2007/04/06(金)09:55
('A`)ドクオと川 ゚ -゚)クーは夢の中で出会うようです(第一話中)
10 : AA職人(茨城県):2007/03/15(木) 19:26:33.47 ID:bjpGI8cC0
川 ゚ -゚)「……聞かないのか?」
永遠に続くかとさえ思われた沈黙は突然破られた。
('A`)「何を?」
川 ゚ -゚)「いろいろあるだろ。氏名、年齢、住所、電話番号とか」
('A`)「じゃあそれ全部教えてくれ」
川 ゚ -゚)「教えられるわけないだろ。個人情報だぞ」
さっき自分で言ったことなど記憶にないかのように少女は言った。
('A`)「ああ、そっすか……」
その理不尽ささせ感じさせる発言にただただ圧倒されるドクオ。
また沈黙が続く。
11 : AA職人(茨城県):2007/03/15(木) 19:29:25.36 ID:bjpGI8cC0
川 ゚ -゚)「私の名前はクーだ」
('A`)「……教えてんじゃねえか」
川 ゚ -゚)「君の名前はドクゥオだろ?」
('A`)「ドクオな」
川 ゚ -゚)「何故私が君の名前を知っていると思う?」
('A`)「夢だからだろ」
川 ゚ -゚)「ブッブー、残念でした。正解知りたいか?」
('A`)「別に」
川 ゚ -゚)「知りたいだろ?」
('A`)「別に」
川 ゚ -゚)「知りたいと言え」
('A`)「何で?」
川#゚ -゚)「いいから知りたいと言え!!このヘチマ野郎!!」
(;'A`)「ぎゃああああああああああ!!!」
12 : AA職人(茨城県):2007/03/15(木) 19:31:26.24 ID:bjpGI8cC0
クーの激昂と共にコタツは宙高く舞い上がった。
(;'A`)「ミカンが……俺のミカンが……」
先ほどまでドクオが食べていたミカンたちはコタツの下敷きになり、見るも無残な姿に変わり果てていた。
川 ゚ -゚)「そこまで知りたいと言うなら教えてやろう」
('A`)「知りたいなんて一言も言って――」
ドクオの発言はクーの投げたミカンによって遮られた。
鈍い音と共にドクオの顔が無理やりにその方向を変えられる。
(#)'A`)「夢なのに痛い……」
川 ゚ -゚)「当たり前だ。これはただの夢じゃない」
13 : AA職人(茨城県):2007/03/15(木) 19:33:22.69 ID:bjpGI8cC0
('A`)「……どういうこと?」
川 ゚ -゚)「これは確かに夢だが今まで君が見てきた夢とは違う」
川 ゚ -゚)「正確に言うと君が今まで見てきた夢のスペースを私が占領させてもらったということだ」
('A`)「……はぁ?」
今まで聞いたこともないような単語を口にされ、訳の分からない表情で返事を返す。
川 ゚ -゚)「人間は眠りにつくと夢をみる。
その夢とは夢のスペースに毎晩毎晩ランダムに設置される。
そのスペースに私が定住したと言えば少しは理解してもらえるかな」
('A`)「……はぁ」
理屈は何となく理解できたが何故そのようなことをしなければならなかったのか?何が目的なのか?
重要な部分が、未だにドクオの中で理解できていなかった。
('A`)「で、そのクーさんとやらは何でそんなことをしたのかな?」
川 ゚ -゚)「……私は他人になりたかった。君もそう思ったこと、一度はあるだろ?」
('A`)「俺は別にないかな」
クーはいつの間にかうつ伏せになっていた。
15 : AA職人(茨城県):2007/03/15(木) 19:36:06.97 ID:bjpGI8cC0
('A`)「あのー、クーさん?」
呼びかけても何も言わず、うつ伏せになり腕の上に顔を伏せた状態でピクリとも動かない。
その姿はコタツの中で見たそれとほぼ同じだった。
('A`)「なんなんだよこの人……」
川 ゚ -゚)「涙を人に見せてはいけない」
('A`)「は?」
川 ゚ -゚)「そう母に教えられた」
体を起こしながら答える。
どうやら表情に出た悲しさを悟られまいとしてうつ伏せになっていたらしい。
16 : AA職人(茨城県):2007/03/15(木) 19:39:23.35 ID:bjpGI8cC0
('A`)「そうですか……で?さっきの話の続きは?」
川 ゚ -゚)「そうだそうだ忘れていたな。
とにかく、君のような無粋者には分からないのかもしれないが、
時に人は他人になってみたいと思うことがあるのだ。私はその気持ちが人一倍強かった」
('A`)「無粋者って意味分かって言ってんのかな」
川 ゚ -゚)「その気持ちが届いたのか私は人の夢に住めるようになった。
もちろん住むだけでは他人になったとは言えん。
そこから『おでかけ』をしなければならないのだ」
('A`)「『おでかけ』?」
川 ゚ -゚)「それについては今夜の夢の中で話そう。
そろそろ一時間目が終わる頃だ。私が夢から解き放ってやる」
('A`)「解き放つって……え……?」
クーが近づいてくる。体だけでなく顔まで。
(*'A`)「ちょwwwwwこれってまさか目覚めの……」
ドクオの中にちょっとした期待が湧き上がる。
川 ゚ -゚)「そう。目覚めのヘッドバットだ」
近づいてきた無機質な顔はゆっくりとその距離を離していき、弾かれたパチンコ玉のようにドクオに衝突した。
少年の心に生まれた青臭い希望は脆くも崩れ去ったのだった。
18 : AA職人(茨城県):2007/03/15(木) 19:41:34.39 ID:bjpGI8cC0
「ド……起き…………」
('A`)「……ん……?」
( ^ω^)「ドクオ起きるお!もう1時間目終わっちゃったお!」
先ほど衝突した顔とは対照的な、暑苦しい顔が目の前に現れた。
( ^ω^)「1時間目から寝るなんてドクオは学校に何しに来てるんだお」
('A`)「……まぁいいじゃねぇか」
ブーンとなんてことのない会話をこなしている内に二時間目の教師が教室に現れた。
いつもどおりの授業風景。ドクオはその時間を睡眠か考え事に当てている。
この後も三時間目と五時間目を睡眠に当てたがクーが夢に現れることはなかった。
そして、普通の夢を見ることもなかった。