2007/01/07(日)21:54
( ^ω^)が料理人になるようです(第一章下)
16 名前:料理[sage] 投稿日:2006/12/28(木) 22:26:02.47 ID:T5DMejVm0
( ^ω^)『運転免許持ってないお』
まず、トラック運転手やタクシードライバー募集の欄などにバツがつけられた。
( ^ω^)『自給安すぎるお』
廃棄食材は魅力だったが、コンビニやファーストフードもバツ。
この僕が働くのにこんなに安い時給はありえないだろ。常識で考えて。
( ^ω^)『ガテン系は眼中にないお』
給料面は魅力だが肉体労働が僕に勤まるとは思えない。
( ^ω^)『おしゃれじゃないお』
そんなふざけた理由で工場作業員や警備員の募集欄まで犠牲になった。
~3時間後~
( ^ω^)『あー。なかなか自分にピッタリの仕事って見つからないものだお』
僕は万年床にたおれこんだ。そのまま赤いバツだらけのフリーペーパーをパラパラとめくりだす。
数少ない生存者もなんとなく僕の心に訴えかける仕事ではなかった。
こりゃ今日の成果はゼロかもしれんね。
そう思った時。
( °ω°)『・・・・・・!!!!!!』
見つけた。
18 名前:料理[sage] 投稿日:2006/12/28(木) 22:27:28.01 ID:T5DMejVm0
新感覚中華ダイニング・バーボンハウス
厨房新スタッフ募集
おしゃれなダイニングで一緒に働きませんか?
そこにはチャイナドレスを着た栗色で巻き毛の少女の写真も載っていた。
ちょっと気が強そうだけど、そんな事は気にならない。
いや、それよりも。
僕は目を閉じて妄想する。
華やかなテレビ収録現場。
真っ白いコックコートに身を包んだ僕。
その周りでは鮮やかな衣装を着込んだアイドルたちが僕の料理に舌鼓を打っている。
僕は身を起こしてその募集欄を再度チェックする。
うん。給料面も悪くない。
( ^ω^)『これだお!!』
立ち上がって【我が人生一片の悔いなし】ポーズを決める。頭の中では稲光が僕を照らしている感じだ。
( ^ω^)『これこそ僕にふさわしい仕事だお!!!!』
一人で格好よくポーズを決めたが、全開の窓から誰かに見られている気がして慌ててカーテンを閉めた。
19 名前:料理[sage] 投稿日:2006/12/28(木) 22:29:14.17 ID:T5DMejVm0
まだギリギリ募集電話受付時間に間に合う時間だったので、ぼくはすぐさま応募の電話をした。
(´・ω・`)『やぁ、ようこそバーボンハウスへ』
電話に出た人はちょっと変わった感じのする人だったけど、僕はフリーペーパーを見て面接を希望している旨を伝えた。
(´・ω・`)『把握した。面接は明日で良いかな? 希望の時間はある?』
( ^ω^)『それでは19時にそちらにお伺いいたしますお』
(´・ω・`)『19時か・・・。ゴメン、その時間はちょっと忙しいんだ。15時でもいいかい?』
( ^ω^)(じゃあ最初から聞くなお)
やれやれ。明日はBook onに行って履歴書を書いて・・・やる事が沢山あるのに。
10時には起きないとな。
明日は早起きだ。
(´・ω・`)『じゃ、明日の15時に。言い忘れたけど僕は料理長のショボン。僕宛に来てくれればいいから』
待ってるよ。
そう言って電話を切られた。
僕は明日の面接に備えてジャケットを用意し、銭湯に行く事にした。
久しぶりにゆっくり足を伸ばして湯船に浸かり、ヒリヒリするまで体を洗った。
気合を入れるためにフルーツ牛乳とコーヒー牛乳をダブルで飲んだ。
( ^ω^)『明日は頑張るお』
夜空にそう誓った。
20 名前:料理[sage] 投稿日:2006/12/28(木) 22:29:56.09 ID:T5DMejVm0
結果的に面接は大成功だった。
その場で料理長直々に合格をもらったのだ。
( ^ω^)『来週の月曜日から僕は料理人だおw』
Book onに売った漫画やゲームは予想以上に財布を暖めてくれていたし、
自炊経験もある僕は料理が決して苦手ではなかった。
( ^ω^)『やっぱり神様っているんだおwwwうはwwwおkwww』
つい嬉しくて両手を広げてVIP市のメインストリートを駆け回る。
傍から見ればちょっと頭が可哀相な人って感じだ。
( ^ω^)『おっと、忘れるトコだったお』
僕は携帯を取り出す。
電話先は勿論実家の両親だ。
就職が決まった事を伝えると泣いて喜んでくれた。
初任給までの資金援助も頼み込み、もう銀行が閉まっている時間だったので
( ^ω^)『必ずだお! 必ず明日の朝一番で振り込んでくれだお!!』
約束させてから電話を切った。
それから僕はコンビニで小さなケーキとコーラを買って一人で祝宴を挙げた。
23 名前:料理[sage] 投稿日:2006/12/28(木) 22:31:38.85 ID:T5DMejVm0
翌朝。
銀行口座を確認すると無事仕送りが入金されていた。
そのまま全額出金し、コンビニで滞納していたガス・電気料金を払って帰るとすでに電気は着く様になっていた。
すぐさまPCを起動してブログを更新する。
( ^ω^)『就職決まったおwww僕は料理人になるおwww』
しかし住人の反応は僕の期待とは違ったものだった。
『お前だけは信じていたのに。裏切り者』
『働いたら負けwww負け組み乙www』
『せいぜい社会の歯車になりたまえwww働きアリ君www』
そこにあったのは醜い嫉妬と罵倒。僕は悲しくなってブログを閉じPCの電源を落とし布団に倒れこんだ。
・・・・・・そのまま何時間ぼんやりしていただろう。すでに窓の向こうの太陽は沈もうとしている。
( ^ω^)『・・・よし』
僕は再度PCを立ち上げ新しいブログを作った。
タイトルはどうしよう?タイトル次第で住人の集まりは変わってくる。気は抜けない。
( ^ω^)『決めたお』
タイトルはこうだ。
( ^ω^)が料理人になるようです