第二十一話上第二十一話 「世界の始まり」 (*゚∀゚)「よいしょっと」 今から一年程前、当時小学五年生だったつーはその日、橋を渡っていた。 (*゚∀゚)「……わぁ」 自らの背丈ほどある柵から身を乗り出し、下を覗く。 浅く穏やかな流れの川が、日の光を反射し眩しく煌めいていた。 (*゚∀゚) そこから視線を橋の向こう側へと移す。 大小様々な大きさの石で埋め尽くされた川原、その後ろには青々と茂る草に覆われた斜面が見えた。 (*-∀-) 川のせせらぎ。 草達のざわめき。 風が、彼女を誘っていた。 昔から彼女は散歩を習慣としていた。 足腰がしっかりとし始め、自らの意思で自由に歩き回れるようになった頃からその習慣は始まった。 それこそ初めの内は、家の中や庭など大人の目から見れば散歩の内にも入らないような場所をふらふらと歩き回るようなものだった。 しかし、そのような限られた世界の中でも、二階へ続く階段との対峙や紫陽花の上をのそのそ動くカタツムリとの出会いなど 彼女の心に感動と興奮を呼び起こす出来事は数え切れないほどあった。 ほんの些細なことに好奇心を掻きたてられ、未知が既知へと変わっていく喜びで胸が一杯になる。 全てが新鮮で一日一日があっという間に過ぎ去ってしまう。 人々にとって幼少時代とはそういうものであり、彼女もまた例外ではなかったのだ。 そして、次第に彼女は思うようになる。 自らの記憶から一生離れないような未知を、もっとたくさん見てみたいと。 (*゚∀゚) そんな彼女の行動範囲が、歳を重ねるにつれ瞬く間に広がっていったことは言うまでもない。 それと共に彼女の世界も広がっていき、忘れたくても忘れられないような心震わす思い出も見る見るうちに増えていった。 あまり遠くへ行ってはいけない、という母親の言いつけを破り叱られたこともこれまで多々あった。 そうする内に彼女の中でも、自らの世界にボーダーラインを引くようになった。 ここから先はまだ白紙、手つかずの状態でとっておこうという境界線を。 最初の内は、母親に心配をかけないよう自分を縛るための線だった。 だが、自らの作った制約を厳しく遵守するようになって、彼女は気づく。 その見えない境界線が、新たな世界の広がりへ更なる喜びを与えることに。 (*゚∀゚) 彼女がこの日渡っていた橋もその境界線の内の一つだった。 つまり、この日彼女はまた少し自分の世界を広げたということだ。 制約がもたらす喜びに味を占めた彼女は、毎年一回自分の誕生日に一つの境界線を超えることに決めた。 我慢すれば我慢した分だけ後に訪れる感動も大きくなる、と言う彼女なりの考えだ。 (*゚∀゚)「わは」 橋の中程を越えた辺りから、今まで土手に隠れ見えなかった場所が姿を現し始める。 初めに見えたのは扇状に広がる芝生。続けて薄茶けたベースに囲まれたダイヤモンドが視界に入る。 帽子を被った球児達が大きく声を張り上げて練習に励んでいた。 (*゚∀゚)「野球場だったんだぁ」 そう漏らすつーの胸は、いつの間にか早鐘を打つように高鳴っていた。 その高鳴りに身を任せるように、彼女は歩くスピードを早めていった。 (*゚∀゚) 土手の上まで来ると野球場全てが見渡せた。 内外野それぞれが守備につき、いつ飛んでくるかわからないボールを中腰の体勢で待っている。 両側のベンチからは大きな声援が飛び交っており、今は試合中であることが見て取れた。 (*゚∀゚)(野球ってこんな近くで見るのは初めてだなぁ) 草の生えた斜面に腰を下ろし、思う。 