876283 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【お気に入りブログ登録】 【ログイン】

LOYAL STRAIT FLASH ♪

一章

47 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:23:42.55 ID:u8dYe1wA0



一章 起床


……外から、鳥の声が聞こえる。
睡眠からやや覚めない頭が、ぼんやりと思考を始めた。

あぁ……朝、だな。

どこか覚醒しない頭でそう思考して、ちょっと微笑んだ。

睡眠の余韻を残したままぐだぐだと過ごす朝は、大好きだ。
頭を一度掻いて、布団に潜り込む。



49 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:26:49.46 ID:u8dYe1wA0

目覚ましはまだ鳴っていない。
ただカチコチと時を刻むばかりだ。
目覚ましが鳴るより早く起きたのなんて、何年ぶりだr

「おっぱい!おっぱい!そーら、起きろ!おっぱいの朝だぞーっ!
  おっぱい!おっぱい!そーら、起きr」

あー、うっぜ!
起きてるッつーの!

いつしかジョルジュからもらった、ジョルジュ自作の目覚し時計を殴るようにして止める。
こんな物を作れるほど器用な腕を持ってるのに、ジョルジュは本当に馬鹿かと。
勿体無い。



50 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:27:26.66 ID:u8dYe1wA0

「ふわぁ……良く寝たお……!」

そう呟いて、僕はベッドから降りる。
それから、大きく伸びをした。

カーテンを開く。
顔に太陽の光が当たって、僕は眼を半分閉じた。
視界の先にある木では、鳥が遊んでいる。
良い朝だなぁとしみじみ感じたりした。
我ながらオヤジかと思う。

やっぱり、朝は良いなぁ。
これで、あの悪夢がなければ最高なのに。

そんなどうでも良い事を考えた後、あくびをして、眼を擦りながら階段を降りて行く。



51 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:28:56.59 ID:u8dYe1wA0

下の階ではすでにカーチャンが朝食の準備をしていてくれていた。
いつも通りのメニュー。
トースト三枚に、少し甘めのホットカフェオレ。
それにスクランブルエッグが、テーブルの上に並べられていた。

( ^ω^)「おはようだお、カーチャン」

J( 'ー`)し「あら……おはよう、ブーン。今日は起きるの早いわね」

( ^ω^)「昨日は疲れてて早めに寝たんだお」

そんな会話を交わしながら、僕はバタートーストを一枚、口にくわえる。
もっちゃもっちゃとトーストを咀嚼しながら、僕はいつも見る夢についてぼんやりと考えてみた。


52 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:30:02.80 ID:u8dYe1wA0

いつからあの夢を見始めたんだっけ。
ずーっと昔だった気もするし、ごくごく最近な気もする。
昔からだったのなら、いつ頃からだ?
……あまり、昔から見たという記憶はないぞ。やっぱり最近からか?
いや、でも……。
……いや、その辺はどうでも良いか。
例え浮かんだとしても、僕の記憶力では、その答えはあてにならない。

それじゃあ、夢に出てくるあの建物や人物は何なんだろう。

樹木に囲まれた研究所。
壁を這うケーブル。
酷い姿をした研究員。
黒い軍服を着た軍人。
そして、“完成作”。

うーん、建物も人物も、何も知らないぞ。

じゃあ、何で僕はあんなに鮮明な夢を?

あの繊細さは、今でも思い出せる。

樹木のなびく様。
死体の生々しさ。
激しい発砲音。
流れる血液。
軍人達の、恐怖の表情。
狩人となった逃走者の、あの笑顔。

53 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:30:53.25 ID:u8dYe1wA0

あれらは、一体何なのだろうか?

