第二話16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:03:28.73 ID:HqlmDBkI0第2話 ヒキは意識を取り戻した。体中が痛む。空を見る。もう夜になっていた。 (-_-)「死んでなかったんだ・・・。」 一言そう呟き痛みを我慢して帰り道へ向かった。 土まみれになった時計を見る。まだ夜の8時だった。 とはいえおそらく1時間以上は気を失っていただろう。 (-_-)「用務員とかは見回りに来ないのかよ・・・」 一息つくとよくわからない愚痴を言った。 帰り道、電車の中ずっとヒキはあることを考えていた。それは「死のう」という事である。 ただそれは漠然と考えていただけであり、いつ、やどうやって、等具体的な事はなんら考えていなかった。 いや、考えようとしなかったのかもしれない。 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:04:05.82 ID:HqlmDBkI0 (-_-)(そもそも僕の人生が狂い始めたのはいつだったろう・・・。多分3ヶ月前くらいだったな・・。 わけもわからず井上、上杉、佐田のリンチの標的になったのは。) ヒキは思い出していた。 この悪夢の始まりを。 そもそも彼は内気でクラスで目立たない存在だったし友達と呼べる人も少なかった。 しかし普通に学校に行き、帰ってゲームやネットをするという生活がそれなりに楽しかった。 だが3ヶ月前あの三人に体育館裏に呼ばれわけのわからないリンチにあった。 それから週1か2のペースで呼び出されストレス解消の道具にされていた。 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:05:10.79 ID:HqlmDBkI0 そして彼にとって運が悪かったのは相手の三人が表向きは優等生だったという事だ。 さらに普段の学校生活ではいじめの匂いも嗅ぎ取れない程穏やかで真面目であった。 だから教師には相談しても相手にされないだろう。 万が一相談にのってもらったところで井上、上杉、佐田の三人は証拠などつかませないであろう。 そうなればいじめはますますエスカレートする事が目に見えている。 そして親にも相談できない理由があった。 それは彼が両親の興味の範囲外であるからである。両親は共に有名大学の教授であり、 凡人の気持ちはわからなかった。 ぱっとした才能の無いむしろ落ちこぼれのヒキの興味はすでに無くなっていた。 ただご飯は作ってくれるし虐待をしているわけではない。 表向きは普通の親と同じだった。ただ単に興味が無かった。 しかし今のヒキにとってはそれは最もつらいことだった。 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:06:02.33 ID:HqlmDBkI0 (-_-)「僕はもう死ぬしかないのかな・・・僕にはやり返すなんてことできないし・・」 そう考えている内にヒキは美府駅に着いたようだ。 電車に乗って帰途についた。 帰宅すると彼はご飯を食べ、風呂に入り自分の部屋のベッドの上で横になっていた。 (-_-)(明日は学校休みたいけど母さんも父さんも許してくれるわけが無いな・・・行くしかないか・・) ヒキは日が変わる前には気を失うように眠っていた。 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:06:53.58 ID:HqlmDBkI0 ヒキは翌日ちゃんと学校に言った。 井上、上杉、佐田とはクラスが違うのが救いだった。彼らはD組、ヒキはA組だった。 午前中のいつもと変わらぬ退屈な授業が終わり、昼休みに入った。 いっせいに学食へ行く生徒達がクラスからいなくなり教室の中は 10人弱の弁当を食べる生徒だけになった。 ヒキは一人でコンビニで買ったパンを食べようとしたが食欲が出なかったのでやめた。 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:07:40.59 ID:HqlmDBkI0 (-_-)(みんなの様子でも見てるか・・・) ヒキの席は窓際だった。 壁によりかかれば教室が一望できる。人間観察をするにはもってこいだった。 ヒキは一番後ろの席でノートパソコンをいじっている生徒を見た。彼の胸元で何かがキラリと光る。 それはシルバーの十字架のネックレスだった。 彼の名前は吉田あさぴーだ。彼はこの美府高校の中でもトップクラスの成績を修めていた。 