第十九話第十九話 「休日おでかけ当たり前」 生温く、それでいて心地よい風が吹き、花が揺れ、木々が揺れる。 ほのかに薫る、草の匂い。 (*゚∀゚) 薫り立つ自然の息吹を吸い込み、つぶらな瞳を落ち着きなく瞬かせる少女の視線の先には、張り詰めた空気に覆われたダイヤモンドがある。 その中央、他の地面と比べ幾分盛り上がった土山の上、少女の意識は全てそこへと注がれていた。 土に塗れ、汚れた背番号。 茶色く汚れていながら尚も輝き続けるその番号を背負い、今正に両腕を振り被る少年の姿がそこにある。 (*゚∀゚) 少年の動きにつられるかのように、少女は瞬きの回数を増やし、下唇を噛み締める。 来る一瞬をその目に焼き付けようとする彼女なりの努力だろう。 そして、その一瞬は呆気なく訪れた。 (*゚∀゚)「あ……」 少女の視線が半円の軌道を描くと共に割れんばかりの歓声が湧き上がる。 (*゚∀゚)「……」 土山の上で項垂れる少年。 輝いていたはずの背番号は光を失い、土色に染まっていた。 ('A`) (-A-) ('A`) (-A-) ('A`) (-A-) (-A-) (;-A-) (-A-) (;-A-) (;-A-)「痛ぅっ……」 (;'A`) (;'A`)「寒ぃ……」 J( 'ー`)し「どれどれ」 (;'A`) J( 'ー`)し (;'A`) J( 'ー`)し「……37度8分」 (;'A`) J( 'ー`)し「これは本格的に風邪引いちゃったみたいね」 (;'A`)「ぽいね……」 J( 'ー`)し「とりあえず部屋戻って寝てなさい。後で氷枕作って持っていくから」 (;'A`)「うん、分かった」 J( 'ー`)し「何か食べたいものとか飲みたいものとかある?」 (;'A`)「んー、じゃあ……アロエヨーグルト」 J( 'ー`)し「アロエヨーグルトね。買い物行くときに買ってくるわ」 (;'A`)「うん、お願い」 (;'A`)「ふぅ……」 部屋に戻り、ドクオは熱のこもったため息をつく。 顔はほんのり赤みを帯び、その足取りは随分と覚束ない。 (;'A`)「あぁ……そうだ」 こめかみを手で押さえ軽く揉み解すと、何かを思い出したように呟きベッドの方へと歩み寄る。 (;'A`)「ブーンに今日休むって連絡しとかないと」 白いシーツの上へと倒れこむと同時、枕元においてあった携帯を手に取る。 何の変哲もない待ち受け画面は、今日が土曜日であることを示していた。 (;'A`)「……はぁ」 簡潔な文でメールを済ませ、再びのため息。 (;'A`)「せっかくテストが終わったってのに……」 熱を帯びた体。昨日の夜、就寝前に考えていた今日の予定は、その熱に溶かされ最早原型を留めてはいない。 ここの所勉強続きで溜まっていたストレスを部活で解消するはずだったのに、そう思い歯噛みする。 窓から差し込む日光がいつにも増して血色の良くない顔を照らし出し、ドクオはそっと顔を背けた。 ( ^ω^)「ふん♪ふんふん♪」 機嫌よく鼻歌を歌いながら、ブーンは学校への道のりを歩いていた。 時折すれ違う人々が怪訝な顔で自分の方を振り向いていることになど微塵も気づいていない様子だ。 ( ^ω^)(テスト終わった後の土曜日って何でこんなにも清々しいのかお?) ( ^ω^)「そんなの知らないおー♪どーでもいいおー♪」 心で問い、声で答える自問自答。独唱は続く。 と ( ^ω^)「お」 気持ちよく歌っていたブーンの口を止めたのは、ポケットから発せられたわずかな振動。 その発生源を手に取り、開く。 ( ^ω^)(ドクオからメール?) 『熱でた休む』 (;^ω^)(おっおっ、偉く短い文が症状の深刻さを物語ってるお) ( ^ω^)「おーだーいじに。