( ゚∀゚)人はその男を『決闘』と呼ぶようです 第3章
( ゚∀゚)人はその男を『決闘』と呼ぶようです 目次
201 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/02/20(日) 22:01:31 ID:rQa7SLZU0 第三章:英雄は色を好み、海賊は甘い血を舐める
イ从;゚ ー゚ノi「はぁ……はぁ……!!」
イ从;゚ ー゚ノi「こ、ここまでくれば……大丈夫…!」
イ从;゚ ー゚ノi「はぁ……はぁ……はぁ……」
イ从;ー;ノi「誰か……!!助けて……」
イ从;ー;ノi「こんなところで……死にたくないよお……」
「…………あ〜!!」
イ从;ー;ノi「!!」
( )「みーつけった!」
イ从;ー;ノi「い、いやああああああああああああああああああああああああ!!」
( e')「い、いやああああああああああああああああああああああああw」
( e')「あああああああああああああっはははははははは!!」
イ从;゚ ー゚ノi「はぁ……はぁ……!!」
イ从;゚ ー゚ノi「こ、ここまでくれば……大丈夫…!」
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イ从;ー;ノi「誰か……!!助けて……」
イ从;ー;ノi「こんなところで……死にたくないよお……」
「…………あ〜!!」
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( )「みーつけった!」
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( e')「あああああああああああああっはははははははは!!」
_
( ;゚∀゚)『な…何言ってんだよ……ツン』
( ・∀・)『モララーです。貴族でイケメンです』
_
( ;゚∀゚)『おい、やめろよ!!ツンなあ…ツン』
ξ゚゚)ξ『そういう事だから。じゃあね。さ、行きましょうモララー様』
_
( ;゚∀゚)『行くなツン!!俺は…お、俺はお前の事が……!!』
ξ゚゚)ξ『…………』
ξ゚゚)ξ『ウザ……』
( ;゚∀゚)「ツン!!」
_
( ;゚∀゚)「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ」
_
( ;゚∀゚)「…………………………夢?」
_
( ;゚∀゚)「………………………………」
_
( ;∀;)「………………」
夢であってほしかった。
気が付けば俺はベッドに寝ていた。
見たことも無い部屋。
真新しい家具がいくつも並び、壁も汚れ一つなく綺麗だ。
家具や窓際に洒落た人形の置物がいくつも並んでいた。
しかしこの部屋からは生活感がまるで感じられない。
_
( ゚∀゚)「……誰だ?」
よく見ると俺の体にはしっかりと包帯が巻かれていた。
手当もされており、傷口には消毒が施されている。
一体誰が……?
_
( ;゚∀゚)「ん…んー?」
昨日の夜の記憶を辿る。
たしか俺は昨日『海底』と……。
_
( ;゚∀゚)「そうだ!……きょじっ……!!」
その時、無意識に跳ね上がってしまった為に体のあちこちが痛みだした。
昨日負った傷がフラッシュバックする。
( ;゚∀゚)「痛っ!!…………………あっ」
昨日、俺は巨人の強襲に遭い叩きのめされた。
最後に海に落ちたのは覚えている。
しかしそこで俺の意識はプッツリと途絶えてしまった。
_
( ゚∀゚)「『楽譜』か……?」
あいつが助けてくれたのだろうか。
しかしあいつがこの街に部屋を持っているとは考えにくい。
安静させるとしたら船に連れていくはずだ。
_
( ゚∀゚)「!!」
そう考えている最中、徐にドアが開いた。
俺はとっさに身を構えた。
もしかしたら『巨人』の手中に置かれているのかもしれない。
油断はできない。
ζ(゚ー゚*ζ「あっ……起きたんですね?」
_
( ゚∀゚)「………………あ?」
予想外にも入ってきたのは女性だった。
『楽譜』かと考えていたせいで一瞬誰だか分からなかったが、次の瞬間には港で会った女性だと分かった。
( ゚∀゚)「……あんたが助けてくれたのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。昨晩波に揺られているところを偶然発見しまして」
_
( ゚∀゚)「そうか……世話になったな」
この女とはやけに度々会うようだ。
そういえばこの街に戻って来た時、初めて会ったのも彼女だ。
ζ(゚ー゚*ζ「いえいえ………私も助けられました。おあいこですよ」
そう言うと、彼女は持っていたトレイをテーブルに置き、乗せた器を俺の元へと運んできた。
ζ(゚ー゚*ζ「これを飲んで元気を付けてください」
まろやかな香りが俺の鼻の奥を刺激する。
そこで俺は昨日丸一日何も食べていなかった事を思い出した。
『海底』探しに熱が入りすぎたようだ。
_
( ゚∀゚)「おいおい…なんだこれ。うまそうだなおい」
ζ(゚ー゚*ζ「私の手作りです。お口に合わないかもしれませんが……」
( ゚∀゚)「いや、今かなり腹が減っててな。多分、まずくても完食すると思うぜ」
彼女から木のスプーンを受け取り、スープの中へ沈める。
スプーンが退けた隙間から暖かい湯気が現れ俺の顔に当たる。
直に鼻に当たった香りが更に俺の食欲を沸き立てる。
俺は一心不乱にシチューを掻き込んだ。
_
( ゚∀゚)「おお、うめえ!」
味が深く染み込んだ株の肉、柔らかく噛みごたえのあるジャガイモ、甘いアクセントとなったニンジン、
そして脂が程よく詰まった羊の肉が口の中でクリームと絡まるように流れ込む。
こんなに上手いと思ったシチューは初めてだ。
空腹のせいもあるが、やはり作り手の腕が良いおかげだろう。
ζ(゚ー゚*ζ「そうですか。それはよかったです」
ζ(゚ー゚*ζ「それと…洋服に数ヶ所破けた個所があったので直しておきました」
ニッコリと彼女は微笑んだ。料理も上手く、裁縫も出来て、言葉遣いも良い。そして何より素敵な笑顔を持っている。
身なりはあれだが、それは階級のせいだろう。
身分など気にしない海賊の俺にとっては2段も3段も彼女が素晴らしく見える。
_
(* ゚∀゚)「……………………」
天使はここにいたのか。
( ゚∀゚)「おっと………これくらいにしておくか」
結局俺は計4回おかわりを貰い、腹を満たした。
食べれば食べるほど次を欲するようになる。
いかんいかんと思いながらも口に入れ続けた。
ζ(゚ー゚*ζ「そうですか?もっと食べても良いんですのに」
_
( ゚∀゚)「いや、これ以上食べるとここに根付きそうだ」
そう言うと彼女はクスクスと笑った。
何時振りだろう。
女性と談笑したのは。
ζ(゚ー゚*ζ「そう言えば、自己紹介がまだでしたね」
_
( ゚∀゚)「そう言えばそうだな」
彼女はデレと名乗った。
たった一人でパン屋を経営しているらしい。
涙ぐましい話だ。
_
( ゚∀゚)「俺はジョルジュ・キッド。まあ、海賊だな」
_
( ゚∀゚)「英雄はこの街を拠点にしてる海賊全員だ。アイツらはこの街の市民を守る義務がある」
ζ(゚ー゚*ζ「まあ。それは頼もしい限りですね」
_
( ゚∀゚)「まあそれでも住民の奴らからの評判は悪いがな」
俺の回答にデレはクスクスと笑った。
楽しい。
彼女と話しているときに真っ先に沸いた感情だ。
女性と話す新鮮さもあり、時を忘れ俺は彼女と会話を繰り返す。
_
( ゚∀゚)「…そういえば、俺の剣はどうした?」
