2007/01/29(月)15:45
( ^ω^)が料理人になるようです(第十二章上)
211 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:11:00.69 ID:PXIweYU+0
第12章 情熱の薔薇
また内藤とクーさんが見つめあってる。
それを見るたびに私はイライラする。
私の後ろにはお姉ちゃんとドクオが座っている。
振り返ればきっと私たちを見てニヤニヤ笑っているんだろう。
それを想像したらまたあたしはイライラしてきた。
( °ω°)『ローリングストーンズッ!!』
あたしは無意識のうちに内藤の足に渾身の拳骨を叩きつける。
川 ゚ -゚) 『いきなり殴ったら痛いだろう 常識で考えて』
( ;^ω^) 『そ、そうだお。僕は何にも悪い事…』
ξ゚△゚)ξ『うるさいわねっ!!』
あたしは内藤の目の前に空になったグラスを突きつけた。
ξ゚△゚)ξ『レディのグラスが空になってるのよ!!
それに気づかずデレデレしてるなんて武士として…いえ、男として最悪だわ!!』
言いがかりだ。
自分でも分かってる。でも内藤は笑顔を崩そうとしない。
215 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:14:14.43 ID:PXIweYU+0
( ;^ω^)『困ったお嬢さんだお…クーさん、ツンに同じ物をもう一杯…』
ξ#゚△゚)ξ『いまさら遅いわよ!! あたし帰る!!』
あたしはそう言って席を立ち歩き始める。
( ;^ω^)『あ、ツン待つお…みなさんお先に失礼しますお』
内藤が自分のグラスを一息に飲み干し追いかけてきた。
あたしの視界に『やれやれ』とでも言いたげに肩をすくめるクーさんの姿が飛び込んできて、
あたしはまたまたイライラを増幅させる。
ξ#゚△゚)ξ『なんであんたを待たなきゃいけないのよ!!この豚!!』
あたしはそう叫んで店を出た。
千鳥足の酔っ払いをかわしながらあたしは夜の商店街を早足で歩く。
こんな時間でもこの道はネオンで明るい。
それにしても…フラフラ歩くな!!
ちゃんと胸を張ってまっすぐ歩け!!
男でしょ!!
あたしは心の中で毒づいた。
( ^ω^)『ちょwwwツンwwwやっと追いついたおwww』
自転車にまたがった内藤があたしに並びかけてきた。
ほんの短距離しか走っていない筈なのに肩を上下させて…だらしないわね!!
ξ#゚△゚)ξ『なによ!! あんたはクーさんと楽しく飲んでればいいじゃない!!』
221 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:17:07.94 ID:PXIweYU+0
( ^ω^)『そ、そんなwww今日は一緒に帰るって約束してたじゃないかお』
こんな時でも内藤は笑顔を絶やさない。
よく無邪気に笑った男の表情が好きとか言ってる女の子がいるけど、あたしはそうは思わない。
男は真剣な表情が一番だと思ってる。
そんなあたしでも内藤の笑顔は嫌いじゃない。
見ていて心が暖かくなるって言うか…そんな感じにさせてくれる。
でも、内藤がその笑顔をあたしじゃない誰かに向けている時は好きじゃない。
ξ゚△゚)ξ『内藤。あたしたちは友達よね?』
( ^ω^)『は? 急にどうしたんだお? もちろんツンは僕にとって大事な友達だお』
ξ゚△゚)ξ『じゃあ正直に答えなさい。クーさんはあんたにとって何なの?』
どうしたんだろう。
あたしの口から出た言葉にあたし自身が驚いていた。
こんな事聞いてあたしは何がしたいんだろう。
内藤もいきなりの質問に戸惑っているようで、
( ^ω^)『な、なにをいきなり…クーさんはよき相談相手というかお姉さまと言うか…』
死にかけた金魚みたいに口をパクパクさせている。
ξ-△-)ξ=3 ハァ。ため息。どうせこんな事しか言えない奴だとは思ってたけど。
ξ゚△゚)ξ『0点』
あたしはそれだけ言うと、それからは内藤が何を話しかけても返事をしなかった。
225 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:19:11.35 ID:PXIweYU+0
翌日。いつものコンビニの前に内藤がいた。
( ^ω^)『ツン、おはようだおwww』
ξ゚△゚)ξ『おはよう。今日は随分早いじゃない。でも、そんなトコでキョロキョロしてると不審者みたいよ』
( ^ω^)『おっwwwおっwww不審者は言いすぎwwwツンを待ってたんだお』
ξ゚△゚)ξ『ハイハイ。で、用件は何かしら?』
( ^ω^)『仕事前にツンにちゃんと謝りたかったんだお』
ξ゚△゚)ξ『謝る? 何を?』
( ^ω^)『昨日の事だお。僕なりになんでツンがあんなに不機嫌だったのか…考えてみたんだお』
内藤が真剣な表情であたしの目を覗き込んでくる。
普段ヘラヘラしている男が急に見せる真剣な眼差し。あたしはコレに本当に弱い。
内藤…何を言うつもりなんだろう…鼓動が早くなる。足が震える。
( ^ω^)『また…あの日だったんだお?』
ξ゚△゚)ξ『……』
ξ#゚△゚)ξ『 死 ね 』
あたしは内藤の顔面にハンドバッグを叩きつけた。
228 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:21:11.55 ID:PXIweYU+0
ランチタイム。
ホールも厨房もフルボリュームの有線放送が聞こえなくなるほどの喧騒に包まれる。
暇な時間は寒いくらいに感じる冷房もこの時間だけは別。
鼻の頭に汗をかくほど暑く感じるのは、あたし達が走り回っているからか?
