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LOYAL STRAIT FLASH ♪

十八章三

3 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 21:59:51.36 ID:tcZ/ocS80


( ゚∀゚)「おっと、ギコとブーンの方も、ドクオの方もおっぱじめたみたいだね」

軽やかにステップを踏みながら、ジョルジュは周りを見て笑う。
その眼球に映り込むのは、二つの戦闘だ。

(´<_` )「ならば、私達も始めようか。ジョルジュ」

(;゚∀゚)「うーん。めんどくせぇなぁ」

「でも、ま……」と、ジョルジュは足に力を込める。

( ゚∀゚)「あの二人との約束は守らねぇとなっ!」

叫んで、飛び出した。

(´<_` )「命令は遂行せねばな」

呟いて、迎え撃った。




4 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:03:10.63 ID:tcZ/ocS80

( ゚∀゚)「いぃやっほぅ!」

ジョルジュが刃を振るう。
弟者はそれを軽くいなし、カウンターの拳を繰り出した。

(;゚∀゚)「おっと危ない!」

言いつつ、その天才的な反射神経でそれを回避。

続けて刃を連続で振るう。縦に、横に、袈裟懸けに。
その橙色にきらめく刃は一振り事に速度を上げていく。

だがその刃が弟者を捉える事はなかった。

(;゚∀゚)「だーっ! くそ、当たらねぇ!」

呼吸を荒げながら、それでも攻撃の速度を加速させる。
風を斬る刃の音がどんどんと鋭くなる中、肉が切り裂かれる音は響かない。

(´<_` )「単純な攻撃、だなぁ」

言いつつ、弟者は刃を避ける。



5 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:05:08.61 ID:tcZ/ocS80

(´<_` )「避けるのにもそろそろ飽きた。こちらからもいかせてもらおう」

足を踏み出し、刃を振り抜いた直後のジョルジュの懐に入り込む。
そして、ジョルジュの鳩尾を狙って正拳を繰り出した。

だが。

(;゚∀゚)「おぉっとぉ! 危ないところ突いてくるね!」

ジョルジュはそれを軽々と避けて見せる。

弟者はそれに驚きながらも、続けて追撃する。
ジョルジュはそれを全て避けていなして防御する。カウンターまでする始末だ。

( ゚∀゚)「っおらぁ!」

隙を見て、切り上げる。
弟者はそれを上半身を反らして回避。バックステップしてジョルジュから距離を取った。

(;゚∀゚)「くっそ。さっきから一発も当たんねぇや」

(´<_` )「それはこちらも同じ事だ」

実際、彼らの身体には傷もあざも何もない。
ただお互いに疲労が溜まっているだけ。



7 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:07:32.76 ID:tcZ/ocS80

(;゚∀゚)「ひゅー。あんたさん早いねー。攻撃が当たらないよ」

(´<_` )「経験を積んでいるのだから当たり前だ。素人とは違う」

感情をまったく交えずに、弟者は言う。

(´<_` )「それよりも、君だ。何故君に私の攻撃が当たらない?」

( ゚∀゚)「知らないよそんなのー」

(´<_` )「……ふん」

鼻を鳴らし、同時にジョルジュとの距離を詰め、間髪入れずに拳を突き出す。

常人であれば、反応すら出来ずに殴り飛ばされていたであろうその拳。
だがそれもジョルジュは難なく避けて見せた。

( ゚∀゚)「当たんないよー? はははっ!」



9 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:10:10.45 ID:tcZ/ocS80

(´<_` )「笑ってるのも今の内だ」

更に一歩踏み出し、肘を突き出す。
ジョルジュはそれすらも笑って避けた。

だが。

(´<_` )「ほら、上にばかり意識が向いてるぞ」

いつのまにか伸びていた弟者の足が、ジョルジュの足を払った。

