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LOYAL STRAIT FLASH ♪

三十四章前

4 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:02:12.18 ID:6TZdEvHI0


三十四章 相棒


戦闘訓練を開始してから、四日が経った。
ブーン達と“削除人”は互いに戦闘力を高め合い、順調に決戦への準備を整えつつあった。


(;^ω^)「おー、疲れたおー。さっさとご飯食べて風呂入って寝るお」

その日の戦闘訓練を終えたブーンは、ホテルの廊下を歩いていた。
日に日に激しさを増す訓練は、彼の身体をくたくたにしていた。

しかし、順調に強くなっているという事は実感していた。
まだまだだが、少しだけならフサに相対出来るようになってきている。

( ^ω^)「……明日こそは、フサさんを叩きのめしてやるお」

ぐっ、と拳を握り締めた。

その時。

( ´∀`)「ブーンくーん」

(;^ω^)「おっ!?」

息がかかりそうなくらいに、すぐ背後から声をかけられた。

首筋に走った寒気に、全身に鳥肌が立つ。


8 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:06:09.55 ID:6TZdEvHI0

(;^ω^)「い、いきなり何ですかお!?
       驚かさないでほしいお!!
       そもそも、あなたいつのまに僕の後ろにいたんだお!?」

( ´∀`)「まぁまぁ、そう怒らないでほしいもな。
       僕は今、ふざけたい年頃なんだもな」

(;^ω^)「あんた今何歳だおッ!!」

( ´∀`)「ヒ☆ミ☆ツ」

(;゚ω゚)「あぁあぁぁあぁあぁぁああぁぁあぁッ!!」

( ´∀`)「うるさいもな。落ち着けもな」

呟いて、モナーはブーンの額に水平チョップをぶちかました。
ブーンはおかしな呻きを漏らして、上半身を仰け反らせる。


9 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:06:35.02 ID:6TZdEvHI0

額を抑えながら上半身を戻すと、モナーはブーンを指差して、けらけらと笑っていた。

( ´∀`)σ ケラケラw

( ^ω^)…………


(#^ω^)ビキビキッ


(#゚ω゚)クワッ


( ´∀`)「眼が怖いもな。怒ってると老けるのが早まるもなよ」

(#゚ω゚)(こいつは……)

( ´∀`)「ほら、笑って。笑顔ほど素敵な表情はないもな」


(#゚ω゚)ビキッ

( ゚ω゚)「…………………」

( ^ω^)ニコヤカ


( ^ω^)「……もう良いお。何の用だお?」


11 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:09:17.61 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「あぁ、そうだもな。肝心な事を忘れるところだったもな。
       君にこれを渡しに来たんだもな。はい」

それからいきなり渡された物は、一対のガントレットだった。

ブーンの足と同じ色―――白銀色のそれは、見た目よりかなり軽い。

(;^ω^)「お? 何だお、これは」

( ´∀`)「君の武器だもな」

( ^ω^)「お、武器……」

( ´∀`)「そうだもな。この前の会議で言っていた物だもな。
       ちょっと付けてみてほしいもな」

( ^ω^)「お」

頷いて、そのガントレットを装着してみる。
驚いた事に、それはブーンの手にぴったりと馴染んだ。

指先から前腕部全体―――肘の近くまでを覆うそれは、しかしほとんど違和感を感じない。
やや重いグローブを付けているだけのような感覚だ。

指を曲げてみたり、手首を捻ってみたりする。
やはり違和感はなく、自由に動いた。


14 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:12:17.98 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「どうもな?」

( ^ω^)「……ぴったりだお。完璧に」

( ´∀`)「そりゃ良かったもな」

( ^ω^)「何でここまでぴったりに作れたんだお?
       手のサイズはおろか、指の関節の位置までぴったりだお」

( ´∀`)「僕がプロだからだもな」

(;^ω^)「プロだからって、長さを図りもせずにこんなぴったりの物が作れるわけは……」

( ´∀`)「細かい事は気にするなもな。
       それよりも、その籠手の説明をするもな」

( ^ω^)「……お、頼むお」

( ´∀`)「その籠手は君の戦い方を見て作ったものだもな。
       君は足はとてつもなく強いけど、腕の方はまったくと言って良いほど使えないもな。
       そりゃあ“力”は全て足の方に行ってるから、当たり前なんだけど」

( ´∀`)「でもそれだと、とてつもなく攻撃パターンが少なくなるもな。
       それに、防御方法も。足だけで防御出来る攻撃ってのは多くないもな。
       でもその籠手があれば、攻撃面も防御面もカバー出来るもな」