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、下に大事に仕舞ってますよ。取りに行きましょうか?」
_
( ゚∀゚)「ああ、いい。それよりもデレ」
ζ(゚ー゚*ζ「なんですか?」
彼女は笑顔で答える。
どんな時でも笑顔を忘れない完璧人間ともいえよう。
( ゚∀゚)「一つだけ聞きたいことがあってな」
ζ(゚ー゚*ζ「はい。何でしょうか?」
小さな顔、くりっとした大きな瞳、亜麻色の髪。
一つ一つに魅力的な要素がある。
流石だ。
_
( ゚∀゚)「ああ、デレ……お前…」
ζ(゚ー゚*ζ「?」
_
( ゚∀゚)「俺に一体何の用があって近づいた?」
その顔で裏に生きることができるなんて。
デレの表情が一気に強張った。
その顔から肯定の意を取っても構わないだろう。
_
( ゚∀゚)「ご丁寧にまあ、ここまで良い待遇をしてくれんのはありがてえけどな」
ζ(゚、゚*ζ「……いつから気付いていらしたんですか?」
_
( ゚∀゚)「あんた、海に浮いた俺を助けたって言ってたな。あれは嘘だ」
俺は両手を頭の後ろで組み、壁に寄り掛かった。
_
( ゚∀゚)「俺が覚えている最後の記憶は服に仕込んでいた道具の重みで沈む俺の姿だ」
_
( ゚∀゚)「子供でも分かるよな。浮く訳がねえんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「…でも、あなたは私の恩人です。沈んだ貴方を潜ってまでも救出しようとくらいするのでは?」
既に彼女は認めているがそれでも執拗に尋ねて来る。
恐らく俺を試しているのだ。
( ゚∀゚)「まあな。その可能性は否定できねえ……だがアンタの正体を伺える要素は他にもある」
俺はこの部屋にある家具を一つ一つ指で示していく。
テーブル、物入れ、ベッド、カーテン、カーペット、観葉植物……あとこの陶磁器もか。
ζ(゚ー゚*ζ「?」
_
( ゚∀゚)「これ……随分新しいな」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。最近買い換えたんです」
_
( ゚∀゚)「なら…なんで服はそんなに小汚いんだ?」
ζ(゚ー゚*ζ「!!」
_
( ゚∀゚)「家具一式買い替えるなんざ……相当な金持ちじゃないとできねえよな」
答えは分かりきっている。
この家具の謎も、彼女の正体も。
_
( ゚∀゚)「盗品なんだろ?全部」
しかし生活するには必要な物がある。
だから必要な物は盗んだ。
あるいは盗んだ金で買ったのか。
しかし身なりだけは家に合わせなければならない。
なので着ている服と家具に身分の差が生まれてしまった。
ζ(゚ー゚*ζ「……流石は『決闘』ですのね」
_
( ゚∀゚)「別に俺が何て呼ばれていようが今は関係無いだろ」
ζ(゚ー゚*ζ「貴方の言う通り……私は貴方に頼みたい事があるんです」
_
( ゚∀゚)「……その前にデレの正体を教えてくれ」
デレは俺の膝の上に置いてあった食器をテーブルに移し、そっとベッドの上に座った。
ζ(゚ー゚*ζ「初めまして。私、盗賊のデレと申します」
( ゚∀゚)「………盗賊」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。主に貴族を中心に」
_
( ゚∀゚)「それで盗賊さんがこんな無一文な俺に何の用だ?」
悪いが今は本当に金が無い。
『海底』に全て奪われ、取り返す前に海に落ちたのだ。
盗める物なんて数が知れてる。
ζ(゚ー゚*ζ「盗賊とは申しましたが、仲間はおらず一人で活動しております」
単身の女盗賊か。
なかなか言葉にすると魅力的だが、いざ目の前にすると特別妖艶とした雰囲気を出してるようにも思えなかった。
デレは毛布に手を付けて這うように近づいてきた。
ζ(゚ー゚*ζ「ご存知でしょう?フィレンクト卿が狙っている『メデューサの瞳』を…」
_
( ゚∀゚)「なんだ。デレもあの宝石を狙ってんのか」
まあ盗賊だ。
不思議な話でも無い。
ζ(゚ー゚*ζ「先日、フィレンクト卿の部下がそのありかを突き止めたそうですが…」
そこで俺はピンときた。
彼女が俺に近付いてきた真の理由が。
_
( ゚∀゚)「ははぁ…なるほどな。つまりお前は俺に宝探しを手伝わせたいわけか」
ζ(゚ー゚*ζ「…話の早い方で安心しました」
デレの話は更に続いた。
話によると、フィレンクト卿は大の宝石コレクターで、価値のある宝石を世界中から取り寄せているという。
そのフィレンクトの部下が『メデューサの瞳』を見付けたのが6日前。
自分の宝石は誰にも触られたくないという重度の潔癖症のせいで部下は持ち帰る事ができなかったそうだ。
フィレンクトは自ら宝石の眠る島に向かい、それを手にするつもりらしい。
その隙を狙って宝石を奪おうと、この島に多くの海賊が集った。
ζ(゚ー゚*ζ「私一人では厳しいですが、貴方と手を組めば不可能な話ではありません」
確かに、本当の敵はフィレンクトではなくそれにまとわりつく海賊たちかもしれない。
そうなった時に彼女一人で戦うのは明らかに不利だ。
そう言うと、彼女はゆっくりと俺の胸まで近づいてきた。
包帯の上から小さな手が触れる。
小さな顔が俺の顔にそっと寄った。
柔らかな温もりが伝わってくる。
ζ( ー *ζ「私と……手を組みませんか?」
彼女の顔がゆっくり近づき、俺の唇に吐息が当たる。
デレはそっと服を緩めて胸元を広げ、俺の背中に手を回した。
柔らかな温度が俺の腹に当たる。
_
( ∀ )「………………」
ζ( ー *ζ「あなたになら……私の全てを捧げられます……」
俺は彼女の肩を掴みそっと体を引き離す。
そして、顔と顔を近づける為、もう一度自分の元へと寄せた。
そのまま彼女をベッドに引き倒し、仰向けに寝転がせる。
それに覆う形で俺は彼女に跨った。
_
( ∀ )「……面白いね」
( ∀ )「フッ……ククク……アッハハハハハハハハハ!!」
ζ(゚ー゚*;ζ「!?」
_
( ゚∀゚)「だが残念……。応えることはできないな」
ζ(゚、゚*;ζ「!!…どうしてですか!?」
俺はデレから離れ、ベッドから立ち上がった。
シャツを羽織り、ベストを重ねる。
デレは酷く困惑した顔を見せた。
_
( ゚∀゚)「まず、アンタは3つ程勘違いをしてる」
コートの中の道具には手を付けられていないようだ。
まあ、こんなもん、傍から見たらなんの得にも感じないだろう。
ζ(゚、゚*;ζ「勘違い…ですか?」
_
( ゚∀゚)「一つ、そもそも俺は『メデューサの瞳』になんの興味も沸かない」
興味津々でこの街に戻って来たが、それも昨日、一昨日の話だ。
今となっては微塵も湧かない。
( ゚∀゚)「二つ、俺はデレ……あんたを信用していない」
_
( ゚∀゚)「確かに助けてもらった恩はあるが、それでもだ」
ζ(゚ー゚*ζ「どういう事……ですか?」
_
( ゚∀゚)「アンタがこの取引をするために『巨人』を差し向けた可能性もあるってことさ」
ζ(゚ー゚*ζ「……全ては私の計画だったと?」
_
( ゚∀゚)「さあな、そこまではわからねえ。ただアンタがフィレンクト卿の手先かどうかは証明しようがねえだろ?」
ブーツを履き、ハットを被る。
キャプテンジョルジュ、再起動だ。
_
( ゚∀゚)「そして三つ。これが最も重要なファクターだ」
ζ(゚、゚*;ζ「……?」
_
( ゚∀゚)「俺を色で誘うなら、もう2周りバストを増やしな」
ζ(゚ー゚*;ζ「なっ…!!」
デレは顔を赤らめながら、起き上がる。
しかしその目は確実に瞳孔を開いていた。
つまりこの作品のツンは巨乳設定・・・?