今まで父親のつけるナイター中継くらいは見たことはあったが、こんなに間近で野球を見るというのはつーにとって初めてのことであった。 それもまた彼女をこの場へと吸い寄せた一つの要因だったのかもしれない。 バッターボックスでヘルメットを被った少年がバットを振るう。 真っ直ぐ突き出されたバットは、その先端を目標へと定める。 その先に、彼はいた。 ミ,,゚Д゚彡 (*゚∀゚) 帽子を深く被り、鋭い視線で打者を射抜くフサギコ。 右手に握ったボールを手の中で回転させながら、今か今かとその時を待っている。 さわさわと吹く風が彼の特徴である長く伸びた後ろ髪を靡かせていた。 まるで、彼女を誘うかのように。 フサギコへ向けられたバットが弧を描き、打者の肩上に構えられる。 それを確認し、フサギコは投球動作へと移る。 ミ,,゚Д゚彡 両腕を振り被り、身体を捻る。 重心移動と共に右腕を振るう。 ミ,,゚Д゚彡「っ!!」 高速の右腕が放った白球がミットへと突き刺さる。 渇いた音と共に、審判が右腕を高々と掲げた。 (*゚∀゚)「うはぁ」 能力的に見れば天と地程の差はあるものの、間近で見る投打の争いはテレビの中で見るそれとはまるで違う迫力を備えていた。 その壮烈な光景につーの口から感嘆の息が漏れる。 ミ,,゚Д゚彡 捕手から球を受け取り、フサギコは二度目の投球動作に入る。 ミ,,゚Д゚彡「っ!!」 放たれた白球は激しい回転を孕みながら、再度空中を疾走する。 向かうは、口を開き自らの到着を待つ黒色のミット。 カァンと言う金属音が響き、白球はミットへと収まることなく、その行く先をバックネットへと変えた。 打者の少年はバットを見つめ、小首を傾げる。 その表情に浮かぶのは、紛れもない焦り。 ミ,,゚Д゚彡 そんな絶対的優位とも言える場面においても、フサギコの表情が緩むことはない。 打者を射抜く鋭い瞳は、静かに滾る闘志を未だその内に含んだままだ。 18.44mと言う距離で隔てられた二人の構図は、正に蛇に睨まれた蛙と形容するに相応しい。 マウンド上で威風堂々佇むフサギコを見て、打者の少年の額から汗が流れ落ちる。 最早、勝負は決したと言っても過言ではなかった。 ミ,,-Д-彡「……すぅ」 捕手からボールを受け取ると、フサギコは目を閉じ深く息を吸う。 ミ,,゚Д゚彡「……ふぅ」 そして、そのまま空を仰ぎ見ると吸い込んだ空気を大きく吐き出した。 ミ,,゚Д゚彡 再び、打者の少年に視線が突き刺さる。ゴクリと喉が鳴り、固まりかけていた覚悟があっさりと崩れ去る。 心の中でもう少しの時間の猶予を懇願するも、そんなものが届くはずはなく。 ミ,,゚Д゚彡「ふっ!!」 無情にも放たれた白球は、苦し紛れに振るったバットをあっさりと見送り、渇いた音と共にミットへと収まった。 (*゚∀゚) 見事なまでの奪三振劇を目の当たりにし、つーは口を開いたまま呆けていた。 審判が試合の終了を高らかに宣言し、フサギコがガッツポーズと共に大きな声を上げても、つーはしばらくその状態で固まっていた。 過度の感情に見舞われた時、人は言葉を失う。 彼女はこの瞬間、フサギコに心を奪われたのだ。 ミ,,゚Д゚彡「よっしゃぁ!!」 ( ФωФ)「ナイスピッチ!やるじゃねーか、フサギコ!!」 マウンドから降りてくるフサギコの元へサードの少年が駆け寄る。 ミ,,゚Д゚彡「ああ、今日は最高に調子が良かったみたいだ」 ( ФωФ)「次の大会もこの調子で頼むぜ。お前が頑張ってくれりゃ俺達は何もしなくて済むしな」 ミ,,゚Д゚彡「はは、任せとけって……ん?」 