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5 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/07(日) 23:40:30.17 ID:c9SnQmJu0
第10章 ボインキラー (´・ω・`)『偉大なるアンソニー・ボーディンはコックを3種類に分類した。 金の為に働く【傭兵タイプ】 ネクタイを嫌い文明社会に溶け込めない【亡命者タイプ】 料理ではなく自分の芸術を表現したいだけの【芸術家タイプ】 僕はこの他にもう一つ店に忠誠を誓う【騎士タイプ】ってのも存在すると考えるんだけど… とにかく【芸術家タイプ】ってのはやっかいなもんさ』 僕はショボンさんの言葉を思い出しながらキーボードを叩く。 そう言えば、ギコさんはこんな事を言っていたっけ。 ( ,,゚Д゚)『コックの分類? んなもんは簡単だ。実力があるかないか、それだけだろ? 見分け方だぁ? そうだな…腕のある料理人は女にもてるもんだ。 冗談で言ってるんじゃねぇぞ。料理ができる男ってだけでも女から見れば評価は高いし、 応用力・忍耐力・ユーモアセンスは実力派のコックに無くてはならないもんだし、 チャレンジ精神溢れる料理人はセックスも冒険心たっぷりだからな …そのはずなのに、お前と長岡と来たら…なんでだろうな?』 こんな感じか。楽しそうに話すギコさんの後ろでしぃさんが怖い顔をしてたっけ。 なんとなく気分が乗らないので『僕はどんな料理人になるのだろう?』と〆てブログの更新をした。 あれからもずっと、僕はブログだけは続けている。 最近は同業と思しき住人のコメントも増えていい感じだ。 僕は一通り昨日までにもらったコメントを見直すと、満足してPCの電源を落とした。 6 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/07(日) 23:43:47.04 ID:c9SnQmJu0 足を肩幅に開き、胸を張る。左手は腰骨に当てる感じだ。 右こぶしを軽く握って天に振り上げ、魔を払う雷の如く振り下ろす。 掛け声はこうだ。 ( ゚∀゚)o彡°『おっぱい!おっぱい!』 ξ#゚△゚)ξ 『あぁ、マジうぜぇ!!』 日仏ハーフのジョルジュさんは、190を越す身長とボディビルダーを思わせる 筋肉隆々の肉体をしている。 常にやはりボディビルダーばりにスマイルを浮かべる彼を見て僕は ( ^ω^) 『この人が鍋振ったら凄そうだお』 と思ったものだが、未だその光景を見たことは無い。 何故なら彼は料理人ではなく、製菓スタッフ。 つまり、パティシエなのだ。 普段はキッチントングを使ってツーさんのブラのホックを起用に外したり、 ツンの胸を見て『大きくなるお祈り』をしたり、 しぃちゃんの胸を見て満足げにうなずいたりを日課にしているジョルジュさんだけど、 ただの変態ではなくその実力は本物だ。 巨体を丸めてスクィーズ・ボトル(ホットドッグの屋台でマスタードやケチャップが入っているアレ) からチョコレート・ソースやカスタードソースを搾り出して皿に円を描き、 爪楊枝で軽く擦って見事な抽象画を書きあげる。 そこに手作りのアイスやビスケット・砂糖菓子、季節のフルーツを盛り付け ホイップクリーム・ココアパウダーやミントを飾り付ければ美しい立体画が完成する。 12 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/07(日) 23:53:05.12 ID:c9SnQmJu0 ジョルジュさんは飾り・細工包丁も上手い。 人参や胡瓜を使って紅葉や松を作るのはギコさんも上手いが、 ジョルジュさんは器用にナイフや彫刻刀を使い分け頭部・胴体・羽根などのパーツを作ってから フィギアでも組むように生き生きとした鳳凰を完成させるのだ。 僕やドクオも何度か教えてもらったけど、出来上がったのは死に掛けた鶏のようなものだった。 ( ^ω^)『フィギアにはちょっと自信があったのに悔しいお』 ( ゚∀゚)『まぁ、そんな簡単に作られたらこっちが廃業しちまうからな』 そう言って豪快に笑う。 僕の言葉は半分嘘で、ここまで実力差があると同じ人間じゃないみたいであまり悔しさを感じない。 