_
( ゚∀゚)「ああ…じゃあもうしばらく預かっておいてくれ。気が向いたら取りに来る」
ζ(゚ー゚*;ζ「!!」
ζ(゚、゚*ζ「………………そうですか。分かりました」
彼女は悔しそうに俯く。
その姿も美しいが、恋する俺にそんな色仕掛けは通用しない。
デレは服を整えて、立ち上がった。
ζ(゚ー゚*ζ「貴方を引き入れる為に尾行し、助けたことは認めます。しかし……」
ζ(゚ー゚*ζ「私は貴方に『巨人』を差し向けるような事は一切しておりません。これだけは知っておいて下さい」
_
( ゚∀゚)「……ああ、信じるよ」
そう言うと俺はドアを開け、部屋を出た。
外は驚くほどの晴天で、爽やかな風が通り抜けた。
_
( ゚∀゚)「さて……どうしようか」
とにかく、クルー達に会いに行こう。
最愛の人が他の男と結婚すると言い、そのせいで次に狙っていた秘宝には興味も沸かず、
クルーを半殺しにした奴を殺してしまった為、一挙にやることが無くなった。
_
( ゚∀゚)「海賊……やめるかあ…………?」
……なんだよ最後の『?』は。
爪'ー`)「よう。目覚めたか」
(///<)「あ……あなたは?」
爪'ー`)「アンタの親分の知人さ」
(///<)「え…船長の?」
爪'ー`)「まあ気にせずゆっくりしな」
(///<)「……………………船長は」
爪'ー`)「さあな。生きてるのかもわからねえ」
(///<)「!!ど、どういうことですか!?」
爪'ー`)「昨日……『決闘』はアンタ達の敵を討つために『海底』と一騎打ちをしたんだ」
(;///<)「か、『海底』とですか!?」
爪'ー`)「安心しな。もちろん『決闘』は勝ったよ」
(;///<)「え……なら船長は…」
(;///<)「『巨人』って……昨日の……体の大きい!?」
爪'ー`)「海に吹っ飛ばされたよ……そりゃあもうゴミ屑のように飛んでった」
(;///<)「吹っ飛ばされたって……それで船長はどうしたんですか!?」
爪'ー`)「俺もその場にいたんだが、飛ばされた後俺も『巨人』に追い回されてよ……」
爪'ー`)「逃げるので精一杯で助けてる余裕なんて無かったわ」
(;///<)「そ、そんな……」
爪'ー`)「朝一番に潜ってみたが奴の死体は見つからなかった。まだ生死は掴めてない」
(;///<)「……………」
爪'ー`)「……大丈夫だ。俺は半日程度しかあの人いなかったが、なんつーかこう……生き続ける事に対する執念を感じたぜ」
爪'ー`)「悪いが…あの人は簡単には死なねえよ。それはいつも一緒にいたアンタがよく知ってるだろ?」
(///<)「そ、そうです!!あの人は簡単に死なないんです!!」
爪'ー`)「…………ホントか?」
(///<)「樽の上に乗って2日間大海原を漂流し続けた勇者なんです!!」
(///<)「あと…あと…お酒苦手なくせに僕達を盛り上げる為に一気飲みだってする命知らずなんです!!」
爪'ー`)「そりゃあ……すげえな」
(///<)「き、きっとそのうちすぐ現れるんです!!」
爪'ー`)「ああ。……俺もそう思うよ」
(///<)「はい!…………」
爪'ー`)y-「……そうだ。景気付けに1曲弾いてやろう」
(///<)「バイオリン……ですか?」
爪'ー`)y-「そうだ。俺は……音楽家なんだよ」
( ;゚∀゚)「な、なんだこれ……!?」
一難去ってまた一難。
今度は目の前に有刺鉄線が張られていた。
勢いよく前に出ていたら首に深く刺さっていただろう。
俺は身を屈め、潜り抜ける。
_
( ;゚∀゚)「糞っ………!!俺が何をしたってんだ!」
『楽譜』の船を探している途中、俺はまたもや『駆除』の罠に掛かった。
相変わらずの360度死角無しの戦線が俺を襲う。
もちろん昨日の体験を活かした巧妙な対策などあるわけもなく、逃げの一手で状況を回避する。
前回は『楽譜』がいたので大分楽だったが今度はそうもいかない。
_
( ;゚∀゚)「糞……傷が……!!」
俺は左手で盾を握り、右手で肩を抑えながら街の通りを駆け抜ける。
矢や銃弾に加え、落とし穴やトラバサミなど、人を小馬鹿にした仕掛けが幾つも追加されていた。
罠も増加し、味方は減り、おまけに体調は万全では無い。
状況はあまりにも絶望的だ。
強いて前回よりも良くなった点を挙げるとすれば、もう袋小路に陥るようにはならない事だけか。
( ;゚∀゚)「うおっ!!あぶねえ!!」
盾で身を守っても、今度は後ろから攻められる。
常に全方位+上空+地面を警戒しながら進むため、全く場を離れる事が出来ない。
激しい運動のせいで傷口は広がり、血が溢れ出した。
足は縺れはじめ、目眩は酷く、息も荒い。
初めは完全に避けることが出来た矢も、体に掠めて致命傷を回避するのがやっとだ。
_
( ;゚∀゚)「っ!!」
投石が4発、脇から飛んできた。
とっさに盾を構え、石を弾く。
その時だった。
_
( ; ∀)「うっ!!……あぐっ!」
足に火傷のような熱が走る。
その熱は次第に痛みに姿を変えて脳に伝わった。
_
( ; ∀)「糞……………銃か…っ!!」
右足をやられた。
足はガクガクと奮え、ついにはその場に立っていられなくなり、へたっとしゃがみ込んだ。
足に力が入らず、起き上がる事すら困難に思える。
盾を構えるのがやっとだ。
そこまでの重傷を足に負ったわけでも無い。
しかしどうしても力が入らないのだ。
それは目的の消失のせいか。無形の敵に対する恐怖か。
いずれにせよ、俺のそれは諦めに近い感情だった。
_
( ; ∀)「…………矢か」
人間、死ぬ間際になるとやけに勘が冴えるもんだ。
感じる。俺の背に放たれた1本の矢が。
しかし俺は避ける気力や防ごうとする反射も働かなかった。
そうか。俺は死ぬのか。
そう思ったときに無性におかしくなった。
たった一人の女性が別の男と結ばれる。
たったそれだけで俺は生きることに諦めを抱くとは。
しかし、もうそんなことはどうでもよかった。
俺は静かに目を閉じた。
その時だった。
矢が俺の背に刺さった音でもない、金属音が聞こえたのは。
.
俺の背後に立っていたのは身なりの良い男だった。
剣を構え、俺に背を向けている。
_
( ;゚∀゚)「お……お前…!!」
顔を見なくても分かる。
俺が今一番会いたくない奴だ。
モララー子爵。
( ;・∀・)「いろいろ言いたいことはあると思いますが、とにかくここを抜け出しましょう」
_
( ;゚∀゚)「ふざけるな!!離せ!!」
モララーは一定の矢を薙ぎ払った後、俺の腕を肩に乗せ、俺の体を起こした。
勘弁してくれ。
こいつに助けられるなんてそんな屈辱的なことがあるか。
俺は力ずくで腕をはがし、必死に抵抗する。
するとモララーはするっと力を抜いて、簡単に俺を解放した。
( ・∀・)「逃げれる元気はあるようですね」
_
( ゚∀゚)「………」
_
( ゚∀゚)「どういうことだ?」
( ・∀・)「『駆除』は貴族を狙うことは決してしませんので」
ふと辺りを見渡すとあれほど飛び交っていたのが嘘のように消えていた。
辺りに散らばる無数の銃弾。
なるほど。
こいつがいるせいで『駆除』は俺を殺すことができないのか。
( ・∀・)「さあ、行きましょう。これ以上ここにいても…」
_
( ゚∀゚)「何故助けた」
( ・∀・)「は?」
俺はモララーの胸倉を掴み、煉瓦の壁に押し付けた。
_
( #゚∀゚)「いいか!?俺とお前はまだ決闘の最中なんだぞ?」
_
( #゚∀゚)「何故助けた!!答えろ!」
こいつが俺に憐れみを掛ければ掛けるほど俺のプライドにヒビが入る。
それはあのまま『駆除』に殺されることよりもよっぽど恐ろしいことだ。
_
( ゚∀゚)「……あ?」
( ・∀・)「決闘はまだ終わってないんでしょう…?」
モララーはニヤリと口角を上げながら胸ポケットを探った。
その手に握られていたのは俺の真黒な手袋だった。
( ・∀・)「決闘には通常白い手袋と定められていますが…」
_
( ゚∀゚)「それは反則無しの決闘の話だろ?」
( ・∀・)「…………なるほど。では今度戦うときは十分に注意しましょう」
_
( ゚∀゚)「……今度?」
( ・∀・)「見たところ、あなたは現在、剣を持っていないようですが…」
そう言われて俺はデレに剣を預けていたのを思い出した。
今の俺は銃も持ってい無い無防備人間だ。
_
( ゚∀゚)「そんな甘いこと言ってていいのか?俺を殺せる最後のチャンスかもしれないぜ?」
つまりそういうことです、とモララーは話を止めた。
その態度がまた気にいらない。
_
( ゚∀゚)「ああ、そうか。なら決闘は次会った時だな」
( ・∀・)「そういうことになりますね」
モララーはそう言うと俺の右手袋を胸ポケットにしまった。
( ・∀・)「そう言えば…『金欠』はまだ生きているそうですよ」
_
( ゚∀゚)「……?あ、ああ。アイツか」
すっかり忘れていた。
そうか。アイツは生きていたのか。
まあもう会うことはないだろうし、気に留めることもないだろう。
_
( ゚∀゚)「それよりもお前…遠征はどうしたよ」
( ・∀・)「遠征……?ああ、ツンから聞いたんですね」
_
( ゚∀゚)「なんだよ。中止になったのか?」
( ・∀・)「ええ。なんでもカルベ海に海獣が現れたとか」
体長は6m程のものからから15m以上にもなるものもいる。
船をひっくり返し、おぼれた人間を喰い荒らす獰猛なサメだ。
この海の主と言っても過言ではないだろう。
カルベ海に接している島の全てに、海獣が目撃された日は航海をしてはいけない決まりがあるほどだ。
モララーが言うには、そいつが現れたせいで、遠征は中止になったという。
_
( ゚∀゚)「つまり、暇になった時間を潰しているところに、俺と出会ったと」
( ・∀・)「概ねそんな感じです」
俺は、強張っていた肩の力を抜いた。
気付けば、こいつに対する怒りは無くなてしまったようだ。
しかし、こいつとツンのことに、納得が言ったわけではない。
_
( ゚∀゚)「なあ」
俺はモララーに声をかける。
( ・∀・)「なんでしょうか」
_
( ゚∀゚)「お前は…その……なんでツンと結婚するんだ?」
その言葉に、モララーは反応し、手を止めた。
( ・∀・)「やはり…あなたはツンを愛しているんですね?」
_
( ゚∀゚)「…………ああ」
( ・∀・)「謝ろうとは思いません。ここは僕も引けないところではありますしね」
_
( ゚∀゚)「だと助かる。同情されても困るからな」
( ・∀・)「……僕はどうも貴族の女性を好きにはなれないんです」
コイツはとても奇妙なことを言い出した。
貴族が貴族を愛せないとはどういうことなのか。
( ・∀・)「あなた方が思っている以上に貴族の世界は恐ろしい」
( ・∀・)「言論弾圧、政略結婚…存在価値など皆無に等しいものです」
俺にはこいつら貴族の悩みなど想像もつかないが、きっと苦難しているのだろう。
しかし、海賊の俺に同意を求められても困るが。
( ・∀・)「フィレンクト卿がこの島に就く事になり、直属の部下であった私は私の家系と離れることができました」
_
( ゚∀゚)「あんたフィレンクトの部下だったのか?」
( ・∀・)「ええ、まあ」
まあ確かに今まで表町でも貴族など、この街で見たことが無かったが…。
( ・∀・)「私は自由に婚約者を探したい、そう思っていた矢先、彼女と出会いました」
他人事ならめでたい話だが、相手はツンだ。
どんなことになろうと認めるわけにはいかない。
_
( ゚∀゚)「悪いが手を引け。そうすれば命だけは許してやるよ」
( ・∀・)「残念ですが…命など惜しくもない」
_
( ゚∀゚)「そうか。もう後には引けないぜ」
決まりだ。
次こいつと会った時、俺はこいつを殺す。
俺がツンを諦めても、ツンをこいつと結ばせたりなどさせない。
決して……な。
( ・∀・)「……では私からも質問させてもよろしいでしょうか」
_
( ゚∀゚)「なんだよ。ツンといつまで一緒に風呂に入ってたとかなら答えねえぞ」
( ・∀・)「いえ……話は変わってしまうのですが……」
( ゚∀゚)「何だよ」
( ・∀・)「…………あなたの父親についてです」
( ゚∀゚)「………………あ?」
俺は間抜けな声でモララーに返した。
まさかあいつからこんな質問が来るとは思わなかった。
いったい何の真似だ?
