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LOYAL STRAIT FLASH ♪

第一話

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:46:27.31 ID:d6qPW6Pg0
ザッザッザッザッガサッ
「はぁ・・ はぁッ・・・ はぁっ・・・・」
薄暗い森を走る。
木の小枝が刺さり体中に細かい裂傷が一歩、また一歩と前へ進む度に増える気が
する。
「痛いお・・でもここで止まって捕まる訳にはいかないお。」
そう呟いて彼は薄暗い森の奥に消えて行った。

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:47:40.79 ID:d6qPW6Pg0
長岡県ホライゾン市は人口数千人の小さな街。
三方を山に囲まれ、南側が海に面していて真夏の避暑地としてかなり好い環境である。
都会からの旅行者も多く観光と僅かな農作物、海産物で島の人間は生活していた。

('A`)「おぉーい、今日は釣りに行く約束だろ~?」
家のブザーを鳴らし近所迷惑も考えず大声で叫ぶ。

(´・ω・`)「ごめん。あぁ、またなんだ。許して貰おうとは思わない。
とりあえず麦茶でも飲んで落ち・・」

('A`)「はいはい分かった。また遅刻かよ。ショボンの寝坊癖はホント治んねーな。」

活発そうな、だがお世辞にもイケメンとは言えなさそうなこの少年の名はドクオ。
(´・ω・`)「まぁまぁ・・そんな怒らずに。すぐ準備するからさ。」
窓からそう言うと申し訳無さそうに準備を急ぐおおらかそうな少年は
どうやらショボンと言うらしい。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:48:52.66 ID:d6qPW6Pg0
('A`)「そう言やぁ、昨日山の上の方でサイレンが鳴ってたよなぁ。」
('A`)ノシ「なんかあったのかねぇ。」ドクオはそう言いながら
早く釣りがしたいのか釣り竿を振っている。

(´・ω・`)「そんなの鳴ってたっけ?覚えてないなぁ」
ショボンがそう答えると
('A`)「そう言えばショボンは一回寝たら起きねーもんな。」
とドクオはつまらなさそうに皮肉を返した。
ショボンはそんなドクオを気にもせず黙々と準備を続けている。
どうやらこの二人のやりとりはいつもの事らしい。

(´・ω・`)「随分お待たせしたね。さぁ、行こうか」
('A`)「ホントだよ。さっさと行かなきゃ日が暮れちまう。」
二人は自転車に飛び乗り釣り場へと急いだ。


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:49:38.47 ID:d6qPW6Pg0
二人がいつも釣りをしている場所はニュー速港の突堤なのだが
どうやら今日は違う場所をドクオが見つけたらしく
初めての釣り場と言うこともあり
ドクオはやたら急かしていたらしい。
('A`)「妹山にうp川ってあるだろ?あそこ前から狙ってたんだけど
流れが急過ぎて良いスポット無かったんだよな。
ところがどっこい昨日学校帰りに川沿い歩いてたら
偶然みっけたんだよ!あそこは釣れるぜぇw」

(´・ω・`)「えっ、でもあの川ってかなり足場が悪いし
大人が一緒じゃなきゃ入っちゃダメらしいよ」

とショボンが少し強ばった表情で返す。
('A`)「いいんだよッ!ったくショボンはホント根性ねーな。
それでもVIPPERかよw」
と睨み付けるように言い放った。
彼の言うVIPPERとは「長岡県立VIP高校」の生徒と
言う意味らしい。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:50:23.56 ID:d6qPW6Pg0
ちなみにVIP高校は周りの学校に比べると少しやんちゃな子供が多く
何かと問題も絶えない学校である。
(´・ω・`)「・・・分かったよ。いっぱい釣れるならその方が楽しいしね。」

この少年はどうやらかなりの釣り好きらしく
最近の釣果もイマイチと言うことで
ドクオの見つけたポイントへの期待はまんざらでも無い様子である。

('A`)「だろ?俺は期待は裏切らない男だからまかしとけってw
さぁ。もうそろそろ着くぜ。」とショボンに向かって笑顔で言った。

成程、これは確かに期待出来そうである。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:51:08.25 ID:d6qPW6Pg0
川底には大小さまざまな岩が沈み苔の付き具合もかなり良い。
今まで人間の立ち入った形跡は殆んど無く魚からしたら楽園なんだろう。

('A`)「さぁて。ここらへんでいいか。」
ドクオと呼ばれた少年はそう言うと方に引っ掛けていた釣り道具一式を
岩場へ投げ置いた。
どうやら喋り方同様、大雑把な性格らしい。
(´・ω・`)「うん。ここでいいね。準備しようか。」
ショボンと呼ばれた少年も仕掛けの準備に取り掛かる。

('A`)「なぁ、ショボン。餌は何でいく?」
(´・ω・`)「そうだね。まずは川海老でいいんじゃない?食いつき
悪かったら他のも試してみよう。」
('A`)「よしきた。」

どうやらドクオはショボンの釣りの腕は認めているらしく素直に指示に従う。

二人とも準備が終わりポイント探しの為に二手に分かれて水面から飛び出た岩と岩を飛び跳ねる。
('A`)「俺はここだな!よっしショボン。今から勝負だぜ!」
ドクオがショボンにそう叫んでまず第一投を投げ入れる。
狙った所にピンポイントにチャポンと落ちた。彼の腕もなかなかの物である。

(´・ω・`)「ちょ・・・せこいなぁ。まぁいいや。おk。」
そう言うとショボンも第一投を投げる。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:52:26.42 ID:d6qPW6Pg0
このショボンと言う少年。三度のメシより釣りが好きと言うことで釣りにおいてはかなりの自信があった。
今まで釣りに出かけると坊主で帰る事も殆んど無く彼の家の夕食は釣りに行った日は
魚メインの様々な料理が並ぶほどである。
今日もこの様子だと大漁に釣って帰るだろう。

