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LOYAL STRAIT FLASH ♪

三十三章一

2 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:02:55.11 ID:3pF9/92u0


三十三章 準備


“削除人”の所有するホテルには、かなり小規模だが、体育館がある。
規模は大体、バスケットボールのコートが一つ収まるか収まらないか、といったところだ。

午前六時二十分。
そこに“削除人”の四人と、ブーン達四人が集まった。

川 ゚ -゚)「集まったな」

呟いて、全員の顔を見渡すクー。

そんな彼女に対して、ブーンは尋ねた。

( ^ω^)「クー、質問が二つあるお。良いかお?」

川 ゚ -゚)「む? 良いぞ。何だ」

( ^ω^)「モナーさんはどうしたお?」

川 ゚ -゚)「『どうせこの状態じゃ訓練には参加出来ないから、武器を作成してくる』だそうだ」

( ^ω^)「お、なるほど」



6 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:06:12.46 ID:3pF9/92u0

川 ゚ -゚)「して、二個目の質問とは?」

(;^ω^)「……ここは本当に体育館かお?」

川 ゚ -゚)「? そうだが?」

ブーンが尋ねるのも、無理はない。
そこは、ブーンが想像するような『体育館』のイメージからは、大きく逸脱していた。

まず、床。
本来それは木で作られるべきものだが、この床はコンクリートで出来ているのだ。

しかもコンクリートによって構成されているのは、床だけでない。
床と同じく、壁も。そして、天井までもがコンクリートだ。

川 ゚ -゚)「いや……確かに今となっては、ここはむしろ『訓練場』とだけ呼んだ方が良いかもしれんな」

( ゚∀゚)「今となっては?」

(*゚ー゚)「ここは、前は普通の『体育館』だったんだよ。床も壁も木のね。
    でも戦闘訓練をするとすぐに床も壁も壊れてしまうから、木からコンクリートに変えたんだよ」

( ゚∀゚)「あ、なーる。中身はほとんど全部変えたけど、名前は変えなかったのね」

川 ゚ -゚)「そういう事だ」

頷いて、クーは言葉を続ける。


10 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:10:22.32 ID:3pF9/92u0

川 ゚ -゚)「さて、これから訓練を始めるわけだが……訓練に関しての総監督はフサに任せようと思う」

ミ,,゚Д゚彡「……俺か? 構わんが、何故だ?」

川 ゚ -゚)「簡単な事。この中で戦闘に関して最も秀でているのがお前だからだ」

ミ,,゚Д゚彡「……俺はそうは思わないが、良いだろう。
      把握した。俺が指揮を取ろう」

川 ゚ -゚)「感謝する」

頷いて、彼女は下がる。
それと入れ違えるようにして、フサが前に出た。

ミ,,゚Д゚彡「話の通りだ。俺が訓練に関しての指揮を執る」

(,,゚Д゚)「訓練ってどうやるんだ?」

ミ,,゚Д゚彡「模擬戦闘だ。ただただ戦闘を積み重ねる」

(;゚∀゚)「そんなんで良いのー?」

ミ,,゚Д゚彡「戦闘は戦闘で鍛えるのが一番なんだよ。特に、相手が異能者ならな。
     いくら身体を鍛えようと技を覚えようと、相手が異能者じゃ意味がない。
     異能者同士の、下手をすれば死にかねない戦闘訓練こそが、最もそいつを強くする」

