2006/12/24(日)17:14
( ^ω^)ブーンはユメクイのようです(第二話前)
17 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:29:38.88 ID:YgJwQrnO0
第二話 「子供」
僕はまた、あの動作を繰り返していた。開けたら閉める。長年続けてきて染み付いた行動。閉じられた黄色い扉はまた、すうっ、と砂のように溶けて消えてしまった。
そして顔を上げる。僕の目の前に広がる空間は思っていたより平凡なものだった。
茶色いフローリングの床に、ベージュ色の壁。そしてその天井には蛍光灯がぶら下がっていた。
ただ、床にはたくさんのものが散乱していた。
熊のような姿をしたぬいぐるみに、銀色にピカピカに輝く車のような模型。
雑然と積み重なった積み木に、それを囲うようかの如くに走る小さな線路とその上を走る小さな電車。
プラスチックで出来た赤い剣。そしてそれに対を成すかのような青い銃。
そこに幾つあるのか数え切れないくらいの玩具が散りばめられていた。
19 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:30:08.32 ID:YgJwQrnO0
その光景にあっけに取られていたが、僕は、ふと、腕を引っ張られる感触に気づいた。
_
( ゚∀゚)「………」
下を見てみると、僕の背丈の半分くらいだろうか?まんまるな瞳をもった小さな子供が、僕のシャツの袖を引っ張りながら無言でこちらに微笑みかけていた。
( ^ω^)「………え?」
突然現れた少年、と言うには幼い彼に少し驚きつつも、僕はしゃがみこみ、目線を彼に合わせてこう聞いた。
( ^ω^)「…きみ、お名前は?おかあさんはどこだお?」
_
( ゚∀゚)「………」
20 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:31:01.78 ID:YgJwQrnO0
しかし、彼はこちらを微笑んだまま、何も喋ろうとしない。僕は、その後も色々と質問を投げかけたが、彼は黙ったままであった。仕方が無かったので色々聞くのは諦め、こう語りかける。
( ^ω^)「…う~ん…
あっ…そうそう、僕はブーンって言うんだお」
_
( ゚∀゚)「…ぶぅん…?」
彼は、不思議そうに首を傾けつつこう言った。
(;^ω^)「そう、ブーンだお!……やっと喋ってくれたお」
ようやく、初めて言葉を発してくれた彼を見て僕は安心した。子供の相手はなんだか疲れる。
21 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:31:33.60 ID:YgJwQrnO0
( ゚∀゚)「…ねえ、ぶぅんおにいちゃん…あそぼ?」
(;^ω^)「…おっ?」
_ ∩
( ゚∀゚)彡「あそぼ!あそぼ!」
彼は、左手を振り上げながらそう繰り返した。
(;^ω^)「…ちょっ!!…ちょっ…待つお!!」
彼は僕のいう事にも気にせずそのまま袖を引っ張り、部屋の中を駆け出していく。そして、彼はその一角の前でしゃがみこみ、床に手を伸ばす。そして、その手にはブリキで出来たロボットが握られていた。
22 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:32:11.66 ID:YgJwQrnO0
_ ∩
( ゚∀゚)彡「おっぱいロボ!!おっぱいロボ!!」
そして、彼はそのロボットを持った手を上下に振りつつ、はしゃぎだす。どうやら、そのブリキで出来た物体は『おっぱいロボ』というらしい。
_
( ゚∀゚)「おっぱいミサイル!!」
そう叫ぶと、彼はロボットの背中にある出っ張りを、カチッと押した。すると、そのロボットの二つに膨らんでいた胸部が、宙を舞う。そしてその破片はブーンの腹に、こつり、と当たった。
23 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:32:44.77 ID:YgJwQrnO0
(;^ω^)「………おっ?」
_
( ゚∀゚)「………」
_
( ゚∀゚)「………ウッ…ウウッ…」
_, ,_
( `Д´)「ヤダヤダ―――ッぁwせdrftgyふじこ!!」
僕は、咄嗟の出来事に何の反応も出来なかった。何にも反応しない僕を見た彼は床に寝転がり、手足をじたばたさせて暴れ始める。なにやら叫んでいるが、その言葉は聞き取れない。その目には涙がうっすら浮かんでいるようだった。
24 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:33:18.73 ID:YgJwQrnO0
それを見て慌てた僕は、慌ててこう切り出す。