15 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:15:19.25 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「殴る事は勿論、突進する時なんかも使えるもな。
       かなり丈夫に作ってあるから、相手の攻撃を防御したりいなしたりって事も可能だもな」

( ^ω^)「お? 防御も出来るのかお?
       異能者の攻撃を?」

( ´∀`)「もな。ただし出来るだけ、攻撃に真っ向からぶつかったり、高威力の攻撃を防御しない方が良いもな。
       本来異能者の攻撃は、普通の装備品なんかでは受けちゃいけないものなんだもな。
       相当丈夫に作り上げたとは言え、そのガントレットも、異能者の攻撃を何度も受ければ壊れちゃうもな」

( ^ω^)「なるほど……だお」

( ´∀`)「だから、それは決戦の時まで使わないでおいてほしいもな。
       訓練で壊れちゃ、僕の苦労が水の泡だもな」

( ^ω^)「お、分かったお」

( ´∀`)「以上で説明は終わりだもな。では、今日のところはあでゅー」

( ^ω^)(また妙な言葉を……)

( ^ω^)「お。さよならですお。これ、ありがとうございますお」

( ´∀`)「いえいえ。大切に、上手に扱ってくれれば良いもな」

言い残して、モナーはどこか足早に去って行った。
不意に現れては、すぐに消えてしまう。
まるで嵐か台風の様だと思った。


16 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:18:36.31 ID:6TZdEvHI0

ブーンは自分の手に装着されているガントレットに眼を落とす。
見事としか言いようがないほどに造り込まれたそれは、力が湧いてくるような感覚をもたらした。

自ずから発光しているのかと錯覚させるほど、美しい白銀の輝き。
綺麗だな、とブーンは素直に想った。

( ^ω^)「ん?」

よく見ると、親指の付け根辺りに「曙光」と刻まれていた。

( ^ω^)「何だお、曙光って」

考えてみるが、分からない。

( ^ω^)「まぁ説明もされなかったし、特に重要な事でもないかお。
       明日にでも、モナーさんに聞いてみるお」

呟いて、彼はレストランの方へと足を進めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



20 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:21:16.07 ID:6TZdEvHI0

ギコとジョルジュは、ラウンジで食事を採っていた。

食事と言っても、彼らの前にあるのは少量のパンとサラダ、それと飲み物のみ。
しかし二人は、それすらも残しそうに見える。

ハードな戦闘の後は、どうも食欲が湧かなかった。

(;゚Д゚)「……食う気が起きねぇな、やっぱり」

呟きながら、くるみのパンを齧る。
麦の豊かな香りが鼻を抜け、くるみの欠片が歯でこりっと軽やかに砕けた。

しかしすぐに、コーヒーでそれを押し流した。
麦の香りもくるみの歯触りも、今のギコにとっては気持ちの悪いものでしかない。

( ゚∀゚)「どうも、訓練の後はねー。
     さっきからギコちゃん、コーヒーばっか減らしてるもんね」

(,,゚Д゚)「お前もな」

( ゚∀゚)「俺は紅茶だもん。ふふん」

(,,゚Д゚)「飲み物の種類は関係ねぇだろ」

( ゚∀゚)「あははー。まぁねー」

(;゚Д゚)「……ぐぅ。どうも食いきれる自信がねぇぞ」


22 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:24:06.40 ID:6TZdEvHI0

( ゚∀゚)「いや、苦しくてもこればかりは食べないと。
     必要最低限の栄養だって言われたしさ」

(,,゚Д゚)「……腹が減ってるのに食べたくないってのは、ここ最近で初めて知った感覚だ」

( ゚∀゚)「あー、俺っちもそうかも。
     ショボンとの訓練でも、食欲は湧いてたんだけどね」

(,,゚Д゚)「ここでの訓練は、確かに強くなってるって実感は湧くんだが……過酷だよなぁ」

そこでようやく一つのパンを食べ終え、またコーヒーを一口。

そのカップを置いた時に視線に入ったパンとサラダを見て、彼は辟易した。

(;゚Д゚)「マジで食えってのか、これだけの物を」

( ゚∀゚)「はーい、マジですねー。
     残したらフサさんに説教されるよー?」

(,,゚Д゚)「あいつ変な所で口うるせぇんだよな。ウチの家族みてぇだ」

( ゚∀゚)「家族? んー、三人家族だっけ」

(,,゚Д゚)「今はな。昔は兄貴がいたらしいけど」

( ゚∀゚)「昔は? らしい?」

(,,゚Д゚)「俺が生まれてからすぐに、行方不明になったらしいんだよ」


24 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:27:39.50 ID:6TZdEvHI0

( ゚∀゚)「へー、初耳。……あ、もしかして悪い事聞いちった?」

(,,゚Д゚)「いーや。構わねぇ。俺自身、それを聞いたのは最近だしな。
     いたらしい兄貴の話をされたところで、特に何も思わないな」

(;゚∀゚)「随分と淡白だね。兄貴の事を考えた事とかってないの?」

(,,゚Д゚)「ん。いや、生きてたら会ってみてぇとは思うが、まず生きてないだろ。
     それに、生きてたところで、ウチの両親の血を引いてるんだ。
     妙なとこで口うるせぇ、荒っぽい奴に決まってら。会ってもめんどくさそうだ」