(´・ω・`)「ふぅ。ちょくちょく餌は喰ってるね。大物がいる予感。」
ショボンがそう言って餌を付け直しながらドクオをチラッと見る。

('A`)「くっそ。全然喰わねーじゃねーか。」
ドクオはブツブツ呟きながら竿を振っている。
やはりかなりの短気者らしく開始5分ですでに投げやりな感じである。

(´・ω・`)「ドクオ。もうちょっと仕掛けを深めにした方がいいよ。
ここの川は意外と深いみたいだし。」
('A`)「そうか!さすがショボンちゃんwよっし!仕掛け深くしてみっか。」

そう言うとドクオは仕掛け手繰り寄せて作り直す。



11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:55:01.25 ID:d6qPW6Pg0
釣り始めから数十分が経ちショボンのバケツには良い形の川魚が数匹入っていた。
(´・ω・`)「本当に良いスポットだなぁ。毎週でも来たいよ♪」
ショボンはこの釣り場がかなり気に入ったらしく黙々と竿を振る。

一方ドクオを見るとかなり苛立っているのが分かる。
('A`#)「全然釣れねーじゃねぇか!!何が仕掛けだよ。ショボンのせいで
釣れなくなったんじゃねーのか!?」
とドクオは無茶苦茶な事を言いながら雑に竿を振るが一向に釣れる気配は無い。
(´・ω・`)「僕は嘘はついてないよ。ここは深めの仕掛けの方が・・・」
ショボンがそう言い掛けた時、対岸の草葉がガサガサと激しく揺れた。


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:55:46.54 ID:d6qPW6Pg0
('A`)「今明らかに向こうで何か動いたよな?俺見てくるわ!」
ドクオはもう釣りに来た事など忘れて川沿いの探検に夢中なようだ。
(´・ω・`)「ちょ・・・クマーや狼かもしれないよ。危ないって。」
ショボンがドクオを止めるがドクオは聞く耳を持たない。

ちなみにこの地方にはクマーも狼も生息していない。せいぜい狸かイタチだろう。

ドクオが対岸に渡れる場所を探していると少し上流に大きな丸太が一本、川に掛かってあるのを見つけた。
('A`)「自然に倒れたにしちゃ不自然だなぁ。」そう呟きながら丸太の上を猿の様に
するすると渡っていく。運動神経はかなり良いらしい。

(´・ω・`)「僕はここで釣りするから。すぐ帰って来るんだよ。」
ショボンはドクオにそう叫ぶとまた竿を黙々と振り続けた。
釣りが絡むと友人そっちのけのようである。

('A`)「へいへい。分かりましたって。」
ショボンの言葉を聞き流すとドクオは対岸に辿り着いた。
('A`)「さっきの草葉は、っと・・・あそこらへんか」
ドクオが木々の間をすり抜けて先程音がした所へ近づく。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:56:32.15 ID:d6qPW6Pg0
ドクオが先程音がした場所に近づいた瞬間、

ガサッ!

と大きな音がした。
流石のドクオもこれには少し驚いたのか足が一瞬止まる。

('A`;)「こりゃ・・・狸やらイタチじゃないかもな。」

ドクオがそう思った瞬間、人の声がした。
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
呻く様な声である。これを聞きドクオは一気にその草むらへ飛び込む。

そこにいたのは黒い作業着というか・・・そう、映画に出てくるような特殊部隊が
着るような格好をした同い年くらいの少年が仰向けに倒れていた。
('A`)「おい!大丈夫か!?怪我でもしてんのか??」
ドクオが少年に駆け寄り辺りや体を見回す。
目立った傷やアザは無いものの、細かい擦り傷が多い。服の汚れ具合を見ても
かなり長い間森に居たのだろう。そこら中泥だらけである。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:57:17.38 ID:d6qPW6Pg0
('A`)「おーい!!ショボン!!お前もこっち来て手伝え!」
ドクオがショボンに向かって大声で叫ぶ。

ショボンがびっくりしてドクオの声がした方に叫ぶ。
(´・ω・`)「どうしたのさ。なんかあったの?」
('A`)「怪我人がいる。」

その一言でショボンも慌ててさっきドクオが渡った丸太に走った。

(;´・ω・`)「この人は・・・どうしたの?変な服装だし、釣り人じゃ無さそうだけど・・・」
ショボンが少し心配そうに怪我をしている少年を見つめる。

('A`;)「俺もよく分からないんだけど取り敢えず怪我の手当てしてやらなきゃ・・・」

二人が困惑してると少年の目が少し開いた。

(メ´ω`)「ここは・・・どこだお。」
呟くように呻いた瞬間少年の目がはっきり開いた。
(メ`ω´)「君らは誰だお!?何故ここに居る!」
少年はそう叫んだかと思うとドクオに足払いをかけてマウントポジションを取る

('A`;)「お・・俺達はお前が倒れてるの見つけたから手当てしようと・・・」
(´・ω・`;)「そうだよ!だからドクオに危害を加えるのはやめて欲しい。」

二人がそう話すと少年の顔から険が取れた。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:58:02.45 ID:d6qPW6Pg0
(メ´ω`)\「すまなかったお。」

少年はそう言うとドクオに手を差し出す
ヽ('A`;)「ホントだぜ。」
そう言ってドクオは少年の手につかまり立ち上がった。

(´・ω・`;)「あなたは何者なんですか?なんでそんな服を着てるんですか?なんで倒れてたんですか?」
思わずショボンが質問攻めをする

(メ´ω`)「それは・・・答えられないお」
少年は少し困ったようにそう答えた。

('A`)「SATみたいでかっこいいよなぁwまぁ答えられなきゃいいや。せめて名前くらいはいいだろ?」
ドクオがそう答えると少年は少し考えた後

(メ´ω`)「僕の名前は・・・ブーンだお」
と答えた。

('A`)↓「ブーンか。俺はドクオ、んでこいつはショボン。よろしくな!」
(´・ω・`;)「しょ・・ショボンです。よろしく。」

どうやらショボンはまだ警戒しているらしい。


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 22:59:22.40 ID:d6qPW6Pg0
(メ´ω`)「怪我は無いかお。森には・・山登りが目的で来たんだお。」
ブーンと言う少年はそう答えると辺りを見回す。
('A`)「嘘くせーけどまぁ、信じるよ。俺らとタメくらいだろうし。取り敢えず俺んち来るか?
怪我の手当てもしないとな。それに服もキタネェww」
(´・ω・`;)「い・・家に呼ぶのは・・・」

