考えてた。
事実、予知の内容が外れる事なんて今までなかったからね。
だけど、その考えが間違ってたいうのがわかったの。ドクオのお陰で…」
('A`)「…」
(゚、゚トソン「予知の内容なんてものは、案外簡単に変えられるものなんだ。
今回母様が残した予知だって、あたしが旅に参加するだけで簡単に変えられてしまう。
予知に縛られてしまうなんて、本来は良くないことなの、きっと」
(゚、゚トソン「…2回もあなたに救われたこの命。あなたの為に役に立てたい。
だから、どうかあたしも旅に連れて行ってくれませんか…?」
('A`)「……俺さ、ツムラの話を聞いて思ったんだけど」
(゚、゚トソン「うん」
('A`)「…ごめん、やっぱり連れていけない」
(゚、゚トソン「!!!……なん、で」
('A`)「…誤解しないで欲しいんだけどな、ツムラが足手まといとか、決してそう思ったからじゃないんだ。
ただ、ツムラのかーちゃんの予知には理由があったのかなってな」
(゚、゚トソン「え…?」
('A`)「何でブーンと、ツンと、クーと、俺だけで魔王の退治に行く必要があったのか?
ツムラはもちろんアニジャやオトジャ、デレにヒッキー、戦い慣れしているところで言えばクックルさんやネーノ。
みんな一緒だっておかしくはないはずだろ?」
(゚、゚トソン「あ…」
('A`)「ツムラのかーちゃんの予知は、きっと何か意味があるんだ。
…確かに予知に縛られる必要はないけどさ、その予知の意味を考えるのも、時には必要なんじゃないかな」
('A`)「何て言うか、偉そうなことばっかり言って悪かったな」
(゚、゚トソン「ううん。ドクオにはいつも気付かされてばかりだね…」
('A`)「まあそんなわけでな、魔王討伐の旅には連れていけない。
ツムラには、何か大切な役目があると思うんだ…ごめんな」
(゚、゚トソン「気にしないで。あたしに何が出来るかわからないけど…でも、一生懸命考えてみる」
('A`)「ああ」
(゚、゚トソン「…あの」
('A`)「ん?」
(゚、゚トソン「最後に2つだけ、お願いがあるの」
('A`)「?俺に叶えられることならいいけど」
(゚、゚トソン「1つは簡単な事だから大丈夫。もう1つはちょっと大変だけど…」
('A`)「そか。で、どんな内容なんだ?」
(゚、゚*トソン「う、うん。…あたしのこと、トソンって呼んでくれない?」
('A`)「へ?そんなことでいいのか?」
(゚、゚トソン「む…簡単な事とは言ったけど…。そもそも何であたしだけファミリーネームなの…」
('A`;)「あ、いやスマン。特に気にしたことは無かったんだけど…。強いて言えば第一印象か?」
(゚、゚;トソン「…やっぱり悪かった?」
('A`;)「ま、まあそれなりに…インパクトあったからな…。あ、今は全然そんなことないからな?」
(゚、゚トソン「うん…。じゃ、さ…」
('A`)「…ああ、トソン。これでいいか?」
(゚、゚*トソン「…うん」
('A`)「それで、2つめのお願いって言うのは?」
(゚、゚トソン「うん…2つめのお願いはね、どうか無事でいてください」
('A`)「…」
(゚、゚トソン「どうか無事に、みんなで一緒に帰ってきてください」
('A`)「…ああ、必ず」
―王都・王城前―
( ^ω^)「ドクオ、遅いお!」
('A`)「悪い悪い」
ξ゚⊿゚)ξ「トソンも見送りありがとう」
(゚、゚トソン「ううん、何でもないわ、こんなこと。…それより、今日の会食なんだけど…」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ…私もちょっと大人げなかったかもだけど。でも、あんな頼み方ってないと思うわ」
(゚、゚トソン「そうね。でも、陛下も切羽詰まった状態だから…。
フサギコが抜けた穴って言うのは、思っている以上に大きいの」
( ^ω^)「…ここ最近は平和に学校生活が送れていたけど」
('A`)「ちょっと考えを改める必要はありそうだな」
―王城・謁見の間―
リハ*゚ー゚リ「お待たせ」
川 ゚ -゚)「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ、良く来てくれた」
川 ゚ -゚)「早速だが、どういった用件なんだ?」
N| "゚'` {"゚`lリ「…クー、お前に謝りたくてな」
川 ゚ -゚)「私に?今日の会食のことか?」
N| "゚'` {"゚`lリ「それもある。お前の友人を見定めるような真似をしてすまなかった」
川 ゚ -゚)「…別にいいさ。しかし、それ『も』という事は、別件で謝りたいことが?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ。…お前には小さな頃から苦労をかけてばかりだったからな。
それと、予知でのお前の使命についてもだ」
川 ゚ -゚)「なんだ、そんなことか」
N| "゚'` {"゚`lリ「そんなことか、で済むほど些細なことか?
予知の為に辺境の村まで行くことになったんだぞ?歳も10になるかならないかだったのに」
川 ゚ -゚)「もちろん、始めは恨んださ。何で私だけなのかと。魔法の希少性で言えば、父上と姉様と大して変わらないはずだと」
リハ*゚ー゚リ「クーちゃん…」
川 ゚ -゚)「でも、なんだかんだで住めば都でな。王都にはないものばかりで新鮮でもあった。
それと…使命ではあったが、相手がどんな人物か、会うのがちょっと楽しみでもあった」
N| "゚'` {"゚`lリ「ほう…。で、会ってみてどうだった?」
川 ゚ -゚)「…会った当初は、ちょっと情けなかったかな」
リハ*゚ー゚リ「あはは、なんとなくわかる気がする」
川 ゚ -゚)「まあ旅をしていくうちに、結構頼りになるようになってな」
…
……
………
N| "゚'` {"゚`lリ「…いい友人を持ったようだな」
リハ*゚ー゚リ「うん、私でもそこまで仲の良い友人はいないかなってくらい」
川 ゚ -゚)「そうなのか?」
リハ*゚ー゚リ「うん。代わりに、私が辺境の村に行けば良かったって思うくらいにね」
川 ゚ -゚)「ふむ…」
N| "゚'` {"゚`lリ「何にしろ、送り出した身ではあるが楽しんでやっていたみたいで良かった。
…お前には、重い使命を負わすことになって本当に済まないと思っている。
他に何か手立てがあればと思ったが…フサギコでさえダメだったからな」
川 ゚ -゚)「…気にするな、とは言わない。だけど、辺境の村に行ったこと自体は後悔していない。
寧ろ感謝しているくらいなんだ。彼に会えて、ようやく私の使命にも意味が持てたし、この世界を守るっていうのも悪くない気がしてきたから」
N| "゚'` {"゚`lリ「…そうか。それを聞けて、少しは救われた気分だ」
川 ゚ -゚)「私も、父上の立場を理解していないわけじゃないからな」
N| "゚'` {"゚`lリ「…ありがとう、クール」
川 ゚ -゚)「ああ…」
リハ*゚ー゚リ「?…ねぇ、あれって何かな?」
―王都・王城前―
('A`)「…じゃあ、やっぱり魔王討伐には行かないのか?」
( ^ω^)「うん…ブーンには不相応だと思うお」
('A`)「そうか…」
(゚、゚トソン「ツンも?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうかしらね。何か目的でもあれば違うんだろうけど…」
(゚、゚トソン「目的?」
ξ゚⊿゚)ξ「(ドクオも今はまだ元の世界に帰らないって言ってるし…。することはないのよね…)」
「た、大変だ!」
4人が王城前で雑談をしていると、1人の王都の住民が息も絶え絶えに駆け込んできた。
城門兵「どうされました?」
王都民「ま、魔物が王立士官学校に…溢れて…!」
( ^ω^) ξ゚⊿゚)ξ 「「「「!!!」」」」 ('A`) (゚、゚トソン
城門兵「わかりました!至急、兵を向かわせます!」
王都民「お、お願いします!今は学生達が応戦してますが…堪えきれずに街の方にも魔物が向かって…!」
('A`)「よし、俺たちも…」
すぐに学校へ向かおう、ドクオがそう言いきる直前にペンダントが輝き始めた。
('A`)「!」
( ^ω^)「どうしたお!?早く行くお…ってなんだお、それは?」
既に駆け出そうと準備をしていたブーンだったが、ドクオが言いかけて止めたことを不審に思い、振り返った。
(゚、゚トソン「そのペンダントは…」
('A`)「…すまない、俺は行けない」
( ;^ω^)「え?…ってどこに行くんだお!?」
ドクオは先ほどまでいた城内へと駆けていった。
(゚、゚トソン「…」
兵士「城門兵!城門兵はいるか!?」
ドクオと入れ違いに、城内から兵士が慌ただしい様子で出てきた。
城門兵「ちょうど良かった!これより応援の要請に向かおうかと!」
兵士「…応援?街でも何かあったのか!?」
城門兵「王立士官学校に魔物が現れたの報が入りましたが…まさか?」
兵士「城内からも魔物が出現した。手の空いた兵士の召集を掛けられないかと思ったんだが…クソッ!」
ξ゚⊿゚)ξ「そんな…」
(゚、゚トソン「…あたしは城内へ応援に向かいます。何ができるかわからないけど」
( ^ω^)「…わかったお」
(゚、゚トソン「ええ。…では」タッタッタ…
ξ゚⊿゚)ξ「…」
( ^ω^)「ツン、大丈夫かお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン…どうしよう、私…」
( ^ω^)「…ツンはまず、城内へ応援に向かってくれお。ブーンは王立士官学校へ向かうお」
ξ゚⊿゚)ξ「え…?」
( ^ω^)「王立士官学校の魔物はブーンが食い止めるお!」
ξ;゚⊿゚)ξ「そ、そんな!無理よ!だって、最後にはいつも強い魔物が…」
( ^ω^)「だからこそ、だお。まずツンはここで、パパッと強い魔物も含めて倒してきてくれお!
そうしたら、すぐに学校まできてくれお?それまでは何とか食い止めてみせるから。
ツンの召喚魔法なら可能だお?今までだって、ツンの召喚魔法は敵無しだったお?」
ξ゚⊿゚)ξ「…うん」
( ^ω^)「…それじゃそろそろ行くお。手遅れにならないうちに」
ξ゚⊿゚)ξ「うん、すぐに行くから待ってて」
( ^ω^)「任せたお!」ダッ
ξ゚⊿゚)ξ「…ありがとう、ブーン」タタッ
少しの間、ブーンの背中を見送ると、ツンも王城内へと向かって駆け出した。
―王立士官学校・正門―
( ;^ω^)「…もしかして心配いらなかったのかお?」
学校へ到着するも、あらかた魔物は倒されて地に伏していた。
( ^ω^)「…いや、まだ終わりじゃないお。…そこのキミ!」
生徒「ん?俺?」
( ^ω^)「そうだお!この魔物はどこから湧いてでたお?」
生徒「さあ…俺も直接見たわけじゃないけど。確か校庭の方角からって誰かが騒いでたな」
( ^ω^)「ありがとうだお!ところで他の生徒は?」
生徒「街に逃げ出した魔物を追いかけて行ったヤツがほとんどだけど…俺は面倒だからここに―」
( ^ω^)「キミも!今すぐに街に避難するお!」
生徒「へ?な、なんで」
( ^ω^)「何でもだお!ほら、さっさと行くお!」ビュオオオオ!
生徒「うわあああああああああ!?」
( ^ω^)「これでよし…と」
中々校外へと避難しない生徒を、風の魔法で無理矢理吹き飛ばすと、校庭へ向かって走って行った。
―王立士官学校・校庭―
( ^ω^)「…あれは」
( ´_ゝ`)「ようブーン、どこ行ってたんだ?手柄は全部この俺が頂いた後だぜ?」
恐らく最前線で戦っていたのであろう、そこにはアニジャとオトジャ、そしてヒッキーがいた。
( ^ω^)「…今すぐここから避難するお」
(´<_` )「ん?何でだ?」
( ^ω^)「魔物はこれで全てじゃないんだお。最後にメチャクチャ強いヤツが…」
(´<_` )「どういうことだ?」
( ^ω^)「…いや、やっぱり人手があった方が助かるおね!魔物がどこから湧いたかわかるかお?」
(-_-)「…それなら…こっち…」
( ^ω^)「そっちかお?」
ヒッキーに案内を頼もうとした矢先、校庭中央付近が緑色に輝き出す。
( ^ω^)「あそこかお…」
続いて烈風が吹き寄せる。
( ;´_ゝ`)「うお!なんじゃこの風は…!」
(´<_` )「あの魔物は…」
非常に大きな体躯の狼が魔方陣の上に現れた。
(-_-)「…」
響狼「…」
その身に風を纏い、右前足には鉤手甲を装着している。
(´<_` )「…あれがさっきブーンが言ってた…」
響狼「スゥ…ボッ!」
軽く一呼吸入れ、吐き出した風の弾は一直線に煉瓦造りの倉庫へと向かって行った。
ドッゴァァアアアアア!
(´<_` ;)「…メチャクチャ強い魔物?」
ガラガラガラ…
煉瓦造りの倉庫は、着弾した風の弾の風圧で倒壊した。
―王城・謁見の間―
N| "゚'` {"゚`lリ「…魔物か」
謁見の間に、魔物が数体躍り込んできた。
狼型魔獣、岩石魔獣等、見たことのある魔物が数体。
リハ*゚ー゚リ「何でこんなところに…」
川 ゚ -゚)「…もしや」
N| "゚'` {"゚`lリ「ああ…。アイシス、クール、下がってろ」
リハ*゚ー゚リ「私も戦うよ?」
川 ゚ -゚)「私もだ」
N| "゚'` {"゚`lリ「ここは俺に任せろ。…クールに父親らしい所を見せたいんでな」
リハ*゚ー゚リ「何言ってるんだか」
N| "゚'` {"゚`lリ「偶には良いもんだろう?」
川 ゚ -゚)「来たぞ!」
魔物は3人を襲おうと、一斉に駆け出した。
N| "゚'` {"゚`lリ「させねえよ。…お前らを『封印』する」ヒュゥン…
魔物の群「…!」
アベが手を前方にかざすと魔方陣が出現し、魔物は魔方陣に飲み込まれ消えていった。
N| "゚'` {"゚`lリ「…然るべき時に解錠して処分させるか」
川 ゚ -゚)「…久しぶりに見たが」
リハ*゚ー゚リ「相変わらず酷い魔法だよね」
N| "゚'` {"゚`lリ「アイシス、お前も使えるじゃねえか」
リハ*゚ー゚リ「えへへ」
( ^Д^)「陛下、ご無事ですか?」
N| "゚'` {"゚`lリ「おう、遅えよ。俺が退治しちまった」
( ^Д^)「いやいや、封印を解除した後で退治するのは俺らですからね?」
遅れて到着したプギャーはアベと軽口を叩く。
N| "゚'` {"゚`lリ「ところでジョルジュはどうした?」
( ^Д^)「いや、『デレちゃんが!』とか叫んで城の外出て行っちゃいましたけど」
N| "゚'` {"゚`lリ「あいつ…」
川 ゚ -゚)「…まだだ」
( ^Д^)「おっと、そうでしたね。…構えろ」
数名の親衛隊員及び兵士はプギャーの指示通りに武器を構え、アベ達を囲んで護衛する。
( ^Д^)「離れないようにお願いします。ではこちらへ」
「やっとこの時が来ましたか…」
( ^Д^)「!」
謁見の間の入り口へと到着すると、背後から声が聞こえた。
「待ち遠しかった…」
( ^Д^)「…」
いつの間にか、謁見の間の中央には魔方陣が描かれていた。
魔方陣を形作る線は黒、否、それよりも濃い、闇そのものであった。
そして、不意にその姿を現した。
悪魔「今日、この日が訪れることが…」
遅れて魔方陣より、禍々しい筒状の何かが浮かび出てくる。
( ^Д^)「…何者だ?」
その禍々しい筒状の何かは弾けると、1本の剣が姿を現した。
悪魔「私の名はソムニオン。…初めまして、忌まわしき血族」
ソムニオンの鋭い眼光が、アベ、アイシス、クーの三人を捉えた。
アベ国王がカッコいい!いい男!
