第十七話第十七話 「小さな殺し屋」 ある住宅街の朝の風景。 一生懸命に自転車のペダルをこぐ学生。電線に止まる鳥達。アスファルトの隙間から生えた雑草。 そして、それら全てを分け隔てなく照らす生まれたての太陽の光。 ( ><)「行ってきますなんです!」 そんな住宅街の一角で響き渡る声。 昨日のやつれ顔からは想像も出来ないような元気な声で、ビロードが出かけの挨拶を叫んでいた。 勢いよく玄関の扉を開け放ったビロードは、そのまま向かいの家まで駆けていく。 ( ><)「ちんぽっぽちゃーん!学校行こうなんでーす!!」 ピンポーン 先程よりも大きな声で叫びながら、玄関につけられた呼び鈴を鳴らす。 ( ><)「ちんぽっぽちゃーん!学校行こうなんでーす!!」 ピンポーン ( ><)「ちんぽっぽちゃーん!学校行こうなんでーす!!」 ピンポーン ( ><)「ちんぽっぽちゃーん!学校なんです!遅刻しちゃいますよ!!」 それが三回程繰り返された後、ビロードは言葉を変え、行動を変えた。 ( ><)「ちんぽっぽちゃーーーん!!まだなんですかー!!!」 ピポピポピポピポピポピポ その語気は強まり、呼び鈴はとてつもない速度で押され続ける。 ( ><)「ちんぽっぽちゃーーーーーーん!!」 ピポピポピポピポピポピポ ( ><)「ちんぽっぽちゃーーーーーーーーん!!」 ピポピポピポピポピポピポ ( ><)「ちんぽっぽちゃーーーーーーーーーーん!!」 ピポピポピポピポピポピポ ( ><)「ちんぽっぽちゃーーーーーーー「もう一回押したら殺す」 インターホンからおぞましい程の殺気がこめられた声が響く。 反復運動を続け真っ赤になったビロードの指は (;><)「……あ……あぶな」 呼び鈴に触れたまま、声の殺気にあてられたかのようにプルプルと震え続けていた。 (;><) 酷使し続けた右手を下ろし、そのままの状態でしばらく待つ。 ちんぽっぽの殺気はビロードの身体にまで影響を及ぼしたらしく、その額からは大量の汗が吹き出ていた。 (*‘ω‘ *) 黒塗りの扉を開き、ちんぽっぽが現れる。 その顔に怒りの感情は見られない。 (;><)「お、おはようなんです!」 ビロードもそれに気づいたのか、精一杯の苦笑いと共に挨拶をする。 (*‘ω‘ *) ( ><) (*‘ω‘ *) ( ><) ( ‘ω‘ )「……チッ」 可愛らしい少女の顔は瞬時に消え去り、代わりに現れたのは体中の不愉快さを一点に凝縮したかのような表情。 嫌に耳につく舌打ちの音を残し、ビロードの横を通り過ぎていく。 (;><)「わ、ちんぽっぽちゃん待って!待ってなんです!!」 ビロードは慌ててその後を追おうとする が、 (;><)「うぉわっ!!」 玄関前の段差に躓き (;><)「ぐぇっ!!」 顔から地面へと激突。 (;><)「痛ぅ……」 ( ‘ω‘ ) 顔を上げれば、冷酷な少女の姿。 (;><)「あ……」 ( ‘ω‘ ) 何の言葉もなく差し出された手の平の上には、ポケットティッシュの袋があった。 (;><)「あ、え?あ?」 それが何を意図しているのか分からず困惑するビロード。 心臓のように脈打つ顔の奥から何かが流れてくるのを感じ、ようやく気づく。 (;><)「わわ!血!鼻血!!」 ( ‘ω‘ )「……チッ」 二度目の舌打ちをするとちんぽっぽは差し出した手を引っ込め、袋からティッシュを何枚か取り出す。 そしてそれを適当な大きさにちぎり先をねじると、ビロードの鼻に詰めた。 (;><)「あ……」 ( ‘ω‘ ) ( ><)「ありがとう……なんです」 ( ‘ω‘ ) ビロードが礼を言うとちんぽっぽは何も答えないまま、後ろへ向き直り歩き始める。 (;><)「あ、待って!待ってなんです!!」 ビロードは鼻に詰められたティッシュをしっかり奥まで詰めなおしてから立ち上がり 制服についた汚れを手で叩き落とした後、遠ざかる少女の背中を追いかけた。 ( ><) (*‘ω‘ *) 何の会話もないまま、学校への道をひた歩く。 