その答えは出ず、気付けば僕はトーストとスクランブルエッグをすでに綺麗に食べきっていた。

カフェオレを口に含む。
時間的に、そろそろ学校に行かなければならない時間だ。
あの夢についての思考は中断せざるを得なかった。

( ^ω^)「ごちそうさまだお!」

J( 'ー`)し「はいはい」

その後には、普通に歯磨きをして、顔を洗って、学校の用意をして。
時間に焦りながらも、いつも通りに、笑顔で叫ぶ。

(*^ω^)「行って来ますおー!」

J( 'ー`)し「行ってらっしゃい。良い日にしてきなさいよ、ブーン」

そんな挨拶を済ませて、学校へ。



54 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:33:26.85 ID:u8dYe1wA0

朝の心地良い風の中を、鼻歌混じりで歩く。
曲がり角から出てきた人に唄を聴かれて笑われた。死にたい。

十五分後、僕の行く学校……ニューソク高校に到着した。

ニューソク高校は結構新しめの高校で、校舎が綺麗だ。
設備も整えられており、結構な人気校になっている。
僕自身、ここに来る為だけに頑張って勉強したものだ。

制服の内ポケットから生徒手帳を取り出す。
ニューソク高校の校門の先にはカードリーダーがある。
入校したい人は、そこに生徒手帳を通さないと入校出来ない。

このやり方はいつ頃から入ったんだっけ。
そんな事を思いながら、カードリーダーに生徒手帳をかざす。

「生徒NO.5535 内藤ホライゾン。確認しました。お通りください」

聴き慣れたその声を合図に、足を進める。



55 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:35:33.48 ID:u8dYe1wA0

「生徒NO.5532 ジョルジュ長岡。確認しました。お通りください」

「生徒NO.5528 ドクオ。確認しました。お通りください」

その時、後ろからそう聞こえた。
ジョルジュと、ドクオ。
あの二人かと思うと、自然と頬が緩んだ。

振り返って、腕を上げる。
目の前には期待していた二人が、期待していた顔でそこにいた。

(*^ω^)ノ「ジョルジュ!ドクオ!おはようだお!」

( ゚∀゚)ノ「やほー!朝から良い笑顔で迎えてくれちゃってんじゃんよ、ブーン!」

そう言って、腕を上げて応じてくれたのがジョルジュ。
口元には笑顔が浮かんでおり、眼にも楽しそうな感情が伺える。

('A`)「ったく…朝からハイテンションだな、お前等……。朝くらい静かに過ごそうぜ……?」

缶コーヒーを片手に、だるっそうに目を細めたのがドクオ。

( ゚∀゚)「いやいやいやいや。別にハイテンションじゃないと思うんだぜー?ドックンが低すぎるだけだって」

ジョルジュが仕方なさそうにそう言う。


56 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:38:02.60 ID:u8dYe1wA0
それに対してドクオは、

('A`)「…俺が低血圧な人間だって分かってんなら合わせてくれよ。
   朝の俺は普通のテンションでさえも辛いんだからよ。強者は弱者に合わせようぜ……?」

と言った。

僕は自身最高の笑顔を作る。
そして、ドクオの肩をポンと叩いて、言った。

(*^ω^)b「だが断る」

コーヒーをかけられそうになった。


57 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:40:09.48 ID:u8dYe1wA0

その後は、他愛ない話をしながら校舎内へ。
階段を昇り、教室へと向かう。

教室には、もうすでにほとんどのクラスメイトが集まっていた。

女子はいくつかのグループを作って談笑し。
男子はほとんどがベランダへの扉前の机を中心に固まって馬鹿話をしている。
中心のその机に座っているのは、ギコ。

その集まりに参加していないのは、ぃょぅや荒巻、でぃくらいだ。
いつもぃょぅは空を見上げ、荒巻は睡眠を取り、でぃは何かの本を読んでいる。

本来、ドクオも集まりには参加しない人間だった。
しかし、集まりに参加している連中が無理矢理にドクオを拉致していく。
いつだったか、ドクオが「俺の時間がねぇ」と呟いているのを思い出した。



58 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:41:56.44 ID:u8dYe1wA0

いきなり、ベランダ前の机の方から声が発せられる。
それはギコのものだった。

(,,゚Д゚)「おっ!てめぇ、やっと来たかゴルァ!!」

その声に、男子の視線のほとんどが僕に向けられる。こっち見んな。

視線をギコに戻す。
そして、驚愕。
ギコは既に机から離れ、僕に向かって走ってきていた。

そして。

(,,゚Д゚)「ブーンっ!お前いつも来んの遅ぇぞゴルァー!!」

(;^ω^)「モ、モルスァッ!」

ギコのフライングチョップが、僕の首を捕らえた。


59 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:44:08.05 ID:u8dYe1wA0

(#^ω^)「いきなり何をすr  モルスァッ!」

今度はギコに便乗してきた他の奴にやられた。
正直、首痛い。

ったく、こいつら、朝っぱらから……!