ショボンがそう言いかけるとブーンが答えた

(メ´ω`)「ここは・・・どこだお?」
('A`)「ここか?ここは長岡県ホライゾン市。んでこの川はうp川だぞ。」
ドクオがそう答えると
(メ´ω`)「結構遠くまで来たつもりだったが・・じゃあせっかくだしお世話になるお。ありがとうだお。」

そう言うとブーンは体に付いた葉っぱや小枝、泥を手で払った。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:00:07.04 ID:d6qPW6Pg0
ドクオとショボンが釣りの道具を片付けている間、ブーンは遠くの妹山の方角をしきりに気にしている。

('A`)「よーし。じゃ帰るか。ショボンはどうする?」
(´・ω・`)「僕は家に帰るよ。魚持って帰らなきゃいけないし・・。」
そうショボンが答えるとドクオは少し自分の釣果を思い出し不満そうに
('A`)「あー。そういや釣りに来たんだっけ・・・。」
と今更ながら悔しそうに返した。

('A`)「ブーンはチャリ無いから俺と二人乗りな。」
ドクオがそう言うと
(メ^ω^)「僕は大丈夫。山登りするくらいだから普段から鍛えてるんだお!走るお!」
と答えた。

('A`)「あっそ。じゃ行くぞー。」
(´・ω・`)「おk」

そう言って3人はホライゾン市内へ向かって走り出した。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:02:05.69 ID:d6qPW6Pg0
ドクオが家に着く頃にはもう7時を回っていた。

ガラガラッ
('A`)「ただいまー。カーチャン、友達連れてきたぜ。」
ドクオが大声で叫ぶ。
J( 'ー`)し「あんた声でかいわよ!ご近所さんに迷惑じゃないのさ!」
このドクオのお母さんの声も相当でかい。

ブーンが玄関から挨拶をする
(メ^ω^)「どうもだお。夜分に申し訳ないですお。」
するとさっきとは打って変わって優しい声で

J( 'ー`)し「あらあら。お友達ね。こんばんわ、ゆっくりしていって頂戴ね。」
と笑顔で言う。ドクオがおせっかいで声がでかいのはお母さん譲りなんだろう。

(メ^ω^)「ありがとうございますですお。」
('A`)「よっし!じゃあブーンも俺の部屋来いよ!」
そう言ってドクオは階段を駆け上がる

J( 'ー`)し「あら、ブーン君?だっけ。お洋服汚れてるじゃない。洗っててあげるわ。」
( ;^ω^)「それは悪いお・・・」
そう答えると
J( 'ー`)し「子供が遠慮してるんじゃないわよ。さぁさぁ、一人分洗うも二人分洗うも同じなんだから!」
そう言ってブーンの上着を受け取ると洗濯機に放り込んだ。

('A`)「おーい!ブーン。さっさと来いよ!」
二階からドクオが叫ぶ
(メ^ω^)「分かったお。」

そう答えるとブーンも二階へと階段を駆け上がった

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:02:51.53 ID:d6qPW6Pg0
その頃ショボン家では今日の釣果である魚をお母さんがいそいそとさばいていた。
J(´・ω・`)し「一杯釣れたわねぇ。これは料理し甲斐があるわぁ。食費も浮くし♪」
と嬉しそうだ。どうやらこの大らかそうな人がショボンのお母さんらしい。

(´・ω・`)「でしょ?ドクオがいい釣り場見つけてくれたからね。」
そう答えながらショボンはテレビに夢中な様子である。

J(´・ω・`)し「あんまり危ない所まで行っちゃだめよ?」
ショボン母は少し心配そうだ。
(´・ω・`)「大丈夫大丈夫。あ・・・でも今日・・・」

ショボンは今日あった出来事を母親に話した。ブーンの服装や行動は隠して・・・。

J(´・ω・`)し「そう・・・。多分違うだろうけど昨日サイレンがなってたじゃない?
それも妹山の方で。山の向こうの施設では色々あるみたいだから気をつけなさいね。」

ショボン母が真顔で言う
(´・ω・`)「うん・・・分かった。(そっか・・・ドクオが言ってたサイレンって妹山の方だったのか・・)」

ショボンの中で胸騒ぎが少しした

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:03:37.27 ID:d6qPW6Pg0
('A`)「これでよしっと。」
ドクオがブーンの傷に薬を塗ってガーゼを貼る
( ^ω^)「ありがとうだお。助かったお。ドクオ君はいくつなんだお?」
ブーンが部屋を見渡すと釣り道具だのアイドルだのサッカーボールだのがぐちゃぐちゃに置いてある。
('A`)「俺?俺は16歳。VIP高校の一年だよ。あー、さっき居たショボンもタメだぜ。」
ドクオが釣竿の手入れをしながら答える。
( ^ω^)「じゃあ二人とも同い年だお。」
ブーンが少し嬉しそうに答える

('A`)「やっぱタメかぁ!それにしちゃお前落ち着いてるよな。」
ドクオが少し感心した様に答えると
( ^ω^)「あまり歳の近い人が周りに居なかったからだと思うお。」
そう答えた。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:04:22.17 ID:d6qPW6Pg0
普通に考えるとおかしな話である。ドクオと同い年で周りに歳の近い人が居ない?
ドクオもそれに気が付いたが森で出会った時のブーンが詮索されるのを嫌がってたのを
思い出し、喉まで来た言葉を飲み込んだ。

J( 'ー`)し「ご飯出来たから二人とも降りて来なさーい」

その声を聞いてドクオはさっきまでの疑問も忘れて飛び跳ねた
('A`)「メシメシ!さっ、ブーンも行こうぜ!」
(;^ω^)「僕も・・いいのかお?」
('A`)「いいに決まってんじゃん。さ、行こうぜ。」