と、試合後の挨拶に向かう途中、フサギコは何かの気配を感じ取り土手の方へと目を向ける。 ( ФωФ)「ん、どうした?」 ミ,,゚Д゚彡「いや、誰かこっちを見てたような気がしたんだけど……気のせいだったみたいだ」 ( ФωФ)「まさか、俺の追っかけの女の子だったりして?」 ミ,,゚Д゚彡「ははは、ねーよ」 (;*゚∀゚)「はぁはぁ……」 草の上で息を弾ませるつー。 フサギコがこちらを向くほんの数瞬前に、球場側からは死角となる斜面へと転がり落ちた結果である。 (;*゚∀゚)「あれ……なんで私隠れたんだろ……?」 その時の彼女に理由など分かるはずもなかった。 気がつけば体が勝手に反応し、為されていたこと。 それが恋のせいだと気づく暇も余裕も、彼女には用意されていなかったのである。 身体を起こし、体に張り付いた草葉をはたきおとす。 Tシャツの裾についた緑色の汚れに顔を顰めつつも、もう一度土手の上へと登り始める。 (;*゚∀゚) まだこちらを見ているのではないかと心配になり、顔だけを恐る恐る上に出してみる。 当然そんなことは無用の心配であり、球場では両チームが整列しあい試合後の挨拶を交わしていた。 ミ,,゚Д゚彡 その列の中にフサギコを見つける。 (;*゚∀゚) それもまた無意識の内に為されていたことで、気づけば視線は彼の元にしかいかなくなっていた。 これが恋なのだと彼女が理解するのは、この時からしばらく経った後のことだ。 フサギコとの出会いを果たしてから、彼女は週末になるとほぼ毎週のように野球場へと出かけた。 練習、試合に関わらず、フサギコはマウンド上に必ず一度は顔を出し、彼女に闘志溢れるピッチングを披露してくれた。 もちろん、フサギコからしてみればそんな自覚はさらさらない。いつだって、つーからの一方的な観戦だった。 (*゚∀゚) 最初の時と同じ土手の上からや バックネット|゚∀゚) バックネットの陰から (メФωФ)∀゚) また、時には応援に来ている父兄達の後ろに隠れて試合を観た時もあった。 ミ,,゚Д゚彡 そして、そのいずれの時でもフサギコは惚れ惚れするようなピッチングをつーに見せてくれた。 <ヽ`∀´>「フサギコ最近調子良すぎニダ!このままだと来月の大会までに力を使い果たしちゃうんじゃないニカ?」 ミ,,゚Д゚彡「大丈夫大丈夫!この調子なら大会もいけるって!」 ( ФωФ)「そうそう、フサギコがいれば何の心配もいらねぇよ」 確かに、野球経験のないつーの目から見てもフサギコの投球は非の打ち所のない完璧なもののように見えた。 この調子なら来月あるという大会でもなかなかの結果を残せるのではないか、と思ってしまうほどだった。 フサギコ自身もそんな期待と自信を抱いていて、完璧はいつか崩れるものだなんていう考えは、その時頭の片隅にもなかった。 ミ,, Д 彡 終わってみれば、何の言い訳もしようがない程の惨敗。 要所要所で四球を重ね、焦りによって生まれた失投を右中間や左中間へフリーバッティングのように運ばれる。 打撃の援護がなかったせいというのもあるが、傍から見れば投手の一人相撲の末敗れたようにしか見えなかっただろう。 <ヽ`∀´>「やっぱり……大会までそううまくいくもんじゃなかったニダね」 ( ФωФ)「……だな。まぁ、誰にだって調子が悪い時はあるよな」 <ヽ`∀´>「……お前は本当バカニダね」 (#ФωФ)「なにぃ!?」 <ヽ`∀´>「今回負けたのはフサギコのせいじゃないニダ。