LOYAL STRAIT FLASH ♪

2007/01/11(木)22:10

( ^ω^)が料理人になるようです(第五章上)

224 名前:料理 ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2006/12/30(土) 18:00:30.50 ID:psNSxvjO0      第5章 ロマンチック 僕がバーボンハウスに勤めだしてから何日か過ぎた。 何日かなんてあいまいな表現をされてもしっくりこない、と言うなら1週間以上2週間未満と言い換えてもいい。 とにかくこの間。 僕は便器にこびりついた汚れをそぎ落とし、誰もが靴を履いたまま歩き回る床にモップをかけ、 葱を刻み、狭い洗い場を右往左往し、 バケツで汚水をぶっ掛けられたように全身水浸しになる頃ようやく解放される。 そんな生活を繰り返していた。 勿論ツーさんの一人漫才に耳を傾けたり、空想の中でしぃちゃんの胸に顔を挟み込んだり、 何もしてないのにツンさんに睨まれたりするのは 1年以上異性と関わりを持たない生活をしてきた年齢=童貞にとって ちょっとしたレボリューションではあったけれどもとにかく単調な1日をループする日々だった。 ブログのチェックも毎日欠かさない。 しかし、4日目にして早くもネタに詰まり更新が止まったブログに興味を示す暇人はこの日本中にそう多くないらしく、 アクセスカウンターの開店は連日1桁止まり。コメントは初日に1件あったのみで完全に停滞している。 出勤初日こそ慣れない仕事の連続で自信を失っていた僕だけれども 日を重ねる毎に『天才料理人の本業は掃除や皿洗いではないのではないか?』と言う考えにたどりつくに到り、 毎晩の食事をコンビニで購入した冷凍ピラフをフライパンで炒めながら醤油や黒胡椒でアレンジしたりして ( ^ω^)『うまいおwwwやっぱり僕って天才だったんだおwww』 などと半ば妄想的な思い込みで自分を過大評価していた。 225 名前:料理 ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2006/12/30(土) 18:02:29.14 ID:psNSxvjO0  そんなある日のことだった。 ( ,,゚Д゚)『おい。内藤、ちょっと待て』 いつもの様にランチタイムの喧騒をなんとか乗り切り厨房を出ようとしていた僕は 入れ替わりで出勤してきたコックに呼び止められた。 中肉中背、全スタッフ内でショボンさんに次いで年長者のこの男は 冷菜担当スタッフとしてショボンさんが頼み込んで籍を置いてもらっているとツーさんから聞いた記憶がある。 派手な金髪と両耳に隙間なくつけられたピアス。僕の苦手なタイプだ。 名前はなんていったっけ? ( ,,゚Д゚)『お前、これ見ろ』 すごく・・・大きいです・・・などと言える空気ではないらしい。 指差した先にあるのは僕が今の今まで悪戦苦闘していた洗い場だった。 ( ,,゚Д゚)『シンクにベットリ油カスがこびりついてるよな?ゴミだってたまってるじゃねぇか?      引継ぎの際は自分が汚した場所は綺麗にして引き継ぐ。それが常識ってもんじゃねぇのか?』 掃除してゴミ捨てろ。つまりはそう言いたいらしい。 だったらストレートに言えばいい。回りくどい言い方が嫌味に聞こえた。第一僕はもう勤務時間外なんだ。 ( ^ω^)『・・・終わりましたお』 ( ,,゚Д゚)『終わったか。じゃあ包丁持って来い。葱2ケース。全部切り終わるまで帰ることは許さん』 なんだコイツ? その傲慢な物言いにアドレナリン値が急上昇するのが分かった。 229 名前:料理 ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2006/12/30(土) 18:04:35.92 ID:psNSxvjO0 ('A`)『ちょっと待ってくれ、ギコ』 そうだった。こいつの名前はギコだ。ドクオの後ろではツーさんが助けを求めるようにキョロキョロしている。 ('A`)『そいつはまだ入って2週間もたっていないんだ。その仕事は俺がやる。だから・・・』 ( ,,゚Д゚)『黙れドクオ』 ('A`)『・・・・・・!!』 ( ,,゚Д゚)『内藤がまだ入社したばかりなのは知っている。       トレーニングを任されたお前が自分の休憩時間を削ってこいつのフォローをしている事にも口は挟まん。      俺が問題視しているのはこいつの勤務態度だ。俺は1週間我慢した。でもコイツには一切の進歩が。進歩しようと言う気持ちが感じ取れん。      俺はそんなヤツと仕事はしたくない。文句があるなら辞めてもらって結構だ』 やる気がないじゃわけじゃない。仕方ないじゃないか。 (´・ω・`)『ドクオ。済まないがギコの言う事にも一理ある』 そう言ってきたのはショボンさんだ。 (´・ω・`)『内藤君。そういうわけだ。僕は何も結果だけで全てを評価する気はない。でも、ギコの言葉を否定したいなら形で示してほしい』 ( #^ω^)『・・・分かりましたお』 僕は渋々包丁を取り出しまな板の前に立った。 ('A`)『・・・手伝う』 ドクオがそれだけ言って僕の横にまな板を持ってきて、僕らは2人並んで葱を刻み始めた。 231 名前:料理 ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2006/12/30(土) 18:06:15.23 ID:psNSxvjO0  ( #^ω^)『・・・くそっ・・・くそっ・・・』 以前よりマシになったにしろ、僕は未だに重すぎる包丁を扱いきれずにいた。 さらにどうやらまな板の中央が磨り減っているらしく、どんなに力をこめても葱は暖簾状にくっついてしまうのだ。 横を見ればドクオは5本の葱を纏めて小口切りにしている。 そのリズムは軽快で尚更僕を苛立たせた。 ('A`)『・・・切れねぇか?』 手を休めずにドクオが話しかけてくる。 ( ;^ω^)『どうやらまな板が凹んでるみたいでうまく切れないお』 飾り包丁だな。そんな冗談だか真面目だか分からない、 もしかしたらこの弓状列島のごく一部では大爆笑かもしれない言葉を呟きドクオは手を止めた。 ('A`)『場所変わろう。こっちのまな板でやってみろ』 しかしそれでも結果は同じだった。 常に一定のリズムで包丁を前後させるドクオ。 呪いの言葉を吐きかけながら包丁に遊ばれている僕。 切り終わった葱の1片だけを見ても違いは素人目でも分かる。 1ミリにも満たない薄さで形を保ったままのがドクオ。 いいトコ2ミリの厚さで潰れているのが僕。 ( #^ω^)『くそっ!! いいかげんちゃんと切れるお!! このバカ包丁!!』 焦れば焦るほど。苛立てば苛立つほど切れ味を鈍らせる包丁を見て、僕は『この包丁はダメだ』と結論を出した。 235 名前:料理 ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2006/12/30(土) 18:07:43.24 ID:psNSxvjO0  ( #^ω^)『ドクオ』 なんだ? 卓越したピアノの演奏家のように腕を動かしリズムを奏でつつドクオが返答する。 ( #^ω^)『どうやらダメなのはまな板よりも包丁みたいだお。交換してくれないかお?』 ('A`)『でも・・・』 言いたい事は分かる。 ドクオが使っているのはどうやらドクオ個人の私物らしき中華包丁。 僕の手にある牛刀とは全く形状が違う。 ちゃんと使えるのか? 言葉には出さなくても戸惑いを見せる目がそう語っていた。 ( #^ω^)『こんなに切れない包丁じゃ仕事にならないお』 どのみち、この牛刀ですら使いこなせていないのだ。 であれば切れ味がいい包丁を使ったほうが作業効率はいいはず。 ( ^ω^)『・・・お願いだお』 しつこい僕にドクオは溜息を1つ。。 ('A`)『俺の宝だ。大切に使ってくれ』 小さく首を振りながらそう答えた。

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