そう言うとドクオは階段を颯爽と駆け下りた。

( ^ω^) 「友達・・・嬉しいお・・」
小声でそう呟きながらブーンも階段を駆け下りた。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:05:08.53 ID:d6qPW6Pg0
ドクオの家もショボンの家も母子家庭である。
ショボンのお父さんはショボンがまだ赤ん坊の頃に病気で無くなり、
ドクオのお父さんはドクオが小学生の時に離婚した。
二人は似た境遇だからか小さな頃から気が合った。性格は全く正反対だが・・・。


J( 'ー`)し「ごめんねブーン君。ドクオが魚釣って来ると思ってあんまりおかずないのw」
ドクオのお母さんが本当に申し訳無さそうに謝る
('A`#)「うっせーな!!魚釣りなんてのは腕以外にも色々必要なんだよ!」
ドクオが少しムッとした顔で野菜炒めを頬張る。
( ^ω^)「あったかいご飯とお味噌汁だけで充分ですお。味付けも最高ですお。」
ブーンが美味しそうに口いっぱいに頬張るのを見てドクオのお母さんも嬉しそうだ。

('A`)「カーチャン、ドクミは?」
J( 'ー`)し「お友達の所でお勉強するからお泊りですって。今日は帰って来ないわよ。」
('A`)「あっそ。どうりで静かだと思ったw」
( ^ω^)「ドクミって兄弟かお?」
ブーンが野菜炒めを頬張りながら質問する

('A`)「あぁ。妹な。俺に似ず可愛くねーんだよな。ごちそーさん!」
ドクオはそう言うとテレビの電源を入れた。


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:05:54.98 ID:d6qPW6Pg0
「番組の途中ですがニュースをお伝えします。
昨晩妹山の研究施設で爆発があり多数の負傷者が出ている模様です。
原因はまだ不明ですが不信な人物の目撃証言もあり長岡県警が引き続き
捜査を続ける方針です。
なお今晩から雨が降り続く予定なので近隣の住民の方は
土砂災害などにご注意下さい。以上、ホライゾンニュース速報でした。」

ニュース速報が終わると先程までとはうって変わって芸人のバラエティ番組から笑い声が響いていた。

ドクオは思わず目を丸くした。この静かな田舎街では事故や事件が全くと言っていい程起こらない。
起こったとしてもせいぜい迷子や遭難だろう。
その街で爆発事故、それもまだ分からないが第三者の手により爆発事故が起こったとなれば大変な事である。
いつもならかじりつくように見るバラエティ番組もそっちのけである。

('A`)「爆発事故だってよ。すげーy・・・」
と途中まで言いかけた時
( ^ω^)「ごちそう様でしたお。」
ブーンが遮った。

( ^ω^)「ドクオの部屋で少しゆっくりしていいかお?」
ブーンが尋ねると
('A`)「あぁ。いいぜ。カーチャン今日コイツ泊めていいよな?」
J( 'ー`)し「いいわよ。ただし親御さんに連絡だけしなさいね。」
と洗い物をしながら笑顔で答えた
( ^ω^)「泊めてまで頂いて・・・ありがとうございますだお。
わかりましたお。あとで連絡しておきますお。」

そう言うとブーンは二階に上がって行った。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:10:20.79 ID:d6qPW6Pg0
prprprprprprpr♪
丁度その時、ドクオの携帯が鳴った

('A`)「おっ、ショボンからじゃん。もしもし。」
(´・ω・`)「もしもしドクオ?テレビ見たかい?2チャンネル。」
('A`)「見た見た!だから言ったろ?昨日サイレン凄かったもんなぁ!」
(´・ω・`)「まぁそれは良いとして。あの事故が起こったのは妹山だよね?」
('A`)「そうそう。」
(´・ω・`)「誰かの犯行による爆破の可能性があるんだよね?」
('A`)「って言ってたなぁ。一体なんなんだよ!めんどっちーなぁ!!」
ドクオが少し苛立った様子で答えるとショボンは自分の一番言いたかった事を話した

(´・ω・`)「あの犯人・・・ブーンかもしれないよね・・・」

('A`)「ッ・・・!!アイツはそんな事しそうにないだろ??第一同い年だぜ?」
(´・ω・`)「歳は教えてくれたのか。でもあまりにも秘密が多すぎやしないかい?」
('A`)「・・・。ちっ、しゃーねーな。今から俺んち来いよ。三人で話せばそんな奴じゃないって分かるさ。」
(´・ω・`)「・・分かった。三十分後くらいにいくよ。」
そう言って電話を切った。

('A`)「とりあえずブーンと話してみっか。」
ドクオも馬鹿じゃない。あのニュースの内容、ブーンと出会った場所、ブーンの服装。
全てがあの事件に繋がってる様に思えてならないのは事実だ。
ただドクオは友達を疑ったり、裏切ったりする位なら死んだ方がマシだと普段から思っている。

『友達を信じる』と言うことはドクオの信念なのである。それを曲げる事はしないしする気は無い。
だからこそブーンと話をしてスッキリさせようと思った。
ドクオの中では話をして相手が善い奴ならもう友達なのである。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:11:17.48 ID:d6qPW6Pg0
ショボンがドクオの家に来るまではまだ時間がある
ドクオは取り敢えず階段を駆け上がった。
('A`)「おーい。ブーン。」

ドクオが呼びかけるが返事は無い

('A`)「寝てんのか?」
部屋を見渡すが誰も居ない。二階を探して回ったが人がいる気配は無かった。

('A`;)「ッ・・・!アイツ・・・・!」

ドクオは慌てて階段を駆け下りた
('A`)「カーチャン!ブーン知らないか?!」
ドクオが思わず叫ぶ
J( 'ー`)し「ブーン君?一階にはいないわよ?」
ドクオは急いで玄関に向かう、だがブーンの靴は無い

('A`;)「くそっ・・・。アイツ・・・俺があのニュースで疑ってると思って・・・」



窓の外は小雨が降りだしていた


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:14:46.94 ID:d6qPW6Pg0
自分のせいでブーンが居なくなった、そう思うと自分で自分が嫌になった。

