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LOYAL STRAIT FLASH ♪

第三話

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:14:13.79 ID:C0xUXuWB0
普通の木はまばらに生え苔や虫、キノコなど成長していく過程で色々な生物が共生する
これだけの広大な森の中、それも木々の背はかなり高く、昼間でもそうそう陽の光が届かない場所も多い
だけどこの森の木々には苔やキノコは全くと言っていいほどいない
それ所か虫や鳥、動物の気配も無いのだ

('A`)「薄気味わりぃな。これもこの上の施設が関わってんのか?」
さっきより雨はやや小雨になってきたようですこし足場も定まってきた
('A`)「お・・なんか明かりが見えて来た。そろそろか」

ドクオの前方にやや拓けた平地が見え、自動車らしきヘッドライトが見えた
('A`)「待ってろよブーン。今助けに行くからな」
右手に持った夜釣り用の大型ライトの明かりを消した

覚悟を決めたようにドクオが一気に飛び出す

そこには一台のトラックが止まっていた。トラックのエンジンはかかったままでライトもついているが人の気配は無い
辺りには微かにガソリンらしき匂いと火薬の匂い、それと生臭い匂いが漂っている

('A`;)「こりゃ・・・普通じゃねぇな。」
そう呟いて手に持ったライトの明かりをつけて辺りを散策する

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:15:36.09 ID:C0xUXuWB0
トラックの裏側を覗くと人影らしき物が見えた
思わずドクオは身を隠す
('A`;)「(・・・誰かいんのか・・・)」
首筋にひやりとした血液が流れるのが分かる

恐る恐る覗き込んだドクオが見たのは二人の若い男の死体だった

('A`;)「うわぁぁッ!死・・しんでんんのあおkそあsj?」
ドクオは思わず後ろに飛びのいた

そこには警備員のような服装をした死体が二つ転がっていた

('A`)「これも・・・ブーンがやったってのか」
ドクオは事の重大さに少し後悔した。これはもう警察に任すべきだったのかもしれない
普通の高校生であるドクオにはどうする事も出来ない可能性のほうが高いだろう

少なくとも人生で初めて見る死体がここに二つ転がっているのだから・・・


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:17:14.69 ID:C0xUXuWB0
ドクオは思わずへたり込んだ。足が痛い。雨に濡れて体も冷えてさっきから寒気が止まらない

雨が辛い

('A`)「・・・」
('A`)「・・・・」
('A`)「ブーン・・お前はただの殺人犯なのかよ・・・」

ドクオがそう呟いた瞬間突然後ろからぬかるみを踏みしめる音がした
('A`;)「だ・・・誰かいんのか!?ブーンか??」

ドクオがそう叫ぶと一旦足音は止んだ

('A`;)「誰か知んねーけど出て来いよ!俺はただのガキだぜ。なにビビってんだ?」
ドクオは精一杯の勇気で声を振り絞った

一瞬置いて足音の主が木の陰から出てきた

( ,'3 )「子供・・・か。なんでこんな所にいるんだ?ここは危ないからさっさと山を降りなさい」
足音の主は中嶋だった

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:18:45.65 ID:C0xUXuWB0
('A`)「・・・あんたあの施設の職員かなんかかい?」
ドクオは睨みつけるようにキツイ口調で中嶋に言い放った

( ,'3 )「いや。ただの運転手だ。このトラックのね。それも今日までだが」
中嶋はそう言うとトラックの周りをぐるっと回る。守衛の死体を見つけると大きな溜息を吐き出した
( ,'3 )「守衛は二人とも殺されてるか・・って事はあの子供は生きてるんだな・・・」
どうやら中嶋はブーンが心配で戻ってきたようだった。

('A`#)「あの子供・・?おい!おっさん!あの子供ってまさかブーンの事か!?」
ドクオ思わず詰め寄る

( ,'3 )「ブーン、それは・・彼の名前か?見るところ君と同じ位の歳だったが。」
ブーンがここを通った、そして生きている
('A`)「生きてた・・・生きてたんだな・・・。アイツ。ここで何があったんだ。教えてくれよ」

