第十四話第十四話 「変化と退化?」 ( ^ω^)「いい景色だおー」 ( ><)「のどかなんですー」 バスの窓を開け、外の景色を眺める二人。 二人の眼前には、見渡す限りの田園風景が広がっている。 ('A`)「実に田舎らしい田舎だな」 鮮やかな緑に染まった田んぼ、光を眩しく反射しているビニールハウス。 あぜ道に停まった白い軽トラックの近くでは、老夫婦が腰を下ろし話をしている。 青々と広がる空には飛行機が飛び、その証を白く長く刻み付けている。 (´∨ω・`) そんなほのぼのとした景色を目の前にしても、ショボンは手に持った本に意識を集中させ、身動き一つしない。 ( ^ω^)「ほら!ショボンも見るお!」 (;´∨ω・`)「あ、ああ」 ( ><)「これが田舎と言うものなんです!」 いきなり二人に話しかけられ、うろたえるショボン。 素直に本を閉じ、窓の外へと視線を向ける。 ('A`)「……」 流石兄弟との約束から五日が経ち、あっという間に合宿初日となる土曜日を迎えた。 ドクオ達四人は兄者達に教えてもらった通りの駅で電車を降り、そこからバスに乗り換え流石家へと向かっていた。 (´∨ω・`) 兄者達の言う『呼んでおきたい奴』と言うのは、予想通りショボンのことだった。 なんでも、総合点ではトップ2である流石兄弟でも、数学の点数ではショボンに勝ったことがないらしい。 天才である自分達を、一つの教科だけとは言え、超える男。 ショボンは、彼らの単純な知的好奇心からこの合宿に呼ばれたのかもしれない。 そう、ドクオは考えていた。 ('A`)(しかし、本当に来るとはな) ショボンの性格を考えれば、こういうイベントには参加しないだろうと思っていた。 しかし、ブーンが説得するとショボンは案外すんなりと合宿参加を承諾してくれた。 ('A`)(やっぱ、例の件のことを気にしてんのかね) ブーンを気絶させてしまった事件以来、ショボンは少し素直になったように見えた。 本当はクーのせいなのだが、多少なりとも責任を感じているのだろう。 「次はブラクラ沢です」 ( ^ω^)「おっ!確かここで下りるんじゃなかったかお?」 ( ><)「僕がボタンを押すんです!」 ('A`)「はしゃぎすぎだよ、お前ら……」 ( ´_ゝ`)「ようこそ」 (´<_` )「ブラクラ沢へ」 ( ><)「到着なんです!」 バスを降りると、そこには二つの人影。 ( ^ω^)「いやー、いいところだお」 ('A`)「しかし、あんたらが住んでるのがこんな田舎だったとはな」 ( ´_ゝ`)「うちの父親は都会の空気と喧騒が酷く嫌いでな」 (´<_` )「仕事のため家にはほとんどいないのだが たまに帰ってくる時くらい、こういう落ち着いた場所で過ごしたかったらしい」 ('A`)「へぇー」 ( ´_ゝ`)「通学に若干不便というデメリットはあるが」 (´<_` )「夜は騒音などに苦しまされることもなく、勉強に集中できるというメリットもある」 ( ´_ゝ`)「田舎と言うのもなかなかいいものだぞ?」 (´<_` )「だぞ?」 ('A`)「だぞ、って……」 ( ´_ゝ`)「さあ着いた」 (´<_` )「ここが我が家だ」 ( ^ω^)「おっおっ!大きいお!」 ( ><)「おっきいんです!」 バス停から歩くこと数分。 ドクオ達の目の前に現れた、大きな和風建築の家。 その古ぼけた外観からは、どことなく懐かしさを感じられる。 ('A`)「おー」 上を見上げれば群青色の瓦が無数に並び、二階があることも確認できる。 ( ´_ゝ`)「あそこが今日使う勉強部屋だ」 二階を指差し、兄者が言う。 (´<_` )「それじゃ、中に入ろうか」 ( ´_ゝ`)「ただいま」(´<_` ) 引き戸を開け、中に入る二人。 