第八章2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:14:16.29 ID:Eyr7nxt70―8章― 翌朝、ドクオはヒッキーに迎えられ、荒巻の部屋を訪ねる。 今日こそはカコログへの手がかりを得ようと。 ('A`)「で、荒巻さん酔いは冷めましたか?」 しばらく沈黙が続き、荒巻は口を開く。 ( ,' 3 )「冷めたよ。冷めたけど・・・・・・君、誰だったかな?」 ('A`)「え?」 思いも掛けぬ荒巻の言葉に、ドクオが呆気にとられる。 ( ,' 3 )「昨日、酒場でビール9杯目に差し掛かった所から 記憶が曖昧でね・・」 ( ,' 3 )「いやー・・・申し訳ない」 頭を人差し指で掻きながら、苦笑いして荒巻が答える。 (-_-)「博士・・・昨日あれだけ説明して貰ったのに、 その発言は流石に無しかと・・・」 見かねたヒッキーが、荒巻へと事の顛末を説明していく。 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:16:07.43 ID:Eyr7nxt70 (-_-)「カクカクシカシカ」 ( ,' 3 )「ホウホウナルナル」 (-_-)「コウコウコレコレ」 ( ,' 3 )「アラアラフムフム」 荒巻は、腕を組みドクオへ再び向き合う。 ( ,' 3 )「ふむふむ。なるほど解かった」 ( ,' 3 )「君の口から、シャキン君の名前が出てくるとはね。 いやはや驚いたよ」 ( ,' 3 )「今、シャキン君は何をしているのかな?」 落ち着いた調子で荒巻は、ドクオへと質問を投げかける。 ('A`)「今は・・・バーのマスターやってましたね」 ( ,' 3 )「ほうほう。彼がマスターとはねぇ。 世の中、解からない物だ」 ('A`)「・・・」 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:18:02.84 ID:Eyr7nxt70 ('A`)「その様子だと・・・荒巻さんとシャキンさんはお知り合いで?」 ( ,' 3 )「うん、知り合いだね。 昔、一緒にここで考古神話について研究してたんだよ」 ( ,' 3 )「彼は実に良い考古学者だったんだがねぇ・・・」 遠くを眺め、古い記憶に浸るように荒巻は言葉を続ける。 ( ,' 3 )「ある日突然、姿を消してしまったんだ。 彼は平和主義者だから・・・原因は何となく解かるがね」 荒巻は視線を戻すと、ドクオの目を一点に見つめて尋ねかける。 ( ,' 3 )「で、君は何故カコログを?」 ドクオは、シャキンへと話した件をそのまま荒巻へと話した。 ( ,' 3 )「そうかい・・・ご友人をねぇ・・・」 ( ,' 3 )「若いって良いねぇ・・・やろうと思えば何でも出来る」 荒巻は物憂げな目をして呟いた後、両手で膝を叩く。 ( ,' 3 )「あのシャキン君が認めた男だ。 私の知りえる、カコログへの手がかりを教えてあげようじゃないか」 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:19:37.05 ID:Eyr7nxt70 ( ,' 3 )「少し待っていなさい。 資料室からそれの記述が書かれた本を取って来る」 白衣の乱れを軽く正すと、荒巻は部屋の外へと出て行った。 (-_-)「へぇ・・・シャキンさんなんて人が 此処に居たんだ・・・」 首を傾げながらヒッキーが呟く。 ('A`)「ヒッキーさんはシャキンさん知らないんですか? (-_-)「うん・・・知らない。 僕が知らないって事は・・・7年以上前の話か」 ('A`)「へぇ、そんな昔の話なんですか」 ドクオ達がシャキンについて雑談していると、 本を小脇に何冊か抱えた荒巻が戻ってくる。 ( ,' 3 )「ふぅ・・・待たせたね。」 資料探しを急いだ為か、息が荒くなった荒巻は そのままの勢いで机に色あせた本を並べていく。 ( ,' 3 )「これを見てくれ、こいつをどう思う?」 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:20:32.78 ID:Eyr7nxt70 ――――資料1【セントジョーンズ研究日誌】―――― 2106―9.24 長年の私の苦労がようやく報われた。 我息子達よ、供にこの国への忠義を示そう。 2106―10.2 息子の活躍でVIP大陸には勝報が次々と舞い込んでくる。 父としてこれを大変光栄に思う。 2106―10.9 VIP大陸全土の士気が高まっている。 このまま行けばラウンジ大陸制圧も目前であろう。 2106―10.29 少し日誌に間が空いてしまったようだ。 最近、発電所の稼動ペースが落ちている。 敵国が次々と新兵器を投入している時期にきて、これは由々しき事態だ。 2106―11.30 恐ろしい・・・私は破壊神を生み出していたのだ。 この子を二の舞にするわけには行かない。 戦渦の届かぬ所、二人で私の余生を過ごそうと思う。 10分の1世紀ごと、 私達の記念の日に息子はに満腹になるまで エネルギーを与えあげよう・・・。 それが私にできる最後の息子達への愛情表現だ。 ――――――その後、日記は途絶えている――――――― 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:22:31.91 ID:Eyr7nxt70 ('A`)「え?息子?破壊神?」 ( ,' 3 )「2106年というと、今から141年前だね。 その直後、各地で発電所が爆発し終戦」 ( ,' 3 )「この息子と呼ばれる物が、 カコログに居るという神の正体だろう」 しげしげと本を眺めるドクオに荒巻が言い放つ。 ('A`)「となると・・・【戦渦が届かぬ場所】が、カコログだと?」 ( ,' 3 )「そうなるね。次はこっちだ」 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:32:53.23 ID:Eyr7nxt70 ――――資料・2【魔導研究所北方支部・日誌】――― 2106―9.26 なにやら本部の方で、巨大な魔導兵器が開発された様だ。 開発者はアンドロイドのパイオニアらしい。 今後の動向に注目したい。 2106―10.5 先に述べた兵器は予想以上の成果を残している。 