( ゚∀゚)「……おー、なるほど。正論だ」


12 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:14:47.51 ID:3pF9/92u0

( ^ω^)「考えてみれば、ショボンの訓練とやる事は変わらないお」

( ゚∀゚)「あ、そういやそうだね」

ミ,,゚Д゚彡「さて、お喋りはこの辺にしておこう。
      早速訓練を始める。最終決戦までの時間は多くない」

(,,゚Д゚)「? どういう事だ?」

川 ゚ -゚)「それは後で私が話そう。今は訓練に集中してくれ」

(,,゚Д゚)「……分かった」

( ^ω^)「フサさん。最初は誰と誰が戦うんだお?」

ミ,,゚Д゚彡「ふむ、そうだな。俺と、ギコ……いや、違うな」

呟いて、フサは獰猛な笑みを浮かべた。
まさに獣を思わせる笑みだ。

ミ,,゚Д゚彡「俺と、お前達四人だ。まとめてかかってこい」


15 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:18:13.01 ID:3pF9/92u0

(;^ω^)「お!?」

( ゚∀゚)「ん、んー?」

(,,゚Д゚)「……何だ? ふざけてるのか?」

ミ,,゚Д゚彡「俺一人でお前達を叩きのめしてやると言っているんだ。
     お前達の弱さを、身体をもって教えてやろう」

(;^ω^)「で、でも、そんn」
( ゚∀゚)「本当に良いの、フサさん? 遠慮なくやっちゃうよ?」

(;^ω^)「――――――ッ!?」

ミ,,゚Д゚彡「あぁ、手加減も何もいらん。全力でかかってこい」

( ゚∀゚)「そいつぁ良いや」

呟いて、ジョルジュは笑う。
その笑みは、鋭い。

( ゚∀゚)「どうも昨日からもんもんしててよ、ちょっとぶちまけたかったんだ」



18 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:22:18.79 ID:3pF9/92u0

言ったジョルジュに触発されたかのように、ギコも拳を打ち鳴らす。
笑ってこそいないが、戦闘に関してやる気だというのはすぐに分かった。

(,,゚Д゚)「考えてみりゃ、そちらがやる気だってーなら、それに応じないのは失礼ってもんか。
     覚悟しろよ。前言撤回させてやる」

ミ,,゚Д゚彡「……面白い。やってみろ」

呟いて、フサはちらりとクーを見やる。
それだけで意思が伝わったのか、クーは頷いて言う。

川 ゚ -゚)「ブーン・ドクオ・ジョルジュ・ギコ以外の者は、出来るだけ隅に寄れ。
     攻撃に当たらないように注意しろ」

その声に各々の返事が続き、それぞれが部屋の隅へと移動した。

……移動する者達の影には、ドクオがいた。


21 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:26:02.02 ID:3pF9/92u0

((( 'A`) コソコソ

(,,゚Д゚)「……ドクオ」

('A`;)

(((;'A`)

(,,゚Д゚)「ゴルァ。てめぇ」

('A`)「……ナンデスカ」

(,,゚Д゚)「お前はこっちだ」

('A`)「ヤデス。イヤデス。ボク、タタカエマセン」

(,,゚Д゚)「……あぁ?」

('A`)「ボク、テイケツアツ。アサハ、ムリデス……」

ドクオは虚ろな眼で、死にそうな声で呟いた。
実際、彼自身は死にそうなのだろう。

(#゚Д゚)「ゴルァ!! ぐちぐち言ってねぇで、さっさと来いっつってんだ!!」

しかしギコは容赦しなかった。
叫んで、ドクオの胸倉を掴み上げる。


24 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:30:08.87 ID:3pF9/92u0

(#゚Д゚)「俺達は“管理人”と戦うんだぞ! そんなんでどうすんだ!!」

その言葉に、ドクオは溜め息を吐く。
それから頭を振ると、「よし」と呟いた。

('A`)「……やんなきゃダメ、だわな。OK。ちょっと放せ」

呟くと、彼はどこからか缶コーヒーを取り出した。
そして凄まじい勢いで一気飲みすると、その缶を握り潰す。

スチール製だったその缶を握り潰した左手は―――既に解放されていた。

('A`)「これでいくらかは気を紛らわす事が出来る。……行くぞ」

(,,゚Д゚)「お? お、おう」

ドクオの急変ぶりに驚くギコを置いて、ドクオはフサに相対する。
それにジョルジュが続き、ギコが続いた。

(;^ω^)「お? お? み、みんな、本気でやるつもりかお?」

(,,゚Д゚)「当たり前だろ」

('A`)「お前はどうなんだよ」

(;^ω^)「で、でも、こんなん卑怯で―――」



26 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:33:05.70 ID:3pF9/92u0

( ゚∀゚)「ブーン」

ブーンの声は、ジョルジュに遮られる。
彼の声は、その表情と同じくらいに鋭かった。

( ゚∀゚)「甘ったれるなよ。お前も“管理人”と戦うんだろ?
     昨日解散した後、お前は何を想ったんだ? ショボンの事は想わなかったのか?」

(;^ω^)「……想ったお」

( ゚∀゚)「だったらここで、お前は『卑怯だ』なんてほざいてるべきじゃないと思うがな。
     “管理人”に勝つ為には、強くならなきゃいけない。どんな手を使っても、な」