すると 「おかえりなのじゃー!」 奥から元気のいい返事が返ってくる。 騒がしい足音と共に現れたのは 从・∀・ノ!リ「お客さんはどこなのじゃー!?」 ( ^ω^)「おっ!」 ('A`)「!!」 パジャマ姿のかわいらしい少女。 さっきまで寝ていたのだろうか、肩までかかった黒髪には寝癖が見られる。 ( ´_ゝ`)「やっと起きたのか妹者」 (´<_` )「だが、人前に出るときはちゃんと着替えてからにしなさい」 从・∀・ノ!リ「おっきい兄者とちっちゃい兄者!お客さんはどこなのじゃー!?」 (;´_ゝ`)「話を聞け!」(´<_`;) (;^ω^)(;><)(´∨ω・`)(*'A`) ( ´_ゝ`)「とりあえず上がっててくれ」 (´<_` )「今、妹者を着替えさせてくるから」 そう言うと二人は妹者を無理矢理引っ張り、奥へと連れて行った。 (;^ω^)「……兄者君達に妹がいたなんて知らなかったお」 ( ><)「しかも、あの二人ののっぺり顔とは似ても似つかないような顔だったんです!」 (*'A`) ( ^ω^)「きっと、兄者君達とは似る方の親が違ったんだおね」 ( ><)「拾われっ子という可能性もあるんです!」 (*'A`) ( ^ω^)「……ドクオ?」 (*'A`) (;^ω^)「ドクオ?どうしたんだお?」 (*'A`) (;^ω^)「???」 从・∀・ノ!リ「お待たせなのじゃー!」 先程と同じく、騒がしい足音と共に駆けてくる妹者。 (;´_ゝ`)「こ、こら!妹者!」 (´<_`;)「まだ靴下履いてないだろ!」 その後ろには、二つの同じ顔。 手にはそれぞれ違った種類の靴下を持っている。 从・∀・ノ!リ「室内で靴下を履くなんて邪道なのじゃ!素足が一番なのじゃ!」 (;´_ゝ`)「そ、そうは言ってもだな」 (´<_`;)「一応身だしなみと言うものが」 从・∀・ノ!リ「わしの名は妹者!ピッカピカの小学三年生なのじゃ!」 二人の話も無視し、妹者は自己紹介を始める。 从・∀・ノ!リ「好きな食べ物はおでんの大根!嫌いな食べ物はおでんのこんにゃく!」 (;´_ゝ`)「頼むから話を」 从・∀・ノ!リ「よろしく頼むのじゃ!」 (´<_`;)「聞いてくれ」 从・∀・ノ!リ「さて、次はそこのおっきなあんちゃん!」 小さな手を真っ直ぐ伸ばし、指差す先は ( ^ω^)「お、僕かお?」 从・∀・ノ!リ「好きな食べ物と嫌いな食べ物もな!」 唐突な指名にも関わらず、ブーンは別段慌てる素振りを見せることなく、少女の要求にすぐさま答える。 ( ^ω^)「僕は内藤ホライゾン!みんなからはブーンって呼ばれてるお!」 ( ^ω^)「好きな食べ物は食べられるもの!嫌いな食べ物は食べられないもの!よろしくだお!」 从・∀・ノ!リ「ブーンあんちゃんか!よろしくなのじゃ!」 妹者は真っ直ぐ伸ばしていた手を下げ、握手を求める。 ブーンは笑顔でそれに応え、その小さな手を握り締める。 从・∀・ノ!リ「次はそこの細いあんちゃん!」 (*'A`)「お、俺?」 从・∀・ノ!リ「そうなのじゃ!」 ドクオは数秒目線を泳がせ考える素振りを見せた後、答える。 (*'A`)「えーっと、俺はドクオ。 好きな食べ物はそばつゆにつけた海老の天ぷら。嫌いな食べ物は天つゆにつけた海老の天ぷらかな」 从・∀・ノ!リ「ドクオあんちゃんか!よろしくなのじゃ!」 目の前に差し出される小さな手。 (*'A`)「よ、よろしく」 ドクオはぎこちない笑いを浮かべながら、その手を掴んだ。 从・∀・ノ!リ「次はそこの長い髪のあんちゃん!」 妹者が指差す先には、玄関に腰掛け、本を読んでいるショボンの姿。 自分が呼ばれたことにも気づかず、手元の本に意識を集中させている。 