('A`)「・・。ショボン来たらどうすっか。」
そう呟いてベッドに寝転ぶ



何か枕元に違和感を感じた。
('A`)「なんだ?」
ドクオが枕をめくると湿った紙の切れ端に滲んだ文字が書いてあった

「ドクオ君、ショボン君へ

僕は一般人ではないお。だからこれ以上迷惑を掛けないために出て行く事にしたお。
ドクオ君、ドクオ君のお母さんの優しさ嬉しかった、ご飯も美味しかったお。
僕は今まで周りの人間に優しくされた事は無かったから。楽しかったお。

ショボン君、警戒させてごめんお。二人の生活を壊さないためにも出て行くお。
ドクオ君と仲良くするんだお。

友達っていいもんだって分かっただけで満足だお

最後に

ありがとう」

('A`)「・・・」
('A`)「・・・・」
('A`)「馬鹿ヤロウ・・・雨・・・酷いのによ・・・傷だって・・・」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:15:56.53 ID:d6qPW6Pg0
ザアアアアアアアアアアッ

雨が酷い

傷薬を塗ったと言うのに雨のせいで全く意味が無くなってしまった
( ^ω^)「寒いお」

今までにこんな事は何度もあった。野営の時、訓練の時、任務の時。
ただ何故か今まで以上に辛く感じた。

雨で足場が悪い。ブーンは妹山の麓まで辿り着いていた。
( ^ω^)「もうしくじる訳にはいかないんだお。ドクオやショボン、この町の人達の為にも・・」
そう言うとブーンは暗く、冷たい山の奥深くに走って行った。

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:16:49.26 ID:d6qPW6Pg0
ショボンがドクオの家に着いたのはそれから大分経ってからだった

(´・ω・`)「そっか。でも出て行ったって事はやっぱり・・・」
ショボンがそう言いかけると
('A`#)「そんなの関係ねーよ!アイツは俺たちの為に出て行ったんだぜ?」
ドクオが熱くなる。ドクオの中でもうブーンは大切な友達なのだろう。
(´・ω・`)「そんな事言ってももう出て行っちゃったならしょうがないじゃない。手がかりも無いんだし・・・」
('A`)「そりゃそうだけどよ・・・」
不満そうにドクオが答える。
(´・ω・`)「もうこの話は終わりにしようよ。」
('A`)「・・・」
ドクオはどうにかしたい、でもどうすればいいか分からない。そんな顔をしていた。

その時一階からお母さんの声がした

J( 'ー`)し「ドクオー。ブーン君上着忘れていったみたいだから明日返してあげてねー。」
('A`)「!!」
慌ててドクオが階段を駆け下りる。
これは大きな手がかりになるかもしれない。

('A`)「待ってろよ、ブーン・・・」

ドクオはカーチャンから上着を受け取ると大急ぎで二階に駆け戻った

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:19:19.47 ID:d6qPW6Pg0
妹山の研究施設は公には国の自然保護、観察の為の施設と銘打っている。

が現実には全く違う目的で施設が運営されているらしい。

ブーンの任務は施設の破壊と研究内容の破棄。施設責任者の拘束、最悪の場合口封じである。

内容は教えてもらえなかったがこの研究はホライゾン市住民の命を奪う可能性が高いと聞いた。

それ以上のことはブーンにも知らされていない。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:22:57.53 ID:d6qPW6Pg0
その頃ブーンは妹山の中腹まで来ていた

( ^ω^)「前に来た時はこの辺りから警備が厳重になってたお。もうミスはしないお。」
雨は容赦なくブーンの体を打つ。小さな擦り傷とは言え雨が沁み、
全身に鉄条網を巻きつけられた様な痛みが全身を襲う。
ブーンがふと立ち止まり濡れた地面に手を当てる。
( ^ω^)「確か・・・ここらへんだお。」

ブーンが地面の泥を手で掘り進むとビニールに包まれた金属が
顔を出した。
最初の任務の際に回収しきれなかった装備を埋めて隠していたのである。

分解された銃を黙々と組み立てる。
( ^ω^)「ふぅ・・あと少しだお」
ブーンには親は居なかった。兄弟も。友達さえも作れる環境では無かった。
物心つく前から戦闘、潜入の訓練を受けさせられていたからだ。
いかに人より勝るか、足音を消し気配も殺し誰にも気が付かれない様に任務を遂行出来るか、
見つかれば相手を傷つけるのも仕方が無い。
もし自分が失敗しても組織から来た別の人間が任務を遂行する。

それがブーンの存在意義だった。それが世界の全てだと思っていたし教え込まれていた

世の中には正義も悪も無くただ心を殺す日々。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:28:31.09 ID:d6qPW6Pg0
でも今は違う

自分の任務の成功には自分以外の誰かの人生が懸かっている事を知った。
人間同士は出会ってすぐでも仲良くなれる、優しくなれるんだってドクオ達が教えてくれた。

明るく少し乱暴だけど友達思いのドクオ、ちょっと心配性な感じだけどそれも友達を心配しての事。優しいショボン。
見ず知らずの他人の自分を受け入れてくれたドクオの一家。
「もしこの人達に危害が加わるのなら必ずこの施設を破壊する。任務を遂行する。」

僕にも生きる理由が出来た

そう思えば思うほど今まで以上にブーンの動きが精錬されていく。 傷の痛みも我慢できる。

ブーンは暗視カメラに気を付けながら研究施設が見える位置に着いた。
( ^ω^)「前より警備が厳重になってるお・・・まぁ、当然か。」
前もって頭に叩き込んである地図を思い出す。

( ^ω^)「・・・」
ブーンが考え込んでいると100m程先に恐らく車だろう、明るいライトが2つ動いている。
( ^ω^)「搬入用トラックか・・・使えるかもだお」

ブーンは雨の音に紛れて飛び出すようにトラックへ向かった

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:31:41.54 ID:d6qPW6Pg0
先程より雨が酷く降りしきっている。さっきまでは小雨だったが今はもうバケツをひっくり返したような雨だ。
その雨が撃つ窓を眺めながら二人の男がコーヒーを飲んでいた。
部屋中にコーヒーの香りが充満する。

