第二話35 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:38:21.98 ID:BhbTGWmH0第2話 被害者の会が結成されました。 ( ゜ω゜)「!?」 そこには、見知らぬ女性が立っていた。 年はおそらくブーンと同じくらいだろう。 (*゚ー゚)「うわあ……ウェルダン、ってやつ? 食べたら美味しいのかなあ?」 ドクオの焼死体を興味深そうに眺めている。 彼女の着ているセーラー服は、少なくともこの学校のものではない。 ( ゜ω゜)「だ、誰……だお?」 (*゚ー゚)「私? 私は、ヒロイン」 ( ゜ω゜)「ヒロ……?」 (*゚ー゚)「ヒロインよ。貴方を好きになる一途な女の子……」 そういって、笑った。 (*゚ー゚)「名前はしぃ。よろしくね……これから、長い付き合いになりそうだから」 ( ゜ω゜)「……?」 (*゚ー゚)「あら、何も聞いていないの?」 理解不能という言葉を表情で出しているブーンに、しぃは意外そうな声をあげた。 37 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:40:20.63 ID:BhbTGWmH0 (*゚ー゚)「……まぁいいわ。知らないのならおいおい説明してあげる……それより、早くここから逃げましょう」 ( ゜ω゜)「逃げる……」 (*゚ー゚)「そうよ。見つかるのはいやでしょう?」 独特の臭いが漂っている。 途端、ブーンは口を押さえた。吐きそうになったのだ。 黒い塊は見たくもない。 (*゚ー゚)「ヒロインはいざっていう時に主人公を守るものよ……でも」 しぃは、ゆっくりとブーンの頭に手を置いた。 (*゚ー゚)「借りはいつか、返してもらうから……」 光がブーンに降り注いだ。 それはまるでブーンを包むように躍動する。 やがて、妙な効果音と共に、ブーンとしぃの姿は光と共に教室から消失した。 ・・・ ・・ ・ 39 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:44:13.21 ID:BhbTGWmH0 ーーー雑居ビル3階 空き部屋ーーー 行き着いた先は暗澹とした空間だった。 雑然とした室内に光はない。 外から、若干の光が入り込んでいる、それだけだ。 ブーンとしぃは音も無くその場に降り立った。 ( ゜ω゜)「ここは…」 (*゚ー゚)「アジトよ」 ( ゜ω゜)「アジト?」 (*゚ー゚)「そう。私たちパーティーのアジト」 40 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:46:31.33 ID:BhbTGWmH0 まるでRPGのキャラクターのような台詞を口走ったしぃは、 転がっている回転式の椅子や散らばった書類などを押しのけながら先に進んでいく。 照明がないために全てを見渡すことはできないが、この部屋はそれなりに広い空間のようだ。 昔、どこかの会社がオフィスとして使っていたのだろう。 41 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:47:14.46 ID:BhbTGWmH0 少し歩いたところで、しぃは大きな声を出した。 (*゚ー゚)「連れてきたわよ!」 だが、反応は無い。 ブーンが不思議そうにしぃを見て、また室内に視線を移すという行動を繰り返していると、しばらくしてガタリ、と何かが崩れる音がした。 二つの人影が現れた。 一方が、もう一方の肩を抱くようにしてこちらに歩いてくる。 薄暗いためにその姿ははっきりとしない。 ただ、長髪の女性と少し目つきの鋭い男性であることはわかった。 44 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:48:34.97 ID:BhbTGWmH0 目の前までやってきた二人に、しぃは手を差し伸べた。 (*゚ー゚)「紹介するわ。こっちがギコ、こっちがクー」 ( ^ω^)「……」 川 ゚ -゚)「……」 ( ,,゚Д゚)「……」 (*゚ー゚)「クーにギコ。こいつがブーンよ」 しぃはそれ以上の説明をしようとしない。 ただ面倒なのか、しぃ自身、それ以上の情報を知らないのか。 それと同時に一つの疑問が浮かぶ。 どうしてしぃはブーンの名前を知っているのか。 (*゚ー゚)「二人とも、貴方や私と同じ境遇よ」 ( ^ω^)「……何もわからないお」 ( ^ω^)「大体ここはどこだお。ぼくはどうなったんだお……ドクオは!」 (*゚ー゚)「……やっぱ何にも知らないんだ」 川 ゚ -゚)「仕方がないんじゃないか?」 (*゚ー゚)「え?」 45 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:49:35.68 ID:BhbTGWmH0 女がやっと口を開いた。 だがなぜか、その声が涙声に聞こえる。 川 ゚ -゚)「しぃだって、私が教えたから理解したんだろう?」 (*゚ー゚)「うるさいなあ、なんちゃって全知全能のクセに」 しぃの恫喝のような口調に、女はただ黙って頭を下げた。 川 ゚ -゚)「……すまない」 ( ^ω^)「……」 (*゚ー゚)「ねぇ、ブーン」 しぃはクーを指差す。 その表情は、妙ににやついていた。 (*゚ー゚)「こいつ、盲目なの」 ( ^ω^)「!」 (*゚ー゚)「目が見えないってやつ。でもその代わり、何もかもを知っている」 川 ゚ -゚)「……」 (*゚ー゚)「……っていう、設定」 ( ^ω^)「わけがわからないお」 川 ゚ -゚)「しぃ。私が説明するよ」 (*゚ー゚)「……」 46 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:51:48.45 ID:BhbTGWmH0 盲目らしいクーは、そうはいっても一歩も動こうとはしない。 誰かに誘導されないと移動すらままならないようだ。 不安そうに首を動かした後、クーは口を開いた。 川 ゚ -゚)「今から話すことは全て私の頭の中にいつの間にか埋め込まれていたことだ。信憑性も確証も無い。だが、私の知識が正しければ」 川 ゚ -゚)「君は一度、覚醒に成功したはずだ」 ( ^ω^)「覚醒?」 (*゚ー゚)「ほら、あのナヨナヨした男殺したでしょ? 炎で」 ( ^ω^)「……」 いやでも頭の中で再生される、ドクオが焼け爛れ、朽ち果てる映像。 (*゚ー゚)「あれが覚醒よ」 川 ゚ -゚)「精神の高揚が限界に達したときに発現される能力だ」 ( ^ω^)「なんだお。それ? どこのゲームの話だお?」 (*゚ー゚)「チャチなゲームにありそうな設定よね。今となっては死んだ設定かも」 川 ゚ -゚)「だが、現に君はその能力を手に入れている」 その証拠をブーンは持っている。 紋章という、証拠。 47 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:53:48.46 ID:BhbTGWmH0 川 ゚ -゚)「誰かが用意した設定が君に当てはめられたんだよ」 ( ^ω^)「……」 (*゚ー゚)「私たちもね。だからこんな能力を得てしまった」 川 ゚ -゚)「少なくとも、私の頭脳はそう記憶している……もっとも、この記憶もあてはめられたものに過ぎないのだが」 ( ^ω^)「……」 不条理だとか、理解不能だとか。 ネガティブな言葉が巡る。 川 ゚ -゚)「目的はおそらく冒険の完結。通常のゲームであればラスボスを倒すまでということになるが……」 (*゚ー゚)「途中に様々なイベントが用意されてたりねー」 しぃがからからと、楽しそうに笑った。 川 ゚ -゚)「何にせよ、クリアするまでこの能力から解放されることは無いだろうな」 (*゚ー゚)「それまでは、私たちは一緒に『旅』をしないといけないわけ」 ( ゜ω゜)「冗談じゃないお!」 ( ,,゚Д゚)「!」 48 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:55:04.67 ID:BhbTGWmH0 突如響いたブーンの絶叫に、ギコが身体を震わせた。 ( ゜ω゜)「そんな能力要らないお! 僕は家に帰るお!」 (*゚ー゚)「でも、その能力を持っている限りまた人を殺してしまうかもしれない」 ( ゜ω゜)「そんなことは……もうないお!」 (*゚ー゚)「発現しない保証でも?」 ( ゜ω゜)「……」 言葉に詰まったブーンに、しぃは更に追い討ちをかけた。 (*゚ー゚)「それに、自殺志願者とはいえ貴方はもう人を一人殺してるのよ?」 ( ゜ω゜)「それは、でも」 (*゚ー゚)「どーせ帰っても今までどおりの生活は送れない。いつか、誰かが貴方の異変に気付く」 ( ゜ω゜)「うるさいお!」 耳をふさぎ、ブーンはヒステリックに叫喚する。 チロチロと、右手から炎が見え隠れする。 49 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:56:00.66 ID:BhbTGWmH0 (*゚ー゚)「……帰りたいの? どうしても?」 ( ゜ω゜)「決まってるお」 (*゚ー゚)「……そう。じゃあ」 突然、しぃはブーンの腕を片手でつかんだ。 ( ゜ω゜)「な、何するお?」 (*゚ー゚)「いや、この腕、切り落とそうかと思って」 もう一方の手にはナイフ。 ( ゜ω゜)「!」 (*゚ー゚)「貴方がこのゲームをクリアしないなら、私が終わらせてあげる」 (*゚ー゚)「ゲームオーバー。コンティニューなしのゲームオーバーね」 ( ゜ω゜)「……」 (*゚ー゚)「私の能力はワープ。クーがいれば貴方の場所もすぐにわかる。逃げても無駄」 (*゚ー゚)「どこまでも、貴方を追いかけてあげる」 50 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[sage] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:57:36.08 ID:BhbTGWmH0 わからない。 なぜこんなことに固執するのか。 なぜ逃げようとする自分を殺そうとするのか。 わからない。 ただ一つ、わかること。 逃げれば、殺される。 そんな単純な工程のみだ。 ブーンはその場に崩れ落ちた。 堰を切ったように涙が溢れ、零れ落ちる。 (*゚ー゚)「……はははっ……心配しないで」 一転、しぃの声が嬌声に変わる。 (*゚ー゚)「貴方は私が守るから……」 ジャンル別一覧
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