( ゚∀゚)「おーおー、言うねぇ。
     妙なとこで口うるさい、荒っぽい男……おぉ、まさにフサさんだw
     本当に兄貴なんじゃねぇの?w」

(;゚Д゚)「よしてくれ。ありそうで怖い」

( ゚∀゚)「はははー。面白いじゃないか」

(,,゚Д゚)「……それよりもお前は食を進めろよ。さっきからあんまり減ってないぞ」

(;゚∀゚)「いや、これ以上ペース上げたらリバースする」

(,,゚Д゚)「……お前も、ギリギリだったのか」

(;゚∀゚)「かーなーりギリギリだよ。マジつれぇ」

(,,゚Д゚)「俺もだ。でもまだ半分以上あるんだよな、パンもサラダも。
     ……絶対に食えないだろ」


27 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:30:11.86 ID:6TZdEvHI0

( ゚∀゚)「俺もそう思う。でも、この量を食えないってのはちょっと悔しくない?
     しぃさんとかツンさんとかでも、この二倍くらいは食べてんだし」

(;゚Д゚)「何で奴らはあんなに食えるんだ。尋常じゃねぇぞ」

( ゚∀゚)「『慣れ』って奴じゃね? ほら、フサさんの言ってた話」

(,,゚Д゚)「『じきに身体が慣れて、食えるようになる。俺も昔は食えなかった』って話か。
     ……あの話が本当だとは思えないんだよな、実際。
     もう四日が経ったが、未だに全く食えねぇわけだし」

( ゚∀゚)「いや、本当の話だと思うよ。
     ブーンとか、もう結構食えるようになってるみたいだしさ」

(,,゚Д゚)「……あいつ、適応力あるよなぁ。すげぇよ」

( ゚∀゚)「確かに、その辺は地味に尊敬出来るね。
     でもブーンは『慣れた』って言うよりも、『慣らした』って感じだよね」

(,,゚Д゚)「吐き戻しそうになりながらも、無理矢理に食ってたもんな。
     それも、フサと同じ量を。馬鹿じゃねぇのかと」



30 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:33:05.51 ID:6TZdEvHI0

( ゚∀゚)「いや、ブーンのやり方も一つの手ではあるよね。
     少なくとも、俺はやる気にならないけどw」

笑って、ジョルジュはサラダに手を伸ばした。
新鮮なレタスにフォークが刺さり、瑞々しい音が弾ける。

それを口に運ぶと、彼はその音を楽しむかのように租借した。
口内に広がる独特の甘みと苦みに、ジョルジュは複雑な笑みを浮かべる。

( ゚∀゚)「んー……サラダは結構食えるみたいなんだけどなー」

(,,゚Д゚)「やっぱパンが重いよな」

( ゚∀゚)「重いねー。やっぱ流し込むしかないんじゃない?」

(,,゚Д゚)「……コーヒーの苦みが重くなってきた」

( ゚∀゚)「紅茶派の俺勝ち組www」

(,,゚Д゚)「くそっ。もう一気にいっちまうか!」

言うと、ギコは凄まじい勢いでパンを口に含んだ。
そして、コーヒーで流し込む。


31 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:36:08.20 ID:6TZdEvHI0

(,,゚Д゚)「んぐっ! んぐっ! んぐっ!」

( ゚∀゚)「一気! 一気!」

( ´∀`)「一気! 一気!」

(;゚Д゚)「んぐ……ッ!」

( ゚∀゚)「おぉっ!? 詰まったか!?」

(#゚Д゚)「――――――ッ!!」

( ´∀`)「お! 眼が本気モードになったもな!」

( ゚∀゚)「行けるか行けるかーっ!?」

(*゚Д゚)「……っつはぁ! 飲んだぞ!!」

( ゚∀゚)「行ったーっ!!」

( ´∀`)「アンタが大将! アンタが大将!!」

( ゚∀゚)「それは使い方違くね?」

( ´∀`)「気にするなもな」

(,,゚Д゚)「よし。パンは食った。後は……!!」

( ´∀`)「サラダだけもな!」


35 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:39:21.55 ID:6TZdEvHI0

( ゚∀゚)「サラダは流し込めないからね、頑張って食べるしかないよ!」

(,,゚Д゚)「よっしゃ、この勢いのまま行ってやるぜ!」

( ´∀`)「良い心意気だもな! 男だもな! よし、行けもな!!」

(,,゚Д゚)「おう!!」


(;゚Д゚)「って、お前いつの間にッ!?」

(;´∀`)「い、いつの間に……!?」

( ゚∀゚)「あんただよ」

(,,゚Д゚)「お前だよ」

( ´∀`)「年上にはちゃんとした口の利き方をしろもな、下郎」

(#゚∀゚)(こいつ)