―王立士官学校・校庭―
( ;^ω^)「…だお」
(´<_` ;)「だよなぁ…。一撃で建物倒壊させるとか尋常じゃないぞ…」
( ´_ゝ`)「なぁなぁ、この風ってあいつから吹いてるんだよな?」
アニジャがあいつと呼称した響狼を指差して言うとおり、先ほどからの強風は彼の者から吹いているようだった。
(´<_` )「あ?言われてみればそうだな…」
( ´_ゝ`)「だろ?あいつのいる所からここまで結構距離あるけど、かなり強い風吹いてるよな」
( ^ω^)「確かに…。近くにある木なんかしなってるお」
( ´_ゝ`)「あいつが近くに寄って来たらどうなるんだろうな」
( ^ω^)「どうなるってそれは…」
(´<_` )「ここでこの強風だからな。普通に吹き飛ばされるんじゃないか?」
( ^ω^)「常識的に考えたらそうなるお」
その時、響狼は顔をこちらに向けた。
響狼「…」
( ^ω^)「お、こっち向いたお」
(´<_` )「だな」
次に体をこちらに向け、歩き出す。
近づくにつれ、その風の勢いは増してゆく。
( ´_ゝ`)「近づいてくるな」
(-_-)「…うん」
(´<_` )「ちょっとこれは…」
( ^ω^)「…まずいんじゃないかお?」
そして、響狼は駆け出した。
( ;^ω^)「風が…っ!」
強風に煽られ、今にも吹き飛ばされそうになる。
( ´_ゝ`)「そろそろいいんじゃないのか?ヒッキー」
(-_-)「うん…フィールド…」
ふと強風が止む。
( ;^ω^)「…お?風が止んだ…?」
(´<_` )「風が止んだんじゃない。これはヒッキーの魔法なんだ」
( ´_ゝ`)「ヒッキーの魔法『領域』は、不可視の壁を作り上げて害をなすモノの侵入を阻むらしい」
( ^ω^)「初めて聞く魔法だお…だけど便利だおね」
響狼「ガアアアアァッ!」ダンッ!
(; ^ω^)「おおおっ!…壁が見えないから、何だか不安だお…」
(´<_` )「…俺たちが最前線で戦えていたのも、ヒッキーのこの魔法のお陰なんだ」
( ^ω^)「なるほどだお。じゃあ、後はここから魔法を使ってアイツを倒せば…」
( ´_ゝ`)「そう言うことだ。…ところでブーンは何の魔法が使えるんだっけ?」
( ^ω^)「ブーンかお?ブーンは風の魔法だお。だけどそれがどうしたお?」
( ´_ゝ`)「あれだけ強い風を纏ってるんだ。風に煽られて吹き飛ばされちまう魔法なんかじゃダメだろ?」
( ^ω^)「なるほどだお…。じゃあ残念だけどブーンはアウトだお。あの風以上の魔法はちょっと使えないお」
(´<_` )「だろうな…。城の兵士でもいないレベルだろうし仕方ない」
( ´_ゝ`)「残るは俺とオトジャとヒッキーか…」
( ^ω^)「アニジャとオトジャは…火だったかお?」
( ´_ゝ`)「「そうだ」」(´<_` )
( ´_ゝ`)「「ハモるなキメエ」」(´<_` )
( ^ω^)「火、だおか…。ちょっと厳しいかお?」
(´<_` )「だな…あんな強風じゃあ消されるのがオチだろう」
( ´_ゝ`)「後はヒッキーか。ヒッキーは何が使えるんだ?」
(-_-)「…無理…」
( ^ω^)「お?どういうことだお?」
(-_-)「…この魔法を使ってる間は…他の魔法は使えない…」
( ´_ゝ`)「それでさっきの戦闘でも何もしてなかったのか…」
(´<_` )「ちょっと待て。とすると、俺たちだけじゃどうすることも出来ないんじゃないか?」
( ^ω^)「確かに、ヒッキーにはこの魔法を維持していてもらわないと…」
ちらりと響狼を見やると、不可視の壁を破ろうと風圧弾を放ったところだった。
(;-_-)「…っ!」
ドォン!
( ^ω^)「…この壁の強度はどれくらいなんだお?」
(-_-)「…わからない。少なくとも、今まで破られたことは…一度もない。
…だけど、こんなに強力な攻撃を…受け続けるのは初めてだから…」
話している間にも、次々と風圧弾は不可視の壁に激突してくる。
(´<_` )「…そうか。いつまで持つか分からない以上、このまま助けを待つわけにもいかないな」
( ^ω^)「だけどどうするお?火と風じゃ、負けるのは目に見えてるお」
( ´_ゝ`)「…仕方ねーな」
(´<_` )「…使うか?アレを…」
( ^ω^)「?アレ…って一体なんだお?」
( ´_ゝ`)「何、俺らもヒッキーと同じで隠してた魔法があってな」
( ^ω^)「それがあれば勝てるのかお?」
(´<_` )「どうだろうな。火と風じゃあ相性が悪いからな…」
(; ^ω^)「お?結局火と風の魔法を使うのかお?」
(´<_` )「ああ、威力を高めてな。…正確には魔法を暴走させる」
( ^ω^)「暴走?」
( ´_ゝ`)「いつだったかモナー先生の授業で、マナが俺らのイメージを取り込んで魔法を発動するって言ってたよな」
( ^ω^)「…ハテ」
(´<_` )「…アニジャが言ったことは推測であって、分からない部分が多いって話覚えてないか?」
( ^ω^)「そういえばそんなこともあったような…」
( ´_ゝ`)「そしてそれは事実だ」
( ^ω^)「どうしてそれが分かるんだお?」
(´<_` )「俺らがマナの濃度を感覚で知り、操ることが出来ると言えば納得するか?
ま、どのみち目には見えないモノだから確認のしようもないんだけどな」
( ^ω^)「マナの濃度で魔法の威力が変わるのかお?」
( ´_ゝ`)「その通りだ。どんなに強くて破壊的な魔法をイメージしても、それを実現することはほぼ不可能だ。
なぜなら、空気中にあるマナの濃度はほぼ均一だからな」
(´<_` )「魔法に不慣れだったりすると、マナの濃度に関わらず威力が低かったりするが。
逆に熟練の魔法使いは、周りのマナを巻き込んで魔法を発動できたりするから威力が高い。
この辺りは感覚だけどな。だがこれにも限界がある」
( ´_ゝ`)「その限界を超えさせる事が出来るのが…俺たちだ」
( ´_ゝ`)「「流石だよな、俺たち」」(´<_` )
( ^ω^)「…マナの濃度を操れると言うことは、だお。あいつが発生させてる風もなんとかなるんじゃないのかお?」
(´<_` )「…それだ。マナの濃度を零にすることは出来ないが、弱めることは出来るかも知れない」
( ´_ゝ`)「それじゃ早速試して…」
アニジャは響狼へと視線を向け、意識を集中する。
( ^ω^)「…どうかお?」
( ´_ゝ`)「無理」
( ^ω^)「諦めるの早いお」
( ´_ゝ`)「いや、だって無理無理。俺が操れる以上のマナを、アイツの足に装着されてる鉤手がかき集めてるんだもん」
(´<_` )「あれは本当なんなんだろうな」
( ^ω^)「それじゃ、後は…」
( ´_ゝ`)「ああ、魔法の暴走以外にないな」
(´<_` )「因みに言うとだな、マナをかき集める作業ってのは想像以上に疲れる。
出来て1回、いや2回までだ。だから、外せない」
( ´_ゝ`)「魔法をより強化するために、俺とオトジャ二人でマナを集める。
ブーン、魔法はお前に任せたぞ」
( ^ω^)「…わかったお」
(´<_` )「魔法を発動させる場所を教えてくれ。そこにマナを集める」
( ^ω^)「この狼の背後…さっき倒壊した建物の周辺で頼むお」
( ´_ゝ`)「妥当だな。あそこなら集めたマナを逆に利用されることもないだろ」
(´<_` )「それじゃ…始めますか」
ヒッキーの引きこもりバリア便利だなー俺も欲しいぜ…
( ´_ゝ`)「「…ハアアア!」」(´<_` )
( ^ω^)「…」
( ´_ゝ`)「ぬぅぅぅぅぅん!」
(-_-)「…」
( ´_ゝ`)「ほぉぁあああああ!」
(´<_` )「…」
( #´_ゝ`)「ぶるああああああああ!」
(´<_` )「そろそろ黙ろうか」
( ´_ゝ`)「うん、ごめん」
( ;^ω^)「…お?もう終わったのかお?」
( ´_ゝ`)「実は始めの『…ハアアア!』で終わってた」
(´<_` )「ふざけてる余裕ないだろ、時間的に」
( ^ω^)「時間?」
( ´_ゝ`)「…マナだけをかき集めるのは簡単なんだ。一人当たりに集められる量に限度はあるけどな」
(´<_` )「マナを1カ所に留めておく方が辛いんだ。だから、早めに魔法を使ってくれた方が助かる」
( ;^ω^)「そう言うことは出来れば先に言うお!」
( ´_ゝ`)「悪い、ついうっかり」
( ^ω^)「…まあいいお」
( ^ω^)「…」
(-_-)「…魔法は決まった?」
( ^ω^)「ヒッキー…実はまだなんだお」
(´<_`; )「マジかよ。早くしてくれ」
( ^ω^)「そう言われても、いざ強力な魔法が放てるとなるとどうすればいいか…」
( ´_ゝ`)「そんなの簡単だろ。あの風の障壁を破れる形状の魔法を考えちまえばいいんだ」
( ^ω^)「例えば?」
( ´_ゝ`)「知らん」
(´<_` )「わからん」
( ^ω^)「お前ら…」
(-_-)「…槍」
( ^ω^)「お?」
(-_-)「…風の槍なんてどうかな…」
(´<_` )「…アリだな」
( ´_ゝ`)「それなら下手な魔法に比べて掻き消される心配もなさそうだな」
( ^ω^)「…そうだおね」
( ´_ゝ`)「…頼んだぞ、ブーン」
( ^ω^)「任されたお。…それじゃ行くお」
ブーン達と、魔法を発生させる地点の線上にいる響狼を見据え、イメージする。
ただひたすらに鋭く、速い魔法を描く。
( ^ω^)「…『ゲイルランサー』!」
そして、風の魔法の名を唱えた。
バリン!
( ^ω^)「お?」
魔法を唱えた瞬間、何かが割れるような音が聞こえ、
次いで響狼が肩口より鮮血を吹き出している姿が目に入った。
響狼「ガアアアッ!」
(´<_` )「速すぎてわからなかったが…やったか…?」
(-_-;)「…破れた」
( ^ω^)「…お?」
(´<_` )「…なんだって?」
( ´_ゝ`)「パンツか?」
(-_-;)「…違う。恐らく今の魔法で…フィールドが破れた」
( ;^ω^)「…そう言えば風が入り込んできてるお」
響狼「…グゥゥゥゥゥ」
(´<_`; )「くそっ!しぶといな、まだ生きてるぞ!」
( ;^ω^)「まずいお!ヒッキー、今のうちに早くフィールドの魔法を!」
(-_-;)「う、うん…」ヒュッ…
ヒッキーが不可視の壁の修復のために、壁を消した時間はほんの僅かだった。
( ;´_ゝ`)「…おい」
不可視の壁を再建したとき、ヒッキー達の領域に響狼はいた。
風は不思議と止んでいた。それもこの狼の意思なのか。
( ;^ω^)「どういうことだお…」
響狼「オオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!」
雄叫びとともに、暴風と衝撃が領域を支配した。
(メ ゚ω゚)「がっ!」
不可視の壁に叩きつけられ、一瞬意識がとんだ。
叩きつけられると、壁はふいに消えた。ヒッキーも叩きつけられ、集中が途切れたのだろう。
壁が消えたことで、今度は遠く地面へと吹き飛ばされた。
(メメ;'ω`)「……ぐ…ぉぉぉ」
響狼「グルルルル…」
(メメ;'ω`)「…勘弁、してくれお…」
何故そこに、目の前に立っているのか。先ほどの魔法の恨みなのだろうか。
そして、今度も風が止んでいる。
(メメ;'ω`)「(もしかして、また、さっきみたいのを食らうのかお…?)」
響狼「オ…!」
(メメ;'ω`)「(…来る…!)」
ドゴァ!
響狼「グァァアア!」
(メメ;^ω^)「…お?…助かった、のかお…?」
何か大きな物体が頭部にぶつかったらしく、響狼はよろめいていた。
「校外の魔物退治から戻ってきてみれば、ボロボロの下級生がいるじゃネーノ」
「…戻ってきて正解だったな」
(メメ;^ω^)「…あの人たちは…」
響狼「…グ、ルルルル…」
響狼は、不意打ちをしてきた相手を睨め付ける。
( `ー´)「行くぞ。クックル」
( ゚∋゚)「ああ」
( `ー´)「グラビティ!」
響狼「!」ズン!
( ゚∋゚)「ぬぅん!」ブォン!
クックルは再度、響狼に目掛けて鉄球を投げるが、暴風が発生しそれを阻む。
響狼「オオオオオオ!」ゴオオオオオ!
( ゚∋゚)「む…。これは厄介だな」
( `ー´)「こればかりは俺の重力じゃあどうにもできないってーの。お前の魔法は…」
( ゚∋゚)「俺に魔法を期待するか?」
( `ー´)「それもそうだな…っ!」
響狼「ガアアアア!」ゴオッ!
ズドオオォォォン!
( ;゚∋゚)「くっ…!こいつ!」
( ;`ー´)「…暴風を推進力にして突っ込んで来やがった…!」
( ;゚∋゚)「重力は!」
( `ー´)「まだ効いてるってーの!こいつおかしいんじゃネーノ!…グラビティ!」
響狼「グ…!」ズズン…
( ゚∋゚)「また風が発生する前に距離を置くぞ」ダッ
( `ー´)「わかってるってーの。とりあえず、あのボロボロのガキを回収するぞ」タタッ
(メメ^ω^)「助かったのか、お…」
響狼「スゥゥ…」
(メメ;^ω^)「!!…くっ…お…!危ないっ…!」
( `ー´)「あ?なんだってーの…」
響狼「ボッ!」
先ほど建物を破壊した風圧弾よりも、大きなモノが飛来する。
( ;゚∋゚)「なっ!」
( ;`ー´)「クソが!避け…!」
(メメ;^ω^)「…っ!」
「えいっ!」
ズドオオオォオォォォン!
( ;゚∋゚)「ぐっ…!」
( ;`ー´)「これは…見えない壁か…?」
ζ(゚ー゚*;ζ「ふぅ、なんとか間に合いましたね」
(メメ;^ω^)「デレ…?」
パリィン!
ζ(゚ー゚*ζ「あ、やっぱり壊れちゃった…。
魔法名も分からなかったし、不完全だったから仕方ないかな…」
(メメ;^ω^)「今のは…ヒッキーのフィールド?なんでデレが…」
ζ(゚ー゚*ζ「へえ、今のはフィールドって魔法なんですね?…えい、フィールド」
(メメ;^ω^)「え…」
( ゚∋゚)「風が…」
( `ー´)「止んだ…」
(メメ^ω^)「何でデレがその魔法を?」
ζ(゚ー゚*ζ「私、賢者ですから」
(メメ^ω^)「賢者、かお?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ、冗談ですけど」
(メメ;^ω^)「…わけわからんお。そもそも賢者って意味わからんお…」
( `ー´)「俺らの方がわけわからねーっての。一体何なんだお前は」
ζ(゚ー゚*ζ「私はデレです。因みに、一部を除くあらゆる魔法が使えます」
( `ー´)「…マジかよ」
ζ(゚ー゚*ζ「マジです。他人が使った魔法のマナの痕跡を利用し、魔法の『真似』ができるんです。
所詮真似事なので威力等は劣化しますし、痕跡もそこまで長く持たないので何とも微妙ですが」
( `ー´)「…痕跡とか、更に訳のわからねーこと言うんじゃネーノ。
とにかく、お前の力があればアイツは倒せそうだな」
ζ(゚ー゚*ζ「それはどうでしょう。
先ほども言いましたが、ただの『真似』なので、他の人が魔法を使った後でないと…」
(メメ^ω^)「…デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「はい?」
(メメ^ω^)「あの場所の魔法のマナの痕跡、わかるかお?」
ブーンが指さした先には、壊された建物があった。
ζ(゚ー゚*ζ「…マナが乱れに乱れてますね」
(メメ^ω^)「…やってみてくれるかお?」
ζ(゚ー゚*ζ「…やってみましょう」
( `ー´)「あ?何するんだ?」
(メメ^ω^)「先輩達は、魔物をあそこから動かさないようにしてくれますかお?」
( `ー´)「おい、説明しろ」
( ゚∋゚)「…ああ」
( `ー´)「…チッ。…勝手にしろよ」
(メメ^ω^)「どうもですお」
ζ(゚ー゚*ζ「ブーン君、場所は?」
(メメ^ω^)「…アイツの真上、頼めるかお?」
ζ(゚ー゚*ζ「分かりました。…では、フィールドを解きます。準備はいいですか?」
(メメ^ω^) コクリ
( ゚∋゚)「ああ」
( `ー´)「…」
ζ(゚ー゚*ζ「…行きます!」
ζ(゚ー゚*ζ「…ハッ」
( `ー´)「…グラビトン!」ズズン!