ただ他人の干渉を好まず、一人でいることが多かったのでクラスの中でも浮いた存在であった。 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:08:47.39 ID:HqlmDBkI0 何をしているのか気になったが、キーボードを打っているだけの人を見ていてもつまらない。 次にヒキは視線を教室の中央に移した。 そこでは二人の男子生徒が談笑をしていた。 机の上に座っている生徒が長岡ジョルジュ、椅子に座って脚を組んでいる生徒が伊集院いようだ。 彼らはサッカー部だった。 二人とも女子生徒にもてる事で有名である。 (-_-)(今日は面白くないな・・・) そう思ったときギョッとするものが彼の視界に入った。 それは飛んでいるフリスビーだった。やがてそれは重力に従い床に落ちる。 その後ものすごい スピードで奇声を発しながらフリスビーをとりに来たやつがいた。 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:09:37.17 ID:HqlmDBkI0 ( ^ω^)「ぶーーーーーーーーーーーーーんwwwww」 (;-_-)(内藤くんだ・・・ほんと変な人だなぁ・・・ってかすごい楽しそうだな) ヒキの人間観察の対象で一番のお気に入りがこのブーンだった。次に何をするかわからない。 その意外性は観察のしがいがあった。 案の定ブーンは窓から体半分を出し「おっおっおっwww」とか言っている。 (;-_-)(なんなんだこの人・・?) するとギコが教室に入ってきてブーンに声をかける。 (,,゚Д゚)「ちょ・・おまえ何してんだ!?」 ヒキはブーンとギコは好きだった。 なぜならヒキが高1の時、クラスのDQNにからかわれていたところをブーンとギコは助けたことがあった。 それ以来ブーンもギコもヒキと話をする数少ない友達だ。 ヒキはふと時計を見る。昼休みも残り10分ちょっとだ。 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:10:42.08 ID:HqlmDBkI0 (-_-)(午後の授業やだな・・・なんか頭も痛くなってきた・・・保健室でも行って寝かせてもらおう) ヒキは教室を出た。足は行きなれた保健室へと向かった。 古いドア特有のきしんだ音がする。中にはいると薄い薬品の香りがヒキの脳内にアルファー波をだした。 (*゚ー゚)「あら、堂本君どうしたの?」 この美人の女性が保健室の先生だ。 名前は大山しい。学校内ではファンクラブがありカルト的人気があるという。 ヒキはいい大人なのに子供かと思うくらい素直で純粋な先生が好きだった。 お嬢様なんじゃないかと思っていた。 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:11:12.62 ID:HqlmDBkI0 (-_-)「なんか頭が痛い・・。休ませてください」 (*゚ー゚)「いいけど・・堂本君最近体調よくないみたいね・・・保健室よく来てるものね」 (-_-)「うん・・・なんかね・・」 (*゚ー゚)「堂本君もしかして悩みとかない?ほら、病は気からって言うでしょ?」 ヒキは一瞬ギクリとした。その通りだ。 一瞬全部吐き出してしまいたかった。しかしここで一保健室教師に吐き出しても意味が無い。 何よりしい先生を困惑させてしまうかもしれない。 (-_-)「悩みなんてないよ・・」 ヒキは嘘をついた。 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/10/07(土) 22:11:44.99 ID:HqlmDBkI0 (*゚ー゚)「そう・・?ならいいんだけど。あ、でもなんかあったらカウンセリング室行ってみたらどう?なんか結構優秀なカウンセラーみたいよ?」 (-_-)「カウンセリング室・・?そんなのあったっけ?」 (*゚ー゚)「最近できたみたいよ。一ヶ月前くらいだっけなぁ。とにかく結構相談に行ってる人も多いらしいし。行ってみなよ!」 (-_-)「(悩みないっつってんのに・・・決め付けちゃってるよ・・)うん・・考えてみるよ。ってか1番のベッド使っていい?」 (*゚ー゚)「あ、いいよ。体調悪いのにごめんねww」 (-_-)(はぁ・・・やっと寝れる・・・) ベッドが恋しかった。横になってふと考えた。 (-_-)(カウンセラーか・・・ダメもとで行ってみようかな・・) ふと考えながらヒキは眠った。 ジャンル別一覧
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