( ゚∀゚)「しかしアレだよなぁ。さっさとこんな田舎から都会勤務へ戻りたいぜ。」
白衣を着た上司らしい男が話す。二人とも30代前半くらいだろうか。
( ,,゚Д゚)「ですよね。いくらここが研究にもってこいの土地とは言え何も無さすぎますね。都心に戻りたいですよ。」
もう一人の男が相槌を打つ。
二人はしばし談笑しながらコーヒーを飲み干した。

( ゚∀゚)「さて、そろそろ実験室に戻るか。」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:34:26.38 ID:d6qPW6Pg0
上司と思われる男の一言に反応して、もう一人の男も立ち上がると同時に思い出したように口を開く。

( ,,゚Д゚)「そうですね。あ、そう言えばこの前の侵入犯どうなったんですか?」
( ゚∀゚)「例の彼か。まだ捕まっていないようだよ。だけどそこまで気にする事ではないよ。」
男は涼しげな顔で話す。
それ程警備に自信があるんだろうか?全くブーンの事など気にも留めていない感じだ。

( ゚∀゚)「さぁ、休憩終わり終わり。戻るぞ。」
男がそう急かすとドアを開け二人の研究者らしき男達は談話室からそそくさと出て行った。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:35:20.73 ID:d6qPW6Pg0
その頃ドクオ達は二人で頭をひねっていた。
('A`)「なぁ、これどうやって使うんだ?」
(´・ω・`)「どうって・・・。僕にも分かるわけないよ。」
ショボンが困った顔で返す。

ブーンの残していった上着を二人で調べた結果色々な事が分かってきた。
まずこの服は物凄い強度で作られていると言う事。
少々の事ではまずこの布は貫通しないだろう。恐らくナイフの刃さえも・・・
(´・ω・`)「これはもしかしたらナイフとかの刃物との戦闘を想定して作ってるのかもしれないね。」
ショボンは自分で言って少しビビっている。
それはそうだ。普通に暮らしている高校生にはナイフで刺される事などまず想像出来ない。

('A`)「そうかもな。そういやアイツ喧嘩もかなり強いぜ。だってこの俺が一瞬で馬乗りだもんな。」
ドクオが納得したように話す。この少年、喧嘩にはかなり自信があるようだ。
この喧嘩っ早そうな性格じゃ喧嘩になることもしょっちゅうなのかもしれない。

二人が頭を捻ったのは右の胸ポケットに入っていた小さな機械である。
携帯ほどのサイズだけど数字のボタンなどないし、画面はあるけど真っ暗だ。

('A`)「雨に濡れて壊れちまったのかねぇ?」
ドクオはそう言いながら乱暴に振り回す。
(´・ω・`)「ちょ・・・。家のリモコンじゃないんだから。壊れちゃうよ。」
ショボンが思わずドクオを止める。
('A`)「じゃあお前動かしてみろよ。」
ドクオがショボンに向かって軽く投げる。
(´・ω・`)「もう、乱暴だなぁ。」
そう言うと機械を凝視しつつ黙り込んだ


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:38:07.23 ID:d6qPW6Pg0
ショボンは考えていた。

彼がもし特殊な訓練を受けた兵士だとして雨に濡れたくらいで壊れるような機械を果たして使うだろうか?
テレビや映画で見るそういうスパイなんかは大抵雨に濡れたり海に潜ったり平気でしている。
ショボンの中で「洗濯とか雨や少々の衝撃くらいで壊れるはずがない。」と言う考えが強かった。

(´・ω・`)「どこかにロックがかかってる・・かな」
ショボンが機械をいじくりまわす。
('A`)「おっ!なんかいけそうじゃねぇか。さっすがショボン!」
ドクオが尊敬の眼差しで見る。
このショボンと言う少年、けして機械に強いという訳ではない。だがドクオよりかは幾分マシなようである。
(´・ω・`)「わからないけどね。ただ少々じゃ壊れたりしないとは思うよ。」
そう言いながらもショボンは何か怪しい所は無いかと目を丸くして見ながら手探りで探していた

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:39:16.72 ID:d6qPW6Pg0
「ただいまぁ。勉強はかどらなくって帰って来ちゃった。」

玄関から可愛らしい大きな声がドクオの部屋まで響く。

J( 'ー`)し「あらあら。おかえりなさい。あんまり夜遅くに出歩いちゃだめじゃない。」
ドクオの母が玄関で出迎える。
ξ('A`)ξ「はいはい。ただいま帰りました!あれ、おにーちゃんの友達来てる?」
どうやらこの少女がドクオの妹のようだ。ドクオは似てないと言っていたが良く似ている。
そう言うと少女は二階に駆け上がる

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:42:49.56 ID:d6qPW6Pg0
ξ('A`)ξ「こんばんわ~!」

そう言うとドクミは勢い良くドアを開けた
(´・ω・`)「やぁ。こんばんわ。」
ξ('A`)ξ「ショボンさんお久しぶり!元気だった?」
ショボンが話しかける。二人は顔見知りらしい。まぁ子供の頃からドクオと一緒にいるんだから当然か。

(´・ω・`)「うん。まぁまぁだね。ドクミちゃんはどう?」
二人がしばし談笑しているとドクオがその話を遮る。

('A`)「何しに来たんだよドクミ!お前今日泊まりじゃなかったのかよ。勉強出来ないから諦めたのか~?」
ドクオがそう皮肉交じりに言うと
ξ('A`)ξ「他の子の勉強まで見るのめんどいじゃん。皆私にすぐ聞いてくるから勉強になんなくってさぁ。」
そう言うと鞄から取り出した天然水のペットボトルを開けて喉を潤した。
ドクミはドクオと違いかなり頭の出来は良いようだ。

('A`)「へっ。あぁそうかい。ショボン、こんな奴ほっとこうぜ! 俺達にはしなきゃなんない事があるんだもんな!」
ドクオがバツの悪そうな顔でショボンに話しかける。
(´・ω・`)「そうだね。っと、ドクミちゃんって機械に詳しいかい?」
ショボンがドクミに掌の機械を見せる

