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LOYAL STRAIT FLASH ♪

三十五章二

66 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:39:52.45 ID:Btz+4BXb0

果たしてぃょぅは、無言だった。
無言で、悲しそうな眼で、ドクオを見つめていた。

そして開かれた口から漏れた音は―――

(=゚ω゚)「だから、何だょぅ?」

('A`)「……は?」

(=゚ω゚)「ドクオは異能者。そこは分かったょぅ。
    だから、何だょぅ?」

(;'A`)「驚くとか、逃げるとか……」

(=゚ω゚)「お前、いつから馬鹿になったんだょぅ?」

(;'A`)「なっ……」


68 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:41:13.99 ID:Btz+4BXb0

(=゚ω゚)「異能者だったからって、それでお前の存在は変わるのかょぅ?
    異能者だったって悪魔だったって何だったって、お前はお前じゃないかょぅ。
    僕は。ドクオ、お前の親友なんだょぅ。ドクオという存在の、親友なんだょぅ」

('A`)「…………………」

(=゚ω゚)「僕は、悲しいょぅ」

('A`)「……何でだ?」

(=゚ω゚)「お前に、信じられていなかったからだょぅ」

(;'A`)「そんな事は……!」

(=゚ω゚)「僕に話してくれなかった事が。
    僕を頼ってくれなかった事が、その証拠だょぅ」


69 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:41:44.76 ID:Btz+4BXb0

('A`)「……話していれば、お前を巻き込む事になっていた。
   お前をこの戦いに巻き込むわけには、いかなかった。
   死ぬのは、俺だけで十分だ。お前が死ぬことは―――」

(#=゚ω゚)「ふざけんなょぅ」

突然、胸倉を掴み上げられた。
予想外の行動に、ドクオは反応が取れない。

(#=゚ω゚)「残された方の気持ちを考えろょぅ!
     お前がいなくなって、僕はどうすりゃ良いんだょぅ!?
     大切な人を失うのは、もう嫌なんだょぅ!」

(#=゚ω゚)「勝手に死んでいく奴はズルいょぅ!
     生きてる奴に色んなものを押しつけて……!
     何もかも黙って、誰にも頼らずに死んでいこうとするお前はもっとズルいょぅ!」

(#=゚ω゚)「頼られなかった奴の気持ちを考えろょぅ!
     頼りにもされず、何も知らされずに、いつのまにか親友を失くしている!!
     この辛さが分かるかょぅ!?」


70 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:42:31.79 ID:Btz+4BXb0

('A`)「……だったら、どうすりゃ良かったってんだよ」

逆に胸倉を掴み返して、ドクオはぃょぅの瞳を睨みつける。
虚ろだったドクオの瞳は、いつしか鈍い光を放っていた。

それは、とても哀しい光だった。

(#'A`)「てめぇを巻き込みゃ良かったってのか?
    これ以上、大切なものを危険な目に合わせろってのか?
    異常な力を持ったキチガイ共の中に、お前をぶち込めば良かったってのか!?」

(#=゚ω゚)「そうだっつってんだょぅ!
     傷付いてほしくないと思われてるこっちは、溜まったもんじゃねぇんだょぅ!」

(#=゚ω゚)「こっちだって、お前と同じ事を考えてるんだょぅ! 
     僕だって、お前には傷付いてほしくない! 死んでほしくない!!
     お前だけ傷付いて死ぬなんてズルいょぅ! 何なら、次の戦闘とやらについて行くょぅ!?」


71 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:43:01.28 ID:Btz+4BXb0

(#'A`)「そんなん許容出来るわけがねぇだろうが!!
    大切な物を護る為に死にに行くっつってんのに、お前が死んでどうすんだ!?
    納得してくれよ! 俺だって……俺だって、死にたいわけじゃねぇんだよ!!」

(#=゚ω゚)「だったら!!」

一際強く叫んで、ぃょぅはドクオを押し飛ばした。

そして―――彼の左腕を、握り締める。
何の躊躇もなく。そこに、悪魔の腕などないかのように。
冷たく硬いその腕を、しかしぃょぅは力強く握り締める。

まるで、ドクオ自身の腕を握っているかのように。
そうすれば、想いがドクオに伝わると信じているかのように。

異能者であろうが人間であろうが、そんな些細な事は何の関係もないと、証明するかのように。

(#=゚ω゚)「『安心しろ。生きて帰る』『それまで待ってろ』って!
     それくらいの事を言って、僕を納得させてみろょぅ!」


73 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:43:45.04 ID:Btz+4BXb0

('A`)「――――――ッ」

言葉を、失った。
思わず胸倉を掴んでいた手から力が抜け、ぶらりと垂れ下がる。

(=゚ω゚)「……お前が言ってる事は、分かる。分かるょぅ。
    その命に代えても仲間を護る―――お前の言いそうな事だょぅ。
    でも、『死ぬ、敗ける』だなんて言葉は、お前から聞きたくないょぅ」

