876285 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【お気に入りブログ登録】 【ログイン】

LOYAL STRAIT FLASH ♪

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

☆ENDLESS SKY☆ (●´ー`)さん
ちま/\気まぐれラ… 遅刻こと、DELAY。さん
顔文字 (〃^∇^)さん
大人の楽天生活 スロ… 楽天猫飼さん

Comments

異能者@ お知らせ 問題の方はどうなりましたでしょうか
☆こうさま@ Re[1]:お知らせ(12/05) ご意見有難うございます。 よくよく考え…
異能者@ Re:お知らせ(12/05) いつもまとめてくださり、本当にありがと…
☆こうさま@ Re:メリークリヌマス(12/25) よく考えたら昨日この記事を書いておけば…
*DELAY*@ メリークリヌマス クリスマスは終わってしまったので 来年…

Profile


☆こうさま

Dec 30, 2006
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
33 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:59:39.01 ID:jC9iK4Vk0


(;^ω^)「…これで…よし…だお。とりあえず…だけど」

その様子に安心したのか、その少女は大声で泣くのは止めていたが、
まだその瞳は湿っている。

(*;ー;)「………」

(;^ω^)「大丈夫…だお。おにいちゃんが付いていてあげるからフヒヒ」

笑ってますが決して性的な意味ではありません。

34 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:00:16.47 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「…おとうさんとおかあさんはどうしたお?」

(*;ー;)「……あのね」

彼女は、ぽつり、と答える。

(*;ー;)「まわりの…おじちゃんやおばちゃんが…いきなり、
      おとうさんとおかあさんをつれていっちゃって…ぐすっ」

(*;ー;)「わたしのこともつかまえようとしてたから…こわくて…はしって…」

(*;ー;)「そしたら、まいごになっちゃって…ぐすっ」

(;^ω^)「…そうかお」

35 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:00:53.14 ID:jC9iK4Vk0
はっきりとは理解できなかったが、その単語単語から予想するに、
彼女の父親と母親は、あの狂った集団に捕まってしまい、
彼女が命からがら走って逃げて、ここに迷い込んでしまった。
という感じであろう。

僕は、少し安堵した。
僕以外に狂っていない人間の存在が確認できたからだ。
彼女も何らかのキッカケでこの世界に迷い込んだのであろうか?
とはいえ、周りは敵だらけ。彼女を守らなければ。

そう思い、彼女を見つめると、その表情は落ち着きを取り戻していた。
そして、その瞳は、僕が最初に出会った、幼い男の子を思い出させる。

36 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:01:18.16 ID:jC9iK4Vk0
( ^ω^)「きみ、お名前は?」

(*゚ー゚)「…しぃ」

( ^ω^)「しぃちゃんか。かわいい名前だお。
      僕はブーンっていうんだお」

(*゚ー゚)「ブーン…おじちゃん?」

(;^ω^)「…いや、まだ、おじちゃんって呼ばれる年齢では…
      ブーンおにいちゃんって呼んでお」

(*゚ー゚)「わかった。ブーンおじちゃん」

(;^ω^)「…いや、わかってないお…」

しかし、そのやり取りは不意に遮られる。

37 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:01:50.06 ID:jC9iK4Vk0
「いたぞ~~~!!!」

その声は入り口の方から聞こえた。
すると、その奥から無数の光の点が浮かんできた。
いきなり顔を照らされ、
眩しさのあまり、そこに誰がいるか確認できなかったが、
目を凝らして見てみると、そこは無数の人影。
数百…いやそれ以上か?
その中の一人一人は、年齢、性別はばらばらだが、
共通していることがあった。
左手には懐中電灯を持ち、
右手には、木の棒やナイフ、鎌、包丁、鉄パイプなど、
各々に凶器を持っていた。

そして、再び聞き覚えのある音を耳にする。

38 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:02:26.70 ID:jC9iK4Vk0

「殺せ…殺せ…」

「殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…」

「殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…」

「殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!
 殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!
 殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!」

一つの呟きがもう一つの呟きを呼び、
それは、一つの不気味な音へと変わっていく。
次第にそれは、次第に叫び声に変わる。
そして、それは統率を取り始め、次第にコールのように変わっていく。

39 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:03:06.57 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「…な!何で!何で!僕が、この子が狙われなくちゃいけないんだお!」

そのコールを切り裂くかのように僕は叫んだ。
しかし、彼らは誰も答えない。
だが、そのコールは質問に答えるかの如く、言葉を変えていく。

「社会の屑!社会の屑!
 社会の屑!社会の屑!
 社会の屑!社会の屑!
 社会の屑!社会の屑!」

(;^ω^)「…理不尽だお!!
      僕が何でそんなことを言われなきゃいけないんだお!!」

その音はまた変わっていく。

「お前は必要ない!お前は必要ない!
 お前は必要ない!お前は必要ない!
 お前は必要ない!お前は必要ない!
 お前は必要ない!お前は必要ない!」

43 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:04:10.34 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「うるさいっ!」

これ以上言っても無駄だと思った。
僕は急いで少女を背負い、
床に転がっていたバールのようなものを拾い上げる。
そして、周りを確認した。
どうやらこの工場の入り口は手前の大きいものが1つだけで、
そこは狂った群集に埋め尽くされている。
どう考えてもそっちには行けない。