ちんぽっぽの顔に浮かんでいた冷ややかな表情は、いつの間にかその姿を消していた。 ( ><)「あ……ようやく止まったみたいなんです」 鼻に詰められたティッシュを抜き取ると真っ赤だった血は色褪せ、褐色の染みがねじれたティッシュの表面を覆っていた。 鼻の奥からの流動感もなく、ビロードはほっと胸を撫で下ろす。 (;><)「鼻血なんて久しぶりに出したんです」 (*‘ω‘ *)「ぽっぽ」 (;><)「かっこ悪いところ見られて……恥ずかしいんです」 ( ‘ω‘ )「かっこ悪いのはいつものことだろ」 (;><)「……」 ( ‘ω‘ ) (;><)「……これから気をつけるんです」 歩みを再開すると、またもや沈黙が続く。 (;><)(何か気まずいんです……話題話題……あ!) ( ><)「そういえば、女の子達の方の勉強合宿ってどうだったんですか?」 ( ‘ω‘ ) ( ><) ( ‘ω‘ ) ( ><) ( ‘ω‘ ) (;><) ( ‘ω‘ ) (;><) (*‘ω‘ *)「……ちんぽっぽ」 (;><)「へ?あ、そうですね。今日もいい天気なんです」 (;><)(聞いちゃまずかったん……ですかね) ▼・ェ・▼「ワンワン!!」 (;><)「うわ!」 と、突然道行く二人の前に一匹の野良犬が現れた。 (;><)「な、なんなんですかこいつ」 ▼・ェ・▼「ワゥーン!」 (;><)「う、うわああああああああああああ!!!」 野良犬は鳴き声と共にビロードの足へと飛び掛る。 (;><)「な、なにするんですか!放せ!放せなんです!!」 野良犬はビロードの大腿に前足をかけ、器用に立ち上がる。 そして ▼・ェ・▼「ハッハッハッハッハッハッ」 (;><)「やめろ!やめろなんです!!」 荒々しい息遣いと共に、激しく腰を前後に振り始めた。 ▼・ェ・▼「ハッハッハッハッハッハッ」 (;><)「やめろなんです!このバカ犬!!」 ▼・ェ・▼「ハッハッハッハッハッハッ」 ビロードの罵声にも反応することなく、野良犬の腰の動きは徐々にその激しさを増していく。 (;><)「た、助けてなんです!!ちんぽっぽちゃん!!」 ( ‘ω‘ ) (;><)「見てないで早く助けてなんです!!」 ( ‘ω‘ ) (;><) ( ‘ω‘ )「……ふっ」 (;><)「あれ?ちんぽっぽちゃん?」 ちんぽっぽは野良犬に犯され続けるビロードを残し、再び歩き始めた。 (;><)「え?そんな、待って!!ちんぽっぽちゃん!!」 ▼・ェ・▼「ハッハッハッハッハッハッ」 (;><)「うわあああああああああああああああああああ!!!」 (ヽ><)「……ひどいんです」 (*‘ω‘ *) (ヽ><)「……ひどすぎるんです」 (*‘ω‘ *) (ヽ><)「僕を置いて先に行っちゃうなんてあんまりじゃないですか!!」 (*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ」 (;><)「気づかなかった!?そんなわけないんです!ちゃんと目が合ってたじゃないですか!!」 (*‘ω‘ *)「ぽっぽ」 (;><)「そんなの言い訳にならないんです!僕があの後どれだけの醜態を晒したと思ってるんですか!!」 ( ‘ω‘ )「だからそれはいつものことだろ」 (;><) ( ‘ω‘ ) (;><) (*‘ω‘ *)「ぽっぽ」 (;><)「……もういいです」 (*‘ω‘ *) ( ><) (*‘ω‘ *)「ぽ」 ( ><)「え?」 (*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ」 ( ><)「コンビニに寄りたいんですか?」 (*‘ω‘ *)「ぽっぽ」 ( ><)「ああ、お昼を買いに行くんですか」 (*‘ω‘ *)「ぽ」 ( ><)「いいですよ。じゃあ、あそこのコンビニに行きましょう」 |゚ノ ^∀^)「いらっしゃいませー」 扉を押し開くと、レジから爽やかな挨拶と笑顔が飛んでくる。 