第六話第六話 「いんとろだくしょん」 ( ^ω^)「ドクオ見るお!また同じクラスだお!!」 ('A`)「お、本当だ。ツンも一緒じゃないか」 ξ゚△゚)ξ「あら、本当ね」 短い春休みが終わりを告げ始業式の日が訪れた。例の如く始業式はおまけのようなもの。 生徒達が一番楽しみにしてるイベント、それはクラス替えである。 始業式を終え教室に戻ると大勢の生徒達がクラス替えの紙の所へ群がっていた。 ( ^ω^)「おっおっ、僕たちは三年二組だお」 ('A`)「ってことは四階か……また階段が増えるのかよ……」 ξ゚△゚)ξ「一階くらい増えたって大して変わらないでしょ。あんたそれでも陸上部?」 ( ^ω^)「そうだお!部活の練習と比べたら階段くらい屁のカッパだお!!」 ('A`)「屁のカッパなんて言葉久しぶりに聞いたな」 クラス替えの紙を見ながらしばらく話した後、三人は新しい教室へと向かった。 ( ^ω^)「着いたお!ここが僕たちの新しい教室だお!!」 (;'A`)「あんまり叫ぶなよ。恥ずかしいだろ」 中に入るとほぼ全員が集まっているようだった。 どうやらドクオ達の到着は最後の方だったらしい。 ( ^ω^)「どーもどーも! 今日から一年間この教室でお世話になります内藤ホライゾンですお! 気軽にブーンと呼んで欲しいお!!」 一瞬にして教室中の視線を集めるブーン。 その驚きとも軽蔑とも取れる視線に臆することなく、さらに言葉を続ける。 ( ^ω^)「で、こっちの冴えない男がドクオ。金髪の女の子がツンだお。 みんなよろしく頼むお!!」 (;'A`)「おま……そんなこと言ったらまたツンに」 ξ゚△゚)ξ「…………」 ('A`)(あれ、殴らないのか) 呼びかけも空しく、教室から返ってくるのは微かな笑い声と沈黙だけ。 (;><)「何なんですかあいつ」 ブーンと同じような (*‘ω‘ *) 「ちんぽっぽ」 明るく ( ´_ゝ`)「変な奴が現れたぞ弟者」 元気な (´<_` )「本当だな兄者」 返事は (´∨ω・`)「…………」 返ってこnノハ*゚△゚)「よろしく!私は素直ヒート!気軽にヒートって呼んでくれ!!」 (;'A`)ξ;゚△゚)ξ (*^ω^)「元気な返事が返ってきて嬉しいお!こちらこそよろしくだお」 ノハ*゚△゚)「元気は私の一番のとりえだからな!ちなみに部活は剣道部だ!!」 (*^ω^)「僕は陸上部だお!こっちの二人もおんなじだお!」 ノハ*゚△゚)「おお!私は素直ヒート!気軽に(ry」 (;'A`)「お……おお、よろしく」 ξ;゚△゚)ξ「よろ……しく」 一度はドクオとツンの方を向いたヒートだったが挨拶を終えるとすぐにまたブーンと話し始めた。 (;'A`)「なんか……すごい勢いの人だな」 ξ;゚△゚)ξ「そうね……」 当然二人の会話に入れるわけもなくひたすら傍観を続ける。 ξ゚△゚)ξ 从'ー'从「はいはーい、みんな席に着いてー」 (;'A`)「あれ!?また渡辺先生なのか!?」 ξ゚△゚)ξ「何言ってんのよ、クラス替えの紙に書いてあったじゃない。しっかりしてよね」 いつものようにトゲのある言葉が返ってくる。 しかし、それはまるで先の丸まった鉛筆のようにその鋭さを失くしていた。 (*^ω^) ノハ*゚△゚) ('A`)「……なるほどな」 ようやく全員が着席し終え、渡辺がLHRを始めた。 ドクオはいつものようにそれを聞かずぼんやりと教室を見回している。 ('A`)「…………」 まず目に付いたのは ( ´_ゝ`)(´<_` ) ('A`)(あいつらは確か……) 流石兄弟、と言う名は同じ学年の者ならほとんどが知っている。 