第十一話3 : ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:10:01.64 ID:Pxos2p5g0スコア |1|2|3|4|5|6|7|8|9|R|H|E| ROK|1|0|0|0|1|0|0|0|-|-.|10.|0.| VIP .|1|0|0|0|0|2|0|-|-|-.|6.|0.| 投手成績(個人成績は試合開始前のもの) 内藤( ^ω^) -勝 -敗 防御率-.-- 奪三振-- 投球回--- 完封-- 完投-- 投球回:8 打者:35 被安打:10 被本塁打:1 奪三振:6 四死球:4 失点:2 自責点:2 畑(^・J・^) 21勝 3敗 防御率2.15 奪三振191 投球回213 1/3 完封4 完投9 投球回:7 1/3 打者:31 被安打:6 被本塁打:1 奪三振:11 四死球:5 失点:3 自責点:3 4 :試合のデータ ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:11:13.22 ID:Pxos2p5g0 野手成績(個人成績は試合開始前のもの) ヴィッパーズ 一番センター 長岡( ゚∀゚) 8年目 26歳 .306 11HR 54打点 1.右安 2.三振 3.空振 4.四球 二番レフト 荒巻/ ,' 3 17年目 37歳 .288 15HR 65打点 1.犠打 2.三ゴロ 3.空振 4.右安 三番ライト 毒田('A`) 10年目 31歳 .329 28HR 111打点 1.中安 2.空振 3.右二塁打 4.中直 四番ファースト ニダ<ヽ`∀´> 3年目 29歳 .280 35HR 107打点 1.左安 2.四球 3.右飛 4.空振 五番キャッチャー ショボン(´・ω・`) 9年目 30歳 .312 18HR 115打点 1.四球 2.一ゴロ 3.中本 六番サード 笑野( ^Д^) 13年目 36歳 .256 21HR 69打点 1.投併 2.四球 3.空振 七番セカンド 椎名(*゚ー゚) 5年目 26歳 .275 6HR 43打点 1.二ゴロ 2.犠打 3.四球 八番ショート 津村ξ゚△゚)ξ 5年目 26歳 .246 8HR 31打点 1.三振 2.空振 3.空振 九番ピッチャー 内藤( ^ω^) 1年目 18歳 .--- --HR --打点 1.空振 2.空振 3.空振 7 :試合のデータ ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:12:38.12 ID:Pxos2p5g0 ロケッターズ 一番ショート 井蓋(◎´∵`◎) 14年目 32歳 .328 8HR 31打点 1.右本 2.中安 3.左安 4.中飛 二番ライト 高掛(['][,]) 10年目 28歳 .276 26HR 75打点 1.左飛 2.空振 3.右二塁打 4.一ゴロ 三番センター 近城( ´金`) 9年目 30歳 .316 18HR 61打点 1.遊ゴロ 2.左安 3.右飛 4.左飛 四番レフト 榊彡 ´ー`) 19年目 40歳 .309 45HR 124打点 1.空振 2.二併 3.左安 4.四球 五番サード 村者(ムΘラ) 8年目 26歳 .284 36HR 106打点 1.中飛 2.中安 3.中安 4.四球 六番ファースト 古者[`↓´] 7年目 25歳 .268 34HR 98打点 1.右飛 2.空振 3.四球 4.中飛 七番セカンド マムウェイ(0´く`0) 4年目 29歳 .298 21HR 89打点 1.四球 2.遊併 3.遊ゴロ 4.一ゴロ 八番キャッチャー 哀歌(^亮^) 12年目 30歳 .241 9HR 42打点 1.右二塁打 2.投内安 3.三振 4.三直 九番ピッチャー 畑(^・J・^) 13年目 31歳 .205 2HR 8打点 1.三振 2.犠打 3.空振 9 :第11話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:14:07.68 ID:Pxos2p5g0 【第11話『白雨』】 ショボン、そして笑野。 この日最速の154キロを計測した畑は、ニダに引き続き二人から三振を奪う。 レフトスタンドからの大声援を背に受け、畑が堂々とベンチに戻っていった。 (実`・Д・)『圧巻ッ!! 畑、三者連続三振を奪いました!! 球威は全く衰えず!!』 (解´Д`)『さすがですね。九回が期待できる展開ですよ』 (実`・Д・)『さぁ、回は遂に最終回!! 内藤が投げるのか、はたまたリリーフに託すのか!!』 