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LOYAL STRAIT FLASH ♪

三十五章一

3 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 19:53:12.56 ID:Btz+4BXb0

三十五章 前夜


空間が切り裂かれたかと錯覚する、速く重い大剣の斬撃。
豪風を纏って右から横薙ぎにされたそれは、しかし狙った獲物を捉えられずに左へと抜ける。

二メートルにも及ぶ刀身を回避した影は、異形の右腕を硬く把持。
対して大剣を持った影は、抜けた斬撃の勢いに任せて旋回。

鋭く短い呼気が二つ。
続いて、散らされた風の咆哮が、これも二つ。

一瞬。
振るわれた拳と大剣が、衝突した。

飛び散る火花。耳の痛くなるような、高い金属音。
衝突の余りの勢いに、破裂するように散った風は、二人の髪を激しくはためかせた。


4 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 19:54:35.23 ID:Btz+4BXb0

しかし、それだけ。
互いの攻撃はしっかりと互いを捉え、互いの攻撃を封じていた。
だがそれで、衝撃は殺されたわけではない。

衝撃は互いの全身と、互いの得物が受けていた。
大剣の刃には浅く細くヒビが入り、異形の拳には浅くはない一筋の線が刻まれている。

一方。大剣を握る両腕には、電撃が走ったような衝撃。感覚が麻痺する。
一方。異形の腕を支える上半身には、とてつもない重圧。骨という骨、筋肉という筋肉が軋みをあげた。

しかし、二人は退かない。
それぞれ、更なる攻めの姿勢に入った。

大剣の持ち主はその大剣に全体重をかけ、拳を打ち斬ろうと。
異形の拳の持ち主は更に半歩踏み込み、大剣を打ち飛ばそうと。

金属の擦れ合う、鋭くも重い厭な音。
互いの力は拮抗しているようで、互いに押す事も引く事もない。
凄まじい力を内に込めた、一瞬の停滞。


5 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 19:55:37.47 ID:Btz+4BXb0

それは、次の一瞬で解けた。

異形が、紅き炎を纏う。
同時、大剣が真っ二つにへし折れる。

刹那の時すら置かず、半分になった大剣が翻った。
大剣は床に浅く突き刺さり、主はそれを支点に宙へと浮かび上がる。

跳んだ男の下で踊るは、炎だ。
まさに龍のごとき勢いで空気を焼き、直線状にある全てを飲み込んだ太い炎の線。

しかしその胴体に突然、ぽっかりと穴が開いた。一部の炎が消えたのだ。
炎の線に穴を開けたのは、宙からの大剣の一振り。それが生み出した風だ。

炎が消えたその点に着地して、影は走る。
それに応じるように、もう一つの影も。

片や半分の大剣で道を切り開き、片や異形の腕で炎を薙ぎ払って猛進。
散らされた炎は紅い花びらのように舞い、二人の顔を明るく照らした。


9 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 19:57:15.15 ID:Btz+4BXb0

二人の距離は、瞬く間にゼロへ。

斬撃が、右下から左上へ跳ね上がる。首を刈るように。
龍を思わせる爪が、薙ぐように振るわれる。首を刈るように。

(,,゚Д゚)「終わりだ」

( ´∀`)「終わりだもな」

一瞬。全ての音が、消える。
大剣はギコの首の寸前で止まり、ギコの爪もモナーの首の寸前で止まっていた。

そして―――

ミ,,゚Д゚彡「ドローだ」

フサの低い声が響いた。
長く溜息を吐いて、二人は構えを解く。


10 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 19:58:10.03 ID:Btz+4BXb0

どっと噴き出した汗を拭って、モナーは半分になった大剣を床に落とした。
半分になったというのに、床に落ちた大剣は重々しい音を経てる。

その音と同時。重なるように異音が鳴って、ギコの腕が元に戻った。

(,,゚Д゚)「チッ……まだ勝てないか」

( ´∀`)「いや、君は相当に強くなってるもな」

ちらり、と床の剣に視線をやる。
相当に頑丈であったそれは、もはや見る影もないほどにボロボロになっていた。
あと一撃でも受ければ、残った半分の刃すら破砕されていただろう。

( ´∀`)「この大剣―――ツヴァイハンダーが折られるとは、思ってもなかったもな。
       それも、たった数度の攻撃で。これは予想外だもな。
       対して君は、ほとんどダメージがない。戦闘が長引いていたら、間違いなく僕は敗けていたもな」