36 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:42:16.32 ID:6TZdEvHI0

(,,゚Д゚)「……で? 何か用か?」

( ´∀`)「随分とドライもなね。もっと構ってほしかったもな。おじさんは寂しいもな」

(,,゚Д゚)「あんたの気が済むまで付き合ってたら朝になる」

( ´∀`)「流石にそこまで遊ばないもな。誇大表現もほどほどにしろもな」

(#゚Д゚)(こいつ)


( ゚∀゚)「で、本当に何の用なのさ」

( ´∀`)「まずはそのご飯を先に食べるもな。話はそれからだもな」

(,,゚Д゚)「……食べる勢いを一気に失くさせたのはどこのどいつだ」

( ´∀`)「自分のミスを他人のせいにする事はとても簡単だもな。
       でもそれをし続けてれば、君は成長出来ないもな。だから……」

(;-Д-)「……分かった。分かったから、ちょっと黙っててくれ」

( ´∀`)「黙ってて『くれ』?」

(;-Д-)「黙ってて……ください」

( ´∀`)「よろしいもな」

(#゚Д゚)(こいついつか殺してやる)


37 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:45:09.66 ID:6TZdEvHI0

殺意を含んだ眼でモナーを睨むと、ギコはサラダを食べ始めた。
彼はジョルジュと違って野菜が苦手なようで、一口食べる度に顔をしかめる。

( ゚∀゚)「頑張れギコちゃーん」

( ´∀`)「君もさっさと食べるもな」

( ゚∀゚)「……あーいよ」

返事して、渋々とパンに手を付けた。
パンはいくつかの種類を用意されていたが、しかし今のジョルジュが喜んで食べられるものは一つもない。

(;゚Д゚)「トマトだけは無理だ。絶対に無理だ」

(;゚∀゚)「ちょ、フランスパンとかナシでしょ。硬いって。食えないって。顎が粉砕骨折する」

( ´∀`)「文句言わずにさっさと食えもな。さもないとフサ君呼ぶもな。良いのかもな?」

(#゚Д゚)(畜生!)

(#゚∀゚)(こんにゃろう……!)

今度は二人の殺意が同時にモナーを捉えた。
対するモナーは楽しそうに笑って、「あと五分以内に食べ終えろもなー」と言うのだった。


38 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:46:52.78 ID:6TZdEvHI0

五分後。
二人は与えられたノルマを完食していた。

しかし。

( ゚Д゚)「…………………」

( ゚∀゚)「…………………」

二人の顔から、表情は完璧に消え去ってしまっていた。

( ´∀`)「ふむ、しっかり食べきったもなね。良い子だもな」

( ゚Д゚)「…………………」

( ´∀`)「さて、では話をさせてもらうもな―――って、聞いてるもな?」

( ゚∀゚)「…………………」

( ´∀`)「ふむ。イッちゃってるみたいだもなね」

呟いて、ポケットからごそごそと取り出した二つの物は、イチゴミルクだ。
紙パックのそれは、モナーの大好きな飲み物。


40 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:49:25.88 ID:6TZdEvHI0

それを手に、モナーは二人に近付いていく。
そしてその飲み口にストローを刺して、二人の口元に運び―――

(,,゚Д゚)「……今それを口にしたら、壮絶な勢いで吐き戻す」

( ゚∀゚)「このタイミングで激甘な飲み物はないでしょ、常識的に考えて」

紙パックは、やんわりと押し返された。

( ´∀`)「おや、生き返ったもな?」

(,,゚Д゚)「おかげさまでな」

( ´∀`)「そりゃ良かったもな」

ちゅー、と音を経ててモナーはイチゴミルクを飲む。
その匂いと音を聞くだけで、ギコは込み上げる何かを感じた。

あっという間に二つのイチゴミルクを飲み終え、モナーは満足そうに頷く。

( ´∀`)「さて、では話をするもな。ちょっと待って欲しいもな」

言って、モナーは足下にある麻袋を持ち上げた。
中には金属製の何かが入っているようで、袋をテーブルに乗せると重い金属音が鳴る。

(,,゚Д゚)「ん? 何だ、それ」

( ゚∀゚)「物騒な音がしたけど。ガシャガシャーって」


41 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:51:20.59 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「これを君達に渡しに来たもな」