(;゚∀゚)「おっとぉ!?」

ジョルジュはすぐに体勢を立て直そうとする。

(´<_` )「隙あり」

(;゚∀゚)「!? ちょ、まっ……!!」

足元に一瞬気が逸れたジョルジュ。
弟者はそんなジョルジュの右胸に正拳を捻じ込んだ。




10 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:12:38.09 ID:tcZ/ocS80

(;゚∀゚)「がっ……!!」

うめいて、吹き飛ぶ。
ガラスの散らばる地面を一度跳ねて、ジョルジュはその動きを止めた。

(´<_` )「……終わりか?」


「ざけんな」


間髪入れず返って来た答えに、弟者は首を鳴らす。

(´<_` )「中々頑丈だな」

ジョルジュはのそりと起き上がる。
地面に落ちていたガラスの傷か、至る所から血を噴き出させていた。

だが、その口元には笑み。それは不気味なほど鋭い。




11 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:15:00.91 ID:tcZ/ocS80

(メ゚∀゚)「……っは。流石にこれはふざけてる場合じゃなさそうだな」

(´<_` )「何?」

口調が変わったジョルジュに、弟者は警戒しながら相対する。

(メ゚∀゚)「正直、あんたの事舐めきってたんだわ」

(´<_` )「それがどうした」

(メ゚∀゚)「分からねぇの?」

「くくっ」と笑う。

(メ゚∀゚)「本気を出してやるってんだよ」

言って、ジョルジュは走り出した。

(´<_` )「光栄だとでも言っておこうか」

構えもせずに、それに応じる。



12 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:17:14.69 ID:tcZ/ocS80

(メ゚∀゚)「っるぁ!!」

さきほどの速度を優に凌駕する速度で刃を振り下ろす。
対する弟者はそれを半歩移動しただけで回避する。

(´<_` )「早いな。だが……それだけだ」

カウンターとして拳を繰り出す。
ジョルジュはそれを楽々と回避。

しかも

(メ゚∀゚)「これを待ってた」

伸びきった拳を掴み取り―――

(´<_` )「なっ……!?」

(メ゚∀゚)「ほらよっ!」

掴み取った拳を更に引っ張り―――


そして、その伸びきった肘を、膝を使ってへし折った。




13 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:20:01.12 ID:tcZ/ocS80

(´<_` )「何……?」

(メ゚∀゚)「おまけとして、これもくれてやるよっ!!」

足を一歩踏み出し、弟者の腹に拳を捻じ込む。
次の瞬間には、弟者は地面を大きく跳ねていた。

数回地面を転がって動きを止めた弟者に、ジョルジュは声をかける。

(メ゚∀゚)「終わりか?こんなもんかよ。あっけねぇなぁ。雑魚が」

だが


「なるほど。それが君の本気か」


(メ;゚∀゚)「なっ……!?」

淀みなく呟いて、何事もなかったかのように、弟者は立ち上がる。
咳の一つも、うめきもしない。

その右腕はあらぬ方向に折れ曲がっていると言うのに。



14 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:22:08.19 ID:tcZ/ocS80

(´<_` )「なるほど……回避能力だけかと思えば、それなりの戦闘能力もあるのか」

(メ;゚∀゚)「何だてめぇ……化け物かよ」

(´<_` )「何でも良いさ。まぁ、とりあえず……」

(メ゚∀゚)「あん?」

(´<_` )「君の『本気』……全力の程度が分かった。
      良いだろう、叩きのめしてやる。来い」

言って、左手で手招き。
ジョルジュの中でプツリと何かが弾けた。

(メ#゚∀゚)「上等だ。ぶち殺してやるよ!」

五歩、大股で走り寄り、刃の範囲内に入る。
それと同時、刃を袈裟懸けに振るった。

凄まじい勢いで振られた刃。
だが、それは―――