( ^ω^)「…………………ッ!」

( ゚∀゚)「……やるぞ、ブーン」

そう言い終えると、ジョルジュは何もなかったかのようにフサに向き直した。

ブーンは一人、自分の考えの甘さに唇を噛み締める。

そうだ。
昨日、ショボンの為に戦うって決めたじゃないか。

ブーンの足は、ゆっくりと前に出て―――
そして彼は、フサに相対した。

( ^ω^)「やるお。フサさん、お願いしますお」


28 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:36:03.48 ID:3pF9/92u0

ミ,,゚Д゚彡「おう。かかってこい。“力”をフルに使って、全力でな。
      手加減はするなよ。訓練の意味がなくなる」

('A`)「手加減しないってのはショボンとの訓練でもう習得済みだ。安心しろ」

ミ,,゚Д゚彡「なら問題ないな。来い」

( ^ω^)「おっ!!」

声と共に響くは、三つの異音だ。

ブーンの足は白銀の異形へと変化し、
ギコの右腕は紅の蜥蜴のようなそれへと変化し、
ジョルジュの右腕は橙色へ変化し、その手首からブレードを生やす。

(,,゚Д゚)「あんたもさっさと解放しろよ」

ミ,,゚Д゚彡「必要になったら解放するさ」

(,,゚Д゚)「……必要でないと言いたいのか?」

ミ,,゚Д゚彡「まぁ、そうだな。解放なんざしなくとも、俺はお前達には負けない」

(#゚Д゚)「―――ふざけんのも大概にしろよゴルァッ!!」

叫んで、その右腕を前に突き出した。

そこから吐き出される物は、凄まじい熱を持つ炎の龍だ。


30 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:39:07.67 ID:3pF9/92u0

ミ,,゚Д゚彡「ふん」

対するフサは、横へ大きく跳ぶ。
炎は彼の身体があった空間を灼き尽くして、その役目を終えた。

しかし。

(#゚Д゚)「ずぁああぁあぁっ!!」

焔から逃れたフサに、ギコが迫った。
容赦なく振り下ろされる右腕は、しかしフサを捉えられない。

フサはわずかに上半身を引くだけで、その右腕をかわしたのだ。

ギコは舌打ちして、右足を跳ね上げる。
しかしそれはフサの左肘によって防御され―――

ミ,,゚Д゚彡「隙あり」

突き出された彼の右拳は、ギコの右胸を殴打した。

(;゚Д゚)「がっ―――!」

一瞬呼吸が出来なくなり、身体の動きが制止する。
その次の瞬間には、彼はフサに蹴り飛ばされていた。


33 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:42:06.93 ID:3pF9/92u0

(;^ω^)「ギコ!」

ブーンは凄まじい速さで動き、吹き飛ばされたギコの身体をキャッチする。
彼の腕の中でむせかえるギコは、忌々しげに舌打ちした。

(;゚Д゚)「げ、げほっ……も、もう大丈夫だ、ブーン。降ろしてくれ」

(;^ω^)「お? でも……」

(;゚Д゚)「良いから!」

(;^ω^)「おっ……」

ブーンの腕から降りたギコは、一歩前に出ると、怒りを露にする。
眼は鋭く細められ、口元では獣のように八重歯が覗く。

その右腕からは、鱗と鱗の間から炎がちろちろと舌を出していた。

ミ,,゚Д゚彡「どうした? どうやら俺はまだ倒されていないようだが」

(#゚Д゚)「貴様ァ……!」

ミ,,゚Д゚彡「良いからさっさと来い。勝負をつけてやる」

手招きするフサ。
ギコは咆哮をあげると、走り出した。

怒りに押されるようにして、速度と勢いをどんどんと増していく。
右腕から溢れ出る炎もその勢いを増し、炎の残像を跡に残していった。


34 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:45:10.17 ID:3pF9/92u0

(#゚Д゚)「おぉおあぁあぁあぁっ!!」

右の拳を握り締める。それと同時に、右腕が炎を纏った。

右腕が、袈裟がけに凄まじい勢いで振るわれる。
しかしフサは、その攻撃もわずかな動作で回避。

勢いがあった為に、ギコの腕は横へと流れていった。
そこに生まれるのは、大きな隙。

ミ,,゚Д゚彡「後先を考えていない。隙がありすぎる」

呟いて、ギコに攻撃を加えようと踏み込んだ。
だが―――

(#゚Д゚)「勝手にそう思ってなッ!!」

叫びと共に、彼の肉体は更に旋回した。
勢い良く振り抜いた腕の、その勢いを利用して。

彼は一回殴り飛ばされた際に、学習していたのだ。
単調な攻撃だと避けられる、という事を。

ミ,,゚Д゚彡「……隙が出来たと見せかけ、そこに踏み込んだ俺を攻撃する、か。
     なるほど、悪くない」

呟く彼の左こめかみには、ギコのハイキックが伸びていた。


35 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:48:03.09 ID:3pF9/92u0

しかし彼の足は、結局フサを捉えられなかった。
何故ならば、その足は直撃直前に「殴り落とされた」からだ。