从・∀・ノ!リ「おーい!」 妹者がもう一度呼ぶが、やはり反応はない。 从・∀・ノ!リ「こら!聞いとるのか!?」 (;´∨ω・`)「!?」 反応のないことに痺れを切らし、妹者はショボンの頭をはたきながら呼びかける。 (;´_ゝ`)「こら!妹者!」 (´<_`;)「お客さんを叩くんじゃない!」 (;´∨ω・`)「――自己紹介?」 从・∀・ノ!リ「そうじゃ!好きな食べ物と嫌いな食べ物もな!」 話を聞いていなかったショボンもようやく状況を把握する。 面映い顔をしながら頭をポリポリと掻くと、控えめな口調で自己紹介を始める。 (´∨ω・`)「……俺はショボン。好きな食べ物も嫌いな食べ物も特にない」 从・∀・ノ!リ「ショボンあんちゃんか!よろしくなのじゃ!」 (´∨ω・`) 从・∀・ノ!リ (´∨ω・`) 从・∀・ノ!リ いつまで経っても、目の前に差し出されたままの小さな手。 (;´∨ω・`)「……?」 从・∀・ノ!リ「握手なのじゃ!」 (;´∨ω・`)「……あ、ああ」 ショボンは戸惑いながらも、その手を優しく握り締めた。 从・∀・ノ!リ「よし、それじゃ自己紹介も済んだことだし!さっそくお勉強開始なのじゃ!」 ( ´_ゝ`)「お前が仕切るなよ」 从・∀・ノ!リ「ついてくるのじゃー!」 (´<_`;)「そんなに急ぐと転ぶぞ!」 無邪気な暴れん坊は、全速力で二階へと駆け上っていく。 (;><)「ちょ!僕の自己紹介がまだなんです!!」 ( ´_ゝ`)「まったく」 (´<_` )「困った妹だ」 兄者達はやれやれといった感じでそれを追いかける。 (;><)「待つんです!」 ( ^ω^)「おじゃすー」 (*'A`)「おじゃましまっす」 (´∨ω・`)「おじゃまします」 ドクオ達もそれに続き、階段を上っていった。 (;><)「……なんで……なんでいっつも僕はこんな扱いなんですか!?」 ( ´_ゝ`)「ここが勉強部屋だ」 案内されたのは広々とした和室。 中央には文机が六つ置かれ、その前には座布団が敷いてある。 それ以外には何もなく、井草独特の風情ある香りだけが漂っている。 (´<_` )「勉強するにはまず環境から」 从・∀・ノ!リ「ここは静かでいいのじゃー!」 ( ^ω^)「確かに、これなら誘惑するものもなくて勉強に集中できそうだお」 ('A`)「でも、こんな広い部屋いつもは何に使ってるんだ?」 ドクオの言葉を聞き、妹者が部屋の端の襖の方へと走っていく。 そして、勢いよく襖を開き 从・∀・ノ!リ「見ての通り!家族みんなで寝る所なのじゃ!」 中にはパンパンに詰まった布団達。 今にも外へ溢れ出しそうな勢いである。 (;´_ゝ`)「妹者!ちゃんと布団は綺麗にしまいなさい!」 (´<_`;)「開けたときに落ちてきたらどうするんだ!」 从・∀・ノ!リ「でも、妹者が起きた時にはもうほとんど入りきらない状態だったのじゃ」 (;´_ゝ`)「うっ……」(´<_`;) ( ´_ゝ`)「まぁ、それはひとまず置いといて」 (´<_` )「とりあえず勉強を始めるとしようか」 ( ^ω^)「おっおっ!」 (;><)「僕の自己紹介は……」 ('A`)「俺はどこの席にしよっかな」 (´∨ω・`) 若干のもたつきはあったものの、各々自分の席を決めようやく勉強の準備が整う。 ( ´_ゝ`)「基本的に俺達は自分の勉強をしているが」 (´<_` )「分からないところがあったら遠慮なく聞きに来てくれ」 从・∀・ノ!リ「それじゃ、四十八時間耐久勉強合宿スタートなのじゃー!」 (;^ω^)(;'A`)(;><)「えええええええええええええ!?!?」 (;´_ゝ`)「妹者それは違う」 (´<_`;)「そんなの無理に決まってるだろ」 从・∀・ノ!