(#^ω^)「今日こそは復讐しないといけないかも分からんね……」

僕はそう呟くと、僕の後ろに迫っていた奴のフライングチョップをしゃがんでかわす。
頭の上から「何ぃっ!?」という声が聞こえた。

世界が、スローモーションになる。
僕は眼を見開くと、言った。

( ゚ω゚)「人間、飛んでしまっては体勢を変えられないお……喰らえお」


60 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:45:28.57 ID:u8dYe1wA0

そう呟いて、その漢の御子息に標準を合わせる。
そして、一閃。
僕のでこピンが、そいつの御子息を撃ち抜いた。

( ゚ω゚)「ビッグサンダードラムス!」


ばちん。


   「あおおーーーっ!!」

そう叫んで、そいつはうずくまった。
表情は苦悶の表情だ。
歯を噛み締めて、下腹部を手で押さえる。
息は乱れ、目の焦点は合わず、時たま唸った。

ビッグサンダードラムス……。
大落雷のごとき勢いのでこピンで、相手の御子息を打ち貫く。
その様はまるで、敵の睾丸を太鼓と見立てた雷が、太鼓を乱打する様のように。
相手は下腹部を押さえて悶え苦しむ。



61 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:46:16.60 ID:u8dYe1wA0

くくくっ……我ながら邪悪な技を考えついたものよ……。
そしてこのネーミングセンス……良いぞ、良いぞ僕!
エターナルフォースブリザードなんて足元にすらおよばn


がしっ。


ん?
足首に圧力を感じる。どうやら、誰かに掴まれたらしい。

見ると、そこには僕の両方の足をおさえている二人のクラスメイト。
にやにやと笑っている。

な、何故笑っている……。



62 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:48:34.63 ID:u8dYe1wA0

そ、そういえば、ギコはどこに行った。
奴の事だ。最初の一撃で、獲物を解放するとは思えない。
どこにいる?
あいつの行動パターン……そして、こいつらの微笑みからすると……。

……ま、まさか。

その時、後ろから殺気を感じた。
感じ慣れてしまった殺気。
そしてあまりにも危険な殺気で、一番感じたくない殺気だった。

(;^ω^)「もしやっ!!」

首だけで後ろを向く。

その通りになって欲しくない予想通りだった。
そこには、ギコが腰をかがめて構えていた。
手は組み合わせられ、まさに槍のような二本の指が立っている。

そ、その構えは……。
やめろ、ギコ……それだけは―――!!


64 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:50:05.97 ID:u8dYe1wA0

(,,゚Д゚)「ドラゴンランスッ!!」


ヅ、ドッ……!