( ・∀・)「貴方の父、ジョリー・キッド……彼が現在に残した功績は大きい」
_
( ゚∀゚)「………………………おい」
( ・∀・)「元々、彼は発明家、探検家として名を知られていました。様々な島を見つけ、様々な発明品を生み出しました」
( ・∀・)「しかし、ある時から彼は第一級海賊に指定されてしまった」
_
( ∀ )「……おい」
( ・∀・)「その後、ジョリーは巨大な渦潮に飲まれ死亡したと聞きますが、本当の所は良くわかっていません」
( ・∀・)「彼にはいくつかの謎が残されています。何故彼は海賊になったのか。何故海のプロである彼は渦潮に飲まれたのか。彼が探し求めていた物は何か」
( ・∀・)「その答えは……彼の息子、ジョルジュ・キッドが知っているのでは無いのでしょうか」
_
( #゚∀゚)「いい加減にしろ!!」
モララーはその場に倒れ、頬を押さえながらこっちを向く。
_
( #゚∀゚)「……いいか……俺の前で二度とその話をするな……」
(∩・∀・)「……それはできません」
_
( #゚∀゚)「ああ?」
( ・∀・)「彼は私の憧れの人でした。彼の枯渇知らずの探究心に幼少の私は感銘を受けました」
( ・∀・)「その彼が何故海賊にならなければいけなかったのか、理解に苦しみます」
俺はついに頭に来たので右手で奴の胸倉を掴み、左腕を振り上げた。
_
( #゚∀゚)「……誰も聞いてねえ事を喋ってんじゃ……」
( ・∀・)「彼が海賊になった3日前……彼は探検家として最後となる航海に出ていました」
モララーは俺の言葉を喰うように話を続けた。
俺の腕はピタッと止まっていた。
( ・∀・)「その時の航海の目的は『秘宝』を探すこと」
( ・∀・)「その航海に……あなたも同行していたそうですね」
( ;゚∀゚)「…………」
( ・∀・)「……何があったんですか?」
俺の頬を一滴の汗が滴り落ちる。
そして、俺の中であらゆる記憶がフラッシュバックした。
あの日。
あの船。
あの航海。
あの事件。
忘れかけていた物が噴水のように湧き出てきた。
俺は腕を降ろし、モララーの服を離した。
その手をそのまま自分の額に当てた。
_
( ; ∀)「その話は…………もう終わりだ」
( ;・∀・)「ですが、何としても私は……」
_
( #∀ )「終わりだ!!」
俺は強く怒鳴り上げ、モララーの言葉を遮った。
顔を逸らし、モララーを視界に入れないように意識した。
( -∀-)「…………………………」
( ・∀・)「………………わかりました」
沈黙の末、奴は手を引いた。
モララーもついに諦めたようだ。
_
( ∀ )「…………ああ、そういうことだから…」
その時、俺の脳に何かがよぎった。
とても重要なことだ。
俺は何か大きな見落としをしていたのではないか?
_
( ゚∀゚)「おい」
( ・∀・)「どうしました?」
_
( ゚∀゚)「なんで知っているんだ?」
( ・∀・)「……何をですか?」
_
( ゚∀゚)「俺の親父の最後の航海のことだよ」
_
( ゚∀゚)「違う。そっちじゃねえ」
_
( ゚∀゚)「なんでお前は俺の親父の最後の航海が秘宝の探索だと知っていたんだ?」
( ・∀・)「………………それは」
_
( ゚∀゚)「あれは俺らの船の中で口外禁止になった話だ。お前が探しても知る由もねえ」
( ・∀・)「………………」
_
( ゚∀゚)「どこで聞いたんだよ。そして……答えろ」
_
( ゚∀゚)「お前の目的は何だ」
モララーは黙り込んだ。
おそらく俺の質問が的確だったからだろう。
( ・∀・)「……………………やれやれ」
( ・∀・)「私としても…これだけは避けたかったんですけどね……」
パチンという音が町に響く。
その数秒後に俺の足元からカチッという音が聞こえた。
_
( ;゚∀゚)「なっ……!?」
俺は高く飛び上がり、その場を離れた。
それと同時に、俺がさっきまで立っていた場所で鋭い破裂音が鳴る。
俺やモララーに被害は出なかった。
しかし、弧を描いて地に着地した途端、そこでまた地面がカチッと不自然な音を立てた。
_
( ;゚∀゚)「くそっ…!!」
俺はまた飛び上がり距離を取る。
しかし着地するとまた音が聞こえる。
どこへ跳んでも音はついて来た。
_
( ;゚∀゚)「うっ!?」
背中に固い衝撃が当たる。
後ろを見ると、煉瓦の壁があった。
気付けば俺は道の隅に追いやられていた。
なんとか体勢を持ち直そうと前を向く。
その時、どこから現れたのか、目の前には数十人にも及ぶ兵隊の群れ、そのそれぞれが銃を固く握りしめて俺に向けていた。
( ;゚∀゚)「あ……?」
その銃を構えていたのは……モララーだった。
人だけではない。
ここら一帯に仕掛けられた全ての武器が俺を捕らえていた。
( ・∀・)「まったく……素直に答えていればいいものの……」
_
( ;゚∀゚)「……何の真似だ?」
( ・∀・)「紹介が遅れました……」
そういうと、モララーはニヤリと口角を上げる。
( ・∀・)「私が『駆除』です」
ζ(゚ー゚*;ζ「やっぱりもっと早く手を打っておくべきでした……!」
】ジュリア村:港【
( ;^ω^)「お前ら!!直ぐに出航の準備をするお!!」
】レイナ村:港【
爪;'ー`)「今のうちに砲弾を買い占めておけ!!大量にだ!!」
】キャシー村:港【
(#,,゚Д゚)「何チンタラやってんだゴルァ!!早くしねえと出遅れるぞ!!」
】ベルニカ村:港【
(;,,^Д^)「いったいどうしたんだよ!!」
(^Д^ ;)「知らないのか!?」
(^Д^ ;)「明日……フィレンクトがついに出港するんだよ!!」
(;;#∀゚)「何だ。お前だったのか……一々つまらねえ子供騙しな玩具を作ってたのは」
( ・∀・)「ええ。中々楽しめたでしょう?」
俺は政府の連中に連行され、錆びれた溝の臭いが立ち込める牢に入れられた。
固く冷たく汚く……そして暗い。
俺以外の囚人は一切おらず、ただただ俺の小屋だけが騒がしい。
俺はモララーの部下数人に、棍棒のようなもので殴られ続けた。
元々貴族の類の言葉を信じた事は無いので、こんな種明かしでも素直に受け入れられる。
しかし、何故こいつはこんなタイミングで素性を明かしたのか?
_
(;;#∀゚)「海賊は嫌いじゃないんじゃなかったのか?」
( ・∀・)「ああ、すいません。嘘つきました」
_
(;;#∀゚)「なら……どうして俺を助けた?」
( ・∀・)「私は貴方ならこの程度の罠、簡単にかい潜れる物だと思っていました」
( ・∀・)「ですが、それもどうやら買い被りだったようです」
また一発俺の頭に衝撃が走る。
ただでさえ赤いコートが赤く染まる。
むしろこれは赤紫か?