リ「ちょっと間違えちゃったのじゃ。それじゃ気を取り直して、勉強合宿スタートなのじゃー!」 ( ^ω^)「じゃあ僕は英語から始めるお!」 ('A`)「じゃあ俺も英語やるかな」 ( ><)「僕は数学からなんです!」 (´∨ω・`)(数学でもやるか) 从・∀・ノ!リ「みんな頑張るのじゃー!」 ~開始から三十分後~ ( ^ω^)「おっおっ!順調だお!」 ('A`)「無言でやれ、無言で」 ( ><)「割り算なんて簡単なんです!」 (´∨ω・`) 从・∀・ノ!リ「みんな頑張るのじゃー!」 ( ´_ゝ`)「妹者、応援してくれるのは嬉しいのだが」 (´<_` )「少し静かにしててくれないか?」 从・∀・ノ!リ「わかったのじゃー!」 ~開始から一時間後~ ( ^ω^) ('A`) (;><) (´∨ω・`) 从・∀・ノ!リ ~開始から二時間後~ (;^ω^) ('A`) (´∨ω・`) (;><)(わ……わかんないんです) 从・∀・ノ!リ (;><) 从・∀・ノ!リ (;><)「な、なんなんですか?」 从・∀・ノ!リ「ちっちゃいあんちゃんはここがわからんのか?」 (;><)「ち、ちっちゃい!?ちっちゃいって僕のことなんですか!?」 从・∀・ノ!リ「他に誰がいるのじゃ?」 (;><)「んな!……ち、ちっちゃいガキんちょにちっちゃいなんて言われる筋合いないんです!!」 从・∀・ノ!リ「ここはこうして……」 (;><)「な、何をするんですか!!」 从・∀・ノ!リ「こうすれば出来上がりなのじゃ!」 (;><)「え?」 ( ´_ゝ`)「うむ、正解だ」 (;><)「ええ!?」 (´<_` )「よくできました」 (;><)「えええ!?」 ( ´_ゝ`)「言い忘れていたが妹者は」 (´<_` )「数学だけならそこらの高校生よりよっぽど出来るぞ」 (;><)「そ、そんな馬鹿ななんです!?」 从・∀・ノ!リ「また分かんないところがあったら、いつでも頼るといいのじゃ!」 (;><)「う……」 ~開始から三時間後~ (;^ω^)「ドクオここ教えてくれお」 ('A`)「ん?どれどれ」 (;><)「もう数学なんて飽きたんです!次は国語なんです!」 (´∨ω・`) 从・∀・ノ!リ ~開始から五時間後~ ( ^ω^)「トムはその緑色に滑った体を」 (;'A`)「いやいや、そこはそう訳すんじゃなくてだな」 (;><)「もう理科なんて飽きたんです!次は歴史なんです!」 (´∨ω・`) 从・∀・ノ!リ (´∨ω・`) 从・∀・ノ!リ (´∨ω・`) 从・∀・ノ!リ「……あんちゃんは算数得意なのか?」 (´∨ω・`)「……俺か?」 从・∀・ノ!リ「そうじゃ!」 (´∨ω・`)「得意……って訳でもないけどな」 从・∀・ノ!リ「でも、さっきから全然間違わないのじゃ!」 (´∨ω・`)「まぁ……そこそこかな」 从・∀・ノ!リ「そうか!」 ( ´_ゝ`)(´<_` ) (´∨ω・`) ( ´_ゝ`)(´<_` ) 从・∀・ノ!リ ( ´_ゝ`)「ふっ」(´<_` ) ( ^ω^)「トムはどす黒く濁った固形物を口から」 (;'A`)「だーかーら!そこはそうじゃなくて!」 (;><)「もう歴史なんて飽きたんです!次は数学なんです!」 ( ´_ゝ`)「よし、そろそろ夕食にしよう」 勉強開始から六時間。兄者が皆へと声をかける。 (;^ω^)「ふぅ、疲れたお」 (;'A`)「俺も疲れたよ」 (;><)「もうお腹ペコペコなんです!」 (´<_` )「下に行けば、母者が夕食を用意してくれてるはずだ」 ( ^ω^)「あれ、そういえばお母さんはどこにいたんだお?」 ( ´_ゝ`)「大抵母者は昼間どこかへ行ってる」 (´<_` )「この時間になればきっと帰ってきてるはずだ」 ('A`)「まぁ母ちゃんて大体そんなもんだよな」 从・∀・ノ!リ「晩御飯なのじゃー!」 (;´_ゝ`)「こら!妹者!」 (´<_`;)「だから走るなと言ってるだろ!」 ――― ―― 从・∀・ノ!リ「満腹なのじゃー!」 (;´_ゝ`)「妹者!何回言えば分かるんだ!」 (´<_`;)「走ると危ないって言ってるだろ!」 从>∀<ノ!リ「わー!」 無邪気な声と共に、畳の上を滑走する幼い体。 (;><)「うわあああああああああああ!!!」 そのまま、ビロードの勉強していた文机へと激突。 (;><)「ぼ、僕のノートがああああああ!!!」 スコン、という音と共に吹き飛ぶ、ノート、筆箱、その他諸々。 他の机を巻き込まなかったのが不幸中の幸いだろうか。 从・∀・ノ!リ「……」 うつ伏せの状態でしばらく固まる妹者。 (;´_ゝ`)「だ、大丈夫か!?妹者!?」(´<_`;) 从・∀・ノ!リ「……いったー」 (;´_ゝ`)「い、妹者?」 从・∀・ノ!リ「……」 (´<_`;)「どうした?」 妹者は呆気に取られたような表情を浮かべている。 それを心配そうに見つめる流石兄弟。 从・∀・ノ!リ (;´_ゝ`)(´<_`;) 从>∀<ノ!リ「面白いのじゃー!」 突然立ち上がり、両手を掲げ叫ぶ妹者。 从>∀<ノ!リ「もう一回や(;´_ゝ`)「ダメ!絶対ダメ!!」(´<_`;) 从・∀・ノ!リ「えー、なんでじゃー?」 (;´_ゝ`)「危ないからに決まってるだろ!!」(´<_`;) (;><)「ぼ、僕のノート……」 (;^ω^)(;´∨ω・`)(*'A`) ( ^ω^)「いやー、それにしても母者さんの手料理は最高だったお!」 ( ´_ゝ`)「だろう?」 ('A`)「しかもすごい量だったしな」 (´<_` )「だろう?」 (;><)「僕のノート……」 ( ´_ゝ`)「みんなお腹一杯で少し眠くなってきたんじゃないかと思う」 (´<_` )「だが、今ここで寝てしまったら勉強合宿の意味がない」 ( ´_ゝ`)「どうしても眠くてしょうがない時は」 (´<_` )「十分間の仮眠を取るのが効果的だ」 ( ´_ゝ`)「寝ては意味がないと言っても、眠気と戦いながらでは」 (´<_` )「とてもじゃないが勉強に集中出来ないからな」 ( ´_ゝ`)「それじゃ、今から約五時間」 (´<_` )「もう一度気合いを入れなおして頑張ろう」 从・∀・ノ!リ「勉強合宿再開なのじゃー!」 ~再開から三十分後~ (;^ω^)「兄者君、ここ教えて欲しいんだけどお」 ( ´_ゝ`)「ん、どれどれ」 ('A`)「古文ってどんな感じで読めばいいんだ?」 (´<_` )「まずは主語をとってだな」 (;><)「僕のシャーペン!!僕のシャーペンがないんです!!」 从・∀・ノ!リ「ここはどうやって解いてるのじゃ?」 (´∨ω・`)「ここは部分分数が――」 ~再開から一時間後~ ( ^ω^)「トムは自らの毛髪を三十本ほど毟り取り」 ( ´_ゝ`)「そうそう、それでいいぞ」 ('A`)「なるほど。この『る』が尊敬の意味だから、主語は――」 (´<_` )「そうそう、そんな感じだ」 (;><)「や、やっと見つかったんです……」 从・∀・ノ!リ「じゃあ、ここは?」 (´∨ω・`)「そこはコーシーの定理を――」 ~再開から二時間後~ ( ^ω^)「ありがとうだお!これできっとテストも大丈夫だお!」 ( ´_ゝ`)「ああ、また分からない所があったらいつでも聞いてくれ」 ('A`)「今まで何となくで古文読んでたけど、本当はこうやって読むんだな」 (´<_` )「何となくでも確かに読めないことはないが どうしてもテストによって波が出てしまうからな。