(=゚ω゚)「何の為に、ネロとズィルヴァをお前に預けてやったと思ってるんだょぅ?
    お前が無事で帰れるように、お前が敵に勝てるように預けたんだょぅ。
    僕の代わりにお前を護ってくれって、そう願って」

('A`)「……ぃょぅ」

(=゚ω゚)「行くというのなら、行けょぅ。
    行って、戦って、存分に仲間を護ってこいょぅ。
    ただし、生きて帰れょぅ。死ぬ事は、絶対に許さないょぅ」


74 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:44:19.38 ID:Btz+4BXb0

更に強く悪魔の腕を握り締めて、ぃょぅは続けた。
ドクオはその言葉一つ一つに、僅かに身体を揺らす。

(=゚ω゚)「お前がしてきた事、する事。もう、それには口を出さないょぅ。
    お前の選んできた判断は、きっとお前の最善だったんだから。
    でも、死ぬという判断だけは改めてもらわないと困るょぅ」

(=゚ω゚)「誓えょぅ。『生きて帰る』と。
    そうしないと、僕はお前をここから帰さないょぅ。
    または、お前の戦いに首を突っ込ませてもらうょぅ」

('A`)「…………………」

(=゚ω゚)「さぁ」

('A`)「……誓う。俺は、生きて帰る。
   ブーン達を護って、そんで、俺も生きて帰る。
   絶対に、死なない」

途切れ途切れに紡ぎ出された言葉は、自分に言い聞かせるような響きがあった。


75 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:45:12.49 ID:Btz+4BXb0

ぃょぅはそれを聞いて、嬉しそうに微笑む。

(=゚ω゚)「それで、良いょぅ。
    約束破って死んだらぶち殺すょぅ」

('A`)「……どうやってだよ」

(=゚ω゚)「さぁ? お前が約束を破らなければ良い話だょぅ」

('A`)「……確かに、な」

そこで、ドクオも笑った。

諦めや寂しさを一切含まない、呆れたような乾いた笑み。
それを見て、ぃょぅは安心したように笑みを深くした。

そこで響くは、異音。
ドクオの左腕が、普通の左腕へと戻って行く。


76 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:45:58.99 ID:Btz+4BXb0

変化は始まりと同じく、数秒。
間もなく彼の腕は普通の腕へと戻り、人の温度を取り戻した。

(=゚ω゚)「―――そう。この温度が、お前の温度だょぅ。
    でも、さっきの腕の冷たさも、お前の温度だょぅ。
    お前はお前らしく、頑張れば良いょぅ」

('A`)「俺……らしく?」

(=゚ω゚)「全てを見下して、冷徹に対処していけば良いって事だょぅ。
    自分の判断に絶対の自信を持って、その判断を阻害するものは徹底的に排除。
    非道な判断でも関係ナシに、とにかく最善と判断した道だけを歩む」

(;'A`)「俺らしいってのはそういう事なのかよ」

(=゚ω゚)「あながち間違ってないと思うょぅ?」

(;'A`)「ぐっ……」


77 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:46:25.82 ID:Btz+4BXb0

(=゚ω゚)「でも、君はそれで良いんだょぅ。
    素直なのが一番。無理に、捻じ曲げる必要なんかないょぅ」

('A`)「素直なのが、一番……」

―――安い缶コーヒーに教えてもらった、その言葉。
よもや、親友も同じ事を言うとは思わなかった。

じっくりと話せば、きっとあの三人の仲間も、同じ事を言うのだろう。
ふとそう思って、おかしくなってしまった。

分かっていないのは、自分だけだったのかもしれない。

('A`)「ぃょぅ」

(=゚ω゚)「ぃょぅ?」

('A`)「ありがとうな。……どうやら俺は、色々と間違えてたみてぇだ。
   お前と話して、その間違いに少しは気付けた気がする」


78 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:46:56.00 ID:Btz+4BXb0

('A`)「もう一度言ってやる。生きて帰る。全てを終わらせて、帰ってきてやるよ。
   誰も死なせねぇ。俺も死なねぇ。安心して、待っててくれ。
   キッチリ敵の命だけをぶちまけて、戻ってきてやるからよ」