言葉と同時に麻袋から取り出されたのは、二つの武器だった。

片方は、紅い長剣。
鉈のように幅広の刀身を持ち、その刃はやや反り返っている。

もう片方は、橙色の妙な武器。呼び方があるとすれば、『爪』
ナックルダスターのような持ち手から四本の鉤爪が伸び、かつ拳と前腕を護る為のプロテクターが付いている。

そして二つの武器は両方とも、身震いするほど美しく、鋭かった。

(;゚Д゚)「こ……これは?」

( ´∀`)「君達の武器だもな。
       赤い方がギコ君の、オレンジ色の方がジョルジュ君のだもな」

( ゚∀゚)「……前言ってたアレ?」

( ´∀`)「察しが早くて助かるもな。
       そう、前言ってたアレ―――君達四人に作った武器だもな。
       じゃあちょっと、装備して感触を確かめてみてほしいもな」

( ゚∀゚)「ん、あいよ」

頷いて、それぞれ武器を装備する。
そして両者同時に、感嘆の音を漏らした。


42 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:53:11.81 ID:6TZdEvHI0

(,,゚Д゚)「これは……すごいな」

( ゚∀゚)「わお」

( ´∀`)「どうもな?」

(,,゚Д゚)「何が、と言われると分からないが、しっくりくる」

( ゚∀゚)「同じく。ずっと使ってきた物みたいに、違和感ってのがない」

( ´∀`)「なるほど、そりゃ良かったもな」

(,,゚Д゚)「……どう作ったんだ? 何だ、このフィット感は」

( ´∀`)「その剣の柄には、君の指に合うように窪みを入れたもな。
       ジョルジュ君の爪には、指の部分やプロテクターの部分を君の指や腕に合わせたもな」

( ゚∀゚)「うん? どうやって?」

( ´∀`)「見て」

( ゚∀゚)「見て?」

( ´∀`)「もな」

(;゚∀゚)「……え?」

( ´∀`)「だーかーら、君達の指とか腕を見て、それに合わせて作ったんだもな」


44 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:55:08.18 ID:6TZdEvHI0

(,,゚Д゚)「見るだけで合わせた、だと? そんな事が出来る筈が……」

( ´∀`)「そんな事が出来るのが、僕だもな。職人舐めちゃいけないもな。
       それよりも、武器の説明するもなよ」

(;゚∀゚)「納得いかないけど……うん、お願い」

( ´∀`)「ジョルジュ君のその武器は、君の反射神経を生かした戦い方が出来るようにしたもな。
       攻撃を避けたところからの攻撃を、その爪で。
       攻撃を往なしたり防御したりというのを、そのプロテクターでこなせるもな」

( ´∀`)「また、相手の攻撃をその変幻自在な右腕で塞いでから、その爪でリンチという事も出来るもな。
       相手の動きに合わせて用途を変えられる武器が、それだもな。
       持ち手がナックルダスターだから、力も込めやすい。使い方次第では相当強いもな」

( ゚∀゚)「へぇ……これ、そんなに良いものなんだ」

( ´∀`)「もな。でも、出来るだけ攻撃メインで使ってほしいもな。防御は―――」

( ゚∀゚)「わーってるよ。異能者の“力”を防げるのは、異能者の“力”だけだもん」

( ´∀`)「む。君、実は結構頭良いもな? 見かけによらず」

(;゚∀゚)「見かけによらずって何さ。馬鹿に見えるってーの?」

( ´∀`)「もな」

(;゚∀゚)「否定してよ」


45 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:57:10.47 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「まぁそこはどうでも良いもな。それよりも、ギコ君の武器の説明だもな」

(#゚∀゚)ビキビキ

(,,゚Д゚)「あぁ、頼む」

( ´∀`)「君の“力”は遠距離も近距離もこなせる、超攻撃型の“力”だもな。
       まぁ君の頭が良ければ防御にも使える“力”なんだろうけど、まぁそれは良いもな」

(#゚Д゚)ピキッ

( ´∀`)「君はその“力”を生かした戦い方―――相手に攻撃する暇を与えない猛攻をかけるべきだもな。
       でも君の攻撃はいちいち大振りで隙も大きい。
       そこでその刃が生きるもな」

( ´∀`)「一撃と一撃の間を、その刃の斬撃で埋めるもな。
       バランスの良い、扱いやすい刃だから、きっとそれが出来るもな。
       それにいざとなれば、その幅広の刃は防御も受け流しも出来るもな」