中嶋を見るドクオの顔から険が取れた

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:24:56.30 ID:C0xUXuWB0
( ,'3 )「私が見たのは傭兵みたいな格好をした・・君くらいの歳の少年だったよ。そして私を・・・・救ってくれた。」

「救った」この表現が正しいのか中嶋には分からなかった
元々ブーンは中嶋を殺すつもりだったのだろう、それは運転席で運転していた本人にはひしひしと伝わっていた

だけど殺さなかった

家族の話を聞いた辺りから彼の顔は少年の顔に戻っていた気がする
ただの殺人者ではない、その証拠に自分を救ってくれた

だから救ったという表現をした、自分を殺す気だった殺人犯を。

( ,'3 )「内容は知らないがこの施設は色々やばいモン扱ってる。それを壊しに来たんだろう」
( ,'3 )「守衛の言葉によると前の爆破も彼の仕業みたいだしね」
そう言うと中嶋は一息ついたようにトラックに寄りかかった

('A`)「そっか。良くわかんねーけどブーンは・・・命を助けたんだな・・」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:27:53.68 ID:C0xUXuWB0
ドクオの中で俄然ヤル気が出てきた
人を殺す事は絶対にしてはいけない。ブーンはその一線を越えている
だけど人を救う事もしている、なら信じてやらなきゃならないだろ?

('A`)「おっさん、ありがとうな。俺そろそろ行くわ」

ドクオはそう言うとムクリと立ち上がった

さっきまで辛かった雨が大分止んできているように思った


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:29:47.73 ID:C0xUXuWB0
(´・ω・`)「これでいいのかな。」
ショボンはその頃ブーンの残していった機械を弄くり回していた

(´・ω・`)「あのサイトの管理人はこれで動くって言ってたけど・・・」

そう言いながらショボンは機械の裏にある小さな溝にマイナスドライバーをあてがった
ξ('A`)ξ「これで回すのよね?えいっ」

その瞬間黒いボディが跳ね上がり小さなパソコンの様な画面とキーボードが顔を出した
ξ('A`)ξ「すっごい!すっごい!何コレ!?」

ドクミは眠い目を擦りながら機械をマジマジと見つめる
(´・ω・`)「無線機みたいだね。それも衛星を使った位広範囲の」

ショボンは画面を指差しながらそう言った
画面には英語やアルファベットが並ぶ。どうやらこの右下のNGk・Hrz  1×12000
これは長岡県ホライゾン市を表すようだ。地図の等高線のような物が映っている

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:30:35.16 ID:C0xUXuWB0
(´・ω・`)「この点はもしかして僕らが居る場所なのかな?でもブツブツ・・・・だけど・・・・」

独り言のように呟きながらショボンが弄くり回していると

ξ('A`)ξ「じゃ開いた事だしそろそろ私寝るね。もう2時前じゃない。おやすみー」
ドクミはそう言うとドクオの部屋を出て自分の部屋に帰って行った

(´・ω・`)「おやすみ。ありがとう」

ショボンはこの機械の使い方が分かればブーンに何か伝えられるかも・・・と期待していた
やはりショボンもブーンが心配なようだ

(´・ω・`)「無線か・・・」

ショボンが改めて時計を見るともうすぐ2時を回る所だった

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:32:35.87 ID:C0xUXuWB0
暗闇に二つの影が揺れる

(  ω )「ごめんだお」
ブーンはそう言うと守衛の首に極めている右手を勢い良く捻った 

ゴキン

(゚△゚)「ふはかか・・・がッ・・」
守衛は辛うじて呼吸をしているようだが首の骨を折ったのだ、もう長くないだろう

ブーンは守衛二人をトラックの陰に隠して施設へと急いだ

左手の出血は上腕をきつく縛った事でなんとか止まった

( ^ω^)「もう2時半か。夜が明けるまでに片付けるお」

施設はもう目の前だ。ブーンは再確認するように呟いた

( ^ω^)「施設の破壊、研究内容の破棄。施設責任者の拘束、もしくは殺害」

目の前にそびえる白く巨大な建物。そこに侵入し、任務を果たす
ブーンは力強く地面を蹴りだし裏口に向かって行った


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:36:56.94 ID:C0xUXuWB0
建物の内部は到ってシンプルだった。不必要な物は一切排除したような構造、
だが単純だけに侵入経路は敵にも予測しやすいのだろう