よくー寝てよーく食べてよく寝ーるんだおー。っと、これでおkだお」 ( ^ω^)「ふぅ」 ( ^ω^)(ドクオ……大丈夫かおね) ▼・ェ・▼ ( ^ω^)「お」 ▼・ェ・▼ ( ^ω^) ▼・ェ・▼ (*^ω^)(わんころだお!!) ▼・ェ・▼ (*^ω^) ▼・ェ・▼「ワゥン!」 (*^ω^)「あぉん!」 川 ゚ -゚)「大丈夫か?」 (;'A`)「ダメ」 布団の中でだるそうな表情を浮かべるドクオにクーが気遣いの言葉をかける。 その手には剥きかけのミカン。一房掴み取り、ドクオの口元へと運ぶ。 (;'A`)「あ、悪いな」 川 ゚ -゚)「お前は病人だ。気にすることはない」 (;'A`)「ん、おいしいな」 川 ゚ ー゚)「そうか」 ミカンを頬張り苦痛の色がいくらか和らいだのを見て、クーが微笑を浮かべる。 川 ゚ -゚)「では、もう一房」 (;'A`)「んむ」 (;'A`)「ん、うまい」 川 ゚ ー゚)「そうか」 川 ゚ -゚)「もう一房」 (;'A`)「あむ」 (;'A`)「げぷっ」 川 ゚ -゚)「もう一房」 (;'A`)「あ、あのクーさん?」 川 ゚ -゚)「ん、どうした。一房ずつでは物足りないか?」 (;'A`)「いや、ちがう。みかんもういい。もういいみかん」 川 ゚ -゚)「何だ、遠慮することはないのだぞ?」 (;'A`)「遠慮とかそういうんじゃなくて普通にもう喰えません。無理です。僕もう無理です」 川 ゚ -゚)「む……そうか」 どことなく残念そうな表情を浮かべ、手のひらの上に乗ったミカンを見つめるクー。 そのまま、自らの口元へとミカンを運ぶ。 川 ゚ -゚)「んむ」 (;'A`) 川 ゚ -゚)「うむ、美味いな」 (;'A`)「うん」 川 ゚ -゚)「今日は一日中寝ているつもりか?」 ミカンを次々と口へ運びながらクーが問う。 (;'A`)「だろうな。つーか動きたくても動けない」 そう弱音を吐くと、ドクオは大きく咳をした。 手で口を押さえる気力も残っていないのか、室内に痰の絡んだ咳の音が響く。 川 ゚ -゚)「そうか」 (;'A`)「ああ、つー訳で寝させてもらうわ。二時間くらいしたら起こしてくれ」 川 ゚ -゚)「ああ、わかった」 (;-A-)「じゃ、そういうことで……」 川 ゚ -゚)「ああ、おやすみ」 川 ゚ -゚) 川 ゚ -゚) ドクオが眠りについた後も相変わらずクーはミカンの房をもぎ、口へと運ぶ作業を続けていた。 室内に瑞々しい果実を咀嚼する音だけが響く。 川 ゚ -゚)(しかし、風邪とは大変だな) 川 ゚ -゚)(一日中寝てなければならないとは、どれほど辛いものなのだろう) 川 ゚ -゚)(うーむ) 川 ゚ -゚) 川 ゚ -゚)(……ん?) 川 ゚ -゚)(一日中寝ている……?) 川 ゚ -゚) 川 ゚ -゚)「一日中……か」 ξ゚△゚)ξ「あら、ブーンじゃない」 ( ^ω^)「おっ、ツン。おはよーだお」 学校の正門前でブーンに声をかけたのは、自転車に乗ったツンだった。 ブーンに少し遅れて挨拶を返すと、自転車から降り学校の敷地内へと共に歩みを進める。 校庭では既に野球部やサッカー部などが活動を始めているらしく、威勢のいい掛け声がブーン達の元まで響いてきていた。 二人はその声に耳を傾けながら駐輪所の方へと向かう。 ( ^ω^)「ドクオ熱出ちゃって今日は休むらしいお」 ξ゚△゚)ξ「ねーつー?」 ブーンの言葉にツンは顔を顰め不満気な声をあげる。 ξ゚△゚)ξ「全く、テストが終わってこれからって時に……タイミング悪いわねぇ」 ( ^ω^)「でもしょうがないお。風邪は人の都合なんてお構いなしにやってくる奴なんだお」 ξ゚△゚)ξ「体調管理をしっかりしないからよ。