(;;#∀゚)「……俺の親父に憧れているってのも嘘か?」
( ・∀・)「ええ、嘘です。私の上司が貴方の父に大変興味を持っておりまして」
_
(;;#∀゚)「フィレンクトが?興味だって?」
するとモララーは今までの聞く姿勢とは打って変わって饒舌に喋り出した。
( ・∀・)「貴方の父の真相は政府の中でもほんの一握りの人間しか知りません」
( ・∀・)「フィレンクト卿ほどの位の高い者でも知らないような……ね」
_
(;;#∀゚)「…だから俺を執拗に狙ってたのか」
( ・∀・)「ええ。貴方を監視するよう言われていました」
_
(;;#∀゚)「………………もしかして、ツンは…」
( ・∀・)「貴方に近付く為の口実です。彼女があなたの幼馴染だったことは調査済みですからね」
_
(;;#∀゚)「クズ野郎が……!!」
反吐が出る。
こんな愛の欠片もない嘘吐き野郎にツンは騙されたっていうのか。
殺してやる。
こいつだけは……必ず。
意識が朦朧とし、視界がぼやける。
しかし、抵抗する事さえもできない。
_
(;;#∀゚)「勝手にしろ。俺は何があってもしゃべらねえ」
( ・∀・)「……………やれ」
その合図に従い、連中は俺の腹や顔を何度も殴りつけた。
歯は折れ、顔の穴という穴から血が飛び出た。
それでも俺は声を出さなかった。
それから数十分殴られ続けたが、結局俺の口から出たのは嗚咽とため息だけだった。
( ・∀・)「……………どうやら口だけは固いようですね」
_
(;;#∀;;)「お前と……違ってな」
正直、強がっては居られない程に限界が来ている。
しかし、この程度の暴力なら耐えられる。
こいつらの思い通りになってたまるか。
( ・∀・)「そうですか…。では方法を変えましょう」
(;;#∀゚)「……?」
突然、モララーは手を上げ、俺を殴り続けた男達を退散させた。
その後、モララーは檻から出て、牢に鍵を掛ける。
鉄格子を挟んで俺達は二人だけになった。
( ・∀・)「『暗闇』…………という名前を覚えていますか?」
_
(;;#∀゚)「『暗闇』……?なんだそれ」
( ・∀・)「……………まあ良いでしょう」
モララーはニヤニヤと俺を見つめながら話しかける。
貴族というのはどこまで気持ちが悪いのか。
( ・∀・)「『暗闇』……現在このドゥルトゥーガ島で問題となっている連続強姦殺人魔です」
連続強姦殺人魔…?
なんだ。そんなもんが流行ってんのか?
あまり強そうには聞こえねえが…。
_
(;;#∀゚)「なんだよ。そいつがどうかしたのか?」
( ・∀・)「実は彼……私のペットでして」
なんだコイツは獣姦でもやらせているのか?
悪趣味にも程がある。
( ・∀・)「人が嬲られる姿を見るととても興奮するんですよ」
( ・∀・)「ここ連日の殺人は全て彼にやらせています」
( ・∀・)「ターゲットとなるのは……島民の位の低い女性に限りますが……」
_
(;;#∀゚)「……………?」
意味が分からない。
ならますます俺は関係ないじゃないか。
( ・∀・)「薄々はこうなる気がしていたんです」
( ・∀・)「あなたは自分自身の為に何かを犠牲にしない、と」
_
(;;#∀゚)「……何が言いてえんだよ」
( ・∀・)「簡単ですよ。あなたの大切なものを壊せばいい」
その時妙に気持ちの悪い塊が、胃の下に落ちた感じがした。
俺は気付いてしまったのかもしれない。
こいつが言いたいことを。
( ・∀・)「むしろ世の中は全て貴族だけでもいいと思っているくらいですから」
( ・∀・)「私が市民と結婚?はっ!それこそありえない」
_
(;;#∀゚)「まさか………………」
( ・∀・)「そう言えば…そろそろあの時間ですね……」
( ・∀・)「あの子……市場に行く時間ですよね」
_
(;;#∀゚)「おい!!……まさかツンに何かしたんじゃないだろうな!!」
( ・∀・)「いえいえ……するのはこれからですよ」
俺は腕を強く降り、鎖を力づくで外そうとするが、びくともしなかった。
これで繋がった。
こいつが『暗闇』なんていう馬鹿げた話をし始めた理由が。
_
(;;#∀゚)「……どこまで腐ってんだよ……お前」
( ・∀・)「貴方達に汚れた手を使っても誰が私を責めますか?」
まずい。ツンの身に危険が迫っている。
助けられるのは…俺しかいない。
_
(;;#∀゚)「ぐっ……この野郎……」
( ・∀・)「既に『暗闇』は待機させております。私の合図ですぐに行動に入れるでしょう」
( ・∀・)「あの時の状況を話せば……彼女の安全だけは保証しましょう」
_
(;;#∀゚)「………………!!」
モララーはそう言うと、牢獄のドアに向かって歩きだした。
答えは一つだった。
悩むまでもない。
_
(;;#∀゚)「わかった。話す!話すから待て!!」
俺は声を張り上げモララーを止める。
モララーも俺の声に反応し、足を止めた。
( ・∀・)「では、お願いします。私もこれ以上は待てませんので」
_
(;;#∀ )「この……クズ野郎……が……」
(;;#∀ )「15年前のあの日……9歳だった俺が初めて親父の航海について行った日だ」
俺はゆっくりと話し始める。
あの記憶。
決して思い出したくもない記憶。
_
(;;#∀ )「世界には5つの秘宝があるのは知っているな?」
( ・∀・)「ええ。『ドラゴンの牙』『グリフォンの羽根』『キマイラの尾』『マーメイドの鱗』……そして『メデューサの瞳』」
_
(;;#∀ )「そのうち3つは既に発見されている」
_
(;;#∀ )「だが、姿も確認されていない他の2つはなんであると分かったんだ?」
( ・∀・)「それは…古い文献で……」
_
(;;#∀ )「違う」
_
(;;#∀ )「それらは全て親父が一度、発見したものだ」
( ;・∀・)「!!」
世界が求めている新たなる希望は全てあの人が担っていた。
母親を亡くしている俺にとって、父は唯一の肉親であり、そして同時に憧れの人でもあった。
未開の島の発見、科学の実用化…全世界が俺の父に注目していた。
その中でも特に注目を集めたのが、『秘宝』と呼ばれる宝石達だ。
誰がいつどこで作ったかもわからない。
しかし、人を魅了する美しさがそこにはある。それが『秘宝』。
秘宝は全世界の各地に散らばっており、そうやすやすと入手できるものではない。
_
(;;#∀ )「そして…俺達は6つ目の秘宝のありかを突き止めた」
( ;・∀・)「6つ目!?秘宝は5つだけではなかったのですか!?」
_
(;;#∀ )「ああ。秘宝は全部で10もある」
( ;・∀・)「じ、10!?まだ、半分しか存在が分かっていないのですか!?」
親父が言った言葉を俺はそのままモララーに伝える。
秘宝には別の秘宝の存在を示す文章が掘られている。
一つにつき一つ。
つまり10全ての秘宝が連結してその存在を証明しているのだ。
_
(;;#∀ )「最初に2つの秘宝が見つかった。その2つの秘宝にはそれぞれ別の宝石の名前が記されていた」
_
(;;#∀ )「一つは親父が探し当て、発見した。そしてもう一つはあんたらが狙っている『メデューサの瞳』だ」
もちろん、発見した秘宝にも別の秘宝の名が書かれていた。
これが親父の運命を変えることになった秘宝だ。
(;;#∀ )「俺達はもう少しで6つ目の秘宝を手に入れられる予定だった」
親父はカルベ海にある謎の島を発見し、そこに宝石があると確信した。
俺がその航海に連れて行ってほしいと駄々を捏ねると親父は快く承諾してくれた。
そしてこの島から4日後、その洞窟に到着した。
洞窟の中は立派な鍾乳洞になっており、とても広い空洞がいくつも存在した。
宝石は、空洞内に溜まった海水の中央にある台座にあった。
俺は子供心にはしゃぎ回り、泳いでその宝石を取りに行ったんだ。
しかし、そこでアクシデントが起きた。
海獣が現れたのだ。
その海水の底はカルベ海に繋がっており、海獣の住処になっていたのだ。
_
(;;#∀ )「俺は襲われた。しかし、間一髪で船員のみんなが助けてくれたおかげで俺は怪我で済んだ」
俺が怪我を負ったことにより、親父達は帰還を余儀なくされた。
宝石はそのまま置いていくことにした。
そして他の船がその島に近付かせないように親父は宝石を無かったことにしたのだ。
( ;・∀・)「なるほど……つまりそれが原因で貴方の父は……」
相変わらずこいつの理解力には恐れ入る。
まったくもってその通りだ。
_
(;;#∀ )「もちろんあの人は政府にこう言った。『あの洞窟には宝石は無かった』と」
もしかすると、ジョリーは宝石欲しさに嘘をついているのではないかと。
だが政府にはそれを確かめる術は無かった。
何せ相手は渦潮、海獣が襲いかかる魔の海域カルベ海。
普通の船乗りが行ったところで帰ってこれなくなるのがオチだろう。
かといってジョリーの船員に任せるわけにはいかなかった。
いくらジョリーの船員が優秀な人材揃いでも、肝心のこいつらが不信では任せられないだろう。
_
(;;#∀ )「だから政府は親父を海賊に仕立て上げた。そうすれば親父を殺しても罪には問われないからな」
親父は政府に反論しようとはしなかった。
素直に、受け入れ海賊となる道を選んだ。
しかし、俺がその船に乗ることはもう無かった。
親父は俺の身を案じ、俺をフサギコの親父に預けたのだ。
その後、ジョリーは海難事故に遭い、死んだという話を聞いた。
親父の船がそんなことになるわけがないと最初は疑ったが、月日が流れるにつれてどうでもよくなってしまった。
気付けば俺は海賊になっていた。
理由?そんなの知らねえよ。
ただ……世界を見たくなったのと、貴族が嫌いになったことが同時に重なったのかもしれない。
これが、あの日起きた全てだ。
俺が隠し持っていたことをこいつに吐きだした。
_
(;;#∀゚)「以上だ……。お前らの収穫になった話もあったはずだ……だから」
( ・∀・)「一つだけ質問をしても……?」
_
(;;#∀゚)「……何だよ」
今更どんな質問をされても構わない。
俺は吐くだけ吐いた。
全てはツンの為に。
( ・∀・)「貴方は何故……この話をすることを拒んでいたのですか?」
( ・∀・)「今の話を聞く限りでは貴方の幼少の頃の過ちを打ち明けたにすぎません。別に身の危険を感じる要素は無いように思えますが……」
_
(;;#∀゚)「単純な理由だ。『トラウマを蘇らせたく無かったから』それ以外ないだろ?」
( ・∀・)「フフフ……なるほど。確かに下らない」
モララーは口を手で押さえながらクスクスと笑う。
そしてそのままドアをゆっくりと開いた。
(;;#∀゚)「おい!!約束だぞ。ツンには手を出すなよ!!」
( ・∀・)「……………………」
モララーはピタッと動きを止めた。
止まったまま、奴は一歩も動かなかった。
暗くてよく分からないが、モララーは肩を震わせているのか?