( ^ω^)「まず三階のスパコンの破壊、CD-Rの内容をデリート。」
ブーンは足音を殺しながら階段を一歩、また一歩と上っていく

侵入がバレた割にはやけに警備が少ない。それどころか人の気配も無い

( ^ω^)「どうする・・罠か?」

・・・・・・・

( ^ω^)「どうするも何もないか。行くしかない。昨日の今日でコンピューターごと移動は出来ないはずだお」
その瞬間後ろの階段から人の気配がした

ブーンは銃を右手で構え死角に滑り込む
相手はかなり訓練された兵士のようだ。もしかしたらブーン以上の。全くと言って言い程隙が無い

(;^ω^)「待つか・・・行くか・・・」

ブーンが悩んでいると気配の先から声がした

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:37:48.84 ID:C0xUXuWB0
川 ゚ -゚)「遅いぞブーン」

( ^ω^)「ク、クー・・訓練官?」
ブーンは身を隠したまま返事を返す

川 ゚ -゚)「あぁそうだ。貴様が遅いから粗方私が片付けてしまったぞ」
川 ゚ -゚)「あとはスパコンの破壊と責任者の確保だ」

クーと呼ばれた女性がそう言うとようやくブーンが壁から身を出した

( ^ω^)「な・・何故ですお?任務には一人のはずじゃ・・・」
ブーンは動揺を隠せないようだ。

それもそのはず、今目の前にいる女性は
ブーンが物心つく前から戦闘のイロハを教えてくれた上官なのだから。
そもそもブーンの組織では一つの任務に一人なのである、ブーンが慌てるのも無理は無い

川 ゚ -゚)「この任務は一人ではクリア出来ないとの上の判断だ。それともなんだ、私じゃ不服か?」
クーは少し皮肉を言い笑う。ブーンに戦闘を教え込んだ割には若く見える。20代半ばくらいだろうか

( ^ω^)「そ・・そんなことh」
川 ゚ -゚)「無駄口はいい。いくぞ。時間も押している」
そう言うとクーは3階への階段を駆け上がる

( ^ω^)「相変わらずマイペースな人だお。でも左手が使えない今、心強いですお」
ブーンはそう言うと勢い良く階段を駆け上がって言った


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:42:35.35 ID:C0xUXuWB0
3階に着くとそこは異様な雰囲気だった
ブルーの蛍光灯に照らされた白い壁が一層不気味さを増す

( ^ω^)「僕が先に行きますお」
ブーンはそう言うと摺り足で少しずつ前へ出る

スパコンのある部屋は突き当たりを左に曲がった所のはず
ブーンは壁を背に通路を覗き込んだ
( ^ω^)「ここまでは大丈夫ですお」
ブーンがそう合図するとクーが静かに駆け寄る
川 ゚ -゚)「施設の職員は私が殆んど片付けたからな。だが施設の責任者、ジョルジュは居なかった」

川 ゚ -゚)「まだ見ていないのはあの研究室だけだ」
( ^ω^)「・・・ならあの部屋に居る可能性が高いですお。」
川 ゚ -゚)「そうだな。だが気を付けろよ。職員とはいえ銃の携帯は確実だ」
( ^ω^)「了解。1・2・3で突入しますお」

そう言うとブーンが銃を構え静かに数える


「1」


「2」


「3」


クーとブーンが部屋のドアを勢い良く蹴り上げる

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:48:19.02 ID:C0xUXuWB0
( ^ω^)「抵抗しなければ殺さない。大人しくするんだお!」
川 ゚ -゚)「スパコンは何処だ!」
クーはそう叫ぶと部屋中を引っ掻き回す