まぁ今日明日でしっかり治して月曜には復活できるようにしてもらいたいわね」 (;^ω^)「……ツンは相変わらず手厳しいお」 ξ゚△゚)ξ「で、ブーン。それはそうとさっきから気になってたんだけど」 ( ^ω^)「お、何だお?」 ξ゚△゚)ξ「……あんたの後ろにいる犬は何?」 そう言いながらツンは、ブーンの後ろで尻尾を振る野良犬を鋭い視線で睨み付ける。 ▼・ェ・▼「ワゥン!」 ξ;゚△゚)ξ「ひっ!」 しかしどうした訳か、野良犬がたった一声吼えただけでどすの利いた睨みはすっかり影をひそめてしまった。 (*^ω^)「おっおっ!さっき学校に来る途中にいたんだお!かわいいお!」 ξ;゚△゚)ξ「かわいいって……私はそういうこと言ってるんじゃなくて――」 ▼・ェ・▼「ワォウン!」 ξ;゚△゚)ξ「ひぃっ!!」 (*^ω^)「おっおっ。ツンもすっかり懐かれちゃったみたいだお」 ξ;゚△゚)ξ ▼・ェ・▼ ▼・ェ・▼「ワォワォン!!」 ξ;゚△゚)ξ「きゃああああああああああああああ湯sぢあびkう日kばおfぼあb!!!!!!!!!!」 (;^ω^)「ツン!どうしたんだお!!」 野良犬に吠え立てられたツンは、耳を劈くような金切り声をあげ後ろへと飛び退く。 その拍子に自転車は手元から離れ、派手な音とともに地面へと倒れる。 ▼・ェ・▼「アォーン!!」 ξ;゚△゚)ξ「いやあああああああああfびうえばjbふぃじぇぼかjbk!!!!!」 二度目の咆哮。 金切り声は更にその音量をあげ、青い美空に消えていく。 (;^ω^)「ツーン!!」 ξ;゚△゚)ξ「あびゃビス場緒bふぇおいがおbふぉあうげおgふぉえあう!!!!!!」 ▼・ェ・▼「アォアォーン!!」 飛び掛ってくる野良犬を視認するが早く、ツンは校庭の方へと一目散に逃げていく。 野良犬は一際大きく吼えた後、その後を追いかけて行った。 (;^ω^)「……ツン」 (;^ω^)「あんなに足速いなら、陸上やればいいのにお」 (;'A`) 目を覚ましたドクオの視界に映ったのは、自室の白い天井。 未だ重いまぶたを擦り、枕元に置いてあるはずの携帯を手探りで探す。 (;'A`)(ん、丁度いいな) 時刻を確認し携帯を元の場所へ戻すと、カラ、と言う氷の音が響く。 そこでようやく後頭部のひんやりとした感触に気づき、ドクオは再び目を瞑った。 (;-A-)「きもちいー」 しばらくの間、心地よい氷枕の揺れに身を委ねる。 (;-A-)「ふぃー」 (;-A-) (;'A`)(……喉渇いたな) 喉に走る痛みに気づき、咳き込む。 身を起こすと、テーブルの上に置かれたペットボトルが視界に入った。 (;'A`)「やっぱ、熱でた時はポカリだよね」 (;'A`)「……ん」 ペットボトルを手に取ると同時、テーブルの上に置かれた書置きを発見する。 蓋を開け、カラカラの喉へと水分を送り込みながら目を通していく。 『買い物に行ってきます! お昼過ぎくらいには戻れると思います! カーチャンより!!』 (;'A`)(なんで書置きがこんなに元気なんだよ……) 苦笑いを浮かべ、紙を置く。 (;'A`)「……ふぅー」 喉の渇きも癒え、ドクオは自分の体調が少しよくなっていることに気づいた。 朝感じた激しい頭痛も完全にではないが姿を消しつつあり、重かった足取りも随分と軽くなっている。 (;'A`)(この調子なら、もしかしたら今日中に治るかもしれんね) 嬉しいような悲しいような、そんな複雑な感情が頭の中で渦を巻く。 (;'A`)(まぁ、油断は禁物……かな) (;'A`) ベッドの上に乗り、窓から外を眺める。 眼下に広がるのは、のんびりとした町の風景。 (;'A`)「今日はいい天気だなー」 そのあまりの平和さに、声に出すつもりのなかったぼやきが思わずこぼれてしまう。 (;'A`) (;-A-) (;'A`)「……ん」 (;-A-) (;'A`)(何だろ。結構眠ったってのにまた眠気が……) (;-A-)「ふぁーあ」 (;-A-) (;-A-)(まぁ、いいか……もう少し……寝よう……) (;-A-) (;-A-) 「…………………」 (;-A-) 「…………ん……あ……」 (;-A-)「……ん」 「すい……ん……ここ……」 (;-A-) 「お……ない……ぁ」 (;-A-)(なんだ……) 「んー……困っ……なぁ」 (;-A-)(なんだ……この声) (;-A-) (;'A`) (*゚∀゚)「あ、起きた」 (;'A`) (*゚∀゚)「すいません、本当ならぐっすり眠ってるとこ起こしたくなかったんですけど」 (;'A`)「え……あ……」 (*゚∀゚)「えーっと、ここどこだか分かります?」 (;'A`)「あ……へ……?」 (*゚∀゚)「あへ?」 (;'A`)「え?いや……何が……え、ええ?」 (*゚∀゚)「あれれ、よくわかってないみたい」 (;'A`)「あ……あー……」 (*゚∀゚)「大丈夫ですか?何か思い出しました?」 (;'A`)「いや、うん……ごめん……ちょっと頭が回んない」 (*゚∀゚)「しょうがないですよ。私も最初そうでしたから」 (;'A`) 布団から軽く身を起こした状態で、呆けた顔のまま固まっているドクオ。 その虚ろな視線の先では、活発そうな少女がぶつぶつと何かを呟きながら部屋中を歩き回っている。 (*゚∀゚)「んー、ないなー」 (;'A`) (*゚∀゚)「こっちにもない」 (;'A`) (*゚∀゚)「むー」 (;'A`)「えっと……」 (*゚∀゚)「もしかしたら、こっちかな?」 (;'A`)「あのさ」 (*゚∀゚)「はい?何か思い出しました?」 壁を叩き、その反響に耳を澄ませながら少女が答える。 (;'A`)「さっきから何してるの?」 (*゚∀゚)「何って、隠し扉を探してるに決まってるじゃないですか」 (;'A`)「隠し扉?」 (*゚∀゚)「この部屋トイレとか台所はあるのに出入り口が一つもないんです」 思うような成果が得られなかったのか、少女は首を傾げながら続ける。 (*゚∀゚)「だからどこかに隠し扉があって、犯人はそこから私達をこの部屋に連れ込んだんじゃないかなと思ったんですけど……」 (;'A`)「犯人?」 (*゚∀゚)「はい、犯人です。きっと、私達誘拐されちゃったんですよ」 そうサラリと言ってのける少女の顔に不安や恐怖と言った感情は見られない。 むしろこの状況を楽しんでいるのではないか、ドクオにはそうとさえ思えた。 (*゚∀゚)「んー、あと調べてないところと言うと……やっぱトイレかなぁ」 (;'A`) (*゚∀゚)「いや、台所の流しもちょっと怪しいかな?」 (;'A`)(あー) (*゚∀゚)「でも、どっちも汚いからあんまり触りたくないしなぁ」 (;'A`) (;'A`)(面倒なことになってんなぁ……) 頭をポリポリと掻きながら、ドクオは未だ万全でない思考回路を無理矢理に働かせる。 (;'A`)(さて、どうするか) (*゚∀゚)「んー、どうしよう」 (;'A`)(んー) (*゚∀゚)「んー」 (;'A`)(んーー) (*゚∀゚)「んーー」 (;'A`)(んーーー) (*゚∀゚)「んーーー」 (;'A`)(とりあえずテレビつけるか) (*゚∀゚)「とりあえずテレビでも見ようかな」 (;'A`)「え?」 (*゚∀゚)「ん?」 ――――――――現実―――――――― (*゚ -゚) 無愛想な少女が一人、人気のない道を歩いている。 顔は真っ直ぐ前を向き、歩幅は一定。 全くそつがない一連の動きの中で、ビー玉のように透き通るつぶらな瞳だけが、キョロキョロとせわしなく動き回っている。 (*゚ -゚)(そういえば、ここら辺の景色を見るのは初めてだな) 風に揺れる洗濯物、どこからか聞こえる掃除機の音、鼻をくすぐる太陽の匂い。 持ち得る感覚を全て用いて堪能する町の風景に自然と鼓動は高鳴っていく。 (*゚ -゚) ふと立ち止まり、視線を上げる。 (*゚ -゚)(……猫) そこにいたのは塀の上で丸くなった一匹の猫。 先ほどまで昼寝をしていたのだろうか、重そうな瞼が緩慢な動作で上下を繰り返しており、虚ろな瞳がクーの姿をぼんやりと眺めていた。 (*゚ -゚) 恐る恐る近づき、手を伸ばす。 黒い毛に覆われた喉を撫でると、猫は気持ちよさそうに目を瞑り、滑らかな指先にその身を委ねる。 (*゚ ー゚)(あったかい) (*゚ ー゚) 何気ない所作によって形作られる、やわらかなひととき。 黒猫が大きく口を開いてあくびをし、クーはそれを見てまた一つ微笑む。 (*゚ ー゚)「……ふふ」 不思議と人通りはなく、塀に囲まれた舗道の上に一人と一匹だけの特別な空間が出来上がっていた。 (*゚ -゚)「……む」 と、突然その空間に水をさすかのように、カコン、と空き缶を蹴り飛ばしたような音がどこからか響く。 クーは喉を撫でる手をそのままに顔だけを動かし、その音源を探す。 視界に映ったのは一つの公園。 そして ミ,,゚Д゚彡 土色に汚れたユニフォームを身に纏う少年がそこにいた。 (*゚ -゚) 遠くからでは何をしているかまでは確認できなかったが、とにかくその少年が先ほどの音と関係していることは確からしかった。 (*゚ -゚) 何となく、本当にただ何となく、クーはその少年に興味を惹かれた。 汚れたユニフォームに身を包んでいるという所に目を惹かれたのかもしれない。 もしくは、ただ単に少年が何をしているのかを知りたかっただけなのかもしれない。 気づけば、黒猫の喉を撫でていた手の動きが止まっていた。 (*゚ ー゚) せがむ様な視線に気づき、クーは手の動きを再開させる。 黒猫は満足そうな表情で喉を鳴らす。 (*゚ ー゚)「よしよし」 しばらくその動きを続けた後、最後に頭を揉み解すように撫で回し、そのまま猫を寝かしつける。 幸せそうな寝顔を見つめそっと微笑むと、先程見つけた興味の対象へと向けゆっくりと歩き始めた。 ξ゚△゚)ξ「全く、犬なんか連れてきて……」 (;^ω^) ξ゚△゚)ξ「学校に犬は入れちゃダメって分かってたはずでしょ?」 (;^ω^)「別に学校まで連れて来る気はなかったんだお。ただちょっとかわいかったから触っただけで……」 ξ゚△゚)ξ「あんたに連れて来る気がなくても犬は勝手に勘違いしちゃうものなの。そんなことも分からなかったの?」 (;^ω^)「あう……」 ξ゚△゚)ξ「ったく……で?ちゃんと学校の外まで連れて行ったんでしょうね?」 (;^ω^)「そ、そこら辺はぬかりないお!ちゃんと学校の外まで僕が責任を持って連れて行ったお」 ξ゚△゚)ξ「学校の外と言ってもすぐ戻ってきちゃいそうな距離じゃ意味ないのよ?」 (;^ω^)「うっ……多分、大丈夫だと思うお」 ξ゚△゚)ξ「本当にー?」 (;^ω^)「ほ、本当だお!」 ξ゚△゚)ξ (;^ω^) ξ゚△゚)ξ「……まぁいいわ。とりあえずあんたは練習始めちゃいなさい」 (;^ω^)「おっ」 ξ゚△゚)ξ「何ボケッとしてんの。ただでさえ練習開始の時間が遅れてるんだからさっさと始めなさい」 ( ^ω^)「……おっ!