(;=゚ω゚)「お前が『ありがとう』って言うと気味が悪いょぅ。
     でも……」

言葉を止めて、ぃょぅは嬉しそうに笑った。
暖かな、まるで春の日差しのような笑み。

これを、天使のような笑みというのだろうか。

(=^ω^)「分かってくれて、嬉しいょぅ」

('A`)「あぁ」

ドクオの口角が釣り上がる。
それは決して柔らかくはなく―――しかしこれもどこか暖かな笑みだ。

心優しい悪魔が、笑っているかのような。


80 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:47:34.11 ID:Btz+4BXb0

('∀`)「じゃあ。また出会える、その日まで」

軽く手を上げた。
それに応じて、ぃょぅの手も上がる。

そしてそれは打ち合い、パチンと高い音を響かせた。

(=^ω^)「お前に、幸福も不幸もあらん事を。ドク」

('∀`)「お前に、光も闇も降り注がん事を。ぃょぅ」

笑い合って、拳をぶつけた。
その鈍い痛みが、ドクオの『帰ってこよう』という想いを強くさせる。


81 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:47:49.83 ID:Btz+4BXb0

それ以上、言葉は交わさない。
二人は同時に背を向けて、己の居るべき場所へと帰って行く。

ぃょぅは、日常へ。
ドクオは、戦場へ。

しかし、ドクオは死にに行くのではない。
全てを終わらせ、帰って来る為に戦場へ向かうのだ。

その眼にはいつしか、力強い光が満ちていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


91 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:01:17.30 ID:Btz+4BXb0


夕日色に染まった道を、ゆったりとした足取りで歩く影があった。
良い具合に色落ちしたブラックジーンズに、ワインレッドのライダースジャケット。
茶色のメッシュを入れた短髪がやけに夕日に映えるその人影は、ギコだ。

(,,゚Д゚)「奪う覚悟―――相手の信念を打ち砕く、覚悟か」

彼の声に、元気や活気などはない。
低い呟きはアスファルトに落ちて、跳ねずに呑み込まれた。

(,,゚Д゚)「それはつまり……相手が折れてくれなかった時に、殺す覚悟。
     相手が誰であろうと、どんな過去と理由と信念を持っていようと」

音を伴った声は、そこまでだった。
「辛ぇなぁ」という言葉は、僅かに唇を動かしたのみ。

敵とは言え―――悪とは言え、相手は人だ。
殺して良い筈がない。
だが、自分が殺さねば……自分が止めねば、更に人が死ぬ。


92 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:02:03.51 ID:Btz+4BXb0

人の命など、背負える筈もない。
命というのは、背負う事が出来るほど軽いものではない。

果たして自分は、どうだろうか。

止められるのか? 殺せるのか?
奪った命を背負って、人生という道を歩んでいけるのか?
己の正義を貫き通すだけの覚悟は、あるのか?