川 ゚ -゚)「あった。これだな。破壊するぞ」
そう言うとクーは機械に向かって5発発砲した

(;^ω^)「クーさん。それより敵がいるかもしれないのに危ないですお。」
( ^ω^)「コンピューターの破壊なんていつでも出来るじゃないですか」
ブーンはそう言いながらスパコンを眺める。バチバチと音を鳴らしながら画面が切れる所だった

・・・???
川 ゚ -゚) 「どうした」

( ^ω^)「何もないですお。それより任務を遂行しましょう」

部屋の中に人の気配は無い。ただコンピューターだけが動いているだけだ

川 ゚ -゚)「あぁ・・すまないな。人の気配が無い事にすぐ気が付いたんで破壊を優先した」
( ^ω^)「あの一瞬で・・・流石クーさんだお」

ブーンはそう言って部屋を散策する
川 ゚ -゚)「何をしている?」
クーがブーンを怪訝そうな顔で見つめる

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:51:11.21 ID:C0xUXuWB0
( ^ω^)「何って・・・スパコンの破壊とCD-Rのデリート、それと責任者の確保が任務じゃないですかお」
ブーンがそう言うと
川 ゚ -゚)「・・そうだったな。しかし研究者がいない今、CD-Rだけでも持ち運んだ可能性も高いぞ」
クーもそう言うと研究内容が詰まったCD-Rを探す


クーの言うとおりCD-Rは見つからなかった
行方不明の研究者が持ち逃げしたんだろうか?

多分そうだろう。研究者や責任者が居ない以上その可能性が極めて高い
川 ゚ -゚)「とりあえずここにCD-Rが無い以上居てもしょうがないな。二人で手分けして責任者を探すぞ」
クーはそう言って部屋を出て行った

( ^ω^)「どこに逃げたお」
ブーンもそう呟くと研究室を後にした

建物内部は探すほどの部屋数でも無い。規模はデカイが前にも言ったように無駄がない分探す範囲もおのずと狭くなる

( ^ω^)「中は・・居ないな。外も見てみるかお」
ブーンは窓の外を見ながら裏口へ向かった

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:55:18.46 ID:C0xUXuWB0
('A`)「でっけー施設だな。明かりも点いてねぇや」
ドクオが施設の正面玄関に向かいながら驚いた顔をする
正面のガラス張りのドアはどうやら鍵が閉まってるようだ、押しても引いてもビクともしない

('A`)「研究所だし非常口とかいっぱいあるはずだよな」
施設の周りをぐるりと小走りで走りながら目を凝らす

その時だった

一瞬ドクオの手に持った大型ライトに反射する物が脇の草葉に見えた

('A`)「なんだ・・?カメラかなんかか?それとももしかして秘密の入り口があったりして」
もう一度照らしてみる。やはり何か光が反射するような物が見える

ドクオは静かにその反射した茂みに近付いた

大きく深呼吸する。何があるか分からないこの状況に流石のドクオも緊張しているようだった
すぐ近くまで近付いたが気配は無い。

ドクオは思い切って茂みを足でかき分けた




28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:57:09.04 ID:C0xUXuWB0
( ゚∀゚)「・・・」
( ,,゚Д゚)「・・・」
('A`;)「うわぁぁぁ。またかよいsdsk」

ドクオは思わず後ろに飛びのく
そこにはさっきの死体より無残に殺されてる男性がいた
どうやら死体は二体のようだ。二人とも白衣を着ている

('A`)「研究員・・か?なんでこんな所で。それもこんなひでぇ殺され方・・・」

ドクオの脳裏にブーンが過ぎった。ブーンがやったのか・・?
でもブーンはここまで酷い殺し方をするだろうか?
まるで拷問にでもあったような・・・酷い殺され方だった

('A`)「ブーンじゃ・・ないよな。お二人さんも成仏してくれよ」

そう言うとドクオは手を合わせ施設の裏口に向かった

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 20:59:30.20 ID:C0xUXuWB0
( ^ω^)「雨も大分止んだな・・もうすぐ夜明けだお」
ブーンは裏口を出るとそう呟いた