響狼「…ガアアアアア!」ズォォォォ…
( ゚∋゚)「風か!させるか!」ギュォ!
響狼「ガッ!」ゴッ
(メメ^ω^)「…まだかお!?」
ζ(゚ー゚*ζ「…出来ました!」
(メメ^ω^)「行くお!…『レイ』」
カッ
( ;゚∋゚)「うお!」
夜闇より、無数の光の線が響狼へと音もなく降り注ぐ。
ζ(゚ー゚*ζ「うわぁ…」
刹那の閃き。それが連続し、夜闇を明るく照らし出す。
( `ー´)「…」
たった数秒の出来事だったが、周囲が通常の夜の暗さを取り戻した頃には全てが終わっていた。
(メメ^ω^)「…」
響狼「…」ドサ…
デレちゃんすごいぜ!流石俺のデレちゃん!
クックルとネーノが仲良くなってるwwwwなんか嬉しいwwwwww
―王城・謁見の間―
N| "゚'` {"゚`lリ「…忌まわしき血族?何のことだ?」
悪魔「…ご存じないですか。それも無理からぬ事。だが、真実を知らぬ事、それも一つの罪と言えましょう」
リハ*゚ー゚リ「血族?罪?私たちの先祖が何かしたの?あなたは何を知っているの?」
( ^Д^)「姫、危険です。お下がりください」
悪魔「…ふむ、あの方に良く似ている」
リハ*゚ー゚リ「あの方?質問に答えて」
悪魔「さてね。…あなたも王族ですか?」
ソムニオンは、クーを見据えて問う。
川 ゚ -゚)「…だとしたら、どうする?」
悪魔「…そうですね。今の質問に意味など大してありません」
( ^Д^)「は?」
悪魔「だってそうでしょう?あなた達兵士は何の為にここにいるのですか?」
( ^Д^)「…」
悪魔「そう、王とその継承者を守る為です」
N| "゚'` {"゚`lリ「…貴様はどこまで知っている?」
悪魔「大方のことは知っていますよ。…あなた方3人のうち、誰かが『神』の魔法を継承していることも」
リハ*゚ー゚リ「!」
川 ゚ -゚)「…」
N| "゚'` {"゚`lリ「…良く知っているな。だが、それがどうした?」
悪魔「…先ほども言ったように、質問に意味などありません」
悪魔「『神』の魔法を誰が継承していようが、関係のないことだからです」
( ^Д^)「…構えろ」チャッ
親衛隊員1「…」チャッ
親衛隊員2「…」チャッ
悪魔「私が全てまとめて闇へ誘うのですから…」
( ^Д^)「放て!」
親衛隊員1「サンダーブレイド!」バババッ
親衛隊員2「エアスラスト!」シュオオオ!
悪魔「私に魔法は効きませんよ」パシィ…ン
( ^Д^)「!」
N| "゚'` {"゚`lリ「その剣は…!」
悪魔「随分今更ですね。これは私の物でしたからね。砦を消した際に返してもらいましたよ」
N| "゚'` {"゚`lリ「砦…。貴様の仕業だったのか。だとすると、フサギコも貴様が…!」
悪魔「ええ、とても勇敢で、とても強い戦士でした。障害として、全力で排除させていただきましたが」
リハ*゚ー゚リ「そんな…!」
( ^Д^)「隊長が…。…魔法が掻き消されたのは、その剣の影響か」
悪魔「その通りです」
N| "゚'` {"゚`lリ「貴様の物とはどういう事だ?」
悪魔「言葉通りの意味ですよ。さて、これ以上問答する気はありません。闇に消えていただきましょう…」オ…ン
突如、クー達の足下を闇が這った。
N| "゚'` {"゚`lリ「…っ!」
リハ;゚ー゚リ「きゃっ!」
川;゚ -゚)「くっ…これは…」
( ;^Д^)「足がとられて動きが…!」
悪魔「闇に飲まれることに痛みは生じません。安心してください」
N|;"゚'` {"゚`lリ「貴様、魔王の配下なのだろう!?世界をどうするつもりだ!」
悪魔「察しの通り、私は魔王の配下です。
そして、私たちが世界をどうしようとしているか、あなた達もよくご存じなのでは?」
川;゚ -゚)「…私たちが訊きたいのは、何故世界を滅亡させようとしているかだ!
何の目的を持って、その様なことをするんだ!」
悪魔「問答は終わりだと言ったはずです」ズ…
( ;^Д^)「…!闇が這い上がって…!」
リハ;゚ー゚リ「やだやだ!」
川;゚ -゚)「…っ!キュア!」パアァァァ…
川;゚ -゚)「くっ…効かない…!?」
悪魔「…あなたが『神』の魔法の継承者でしたか。しかし無駄ですよ。
傷を負わせたワケではないですし、そもそもそう言った用途に使える魔法ではないはず」
N|;"゚'` {"゚`lリ「…随分と詳しいじゃないか!」
悪魔「当然ですよ。…それではそろそろお別れです。
王とその一族がいなくなり、国民の絶望に陥った顔を見せられないのは残念ではありますが」
( ;^Д^)「悪趣味なヤツめ…!」
悪魔「悪趣味で結構。それではごきげんよう…」
N|;"゚'` {"゚`lリ「くっ!ここまでなのか!」
川;゚ -゚)「いやだ…!」
リハ;゚ー゚リ「クールちゃん…」
川; - )「私は必ず守ると約束したんだ…!それなのに…!」
悪魔「………終わりにしましょう」
「させるかあああああ!!」
川;゚ -゚)「!」
悪魔「!?」
('A`#)「らあああああっ!」ブン!
パシィ…ン
ドクオが左手に持つ剣を振るうと、闇は霧散していった。
N|;"゚'` {"゚`lリ「!闇が…」
( ^Д^)「消えた…?」
悪魔「これは…!」
('A`)「くらえっ!」ビュッ
闇を掻き消しながら駆け抜け、右手に持つ゛斬れぬモノはない゛刀で斬りかかる。
悪魔「…」バサァッ!
しかし宙に飛ばれ、それは難なく躱された。
('A`)「くそ…」
悪魔「…魔法を打ち消したその剣、どこで手に入れたんですか?」
('A`)「答えてやる義理はない」
悪魔「…」
川;゚ -゚)「ドクオ!」タタッ
('A`)「クー、ケガはないか?」
川 ゚ -゚)「ああ…さっきのは一体…」
('A`)「…この剣を持っていてくれ」
そう言うと、ドクオは左手に持つ剣を差し出した。
川 ゚ -゚)「これは?」
('A`)「゛魔法を打ち消す゛剣だ。魔法に必要なマナが存在出来ない空間を周囲に作り出す」
川 ゚ -゚)「そんなことが可能なのか…?」
('A`)「武術大会と、今ので実証済みだ」
悪魔「…なるほど」
('A`)「!」
悪魔「今の口ぶりからして、その武器はあなたが創り出したようですね。
どこでその力を手にしたのか分かりませんが…。それなりに使いこなせているようでよかったですよ」
('A`)「!?…この力を知っているのか?」
悪魔「あなたは先ほど私にこう言いましたよね?」
('A`)「何…?」
悪魔「答えてやる義理はない、と。…もっとも、先ほどの私の問いは既に解決しましたが」
その時、遅れて謁見の間に入ってくる姿があった。
(゚、゚;トソン「大丈夫ですか!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと…トソンってば速いわよ!もう少し私に合わせなさいよ!」
N|"゚'` {"゚`lリ「トソン!」
川 ゚ -゚)「ツン!」
ξ゚⊿゚)ξ「どうせアンタ一人だけじゃ無理なんだから…ってそこのアンタ、何見てんのよ」
宙を飛んでいる者の視線に気付くと、ツンは身構えた。
悪魔「…これは失敬。そうだ、そこのあなた」
ソムニオンはツンから、目の前で剣を構えているドクオに視線を移した。
('A`)「…俺か?」
悪魔「そうです。名前は?」
('A`)「…ドクオだ」
悪魔「そうですか。私はソムニオン。以後、よろしくお願いいたします。
さて、先ほどの問いに答えるつもりはありませんが、面白いことを教えて差し上げましょう」
('A`)「面白いこと?」
悪魔「この城、そして各地の街に突如として現れた魔方陣についてです」
おつおつお!
ドックンの活躍にまた胸熱~
ξ゚⊿゚)ξ「!?」
悪魔「もう気が付いているんでしょう?
そこの少女…ツンが街に訪れるせいで魔物が出現していたことを」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなの確証が無いじゃない!!」
悪魔「フフ…そうですね。口だけでは如何様にも言える。
それでは、これから話すことは話半分で聞いてください」
ξ゚⊿゚)ξ「…フン」
悪魔「…ツンは魔王の子だからですよ」
ξ゚⊿゚)ξ「…は?」
('A`)「なんだって…?」
悪魔「正確には、魔王から創り出された限りなく人間に近い魔物、ですが」
ξ゚⊿゚)ξ「何を馬鹿なことを…」
悪魔「魔物を創り出すのと違い、大変な苦労を強いられたようですよ。
そして彼女を創り出すことに成功した際に、とある封印の魔法が施されました。
封印解除の鍵は、"他人との接触"」
N|"゚'` {"゚`lリ「封印の魔法だと…?彼女に魔物を封じていたとでも言うのか?」
悪魔「近い、ですが違います。
我々が出現する際に、魔方陣が浮かび上がったのをお忘れですか?
あれは、送還術の魔方陣です」
川 ゚ -゚)「送還術…?」
悪魔「知らないのも無理はありません。遙か昔に失われた秘術ですからね」
悪魔「送還術とは、召喚された者を元いた世界へと送り返す術です」
('A`)「!!」
悪魔「それを応用し、ツンが街を訪れることによって開いたゲートと魔王の居所を繋ぎ、
魔物を送り込んだわけです」
N|"゚'` {"゚`lリ「"他人との接触"…。
それにしては、王都に魔物が現れるのは大分遅かったように思うが?」
悪魔「封印解除の鍵をもう一つ追加すればいいだけの話ですよ。
例えば…"封印の魔法の使い手との接触"」
N|"゚'` {"゚`lリ「お前らは、ツンが俺やアイシスに接触することを始めから予想していたのか?」
悪魔「その通り。国としても、今や伝説にもなりつつある召喚術という強力なカードを逃すはずがない。
実際に魔物は王都を襲っている。しかし、ドクオの存在は想定外でした」
('A`)「俺が…?」
悪魔「そうですよ。予定では私の魔法で王族を全員亡き者にする予定でしたが…。
あなたのその剣のお陰で、それもできそうにありません」
ξ゚⊿゚)ξ「…違う。私じゃない…そんなのはデタラメよ!」
悪魔「フフ…さて、それはどうでしょう。
…ツン、あなたはつい最近までの記憶が無いはず」
川 ゚ -゚)「何…?」
('A`)「…本当なのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「…ええ、そうよ。だけどそれがどうしたっていうの?」
悪魔「それはツンが、割と最近創り出されたことを示唆するのです。
そして魔王の配下である私が、何故かあなたの記憶のことを知っている。
これだけでは証拠になりませんか?」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
悪魔「まだ足りませんか?…まあいいでしょう。
しかし、あの時は少し困りましたよ」
ξ゚⊿゚)ξ「あの時…?」
悪魔「この世界の常識を教え込ませる為、
とある男の元にあなたを放り込んでから言うもの、一向にあなたが旅立ってくれなかった]
ξ゚⊿゚)ξ「…アンタ、まさか…」
悪魔「あれ以上あそこに長居されても計画が進まないのでね。
もう少し早く旅立っていればドクオというイレギュラーにも遭遇せず、
王都を落とす計画もうまくいったはず。
そして何より、あの男も…」
ξ ⊿ )ξ「アンタか…」
悪魔「…クク」
ξ ⊿ )ξ「アンタがお父さんを…」
ξ゚⊿゚)ξ「許さない…。絶対に許さない!」
ξ#゚⊿゚)ξ「来たれ!」
ツンの目の前に、無色の光を放つ魔方陣が現れた。
悪魔「ハハハハハハ!!無駄無駄、無駄ですよ!」
ソムニオンは手に持つ剣を魔方陣へと投げつけると、剣は床に突き刺さり光は掻き消えた。
ξ#゚⊿゚)ξ「うあああああああ!」
( ;^Д^)「おい!突っ込むな!」
ξ#゚⊿゚)ξ「放して!アイツは私が!私があああ!」
悪魔「ククク…。さて、面白いものも見られましたし、そろそろお暇しますよ」
ソムニオンは剣を床から抜き取り言う。
('A`)「逃げるつもりか?」
悪魔「ええ、そうさせてもらいます。あなたがいたんじゃ明らかに分が悪い」
川 ゚ -゚)「このまま易々と逃がすとでも?」
悪魔「形勢逆転ですか。
しかし いくら私の魔法が通じないとはいえ、牽制くらいには使えるんですよ?」
リハ;*゚ー゚リ「あっ!」ズズ…
再びアイシスの足下に闇が現れ、アイシスを包み込んでいく。
('A`;)「くそ!」ダッ
悪魔「ククク…。また会いましょう!ドクオ!」バッ
ソムニオンは翼を開き、開け放たれた窓から闇夜へと飛び去った。
ξ゚⊿゚)ξ「待ってよ!待ちなさいよ…」
( ^Д^)「魔法は効かん!矢を放て!追跡しろ!深追いはするな!」
ξ゚⊿゚)ξ「待って…よ」
……
…
川 ゚ -゚)「…ツン、大丈夫か?」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ…」
リハ*゚ー゚リ「今プギャー達がアイツを追跡してくれてるよ。
すぐにでも見つけて吊し上げてボコボコにしてあげるんだから!
