三十三章三翼で己が身を包み込むようにし、身体を護る。 その翼にぶつかった氷の鋏は砕け散ってしまった。 ξ;゚△゚)ξ「危なかっ……」 呟いて翼を広げたツンは、言葉を失った。 眼の前に、跳躍したクーがいたのだ。 右腕の一撃で左の翼を強引に広げさせ、左腕の一撃で右の翼を強引に広げさせる。 ツンの身は、ガラ空きだ。 川 ゚ -゚)「油断大敵」 呟いて、彼女はツンを蹴り落とした。 空中での蹴りだと言うのにその威力は尋常でなく、ツンは抗う事も出来ずに床に墜落した。 ξ;゚△゚)ξ「がっ!!」 (;゚ー゚)「ツン!」 川 ゚ -゚)「パートナーの心配をしている場合ではないな」 (;゚ー゚)「うっ……!」 つい一瞬前までツンの相手をしていたクーが、眼の前にいた。 間髪置かず、攻撃は開始される。 攻撃は、両腕での猛攻。ハインと同じ攻撃だ。 (;゚ー゚)「くっ……くぅっ!」 川 ゚ -゚)「どうした、遅いぞ」 左腕だけで何とか凌ぐが、このままでは長く持たない。 一撃一撃が重く、速いのだ。少しずつ押されつつある。 (;゚ー゚)「なら……!」 もう反応しきれないと判断したしぃは、次のクーの攻撃に真正面から相対した。 そして、その衝撃を利用して後ろに大きく跳び、距離を取る。 川 ゚ -゚)「ふん」 勿論、クーがそれをただ許すはずはない。 彼女は右腕をしぃに向けると、氷塊の弾幕を放った。 (;゚ー゚)「苦しい事には変わりないか……!」 呟きつつも光の防御壁を張り、弾幕をやりきる。 しかし安心は出来ない。クーはもう、眼前に迫ろうとしている。 しぃはクーから更に距離を取ろうとして―――驚愕した。 距離を取る事は出来なかった。動く事が、出来なかった。 (;゚ー゚)「何故―――!?」 足元を見て、再度驚愕した。 彼女の足を捉えているのは、ひどく分厚く作られた氷だった。 川 ゚ -゚)「私の“力”は、水分操作だ。よく知っているはずだが」 (;゚ー゚)「氷塊での攻撃は―――布石?」 川 ゚ -゚)「あぁ。氷塊で攻撃する一方、お前の足下にも氷塊を捲き、溶かして、再度凍らせた」 呟きながらもクーはしぃに歩み寄る。 そして右腕の爪をしぃの首に突き付けると、微笑んだ。 川 ゚ー゚)「私の勝ちだ」 (;゚ー゚)「……敗けたよ。やっぱ姉さんにはまだ勝てないや。 しかも姉さんってば新しい戦い方見付けちゃって……また姉さんとの差が開いちゃったよ」 川 ゚ー゚)「何、これから共に強くなっていけば良いさ」 そして彼女は、右腕を元の腕に戻した。 それと同時にしぃの足を捉えていた氷も溶解し、彼女は自由になる。 ξ;゚-゚)ξ「うー……」 呻きながらも、ツンも立ち上がった。 彼女の背中の翼も、既に消え去っている。 川 ゚ー゚)「大丈夫か、ツン?」 ξ;゚△゚)ξ「身体の方はね。でも精神的にはあまり大丈夫じゃないわ。 悔しくて堪らない」 川 ゚ー゚)「その悔しさが、お前をもっと強くするさ」 ξ;゚△゚)ξ「だと良いんだけど」 そこで会話を切り上げ、クーはフサに視線を送った。 ミ,,゚Д゚彡「終わったか」 川 ゚ -゚)「見ての通りだ」 ミ,,゚Д゚彡「ふむ」 フサは頷くと、「ちょっとみんな集まれ」と声をあげる。 ( ^ω^)「お? 何だお?」 ミ,,゚Д゚彡「良いから集まれ。ぐずぐずするな」 (;^ω^)「お……」 まもなく全員が集まると、フサは口を開いた。 ミ,,゚Д゚彡「これからはこんな感じで、実戦的な訓練を繰り返していく。 もちろん人数・相手は次々と換えて、な。 何か質問はあるか?」 (,,゚Д゚)「……訓練の形式に関しては質問ないが、ちょっと聞いて良いか?」 ミ,,゚Д゚彡「む?」 (,,゚Д゚)「さっきも聞いたが、『最終決戦までの時間は多くない』って……どういう事だ?」 川 ゚ -゚)「む、忘れていた。私が説明する、と言っていたのだったな」 (,,゚Д゚)「あぁ、説明が欲しい。頼む」 川 ゚ -゚)「最終決戦までの時間は多くない……というよりは、早く攻めたいといった方が分かりやすいな。 その要因は二つ。まず、モララーの“力”が全快まで復活する前に攻めたい。 そしてもう一つは、不確定要素を持ったあちらの人間が目覚める前に攻めたい」 ('A`)「不確定要素。それはつまり」 ミ,,゚Д゚彡「そう。件の、プギャーだ」 川 ゚ -゚)「万が一、彼が本当に凄まじい“力”を持っているのならば―――それが目覚めてしまうのは困る。 だから、出来る限り早く攻めたいってわけだ」 ( ^ω^)「今すぐにでも攻めに行く事は出来ないのかお?」 ミ,,゚Д゚彡「行けない事はないが……失敗する可能性が高まる。 あちらはほぼ全員がほとんどダメージを受けていない。 モララーにしても、奴は“力”を使わずとも戦えてしまうわけだからな」 ミ,,゚Д゚彡「それにこちらは、クックルという大きな力を失った。 かつ、モナーだって今は戦闘不可能だ。その二つの穴は大き過ぎる」 ( ゚∀゚)「でもさ、それでもこっちは八人だよ? あっちは七人。 