なんて長い一日なんだろう。今までこんなに一日が長いと思った事は無かった

友達が出来た。いや、勝手に僕がそう思ってるだけかもしれないけど・・・・
手作りの料理を食べさせてもらった
温もりを感じさせてもらった

                   


           戦う理由を貰った



( ^ω^)「この任務が終われば何か変われる気がするお」

ドクオの熱い気持ち、嬉しかったな。ショボンもああ見えて心配してくれてたのが分かった。
自転車を追いかけて走る、友達と遊んだらいつもあんな感じなのかな

そんな事を考えつつブーンは思い出したように気合を入れる

( ^ω^)「もう・・ドクオ達に会う事は無いんだ。だからせめてドクオ達は僕が守るお」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:02:39.38 ID:C0xUXuWB0
そう思った瞬間後ろで気配がした

( ^ω^)「(施設の責任者か・・?)」

一瞬で間合いを詰める。右手に握ったナイフは血と油で大分切れ味が悪くなってしまったが刺す事は出来るだろう
最悪拳銃で射殺も出来る

刹那の瞬間で計算しながら渾身の足払いをかける。相手はその場に倒れ込む
守衛に打ち抜かれた左手で相手の首筋を極め右手のナイフを突きつける


今にも止みそうな雨がブーンの背中に打ちつける


「おいおい。ひでぇな。最初に会った時と同じシチュエーションかよ」




34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:05:38.19 ID:C0xUXuWB0
(;^ω^)「ど・・・くお。」
気配の主はドクオだった。ゆっくりとブーンは手に込めた力を抜いた
('A`)「お前の力になりたくてさ。俺たちダチだろ?」

(;´ω`)「なんで・・ここにいるんだお。ここまでどれだけ遠いと思ってるんだお」
( ;ω;)「どくおは・・・・ばかやろうだお」

ブーンは初めて人を殺した時以来泣かなかった
でも今は何故か涙が出て止まらなかった

('A`)「途中お前が守ったおっさんに会ったよ。感謝してた。」
そういうとドクオは立とうとする

( ;ω;)「手・・・貸すお」
ブーンがドクオに手を伸ばした瞬間銃声が響いた

川 ゚ -゚)「何者だ?少年。何故ここに居る?」
その銃声の主はクーだった
( ^ω^)「止めて下さい。彼はただの一般人ですお!」
ブーンが止めに入る

さっきの一発は威嚇だったのだろう。ブーンもドクオも無傷だ
川 ゚ -゚)「何を言っている?目撃者は消せと教え込んだだろう」
そう言ってクーは銃口をドクオに向ける

('A`)「あんた・・あんただろ?そこに転がってる白衣のにいちゃん達殺したのは」
ドクオはそう言うと立ち上がってクーを睨みつける


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:08:59.65 ID:C0xUXuWB0
( ^ω^)「白衣?まさか・・・」
ブーンもクーを見つめる

川 ゚ -゚)「白衣・・なんの事だ?どうしたブーン。そんな子供の言う事を信じるのか?気でも狂ったか」
クーはブーンを睨みつける

( ^ω^)「クーさん・・。あなたは研究室に飛び込んだ時すでに誰も居ない事が分かっていたんじゃないかお?」
ブーンが険しい顔でナイフを構えながらクーに問う

川 ゚ -゚)「少しの間だ。聞いてやろう」

クーがそう言うとブーンは改めて話し出した

( ^ω^)「あなたはCD-Rを奪い証拠を消すフリをしてスパコンを壊した」
( ^ω^)「あの画面が消える瞬間・・見たんだお。フォルダのコピー完了の画面を」

(  ω )「あなたは・・・組織の任務で来たんじゃない、そうだお?」
ブーンは少し辛そうにそう言い放つ

その時クーが重い口を開いた

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:11:27.31 ID:C0xUXuWB0
川 ゚ -゚) 「ふぅ」
力んだ肩の力を抜く

