第八話第八話 「三感」 ――――――――夢―――――――― (;´・ω∨`)「こんな能力が使えたとは……油断した」 ('A`)「ふふふ、まんまと罠にはまってくれて助かったよ」 コタツの上に立ち笑みを浮かべる少年と跪き悔しさをその表情に浮かべる少年。 現実世界で授業が始まった頃、ドクオ達は夢の中にいた。 文字通り見下される形となったショボン。その口元からはギリギリと歯軋りの音が聞こえる。 ('A`)「まぁこのまま大人しくしていてくれれば君に危害を加えるつもりはない。 安心してくれたまえ」 (;´・ω∨`)「くっ……」 何故このような状況になっているのか。 話は十分程前に遡る。 (;´・ω∨`)「!?」 振り下ろしたはずの小太刀。 それが一瞬にして自らの手元から姿を消した。 (;´・ω∨`)「…………」 そのままの姿勢で辺りを見回す。 目に入って来るのはコタツ、テレビ、黒電話。 (;´・ω∨`)「……なんだここは」 さっきまで見えていたはずの青空は木張りの天井へ硬いコンクリートの床は畳へとその姿を変えていた。 いつのまにか履いていたはずのシューズも消え去り、素足に畳の冷たさが直に染み入る。 ふと、何かの気配。 (;´・ω∨`)「!!」 (;´・ω∨`)「き、貴様!これが貴様の能力か!?」 横たわる体を無理矢理に起こし乱暴に揺する。 閉じていた目が微かに開くがそれを拒むかのように再び閉じる。 暗闇。 目には何も映らない。いや、意図的に映そうとしていないと言うべきか。 (;-A-)(んー、どうしよう……) 体にかかる不快感。 一刻も早く取り除きたいのだがそうもいかない。 ドクオはこの状況をどう説明するか悩んでいた。 (;-A-)(正直に説明するってのもなぁ) もし今目を開き、一から全てこの状況を説明すれば おそらくこの狂人は先程と同じような暴力でここから出すよう脅すだろう。 (;-A-)(弱気に出るとまずいことになりそうだな……ここは優位に立っておかないと。 しょうがない、こいつに合わせるってのは癪だがそうも言ってられないしな) 決心し、目を開く。 ('A`)「ククク、どうだ?この俺の中の居心地は?」 (;´・ω∨`)「俺の中……だと?」 ('A`)「ああ、そうさ。今お前の精神はこの俺の中にある」 (;´・ω∨`)「俺の……精神?」 ('A`)「信じられないか?ならばその証拠を見せてやる」 リモコンを手に取りテレビをつける。 映し出されたのは (;´・ω∨`)「しぃ先生!?何故しぃ先生がテレビに……」 ('A`)「まだ分からないか?この映像がどうやって映し出されているのか」 (;´・ω∨`)「……!?ま、まさか……」 口の端を吊り上げ、ニヤリと笑う。 ('A`)「そう……そのまさかさ」 ('A`)「これは君の(;´・ω∨`)「隠しカメラか!?」 ('A`)「違うよ。全然違うよ」 ('A`)「……今俺の中のヤツが君の体を乗っ取っている」 (;´・ω∨`)「な、なんだってー!!」 ('A`)「で、ここに映ってるのがそいつが見てる景色。 つまり君の本体の目がカメラのようになってここに映像を送ってるわけだ」 (;´・ω∨`)「それが……貴様の能力か」 何も言わずコタツの上へ上るドクオ。 ('A`)「クックック、そう……これが俺の能力。 俺の体が眠りに付くのを代償に俺の中のもう一人の人格クーが相手の体を乗っ取る」 ('A`)「『ハイジャックボディー』それが俺の能力の名前だ」 (;´・ω∨`)「『ハイジャックボディー』……だと」 ('A`)(やべぇ……結構楽しいぞこれ) コタツの上で誇らしげに腕を組み佇むドクオ。 その下で自らの敗北を悟り苦い顔で跪くショボン。 場面は再びこの話の冒頭へと戻る。 (´・ω∨`)「目的は何だ?」 ('A`)「目的……か、それは俺にもわからんな」 (´・ω∨`)「わからないだと?」 ('A`)「この能力は俺に制御できる代物ではなくてね。 大半の場合はあいつが勝手に行動を起こす」 コタツから下りテレビの方へと歩を進める。 ('A`)「つまり、君が知りたい目的とやらは」 いつもの授業風景が映るブラウン管をコツコツと叩き、そして ('A`)「こいつにしか分からない」 ――――――――現実―――――――― 从'ー'从「えーっと、じゃあここは兄者君に読んでもらおうかな」 ( ´_ゝ`)「I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes」 从'ー'从「うん!いい発音だねー。じゃあ訳はブーン君に頼もうかなー」 (;^ω^)「おっ!?」 从'ー'从「どうしたのー?まさか聞いてなかったなんて言わないわよねー?」 (;^ω^)「そ、そんなことないですお。 えーっと、その時トムの体からこの世の物とは思えない生物が」 从'ー'从「はい、ちがーう!!聞いてなかったなら聞いてないで正直に言わないとダメだぞー?」 (;^ω^)「うっ、すみませんお……」 無意識の内に視線が泳ぐ。 行き着く先は ξ゚△゚)ξ (;^ω^) ξ △ )ξ ( ´ω`) ――― ―― ― キンコンカンコン ( ´ω`)「おっ?」 まるで早送りしたかのように時は流れ、気づけばもう放課後。 周りを見ると皆それぞれ慌しく動き回っている。 ( ´ω`)「もうこんな時間かお……」 (;^ω^)「そうだ!ツンのとこに行かないと!!」 思い出し、立ち上がる。が、そのまま硬直。 言葉とは裏腹に下半身は正常に機能を果たしてくれない。 それでも尚力を入れ、ようやく一歩踏み出す。 しかし、後ろからその足を止める声。 ノハ*゚△゚)「おーいブーン!今日陸上部の練習見に行ってもいいか!? 今日剣道部休みだから暇なんだ!!」 (;^ω^)「おっ!?ヒ……ヒート」 ノハ*゚△゚)「私達室内の部活だから外の部活ってどんなのかあんまり知らなくてさ。 ちょっと興味あるんだよね!走ってるとことか見てみたいし!」 (;^ω^)「ヒート、ちょっと今は……」 ノハ*゚△゚)「な!?いいだろ!?別に参加させてっていってる訳じゃないんだしさ!」 (;´ω`)(あうあう……ツンが……ツンが行っちゃうお) シュン 風を裂くような音と共に現れたのは茶色の光線。 目の前の少女の肩上を通り真っ直ぐこちらを向いている。 その光源には (;´ω`)「ショ、ショボン君!?」 光線の正体は木製の小太刀。 その切っ先は確かにこちらを睨み付けてはいるが それを操るショボン(クー)の右目は他の何者も見えていないかのようにヒートを見ている。 ノパ△゚)「……何のつもり?」 顔はそのまま目だけを動かし、ヒートが尋ねる。 (´゚ω∨`)「私と勝負しろ」 ノパ△゚)「勝負って?神経衰弱ならもうごめんだよ。 あんた強すぎるから勝負にならないんだもん」 今度は体ごと向け答える。 光線は未だにその形を崩さない。 ノパ△゚)「……何?まさか、剣道で勝負とか言うんじゃないだろうな?」 (´゚ω∨`) ノパ△゚)「もう二重人格ごっこは卒業したら? そんなことしたって強くなるわけじゃないんだし……」 (´゚ω∨`) 片眼の奥の奥。黒の中の黒。 前までのショボンからは感じ取れなかった何か。 それが、瞳の奥深くでその存在を強く主張していた。 ノパ△゚)「……と、思ったけど今回は何か違うみたいだな」 フン、と鼻で笑い歩き出す。 向かう先は ノパ△゚)「とは言っても剣の腕が上がったとは思えない。 あんた相手なら箒一本で十分だ!!」 (;^ω^)「何だかよく分からないけど行くなら今のうち……かお?」 それぞれの武器を手に持ち対峙する二人。 教室に残っていた生徒達が期待と不安の入り混じった表情でそれを見つめている。 そして一番の目的であるツンは (;^ω^)「ツン!」 丁度荷物を整え下校しようかとしている所を間一髪のところで引き止める。 (;^ω^)「待ってくれお!ちょっと話したいことがあるんだお!!」 首だけがこちらを向き、空虚な顔が現れる。 ξ゚△゚)ξ「…………」 (;^ω^)「何でツンは僕を避けるのかお?僕が何か悪いことしたかお?」 ξ゚△゚)ξ「……別に避けてないわよ」 (;^ω^)「だったら何でいつもと同じように話してくれないんだお!? 何でいつもと同じように接してくれないんだお!?」 ξ゚△゚)ξ「話すことがないから。接する理由がないから。