ふと後ろを振り返ると階段が上に伸びていた。
そして反射的に走り出す。
それに続くかのように狂った群集は後に続く。
前列の者が転んでも後列の者たちは構わずその上を進んでいく。
「殺せ」のコールの中に悲痛な叫び声が混ざる。
まさにここは地獄絵図だった。

44 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:04:50.06 ID:jC9iK4Vk0
僕は時折振り返り、バールのようなものを振り回し、威嚇。
そして前を向き走る。それを必死に繰り返す。
階段の下にたどり着くと、急いで駆け上がる。
追従者達は、我先に、と階段になだれ込む。
一番前のものが転んでも、その上を踏みつけ前へ進む。
それは次第に、人が人の上をよじ登っているように見えてくる。
まるで地獄の亡者が、
天から降りてきた一本の糸に群がるかのように醜かった。


45 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:05:53.34 ID:jC9iK4Vk0

そして僕は階段の終わりにたどり着くとそこにはドアがあった。
鉄で出来ていてさび付いた茶色いドア。
そして、急いでそれを開く。
開けたら閉める、僕はそれをいつも以上に素早く行った。
そして、ドアノブの上の鍵を回す。

目の前は、埃の被ったスチール製の机や椅子が散乱していた。
後ろの方では鈍い衝撃が響く。
僕は背中の少女を床に下ろした。
そして、すぐさま転がっていた机を引っ張り、入り口のほうへ向かう。
机でドアの前を塞ぎ、また新たに机を引っ張る。
それを繰り返すと目の前には強固なバリケードが出来上がっていた。

46 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:06:43.16 ID:jC9iK4Vk0
あらかた、作業が終り、冷静になってみると、
入り口の反対方向の壁全体に窓が付いていることに気づく。
僕はそこから外の様子を伺う。
そこには絶望的な状況があった。

見渡す限りの人の波。波。波。
それは、一斉に、この工場に向かっている。
これでは窓から脱出しようとしても、直ぐに捕まってしまう。
僕は、体の力が抜けたかのようにその場に腰を落としてしまった。

47 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:07:14.00 ID:jC9iK4Vk0
ふと顔を上げると、そこには心配そうに僕を見つめる少女の姿があった。
しかし、僕の様子を見て、彼女も不安そうだ。

(;^ω^)「だ、大丈夫だお!!なんとかなるお!!」

そうだ、自分がしっかりしないでどうする。
誰が、あの狂った群集から彼女を助けるんだ!!
僕だ!!僕にしか出来ない!!

そう思い直すと僕は、すっく、と立ち上がる。
そして僕は彼女の頭を優しく撫でた。
すると彼女は僕の右足に抱きついてきた。
そうだ、彼女はまだ幼いんだ。怖かったのであろう。無理もない。

48 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:07:53.60 ID:jC9iK4Vk0

(*゚ー゚)「おじちゃん…」

彼女はこう口を開く。

(;^ω^)「こわかったおね。でもおにいちゃんがついてるお」

僕は慰めるようにそれに答える。

(*゚ー゚)「ううん…だいじょうぶだよ」

彼女は横に首を振る。

(*゚ー゚)「おじちゃんは、わたしを…たすけてくれた」

その口調は穏やかだった。

49 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:08:25.59 ID:jC9iK4Vk0
(*゚ー゚)「だから、こんどは…わたしのばん…」

(;^ω^)「へ…?」

僕は何か聞き返そうとするが、構わず彼女は続ける。

(* ー )「こんどは…わたしが…たすけて…あげる…」

(;^ω^)「ッ!?」

50 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:09:15.42 ID:jC9iK4Vk0
その言葉を聞き終えた瞬間だった。
妙な違和感を右足に感じた。
僕は、視線を下にやる。
すると、そこには、


太腿に深々と突き刺さるナイフがあった。
そして、その先からは赤い液体が流れ落ちている。

(* ー )「…このくるしみから」

51 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:10:12.28 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「うあああああああああああああああああああああ
      ああああああああああああああああああああああ
      あああああああああああああああ!!!!!!!」

太腿に走る激痛。それは直接喉を刺激し、叫びをこぼれさせる。
ぼくは、余りの痛さに立っていられずに、その場にしりもちをついた。
そして、太腿を押さえ悶える。

(* ー )「ふふふ……」

そして、彼女の方を見ると、その表情は見覚えのあるものだった。
口元は醜く歪み、瞳は大きく見開き、血走っていた。
そう、あの狂った群集のように。
先程までの瞳の輝きはそこにはもうなかった。

52 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:10:58.54 ID:jC9iK4Vk0
(* ー )「じっとしていてね…たすけてあげるから…」

そういうと彼女はスカートのポケットからもう一つナイフを取り出す。
僕は、その様子に戦慄を覚える。

(;゜ω゜)「くるなあああああああああ!!!」

僕は、へたれこんだ姿勢のまま、そのまま後ずさった。
彼女は、ゆっくりとそれを追いかけてくる。
何メートルか動いたあと、僕の腕は何かにぶつかる。
振り返ってみると、それは壁だった。
いつの間にか僕は壁に背を向けていた。






Last updated  Dec 30, 2006 08:28:47 PM
コメント(0) | コメントを書く


Copyright (c) 1997-2017 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.