その後モララーは顔だけねじり、俺の方へ振り向いた。
その顔は泥のように濁った気色の悪い笑顔をしていた。
( *・∀・)「すいません……………嘘つきました」
_
(;;#∀゚)「………は?どういう事だよ……」
( *・∀・)「言葉通りですよ。ツンには死んでもらいます。」
_
(;;#∀゚)「どういうことだ!!話が違うじゃねえか!!」
( *・∀・)「いえいえ……これは学習しない貴方が悪いんですよ?」
( ・∀・)「この趣味ばかりは……辞めることが出来ないんです」
俺は怒りのボルテージがMAXに達し、腹の底から奴を咎めた。
_
(;;#∀゚)「ふざけるな!!どこまで頭が腐ってんだてめえは!!」
足をジタバタと暴れさせ、胴体を何度もくねらせた。
( ・∀・)「まあ、いいじゃないですか。もう貴方は彼女とは会えないんですから」
_
(;;#∀゚)「ま、待て!!どこへ行く!!」
( ・∀・)「貴方に話す必要があるんですか?」
_
(;;#∀゚)「おい!!逃げるな!!モララーああああああああああああああああああ!!」
奴は俺の声を耳に入れる事無く扉を閉め、去って行った。
俺は黒い世界に閉じ込められた。
_
(;;#∀ )「くそっ……!!」
両足で床を何度も思い切り踏み付ける。
意味の無い行為なのは良く分かっている。
しかしこの感情をどこかにぶつけない訳にはいかなかった。
_
(;;#∀ )「ツン…………!!」
まずい。
ツンが。
ツンが殺されてしまう…。
_
(;;#∀゚)「うわあああああああああああああああああ!!」
( ・∀・)「見張りはドアの前に付けろ。中にはいらん」
( ・∀・)「セントジョーンズ!!セントジョーンズはいるか!?」
('e')「何か用でしょうか?」
( ・∀・)「裏町の大通りの角の酒場で働いているツンという巻き髪の女を殺せ」
('e')「酒場ですねぇ?了解しました」
( ・∀・)「今の時間なら市場にいるだろう。見つけ次第、好きにしていいぞ」
(*'e')「ンフフw どうしたんです?今日はやけに気前がいいですねぇ」
( ・∀・)「いや……できる限り手酷く後を残してくれ。今回はその方が都合がいい」
(*'e')「………つまり…脳姦もよろしくて?」
( ・∀・)「脳みそ、眼球、耳、鼻、内臓自由だ」
( ・∀・)「構わん」
(*'e')「……………ンフンフンフフフフフフ」
( ・∀・)「私はフィレンクト卿に用があるのでしばらくここを開ける」
( ・∀・)「お前は直ぐに市場に向かえ」
(*'e')「はあい。直ちに」
( ・∀・)「…………」
( ・∀・)「………………フフフ」
( ・∀・)「これでまた一歩……近づく」
( ・∀・)「あの人の理想に」
(;;#∀ )「ゲホッ!!エホッ!!……ガハッ!!」
俺は噎せ返った喉を咳で必死に直す。
こうしてはいられない。
急がなければツンが殺されてしまう。
俺は躍起となって策を練る。
どうする?
この鎖の錠と檻の錠。
2つの鍵をどうにかしなければいけない。
_
(;;#∀゚)「とにかく……先に外すのは……鎖か」
考えるまでもない。
手が封じられた状態では檻には届かない。
檻を開ける事は一先ず置いておく。
体は大分損傷しているが……耐えられない程では無い。
どちらかの鍵を開ける方法は存在した。
俺のコートの中にその秘策は眠っている。
しかし、その為にはコートのボタンを開かなければならない。
そしてその足の指をコートのボタンに近付ける。
しかし体の構造上どうしても指をボタンに引っ掛ける事ができない。
_
(;;#∀゚)「くっ……駄目だ!!なにか引っ掛けるもの……引っ掛けるもの……!」
俺は一度足を床に降ろす。
その時、足に鋭い痛みを感じた。
_
(;;#∀ )「いっ!!……な、何だ!?」
闇に慣れつつある目でその物体を見つめる。
足元に落ちているザラザラとした物体、それは尖った木片だった。
_
(;;#∀゚)「何でこんなものが……」
そういや、あの男達が持っていた棒は木製だったな。
なるほど。
俺を殴りつけた際に欠けたのか。
これほど固い頭に感謝した日はない。
_
(;;#∀゚)「これでいけるか……?」
ええい、物は試しだ。やるしかない。
足の指と指の間に木片を挟んで持ち上げる。
不安定な木片はゆっくりとコートのボタンに近付いていく。
(;;#∀゚)「あっ!……くそっ!」
木片は足の指から外れ地面に落ちた。
俺は足裏を床に摩り付けながら木片を探す。
見つけた木片をもう一度持ち上げて再挑戦する。
_
(;;#∀゚)「…………………」
プルプルと震える足先の木片。
何度もフックにかけようと試みるが思い通りにいかない。
頼む。
引っ掛かってくれ。
しかし、木片はカツカツとボタンに当たるがフックまでは届かない。
_
(;*#∀゚)「………………おっ!?」
ついに木片がボタンのフックにかかかった。
よし、これで一段落だ。
フックを外そうと、梃子の原理でボタンを押し出す。
_
(;;#∀゚)「うあっ!?」
油断した。
木片がボタンの保持力に力負けしたせいで、木片が落ちてしまった。
(;;#∀゚)「ぐっ…………く、糞!!もう一度だ!!」
俺は指で掴み、再度同じ要領で挑戦する。
同じ轍を踏む気はない。
慎重に、冷静に。
同じやり方で2回目は難無く引っ掛かけることが出来た。
_
(;;#∀゚)「よし………もう少しだ」
足の指に力を込めてボタンを押し出す。
ボタンはカチッと音を立てて外れた。
_
(;;#∀゚)「おお!!取れた!!」
やった。
これで後2つ程外せば、道具を取り出す事ができる。
俺はすぐさま木片を次のボタンに掛けた。
_
(;;#∀゚)「時間がねえが…焦るな……焦るな……」
俺は大きく深呼吸をした。
ξ;゚゚)ξ「ちゃんと買えると良いけど……」
ξ゚゚)ξ「えーっと……お魚、お魚…」
ξ*゚゚)ξ「おっ!!あったあった!」
ξ゚゚)ξ「うわっ安い!!何で!?」
ξ゚゚)ξ「大漁だったのかな?まあともかく安いに越したことはないわね」
ξ*゚゚)ξ「沢山買っちゃおう!!」
ξ*゚ー゚)ξ〜♪
('e')「……………………」
(;;#∀゚)「よし!!取れた!!」
俺の苦労の甲斐あってボタンが3つ外れた。
これで道具を出すことができる。
俺はコートの中に足を入れ、内側に取り付けられた木箱を取り出す。
木箱は手の指の関節2つ分くらいの大きさだ。
箱の蓋を開け、中にある灰色で丸い物体を取り出す。
】海賊の七ツ道具その4:鋼粘土【
これは本当に面白い物体だ。
元は粘土のように柔らかく、握るだけで形を崩す事ができるが、
54kg以上の圧力を掛かれば忽ち鋼鉄のように硬くなり、握ることが出来なくなる。
しかし、お湯をかければ元に戻るという不思議な道具だ。
素材も何もかもわかっていない未知の物体。
_
(;;#∀゚)「よし………始めよう」
俺はこの粘土を鍵穴に押し込んだ。
グニュグニュと穴の中に潜り込み、隙間という隙間を埋め尽くす。
そして十分に広がった事を確認し、俺は強く粘土を握る。
俺は粘土を捩り、鍵穴を回す。
カチャリと音を立てて鎖は外れた。
_
(;;#∀゚)「よし!……次は檻か」
こっちは手枷よりも楽だ。
奴らは俺を殺そうとはしなかった。
それはつまり、俺にまだ利用価値があると判断したからだ。
先程の扉の奥から聞こえてきたモララーの声が正しいとすれば、こんな容易い事はない。
俺は息を大きく吸い込み、腹を膨らませる。
_
(;;#∀゚)「アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」
_
(;;#∀゚)「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ」
_
(;;#∀゚)「ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」
俺は大声で笑い声を上げる。
笑い声を聞き、10秒と経たずして見張りが入ってきた。
人数は3人。
余裕だ。
_
(;;#∀゚)「モララーに伝えておけ……俺は今から舌を噛み切って自殺する」