ただそれだけよ、わかった? わかったなら私もう帰るから」 (;^ω^)「そうはいかないお!ちゃんとした理由を聞くまで今日は帰さないお!!」 ノパ△゚)「あんた、構え変えたの? 正眼の構えは普通すぎるってあんなに嫌がってたのに」 自分と同じ構えで立ちはだかるクー。 相変わらず口を閉じたまま微動だにしない。 ノパ△゚)「まぁ構えが変わったところでいきなり強くなるわけ――」 ノハ;゚△゚)「!?」 瞬間、飛び掛ってくる敵。 上から降り注ぐ斬撃にすかさず反応する。 ノハ;゚△゚)「あんた!人が!話してる!最中に!」 縦、横、斜め、あらゆる方向からの剣撃に防戦一方のヒート。 それは面胴小手とは分類しようにも出来ないような滅茶苦茶な攻撃。 ノハ;゚△゚)(もう少し長い箒にしとけばよかった) 箒と言う武器に悪戦苦闘しているヒートにとって防御から攻撃に転じるのは至難の業。 だが、所詮は素人の攻撃。隙が出来るまでにそう時間はかからなかった。 ノハ;゚△゚)「構えが変わったらいきなり下手糞になったんじゃないの!? こんな攻撃犬でもかわせる、ぜ!!」 骨まで一刀両断するかのような大根切り。 大振り特有のためを見逃すことなく、その隙に右方向へと離脱。 ノハ;゚△゚)「はぁはぁ、先が硬ければ今ので勝てたんだけどなぁ」 箒の先端を毟り取りながらぼやく。 さすがに疲れたのか息が切れ、額には汗が滲んでいた。 (´゚ω∨`) それを汗一つかかず見つめる片眼の少年。 距離を置いても尚その構えを崩さない。 ノパ△゚)「まぁこの程度の実力に落ちぶれたって言うなら私の負けはないだろうな。 もしかしたら下段の方が強いんじゃないの?元に戻してみたら?ショボン」 言ってから微笑。 そして言い直す。 ノパ△゚)「ふふ、今はシャキン……だっけか?」 ――――――――夢―――――――― ('A`)「ヒートもその眼のこと知ってるのか?」 テレビの前に座り繰り出す剣を悉く防がれる様を見ていた二人。 勝負に区切りが付きドクオがショボンへ疑問を投げかける。 (´・ω∨`)「……ああ、一応な」 あまり言いたくなかったのだろう。 目線をそらし、小声が口から漏れ出るように聞こえた。 ('A`)「やっぱり、さっきみたいなことをしたのか?」 これもまた言いたくはないのだろう。 口元がモゴモゴと動き、言おうか言わまいか決断しかねている様子。 やがて、その動きが止まり (´・ω∨`)「俺が剣道部に入り初めてあいつと試合をした時、あいつは俺のことを笑いやがった」 吐き捨てるように言い放つ。 やはりその目はドクオの方を向こうとはしない。 (#´・ω∨`)「もう一つの人格なんてあるわけないだろ、なんて言ってこの俺をコケにしやがったんだ!!」 今まで押し殺していた感情を一気に爆発させたかのような声。 どこを見るともなく放っておかれた視線は突然にその目標を定めた。 (´・ω∨`)「……それから俺は他の奴等にこのことを話すのをやめた。 いつか俺と同じタイプの人間が現れることを信じ、そのときを待った」 (´・ω∨`)「そして、貴様が現れた」 眼でその意思を表すのでは飽き足らないのか、ドクオを指差し言い放つ。 (´・ω∨`)「貴様の一挙一動に俺と近しいものを感じた。 いや、一目見た時からすでにわかっていたのかもしれない」 (´・ω∨`)「貴様が能力者だということがな!!」 先程とは種類の違う叫び声。 少し反り返った人差し指が未だにこちらを見続けている。 ('A`)(傍から見たら俺はこいつと同類ってことなのかな……欝だ) ('A`)「で、あんたの能力ってのは単に右眼か左眼で人格が変わるだけなのか?」 半ば呆れ気味に聞く。 結果は既に分かりきっているようなものなのだから。 (´・ω∨`)「ふん……そんなはずあるまい。 このまま何も出来ない雑魚と思われるのも癪だからな、不本意だが特別に見せてやる」 (´・ω∨`)「この俺が右眼を解放したときにだけ使える技……その目にしかと焼き付けろ!!」 ――――――――現実―――――――― ノハ;゚△゚)「は!?」 口を大きく開き驚嘆の声を上げるヒートの視線の先。 