…主にドクオ君が」
('A`;)「俺!?」
リハ*゚ー゚リ「そうよ!あなただけなんだから、アイツの魔法が通用しないのは」
('A`)「そりゃあそうだけど。…ツン、本当に大丈夫か?顔色が悪いぞ」
ξ゚⊿゚)ξ「…平気よ」
ξ゚⊿゚)ξ「それより…その剣、私に貸しなさい」
('A`)「ん?何でだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「アイツの話だと、私の中には封印の魔法が施されてる。
これがある以上、また今回の様な事件を起こしかねないわ…」
('A`)「…まさか、自分で自分を斬るつもりか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そのまさかよ。…もうこんなことが起きるのは御免だわ。
その剣なら魔法を消せるんでしょ?」
('A`;)「だけどな…」
ξ゚⊿゚)ξ「お願い。人にやられるより自分でやった方が思い切りもいいわ。
それにアンタも私なんか斬りたくないでしょ?」
('A`)「当たり前だろ。だけど、この剣は周囲に効果を及ぼすから、もう消えてるんじゃないか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなのわからないじゃない。ここで斬らないで、またみんなに迷惑を掛けるのは嫌よ。
それに大丈夫よ、浅く斬るつもりでいるから」
川 ゚ -゚)「…いいじゃないか、貸そう」
('A`)「クー…いいのか?」
川 ゚ -゚)「ああ。ツンの言いたいことも、何となくだがわかる」
ξ゚⊿゚)ξ「クー、ありがとう」
('A`)「仕方ないな。…じゃあナイフでいいな?浅く斬るのに剣なんか必要ないだろう」シュウ
ξ゚⊿゚)ξ「うん、充分よ。ドクオもありがとう」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンにもお礼を言っておいて。直接お礼を言えないのは心残りだけど…」
('A`)「は?」
ドス
ξ; ⊿ )ξ「かはっ…!」
川;゚ -゚)「ツン!何をやっている!?」
ξ; ⊿ )ξ「…げほっ…。あぐぅ!…がぁっ!」ドスッドスッ
('A`;)「おいバカ!止めろ!」ガッ
ξ ;⊿ )ξ「いたい…いたいよ…」
川;゚ -゚)「当たり前だ!何でこんなこと!」
ξ ;⊿ )ξ「だっ…て。私のせいで…お父さん…も…みんなも…死んで…。なんで…私…だけ…」
川 ゚ -゚)「ツン…」
('A`;)「クー!早く回復を!」
川;゚ -゚)「あ、ああ!」
若干の世間知らずっぷりがあったのは、こういった事情からでした
と言うことで今回はこれにて投下を終えますー
であであ
ツン…(´・ω・`)
……
…
―王城・客室―
ξ-⊿-)ξ「………ん…ぅ」
ξ-⊿゚)ξ「………あ…れ?…ここは…」
( ^ω^)「ツン…起きたかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「…ブーン。…私、どうして…」
( ^ω^)「痛むところはないかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「………うん」
( ^ω^)「それは良かったお!」
( ^ω^)「…水だお。飲むといいお」
ブーンは水の入ったグラスをツンへと手渡した。
ξ゚⊿゚)ξ「…ありがとう」
しかし、受け取ったグラスは手に持ったまま、口へと近づけようとしない。
( ^ω^)「どうしたお?飲まないのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「…聞いたでしょ?…私が自害しようとしたこと」
( ^ω^)「…聞いたお」
ξ゚⊿゚)ξ「死にたかった」
( ^ω^)「…何でだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「私が生きていたって、周りが迷惑するだけだもの」
( ^ω^)「そんなことは」
ξ゚⊿゚)ξ「あるわ。これまでだってそう。
私が訪れた街はみんな魔物に襲われて…家や物は壊され、人は怪我をして死んで…。
いい迷惑よ」
( ^ω^)「…」
ξ゚⊿゚)ξ「迷惑以外の何かあるかしら?
迷惑をかけるくらいだったら、今回みたいにさっさと自害でも何でもすればよかった。
…私なんか生きていても仕方のないニンゲン…いや、魔王に創られた魔物だったわね…」
( ^ω^)「…ツンは魔物なんかじゃないお」
ξ゚⊿゚)ξ「…やっぱり、その話も聞いていたのね」
( ^ω^)「ツンは歴とした人だお」
ξ゚⊿゚)ξ「慰めや同情ならいらないわ」
( ^ω^)「…ツン。初めて会ったときのことを覚えているかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「…裏路地で会ったときのこと?」
( ^ω^)「そうだお。その時、ブーンはこう言ったお」
『ブーンがキミを助けるお!』
ξ゚⊿゚)ξ「…」
( ^ω^)「ツン、ドクオやクー、そしてブーンと過ごした時間はどうだったお?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうって…」
( ^ω^)「楽しかったかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
( ^ω^)「ブーンはとっても楽しかったお!
ドクオ達とバカをやって、それをツン達に叱られたのも、
演習で短い旅をしたのも」
( ^ω^)「そして、ツンと王立士官学校まで一緒に旅ができたことも」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
( ^ω^)「一人は寂しいお。だけど、みんなと一緒にいると楽しいお。
…どうだったかお?ツンは楽しかったかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「…楽しかった。正直、少し救われた。
でも、生きているのが怖いの。
私のせいで、魔物が襲ってきたとみんなが知ったら?
どんなに責められるか…。今まで仲良くしてくれた人達だって離れてく…」
…また一人はもういや」
( ^ω^)「…ブーンは。ブーンは決してツンを一人にはしないお」
( ^ω^)「ブーンは言ったはずだお。困ってる人は放っておけないって。
ツンは、何が何でもブーンが護ってやるお」
ξ゚⊿゚)ξ「…ブーンは魔物の味方になるつもりなの?お城の兵士になるのに…」
( ^ω^)「ツンは魔物なんかじゃないお」
ξ゚⊿゚)ξ「魔物よ…。…あいつが言ってたこと、全部当たってた。だからきっと…」
( ^ω^)「…例え、ツンが魔王に創られた存在だとしても。
悩んで、苦しんで、それでも生きて。みんなと一緒にいられて嬉しくて、楽しくて。
…こんなにも人間らしく生きているツンは、もう立派な人間だお」
ξ゚⊿゚)ξ「でも…」
( ^ω^)「確かめるお」
ξ゚⊿゚)ξ「え?」
( ^ω^)「そこまで自分の存在が気になって仕方ないなら、魔王に会って確かめるお。
そして、ツンが本当に魔王に創られていたとしても、ブーンは絶対にツンを一人にはしない。
ドクオだって、クーだって、他のみんなだってきっとそう言うお」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
( ^ω^)「…」
ξ-⊿-)ξ「…ハァ。全く、アンタってば本当に…」
( ;^ω^)「お…?ブーン、何か気に障るようなこと言ったかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「違うわよ。…確かにブーンの言うとおりだわ。
魔王に創られた魔物だろうが人間だろうが、私は私」
( ^ω^)「そうだお」
ξ゚⊿゚)ξ「それに、私が死んだところで今までのことが無かったことになるわけじゃない。
…私、決めたわ」
( ^ω^)「それじゃ、もしかして…」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ。せめてもの償い…ってワケじゃないけど、私も魔王討伐の旅に付いて行くわ。
魔王なんて、私の魔法でボッコボコにしてやるわ」
( ^ω^)「その意気だお!やっといつものツンになってきたお」
ξ゚⊿゚)ξ「…でさ」
( ^ω^)「お?」
ξ*゚⊿゚)ξ「あの…ブーンも付いてきてくれる…?」
( ^ω^)「当たり前だお。さっきツンを一人にはさせないって言ったばかりだお」
ξ*゚ー゚)ξ「…ありがとう」
ξ゚⊿゚)ξ「…それとさ、大した話じゃないんだけど…聞いて欲しい話があるんだ」
( ^ω^)「ブーンで良ければ聞くお」
ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう。…私が旅に出る前のお話なんだけどね…」
( ^ω^)「お…それって…」
ξ゚⊿゚)ξ「そう…殺されて、もうこの世にはいないけど…。
私にこの世界のことを教えてくれた人。私の…お父さんのこととか」
( ^ω^)「…聞かせてくれお」
ξ゚⊿゚)ξ「うん。…もう3年くらい前になるかな。
私はとある村近くにある、川縁にいたの。
その人に声を掛けられて、意識が浮上してきて」
_________________________
―――――――――――――――――――――――――
『…し…もし……丈…で……か?』
ξ-⊿-)ξ『…ん……』
『もし…大丈夫であるか?」』
ξぅ⊿-)ξ『む…ぅ……?』
『む、気が付いたのである。よかったのである』
ξ-⊿゚)ξ『んー…?』
ξ゚⊿゚)ξ『…………ここ…は…?』
すぐに意識ははっきりとしたわ。
初めて見る景色だった。
もっとも、私が本当に創られた存在であるなら、それは当然だったのだけど。
ξ゚⊿゚)ξ『どこ…ここ…』
( ФωФ)『ふむ、怪我は…なさそうであるな』
ξ゚⊿゚)ξ『……あんた何?』
( ФωФ)『吾輩はロマネスク』
ξ゚⊿゚)ξ『ろまねすく…』
( ФωФ)『お主の名は?』
ξ゚⊿゚)ξ『名前?……そんなの知らないわ』
( ФωФ)『…?お主、まさか記憶喪失か?』
記憶喪失だとしたら一大事ってことで、そいつの住む家に連れて行かれたの。
それで、医者が来て色々検査なんか受けさせられて…。
( ФωФ)『安心するのである。異常は無いそうである』
ξ゚⊿゚)ξ『ふ~ん』
正直、そんな話はどうでもよかったわ。
目に映るもの全てが新鮮で、何だか楽しかった。
不思議と記憶がないことに関する不安はなかった。
( ФωФ)『しかし名前が無いというのも困りものである』
ξ゚⊿゚)ξ『名前なんてどうでもいいわ』
( ФωФ)『何を言うか。もしお主と吾輩がはぐれた時、どうするつもりか』
ξ゚⊿゚)ξ『はぁ?はぐれる?』
( ФωФ)『お主の名前を知らぬ吾輩は、ただひたすらに
「ぬしいいいいいぃぃぃぃ!ぬしいいいいいぃぃぃぃ!」
と呼び続ける他なくなるではないか』
ξ゚⊿゚)ξ『…あんたバカ?』
ξ゚⊿゚)ξ『ってかはぐれるって何よ?何で私とあんたが一緒に行動する前提なワケ?』
( ФωФ)『…ふむ』
ξ゚⊿゚)ξ『記憶が無い私を拾ってもう保護者気取り?いい迷惑よ』
( ФωФ)『おお!』
ξ゚⊿゚)ξ『は?』
( ФωФ)『思いついたのである。
お主の名前は、ツンツンしてるから「ツン」に決定するのである』
ξ゚⊿゚)ξ『おいコラ』
( ФωФ)『そうと決まれば、早速買い物に行くのである。
これではぐれても安心なのである』
ξ゚⊿゚)ξ『話聞けやコラ』
名付けられたことは少しだけ嬉しかった。
( ФωФ)『仮に』
ξ゚⊿゚)ξ『?』
( ФωФ)『お主がここを出て行ったとする。
記憶も無しに、どこへ向かうつもりなのであるか?』
ξ゚⊿゚)ξ『…』
( ФωФ)『記憶ならここでゆっくり思い出せば良い。
もし忘れてる知識などがあれば、吾輩が教えてやるのである。
どこへ行くのも、それからで遅くはないのではないか?』
ξ゚⊿゚)ξ『……フン。そこまで言うなら、ここでしばらく暮らしてやらないこともないわ』
( ФωФ)『うむ、やはりツンツンしているのである』
ξ゚⊿゚)ξ『コラ』
妙なペースに乗せられて、結局そいつの所で暮らすことになったわ。
そいつの家には本がたくさんあってね、その本を教科書代わりに色々教えてもらったりしたわ。
ξ゚⊿゚)ξ『まほう?』
( ФωФ)『そうなのである。素質ある者が扱える、不思議な現象なのである』
ξ゚⊿゚)ξ『例えばどんなのがあるの?』
( ФωФ)『そうであるな。…火を熾す魔法なんかがオーソドックスである』
ξ゚⊿゚)ξ『へぇ』
( ФωФ)『料理をする際にはとても便利なのである』
ξ゚⊿゚)ξ『しょっぱい使い道ね』
( ФωФ)『お主は火を熾す苦労を知らないだけなのである』
ξ゚⊿゚)ξ『で、魔法ってどうやれば扱えるわけ?』
( ФωФ)『ツンに素質が無ければ扱えないのである』
ξ゚⊿゚)ξ『あるに決まってんでしょ。さっさと教えなさい』
( ФωФ)『何を根拠に。むう…仕方ないのである』
ξ*゚⊿゚)ξ『へへ』
( ФωФ)『集中すること。使いたい魔法のイメージをすること。以上』
ξ゚⊿゚)ξ『それだけ?随分簡単ね』
( ФωФ)『言うは易く行うは難し、なのである』
ξ゚⊿゚)ξ『まあいいわ』
ξ゚⊿゚)ξ『お次は魔法の種類ね。えっと…これなんか良さそうね。
異世界に住まうモノを喚び出し、使役する魔法。
要はしもべを喚び出して命令できるわけね。面白そうだわ』
( ФωФ)『…召喚魔法であるか。…お主にはきっと無理なのである』
ξ゚⊿゚)ξ『なんでよ』
( ФωФ)『魔法というのは、血統が大事なのである。
そして、召喚魔法はその最たるモノ。召喚師の血筋にあたる者しか扱えず、
その血も今は…って話を』
ξ゚⊿゚)ξ『え…っと。ふむふむ…来たれ…レモラ』
ピカッ!…ピチピチ…ピチピチ…
( ФωФ)『…なんと』
ξ*゚⊿゚)ξ『ふふん♪』
私はロマネスクと魔法について勉強したり、この世界の常識を学んでいった。
( ФωФ)『ところでこの魚、どうするであるか?』
ξ゚⊿゚)ξ『……食べる?』
――――――
―――
―
( ∵)『毎度ー』
ξ゚⊿゚)ξ『どうも。荷物はいつもの場所にお願いするわ』
( ∵)『はいよ!…ところでツンちゃん。いい加減ロマネスクさんと一緒に街に越して来ないかい?』
ξ゚⊿゚)ξ『はぁ。私は別にいいんだけどね』
( ФωФ)『大変ありがたい申し出だが、お断りさせていただくのである』
ξ゚⊿゚)ξ『…というわけだから』
( ∵)『それは残念…。まあ引っ越すときはいつでも言ってくれ。
二人が来るなら、みんな大歓迎だからさ』
ξ゚ー゚)ξ『うん、ありがとう。その時はよろしくね』
( ∵)『おうさ!…それにしてもロマネスクさん。
アンタいい娘を持ったねぇ。羨ましい限りだよ』
( ФωФ)『お主、見た目に騙され』
ξ゚⊿゚)ξ ギロリ
( ФωФ)『吾輩の自慢の娘なのである』
( ∵)『はっはっは!そうだろうよ!…それじゃ、また来週来るよ』
………
……
…
ξ゚⊿゚)ξ『…ねぇ』
( ФωФ)『む?』
ξ゚⊿゚)ξ『なんでいつも引っ越しの誘いを断るの?』
( ФωФ)『街は少し騒がしいのである。吾輩は、ここくらい静かなところが好きなのである』
ξ゚⊿゚)ξ『…あっそ』
( ФωФ)『…』
ξ゚⊿゚)ξ『…ま、私もこれくらい静かな方が過ごしやすくて丁度良いわ』
( ФωФ)『ツン…お主…』
ξ*゚⊿゚)ξ『な、何よ』
( ФωФ)『吾輩の意見に流されるなんて…。
そんな主体性のない娘に育てた覚えはないのである』
ξ゚⊿゚)ξ『テメェ』
ロマネスクと本を読んだり、料理を作ったり、くだらない話をしたり。
そんな何でもない毎日が楽しかった。
ずっとこの生活が続くかと思っていた。
ずっとこの幸せが続くかと思っていた。
そんなある日。
(;∵)『大変だ!魔物の群が街を襲ってきた!』
ξ゚⊿゚)ξ『なんですって!?』
( ФωФ)『…状況は?』
( ∵)『街の兵士が応戦しているが、やつら無尽蔵に出てきやがる…!このままだと街は…』
ξ゚⊿゚)ξ『…私が行くわ』
( ФωФ)『…駄目なのである』
ξ゚⊿゚)ξ『…一応理由は聞いておくわ。なんでよ』
( ФωФ)『いくら召喚師とはいえ、お主はまだまだ未熟者なのである。
ツンが街に行っても、犬死にするのは目に見えているのである』
ξ#゚⊿゚)ξ『そんなの承知の上よ!だからといって、このまま手をこまねいて見ているだけは嫌よ!