自分の中にある黒い靄を重く感じて、ギコは夕日を仰ぎ見た。
眩しい橙の光を眼に感じて、眼を細める。
同時に大きく息を吸い込んで、己の中に冷たい空気を吹き込ませた。

夕日は、美しかった。
吸い込んだ冷たい空気は澄んでいて、体内の靄を少しだけ吹き飛ばしてくれた。

こんなにも自然が―――日常が愛おしいと思ったのは、初めてだった。


93 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:02:37.56 ID:Btz+4BXb0


少しだけすっきりとした頭で、ふと、思い出す。


大殺戮。
人々の叫び声、怒声……泣き声。
兄者の下卑た笑い声。

無数に転がる、人の死体。
原型を留めぬ死体に寄り添って涙を流す、幼い少女。
炎を吹き上げる車、その炎に焼かれる人々。


夕陽の赤に、血の紅を重ねてしまったのだろうか。
脳裏に浮かんだ光景は、涼しくなった身体を急激に熱くした。

握り締めた拳が軋む。
眼の奥が粘る熱を持ち、自然と眼つきが剣呑なものになってしまっていた。


94 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:03:38.84 ID:Btz+4BXb0

(,,゚Д゚)「……止められるのか、じゃないな。
    止めるんだ。止めなきゃいけないんだ」

言葉から、揺らぎは消えていた。

あの惨状を、繰り返してはならない。
あの泣き声を、響かせてはならない。
憎しみと悲しみの連鎖は、途切れさせなければならない。

その為だったら、自分は修羅にでもなれる。
いや、なってやる。

それで、あの惨劇が起きなくなるというのならば。


96 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:04:37.81 ID:Btz+4BXb0


ゆったりとしていた足の進みが、格段に速まった。
固まった意志が、足を速めたのかもしれない。

十分もすると、彼はある施設に辿り着いた。
大規模なホームセンターだ。

ここに来た理由は一つ。
悪を失くす為の手段を得に来たのだ。
己の“力”を強化する為の道具を。

その内一つは、油。
炎の勢いを補助してくれるもの。

そして、もう一つは―――


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


98 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:05:27.06 ID:Btz+4BXb0


( ゚∀゚)「ふぅ……」

ドクオとの会話後、ジョルジュは部屋に戻った。
表情は暗欝としたもので、いつもの軽やかな笑みなど微塵も見られない。

ベッドに身体を投げ出し、もう一度、溜息。
溜め息の理由は、ドクオの言葉だ。


   『―――いつまで逃げているつもりだ?』


頭の中で響いた言葉に、舌打ちした。
眼を瞑って、頭を両手で押さえる。

(  ∀ )「……分かってんだよ、そんな事は」

呟いてみたが、効果などありはしなかった。


99 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:06:28.88 ID:Btz+4BXb0

当然の事だ。
『分かっていない』と誰よりも思っているのは、ジョルジュ自身なのだから。

逃げている。
そう、逃げている。
あらゆる事から逃げて、今もまだ、逃げ続けている。

最初に逃げたのがいつであったかなど、もはや覚えていない。
覚えている事は、自分はとてつもなく弱い存在であったと気付かされた事。
そして、その自分を隠そうと『仮面』を被ったという事。

