2007/01/15(月)17:11
( ^ω^)が料理人になるようです(第七章下)
12 名前:料理 ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 03:25:16.86 ID:tSHjCZkI0
翌日。
ショボンの『考え』とやらが実行された。
いや、させられたと言うべきか。
その詳細については・・・俺の口からはとても言えねぇ。
とにかく俺はその日ランチタイムが始まる前に出勤した。
本来遅番の俺がこんな早い時間に来た事でスタッフは驚いていた。
ショボンの【考え】とやらの為早く呼び出されたのもあるが、
早い時間に来て自分の仕事をとっとと終わらせあのバカに少し仕事を教えてやろうかと思ったからだ。
『流されるのではなく自分の意思で』
ショボンの奴。たまにはいい事言うじゃねぇかゴルァ。
冷菜の仕込みを済まし、慌しいランチタイムを終えてから俺はしぃに昨日の事を謝りに行った。
俺が悪いとはおもわねぇが、しぃが言う事も間違っていないと思ったからだ。
しぃは終始ご機嫌。
『流石あたしのギコ君☆愛してるよっ☆』とまで小声で言ってきた。
( ,,゚Д゚)『・・・やれやれだ』
赤面しちまうぞゴルァ。
厨房に戻るとバカを挟んでドクオとツーがなにやら騒いでいる。
( ,,゚Д゚)『何やってんだお前ら?』
14 名前:料理 ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 03:28:10.17 ID:tSHjCZkI0
(*゚∀゚)『あ、ドクオ君がブーちゃんの包丁の使い方がダメダメってんで教えてあげてるんですよっ!!
それを聞いたらこのブーちゃん専属コーチも引っ込んでられませんからねっ!! 目に物見せてやりますよっ!!』
あのドクオが自発的に? コイツも変わろうとしてるのかも知れねぇな。 ツー。お前も見習いやがれ。
( ^ω^)『おっwwwおっwwwおっwww僕ギコさんの事誤解してたみたいだおwww』
( ,,゚Д゚)『・・・朝の事か?頼むから忘れてくれ』
( ;^ω^)『すまんおwwwで、昨日ギコさんに言われたとおり本屋でこの本買ってきたけど全然分からないんだお』
【腐女子でも分かる包丁テクニック図鑑】と書かれた本を大事そうに抱えている。
( ,,゚Д゚)『どれ見せてみろ。・・・うん、ダメだなこりゃ』
( ;^ω^)『秒殺かお!!』
( ,,゚Д゚)『飾り切りとか・・・お前にはまだ必要ないだろ。もっと初心者向けの本がいいぞゴルァ
ま、ヒントをやるとしたら【時代劇】ってトコか』
それを聞いてドクオとツーはピンと来たらしい。当然だ。こいつらにも昔同じヒントやったからな。
('A`)『それなら俺は【日本刀】ってトコで』
(*゚∀゚)『【時代劇】に【日本刀】かぁ!! ブーちゃん分かんないって顔してるねっ!!
でも正解は教えないよっ!! たとえ不正解でも自分で考えるのが大切さっ!!
分からなければなんでもいいから時代劇見てごらん!! あ、あたしのお薦めは鬼平犯科帳かなっ!!
妹が時代劇大好きでさっ!! DVD全部持ってるんだっ!! 貸してあげようか!?
ん~、じゃツー様から最大のヒント!! なんで包丁は長いのか、考えてごらん!!
これ以上は言えないよっ!! 答えは明日までにレポート用紙3枚にまとめて提出する事!! 分かったねっ!!』
16 名前:料理 ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 03:30:24.73 ID:tSHjCZkI0
翌日。
( ^ω^)『みんな。昨日の答え・・・僕なりに考えてみたお。見てほしいお』
その言葉で俺達3人はバカの周りに集まった。
バカはまな板の上に1本の葱を置き、軽く包丁の刃元を当てた。
それをゆっくりと手前に引いていく。
ちょうど刃先の辺りで切り落とされたそれは美しい切断面を俺達に見せていた。
( ,,゚Д゚)『正解だ。時代劇で人を切るシーンを見れば分かるが、
刃物ってのは刃の全体を使って切るのが基本なんだ。
お前は今まで刃の一部を使って叩き切るだけだった。
だが、それだと切断面を潰してしまうから仕上がりが汚い。
何より無駄な力が入るから疲れるし、包丁を自在に操れないから危険も増す。
引いて切るにしろ押して切るにしろ・・・』
('A`)『やるじゃん』
(*゚∀゚)『やったねブーちゃん!! あたしは信じてたよ!! レポートの事はこの際許しちゃうさっ!!』
( ^ω^)『おっwwwおっwww2人ともありがとうだおwww』
こいつら人が長々と説明してるのに聞いてやしねぇ・・・。
( ,,゚Д゚)『ま・・・いいか』
バカ・・・いや、内藤の笑顔を見ているとそんな風に思える。
昔の俺も1つ壁を乗り越える度にあんな顔をしていたのだろうか。
時代が変わっても変わらない物がある。
俺も少し嬉しくなった。
18 名前:料理 ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 03:32:18.82 ID:tSHjCZkI0
(´・ω・`)『お、来たね。待ってたよ』
仕事を終えいつもどおりバースペースに立ち寄った俺を待っていたのは
いつもどおりのしょぼくれ顔だった。
( ,,゚Д゚)『てめぇ・・・昨日のアレはなんだ?』
(´・ω・`)『うまくいったみたいじゃないか。何か問題でも?』
川 ゚ -゚)『ギコ。店中の話題独占だぞ。凄いじゃないか。是非私にも見せてくれ』
勘弁してくれ。そう言う俺の前にグラスが置かれた。
( ,,゚Д゚)『ショボン・・・昨日あの頃の夢を見た』
(´・ω・`)『あの頃?』
( ,,゚Д゚)『お前に初めて会った頃の夢だ』
それを聞いてショボンはグラスに視線を落とした。
川 ゚ -゚)『・・・私は席を外そうか?』
( ,,゚Д゚)『いや、かまわねぇ。長い話じゃねぇからな』
19 名前:料理 ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/01(月) 03:33:27.91 ID:tSHjCZkI0
(´・ω・`)『・・・後悔・・・しているのかい?』
( ,,゚Д゚)『・・・何の事だ?』
(´・ω・`)『君を無理矢理この店に引き込んだことだよ』
( ,,゚Д゚)『そんな事はねぇよ。むしろ感謝しているくらいだ』
(´・ω・`)『そうか・・・ありがとう』
( ,,゚Д゚)『よせよ。礼を言うのはこっちの方だ』
俺は・・・俺は傷つける事しかできないかまきりだった。
時代遅れの骨董品だった。
でも、あいつらの笑顔を見て思った。
俺はまだ変われる。
俺にもまだまだ出来る事がある。
花になったかまきり。
ふと、そんなフレーズが頭をよぎった。
グラスに注がれた酒を一息に飲み干し、俺は席を立つ。
川 ゚ -゚)『もう帰るのか?』
( ,,゚Д゚)『あぁ。たまにはあいつを一晩中愛してやりたいからな』
1秒でもいいから早く会いたい。
俺は愛する人の幼い顔を思い浮かべた。