(´<_` )「これだけかい?」

―――弟者の左掌で受け止められた。
もちろんそれは生身の手だ。



16 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:24:54.14 ID:tcZ/ocS80

(メ;゚∀゚)「なっ!?」

(´<_` )「何を驚いている?」

時間差で、弟者の手から血が噴き出す。

驚きつつも、ジョルジュは刃から力を抜かない。
ギリギリと刃を押し続けている。

(メ;゚∀゚)「てめぇ、何を……!?」

(´<_` )「あぁ、何でこの手が両断されなかったかって?
      簡単な事。受ける瞬間にちょっと引いて、衝撃を逃がしたのさ」

(メ;゚∀゚)「そうじゃねぇ! 何で生身の手で受けてるのかって聞いてんだよ!」

(´<_` )「防御として受け止めただけじゃないか。何を驚く」

言って、弟者は何を思ったか、ジョルジュの刃を握り込んだ。

(メ;゚∀゚)「ッチ……こいつ、気持ち悪ぃ!」

ジョルジュは一旦離れようとする。
だが、離れられなかった。

弟者の手が、刃をしっかりと握り込んで放さないのだ。




17 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:27:44.91 ID:tcZ/ocS80

(メ;゚∀゚)「こいつっ……!?」

(´<_` )「さぁ、今度は私の番だ」

掴んだまま、弟者は蹴りを放つ。

(メ;゚∀゚)「っと!危ねぇっ!!」

ジョルジュは右腕を掴まれたまま、器用に避けていなす。
だがそんな器用な真似がいつまでも続くはずもなく―――

(メ;゚∀゚)「がっ! ……は、ぁ―――!」

やがて弟者の強烈な蹴りが、ジョルジュの腹を捉えた。

弟者に刃を握られたまま、ジョルジュの身体からはがくりと力が抜ける。
ぶらんと弟者に持ち上げられている状態だ。

(メ ∀ )「…………………」

(´<_` )「……飛んだ、か」

ジョルジュを持ち上げたまま、弟者は呟く。



18 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:30:07.09 ID:tcZ/ocS80

(´<_` )「素人にしては中々良い戦闘能力を持っていたな。
      だが……まぁ、所詮素人。私に敵対するのはまだ早かったな」


「っは。言ってろよ」


(´<_` )「なっ……!?」

瞬間。弟者の左手から、握っていた刃の感覚がなくなる。

そして。

(メ゚∀゚)「侮ったな」

次の瞬間には、ジョルジュの刃は弟者の腹を貫通していた。
だがその刃は先程までの『斬るのに適した刃』ではなく、『刺すのに適した刃』となっている。

(´<_` )「な……何故……!?」

(メ゚∀゚)「あんた、俺の“力”の特性を忘れてたろ。
    俺の“力”は、『変化する部位の形質変化』だ」

(´<_` )「な、なるほど……通りで……!!」



19 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:32:54.47 ID:tcZ/ocS80

(メ゚∀゚)「俺も途中で気付いたんだがな。
    お前が俺の刃を握った所で、俺はその刃を引っ込められる。無駄なんだよ。
    刃を引っ込めて、すぐにちょっと趣を変えた刃をひねり出す。すると、こうなるわけだ」

言って、グリッと刃を奥まで捻じ込む。

(メ゚∀゚)「あんたの油断が、この結果だ」

うめきながら、弟者は己の腹に刺さっている刃を抑えた。心底苦しそうに。

(´<_` )「な、なるほど……だがな……!」

(メ゚∀゚)「あぁん?」


(´<_` )「君もどうやら油断しているようじゃないか?」


言って、弟者が思いきり後ろに下がる。無理矢理に腹から刃を引き抜いたのだ。
その表情に、さきほどまでの苦しさは微塵も見えない。

(メ;゚∀゚)「は……!?」

(´<_` )「私が君の“力”の特性を忘却したのと同じく、君も私の特性を忘却しているようだ。
      私は痛覚が欠落している……腹を貫かれようと、痛くも痒くもないんだよ」