一度被った仮面は、外れなかった。
常に本気にならない―――本気になれない、道化の仮面。
笑みを崩す事は許されず、常に何かを演じてきた。

一度逃げ出した足は、止まってはくれなかった。
どんなに息が苦しくなっても、どんなに心が泣き叫んでも。

だが結局は、自分に勇気がなかっただけなのだ。
自分が底無しに弱かった。ただ、それだけなのだ。


100 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:06:57.95 ID:Btz+4BXb0

仮面を外して素顔を晒す事に怯え。
ありとあらゆる全ての事に向かい合う事に怯え。
―――そして今。自分は、そのまま決戦へと向かおうとしている。

(  ∀ )「どうすりゃ良いってんだよ……」

思わず、言葉が口から漏れた。
その時だった。


『分かっているのだろう?』

自分の中で何かが呟いた。
それはどこか遠い―――しかし間違いもなく、自分の声。
殺しきれなかった、素顔の自分の声。

びくりと震えた身体が、その証拠だった。


101 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:08:32.34 ID:Btz+4BXb0

『お前が今、何から眼を背けているのか』

『お前は今、何を考えるべきなのか』

『お前は今、何の答えを出すべきなのか』

『お前が今、考えている事は違う事だ』

『お前は今、たった一つの答えを出すだけで良い』

『分かっているのだろう?』


『ショボンだ』


その言葉はやけに長く響いて―――そして、言葉は止んだ。
後に残るのは、眉根を寄せた自分だけ。


115 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:42:04.73 ID:Btz+4BXb0

(  ∀ )「……あぁ。分かってるよ」

そう。分かっているのだ。
それを認めたくなかっただけで。
まだ逃げ続けていたかっただけで。

だがそれはどうやら、もう許されないらしい。

ショボン。
数日前に疑惑を持った。
その疑惑は、結局疑惑のままでしかなかった。

その日は、それよりも先に進む事は、出来なかった。
結果を出すのが、何か怖かった。
だから、また逃げてしまったのだ。

―――結果を、出さなければならない。
そして、戦う覚悟を決めなければならない。


118 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:44:10.11 ID:Btz+4BXb0

( ゚∀゚)「ショボンは……」

続く言葉は、しかし口の中から出て来てくれない。
もう分かりきってる答えだというのに、自分はまだ逃げようとしているというのか。

ダメだ。
今ここで答えを出さねば、もう立ち向かえなくなる。

答えを出さねば。
覚悟を決めねば。
逃げる事を、辞めなければ。

( ゚∀゚)「ショボンは……敵だ」

―――言った。
答えを、出してしまった。

もう、逃げられない。
逃げる事は、許されない。
自分が自分を、許してはくれない


120 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:46:26.61 ID:Btz+4BXb0

逃げていた足は、止まってしまった。
迫る追っ手から生き延びるには―――戦うしかない。

( ゚∀゚)「敵だ。……間違いない」

確認するかのように、呟いた。

何故か、という思考は数日前のあの夜に完結している。
最後の答えだけが、出せずにいたのだ。

( ゚∀゚)「となると、奴は決戦の時に現れるな。
     遠くから見ているだけで満足出来るような奴じゃ、ない筈だ」

一瞬、ブーン達に伝えるべきかと考えて、すぐにそれを打ち消した。
自分の答えに不安があるわけではない。
むしろ、自分の答えには自信と確信がある。


122 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:48:20.98 ID:Btz+4BXb0

今ここで彼らにそれを伝えてしまえば、彼らもまた、苦悩するだろうからだ。
戦いの直前に、苦悩の種を植え付ける必要はないだろう。
いざとなれば、彼らは戦える。

彼らは、自分のように弱くはない筈だから。

( ゚∀゚)「……ショボン」

彼の名前を、呟いてみた。
全身が仄かに熱くなったのは、怒りからだろうか。

( ゚∀゚)「あんたの思い通りには、ならないよ。
     俺達は、あんたの思い通りにはならない」

呟くも、「自分のこの思考も、奴の思い通りなのではないか」と思ってしまう。
だが、彼は笑みを浮かべた。
軽い―――しかし鋭い刃のような、研ぎ澄まされた笑み。


123 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:48:46.24 ID:Btz+4BXb0

( ゚∀゚)「どこまでがあんたの思い通りでも良いさ。
     俺達は絶対に、あんたなんかにゃ敗けない」

そして、ジョルジュは視た。
“内側”、足を止めた自分が、仮面に手をかけているのを。

そして―――その仮面が、外されたのを。

仮面の下にあったのは、笑み。
今自分が浮かべている、鋭い笑み。

ジョルジュは驚き―――それから、笑い声を洩らした。


125 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:50:19.56 ID:Btz+4BXb0

( ゚∀゚)「怖がる事なんて、なかったわけだ。
     仮面の俺もこの俺も……『俺』だもんな」

笑い声を洩らしながら、しかし彼の瞳からは涙がこぼれた。
それは、自分自身で巻き付けた鎖から解放された、その喜びからだろうか。

彼は涙を拭う事もせずに、言葉を紡いだ。

「これで、戦える。
 俺として、戦える」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


126 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:52:34.67 ID:Btz+4BXb0


( ^ω^)「…………………」

僕はラウンジで、携帯の液晶画面を見詰めていた。
画面に表示された文字は「カーチャン」

僕は今、友達の家で過ごしている事にしている。
カーチャンには「しばらくしたら戻る」と伝えておいた。
カーチャンを、心配させない為に。

でも、戻れなくなってしまったら?
カーチャンは何も知らないまま、独りになってしまう。
せめて何か、一言だけでも伝えておきたい。

そう思って、電話を手にした。
でも。

( ´ω`)「何て言や良いってんだお……」


128 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:54:24.88 ID:Btz+4BXb0

言うべき言葉が見付からず、携帯を閉じてしまった。
そして数秒して、また携帯を開く。
さっきからずっと、この動作の繰り返しだった。

「何してるの?」

可愛らしい声が背後から聞こえて、僕は振り返った。
眼に入ったのは、照明にきらきらと輝く金髪。
そしてその金髪が異常に似合う、まるで西洋の人形のような美しい面。

彼女は首を傾げ、ゆっくりと僕に歩み寄ってくる。
そして少しだけキツイ印象を与える大きな瞳が、僕の手元をちらりと見やった。

ξ゚△゚)ξ「あら、誰かに電話しようとしてたの?
     邪魔だったみたい?」

( ^ω^)「いや、そんな事ないお」

言いながら、ツンに椅子を勧める。
彼女は短く礼を言って、腰を降ろした。


131 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 21:57:11.66 ID:Btz+4BXb0