俺はベロを垂らし、歯をあてる。
上の許可なしに俺を死なせるのはこいつらとしてもまずいだろう。
見張りは直ぐに鍵を開け、中に入ってきた。
(;;#∀゚)「おらっ!!」
俺は近付いてきた見張りの一人に頭突きをする。
俺の頭は奴の鼻に直撃し、一撃で相手をのした。
手錠が外れていることに気付いた見張りは俺に銃を向ける。
しかし、全てがもう遅い。
銃を構えたと同時に、俺は素早く木片をもう一人の目に突き刺した。
眼球は可愛らしい音を立てて潰れ、血が噴き出した。
そいつは目を手で押さえ、叫び声を上げながら銃を落とした。
_
(;;#∀゚)「こいつはありがたく頂くぜ」
俺は銃を拾い上げ、なんの躊躇いもなく3人目に向けて引き金を引いた。
弾は左胸に命中し、一瞬にして、男は絶命した。
この間、わずか数秒。
まったくこんな奴らを見張りに置くなよ。
_
(;;#∀゚)「さあて、脱出と洒落こむか」
俺はもう一つ銃を拾い上げ、両手に構える。
そこに、銃声を聞きつけた兵隊が何人も部屋に入ってきた。
さあて、どうやって陥落しようか。
(;;#∀゚)「残念だが俺はここから出る」
俺は牢に入って来たものを片っぱしから撃ち続ける。
虫のようにぞろぞろと来るが一人として俺に引き金を引いた奴はいない。
ある程度落ち着いたころを見計らい、俺は死んだ兵の銃を数本拾い上げ、外に出る。
外にも数人兵がいた。
連中も銃を俺に向かって放つが、緊張しているのかなかなか当たらない。
_
(;;#∀゚)「おいおい……そんなへっぴり腰で要人さんを守れんのか?」
右から左から。
現れる兵士を片っぱしから打ち込む。
頭に当たるよう正確に射撃し、一撃で殺す。
できるだけ弾の節約には心がけよう。
フロアに敵がいなくなったら階段を駆け上がる。
_
(;;#∀゚)「ここは……地下2階か」
上階段から足音が聞こえてきた。
俺は銃口を上に向け、足を目掛けて引き金を引いた。
一人が体勢を崩せば全体が崩れる。
階段はこれだから集団戦に向いていない。
_
(;;#∀゚)「時間がねえんだ。階段の一部になりたくねえ奴は側壁になれ」
ξ゚゚)ξ「今日は美味しいムニエルが作れそう!」
ξ゚ー゚)ξ「…………………」
ξ*゚゚)ξ「あ〜……今日モララー様来ないかな〜……」
ξ*゚ー゚)ξ「…………………」
ξ*゚゚)ξ「モララー様……」
ξ*゚ー゚)ξ「ウフフ…………」
('e')「あの〜」
ξ;゚゚)ξ「ほっ!!……は、はい!?」
('e')「ちょっとお手伝い……というか頼み事をお願いしたいんですが……」
('e')「ほんとすぐに終わるんで。ほんとすぐ」
ξ゚゚)ξ「……なんですか?」
('e')「いや、ちょっと……」
('e')「内臓見せて貰えませんか?」
ξ゚゚)ξ「え?」
ξ゚゚)ξ ブシュッ
(;;#∀゚)「おっと!」
背後から剣を振り回してくる奴がいた。
俺は飛び上がり、剣線を回避する。
そのまま、空中から奴の頭を狙撃した。
そして、地面に着地するまでに3人の人間を射殺。
着地と同時に襲いかかってきた男の顎を狙って蹴りを入れる。
怯んだ隙を突き、腹に一発。
_
(;;#∀゚)「……不意打ち結構」
その背後で銃を構えていた奴に俺は振り向かず、銃口だけ向けて引き金を引いた。
銃弾は首に当たり、首から血を流して倒れた。
_
(;;#∀゚)「…………終わったか」
気付けば、辺りには誰もいなくなっていた。
この建物は数十年も昔に処刑場として使われていた場所だ。
今は廃墟としてこの街に残っているが、まだ使う奴がいたとは。
俺は建物から飛び出し、一直線に裏町まで走る。
だいぶ時間をロスした。
ここから裏町までだいぶ距離がある。
しかし、アイツらを殺さねば脱出も厳しかっただろう。
_
(;#∀゚)「頼む……無事でいてくれ……ツン!!」
('e')「すいません。不意打ちで……」
('e')「私……ナイフ使いなもんでして……」
ξ; )ξ「え?え……ああ?……え?」
('e')「最近では有名になっているみたいですねぇ……私」
('e')「『暗闇』なんて異名貰っちゃいましたけど……いいもんですねぇ」
('e')「連続強姦殺人魔『暗闇』!!またもや街に降り立つ!!……なあーんて」
ξ; )ξ「く…『暗闇』!!」
('e')「私、そんな柄じゃないんですけどねぇ……」
ξ; )ξ「い、嫌!!た、助けて!!誰か!!」
('e')「何時もこの道を通ってるんですかぁ?ここは人気が全くないんですよぉ」
('e')「まあ……来世でってことで……」
ξ; )ξ「いやあああああああああああああ!!」
('e')「おや?逃げるんですか?」
('e')「無駄ですよぉ。私はどこまでも追いかけるんでねぇ」
ξ; )ξ「嫌!!お願い!!助けて!!」
('e')「いつもならもう少し逃げる時間を与えていたんですが……」
('e')「貴方の体を好きにしても良いというお知らせが子爵様から来たんでねぇ…」
('e')「今日はもう終わりにしましょう。そら、ナイフを投げますよ!」
ξ;゚゚)ξ ドスッ
ξ;゚゚)ξ「え……やだ……嘘……」
ξ; )ξ「死に……たく…な……」
('e')「うん、まだ生きてますね」
('e')「ンフフッフフフフフウフフフフフフフ」
('e')「この状態がたまらない……」
('e')「生きながらにして死んでいく様を見守るのがねぇ……」
('e')「……まずは……頭蓋骨に穴を開けますか」
('e')「ああ、いい髪だ……」
('e')「これはコレクション入りですねぇ……うんうん」
('e')「さあてt………………」
('e')「………………!!」
('e')「………………誰ですか…?あなた」
ζ(゚ー゚*ζ「………………」
ζ(゚ー゚*ζ「彼の行方を知る唯一の人物……」
('e')「だからあなたは何だと聞いているのですよ?」
ζ(゚ー゚*ζ「…………その女性をどうするつもりですか?」
('e')「貴方には関係ない話ですが……見られた以上は貴方も巻き込まざるを得なくなりましたね」
ζ(゚ー゚*ζ「……貴方…『暗闇』ですね?」
('e')「ええ。巷ではそう呼ばれてますねぇ……」
ζ(゚ー゚*ζ「その方から離れて下さい。私はその方に用があるのです」
('e')「ははあ、ご友人でいらっしゃいますか?」
ζ(゚ー゚*ζ「少なくとも、私もあの方も同じ女性として貴方の敵であるということは伝えておきます」
('e')「……よくいるんですよ。私を女性の敵だと仰る人が」
('e')「しかし、私は女性を愛しているのです。これが何故分からないのですか?」
('e')「私は全ての女性を愛している!!」
('e')「女性の需要はその膨らんだ乳房と甘い蜜を溜めた性器だけでしょうか!?」
('e')「否!私は女性の体ならばどこでも愛することができる!!」
('e')「肛門!口!耳!鼻!筋肉!喉!眼球!」
('e')「大腸!小腸!肝臓!膵臓!脾臓!胆嚢!肺!胃!心臓!」
('e')「脳みそ!アキレス腱!上腕二頭筋!腹直筋!大腿骨!恥骨!肩甲骨!」
('e')「私の欲求を満たせぬ個所などございません!開ければ全て穴になるのですから!」
ζ(゚ー゚*ζ「……………それで?」
('e')「それで…?いやいや何を仰っているんですか?」
('e')「私は残忍と思われているのかもしれませんがこれは大きな誤解ですよ?」
('e')「他の男達は、女性の数%しか愛さずに死なせてしまうのですから……」
('e')「その点私は女性を余すことなく愛している!むしろ理想の男と称しても良いでしょう!」
('e')「そうですとも!分かりましたか?私の愛が!」
('e')「そして……貴方も愛してあげましょう」
ζ(゚ー゚*ζ「しかし、あなたは一つだけ愛していない個所がありますね」
('e')「……?何ですかそれは」
ζ(゚ー゚*ζ「心です」
('e')「はっ!!それは仕方のないことですよ私と女性はたった数分しか関われないんですからね」
ζ(゚ー゚*ζ「その数分を愛せない方に何をされて満足できるというのですか?」
('e')「ごちゃごちゃとうるさい方ですねぇ。その口は閉じた方が良い」 ヒュッ!
