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LOYAL STRAIT FLASH ♪

第七話

18 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:33:58.04 ID:mK4HgWjm0
第7話 殺してみたいしんどろーむ

二人の男は妙な格好をしていた。

一人は警備員のような制服。
もう一人は、工事現場でドリルを操っていそうな服装だ。

(*゚ー゚)「何の用……って、聞くまでも無いか」
( ´_ゝ`)「そうだな。お互い、何が目的かわかっているだろう」

しぃはどこからともなくナイフを取り出した。
一方の男は何の動作も見せない。

(*゚ー゚)「名前ぐらい、聞いとくわよ」
( ´_ゝ`)「流石兄弟の兄者」
(´<_` )「同じく、弟者」
(*゚ー゚)「へーえ」

(*゚ー゚)「自己紹介はそれだけで、十分よね」

刹那、しぃの姿が消失した。

19 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:35:38.50 ID:mK4HgWjm0
( ´_ゝ`)「……ほう」

次に現れたしぃは、兄者の後ろから、ナイフを向けていた。
ちょうど、誘拐犯が演じそうな仕草である。

(*゚ー゚)「うっわー、初めて人を殺せるのかー」

期待と欲望で眼を輝かせるしぃ。

( ´_ゝ`)「……瞬間移動か」
(*゚ー゚)「そういうわけ。ま、無敵だよね」
( ´_ゝ`)「……ふむ」

(´<_` )「だが、単独行動に走るのは間違いじゃないか?」
(*゚ー゚)「! クー!」
川 ゚ -゚)「え……」

弟者は、クーに銃口を向けていた。

20 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:36:22.26 ID:mK4HgWjm0
(*゚ー゚)「……一般人が銃を持ってるなんてね」
(´<_` )「確かに俺らは一般人だったさ。今朝まではね」

(´<_` )「だが、僕らは今朝、悪役という演者になることを命じられた。同時に、この銃を与えられたわけさ」
(*゚ー゚)「あっそう……」

( ,,゚Д゚)「しぃ! そのままだとクーが!」

何もできないギコが叫ぶ。

危機を察知したクーもただおろおろするばかり。
盲目の彼女を助けようにも、近づくに近づけない状況だ。

21 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:37:39.75 ID:mK4HgWjm0
(*゚ー゚)「えー……でも、殺したいなあ」

不満げに呟くしぃだが、やがてナイフを下ろす……かに見えた。

一瞬のフェイクの後に、しぃの姿が消失する。

次にしぃが出現した場所は、弟者の背後だった。

(*゚ー゚)「あははははあぁはあはは! 楽しいなあ!」

奇声をあげながら、ナイフで弟者を突き刺そうとする。

( ´_ゝ`)「俺らにも能力があることを忘れるな」

そんな言葉も、今のしぃには聞こえない。
ズブ、と弟者の背中に刃が突き立てられる。

(´<_` )「……はは……」

弟者が笑った。

22 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:38:30.01 ID:mK4HgWjm0
(*゚ー゚)「え……」

しぃが異変に気付いたときにはもう、遅かった。

弟者が不気味な笑顔と共に振り返る。

(´<_` )「……俺にナイフは効かないよ」

その言葉と共に、銃身が彼女に向けられる。

(*゚ー゚)「!」

間一髪で、しぃはその場を離脱した。
ガン、と銃声と、弾が何かに命中する音が響き渡る。

24 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:39:42.08 ID:mK4HgWjm0
(*゚ー゚)「……卑怯な」

移動したしぃはクーの傍に立っていた。

川 ゚ -゚)「しぃ……?」

クーが不安そうに呟く。

(*゚ー゚)「ちょっと、あんた達もなんかしなさいよ!」

若干距離を置いているブーンたちにしぃは苛立った声で怒鳴った。

( ,,゚Д゚)「いや、無理だろ……大体なんでナイフが効かないんだよ」

(´<_` )「……俺らの能力さ。」
( ´_ゝ`)「粘土のような身体にナイフを刺しても意味が無いだろう?」

ズブッと、弟者は背中のナイフを引き抜いた。
血は零れない。
それどころか、何の変化も無い。

25 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:40:30.84 ID:mK4HgWjm0
(*゚ー゚)「切り裂けばよかったんだ」

