第十三話第十三話 「こねくしょん」 ('A`)「おーっす」 ( ^ω^)「お!」 HR開始五分前。 寸分の狂いもなく、ドクオはいつも通りの時刻に登校してきた。 ( ^ω^)「ドクオ、昨日はちゃんと帰れたかお?」 ('A`)「ああ、心配かけて悪かったな。一晩寝たら大分スッキリしたわ」 ( ^ω^)「お!確かに今日は顔色がいいお!」 ξ゚△゚)ξ「本当ね。てっきり今日は学校休むのかと思ってたわ」 そこへ、いつものようにツンが口を挟む。 ('A`)「残念でした。俺はそんなに弱い男じゃないんでね」 ξ゚△゚)ξ「あーら、そうなの?昨日は随分と落ち込んでたようだけど」 ツンはそう言いながら嫌味な笑みを浮かべる。 ('A`)「日付が変われば人も変わる。そういうこった」 ('A`)「っとそうだ、ツン」 突然思い出したようにドクオが言う。 ξ゚△゚)ξ「何?」 ('A`)「あの条件さ、県大会まで延長してもらえねーかな?」 ξ゚△゚)ξ「え?条件って?」 (;'A`)(;^ω^)「え」 予想だにしなかった返答に、隣で聞いていたブーンまで思わず声を出してしまう。 ξ;゚△゚)ξ「え」 その反応を見て、ツンも同じような声を上げる。 (;'A`)「あ、あの……もしかして、忘れちゃったとかないですよねー?」 ξ;゚△゚)ξ「え?……あ、当たり前じゃない!忘れてなんかないわよ!!」 慌てた口調でそう言うツンにドクオはさらに質問を繰り返す。 (;'A`)「じゃあ、延長の件について答えをもらえませんかね?」 ξ;゚△゚)ξ「いきなりそんなこと言われてもすぐには答えられないのよ! 今考えるからちょっと待ってなさい!!」 (;'A`)「はぁ」 ツンは混乱する頭をどうにか整理して考え込む。 ドクオの言う『あの条件』とやらについて。 ξ;゚△゚)ξ(条件って何だったかしら……何か言ったような覚えはあるんだけど……) 目線を下へ逸らしたまま必死に記憶の糸を手繰り寄せ、答えを探す。 (;^ω^)「でも、わざわざそんな自分を追い込むようなことしなくてもいいんじゃないかお?」 ツンが考えている間、ブーンがドクオへと話しかける。 ('A`)「別に、追い込んでる訳じゃないさ」 (;^ω^)「じゃあ、どうして……」 ('A`)「……簡単なことだ」 ブーンの顔を見つめ、言う。 ('A`)「このままじゃ悔しいから。それだけだよ」 ( ^ω^)「お……」 ('A`)「本当なら負けず嫌いって柄じゃないんだけど。 今回ばかりはさすがに……な」 自嘲気味の笑みを浮かべるドクオ。 ( ^ω^)「……」 ブーンはそれを少し見つめた後、笑顔で言う。 ( ^ω^)「……ドクオ、最近変わったお」 (;'A`)「そ、そうか?」 ドクオの言葉に、ブーンは大きく頷く。 ( ^ω^)「と、言っても悪い意味じゃないお」 (;'A`)「……そうかなぁ?」 ( ^ω^)「そうだお」 首を傾げながら苦笑いを浮かべるドクオをブーンは嬉しそうに見ていた。 ξ;゚△゚)ξ「……ああ!!」 と、ようやく思い出したのか、ツンが声を上げる。 (;^ω^)「お」 ('A`)「ようやく思い出したか」 ξ;゚△゚)ξ「ば、馬鹿言わないでよね!! 思い出してたんじゃなくて返事をどうするか考えてただけよ!!」 ('A`)「そんな考え込むような質問かよ……」 ξ#゚△゚)ξ「 何 か 言 っ た ? 」 ('A`)「いえ、何も」 ξ゚△゚)ξ「で、あんたの言う延長についてなんだけど」 ξ゚△゚)ξ「……認めてあげてもいいわよ」 ('A`)「そうか」 ξ゚△゚)ξ「 た だ し 」 一文字一文字強調するようにツンは付け加える。 ξ゚△゚)ξ「ただで延長ってのは、さすがに虫がよすぎるわよねぇ?」 (;'A`)「……」 何となく先に続く言葉が予想できてしまい、ドクオの顔がひきつる。 ξ゚△゚)ξ「もしもまた優勝出来なかったら、その時は……」 ξ゚△゚)ξ「学校近くのコンビニに行って、水のペットボトルだけを大量に取り出してレジの前まで持って行き 床の上にそれを円状に並べられるだけ並べてからその円の中にうずくまり 『犬怖いよぉぉぉぉぉ!!犬怖いよぉぉぉぉぉ!!』って叫びながらひとしきり錯乱した後 『あ、よく考えたらペットボトルは犬除けじゃなくて猫除けだった。