(,,゚Д゚)「ダメージがない? そうでもねぇぞ。
     一撃で、解放した状態の拳に深い傷が入った。
     ……ただの武器で、何でそんな事が出来るんだ?」


11 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:00:40.00 ID:Btz+4BXb0

( ´∀`)「異能者に相対するには、それなりの武器の扱い方ってのがあるんだもな。
       それをマスターしてれば、ただの武器でも傷くらいは付けられる。
       でも、やっぱりそれで与えられるダメージなんて高が知れてるもな」

(,,゚Д゚)「む……そうなのか」

額から流れてくる汗を、顔を振って払う。

(,,゚Д゚)「フサ、次は誰が戦うんだ?」

ミ,,゚Д゚彡「今日は終わりだ」

(,,゚Д゚)「お?」

時計に視線を飛ばした。
その針が示すのは、まだ夕方にもなっていないであろう時刻。

だから、ギコの頭の上にはハテナが浮かんだ。
いつもは深夜近くまで訓練しているのに、何故だ、と。


12 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:02:06.57 ID:Btz+4BXb0

(,,゚Д゚)「まだこんな時間だが」

ミ,,゚Д゚彡「分かってるさ。時計を見間違えたわけではない。
     これまでだ、と言ったのにはそれなりに理由がある」

(,,゚Д゚)「理由……?」

川 ゚ -゚)「みんな、集まってくれ」

不意に、凛と響き渡る透き通った声。
それにいくつかの返事が応え、足音が彼女の元に集う。

( ^ω^)「お? どうしたお?」

川 ゚ -゚)「今日の訓練は、ここまでだ」

('A`)「あ?」

( ゚∀゚)「ん、んー? 短くね? 何かあんの?」


13 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:03:01.14 ID:Btz+4BXb0

川 ゚ -゚)「あぁ。だが、ここで話すのは、適切ではない。
     ミーティングルームに移動しよう。そこで、話す」

言い置いて、クーはさっさと歩み去ってしまった。
それを追うようにして、他のメンバーも続く。

残されたブーン達は、それぞれ混乱の表情を浮かべた。

(,,゚Д゚)「……何なんだ、こんな唐突に」

( ゚∀゚)「表情からして、結構真面目な話だと見た」

( ^ω^)「真面目な話……何なんだお?」

('A`)「さぁな。行ってみなきゃ分からねぇ。
   ここでウダウダ言ってても無駄だ。さっさと行くぞ」

冷たく言い残して、ドクオもふらっと部屋から歩み出る。


15 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:04:51.02 ID:Btz+4BXb0

それに一つ遅れて、ジョルジュが動いた。
ブーンとギコの服の袖を掴んで、ぐいぐいと引っ張る。

( ゚∀゚)「うん、確かにドックンの言う通りだ。
     行けば話を聞けるんだから、ここで考える必要はないね。行こ?」

( ^ω^)「……お! 行くお!」

納得した面持ちで頷き、半ば走るように部屋を出るブーン。
それに対してギコはやはり自分からは動かず、

(,,゚Д゚)「……何か、嫌な予感がすんなぁ」

そう呟き、ジョルジュに引っぱられながら部屋を出た。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


18 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:06:41.52 ID:Btz+4BXb0


川 ゚ -゚)「明日、“管理人”の所へと攻め込む」

全員がミーティングルームに揃って、開口一番。
クーは、刀のような鋭さを持った声で言った。

息を呑む音。
疑問と混乱の、小さな呻き。

質問の声が返ってくる前に、クーは再度、口を開く。

川 ゚ -゚)「言った筈だ。モナーが戦線に立てるようになり次第、出向くと。
     先ほどの戦闘で分かっていると思うが、モナーは既に十分戦える。
     つまりこれ以上、決戦の時を先延ばしにする必要性はないわけだ」

川 ゚ -゚)「今日の戦闘訓練を早く終わらせたのは、明日の為だ。
     疲れを取る為に。また、最後の覚悟を決める時間を取る為に。
     ……さて、質問はあるか?」


19 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:07:18.08 ID:Btz+4BXb0

明確な声は、返ってこない。
混乱の混じった不明瞭な呻きは漏れるが、質問や意見などは出なかった。

当然の事だ。
突然の発表とは言え、分かっていた事なのだから。
この時の為に―――決戦の時の為に、彼らは訓練をしていたのだから。

('A`)「……とうとう、か」

川 ゚ -゚)「あぁ。明日で、全てが終わる。
     勝っても、敗けても」

( ^ω^)「敗けるわけにはいかないお。
       敗けたら、また罪のない人がたくさん殺されるお」

(,,゚Д゚)「あぁ。奴らは、許しちゃいけねぇ。
     これ以上命を奪わせちゃいけねぇし、これまでに奪った命の贖罪をしなきゃならねぇ。
     ……それに、ショボンの想いを無駄にするわけにはいかねぇ」