遠心力を味方に付けた高威力の足を、フサは避けるでも防御するでもなく、無理矢理にねじ伏せたのだ。

(;゚Д゚)「おっ!?」

ミ,,゚Д゚彡「途中までは良かったがな―――所詮、この程度だ」

バランスを崩したギコに、フサは拳を飛ばす。
狙う位置は、顎。意識を飛ばすつもりのようだ。

しかし。

( ゚∀゚)「おぉっと危ない!」

その拳は、そんな声と共に現れた盾に止められた。
見れば、ジョルジュが右腕を盾に変え、ギコとフサの間の空間に伸ばしていた。

ミ,,゚Д゚彡「ちィッ!!」

後方へ跳ぶフサ。
しかし着地と同時、彼の首の後ろには鋭く冷たいものが当てられていた。

('A`)「後ろガラ空きだぜ、おっさん」

冷たいそれは、ドクオの左腕だ。


37 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:51:09.26 ID:3pF9/92u0

フサはドクオの言葉に対して―――

ミ,,゚Д゚彡「知ってるよ」

背を向けたままドクオの腕を掴み、そしてジョルジュ達に投げつけた。

(;'A`)「うおっ!?」

(;゚∀゚)「おわぁっ!?」

叫びも虚しく、ドクオはジョルジュとギコに衝突し、吹き飛んだ。

ミ,,゚Д゚彡「残るのは―――」

「僕だお」

声は、上方だ。

( ゚ω゚)「おぉおおぉぉおぉっ!」

ブーンは天井を蹴りつけ、凄まじい速度で下降する。
そしてその状態から、器用に蹴りの体勢を作り出した。

ミ,,゚Д゚彡「甘い」

フサはそれを難なく避けてみせる。
間髪入れず、彼は着地したブーンに攻撃を加えようとして―――


39 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:54:07.14 ID:3pF9/92u0

ミ,,゚Д゚彡「むっ?」

振るわれた拳は、空を切った。
一瞬の間に、ブーンの姿は消えていた。

フサの眼が、細められる。

ミ,,゚Д゚彡「……どこだ」

「ここだお」

声は、背後からだ。
同時に押し寄せてくる見えない圧力に、フサは上半身をかがめる。

その一瞬の後、彼の頭の上をブーンの足が通り過ぎた。

(;゚ω゚)「おっ!?」

ミ,,゚Д゚彡「速いな。だが、それだけだ」

跳ね上がったフサの足は、避けようとしたブーンの肩を捉える。
だがブーンは退かない。更に一歩踏み込み―――

ミ,,゚Д゚彡「単純だと言っている」

横薙ぎに振るわれたブーンの足は、しかし跳んでかわされた。
得たものは、報復の拳のみ。


41 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:57:07.26 ID:3pF9/92u0

フサの拳はブーンの腹に深々と突き刺さり、彼を吹き飛ばす。
しかしブーンは倒れない。むせかえりながらも、その眼はしっかりとフサを睨みつけていた。

( ゚ω゚)「おぉおぉおおおぉっ!!」

ミ,,゚Д゚彡「……何度繰り返せば―――」

距離を詰めてくるブーンに対し、今度はフサも前に出る。
そしてちょうどブーンの頭蓋を捉えるタイミングで、足を振り上げた。

ミ#゚Д゚彡「分かるッ!?」

しかし。
その足からは、何の手ごたえも伝わってこなかった。


43 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 22:57:47.68 ID:3pF9/92u0

ミ;゚Д゚彡「なッ―――!?」

見れば、ブーンの足が止まっている。
床を蹴るようにして無理矢理止まったのか、床は少し削れていた。

( ゚ω゚)「フェイントだお。……僕達を舐めるなお」

静かな呟き。
それに反するかのように、爆発的な勢いで跳ね上がる白銀。

(#゚ω゚)「おぉおおぉおおおぉっ!!」

ミ#゚Д゚彡「あああぁぁああぁぁあぁっ!!」

二つの咆哮が重なり、鈍い音が響いた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


45 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:01:05.74 ID:3pF9/92u0

質素なベッドがいくつか並ぶ、床も壁も天井も真っ白な部屋。
病院を思わせるその部屋には、三人の人間。

つー。そして、流石兄弟だ。

いくつかあるベッドの内、二つは流石兄弟によって使用されている。
つーは二人のベッドの間で椅子に座り、二人の看護をしているのだ。

(*゚∀゚)「……本当にひどい傷だね。命があるのが不思議なくらい」

( ´_ゝ`)「私達の回復力と耐久力は、ただの異能者のそれとは違う」

(*゚∀゚)「確かに、ものすごい勢いで治ってるね。でも」

(´<_` )「分かっている。言わないでくれ」

そこで弟者は、微かに表情に苦々しさを浮かべた。

彼の左腕は今、肘の上までしかない。
左腕を丸々、ジョルジュに切り落とされてしまったのだ。
凄まじい再生能力を持つ彼とは言え―――今に限っては、その再生能力は半減していた。