ウリ達があいつに頼りきってたのが悪かったんだニダ」 ( ФωФ)「まぁ……確かにそうだったかもしれねぇな」 <ヽ`∀´>「どんな名選手にだって崩れる時はあるニダ。そんなの当たり前なんだニダ」 <ヽ`∀´>「防御率0の投手はいないし、打率10割の野手もいない。誰しもが本塁打を打たれ、また誰しもが三振をするニダ」 <ヽ`∀´>「でも、野球は個人競技じゃないニダ。全員野球って言葉がある通り、野球はベンチや応援も含めてみんなでやるもんニダ」 <ヽ`∀´>「だから、誰かが三振をすれば他の誰かがその分ヒットを打てばいい」 「なげぇんだよ、この野郎!!」(#ФωФ)=つ)`∀´>「誰かがホームランを打たれたら、その分誰かぎゃああああああああああ!!」 <#)`∀´>「痛っ!!な、何するニダ!!」 (#ФωФ)「お前の話は長すぎてよくわかんねーんだよ!もっと短くしろ!短く!!」 <#)`∀´>「……全く、この程度の長さを我慢できないなんて……」 (#ФωФ)「あぁ!?なんだって!?」 <#)`∀´>「……だから、要するにニダ」 <#)`∀´>「フサギコがいくら打たれても負けないくらいの点数を取る。それくらいの意気込みでこれから練習していこうって話ニダ」 ( ФωФ)「……ほう、なるほど。そういうことなら、あれだな」 <#)`∀´>「何ニカ?」 ( ФωФ)「今から素振り三千本!!なんてのはどうよ?」 <#)`∀´>「三千本って……そんなにやったらさすがに日が暮れてしまうニダ」 ( ФωФ)「おー、なんだなんだ?やる前から降参ですかー?」 <#)`∀´>「ぬ」 ( ФωФ)「まぁ、万年8番レフトのお前にゃ無理な練習だったかもなー」 <#)`∀´>「いいニダ!そこまで言うならやるニダよ!後で後悔しても知らないニダ!!」 ( ФωФ)「いいねいいねー、そうこなくっちゃ!!」 (*゚∀゚) マウンド上で立ち尽くしているフサギコとそれを見つめながらじゃれ合う二人の少年の様子を、つーは静かに眺めていた。 日は少し傾き始めていて、橙色に揺らめく太陽がフサギコの哀愁漂う背中を照らしている。 と (;*゚∀゚)「わわっ!?」 ミ,,゚Д゚彡 突然その背中が振り返り、フサギコは早足で球場の外へと歩き始める。 ( ФωФ)「お?動き出したぞ」 <#)`∀´>「へぇ……あいつもなかなか根性あるみたいニダね」 (;*゚∀゚) いつものように土手に寝転び顔だけを出して見ていると、フサギコは自転車に乗りどこかへと走り去って行ってしまった。 ( ФωФ)「こんな時間でも自主練しに行くとは、余程悔しかったんだろうなぁ、今日の試合。俺達も一緒にやりにいくか?」 <#)`∀´>「今は一人にさせておいたほうがいい二ダ。それにあっちの公園は家とは逆方向ニダ。余計帰りが遅くなっちゃう二ダよ」 ( ФωФ)「ふーん、まぁそれもそうか。んじゃ、俺らはここで素振り五千本やって帰るか!!」 <#)`∀´>「あれ……何かさっきより増えてないニカ?」 (;*゚∀゚)(公園……) フサギコの後姿を見送りながら、自然と聞き拾ってしまった言葉。 そして、自らが見つめる先。 (;*゚∀゚)(あっちの公園って言ったら……) 方角的に考えれば思い当たる節は二つ三つ、回りきれないような数ではない。 今すぐ追いかければ、彼を見つけることはそう難しくはないだろう。 しかし、それ以前の疑問がつーの頭に浮かぶ。 (;*゚∀゚)(いやいや、ちょっと待て私。居場所を突き止めて一体どうするつもり?これじゃただのストーカーじゃない) 何故かと自らに問うても、やはり答えは出ない。 