( ゚∀゚)「…………………」


21 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:09:03.25 ID:Btz+4BXb0

ξ゚△゚)ξ「クー姉さん。明日の作戦は?」

川 ゚ -゚)「あぁ、今話そう」

立ち上がり、クーはホワイトボードの前に立った。
そして「注目」と、その表面をこつこつと叩く。

川 ゚ -゚)「本来ならば、フサやギコ、ブーンなどの攻撃力に優れた人員を正面から突入させる筈だった。
     最初に蹴散らし、その勢いに乗って一気に攻め立てる事が出来るからだ。
     しかし、今回はそうはいかない」

( ゚∀゚)「何でさ? それが一番だと思うんだけど」

川 ゚ -゚)「事情が変わったんだ」

クーは黒のペンを手に握ると、それをホワイトボードに走らせた。
描かれたのは、多少歪な正方形。


22 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:10:05.32 ID:Btz+4BXb0

川 ゚ -゚)「上空から見れば、“管理人”の基地は、およそこんな形をしている。正方形だ。
     今までは―――少なくとも、この前の戦闘の時までは、出入り口の扉はここにしかなかった。
     正方形の、底辺。方角で言えば、南側」

今度は赤いペンを持つ。
それで正方形の底辺、その中心辺りに小さな丸を描いた。

川 ゚ -゚)「しかし」

赤いペンが、更に三つの丸を描く。
正方形の四つの辺全てに、赤い丸が描き込まれたのだ。

('A`)「……扉が、増えた?」

川 ゚ -゚)「正解だ」

頷き、クーは手に握ったペンでモナーを指した。
その動きだけで伝わったのか、モナーは立ち上がり、その口を開く。


23 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:12:16.71 ID:Btz+4BXb0

( ´∀`)「偵察に行った時に、発見したもな。
       東西南北、すべての方角の壁に、扉が作られていたもな」

(,,゚Д゚)「……しかし、何故扉を?
     罠なんかを仕掛けるなら分かるが、扉とは……」

( ´∀`)「おそらくは、逃亡用の扉だもな。
       モララーが『失った“力”が回復しない内に襲撃を受けたら』という事を考えて造ったんだと思うもな」

('A`)「その扉自体がトラップである可能性は?
   開けようとすれば爆発する、なんて事はないだろうな」

( ´∀`)「ないと思うもな。扉は、見付けづらいように作られていたもな。
       罠だったら、見付けやすい造りにする筈だもな」

('A`)「なるほど、確かに」

( ´∀`)「でもおそらく、トラップはあるもな」


24 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:13:05.13 ID:Btz+4BXb0

( ^ω^)「お? どんなのだお?」

( ´∀`)「あの基地、それ自体」

(;^ω^)「お?」

( ´∀`)「考えれば分かるもな。
       まず、入口が一つしかないと思ってる僕達が正門から入る。
       それをカメラか何かで把握した奴らは、東・西・北の扉から脱出」

( ´∀`)「その直後―――例えば爆弾か何かを基地で爆破すればどうなるもな?」

( ^ω^)「……一網、打尽だお」

( ´∀`)「もな」

(*゚ー゚)「で、どうするのさ?
    入口は四つある、トラップもあるかもしれない。
    それを知った上で、どうするの?」


25 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:13:41.13 ID:Btz+4BXb0

川 ゚ -゚)「東西南北、四つの方角に―――四チームに分かれる」

間を置かず返して、四つの赤い丸からそれぞれ線を伸ばした。
その先に書いていくのは、名前だ。

川 ゚ -゚)「南、つまり正門から私とドクオが突入する。
     そして数分おいて、東の扉から、ブーンとツンが。
     西の扉から、ジョルジュとモナーが。そして裏手、北側からフサ・ギコ・しぃに突入してもらう」

ξ゚△゚)ξ「そのチーム分け、どうやって決めたの?
     イマイチ分け方が分からないんだけど」

川 ゚ -゚)「メンバーの個々の能力と、起り得る可能性から弾き出したメンバー分けだ。
     フサ、説明を」

ミ,,゚Д゚彡「俺か。まぁ、良いがな」

言いつつ、立ち上がる。
面倒臭そうな口ぶりの割に、声には張りがあった。


27 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:15:04.06 ID:Btz+4BXb0
うな口ぶりの割に、声には張りがあった。

