LOYAL STRAIT FLASH ♪

2006/12/30(土)20:28

( ^ω^)ブーンはユメクイのようです(第四話二)

17 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:48:30.56 ID:jC9iK4Vk0 落ち着き始めていた僕の心臓は再び高鳴り始めた。 冗談じゃあない。ここでも襲われたってことは、 あの少年が言っていた『殺し合い』の範囲は、 某小説のように学校の生徒達だけではない。 この街の僕以外の人間全てが僕を敵意を剥き出しにしているのか? 気がつけば、衝突事故の音で駆けつけたのか、 そこには数人の人だかりが出来ていた。 僕は、それをしり目に、頭に葉っぱを乗せながら塀から抜け出す。 そして、トラックに皆の視線が集中している事を確かめ駆け出した。 18 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:49:10.91 ID:jC9iK4Vk0 (;゜ω゜)「ハァ…ハァ…」 この街の地理はよく分からなかったが、とりあえず、車の多く走る大通りや、 人が歩いているところに差し掛かったら引き返し、別のルートを探す。 そのようにして、道を走っていると前方に、 遠くからこちらへ向かってくる一つの影を確認した。 それは何かにまたがっているように見えた。 その足は左右交互で上下にバタバタと動いている。 その手はハンドルのようなものでしっかりと固定されている。 その頭を見てみると何やらもじゃもじゃしていた。 けたたましく、チリン、チリンと音を立てながら、 それが、猛スピードでこちらに向かってくる。 19 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:49:43.91 ID:jC9iK4Vk0 @# _、_@ ( ,_ノ`)「キエエエエエエエエエエッ!!死ねぇぇぇぇ!!」 ―――それは、史上最強の存在、オバタリアン。 その腕は、バーゲンで人の波を掻き分け、 その足は、大根のように太く、 その図々しさは、コーヒーおかわり無料の店で3時間居座るほどだ。 その、彼女が、猛然とママチャリを漕ぎ、こちらに突進してくる!! しかし、その目は血走っていて、本気の殺意に満ちていた。 20 名前:VIP皇帝[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:50:28.92 ID:jC9iK4Vk0 オロオロと狼狽する僕は、右のほうに何かを見つけた。 そこは、半透明のゴミ袋や、紐に縛られた雑誌が散乱している。 その一角に落ちている棒状のもの。 持ち手と思われる部分は「し」の字状にカーブを描いている。 そして、大半はビニールのようなもので覆われていた。 (;^ω^)「…傘…これだお!!」 そう言うと僕はそれを持ち、構えた。 30メートル、20メートル、10メートル、と、 目の前の兵器は猛スピードで接近してくる。 しかし、まだだ。 ギリギリまで引き付けて!! 今だ!! 21 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:51:11.42 ID:jC9iK4Vk0 二人が衝突しようとした瞬間、僕は左に身を逸らした。 そして、そのまま傘を握る力を強める。 両腕を後ろに引き、頭に標準を定める。 そのまま、両肘を地面と平行にスライドさせて、 思いっきり振りかぶる。 @# _、_@ (♯ ,_ノ`)「ぐおぼっくぁwせdrftgふじこjp!!」 野球のスイングの要領で、 僕は彼女の顔に思いっきり傘を叩きつけた。 それと同時に彼女の体は宙を浮く。 自転車は、勢いで数メートル前に進むも、 運転者を失ったそれはバランスを崩し、倒れた。 そして、からから、とその後輪を回転させながら横たわっていた。 22 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:51:51.42 ID:jC9iK4Vk0 @# _、_@ (♯ ,_ノ`)「…ぐあっ…き、貴様…許…さん」 彼女は、うつ伏せで何かつぶやいているようだったが、 僕は急いで自転車の方へ駆け出していた。 そしてそれを急いで起こし、その上にまたがる。 どうやらどこも壊れていないようだ。 (;^ω^)「かっ…借りますお!!」 それだけ言うと、僕はペダルに体重を掛け、 その屍の横を通りすぎる。 いや、まだ生きているようだけど。 23 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:52:25.79 ID:jC9iK4Vk0 とりあえずその足で走っている限り、 周りの人間から逃げ切るには不利である。 しかし、自転車ならばその機動性は違う。 足で走ってくるものより速く、彼らを振り切ることができる。 車で追いかけられても、スピードこそ適わないが、 細い路地に入ってしまえば逃げ切れる。 こうして僕は人気の無い方を探して走っていった。 途中、同じ自転車やバイクに追いかけられるも、 先程オバタリアンを倒した伝説の武器を振り回し、 相手を横転させる事で逃げ切った。 たかだか時速30キロのスピードなら死ぬ事はないだろう。 24 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:53:00.42 ID:jC9iK4Vk0 僕は、走っているうちに、この街の地理の様子を把握してきた。 家は広い一軒家が多く、高い建物は少ない。 そして、遠くでは360度すべて山々が囲んでいる。 少なくともここは大きな街ではない。 どこかの盆地に出来た集落であると推測できる。 恐らく、あまり他の人間に遭遇しなかったのも、 人口がそこまで多くないからだろうと思った。 