ζ(゚ー゚*;ζ「!!……ナイフ!?」
('e')「ほう……反射神経は身についているようですね」
('e')「ですが……接近戦においてナイフに勝る武器はありません」
('e')「何時まで避けられるか…見ものですね」
ζ(゚ー゚*ζ「……………」
('e')「私は投げるよりも切り刻む方が好きなのです。だから…」
('e')「貴方も切り裂いてあげましょう!」
ζ(゚ー゚*;ζ「くっ………!!」
('e')「ヌフフフフフフフフフ!ンフフフンフ!!」
ζ(゚ー゚*ζ(予想以上にナイフの扱いに長けている……)
ζ(゚ー゚*ζ(ここは距離をとったほうがよさそうですね……)
('e')「……?どうしたんですか?怖くなんかないですよ?」
ζ(゚ー゚*ζ「貴方が……ナイフを使うのならば……私はこれを使いましょう」
―Yζ(゚ー゚*ζ
('e')「………何ですかそれは……針…?」
('e')「そんな致命傷にもならない武器で私と戦うというのですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「それはどうでしょうか。やってみます?」
('e')「面白い事を言いますね……ならば試してもらいましょうか」
('e')「ただし……できたらの話ですが…ね」
ζ(゚ー゚*ζ(!!……またナイフを投げて…!)
('e')「残念ですが私は中距離にも対応しているんですよ。なぜならナイフはいくらでもありますからねえ」
ζ(゚ー゚*ζ「本当に饒舌なお方ですのね。もう少し、声のトーンを落としてもらえないでしょうか」
('e')「すみませんねぇ…こういう人間でして」
ζ(゚ー゚*ζ「構いませんよ。もう針は届きましたから」
('e')「え…………?」
ζ(゚ー゚*ζ「ナイフは中距離には向いてません。なぜなら投げるモーションを見定められてしまいますからね」
ζ(゚ー゚*ζ「その点、針は違います。何時投げたのかも、投げるふりも、投げた軌道も全て隠すことができます」
(#'e')「!!……こ、小娘がぁ…」
(;'e')「……ハァ………ハァ………?」
(;'e')「なんだ?……呼吸が……うまく…」
ζ(゚ー゚*ζ「その針に塗られているのは神経毒です」
(;'e')「!?……ど、毒!?」
ζ(゚ー゚*ζ「即効性があり、呼吸器官を麻痺させる作用があります。直に立っていられなくなるでしょう」
(;e)「なっ……!!」
ζ(゚ー゚*ζ「申し遅れました……。私『蜂蜜』と申します」
(;e)「ひゃ……ひゃちみつ…!?」
[]ζ(゚ー゚*ζ「私……毒の調合が得意でして……効能別に分けただけでも300種類はございますの」
(;e)「な…にゃんだ!そ、その瓶は……!」
[]ζ(゚ー゚*ζ「見て下さい。この蜂蜜のような色…そしてとろみ」
(;e)「く、来るな!!……おい!!……おい!!」
ζ(゚ー゚*ζ「この中身……貴方に差し上げますね♪」
(;e)「い、いらん!!た、助けて!!」
ζ(゚ー゚*ζ「何でですか?大丈夫ですよ。これは全身を溶かしてくれますから」
(;e)「!!」
ζ(゚ー゚*ζ「貴方以上に余すことなく愛してくれると思いますよ」
ζ(゚ー゚*ζ「どうぞ心行くまでお楽しみに」
(;e)「ひっ……!!ひゃああああああああああああああああああ!!」
ζ(゚ー゚*ζ「さようなら」
(‘_L’)「なるほど……宝石に別の宝石の名が…」
( ・∀・)「まさか秘宝が10もあるとは思いませんでした」
(‘_L’)「そうだな……これはますます興味がわいてきた」
( ・∀・)「秘宝は世界の宝石。たった一つで4つ以上の国が手に入るほどの価値があると言います」
( ・∀・)「世界は今や秘宝を手にしたものこそが権力を掌握する……まさにその通り」
( ・∀・)「既に一つは見つけたようなものでしょう。フィレンクト卿」
( ・∀・)「貴方は世界の頂点に立つべき方でございます」
(‘_L’)「この日をどれほど待ちわびたことか……」
(‘_L’)「これでこの国を牛耳る屑共にひと泡を吹かすことができる」
( ・∀・)「どこまでも付いていきましょう…フィレンクト卿」
(‘_L’)「フフフ……恩にきるよ……ジョリー・キッド」
;;e#)
ζ(゚ー゚*ζ「さてと、この人をどうにかして助けないと…」
ζ(゚、゚*ζ「……………ん?あれは……」
_
(;;#∀゚)「ツン!!」
俺が市場に向かう途中、倒れているツンを発見した。
俺は直ぐに駆け寄り、ツンを抱え上げる。
体には数か所ナイフで刺された跡があり、服が血で滲んでいる。
_
(;;#∀゚)「ツン!!しっかりしろ!!ツン!」
ツンの頭をガクガクと揺する。
すると、ツンはゆっくりと目を開けた。
ξ; )ξ「じ、ジョルジュ……?」
生きている。
虫の息ではあるが、かろうじて一命は取り留めていた。
(;;#∀゚)「ああ、ジョルジュだ!!しっかりしろ!」
ξ;ー )ξ「フフフ…なんて顔……傷だらけじゃない」
どんなに苦しくても彼女は俺の心配をした。
なんて馬鹿な奴だ。
_
(;;#∀゚)「待ってろ!すぐ医者に見せるから……」
ξ; )ξ「ジョルジュ……行かないで」
ツンが必死に俺の服の袖を掴む。
その手は酷く震えていた。
_
(;;#∀゚)「何言ってんだよ!俺も一緒に行くから安心しろ!」
ξ; )ξ「そうじゃないの……やめて……殺さ…ないで……」
_
(;;#∀゚)「!!」
ξ; )ξ「モララー様……なんでしょ?…私を……殺そうと……したの」
ξ; )ξ「子爵様に……言われて来たんだって……」
_
(;;#∀゚)「…………………」
ξ; )ξ「この街には子爵は一人しかいないって……モララー様言ってたからさ……それで」
ツンの目から血でも汗でもない液体が流れた。
その液体は頬を伝って俺の腕に落ちた。
ξ;ー )ξ「私って…本当に馬鹿だよね……簡単に騙されちゃった」
ξ;ー )ξ「分かってたんだけどね……モララー様が私なんか愛してくれないってこと」
ξ;ー )ξ「ごめんね……。ジョルジュにも迷惑……かけちゃった」
_
(;;#∀;)「おい!そんなことはどうでもいいんだよ!!ツン!」
ξ;ー )ξ「だから……モララー様のとこにはいかないで…お願い……逃げ……」
彼女はそこで声を出すのを止め、死んだように眠った。
(;;#∀;)
ξ )ξ「……………………」
_
(;;#∀)「………………………」
俺はツンの体を思いきり抱きしめた。
間隔の広い鼓動の音が俺の胸に伝わる。
か弱い吐息が俺の頬に当たった。
_
(;;#∀ )「悪いな……ツン……俺…お前の願いは聞けねえわ」
ツンは死ななかった。
しかし、俺の怒りは彼女の傷の量で決まるものではない。
『海底』が俺のクルー傷付けた時とまったく同じ状況だ。
ツンの心を、体を傷つけたのだ。
許せるわけがないだろう?
_
(;;#∀ )「ただ……あの日の約束は必ず守る」
_
(;;#∀ )「モララーだけは……許せねえよ」
(;;#∀ )「デレ……」
ζ(゚ー゚*ζ「……………なんでしょうか」
俺は後ろに立っていたデレに声を掛ける。
この状況から察するに俺はこの女に借りをたくさん作ってしまったようだ。
_
(;;#∀ )「ありがとな。ツンを守ってくれて……。お前がいなかったら…」
ζ(゚ー゚*ζ「いえ……私もたまたまこの場所に出くわしただけですから…」
_
(;;#∀ )「俺に何かようだったのか?」
ζ(゚ー゚*ζ「……明日、フィレンクト卿が『メデューサの瞳』を取りに、カルベ海に進出するようです」
_
(;;#∀ )「そうか……ならよ」
今となってはその話も他人事ではなくなっていた。
俺がとる選択肢は一つしかなかった。
ζ(゚ー゚*ζ「?」
_
(;;#∀ )「俺の剣と銃を返してくれ」
第三章:END
明日、最終章を必ず投下します。
ってかもうこれ短編じゃねえよ……
連載レベルだよ……
この時点で総レス数、約250ってどういうことなの……
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明日が楽しみだ
長編書いてもいいんだぜ(チラッチラッ
おもしろい!明日期待!!
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