定期テストの首位争いはいつもこの二人で行われていると言っても過言ではない、双子の天才だ。 ('A`)(つか同じクラスに双子揃えちゃうってのはいいのか?) ドクオが知っているのはこの二人くらいだった。 他は見たことはあるけれど名前が分からない生徒達ばかり。 (*‘ω‘ *) 一際小柄な少女や ( ><) それに劣らず背丈の低い少年 (´∨ω・`) 見るからにカッコつけな長髪男 そして ノハ*゚△゚)「はいはいはいはいはい!!!!」 教卓の真正面。 誰もが嫌がるこの席で勢いよく手を上げているこの少女。 どうやらクラスの会長に立候補しているらしい。 从'ー'从「ヒートちゃんの他で立候補する人はいないかなー?」 クラス中が沈黙を守る。ただ一人を除いて。 ノハ*゚△゚)「はいはいはいはいはいはい!!!!」 从'ー'从「うーん、いないみたいねー」 ノハ*゚△)「はいはいはいはいはいはいはい!!!!」 从'ー'从「じゃあ、会長はヒートちゃんでいいかなー?」 ノハ*゚△゚)「はいはいはいはいはいはいはいはい!!!!」 从'ー'从「反対の意見がないみたいなのでヒートちゃんに決定しまーす」 ノハ*゚△゚)「はいはいはいはいはい(ry」 まばらな拍手と共に会長が決定した。 当の本人はまだそれに気づいていないようだ。 从'ー'从「じゃあ次は副会長を決めまーす」 ノハ*゚△゚)「はいはいは(ry」 从'ー'从「誰か立候補してくれる人はいないかなー?」 ノハ*゚△゚)「はいはいは――」 渡辺がパァン!と手を叩く。 甲高い音と共に延々と流れ続けていたノイズが止まった。 从'ー'从「ヒートちゃんは会長よね?」 ノハ*゚△゚)「はい!」 从'ー'从「じゃあ、副会長はヒートちゃんが前に出て決めてくれるかな?」 ノハ*゚△゚)「はい!!」 返事と共に立ち上がり、黒板の前に立つ。 渡辺はいつのまにかヒートの席へ移動していた。 ノハ*゚△゚)「副会長はブーン君に決定します!!」 (;'A`)「いやいやいやいやいやいや!!」 ノハ*゚△゚)「先生!後は何か決めることってありますか!?」 从'ー'从「んー、後は別にないかな」 ノハ*゚△゚)「そうですか!」 从'ー'从「じゃあ、会長と副会長並んで挨拶してくれるかな?」 ノハ*゚△゚)「わかりました!」 (;'A`)(おいおいおい、マジでブーンが副会長で決まりなのか?) ( -ω-)「……グースカピー」 そんなことになってるとは知らず暢気に寝息を立てているブーン。 ノパ△゚)「ブーン!起きろ!!」 (;´ω`)「……おっ?」 口元に付いたよだれの跡をふき取る間もなく、黒板の前へと連れて行かれる。 ノハ*゚△゚)「このクラスの会長になりました素直ヒートです! これから一年間よろしくお願いします!!」 (;^ω^)「な……何が起きてるんだお?」 ノパ△゚)「何やってんだブーン!ちゃんと自己紹介しろ!!」 (;^ω^)「おっ?自己紹介?」 一瞬思考を巡らした後、全てを理解したかのような顔で前を向く。 ( ^ω^)「内藤ホライゾンですお!好きな食べ物は食べられるもの。 嫌いな食べ物は食べられないものですお!これからよろしくお願いしますお!!」 从'ー'从「はーい、じゃあこれから一年間二人で頑張ってクラスをまとめていってねー」 ノハ*゚△゚)「はい!頑張ります!!」 ( ^ω^)「お?まとめる?」 当人は状況を把握したつもりだったようだが、完璧には分かっていなかったらしい。 ヒートと渡辺に疑問を投げかけるが無視される。 (;'A`)(本当に決まってしまった……) ドクオと同じようにクラス中が驚きと不安の眼差しでブーン達を見ていた。 ξ゚△゚)ξ しかしツンだけは、その視線を物悲しそうに窓の外へと泳がせていた。 (;^ω^)「僕が副会長!?マジかお!?」 ('A`)「マジマジ大マジ。まぁ一年間ヒートと仲良く頑張ってくれや」 休み時間になりドクオの口から真実を聞かされたブーン。 予想もしていなかった事態に驚きの色を隠せない。 ( ><)「本当に君が副会長で大丈夫なんですか!?」 と、二人の会話に割り込んでくる小さな少年。 第一声にしては失礼すぎる一言を放つ。 (;^ω^)「ちょ!決めたのは僕じゃないお……」 (*‘ω‘ *) 「ちんぽっぽ」 少年の後ろから顔を出したのは可愛らしい少女。 頬にはその幼さをより際立たせるかのようにえくぼが出来ている。 (*^ω^)「おっ!かわいこちゃん発見!!」 (*'A`)(あれ……近くでよく見るとかわいいかも) (*^ω^)「名前はなんて言うんだお?」 (*‘ω‘ *) 「ちんぽっぽ」 (*'A`)「へぇー、ちんぽっぽちゃんか。俺はドクオ、これからよろしくね」 (*^ω^)「僕は内藤ホライゾン!これからよろしくだお!!」 (;><)「僕を無視するななんです!」 (*^ω^)「ちんぽっぽちゃんはどんな食べ物が好きなのかお?」 (*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ」 (*'A`)「なるほど、お寿司が好きなのかぁ。俺も寿司にはうるさいんだぜ?」 (*^ω^)「僕もうるさいお!お寿司いいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」 (;><)「聞いてるんですか!?ちゃんと反応しろなんです!!」 (*'A`)「あ、そろそろ授業開始の時間だ。残念だけどこの辺で席に戻らないと」 (*^ω^)「それじゃまた今度ゆっくりお話しましょうお」 (;><)「ま……待つんです!!」 少年の呼びかけはとうとう二人の耳に届くことはなかった。 (;><)「く……ここまでコケにされたのは初めてなんです」 二人が去った後も悔しそうに呟く。 それを聞いているのかいないのか、横で直立不動のちんぽっぽ。 ( ><)「ちんぽっぽちゃんもひどいんです!僕が最初に話しかけたのに横から割り込むなんて!」 ( ‘ω‘ ) 「…………」 先程とはうってかわって口を全く開かない。 えくぼもいつの間にか消えている。 ( ><)「何とか言ってほしいんです!!」 ( ‘ω‘ ) 「…………愚図が」 変声器でも使ったのかと疑いたくなるような低い声。 そう一言言い残すとちんぽっぽは自分の席へと戻っていった。 (;><)「…………」 一人立ち尽くす少年。 (;><)「き……きっといつもの聞き間違いなんです。 そうに決まってるんです!!」 どうやらこれが初めてではなかったらしい。 自分に言い聞かすように呟くとちんぽっぽと同じように自分の席へと戻っていった。 (-A-)「スースー」 授業が始まり当然のように眠りにつくドクオ。 小さな寝息を立て幸せそうな顔をしている。 そして、その様子を密かに見つめているのは (´∨ω・`)「…………」 前髪が右目にかかり左目だけがその機能を果たしているように見えるこの少年。 一見するとそのしょぼくれて見えるが、その眼光は鋭い。 (´∨ω・`)「……あいつ」 授業中だというのに声に出して呟く。 その音量は決して聞き取れないものではなかった。 (´∨ω・`)「俺と……同じ匂いがするな……」 意味深な言葉を残し、ドクオと同じように顔を伏せ眠りにつく。 (´∨ω-`)「……っぐ……が……あ……」 ――― ―― ― キンコンカノパ△゚)「部活だああああああああああああ!!!!」 全ての授業の終わりを告げる鐘の音がヒートによってかき消される。 ノパ△゚)「ショボン行くぞ!!」 (´∨ω・`)「……うるさいな。そんなに叫ばなくても聞こえてる」 返事を待たないうちに教室から飛び出すヒート。 ショボンと呼ばれた少年はゆっくりと立ち上がるとそのままのペースで教室から出て行った。 ('A`)「……はぁ」 ( ´_ゝ`)「とんでもないヤツと同じクラスになってしまったな」 ('A`)「ん?……ああ、そうだな」 後ろから声が掛かり振り返ってみる。そこには同じ顔が並んでいた。 (´<_` )「しかもそいつが会長とは」 ( ´_ゝ`)「このクラスの運命や如何に」 二人して腕を組み、左右対称の光景が目の前に広がる。 遠くから見たときは気づかなかったが顔だけでなく背丈まで同じらしい。 ('A`)「あのー、すまんが自己紹介してもらえないか? 流石兄弟ってのは分かるんだけどどっちが兄貴でどっちが弟か区別出来ないんだわ」 ( ´_ゝ`)「ああ、すまんすまん。自己紹介が遅れたな」 ( ´_ゝ`)「俺があおhつhtおじゃだ」(´<_` ) ('A`)「へ?」 ( ´_ゝ`)「聞き取りづらかったかな?」(´<_` ) (;'A`)「あ……ああ、もう一回頼むよ」 ( ´_ゝ`)「俺があんちあおnじゃだ」(´<_` ) (#´_ゝ`)「おい弟者!普通は兄貴の方が先に話すものだろ! お前はまだ黙ってろ!!」 (´<_`#)「何が普通だ!兄貴なら弟に先を譲るぐらいの寛大さを見せてみろ!!」 左右対称の光景が崩れる。 二人はいつのまにか床で取っ組み合いの喧嘩をしていた。 (#´_ゝ`)「お前グーはやめろ!グーは!!」 (´<_`#)「うるさい!兄者こそ目潰しを狙うのはやめろ!!」 (;'A`)「お、おい!もう分かったから喧嘩はやめろ!!」 ドクオが止めに入ってから約三分、ようやく喧嘩は収まった。 (;´_ゝ`)「はぁ……はぁ……」 (´<_`;)「はぁ……はぁ……」 肩で息をする二人。 またもや左右対称の光景が広がる。 ( ´_ゝ`)「…………」 (´<_` )「…………」 ( ´_ゝ`)「すまなかった!!」(´<_` ) ステレオで流れる音声と共に抱き合う。 ('A`)「もうなんなのこの人達」 ( ´_ゝ`)「ハッハッハ、これは見苦しいものを見せてしまったな」 (´<_` )「まぁいつものことだから気にしないでくれ」 ( ´_ゝ`)「それじゃまた明日!!」(´<_` ) さっきまで殴り合いの喧嘩をしていたのが嘘のように、二人は仲良く手を繋ぎ教室から出て行った。 ( ^ω^)「お待たせだお!いやー、ウンコの切れが悪くてちょっと手間取っちゃったお」 ('A`) ( ^ω^)「???ドクオすごく疲れた顔してるお。何かあったのかお?」 ('A`)「……ちょっと嵐に巻き込まれただけだ」 ( ^ω^)「嵐?何言ってるんだお、教室で嵐が起こるわけないお」 ('A`)「何でもないさ。さて、じゃあ部活に行くとしますか」 ( ^ω^)「把握だお!それじゃツンも一緒に行こうお!」 教室の隅の席でボーっとしているツンに声をかける。 こちらを向くが返事がない。それどころか意識すらないようにさえ思えた。 ξ゚△゚)ξ その視線はドクオ達を果たして捉えていたのだろうか。 