行ってくるお!」 ξ゚△゚)ξ ξ゚△゚)ξ(ちょっと強く言い過ぎたかな……) ξ゚△゚)ξ(気をつけようとは思うんだけど、なかなか出来ないのよねぇ) ξ゚△゚)ξ「はぁ」 ξ゚△゚)ξ(まぁあいつがもっとしっかりしてくれれば、こんなこと悩む必要もないんだけど) ▼・ェ・▼ ξ゚△゚)ξ「全く――」 ▼・ェ・▼ ξ゚△゚)ξ ▼・ェ・▼ ξ;゚△゚)ξ ▼・ェ・▼「ワォξ;゚△゚)ξ「b台絵おいアホ胃hフォアb後場緒gヴぉあヴぉヴぇお!!!!!!!!!!!!!!1」 照りつける陽射しの下、対峙する少年と空き缶。 穏やかな風が吹き抜け、少年の後ろ髪が揺れる。 しばらくの間を置いて後、静止を保っていた空間がその均衡を崩し始める。 ミ,,゚Д゚彡 落ち着きある動きで、少年が両腕を振り被り、左足を下げる。 日中の乾いた空気に舞い上がる砂埃。 ミ,,゚Д゚彡 鋭い視線を十数メートル先に置かれた空き缶へと突き刺したまま。 右足を軸に身体を捻り、引いた左足を振り上げ、両腕は顔の前に。 一度は掻き消えたはずの固定された空間が再び形成され始める。 漂うは、静寂と緊張した空気。 しかし、その完成はならない。 ミ,,゚Д゚彡「……っ!」 一点に収束していたその身を大きく広げ、思い切り振り切った右腕が空を掻く。 追いかけるように振りあがり、大きく弧を描く右脚。 新たな砂塵が、舞い上がった。 ミ,,゚Д゚彡「あー」 目標を穿つことなく茂みの中へと消えていったボールを目で追い、少年は悔しそうにため息を漏らす。 小さく聳え立つ空き缶は、先程と変わらず何の動きも見せないまま、ただその場に屹立していた。 ミ,,゚Д゚彡「ちょっと力みすぎたか……」 スパイクで地面を削りながら、一人ぼやく。 削られた地面は、吹き抜ける風に流されどこかへと消えていく。 グローブに拳を当て感触を確かめると、少年はボールが消えていった茂みの方へと歩きだす。 (*゚ -゚) そんな一連の流れを、クーはブランコの上から興味深そうに眺めていた。 小さく揺れ動くブランコから錆びた鎖の軋む音が響いている。 (*゚ -゚)「ふむ」 顎に手を当て呟く。 (*゚ -゚)(あの缶にボールを当てようとしていたのか) 遠くにある小さな空き缶を見据える。 少年が球を放った場所からは随分と離れた場所からの黙視。 (*゚ -゚) 一拍おき、クーはそっと立ち上がった。 ミ,,゚Д゚彡 茂みの中に手を突っ込み、ボールを探す少年。 ガサガサと掻き分けられた草木が音を立てる。 ミ,,゚Д゚彡(どうも安定しないなぁ) 目では確かにボールを探してはいたものの、少年の頭の中は次の投球のことで一杯だった、 振り被り、腕を振るう自分の姿。何度もイメージし、これではダメだ、あれではダメだ、と試行錯誤を繰り返す。 ミ,,゚Д゚彡(少しボールを長く持ちすぎたかな……次はもう少し楽に投げてみるか) 一応の結論がついたところで、少年は土を被り少し汚れた白球をその目に認めた。 手に取り、ユニフォームの裾で軽く汚れを落とす。 ミ,,゚Д゚彡「ん?」 と、ボールの汚れが一通り落ちたところで、少年の耳にカコン、と言う聞き慣れた音が響く。 不思議そうに後ろを振り返ると ミ,,゚Д゚彡「へ?」 そこにあったのは地面に倒れコロコロと転がる空き缶の姿。 そして (*゚ -゚)「おお、当たった」 遥か遠くで無表情のまま、喜びを露わにする少女の姿だった。 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
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