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異能者@ お知らせ 問題の方はどうなりましたでしょうか
☆こうさま@ Re[1]:お知らせ(12/05) ご意見有難うございます。 よくよく考え…
異能者@ Re:お知らせ(12/05) いつもまとめてくださり、本当にありがと…
☆こうさま@ Re:メリークリヌマス(12/25) よく考えたら昨日この記事を書いておけば…
*DELAY*@ メリークリヌマス クリスマスは終わってしまったので 来年…

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☆こうさま

Dec 30, 2006
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カテゴリ:カテゴリ未分類
17 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:48:30.56 ID:jC9iK4Vk0
落ち着き始めていた僕の心臓は再び高鳴り始めた。
冗談じゃあない。ここでも襲われたってことは、
あの少年が言っていた『殺し合い』の範囲は、
某小説のように学校の生徒達だけではない。
この街の僕以外の人間全てが僕を敵意を剥き出しにしているのか?

気がつけば、衝突事故の音で駆けつけたのか、
そこには数人の人だかりが出来ていた。
僕は、それをしり目に、頭に葉っぱを乗せながら塀から抜け出す。
そして、トラックに皆の視線が集中している事を確かめ駆け出した。


18 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:49:10.91 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「ハァ…ハァ…」

この街の地理はよく分からなかったが、とりあえず、車の多く走る大通りや、
人が歩いているところに差し掛かったら引き返し、別のルートを探す。

そのようにして、道を走っていると前方に、
遠くからこちらへ向かってくる一つの影を確認した。
それは何かにまたがっているように見えた。
その足は左右交互で上下にバタバタと動いている。
その手はハンドルのようなものでしっかりと固定されている。
その頭を見てみると何やらもじゃもじゃしていた。
けたたましく、チリン、チリンと音を立てながら、
それが、猛スピードでこちらに向かってくる。


19 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:49:43.91 ID:jC9iK4Vk0
@# _、_@
( ,_ノ`)「キエエエエエエエエエエッ!!死ねぇぇぇぇ!!」

―――それは、史上最強の存在、オバタリアン。
その腕は、バーゲンで人の波を掻き分け、
その足は、大根のように太く、
その図々しさは、コーヒーおかわり無料の店で3時間居座るほどだ。

その、彼女が、猛然とママチャリを漕ぎ、こちらに突進してくる!!
しかし、その目は血走っていて、本気の殺意に満ちていた。

20 名前:VIP皇帝[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:50:28.92 ID:jC9iK4Vk0
オロオロと狼狽する僕は、右のほうに何かを見つけた。
そこは、半透明のゴミ袋や、紐に縛られた雑誌が散乱している。
その一角に落ちている棒状のもの。
持ち手と思われる部分は「し」の字状にカーブを描いている。
そして、大半はビニールのようなもので覆われていた。

(;^ω^)「…傘…これだお!!」

そう言うと僕はそれを持ち、構えた。
30メートル、20メートル、10メートル、と、
目の前の兵器は猛スピードで接近してくる。
しかし、まだだ。
ギリギリまで引き付けて!!
今だ!!

21 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:51:11.42 ID:jC9iK4Vk0
二人が衝突しようとした瞬間、僕は左に身を逸らした。
そして、そのまま傘を握る力を強める。
両腕を後ろに引き、頭に標準を定める。
そのまま、両肘を地面と平行にスライドさせて、
思いっきり振りかぶる。

@# _、_@
(♯ ,_ノ`)「ぐおぼっくぁwせdrftgふじこjp!!」

野球のスイングの要領で、
僕は彼女の顔に思いっきり傘を叩きつけた。
それと同時に彼女の体は宙を浮く。
自転車は、勢いで数メートル前に進むも、
運転者を失ったそれはバランスを崩し、倒れた。
そして、からから、とその後輪を回転させながら横たわっていた。

22 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:51:51.42 ID:jC9iK4Vk0
@# _、_@
(♯ ,_ノ`)「…ぐあっ…き、貴様…許…さん」

彼女は、うつ伏せで何かつぶやいているようだったが、
僕は急いで自転車の方へ駆け出していた。
そしてそれを急いで起こし、その上にまたがる。
どうやらどこも壊れていないようだ。

(;^ω^)「かっ…借りますお!!」

それだけ言うと、僕はペダルに体重を掛け、
その屍の横を通りすぎる。
いや、まだ生きているようだけど。

23 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:52:25.79 ID:jC9iK4Vk0
とりあえずその足で走っている限り、
周りの人間から逃げ切るには不利である。
しかし、自転車ならばその機動性は違う。
足で走ってくるものより速く、彼らを振り切ることができる。
車で追いかけられても、スピードこそ適わないが、
細い路地に入ってしまえば逃げ切れる。

こうして僕は人気の無い方を探して走っていった。
途中、同じ自転車やバイクに追いかけられるも、
先程オバタリアンを倒した伝説の武器を振り回し、
相手を横転させる事で逃げ切った。
たかだか時速30キロのスピードなら死ぬ事はないだろう。