こちらを見たのではなく顔がこちらを向いただけ、そんな印象を受けた。 ( ^ω^)「どうしたんだお?ツン」 ξ゚△゚)ξ「……今日は具合が悪いから部活休む」 抑揚のない小さな声。何となくクーを思い出す。 (;^ω^)「それは大変だお!保健室とか行かなくて大丈夫なのかお!?」 ξ゚△゚)ξ「……平気」 (;^ω^)「全然平気じゃないお!顔色も悪いし元気もないし そんなんじゃ家に着く前に倒れ――」 ξ △ )ξ「平気だって言ってるじゃない!!」 ( ^ω^) ('A`) 荷物を振り回すようにぶら下げ教室から走り去るツンを、二人は止めることが出来なかった。 ( ´ω`)「…………」 ('A`)「…………」 部活を終え電車に乗り込んだ二人。外を見ると既に真っ暗で何も見えない。 黒く染められた窓が並んで座る二人の姿を映し出していた。 ( ´ω`)「……ねぇ……ドクオ」 ('A`)「何でツンは僕のこと怒ってるのかお?、か?」 ( ゚ ω゚ )「何で分かったんだお!?」 ('A`)「前も俺に聞いただろ。覚えてないのか?」 ( ´ω`)「あぁ……そういえばそうだったかお」 停車駅が近づき電車の速度が落ちていく。 やがてその動きは完全に止まり、ドアが開く。 ('A`)「お前はツンが怒ってると思ってるのか?」 ( ´ω`)「え?」 開いたドアから外の空気が入り込む。四月と言っても夜風は未だに肌寒い。 ('A`)「俺にはそうは見えなかったな……」 (;´ω`)「でも!ツンは僕が話しかけたら怒鳴って帰っちゃったんだお?」 ('A`)「じゃあ聞くが、今日ツンを怒らすようなことをした心当たりなんてあるか?」 (;´ω`)「それがないから……聞いてるんだお」 ('A`)「だったらやっぱりツンは怒ってないんだ」 (;´ω`)「だ、だったら何で僕は怒鳴られたんだお?」 吹きつける冷気が遮断され、電車は再び動き出す。 ('A`)「俺には……我慢してたものが一気に溢れたように見えたけどな」 (;´ω`)「我慢?」 ('A`)「つまり、ツンはブーンじゃなく自分自身に対してイラついてたんだよ」 (;´ω`)「自分……自身?」 何となく目の前の闇に目を向ける。 そこに映る自分の姿は心なしかいつもより小さく見えた。 ('A`)「だから俺が言いたいのはだな、ツンはお前を怒ってたわけじゃないってこと」 (;´ω`)「ほ、本当かお?」 無言で頷くドクオを見てブーンはホッと胸を撫で下ろした。 そんな様子を見てドクオが付け足す。 ('A`)「でも、だからと言ってお前に原因がないと言ってるわけじゃない」 (;´ω`)「お?」 ('A`)「現にお前は怒鳴られてるんだ。 怒りの直接の矛先ではないにしても、なにか関係があるんだろきっと」 (;´ω`) ('A`)「お前は何か思わないのか?」 (;´ω`) ('A`)「自分のせいじゃないと分かったから安心。それで終わりか?」 ( ´ω`) ('A`)「ツンを……助けてやりたいとは思わないのか?」 ( ω ) ('A`)「もう一度ツンの笑顔を見( ^ω^)「ドクオ!僕決めたお!!」 (;'A`)「えぇ……あぁうん……そうか」 ( ^ω^)「明日ツンに直接聞いてみるお!何言われても諦めずに何度でも!!」 ( ^ω^)「それで、絶対にツンを笑わせてみせるお!!」 ('A`) 周りの目など気にすることもなく、ブーンは大声でそう宣言した。 場所は違えど、これと同じような状況を見たことがあるような―― ('∀`) 心当たりはすぐに見つかった。 