2006/12/30(土)20:33
( ^ω^)ブーンはユメクイのようです(第五話二)
20 名前:猪(甘党)[] 投稿日:2006/12/23(土) 20:28:07.26 ID:vbwFTNTZ0
みるみるうちに、周りの景色が変わっていく。
そして、気がつけば暗闇の中に居た。
しかしその所々に白く輝く点が散らばっている。
不意に後ろから圧力を感じる。振り返ってみると、
そこには巨大な隕石が追いかけてきている。
それは次第にスピードを上げ、近づいてきた。
(;^ω^)「ぶつかるううううう!!!」
と叫んだ瞬間、ジェットコースターは下降する。
そして頭上スレスレのところに隕石は通り過ぎる。
21 名前:猪(甘党)[] 投稿日:2006/12/23(土) 20:28:30.12 ID:vbwFTNTZ0
そして、再び前を見ると、今度は目の前に惑星が迫っていた。
その星は茶色いまだら模様をしていて、
それを囲うようにドーナツ状の輪が囲んでいる。
目の前の茶色に向かって加速し、
気がつけば輪の上に着地していた。
そのままそれに沿うように激しくカーブしながら走る。
一周した後、その勢いで輪のレールから跳躍。
次に現れたのは、凸凹の多い惑星。
次第に高度を下げて、その表面に着陸する。
しばらく平坦なところを走っていたが、
急に先の地面が見えなくなる。
そこには巨大な大穴が広がっていた。
これがクレーターと呼ばれるものだろうか?
その直径は100メートルはある。
今度はその底に向かって急降下だ。
22 名前:猪(甘党)[] 投稿日:2006/12/23(土) 20:28:57.51 ID:vbwFTNTZ0
(;^ω^)「死ぬううううううううううう!!!」
クレーターの中は光が届かないのか、
先は真っ黒で底が無いように感じた。
そして、そのまま吸い込まれるかのように、
僕の視界は暗闇に包まれる。
しかし、その先には一筋の光が見えた。
次第にその光は明るくなる。
そして辺りが明るくなると、
再び僕は宇宙空間の中に居た。
後ろを振り返るとそこには、
黒く渦巻くブラックホールが見えた。
そうか、あそこから抜け出してきたのか。
再び前を見ようとする途中、
横では羽の生えた白い馬が併走していた。
その体には星のような点がいくつか浮かんでいる。
23 名前:猪(甘党)[] 投稿日:2006/12/23(土) 20:29:22.41 ID:vbwFTNTZ0
我に還ると、ジェットコースターは再び、
金属のレーンの上にあり、その動きを止めていた。
ふと、右手の手のひらに暖かい感触。
ゆっくりと、右下に視線をやると、
僕の手をか細い彼女の手のひらが包んでいた。
(;^ω^)「…あの…手が…その…」
Σξ;゚△゚)ξ「っ!?」
それに彼女も気づいたのか、ぴくり、と体を震わせた。
※ここから携帯
31 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:24:04.61 ID:E32VWjc1O
ξ;゜△゜)ξ「………」
ξ//△/)ξ「…わっ、私が落っこちないように、つかまってただけだからねっ!!」
慌てて、彼女はそう切りかえす。
顔が赤く見えるのは気のせいだろうか?
