第二話96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 00:18:09.50 ID:C0xUXuWB0フロントガラスに雨粒が当たり、ワイパーがそれを払いのける ( ,'3 )「どこまで行きゃいいんだ?」 トラックの運転手が恐る恐る強張った声で話しかける ( ^ω^)「余計な事は知らなくていいお。このトラックは施設の中に物資を搬入するんだお?中まで連れてって貰うお」 ブーンはそう言うと銃倉に込められた弾を確認する もうすぐ施設に着くだろう。入り口の守衛を誤魔化せるか?無理なら強攻突破しかない。 この運転手はどうする?殺すか? そこでブーンに躊躇いが生じた。いつもなら口を封じる為に、証拠を消す為に殺しただろう しかしこの人も家庭があるかもしれない。妻に子供が居てもおかしくない年齢だ ( ^ω^)「あなたは・・・ あなたには家庭がありますかお?」 思わずありえない質問をしてしまった 運転手は少し驚いた様な顔をした後口を開いた ( ,'3 )「・・・もうすぐ3人目が生まれるところだ。次女が体弱くてよ、心配の種だ」 そう言うと運転手は少し悲しそうな顔をした 102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 00:26:32.16 ID:C0xUXuWB0 この仕事が危ない事なのは分かっていた。日当も良く大型免許以外の資格や学歴は必要ない 運んでる先の事は一切教えては貰えなかったし何を運んでるのかも知らない ただ子供二人と妊娠した妻を養うには少しでも給料が良い仕事をするしかない それが危ない仕事でもいい、危なくない仕事なんて無いんだから そう言い聞かせて今日まで仕事をしてきた しかし今日、刃物に拳銃らしき物を持った男に襲われた 多分自分は死ぬんだろう そう覚悟した ( ,'3 )「家族に・・・メールだけでもダメかな」 運転手が蚊の鳴くような声でブーンに話しかける ( ω )「・・・いいお」 いつものブーンなら恫喝しただろう。だが温もりを知った今、それ位なら・・・そんな気持ちがブーンを支配していた 110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 00:37:35.09 ID:C0xUXuWB0 殺すのか?殺していいのか?この人にも家族がいるんじゃないのか? ドクオの家のようなあったかい家庭があるんじゃないのか? ( ^ω^)「・・・・・・」 頭が痛い、吐き気がする。傷が疼く、熱ももってるようだ ブーンはずっと黙り込んでいた ( ,'3 )「あんちゃんよく見ると若いね。ありがとよ。メールは済んだ。そろそろ入り口だ」 運転手はそう言うとスピードを落とした ( ω )「・・・」 ブーンは助手席の下に潜り込んで息を潜める 守衛は2人、手にはマグライトを持っているようだ (=゚ω゚)「はいここで制まれよー」 (゚△゚)「おいおい。今日はちょっと遅いじゃねぇか。何やってたんだ?」 そう言いながら近付いてくる ( ,'3 )「い・・いやぁ。この雨だろ?土砂崩れも起きててよ。通っていいかい」 そう言いながら窓から顔を出す (=゚ω゚)「中を見てから、だ。ま、大丈夫だろうけどよ」 そう言いながらマグライトで積荷を照らす (=゚ω゚)「後ろは問題ねーな」 115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 00:46:25.16 ID:C0xUXuWB0 (=゚ω゚)「前の方はどうだ?雨もヒデェしさっさとしろよ」 そう言うともう一人の守衛が運転席を照らした ( ω )「・・・」 このままやり過ごせる可能性はかなり低い。そもそもこんな方法で入るつもりでは無かった このトラックを奪い運転手を殺す そして入り口付近までトラックを走らせ守衛に突っ込ませて破壊 その方がどうせバレるなら確実に中には入れる、そう思ってトラックに乗り込んだ。はずだった 迷いがこんな無茶な作戦を実行させた。馬鹿げてる。 自分でもそう思いながら祈るように息を殺して隠れる (゚△゚)「異常ないな。行っていいぞ」 守衛はそう言うと道を開けようとしたその時だった piriririririririririririrririri 運転手の携帯が鳴った 121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 00:59:17.20 ID:C0xUXuWB0 (゚△゚)「なんだ?携帯か?」 守衛が怪訝そうな顔で運転手をライトで照らす ( ,'3 )「わ・・わりぃ。娘からのメールだ」 そう言って携帯を開こうとした時、震える手から思わず携帯を落としてしまった 携帯は助手席の方に転がり落ちる (゚△゚)「ここに来る時は電源切れっていつも言ってんだろうが。探してやるよ。何処だ?」 そう言って助手席の下をライトで照らして回る ブーンは手のナイフを持ち替えた (゚△゚)「な、なんか動いたな、なんだ?」 ( ω )「・・・掻い潜れるとは思って無かったお。しょうがないな」 ( ^ω^)「会ったばっかりだけどさよならだお」 そう言うやいなやブーンは助手席のドアを蹴り破って外に出た (=゚ω゚)「な・・・なんだ!何が起こった!!」 積荷を検閲していた守衛も走ってくる (゚△゚)「コイツ!?前の爆破犯か!」 (=゚ω゚)「本部に連絡取れ!あと銃の使用許可も出す。殺せ!」 ( ^ω^)「その前にお前らは死ぬんだお」 ブーンは右手に握ったナイフを強く握り締めた 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 01:09:01.49 ID:C0xUXuWB0 ( ,'3 )「お・・俺はどうすりゃいいんだ・・」 ブーンはぬかるんだ地面を左足で思い切り蹴った 左手で牽制しながら右足で回し蹴りを繰り出す (=゚ω゚)「ぐ・・・」 あまりの速度に守衛は反応出来ず膝から崩れ落ちた そこでブーンの右手が閃いた 膝から落ちた守衛の首を綺麗に真一文字に切裂く 雨の中に一瞬で血だまりが出来た (゚△゚)「おおお前!!クソ!!死ねええぇぇぇあぁァァ!!!」 そう叫びながら肩のサブマシンガンのセーフティを解除しブーンに銃口を向ける 守衛が引き金を引くと同時にトラックに無数の穴があき水溜りの水が跳ねる ( ^ω^)「そんなんじゃ当たらないお」 そう言ってブーンはトラックの影に隠れる (゚△゚)「おいクソ運転手!!テメーも仲間なんだろ!!!ぶっ殺してやるよ!!」 そう叫ぶと守衛は運転席に銃口を向けた ( ,'3 )「お・・おれはちが・・」 言い終わるより先に銃声が夜の森に鳴り響く 130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 01:18:33.81 ID:C0xUXuWB0 雨が痛い。服が濡れる。なんでだ?さっきまで運転席に居たはずなのに・・・ ( ,'3 )「何が・・どうなって?」 混乱する運転手の右手をブーンがしっかりと握っていた ( ω )「怪我は・・無いですかお?」 さっきの一瞬、ブーンは運転席のドアをこじ開け運転手の手を引きトラックの外に引きずり出したのだった ( ,'3 )「俺は平気だ。それよりあんちゃん大丈夫か?」 ( ^ω^)「僕は大丈夫だお!そんなやわじゃないお!」 ブーンは満面の笑みで言った (゚△゚)「どこだぁぁぁ!そっちか!?」 守衛は狂ったようにトラックを殴りつけた ( ^ω^)「ここは危ない。逃げるんだお」 ブーンはそう言うとポケットから小さな筒を出し運転手に渡した ( ^ω^)「これは非常用の発炎筒だお。明日日が昇ったらこれを使えば誰かしら助けてくれるお」 ( ,'3 )「あ・・あんちゃんは・・」 ( ^ω^)「僕には仕事が残ってるお。さ、時間は稼ぐ。行くんだ」 そう言うとブーンは運転手の背中を軽く押す 137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 01:27:26.90 ID:C0xUXuWB0 ( ,'3 )「な・・なぁ!」 振り返って運転手が叫ぶ ( ,'3 )「アンタ多分うちの子とそう変わらない歳だろう。死んじゃダメだぞ。絶対死んじゃダメだ」 ( ω )「僕は死なないお。だからおじさんも良いお父さんになってくれお!」 ( ,'3 )「俺は中嶋、中嶋バルケンだ。困ったらうちに来いよ!じゃあな」 そう言うと中嶋は夜の森に消えて行った ( ^ω^)「ふぅ・・・やっと行ったかお。」 ブーンはそう言うと左腕を握り締める ( ^ω^)「これは流石に左手が使えそうにないな。どうするかお」 そう言った瞬間後ろから銃声が響く ( ^ω^)「まだ休めそうにないお。施設にもバレてるだろうし。らしくない事するもんじゃないお」 そう言うと一つ大きな溜息をついてブーンは立ち上がって走り出した 140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 01:37:59.47 ID:C0xUXuWB0 ('A`)「もうここまで来ると雨にもなんも感じねーなァ」 沢沿いに歩いて登る 昼間に釣りをしたあの沢だ ('A`)「あの丸太が流されてなきゃいいんだけどな・・・」 そう呟きながら丸太まで急ぐ 雨が酷く川は大分増水している。地盤も大分緩くなっているようで足場が固まらない ('A`)「やっと着いたぜ」 丸太はあった。増水も丸太までは達してないようだ ('A`)「おっ、良かった!ちゃっちゃっと渡っちまうか」 そう言うとドクオは雨で滑る丸太を気にもせず走り抜けた ('A`)「こっからは森の中・・・か。迷わねーようにしなきゃな」 雨の匂いと泥の音、そして真っ暗な森の中にドクオは一人消えて行った 152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 01:56:10.87 ID:C0xUXuWB0 ブーンとドクオ、ショボンは実は似た者同士だったのかもしれない 明るいドクオ、几帳面なショボン、優しいブーン 別の出会い方があればきっと親友になってただろう バンド組んでみたり冒険してみたり謎を解き明かしたり 生まれの不幸は誰にだってある。ただ生まれの不幸より親友と出会えない不幸の方が本当は寂しいのかもな そんな事を考えながらドクオは森の中を歩いていた 衣服が雨を吸って重い。足も張ってる。足場なんて最悪だ ('A`)「キッツいな。ブーンはあんだけの怪我でこんな所歩いてったのか・・?」 愚痴りながらも黙々と山を登る この森に入ってからドクオは何とも言えない違和感を感じていた 何かが変だ ただその何かが分からない。一体なんだ?考えながら辺りを見回した ('A`)「普通の木の生え方じゃ・・ない・・か?」 そう、なにかこの森は人工的な感じがするのである。ショボンじゃないから理論的に言えないがおかしいのだ ジャンル別一覧
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