第五話第五話 「抱擁」 目の前で飛び交う皿、コップ、その他諸々。 (;'A`)「お、おい!二人とも喧嘩はやめてくれよ!!」 必死に叫ばれたその声が二人の耳に届いている様子はない。 (;'A`)「いい加減にしろよ!!いくら俺でもこれhぶほっ!!」 流れ弾が顔を直撃。 ふと、鼻の奥から温いものが流れてくる感覚。 (;'A`)「!!はッ鼻がァ!!折れちマッターーーッ!!」 手で押さえても止まることを知らない赤い液体。 (;'A`)「あ……あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 生まれてこの方鼻血など出したことがなかったドクオ。 その手についた大量の血液が衝撃的だったのか、そのまま倒れ気絶してしまった。 春休みを迎えてから初の日曜日。 この日、部活が休みだったにもかかわらずドクオは早起きをしていた。 ('∀`)「ええやん!ええやん!すげーやん!」 現在の時刻午前八時。 子供から大人まで幅広い年齢層から支持を受ける仮面マザーシリーズの最新作 『仮面マザー電化』の放送開始時間である。 電化のキメ台詞「アタイの家はリビングからキッチンまでオール電化だぜ!!」 に魅了され、休日は三度寝がデフォのドクオもこうして八時十分前には目を覚まし テレビの前でwktkするのが習慣となっていた。 ('∀`)「いやー、このOPだけで眠気も吹っ飛ぶってもんだ」 (´^┏o┓^`)「本当だなぁ。ええやん!ええやん!すげーやん!!」 J( 'ー`)し「アタイの家はリビングからキッチンまでオール電化だぜ!!」 言い忘れていたが、この番組を楽しみにしているのはドクオだけではない。 日曜日と言うことで仕事も休みなトーチャン。 日曜日と言うことで家事が休みなわけではないが適当に放っておいて見入ってるカーチャン。 それにしてもこの一家、ノリノリである。 ~十分後~ ('∀`)「電化キター!!アタイ、参上!!」 (´^┏o┓^`)「電化さんエロカワエエエエエエエエエエ!!!」 J( 'ー`)し「アタイの家をリビングからキッチンまでオール電化にしたいんだぜ!!」 ~五分後~ ('∀`)「電化さんの必殺技パート13キター!!いくつあるんだよwwwwww」 (´^┏o┓^`)「電化さんエロすぎ……ハァハァ」 J( 'ー`)し「うちもリビングからキッチンまでオール電化にしましょうよ」 ~十五分後~ ('∀`)「あー、面白かった。あれ?トーチャンどこ行ってたの?」 (´^┏o┓^`)「いや、ちょっとトイレにな」 J( 'ー`)し「うちもリビングからキッチンまでオール電化にしましょうよ」 (;'∀`)「その割には後半十五分ずっといなかったような」 (´^┏o┓^`)「なかなか出なくてな。困った困った」 J( 'ー`)し「うちもリビングから(ry」 (´^┏o┓^`)「さっきから呪文のようなものが聞こえるのは気のせいだろうか」 J( 'ー`)し「呪文じゃないわ。うちも(ry」 (´^┏o┓^`)「まだ言うか……わかった、お前の熱意には負けたよ。 うちもオール電化にしよう」 J(*'ー`)し「え!?本当に!?」 (´^┏o┓^`)「なーーーーんちゃって!!うっそだよーーーーーんwwwwww」 J( - )し (´^┏o┓^`)「ひっかかってやんの!ざまぁwwwwwwwwwwwww」 無言のまま立ち上がるカーチャン。 向かう方向はキッチン。 ('A`)「これは死亡フラグ」 (´^┏o┓^`)「へ?」 キッチンから飛んできた茶色いタワシ。徐々にひしゃげていくトーチャンの顔。 全てがコマ送りのように見えた。 