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LOYAL STRAIT FLASH ♪

第三話

82 名前:愛のVIP戦士[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 12:31:37.86 ID:KaUUj71H0
第三話

僕とモララーさんがぎこちない同居生活を始めて十日ほどが経過した。
彼は僕の頼み事を忠実にこなしてくれる。
まるでロボットのように、黙々と掃除機を走らせるのだ。
その後ろ姿が少し、怖い。

思えば、彼と僕とでは一つしか歳が違わない。
でも、僕らの間にはあまりにも高い壁が聳えているような気がした。
凹凸すらない、こえることなど到底叶わない壁だ。
そして僕は、今以上彼に近づくことができないでいる。

午前中、モララーさんに留守を任せて買い物に行くことにした。
店で使うものは配達されるので必要ない。自分たちで食べるものが必要なのだ。
そういえばモララーさんがラジカセの類のものを欲しがっていた。
……資金的、そして重量的に余裕があれば購入しておこう。

まだ彼の記憶は戻らないようだ。
だとすれば、あのテープが唯一の手がかりということになる。

警察に行きましょうか。
一度そう提案したことがある。しかし彼は拒否した。
瞬間、連続殺人犯を彷彿としてしまっていた。すぐに打ち消したが。
ともかく彼に行く当てはないのだ。
僕としても、彼がいても何ら不都合な点はない。

83 名前:愛のVIP戦士[sage] 投稿日:2007/02/17(土) 12:32:26.59 ID:KaUUj71H0
駅前のスーパーに向かう。今日は消費税を払わなくて済む日だ。

僕が子供の頃、駅前周辺は比較的閑散としていた。
通行する人もまばらで、まだまだ発展途上といった風景だった。
でも最近ではすっかり騒がしい、若者のたまり場になっている。
ゲームセンターやカラオケ店などが建ち並び、治安もそれなりに悪くなってしまっているらしい。
思い描いていたような近未来の景色ではない。
ただ、都会の過密地域をそのままこの街に持ってきたような形だ。

僕は騒がしいのはあまり好きじゃない。
それはカフェバーという環境で育ったからだろうか。
とにかく、足早にスーパーに向かうことにする。

パチンコ屋からでてくる彼に気づいたのはその時だった。
自動ドアが開いたことによって店内の喧噪が一層大きく耳を刺した。
顔をしかめて振り向くと、そこに見慣れた人が立っていたのだ。

('A`)「また負けちまった……クソ」

ドクオさん。
週に一度、必ず足を運んでくれる四十代半ばの常連さんだ。
ほとんど口を開くことはないけれど、時々会社での出来事などを僕に話してくれる。
彼は僕に気づくことなく、路上に唾を吐き捨てると雑踏の中に紛れていった。

91 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 13:03:19.53 ID:KaUUj71H0
彼自身が話すドクオさんとは、上司になじられノイローゼ気味の生真面目な会社員だった。
そんな台詞から僕は勝手に彼を大衆娯楽になど興味を持たないエリートだと思いこんでいた。
だから、パチンコ店から出てきた、少しくたびれた様子のドクオさんが少々信じられないのである。

スーパーでできるだけ食料を買い込み、帰宅する。

( ・∀・)「……お帰りなさい」

掃除機をかけていたモララーさんが顔を上げた。
それを見て、ラジカセのことを思い出した。

(´・ω・`)「ああ、すみません。
       ラジカセを買ってこようと思っていたのですが」

( ・∀・)「いいんですよ。
     なんとなく、あのテープは手がかりでないような気がします」

彼は年上なのに敬語を使う。

以前もっとくだけた話し方をしてください、と頼んだのだが遠回しに拒否された。
この方が話しやすいから、らしい。

93 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 13:07:07.34 ID:KaUUj71H0
過去、およそ二十年前に僕は彼に出会ったことがあるような気がする。
脳裏に朧気ながら映るその姿は、現在の彼と全く同じなのだ。
顔も形も身につけているコートまでも。しかしそれはありえない。

あれから長い年月が経っているのだ。記憶の中の彼が年老いていないはずがない。
事実、彼は二十五歳だと言っている。

だが、それでもなお現実と記憶の両方に存在している人物を重ね合わさずにはいられない。
彼がいなければ、現在の僕はないのだから。

いつかそれについて彼に問いただしてみたいと思う。
もしかしたら記憶の彼の親類なのかもしれない。
だから……そのためには、彼に記憶を取り戻してもらわなければならないのだ。