真っ直ぐ自分の喉元を狙うように突き出されていたはずの小太刀が ゆっくりと動き出し、そして ノハ;゚△゚)「あんた……今度は居合いでもするつもり?」 半円を描きながらクーの腰元へと納まる。 左手を鯉口代わりに右足を前に突き出し、ゆっくりと腰を落とし右手を柄へと当てる。 その緩慢な動作の中、右眼だけが静かに猛る闘志をヒートに向け発し続けていた。 ノハ;゚△゚)「普通の戦い方じゃ勝てないと分かったら結局はカッコつけに戻る、か……」 ノパ△゚)「ガッカリだぜ」 構えを崩し、わざと聞こえるようにため息をつく。 ノパ△゚)「所詮あんたはその程度ってことか。 そんなんじゃいつまで経っても私には――」 ノハ;゚△゚)「なっ!?」 それは油断。 卑怯と言ってしまえばその一言で尽きてしまう出来事。 構えを解いたヒートに向けた突進。 どっしりと相手の攻撃を待っているように見えた構えはその予想を嘲笑うかのように一瞬にして崩れ去った。 慌てて手に持った頼りない武器を構え 防御の体制を ノハ;゚△゚)「くそ!間に合わ――」 ξ゚△゚)ξ「話すことなんて何もないって言ってるでしょ!離してよ!」 (;^ω^)「ダメだお!本当のこと話してくれるまでは絶対に離さないお!!」 帰らせまいと意地でも離さないブーン。何もないと言い意地でも話さないツン。 それぞれの目的のため互いに意地を張り合う。 ξ゚△゚)ξ「何度言ったらわかるの!? あんたに話すことは何もないのよ!!離して!!」 (;^ω^)「何度言われても嫌なものは嫌だお!! 絶対に!何があっても!本当のことを聞――」 衝撃。 そして、目の前に広がる白一色。 ( ゚ ω゚ )「あんぎゃああああああああああああああ!!!!」 目の中で爆発が起きたかのように明滅する視界。 さっきまで広がっていた白銀の世界が爆発の中消え去る。 入れ替わるように現れたのは ξ;゚△゚)ξ「ブ、ブーン!!しっかりして!!」 ( ´ω`)「ツン……そんな顔しちゃダメだお……ツンには……笑顔が一番……」 ξ;゚△゚)ξ「ブーン!?ちょっ……ブ……」 不安な表情。一番見たくなかったその顔を見ながら、ブーンの意識は途切れた。 ノハ;-△-)「……?」 防ぎきれない斬撃に覚悟を決め、目を瞑りその時を待っていたヒート。 だが、いつまで経ってもその時は訪れない。 恐る恐る目を開く。 ノハ;゚△゚)「!?」 その先には何事もなかったかのように佇む敵の姿。 ただ、さっきまで鋭く自分を睨み付けていた右眼が今は見る影もなくチラチラと行ったり来たりを繰り返している。 その目の動きを追うと ノハ;゚△゚)「ブーン!?」 横たわる少年とそれを抱きかかえ必死に呼びかける少女。 その傍らには、先程まで対峙していたはずの茶色の小太刀。 ノハ;゚△゚)「あ、あんた……」 ようやく事情を飲み込めた。 うろたえるクーを見つめ、苦笑い。 (;´゚ω∨`)(くそ!早く出ろ!!) 意識を集中させ夢の中へと呼びかける。 「うひゃひゃひゃwwwwはいもしもーしwwww」 不快な笑い声が頭の中に響き渡る。 (;´゚ω∨`)(何だその笑い声は?) 「いやね、ちょっとおもすれーことが立て続けに起こっちゃってさwwww まぁ一つは言わなくても分かるだろうけどwwwww」 (;´゚ω∨`)(木刀がすっぽ抜けたのがそんなに面白いか?) 「やっぱりわかったかwwwwサーセンwwwww」 止まない不快音に苛立つクー。 (;´゚ω∨`)(それ以上笑うようだったら後でどうなるかわかってるだろうな?) 「ごめん」 「で、用件はなんだ?もう戻るのか?」 (;´゚ω∨`)(勝負をこのままにして戻れるわけがないだろう) 「ならどうする?素手で戦うってわけにもいかないだろ」 少し間を置き (;´゚ω∨`)(こいつは何か他に能力を持ってないのか?) 「へ?」 (;´゚ω∨`)(屋上で見せたような技だ!あれの他に今使えるような技はないのか?) 「ああ、そういうことか」 しばしの沈黙。 そして、何かをこらえるような空気の抜ける音。 「ならとっておきのがあるそうだ。 今からヤツに詳細を聞いてそのままそれを伝達する。少し待っててくれ」 ノパ△゚)「あんた、まだ降参しないの?」 丸腰で立ち尽くしているクーに問いかける。 