これからは気をつけるといい」 (;><)「消しゴム……僕の消しゴムは……」 从つ∀-ノ!リ (´∨ω・`) ~再開から三時間後~ ( ´_ゝ`)「やれやれ」 (´<_` )「寝てしまったか」 从-∀-ノ!リ ( ^ω^)「小学生が起きてるにはちょっときつい時間だったおね」 (*'A`) ( ><)「いくら頭がいいと言ってもやっぱりがきんちょはがきんちょなんです!」 (´∨ω・`) ( ´_ゝ`)「このままここに寝せとくのもあれだしな」 (´<_` )「母者の所に預けとくべきだな」 ( ´_ゝ`)「よし、それじゃ俺が一階まで連れて行く」 (´<_` )「頼んだぞ、兄者」 ~再開から四時間後~ ( -ω-) ('A`) ( ><) ( ´_ゝ`) (´<_` ) (´∨ω・`) ( ´_ゝ`)「よし!今日はこの辺で終わりだ!」(´<_` ) 再開から五時間。流石兄弟の声が上がる。 (;^ω^)「もうヘロヘロだお」 (;'A`)「頭いてぇ」 (;><)「結局最後の方はあんまり勉強できなかったんです」 (´∨ω・`) ( ´_ゝ`)「さて、勉強で体を動かしてないとは言え」 (´<_` )「やはり風呂には入りたいよな?」 (;^ω^)「僕もう汗だくだお」 (;'A`)「風呂入らないと気持ち悪くて寝れねーよ」 (;><)「頭痒いんです!」 (´∨ω・`)「……俺も入りたいな」 ( ´_ゝ`)「ならば、一人ずつというのはさすがに時間がかかるからな」 (´<_` )「二人ずつ入るというのはどうだろうか?」 (;^ω^)(;'A`)(;><)「えー……」 ( ´_ゝ`)「クレームは受け付けない」 (´<_` )「ここは俺達に従ってもらおう」 (;^ω^)「まぁ、入れてもらう身で文句は言えないお」 ( ´_ゝ`)「それでは公平に」 (´<_` )「ジャンケンでペアを作るとしよう」 ('A`)「ジャンケンっすか」 ( ´_ゝ`)「それじゃ行くぞ」 ( ><)「ジャンケンの鬼と呼ばれた僕に勝負を挑むなんて、片腹痛いんです!」 ( ´_ゝ`)「ジャンケン」(´<_` ) (´∨ω・`) ( ´_ゝ`)「ポン!」(´<_` ) ('A`) (´∨ω-`) 湯船に浸かるドクオと頭を洗うショボン。 ('A`) (´∨ω-`) シャンプーを泡立てる音だけが響く。 ('A`) (´∨ω-`) ('A`)(なんか……気まずいな) (´∨ω-`) ('A`)「……はぁ」 やがてショボンが体まで洗い終わり、ドクオは入れ替わるように浴槽から出る。 (-A-) シャワーで頭を十分濡らした後、シャンプーを手に取り泡立ててから髪へとつける。 (´∨ω・`) 二人を包むのは、やはり沈黙。 と (´∨ω・`)「……この前はすまなかったな」 ショボンが囁くような声でしゃべり掛ける。 (-A-)「……この前って?」 (´∨ω・`)「屋上で」 (-A-)「……ああ、あれか」 (´∨ω・`)「こんなこと言っても信じてもらえるかわからないのだが」 (-A-) (´∨ω・`)「実は、あの時の記憶が一部欠けているんだ」 (;-A-) (´∨ω・`)「後から聞いた話だと、俺はヒートと教室で勝負をしたらしい」 (;-A-) (´∨ω・`)「だが俺の記憶は、屋上で君と話した時からすっぽりと抜けている」 (;-A-) (´∨ω・`)「……こんなこと、今まで一度もなかった」 (-A-) (´∨ω・`)「俺は、怖いんだ」 (´∨ω・`)「あの時、本当は君に危害を加えるつもりなんてなかった」 (´∨ω・`)「直前で止めるつもりだったんだ。