ミ,,゚Д゚彡「まずクーが正面から突入する事によって、相手に『来た』と思わせる。
     しかしそこで戦闘になった場合に、クー一人では苦しい物がある。
     よって、戦闘能力が高く、かつ状況判断能力に長けるドクオがパートナーとして共に戦う」

ミ,,゚Д゚彡「東チーム、及び西チームはバランスの良いチームにした。
     ブーンもツンも、ジョルジュもモナーも、攻撃と防御の両方が出来る人間だ。
     相性を考えて、ブーンとツンを組ませ、ジョルジュとモナーを組ませた」

( ^ω^)「相性を考えて?」

( ´∀`)「ツンちゃんの“力”は、近くの異能者の“力”を翼にトレース、そして放つ事。
       君とツンちゃんが組めば、ツンちゃんの“力”が生きるんだもな」

( ゚∀゚)「なーるほど。俺っちとツンさんが組んでも、あまり意味がないわけだね。
     俺の“力”をコピーしても、翼が変幻自在になるだけだもんね。
     変幻自在の翼……意味分からんね。どうなんの?」

ξ゚△゚)ξ「翼という本来のフォルムは変えられないから、発射した羽根の一本一本の形を変えられる事になるわ。
     でもまぁ、意味はないわね。威力なんかが変わるわけじゃあないから」


28 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:15:40.18 ID:Btz+4BXb0

ミ,,゚Д゚彡「まずクーが正面から突入する事によって、相手に『来た』と思わせる。
     しかしそこで戦闘になった場合に、クー一人では苦しい物がある。
     よって、戦闘能力が高く、かつ状況判断能力に長けるドクオがパートナーとして共に戦う」

ミ,,゚Д゚彡「東チーム、及び西チームはバランスの良いチームにした。
     ブーンもツンも、ジョルジュもモナーも、攻撃と防御の両方が出来る人間だ。
     相性を考えて、ブーンとツンを組ませ、ジョルジュとモナーを組ませた」

( ^ω^)「相性を考えて?」

( ´∀`)「ツンちゃんの“力”は、近くの異能者の“力”を翼にトレース、そして放つ事。
       君とツンちゃんが組めば、ツンちゃんの“力”が生きるんだもな」

( ゚∀゚)「なーるほど。俺っちとツンさんが組んでも、あまり意味がないわけだね。
     俺の“力”をコピーしても、翼が変幻自在になるだけだもんね。
     変幻自在の翼……意味分からんね。どうなんの?」

ξ゚△゚)ξ「翼という本来のフォルムは変えられないから、発射した羽根の一本一本の形を変えられる事になるわ。
     でもまぁ、意味はないわね。威力なんかが変わるわけじゃあないから」


30 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:18:32.75 ID:Btz+4BXb0

( ゚∀゚)「あー、なるほど」

ξ゚△゚)ξ「それと、ツンさんって呼ばないで。何度言えば分かるの?」

(;゚∀゚)「だって『ツンちゃん』って馴れ馴れしいじゃんか」

ξ゚△゚)ξ「うっさいわね。逆に、『ツンさん』ってのがよそよそしいって思わないの?
     私達、今は仲間なのよ? 少しはその辺考えなさいよ」

(;゚∀゚)「……へーいよ」

ミ,,゚Д゚彡「話を戻すぞ。裏手、つまり北側から突入するチームは、他チームよりもやや戦闘力を高めた。
     何故ならば、モララーが脱出するのに使う可能性が一番高い扉が、ここだからだ。
     逃げる奴を仕留められるだけの力が、ここには必要だった」

ミ,,゚Д゚彡「だから、俺とギコとしぃがここについた。
     高い攻撃力を保持する三人だ。かつ、この三人であればバランスも良い。
     俺は近距離を。しぃは遠距離を。ギコは近距離でも遠距離でも戦闘出来る」


33 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:21:06.95 ID:Btz+4BXb0

(,,゚Д゚)「なるほど、な」

(*゚ー゚)「ふむふむ。良い人員配置だね」

川 ゚ -゚)「今回の作戦は、大体こんな感じだ。
     細かい作戦などは、それぞれのチームで検討してくれ」

('A`)「随分と大雑把だな。良いのか、そんなんで?」

ξ゚△゚)ξ「あら、私達はいつもこんな感じよ?」

('A`)「いつもこんな感じって……。大丈夫なのかよ。
   これだけの事しか決めないで、問題は起きないのか?」

(*゚ー゚)「縛り過ぎると、不測の事態が起きた時に対応が遅れちゃうんだよ。
    必要最低限の事だけ決めて、後は個々の判断。
    結局は、それが一番良いんだって」