(;^ω^)「ちょっ!暴れないでお!!……イタッ!!イタタッ!」
彼にそう諭し、近づいて止めようとしても一向に泣き止まない。彼のじたばたさせた手足が体に当たって痛い。
(;^ω^)「……わっ、分かったから泣き止むお。ブーンおにいちゃんとあそぼう。ねっ?ねっ?」
_
( ゚∀゚)「………」
そういうや否や、彼はピタリと動きを止め、こちらを見て微笑みかけていた。…まったく、この子の親の教育はどうなってるんだろうか。
25 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:33:57.95 ID:YgJwQrnO0
( ^ω^)「がお~~っ!!かいじゅうブーンだぞ~。この街をたべつくしてやる~っ!」
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( ゚∀゚)「でたな~かいじゅうぶぅん!!このおっぱいロボがやっつけてやる~っ!!」
僕は両手を上に挙げ、脚をガニ股にして、ゆっくりと小さな正義の味方に歩み寄っていた。何をやってるんだ僕は。
_
( ゚∀゚)「おっぱいパ~ンチ!!」
( ^ω^)「ぶべらっ!!」
_
( ゚∀゚)「おっぱいキ~ック!!」
( ^ω^)「はべらっ!!」
_
( ゚∀゚)「おっぱい×字拳!!」
(;^ω^)「ちょっwwwマニアックなwww…もぐらっ!!」
_
( ゚∀゚)「とどめだ~っ!!おっぱいミサイル!!」
(;^ω^)「ぎゃああああああああ!!!や~ら~れ~た~」
26 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:34:32.81 ID:YgJwQrnO0
そう言うと僕は、へなへなと倒れこみ目を閉じた。そして片方だけ薄目で彼の方をちらっと見てみる。
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( ゚∀゚)「………」
彼は、まじまじと僕の顔を覗き込む。その瞳は純粋さをその目にそのまま封じ込めたように、きらきらと輝いていた。
僕は、ふと、イジワルな考えを思い浮かべた。そのまま僕は動かないようにする。
_
( ゚∀゚)「………ぶぅん…おにいちゃん?」
( ^ω`)「………」
それでも僕は動かない。
_
( ゚∀゚)「…ねえ?ぶぅんおにいちゃんったら。ねえ!ねえってば!!」
( ^ω`)「………」
彼は僕の体を激しく揺さぶる。でも、僕はそれでも応じない。
27 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:35:06.14 ID:YgJwQrnO0
( ゚∀゚)「……ぼくのこうげきが、いたかったの!?ねえ!ぶぅんおにいちゃん!?」
( ^ω`)「………」
彼の表情はゆっくりと曇り始める。その目には再び、キラリと光るものがあった。
これ以上はマズイか、と思った僕は、
( ^ω^)「ブーンはふっかつのじゅもんをとなえた!!なんとブーンはいきかえった!!」
と叫び、ばっ、と立ち上がる。そして、右手を天に突き上げ、その先の人差し指だけ伸ばす。
左手は腰にやり、両足を肩幅くらいに広げポーズをとった。
( ^ω^)「………」
_
( ゚∀゚)「………」
28 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:35:42.19 ID:YgJwQrnO0
_, ,_
( `Д´)「おにいちゃ~~~ん!!」
彼はそう叫ぶと僕に抱きついてきた。突然のことにびっくりしつつも、僕はゆっくりと彼を抱きかかえる。
_, ,_
( `Д´)「ぼく、びっくりしちゃったんだから!!ぶぅんおにいちゃんがしんじゃったって!!
またひとりになっちゃうんだって!!うああああああああん!!!」
( ^ω^)「だいじょうぶだお。おにいちゃんはどこにも行かないお。
だから泣き止むんだお。男の子だお?」
僕は彼を抱く腕の力を強め、慰めるかのように答えた。
29 名前:猪(過敏)[] 投稿日:2006/12/21(木) 19:36:23.43 ID:YgJwQrnO0
暫く時が経ち、ようやく彼は落ち着いたようだ。再びブーンに屈託のない笑顔を向け、
_ ∩
( ゚∀゚)彡「あそぼ!あそぼ!」
と先ほどのように、腕を振り上げている。
その後僕たちは、色々なおもちゃを使って遊んだ。
積み木とブロックで大きなお城を作ったり、それを誤って崩してしまい彼に怒られたり、
僕が銀色に輝く車を、彼が赤色に輝く車を使ってレースをしたり、
僕がが四つんばいになって、その上に彼を乗せ走ってみたり、
_ ∩
( ゚∀゚)彡つ
⊂二二二( ^ω^)二⊃ ブーン
と彼を背にのせて走ったり、と、思いつく限りの遊びを彼と一緒に楽しんだ。