なのにいつの間にか、もう一人の俺が……」 (´∨ω・`)「だから、また俺の知らないうちに、もう一人の俺が暴れてしまわないか」 (´∨ω・`)「また、関係のない人を巻き込んでしまわないか」 (´∨ω・`)「また、記憶がなくなったりしないか……怖いんだ」 ショボンは先程よりも小さな、消え入りそうな声で言う。 (-A-)「……だからか」 (´∨ω・`)「?」 (-A-)「前まで、どこか気取ってたって言うかカッコつけてたって言うか…… そんな近寄りがたい雰囲気を出してたけど。最近、そうでもなくなったもんな。お前」 (´∨ω・`)「……」 (-A-)「自分を、変えようとしてるんだろ?」 (´∨ω・`)「……」 (´∨ω・`)「……そうかもしれない」 (´∨ω・`)「とにかく、前のままでいたらまた同じことが起こってしまうかもしれない。 そう、思ったんだ」 (-A-)「なるほどね」 目を瞑ったまま蛇口を捻る。 シャワーからお湯が噴出す。 (-A-)「いいんじゃないか?」 (´∨ω・`)「……」 (-A-)「変わることは、別に悪いことじゃない」 泡を洗い流し終え、もう一度蛇口を捻る。 (´∨ω・`)「だが、必ずしもいいことだとは限らない」 ('A`)「……」 閉じていた、まぶたを開く。 ('A`)「なんで……そう思うんだ?」 タオルを泡立てながら、問う。 (´∨ω・`)「他人に合わせ自らの意見をコロコロと変える奴。 他人がやっているからといって同じように髪を茶色く染める奴。 そんな自分の芯を容易く折る奴らを、俺は今まで何人も見てきた」 ('A`)「……自分もそういう奴らと同じになってしまうんじゃないか、ってことか?」 (´∨ω・`)「……」 無言で頷き、答える。 ('A`)「じゃあ聞くが、お前の中の芯はもう折れちまったのか?」 (´∨ω・`)「……それは」 ('A`)「だったら大丈夫だ」 (´∨ω・`)「だが!これから先折れると言う事もあるだろ!」 突然声を荒げ、浴槽から身を乗り出すショボン。 (;'A`)「ちょ、落ち着け!見えてる!見えてるから!」 (;´∨ω・`)「あ」 慌てて、もう一度浴槽へと身を沈める。 ('A`)「はぁ」 (´∨ω・`)「……すまない」 落ち着きを取り戻し、ドクオはまた体を洗い始める。 ('A`)「折るのは誰だ?」 (´∨ω・`)「?」 意味の分からない質問に、表情で疑問の意を表すショボン。 ('A`)「自分の中の芯を折るのは誰だ?」 (´∨ω・`)「……」 返答はなく、沈黙が続く。 ('A`)「……決して折れない、自分を曲げない強い意志があれば、そんなことにはならないはずだろ」 (´∨ω・`)「……」 ('A`)「自分の中の芯を折るのは、自分自身なんだから」 ('A`)「お前がそのことを分かってる限り、絶対にお前の中の芯は折れない」 ('A`)「だから、安心しろ」 蛇口を捻る。 風呂場が湯気で満たされる。 (´∨ω・`)「……」 ('A`)「前までの自分を変えつつも、前までの自分を完璧に捨てるわけじゃない。 そういう変化を『成長』って言うんだ」 (´∨ω・`)「……成長」 キュッと言う音と共にシャワーの音が止む。 ('A`)「そんじゃ、俺はもう出るわ」 ドクオはタオルを腰に巻き、立ち上がる。 ('A`)「お前はどうする?」 (´∨ω・`)「俺は……もう少し」 ('A`)「そうか」 ('A`)「あんまり長く入りすぎて、のぼせたりすんなよ」 ドクオはそう言うと、扉を開き風呂場から出て行った。 (´∨ω・`) ショボンは相変わらず、湯船に浸かったまま動かない。 (´∨ω・`) 時折、浴槽のお湯を両手ですくい、顔に当てる。 それは顔を洗うというより、風呂場特有の妙な義務感から行われる行為だった。 