後悔するしぃ。

(´<_` )「……さて、しかしこれは厄介だな。ワープ能力……」
( ´_ゝ`)「一人ずつ潰していくのが先決か」

(*゚ー゚)「ブーン、やっちゃってよ!」
( ^ω^)「え……」
(*゚ー゚)「燃やしちゃって、あいつら!」

26 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:41:22.58 ID:mK4HgWjm0
粘土を燃やせば陶器にでもなるのだろうか。
知る由も無いが、ブーンは躊躇する。
当然だろう。

(*゚ー゚)「ほら、はやく!」
( ^ω^)「……む、無理だお!」
(*゚ー゚)「何が無理よ! こいつらは、あの自殺したい奴と違って」

(*゚ー゚)「殺してもいいの! ゲームだと敵を殺さないと何も始まらないでしょ!」
( ^ω^)「そ、そんな……」

戦闘狂というものは、敵に限った特徴でもないらしい。

27 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:43:03.37 ID:mK4HgWjm0
( ´_ゝ`)「ふう。流石糞ガキだ」

兄者が呆れている。

( ´_ゝ`)「普段できないことをする……それはとても楽しいことのはずだが」
(´<_` )「殺す、なんて普段出来ないからな」
( ´_ゝ`)「……さて、そろそろいかせてもらおうか」

兄者も銃を取り出す。

(*゚ー゚)「ブーン!」

死ぬ。
このままだと自分が死ぬ。
ギコが死ぬ、ツンが死ぬ。
しぃも死ぬかもしれない。そうなれば、クーも死ぬ。

29 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:44:27.70 ID:mK4HgWjm0
( ゜ω゜)「うあああああぁああああ」

殺す。
兄者と弟者を殺せばこの場は収まる。
だが、そうすれば自分は3人も殺したことになる。
大量殺人犯。死刑にもなりえるのではないだろうか。

( ´_ゝ`)「どれほどの力を持っているのか知らんが」
(´<_` )「使わなければ無力だ」
( ´_ゝ`)「死ねばいいさ」

銃口が向けられる。

( ゜ω゜)「あああぁぁあぁああぁああ!!」

そして。
都合よく、ブーンの腕から炎が吹き出した。

30 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:45:42.69 ID:mK4HgWjm0
それはブーンの意思に関係なく、うねり、
龍のように二人に襲い掛かる。

( ´_ゝ`)「!」

(*゚ー゚)「やった!」

しぃが叫んだ。

炎の精度には驚くべきものがある。
他を焼くことなく、正確に二人を包んだ。

絶叫。聞くのは二度目の、断末魔の叫びだ。

(*゚ー゚)「ご苦労様、咬ませ犬」

31 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:47:01.53 ID:mK4HgWjm0
終焉までにさほどの時間はかからなかった。

川 ゚ -゚)「終わった……のか?」
(*゚ー゚)「うん。完璧に。燃え尽きたよ」
川 ゚ -゚)「……人を燃やし尽くすのには、相当の時間がかかるはずだが」

クーの言葉は事実だが、現実とは異なる。

二人の姿は、衣服から、骨までも跡形も無く焼失していた。

床も、最小限焦げている程度である。
まるで、人体自然発火現象のようだ。

32 名前: ◆xh7i0CWaMo [sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:48:34.03 ID:mK4HgWjm0
(*゚ー゚)「ブーン、ご苦労様」

地面に這い蹲るようにしているブーンに、しぃは歩み寄った。

( ゜ω゜)「お……うぁ……」
(*゚ー゚)「ははははは、あんた、強いねー」
( ゜ω゜)「……」
(*゚ー゚)「みんな無傷。にしてもあの咬ませ犬は見事に雑魚を演じたよね」
( ゜ω゜)「……ぼ、僕は……」
(*゚ー゚)「あんたは何も悪くないわよ……むしろ、ヒーロー」

身体が粘土でできていると自称した敵二人はあっけなく消えた。

強い。
自分は非常に強い。
炎があれば最強だ。何もかも燃やし尽くすことが出来るのだ。
楽しいのかもしれない。
殺すのは、楽しいのかもしれない。

( ゜ω゜)「……」

ブーンは、無言で発狂していた。
そんな彼に、しぃはそっと口づけた。

(*゚ー゚)「ごくろうさま……」


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