(,,゚Д゚)「……確かにこれは、扱いやすそうだな。
     今すぐにでも、これで戦えそうな気さえする」

( ´∀`)「不器用な君にぴったりだもな」

(#゚Д゚)「何だその言い方は」

( ´∀`)「でも、君は不器用だもな?」

(;゚Д゚)「……まぁそうだけどよ」


47 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 22:59:08.94 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「やっぱり」

(,,゚Д゚)「やっぱり?」

( ´∀`)「うん、やっぱり。君は僕の二人の友達に似ているんだもな。
       変に熱血で、ちょっと不器用で……」

(,,゚Д゚)「……お?」

( ´∀`)「……いや、何でもないもな」

(,,゚Д゚)「何だよ」

( ´∀`)「良いから忘れろもな。しつこい男はもてないもな」

(;゚Д゚)「ちっ……何なんだよ」

( ´∀`)「……そうだ。教え忘れるところだったもな。
       その刃の名前は、『ロマネスク』
       大切に使ってやってくれもな」

(,,゚Д゚)「ロマ……ネスク?
     名前の意味は?」

( ´∀`)「ヒ☆ミ☆ツ」

(#゚Д゚)「…………………」


48 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:01:18.83 ID:6TZdEvHI0

( ゚∀゚)「え、何? 名前とかあるの?
     じゃあじゃあ、この爪の名前は?」

( ´∀`)「あるにはあるけど……ギコ君の『ロマネスク』ほどの意味はないもなよ?
       だからブーン君にも言わなかったんだけど」

( ゚∀゚)「いーから。せっかくだから、愛着持ちたいの」

( ´∀`)「……その爪は『尖鋭』だもな。意味はそのままだもな。
       鋭く尖って―――敵という敵を貫き、引き裂き、道を斬り開く刃となれば良い、って」

( ゚∀゚)「おぉ! 良い名前じゃないの!
     じゃあ、ブーンの武器とやらの名前は?」

( ´∀`)「『曙光』」

(,,゚Д゚)「む……光輝いてみんなを照らせーってか?」

( ´∀`)「そんな安直な意味の名前は付けないもな。君、どうしようもなく馬鹿もな?」

(#゚Д゚)ビキビキビキッ

( ´∀`)「『曙光』という言葉には、未来への希望という意味もあるもな。
       勿論、光という意味も。
       だからそれらを組み合わせて、未来への希望を導き出す光……という意味だもな」

言うた否や、モナーはくるりと身体の向きを変える。

( ゚∀゚)「ん? どったの?」


50 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:04:30.17 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「……僕は忙しいもな。君達と遊んでる暇はないもな」

(,,゚Д゚)「忙しいだと? 嘘を吐くなゴルァ。
     さっきまで散々遊んでいたのはどこのどいつだ」

呟いて、ギコはモナーの服の裾を掴んだ。
止められたモナーは、鬱陶しそうにギコを見やる。

( ´∀`)「放せもなー」

(,,゚Д゚)「何故逃げる」

( ´Д`)「逃げてないもな。放せもな」

(,,゚Д゚)「だったらもう少しゆっくりしていけばどうだ?」

(#´Д`)「ええい! 放せ!!
      放せもな、無礼者!!」

(,,゚Д゚)「放してほしい理由を素直に話せば放そう」

( ゚∀゚)「何で逃げんのー? ねー」

(#´Д`)「何故ってそりゃお前! 恥ずかしいからに決まっとろうが!!
      敵を貫きだの、希望だの光だのって、わしゃ何歳じゃち言う話じゃい!!
      そこで『まだここに留まれ』と!? そりゃ拷問ってもんじゃぞ!! 恥辱死するわい!!」