勝手な理由であるとは自覚している。
しかし、寝食の代償としてそれぐらいは貰ってもいいだろうと、心の隅で考えているのも事実だ。

94 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 13:07:36.42 ID:KaUUj71H0
カウンター内に飾られた父の写真が目にとまる。

そこに置いてあるのは僕のためというよりもむしろ、名残惜しむお客さんのためだ。
でも、僕もそれを眺めるたびに元気づけられる。
佇む父は、僕に無言で何かを訴えているような気がした。

四ヶ月前、父は交通事故で亡くなった。
今日の僕のように、買い物に出かけているところを後ろから来た車にはねられたらしい。
病院に駆けつけたとき、父はもう息を引き取っていた。

不思議と、哀しみはすぐに消えてなくなった。
そのかわり、これからは自分が「バーボンハウス」を経営していかなければならないのだという使命感が重くのしかかっていた。

これからは独りでやっていく……葬儀の席で集まった親類にそう宣言した。
父がいなくなったのは物寂しいが、それに浸ってもいられない。
幸い店は順風満帆。
もう何も、憂いはない。

□□□□□□□□□

95 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 13:08:08.98 ID:KaUUj71H0
嘘の数は、日を重ねるごとに増えていく。
今もまた、現在進行形で嘘をついている。

病院で治療を受けている。
医者には、三日に一回の割合で来いと言われている。
そんなものは全て虚言だ。その場を乗りきりための妄言だ。

ご丁寧に治療費を出してくれるのだが、後でこっそりとカウンターにあるレジに入れておく。
今は、適当に時間を浪費しなければならない。

このような生活にも限界があるだろう。
いつまでも記憶が戻らない、といって彼に寄生しているわけにもいかない。
かといって生き延びる目処も未だにたっていない。

……まぁ、元々生きていこうという意思があってタイムスリップしたわけではないのだ。
単純に逃げるためにやってきた未来。
そこで普通の生活ができるなど、自分は最初から考えていなかったはずだ。

そろそろあの家を離れよう。
戻ったらまず、荷物をまとめよう。
そう、決意する。

96 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 13:08:48.71 ID:KaUUj71H0
掃除をしているときや食事をとる時などに、彼のどこかあざとい視線が感じられる。
様子を窺い、見透かそうとするような目だ。
それが何を意味するのか結局わからないままだが、いつしかアクションを起こすことは確実だろう。
いろいろ聞かれる前に離れるのが得策だ。

しかし……出会った覚えはない。
彼に観察される理由も全く見当たらないのだ。

二十年前、彼は四歳ほどだろうが……。

徒歩十分ほどのところにある、少し大きな公園のベンチに腰を下ろす。
医者に行くと言って出たときは、きまってこの場所が暇つぶしの定位置になっている。
ここは二十年前も変わらぬ様相を呈していた。
それなりの広さが災いして、ホームレスが住居を構えている。
なので子供はあまり寄りつかず、遊具も錆が浮いたまま放置されている。

('A`)「モララーじゃねえのか!?」

その声に反射的に見上げると、私以上にみずぼらしい格好をした男が立っていた。
そして、私はその顔に、微かな旧友の面影を感じた。

ドクオ。
中学時代の、唯一で最後といってもいい友人である。

('A`)「……い、いや。そんなはずがねえな。
    すまねえ。中学時代の友達に似ていたもんで、つい声をかけちまった」

97 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 13:09:43.96 ID:KaUUj71H0
ここ、座っていいか? とドクオは私の隣を指さす。
頷くと、彼はよいしょ、と座り込んだ。

くたびれた背広姿はすっかり老け込んでいた。
顔には皺が刻み込まれ、髪にはところどころ白が混じっている。
霜焼けで真っ赤になった手は小刻みに震えていた。
私も、本来このような姿になっていたはずなのか。
いいようのない悲壮感が私を包んだ。

('A`)「……ああ、あんた今、暇かい?」

ええ、まぁ。と返事するとドクオは小さく溜息をついた。

('A`)「これも何かの縁……って言っちゃなんだが、ちょっと話を聞いてくれねえか?
    クソつまらねえ、俺の堕落劇なんだが」

彼は一度大きく息を吸い込み、咳と共に吐きだした。
吹きすさぶ風が、彼の髪の毛をかき乱す。

99 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 13:11:19.56 ID:KaUUj71H0
('A`)「半年前……会社、辞めさせられたんだ」

話しづらそうに彼は口を動かす。
しばらく、声をだすという動作をしていなかったようにも感じられる。

('A`)「まぁ入社当時から窓際みたいなもんだったからな。いつか切られるのはわかっていた。
    デスクに座っててもやってることといったらインターネットぐらいだからな」