軽蔑の視線や嘲笑をものともせず、自ら信じた道をひたすら真っ直ぐ突き進む。 ('∀`)「おう、がんばれ」 励ましているつもりだったのにいつの間にか自分の方が元気をもらっている。 ブーンはそういうやつだ。 忘れていた訳ではなかったが、ドクオは改めてそれを実感した。 ( ^ω^)「ドクオ、ありがとうだお!僕頑張るお!!」 ('∀`)「俺は別に何もしてないさ」 ( ^ω^)「それじゃ、また明日だお!!」 いつの間にか電車はブーンの降りる駅に着いていた。 ('∀`)「ああ、また明日な」 降りて行くブーンを見送る。 駅のホームで両手を広げ飛行機のように駆け抜けるその姿が、ドクオの微笑みを一層深いものにした。 川 ゚ -゚)「どうだ、なかなか様になってると思わないか?」 (*'A`)「…………」 道着に身を包んだ黒髪の女剣士。その手には竹刀が握られている。 ここに、真の「大和撫子」が光臨した。 (*'A`)「これは……ありだろ」 川 ゚ -゚)「蟻?」 (*'A`)「違う違う!凄く似合ってるってことだよ!!」 川 ゚ ー゚)「ほぅ……そうか」 (*'A`)「いやー、この貧乳具合がまたいい味を……」 川 ゚ -゚)「ヒンニュウ?」 (;'A`)(やっちまったああああああああああ!!!) クーの姿に見とれている内に思わず口を滑らせてしまった。 慌ててこの場を切り抜ける方法を考える。 川 ゚ -゚)「ドクオ、ヒンニュウとは何だ?」 (;'A`)「へ?」 (;'A`)(あれ?もしかしてこいつ貧乳の意味を知らない?) ('A`)(そうか!性行為の意味も知らないんだから貧乳の意味も知らなくて当然と言えば当然か) ('∀`)(ならこの場は適当にごまかして……) 何も言わずに表情だけがコロコロ変わるドクオを、不思議そうに見つめるクー。 その視線に気づきようやく返答を返す。 ('∀`)「いいかクー?ヒンニュウってのは品が良いっていう褒め言葉なんだ」 川 ゚ -゚)「品が良い?」 ('∀`)「そう!要するに、上品ですねって相手を褒めるときに使う言葉なんだよ」 川 ゚ -゚)「ほー」 ('∀`)「漢字で書くと『品柔』品が柔らかいと書いてヒンニュウと読むんだ」 川 ゚ -゚)「なるほど!」 ('∀`)「いやーほんとにクーは品柔だなぁ。惚れ惚れしちゃうよ」 川 ゚ ー゚)「ふふ、そうか」 褒められ気を良くしたのかいつもの硬い表情は見られない。 嬉しそうに竹刀を持ち、素振りを続けている。 ('∀`)「そういや何でいきなり剣道なんて?」 川 ゚ -゚)「ん?いやなに、ちょっとした予行練習でな」 ('∀`)「予行練習?」 川 ゚ -゚)「まぁ気にするな。そんなことより……」 ('∀`)「ん?」 川 ゚ -゚)「まだ起きなくていいのか?随分ここにいるようだが」 ('∀`)「……はい?」 ('A`) 闇に映る自分の姿。 耳障りな騒音。 電車独特の揺れ。 ('A`)「ああ、なるほど」 状況を理解する。 ('A`)「あれだよね。疲れてる時っていつの間にか寝ちゃうもんだよね。 んでさ、目覚めたときに『あれれ~?なんで朝じゃないんだろ?』ってハテナマークで頭が一杯に」 寝ぼけているのか、やけに長い独り言。 「次は~シベリア駅~シベリア駅でございます」 ('A`)「何駅寝過ごしてんだよ俺……」 徐々に緩まるスピード。 闇への扉が開かれる。 寒空の下、肩を落とす少年が一人ホームへ降り立った。 ('A`)「……死にてー」 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|