(;゚Д゚)「…………………」


51 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:04:47.15 ID:6TZdEvHI0

唖然として、ギコは思わず服の裾から手を放した。
その隙にモナーは跳ぶようにして距離を取り、そしてそのまま走り行く。
最後に「あでゅー!!」と言う声を残して。

残された二人はしばらく沈黙して、

(,,゚Д゚)「……なぁ」

( ゚∀゚)「はい」

(,,゚Д゚)「最後のあれは何だ? 方言か何かか?」

( ゚∀゚)「いやー、違うでしょ。絶対に。
     凄まじくいいかげんな、方言っぽい言葉の羅列じゃない?」

(,,゚Д゚)「そうか。じゃあもう一つ質問だ。
     さっきのアイツは何だ?」

( ゚∀゚)「さぁ? とりあえず、ギコちゃんが変なとこのスイッチ押しちゃったのは確かじゃない?」


52 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:06:11.11 ID:6TZdEvHI0

(,,゚Д゚)「……俺のせいか?」

( ゚∀゚)「きっとそうだよ。っつーかお願いだから俺のせいにしないで。
     ヤだよ、俺っちのせいでいたずらおじさんがブッ壊れたとか」

(,,゚Д゚)「……俺の、せいか」

ボリボリと後頭部を掻いて、ギコは眼を細めた。
それは眠そうな、しかしちょっと楽しいものを見たかのような表情だった。

(,,゚Д゚)「まぁ、良いか。少しは、あいつに対する怒りも治まった。
     それよりも―――飯食ったんだから、寝ようぜ。俺は疲れたよ」

( ゚∀`)「あー、言われると確かに。
     疲れたね。眠いや」

(,,-Д゚)「……よし、寝よう。じゃあな」

( ゚∀`)「ん。おやすみ。ぐっない」

二人は手を振り、使っていた皿とカップを持って、それぞれの部屋へ行く。
―――その手にはしっかりと、渡された相棒を持って。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


54 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:08:42.21 ID:6TZdEvHI0

('A`)「……ふ」

自室。
短く溜め息を吐いて、ドクオはカップから口を放した。

カップに注がれている黒の液体は、いつも通りコーヒー。
しかしそれは安い缶コーヒーなどではなく、ブルーマウンテンのNo.1。
最高級のコーヒーだ。

('A`)「噂通り、確かに良い物だな」

呟き、再度カップに口を付けた。

鼻から秀逸な香りが抜け、舌を繊細な味わいが撫でる。
飲み込めば、深くも軽やかな苦味が喉を滑り落ちた。

彼はそこでもう一度息を吐き―――

('A`)「だが、俺にはやっぱり合わねぇな」

最高級のコーヒーを、味わう事もせずに一気飲みした。

('A`)「俺には缶コーヒーが一番だ。
   変に背伸びした高級コーヒーじゃ、どうもダメらしい」

カップを叩きつけるようにテーブルに置き、そして傍らの缶コーヒーに手を伸ばす。
慣れた仕草で蓋を開け、そしてそれを口内に流し込んだ。


55 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:10:11.43 ID:6TZdEvHI0

安っぽいコーヒーの香りが鼻を突き、思わず眉根を寄せそうになる苦味が舌を殴りつける。
さきほどの最高級のコーヒーとは比べ物にならない粗悪な味わい―――

しかしドクオは、満足そうに頷いた。

('A`)「背伸びをしない、自分らしさ。
   素直な自分が、結局は一番なんだ。
   コーヒーなんていう身近なものからそれを教わるとは、思わなかった」

まるで誰かに語るように彼は呟く。
そして缶コーヒーを、これも一気飲みした。

('A`)「素直が一番だと言うのなら、言ってやろうじゃないか。
   俺は仲間を、大切なものを今度こそ護りたい。その為なら、身を削ってだって敵を撃って討ってやる。
   ……だがその為には友から譲り受けた奴らが必要だ」

('A`)「俺は無力だ。独りでは、何も出来ない。
   だがみんながいれば、何でも出来る。出来ないことなんて、俺にはない。
   “削除人”達がいれば。ブーン達がいれば。ぃょぅがいれば。ショボンの想いがあれば」

('A`)「だけど、まだ足りない。最後のピースが足りない。
   相棒が―――まだ、この手にない」

そちらを見る事もなく、ゴミ箱に缶を投げ入れた。
そして深く息を吸うと、言う。

('A`)「俺の相棒は、生き返ったか? モナー」

( ´∀`)「ばっちりだもな」


58 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:12:11.04 ID:6TZdEvHI0

いつのまにかそこにいたのか、ドアの前にはモナーがいた。

その両手には、二挺の銃。
一方は黒い銃身に銀の線が数本入り、
もう一方は銀の銃身に黒の線が数本入っている。

黒の銃の銃身には『Nero』と刻み込まれ、
銀の銃の銃身には『Silber』と刻み込まれている。

ドクオは何も言わずに振り返り、モナーを見つめた。
モナーはその視線に何を感じたのか、力強く頷き、手の中の二挺を差し出した。

ドクオも頷き、その二挺に手を伸ばす。

二挺に触れた瞬間、声が聞こえた気がした。
ドクオは、それに応える。

('A`)「……おかえり、ギン。クロ」

言った瞬間、欠けていたピースがはまり込んだような感覚を覚えた。

身体に力が満ち、全ての細胞が疼く。
まるで手の中の二挺が、『戦わせろ』と言っているように思えた。

グリップを握り締める。
慣れ親しんだ太さ。安心する感触。

くるくると回して、ベルトの中にねじ込んだ。
無機物であるはずのそれは、しかし服越しに暖かさを伝えてくる。


61 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:14:26.21 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「どうもな?」