しかもあっちのモララーと流石兄弟は戦えない状態だ。 実質、四人と戦うようなもんじゃないの?」 川 ゚ -゚)「フサも言ったが、モララーは“力”なしでも戦えてしまう。 それは流石兄弟にも言える事で―――しかもあの兄弟は、すぐに戦線に復帰するさ」 ('A`)「? どういう事だ」 川 ゚ -゚)「奴らの身体が特殊なのは知っているだろう?」 ('A`)「まぁ。だが具体的には知らないな」 川 ゚ -゚)「なら、簡単に説明しておこう。彼らは、異能者の中でも極めて特異な存在だ。 兄は二つの異能をその身に保持し、それと引き換えにしたように、弟は“力”と感情を失った。 どこで間違えたのか、それとも運命の悪戯か、弟の“力”が兄のものとなってしまったわけだな」 川 ゚ -゚)「そして二人は痛覚を失い、異常なほどの肉体の再生力を得た。 絶対に生き残れるはずのない傷を受けても死なず、 しかも僅かな日数があれば、大抵の傷は再生する」 (;゚∀゚)「ゾンビかよ」 ミ,,゚Д゚彡「決して遠くないな」 (;゚∀゚)「うへ。勘弁してよ」 川 ゚ -゚)「流石兄弟が戦線に入る為、あちらは六人だ。 そしてモララーも、“力”を使わない戦闘を仕掛けてくるとすると、七人。 七対七。ここにモナーがいないのは辛い」 川 ゚ -゚)「だから、モナーが少しでも戦えるようになったら、出撃するつもりだ。 モナーが戦線に立てて、かつモララーが全快でないという状態で臨みたい」 (,,゚Д゚)「なるほど、把握」 ( ^ω^)「モナーさんはどれくらいで回復しそうだお?」 ( ´∀`)「戦線に立てるのは、大体一週間から一週間半後もなね」 ( ^ω^)「お、それだけの日数だけで良いのかお?」 ( ´∀`)「全快とまではいかないけど、おそらくは戦えるだけのレベルまでは回復するもな」 ( ^ω^)「お、そうかお」 ( ^ω^)「…………………?」 (;^ω^)「!」 (;^ω^)「おっ!? モナーさん!? いつからそこに!?」 ( ´∀`)「もな? ついさっきからもな」 ミ;゚Д゚彡「気付かなかったぞ……」 ( ´∀`)「実は気付かれないように近付いてたもなー」 ξ゚△゚)ξ「……良い歳して子供みたいな事しないでくださいよ」 ξ゚△゚)ξ「……良い歳して子供みたいな事しないでくださいよ」 ( ´∀`)「僕は童顔だから、まだ子供で通るもな」 (*゚ー゚)「流石にそれは無理ですねー。いくら若く見えるって言っても、未成年には見えません」 ( ´∀`)「……まぁ、その話は良いもな。放置するもな」 (*゚ー゚)(あ、逃げた) ( ´∀`)「僕は出来るだけ早く回復出来るように努力するもな。 君達はひたすら訓練して、強くなってくれもな。 僕にかける負担を減らしてくれたまえもな」 川 ゚ -゚)「あぁ、努力する」 ( ´∀`)「……今の発言には突っ込んでほしかったもな」 川 ゚ -゚)「む?」 ( ´∀`)「何でもないもな。それよりも、さっさと訓練を続けてほしいもな」 川 ゚ -゚)「……まったく、本当にマイペースだな」 ( ´∀`)「もなもなー」 ミ,,゚Д゚彡「あぁ。じゃあ次は……そうだな、ドクオとジョルジュで戦ってみろ」 (;゚∀゚)「あれ、俺か」 ('A`)「らしいぜ。行くぞ」 その言葉は、ゴキゴキという異音を伴っていた。 そしてそれにジョルジュが驚く暇もなく、ドクオは彼に走り寄っている。 ミ;゚Д゚彡「お?」 (;゚∀゚)「は? いや、え、ちょっ―――」 (;゚∀゚)「ちょっ、待て馬鹿野郎ぉぉおおぉっ!!」 叫びながらも、ジョルジュはその場にしゃがみ込む。 そのすぐ頭上を、ドクオの左腕が風を切っていった。 ('A`)「ほーれほーれ、さっさと準備しないと嬲り殺しだぞー」 (;゚∀゚)「待て待て待て待て!! 待ッ―――ふざけんなッ!!」 続いて振り下ろされる腕を、転がるようにして回避。 ドクオは間髪置かずに追撃。 しかし。 ミ;゚Д゚彡「いや待て! 本当に待て!!」 _, ,_ 川 ゚ -゚)「…………………チッ」 (;^ω^)「ドクオ! 止まれお!! 馬鹿かお!?」 彼は他のメンバーとの距離を取る事もなく暴れ出した為、その火の粉は周りのメンバーにも降り注ぐ。 しかしドクオは彼らの声にも――― ('A`)「痛い目見たくなきゃさっさと離れろー」 とだけ告げ、暴走を続けるのだった。 (;゚∀゚)「いいかげんにしろぉっ!!」 叫ぶ彼の左腕は、ようやく橙色に変わる。 間を置かず手の甲からブレードを捻り出すと、ドクオの腕に真正面から相対した。 ('A`)「準備が遅くね? 実戦を思い浮かべろよ」 ( ゚∀゚)「…………………」 ドクオの発言に、ジョルジュは相対しながらも「呆れた」と言いたげに溜息を吐いた。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
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