この時ドクオの眼に高性能なカメラ機能がついていたなら、さぞ素晴らしい写真が撮れたことだろう。 (;´^┏o┓^`)「ちょ!!物投げるのはやめrぶっ!!」 今度は茶碗。たわしとは比べ物にならないほどの勢いで歪む顔。 キッチンからの使者は次第にその数と重さを増やしていった。 (;´^┏o┓^`)「おい!!ナベはやめろ!!マジであぶなくえgへうbd!!」 (´ ┏o┓ `) トーチャンのいかりのボルテージがあがっていく!! (#´^┏o┓^`)「絶対に許さんぞ虫けらども!!じわじわとなぶり殺してくれる!!」 ――――――――夢―――――――― ('A`)「で、この話の最初に繋がると」 (´^┏o┓^`)「繋がると」 ドクオが目覚めた時、隣にいたのはクーではなくトーチャンだった。 そして、それが意味することとは ('A`)「まさか、トーチャンまでターゲットにするとは……予想GUYです」 (´^┏o┓^`)「で、そのクーちゃんとやらは可愛いのか?」 トーチャンに状況を説明するとあきれるほどすんなり受け入れてもらえた。 どうやらブーンと同じタイプらしい。 ('A`)「そんなことより自分の体の方心配するだろ状況的に考えて……」 (´^┏o┓^`)「だってカーチャン強いし、ここにいれば痛みを感じなくて済むだろ」 ('A`)「そりゃそうだけど……」 話しながら画面を眺める二人。 その中では想像を絶する戦いが繰り広げられていた。 ――――――――現実―――――――― (´゚┏o┓゚`)「くっ……この攻撃……いつになったら止むんだ」 ソファーを壁にカーチャンからの攻撃を耐えるクー。 攻撃開始からすでに三十分は経っているというのにその勢いは衰えを知らない。 (´゚┏o┓゚`)「夫婦喧嘩というものを体験してみたかったが…… 一筋縄ではいかないようだな」 聞こえるのは鈍い音から鋭い音まで、一つとして同じ音のない破壊音のオーケストラ。 壁から一歩でも踏み出せば間違いなくこの音の餌食となるだろう。 (´゚┏o┓゚`)「何か打開策を考えねば……」 周りを見渡してみる。 視界に入るのは卵の殻や皿の破片。どれもこれも原型を留めていないものばかり。 (´゚┏o┓゚`)「……こ、これは!!」 しかし、クーは見つけた。 一筋の希望の光を。 クーの一発逆転の策が始まる。 J( '-`)し(なかなか出てこないわね……) 冷蔵庫や食器棚からほとんどのものを投げつくしたカーチャン。 手元に残っているのは卵1ケースのみとなっていた。 J( '-`)し(後1ケースで勝負を決める!!) 攻撃の手を休め機を伺う。 張り詰めた空気が肌を突き刺す感覚。一瞬たりとも目は離せない。 ヤツの居場所は分かっている。 卵の黄身や牛乳で汚された灰色。 あのソファーの裏で自分と同じように息を潜め、その機を伺っているのだ。 J( '-`)し(我慢比べって訳ね……) 静寂はその独特の緊張を固持したまま続く。 十分後、均衡を破るかのように異変が起きはじめる。 J( '-`)し(……粉?) ソファーの上部から白い煙のようなものが姿を見せ始めた。 次第にその濃度が高まっていく。 J( '-`)し「!!」 そして、それは突然現れた。 見慣れた紙袋。小麦粉と書かれたそれは ソファーからひょっこり顔を出し、凄まじい速度で回転運動を始めた。 見る見るうちに真っ白になっていく視界。 J( '-`)し(ふん……目眩ましとは考えたわね。 でも、所詮は子供騙し。私にそんなもの通用しないわ) ソファーは丁度カーチャンの正面に位置していた。 左にはテレビ、右にはドア。 