('A`)「あぁ……良い感じだ。クロとギンが、戻ってきた。
   ―――ありがとう、モナー。礼を言っても言いきれない」

( ´∀`)「礼には及ばないもな」

('A`)「そうか。……でも、ありがとう。
   それで、こいつらの中身は―――」

( ´∀`)「勿論、強化してあるもなよ。君の依頼も取り込んだもな。
       全体をバランス良く強化。その中でも、連射力を重点的に強化したもな。
       連射力を強化する為に、色々と工夫もしてあるもなよ」

( ´∀`)「まず、微々ながらも威力を落としたもな。
       そうする事によって反動を減らし、かつ銃身へのダメージを減らしたもな。
       これで連射性はかなり伸びたもな」

( ´∀`)「また、銃の様々な所を硬いものにしたもな。
       防御をする際に使うバレルを重点的に。
       その他、連射性を高める為に何箇所かを硬くしたもな」

('A`)「なるほど。それで……」

( ´∀`)「分かってるもな。君の依頼通り、そっちの方も造り上げたもな。
       親指を少し上げた所に、ボタンがあると思うもな。
       そこを押せば、それぞれ新機能が出てくるもな」


63 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:16:10.79 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「ネロが右手、ズィルヴァが左手で良かったもなね?」

('A`)「あぁ、そうだ。だが、間違いが一つ。
   ネロとズィルヴァじゃねぇ。クロとギンだ」

(;´∀`)「変なとこにこだわるなもな」

('A`)「お前だって『名前は大事だ』っつってたじゃねぇかよ。
   あんだけ作ってある武器一つ一つに名前を付けてあるとか、異常だぞ」

( ´∀`)「武器を作る度に、名前の付け方に苦悩するもな」

('A`)「……作る武器の数を減らすか、名前を付けないかすれば良いだろうに」

( ´∀`)「両方無理な話だもな」

('A`)「ま……良いけどよ」

呟いて、ドクオは腰元の二挺に眼をやった。
そしてどこか嬉しそうに、眼を細める。

('A`)「もう一度、礼を言う。本当にありがとう、モナー。
   こいつらを、もう一度戦わせてやれる。
   今度こそ―――今度こそこいつらを、暴れさせてやれる」

( ´∀`)「どういたしまして、だもな。
       それじゃあ」

('A`)「ん? あぁ。何か用でもあるのか?」


64 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:18:22.39 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「クーちゃんにも刀を渡さなきゃいけないんだもな。
       それに『偵察』もこなさなきゃいけない。多忙だもなー」

('A`)「そんなに動いて大丈夫なのか?」

( ´∀`)「傷は幾分か良くなってるし、傷に影響するような動きじゃないから平気だもな。
       それに、『偵察』なんかをこなす時間があるのは僕だけもな。
       君達には時間をいっぱいいっぱいに使って、強くなってもらわなきゃ困るもな」

( ´∀`)「決戦までの時間は少ないもな。
       それまでの間に、君達はやれるだけの事をやっている。
       僕もやれるだけの事くらいはやりたいもな」

('A`)「……そうか。無理するなよ」

( ´∀`)「心配しないでも大丈夫だもな。
       こう見えても僕は強いもな。何せ『VIPPER』だったもなよ?
       あ、『VIPPER』というのは―――」

('A`)「知ってる。異能者に関する事件を取り扱ってたって組織『VIP』の構成員だろ?
   ずーっと前に、数人の異能者に壊滅させられたって話だな。
   ……あんたが『VIPPER』だったとは、びっくりだがな」


65 : ◆tAdHw/rYVY :2008/01/06(日) 23:21:16.94 ID:6TZdEvHI0

( ´∀`)「びっくりしてるように見えないもなw
       それにしても、君は本当に物知りだもなね。僕の方こそ、さっきからびっくりしっぱなしだもな」

('A`)「さっきから?」

( ´∀`)「ドクオ君、優しくなってるもな。すっごく。
       僕の身体を心配してくれた時は、気でも狂ったかと思ったもな」

('A`)「……何だそりゃ」

( ´∀`)「ドクオ君、変わってきてるもな。
       最初は人間かどうかも疑わしかったのに……」

('A`)「馬鹿にしてるのか褒めてるのかはっきりしてくれ」

( ´∀`)「半々ってところだもな。では、あでゅー」

('A`)「……あいよ。じゃあな。さんきゅ」

( ´∀`)「もなもなー」

頷いて、モナーは出て行った。
残されたドクオはしばらくそのドアを見詰め―――

('A`)「俺が変わってきてる……か」

不思議そうに、呟いた。

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