ξ//△/)ξ「…ほっ、ほら!!さっさと次行くわよ!!」
そう言うや否や、彼女は僕を押し出し、
ジェットコースターから降りる。
そして、僕の手をとり、また何処かに駆け出していく。
彼女の顔は後ろからは見えないが、
なんだか微笑んでいるような気がした。
33 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:31:45.67 ID:E32VWjc1O
次にやって来たのは、西洋風の城の前だった。
その壁々には二人の悪魔が向かい合うかのように、
手を繋いで飛ぶ様子が、彫刻されている。
その様子はこの城の壮厳さと不気味さを引き立たせていた。
その上には血のように真っ赤に染まった月が浮かぶ。
そしてそれをバックにして、
蝙蝠の群れが円を描くように飛び回っていた。
(;^ω^)「…ここは?」
ξ゜ー゜)ξ「…一回行ってみたかったのよね」
そうとだけ呟くと彼女は僕を中に引っ張っていく。
その中は、たいまつの光が点在するのみで薄暗く、
まるで石のブロックで出来た洞窟のようである。
そして、それを抜けると大きいホールのようなところに出る。
34 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:34:53.06 ID:E32VWjc1O
その中は、先程の洞窟と同じように、
前面石のブロックで囲まれている殺風景な雰囲気だった。
しかし、その奥には、裂ける様に大きく口を開け、
根を張るように床に四肢を付けた石の悪鬼の姿がある。
それは、今まさに僕を喰らい尽くさんばかりの表情だ。
そして、その周りにはゆらゆらと、
燭台の上で数百本の蝋燭の火が揺れる。
しかし、それを見つめているときに、あたりを包む突風。
揺れるように火は一瞬で消え去ってしまった。
そして、辺りは暗闇に包まれる!!
「キャアアアアアアアッ!!!」
その空間を埋め尽くすのは女性の悲痛な叫び声。
そして、僕の前に、青白い炎のようなものが浮かぶ。
それは、次第に揺れながら形を変え、
全身黒のローブを纏った男の形になる。
そしてその右腕には、僕の前に居た彼女が抱えられていた。
36 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:39:06.46 ID:E32VWjc1O
「フハハハハッツ!!!!!
姫、そしてお前の妹は預かったぞ!!
私は魔王ベルゼバブ!!
助けたければ魔龍城まで来るのだな!!
さもなくば…生贄にしてくれようぞ!!!
しかし、『聖なる石』の無いお前に、
私が倒せるかな?」
そう言うと、どこかのゲームか漫画で聞いたような、
テンプレ通りの台詞を吐き捨ててその男は消えてしまった。
居場所と攻略法をわざわざ知らせるとは親切である。
実は彼はいいやつなのかもしれない。
それにしても僕の妹…?
何かぼんやりと女性の顔が浮かんだが上手く思い出せない。
気がつくと、蝋燭の火は再び灯り、辺りは明るくなっていた。
そこで、始めて僕は体に異変に気づく。
僕の左手には盾。なにやら獅子の顔お様なものが彫刻されている。
僕の右手には剣。その刀身は燃える様にギラギラと輝く。
そして、いつの間にか僕は胸当てに小手、マントを纏っていた。
ふと、左を見ると、そこには上へと続く石の階段がある。
凄くわかりやすいな、と思いつつ僕は足を進めた。
が、その奥から、カチャッ、カチャッ、と、
鉄をこすり合わせるような鈍い音が聞こえてくる。
37 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:42:48.22 ID:E32VWjc1O
その音がはっきりと聞こえた頃、
僕は、その姿をはっきりと確認できた。
それは、真っ白な人骨。それが人の形を成していた。
そして、その頭は、錆び付いた鉄の兜で覆われ。
その手には錆び付いた、鈍く輝く剣が握られていた。
その骨の塊は、カチカチ、と音を立て、顎を上下させている。
(;^ω^)「うあああああ!!ホラーマンktkr!!」
その、彼とも彼女とも居えない物体は、
僕の姿を確認したかのようにこちらを向き、
急にこちらへ駆け出していく。
(;^ω^)「NOオオオオオオッツ!!!」
僕も、反射的に、背を向けてダッシュする。
そして、悪鬼の石像の方へと向かっていく。
当然後ろの骸骨は追いかけてくる。
僕は走る!走る!走る!!!
見る見るうちに目の前の石像は大きくなってくる。
そして、気がつけば蝋燭の炎は目と鼻の先にあった。
38 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:44:45.31 ID:E32VWjc1O
僕は急いで回れ右をして、方向を変える。
そして、その背中に風圧を感じる。
見てみれば、蝋燭が数本、上下に真っ二つに切れていた。
なおも僕は、走る!走る!走る!
