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53 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:11:47.40 ID:jC9iK4Vk0 (* ー )「…じっとしてて…っていったでしょ?」 再び前を見ると、至近距離に彼女は立っていた。 その微笑みはなお一層歪んでいるように見える。 (* ー )「…やっと、じっとしてくれたね…それじゃあ、たすけてあげる」 そして彼女はその手に持つ刃を振りかぶる。 殺される!避け…否!!…死!! 僕の頭の中でそんな言葉が一瞬で浮かんだような気がした。 そして手は無意識に地面をさする。 こつり、と硬い感触がした。 その瞬間刃は猛スピードで僕のほうへ向かう。 54 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:12:37.84 ID:jC9iK4Vk0 (* ー )「………」 (;゜ω゜)「………」 (;゜ω゜)「ハァ…ハァ…」 次の瞬間。彼女は横たわっていた。 そのまま一言も発しようとはしない。 そして次に、僕は右手を見てみる。 その先に握られたのは、先程机を動かす時に床に置いた、 バールのようなものであった。 55 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:13:07.98 ID:jC9iK4Vk0 (;゜ω゜)「うわああああっ!!」 僕はそれを急いで放り投げた。 (;゜ω゜)「…ああっ!!…ぼっ…僕が…こ、ころし…」 言葉にならない声で僕は狼狽していた。 何がなんだかもはやわからない。 僕はただ、ただ、震えるだけだった。 「よう」 不意に聞こえた、声に僕は顔を上げる。 56 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:13:57.21 ID:jC9iK4Vk0 ('A`)「どうだった、このゲームは?」 そこには教室にいたあの少年だった。 ('A`)「楽しんでくれたか?」 楽しんだ?冗談じゃない。 こんな狂った世界に放り出されて、 皆に追い掛け回されて、 そして…ついには…あの子に手をかけて… ('A`)「どうだい?気分は?」 (♯゜ω゜)「…最悪だお…」 57 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:14:28.33 ID:jC9iK4Vk0 僕は、無意識のうちにそう答えていた。 そして、ふつふつと、どす黒い感情が湧き上がってくる。 (♯^ω^)「何で…こんな目にあわなきゃいけなかったんだお!! お前のせいで…お前のせいでっ!!」 気づけば、僕はそう叫んでいた。 ('A`)「………」 目の前の男はしばらく無言だったが、やがてこう口に出した。 58 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:15:14.23 ID:jC9iK4Vk0 ('A`)「…どうだった?」 (♯^ω^)「…はぁ!?」 ('A`♯)「どうだったって聞いてんだよ!!」 ('A`♯)「自分の全てを否定され、周りに虐げられる気分はよぉ!!」 ('A`♯)「そして、信頼してたヤツに裏切られた気分はよぉ!!」 (♯^ω^)「………」 突然の彼の激昂に僕は返す言葉は無かった。 59 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:16:12.66 ID:jC9iK4Vk0 ('A`♯)「俺の世界では、それが当たり前なんだよ!!」 ('A`♯)「誰も俺に手を差し伸べる事もせず、 誰も俺のこと理解しようとしない!!」 ('A`♯)「そして、世界全ての俺以外の人間は全て敵だ!!」 ('∀`)「…ふっ」 そして、彼は、笑みを浮かべる。 それは、今まで僕が見たどの表情よりも醜悪で下劣な表情だった。 60 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:16:49.72 ID:jC9iK4Vk0 ('∀`)「だからよぉ、俺は決めたんだ」 ('∀`)「この世界に復讐してやろうってなぁ!!」 ('∀`)「…そうして俺は、復讐を実行した」 ('∀`)「しかし、それは大人の馬鹿野郎どもに止められた」 ('∀`)「…まあ、だが、一番ムカつく野郎には復讐できたから、良しとするか」 ( ^ω^)「………」 僕は、彼の気持ちが分かるような気がした。 なぜなら、今まさにそれを味わっていたから。 61 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:17:21.69 ID:jC9iK4Vk0 ('A`)「どうせ、テメェも俺のことが気にくわねぇんだろ?」 ( ^ω^)「………」 ('A`)「安心しな。どうせ、もうすぐ、俺は消える」 ('A`)「一発くらい、テメェのツラ張っておきたかったがよぉ…」 ( ^ω^)「………」 ('A`)「…あぁ…もう…疲れた…」 62 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:17:54.68 ID:jC9iK4Vk0 彼がそう言うや否や、再び、僕にあの感覚が襲い掛かる。 ぴきっ、と窓ガラスにヒビが入る。 いや、ガラスだけではない。 壁も、天井も全て欠けはじめていた。 ふと、思い出したかのように、あの幼い少女を見てみると、 その姿はいつの間にか消えていた。 この場にいるのは、僕と少年だけ。 しかし少年の姿も次第に薄れていく。 そして、そのまま空間は渦を巻き、全ての破片を巻き込んでしまった。 最後に少年の呟きが聞こえる。 63 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:18:31.95 ID:jC9iK4Vk0 「もっと気楽に生きれば良かったぜ」 その声を最後に渦は消えてしまった。 そして残ったのは、一片の輝き。それが僕の中に飛び込んでくる。 気がつけば、また最初の白い部屋の中だった。
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Dec 30, 2006 08:29:31 PM
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