35 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:21:49.19 ID:Btz+4BXb0

('A`)「……ふむ」

頷き、しかしその表情はやはり、どこか納得のいかないようなそれだ。

川 ゚ -゚)「何か意見がなければ、これで解散するが―――何か、あるか?」

返事は、返ってこない。
緊張を孕んだ沈黙の空気を一吸いして、クーは更に言葉を続けた。

川 ゚ -゚)「よし、解散だ。明日は早朝四時に、ホールに集合してくれ。
     では―――それまで、それぞれ、思い思いの時を過ごせ」

その言葉に、一人、また一人とミーティングルームから消えていく。
最後まで残っていたのは、結局ブーン達四人だった。

( ゚∀゚)「……明日だってさ。とうとう、来たね」

( ^ω^)「……お」

('A`)「何だ? どうやら、元気がないように見えるが」


36 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:22:31.25 ID:Btz+4BXb0

( ^ω^)「不安、なんだお」

('A`)「何が」

( ^ω^)「帰れなくなったらって……誰かが死んでしまったらって」

(,,゚Д゚)「死なねえよ。俺達は、な。
     敗けない為に―――死なない為に、強くなってきたんだ」

( ^ω^)「そうだけど……」

('A`)「失うのが怖いなら、戦わなければ良い」

曖昧に呟くブーンの言葉を、ドクオの声が鋭く裂いた。
僅かに身体を震わせて、ブーンは彼を見る。

('A`)「これ以上失いたくないなら、戦いなんて辞めてしまえ。
   戦わなければ―――今までに失ったものを無視出来るなら、何も失う事なんかない。
   傷付かないし、あの平穏な日常に戻れるかもしれない」


39 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:23:49.59 ID:Btz+4BXb0

('A`)「実際、俺達が戦わなきゃいけない理由なんざない。
   多くの人が死んだところで俺達には関係のない事だし、ショボンの死への悲しみは時が癒してくれる。
   冷静に、これまでの事を割り切って考えられるなら、これ以上失う事はないんだ」

(;^ω^)「…………………」

('A`)「俺としては、そちらを選びたい。お前達を失いたくないからな。
   お前達が『そちら』を選んでくれるというのなら、俺は喜んでこの戦いから身を引く。
   ……だが、違うんだろ?」

淡々と、何も感情を込めずに吐き出される言葉。
しかしその一言一言はブーンの精神を揺らし、思考を揺らした。

('A`)「ジョルジュは気に入らない奴らをぶちのめす為に。
   ギコは奴らの狂った思考回路をぶっ潰す為に。
   そんで、お前は言った筈だ。奴らのせいで悲しむ人をなくしたいってよ」

(;^ω^)「ッ……!」


41 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:25:52.61 ID:Btz+4BXb0

('A`)「そう思うのなら、失う覚悟をしろ。
   護りたいのなら、何かを失う覚悟をしろ。奪う覚悟をしろ。戦いに赴く覚悟をしろ。
   その覚悟が出来ないのならば、ここから消えるべきだ」

('A`)「お前が望むのならば、今から日常に戻る事も出来る。
   己が大切に思う者達を失わないでいられる世界に戻れる。
   お前がそれをしない理由は何だ? 言ってみろ」

( ^ω^)「……人が悲しむ姿を、見たくないからだお。
       その悲しみを止める力を持っているのに動かないでいる、なんてのは嫌なんだお。
       そうすれば、僕はきっと後悔する」

( ^ω^)「このまま日常に戻れば、僕は後悔しながら一生を過ごす事になると思うお。
       そんなんじゃ、この命の意味がないお。死んでるのと、何ら変わりないお。
       ……僕は、この力で、出来るだけ多くの悲しみを止めたいんだお」

('A`)「言えるじゃねぇか」


43 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:26:57.75 ID:Btz+4BXb0

笑いもせずに言って、ドクオは眼を細めた。
その眼に浮かんだのは、どこか悲しそうで、懐かしそうな光。

その光は一瞬で眼の中の闇に呑まれ、輝きを失った。

('A`)「お前がそう言うのなら、戦えば良い。護りたいものを、その力で護ってみせろ。
   失う事を恐れるな。恐れれば、全てを失う。
   失われる前に、奪え。奪う事で、全てを護ってみせろ」