何故ならば、再生している箇所が左腕だけではないからだ。

よく見てみれば、彼の全身には至る所に銃創がある。
ドクオの銃による傷跡だ。


47 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:04:06.39 ID:3pF9/92u0

そして腹部には、一際大きく痛々しい傷。
穴とも呼べそうなくらい深いその傷口は、ギコの腕によるものだ。

極度まで熱された彼の腕は、弟者の腹から背中にかけてを貫通し、傷口を炭化させた。
それによって出血は減ったものの、再生には余計に時間がかかっていた。

( ´_ゝ`)「今回は、やられすぎた。再生に時間がかかって仕方がない」

呟く兄者の腕は、ギプスでがっちがちに固められている。
彼の両腕はブーンに砕かれた為に、動かす事が出来ないのだ。

彼は腕だけでなく、全身の至る所の骨が危ない状況にある。
ブーンに蹴り落とされた時の衝撃が、全身の至る所に深刻なダメージを与えたのだ。

(*゚∀゚)「……痛くない? 大丈夫?」

( ´_ゝ`)「あぁ、大丈夫だ。私達にはほとんど痛覚はない」

(´<_` )「ただ、傷口が熱いな。どうにも、この感覚には慣れない」

(*゚∀゚)「大丈夫? 身体を冷やせそうなもの、持ってこようか?」

( ´_ゝ`)「大丈夫だと言っているだろう。何度も言わせないでくれ」

(*゚∀゚)「あっ……ご、ごめんなさい」


48 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:07:06.82 ID:3pF9/92u0

(´<_` )「……あなたは他人の事を心配しすぎだ。自分自身の心配をした方が良い」

(*゚∀゚)「え?」

(´<_` )「とぼけるのは良くない。あなたも気付いている筈だ。
       もう一人のあなたによる“侵食”が、危ない域まで進んでいる事に」

(*゚∀゚)「……何で分かるの?」

(´<_` )「ここ最近、あなたの言動がおかしい。不自然だ。
       そして何かに耐えるような仕草が段々と増えている」

(*゚∀゚)「バレちゃってたんだ。隠してるつもりだったんだけどな」

彼女の中には、もう一人の彼女がいる。
血と殺意に飢えて狂う、まさに殺人狂の彼女が。

彼女は、つーの“力”だ。
戦えない彼女の代わりに戦う、戦闘の為の―――生きる為の人格。
人格が“彼女”に代われば、つーの戦闘能力は飛躍的に上がる。

しかし“彼女”は、段々とつーの肉体を侵食していた。

最初は、“彼女”と自分を自由に入れ替えられた。
それが段々と自由に戻れなくなり、最近に至っては“彼女”が全てを支配しようとしてきている。
こうして普通に生活している時も、気を抜けば“彼女”に取って代わられそうなほどに。

彼女は、恐怖していた。


50 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:10:12.87 ID:3pF9/92u0

( ´_ゝ`)「そういえばつーさん。あなたは、何故“管理人”に?」

(*゚∀゚)「何故って?」

( ´_ゝ`)「別に。あなたの戦う理由を聞きたくなっただけさ」

(*゚∀゚)「簡単な事だよ。この“力”を理由に私を迫害した人間達が憎くて―――」

( ´_ゝ`)「嘘だな」

(;*゚∀゚)「えっ?」

(´<_` )「……あなたはこの前の大殺戮の時、ミンナを止めようとしたそうじゃないか。
       それだけではない。いつもどこか遠回しに、人間を殺す事を止めようとしていた」

