第二話22 名前:VIP足軽utu[] 投稿日:2006/12/03(日) 02:36:16.82 ID:ZDbl99HO0第二話「誤算」 (`・ω・´)「(地球と文化は似ているんだな……)」 市のように賑わう大通りを、顔を隠しながらモララーの後ろに跨るシャキン。 行きかう人々。 ただ一つ違うことは、すれ違う顔全て猿のものだった。 ( ・∀・)「この先に僕の家があるんだ!!」 命を助けたお礼にと家に招待されたシャキンだったが、あまり気乗りはしなかった。 革命真っ最中の、「ヒトガタ」。 敵対しているであろう「エン」のモララーにとっては自分の存在は危険すぎる。 23 名前:VIP足軽utu[] 投稿日:2006/12/03(日) 02:40:15.23 ID:ZDbl99HO0 (`・ω・´)「裕福な家庭なのか?」 ( ・∀・)「え? あ、うん。まあね」 (`・ω・´)「……」 門番の態度や、町の者の会釈。 それらが彼の地位を物語っていた。 可愛い息子の頼みには、ことさら弱い親なんだろう。 シャキンは揺れる馬上の上で思った。 25 名前:VIP足軽utu[] 投稿日:2006/12/03(日) 02:45:18.42 ID:ZDbl99HO0 ( ・∀・)「ただいまーっ!! かあさーん!!」 家畜をつなぎ、屋敷へと走る。 家はシャキンの予想以上にでかかった。 (`・ω・´)「こりゃまた……」 ( ・∀・)「あれ? ……変だな。かあさん?」 モララーの呼びかけに屋敷は反応しない。 こんなはずないのに、とシャキンに一度振り返り、家の中に入っていった。 26 名前:VIP足軽utu[] 投稿日:2006/12/03(日) 02:49:33.15 ID:ZDbl99HO0 ( ・∀・)「かあさ……えっ!?」 モララーの口から漏れる、驚愕を込めた声。 それを聞き、家の外で所在なさげに待っていたシャキンの目つきが変わる。 駆けつけた先には、対峙するモララーと、その母と思われる女。 そしてその背後には、女の喉元に光り物を当てた男。 つま先から頭の天辺まで黒い布で覆い隠し、立ち居振る舞いは素人のものではなかった。 ( ・∀・)「誰だお前……母さんを離してよ!!」 男「……」 ことさら男は警戒するふうでもなく、母を盾に二人の様子を伺った。 27 名前:VIP足軽v[] 投稿日:2006/12/03(日) 03:00:41.96 ID:ZDbl99HO0 男「モララー様……手前どもは事を荒げるつもりは毛頭ございません」 男「どうかお母様を取り返すなどという暴挙はお考えなさらぬよう、なにとぞよろしくお願いします」 男の紳士な物腰は、煌びやかなフロントに佇むホテルマンを連想させた。 空いた左手で合図をすると、左右の物陰から同じ格好の男達が現れる。 男「モララー様不在のときを狙ったのですが、申し訳ありません」 男「……ご足労お願いします」 リーダー格らしいその男の言葉を待たず、二人の男がモララーに迫る。 (;・∀・)「なんだよお前ら!! こっちくんな!!」 「やれやれ……」 慣れた手つきで迫る男達は、目的を果たすことなく宙を舞った。 男「……!!」 30 名前:VIP足軽v[] 投稿日:2006/12/03(日) 03:06:52.49 ID:ZDbl99HO0 (;・∀・)「シャキンさん……!!」 (`・ω・´)「呼ばれていない舞台に立つのは好きじゃないんだがな」 男「貴様……」 男は突如舞台に殴りこんだ役者に、人質の意味はないと本能的に悟った。 (`・ω・´)「ならばさっさと失せたらどうだ。勇気ある撤退、という言葉もある」 心の内を読んだようにシャキンは男に告げた。 男「……とんだ誤算ですね」 男は肩をすくめて窓を見た。 34 名前:VIP足軽v[] 投稿日:2006/12/03(日) 03:17:06.52 ID:ZDbl99HO0 男「婦人、覚えておきなさい。これが私達の抵抗だ」 モララーの母は突き飛ばされ、息子の胸に収まった。 同時に窓を突き破り、脱出を図る男。 (`・ω・´)「フッ!!」 それを追い、シャキンは窓から割れたガラスの破片を投げる。 男は身をよじって破片をかわした。 体勢を崩して片膝をつく男に、シャキンは一息で追いついた。 男「ひどい方ですねぇ……勇気ある撤退、って知ってます?」 (`・ω・´)「撤退の方が難しいこともあるさ」 逃がすまいとにじり寄るシャキンに、男はあくまで紳士的な笑いを返す。 35 名前:VIP足軽v[] 投稿日:2006/12/03(日) 03:24:59.90 ID:ZDbl99HO0 男「ヒトガタとお見受けしますが……出身はどちらで?」 男の問いにシャキンは拳を返す。 (`・ω・´)「この大陸には昨日着いたばかりだ」 低く屈めた体勢から、男は初動を見せずにアッパーを繰り出す。 スウェーでかわし、男の追撃も左手で払い、二人は距離をとった。 男「にわかには信じられませんが、この文化外ということですか」 男「面白い……」 36 名前:VIP足軽v[] 投稿日:2006/12/03(日) 03:31:47.27 ID:ZDbl99HO0 (;・∀・)「かあさん!? かあさんしっかりして!!」 (`・ω・´)「!?」 背後から聞こえるモララーの叫び声。 気をとられたシャキンの眼前に、男が放った二刀のナイフが迫る。 (`・ω・´)「ちぃっ!!」 一本目を右手で払う。 二本目は首を回して直撃をさけた。 男「おお!! 素晴らしい!!」 感嘆する男の声は既に遠くから聞こえた。 (`・ω・´)「野郎……」 シャキンは米粒になった男の後ろ姿を恨めしげに睨むと、モララーの元へと走って戻っていった。 第二話「誤算」 終わり ジャンル別一覧
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