( ゚ω゚)「――――――ッ!!」

尻を貫かれたような痛みと共に、視界が真っ白に染まる。

ドラゴンランス……。
膝を曲げ腰すらもかがめて、バネのような爆発力と共に敵のアスタリスクを破壊する。
痔になりかねないほどの痛みを受けて、僕はその場に倒れた。

見ると、ドクオやジョルジュも同じ様に囲まれて遊ばれている。
ドクオは肛門を押さえて悶えていた。
おぉ……同志よ。

このクラスは仲間意識が強すぎる。
異常だ。
もう何か異常だ。

あれ…ドクオ…なんか死にそうだ。
低血圧だからなぁ。



65 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:52:01.89 ID:u8dYe1wA0

と、その時。

先生「おらぁーっ!てめぇら席につきやがれこんちくしょい!」

(;^ω^)「ちょwwwいきなりうっせぇおwww」

いきなり大音量で叫びながら先生が現れた。
いや、うるせぇうるせぇ。
朝から僕達異常……いや、僕達以上に元気の良い先生だ。

僕は肛門をおさえながら席に着いた。

先生「どう見ても超健康な奴しかいなそうだが、とりあえず健康観察だ!一番、ギコ!」

(,,゚Д゚)「元気だぞ!」

先生「見れば分かる。叫ぶなうるせぇ殺すぞ。ニ番、ドクオ!」

(;'A`)「…………………死にそうだ」

先生「うん、いつも通りな!三番、内藤!」


66 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:52:38.21 ID:u8dYe1wA0

(;^ω^)「少し前から首とアスタリスクが痛いお」

先生「理由を詳しく」

(*^ω^)「だが断る」

先生「死んでしまえ」

その後の先生からの攻撃で、またモルスァと言う事になった。
その後は普通に健康観察が終わって、先生の話だ。

先生「あー、アレだ!またこの近くで”異能者”が見付かったらしい!気を付ける事!以上!」

(;^ω^)「いや、短すぎるお!せめて三行まで伸ばせお!」

先生「あーっ、うるせぇ。ったく、説明するとだな……あーやっぱりめんどくさい。説明辞ーめた」

(;^ω^)「ちょい待てwww」


67 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:53:33.93 ID:u8dYe1wA0

”異能者”とは、まぁ要するにおかしな力を持った人の事。
普通じゃない人の事。
その力は半端じゃないらしくて、毎年何人もの死者が出てるって話だ。

異能者が人を殺す理由は分かっていないのだけれど。

異能者が付けた傷は、すぐに分かる。
異能者は“力”が強すぎるので、普通の人間では到底付けられないような傷になってしまうのだそうだ。


68 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:55:04.66 ID:u8dYe1wA0

('A`)「……先生、異能者って……被害者は?」

ドクオが急に口を開く。

先生「あーっとだな。今の所三十人くらいだ。でもその半分以上は“異能者らしくない”傷らしい」

('A`)「……と、言うと?」

先生「今回の被害者にはニタイプの傷があってな。五人くらいは身体を真っ二つに両断されて死んでる。
   まぁ、こっちは異能者に殺されたのだろうが、問題は残りの被害者。
   包丁か何かの刃物で首をざっくり、または何度も何度も突いた跡がある」

('A`)「……それは異能者でない可能性の方が高いですね」

先生「おそらく。 だがまぁ危険な事には変わりないさ。
    要するに注意しろって事だ。じゃあもう良いな?ばいちゃっ!」

そう言うと、先生は逃げるように教室を後にした。
めんどくさかったのだろう。

ドクオはやれやれと首を振ると、窓際のロッカーに腰を降ろした。



69 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:57:06.46 ID:u8dYe1wA0

('A`)「異能者、ねぇ。なぁブーン。お前さ、”異能者”をどう思う?」

ドクオは僕にそう言ってきた。
頭はすっきりしたらしい。

( ^ω^)「どうって?」

('A`)「”異能者”っつっても人間だろ?こんな酷い扱いはどうかと思うんだが」

( ^ω^)「仕方ないと思うお?悪気はなくとも”異能者”の力は周りに十分影響するんだから」

('A`)「まぁ確かにな。聞いた話じゃ意識せずとも人を殺してしまう奴もいるみたいだしな。だがよ。
    大量殺人があった時、それをまずは異能者のせいにするってのはどうかと思うんだが」

( ^ω^)「でも異能者にはそれだけの力があるお。いつだかには、異能者一人で百人単位が死んだって言うお。
       だから、人を多く殺せるって言ったら、そりゃあまずは異能者が浮かぶお」

('A`)「そう……か」

( ^ω^)「どうかしたのかお?」

('A`)「いや、な。ネットで”異能者”についての話し合いがあってさ。それを見たら、な」



(,,゚Д゚)「考えが揺らいだ、と?」

70 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:58:24.44 ID:u8dYe1wA0

いきなり現れたギコがそう言って、僕の机の上に腰を落ち付ける。

(;^ω^)「いや、何当たり前の様に人の机に座ってんだお!」

(,,゚Д゚)「まぁ気にするな。よくある事だ。いちいち気にしてたら尿路結石が出来るぞ。
    それよりドクオ、お前の意見が揺らぐのは仕方ない。何てったって、お前の意志はクソ弱いからな」