それと同時にひんやりとした空気がビロード達の身体を包み込んだ。 ( ><)「ふぅー、涼しいんです」 (*‘ω‘ *)「ぽっぽ」 ( ><)「はいなんです。じゃあ、僕は本の所にいますから」 そうちんぽっぽに告げるとビロードは雑誌コーナーへと向かった。 ( ><)(えーっと……) 立ち読み中の学生の隙間に入り込み、棚一杯に並んだ雑誌を一つ一つ物色していく。 ( ><)(これにしますか) 程なくしてビロードは一冊の分厚い漫画雑誌に目を留め、それを手に取った。 そして、キョロキョロと辺りを見回してからページを開き、手元へと静かに目を落とした。 ~一分後~ ( ><)(どれが面白いのかわかんないんです……) ~三分後~ ( ><)(あ、これ確かテレビでやってたやつなんです) ~五分後~ ( ><) ~十分後~ (*><)「……プッ」 ~十五分後~ (*><)「クフッ……フフフッ……」 ~二十分後~ (*><)「アハハハッ!……クフッ……フフフ」 ( ><)「ふぅー……」 手にした漫画雑誌をあらかた読み終え、一息ついてから元あった場所へと戻すビロード。 ( ><)(漫画もたまにはいいもんですね) 小さな身体で目一杯の伸びをしながら、周りを見回す。 ( ><)(……ちんぽっぽちゃん遅いですね) (;><)「ってあれ!?」 (;><)「い、いないんです!!」 ξ゚△゚)ξ「……はぁ」 ( ^ω^)「どうしたんだお、ツン?ため息なんかついて」 場面は変わり、ここは人も疎らな教室内。 早めに登校していたブーンとツンは前後の席で向かい合い、たわいもない話をしていた。 ξ゚△゚)ξ「……はぁ」 ( ^ω^)「ツン?」 ブーンの呼びかけにも反応せず、ツンは虚ろな視線を宙へ泳がせたままもう一度小さくため息をついた。 ( ^ω^)「何かあったのかお?」 その様子を見てブーンは心配そうに問いかける。 呼びかけが具体的な質問に変わったからか、ツンはようやくブーンの方へと視線を向けた。 ξ゚△゚)ξ「あった」 (;^ω^)「お」 しかし、その視線はやはり虚ろなままで、ブーンの顔を不機嫌そうに捉えていた。 (;^ω^)「な、何があったんだお?」 ξ゚△゚)ξ「聞いてくれるの?」 (;^ω^)「話してくれるなら、僕は何でも聞くお」 ξ゚△゚)ξ「じゃあ、聞いてもらおうかしら」 (;^ω^)「お」 ξ゚△゚)ξ「この前……て言うか一昨日ね。ヒートの家に行ったのよ」 ( ^ω^)「どうしてだお?」 ツンの眉間に皺がよる。 ξ゚△゚)ξ「あんた達がやるとかいってた勉強合宿のためよ。あの時のこと忘れたの?」 (;^ω^)「お?」 ξ゚△゚)ξ「ヒートが『私もやる!!』とか言って騒いでたでしょ。本当に覚えてないの?」 (;^ω^)「あ、ああ、そういえばそんなことも言ってたような……」 ξ゚△゚)ξ「……とにかく、そういうわけで私とちんぽっぽちゃんはヒートの家へ行ったのよ。 それからが本当もう大変だったんだから……」 ツンはしみじみとそう言うと目を瞑り、身体の底から疲れを搾り出すように深くため息をついた。 ( ^ω^)「確かに一日中勉強とか嫌になっちゃうおね。僕も休み明けだってのに何か身体がダルイ感じするお」 閉じられていた目が、開く。 ξ゚△゚)ξ「何言ってるの?それが原因なわけないでしょ」 ( ^ω^)「お?違うのかお?」 とぼけた顔で首を傾げるブーン。 ξ゚△゚)ξ「当たり前でしょ……勉強するだけだったらこんなに疲れたりしないわよ」 ( ^ω^)「じゃあ、何があったんだお?」 ξ゚△゚)ξ「特別何があったってわけでもないんだけど……わかんないかなぁ」 ( ^ω^)「お?」 ξ゚△゚)ξ「……ヒートの家にはヒートが五人いるの。この意味わかる?」 ( ^ω^)「……わかんないお」 ξ゚△゚)ξ「はぁ……つまり、あそこの家族みんながヒートみたいな性格してるのよ。 お母さんもお父さんも弟も妹もみーんな、あの暑苦しいキャラなの」 ( ^ω^)「それが何で疲れるんだお?