川 ゚ -゚) 「そもそもお前に任務を与えたのは私だ。私の利益の為にな」
( ^ω^)「利益?」

クーが少し笑いながら話す
川 ゚ -゚) 「任務の前にお前に見せた見取り図あったろ?あれは重要な拠点はあえて書かなかったんだよ」
川 ゚ -゚) 「最初の任務でお前には失敗してもらうのが狙いだったんだ」

少しずつ、ゆっくりとクーは語りだした

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:13:55.10 ID:C0xUXuWB0
私はここの施設の責任者、ジョルジュと繋がっていたんだよ
「次の任務でここをうちの組織が攻めて来る、だからこことここを固めておけ。」ってね
そして見事にブーン、お前は失敗してくれた。最高だったよ
これでジョルジュは完全に私を信じることになったんだからな

ジョルジュの研究は私たちの組織にとってもこの町の市民にとっても不利益だった
研究の内容は言うなれば細胞の培養、これだけならなんの問題も無いよな?
だがそうじゃなかった。
ここで育った細胞は異常に成長が早く思うように育てられる。
この研究が進めば人間や家畜の培養に困る事はなくなるんだ

( ^ω^)「それが・・なんで不利益に繋がるのか理解できないお」

その時クーが一発発砲した

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:19:11.14 ID:C0xUXuWB0
('A`;)「いてぇ!kすおskjsd」
(;^ω^)「ドクオ!!!!」

クーの放った鉄の塊はドクオの右足を打ち抜いていた

川 ゚ -゚)「お前が五月蝿いからつい撃っちゃったじゃあないか。黙って聞け」
そしてクーはゆっくりと息を吸い込み吐き出した


確かにこれだけじゃなんの問題も無かった。だけどな、この研究実はまだ植物にしか成功してないんだ
これが人間に成功したら・・そう思うとドキドキしないか?
人の命を延ばしたり断ち切ったり・・思うがままだ
莫大な金にもなる。もう危ない任務を安い金で請け負う必要は無くなるんだ

私はお前に任務を言い渡す前にこの施設や実験について独自に調べ上げた
責任者の名前はジョルジュ、助手はギコ

そしてこの実験が何故組織にとって、この市民にとって不利益なのか
理由は簡単だった
一つ得をしたら一つ損をする、それはこの世の中の真理だ。
誰かが死んだらそれを喰い生き、そして恨みにまみれて死ぬ

そんな単純な事なんだよ。なのに組織と来たら・・・
この実験を組織が潰す事になった理由はな・・・


川 ゚ -゚)「この町の人間が全て肺、全身を異常細胞に蝕まれて 死 ぬ か ら だ 」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:21:39.65 ID:C0xUXuWB0
川 ゚ -゚)「これだけがネックなんだよなぁ。たったこれだけ。この植物。異常増殖細胞を胞子に含んでるんだよ」
川 ゚ -゚)「その程度の為にこんな素晴らしい、金になる事業を潰す手はないだろ?」

川 ゚ -゚)「こんな問題もいつかは改善されるだろう。だから私が引き継ぐんだ。組織を抜けてな」

そう言うとクーは少し休憩するようにけのびをした



('A`) 「ふ・・ふざけんじゃねぇぞ!」
ドクオが足を引きずりながらクーに詰め寄る

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:22:43.52 ID:C0xUXuWB0
('A`) 「この町はなぁ・・大した娯楽も無いしじーちゃんばーちゃんばっかだ」
('A`) 「でもな、皆この町が大好きなんだよ!」

('A`) 「てめぇに殺す権利なんてねぇし殺される理由もねぇ!」
ドクオの声が雨の止みかけた森に響いた

川 ゚ -゚)「権利ねぇ・・・権利なんてもんはあとからなんぼでもついてくるの?分かる?ボク」
そう言って銃口をドクオに構える



(  ω )「もう・・・やめてくれお」

(  ω )「僕は・・」

( ^ω^)「もう誰も失いたくないんだお!」


ブーンはそう叫ぶと腰に挟んだ拳銃を構え、

クーに向かって撃った


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:24:34.47 ID:C0xUXuWB0
二発の銃声が鳴り響く

