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LOYAL STRAIT FLASH ♪

三十三章三

160 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/26(水) 01:10:01.64 ID:e8ECLFRD0

翼で己が身を包み込むようにし、身体を護る。
その翼にぶつかった氷の鋏は砕け散ってしまった。

ξ;゚△゚)ξ「危なかっ……」

呟いて翼を広げたツンは、言葉を失った。
眼の前に、跳躍したクーがいたのだ。

右腕の一撃で左の翼を強引に広げさせ、左腕の一撃で右の翼を強引に広げさせる。
ツンの身は、ガラ空きだ。

川 ゚ -゚)「油断大敵」

呟いて、彼女はツンを蹴り落とした。
空中での蹴りだと言うのにその威力は尋常でなく、ツンは抗う事も出来ずに床に墜落した。

ξ;゚△゚)ξ「がっ!!」

(;゚ー゚)「ツン!」

川 ゚ -゚)「パートナーの心配をしている場合ではないな」

(;゚ー゚)「うっ……!」

つい一瞬前までツンの相手をしていたクーが、眼の前にいた。

間髪置かず、攻撃は開始される。
攻撃は、両腕での猛攻。ハインと同じ攻撃だ。


162 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/26(水) 01:12:02.79 ID:e8ECLFRD0

(;゚ー゚)「くっ……くぅっ!」

川 ゚ -゚)「どうした、遅いぞ」

左腕だけで何とか凌ぐが、このままでは長く持たない。
一撃一撃が重く、速いのだ。少しずつ押されつつある。

(;゚ー゚)「なら……!」

もう反応しきれないと判断したしぃは、次のクーの攻撃に真正面から相対した。
そして、その衝撃を利用して後ろに大きく跳び、距離を取る。

川 ゚ -゚)「ふん」

勿論、クーがそれをただ許すはずはない。
彼女は右腕をしぃに向けると、氷塊の弾幕を放った。

(;゚ー゚)「苦しい事には変わりないか……!」

呟きつつも光の防御壁を張り、弾幕をやりきる。
しかし安心は出来ない。クーはもう、眼前に迫ろうとしている。

しぃはクーから更に距離を取ろうとして―――驚愕した。
距離を取る事は出来なかった。動く事が、出来なかった。

(;゚ー゚)「何故―――!?」

足元を見て、再度驚愕した。
彼女の足を捉えているのは、ひどく分厚く作られた氷だった。


163 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/26(水) 01:14:15.56 ID:e8ECLFRD0

川 ゚ -゚)「私の“力”は、水分操作だ。よく知っているはずだが」

(;゚ー゚)「氷塊での攻撃は―――布石?」

川 ゚ -゚)「あぁ。氷塊で攻撃する一方、お前の足下にも氷塊を捲き、溶かして、再度凍らせた」

呟きながらもクーはしぃに歩み寄る。
そして右腕の爪をしぃの首に突き付けると、微笑んだ。

川 ゚ー゚)「私の勝ちだ」

(;゚ー゚)「……敗けたよ。やっぱ姉さんにはまだ勝てないや。
     しかも姉さんってば新しい戦い方見付けちゃって……また姉さんとの差が開いちゃったよ」

川 ゚ー゚)「何、これから共に強くなっていけば良いさ」

そして彼女は、右腕を元の腕に戻した。
それと同時にしぃの足を捉えていた氷も溶解し、彼女は自由になる。

ξ;゚-゚)ξ「うー……」

呻きながらも、ツンも立ち上がった。
彼女の背中の翼も、既に消え去っている。

川 ゚ー゚)「大丈夫か、ツン?」

ξ;゚△゚)ξ「身体の方はね。でも精神的にはあまり大丈夫じゃないわ。
      悔しくて堪らない」


165 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/26(水) 01:16:53.16 ID:e8ECLFRD0

