( ^ω^)ブーンが残された時間で喧嘩を売るようです 


78 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:00:52.70 ID:5IFq2ijU0
第4話 「生贄の羊達」 


ξ;゚听)ξ「……はぁ……はぁ……」 
( ^ω^)「ツン、大丈夫かお?疲れたかお?」 
ξ;゚听)ξ「……だい…じょうぶ…何ともないわ…」 

なんともない人間はこんな辛そうな顔をしない。誰がどう見てもやせ我慢以外の何物でもなか
った。 
地上に出てから急激にツンの体調は悪化していった。 
原因が何かは分からないが、これ以上歩かせていいものか判断に迷う。 

( ^ω^)「とりあえず13セクションWまで頑張るお。」 
ξ;゚听)ξ「……うん。」 



79 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:01:13.12 ID:5IFq2ijU0
僕は13セクションWに戻り、水分を補給する。これを第一目標とした。 
今手持ちの水はないし、もしかするとただの脱水症状かもしれない。 

( ^ω^)「…掴まるお。」 
ξ;゚听)ξ「……ありがと。」 

僕はツンに肩を貸す。一人ぶんの重さが寄りかかってきて歩きづらくなるが、そんな事で文句
を言う事はしない。 
むしろ…頼られているような気がして嬉しい。 
彼女が歩きやすいように歩幅を狭めながらさっきの言葉を思い出す。 

              死ぬためよ 

死ぬため。死ぬためってどういうことだよ?言葉通りの意味だとしたら…… 
彼女の表情を思い出す。あれは冗談や何かで言ってる顔じゃない。だとしたら……やっぱり…
… 

!? 急に肩にかかる重みが増す。ツンの体が力を失い崩れ落ちる。 

(;゚ω゚)「ツン!?ツン!!」 
ξ; )ξ「………」 


80 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:02:12.37 ID:5IFq2ijU0
マスクをした男「ぐぎぎぎwww完成じゃ完成じゃ完成じゃwww」 
マスクをした男「12代目の『聖女』!!遂に完成じゃwwwワシの作品じゃワシの作品じゃww
w」 

動く度に体を崩し、それでも動く事を止めようとしない生物 
その生命体を捕食し、その重みに耐え切れずに体を崩壊させる生物。 
顔だけしか残っていない生き物。顔が無いのに生きている生き物。 

マスクをした男「お前はぁwwこいつらと同じだぁwww」 
「………」 

マスクのせいでくぐもった笑い声がアタシの脳を直接揺らす。 
気持ちが悪い。気持ちが悪くて…涙が出そうになった。 

マスクをした男「何をせずとも死にww何をなしても死にww何がなぁぁぁんでも死ぬwwwww」 
マスクをした男「人のために死ねww政府のために死ねww世界のために死ねwwワシのため
に死ねwwwww」 
マスクをした男「お前はぁww死んで初めて認められるwww死んで初めて価値を持つぅぅwww
w」 



81 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:02:46.17 ID:5IFq2ijU0
涙が零れる。アタシは死ぬ。死ぬために生きる。死ぬための存在する。 

マスクをした男「死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んでぇ
ぇぇぇwwwwwwww」 

死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで…… 

マスクをした男「wwwwwwwwwwww死ねwwwwwwwwwwwwwww」 

…………………死ぬ………………… 
…………………死ぬ………………… 
…………………死ぬ………………… 
…………………死ぬ………………… 

…………………死にたく…………… 

…………………ないよぉ…………… 


82 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:03:26.89 ID:5IFq2ijU0
ξ;゚听)ξ「イヤァッ!!!」 
(;゚ω゚)「ど、どうしたお!?」 
ξ;゚听)ξ「え……?あ、っと。」 
(;^ω^)「大丈夫かお?何だか顔色も良くないお。」 
ξ;゚听)ξ「………ううん、大丈夫。それより…何が?」 

現状を把握出来ていないツンに先程の事を説明する。 
ツンが気を失って倒れた事。近くの岩陰に運んだ事。寝ている時も辛そうだった事。ほっぺた
を触った事は伏せておいた。 

ξ;゚听)ξ「アタシ……えっと、どれ位……」 
( ^ω^)「多分2〜3時間位経ったと思うお。」 
ξ;゚听)ξ「そんなに…ん!」 
(;^ω^)「待つお!まだ動かないほうがいいお!」 
ξ;゚听)ξ「………でも…」 
( ^ω^)「少しだけ休憩だお。僕も疲れたお。」 

僕はたいして疲れているわけでは無いが、こうでも言わないと止められそうになかった。 
彼女は何かを焦っている感じがする。それが何かは解らないが… 

( ^ω^)「少し話しでもするお。」 
ξ;゚听)ξ「……うん。」 

他愛も無い話を続ける。ドクオの事や、先輩の事。父さんの事も喋ったりした。 
意味の無い会話。でも、彼女の気が紛れるのならこんな会話も意味を持つんだろう。そう信じ
て話し続ける。喋り続ける。 


83 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:04:28.30 ID:5IFq2ijU0
( ^ω^)「それから両腕を横に広げて……ツン、大丈夫かお?」 
ξ゚听)ξ「うん……今度は本当に大丈夫。もう歩いても平気よ。」 
( ^ω^)「本当かお?絶対かお?」 
ξ゚听)ξ「本当で絶対よ。」 