せわしなく動いていた瞳も今は一点にとどまり随分と落ち着いた様子だ。 ノパ△゚)「もういいでしょ?私だってあんたに怪我させたくないし」 返事はない。 と、無反応だった体が不意に動きだす。 ノパ△゚)「?」 所在無くぶら下がっていた右手。 空を掻き、丁度顔の位置でその動きを止める。 (´゚ω∨`)「ハッ!」 蛮声と共に左手が右腕を捕える。 震えだす両の手。互いに共鳴しあい、振動はその範囲を広げていく。 ノハ;゚△゚)「今度は何……」 (´゚ω∨`)「我望むは灼熱の業火、咎人を焼き尽くす断罪の炎。 今こそ我が右手に宿りて、罪深き者を滅せよ!!」 (´゚ω∨`)「サルトリィィィィィジャッジメントォォォォォ!!!!!」 無音。 咆哮の後に残ったのは深閑とした教室。 灼熱の業火を宿したと言う右手。 今目の前に突き出されているその手の平は炎とは到底無縁な寒々とした冷気を教室内にもたらした。 ノハ;゚△゚) (´゚ω∨`) ノハ;゚△゚)「……寒」 (´゚ω∨`)(いつになれば出るんだ……) ξ゚△゚)ξ「ブーン!」 ( ´ω`)「……おっ?」 名を呼ぶ声の方を向く。 光が目に染みて上手く開けない。 ぼやけた視界が次第に明瞭さを取り戻していく。 ξ゚△゚)ξ「ブーン、大丈夫?」 ( ´ω`)「ツン……」 (;´ω`)「痛ッ……!」 右側頭部に痛みが走る。 そこでようやく自分がベッドの上で寝ていることに気づいた。 ξ;゚△゚)ξ「やっぱりまだ痛むのね。 今タオル濡らしてくるからちょっと待ってて」 額に乗っていたタオルを取り、ツンはカーテンの外へ出て行った。 ( ´ω`)「ここは保健室かお」 重い頭を何とか起こし辺りを見回す。 周りはカーテンで閉め切られ、微かに開いた隙間からツンの姿が見える。 ( ´ω`)「僕はどうして……」 途切れた記憶の糸を手繰り寄せてみようとするが頭の中にある鉛のようなものがそれを邪魔する。 ( ´ω`)「思い出せないお」 結局痛みには逆らえない。 光を遮ればいくらか和らぐだろうかと、再び目を閉じる。 足音。 ひんやりとした感触。 触覚と聴覚で感じる世界。 ( ´ω`)「…………」 そこへ視覚が舞い戻る。 ξ゚△゚)ξ「寝てていいわよ。まだ保健室開けといてくれるってしぃ先生言ってたし。 それに、まだ痛むんでしょ?」 心地よい声。 ( ´ω`)「ツン」 ( ´ω`)「ありがとうだお」 ξ//△//)ξ「べ、別にお礼なんていらないわよ! 話してる暇があったらさっさと寝なさい!!」 ( ´ω`)「それと、ごめんお」 ξ゚△゚)ξ「え?」 ( ´ω`)「僕は馬鹿だお。成績も良くないし頭の回転も速くない。 その上知らず知らずの内にツンを傷つけてしまった大馬鹿者だお」 ( ´ω`)「しかも、その原因は未だに僕の頭じゃわからないお」 掠れた声を振り絞るように話し続ける。 ツンは何も言わずそれを黙って聞いている。 ( ´ω`)「でも、そんな僕でもわかったことがあるお」 ( ´ω`)「ツンは怒ってたんじゃない、悲しかったんだってこと。 ツンは苛立ってたんじゃない、傷ついてたんだってこと」 ( ´ω`)「僕が、その原因を作ってたってこと」 一呼吸。 ( ´ω`)「本当に、ごめんお」 ξ゚△゚)ξ「……ブーン」 小さな声でも聞こえるように、顔を近づける。 ξ゚△゚)ξ「私こそごめん。 理由も言わないで勝手に避けちゃったりなんかして」 ξ゚△゚)ξ「その上、私があんな意地張ったりしたからブーンはこんな目に……」 ξ △ )ξ「本当に……」 微かに混じる涙声。 ( ´ω`)「そんな顔……しないでお」 ( ´ω`)「ツンには笑顔が一番だお」 ξ △ )ξ「……っく……ぇっぐ」 ( ´ω`)「だから……笑ってお」 ξ △ )ξ「……ぅぅ……っぐ」 ( ´ω`)「いつものように……笑ってお」 ξ;ー;)ξ「っぅん……うん……」 涙が光り、零れ落ちる。 透明な雫を湛えた笑顔。優しい声。暖かな涙。 視覚、聴覚、触覚。 それだけあれば、世界は十分素晴らしい。 戻る 目次 次へ ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|