彼は地面の一転を見つめていた。
つられて見下ろすと、そこで一群の蟻が何かの幼虫に集っていた。

('A`)「でもな、酒飲みとギャンブルだけはやめられねえんだ。
    ……はは、金も入ってこねえのにそんなことやってんの、俺。
    そしたらまぁ見る間に借金が膨れあがってよ。
    今三百万ぐらいになったかな。毎日のようにヤーさんみたいなのがどやしに来やがんの。
    ……ま、今朝家も捨てちまったからな。これで追われる心配もちょっとは減るだろ」

一匹の蟻が芋虫の胴の一部を食いちぎり、巣に向かって歩いていく。

ドクオの話に私は並でない衝撃を受けていた。
ではそれを見せては不自然だろうと、無表情になるよう努める。

100 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 13:11:38.46 ID:KaUUj71H0
過去、時折話し合っていた相手が借金取りに追われる生活をしているのだ。
年老いているという事実だけでもショックだったというのに。

('A`)「ほれ、あそこにテントが見えるだろ?」

ドクオが指さす方向に、青いテントとダンボールの家が見えた。
この公園の中心部には二十年前からホームレスの集団が居座っている。
その状況は、今も変わっていないらしい。

('A`)「俺ももうすぐあそこに仲間入りさ……。
    近頃、殺人事件があったからあんまり近づきたくないんだがな」

乾いた笑い声が響く。
ドクオは蟻を踏まないよう、慎重に立ち上がった。

('A`)「いや、しけた話をしちまって申し訳ない。
    しかし最近、話し相手も見つからなくてなあ。パチンコ台はしゃべっちゃくれねえし」

( ・∀・)「いえ……」

それじゃあ、とドクオは背中を向け、肩をすくめて歩き去った。

見送ったあと、私も席を立つ。

101 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 13:12:11.62 ID:KaUUj71H0
彼は、典型的で、最低な転落をしてしまったようだ。
何もかもを失い、遂には芋虫のように食い尽くされて死ぬ。
他人にしてみれば自業自得でしかないだろう。私もそう思う。
しかし、それでも妙な悲しさ、侘びしさのようなものは心から抜けきらない。

私も、もしタイムマシンを開発していなければあのような末路を辿っていたかもしれない。
その点、私は彼より優位であると豪語できるのだろうか。
いや、これから彼と同じ道を進むことになるかもしれない。

そうなれば、舌でも噛みきって死んだ方が楽だろうか。
後を追う気にはなれなかった。しかし、すぐに立ち去る気にもなれなかった。

結局、我に返って帰路についた時にはちょうどいい時間帯になっていた。
地面の芋虫は、もはや残骸だけの存在になっていた。

これからも、ドクオのような古い知り合いと出会うことがあるのだろうか。
もしあるとして、そいつらはいったいどのような暮らしを送っているのだろうか。

不意に、彼女の顔が明滅した。
そうだ、彼女たちに会う可能性も、零ではない。

102 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 13:13:57.03 ID:KaUUj71H0
バーボンハウスはすでに喫茶店として開店していた。
だが基本的に客が多いのは夕方から夜にかけてのようだ。
私はためらいもなく正面の扉から店内に入る。

が、先客がいた。
セーラー服を身につけている彼女は明らかに女子高生だ。
背中まで伸びた黒髪がやけに目に映る。
彼女はカウンターで、穏やかな表情を伴いながらオレンジジュースを飲んでいた。

('、`*川「この人が、アルバイト?」

その問いにしょぼんさんは小さく頷いた。
へぇ、と私を観察する少女。
両の瞳は、奥底まで見通せそうなほど澄んでいる。

('、`*川「ああ、自己紹介します。
     私はペニサス、ここの常連さんですよ。えっと、あなたは?」

( ・∀・)「……モララー」

('、`*川「よろしくおねがいしますね」

108 名前:さるさんばっかり ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 14:03:38.26 ID:KaUUj71H0
その後、いくつかの話を聞かされた。
彼女が17歳でもうすぐ受験生になるということ。
一週間に一度ぐらい、勉強したりしにバーボンハウスにやってくること。
兄がいて、その兄もまたバーボンハウスの常連であること。