私も戦う!この街のために戦って死ねるのなら本望だわ!』
( ФωФ)『…ツンよ』
ξ#゚⊿゚)ξ『何よ』
( ФωФ)『これを』スッ
ξ゚⊿゚)ξ『一体何なのよ…入学推薦状?』
( ФωФ)『街の長に依頼していたものである。お主はそれを持って王都へ向かえ。
王都にある王立士官学校で、戦う力を養うのである』
ξ゚⊿゚)ξ『こんなのどうだっていい!私もみんなと一緒に戦』
ドッ
(;∵)『ロマネスクさん…』
( ФωФ)『安心召されよ…気絶しているだけである。ビコーズ殿、吾輩は街へ向かう』
( ∵)『逃げないのかい?』
( ФωФ)『ああ…。…お主を信頼して、頼みたいことがある』
( ∵)『…なんだい』
( ФωФ)『…この子を頼むのである』
( ∵)『……ああ、わかったよ』
( ФωФ)『かたじけない』タッタッタ…
目を覚ましたら、そこはいつもの部屋の景色ではなかった。
ξ゚⊿゚)ξ『ここは…』
( ∵)『ツンちゃん、よかった。目を覚ましたんだね。 ここは隣町の宿屋だよ』
ξ゚⊿゚)ξ『隣町…?……!みんなは…!みんなを助けなきゃ!』ガバッ
( ∵)『駄目だよ!』ガッ
ξ#゚⊿゚)ξ『放して!みんなを…お父さんを助けに行くんだから!』
( ∵)『…行っても無駄だよ』
ξ゚⊿゚)ξ『…どうして』
( ∵)『……あの街は、もう…』
ξ゚⊿゚)ξ『…嘘よ、そんなの…』
そしてそれは起こった。
大切な人と街を失った悲しみに、打ちひしがれる時間さえ私には与えられなかった。
『魔物が出たぞ!!』
ξ゚⊿゚)ξ( ∵)『『!!』』
宿屋の表からその声は聞こえた。
『一体どこから!?』
『街の中心から急に…ぎゃああああ!!』
( ∵)『………!逃げるよ!ツンちゃん!』
ξ゚⊿゚)ξ『………』
( ∵)『さあ、早く!』
私たちは、その街からも命からがら逃げ出した。
………
……
…
( ∵)『…』
ξ゚⊿゚)ξ『…』
( ∵)『…』
ξ゚⊿゚)ξ『…ねぇ』
( ∵)『…なんだい?』
ξ゚⊿゚)ξ『もしかして、私のせいなのかな…?』
( ∵)『何がだい?』
ξ゚⊿゚)ξ『私たちが住んでた街と、さっきの街の魔物。
どっちも私が来てから起こったことだよね』
( ∵)『…それは違うよ。絶対に。ただの偶然さ』
ξ゚⊿゚)ξ『……』
私も、魔物が街を襲ったのは偶然だと思いたかった。
しかし、その偶然は次の街でも、更にその次の街でも起こった。
( ∵)『…』
ξ゚⊿゚)ξ『…やっぱり私のせいなんだよ』
( ∵)『どうしてそうなるんだい?それを言えば僕だってそうだ。
僕が街を訪れたからって可能性もある』
ξ゚⊿゚)ξ『…』
( ∵)『…今日はもう遅い。野宿になってしまったけど、僕が見張りをしておくからゆっくりとお休み』
ξ゚⊿゚)ξ『うん、ありがとう…』テク…テク…
決して信じたくはなかったが、何となく確信めいたものがあった。
あの魔物達は私のせいなんだろうと。
そして、これ以上この人に迷惑をかけられないと思った私は、一人で王都に向かうことにしたの。
ずっと一人で。もう誰にも迷惑はかけたくなかった。
ξ゚⊿゚)ξ『…来たれ…ユニコーン』
ピカッ!
(;∵)『!?…なんだ!?…ツンちゃん、何をしているんだ?』
ξ゚⊿゚)ξ『…今までありがとう。さよなら。行こう、ユニコーン』
ドドッドドッドドッ…
(;∵)『ツンちゃん!…くそ!待つんだ!…ハッ!』バッ
パカラッパカラッ…
(;∵)『…くっ!何て速さだ…!追いつけない…!』
_________________________
―――――――――――――――――――――――――
ξ゚⊿゚)ξ「…だけど最後まで、私とお父さんの街を襲った魔物達は私のせいじゃないと願ってた。
けれどそんな小さな希望も、アイツが壊していった。絶望した。だから私は…」
( ^ω^)「…」
ξ゚⊿゚)ξ「…これが、私が話したかったこと」
( ^ω^)「一つ、いいかお?…ブーンは、ツンの気持ちを無視して旅に誘ってしまったのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「それは私も同意したじゃない」
( ^ω^)「でも」
ξ゚⊿゚)ξ「私も助けが欲しかった」
( ^ω^)「…」
ξ゚ー゚)ξ「正直、一人でいるのは辛かった。
…だから、ブーンの誘いは嬉しかった。
話も聞いてくれて…。なんだか救われた感じ。ありがとう、ブーン」
( ^ω^)「ツン…どういたしましてだお」
―王城・客室2―
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「…」
リハ*゚ー゚リ「二人とも、元気出して!」
('A`)「…ああ」
川 ゚ -゚)「…」
(゚、゚トソン「お二人の責任ではありませんよ」
('A`)「…いや、不用意にナイフなんか渡した俺の責任だ」
川 ゚ -゚)「いや、それを言うなら私が先に言い出したことだ」
('A`)「俺が―」
川 ゚ -゚)「私が―」
リハ;゚ー゚リ「「…」」(゚、゚;トソン
リハ*゚ー゚リ「だ、大丈夫だよ!ブーン君がきっと何とかしてくれてるよ!」
(゚、゚トソン「そうですよ。…っと、時間もそれなりに経ちましたし…少し様子を窺ってみましょうか」
リハ*゚ー゚リ「うん、そうだね。私たちでツンちゃん達の様子を見てくるから、二人はここで待っててね」
(゚、゚トソン「それでは」
テクテクテク…ガチャ…バタン
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「…なぁ、私たちも行かないか?」
('A`)「…ああ、そうだな。ツンが辛い思いしたっていうのに、
友達の俺らが側にいないでどうするんだよな…」
川 ゚ -゚)「会って直接謝ろう」
('A`)「ああ、行こう」スッ
川 ゚ -゚)「ん?」
('A`)「…?どうしたんだ、クー?」
川 ゚ -゚)「その光は何だ?」
('A`)「光…?ってなんだこりゃ」
何の気無しに腕を見てみると、確かに虹色の光が発せられていた。
しかもそれは腕からだけでなく、体全体からであった。
川 ゚ -゚)「魔法…か?」
('A`)「誰かが俺に何かしようとしているのか?」
川;゚ -゚)「わからない。…!ドクオ!!」
('A`;)「今度はなんだよ?」
川;゚ -゚)「体が透けてるぞ!」
('A`;)「は…?なっ!?体が霞んでる!?」
川;゚ -゚)「くそ!一体何なんだ!」
('A`;)「クー!離れてくれ!」
川;゚ -゚)「どうするつもりだ!?」
('A`;)「ツンと同じことをするんだよ!これが魔法なら消せるはずだ!
回復は任せたからな!」
川;゚ -゚)「!…わかった!」
('A`;)「よっしゃ…!行くぞ!」シュウ
('A`)「(…あれ…?)」
川;゚ -゚)「どうした、ドクオ?早くするんだ!」
('A`)「(この光と似たようなのをどこかで…。どこでだ?)」
('A`)「!!」
玄武『さら、ば…』
('A`)「(そうだ…実地演習先で戦ったアイツ。色は違うが、多分同じ光だ…。
倒した後にアイツは光とともに掻き消えた。でも何でアイツは掻き消えた?)」
ξ゚⊿゚)ξ『もう一つは…『死』よ』
('A`)「(……ヤツはこの世界に召喚されて来た?もしそうだとすると、
死ぬことで元の世界に戻ったってことか…?だけど、何で俺は光ってる?
ツンの意志…目的が達成されたってコトか?…そう言えば)」
―――――――――――――――――――
ξ゚⊿゚)ξ『私を救ってください』
('A`)『は?』
ξ゚⊿゚)ξ『だから、私を救ってくれって意志を込めてアンタを召喚したのよ』
('A`)『具体的には?』
ξ゚⊿゚)ξ『わかんない』
('A`;)『何をどうしろってんだか…。
まあ、今はまだ元いた世界に帰るつもりもないから、
下手な願いを間違って叶えて帰らされるよりマシだけど…』
―――――――――――――――――――
('A`)「(ツンとこの城で話した時に聞いた願い。
…それがいつの間にか叶ったのか?俺は何もしてないぞ?)」
リハ*゚ー゚リ『だ、大丈夫だよ!ブーン君がきっと何とかしてくれてるよ!』
('A`)「…そうか…ブーンが何とかしたのか。何をしたのか知らないけど…。
しっかし、他のヤツに叶えてもらうのでも大丈夫とは聞いてないぞ…」
川;゚ -゚)「ドクオ!何を呆けている!?急げ!」
('A`)「(…問題はこの光だ。この光をこの剣で消すってことは)」
二度と元いた世界に帰れなくなるってこと…か
―王城・客室―
コンコン…
( ^ω^)「お?どうぞだお」
キィ…
リハ*゚ー゚リ「お邪魔しまっす!」
(゚、゚トソン「お邪魔します。ツンさんは…?」
ξ-⊿-)ξ「すー…すー…」
( ^ω^)「話し疲れたのか、さっき寝ちゃったお」
リハ*゚ー゚リ「そっか…。それでブーン君、結果はどうだったかな?」
( ^ω^)bそ
(゚、゚トソン「そうでしたか。それなら良かった」
(゚、゚トソン「それじゃ、二人とも魔王の討伐に…」
( ^ω^)「行くことにしたお。ブーンに大した事ができるとは思えないお。だけど決めたんだお」
リハ*゚ー゚リ「…うん。それなら私は、そんなブーン君を一生懸命応援しちゃうよ!」
( ^ω^)「どうもですお!」
コンコン…
リハ*゚ー゚リ「クールちゃん達かな?どうぞー!」
キィ…
川 ゚ -゚)「…お邪魔する…ツンは?」
(゚、゚トソン「ツンさんなら寝ていますが…どうしました?」
川 ゚ -゚)「…そうか」
リハ*゚ー゚リ「…どうかしたの?」
川 ゚ -゚)「いや…ちょっとドクオのことでな」
( ^ω^)「ドクオがどうかしたかお?」
(゚、゚トソン「そういえば、ドクオは…?」
川 ゚ -゚)「ツン、起きてくれ。教えて欲しいことがある」
( ;^ω^)「ちょ、まだ寝かせておいてあげるお!
いくら魔法で回復したとはいえ…」
ξ-⊿-)ξ「…はぁ。大丈夫よ、ブーン」
( ;^ω^)「ツン…起きてたのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「これだけ横で騒がれちゃね。…で、教えて欲しいことって何?」
川 ゚ -゚)「ドクオの体から、光が出てきた」
(゚、゚トソン「光?」
ξ゚⊿゚)ξ「うん…それで?」
川 ゚ -゚)「次には、体が少しずつ透け始めた」
( ^ω^)「?…何かの魔法かお?」
ξ゚⊿゚)ξ「まぁ、魔法には変わりないわね」
川 ゚ -゚)「…やはりか。あれはドクオが元いた世界に戻る為の…」
(゚、゚トソン「元いた世界…!?どういうコトですか…?ドクオに何かあったんですか!?」
ξ゚⊿゚)ξ「トソン、落ち着いて。…そのドクオはどうしたの?」
川 ゚ -゚)「…この世界に留まったよ。ツンと同じ方法をとってな。今は一人でいたいそうだ」
ξ゚⊿゚)ξ「そう…」
川 ゚ -゚)「ドクオはもう自分の世界に帰れないのか…?」
(゚、゚トソン「…!」
ξ゚⊿゚)ξ「…わからないわ。普通じゃ考えられないことが起こったんだもの。
だけど、恐らくは…通常の召喚のように、帰れないとは思う」
川 ゚ -゚)「…そうか」
( ;^ω^)「えっと…。さっきから一体なんの話をしているんだお?」
リハ;*゚ー゚リ「私も何がなんだか…」
川 ゚ -゚)「そうか…姉様はまだしも、ブーンもまだ知らなかったか」
ξ-⊿-)ξ「ドクオは私が召喚した、異世界の住人なの」
( ^ω^)「ドクオが異世界の…」
リハ*゚ー゚リ「住人…」
ξ゚⊿゚)ξ「…そうよ」
川 ゚ -゚)「すまない」
( ^ω^)「え…?」
川 ゚ -゚)「ドクオも…このことについては話し辛かったと思うんだ。だから…」
( ^ω^)「…別に話してくれなかったことで、ドクオを恨んだりはしないお。水くさいなとは思ったけど」
川 ゚ -゚)「そうか…」
(゚、゚トソン「ドクオはやっぱり帰る手段を無くしたのか?他に戻る方法はないのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「…私の知る限りではないわ」
リハ*゚ー゚リ「じゃあ、ずっとこの世界に…」
ξ゚⊿゚)ξ「そう、なるわね」
川 ゚ -゚)「…なあ、ツン。本当にもう、どうにもならないのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「私には何もできないわ。…ごめん」
川 ゚ -゚)「…」
(゚、゚トソン「…」
ξ゚⊿゚)ξ「…お父さんなら、なんとかできたのかな…」
―王都・大通り―
('A`)「…」
とても城にいられる気分ではなく、一人で通りを歩く。
('A`)「覚悟してたと思ったんだけど…」
通りのそこかしこに、魔物襲撃の爪痕が見て取れた。
('A`)「いざ帰れなくなったんだと思うと…案外キツイな」
カツ…コッ…
('A`)「…!」
すぐ目の前、左手の路地へから小石の音がした。
('A`)「(人…いや、魔物か)」シュウ
あれだけ大量に出てきた魔物が、もう全て狩り終えたとは考え辛い。
しかもこんな夜中だ。魔物が襲ってきた日の夜に、人が外にいるとは思えない。
構え、
('A`)「…」チャッ
そして鍔鳴りを合図に魔物が飛び出してきた。
狼型魔獣「ガアアアッ!」バッ
('A`)「はっ!」ヒュッ
相も変わらず、ワンパターンに飛び掛かってくる敵の攻撃を避け、
着地点を狙い斬りつける。
狼型魔獣「ギャン!」
('A`)「…ふぅ」シュン
「お見事」
('A`)「!」バッ
気が付けば、背後に人がいた。
( )「素晴らしい剣技なのである」
通りの暗がりと、目深にかぶったフードのせいで顔が見えない。
('A`)「(魔法を見られた…?)…誰だ」
( )「吾輩のことか?」
('A`)「…他に誰がいる」
( )「それもそうだ。こんな夜更け、歩いている者は中々おるまい。
それに吾輩から声を掛けたのであったな。申し遅れた。吾輩は…」
謎の人物はフードに手をかけ、それをおろすと
( ФωФ)「…ロマネスクなのである」
自らをロマネスクと名乗った。
( ФωФ)「お主の名はなんと言う?」
('A`)「…俺はドクオだ」
( ФωФ)「そうか、ドクオか。…時にドクオよ」
('A`)「…なんだ?」
( ФωФ)「お主、占いなんぞに興味はないか?」
('A`)「占い?」
( ФωФ)「うむ。吾輩、今はしがない占い師として生計を立てているのである。
お主も占ってみるのはどうか?」
('A`)「占い、ねぇ…」
( ФωФ)「吾輩の占いは良く当たるのでな」
('A`)「…遠慮しておきます」
( ФωФ)「…ふむ、それは残念だ」
ドクオは踵を返し歩き始めるが、すぐに歩を止めることになった。
( ФωФ)「異世界の住人よ」
('A`)「!」
('A`;)「…何でそれを」
( ФωФ)「やはり当たっておったか」
('A`)「…」
( ФωФ)「そう睨むな。お主には面白い力を見せてもらった。安く占って進ぜよう」
('A`)「…さっきの、見てたのか」
( ФωФ)「まあな。それでどうする?占うか否か」
('A`)「………ああ、占ってくれ」
( ФωФ)「そうか。なら付いてくるのである」
そう言うとドクオを追い越し、先ほどの魔物が出てきた路地へと入っていった。
('A`)「…」
ドクオも後を追う。
無言のまま路地を歩く。程なくして、路地の行き止まりへとさしかかる。
('A`)「行き止まり…?」
( ФωФ)「ココに立つのである」
ロマネスクの横へと、言われるがままに立つ。
('A`)「…ここか?」
( ФωФ)「準備はいいか?行くぞ」
('A`)「行く?」
ロマネスクはドクオの返事を待たず、ローブの袖から何かを取り出した。
路地に薄い光が立ちのぼる。
―小屋・庭―
森の奥深く、開けた場所に一つの小屋が佇んでいた。
('A`)「…は?」
一瞬にして景色が変わったことに、ただただ驚く。
('A`;)「え…あれ?さっきまで王都にいたはずじゃ…」
そんなドクオを尻目に、ロマネスクは小屋へと歩き出す。
( ФωФ)「来るのである」
('A`;)「あ、ああ…」
―小屋―
( ФωФ)「腰掛けるのである。茶を出す」
('A`)「…」
椅子へと腰掛けるように促されたが、腰は掛けずに、ぐるりと小屋の中を見まわした。
大量の本が積まれている。ふと、テーブルの上に置かれている本が視界へと入ってきた。
('A`)「…ん?」
ふと違和感を感じ、本を手に取ってみる。
('A`)「(なんだこれ…見たことのない字だな)」
違和感の正体は字だった。この世界で勉強した字とは違う。
('A`)「(…読めるな。俺が召喚された存在だからか)」
( ФωФ)「何をしているのである」
背後から声を掛けられ、驚き飛び上がる。
('A`;)「うっひゃあ!?」
( ФωФ)「大人しく座っているのである」
('A`;)「…びっくりさせるなよ」
………
……
…
( ФωФ)「それで、一体何を占いたい?」
('A`)「その前に、幾つか質問がある」
( ФωФ)「何だ?」
('A`)「ここは一体どこか?ついさっきまで王都にいたと思ったんだが、
どうやってここまで来たか。…そして、アンタは何者だ?」
( ФωФ)「ふむ、順に答えよう。ここは吾輩の隠れ家なのである」
('A`)「隠れ家?」
( ФωФ)「そう。王都より遠く離れた場所に存在する。
魔物に襲われる心配もここにはない。因みに詳しい場所は教えられん」
('A`)「…まあいいか。それで、ここにはどうやって来たんだ?」
( ФωФ)「何、簡単な事。送還術を使ってここまで来たのである」
('A`)「送還術だと…?」
( ФωФ)「お主、送還術を知っているのか?」
ソムニオンと対峙した際の事を思い出す。
('A`)「いや、詳しいことはわからないが…。失われた秘術だとかなんとか」
( ФωФ)「その通りなのである」
('A`)「その失われた秘術をアンタがどうして知ってるんだ?