24 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:53:00.42 ID:jC9iK4Vk0
僕は、走っているうちに、この街の地理の様子を把握してきた。
家は広い一軒家が多く、高い建物は少ない。
そして、遠くでは360度すべて山々が囲んでいる。
少なくともここは大きな街ではない。
どこかの盆地に出来た集落であると推測できる。
恐らく、あまり他の人間に遭遇しなかったのも、
人口がそこまで多くないからだろうと思った。

となれば、目指すは人のいない山間部。
ひとまずそこで身を隠さなければ。
そう思い、僕は悠々と立ち並ぶ山に向かって自転車を走らせていた。

25 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:53:38.81 ID:jC9iK4Vk0


そして、辺りは真っ暗になっていた。
辺りはただ虫の羽音と梟の鳴き声だけが響いていた。
僕は、今にも崩れそうな建物の中に身を潜めていた。
それは山に接するかのように大きくそびえ立つ建物。
その入り口は大きく開いている。
壁は高く、20メートル近くはあるだろうか?
そしてそのがらんどうとした空間の中には、
大きなクレーンやプレス機、ベルトコンベアなど、
無機質なものが点在している。

あの後僕は、住宅地を抜けていた。
そしてそこに広がっていたのは広大な田園地帯。
見渡すと、人の気配や、車などは殆ど見られなかった。
好都合とばかりに、そのまま田んぼのあぜ道をひた走る。
その途中、片手に鎌を持ち、目を血走らせた、
おじいちゃんが運転するトラクターに追いかけられたものの、
そんなにスピードが出てなかったのであっさりと振り切った。

26 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:54:14.40 ID:jC9iK4Vk0
そうこうしているうちに辺りは暗くなり、
この状況で山越えをするのは危険と判断した僕は、
偶然この工場らしき建物を見つけ、ここで休息を取る事に決めた。

埃を被った機材の様子から判断して、
ここはしばらく使われていないのだろうか。
ともかくここは隠れるところも多く、休むにはピッタリの場所である。

27 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:54:59.25 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「不気味だお…」

とはいえ、ここは電気も無い闇の中。周りを確認するには、
入り口と壁の上部に並ぶ大きな窓から注ぐ、月の光だけが頼りだった。
そして僕は手で、床の埃を払い、腰を落ち着ける。

(;^ω^)「『殺し合い』…かお」

僕は状況を振り返る。
そもそも今の状況は、あの少年が言った『殺し合い』というよりは、
一方的な『迫害』のようなものであると気づいた。
僕以外の人間は、僕に敵意を剥き出しにしているが、
他の人間同志が殺し合っている様子は無い。

28 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:55:40.65 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「僕がみんなを…殺さなきゃ…いけないのかお?」

とはいえ、あの少年の意図ははっきりしない。
『殺し合い』をするには明らかに不利な状況。
この集落にもどれくらい人口がいるのだろうか?
何千人?いや何万人もの人間とそれをやりあうには無茶がある。

(;^ω^)「あの少年を…」

ならば、と一つの嫌な考えが浮かぶが直ぐに否定する。
僕は『殺し合い』とやらを望んでいない。
逃げ切ることを前提に僕は動いている。
また、あの少年の居る学校に戻るのは危険だし、
そもそも、あの少年がこの世界を支配しているかすら怪しい。

29 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:56:15.28 ID:jC9iK4Vk0
ではどうすれば?
分からない?分からない。
ただ、逃げるしか出来ない。

突然、僕の頭の混乱をよそに、その音は聞こえた。

30 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:56:54.44 ID:jC9iK4Vk0
「ううっ…ぐすっ…いたいよぉ」

(;゜ω゜)「ひぃっ!!」

僕は危うく声を上げそうになったが、慌てて口を手で閉じる。
誰か居る。僕の直感はそう知らせた。
しかし、その声は何処か弱々しく、すすり泣いているかのように聞こえた。

(;^ω^)「見に…行ってみるお…」

ちょっぴり怖かったが、その声の細さは明らかに、
先程僕を襲ってきた者たちのそれとは違う。
その声は何か助けを求めているのではないだろうか?
そう感じずにはいられず、僕は音を立てないようにゆっくりと歩いていった。

31 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:58:00.66 ID:jC9iK4Vk0
(*;ー;)「いたい…いたいよぉ…ぐすっ…」

僕が声のする入り口の方向まで歩いていくと、そこには、
年齢は6歳位だろうか?小さな少女が横たわっていた。
左足の膝に手のひらを押さえるような仕草をしている。
そして、その指の間からは赤い液体が漏れ出していた。

(*;ー;)「…いたいよぉ…」

(;^ω^)「だっ、大丈夫かお!!」

僕は急いで彼女のほうに駆け出していく。
一瞬警戒したものの、彼女のその濡れた瞳には、敵意は感じられない。

32 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:58:41.77 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「み、見せてみるお!!」

彼女の真っ赤に染まった足を見ると、皮膚が大きく削れていた。
恐らく、転んで何か硬いものにぶつけてしまったのだろう。
命に関わるほどの怪我ではないが、
放っておいても血は止まらないであろう。

(;^ω^)「よいしょっと」

彼は上に羽織っていたシャツを脱ぎ、それを思いっきり引っ張る。
するとビリビリ」と音を立ててそれは二つに裂けていく。
こうして出来上がった細長い布を彼女の膝にぐるぐる巻きにする。






Last updated  Dec 30, 2006 08:28:13 PM
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