楽しそうじゃないかお」 ξ゚△゚)ξ「……あんたに話した私がバカだったわ」 (*‘ω‘ *) ξ゚△゚)ξ「あ、ちんぽっぽちゃん。おはよう」 ( ^ω^)「お、おはようだお」 ツンがブーンに呆れ逸らした視線で捉えたのは、片手にコンビニの袋を提げたちんぽっぽの姿だった。 ツンの挨拶に少し遅れて、ブーンもそれに続く。 (*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ」 ξ゚△゚)ξ「あれ、今日はビロード君と一緒じゃないの?」 ( ^ω^)「お、そういえば」 (*‘ω‘ *)「ぽっぽ」 ξ゚△゚)ξ「え、途中までは一緒だったの?」 (*‘ω‘ *)「ぽ」 ( ^ω^)「じゃあ、何で今は一緒じゃないんだお?」 (*‘ω‘ *)「ぽっぽ」 ξ゚△゚)ξ「いつのまにか……いなくなってた?」 (;^ω^)「それ何て神隠し……」 ('A`) 黒や紺の制服に身を包んだ学生達が覆い尽くす道。 横一列に並びくだらないテレビ番組の話に花を咲かせている女子高生達の後ろを、ドクオは一人歩いていた。 ('A`)(朝っぱらからうるせー奴等だなぁ) 湧き上がる不満は自然と顔に表れ、ドクオは当人達に聞かれないくらいの小さな舌打ちをする。 前を歩く二人の少女は当然それに気づくはずもなく、相変わらずの音量でつまらない話を面白そうに話していた。 ('A`)(ん?) と、突然その列が割れ、真ん中から現れたのは見覚えのある背丈の小さな少年。 肩を落としトボトボと歩く少年の背中は、心なしかいつもより小さく見えた。 ( ><) ('A`)「よう」 (;><)「おわっ!」 ドクオが横に並び話しかけると、ビロードは頓狂な声を上げながら後ろへ飛び退いた。 (;'A`)「おいおい、そんなに驚くことはないだろ」 (;><)「ご……ごめんなんです。ちょっとびっくりしちゃったただけなんです」 ('A`)「この時間に会うなんて珍しいな。ちんぽっぽちゃんは一緒じゃないのか?」 ( ><)「……」 ('A`)「何だ、まだ具合悪いのか?」 ( ><)「そういうわけじゃ……ないんです」 ('A`)「じゃあ、あれか?ちんぽっぽちゃんとケンカしたとか」 (;><)「そそそそそんなことあるわけないじゃないですか!!」 ('A`) (;><) ('A`) (;><) ('A`)「分かりやすいな、お前って」 ('A`)「で、一体何が原因でケンカになったんだ?」 ( ><)「……別にケンカしたわけではないんです」 ('A`)「じゃあ何だよ。何もなかったわけでもないんだろ?」 ( ><) 投げかけられた質問に口を噤んだまま何も答えないビロード。 沈黙を保ったまま、二人の歩みは進んでいく。 ('A`)「……答えたくないんなら無理にとは言わんけどな」 ( ><)「……すれば」 ('A`)「へ?」 ビロードが何かを呟いたというのは分かったのだが、ドクオはその内容をハッキリと聞き取ることが出来なかった。 ('A`)「何だって?」 ( ><)「どうすればかっこいい男になれるんですか!?」 ('A`)「は?」 今回はちゃんとその内容を聞き取れたものの、口から出るのは先程と同じ疑問の一文字。 いきなり響き渡った大声に周りの学生達が何事かと視線を向ける。 ( ><)「僕はちんぽっぽちゃんを見返してやりたいんです! もうかっこ悪いだとか頼りないだとか、思われたくも言われたくもないんです!!」 人目も気にせず、ビロードは自らの思いを大声で叫び続ける。 ('A`)「……なるほど。そういうことか」 ドクオはその叫びで全てを把握しきったかのように頷きながら呟く。 ('A`)「つまり、お前はちんぽっぽちゃんのことが好きなんだな?」 (;><) ('A`) (;><)「そそそそそんなこ('A`)「もういいっつーの」 慌てふためくビロードの言葉をドクオが遮る。 そして、不敵な笑みを浮かべながらこう言い放った。 ('A`)「ふっ、そういうことなら任せておけ。 恋愛の達人と呼ばれたこの俺が、あっと驚く妙案をお前に授けてやろう」 ξ゚△゚)ξ「やっぱり、この気持ちを分かってくれるのはちんぽっぽちゃんだけだわ……」 (*‘ω‘ *)「……ぽっぽ」 ξ゚△゚)ξ「それに比べて……」 (;^ω^)「お?」 ξ゚△゚)ξ「足はあんなに速いのに、どうしてこう鈍感なのかしらね……」 (;^ω^)「ぼ、僕のことかお?」 ξ゚△゚)ξ「別にあんたのこととは一言も言ってないけど」 (;^ω^)「そ……そうかお」 と、その時、目の覚めるような轟音と共に教室の扉が勢いよく開いた。 そこから現れたのは ( ><)「ちんぽっぽちゃん!!」 (*‘ω‘ *) ( ><)「今日と言う今日は許さないんです!! いつまでも僕が黙ってると思ったら大間違いなんです!!」 ビロードは声を張り上げながら、早足でちんぽっぽの方へと歩いていった。 ( ><)「ちょっとついてきてもらうんです!!」 (*‘ω‘ *)「ぽ」 ビロードはそう言うとちんぽっぽの腕を掴み、無理矢理廊下の方へと連れて行った。 (;^ω^)「な、何事だお……」 ξ;゚△゚)ξ「ビロード君何だか怒ってたみたいだけど」 ('A`) ( ^ω^)「お、ドクオ。おはようだお」 ξ゚△゚)ξ「あら、おはよう」 ('A`)「よう」 入れ違いに現れたドクオはブーン達と挨拶を交わしながら、廊下の奥へと歩いていく二人の姿を横目で追いかける。 ('A`)(ふふ、うまくいったみたいだな) ( ^ω^)「どうしたんだおドクオ?そんなににやけた顔して」 ('A`)「いや、別に。なんでもねーよ」 ( ^ω^)「お?」 (#)><) (;'A`) 一時間目が終わり、訪れた休み時間。 机に座るビロードの頬は、昨日と同じように赤く腫れあがっていた。 (;'A`)「な、何があった?」 (#)><)「……屋上に上がる階段の踊り場で話をしようとしたら……思いっきりビンタされたんです」 (;'A`)「……ちんぽっぽちゃんって、そんなにヴァイオレンスだったのか」 (#)><) (;'A`)「大人しい子だから強気に押していけば、男らしさもアピール出来てバッチリのはずだったんだけどなぁ」 (#)><) (;'A`)「ま、まぁそんな簡単に成功するほど恋愛って甘いもんじゃないしな。次だ!次!!」 と、取り繕うように言うと、ドクオはポケットから携帯電話を取り出した。 ('A`)「えーっと……」 (#)><)「……何を見てるんですか」 (;'A`)「え!?いや、別に……」 (#)><)「さっき僕と話してた時もチラチラ携帯を確認してましたよね」 (;'A`)「いやだから何でもないってば」 (#)><)「ちょっと見せるんです!!」 (;'A`)「あ、コラ!だから何でもないって言ってんだろ!!」 (#)><)「やましいものじゃないんだったらすぐに見せられるはずなんです!!」 (;'A`)「やめろって言って――あ!!」 ドクオの手から、携帯電話がこぼれ落ちる。 (#)><)「もらったんです!!ええっと……なになに」 (;'A`)「うわあああああああああああ!!やめろおおおおおおおお!!」 (#)><)「女の子を落とす二十の方法……?」 (#)><)「何ですか……これ?」 (;'A`)「……」 拾い上げた携帯の画面を見ながら、ビロードが問いかける。 (#)><)「これは……メモ帳の画面ですね?」 (;'A`)「……ああ」 (#)><)「自分で全部考えたんですか?」 (;'A`)「……いや、ネットとか本とか参考にして」 (#)><)「……」 (;'A`)「……」 (#)><)「ドクオ君ってモテないんですか?」 サラリと言ってのけるには余りに重過ぎる言葉。 ドクオの身体に『モテない』と言う過酷な現実がのしかかる。 (; A )「な……何を言ってるんだ」 ドクオはその重みに抗い、現実から目を逸らそうとする。 しかし (#)><)「いいんです。