その上キッチンカウンターのおかげで敵の進入場所は右と限定できる。 どちらから出てくるかは既に分かりきっていることだった。 J( 'ー`)し(さぁ……出てきなさい。 私のヨード卵光の餌食にしてあげるわ) 悠々とその機を待つカーチャン。 しかし、ドア周辺へと釘付けにされていた視線が一瞬にして左へ。 視界の端に微かな異変を捉えたのだ。 J(;'ー`)し「左だと!?血迷ったか!?」 予想は外れたが十分想定の範囲内。 すかさず卵を手に取り三つ一気に投げつける。 爽快な破裂音と共に顔面に広がる黄色。 J( 'ー`)し「アハハハハ!!私の勝ちね!!」 勝ちを確信したカーチャン。 しかし、その表情が一変する。 J(;'-`)し「……!!ド、ドクオ!?」 黄色に塗りつぶされたその顔は、愛する息子のものだった。 と、ドアを開け放つ音と共に足音が響く。 J( '-`)し「ドクオを囮にするなんて……」 カーチャンのいかりのボルテージがあがっていく!! J(#'-`)し「絶対に許さんぞ虫けらども!!じわじわ(ry」 どう見ても使い回しです。本当にありがとうございました。 手元に残る卵全てを抱えドアへと走る。 (´゚┏o┓゚`)「どうした……あれくらいのフェイクで騙されてるようでは私には勝てないぞ?」 見ると廊下の突き当たり、玄関へと繋がる角にそいつは立っていた。 J(#'-`)し「よくも……よくもドクオをやったわね!!」 (´゚┏o┓゚`)「何のことだ?私はただ邪魔者を追い出しただけだが」 J(#'-`)し「貴様!!それでも父親か!!」 (´゚┏o┓゚`)「さて?どうだろうな」 J(#'-`)し「許さん!!」 怒りに身を任せたまま駆け出し、卵を投げつける。 しかし、それは獲物をとらえることなく壁に衝突し弾けた。 「どうした?君の力はそんなものか?」 J(#'-`)し「くそおおおおおおおおおお!!!」 玄関から聞こえる挑発とも取れる声。 カーチャンはすでに冷静さを失っていた。 玄関へと猛スピードで走り出す。 愛する息子の敵を討つべく。 J(;'-`)し「なっ!?」 さっきまで確かに廊下は平らだった。 何の障害物もなく、躓き転ぶことなどあり得ないはずだった。 この瞬間までは。 J(;'-`)し「へぶっ!!」 何が起こったのか考える間もなく壁へと衝突。顔にへばりつく温い粘着質の液体。 先程卵が破裂した場所に激突したようだ。 J(;'-`)し「……っあ……」 壁に弾かれ後ろへと倒れ行くカーチャン。 その目には、右足を廊下へと突き出したまま不敵な笑みを浮かべる、クーの姿が映っていた。 ――――――――夢―――――――― (;´^┏o┓^`)「あ……あのカーチャンが負けた?」 (;'A`)「トーチャンは今まで一度も勝ったことなかったのに……」 画面の中で横たわるカーチャンの姿を見て呆然とする二人。 目の前で起きた出来事がよほど信じられなかったのか、口を大きく開けたまま石像のように固まっている。 と、ブラウン管へと注がれていた視線を引き剥がすかのように黒電話が鳴る。 (;'A`)(おいおい……こんな状況で戻られても困るだろ……) (;'A`)「はい、もしもし」 「そろそろ戻ろうかと思う。記憶消去の方頼んだ」 (;'A`)「今トーチャンが記憶失った状態で元に戻ったらどうなると思う?」 「何だいきなり」 (;'A`)「だーかーら!タイミングをもう少し考えてくれよって話!」 「タイミング?ならば何の問題もないだろう? 夫婦喧嘩に決着がついてめでたしめでたしじゃないか」 (;'A`)「どこがめでたいんだよ! カーチャンが目を覚ましたらさっき以上の修羅場になるのは目に見えてるだろうが!!」 