今度は本当に大丈夫そうだ。ほっと胸を撫で下ろす。 
安心した心の中にさっきの疑問が甦る。 

( ^ω^)「ツン……これから質問することは答えたくなかったら答えなくてもいいお。」 

彼女は頭の上に疑問符を浮かべてこちらを見ている。切り出すのに勇気がいる。 
聞きたくはないけど、聞かなくてはならない。そんな気がしたから。 

(;^ω^)「……さっきの……“死ぬために”って………これはどういう意味だお?」 
ξ - )ξ「………」 


84 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:04:50.62 ID:5IFq2ijU0

長い、長い間が空く。もしかしたら……僕は答えてもらいたくないのかもしれない。そう思わせ
るほどに心臓が早鐘を打つ。 
  そして  彼女の  口が  開いた 

ξ )ξ「そのままの……意味よ」 

視界が揺れた。視界が揺れたと錯覚するほどに、視界が揺れたと錯覚する以上に……心が
揺れた。 

ξ )ξ「アタシは……死んで初めて……人の役に立つのよ……」 

それじゃあ何か?僕達は、君に、死んでもらうために、君を、殺すために、VIPにまで、連れて
行こうと、していたのかい? 

ξ )ξ「死ぬためだけに………生まれてきたのよ………」 

皆知ってたのか?僕だけが知らなかったのか?父さんは知ってたのか? 

ξ )ξ「………だから………行かなきゃ……………いけないの………」 


85 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:05:44.71 ID:5IFq2ijU0
「素晴らしい心構えニダ!!」 
( ^ω^)「先輩!?それにドクオも!!」 
(;'A`)「………」 

見たことのある顔が数人…皆オブサーブの先輩達だ。 

( ^ω^)「先輩。捜索しに来てくれt 
<丶`∀´>「そこを動くなニダ。これから言う事を耳の穴かっぽじってよ〜く聞けニダ!」 
(;^ω^)「な、何お?」 

ふと、気付く。周りの雰囲気がおかしい。全員がピリピリとした視線をこちらに投げかける。 
剣や槍…銃などの兵器も携行している。仲間の捜索に来たというよりもこれでは…… 
ドクオの方を見ても目を合わしてくれない。これは……これは? 

<丶`∀´>「ブーン!!政府直下の令で、貴様を『聖女』誘拐を企てた逆賊と見なしたニ
ダ!!」 
(;^ω^)「……逆…賊?」 
<丶`∀´>「そうニダ!!世界に取って重要な存在である『聖女』ツンを誘拐した貴様の罪は非
常に重い物ニダ!!」 

僕が……誘拐?誰を誘拐したって?聖女だって?誰が?ツンが?聖女ってなんだよ?何がど
うなってんだよ? 
意味……わかんねぇよ。 

<丶`∀´>「しかしウリ達も鬼じゃないニダ。貴様が素直に聖女を渡せば軽い罪で済ませてやる
ニダ。」 
(; ω )「…………たら。」 
<丶`∀´>「何ニダ?しっかり喋れニダ!」 
(; ω )「……渡したら…ツンはどうなるんだお……?」 
<丶`∀´>「………お前には関係無いニダ。さっさと渡すニダ。一応はお前もウリの後輩ニダ。
事を荒げたくはないニダ。」 


87 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:06:14.68 ID:5IFq2ijU0
(; ω )「………」 

そうか…答えないって事は…… 
ツンの方を見る。俯いていて表情を窺う事はできない。だが…… 

(; ω )「……先輩…」 

あの時の顔を思い出す。無理に作られた歪んだ笑顔。 

(; ω )「……僕は…」 

本当は……死にたくなんて……ないんだ… 

(; ω )「……僕は…」 

僕は……僕が…僕があんな顔を見たくない! 

( ^ω^)「僕は……ツンを渡すつもりはありませんお。」 
ξ;゚听)ξ「!!」 
(;'A`)「!?」 

偽らざる本気の本音。変わらない僕の世界に“変化”が訪れた瞬間だった。 


88 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:06:41.50 ID:5IFq2ijU0
<丶`A´>「……本気ニダ?」 
( ^ω^)「本気ですお。」 
<丶`A´>「仕方……無いニダね。」 

これから僕は捕まることになるだろう。だけど、どうにかしてツンだけは逃がす。 
あんな顔には……もうさせない。 

<丶`A´>「……ドクオ。」 
(;'A`)「はいっ!」 
<丶`A´>「お前の出番ニダ。行けニダ。」 
(;'A`)「………本当に……やるんです…か?」 
<丶`A´>「やらなければお前が代わりになるだけニダ。」 
(;'A`)「………解り…ました……」 

先輩とドクオが何やら話をし、ドクオがこちらに近づいてくる。 



89 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:08:07.34 ID:5IFq2ijU0
(;'A`)「………ブーン。」 
( ^ω^)「…ドクオ。僕は考えを変えるつもりは無いお。」 

ドクオは僕と目を合わせようとしない。 

( ^ω^)「説得するつもりなら…意味はないお。」 
(;'A`)「説得なんて……しないよ。」 
(;゚ω゚)「!!??」 
(;'A`)「ゴメン……ブーン……ゴメン………本当にゴメン……」 
(;'A`)「俺は……俺は死にたくないんだ……だから代わりに……ゴメン……ゴメン……」 

辺りに響き渡る水音。一粒、二粒。 ポタリ ポタリ 

ξ;゚听)ξ「        」 
(;'A`)「        」 
<丶`∀´>「             」 



90 : ◆y7/jBFQ5SY :2006/07/24(月) 06:08:33.81 ID:5IFq2ijU0

音が消える。自分の胸を見る。 
何かが生えている。銀色に煌く硬質に 紅い液体降り注ぐ。 
痛みよりも寒気が来る。世界が闇に閉ざされる 
内側から体が食い破られる。 

   心 
   臓 
   が 
   破 
   壊 
   さ 
   れ 
   る 
   ・ 
   ・ 
   ・ 



第4話 「生贄の羊達」  終 





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