理由はない、だけど自分はそうしたくてたまらない。 そんな訳の分からない欲求はつーの頭をますます混乱させるばかりだった。 (;*゚∀゚)「あー、もうわかんなーい!!」 ( ФωФ)「ん?」 <#)`∀´>「何ニカ?今の声」 (;*゚∀゚)「わわわわ」 (*゚∀゚) (*゚∀゚) (*゚∀゚)「来てしまった」 (*゚∀゚) (*゚∀゚) (*゚∀゚)「そして」 ミ,,゚Д゚彡 (*゚∀゚) (*゚∀゚) (*゚∀゚)「見つけて……しまった」 つーがその公園に着くころには辺りはすっかり暗くなり、公園内の電灯が練習に励むフサギコの姿を頼りなく照らし出していた。 ミ,,゚Д゚彡「っ!!」 フサギコの放つ球は暗がりの中で一際綺麗な白線を描いていた。 だが、その軌跡が地面に立つ空き缶を捉えることはなく、白球はそのまま草むらへと消えていく。 ミ,,゚Д゚彡「……くそぉ」 一人悔しさを漏らすと、彼もまた暗い草むらの方へと消えていった。 |電柱|゚∀゚) その様子をつーは公園の目の前にある電柱の陰から見ていた。 ミ,,゚Д゚彡 それからしばらく経ち、フサギコが再び光の下へと姿を現す。 そして ミ,,゚Д゚彡「っ!!」 息つく間もなく、黄色に輝くグローブを頭上に掲げると、いつもよりか幾分荒々しいフォームでもう一度暗闇の中へとボールを放った。 しかし、やはり目標を捉えることは出来なかったらしく、悔しそうに太腿を打った後フサギコは再度暗がりの中へと消えていく。 結論から言えばこの日、彼の球が響きの良い金属音を打ち鳴らすことは一度もなかった。 暗く視界の悪いところに缶を立て、その上試合の疲れもあった。 単純に考えてみれば当たるはずもない、無謀な挑戦だったのだ。 だが、そんなことは初めから分かっていた。 ミ,,゚Д゚彡 フサギコも |電柱|゚∀゚) つーも それを承知の上で投げ続け、応援し続けていた。 目的や理由は違えど、二人ともそれをせずにはいられなかったのだ。 この日は結局フサギコの腹の虫が限界を告げるまで練習は続き、つーも黙ってそれを見守り続けた。 そして、フサギコの帰りを電柱の陰からそっと見送ると、彼女も夜の道へと抜け出し帰路についた。 (*゚∀゚) 帰り道の途中、つーはこれまでの自分の行動を振り返ってみた。 (*゚∀゚)「私……どうしちゃったんだろ……」 思えば、誕生日にフサギコと出会ってから今日に至るまで、考えるのは彼のことばかり。 いくら鈍感なつーと言っても、ここまで来れば思い浮かぶ言葉は一つしかない。 (*゚∀゚)「これが……恋なのかな」 言ってから、自分の発言がとてつもなく恥ずかしいことに気づき赤面する。 身体中を襲う妙なくすぐったさに顔を覆うと、家に向かって全速力で駆け出した。 (*゚∀゚)「――それからも、週末になると大抵野球場へ行ってフサギコ君を見てました」 (;'A`) (*゚∀゚)「もちろんさっきも言ったように、その間も私とフサギコ君との間に会話や接触などはありません」 (;'A`) (*゚∀゚) (;'A`) (*゚∀゚)「すいません……こんなつまんない話を長々と聞いてもらっちゃって……」 (;'A`) (*゚∀゚) (;'A`) (*゚∀゚) (;'A`)「やっぱさ」 (*゚∀゚)「はい?」 (;'A`) (;'A`)「野球やってる男ってかっこいいの?」 (;*゚∀゚)「え」 (;'A`)「やっぱ野球やってるとポイント高いの?」 (;*゚∀゚)「いや、そういうわけじゃないと思いますけど……」 (;'A`)「じゃあ、陸上は?」 (;*゚∀゚)「え」 (;'A`)「陸上やってる男ってどう?」 (;*゚∀゚)「どうって……」 (;'A`)「かっこいいと思わない?」 (;*゚∀゚)「か、かっこいいんじゃ……ないですかね」 (;'A`)「ハードルは?」 (;*゚∀゚)「ハードル?」 (;'A`)「ハードル跳んでる男ってどう?」 (;*゚∀゚)「ハードルはあんまり見たことないので……」 (;'A`)「……そっか」 (;'A`)「……まぁ冗談はこれくらいにして」 (*゚∀゚)(冗談だったんだ……) (;'A`)「つーちゃん、君は自分がフサギコ君のことを好きなのかどうか確信が持ててないんだよね?」 (*゚∀゚)「そう……ですね。なんかこう、はっきりとは……」 (;'A`)「でも今の君の話を聞く通りだと、やっぱり君はフサギコ君に惚れてると俺は思う」 (*゚∀゚)「やっぱり、そうですか?」 (;'A`)「で、そのことに君自身確信を抱けないのは、君がフサギコ君と話をしたりしてないからだとも思う」 (*゚∀゚) (;'A`)「考えてみれば当然だよね。話したこともない人を好きだなんて断言出来ちゃう方がおかしいくらいなんだから」 (*゚∀゚)「言われてみると……そうかもしれないですね」 (;'A`)「だから、やっぱり君はあの子と話してみた方がいい。怖いかもしれないけど、勇気を振り絞って……ね?」 (;'A`)「でないと絶対後々後悔することになる」 (*゚∀゚)「後悔……」 (;'A`)「そう、後悔。ちなみにこれ俺の体験談に基づいたアドバイスだから」 (*゚∀゚)「ドクオさん自身後悔したことがあるってことですか?」 (;'A`)「うん、何回も」 (*゚∀゚)「何回もなんですか……」 (;'A`)「偉そうなこと言ってるけど実は俺も君みたいなタイプでね。好きな女の子には自分から話しかけられない腰抜けなのよ」 (*゚∀゚)「……」 (;'A`)「あ、だからと言って君のことまで悪く言ってるわけじゃないよ?女の子はそれくらいの方が逆にかわいいもんさ。 俺みたいな男の場合だと情けないっつーかなんつーかダメなだけであって、その……」 (*゚∀゚)「い、いえ!別に……そういうことを思ってたわけじゃないんです。 それにドクオさんも自分のことそんなに悪く言うことないですよ。自分でそのことに気づけてるだけ私なんかより全然すごいです」 (;'A`)「いやいや、頭で分かってても行動に移せないんじゃ一緒だよ。だから……」 (;'A`)「君には、俺と同じような後悔を味わって欲しくないんだ」 (*゚∀゚) (;'A`) (*゚∀゚)「……分かります」 (;'A`) (*゚∀゚)「ドクオさんが私のことを思ってそう言ってくれてることも」 (*゚∀゚)「このままじゃ何も変わらないってことも」 (;'A`) (*゚∀゚)「……だけど、やっぱり私怖いんです」 (*゚∀゚)「出来れば、今まで通り週末になったら橋を渡って野球場に行き、土手の上からフサギコ君を眺める そんな日々の繰り返しをこれからもずっと続けて行きたいんです。それだけでこれまで満足だったし十分幸せだったんですから」 (*゚∀゚)「ただ……本当の自分ではないにせよ、私は今日フサギコ君と関わりを持ってしまいました。 私がそうしたいと言っても、今までのような一方的な関係ではいられないんですよね」 (*゚∀゚) (*゚∀゚)「私はもう……自分がどうしたいのか……どうすればいいのかが分からないです」 戻る 目次 次へ |