言って、弟者は驚愕で動けないジョルジュの腹に一撃をねじ込んだ。




20 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:35:29.02 ID:tcZ/ocS80

(メ;゚∀゚)「うぇっ!」

(´<_` )「まだだ」

倒れそうになるジョルジュを無理矢理蹴り上げて、更に連撃を加える。
倒れそうになっても、倒れさせない。そんな攻撃が連続する。

(メ;゚∀゚)「がっ! は、ぁっ!?」

(´<_` )「まだ。まだ。まだまだまだまだ。まだ足りない。まだ―――終わらせない」

最初の内は呻き声を上げていたジョルジュも、途中から声をあげなくなった。

(´<_` )「―――と、これくらいか」

言って、一際強くジョルジュを殴り倒す。
ジョルジュは動かなかった。

(´<_` )「君は中々頑丈だったからね、これくらい痛めつけといて問題ないだろう。
       むしろこのくらいやってようやく安心出来るレベルだ」

言って、弟者はジョルジュに歩み寄る。
そして、「ほぅ」と驚きの声をあげた。

(´<_` )「……まだ意識があったのか」



21 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:37:53.36 ID:tcZ/ocS80

(メメ゚∀`)「―――はっ……」

ボロボロでありながら、未だジョルジュの眼は開いていた。
だが、喋れる気力はないらしい。何かを言おうとして、口を閉じた。

(´<_` )「その頑丈さは素直に賞賛しよう」

言いつつ、弟者はジョルジュの右腕を掴もうと手を伸ばす。
ジョルジュの右腕は既に“力”が抜けており、変化が解けていた。

(´<_` )「……弟者。ターゲットの拉致、完了」

一人そう呟いて、ジョルジュの右腕を掴もうとする。

その瞬間。


弟者の左手を、光線が貫いていった。



22 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:40:09.85 ID:tcZ/ocS80

(´<_` )「……何?」

表情をピクリとも変えず、弟者は光線が飛んできた方向に顔を向ける。

(メメ;゚∀`)「うっ―――」

うめきつつも、ジョルジュもそちらを向く。

そこには―――

(メメ;゚∀゚)「……あんた……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


23 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:42:27.78 ID:tcZ/ocS80


( ゚д゚ )「お前とは三度目の戦いか?」

無数のガラス片を纏うように宙に浮かせながら、ミンナが言う。

('A`)「もう三回もお前の顔を見てるのか。嫌だ嫌だ」

( ゚д゚ )「こちらのセリフだ」

言って、眼を細める。

( ゚д゚ )「お前は手加減する必要がない。……最初から全力でやらせてもらおう」

何かを押すように、右手を前に突き出す。
すると、無数のガラス片が異様な速度でドクオに向かって行った。

('A`)「フン」

対するドクオは慌てる素振りも見せずに二挺の銃を構える。

そして、連射。
銃の発砲音とガラスの破砕音が連続して響く。




24 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:46:16.58 ID:tcZ/ocS80

('A`)「やっぱり、銃を借りといて正解だったな」

銃を連射したままに、「何てったって」と続ける。

('A`)「反撃だって出来るんだからな」

言って、飛び来るガラス片を打ち砕いていた銃を、ミンナに向けて撃ち放った。

( ゚д゚ )「ふんっ!」

対するミンナは、両手を前に突き出す。
するとドクオを襲っていたガラス片が、ミンナを護るように壁になった。

銃の弾は壁に当たって弾け飛ぶ。

( ゚д゚ )「なるほど。前回と同じ戦い方は出来ないわけだ」

('A`)「お互いにな」

