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LOYAL STRAIT FLASH ♪

第九章

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 23:03:27.61 ID:Eyr7nxt70
―9章―
・・・・

・・・

・・



(#'A`)「なーにが簡単な事だよ!!あのジジイ!!」

何やらドクオが荒巻へ罵詈雑言を吐いている。

恐らく原因は、ドクオの頭上から降ってくる巨大な・・・・・・・手。

その巨大な手は黒鱗に覆われ、鋭い爪で地面を紙粘土のように抉り取とる。

削り取られた足場が次々と、ひし形へと統率されて行く。

(#'A`)「ぐぁああ!!クソ!!これはヤバイ!!テラパパス!!」

ドクオが、飛び散ってくる瓦礫を盾で防ぎながら、
己を殺そうと周囲を破壊している元凶の頭部を睨みつける。

それは、鋭い犬歯をむき出しにし、
金色の目の中に深紅の瞳を配する眼光でドクオを見下ろしていた。



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 23:05:06.58 ID:Eyr7nxt70
(#'A`)「だぁー!!調子乗るなよ爺さん!!」

ドクオはそう叫ぶと一刹那の間に、
振り下ろされていた大樹の様に太い腕へ盾を振り当てる。

・・・・・
・・・
・・



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 23:06:02.59 ID:Eyr7nxt70
―かれこれ5時間前―

('A`)「問題点2・・・亀裂を越える手段ですか?」

( ,' 3 )「ああ。そうだ」

( ,' 3 )「幅300mなんて亀裂に、一方からだけでは橋は掛けれない。」

そういうと荒巻は、人差し指で天井を指す。

('A`)「天井がどうかしたんですか?」

ドクオは天井を眺めながら答える。

( ,' 3 )「違う違う。空だよ」

('A`)「・・・」

('A`)「俺に空を飛べと?」

( ,' 3 )「まぁそう言う事になるね。」

('A`)「・・・」

('A`)「人間が空を飛べるとでも?」

( ,' 3 )「それは不可能だね。」

荒巻は軽く咳払いをすると言葉を続ける。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 23:06:50.07 ID:Eyr7nxt70
( ,' 3 )「昔は空を飛べる機械があったみたいだが、
      今の水準じゃ、復元は出来ないだろう。」

( ,' 3 )「そ こ でだ」

一字一句に力を混め荒巻が話す。

( ,' 3 )「空を飛べる動物に乗って越えちゃえばいいじゃない」

人を背中に乗せながら空を飛べる生物・・・ドクオには一つだけ心辺りがあった。

('A`)「・・・」

('A`)「ドラゴンですか?」

――――――ドラゴン

大戦後の放射能により爬虫類が変異した物だと言われている。

大戦まもなくの間は、
赤竜、緑竜、青竜、黒竜、双頭竜など様々な種類が存在していたが、
現在に至るまでにハンター達の手により多くが討伐されている。

今では、数えるほどしか在種していない。
――――――――――――


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 23:08:15.95 ID:Eyr7nxt70
( ,' 3 )「そうだ。ドラゴンだ。
      現在、人間を負荷として空を飛べるのは竜族しかいなだろう」

('A`)「確かに・・・それ位しかないでしょうが・・・」

('A`)「手練のハンター達が、集団で1頭を狩っていた奴らですよね?
   流石に・・・手に余りませんか?」

( ,' 3 )「その点は多分大丈夫だろう。
      竜族は、年が経つにつれて戦闘力、知能が向上するからね」

( ,' 3 )「80歳程度の竜が、人間と会話していたという記録も在る。
      話し合いで何とかなると思う」

('A`)「で・・・ドラゴンの居場所に心当たりが?」

( ,' 3 )「ああ、此処から西方に100km行ったところに在る
      【オナクール台地だ】」

( ,' 3 )「スレイプニル(多足馬)で向かえば3.4時間で行けるだろう」

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――――――――――――
―――――
――


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 23:09:44.63 ID:Eyr7nxt70
(#'A`)「で、今に至る!!」