('A`)「ショボン!こいつに分かるわけねーだろ?」
ドクオが思わずショボンを制止しようとするがそれより早くドクミが食いついてきた。
ξ('A`)ξ「へぇ。何これ?新しいゲーム?」

ドクミが興味津々でショボンから機械を受け取る
(´・ω・`)「ゲームじゃないんだけどね。これの電源かロック見つけられないかな?」
ξ('A`)ξ「うーん。出来ない事は無いかも。ちょっと待ってて。」
ドクミはそう言うと自分の部屋に走った

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:44:29.19 ID:d6qPW6Pg0
ドクミの部屋にはパソコンがある。毎年少しづつお金を貯めて自分で買った。
元々裕福とは言えないドクオ家だったがドクオ、ドクミが本当に望む事はやらせて貰って来た。
だからドクオもドクミも母には感謝している。

ξ('A`)ξ「ネットで似たような機械について調べれば分かるかも・・・」
そう言いながらドクミはパソコンの電源を立ち上げた。
(´・ω・`)「パソコンかぁ。良いアイデアだね。」
ショボンが感心したようにドクミを見る
('A`)「そ・・そうだけどよ。ドクミが凄いって言うかありゃパソコンが凄いんだろ。まぁ、期待しようぜ」
ドクオはかなり悔しそうにしていたがドクミなら分かるかも・・・と内心思っているようだ。

ξ('A`)ξ「あった。でもちょっと違うなぁ。」
ドクミがマウスを思わず止める

('A`)「どれだよ!どれ??」
ドクオが思わずパソコンの画面にかじりつく
ξ('A`)ξ「もう!うっとおしいなぁ。これだって。」
ドクミが指差した機械は無線機器の説明やら詳しい解説が載っているHPだった

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:45:28.84 ID:d6qPW6Pg0
(´・ω・`)「んー。確かにちょっと違うなぁ。」
ショボンも思わず身を乗り出す
ξ('A`)ξ「そうなんだよねぇ。なんだかちょっと違う。」
ドクミとショボンは納得がいってないようだがドクオにはその違いがイマイチ分からない。
('A`)「同じじゃねーの?俺には一緒に見えるぜ。」
ドクオが真顔で言うとショボンとドクミは溜息を吐いた

そもそもこのドクオと言う少年、かなりの機械オンチなのである。
テレビも洗濯機もクーラーも同じモーターみたいなのが動いてて分解したら中には同じ機械が詰まってると思っている。
そんなドクオの意見はショボンもドクミもアテにはしていなかった。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:47:58.32 ID:d6qPW6Pg0
ξ('A`)ξ「どうやって使うのかしら。」
違うと分かりつつもドクミはそのHPを見て回る。
このHPに載っている製品には大体側面にスイッチがあるようだ。
しかしこのブーンの残していった無線機らしい機械にはスイッチのような物は見当たらない。
(´・ω・`)「だめ・・かぁ。」
ショボンは思わず肩を落とす。
ξ('A`)ξ「ダメっぽいね。ごめんね。力になれなくて・・・」
そもそもこの少女には何も関係無かった筈だが・・・本当に残念そうに謝る

('A`)「くそッ、だめか。ってかさー。この右上の絵は何なんだ?」
ドクオが画面の右上を指さす。そこには一般に広告サイトと呼ばれるリンク先が貼ってあった。
ξ('A`)ξ「それはねぇ。他のサイトの人がウチのサイトにも人を呼んでください、って理由で
載せさせてもらってるの!要するに新聞の広告みたいなものね。」
とドクミが自慢げに説明する。
普段あまり自分に質問しない兄が自分を頼りにしてくれているのが嬉しいのだろう。

('A`)「へぇ。でもさ、この広告?だっけ。ミリタリーとかウェポンとか書いてあるって事は
軍事系の広告なんだろ?もしかしたらここにヒントがあるかもしれないぜ。ブーンはきっと傭兵か何かだろ?」

ドクオが何気なく言った。


76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:50:23.45 ID:d6qPW6Pg0
もう夜の11時半をまわっていた。外は雨と風がさっきより酷くなっていて
窓がしきりにガタガタと揺れている。山や川などはかなり足場も悪くなって歩けたものじゃないだろう。
ドクオの中でブーンが今何所にいるかふとよぎった。

('A`)「山・・・アイツもしかしてまた妹山に行ったんじゃないか?!」
ドクオが思わず飛び跳ねる。
(´・ω・`)「そうかもしれない。あの最初に会ったときやけに妹山の方を気にしてたし。」
ショボンはあの時のブーンの視線を見逃さなかった。
('A`)「俺達が会ったのがうp川の下流らへんだろ・・。で、『そんなに遠くまで来てなかった』みたいな事言ってたから・・・」
ドクオが必死に頭の中で思い出しながら計算しているようだ。
(´・ω・`)「やっぱりあの山の上の施設か・・・もしかしたらその向こうに秘密の研究所でもあるのかもね。」
ショボンが答える。
ドクミは突然の話の展開についていけて無いようだ。
ξ('A`)ξ「ちょ・・ちょっと!私はもう良いの?」
ドクミが不満そうに話す。
('A`)「あぁ・・サンキュな!助かった!俺ちょっと出るわ!」
ドクオは今すぐにでも走って行きそうな勢いだ。
(´・ω・`)「今すぐ行くのかい?雨と風が酷いけど・・・しょうがないね。」
ショボンも準備をしようとしたがその時ドクミが言った。
ξ('A`)ξ「さっきの軍事系のHPなんだけどどうやら個人のサイトみたいなのよね。
メルアドもばっちり載ってるしこの機械の画像をデジカメで撮って送れば何か教えてもらえるかも。」
ドクミがそう言うと
('A`)「やるじゃねぇかドクミwじゃショボンと残ってその機械について調べてくれ。 俺は頭使うより体使う方が得意だからな、任せとけって!」
そう言うとドクオは自分の部屋から雨合羽を取り出し羽織る。
('A`)「携帯は持っていくからなんかあったら連絡ヨロシク!」
そう言うとドクオはいつも夜釣りで使う大型ライトを片手に階段を駆け下りて行った。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:54:49.81 ID:d6qPW6Pg0
ザァァァァッァァ
( ,'3 )「雨嫌いなんだよなぁ。運転しにくいし。」
真っ暗闇の中、ヘッドライトだけを頼りに大型のトラックを巧く操る。
雨の森、さらに舗装もまともにされて無く街燈も無い。運転する側にとっては
最悪の条件だろう。