川 ゚ー゚)「その悔しさが、お前をもっと強くするさ」

ξ;゚△゚)ξ「だと良いんだけど」

そこで会話を切り上げ、クーはフサに視線を送った。

ミ,,゚Д゚彡「終わったか」

川 ゚ -゚)「見ての通りだ」

ミ,,゚Д゚彡「ふむ」

フサは頷くと、「ちょっとみんな集まれ」と声をあげる。

( ^ω^)「お? 何だお?」

ミ,,゚Д゚彡「良いから集まれ。ぐずぐずするな」

(;^ω^)「お……」

まもなく全員が集まると、フサは口を開いた。

ミ,,゚Д゚彡「これからはこんな感じで、実戦的な訓練を繰り返していく。
     もちろん人数・相手は次々と換えて、な。
     何か質問はあるか?」

(,,゚Д゚)「……訓練の形式に関しては質問ないが、ちょっと聞いて良いか?」

ミ,,゚Д゚彡「む?」


168 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/26(水) 01:18:06.07 ID:e8ECLFRD0

(,,゚Д゚)「さっきも聞いたが、『最終決戦までの時間は多くない』って……どういう事だ?」

川 ゚ -゚)「む、忘れていた。私が説明する、と言っていたのだったな」

(,,゚Д゚)「あぁ、説明が欲しい。頼む」

川 ゚ -゚)「最終決戦までの時間は多くない……というよりは、早く攻めたいといった方が分かりやすいな。
     その要因は二つ。まず、モララーの“力”が全快まで復活する前に攻めたい。
     そしてもう一つは、不確定要素を持ったあちらの人間が目覚める前に攻めたい」

('A`)「不確定要素。それはつまり」

ミ,,゚Д゚彡「そう。件の、プギャーだ」

川 ゚ -゚)「万が一、彼が本当に凄まじい“力”を持っているのならば―――それが目覚めてしまうのは困る。
     だから、出来る限り早く攻めたいってわけだ」

( ^ω^)「今すぐにでも攻めに行く事は出来ないのかお?」

ミ,,゚Д゚彡「行けない事はないが……失敗する可能性が高まる。
     あちらはほぼ全員がほとんどダメージを受けていない。
     モララーにしても、奴は“力”を使わずとも戦えてしまうわけだからな」

ミ,,゚Д゚彡「それにこちらは、クックルという大きな力を失った。
     かつ、モナーだって今は戦闘不可能だ。その二つの穴は大き過ぎる」

( ゚∀゚)「でもさ、それでもこっちは八人だよ? あっちは七人。
     しかもあっちのモララーと流石兄弟は戦えない状態だ。
     実質、四人と戦うようなもんじゃないの?」


170 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/26(水) 01:20:01.37 ID:e8ECLFRD0

川 ゚ -゚)「フサも言ったが、モララーは“力”なしでも戦えてしまう。
     それは流石兄弟にも言える事で―――しかもあの兄弟は、すぐに戦線に復帰するさ」

('A`)「? どういう事だ」

川 ゚ -゚)「奴らの身体が特殊なのは知っているだろう?」

('A`)「まぁ。だが具体的には知らないな」

川 ゚ -゚)「なら、簡単に説明しておこう。彼らは、異能者の中でも極めて特異な存在だ。
     兄は二つの異能をその身に保持し、それと引き換えにしたように、弟は“力”と感情を失った。
     どこで間違えたのか、それとも運命の悪戯か、弟の“力”が兄のものとなってしまったわけだな」

川 ゚ -゚)「そして二人は痛覚を失い、異常なほどの肉体の再生力を得た。
     絶対に生き残れるはずのない傷を受けても死なず、
      しかも僅かな日数があれば、大抵の傷は再生する」

(;゚∀゚)「ゾンビかよ」

ミ,,゚Д゚彡「決して遠くないな」

(;゚∀゚)「うへ。勘弁してよ」

川 ゚ -゚)「流石兄弟が戦線に入る為、あちらは六人だ。
     そしてモララーも、“力”を使わない戦闘を仕掛けてくるとすると、七人。
     七対七。ここにモナーがいないのは辛い」

川 ゚ -゚)「だから、モナーが少しでも戦えるようになったら、出撃するつもりだ。
     モナーが戦線に立てて、かつモララーが全快でないという状態で臨みたい」


173 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/26(水) 01:22:01.76 ID:e8ECLFRD0