言いつつ、ドクオは再度銃を連射。
撃ち放たれた黒と銀の銃弾は、どれだけ撃ってもやはり壁で弾け飛ぶ。




27 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:48:27.84 ID:tcZ/ocS80

( ゚д゚ )「無駄だ」

('A`)「無駄で構わないさ」

( ゚д゚ )「……何?」

('A`)「俺がやりたい事は、こんな事じゃない」

その声と同時に、ドクオが走り出す。
その手に握る二挺拳銃は撃ち続けながら。

(;゚д゚ )「チッ……!!」

舌打ちするが、どうしようもない。

壁を解いてドクオを攻撃すれば、銃弾が己を捉える。
解かなければ、ドクオの左腕が壁を粉砕し、己を傷付けるだろう。

('A`)「ほれほれ、どうしようもねぇみたいじゃねぇか」

(;゚д゚ )「――――――ッ!」

考えている内に、ドクオは目の前まで来ていた。
ドクオは一瞬で左手に握るギンをベルトに押し込み、異形の左手を振り上げる。

対するミンナは思いきり後ろに跳んだ。




28 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:51:18.95 ID:tcZ/ocS80

('A`)「っるぁ!!」

叫びと共に、ドクオの左腕が壁に向かって振り下ろされる。
異様な速度で壁を破壊する黒い線。連続した、乱雑な軽い破砕音。

次の瞬間には、『壁』は完全に破壊されていた。

( ゚д゚ )「ぬんっ!!」

声と共に、腕を振り上げる。
それと同時に、ガラス片がドクオ目掛けて跳び上がった。

('A`)「っと……ここは無理をしないで下がっておこうか」

ドクオは難なくそれを回避し、後ろに下がる。

( ゚д゚ )「貴様……本当に油断ならないな」

('A`)「どうも」

言いつつ、ドクオは再度ギンをベルトから抜き出した。
そのまま両手で二挺の銃を器用にクルクルと回す。



29 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:53:45.73 ID:tcZ/ocS80

('A`)「ここまでで分かった事は三つ」

( ゚д゚ )「言ってみろ」

('A`)「一つ。あんたはサイコキネシスの“力”で動かせる物の大きさ・範囲に限りがある。
   限りがなければそこら辺に転がってる車でも何でも俺に飛ばせたろうしな」

( ゚д゚ )「なるほど、多少間違いがあるが……大体正解だ」

('A`)「簡単に正解って言うのな」

( ゚д゚ )「騙してもあまり意味がないからな」

('A`)「……まぁ良い。二つ。同じ理由で、あんたは無機物しか動かせない」

( ゚д゚ )「なるほど、正解」

('A`)「三つ。あんたの“力”は、『攻撃』と『防御』、どちらかにしかベクトルを向けられない」

( ゚д゚ )「……ほう、そこまで気付いたか」

('A`)「俺が突っ込んだ時、壁を作ったまま何も出来なかったからな」

( ゚д゚ )「よく気付いたな。正解だ」




30 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:56:08.89 ID:tcZ/ocS80

('A`)「ここで一つ質問」

( ゚д゚ )「何だ?」

('A`)「何故俺の銃はお前の壁を撃ち破れなかった?」

( ゚д゚ )「ガラス片同士の密度を極限まで高めた。ただそれだけだ」

('A`)「なるほどな」

クルクルと回していた銃を止めて、ミンナへと向ける。

('A`)「さて、お喋りはお終いだ。―――始めようか」

( ゚д゚ )「来い」

頷いて、ドクオは銃を撃ち放つ。
対するミンナは壁を展開。銃弾を弾き飛ばした。

( ゚д゚ )「今度はこうしてみようか」

腕を前に突き出す。
すると、壁がそのまま波のようにドクオへと襲いかかった。




31 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 22:58:36.24 ID:tcZ/ocS80

