第五章44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/05(火) 22:10:34.43 ID:MILrhytz0―5章― 主要都市ワクテカ・・・眠ることのない街。 夜になれば人々は憩いを求めそれぞれが散って行く。 そうして又、明日への活力としているのだろう。 しかしこんな廃れた世界、 酒、ギャンブル、人買い・・・人間の原始欲を刺激する程度の 最低限の種類の娯楽しか無いのが現状だ。 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/05(火) 22:11:33.83 ID:MILrhytz0 ('A`)「さーてここから俺の腕が試される訳だな」 辺りはすっかり暗闇が広がり、 人々で賑わう酒場の扉の前でドクオがポツリと呟く。 そして扉を開け店内へと身を移す。 ('A`)「うへ・・・こうも混んでると逆に難しそうだな」 店内は人々でごった返し、酒と煙草の匂いで溢れていた。 ドクオは、人混みを素早い身のこなしでかわしながら カウンターへ一直線に向かい腰を落ち着ける。 人探しにおいて、誰も居ないよりは混んでる方が良い。 しかし、あまりに混みすぎていると自分が求める人を目測しにくい問題点が出てくる。 ('A`)「・・・・・・」 予想外の酒場の活気に、ドクオは面食らった。 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/05(火) 22:12:19.54 ID:MILrhytz0 予想外の酒場の活気に、ドクオは面食らった。 ('A`)「まぁいいや。スパイ検定1級の俺には朝飯前だぜ」 勿論、そんな資格はこの世には存在して無い。 ドクオは。カウンターに座りながら軽く辺りを見回すと、 ('A`)「おねぇさん、ビール1つね」 側に居たウエイトレスへと注文を伝える。 しばらくすると、両手一杯にビールジョッキを持ったウエイトレスが、 その一つをドクオの目の前のテーブルへと置く。 ('A`)「はい、御代」 ビール代を受け取ったウエイトレスは一礼すると、 そそくさと違うテーブルへとジョッキを運んで行った。 ('A`)「さぁーて、鑑賞代は払い終えたぞ」 ドクオはビールを一口飲み終えると ジョッキを手に持ち、店が一望できる二階へと移動する。 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/05(火) 22:13:19.30 ID:MILrhytz0 ('A`)「カコログに精通してるって事は・・・まぁ研究はしてるだろうな」 ('A`)「となると・・・インテリジェンスな人っぽい」 ('A`)「カコログを研究してるって事は・・・多分、変人で社交的じゃねぇ人だよな」 カコログを目指して旅しているドクオも、十分それに当てはまると思うが・・・。 自虐をしている事には気付かず、ドクオはプロファイルを終える。 ('A`)「さーて俺の完璧なデーター分析に当てはまりそうな人はっと」 ドクオは、柵に体重を預け一階を見回していく。 一階中央・・・軽い着こなしをしている露店商だと思われる女や男。 一階右側・・・工場帰りのだろう体格の良い男達のグループ。 一階左側・・・ドクオと同じ位の歳だろう少年達がナンパをしてる。 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/05(火) 22:14:17.02 ID:MILrhytz0 ('A`)「あーそれっぽい人いねぇーなぁ」 どう見てもドクオの理想像には当てはまらない群集が、 一階でビールを酌み交わしている。 ('A`)「しょうがない。片っ端から聞いて回るk・・・!!」 渾身のプロファイリングが無為に終わり、 ローラー作戦に打って出ようとドクオは踵を返そうとすると・・・・・・居た。 目の前のテーブルに、白衣を身に纏い、本を読みながら 一人寂しくビールを飲んでいる眼鏡を掛けた老人が。 (;'A`)「おうおう。 み、見るからに怪しいじゃねーか・・・」 何故かドクオは、恐怖に似た感情を覚え遠巻きに老人を見つめる。 ( ,' 3 )「ブツブツブツ・・・ブツブツ・・・モルスァ・・ブツブツ」 老人は本に目を向けながら何やら呟いている。 (;'A`)「おいおい、なんかブツクサ言ってるよ。 話しかけるの怖ぇなおい」 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/05(火) 22:16:18.94 ID:MILrhytz0 自分のプロファイリングに嫌と言うほど当てはまる人が目の前に・・・。 若干抵抗はあるが話掛け無い訳にはいかないだろう。 (;'A`)「・・・・・・・・・・・・よし」 荒巻探しに進展をもたらす為、 ドクオは勇気振り絞り老人へと近寄る。 ( ,' 3 )「フムフムナールナール・・・スンススーン」 ('A`)「あのーすいません」 相変わらず意味不明な単語を発しながら本を読む老人に、 ドクオは恐る恐る話掛けた。 ( ,' 3 )「む?何か私に用かね?」 ('A`)「あ、よかった。言葉は通じた」 ( ,' 3 )「・・・今、何か言ったかね?」 (;'A`)「な、なんでもないです。気にしないでください」 そしてドクオは老人に、 『荒巻』と言う人物について何か知らないか尋ねる。 ( ,' 3 )「あー、荒巻さんね。知ってるよ」 50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/05(火) 22:17:04.39 ID:MILrhytz0 ようやく荒巻を知る人物に出会え、ここぞとばかりに ドクオは老人に詰め寄る。 ('A`)「その人が何処に居るのか教えて貰いたいんですが」 ( ,' 3 )「ああ。何処に居るのかも、よーーーく知ってるんだがね・・・」 急に言葉を濁した老人にドクオが尋ねる。 ('A`)「どうかしました?」 ( ,' 3 )「ゴホゴホッ!!教えてあげたいのは山々なんだが・・・。 如何せん喉が乾いて声が・・・」 わざとらしい擦れた声を上げながら老人が答える。 ( ,' 3 )「何かで喉を潤せれば・・・ゴホゴホッ!! 教えてあげ上げれるのに・・・実に残念だ。ゴホゴホッ!!」 (;'A`)「・・・・・・ああ」 (;'A`)「すいませーーーーん!!こっちビール2個追加!!」 ドクオは、遠目に見えたウエイトレスに注文を叫ぶ。 ( ,' 3 )「ゴホゴホッ!!すまないねぇ・・・。 なんか強請っちゃったみたいで」 (;'A`)(強請っちゃったくせに・・・) 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/05(火) 22:18:21.01 ID:MILrhytz0 運ばれてきたビールで喉を潤すと老人が言葉を繋げた。 ( ,' 3 )「荒巻さんは実にハンサムでねぇ。 その上頭も切れる奴だよ。 同じ学者として尊敬に値する人だね。 いやー彼のナンタラカンタラ・・・」 (;'A`)「あ、いや・・・。 荒巻さんの居る場所について知りたいんですが」 ( ,' 3 )「あれ?彼の人物像じゃなかったかね? すまないすまない。えっと彼はね・・・・・・ウッ!!!!!」 突如、老人は胸を押さえ机にうずくまる。 (;'A`)「ちょ!!大丈夫ですか?」 ( ,' 3 )「ウググ・・すまない・・いつもの発作だ。」 (;'A`)「発作って・・医者呼びましょうか?」 ( ,' 3 )「まさか・・・こんな時に限って・・・うう・・」 53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/05(火) 22:19:26.43 ID:MILrhytz0 ( ,' 3 )「まさか!!まさかこんな時に!! 持病の『心拍機能低下及び血液循環不全病』が発症するなんて!!」 ( ,' 3 )「あー・・・気付け用のアルコールがあったら助かるのになぁ。 君に、彼の居場所を教えてあげれるのになぁ・・・ウググ」 (;'A`)「・・・」 (#'A`)「・・・・・・」 (#'A`)「すいませーーーーーーん!!こっちビール四つ追加!!」 半ばヤケクソ気味のドクオの叫び声が酒場に響いていった・・・。 |