(,,゚Д゚)「なるほど、把握」

( ^ω^)「モナーさんはどれくらいで回復しそうだお?」

( ´∀`)「戦線に立てるのは、大体一週間から一週間半後もなね」

( ^ω^)「お、それだけの日数だけで良いのかお?」

( ´∀`)「全快とまではいかないけど、おそらくは戦えるだけのレベルまでは回復するもな」


( ^ω^)「お、そうかお」

( ^ω^)「…………………?」

(;^ω^)「!」


(;^ω^)「おっ!? モナーさん!? いつからそこに!?」

( ´∀`)「もな? ついさっきからもな」

ミ;゚Д゚彡「気付かなかったぞ……」

( ´∀`)「実は気付かれないように近付いてたもなー」

ξ゚△゚)ξ「……良い歳して子供みたいな事しないでくださいよ」


175 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/26(水) 01:25:06.78 ID:e8ECLFRD0

ξ゚△゚)ξ「……良い歳して子供みたいな事しないでくださいよ」

( ´∀`)「僕は童顔だから、まだ子供で通るもな」

(*゚ー゚)「流石にそれは無理ですねー。いくら若く見えるって言っても、未成年には見えません」

( ´∀`)「……まぁ、その話は良いもな。放置するもな」

(*゚ー゚)(あ、逃げた)

( ´∀`)「僕は出来るだけ早く回復出来るように努力するもな。
       君達はひたすら訓練して、強くなってくれもな。
       僕にかける負担を減らしてくれたまえもな」

川 ゚ -゚)「あぁ、努力する」

( ´∀`)「……今の発言には突っ込んでほしかったもな」

川 ゚ -゚)「む?」

( ´∀`)「何でもないもな。それよりも、さっさと訓練を続けてほしいもな」

川 ゚ -゚)「……まったく、本当にマイペースだな」

( ´∀`)「もなもなー」


178 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/26(水) 01:27:14.05 ID:e8ECLFRD0

ミ,,゚Д゚彡「あぁ。じゃあ次は……そうだな、ドクオとジョルジュで戦ってみろ」

(;゚∀゚)「あれ、俺か」

('A`)「らしいぜ。行くぞ」

その言葉は、ゴキゴキという異音を伴っていた。
そしてそれにジョルジュが驚く暇もなく、ドクオは彼に走り寄っている。

ミ;゚Д゚彡「お?」

(;゚∀゚)「は? いや、え、ちょっ―――」


(;゚∀゚)「ちょっ、待て馬鹿野郎ぉぉおおぉっ!!」


叫びながらも、ジョルジュはその場にしゃがみ込む。
そのすぐ頭上を、ドクオの左腕が風を切っていった。

('A`)「ほーれほーれ、さっさと準備しないと嬲り殺しだぞー」

(;゚∀゚)「待て待て待て待て!! 待ッ―――ふざけんなッ!!」

続いて振り下ろされる腕を、転がるようにして回避。
ドクオは間髪置かずに追撃。


180 : ◆tAdHw/rYVY :2007/12/26(水) 01:29:06.06 ID:e8ECLFRD0

しかし。

ミ;゚Д゚彡「いや待て! 本当に待て!!」
  _, ,_
川 ゚ -゚)「…………………チッ」

(;^ω^)「ドクオ! 止まれお!! 馬鹿かお!?」

彼は他のメンバーとの距離を取る事もなく暴れ出した為、その火の粉は周りのメンバーにも降り注ぐ。
しかしドクオは彼らの声にも―――

('A`)「痛い目見たくなきゃさっさと離れろー」

とだけ告げ、暴走を続けるのだった。

(;゚∀゚)「いいかげんにしろぉっ!!」

叫ぶ彼の左腕は、ようやく橙色に変わる。
間を置かず手の甲からブレードを捻り出すと、ドクオの腕に真正面から相対した。

('A`)「準備が遅くね? 実戦を思い浮かべろよ」

( ゚∀゚)「…………………」

ドクオの発言に、ジョルジュは相対しながらも「呆れた」と言いたげに溜息を吐いた。


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