('A`)「ッチ……」

左手に握るギンをベルトへ。そして開いた左腕を、縦に振り抜いた。
破砕、そして散り散りになる壁であった物。

しかし

(;'A`)「―――クッ!?」

ドクオの眼が、閉じられる。

砕け散ったガラス片が、彼の眼に襲いかかっていた。

「さすがに完全に眼を潰す事は出来なかったか」

いつのまに移動したのか。
後ろから聞こえたミンナの声に、舌打ちしつつも相対する。
眼は開かないが、間髪入れず右手に握るクロを乱射。

「どこに撃っているんだ?」

今度は右から声が聞こえた。
焦りつつも、そちらに乱射。



33 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:00:33.44 ID:tcZ/ocS80

「焦っているな? 焦っているな、ドクオ」

(;'A`)「ッチ……! どこだ、ミンナァッ!?」

「教えるわけがなかろう?」

声の方向に銃を撃とうとするドクオ。
だが、頼みの綱―――クロが、その手から蹴り飛ばされた。

(;'A`)「――――――ッ!?」

瞬間、頬に衝撃。吹き飛んだ。
口の中に血の味が広がる。
そこでやっと「殴り飛ばされたのだ」と認識した。

慌てて立ち上がるが、その眼は閉じられたまま。

「怖いか? 怖いだろう、ドクオ」

どこからともなく、声が聞こえる。

(;'A`)「!? どこだ!! 出て来い、ミンナッ!!」

「私は隠れてなどいないぞ」

直後、ドクオはまたも殴り飛ばされ、地面を滑る。
すぐにまた立ち上がるが、またも殴り飛ばされた。



35 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:03:06.33 ID:tcZ/ocS80

(#'A`)「ああぁぁぁぁあぁぁぁあぁっ!!」

左腕を振り回しながら、叫ぶ。
だがいつまで経っても、左腕が何かを捉える事はない。

「……詰まらない」

瞬間。ミンナの拳がドクオの腹を捉え、ドクオが宙を舞った。

(;'A`)「―――がっ……!!」

ドクオが鈍い音と共に地面を跳ねる。
彼は、立ち上がらなかった。

「終わりか?」

眼を開けようとするも、未だ痛みで開かない。

「……まぁ、良い。さっさとお前を捕獲するとしようか」

ジャリッ、とガラスを踏む音。
その音は少しずつ歩み寄って来て―――

('A`)「―――音?」

ドクオは何かを思い出したかのように呟く。




36 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:05:39.22 ID:tcZ/ocS80

('A`)「そうか……音か……」

そして、彼の口の端が、ゆっくりと釣り上がった。

('∀`)「っは。何を慌ててたんだろうな、俺は」

「何を呟いているんだ、ドk」

その声が終わらない内にドクオは立ち上がる。
そして、ベルトに差したままであったギンを引き抜き―――その銃口を、声の方向に向けた。

ドクオの耳には、息を呑むミンナの音が。
そして、後ろに下がろうとする足音が聞こえた。

('A`)「眼なんて聞こえなくても、俺には耳があるのにな」

瞬間、ギンを乱射。
ギンの銃口から吐き出された銀の銃弾は、ミンナに向かって一直線に飛び行った。

「ッチ……!!」

舌打ちしつつ、ミンナはドクオから離れる。
すぐにガラスを飛ばすが、ドクオは眼を閉じたままそれを撃ち砕いた。




37 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:08:32.57 ID:tcZ/ocS80

('A`)「……眼を開けられなくなって焦ってたが、思い出したよ。
    お前のいる方向、やろうとしている事。その全てが、俺には分かる」

「聴覚の強化か」

('A`)「その通り」

「……とはいえ、それも限界がある。私はその限界を待てば良いだけだ」

('A`)「だったら俺は限界が来るまでにお前を仕留めれば良いだけだ」

言って、間を置かずにドクオはミンナへと走り出す。
ギンを右手に握り、左手を構えながら。

「どこまでお前がやれるのか、見せてもらおうか」

声と同時、ガラスが空気を切る音。
ドクオは足を止めないままに、音でガラスの軌道を捕捉。確実に撃ち砕いた。

すぐにドクオとミンナの距離は埋まる。
ドクオは左腕を振るうが、その腕が捉えた物は、ミンナがいつのまにか創り出していた壁。




38 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:11:13.05 ID:tcZ/ocS80

「無駄だ」

('A`)「いんや、そうでもないさ」

「む?」

('A`)「壁が崩れたなら……お前に銃が届く」

右手に握るギンを発砲。
銃弾は避けようとしたミンナの右肩にその牙を突き立てた。

「がっ……!?」