…アンタまさか、あいつの仲間なのか…!?」
( ФωФ)「仲間?何の話だ。まずは落ち着くのである」
('A`)「…」
( ФωФ)「吾輩は、言わば学者だ」
('A`)「学者?」
( ФωФ)「お主も見たであろう。大量の本を」
('A`)「ああ、見たが…」
( ФωФ)「あれらは遙か昔の本なのである。吾輩が集めた」
('A`)「…なるほど、それで現在使われている字と違ったのか」
( ФωФ)「うむ。お主はあれが読めたようだな。これでお主が異世界の住人だと確信がいった」
('A`)「で、アンタは古い本を読み解いていく考古学者ってところか?
読み解いている内に、送還術についての知識を得た」
( ФωФ)「その様な感じである」
( ФωФ)「お主の質問は以上か?」
('A`)「ん…そうだな」
( ФωФ)「それでは早速占って進ぜよう。何を占って欲しい?」
('A`)「…一つでなくても?」
( ФωФ)「構わぬ」
('A`)「じゃあ……元の世界に帰る方法の手がかり」
( ФωФ)「…」
( ФωФ)「そんなことでいいのか?」
('A`)「え?」
( ФωФ)「寧ろ占わずとも、吾輩ならお主を元の世界へと戻してやれるのである」
('A`;)「は?ほ、本当か?」
( ФωФ)「吾輩、嘘は吐かん。そもそも、送還術は何の為に存在すると思っている?」
('A`;)「えっと…。…もしかして召喚したモノを元の世界に?」
( ФωФ)「その通りだ。送還術は、召喚師に扱えない存在を喚んでしまった時の保険の術だ」
( ФωФ)「お主のいた世界のゲートさえ無事であるなら、いつでも送り返すことが可能である」
('A`)「なんか…あっさり解決しちまったな」
( ФωФ)「お主さえ良ければ、吾輩が今すぐにでも送り届けてやるが?」
('A`)「…それは少し待って欲しい」
( ФωФ)「そうか。友人との別れを済ませてからか?」
('A`)「それもあるが…」
( ФωФ)「ふむ?」
('A`)「俺が…俺たちが魔王を倒してから頼む」
( ФωФ)「…」
('A`)「…」
( ФωФ)「魔王、か」
('A`)「"こんなガキが?"って思うかも知れないけど笑わないでくれよ」
( ФωФ)「別に笑わん。だが、何故お主は魔王を倒そうとする?
お主は異世界の住人。本来、こんな厄介事とは関係のない人間のはずだ」
('A`)「友達にも散々言われたよ。だけどさ、大事な友達が住んでるんだ、この世界に」
( ФωФ)「…」
('A`)「俺には友達を置いて逃げるなんて事はできない。護りたいんだ、この世界を」
( ФωФ)「その覚悟」
('A`)「え…?」
( ФωФ)「本物か?」
('A`)「…!」
( ФωФ)「口ではいくらでも威勢のいい言葉をはける」
('A`;)「俺は…!」
( ФωФ)「そうだな。それでは、この世界に生きる全ての人間に生きる資格がないとしたら?」
('A`;)「生きる資格…?」
( ФωФ)「そうだ。お主の友人も吾輩も、この世界に生きる全ての人間が罪人なのである。
ただ一人、召喚されたお主を除いてな」
('A`)「何を言って…」
( ФωФ)「真実を知らずに生きている。その事がもう既に罪なのである。
例えそれが隠された真実だとしても、その罪がなくなることはない」
('A`)「…」
( ФωФ)「真実を知り、なお魔王と戦う覚悟はあるか?」
('A`)「…なあ」
( ФωФ)「…何だ」
('A`)「人間は生きる資格がないと、アンタは本当にそう思っているのか?」
( ФωФ)「…吾輩はそう感じた」
('A`)「そうか…」
( ФωФ)「…今日はもう帰るがよい。これを持って行け」
('A`)「これは…?」
( ФωФ)「送還術の陣が書かれた布と、送還術発動の鍵となる短剣である。
その二つがあれば、ここに来ることができる」
( ФωФ)「自分の世界に戻りたくなったとき
真実を知りたくなったとき
両方でも良いし、片方だけでも良い。お主次第だ。
覚悟ができ次第、またここに来るのである」
('A`)「ああ…ありがとう」
( ФωФ)「うむ。次に会えるのを楽しみにしている。
それでは、王都まで送ろう」
('A`)「あ、その前に。結局占いはしてもらえなかったし、最後に占ってもらえないか?」
( ФωФ)「構わんが。何だ?」
('A`)「…俺が進むべき道は険しいか?」
( ФωФ)「………かなりな。永く、険しい」
('A`)「そうか」
( ФωФ)「それは永遠を感じさせる。途中、挫折するかもしれん。
だが忘れるな、お主には仲間がいる。…こんなところか」
('A`)「…すごい大変そうだな」
( ФωФ)「相応の覚悟を決めるのである」
('A`)「そうだな。まあまだどんな道かわからないし、考えても仕方ないか。…それじゃ」
( ФωФ)「うむ、行くのである」
ベタなくらいでちょうどいい
―王城・客室―
コンコン…
( ^ω^)「お?」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ?入っていいわよ」
川 ゚ -゚)「…」
ガチャ
('A`)「ツン…もう大丈夫なのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、お陰様で」
('A`)「俺のせいであんな事になって…悪かった」
ξ゚⊿゚)ξ「私がやったことだから、アンタが謝ることないわ。ブーンのお陰で吹っ切れたし」
ξ゚⊿゚)ξ「…それより、アンタの方こそこれからどうするの?」
('A`)「何が?」
(゚、゚トソン「…もう帰れなくなってしまったんでしょ?」
('A`)「ああ、そのことか」
(゚、゚;トソン「そのことかって…随分あっけらかんとしてるね」
('A`)「…ま、帰れなくなる状態は、以前から覚悟していたことだからな」
( ^ω^)「ドクオはそれでいいのかお?」
('A`)「ブーン…聞いたのか?」
( ^ω^)「聞いたお。全く、水くさいお」
('A`)「…そりゃ帰りたい気持ちも少なからずある。だけど、みんなと別れるのもな…」
( ^ω^)「ブーンも寂しいお…。だけど、ドクオがいた世界にも待ってる人がいるんじゃないのかお?」
('A`)「…少しだけならいる。多分、カーチャンも心配してるだろうし」
川 ゚ -゚)「…それなら」
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「何故さっき帰らなかった?
…いや、ドクオが帰れるチャンスだって事に、私がもっと早く気が付けばよかったんだ」
ξ゚⊿゚)ξ「クー…」
川 ゚ -゚)「ドクオは関係なかったんだ。やはり帰るべきなんだよ。…なぁドクオ、知っているか?」
('A`)「…何だ?」
川 ゚ -゚)「私もドクオも利用されているんだよ」
( ^ω^)「利用?」
リハ;*゚ー゚リ「クールちゃん!」
川 ゚ -゚)「そうだ。私とドクオが持つ"神の力"のせいでな」
ξ゚⊿゚)ξ「神の力…」
川 ゚ -゚)「私の回復の魔法と、ドクオの武器創造の魔法は神が持っていた力だったんだよ。
こんな力を持っていたせいで、予見とやらで対魔王の対抗手段の一つとして数え上げられ、
辺境の村に隠され…神のもう半分の力を持つ者、ドクオが現れるまで私はずっとひとりだった」
(゚、゚トソン「…」
川 ゚ -゚)「そして、次は時が来たからと魔王の討伐…。私だけなら、まだいい。だがドクオはどうだ。
偶然この世界に喚び出され、偶然神の力を手にしてしまっただけじゃないか。
元々、関係なんか無かったはずだ。…ただの都合の良い兵器扱いだ」
('A`)「神の力か。何となく、ただの魔法じゃないとは思ってたけど」
川 ゚ -゚)「…探しに行こう。帰る方法を」
('A`)「嫌だね」
川 ゚ -゚)「なっ…!」
('A`)「俺は決めたんだよ。クーと一緒に旅を続けるって。フサギコさんを探しに行く約束だってしたろ。
それにさ、帰る方法を探すのは魔王を倒した後でだって遅くはないだろ」
川;゚ -゚)「何を…危険だ!命に関わるんだぞ!」
('A`)「お前もな」
川;゚ -゚)「っ!」
('A`)「俺はこの世界に来て良かったと思ってるよ。魔王を倒しに行くのだってな」
川 ゚ -゚)「馬鹿な。何故見知らぬ世界の為に命を賭けられる?
魔王を倒すためだけに利用されているんだぞ!」
('A`)「それでも構わないと思ってるよ。そりゃ、いつも危険な目に遭うし旅は辛かったし。
ツンにあたったこともあったな。実のところ、しょっちゅう家に帰りたいって考えてた」
川 ゚ -゚)「なら何故…」
('A`)「クーがいたから、かな」
川 ゚ -゚)「え…」
('A`)「クーだけじゃない。ジョルジュ、フサギコさん、ブーン、ツン、トソン、サスガ兄弟、ヒッキー。
この人達だけじゃない。みんながいるから、みんなを守りたいから。
ここはもう見知らぬ世界なんかじゃない。みんなが住んでいる世界だ。だから、俺は戦う」
…
……
………
ドクオとクーとアイシスが去り、客室に3人が残った。
ξ゚⊿゚)ξ「…ドクオって意外と熱いのね」
(゚、゚トソン「クール様が…」
ξ゚⊿゚)ξ「ん?」
(゚、゚トソン「クール様が辺境の村に行くことになったのは、私の母親の予見のせいなのよ。
そこで、ある者と出会うはずだって。それでずっと…」
ξ゚⊿゚)ξ「そう…」
(゚、゚トソン「クール様は私のせいじゃないと言ってくれたけど…
やはり、少し恨まれていたようだわ…」
( ^ω^)「…クーもまだ割り切れてないんだと思うお」
(゚、゚トソン「…償いというには軽すぎるかも知れない。
だけど、私は私にできることをやろうと思うの。
私はクール様が…あなた達が帰ってくる場所を守る」
昼―王都・入口―
翌日、門の前には見知った面々が集まっていた。
( ´∀`)「モナ…気を付けて行くモナよ、本当に」
( ^ω^)「わかってますお!」
(-_-)「…また」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ、また」
(´<_` )「無理だけはするなよ」
( ´_ゝ`)「お土産よろしく」
('A`)「サンキュ。お土産は無理」
( ´_ゝ`)「…」
( `ー´)「おいチャンピオン。…あばよ」
( ゚∋゚)「無事に帰ってこいよ」
('A`)「ネーノ、クックルさん。…ありがとう」
(゚、゚トソン「クーさん」
川 ゚ -゚)「…昨日は見苦しい所を見せたな。
トソンにも酷いことを言ってしまった。すまない」
(゚、゚トソン「気にしないでください。…どうかご無事で」
川 ゚ -゚)「…ああ。ありがとう」
('A`)「…つーさん」
(*゚∀゚)「ドクオ君…」
('A`)「フサギコさんは必ず、見つけてきます」
(*゚∀゚)「…うん、ありがと!」
('A`)「よし、準備万端だな」
別れを済ませ、荷物を馬車内へと積み込んだ。
川 ゚ -゚)「…ああ」
( ^ω^)「OKだお!」
ξ゚⊿゚)ξ「こっちも」
('A`)「…それじゃ出発だ」
4人を乗せた馬車は、北へと走り出した。
( ´∀`)「…行ってしまったモナー」
(゚、゚トソン「さて」
( ´_ゝ`)「俺らも」
(´<_` )「行くとしますか」
(-_-)「…」
( `ー´)「よっと」
( ゚∋゚)「何か久しぶりだな」
そう言うと、6人は大きな荷物を取り出した」
(*゚∀゚)「どしたの?大荷物だね!」
( ´∀`)「まるでこれから旅に行くような…」
(゚、゚トソン「ええ、旅に行ってきます」
( ´∀`)「…モナ?」
モナーが、ちょっと言っている意味がわからない、といった感じの顔をしていると、
2台の馬車が砂煙を上げながら近づいて来た。
(゚、゚トソン「遅いわよ」
( ^Д^)「いやぁ、遅れてすみません。ブーン達は?」
(゚、゚トソン「もう行ったわよ」
_
( ゚∀゚)「なんだよ、しばらく会えなくなるから会いたかったんだけどなー」
ζ(゚ー゚*ζ「残念ですねぇ」
デレが馬車の荷台から顔を出し言う。
_
( ゚∀゚)「あ、野郎共はみんなプギャーの馬車に乗れ。
この馬車は俺とデレちゃんの愛の巣だから」
( `ー´)「ふざけんじゃネーノ」
_
( ;゚∀゚)「あ、おいコラ!乗るな!」
( ;´∀`)「モ、モナー?」
(゚、゚トソン「ジョルジュ、国王には許可は取ったわよね?」
_
( ゚∀゚)「…」
(゚、゚トソン「だと思ったわ。…ま、一応書き置きはしておいたけど」
( ^Д^)「さすが、準備が良いですね」
(゚、゚トソン「じゃあ行きましょう」
_
( ゚∀゚)「と言うわけだ。モナー、王都は任せたぜ」
( ;´∀`)「ち、ちょっと待つモナ!唐突すぎて何が何だか」
_
( ゚∀゚)「じゃあああああなあああああぁぁぁぁぁぁ………」
2台の馬車は、再び砂煙を巻き上げながら南へと向かって行った。
( ´∀`)「…」
(*゚∀゚)「行っちゃったね!」
( ´∀`)「モナ…」
ガラガラ…
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「ドクオ…」
('A`)「ん?どうした、クー?」
川 ゚ -゚)「…これからも、よろしく頼む」
('A`)「…ああ、こちらこそ」
ドクオ達が魔王討伐の旅を始めて、少し経った頃
昼―農村・宿屋―
('A`)「魔物退治?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ。懸賞金も出るみたいだし、路銀稼ぎに丁度いいでしょ。人助けにもなるし」
('A`)「ツン、完璧にお金狙いだろ」
ξ゚⊿゚)ξ「何のことかしら?」
( ^ω^)「なかなか手強い魔物だそうだお」
川 ゚ -゚)「どんな魔物なんだ?」
ξ゚⊿゚)ξ「詳しくはわからないわ」
( ^ω^)「兵士も何度か討伐に行ったらしいけど、全部失敗したらしいお」
('A`)「それって結構難易度高いんじゃないのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「だからこそ丁度いいのよ。
こんな奴も楽に倒せないんじゃ、魔王なんか到底無理よ」
川 ゚ -゚)「それもそうだが…」
( ^ω^)「そうだお!ここは人助けだと思ってやってやるお!」
('A`)「まあいいけど。ところで何で兵士達は何回も失敗してるんだ?