('A`)「ただの単純な馬鹿に言われたくないとです」

(#゚Д゚)「あー!?んだとゴルァ!」

('A`)「あれ、俺何か間違った事言ったか?」

(#゚Д゚)「ムッキー!」

(;^ω^)「また始まったお。やれやれだぜ」

毎日恒例の口喧嘩には飽きたので、僕は周りを見渡してみる。



71 名前:1[] 投稿日:2007/01/14(日) 23:58:57.36 ID:u8dYe1wA0

一部例外があるものの、ほとんどの人間が”異能者”について話し合っていた。
”異能者”をけなす者、憐れむ者、憎む者、憧れる者。
”異能者”についての様々な想いが飛び交っていた。

余談だが、一部の例外はジョルジュと数名。
話題はいつもと同じ。
おっぱいについての話だ。
飽きないのだろうか?
飽きないんだろうなぁ。
「おっぱいは世界を救う!」
これはジョルジュの(自称)名言だ。

( ゚∀゚)「今日の議題はー!“異能者のおっぱいについて”だー!」

馬鹿共「いえー!」

あれ、こいつらも異能者の話か。
それにしても馬鹿だなこいつら。

72 名前:1[] 投稿日:2007/01/15(月) 00:02:27.84 ID:v9ppjQdP0

その後はいつもと同じ様に一日を過ごす。
みんなと馬鹿な事で騒いだり、怒られたり。
つまらない授業も脳内スルーで、あっというまに学校は終わった。

先生「おらぁーっ!てめぇら席につきやがれこんちくしょい!」

(;^ω^)「ちょwwwいきなりうっせぇおwww」

いや、うるせぇうるせぇ。
朝からずっとこのテンションだからすげぇよ、この先生。

先生「”異能者”に気を付けろよ!じゃあな!!」

え、いや、それだけかよおっさん。
いつもながらの事だが、いつも驚いてしまう。


73 名前:1[] 投稿日:2007/01/15(月) 00:02:59.33 ID:v9ppjQdP0

('A`)「さ、帰ろうぜブーン」

( ゚∀゚)「さっさと帰っておっぱい拝むぞー」

ドクオとジョルジュがそう言って歩み寄ってきた。
もちろん承諾して、一緒に帰る。
わいわい喋りながら少し歩いた。

その時。

(;゚Д゚)「待て待て待て!俺も帰るぞゴルァ!」

と、ギコが走ってきた。

('A`)「ダチと帰る為だけに百メートル以上ダッシュしてんじゃねぇよ、暑苦しい……」

(,,゚Д゚)「るっせ!俺の勝手だろうが!」

(;゚∀゚)「ひゅー、その考え方はイカすが……いや、やっぱその為だけに百メートルダッシュはねぇよ」

(;゚Д゚)「えー?あー、うん。  良いからさっさと帰りゅじょゴルァ!」

(;^ω^)「あ、話題変えたお。  しかも最後噛んd  モルスァッ!」

またフライングチョップが飛んできた。


74 名前:1[] 投稿日:2007/01/15(月) 00:04:16.64 ID:v9ppjQdP0

それからは、いつものように他愛ない話をしながら。
時折からかい合って、笑って、笑って。

散々話して笑った後、僕達はとある十字路で別れる。
今日も何の例外もなくそこで別れた。

('A`)ノシ「お前等、異能者に気を付けろよー」

(,,゚Д゚)ノシ「おーう……いや、異能者に遭遇したら、お前が一番ヤヴァそうだが」

( ゚∀゚)ノシ「ひゃひゃ!それは違いねぇ!」

(;^ω^)ノシ「いや、冗談抜きにお前等気を付けろお?」

「「「分かってらー」」」

と、気の抜けた返事を合図に僕達は散る。
ギコは真っ直ぐ、ドクオはジョルジュは右に、僕は左に曲がる。
ドクオとジョルジュは同じ道に行くが、すぐにまた道が別れる事になる。