('A`)「声が聞こえる……ってー事は生きてるのか。死ねよ」

容赦なく連射。
対するミンナは、サイコキネシスの“力”で襲い来る銃弾の軌道を無理矢理捻じ曲げた。

「ぐっ……!」

うめきつつも、ミンナは後ろに退く。




39 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:13:43.70 ID:tcZ/ocS80

('A`)「ッチ。仕留められなかったか」

「眼が見えない状態のお前に仕留められてたまるものか」

('A`)「っは。つっても、何だか負傷してるみたいじゃねぇか」

「……そんな安い挑発はいらん。さっさと始めるぞ」

('A`)「さて、ここで重大なニュースの発表だ」

「む?」

ドクオは己の顔の前に、闇色の左腕を掲げる。まるで顔を隠すように。
そしてその左腕が下ろされた時―――そこにあるのは、更なる闇色。

彼の眼が、開いていた。

('A`)「じゃじゃーん。復活しました」

(;゚д゚ )「なっ……!?」

('A`)「残念だったな、ミンナ」

ギンをミンナに向ける。

('A`)「俺の眼が見える内にどうにかしとくべきだったな」

躊躇なく、発砲。
しかし銃弾の軌道はあらぬ方向に捻じ曲げられる。


40 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:16:24.35 ID:tcZ/ocS80

('A`)「容赦はしねぇからな」

ギンを撃ちつつ、地面におちていたクロを回収。ミンナへと走り寄る。

( ゚д゚ )「容赦、だと? こちらから願い下げだ」

ミンナは襲い来る銃弾の軌道を捻じ曲げつつ、後ろに下がる。
そして、唐突に壁を創り出した。

('A`)「んな壁、一撃で粉砕してやるさ」

言いつつ、トマホークを振るうように左腕を振るう。

だが、その左腕は空を切り裂くのみ。
壁ですらも、その手は捉えなかった。

壁は既に消え去っていたのだ。

( ゚д゚ )「引っかかったな」

ガラス片が舞う。
それらはドクオの眼を潰さんと、一直線に飛び行った。




42 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:20:37.10 ID:tcZ/ocS80

(;'A`)「これは……やべぇ……!!」

眼を護るように、左腕で眼を覆い隠す。
瞬間。無数のガラス片が左腕で弾けた。

(;'A`)「痛ッ……!」

左手で覆い隠せなかった部分―――眉の辺りから、血が噴き出す。

ドクオは慌ててバックステップ。
血で顔を濡らしながらも、ミンナに相対した。

('A`)「……てめぇ、何で笑ってんだ?」

( ゚д゚ )「すぐに分かるさ」

('A`)「っは。まぁ、何でも良いけどよ」

黒銀の二挺の銃をミンナに向ける。
対するミンナは身動きしない。

('A`)「なめてんのか?」

( ゚д゚ )「…………………」

('A`)「何か喋りやがれ」




43 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:23:53.28 ID:tcZ/ocS80

( ゚д゚ )「……そろそろか」

('A`)「あん? 何を言ってr」

そこで、ドクオの両目が閉じられた。

(;'A`)「!? 痛っ! な、何が―――」

眼を擦るドクオの両手は、紅。
眉から出血した血液が彼の両目を塞いでいた。

(;'A`)「ッチ! ……だが、もう慌てねぇぞ。俺には音がある」

( ゚д゚ )「であれば、こうするさ」

ミンナはドクオに向け、走り出す。

(;'A`)「―――なっ!?」

二挺の銃を乱射。
だがその軌道は無理矢理に捻じ曲げられ、ミンナには当たらない。

ドクオの懐に入ったミンナは、銃を握る彼の両手を掴んで持ち上げ―――

( ゚д゚ )「ほら」

―――ドクオの耳元で、二挺の銃を無理矢理撃ち放った。
もちろん銃からは大きな発砲音が発される。


44 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:26:24.50 ID:tcZ/ocS80

(;'A`)「っがああぁぁあぁぁあぁ!?」

叫ぶドクオから、ミンナはバックステップで大きく離れる。

( ゚д゚ )「視覚を潰されたから聴覚に頼る。そういうのならば、聴覚を潰せば良い。
     何か聞こえるか、ドクオ?」

ドクオは耳を抑えつつ、両目を閉じて叫ぶのみ。

( ゚д゚ )「……善戦であったが、ここまでだな。
    お前の聴覚が回復する前に、意識を止めさせてもらおう」

言いつつ、ゆっくりと歩み寄る。
それにもドクオは気付かない。気付く術すらないのだから。

( ゚д゚ )「ふんっ!」

(;'A`)「がっ……!!」

ミンナの拳がドクオの腹を捉えた。