( ,'3 )「そろそろ研究所につくなぁ。」

その時だった
フロントガラスいっぱいに泥のような物が飛んできて広がり視界が一瞬遮られた

( ,'3 )「うわッ!!!!」
思わず急ブレーキを踏み車を止める。
( ,'3 )「雨で泥が跳ねたか?」
そう言ってドアを開け外に出ようとした時だった。


( ^ω^)「動くな」

運転手の首筋に雨で濡れた冷たい金属が触れる
( ,'3 )「うわ・・っ!なんだおm」
( ^ω^)「喋っても殺す、目を合わせても殺す、黙って言う事を聞けば危害は加えない」
そう言うと手に握ったナイフに力が入る

運転手にもそれが伝わったのか打って変わって大人しくなった。
( ^ω^)「良い子だお。僕を乗せたまま施設に走るんだお。」
そう言うとブーンは助手席に潜り込んだ。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:57:08.47 ID:d6qPW6Pg0
ドクオが妹山への道を自転車で走る。数時間前に通った道だ。
('A`)「うわぁ、くっそ台風でも来るんじゃねーか!」
雨は収まる気配も無くドクオの顔面に打ち付ける。
流石のドクオもこの雨と風には苦労しているようでなかなか前に進まない。
('A`)「ブーンと出会った場所まで・・晴れてりゃ飛ばせば30分でいけるんだけどこの雨じゃ・・・」
珍しく弱音を吐いたドクオの横をヘッドライトを付けた一台の軽自動車が通った。
その車はドクオの近くまで来た瞬間スピードを落とし、窓が開いた。

(`・ω・´)「ドクオ君?ショボンから聞いたよ。乗りなさい。」
車の窓から見えたのはショボンの叔父のシャキンだった。
(`・ω・´)「ショボンから電話があってね。友達が大変なんだろ、乗りなさい。妹山の麓まででいいね?」
そう言うと車から降りトランクを開けドクオの自転車を積み込む。

どうやらドクオが出た後すぐにショボンが電話をしてくれていたらしい。
('A`)「ありがとうな!シャキンさんが来てくれるとは思わなかったぜ!」
ドクオはそう言うと雨合羽を脱いで車の後部座席に乗り込んだ。

(`・ω・´)「いいんだ。それより大丈夫か?ショボンに聞いた限りじゃ面倒な事になってそうだが・・・」
心配そうに甥の友達を見つめながら話す。
('A`) 「大丈夫だってwショボンは大袈裟だからなぁ。」

そう言ったドクオは笑顔だったが何かこみ上げる感情があるように見えた

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/29(火) 23:59:40.82 ID:d6qPW6Pg0
車の窓から見る外の景色はさっきまでとは別世界のように見えた。
真っ暗な森の中を走る。舗装されているとはいえ地面の状態はそれ程良くは無いようで
シャキンはあまりスピードを出さすに安全運転をしている。

('A`)「雨・・・酷いっすね。」
(`・ω・´)「あぁ。そうだね。土砂崩れ注意の警報が出ていたから気をつけないと。」

このシャキンと言う人はショボンの叔父なのだが、幼くして父親を失ったショボンにとって
父親のような存在だった。普通の家庭で父親が教えるような事は大抵この人に教わった。
ショボンの釣り好きもシャキンに影響されての事だ。
ドクオも「話せる大人」としてシャキンを信頼していた。

('A`)「シャキンさんは妹山の施設について何か知ってますか?」
ドクオが普段とは違う真面目な顔で質問する
(`・ω・´)「いや・・・あまり詳しくはないが・・・。私が子供の頃は自然しか無かったよ。」

ドクオの欲しい答えは返って来なかった。まぁ当然と言えば当然だろう。
そんな怪しな施設が家の近くにあってそこを爆破したかもしれないスパイを探しに行く、
そんな事を知れば町が大パニックになるだろう。ただでさえ静かな町だ。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/08/30(水) 00:04:49.79 ID:C0xUXuWB0
('A`)「そうですか。」
ドクオはそれ以上質問しなかった。
コンビニは夜の12時に閉まるし大した娯楽は無い。ジャンプは毎週水曜に発売だ。
ネット通信もままならなく 休日などはもっぱら山や川、海で走り回るぐらいしかできない。
でもドクオはそんな町が大好きだった。
その町がどうにかなるかもしれない、この自然を壊されるかもしれない。
何も無い町で普段じゃありえないような映画みたいな事件が起こってる。

ドクオも普段じゃこんな事信じないし誰かが話してても笑っただろう。でも今は信じて行動している。
それはきっとブーンに出会ったからだ。ブーンが何をしようとしているかは分からない。
だけど何かが起こっているのは事実なんだ。
今ドクオの中に自分にも何か出来ないか、ブーンを心配すると同時にそう言う感情が生まれていた。
ドクオもブーンと同じ気持ちなのである。

「守りたい」
そういったことを考えてた時だった。
(`・ω・´)「着いたよ」
車が止まる。ショボンと俺が自転車を止めていた所だ。
('A`)「ありがとう。」
そう言うとドクオは雨合羽を着て外に出た。
トランクを開けてもらい自転車を取り出す。
('A`)「帰りは自転車で帰るんで・・。本当に助かりました。」
そう頭を下げて川へと降りようとしたドクオにシャキンが叫ぶ
(`・ω・´)「何かあったらすぐ呼んでくれていい。あと無茶はするなよ。ドクオ、お前は子供なんだ。」
シャキンがそう言うと

('A`)「子供にしかできねー無茶もあったりするんすよw」
そう言ってライトを片手に闇の中に消えて行った



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