何も言わなくていいんです」 (; A )「……」 (#)<●><●>)「僕には全部分かっていますから」 (; A )「……」 (#)<●><●>) (; A )「……」 ('A`)「……そうだよ、お前の言うとおりだよ」 ('A`)「はは……笑えるだろ?」 (#)><)「……」 ('A`)「そんな方法使っても、モテない奴は結局モテないままなのさ……」 (#)><)「……そうとは限らないんです」 ('A`)「え?」 (#)><)「こんな方法でも、使う人が違えば結果は変わるかもしれないんです!!」 ('A`)「それって遠まわしに俺のこと……」 (#)><)「ドクオ君!ちょっと携帯借りるんです!!」 ('A`)「あ、うん」 ( ><)「……これなんです!」 ビロードはしばらく画面に意識を集中させた後、ある単語に目を留めた。 ('A`)「どれ?」 ( ><)「これなんです!」 そう言いながらビロードが指差す先には ('A`)「あー、殺し文句か。いいんじゃない?」 ( ><)「カッコいい殺し文句をズバーっと決めれば、きっとちんぽっぽちゃんも僕を見直してくれるはずなんです」 ('A`)「なるほどねぇ」 ( ><)「えーっと……ってあれ?肝心の殺し文句の方はどこに載ってるんですか?」 ('A`)「ああ、それは載ってない。何かそこまで調べるのは面倒臭くなっちゃって」 ( ><) ('A`) ( ><)「……それじゃ意味ないじゃないですか」 ('A`)「ごめん」 ('A`)「まぁまぁ、そこら辺は俺にいい考えがある」 ( ><)「何ですか?」 ('A`)「ちょっと待ってろ……えーっと」 ドクオは教室を一通り見回した後、一人の少年に視線を定める。 ('A`)「おーい、ショボン!」 (´∨ω・`)「ん?」 ('A`)「ちょっと来てくれ!」 席に座り本を読んでいたショボンがその声に気づき、ドクオの方へと顔を向ける。 読んでいた本にしおりをはさむと、ゆっくり立ち上がり視線の先へと歩き出す。 (´∨ω・`)「何か用か?」 ('A`)「ショボンって本好きだよな?」 (´∨ω・`)「まぁ、本は割と読む方だが」 ('A`)「じゃあさ、今まで読んだ本の中でこれならどんな女もイチコロだろって言う殺し文句、何かあったら教えてくんね?」 ( ><)「なるほど!そういうことですか」 ('A`)「そういうことだ。なかなかの名案だろ?」 (´∨ω・`)「殺し文句……」 顎に手を当て、考え込むショボン。 ('A`)「なんかないか?恋愛物とかの小説でさ」 (´∨ω・`)「俺は余りそういったジャンルの本を読まないからな……」 ( ><)「あー、確かにショボン君はそういうの読まないタイプっぽいですもんね」 (´∨ω・`)「……」 と、何か思いついたのか、ショボンの目が大きく見開かれる。 ('A`)「お、何か思いついたか?」 (´∨ω・`)「一応……な」 ( ><)「それは何なんですか!?」 そうビロードにせがまれるとショボンは顎に当てていた手を外し、淡々とした口調でその言葉を告げた。 ――― ―― ― キンコンカンコン チャイムが鳴り響き、放課後が訪れた。 慌しく動き出す生徒達の中、ビロードは落ち着いた様子でちんぽっぽに話しかけるタイミングを見計らっていた。 ショボンから教わった殺し文句を言い放つのにぴったりなシチュエーションを頭の中で描きながら。 ( ><)「ちんぽっぽちゃん」 (*‘ω‘ *)「ぽ」 周りに人が少なくなったのを確認し、話しかける。 ちんぽっぽは顔だけを動かし、その声に反応した。 ( ><)「今日はどうするんですか?学校に残って勉強していくんですか?」 (*‘ω‘ *)「ぽっぽ」 ( ><)「そうですか。じゃあ、一緒に帰りましょう」 手早く荷物をまとめ、バッグを肩に背負う。 ちんぽっぽの用意が整ったことを確認してから、ゆったりとした足取りで教室の出口へと向かった。 ( ><) (*‘ω‘ *) 夕日に照らされ、ほのかに赤みを帯びる二人の身体。 