それとも満席の店内特有の熱気のせいか?
また蝉の鳴き声とムワッとする外気を伴ってお客様が自動ドアをくぐってきた。
あたしは作り笑顔を浮かべてそれに対応する。
ξ^ー^)ξ『申し訳ございません。只今満席でして…』
『席があくまで待つよ』と言うお客様の名前と人数をメモ用紙に殴り書いていると
厨房からコールがかかる。
(*゚∀゚)『3番テーブル!! 料理運んどくれっ!! 冷めちまうよっ!!』
ディッシュアップカウンター(完成した料理を並べるカウンターの事)に駆けつけ
提供を待つ料理を両手に持ちながら厨房を覗き込む。
そこにあるのは何時もどおりの騒然とした光景。
(*゚∀゚)『ブーちゃん!! 5番遅れてるよ!!』
( ;^ω^)『あと10秒!! ドクオ!!6番いけるかお!!』
('A`)『おう!! いつでも来い!!』
229 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:25:47.49 ID:PXIweYU+0
お客様を席にご案内し。
注文を取り。
テーブルに料理を運んで。
レジで会計を済ませ、テーブルを片付ける。
ランチタイムはひたすらにコレの繰り返し。
あたしは手が空くたびに厨房を覗き込む。
料理が出そうなタイミングを計るのも迅速に行動する条件だからだ。
( ^ω^)『7番30秒!! 続いて1番1分でいくお!!』
内藤が両手で麺の湯切りをしながら叫ぶ。
('A`)『1分!? 45秒で来い!! ツー!! 1番スペシャルのセットライス3丁!!それと2番のキムチ炒飯のご飯2丁だ!!』
ドクオが鍋を振りながら叫ぶ。
(*゚∀゚)『今やってるよっ!! ブーちゃん!! 4番のつけ麺は準備できてるかい!?』
お姉ちゃんが狭い通路を走りながら叫ぶ。
互いが互いに声をかけ、お姉ちゃんがそれを組み立てる。
どんなに走り回っても作業に集中してもぶつかったりする事はない。この人たち、背中に目でもついてるのかしら。
内藤は左手に持ったレンゲでスープの味を見ながら、右手で麺にトッピングをしている。
その目は常に厨房中を見渡し観察し、足元はすでに次の行動に移っている。
この時ばかりは内藤も侍の目になってて悪くない。
(´・ω・`)『内藤君はこの一年で随分頼もしくなってくれたよ』
ショボンさんも嬉しそうに言ってたっけ。
230 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:27:42.03 ID:PXIweYU+0
ランチタイムが終わり、テーブルを拭くダスターを漂白するのに厨房に入ると、
内藤達は輪になって雑談の真っ最中だった。
( ゚∀゚)『昨日超巨乳の女の子が働いてるファミレス見つけてよ』
(*( ,,゚Д゚)『夕べ通販で買った手錠見つかって捨てられちまってな…』
(*゚∀゚)『手錠!? たまにはそんなのも興奮するかもね!!』
('A`)『いや、それより明日のランチなんだが…』
( ^ω^)『僕なんか昨日3人とやりまくりだおwwwエロゲでwww』
…なんかこの会話つい最近も聞いたわね。
微妙にかみ合ってないトコも同じだわ。
もしかしてお互いに人の話聞いてないんじゃないかしら。
つか、お姉ちゃんまで何やってんのよ…。
(*゚∀゚)『固い事言わないの!! みんな戦友だからね!! こんなので恥ずかしがってたら厨房じゃ働けないよ!!』
あぁ、そうですか。
( ゚∀゚)『あ、ツン』
ξ゚△゚)ξ『何?』
( ゚∀゚)o彡°『大きくなりますように♪』
ξ#゚△゚)ξ『死ねばいいのに』
233 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:30:26.01 ID:PXIweYU+0
何でか知らないけど、料理人達って下ネタが好きだ。
特にそれが派手な武勇伝であるほど歓迎される傾向にあるように見える。
ジョルジュさんなんかは料理が出来なかったら
エッチなビデオの男優さん以外就職先がないんじゃないだろうか?
ξ////)ξ『言っておくけど見た事ないんだからねっ!!』
( ;^ω^)『急にどうしたんだお?』
もう1つ。
料理人達が好きな会話のカテゴリーがある。
それは包丁の話。
みんな自分の包丁こそ最高の1本と思ってるから、その主張を決して譲ろうとはしないの。
子供みたいね。
今日も内藤が
( ^ω^)『そろそろ自分の包丁を買おうと思ってるお』
と言ったのをきっかけに仕事そっちのけの議論が始まり、
それは今この場所。仕事後のバースペースまで持ち込まれた。
疲れているハズなのにバーカウンターに内藤を囲んで喧々囂々。
自分の包丁を取り出しては内藤にその素晴らしさを説明…というよりあれは自慢話ね。
あたしとしぃはテーブルスペースでそれを見ているだけ。
だって、包丁1本にそんなにこだわる神経が分からないもん!!