('、`*川「ここ、静かだから落ち着きますよね」

彼女の前には数学の問題集と大学ノートが広げられている。
隣に置かれているミルクティーからは湯気が立ち上っていた。
難しい数式……ある種、懐かしいものを感じる。

('、`*川「ただ欠点は、マスターさんが何も答えてくれないことです。
     たまにわからない問題とか聞きたいんですけど」

その間、しょぼんさんは口を開こうとしない。
彼の三猿精神は揺らぐことを知らない。

('、`*川「今も一つ、わからない問題が……そうだ、えっと、モララーさん。
     教えてくれませんか?」

突如、矛先が私に向けられた。
彼女の指先は、微分の応用問題を示している。

109 名前:さるさんばっかり ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 14:07:35.97 ID:KaUUj71H0
私はつっかえながらも、なんとかそれを解くことができた。
他にお客がいなくてよかったと思う。

('、`*川「なるほど、なるほど。教え方上手いですね」

何度も頷きながら彼女は言う。
お世辞と見抜きやすい台詞だった。

('、`*川「よければ、これからも時々教えてくれませんか?」

( ・∀・)「え、私が?」

('、`*川「はい」

苦慮するにも値しない。
七面倒なことをわざわざ引き受ける気にはなれない。
柔らかく断ろうとしたところで、しょぼんさんから追い打ちがかけられた。

(´・ω・`)「いいんじゃないですか? 僕なんかよりずっと賢そうです」

そしてまたグラスを磨く作業に戻る。
こちらの反論には耳を傾けない、そういうシステムだ。

渋々、私は頼まれることにした。
まぁ一ヶ月に一度ぐらいなら大した不安にならないだろう。
それに……私はもうすぐ、この家を出て行くつもりだ。
二度と顔を合わせない可能性の方が高い。

110 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 14:08:33.30 ID:KaUUj71H0
('、`*川「あ、もうこんな時間だ。兄さんが心配する」

それほど遅い時間でもない。
しかし彼女は急いで荷物をまとめはじめ、すっかり冷めてしまったミルクティーを一気に飲み干した。

('、`*川「それじゃ、ありがとうございました」

金を置くことを忘れずに、彼女は足早に店から出て行った。
鈴の音が響く。

(´・ω・`)「彼女、お兄さん子らしいです」

二人残された店内でしょぼんさんはボソリと呟いた。

そういえば、と聞きたいことがあったのを思い出す。

( ・∀・)「ドクオ……という人物をご存じですか?」

ああ、知っていますよ、と彼は磨き終えたグラスを棚に戻しながら答えた。

話によると、ドクオは硬派なサラリーマンに見えたそうだ。
時折口を開くと、出てくるのは会社の愚痴が多く、娯楽的な話をすることはほとんどなかったという。

私は、ドクオが最後にやってきたのはいつかを尋ねる。
彼は、一ヶ月ほど前だと答えた。

111 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 14:10:41.35 ID:KaUUj71H0
ドクオは見栄を張っていた。

解雇されたのは半年前だと言っていた。
つまり、五ヶ月間嘘をつき通していたということになる。
その間、奴はどのような心境だったのだろう。
心苦しかったに違いない。しかし全くの他人で、三猿精神の持ち主であるしょぼんさんに事実を隠してどうなるというのだろう。

(´・ω・`)「ドクオさんが……どうかしたんですが?」

しょぼんさんの問いに、私は黙って首を振った。

他人行儀というシステムはすばらしいと思う。
つまり、相手を一定以上親しくしなければいつでも表面的な親切を受けることができるのだ。
今の、しょぼんさんと私の関係のように。

しかし、ドクオと付き合っていたときはそんなことを考えてすらいなかった。
だから、彼との友人という深い関係が、私に悲しさを与えているのだろう。

あれ以降、誰に対しても友情の類を見せずによかったと思う。

112 名前: ◆A4U6gCcMs2 [sage] 投稿日:2007/02/17(土) 14:11:05.66 ID:KaUUj71H0
しぃに対してもそうだった。
彼女が愛しいとか、好きであるとは思わなかった。
そうすることで、以後面倒になると気づいていたからだ。

そもそも、彼女と会った時点ですでに私はタイムマシン制作を始めており、そしてそれが必ず成功すると確信していた。
結婚してからも、彼女に「好きだ」というような言葉を発したことはない。

ある時、彼女は子供を欲しがった。
理由を聞くと、「これで離れられないだろ」と狡猾な笑みを向けられた。
どうでもよかった。彼女の考えは甘すぎるとも思っていた。

私は彼女の望みを叶えてやることにした。

それはきわめて、事務的な作業だった。

十ヶ月後、彼女は娘を出産した。
嬉々として名前を考えている彼女の顔が、今でもなぜか脳裏に焼き付いている。


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