となれば、目指すは人のいない山間部。 ひとまずそこで身を隠さなければ。 そう思い、僕は悠々と立ち並ぶ山に向かって自転車を走らせていた。 25 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:53:38.81 ID:jC9iK4Vk0 そして、辺りは真っ暗になっていた。 辺りはただ虫の羽音と梟の鳴き声だけが響いていた。 僕は、今にも崩れそうな建物の中に身を潜めていた。 それは山に接するかのように大きくそびえ立つ建物。 その入り口は大きく開いている。 壁は高く、20メートル近くはあるだろうか? そしてそのがらんどうとした空間の中には、 大きなクレーンやプレス機、ベルトコンベアなど、 無機質なものが点在している。 あの後僕は、住宅地を抜けていた。 そしてそこに広がっていたのは広大な田園地帯。 見渡すと、人の気配や、車などは殆ど見られなかった。 好都合とばかりに、そのまま田んぼのあぜ道をひた走る。 その途中、片手に鎌を持ち、目を血走らせた、 おじいちゃんが運転するトラクターに追いかけられたものの、 そんなにスピードが出てなかったのであっさりと振り切った。 26 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:54:14.40 ID:jC9iK4Vk0 そうこうしているうちに辺りは暗くなり、 この状況で山越えをするのは危険と判断した僕は、 偶然この工場らしき建物を見つけ、ここで休息を取る事に決めた。 埃を被った機材の様子から判断して、 ここはしばらく使われていないのだろうか。 ともかくここは隠れるところも多く、休むにはピッタリの場所である。 27 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:54:59.25 ID:jC9iK4Vk0 (;^ω^)「不気味だお…」 とはいえ、ここは電気も無い闇の中。周りを確認するには、 入り口と壁の上部に並ぶ大きな窓から注ぐ、月の光だけが頼りだった。 そして僕は手で、床の埃を払い、腰を落ち着ける。 (;^ω^)「『殺し合い』…かお」 僕は状況を振り返る。 そもそも今の状況は、あの少年が言った『殺し合い』というよりは、 一方的な『迫害』のようなものであると気づいた。 僕以外の人間は、僕に敵意を剥き出しにしているが、 他の人間同志が殺し合っている様子は無い。 28 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:55:40.65 ID:jC9iK4Vk0 (;^ω^)「僕がみんなを…殺さなきゃ…いけないのかお?」 とはいえ、あの少年の意図ははっきりしない。 『殺し合い』をするには明らかに不利な状況。 この集落にもどれくらい人口がいるのだろうか? 何千人?いや何万人もの人間とそれをやりあうには無茶がある。 (;^ω^)「あの少年を…」 ならば、と一つの嫌な考えが浮かぶが直ぐに否定する。 僕は『殺し合い』とやらを望んでいない。 逃げ切ることを前提に僕は動いている。 また、あの少年の居る学校に戻るのは危険だし、 そもそも、あの少年がこの世界を支配しているかすら怪しい。 29 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:56:15.28 ID:jC9iK4Vk0 ではどうすれば? 分からない?分からない。 ただ、逃げるしか出来ない。 突然、僕の頭の混乱をよそに、その音は聞こえた。 30 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:56:54.44 ID:jC9iK4Vk0 「ううっ…ぐすっ…いたいよぉ」 (;゜ω゜)「ひぃっ!!」 僕は危うく声を上げそうになったが、慌てて口を手で閉じる。 誰か居る。僕の直感はそう知らせた。 しかし、その声は何処か弱々しく、すすり泣いているかのように聞こえた。 (;^ω^)「見に…行ってみるお…」 ちょっぴり怖かったが、その声の細さは明らかに、 先程僕を襲ってきた者たちのそれとは違う。 その声は何か助けを求めているのではないだろうか? そう感じずにはいられず、僕は音を立てないようにゆっくりと歩いていった。 31 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:58:00.66 ID:jC9iK4Vk0 (*;ー;)「いたい…いたいよぉ…ぐすっ…」 僕が声のする入り口の方向まで歩いていくと、そこには、 年齢は6歳位だろうか?小さな少女が横たわっていた。 左足の膝に手のひらを押さえるような仕草をしている。 そして、その指の間からは赤い液体が漏れ出していた。 (*;ー;)「…いたいよぉ…」 (;^ω^)「だっ、大丈夫かお!!」 僕は急いで彼女のほうに駆け出していく。 一瞬警戒したものの、彼女のその濡れた瞳には、敵意は感じられない。 32 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:58:41.77 ID:jC9iK4Vk0 (;^ω^)「み、見せてみるお!!」 彼女の真っ赤に染まった足を見ると、皮膚が大きく削れていた。 恐らく、転んで何か硬いものにぶつけてしまったのだろう。 命に関わるほどの怪我ではないが、 放っておいても血は止まらないであろう。 (;^ω^)「よいしょっと」 彼は上に羽織っていたシャツを脱ぎ、それを思いっきり引っ張る。 するとビリビリ」と音を立ててそれは二つに裂けていく。 こうして出来上がった細長い布を彼女の膝にぐるぐる巻きにする。

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