お互いに口を開かないまま、歩き慣れた道を黙々と歩く。 ( ><)「ちんぽっぽちゃん」 (*‘ω‘ *)「ぽ?」 前を向いたままビロードが呼びかける。 ちんぽっぽもそれに倣うかのように、顔を動かさないまま答える。 ( ><)「今日はちょっと別の道から帰りませんか?」 (*‘ω‘ *) ( ><)「こっちです」 ビロードはいつもの通学路を外れ、右の道へと曲がる。 ちんぽっぽはしばらくその後姿を眺めた後、無表情のままその後に続いた。 ( ><) (*‘ω‘ *) 二人は橋の下を流れる川のほとりに来ていた。 別の方向から帰ろうと言う提案は、ちんぽっぽをここに連れてくる為の口実だったのだ。 ビロードは足元に落ちている小石の中から手ごろなものを選び取り、夕日に染まった水面に向かい投げた つもりだった。 (#);><)「いだぁ!!」 手元から離れた小石はビロードの意志に反し、灰色に薄汚れた橋柱目掛け真っ直ぐに飛んでいった。 そして、橋の下に鈍い音を響かせた後、綺麗にビロードの元へと舞い戻り、衝突した。 ( ‘ω‘ )「……ふっ」 (#);><) ちんぽっぽの嘲笑を耳に受けながらも、ビロードはもう一度小石を拾い上げる。 (#)><)(一度の失敗でめげてられないんです。 今度こそ成功させて、ちんぽっぽちゃんにあの言葉を……) (#);><)(ってあれ、何て言うんでしたっけ!?) (#);><)(ええーっと……) 右手に小石を持ったまま携帯を取り出す。 左手での携帯の扱いには慣れていないのか、メモ帳を呼び出すのに少々の時間がかかる。 ( ‘ω‘ ) (#);><)(んーっと……あ!あった!!) もたつきながらもようやくその画面に行き着くことが出来たビロード。 そこに書かれた言葉を心の中で復唱する。 (#)><)(君に笑ったり怒ったりしてもらいたいんじゃない。 肝心なのは、笑ったり怒ったりしているのが、他人じゃなくて君だということなんだ……) (#)><)「よし!」 携帯をしまい、オレンジ色に揺れる水面を見据える。 軽く深呼吸をした後、ぎこちない投球フォームに入り そして (#)><)「とう!!」 小石と言う名の思いを背負った右手を、思いっきり振りぬいた。 (#);><)「っておわっ!?」 小石は水面に映る夕日目掛け一直線に飛んで行く。 しかし、その小石が水面へと着地する瞬間をビロードの目が捉えることはなかった。 小さな身体が水面を打ち、派手な水音と共にしぶきが上がる。 (#);><)「うぉあぶ!!」 ( ‘ω‘ ) (#);><)「あぶ!おぼ!溺れる!!溺れちゃうんです!!」 お約束のようなその光景を、ちんぽっぽは冷ややかな表情でただただ傍観し続ける。 (#);><)「ちんぽっぽちゃん!助け!助けて!!」 ( ‘ω‘ ) (#);><)「溺れる!溺れ……る?」 水音を立てながら遮二無二振られていた手足が川底に触れる。 (#);><)「あれ……足がつく……わっぷ!!」 落ち着きを取り戻したビロードの視界が突然鮮やかなピンク色に染まる。 慌てて顔に手をやると、それはちんぽっぽがいつも愛用しているタオルだということが分かった。 (#);><)「ちんぽっぽちゃん……」 ピンクの視界の向こうに現れたのは、河原から遠ざかるちんぽっぽの後姿。 (#);><)「ちんぽっぽちゃん!待ってなんです!!」 タオルを首にかけ身体を起こすとビロードは濡れた身体もそのままに、急いでちんぽっぽの後を追った。 こうして、ビロードの計画はその目的を達することなく、脆くも崩れ去ったのだった。 (#);><)「うわあああああああああ!!!携帯が!!携帯が壊れてるんですうううううう!!!」 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
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