刺さるような鋭い声。
その矛先はブーンを突き刺してから、ギコに向く。

('A`)「それはお前にも言える事だぞ、ギコ」

(,,゚Д゚)「……俺か?」

('A`)「容赦は、するなよ。例え、相手にどんな過去があろうとも」

痛いところを突かれたのか、ギコは眉根を寄せた。
苦々しい表情は、ドクオの言う事を理解しているという事だ。


44 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:27:48.46 ID:Btz+4BXb0

('A`)「俺達に戦う理由があるように、敵にも戦う理由があるんだ。
   その理由が何であれ、その理由を生み出した過去がどんなものであれ―――
   お前は、容赦しちゃいけねぇ。お前は、お前の戦う理由だけを抱き締めていれば良い」

(,,゚Д゚)「……分かっている。分かって、いるんだ」

('A`)「分かってねぇよ。その言葉の淀みが証拠だ」

(,,゚Д゚)「…………………」

('A`)「言ったように、相手にも戦う理由はある。理由を生んだ、過去がある。
   だが、それに意味はないんだ。必要なのは、結果だけ。
   理由と過去を土台に、奴らは“管理人”を名乗っている」

('A`)「お前は“管理人”の思想を憎んだ筈だ。
   理由と過去から出した、奴らの結果を憎んだ筈だ。
   なら、徹底的にやれ。お前にも戦う理由があって、戦うという結論を出したんだ」


46 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:28:31.36 ID:Btz+4BXb0

(,,゚Д゚)「そうだが……!」

('A`)「お前達が迷いを持っていれば、戦いは終わるぞ」

ギコの言葉を無視して、ドクオは言う。
そこに感情は、まったく含まれない。

まるで、わざと隠しているかのように。

('A`)「敗けて、終わりだ。“管理人”は無数の人間を虐殺し、恐怖と憤怒と悲愴と混沌が世界を支配する。
   ブーン。お前が迷っていれば、無数の人が死に、無数の人が悲しむぞ。
   ギコ。お前が迷っていれば、奴らは暴虐の限りを尽し、世界が悪一色に染まるぞ」

('A`)「それが嫌だと言うのなら、迷いを殺せ。奪う側に回る覚悟をしろ。
   奪う事で護れ。自分の信念を強く抱いて、手放すな。
   自分の正義を貫け。その正義という矛で、奴らの信念を貫け」

そこでドクオは、ブーン達に背を向けた。
そしてドアに歩きながら、顔を見せずに言い放つ。


48 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:29:12.97 ID:Btz+4BXb0

('A`)「綺麗な手のままで護れるものなんて、少ないんだ。
   自分の手を汚して護るからこそ、護ったものが無事でいれる。
   ……信念を貫くとは、つまりそういう事だ。覚悟しておけ」

ドアに手をかけた。
それは間を置かず開かれて、そこで声がかかる。

( ゚∀゚)「ドックン、どこへ?」

('A`)「ちょっと、な。俺も、覚悟を決めてくる。
   行かなきゃいけねぇところがあるんだ」

( ゚∀゚)「あまり遅くならないようにねー?」

('A`)「あぁ」

頷いて、踏み出した。
部屋からドクオが消え―――しかし、その声だけが部屋に残された。


49 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:30:06.07 ID:Btz+4BXb0

「お前も、覚悟を決めておけよ? ジョルジュ。
 戦う事にじゃあなく、自分自身についての覚悟な。
 ―――何に逃げているのか知らんが、いつまで逃げているつもりだ?」

「もう、後はないぞ。
 逃げられる時間も道も、お前には残っていない」

( ゚∀゚)「ッ……!」

その言葉に何を感じたのか、ジョルジュは身体をこわばらせた。
歯を食いしばり、拳を握り締める。

数瞬の沈黙。
それから、ジョルジュもドアに向かった。

( ゚∀゚)「俺もちょっと、やらなきゃいけない事がある。
     じゃあ、また後で」


50 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:30:52.18 ID:Btz+4BXb0

(,,゚Д゚)「あぁ」

やや重苦しい空気を感じながら、ギコは頷く。

ジョルジュもいなくなって、二人きり。
その部屋の中は、無音だった。

(,,゚Д゚)「奪う覚悟……か」

呟き。
それから、何かを自分の中で納得させたのか、頷いた。


51 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:31:04.41 ID:Btz+4BXb0

(,,゚Д゚)「よし。……ブーン。俺も覚悟を決める。
     だからお前も、覚悟を決めろ。
     ―――じゃあな。俺も、すべき事が出来た」

返事を待たずに、ギコも部屋から消える。
残されたブーンは―――

( ^ω^)「護る為に―――戦う、かお」

呟き、歩みを進めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


52 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:32:34.87 ID:Btz+4BXb0


街外れの公園。

時刻は夕焼け。空からは、薄くオレンジを帯びた柔らかな光が降り注ぐ。
公園の中心で水を吹き上げている巨大な噴水は、その光を受けて美しく輝いていた。
空からの橙を受けて橙に輝く噴水は、さながらスペサタイトの宝石のようだ。