ξ゚△゚)ξ「じゃあ、携帯で何を? 彼女にメール?」
  _, ,_
(;^ω^)「彼女なんていないお」

眉根を寄せてそう言うと、彼女は少しだけ意外そうに、口に手を当てる。
そしてまもなく、その口が柔らかいカーブを描いた。

ξ゚ー゚)ξ「へぇ、いないんだ?」
  _, ,_
(;^ω^)「何だお、その楽しそうな表情は」

ξ゚ー゚)ξ「別に?w で、何しようとしてたの?」

( ^ω^)「カーチャンに電話しようと思ってたんだお」

ξ゚ー゚)ξ「あら、良い事じゃない。すぐにしてあげれば良いわ」

( ´ω`)「それが……何て言えば良いか分からないんだお」

ξ゚△゚)ξ「え?」


132 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:00:18.79 ID:Btz+4BXb0

( ´ω`)「異能者だとは言えないし……だから戦いに行く、なんて事も言えないし……。
       何て今の状況を伝えたら良いのか……」

ξ゚△゚)ξ「待って。あなたは、お母さんに何を伝えたいの?」

( ^ω^)「何を……って?」

ξ゚△゚)ξ「あなたが異能者だったって事を伝えたいの?
     戦いに行くって事を伝えたいの?
     あなたが一番伝えたい事は、何?」

( ^ω^)「危ない事をするけど、安心して待っていてほしいって事と……。
       ……万が一帰ってこれなくても、悲しまないでほしいって事を。
       それと、礼を言いたいんだお

ξ゚△゚)ξ「言いたい事はもう決まってるのね。
     だったら、それだけを伝えれば良いじゃない」

短く答えた彼女は、続けて言葉を紡いでいく。
透き通った綺麗な声は、僕の耳を優しく刺激した。


133 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:02:02.24 ID:Btz+4BXb0

ξ゚△゚)ξ「それ以外の事は、伝えなければ良いじゃない。
     丁寧な説明なんて、必要ないわ」

( ´ω`)「……お。確かに、そうだお。でも」

ξ#゚△゚)ξ「ぐちぐちとくだらない事言ったら殴るわよ」

(;^ω^)「おっ?」

ξ゚△゚)ξ「……はぁ。あのね、あなたは、考え過ぎなのよ。
     それも、いらない事でね。考えすぎて、動けなくなっちゃってる。
     もっと単純に考えても良いんじゃない?」

( ^ω^)「……そうかお?」

ξ゚△゚)ξ「そうよ。……まぁ、それがあなたの良いところなのかもしれないけどね。
     優しすぎるのよ、あなたは」

( ^ω^)「お? 今、何て言ったんだお?
       聞こえなかったお」


135 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:04:09.84 ID:Btz+4BXb0

ξ*゚△゚)ξ「っ……一度で聞きなさいよ! 鈍くさいわね!」

(;^ω^)「おっお、ごめんお。で、何て?」

ξ*゚△゚)ξ「うるさいわよ! 良いからさっさと、あんたは電話かけなさいよ!」

(;^ω^)「おー」

ツンの言葉に、僕は携帯を見つめた。
カーチャンの電話番号は既に表示されている。
あとは、通話ボタンを押すだけだ。

それが、出来ない。
どうしても、親指が動いてくれない。

その時。
僕の横顔を、柔らかな感触がくすぐった。
驚いて横を向けば、眼の前にツンの顔があった。


137 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:06:15.43 ID:Btz+4BXb0

僕の顔をくすぐっていたのは、彼女の金髪だったのだ。
驚くのと同時、ふわり、と爽やかな甘い香りが鼻を抜ける。
こうして近くで見ると、本当に可愛いと思う。

だがそれに見惚れている暇はなかった。

ξ゚△゚)ξ「えい」

声と、同時。
伸ばされた手は、携帯電話の通話ボタンを押している。

(;^ω^)「ちょっ! ツン、何を!」

ξ゚△゚)ξ「良いから良いから。ほら、チャンスチャンス!」

僕を応援するように、ツンはガッツポーズをした。
生真面目な瞳が、焦った僕の顔を映す。


140 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:08:21.20 ID:Btz+4BXb0

そして、まもなく―――

『はい、もしもし。カーチャンですよ』

携帯電話から、聞き慣れた声が響いた。
僕は頭の中で話す事を考えながら、携帯を耳に近付ける。

(;^ω^)「……カ、カーチャン? 久しぶりだお」

『あらあらブーン、どうしたの? 何かとんでもない事しでかしちゃった?』

ころころと笑うカーチャンの声が、心を締め付けた。

冗談で言っている言葉があながち間違いでないというのが、カーチャンの恐ろしいところだ。
昔からそうだった。
僕が何か隠そうとしても、カーチャンは全て、それを見破ってしまう。