そんなジョルジュさんだけど、包丁細工などは別にして料理には全くタッチしない。 僕らがどんなに忙しそうにしていても、自分は黙々と自分のポジションの仕込みや掃除をするだけだ。 ( ^ω^)『ジョルジュさんは料理はしないんですかお?』 一度質問したことがある。 ( ゚∀゚)『当たり前だろ。俺様は天下の製菓職人だぜ。 昔は手伝えって言われたけど、ずっと拒否してたら言われなくなったよ』 そう言って笑うだけだった。 自分の職業に対する圧倒的なまでのプライド。 自分の意思を押し通す傲慢さ。 奇妙な性癖。 なんとなくショボンさんがジョルジュさんを【芸術家】と呼ぶ理由がわかった気がした。 14 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/07(日) 23:56:05.16 ID:c9SnQmJu0 ( ゚∀゚) 『あ、ちょっと皆集まってくれ。新しいデザートを考えたんで試食してほしいんだ。 その言葉に引かれて手が空いたスタッフからジョルジュさんの周りに集まる。 特にしぃちゃんは手にした皿を放り投げ真っ先に駆けつけてきた。 (*゚ー゚) 『うわぁ☆ 美味しそう☆』 テーブルに置かれているのは深皿にドーム型に盛られた杏仁豆腐。 上に乗っているのはクコの実だろう。 周りにはマンゴーやキーウィフルーツ等のフルーツが飾られ、上から半透明のゼリーがかかっている。 その皿が4つ。杏仁豆腐のサイズを大小変えた物が並んでいた。 ( ,,゚Д゚) 『確かに旨そうだが、お前の皿にしてはありがちすぎやしないか?』 ( ゚∀゚) 『あぁ、今回は杏仁豆腐のレシピをいじってる。 アマレット(杏の種のお酒)を使っているのは変わらないんだが、杏露酒を少し入れてみたんだ。 生クリームも増やしてるから少し重い味になってると思う』 ξ゚△゚)ξ『あんた黙ってデザートだけ作ってれば天才よね』 ( ;゚∀゚) 『…失礼な。ちなみに周りのゼリーは見かけは全く同じだが、 ライチゼリーと桂花陳酒のゼリー(キンモクセイのお酒)を半分づつ盛ってある。食べてビックリって仕掛けだな』 我が子を自慢するように説明するジョルジュさんをよそに、女性スタッフは身を乗り出さんとして食べたそうにしている。 (*゚∀゚)『説明はいいからさ!! 早く食べさせてよっ!! 4皿も用意してあるのは考えがあってのことなんだろっ!!』 良くぞ聞いてくれた!! そう言ってジョルジュさんは椅子に飛び乗った。 16 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/08(月) 00:00:50.00 ID:KW8Sy17O0 ( ゚∀゚) 『甘いデザートを食べる時、人は母親の胸に抱かれるような安らぎを得るという。 俺様は今回ここに目をつけた。 つまり、この一番大きくて柔らかいのがしぃちゃんのおっぱい!! 二番目に大きくてしぃちゃん以上に柔らかいのがクーさんのおっぱい!! 大きさはクーさんレベルだがちょっと硬めに仕上げたのがツーちゃんで、 残念賞を上げたくなるのがツンのおっぱいな。 その日の気分によって抱かれる女性を変えられる気分にさせてくれる、これぞ究極のデザート!! 名づけて【OPPAI~白き温もりの囁き~】だ!!』 ( ^ω^)'A`),,゚Д゚) 『……』 ξ#゚△゚)ξ #*゚ー゚) #*゚∀゚) 『……』 呆然とする僕らの視線を無視してジョルジュさんは演説を続ける。 その椅子の足をツンのローキックが払い、ジョルジュさんは見事に床に転落した。 ( #゚∀゚) 『…っ痛ぇ!! 何しやがる二次元乳女!!』 ξ#゚△゚)ξ『 黙 り な さ い 。ちょっと裏まで来てもらえるかしら?』 ( ;゚∀゚) 『え? え? 俺様何か悪い事したか…っていやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…』 本気モードのツンに胸倉を掴まれ、自慢のデザートの感想を聞く事無く ジョルジュさんはスタッフルームと書かれたドアの向こうに姿を消した。 ('A`) 『…あの人、もしかして今日一日これ作ってたのか?』 ( ,,゚Д゚) 『阿呆だ…本物の阿呆だ…』 19 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/08(月) 00:06:40.92 ID:KW8Sy17O0 気まずい雰囲気の中、僕らは試食を始めた。 うん、美味しい。味は最高だけどあんな説明を聞かされたせいで ( ^ω^) (確かにしぃちゃんのおっぱいはツーさんに比べて柔らかくてちょっと甘い気がするお) などと考えてしまう。 それはドクオやギコさんも同じようで、ドクオは【しぃちゃん】には口をつけないようだし ギコさんは【ツーさん】は食べようとしなかった。 無言でスプーンを口に運ぶ女性2人が異様な雰囲気をかもし出している。 そんな重い空気の中ギコさんが口を開いた。 ( ,,゚Д゚) 『なぁ、ドクオ。やっぱり俺思うんだが…』 ('A`) 『あの件ですか? 今なら俺も全面的に同意です』 2人は女性2人には聞こえないように小声で会話を始めた。 ( ^ω^) 『あの件ってなんだお?』 僕も会話に交ざる。 ('A`) 『あぁ…ジョルジュさんってもしかして童貞じゃないかって話だよ』 ( ^ω^)『ま、まじかお!? でもあの人確か今年で…』 ( ,,゚Д゚) 『28歳だ。 でもおかしいだろ? あの年齢であの乳へのこだわり… 女を知らねぇとしか思えねぇぞゴルァ』 ( ^ω^)(…確かに) 21 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/08(月) 00:08:53.95 ID:KW8Sy17O0 ( ,,゚Д゚) 『証拠はまだある』 ギコさんはつまらなそうに杏仁豆腐をスプーンで崩しながら続けた。 (* ( ,,゚Д゚) 『あいつがあまりにもおっぱいおっぱい騒ぐから、裸のお姉ちゃんがいる飲み屋に誘ってやったんだがな。 何度誘っても来ねぇんだゴルァ。仕方なくドクオと2人で…』 ( ;^ω^)(志村ー!! 後ろ後ろ!!) (* ー )『ギコ君…ちょっといいかしら?☆』 その言葉にギコさんはハッと振り返る。 ( ;,゚Д゚)『し、しぃ!? どこから聞いて…た?』 (* ー )『裸のお姉ちゃん…のあたりかしら。少し2人だけでお話したいな☆』 ( ;,゚Д゚)『…はい、わかりました』 そうして、しぃちゃんとギコさんはツンとジョルジュさんが消えた扉の奥に入っていった。 肩を落としたギコさんの表情はまるで死刑宣告を受けた受刑者のようだった。 ( ;^ω^)『ご冥福をお祈りしますお』 23 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/08(月) 00:13:56.00 ID:KW8Sy17O0 ( ^ω^)『それよりもドクオもギコさんも酷いお!! なんで僕を誘ってくれなかったんだお!!』 しぃちゃん達の事は二人の問題だし。僕は精神的健康に悪い問題を頭の中から除外した。 ('A`) 『お前には刺激が強すぎる』 ( ;^ω^)(まぁ、そうだけど…) (*゚∀゚) 『あれ? ブーちゃんに刺激が強いって…もしかしてブーちゃんも穢れなき乙女かい!? いやぁ、残念!! あと半年早かったらこのツーおじさんが相手してあげたんだけどさ!!』 ツーさんが男として超屈辱的なことをあっけらかんと口にする。 どうやらツーさんはツンやしぃちゃん程怒ってないようだ。 (*゚∀゚) 『まぁね!! ジョルジュさんがあの性格ってのは分かってるし、ドッ君だって男なんだからさ!! たまにはそんな事もあるさ!! あたしはちゃんと満足させてもらってるから大丈夫!! しぃはまだまだ子供なんだよ!!』 ('A`) 『そ、そうだって!! 俺だって何度か連れてってもらったけど楽しいわけじゃ…』 (* ∀ ) 『・・・…何度か?』 ドクオの言葉にツーさんの表情が一変した。 (* ∀ ) 『…何度も行ったんだ? …ふ~ん』 無言でスタッフルームを指差す。 そして2人もこの場を去っていった。 ( ;^ω^)(あれ? いつの間にか僕一人!?)
Last updated
Jan 24, 2007 12:31:50 AM
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