僕間違えちゃったよ、てへっ』ってごまかしてから 何事もなかったかのようにペットボトルを元のところに戻して、何も買わないで店から出るっていう罰ゲームをやってもらうわ」 (;'A`)(;^ω^)「ちょwwwwwwwwwwww」 余りの長文に、驚きを上手く言葉に出来ない二人。 ξ゚△゚)ξ「何よ。この条件が飲めないって言うなら延長もなしよ」 (;'A`)「いや、なんていうかさ」 (;^ω^)「よくそんな罰ゲーム思い浮かぶなぁって……」 呆れたような、感心したような表情で二人は言う。 ξ゚△゚)ξ「じゃあ、これで決まりでいいわね」 (;'A`)「え!ちょ!ちょっとま――」 ξ#゚△゚)ξ「 い い わ ね ? 」 (;'A`)「う……はい」 ツンの迫力に気圧され、ドクオは首を縦に振るしかなかった。 (;^ω^)「ドクオ……がんばれお」 ξ゚△゚)ξ「あら?私はあなた達二人に言ったつもりだったんだけど?」 (;゚ ω゚ )「えええええええええええええ!!!」 ξ゚△゚)ξ「と言う訳で二人とも、これからまた一ヵ月ビシバシ鍛えてあげるから楽しみにしてなさい」 (;'A`)(;^ω^)「……はい」 了解の意志を示すには余りに小さすぎる返事。 二人の体は心なしかいつもより弱弱しく見えた。 と、 「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 (;^ω^)「お?」 熱を帯びた叫び声と廊下を駆ける足音。 それらがどんどん音量を上げ、教室へと近づいてくる。 (;'A`)「これは……」 その音源は教室の前で止まり、勢いよく扉を開け放った。 ノハ;゚△゚)「勝ったああああああああああああああああ!!!」 それから少し遅れて 从;'ー'从「うわー負けちゃったかー」 前の扉から渡辺が同じようにして入ってくる。 (;´∨ω・`)「はぁはぁ……」 从;'ー'从「あ、ショボン君は私より遅かったからアウトねー」 ノハ;゚△゚)「なにやってんだよショボン!まったく、だらしないなー」 (;´∨ω・`)「元はと言えばお前が着替えに手間取ってたせいだろうが!!」 騒がしかった教室内が二人の声だけで満たされる。 (;'A`)(;^ω^) ショボンとヒートの口論がしばらく続いた後、教室はようやく落ち着きを取り戻した。 从'ー'从「ふぅー、じゃあ朝のHR始めるよー」 渡辺は乱れた息を整えると、教卓の後ろに立ち、話し始めた。 从'ー'从「今日からまた新しい一週間の始まりだね。みんな、休み明けだからってダレちゃだめだよー?」 从'ー'从「ちなみに来週の中間テストの日程表は今日の帰りに配りまーす」 从'ー'从「部活とかで大変な人もいるかもしれないけど何とか時間を見つけて、お勉強頑張ってね」 从'ー'从「それじゃー朝のHR終わりー。また英語の授業のときに会おうねー」 ゆっくり自分のペースで話し終えると、渡辺はゆらゆらと手を振りながら教室から出て行った。 ('A`)(そういえば、来週からテストか) 頬杖をつきながらボーっと考えるドクオ。 そこへ (;^ω^)「ドドドドドドクオ!!」 慌てた様子のブーンがやってくる。 ('A`)「どうしたんだよ、そんなに慌てて」 (;^ω^)「たたたたたた大変なんだお!」 ('A`)「だからなにが」 (;^ω^)「ららららら来週から中間テストが始まるんだってお!!」 ('A`)「いや知ってるけど」 (;^ω^)「そういう問題じゃないお!僕ここんとこ最近ずーっと勉強してないんだお!!」 ('A`)「まぁ練習きつかったし、しょうがないんじゃね?」 ブーンはドクオの机を思い切り叩きながら、続けざまに言葉を放つ。 (;^ω^)「なんでそんなに落ち着いてられるんだお!これは緊急事態なんだお!!」 ('A`)「別にいいじゃねぇか、テストくらい。今は大会期間中なんだししょうがないだろ」 (;^ω^)「そうはいかないんだお!次もしまた学年で最下位にでもなったりしたら……」 (;'A`)「またってお前……」 (;^ω^)「ドクオ頼むお!僕に勉強教えてくれお!!」 両手を合わせ必死に懇願するブーン。 (;'A`)「えー……だって俺そこまで頭よくないぜー?」 (;^ω^)「一生のお願いだお!僕の命が懸かってると言っても過言じゃないんだお!!」 (;'A`)「何だよそれ……」 「何かお困りかな?」 「副会長殿」 (;^ω^)「お?」 背後からかかった二つの声に、ブーンは後ろを振り向く。 そこには ( ´_ゝ`)「俺達でよければ」 (´<_` )「力になろうか?」 同じように腕を組み、左右対称の光景を作り出す流石兄弟の姿があった。 ( ^ω^)「おお!」 ( ´_ゝ`)「中間テストについて」 (´<_` )「困っていたんじゃないかな?」 左から右へ流れるように声は動き、絶妙な間合いで言葉が放たれる。 ( ^ω^)「その通りだお!」 その言葉を聞き二人は同時にフッと鼻を鳴らす。 そして ( ´_ゝ`)「ならば、俺達にいい考えがある」(´<_` ) ( ^ω^)「――勉強合宿かお?」 ( ´_ゝ`)「その通り」 (´<_` )「今度の土日を利用した一泊二日の勉強合宿だ」 ('A`)「そんなのどこでやるんだ?」 二人は同じタイミングで、体をドクオの方へと向ける。 ( ´_ゝ`)「もちろん」 (´<_` )「俺達の家だ」 (;^ω^)「でも、何でまたそんなことを?わざわざそんなことしなくても二人は頭いいじゃないかお」 再び、二人はブーンの方を向く。 ( ´_ゝ`)「確かに俺達はそこまで勉強しなくても」 (´<_` )「余裕で学年トップはとれるだろう」 ( ´_ゝ`)「だが!」(´<_` ) 左から右へ流れていた声は、突然一つに収束する。 ( ´_ゝ`)「困った人を見つけたら」 (´<_` )「助けてやるのが世の情け」 ( ´_ゝ`)「低い偏差値上げるため」 (´<_` )「高い偏差値守るため」 ( ´_ゝ`)「愛と正義の流石を貫く」 (´<_` )「クールダンディーな天才双子」 ( ´_ゝ`)「兄者!」 (´<_` )「弟者!」 ( ´_ゝ`)「銀河を駆ける流石兄弟の二人には」 (´<_` )「サンライトハート、眩い明日が待ってるぜ!」 ( ><)「僕も混ぜてなんです!!」 並び、ポーズを決める流石兄弟の間から突然口を挟む少年。 (;´_ゝ`)「うわ、びっくりした」 (´<_` )「君は確か……」 ( ><)「ビロードなんです!名前はすぐ覚えてほしいんです!」 ビロードと名乗る少年は、弟者が言葉を続ける前にその小さな体を精一杯動かしながら言った。 (´<_` )「忘れてたわけじゃないさ。ただ、余り印象に残っていなかっただけだ」 (;><)「そんなの忘れてたのと一緒なんです!」 ('A`)「俺なんて初めて聞いたぜ」 (;><)「え!」 ( ^ω^)「僕もだお」 (;><)「そんな!」 ξ゚△゚)ξ「私も」 ノパ△゚)「私も」 (*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ」 (;><)「ひ、ひどすぎるんです!!」 ( ´_ゝ`)「で、そのビロード君とやらが俺達に何の用かな?」 場が落ち着き、兄者が話しかける。 ( ><)「ふふーん、僕はしっかりとこの耳で聞いたんです」 自慢げな笑みを浮かべるビロード。 ( ><)「君達が勉強合宿をしようとしているということを!」 (´<_` )「ほう」 ( ><)「だから、僕もそれに参加させてもらうんです!!」 ( ´_ゝ`)「なるほど」 (´<_` )「そういうことか」 二人同時に一呼吸する。 ( ´_ゝ`)「いいだろう!君も参加するといい」(´<_` ) その言葉を聞き、ビロードは両手を上げ、喜びを体全体で表す。 ( ><)「やったなんです!これで僕もビリ2から脱出なんです!!」 ('A`)「このクラスにはトップ2と逆トップ2が揃ってたんだな」 (;^ω^)「……」 ( ´_ゝ`)「これで参加者は」 (´<_` )「俺達を含めて五人か」 (;'A`)「あ、あれ?もしかして俺もその中に入ってるの?」 ( ´_ゝ`)「その通り」(´<_` ) (;^ω^)「当たり前じゃないかお!」 (;'A`)「えぇ……めんどくさいんだけどな」 ノハ*゚△゚)「ならば私も行くぞおおおおおおおおおおおお!!」 (;'A`)(;´_ゝ`)「それは無理だ(お)!」(´<_`;)(^ω^;) ノパ△゚)「え、何で?」 (;´_ゝ`)「いや、何でって」 (´<_`;)「男女が一緒に泊まるのは流石にまずいだろう」 ノパ△゚)「あー、そっかぁ」 さっきまでの勢いはどこへやら、俯き意気消沈するヒート。 