でも、これだけは隠さないといけない。


141 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:09:40.09 ID:Btz+4BXb0

( ^ω^)「……ちょっと、聞いてほしい話があるんだお」

『あら、改まっちゃって。どうしたの?』

( ^ω^)「カーチャン。僕はちょっと、危険な所に行って、危険な事をしなきゃいけないお。
       でも、安心して待っていてほしいんだお」

『……ブーン? 何を』

( ^ω^)「それで、もし、帰ってこれなくても……悲しまないでほしいんだお。
       カーチャンが悲しむと、僕も悲しいから」

『ブーン? 何を言ってるの?
 カーチャン、何も分からないよ。
 説明してちょうだい』

心配したその口調に、眼の奥が熱くなった。



144 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:11:37.42 ID:Btz+4BXb0

思えば、僕は何度、カーチャンに救われたか分からない。
弱い僕はいつも悩んで、いつも傷付いていて―――何度もカーチャンに、救われていた。

でももう、カーチャンにばかり頼ってはいられない。

( ^ω^)「無事に帰ってこれたら、しっかりとした説明をするお。
       でも、今は説明出来ないお。分かってほしいお」

『分かるはずないでしょ?
 我が子が危険な事をするって言ってて、それを聞き流せって言うの?
 ブーン、説明してちょうだい。しっかりと、段取り立てて説明を―――』

( ^ω^)「カーチャン」

言葉を、無理矢理に遮った。
これ以上カーチャンの言葉を聞いてると、涙が溢れ出してしまいそうだったから。

眼の奥が熱い。
心が、痛い。
絞り出した声は、果たして僅かに震えていた。


145 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:12:08.96 ID:Btz+4BXb0

( ^ω^)「僕は危険な所で、危険な事をするお。
       でも、心配しないでほしいお。きっと、帰るから」

( ^ω^)「だけど、帰ってこれなくても、悲しまないでほしいお。
       僕はカーチャンが悲しむ事が悲しいから。
       酷い事を言うようかもしれないけど、その時は僕の事を忘れてくれお」

( ^ω^)「カーチャン。僕はカーチャンに、感謝してるお。
       出来の悪い僕をここまで育ててくれて、ありがとうだお。
       いつも僕の事を優しく見守っていてくれて、ありがとうだお」

( ^ω^)「いつもおいしいご飯を、ありがとうだお。迷惑ばかりかけて、ごめんお。
       何度も悲しませて、何度も怒らせて、何度も呆れさせて、ごめんお。
       何度も悲しんでくれて、何度も怒ってくれて、何度も呆れてくれて、ありがとうだお」

( ^ω^)「無事に帰れたら、もっともっと言いたい事があるお。
       その時を、カーチャンは待っててくれお。
       カーチャン、大好きだお。いっぱい、ごめんだお。いっぱい、ありがとうだお」

浴びせるように言葉を吐いて、そして、電話を切った。


148 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:14:53.38 ID:Btz+4BXb0

それと同時。
頬を、一筋の涙が流れて行った。
そして、涙と共に、低い嗚咽が地面を叩く。

ξ゚△゚)ξ「……どうしたの? 何で―――」

何で僕は、泣いているのだろう。
何が悲しいのだろう。

もうカーチャンに会えない、と決まったわけではないのに。

( ;ω;)「分からないお。何かがとても哀しくて、怖くて……」

何故だろう。
日常が、こんなにも遠い。

クラスメイトみんなで笑っていた日々が、夢のようだ。
カーチャンのおふざけに眉根を寄せていた日々が、幻のようだ。
何とも思っていなかった日常は、今となっては甘く愛しい夢幻でしかなくなっていた。


151 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:16:54.95 ID:Btz+4BXb0

カーチャンに想いを伝えたことで―――日常は、更にずっと遠いもののように感じた。

涙は止まらない。
何が悲しいのだろう。
遠くなってしまった日常か、帰れないかもしれないという悲しさからか。

何が怖いのだろう。
訪れるかもしれない、死か?
それとも、ともすれば失いかねない、日常の全てか?