75 名前:1[] 投稿日:2007/01/15(月) 00:05:10.71 ID:v9ppjQdP0

僕は帰宅すべく、道を左に曲がる。
そしてその道を歩み出した。

その時、ふと。
いつも通るその道が、妙な違和感を持った。
行ってはいけないような、そんな感じ。

そして、僕は足を止めた。

別に何て事はない、いつもの道。
それなのにすごい違和感を感じる。
ふと、頭の中にあの情景が浮かぶ。

何だか、あの夢に出てくるあの十字路と似ているような。

それでも、僕はそこに足を進める。
自分に「気のせいだ」と言い聞かせて。
まずこの道を通らないと、二十分以上遠回りになる。
別に何もないさ。
何にも、何にも……。

と、その時。

ふいに。
ドクンッ……と、血が強く波打った。

心臓が痛い。
頭が……芯からぐらぐらと揺れる。
痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い。

76 名前:1[] 投稿日:2007/01/15(月) 00:06:32.47 ID:v9ppjQdP0

たまらず、僕はその場に膝をついた。
はぁーっ、はぁーっ、と、息が乱れて、目の前が段々白くなっていく。

何だ、何が起こっている?
僕の悪い勘は当たっていたのか?

いや、そんな事は今となってはどうでも良い。
助けを呼ばなきゃ。

そう思って、顔を上げた。

(;゚ω゚)「――――――っ!?」

「ははは、は、はは……ひひ、ふひひ。ふふひひひ……」

そこには、おかしな男がいた。

黒いジャージに、黒いパーカー。
安っぽいサングラスにマスク。
そして右手には包丁と、典型的な不審者。
息が荒い。少し笑っている。きめぇ。

不審者「ふぅー、ふぅー。ふぅ、ふ、ふ、ふふふ……殺してひゃる。お前も殺ひてやる!」

不審者はそう言うと、包丁を握る手に力を込めた。
舌が回ってない所が怖すぎる。


78 名前:1[] 投稿日:2007/01/15(月) 00:07:33.82 ID:v9ppjQdP0

僕の意識は遠くなり戻ってくるを繰り返している。
この男が何を言っているのかを理解するのに時間がかかる。
物事を、考えられない。
喋る事すら出来ない。

不審者「い、今ならどんあにこここ殺したって異能者のせいに出来りゅからなぁ……」

男はそう言うと、左手を自分の額に当て、さもおかしそうに笑う。
その手は紅く染まっていた。

よく見ると、包丁も紅い。
パーカーやジャージも赤黒っぽい色になって。
マスクにも紅い染みがぽつぽつと付いている。

男の眼がかっと開かれる。
締まりのない口を笑みに歪めて、何かを主張する様に言う。

不審者「な、何人も殺した!アイツも殺したし、アイツもアイツもアイツも!
     俺をいじめた奴はみんな殺した!」

……な……?

不審者「首を切った!頭を刺した腹を刺した胸を刺した!
     ぐちゃぐちゃにぐちゃぐちゃにしてやった!」

……何を……?


79 名前:1[] 投稿日:2007/01/15(月) 00:08:15.67 ID:v9ppjQdP0

不審者「関係ない奴だって何人も殺した!だからお前も殺す!」

今更ながら、この男は僕を殺す気なのだと認識した。
あー、アレかー。先生が言っていたアレかー。復讐かー。

いや、僕関係ないだろ。

男が包丁を振り上げた。
逃げようとして、足に力を込める。

でも立てない。

足に力を込めようとしても、それすら出来ない。
つーか足から力が全部抜けていく感じが……。

意識が遠のく。
波の満ち引きの様に、意識が引いていく。

待ってくれ。
今、意識を失ったら……。
死ぬ!間違いねぇよオイ!

すごくすごく遠くで、その男の下卑た笑い声が聞こえた気がした。


80 名前:1[] 投稿日:2007/01/15(月) 00:10:39.71 ID:v9ppjQdP0

そこで、もう一度。

( ゚ω゚)「――――――――っ!!」

ドクンッ、と。
心臓が強く波打った。

血が脳内を早く流れていき、白く染まった視界は一瞬にして紅くなる。
そして。
頭の中に、一言だけ声が聞こえた。



       「おはよう」



そこで、僕は意識を失った。


戻る 目次 次へ


Copyright (c) 1997-2017 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.