2006/12/30(土)20:29
( ^ω^)ブーンはユメクイのようです(第四話四)
53 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:11:47.40 ID:jC9iK4Vk0
(* ー )「…じっとしてて…っていったでしょ?」
再び前を見ると、至近距離に彼女は立っていた。
その微笑みはなお一層歪んでいるように見える。
(* ー )「…やっと、じっとしてくれたね…それじゃあ、たすけてあげる」
そして彼女はその手に持つ刃を振りかぶる。
殺される!避け…否!!…死!!
僕の頭の中でそんな言葉が一瞬で浮かんだような気がした。
そして手は無意識に地面をさする。
こつり、と硬い感触がした。
その瞬間刃は猛スピードで僕のほうへ向かう。
54 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:12:37.84 ID:jC9iK4Vk0
(* ー )「………」
(;゜ω゜)「………」
(;゜ω゜)「ハァ…ハァ…」
次の瞬間。彼女は横たわっていた。
そのまま一言も発しようとはしない。
そして次に、僕は右手を見てみる。
その先に握られたのは、先程机を動かす時に床に置いた、
バールのようなものであった。
55 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:13:07.98 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「うわああああっ!!」
僕はそれを急いで放り投げた。
(;゜ω゜)「…ああっ!!…ぼっ…僕が…こ、ころし…」
言葉にならない声で僕は狼狽していた。
何がなんだかもはやわからない。
僕はただ、ただ、震えるだけだった。
「よう」
不意に聞こえた、声に僕は顔を上げる。
56 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:13:57.21 ID:jC9iK4Vk0
('A`)「どうだった、このゲームは?」
そこには教室にいたあの少年だった。
('A`)「楽しんでくれたか?」
楽しんだ?冗談じゃない。
こんな狂った世界に放り出されて、
皆に追い掛け回されて、
そして…ついには…あの子に手をかけて…
('A`)「どうだい?気分は?」
(♯゜ω゜)「…最悪だお…」
57 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:14:28.33 ID:jC9iK4Vk0
僕は、無意識のうちにそう答えていた。
そして、ふつふつと、どす黒い感情が湧き上がってくる。
(♯^ω^)「何で…こんな目にあわなきゃいけなかったんだお!!
お前のせいで…お前のせいでっ!!」
気づけば、僕はそう叫んでいた。
('A`)「………」
目の前の男はしばらく無言だったが、やがてこう口に出した。
58 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:15:14.23 ID:jC9iK4Vk0
('A`)「…どうだった?」
(♯^ω^)「…はぁ!?」
('A`♯)「どうだったって聞いてんだよ!!」
('A`♯)「自分の全てを否定され、周りに虐げられる気分はよぉ!!」
('A`♯)「そして、信頼してたヤツに裏切られた気分はよぉ!!」
(♯^ω^)「………」
突然の彼の激昂に僕は返す言葉は無かった。
59 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:16:12.66 ID:jC9iK4Vk0
('A`♯)「俺の世界では、それが当たり前なんだよ!!」
('A`♯)「誰も俺に手を差し伸べる事もせず、
誰も俺のこと理解しようとしない!!」
('A`♯)「そして、世界全ての俺以外の人間は全て敵だ!!」
('∀`)「…ふっ」
そして、彼は、笑みを浮かべる。
それは、今まで僕が見たどの表情よりも醜悪で下劣な表情だった。
60 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:16:49.72 ID:jC9iK4Vk0
('∀`)「だからよぉ、俺は決めたんだ」
('∀`)「この世界に復讐してやろうってなぁ!!」
('∀`)「…そうして俺は、復讐を実行した」
('∀`)「しかし、それは大人の馬鹿野郎どもに止められた」
('∀`)「…まあ、だが、一番ムカつく野郎には復讐できたから、良しとするか」
( ^ω^)「………」
僕は、彼の気持ちが分かるような気がした。
なぜなら、今まさにそれを味わっていたから。
61 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:17:21.69 ID:jC9iK4Vk0
('A`)「どうせ、テメェも俺のことが気にくわねぇんだろ?」
( ^ω^)「………」
('A`)「安心しな。どうせ、もうすぐ、俺は消える」
('A`)「一発くらい、テメェのツラ張っておきたかったがよぉ…」
( ^ω^)「………」
('A`)「…あぁ…もう…疲れた…」
62 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:17:54.68 ID:jC9iK4Vk0
彼がそう言うや否や、再び、僕にあの感覚が襲い掛かる。
ぴきっ、と窓ガラスにヒビが入る。
いや、ガラスだけではない。
壁も、天井も全て欠けはじめていた。
ふと、思い出したかのように、あの幼い少女を見てみると、
その姿はいつの間にか消えていた。
この場にいるのは、僕と少年だけ。
しかし少年の姿も次第に薄れていく。
そして、そのまま空間は渦を巻き、全ての破片を巻き込んでしまった。
最後に少年の呟きが聞こえる。
63 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:18:31.95 ID:jC9iK4Vk0
「もっと気楽に生きれば良かったぜ」
その声を最後に渦は消えてしまった。
そして残ったのは、一片の輝き。それが僕の中に飛び込んでくる。
気がつけば、また最初の白い部屋の中だった。