分からない。
ただただ涙は静かに流れ、嗚咽はラウンジの空気を震わせる。
そんな僕を、ツンは真正面から見つめ―――

ξ゚△゚)ξ「……言えたじゃない」

短く、呟いた。


153 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:18:22.94 ID:Btz+4BXb0

ξ゚△゚)ξ「ありがとうって、ごめんねって、言えたじゃない。
     いざという時の、その分の最低限の想いも伝えたじゃない。
     あとは、勝って、生き残るだけよ」

ξ゚△゚)ξ「あなたはお母さんに、もっともっとありがとうとごめんねを言わなきゃいけない。
     死んじゃいけない。敗けちゃいけない。勝たなきゃいけないのよ。
     帰りたいんでしょ? だったら、勝たなきゃ」

言いながら、ツンは僕の頬に触れてくる。
そして濡れる指先も気にせず、僕の瞳を真っ直ぐと見詰めた。

揺れる瞳は、どこまでも優しい色だった。

ξ゚△゚)ξ「あなたは、本当に優しいのね。
     でもその優しさが、自分を苦しめてしまってる。
     ……でもそれで良いの。苦しみなさい。その苦しみが、あなたの良さだから」

そしてツンは、頬に触れていた手を僕の背に回した。
まもなく、もう片方の手も。
僕を抱きしめてくれるツンは、暖かかった。


155 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:19:42.41 ID:Btz+4BXb0

そして軽く、僕の肩に顎を載せる。
眩い金髪が僕の首と頬をくすぐった。
ふわりと、先ほども嗅いだあの爽やかで甘い香りが、僕の鼻孔を優しく愛撫する。

その香りが、僕の心を妙に落ち着けてくれた。

ξ゚△゚)ξ「だから、ほら。もう、泣かないで。
     まだ哀しくも、怖くもないでしょ?
     悲しくて怖いものを、これからやっつけに行くんでしょ?」

( ;ω;)「……お、そうだお」

ξ゚△゚)ξ「だったら、泣かないの。
     あなたが泣いてると、私まで悲しくなっちゃうでしょ?」

( ;ω;)「……お」

涙を、拭った。
続けて溢れ出そうになる涙を、気力で止める。


157 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:21:47.52 ID:Btz+4BXb0

それから深呼吸して、嗚咽を抑えた。

落ち着いてみると、僕は何て格好悪い事をしているのだろうと思う。
電話一つで泣いて、女の子に慰めてもらって―――

ξ゚ー゚)ξ「よし、泣きやんだわね」

そんな格好悪い僕を、しかしツンはまっすぐな瞳で見つめてくれた。
そして僕から離れて、柔らかく笑いかけてくれる。

( ^ω^)「……ツン、ごめんだお。それと、ありがとうだお。
       くだらない事でめそめそしてる僕に、こんな……」

ξ゚ー゚)ξ「良いのよ。あなたは何も悪くないわ。
     つい最近まで一般人だったんだから、仕方ないわよ。
     むしろ、今まで崩れずに頑張ってこれたって事がすごいと思うくらいだわ」

その言葉に、ただの人だった時の僕が脳裏に浮かぶ。


159 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:23:16.42 ID:Btz+4BXb0

無駄にはしゃいでいた、騒がしくも楽しい学校生活。
一癖も二癖もある、しかし素晴らしい友人達。
そして、カーチャン。

少しだけ寂しいような感覚を覚えて―――それを、振り払った。

“管理人”との戦いに勝てば、あの生活に戻れるんだ。
それだけではない。勝てば、“管理人”のせいで悲しむ人もいなくなる。

勝てば、望む結果が得られる。
敗ければ、全てを失う。命すらも。
―――敗けるわけにはいかない。勝つしかない。

……ショボンの為にも。

僕の中で、何かが固まったような気がした。
それは『決意』というのかもしれない。

少なくとも、もう僕の中に迷いはなくなっていた。


160 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 22:24:26.09 ID:Btz+4BXb0

( ^ω^)「ツン。ありがとうだお。
       君のおかげで、覚悟が出来たお」

言って、ツンに微笑みかける。
ツンは嬉しそうにはにかみ、少しだけ頬を紅潮させた。

そして、ふと思う。
彼女は何を想って戦うのだろうかと。
こんなにも明るく笑う子が、どんな想いを胸に抱いて戦うのだろうかと。

しかしそれを尋ねるのもどうかと思う。
だから……そうだ。全てが終わった後に、訪ねてみよう。

そんな考えを浮かべたまま、僕はしばし、彼女の笑顔を見詰めていた。


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