( ^ω^)「ど・・クオ」
ブーンが倒れ込んだ

川 ゚ -゚)「何が失いたくない、だ。信念も何も持ってないくせに偉そうに」
そう言ってクーがブーンを蹴り飛ばす

('A`)「止めやがれ!このクソ女!!」
ドクオが足をひきずりながらクーに近寄る

( ´ω`)「にげ・・ろ。どく・・お  げほっ」

ブーンは右の胸を撃たれた様で呼吸が出来ないようだ

川 ゚ -゚)「お前も一緒に死ぬんだよ。二人一緒ならちょっとは寂しくないだろ?」

クーが引き金を引いた

ここでドクオの意識は途切れた

ダァァァァァァァン


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:29:32.84 ID:C0xUXuWB0
銃声が響く。クーの放った一発だ
しかしそれはドクオには当たらなかった


( ´_ゝ`)「裏切るのは駄目だよな。弟者」

(´<_` )「ああ、駄目だよな。兄者」

二人でクーの腕をつかんで捻り上げている
森の中から一斉に黒の戦闘服に身を包まれた男達がクーを取り囲む
あの初めて会った時ブーンが着ていた服だ

川 #゚ -゚)「お・・お前ら!なんで!!」

( ´∀`)「裏切り者を確保の為に来たんだモナー」

( ・∀・)「最初に聞いた時は信じられなかったけどねー」

川 #゚ -゚)「くそ・・くそ!!なんでだ!!完璧な計画だったはずだ!!どこから漏れた!!」

手を拘束具で拘束されたクーが無念そうにうな垂れる

( ´ω`)「た・・いちょう」
ブーンがそう呼んだ先には一人の男が立っていた



(`・ω・´)「あんまりウチの甥っ子の友達を痛めつけないで欲しいね」

51 名前:さっきの訂正は50のでよろ[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:30:42.84 ID:C0xUXuWB0
(`・ω・´)「クー、もとい素直クール。傭法181条により拘束、組織に帰り尋問する」
シャキンがそう言うと兄者と弟者がクーを連行して行った

(`・ω・´)「よくやったブーン。後は任せてお前も休め」

隊長がそう言って担いでくれた後の記憶は無い

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:32:21.80 ID:C0xUXuWB0
空が寒そうに青々としている


('A`)「おーいショボン。釣り行こうぜー釣り!」
ドクオが元気良くショボンの家の前で叫ぶ

(´・ω・`)「ごめん。あぁ、またなんだ。許して貰おうとは思わない。
とりあえず麦茶でも飲んで落ち・」

('A`)「またかよ~!いい加減準備くらいしとけよ!!」

いつものような昼下がりの休日。いつもと変わらない日常。

(´・ω・`)「あ・・そうだ!ドクオ。ブーンからネットレター来てるよ」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:34:38.65 ID:C0xUXuWB0
そう言ってショボンは黒い小さな機械を取り出す

('A`)「アイツ今度は何処の国行ってんだ??チクショウ・・いいなぁ・・」
本当に悔しそうにそう呟いてドクオはショボンからその機械を奪い取る
(´・ω・`)「もう・・乱暴だなぁ」
('A`)「えーっと。ここで開くんだな」

そう言ってマイナスドライバーを凹みにねじ込み勢い良く回した


黒い機械の外蓋が跳ね上がり画面が起動する

画面には懐かしい顔と声が映っている



------ザザザザッ---------

( ^ω^)「久しぶりだお」

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55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:35:46.31 ID:C0xUXuWB0
('A`)「お!来た来た!」
(´・ω・`)「僕もまだ見てないんだから!ちょ!!せこいなぁ!」
二人は小さな画面に頭をくっつけるように近付けて凝視する