正直、新たな兵器を開発するのが馬鹿馬鹿しい。 2106―10.15 この研究所は本部に必要な部品を製造するだけの 場所となってしまった。 私の、科学者として歴史に名を残すと言う夢は儚く散った。 2106―11.28 あれ以来、毎日単純作業の繰り返し・・・灰色の日々だ。 2106―12.16 街が火に包まれ、地面が裂ける。 国の混乱を此処に記す。 ―――――――――――――――――――――――― 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:34:41.68 ID:Eyr7nxt70 ('A`)「・・・・これがなにか?」 ( ,' 3 )「何も気付かないかね?」 ('A`)「うーん。見たところ、 12.16頃から発電所が爆発し始めたって所ですか?」 ( ,' 3 )「この地方には・・・原子力発電所は無かったんだ。 原料のウランがあまり取れなかったらしい」 ( ,' 3 )「これに示してある【遠方の発電所】ってのは 恐らく、200km以上はなれた場所にあった アナリスク地方の事だろう」 ('A`)「はぁ、爆発の被害が及ぶってのは ちょっとおかしいですね。」 ( ,' 3 )「つまり、何か他の原因で【町は火に包まれ地が割れた】」 ( ,' 3 )「この地図を見てくれ」 荒巻は地図を広げ、何やら線を引いていく。 http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/83/0000168783/28/img38523a66rvytz3.gif ( ,' 3 )「この日誌が発見されたのがオレンジ色の×印」 ( ,' 3 )「都市ワクテカも大体同じ位置だね。」 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:36:24.17 ID:Eyr7nxt70 荒巻は再び筆を走らせる。 http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/83/0000168783/29/img924e9386rvz0ow.gif ( ,' 3 )「そして・・・この茶色い線が何だか解かるかい?」 ('A`)「いや、わかりません」 ( ,' 3 )「だろうね。 この地方に住んでいる者は此処を【大戦の爪跡】と呼ぶ」 ( ,' 3 )「1本の亀裂が大地に入っているんだがね・・・とてつもなく巨大だ。 幅は目測で約300m、深さに至っては全くもって解からない。」 ( ,' 3 )「こんな亀裂・・・一朝一夕で自然が作り出せるものでは無い」 ( ,' 3 )「恐らくこの亀裂が出来た時、地震か何かが起きたのだろう。 震災で火事が発生し、街が火に包まれたって所じゃないかな」 ( ,' 3 )「そして、この亀裂の向こうに小さな山が存在していたと記録にあった」 ('A`)「なるほど・・・もうほとんど確定的じゃないですか?」 ( ,' 3 )「だが、問題が幾つか在る」 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:37:24.56 ID:Eyr7nxt70 ( ,' 3 )「1・カコログの何処に神が居るのか 2・どうやって亀裂を超えるかだ」 ( ,' 3 )「1に関してはこれを見て欲しい」 そう言って荒巻は、最後の資料を指差す。 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:38:22.35 ID:Eyr7nxt70 ――――資料3【都市ワクテカ巡察官・日誌】――――― 2106―1.1 まったく・・・年が明けたと言うのに 辺りは瓦礫の山ばかりだ。 街の皆は悲観の海に沈んでいる。 2106―2.1 食料を狩りに行った都民が傷だらけで帰ってくる。 なんでも、人間ほど在る巨大な犬に襲われたとか。 そんな犬がこの世に存在する訳無いだろう。 2106―3.1 北東の巨大な亀裂に足を滑らせ死者がでた。 山の、中腹辺りから光が伸び、人影が移し出されていたそうだ。 これに驚いた拍子、暗がりに足元を取られたらしい。 間抜けな話だ。 2106―4.1 そろそろ別の地方へ巡察する事となった。 また此処へは何時か派遣されるだろう。 正直二度と来たくは無いがな。 ――――――――――――――――――――――――――――― 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:39:47.48 ID:Eyr7nxt70 ( ,' 3 )「この3.1の記述と、資料1の【10分1世紀、私達の記念日】 から見るに・・・恐らく、何かが山の中腹辺りに居る。 そして、10年毎の、私達の記念日に何かのアクションを起こすんじゃないかな?」 ドクオは荒巻の推測を頷きながら聞く。 ( ,' 3 )「が・・・【私達の記念日】が明確には何時か解からない」 ( ,' 3 )「資料1から見るに、【9.24】か【11.30】だろうだとは思うが」 ( ,' 3 )「そして今日は2256―9.20、十年周期に当てはまっている。 4日後までに爪痕を越えれれば、神に会えるかもしれない」 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/07(木) 22:41:18.98 ID:Eyr7nxt70 荒巻は、机に並べられている資料から目を離すと、 視線をドクオへと向けた。 ( ,' 3 )「どうする?亀裂を越えたいかい? 正直、30年研究しても推測だらけの私の考えだ。 会える確立はあまり高く無いと思うがね」 荒巻はドクオに問う・・・が、 返答など火を見るより明らかだろう。 ('A`)「・・・・・・」 ('A`)「絶対、神様を拝んできますよ・・・あいつの為にね」 ドクオの口調はとても柔らかい物だったが、 目は鋼のように強い眼差しだった。 ( ,' 3 )「そうか・・・君なら私の夢を叶えてくれそうだ。 じゃ、君には問題点2を解決してもらおう。 なーに簡単な事だよ」 荒巻は、口角を一方だけ上げると不敵に呟いた。 ジャンル別一覧
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