「そんなはずはない。 私の両親は決着がつくと必ず仲直りの印として二人で出かけて行くぞ。 何故かその後朝まで帰ってこないが」 (;'A`)「おま……それって……」 「とにかく記憶消去の方頼んだからな」 (;'A`)「あ……う……」 応答がなくなった後もしばらく受話器を耳に当てたまま固まる。 些細なことが原因とは言え、喧嘩は喧嘩。離婚に発展でもされたら笑い事では済まない。 (;'A`)「くそ……どうする……」 (´^┏o┓^`)「…………」 ――――――――現実―――――――― 冷たい 何か冷たいものがオデコに乗ってる 痛い 頭が痛い 額にもう一つ心臓があるみたい でも何だか安らぐような 落ち着くような そんな感覚 目を瞑っていても分かる 誰かがそばにいる それもただの人じゃなくて もっと大切で愛おしい人が 目を開いてみる 眩しくて何も見えない 光のカーテンで視界が塞がれている 「お、目が覚めたか」 声が聞こえた 音なのに温度を感じる 暖かい カーテンが 消えていく (´^┏o┓^`)「まだ、頭痛むか?」 J( '-`)し「……あなた」 ああ やっぱりこの人だ ('A`)「何とか……なったかな」 激戦の後処理を終え、一人呟く。 ドクオは結局クーの言う通りにした。 不安はあったがそれ以外に方法が思いつかなかったのだ。 自分の体に戻り、横たわるカーチャンを目の前にしたトーチャンのとった行動、それは抱擁だった。 確かにドクオはトーチャンの記憶を消した。 しかし、元に戻ったトーチャンは大して驚いた様子も見せず、そのままカーチャンを抱きしめた。 ('A`)「それにしても、なんで抱きしめたりしたんだろ」 ドクオが目を覚ました時も未だに抱擁は続いていた。 もし声をかけていなかったら、一晩中その状態で固まっていたかもしれない。 それほどまでにその抱擁は強固なものに見えた。 ('A`)「……まぁ何にせよ、無事に仲直り出来たことを喜ぶとしますか」 目を覚ましたカーチャンはしばらくするとまた眠りについた。 トーチャンはその寝顔をしばらく見つめた後、ベッドへと運んでいった。 ('A`)「鼻曲がってる気がする……」 (´^┏o┓^`)「いい湯だ」 「トーチャン、俺も入って良い?」 (´^┏o┓^`)「おー、入って来い」 扉を開けいそいそと入ってくるドクオ。 その腰にはピンクのタオルが巻かれていた。 (´^┏o┓^`)「お前……まさかまだ生えてないのか?」 (;'A`)「そ、そんなわけないだろ!!」 (´^┏o┓^`)「じゃあ、そのタオル外してみろよ」 (;'A`)「それは……いやだ」 (´^┏o┓^`)「ほーらみろ!!やっぱり生えてないんだ!!」 (;'A`)「だから違うって!!」 (´^┏o┓^`)「よーしトーチャン、ドクオのタオル無理矢理剥いじゃうぞー」 (;'A`)「やめろおおおおおおおお!!!」 湯気が落ちてくる。 ドクオはそれを避けるように浴槽の左へ、トーチャンは右へ。 二人の間に落ちる湯気は我が物顔で自らの存在を刻み続けている。 (´^┏o┓^`)「……タオル取ろうとしたくらいで殴ることはないじゃないか」 ('A`)「トーチャンが悪い」 (´^┏o┓^`)「男同士の風呂で隠してる方がおかしい」 ('A`)「おかしくない」 (´^┏o┓^`)「いやおかしい。 俺はこんなにも堂々と出しているのにドクオだけ隠すのは不公平だ」 ('A`)「じゃあ隠せばいいだろ」 (´^┏o┓^`)「こんなに素晴らしいフォルムを持った我が第一の息子をどうして隠す必要があるだろうか」 そう言いながら腰を上げ、己の息子を誇示するかのように左右に揺らめかせる。 ('A`)「何故こんな親から生まれてしまったんだろうか」 (´^┏o┓^`)「ちなみにこいつが長男。実はドクオは次男だったんだよ!!驚いただろ!?」 ('A`)「なんてことだろうか」 (´^┏o┓^`)「じゃあトーチャン先に体洗っちゃうからな」 湯船から出てタオルを手にするトーチャン。どうやら頭より先に体を洗うタイプらしい。 ('A`)「普通先に頭洗わない?」 (´^┏o┓^`)「何言ってるんだ?普通は体から先に洗うだろ」 ('A`)「いやいや、普通は頭洗ってリンスつけた後に体洗うでしょ」 (´^┏o┓^`)「いいや、お前は間違っている。 体を綺麗に清めてから頭を洗わんとシャンプー様にやられるぞ」 ('A`)「何だよシャンプー様って……」 (´^┏o┓^`)「あれは俺が丁度中三の頃の話だ…… その日俺は何を血迷ったか頭を先に洗ってしまってな」 ('A`)「昔話はいいですから早く体洗ってください」 (´^┏o┓^`)「その日の夢に出たんだよ!!シャンプー様が!! あれは本当に恐ろしかった。シャンプー様は目からわさびをひねり出せるんだぜ!!」 ('A`)「いやだからそんなことはいいって」 (´^┏o┓^`)「そのひねり出されたわさびの辛さが凄まじいのなんのって!! シャンプー様ももう死にそうな勢いでひねり出してて見てらんなかったよ」 (;'A`)「もういいから早く体洗えって言ってんだろ!!」 ようやく頭まで洗い終えたトーチャンと入れ替わる。 トーチャンを警戒してか、タオルを押さえ慎重に湯船から出ていく。 ('A`)「……ねぇ、トーチャン」 (´^┏o┓^`)「なんだ?」 ('A`)「なんでカーチャンのこと抱きしめてたの?」 シャンプーを手の中で泡立たせながら尋ねる。 (´^┏o┓^`)「なんで、かぁ」 十分に泡立ったのを確認してから手を頭へと移す。 しかし、髪の毛へと移動したその泡の勢いは次第に衰えていく。 (´^┏o┓^`)「そこに……カーチャンがいたから?」 (-A-)「それ理由になってなくね?」 シャワーでシャンプーを洗い流す。 泡立ちがよくなかったのでもう一度シャンプーを手にする。 (´^┏o┓^`)「……そうかぁ?」 頭がどんどん泡に覆われていく。 二回目だけあって泡立ちの勢いは衰えることを知らない。 (-A-)「そうだよ」 (´^┏o┓^`)「んー……」 二回目のシャワー。 泡が全て流れ落ちるまで、トーチャンは何も言わなかった。 (´^┏o┓^`)「単純に抱きしめなきゃいけない、って思ったんだよ」 ('A`)「それだけ?」 リンスを頭に塗りつけ、タオルを泡立てる作業へと移る。 (´^┏o┓^`)「ああ、それだけだ」 ('A`)「ふーん」 まず左手、次に右手。いつもの順番で規則正しく洗っていく。 (´^┏o┓^`)「ま、毛も生えてないお子ちゃまにはわからんか!」 順番が乱れる。 次は足を洗うはずだったのに、目が自らの急所へと行ってしまった。 (#'A`)「だから生えてるって言ってんだろ!!」 勢いよく立ち上がるドクオ。その腰には何も巻かれていない。 (´^┏o┓^`)「やるねぇ……」 (´^┏o┓^`)「んじゃ、トーチャンは先にあがるぞ」 ('A`)「うん」 湯船に一人残されるドクオ。 肩まで浸かってたお湯が胸の位置まで下がり少し肌寒い。 (´^┏o┓^`)「……お前も大切な人が出来れば分かる」 ('A`)「へ?」 (´^┏o┓^`)「男に課せられた使命ってやつがな」 いつもと違う声のトーンで話すトーチャン。 扉を開け風呂場から出て行くその背中は、心なしかいつもより大きく見えた。 ('A`)「…………」 広くなった浴槽の真ん中に移動する。 呼吸をすると湿った空気が喉に染み渡り心地いい。 ('A`)「……冷て……」 冷たい礫が背中に当たり、思考を中断させられる。 今更退くのも悔しくなってドクオは敢えてそこに留まった。 川 ゚ -゚)「そこに……カーチャンがいたから?」 ('A`)「…………」 目の前で同じ言葉を黙々と繰り返す機械のような少女。 川 ゚ -゚)「そこに……カーチャンがいたから?」 ('A`)「…………」 これで13回目。 川 ゚ -゚)「そこに……カーチャンがい('A`)「もういいよ」 14回目は遮られた。 川 ゚ -゚)「ドクオ、教えてくれ。これはいったいどういう意味だ?」 ('A`)「どういう意味だ、と言われても……そのまんまの意味じゃないか?」 川 ゚ -゚)「では、君の父親は目の前で倒れている人なら誰でも構わず抱きしめてしまうということか?」 ('A`)「それはねーよ……カーチャンだからだろきっと」 川 ゚ -゚)「む……それはやはり夫婦だからか?」 ('A`)「そうだろうな」 顎に手を当て考え込むクー。 しばらくしてまた口を開く。 川 ゚ -゚)「この気持ちは夫婦になってみないと分からないのかもしれないな」 ('A`)「……そうだろうな」 ('A`)「あれ……そういえばなんでその言葉お前が知ってんだ?」 (;'A`)「まさか風呂覗いてたのか!?」 川 ゚ -゚)「覗きとは人聞きの悪い。会話しか聞いてないから安心しろ」 (;'A`)「会話だけって……テレビなんだから映像もちゃんと流れてただろ」 川 ∩-∩)「こうしていたから何も見ていない。第一君の裸など私の方こそ見たくもない」 両手で顔を覆い冷たく言い放つ。 その可愛らしい外見とのギャップにより、余計心に突き刺さる。 ('A`)「それはそれでなんかショック」 川 ゚ -゚)「まぁ生えてない位でそう落ち込むな。私の父も薄い方だったぞ」 ('A`) ('A`)「ん?」 川 ゚ -゚)「まだ生えてない人などそこらじゅうにいるだろ?成人すればきっと自然と生えてくるさ」 ('A`)「あのー、クーさん。どこから突っ込んでいいのか分からないんですが」 川 ゚ -゚)「何がじゃ」 ('A`)「とりあえず一番最初に断っておくけど俺は生えてる。ドゥーユーアンダスタン?」 川 ゚ -゚)「何を言っているんだ。全く生えてないじゃないか」 (;'A`)「お前こそ何言ってんだ!!見てもいないくせに勝手に決め付けるふぁ」 突然クーに頬を掴まれる。発音が上手くできない。 川 ゚ -゚)「この顔のどこに生えてるというんだ?」 (;'A`)「な、ないいっへんはよ!!」 川 ゚ -゚)「この顔のどこにヒゲが生えているんだと聞いている」 一瞬固まる思考。 ('A`)「ああ……そういうオヒね」 川 ゚ -゚)「…………」 ('A`)「あのー、クーはん」 頬をつままれてから三分が経過した。 未だにクーが手を放す気配はない。 ('A`)「ひょっと、きいてまふ?」 川 ゚ -゚)「……柔らかい」 ('A`)「ふぇ?」 川 ゚ -゚)「ドクオのほっぺた、柔らかいな」 ('A`)「……ふぁあ?」 頬を引っ張ったり揉んでみたり、クーのほっぺた遊びはそれからしばらく続いた。 ('A`)(やべぇ……なんか興奮してきた) 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
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