しかし、その静けさもほんの束の間。 ノハ*゚△゚)「なら、女同士でやればいいんじゃん!!」 そう言うとヒートはキョロキョロと周りを見始め ξ;゚△゚)ξ「え?」 ノハ*゚△゚)「ツン!うちらも勉強合宿しよーぜ!」 ξ;゚△゚)ξ「な、何よいきなり」 ノハ*゚△゚)「私の家使っていいからさ!やろうやろう!!」 ξ;゚△゚)ξ「え!?何で私!?」 ノハ*゚△゚)「あ、ちんぽっぽちゃんも一緒にどう!?」 (;‘ω‘ )「ちんぽっぽ」 ノハ*゚△゚)「よーし、決まり!じゃあ今度の土曜日、私の家に集合だああああああ!!!」 ( ´_ゝ`)「とりあえずあっちはあっちで勝手にやっててもらえそうだな」 ('A`)「一方的ぽいけどな」 ( ><)「で、結局参加者は何人なんですか!?」 ( ^ω^)「五人、かお?」 (´<_` )「いや、実はあと一人呼んでおきたい奴がいるんだ」 ( ^ω^)「お?」 ( ´_ゝ`)「ちょっと気になる人物がいてな」 ( ><)「それは誰なんですか?」 (´<_` )「それはだな」 ('A`)「つーか、あと一人って言ったらあいつしかいねーじゃねぇか」 川 ゚ -゚) 「合宿、と言うのはどんな感じなんだ?」 ('A`)「どんな感じと言われましても」 ちゃぶ台を挟み、お茶をすする二人。 外も暖かくなってきたと言うことで、コタツはいつの間にか片付けられていた。 ('A`)「修学旅行とか行ったことないのか?」 川 ゚ -゚) 「……記憶にはないな」 (;'A`)「あっ……すまん」 湯飲みを置き、気まずそうな顔をするドクオ。 川 ゚ -゚) 「いちいち謝らなくていい。それより、合宿についていろいろ教えてくれ」 その様子を見て、何も気にしていないかのような顔でクーが言い放つ。 (;'A`)「ああ、すまん。だけど、いろいろと言われてもなぁ」 川 ゚ -゚) 「……だから謝るなと言ってるだろう」 (;'A`)「あ」 川 ゚ -゚)「何でもいい。合宿から思い浮かぶものなら何でも言ってみてくれ」 (;'A`)「んー」 お茶をすすりながら、しばらく考え込む。 (;'A`)「……枕投げ、とか?」 川 ゚ -゚)「枕投げ?」 (;'A`)「うん」 川 ゚ -゚)「ああ、それなら何となく知ってるかもしれない」 (;'A`)「まぁ名前通りのことしかしないからな」 川 ゚ -゚)「確か、枕を投げて一から九までの的を全て射抜けばいいんだったか」 (;'A`)「いや、それなんか違う」 川 ゚ -゚)「む?違ったか?」 (;'A`)「別にルールとかはなくて、ただ枕を投げ合うだけの遊びだよ。遊び」 川 ゚ -゚)「ほう」 川 ゚ -゚)「それじゃ、実際にやってみようじゃないか」 (;'A`)「え」 そう言うとクーは立ち上がり、台所の方へと向かった。 (;'A`)「いや、いーよ!やんないから!俺やんないから!!」 ドクオは精一杯叫ぶが、その声は届かず 川 ゚ -゚)「さぁ、枕ならいくらでもある。ゲームを始めよう」 両手一杯の枕を抱えたクーが台所から帰ってきた。 (;'A`)「ま……また冷蔵庫ですか」 川 ゚ -゚)「その通り。まだまだストックはあるから、心配はいらないぞ」 「ぐぉえ!!」 醜く濁った嗚咽が腹から吐き出される 「どうした?まだゲームは始まったばかりだぞ?」 冷たい声 怖い 怖い 怖い 「や、やめてくれ!もう無理だ!」 必死に叫ぶ 助けてくれと懇願する 「まだだ……まだ終わらんよ」 叫びも空しく 返ってくるのは温度のない言葉 そして 「ぐぉわぁ!!」 言葉と同じく温度のない 白い枕だけ 「た……たすけごふぇ!!」 白 「まだまだいくぞ」 白 白 「い、いやだぁぁぁぁ!!」 白 白 白 白に埋め尽くされる俺の視界 耳に入るのは冷たい声 「……もう終わりか。つまら――」 最後に何と言ったのだろう ダメだ 頭が痛い 『終わり』 その言葉を最後に 俺の視界は白から黒へ 闇の中へと 堕ちていった 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
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