数回行ってれば対策くらい立てられそうだと思うけどな」
川 ゚ -゚)「確かに気になる点ではあるな」
('A`)「ちょっと聞きに行ってみるか」
( ^ω^)「やる気になったかお?」
('A`)「まあ少しはな」
―農村・詰め所―
ξ゚⊿゚)ξ「魔法が使えない?」
兵士「そうなんだよ。大型の蝙蝠の魔物が厄介なんだ。
キーンって感じの音を発してて、集中できなくて…」
ξ゚⊿゚)ξ「ただ単に集中力が足りないんじゃなくて?」
兵士「うぐっ…」
川 ゚ -゚)「しかし、そうだとすると武器だけでしか倒す方法はない、ということか」
( ^ω^)「ドクオが頼りだお」
('A`)「といっても、そいつ空飛ぶんだろ?剣は当然無理だろうし、
すばしっこかったらボウガンの矢も当たらないんじゃないか?」
兵士「それともう一つ、討伐に手こずらされている原因があってね」
ξ゚⊿゚)ξ「まだ何かあるの?」
兵士「実はもう1体、大型の魔物がいてね。堅い甲殻を持つ魔物が」
( ^ω^)「堅いだけならドクオの剣でどうにでもなるお」
('A`)「それはそうかも知れないけど。どうしてそいつがいるせいで手こずらされてるんですか?」
兵士「大型の魔物にしては珍しく、行動を共にしているみたいなんだ」
兵士「蝙蝠の魔物には魔法を封じられ、甲殻を持つ魔物には武器の刃が立たずで、打つ手無しなんだよ」
川 ゚ -゚)「なるほどな。まあ甲殻を持つ魔物はドクオの力でなんとかなるだろう」
ξ゚⊿゚)ξ「そうすると、本当に厄介なのは蝙蝠の方ね。
空を飛んでるとなると、魔法じゃないと厳しいかも」
( ^ω^)「それなら、最悪今回は甲殻を持つ魔物に絞って倒してしまうかお?」
('A`)「そうだな。蝙蝠の方はまた対策を練ってからにしよう」
川 ゚ -゚)「と言うわけだ。大体いつ頃その魔物はここを襲いに来るんだ?」
兵士「え、本当にやるのかい?」
( ^ω^)「そのつもりですお。何か問題でもありましたかお?」
兵士「…いやぁ正直、我々でも手をこまねいているのに、
君たちのような子どもにどうにか出来る相手とはとても…」
ξ゚⊿゚)ξ「は?」
('A`;)「ちょっとツン、落ち着け…」
川 ゚ -゚)「…とにかく、一度私たちに任せてみてもらえないか?」
兵士「…まぁ挑むのは勝手だからね。
以前はそうでもなかったんだが、最近は味を占めたのか毎日やってくるようになった。
恐らく今夜も襲ってくると思うよ。健闘を祈る」
夕方―農村・中央―
あれから数時間。
ドクオ達は魔物が出てきた際、すぐに対応できるようにと村の中心部に待機していた。
ξ゚⊿゚)ξ「まったく…何なのかしら、あの態度は」
( ;^ω^)「昼の出来事にまだ腹を立ててるなんて、いくら何でも根に持ちすぎだお」
ξ゚⊿゚)ξ「だって、いくら私たちが若いからって舐めてるにも程があるわ」
川 ゚ -゚)「同感だ。実は私も少しばかりイラッとさせられてな…見返してやろうではないか。フフフ」
('A`;)「少しは落ち着こうぜ…」
ξ゚⊿゚)ξ「フン…。私たちのところに魔物の誘導はしてくれるって言ってたけど、ちゃんとできるのかしらね」
( ^ω^)「怪我人が出ないといいお」
('A`)「魔物は食糧や家畜が目当てらしいし、いざとなったらそっちに誘導するって言ってたから大丈夫だとは思う」
川 ゚ -゚)「人に被害が出ないよう、私たちも出来る限り努力しよう。
だが、くれぐれも無理はしないように」
( ^ω^)「そうだおね。…それにしても、ドクオが創った武器を使うの楽しみだお」
('A`)「ブーン、やる気になるのはいいけど、何か危なっかしいからほどほどにな。
クーとツンも、出来るだけ後方にいてくれ」
川 ゚ -゚)「わかった。ドクオ達も気をつけて…」
キ――ン
ξ゚⊿゚)ξ「ん?この音って…」
キィ――――ン
( ^ω^)「来たかお。少し来るのが早い…って」
キィ―――――――――――ン
('A`;)「想像以上にうるせぇ!」
まるで金属を擦り合わせたかのような不快な音が耳に響く。
川;゚ -゚)「確かにこれでは魔法を使うどころではないな!」
けたたましい音に自然と声も大きくなる。
ξ゚⊿゚)ξ「こんな時のために!」スッ
ここぞとばかりに、ポケットから小さな塊を二つ取り出す。
( ;^ω^)「何だお!?…耳栓!?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうよ…」スッ…スッ…
('A`;)「…どうだ!?」
ξ゚⊿゚)ξ「………」
キィ――――――――ン
ξ゚⊿゚)ξ「…………意味ないわ、コレ」スッ…
ξ#゚⊿゚)ξ「あぁ、もう…うるさああああああぁぁぁぁぁぁい!」
大蝙蝠「キィ――――――――」
その時、上空を大型の蝙蝠が羽ばたいて行った。
('A`;)「ツンとクーはこのボウガンでアイツを牽制してくれ」
川;゚ -゚)「わかった!」
('A`)「俺たちは…!」
ザカザカザカザカ!
大蝙蝠が上空を通り過ぎてすぐ、不快な音波の間に紛れてその足音は聞こえた。
( ^ω^)「あいつだおね!」
大蠍「ギャシャアアァァァ!」
多数の脚に、大きな鋏。それと人の胴体以上の太さを持つ尻尾。
いずれも分厚い甲殻に覆われている。
('A`;)「…結構強そうだな!」
特徴的な6つの目がドクオとブーンを捉えた。
( ;^ω^)「来るお!」
大蠍「ギャシイィ!」
右に持つ大きな鋏を開き突進してくる。
('A`)「俺が囮に!ブーンはその隙に脚を!」
( ^ω^)「はあく!」ダッ
('A`)「こっちだ!」
左手に大剣、右手に刀を構える。
大蠍「シャアァァ!」
('A`)「はあっ!」
大蠍は右の鋏を大きく振りかぶった。対し、ドクオは大剣で応戦する。
ギャリィィ!
大剣は鋏に掴まれる。が、
( ^ω^)「おおおおお!」ジャキッ
スパァン!
大蠍「キシャアアァァ!!」
ブーンの剣が大蠍の脚の一つを切断した。
痛みが走っての苦痛の叫びだろうか。
一瞬の怯みを見せたその時を、ドクオは見逃さなかった。
('A`)「そこだ!」ビュッ!
右の鋏を断ち切られ、またも叫び声を上げる。
( ^ω^)「まだまだ…!?」バッ
大蠍「ギシャアアアアァァアァ!」
大蠍は尾を振り回し、さらなる追撃を振り払った。
( ;^ω^)「…危なかったお」
その時、背後から不快な音が近づいて来た。
('A`;)「!?ブーン!後ろだ!」
シャッ!
( ;^ω^)「おおおお!?」バッ
剣のような大蝙蝠の太いかぎ爪が、ブーンの首を目掛け背後から迫り来る。
だが、間一髪でそれをしゃがんで回避する。
( ;^ω^)「…危うく頭と胴体がサヨナラするところだったお」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!ごめんなさい、大丈夫!?」
( ^ω^)「おっおっ!大丈夫だお」
川 ゚ -゚)「すまない!牽制が思うようにいかなくてな」
('A`)「ああ…やっぱり魔法が制限されているっていうのは思った以上に厄介だな」
大蠍「ギギギ…」
大蝙蝠「キィ――――――――」
ξ゚⊿゚)ξ「?魔物の様子が…」
川 ゚ -゚)「仲間が傷ついたことで動揺しているのか?」
大蠍「ギイ!」
魔物達は方向転換をし、来た道を戻っていった。
( ^ω^)「逃げるつもりかお?」
('A`)「そうみたいだな…」
ξ゚⊿゚)ξ「ひとまずはこれで安心ってとこね」
川 ゚ -゚)「ああ。それじゃツン」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ」
ξ-⊿-)ξ「…うん、大分遠ざかったし魔法はもう使えそうね」
不快な音が完璧に聞こえなくなったことを確認し、意識を集中する。
ツンの前方に小さな召喚の陣が描かれる。
ξ゚⊿゚)ξ「…召喚!」
光とともに陣から出てきた者は、小さな鳥だった。
( ^ω^)「かわいい小鳥だお」
ξ゚⊿゚)ξ「…それじゃお願い」
小鳥はピィと一つ鳴いて返事をし、魔物達が去っていった方角へ飛んでいった。
('A`)「後は戻るのを待つか」
「おーい!!」
( ^ω^)「お?」
呼び声のする方を見やると、誰かが駆けてきているようだった。
川 ゚ -゚)「あれは…詰め所の兵士か」
兵士はドクオ達の元へ辿り着くと、息が完全に整うのを待たずに話し始めた。
兵士「き、君たちすごいよ!あいつらを追い払うなんて…。
こんなに被害が少なかったのは初めてだ!」
ξ゚⊿゚)ξ「フフン!まあね。でも追い払うだけで終わりじゃないのよね」
兵士「というと…まさか」
川 ゚ -゚)「私達はやつらを討伐する、と言いましたよね」
兵士「…確かに、君たちならこなせそうだが…。
やつらも今後は警戒して、しばらくここに近づくことはないでしょう。
しかし、果たして君たちにそこまで甘えていいものか…」
( ^ω^)「いいんですお。これまでもそうしてきましたし」
('A`)「それに困ってる人達は見過ごせません」
兵士「…わかりました。魔物の討伐に御助力いただけないでしょうか」
( ^ω^)「もちろんですお!」
兵士「ありがとうございます。こちらも協力は惜しまないつもりです」
ξ゚⊿゚)ξ「そう?でも、もう特にしてもらいたいことはないわね」
兵士「え?…た、例えば魔物の住処とか…」
('A`)「ん、戻ってきたみたいだな」
兵士「え?」
小鳥がパタパタと5人の頭上をひとしきり飛ぶと、ツンの指先に留まった。
川 ゚ -゚)「後は私達に任せておいてくれ」
…
……
………
夜―東の洞穴・入口―
( ^ω^)「…そろそろ時間だお」
('A`)「暗いから気を付けて行こう。準備はいいな?」
川 ゚ -゚)「ああ」
三人は装備を確認し、ランプへと火をつけると洞穴内へと踏み行った。
キィ―――
('A`)「…やっぱりな」
洞穴内に立ち入ってすぐ、天井の高い空間に出た。
そこでは、魔物の発する不快音が反響していた。
( ^ω^)「魔物も結構賢いおね…」
川 ゚ -゚)「私達のことを警戒してのことか」
('A`)「さあな。ま、今回は逃すつもりはないけどな」
( ^ω^)「そうだお、ドクオが新しく創ったこの剣があれば、対魔法対策も万全に――」
洞穴の天井でパタパタと羽音が聞こえる。
キィ、キィと蝙蝠の鳴く声がした後、不快な音は急に途絶えた。
川 ゚ -゚)「…私達の存在に気付いたか?」
('A`)「そうみたいだな」
止んだかと思われた不快な音は再び発し始め、その音は段々と大きくなる。
それに合わせ、もう一つの足音も徐々に聞こえてくるようになる。
( ^ω^)「…来るお!」
大蠍「ギシャアアアアアア!!」
鋏を前方に構え、大きな針を持つ尾は高く掲げられている。
鋏で牽制し、隙あらば敵を刺し殺す算段だろう。
また、大蠍の頭上には大蝙蝠が宙を舞っている。
('A`)「これ以上近づかせるな!クー!」
川 ゚ -゚)「ああ!」キン!
クーは腰の剣を抜き放ち真横に切り払うと、刀身から無数の氷の礫が放たれた。
礫は魔物へとぶつかると、圧縮されていたものが弾け、花びらのように氷が広がった。
大蠍「ギ!!」
礫は次々と魔物へと当たり、広がり続ける氷はやがて、脚、鋏、尾の動きを束縛する。
( ^ω^)「次はブーンの番だお!」ヒュッ!
ブーンも同様に剣で空を切り払うと、風の刃が魔物へと襲いかかる。
それらは大蠍の体を切り裂き、脚や鋏を切断する。
大蠍「ギギギイイイイイイイイイ!!」
('A`)「トドメだ!」
ドクオは当たり損ねた氷の花びらをかいくぐり、大蠍へとすばやく接近する。
動きを束縛され、体の一部を奪われ、魔物には対処する術がなかった。
('A`)「ハアアア!」ヒュガッ!
大蠍「ギイイイイイイイイイイイ!!」
体を真一文字に斬られた大蠍は、断末魔とともに崩れ落ちた。
('A`)「ふう。…さて」
その僅かな時間に起こった光景に、大蝙蝠は一瞬我を忘れていたが、
('A`)「次はお前の番だ」
自らへと向けられた刃で我へと帰る。
大蝙蝠「……!!」
大蝙蝠は、洞穴の奥へと飛んで逃げていった。
洞穴の通路を飛び、目的の場所へと飛んでいく。
通路の行き止まりには、天井の高い位置にぽっかりと穴が開いているようで、月明かりがうっすらと差し込んでいた。
その穴に目掛け飛んで行く。が、月明かりが何者かに遮られる。反射的に大蝙蝠は宙に停止した。
ξ゚⊿゚)ξ「ハ~イ。案外逃げてくるの早かったわね」
出口を塞ぐかのように、空を飛ぶ大きな鳥の上にツンは立っていた。
大蝙蝠「!!キィ―――――――ン」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ、もううっさいわね。もう無駄なのよ、無駄。
言ってもわからないかも知れないけど、一応教えてあげるわ」スラッ
ツンが抜き放った剣の刀身は、朱く煌々と輝いていた。
ξ゚⊿゚)ξ「この剣はね、剣の持ち主の魔法を勝手に引き出してくれるの。
だから、いくらその耳障りな音で魔法を使えなくしたって意味ないのよ」
大蝙蝠「キイイ!」バサッ!
大蝙蝠は引き返そうと翼を翻したが遅く、
ξ゚⊿゚)ξ「だから大人しく焼かれなさい」ビュゴッ!!