外からドライヤーの音が聞こえる。 おそらく、ドクオが使っているのだろう。 (´∨ω・`)「……芯、か」 ドライヤーの音が止んでから数分。 ショボンは若干渇いた髪をもう一度シャワーで濡らした後 頭を思い切り振ってから、風呂場を後にした。 ('A`)「あーマジで疲れたわー」 川 ゚ -゚) ドクオが畳の上に寝そべりながらぼやく。 クーは黙ったままちゃぶ台の前に座り、前を見つめている。 ('A`)「一日にこんな勉強したのは生まれて初めてかもしんない」 川 ゚ -゚) ('A`)「うぁー」 自らの疲れをそのまま捻り出したような声を吐き出す。 ('A`)「……どしたんすか?」 先程から何も言わないクーへ尋ねる。 川 ゚ -゚)「……別に」 ('A`)「別にって……明らかに不機嫌そうなんですけど」 川 ゚ -゚)「……」 ('A`)「……何なんだよ」 ('A`)「あのー、なんか俺悪いことしましたかね?」 川 ゚ -゚)「……」 ('A`)「答えてくれないと分からないんですけど」 川 ゚ -゚)「……君のせいじゃない」 ('A`)「じゃあ、何で?」 川 ゚ -゚)「……」 一度開いたかと思った口は、またしても堅く閉ざされてしまう。 ('A`)「まぁ、そんなに言いたくないんなら言わなくてもいいけどさ」 そう言うと、ドクオはまた畳へと寝そべる。 何とも形容しがたい、居心地の悪い空気が二人の間を流れる。 川 ゚ -゚)「私は、勉強が嫌いだったのかもしれない」 ('A`)「へ?」 クーの言葉に、顔だけを上げ反応する。 川 ゚ -゚)「今日君達の勉強している姿を眺めていたら こう、何というか……凄く嫌な気分になったんだ」 ('A`)「……」 川 ゚ -゚)「胃はキリキリと痛むし、喉奥からは吐き気がこみ上げてきた」 (;'A`)「おいおい、マジかよ」 川 ゚ -゚)「だからもしかしたら、私は勉強に何かトラウマを抱えていたのかもしれない」 (;'A`)「……」 ドクオは、いつの間にか体を起こしその話を聞いていた。 (;'A`)「記憶が戻ったってことか?」 その問いに、クーは首を横に振る。 川 ゚ -゚)「そういうわけじゃない。 ただ、勉強という行為が私の深層心理に何らかの影響を及ぼした。それだけのことだ」 (;'A`)「んー」 川 ゚ -゚)「君が気にすることでもない。私が外の様子を覗かなければ済むことなのだからな」 (;'A`)「いやまぁ、それはそうなんだけど」 川 ゚ -゚)「変な心配をかけてすまなかった。明日に備えてゆっくりと休んでくれ」 (;'A`)「……」 無機質な声でそれだけ言うと、クーはドクオから視線を逸らし、前へと向き直った。 (;'A`) 川 ゚ -゚) それから、この夜二人が会話することはなかった。 クーはただ前を見つめ、ドクオは時折顔を起こし心配そうにそれを見る。 何もない壁を見つめるクーの瞳。 ドクオと出会い、感情の色をようやく灯し始めた漆黒の瞳。 だがその瞳も、今は何の色にも染まらず、ただ深い闇をその身に湛えているだけだった。 その瞳から発せられるどこか虚ろで、儚くおぼろげな光。 ドクオはそれを見つめながら、初めてクーと会った時を思い出す。 ('A`)(あの時とも、何か違う……?) 妙な違和感を感じ、首を傾げる。 川 ゚ -゚) 機械のような少女はそんなドクオの様子も露知らず 何の変哲もない壁をじっと、ただじっと見続けていた。 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
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