ヴィッパーズの守護神、大木戸。 今季は最多セーブこそ逃したものの、34セーブを挙げている。シーズン3敗だが、安定感はあった。 喪名は、大木戸をブルペンで待機させていた。野球のセオリーとしては、ここでストッパー投入だった。 しかし、喪名は不安があった。クローザーにではなく、投手を代えること自体にだった。 ( ´∀`)(……監督を長いことやってるわけじゃないが……分かるものも、あるんだよな) 時々襲い来る、直感。 喪名は、その直感には自信を持っていた。不思議と的中することが多いのだ。 そして、今まさに直感が喪名の頭に去来している。内藤を、代えるべきではないという直感だ。 ( ´∀`)(勝ちが……遠ざかる。そんな気がする) 喪名が右手拳を握り締めた。 内藤は、期待をはるかに超える好投を見せてくれている。このまま託してしまいたい気持ちは、強かった。 そういった自分の情を、直感という都合の良い言葉に置き換えているだけだ、とも喪名は思っていた。それでも、勝ちを掴めるのは内藤だ、という直感は拭えない。 ( ´∀`)(もう迷ってる時間はない……九回は……) 10 :第11話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:16:00.72 ID:Pxos2p5g0 内藤の視線を、一瞬感じた。 ショボンに相談するべきかは、迷いどころだった。返答は分かりきっていても、誰かに聞いてみたい衝動に喪名は駆られていた。 監督である自分が、決断しなければならい。喪名自身が、一番よく分かっていることだった。 喪名は、内藤に一度視線を向け、そして頷いた。 (実・Д・)『続投! 内藤、九回もマウンドに上がります! 喪名監督、優勝決定戦の最終回をルーキーに任せました!』 (解´Д`)『さぁ、吉と出るか凶と出るか……』 誰にも、文句は言わせない。喪名は、そう思ってマウンドに視線を置いた。 就任四年で、二度の優勝。今季も優勝まであと一歩のところまで来ている。チームの若返りを図って、椎名・津村の名コンビ育成を筆頭に、キャッチャー笑野のサードコンバート、そしてショボンを正捕手に据えるなど、様々な案が的中した。 試合中の采配にも、自信を持っていた。特に、投手交代の妙は若手監督とは思えない、と評された。 その自分が、続投を決断した。誰になんと言われようが、これが最上だ。喪名は確固たる意思でベンチに腰掛けた。 (実・Д・)『マウンド上で何を思うか、内藤……襲い来るプレッシャーを、いかにして跳ね除けるのか……迫り来る優勝、あとスリーアウト! 内藤、優勝を掴めるか!』 ライトスタンド、そしてレフトスタンドから、声の限り、力の限りの応援が響く。 両チームのファンが、優勝を望み、そして信じていた。 11 :第11話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:17:35.91 ID:Pxos2p5g0 (実・Д・)『ここで改めて内藤について紹介致します。昨秋の高校生ドラフトで4位指名を受け入団したルーキー、18歳! なんと二軍戦でも先発経験はありません! 正真正銘、プロ初先発!』 (実・Д・)『高校時代、エースとしてチームを甲子園に導き、緒戦では勝ち星を挙げています。また打撃面では高校通算29HR、主砲としても活躍しました』 (実・Д・)『プロに入りその能力は更に飛躍、今年の成長株と二軍首脳陣の間では言われていたようです』 (解´Д`)『まず、制球がいい。ストレートはもちろん、変化球でしっかりストライクを取ってくる。それに、直球と変化球に全くフォームの違いがないから、打ちにくいでしょう』 (解´Д`)『球が速いとは言えませんが、キレイに安定したフォームのおかげでかなりのノビが生まれているように見えます。これでもし右打者の内角を突くキレのある変化球があったら……』 (実・Д・)『……非常に才能溢れるルーキー、ということでしょうか……』 (解´Д`)『まぁ、もちろん初対戦というアドバンテージは大きいものです。全く研究していないどころか、ロケッターズは擬古の対策ばかり講じていたでしょうから』 (実・Д・)『そこは、喪名監督の策略通りといったところでしょうか』 (解´Д`)『まぁ、上手く嵌まりましたね。信じられないような博打ですが、成功すれば大きい』 (実・Д・)『もちろん、試合はまだ分かりません。ロケッターズ、九回に望みを託します! まずは九番畑から!』 (解´Д`)『代打……普通なら、そうでしょうね』 (実・Д・)『しかし、榊監督は、畑をそのまま送りますね』 (解´Д`)『畑に託した、ということでしょう。