剣から放たれた炎に焼かれた。
朝―農村・入口―
兵士「…昨夜報告していただいた場所にて、魔物の亡骸を確認しました」
ξ゚⊿゚)ξ「だから言ったじゃない。まだ信用してなかったわけ?」
兵士「すみません…。それにしても、魔法が使われたような形跡がありましたが、一体どうやって…」
('A`)「企業秘密です」
兵士「は、はあ…。とにかく、君たちには本当に感謝しています。
是非、この村でゆっくりしていってもらいたいのですが…」
( ^ω^)「嬉しいお話だけど、ちょっと急ぐ旅をしているんだお」
兵士「急ぎの旅…?差し支えなければ、教えていただいてもいいですか?」
川 ゚ -゚)「うむ、ちょっと魔王を倒しにな」
兵士「なっ!?…君たちが魔王を…?」
ξ゚⊿゚)ξ「何よ、何か文句でもあるわけ?」
兵士「い、いえ!滅相もない!」
('A`)「まあ、そういうわけなんで。折角の申し出はありがたいんですけど」
兵士「ええ、そういった事情が有るなら…」
川 ゚ -゚)「それでは失礼させていただく」
兵士「ハッ。本当にありがとうございました!」
馬車はガタゴトと音を立てながら、やがては見えなくなった。
兵士「君たちなら、もしかしたら魔王を…」
者 ゃ l | ・ な 会 多
で あ / | ・ い う. 分
な く ,.'"´ ̄ ̄``丶. | ・ と. こ 皆
___/ヽ) / ゙、. ! ・ お と に
/ ', | ・ も が は
ノ _ __ ! | う も
,レ^ヽ ∠:::::::.\ ヽ・ ヽ | | う
/ ,ヘ ⌒`ト、:::.ヽ  ̄ | _ノ |
l い _,,,L・`ヽ:ル ノィノ  ̄\_____/
ヽ ー─- ‘ー1
>‐‐'. 、__,ゝ ,′
/ ', `二' /
/ `丶、 /
ノ ``ーr‐'゙
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_∠_ __ _ ,,,、、、-──‐┴-、、
厂 ー──'''"´ ̄ , ニ二二ニヽ\
,′ , イ  ̄``ヽ \
. / // `) ', ヽ
/ // .:/ / i:::. ゙,
| / 〃 .:.::/ / i|::! !
|i / 〈〈 .:.::/ / /1ノ | SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
※ここから次スレです。
('A`)ドクオは異世界に召喚されたようです TALE.4
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322671853/
――数ヶ月後
夕方―北の村・詰め所―
('A`)「…そうですか。ありがとうございました」
ドクオは詰め所の兵士に礼を言うと、兵士はそれに敬礼にて答えた。
キィ…バタン
('A`)「…ふう。この街も駄目か」
暖かい詰め所に対し、外はとても寒い。
思わず出たため息は白く、まるでそれは落胆の意を表しているようだった。
('A`)「(宿屋に行くか)」
―宿屋・ドクオ達の部屋―
ガチャ
('A`)「…ただいま」
川 ゚ -゚)「おかえり。…どうだった?」
('A`)「…」
首を横に振る。
川 ゚ -゚)「そうか、この街も駄目だったか。こちらも無かったよ」
これまで訪れてきた街や村でもそうであったように、この街でもまた。
('A`)「どこにいるんだろうな…。魔王は」
魔王の所在に関する情報は、全くと言っていいほどなかった。
ガチャ
( ;^ω^)「うう…さっぶいお…。手がかじかむお…」
ξ゚⊿゚)ξ「全く、手袋忘れるからよ」
('A`)「よう、お帰り」
買い出しから戻ってきた二人に、暖かい紅茶の入ったカップを手渡す。
( ^ω^)「ありがたいお。生き返るお~」
ξ゚⊿゚)ξ「はあ…あったかい」
一息入れた後、ツンが切り出した。
ξ゚⊿゚)ξ「それで、魔王の居場所については何かわかった?」
('A`)「いや、何も。この付近でも探索は続けているみたいなんだが」
ξ゚⊿゚)ξ「そう…。まさかここまで情報がないとはね」
( ^ω^)「魔王って意外と慎重だおね」
ξ゚⊿゚)ξ「全くだわ」
川 ゚ -゚)「残る街はあと一つだけ、か」
('A`)「フサギコさんがいなくなった砦に最も近い街だな」
川 ゚ -゚)「ああ。そこでなら或いは…」
( ^ω^)「それにしても…本当に魔王っているのかお」
('A`)「確かにそう思っても不思議でないくらい、情報が足りなさすぎるな」
ξ゚⊿゚)ξ「あのソムニオンってやつが、
私は魔王に創られた存在だって言ってたじゃない。いるわよ、きっと」
北に魔王がいるという情報を信じて、ここまで進んできた。
これが徒労に終わってほしくないと願うばかりだった。
( ^ω^)「そう言えば」
( ^ω^)「食料品店のおばちゃんから面白い話を聞いたんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ、あの話ね。多分関係ないわよ」
川 ゚ -゚)「いや、今はどんな情報でも欲しいところだ。話してくれ」
('A`)「ああ、俺も気になる」
ξ゚⊿゚)ξ「むー」
( ^ω^)「じゃあ話すお!」
ブーンは息巻いて語り出した。
( ^ω^)「消えて無くなった砦の近くの山肌に、明らかに人工的な造りの洞窟があるらしいお!」
川 ゚ -゚)「人工的な造りの洞窟か。確かに怪しいが…」
('A`)「魔王達がそこに身を隠しているのか?」
( ^ω^)「いや、そんなに深くない洞窟らしいから、それは無理だお。
5分もあれば一番奥にたどり着けるっていう」
('A`)「はい、解散」
ξ゚⊿゚)ξ「お疲れー」
川 ゚ -゚)「そろそろ晩ご飯だな」
( ^ω^)「おーい」
('A`)「いやだって、5分って。そんなところのどこに魔王が隠れられるんだよ。
そんな狭い場所に隠れていたら、すぐに居場所が割れるだろ」
( ;^ω^)「確かにそうだお…」
('A`)「…まあいいや、一応最後まで聞かせてくれよ」
( ^ω^)「おっおっ!そこの洞窟で少し前に、事件があったらしいお!」
川 ゚ -゚)「事件?」
( ^ω^)「幽霊事件だお!」
('A`)「はい、解散」
( ´ω`)「…」
川;゚ -゚)「そんなに悲しそうな顔をしないでくれ。ちゃんと聞くから」
( ^ω^)「…といっても、大体のことはもう話したお」
ξ゚⊿゚)ξ「数年前に街の子どもが度胸試しに行ったんだって。
洞窟の一番奥で、幽霊を見たらしいわ」
('A`)「…それだけか?」
( ^ω^)「だお」
川 ゚ -゚)「今のところ、関連性はなさそうだが…」
( ^ω^)「そうかお?」
川 ゚ -゚)「とにかく、次の街が最後だ。そこに期待しよう」
………
……
…
昼―最果ての街道―
ガラガラガラ…
('A`)「しかし、雪の降る時季じゃなくて本当に良かったな」
川 ゚ -゚)「馬車ではとても移動できなくなるくらい雪が積もるらしいな」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなすごい場所なのね。そりゃ寒いはずだわ」
ガラガラ…
('A`)「…ん?失速してないか?」
幌から後ろに流れる景色を眺めていたドクオが異変に気が付き
ガラ…
馬車は遂には止まってしまった。
川 ゚ -゚)「何だか覚えのある感覚…とでも言えばいいのか」
('A`)「あれ、クーもか?」
川 ゚ -゚)「ああ…思い出した。これはアレだ」
('A`)「アレ…。ああ、アレだよなぁ…」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと、どうしちゃったのよブーン」
ツンが御者台へと身を乗り出し、ブーンへと尋ねる。
( ^ω^)「…盗賊だお」
川 ゚ -゚)「…ということは」
('A`)「…いやいや、まさかなぁ」
( ´W`)「積み荷と金だ!あるだけ出して行きな!そうすれば命だけは助けてやる!」
('A`)「…」
川 ゚ -゚)「…」
(;´W`)「げ…テメェは…!何でこんなところに!
と言うことは、あの化け物じみた強さのヤツも一緒に…!?」
ξ゚⊿゚)ξ「あら?知り合いだったの?」
('A`)「ちょっと前にな…」
( ^ω^)「ドクオは顔が広いお」
盗賊「親分!他には誰もいないみてぇです!」
( ´W`)「そ、そうか…クク、天は我らに味方していたようだな」
川 ゚ -゚)「ところで、以前見かけたときよりも人数が減っているようだが?」
(;´W`)「あ、あぁん?テメェ、どっかで会ったことあるか?」
('A`)「ああ、あんた達が俺らを襲ったあの時に、実は馬車の中に隠れてたんだよ」
(;´W`)「あーなるほど、俺らがノビた後に確認したわけか…って違あああう!」
盗賊「(あの後、愛想尽かされて逃げられたなんてとても言えないよな…」
( ´W`)「とにかく、だ。まさか復讐のチャンスがこんな良い形でやってくるとは思わなかったよ。
命まではとらねぇ…。だが覚悟しな、ボウズ共」
( ^ω^)「やけに自信満々だおね」
( ´W`)「当たり前だ!なんてったって、こっちには"先生"がいるんだからな!」
ξ゚⊿゚)ξ「先生?」
( ´W`)「おうよ…泣く子も黙る大魔法使い様だぜ…!それも二人!」
( ;^ω^)「な、なんかやばそうだお…」
( ´W`)「今更謝ったって遅いからな!そのガキと連れだった己の不運を恨みな!
…先生!お願いしやす!」
「ホルホルホル、全く仕方のないやつニダ」ザッ
シラヒーゲの呼び出しに、岩場の影から大魔法使いとやらが悠々と出てきた。
<ヽ`∀´>「今宵の餌食は…」
( `ハ´)「誰アルか?」
( ^ω^)「…」
ξ゚⊿゚)ξ「…」
<ヽ`∀´> ( `ハ´)「「えっ」」
( ^ω^) ξ゚⊿゚)ξ「「えっ」」
( `ハ´)「まさかこんなところで会うとは。ここで我に会ったが運の尽きアル」
<ヽ`∀´>「ホルホルホル!あの時の恨み!ここで謝罪と賠償させるニダ!」
川 ゚ -゚)「何だ、ブーン達の知り合いもいたのか?」
( ^ω^)「…まさか、こんな所で再開するとは思わなかったお。
まあこっちもツンと出会ったときに一悶着あったんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「…お互いついてないわね」
('A`)「…なぁ、クー」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
('A`)「そっちの口ひげって、このペンダントを買った…」
川 ゚ -゚)「…そのようだな。こうやって商人を襲い、盗品を売りさばいていた訳か」
( `ハ´)「ムム…」
('A`)「…持ち主には悪いことをしたな」
( `ハ´)「ばれてしまったからには仕方がないアル!」
( ^ω^)「とりあえず犯罪は…」
ξ゚⊿゚)ξ「兵士候補として取り締まるべき、よね」
<ヽ`∀´>「出来るものならやってみるニダ!ホルホルホル!覚悟するニダ!」
( ´W`)「先生!お願いします!」
( `ハ´)「先手必勝!苦痛に悶えるアル!…メタミドホス!」バッシャァァァ!
('A`)「させるか!」シュウ
ドクオが剣を創り出し3人の前へ躍り出ると、シナーの放った魔法は跡形もなく消え去った。
(;`ハ´)「なっ!?」
<;ヽ`∀´>「ま、魔法が消えた!?ニダ!」
川 ゚ -゚)「行くぞ」チャキ
クー、ブーン、ツンは剣を抜き放つ。
( ^ω^)「ほっ!」ヒュオ…
ガキィィン!
盗賊「!?はぐ…」ドゴ!
風を纏うその剣は、圧倒的素早さで敵の武器を弾きとばし、柄をその腹に叩き込んだ。
( ^ω^)「一人」
(;`ハ´)「!!」
ξ゚⊿゚)ξ「余所見する余裕なんてあるのかしら?」ボボゥ
(;`ハ´)「こ、こなくそ!アル!」ジャキ!
魔法が通用しないと判断したか、口ひげの男は抜剣し防御の体勢をとった。
ξ゚⊿゚)ξ「そんなの意味ないわよっ…と」ブォン
熱を帯びたその剣は、いとも容易く金属製の剣を真っ二つにした。
(;`ハ´)「ア…?」
ξ゚⊿゚)ξ「はい、二人目」
(;`ハ´)「あ、熱いアル!ヒゲが焦げるアルから刃先をどけてくれアル!」
ξ゚⊿゚)ξ「動くなっつーの」
( `ハ´)「…アル」ブスブス…
<ヽ`∀´>「フ…」
('A`)「?」
<#ヽ`∀´>「ファビョーーーーーン!!!!」
('A`;)「な、なんだ?」
<#ヽ`∀´>「もう怒ったニダ!絶対に許さないニダ!」
川 ゚ -゚)「ふう」
<#ヽ`∀´>「喰らえ!怒りの!ボルテックヒイイィィト…」
川 ゚ -゚)「少し頭を冷やせ。落ち着け」ビュオ
冷気を放つその剣は、凍てつく風を作り出しニダーを包み込んだ。
[ヽ`∀´]「ニ…ダ…」カチコチ
川 ゚ -゚)「3人目だ」
(;´W`)「な、な…!」
('A`)「えっと」
(;´W`)「ヒイイィィ!?」
('A`;)「そんなに怖がるなよ…。取って食おうとしてるワケじゃないんだから」
川 ゚ -゚)「これに懲りて二度とこんなマネをしないと誓えば、許さないでもないが」
(;´W`)「ほ、本当か!?」
ξ゚⊿゚)ξ「私は許すつもりないんだけど」
(;´W`)「そ、そんな!」
ξ゚⊿゚)ξ「こっちは無意味に2回も絡まれて時間を無駄にしてるわけだし。
それ相応の罰は与えて然るべきだと思うんだけど?」
( ;^ω^)「ちょ、ツン…大人げないお」
ξ*゚⊿゚)ξ「…ブーンと知り合うきっかけを作ってくれたことには感謝するけどね」ボソッ
( ^ω^)「何か言ったかお?」
ξ*゚⊿゚)ξ「な、なんでもないわ!」
( ´W`)「…」
('A`)「…で、どうする?」
( ´W`)「…俺たちは、こうやって食っていくしか方法がねぇんだよ」
川 ゚ -゚)「どういうことだ?」
( ´W`)「こんな身なりに顔つきだ。カタギじゃないのは目に見えてわかる。
そんな俺らに出来る仕事ってぇのは中々ねぇんだよ」
ξ゚⊿゚)ξ「フン、ただの甘えじゃない。人間、やろうと思えば大体のことはできるわ」
( ´W`)「それでも。そうだとしても。…俺らの手はもう汚れきっちまってるんだよ。やり直すには遅すぎた」
( ^ω^)「…そうかお?」
( ´W`)「え?」
( ^ω^)「確かに、今までやってきたことの罪は消えないと思うお。
だけど、その償いは今からでも遅くはないと思うお。
寧ろこれからは、その罪以上に善いことをすればいいお」
('A`)「俺もブーンの意見に全面的に賛成かな」
( ´W`)「…だけどよ、善いことって言ったって何をすればいいか…」
('A`)「そうだな…南に向かったところにある村はわかるか?」
( ´W`)「ああ。何度か食べ物を強奪したよ」
('A`)「……まあいい。そこに行って、何か仕事がないか聞いて来るといい」
(;´W`)「でも、俺らはあの村に迷惑をかけたんだぞ?仕事なんてもらえるかどうか…」
ξ゚⊿゚)ξ「誠心誠意謝れば?」
('A`)「それしかないだろうな。後は…あの村は魔物に困ってるって言ってたな」
川 ゚ -゚)「多少は腕も立つようだし、村の用心棒でもすればいいんじゃないか?」
( ´W`)「!!」
ξ゚⊿゚)ξ「そーいうわけだから、アンタらは村に行ってたっくさん謝って、たっくさん仕事をして、
たっくさん人の助けになることをしなさい。…それがアンタらへの罰よ」
( ´W`)「…こんな俺らにできるだろうか」
ξ゚⊿゚)ξ「さあね。…アンタらの頑張り次第でどうにかなるんじゃないの」
( ´W`)「…そうか。いや、ありがとう。
盗賊稼業にも懲りたしな…。確かにまたとない良い機会だ。とにかくやってみるよ」
( ^ω^)「ツン、優しいおね」
ξ*゚⊿゚)ξ「フン…」
('A`)「それじゃ、俺たちはもう行くよ」
( ´W`)「ああ、あんな最果ての地に何をしに行くのか知らないが気をつけてな」
[ヽ`∀´]「ニダー…」
( ` ´)「髭が…焦げたアル…」
盗賊「あたた…」
川 ゚ -゚)「…あとは、この薬を彼らにやってくれ」
( ´W`)「…何から何まで…本当に済まねぇ」
馬車は次第に遠ざかっていった。
( ´W`)「…先生、盗賊、これを」
シラヒーゲは、3人に塗り薬を渡した。
塗り薬を患部へと塗ると、怪我は瞬く間に治っていった。
( `ハ´)「おお、髭が復活したアル」
<ヽ`∀´>「霜焼けが治ったニダ…」
盗賊「…腹の痣が消えた」
<ヽ`∀´>「…話は聞いていたニダ。ウリも…行くニダ」
( ´W`)「先生…」
<ヽ`∀´>「…ちくしょう、目からマッコリが…」
投下が遅くなってしまい、すみませんでした
それではおやすみー
現実のニダーとシナーがこんなやつらだったらなぁ・・・
※残念ながらこの投下まででHTML化されてしまいました。
('A`)ドクオは異世界に召喚されたようです
('A`)ドクオは異世界に召喚されたようです TALE.2
- ブーン系の関連記事
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- ('A`)ドクオは異世界に召喚されたようです TALE.3 - TALE.4 « «
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カテゴリ: ブーン系
テーマ: ショート・ストーリー - ジャンル: 小説・文学
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