だが、うめきつつもドクオは倒れない。左腕を振りまわして、何とかミンナを捉えようとしている。

( ゚д゚ )「まだ終わらないか」

乱雑に振りまわされる腕を軽く回避。
そして再度、拳を固めた。



45 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:28:34.40 ID:tcZ/ocS80

( ゚д゚ )「今度こそ、終わらせてやろう―――!」

拳が発射される。
それはドクオの鳩尾に向けて一直線に伸ばされ―――


突如二人の間に現われた女性の刀によって止められた。


(;゚д゚ )「ぬっ!?」

慌てつつもバックステップで、女性から距離を取る。

女性の姿を見たミンナは、その眼を細めた。

( ゚д゚ )「貴様―――」


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46 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:33:32.22 ID:tcZ/ocS80


从 ゚∀从「……あいつらが出てくるとは。予想guyだが、かなーり面白い展開になってきたな」

心底楽しそうに笑うハイン。
それに大して、つーは不思議そうに眉を寄せる。

(*゚∀゚)「ね、ねぇ……ハイン。あの人達ってもしかして」

从 ゚∀从「あぁ、間違いねぇ。あの三姉妹だ」

(*゚∀゚)「そうだよね。何であの人達が?」

从 ゚∀从「大方、異能者が集まってるから一気に殺しちまおうって奴だろうな」

(;*゚∀゚)「――――――ッ!?」

从 ゚∀从「……まぁ、あたし達は見てるだけさ」

(;*゚∀゚)「でも、このままじゃジョルジュ君達が……!」

从 ゚∀从「まぁ、見とけよ、つー。
      どうやら、殺しに来ただけってわけじゃないようだ」

(*゚∀゚)「えっ?」

从 ゚∀从「どうやら奴らも……『止めに来ただけ』のようだぜ」


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48 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:38:12.27 ID:tcZ/ocS80


(;゚ω゚)「がはっ……げっほ! き……君、は……」

地面を転がるブーンの眼には、アスファルトに刺さった草色に輝く羽根。
どうやらそれは兄者を狙って放たれた物のようだ。

( ´_ゝ`)「ほぅ……これはこれは」

驚いたような声をあげつつ、前方から無数に放たれ続ける羽根を避ける。

その羽根を撃ち放っているのは―――
背中から草色の翼を生やした、欧米人形のような可愛らしい顔立ちの少女。

ξ゚△゚)ξ「もう一度言うわ。死になさい」

―――ツンだ。


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49 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:39:21.48 ID:tcZ/ocS80


(メメ;゚∀゚)「アンタは……」

ジョルジュは珍しく、本当に驚いたような顔を見せる。
だが、この状況下―――それは仕方ないと言える。

(´<_` )「ふん」

弟者はジョルジュから離れる。
そして、風穴の開いた左手を見て呟いた。

(´<_` )「右手の穴が塞がったばかりだというのに、今度は左手に穴が開いてしまったよ。なぁ―――」


「しぃ」


(*゚ー゚)「“管理人”が気安く呼ばないでよ」

左腕を眩いほどに光り輝かせるしぃが、そこにいた。
弟者にこれ以上ないほどの殺意を向けて。


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50 : 二十四の瞳(東京都):2007/04/13(金) 23:42:38.92 ID:tcZ/ocS80


( ゚д゚ )「貴様―――」

己とドクオとの間に入り、ドクオを護った女性を、ミンナは睨む。
対する女性は他人事のように、蒼混じりの長髪をなびかせながら涼しそうに言う。

「こちらを見ないでいただけるか、ミンナ」

( ゚д゚ )「貴様を前にして、眼を離す事など出来るわけがなかろう」

「そんな事より」とミンナは言葉を続ける。

( ゚д゚ )「……何故そいつを護る? クー」

ドクオを見る事なく彼女は答える。

川 ゚ -゚)「まぁ、色々とあるのさ」

( ゚д゚ )「色々とは?」

川 ゚ -゚)「貴様が知る必要はない。何せ、この場で死ぬのだからな」

刀をきらめかし、その切っ先をミンナに向ける。

川 ゚ -゚)「“削除人”として、“管理人”のお前を削除させてもらおう。ミンナ」


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