内藤に託した喪名監督と同じように』 (実・Д・)『同点、逆転を信じ、畑が打席に立ちます。ヴィッパーズ対ロケッターズなだけでなく、あるいは、内藤対畑、とも思える試合になってまいりました』 (解´Д`)『この打席……大いに期待できますよ』 打席の畑が静かにバットを構えている。 内藤に、気負いはない。ボールはしっかり握れている。縫い目にも、ちゃんと指がかかっている。 初球、インローにストレート。ストライク。畑の表情は、変わらなかった。 12 :第11話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:18:39.94 ID:Pxos2p5g0 (実・Д・)『畑は何を待ってるんでしょうか?』 (解´Д`)『カーブじゃないですかね。高めに浮いたカーブを強打したいんでしょう。ピッチャーらしからぬ打撃が、見れそうですよ』 (実・Д・)『次は何を放るか……』 (^・J・^)(……カーブを投げて来い……) 畑は、カーブを待っていた。 同じ投手として、分かることがあった。球数が増え、疲労すると、球が抜けやすくなる。特にカーブのような変化球は、高めに浮きやすくなる。 畑はバットを短く持った。コンパクトにスイングしてしっかり叩けば、外野まで持っていける。そう思って、バットを力強く握り締めた。 榊は、当然のように畑を打席に送り出した。この試合を、榊が任せてくれた。それが、畑の気持ちを最高に昂ぶらせていた。 ここは、絶対に出塁する。そして、ホームに帰ってやる。畑の闘志が、沸々と湧き上がっていた。 (´・ω・`)(インコースを意識させた……次は、アウトコースに落ちる変化球でストライクが取れるはずだ) (´・ω・`)(ここは緩急をつける意味でも……スライダーより、カーブだ) ショボンが、カーブを要求する。 内藤が頷く。二球目。決して高目ではなかった。 しかし、畑の振り抜いたバットの、芯で捉えられるボールとなった。 (実`・Д・)『三遊間ッ!! 破った!! レフト前ヒィーット!!』 (解´Д`)『気持ちで持って行きましたね。大きなヒットですよ』 (実`・Д・)『同点のランナーが出ました!! 試合はまだ分かりません!! ロケッターズ、優勝に食い下がります!』 (解´Д`)『すかさず、ショボンが内藤の許に駆け寄りますね』 ショボンの表情に、焦りはなかった。 13 :第11話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:20:26.73 ID:Pxos2p5g0 (´・ω・`)「俺のミスだ。読み違えた。お前の投げた球は良かった」 (;^ω^)「僕は大丈夫ですお。この後も、抑えられる自信はありますお」 内藤は、嘘をついたわけではなかった。ただ、今内藤を支配しているのは、解放欲であり、早く試合の重圧から抜け出したい、という一点だった。 ショボンが頷き、ホーム方向へと戻っていく。内藤は白球を握り締めた。 (実・Д・)『打順はトップに返って一番井蓋! 今日は一発を放っています井蓋、もちろんホームランが出れば逆転です!』 (解´Д`)『ここは繋いでくるでしょう。バントではなく、ヒッティングでしょうね』 (実・Д・)『今日は既に3安打を放っております井蓋、後続に繋ぐことができるのか!』 ここでアウトを取れば楽だ、とショボンは考えていた。 併殺が最上だが、井蓋の足では難しい。フライアウトか、三振。できれば確実性のある三振が欲しい場面だった。 (´・ω・`)(……狙うか……) 初球のスライダーから、井蓋はバットを振った。一塁線へのファール。 二球目のカーブ、三球目のストレートはいずれも際どいコースだったが、井蓋はボールをよく見た。 (´・ω・`)(四球目……難しいな……) バッティングカウント。恐らく、井蓋はスイングしてくる。 空振りが取れる球。それを、ここで使ってしまっていいのか、ショボンは分からなかった。 ショボンは井蓋を一瞥した。強い力を持った瞳で、内藤を睨んでいた。 再び内藤に視線を戻し、そしてショボンはサインを出した。 14 :第11話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:21:51.22 ID:Pxos2p5g0 (実・Д・)『さぁ、四球目――――三塁線! ファール!』 (解´Д`)『ストレートですか……思い切った攻めだ……井蓋は不意を突かれたでしょうね』 (実・Д・)『外角の直球でファールを打たせました、内藤。