2007/01/05(金)10:03
( ^ω^)ブーンが復讐の感染をさせるようです(第十話下)
15 名前: ◆R38CE/IWYU [] 投稿日:2006/12/26(火) 09:46:59.28 ID:X/Q5Ug+v0
拳も脚も出さない。
その代わりドクオの襟元にはモララーの手。
掴まれた。捕まえられた。
殴り蹴りだけがモララーだと思っていたのが誤算。
(;'A`)(この形は……まさか……)
ドクオの身体が浮く。
地をついていた足は、間抜けに宙をもがくだけだ。
(#・∀・)「パンチだのキックだの……チマチマしたもんは終わりだ!!」
ドクオは声を出す暇も無かった。
強引に一本背負いに持っていかれたのだから。
気づけば床に叩きつけられていたのだから。
何かが破裂したような音が響く。
悲鳴も呻き声も出ないドクオを代弁するように、音は廊下で鳴り続けた。
16 名前: ◆R38CE/IWYU [] 投稿日:2006/12/26(火) 09:47:37.78 ID:X/Q5Ug+v0
大の字になって動かなくなるドクオ。
意識はまだある……が、とても立ち上がって反撃できる余力は無いであろう。
(;'A`)
(;・∀・)「辛そうだな」
その辛そうな顔をモララーは上から覗き込む。
眼には涙が浮かんでいた。
痛みの涙じゃない、悔し涙だ。
( ・∀・)「泣くな、お前は良くやったよ……
そんなお前に先人のありがた~い言葉を授けてやるよ」
(;'A;)
…………何だってんだよ……
( ・∀・)『人間が存在する限りいじめは無くならない
モララー(日本)1992~3130』
17 名前: ◆R38CE/IWYU [] 投稿日:2006/12/26(火) 09:52:52.56 ID:X/Q5Ug+v0
( ・∀・)「学校ってのはな、勉強をするためにあるもんじゃねぇ……
いかに早く上に立ち、他人を下に陥れるかの生存競争の場なんだよ」
(;'A;)(…………んだと……)
(;・∀・)「時間を無駄にし過ぎた、早く本物の内藤を潰さねーと……」
焦り出したモララーはそのまま階段を降りていく。
今のドクオにそれを止める力は無い。
反対に見える世界から、黙ってモララーの背中を追う事しか出来なかった。
『人間が存在する限りいじめは無くならない』
(;'A;)「違う…………そんな…………」
『無くならないわけがない』
ドクオの頭の中はそれで埋め尽くされていた。
『いじめは撲滅できる』
『理想論じゃない、人間一人一人が他人を認めればいいだけの話じゃないか』
『それが難しい?何を言ってるんだ、人を信じられなくなったら終わりだ』
(;・∀・)(ドクオ…………クソ、ここまでやられるとは……)
顔面の負傷が酷い、多少霞んだ視界が死を予期しているようにも思えてきた。
19 名前: ◆R38CE/IWYU [] 投稿日:2006/12/26(火) 09:57:19.39 ID:X/Q5Ug+v0
(;'A;)「こ…………が……………けな………」
内藤 正直すまんかった。
(;'A;)「こんな…校が…………いけな………」
これまでも今も……そしてこれからも俺はお前に何もしてやれないだろう。
(;'A;)「こんな学校が………らいけな……だ」
でも安心しろよ。
(;'A;)「こんな学校が…る…らいけな…んだ」
お前を苦しめたこの糞学校は……。
(;'A;)「こんな学校がある…らいけな…んだ」
今なくなるから。
(#'A;)「こんな学校があるからいけないんだ!!」
俺が全部片付けてやる、だからもう復讐なんてのはやめてくれ。
21 名前: ◆R38CE/IWYU [] 投稿日:2006/12/26(火) 10:01:04.74 ID:X/Q5Ug+v0
身体の体勢を変える。
目の前に広がる世界は180度回転して、通常版に戻った。
それでも立てない、ならば這いつくばって進むまでだ。
足に頼らなくても人は前に進む事が出来る。
聳え立つ扉を開くと、そこは理科室。
既に誰かの手によって物色された跡があるが、興味は無い。
棚には良く分からない名前のラベルが張ってある薬品、実験道具、
せいぜい正式名称をはっきり言えるのはアルコールランプくらいか。
それでも何をどうすればどんな事になるのかは、今の中学生は大体把握している。
理科室なんてのは武器倉庫となんら変わりは無い。
考えてみれば学校なんて凶器だらけだ。
(;'A;)「内藤……今……消してやるから……」
全部終わらせてやるから――――――
23 名前: ◆R38CE/IWYU [] 投稿日:2006/12/26(火) 10:08:27.65 ID:X/Q5Ug+v0
二階 ―― 一階間階段
川 ゚ -゚)「……上で凄い音がしたぞ」
川 ゚ -ω^;)「ドクオ……?まさか……」
思えば内藤が最後に見たドクオは、すっかり壊れきった姿だった。
我を忘れて何をしで出すか分からないのが人間だ。
そして不安要素はそれだけではない。
モララーの存在……奴には恐れというものが無い。
そういった輩は一番やり易い敵でもあり、厄介な相手でもある。
川 ゚ -ω^)(やっぱあの時、意地でも潰しておくべきだったかお……)
モララー、そしてモナーとの一戦が思い出される。
川 ゚ -ω^)(僕を呼ぶ……人間か……お)
その時――――――「内藤ッ!?」――――――渇いた声。
川 ゚ -゚)(っ!この男!!)