(;*゚∀゚)「…………………」

(´<_` )「“管理人”に所属する、本当の理由を教えてくれ」

(*゚∀゚)「……私の居場所はここしかないから。
    それとハインに、もう一人の私の暴走を止めてもらう為」

( ´_ゝ`)「居場所がない? 異能者だからか?
       しかしあなたは外見上、異能者だとは思われないだろう?」


51 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:13:05.33 ID:3pF9/92u0

(*゚∀゚)「違うの。私は、社会に戻れないの。もう、戻れないの。
    ……戻っては、いけないの」

(´<_` )「? 何故だ?」

(*゚∀゚)「……私は、全てを殺しつくしてしまったから」

呟いて、彼女は拳を握り締めた。

(*゚∀゚)「父さんも母さんも姉さんも兄さんも、友達も、先生も、みんなみんな。
    止めようとしてくれた警察の人も、みんな殺してしまったの」

( ´_ゝ`)「“彼女”が、覚醒した時だな」

頷いて、彼女は続ける。

(*゚∀゚)「私の意識が戻った時、私はどこかの森の中にいた。
    そこにハインが現われて―――私に手を差し伸べてくれた」

(´<_` )「そして辿り着いた先がここ、と?」

(*゚∀゚)「そう」

( ´_ゝ`)「だが―――その気になれば、あなたは社会に戻れるのではないか?」

(*゚∀゚)「無理だよ。私はいつ、彼女に侵食されてしまうか分からない。それに―――」

(´<_` )「ん?」


53 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:16:03.04 ID:3pF9/92u0

(* ∀ )「……怖いんだ」

( ´_ゝ`)「怖い?」

(* ∀ )「人と親しくなる事がね。
    親しくなればなるほど―――一緒にいる時間が増えれば増えるほど、私はその人を殺しかねない。
    怖いんだ。もう、大切な人を失いたくない。もう、そんな思いは……もうしたくないの」

(´<_` )「なるほど、な」

( ´_ゝ`)「一つ質問良いかな? 
       あなたの人格が“彼女”の時、あなたはどうなっている? 意識はないのか?」

(*゚∀゚)「あるよ。ただ、どうする事も出来なくなってる。
    感覚は伝わってくるんだけど、自分の身体を自分の意志で動かせないの。
    身体が自分のものじゃなくなるというか―――行動する権利を奪われた状態かな」

と、その時。
その部屋に―――いや、“管理人”の研究所内に、サイレンが響いた。

三人同時に顔を上げる。
その視線の先にあるのは、小型のスピーカーだ。

まもなくそのスピーカーから、多少のノイズを含んだ声が溢れ出す。

『―――やぁ、みんな。モララーだ。
 話さなきゃならない事が、有る。動くのは辛いかもしれないが、ホールに集まってくれ』

そこでぷつりと、スピーカーからの声は止んだ。


56 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:19:12.05 ID:3pF9/92u0

つーはゆっくりと椅子から立ち上がり、二人を見やる。
そして困ったような表情を浮かべた。

(*゚∀゚)「……二人とも、立てる?」

( ´_ゝ`)「ん? あぁ、立てるが?」

(*゚∀゚)「弟者さんは?」

(´<_` )「同じく」

(*゚∀゚)「ん。じゃあ二人とも、私の肩に掴まって」

( ´_ゝ`)「……何故だ?」

(*゚∀゚)「だって松葉杖なんかもないし……」

(´<_` )「いや、歩けるが」

言うと、弟者はすっと何事もないかのように立ち上がる。
そんな事が出来る身体ではないというのに。

(;*゚∀゚)「ちょっ……何してるの!? あなたはそんな事が出来る身体じゃ―――!!」

( ´_ゝ`)「あなたは一つ忘れているな」

言って、兄者も立ち上がる。


58 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:22:06.99 ID:3pF9/92u0

( ´_ゝ`)「私達に痛覚はないんだよ」

(*゚∀゚)「あっ……」

(´<_` )「……本当に、あなたは他人の事を心配し過ぎだ。
       行こう、兄者」

吐き捨てるように言って、弟者は歩き出す。
だが三歩ほど進んだ辺りで一度足を止めると―――

(´<_` )「……だが、あなたの心遣いには感謝する。ありがとう」

呟いて、また歩みを再開した。

置いて行かれたつーは、不思議そうな表情を浮かべる。

(*゚∀゚)「弟者さんが……あの流石兄弟が、ありがとうって……」

それから彼女の表情は、柔らかな笑みへと変わった。

(*゚∀゚)「……悪くないじゃん」

呟いて、彼女も歩み出す。
向かう場所はホールだ。


60 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:25:06.35 ID:3pF9/92u0

つーが着いた頃には、ホールには全員が揃っていた。

( ・∀・)「うむ、揃ったな」

頷くモララーの身体は、やはりほぼ全身が包帯に包まれている。
未だに、治癒に当てるだけの“力”は回復していないようだ。

メンバーをざっと見てみれば、モララーと流石兄弟以外は問題ないようだ。
プギャーは少しだけ左肩を痛がっているようだが、その痛みもすぐに消える程度のものだろう。

( ´_ゝ`)「遅くなって申し訳ありません」

( ・∀・)「良いさ。では、早速話を―――」

( ゚д゚ )「……その前に、ちょっとよろしいでしょうか?」

モララーの言葉を遮っての、ミンナの呟き。
それに対して、全ての視線がミンナに向いた。

( ・∀・)「む? 良いぞ。話してみろ」

( ゚д゚ )「ありがとうございます」

礼を言って、ミンナは深く息を吸い込んだ。
いつもは何の感情も浮かべないその表情が、少しだけ苦く歪んでいるように思えた。


62 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:28:07.17 ID:3pF9/92u0

( ゚д゚ )「みんなに言いたい事がある。
     ……申し訳ない」

吐き出された言葉は、謝罪だった。

从 ゚∀从「お? どうしたんだミンナちゃん? 何が申し訳ないってんだ?」

( ゚д゚ )「“削除人”、及びブーン達を逃がしてしまった事に関してです。
     手負いの彼らに―――ほとんど戦闘手段を持っていなかった彼らに、私は敗北しました」