次に勝負球を持ってくるのでしょうか』 (´・ω・`)(ここはもうスライダーしかない……内藤、低目だ。空振りを取るぞ!) (;^ω^)(分かりましたお!) ボールを力強く握り締めた。ステップ足を踏み出し、そして力を込める。 指からボールを切る。回転のかかった球が、内角低目へと曲がっていく。 しかし、低すぎた。 (;´・ω・)(ボール……!!) (実・Д・)『おっと!! 井蓋、バットが出かかって……!!』 井蓋のバットが、途中まで出かかり、そして止まった。 ハーフスイング。ショボンはすぐに三塁審に判定を求めた。 井蓋も息を呑んで、判定を見守った。 (実`・Д・)『スイングッ!! 井蓋、空振り三振ッ!!』 (解´Д`)『いいボールだった。ショボンは恐らくストライクゾーンに投げさせたかったんでしょうが、ボールになったのが奏功しましたね』 (実`・Д・)『これでワンナウト! 優勝まで、あと二つ!!』 内藤の興奮は、高まり始めていた。 あと二つアウトを取れば、優勝。みんなと歓喜し、そして監督を胴上げできる。 このマウンドからも、解放される。 気持ちは浮ついていても、指先の感覚は鈍っていなかった。肩も、重くない。疲労もほとんど感じなかった。 16 :第11話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:24:18.06 ID:Pxos2p5g0 (実・Д・)『二番高掛が打席に入ります! 野布良さん、ここはどう出るでしょうか?』 (解´Д`)『右打ちでしょうね。今日はライトにツーベースを一本打ってますし』 (実・Д・)『ゲッツーだけは何としても避けなければなりませんね』 (解´Д`)『セカンドゴロでも打とうもんなら、最悪ですね。高掛は足が遅いですから、併殺は崩せませんよ』 (実・Д・)『逆に、ヴィッパーズとしては併殺狙いと』 (解´Д`)『そういうことですね。低目の変化球をひっかけさせるつもりでしょう』 初球、まずは高目に外れるストレート。 高掛の緊張が、ショボンには見て取れた。恐らく、頭の中は混沌としているだろう。 この状況なら、次の球で決められる、とショボンは確信した。 要求、カーブ。 緩めの球に、必ず手を出す。しかし、芯を外す。いや、内藤なら、外せる。 ショボンの緊張が高まり、サインを出す指が上手く動かなかった。 内藤がショボンの意思を汲み取った。頷き、体が少し強張る。 第二球。 高掛のバットが、出る。 ボールの上っ面に、バットが当たる。 打球は、セカンド正面に、力なく転がった。 (実`・Д・)『併殺コォォォォォ――――――――ス!! ロケッターズ、万事休す!!』 高掛が必死で駆ける。一塁ランナー畑も、全力で二塁へと向かい、そして併殺阻止のスライディングを頭に思い浮かべた。 そして、球場全体が、一瞬凍りつく。 17 :第11話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:26:30.95 ID:Pxos2p5g0 ボールの行方を見た者全てが、時が止まった感覚に陥った。 (実`・Д・)『なななな、なんとぉぉぉぉぉぉ!!! 椎名、悪送球だぁぁぁぁ――――――!!!!』 セカンドで待ち構えていた津村の、はるか左に逸れる悪送球。 レフトスタンドからの大声援が、椎名の耳を劈き、ライトスタンドからの落胆が、椎名の背にのしかかった。 椎名の膝が折れ、その場にしゃがみこんでしまった。 (実`・Д・)『試合終了、優勝のはずがとんでもないことになりました!! ワンナウト1・2塁!! ヴィッパーズ、ピンチを迎えてしまったぁぁぁ!!』 (;´・ω・)(さ……最悪だ……) 喪名監督がベンチから出てきた。ショボンも、マウンドへと向かう。 ゲッツーのはずが、得点圏にランナー。しかし、ショボンが最悪と感じたのは、それだけではなかった。 (;´・ω・)(安堵しちまった……内藤が……試合終了だって……安心しちまった……!!) 18 :第11話 ◆azwd/t2EpE :2006/05/28(日) 01:28:48.82 ID:Pxos2p5g0 気持ちが、切れた。 緊張の中に身をおいていた。それゆえ、気が緩むことなく、そして球威や制球も落ちることなく、投げ続けられていた。 その糸が、はっきりと切れた。 ( ゚ω゚)「…………」 内藤の虚ろな視線が、悲喜の混じった空気を漂っていた。 第11話 終わり ~to be continued 第十二話へ ジャンル別一覧
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