そびえたつ巨躯の腕は、
鉄塊をぶつけられたと言うのに微動だにしていない。

そして竜は、そのままドクオへ向け腕を横へ振り切った。

(;#'A`)「ぐお!!」

盾により直撃は避けれたものの、
ドクオの体は宙に浮かび岩窟の壁へと吹き飛ばされる。

(メ#'A`)「ど・・・どこが話し合いで何とかなるんだよ・・・」

全身を黒鱗で覆われた、全長13mは有しているだろう隻眼の竜が、
地を踏み砕きながらドクオへと巨躯を近づけてくる・・・

(竜)「どうした童よ・・・もう終わりか?」

地を這う様な低い声を挙げ黒竜はドクオへと尋ねる。
それが放つ視線は、人が小動物を見る視線に似ている。

(メ'A`)「おい爺さん!!約束は絶対死んでも守れよ!!」

ドクオは素早く体制を建て直すと、咆哮に似た叫びを上げた。

(竜)「そう案ずるな。約束は果たそう。
   万が一、お前が日の入りまで生き残れたのならばな」

地上に存在する最大巨体種の余裕か、嘲りの意を混め黒竜が答える。


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 23:12:19.97 ID:Eyr7nxt70
(メ'A`)「人間様舐めんじゃねぇ!!」

ドクオはあらん限りの声を張り上げ、疾風の速さで竜の左側へと回り込む。

隻眼故、黒竜の潰れている側の視界へ入ってしまえば
直撃される事は避けれるだろう。

万が一生身の人間が、100歳越えであろう竜の一撃を素で受けようものなら、
それ即ち、死を意味する。

竜は巨躯を素早く翻し、ドクオへ向け史上最大級の鞭を振る。

遠心力と弾性を乗せた一撃がドクオを襲うが、
ドクオは身を屈めかわすと、そのまま直進する。
そして、勢いを乗せた鈍器の一撃を黒竜の右前肢へと繰り出す。

(;メ'A`)「グッ・・・硬てぇ」

ドクオは、後方へと退くと追撃へ備え体勢を整える。

(竜)「我が鱗にそこら辺の合金など通用せぬわ!!」

黒竜は手を休める事なく、両手の10本の刃でドクオを攻め立てていく。

辺りには白煙が立ちこみ、双方がお互いの姿を見失う。

(メ'A`)「っち・・・日の入りまで後・・・6時間はあるぞ」

一瞬訪れた均整に、ドクオが素早く残り時間を計算するが、
絶望的な数字がはじき出される。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 23:13:34.15 ID:Eyr7nxt70
(竜)「どうした!!非力なる者よ!!我をもっと楽しませてみろ」

黒竜の叫び声が辺りに響いたかと思うと、
ドクオの白んだ視界の遠方から黒い影が迫る。

竜の攻撃パターンはおおよそ3種類、噛む、引き裂く、打ち付けるかだ。

('A`)「攻撃範囲の広い尻尾がセオリー!!」

迫り来る影の正体をドクオが見極めると、素早く身を屈める。
一刹那、頭上を轟音を立てながら竜の尾が空を切り裂いた。

(;'A`)「あんなもん顔に受けた日にはイケメンが台無しだぜ・・・」

何故か笑いがこみ上げ、失笑しながらドクオが身を潜める。

先程の攻撃で白煙がより濃くなり、静寂の時間が続く。
どうやら双方は視界が開けるまで待機する様だ。

しばらくすると白煙が風に流されて行き、双方が対峙する形になる。

('A`)「・・・」

(竜)「・・・」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 23:14:51.68 ID:Eyr7nxt70
暫しの間が空き、竜の咆哮で再び戦いの火蓋が落とされた。

黒竜は、尾と爪でのコンビネーションを織り交ぜ迫り来る。

(竜)「どうした!!守っているだけでは直ぐに絶命してしまうぞ!!」

黒竜はドクオをはやし立てるが、
先のドクオの攻撃で、自分を攻め立てる手段など無いと知っている筈だ。

(#'A`)「あーくそ・・・足潰せばなんとかなるか」

そう呟くと、ドクオは黒竜の迎撃を受けながし懐へと潜り込む。

盾の裏の突起物を手で叩くと、再び体を回転させ左前足へと痛撃する。

(竜)「笑止!!お主の攻撃では私に傷ひとt・・ぐ!!」

黒竜の足に雷撃に似た感覚が襲い来る。


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 23:16:40.09 ID:Eyr7nxt70
('A`)「傷ひとつ・・・なんだって?」

この時、黒竜は感覚の正体を知る。

ドクオが手にしていた盾には、
両側側面から50cm程度の刃が上45度で突き出し、竜の黒き血を纏っていた。

(竜)「ぐ・・・ぐぁああぁあぁあああ!!」

黒竜は身を震わせ、ドクオを牽制する。

(竜)「己の血を見るなど・・・何十年ぶりだろう。
   お主は、ただの鼠ではないという事か」

黒竜は目を見開き、深紅の瞳をより濃い色へと変える。

(竜)「良かろう・・・設定を変更してやる。
   あと30分死なずに居られれば・・お主の力になろうぞ」

一瞬、黒竜が悦に浸り、コウモリのそれに似た翼を2.3度羽ばたかせた・・・


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