( ´_ゝ`)「…………………」

( ゚д゚ )「それも、私はほとんど無傷の状態で、です。
     ……私が彼らを止めていれば、“削除人”との長い戦いに終止符を打てたのに」

ミンナの表情は硬く、歪んでいる。
心に抱くは、己に対しての失望だろうか。

( ゚д゚ )「申し訳ない、と心から思っております。
     勿論、それだけで済む等とは思っておりません。
     贖罪の為ならば、どんな罰でも受けま―――」

从 ゚∀从「さっきからお前、何言ってんだ?」

ミンナの言葉を遮ったハイン。
彼女の声は、どこか怒りを含んでいるように聞こえた。


64 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:31:18.41 ID:3pF9/92u0

( ゚д゚ )「……ですから、私の失敗を購わせてほしいと」

从 ゚∀从「……ね」

( ゚д゚ )「む? 今、何と?」

从#゚∀从「くだらねぇってんだよ!!」

(;゚д゚ )「なっ……!?」

叫ぶや否や、ハインはミンナにつかつかと歩み寄る。
それから彼の胸倉を掴み上げると、噛み付きそうなまでの勢いで言った。

从#゚∀从「止めていればだの勝っていればだのよ、過ぎた事をグチグチほざいてんじゃねぇぞ!!
     暗ぇ顔して『あーしてれば、こーしてれば』ってよ!! 話してりゃ結果が変わるのかよ!?
     まったく気持ち悪ィ! それでもテメェは男か!! 股間にゃしっかりイチモツ付いてんだろうが!?」

そのまま彼女は、ミンナを軽く押し飛ばす。
ミンナはたたらを踏むと、訳が分からないといった顔で呟いた。

(;゚д゚ )「な、何を……」

( ^Д^)「ミンナ」

混乱するミンナに、プギャーは静かに告げる。


67 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:34:11.91 ID:3pF9/92u0

( ^Д^)「『もしかして……』なんて話をするほど無駄な事はないだろ。
      あまつさえ、もしかして強ければだと? そんなのは俺が言いたいくらいだ。

( ^Д^)「……俺には敵に打ち勝つどころか、大切な人を護りきる力すらなかったんだ。
      でもそんなのは誰でも言える言葉だ。そんな言葉は、いくらでも出てくる」

从 ゚∀从「その通りだ。もっと強ければ勝てた、なんてのは誰にでも言える。
     テメェは頭良いんだろ? 考えりゃ分かったはずだ。
     つまりお前のその話は、単なる逃げだ。過去に逃げるなよ。未来を、今を見つめろ」

( ゚д゚ )「…………………」

从#゚∀从「分かったのかよ?」

( ゚д゚ )「……はい。分かりました。すいません。
     もう二度と、そのような事は口にしません」

从 ゚∀从「よろしい」

ハインに頭を下げて、ミンナはモララーに向き直した。
それからモララーにも頭を下げる。

( ゚д゚ )「くだらない事で話を止めてしまい、申し訳ありません。
     本題をお願いします」

( ・∀・)「あぁ。では、話そうか。
      話す内容は単純だ。次の戦闘についてだ」

(´<_` )「次の戦闘について。それはつまり、準備及び作戦等の会議という事ですか?」


70 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:37:03.52 ID:3pF9/92u0

( ・∀・)「まぁそうなのだけどね、少しだけ聞いてもらえるかな。
      今回の戦闘―――“削除人”及び少年四人との戦闘は、いつになく苦しいものになったな。
      現にこうして、流石兄弟と私は戦闘不能の状態になってしまっている」

( ・∀・)「クックルを打ち取る事は出来たが、油断は出来ない。むしろ、警戒すべきだ。
      大きな戦力を失った奴らは、玉砕覚悟で攻め込んでくるだろう。
      それもおそらく、少年四人を味方として戦線に組み込んで、だ」

( ^Д^)「ブーン達を? ……何故ですか?」

( ・∀・)「彼らも戦力―――ショボンという仲間を失ったからだよ。
      仲間の仇打ちをしなくてはならない。だがこのままでは勝てない。戦えない。
      “削除人”も、少しでも戦力を得たいところだ。双方の要望が一致する」