川 ゚ -ω^)「……お前は」
( ・∀・)「よぅ……また会ったな」
24 名前: ◆R38CE/IWYU [] 投稿日:2006/12/26(火) 10:09:48.90 ID:X/Q5Ug+v0
川 ゚ -ω^)「あの時は仕留め損ねたお……今回は……」
(;・∀・)「テメェが内藤かよ!!」
川 ゚ -ω^)「!!??」
微妙に成り立っていない会話に疑問を持った瞬間、もう遅い。
クー兼内藤の顔に学ランが被さる。
その顔面目掛け、飛び蹴りがクリーンヒットした。
視界を閉ざしただけでなく、感染の危険を最小限に留めた。
川 ゚ -ω^#)「クソ……あのクソにしちゃ賢いお……!!」
そして最初の「内藤ッ!?」「また会ったな」の台詞、あれは『確認』だ。
自分だと分かって言ったのではない。
自分だと確かめるために言ったのだ。
おそらく、他の人間が目の前に現れても同じ事を言っただろう。
(;・∀・)「じゃあな!」
モララーは下の階へと足を進めていく。
川 ゚ -ω^#)「逃がすか……お…………?」
身体が動かない、直ぐにでも追いかけなければならないのに。
川#゚ -゚)「殺しはするなと言ったはずだ!」
26 名前: ◆R38CE/IWYU [] 投稿日:2006/12/26(火) 10:14:46.23 ID:X/Q5Ug+v0
川 ゚ -ω^#)「お前……邪魔すんなお!!
奴は……殺されて当然の人間だお!!」
川 ゚ -゚)「邪魔?これは私の身体だ!寧ろ私からしてみればお前が邪魔だ!
それに殺されて当然の人間がいたとしても、お前がそいつを
殺していい事があるか!!」
邪魔だ……邪魔だ……邪魔だ……
( ゚ω゚)「どいつもこいつも僕の邪魔をすんじゃね――――お――――――!!!」
川;゚ -゚)「……!!?」
黒の世界が裂ける。
憎悪は負けない。
憎しみが濃くなっていく、怒りと、苦しみが混ざっていく。
『全部全部弱かったんだお!だから今の僕は強いんだお!』
『何も出来なかった僕が何か出来るから強くなったんだお!!』
クーが掴んでいた内藤の腕は……軽く、『するり』 簡単に抜けてしまった。
( ゚ω゚)「モララァァァァァァァ!!!!」
(;・∀・)「――――――――――――――――――――――――――――――――」
27 名前: ◆R38CE/IWYU [] 投稿日:2006/12/26(火) 10:15:30.56 ID:X/Q5Ug+v0
川;゚ -゚)「……え?」
クーは自分の立ち位置を確認する。
一階と二階の間の階段だ。
自分はここにいる、ここにいるんだ。
ガタガタ……ガタァンッ!
下の階から物音、クーは確かめに後戻りをする。
そこには……二人。
緑に染まるモララーの姿と、無言で立っているだけの男。
川;゚ -゚)「……内……藤?」
( ゚ω゚)
僕は僕かお?