もう冬が近いと言うのに、茂る草木は未だに色を失ってはいない。
紅や黄色になっている木の葉の中には、瑞々しい緑も見える。
枯れきってしまっている葉は僅かだ。

鳥達は木の頭の上で楽しげに鳴き、造った巣へと帰って行く。
噴水の奏でる水音に合わせて響く鳥達の歌声は、美しいハーモニーを生み出していた。

どこか儚くも美しいその空間に、人は存在していない。
噴水の横の木のベンチに腰掛ける、彼を除いて。


53 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:33:32.71 ID:Btz+4BXb0

細い体。
男にしてはかなり長い、黒い髪。
光のない、しかし奥底には力を湛えた瞳。

('A`)「…………………」

銀の修飾の付いた黒いコートに身を包んだ彼は、前を見ていた。
彼の眼に映るのは、光を受けて美しく輝く木々―――しかし彼は、それを“視て”はいない。

彼が視ているのは、『世界』だ。
突然失ってしまった、血も死も何もない平和な日常の世界。
大嫌いで、だからこそ失いたくなかった平和な日常の世界。

ふと、左腕に眼をやる。
念じればすぐにでも悪魔の腕になる左腕は、見た目だけは日常のものだった。

細く、白い腕。
何の変哲もない、強いて言えばやや爪の伸びた、ただの腕。
女友達に「綺麗な腕だね」と言われた時は、少なからず困惑したものだった。


54 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:34:19.91 ID:Btz+4BXb0

だが。
この何の変哲もない腕が、彼を非日常の世界に引き込んだ。
余りにも日常過ぎたこの腕が、彼の日常生活にサヨナラを告げた。

悲しみなんかは、抱かなかった。
血と死と戦いの非日常の世界で、自分はただただ流れていた。
戦う必要があれば戦った。だが、自分から何かをどうするといった事は考えなかった。

だがその流れも、じきに止まる。
流れ着いた先は―――


「ドクッ!」

公園に響き渡った声に、立ち上がった。
見ずとも、それが誰かは分かる。
彼の事を『ドク』と呼ぶのは、つい先ほど呼び出した親友だけだ。


55 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:34:56.43 ID:Btz+4BXb0

声の方に向き直れば、そこにはドクオの対になるような、前を開いた白いコート。
ダークブラウンの頭髪は、その白いコートと見事にマッチしていた。

歩み寄って来る彼に、ドクオは軽く手を挙げて応じた。

('A`)「……よぅ」

(=゚ω゚)「ょぅ! 突然、何の用だょぅ?」

('A`)「まぁ、待て。その用ってのは一言で終わるんだが……。
   何だ。その、久しぶりに会ったんだ。ちょっと話そう」

(=゚ω゚)「? あぁ、良いょぅ?」

('A`)「そうか。……学校は、どうだ?」

(=゚ω゚)「何ら変化はないけど……とても、静かだょぅ。
    クラスでの笑い声は三分の一以下になってるょぅ。教室がやけに虚ろだょぅ。
    特に男子と、ギコとジョルジュのファンが死んでるょぅ」


56 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:35:24.67 ID:Btz+4BXb0

('A`)「だろうな……w」

笑う。
ぃょぅはその笑みに違和を感じて、しかし言葉を続けた。

(=゚ω゚)「あとは、そうだょぅ。でぃさんが、ドクに会いたがってたょぅ。
    『話したい事がある』って。彼女以外にも、渡辺さんやペニサスさんも。
    やっぱり君達がいないと、ウチのクラスは成り立たないみたいだょぅ」

('A`)「そうか、そうか。何て言ってた?」

(=゚ω゚)「でぃさんは『……ドクオ君達は? 話したい事があるのだけど』
    渡辺さんは『最近ドクオ君いないねー、寂しいなぁー』
    ペニサスさんは『ドックンいないねー。つまんないのー。遊びたかったなー』って」