僕はひたすら逃げ出した。だがそれも虚しく、最後には
『しかし まわりこまれて しまった』
という言葉に、ぴったりな状況に陥ってしまった。
気がつけば、僕はホールの角に追い詰められていた。
かちゃり、かちゃり、と音を立て、
目の前の骸骨はにじり寄ってくる。
そして、目の前の剣が振りかぶられた時、
僕は、終った。と思った。
40 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:47:21.34 ID:E32VWjc1O
しかし、僕の予想とは裏腹に、別の事態が起こった。
気がつけば、僕の剣と彼の剣はピッタリとくっついていた。
骸骨はなおも、その剣を僕に振り下ろす。
しかし、再びそれは僕の剣に吸いつけられる。
気がつけば僕の腕は勝手に動いていた。
(;^ω^)「おっ?おっ!?おっ!!」
気がつけば、それは時代劇の殺陣のようだった。
骸骨が振りかぶれば、僕の剣はそれを阻む。
骸骨がなぎ払えば、僕の剣はそれを弾く。
僕は、剣の動きに合わせて動くだけで良かった。
41 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:48:37.81 ID:E32VWjc1O
( ^ω^)「おおおおおおおッ!!!!!」
最後に僕の腕は右斜めに剣を振り落とす。
すると、空に一閃を描いたあと、骸骨は真っ二つになり、
ガラガラと音を立てて崩れ去った。
( ^ω^)「すごい!!すごいお!!」
この剣の力に感心しつつ、
僕の視線は、再び階段の方へと向かっていた。
( ^ω^)「行くお!!」
そう言うや否や、僕は駆け出していった。
43 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:51:21.11 ID:E32VWjc1O
スペースの関係上、
僕の冒険談は割愛させて頂くが、簡潔に説明しよう。
階段を登ったあと、僕は巨大なオーガに襲われるも、
この剣のおかげで何とか倒すことができた。
そして、階段を登るたびに別のモンスターが現れる。
ゴブリンの群れや、ぶよぶよとしたスライム、
鋭い牙を持った三つ首の猛獣に、大きな毒蛇。
数え切れないくらいのモンスターが現れたが、
僕はそれらを、ものともせず倒していく。
そして、僕はある大きなホールにたどり着いた。
そこには、一つの人影があった。
44 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:53:21.43 ID:E32VWjc1O
「フフフフフ!!私は四天王の一人『不死身』のサイアーク!!
ここが貴様の墓場となるのだ!!」
(;^ω^)「なにぃ!!不死身だと!?倒せないじゃないか!!
チクショオオオオオオ!!!」
ならば、と思い僕は駆け出していった。
(;^ω^)「くらえサイアーク!
新必殺音速火炎斬!!」
その剣に炎を纏い僕は突進する!!
「さあ来いブーン!オレは実は一回刺されただけで死ぬぞオオ!」
突然のカミングアウトをよそに、僕は彼の体を貫く!!
「グアアアア!
こ、このザ・フジミと呼ばれる四天王のサイアークが、
……こんな小僧に…」
そして、彼は断末魔を上げる。
「バ…バカなアアアアアア」
そして、僕はそのまま突進を続ける。
47 名前:猪(やせ)[] 投稿日:2006/12/23(土) 21:56:41.32 ID:E32VWjc1O
その一方、ここは、
暗闇に包まれたある部屋の中。
そこには異形の者たちが三人。
奇妙な椅子を並べ、彼らは何かを話しているようだった。
彼らの居る部屋の向こうからはなにやら断末魔が聞こえる。
『グアアアア』
「サイアークがやられたようだな…」
手前で、そう語る黒マントに鉄仮面を纏った男。
その名は四天王が一人、ゴクアーク。
「フフフ…四天王の中で最も最弱…」
それを聞き不気味に笑う、包帯のようなものを纏う男。
その名は四天王が一人、キョウアーク。
「人間ごときに負けるとは魔族の面汚しよ…」
その目に冷酷さを浮かべた、四本の角を持った男。
その名は四天王が一人、レツアーク。