( ´_ゝ`)「しかし、あの“削除人”が彼らを仲間にしますか?
       彼らも異能者です。“削除人”が異能者と組むという可能性は低いように思えますが」

( ・∀・)「組むよ。何せクーにとっては、ブーン達は仲間を助けた恩人だ。
      それに、ブーン達の戦闘能力が低くないという事も知っただろう。
      戦力を得たい今、彼女にとってブーン達は格好の存在というわけだ」

( ・∀・)「“削除人”の一人一人が更に力を付け、なおかつブーン達もあちら側に付く。
      そうなれば、次の戦闘の結果は分からない。……いや、正直に言えば、負ける要素が大きい。
      こちらは七人。あちらは五人と四人で九人だ。さて、今のままでは苦しい戦いになるね。どうすべきかな?」

( ´_ゝ`)「単純に強くなるしかないのでは?」

( ・∀・)「正解。それしかないわけだ」


72 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:40:15.82 ID:3pF9/92u0

从 ゚∀从「強くなる? どうやってだよ」

( ・∀・)「戦うしかあるまい?
      命を賭した戦いの中での強さは、戦いの中でしか育たない」

その言葉を聞いて、ハインの表情が歪む。
心底楽しそうな、危険な笑みの形に。

从 ゚∀从「最初ッから言えよ、つまらない前置きなんざ話さないでよ?
     よっしゃ、戦ろうぜ。相手はあんたか? それとも他の奴か?
     誰でも良いぞ。さっさと戦ろうぜ」

( ・∀・)「こうなると思ったよ」

苦笑して、モララーはメンバーを見渡した。
メンバーと言っても、流石兄弟は戦える状態にない為、視線はプギャーとミンナ、そしてつーを往来する。

( ・∀・)「さて、誰がハインと戦る?」

(;^Д^)「…………………」

(*゚∀゚)「……あ、あの」

( ・∀・)「む? どうした、つー? 戦りたいのか」

(*゚∀゚)「ちッ、違うんです。ちょっと具合が悪くって……ちょっと部屋に戻っても良いですか?」


74 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:43:09.35 ID:3pF9/92u0

( ・∀・)「……む。良いぞ。治り次第、また来い」

(*゚∀゚)「すいません、ありがとうございます」

頭を下げて、つーは部屋へと向かった。

( ・∀・)「さて、誰か戦う意思のある者は?」

応じる声は、ない。
モララーは溜息を吐くと、やれやれと言いたそうな表情で前に出た。

( ・∀・)「ならば私が行こうじゃないか」

(;^Д^)「モララーさんッ!? 傷が……!」

( ・∀・)「良いさ。構わない。それよりもお前達は、隅に移動していろ。危険だぞ」

手を振って、モララーは笑ってみせる。
対してハインは、歩み出てきた彼に眉根を寄せた。

从 ゚∀从「大丈夫なのかよ? 手加減はしねぇぞ?」

( ・∀・)「良いからかかってこい。『つまらない前置きなんざ話さないでよ』?」

从 ゚∀从「……上等」

笑って、ハインは疾駆。
極度まで姿勢を前傾にし、滑るようにして迫る。


77 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:46:20.28 ID:3pF9/92u0

从 ゚∀从「ひゃぁぁっほぉぉおぉぉッ!!」

単純な、故に強力な拳が伸ばされた。
しかしそれはモララーの掌で音を経てて停止。

ハインもモララーも、引こうとはしない。
力比べをしているかのような押し合いだ。

从#゚∀从「あんたとこうして戦うのも……ッ」

(#・∀・)「あぁ……久しぶりだ……なッ!!」

叫ぶのと同時、モララーは彼女の拳を横に払う。
間を置かず踏み込み、回転するようにして、彼女の首筋に手刀を振るった。

从 ゚∀从「予想通りだってんだ!」

彼女はしゃがみこんで、手刀を回避。
それから床に手を付くと、逆立ちするようにして、モララーの顎目掛けて蹴りを放つ。


78 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/25(火) 23:46:32.67 ID:3pF9/92u0

( ・∀・)「ふっ!」

対して彼は、上半身を反らしてその蹴撃から逃れた。
それと同時に彼女の足を掴み、投げ飛ばす。

投げ飛ばされた彼女は、無理な体勢から華麗に着地。
そしてニヤリと笑うと、両腕を覚醒させた。

从 ゚∀从「怪我してる割にやるじゃねぇか!
     全開でいイカしてもらうぜ!!」

( ・∀・)「解放したところで何も変わらんさ。
      だが、良いだろう。来い。叩きのめしてやる」

手招きして、ウィンクする。

彼女は咆哮をあげ、走り出した。


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