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( ^ω^)「僕は今シベ超国に来てるお。何の任務かは言えないけど」
( ^ω^)「ここは自然がいっぱいでなんだかホライゾン市を思い出すお」
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56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:36:47.71 ID:C0xUXuWB0
('A`)「シベ超かよー!いいなぁ。俺も行きてぇ」
(´・ω・`)「ちょ・・ドクオ!聞こえないから静かに」
ショボンの声が思わずでかくなる。


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( ^ω^)「もう怪我は治ったかお?僕のせいで二人を巻き込んでしまってからもう3ヶ月も経つお」
( ^ω^)「あの時は本当にごめんだお。」
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57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:38:03.24 ID:C0xUXuWB0
('A`)「何言ってんだよ。お前に俺たち助けられたんだぜ」
ドクオは嬉しそうに画面に話しかける。録画なので無論返事は無い

(´・ω・`)「僕はブーンに酷い事したよね・・。最初は疑っちゃって・・・」
ショボンは本当に申し訳無さそうだ
('A`)「そうだよお前ー。もっと人を信じろって!」
ドクオが勝ち誇ったように言う。


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( ^ω^)「二人も同時に友達が出来て嬉しかったお。ただドクオはちょっと人を疑ったほうがいいおw」
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59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 21:41:52.27 ID:C0xUXuWB0
(´・ω・`)「ほら言われてる」
('A`;)「うっせーなぁ・・」

------------------------
( ^ω^)「僕の任務は人に見られちゃいけないんだお。だから・・・・二人に会ったその時に僕は・・」

( ω )「二人と友達になった時に・・・」

( ^ω^)「任務失敗してたんだお」
( ^ω^)「でも任務より大事n・・・・だか・・・・こ・・」
------------------------



(´・ω・`)「ちょ・・どくお・・だめだって・・・」
('A`)「こんくらいで・・・こわ・・・」
(´・ω・`)「・・・」
('A`) 「・・・!!」

・・・ 
・・


今までで一番暑い夏が終わった後の空はイワシ雲が涼しげに泳いでいた



( ^ω^)ブーンが任務失敗したようです  終
















60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 21:44:05.33 ID:WfddjAxd0
乙~
先生!異常増殖胞子の話は大事に至る前にシャキーンの部隊が潰しにかかったということでいいんでしょうか!?


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 21:44:43.96 ID:C0xUXuWB0
回避してくれていた方、初めて見たよ!って方、「これ7月に書いてた奴じゃん、完結おせーよクズ!」そう思った方も
いるかもしれません。

全ての方に感謝を送りたいです

これから読む方、駄文なので読みにくかったりするかもしれないです・・・覚悟して下さいw


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 21:46:09.46 ID:cKUyZplE0
面白かった。乙


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 21:46:28.98 ID:C0xUXuWB0
>>60
そうですね。元々実はブーンの所属する組織は国と深い関わりがあって今回の研究内容破棄の依頼をしたのです
非人道的な研究は流石に上層部も許可できなかった、というところでしょう


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 21:49:33.97 ID:hsda99k4O

ドキがムネムネしたZE1!!11!!1!!1!


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 21:51:42.66 ID:U6n4xojGO
結局ショボンは何もせずに終わったのか?


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 21:52:36.83 ID:C0xUXuWB0
ブーン作品を初めて書いたのですがこりゃパワーいりますねw
他の作者の方はスゲーって尊敬します( ^ω^)

wktkしてくれた方、そうでない方も読んでくれて本当にありがとう


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 21:54:35.87 ID:C0xUXuWB0
>>65
ショボンはこの通信機を開けただけですねwただこうやって最後に通信で終われるのはショボンのおかげだと思いたい
あとショボンのおかげでシャキンの初動が早くなった、とも言えます。結構無茶ですがw

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 22:10:01.98 ID:IeNYfb1a0

短くて結構すっきりしてる様に思える


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 22:10:04.22 ID:C0xUXuWB0
それでは質問もなさげなので消えます。
次回作とか全然考えてないけどもし書いた時には読んでいただけたら幸いです


全ての回避と支援、読者に愛を込めて



ノシ


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