('A`)「なるほど、な。……はは。ペニサスの遊びとやらには付き合いたくないな。
   どうやらそっちもそっちで、上手く行かないようだな」


57 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:36:20.58 ID:Btz+4BXb0

(=゚ω゚)「ょぅ。何をしてるのか分らないけど―――早く、戻ってきて欲しいょぅ。
    みんな、寂しがってるょぅ? あのヒートさんにさえ、元気がないんだょぅ。
    だから―――」

('A`)「悪いな」

ぃょぅの言葉を、突然の言葉が遮った。

勿論の事ぃょぅは理解出来ず、首を傾げて眉根を寄せる。

(=゚ω゚)「……ょぅ? 何を謝ってるんだょぅ?」

('A`)「俺はもう、そちらには戻れない。おそらく、もう帰れない。
   今日呼び出したのは……そうだな、お前と日常にサヨナラを告げる為だ。
   おそらくはこれが、お前との人生最後の会話になる」

('A`)「本当はもっともっと、せめてもう少しだけでも話していたかったんだが……。
   これ以上話してると、戻りたくなっちまうからさ。
   覚悟が揺らぐ前に、サヨナラを言っておこうと思う」


59 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:36:53.00 ID:Btz+4BXb0

(;=゚ω゚)「は? ちょ……ドク?
     お前、何を―――」

('A`)「死ぬってんだよ」

冷たく、鋭く吐き出された短い声。
諦めと寂しさを含んだ、しかし強い意志。

ぃょぅは意味が分からず、唖然とした顔でドクオを見詰めた。
対する彼は無表情で、ぃょぅに言葉を浴びせる。

まるで、自分に言い聞かせるように。

('A`)「俺は明日、死ぬんだ。おそらくは、確実に。
   だからもう、この世界には―――日常には、帰れないんだ。
   だから最後に、日常と完全に決別しておこうと、お前を呼んだ」

('A`)「だから、言おう。さようならだ、ぃょぅ」

(;=゚ω゚)「……意味が分からないょぅ。説明しろょぅ」


62 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:37:40.65 ID:Btz+4BXb0

('A`)「あぁ……そうだな。お前には、話しておこう。
   俺に、何があったか。俺がどうして、死ぬ事になったのか―――」


そして、ドクオは語り始めた。
今までの自分に、何があったのかを。

ある日突然、異能者になってしまったという事。
戦う事になってしまったという事。戦い続けてきた事。
そして明日、とうとうその戦いが終わるという事。

自分はおそらく、仲間を護って死ぬであろう事。

ぃょぅはその全てを、無言で聞いていた。
表情は読み取れない……強いて言うなら、複雑そうなそれだ。


('A`)「―――というわけだ」


63 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:38:13.03 ID:Btz+4BXb0

語り終えて、ドクオは笑った。
疲れたような、どこか自虐的な笑み。

ぃょぅはそれを見て、悲しそうに眉尻を垂らした。

(=゚ω゚)「ドクオ、君は―――」

('A`)「そういえば、まだ見せていなかったな」

ぃょぅの言葉を無視して、ドクオは服の左袖を肘まで捲った。
白く細い、どちらかと言えば弱々しい腕。

('A`)「これが、俺だよ」

言葉と同時。腕が、軋みをあげた。
湿った太い枝をへし折るかのような、痛々しい音。
腕が―――いや、彼自身が悲痛な叫びをあげているかのように、ぃょぅは感じた。


64 : ◆tAdHw/rYVY :2008/02/01(金) 20:38:56.46 ID:Btz+4BXb0

骨の形状・サイズが変異し、表に浮かび上がってくる。
全体的に太く長くなった骨は、まるで骸骨のような外見だ。
その骸骨を装飾するかのように筋肉が隆起し、力強くもどこか不気味な腕となる。

そして肘の辺りから、徐々に肌の色が闇色へと変化していく。
指先まで闇に染まったのと同時、手の甲に現れたのは、黄色に輝く眼のような何か。
そして指先から鋭く長い爪が伸びて、変化が終わる。

その腕は、悪魔の腕そのものだった。

('A`)「これが、俺の腕だ。悪魔の腕だ。
   ドクオという異能者の腕だ」

見せ付けるように掲げて、ぃょぅを見つめた。
ドクオの無感情のその瞳は―――しかしその奥底に、恐怖と寂寥を含んでいた。

それは何の恐怖だろうか。
親友に恐れられてしまうかもしれないという、恐怖だろうか。






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